JP2811536B2 - 射出成形における型内の樹脂圧力推定方法 - Google Patents
射出成形における型内の樹脂圧力推定方法Info
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Classifications
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B29—WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
- B29C—SHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
- B29C45/00—Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
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-
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- B29C45/76—Measuring, controlling or regulating
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-
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Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
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- Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形品を生産する
に際して、環境温度の変化によって生じる成形品の寸法
変動および成形不良の発生を迅速に予測するために必要
となる射出成形における型内の樹脂圧力推定方法に関す
るものである。
に際して、環境温度の変化によって生じる成形品の寸法
変動および成形不良の発生を迅速に予測するために必要
となる射出成形における型内の樹脂圧力推定方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】成形品を射出成形する際に発生する成形
品品質の変動は、射出成形機が設置された場所の大気温
度、金型温度および溶融樹脂温度の変化等の温度変化に
主として支配される。これらの温度変化は、金型に溶融
樹脂が充填される過程における溶融樹脂の流動性、収縮
率および結晶化度等に影響を及ぼす。この結果、金型キ
ャビティ内の溶融樹脂温度や樹脂圧力に変動が現れ、ひ
いては成形品の寸法の変動や成形不良が引き起こされる
こととなる。
品品質の変動は、射出成形機が設置された場所の大気温
度、金型温度および溶融樹脂温度の変化等の温度変化に
主として支配される。これらの温度変化は、金型に溶融
樹脂が充填される過程における溶融樹脂の流動性、収縮
率および結晶化度等に影響を及ぼす。この結果、金型キ
ャビティ内の溶融樹脂温度や樹脂圧力に変動が現れ、ひ
いては成形品の寸法の変動や成形不良が引き起こされる
こととなる。
【0003】そこで、上記温度変化に起因する成形品品
質の変動を監視するための一つの方法として、金型キャ
ビティ内に樹脂圧力センサを設け、該樹脂圧力センサに
よって型内樹脂圧力を計測してその変動状態によって成
形品品質の変動を検知したり、前記樹脂圧力センサの検
出値に基いて型内樹脂圧力が所定の値となるようにフィ
ードバック制御する方法が採用されている。
質の変動を監視するための一つの方法として、金型キャ
ビティ内に樹脂圧力センサを設け、該樹脂圧力センサに
よって型内樹脂圧力を計測してその変動状態によって成
形品品質の変動を検知したり、前記樹脂圧力センサの検
出値に基いて型内樹脂圧力が所定の値となるようにフィ
ードバック制御する方法が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技
術では、樹脂圧力センサが高価であることやその取付け
と調整には手間がかかる上、型内樹脂圧力が変動したの
ちでなければ成形品品質の変動を検知することができな
いため、金型キャビティ内へ溶融樹脂を射出充填する前
に成形品品質の変動を防止する適切な処置を施すことが
できないという問題点があった。
術では、樹脂圧力センサが高価であることやその取付け
と調整には手間がかかる上、型内樹脂圧力が変動したの
ちでなければ成形品品質の変動を検知することができな
いため、金型キャビティ内へ溶融樹脂を射出充填する前
に成形品品質の変動を防止する適切な処置を施すことが
できないという問題点があった。
【0005】本発明は、上記従来の技術の有する問題点
に鑑みてなされたものであって、金型のキャビティ内へ
溶融樹脂を射出充填する前に型内の樹脂圧力の変動を迅
速に予測し、これによって成形品の品質の変動や成形不
良の発生を防止するための適切な処置を施すことができ
る射出成形における型内の樹脂圧力推定方法を実現する
ことを目的とするものである。
に鑑みてなされたものであって、金型のキャビティ内へ
溶融樹脂を射出充填する前に型内の樹脂圧力の変動を迅
速に予測し、これによって成形品の品質の変動や成形不
良の発生を防止するための適切な処置を施すことができ
る射出成形における型内の樹脂圧力推定方法を実現する
ことを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の射出成形における型内の樹脂圧力推定方法
は、溶融樹脂をランナ部、ゲート部およびキャビティ部
を備えた金型のキャビティ部に射出充填する充填段階
と、前記射出充填された溶融樹脂の冷却にともなう体積
収縮を補うために、スクリュを加圧することにより溶融
樹脂をキャビティ部に追加補給する保圧・冷却段階とを
有する射出成形において、前記射出充填の開始直前にお
ける金型温度および溶融樹脂温度の計測値と、予め設定
される保圧設定値と、前記保圧・冷却段階における型内
の樹脂圧力との間に成り立つ関係式を用いることによ
り、前記射出充填の開始直前の時点において、前記保圧
・冷却段階における型内の樹脂圧力変化を迅速に推定す
ることを特徴とするものである。
め、本発明の射出成形における型内の樹脂圧力推定方法
は、溶融樹脂をランナ部、ゲート部およびキャビティ部
を備えた金型のキャビティ部に射出充填する充填段階
と、前記射出充填された溶融樹脂の冷却にともなう体積
収縮を補うために、スクリュを加圧することにより溶融
樹脂をキャビティ部に追加補給する保圧・冷却段階とを
有する射出成形において、前記射出充填の開始直前にお
ける金型温度および溶融樹脂温度の計測値と、予め設定
される保圧設定値と、前記保圧・冷却段階における型内
の樹脂圧力との間に成り立つ関係式を用いることによ
り、前記射出充填の開始直前の時点において、前記保圧
・冷却段階における型内の樹脂圧力変化を迅速に推定す
ることを特徴とするものである。
【0007】
【0008】
【作用】金型のキャビティに溶融樹脂を射出充填する直
前における金型温度および溶融樹脂温度をそれぞれ計測
し、これらの計測値と保圧設定値に基いて保圧・冷却段
階における型内の樹脂圧力変化を迅速に推定することが
できる。
前における金型温度および溶融樹脂温度をそれぞれ計測
し、これらの計測値と保圧設定値に基いて保圧・冷却段
階における型内の樹脂圧力変化を迅速に推定することが
できる。
【0009】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照しつつ説
明する。
明する。
【0010】図1は、本発明に関わる型内の樹脂圧力変
化の予測式を導出するために仮定した解析モデルの説明
図である。
化の予測式を導出するために仮定した解析モデルの説明
図である。
【0011】先ず、本解析モデルでは、金型1のランナ
部2、ゲート部3およびキャビティ部4からなる溶融樹
脂流路を次のような簡単な形状で近似する。
部2、ゲート部3およびキャビティ部4からなる溶融樹
脂流路を次のような簡単な形状で近似する。
【0012】ランナ部2は半径R(m)の円管、ゲート
部3は幅W(m)、高さ2・B(m)、長さL(m)の
矩形、キャビティ部4は厚さS(m)、体積Vs(m3)の
矩形からなる流路と仮定する。
部3は幅W(m)、高さ2・B(m)、長さL(m)の
矩形、キャビティ部4は厚さS(m)、体積Vs(m3)の
矩形からなる流路と仮定する。
【0013】ランナ部2の樹脂圧力を保圧PL(MPa )
と仮定し、保圧PL は時刻t(s)に依存せず一定とす
る。
と仮定し、保圧PL は時刻t(s)に依存せず一定とす
る。
【0014】型内の樹脂圧力PC(t)( MPa )は、キャ
ビティ部4の平均的な樹脂圧力を示すものと仮定し、流
動方向z(m)および、これに直角方向y(m)の圧力
分布は考慮しない。
ビティ部4の平均的な樹脂圧力を示すものと仮定し、流
動方向z(m)および、これに直角方向y(m)の圧力
分布は考慮しない。
【0015】キャビティ部4の樹脂の断面位置x(m)
の温度をTC(t,x)とおき、断面方向の平均温度をT
C (t) ( ℃)とおき、TC もキャビティ平面各部の平均
温度とし、温度分布を考慮しない。
の温度をTC(t,x)とおき、断面方向の平均温度をT
C (t) ( ℃)とおき、TC もキャビティ平面各部の平均
温度とし、温度分布を考慮しない。
【0016】ゲート部3を通過してキャビティ部4に充
填される樹脂温度をTL(t,x,y)(℃)とおき、T
L(t,x,y)は、保圧冷却過程においては充填完了時
の温度を初期値とするゲート部3での非定常熱伝導とし
て解析する。
填される樹脂温度をTL(t,x,y)(℃)とおき、T
L(t,x,y)は、保圧冷却過程においては充填完了時
の温度を初期値とするゲート部3での非定常熱伝導とし
て解析する。
【0017】ゲート部3およびキャビティ部4の樹脂温
度変化は、それぞれ矩形および無限平板の非定常熱伝導
として取り扱う。ただし、保圧冷却過程における熱移動
は熱伝導のみと仮定し、保圧開始時の温度を一様にT
INI と仮定する。粘性発熱は充填過程においてのみ考慮
する。ゲート部3を通過する溶融樹脂の流れを非圧縮性
流体の一次元流れと仮定し、保圧冷却過程における体積
流量をQH (t) (m3 /s)とおく。キャビティ4の溶
融樹脂の圧縮率βC および熱膨張率κC は、圧力と温度
とに依存するが、簡略化のために、溶融樹脂のpvTデ
ータから平均的な圧縮率と熱膨張率を求め、これらを一
定値と仮定する。
度変化は、それぞれ矩形および無限平板の非定常熱伝導
として取り扱う。ただし、保圧冷却過程における熱移動
は熱伝導のみと仮定し、保圧開始時の温度を一様にT
INI と仮定する。粘性発熱は充填過程においてのみ考慮
する。ゲート部3を通過する溶融樹脂の流れを非圧縮性
流体の一次元流れと仮定し、保圧冷却過程における体積
流量をQH (t) (m3 /s)とおく。キャビティ4の溶
融樹脂の圧縮率βC および熱膨張率κC は、圧力と温度
とに依存するが、簡略化のために、溶融樹脂のpvTデ
ータから平均的な圧縮率と熱膨張率を求め、これらを一
定値と仮定する。
【0018】溶融樹脂はアレニウス型の温度依存性を有
するべき乗流体と仮定する。時刻t=to において、溶
融樹脂がキャビティ部4、ランナ部2およびゲート部3
を充満していると仮定する。すなわち、時刻t=to を
充填過程の終了時点と仮定する。
するべき乗流体と仮定する。時刻t=to において、溶
融樹脂がキャビティ部4、ランナ部2およびゲート部3
を充満していると仮定する。すなわち、時刻t=to を
充填過程の終了時点と仮定する。
【0019】キャビティ4内における樹脂密度をρC
(t)(kg/m3)とおく。
(t)(kg/m3)とおく。
【0020】図2は、射出成形における型内の樹脂圧力
変化および型内の樹脂温度変化を示すグラフである。
変化および型内の樹脂温度変化を示すグラフである。
【0021】図2に示すように、充填過程では、比較的
低い樹脂圧力を示し、キャビティが樹脂で充満される
と、樹脂が急激に圧縮されて短時間で最大値に達する。
最大値に達した後は、冷却に起因する樹脂の体積収縮に
より樹脂圧力は減少するが、キャビティ部4へ溶融樹脂
が補給されるため、樹脂圧力は上に凸の減少を示す。そ
の後、冷却によりランナ部2からキャビティ部4に供給
される樹脂の流動性が徐々に低下して消失すると、キャ
ビティ部4への樹脂の補給が停止する。この時点から、
キャビティ部4内の樹脂は質量が一定の下での体積収縮
に相当する圧力降下を示す。充填完了から型内の樹脂圧
力が最大値に達するまでを圧縮段階、最大値に到達した
のち冷却に起因する体積収縮と、これを補う樹脂流動と
が同時に進行する過程を保圧・冷却段階と呼ぶ。以上の
仮定の下で定式化を行うと次のようになる。
低い樹脂圧力を示し、キャビティが樹脂で充満される
と、樹脂が急激に圧縮されて短時間で最大値に達する。
最大値に達した後は、冷却に起因する樹脂の体積収縮に
より樹脂圧力は減少するが、キャビティ部4へ溶融樹脂
が補給されるため、樹脂圧力は上に凸の減少を示す。そ
の後、冷却によりランナ部2からキャビティ部4に供給
される樹脂の流動性が徐々に低下して消失すると、キャ
ビティ部4への樹脂の補給が停止する。この時点から、
キャビティ部4内の樹脂は質量が一定の下での体積収縮
に相当する圧力降下を示す。充填完了から型内の樹脂圧
力が最大値に達するまでを圧縮段階、最大値に到達した
のち冷却に起因する体積収縮と、これを補う樹脂流動と
が同時に進行する過程を保圧・冷却段階と呼ぶ。以上の
仮定の下で定式化を行うと次のようになる。
【0022】 連続の式: dρC /dt=ρC ・QH /VS ・・・・・(1) べき乗流体のゲート部における定常流れ:
【0023】
【数8】
【0024】
【数9】
【0025】
【数10】 [型内の樹脂圧力の解析](1)式、(4)式、(7)
式より、次式が導かれる。
式より、次式が導かれる。
【0026】 dDC /dt=−Kn ・FC 1/n・DC 1/n・(κC /βC )・dTC /dt ・・・・・(20) ただし、DC =PL −PC(t)、Kn =KO /(βC ・V
S ) 圧縮段階においては、ランナ部2からキャビティ部4に
充填される溶融樹脂の流量は急激に変化する。この際、
剪断速度が大きく変化するので、粘度の剪断速度依存性
を考慮して樹脂を非ニュートン流体として取り扱うこと
が必要である。また、圧縮段階は、非常に短時間である
ので、この間の樹脂の冷却に起因する体積収縮は無視で
きると考えられる。一方、保圧・冷却段階においては、
キャビティ部4に供給される溶融樹脂の流量は比較的微
少である。このため、粘度の剪断速度依存性も比較的小
さくなるので、ニュートン流体(n=1)とする。この
場合、圧縮段階および保圧・冷却段階の型内の樹脂圧力
は次式で表わされる。
S ) 圧縮段階においては、ランナ部2からキャビティ部4に
充填される溶融樹脂の流量は急激に変化する。この際、
剪断速度が大きく変化するので、粘度の剪断速度依存性
を考慮して樹脂を非ニュートン流体として取り扱うこと
が必要である。また、圧縮段階は、非常に短時間である
ので、この間の樹脂の冷却に起因する体積収縮は無視で
きると考えられる。一方、保圧・冷却段階においては、
キャビティ部4に供給される溶融樹脂の流量は比較的微
少である。このため、粘度の剪断速度依存性も比較的小
さくなるので、ニュートン流体(n=1)とする。この
場合、圧縮段階および保圧・冷却段階の型内の樹脂圧力
は次式で表わされる。
【0027】 圧縮段階 (to <t≦tI ) dDC /dt=−Kn ・FC 1/n・DC 1/n・・・・・・(21) 保持圧力・冷却段階(tI <t≦tf ) dDC /dt=−K1・FC ・DC −(κC /βC )・dTC /dt ・・・・・(22) ここで、tf(s)は計算の終了時刻を示す。
【0028】(21)式の解は次式で与えられる。
【0029】 DC 1-1/n −DO 1-1/n =Kn ・(1/n −1)・IFn(to ,t) ・・・・・・(23) (22)式の解は次式で与えられる。
【0030】
【数11】 (25)式を(24)式に代入すると、保持圧力・冷却
段階における型内の樹脂圧力は、次式で表わされる。
段階における型内の樹脂圧力は、次式で表わされる。
【0031】
【数12】 (26)式の第1項は、圧力勾配DI と、流動性の温度
依存項FC の時間積分IF(tI ,t)によって決定され
るキャビティへの樹脂流動に起因する圧力上昇を示す。
(23)式でも同様の解釈が成り立つ。第2項は、キャ
ビティ部4内の樹脂の質量一定下での冷却に起因する体
積収縮による圧力降下を示す。第3項は、冷却に起因す
る体積収縮により付加的に生ずる樹脂の流れに起因する
圧力上昇を示す。すなわち、IFT( tI ,t)は保圧・
冷却段階を特徴づける最も基本的な量であり、冷却に起
因する体積収縮を補う溶融樹脂の補給による圧力上昇を
意味している。以上の解析により、保圧・冷却段階にお
ける型内の樹脂圧力変化は、加熱シリンダからキャビテ
ィ部4に至る圧力勾配に起因する樹脂の流れと、冷却に
起因する樹脂の体積収縮と、体積収縮によって生ずる圧
力勾配に起因する付加的な溶融樹脂の流れの3つの作用
の総和として決定されることが解析的に表現された。こ
れらの作用は、基本的に、樹脂流動性の温度依存係数T
a と、熱膨張率κC と圧縮率βC に支配される。
依存項FC の時間積分IF(tI ,t)によって決定され
るキャビティへの樹脂流動に起因する圧力上昇を示す。
(23)式でも同様の解釈が成り立つ。第2項は、キャ
ビティ部4内の樹脂の質量一定下での冷却に起因する体
積収縮による圧力降下を示す。第3項は、冷却に起因す
る体積収縮により付加的に生ずる樹脂の流れに起因する
圧力上昇を示す。すなわち、IFT( tI ,t)は保圧・
冷却段階を特徴づける最も基本的な量であり、冷却に起
因する体積収縮を補う溶融樹脂の補給による圧力上昇を
意味している。以上の解析により、保圧・冷却段階にお
ける型内の樹脂圧力変化は、加熱シリンダからキャビテ
ィ部4に至る圧力勾配に起因する樹脂の流れと、冷却に
起因する樹脂の体積収縮と、体積収縮によって生ずる圧
力勾配に起因する付加的な溶融樹脂の流れの3つの作用
の総和として決定されることが解析的に表現された。こ
れらの作用は、基本的に、樹脂流動性の温度依存係数T
a と、熱膨張率κC と圧縮率βC に支配される。
【0032】[温度変化と型内の樹脂圧力変化との関
連] (1)流動性の温度依存項の線形近似 金型温度TW と射出される溶融樹脂温度TR がそれぞれ
TW ′,TR ′に変化し、この結果、ゲート部3の樹脂
温度TL がTL ′に変化したとする。これらの関係は次
式で表わされる。
連] (1)流動性の温度依存項の線形近似 金型温度TW と射出される溶融樹脂温度TR がそれぞれ
TW ′,TR ′に変化し、この結果、ゲート部3の樹脂
温度TL がTL ′に変化したとする。これらの関係は次
式で表わされる。
【0033】
【数13】 ここで、δTgen (℃)は、TW とTR の条件下におけ
る充填中の粘性発熱による温度上昇を示す。
る充填中の粘性発熱による温度上昇を示す。
【0034】FC ′=exp(−Ta /TL ′) 、FC =ex
p(−Ta /TL ) とおき、(27)式を代入すると次式
が得られる。
p(−Ta /TL ) とおき、(27)式を代入すると次式
が得られる。
【0035】
【数14】 (28)式において、1/1n(FC ′)と1/1n
(FC )をテーラ展開し、高次項を無視すると、次式が
得られる。
(FC )をテーラ展開し、高次項を無視すると、次式が
得られる。
【0036】 FC ′=δX ・(FCO′/FCO)・(TO /TO ′)2 ・FC +{1−δX ・(TO /TO ′)2 }・FCO′・・・・・(29) ただし、FCOとFCO′はテーラ展開のための適当な温度
であり、次式を満たすように設定する。
であり、次式を満たすように設定する。
【0037】FCO=exp(−Ta /TO )、FCO′=exp
(−Ta /TO ′)、TO ′≒δX ・TO +γX ・ΔTW
+φX ・ΔTR その他に(27)式から、次式が成り立つ。
(−Ta /TO ′)、TO ′≒δX ・TO +γX ・ΔTW
+φX ・ΔTR その他に(27)式から、次式が成り立つ。
【0038】 dTL ′/dt≒δX ・dTL /dt ・・・・・(30) (2)圧縮段階における型内の樹脂圧力変化 金属温度TW と射出される樹脂温度TR が、それぞれT
W ′、TR ′に変化し、保圧PL がPL ′に変化し、こ
の結果、圧縮段階の型内の溶融樹脂圧力がPCからP
C ′に変化したとする。この場合、(29)式を(2
3)式に代入することにより次式が得られる。
W ′、TR ′に変化し、保圧PL がPL ′に変化し、こ
の結果、圧縮段階の型内の溶融樹脂圧力がPCからP
C ′に変化したとする。この場合、(29)式を(2
3)式に代入することにより次式が得られる。
【0039】
【数15】 (3)保圧・冷却段階における型内の樹脂圧力変化 圧縮段階と同様に(29)式と(30)式を(26)式
に代入することにより、次の関係が成り立つ。
に代入することにより、次の関係が成り立つ。
【0040】
【数16】 (31)式と(32)式は、金型温度TW 、射出される
溶融樹脂温度TR および保圧PL それぞれの変化と型内
の樹脂圧力PC の変化とを関係づける式である。
溶融樹脂温度TR および保圧PL それぞれの変化と型内
の樹脂圧力PC の変化とを関係づける式である。
【0041】時間積分項IFn(tO ,t)、IF(tI ,
t)、IFT(tI ,t)およびIT(tI ,t)と、T
C(tI )−TC(t)は金型温度がTW 、射出される溶融樹
脂温度がTR のある基準となる成形ショットにおける値
であり、TW とTR がそれぞれTW ′とTR ′に変化し
た場合には、これらを再度計算する必要はない。すなわ
ち、δX ,A1 ,B1 ,An ,Bn を計算すれば、圧縮
段階および保圧・冷却段階における型内の樹脂圧力変化
PC ′を求めることができる。このことは、実際の成形
中に型内の樹脂圧力変化を求める場合に重要である。つ
まり、予め成形運転前に、計算に時間を要する前記の時
間積分項を求めておけば、以後は、射出開始直前の温度
計測値であるTW ′およびTR ′と運転前に求めておい
た時間積分項と(31)式および(32)式とを用いる
ことにより、型内の樹脂圧力変化を迅速に計算すること
ができる。
t)、IFT(tI ,t)およびIT(tI ,t)と、T
C(tI )−TC(t)は金型温度がTW 、射出される溶融樹
脂温度がTR のある基準となる成形ショットにおける値
であり、TW とTR がそれぞれTW ′とTR ′に変化し
た場合には、これらを再度計算する必要はない。すなわ
ち、δX ,A1 ,B1 ,An ,Bn を計算すれば、圧縮
段階および保圧・冷却段階における型内の樹脂圧力変化
PC ′を求めることができる。このことは、実際の成形
中に型内の樹脂圧力変化を求める場合に重要である。つ
まり、予め成形運転前に、計算に時間を要する前記の時
間積分項を求めておけば、以後は、射出開始直前の温度
計測値であるTW ′およびTR ′と運転前に求めておい
た時間積分項と(31)式および(32)式とを用いる
ことにより、型内の樹脂圧力変化を迅速に計算すること
ができる。
【0042】[パラメータの推定と制御への適用手順] (1)圧縮段階 プロセス制御に適用できるモデルであるためには、実測
値を高精度で表わせることが第1の条件となる。次に、
高速で計算できる必要がある。さらに、異なった成形環
境、材料、金型および射出成形機に適用できるために
は、必要な樹脂物性および金型形状に関するデータを与
えることにより、容易に計算できることが要求される。
しかし多くの場合、実測値と計算値との間には誤差が伴
う。本発明では、モデル内のパラメータを調整すること
により、推定誤差を最小とする手順を定める。
値を高精度で表わせることが第1の条件となる。次に、
高速で計算できる必要がある。さらに、異なった成形環
境、材料、金型および射出成形機に適用できるために
は、必要な樹脂物性および金型形状に関するデータを与
えることにより、容易に計算できることが要求される。
しかし多くの場合、実測値と計算値との間には誤差が伴
う。本発明では、モデル内のパラメータを調整すること
により、推定誤差を最小とする手順を定める。
【0043】先ず、生産前に予備的な成形を行い、実測
値との差異を最小とするように(31)式と(32)式
の中の最適なパラメータを決定する。生産段階において
は、求めておいたパラメータを用いて、型内の樹脂圧力
変化を計算する。基準となる成形ショットにおける型内
の樹脂圧力の実測値が与えられているものと仮定し、予
測を成形ショット間における型内の樹脂圧力の変化量に
限定する。型内の樹脂圧力の計測値が得られない場合で
も、成形品重量の実測値と、型内の樹脂温度変化の予測
式とSpencer&Gilmoreの状態方程式を用
いて型内の樹脂圧力を逆算して求めることができるの
で、本手順は適用可能である。
値との差異を最小とするように(31)式と(32)式
の中の最適なパラメータを決定する。生産段階において
は、求めておいたパラメータを用いて、型内の樹脂圧力
変化を計算する。基準となる成形ショットにおける型内
の樹脂圧力の実測値が与えられているものと仮定し、予
測を成形ショット間における型内の樹脂圧力の変化量に
限定する。型内の樹脂圧力の計測値が得られない場合で
も、成形品重量の実測値と、型内の樹脂温度変化の予測
式とSpencer&Gilmoreの状態方程式を用
いて型内の樹脂圧力を逆算して求めることができるの
で、本手順は適用可能である。
【0044】保圧はスクリュを加圧する油圧力として与
えられ、その最大圧力は機械の能力に依存する。ここで
は、最大の油圧力を100%とし、保圧PHSを%単位で
取り扱う。保圧は通常、加熱シリンダ内の溶融樹脂圧力
と比例関係にあるが、加熱シリンダからゲートまでの間
には圧力勾配があり、保圧とゲート前樹脂圧力との関係
は流路形状と樹脂流動性に依存する。しかし最も大きな
圧力勾配はゲート前とキャビティの間の圧力勾配であ
る。簡単のため、保圧とゲート前溶融樹脂圧力との比例
関係を仮定し、ゲート前溶融樹脂圧力PL を、樹脂圧力
単位での保圧と考える。
えられ、その最大圧力は機械の能力に依存する。ここで
は、最大の油圧力を100%とし、保圧PHSを%単位で
取り扱う。保圧は通常、加熱シリンダ内の溶融樹脂圧力
と比例関係にあるが、加熱シリンダからゲートまでの間
には圧力勾配があり、保圧とゲート前樹脂圧力との関係
は流路形状と樹脂流動性に依存する。しかし最も大きな
圧力勾配はゲート前とキャビティの間の圧力勾配であ
る。簡単のため、保圧とゲート前溶融樹脂圧力との比例
関係を仮定し、ゲート前溶融樹脂圧力PL を、樹脂圧力
単位での保圧と考える。
【0045】 PL =KPL・PHS ・・・・・(33) KPL(MPa /%)は、基本的には射出成形機によって
定まるが、材料および金型に依存する。以上の仮定の下
で、圧縮段階の型内の樹脂圧力変化を表わすためのパラ
メータを次の手順で推定する。(8)式で示したゲート
部の熱伝導計算は、以下では不要となる。
定まるが、材料および金型に依存する。以上の仮定の下
で、圧縮段階の型内の樹脂圧力変化を表わすためのパラ
メータを次の手順で推定する。(8)式で示したゲート
部の熱伝導計算は、以下では不要となる。
【0046】 金型温度がTW 、射出される溶融樹脂
温度がTR および保圧がPHSの基準となる成形条件にお
いて、型内の樹脂圧力PC(t)を実測する。次に、PC を
用いて(31)式を変形した次式によりφ(t) を求め
る。 φ(t) =Kn ・(1/n-1) ・IFn(tO ,t)=DC 1-1/n−DO 1-1/n ・・・・・(34) ここで、DC =KPL・PHS−PC(t)、DO =KPL・PHS
−PCO 、to <t≦tI である。tI は、この成形条件
下で型内圧力が最大値に達する時刻である。
温度がTR および保圧がPHSの基準となる成形条件にお
いて、型内の樹脂圧力PC(t)を実測する。次に、PC を
用いて(31)式を変形した次式によりφ(t) を求め
る。 φ(t) =Kn ・(1/n-1) ・IFn(tO ,t)=DC 1-1/n−DO 1-1/n ・・・・・(34) ここで、DC =KPL・PHS−PC(t)、DO =KPL・PHS
−PCO 、to <t≦tI である。tI は、この成形条件
下で型内圧力が最大値に達する時刻である。
【0047】 金型温度をTW ′、射出される溶融樹
脂温度をTR ′および保圧をPHS′に種々変化させ、変
化させた条件で得られた型内圧力実測値PC(t)′と、
で得られたφ(t) とを用いて、次式の左辺と右辺との差
異が最小となるようにパラメータを決定する。
脂温度をTR ′および保圧をPHS′に種々変化させ、変
化させた条件で得られた型内圧力実測値PC(t)′と、
で得られたφ(t) とを用いて、次式の左辺と右辺との差
異が最小となるようにパラメータを決定する。
【0048】 DC ′1-1/n −DO ′1-1/n =An・φ(t) +Bn ・(t-t0)・Kn ・(1/n-1) ・・・・・(35) ただし、DC ′=KPL・PHS′−PC (t) ′、DO ′=
KPL・PHS′−PCO′である。最適化するパラメータは
KPL 、Kn 、TO 、TINI 、δTgen 、nおよびTa
である。nおよびTa の初期値としては、樹脂物性の測
定データを用いる。KPLの初期値には、その射出成形機
の固有の値を用いる。Kn の初期値は、金型のゲート寸
法と(6)式による計算値を用いる。
KPL・PHS′−PCO′である。最適化するパラメータは
KPL 、Kn 、TO 、TINI 、δTgen 、nおよびTa
である。nおよびTa の初期値としては、樹脂物性の測
定データを用いる。KPLの初期値には、その射出成形機
の固有の値を用いる。Kn の初期値は、金型のゲート寸
法と(6)式による計算値を用いる。
【0049】TO の初期値には、基準となる成形条件下
における射出される樹脂温度TR と、樹脂の流動停止温
度Tnfとの平均値を用いる。TINI の初期値はTR と
し、δTgen は0℃とする。
における射出される樹脂温度TR と、樹脂の流動停止温
度Tnfとの平均値を用いる。TINI の初期値はTR と
し、δTgen は0℃とする。
【0050】 実際の成形中においては、射出開始と
同時に、金型温度TW ′、射出される溶融樹脂温度T
R ′を計測し、An とBn を計算する。次に(35)式
を用いて該成形ショットにおける型内の樹脂圧力PC ′
を計算する。
同時に、金型温度TW ′、射出される溶融樹脂温度T
R ′を計測し、An とBn を計算する。次に(35)式
を用いて該成形ショットにおける型内の樹脂圧力PC ′
を計算する。
【0051】(2)保持圧力・冷却段階 加熱シリンダからキャビティに至る圧力勾配に起因する
溶融樹脂の流れは、圧力勾配の大きい圧縮段階において
顕著となるが、保持圧力・冷却段階においては、圧力勾
配は比較的小さくなるので、圧力勾配に起因する溶融樹
脂の流れも小さくなると考えられる。そこで、(26)
式の第1項において、K1 ・IF(tI,t)が微小であると
仮定し、次式で近似する。
溶融樹脂の流れは、圧力勾配の大きい圧縮段階において
顕著となるが、保持圧力・冷却段階においては、圧力勾
配は比較的小さくなるので、圧力勾配に起因する溶融樹
脂の流れも小さくなると考えられる。そこで、(26)
式の第1項において、K1 ・IF(tI,t)が微小であると
仮定し、次式で近似する。
【0052】 DC =DI +(κC /βC ) ・[TC (tI)−TC (t) ]−K1 ・IFT(tI,t ) ・・・・・(36) ただし、tI <t≦tf である。(36)式を用いて、
以下の手順で最適なパラメータを決定する。
以下の手順で最適なパラメータを決定する。
【0053】 金型温度がTW 、射出される溶融樹脂
温度がTR および保圧がPHSの基準となる成形条件にお
いて、型内の樹脂圧力PC (t) を実測する。次に、時刻
tI<t≦tf の範囲で(14)式を前進差分法により
計算し、(18)式からTC (t) を求める。この結果か
ら、(32)式中の(κC /βC )・[TC (tI)−TC
(t) ]とIT(tI,t)が求められる。次に、実測圧力P
C(t)と、(36)式を用いれば、(36)式の右辺第3
項が次式で計算できる。
温度がTR および保圧がPHSの基準となる成形条件にお
いて、型内の樹脂圧力PC (t) を実測する。次に、時刻
tI<t≦tf の範囲で(14)式を前進差分法により
計算し、(18)式からTC (t) を求める。この結果か
ら、(32)式中の(κC /βC )・[TC (tI)−TC
(t) ]とIT(tI,t)が求められる。次に、実測圧力P
C(t)と、(36)式を用いれば、(36)式の右辺第3
項が次式で計算できる。
【0054】 K1 ・IFT(tI,t )=−[DC −DI]+(κC /βC ) ・[TC (tI)−TC (t) ] ・・・・・(37) 金型温度をTW ′、射出される溶融樹脂温度をT
R ′および保圧をPHS′に種々変化させ、変化させた条
件で得られた型内の樹脂圧力実測値Pc(t)′と、で得
られた[TC (tI)−TC (t) ]、IT(tI,t)およびK1・
IFT(tI,t)とを用いて、(32)式を変形した次式の左
辺と右辺との差異が最小となるようにパラメータを決定
する。
R ′および保圧をPHS′に種々変化させ、変化させた条
件で得られた型内の樹脂圧力実測値Pc(t)′と、で得
られた[TC (tI)−TC (t) ]、IT(tI,t)およびK1・
IFT(tI,t)とを用いて、(32)式を変形した次式の左
辺と右辺との差異が最小となるようにパラメータを決定
する。
【0055】 DC ′−DI ′=δX ・(κC /βC )・[TC (tI)−TC (t) ] −δX ・[A1 ・K1 ・IFT(tI ,t)+B1 ・K1 ・IT(tI,t)] ・・・・・(38) ただし、DC ′=KPL・PHS′−PC(t)′、 DI ′=KPL・PHS′−PCI、tI <t≦tf である。
最適化するパラメータはK1 、TO 、TINI 、δTgen
、Ta およびκC /βCである。K1 の初期値には、金
型のゲート寸法および(6)式の計算値を用いる。κC
/βC の初期値は、Spencer&Gilmoreの
式を用いて、次式で算出する。
最適化するパラメータはK1 、TO 、TINI 、δTgen
、Ta およびκC /βCである。K1 の初期値には、金
型のゲート寸法および(6)式の計算値を用いる。κC
/βC の初期値は、Spencer&Gilmoreの
式を用いて、次式で算出する。
【0056】 κC /βC =(PCI+πi )/(TO +273)・・・・・(39) 実際の成形中における型内の樹脂圧力PC ′は次の
手順によって推定する。
手順によって推定する。
【0057】図3に示すように、射出開始と同時に金型
温度TW ′と射出される溶融樹脂温度TR ′を計測し
(ステップS1)、(27)式によってδX 、(32)
式によってA1 およびB1 、(31)式によってAn 、
Bn をそれぞれ計算する(ステップS2)。
温度TW ′と射出される溶融樹脂温度TR ′を計測し
(ステップS1)、(27)式によってδX 、(32)
式によってA1 およびB1 、(31)式によってAn 、
Bn をそれぞれ計算する(ステップS2)。
【0058】そののち、(35)式を用いて圧縮段階終
了時の型内の樹脂圧力PCI′=PC(t=tI )′を算
出し(ステップS3)、ついで(38)式により、保持
圧力・冷却段階における時刻tの型内の樹脂圧力PC ′
=PC (t)′を算出する(ステップS4)。
了時の型内の樹脂圧力PCI′=PC(t=tI )′を算
出し(ステップS3)、ついで(38)式により、保持
圧力・冷却段階における時刻tの型内の樹脂圧力PC ′
=PC (t)′を算出する(ステップS4)。
【0059】本発明による計算値と実測値との比較を行
った結果を図4に示す。
った結果を図4に示す。
【0060】図4から明らかなように、実測値と本発明
による計算値との差異は、最大1.0MPaとなり、高精
度で型内の樹脂圧力を推定できる。
による計算値との差異は、最大1.0MPaとなり、高精
度で型内の樹脂圧力を推定できる。
【0061】本発明において、用いられる射出成形機
は、型締装置によって型締めされた金型のキャビティ部
に溶融樹脂を射出充填するための射出装置を有し、射出
充填後該射出装置のスクリュで加圧することにより溶融
樹脂を前記キャビティ部に追加補給するように構成され
ている。
は、型締装置によって型締めされた金型のキャビティ部
に溶融樹脂を射出充填するための射出装置を有し、射出
充填後該射出装置のスクリュで加圧することにより溶融
樹脂を前記キャビティ部に追加補給するように構成され
ている。
【0062】 本発明に係る射出成形における型内の樹
脂圧力推定方法の実施に用いる型内の樹脂圧力推定装置
の一例を図5を用いて説明する。
脂圧力推定方法の実施に用いる型内の樹脂圧力推定装置
の一例を図5を用いて説明する。
【0063】金型TW 、および溶融樹脂温度TR を計測
するための温度センサである金型温度センサ5および溶
融樹脂温度センサ6を設け、これら温度センサ5,6に
より検出された温度計測信号をフルレンジで5Vまたは
10Vとなるように増幅するための増幅器7,8を設
け、増幅された温度計測信号は演算処理部9に入力され
るように形成されている。
するための温度センサである金型温度センサ5および溶
融樹脂温度センサ6を設け、これら温度センサ5,6に
より検出された温度計測信号をフルレンジで5Vまたは
10Vとなるように増幅するための増幅器7,8を設
け、増幅された温度計測信号は演算処理部9に入力され
るように形成されている。
【0064】(31)式と(32)式の未知パラメータ
を最適化するには、[パラメータの推定と制御への適用
手順]で記載したように、型内の樹脂圧力の実測値が必
要となる。そこで、型内圧力センサ10と、型内圧力計
測信号をフルレンジで5Vまたは10Vに増幅するため
の増幅器11を設け、増幅された型内圧力計測信号は演
算部である演算処理部9に入力するよう形成されてい
る。
を最適化するには、[パラメータの推定と制御への適用
手順]で記載したように、型内の樹脂圧力の実測値が必
要となる。そこで、型内圧力センサ10と、型内圧力計
測信号をフルレンジで5Vまたは10Vに増幅するため
の増幅器11を設け、増幅された型内圧力計測信号は演
算部である演算処理部9に入力するよう形成されてい
る。
【0065】設定器12は、保圧設定値PHSおよび前記
の未知パラメータ群(KPL,Kn ,n,Ta,TO ,T
INI ,δTgen ,K1 ,κC /βC 等)の初期値をオペ
レータが入力するために設けられており、該設定器12
に入力された設定値は、演算処理部9に送出されるよう
に形成されている。
の未知パラメータ群(KPL,Kn ,n,Ta,TO ,T
INI ,δTgen ,K1 ,κC /βC 等)の初期値をオペ
レータが入力するために設けられており、該設定器12
に入力された設定値は、演算処理部9に送出されるよう
に形成されている。
【0066】演算処理部9は、前記の温度計測値TW ,
TR と設定器12から送出された設定値と、シーケンス
制御装置13から送られてくる射出開始指令信号14を
受けて、図3に示した手順に従って、型内の樹脂圧力の
推定値を算出するように形成されている。さらに、該設
定値を表示部15に表示すると共に、増幅器16を介し
てアナログ電圧信号として出力すると共に、デジタル信
号として出力するよう形成されている。演算処理部9
は、さらに、[パラメータの推定と制御への適用手順]
の項で記載した手順に従って、(31)式および(3
2)式中の未知パラメータ群(KPL,Kn ,n,Ta,
TO ,T INI ,δTgen ,K1 ,κC /βC等)の最適
値を算出するように形成されている。
TR と設定器12から送出された設定値と、シーケンス
制御装置13から送られてくる射出開始指令信号14を
受けて、図3に示した手順に従って、型内の樹脂圧力の
推定値を算出するように形成されている。さらに、該設
定値を表示部15に表示すると共に、増幅器16を介し
てアナログ電圧信号として出力すると共に、デジタル信
号として出力するよう形成されている。演算処理部9
は、さらに、[パラメータの推定と制御への適用手順]
の項で記載した手順に従って、(31)式および(3
2)式中の未知パラメータ群(KPL,Kn ,n,Ta,
TO ,T INI ,δTgen ,K1 ,κC /βC等)の最適
値を算出するように形成されている。
【0067】実際の成形中においては、射出成形機の射
出動作はシーケンス制御装置13の与える射出開始指令
信号14によって開始される。演算処理部9が射出開始
指令信号14を入力すると、演算処理部9はただちに金
型温度TW および射出される溶融樹脂温度TR を入力す
る。
出動作はシーケンス制御装置13の与える射出開始指令
信号14によって開始される。演算処理部9が射出開始
指令信号14を入力すると、演算処理部9はただちに金
型温度TW および射出される溶融樹脂温度TR を入力す
る。
【0068】次に、図3に示した手順に従って、型内の
樹脂圧力推定値を算出し、表示部15に表示すると同時
に、アナログ信号およびデジタル信号として出力する。
樹脂圧力推定値を算出し、表示部15に表示すると同時
に、アナログ信号およびデジタル信号として出力する。
【0069】(31)式および(32)式中の未知パラ
メータの最適値を算出するに際しては、演算処理部9
は、実測型内圧力PC (t)、金型温度TW および射出
される溶融樹脂温度TR を入力し、[パラメータの推定
と制御への適用手順]の項で記載した手順に従って、最
適値を算出し、表示部15に表示すると同時に記憶す
る。
メータの最適値を算出するに際しては、演算処理部9
は、実測型内圧力PC (t)、金型温度TW および射出
される溶融樹脂温度TR を入力し、[パラメータの推定
と制御への適用手順]の項で記載した手順に従って、最
適値を算出し、表示部15に表示すると同時に記憶す
る。
【0070】
【発明の効果】本発明は上述のとおり構成されているの
で、次に記載するような効果を奏する。
で、次に記載するような効果を奏する。
【0071】金型のキャビティに溶融樹脂を射出充填す
る前に迅速に型内の樹脂圧力変化を推定できる。このた
め、成形品寸法の変動や成形不良の発生を事前に推定す
ることが可能となるので、品質のモニタリングおよび安
定性を維持するためのプロセス制御に効果的に適用する
ことができる。
る前に迅速に型内の樹脂圧力変化を推定できる。このた
め、成形品寸法の変動や成形不良の発生を事前に推定す
ることが可能となるので、品質のモニタリングおよび安
定性を維持するためのプロセス制御に効果的に適用する
ことができる。
【0072】また、型内に樹脂圧力センサを設ける必要
がないため、その分だけ設備コストが低減できる。
がないため、その分だけ設備コストが低減できる。
【図1】本発明の係る型内の樹脂圧力変化の予測式を導
出するために仮定した解析モデルの説明図であって、
(a)は流路の模式断面図、(b)はゲート部の形状を
示す模式斜視図である。
出するために仮定した解析モデルの説明図であって、
(a)は流路の模式断面図、(b)はゲート部の形状を
示す模式斜視図である。
【図2】射出成形における型内の樹脂圧力変化および溶
融樹脂温度変化を示すグラフである。
融樹脂温度変化を示すグラフである。
【図3】本発明に係る型内の樹脂圧力変化の算出手順を
示すフローチャートである。
示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る型内の樹脂圧力変化の推定値と実
測値との比較したグラフである。
測値との比較したグラフである。
【図5】 本発明に係る射出成形における型内の樹脂圧
力推定方法の実施に用いる型内の樹脂圧力推定装置の一
例を示すブロック図である。
力推定方法の実施に用いる型内の樹脂圧力推定装置の一
例を示すブロック図である。
1 金型 2 ランナ部 3 ゲート部 4 キャビティ部 5 金型温度センサ 6 溶融樹脂温度センサ 7,8,11,16 増幅器 9 演算処理部 10 型内圧力センサ 12 設定器 13 シーケンス制御装置 14 射出開始指令信号 15 表示部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 45/57,45/46 - 45/60 B29C 45/76 - 45/78
Claims (1)
- 【請求項1】 溶融樹脂をランナ部、ゲート部およびキ
ャビティ部を備えた金型のキャビティ部に射出充填する
充填段階と、前記射出充填された溶融樹脂の冷却にとも
なう体積収縮を補うために、スクリュを加圧することに
より溶融樹脂をキャビティ部に追加補給する保圧・冷却
段階とを有する射出成形において、 前記射出充填の開始直前における金型温度および溶融樹
脂温度の計測値と、予め設定される保圧設定値と、前記
保圧・冷却段階における型内の樹脂圧力との間に成り立
つ関係式を用いることにより、前記射出充填の開始直前
の時点において、前記保圧・冷却段階における型内の樹
脂圧力変化を迅速に推定することを特徴とする射出成形
における型内の樹脂圧力推定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6075292A JP2811536B2 (ja) | 1994-03-22 | 1994-03-22 | 射出成形における型内の樹脂圧力推定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6075292A JP2811536B2 (ja) | 1994-03-22 | 1994-03-22 | 射出成形における型内の樹脂圧力推定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07256711A JPH07256711A (ja) | 1995-10-09 |
JP2811536B2 true JP2811536B2 (ja) | 1998-10-15 |
Family
ID=13572027
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6075292A Expired - Lifetime JP2811536B2 (ja) | 1994-03-22 | 1994-03-22 | 射出成形における型内の樹脂圧力推定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2811536B2 (ja) |
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CN113878829B (zh) * | 2021-08-31 | 2023-05-12 | 东风汽车集团股份有限公司 | 基于Moldflow的汽车保险杠注塑成型工艺方法、设备及存储介质 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH0788030B2 (ja) * | 1986-06-25 | 1995-09-27 | 松下電器産業株式会社 | 射出成形品の良否判別モニタリング方法 |
JPH0462022A (ja) * | 1990-06-22 | 1992-02-27 | Sekisui Chem Co Ltd | 射出成形品の品質判定方法 |
-
1994
- 1994-03-22 JP JP6075292A patent/JP2811536B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH07256711A (ja) | 1995-10-09 |
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