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JP2794643B2 - 情報記録媒体 - Google Patents

情報記録媒体

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Publication number
JP2794643B2
JP2794643B2 JP3039250A JP3925091A JP2794643B2 JP 2794643 B2 JP2794643 B2 JP 2794643B2 JP 3039250 A JP3039250 A JP 3039250A JP 3925091 A JP3925091 A JP 3925091A JP 2794643 B2 JP2794643 B2 JP 2794643B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
absorption layer
dye
recording medium
refractive index
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3039250A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04255929A (ja
Inventor
由久 宇佐美
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP3039250A priority Critical patent/JP2794643B2/ja
Publication of JPH04255929A publication Critical patent/JPH04255929A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2794643B2 publication Critical patent/JP2794643B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザにより情報の記
録が可能な光情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年において、レーザ光等の高エネルギ
ー密度のビームを用いる情報記録媒体が開発され、実用
化されている。この情報記録媒体は光ディスクと称さ
れ、ビデオ・ディスク、オーディオ・ディスク、さらに
は大容量静止画像ファイルおよび大容量コンピュータ用
ディスク・メモリーとして使用され得るものである。
【0003】情報の書き込み(記録)が可能なDRAW
(Direct Read After Write )型の情報記録媒体が開発
され一部実用化されている。このようなDRAW型の情
報記録媒体(光ディスク)は、基本構造として、プラス
チック、ガラス等からなる円盤状の透明基板と、この上
に設けられたBi、Sn、In、Te等の金属または半
金属からなる記録層又は色素からなる記録層とを有す
る。光ディスクへの情報の記録は、例えば、レーザビー
ムを光ディスクに照射することにより行なわれ、記録層
の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇する結
果、ピット形成等の物理的変化あるいは相変化等の化学
的変化を生じてその光学的特性を変えることにより情報
が記録される。光ディスクからの情報の読み取り(再
生)もまた、レーザビームを光ディスクに照射すること
などにより行なわれ、記録層の光学的特性の変化に応じ
た反射光または透過光を検出することにより情報が再生
される。
【0004】上記光ディスクへの情報の記録及び再生の
ためのレーザビームの照射は、通常ディスク表面の所定
の位置に行われる。レーザビームを案内して照射予定位
置に正確にたどる(一般にトラッキングと呼ばれる)よ
うにするため、凹溝のトラッキングガイド(プリグルー
ブ)が基板の表面に設けられることが一般的である。
【0005】ところで、色素を含む記録層は、一般にプ
リグルーブが形成された基板上に色素を含む溶液を塗布
し乾燥することによって形成されているが、その場合、
グルーブ底部の色素記録層膜厚はランド部の色素記録層
膜厚よりも厚くなる。そのため、基板のプリグルーブ溝
の形状を反映して形成された色素記録層の表面の溝の深
さは、基板のプリグルーブ溝の深さよりも浅くなり、記
録層に情報を記録してプリグルーブに記録ピットを形成
させたとき、色素記録層の表面の溝の上部(基板のラン
ド部を反映した部分)と溝の底部との位相差が小さくな
るために、記録ピットの変調度が小さくなるという問題
点がある。
【0006】そのために、基板のプリグルーブの深さを
大きくして色素記録層の表面に形成される溝の深さを相
対的に深くすることによって記録ピットの変調度を大き
くすることが考えられるが、その場合は一般に反射率が
低下する傾向にある。
【0007】基板のグルーブ底部の色素記録層膜厚とラ
ンド部の色素記録層膜厚とがほぼ同じになると、基板の
プリグルーブの深さを小さくすることができ、これらの
問題点を同時に解決した変調度及び反射率が共に大きい
情報記録媒体になる。
【0008】また、基板上に予めピットが形成されたR
OM領域と、レーザ光の照射によりデータ再生用のピッ
トが形成される記録可能領域とを有する情報記録媒体が
提案されている(特開平2−42652号公報参照)。
この情報記録媒体においては、色素からなるレーザ吸収
層が記録可能領域にのみ設けられ、プリピットが形成さ
れたROM領域には色素からなるレーザ吸収層は設けら
れていない。その理由は、プリピットが形成された領域
に色素からなるレーザ吸収層を設けると、プリピット信
号の変調度が小さくなりROM領域の情報を実用的に再
生することができなくなるためである。
【0009】即ち、色素からなるレーザ吸収層は一般に
色素の溶液を塗布し乾燥することによって形成されるも
のであり、プリピット形成領域に色素溶液を塗布する
と、前記のプリグルーブ形成領域への色素溶液の塗布の
場合と同様に、ピット部(穴部)のレーザ吸収層の膜厚
がピット間部(ピットとピットとの間の部分で、前記ラ
ンド部に相当する)のレーザ吸収層の膜厚よりも大きく
なり、そのために、基板のピット部の形状を反映して形
成されたレーザ吸収層の表面の穴の深さは、基板のピッ
トの深さよりも浅くなり、ピット部とピット間部との位
相差が小さくなるために、プリピットの変調度が小さく
なるのである。
【0010】しかしながら、特開平2−42652号公
報に記載されているような、プリピット部(ROM領
域)に色素層を設けず、記録可能領域にのみ色素層を設
けた情報記録媒体においては、色素層が設けられた部分
と色素層が設けられていない部分との境界部において、
境界を再現性よく形成することが困難であるとか、色素
層のエッジ部で膜厚が不均一になり易いとかの問題があ
り、円環状の色素層の偏心が生じ易いなどの問題があ
る。更に、実際上、ROM領域とその外周側の記録可能
領域との二つの領域に分かれた情報記録媒体しか製造す
ることができず、ROM領域の内周側にも追加して記録
可能領域を設けたり、ROM領域と記録可能領域を混在
させて設けたりすることが極めて困難であり、ROM領
域へ予め記録しておくアプリケーションソフトやその利
用方法などが制限され、実用上不便であるという問題点
もある。
【0011】基板のプリピット部の色素層膜厚とピット
間部の色素層膜厚とがほぼ同じになると、プリピットの
位相差が大きくなり従ってプリピットの変調度の大きい
情報記録媒体になる。
【0012】プリピット部に色素からなるレーザ光吸収
層を形成してもプリピットの変調度が大きいと、プリピ
ット形成領域(ROM領域)及びプリグルーブ形成領域
(記録可能領域)の両方に、色素を含む光吸収層を形成
することが可能になり、上記のような問題点が解消され
る。
【0013】ところで、通常のDRAW型の情報記録媒
体(光ディスク)は、一般に速い線速度で記録が行なわ
れるが、特に高い反射率は要求されない。一方、コンパ
クト・ディスク(CD)に採用されているCDフォーマ
ット信号を用いて遅い線速度で記録を行なうCD−DR
AWでは、高い反射率が要求される。すなわち、高い反
射率を有することによって、情報が記録されたCD−D
RAWを、市販のCDプレーヤーにより再生できるとい
う大きな優位性が得られる。
【0014】反射率を向上させる方法として、一般的に
は色素を含む光吸収層上に金属反射層を設けることが行
なわれている。また、ヨーロッパ特許公開公報のEP0
353393A2及びEP0353394A2には、更
に反射率を向上させるために色素吸収層と金属反射層と
の間にエンハンス層を設けることが開示されている。エ
ンハンス層の材料としては、SiO、SiO2 、Si3
4 及びAlNなどの無機物が記載されている。
【0015】しかしながら、前者の反射率を高めるため
に光吸収層上に反射層やエンハンス層を設ける場合は、
反射層及びエンハンス層をスパッタリングなどの蒸着法
で形成する必要があり、設備的にも高価なものとなり、
層を形成するためにも長時間を要するなど、製造上の不
利が大きい。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】塗布による簡単な膜形
成工程を含む製造方法によって製造することができる、
レーザ光を照射して情報を記録した後、変調度の高い再
生信号を得ることができ、トラッキング特性が良好であ
り、しかも高い反射率を有する情報記録媒体を提供する
ことである。
【0017】また、プリピットが形成された領域にも色
素を含む光吸収層が形成されており、しかもプリピット
が形成された領域から変調度の高い再生信号を得ること
ができる情報記録媒体を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面にプリグ
ルーブが形成された円盤状の基板上に、レーザ光を照射
して再生用のピットを形成することにより情報の記録が
可能な色素を含む光吸収層が設けられてなる情報記録媒
体であって、該光吸収層が、基板側から順に、第一吸収
層及び第二吸収層からなる二層一組の複合吸収層の一
又は二と第三吸収層とからなり、そして、第一吸収層
が、有機物からなり且つ1.8以上の屈折率及び0.5
以下の消衰係数を有する層であり、第二吸収層が、有機
物からなり且つ1.8未満の屈折率及び0.5以下の消
衰係数を有する層であり、そして、第三吸収層が、有機
物からなり且つ1.8以上の屈折率及び0.5以下の消
衰係数を有する層、又は有機物からなり且つ1.0〜
4.0の範囲内にある屈折率及び1.0以上の消衰係数
を有する層であり、更に、光吸収層の第一吸収層及び第
二吸収層の合計の、グルーブ底部の光学的膜厚とランド
部の光学的膜厚との差がλ/8(但し、λは再生用レー
ザ光の波長)以下であることを特徴とする情報記録媒体
である。
【0019】また他の本発明は、表面にプリピット及び
プリグルーブが形成された円盤状の基板上に、レーザ光
を照射して再生用のピットを形成することにより情報の
記録が可能な色素を含む光吸収層が設けられてなる情報
記録媒体であって、該光吸収層が、基板側から順に、第
一吸収層及び第二吸収層からなる二層一組の複合吸収層
の一又は二と第三吸収層とからなり、そして、第一
吸収層が、有機物からなり且つ1.8以上の屈折率及び
0.5以下の消衰係数を有する層であり、第二吸収層
が、有機物からなり且つ1.8未満の屈折率及び0.5
以下の消衰係数を有する層であり、そして、第三吸収層
が、有機物からなり且つ1.8以上の屈折率及び0.5
以下の消衰係数を有する層、又は有機物からなり且つ
1.0〜4.0の範囲内にある屈折率及び1.0以上の
消衰係数を有する層であり、更に、光吸収層の第一吸収
層及び第二吸収層の合計の、ピット部の光学的膜厚とピ
ット間部の光学的膜厚との差がλ/8(但し、λは再生
用レーザ光の波長)以下であり、グルーブ底部の光学的
膜厚とランド部の光学的膜厚との差がλ/8(但し、λ
は再生用レーザ光の波長)以下であることを特徴とする
情報記録媒体である。
【0020】上記本発明の情報記録媒体の好ましい態様
は以下の通りである。 (1)第一吸収層の屈折率と第二吸収層の屈折率との差
が、0.5以上であることを特徴とする上記情報記録媒
体。
【0021】(2)第三吸収層が1.8以上の屈折率及
び0.5以下の消衰係数を有する場合の、第三吸収層の
屈折率と第二吸収層の屈折率との差が、0.5以上であ
ることを特徴とする上記情報記録媒体。
【0022】(3)第一吸収層、第二吸収層及び第三吸
収層の少なくとも一層の消衰係数が、0.01以上であ
ることを特徴とする上記情報記録媒体。
【0023】(4)第一吸収層及び第三吸収層の有機物
が、いずれも色素であることを特徴とする上記情報記録
媒体。
【0024】(5)第二吸収層の有機物が、高分子化合
物又は色素であることを特徴とする上記情報記録媒体。
【0025】(6)第二吸収層の消衰係数が0〜0.3
の範囲にあることを特徴とする上記情報記録媒体。
【0026】(7)第一吸収層の有機物が、インドリジ
ン系色素、イミダゾキノキサリン系色素、チアゾール系
色素、インドレニン系色素、メロシアニン系色素及びフ
タロシアニン系色素から選ばれる少なくとも一種である
ことを特徴とする上記情報記録媒体。
【0027】(8)第三吸収層の有機物が、インドリジ
ン系色素、イミダゾキノキサリン系色素、チアゾール系
色素、インドレニン系色素、メロシアニン系色素及びフ
タロシアニン系色素から選ばれる少なくとも一種である
ことを特徴とする上記情報記録媒体。
【0028】(9)第二吸収層の有機物が、高分子化合
物であることを特徴とする上記情報記録媒体。
【0029】(10) 光吸収層の第一吸収層及び第二
吸収層の合計の、グルーブ底部の光学的膜厚とランド部
の光学的膜厚との差がλ/16(但し、λは再生用レー
ザ光の波長)以下であることを特徴とする上記情報記録
媒体。
【0030】(11) 光吸収層の第一吸収層及び第二
吸収層の合計の、ピット部の光学的膜厚とピット間部の
光学的膜厚との差がλ/16(但し、λは再生用レーザ
光の波長)以下であることを特徴とする上記情報記録媒
体。
【0031】(12)上記光吸収層の、上記ランド部及
び上記ピット間部の膜厚が、40〜400nmであるこ
とを特徴とする上記情報記録媒体。
【0032】(13)上記プリグルーブが0.2〜1.
4μmの半値幅と、5〜80nmの深さを有することを
特徴とする上記情報記録媒体。
【0033】(14)上記プリピットが0.2〜1.4
μmの半値幅と、60〜300nmの深さを有すること
を特徴とする上記情報記録媒体。
【0034】(15)上記プリグルーブの深さが、上記
プリピットの深さよりも、光路長で表わしてλ/16以
上短いことを特徴とする上記情報記録媒体。
【0035】(16)上記情報記録媒体のミラー部の反
射率が、50%以上であることを特徴とする上記情報記
録媒体。
【0036】(17)ミラー部の反射率に対するグルー
ブ底部の反射率の比率が、70%以上であることを特徴
とする上記情報記録媒体。
【0037】(18)第三吸収層の上に、更に保護層が
形成されていることを特徴とする上記情報記録媒体。
【0038】尚、本発明の各吸収層の屈折率及び消衰係
数は以下のように測定した。スピンコーター法にてガラ
ス板上に形成させた50〜150nmの薄膜を吸収層と
し、これについて波長780nmの光を用いて23℃に
て測定した。
【0039】本発明者等は、吸収層等の層構成が基板上
に塗布のみで形成できる層構成であって、且つ高い反射
率を有する情報記録媒体を得るため鋭意研究を重ね、本
発明に到達したものである。
【0040】本発明の情報記録媒体は、基板上に色素な
どの有機物からなる光吸収層が設けられており、光吸収
層が、基板側から順に、第一吸収層及び第二吸収層から
なる二層一組の複合吸収層の一又は二と第三吸収層
とからなり、これらの三種類の層がそれぞれ特定された
屈折率と消衰係数とを有しており、更に、光吸収層の第
一吸収層及び第二吸収層の合計の、グルーブ底部の光学
的膜厚とランド部の光学的膜厚との差、及びプリピット
が追加的に設けられている場合は、ピット部の光学的膜
厚とピット間部の光学的膜厚との差が、λ/8(但し、
λは再生用レーザ光の波長)以下である基本構成を有し
ている。従って、光吸収層の層構成は、例えば、上記
合吸収層の数が一の場合は、基板側から、第一吸収層
−第二吸収層−第三吸収層であり、上記複合吸収層の数
が二の場合は、基板側から、第一吸収層−第二吸収層
−第一吸収層−第二吸収層−第三吸収層である。
【0041】本発明の情報記録媒体の構成について、そ
の実施例の断面図を模式的に示す図1を参照しながら説
明する。
【0042】図1(A)において、情報記録媒体1は、
基板2の上に、有機物からなる第一吸収層3、有機物か
らなる第二吸収層4及び有機物からなる第三吸収層5が
設けられている。
【0043】基板2は、表面にプリグルーブ又はプリグ
ルーブとプリピットとが設けられたもので、通常プラス
チック材料からなるものが好ましい。基板の屈折率は一
般に1.6前後で、光の透過の程度を表わす消衰係数は
0に近い。
【0044】第一吸収層3は、有機物(好ましくは色
素)からなり且つ下記の条件(I): n1 ≧1.8及びk1 ≦0.5 (I) (但し、n1 は第一吸収層3の屈折率であり、k1 は第
一吸収層3の消衰係数である)を満足する屈折率と消衰
係数の値を有する。
【0045】上記範囲は、一般に4.0≧n1 ≧1.8
及び0≦k1 ≦0.5、特に3.8≧n1 ≧2.0及び
0≦k1≦0.3、更に特に3.5≧n1 ≧2.2及び
0≦k1 ≦0.2であることが好ましい。
【0046】この第一吸収層3は、吸収層材料として一
般に使用される色素などを用いて形成することができ
る。すなわち、色素等を溶剤に溶解した塗布液をスピン
コート法等により塗布することにより形成することがで
きる(光吸収層のグルーブ底部、ランド部、ピット部及
びピット間部の光学的膜厚が前記のような関係になるよ
うに各吸収層を形成する方法については、後に記載す
る)。第一吸収層3は高い屈折率(n1 )と低い消衰係
数(k1 )を有している。従って、基板2と第一吸収層
3との屈折率の差は大きく、基板2と第一吸収層3との
界面での反射率は一般に30〜40%程度得られる。消
衰係数(k1 )は低く、反射した光以外の殆どの光は透
過する。
【0047】第二吸収層4は、有機物(好ましくは高分
子化合物)からなり且つ下記の条件(II): n2 <1.8及びk2 ≦0.5 (II) (但し、n2 は第二吸収層4の屈折率であり、k2 は第
二吸収層4の消衰係数である)を満足する屈折率と消衰
係数の値を有する。
【0048】上記範囲は、一般に1.0≦n2 <1.8
及び0≦k2 ≦0.5、特に1.0≦n2 ≦1.7及び
0≦k2≦0.3、更に特に1.0≦n2 ≦1.6及び
0≦k2 ≦0.1あることが好ましい。
【0049】この第二吸収層4は、一般に屈折率の低い
高分子化合物あるいは色素などを用いて、これらを溶剤
に溶解した塗布液をスピンコート法等により塗布するこ
とにより形成することができる。第二吸収層4は、屈折
率(n2 )は低く、第一吸収層3との屈折率の差により
第一吸収層3と第二吸収層4との界面で光は少し反射す
る。この屈折率の差は、0.5以上が好ましく、特に好
ましくは1.0以上である。このように差を大きくとる
ことにより、反射光以外の記録再生時に検出することが
できない散乱光の量を小さくすることができる。第二吸
収層4の消衰係数(k2 )は低いので反射しなかった光
の殆どは透過する。この第二吸収層4は、いわゆるエン
ハンス層に当たるもので、第一吸収層3と第三吸収層5
に介在させることにより反射率を向上させることができ
る。
【0050】第三吸収層5は、有機物(好ましくは色
素)からなり且つ第三吸収層5が、下記の条件(III )
又は(IV)を満足する屈折率と消衰係数の値を有する有
機物からなる層である。 n3 ≧1.8及びk3 ≦0.5 (III ) (但し、n3 は第三吸収層5の屈折率であり、k3 は第
三吸収層5の消衰係数である)
【0051】上記範囲は、一般に4.0≧n3 ≧1.8
及び0≦k3 ≦0.5、特に3.8≧n3 ≧2.0及び
0≦k3≦0.3、更に特に3.5≧n3 ≧2.2及び
0≦k3 ≦0.2であることが好ましい。
【0052】 1.0≧n4 ≧4.0及びk4 ≧1.0 (IV) (但し、n4 は第三吸収層5の屈折率であり、k4 は第
三吸収層5の消衰係数である)
【0053】上記範囲は、一般に4.0≧n4 ≧1.0
及び1.0≦k4 ≦10、特に3.5≧n4 ≧1.0及
び1.2≦k4 ≦8.0、更に特に3.0≧n4 ≧1.
0及び1.5≦k4 ≦5.0であることが好ましい。
【0054】この第三吸収層5は、好ましくは色素から
なる層であって、条件(III )を満足する層でも、条件
(IV)を満足する層でも、どちらでも良い。
【0055】第三吸収層5の形成も前記と同様に、色素
等を溶剤に溶解した塗布液をスピンコート法等により塗
布することにより形成することができる。
【0056】上記第三吸収層5は、第二吸収層4と比較
して屈折率が高く、第二吸収層4と第三吸収層5との界
面では、基板と第一吸収層との界面での反射光量と同等
以上の大きな反射光量が得られる。これは、第二吸収層
4の屈折率は、基板の屈折率より小さく設定されている
ためである。第二と第三吸収層5の屈折率の差は第一と
第二吸収層4の差と同様、0.5以上が好ましく、特に
好ましくは1.0以上である。消衰係数(k3 )は低い
が、上記のように反射率が高く、透過する光量は小さ
い。
【0057】上記条件(IV)を満足する第三吸収層5
は、屈折率(n4 )は高くなくても良いが、消衰係数
(k4 )が高いことが必要である。すなわち、消衰係数
が高いので、第二吸収層4からのレーザ光はほとんど第
三吸収層5を透過せず、大部分の光は反射され、高い反
射率を示す。
【0058】このように、本発明の情報記録媒体は、上
記第一吸収層3、第二吸収層4及び第三吸収層5を全て
塗布により形成することができる情報記録媒体であるに
もかかわらず、従来色素吸収層上に金属反射層やエンハ
ンス層をスパッタリング等の塗布法以外の方法により設
けた場合にのみ得られる高い反射率と同程度以上の反射
率を有する。すなわち、高い屈折率と低い消衰係数を有
する第一吸収層(通常の色素吸収層に当たる)、低い屈
折率と極く低い消衰係数を有する第二吸収層4(通常の
エンハンス層に当たる)そして第一吸収層と同じ高い屈
折率と低い消衰係数を有するか、あるいは通常の金属な
どのように高い消衰係数を有する第三吸収層5(通常の
反射層に当たる)からなる構成を採ることによって、高
い反射率を有する情報記録媒体を得ることができる。上
記反射率は一般に50%以上、好ましくは55%以上、
特に好ましくは60%以上、そして最も好ましくは65
%以上である。そして屈折率と消衰係数を上記範囲内に
することによって、記録再生特性も損なうことはない。
また、本発明の情報記録媒体は、色素吸収層上に金属反
射層を有する光ディスクに比較して、長いピットの信号
を歪が極めて小さい状態で記録することができる。
【0059】図1(B)の情報記録媒体1は、基板2の
上に第一吸収層3、第二吸収層4、第一吸収層3、第二
吸収層4、及び第三吸収層5が形成されてなり、各層の
内容は図1(A)について説明したものと同様である。
【0060】次に、本発明の情報記録媒体の構成、使用
できる材料及び製造方法について詳述する。
【0061】本発明における円盤状の基板の材料として
は、従来の情報記録媒体の基板として用いられている各
種の材料から任意に選択することができる。基板の光学
的特性、平面性、加工性、取扱い性、経時安定性および
製造コストなどの点から、基板材料の例としては、ガラ
ス、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ
塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹
脂;エポキシ樹脂;ポリカーボネート樹脂;アモルファ
スポリオレフィンおよびポリエステルを挙げることがで
きる。好ましくは、ポリカーボネート、ポリオレフィ
ン、ガラスおよびポリメチルメタクリレートを挙げるこ
とができる。
【0062】光吸収層が設けられる側の基板表面には、
平面性の改善、接着力の向上、基板の耐溶剤性の改善お
よび記録層の変質の防止の目的で、下塗層が設けられて
もよい。下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメ
タクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、ス
チレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコー
ル、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・スルホ
ン酸共重合体、スチレン・ビニルトルエン共重合体、ク
ロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ
塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポ
リイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン
・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等の高分子物質;
シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤な
どの有機物質;および無機誘電体(SiO2 、ZnS、
AlN、Si34等)、無機フッ化物(MgF2 )な
どの無機物質を挙げることができる。
【0063】下塗層は、例えば上記物質を適当な溶剤に
溶解または分散して塗布液を調製したのち、この塗布液
をスピンコート、ディップコート、エクストルージョン
コートなどの塗布法により基板表面に塗布することによ
り形成することができる。下塗層の層厚は一般に0.0
05〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜1
0μmの範囲である。
【0064】本発明においては、上記基板表面(または
下塗層表面)に、記録又は再生時のトラッキングを良好
に行なうために、プリグルーブ(トラッキング用溝)が
形成されている。プリグルーブの形状は、グルーブの深
さ(添付する図2のd1 )が5〜80nmの範囲にあり
且つグルーブの半値幅(グルーブの深さの1/2の深さ
におけるグルーブの幅)が0.2〜1.4μmであるも
のが好ましく、グルーブの深さが15〜60nmの範囲
にあり且つグルーブの半値幅が0.3〜0.7μmであ
るものが更に好ましく、グルーブの深さが20〜50n
mの範囲にあり且つグルーブの半値幅が0.35〜0.
6μmであるものが最も好ましい。アドレッシング、或
は線速制御用にグルーブをウォブリングさせても良い。
【0065】本発明においては、更に、上記基板表面
(または下塗層表面)に、種々のアプリケーションソフ
ト、アドレス信号などの情報を予め記録したプリピット
(ROM領域)が形成されていてもよい。プリピットの
形状は、ピットの深さ(添付する図3のd2 )が60〜
300nmの範囲にあり且つピットの半値幅(ピットの
深さの1/2の深さにおけるピットの幅)が0.2〜
1.4μmであるものが好ましく、ピットの深さが70
〜250nmの範囲にあり且つピットの半値幅が0.3
〜1.0μmであるものが更に好ましく、ピットの深さ
が90〜200nmの範囲にあり且つピットの半値幅が
0.4〜0.7μmであるものが最も好ましい。
【0066】また、プリピットが形成される場合、プリ
グルーブの深さは、プリピットの深さよりも光路長で表
わしてλ/16(但し、λは再生用レーザ光の波長であ
って、以下の記載において同じである)以上短いことが
好ましく、λ/14以上短いことが更に好ましく、λ/
12以上短いことが特に好ましい。その理由は、プリグ
ルーブの深さを、変調度が十分大きくなるプリピットの
深さと同じように大きくすると、プリグルーブの反射率
が低くなり過ぎるからである。
【0067】基板材料がプラスチックの場合は、射出成
形あるいは押出成形などにより基板表面に上記プリグル
ーブ又はプリグルーブとプリピットとを直接設けてもよ
い。また、基板の表面上に、上記プリグルーブ又はプリ
グルーブとプリピットとを形成するためのプリグルーブ
層を設けてもよい。
【0068】プリグルーブ層の材料としては、アクリル
酸のモノエステル、ジエステル、トリエステルおよびテ
トラエステルのうちの少なくとも一種のモノマー(また
はオリゴマー)と光重合開始剤との混合物を用いること
ができる。プリグルーブ層の形成は、まず精密に作られ
た母型(スタンパー)上に上記のアクリル酸エステルお
よび重合開始剤からなる混合液を塗布し、さらにこの塗
布液層上に基板を載せたのち、基板または母型を介して
紫外線の照射により液層を硬化させて基板と液相とを固
着させる。次いで、基板を母型から剥離することにより
プリグルーブ層の設けられた基板が得られる。プリグル
ーブ層の層厚は一般に0.1〜100μmの範囲にあ
り、好ましくは0.1〜50μmの範囲である。
【0069】プリグルーブ又はプリピットを形成した基
板(またはプリグルーブ層)上に、前記下塗層を形成す
る材料と同様の材料を使用して、光吸収層を形成するた
めの塗布液中の溶剤から保護するための耐溶剤層を設け
てもよい。
【0070】基板(または下塗層)上には、前記のよう
な第一吸収層、第二吸収層及び第三吸収層からなる光吸
収層が設けられている。基板側からレーザ光を照射して
光吸収層に再生用のピットを形成することにより、光吸
収層に情報を記録する。従って、基板のプリグルーブが
形成された領域の光吸収層は記録層として機能する。
【0071】第一吸収層の材料の有機物としては、前記
の条件(I)を満足する屈折率と消衰係数の値を有する
ものであれば何でもよい。一般に吸収極大の波長が、レ
ーザーの記録または再生波長より50〜200nm程度
短波長側にある色素の中から選択される。
【0072】本発明に使用される色素は特に限定される
ものではなく、どのようなものでも良い。例えば、シア
ニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン
系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、ア
ズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、Ni,Cr
などの金属錯塩系色素、ナフトキノン系色素、アントラ
キノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリ
ン系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリルメタ
ン系色素、アミニウム系色素、ジインモニウム系色素、
ニトロソ系色素、ロイコ系色素、クロコニウム系色素、
等々の色素を挙げることができる。
【0073】これらの色素は、ライト・ワンス(WO)
型に限らず、リライタブル(RW)型(又は可逆型)の
ものであってもよい。これらの色素のうちでも、記録再
生用レーザーとして近赤外光を発振する半導体レーザー
の利用が実用化されている点から、600〜900nm
の近赤外領域の光に対する吸収率が高い色素が好まし
い。
【0074】これらの色素は単独でもあるいは二種以上
の混合物として用いてもよい。また、シアニン系色素を
用いる場合に、上記金属錯塩系色素またはアミニウム系
色素又はジインモニウム系色素をクエンチャーとして一
緒に用いることが好ましい。その場合、クエンチャーと
して金属錯塩系色素などを全色素1モルに対して0.0
01〜0.3モルの割合で含むことが好ましい。
【0075】第一吸収層の材料として使用される色素と
しては、特に、シアニン系色素、アズレニウム系色素及
びスクワリリウム系色素が好ましく、シアニン系色素の
中でも、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素、
ナフタロシアニン系色素、ナフトインドレニン系色素及
びイミダゾキノキサリン系色素が好ましい。
【0076】本発明の情報記録媒体においては、光吸収
層の第一吸収層及び第二吸収層の合計の、グルーブ底部
の光学的膜厚とランド部の光学的膜厚との差が、λ/8
以下であることを特徴とする。また、本発明の情報記録
媒体が基板上に更にプリピットを有する場合には、光吸
収層の第一吸収層及び第二吸収層の合計の、ピット部の
光学的膜厚とピット間部の光学的膜厚との差が、λ/8
以下であることを特徴とする。光吸収層の光学的膜厚が
上記のような関係になるように光吸収層を形成するため
には、光吸収層を構成する各吸収層、即ち、第一吸収層
及び第二吸収層の光学的膜厚が、上記の条件を満足する
ように各吸収層を形成することが必要である。
【0077】ところで、第二吸収層が高分子化合物から
なる場合には、後記するようにグルーブ底部の光学的膜
厚とランド部の光学的膜厚との差、及びピット部の光学
的膜厚とピット間部の光学的膜厚との差は実質的にな
い。従って、光吸収層の第一吸収層及び第二吸収層の合
計の、上記の光学的膜厚の差をλ/8以下にするために
は、第一吸収層が一個の場合には、第一吸収層のグルー
ブ底部の光学的膜厚とランド部の光学的膜厚との差、及
びピット部の光学的膜厚とピット間部の光学的膜厚との
差をλ/8以下にすればよい。また、第一吸収層が二個
の場合には、二個の第一吸収層の合計の、グルーブ底部
の光学的膜厚とランド部の光学的膜厚との差、及びピッ
ト部の光学的膜厚とピット間部の光学的膜厚との差をλ
/8以下にすればよい。
【0078】従って、上記光吸収層の第一吸収層の光学
的膜厚について、添付する図面を参照して詳細に説明す
る。
【0079】図2は、本発明の情報記録媒体の一実施例
の製造過程において、基板に第一吸収層を形成させた中
間製品の、プリグルーブ領域における断面の一部を模式
的に示す断面図である。図3は、上記中間製品の、プリ
ピット領域における断面の一部を模式的に示す断面図で
ある。図4は、従来公知の情報記録媒体の、プリグルー
ブ領域における断面の一部を模式的に示す断面図であ
る。
【0080】図4において、プラスチックからなる基板
31の表面に色素からなる光吸収層32が形成されてい
る。基板31には、プリグルーブ33が形成されてい
る。光吸収層32は色素をその溶剤に溶解して調製した
光吸収層形成用溶液をスピンコート法により塗布し乾燥
することによって形成されたものである。プリグルーブ
33のグルーブ底部35の光吸収層32の膜厚t6 は、
基板31のランド部34の光吸収層32の膜厚t5 より
も大きくなっている。その結果、光吸収層32の空気と
接触する外表面における溝形状の深さがグルーブ34の
深さd3 よりも小さくなり、情報を記録するためにレー
ザ光を照射してプリグルーブ33に記録ピットを形成し
たとき、光吸収層32の溝の上部(基板のランド部に対
応する部分)と底部との位相差が小さくなるために、記
録ピットの変調度が小さくなるという問題があった。こ
の問題を解消するために、グルーブの深さを大きくして
いる。しかし、グルーブの深さを大きくし過ぎるとグル
ーブ部の反射率が低下するという問題が生じる。
【0081】図2において、プラスチックからなる基板
11の表面に色素からなる第一吸収層12が形成されて
いる。基板11には、プリグルーブ13が形成されてい
る。第一吸収層12は色素を溶剤に溶解して調製した後
記のような特定の性状を有する第一吸収層形成用溶液
を、スピンコート法により塗布し乾燥することによって
形成されたものである。プリグルーブ13のグルーブ底
部15の第一吸収層12の光学的膜厚(nr ・t2
(但し、nr は第一吸収層の屈折率であり、t2 はグル
ーブ底部15の第一吸収層12の膜厚である)と、基板
11のランド部14の第一吸収層12の光学的膜厚(n
r ・t1 )(但し、nr は第一吸収層の屈折率であり、
1 はランド部14の第一吸収層12の膜厚である)と
の差は、λ/8以下であるように形成されている。その
結果、第一吸収層12の空気と接触する外表面における
溝形状の深さはグルーブ13の深さd1 と同じか又は光
学的膜厚でλ/8以下ほど小さくなっており、第一吸収
層12のグルーブ部とランド部とで位相差が大きく記録
ピットの変調度が大きいものである。更にnr ・t1
r ・t2 との差を上記のようにすることにより、グル
ーブ13の深さd1 を小さくすることが可能となりグル
ーブ部の反射率が大きくなる。
【0082】上記のnr ・t1 とnr ・t2 との差は、
λ/11以下であることが好ましく、λ/13以下であ
ることが更に好ましく、λ/16以下であることがより
一層好ましい。
【0083】また、ミラー部の反射率に対するグルーブ
底部の反射率の比率が、70%以上、特に80%以上、
更に特に90%以上にすることが好ましい。ミラー部の
反射率に対するグルーブ底部の反射率の比率を増大させ
るためには、グルーブ部の光路長とランド部の光路長と
の差を小さくすればよい。
【0084】図3において、プラスチックからなる基板
21の表面に色素からなる第一吸収層22が形成されて
いる。基板21には、プリピット23が形成されてい
る。第一吸収層22は色素を溶剤に溶解して調製した後
記のように特定の性状を有する第一吸収層形成用溶液
を、スピンコート法により塗布し乾燥することによって
形成されたものである。プリピット23のピット部25
の第一吸収層22の光学的膜厚(nr ・t4 )(但し、
r は第一吸収層の屈折率であり、t4 はピット部25
の第一吸収層22の膜厚である)と、基板21のピット
間部24の第一吸収層22の光学的膜厚(nr ・t3
(但し、nr は第一吸収層の屈折率であり、t3 はピッ
ト間部24の第一吸収層22の膜厚である)との差は、
λ/8以下であるように形成されている。その結果、第
一吸収層22の空気と接触する外表面における穴形状の
深さはピット24の深さd2 と同じか又は光学的膜厚で
λ/8以下ほど小さくなっており、第一吸収層22のピ
ット部とピット間部とで位相差が大きくピットの変調度
が大きいものである。その結果、基板のピット形成領域
に第一吸収層が形成されていても、基板のピットを高い
変調度で再生することが可能となる。
【0085】上記のnr ・t3 とnr ・t4 との差は、
λ/11以下であることが好ましく、λ/13以下であ
ることが更に好ましく、λ/16以下であることがより
一層好ましい。
【0086】基板にプリグルーブとプリピットとの両方
が形成されている場合は、グルーブの深さd1 はピット
部の深さd2 よりも、光路長(n・d:nは基板の屈折
率で、dは深さ寸法である)で表わしてλ/16以上、
特にλ/14以上、更に特にλ/12以上小さいことが
好ましい。
【0087】上記第一吸収層の、上記ランド部及び上記
ピット間部の膜厚は、10〜1000nm、特に30〜
500nm、更に特に40〜300nmであることが好
ましい。
【0088】上記のような特定の光学的膜厚を有する第
一吸収層、即ち、グルーブ底部の第一吸収層の光学的膜
厚とランド部の第一吸収層の光学的膜厚との差がλ/8
以下であり、ピット部の第一吸収層の光学的膜厚とピッ
ト間部の第一吸収層の光学的膜厚との差がλ/8以下で
ある第一吸収層を形成するための色素溶液は、濃縮限界
が99〜20%である色素溶液である。本明細書におい
て、「濃縮限界」の用語は、色素溶液の塗布温度におい
て該色素溶液から該溶剤を蒸発させることにより色素の
析出が始まったときの色素懸濁溶液の体積の、該色素溶
液の元の体積に対する比率と意味するものとして定義さ
れる。例えば、色素を溶剤に溶解した色素溶液を第一吸
収層を形成するための塗布温度に維持して溶剤を蒸発さ
せたとき、溶剤の蒸発に伴なってその体積が減少し、や
がて溶解していた色素が析出してくるが、色素の析出が
始まったときの色素溶液(厳密には色素懸濁溶液であ
る)の体積が、元の色素溶液の体積の90%である色素
溶液を、濃縮限界が90%の色素溶液という。
【0089】従って、色素溶液の濃縮限界(以下、限界
濃度ということがある)は、色素と溶剤(単一溶剤又は
混合溶剤)との組合せ、溶剤を二種以上の溶剤の組合せ
としたときその種類と比率、色素溶液中の色素の濃度、
塗布温度、等々によって変化する。そのために、特定の
濃縮限界を有する色素溶液を特定の色素について一律に
定めることはできないが、上記のような条件を種々変え
て所望の濃縮限界を有する色素溶液を調製することは、
当業者が容易になし得ることである。
【0090】第一吸収層を形成するために使用する色素
溶液は、濃縮限界が99〜20%である色素溶液である
が、濃縮限界が99〜30%、特に95〜40%、更に
特に90〜50%である色素溶液であることが好まし
い。色素溶液の濃縮限界が、上記範囲よりも大きいと第
一吸収層の膜厚が全体的に不均一になり、また上記範囲
よりも小さいとグルーブ底部とランド部との第一吸収層
の光学的膜厚の差及びピット部とピット間部との第一吸
収層の光学的膜厚の差が大きくなる。
【0091】上記色素溶液を調製するために使用する溶
剤は、色素溶液の濃縮限界を満足するものである限り、
単一の溶剤であってもよく、二種以上の溶剤の混合溶剤
であってもよい。上記溶剤が混合溶剤である場合、使用
する色素の良溶剤(好ましくは、色素溶液の塗布温度に
おいて使用する色素を2重量%以上溶解し得る溶剤)
と、使用する色素の貧溶剤(好ましくは、色素溶液の塗
布温度において使用する色素を2重量%以上溶解しない
溶剤)との混合物であることが好ましい。その際に、該
良溶剤と該貧溶剤とは相溶性であり、上記塗布温度にお
いて該貧溶剤の蒸発速度が該良溶剤の蒸発速度よりも大
きくないことが必要である。一般に該貧溶剤の混合割合
を増大させるほど濃縮限界は大きくなる。
【0092】上記の溶剤としては、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼンなどのような芳香族炭化
水素系溶剤;ヘキサン、オクタン、ノナン、シクロヘキ
サンなどのような脂肪族炭化水素系溶剤;酢酸のような
有機酸系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、アセテート、
セロソルブアセテートなどのようなエステル系溶剤;ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノンなどのようなケトン系溶剤;ジク
ロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム、
メチルクロロホルム、トリクレン、四塩化炭素、テトラ
クロロエチレンなどのようなハロゲン化炭化水素系溶
剤;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、イソプロピ
ルエーテル、ジオキサン、ダイグライムなどのようなエ
ーテル系溶剤;エタノール、n−プロパノール、イソプ
ロパノール、n−ブタノール、アミルアルコール、ジア
セトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコー
ルなどのようなアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミ
ドのようなアミド系溶剤;2,2,3,3−テトラフロ
ロプロパノールなどのようなフッ素化アルコール、フッ
素置換ケトン、フッ素置換エステル、フッ素置換アミ
ド、フッ素置換エーテル、フッ素置換芳香族炭化水素、
フッ素置換脂肪族炭化水素などのようなフッ素系溶剤な
どを挙げることができる。
【0093】上記色素溶液が上記濃縮限界を満足するも
のである限り特に限定されるものではないが、その取扱
いの便宜上及びスピンコート法により基板状の全体的に
均一な膜厚の第一吸収層を形成させるために、上記色素
溶液中の上記色素の濃度は0.5〜14重量%、特に1
〜10重量%、更に特に1.5〜8重量%であることが
好ましい。
【0094】上記色素溶液中には、さらに酸化防止剤、
UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤など各種の添加剤を目的に
応じて添加してもよい。
【0095】結合剤を使用する場合に結合剤としては、
例えばゼラチン、ニトロセルロース、酢酸セルロース等
のセルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなど
の天然有機高分子物質;及びポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系
樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化
ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポ
リアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアク
リル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリオレフィ
ン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェ
ノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期
縮合物などの合成有機高分子物質を挙げることができ
る。
【0096】上記色素溶液をスピンコート法により基板
上に塗布するに際しては、それ自体公知の装置及び方法
を使用して行なうことができる。上記色素溶液を、一般
に0〜100℃、特に5〜80℃、更に特に10〜60
℃の温度で塗布することが好ましい。基板の回転数は、
色素溶液を塗布するときは、一般に10〜1000r.p.
m.、特に100〜500r.p.m.にすることが好ましく、
色素塗膜を乾燥するときは、一般に300〜10000
r.p.m.、特に500〜7000r.p.m.、更に特に700
〜4000r.p.m.にすることが好ましい。
【0097】第一吸収層の上に第二吸収層を設ける。第
二吸収層の材料の有機物としては前記の条件(II)を満
足する屈折率と消衰係数の値を有するものであれば何で
もよい。
【0098】上記式(II)を満足する材料とし高分子化
合物を挙げることができる。例えば、フェノール樹脂、
メラミン樹脂、アリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミ
ド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビ
ニル・ポリ酢酸ビニル共重合体、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ア
イオノマー樹脂、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ
スチレン、アクリルニトリル・スチレン共重合体、AB
S樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポ
リ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、塩
素化ポリエチレン、塩素化ポリエーテル、ポリアミド、
弗素樹脂、ポリフェニレンオキシド、酢酸セルロース系
樹脂、硝酸セルロース系樹脂、酢酸酪酸セルロース系樹
脂、ポリブタジエン、アクリルニトリル樹脂、ポリエチ
レンテレフタレートおよびポリブテンを挙げることがで
きる。
【0099】また第二吸収層の材料として色素を用いる
こともできる。そのような色素としては、一般に吸収極
大の波長が、レーザーの記録または再生波長より200
nm程度以上短波長側にある色素、あるいは100nm
程度以上長波長側にある色素の中から選択できる。好ま
しくは、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロ
シアニン系色素およびナフタロシアニン系色素である。
【0100】第二吸収層の材料として高分子化合物を使
用する場合は、前記のような溶剤を使用して溶液を調製
し、スピンコート法により第二吸収層を形成することが
できる。この場合は、色素含有層を形成する場合とは異
なり、グルーブ底部の第二吸収層の光学的膜厚とランド
部の第二吸収層の光学的膜厚との差、及び、ピット部の
第二吸収層の光学的膜厚とピット間部の第二吸収層の光
学的膜厚との差は実質的にない。第二吸収層の材料とし
て色素を使用する場合は、第一吸収層の形成について記
載したような特定の濃縮限界を有する色素溶液を使用し
て、スピンコート法により第二吸収層を形成することが
できる。
【0101】第二吸収層の上に第三吸収層を設ける。第
三吸収層の材料の有機物としては、前記の条件(III )
または(IV)を満足する屈折率および消衰係数の値を有
するものであれば何でもよい。
【0102】上記式(III )を満足する有機物は実質的
に第一吸収層の材料と同じ材料を用いることができる。
【0103】上記式(IV)を満足する有機物としては、
吸収極大の波長が、レーザーの記録または再生波長の付
近にある色素が好ましい。好ましくは、シアニン系色
素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素および
ナフタロシアニン系色素である。
【0104】第三吸収層は前記のように反射層として機
能するので、第一吸収層について説明したようにグルー
ブ底部の光学的膜厚とランド部の光学的膜厚との差、及
びピット部の光学的膜厚とピット間部の光学的膜厚との
差を小さくすることについて、特に考慮する必要はな
い。従って、従来の色素膜形成方法を使用して形成する
ことができる。勿論、第一吸収層の形成について記載し
たような特定の濃縮限界を有する色素溶液を使用して、
スピンコート法により形成することもできる。
【0105】上記第一吸収層、第二吸収層および第三吸
収層の層厚は、前記ランド部又は前記ピット間部で測定
して、それぞれ一般的に10〜1000nmの範囲であ
り、好ましくは30〜500nmの範囲であり、特に好
ましくは40〜300nmの範囲である。
【0106】色素層の材料として結合剤を併用する場合
は、上記第一吸収層、第二吸収層および第三吸収層の本
発明の特定の屈折率および消衰係数の範囲を逸脱しない
ように使用することが必要である。結合剤に対する色素
の比率は一般に0.01〜99%(重量比)の範囲にあ
り、好ましくは1.0〜95%(重量比)の範囲にあ
る。
【0107】上記第一吸収層、第二吸収層および第三吸
収層の三層は、例えばスピンコートに用いるスピナーに
ノズルを三つ取り付けて、各層形成について塗布と乾燥
とを行なう操作を、順に連続的に行なうことによって形
成することができる。従って、基板上に吸収層の形成は
極めて容易に行なうことができる。
【0108】本発明の情報記録媒体においては、光吸収
層の上に光吸収層を物理的及び化学的に保護する目的で
保護層を設けてもよい。また、この保護層は、基板の光
吸収層が設けられていない側にも耐傷性、耐湿性を高め
るために設けてもよい。
【0109】保護層に用いられる材料の例としては、無
機物質としては、SiO、SiO2 、Si34 、Mg
2 、SnO2 等を挙げることができる。また、有機物
質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性
樹脂等を挙げることができ、好ましくはUV硬化性樹脂
である。
【0110】保護層は、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性
樹脂などを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製したの
ち、この塗布液を塗布し、乾燥することによって形成す
ることができる。UV硬化性樹脂の場合には、そのまま
もしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製したのちこ
の塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることに
よって保護層を形成することができる。UV硬化性樹脂
としては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ
(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレ
ート等の(メタ)アクリレートのオリゴマー類、(メ
タ)アクリル酸エステル等のモノマー類等と光重合開始
剤等との通常のUV硬化性樹脂を使用することができ
る。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止
剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加して
もよい。保護層の材料としてUV硬化性樹脂を用いるこ
とが好ましい。
【0111】保護層の層厚は一般には0.1〜100μ
m、好ましくは0.5〜20μmの範囲にある。
【0112】上記の保護層形成用材料を光吸収層の第三
吸収層形成材料と混合して第三吸収層を形成し、第三吸
収層が保護層の役割も兼ねるようにすることもできる。
【0113】上記以外にも、保護層は、たとえばプラス
チックの押出加工で得られたフィルムを接着層を介して
光吸収層の上にラミネートすることにより形成すること
ができる。あるいは真空蒸着、スパッタリング、塗布等
の方法により設けられてもよい。
【0114】また、本発明の情報記録媒体の二枚を、そ
れらの光吸収層が内側になるように対面させ、二枚の情
報記録媒体の間に空間が形成されるようにリング状内側
スペーサとリング状外側スペーサとを介在させて二枚の
情報記録媒体を接合して、エアーサンドイッチ構造の情
報記録媒体にすることができる。このエアーサンドイッ
チ構造の情報記録媒体は、光吸収層は直接外気に接する
ことがなく、情報の記録、再生は基板を透過するレーザ
光で行なわれるために、光吸収層が物理的又は化学的な
損傷を受けたり、或いはその表面に塵埃が付着して情報
の記録、再生の障害となることがない。エアーサンドイ
ッチ構造の情報記録媒体の片方の情報記録媒体は光吸収
層が設けられていない基板(プリピットが設けられてい
てもよい)であってもよく、また、情報記録媒体は光吸
収層の上に及び/又は基板の光吸収層が設けられていな
い面に保護層が設けられたものであってもよい。
【0115】上記のような構成を有する本発明の情報記
録媒体は、極めて高い反射率を有するものであるが、上
記第三吸収層の上に、又は第三吸収層と保護層との間に
反射層を設けてもよい。この場合、更に高い反射率を得
ることができるが、情報記録媒体を塗布のみで製造でき
るという利点が失われる。
【0116】反射層の材料である光反射性物質はレーザ
ー光に対する反射率が高い物質であり、その例としては
Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、R
u、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Z
n、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、P
b、Po、Sn、Bi、Sbなどの金属および半金属を
挙げることができる。これらのうちで好ましいものはA
l、Au、CrおよびNiである。これらの物質は単独
で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せでまたは
合金として用いてもよい。
【0117】反射層は、たとえば上記光反射性物質を蒸
着、スパッタリングまたはイオンプレーティングするこ
とにより基板の上に形成することができる。反射層の層
厚は一般には10〜300nmの範囲にある。
【0118】本発明の情報記録媒体への情報の記録は、
情報記録媒体を定線速度(好ましくは1.2〜2.8m
/秒、特に好ましくは1.2〜1.4m/秒)にて回転
させながら、基板側から該プレグルーブの底部にレーザ
ー光を照射してグルーブ上にある光吸収層に再生用のピ
ットを形成して信号を記録することにより行なう。信号
としてはCDフォーマットのEFM信号を記録すること
が本発明の効果を得る上で好ましい。一般に、記録光と
しては700〜900nmの範囲の発振波長を有する半
導体レーザービームが用いられる。本発明の情報記録媒
体では、10mW以下のレーザーパワーで記録すること
ができる。
【0119】上記の記録後のピットは、基板及び/又は
色素がレーザ光の照射により発熱し、溶融、蒸発、昇
華、変形或るいは変質することにより、基板−色素間に
凸状、波状、凹状等の変化が起こったり、色素内で変化
が起こったり、色素−金属反射層間で変化が起こったり
するなどの形態のものである。
【0120】上記吸収層のピット形成は、第一吸収層の
消衰係数が0に近い場合は第三吸収層のみにピットが形
成され、そうでない場合は第一吸収層にピット形成およ
び第三吸収層も変形すると考えられる。また、レーザー
のエネルギーが大き時は第二吸収層にもピット形成、変
形が起こることも考えられる。さらに、第一および第三
吸収層の消衰係数をほぼ0にして第二吸収層に色素を用
いた場合、第二吸収層に記録することが可能である。し
かしながら、一般にどれか一層のみに記録するのは困難
で他の層への影響は避けられない。
【0121】記録に際しては、上記トラッキング用プレ
グルーブを用いてプッシュプル法などによるトラッキン
グ制御が行なわれる。情報の記録は、プレグルーブのグ
ルーブまたはグルーブ間のランドに行なわれる。
【0122】情報の再生は、例えば記録媒体を上記と同
一の定線速度または定角速度で回転させながら半導体レ
ーザー光を基板側から照射してその反射光を検出するこ
とにより、3ビーム法などによるトラッキング制御を行
ないながら情報を再生することができる。
【0123】上記記録方法により、本発明の情報記録媒
体にCDフォーマット信号などを定線速度で記録を行う
ことにより、信号の変調度、再生C/Nなどの優れた記
録再生特性を得ることができ、さらに記録時のトラッキ
ング性、特にプッシュプル法によるトラッキング性が優
れたものとなる。更にROM領域が設けられた本発明の
情報記録媒体の場合は、ROM領域においても高い変調
度の再生信号を得ることができる。
【0124】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び比較例を記載す
る。ただし、これらの各例は本発明を制限するものでは
ない。
【0125】[実施例1]直径46mm〜80mmの領
域にEFM信号を記録したプリピット(ピットの半値
幅:0.6μm、ピットの深さ:120nm)が形成さ
れ、直径80mm〜118mmの領域にプリグルーブ
(トラックピッチ:1.6μm、グルーブの半値幅:
0.55μm、グルーブの深さ:40nm)が形成され
た円盤状のポリカーボネート基板(外径:120mm、
内径:15mm、厚さ:1.2mm、屈折率:1.5
8)を用意した。
【0126】一方、下記の構造式(A)を有する色素
(A)を、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール
とエチルセロソルブとの80:20の体積比の混合溶剤
に溶解して、色素(A)を2.25重量%含有する第一
吸収層形成用塗布液を調製し、23℃に維持した。この
塗布液の23℃における濃縮限界は60%であった。
【0127】
【化1】
【0128】また、1,2−ポリブタジエン(サイエン
ティフィックポリマープロダクツ製、No.668、)
0.6gをシクロヘキサン15ccとn−ノナン10c
cとの混合溶媒に溶解して第二吸収層形成用塗布液を調
製し、23℃に維持した。
【0129】更に、第三吸収層形成用塗布液として、上
記第一吸収層形成用塗布液と同じものを調製した。
【0130】23℃の上記基板のプリピット及びプリグ
ルーブ形成面に、上記第一吸収層形成用塗布液をスピン
コート法により基板回転数200r.p.m.の速度で5秒間
塗布した後、回転数1400r.p.m.で30秒間乾燥し
て、表1に示す光学的膜厚の第一吸収層を形成した。
【0131】第一吸収層上に、上記第二吸収層形成用塗
布液をスピンコート法により回転数1400r.p.m.の速
度で30秒間で塗布、乾燥して、表1に示す光学的膜厚
の第二吸収層を形成した。
【0132】第二吸収層上に、上記第三吸収層形成用塗
布液を第一吸収層の形成と同様にして、ランド部の光学
的膜厚が220nmの第三吸収層を形成した。
【0133】このようにして、基板、第一吸収層、第二
吸収層および第三吸収層からなる光情報記録媒体(図1
(A)参照)を製造した。
【0134】得られた情報記録媒体について、プリグル
ーブ形成領域では、グルーブ底部の第一吸収層及び第二
吸収層の光学的膜厚、ランド部の第一吸収層及び第二吸
収層の光学的膜厚、ミラー部反射率を、プリピット形成
領域では、ピット部の第一吸収層及び第二吸収層の光学
的膜厚、ピット間部の第一吸収層及び第二吸収層の光学
的膜厚、及び11T変調度を、下記の評価方法により測
定した。評価結果を表1に記載する。
【0135】なお、各吸収層の屈折率及び消衰係数(各
材料を上記のように塗布してガラス板に薄層(50〜1
50nm)を形成し、その反射率と透過率を測定して求
めた)は下記の通りであった。 第一吸収層 [屈折率(n1 ):2.6、消衰係数(k1 ):0.0
6] 第二吸収層 [屈折率(n2 ):1.5、消衰係数(k2 ):0] 第三吸収層 [屈折率(n3 ):2.6、消衰係数(k3 ):0.0
6]
【0136】[実施例2]実施例1において、第一吸収
層形成用塗布液及び第三吸収層形成用塗布液に使用した
色素Aを下記の構造式(B)を有する色素Bに変えた以
外は実施例1と同様にして光情報記録媒体を製造した。
【0137】
【化2】
【0138】得られた情報記録媒体について、実施例1
に記載したのと同じ評価項目について同様にして測定し
た。評価結果を表1に記載する。
【0139】なお、各吸収層の屈折率及び消衰係数は下
記の通りであった。 第一吸収層 [屈折率(n1 ):2.6、消衰係数(k1 ):0.0
7] 第二吸収層 [屈折率(n2 ):1.5、消衰係数(k2 ):0] 第三吸収層 [屈折率(n3 ):2.6、消衰係数(k3 ):0.0
7]
【0140】[比較例1]第一吸収層形成用塗布液及び
第三吸収層形成用塗布液として、下記のようにして調製
した塗布液を使用した他は実施例1におけると同様にし
て情報記録媒体を製造した。
【0141】第一吸収層形成用塗布液:前記の色素
(A)を、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール
に溶解して、色素(A)を2.25重量%含有する第一
吸収層形成用塗布液を調製した。この塗布液の23℃に
おける限界濃度は10%以下であった。
【0142】第三吸収層形成用塗布液:上記第一吸収層
形成用塗布液と同じものである。
【0143】得られた情報記録媒体について、実施例1
に記載したのと同じ評価項目について同様にして測定し
た。評価結果を表1に記載する。なお、各吸収層の屈折
率及び消衰係数は実施例1と同じであった。
【0144】[比較例2]第一吸収層形成用塗布液及び
第三吸収層形成用塗布液として、下記のようにして調製
した塗布液を使用した他は実施例1におけると同様にし
て情報記録媒体を製造した。
【0145】第一吸取層形成用塗布液: 前記の色素(B)を、2,2,3,3−テトラフロロプ
ロパノールに溶解して、色素(B)を2.25重量%含
有する第一吸収層形成用塗布液を調製した。この塗布液
の23℃における濃縮限界は10%以下であった。
【0146】第三吸収層形成用塗布液:上記第一吸収層
形成用塗布液と同じものである。
【0147】得られた情報記録媒体について、実施例1
に記載したのと同じ評価項目について同様にして測定し
た。評価結果を表1に記載する。なお、各吸収層の屈折
率及び消衰係数は実施例1と同じであった。
【0148】[情報記録媒体の評価]上記で得られた情
報記録媒体を、ディスク評価装置(NA:0.5、レー
ザー波長:780nm) 及びEFMエンコーダ(KEN-WOO
D)を用いて、記録する際のレーザーパワー(記録パワ
ー)を4mW、定線速度:1.3m/秒にてプレグルー
ブの底部に記録を行なった。
【0149】1)グルーブ底部の吸収層の光学的膜厚 吸収層の絶対膜厚を、断面部の超高分解能電子顕微鏡
(株式会社日立製作所製S900)観察によって測定
し、吸収層の屈折率を、別に形成した色素薄膜の反射
率、透過率、及び絶対膜厚を測定した結果から求め、こ
れらの絶対膜厚と屈折率とから光学的膜厚を算出した。
【0150】2)ランド部の吸収層の光学的膜厚 上記1)の方法と同様にして求めた。
【0151】3)ピット部の吸収層の光学的膜厚 上記1)の方法と同様にして求めた。
【0152】4)ピット間部の吸収層の光学的膜厚 上記1)の方法と同様にして求めた。
【0153】5)ミラー部反射率 反射率が既知のアルミニウム板をリファレンスとして、
分光光度計(株式会社島津製作所製UV130)を使用
して測定した。
【0154】6)11T変調度 上記記録されたCDフォーマット信号のうち記録長11
Tの直流再生信号について、信号部分とミラー部(信号
の無い部分)の信号強度を測定し、その変調度(C)を
次式により求めた。 C=[(SH −SL )/SH ]×100 (SH:信号の最大強度、SL:信号の最小強度)
【0155】
【表1】
【0156】第1表より明らかなように、実施例の情報
記録媒体は、プリグルーブ形成領域(情報記録領域)で
反射率が大きく、プリピット形成領域(ROM領域)で
11T変調度が大きく優れた性能を有しているものであ
る。
【0157】これに対して、比較例の情報記録媒体は、
プリグルーブ形成領域で反射率は実施例の情報記録媒体
のそれと同程度であったが、プリピット形成領域(RO
M領域)での11T変調度は実施例の情報記録媒体に比
較して低いものであった。
【0158】
【発明の効果】本発明の情報記録媒体は、塗布により容
易に形成することができる特定の屈折率と消衰係数を有
する三個以上の吸収層を基板上に有する情報記録媒体で
ある。このような構成を採ることによって、簡易な製造
方法により得られることができるという大きな利点を有
しながら且つ高い反射率を有する情報記録媒体を得るこ
とができる。
【0159】本発明の情報記録媒体は、色素を含む光吸
収層の光学的膜厚が、グルーブ底部とランド部とで差が
少ないので、プリグルーブの深さを浅くしても光吸収層
の表面の溝の深さが十分大きく、感度が高く、レーザ光
を照射して情報を記録した後、変調度の高い再生信号を
得ることができるという顕著に優れた情報記録媒体であ
る。
【0160】また、本発明の情報記録媒体は、プリピッ
トが形成された領域にも色素を含む光吸収層が形成され
ており、しかもプリピットが形成された領域から変調度
の高い再生信号を得ることができるので、上記光吸収層
の膜厚を情報記録媒体の全面に亙って均一にすることが
でき、プリピットが形成されたROM領域と、プリグル
ーブが形成された記録可能領域とを、例えば両領域を混
在させるなど任意の場所に設けることが可能であり、ア
プリケーションソフトの種類や利用方法に制限がなく広
範囲の用途に使用できるという顕著に優れた情報記録媒
体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報記録媒体の実施例の断面を模式的
に示す断面図である。(A)は光吸収層が三層からなる
ものであり、(B)は光吸収層が五層からなるものであ
る。
【図2】本発明の情報記録媒体の一実施例のプリグルー
ブ領域における断面の一部を模式的に示す断面図であ
る。
【図3】本発明の情報記録媒体の一実施例のプリピット
領域における断面の一部を模式的に示す断面図である。
【図4】従来公知の情報記録媒体のプリグルーブ領域に
おける断面の一部を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 情報記録媒体 2 基板 3 第一吸収層 4 第二吸収層 5 第三吸収層 11、21、31 基板 12、22、32 吸収層 13、33 プリグルーブ 23 プリピット 14、34 ランド部 24 ピット間部 15、35 グルーブ底部 25 ピット部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面にプリグルーブが形成された円盤状の
    基板上に、レーザ光を照射して再生用のピットを形成す
    ることにより情報の記録が可能な色素を含む光吸収層が
    設けられてなる情報記録媒体であって、該光吸収層が、
    基板側から順に、第一吸収層及び第二吸収層からなる
    層一組の複合吸収層の一又は二と第三吸収層とから
    なり、そして、 第一吸収層が、有機物からなり且つ1.8以上の屈折率
    及び0.5以下の消衰係数を有する層であり、 第二吸収層が、有機物からなり且つ1.8未満の屈折率
    及び0.5以下の消衰係数を有する層であり、そして、 第三吸収層が、有機物からなり且つ1.8以上の屈折率
    及び0.5以下の消衰係数を有する層、又は有機物から
    なり且つ1.0〜4.0の範囲内にある屈折率及び1.
    0以上の消衰係数を有する層であり、更に、 光吸収層の第一吸収層及び第二吸収層の合計の、グルー
    ブ底部の光学的膜厚とランド部の光学的膜厚との差がλ
    /8(但し、λは再生用レーザ光の波長)以下であるこ
    とを特徴とする情報記録媒体。
  2. 【請求項2】表面にプリピット及びプリグルーブが形成
    された円盤状の基板上に、レーザ光を照射して再生用の
    ピットを形成することにより情報の記録が可能な色素を
    含む光吸収層が設けられてなる情報記録媒体であって、
    該光吸収層が、基板側から順に、第一吸収層及び第二吸
    収層からなる二層一組の複合吸収層の一又は二と第
    三吸収層とからなり、そして、 第一吸収層が、有機物からなり且つ1.8以上の屈折率
    及び0.5以下の消衰係数を有する層であり、 第二吸収層が、有機物からなり且つ1.8未満の屈折率
    及び0.5以下の消衰係数を有する層であり、そして、 第三吸収層が、有機物からなり且つ1.8以上の屈折率
    及び0.5以下の消衰係数を有する層、又は有機物から
    なり且つ1.0〜4.0の範囲内にある屈折率及び1.
    0以上の消衰係数を有する層であり、更に、 光吸収層の第一吸収層及び第二吸収層の合計の、ピット
    部の光学的膜厚とピット間部の光学的膜厚との差がλ/
    8(但し、λは再生用レーザ光の波長)以下であり、グ
    ルーブ底部の光学的膜厚とランド部の光学的膜厚との差
    がλ/8(但し、λは再生用レーザ光の波長)以下であ
    ることを特徴とする情報記録媒体。
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