JP2780707B2 - 転削工具の切り屑排出機構 - Google Patents
転削工具の切り屑排出機構Info
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- JP2780707B2 JP2780707B2 JP11731197A JP11731197A JP2780707B2 JP 2780707 B2 JP2780707 B2 JP 2780707B2 JP 11731197 A JP11731197 A JP 11731197A JP 11731197 A JP11731197 A JP 11731197A JP 2780707 B2 JP2780707 B2 JP 2780707B2
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- cutting edge
- outer peripheral
- tip
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- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23Q—DETAILS, COMPONENTS, OR ACCESSORIES FOR MACHINE TOOLS, e.g. ARRANGEMENTS FOR COPYING OR CONTROLLING; MACHINE TOOLS IN GENERAL CHARACTERISED BY THE CONSTRUCTION OF PARTICULAR DETAILS OR COMPONENTS; COMBINATIONS OR ASSOCIATIONS OF METAL-WORKING MACHINES, NOT DIRECTED TO A PARTICULAR RESULT
- B23Q2220/00—Machine tool components
- B23Q2220/008—Rotatable tool holders coupled in parallel to a non rotating accessory
Landscapes
- Auxiliary Devices For Machine Tools (AREA)
- Milling Processes (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、正面フライス等
被削材の平面加工に主として用いられる転削工具の切り
屑排出機構に関する。 【0002】 【従来の技術】被削材に平面加工を施す場合に用いられ
る転削工具としては、従来より様々な形状の工具が提案
されているが、中でも正面フライス工具は、切削抵抗が
少なく強力切削に適しているため、最も多く使用されて
いるものである。この正面フライス工具は、その軸線を
中心として回転せしめられるカッター本体と、このカッ
ター本体の先端面に設けられた正面切刃と、前記カッタ
ー本体の外周面先端部に設けられた外周切刃とを有する
工具である。これら各切刃は、超硬製が一般的であり、
その取り付け方法としては、ほとんどが、前記各切刃を
備えた超硬チップを着脱自在に固定したスローアウェイ
式となっているので、以下、従来の正面フライス工具と
して、スローアウェイ式正面フライス工具の一例を取り
上げ、これを図5ないし図7を用いて説明する。 【0003】図5ないし図7において、符号1はカッタ
ー本体である。このカッター本体1は、図5及び図6に
示すようにその一端に小径部を有する円筒体であり、そ
の先端部外周には、カッター本体1の先端及び半径方向
外側に開放されたチップ取り付け溝2が、円周方向に沿
って等間隔に多数形成されている。そして、このチップ
取り付け溝2には、スローアウェイチップ(以下、チッ
プと略称する)3が、くさび部材4と、クランプねじ5
とから成るクランプ機構6によって、前記チップ取り付
け溝2の一方の壁面に押圧することにより、所定位置に
着脱自在に固定されている。チップ3は、図5に示すよ
うに平面視してほぼ正方形をなす超硬製板材で、前記チ
ップ取り付け溝2の所定位置に固定された場合に前記カ
ッター本体1先端面から突出する一辺には正面切刃3a
が、カッター本体1の外周面先端に突出する一辺には外
周切刃3bがそれぞれ設けられている。 【0004】また、前記カッター本体1のチップ3回転
方向前方には、図6及び図7に示すように、カッター本
体1の先端及び半径方向外方に開放され、かつ円弧状の
壁面を有するチップポケット7が設けられている。この
チップポケット7は、前記各切刃3a,3bによって生
成された切り屑を前記カッター本体1の外部に逐次誘導
排出するためのものであり、また、被削材が軟鋼等の連
続した流れ形切り屑を生じ易い材質からなるものである
場合には、連続して生成される切り屑を丸め込み分断さ
せる役目をも負っている。一方、前記カッター本体1の
小径側は、アーバー8と、回り止めキー9を介して一体
に固定されている。すなわち、前記アーバー8の軸部8
aに該カッター本体1の小径側中心部の取り付け孔10
を嵌合させ、大径側端面より締め付けボルト11を前記
アーバー8の軸部8b端面にねじ込むことにより、アー
バー8と同軸上に一体に固定されるのである。また、ア
ーバー8の軸部8aの反対側には、工作機械主軸(以
下、主軸と略称する)12のテーパー穴12aと嵌合さ
せるためのテーパーシャンク8bが設けられ、さらにこ
のテーパシャンク8bの先端には、図示しないがめねじ
部が形成されている。このめねじ部は、主軸12内の図
示しないドローイングボルトによってアーバー8を主軸
12の軸線方向に引き上げ、当該正面フライスと主軸1
2とを強固に結合するためのものである。 【0005】上記構成からなる正面フライス工具を用い
て、被削材Wの平面加工を行うには、以下の手順で行
う。図5に示すように、まず前記アーバー8のテーパー
シャンク8bを、主軸12のテーパー穴12aに嵌合さ
せ、ドローイングボルトによってアーバー8を主軸12
の軸線方向に引き上げ、アーバー8を主軸キー13を介
して主軸12に固定させ、当該正面フライスを主軸12
に装着する。ついで、被削材Wをその被加工面が主軸1
2の軸線と直交するように図示しない機械テーブル上に
固定する。そして、主軸12をその軸線回りに回転さ
せ、主軸12若しくは機械テーブルを主軸12の軸線方
向に移動させて被削材W表面に所定の切り込みを与え、
主軸12若しくは機械テーブルを主軸12の軸線と直交
する方向に移動させる。すると、前記正面切刃3a及び
外周切刃3bによって被削材W表面部分が次々と切削さ
れ、平面加工が施されるのである。 【0006】ところで、上述した従来の正面フライス工
具を用いて平面加工を行う場合、各切刃3a,3bによ
って生成される切り屑は、前記チップポケット7によっ
て分断されて逐次カッター本体1の外部へ排出されるの
であるが、このことは以下に述べる理由により問題とな
っていた。 【0007】まず、カッター本体1の外部へ排出された
切り屑は、被削材W表面や機械上、あるいは機械周辺に
無秩序に飛散する。このことは、作業環境を悪化させる
ばかりでなく、これら飛散した切り屑が、機械本体の摺
動面等に入り込んで機械の精度や寿命の低下を招いてし
まうこともあった。 【0008】また、切り屑が被削材W表面に堆積する
と、各切刃3a,3bがこれら切り屑を噛み込んで、切
刃の欠損や加工面の悪化を発生させることもあった。さ
らに、これら切り屑は通常高温に熱せられているため、
被削材W表面や機械上に堆積した切り屑が発熱源となっ
て被削材Wや機械に熱変形が生じ、加工精度の低下を招
いていた。 【0009】このような問題を改善するために、カッタ
ー本体の外周にカバーを取り付けて切り屑を吸引するよ
うにした転削工具の切り屑排出機構が提案されている。
その一例として、米国特許第2944465号(196
0年)に開示されたものがある。この切り屑排出機構
は、カッター本体の外周を覆う円筒ケースが工作機械の
非回転部に取り付けられ、切刃で生成された切り屑をか
き集めるベーンがカッター本体の先端面に設けられ、円
筒ケースの排出口に吸引機構が接続されている。そし
て、この工具による被削材の回転切削時に、切刃で生成
された切り屑は、ベーンによって加工面上で集められ、
吸引機構の吸引力によって円筒カバー内に吸引され、排
出口から排出されることになる。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
切り屑排出機構では、切刃と円筒ケースとの間にかなり
の距離があるので、切り屑は周囲に飛散してしまう欠点
がある。これをベーンでかき集めても、十分に円筒ケー
ス内に誘導されず且つ吸引され得ないという欠点があ
り、ベーンの摩耗が激しい上に、円筒ケースの先端開口
部とカッター本体との間隙が大きく且つカッター本体全
周に亘るために、吸引機構の吸引力を大きくしても切り
屑を誘導して確実に吸引するのに十分な吸引機能を発揮
できないという欠点もある。この発明は、上記事情に鑑
みてなされたもので、切刃によって生成される切り屑
を、被削材の加工面や機械周辺等に飛散させることなく
確実に誘導して回収処理できるようにした転削工具の切
り屑排出機構を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
にこの発明は、軸線を中心として回転せしめられるカッ
ター本体の先端外周部に外周側切刃と正面側切刃が設け
られているとともに、カッター本体の周面外方を覆い且
つその先端がカッター本体の先端側に開口する略筒状の
切り屑収納体が設けられ、この切り屑収納体の内周面と
カッター本体の外周面との間に切り屑排出空間が形成さ
れ、切り屑収納体に切り屑排出空間に連 通する排出口が
設けられている転削工具の切り屑排出機構において、外
周側切刃または正面側切刃で生成された切り屑を切り屑
排出空間に誘導するための切り屑案内部が外周側切刃及
び正面側切刃のすくい面に設けられ、切り屑案内部は正
面側切刃より基端側にわずかに後退していると共に外周
側切刃の旋回径より軸線側にわずかに後退していること
を特徴とする。上記構成の転削工具にあっては、被削材
表面に平面加工等を施す場合、外周側切刃や正面側切刃
によって生成された切り屑は、切り屑案内部に誘導され
て切り屑排出空間に強制的に誘導され、カッター本体の
回転による遠心力で回転して排出口から排出され回収さ
れる。また、軸線を中心として回転せしめられるカッタ
ー本体の先端外周部に切刃が設けられているとともに、
カッター本体の周面外方を覆い且つその先端がカッター
本体の先端側に開口する略筒状の切り屑収納体が設けら
れ、この切り屑収納体の内周面とカッター本体の外周面
との間に切り屑排出空間が形成され、切り屑収納体に切
り屑排出空間に連通する排出口が設けられている転削工
具の切り屑排出機構において、切刃で生成された切り屑
を切り屑排出空間に誘導するための切り屑案内部が切刃
のすくい面に設けられ、切り屑収納体の先端が切り屑案
内部の領域に位置することを特徴とする。 切り屑は切り
屑案内部材を介して確実に切り屑収納体内の切り屑排出
空間に誘導される。 【0012】また、本発明は、軸線を中心として回転せ
しめられるカッター本体の先端外周部に外周側切刃と正
面側切刃が設けられているとともに、カッター本体の周
面外方を覆い且つその先端がカッター本体の先端側に開
口する略筒状の切り屑収納体が設けられ、この切り屑収
納体の内周面とカッター本体の外周面との間に切り屑排
出空間が形成され、切り屑収納体に切り屑排出空間に連
通する排出口が設けられ、切り屑排出空間から排出口を
通して外部へ切り屑を排出するための気流を生じさせる
手段が付加されている転削工具の切り屑排出機構におい
て、外周側切刃または正面側切刃で生成された切り屑を
切り屑排出空間に誘導するための切り屑案内部が外周側
切刃及び正面側切刃のすくい面に設けられ、切り屑案内
部は正面 側切刃より基端側にわずかに後退していると共
に外周側切刃の旋回径より軸線側にわずかに後退してい
ることを特徴とする。 上記構成によれば、切刃によって
生成された切り屑は、切り屑案内部と気流を生じさせる
手段との相乗効果で逐次切り屑排出空間に誘導吸引さ
れ、切り屑に作用する遠心力と気流とによって排出口か
ら確実に回収される。また、切り屑収納体の先端が切り
屑案内部の領域に位置してもよい。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、図1ないし図4を参照し
て、本発明の実施の形態を説明する。なお、各図におい
て図5ないし図7と同一の構成要素には同一符号を示
し、説明を簡略化する。図1ないし図3において符号1
はカッター本体である。このカッター本体1は、上記従
来の正面フライス工具に比して、より先端方向に延長さ
れた小径部を有する円筒体で、その先端部外周には、上
記従来の正面フライス工具と同様にチップ取り付け溝2
とチップポケット7が円周方向に沿って多数形成され、
さらに、チップ取り付け溝2には、上記従来の正面フラ
イスと同様に正面切刃3a及び外周切刃3bを備えたチ
ップ3が,くさび部材4と、クランプねじ5とから成る
クランプ機構6によって、所定位置に着脱自在に固定さ
れている。 【0014】そして、さらに本実施の形態の正面フライ
ス工具では、上記カッター本体1の先端面に、上記各切
刃3a、3bによって生成された切り屑を後述の切り屑
排出空間に誘導排出するための切り屑案内部材14が、
その表面を上記正面切刃3aより軸方向にわずかに後退
させて埋め込まれ、皿小ネジ15によって固定されてい
る。この切り屑案内部材14は、図4に示すように、そ
の外周に上記チップ3と同数の鈎形片14a(切り屑案
内部)が円周方向に等間隔に形成された板材であり、そ
の外径は上記外周切刃3bの旋回径よりわずかに小さく
定められていて、カッター本体1先端面に固定された場
合に、図1及び図2に示すように、鈎形片14aの外周
面が、チップ3の外周切刃3bからカッター本体1の半
径方向内側にわずかに後退して位置するようになってい
る。また、上記鈎形片14aは、上記カッター本体1に
固定された場合に、図2及び図3に示すように、上記チ
ップポケット7を覆って、後記切り屑排出空間を閉塞さ
せるとともに、曲がり方向の先端面14bと上記チップ
3のすくい面との間にわずかの隙間を生じさせて、各切
刃3a,3bによって被削材表面から引き剥がされた切
り屑が上記チップポケット7に誘導されるように、その
形状が定められている。そして、上記鈎形片14aの先
端部分には、図3図及び図4図に示すように鈎形片14
aの曲がり方向と、該切り屑案内部材14の取り付け面
側に向けて開放された溝部14cが形成され、上記チッ
プ3のすくい面と上記鈎形片14aの曲がり方向先端面
14bとの間の隙間部分の内側を拡大させて、隙間部分
を通過する切り屑の詰まりを防止している。 【0015】一方、上記カッター本体1は、図1に示す
ように上記従来の正面フライス工具と同様に、アーバー
8の軸部8aに取り付け孔10を嵌合させ、大径側端面
より締め付けボルト11を上記アーバー8の軸部8b端
面にねじ込むことによって、アーバー8と回り止めキー
9を介して同軸上に一体に固定されている。そして、上
記アーバー8の軸部8aの反対側には、主軸12のテー
パー穴12aと嵌合させるためのテーパーシャンク8b
が設けられ、さらにこのテーパーシャンク8bの先端に
は、図示しないが、主軸12内の図示しないドローイン
グボルトによって当該正面フライス工具と主軸12とを
強固に結合するためのめねじ部が形成されている。さら
に、上記アーバー8の軸部8aの後端部には、大径軸部
8cが形成されており、この大径軸部8cには止め輪1
6によってベアリング17が固定され、さらにこのベア
リング17の外輪には切り屑収納体18が嵌装されてい
る。そして、切り屑収納体18は、ベアリング17外輪
に反対側より嵌装されたカバー19と、ボルト20によ
って一体に結合されて、上記カッター本体1に対し同軸
上で相対回転可能となっている。 【0016】上記切り屑収納体18は、図1及び図2に
示すように、上記カッター本体1及び上記外周切刃3b
を覆う薄肉の中空円筒体で、その内径は、該内周面と、
上記カッター本体1小径部の外周面との間に、上記チッ
プポケット7によって分断された切り屑を収納するに十
分な大きさの切り屑排出空間21が生じる程度に定めら
れている。そして、上記ベアリング17近傍の内周面
は、カッター本体1の小径部よりわずかに大きい程度に
狭められており、上記切り屑排出空間21の密閉性を高
めるとともに、上記ベアリング17に対する防塵効果を
生じさせている。また、切り屑収納体18の先端面は、
上記チップ3の外周切刃3bの、被削材に切り込まれる
部分より軸方向にわずかに後退した位置となっており、
この先端部分の内周面は、上記外周切刃3bの旋回径よ
りわずかに大きい程度に狭められている。一方、上記切
り屑収納体18の外周面には、上記切り屑排出空間21
内の切り屑を吸引排出する吸引機構22(気流を生じさ
せる手段)が連結されている。すなわち、上記切り屑収
納体18の外周面に形成された貫通孔18aに吸引機連
結パイプ23が嵌合され、この吸引機連結パイプ23
に、ダクトホース24の一端が嵌め込まれ、その他端が
図示しない吸引機に連結されて、上記切り屑排出空間2
1内の切り屑を逐次吸引することができるようになって
いるのである。 【0017】上記構成からなる正面フライス工具を用い
て、被削材Wの平面加工を行うには、以下の手順で行
う。まず、図1に示すように、上記アーバー8のテーパ
ーシャンク8bを、主軸12のテーパー穴12aに嵌合
させ、ドローイングボルトによってアーバー8を主軸1
2の軸線方向に引き上げ、アーバー8を主軸キー13を
介して主軸12に固定させ、当該正面フライス工具を主
軸12に装着する。ついで、被削材Wをその被加工面が
主軸12の軸線と直交するように図示しない機械テーブ
ル上に固定する。そして、主軸12をその軸線回りに回
転させ、主軸12若しくは機械テーブルを主軸12の軸
線方向に移動させて被削材W表面に所定の切り込みを与
え、図示しない吸引機を作動させながら、主軸12若し
くは機械テーブルを主軸12の軸線と直交する方向に移
動させる。 【0018】すると、正面切刃3aによって被削材W表
面から引き剥がされた切り屑は、切り屑案内部材14の
表面側より、チップ3すくい面と切り屑案内部材14の
鈎形片14a端面との隙間部分に誘導されてチップポケ
ット7内に排出され、分断される。また、外周切刃3b
によって被削材W表面から引き剥がされた切り屑は、切
り屑案内部材14の外周側より、チップ3すくい面と切
り屑案内部材14の鈎形片14a端面間の隙間部分に誘
導されて、チップポケット7内に排出され分断される。
そして、チップポケット7内には新たな切り屑が次々と
排出されて来るため、分断された切り屑は切り屑排出空
間21に押し上げられ、貫通孔18aより、吸引機連結
パイプ23及びダクトホース24を経由して吸引機内に
吸引され、回収される。 【0019】以上のように、本実施の形態の正面フライ
ス工具においては、加工時に各切刃3a,3bによって
生成された切り屑は、切り屑案内部材14によってチッ
プポケット7を経由して切り屑排出空間21に誘導さ
れ、切り屑収納体18に連結された吸引機構22によっ
て、切り屑収納体18外部に逐次吸引排出されるので、
切り屑が被削材Wの表面に堆積したり、機械上や機械周
辺に飛散することがない。従って、加工時の切刃欠損や
加工面悪化が発生せず、被削材Wや機械の熱変形による
精度劣化の心配もなく、切り屑の侵入による機械の精度
や寿命の低下も起こりえない。しかも、切り屑案内部材
14がチップポケット7を覆って、切り屑案内部材14
と各切刃3a,3bのすくい面とによって切り屑吸引誘
導のための隙間が形成されているから、吸引機構22に
よる切り屑の吸引力が高くなる上に、生成された切り屑
は迅速かつ確実に隙間から切り屑排出空間21に誘導さ
れることになり、従来のこの種の切り屑排出機構と比較
して切り屑の吸引排出特性が格段に向上した。 【0020】なお、本実施の形態においては、スローア
ウェイ式正面フライス工具について説明したが、本発明
の転削工具はこれに限るものではなく、超硬チップをカ
ッター本体にロウ付けした一体型の正面フライス工具
や、シェルエンドミルにも十分適用可能なものである。
また、切り屑収納体18の吸引機連結パイプ23の位置
は、各切刃3a,3bによって生成された切り屑が、カ
ッター本体1の遠心力によって飛散する位置とするのが
最も望ましい。カッター本体1の遠心力で切り屑が飛ば
されると同時にカッター本体の回転による気流が同一方
向に生じて、切り屑を切り屑収納体18の切り屑排出空
間21内に誘導移送することになり、排出を促進するこ
とになる。さらに、その個数も一箇所に限らず、複数箇
所に設ければより切り屑吸引効果を高めることが出来
る。 【0021】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る転削
工具の切り屑排出機構によれば、外周側切刃及び正面側
切刃のすくい面に切り屑を切り屑排出空間に誘導するた
めの切り屑案内部が設けられているから、外周側切刃ま
たは正面側切刃によって生成される切り屑は、切り屑案
内部によって迅速且つ確実に切り屑排出空間内に誘導さ
れ、排出口から逐次排出して回収することができる。そ
のため、切り屑が被削材表面や機械上、あるいは機械周
辺に無秩序に飛散することがないので、作業環境を悪化
させることがなく、機械の精度や寿命を低下させること
がない。また、切り屑が被削材表面に堆積することがな
いので、切刃の切り屑噛み込みによる切刃の欠損や加工
面の悪化が発生するおそれもなく、切り屑が発熱源とな
る被削材や機械の熱変形も起こりえず、加工精度を維持
するこることができる。 また、本発明に係る転削工具の
切り屑排出機構によれば、切り屑収納体の先端が切り屑
案内部の領域に位置するから、確実に切り屑排出空間内
に切り屑を誘導して排出できる。 また、本発明に係る転
削工具の切り屑排出機構によれば、切り屑排出空間から
排出口を通して外部へ切り屑を排出するための気流を生
じさせる手段が付加されている転削工具の切り屑排出機
構において、外周側切刃及び正面側切刃のすくい面に切
り屑を切り屑排出空間に誘導するための切り屑案内部が
設けられているから、気流によって切り屑排出空間から
切刃付近に作用する吸引力が高く、切り屑は迅速且つ確
実に切り屑排出空間内に誘導され、切り屑収納体外部に
逐次排出さ せることができる。よって、従来のこの種の
切り屑排出機構と比較して切り屑吸引排出特性を格段に
向上できる。
被削材の平面加工に主として用いられる転削工具の切り
屑排出機構に関する。 【0002】 【従来の技術】被削材に平面加工を施す場合に用いられ
る転削工具としては、従来より様々な形状の工具が提案
されているが、中でも正面フライス工具は、切削抵抗が
少なく強力切削に適しているため、最も多く使用されて
いるものである。この正面フライス工具は、その軸線を
中心として回転せしめられるカッター本体と、このカッ
ター本体の先端面に設けられた正面切刃と、前記カッタ
ー本体の外周面先端部に設けられた外周切刃とを有する
工具である。これら各切刃は、超硬製が一般的であり、
その取り付け方法としては、ほとんどが、前記各切刃を
備えた超硬チップを着脱自在に固定したスローアウェイ
式となっているので、以下、従来の正面フライス工具と
して、スローアウェイ式正面フライス工具の一例を取り
上げ、これを図5ないし図7を用いて説明する。 【0003】図5ないし図7において、符号1はカッタ
ー本体である。このカッター本体1は、図5及び図6に
示すようにその一端に小径部を有する円筒体であり、そ
の先端部外周には、カッター本体1の先端及び半径方向
外側に開放されたチップ取り付け溝2が、円周方向に沿
って等間隔に多数形成されている。そして、このチップ
取り付け溝2には、スローアウェイチップ(以下、チッ
プと略称する)3が、くさび部材4と、クランプねじ5
とから成るクランプ機構6によって、前記チップ取り付
け溝2の一方の壁面に押圧することにより、所定位置に
着脱自在に固定されている。チップ3は、図5に示すよ
うに平面視してほぼ正方形をなす超硬製板材で、前記チ
ップ取り付け溝2の所定位置に固定された場合に前記カ
ッター本体1先端面から突出する一辺には正面切刃3a
が、カッター本体1の外周面先端に突出する一辺には外
周切刃3bがそれぞれ設けられている。 【0004】また、前記カッター本体1のチップ3回転
方向前方には、図6及び図7に示すように、カッター本
体1の先端及び半径方向外方に開放され、かつ円弧状の
壁面を有するチップポケット7が設けられている。この
チップポケット7は、前記各切刃3a,3bによって生
成された切り屑を前記カッター本体1の外部に逐次誘導
排出するためのものであり、また、被削材が軟鋼等の連
続した流れ形切り屑を生じ易い材質からなるものである
場合には、連続して生成される切り屑を丸め込み分断さ
せる役目をも負っている。一方、前記カッター本体1の
小径側は、アーバー8と、回り止めキー9を介して一体
に固定されている。すなわち、前記アーバー8の軸部8
aに該カッター本体1の小径側中心部の取り付け孔10
を嵌合させ、大径側端面より締め付けボルト11を前記
アーバー8の軸部8b端面にねじ込むことにより、アー
バー8と同軸上に一体に固定されるのである。また、ア
ーバー8の軸部8aの反対側には、工作機械主軸(以
下、主軸と略称する)12のテーパー穴12aと嵌合さ
せるためのテーパーシャンク8bが設けられ、さらにこ
のテーパシャンク8bの先端には、図示しないがめねじ
部が形成されている。このめねじ部は、主軸12内の図
示しないドローイングボルトによってアーバー8を主軸
12の軸線方向に引き上げ、当該正面フライスと主軸1
2とを強固に結合するためのものである。 【0005】上記構成からなる正面フライス工具を用い
て、被削材Wの平面加工を行うには、以下の手順で行
う。図5に示すように、まず前記アーバー8のテーパー
シャンク8bを、主軸12のテーパー穴12aに嵌合さ
せ、ドローイングボルトによってアーバー8を主軸12
の軸線方向に引き上げ、アーバー8を主軸キー13を介
して主軸12に固定させ、当該正面フライスを主軸12
に装着する。ついで、被削材Wをその被加工面が主軸1
2の軸線と直交するように図示しない機械テーブル上に
固定する。そして、主軸12をその軸線回りに回転さ
せ、主軸12若しくは機械テーブルを主軸12の軸線方
向に移動させて被削材W表面に所定の切り込みを与え、
主軸12若しくは機械テーブルを主軸12の軸線と直交
する方向に移動させる。すると、前記正面切刃3a及び
外周切刃3bによって被削材W表面部分が次々と切削さ
れ、平面加工が施されるのである。 【0006】ところで、上述した従来の正面フライス工
具を用いて平面加工を行う場合、各切刃3a,3bによ
って生成される切り屑は、前記チップポケット7によっ
て分断されて逐次カッター本体1の外部へ排出されるの
であるが、このことは以下に述べる理由により問題とな
っていた。 【0007】まず、カッター本体1の外部へ排出された
切り屑は、被削材W表面や機械上、あるいは機械周辺に
無秩序に飛散する。このことは、作業環境を悪化させる
ばかりでなく、これら飛散した切り屑が、機械本体の摺
動面等に入り込んで機械の精度や寿命の低下を招いてし
まうこともあった。 【0008】また、切り屑が被削材W表面に堆積する
と、各切刃3a,3bがこれら切り屑を噛み込んで、切
刃の欠損や加工面の悪化を発生させることもあった。さ
らに、これら切り屑は通常高温に熱せられているため、
被削材W表面や機械上に堆積した切り屑が発熱源となっ
て被削材Wや機械に熱変形が生じ、加工精度の低下を招
いていた。 【0009】このような問題を改善するために、カッタ
ー本体の外周にカバーを取り付けて切り屑を吸引するよ
うにした転削工具の切り屑排出機構が提案されている。
その一例として、米国特許第2944465号(196
0年)に開示されたものがある。この切り屑排出機構
は、カッター本体の外周を覆う円筒ケースが工作機械の
非回転部に取り付けられ、切刃で生成された切り屑をか
き集めるベーンがカッター本体の先端面に設けられ、円
筒ケースの排出口に吸引機構が接続されている。そし
て、この工具による被削材の回転切削時に、切刃で生成
された切り屑は、ベーンによって加工面上で集められ、
吸引機構の吸引力によって円筒カバー内に吸引され、排
出口から排出されることになる。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
切り屑排出機構では、切刃と円筒ケースとの間にかなり
の距離があるので、切り屑は周囲に飛散してしまう欠点
がある。これをベーンでかき集めても、十分に円筒ケー
ス内に誘導されず且つ吸引され得ないという欠点があ
り、ベーンの摩耗が激しい上に、円筒ケースの先端開口
部とカッター本体との間隙が大きく且つカッター本体全
周に亘るために、吸引機構の吸引力を大きくしても切り
屑を誘導して確実に吸引するのに十分な吸引機能を発揮
できないという欠点もある。この発明は、上記事情に鑑
みてなされたもので、切刃によって生成される切り屑
を、被削材の加工面や機械周辺等に飛散させることなく
確実に誘導して回収処理できるようにした転削工具の切
り屑排出機構を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
にこの発明は、軸線を中心として回転せしめられるカッ
ター本体の先端外周部に外周側切刃と正面側切刃が設け
られているとともに、カッター本体の周面外方を覆い且
つその先端がカッター本体の先端側に開口する略筒状の
切り屑収納体が設けられ、この切り屑収納体の内周面と
カッター本体の外周面との間に切り屑排出空間が形成さ
れ、切り屑収納体に切り屑排出空間に連 通する排出口が
設けられている転削工具の切り屑排出機構において、外
周側切刃または正面側切刃で生成された切り屑を切り屑
排出空間に誘導するための切り屑案内部が外周側切刃及
び正面側切刃のすくい面に設けられ、切り屑案内部は正
面側切刃より基端側にわずかに後退していると共に外周
側切刃の旋回径より軸線側にわずかに後退していること
を特徴とする。上記構成の転削工具にあっては、被削材
表面に平面加工等を施す場合、外周側切刃や正面側切刃
によって生成された切り屑は、切り屑案内部に誘導され
て切り屑排出空間に強制的に誘導され、カッター本体の
回転による遠心力で回転して排出口から排出され回収さ
れる。また、軸線を中心として回転せしめられるカッタ
ー本体の先端外周部に切刃が設けられているとともに、
カッター本体の周面外方を覆い且つその先端がカッター
本体の先端側に開口する略筒状の切り屑収納体が設けら
れ、この切り屑収納体の内周面とカッター本体の外周面
との間に切り屑排出空間が形成され、切り屑収納体に切
り屑排出空間に連通する排出口が設けられている転削工
具の切り屑排出機構において、切刃で生成された切り屑
を切り屑排出空間に誘導するための切り屑案内部が切刃
のすくい面に設けられ、切り屑収納体の先端が切り屑案
内部の領域に位置することを特徴とする。 切り屑は切り
屑案内部材を介して確実に切り屑収納体内の切り屑排出
空間に誘導される。 【0012】また、本発明は、軸線を中心として回転せ
しめられるカッター本体の先端外周部に外周側切刃と正
面側切刃が設けられているとともに、カッター本体の周
面外方を覆い且つその先端がカッター本体の先端側に開
口する略筒状の切り屑収納体が設けられ、この切り屑収
納体の内周面とカッター本体の外周面との間に切り屑排
出空間が形成され、切り屑収納体に切り屑排出空間に連
通する排出口が設けられ、切り屑排出空間から排出口を
通して外部へ切り屑を排出するための気流を生じさせる
手段が付加されている転削工具の切り屑排出機構におい
て、外周側切刃または正面側切刃で生成された切り屑を
切り屑排出空間に誘導するための切り屑案内部が外周側
切刃及び正面側切刃のすくい面に設けられ、切り屑案内
部は正面 側切刃より基端側にわずかに後退していると共
に外周側切刃の旋回径より軸線側にわずかに後退してい
ることを特徴とする。 上記構成によれば、切刃によって
生成された切り屑は、切り屑案内部と気流を生じさせる
手段との相乗効果で逐次切り屑排出空間に誘導吸引さ
れ、切り屑に作用する遠心力と気流とによって排出口か
ら確実に回収される。また、切り屑収納体の先端が切り
屑案内部の領域に位置してもよい。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、図1ないし図4を参照し
て、本発明の実施の形態を説明する。なお、各図におい
て図5ないし図7と同一の構成要素には同一符号を示
し、説明を簡略化する。図1ないし図3において符号1
はカッター本体である。このカッター本体1は、上記従
来の正面フライス工具に比して、より先端方向に延長さ
れた小径部を有する円筒体で、その先端部外周には、上
記従来の正面フライス工具と同様にチップ取り付け溝2
とチップポケット7が円周方向に沿って多数形成され、
さらに、チップ取り付け溝2には、上記従来の正面フラ
イスと同様に正面切刃3a及び外周切刃3bを備えたチ
ップ3が,くさび部材4と、クランプねじ5とから成る
クランプ機構6によって、所定位置に着脱自在に固定さ
れている。 【0014】そして、さらに本実施の形態の正面フライ
ス工具では、上記カッター本体1の先端面に、上記各切
刃3a、3bによって生成された切り屑を後述の切り屑
排出空間に誘導排出するための切り屑案内部材14が、
その表面を上記正面切刃3aより軸方向にわずかに後退
させて埋め込まれ、皿小ネジ15によって固定されてい
る。この切り屑案内部材14は、図4に示すように、そ
の外周に上記チップ3と同数の鈎形片14a(切り屑案
内部)が円周方向に等間隔に形成された板材であり、そ
の外径は上記外周切刃3bの旋回径よりわずかに小さく
定められていて、カッター本体1先端面に固定された場
合に、図1及び図2に示すように、鈎形片14aの外周
面が、チップ3の外周切刃3bからカッター本体1の半
径方向内側にわずかに後退して位置するようになってい
る。また、上記鈎形片14aは、上記カッター本体1に
固定された場合に、図2及び図3に示すように、上記チ
ップポケット7を覆って、後記切り屑排出空間を閉塞さ
せるとともに、曲がり方向の先端面14bと上記チップ
3のすくい面との間にわずかの隙間を生じさせて、各切
刃3a,3bによって被削材表面から引き剥がされた切
り屑が上記チップポケット7に誘導されるように、その
形状が定められている。そして、上記鈎形片14aの先
端部分には、図3図及び図4図に示すように鈎形片14
aの曲がり方向と、該切り屑案内部材14の取り付け面
側に向けて開放された溝部14cが形成され、上記チッ
プ3のすくい面と上記鈎形片14aの曲がり方向先端面
14bとの間の隙間部分の内側を拡大させて、隙間部分
を通過する切り屑の詰まりを防止している。 【0015】一方、上記カッター本体1は、図1に示す
ように上記従来の正面フライス工具と同様に、アーバー
8の軸部8aに取り付け孔10を嵌合させ、大径側端面
より締め付けボルト11を上記アーバー8の軸部8b端
面にねじ込むことによって、アーバー8と回り止めキー
9を介して同軸上に一体に固定されている。そして、上
記アーバー8の軸部8aの反対側には、主軸12のテー
パー穴12aと嵌合させるためのテーパーシャンク8b
が設けられ、さらにこのテーパーシャンク8bの先端に
は、図示しないが、主軸12内の図示しないドローイン
グボルトによって当該正面フライス工具と主軸12とを
強固に結合するためのめねじ部が形成されている。さら
に、上記アーバー8の軸部8aの後端部には、大径軸部
8cが形成されており、この大径軸部8cには止め輪1
6によってベアリング17が固定され、さらにこのベア
リング17の外輪には切り屑収納体18が嵌装されてい
る。そして、切り屑収納体18は、ベアリング17外輪
に反対側より嵌装されたカバー19と、ボルト20によ
って一体に結合されて、上記カッター本体1に対し同軸
上で相対回転可能となっている。 【0016】上記切り屑収納体18は、図1及び図2に
示すように、上記カッター本体1及び上記外周切刃3b
を覆う薄肉の中空円筒体で、その内径は、該内周面と、
上記カッター本体1小径部の外周面との間に、上記チッ
プポケット7によって分断された切り屑を収納するに十
分な大きさの切り屑排出空間21が生じる程度に定めら
れている。そして、上記ベアリング17近傍の内周面
は、カッター本体1の小径部よりわずかに大きい程度に
狭められており、上記切り屑排出空間21の密閉性を高
めるとともに、上記ベアリング17に対する防塵効果を
生じさせている。また、切り屑収納体18の先端面は、
上記チップ3の外周切刃3bの、被削材に切り込まれる
部分より軸方向にわずかに後退した位置となっており、
この先端部分の内周面は、上記外周切刃3bの旋回径よ
りわずかに大きい程度に狭められている。一方、上記切
り屑収納体18の外周面には、上記切り屑排出空間21
内の切り屑を吸引排出する吸引機構22(気流を生じさ
せる手段)が連結されている。すなわち、上記切り屑収
納体18の外周面に形成された貫通孔18aに吸引機連
結パイプ23が嵌合され、この吸引機連結パイプ23
に、ダクトホース24の一端が嵌め込まれ、その他端が
図示しない吸引機に連結されて、上記切り屑排出空間2
1内の切り屑を逐次吸引することができるようになって
いるのである。 【0017】上記構成からなる正面フライス工具を用い
て、被削材Wの平面加工を行うには、以下の手順で行
う。まず、図1に示すように、上記アーバー8のテーパ
ーシャンク8bを、主軸12のテーパー穴12aに嵌合
させ、ドローイングボルトによってアーバー8を主軸1
2の軸線方向に引き上げ、アーバー8を主軸キー13を
介して主軸12に固定させ、当該正面フライス工具を主
軸12に装着する。ついで、被削材Wをその被加工面が
主軸12の軸線と直交するように図示しない機械テーブ
ル上に固定する。そして、主軸12をその軸線回りに回
転させ、主軸12若しくは機械テーブルを主軸12の軸
線方向に移動させて被削材W表面に所定の切り込みを与
え、図示しない吸引機を作動させながら、主軸12若し
くは機械テーブルを主軸12の軸線と直交する方向に移
動させる。 【0018】すると、正面切刃3aによって被削材W表
面から引き剥がされた切り屑は、切り屑案内部材14の
表面側より、チップ3すくい面と切り屑案内部材14の
鈎形片14a端面との隙間部分に誘導されてチップポケ
ット7内に排出され、分断される。また、外周切刃3b
によって被削材W表面から引き剥がされた切り屑は、切
り屑案内部材14の外周側より、チップ3すくい面と切
り屑案内部材14の鈎形片14a端面間の隙間部分に誘
導されて、チップポケット7内に排出され分断される。
そして、チップポケット7内には新たな切り屑が次々と
排出されて来るため、分断された切り屑は切り屑排出空
間21に押し上げられ、貫通孔18aより、吸引機連結
パイプ23及びダクトホース24を経由して吸引機内に
吸引され、回収される。 【0019】以上のように、本実施の形態の正面フライ
ス工具においては、加工時に各切刃3a,3bによって
生成された切り屑は、切り屑案内部材14によってチッ
プポケット7を経由して切り屑排出空間21に誘導さ
れ、切り屑収納体18に連結された吸引機構22によっ
て、切り屑収納体18外部に逐次吸引排出されるので、
切り屑が被削材Wの表面に堆積したり、機械上や機械周
辺に飛散することがない。従って、加工時の切刃欠損や
加工面悪化が発生せず、被削材Wや機械の熱変形による
精度劣化の心配もなく、切り屑の侵入による機械の精度
や寿命の低下も起こりえない。しかも、切り屑案内部材
14がチップポケット7を覆って、切り屑案内部材14
と各切刃3a,3bのすくい面とによって切り屑吸引誘
導のための隙間が形成されているから、吸引機構22に
よる切り屑の吸引力が高くなる上に、生成された切り屑
は迅速かつ確実に隙間から切り屑排出空間21に誘導さ
れることになり、従来のこの種の切り屑排出機構と比較
して切り屑の吸引排出特性が格段に向上した。 【0020】なお、本実施の形態においては、スローア
ウェイ式正面フライス工具について説明したが、本発明
の転削工具はこれに限るものではなく、超硬チップをカ
ッター本体にロウ付けした一体型の正面フライス工具
や、シェルエンドミルにも十分適用可能なものである。
また、切り屑収納体18の吸引機連結パイプ23の位置
は、各切刃3a,3bによって生成された切り屑が、カ
ッター本体1の遠心力によって飛散する位置とするのが
最も望ましい。カッター本体1の遠心力で切り屑が飛ば
されると同時にカッター本体の回転による気流が同一方
向に生じて、切り屑を切り屑収納体18の切り屑排出空
間21内に誘導移送することになり、排出を促進するこ
とになる。さらに、その個数も一箇所に限らず、複数箇
所に設ければより切り屑吸引効果を高めることが出来
る。 【0021】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る転削
工具の切り屑排出機構によれば、外周側切刃及び正面側
切刃のすくい面に切り屑を切り屑排出空間に誘導するた
めの切り屑案内部が設けられているから、外周側切刃ま
たは正面側切刃によって生成される切り屑は、切り屑案
内部によって迅速且つ確実に切り屑排出空間内に誘導さ
れ、排出口から逐次排出して回収することができる。そ
のため、切り屑が被削材表面や機械上、あるいは機械周
辺に無秩序に飛散することがないので、作業環境を悪化
させることがなく、機械の精度や寿命を低下させること
がない。また、切り屑が被削材表面に堆積することがな
いので、切刃の切り屑噛み込みによる切刃の欠損や加工
面の悪化が発生するおそれもなく、切り屑が発熱源とな
る被削材や機械の熱変形も起こりえず、加工精度を維持
するこることができる。 また、本発明に係る転削工具の
切り屑排出機構によれば、切り屑収納体の先端が切り屑
案内部の領域に位置するから、確実に切り屑排出空間内
に切り屑を誘導して排出できる。 また、本発明に係る転
削工具の切り屑排出機構によれば、切り屑排出空間から
排出口を通して外部へ切り屑を排出するための気流を生
じさせる手段が付加されている転削工具の切り屑排出機
構において、外周側切刃及び正面側切刃のすくい面に切
り屑を切り屑排出空間に誘導するための切り屑案内部が
設けられているから、気流によって切り屑排出空間から
切刃付近に作用する吸引力が高く、切り屑は迅速且つ確
実に切り屑排出空間内に誘導され、切り屑収納体外部に
逐次排出さ せることができる。よって、従来のこの種の
切り屑排出機構と比較して切り屑吸引排出特性を格段に
向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す工具の断面図で
ある。 【図2】 図1に示す工具の底面図である。 【図3】 工具刃先部分の拡大図である。 【図4】 切り屑案内部材の平面図である。 【図5】 従来の転削工具の一例を示す断面図である。 【図6】 図5に示す工具の底面図である。 【図7】 工具刃先部分の拡大図である。 【符号の説明】 1……カッター本体、3a……正面切刃、3b……外周
切刃、8……アーバー、12……機械主軸、14……切
り屑案内部材、18……切り屑収納体、21……切り屑
排出空間、22……吸引機構。
ある。 【図2】 図1に示す工具の底面図である。 【図3】 工具刃先部分の拡大図である。 【図4】 切り屑案内部材の平面図である。 【図5】 従来の転削工具の一例を示す断面図である。 【図6】 図5に示す工具の底面図である。 【図7】 工具刃先部分の拡大図である。 【符号の説明】 1……カッター本体、3a……正面切刃、3b……外周
切刃、8……アーバー、12……機械主軸、14……切
り屑案内部材、18……切り屑収納体、21……切り屑
排出空間、22……吸引機構。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.軸線を中心として回転せしめられるカッター本体の
先端外周部に外周側切刃と正面側切刃が設けられている
とともに、上記カッター本体の周面外方を覆い且つその
先端が上記カッター本体の先端側に開口する略筒状の切
り屑収納体が設けられ、この切り屑収納体の内周面と上
記カッター本体の外周面との間に切り屑排出空間が形成
され、上記切り屑収納体に切り屑排出空間に連通する排
出口が設けられている転削工具の切り屑排出機構におい
て、 上記外周側切刃または正面側切刃で生成された切り屑を
上記切り屑排出空間に誘導するための切り屑案内部が上
記外周側切刃及び正面側切刃のすくい面に設けられ、上
記切り屑案内部は上記正面側切刃より基端側にわずかに
後退していると共に外周側切刃の旋回径より上記軸線側
にわずかに後退していることを特徴とする転削工具の切
り屑排出機構。 2.軸線を中心として回転せしめられるカッター本体の
先端外周部に切刃が設けられているとともに、上記カッ
ター本体の周面外方を覆い且つその先端が上記カッター
本体の先端側に開口する略筒状の切り屑収納体が設けら
れ、この切り屑収納体の内周面と上記カッター本体の外
周面との間に切り屑排出空間が形成され、上記切り屑収
納体に切り屑排出空間に連通する排出口が設けられてい
る転削工具の切り屑排出機構において、 上記切刃で生成された切り屑を上記切り屑排出空間に誘
導するための切り屑案内部が上記切刃のすくい面に設け
られ、上記切り屑収納体の先端が上記切り屑案内部の領
域に位置することを特徴とする転削工具の切り屑排出機
構。 3.軸線を中心として回転せしめられるカッター本体の
先端外周部に外周側切刃と正面側切刃が設けられている
とともに、上記カッター本体の周面外方を覆い且つその
先端が上記カッター本体の先端側に開口する略筒状の切
り屑収納体が設けられ、この切り屑収納体の内周面と上
記カッター本体の外周面との間に切り屑排出空間が形成
され、上記切り屑収納体に切り屑排出空間に連通する排
出口が設けられ、上記切り屑排出空間から排出口を通し
て外部へ切り屑を排 出するための気流を生じさせる手段
が付加されている転削工具の切り屑排出機構において、 上記外周側切刃または正面側切刃で生成された切り屑を
上記切り屑排出空間に誘導するための切り屑案内部が上
記外周側切刃及び正面側切刃のすくい面に設けられ、上
記切り屑案内部は上記正面側切刃より基端側にわずかに
後退していると共に上記外周側切刃の旋回径より上記軸
線側にわずかに後退していることを特徴とする転削工具
の切り屑排出機構。 4.上記切り屑収納体の先端が上記切り屑案内部の領域
に位置することを特徴とする請求項3記載の転削工具の
切り屑排出機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11731197A JP2780707B2 (ja) | 1997-05-07 | 1997-05-07 | 転削工具の切り屑排出機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11731197A JP2780707B2 (ja) | 1997-05-07 | 1997-05-07 | 転削工具の切り屑排出機構 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7260553A Division JP2780684B2 (ja) | 1995-10-06 | 1995-10-06 | 転削工具及び転削工具の切り屑排出機構 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1043988A JPH1043988A (ja) | 1998-02-17 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country Status (1)
Country | Link |
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Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
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US8083445B2 (en) | 2008-05-12 | 2011-12-27 | Mori Seiki Co., Ltd. | Holder main body |
-
1997
- 1997-05-07 JP JP11731197A patent/JP2780707B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH1043988A (ja) | 1998-02-17 |
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