JP2765505B2 - 感熱可逆性表示媒体およびその製造方法 - Google Patents
感熱可逆性表示媒体およびその製造方法Info
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- JP2765505B2 JP2765505B2 JP7018396A JP1839695A JP2765505B2 JP 2765505 B2 JP2765505 B2 JP 2765505B2 JP 7018396 A JP7018396 A JP 7018396A JP 1839695 A JP1839695 A JP 1839695A JP 2765505 B2 JP2765505 B2 JP 2765505B2
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- thermosensitive
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Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B01—PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
- B01F—MIXING, e.g. DISSOLVING, EMULSIFYING OR DISPERSING
- B01F33/00—Other mixers; Mixing plants; Combinations of mixers
- B01F33/30—Micromixers
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
- Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱の付与を制御して記
録の表示および消去を行なう感熱表示媒体であって、表
示品質に優れ、繰り返し利用する感熱紙やOHPシート
等として使用可能な感熱表示媒体に関する。
録の表示および消去を行なう感熱表示媒体であって、表
示品質に優れ、繰り返し利用する感熱紙やOHPシート
等として使用可能な感熱表示媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、紙は、人とのインターフェー
スに優れた情報の表示および保存の媒体として長く利用
されてきており、近年のOA化の進展に伴なうペーパー
レス時代においても、その使用量は減少することなく、
むしろ増加の一途にある。これは情報が溢れる時代にお
いても情報を処理する上で、紙は人に対して優れたイン
ターフェースを有するものであることを示している。し
かしながら、情報の中には、一時的な確認に使用され、
その後不要になる一過性の情報が数多く含まれており、
これらの情報が保存を必要とする情報と同様に取り扱わ
れて印刷されることにより貴重な紙資源が浪費されてい
る。また、昨今の会議や学会等における情報の伝達に
は、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)等を用い
る発表が広く実施されており、その際に使用されるポリ
エステルフィルム上にトナー像を形成したプラスチック
フィルム等は通常再利用されないものである。このよう
な情報の処理において、紙やプラスチックを大量に消費
することは、資源を浪費し、環境の悪化を招くことから
問題視されている。
スに優れた情報の表示および保存の媒体として長く利用
されてきており、近年のOA化の進展に伴なうペーパー
レス時代においても、その使用量は減少することなく、
むしろ増加の一途にある。これは情報が溢れる時代にお
いても情報を処理する上で、紙は人に対して優れたイン
ターフェースを有するものであることを示している。し
かしながら、情報の中には、一時的な確認に使用され、
その後不要になる一過性の情報が数多く含まれており、
これらの情報が保存を必要とする情報と同様に取り扱わ
れて印刷されることにより貴重な紙資源が浪費されてい
る。また、昨今の会議や学会等における情報の伝達に
は、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)等を用い
る発表が広く実施されており、その際に使用されるポリ
エステルフィルム上にトナー像を形成したプラスチック
フィルム等は通常再利用されないものである。このよう
な情報の処理において、紙やプラスチックを大量に消費
することは、資源を浪費し、環境の悪化を招くことから
問題視されている。
【0003】このような状況の下で、シート上に記録お
よび保存でき、かつ繰り返し使用できる可逆記録表示材
料が、種々の方式で数多く提案されている。これらの中
でも、表示装置の小型化が可能であり、消耗品を排出し
ない感熱記録方式が注目されている。この感熱記録技術
としては、高分子化合物母材中に有機低分子化合物を分
散させた記録層に、加える熱を制御することにより白濁
状態と透明状態との表示を行なう方式(特開昭54−1
19377号公報)、複数の高分子化合物をブレンドし
てなる記録層に、加える熱により高分子間の相分離を制
御させることにより表示を行なう方式(特開昭60−1
80887号公報)、高分子液晶化合物からなる記録層
に、加える熱を制御することにより白濁状態と透明状態
との表示を行なう方式(特開平2−117888号公
報)およびロイコ染料と顕減色剤を用いた記録層に、加
える熱を制御して発色・消色を行う方式(特開昭58−
191190号公報)等が開示されている。また、樹脂
中に高分子液晶を粒状に分散した記録層に、熱と電場を
用いて記録および消去を行なう技術(特開平3−284
988号公報)も知られている。
よび保存でき、かつ繰り返し使用できる可逆記録表示材
料が、種々の方式で数多く提案されている。これらの中
でも、表示装置の小型化が可能であり、消耗品を排出し
ない感熱記録方式が注目されている。この感熱記録技術
としては、高分子化合物母材中に有機低分子化合物を分
散させた記録層に、加える熱を制御することにより白濁
状態と透明状態との表示を行なう方式(特開昭54−1
19377号公報)、複数の高分子化合物をブレンドし
てなる記録層に、加える熱により高分子間の相分離を制
御させることにより表示を行なう方式(特開昭60−1
80887号公報)、高分子液晶化合物からなる記録層
に、加える熱を制御することにより白濁状態と透明状態
との表示を行なう方式(特開平2−117888号公
報)およびロイコ染料と顕減色剤を用いた記録層に、加
える熱を制御して発色・消色を行う方式(特開昭58−
191190号公報)等が開示されている。また、樹脂
中に高分子液晶を粒状に分散した記録層に、熱と電場を
用いて記録および消去を行なう技術(特開平3−284
988号公報)も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高分子
化合物母材に有機低分子化合物を分散させた膜および複
数の高分子をブレンドした膜を記録層とした可逆性感熱
表示媒体においては、記録および消去の繰り返しによっ
て混合した成分が劣化したり、白濁状態と透明状態との
境界の不明瞭化等によってコントラストが低下し、繰り
返し回数が制限されてしまうという問題があった。ま
た、ロイコ染料を用いた発色・消色型の可逆性感熱記録
媒体においては未だコントラストが不十分であり、発色
・消色反応に伴う劣化のために繰り返し回数にも問題が
ある。また、従来の高分子液晶を用いた可逆性表示媒体
においては、表示コントラストが低く、記録の保存安定
性および感熱特性に問題がある。さらに、高分子液晶を
記録層とした表示媒体を作製した場合、高分子液晶は可
塑性のものであるから、記録時のサーマルヘッドによる
熱および印字圧によって、記録層表面は、凹凸等の変形
が生じて繰り返し回数を制限してしまうという問題があ
った。また、サーマルヘッドによる記録層の表面変形を
防止するために、記録層に硬度および耐熱温度の高い表
面保護層を積層した場合、表面保護層の形成時に記録層
が保護層の体積収縮により配向し透明化してしまうとい
う問題もあった。そこで、本発明は、従来の技術におけ
る上記した問題点に鑑みてなされたものである。すなわ
ち、本発明の目的は、繰り返しに対する耐久性、感熱特
性、表示コントラストおよび保存安定性に優れた可逆性
表示媒体を提供することにある。本発明の他の目的は、
記録および消去の表示品質に優れ、繰り返し使用可能な
感熱紙およびOHPシート等として使用可能な感熱表示
媒体を提供することにある。
化合物母材に有機低分子化合物を分散させた膜および複
数の高分子をブレンドした膜を記録層とした可逆性感熱
表示媒体においては、記録および消去の繰り返しによっ
て混合した成分が劣化したり、白濁状態と透明状態との
境界の不明瞭化等によってコントラストが低下し、繰り
返し回数が制限されてしまうという問題があった。ま
た、ロイコ染料を用いた発色・消色型の可逆性感熱記録
媒体においては未だコントラストが不十分であり、発色
・消色反応に伴う劣化のために繰り返し回数にも問題が
ある。また、従来の高分子液晶を用いた可逆性表示媒体
においては、表示コントラストが低く、記録の保存安定
性および感熱特性に問題がある。さらに、高分子液晶を
記録層とした表示媒体を作製した場合、高分子液晶は可
塑性のものであるから、記録時のサーマルヘッドによる
熱および印字圧によって、記録層表面は、凹凸等の変形
が生じて繰り返し回数を制限してしまうという問題があ
った。また、サーマルヘッドによる記録層の表面変形を
防止するために、記録層に硬度および耐熱温度の高い表
面保護層を積層した場合、表面保護層の形成時に記録層
が保護層の体積収縮により配向し透明化してしまうとい
う問題もあった。そこで、本発明は、従来の技術におけ
る上記した問題点に鑑みてなされたものである。すなわ
ち、本発明の目的は、繰り返しに対する耐久性、感熱特
性、表示コントラストおよび保存安定性に優れた可逆性
表示媒体を提供することにある。本発明の他の目的は、
記録および消去の表示品質に優れ、繰り返し使用可能な
感熱紙およびOHPシート等として使用可能な感熱表示
媒体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の感熱可逆性表示
媒体は、支持体上に、熱の付与を制御することにより透
明状態および白濁状態を可逆的に繰り返す感熱記録層を
形成した感熱可逆性表示媒体において、該感熱記録層
が、側鎖型高分子液晶と紫外線硬化型樹脂または電子線
硬化型樹脂がインターペネトレーティング・ポリマ−・
ネットワークを形成している複合材料とからなることを
特徴とする。また、本発明の感熱可逆性表示媒体の製造
方法は、側鎖型高分子液晶と紫外線硬化型または電子線
硬化型のオリゴマー若しくはモノマーまたはそれらの混
合物とからなる組成物の溶液を支持体上に塗布すること
により膜を形成させ、該組成物が液晶性を示す温度まで
加熱した後、これを冷却し、次いで紫外線または電子線
を照射して、樹脂の架橋反応を生じさせることにより感
熱記録層を形成させることを特徴とする。
媒体は、支持体上に、熱の付与を制御することにより透
明状態および白濁状態を可逆的に繰り返す感熱記録層を
形成した感熱可逆性表示媒体において、該感熱記録層
が、側鎖型高分子液晶と紫外線硬化型樹脂または電子線
硬化型樹脂がインターペネトレーティング・ポリマ−・
ネットワークを形成している複合材料とからなることを
特徴とする。また、本発明の感熱可逆性表示媒体の製造
方法は、側鎖型高分子液晶と紫外線硬化型または電子線
硬化型のオリゴマー若しくはモノマーまたはそれらの混
合物とからなる組成物の溶液を支持体上に塗布すること
により膜を形成させ、該組成物が液晶性を示す温度まで
加熱した後、これを冷却し、次いで紫外線または電子線
を照射して、樹脂の架橋反応を生じさせることにより感
熱記録層を形成させることを特徴とする。
【0006】本発明の感熱可逆性表示媒体は、基材およ
び感熱記録層を含有するものであり、該感熱記録層は、
高分子液晶と紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂
のインターペネトレーティング・ポリマー・ネットワー
ク(以下、「IPN」と略す)を形成させた複合材料と
から構成されているものである。そこで先ず、本発明に
使用される高分子液晶について説明する。高分子液晶に
は、主鎖にメソゲン基(液晶性を示す分子)を有する主
鎖型高分子液晶および側鎖にメソゲン基を結合した側鎖
型高分子液晶等が知られているが、本発明においては、
側鎖型高分子液晶を使用する。本発明の側鎖型高分子液
晶は、上記の側鎖にメソゲン基を結合した側鎖型高分子
液晶に加えて、白濁状態を構成するマルチドメイン構造
のドメイン径分布、印字特性及び記録の保存温度を決定
する高分子液晶の熱特性を制御することを目的として、
さらに非メソゲン化合物を共重合あるいは共付加させる
ことも好ましく実施される。
び感熱記録層を含有するものであり、該感熱記録層は、
高分子液晶と紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂
のインターペネトレーティング・ポリマー・ネットワー
ク(以下、「IPN」と略す)を形成させた複合材料と
から構成されているものである。そこで先ず、本発明に
使用される高分子液晶について説明する。高分子液晶に
は、主鎖にメソゲン基(液晶性を示す分子)を有する主
鎖型高分子液晶および側鎖にメソゲン基を結合した側鎖
型高分子液晶等が知られているが、本発明においては、
側鎖型高分子液晶を使用する。本発明の側鎖型高分子液
晶は、上記の側鎖にメソゲン基を結合した側鎖型高分子
液晶に加えて、白濁状態を構成するマルチドメイン構造
のドメイン径分布、印字特性及び記録の保存温度を決定
する高分子液晶の熱特性を制御することを目的として、
さらに非メソゲン化合物を共重合あるいは共付加させる
ことも好ましく実施される。
【0007】上記の非メソゲン化合物の具体例として
は、(メタ)アクリル酸アルキルおよびその誘導体、ス
チレンおよびその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、インプレン、ビニルピロ
リドン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
また、高分子液晶の耐熱性や機械強度の改善を目的に、
水素結合性基を有する非液晶性モノマーを共重合あるい
は共付加することも好ましく実施される。このような水
素結合性基を有する非液晶性モノマー成分としては、ヒ
ドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸
基、1級または2級アミノ基、酸アミド基、チオール基
等を有する種々の重合性モノマーが使用可能である。そ
の具体例としては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキ
シエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノ
キシプロピル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル
サクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル
フタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−
2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、4−
((メタ)アクリルオキシアルキルオキシ)−ベンゾイ
ックアシッド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル
アシッドフォスフェート、(メタ)アクリル酸グリセリ
ル、ヒドロキシ置換スチレン、(メタ)アクリル酸、ビ
ニルスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、2−プロペ
ン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等が代表的
なものとしてあげられる。これらの中でも、特に、カル
ボキシル基、スルホン酸基やリン酸基等の酸性基を有す
る重合性モノマーおよびアルコール性やフェノール性の
ヒドロキシ基を有する重合性モノマーは、高い水素結合
力を得ることが可能となることから、好ましく使用され
る。なお、上記した非液晶性モノマー化合物はそれぞれ
を複数種類用いることもできる。
は、(メタ)アクリル酸アルキルおよびその誘導体、ス
チレンおよびその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、インプレン、ビニルピロ
リドン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
また、高分子液晶の耐熱性や機械強度の改善を目的に、
水素結合性基を有する非液晶性モノマーを共重合あるい
は共付加することも好ましく実施される。このような水
素結合性基を有する非液晶性モノマー成分としては、ヒ
ドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸
基、1級または2級アミノ基、酸アミド基、チオール基
等を有する種々の重合性モノマーが使用可能である。そ
の具体例としては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキ
シエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノ
キシプロピル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル
サクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル
フタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−
2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、4−
((メタ)アクリルオキシアルキルオキシ)−ベンゾイ
ックアシッド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル
アシッドフォスフェート、(メタ)アクリル酸グリセリ
ル、ヒドロキシ置換スチレン、(メタ)アクリル酸、ビ
ニルスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、2−プロペ
ン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等が代表的
なものとしてあげられる。これらの中でも、特に、カル
ボキシル基、スルホン酸基やリン酸基等の酸性基を有す
る重合性モノマーおよびアルコール性やフェノール性の
ヒドロキシ基を有する重合性モノマーは、高い水素結合
力を得ることが可能となることから、好ましく使用され
る。なお、上記した非液晶性モノマー化合物はそれぞれ
を複数種類用いることもできる。
【0008】側鎖型高分子液晶は、通常、重合可能なメ
ソゲン化合物を重合するか、または水素化ポリシリコン
等の反応性ポリマーに付加反応可能なメソゲン化合物を
付加することにより製造することができる。このような
技術は、Makromol.Chem.,179,p2
73(1978),Eur.Polym.J.,18,
p651(1982)、Mol.Cryst.Liq.
Cryst.,169,p167(1989)等に開示
されている。本発明に使用される側鎖型高分子液晶は、
上記方法と同様にして製造することができる。上記した
重合可能なメソゲン化合物および付加反応可能なメソゲ
ン化合物としては、ビフェニル系、フェニルベンゾエー
ト系、シクロヘキシルベンゼン系、アゾキシベンゼン
系、アゾベンゼン系、アゾメチン系、フェニルピリミジ
ン系、ジフェニルアセチレン系、ビフェニルベンゾエー
ト系、シクロヘキシルビフェニル系、ターフェニル系等
の剛直な分子構造に、好ましくは所定の長さのアルキル
スペーサーを介して、アクリル酸エステル、メタクリル
酸エステル基やビニル基が結合した種々の化合物等が代
表的なものとして挙げられる。
ソゲン化合物を重合するか、または水素化ポリシリコン
等の反応性ポリマーに付加反応可能なメソゲン化合物を
付加することにより製造することができる。このような
技術は、Makromol.Chem.,179,p2
73(1978),Eur.Polym.J.,18,
p651(1982)、Mol.Cryst.Liq.
Cryst.,169,p167(1989)等に開示
されている。本発明に使用される側鎖型高分子液晶は、
上記方法と同様にして製造することができる。上記した
重合可能なメソゲン化合物および付加反応可能なメソゲ
ン化合物としては、ビフェニル系、フェニルベンゾエー
ト系、シクロヘキシルベンゼン系、アゾキシベンゼン
系、アゾベンゼン系、アゾメチン系、フェニルピリミジ
ン系、ジフェニルアセチレン系、ビフェニルベンゾエー
ト系、シクロヘキシルビフェニル系、ターフェニル系等
の剛直な分子構造に、好ましくは所定の長さのアルキル
スペーサーを介して、アクリル酸エステル、メタクリル
酸エステル基やビニル基が結合した種々の化合物等が代
表的なものとして挙げられる。
【0009】これらの化合物の代表的な構造例を下記に
示す。これらは代表的な構造例であって、本発明はこれ
に限定されるものではない。 CH2 =C(R)−COO−(CH2 )m −O−A CH2 =C(R)−COO−A CH2 =CH−(CH2 )m −O−A (式中、Rは水素またはメチル基を示し、mは1〜30
の中から選ばれる整数を示し、Aは下記式(a)〜
(k)で示される液晶分子(メソゲン基)を表わす。)
示す。これらは代表的な構造例であって、本発明はこれ
に限定されるものではない。 CH2 =C(R)−COO−(CH2 )m −O−A CH2 =C(R)−COO−A CH2 =CH−(CH2 )m −O−A (式中、Rは水素またはメチル基を示し、mは1〜30
の中から選ばれる整数を示し、Aは下記式(a)〜
(k)で示される液晶分子(メソゲン基)を表わす。)
【0010】
【化1】 (式中、XおよびYはそれぞれ単結合、−N=N−、−
N(→O)=N−、−CH=N−、−N=CH−、−C
OO−、−C(C=O)−、−CH=CH−基から選択
される基を表し、R1 はアルコキシ基、ハロゲン原子、
シアノ基、カルボキシル基、アルキル基から選択される
基を表し、nは1〜5の中から選択される整数を示し、
nが2以上の場合、それぞれR1 は異なるものであって
もよい。)なお、上記したメソゲン基はそれぞれ複数種
類用いることができる。
N(→O)=N−、−CH=N−、−N=CH−、−C
OO−、−C(C=O)−、−CH=CH−基から選択
される基を表し、R1 はアルコキシ基、ハロゲン原子、
シアノ基、カルボキシル基、アルキル基から選択される
基を表し、nは1〜5の中から選択される整数を示し、
nが2以上の場合、それぞれR1 は異なるものであって
もよい。)なお、上記したメソゲン基はそれぞれ複数種
類用いることができる。
【0011】本発明の高分子液晶に共重合または共付加
する非メソゲン化合物の量は、単量体単位として、0.
1〜80モル%の範囲が好ましく、さらに好ましくは1
〜50モル%の範囲が好ましい。共重合または共付加量
が、0.1モル%よりも少ない場合には共重合や共付加
の効果が現われ難く、また、80モル%よりも多い場合
には液晶性を示さなくなる。共重合反応の形態は、ラン
ダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合および交
互共重合等の種々の形態を採ることが可能である。ま
た、高分子液晶の重量平均分子量は、1,000〜10
0万の範囲、特に1万〜50万の範囲が好ましい。
する非メソゲン化合物の量は、単量体単位として、0.
1〜80モル%の範囲が好ましく、さらに好ましくは1
〜50モル%の範囲が好ましい。共重合または共付加量
が、0.1モル%よりも少ない場合には共重合や共付加
の効果が現われ難く、また、80モル%よりも多い場合
には液晶性を示さなくなる。共重合反応の形態は、ラン
ダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合および交
互共重合等の種々の形態を採ることが可能である。ま
た、高分子液晶の重量平均分子量は、1,000〜10
0万の範囲、特に1万〜50万の範囲が好ましい。
【0012】本発明に使用される高分子液晶を含有する
感熱記録層は、室温においてマルチドメイン構造を形成
する。マルチドメイン構造とは、光学異方性を有する多
数の微小領域からなる構造であり、一つのドメインの内
部ではメソゲン基がほぼ同一方向に配向した状態にあ
る。光散乱性を向上させるには、個々のドメインの配向
方向がランダムであることが望ましい。また、個々のド
メインの大きさは、可視光の波長程度であることが望ま
しい。具体的には、ドメイン径の数分布の極大値が3μ
m以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは10
0〜600nmの範囲である。また、最小ドメイン径と
最大ドメイン径との差が、3μm以下、好ましくは1μ
m以下、さらに好ましくは500nm以下程度にほぼ均
一であることが望ましい。このような分布範囲のマルチ
ドメイン構造を有するものは、可視光波長を強く散乱す
ることから大きな白濁度が得られるものである。
感熱記録層は、室温においてマルチドメイン構造を形成
する。マルチドメイン構造とは、光学異方性を有する多
数の微小領域からなる構造であり、一つのドメインの内
部ではメソゲン基がほぼ同一方向に配向した状態にあ
る。光散乱性を向上させるには、個々のドメインの配向
方向がランダムであることが望ましい。また、個々のド
メインの大きさは、可視光の波長程度であることが望ま
しい。具体的には、ドメイン径の数分布の極大値が3μ
m以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは10
0〜600nmの範囲である。また、最小ドメイン径と
最大ドメイン径との差が、3μm以下、好ましくは1μ
m以下、さらに好ましくは500nm以下程度にほぼ均
一であることが望ましい。このような分布範囲のマルチ
ドメイン構造を有するものは、可視光波長を強く散乱す
ることから大きな白濁度が得られるものである。
【0013】次に、本発明の感熱記録層に用いる紫外線
硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂のIPNを形成して
いる複合材料について説明する。上記したIPN,即
ち,インターペネトレーティング・ポリマー・ネットワ
ーク(interpenetrating polymer network)とは、2種
以上の高分子化合物の網目が化学結合することなく相互
に入り組んだ構造を形成した状態のものをいい、相互侵
入高分子網目、相互貫入網目構造または多重網目ポリマ
ーと呼ばれる。IPNは、相溶性の悪い高分子化合物同
士を組み合わせるために網目を形成させて強制的にミク
ロ混合させることにより、高分子化合物の単純なブレン
ド系では困難なモルホロジーの制御ができるという利点
を有する。本発明では、このようなIPN構造を有する
可逆性感熱記録層を用いることにより、記録層の力学的
なストレスに対する耐久性を向上させて、サーマルヘッ
ドによる記録時の凹凸変形を防止し、さらに表面保護層
の形成時の配向による透明化を防止できることから、硬
度が高く耐熱温度の高い表面保護層を使用できることと
なり、大幅に繰り返し耐久性を改善することができる。
硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂のIPNを形成して
いる複合材料について説明する。上記したIPN,即
ち,インターペネトレーティング・ポリマー・ネットワ
ーク(interpenetrating polymer network)とは、2種
以上の高分子化合物の網目が化学結合することなく相互
に入り組んだ構造を形成した状態のものをいい、相互侵
入高分子網目、相互貫入網目構造または多重網目ポリマ
ーと呼ばれる。IPNは、相溶性の悪い高分子化合物同
士を組み合わせるために網目を形成させて強制的にミク
ロ混合させることにより、高分子化合物の単純なブレン
ド系では困難なモルホロジーの制御ができるという利点
を有する。本発明では、このようなIPN構造を有する
可逆性感熱記録層を用いることにより、記録層の力学的
なストレスに対する耐久性を向上させて、サーマルヘッ
ドによる記録時の凹凸変形を防止し、さらに表面保護層
の形成時の配向による透明化を防止できることから、硬
度が高く耐熱温度の高い表面保護層を使用できることと
なり、大幅に繰り返し耐久性を改善することができる。
【0014】上記したIPN構造を有する感熱記録層の
形成方法は、必須成分として、上記側鎖型高分子液晶と
紫外線硬化型または電子線硬化型の樹脂モノマーもしく
はオリゴマーおよび重合開始剤の混合物とを含有する溶
液を基材上に塗布して製膜し、これを乾燥した後、高分
子液晶が液晶相を示す温度まで加熱し、アニールにより
ドメイン径を成長させることにより白濁度を増加させ、
次いで紫外線または電子線を照射することにより樹脂の
架橋反応を生じさせて、IPNを形成させる。紫外線ま
たは電子線の照射により、IPNを形成させる重合可能
なモノマーまたはオリゴマーとしては、ペンタエリスリ
トールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパント
リアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタク
リレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ト
リシクロデカンジメチロールジアクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジアクリレート、トリス(アクリルオキシエチル)
イソシアヌレートまたはこれらの混合物を挙げることが
できる。上記した紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型
樹脂が、感熱記録層中に占める割合は1〜20重量%の
範囲が好ましく、さらに好ましくは3〜10重量%であ
る。1重量%よりも少ない場合は十分な繰り返し耐久性
を発揮させることができず、20重量%よりも多い場合
は十分な白濁度を得ることが難しい。
形成方法は、必須成分として、上記側鎖型高分子液晶と
紫外線硬化型または電子線硬化型の樹脂モノマーもしく
はオリゴマーおよび重合開始剤の混合物とを含有する溶
液を基材上に塗布して製膜し、これを乾燥した後、高分
子液晶が液晶相を示す温度まで加熱し、アニールにより
ドメイン径を成長させることにより白濁度を増加させ、
次いで紫外線または電子線を照射することにより樹脂の
架橋反応を生じさせて、IPNを形成させる。紫外線ま
たは電子線の照射により、IPNを形成させる重合可能
なモノマーまたはオリゴマーとしては、ペンタエリスリ
トールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパント
リアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタク
リレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ト
リシクロデカンジメチロールジアクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジアクリレート、トリス(アクリルオキシエチル)
イソシアヌレートまたはこれらの混合物を挙げることが
できる。上記した紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型
樹脂が、感熱記録層中に占める割合は1〜20重量%の
範囲が好ましく、さらに好ましくは3〜10重量%であ
る。1重量%よりも少ない場合は十分な繰り返し耐久性
を発揮させることができず、20重量%よりも多い場合
は十分な白濁度を得ることが難しい。
【0015】本発明の感熱記録層には、その特性の向上
させることを目的として種々の成分を加えることができ
る。例えば、耐候性の向上を目的として、ヒンダードア
ミンやヒンダードフェノール等の各種酸化防止剤を添加
してもよく、また、表示コントラストを向上させる目的
で、アントラキノン系、スチリル系、アゾメチン系また
はアゾ系等の各種二色性色素を添加してもよい。さら
に、半導体レーザーによる熱書き込みを効率的に行うた
めに、フタロシアニン、スクアリリウムやアズレニウム
等の各種赤外線吸収色素を添加することも好ましい。以
上に挙げた各種成分の添加量は、感熱記録層中に0.0
1〜5重量%の範囲で添加することが好ましい。
させることを目的として種々の成分を加えることができ
る。例えば、耐候性の向上を目的として、ヒンダードア
ミンやヒンダードフェノール等の各種酸化防止剤を添加
してもよく、また、表示コントラストを向上させる目的
で、アントラキノン系、スチリル系、アゾメチン系また
はアゾ系等の各種二色性色素を添加してもよい。さら
に、半導体レーザーによる熱書き込みを効率的に行うた
めに、フタロシアニン、スクアリリウムやアズレニウム
等の各種赤外線吸収色素を添加することも好ましい。以
上に挙げた各種成分の添加量は、感熱記録層中に0.0
1〜5重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0016】次に、本発明の感熱可逆性表示媒体に、相
変化型の記録および消去を行なう方法について説明す
る。本発明では、初期には白濁状態(光散乱状態)の感
熱記録層に透明な記録画像を形成させる。この透明な記
録画像を形成させる方法としては、熱、電界および磁界
を単独でまたは複合して加えることにより、高分子側鎖
のメソゲン基の配向状態や秩序を制御することによって
達成される。例えば、サーマルヘッドやレーザー光を用
いて、高分子液晶を含む感熱記録層の白濁状態の一部
を、液晶相−等方相相転移温度以上に加熱することによ
り高分子液晶を透明状態(等方性状態)に変換し、その
後急冷させることによって、等方性のままガラス状態で
固定されることになる。この状態では、側鎖のメソゲン
基の配列が、分子レベルでランダムとなっているために
光を散乱させることなく透明状態となる。一方、記録の
消去は、ヒートローラーまたはホットスタンプ等を用い
て可逆感熱表示媒体の全体を液晶相−等方相相転移温度
以上に加熱した後、これを徐冷させると感熱記録層全体
が白濁化し、初期の白濁状態に戻ることになる。本発明
の感熱可逆性表示媒体は、このような記録および消去
を、100回以上繰り返しても感熱記録層の耐久性が保
持されるものである。
変化型の記録および消去を行なう方法について説明す
る。本発明では、初期には白濁状態(光散乱状態)の感
熱記録層に透明な記録画像を形成させる。この透明な記
録画像を形成させる方法としては、熱、電界および磁界
を単独でまたは複合して加えることにより、高分子側鎖
のメソゲン基の配向状態や秩序を制御することによって
達成される。例えば、サーマルヘッドやレーザー光を用
いて、高分子液晶を含む感熱記録層の白濁状態の一部
を、液晶相−等方相相転移温度以上に加熱することによ
り高分子液晶を透明状態(等方性状態)に変換し、その
後急冷させることによって、等方性のままガラス状態で
固定されることになる。この状態では、側鎖のメソゲン
基の配列が、分子レベルでランダムとなっているために
光を散乱させることなく透明状態となる。一方、記録の
消去は、ヒートローラーまたはホットスタンプ等を用い
て可逆感熱表示媒体の全体を液晶相−等方相相転移温度
以上に加熱した後、これを徐冷させると感熱記録層全体
が白濁化し、初期の白濁状態に戻ることになる。本発明
の感熱可逆性表示媒体は、このような記録および消去
を、100回以上繰り返しても感熱記録層の耐久性が保
持されるものである。
【0017】可逆感熱表示媒体の構成について説明す
る。図1および図2において、1は基材、2は感熱記録
層、3は表面保護層および4は光反射層である。図1
は、本発明の透過型の可逆感熱表示媒体の構成例を示す
ものであって、基材1、感熱記録層2および表面保護層
3を順次積層したものである。また、図2は、本発明の
反射型の可逆感熱表示媒体の構成例を示すものであっ
て、基材1、光反射層4、感熱記録層2および表面保護
層3を順次積層したものである。上記の基材としては、
ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ
イミド等の各種の高分子フィルム、紙、金属、セラミッ
クおよびガラス等が使用できるが、透過型の可逆感熱表
示媒体として使用する場合には、特に、透明な基材を使
用することが好ましく、また、反射型の可逆感熱表示媒
体として使用する場合には、着色した基材、金属等の光
を反射する基材を使用することが好ましい。 また、反
射型の可逆感熱表示媒体として使用する場合には、基材
と白濁状態および透明状態を繰り返す感熱記録層との間
に光反射層または光吸収層を介在させることが好まし
い。特に、光吸収層を介在させた場合、あるいは着色し
た基材を用いる場合には、表示コントラストの向上を目
的として、光吸収層あるいは着色した基材と感熱記録層
の間にさらに感熱記録層よりも低屈折率の層を形成する
ことも好ましく実施される。上記した感熱記録層の厚み
は、1〜50μmの範囲であり、好ましくは3〜20μ
mの範囲から選択される。その厚みが1μm以下では十
分なコントラストを得ることができず、また、50μm
以上では記録に必要なエネルギーが多くなり、繰り返し
耐久性が著しく低下する。表面保護層としては、耐熱性
の高いものが望ましく、フッ素系ポリマー、シリコン系
ポリマー、熱硬化ポリマー、紫外線硬化ポリマーまたは
電子線硬化ポリマー等が使用可能であり、目的により複
数の保護層が積層されていてもよい。保護層の厚みは、
0.1〜20μmの範囲から選択されることが好まし
い。
る。図1および図2において、1は基材、2は感熱記録
層、3は表面保護層および4は光反射層である。図1
は、本発明の透過型の可逆感熱表示媒体の構成例を示す
ものであって、基材1、感熱記録層2および表面保護層
3を順次積層したものである。また、図2は、本発明の
反射型の可逆感熱表示媒体の構成例を示すものであっ
て、基材1、光反射層4、感熱記録層2および表面保護
層3を順次積層したものである。上記の基材としては、
ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ
イミド等の各種の高分子フィルム、紙、金属、セラミッ
クおよびガラス等が使用できるが、透過型の可逆感熱表
示媒体として使用する場合には、特に、透明な基材を使
用することが好ましく、また、反射型の可逆感熱表示媒
体として使用する場合には、着色した基材、金属等の光
を反射する基材を使用することが好ましい。 また、反
射型の可逆感熱表示媒体として使用する場合には、基材
と白濁状態および透明状態を繰り返す感熱記録層との間
に光反射層または光吸収層を介在させることが好まし
い。特に、光吸収層を介在させた場合、あるいは着色し
た基材を用いる場合には、表示コントラストの向上を目
的として、光吸収層あるいは着色した基材と感熱記録層
の間にさらに感熱記録層よりも低屈折率の層を形成する
ことも好ましく実施される。上記した感熱記録層の厚み
は、1〜50μmの範囲であり、好ましくは3〜20μ
mの範囲から選択される。その厚みが1μm以下では十
分なコントラストを得ることができず、また、50μm
以上では記録に必要なエネルギーが多くなり、繰り返し
耐久性が著しく低下する。表面保護層としては、耐熱性
の高いものが望ましく、フッ素系ポリマー、シリコン系
ポリマー、熱硬化ポリマー、紫外線硬化ポリマーまたは
電子線硬化ポリマー等が使用可能であり、目的により複
数の保護層が積層されていてもよい。保護層の厚みは、
0.1〜20μmの範囲から選択されることが好まし
い。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (可逆感熱表示媒体への記録・消去および評価)基材に
は、膜厚100μmのアルミニウム蒸着PETを使用し
反射型の表示媒体とした。可逆感熱表示媒体に画像を記
録するには、サーマルヘッドプリンター感熱記録評価装
置(8dots/mmの解像度で、約0.3mJ/do
tの感度で記録)を用いて行った。この画像の記録部分
は透明であった。一方、この記録画像は、ヒートローラ
ー(125℃、2cm/sec)を通過させることによ
り消去することが可能であった。記録した画像の反射光
学濃度(O.D.値)は、X−rite968(X−r
ite社製)を用いて測定し、繰り返し耐久性試験は、
A4版の表示媒体を用いて行ない、消え残り、表面の亀
裂等の発生を観察した。その結果をそれぞれの実施例お
よび比較例に示した。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (可逆感熱表示媒体への記録・消去および評価)基材に
は、膜厚100μmのアルミニウム蒸着PETを使用し
反射型の表示媒体とした。可逆感熱表示媒体に画像を記
録するには、サーマルヘッドプリンター感熱記録評価装
置(8dots/mmの解像度で、約0.3mJ/do
tの感度で記録)を用いて行った。この画像の記録部分
は透明であった。一方、この記録画像は、ヒートローラ
ー(125℃、2cm/sec)を通過させることによ
り消去することが可能であった。記録した画像の反射光
学濃度(O.D.値)は、X−rite968(X−r
ite社製)を用いて測定し、繰り返し耐久性試験は、
A4版の表示媒体を用いて行ない、消え残り、表面の亀
裂等の発生を観察した。その結果をそれぞれの実施例お
よび比較例に示した。
【0019】実施例1 メソゲンモノマーとして、4−アクリロキシヘキシルオ
キシ−4′−シアノビフェニル19gおよび非液晶性モ
ノマーとして、シクロヘキシルアクリレート1gを、重
合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)20mg、溶媒としてテトラヒドロフラン30ml
を用いて重合を行なった。得られた重合体溶液を、エチ
ルアルコールを沈殿溶媒として2回繰り返し沈殿させて
精製し、高分子液晶(重量平均分子量5万:GPCによ
るポリスチレン換算、Tg=35℃、Ti=105℃)
1.9gを得た。上記高分子液晶1.0gに対し、エポ
キシアクリレートを主成分とする紫外線硬化組成物(商
品名:アロニックスUV3700、東亜合成社製)0.
05g、重合開始剤としてダロキュア1173(チバガ
イギ社製)0.01gおよび溶媒としてメチルエチルケ
トン3.0gを加えた溶液を、アルミニウム蒸着PET
フィルム上にブレードコーターを用いて塗布し、乾燥さ
せて、膜厚約6μmの高分子液晶組成物を含む層を形成
させた。次に、この層を80℃で2分間熱処理し、冷却
後、高圧水銀ランプ(熱線フィルター付き、50mW)
を用いて硬化させることにより感熱記録層を形成させ
た。さらに感熱記録層上に上記紫外線硬化組成物を塗布
し、これを高圧水銀ランプを用いて硬化させることによ
り膜厚2μmの表面保護層を形成した、白濁の可逆感熱
表示媒体を作製した。得られた可逆感熱表示媒体を上記
装置を用いて測定したところ、初期の白濁部のO.D.
値は0.30であり、記録部のO.D.値は1.60で
あった。一方、100回の記録と消去を繰り返した後の
白濁部のO.D.値は0.31であり、記録部のO.
D.値は1.58であった。これらの測定値の対比よ
り、記録と消去を100回繰り返した後の表示媒体は、
初期のものからほとんど劣化が見られなかった。また、
この場合、A4版の表示媒体についても、表面保護層の
亀裂はほとんど観測されなかった。
キシ−4′−シアノビフェニル19gおよび非液晶性モ
ノマーとして、シクロヘキシルアクリレート1gを、重
合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)20mg、溶媒としてテトラヒドロフラン30ml
を用いて重合を行なった。得られた重合体溶液を、エチ
ルアルコールを沈殿溶媒として2回繰り返し沈殿させて
精製し、高分子液晶(重量平均分子量5万:GPCによ
るポリスチレン換算、Tg=35℃、Ti=105℃)
1.9gを得た。上記高分子液晶1.0gに対し、エポ
キシアクリレートを主成分とする紫外線硬化組成物(商
品名:アロニックスUV3700、東亜合成社製)0.
05g、重合開始剤としてダロキュア1173(チバガ
イギ社製)0.01gおよび溶媒としてメチルエチルケ
トン3.0gを加えた溶液を、アルミニウム蒸着PET
フィルム上にブレードコーターを用いて塗布し、乾燥さ
せて、膜厚約6μmの高分子液晶組成物を含む層を形成
させた。次に、この層を80℃で2分間熱処理し、冷却
後、高圧水銀ランプ(熱線フィルター付き、50mW)
を用いて硬化させることにより感熱記録層を形成させ
た。さらに感熱記録層上に上記紫外線硬化組成物を塗布
し、これを高圧水銀ランプを用いて硬化させることによ
り膜厚2μmの表面保護層を形成した、白濁の可逆感熱
表示媒体を作製した。得られた可逆感熱表示媒体を上記
装置を用いて測定したところ、初期の白濁部のO.D.
値は0.30であり、記録部のO.D.値は1.60で
あった。一方、100回の記録と消去を繰り返した後の
白濁部のO.D.値は0.31であり、記録部のO.
D.値は1.58であった。これらの測定値の対比よ
り、記録と消去を100回繰り返した後の表示媒体は、
初期のものからほとんど劣化が見られなかった。また、
この場合、A4版の表示媒体についても、表面保護層の
亀裂はほとんど観測されなかった。
【0020】実施例2 高分子液晶としては、実施例1で合成したものを使用
し、紫外線硬化組成物(商品名:アロニックスUV37
00、東亜合成社製)の添加量を0.10gとした以外
は、実施例1と同様にして可逆感熱表示媒体を作製し
た。実施例1と同様に測定したところ、初期の白濁部の
O.D.値は0.33であり、記録部のO.D.値は
1.58であった。一方、100回の記録と消去を繰り
返した後の白濁部のO.D.値は0.34であり、記録
部のO.D.値は1.57であった。これらの測定値の
対比より、記録と消去を100回繰り返した後の表示媒
体は、初期のものからほとんど劣化が見られなかった。
また、A4版の大きさの表示媒体でも表面保護層の亀裂
はほとんど観測されなかった。
し、紫外線硬化組成物(商品名:アロニックスUV37
00、東亜合成社製)の添加量を0.10gとした以外
は、実施例1と同様にして可逆感熱表示媒体を作製し
た。実施例1と同様に測定したところ、初期の白濁部の
O.D.値は0.33であり、記録部のO.D.値は
1.58であった。一方、100回の記録と消去を繰り
返した後の白濁部のO.D.値は0.34であり、記録
部のO.D.値は1.57であった。これらの測定値の
対比より、記録と消去を100回繰り返した後の表示媒
体は、初期のものからほとんど劣化が見られなかった。
また、A4版の大きさの表示媒体でも表面保護層の亀裂
はほとんど観測されなかった。
【0021】実施例3 高分子液晶としては、実施例1で合成したものを使用
し、紫外線硬化組成物(商品名:アロニックスUV37
00、東亜合成社製)の添加量を0.20gとした以外
は、実施例1と同様にして可逆感熱表示媒体を作製し
た。実施例1と同様に測定したところ、初期の白濁部の
O.D.値は0.37であり、記録部のO.D.値は
1.57であった。一方、100回の記録と消去を繰り
返した後の白濁部のO.D.値は0.37であり、記録
部のO.D.値は1.56であり、初期に比べてほとん
ど劣化は見られなかった。また、A4版の大きさの表示
媒体でも保護層の亀裂はほとんど観測されなかった。
し、紫外線硬化組成物(商品名:アロニックスUV37
00、東亜合成社製)の添加量を0.20gとした以外
は、実施例1と同様にして可逆感熱表示媒体を作製し
た。実施例1と同様に測定したところ、初期の白濁部の
O.D.値は0.37であり、記録部のO.D.値は
1.57であった。一方、100回の記録と消去を繰り
返した後の白濁部のO.D.値は0.37であり、記録
部のO.D.値は1.56であり、初期に比べてほとん
ど劣化は見られなかった。また、A4版の大きさの表示
媒体でも保護層の亀裂はほとんど観測されなかった。
【0022】比較例 実施例1で合成した高分子液晶1.0gに対し、溶媒と
してメチルエチルケトン3.0gを加えた溶液を、アル
ミニウム蒸着PETフィルム上にブレードコーターを用
いて塗布し、乾燥させて、膜厚6μmの高分子液晶組成
物からなる層を形成させた。次に、感熱記録層上に紫外
線硬化組成物(商品名:アロニックスUV3700、東
亜合成社製)を塗布し、高圧水銀ランプを用いて硬化さ
せることにより膜厚2μmの表面保護層を形成した可逆
感熱表示媒体を作製した。実施例1と同様に測定したと
ころ、初期の白濁部のO.D.値は0.33であり、記
録部のO.D.値は1.60であった。一方、記録と消
去の繰り返しを10回行なったところで表面保護層の亀
裂が発生し、それが成長するために大幅に記録画質が悪
化した。
してメチルエチルケトン3.0gを加えた溶液を、アル
ミニウム蒸着PETフィルム上にブレードコーターを用
いて塗布し、乾燥させて、膜厚6μmの高分子液晶組成
物からなる層を形成させた。次に、感熱記録層上に紫外
線硬化組成物(商品名:アロニックスUV3700、東
亜合成社製)を塗布し、高圧水銀ランプを用いて硬化さ
せることにより膜厚2μmの表面保護層を形成した可逆
感熱表示媒体を作製した。実施例1と同様に測定したと
ころ、初期の白濁部のO.D.値は0.33であり、記
録部のO.D.値は1.60であった。一方、記録と消
去の繰り返しを10回行なったところで表面保護層の亀
裂が発生し、それが成長するために大幅に記録画質が悪
化した。
【0023】
【発明の効果】本発明は、可逆感熱表示媒体にIPN構
造を有する感熱記録層を有することにより、感熱記録層
の力学的なストレスに対する耐久性が向上することか
ら、サーマルヘッドによる記録時の凹凸変形を防ぐこと
ができる。また、表面保護層を形成させる際に高分子液
晶が等方性化することに伴う透明化を防止できることか
ら、硬度および耐熱温度の高い表面保護層を用いること
ができるために繰り返し耐久性を大幅に改善することが
できる。
造を有する感熱記録層を有することにより、感熱記録層
の力学的なストレスに対する耐久性が向上することか
ら、サーマルヘッドによる記録時の凹凸変形を防ぐこと
ができる。また、表面保護層を形成させる際に高分子液
晶が等方性化することに伴う透明化を防止できることか
ら、硬度および耐熱温度の高い表面保護層を用いること
ができるために繰り返し耐久性を大幅に改善することが
できる。
【図1】 本発明の可逆感熱表示媒体を示す構成例の断
面図である。
面図である。
【図2】 本発明の他の可逆感熱表示媒体を示す構成例
の断面図である。
の断面図である。
1…基材、2…感熱記録層、3…表面保護層、4…光反
射層。
射層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植松 高志 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−155525(JP,A) 特開 平6−138428(JP,A) 特開 平5−100214(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 5/36 G02F 1/133 565 G02F 1/1333
Claims (6)
- 【請求項1】 支持体上に、熱の付与を制御することに
より透明状態および白濁状態を可逆的に繰り返す感熱記
録層を形成した感熱可逆性表示媒体において、該感熱記
録層が、側鎖型高分子液晶と紫外線硬化型樹脂または電
子線硬化型樹脂がインターペネトレーティング・ポリマ
−・ネットワークを形成している複合材料とからなるこ
とを特徴とする感熱可逆性表示媒体。 - 【請求項2】 インターペネトレーティング・ポリマー
・ネットワークが、紫外線硬化型または電子線硬化型の
オリゴマー若しくはモノマーの架橋反応により形成され
ているものであることを特徴とする請求項1記載の感熱
可逆性表示媒体。 - 【請求項3】 感熱記録層内に占める紫外線硬化型樹脂
または電子線硬化型樹脂の割合が、1〜20重量%の範
囲であることを特徴とする請求項1記載の感熱可逆性表
示媒体。 - 【請求項4】 感熱記録層中の側鎖型高分子液晶が、少
なくとも液晶性基を有するモノマーと非液晶性のモノマ
ーの共重合体であることを特徴とする請求項1記載の感
熱可逆性表示媒体。 - 【請求項5】 感熱記録層上に表面保護層を形成させた
ことを特徴とする請求項1記載の感熱可逆性表示媒体。 - 【請求項6】 側鎖型高分子液晶と紫外線硬化型または
電子線硬化型のオリゴマー若しくはモノマーまたはそれ
らの混合物とからなる組成物の溶液を支持体上に塗布す
ることにより膜を形成させ、該組成物が液晶性を示す温
度まで加熱した後、これを冷却し、次いで紫外線または
電子線を照射して、樹脂の架橋反応を生じさせることに
より感熱記録層を形成させることを特徴とする感熱可逆
性表示媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7018396A JP2765505B2 (ja) | 1995-01-11 | 1995-01-11 | 感熱可逆性表示媒体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7018396A JP2765505B2 (ja) | 1995-01-11 | 1995-01-11 | 感熱可逆性表示媒体およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08187962A JPH08187962A (ja) | 1996-07-23 |
JP2765505B2 true JP2765505B2 (ja) | 1998-06-18 |
Family
ID=11970544
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7018396A Expired - Fee Related JP2765505B2 (ja) | 1995-01-11 | 1995-01-11 | 感熱可逆性表示媒体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2765505B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4084017B2 (ja) * | 2000-10-12 | 2008-04-30 | 三菱樹脂株式会社 | 可逆性感熱記録媒体 |
-
1995
- 1995-01-11 JP JP7018396A patent/JP2765505B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08187962A (ja) | 1996-07-23 |
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