JP2731512B2 - プラズマ質量分析計 - Google Patents
プラズマ質量分析計Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマイクロ波誘導プラズマ
をイオン源とする質量分析計に係り、特に、高感度な元
素分析を可能とすることを図ったマイクロ波誘導プラズ
マ質量分析計(以下MIP−MSと記す)に関する。 【0002】 【従来の技術】プラズマをイオン源とする質量分析計
は、近年、高感度な元素分析計として注目され、開発が
活発に行われている。用いるプラズマにより、数十MH
z程度の高周波を用いる誘導結合プラズマ質量分析計
と、マイクロ波を用いるMIP−MSとに主として分け
られる。前者に関連する公知文献として例えば特開昭6
2−26757、特開昭62−64043が挙げられ
る。後者については、アナリティカル・ケミストリ(An
alytical Chemistry)、第53巻、37頁(1981
年)及びスペクトロケミカ・アクタ(Spectrochimica A
cta)第38B巻、39頁(1983年)において論じ
られている。 【0003】従来のMIP−MSにおいて用いられてい
てるプラズマ発生部およびイオン取り込み口を図9に示
した。図9において、100はビーネッカー・キャビテ
ィと呼ばれるマイクロ波空胴共振器であり、同軸線路1
01より2.45GHzのマイクロ波が導入され、内部
にはTM010モードの電磁界が発生している。空胴共振
器100の中心に石英管102が設置されている。霧化
された試料は脱溶媒され、キャリヤガスと共に、石英管
102の中を矢印で図示したように流れる。プラズマ1
03は空胴共振器100の内部で形成され、石英管10
2の出口より外側まで広がっている。空胴共振器100
の外側に質量分析計104が設置され、サンプリング・
オリフィス105はプラズマ103の尾の中にある。す
なわち、プラズマ103の尾の部分のイオンを質量分析
計104に取り込んで分析を行ってきた。このため、空
胴共振器100内で発生したイオンが、空胴共振器10
0の外側で減小した部分から取り込んでおり、感度が十
分でなかった。また入力するマイクロ波電力も高々20
0W程度であり、高温度のプラズマを形成させるには不
十分であった。 【0004】なお、特開昭62−208535号公報に
は、上記誘導結合プラズマ質量分析計においてプラズマ
を発生するプラズマトーチの先端部に入り込むようにサ
ンプリングノズルの先端部を配置して、プラズマからイ
オンを質量分析計に取り込む構成が開示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記誘導結合プラズマ
質量分析計のプラズマ発生部に用いる高周波電源の容量
は、1KWないし2KW程度が必要であり非常に高価で
ある。また、高周波電源と負荷とのインピーダンス整合
が微妙で難しく、かつ、整合可能な範囲が狭いという問
題がある。これらの問題はマイクロ波を用いると比較的
容易に解決できる。 【0006】例えば、マイクロ波源として比較的安価に
大量に供給されているマグネトロンを用いることができ
る。また、インピーダンス整合は、例えば3スタブチュ
ーナを用いることにより全負荷範囲に対して容易に整合
させることができる。 【0007】しかしながら、上記論文で論じられている
MIP−MSにおいては、プラズマに効率良く十分なエ
ネルギーを供給することができないため、脱溶媒が必要
であり、また、他元素による干渉が大きいという問題が
あった。 【0008】本発明の目的は、効率良く集中的にマイク
ロ波エネルギーをプラズマに供給することができ、これ
により高感度な元素分析を可能とするMIP−MSを提
供することにある。 【0009】 【問題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明においては、内部にプラズマを生成するため
の電界を発生する同軸導波管と、前記同軸導波管の外導
体の一部よりガスを供給する手段と、前記同軸導波管の
内導体の一部に開口部を設け、前記同軸導波管内にプラ
ズマを発生させ、前記プラズマの流速をプラズマのイオ
ンの拡散速度以上の速度に調整する圧力調整手段と、前
記開口部の後方に前記プラズマのイオンの質量を分析す
る分析部を設ける。 【0010】また、内部にプラズマを生成するための電
界を発生する同軸導波管と、前記同軸導波管の外導体の
一部よりガスを供給する手段と、前記同軸導波管の内導
体の一部に第1の開口部を設け、前記同軸導波管内にプ
ラズマを発生させ、前記第1の開口部の後方にプラズマ
の圧力が前記第1の開口部に向かって低くなるように制
御する排気手段を有する前置真空室と、前記前置真空室
の壁の一部に前記イオンを取り出す第2の開口部と、前
記第2の開口部からの前記イオンの質量を分析する分析
部を設ける。また、前記第1の開口部は尖端部ほど断面
積が小となる形状とし、前記同軸導波管内側に突出させ
る。 【0011】 【作用】マイクロ波エネルギーを比較的狭い空間に集中
的に効率良く供給することができるので、それほど大き
なマイクロ波源を用いなくても温度の高いプラズマを生
成することができるようになる。さらに、質量分析計の
イオン取り込み口を、最も高い温度のプラズマのすぐ近
傍に設置するので、最も効率良くイオンを取り込むこと
ができ、高感度な元素分析を行えるようになる。 【0012】 【実施例】本発明の一実施例を図1により説明する。図
1(a)は全体構成図、(b)は要部断面図である。マ
グネトロン11で発振された2450MHzのマイクロ
波は方形導波管10を通り、12及び13で形成される
円形同軸導波管に伝搬する。 【0013】12は同軸導波管の外導体であり、13は
内導体である。内導体13は途中で切断された形となっ
ており、内導体13の先端部において強い電界が生じて
いる。方形導体管10から同軸導波管12、13への変
換には、同軸導波管の内導体13を方形導波管内部で太
くしたドアノブ変換を用いている。同軸導波管の外導体
12の内径と内導体13の外径はそれぞれ25mm、1
0mmであり、特性インピーダンスは55Ωである。方
形導波管の変換部10−3の断面積は長辺109.2m
m、短辺8.4mmで、同軸導波管の特性インピーダン
スと一致させてある。 【0014】一方、方形導波管10のマグネトロン設置
部10−1の断面は長辺109.2mm、短辺54.6
mmである。これらの方形導波管の接続には、テーパ状
部10−2を用いてインピーダンスを徐々に変換してい
る。このため、マグネトロン11から同軸導波管12、
13へのマイクロ波の伝搬が効率よく行われる。 【0015】アルゴンボンベ2から出たアルゴンガスは
ネブライザ(霧化器)3に送られる。 【0016】資料4もネプライザ3に送られて霧化さ
れ、アルゴンガスとともに同軸導波管12、13の根本
部分において同軸導波管の内部に吹き出す。方形導波管
と同軸導波管の内部はテフロン製のスペーサ15で仕切
られているので、霧化した資料は同軸導波管の出口に向
かって流れる。同軸導波管の内導体13の尖端部前面に
は強い電界が発生しているため、この場所において放電
破壊が起こり、マイクロ波のトーチ放電が生じる。この
ようなトーチ放電については、例えばジャーナル・オブ
・アプライド・フィジクス(Journal of Applied Physi
cs)、第39巻、5478頁(1968年)において論
じられている。同軸導波管の内導体13は円筒状になっ
ており、尖端部において直径1mmの第1の開口部13
´がある。第1の開口部13´は質量分析計1のサンプ
リング・オリフィスであり、内部に向かって差動排気さ
れ、プラズマの流速をプラズマのイオンの拡散速度以上
の速度に調整しながら排気する(圧力調整手段)。前置
真空室5の圧力はおよそ1Torrである。トーチ放電
の高温プラズマ中のイオンはサンプリング・オリフィス
(第1の開口部)13´から排出口とは反対方向にある
前置真空室5に入り、スキーマ・コーン14の尖端にあ
るスキーマ・オリフィス(第2の開口部)14´を経て
質量分析計1に入る。イオンは質量分離された後イオン
検出器6に入りカウントされる。 【0017】本実施例によれば、同軸導波管の内導体1
3の前面に形成されるトーチ放電は、比較的狭い空間に
集中的にエネルギーが消費されるので、全体としてのマ
イクロ波電力は少なくても、非常に高温度で安定なプラ
ズマとなる。試料はこのような高温度のプラズマ中に入
るためイオン化の割合が大きい。また、質量分析計のサ
ンプリング・オリフィスのすぐ近傍で形成されるため、
効率良くイオンを取り込むことができる。したがって、
非常に高感度な元素分析が行える。 【0018】従来、マイクロ波放電は発光分光分析に応
用されてきたが、その場合に次のような不都合点があっ
た。プラズマの温度分布が、中心軸上が最も高温となる
釣り鐘形をしている。したがって、イオンや電子の密度
も中心軸上が最も高く、周辺に行くに従って低くなって
いる。そのため、中心軸から周辺に向って、いわゆる、
ambipolor field が生じて、イオンは中心から周辺部へ
と拡散する。一般に、試料元素は、キャリア・ガスより
イオン化されやすいので、前記の ambipolor field の
影響を選択的に受ける結果となり、中心の最も温度の高
い部分の試料密度が低下する。このため、比較的低温部
の発光を利用する結果、感度が下ったり、共存分子の影
響を受けやすくなるなどの不都合点があった。 【0019】これに対して、本実施例によれば、サンプ
リング・オリフィス13′から0.1〜10l/min
程度の流量でガスが取り込まれる結果、プラズマの周辺
部から中心に向ってガスの流れが生じる。この流れの流
速が前記 ambipolor fieldによる拡散速度と同等か、も
しくは、それより大きくなるので、前述のような試料原
子の密度が中心軸上で低下する不都合はなくなる。した
がって、H2Oなどの共存分子の影響もなくなる。 【0020】図2に本発明の他の実施例の要部断面図を
示す。なお、本実施例及び以下の実施例において、符号
は図1実施例と同一部品には同一符号を用いている。本
実施例では、同軸導波管12、13部分において特性イ
ンピーダンスが変わらないように、各断面において、外
導体12の内径と内導体13の外径との比が一定となる
ように構成して、根本部分を円錐状の同軸導波管とし
た。したがって、マイクロ波回路としては図1の実施例
と全く同一であり、サンプリング・オリフィス13′の
前面に高温度のプラズマが形成される。また、本実施例
では、方形導波管の部分において3スタブチューナ16
を設けてある。これによって、マイクロ波の反射をより
少なくすることが可能である。例えば、水溶液中の試料
や有機溶媒中の試料などの各種の試料を分析する時は、
プラズマのインピーダンスが変化するので、導波管の途
中に方向性結合器を挿入して入射波と反射波とをモニタ
して自動的に3スタブチューナ16の素子の挿入長を制
御して、試料によらず常に反射波を少なくするように構
成することができる。また、本実施例によれば、前置真
空室5の排気が容易となり、サンプリング・オリフィス
13′とスキーマ・オリフィス14′との距離を短くす
ることができるので、より多くのイオンが質量分析計に
入射してより高感度の元素分析が可能となる。 【0021】図3に本発明のさらに他の実施例の要部断
面図を示す。本実施例においては、図2で示した実施例
の構成をさらに進めて、同軸導波管の内導体13をすべ
て円錐状にしたものである。これにより、サンプリング
・オリフィス13′とスキーマ・オリフィス14′をさ
らに近づけることが可能となる。このため、イオンの取
り込みがより容易となり、より高感度な分析が可能とな
る。 【0022】図4に本発明のさらに他の実施例の要部断
面図を示す。本実施例においては、マイクロ波はマイク
ロ波源(図示せず)から同軸線路17により方形導波管
10内に導かれる。本実施例の方形導波管10は全域に
わたって同軸導波管とインピーダンスを等しくしてある
のでテーパ状の部分は必要ない。同軸導波管の内導体1
3は先端部分13−1と根本部分13−2とで構成さ
れ、先端部部13−1は交換可能になっている。内導体
の先端にあるサンプリング・オリフィス13′は、その
前面に形成されるトーチ放電が高温度のプラズマである
ために、浸食されたり、また高濃度の試料の場合には目
詰りを起こしたりする。本実施例では、先端部分13−
1が交換可能であるため、このような場合にも容易に対
処することができる。また、サンプリング・オリフィス
13′が浸食される場合には、先端部分13−1の構成
元素のイオンが質量分析計に導かれるため、先端部分1
3−1の構成元素の分析は誤差が大きく難しい。本実施
例によれば、先端部分13−1を分析対象に応じて容易
に交換することができる。このため、分析対象に最適な
材質、オリフィス径等にすることができる。 【0023】図5に本発明のさらに他の実施例の要部断
面図を示す。本実施例においては、石英管18で同軸導
波管内を二重管構造にして内側に試料を含むキャリヤガ
スを同軸導波管の根本部より流し、外側にキャリヤガス
と同種の補助ガスを流す。このような構造にすることに
よって、試料は内導体13の先端部に効率良く導かれ
て、より高感度な分析が可能となる。また本実施例で
は、方位導波管10の長辺の長さはすべて等しく、電源
側の方形導波管10−1(短辺b1)と、負荷側の方形
導波管10−3(短辺b3)のインピーダンス整合にλ
/4変成器を用いている。すなわち、マイクロ波の管内
波長をλgとすると、方形導波管10−1と方形導波管
10−3の間に、λg/4の長さにわたって、短辺b2
がb2=√(b1・b3)である方形導波管10−4を挿
入してある。このようにλ/4変成器を用いることによ
って、テーパ状の導波管を用いる場合に比べて、より厳
密にインピーダンスを整合させることができ、全体の長
さを短くすることができる。 【0024】図6に本発明のさらに他の実施例の要部断
面図を示す。本実施例では、同軸導波管部分は外部空間
(大気圧)と気密に遮断され、その内部圧力を変えるこ
とができる。40は圧力調整器である。大気圧より低圧
に保つ場合は圧力調整器40において差動排気する。ま
た大気圧より高圧に保つ場合には圧力調整器40の流路
の一部を小さく絞って流路の抵抗を大きくする。 【0025】本実施例において、低圧に保った場合は、
プラズマの発生が容易となる。また低圧に保つ場合はス
キーマを除くことができる。この時、サンプリング・オ
リフィス13′を通過したイオンはすべて質量分析計へ
入射されることになり高感度となる。また、高圧に保っ
た場合は、高温度のプラズマが発生するのでイオン化の
割合が大きくなる。このため、イオン化ポテンシャルの
高い元素で特に高感度にすることができる。本実施例で
は、ブラズマ発生部の圧力を変えることができるので、
分析試料、分析対象元素に最適のプラズマを形成するこ
とが可能となる。 【0026】図7に本発明のさらに他の実施例の全体構
成図を示す。本実施例では、同軸導波管の外導体12の
一部に開口部を設けて、高温プラズマからの発光を横方
向から観測できるようになっている。高温プラズマ中で
は原子のイオン化が行われると同時に、励起原子、励起
イオンが生成されている。このため、各元素に特有のス
ペクトルを放射しているので、これらを観測することに
より元素の定性・定量分析が可能である。プラズマから
の光はレンズ20により分光器21の入口スリット上に
結像される。分光器21においては、複数の元素に対応
する複数の特定のスペクトル線強度が測定される。この
ため、本実施例では、質量分析計1で得られる質量スペ
クトルによる元素分析と同時に発光スペクトルによる元
素分析が行えるように構成されている。したがって、本
実施例によれば、次のような効果を生じる。質量スペク
トルおよび発光スペクトルによる元素分析のダイナミッ
クレンジはいずれも4ないし5桁あるが、質量スペクト
ルによる元素分析の方が1ないし3桁程度高感度であ
る。したがって、これらを同時に行える本実施例によれ
ば、非常にダイナミックレンジの広い元素分析が行える
ようになる。さらに、質量スペクトルおよび発光スペク
トルとも単独では、分析にあたってキャリヤガスおよび
他元素による干渉が避けられないが、本実施例によれ
ば、これらを互いに補正しあって、より正確な元素分析
が可能となる。 【0027】図8に本発明のさらに他の実施例の要部断
面図を示す。本実施例では、同軸導波管部分を半同軸空
胴共振器30で構成している。半同軸空胴共振器30
は、外囲器(外導体)31と内導体32とで構成されて
いるが、外囲器31は円柱状部分と円錐状部分とより成
っており、内導体32は円錐状である。この円錐状の内
導体32の先端部において外囲器31とのギャップが形
成されていて、この部分に強い電界が集中するようにな
っている。半同軸空胴共振器30は同軸線路33によっ
てマイクロ波源(図示せず)に接続されている。試料は
試料導入口34より半同軸空胴共振器30内にキャリヤ
ガスとともに導入され、外囲器31の一部に設けられた
排出口35より流出する。円錐状の内導体32の先端前
面に強電界が存在するため、この場所で放電破壊が起こ
り、高温度のブラズマが形成される。 【0028】プラズマの一部は、内導体32の先端に設
けられたサンプリング・オリフィスから排出口35とは
反対方向の前置真空室5に吸入される。そして、さらに
スキーマ・オリフィスを経て質量分析計に導かれ、質量
分離される。 【0029】以上、図面を参照しながら実施例を説明し
てきたが、上記実施例の相互の組合せは自由である。例
えば、図1の実施例において図2で示した3スタブチュ
ーナを用いることができる。また、上述実施例では示さ
なかったが、サンプリング・オリフィス近傍などを水冷
することもできる。また、上述実施例においては、試料
の導入方法、質量分析計や信号処理方法などについては
特に説明しなかったが、この分析計に用いられる各種の
通常の技術を用いることができる。例えば、固体試料を
レーザ光によって蒸発、気化して、キャリヤガスによっ
てプラズマ中に導入するように構成することもできる。 【0030】 【発明の効果】本発明によれば、効率良く高温度のマイ
クロ波誘導プラズマを生成でき、かつ効率良く質量分析
計にイオンを導入できるので、高感度なマイクロ波誘導
プラズマ質量分析計が実現できる。
をイオン源とする質量分析計に係り、特に、高感度な元
素分析を可能とすることを図ったマイクロ波誘導プラズ
マ質量分析計(以下MIP−MSと記す)に関する。 【0002】 【従来の技術】プラズマをイオン源とする質量分析計
は、近年、高感度な元素分析計として注目され、開発が
活発に行われている。用いるプラズマにより、数十MH
z程度の高周波を用いる誘導結合プラズマ質量分析計
と、マイクロ波を用いるMIP−MSとに主として分け
られる。前者に関連する公知文献として例えば特開昭6
2−26757、特開昭62−64043が挙げられ
る。後者については、アナリティカル・ケミストリ(An
alytical Chemistry)、第53巻、37頁(1981
年)及びスペクトロケミカ・アクタ(Spectrochimica A
cta)第38B巻、39頁(1983年)において論じ
られている。 【0003】従来のMIP−MSにおいて用いられてい
てるプラズマ発生部およびイオン取り込み口を図9に示
した。図9において、100はビーネッカー・キャビテ
ィと呼ばれるマイクロ波空胴共振器であり、同軸線路1
01より2.45GHzのマイクロ波が導入され、内部
にはTM010モードの電磁界が発生している。空胴共振
器100の中心に石英管102が設置されている。霧化
された試料は脱溶媒され、キャリヤガスと共に、石英管
102の中を矢印で図示したように流れる。プラズマ1
03は空胴共振器100の内部で形成され、石英管10
2の出口より外側まで広がっている。空胴共振器100
の外側に質量分析計104が設置され、サンプリング・
オリフィス105はプラズマ103の尾の中にある。す
なわち、プラズマ103の尾の部分のイオンを質量分析
計104に取り込んで分析を行ってきた。このため、空
胴共振器100内で発生したイオンが、空胴共振器10
0の外側で減小した部分から取り込んでおり、感度が十
分でなかった。また入力するマイクロ波電力も高々20
0W程度であり、高温度のプラズマを形成させるには不
十分であった。 【0004】なお、特開昭62−208535号公報に
は、上記誘導結合プラズマ質量分析計においてプラズマ
を発生するプラズマトーチの先端部に入り込むようにサ
ンプリングノズルの先端部を配置して、プラズマからイ
オンを質量分析計に取り込む構成が開示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記誘導結合プラズマ
質量分析計のプラズマ発生部に用いる高周波電源の容量
は、1KWないし2KW程度が必要であり非常に高価で
ある。また、高周波電源と負荷とのインピーダンス整合
が微妙で難しく、かつ、整合可能な範囲が狭いという問
題がある。これらの問題はマイクロ波を用いると比較的
容易に解決できる。 【0006】例えば、マイクロ波源として比較的安価に
大量に供給されているマグネトロンを用いることができ
る。また、インピーダンス整合は、例えば3スタブチュ
ーナを用いることにより全負荷範囲に対して容易に整合
させることができる。 【0007】しかしながら、上記論文で論じられている
MIP−MSにおいては、プラズマに効率良く十分なエ
ネルギーを供給することができないため、脱溶媒が必要
であり、また、他元素による干渉が大きいという問題が
あった。 【0008】本発明の目的は、効率良く集中的にマイク
ロ波エネルギーをプラズマに供給することができ、これ
により高感度な元素分析を可能とするMIP−MSを提
供することにある。 【0009】 【問題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明においては、内部にプラズマを生成するため
の電界を発生する同軸導波管と、前記同軸導波管の外導
体の一部よりガスを供給する手段と、前記同軸導波管の
内導体の一部に開口部を設け、前記同軸導波管内にプラ
ズマを発生させ、前記プラズマの流速をプラズマのイオ
ンの拡散速度以上の速度に調整する圧力調整手段と、前
記開口部の後方に前記プラズマのイオンの質量を分析す
る分析部を設ける。 【0010】また、内部にプラズマを生成するための電
界を発生する同軸導波管と、前記同軸導波管の外導体の
一部よりガスを供給する手段と、前記同軸導波管の内導
体の一部に第1の開口部を設け、前記同軸導波管内にプ
ラズマを発生させ、前記第1の開口部の後方にプラズマ
の圧力が前記第1の開口部に向かって低くなるように制
御する排気手段を有する前置真空室と、前記前置真空室
の壁の一部に前記イオンを取り出す第2の開口部と、前
記第2の開口部からの前記イオンの質量を分析する分析
部を設ける。また、前記第1の開口部は尖端部ほど断面
積が小となる形状とし、前記同軸導波管内側に突出させ
る。 【0011】 【作用】マイクロ波エネルギーを比較的狭い空間に集中
的に効率良く供給することができるので、それほど大き
なマイクロ波源を用いなくても温度の高いプラズマを生
成することができるようになる。さらに、質量分析計の
イオン取り込み口を、最も高い温度のプラズマのすぐ近
傍に設置するので、最も効率良くイオンを取り込むこと
ができ、高感度な元素分析を行えるようになる。 【0012】 【実施例】本発明の一実施例を図1により説明する。図
1(a)は全体構成図、(b)は要部断面図である。マ
グネトロン11で発振された2450MHzのマイクロ
波は方形導波管10を通り、12及び13で形成される
円形同軸導波管に伝搬する。 【0013】12は同軸導波管の外導体であり、13は
内導体である。内導体13は途中で切断された形となっ
ており、内導体13の先端部において強い電界が生じて
いる。方形導体管10から同軸導波管12、13への変
換には、同軸導波管の内導体13を方形導波管内部で太
くしたドアノブ変換を用いている。同軸導波管の外導体
12の内径と内導体13の外径はそれぞれ25mm、1
0mmであり、特性インピーダンスは55Ωである。方
形導波管の変換部10−3の断面積は長辺109.2m
m、短辺8.4mmで、同軸導波管の特性インピーダン
スと一致させてある。 【0014】一方、方形導波管10のマグネトロン設置
部10−1の断面は長辺109.2mm、短辺54.6
mmである。これらの方形導波管の接続には、テーパ状
部10−2を用いてインピーダンスを徐々に変換してい
る。このため、マグネトロン11から同軸導波管12、
13へのマイクロ波の伝搬が効率よく行われる。 【0015】アルゴンボンベ2から出たアルゴンガスは
ネブライザ(霧化器)3に送られる。 【0016】資料4もネプライザ3に送られて霧化さ
れ、アルゴンガスとともに同軸導波管12、13の根本
部分において同軸導波管の内部に吹き出す。方形導波管
と同軸導波管の内部はテフロン製のスペーサ15で仕切
られているので、霧化した資料は同軸導波管の出口に向
かって流れる。同軸導波管の内導体13の尖端部前面に
は強い電界が発生しているため、この場所において放電
破壊が起こり、マイクロ波のトーチ放電が生じる。この
ようなトーチ放電については、例えばジャーナル・オブ
・アプライド・フィジクス(Journal of Applied Physi
cs)、第39巻、5478頁(1968年)において論
じられている。同軸導波管の内導体13は円筒状になっ
ており、尖端部において直径1mmの第1の開口部13
´がある。第1の開口部13´は質量分析計1のサンプ
リング・オリフィスであり、内部に向かって差動排気さ
れ、プラズマの流速をプラズマのイオンの拡散速度以上
の速度に調整しながら排気する(圧力調整手段)。前置
真空室5の圧力はおよそ1Torrである。トーチ放電
の高温プラズマ中のイオンはサンプリング・オリフィス
(第1の開口部)13´から排出口とは反対方向にある
前置真空室5に入り、スキーマ・コーン14の尖端にあ
るスキーマ・オリフィス(第2の開口部)14´を経て
質量分析計1に入る。イオンは質量分離された後イオン
検出器6に入りカウントされる。 【0017】本実施例によれば、同軸導波管の内導体1
3の前面に形成されるトーチ放電は、比較的狭い空間に
集中的にエネルギーが消費されるので、全体としてのマ
イクロ波電力は少なくても、非常に高温度で安定なプラ
ズマとなる。試料はこのような高温度のプラズマ中に入
るためイオン化の割合が大きい。また、質量分析計のサ
ンプリング・オリフィスのすぐ近傍で形成されるため、
効率良くイオンを取り込むことができる。したがって、
非常に高感度な元素分析が行える。 【0018】従来、マイクロ波放電は発光分光分析に応
用されてきたが、その場合に次のような不都合点があっ
た。プラズマの温度分布が、中心軸上が最も高温となる
釣り鐘形をしている。したがって、イオンや電子の密度
も中心軸上が最も高く、周辺に行くに従って低くなって
いる。そのため、中心軸から周辺に向って、いわゆる、
ambipolor field が生じて、イオンは中心から周辺部へ
と拡散する。一般に、試料元素は、キャリア・ガスより
イオン化されやすいので、前記の ambipolor field の
影響を選択的に受ける結果となり、中心の最も温度の高
い部分の試料密度が低下する。このため、比較的低温部
の発光を利用する結果、感度が下ったり、共存分子の影
響を受けやすくなるなどの不都合点があった。 【0019】これに対して、本実施例によれば、サンプ
リング・オリフィス13′から0.1〜10l/min
程度の流量でガスが取り込まれる結果、プラズマの周辺
部から中心に向ってガスの流れが生じる。この流れの流
速が前記 ambipolor fieldによる拡散速度と同等か、も
しくは、それより大きくなるので、前述のような試料原
子の密度が中心軸上で低下する不都合はなくなる。した
がって、H2Oなどの共存分子の影響もなくなる。 【0020】図2に本発明の他の実施例の要部断面図を
示す。なお、本実施例及び以下の実施例において、符号
は図1実施例と同一部品には同一符号を用いている。本
実施例では、同軸導波管12、13部分において特性イ
ンピーダンスが変わらないように、各断面において、外
導体12の内径と内導体13の外径との比が一定となる
ように構成して、根本部分を円錐状の同軸導波管とし
た。したがって、マイクロ波回路としては図1の実施例
と全く同一であり、サンプリング・オリフィス13′の
前面に高温度のプラズマが形成される。また、本実施例
では、方形導波管の部分において3スタブチューナ16
を設けてある。これによって、マイクロ波の反射をより
少なくすることが可能である。例えば、水溶液中の試料
や有機溶媒中の試料などの各種の試料を分析する時は、
プラズマのインピーダンスが変化するので、導波管の途
中に方向性結合器を挿入して入射波と反射波とをモニタ
して自動的に3スタブチューナ16の素子の挿入長を制
御して、試料によらず常に反射波を少なくするように構
成することができる。また、本実施例によれば、前置真
空室5の排気が容易となり、サンプリング・オリフィス
13′とスキーマ・オリフィス14′との距離を短くす
ることができるので、より多くのイオンが質量分析計に
入射してより高感度の元素分析が可能となる。 【0021】図3に本発明のさらに他の実施例の要部断
面図を示す。本実施例においては、図2で示した実施例
の構成をさらに進めて、同軸導波管の内導体13をすべ
て円錐状にしたものである。これにより、サンプリング
・オリフィス13′とスキーマ・オリフィス14′をさ
らに近づけることが可能となる。このため、イオンの取
り込みがより容易となり、より高感度な分析が可能とな
る。 【0022】図4に本発明のさらに他の実施例の要部断
面図を示す。本実施例においては、マイクロ波はマイク
ロ波源(図示せず)から同軸線路17により方形導波管
10内に導かれる。本実施例の方形導波管10は全域に
わたって同軸導波管とインピーダンスを等しくしてある
のでテーパ状の部分は必要ない。同軸導波管の内導体1
3は先端部分13−1と根本部分13−2とで構成さ
れ、先端部部13−1は交換可能になっている。内導体
の先端にあるサンプリング・オリフィス13′は、その
前面に形成されるトーチ放電が高温度のプラズマである
ために、浸食されたり、また高濃度の試料の場合には目
詰りを起こしたりする。本実施例では、先端部分13−
1が交換可能であるため、このような場合にも容易に対
処することができる。また、サンプリング・オリフィス
13′が浸食される場合には、先端部分13−1の構成
元素のイオンが質量分析計に導かれるため、先端部分1
3−1の構成元素の分析は誤差が大きく難しい。本実施
例によれば、先端部分13−1を分析対象に応じて容易
に交換することができる。このため、分析対象に最適な
材質、オリフィス径等にすることができる。 【0023】図5に本発明のさらに他の実施例の要部断
面図を示す。本実施例においては、石英管18で同軸導
波管内を二重管構造にして内側に試料を含むキャリヤガ
スを同軸導波管の根本部より流し、外側にキャリヤガス
と同種の補助ガスを流す。このような構造にすることに
よって、試料は内導体13の先端部に効率良く導かれ
て、より高感度な分析が可能となる。また本実施例で
は、方位導波管10の長辺の長さはすべて等しく、電源
側の方形導波管10−1(短辺b1)と、負荷側の方形
導波管10−3(短辺b3)のインピーダンス整合にλ
/4変成器を用いている。すなわち、マイクロ波の管内
波長をλgとすると、方形導波管10−1と方形導波管
10−3の間に、λg/4の長さにわたって、短辺b2
がb2=√(b1・b3)である方形導波管10−4を挿
入してある。このようにλ/4変成器を用いることによ
って、テーパ状の導波管を用いる場合に比べて、より厳
密にインピーダンスを整合させることができ、全体の長
さを短くすることができる。 【0024】図6に本発明のさらに他の実施例の要部断
面図を示す。本実施例では、同軸導波管部分は外部空間
(大気圧)と気密に遮断され、その内部圧力を変えるこ
とができる。40は圧力調整器である。大気圧より低圧
に保つ場合は圧力調整器40において差動排気する。ま
た大気圧より高圧に保つ場合には圧力調整器40の流路
の一部を小さく絞って流路の抵抗を大きくする。 【0025】本実施例において、低圧に保った場合は、
プラズマの発生が容易となる。また低圧に保つ場合はス
キーマを除くことができる。この時、サンプリング・オ
リフィス13′を通過したイオンはすべて質量分析計へ
入射されることになり高感度となる。また、高圧に保っ
た場合は、高温度のプラズマが発生するのでイオン化の
割合が大きくなる。このため、イオン化ポテンシャルの
高い元素で特に高感度にすることができる。本実施例で
は、ブラズマ発生部の圧力を変えることができるので、
分析試料、分析対象元素に最適のプラズマを形成するこ
とが可能となる。 【0026】図7に本発明のさらに他の実施例の全体構
成図を示す。本実施例では、同軸導波管の外導体12の
一部に開口部を設けて、高温プラズマからの発光を横方
向から観測できるようになっている。高温プラズマ中で
は原子のイオン化が行われると同時に、励起原子、励起
イオンが生成されている。このため、各元素に特有のス
ペクトルを放射しているので、これらを観測することに
より元素の定性・定量分析が可能である。プラズマから
の光はレンズ20により分光器21の入口スリット上に
結像される。分光器21においては、複数の元素に対応
する複数の特定のスペクトル線強度が測定される。この
ため、本実施例では、質量分析計1で得られる質量スペ
クトルによる元素分析と同時に発光スペクトルによる元
素分析が行えるように構成されている。したがって、本
実施例によれば、次のような効果を生じる。質量スペク
トルおよび発光スペクトルによる元素分析のダイナミッ
クレンジはいずれも4ないし5桁あるが、質量スペクト
ルによる元素分析の方が1ないし3桁程度高感度であ
る。したがって、これらを同時に行える本実施例によれ
ば、非常にダイナミックレンジの広い元素分析が行える
ようになる。さらに、質量スペクトルおよび発光スペク
トルとも単独では、分析にあたってキャリヤガスおよび
他元素による干渉が避けられないが、本実施例によれ
ば、これらを互いに補正しあって、より正確な元素分析
が可能となる。 【0027】図8に本発明のさらに他の実施例の要部断
面図を示す。本実施例では、同軸導波管部分を半同軸空
胴共振器30で構成している。半同軸空胴共振器30
は、外囲器(外導体)31と内導体32とで構成されて
いるが、外囲器31は円柱状部分と円錐状部分とより成
っており、内導体32は円錐状である。この円錐状の内
導体32の先端部において外囲器31とのギャップが形
成されていて、この部分に強い電界が集中するようにな
っている。半同軸空胴共振器30は同軸線路33によっ
てマイクロ波源(図示せず)に接続されている。試料は
試料導入口34より半同軸空胴共振器30内にキャリヤ
ガスとともに導入され、外囲器31の一部に設けられた
排出口35より流出する。円錐状の内導体32の先端前
面に強電界が存在するため、この場所で放電破壊が起こ
り、高温度のブラズマが形成される。 【0028】プラズマの一部は、内導体32の先端に設
けられたサンプリング・オリフィスから排出口35とは
反対方向の前置真空室5に吸入される。そして、さらに
スキーマ・オリフィスを経て質量分析計に導かれ、質量
分離される。 【0029】以上、図面を参照しながら実施例を説明し
てきたが、上記実施例の相互の組合せは自由である。例
えば、図1の実施例において図2で示した3スタブチュ
ーナを用いることができる。また、上述実施例では示さ
なかったが、サンプリング・オリフィス近傍などを水冷
することもできる。また、上述実施例においては、試料
の導入方法、質量分析計や信号処理方法などについては
特に説明しなかったが、この分析計に用いられる各種の
通常の技術を用いることができる。例えば、固体試料を
レーザ光によって蒸発、気化して、キャリヤガスによっ
てプラズマ中に導入するように構成することもできる。 【0030】 【発明の効果】本発明によれば、効率良く高温度のマイ
クロ波誘導プラズマを生成でき、かつ効率良く質量分析
計にイオンを導入できるので、高感度なマイクロ波誘導
プラズマ質量分析計が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施例の全体構成図、
(b)はその要部断面図。 【図2】本発明の他の実施例の要部断面図。 【図3】本発明の他の実施例の要部断面図。 【図4】本発明の他の実施例の要部断面図。 【図5】本発明の他の実施例の要部断面図。 【図6】本発明の他の実施例の要部断面図。 【図7】本発明の他の実施例の全体構成図。 【図8】本発明の他の実施例の要部断面図。 【図9】従来例の要部断面図。 【符号の説明】 1…質量分析計 4…試料 5…前置真空室 10…方形導波管 11…マグネトロン 12…同軸導波管の外
導体 13…同軸導波管の内導体 13′…開口部(サンプリング・オリフィス) 14…スキーマ・コーン 14′…スキーマ・オ
リフィス 21…分光器 30…半同軸空胴共振
器
(b)はその要部断面図。 【図2】本発明の他の実施例の要部断面図。 【図3】本発明の他の実施例の要部断面図。 【図4】本発明の他の実施例の要部断面図。 【図5】本発明の他の実施例の要部断面図。 【図6】本発明の他の実施例の要部断面図。 【図7】本発明の他の実施例の全体構成図。 【図8】本発明の他の実施例の要部断面図。 【図9】従来例の要部断面図。 【符号の説明】 1…質量分析計 4…試料 5…前置真空室 10…方形導波管 11…マグネトロン 12…同軸導波管の外
導体 13…同軸導波管の内導体 13′…開口部(サンプリング・オリフィス) 14…スキーマ・コーン 14′…スキーマ・オ
リフィス 21…分光器 30…半同軸空胴共振
器
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 古賀 正太佳
茨城県勝田市市毛882番地 株式会社日
立製作所 計測器事業部内
(56)参考文献 特開 昭51−4491(JP,A)
特開 昭61−248348(JP,A)
実開 昭57−75464(JP,U)
実開 昭54−169145(JP,U)
実開 昭61−61029(JP,U)
実開 昭54−118082(JP,U)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.内部にプラズマを生成するための電界を発生する同
軸導波管と、前記同軸導波管の外導体の一部よりガスを
供給する手段と、前記同軸導波管の内導体の一部に開口
部を設け、前記同軸導波管内にプラズマを発生させ、前
記プラズマの流速をプラズマのイオンの拡散速度以上の
速度に調整する圧力調整手段と、前記開口部の後方に前
記プラズマのイオンの質量を分析する分析部を含むこと
を特徴とするプラズマ質量分析計。 2.内部にプラズマを生成するための電界を発生する同
軸導波管と、前記同軸導波管の外導体の一部よりガスを
供給する手段と、前記同軸導波管の内導体の一部に第1
の開口部を設け、前記同軸導波管内にプラズマを発生さ
せ、前記第1の開口部の後方にプラズマの圧力が前記第
1の開口部に向かって低くなるように制御する排気手段
を有する前置真空室と、前記前置真空室の壁の一部に前
記イオンを取り出す第2の開口部と、前記第2の開口部
からの前記イオンの質量を分析する分析部を含むことを
特徴とするプラズマ質量分析計。3. 前記第1の開口部が尖端部ほど断面積が小となる形
状で前記同軸導波管内側に突出してることを特徴とする
請求項2に記載のプラズマ質量分析計。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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JP6243844A JP2731512B2 (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | プラズマ質量分析計 |
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ID=17109797
Family Applications (1)
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- 1994-10-07 JP JP6243844A patent/JP2731512B2/ja not_active Expired - Lifetime
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