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JP2700750B2 - 包装用積層フィルム - Google Patents

包装用積層フィルム

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Publication number
JP2700750B2
JP2700750B2 JP5136683A JP13668393A JP2700750B2 JP 2700750 B2 JP2700750 B2 JP 2700750B2 JP 5136683 A JP5136683 A JP 5136683A JP 13668393 A JP13668393 A JP 13668393A JP 2700750 B2 JP2700750 B2 JP 2700750B2
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JP
Japan
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weight
block copolymer
film
polybutene
parts
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JP5136683A
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English (en)
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JPH06322194A (ja
Inventor
信之 久住
信一郎 舩橋
順司 中島
Original Assignee
呉羽化学工業株式会社
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Filing date
Publication date
Application filed by 呉羽化学工業株式会社 filed Critical 呉羽化学工業株式会社
Priority to JP5136683A priority Critical patent/JP2700750B2/ja
Publication of JPH06322194A publication Critical patent/JPH06322194A/ja
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリプロピレン系樹脂組
成物を用いた包装用積層フィルムに関する。本発明で提
供される包装用積層フィルムは、耐熱性、透明性および
粘着性に優れ、主に食品の包装に用いられる。
【0002】
【従来の技術】従来より一般家庭やレストラン等におい
て食品を保存する場合、あるいは電子レンジにて加熱す
る場合等に、食品の乾燥を防ぎ、保存性を高めるため、
フィルムで包む方法がとられている。現在、このような
ラップフィルムあるいはストレッチングフィルム(以
下、単に「ラップフィルム」と略す)としては、ポリ塩
化ビニリデン樹脂(PVDC)、ポリ塩化ビニール樹脂
(PVC)、ポリエチレン樹脂(PE)を各主成分とす
るフィルムからなるものが主として用いられている。特
にPVDCを用いたラップフィルムは耐熱性や酸素ガス
バリヤー性に優れ、広く普及している。
【0003】最近、PVDCやPVCを用いた塩素系ラ
ップフィルムに代わり、非塩素系ラップフィルムが提案
されるようになった。例えば特公昭61−8100号公
報には、ポリオレフィン系樹脂、スチレン・ブタジエン
ブロック共重合体等の熱可塑性エラストマー、および液
状粘稠脂肪族炭化水素からなる組成物から製造した包装
用粘着性フィルムが開示されている。また特公昭63−
56259号公報には、ポリプロピレン系樹脂、ポリオ
レフィン系ゴム、ポリブテン、粘着性付与助剤および必
要に応じて微量の過酸化物を配合してなるポリプロピレ
ン系樹脂組成物、およびそれから得られる粘着性フィル
ムが開示されている。更に特開平4−249131号公
報には脂肪族ポリアミド樹脂を中間層とし、ポリプロピ
レン系樹脂、ポリブテンまたはポリイソブチレン、およ
びポリグリセリン脂肪酸エステルからなるポリプロピレ
ン系樹脂組成物を外層および内層とする3層積層フィル
ムを延伸した包装用フィルムが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの提案にかかる
フィルムはいずれもポリプロピレン系樹脂を主成分と
し、耐熱性には優れるものであるが、ラップフィルムに
要求される透明性や粘着性の点では必ずしも十分とはい
えず、これらを更に改善した非塩素系ラップフィルムが
要望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、耐熱性に
優れるとともに、透明性および粘着性等の実用的性質に
も優れる非塩素系ラップフィルムを目指して鋭意研究し
た結果、耐熱性や水蒸気バリヤー性に優れるポリプロピ
レン系樹脂にSEBSブロック共重合体およびポリブテ
ンを配合し、更に必要に応じて粘着性付与助剤を加えた
特定の組成物から得られるフィルムが、耐熱性のみなら
ず従来提案に係るラップフィルムに不足していた透明性
や粘着性を改善できるものであることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、ポリプロピレン系樹脂
(A)99〜60重量部、スチレン・エチレン・ブチレ
ン・スチレン(SEBS)ブロック共重合体(B)1〜
40重量部、前記(A)と(B)の合計100重量部に
対しポリブテン(C)0.1〜20重量部および粘着性
付与助剤(D)0〜5重量部からなるポリプロピレン系
樹脂組成物からなる層(以下、単に「ポリプロピレン系
樹脂組成物層」と称す)を、芳香族系ポリアミド樹脂ま
たはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる芯
層の両外表面に有することを特徴とする包装用積層フィ
ルムに関する。以下、本発明を詳しく説明する。
【0007】本発明で使用するポリプロピレン系樹脂組
成物の基材として使用されるポリプロピレン系樹脂
(A)としては、プロピレンホモポリマーのほか、エチ
レン等のプロピレン以外のα−オレフィンとプロピレン
とのコポリマーであってもよい。またコポリマーはラン
ダムコポリマー、ブロックコポリマーのいずれであって
もよい。ポリプロピレン系樹脂の物性としては限定的で
はないが、通常フィルム成形に適したメルトインデック
ス(MFR)が0.5〜20g/10分(JISK67
58に準拠,230℃,2.16Kg荷重)の範囲にあ
るもの、特には0.5〜10g/10分の範囲にあるも
のが好ましく、また密度が0.89〜0.91g/cm
の範囲にあるものが好ましい。またポリプロピレン系
樹脂組成物層を芯層の外表面に有する包装用積層フィル
ム(以下、単に「精層フィルム」と称す。)の使用対象
食品や使用方法により耐熱性の要求程度が異なるが、結
晶融点が通常140℃以上、好ましく155℃以上のも
の、更には160℃以上のものが特に好ましい。
【0008】本発明で使用されるSEBSブロック共重
合体(B)は熱可塑性エラストマーの一種であり、本発
で提供される積層フィルムのポリプロピレン系樹脂組
成物層において、後記するポリブテン(C)の積層フィ
ルム表面へのブリードアウト促進剤、あるいは積層フィ
ルム層の軟化剤として優れた作用を有し、ポリブテン
(C)と共に優れた粘着性を発揮するものと考えられ
る。またSEBSブロック共重合体(B)はポリプロピ
レン系樹脂(A)との相溶性に優れているので、得られ
積層フィルムの透明性向上に重要な役割を果たしてい
るものと考えられる。
【0009】SEBSブロック共重合体(B)は、スチ
レン・ブタジエン・スチレン(SBS)ブロック共重合
体を水素化(水添)処理して得られる。水添原料である
SBSブロック共重合体には、スチレン成分の一部にα
−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブ
チルスチレン、ビニルキシレン、エチルビニルキシレ
ン、ビニルナフタレン等のビニル芳香族化合物が、また
ブタジエン成分の一部にイソプレン、1,3−ペンタジ
エン、2,3−ジメチルブタジエン等が用いられていて
もよい。またブロック共重合体としては種々の構造のも
のが例示されるが、末端ブロックがスチレンからなるも
のが好ましい。ブロック共重合体の平均分子量は、好ま
しくは約10,000〜約1,000,000、特には
約20,000〜300,000の範囲であることが好
ましい。SBSブロック共重合体の水素化物としては、
脂肪族二重結合の90%以上、特には99%以上が水素
化されたものが好ましい。この様な水素化物は特開昭5
2−150457号公報にも記載されているように、ブ
タジエン重合体ブロック中のブタジエン単位がある割合
で1,2−配置をとるため、エチレンおよび1−ブテン
(1−ブチレン)の正規共重合体ブロック(EB)であ
るかまたはこれと似た構造のものとなる。このため、通
常スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共
重合体(SEBSブロック共重合体)と称され、アロン
化成株式会社の「エラストマーAR」やシェル化学株式
会社のクレイトン G(Kraton G)等の商品名
で市販されている。なお、本発明で使用するSEBSブ
ロック共重合体は上記の通りであるが、本発明で使用す
SEBSブロック共重合体(B)には、これ以外にス
チレン・イソプレン・スチレン(SIS)ブロック共重
合体を同様に水添して得られる水素化物も含まれるもの
とする。また本明細書において他に明示の無い場合は、
「熱可塑性エラストマー」とは、概念的にSEBSブロ
ック共重合体のみならず、SBSブロック共重合体やS
ISブロック共重合体等の水添前のブロック共重合体を
も含むものとする。
【0010】本発明で使用するポリプロピレン系樹脂組
成物におけるSEBSブロック共重合体(B)の配合割
合は、ポリプロピレン系樹脂(A)99〜60重量部に
対し、1〜40重量部、好ましくはポリプロピレン系樹
脂(A)95〜75重量部に対し5〜25重量部の範囲
(但し、両者の合計は100重量部)である。
【0011】本発明で使用されるポリブテン(C)は、
積層フィルムの粘着性付与剤として作用するものであ
り、数平均分子量が通常300〜3,000の範囲、好
ましくは500〜2,000の範囲であり、通常、常温
では粘性の液体である。本発明においては、通常所定の
数平均分子量を有するグレードを単独でそのまま使用す
ることができるが、積層フィルムの粘着性を調整する目
的で、数平均分子量の異なるグレードの二種以上を混合
して用いてもよい。
【0012】本発明で使用するポリプロピレン系樹脂組
成物におけるポリブテン(C)の配合割合は、ポリプロ
ピレン系樹脂(A)およびSEBSブロック共重合体
(B)の合計100重量部に対し、0.1〜20重量
部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。ポリ
ブテン(C)を0.1重量部以上配合することにより、
適正な粘着性を有する積層フィルムが得られる。またポ
リブテン(C)を20重量部以下配合することにより、
ベタツキが過多とならない積層フィルムが得られる。
【0013】本発明で使用するポリプロピレン系樹脂
成物を構成する成分としては、前記ポリプロピレン系樹
脂(A)、SEBSブロック共重合体(B)、ポリブテ
ン(C)を必須とするが、これら以外の任意成分として
粘着性付与助剤(D)を用いることが好ましい。粘着性
付与助剤(D)は本発明により与えられる積層フィルム
において、ポリブテン(C)による粘着性の付与を助長
する作用、および積層フィルムの平面平滑剤としての作
用を有する。従って、粘着性付与助剤(D)を用いるこ
とにより、ポリブテン(C)の配合量をより少なくする
ことができる。
【0014】このような粘着性付与助剤(D)は通常常
温で液体であり、ポリエチレングリコール(PEG)、
ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコー
ル類、ソルビタン酸モノオレエート、ソルビタン酸モノ
ラウレート等のソルビタン脂肪酸エステル類を例示する
ことができる。
【0015】本発明で使用するポリプロピレン系樹脂
成物における粘着性付与助剤(D)の配合割合として
は、ポリプロピレン系樹脂(A)およびSEBSブロッ
ク共重合体(B)の合計100重量部に対し5重量部以
下、好ましくは0.5〜2重量部の範囲である。
【0016】本発明で使用するポリプロピレン系樹脂
成物において、前記(A)〜(C)成分、更には必要に
応じて(D)成分を前記各範囲内での組成割合とするこ
とにより、粘着性に優れるにもかかわらず、ベタツキの
殆ど無い透明性に優れる積層フィルムが得られる。な
お、本明細書におけるベタツキおよび粘着性の概念は、
前記特公昭61−8100号公報に示されているものと
同じである。すなわち、粘着性とはいわゆる粘着であ
り、食品等の被包装物や包装物を保持している容器へ
の、あるいは積層フィルム同志のくっつきの状態であ
り、「ベタツキ」とはフィルム表面への過剰な液状のポ
リブテンやPEG等の粘着性付与助剤がブリードアウト
した状態である。
【0017】本発明で使用するポリプロピレン系樹脂
成物は、前記(A)〜(C)成分および必要に応じて
(D)成分を加えて、十分に混合することにより製造す
る。その際、例えば各成分をドライブレンド後にバンバ
リーミキサーまたは押出機で混練し、ペレタイザーでペ
レット化する等の通常採用される方法が用いられる。ブ
レンドの方法として、例えば(A)成分と(C)成分、
および必要に応じて(D)成分をあらかじめ混合し、押
出機でマスターペレット化し、その後に所定の配合割合
になるように(B)成分および残りの(A)成分と混合
する等の方法も採用することができる。また予め本発明
で使用するポリプロピレン系樹脂組成物をペレットの形
で得た後、フィルム成形機にて積層フィルムを製造して
もよいし、組成物の製造から直接フィルム成形機に誘導
してもよい。
【0018】 本発明の積層フィルムは、酸素ガスバリヤ
ー性 を向上させる観点から、酸素ガスバリヤー性を有す
る非塩素系樹脂を芯層(中間層)とし、両外表面に前記
ポリプロピレン系樹脂組成物層を配した積層フィルムと
する。この場合、芯層と両外表面層との間には、限定的
ではないが、通常無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸
で変性された変性ポリオレフィン系樹脂、あるいはアイ
オノマー等の公知の接着性ポリマー層が使用される。こ
の積層フィルムは接着性ポリマー層を除いては、通常両
外表面層と芯層の3層からなるものであるが、本発明の
効果を阻害しない限り、前記各層の繰り返しにより、あ
るいは他の樹脂層を加えて4層以上の積層構造としても
差し支えない。中間層である芯層に酸素ガスバリヤー性
の樹脂層を、また両外表面に前記ポリプロピレン系樹脂
組成物層を配することにより、積層フィルムとして本発
明の特徴である透明性、粘着性、耐熱性等に優れると共
に、酸素ガスバリヤー性が発揮される。
【0019】 本発明にかかる積層フィルム を製造する場
合は、共押出成形によるTダイ、インフレーション法等
の公知の方法で製造することができる。この場合の積層
フィルム全体の厚みは、通常5〜40μm、好ましくは
5〜20μmの範囲になるように成形される。積層フィ
ルムとして、ポリプロピレン系樹脂組成物層/接着層/
酸素ガスバリヤー性樹脂層/接着層/ポリプロピレン系
樹脂組成物層からなる場合を例にとれば、両外表面層で
あるポリプロピレン系樹脂組成物層の各厚みは、好まし
くは1.5μm以上であり、芯層の酸素ガスバリヤー性
樹脂層の厚みは、好ましくは1μm以上である。接着層
は用いる接着性樹脂にもよるが、通常0.5μm以上で
ある。
【0020】積層フィルムの芯層を構成する非塩素系酸
素ガスバリヤー性樹脂としては、芳香族ポリアミド樹
脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】(製造例1比較製造例1〜3) ポリプロピレン系樹脂(PP)としてはプロピレンホモ
ポリマー(チッソ株式会社製「チッソポリプロK101
1」,MFR0.9g/10分,融点163℃)を用い
た。また熱可塑性エラストマーとして、製造例1にはS
EBSブロック共重合体(アロン化成社製SEBS「エ
ラストマーAR840C」)を、比較製造例2にはSI
Sブロック共重合体(シェル化学社製「カリフレックス
TR1107」)を、更に比較製造例3にはSBSブロ
ック共重合体(日本合成ゴム社製「TR2000])を
それぞれ用いた。更にポリブテンとしては日本石油化学
株式会社製「日石ポリブテンHV−300」(数平均分
子量1350)を用いた。これらを表−1に示した配合
でブレンドした。なおブレンドに際しては、プラスチッ
ク工学研究所社製30mmφの二軸押出機を用いて、先
ずPPにポリブテンをベントロから所定量滴下して、2
00℃の押出条件で混合押出を行い、ペレットとし、こ
れに熱可塑性エラストマーを所定量ハンドブレンドし
た。これらのペレットを山口製作所社製乾熱インフレー
ションプロセスBOY(単軸押出機)を用いて200℃
で押し出し、PPの融点直下の温度である160℃で
5.0×5.0倍に延伸製膜し、各々10μmの厚みの
フィルムを得た。また、熱可塑性エラストマーを混合し
ていない系(比較製造例1)についての製膜も同様に行
った。これらのフィルムの陶器製湯呑みに対する粘着の
状態を観察するとともに、透明性(ヘイズ)を測定し、
判定してその結果を表−1に示した。
【0023】なお、表−1の透明性は日本電色工業株式
会社製曇度測定装置(Σ80)を用いて測定した。また
対陶器粘着性は、直径5cmの陶器製湯呑を一辺15c
mの正方形に切りとった試験用積層フィルムで覆い、圧
着させて剥離させた時の湯呑に対する粘着状態を評価し
た。これらの評価基準を表−2に示した。両評価項目と
も○以上の場合に実用性がある。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】表−1の製造例1および比較製造例1〜3
に示したように、実用的な対陶器粘着性は、いずれの熱
可塑性エラストマー分を添加したときにも発現している
ことが分かる。つまり、熱可塑性エラストマー成分が液
状のポリブテンのブリードの促進剤として作用し、粘性
の高いポリブテンが粘着付与剤として作用し、陶器に対
しての粘着性が付与されており、両者の併用で効果があ
ることが分かる。しかし、製造例1と比較製造例2また
は3との対比から明らかなように、PPに対して熱可塑
性エラストマーの種類により対陶器粘着性には差があ
り、更にPPとの相溶性という観点からみて、同様に用
いる熱可塑性エラストマーの種類によってPPとの混合
により透明性が大きく低下している。すなわち、熱可塑
性エラストマーとしてSISブロック共重合体であるT
R1107を用いた比較製造例2、およびSBSブロッ
ク共重合体であるTR2000を用いた比較製造例3
は、上記のように対陶器粘着性は良好であるが、透明性
は不十分であり、フィルムとしての実用性に欠ける。し
かし、SEBSブロック共重合体であるエラストマーA
R840Cを用いた製造例1においては、透明性および
対陶器粘着性のいずれも、充分に満足するレベルの優れ
たフィルムが得られた。
【0027】(製造例2、3比較製造例4〜6製造例1、比較製造例1〜3 と同じ方法を用いて、表−
3に記載の樹脂構成を有する10μmの厚みを持つフィ
ルムを作製し、同様の方法により、透明性、対陶器粘着
性の評価を行った。その結果を表−3に示した。但し、
表−3に示すように、ポリプロピレン系樹脂としてラン
ダムポリプロピレン(住友化学工業株式会社製「FL8
51」,MFR6.0g/10分,融点140℃)を8
0〜90重量部、熱可塑性エラストマーとして製造例1
で用いたSEBSブロック共重合体(アロン化成社製
「エラストマーAR840C」)、およびSEBSブロ
ック共重合体に代わるポリオレフィン系エラストマー
(三井石油化学社製「タフマーP0180」)、あるい
はエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケ
ミカル社製「エバフレックス40LX」)を各々10〜
20重量部、ポリブテン(日本石油化学社製「日石ポリ
ブテンHV−300」,数平均分子量1350)を5重
量部用いた組み合わせで行った。また製膜時の延伸温度
は、ランダムPPであるため138℃とした。
【0028】
【表3】
【0029】表−3の製造例2、3 比較製造例4〜6
の結果から分かるように、ランダムPPを用いた場合で
もホモPPを用いた場合と同様に、熱可塑性エラストマ
ーとしてSEBSブロック共重合体を用いた場合は陶器
粘着性、透明性ともに充分に満足するレベルにあり、優
れたフィルムが得られた。また、SEBSブロック共重
合体の混合率を高くすると、ポリブテンのブリード効果
が大きくなり、対陶器粘着性に優れることが分かる。し
かし、SEBSブロック共重合体を混合しなかった場合
比較製造例4)、ポリオレフィン系エラストマーを用
いた場合(比較製造例5)、更にはエチレン・酢酸ビニ
ル共重合体を用いた場合(比較製造例6)は、対陶器粘
着性が不十分であり、実用性のあるフィルムは得られな
かった。
【0030】(製造例4〜10製造例2 で用いたランダムPPを80重量部、同じくS
EBSブロック共重合体を20重量部用いた。C成分の
ポリブテンについては、製造例1で用いたHV−300
より分子量の小さし日本石油化学株式会社製「日石ポリ
ブテンHV−15」(数平均分子量540)も用い、更
にこれらを併用したフィルムも製造した。なお、ポリブ
テンの配合量は1〜5重量部とした。更に粘着性付与助
剤として、ポリエチレングリコール(PEG,和光純薬
製,数平均分子量600)を0.5重量部添加した組成
物を用いた積層フィルムも製造した。PEGの添加方法
としては、ポリブテンの場合と同様であり、混合、製膜
方法、評価方法についても製造例1と同様に行った。こ
れらの樹脂構成、および得られたフィルムの評価結果を
表−4に示した。
【0031】
【表4】
【0032】表−4には、数平均分子量の大きいポリブ
テンの配合量を変化させた場合(製造例4)と、数平均
分子量の小さいポリブテンの配合量を変化させた場合
製造例5、6)についての評価結果を示している。数
平均分子量の大きいポリブテン(HV−300)は数平
均分子量の小さいポリブテン(HV−15)に比べて粘
性が高く、同じ配合量では数平均分子量の大きいHV−
300の方が、数平均分子量の小さいHV−15よりも
対陶器粘着性は良好であることが分かる。但し、数平均
分子量の小さいHV−15を用いた場合でも、粘着性は
問題となるレベルではない。また、数平均分子量の小さ
いポリブテンはポリブテン分子がフィルム層中でより動
き易く、ブリードし易いという長所を持つことから、数
平均分子量の大きいHV−300との併用により対陶器
粘着性は更に優れた結果となる。同様の観点から、平均
分子量が小さく室温で液体であるポリエチレングリコー
ルの併用添加により、同様の対陶器粘着性向上効果が認
められる。この場合、ポリエチレングリコールはPPに
対して相溶性が小さいため、よりブリードし易くなって
いることが原因として考えられる。表−4から明らかな
ように、これらの製造例の樹脂構成によれば、対陶器粘
着性、透明性ともに市販のポリ塩化ビニリデン製ラップ
(呉羽化学工業株式会社製,商品名「クレラップ」,厚
み10μm)に比べて実用上の遜色はない(参考例
1)。
【0033】(実施例1、2製造例2 で用いたランダムPPとSEBSブロック共重
合体およびポリブテンを各々80、20、5重量部の割
合で配合し、製造例2と同じ方法で混合し、ポリプロピ
レン系樹脂組成物(PPXと略す)を製造した。次い
で、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(株式会社
クラレ製「エバールEP−E105A」,融点166
℃,以下「EVOH」と略す)および、芳香族系ポリア
ミドであるナイロンMXD6(三菱瓦斯化学社製「MX
ナイロン6007」,融点240℃)を、各々、前記の
ポリプロピレン系樹脂組成物(PPX)でサンドイッチ
状に積層した構成のフィルムを得た。押出に際しては、
5層サーキュラーダイを用いて、山口製作所製乾熱延伸
プロセスBOYを用いて行った。エチレン−酢酸ビニル
共重合体ケン化物の押出し温度は200℃、ナイロンM
XD6は260℃で行い、接着層にはマレイン酸ブラフ
トPP(三井石油化学社製「アドマーQF−551」)
を用い、延伸温度138℃で5.0×5.0倍に延伸し
た厚み10μmのフィルムを得た。なお各層の構成比率
は、いずれの場合も3.5/1/1/1/3.5μmで
ある。これらの構成の積層フィルム、及び製造例2で得
られたフィルム、および参考例1で用いた「クレラッ
プ」の30℃、60%RHにおける酸素透過性をMod
ern Control (モダンコントロール)社製
酸素透過度測定装置OX−TRAN 2/20を用いて
測定した。結果の一部を表−5に示す。なお、酸素透過
度の単位は「(cm/m・day・atm)」であ
る。
【0034】
【表5】
【0035】製造例2で得られた単層フィルムは、透明
性や対陶器粘着性は充分に満足できるものであるが、酸
素透過度は約6000(cm/m・day・at
m)であり、酸素ガスバリアー性の高いといわれている
ポリ塩化ビニリデン製のラップフィルムに比べて酸素ガ
スバリヤー性の点では劣る。しかし、実施例1および2
の結果から分かるように、酸素ガスバリアー性の高いE
VOHやナイロンMXD6を積層し、両外表面に本発明
のポリプロピレン系樹脂組成物層を配置させることによ
り、粘着性、透明性、酸素ガスバリアー性の何れにもに
優れた積層フィルムが得られる。
【0036】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
り得られる非塩素系積層フィルムは、ポリプロピレン系
樹脂を用いることにより備えられる耐熱性に加え、透明
性および粘着性に優れたものである。また芳香族ポリア
ミド樹脂またはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
を芯層に用いる積層フィルムとすることにより、酸素ガ
スバリヤー性にも優れた積層フィルムが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/10 C08L 23/10 //(C08L 23/10 53:02 23:22)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂(A)99〜60
    重量部、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン(S
    EBS)ブロック共重合体(B)1〜40重量部、前記
    (A)と(B)の合計100重量部に対しポリブテン
    (C)0.1〜20重量部および粘着性付与助剤(D)
    0〜5重量部からなるポリプロピレン系樹脂組成物から
    なる層を、芳香族系ポリアミド樹脂またはエチレン−酢
    酸ビニル共重合体ケン化物からなる芯層の両外表面に有
    することを特徴とする包装用積層フィルム。
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