JP2680350B2 - 靭性の優れたCr−Mo鋼板の製造方法 - Google Patents
靭性の優れたCr−Mo鋼板の製造方法Info
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- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D8/00—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
- C21D8/02—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips
- C21D8/0205—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips of ferrous alloys
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、石油精製、石油化学等の化学プラントある
いは火力、原子力等の発電プラント等の高温機器に用い
られるCr−Mo鋼の製造方法に関するものである。
いは火力、原子力等の発電プラント等の高温機器に用い
られるCr−Mo鋼の製造方法に関するものである。
[従来の技術] 化学反応器等のプラントにおいては、要求特性に応じ
て、0.5〜1%Moの他、0.5〜2.5%Crを含有するCr−Mo
鋼が用いられる。特に、2.25Cr−1Mo鋼は優れた高温特
性により、使用条件の厳しい用途に好んで使用される。
て、0.5〜1%Moの他、0.5〜2.5%Crを含有するCr−Mo
鋼が用いられる。特に、2.25Cr−1Mo鋼は優れた高温特
性により、使用条件の厳しい用途に好んで使用される。
近年石油精製プラント等の操業効率の向上あるいは石
炭液化プラント用としてVあるいはNbを含有するCr−Mo
鋼が開発されている。石炭液化プラント用に対してはCr
含有量を3%以上まで増量した鋼も検討されている。
炭液化プラント用としてVあるいはNbを含有するCr−Mo
鋼が開発されている。石炭液化プラント用に対してはCr
含有量を3%以上まで増量した鋼も検討されている。
さらにCr含有量の高い7〜13%Cr鋼は発電プラント等
の使用温度条件の厳しい機器に、比較的古くより使用さ
れている。また近年高速増殖炉の蒸気発生器用構造材料
として、VあるいはNbを含有する高Cr鋼が注目されてい
る。
の使用温度条件の厳しい機器に、比較的古くより使用さ
れている。また近年高速増殖炉の蒸気発生器用構造材料
として、VあるいはNbを含有する高Cr鋼が注目されてい
る。
これらのCr−Mo鋼は高温で用いられ、優れた高温強度
が要求されているが、耐圧試験における安全性確保の観
点から優れた低温靭性も必要である。
が要求されているが、耐圧試験における安全性確保の観
点から優れた低温靭性も必要である。
化学反応容器用等に用いられるCr−Mo鋼は、従来圧延
後所定の温度(通常930℃)に加熱して焼ならしあるい
は焼入れを実施した後、焼もどしを施して使用される事
が多い。プラントの操業条件の高温高圧化により鋼材の
高強度化が要望され、Cr含有量の増加あるいは特開昭60
−238452号公報に示されるようにV,Nb等の元素を添加
し、高温強度を向上する努力がなされている。
後所定の温度(通常930℃)に加熱して焼ならしあるい
は焼入れを実施した後、焼もどしを施して使用される事
が多い。プラントの操業条件の高温高圧化により鋼材の
高強度化が要望され、Cr含有量の増加あるいは特開昭60
−238452号公報に示されるようにV,Nb等の元素を添加
し、高温強度を向上する努力がなされている。
しかし、合金元素の有効利用に不可欠な高温での焼な
らしあるいは焼入れは、オーステナイト結晶粒の粗大化
を招き、低温靭性を低下させる。このように、高温強度
と低温靭性は二律背反の結果となり、両立は難しい。
らしあるいは焼入れは、オーステナイト結晶粒の粗大化
を招き、低温靭性を低下させる。このように、高温強度
と低温靭性は二律背反の結果となり、両立は難しい。
[発明が解決しようとする課題] 化学反応容器は高温で使用され、高温での引張強度、
クリープ強度が必要である。この他、化学反応容器には
定期的な耐圧試験が義務づけられており、使用素材に対
して優れた低温靭性も要求される。また、一般にCr−Mo
鋼は高温での使用中に靭性が徐々に低下するため、使用
初期の靭性値が優れている程供用期間を長くすることが
できる。
クリープ強度が必要である。この他、化学反応容器には
定期的な耐圧試験が義務づけられており、使用素材に対
して優れた低温靭性も要求される。また、一般にCr−Mo
鋼は高温での使用中に靭性が徐々に低下するため、使用
初期の靭性値が優れている程供用期間を長くすることが
できる。
本発明は、高温特性を改善するための高温での焼なら
しあるいは焼入れにおいても、細粒のオーステナイトを
維持し、焼もどし後の低温靭性が優れたCr−Mo鋼を製造
する方法を提供することを目的としている。
しあるいは焼入れにおいても、細粒のオーステナイトを
維持し、焼もどし後の低温靭性が優れたCr−Mo鋼を製造
する方法を提供することを目的としている。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、Cr−Mo鋼の焼入れ焼もどし材での低温
靭性に決定的な影響を及ぼすオーステナイト粒度を、高
温の焼ならしあるいは焼入れにおいても細粒に維持する
方法を種々検討した。
靭性に決定的な影響を及ぼすオーステナイト粒度を、高
温の焼ならしあるいは焼入れにおいても細粒に維持する
方法を種々検討した。
その結果焼入れ処理での条件を制御するのみでは目的
を達成することが難しく、圧延終了温度との組合せによ
り初めて、高温での焼ならしあるいは焼入れにおいて細
粒オーステナイト粒を維持できることを見出した。
を達成することが難しく、圧延終了温度との組合せによ
り初めて、高温での焼ならしあるいは焼入れにおいて細
粒オーステナイト粒を維持できることを見出した。
本発明は前記の知見に基づいてなされたものであり、
その要旨は、重量%にて、C:0.03〜0.17%、Si:0.02〜
0.5%、Mn:0.1〜3.0%、Cr:0.5〜13%、Mo:0.3〜3.0
%、Mo+W:0.3〜3.0%、V:0.03〜0.5%、Nb:0.01〜0.2
%、Al:0.003〜0.05%、N:0.08%以下、P:0.02%以下、
S:0.02%以下を基本成分とし、必要により、B:0.0002〜
0.005%を単独で、又はTi:0.005〜0.05%と組合わせて
含有し、残Fe及び不可避不純物からなる鋼を1100〜1280
℃に加熱した後圧延し、圧延仕上げ温度が低い程昇温速
度を大きくし、かつ圧延仕上げ温度(Tf)(℃)から求
められる昇温速度(HR)(℃/h)の範囲、 (1700−Tf)/300≧log(HR)≧(1400−Tf)/300 で昇温した後、焼ならし焼もどしあるいは焼入れ焼もど
しを実施することを特徴とする靭性の優れたCr−Mo鋼板
の製造方法である。
その要旨は、重量%にて、C:0.03〜0.17%、Si:0.02〜
0.5%、Mn:0.1〜3.0%、Cr:0.5〜13%、Mo:0.3〜3.0
%、Mo+W:0.3〜3.0%、V:0.03〜0.5%、Nb:0.01〜0.2
%、Al:0.003〜0.05%、N:0.08%以下、P:0.02%以下、
S:0.02%以下を基本成分とし、必要により、B:0.0002〜
0.005%を単独で、又はTi:0.005〜0.05%と組合わせて
含有し、残Fe及び不可避不純物からなる鋼を1100〜1280
℃に加熱した後圧延し、圧延仕上げ温度が低い程昇温速
度を大きくし、かつ圧延仕上げ温度(Tf)(℃)から求
められる昇温速度(HR)(℃/h)の範囲、 (1700−Tf)/300≧log(HR)≧(1400−Tf)/300 で昇温した後、焼ならし焼もどしあるいは焼入れ焼もど
しを実施することを特徴とする靭性の優れたCr−Mo鋼板
の製造方法である。
[作用] 以下本発明についてさらに詳細に説明する。
Cは常温および高温の強度を高めるのに有効な元素で
あり、化学反応容器鋼として要求される強度レベルか
ら、少なくても0.03%を必要とする。C量の増加ととも
に、鋼材の靭性が低下し、溶接性も悪くなるため、上限
を0.17%とする。
あり、化学反応容器鋼として要求される強度レベルか
ら、少なくても0.03%を必要とする。C量の増加ととも
に、鋼材の靭性が低下し、溶接性も悪くなるため、上限
を0.17%とする。
Siは脱酸および強度上昇のため0.02%以上添加する
が、添加量が多いと靭性を低下するため上限を0.5%と
する。
が、添加量が多いと靭性を低下するため上限を0.5%と
する。
MnはSを固定し、強度を高めるのに有効な元素である
が、添加量が多いと変態点が低下しすぎ、焼ならし、焼
入れで残留オーステナイト量が多くなるため、0.1〜3.0
%とする。
が、添加量が多いと変態点が低下しすぎ、焼ならし、焼
入れで残留オーステナイト量が多くなるため、0.1〜3.0
%とする。
Pは鋼中でミクロ偏析し靭性の方向差を著しくするば
かりでなく、焼もどし時および溶接後熱処理時に粒界に
偏析し靭性を低下させる元素であるため、減少させるこ
とが望ましいので、上限を0.02%とする。
かりでなく、焼もどし時および溶接後熱処理時に粒界に
偏析し靭性を低下させる元素であるため、減少させるこ
とが望ましいので、上限を0.02%とする。
Sは鋼中で非金属介在物MnSを形成し、靭性の方向差
を大きくし、且つシャルピー試験での上部棚エネルギー
を低下させるため、上限を0.02%とする。
を大きくし、且つシャルピー試験での上部棚エネルギー
を低下させるため、上限を0.02%とする。
Crは焼入れ性を増すとともに、焼もどしおよび溶接後
熱処理で炭窒化物を析出し、高温強度を向上させる。ま
たCrは炭窒化物を安定化し、鋼の耐水素侵食性を向上さ
せるため、0.5%以上添加する。しかし、13%超の添加
は化学反応容器用鋼としては不必要なため、上限を13%
とする。
熱処理で炭窒化物を析出し、高温強度を向上させる。ま
たCrは炭窒化物を安定化し、鋼の耐水素侵食性を向上さ
せるため、0.5%以上添加する。しかし、13%超の添加
は化学反応容器用鋼としては不必要なため、上限を13%
とする。
MoおよびWは高温強度、特にクリープ破断強度を増す
ために添加する。しかし、単独又は合計で0.3%未満の
添加では効果が顕著でなく、3.0%超では効果が飽和す
るため、添加量を0.3〜3.0%とする。Cr−Mo鋼であるか
ら、Moは0.3〜3.0%含有する。
ために添加する。しかし、単独又は合計で0.3%未満の
添加では効果が顕著でなく、3.0%超では効果が飽和す
るため、添加量を0.3〜3.0%とする。Cr−Mo鋼であるか
ら、Moは0.3〜3.0%含有する。
Vはそれ自体炭窒化物を形成し、強度を上昇するとと
もに、Crの炭窒化物に固溶し、Cr炭窒化物をさらに安定
化する効果がある。しかし、0.03%未満の添加が十分で
なく、0.5%超では効果が飽和し添加量に応じた効果が
得られないため、添加量を0.03〜0.5%とする。
もに、Crの炭窒化物に固溶し、Cr炭窒化物をさらに安定
化する効果がある。しかし、0.03%未満の添加が十分で
なく、0.5%超では効果が飽和し添加量に応じた効果が
得られないため、添加量を0.03〜0.5%とする。
Nbは加熱冷却の熱履歴の間に安定な炭窒化物を形成
し、鋼の高温強度を向上させる効果を有する元素であ
る。また、圧延により加工誘起析出し、結晶粒界の移動
を妨げ、再結晶粒の粗大化を阻止する。このため、0.01
%以上を添加するが、0.2%超では添加量に見合った効
果が得られないため、経済的に0.2%以下に抑制する。
し、鋼の高温強度を向上させる効果を有する元素であ
る。また、圧延により加工誘起析出し、結晶粒界の移動
を妨げ、再結晶粒の粗大化を阻止する。このため、0.01
%以上を添加するが、0.2%超では添加量に見合った効
果が得られないため、経済的に0.2%以下に抑制する。
Alは鋼の脱酸に不可欠な元素であり、この目的から下
限を0.003%とする。しかし、Al添加量が高くなるとク
リープ破断強度を害するため添加の上限を0.05%とす
る。
限を0.003%とする。しかし、Al添加量が高くなるとク
リープ破断強度を害するため添加の上限を0.05%とす
る。
NはCと同様、鋼の強度を上昇させるが、通常の溶製
方法では0.08%以上の添加で鋼塊内に気孔を形成する。
気孔が圧延によっても未圧着であると、圧延および靭性
を低下させるため、上限を0.08%とする。
方法では0.08%以上の添加で鋼塊内に気孔を形成する。
気孔が圧延によっても未圧着であると、圧延および靭性
を低下させるため、上限を0.08%とする。
Bは微量添加で焼入れ性を上昇させる元素であり、焼
入れ性を必要とする場合に添加する。焼入れ向上効果は
0.0002%から認められるが、0.0050%超に増量する意味
はない。このため、添加量を0.0002〜0.005%とする。
入れ性を必要とする場合に添加する。焼入れ向上効果は
0.0002%から認められるが、0.0050%超に増量する意味
はない。このため、添加量を0.0002〜0.005%とする。
TiはNと結合し、Bが焼入れ性向上に無効なBNとなる
のを妨げる効果を有する。このため、0.005%以上のTi
をBとともに添加することができる。しかし、鋼中の窒
素量が高すぎると、TiNが多量に形成され清浄度を害す
るため、B添加効果を利用する場合にはN量を0.01%以
下に規制するため、Ti添加量は0.05%以下で十分であ
る。
のを妨げる効果を有する。このため、0.005%以上のTi
をBとともに添加することができる。しかし、鋼中の窒
素量が高すぎると、TiNが多量に形成され清浄度を害す
るため、B添加効果を利用する場合にはN量を0.01%以
下に規制するため、Ti添加量は0.05%以下で十分であ
る。
次に圧延条件について述べる。
前記のような化学成分を有する鋼は転炉、電気炉で溶
製した後、必要に応じて取鍋精錬や真空脱ガス処理を施
して得られ、通常鋳型あるいは一方向凝固鋳型で造塊し
た後、分塊でスラブとされる。
製した後、必要に応じて取鍋精錬や真空脱ガス処理を施
して得られ、通常鋳型あるいは一方向凝固鋳型で造塊し
た後、分塊でスラブとされる。
スラブは連続鋳造法により溶鋼から直接製造しても良
い。分塊での均熱・圧下はいかなるものであっても構わ
ない。即ち、スラブを冷却した後均熱してもよく、分塊
のまま熱片で均熱炉に装入しても良い。1100〜1280℃で
均熱の後、圧延または鍛造によりスラブとする。スラブ
厚は製品板厚の1.3〜2.5倍程度が好ましい。
い。分塊での均熱・圧下はいかなるものであっても構わ
ない。即ち、スラブを冷却した後均熱してもよく、分塊
のまま熱片で均熱炉に装入しても良い。1100〜1280℃で
均熱の後、圧延または鍛造によりスラブとする。スラブ
厚は製品板厚の1.3〜2.5倍程度が好ましい。
スラブは鋼に含有されるNbおよびVの一部あるいは全
部が固溶する温度で加熱されることが不可欠である。し
たがって、スラブ加熱温度を1100℃以上とする。しか
し、スラブ加熱温度が高すぎると組織が粗大化しすぎ、
圧延によっても微細化されにくくなるため、上限を1280
℃とする。
部が固溶する温度で加熱されることが不可欠である。し
たがって、スラブ加熱温度を1100℃以上とする。しか
し、スラブ加熱温度が高すぎると組織が粗大化しすぎ、
圧延によっても微細化されにくくなるため、上限を1280
℃とする。
加熱されたスラブは複数パスの圧下により圧延され
る。圧下量が多くかつ圧延終了温度が低い程オーステナ
イト粒は微細化され、あるいは伸長粒での短径寸法が小
さくなる。圧下量即ちスラブ厚と製品厚の比は2以上が
好ましい。圧延終了温度が低い程、組織が細分化される
が、低温となる程変形抵抗が大きく圧延機の負担が大き
くなるため、工業的には700℃以上が好ましい。
る。圧下量が多くかつ圧延終了温度が低い程オーステナ
イト粒は微細化され、あるいは伸長粒での短径寸法が小
さくなる。圧下量即ちスラブ厚と製品厚の比は2以上が
好ましい。圧延終了温度が低い程、組織が細分化される
が、低温となる程変形抵抗が大きく圧延機の負担が大き
くなるため、工業的には700℃以上が好ましい。
圧延された鋼板は冷却され表面手入れの後、焼ならし
あるいは焼入れのための加熱を行う。加熱温度すなわち
焼入れ温度が高温ほどCr,Mo,Nb,V等の添加元素が固溶さ
れ、高温強度の向上に有効に作用する。しかし、通常の
焼ならしあるいは焼入れの温度より50℃高い980℃で
も、オーステナイト粒は粗大化し、焼戻し後には良好な
靭性が得られない場合がある。
あるいは焼入れのための加熱を行う。加熱温度すなわち
焼入れ温度が高温ほどCr,Mo,Nb,V等の添加元素が固溶さ
れ、高温強度の向上に有効に作用する。しかし、通常の
焼ならしあるいは焼入れの温度より50℃高い980℃で
も、オーステナイト粒は粗大化し、焼戻し後には良好な
靭性が得られない場合がある。
しかし、圧延終了温度と昇温速度に関する系統的な試
験の結果、圧延終了温度に応じた昇温速度範囲で加熱す
るならば、980℃においても粗粒が発生せず、均一な微
細粒を得ることが出来ることが分かった。
験の結果、圧延終了温度に応じた昇温速度範囲で加熱す
るならば、980℃においても粗粒が発生せず、均一な微
細粒を得ることが出来ることが分かった。
0.14%C−0.25%Si−0.45%Mn−0.008%P−0.005%
S−2.58%Cr−1.07%Mo−0.23%V−0.039%Nb−0.007
%Al−0.008%N鋼についての結果を第1図および第2
図に示す。
S−2.58%Cr−1.07%Mo−0.23%V−0.039%Nb−0.007
%Al−0.008%N鋼についての結果を第1図および第2
図に示す。
第1図に示すように、高温焼入れ(980℃)で細粒を
得るためには、最適昇温速度範囲が存在する。
得るためには、最適昇温速度範囲が存在する。
第2図に示すように、上記の最適昇温速度(HR)(℃
/h)の範囲は、圧延終了温度(Tf)(℃)により変化
し、 (1700−Tf)/300≧log(HR)≧(1400−Tf)/300 で表わされる。すなわち、圧延終了温度が低い程、昇温
速度を大きくする必要があることが明らかである。
/h)の範囲は、圧延終了温度(Tf)(℃)により変化
し、 (1700−Tf)/300≧log(HR)≧(1400−Tf)/300 で表わされる。すなわち、圧延終了温度が低い程、昇温
速度を大きくする必要があることが明らかである。
第3図に、第2図の圧延終了温度(900℃)の場合に
つき、焼ならし加熱での昇温速度に対する、焼もどし
(690℃×30時間)後のシャルピー遷移温度の関係を示
している。−40℃以下の優れた破面遷移温度は第1図の
細粒域と全く一致しており、本発明の靭性改善効果は明
らかである。
つき、焼ならし加熱での昇温速度に対する、焼もどし
(690℃×30時間)後のシャルピー遷移温度の関係を示
している。−40℃以下の優れた破面遷移温度は第1図の
細粒域と全く一致しており、本発明の靭性改善効果は明
らかである。
焼入れあるいは焼ならしの後、焼もどしを行ない各種
プラントの製作に供せられる。焼もどし条件は特に制限
されず、従来の温度範囲(650〜800℃×30分以上)を適
用できる。
プラントの製作に供せられる。焼もどし条件は特に制限
されず、従来の温度範囲(650〜800℃×30分以上)を適
用できる。
[実 施 例] 第1表に示す化学成分を有する鋼を第2表に示す条件
で圧延および熱処理した。表中の条件で焼もどし後、オ
ーステナイト粒径を測定するとともに、引張試験および
シャルピー試験を行ない、引張強さおよびシャルピー破
面遷移温度を求めた。
で圧延および熱処理した。表中の条件で焼もどし後、オ
ーステナイト粒径を測定するとともに、引張試験および
シャルピー試験を行ない、引張強さおよびシャルピー破
面遷移温度を求めた。
結果を第2表中に示している。
第2表に示すように○印で示される本発明による場
合、980℃以上の高温焼入れ加熱においても均一かつ微
細なオーステナイト粒が得られており、焼もどし後の引
張強さおよび靭性(破面遷移温度)とも良好である。
合、980℃以上の高温焼入れ加熱においても均一かつ微
細なオーステナイト粒が得られており、焼もどし後の引
張強さおよび靭性(破面遷移温度)とも良好である。
これに対し×で示す比較例は、何れも圧延仕上温度か
ら求められる昇温速度の範囲を外ずれているため、γ粒
度が細粒にならず靭性レベルが低いものとなっている。
ら求められる昇温速度の範囲を外ずれているため、γ粒
度が細粒にならず靭性レベルが低いものとなっている。
[発明の効果] 本方法により製造したCr−Mo鋼板は、繰り換し焼入れ
等の煩雑な工程を経なくても、微細なオーステナイト粒
が得られ、高温焼入れにより高強度化されるにもかかわ
らず、通常の焼入れ温度から焼入れた場合と同等の優れ
た靭性が得られる。優れた高温強度と良好な低温靭性の
要求される化学プラントあるいは発電プラント用鋼とし
て極めて有用なものであり、工業的価値が高い。
等の煩雑な工程を経なくても、微細なオーステナイト粒
が得られ、高温焼入れにより高強度化されるにもかかわ
らず、通常の焼入れ温度から焼入れた場合と同等の優れ
た靭性が得られる。優れた高温強度と良好な低温靭性の
要求される化学プラントあるいは発電プラント用鋼とし
て極めて有用なものであり、工業的価値が高い。
第1図は昇温速度と焼ならし後のγ粒の関係を表す図
面、第2図は焼ならしで細粒γを得るための圧延終了温
度と昇温速度の組合せを示す図面、第3図は焼ならしで
の昇温速度とシャルピー破面遷移温度の関係を示す図面
である。
面、第2図は焼ならしで細粒γを得るための圧延終了温
度と昇温速度の組合せを示す図面、第3図は焼ならしで
の昇温速度とシャルピー破面遷移温度の関係を示す図面
である。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%にて、 C:0.03〜0.17%、Si:0.02〜0.5%、 Mn:0.1〜3.0%、Cr:0.5〜13%、 Mo:0.3〜3.0%、Mo+W:0.3〜3.0%、 V:0.03〜0.5%、Nb:0.01〜0.2%、 Al:0.003〜0.05%、N:0.08%以下、 P:0.02%以下、S:0.02%以下 残Fe及び不可避不純物からなる鋼を1100〜1280℃に加熱
した後圧延し、圧延仕上げ温度が低い程昇温速度を大き
くし、かつ圧延仕上げ温度(Tf)(℃)から求められる
昇温速度(HR)(℃/h)の範囲、 (1700−Tf)/300≧log(HR)≧(1400−Tf)/300 で昇温した後、焼ならし焼もどしあるいは焼入れ焼もど
しを実施することを特徴とする靭性の優れたCr−Mo鋼板
の製造方法。 - 【請求項2】重量%にて、 C:0.03〜0.17%、Si:0.02〜0.5%、 Mn:0.1〜3.0%、Cr:0.5〜13%、 Mo:0.3〜3.0%、Mo+W:0.3〜3.0%、 V:0.03〜0.5%、Nb:0.01〜0.2%、 Al:0.003〜0.05%、N:0.08%以下、 P:0.02%以下、S:0.02%以下 を基本成分とし、さらに、B:0.0002〜0.005%を単独
で、又はTi:0.005〜0.05%と組合わせて含有し、残Fe及
び不可避不純物からなる鋼を用いることを特徴とする請
求項1に記載する靭性の優れたCr−Mo鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63150224A JP2680350B2 (ja) | 1988-06-20 | 1988-06-20 | 靭性の優れたCr−Mo鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63150224A JP2680350B2 (ja) | 1988-06-20 | 1988-06-20 | 靭性の優れたCr−Mo鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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