JP2669004B2 - 冷間加工性に優れたβ型チタン合金 - Google Patents
冷間加工性に優れたβ型チタン合金Info
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- titanium alloy
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、溶体化処理された状態で変形抵抗が低
く、優れた冷間変形能を有し、時効熱処理後は高強度と
なるβ型チタン合金に関するものである。
く、優れた冷間変形能を有し、時効熱処理後は高強度と
なるβ型チタン合金に関するものである。
(従来の技術) チタン合金は、比重が小さく、強度が高いため実用金
属材料の中でも極めて高い比強度(強度/比重)をもつ
ことから、従来主に航空機用材料として開発、実用化が
進められて来た。しかし、最近では自動車部品用材料、
医療機器用材料などの一般民需用材料にもチタン合金の
用途が広がりつつあり、それにともなってチタン合金の
性質の改善と、コストの低減が強く要望されるようにな
ってきた。
属材料の中でも極めて高い比強度(強度/比重)をもつ
ことから、従来主に航空機用材料として開発、実用化が
進められて来た。しかし、最近では自動車部品用材料、
医療機器用材料などの一般民需用材料にもチタン合金の
用途が広がりつつあり、それにともなってチタン合金の
性質の改善と、コストの低減が強く要望されるようにな
ってきた。
チタン合金は一般に冷間加工性が悪い。冷間加工が容
易であれば製品製造コストは低くなる。冷間加工性が比
較的良好な純Tiでは加工品としての強度が不足し、高い
比強度が必要な部品には適用が難しい。チタン合金の最
も代表的なものの一つであるα+β型のTi−6Al−4V
は、加工品としての強度は高いが、変形能が極めて悪
く、熱間加工でしか製造が不可能であるため、製造コス
トが嵩む。このため、冷間加工性のよい体心立方晶の結
晶構造をもつβ相単相型のチタン合金(β型チタン合
金)が注目されており、例えばTi−3Al−8V−6Cr−4Mo
−4Zr,Ti−15V−3Cr−3Al−3Snなどのβ型チタン合金が
知られている。β型チタン合金は、溶体化処理を施した
状態で加工性が良く、加工後に時効処理を施しα相を析
出させることによって強度を高めることが可能で、精密
部品材料として望ましい特性をもっている。
易であれば製品製造コストは低くなる。冷間加工性が比
較的良好な純Tiでは加工品としての強度が不足し、高い
比強度が必要な部品には適用が難しい。チタン合金の最
も代表的なものの一つであるα+β型のTi−6Al−4V
は、加工品としての強度は高いが、変形能が極めて悪
く、熱間加工でしか製造が不可能であるため、製造コス
トが嵩む。このため、冷間加工性のよい体心立方晶の結
晶構造をもつβ相単相型のチタン合金(β型チタン合
金)が注目されており、例えばTi−3Al−8V−6Cr−4Mo
−4Zr,Ti−15V−3Cr−3Al−3Snなどのβ型チタン合金が
知られている。β型チタン合金は、溶体化処理を施した
状態で加工性が良く、加工後に時効処理を施しα相を析
出させることによって強度を高めることが可能で、精密
部品材料として望ましい特性をもっている。
しかしながら、これまでに知られている上記のような
β型チタン合金は、変形能は良好であるが変形抵抗が極
めて高いので、例えば冷間鍛造を行う場合に、ダイス、
ポンチ等の金型が割れたり欠けたりすることが多い。ま
た、変形抵抗が高いために、冷間圧延や冷間伸線を行う
場合にも、ロールやダイスとの焼付きが生じやすい。か
かる問題点を解決する一つの提案が特開昭61−250138号
公報に開示されている。しかし、ここに開示される合金
は、α相安定化元素としてAlのみを用いており、溶体化
の状態でAlによる固溶硬化が大きく、硬度が充分に低い
とはいえない。また、時効後に高硬度になり得る適正な
時効処理の温度範囲が狭く、製造が難しい。
β型チタン合金は、変形能は良好であるが変形抵抗が極
めて高いので、例えば冷間鍛造を行う場合に、ダイス、
ポンチ等の金型が割れたり欠けたりすることが多い。ま
た、変形抵抗が高いために、冷間圧延や冷間伸線を行う
場合にも、ロールやダイスとの焼付きが生じやすい。か
かる問題点を解決する一つの提案が特開昭61−250138号
公報に開示されている。しかし、ここに開示される合金
は、α相安定化元素としてAlのみを用いており、溶体化
の状態でAlによる固溶硬化が大きく、硬度が充分に低い
とはいえない。また、時効後に高硬度になり得る適正な
時効処理の温度範囲が狭く、製造が難しい。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、従来のβ型チタン合金における上記の問題
点を無くし、その冷間加工性を一層向上させることを課
題とする。具体的には、溶体化処理の状態で引張強さで
75kgf/mm2以下(Hv硬度で240以下)、冷間据込み圧縮率
が80%以上で、20時間以内の時効処理で120kgf/mm2以上
の引張強さが得られ、しかも時効処理の適正温度範囲が
広く、製造の容易なβ相単相型のチタン合金を提供する
ことを目的とする。
点を無くし、その冷間加工性を一層向上させることを課
題とする。具体的には、溶体化処理の状態で引張強さで
75kgf/mm2以下(Hv硬度で240以下)、冷間据込み圧縮率
が80%以上で、20時間以内の時効処理で120kgf/mm2以上
の引張強さが得られ、しかも時効処理の適正温度範囲が
広く、製造の容易なβ相単相型のチタン合金を提供する
ことを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 本発明の要旨は『重量%で、V:15〜25%、Al:2.5〜5
%、Sn:0.5〜4%、酸素:0.12%以下、残部Tiおよび不
可避不純物からなる冷間加工性に優れたβ型チタン合
金』にある。
%、Sn:0.5〜4%、酸素:0.12%以下、残部Tiおよび不
可避不純物からなる冷間加工性に優れたβ型チタン合
金』にある。
ここで、冷間加工性とは、冷間変形抵抗および冷間変
形能を併せた特性をいう。
形能を併せた特性をいう。
チタン合金をβ相から急冷した状態で、室温において
準安定β相を得るための合金元素としては、V、Mo、N
b、Ta、Cr、Fe、Mn等がある。一方、β型チタン合金に
一般的に要求される特性は、 溶解が容易で偏析が少ないこと、 添加合金元素の比重が小さいこと、 熱間加工性が良好なこと、 冷間加工性に優れること、 添加元素の固溶硬化作用が小さくTiの軽量性を損なわ
ないよう、少量でβ相が得られること、 時効により、高強度が得られること、 合金そのものが安価であること、 などである。
準安定β相を得るための合金元素としては、V、Mo、N
b、Ta、Cr、Fe、Mn等がある。一方、β型チタン合金に
一般的に要求される特性は、 溶解が容易で偏析が少ないこと、 添加合金元素の比重が小さいこと、 熱間加工性が良好なこと、 冷間加工性に優れること、 添加元素の固溶硬化作用が小さくTiの軽量性を損なわ
ないよう、少量でβ相が得られること、 時効により、高強度が得られること、 合金そのものが安価であること、 などである。
上記〜を満足する合金元素として本発明ではVを
採用した。その理由は下記のとおりである。Moは比重お
よび溶融点が高く、NbおよびTaは高価な元素であり、し
かも多量添加しないとβ相にならない。Cr、Feは固溶硬
化の作用が著しく、溶体化の状態で合金を過度に硬くし
てしまう。次に、時効析出したα相の硬化のためにはAl
が有効であるが、溶体化時の固溶硬化の作用が大きいた
め過度に添加すると冷間加工の際の加工荷重が高くなる
のでその一部を固溶硬化作用の小さいSnに置き換え、冷
間加工性を損なわないようにした。Snは、固溶硬化の作
用は小さいが、時効処理時のα相の硬化には役立ち、時
効硬化の安定性と硬度の向上に寄与する。次に、不純物
中の、特に酸素に注目し、冷間加工性向上のために、そ
の許容上限値を定めた。
採用した。その理由は下記のとおりである。Moは比重お
よび溶融点が高く、NbおよびTaは高価な元素であり、し
かも多量添加しないとβ相にならない。Cr、Feは固溶硬
化の作用が著しく、溶体化の状態で合金を過度に硬くし
てしまう。次に、時効析出したα相の硬化のためにはAl
が有効であるが、溶体化時の固溶硬化の作用が大きいた
め過度に添加すると冷間加工の際の加工荷重が高くなる
のでその一部を固溶硬化作用の小さいSnに置き換え、冷
間加工性を損なわないようにした。Snは、固溶硬化の作
用は小さいが、時効処理時のα相の硬化には役立ち、時
効硬化の安定性と硬度の向上に寄与する。次に、不純物
中の、特に酸素に注目し、冷間加工性向上のために、そ
の許容上限値を定めた。
(作用) 以下に、本発明のβ型チタン合金における、合金成分
の作用効果と、それぞれの含有量の限定理由を説明す
る。なお、合金成分の含有量は全て重量%で表す。
の作用効果と、それぞれの含有量の限定理由を説明す
る。なお、合金成分の含有量は全て重量%で表す。
(a)V:15〜25% Vは、チタン合金素地に固溶してβ相を安定化し室温
においてβ相単相組織となし、冷間加工性を向上させ
る。しかし、V含有量が15%より少ない場合は、溶体化
処理を行ってもβ相単相とすることができず、マルテン
サイト組織となる。25%より多い場合は、β相単相には
なるが、時効硬化性が悪い時効処理に要する時間が長く
なる。また、Vを過度に添加すると比重が増大し、原料
費も嵩み経済的でない。
においてβ相単相組織となし、冷間加工性を向上させ
る。しかし、V含有量が15%より少ない場合は、溶体化
処理を行ってもβ相単相とすることができず、マルテン
サイト組織となる。25%より多い場合は、β相単相には
なるが、時効硬化性が悪い時効処理に要する時間が長く
なる。また、Vを過度に添加すると比重が増大し、原料
費も嵩み経済的でない。
なお、前記のとおり、β相安定化元素としてはVの外
に、Mo、Ta、Nb、Cr、Fe、Mnなどがあるが、これらの中
で安価でかつ溶体化の状態で強度の低いβ相単相合金と
なす元素は、MoとVに限られる。Cr、Fe、Mnを含む合金
では、溶体化の状態で引張強さが75kgf/mm2(Hv240以
上)となって変形抵抗が増大する。VとMoのうち、Moは
融点が高く溶解しにくいため偏析が生じやすく、またMo
を含む合金は熱間加工性も悪い。結局β相安定化元素と
して実用上最も好ましいものはVであり、その含有量は
前記の理由で15〜25%とする。
に、Mo、Ta、Nb、Cr、Fe、Mnなどがあるが、これらの中
で安価でかつ溶体化の状態で強度の低いβ相単相合金と
なす元素は、MoとVに限られる。Cr、Fe、Mnを含む合金
では、溶体化の状態で引張強さが75kgf/mm2(Hv240以
上)となって変形抵抗が増大する。VとMoのうち、Moは
融点が高く溶解しにくいため偏析が生じやすく、またMo
を含む合金は熱間加工性も悪い。結局β相安定化元素と
して実用上最も好ましいものはVであり、その含有量は
前記の理由で15〜25%とする。
(b)Al:2.5〜5% 本発明のチタン合金は、溶体化の状態で準安定β相単
体であり、これを時効処理した時、α相が析出して強度
の上昇が得られるものである。α相の時効析出により高
強度を得るためには、α相の分散強化ばかりでなく、析
出したα相自身の強化が有効である。αチタンの固溶強
化に最も有効な合金元素はAlである。また、Alの添加
は、合金を脆化させるω相の析出を抑制し、α相の析出
を促進するという効果もある。
体であり、これを時効処理した時、α相が析出して強度
の上昇が得られるものである。α相の時効析出により高
強度を得るためには、α相の分散強化ばかりでなく、析
出したα相自身の強化が有効である。αチタンの固溶強
化に最も有効な合金元素はAlである。また、Alの添加
は、合金を脆化させるω相の析出を抑制し、α相の析出
を促進するという効果もある。
上記のAlの効果は、その含有量が2.5%未満では顕著
に現れない。一方、Alの含有量が5%を越えると、溶体
化処理状態での強度(硬度)が高くなって冷間加工性が
低下する。即ち、Alの適正含有量は2.5〜5%である。
に現れない。一方、Alの含有量が5%を越えると、溶体
化処理状態での強度(硬度)が高くなって冷間加工性が
低下する。即ち、Alの適正含有量は2.5〜5%である。
(c)Sn:0.5〜4% Snはα相の時効析出を促進安定化し、ω相の生成を抑
えるため、時効処理のための適正温度範囲を広くする効
果があり、かつ時効処理後の強度を高くする。さらに、
Alが合金素地を固溶強化するのに対し、Snはあまり素地
を硬化させないのでAlを減らしてSnに置き換えることが
変形抵抗を減少させるためには有効である。このような
Snの効果は、0.5%以下では乏しく、4%を越えると素
地の硬度上昇が避けられない。従って、Snの含有量は0.
5〜4%とする。
えるため、時効処理のための適正温度範囲を広くする効
果があり、かつ時効処理後の強度を高くする。さらに、
Alが合金素地を固溶強化するのに対し、Snはあまり素地
を硬化させないのでAlを減らしてSnに置き換えることが
変形抵抗を減少させるためには有効である。このような
Snの効果は、0.5%以下では乏しく、4%を越えると素
地の硬度上昇が避けられない。従って、Snの含有量は0.
5〜4%とする。
以上の合金成分の外、残部は実質的にTiである。実質
的にTiというのは、工業的に製造される場合の不可避的
に含まれる不純物を伴うという意味である。しかし、本
発明の合金においては、不純物中の酸素が、特に下記の
ように抑制されている。
的にTiというのは、工業的に製造される場合の不可避的
に含まれる不純物を伴うという意味である。しかし、本
発明の合金においては、不純物中の酸素が、特に下記の
ように抑制されている。
(d)酸素:0.12%以下 酸素はα相安定化元素であり、多量にあるとβ相単相
化を阻害し、また素地を硬化させ、冷間加工性を劣化さ
せる。即ち、変形抵抗を大きくし、変形能を低下させ、
冷間加工性にクラックを発生させる原因になる。0.12%
以下であれば、かかる悪影響が小さいので0.12%以下と
した。
化を阻害し、また素地を硬化させ、冷間加工性を劣化さ
せる。即ち、変形抵抗を大きくし、変形能を低下させ、
冷間加工性にクラックを発生させる原因になる。0.12%
以下であれば、かかる悪影響が小さいので0.12%以下と
した。
なお、Feはβ相安定化元素であるが、溶体化処理後の
硬度を高くするので有害である。0.3%以下、できるだ
け少ないのが望ましい。
硬度を高くするので有害である。0.3%以下、できるだ
け少ないのが望ましい。
以下、実施例によって本発明のチタン合金の特性を具
体的に説明する。
体的に説明する。
(実施例1) 真空溶解炉を使用して、第1表に示す組成のチタン合
金を溶製し、140mmφのインゴットに鋳造した。このイ
ンゴットに通常の条件で熱間鍛造および熱間圧延を施し
て、20mmφにした後、溶体化処理(βトランザス+20℃
の温度に30分の加熱保持後水冷)を施して供試材を作製
した。
金を溶製し、140mmφのインゴットに鋳造した。このイ
ンゴットに通常の条件で熱間鍛造および熱間圧延を施し
て、20mmφにした後、溶体化処理(βトランザス+20℃
の温度に30分の加熱保持後水冷)を施して供試材を作製
した。
上記の供試材について、溶体化処理後の硬さと引張強
さを測定すると共に、変形能を評価するために圧縮試験
を行った。硬さの測定はHv硬度計を用いた。また、圧縮
試験は、第1表中に記した14mmφ×21mm高さの試験片を
切削で切り出し、平滑圧縮板を用いて圧縮し、変形能と
変形抵抗を測定した。
さを測定すると共に、変形能を評価するために圧縮試験
を行った。硬さの測定はHv硬度計を用いた。また、圧縮
試験は、第1表中に記した14mmφ×21mm高さの試験片を
切削で切り出し、平滑圧縮板を用いて圧縮し、変形能と
変形抵抗を測定した。
第1表に供試材の引張強さ、硬度、および冷間限界圧
縮率(いずれも5個の試験片の測定値の平均値)を示
す。なお、冷間限界圧縮率とは、第1表の試験片イを圧
縮したとき、割れの発生なしに圧縮できた限界の高さ
(第1表のロのH)から、100×(H0−H)/H0(%)で
求めた値である。
縮率(いずれも5個の試験片の測定値の平均値)を示
す。なお、冷間限界圧縮率とは、第1表の試験片イを圧
縮したとき、割れの発生なしに圧縮できた限界の高さ
(第1表のロのH)から、100×(H0−H)/H0(%)で
求めた値である。
なお、第1表には、時効処理後の引張強さおよび伸び
の測定値を併せて掲げた。時効処理は、引張強さが最大
となる時効温度が全てのβ型チタン合金で475℃前後で
あるから、No.14を除いて、全て475℃×20時間とした。
(No.14はα+β型チタン合金であるから、750℃加熱→
炉冷の熱処理とした。) 第1表に示すように、この発明によるチタン合金(N
o.1〜7)はいずれも溶体化処理後の引張強さが75kgf/m
m2以下、硬度はHv240以下で極めて低強度のチタン合金
になっている。従って、溶体化処理の状態での変形能
は、限界圧縮率で全て80%以上と、極めて良好である。
の測定値を併せて掲げた。時効処理は、引張強さが最大
となる時効温度が全てのβ型チタン合金で475℃前後で
あるから、No.14を除いて、全て475℃×20時間とした。
(No.14はα+β型チタン合金であるから、750℃加熱→
炉冷の熱処理とした。) 第1表に示すように、この発明によるチタン合金(N
o.1〜7)はいずれも溶体化処理後の引張強さが75kgf/m
m2以下、硬度はHv240以下で極めて低強度のチタン合金
になっている。従って、溶体化処理の状態での変形能
は、限界圧縮率で全て80%以上と、極めて良好である。
比較合金(No.8〜11)のうち、Vの含有量が低いNo.8
は、β単相組織にならないため強度が高すぎ、Al、Sn、
または酸素(O)の含有量の高すぎるNo.9、10、11も引
張強さが80kgf/mm2以上(硬度250Hv以上)となり、かつ
限界圧縮率も80%に達していない。
は、β単相組織にならないため強度が高すぎ、Al、Sn、
または酸素(O)の含有量の高すぎるNo.9、10、11も引
張強さが80kgf/mm2以上(硬度250Hv以上)となり、かつ
限界圧縮率も80%に達していない。
比較合金のNo.12は、Vの含有量が多すぎるもので、
この場合、溶体化状態での強度は低く、限界圧縮率は80
%以上になる。しかし、この合金は最終製品に必要とさ
れる120kgf/mm2程度の強度を持たせるための適正時効硬
化時間が50時間以上にもなって、実用的でない。
この場合、溶体化状態での強度は低く、限界圧縮率は80
%以上になる。しかし、この合金は最終製品に必要とさ
れる120kgf/mm2程度の強度を持たせるための適正時効硬
化時間が50時間以上にもなって、実用的でない。
従来例のNo.13は、前掲の特開昭61−250138号公報に
開示されている合金に相当するものである。これは、本
発明例に較べて、溶体化時の硬度、引張強さが概して高
い。
開示されている合金に相当するものである。これは、本
発明例に較べて、溶体化時の硬度、引張強さが概して高
い。
第1図は、本発明合金(No.2、7)と比較合金(No.1
1)および従来合金(No.14、15)の変形抵抗曲線であ
る。
1)および従来合金(No.14、15)の変形抵抗曲線であ
る。
第1図によれば、本発明合金の変形抵抗は従来材であ
るTi−6Al−4V(No.14)及びTi−15V−3Cr−3Al−3Sn
(No.15)より著しく小さく、冷間加工性が良好なこと
を示している。比較合金(No.11)の変形抵抗が大き
く、変形能が低いのは、酸素含有量が0.30%と高いこと
が主な原因である。
るTi−6Al−4V(No.14)及びTi−15V−3Cr−3Al−3Sn
(No.15)より著しく小さく、冷間加工性が良好なこと
を示している。比較合金(No.11)の変形抵抗が大き
く、変形能が低いのは、酸素含有量が0.30%と高いこと
が主な原因である。
(実施例2) 第1表に示した本発明合金No.5の時効硬化特性を調べ
た。比較材として、Snを含まないで他の不純物は同レベ
ルの従来例No.13(Ti−22V−4Al)を用いた。溶体化条
件はいずれも(βトランザス+20℃)×30分→水冷とし
た。
た。比較材として、Snを含まないで他の不純物は同レベ
ルの従来例No.13(Ti−22V−4Al)を用いた。溶体化条
件はいずれも(βトランザス+20℃)×30分→水冷とし
た。
第2図は、時効処理の温度と、引張強さおよび伸びの
関係を示したものである。時効時間は、20時間一定とし
た。
関係を示したものである。時効時間は、20時間一定とし
た。
本発明合金(No.5)のTi−20V−4Al−1Sn合金は、Ti
−22V−4Al合金に比べ、溶体化のままでは強度が低く、
時効処理によってTi−22V−4Alを凌ぐ高強度となる。し
かも、高強度を示す時効温度範囲が広く、安定した時効
特性をもつことがわかる。また、延性もTi−22V−4Al合
金と同等以上である。
−22V−4Al合金に比べ、溶体化のままでは強度が低く、
時効処理によってTi−22V−4Alを凌ぐ高強度となる。し
かも、高強度を示す時効温度範囲が広く、安定した時効
特性をもつことがわかる。また、延性もTi−22V−4Al合
金と同等以上である。
(発明の効果) 本発明のβ型チタン合金は、現用の同種の合金(Ti−
22V−4Al、Ti−15V−3Cr−3Al−3Sn)に比べて溶体化の
状態での冷間加工性が優れている。従って、冷間鍛造時
の心型寿命の延長、冷間圧延や伸線の際のロール、ダイ
スとの焼付けの減少など、チタン製部品製造のコスト低
減に大きく寄与する。本発明合金は、例えば自動車動弁
部品、宇宙航空用部品、或いは、めがねフレームのよう
な日用品の分野にも広く利用できる。
22V−4Al、Ti−15V−3Cr−3Al−3Sn)に比べて溶体化の
状態での冷間加工性が優れている。従って、冷間鍛造時
の心型寿命の延長、冷間圧延や伸線の際のロール、ダイ
スとの焼付けの減少など、チタン製部品製造のコスト低
減に大きく寄与する。本発明合金は、例えば自動車動弁
部品、宇宙航空用部品、或いは、めがねフレームのよう
な日用品の分野にも広く利用できる。
第1図は、実施例で用いた供試材について、圧縮試験に
よって求めた変形抵抗曲線である。 第2図は本発明合金および従来のβ型チタン合金の時効
硬化特性を示す図である。
よって求めた変形抵抗曲線である。 第2図は本発明合金および従来のβ型チタン合金の時効
硬化特性を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で、V:15〜25%、Al:2.5〜5%、S
n:0.5〜4%、酸素:0.12%以下、残部Tiおよび不可避不
純物からなる冷間加工性に優れたβ型チタン合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63283293A JP2669004B2 (ja) | 1988-11-09 | 1988-11-09 | 冷間加工性に優れたβ型チタン合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63283293A JP2669004B2 (ja) | 1988-11-09 | 1988-11-09 | 冷間加工性に優れたβ型チタン合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02129331A JPH02129331A (ja) | 1990-05-17 |
JP2669004B2 true JP2669004B2 (ja) | 1997-10-27 |
Family
ID=17663574
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63283293A Expired - Lifetime JP2669004B2 (ja) | 1988-11-09 | 1988-11-09 | 冷間加工性に優れたβ型チタン合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2669004B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2005005677A1 (ja) * | 2003-07-15 | 2005-01-20 | Minoru Fumoto | ばね特性にすぐれたチタン合金及びめがねフレーム |
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