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JP2649743B2 - 直線運動案内装置及びその組立て方法 - Google Patents

直線運動案内装置及びその組立て方法

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Publication number
JP2649743B2
JP2649743B2 JP52192494A JP52192494A JP2649743B2 JP 2649743 B2 JP2649743 B2 JP 2649743B2 JP 52192494 A JP52192494 A JP 52192494A JP 52192494 A JP52192494 A JP 52192494A JP 2649743 B2 JP2649743 B2 JP 2649743B2
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JP
Japan
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ball rolling
ball
linear motion
motion guide
guide device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP52192494A
Other languages
English (en)
Inventor
博 寺町
Original Assignee
テイエチケー株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=27307799&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2649743(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by テイエチケー株式会社 filed Critical テイエチケー株式会社
Priority to JP52192494A priority Critical patent/JP2649743B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2649743B2 publication Critical patent/JP2649743B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は、例えば工作機械や工業用ロボット等の直
線案内部に用いられる直線運動案内装置に関するもので
ある。
特に、各種機械の直線運動部の多様化にともない、直
線運動部にはあらゆる方向の荷重、すなわち、ラジアル
方向荷重、水平方向荷重、逆ラジアル方向荷重、モーメ
ント荷重が作用するが、その荷重が加わる大きさ、方向
に対して原材料となる軌道台材、摺動台材を共通化し
て、なおかつ、最大の寿命、剛性、許容荷重が得られる
よう負荷荷重方向に適応した接触角を有するようにした
直線運動案内装置及びその組立て方法に関する。
背景技術 −第1従来例− この種の直線運動案内装置として、例えば、実開平3
−199710号に記載のものがある。
図23に示されているように、この直線運動案内装置30
は、断面四角形の軌道台31と、この軌道台31を受け入れ
る断面四角形状の凹所32cを有する摺動台32と、そし
て、4条列の無限循環するボール33とを含んで構成され
ている。
軌道台31の上面には2条のボール転動溝31aが形成さ
れており、各側面には1条のボール転動溝31bが形成さ
れている。摺動台32の凹所32cには、軌道台31の2条の
ボール転動溝31a及び各1条のボール転動溝31bに対向し
て、2条のボール転動溝32aと各1条のボール転動溝32b
が形成されている。対向するボール転動溝31a,32aは、
ボールよりも僅かに大きい円弧形状の浅い溝であり、対
向するボール転動溝31a,32aは、ゴシックアーク形状の
溝である。
なお、保持器34,35は、軌道台31から摺動台32を抜い
た時、ボール33が脱落するのを防止するために設けられ
たものである。
この直線運動案内装置30における接触角は、上側2条
のボール列においてほぼ垂直方向を向き、そして、下側
2条のボール列は、2つの円弧を組み合わせた形状のボ
ール転動溝に斜め上方及び下方の4個所でほぼ均等に当
接する(以下、「完全4点接触」と称する)。このよう
に、直線運動案内装置30は、上方からの荷重は2条のサ
ーキュラアーク形状のボール転動溝31a,32aで支持し、
横方向からの荷重はゴシックアーク形状のボール転動溝
31b,32bにおける完全4点接触により支持するため、上
方からの荷重に対しても横方向からの荷重に対しても優
れた荷重支持能力を有する。
−第2従来例− 一方、実公昭63−24258号には、他の種類の直線運動
案内装置40が開示されている。
図24に示されているように、この直線運動案内装置40
は、断面四角形の軌道台41と、この軌道台41を受け入れ
る断面四角形状の凹所42cを有する摺動台42と、そし
て、4条列の無限循環するボール43とを含んで構成され
ている。
軌道台41の各側面には、それぞれ、2条のボール転動
溝41aが形成されており、摺動台42の凹所42cには、軌道
台41のボール転動溝41aに対向して、合計4条のボール
転動溝42aが形成されている。これら対向するボール転
動溝41a,42aは、ゴシックアーク形状の溝であり、それ
ぞれのボール列における接触角は水平に対しほぼ45度と
なっている。
なお、この直線運動案内装置40では、軌道台41の各側
面に形成された2条のボール転動溝41a,41aの間隔Aを
摺動台42の対応する2条のボール転動溝42a,42aの間隔
Bより大きくしたり、小さくしたりすることにより、軌
道台41の各側面の各ボール列における接触角の交点が、
軌道台41の外側で交差する(以下、「DB構造」と称す
る)ようにしたり、軌道台41の内側で交差する(以下、
「DF構造」と称する)ようにしている。
いずれにしても、この直線運動案内装置40では、それ
に加わる垂直荷重が小さい場合は片側1列合計2列のボ
ール列により荷重を支え、垂直荷重が大きい場合は片側
2列合計4列のボール列により荷重を支える。このよう
に、高荷重負荷時において荷重を支えるボール列の数が
増えることにより、各ボール転動溝の荷重負担が軽減さ
れ、これにより、直線運動案内装置40の寿命が長くな
る。
−第3従来例− また、軌道台の上面側に2条のボール列を、軌道台の
左右側面にそれぞれ2条ずつのボール列を設け、計6条
のボール列を設けた直線運動案内装置として、例えば、
特開昭62−141308号公報に記載のものがある。
図5に示されているように、この直線運動案内装置10
0は、軌道台101と、軌道台101を受け入れる凹所102dを
有し軌道台101に沿って直線案内される摺動台102と、摺
動台102と軌道台101の間に転動自在に介在される6条列
の無限循環するボール103とから構成されている。
軌道台101は、上面に2条で一組のボール転動溝101a
が形成されているとともに各側面に2条で一組のボール
転動溝101b,101cが形成されている。一方、摺動台102の
凹所102dの上面及び各側面に軌道台101のボール転動溝1
01a,101b,101cに対応するボール転動溝102a,102b,102c
が形成されている。
そして、軌道台101から摺動台102を抜いた時、ボール
103が脱落するのを防止するために、上面に形成される
2条のボール列104及び各側面に形成される2条のボー
ル列105、106にそれぞれ保持器107、108が設けられてい
る。
この直線運動案内装置100におけるボール4の接触角
は、上面に形成される2条のボール列104において、軌
道台101のボール転動溝101aのボール103の接触線の水平
線を基準とした角度、接触角αを90度に設定し、そし
て、各側面に形成された2条のボール列105、106におい
て、上段のボール転動溝101bと下段のボール転動溝101c
のボール103の接触線の水平線を基準とした角度、接触
角βを軌道台101の内側に向かって上方と下方に傾く45
度に設定し、両接触線の交点を軌道台101の外側に位置
するようにしている。
このように構成された直線運動案内装置100は、摺動
台102に対し上方から作用する縦方向の荷重は、上面の
2条のボール列104と各側面の下段の2条のボール列106
の合計4条のボール列104、106により支持される。
また左右から作用する横方向の荷重は、荷重の方向に
よっていずれか一方の側面の上下2条のボール列105、1
06によって支持され、さらに下方から作用する縦方向、
いわゆる浮き上がり方向の荷重は、各側面の上段の2条
のボール列105によって支持されるものである。
−第4従来例− また、特開昭64−53621号公報には、6条のボール列
を有する他の種類の直線運動案内装置200が開示されて
いる。
図6に示されているように、この直線運動案内装置20
0は、軌道台201と、軌道台201を受け入れる凹所202dを
有し軌道台201に沿って直線案内される摺動台202と、摺
動台202と軌道台201の間に転動自在に介在される6条列
の無限循環するボール203とから構成されている。
軌道台201の各側面には3条のボール転動溝201aが形
成されている。摺動台202の凹所202aには、軌道台201の
3条のボール転動溝201a、201b、201cに対応する3条の
ボール転動溝202a、202b、202cが形成されている。
そして、軌道台201から摺動台202を抜いた時、ボール
203が脱落するのを防止するために、各側面に形成され
る3条のボール列204、205、206にそれぞれ保持器207が
設けられている。
この直線運動案内装置200におけるボール203の接触角
は、各側面の3条のボール列204、205、206において、
上段及び中段については軌道台201の内側に向かって下
方に傾き、下段については軌道台201の内側に向かって
上方に傾きそれぞれほぼ45度に設定し、上中下段の接触
角における接触線L1、L2、L3の交点O1及びO2を軌道台20
1の内側に位置するようにしている。
このように構成された直線運動案内装置200は、上段
と中段のボール列204、205のボール203の接触線L1、L2
が、共に軌道台201の内側に向かって斜め下方に伸びて
いるので、摺動台202に対し上方から作用するラジアル
荷重を上段及び中断のボール列204,205で受け、浮き上
がり方向の逆ラジアル荷重については下段のボール列20
6で受けることになる。したがって、逆ラジアル荷重よ
りもラジアル荷重に対する剛性が高い。ここで、剛性と
は摺動台と軌道台間に作用する荷重に対して変形しにく
く、がたつかない性能のことをいうものであり、この従
来例の場合には、各ボールによってにラジアル方向の荷
重Fに対する剛性を大きくして重荷重の負荷能力を増大
させたものである。
−第5従来例− また、特開昭64−53622号公報には、上記直線運動案
内装置200において、図7に示されているように、中段
のボール列205のボール203を4点接触とし、接触角線L2
1,L22が軌道台201の内側に向かって下方及び上方にほぼ
45度で交差するような接触構造とした直線運動案内装置
200'が開示されている。
このように構成された直線運動案内装置200'は、上段
のボール列204によってラジアル荷重Fを支持し、下段
のボール列206によって逆ラジアル荷重fを支持してい
る。
一方、中段のボール列205は4点接触なので、ラジア
ル荷重と逆ラジアル荷重の両方向の荷重を負荷する構成
となっている。
ところで、上記した第1乃至第5従来例の直線運動案
内装置では、上下左右の四方向からの荷重に対し種々の
比率の荷重支持能力が必要であったり、ある荷重以上で
はボールに差動滑りを起こさせて振動の減衰を行わせた
り、あるいは、高速運転用の軽い動きをさせたりと、各
方向の荷重に対し種々の性能が要求されている。
しかるに、上述した直線運動案内装置は、この種の直
線運動案内装置で要求される種々の態様の1つにのみ適
応するタイプのものであり、これら各種の機能要求に
は、対応できない。
従来は、その用途に応じて、軌道台と摺動台の形状及
びボールの条数、接触角を選択し、要求される性能に合
致するように直線運動案内装置を設計し、製造、供給し
ていた。製造メーカーが、顧客の要求に対しこのような
対応をすると、直線運動案内装置の種類も多くなり、量
産性に欠け、生産性が悪い欠点があった。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みてなされたも
ので、軌道台と摺動台のボール転動溝間ピッチを荷重条
件に合わせて変化させ最適の接触角をもつボール転動溝
を形成することにより各方向の荷重に適応した性能を有
する直線運動案内装置及びその組立て方法を提供するこ
とを目的とする。
発明の開示 本発明は、軌道台と、該軌道台を受け入れる凹所を有
し前記軌道台に沿って直線案内される摺動台と、該摺動
台と前記軌道台の間に転動自在に介在されるボールとを
具備し、 前記軌道台は、上面に少なくとも1条のボール転動溝
を備えているとともに両側面にそれぞれ少なくとも1条
のボール転動溝とを備え、 前記摺動台の凹所の上面及び両側面に前記軌道台の上
面及び両側面のボール転動溝に対応するボール転動溝を
備えてなる直線運動案内装置において、 前記軌道台又は摺動台のうち、いずれか一方の上面及
び両側面のボール転動溝を、相互に対応する軌道台又は
摺動台のボール転動溝に対して溝中心の対応位置関係を
同一若しくは偏位させ、前記した溝中心の対応位置関係
が同一若しくは偏位している軌道台又は摺動台を相手側
の軌道台又は摺動台に任意の組み合せでもって装着して
なることを特徴とする。
軌道台上面には2条のボール転動溝を備えると共に軌
道台左右側面にはそれぞれ1条のボール転動溝を備えて
いることを特徴とする。
軌道台上面には2条で一組のボール転動溝を備えてい
るとともに両側面に2条で一組のボール転動溝とを備え
ていることを特徴とする。
軌道台の断面が四角形状であり、前記軌道台上面の2
条のボール転動溝間の距離及び該上面と各側面に形成さ
れたボール転動溝間の距離を、前記摺動台の対応するそ
れぞれのボール転動溝間の距離に対して変更することに
より、軌道台と摺動台の対応するボール転動溝の溝中心
を対応位置関係を同一若しくは偏位させていることを特
徴とする。
ボール転動溝の深さをボール接触角を自由に選択でき
る程度の深さとしたことを特徴とする。
ボール転動溝の深さをボール径のほぼ1/4〜1/2のとし
たことを特徴とする。
軌道台の上面に形成されたボール転動溝及びそれに対
向する前記摺動台の転動溝はボールよりも僅かに大きい
円弧形状をなし、そして、前記軌道台の各側面に形成さ
れた少なくともボール転動溝及びそれに対向する前記摺
動台のボール転動溝は2つの円弧を組み合わせた形状を
なすことを特徴とする。
軌道台の上面に形成されたボール転動溝及びそれに対
向する前記摺動台の転動溝、並びに、前記軌道台の各側
面に形成されたボール転動溝及びそれに対向する前記摺
動台のボール転動溝は共にボールよりも僅かに大きい円
弧形状をなすことを特徴とする。
軌道台の上面に形成されたボール転動溝及びそれに対
向する前記摺動台のボール転動溝、並びに、前記軌道台
の各側面に形成されたボール転動溝及びそれに対向する
前記摺動台のボール転動溝は共に2つの円弧を組み合わ
せた形状をなすことを特徴とする。
軌道台の上面に形成されたボール転動溝及びそれに対
向する前記摺動台のボール転動溝は2つの円弧を組み合
わせた形状をなし、そして、前記軌道台の各側面に形成
されたボール転動溝及びそれに対向する前記摺動台のボ
ール転動溝はボールよりも僅かに大きい円弧形状をなす
ことを特徴とする。
前記軌道台及び摺動台の上面の相互に対応する2条で
一組のボール転動溝間に介在されるボールの接触角を水
平に対して90度とし、前記軌道台及び摺動台の両側面の
相互に対応する2条で一組のボール転動溝間に介在され
るボールの接触角を、水平に対し軌道台の内側に向かっ
て上方に傾くほぼ45度としたことを特徴とする。
前記軌道台及び摺動台の両側面の相互に対応する2条
で一組のボールボール転動溝間に介在されるボールの接
触角を水平に対しほぼ0度とし、前記軌道台及び摺動台
の上面の相互に対応する2条で一組のボール転動溝間に
介在されるボールの接触角を水平に対しほぼ90度とする
ことを特徴とする。
軌道台及び摺動台に形成された全てのボール転動溝は
ボールよりも僅かに大きい単一円弧形状をなし、この内
少なくとも一つのボール転動溝の溝断面の曲率半径をボ
ールの直径の0.52より小さい範囲に設定したことを特徴
とする。
ボール転動溝の溝断面の曲率半径をボールの直径の0.
51程度に設定したことを特徴とする。
また、本発明の直線運動案内装置の組立方法は、 上面に第1ボール転動溝と、左右両側面に第2ボール
転動溝を備えた第1部材を形成する工程と 第1部材に対して所定数の条列のボールを介して滑動
自在に組み立てられる第2部材であって、前記第1部材
の第1ボール転動溝に対して溝中心の対応位置関係が同
一若しくは偏位させて設けられる第3ボール転動溝と、
前記第1部材の第2ボール転動溝に対して溝中心の対応
位置関係が同一若しくは偏位させて設けられる第4ボー
ル転動溝と、を備えた第2部材を複数種類形成する工程
と、 各方向の荷重、モーメント荷重にそれぞれ適する接触
角を有するように前記第1部材と複数種類の第2部材と
の組み合わせを選択する工程と、 を備えてなることを特徴とする。
また、幅方向に第1のピッチだけ離れた一対の第1ボ
ール転動溝と、該第1ボール転動溝に対し高さ方向に第
2のピッチだけ離れた一対の第2ボール転動溝を備えた
第1部材を形成する工程と、 前記第1部材に対し4条列のボールを介して滑動可能
に組立てられる第2部材であって、幅方向に前記第1の
ピッチと異なる第3のピッチだけ離れた一対の第3ボー
ル転動溝と、該第3ボール転動溝に対し高さ方向に前記
第2のピッチと異なる第4のピッチだけ離れた一対の第
4ボール転動溝を備えた第2部材を複数種類形成する工
程と、 各方向の荷重、モーメント荷重にそれぞれ適する接触
角を有するように前記第1と第3のピッチ及び前記第2
と第4のピッチの組み合わせを選択する工程と、 を備えてなることを特徴とする。
ボール転動溝の深さをボール接触角を自由に選択でき
る程度の深さとしたことを特徴とする。
また、ボール転動溝の深さをボール径のほぼ1/4〜1/2
のとしたことを特徴とする断面が四角形状の軌道台、該
軌道台を受け入れる凹所を有する。
本発明の直線運動案内装置では、ボール転動溝は、ボ
ールよりも僅かに大きい円弧形状でも、ゴシックアーク
形状でも良いが、その深さは接触角の角度変位が小さい
場合のボール径のほぼ1/4から接触角の角度変位が大き
い場合のボール径のほぼ1/2である。従って、ボール
は、円弧状をなすボール転動溝のどこかに接触すること
になるため、従来、この種の直線運動案内装置で採用さ
れてきた実質的に全ての接触角をとることができる。
各ボール転動溝における接触角は、軌道台の上面に形
成された2条のボール転動溝間のピッチ(距離)及び該
ボール転動溝と各側面に形成するボール転動溝とのピッ
チ(距離)を、摺動台の対応するボール転動溝間のピッ
チ(距離)に対して種々変更することにより、任意に設
定される。
特に、ボール転動溝がボールよりも僅かに大きい円弧
形状の場合、接触角は水平に対し45度に限られず、実質
的に、任意の角度をとれる。
また、ボール転動溝が2つの円弧を組み合わせた形状
の場合、所望の荷重以上となった時初めて、あるいは、
初めから、ボールが各ボール転動溝に2点で接触し差動
滑りを起こすようにも設定できる。
軌道台の上側のボール転動溝と側面のボール転動溝
と、それに対応する摺動台のボール転動溝の間には、ボ
ールが介在しているので、そのボール転動溝間の隙間よ
り若干大きいボールを介在させ予圧を付与して直線運動
案内装置の剛性を上げることができる。
また、摺動台の凹所の上部に2条の深いボール転動溝
が形成されているので、摺動台の上部の肉厚が厚くとれ
る。このために摺動台のブロックの剛性を上げることが
できる。
そして、摺動台の凹所の両内側面に、それぞれ、1条
のボール転動溝が形成されているので、摺動台の側面部
の長さを短くすることができ直線運動案内装置の剛性を
上げられる。このために、摺動台のブロックの総高さを
低くでき、軌道台の高さも、側面のボール位置を上のほ
うに配置できるので、直線運動案内装置全体の高さを低
くで、コンパクトにすることができる。
特に、ゴシックアーチ溝や、サーキュラーアーク溝で
もボール転動溝の深さをボール径の51%程度に設定すれ
ば、重切削時の負荷荷重が作用すると、作動滑りが増加
し、転がりと滑りが混在した運動となるので、ころがり
運動が滑り運動と近くなってダンピング効果(減衰性)
が向上する。したがって、工作機械等の使用した場合、
重切削時においてもビビリ量を可及的に小さくでき、加
工精度向上を図ることができる。特に重切削の負荷荷重
が作用する上面のボール転動溝とボールの接触角を90度
としておけば効果的である。
また、ボール転動溝の深さをボール径の51%程度に設
定すれば、通常のサーキュラーアーク溝に対してボール
接触面積が大きくなり(ローラに近くなる)、上記接触
角の構成と相乗的に重荷重の負荷能力が飛躍的に高くな
り、しかも高剛性で安定した直線運動を得られる。
この重切削時の運動は低速であり、多少のすべりが発
生しても寿命に大きな影響はない。また、荷重に比例し
て作動滑りが増大するので、極めて合理的な接触構造と
なる。
図面の簡単な説明 図1乃至図13は本発明を4条のボール列を有する直線
運動案内装置に適用したもので、図1は一実施例の一部
破断斜視図である。
図2は、図1の横断面図である。
図3は、図1の直線運動案内装置におけるボール転動
溝の位置関係を説明するための説明図である。
図4は、直線運動案内装置が適用される工作機械の一
例を示す図である。
図5は、直線運動案内装置に作用する各種荷重の説明
図である。
図6は、本発明の第一の実施例に係る直線運動案内装
置の説明図である。
図7は、本発明の第二の実施例に係る直線運動案内装
置の説明図である。
図8は、本発明の第三の実施例に係る直線運動案内装
置の説明図である。
図9は、本発明の第四の実施例に係る直線運動案内装
置の説明図である。
図10は、本発明の第五の実施例に係る直線運動案内装
置の説明図である。
図11は、本発明の第六の実施例に係る直線運動案内装
置の説明図である。
図12は、本発明の第七の実施例に係る直線運動案内装
置の説明図である。
図13は、本発明の第八の実施例に係る直線運動案内装
置の説明図である。
図14は、ゴシックアーチ溝の場合の差動滑りの説明図
である。
図15は、サーキュアラーアーク溝の場合の差動滑りの
説明図である。
図16は4条のボール列の他の接触角構造例を示す図で
ある。
図17乃至図21は本発明を6条のボール列を有する直線
運動案内装置に適用したもので、図17は第九の実施例に
係る直線運動案内装置の説明図である。
図18は、図17の6条のボール列を有する直線運動案内
装置の基本構成を示す一部破断斜視図である。
図19は、本発明の第十の実施例に係る直線運動案内装
置の説明図である。
図20は、本発明の第十一の実施例に係る直線運動案内
装置の説明図である。
図21は、本発明の第十二の実施例に係る直線運動案内
装置の説明図である。
図22(a)〜(c)は、6条のボール列を有する直線
運動案内装置の他の各種接触角構造例を示す図、図22
(d),(e)は他のボール列構成例を示す図である。
図23〜図27は、従来の直線運動案内装置の各種構成例
をの横断面図である。
発明を実施するための最良の形態 以下に、図面を用いて本発明に係る直線運動案内装置
について詳細に説明する。
図1,図2は、本発明に係る直線運動案内装置の一実施
例の横断面図である。
本発明に係る直線運動案内装置10は、概略的に、断面
が四角形状の軌道台11と、軌道台11を受け入れる凹所12
cを有する摺動台12及びそれらの間に回転可能に介在さ
せた4条列のボール13を含んで構成されている。
摺動台12は、高剛性の摺動台ブロック14と、摺動台ブ
ロック14の両端面に固定される側蓋15と、から構成され
ている。
軌道台11の上面には2条のボール転動溝11aが、そし
て、側面にそれぞれ1条の転動溝11bが形成されてい
る。一方、摺動台ブロック14の凹所12cには、軌道台11
の各転動溝11a,11bに対向する位置にボール転動溝12a,1
2bと、ボール逃げ穴16が形成されている。側蓋15には、
対向する各ボール転動溝11a,12a及び11b,12bの間の負荷
域のボール通路両端とボール逃げ穴16両端とをつなぐ方
向転換路17が設けられている。
また、この例では、スペース的に摺動台12に軌道台11
を抜いた際のボール13の脱落を防止するリテーナが設け
られていない。
対向する各転動溝11a,12a及び11b,12bは、図15に示す
ような断面形状が単一の円弧からなるいわゆるサーキュ
ラアーク形状であっても、図14に示すような2つの円弧
を組み合わせたいわゆるゴシックアーチ形状であっても
良いが、その深さはボール接触角を自由に選択できる深
さに設定されている。この実施例では、ボール転動溝の
深さをボール径のほぼ半分近くに設定している。これに
より、ボール13は、ほぼ半円状をなすボール転動溝11a,
12a及び11b,12bのどこかに接触することになるため、従
来、この種の直線運動案内装置で採用されてきた実質的
に全ての接触角をとることができる。
特に、ボール転動溝がボールよりも僅かに大きい円弧
形状の場合、接触角は水平に対し45度に限られず、実質
的に、任意の角度をとれる。なお、接触角のバリエーシ
ョンが小さい場合には、ボール転動溝はボール径のほぼ
半分とする必要はなく、ボール径のほぼ1/4程度でも良
い。
それに対して、たとえば図23に記載の従来の直線運動
案内装置30の上面側のボールの場合、もともと垂直方向
以外の接触角を対象としていないが、たとえ、垂直以外
の接触角を対象としても、ボール転動溝31a,32aは浅い
ボールよりも僅かに大きい円弧形状の溝であるため、ボ
ール転動溝に対するボールの接触点がボール転動溝の縁
付近になる。従って、その縁部にて接触応力が極めて高
く、転走面の破壊が発生するおそれがある。
かかる直線運動案内装置10において、図3に示したよ
うに、軌道台11の上面に形成された2条のボール転動溝
間のピッチ(距離)B1及び該ボール転動溝と各側面に形
成するボール転動溝とのピッチ(距離)B2+B3を、摺動
台の対応するボール転動溝間のピッチ(距離)A1,A2,A3
に対して種々変更することにより、例えば、図6〜図13
に示したような種々の接触角を持つ直線運動案内装置が
提供され、各方向の荷重に適応した性能を有することと
なる。図6〜図13では、図の分かり易さのために、軌道
台、ボール及び接触角のみを概略的に示した。接触角の
方向は図中一点鎖線で示しており、この線は対向するボ
ール転走溝とのボール接触部間を結んだ線で、以下接触
角線と称す。
図示例はすべて、基本的には、図5に示すように摺動
台12を軌道台11に対して上から押圧する方向のラジアル
荷重PR、摺動台12を軌道台11から上方に浮き上がらせ
る方向に作用する逆ラジアル荷重PL、さらに摺動台12
に左右横方向から作用する横方向荷重PT、の4方向荷
重で代表される軌道台11の軸方向に対して直交するあら
ゆる方向の荷重を受けられる。また、軌道第11の軸方向
Zの周りのモーメントMc、垂直軸Y周りのモーメント
Mb、さらに水平軸X周りのモーメントMAについても基
本的には受けることができるが、接触角を適宜選択する
ことで、特定の荷重作用方向に対応して各方向の剛性を
相対的に変化させたものである。
なお、図24に図示した直線運動案内装置40の場合も、
間隔Aを間隔Bより大きくしたり、小さくしたりするこ
とによって、接触構造がDB構造となったりDF構造となっ
たりするが、接触角自体はほぼ45度のままで変化しな
い。従って、この直線運動案内装置40の場合には、上下
方向に対する横方向の荷重支持能力を任意に変える等、
各方向の荷重に適応した性能を有するようにはできな
い。
図6は本発明の第一の実施例に係る直線運動案内装置
が示されている。
この実施例では、軌道台11の上面に形成された2条の
ボール転動溝11a及びそれに対向する摺動台12のボール
転動溝12a、並びに、軌道台11の各側面に形成された1
条のボール転動溝11b及びそれに対向する摺動台12のボ
ール転動溝12bは、ボール径のほぼ半分近くの深さを有
する単一円弧形状のサーキュラアーク形状とされてい
る。
上側のボール列における接触角はほぼ垂直方向を向い
ており、下側のボール列における接触角線は、水平に対
しそれぞれほぼ45度で且つ該ボール列の位置より上方で
相互に交差している。
この直線運動案内装置は、主荷重である上からの荷重
(ラジアル荷重)に対して大きな荷重支持能力をもって
おり、いわゆる差動滑りが少ない設計となっているた
め、高速運転に適している。すなわち、この場合にはボ
ール転動溝11a,12a;11b,12bの溝断面の曲率半径を、ボ
ールの直径の0.52程度と、通常の大きさに設定して差動
すべりが小さい範囲に設定してある。
また、サーキュラアーク形状のボール転動溝の曲率半
径を、ボール半径にほぼ等しくなるように近付けること
は、上述したボール転動溝のピッチ(距離)であるA1〜
A3とB1〜B3とを僅かに変えるだけで、種々の接触角の直
線運動案内装置を得ることができる効果もある。
なお、差動滑りとは、ボールがボール転動溝に対して
円弧状に接触するために、円弧状のボール接触面の内側
接触径と外側接触径が異なることからボールが回転する
際に接触面に生じる滑りのことで、図14に示すように、
2つの円弧を組み合わせたゴシックアーチ形状のボール
転動溝の場合には4点接触となり、4点接触によるボー
ルの転走は回転における内側接触径d1と外側接触径d2の
差が大きく、ボールが軸Xを中心として転がり運動を行
うと内側接触点Cと外側接触点Dとの差が大きくなり、
ボール外周面とボール転動溝間に大きな滑りが発生す
る。これにより、ボールは滑りながら転がることにな
り、ボール転走時のころがり抵抗が増加して、摺動台12
が軌道台11に沿って運動する際に大きな摩擦抵抗が作用
する。ここで、図中Eは、ボールと転動溝とが接触して
いる領域の形状を表している。
この点、図15に示すように、ボール転動溝が単一円弧
のサーキュラーアーク形状の場合には、ゴシックアーチ
形状に比べて2点接触で接触幅aが少ないので、一般適
には差動すべりが小さくボールは良好な転がり運動をす
る。
図7を参照すると、本発明の第二の実施例に係る直線
運動案内装置が示されている。
この実施例でも、軌道台11の上面に形成された2条の
ボール転動溝11a及びそれに対向する摺動台12のボール
転動溝12a、並びに、軌道台11の各側面に形成された1
条のボール転動溝11b及びそれに対向する摺動台12のボ
ール転動溝12bは、ボール径のほぼ半分近くの深さを有
するサーキュラアーク形状とされている。
上側のボール列における接触角はほぼ垂直方向を向い
ており、下側のボール列における接触角は、ほぼ水平方
向を向いている。
この直線運動案内装置は、主荷重である横からの荷重
に対して大きな荷重支持能力をもっており、いわゆる差
動滑りが少ない設計となっているため、高速運転に適し
ている。
なお、図7(a)の接触角の軌道台と、摺動台を組合
せ、そのボール転動溝間のボールに予圧を付与すると、
ボールの接触角は、図7(b)に示すように互いに挾む
方向に変化して、摺動台を軸方向から見て回転方向に対
してボールに予圧が付与されるので、回転方向に隙間が
ない剛性のある直線運動案内装置が得られる。
図8を参照すると、本発明の第三の実施例に係る直線
運動案内装置が示されている。
この実施例でも、軌道台11の上面に形成された2条の
ボール転動溝11a及びそれに対向する摺動台12のボール
転動溝12a、並びに、軌道台11の各側面に形成された1
条のボール転動溝11b及びそれに対向する摺動台12のボ
ール転動溝12bは、ボール径のほぼ半分近くの深さを有
する単一円弧よりなるサーキュラアーク形状とされてい
る。
図5の実施例では、上側のボール列における接触角
は、水平に対しそれぞれほぼ45度で且つ該ボール列の位
置より上方で相互に交差しており、また、下側のボール
列における接触角も上側のボール列における接触角とほ
ぼ平行な方向を向いている。
この直線運動案内装置は、下からの荷重(逆ラジアル
荷重)に対して大きな荷重支持能力を持っており、いわ
ゆる差動滑りが少ない設計となっているため、高速運転
に適している。
なお、図8(a)の接触角の軌道台と、摺動台を組合
せ、そのボール転動溝間のボールに予圧を付与すると、
ボールの接触角は、図8(b)に示すように互いに挾む
方向に変化して、摺動台を軸方向から見て回転方向に対
してボールに予圧が付与されるので、回転方向に隙間が
ない剛性のある直線運動案内装置が得られる。予圧の付
与は対向するボール転動溝間の間隔とボール径よりも小
さく設定しておくことによって得ることができる。すな
わち、左右側面のボールに予圧を加えると、そのボール
の圧縮反力によって軌道台は水平方向に縮まり方向に微
小変形し、摺動台が水平方向に延びる方向に微小変形す
るために、接触角が変化する。
図9を参照すると、本発明の第四の実施例に係る直線
運動案内装置が示されている。
この実施例では、軌道台11の上面に形成された2条の
ボール転動溝11a及びそれに対向する摺動台12のボール
転動溝12a,並びに、軌道台11の各側面に形成された1条
のボール転動溝11b及びそれに対向する摺動台12のボー
ル転動溝12bは、ボール径のほぼ半分近くの深さを有す
るサーキュラアーク形状とされている。
図9の実施例では、上側のボール列における接触角
は、水平に対しそれぞれ内方向に傾斜して且つ該ボール
転動溝より下方で相互に交差しており、また、下側のボ
ール列における接触角は、水平に対しそれぞれ上方向に
傾斜して且つ該ボール転動溝より上方で相互に交差して
いる。
この直線運動案内装置は、全ての方向の荷重、すなわ
ち、ラジアル荷重PR、水平方向の横荷重PT、下からの
逆ラジアル荷重PLに対して大きな荷重支持能力をもっ
ており、いわゆる差動滑りが少ない設計となっているた
め、高速運転に適している。
図10を参照すると、本発明の第五の実施例に係る直線
運動案内装置が示されている。
この実施例では、軌道台11の上面に形成された2条の
ボール転動溝11a及びそれに対向する摺動台12のボール
転動溝12aは、ボール径のほぼ半分近くの深さを有する
断面単一円弧形状のサーキュラアーク溝とされており、
また、軌道台11の各側面に形成された1条のボール転動
溝11b及びそれに対向する摺動台12のボール転動溝12b
は、ボール径のほぼ半分近くの深さを有する2つの円弧
を組み合わせた形状とされている。
図10の実施例では、図8の実施例と同様に、上側のボ
ール列における接触角は、水平に対しそれぞれほぼ45度
で且つ該ボール列の位置より上方で相互に交差してお
り、また、下側のボール列における接触角も上側のボー
ル列における接触角とほぼ平行な方向を向いている。
この直線運動案内装置は、主荷重である下からの荷重
(逆ラジアル荷重)に対して大きな荷重支持能力をもっ
ており、いわゆる差動滑りが少ない設計となっているた
め、高速運転に適している。
図11を参照すると、本発明の第六の実施例に係る直線
運動案内装置が示されている。
この実施例でも、軌道台11の上面に形成された2条の
ボール転動溝11a及びそれに対向する摺動台12のボール
転動溝12aは、ボール径のほぼ半分近くの深さを有する
サーキュラアーク形状とされており、また、軌道台11の
各側面に形成された1条のボール転動溝11b及びそれに
対向する摺動台12のボール転動溝12bは、ボール径のほ
ぼ半分近くの深さを有するゴシックアーク形状とされて
いる。
図11の実施例では、図6の実施例と同様に、上側のボ
ール列における接触角はほぼ垂直方向を向いており、下
側のボール列における接触角は、水平に対しそれぞれほ
ぼ45度で且つ該ボール列の位置より上方で相互に交差し
ている。
この直線運動案内装置は、主荷重である上からの荷重
(ラジアル荷重)に対して大きな荷重支持能力をもって
いる。この直線運動案内装置に大きなラジアル荷重がか
かると、図11(b)のように、下側のボール列において
4点接触をするようになる。
これにより、いわゆる差動滑りを発生して、たとえば
図4に示すような工作機械の工作物Wの工具TOによる切
削等の際に生じる機械振動を減衰させ、工作物Wの切削
仕上げ荒さの向上と寸法精度の向上が図れる。また、直
線運動案内装置10を駆動するボールねじ機構S、その駆
動源であるモータMに対してダンパ又は緩衝手段とな
る。図4は工作物Wを搬送するトップテーブルTの運動
案内部に本発明のような直線運動案内装置10を用いた例
である。
図12を参照すると、本発明の第七の実施例に係る直線
運動案内装置が示されている。
この実施例では、軌道台11の上面に形成された2条の
ボール転動溝11a及びそれに対向する摺動台12のボール
転動溝12aは、ボール径のほぼ半分近くの深さを有する
ゴシックアーク形状とされており、また、軌道台11の各
側面に形成された1条のボール転動溝11b及びそれに対
向する摺動台12のボール転動溝12bは、ボール径のほぼ
半分近くの深さを有するサーキュラアーク形状とされて
いる。
図12の実施例では、上側のボール列における接触角
は、水平に対しそれぞれほぼ45度で且つ該ボール列の位
置より上方で相互に交差しており、また、下側のボール
列における接触角は、ほぼ水平方向を向いている。この
直線運動案内装置に大きな水平方向荷重がかかると、図
12(b)のように、軌道台の上面の一方のボール列にお
いて4点接触をするようになる。これにより、いわゆる
差動滑りを発生して、工作機械の工作物の切削によって
生じる機械振動を減衰させ、工作物の切削仕上げ荒さの
向上と寸法精度の向上が図れると共に、直線運動案内装
置を駆動するボールねじ機械、その駆動源であるモータ
に対してダンパ又は緩衝手段となる。
図13を参照すると、本発明の第八の実施例に係わる直
線運動案内装置が示されている。
この実施例では、軌道台11の上面に形成された2条の
ボール転動溝11a及びそれに対向する摺動台12のボール
転動溝12a、並びに、軌道台11の各側面に形成された1
条のボール転動溝11b及びそれに対向する摺動台12のボ
ール転動溝12bは、共にボール径のほぼ半分近くの深さ
を有するゴシックアーク形状とされている。
図13の実施例では、摺動台12に大きな下向き荷重が加
わった時、一対のボール転動溝11a,12aに挟み込まれて
いるボールは、軌道台11及び12に形成された対向するボ
ール転動溝に対し合計4点で接触するようになされてい
る。
これにより、大きな下向き荷重を受けることができ、
NC工作機械やマシニングセンタなど、比較的重切削や重
研削加工が求められる工作機械に適する。
また、ボールは、軌道台11及び摺動台12に形成された
ボール転動溝11a,12aに完全4点接触又は接触の仕方に
偏りがある亜4点接触するため、常に、十分な摺動抵抗
が得られる。この摺動抵抗は、下向きの荷重の大きさに
対応して大きくなるから、切削や研削荷重を受けながら
摺動台12を移動させるボールねじ機構が、それら荷重を
直接的に受けることはない。従って、ボールねじ機構
が、重切削や重研削加工により、比較的早く損傷すると
いった従来装置の持っていた欠点がない。
上記図11〜図13の例は、ボール転動溝を図14で示され
るような2つの円弧の組み合わせによって構成されるゴ
シックアーチ形状として、重荷重作用時に4点接触させ
て差動摩擦が得られるように構成しているが、図15で示
すように、単一円弧で構成されるサーキュラーアーク形
状でも、溝断面の曲率半径をボールの曲率半径により近
づけることによって差動すべりを大きくして摺動抵抗を
増大させることができる。
この場合、ボール転動溝の曲率半径Rは、ボールの直
径Daのほぼ0.52より小さい範囲に設定することが好まし
い。ただ、この曲率半径Rをあまりに小さくすると、摩
擦が大きくなりすぎてころがり案内装置本来の特性であ
る軽快な移動を損なうことになるので、0.52〜0.505の
範囲に設定することが好ましく、特に0.51程度に設定す
るのが好適である。
一般的に回転形ころがり軸受の場合には、ボールの転
走する面のころがり摩擦の低減、特に高速回転時の発熱
を防止することを目的として、ボール転動溝の溝断面の
曲率半径を、ボールの直径の0.52〜0.54程度にしてい
る。すなわち、ボール転動溝の曲率半径がボールの直径
の0.5に近づくとボール転動溝に対するボールの接触幅
が大きくなるために、接触幅の中心部と端部との間で差
動すべりが大きくなり、摩擦抵抗が増大し、発熱量も増
大するため、通常は0.52程度以上に設定されている。
また、スラストボールリベアリングの場合にも、ボー
ル転動溝のインナーレース及びアウタレースのボール転
動溝の断面曲率半径をボール直径の0.54程度に設定して
いる。
直線ころがり案内装置もこの考えの延長線上にあり、
ボール転動溝の溝形状として断面が単一円弧形状となる
いわゆるサーキュラーアーク溝を用い、その曲率半径を
ボール直径の0.52〜0.54として摩擦抵抗の増大を可及的
に小さくして用いるのが通例であり、上記した図3乃至
図11に示す例は、この範囲に設定して用いられる。
この発想を転換し、断面単一円弧形状のボール転動溝
における差動すべりを積極的に利用し、工作機械の工作
物の切削によって生じる機械振動を減衰させて、図11〜
図13のゴシックアーチ溝と同様の効果を得ることができ
る。
すなわち、ボール転動溝の軸方向に対して直交する面
で切断した断面形状は、図15に示すように、単一円弧状
のサーキュラーアーク形状となっており、ボールの各ボ
ール転動溝に対するボール接触面は軸方向に対して直交
する方向が長軸となる楕円形状の円弧面となる。
このボール接触面のうち長軸に沿った各接触位置で
は、ボールの回転中心軸からの距離が異なるために、こ
のボール接触面では差動すべりが生じる。すなわち、ボ
ールがころがり運動をした場合に、ボール接触面の長軸
上のある位置ですべりの無いころがり接触をし、他の位
置ではすべりを伴ったころがり接触となる。
従来はこの差動すべりを可及的に小さくして摩擦を軽
減するものであったが、本発明は、この差動すべりを利
用して軸方向摩擦をコントロールして要求される動剛
性,減衰性を得るようにしたものである。
すなわち、ボール転動溝の曲率半径Rをボールの直径
Dの0.51程度に設定すれば、重切削等の負荷荷重により
差動すべりを増加させ、ころがりと滑りが混在した運動
となり、ころがり運動が滑り運動に近くなり、ダンピン
グ性(減衰性)が向上する。ボールと転動溝ですべりこ
ろがり現象が発生して運動が重くなり、減衰性が高ま
り、ダンピングに対して効果を生み、重切削時において
もビビリ量を防ぐことができる。
また、ゴシックアーチ溝形状と異なり、ボール転動溝
の深さをボール径の51%程度に設定すれば、通常のサー
キュラーアーク溝に対してボール接触面積が大きくなり
(ローラに近くなる)、上記接触角の構成と相乗的に重
荷重の負荷能力が飛躍的に高くなり、しかも高剛性で安
定した直線運動を得られる。
次に、上述した図6〜図13の第一ないし第八実施例に
係わる直線運動案内装置の組立て方法について説明す
る。
まず、原材料となる軌道台材及び摺動台材は、例え
ば、引き抜き等により製造した共通のものを使用する。
一方、各ボール転動溝の深さがボール径のほぼ1/4〜1/2
であるサーキュラアーク溝又はゴシックアーク溝を形成
できるドレッサを用意する。各ドレッサの幅方向及び高
さ方向のピッチ(距離)は、どのような接触角の直線運
動案内装置を得ようとするのかによって種々変更され
る。
すなわち、所定の溝形状を形成できる一対の上側ドレ
ッサを幅方向に第1のピッチ(距離)だけ離すと共に上
側ドレッサに対し高さ方向に第2のピッチ(距離)だけ
離した所定の溝形状を形成できる一対の下側ドレッサを
用いて、断面四角形状の共通の軌道台材から軌道台11を
製造する。このようにして製造された軌道台11は、上面
に幅方向に第1のピッチ(距離)だけ離れた一対のボー
ル転動溝11a,11aを有すると共に各側面にボール転動溝1
1aに対し高さ方向に第2のピッチ(距離)だけ離れたボ
ール転動溝11bを有することになる。
次に、所定の溝形状を形成できる一対の上側ドレッサ
を幅方向に第1のピッチとは異なる第3のピッチ(距
離)たけ離すと共に上側ドレッサに対し高さ方向に第2
のピッチ(距離)とは異なる第4のピッチ(距離)だけ
離した所定の溝形状を形成できる一対の下側ドレッサを
用いて、共通の摺動台材から摺動台12を複数種類製造す
る。
このようにして製造された摺動台12は、四角形状の凹
所12cの上面に幅方向に第3のピッチ(距離)だけ離れ
た一対のボール転動溝12a,12aを有すると共に各側面に
ボール転動溝12aに対し高さ方向に第4のピッチ(距
離)だけ離れたボール転動溝12bを有することになる。
これら第3及び第4のピッチ(距離)は、それぞれ、軌
道台11の第1及び第2のピッチと異なるようにされてお
り、その異なる程度を変更することにより、基準となる
1つの軌道台11に対しボール転動溝間のピッチ(距離)
が異なる複数種類の摺動台12が製造される。
そして、各方向の荷重、モーメント荷重にそれぞれ適
する接触角を有するように第1と第3のピッチ(距離)
及び第2と第4のピッチ(距離)の組み合わせを選択
し、所望の接触角及び所望の溝形状の直線運動案内装置
を組立てる。
上述した直線運動案内装置の組立て方法は、軌道台11
を基準として摺動台12を複数種類製造したが、逆に、摺
動台12を基準として軌道台11を複数種類製造しても良
い。ボール転動溝の位置関係は、要するに軌道台側の上
面及び左右側面に形成されるボール転動溝の溝中心間の
位置関係と、摺動台の上面及び左右側面に形成されるボ
ール転動溝の溝中心間の位置関係を、対応するボール転
動溝の間で同一位置にするか、偏位させるように形成す
ればよく、加工基準面を軌道台上面以外に設定してもよ
い。
図16(a)〜(e)は、接触角のその他の各種構成例
を示している。
図16(a)は、軌道台上面の2条のボールの接触角は
略90度とし、左右のボールの接触角は軌道台中央に向か
って水平線に対して所定角度下方に傾斜するような構成
としたものである。この場合、側面のボールによっても
ラジアル荷重を受けることができるので、ラジアル剛性
が高い。
図16(b)は、軌道台の上側のボール列の接触角を、
水平に対してそれぞれほぼ45度でかつボール列の位置よ
りも下方で相互に交差するような構成とし、左右のボー
ル接触角は軌道台中央に向かって水平線に対して所定角
度だけ下方に傾斜するような構成としたものである。
図16(c)は、軌道台の上側のボール列の接触角を、
水平に対してそれぞれほぼ45度でかつボール列の位置よ
りも上方で相互に交差するような構成とし、左右のボー
ル接触角は軌道台中央に向かって水平線に対して所定角
度だけ下方に傾斜するような構成としたものである。
図16(b),(c)は上面側のボールで横荷重も受け
ることができるので、ラジアル荷重と横荷重に対する剛
性が高められる。
図16(d)は、軌道台の上側のボール列の接触角を、
水平に対してそれぞれほぼ45度で同一方向に平行に傾く
ような構成とし、左右のボール接触角は上側のボールの
接触角とは逆向きにそれぞれ水平に対して45度の角度で
平行に傾く構成としたものである。
図16(e)は、軌道台の上側のボール列の接触角を、
水平に対してそれぞれほぼ45度で同一方向に平行に傾く
ような構成とし、左右のボール接触角は、上側のボール
の接触角と同一方向に、それぞれ水平に対して45度の角
度で平行に傾く構成としたものである。図16(d),
(e)は上面側のボールの接触角を平行に傾けているの
で、図中右側からの横荷重を受けることができ、特に図
中右からの横荷重に対する剛性が高くなる。
その他、接触角が水平と傾斜の組み合わせタイプとす
ることもでき、使用部位に対応して必要とされる方向の
剛性を高めた、種々の接触角構造の直線運動案内装置を
提供できる。
[6条タイプ] 図17〜図21は、軌道台の上面及び両側面にそれぞれ2
条で一組のボール転動溝を設け、合計6条のボール転動
溝を備えた6条タイプの直線運動案内装置の例を示して
いる。
図7〜図21は本発明の第九〜第十二実施例に係る直線
運動案内装置を示しており、まず、図7及び図8を参照
しつつ本発明に係る直線運動案内装置の基本構成につい
て説明する。
1は直線運動案内装置全体を示し、概略、軌道台2
と、軌道台2を受け入れる凹所3dを有し軌道台2に沿っ
て直線案内される摺動台3と、摺動台3と軌道台2の間
に転動自在に介在される6条列の無限循環するボール4
とから構成されている。
軌道台2は、断面が四角形状で長手方向に連続してな
るものである。この軌道台2には、上面に長手方向に延
びる2条で一組の軌道台2の長手方向に延びるボール転
動溝2aが、そして、両側面に2条で一組のボール転動溝
2b,2cが形成されている。
摺動台3は、断面四角形状の軌道台2を受け入れる断
面四角形状の凹所3dを有し、この凹所3dの上面及び両側
面に軌道台2の縦方向及び横方向の荷重を受けるボール
転動溝2a,2b,2cに対応するボール転動溝3a,3b,3cが形成
されており、この摺動台3は、軌道台2が凹所3dに挿入
されて軌道台2に跨がるように装着されている。
摺動台3は、高剛性の摺動台ブロック5と、摺動台ブ
ロック5の両端面に固定される側蓋6と、から構成され
ている。そして、摺動台ブロック5の凹所3dに上記した
ボール転動溝3a,3b,3cと、ボール逃げ穴6が形成されて
いる。側蓋6には、対向する各ボール転動溝2a,3a及び2
b,3b;2c,3cの間の負荷域のボール通路両端とボール逃げ
穴7両端とをつなぐ方向転換路が設けられている。
この軌道台2のボール転動溝2a,2b,2cと、対応する摺
動台3のボール転動溝3a,3b,3c間に、それぞれ多数のボ
ール4が転動自在に装填され、上面に2条のボール列
5、両側面に2条のボール列6,7の計6条のボール列が
形成されている。
そして、軌道台2又は摺動台3のうち、いずれか一方
の両側面の2条のボール転動溝2b,2c(又は3b,3c)を、
相互に対応する軌道台2又は摺動台3のボール転動溝3
b,3c(又は2b,2c)に対して溝中心の対応位置関係を上
下方向へ同一若しくは偏位させ、前記した溝中心の対応
位置関係が上下方向へ同一若しくは偏位している軌道台
2又は摺動台3を相手側の軌道台2又は摺動台3に任意
の組み合せでもって装着してなるものである。
このように、溝中心の対応位置関係が上下方向へ同一
若しくは偏位している軌道台2又は摺動台3を相手側の
軌道台2又は摺動台3に任意の組み合わせでもって装着
することにより、両側面のボール列6,7のボール3の接
触角を調整することができる。これにより、負荷に対し
て必要な方向の上下の縦方向及び左右の横方向の剛性を
得ることができ、用途に応じた荷重負荷特性を備えた直
線運動案内装置を提供できる。
上記接触角を調整する上で、ボール転動溝を以下のよ
うにすることが好ましい。
すなわち、対向する各ボール転動溝2a,2b,2c及び3a,3
b,3cは、図15に示したサーキュラアーク形状であって
も、図14に示したゴシックアーク形状であっても良い
が、少なくとも両側面の対応する各ボール転動溝2b,2c
及び3b,3cの深さがボール4の径のほぼ1/2とする。これ
により、両側面の2条のボール列6,7のボール4は、ほ
ぼ半円状をなすボール転動溝2b,2c及び3b,3cのどこかに
接触することになるため、実質的に全ての接触角をとる
ことができる。なお、接触角のバリエーションが小さい
場合には、ボール4の径のほぼ1/4程度でも良い。
図17乃至図21においては、上記構成の直線運動案内装
置における溝中心の対応位置関係を上下方向へ同一若し
くは偏位させ、軌道台2又は摺動台3を相手側の軌道台
2又は摺動台3に任意に組み合わせて各種接触角構造を
とったものである。
図17は、本発明の第九実施例であり、軌道台2の両側
面の2条のボール転動溝2b,2cの溝中心OAを、対応する
摺動台3のボール転動溝3b,3cの溝中心OBに対して溝中
心の対応位置関係を上方に偏位させるか、又は、摺動台
3の両側面の2条のボール転動溝3b,3cの溝中心OBを、
対応する軌道台2のボール転動溝2b,2cの溝中心OAに対
して溝中心の対応位置関係を下方に偏位させて、両側面
の2条ボール列6,7のボール4の接触角を水平に対し軌
道台2の内側に向かって上方に傾くほぼ45度としたもの
である。この偏位させる方法としては、第一乃至第八実
施例で説明した組立方法と同様にして設定することがで
きる。一方、上面の2条のボール列5のボール4の接触
角は、水平に対しほぼ90度としている。
この第九実施例の場合には、摺動台3に対し上方から
作用する縦方向の荷重(ラジアル荷重)PRは、上面の
2条のボール列5により支持される。また左右から作用
する横方向の荷重(水平方向荷重)PTは、荷重の方向
によっていずれか一方の側面の2条のボール列6,7によ
って支持される。さらに下方から作用する縦方向の荷重
(逆ラジアル荷重)PLは、両側面の2条の2条のボー
ル列6,7によって支持される。
しかも、両側面の2条のボール列6,7のボール4の接
触角を水平に対し軌道台2の内側に向かって上方に傾く
ほぼ45度となっているので、逆ラジアル方向と横方向の
荷重を均等に受けることができる。また、基本的に左右
側面一条タイプに対して横方向荷重に対する剛性が高
い。
また、ラジアル方向の荷重に対しては、上面の水平に
対してほぼ90度の接触角の2条のボール列5により支持
されているので、剛性が大きくなる。
特に、上述したように、ボール転動溝の深さボール径
の51%程度に設定すれば、通常のサーキュラーアーク溝
に対してボール接触面積が大きくなり(ローラに近くな
る)、上記接触角の構成と相乗的に重荷重の負荷能力が
飛躍的に高くなり、しかも高剛性で安定した直線運動を
得られる。
つまり、ラジアル方向、逆ラジアル方向、水平方向
(左右)の荷重が作用する場合において、最適な軌道台
と摺動台の組み合わせである。
図19には、本発明の第十の実施例に係る直線運動案内
装置を示しており、この直線運動案内装置1aは、軌道台
2又は摺動台3のうち、いずれか一方の両側面の2条の
ボール転動溝2b,2c(又は3b,3c)を、相互に対応する軌
道台2又は摺動台3のボール転動溝3b,3c(又は2b,2c)
に対して溝中心の対応位置関係を同一として、両側面の
2条のボール列6,7のボール4の接触角を水平に対しほ
ぼ0度としたものである。一方、上面の2条のボール列
5のボール4の接触角は、水平に対しほぼ90度としてい
る。
この第十実施例にあっては、摺動台3に対し上方から
作用する縦方向の荷重(ラジアル荷重)は、上面の2条
のボール列5により支持される。また左右から作用する
横方向の荷重(水平方向荷重)は、荷重の方向によって
いずれか一方の側面の2条のボール列6,7によって支持
される。
そして、両側面の2条のボール列6,7のボール4の接
触角を水平に対しほぼ0度とし、また上面の2条のボー
ル列6,7のボール4の接触角が水平に対してほぼ90度と
しているので、高剛性となるばかりか、ラジアル荷重と
水平荷重を均等に受けることができる。
つまり、水平方向(左右)及びラジアル方向の荷重に
対して大きな剛性を有し、ラジアル方向、水平方向(左
右)荷重が作用する場合において最適な軌道台と摺動台
の組み合わせである。
図20には、本発明の第十一の実施例に係る直線運動案
内装置を示している。この例は、両側面の上段の2条の
ボール列6,7のボール4の接触角を水平に対してほぼ45
度とし、この接触角における接触線の交点が軌道台2の
内側に位置するようになっており、両側面の下段の2条
のボール列6,7のボール4の接触角を水平に対しほぼ0
度としたものである。
一方、上面の2条のボール列5のボール4の接触角
は、水平に対しほぼ45度とし、この接触角の交点が、軌
道台2の外側で交差するようになっている。
また図21には、本発明の第十二の実施例に係る直線運
動案内装置を示しており、この直線運動案内装置1cは、
上記第十一の実施例の直線運動案内装置において、両側
面のボール列6,7の接触角を関係を第3実施例と逆の組
み合わせとしたものである。すなわち、両側面の下段の
2条のボール列6,7のボール4の接触角を水平に対して
ほぼ45度とし、この接触角における接触線の交点が軌道
台2の内側に位置するようになっており、両側面の上段
の2条のボール列6,7のボール4の接触角を水平に対し
ほぼ0度としたものである。
つまり、上記第十一,十二の実施例における軌道台2
と摺動台3の組み合わせは、逆ラジアル方向の荷重に対
して大きな負荷が加わる場合において最適な軌道台と摺
動台の組み合わせである。
図22(a)〜(c)には、各ボールの他の接触角構成
例を示している。接触角の組み合わせは、図示例以外の
任意の組み合わせが可能である。
また、図22(d)は側面のボール列を、一側を2条、
他側を1条列としたもの、図22(e)は、図22(d)に
加えて上面のボールを1条列とした構成である。
このように、上面および側面のボール列を1条列と2
条列の組み合わせとすることもできるし、場合によって
は、上面および左右両側面をすべて1条列として3条列
構成とすることもできる。さらに、2条に限らず、3条
列以上の条列とすることも可能である。
また、上記各実施例では、軌道台2から摺動台3を抜
いた時にボール4が脱落するのを防止するためのリテー
ナが設けられていないものを例にとって説明したが、本
発明はリテーナを有するタイプについても適用できるも
のである。
さらに、上記各実施例では、軌道台を断面四角形状と
し、それに伴い摺動台の凹所も断面四角形状としたもの
を例にとって説明したが、特にこの形状に限るものでは
ない。
これにより、負荷に対して必要な方向の荷重特性を得
ることができ、用途に応じた負荷容量の大きい装置を提
供することができる。
産業上の利用可能性 本発明の直線運動案内装置では、各ボール転動溝にお
ける接触角は、軌道台の上面に形成された2条のボール
転動溝間の距離及び該ボール転動溝と各側面に形成する
ボール転動溝との距離を、摺動台の対応するボール転動
溝間の距離に対して種々変更することにより、任意に設
定することができるため、軌道台と摺動台のボール転動
溝間ピッチを荷重条件に合わせて変化させ最適の接触角
をもつボール転動溝を形成することにより各方向の荷重
に適応した性能を有するようにできる効果がある。
ボール転動溝の断面形状は、単一円弧形状でも、2つ
の円弧を組み合わせた構成でもよいが、その深さは任意
のボール接触角を選択できる程度の深さに設定されるも
ので、ボール直径の1/4〜1/2程度とすることが好まし
い。このようにすれば、ボールは円弧状をなすボール転
動溝のどこかに接触することになるため、従来、この種
の直線運動案内装置で採用されてきた実質的に全ての接
触角をとることができる。
本発明方法では、原材料となる摺動台材、摺動台材は
共通のものを使用することができ、また、ボール転動溝
の形成にあたって、ドレッサの種類及びピッチ(距
離)、従って、それによって形成されるボール転動溝間
ピッチを荷重条件に合わせて変えるだけで種々の直線運
動案内装置が得られるから、生産性が飛躍的に向上す
る。

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軌道台と、該軌道台を受け入れる凹所を有
    し前記軌道台に沿って直線案内される摺動台と、該摺動
    台と前記軌道台の間に転動自在に介在されるボールとを
    具備し、 前記軌道台は、上面に少なくとも1条のボール転動溝を
    備えているとともに両側面にそれぞれ少なくとも1条の
    ボール転動溝とを備え、 前記摺動台の凹所の上面及び両側面に前記軌道台の上面
    及び両側面のボール転動溝に対応するボール転動溝を備
    えてなる直線運動案内装置において、 前記軌道台又は摺動台のうち、いずれか一方の上面及び
    両側面のボール転動溝を、相互に対応する軌道台又は摺
    動台のボール転動溝に対して溝中心の対応位置関係を同
    一若しくは偏位させ、前記した溝中心の対応位置関係が
    同一若しくは偏位している軌道台又は摺動台を相手側の
    軌道台又は摺動台に任意の組み合せでもって装着してな
    ることを特徴とする直線運動案内装置。
  2. 【請求項2】軌道台上面には2条のボール転動溝を備え
    ると共に軌道台左右側面にはそれぞれ1条のボール転動
    溝を備えている請求項1に記載の直線運動案内装置。
  3. 【請求項3】軌道台上面には2条で一組のボール転動溝
    を備えているとともに両側面に2条で一組のボール転動
    溝とを備えている請求項1に記載の直線運動案内装置。
  4. 【請求項4】軌道台の断面が四角形状であり、前記軌道
    台上面の2条のボール転動溝間の距離及び該上面と各側
    面に形成されたボール転動溝間の距離を、前記摺動台の
    対応するそれぞれのボール転動溝間の距離に対して変更
    することにより、軌道台と摺動台の対応するボール転動
    溝の溝中心を対応位置関係を同一若しくは偏位させてい
    る請求項2または3に記載の直線運動案内装置。
  5. 【請求項5】ボール転動溝の深さをボール接触角を自由
    に選択できる程度の深さとしたことを特徴とする請求項
    1,2,3または4に記載の直線運動案内装置。
  6. 【請求項6】ボール転動溝の深さをボール径のほぼ1/4
    〜1/2のとしたことを特徴とする請求項5に記載の直線
    運動案内装置。
  7. 【請求項7】軌道台の上面に形成されたボール転動溝及
    びそれに対向する前記摺動台のボール転動溝はボールよ
    りも僅かに大きい円弧形状をなし、そして、前記軌道台
    の各側面に形成された少なくともボール転動溝及びそれ
    に対向する前記摺動台のボール転動溝は2つの円弧を組
    み合わせた形状をなすことを特徴とする請求項1,2,3,4,
    5または6に記載の直線運動案内装置。
  8. 【請求項8】軌道台の上面に形成されたボール転動溝及
    びそれに対向する前記摺動台のボール転動溝、並びに、
    前記軌道台の各側面に形成されたボール転動溝及びそれ
    に対向する前記摺動台のボール転動溝は共にボールより
    も僅かに大きい円弧形状をなすことを特徴とする請求項
    1,2,3,4,5または6に記載の直線運動案内装置。
  9. 【請求項9】軌道台の上面に形成されたボール転動溝及
    びそれに対向する前記摺動台のボール転動溝、並びに、
    前記軌道台の各側面に形成されたボール転動溝及びそれ
    に対向する前記摺動台のボール転動溝は共に2つの円弧
    を組み合わせた形状をなすことを特徴とする請求項1,2,
    3,4,5または6に記載の直線運動案内装置。
  10. 【請求項10】軌道台の上面に形成されたボール転動溝
    及びそれに対向する前記摺動台のボール転動溝は2つの
    円弧を組み合わせた形状をなし、そして、前記軌道台の
    各側面に形成されたボール転動溝及びそれに対向する前
    記摺動台のボール転動溝はボールよりも僅かに大きい円
    弧形状をなすことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または
    6に記載の直線運動案内装置。
  11. 【請求項11】前記軌道台及び摺動台の上面の相互に対
    応する2条で一組のボール転動溝間に介在されるボール
    の接触角を水平に対して90度とし、前記軌道台及び摺動
    台の両側面の相互に対応する2条で一組のボール転動溝
    間に介在されるボールの接触角を、水平に対し軌道台の
    内側に向かって上方に傾くほぼ45度としたことを特徴と
    する請求項3,に記載の直線運動案内装置。
  12. 【請求項12】前記軌道台及び摺動台の両側面の相互に
    対応する2条で一組のボール転動溝間に介在されるボー
    ルの接触角を水平に対しほぼ0度とし、前記軌道台及び
    摺動台の上面の相互に対応する2条で一組のボール転動
    溝間に介在されるボールの接触角を水平に対しほぼ90度
    とすることを特徴とする請求項3に記載の直線運動案内
    装置。
  13. 【請求項13】軌道台及び摺動台に形成された全てのボ
    ール転動溝はボールよりも僅かに大きい単一円弧形状を
    なし、この内少なくとも一つのボール転動溝の溝断面の
    曲率半径をボールの直径の0.52より小さい範囲に設定し
    たことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6に記載の
    直線運動案内装置。
  14. 【請求項14】ボール転動溝の溝断面の曲率半径をボー
    ルの直径の0.51程度に設定したことを特徴とする請求項
    13に記載の直線運動案内装置。
  15. 【請求項15】上面に第1ボール転動溝と、左右両側面
    に第2ボール転動溝を備えた第1部材を形成する工程
    と、 第1部材に対して所定数の条列のボールを介して滑動自
    在に組み立てられる第2部材であって、前記第1部材の
    第1ボール転動溝に対して溝中心の対応位置関係が同一
    若しくは偏位させて設けられる第3ボール転動溝と、前
    記第1部材の第2ボール転動溝に対して溝中心の対応位
    置関係が同一若しくは偏位させて設けられる第4ボール
    転動溝と、を備えた第2部材を複数種類形成する行程
    と、 各方向の荷重、モーメント荷重にそれぞれ適する接触角
    を有するように前記第1部材と複数種類の第2部材との
    組み合わせを選択する工程と、 を備えてなる直線運動案内装置の組立て方法。
  16. 【請求項16】幅方向に第1のピッチだけ離れた一対の
    第1ボール転動溝と、該第1ボール転動溝に対し高さ方
    向に第2のピッチだけ離れた一対の第2ボール転動溝を
    備えた第1部材を形成する工程と、 前記第1部材に対し4条列のボールを介して滑動可能に
    組立てられる第2部材であって、幅方向に前記第1のピ
    ッチと異なる第3のピッチだけ離れた一対の第3ボール
    転動溝と、該第3ボール転動溝に対し高さ方向に前記第
    2のピッチと異なる第4のピッチだけ離れた一対の第4
    ボール転動溝を備えた第2部材を複数種類形成する工程
    と、 各方向の荷重、モーメント荷重にそれぞれ適する接触角
    を有するように前記第1と第3のピッチ及び前記第2と
    第4のピッチの組み合わせを選択する工程と、 を備えてなる直線運動案内装置の組立て方法。
  17. 【請求項17】ボール転動溝の深さをボール接触角を自
    由に選択できる程度の深さとしたことを特徴とする請求
    項13または14に記載の直線運動案内装置の組立て方
    法。。
  18. 【請求項18】ボール転動溝の深さをボール径のほぼ1/
    4〜1/2のとしたことを特徴とする請求項15に記載の直線
    運動案内装置の組立て方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009034923A1 (ja) * 2007-09-14 2009-03-19 Thk Co., Ltd. 軌道レール及びこの軌道レールを備える運動案内装置
CN109973519A (zh) * 2019-04-07 2019-07-05 苏州华正工业科技有限公司 正压力重载柱滚动导轨副
CN113803370A (zh) * 2021-10-21 2021-12-17 杭州高正精密机械有限公司 一种六向定位自动补偿间隙的直线导轨滑块

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