JP2622796B2 - エレクトロスラグ再溶解用電極および該電極を用いた合金の製造方法 - Google Patents
エレクトロスラグ再溶解用電極および該電極を用いた合金の製造方法Info
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Description
溶解に使用される中空形状の電極およびこの電極を用い
た合金の製造方法に関するものである。
産性の向上のために設備の大型化と操業条件の苛酷化が
進んでおり、これらの諸設備に使用される鍛造品には安
全操業を確保するために、エレクトロスラグ再溶解法
(以下ESR法という)によるESR鋳塊から製造され
る場合が増加している。ESR法は、中実電極から溶融
スラグへの通電により発生するジュール熱で電極を溶融
させてスラグ下に滴下させ、この鋳型内溶融金属プール
を指向性凝固させることにより良好な肌と内部性状を有
する鋳塊を得る方法である。このような良質な鋳塊を得
るためには、適切なスラグ温度を維持しながら溶融金属
プールを制御する必要があり、電極送入速度、電圧、電
流、スラグ浴の深さ、スラグ組成、フィルレイショ(電
極径/鋳型径)などの因子によって適切なESR条件が
決定される。
金鋼ではフレッケル状やストリーク状のマクロ偏析に対
する感受性が比較的小さいので、小型の鋳塊を製造する
場合には偏析が問題となることは少なく、大型の鋳塊を
製造する場合に偏析が問題となる。一方、Ni、Cr、M
nなどの元素を多量に含有する高合金やNi基あるいはC
o基の超合金では、偏析に対する感受性が高いので、比
較的小さい鋳塊を製造する場合にも偏析が生成して良好
な性能を有する製品を製造できないという問題がある。
この発明は、上記事情を背景としてなされたものであ
り、大型のESR鋳塊を製造する際にも金属溶融プール
を浅くして、偏析の少ない鋳塊を得ることができるES
R用電極を提供するものである。
め、本願発明のESR用電極は、電極芯部に、軸心方向
に沿って形成された孔による中空部を有しており、該中
空部の断面積が、中空部を含む電極全断面積に対し、
0.16〜0.64の比率からなることを特徴とする。
第2の発明は、円筒状からなる中空電極において、該電
極内径が外径に対し、0.4〜0.8の比率からなり、
さらに該電極の外径が、鋳型内径に対し、0.4〜0.
95の比率からなる。第3の発明は、上記電極を用いて
エレクトロスラグ再溶解を行って合金を製造することを
特徴とする。
する合金(鋳塊)に従ってその組成が定められるもので
あり、組成が特に限定されるものではないが、偏析が特
に問題となる種別のESR鋳塊の製造に適している。例
えば、800mm径以上で、鉄以外の合金元素の含有量
が5%未満の炭素鋼や低合金鋼鋳塊、600mm径以上
で合金元素の全含有量が5%以上かつ50%未満の高合
金鋼鋳塊、350mm径以上で合金元素の全含有量が5
0%以上の超合金鋳塊の製造に好適である。
を製造するためには溶融金属プールを浅く皿状にするこ
とが不可欠であり、これが深くなると、凝固組織の緻密
化が妨げられて組織が粗大化しやすく、また逆V偏析な
どのマクロ偏析が発生しやすい。しかし、鋳塊が限界の
大きさ以上になると良好な肌を確保しつつマクロ偏析が
生成しない程度の浅いプールにすることは困難である。
ると、フィルレイショが小さい場合は溶融スラグ中央部
での発熱量が多く、電流が凝固した鋳塊中に多く流れて
ジュール発熱も多くなり、プールは深くなる傾向にあ
る。一方、フィルレイショが大きいと溶融スラグ全体で
発熱し、電流は鋳型へ流れる割合が増えるのでプールは
浅くなる傾向にある。しかし、フィルレイショを大きく
する後者の方法でも、偏析が生成しない程に十分に浅い
プールにすることは容易ではない。しかるに本願発明に
よれば、電極中心部直下から鋳塊内を流れる電流が少な
くなり、中心部の溶融プールの深さが浅くなって、全体
としてプール形状が平坦化され、偏析の発生を抑制す
る。また、鋳型近傍で、通電量が増えてスラグの温度が
高くなり、得られる鋳塊肌が良好になる。
れないが、例えば要求されるガス成分や不純物成分に応
じて大気中あるいは真空中で溶解、精錬、造塊した中空
鋳塊や、中実鋳塊を孔明けしたもの、鋳塊を板状に加工
して板曲げし溶接したもの、中空電極の分割材を組み立
て溶接したものなどを用いて目的の中空電極を得ること
ができる。このようにして製造される電極の外形は、円
柱形状の他に、角柱形状やその他の異形形状とすること
ができる。そして、電極に形成される孔は、通常は電極
の中心部に位置するが、完全に中心に位置するものに限
定されるものではなく、ほぼ中心である芯部に形成され
るものであればよい。
常は電極外壁と相似形の断面形状に形成される。例え
ば、円柱形状の電極に丸孔を形成し、角柱形状の電極
に、角孔を形成する。この孔は通常は、電極の両端に貫
通させるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、
ESR操業初期または終期では、中実部を溶融させるよ
うに、電極の一端または両端で孔が閉塞しているもので
あってもよい。また、孔は軸心方向に沿って同一断面形
状を有する直孔状に形成するのが通常であるが、軸方向
位置によっては異形断面としてもよく、例えば、孔の内
面形状を軸心方向に沿ってテーパー状とすることも考え
られる。また、孔は通常は電極の芯部に一つを形成する
が、複数形成する可能性もある。
積が、電極外壁内側の全断面積に対し、0.16〜0.
64の比率からなるようにする。これを円柱電極におけ
る丸孔で考えれば、孔の径が、電極の外径に対し、0.
4〜0.8の比率からなることを意味している。上記範
囲内においては溶融金属プールが平坦化されて偏析の発
生が防止され、また、溶解速度が上がって電力効率が向
上する。上記の比が下限未満であると、溶融金属プール
の形状変化に及ぼす影響が小さく、十分な溶融プール平
坦化の効果が認められない。また、上限を越えると、必
要鋳塊重量を得るための電極長さが増大し、実操業への
適用が困難になり、また溶解速度が上がりすぎて電極の
スラグ中への浸漬深さが深くなり、操業の安定性が損な
われるため、断面積比で0.16〜0.64、径の比で
0.4〜0.8の範囲とした。
対し、0.4〜0.95の比率からなるのが望ましい。
上記比が0.4未満であると必要鋳塊重量を得るための
電極長さが増大し、実操業への適用が困難になる。また
比が0.95を越えると、鋳型と電極との間隔が狭くな
り、鋳型または電極の昇降において鋳型と電極が接触す
る可能性があり、実操業への適用が困難になるおそれが
あるため、上記比が0.4〜0.95の範囲内にあるの
を望ましいものとした。
に、例えば中空ESR鋳塊の製造などに際して、中空電
極を円周上に複数配置してESRすることも可能であ
り、その場合にも中空電極固有の効果が得られる。
し、さらに中子を用いて中心に丸孔を有する円柱状電極
を鋳造した。なお、表1に示すように電極の内径/外径
比を変えた4種の電極を発明電極A〜Dとした。また、
従来法により中子を用いることなく鋳造した中実電極を
比較電極Eとして用意した。これらの電極はほぼ同じ電
極断面積(孔部は除く)とし、同一の溶解速度が得られ
るようにESR条件を設定した。
径の鋳型内で50%CaF2−20%CaO−30%Al2
O3(重量%)スラグを使用して、260g/minの
溶解速度でESRを行った。ESR開始15分後に溶融
プール中にFe−Sを添加してサルファプリントを得て
溶融プールの深さを測定し、鋼塊外表面からの距離との
関係を図1のグラフに示した。図1から明らかなよう
に、本発明の中空電極を用いてESRを行ったものは、
いずれも溶融プールの深さが浅く、プールが平坦化され
ている。これに対し従来の中実電極を用いてESRを行
ったものでは、中心部のプール深さが非常に深くなって
おり、本発明の範囲外の中空電極では、溶融プールが十
分に平坦化されていない。
と、比較電極Eとを用いて、実施例1と同様の鋳型およ
びスラグ条件で、ESR電流を変えて電極の溶解速度を
測定した。その結果は図2に示すとおりであり、発明電
極は、比較電極に比べ、同一のESR電流でもより大き
な溶解速度が得られている。したがって、本願発明の中
空電極を使用することにより溶解速度が非常に大きくな
ってESR電力費を低減できる効果が認められた。これ
は電極とスラグとの接触面積が増大していることが影響
しているものと思われる。
に好適な合金種を表2に示すように6種選択し、低合金
鋼、高合金鋼では電気炉で溶解し、取鍋精錬炉(VOD
炉)で真空精錬した溶鋼をAr雰囲気中で下注ぎして中
実または中空電極を製造した。また、超合金では真空溶
解炉により材料を溶解して断片的な鋳造電極を溶製し、
これを溶接により中実および中空電極とした。なお上記
電極の製造に際しては形状の異なる複数の電極を製造
し、ESRを行った。この際に、溶解速度を測定した。
得られたESR鋳塊は鍛造比4で丸棒とした後、マクロ
腐食によりマクロ偏析を評価するとともに鋳塊肌を評価
して、その結果を表2に示した。
に、低合金鋼、高合金鋼では鋳塊肌は良好からやや不良
なものまであり、内部性状ではいずれも軽微なマクロ偏
析が生成していた。また、超合金では鋳塊肌がやや不良
であり、顕著なマクロ偏析の生成も認められた。これに
対し、中空電極を用いたものでは鋳塊肌、内部性状とも
に著しく改善されており、良質なESR鋳塊が得られ
た。
状電極に丸孔を形成したものについて説明したが、電極
および孔の形状がこれに限定されるものではなく、例え
ば図3に示すように角柱電極1やセグメント化した電極
2、電極3、電極4などを例示することができる。
電極によれば、溶融プール形状が浅くなって平坦化さ
れ、偏析の生成が抑止されて、大型鋳塊や偏析感受性の
高い合金種においても偏析のない高品質のESR鋳塊が
得られる効果がある。また、中空電極の使用により溶解
速度が増大し、電力費の低減および生産効率が向上する
効果もある。
融プール深さとの関係を示すグラフである。
解速度との関係を示すグラフである。
横断面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 電極芯部に、軸心方向に沿って形成され
た孔による中空部を有しており、該中空部の断面積が、
中空部を含む電極全断面積に対し、0.16〜0.64
の比率からなることを特徴とするエレクトロスラグ再溶
解用電極 - 【請求項2】 円筒状からなる中空電極において、該電
極内径が外径に対し、0.4〜0.8の比率からなり、
さらに該電極の外径が、鋳型内径に対し、0.4〜0.
95の比率からなる請求項1記載のエレクトロスラグ再
溶解用電極 - 【請求項3】 合金からなる請求項1または2記載の電
極を用いてエレクトロスラグ再溶解を行うことを特徴と
する合金の製造方法
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