[go: up one dir, main page]

JP2614004B2 - 活性金属の溶解・注入方法及びその装置 - Google Patents

活性金属の溶解・注入方法及びその装置

Info

Publication number
JP2614004B2
JP2614004B2 JP34037192A JP34037192A JP2614004B2 JP 2614004 B2 JP2614004 B2 JP 2614004B2 JP 34037192 A JP34037192 A JP 34037192A JP 34037192 A JP34037192 A JP 34037192A JP 2614004 B2 JP2614004 B2 JP 2614004B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
crucible
melt
melting
metal crucible
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34037192A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06182525A (ja
Inventor
正夫 中司
Original Assignee
株式会社ファイメット
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社ファイメット filed Critical 株式会社ファイメット
Priority to JP34037192A priority Critical patent/JP2614004B2/ja
Publication of JPH06182525A publication Critical patent/JPH06182525A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2614004B2 publication Critical patent/JP2614004B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crucibles And Fluidized-Bed Furnaces (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、チタン、ジルコニウ
ム等の活性金属の精密鋳造に係り、特に歯科用、整形外
科用或いは工業用精密部品等の小型精密鋳造品の製造に
おいて、少量でしかも汚染の全くない高温の活性金属溶
融体をるつぼから落下途中に他の物体に触れることなく
鉛直落下させ、直接鋳型湯口の中心に注入する活性金属
の溶解・注入方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】チタン及びチタン合金は、優れた耐熱耐
食性を有し、比強度が高く、しかも生体親和性が極めて
優れているため、整形外科用人工骨及び歯科用補綴材料
として、最近特に注目されるようになった。しかし、そ
の一方で、チタンは酸素、窒素、炭素等に対する化学親
和力が極めて大きく、特に、高温ではこれらの元素を含
む殆どすべての耐火物と直ちに反応してこれを分解し、
自らはこれらの元素と強力に結合して汚染され、機械的
性質の低下をきたす傾向が強い。しかも、これらの元素
との反応生成物、例えば、酸化チタン、窒化チタン及び
炭化チタン等の溶融点は何れもチタン自体の溶融点より
はるかに高いため、一旦、これらの反応生成物が生成さ
れると、流動性を著しく阻害し、汚染の甚だしい場合は
鋳造を困難にすることも少なくなかった。
【0003】従って、鉄、銅系等の低活性金属の溶解に
用いられるような耐火るつぼにより、チタンのような活
性金属の溶解を行うことは困難であり、活性金属との反
応性が極めて低いとされるカルシア(Ca O)又はイッ
トリア(Y2 3 )等の耐火るつぼで誘導溶解した場合
でも、初回はともかくとして溶湯残滴と空気の接触を完
全に遮断しない限り、回を追うごとに汚染が進むことと
なる。また、アークを用いてこれらの耐火るつぼ上で溶
解を行う場合は、高温のアークにより分解されたCa O
又はY2 3 中の酸素により、活性金属が汚染される傾
向が強い。このため、従来耐火るつぼ溶解によって汚染
の全くない清浄な活性金属の溶融体を安定的に得ること
は事実上殆ど不可能であったといってよい。
【0004】従来、チタン等の活性金属の溶解におい
て、るつぼとの反応による汚染を避け、清浄な活性金属
溶融体を得る方法として工業的に最も広く用いられてき
たのは、図14に示すような水冷銅るつぼ34によるス
カル溶解法である。この場合、溶解は真空中又はアルゴ
ンなど不活性ガス雰囲気中で行われ、金属消耗電極33
と水冷銅るつぼ34の中の溶解材料との間に生ずる直流
アーク35により溶解された活性金属溶融体36は、水
冷銅るつぼ34により冷却されてその内面に凝固殻即ち
スカル36Sを形成し、溶融体36はそれと全く同一成
分のスカル36S内に保存され、溶融体36が所望の温
度及び量に達した時点で、水平回転軸37を回転して鋳
型に注入される。
【0005】最近、上記のスカル溶解をさらに進展さ
せ、複数個の縦形に分割された水冷金属るつぼで円筒形
のるつぼを構成し、活性金属を誘導溶解する方法が特公
平3−44133号公報に開示されている。さらに、複
数個の縦形に分割された水冷金属るつぼで構成された円
筒形るつぼの底壁部を分離した構造として、誘導溶解を
行い、該底壁部を駆動機構により円筒形側壁部から分離
することによって、溶湯を鉛直下方に落下させて鋳型に
注入する方法が、特開平4−138865号に提案され
ている。
【0006】つぎに、従来比較的少量の溶解を行う歯科
鋳造等の精密鋳造では、チタン合金など活性金属の溶解
手段には、アルゴンなど不活性ガス雰囲気中におけるタ
ングステン・アーク即ちTIGアークと、非水冷のるつ
ぼが最も多く用いられてきた。その代表的なものとし
て、溶解材料(インゴット)は中央に円形開口部を有す
るるつぼ上に載置され、TIGアークによって溶解され
た活性金属を開口部を経由して自然落下せしめ鋳型に注
入する方法(特公昭58−5749号公報参照)、又
は、るつぼを2分割し両開きにして注入を随意的に行う
ようにしたもの、或いは箱形るつぼの水平軸を回転して
注入する装置(特開平1−91953号公報参照)、又
は、るつぼの一方に偏心する水平軸の回りに傾動する装
置(特開平3−193260号公報参照)等が提案され
てきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
図14のような工業炉に広く用いられている直流アーク
によるスカル溶解法、及び、前掲特公平3−44133
号公報及び特開平4−138865号公報に開示された
誘導加熱によるスカル溶解法、は何れも側壁を持つ水冷
金属るつぼの中で活性金属のスカル溶解を行う点で共通
しており、溶融体は底面のみならず側面からも冷却され
るため熱損失が大きく、相当大容量の工業炉においてす
ら溶融体の過熱はかなり困難とされている。従って、溶
解量が少量でしかも極めて薄肉の先端部を充填するため
に少なくとも100℃程度の過熱を必要とする活性金属
の歯科鋳造等の小型精密鋳造に、上記のような水冷金属
るつぼによる誘導加熱スカル溶解法が適用されることは
なかった。
【0008】更に、上記の歯科鋳造等に用いられる少量
の活性金属の注入方法のうち、非水冷の金属るつぼの開
口部を経由する自然落下方式のものは、溶融体を鋳型湯
口の中心に注入しやすい利点はあるが、活性金属の溶融
体が低温の金属るつぼの開口部を通過する際に、熱伝導
により相当の熱量を失い高温の溶融体を得がたい憾みが
あった。また、金属るつぼの口径が小さすぎると溶融体
の通過が困難となり、加熱を強行するとるつぼの溶損事
故を生じやすく、逆に口径が大きいと溶融体の通過は容
易となるが、未溶解部分も一緒に落下して溶融体の温度
降下を生じ、充分な押し湯効果が得られず湯回り不良と
なる問題があった。
【0009】次に、金属るつぼを回転または傾動する従
来の方法は、注入を随意的に行いうる利点はあるが、活
性金属の溶融体が少量の場合、傾注の際にるつぼとの接
触による温度降下を生じやすく、且つ溶融体を鋳型湯口
の中心に的確に注入し難いため、落下した溶融体は湯口
の中心を外れて偏在し、充分な押し湯効果が得られず、
このため健全な鋳造体を得がたい場合が少なくなかっ
た。
【0010】また、少量の活性金属の溶解・注入を行う
歯科鋳造において、特に不可欠とされる溶融体の過熱に
ついては、非水冷の金属るつぼは熱容量に自ら限界があ
るため、加熱を強行すれば溶損事故を生じやすく、充分
な過熱温度に到達することは困難で、この点経口方式も
傾注方式も余り異なるところはなかった。
【0011】更に、チタン等活性金属の歯科鋳造におい
て、溶解熱源として最も多く用いられてきたTIGアー
クは、エネルギー密度が小さく且つアーク形状が扁平で
伝熱効率が低いため、少量の活性金属を充分な温度まで
過熱することは困難であった。このため、この種活性金
属の溶解に最も適した水冷金属るつぼによるスカル溶解
法の採用を阻まれ、その多くは非水冷の金属るつぼによ
る溶解を余儀なくされてきた。
【0012】そこでこの発明の目的は、比較的少量の活
性金属を使用する精密鋳造法において、上記の課題を解
決し、汚染の全く無い清浄且つ高温の溶融体を鋳型湯口
の中心に的確に注入し得る方法及びその装置を提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するため、先ず、溶解方法については、側面冷却
を伴わぬ底面冷却のみによるスカル溶解をめざし、浅い
皿状の金属るつぼを用いて試行実験の結果、扁平球状の
溶融体と底部に円板状のスカルを残すスカル溶解が可能
なことを知見しえた。次に、溶融体の注入方法について
は、自由落下する物体の速度は落下開始時点では0で、
その後時間とともに増大することに着目し、鉛直落下す
る溶融体に先行して、皿状の金属るつぼをその一端を軸
として下方に約90°急回転することにより、溶融体を
その位置から他の物体に触れることなく鉛直に落下さ
せ、直接鋳型湯口の中心に注入することを可能にしたも
のである。
【0014】活性金属の溶解・注入方法を達成するため
の装置は、溶解手段とるつぼの回転手段により構成され
ており、溶解手段はアーク発生装置と金属るつぼより成
り、金属るつぼは円形水平面と該円形水平面を囲む傾斜
面から成る上面を有する浅い皿状の形態をなし、該金属
るつぼの回転手段は、該るつぼをその一端を軸として下
方に急回転させて、溶融体の鉛直落下に先行して溶融体
の落下軌道外に退避させる機能を有することを特徴とす
るものである。
【0015】金属るつぼの上面は、溶解材料(インゴッ
ト)を中央に保持し且つ底面冷却のみによるスカル溶解
を達成するための円形水平面と、これを囲む傾斜面とよ
りなる浅い皿状をなしており、該傾斜面は溶融体の横方
向への移動を防ぎ、しかも溶融体の側面に触れないよう
にする必要がある。このためには、該傾斜面の円形水平
面に対する角度をα、金属溶融体のスカル上における接
触角をβ、及び溶解する活性金属の重量をWgrとする
と、Dとαの値は、 0.45W1/2 ≦D≦0.6W1/2 10°≦α<180°−β の範囲になるようにすれば、円板状のスカル上に保持さ
れた扁平球状の溶融体が得られることを知見し得た。
【0016】上記の活性金属の溶解・注入方法およびそ
の装置を用いることにより、汚染の無い清浄な扁平球状
の金属溶融体を、他の物体に全く接触することなく直接
鋳型湯口の中心に注入することが可能になった。しか
し、前述のように、TIGアークはエネルギー密度が低
く、しかも非水冷の金属るつぼは熱容量に自ら限界があ
るため、加熱を強行すればるつぼの溶損存事故を生じや
すく、溶融体の過熱に関しては必ずしも充分でなかっ
た。従って、少量の活性金属の溶解・注入を行い、先端
薄肉部を完全に充填するためには、少なくとも100°
C近い過熱を必要とする歯科鋳造の場合、金属溶融体の
過熱は重要であり、より高温の溶解熱源が望ましいとい
える。
【0017】このため、先ずTIGアークよりエネルギ
ー密度のより高い溶解熱源の適用を目指すこととした。
TIGアークのエネルギー密度は104 W/cm2 台に
過ぎぬが、これよりエネルギー密度が2桁以上大きい1
6 W/cm2 以上の値を持ついわゆる高エネルギー密
度溶解熱源に属するものとしては、プラズマ・アーク、
電子ビーム、レーザー・ビーム等がある。この中で、経
済性、作業性及びエネルギー集中特性等を考慮し、少量
の活性金属の溶解目的に最も適したプラズマ・アークを
採用することとした。しかも、TIGアーク溶解では普
通常圧以上の不活性ガス圧を必要とするが、プラズマ・
アーク溶解では常圧以上は勿論、低torrの不活性ガ
ス雰囲気中でも溶解可能である。このことは、常圧以上
から数torrまでに亘る溶解実験で、汚染の全くない
清浄でしかもTIGアークに比し充分に過熱された高温
の金属溶融体が得られることを確認した。
【0018】前記のプラズマ・アークを採用することに
より、従来の非水冷の金属るつぼに代わって水冷金属る
つぼによる正規のスカル溶解を実施することが可能とな
った。この発明では、前記の浅い皿状の金属るつぼの内
部に冷却水通路を設けた水冷金属るつぼを用いて試行実
験の結果、上部に高温の扁平球状の金属溶融体と底部に
薄い円板状のスカルを残す完全なスカル溶解が達成され
ることを知見し得た。これによって、ほぼ50gr以下
の少量活性金属に対しても完全な形のスカル溶解が可能
となり、汚染の全くないしかも充分に過熱された活性金
属の溶融体が得られることとなった。
【0019】次に、この金属の溶解・注入装置におい
て、皿状の金属るつぼを回転させる回転手段は、溶解室
の外部両側から溶解室壁体に貫入して内部に冷却水通路
を有する一対の水平回転軸に、同じく内部に冷却水通路
を有する金属るつぼの回転軸を固着し、溶解室の外部に
設けた駆動装置により該水平回転軸を回転させることに
より、金属るつぼを実質的に90°下方に回転するよう
にしたものである。
【0020】溶解室外部の駆動装置による金属るつぼの
上記回転手段に対し、この発明では更に、回転部分を溶
解室内部のみに局限することを目指し種々研究を重ねた
結果、金属るつぼの回転手段として、ねじりコイルばね
の駆動力を活用する方法を見出した。これを具体的に述
べると、皿状の金属るつぼを回転させる回転手段は、溶
解室の外部両側から溶解室壁体に貫入・固定され内部に
冷却水を流通させる一対の水平金属管の先端に軸受け部
を設け、該軸受け部に内部に冷却水を流通させる金属る
つぼの回転軸が回転自在に取り付けられ、該回転軸に係
止された左右対称のねじりコイルばねにより金属るつぼ
を実質的に90°下方に回転させるようにしたものであ
る。
【0021】
【作用】図5は、この発明におけるプラズマ・アーク5
と水冷の金属るつぼ4による活性金属のスカル溶解の原
理を示す説明図である。これまで、水銀の大きな滴を水
平なガラス板上に置くと、一定の厚さの扁平球状になる
ことが知られているが、発明者は、金属のスカル溶解の
場合でも側壁の無い水平面上では、同様に図5に示すよ
うに一定の厚さhの扁平球状の溶融体が得られること
を、予備実験により確認した。ただ、水銀の場合はガラ
ス板上であるが、この場合は同一金属のスカル6S上で
溶解される点が異なっている。従って、溶解材料の重量
が増せば溶融体は扁平球状のまま、横方向のみに広がる
こととなるので、溶解材料の重量に応じて金属るつぼ4
の円形水平面42の適当な直径Dを実験的に定めること
ができる。次に、金属るつぼ4の上面は、溶解材料を載
置し溶融体6を保持するための円形水平面42とこれを
囲む傾斜面43とで構成されている。いま、円形水平面
42の直径をDcm、るつぼの傾斜面43の円形水平面
42に対する角度をα、スカル6S上の溶融体6の接触
角をβ、溶解する金属材料の重量をWgrとすると、 0.45W1/2 ≦D≦0.6W1/2 10°≦α<180°−β の範囲が適当なことを知見し得た。なお、傾斜面43の
円形水平面42に対する傾斜角αの下限を10゜とした
のは、アーク吹(Arc Blow) による活性金属溶融体6の
横方向への揺らぎを防ぐためである。水冷の金属るつぼ
4の上面を上記の形状にすることによって、溶融体6の
横方向の移動を防ぎ金属るつぼ4の中央に保持すると共
に、溶融体6の側面が金属るつぼ4に触れるおそれがな
く、底面冷却のみによるスカル溶解が達成される。
【0022】注入は、金属るつぼ4をその一端の回転軸
41の回りに下方に急回転させ、鉛直落下する溶融体6
に先行して溶融体6の落下軌道外に退避させることによ
って、溶融体6をその位置から他の物体に全く触れるこ
となく、直接鋳型湯口の中心に鉛直落下させて行う。図
10及び図11は、注入開始以降における自由落下する
溶融体6と金属るつぼ4の相対的位置を経時的に解析し
た模式図で、金属るつぼ4の直径を40mm、金属るつぼ
4の中心から回転軸41の中心Oまでの距離を30mmと
し、金属るつぼ4は回転軸41の中心Oの回りに、図1
0は回転速度20rad/s 、図11は16rad/s の等角速
度で回転した時の現象を示す。この場合、下方に約90
゜回転するに要する時間は、前者で0.08s、後者で
0.09sで、概ね0.09s以内に約90゜回転させ
れば、目的を達成し得ることが分かった。
【0023】図12及び図13はアーク電流200Aに
おけるTIGアークとプラズマ・アークのアーク特性を
比較したもので、この両図からも明らかなように、TI
Gアークはエネルギー密度が低くアーク形状が扁平で温
度も低いのに反し、プラズマ・アークはエネルギー密度
が遥かに高く、高温のアークがよく伸長して伝熱効率が
高い利点がある。プラズマ・アークの採用によって、少
量の活性金属の溶解において、水冷金属るつぼによる本
格的なスカル溶解が可能になったといえる。
【0024】
【実施例】この発明による金属の溶解・注入方法及びそ
の装置の実施例を、図面を参照して説明する。図1はこ
の発明による活性金属の溶解・注入方法を達成するため
の溶解・注入装置の一実施例を示す概略側断面図、図2
は図1の線A−Aにおける部分断面図である。図1にお
いて、溶解室1の内部を不活性ガス雰囲気又は真空にし
て、金属るつぼ4上でチタン、ジルコニウム等の活性金
属を溶解し、その溶融体6を溶解室1の下方に設けた鋳
造室2内に配置した鋳型21の湯口22に注入するもの
である。この実施例では溶解金属として純チタンを用
い、金属るつぼとしては、水冷銅るつぼを用いた。
【0025】図1に示す溶解・注入装置は、溶解室1の
頂部から摺動自在に垂下されたプラズマ・トーチ3、溶
解金属を載置しその溶融体6を保持し且つ底面のみを冷
却するためその上面は円形水平面と該円形水平面を囲む
傾斜面から成り内部に冷却水通路40を有する浅い皿状
の金属るつぼ4、より成る溶解手段、及び該水冷金属る
つぼ4をその一端を軸として下方に回転させて溶融体6
の鉛直落下に先行して溶融体6の落下軌道外に退避させ
るための回転手段、を備えている。なお、プラズマ・ト
ーチ3は、直流電源の(−)側に、水冷金属るつぼ4は
(+)側に接続されている。
【0026】次に、金属るつぼ4を回転させる回転手段
は、図2に示すように溶解室1に貫入し且つ固着具13
により溶解室1の壁体11に固定され且つ内部に冷却水
通路70を有する一対の水平金属管7、該水平金属管7
の先端の軸受け部71に回転自在に取り付けた水冷の金
属るつぼ4の回転軸41、該回転軸41に係止して金属
るつぼ4を実質的に90゜下方に回転させ且つ制動する
左右対称のねじりコイルばね8、及び金属るつぼ4を水
平に保持し且つ係脱可能なストッパ9から構成されてい
る。従って、金属るつぼ4は、水平金属管7に対して回
転軸41を中心に片持ち状態に回転自在に配設されてい
る。
【0027】なお、金属るつぼ4を回転させるためのね
じりコイルばね8は、図3に示すような長腕81及び短
腕82を持つアーム角90゜の左右対称の形態をなし、
図4に示すように金属るつぼ4の回転軸41にコイル部
が装着され、長腕81は金属るつぼ4の下面に固着具4
4により固定され、他端側の一対の短腕82は、夫々固
着具12により溶解室1の壁体11に固定される。ま
た、ストッパ9はソレノイドで作動し、金属るつぼ4を
水平位置に保持するため係合し且つ金属るつぼを回転さ
せるため離脱するようになっている。更に、鋳造室2内
には鋳型昇降装置23上に鋳型21が置かれている。
【0028】次に、この発明による金属の溶解・注入方
法及びその装置を用いて、純チタン等活性金属の溶解及
び注入を行う工程について、図1及び図6を参照して説
明する。先ず、図6(a)に示すように、金属るつぼ4
を無負荷の垂下状態から水平に引き上げ、金属るつぼ4
に装着されたねじりコイルばね8のアーム角を90゜か
ら180゜に付勢し、ストッパ9により金属るつぼ4を
水平に支承し、純チタン・インゴット6Mをその水平面
に載置する。次いで、図1に示す鋳造室2に設けた真空
吸引手段20と溶解室1の壁体11に設けたアルゴン・
ガス供給手段10とにより、溶解室1及び鋳造室2の空
気を完全に高純度アルゴン・ガスで置換した後、真空吸
引により概ね100torr以下に減圧する。
【0029】次にプラズマ・トーチ3とインゴット6M
との間にプラズマ・アーク5を発生させ純チタン・イン
ゴット6Mの溶解を開始する。溶解は該インゴット6M
の頂部から逐次下部に移行するが、溶解が進み溶融体6
が充分に過熱された段階となると、図6(b)に示すよ
うに扁平球状の溶融体6と底面部に薄い円板状のスカル
6Sが形成される。この段階でソレノイドを付勢しスト
ッパ9を解除すると、図6(c)に示すように、金属る
つぼ4がねじりコイルばね8の復元により約90゜下方
に回転する間に、溶融体6の重心はG0 からG1 に移行
し、溶融体6は他の物体に全く触れることなく鉛直に落
下し、図1に示すように、鋳造室2の昇降装置23上に
載置された鋳型21の湯口22の中心に注入される。
【0030】なお、上記実施例では、金属るつぼ4を急
回転する回転手段として、金属るつぼ4の背面に装着さ
れた一体型の左右対称のねじりコイルばね8を使用した
が、これを中央で2分割した形の2個のねじりコイルば
ねを用いても同様な効果を得ることができる。
【0031】また、上記実施例では、金属るつぼ4を急
回転する回転手段として、ねじりコイルばね8を使用し
たが、溶解室1の外部に設けた駆動装置によって金属る
つぼ4を回転することも可能である。回転手段の別の実
施例について、図7及び図8を参照して説明する。図7
はこの発明における回転手段の別の実施例を示す部分側
断面図、図8は図7の回転手段の部分平面図である。
【0032】金属るつぼ4を回転させ且つ制動する回転
手段は、溶解室1の壁体11に貫入して内部に冷却水通
路70を有する水平回転軸17、該水平回転軸17に螺
着結合され内部に冷却水通路40を有する金属るつぼ4
の回転軸41、及び溶解室1の外部に設けて金属るつぼ
4を90゜下方に回転駆動させる揺動角度90゜のロー
タリ・アクチュエータ18により構成されている。な
お、回転手段は上記回転手段に限定されるものではな
く、溶融体の鉛直落下に先行して金属るつぼ4を下方に
約90゜回転させ、溶融体6の落下軌道外に退避させる
機能を備えておれば、他の駆動装置の使用ももとより可
能である。
【0033】また、金属るつぼ4は上記の各実施例では
一体型として説明したが、図9に示すように金属るつぼ
を本体4とライナー4Lとに2分割した組立方式とする
ことも可能で、この場合金属るつぼ4の上面をなす円形
水平面42とこれを囲む傾斜面43とのなす傾斜角αは
一定とし、円形水平面の直径Dは溶解材料の量に応じ、
溶解材料(インゴット)の直径に合わせて段階的に選択
することができる。
【0034】なお、溶融体6とスカル6Sとの間の付着
力により、金属るつぼ4の回転に際し、溶融体6が横方
向の分力を受け、鉛直落下を妨げられることも予想され
たが、この発明では高純度の活性金属溶融体の流動性は
きわめて良好で、そのような好ましくない事態は生じな
かった。
【0035】
【発明の効果】この発明において、プラズマ・アークと
水冷金属るつぼを用いた場合、アークのエネルギー密度
を極めて高く保持でき、しかも常圧以上はもちろん数t
orrの真空域に至るまでの広範囲に亘る溶解が可能
で、たとえ少量でも汚染の全くない充分に過熱された活
性金属の溶融体を安定して得ることができる。なお、溶
融体下部に生成する円板状のスカルは水冷金属るつぼに
より急冷されるため、全く汚染することなく回収される
ので金属光沢を保持し、そのまま溶解材料として再使用
でき材料費を低減することができる。
【0036】なお、非水冷の金属るつぼで溶解を行う場
合、金属るつぼの温度上昇のため溶解条件を連続して一
定に保ち難く、操業の自動化を阻む一要因をなしてい
る。しかし、この発明においてプラズマ・アークと水冷
金属るつぼを用いた場合、金属るつぼは冷却水により一
定の温度を保ち得るので、溶解電力を一定に保てばプラ
ズマ・アーク加熱による一定の投入熱量と、冷却水の持
ち去る一定の損失熱量との差により、時間と共に熱量が
蓄積され溶融体の温度は上昇することとなる。従って、
溶解材料の重量と溶解時間の間には一定の関連があり、
これを実験的に数量化して操業の完全自動化に資するこ
とができる。
【0037】さらに、この発明によれば、スカルは溶融
体の底面のみに形成され側面には全く形成されないの
で、溶融体部分の比率を高く保持することができ、活性
金属溶融体をその位置から途中他の物体に触れることな
く鉛直に落下させるので、接触による熱損失もなく、清
浄且つ高温の活性金属溶融体を直接鋳型湯口の中心に注
入することができる。これによって製品先端部への湯回
りと押し湯効果が著しく改善され、ひいては製品の品質
と歩留りの向上を図ることができる。
【0038】また、この発明による注入手段において、
水冷金属るつぼの回転駆動にねじりコイルばねを用いた
場合、回転部分は水冷金属るつぼのみに局限され、しか
もねじりコイルばねは回転駆動と制動の両機能を備えて
いるので、溶解室外部よりの駆動及び制動手段による場
合に比し、特別の駆動源及び伝導装置を必要とせず、構
造的にも簡単で且つ軽量化され、設備費および運転費を
低減することができる。なお、ねじりコイルばねはコイ
ル部をはじめすべての部分が、水冷金属るつぼにより冷
却され且つ遮蔽されているので、特別の耐熱性ばねを必
要とせず、通常のねじりコイルばねを使用することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による活性金属の溶解・注入方法を達
成するための溶解・注入装置の一実施例を示す概略側断
面図である。
【図2】図1の線A−Aにおける部分断面図である。
【図3】この発明における金属るつぼの回転手段に使用
されているねじりコイルばねの実施例を示す斜視図であ
る。
【図4】図3のねじりコイルばねを金属るつぼに取り付
けた状態を示す背面図である。
【図5】この発明による金属るつぼ上における活性金属
のスカル溶解の原理を示す説明図である。
【図6】この図のa〜cはこの発明による活性金属の溶
解・注入を行う一実施例の工程図である。
【図7】この発明における金属るつぼの回転手段の別の
実施例を示す部分側断面図である。
【図8】図7の回転手段の部分平面図である。
【図9】この発明において、金属るつぼを分割型とした
場合の別の実施例を示す側断面図である。
【図10】この活性金属の溶解・注入方法における注入
時の自由落下する溶融体と金属るつぼの相対的位置を解
析した説明図である。
【図11】図10における金属るつぼの回転速度を変え
た場合の別の説明図である。
【図12】TIGアークのアーク特性を示す説明図であ
る。
【図13】プラズマ・アークのアーク特性を示す説明図
である。
【図14】従来の活性金属のスカル溶解装置の一例を示
す説明図である。
【符号の説明】
1 : 溶解室 2 : 鋳造室 3 : プラズマ・トーチ 4 : 金属るつぼ 41: 回転軸 5 : プラズマ・アーク 6M: インゴット 6 : 溶融体 6S: スカル 7 : 水平金属管 8 : ねじりコイルばね 21: 鋳型

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不活性ガス又は真空中で、金属るつぼを
    用いて活性金属のスカル溶解を行い、金属の溶融体を鋳
    型に注入する活性金属の溶解・注入方法において、皿状
    の金属るつぼで底面冷却のみによるスカル溶解を行い、
    金属るつぼ上に形成される円板状のスカル上で扁平球状
    の溶融体を溶製し、次いで前記るつぼを下方に急回転さ
    せて溶融体の鉛直落下に先行して溶融体の落下軌道外に
    退避させることによって、溶融体をその位置から他の物
    体に触れることなく鉛直に落下させ、鋳型湯口の中心に
    注入することを特徴とする活性金属の溶解・注入方法。
  2. 【請求項2】 溶解室の内部を不活性ガス雰囲気又は真
    空にして活性金属のスカル溶解を行い、金属の溶融体を
    下方に配置した鋳型湯口に注入する活性金属の溶解・注
    入装置において、アーク発生装置、円形水平面と該円形
    水平面を囲む傾斜面から成る上面を有する皿状の金属る
    つぼ、とより成る溶解手段、及び該るつぼを下方に急回
    転させて溶融体の鉛直落下に先行して溶融体の落下軌道
    外に退避させる回転手段、を有することを特徴とする活
    性金属の溶解・注入装置。
  3. 【請求項3】 前記金属るつぼの上面を形成する円形水
    平面の直径をDcm、傾斜面の円形水平面に対する角度
    をα、金属溶融体のスカル上における接触角をβ、及び
    溶解金属材料の重量をWgrとすると、Dとαは、 0.45W1/2 ≦D≦0.6W1/2 10°≦α<180°−β の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の活性金
    属の溶解・注入装置。
  4. 【請求項4】 前記溶解手段は、アーク発生装置として
    プラズマ・アーク発生装置を用い、金属るつぼとして内
    部に冷却水通路を有するものを用いることを特徴とする
    請求項2に記載の活性金属の溶解・注入装置。
  5. 【請求項5】 前記回転手段は、溶解室壁体に貫入して
    金属るつぼの一端に固着され且つ金属るつぼの内部に冷
    却水を流通させる水平回転軸、及び溶解室外に設けて該
    水平回転軸を回転させることにより金属るつぼを実質的
    に90°下方に回転させる駆動装置、から構成されてい
    ることを特徴とする請求項2に記載の活性金属の溶解・
    注入装置。
  6. 【請求項6】 前記回転手段は、溶解室壁体に貫入・固
    定され金属るつぼの内部に冷却水を流通させる水平金属
    管、該水平金属管に回転自在に取り付けた金属るつぼの
    回転軸、該回転軸に係止して金属るつぼを実質的に90
    °下方に回転させる左右対称のねじりコイルばね、及び
    金属るつぼに係脱可能なストッパ、から構成されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の活性金属の溶解・注
    入装置。
JP34037192A 1992-12-21 1992-12-21 活性金属の溶解・注入方法及びその装置 Expired - Fee Related JP2614004B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34037192A JP2614004B2 (ja) 1992-12-21 1992-12-21 活性金属の溶解・注入方法及びその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34037192A JP2614004B2 (ja) 1992-12-21 1992-12-21 活性金属の溶解・注入方法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06182525A JPH06182525A (ja) 1994-07-05
JP2614004B2 true JP2614004B2 (ja) 1997-05-28

Family

ID=18336308

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34037192A Expired - Fee Related JP2614004B2 (ja) 1992-12-21 1992-12-21 活性金属の溶解・注入方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2614004B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105458207A (zh) * 2015-12-25 2016-04-06 西安奥邦科技有限责任公司 一种无坩埚快速感应熔炼铸造系统
CN107606944B (zh) * 2017-10-23 2020-02-21 沈阳真空技术研究所有限公司 凝壳炉双室u型炉体系统
JP7095470B2 (ja) * 2018-08-02 2022-07-05 日本製鉄株式会社 チタン鋳塊またはチタン合金鋳塊の製造方法および製造装置
JP7182496B2 (ja) * 2019-03-12 2022-12-02 黒崎播磨株式会社 ノズル及びノズルとストッパーの構造体
CN117554157B (zh) * 2024-01-10 2024-03-19 福建紫金矿冶测试技术有限公司 一种金化学分析方法质控样品的制备装置及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06182525A (ja) 1994-07-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6144690A (en) Melting method using cold crucible induction melting apparatus
JP2009125811A (ja) 高活性チタン金属の遠心鋳造方法
JP2009125810A (ja) 高活性チタン金属の遠心鋳造システム
JP4744872B2 (ja) 金属の製造又は精製用の装置
WO2014176778A1 (zh) 一种结合冷坩埚感应熔炼技术与能量束技术的熔炼和铸造难熔金属及其合金的方法
JP3054193B2 (ja) 反応性合金の誘導スカル紡糸
EP0526159A1 (en) Method for melting titanium aluminide alloys
US6059015A (en) Method for directional solidification of a molten material and apparatus therefor
JP2614004B2 (ja) 活性金属の溶解・注入方法及びその装置
JP5027682B2 (ja) 高融点金属インゴットの製造方法
JPH059482B2 (ja)
EP0485073A1 (en) Nozzle, vessel and spray forming
MX2007000773A (es) Proceso y equipo para el tratamiento de cargas o residuos de metales no ferrosos y sus aleaciones.
JP2009114026A (ja) 金属珪素の精製方法
JP2006299302A (ja) プラズマアーク溶解による活性高融点金属含有合金の長尺鋳塊の製造方法
JP5048222B2 (ja) 活性高融点金属合金の長尺鋳塊製造法
US3273212A (en) Method of operating an electric furnace
US2805148A (en) Method of melting refractory metals
KR100659285B1 (ko) 플라즈마 아크 용해법 및 이를 이용한 고융점 활성금속소경봉 제조방법
US4202997A (en) Atmospheric control of flux pre-melting furnace
JPS6092432A (ja) プラズマア−ク溶解方法および溶解装置
JP2016175806A (ja) 高純度シリコンの製造方法
RU2426804C1 (ru) Печь для плавки и рафинирования реакционных металлов и сплавов
JPH073349A (ja) コ−ルドウォ−ルルツボ炉により合金を溶製する凝固体反転溶解装置
US2912731A (en) Method for casting group iv metals

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 14

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110227

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 15

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees