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JP2575280B2 - 酸窒化珪素繊維の製法 - Google Patents

酸窒化珪素繊維の製法

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JP2575280B2
JP2575280B2 JP5191307A JP19130793A JP2575280B2 JP 2575280 B2 JP2575280 B2 JP 2575280B2 JP 5191307 A JP5191307 A JP 5191307A JP 19130793 A JP19130793 A JP 19130793A JP 2575280 B2 JP2575280 B2 JP 2575280B2
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fiber
fibers
polysiloxazan
silicon oxynitride
sih
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JP5191307A
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徹 舟山
幹郎 新井
勇人 西井
武志 礒田
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Tonen General Sekiyu KK
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Tonen Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な酸窒化珪素繊維の
製法に係る。酸窒化珪素繊維は運輸、エネルギー、金
属、宇宙航空などの広範囲な産業での先端分野に必要な
高性能複合材料の強化材として非常に有用である。
【0002】
【従来の技術】近年セラミックスの研究・開発は飛躍的
に進展しており、多くの研究者達は炭化珪素、窒化珪素
等のセラミック材料を合成してきている。一方、酸窒化
珪素もまた炭化珪素および窒化珪素と同様に耐熱性の材
料であり、炭化珪素や窒化珪素に比べて耐酸化性は高い
ことが知られている。
【0003】さて、酸窒化珪素セラミック材料の合成に
関してはいくつかの先行技術がある。 (1)金属珪素と二酸化珪素の混合物をアルカリ土類、
あるいはアルカリ金属の弗化物の存在下窒素雰囲気下1
150〜1350℃で窒化する方法(多田、特開昭47
−42400号公報)。珪素と二酸化珪素を出発原料と
する方法としては、その他にもこれ等の混合物にある種
の金属を添加しこれを窒素雰囲気下で加熱して繊維状あ
るいはウィスカ状に生成・成長させる方法が開示されて
いる(特開昭50−29498号公報;特開昭51−1
29898号公報;特開昭53−79799号公報)。
【0004】(2)ポリカーボシランを繊維化し、それ
を酸化不融化した後800〜1400℃の温度下でNH
3 で処理してSiN1.5 0.47なる構造を有する酸窒化
珪素の連続繊維を製造する方法(Okamura他、Chemistry
Letters,PP.2059-2060,1984)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記(1)の方法は酸
窒化珪素を連続長繊維化する方法を提供していない。酸
窒化珪素に限らず、各セラミック材料は繊維状に賦形化
されるとその機械的強度は飛躍的に向上し、かつ成形の
自由度も増大することが知られているので、容易に長繊
維化できる特性は極めて重要である。
【0006】前記(2)のポリカーボシラン経由の方法
は酸窒化珪素連続繊維を製造する方法を提供している。
しかし、そのプロセスは複雑であるのでこの点改良の余
地がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は酸窒化珪素
の連続無機繊維に関するより工業化に適した新規な製造
法を研究している過程で、新規なポリシロキサザンを適
切な方法により連続繊維化すれば、比較的簡単な工程で
優れた性質を有する酸窒化珪素の無機連続繊維を製造し
うることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、まず、ジクロロシラ
ン(SiH2 Cl2 )のようなジハロシランまたはジハ
ロシランとルイス塩基とのアダクトをNH3 およびH2
OまたはO2 と反応させて新規なポリシロキサザン(正
確にはペルヒドロポリシロキサザンであるが、以下単に
ポリシロキサザンという。)を製造する。このポリシロ
キサザンは−(SiH2 n (NH)r −および−(S
iH2 m O−(式中、n,m,rはそれぞれ1,2ま
たは3、好ましくは1または2である。)を主たる繰返
し単位とし、これらを基準に5〜300の重合度を有し
ている。更に、本発明は、このポリシロキサザンを紡糸
し焼成して酸窒化珪素繊維を製造する。この結果製造さ
れる酸窒化珪素の無機連続繊維は実質的に珪素、窒素、
酸素および任意に炭素から成り、窒素を5モル%以上、
酸素を5モル%以上含有し、かつ式Si1+x (4-y)/3
y/2 z (式中、0<x<3、0<y<4、0≦z<
1.1)で示される組成を有する酸窒化珪素繊維であ
る。
【0009】このような無機連続繊維はポリシラザン
(正確にはペルヒドロポリシラザンであるが、以下単に
ポリシラザンという。)繊維を水または酸素を含む気体
で処理して製造される新規なポリシロキサザン繊維を焼
成することによっても製造することができ、本発明はこ
のようなポリシロキサザン繊維(賦形体)にもとづく無
機連続繊維の製法にも係わる。本発明を更に詳わしく説
明すると、本発明で使用するジハロシランは、特に一般
式SiH2 2 、Si2 4 2 (X=F、Cl、B
r、I)で表わされるジハロモノシランやジハロジシラ
ンを使用することが好ましい。本発明においては、これ
等のジハロシランの中でも特にジクロロシランが好まし
い。このようなジハロシランに対して好ましくは塩基を
作用させてアダクトを生成する。本発明で使用すること
のできる塩基は、ジハロシランとアダクトを形成する反
応以外の反応をしない塩基であり、このような塩基とし
ては例えば、ルイス塩基、すなわち、3級アミン類(ト
リアルキルアミン、ピリジン、ピコリン及びこれらの誘
導体)、立体障害性の基を有する2級アミン類、フォス
フィン、スチピン、アルシン及びこれらの誘導体等(例
えばトリメチルフォスフィン、ジメチルエチルフォスフ
ィン、メチルジエチルフォスフィン、トリエチルフォス
フィン、トリメチルアルシン、トリメチルスチビン、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、チオフェン、フラ
ン、ジオキサン、セレノフェン、1−メチルフォスフォ
ール等)を挙げることができるが、中でも低沸点でアン
モニアより塩基性の小さい塩基(例えばピリジン、ピコ
リン、トリメチルフォスフィン、ジメチルエチルフォス
フィン、メチルジエチルフォスフィン、トリエチルフォ
スフィン、チオフェン、フラン、ジオキサン、セレノフ
ェン、1−メチルフォスフォール)が好ましく、特にピ
リジン及びピコリンが取扱上及び経済上から好ましい。
使用する塩基の量は、特に厳密である必要はなく、アダ
クト中の塩基を含めて、ジハロシランに対して化学量論
的量、即ち塩基:ジハロシラン=2:1より過剰に存在
すれば足りる。
【0010】例えばピリジンにジクロロシランを加える
とSiHCl2 ・2C5 5 Nで表わされる白色固体状
のアダクトが生成する。この生成物に対してNH3 およ
びH 2 Oを反応させると溶媒可溶なペルヒドロポリシロ
キサザンが生成する。このようにして、ジハロシランあ
るいはそのルイス塩基とのアダクトにNH3とH2 Oま
たはO2 を反応させて溶媒可溶なポリシロキサザンを生
成する。NH 3 とH2 OまたはO2 は同時に添加して反
応させることが好ましいが、どちらかを先に添加し、そ
れぞれを順に反応させることも可能である。
【0011】このようにして生成されるポリシロキサザ
ンは−(SiH2 n (NH)r −および−(SiH)
m O−を主たる繰り返し単位とする共重合体である。簡
単には、これらの繰り返し単位からなる線状あるいは環
状の重合体であるが、一般的には、そのような線状ある
いは環状の重合体の複合体である。ポリシロキサザンの
化学構造は出発物質に依存し、例えば、出発物質にジク
ロロシランが含まれる場合には−SiH2 SiH2 NH
−および−SiH2 SiH2 O−が含まれるであろう。
また、環状物と線状物の結合部位では>SiHNH−あ
るいは>SiHO−なる単位が、末端には−NH2 ,−
OHまたは−SiH3 なる単位が存在する。さらに、本
発明では、出発物質の一部に10%以下の炭化水素基、
エーテル基、エステル基、カルボニル基などの有機基を
有するジハロシランを用いることができ、その場合には
生成するポリシロキサザンにもそのような有機基が一部
に含まれるであろう。
【0012】このポリシロキサザンに含まれる−(Si
2 n (NH)r −および−(SiH2 m O−の割
合は任意であり、それらの配列は規則的である必要はな
く、実際には不規則である。−(SiH2 n (NH)
r −と−(SiH2 m O−の割合は反応させるNH3
とH2 OまたはO2 の比を変えて調整することができ
る。
【0013】このポリシロキサザンの重合度は−(Si
2 n (NH)r −あるいは−(SiH2 m O−な
どの単位に基づいて、一般的に5〜300あるいはそれ
以上である。重合度はジハロシランの濃度、反応温度、
溶媒などを変えて調整することができる。重合度がより
大きくなると、常温で架橋反応が起るためにポリマーの
ゲル化が容易に促進されて取扱いが困難になる。
【0014】こうして、本発明によるポリシロキサザン
は、出発ジハロシランとして有機基を含まないジハロシ
ランを用いた場合、一般的に、下記の組成を有する。有
機基は、存在する場合、水素の一部を置換する。 H 50〜60モル% Si 20〜25モル% O 0〜25モル%(0モル%を含まない) N 0〜20モル%(0モル%を含まない) ジクロロシランを出発原料とするポリシラザンとポリシ
ロキサンの製造はストックらの前駆的な研究に遡る(Be
r.54(1921)740,Ber.52(1919)695)。同研究者らはベンゼ
ンに溶解したジクロロシランとアンモニアとを反応させ
て−(SiH2n (NH)r −を繰返し単位とするオ
リゴシラザンを生成し、これを加水分解し−(Si
2 m O−で示されるオリゴシロキサンを生成した。
一方、サイファースらはジクロロシランのジクロロメタ
ン溶液にそれぞれアンモニアガス又は水を反応させて、
ポリシラザン又はポリシロキサンを合成した (Communic
ationof Am.Ceram.Sou.Jan.1983,C-13;Inorg.Chem.,198
3,22,2163-2167)。本発明者らは先にジクロロシラン塩
基錯体をアンモニア分解して高分子量ポリシラザンを製
造した(特開昭60−145903号公報)。本発明に
おけるポリシロキサザンはシラザンとシロキサンの共重
合体であるという点で前記ポリシロキサンと著しく異な
っている。
【0015】この共重合体は−(SiH2 n (NH)
r −と−(SiH2 m O−の存在割合にかかわりなく
新規であると思われるが、少なくとも、珪素原子の数に
基づいて窒素が結合した珪素を1モル%以上かつ酸素が
結合した珪素を1モル%以上有する共重合体は新規であ
る。本発明に従いポリシロキサザンから酸窒化珪素繊維
を製造するには、先ず、ポリシロキサザンを適切な溶媒
に溶解して紡糸原液を調整する。溶媒としては、炭化水
素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、窒素化合物、硫黄
化合物等が使用できる。好ましい溶剤は、ペンタン、ヘ
キサン、イソヘキサン、メチルペンタン、ヘプタン、イ
ソヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタ
ン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシ
クロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチル
ベンゼン等の炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、
四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エチレン、塩化エチリ
デン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロ
ベンゼン等のハロゲン化炭化水素、エチルエーテル、プ
ロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ブチルエーテ
ル、1,2−ジオキシエタン、ジオキサン、ジメチルオ
キサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ア
ニソール等のエーテル、ジエチルアミン、トリエチルア
ミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチ
ルアミン、アニリン、ピペリジン、ピリジン、ピコリ
ン、ルチジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン
等の窒素化合物、二硫化炭素、硫化ジエチル、チオフェ
ン、テトラヒドロチオフェン等の硫黄化合物である。
【0016】この紡糸原液中のポリシロキサザン濃度は
原液粘度が1〜5000ポイズの範囲内になるように調
整する。このポリシロキサザンの曳糸性を向上するため
に、必要であれば該紡糸原液に対して少量の紡糸助剤を
添加してもよい。このような助剤の例として、ポリエー
テル類、ポリアミド類、ポリエステル類、ビニル重合体
類、ポリチオエーテル類、ポリペプチド類、等が挙げら
れ、この等の中でもポリエチレンオキサイド、ポリイソ
ブチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイソプレン
およびポリスチレンが特に望ましい。適切な粘度を有す
る紡糸液を調整するための溶液の濃縮操作は減圧蒸留等
の通常の方法が用いられる。このような濃縮操作により
得られた紡糸液は5〜90重量%のポリシロキサザンを
含有している。
【0017】紡糸を行なうには、乾式紡糸が好都合であ
るが、遠心紡糸、吹き出し紡糸も利用することができ
る。紡糸は不活性ガス雰囲気下で室温で行なわれるが、
必要に応じて紡糸液を加熱して行なうこともできる。但
し、100℃を超えて加熱すると、ポリシロキサザンの
熱分解が開始するので注意を要する。繊維の乾燥は、紡
糸後に、加熱しながら減圧下で充分行う。
【0018】こうしてポリシロキサザンの繊維、特に連
続繊維が紡糸される。このポリシロキサザン繊維は白色
である。該繊維は焼成前でも高い強度を有するので、最
初に、繊維をヤーン、織布等の形態に加工し、その後焼
成することによって酸窒化珪素製品を製造することもで
きる。乾燥したポリシロキサザン繊維は、不活性ガス雰
囲気下、100℃付近で熱処理を施すことが望ましい。
この熱処理の目的は、溶剤除去を更に確実にすると共
に、ポリシロキサザンの分子鎖間の架橋反応を促進させ
ることにより、焼成過程におけるクラック、空隙、及び
気孔の生成を最少限にするためである。
【0019】本発明で作られるポリシロキサザン繊維
は、熱に対して不融であることから、そのまま雰囲気ガ
ス下で焼成することもできる。雰囲気ガスとしては窒素
が好都合であるが、アンモニア、あるいは窒素、アンモ
ニア、アルゴン、水素等の混合ガスを利用することもで
きる。このような不活性ガスの雰囲気下800℃以上の
温度で上記白色の繊維を焼成すると白色ないし黒色の無
機繊維が得られる。
【0020】この無機繊維は実質的に珪素、窒素および
酸素から成り、窒素を5モル%および酸素を5モル%以
上含有し、しかも前述の(1)式で表わされる新規な組
成を有するものを含んでいる。この酸窒化珪素繊維の性
状は、限定するわけではないが、典型的には、 繊維径 :5〜50μm 引張強度:30〜300kg/mm2 弾性率 :7〜30t/mm2 比抵抗値:2〜7×1010Ω・cm と本発明者等が前に特許出願をした高純度窒化珪素繊維
(特願昭60−257,824号明細書)と大差はない
が、耐酸化性については相当の向上が見られる。例え
ば、実施例1で得られた繊維を空気中700℃で5時間
加熱したところ重量増は2.6%であった。比較のた
め、上述の窒化珪素繊維を同一条件で処理したところ、
重量増は4.8%であった。
【0021】このような組成を有する酸窒化珪素繊維は
上記以外の方法によっても製造できる。すなわち、Si
2 2 、Si2 4 2 (これらの式中、XはF、C
l、BrあるいはIである)などで表わされるジハロシ
ランを直接あるいはルイス塩基とアダクトを形成後アン
モニア分解して得られるポリシラザンを紡糸してポリシ
ラザン繊維を生成し、これに酸素または水の気体を適当
な程度に作用させることによりポリシロキサザン繊維を
生成し、これに熱処理を施せば本発明品である上記の新
規な酸窒化珪素繊維を製造できる。すなわち、ポリシラ
ザン繊維(賦形体)は常温で気体状の水や酸素と反応し
てポリシラザンの−NH−基と−O−基とが置換してゆ
く。従って、温度を一定に保った雰囲気中にポリシラザ
ン繊維を一定時間曝すことによってポリシラザン繊維を
ポリシロキサザン繊維に変換することができる。このポ
リシロキサザン賦形体も新規であり、主たる繰り返し単
位が−(SiH2 n (NH)r −および−(Si
2 m O−からなり、その重合度は少なくとも4〜1
700程度、そしてそれ以上のものが製造可能である
(特願昭60−257824号明細書参照)。なお、こ
のポリシロキサザン賦形体は処理条件により賦形体表面
と内部で−(SiH2 n (NH)r −と−(Si
2 m O−の濃度に分布が存在し、水または酸素の処
理条件によっては賦形体の中心部にポリシラザン、また
表面部にポリシロキサンが存在することもできる。ま
た、このことから認められるように、本発明によれば、
ジハロシランまたはジハロシランとルイス塩基のアダク
トに最初にアンモニアを反応させてポリシラザンを生成
し、得られたポリシラザンを必要に応じて賦形化しある
いは賦形化せずに、次いで水または酸素と反応させてポ
リシロキサザンを製造することが可能である。
【0022】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0023】実施例1 内容積300mlの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メ
カニカルスターラー、ジュワ−コンデンサーを装置し
た。四つ口フラスコに乾燥ピリジン150mlを入れ、こ
れを氷冷した。次にジクロロシラン15.8g(0.1
56mol)を約1時間かけて加えると白色固体状のアダク
ト(SiH2 Cl2 ・2C5 5 N)が生成した。反応
混合物を氷冷し、攪拌しながら、アンモニア15.7g
(0.92mol)、水0.33g(0.018mol)を窒素
ガスに混合して、約1.5時間かけて吹き込んだ。反応
終了後、反応混合物を窒素雰囲気下で遠心分離し、乾燥
塩化メチレンを用いて残分を洗浄し、更に洗液と遠心分
離液とを合わせて窒素雰囲気下で濾過した。濾液には下
記に示すようなポリシロキサザンが2.01(g/ml)
%溶解していた。
【0024】濾液150mlに30mgのポリエチレンオキ
サイド (分子量5,000,000)を加えて溶解した
後、溶剤を減圧留去して濃縮し、約30(g/ml)%の
ポリシロキサザンを含む紡糸原液(粘度250ポイズ)
を調製した。紡糸原液を濾過、脱泡後、窒素雰囲気下で
乾式紡糸を行い白色のポリシロキサザン繊維を得た。こ
れを減圧下50℃で4時間乾燥し、窒素雰囲気下、10
0℃で3時間熱処理した後、窒素雰囲気下で1000℃
で5時間加熱して、黒色の繊維を得た。
【0025】得られたポリシロキサザン及び黒色繊維の
化学分析による元素組成(mol%)は、表1に示した通り
であった。
【0026】 表 1 元素組成(mol%) Si ポリシロキサザン 20.8 18.2 2.3 58.9 黒 色 繊 維 49.3 44.0 6.0 0.0 ポリシロキサザンの赤外線吸収スペクトル、1 H−NM
R、CP/MAS 29Si−NMRを図1〜図3に、黒
色繊維の粉末X線回折スペクトルを図4に示した。但
し、1 H−NMRスペクトルについては、ポリシロキサ
ザンを単離後、測定溶媒(CDCl3 )に可溶な生成物
のみ測定した。
【0027】さらに、蒸気圧降下法による数平均分子量
を測定したところ、1100* であった。またゲルパー
ミエーションクロマトグラフィ(GPC)を測定したと
ころ、図5に示したように、ポリスチレン換算分子量は
250から4000、主として300から3400に分
布しており、数平均分子量(ポリスチレン換算)は78
5であった。ポリスチレン換算分子量を蒸気圧降下法に
よる分子量に補正したポリシロキサザンの重合度は7.
8から125、主として9.4から106.5に分布す
る。
【0028】繊維直径5〜50μmの黒色繊維の引張強
度は30〜280kg/mm2 、弾性率は8〜20t/mm2
であった。
【0029】実施例2 実施例1で得られたポリシロキサザン繊維を、乾燥温度
以外の条件は同一で、焼成温度を1300℃で処理して
得た黒色繊維の元素組成(mol%) は、Si:44.4、
N:48.6、O:7.4であった。黒色繊維を粉末X
線回折したところ、Si、α−Si3 4 、β−Si3
4 のピークが観測された。
【0030】実施例3 実施例1と同じ条件で、水1.00g(0.056mol)
を加えたピリジン150mlを用いてアダクトを調製した
後、実施例1および2と同一操作でポリシロキサザンと
黒色繊維を調製した。得られたポリシロキサザンと黒色
繊維の元素組成は表2に示した通りであった。
【0031】 表 2 元素組成(mol%) Si ポリシロキサザン 21.5 14.3 7.7 57.2 1000℃焼成黒色繊維 48.4 30.4 21.2 0.0 1300℃焼成黒色繊維 46.7 41.6 11.7 0.0
【0032】実施例4 実施例1と同一条件でアダクトを調製した後に乾燥アン
モニア16.0g(0.94mol)を窒素ガスに混合し
て、約1.5時間かけて吹き込んだ。反応終了後、実施
例1と同一操作で1.95(g/mol)%のポリシラザン
を含む濾液を得た。これを実施例1と同一操作でポリシ
ラザン繊維に紡糸した後、湿度47%の雰囲気中に5時
間保持した後、実施例1と同一操作で減圧乾燥、熱処
理、焼成を行って黒色繊維を得た。
【0033】得られた黒色繊維の元素組成(mol%) はS
i:54.0、N:26.0、O:20.0であった。
【0034】実施例5 実施例1で得たポリシロキサザン繊維を湿度47%の雰
囲気下で15時間保持した後、実施例と同一の操作で処
理して得た黒色繊維の化学組成(mol%)は、Si:4
8.5、N:7.5、O:44.0であった。
【0035】
【発明の効果】本発明により、酸窒化珪素繊維の新規な
製法が提供され、この酸窒化珪素繊維は特にその連続繊
維を簡単に製造することができ、そして得られる酸窒化
珪素繊維は高性能複合材料の強化材として非常に有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で得られたポリシロキサザンのKBr法
による赤外吸収スペクトル図である。
【図2】ポリシロキサザンの 1H−NMRスペクトル図
である。
【図3】ポリシロキサザンのCP/MAS 29SiNM
Rスペクトル図である。
【図4】黒色繊維(Si−N−O)無機繊維の粉末X線
スペクトル図である。
【図5】ポリシロキサザンのGPCクロマトグラムであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−295273(JP,A) 特開 昭61−12915(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる繰り返し単位が−(SiH2 n
    (NH)r −および−(SiH)m O−(式中、n,
    m,rはそれぞれ1,2または3である。)でありかつ
    繰り返し単位に基づく重合度が5〜300であるペルヒ
    ドロポリシロキサザンを紡糸し、得られる繊維を焼成し
    て酸窒化珪素繊維を製造する方法。
  2. 【請求項2】 ジハロシランまたはジハロシランとルイ
    ス塩基のアダクトにアンモニアを反応して得られるペル
    ヒドロポリシラザンを紡糸し、得られる繊維を水または
    酸素で処理してペルヒドロポリシロキサザンとした後、
    焼成して酸窒化珪素繊維を製造する方法。
JP5191307A 1993-08-02 1993-08-02 酸窒化珪素繊維の製法 Expired - Lifetime JP2575280B2 (ja)

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