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JP2025043544A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

積層体及びその製造方法

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JP2025043544A
JP2025043544A JP2023150884A JP2023150884A JP2025043544A JP 2025043544 A JP2025043544 A JP 2025043544A JP 2023150884 A JP2023150884 A JP 2023150884A JP 2023150884 A JP2023150884 A JP 2023150884A JP 2025043544 A JP2025043544 A JP 2025043544A
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laminate
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insulating resin
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JP2023150884A
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礼 田村
亘 冨士川
憲正 深澤
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DIC Corp
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DIC Corp
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Abstract

【課題】半硬化の絶縁樹脂層を、樹脂層とめっき下地層を形成した転写用積層体の製造方法で、基材と絶縁樹脂層との間の密着と絶縁樹脂層と樹脂層との間の密着性に優れた積層体、並びにそれを用いたリジッドプリント配線板及び成型品を提供することである。
【解決手段】仮支持体に、導電性物質と分散剤を含むめっき下地層を形成した後、その上に樹脂層とTHF溶液不溶分が1~80重量%である絶縁樹脂層の官能基同士を反応させることで転写用積層体を作製した。また、この転写用積層体を用いて、支持体の表面と裏面の両面、若しくは、片面にのみを貼り合わせた後に、仮支持体のみを剥がすことで、支持体上に簡便かつ安価に、高い品質でめっき下地層を支持体の表面に形成することを見出し、本発明を完成させた。
【選択図】図1

Description

本発明は、プリント配線板、高周波伝送用プリント配線板、リジッドプリント配線板、パッケージ基板、インターポーザ、アンテナ、半導体チップ等の製造方法に関する。
電子機器の小型化、高速化により、プリント配線基板の高密度化、高性能化が要求されており、この要求に応えるため、表面が平滑で充分薄い金属層を有するプリント配線板が求められている。また、このプリント配線基板を構成するものとしてフレキシブル銅張積層板(以下、「FCCL」と略記する。)やリジット銅張積層板(以下、「RCCL」と略する。)が知られている。
FCCLは、主に耐熱性高分子フィルムと銅箔とをエポキシ樹脂系接着剤を用いて張り合わせる方法や、銅箔の表面にポリイミドなどのワニスを塗工乾燥しフィルム化する方法(キャスト法)、銅箔と熱可塑性樹脂層を有するポリイミドフィルムを熱圧着する方法(ラミネート法)、ポリイミドフィルムの表面にスパッタ法で金属膜を形成し、その後銅めっきする方法(スパッタ法)、ポリイミドフィルムの表面にプライマー層を塗工し、その上に金属ナノ粒子層を塗工し、金属ナノ粒子層をめっきの下地として銅めっきする方法(特許文献1)で製造されている。
一方、RCCLは、完全硬化した樹脂やセラミックと銅箔を、エポキシ樹脂系接着剤を用いて貼り合わせる方法、エポキシ樹脂を含浸したガラスクロスを加熱し半硬化の状態の基材(プリプレグ)と銅箔を貼り合わせる方法、樹脂と無機フィラーを混合したワニスを離型フィルム上に塗工乾燥し、乾燥後得られた樹脂皮膜を銅箔や銅配線の表面に熱圧着で貼り合わせる方法(ビルドアップフィルム)で製造されている。
しかし、FCCLやRCCLのいずれにおいても、銅箔を用いた方法の場合、貼り合わせる基材や接着剤層との密着力を確保するため、銅箔もしくは基材を粗化する必要がある。そのため、プリント配線板の狭ピッチ化や、現在普及しつつある5Gや、今後拡大が予想されるBeyond 5Gで求められる高周波伝送においては、ミリ波帯のような高周波数の領域で伝送損失を生じる問題がある。
一方、スパッタ法や、金属ナノ粒子層を用いる塗工法は、基材を粗化することなく、銅めっき膜と基材を平滑界面で密着させることができるため、銅箔を使った方法に比べ、プリント配線板の狭ピッチ化が容易であり、高周波信号の伝送損失が小さいというメリットがある。
しかし、スパッタ法は、金属薄膜を形成するために、蒸着法又はスパッタ法を用いるため、大がかりな真空設備が必要となり、設備上、基材サイズが限定されるなどの問題があった。また、基材の両面にスパッタ法を適用した場合、真空にするまでの時間が片面の場合に比べ2倍となり、片面ずつ両面を加工している間に、スパッタ法で形成した金属層表面に欠陥が発生し、歩留まりの低下が起こり、生産コストが高くなるという欠点があった。さらに、スパッタ法で基材と銅などの金属膜の密着性を確保するためには、ニッケルやコバルト、クロムなどの磁性のある金属を用いる必要があり、高周波の伝送損失が大きくなるという欠点があった。
これらの課題を解決するために、銅膜等の金属膜層を、めっき下地層として、未硬化のプリプレグやビルドアップフィルム上に形成し、銅配線板上に転写する方法が開発されているが、未硬化のプリプレグやビルドアップフィルム上にキャスト法やラミネート法やスパッタ法、塗工法を用いて金属膜層を形成する場合は、各工程の熱履歴により、未硬化のプリプレグやビルドアップフィルムが硬化することで、配線の埋め込み性能や密着力が低下する問題があった。
一方、特許文献2では離型層を含む支持体上に金属膜層と絶縁樹脂層を形成することで、剥離性に優れる金属膜付き接着フィルムが開示されているが、金属層と絶縁樹脂層との密着が低い問題があった。
そこで、金属層と絶縁樹脂層を強固に密着させ、優れた配線の埋め込み性能と密着力と均一な膜質を有することを可能にする、積層体の構造と製造方法が求められていた。
WO2019/013038号公報 WO2010/024370号公報
本発明が解決しようとする課題は、半硬化の絶縁樹脂層に、めっき下地層と樹脂層を形成した積層体の製造方法で、基材と絶縁樹脂層との間の密着、絶縁樹脂層と樹脂層との間の密着、樹脂層とめっき下地層との間の密着性に優れた積層体、並びにそれを用いたリジッドプリント配線板及び成型品を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究した結果、仮支持体に、導電性物質と分散剤を含むめっき下地層を形成した後、その上に樹脂層とTHF溶液不溶分が1~80重量%である絶縁樹脂層の官能基同士を反応させることで積層体を作製した。また、この積層体を用いて、支持体の表面と裏面の両面、若しくは、片面にのみを貼り合わせた後に、仮支持体のみを剥がすことで、支持体上に簡便かつ安価に、高い品質でめっき下地層を支持体の表面に形成することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、具体的に本発明は、
1.仮支持体(A)の少なくとも一面に、順に分散剤(b1)と導電性物質(b2)を含有するめっき下地層(B)と樹脂層(C)とTHF溶液不溶分が1~80重量%である絶縁樹脂層(D)を有することを特徴とする積層体。
2.支持体(E)の少なくとも一面に、前記積層体の前記絶縁樹脂層(D)が形成された面側を貼り合わせたものであることを特徴とする1に記載の積層体。
3.前記絶縁樹脂層(D)の両面に、順に樹脂層(C)、めっき下地層(B)、仮支持体(A)を有することを特徴とする1または2に記載の積層体。
4.さらに前記積層体のめっき下地層(B)の上に金属めっき層(F)を有することを特徴とする1~3いずれか一つに記載の積層体。
5.前記樹脂層(C)が官能基[X]を有する化合物(c1)と前記絶縁樹脂層(D)が官能基[Y]を有する化合物(d1)を反応させることによって化学結合を形成したものであることを特徴とする1~4いずれか一つに記載の積層体。
6.前記樹脂層(C)に含まれる官能基[X]がエポキシ基、アミノ基の中から少なくとも一つを有することを特徴とする1~5いずれか一つに記載の積層体。
7.前記絶縁樹脂層(D)に含まれる官能基[Y]がエポキシ基、マレイミド基、ビニルベンジル基、アクリレート基、メタクリレート基、カルボニル基、ヒドロキシ基の中から少なくとも一つを有することを特徴とする1~6いずれか一つに記載の積層体。
8.前記絶縁樹脂層(D)に無機化合物(x)を含有することを特徴とする1~7いずれか一つに記載の積層体。
9.前記めっき下地層(B)が1層以上であることを特徴とする1~8いずれか一つに記載の積層体。
10.前記樹脂層(C)が1層以上であることを特徴とする1~9いずれか一つに記載の積層体。
11.前記絶縁樹脂層(D)が1層以上であることを特徴とする1~10いずれか一つに記載の積層体。
12.前記樹脂層(C)のTg(ガラス転移温度)が、前記絶縁樹脂層(D)のTgより大きいことを特徴とする1~11いずれか一つに記載の積層体。
13.前記分散剤(b1)が塩基性窒素原子含有基を有することを特徴とする1~12いずれか一つに記載の積層体。
14.前記導電性物質(b2)が、銀であることを特徴とする1~13いずれか一つに記載の積層体。
15.前記めっき下地層(B)の厚みが1~10,000mg/mであることを特徴とする1~14いずれか一つに記載の積層体。
16.前記樹脂層(C)の厚みが0.01~100μmであることを特徴とする1~15いずれか一つに記載の積層体。
17.前記絶縁樹脂層(D)の厚みが1~1000μmであることを特徴とする請求項116いずれか一つに記載の積層体。
18.前記金属めっき層(F)の厚みが0.05~1000μmであることを特徴とする4~17いずれか一つに記載の積層体。
19.仮支持体(A)にめっき下地層(B)と樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)を順次形成することを特徴とする1~18いずれか一つに記載の積層体の製造方法。
20.仮支持体(A)にめっき下地層(B)と樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)を順次形成した積層体を製造する工程1、
前記積層体の前記絶縁樹脂層(D)が形成された面を、支持体(E)の少なくとも一面に貼り合わせる工程2、
支持体(E)に貼り合わせた前記積層体の前記仮支持体(A)を剥がし、支持体(E)の少なくとも一面に前記絶縁樹脂層(D)と前記樹脂層(C)と前記めっき下地層(B)を形成する工程3、
前記めっき下地層(B)の表面に金属めっき層(F)を形成する工程4、
を有することを特徴とする1~19いずれか一つに記載の積層体の製造方法。
21.1~18いずれか一つに記載の積層体を有することを特徴とするプリント配線板、パッケージ基板、インターポーザ、LED電極用配線基板、光電融合デバイス。
本発明の積層体は、仮支持体にめっき下地層を形成した後、樹脂層と絶縁樹脂層を形成することで、樹脂層と絶縁樹脂層の官能基同士を反応させたものである。また、この積層体を支持体の両面に一度に貼り合わせることで、従来の金属ナノ粒子層を用いた塗工法にくらべ、簡便かつ安価に、高い品質で支持体に樹脂層とめっき下地層を容易に形成することができる導電性パターンの製造方法である。
また、本発明の導電性パターンの製造方法は、例えば、プリント配線板、リジットプリント配線版、フレキシブルプリント配線板、パッケージ基板、セラミック基板、ガラス基板、シリコンウエハー基板、金属基板、タッチパネル向け導電性フィルム、タッチパネル用メタルメッシュ、有機太陽電池、有機EL素子、有機トランジスタ、非接触ICカード等のRFID、電磁波シールド、LED照明基材、デジタルサイネージなどの電子部材として好適に用いることができる。特に、リジットプリント配線板、フレキシブルプリント配線板用途に最適である。
また、成形品へ適用することにより、成形回路基板(MID)、光通信等の配線を接続するコネクター、電装部材、電気モーター周辺部材、電池部材などの電子部材;自動車用装飾部品、ランプリフレクター、携帯電話、パソコン、鏡、容器、家電、各種スイッチ、水栓部品、シャワーヘッド、などの装飾に好適に用いることができる。
仮支持体(A)に、導電性物質(b2)が銀である流動体を塗工し乾燥した塗膜をグロー放電発光分光法で測定した結果である。 仮支持体(A)に、導電性物質(b2)が銀であり、図1と組成が異なる流動体を塗工し乾燥した塗膜をグロー放電発光分光法で測定した結果である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成した本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、基材の片面に貼り合わせた本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、基材の両面に貼り合わせた本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、基材の片面に貼り合わせた後、仮支持体を剥離した本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、基材の両面に貼り合わせた後、仮支持体を剥離した本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、基材の片面に貼り合わせた後、仮支持体を剥離した後、金属めっき層を形成した本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、基材の両面に貼り合わせた後、仮支持体を剥離した後、金属めっき層を形成した本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、配線板の片面に貼り合わせた本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、配線板の両面に貼り合わせた本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、配線板の片面に貼り合わせた後、仮支持体を剥離した本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、配線板の両面に貼り合わせた後、仮支持体を剥離した本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、配線板の片面に貼り合わせた後、仮支持体を剥離した後、金属めっき層を形成した本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、配線板の両面に貼り合わせた後、仮支持体を剥離した後、金属めっき層を形成した本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、配線板の片面に貼り合わせた後、仮支持体を剥離した後、配線加工を行った本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、配線板の両面に貼り合わせた後、仮支持体を剥離した後、配線加工を行った本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、形成した積層体を仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層を順次形成した積層体に、絶縁樹脂層側と樹脂層側を貼り合わせた本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、形成した積層体を仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層を順次形成した積層体に、絶縁樹脂層側と樹脂層側を貼り合わせた後、仮支持体を剥離した本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、形成した積層体を仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層を順次形成した積層体に、絶縁樹脂層側と樹脂層側を貼り合わせた後、仮支持体を剥離した後、金属めっき層を形成した本発明の積層体の断面図である。 仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層、絶縁樹脂層を順次形成し、形成した積層体を仮支持体の片面にめっき下地層、樹脂層を順次形成した積層体に、絶縁樹脂層側と樹脂層側を貼り合わせた後、仮支持体を剥離した後、配線加工を行った本発明の積層体の断面図である。
本発明は、仮支持体(A)の少なくとも一面に、分散剤(b1)及び導電性物質(b2)を含有するめっき下地層(B)を形成した後に官能基[X]を有する化合物(c1)を含有する樹脂層(C)と官能基[Y]を有する化合物(d1)を含有する絶縁樹脂層(D)が順次積層された積層体であって、前記樹脂層(C)に含まれる前記化合物(c1)が有する官能基[X]と、前記絶縁樹脂層(D)に含まれる前記化合物(d1)が有する官能基[Y]とを反応させることによって結合を形成したものである積層体、および、その製造方法である。
また、前記積層体の前記絶縁樹脂層(D)が形成された面を、支持体(E)の少なくとも一面に貼り合わせる工程1、貼り合わせた前記積層体の前記仮支持体(A)を剥がし、前記支持体(E)の少なくとも一面に前記絶縁樹脂層(D)と前記樹脂層(C)と前記めっき下地層(B)を形成する工程2、を有することを特徴とする導電性パターンの製造方法である。
本発明の積層体は、仮支持体(A)の少なくとも一面に、前記めっき下地層(B)と前記樹脂層(C)と前記絶縁樹脂層(D)を順次積層した積層体であってもよく、前記仮支持体(A)の両面に、前記めっき下地層(B)と前記樹脂層(C)と前記絶縁樹脂層(D)を順次積層した積層体であってもよい。
前記仮支持体(A)としては、前記積層体を貼り合わせた後、最終的に剥がす必要がある。前記仮支持体(A)として、例えば、高分子フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、及びポリブチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステル;ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレンー六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレンーエチレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレンーエチレン共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロジオキシソール共重合体、フッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂;ポリメチルペンテン(TPX)、ポリプロピレン(PP)[二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)も含む]、及びポリエチレン(PE)[高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む]などのオレフィン樹脂;ポリスチレン(PS);ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリイミド、透明ポリイミドなどのポリイミド樹脂;ポリアミドイミド、ポリアミドなどのポリアミド樹脂;ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ABSとポリカーボネートとのポリマーアロイ、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、エポキシ樹脂などが上げられる。中でも、芳香族ポリエステル、ポリエチレン、オレフィン樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、LCP、ポリフェニレンサルファイドを前記仮支持体として用いることが好ましい。
また、前記仮支持体(A)として、金属を用いることができ、銅、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、ステンレス、ベリリウム銅、燐青銅、ニッケル、ニクロム、ニッケル合金、錫、亜鉛、鉛、金、亜鉛、鉛、タンタル、モリブデン、ニオブ、鉄、銀、を用いることが出来る。その他、無機基材としては、シリコン、セラミックス、ガラス等からなる前記仮支持体(A)として用いることができる。中でも、銅、アルミニウムを前記仮支持体として用いることが好ましい。
前記仮支持体(A)の形状は、特に限定されるものではないが、フィルム状又はシート状の場合が取り扱い易い。前記仮支持体(A)の膜厚としては、通常、1~5,000μmの範囲が好ましく、1~300μmの範囲がより好ましく、1~200μmの範囲がより好ましく、1~100μmの範囲がより好ましく、1~50μmの範囲がさらに好ましい。前記仮支持体(A)は、後述する支持体(E)に貼り合わせ、めっき下地層(B)と樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)を支持体(E)に積層した後、不要なるため、作業性を失わない程度に薄膜であることが好ましい。
仮支持体(A)の表面は、積層体からめっき下地層(B)と樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)を転写し易くするため、平滑であることが好ましい。具体的には、レーザー顕微鏡で測定した時の表面粗さ(最大高さSz)が0.001~30μmの範囲が好ましく、0.01~20μmの範囲が好ましく、0.05~10μmの範囲がより好ましい。なお、表面粗さ(最大高さSz)とは、ISO 25178に記された評価方法で測定したものであり、表面の最も高い点から最も低い点までの距離を表す。
また、これら前記仮支持体(A)の表面に離型層を形成したものを用いることができる。離型層は、前記仮支持体(A)に、シリコーン系離型剤や、非シリコーン系離型剤を塗工することで形成できる。非シリコーン系離型剤としては、アルキド樹脂 、メラミン樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、尿素樹脂、ポリオレフィン、パラフィン、シリカ複合アクリル樹脂、シリカ複合メラミン樹脂、シリカ複合ウレタン樹脂、シリカ複合エポキシ系樹脂、シリカ複合フェノール樹脂、シリカ複合ポパール樹脂、シリカ複合ポリスチレン系樹脂、シリカ複合ポリ酢酸ビニル系樹脂、シリカ複合ポリイミド系樹脂、シリカ複合ポリアミドイミド系樹脂を用いることができる。シリコーン樹脂の離型層は、前記転写フィルムの前記仮支持体(A)を剥がす際、前記めっき下地層(B)の表面にシリコーン樹脂が移行し、後述する前記めっき下地層(B)へめっき層を形成する際に、前記めっき下地層(B)と前記金属めっき層(F)の密着性を阻害する。そのため、離型層としては、非シリコーン系離型剤を用いることが好ましく、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂を用いることが好ましい。
離型層の膜厚は、離型性を確保できれば特に限定されることはないが、離型層が後述するめっき下地層(B)の表面に付着するのを防止するため薄膜であることが好ましい。具体的には、0.01~50μmが好ましく、さらに0.01~10μmがより好ましく、さらに0.01~1μmがより好ましい。
前記仮支持体(A)としては、金属を用いることが好ましい。後述する前記仮支持体(A)の表面に、金属ナノ粒子を用いた前記めっき下地層(B)を形成する際、金属を用いると高分子フィルムを用いた場合に比べ、より高温で乾燥することができ、めっき下地層(B)の表面抵抗を下げることで、めっき下地層自体の導電性を上げることができる。また、導電性パターンを形成する工程において、後述する前記積層体の絶縁樹脂層(D)の面を支持体(E)に貼り合わせたあと、前記仮支持体(A)の面から両面を貫通する貫通孔、もしくは、内層の導電性パターンまで非貫通孔を形成する際、ドリルやレーザーで孔を形成することになるが、高分子フィルムを前記仮支持体(A)として用いた場合は、孔開け加工の際、高分子のスミアが発生し、貫通孔もしくは非貫通孔を導電化する工程で、めっき析出不具合が発生する場合がある。一方、金属を使うと、従来のプリント基板のドリルやレーザーを用いた孔開け加工の工法が適用でき、前記仮支持体(A)としては、銅やアルミニウムを用いることが好ましい。
前記仮支持体(A)に後述する前記めっき下地層(B)を塗工する際、必要に応じて、前記仮支持体(A)の表面に、塗料を濡れ易くする目的で表面処理をしてもよい。具体的には、コロナ放電処理等のプラズマ放電処理、紫外線処理等の乾式処理、水、酸・アルカリ等の水溶液又は有機溶剤等を用いる湿式処理等の方法が挙げられる。前記仮支持体(A)を過剰に表面処理することで、後述する前記仮支持体(A)と前記めっき下地層(B)の界面で剥離しにくくなるため、適度に表面処理を実施することが好ましい。
次に、めっき下地層(B)について説明する。
前記めっき下地層(B)は、分散剤(b1)及び導電性物質(b2)を含有する層であり、後述する方法で仮支持体(A)にめっき下地層を形成すると、前記分散剤(b1)がめっき下地層(B)と空気の界面、めっき下地層(B)と仮支持体(A)の界面に局在化させることができる。
めっき下地層(B)と空気の界面は、後述する樹脂層(C)を形成する面であり、空気界面に前記分散剤(b1)が多く局在化することで、前記分散剤(b1)が有する官能基と樹脂層(C)に含まれる化合物(c1)が有する官能基と化学結合を形成しやすくなるため、めっき下地層(B)と樹脂層(C)の密着性が向上する。一方、めっき下地層(B)と仮支持体(A)の界面は、後述する転写積層体を支持体(E)に転写した後、金属めっき層(F)を形成する面であるため、局在化した分散剤(b1)が多い場合、めっき下地層(B)と金属めっき層(F)の密着性を低下させる。
そこで、鋭意検討の結果、仮支持体(A)にめっき下地層(B)を形成し、グロー放電発光分光法を用いて測定した分散剤(b1)由来の炭素原子の存在状態について、めっき下地層(B)と空気の界面(最終的に樹脂層(C)側)の炭素原子と、めっき下地層(B)と仮支持体(A)の界面(最終的に金属めっき層(F)側)の炭素原子に、最適な量があることを見出した。
グロー放電発光分光法は、アルゴングロー放電領域内で、めっき下地層(B)を高周波スパッタリングし、スパッタされた原子の発光線を連続的に分光することで、めっき下地層(B)の深さ方向の元素分布を測定する方法である。グロー放電発光分光法としては、堀場製作所株式会社製高周波グロー放電発光表面分析装置(GDS)GD-Profiler2を用いることができる。測定条件としては、アルゴンガス、ガス圧1000Pa、電力20W、アノード径4mmとした。なお、グロー放電発光分光法の測定で得られる信号強度は、それぞれ独立した検出機から同時に得られた各元素の発光強度になるため、各元素を定量するためには元素の数だけ検量線を作成する必要がある。ただし、一つの元素に着目すれば、信号強度からめっき下地層(B)の深さ方向に対する元素プロファイルを得ることができる。
図1と図2は、導電性物質(b2)として銀を用いた場合のグロー放電発光分光法の結果である。
図1は、横軸にスパッタ時間、縦軸に各元素の信号強度をとったグラフである。銀原子のプロファイルに対し、炭素原子は、スパッタリング開始後約0.5秒付近に、空気とめっき下地層(B)の界面(最終的に樹脂層(C)側)があり、炭素原子が多く存在することが分かる。その後、スパッタ時間が経過するにつれて炭素原子が少なくなる。これはめっき下地層(B)の内部に炭素原子が比較的少ないことを示している。さらにスパッタリングを進めると、スパッタリング開始後約16秒付近に、めっき下地層(B)と仮支持体(A)の界面(最終的に金属めっき層(F)側)があり、炭素原子が多く存在することが分かる。よって、空気とめっき下地層(B)の界面に分散剤(b1)由来の炭素原子が多く存在するため、分散剤(b1)が有する官能基と、後述する樹脂層(C)に含まれる化合物(c1)が有する官能基が反応し、化学結合を形成しやすいことが分かる。
図2は、図1とは異なるめっき下地層(B)を仮支持体(A)に形成したものである。銀原子のプロファイルに対し、炭素原子は、スパッタリング開始後約1秒付近に、空気とめっき下地層(B)の界面(最終的に樹脂層(C)側)に炭素原子が多く存在し、その後、スパッタ時間が経過しても炭素原子の信号強度が変化せず、銀原子の信号強度が落ちるスパッタ時間約21秒当たりがめっき下地層(B)と仮支持体(A)の界面(最終的に金属めっき層(F)側)であるが、炭素原子の増加は見られない。
前記めっき下地層(B)は、前記仮支持体(A)の表面全体に設けられた層であってもよく、また、前記仮支持体(A)の表面の一部に設けられた層であってもよい。前記仮支持体(A)の表面の一部に存在する前記めっき下地層(B)としては、具体的には、前記仮支持体(A)の表面に、パターンレジストを使って形成された導電性パターンや、印刷法を用いて必要な部分にのみめっき下地層(B)を形成した導電性パターン、前記仮支持体(A)の表面全体にめっき下地層(B)を形成した後、レーザーなどを使って不要な部分をレーザーで除去(トリミング)し、必要な部分のみ残すことによってえられた導電性パターンなどが挙げられる。
前記めっき下地層(B)は、前記めっき下地層(B)全体に対し、導電性物質(b2)は80質量%~99.9質量%の範囲で含有し、前記分散剤(b1)は0.1質量%~20質量%の範囲で含有するものであり、さらに、0.1質量%~10質量%の範囲がより好ましい。
前記めっき下地層(B)に含まれる分散剤(b1)として、塩基性窒素原子含有基、または、リン酸エステル基を有する化合物を用い、後述する樹脂層(C)に含まれる化合物(c1)が有する官能基と反応させることで、化学結合を形成させることができる。前記塩基性窒素原子含有基、または、前記リン酸エステル基は、前記官能基と一部反応して化学結合を形成しても良く、全部が反応して化学結合を形成しても良い。
前記塩基性窒素原子含有基としては、例えばイミノ基、1級アミノ基、2級アミノ基等が挙げられる。
前記分散剤(b1)として複数の塩基性窒素原子含有基を分子中に有するものを使用する場合、前記塩基性窒素原子含有基の一方は、前記めっき下地層(B)を形成した際に、後述する樹脂層(C)に含まれる化合物(c1)の官能基との結合に関与し、他方は、めっき下地層(B)中の銀等の導電性物質(b2)との相互作用に寄与することが、前記めっき下地層(B)と前記樹脂層(C)との密着性を向上するうえで好ましい。
塩基性窒素含有基を有する前記分散剤(b1)は、前記めっき下地層(B)を多孔質状とすることで前記めっき下地層(B)と後述する金属めっき層(F)との密着性を向上できることから、高分子分散剤が好ましく、この高分子分散剤としては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン等のポリアルキレンイミン、前記ポリアルキレンイミンにポリオキシアルキレンが付加した化合物を用いることが好ましい。前記分散剤に高分子分散剤を用いることで、低分子分散剤と比較して、前記めっき下地層(B)中の分散剤を除去して多孔質状とし、その空隙サイズを大きくすることができ、ナノオーダーからサブミクロンオーダーの大きさの空隙を形成することができる。この空隙に後述する金属めっき層(F)を構成する金属が充填されやすくなり、充填された金属がアンカーとなり、前記めっき下地層(B)と後述する金属めっき層(F)との密着性を大幅に向上することができる。
前記分散剤(b1)としてリン酸エステル基を分子中に有するものを使用する場合、リン酸エステル基を導入しやすいアクリル樹脂を用いることが好ましい。アクリル樹脂にリン酸エステル基を導入する場合は、アクリル樹脂の原料として、リン酸エステル基を有する単量体を用いる。リン酸エステル基を有する単量体としては、例えば、リン酸2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル、リン酸2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル、リン酸ジフェニル(2-アクリロイルオキシエチル)、リン酸ジフェニル(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、リン酸フェニル(2-アクリロイルオキシエチル)ホスフェート等が挙げられる。
また、前記分散剤(b1)に前記リン酸エステル基以外の官能基を併用することが、前記めっき下地層(B)と樹脂層(C)の密着性を向上させるため好ましい。例えば、官能基としては、カルボキシル基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、エポキシ基、水酸基、オキサゾリン基、N-メチロール基、N-アルコキシメチル基、アミノ基、アルコキシシリル基等が挙げられる。また、前記分散材(b1)は、これらの官能基を2種以上有していてもよい。
前記分散材(b1)中の前記官能基の含有量は、前記樹脂層(C)との密着性をより向上できることから、0.001~5mmol/gの範囲が好ましく、0.01~3mmol/gの範囲がより好ましく、0.01~2mmol/gの範囲がさらに好ましい。
前記めっき下地層(B)を構成する導電性物質(b2)としては、遷移金属又はその化合物が挙げられ、中でもイオン性の遷移金属が好ましい。このイオン性の遷移金属としては、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト等が挙げられる。これらの中でも、後述する金属めっき層(F)を形成しやすいことから銀や銅が好ましく、めっき下地層を表面抵抗が低くなることから銀を使うことがより好ましい。また、ニッケルやコバルトなど磁性を有する金属は、高周波伝送で要求される伝送特性を低下させるため、銀や銅を用いることが好ましく、銀を用いることがより好ましい。
前記めっき下地層(B)の形成に用いる導電性物質(b2)の形状は、粒子状又繊維状のものが好ましい。また、導電物質(b2)が粒子の場合、その大きさは、ナノサイズのものが好ましい。具体的には、より緻密な塗膜にし、抵抗値をより低減できることから、平均粒子径が1~100nmの範囲が好ましく、1~50nmの範囲がより好ましい。この平均粒子径の測定には、マイクロトラック社製「ナノトラックUPA-150」を用いることができる。
一方、前記導電性物質(b2)の形状が繊維状の場合も、より緻密な塗膜にし、抵抗値をより低減できることから、繊維の直径が5~100nmの範囲以下が好ましく、5~50nmの範囲以下がより好ましい。また、繊維の長さは、0.1~100μmの範囲以下が好ましく、0.1~30μmの範囲がより好ましい。
めっき下地層(B)は、前記分散剤(b1)と前記導電性物質(b2)を含有する流動体を調整し、塗布することで層を形成することができる。前記流動体中の前記導電性物質(b2)の含有率は、1~90質量%の範囲が好ましく、1~60質量%の範囲がより好ましく、1~10質量%の範囲がさらに好ましい。
前記流動体に配合してもよい成分としては、前記導電性物質(b2)を溶媒中に分散させるための分散剤や溶媒、また必要に応じて、後述する界面活性剤、レベリング剤、粘度調整剤、成膜助剤、消泡剤、防腐剤等が挙げられる。
前記導電性物質(b2)を溶媒中に分散させるため、分散剤を併用しても良い。前記分散剤としては、例えば、ドデカンチオール、1-オクタンチオール、トリフェニルホスフィン、ドデシルアミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン;ミリスチン酸、オクタン酸、ステアリン酸等の脂肪酸;コール酸、グリシルリジン酸、アビエチン酸等のカルボキシル基を有する多環式炭化水素化合物、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、前記ウレタン樹脂や前記アクリル樹脂にリン酸基を含有する化合物等が挙げられる。
前記導電性物質(b2)を分散させるために用いる前記分散剤の使用量は、前記導電性物質(b2)100質量部に対し、0.01~50質量部の範囲が好ましく、0.01~10質量部の範囲がより好ましい。
また、前記めっき下地層(B)と後述する金属めっき層(F)との密着性をより向上する目的で、焼成により分散剤を除去して多孔質状の前記めっき下地層(B)を形成する場合は、前記導電性物質(b2)100質量部の範囲に対し、0.1~10質量部の範囲が好ましく、0.1~5質量部の範囲がより好ましい。
前記流動体に用いる溶媒としては、水性媒体や有機溶剤を用いることができる。前記水性媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等が挙げられる。また、前記有機溶剤としては、アルコール化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
前記アルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
また、前記流動体には、溶媒の他に、必要に応じてエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、グリセリン等を用いることができる。
前記界面活性剤としては、一般的な界面活性剤を用いることができ、例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ヘキサメタリン酸塩等が挙げられる。
前記レベリング剤としては、一般的なレベリング剤を用いることができ、例えば、シリコーン系化合物、アセチレンジオール系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。
前記粘度調整剤としては、一般的な増粘剤を用いることができ、例えば、アルカリ性に調整することによって増粘可能なアクリル重合体や合成ゴムラテックス、分子が会合することによって増粘可能なウレタン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、水添加ヒマシ油、アマイドワックス、酸化ポリエチレン、金属石鹸、ジベンジリデンソルビトールなどが挙げられる。
前記成膜助剤としては、一般的な成膜助剤を用いることができ、例えば、アニオン系界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸エステルソーダ塩など)、疎水性ノニオン系界面活性剤(ソルビタンモノオレエートなど)、ポリエーテル変性シロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
前記消泡剤としては、一般的な消泡剤を用いることができ、例えば、シリコーン系消泡剤、ノニオン系界面活性剤、ポリエーテル,高級アルコール、ポリマー系界面活性剤等が挙げられる。
前記防腐剤としては、一般的な防腐剤を用いることができ、例えば、イソチアゾリン系防腐剤、トリアジン系防腐剤、イミダゾール系防腐剤、ピリジン系防腐剤、アゾール系防腐剤、ピリチオン系防腐剤等が挙げられる。
前記流動体の粘度(25℃でB型粘度計を用いて測定した値)は、0.1~500,000mPa・sの範囲が好ましく、0.2~10,000mPa・sの範囲がより好ましい。また、前記流動体を、後述するインクジェット印刷法、凸版反転印刷等の方法によって塗工(印刷)する場合には、その粘度は5~20mPa・sの範囲が好ましい。
本発明の積層体の製造方法としては、まず、仮支持体(A)の上に、分散剤(b1)と導電性物質(b2)を含有する流動体を塗工し、流動体中に含まれる有機溶剤等を乾燥により除去することによって、めっき下地層(B)を形成した後、官能基を有する化合物(c1)を含有する流動体を塗工することで樹脂層(C)を形成し、その後、前記めっき下地層(B)に含まれる分散剤(b1)が有する塩基性窒素原子含有基、または、リン酸エステル基と、前記樹脂層(C)に含まれる前記化合物(c1)が有する官能基と反応させることによって結合を形成する方法が挙げられる。
前記仮支持体(A)の上に前記流動体を塗工や印刷する方法としては、例えば、インクジェット印刷法、反転印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、パッド印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法、ロータリーコート法、キャピラリーコート法、マイクログラビア塗工法、ドクターロール方式等が挙げられる。
前記めっき下地層(B)の形成方法としては、1層でも良く、2層以上あっても良い。2層以上のめっき下地層(B)を形成した場合、例えば、1層目に形成しためっき下地層の塗膜欠陥を2層目で埋めることにより、より均質な膜を形成することが出来る。
前記分散剤(b1)と導電性物質(b2)を含有する前記流動体を塗工や印刷した後の乾燥温度としては、50℃~400℃の範囲が好ましく、80℃~340℃の範囲がより好ましく、120℃~320℃の範囲が好ましく、150℃~300℃の範囲が好ましく、180℃~280℃の範囲がさらに好ましい。
前記乾燥は、送風を行っても良いし、特に送風を行わなくても良い。また、乾燥は大気中で行ってもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガスの置換雰囲気下、もしくは気流下で行っても良く、真空下で行っても良い。めっき下地層(B)が分散剤で分散された金属ナノ粒子を用いた層である場合、大気下で乾燥することによって、金属ナノ粒子の層が酸化され、後述する金属めっき層(F)との密着性を向上させることができる。また、大気下で乾燥することにより、めっき下地層(B)の表面に存在する分散剤や界面活性剤、レベリング剤、粘度調整剤、成膜助剤、消泡剤、防腐剤等を酸化分解することができ、密着性を阻害する化合物を減らすことができるため、めっき下地層(B)と金属めっき層(F)の密着性を向上させることができる。
前記めっき下地層(B)の単位面積当たりの質量は、1~30000mg/mの範囲が好ましく、1~5,000mg/mの範囲が好ましい。めっき下地層(B)に対し、無電解めっきを施す場合は、めっき下地層(B)を触媒として使うため、めっき下地層の膜厚が薄くて良く、具体的には、1~5000mg/mが好ましく、10~1000mg/mが好ましく、10~500mg/mが好ましく、50~500mg/mがより好ましい。一方、めっき下地層(B)に電解めっきを施す場合は、めっき下地層(B)に導電性があり、低抵抗である方が良いため、膜厚が厚い方が良く、100~30000mg/mが好ましく、100~10000mg/mが好ましく、300~5000mg/mが好ましく、後述する金属めっき層(F)とめっき下地層(B)の密着性や、高価なめっき下地層(B)を薄くし低コスト化するため、500~2000mg/mがより好ましい。
前記めっき下地層(B)に電解めっきを施す場合の前記めっき下地層(B)の表面抵抗は、電解めっきを均質に形成するため、低抵抗であることが好ましい。表面抵抗は、0.1~10000Ω/□の範囲であることが好ましく、0.15~1000Ω/□の範囲がより好ましく、0.15~500Ω/□の範囲がより好ましく、0.2~100Ω/□の範囲がより好ましく、0.2~10Ω/□の範囲がより好ましく、0.2~5Ω/□の範囲がさらに好ましい。
次に、樹脂層(C)について説明する。
前記樹脂層(C)は、前記めっき下地層(B)と後述する絶縁樹脂層(D)との密着性を高めることを目的として設けられている層である。
前記樹脂層(C)は、前記めっき下地層(B)の表面に、塗布、乾燥等することによって形成された塗膜中に存在する前記化合物(c1)の官能基が、前記めっき下地層(B)に含まれる前記分散剤(b1)と反応することによって化学結合を形成する。常温でも反応は進み化学結合を形成するが、加熱することで、より反応が進み化学結合を形成する。
また、前記樹脂層(C)は、官能基[X]を有する化合物(c1)を含有する(c1)を塗布、乾燥することによって形成された塗膜(c)中に存在する前記化合物(c1)の官能基が、後述する絶縁樹脂層(D)に含まれる官能基[Y]を有する化合物(d1)の官能基と化学結合を形成する。後述する絶縁樹脂層(D)塗膜形成時の加熱乾燥することで、より反応が進み化学結合を形成する。
これにより、前記めっき下地層(B)と樹脂層(C)との界面と、樹脂層(C)と後述する絶縁樹脂層(D)との界面で密着性が高くなり、前記積層体を後述する支持体(E)に貼り合わせ、前記積層体の仮支持体(A)を剥がす際に、前記めっき下地層(B)と樹脂層(C)及び、樹脂層(C)と後述する絶縁樹脂層(D)が容易に剥離せず、また、後述する支持体(E)に、後述する絶縁樹脂層(D)と樹脂層(C)とめっき下地層(B)を積層した構成において、経時的な剥離を引き起こすことのない優れた密着性を備えた導電性パターンを得ることができる。
前記樹脂層(C)の前駆体といえる前記塗膜(c)は、支持体の表面に、官能基[X]を有する化合物(c1)を含有する組成物を塗布し、乾燥等することによって形成されたものである。前記塗膜(c)に含まれる化合物(c1)は、後述する絶縁樹脂層(D)に含まれる官能基[Y]を有する化合物(d1)と反応する官能基[X]を有する。
後述する絶縁樹脂層(D)に含まれる官能基[Y]と反応する前記官能基[X]としては、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、水酸基、カルボニル基、カルボキシ基、アルデヒド基、ニトロ基、イミノ基、スルホ基、チオール基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、オキサゾリン基、N-メチロール基、N-アルコキシメチル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。中でも、前記官能基[X]としてアミノ基やエポキシ基が官能基[Y]として反応するとともに、アミノ基とエポキシ基同士が反応することで、強固な樹脂層を形成することが出来る。
前記官能基[X]は、前記樹脂層(C)全体に対して、50mmol/kg~10,000mmol/kgの範囲で存在することが好ましく、100mmol/kg~8,000mmol/kgの範囲であることがより好ましく、100mmol/kg~5,000mmol/kgの範囲であることが、密着性をより一層向上するうえでより好ましい。
前記官能基[X]に用いられるアミノ基を持つ硬化剤として、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジフェニルエーテル、4-アミノ安息香酸4-アミノフェニル、2,2’―ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、m―トリジン、1,3-ビス(4―アミノフェノキシ)ベンゼン、
2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、3,7-ジアミノ-2,8-ジメチルジベンゾチオフェンスルホン、5,5’-メチレンビス(2-アミノ安息香酸)、1,3’-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられる。また、これらの硬化剤は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
前記官能基[X]に用いられるエポキシ基を持つ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、アルコールエーテル型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド誘導体由来の構造を有する含リンエポキシ化合物、ジシクロペンタジエン誘導体由来の構造を有するエポキシ樹脂、エポキシ化大豆油等の油脂のエポキシ化物などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
前記エポキシ樹脂の中でも、密着性をより向上できることから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、特に、ナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂のエポキシ基(官能基[X])と、後述する絶縁樹脂層(D)に含まれる官能基[Y]が反応し、共有結合を形成するため、樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)の界面の密着性が向上する。
また、前記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、密着性をより向上できることから、100~300g/当量の範囲が好ましく、120~250g/当量の範囲がより好ましく、150~200g/当量の範囲がさらに好ましい。
また、前記樹脂層(C)としては、エポキシ基やアミノ基を含有しているのであれば、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂をシェルとしアクリル樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートにフェノール等のブロック化剤を反応させて得られたブロックイソシアネートポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を併用しても良い。
前記アミノトリアジン変性ノボラック樹脂は、アミノトリアジン環構造とフェノール構造とがメチレン基を介して結合したノボラック樹脂である。前記アミノトリアジン変性ノボラック樹脂は、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のアミノトリアジン化合物と、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、ビスフェノールA、フェニルフェノール、ナフトール、レゾルシン等のフェノール化合物と、ホルムアルデヒドとをアルキルアミン等の弱アルカリ性触媒の存在下又は無触媒で、中性付近で共縮合反応させるか、メチルエーテル化メラミン等のアミノトリアジン化合物のアルキルエーテル化物と、前記フェノール化合物とを反応させることにより得られる。
前記アミノトリアジン変性ノボラック樹脂は、メチロール基を実質的に有していないものが好ましい。また、前記アミノトリアジン変性ノボラック樹脂には、その製造時に副生成物として生じるアミノトリアジン構造のみがメチレン結合した分子、フェノール構造のみがメチレン結合した分子等が含まれていても構わない。さらに、若干量の未反応原料が含まれていてもよい。
前記フェノール構造としては、例えば、フェノール残基、クレゾール残基、ブチルフェノール残基、ビスフェノールA残基、フェニルフェノール残基、ナフトール残基、レゾルシン残基等が挙げられる。また、ここでの残基とは、芳香環の炭素に結合している水素原子が少なくとも1つが抜けた構造を意味する。例えば、フェノールの場合は、ヒドロキシフェニル基を意味する。
前記トリアジン構造としては、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のアミノトリアジン化合物由来の構造が挙げられる。
前記フェノール構造及び前記トリアジン構造は、それぞれ1種で用いることも2種以上併用することもできる。また、密着性をより向上できることから、前記フェノール構造としてはフェノール残基が好ましく、前記トリアジン構造としてはメラミン由来の構造が好ましい。
また、前記アミノトリアジン変性ノボラック樹脂の水酸基価は、密着性をより向上できることから、50~200mgKOH/gの範囲が好ましく、80~180mgKOH/gの範囲がより好ましく、100~150mgKOH/gの範囲がさらに好ましい。
前記アミノトリアジン変性ノボラック樹脂は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
また、前記アミノトリアジン環を有する化合物として、アミノトリアジン変性ノボラック樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂を併用することが好ましい。
前記樹脂層(C)が、アミノトリアジン変性ノボラック樹脂及びエポキシ樹脂を含有する層とする場合、密着性をより向上できることから、前記アミノトリアジン変性ノボラック樹脂中のフェノール性水酸基と前記エポキシ樹脂中のエポキシ基とのモル比[(x)/(y)]は、0.1~5の範囲以下が好ましく、0.2~3の範囲以下がより好ましく、0.3~2の範囲がさらに好ましい。
前記アミノトリアジン変性ノボラック樹脂とエポキシ樹脂との反応を促進するため、硬化促進剤を併用してもよい。前記硬化促進剤としては、例えば、一級、二級又は三級のアミノ基を有するアミン化合物が挙げられる。また、前記アミン化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれのものも用いることができる。また、前記硬化促進剤として、メルカプタン、酸無水物、酸フッ化ホウ素、ホウ酸エステル、有機酸ヒドラジット、ルイス酸、有機金属化合物、オニウム塩、カチオン性化合物等も用いることができる。
また、フェノキシ樹脂を含有するものを用いることが好ましい。樹脂層(C)は、後述する絶縁樹脂層(D)、めっき下地層(B)との密着性を向上させる機能を有するものである。本発明において、フェノキシ樹脂は、重量平均分子量が10,000~100,000の範囲にあるものを用いることが好ましい。樹脂層(C)に高分子量のフェノキシ樹脂を用いることにより、ポリマーの伸度を向上させ、さらに弾性率を向上させることにより、積層体の絶縁樹脂層(D)の面を支持体(E)に貼り合わせて、仮支持体(A)を剥がした後の積層体において、樹脂層(C)は絶縁樹脂層(D)と前記めっき下地層(B)との密着性を向上させることができる。さらに、高分子量のフェノキシ樹脂の使用により、長期耐熱試験中の熱によるポリマーの分解などの劣化を抑制できることから、長期耐熱試験後においても、金属めっき層(F)の密着性を維持することができる。
フェノキシ樹脂は、2価のフェノール化合物とエピクロロヒドリンとの反応、または、2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる、ポリヒドロキシポリエーテルである。2価のフェノール化合物としてはビスフェノール類が挙げられる。フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA構造(骨格)を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールF構造を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールS構造を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールM構造を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールP構造を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールZ構造を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。その他、ノボラック構造、アントラセン構造、フルオレン構造、ジシクロペンタジエン構造、ノルボルネン構造、ナフタレン構造、ビフェニル構造、アダマンタン構造等の骨格構造を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。これらフェノキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのなかでも、ビスフェノール構造を有するものが好ましく、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格がより好ましい。また、フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基であってもよい。
本発明において、使用するフェノキシ樹脂の重量平均分子量は10,000~100,000の範囲が好ましい。分子量が10,000以上であると長期耐熱試験後のめっき密着力が高くなり、また、分子量が100,000以下であると有機溶剤への溶解性が向上し、樹脂層(C)を形成する際の塗工液の粘度が適当になるため、ハンドリングが良好となる。フェノキシ樹脂の好ましい重量平均分子量は20,000~80,000であり、より好ましくは22,000~50,000である。なお、フェノキシ樹脂の重量平均分子量は上記反応において、エポキシ樹脂とフェノール樹脂とのモル比や反応時間により調整することができる。なお、本明細書において、重量平均分子量は、後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した、標準ポリスチレンで換算した値を採用した。GPCの測定には、測定装置として高速GPC装置(HLC-8420GPC、東ソー株式会社製)を用い、カラムはTSKgelG5000HxL/G4000HxL/G3000HxL/G2000HxL(東ソー株式会社製)を直列に連結して使用し、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、RI検出器を用いて測定した。また、フェノキシ樹脂とは、一般的に高分子量のエポキシ樹脂を意味するが、本明細書において「エポキシ樹脂」とは、重量平均分子量が10,000未満のものを意味するものとし、上記したフェノキシ樹脂とは区別するものとする。
上記したフェノキシ樹脂として市販のものを使用してもよく、例えば、三菱ケミカル株式会社製の1256、4250(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、4275(ビスA/ビスF混合タイプ)、YL6794、YL7213、YL7290、YL7482、YL7553、YX8100(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、X6954(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂、YX7200(シクロヘキサン骨格含有フェノキシ樹脂)、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製のYP-70(ビスフェノールF型フェノキシ樹脂)、ZX356-2(ビスフェノールAおよびビスフェノールF骨格含有フェノキシ樹脂)、YPB-40PXM40(臭素含有フェノキシ樹脂)、ERF-001M30(リン含有フェノキシ樹脂)、FX―280、FX―293、FX-310(フルオレン骨格含有フェノキシ樹脂)、Gabriel Phenoxies社製のPKHA、PKHB、PKHB+、PKHC、PKHH、PKHJ、PKFE等が挙げられる。
本発明において、樹脂層(C)には、上記したフェノキシ樹脂と併用してエポキシ樹脂が含まれていることが好ましい。フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂とを併用することにより、より一層、常態時および長期耐熱試験後のめっき層密着性が向上する。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、アルコールエーテル型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド誘導体由来の構造を有するリン含有エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン誘導体由来の構造を有するエポキシ樹脂、エポキシ化大豆油等の油脂のエポキシ化物等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
フェノキシ樹脂と併用するエポキシ樹脂としては、後述する金属めっき層(F)の密着性をより向上できることから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂が好ましく、さらに、液状のエポキシ樹脂が好ましく、特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂と併用するエポキシ樹脂のエポキシ当量は、密着性をより向上できることから、100~5,000g/当量であることが好ましく、120~2,000g/当量であることがより好ましく、120~250g/当量であることがさらに好ましい。
樹脂層中のフェノキシ樹脂に加えてエポキシ樹脂がさらに含まれる場合、フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂との配合割合は、質量基準におい90:10~10:90であることが好ましく、85:15~15:80であることがより好ましい。
また、本発明において、樹脂層(C)にフェノキシ樹脂を用いた場合、フェノキシ樹脂の末端にあるエポキシ基と、めっき下地層(B)に含まれる塩基性窒素原子含有基とが反応するため、めっき下地層(B)と樹脂層(C)の界面の密着性が向上する。また、フェノキシ樹脂は、その他樹脂を併用して用いてもよい。
前記加熱工程を経ることによって形成された樹脂層(C)は、前記化合物(b1)に有する前記塩基性窒素原子含有基、または、前記リン酸エステル基と反応せずに一部残存する官能基[X]を有していてもよい。
前記樹脂層(C)は、前述の通り、めっき下地層(B)に含有する塩基性窒素原子含有基、または、リン酸エステル基と、前記樹脂層(C)に含有する官能基[X]を加熱などにより反応させる必要があるが、乾燥したあとの前記樹脂層(C)は、完全に硬化していても良く、半硬化でも良い。後述する積層体の樹脂層(C)の面を絶縁樹脂層(D)を形成し、支持体(E)に貼り合わせた積層体の仮支持体(A)を剥離することで、絶縁樹脂層(D)に導電性パターンを形成する方法となるため、絶縁樹脂層(D)との密着性を確保するため樹脂層(C)は半硬化であることが好ましい。
前記樹脂層(C)は、仮支持体層(A)の表面に存在する前記めっき下地層(B)の一部または全部に設けられてもよく、前記仮支持体(A)の片面または両面に設けられてもよい。例えば、後述する絶縁樹脂層(D)の表面に、導電性パターンを形成したい場合、仮支持体(A)の表面の全面に樹脂層(C)を有し、その樹脂層(C)のうち必要な部分にのみ、前記めっき下地層(B)を有するものを使用することができる。また、仮支持体(A)の表面のうち、前記めっき下地層(B)が設けられる部分にのみ、前記樹脂層(C)が設けられた導電性パターンであってもよい。
前記樹脂層(C)は、1層でも良く、2層以上あっても良い。2層以上の樹脂層(C)を形成した場合、例えば、めっき下地層に近い層は、前記めっき下地層(B)との密着性を向上させ、一方で、最終的に後述する絶縁樹脂層(D)に近い樹脂層(C)は、絶縁樹脂層(D)との密着性を向上させることができる。また、前記めっき下地層(C)に近い1層目の樹脂層(C)は、前記めっき下地層(B)や後述する金属めっき層(E)に近い層になり、導電性パターンを形成した際に、銅配線に近い部分となるため、絶縁信頼性を向上させる目的で、樹脂層(C)の樹脂組成物を選択し、形成することができる。
また、前記樹脂層(C)の塗料は、前記仮支持体(A)の表面に形成した前記めっき下地層(B)の表面に塗工することになるので、塗工しやすい粘度とするため、有機溶剤を配合することが好ましい。前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソプロピルアルコール、ダイアセトンアルコール、エチレングリコール、トルエン等が挙げられる。これらの溶剤は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
前記有機溶剤の使用量は、前記めっき下地層(B)へ塗工する際に用いる塗工方法、前記樹脂層(C)の所望とする膜厚により、適宜調整することが好ましい。
また、前記樹脂層(C)の塗料には、必要に応じて、皮膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を適宜添加してもよい。
前記樹脂層(C)は、前記仮支持体(A)の表面に形成しためっき下地層(B)の一部又は全部に前記樹脂層(C)を塗工し、前記樹脂層(C)の塗料中に含まれる有機溶剤を除去することによって形成できる。
前記樹脂層(C)の塗料を塗工する方法としては、例えば、グラビア方式、コーティング方式、スクリーン方式、ローラー方式、ロータリー方式、スプレー方式、キャピラリー方式、ドクターロール方式等の方法が挙げられる。
前記樹脂層(C)の塗料を、前記仮支持体(A)の表面に形成しためっき下地層(B)の表面に塗工した後、その塗工層に含まれる有機溶剤を除去する方法としては、例えば、乾燥機を用いて乾燥させ、有機溶剤を揮発させる方法が一般的である。乾燥温度としては、用いた有機溶剤を揮発させることが可能で、かつ前記支持体(A)に熱変形等の悪影響を与えず、前述のとおり、樹脂層(C)に含有する官能基[X]とめっき下地層(B)に含有する前記塩基性窒素原子含有基、または、前記リン酸エステル基を反応させる範囲の温度に設定する必要がある。
前記樹脂層(C)の乾燥温度としては、50℃~400℃の範囲が好ましく、80℃~340℃の範囲がより好ましく、120℃~280℃の範囲が好ましく、150℃~200℃の範囲がさらに好ましい。
前記樹脂層(C)の膜厚は、用途によって異なるが、前記樹脂層(C)と後述する絶縁樹脂層(D)との密着性をより向上する範囲が好ましく、前記樹脂層(C)の膜厚は、10nm~30μmの範囲が好ましく、50nm~1μmの範囲がより好ましく、100nm~800nmの範囲がより好ましく、200nm~500nmの範囲がさらに好ましい。
前記樹脂層(C)の表面は、後述する、積層体の樹脂層(C)の面を絶縁樹脂層(D)に形成し、仮支持体(A)を剥がした後の積層体において、前記樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)の密着性をより向上できることから、必要に応じて、前もってコロナ放電処理法等のプラズマ放電処理法、紫外線処理法等の乾式処理法、水や酸性又はアルカリ性薬液、有機溶剤等を用いた湿式処理法によって、表面処理してもよい。
次に、絶縁樹脂層(D)について説明する。
絶縁樹脂層(D)は、導電性パターンを形成するための基材上に形成する必要が有ため、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、リジットプリント配線板、パッケージ基板、セラミック基板、ガラス基板、シリコンウエハー基板、金属基板、電磁波シールドフィルム、成形回路基板の用途によって、変更する必要がある。
絶縁樹脂層(D)は、導電シード層と基材を貼り合わせる際に必要とする、層間接着剤の役割を持つため、半硬化(Bステージ)であるものが好ましい。例えば、絶縁樹脂層(D)が完全に硬化している場合、基材と張り合わせる際の密着性が低下することや、基材上の配線パターンへの埋め込み性が低下する等の問題があげられる。
絶縁樹脂層(D)は熱圧着により、基材や配線パターンとの密着させる際に絶縁樹脂層(D)の熱硬化反応により、接着性を持たせることが出来る。そのため、絶縁樹脂層(D)は貼り合わせる前に架橋反応が進んでない半硬化な状態が好ましい。架橋反応が進んでいない絶縁樹脂層は優れた溶解性を持つTHF溶媒に可溶であることから、THF溶液不溶分(重量%)が少ない程、樹脂内の架橋反応が進んでおらず、基材や配線パターンとの接着性に優れている。
絶縁樹脂層(D)のTHF溶液不溶分(重量%)は、以下の方法で算出することが出来る。例えば銅箔を支持体として絶縁樹脂層(D)の塗料を塗工、乾燥後に銅箔を塩化銅や塩化鉄をエッチングすることで銅箔を除去することで、半硬化の樹脂単独フィルムを作製する。その後、樹脂単独フィルムをTHF溶液に常温で24時間浸漬させ、THFに不溶であった樹脂単独フィルムをろ紙にて分取し、重量を測定した。その後、THF不溶分の割合は以下の式を用いて、算出した。THF不溶分(重量%)=THF浸漬後の樹脂単独フィルムの重量(g)/THF浸漬前の樹脂単独フィルムの重量(g)
そのため、絶縁樹脂層(D)のTHF溶液不溶分としては具体的には、1~80重量%の範囲であることが好ましく、10~80重量%の範囲がより好ましく、20~70%の範囲が更に好ましい。
絶縁樹脂層(D)は、前記樹脂層(C)の表面に、塗布、乾燥等することによって形成された塗膜中に存在する化合物(d1)の官能基[Y]が、前記樹脂層(C)に含まれる化合物(c1)の官能基[X]と反応することによって化学結合を形成する。
前記絶縁樹脂層(D)の前駆体といえる前記塗膜(d)は、支持体の表面に、官能基[Y]を有する化合物(d1)を含有する組成物を塗布し、乾燥等することによって形成されたものである。前記塗膜(d)に含まれる化合物(d1)は、前記樹脂層(C)に含まれる官能基[X]を有する化合物(c1)と反応する官能基[Y]を有する。
前記樹脂層(C)に含まれるエポキシ基やアミノ基である官能基[X]と反応する前記官能基[Y]としては、エポキシ基、マレイミド基、ヒドロキシ基、ビニルベンジル基、アクリレート基、メタクリレート基等が挙げられる。上記官能基[Y]が官能基[X]として反応するとともに、エポキシ基とカルボニル基やヒドロキシ基との反応及び、ビニルベンジル基、アクリレート基やメタクリレート基同士が反応することで、強固な絶縁樹脂層を形成することが出来る。
前記官能基[Y]は、前記絶縁樹脂層(D)全体に対して、50mmol/kg~10,000mmol/kgの範囲で存在することが好ましく、75mmol/kg~8,000mmol/kgの範囲であることがより好ましく、100mmol/kg~5,000mmol/kgの範囲であることが、密着性をより一層向上するうえでより好ましい。
前記絶縁樹脂層(D)の成分としては、エポキシ化合物、マレイミド化合物、フェノール化合物、不飽和イミド化合物、シアネート化合物、イソシアネート化合物、ベンゾオキサジン化合物、オキセタン化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、アリル化合物、ジシクロペンタジエン化合物、シリコーン化合物、トリアジン化合物、メラミン化合物、ビニルベンゼン化合物、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)化合物、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ポリスチレン化合物(PS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)等の末端に官能基を変性した樹脂などが挙げれる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記絶縁樹脂層(D)のエポキシ基を有する材料としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂がさらに好ましく、硬化物の物性バランスに優れるという観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032H」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス(株)製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、(株)ダイセル製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP-7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311-G3」、「EXA7311-G4」、「EXA7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂(ビフェニル型エポキシ樹脂))、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル(株)製の「PG-100」、「CG-500」、三菱化学(株)製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記絶縁樹脂層(D)のマレイミド基を有する化合物としては、例えば、前記マレイミド化合物としては、N-置換マレイミド基を1個以上(好ましくは2個以 上)有するマレイミド化合物及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を 含むことが好ましい。N-置換マレイミド基を1個以上有するマレイミド化合物としては、特に制限されるものではないが、N-フェニルマレイミド、N-(2-メチルフェニル)マレイミド、N-(4-メチルフェニル)マレイミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)マレイミド、N-(2,6-ジエチルフェニル)マレイミド、N-(2-メトキシフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド等の好ましくは芳香環に結合する1つのN-置換マレイミド基を有する芳香族マレイミド化合物;4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、インダン環含有芳香族ビスマレイミド等の好ましくは芳香環に結合する2つのN-置換マレイミド基を有する芳香族ビスマレイミド化合物;ポリフェニルメタンマレイミド、ビフェニルアラルキル型マレイミド等の好ましくは芳香環に結合する3つ以上のN-置換マレイミド基を有する芳香族ポリマレイミド化合物;N-ドデシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド及びN-シクロヘキシルマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、ピロリロン酸バインダ型長鎖アルキルビスマレイミド等の脂肪族マレイミド化合物などが挙げられる。これらマレイミド化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記絶縁樹脂層(D)のヒドロキシル基を有するフェノール化合物としては、例えば、炭素原子数6~40(好ましくは6~30、より 好ましくは6~23、さらに好ましくは6~22)のフェノール化合物が挙げられ、好適な具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF 、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール 、p-クレゾール、カテコール、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール等のフェノール化合物が挙げられる。これらフェノール化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記絶縁樹脂層(D)のビニルベンジル基、アクリレート基、メタクリレート基等の末端二重結合を有する化合物は分子内にフェノール性水酸基を持つ化合物を反応性官能基で置換した化合物等が挙げられる。特にフェノール性水酸基を持つ化合物は限定されていないが、ポリフェニレンエーテル化合物は耐熱性や誘電特性に優れていることから、高周波用途のプリント配線板に用いられる積層体として好適に用いることが出来る。
前記絶縁樹脂層(D)はベンゼンの水素原子をビニルベンジル基、アクリレート基、メタクリレート基に置換した構造を持つ化合物が挙げられる。特にビニルベンジル基を有する化合物である、スチレン系化合物は分子内の極性が低く、耐熱性や誘電特性に優れていることから、高周波用途のプリント配線板に用いられる積層体として好適に用いることが出来る。
前記絶縁樹脂層(D)は後述する基材(E)上に熱圧着により形成した際の加工時の熱履歴での寸法変化や長期信頼性を確保する為に無機化合物(x)を含有することで、高い寸法安定性と長期信頼性を保持することが出来る。
また、無機化合物(x)は、粉末状、フレーク状、繊維状等のものを使用することができる。
前記無機化合物(x)の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられ、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。市販されている球状溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SO-C2」、「SO-C1」が挙げられる。
前記絶縁樹脂層(D)は、1層でも良く、2層以上あっても良い。2層以上の絶縁樹脂層(D)を形成した場合、例えば、前記樹脂層(C)との密着性を向上させ、一方で、最終的に後述する支持体(E)に近い絶縁樹脂層(D)は、支持体(E)との密着性を向上させることができる。また、前記樹脂層(C)に近い1層目の絶縁樹脂層(D)は、前記樹脂層(C)や後述する支持体(E)に近い層になり、導電性パターンを形成した際に、銅配線に近い部分となるため、絶縁信頼性を向上させる目的で、絶縁樹脂層(D)の樹脂組成物を選択し、形成することができる。
また、前記絶縁樹脂層(D)の塗料は、前記めっき下地層(B)の表面に形成した前記樹脂層(C)の表面に塗工することになるので、塗工しやすい粘度とするため、有機溶剤を配合することが好ましい。前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソプロピルアルコール、ダイアセトンアルコール、エチレングリコール、トルエン等が挙げられる。これらの溶剤は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
前記有機溶剤の使用量は、前記絶縁樹脂層(D)へ塗工する際に用いる塗工方法、前記絶縁樹脂層(D)の所望とする膜厚により、適宜調整することが好ましい。
また、前記絶縁樹脂層(D)の塗料には、必要に応じて、皮膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を適宜添加してもよい。
前記絶縁樹脂層(D)は、前記めっき下地層(B)の表面に形成した樹脂層(C)の一部又は全部に前記絶縁樹脂層(D)を塗工し、前記絶縁樹脂層(D)の塗料中に含まれる有機溶剤を除去することによって形成できる。
前記絶縁樹脂層(D)の塗料を塗工する方法としては、例えば、インクジェット印刷法、反転印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、パッド印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法、ロータリーコート法、キャピラリーコート法、小径グラビア塗工法、ドクターロール方式等が挙げられる。
前記絶縁樹脂層(D)の塗料を、前記仮支持体(A)の表面上に形成しためっき下地層(B)の表面上の樹脂層(C)の表面に塗工した後、その塗工層に含まれる有機溶剤を除去する方法としては、例えば、乾燥機を用いて乾燥させ、有機溶剤を揮発させる方法が一般的である。乾燥温度としては、用いた有機溶剤を揮発させることが可能で、かつ前記支持体(A)に熱変形等の悪影響を与えず、前述のとおり、前記樹脂層(D)に含有する官能基[Y]と前記絶縁樹脂層(C)に含有する前記官能基[X]を反応させる範囲の温度に設定する必要がある。
また、前記絶縁樹脂層(D)は樹脂組成物を更に硬化しうる程度に途中まで硬化させた状態のものであり、樹脂組成物を半硬化した状態(Bステージ)のものである。例えば、樹脂組成物は、加熱すると、最初、粘度が徐々に低下し、その後、硬化が開始し、粘度が上昇する。完全に絶縁樹脂層(D)が硬化させた状態の場合、前記絶縁樹脂層(D)と後述する基材(E)との熱圧着を行う際、前記絶縁樹脂層(D)の追従性が低下するため、乾燥温度は絶縁樹脂層(D)が完全に硬化しない範囲の温度に設定する必要が有る。
前記絶縁樹脂層(D)の乾燥温度としては、30℃~400℃の範囲が好ましく、40℃~200℃の範囲がより好ましく、50℃~150℃の範囲がさらに好ましい。
また、前記絶縁樹脂層(D)に係る樹脂組成物を用いて、ワニス状に調整した塗料を繊維質基材に含侵させ、半硬化させた絶縁樹脂プリプレグ(D1)を熱圧着により、前記仮支持体(A)の表面上に形成しためっき下地層(B)の表面上の樹脂層(C)の表面に熱圧着により絶縁樹脂層(D)を形成してもよい。
前記絶縁樹脂層(D)の繊維質基材としては、例えば、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、リンター紙が挙げられる。
前記絶縁樹脂プリプレグ(D1)は、繊維質基材へ、浸漬及び塗布等によって含浸することが出来、必要に応じて複数回繰り返して含浸することも可能である。また、この際、組成や濃度の異なる複数の樹脂組成物を用いて含浸を繰り返すことが出来る。
前記絶縁樹脂プリプレグ(D1)の乾燥温度としては、30℃~400℃の範囲が好ましく、40℃~200℃の範囲がより好ましく、50℃~150℃の範囲がさらに好ましい。
前記絶縁樹脂プリプレグ(D1)は前記仮支持体(A)の表面上に形成しためっき下地層(B)の表面上の樹脂層(C)の表面と、熱と圧力を用いて貼り合わせる方法を用いることができる。特に限定されることはないが、例えば、熱ラミネート法、無溶剤ラミネート法、押し出しラミネート法、ウエットラミネート法、熱ロール転写法、インモールド転写法、プレス法、真空プレス法、水圧転写法等を用いることができる。
熱圧着条件について、前記絶縁樹脂プリプレグ(D1)と後述する基材(E)と貼り合わせる際に、前記絶縁樹脂プリプレグ(D1)はBステージであることが好ましいため、前記加熱条件は、50℃~200℃の範囲が好ましく、60℃~175℃の範囲がより好ましく、100℃~150℃の範囲がより好ましい。圧力条件としては、0.05MPa~35MPaの範囲が好ましく、0.3MPa~20MPaの範囲がより好ましく、0.3MPa~20MPaの範囲がより好ましい。
前記絶縁樹脂層(D)の膜厚は、用途によって異なるが、前記絶縁樹脂層(D)と後述する支持体(E)との密着性をより向上する範囲が好ましく、前記絶縁樹脂層(D)の膜厚は、1μm~1,000μmの範囲が好ましく、1μm~500μmの範囲がより好ましく、1μm~200μmの範囲がより好ましい。
前記絶縁樹脂層(D)の表面は、後述する、積層体の絶縁樹脂層(D)の面を支持体(E)に貼り合わせて、仮支持体(A)を剥がした後の積層体において、前記絶縁樹脂層(D)と支持体(E)の密着性をより向上できることから、必要に応じて、前もってコロナ放電処理法等のプラズマ放電処理法、紫外線処理法等の乾式処理法、水や酸性又はアルカリ性薬液、有機溶剤等を用いた湿式処理法によって、表面処理してもよい。
前記絶縁樹脂層(D)の半硬化の形態のTgは前記樹脂層(C)のTgよりも低いことが好ましい。後述する、転写積層体の絶縁樹脂層(D)の面を支持体(E)に熱圧着により張り合わせる際、絶縁樹脂層(D)がめっき下地層(B)や樹脂層(C)の塗膜欠陥から樹脂が流れ出し、後述する金属めっき層(E)とめっき下地層(B)の密着性を阻害する。そのため、前記樹脂層(C)のTgは、半硬化の絶縁樹脂層(D)のTgよりも高くすることで、バリア性を付与することが出来る。具体的には、固体粘弾性・動的熱機械測定機(DMA)を用いて測定したtanδのピーク温度をTgとし、Tgの値が、前記樹脂層(C)と比較し、半硬化の絶縁樹脂層(D)が小さく、Tgの差が、1℃~200℃の範囲が好ましく、10~150℃の範囲がより好ましく、30~100℃の範囲が更に好ましい。
次に、支持体(E)について説明する。
支持体(E)は、導電性パターンを形成するための基材となるため、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、リジットプリント配線板、パッケージ基板、セラミック基板、ガラス基板、シリコンウエハー基板、金属基板、電磁波シールドフィルム、成形回路基板の用途によって、変更する必要がある。
前記支持体(E)の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、モディファイドポリイミド樹脂(MPI)、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂をグラフト共重合化した塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ビスマレイミドートリアジン樹脂(BT樹脂)、フッ素樹脂複合ポリイミド樹脂(ポリイミド樹脂の表面にフッ素樹脂層を形成したフィルム)、熱可塑性ポリイミド樹脂複合ポリイミド樹脂(ポリイミド樹脂の表面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成したフィルム)、セルロースナノファイバー、シリコン、シリコンカーバイド、窒化ガリウム、サファイア、セラミックス、ガラス、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、アルミナ等が挙げられる。
また、前記支持体(E)として、熱硬化性樹脂及び無機充填材を含有する樹脂基材を好適に用いることもできる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ポリフェニレンエーテル(PPE)等が挙げられる。一方、前記無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ珪酸ガラス等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂と無機充填剤は、それぞれ1種で用いることも2種以上併用することもできる。
また、無機充填材は、粉末状、フレーク状、繊維状等のものを使用することができる。
前記支持体(E)の形態としては、平面状のフレキシブル材、リジッド材、リジッドフレキシブル材のいずれのものも用いることができる。より具体的には、前記支持体(E)にフィルム、シート、板状に成形された市販材料を用いてもよいし、上記した樹脂の溶液、溶融液、分散液から、平面状に成形した材料を用いてもよい。また、前記支持体(E)は、金属等の導電性材料の上に、上記した樹脂の材料を形成した基材であってもよく、回路パターンが形成されたプリント配線板の上に、上記した樹脂の材料を積層形成した基材であっても良い。積層する方法として、プリプレグのような半硬化の前記支持体(E)であれば、熱と圧力で回路パターンが形成されたプリント配線板の上に貼り付ければ良く、完全硬化の前記支持体(E)であれば、ボンディングシートのような接着シートを使って積層すれば良い。
フレキシブル配線板の場合は、ポリイミド樹脂、モディファイドポリイミド樹脂(MPI)、透明ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド、フッ素樹脂複合ポリイミド樹脂(ポリイミド樹脂の表面にフッ素樹脂層を形成したフィルム、ポリイミド樹脂とフッ素樹脂を交互に積層した多層フィルム)、熱可塑性ポリイミド樹脂複合ポリイミド樹脂(ポリイミド樹脂の表面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成したフィルム)等を用いることができる。
前記支持体(E)の形状がフィルム状またはシート状である場合、特に厚さは限定されるものではないが、柔軟性や折り曲げ性を考慮すると、通常、1~5,000μm程度であり、1~500μmであることがより好ましく、1~200μmであることがより好ましい。
リジット配線板の場合は、ガラス繊維とエポキシ樹脂の複合基材(ガラスエポキシ樹脂、FR-4、FR-5)、紙とエポキシ樹脂の複合基材(FR-3)、ガラス不織布とエポキシ樹脂の複合基材(CEM-3)、紙とガラス不織布とエポキシ樹脂の複合基材(CEM-1)、紙とフェノール樹脂の複合基材(紙フェノール樹脂、FR-1、FR-2)、ガラス繊維とPPE樹脂の複合基材(例えばパナソニック製メグトロン6)、ビスマレイミドートリアジン樹脂(BT樹脂)、シリカとエポキシ樹脂の複合基材(例えば味の素社製ビルドアップフィルム)、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シクロオレフィンポリマー、ガラス、シリコン、シリコンカーバイド、窒化ガリウム、酸化ガリウム、サファイア、セラミックス、アルミナセラミック、アルミナ、ガラス、ダイアモンドライクカーボン、アルミニウム、ステンレス、銅、銀、金、鉄、ニッケル、等を用いることができる。
また、支持体(E)としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維等の合成繊維、カーボンファイバー等の無機繊維、セルロースナノファイバー等の天然繊維等が挙げられる。
支持体(E)の表面は、高周波伝送が必要となるプリント配線板において、平滑であることが好ましい。第5世代移動通信システム(5G)やミリ波による通信では、高速通信のため交流電流の周波数が高くなっており、周波数が高くなるほど銅配線の表層に電流が流れる表皮効果が起こるため、電流が流れる銅配線の最表層の凹凸が大きいと、抵抗となり伝送損失が大きくなる。そのため、支持体(E)の表面は平滑であることが好ましく、レーザー顕微鏡で測定した時の表面粗さ(最大高さSz)が0.001~30μmの範囲が好ましく、0.01~20μmの範囲が好ましく、0.05~10μmの範囲がより好ましい。なお、表面粗さ(最大高さSz)とは、ISO 25178に記された評価方法で測定したものであり、表面の最も高い点から最も低い点までの距離を表す。
支持体(E)を平滑化する方法としては、支持体(E)の表面を物理的に平滑にする方法、化学処理により平滑にする方法がある。物理的に平滑にする方法としては、平滑なロールとロールの間に前記支持対(E)を通して表面を平滑にするカレンダー加工、切削加工、研削加工、砥粒研磨、放電加工、レーザー加工、ウォータージェット加工などが挙げられる。また、化学処理により平滑にする方法としては、電解研磨、エッチング研磨などが上げられる。
また、支持体(E)が未硬化もしくは半硬化の熱硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂の場合、平滑な銅箔やアルミ箔などの金属箔、平滑なポリイミドフィルムやフッ素樹脂フィルムなどの耐熱性フィルムを平滑化処理基材として用い、支持体(E)の表面に平滑面を熱圧着で貼り合わせ、その後剥がすことで、支持体(E)の表面に平滑面を転写する方法で平滑化処理することができる。特に、支持体(E)がエポキシ樹脂やポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂とガラス繊維、無機フィラーを含むリジット基板用の基材の場合、銅箔の平滑面にプレスなどを用い基材に熱圧着し、その後銅箔を塩化銅や塩化鉄でエッチングすることで銅箔を除去し、基材表面を平滑にすることができる。前記平滑化処理基材の表面粗さが、最終的に平滑にしたい支持体(E)の表面粗さに影響する。そのため、平滑化処理基材の表面粗さは、平滑であることが好ましく、レーザー顕微鏡で測定した時の表面粗さ(最大高さSz)が0.001~30μmの範囲が好ましく、0.01~20μmの範囲が好ましく、0.05~10μmの範囲がより好ましい。なお、表面粗さ(最大高さSz)とは、ISO 25178に記された評価方法で測定したものであり、表面の最も高い点から最も低い点までの距離を表す。
支持体(E)の表面は、後述する、積層体の絶縁樹脂層(D)の面を支持体(E)に貼り合わせ、積層体の仮支持体(A)を剥離した後、前記支持体(E)の表面に絶縁樹脂層(D)と樹脂層(C)とめっき下地層(B)を形成した積層体において、絶縁樹脂層(D)と支持体(E)の密着性をより高めるため、前記支持体(E)を、必要に応じて、平滑性を失わない程度の微細な凹凸を形成したり、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基等の官能基の導入のために表面処理されていてもよい。例えば、コロナ放電処理等のプラズマ放電処理、紫外線処理等の乾式処理、水、酸・アルカリ等の水溶液または有機溶剤等を用いる湿式処理等の方法が挙げられる。
次に、積層体を支持体(E)に転写する方法について説明する。
転写方法としては、積層体の絶縁樹脂層(D)の面を支持体(E)に、熱と圧力を用いて貼り合わせる方法を用いることができる。特に限定されることはないが、例えば、熱ラミネート法、無溶剤ラミネート法、押し出しラミネート法、ウエットラミネート法、熱ロール転写法、インモールド転写法、プレス法、真空プレス法、水圧転写法等を用いることができる。
支持体(E)がフレキシブル材でロールフィルムである場合は、熱ラミネート法、無溶剤ラミネート法、押し出しラミネート法、ウエットラミネート法を用いることが好ましい。特に簡便に処理できることから、熱ラミネート法がより好ましい。一方、支持体(E)がリジット材の場合は、枚葉で熱圧着する場合が多いため、プレス法、真空プレス法を用いることが好ましい。
熱圧着条件について、加熱条件は、50℃~400℃の範囲が好ましく、80℃~350℃の範囲がより好ましく、80℃~280℃の範囲がより好ましく、100℃~200℃の範囲がより好ましく、120~180℃の範囲がより好ましい。圧力条件としては、0.05MPa~35MPaの範囲が好ましく、0.3MPa~20MPaの範囲がより好ましく、0.3MPa~20MPaの範囲がより好ましい。
熱圧着の処理時間としては、熱ラミネートの場合、搬送しながらロールの線圧により熱圧着することになるため、1秒以内で処理することになる。一方で、プレスや真空プレスの場合は、1秒~120分の範囲が好ましく、30秒~60分の範囲が好ましく、30秒~15分の範囲がより好ましく、生産性の観点から1分~5分の範囲で処理することが好ましい。
また、熱圧着する場合、積層体と支持体(E)の間に空気が入り込んだり、支持体(E)や積層体から発生するガスで、積層体と支持体(E)の間にガスがたまり転写率が低下するため、真空プレスを用いて真空下で熱圧着をすることが好ましい。真空条件としては、絶対圧力として100hPa以下が好ましく、50hPa以下がより好ましく、13hPa以下がより好ましい。加熱条件や圧力条件は、前述と同じ条件で処理することが好ましい。
また、前記絶縁樹脂層(D)の面に前記仮支持体(A)上に前記めっき下地層(B)、樹脂層(C)を順次形成した積層体の樹脂層(C)側を張り合わせ、貼り合わせる際の熱履歴により絶縁樹脂層(D)を半硬化から完全硬化させることで、絶縁樹脂層(D)を支持体(E)の代わりに用いることが出来る。
前記絶縁樹脂層(D)を支持体(E)として用いることにより、後述する金属めっき層(F)を形成することで、支持体(E)を用いずともプリント配線板やパッケージ基板等に用いられる銅張積層板としての機能を持たせることが出来る。そのため、支持体(E)の厚みを考慮せずに、薄型・小型のプリント配線板やパッケージ基板に適用することが出来る。
さらに、半硬化の絶縁樹脂層(D)と樹脂層(C)を熱圧着により、貼り合わせることで、樹脂層(D)に含まれる官能基[Y]と樹脂層(C)に含まれる官能基[X]が反応することで、強固な密着を持つ積層体を提供することが出来る。
前記絶縁樹脂層(D)の面に前記仮支持体(A)上に前記めっき下地層(B)、樹脂層(C)を順次形成した積層体の樹脂層(C)側を張り合わせ、貼り合わせる際の熱履歴により絶縁樹脂層(D)を半硬化から完全硬化させることで、絶縁樹脂層(D)を支持体(E)の代わりに用いることができる。方法について説明する。
絶縁樹脂層(D)の面に前記仮支持体(A)上に前記めっき下地層(B)、樹脂層(C)を順次形成した積層体の張り合わせ方法としては、特に限定されることはないが、例えば、熱ラミネート法、無溶剤ラミネート法、押し出しラミネート法、ウエットラミネート法、熱ロール転写法、インモールド転写法、プレス法、真空プレス法、水圧転写法等を用いることができる。
支持体(E)がフレキシブル材でロールフィルムである場合は、熱ラミネート法、無溶剤ラミネート法、押し出しラミネート法、ウエットラミネート法を用いることが好ましい。特に簡便に処理できることから、熱ラミネート法がより好ましい。一方、支持体(E)がリジット材の場合は、枚葉で熱圧着する場合が多いため、プレス法、真空プレス法を用いることが好ましい。
熱圧着条件について、加熱条件は、50℃~400℃の範囲が好ましく、80℃~350℃の範囲がより好ましく、80℃~280℃の範囲がより好ましく、100℃~200℃の範囲がより好ましく、120~180℃の範囲がより好ましい。圧力条件としては、0.05MPa~35MPaの範囲が好ましく、0.3MPa~20MPaの範囲がより好ましく、0.3MPa~20MPaの範囲がより好ましい。
熱圧着の処理時間としては、熱ラミネートの場合、搬送しながらロールの線圧により熱圧着することになるため、1秒以内で処理することになる。一方で、プレスや真空プレスの場合は、1秒~120分の範囲が好ましく、30秒~60分の範囲が好ましく、30秒~15分の範囲がより好ましく、生産性の観点から1分~5分の範囲で処理することが好ましい。
また、熱圧着する場合、積層体と支持体(E)の間に空気が入り込んだり、支持体(E)や積層体から発生するガスで、積層体と支持体(E)の間にガスがたまり転写率が低下するため、真空プレスを用いて真空下で熱圧着をすることが好ましい。真空条件としては、絶対圧力として100hPa以下が好ましく、50hPa以下がより好ましく、13hPa以下がより好ましい。加熱条件や圧力条件は、前述と同じ条件で処理することが好ましい。
次に、積層体の絶縁樹脂層(D)の面を支持体(E)に貼り合わせ、仮支持体(A)を剥離する方法について説明する。
仮支持体(A)を剥離する方法は特に限定されないが、前記熱圧着時に前記支持体(E)と絶縁樹脂層(D)の密着性が低い場合(仮接着状態)は、支持体(E)に絶縁樹脂層(D)と樹脂層(C)とめっき下地層(B)が十分転写せず、一部積層体側に残る場合があるため、剥離する際の仮支持体(A)の引き剥がす方向と速度が重要となる。具体的には、支持体(E)に対し、90度~180度方向に引き剥がすことが好ましく、120度~180度の範囲で引き剥がすことが好ましく、150度~180度方向に引き剥がすことが好ましい。引き剥がす際は、支持体(E)側ではなく、仮支持体(A)側を前述の角度で引き剥がすこと好ましい。引き剥がす速度は0.01m/分~20m/分の範囲であることが好ましく、0.05~10m/分の範囲であることがより好ましく、0.5~5m/分の範囲であることがより好ましい。
また、仮支持体(A)を剥離する方法として、薬液による剥離がある。例えば、仮支持体(A)がアルカリ性溶解性の高分子フィルムの場合、アルカリ性水溶液に浸漬することで、仮支持体(A)を剥がすことができる。また仮支持体(A)が銅やアルミニウム等の金属の場合、塩化銅エッチング液、塩化鉄エッチング液、硫酸過酸化水素等の水溶液で、仮支持体(A)を剥がすことができる。
次に、積層体の絶縁樹脂層(D)の面を支持体(E)に貼り合わせ、その後、積層体の仮支持体(A)を引き剥がした後の積層体の後処理について説明する。
前述の通り、めっき下地層の低抵抗化や、半硬化の絶縁樹脂層(D)や樹脂層(C)を完全硬化させ、樹脂層(C)に含まれる化合物(c1)が有する官能基[X]と絶縁樹脂層(D)に含まれる化合物(d1)が有する官能基[Y]の反応と、樹脂層(C)に含まれる化合物(c1)が有する官能基[X]とめっき下地層(B)に含まれる前記分散剤(b1)が有する塩基性窒素原子含有基、または、リン酸エステル基を反応させて結合を形成させる。また、支持体(E)と絶縁樹脂層(D)の密着性をより向上させるため、熱処理を実施しても良い。熱処理条件としては、80℃~400℃の範囲が好ましく、100℃~350℃の範囲がより好ましく、120℃~325℃の範囲がより好ましく、150℃~300℃の範囲がより好ましい。熱処理時間としては、1秒~168時間の範囲が好ましく、30秒~72時間の範囲がより好ましく、生産性の観点から1分~30分の範囲がさらに好ましい。
次の工程では、めっき下地層(B)の表面に、後述する金属めっき層(F)やパターンレジストを形成するため、これらの密着性を低下させる成分を洗浄する洗浄処理を実施することが好ましい。密着性を低下させる成分としては、例えば、仮支持体(A)が樹脂フィルムの場合はフィルム中に存在しフィルム表面にブリードしてくるオリゴマー成分、仮支持体(A)に離型層を形成した場合、離型剤の成分が一部めっき下地層(B)に移染した成分、金属の仮支持体(A)の場合は仮支持体上の金属酸化物の皮膜がある。前記洗浄処理としては、めっき下地層(B)の表面に存在する有機物の加熱による酸化分解、コロナ放電処理等のプラズマ放電処理、紫外線処理等の乾式処理、水、酸・アルカリ等の水溶液、オゾンを含む水(オゾンナノバブル)、または有機溶剤等を用いる湿式処理等の方法が挙げられる。
本発明の積層体を構成する金属めっき層(F)は、例えば、前記積層体をプリント配線板等に用いる場合に、長期間にわたり断線等を生じることなく、良好な通電性を維持可能な信頼性の高い配線パターンを形成することを目的として設けられる層である。
また、前記金属めっき層(F)は、前記めっき下地層(B)が前記支持体(E)の表面全体に形成している場合は、金属めっき層(F)も前記支持体(E)の表面全体に形成され、一方、前記支持体(E)の一部にめっき下地層(B)が存在する場合は、めっき下地層(B)の部分にのみ、金属めっき層(F)が形成される。
前記金属めっき層(F)は、前記めっき下地層(B)の上に形成される層であるが、その形成方法としては、乾式めっき法や湿式めっき法を用いることができる。乾式めっき法としては、金属蒸着法や金属スパッタ法が挙げられる。また湿式めっき法は電解めっき法、無電解めっき法等が挙げられる。簡便に前記金属めっき層(F)を形成できるため、湿式めっき法を用いることが好ましい。また、これらのめっき法を2つ以上組み合わせてもよい。例えば、無電解めっきを施した後、電解めっきを施して、前記金属めっき層(F)を形成してもよい。めっき下地層(B)に導電性がある場合は、導電性パターンを形成する際のめっきのコストを下げることができるため、めっき下地層(B)に直接電解めっきを実施することが好ましい。
上記の無電解めっき法は、例えば、前記めっき下地層(B)を構成する金属に、無電解めっき液を接触させることで、無電解めっき液中に含まれる銅等の金属を析出させ金属皮膜からなる無電解めっき層(皮膜)を形成する方法である。
前記無電解めっき液としては、例えば、銅、銀、金、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属と、還元剤と、水性媒体、有機溶剤等の溶媒とを含有するものが挙げられる。
前記還元剤としては、例えば、ジメチルアミノボラン、次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、フェノール等が挙げられる。
また、前記無電解めっき液としては、必要に応じて、酢酸、蟻酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマール酸等のジカルボン酸化合物;リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸化合物;グリシン、アラニン、イミノジ酢酸、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸化合物;イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸等のアミノポリカルボン酸化合物などの有機酸、又はこれらの有機酸の可溶性塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン化合物等の錯化剤を含有するものを用いることができる。
前記電解めっき法は、例えば、前記めっき下地層(B)を構成する金属、又は、前記無電解処理によって形成された無電解めっき層(皮膜)の表面に、電解めっき液を接触した状態で通電することにより、前記電解めっき液中に含まれる銅等の金属を、カソードに設置した前記めっき下地層(B)を構成する導電物質(b2)又は前記無電解処理によって形成された無電解めっき層(皮膜)の表面に析出させ、電解めっき層(金属皮膜)を形成する方法である。
前記電解めっき液としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属の硫化物と、硫酸と、水性媒体とを含有するもの等が挙げられる。具体的には、硫酸銅と硫酸と水性媒体とを含有するものが挙げられる。
前記無電解めっき液及び前記電解めっき液は、20~98℃の範囲で用いることが好ましい。
前記金属めっき層(F)の膜厚は、0.01μm以上100μm以下の範囲が好ましく、0.5μm以上50μm以下の範囲がより好ましい。前記金属めっき層(F)の膜厚は、前記金属めっき層(F)を形成する際のめっき処理工程における処理時間、電流密度、めっき用添加剤の使用量等を制御することによって調整することができる。
前記金属めっき層(F)のパターニング方法としては、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法等のフォトリソ-エッチング法、前記めっき下地層(B)の印刷パターン上にめっきする方法等が挙げられる。
前記サブトラクティブ法は、予め製造した本発明の積層体を構成する前記金属めっき層(F)の上に、所望のパターン形状に対応した形状のエッチングレジスト層を形成し、その後の現像処理によって、前記レジストの除去された部分の前記金属めっき層(F)及び前記めっき下地層(B)を薬液で溶解し除去することによって、所望のパターンを形成する方法である。前記薬液としては、塩化銅、塩化鉄等を含有する薬液を使用することができる。
前記セミアディティブ法は、積層体の絶縁樹脂層(D)の面を支持体(E)に貼り合わせ、積層体の仮支持体(A)を剥離した後、前記支持体(E)の表面に絶縁樹脂層(D)と樹脂層(C)とめっき下地層(B)を形成した積層体において、必要に応じてめっき下地層(B)の表面処理を行った後、その表面に、所望のパターンに対応した形状のめっきレジスト層を形成し、次いで、無電解めっき法、電解めっき法、又はそれらの組み合わせによって前記金属めっき層(F)を形成した後、前記めっきレジスト層とそれに接触した前記めっき下地層(B)を薬液等に溶解し除去することによって、所望のパターンを形成する方法である。めっき下地層(B)が銀の場合は、後述する銀を選択的にエッチングする薬剤でエッチングすることが好ましい。
前記仮支持体層(A)の剥離は、機械的に引き剥がせば良く、各種市販の剥離装置を用いても良い。また、前記仮支持体(A)として、アルカリ溶解性の樹脂を用いた場合には、アルカリ性溶液への浸漬によって剥離することが可能である。剥離に用いるアルカリ性溶液、剥離条件としては、後述する、パターンレジスト用の剥離液を適宜用いることができる。
次に、仮支持体(A)を剥離した後、露出させためっき下地層(B)上に、回路パターンのパターンレジストを形成する。
前記パターンレジストを形成する工程においては、前記めっき下地層(B)の表面は、レジスト形成前に、レジスト層との密着性向上を目的として、酸性又はアルカリ性の洗浄液による洗浄処理、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、気相オゾン処理、液相オゾン処理、表面処理剤による処理等の表面処理を行ってもよい。これらの表面処理は、1種の方法で行うことも2種以上の方法を併用することもできる。
前記の表面処理剤による処理としては、例えば、特開平7-258870号公報に記載されている、トリアゾール系化合物、シランカップリング剤および有機酸からなる防錆剤を用いて処理する方法、特開2000-286546号公報に記載されている、有機酸、ベンゾトリアゾール系防錆剤およびシランカップリング剤を用いて処理する方法、特開2002-363189号公報に記載されている、トリアゾールやチアジアゾール等の含窒素複素環と、トリメトキシシリル基やトリエトキシシリル基等のシリル基が、チオエーテル(スルフィド)結合等を有する有機基を介して結合された構造の物質を用いて処理する方法、WO2013/186941号公報に記載されている、トリアジン環とアミノ基を有するシラン化合物を用いて処理する方法、特開2015-214743号公報に記載されている、ホルミルイミダゾール化合物と、アミノプロピルシラン化合物とを反応させて得られるイミダゾールシラン化合物を用いて処理する方法、特開2016-134454号公報に記載されているアゾールシラン化合物を用いて処理する方法、特開2017-203073号公報に記載されている、一分子中にアミノ基および芳香環を有する芳香族化合物と2以上のカルボキシル基を有する多塩基酸、ならびにハロゲン化物イオンを含む溶液で処理する方法、特開2018-16865号公報に記載されているトリアゾールシラン化合物を含有する表面処理剤で処理する方法、などを用いることができる。
次に、表面に金属パターンを形成するためには、前記レジスト層の感光性レジストにフォトマスクを通すか、ダイレクト露光機を用いて、活性光でパターンを露光する。露光量は、必要に応じて適宜設定すればよい。露光により感光性レジストに形成された潜像を、現像液を用いて除去することによって、パターンレジストを形成する。
前記現像液としては、0.3~2質量%の炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の希薄アルカリ水溶液が挙げられる。前記希薄アルカリ水溶液中には、界面活性剤、消泡剤や、現像を促進させるために、少量の有機溶剤等を添加してもよい。また、上記で露光した基材を、現像液に浸漬するか、現像液をスプレー等でレジスト上に噴霧することにより現像を行ない、この現像によって、パターン形成部が除去されたパターンレジストを形成できる。
パターンレジストを形成する際には、さらに、プラズマによるデスカム処理や、市販のレジスト残渣除去剤を用いて、硬化レジストと基板との境界部分に生じた裾引き部分や基板表面に残存したレジスト付着物などのレジスト残渣を除去してもよい。
本発明で用いる感光性レジストとしては、市販のレジストインキ、液体レジスト、ドライフィルムレジストを用いることができ、目的とするパターンの解像度、使用する露光機の種類、後工程のめっき処理で用いる薬液の種類、pH等によって適宜選択すればよい。
市販のレジストインキとしては、例えば、太陽インキ製造株式会社製の「めっきレジストMA-830」、「エッチングレジストX-87」;NAZDAR社のエッチングレジスト、めっきレジスト;互応化学工業株式会社製の「エッチングレジスト PLAS FINE PER」シリーズ、「めっきレジスト PLAS FINE PPR」シリーズ等が挙げられる。また、電着レジストとしては、例えば、ダウ・ケミカル・カンパニー社の「イーグルシリーズ」、「ペパーシリーズ」等が挙げられる。さらに、市販のドライフィルムとしては、例えば、日立化成株式会社製の「フォテック」シリーズ;ニッコーマテリアルズ株式会社製の「ALPHO」シリーズ;旭化成株式会社製の「サンフォート」シリーズ、デュポン社製の「リストン」シリーズ等が挙げられる。
効率良くプリント配線板を製造するためには、ドライフィルムレジストを用いることが簡便で、特に微細回路を形成する場合には、セミアディティブ工法用のドライフィルムを用いればよい。この目的に用いる市販のドライフィルムとしては、例えば、ニッコーマテリアルズ株式会社製の「ALFO LDF500」、「NIT2700」、旭化成株式会社製の「サンフォート UFG―258」、日立化成株式会社製の「RDシリーズ(RD-2015、1225)」、「RYシリーズ(RY-5319、5325)」、デュポン社製の「PlateMasterシリーズ(PM200、300)」等を用いることができる。
次に、めっきレジストを形成した前記めっき下地層(B)に金属めっき層(F)を形成する。前記金属めっき層は、電解めっき法、無電解めっき法等の湿式めっき法が挙げられる。また、これらのめっき法を2つ以上組み合わせてもよい。感光性レジストがアルカリ性の水溶液に浸漬すると剥離してしまうため、電解めっき法で金属めっき層(F)を形成することが好ましい。
前記めっき下地層(B)を、電解銅めっきのカソード電極として使用し、上記のようにして、現像により露出した前記めっき下地層(B)上に、電解銅めっき法による処理を行うことにより、積層体の貫通孔を銅めっきで接続すると同時に、導電性パターンを形成することができる。
前記の電解銅めっき法により導電性パターンを形成する前において、必要に応じて、前記めっき下地層(B)表面の表面処理を行ってもよい。この表面処理としては、前記めっき下地層(B)の表面や形成したレジストパターンが損傷しない条件で、酸性又はアルカリ性の洗浄液による洗浄処理、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、気相オゾン処理、液相オゾン処理、表面処理剤による処理等が挙げられる。これらの表面処理は、1種の方法で行うことも2種以上の方法を併用することもできる。
また、前記銅めっき後に導電性パターンを形成する際、めっき膜の応力緩和や密着力向上を目的として、めっき後にアニーリングを行ってもよい。アニーリングは、後述するエッチング工程の前に行ってもよいし、エッチング工程の後に行ってもよく、エッチングの前後で行ってもよい。
アニーリングの温度は、用いる基材の耐熱性や使用目的によって40~300℃の温度範囲で適宜選択すればよいが、40~250℃の範囲が好ましく、めっき膜の酸化劣化を抑制する目的から、40~200℃の範囲がより好ましい。また、アニーリングの時間は、40~200℃の温度範囲の場合には、10分~10日間、200℃を超える温度でのアニーリングは、5分~10時間程度がよい。また、めっき膜をアニーリングする際には、適宜、めっき膜表面に防錆剤を付与してもよい。
次に、パターンレジストを剥離する。前記のめっきにより導電性パターンを形成した後に、前記感光性レジストを用いて形成したパターンレジストを剥離し、非パターン形成部の前記めっき下地層(B)をエッチング液により除去する。パターンレジストの剥離は、用いた感光性レジストのカタログ、仕様書等に記載されている推奨条件で行えばよい。また、パターンレジストの剥離の際に用いるレジスト剥離液としては、市販のレジスト剥離液や、45~60℃に設定した水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムの1.5~3質量%水溶液を用いることができる。レジストの剥離は、パターンを形成した基材を、剥離液に浸漬するか、剥離液をスプレー等で噴霧することによって行うことができる。
また、非パターン形成部のめっき下地層(B)を除去する際に用いるエッチング液は、前記めっき下地層(B)のみを選択的にエッチングし、前記金属めっき層(F)を形成する銅は、エッチングしないものが好ましい。めっき下地層(B)に銀を用いた場合、このようなエッチング液としては、カルボン酸と過酸化水素との混合物が挙げられる。
前記カルボン酸としては、例えば、酢酸、クエン酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、ピルビン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、アミノ酸等が挙げられる。これらのカルボン酸は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。これらのカルボン酸の中でも、エッチング液としての製造、取り扱いが容易であることから、主として酢酸やクエン酸を用いることが好ましい。
エッチング液として、カルボン酸と過酸化水素との混合物を用いると、過酸化水素がカルボン酸と反応することによって、過カルボン酸(ぺルオキシカルボン酸)が生成すると考えられる。生成した過カルボン酸は、導電性パターンを構成する銅の溶解を抑制しながら、前記めっき下地層(B)を構成する銀を優先的に溶解するものと推測される。
前記カルボン酸と過酸化水素との混合物の混合割合としては、銅の導電性パターンの溶解を抑制できることから、カルボン酸1モルに対して、過酸化水素を2~100モルの範囲が好ましく、過酸化水素2~50モルの範囲がより好ましい。
前記カルボン酸と過酸化水素との混合物は、水で希釈された水溶液が好ましい。また、前記水溶液中の前記カルボン酸と過酸化水素との混合物の含有比率は、エッチング液の温度上昇の影響を抑制できることから、2~65質量%の範囲が好ましく、2~30質量%の範囲がより好ましい。
上記の希釈に用いる水としては、イオン交換水、純水、超純水等のイオン性物質や不純物を除去した水を用いることが好ましい。
前記エッチング液には、前記銅の導電性パターンを保護して、溶解を抑制するための保護剤をさらに添加してもよい。保護剤としては、アゾール化合物を用いることが好ましい。
前記アゾール化合物としては、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキソゾール、チアゾール、セレナゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール等が挙げられる。
前記アゾール化合物の具体例としては、例えば、2-メチルベンゾイミダゾール、アミノトリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、4-アミノベンゾトリアゾール、1-ビスアミノメチルベンゾトリアゾール、アミノテトラゾール、フェニルテトラゾール、2-フェニルチアゾール、ベンゾチアゾール等が挙げられる。これらのアゾール化合物は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
前記アゾール化合物のエッチング液中の濃度は、0.001~2質量%の範囲が好ましく、0.01~0.2質量%の範囲がより好ましい。
また、前記エッチング液には、前記銅の導電性パターンの溶解を抑制できることから、保護剤として、ポリアルキレングリコールを添加することが好ましい。
前記ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の水溶性ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレングリコールが好ましい。また、ポリアルキレングリコールの数平均分子量としては、200~20,000の範囲が好ましい。
前記ポリアルキレングリコールのエッチング液中の濃度は、0.001~2質量%の範囲が好ましく、0.01~1質量%の範囲がより好ましい。
前記エッチング液には、pHの変動を抑制するため、有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
非パターン形成部のめっき下地層(B)の除去は、前記導電性パターンを形成した後、前記感光性レジストを用いて形成したパターンレジストを剥離した基材を、前記エッチング液に浸漬するか、前記基材上にエッチング液をスプレー等で噴霧することによって行うことができる。
エッチング装置を用いて、非パターン形成部のめっき下地層(B)を除去する場合には、例えば、前記エッチング液の全成分を所定の組成になるように調製した後、エッチング装置に供給してもよく、前記エッチング液の各成分を個別にエッチング装置に供給し、装置内で、前記各成分を混合して、所定の組成になるように調製してもよい。
前記エッチング液は、10~35℃の温度範囲で用いることが好ましく、特に過酸化水素を含有するエッチング液を使用する場合には、過酸化水素の分解を抑制できることから、30℃以下の温度範囲で用いることが好ましい。
前記めっき下地層(B)を、前記エッチング液で除去処理した後、エッチング液中に溶解した銀成分がプリント配線板上に付着、残留するのを防ぐ目的で、水洗以外に、さらに洗浄操作を行ってもよい。洗浄操作には、酸化銀、硫化銀、塩化銀を溶解するが、銀をほとんど溶解しない洗浄溶液を用いることが好ましい。具体的には、チオ硫酸塩もしくはトリス(3-ヒドロキシアルキル)ホスフィンを含有する水溶液、又は、メルカプトカルボン酸もしくはその塩を含有する水溶液を洗浄薬液として用いることが好ましい。
前記、チオ硫酸塩としては、例えば、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム等が挙げられる。また、前記トリス(3-ヒドロキシアルキル)ホスフィンとしては、例えば、トリス(3-ヒドロキシメチル)ホスフィン、トリス(3-ヒドロキシエチル)ホスフィン、トリス(3-ヒドロキシプロピル)ホスフィン等が挙げられる。これらのチオ硫酸塩又はトリス(3-ヒドロキシアルキル)ホスフィンは、それぞれ1種で用いることも2種以上併用することもできる。
チオ硫酸塩を含有する水溶液を用いる場合の濃度としては、工程時間、用いる洗浄装置の特性等によって適宜設定すればよいが、0.1~40質量%の範囲が好ましく、洗浄効率や連続使用時の薬液の安定性の観点から、1~30質量%の範囲がより好ましい。
また、前記トリス(3-ヒドロキシアルキル)ホスフィンを含有する水溶液を用いる場合の濃度としては、工程時間、用いる洗浄装置の特性等によって適宜設定すればよいが、0.1~50質量%の範囲が好ましく、洗浄効率や連続使用時の薬液の安定性の観点から、1~40質量%の範囲がより好ましい。
前記メルカプトカルボン酸としては、例えば、チオグリコール酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、システイン、N―アセチルシステイン等が挙げられる。また、前記メルカプトカルボン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。
メルカプトカルボン酸又はその塩の水溶液を用いる場合の濃度としては、0.1~20質量%の範囲が好ましく、洗浄効率や大量に処理する場合のプロセスコストの観点から、0.5~15質量%の範囲がより好ましい。
上記の洗浄操作を行う方法としては、例えば、前記非パターン形成部のめっき下地層(B)をエッチング除去して得られたプリント配線板を前記洗浄薬液に浸漬する方法、前記プリント配線板にスプレー等で洗浄薬液を噴霧する方法等が挙げられる。洗浄薬液の温度は、室温(25℃)で用いることができるが、外気温に影響を受けずに安定的に洗浄処理を行えることから、例えば、30℃に温度設定して用いてもよい。
また、前記非パターン形成部のめっき下地層(B)をエッチング液により除去する工程と洗浄操作は、必要に応じて繰り返して行うことができる。
本発明のプリント配線板は、上記のように、前記エッチング液で非パターン形成部のめっき下地層(B)を除去処理した後、非パターン形成部の絶縁性を、さらに向上させる目的で、必要に応じて、さらに洗浄操作を行ってもよい。この洗浄操作には、例えば、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムの水溶液に、過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液を用いることができる。
前記アルカリ性過マンガン酸溶液を用いた洗浄は、20~60℃に設定したアルカリ性過マンガン酸溶液に、上記の方法により得られたプリント配線板を浸漬する方法、前記プリント配線板にスプレー等でアルカリ性過マンガン酸溶液を噴霧する方法等が挙げられる。前記プリント配線板は、アルカリ性過マンガン酸溶液の基材表面への濡れ性をよくし、洗浄効率を向上させる目的で、洗浄前に、アルコール性水酸基を有する水溶性の有機溶媒に接触させる処理を行ってもよい。前記有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
前記アルカリ性過マンガン酸溶液の濃度は、必要に応じて適宜選択すればよいが、0.1~10質量%の水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム水溶液100質量部に、過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを0.1~10質量部溶解させたものが好ましく、洗浄効率の観点から、1~6質量%の水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム水溶液100質量部に、過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを1~6質量部溶解させたものがより好ましい。
上記のアルカリ性過マンガン酸溶液を用いた洗浄を行う場合には、アルカリ性過マンガン酸溶液の洗浄後に、洗浄した前記プリント配線板を、中和・還元作用のある液を用いて処理することが好ましい。前記中和・還元作用のある液としては、例えば、0.5~15質量%の希硫酸、又は有機酸を含有する水溶液が挙げられる。また、前記有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、アスコルビン酸、メチオニン等が挙げられる。
上記のアルカリ性過マンガン酸溶液による洗浄は、前記エッチング液中に溶解した銀成分がプリント配線板上に付着、残留するのを防ぐ目的で行う洗浄の後に行ってもよいし、前記エッチング液中に溶解した銀成分がプリント配線板上に付着、残留するのを防ぐ目的で、洗浄を行う代わりに、アルカリ性過マンガン酸溶液による洗浄のみを行ってもよい。
また、本発明のプリント配線板用積層体を用いて得られたプリント配線板は、適宜、必要に応じて、回路パターン上へのカバーレイフィルム積層、ソルダーレジスト層の形成、及び、回路パターンの最終表面処理として、ニッケル/金めっき、ニッケル/パラジウム/金めっき、パラジウム/金めっきを施してもよい。
上記の方法で得られた本発明の積層体は、従来の転写積層体と比較し、樹脂層上に半硬化の絶縁樹脂層を形成することで、樹脂層と絶縁樹脂層の官能基同士を反応させたものであり、優れた配線の埋め込み性能と密着力と均一な膜質を有することを可能な積層体であることから、プリント配線板、リジットプリント配線版、フレキシブルプリント配線板、パッケージ基板、セラミック基板、ガラス基板、シリコンウエハー基板、金属基板、タッチパネル向け導電性フィルム、タッチパネル用メタルメッシュ、有機太陽電池、有機EL素子、有機トランジスタ、非接触ICカード等のRFID、電磁波シールド、LED照明基材、デジタルサイネージなどの電子部材として好適に用いることができる。特に、リジットプリント配線板、フレキシブルプリント配線板用途に最適である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によりなんら制限されるものではない。
[調製例1:めっき下地層(B)形成用の塗工液(1)の調製]
窒素雰囲気下、メトキシポリエチレングリコール(数平均分子量2,000)20質量部、ピリジン8.0質量部およびクロロホルム20mlを含む混合物に、p-トルエンスルホン酸クロライド9.6質量部を含むクロロホルム(30ml)溶液を、氷冷撹拌しながら30分間滴下した後、浴槽温度40℃で4時間攪拌し、クロロホルム50mlを混合した。
次いで、得られた生成物を、5質量%塩酸水溶液100mlで洗浄し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlで洗浄し、次いで飽和食塩水溶液100mlで洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過、減圧濃縮し、ヘキサンで数回洗浄した後、濾過し、80℃で減圧乾燥することによって、p-トルエンスルホニルオキシ基を有するメトキシポリエチレングリコールを得た。
p-トルエンスルホニルオキシ基を有するメトキシポリエチレングリコール5.39質量部、ポリエチレンイミン(アルドリッチ社製、分子量25,000)20質量部、炭酸カリウム0.07質量部およびN,N-ジメチルアセトアミド100mlを混合し、窒素雰囲気下、100℃で6時間攪拌した。
次いで、酢酸エチルとヘキサンとの混合溶液(酢酸エチル/ヘキサンの体積比=1/2)300mlを加え、室温で強力攪拌した後、生成物の固形物を濾過した。その固形物を、酢酸エチルとヘキサンの混合溶液(酢酸エチル/ヘキサンの体積比=1/2)100mlを用いて洗浄した後、減圧乾燥することによって、ポリエチレンイミンにポリエチレングリコールが結合した化合物を得た。
得られたポリエチレンイミンにポリエチレングリコールが結合した化合物を0.592質量部含む水溶液138.8質量部と、酸化銀10質量部とを混合し、25℃で30分間攪拌した。次いで、ジメチルエタノールアミン46質量部を攪拌しながら徐々に加え、25℃で30分間攪拌した。続いて、10質量%アスコルビン酸水溶液15.2質量部を攪拌しながら徐々に加え20時間攪拌を続けることによって銀の分散体を得た。
得られた銀の分散体にイソプロピルアルコール200mlとヘキサン200mlの混合溶剤を加え2分間攪拌した後、3000rpmで5分間遠心濃縮を行った。上澄みを除去した後、沈殿物にイソプロピルアルコール50mlとヘキサン50mlの混合溶剤を加えて2分間攪拌した後、2000rpm10分間遠心濃縮を行った。上澄みを除去した後、沈殿物にさらに水20質量部を加えて2分間攪拌して、減圧下有機溶剤を除去した。さらに水10質量部を加えて攪拌分散した後、該分散体を-40℃の冷凍機に1昼夜放置して凍結し、これを凍結乾燥機(東京理化器械株式会社製 FDU-2200)で24時間処理することによって、灰緑色の金属光沢があるフレーク状の塊からなる塩基性窒素原子含有基を有する分散剤を含有する銀粒子を得た。
得られた塩基性窒素原子含有基を有する分散剤を含有する銀粒子の粉末を、エタノール45質量部と、イオン交換水55質量部との混合溶媒に分散させて、5質量%のめっき下地層(B)形成用の塗工液(1)を調製した。得られた銀粒子について、電気炉で500℃1時間加熱した灰分から分散剤の割合を計算した結果、銀固形分100質量%に対し5質量%であることを確認した。
[調製例2:樹脂層(C)形成用の塗工液(1)の調製]
フェノキシ樹脂4250(三菱ケミカル株式会社製ビスフェノールA/ビスフェノールF混合タイプ、分子量60,000、固形分100質量%)を60質量部、アミノトリアジンノボラック樹脂(DIC株式会社製「フェノライトLA-7052」、固形分60質量%)33質量部、エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON EXA-830CRP」;ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ基当量162g/当量)17質量部、トリメリット酸無水物を3質量部及び、硬化剤としてセイカ株式会社製「DPE」16質量部および、硬化触媒として四国化成株式会社製「TBZ」0.5質量部を混合し、シクロヘキサノンを用いて不揮発分が2質量%となるように希釈し、均一に混合することで、樹脂層(C)形成用の塗工液(1)を得た。
[調製例3:樹脂層(C)形成用の塗工液(2)の調製]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエステルポリオール(1,4-シクロヘキサンジメタノールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得られたポリエステルポリオール)100質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸17.6質量部、1,4-シクロヘキサンジメタノール21.7質量部及びジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート106.2質量部を、メチルエチルケトン178質量部の混合溶剤中で反応させることによって、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマー溶液にトリエチルアミン13.3質量部を加えて、前記ウレタンプレポリマーが有するカルボキシル基を中和し、さらに水380質量部を加えて十分に攪拌することにより、ウレタンプレポリマーの水性分散液を得た。
上記で得られたウレタンプレポリマーの水性分散液に、25質量%エチレンジアミン水溶液8.8質量部を加え、攪拌することによって、ウレタンプレポリマーを鎖伸長した。次いでエージング・脱溶剤することによって、ウレタン樹脂の水性分散液(不揮発分30質量%)を得た。前記ウレタン樹脂の重量平均分子量は53,000であった。
次に、攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水140質量部、上記で得られたウレタン樹脂の水分散液100質量部を入れ、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。その後、攪拌しながら、メタクリル酸メチル60質量部、アクリル酸n-ブチル30質量部及びN-n-ブトキシメチルアクリルアミド10質量部からなる単量体混合物と、0.5質量%過硫酸アンモニウム水溶液20質量部とを別々の滴下漏斗から、反応容器内温度を80℃に保ちながら120分間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに同温度にて60分間攪拌した後、反応容器内の温度を40℃に冷却して、不揮発分が2質量%になるように脱イオン水で希釈した後、200メッシュ濾布で濾過することによって、前記ウレタン樹脂をシェル層とし、メタクリル酸メチル等を原料とするビニル樹脂をコア層とするコア・シェル型複合樹脂である樹脂層(C)形成用の塗工液(2)を得た。
<調製例4:絶縁樹脂層(D)形成用の塗工液(1)の調製>
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製「ZX059」、ビスフェノールA型:ビスフェノールF型=1:1混合品、エポキシ当量約169)3質量部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「HP―4032D」、エポキシ当量約144)3質量部、結晶性2官能エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)12質量部、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「HP7200H」、エポキシ当量約275)9質量部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「YX7200B35」、固形分35質量%のMEK溶液)10質量部を、ソルベントナフサ30質量部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却後、そこへ、活性エステル化合物(DIC株式会社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)40質量部、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン、固形分5質量%のMEK溶液)3質量部、フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.25μm、株式会社アドマテックス製「SO-C1」、単位表面積当たりのカーボン量0.36mg/m)275質量部にトルエンを用いて不揮発分が60質量%となるように希釈し、均一に混合することで、絶縁樹脂層(D)形成用の塗工液を得た。
<調製例5:絶縁樹脂層(D)形成用の塗工液(2)の調製>
末端メタクリレート変性ポリフェニレンエーテル樹脂(SABICイノベーティブプラスチックス社製「SA9000」)を70質量部、架橋型硬化剤としてトリアリルイソシアヌレート(日本化成株式会社製「TAIC」)30質量部を、リン酸エステル化合物(大八化学工業株式会社製「PX―200」)を2質量部、ホスフィン酸塩化合物(クラリアントジャパン株式会社製「エクソリットOP―935」)を17質量部、反応開始剤として(日油株式会社製「1,3―ビス(ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン」)を2質量部、無機充填材 シリカ(株式会社アドマテックス製のSO―C1)275質量部にトルエンを用いて不揮発分が60質量%となるように希釈し、均一に混合することで、樹脂層(D)形成用の塗工液(2)を得た。
<調製例6:転写積層体(1)の調製>
離型フィルム(東洋紡株式会社製「TN-200」、離型PETフィルム;厚さ38μm)の離型層を形成している面に、調製例1で得られためっき下地層(B)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、150℃で5分間乾燥することによって、前記めっき下地層(B)に相当する銀層を乾燥後の厚さが0.1μmとなるように塗工した。離型フィルム上のめっき下地層(B)について、グロー放電発光分析装置で分析した結果、空気とめっき下地層(B)の界面に存在する炭素原子の信号強度は0.89、めっき下地層(B)と離型フィルムの界面に存在する炭素原子の信号強度は0.43であった。
その後、調製例2で得られた樹脂層(C)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、180℃で3分間乾燥することによって、前記樹脂層(C)に相当する層を乾燥後の厚さが0.3μmとなるように塗工した。その後、調製例4で得られた樹脂層(D)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、80℃で4分間乾燥することによって、前記絶縁樹脂層(D)に相当する層を乾燥後の厚さが50μmとなるように塗工した(絶縁樹脂層(D)THF不溶分:1%)。前記仮支持体(A)に相当する離型フィルムの表面に、めっき下地層(B)と樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)を形成し、転写積層体(1)を得た。
<調製例7:転写積層体(2)の調製>
離型フィルム(東洋紡株式会社製「TN-200」、離型PETフィルム;厚さ38μm)の離型層を形成している面に、調製例1で得られためっき下地層(B)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、150℃で5分間乾燥することによって、前記めっき下地層(B)に相当する銀層を乾燥後の厚さが0.05μmとなるように塗工した。さらに、その銀層表面に、調製例1で得られためっき下地層(B)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、150℃で5分間乾燥することによって、前記めっき下地層(B)に相当する銀層を乾燥後の厚さが0.05μmとなるように塗工した。銀層の総膜厚は0.1μmとした。離型フィルム上のめっき下地層(B)について、グロー放電発光分析装置で分析した結果、空気とめっき下地層(B)の界面に存在する炭素原子の信号強度は0.89、めっき下地層(B)と離型フィルムの界面に存在する炭素原子の信号強度は0.43であった。
その後、調製例2で得られた樹脂層(C)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、180℃で3分間乾燥することによって、前記樹脂層(C)に相当する層を乾燥後の厚さが0.3μmとなるように塗工した。その後、調製例5で得られた樹脂層(D)形成用の塗工液(2)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、80℃で4分間乾燥することによって、前記絶縁樹脂層(D)に相当する層を乾燥後の厚さが50μmとなるように塗工した(絶縁樹脂層(D)THF不溶分:3%)。前記仮支持体(A)に相当する離型フィルムの表面に、めっき下地層(B)と樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)を形成し、転写積層体(2)を得た。
<調製例8:転写積層体(3)の調製>
積層体(1)の樹脂層(C)形成用の塗工液(1)代わりに、樹脂層(C)形成用の塗工液(2)を使用し、調製例6と同様な方法で転写積層体(3)を得た。
<調製例9:転写積層体(4)の調製>
積層体(2)の樹脂層(C)形成用の塗工液(1)代わりに、樹脂層(C)形成用の塗工液(2)を使用し、調製例7と同様な方法で転写積層体(4)を得た。
<調製例10:転写積層体(5)の調製>
積層体(1)の離型フィルムの代わりに、銅箔(古河電工株式会社製「F2-WS」銅箔;厚さ18μm)の光沢面(非粗化面)側を使用し、調製例6と同様な方法で転写積層体(5)を得た。
<調製例11:転写積層体(6)の調製>
銅箔(古河電工株式会社製「F2-WS」銅箔;厚さ18μm)の光沢面(非粗化面)に、調製例1で得られためっき下地層(B)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、150℃で5分間乾燥することによって、前記めっき下地層(B)に相当する銀層を乾燥後の厚さが0.1μmとなるように塗工した。銅箔上のめっき下地層(B)について、グロー放電発光分析装置で分析した結果、空気とめっき下地層(B)の界面に存在する炭素原子の信号強度は0.89、めっき下地層(B)と離型フィルムの界面に存在する炭素原子の信号強度は0.43であった。
その後、調製例2で得られた樹脂層(C)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、180℃で3分間乾燥することによって、前記樹脂層(C)に相当する層を乾燥後の厚さが0.3μmとなるように塗工した。その後、絶縁樹脂層(D)形成用塗工液(1)を用いて、ガラスクロス(日東紡績株式会社製の#7628タイプ、Eガラス)に含侵させ、150℃4分で加熱乾燥させたプリプレグ(絶縁樹脂層(D)プリプレグ THF不溶分:75%)とハンドプレス(株式会社東洋精機製作所製「ミニテストプレス」)を用いて、120℃10分で貼り合わせた。前記仮支持体(A)に相当する離型フィルムの表面に、めっき下地層(B)と樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)を形成し、転写積層体(6)を得た。
<調製例12:転写積層体(7)の調製>
銅箔(古河電工株式会社製「F2-WS」銅箔;厚さ18μm)の光沢面(非粗化面)に、調製例1で得られためっき下地層(B)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、150℃で5分間乾燥することによって、前記めっき下地層(B)に相当する銀層を乾燥後の厚さが0.1μmとなるように塗工した。銅箔上のめっき下地層(B)について、グロー放電発光分析装置で分析した結果、空気とめっき下地層(B)の界面に存在する炭素原子の信号強度は0.89、めっき下地層(B)と離型フィルムの界面に存在する炭素原子の信号強度は0.43であった。
その後、調製例2で得られた樹脂層(C)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、180℃で3分間乾燥することによって、前記樹脂層(C)に相当する層を乾燥後の厚さが0.3μmとなるように塗工した。その後、絶縁樹脂層(D)形成用塗工液(2)を用いて、ガラスクロス(日東紡績株式会社製の#7628タイプ、Eガラス)に含侵させ、150℃4分で加熱乾燥させたプリプレグ(絶縁樹脂層(D)プリプレグ THF不溶分:80%)とハンドプレス(株式会社東洋精機製作所製「ミニテストプレス」)を用いて、120℃10分で貼り合わせた。前記仮支持体(A)に相当する離型フィルムの表面に、めっき下地層(B)と樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)を形成し、転写積層体(7)を得た。
<調製例13:転写積層体(8)の調製>
銅箔(古河電工株式会社製「F2-WS」銅箔;厚さ18μm)の光沢面(非粗化面)に、調製例1で得られためっき下地層(B)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、150℃で5分間乾燥することによって、前記めっき下地層(B)に相当する銀層を乾燥後の厚さが0.1μmとなるように塗工した。銅箔上のめっき下地層(B)について、グロー放電発光分析装置で分析した結果、空気とめっき下地層(B)の界面に存在する炭素原子の信号強度は0.89、めっき下地層(B)と離型フィルムの界面に存在する炭素原子の信号強度は0.43であった。
その後、調製例2で得られた樹脂層(C)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、180℃で3分間乾燥することによって、前記樹脂層(C)に相当する層を乾燥後の厚さが0.3μmとなるように塗工し、転写積層体(8)を得た。
(実施例1)
ポリイミドフィルム(東レデュポン株式会社製カプトン150EN-A)の両面にコロナ処理(春日電機株式会社製「コロナ表面改質評価装置TEC-4AX」、電極-基材間距離0.5mm、100W)を実施した。その後、調製例6で得た転写積層体(1)の前記絶縁樹脂層(D)が形成された面を、ポリイミドフィルムの両面に貼り合わせ、ラミネーター(テスター産業株式会社製「小型卓上テストラミネーター」)を用い、ラミネート条件をロール材質が金属―金属、ロール温度160℃、エアー入力圧力0.4MPa、ロール速度:1m/分で熱圧着した。次いで、ポリイミドフィルムの両面に熱圧着した積層体(1)の離型フィルムのみを剥離することによって、ポリイミドフィルムの両面に前記絶縁樹脂層(D)と前記樹脂層(C)と前記めっき下地層(B)を形成した。めっき下地層(B)の表面抵抗は、表面と裏面が共に20Ω/□であった。その後、250℃5分間乾燥することで、めっき下地層(B)の表面抵抗は、表面と裏面が共に1Ω/□であった。
その後、前記で得られためっき下地層(B)をカソード側に設定し、含リン銅をアノード側に設定し、硫酸銅を含有する電解めっき液を用いて電流密度2A/dmで27分間電解めっきを行うことによって、めっき下地層(B)上に、金属めっき層(F)に相当する銅めっき層(膜厚12μm)を形成した。電解めっき液としては、硫酸銅70g/L、硫酸200g/L、塩素イオン50mg/L、添加剤(トップルチナSF-M、奥野製薬工業株式会社)5ml/Lを用いた。
このようにして、支持体(E)、絶縁樹脂層(D)、樹脂層(C)、めっき下地層(B)、および金属めっき層(F)が順次積層された積層体(1)を得た。
(実施例2)
プリプレグ(パナソニック株式会社製R-5670KG、ガラス繊維含有、厚み0.1mm、表面粗さSz:20.815μm)の両面に銅箔(古河電工株式会社製F2-WS、厚み18μm)の光沢面(非粗化面)を貼り合わせ、ハンドプレス(株式会社東洋精機製作所製「ミニテストプレス」)を用い、195℃90分間熱圧着した。その後、40℃の塩化第二鉄エッチング液(含有量40質量%)に3分間浸漬し、銅箔を全面エッチングすることで、前記支持体(E)に相当するプリプレグが硬化したリジット基材を得た。その後、前記リジット基材の両面にコロナ処理(春日電機株式会社製「コロナ表面改質評価装置TEC-4AX」、電極-基材間距離0.5mm、100W)を行った。次いで、調製例6で得た転写積層体(1)の絶縁樹脂層(D)を形成した面を前記リジット基材の両面に貼り合わせ、ハンドプレス(株式会社東洋精機製作所製「ミニテストプレス」)で150℃10分間圧着した。その後、離型PETフィルムのみを剥離することによって、硬化させたプリプレグの両面に前記絶縁樹脂層(D)と前記樹脂層(C)と前記めっき下地層(B)を形成した。
その後、前記で得られためっき下地層(B)をカソード側に設定し、含リン銅をアノード側に設定し、硫酸銅を含有する電解めっき液を用いて電流密度2A/dmで27分間電解めっきを行うことによって、めっき下地層(B)上に、金属めっき層(F)に相当する銅めっき層(膜厚12μm)を形成した。電解めっき液としては、硫酸銅70g/L、硫酸200g/L、塩素イオン50mg/L、添加剤(トップルチナSF-M、奥野製薬工業株式会社)5ml/Lを用いた。
このようにして、支持体(E)、絶縁樹脂層(D)、樹脂層(C)、めっき下地層(B)、および金属めっき層(F)が順次積層された積層体(2)を得た。
(実施例3)
積層体(2)の転写積層体(1)の代わりに、転写積層体(2)を使用し、実施例2と同様な方法で積層体(3)を得た。
(実施例4)
積層体(2)の転写積層体(1)の代わりに、転写積層体(3)を使用し、実施例2と同様な方法で積層体(4)を得た。
(実施例5)
積層体(2)の転写積層体(1)の代わりに、転写積層体(4)を使用し、実施例2と同様な方法で積層体(5)を得た。
(実施例6)
積層体(3)の転写積層体(1)の代わりに、転写積層体(5)を使用し、実施例2と同様な方法で積層体(6)を得た。
(実施例7)
プリプレグ(パナソニック株式会社製R-5670KG、ガラス繊維含有、厚み0.1mm)の両面に銅箔(古河電工株式会社製F2-WS、厚み18μm)の光沢面(非粗化面)を貼り合わせ、ハンドプレス(株式会社東洋精機製作所製「ミニテストプレス」)を用い、195℃90分間熱圧着した。その後、40℃の塩化第二鉄エッチング液(含有量40質量%)に3分間浸漬し、銅箔を全面エッチングすることで、前記支持体(E)に相当するプリプレグが硬化したリジット基材を得た。その後、前記リジット基材の両面にコロナ処理(春日電機株式会社製「コロナ表面改質評価装置TEC-4AX」、電極-基材間距離0.5mm、100W)を行った。次いで、調製例11で得た転写積層体(6)の絶縁樹脂層(D)を形成した面を前記リジット基材の両面に貼り合わせ、ハンドプレス(株式会社東洋精機製作所製「ミニテストプレス」)で195℃75分間圧着した。その後、銅箔のみを剥離することによって、硬化させたプリプレグの両面に前記絶縁樹脂層(D)と前記樹脂層(C)と前記めっき下地層(B)を形成した。
その後、前記で得られためっき下地層(B)をカソード側に設定し、含リン銅をアノード側に設定し、硫酸銅を含有する電解めっき液を用いて電流密度2A/dmで27分間電解めっきを行うことによって、めっき下地層(B)上に、金属めっき層(F)に相当する銅めっき層(膜厚12μm)を形成した。電解めっき液としては、硫酸銅70g/L、硫酸200g/L、塩素イオン50mg/L、添加剤(トップルチナSF-M、奥野製薬工業株式会社)5ml/Lを用いた。
このようにして、支持体(E)、絶縁樹脂層(D)、樹脂層(C)、めっき下地層(B)、および金属めっき層(F)が順次積層された積層体(7)を得た。
(実施例8)
積層体(7)の転写積層体(6)の代わりに、転写積層体(7)を使用し、実施例7と同様な方法で積層体(8)を得た。
(実施例9)
転写積層体(6)の絶縁樹脂層(D)を形成した面と転写積層体(8)の樹脂層(C)を形成した面同士を張り合わせ、ハンドプレス(株式会社東洋精機製作所製「ミニテストプレス」)で195℃75分間圧着した。その後、銅箔のみを剥離することによって、硬化させたプリプレグの両面に前記絶縁樹脂層(D)と前記樹脂層(C)と前記めっき下地層(B)を形成し、実施例7と同様な方法で積層体(9)を得た。
(実施例10)
積層体(9)の転写積層体(6)の代わりに、転写積層体(7)を使用し、実施例9と同様な方法で積層体(10)を得た。
(実施例11)
積層体(1)のポリイミドフィルムの代わりに、フレキシブル銅張積層板(東レデュポン株式会社製Pyralux TA)をサブトラクティブ法で導電性パターンを形成し、エッチングレジスト(昭和電工マテリアルズ株式会社製「RY-5125」、厚み25μm)を110℃、0.4MPa、1m/分で前記金属層(F)の表面に貼り合わせ、露光機(サンハヤト株式会社製「BOX-W10」)で、2分間処理(316mJ/cm2)の露光処理を行い、次いで現像液(1質量%炭酸ナトリウム水溶液)に5分浸漬し、現像処理を行うことでパターンレジストを形成した。次いで、塩化銅水溶液を用いて、前記金属層(F)を溶解させた後に3質量%水酸化ナトリウムに3分間浸漬することで、めっきレジストを剥離することで、回路パターンを形成した基材を用いて、実施例1と同様な方法で積層体(11)を得た。
(実施例12)
積層体(2)のプリプレグの代わりに、銅張積層板(パナソニック株式会社製R-5775KH、ガラス繊維含有、厚み0.1mm)をサブトラクティブ法で導電性パターンを形成し、エッチングレジスト(昭和電工マテリアルズ株式会社製「RY-5125」、厚み25μm)を110℃、0.4MPa、1m/分で前記金属層(F)の表面に貼り合わせ、露光機(サンハヤト株式会社製「BOX-W10」)で、2分間処理(316mJ/cm2)の露光処理を行い、次いで現像液(1質量%炭酸ナトリウム水溶液)に5分浸漬し、現像処理を行うことでパターンレジストを形成した。次いで、塩化銅水溶液を用いて、前記金属層(F)を溶解させた後に3質量%水酸化ナトリウムに3分間浸漬することで、めっきレジストを剥離することで、回路パターンを形成した基材を用いて、実施例2と同様な方法で積層体(12)を得た。
(実施例13)
積層体(12)の転写積層体(1)の代わりに、転写積層体(2)を使用し、実施例12と同様な方法で積層体(13)を得た。
(実施例14)
積層体(12)の転写積層体(1)の代わりに、転写積層体(3)を使用し、実施例12と同様な方法で積層体(14)を得た。
(実施例15)
積層体(12)の転写積層体(1)の代わりに、転写積層体(4)を使用し、実施例12と同様な方法で積層体(15)を得た。
(実施例16)
積層体(12)の転写積層体(1)の代わりに、転写積層体(5)を使用し、実施例12と同様な方法で積層体(16)を得た。
(実施例17)
積層体(7)のプリプレグの代わりに、銅張積層板(パナソニック株式会社製R-5775KH、ガラス繊維含有、厚み0.1mm)をサブトラクティブ法で導電性パターンを形成し、エッチングレジスト(昭和電工マテリアルズ株式会社製「RY-5125」、厚み25μm)を110℃、0.4MPa、1m/分で前記金属層(F)の表面に貼り合わせ、露光機(サンハヤト株式会社製「BOX-W10」)で、2分間処理(316mJ/cm2)の露光処理を行い、次いで現像液(1質量%炭酸ナトリウム水溶液)に5分浸漬し、現像処理を行うことでパターンレジストを形成した。次いで、塩化銅水溶液を用いて、前記金属層(F)を溶解させた後に3質量%水酸化ナトリウムに3分間浸漬することで、めっきレジストを剥離することで、回路パターンを形成した基材を用いて、実施例7と同様な方法で積層体(17)を得た。
(実施例18)
積層体(17)の転写積層体(6)の代わりに、転写積層体(7)を使用し、実施例17と同様な方法で積層体(18)を得た。
(比較例1)
ビルドアップフィルムに(味の素株式会社製「GX-92」、厚さ50μm)の片面(始めに塗工した面をA面とする)に、調製例2で得られた樹脂層(C)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、180℃で3分間乾燥することによって、前記樹脂層(C)に相当する層を乾燥後の厚さが0.3μmとなるようにビルドアップフィルム上に塗工した。その後、裏返しにし、A面に調製例1で得られためっき下地層(B)形成用の塗工液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製「Kプリンティングプローファー」)を用いて塗工し、180℃で3分間乾燥することによって、前記めっき下地層(B)に相当する銀層を乾燥後の厚さが0.1μmとなるように塗工した。その後、めっき下地層(B)の表面抵抗は、A面が10000Ω/□となった。転写積層体(R1)を調製した。
その後、プリプレグ(パナソニック株式会社製R-5670KG、ガラス繊維含有、厚み0.1mm、表面粗さSz:20.815μm)の両面に銅箔(古河電工株式会社製F2-WS、厚み18μm)の光沢面(非粗化面)を貼り合わせ、ハンドプレス(株式会社東洋精機製作所製「ミニテストプレス」)を用い、195℃90分間熱圧着した。その後、40℃の塩化第二鉄エッチング液(含有量40質量%)に3分間浸漬し、銅箔を全面エッチングすることで、前記支持体(E)に相当するプリプレグが硬化したリジット基材を得た。その後、前記リジット基材の両面にコロナ処理(春日電機株式会社製「コロナ表面改質評価装置TEC-4AX」、電極-基材間距離0.5mm、100W)を行った。次いで、転写積層体(R1)のビルドアップフィルム側を形成した面を前記リジット基材の両面に貼り合わせ、ハンドプレス(株式会社東洋精機製作所製「ミニテストプレス」)で150℃10分間圧着した。
その後、めっき下地層(B)に銅めっき処理をした。めっき下地層(B)をカソード側に設定し、含リン銅をアノード側に設定し、硫酸銅を含有する電解めっき液を用いて電流密度2A/dmで40分間電解めっきを行うことによって、めっき下地層(B)上に、金属めっき層(F)に相当する銅めっき層(膜厚12μm)を形成した。電解めっき液としては、硫酸銅70g/L、硫酸200g/L、塩素イオン50mg/L、添加剤(トップルチナSF-M、奥野製薬工業株式会社)5ml/Lを用いた。
このようにして、支持体(E)、樹脂層(C)、めっき下地層(B)、および金属めっき層(F)が順次積層された積層体(R1)を得た。
(比較例2)
積層体(R1)のプリプレグの代わりに、銅張積層板(パナソニック株式会社製R-5775KH、ガラス繊維含有、厚み0.1mm)をサブトラクティブ法で導電性パターンを形成し、エッチングレジスト(昭和電工マテリアルズ株式会社製「RY-5125」、厚み25μm)を110℃、0.4MPa、1m/分で前記金属層(F)の表面に貼り合わせ、露光機(サンハヤト株式会社製「BOX-W10」)で、2分間処理(316mJ/cm2)の露光処理を行い、次いで現像液(1質量%炭酸ナトリウム水溶液)に5分浸漬し、現像処理を行うことでパターンレジストを形成した。次いで、塩化銅水溶液を用いて、前記金属層(F)を溶解させた後に3質量%水酸化ナトリウムに3分間浸漬することで、めっきレジストを剥離することで、回路パターンを形成した基材を用いて、比較例1と同様な方法で積層体(R2)を得た。
<常態強度;ピール試験による評価>
前記で得た積層体(1)~(10)、及び、(R1)のピール強度測定は、IPC-TM-650、NUMBER2.4.9に準拠した方法により行った。測定に用いるリード幅は1mm、そのピールの角度は90°とした。なお、ピール強度は、前記めっき層の厚みが厚くなるほど高い値を示す傾向にあるが、本発明でのピール強度の測定は、現在汎用されているめっき層18μmにおける測定値を基準として実施した。
上記で測定した加熱前の剥離強度の値から、下記の基準にしたがって密着性を評価した。
A:剥離強度の値が700N/m以上である。
B:剥離強度の値が500N/m以上、700N/m未満である。
C:剥離強度の値が300N/m以上、500N/m未満である。
D:剥離強度の値が100N/m以上、300N/m未満である。
E:剥離強度の値が100N/m未満である。
<耐熱強度;ピール試験による評価>
前記で得た積層体(1)~(10)、及び、(R1)を260℃の恒温器に5分間入れた後の基材を用いてピール強度測定を行った。ピール強度測定は、IPC-TM-650、NUMBER2.4.9に準拠した方法により行った。測定に用いるリード幅は1mm、そのピールの角度は90°とした。なお、ピール強度は、前記めっき層の厚みが厚くなるほど高い値を示す傾向にあるが、本発明でのピール強度の測定は、現在汎用されているめっき層18μmにおける測定値を基準として実施した。
上記で測定した加熱前の剥離強度の値から、下記の基準にしたがって密着性を評価した。
A:剥離強度の値が700N/m以上である。
B:剥離強度の値が500N/m以上、700N/m未満である。
C:剥離強度の値が300N/m以上、500N/m未満である。
D:剥離強度の値が100N/m以上、300N/m未満である。
E:剥離強度の値が100N/m未満である。
<常態試験:配線への埋め込み性能の評価>
前記で得た積層体(11)~(18)、及び、(R2)を用いて、配線長さが50mm、配線幅がLINE/SPACE=50/50μmになるような配線の断面観察から、基材及び配線と絶縁樹脂層の界面に発生するボイドの数を評価した。ボイドの数は加工した配線を10本観察し、一本当たりの平均値を算出した。
A:ボイド数が0以上、2未満である。
B:ボイド数が2以上、4未満未満である。
C:ボイド数が4以上、7未満である。
D:ボイド数が7以上、10未満である。
E:ボイド数が10以上である。
<耐熱試験:配線への埋め込み性能の評価>
前記で得た積層体(11)~(18)、及び、(R2)を用いて、260℃の恒温器に60分間入れた後、配線長さが50mm、配線幅がLINE/SPACE=50/50μmになるような配線の断面観察から、基材及び配線と絶縁樹脂層の界面に発生するボイドの数を評価した。ボイドの数は加工した配線を10本観察し、一本当たりの平均値を算出した。
A:ボイド数が0以上、2未満である。
B:ボイド数が2以上、4未満未満である。
C:ボイド数が4以上、7未満である。
D:ボイド数が7以上、10未満である。
E:ボイド数が10以上である。
実施例1~18、比較例1,2の密着性、配線埋め込み性の評価結果を、表1~2に示した。
実施例1~18は、樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)を形成したものであり、密着性及び配線の埋め込み性能はともに、良好な結果であった。
一方、比較例1は、半硬化のビルドアップフィルム上に、めっき下地層(B)と樹脂層(C)の塗膜乾燥工程で熱が加わったため、ビルドアップフィルムと基材との密着性が低く、配線の埋め込み性能も低かった。

1:仮支持体
2:めっき下地層
3:樹脂層
4:絶縁樹脂層
5:基材
6:金属めっき層
7:金属層

Claims (21)

  1. 仮支持体(A)の少なくとも一面に、順に分散剤(b1)と導電性物質(b2)を含有するめっき下地層(B)と樹脂層(C)とTHF溶液不溶分が1~80重量%である絶縁樹脂層(D)を有することを特徴とする積層体。
  2. 支持体(E)の少なくとも一面に、前記積層体の前記絶縁樹脂層(D)が形成された面側を貼り合わせたものであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記絶縁樹脂層(D)の両面に、順に樹脂層(C)、めっき下地層(B)、仮支持体(A)を有することを特徴とする請求項1記載の積層体。
  4. さらに前記積層体のめっき下地層(B)の上に金属めっき層(F)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  5. 前記樹脂層(C)が官能基[X]を有する化合物(c1)と前記絶縁樹脂層(D)が官能基[Y]を有する化合物(d1)を反応させることによって化学結合を形成したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  6. 前記樹脂層(C)に含まれる官能基[X]がエポキシ基、アミノ基の中から少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  7. 前記絶縁樹脂層(D)に含まれる官能基[Y]がエポキシ基、マレイミド基、ビニルベンジル基、アクリレート基、メタクリレート基、カルボニル基、ヒドロキシ基の中から少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  8. 前記絶縁樹脂層(D)に無機化合物(x)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  9. 前記めっき下地層(B)が1層以上であることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  10. 前記樹脂層(C)が1層以上であることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  11. 前記絶縁樹脂層(D)が1層以上であることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  12. 前記樹脂層(C)のTg(ガラス転移温度)が、前記絶縁樹脂層(D)のTgより大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  13. 前記分散剤(b1)が塩基性窒素原子含有基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  14. 前記導電性物質(b2)が、銀であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  15. 前記めっき下地層(B)の厚みが1~10,000mg/mであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  16. 前記樹脂層(C)の厚みが0.01~100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  17. 前記絶縁樹脂層(D)の厚みが1~1000μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  18. 前記金属めっき層(F)の厚みが0.05~1000μmであることを特徴とする請求項4に記載の積層体。
  19. 仮支持体(A)にめっき下地層(B)と樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)を順次形成する
    積層体の製造方法。
  20. 仮支持体(A)にめっき下地層(B)と樹脂層(C)と絶縁樹脂層(D)を順次形成する
    積層体を製造する工程1、
    前記積層体の前記絶縁樹脂層(D)が形成された面を、支持体(E)の少なくとも一面に貼り合わせる工程2、
    支持体(E)に貼り合わせた前記積層体の前記仮支持体(A)を剥がし、支持体(E)の少なくとも一面に前記絶縁樹脂層(D)と前記樹脂層(C)と前記めっき下地層(B)を形成する工程3、
    前記めっき下地層(B)の表面に金属めっき層(F)を形成する工程4、
    を有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  21. 請求項1または2に記載の積層体を有することを特徴とするプリント配線板、パッケージ基板、インターポーザ、LED電極用配線基板、光電融合デバイス。
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