以下において、図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
(1)第1実施形態
図1乃至図10を参照して第1実施形態について説明する。
(1.1)システム構成例
図1は、実施形態に係る移動通信システムの構成例を示す図である。実施形態に係る移動通信システムは、3GPP規格に準拠するシステムである。例えば、実施形態に係る移動通信システムは、第5世代(5G)システム又は第6世代(6G)システムであってもよい。
移動通信システムは、ネットワーク(NW)1と、ユーザ装置(UE)100とを有する。UE100は、移動可能な通信装置であって、NW1との無線通信を行う。UE100は、ユーザにより利用される装置であればよく、例えば、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC(Personal Computer)、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)であってもよい。
NW1は、無線アクセスネットワーク(RAN)10と、コアネットワーク(CN)20とを含む。移動通信システムが第5世代システム(5GS:5th Generation System)である場合、RAN10はNG-RAN(Next Generation Radio Access Network)と称され、CN20は5GC(5G Core Network)と称される。
RAN10は、複数のノード200(図示の例では、ノード200a乃至200c)を含む。ノード200は、ノード間インターフェイスを介して相互に接続される。ノード200は、基地局とも称される。ノード200は、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間がフロントホールインターフェイスで接続されていてもよい。移動通信システムが5GSである場合、ノード200はgNBと称され、ノード間インターフェイスはXnインターフェイスと称され、フロントホールインターフェイスはF1インターフェイスと称される。
各ノード200は、1又は複数のセルを管理する。ノード200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。各ノード200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(単に「データ」とも称する)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。なお、「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数(単に「周波数」とも称する)に属する。
CN20は、CN装置300を含む。CN装置300は、制御プレーン(Cプレーン)に対応するCプレーン装置と、ユーザプレーン(Uプレーン)に対応するUプレーン装置と、を含んでもよい。Cプレーン装置は、UE100に対する各種モビリティ制御及びページング等を行う。Cプレーン装置は、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信する。Uプレーン装置は、データの転送制御を行う。移動通信システムが5GSである場合、Cプレーン装置はAMF(Access and Mobility Management Function)と称され、Uプレーン装置はUPF(User Plane Function)と称され、ノード200とCN装置300との間のインターフェイスはNGインターフェイスと称される。
図2は、データを取り扱うUプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成例を示す図である。
Uプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、例えば、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとノード200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。なお、UE100のPHYレイヤは、ノード200から物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)上で送信される下りリンク制御情報(DCI)を受信する。具体的には、UE100は、無線ネットワーク一時識別子(RNTI)を用いてPDCCHのブラインド復号を行い、復号に成功したDCIを自UE宛てのDCIとして取得する。ノード200から送信されるDCIには、RNTIによってスクランブルされたCRCパリティビットが付加されている。
MACレイヤは、データの優先制御及びハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理等を行う。UE100のMACレイヤとノード200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。ノード200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースを決定する。
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとノード200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化等を行う。
SDAPレイヤは、CN20がQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
図3は、シグナリング(制御信号)を取り扱うCプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成例を示す図である。
Cプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、例えば、図2に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
UE100のRRCレイヤとノード200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとノード200のRRCとの間にコネクション(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態である。UE100のRRCとノード200のRRCとの間にコネクション(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドル状態である。UE100のRRCとノード200のRRCとの間のコネクションがサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態である。
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤ(単に「NAS」とも称する)は、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとCN装置300のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。また、NASレイヤよりも下位のレイヤをASレイヤと称する(単に「AS」とも称する)。
(1.2)テラヘルツ波セルを用いるCA
図4は、実施形態に係るテラヘルツ(THz)波セルを説明するための図である。
実施形態に係る移動通信システムは、6Gシステムであってもよい。6Gでは、テラヘルツ(THz)波を活用することが想定されている。THz波で運用されるセルをTHz波セルと称する。THz波は、ミリ波(mmW)と比較して、更に直進性が強く、自由空間損失が高く、大気・降雨の影響を受け易い。そのため、THz波セルは、超小型のセルであり得る。
図示の例では、THz波セルのカバレッジエリアの直径が10[m]程度であり、mmWで運用されるmmWセルのカバレッジエリアの直径が100[m]程度であり、マクロセルのカバレッジエリアの直径が1000[m]程度である。このような想定下で、例えば60[km/s]で移動するUE100は、各THz波セルのカバレッジエリアを約599[ms]で通過する。
小型のセルを移動通信システムで安定的に制御する方法の1つとして、キャリアアグリゲーション(CA)がある。実施形態では、THz波セルをCAのセカンダリセル(SCell)として用いることを想定する。なお、CAのプライマリセル(PCell)がマクロセルであることを想定するが、PCellがmmWセルであってもよい。
図5は、実施形態に係るキャリアアグリゲーション(CA)を説明するための図である。
RRCコネクティッド状態のUE100は、ノード200によりCAが設定され得る。CAでは、複数のサービングセルに対応する複数のコンポーネントキャリア(CC)が集約され、UEは、複数のCC(複数のセル)で同時に受信又は送信を行うことができる。当該複数のCCは、周波数方向に連続していてもよいし、非連続であってもよい。1つのサービングセルはプライマリセル(PCell)と称され、PCellと共に1つ又は複数のセカンダリセル(SCell)をUEに設定することにより、サービングセルのセットが形成される。CAが設定されている場合、UE100には、ネットワーク1とのRRC接続が1つ存在する。SCellの追加及び削除は、RRCシグナリングによって実行できる。SCellのアクティブ化及び非アクティブ化は、媒体アクセス制御(MAC)制御要素(CE)によって実行できる。
移動通信システムは、CAが設定されているときにUE100の消費電力を削減可能にするために、セルのアクティブ化及び非アクティブ化をサポートする。SCellが非アクティブ状態である場合、UE100は、当該SCellでPDCCH又は物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)を受信する必要がなく、当該SCellで上りリンク送信ができない。UE100は、非アクティブ状態のSCellについてチャネル品質指標(CQI)測定を実行する必要もない。一方、SCellがアクティブ状態である場合、UE100は、当該SCellでPDSCH及びPDCCHを受信する。UE100は、アクティブ状態のSCellについてCQI測定を実行できる。
なお、ノード200は、サービングセルのセットを再設定するときに、セットに追加されたSCellを、最初にアクティブ化又は非アクティブ化し、セットに残っている(変更されていないか又は再設定されている)SCellは、アクティブ化状態(アクティブ化又は非アクティブ化)を変更しない。
図6は、SCellの追加及びアクティブ化の一般的なプロシージャを示す図である。
ステップS11において、UE100は、各セルの無線品質の測定結果を含む測定報告(Measurement Report)メッセージを例えばPCell上でノード200に送信する。無線品質とは、無線の品質に関連する指標であればよく、例えば、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)、及びSINR(Signal to Interference & Noise Ratio)のうち少なくとも1つである。Measurement Reportメッセージは、RRCレイヤで送受信されるRRCメッセージである。Measurement Reportメッセージの送信は、周期的に行われてもよいし、イベントトリガで行われてもよい。ノード200は、Measurement Reportメッセージを受信する。
ステップS12において、ノード200は、Measurement Reportメッセージに基づいて、UE100にSCellを設定(追加)することを決定し、UE100にSCellを追加するためのRRC再設定(RRC Reconfiguration)メッセージを例えばPCell上でUE100に送信する。RRC Reconfigurationメッセージは、RRCレイヤで送受信される。UE100は、RRC Reconfigurationメッセージを受信する。
ステップS13において、UE100は、RRC Reconfigurationメッセージに基づくSCellの追加が完了したことを示すRRC再設定完了(RRC Reconfiguration Complete)メッセージを例えばPCell上でノード200に送信する。RRC Reconfiguration Completeメッセージは、RRCレイヤで送受信される。ノード200は、RRC Reconfiguration Completeメッセージを受信する。この段階では、追加されたSCellは非アクティブ状態である。
ステップS14において、ノード200は、UE100に追加したSCellをアクティブ化するためのMAC CEを例えばPCell上でUE100に送信する。MAC CEは、MACレイヤで送受信される。UE100は、MAC CEを受信すると、SCellのアクティブ化を開始する。SCellのアクティブ化を開始すると、UE100は、SCellの参照信号を受信し、チャネル状態情報(CSI)測定、自動ゲイン制御(AGC)、及びビーム管理を行い、通信の準備をする。
ステップS15において、UE100は、MAC CEについて受信成功を示すHARQ ACKを例えばPCellのPUCCH上でノード200に送信する。ノード200は、HARQ ACKを受信する。
ステップS16において、UE100及びノード200は、UE100においてSCellがアクティブ状態になると、SCellを用いた無線通信を開始する。
このようなプロシージャによれば、SCellの無線品質が通信可能な状態になってから、UE100がSCellを使用可能となるまでに、例えば35[ms]程度の時間を要する。SCellがTHz波セルである場合、SCellのカバレッジエリアは遮蔽などの影響でさらに狭くなるため、SCellを利用可能な時間は短い。そのため、図6のプロシージャでは、SCellのアクティブ化が完了するまでに長時間を要するため、実際にSCell上でデータを送受信できる時間が短くなるという課題がある。
ここで、SCellのアクティブ化を高速化可能な技術として、3GPP規格のリリース17までに次のような拡張機能が導入されている。
第1の拡張機能として、直接的なSCellアクティブ化がある。直接的なSCellアクティブ化では、ノード200は、RRCメッセージを用いてSCellをUE100に追加する際に、SCellの初期状態としてアクティブ状態を指定できる。これにより、図6のSCellアクティブ化のMAC CEの送受信が不要になり、SCellのアクティブ化を高速化できる。
第2の拡張機能として、ドーマントBWPと称される技術がある。ノード200は、ドーマント状態の帯域幅部分(BWP)をSCell用に設定できる。アクティブ化されたSCellのアクティブBWPがドーマント状態のBWPである場合、UE100は、SCellでのPDCCH監視及びサウンディング参照信号(SRS)/PUSCH/PUCCH送信を停止するが、CSI測定、AGC、及びビーム管理の実行を継続する。SCellについてドーマントBWPへの移行(entering)及び離脱(leaving)を制御するために、PDCCH/下りリンク制御情報(DCI)が用いられる。なお、ドーマント状態のBWPは、デディケイテッドRRCシグナリングを介してネットワーク1が設定したUE100のデディケイテッドBWPの1つである。ドーマントBWPを用いる例については第2実施形態で説明する。
第3の拡張機能として、高速SCellアクティブ化のためのトラッキング(同期)用の非周期的なCSI-RSをSCellに設定する方法がある。このような非周期的なCSI-RSにより、AGC及び時間/周波数同期を支援できる。MAC CEは、SCellのアクティブ化をトリガ(開始)し、非アクティブ化されたSCellについて非周期的なCSI-RSをトリガするために用いられる。
図7は、SCellの非アクティブ化の一般的なプロシージャを示す図である。
ステップS21において、UE100においてSCellがアクティブ状態であって、UE100及びノード200はSCellを用いた無線通信を行っている。
ここで、UE100においてSCellの無線品質が悪化し、SCellを用いた無線通信を継続困難な状況になったものとする。
ステップS22において、UE100は、各セルの無線品質の測定結果を含む測定報告(Measurement Report)メッセージを例えばPCell上でノード200に送信する。ノード200は、Measurement Reportメッセージを受信する。
ステップS23において、ノード200は、Measurement Reportメッセージに基づいて、UE100におけるSCellの無線品質の悪化を認識し、UE100のSCellを非アクティブ化するためのMAC CE(SCell deactivation MAC CE)を例えばPCell上でUE100に送信する。UE100は、MAC CEを受信する。
ステップS24において、UE100は、MAC CEについて受信成功を示すHARQ ACKを例えばPCellのPUCCH上でノード200に送信する。ノード200は、HARQ ACKを受信する。
ステップS25において、UE100は、ステップS23のMAC CEの受信に応じて、SCellを非アクティブ化する。例えば、UE100は、SCellに対するPDCCH監視及びCQI測定を停止する。一方、ノード200は、ステップS24のHARQ ACKの受信に応じて、UE100のSCell上でのDL送信処理(PDCCH送信、PDSCH送信)を停止する。その結果、SCellを用いた無線通信が停止される。
図7に示す動作において、UE100におけるSCell無線品質が悪化した時点でSCell上での通信が不可になる。しかし、ノード200は、ステップS22のMeasurement Reportメッセージを受信するまではSCell無線品質の悪化を把握できず、SCell無線品質が悪化した後もDL送信処理を継続し得る。また、UE100は、ステップS23のMAC CEを受信するまではSCell上でPDCCH監視(及びCQI測定)を継続し得る。このような動作では、リソースや消費電力の無駄が生じる課題がある。
例えば、UE100におけるSCell無線品質が悪化してからMeasurement Reportメッセージを送信するまでの遅延は概ね10ms程度であって、ノード200がMeasurement Reportメッセージを受信してからUE100にSCell deactivation MAC CEを送信するまでの遅延は概ね10ms程度であり得る。この場合、20ms程度の時間においてリソースや消費電力の無駄が生じ得る。よって、SCellの無線品質が所定品質を満たさなくなったら速やかにSCellを非アクティブ化できることが望ましい。
(1.3)ユーザ装置の構成例
図8は、実施形態に係るUE100(ユーザ装置)の構成例を示す図である。
UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を有する。受信部110及び送信部120は、ノード200との無線通信を行う無線通信部140を構成する。
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
制御部130は、UE100における各種の制御及び処理を行う。上述及び後述のUE100の動作は、制御部230の制御による動作であってもよい。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)とを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
このように構成されたUE100は、CAを用いてノード200との無線通信を行う。受信部110は、UE100に設定されたSCellについてUE100が非アクティブ化処理を実行するために満たされるべき無線品質条件を示す情報をノード200から受信する。制御部130は、SCellについて無線品質を測定するとともに、当該無線品質条件が満たされたか否かを評価する。制御部130は、当該無線品質条件が満たされたことに応じて、SCellについて非アクティブ化処理を実行する。
これにより、UE100は、SCellについて無線品質が無線品質条件を満たした(例えば、無線品質が所定品質よりも悪化した)ときに、SCellについて非アクティブ化処理を自律的に行うことができる。一方、従来の技術では、ノード200は、Measurement Reportメッセージに基づいて、SCellについて無線品質が無線品質条件を満たしたことを認識し、SCellの非アクティブ化をUE100に指示する必要がある。
実施形態では、無線品質条件がUE100に設定され、無線品質条件を満たしたか否かをUE100側で判断できるため、ノード200に対してMeasurement Reportメッセージを送信することなく、SCellについて非アクティブ化処理をUE100が自律的に行うことができる。よって、SCellの非アクティブ化を高速化することが可能である。
第1実施形態では、非アクティブ化処理は、アクティブ状態にあるSCellを非アクティブ状態に遷移させる処理を含む。アクティブ化処理は、SCellにおいて非ドーマント状態にあるBWPについてドーマント状態に移行させる処理を含んでもよい。ドーマントBWPを用いる例については第2実施形態で説明する。
実施形態では、送信部120は、無線品質条件が満たされたことに応じて、非アクティブ化処理に関する通知をノード200に送信する。これにより、ノード200は、当該通知に基づいて、UE100が非アクティブ化処理を行うことを把握できる。そのため、SCellを用いた無線通信を円滑に停止できる。当該通知は、新たに導入されるMAC CEであってもよい。MAC CEはMACレイヤで送受信されるため、Measurement Reportメッセージに比べて高速な送信処理が可能である。
実施形態では、送信部120は、非アクティブ化処理に関する通知をPCell上でノード200に送信する。これにより、SCellの無線品質が悪化した場合でも当該通知をノード200に送信できる。そのため、SCellを用いた無線通信を円滑且つ速やかに停止できる。
実施形態では、制御部130は、無線品質条件が満たされた際に、又は非アクティブ化処理に関する通知に対する肯定応答(HARQ ACK)をノード200から受信した際に、SCellに対するPDCCH監視(及びCQI測定)を停止する。これにより、上述のようなリソースや消費電力の無駄が生じることを抑制できる。
(1.4)ノードの構成例
図9は、実施形態に係るノード200(基地局)の構成例を示す図である。
ノード200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びNW通信部240を有する。送信部210及び受信部220は、UE100との無線通信を行う無線通信部250を構成する。
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
制御部230は、ノード200における各種の制御及び処理を行う。上述及び後述のノード200の動作は、制御部230の制御による動作であってもよい。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUとを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
NW通信部240は、ノード間インターフェイスを介して隣接ノードと接続される。NW通信部240は、ノード-CN間のインターフェイスを介してCN装置300と接続される。
このように構成されたノード200は、CAを用いてUE100との無線通信を行う。制御部230は、UE100にSCellを設定する。送信部210は、SCellについてUE100が非アクティブ化処理を実行するために満たされるべき無線品質条件を示す情報をUE100に送信する。これにより、UE100は、SCellについて無線品質が無線品質条件を満たしたときに、SCellについて非アクティブ化処理を自律的に行うことができる。
実施形態では、受信部220は、UE100において無線品質条件が満たされたことに応じて、非アクティブ化処理に関する通知をUE100から受信する。例えば、受信部220は、当該通知をPCell上でUE100から受信する。
実施形態では、制御部230は、非アクティブ化処理に関する通知を受信した際に、又は当該通知に対する肯定応答(HARQ ACK)をUE100に送信した際に、SCell上でのDL送信処理(PDCCH送信、PDSCH送信)を停止する。これにより、図7に示す一般的なプロシージャに比べて、DL送信処理を早期に停止できるため、上述のようなリソースや消費電力の無駄が生じることを抑制できる。
(1.5)システム動作例
図10は、第1実施形態に係るシステム動作例を示す図である。図10において、必須ではないステップを破線で示している。また、図6及び図7と同様な動作については重複する説明を省略する。
ステップS101において、UE100の受信部110が各セルから参照信号を受信し、UE100の制御部130が参照信号に基づいて無線品質を測定し、UE100の送信部120が測定結果を含むMeasurement Reportメッセージを例えばPCell上でノード200に送信する。ここでは、Measurement Reportメッセージは、THz波セルの測定結果を含むものとする。ノード200の受信部220は、Measurement Reportメッセージを受信する。
ステップS102において、ノード200の制御部230がRRC Reconfigurationメッセージを生成し、ノード200の送信部210がRRC Reconfigurationメッセージを例えばPCell上でUE100に送信する。UE100の受信部110は、RRC Reconfigurationメッセージを受信する。
RRC Reconfigurationメッセージは、例えば、SCellを追加するための設定情報と、当該SCellのアクティブ化を設定するための設定情報(すなわち、SCellの初期状態としてアクティブ状態を指定する情報)と、条件付きSCell非アクティブ化のための設定情報と、を含む。図示の例では、SCellを追加するための設定情報と、当該SCellのアクティブ化を設定するための設定情報と、条件付きSCell非アクティブ化のための設定情報と、が1つのRRC Reconfigurationメッセージで送信されているが、これらの情報が別々のRRC Reconfigurationメッセージで送信されてもよい。
SCellを追加するための設定情報は、追加又は変更するSCellのリストであるsCellToAddModListであってもよい。sCellToAddModListは、SCell設定(SCellConfig)をエントリとして有するリストである。各SCell設定(SCellConfig)は、対応するSCellのインデックス(sCellIndex)と、対応するSCellの設定(sCellConfigCommon及びsCellConfigDedicated)と、を含む。
条件付きSCell非アクティブ化のための設定情報は、SCell設定(SCellConfig)に含まれていてもよい。条件付きSCell非アクティブ化のための設定情報は、対象とするSCellの周波数及び/又はセルIDを設定する情報を含んでもよい。
条件付きSCell非アクティブ化のための設定情報は、対応するSCellをUE100が非アクティブ化するために満たされるべき無線品質条件を示す情報を含む。
ここで、無線品質条件を示す情報は、例えば、RSRP閾値、RSRQ閾値、及びSINR閾値のうち少なくとも1つの無線品質閾値を含んでもよい。SCellについて無線品質条件を満たすとは、SCellのRSRPがRSRP閾値を下回ること、SCellのRSRQがRSRQ閾値を下回ること、及びSCellのSINRがSINR閾値を下回ること、のうち少なくとも1つを意味してもよい。
無線品質条件を示す情報は、UE100における下位レイヤ(例えば、PHYレイヤ)において無線問題(Radio problem)が検出された状態の持続時間の閾値を含んでもよい。この場合、SCellについて無線品質条件を満たすとは、SCellについて無線問題(Radio problem)が検出された状態の持続時間が閾値に達したことを意味してもよい。
無線品質条件を示す情報は、UE100において再送が継続する回数(すなわち、ULデータ送信の失敗が継続する回数)の閾値を含んでもよい。この場合、SCellについて無線品質条件を満たすとは、SCellについて再送が継続する回数(すなわち、SCellについてULデータ送信の失敗が継続する回数)が閾値に達したことを意味してもよい。
無線品質条件を示す情報は、UE100において干渉波を検知したことに基づきULデータ送信を実行できない時間の閾値を含んでもよい。例えば、SCellがアンライセンスドバンドで運用されている場合、UE100はSCellについてキャリアセンスを行い、空きチャネルがある場合に限りULデータ送信を行い、空きチャネルがない場合はULデータ送信を行わない。この場合、SCellについて無線品質条件を満たすとは、キャリアセンスを用いたULデータ送信を実行できない時間が閾値に達したことを意味してもよい。
ステップS103において、UE100の制御部130がRRC Reconfiguration Completeメッセージを生成し、UE100の送信部210がRRC Reconfiguration Completeメッセージを例えばPCell上でノード200に送信する。ノード200の受信部220は、RRC Reconfiguration Completeメッセージを受信する。
UE100に追加されたSCellの初期状態はアクティブ状態であってもよい(ステップS104)。或いは、UE100にSCellが追加された後に、MAC CEによりSCellがアクティブ化されてもよい(ステップS104)。なお、UE100の制御部130は、条件付きSCell非アクティブ化のための設定情報に基づいて、SCellに対する無線品質測定(例えば、RSRP測定、RSRQ測定、及び/又はSINR測定)を開始する。
ステップS105において、UE100の受信部110がSCellの参照信号を受信し、UE100の制御部130が参照信号に基づいて無線品質を測定する。SCellの参照信号は、SCellで送信されるSSB(SS/PBCH Block)に含まれる復調参照信号(DMRS)であってもよいし、CSI-RSの一種であるTRS(Tracking Reference Signal)であってもよい。無線品質の測定は、無線問題(Radio problem)が検出された状態の持続時間の測定、再送が継続する回数(すなわち、ULデータ送信の失敗が継続する回数)の測定、及びULデータ送信を実行できない時間の測定のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
ステップS106において、UE100の制御部130は、ステップS102で設定された無線品質条件が満たされたか否かを判定する。例えば、UE100の制御部130は、ステップS105の測定結果(例えば、RSRP、RSRQ、及び/又はSINR)をステップS102で設定された無線品質閾値と比較し、測定結果が無線品質閾値を下回ると、無線品質条件が満たされたと判定する。無線品質条件が満たされていないと判定した場合(ステップS106:NO)、ステップS105に処理が戻る。
一方、無線品質条件が満たされたと判定した場合(ステップS106:YES)、ステップS107において、UE100の制御部130は、SCellを非アクティブ化する。例えば、UE100の制御部130は、当該SCellに対するPDCCHモニタ等の処理を停止する。なお、SCell非アクティブ化は、ステップS109の肯定応答(HARQ ACK)の受信時に実施してもよい。
ステップS108において、UE100の制御部130がSCell非アクティブ化通知の送信をトリガし、UE100の送信部120がSCell非アクティブ化通知をPCell上でノード200に送信する。ノード200の受信部220は、SCell非アクティブ化通知を受信する。
SCell非アクティブ化通知は、新たに導入されるMAC CEであってもよい。例えば、SCell非アクティブ化通知は、非アクティブ化したSCellのインデックス値(セルIDでもよい)を含む。但し、SCell非アクティブ化通知は、PUCCHで送信するUCIに含まれる通知であってもよいし、PDCP Control PDUであってもよいし、RRCメッセージに含まれる通知であってもよい。
SCell非アクティブ化通知は、アクティブ化したSCellのインデックスを含んでもよい。当該インデックスは、RRC Reconfigurationで設定されたSCell設定のリストの各エントリを参照していてもよい。インデックスに代えて、アクティブ化したSCellのセルIDを通知してもよい。もしくは、ビットマップ状の通知において、各ビット位置が各SCellに紐づいていてもよく、各ビット(0/1)がアクティブ化したか否かを示してもよい。
SCell非アクティブ化通知は、SCell非アクティブ化(つまりステップS107)が実施されたタイミングの情報を含んでもよい。当該タイミング情報は、SCell非アクティブ化が実行された無線フレーム番号であってもよく、システムフレーム番号、サブフレーム番号、スロット番号、シンボル番号のいずれか又は組み合わせで表現してもよい。当該タイミング情報は、SCell非アクティブ化が実行された時刻情報であってもよい。当該タイミング情報は、SCell非アクティブ化が実行されてから当該SCell非アクティブ化通知が送信されるまでの経過時間であってもよく、秒(例えば、ミリ秒)で表現されてもよく、無線フレーム数(例えば、スロット数)で表現されてもよい。このようなタイミング情報により、ノード200は、SCellにおけるDL受信がいつ停止したのかを知ることができ、当該期間にDL送信されたデータの再送をPCellで実施する時に、効率的に再送対象のデータパケットを特定することができる。
SCell非アクティブ化通知の送信に先立ち、PHYレイヤ及びMACレイヤで次の処理が行われてもよい。具体的には、UE100からノード200に対してSR(Scheduling Request)を送信し、ノード200からUE100に対してBSR(Buffer Status Report)用のUL grantを送信し、UE100からノード200に対してBSRを送信し、ノード200からUE100に対してPUSCH送信用のUL grantを送信する。そして、UE100は、PUSCH送信用のUL grantに基づいてSCell非アクティブ化通知を送信する。
なお、UE100がSCell非アクティブ化通知をPCell上でノード200に送信する一例について説明したが、肯定応答(HARQ ACK)の受信時にSCellを非アクティブ化する場合は、SCell非アクティブ化通知をSCell上でノード200に送信してもよい。
ステップS109において、ノード200の送信部210は、SCell非アクティブ化通知の受信成功を示すHARQ ACKをPCellのPDCCH上でUE100に送信する。UE100の受信部110は、HARQ ACKを受信する。なお、SCell非アクティブ化通知がUCIである場合、ステップS109は行わなくてもよい。
ノード200は、ステップS108でSCell非アクティブ化通知を受信したことに応じて、UE100のSCellが使用不可能になったことを認識する。ステップS110において、ノード200は、UE100に対して、SCellを介したDL送信を停止する。
(2)第2実施形態
図11及び図12を参照して、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
(2.1)BWP
図11は、BWPについて説明するための図である。
帯域幅適応(BA)により、UE100の送受信帯域幅をセルの帯域幅ほど大きくする必要はなく、調整できる。セル帯域幅(「システム帯域幅」もしくは「キャリア帯域幅」と称されてもよい)の一部はBWPと称される。BAでは、ノード200は、セル内で1つ又は複数のBWPをUE100に設定し、設定されたBWPのどれが現在アクティブであるかをUE100に通知する。BWPには、イニシャルアクセスに用いられるイニシャルBWPと、UE100に個別に設定されるデディケイテッドBWPとがある。各BWPの帯域幅及びサブキャリア間隔は可変設定可能である。
図示の例では、3つの異なるBWPがUE100に設定され、これらのBWPの間でアクティブBWPを切り替える一例を示している。BWP1は幅が40[MHz]でサブキャリア間隔が15[kHz]であり、BWP2は幅が10MHzでサブキャリア間隔が15kHzであり、BWP3は幅が20MHzでサブキャリア間隔が60kHzである。
UL及びDLのそれぞれにおいて、アクティブ状態のBWPは1つのみであり、残りは非アクティブ状態である。非アクティブ状態のBWPでは、UE100は、PDCCHを監視せず、PUCCH、PRACH、及びUL-SCH(PUSCH)の送信を行わない。
CAの場合、ノード200は、ドーマント状態のBWP(ドーマントBWP)をSCell用に設定できる。アクティブ化されたSCellのアクティブBWPがドーマント状態のBWPである場合、UE100は、当該SCellでのPDCCH監視及びSRS/PUSCH/PUCCH送信を停止するが、CSI測定、AGC、及びビーム管理の実行を継続する。SCellについてドーマントBWPの開始(entering)及び離脱(leaving)を制御するために、PDCCH/DCIが用いられる。なお、ドーマント状態のBWPは、デディケイテッドRRCシグナリングを介してノード200が設定したUE100のデディケイテッドBWPの1つである。
(2.2)システム動作例
第2実施形態に係るUE100は、第1実施形態と同様に、CAを用いてノード200との無線通信を行う。受信部110は、UE100に設定されたSCellについてUE100が非アクティブ化処理を実行するために満たされるべき無線品質条件を示す情報をノード200から受信する。制御部130は、SCellについて無線品質を測定するとともに、当該無線品質条件が満たされたか否かを評価する。制御部130は、当該無線品質条件が満たされたことに応じて、SCellについて非アクティブ化処理を実行する。第2実施形態では、非アクティブ化処理は、SCellにおいて非ドーマント状態にあるBWPをドーマント状態に移行させるドーマント移行処理を含む。
第2実施形態によれば、UE100の制御部130は、ノード200により設定された無線品質条件が満たされたことに応じて、アクティブ状態のSCellについて、非ドーマント状態にあるBWPについてドーマント状態に移行させる。これにより、ノード200に対するMeasurement Reportメッセージの送信及びドーマントBWPの移行を示すDCIの受信を行うことなく、非ドーマント状態にあるBWPについてドーマント状態に自律的に移行させることができる。
図12は、第2実施形態に係るシステム動作例を示す図である。図12において、必須ではないステップを破線で示している。また、上述の第1実施形態と同様な動作については重複する説明を省略する。
ステップS201において、UE100の受信部110が各セルから参照信号を受信し、UE100の制御部130が参照信号に基づいて無線品質を測定し、UE100の送信部120が測定結果を含むMeasurement Reportメッセージを例えばPCell上でノード200に送信する。ここでは、Measurement Reportメッセージは、THz波セルの測定結果を含むものとする。ノード200の受信部220は、Measurement Reportメッセージを受信する。
ステップS202において、ノード200の制御部230がRRC Reconfigurationメッセージを生成し、ノード200の送信部210がRRC Reconfigurationメッセージを例えばPCell上でUE100に送信する。UE100の受信部110は、RRC Reconfigurationメッセージを受信する。
RRC Reconfigurationメッセージは、例えば、SCellを追加するための設定情報と、当該SCellの初期状態としてアクティブ状態を指定するための設定情報と、当該SCellについてBWP(デディケイテッドBWP)を設定するための設定情報と、条件付きドーマントBWP移行のための設定情報と、を含む。図示の例では、SCellを追加するための設定情報と、当該SCellの初期状態としてアクティブ状態を指定するための設定情報と、当該SCellについてBWP(デディケイテッドBWP)を設定するための設定情報と、条件付きドーマントBWP移行のための設定情報と、が1つのRRC Reconfigurationメッセージで送信されているが、これらの情報が別々のRRC Reconfigurationメッセージで送信されてもよい。
SCellを追加するための設定情報は、追加又は変更するSCellのリストであるsCellToAddModListであってもよい。sCellToAddModListは、SCell設定(SCellConfig)をエントリとして有するリストである。各SCell設定(SCellConfig)は、対応するSCellのインデックス(sCellIndex)と、対応するSCellの設定(sCellConfigCommon及びsCellConfigDedicated)と、を含む。SCellの初期状態としてアクティブ状態を指定するための設定情報、当該SCellについてBWP(デディケイテッドBWP)を設定するための設定情報、及び条件付きドーマントBWP移行のための設定情報は、SCell設定(SCellConfig)に含まれていてもよい。
条件付きドーマントBWP移行のための設定情報は、対応するアクティブ状態のSCellのアクティブBWPが非ドーマントBWPである場合において当該BWPをドーマント状態に移行させるために満たされるべき無線品質条件を示す情報を含む。無線品質条件を示す情報は、RSRP閾値、RSRQ閾値、及びSINR閾値のうち少なくとも1つの無線品質閾値を含んでもよい。無線品質条件を示す情報は、無線問題(Radio problem)が検出された状態の持続時間の閾値、UE100において再送が継続する回数(すなわち、ULデータ送信の失敗が継続する回数)の閾値、及び干渉波を検知したことに基づきULデータ送信を実行できない時間の閾値のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
第2実施形態では、UE100に追加されたSCellのアクティブBWPの初期状態は非ドーマント状態である。UE100の制御部130は、条件付きドーマントBWP移行のための設定情報に基づいて、SCellに対する無線品質測定を開始する。
ステップS203において、UE100の制御部130がRRC Reconfiguration Completeメッセージを生成し、UE100の送信部210がRRC Reconfiguration Completeメッセージを例えばPCell上でノード200に送信する。ノード200の受信部220は、RRC Reconfiguration Completeメッセージを受信する。
UE100に追加されたSCellの初期状態はアクティブ状態であってもよい(ステップS204)。或いは、UE100にSCellが追加された後に、MAC CEによりSCellがアクティブ化されてもよい(ステップS204)。
ステップS205において、UE100の受信部110がSCellの参照信号を受信し、UE100の制御部130が当該参照信号に基づいて無線品質を測定する。SCellの参照信号は、SCellで送信されるSSBに含まれるDMRSであってもよいし、TRSであってもよい。無線品質の測定は、無線問題(Radio problem)が検出された状態の持続時間の測定、再送が継続する回数の測定、及びULデータ送信を実行できない時間の測定のうち、少なくとも1つを含んでもよい。
ステップS206において、UE100の制御部130は、ステップS202で設定された無線品質条件が満たされたか否かを判定する。例えば、UE100の制御部130は、ステップS205の測定結果(例えば、RSRP、RSRQ、及び/又はSINR)をステップS202で設定された無線品質閾値と比較し、測定結果が無線品質閾値を下回ると、無線品質条件が満たされたと判定する。無線品質条件が満たされていないと判定した場合(ステップS206:NO)、ステップS205に処理が戻る。
一方、無線品質条件が満たされたと判定した場合(ステップS206:YES)、ステップS207において、UE100の制御部130は、SCellをドーマント状態に移行させる(すなわち、非ドーマント状態からドーマント状態に切り替える)。
ステップS208において、UE100の制御部130がSCell BWPドーマント移行通知の送信をトリガし、UE100の送信部120がSCell BWPドーマント移行通知をPCell上でノード200に送信する。ノード200の受信部220は、SCell BWPドーマント移行通知を受信する。
SCell BWPドーマント移行通知は、SCell BWPドーマント移行(つまりステップS207)が実施されたタイミングの情報を含んでもよい。当該タイミング情報は、SCell BWPドーマント移行が実行された無線フレーム番号であってもよく、システムフレーム番号、サブフレーム番号、スロット番号、シンボル番号のいずれか又は組み合わせで表現してもよい。当該タイミング情報は、SCell BWPドーマント移行が実行された時刻情報であってもよい。当該タイミング情報は、SCell BWPドーマント移行が実行されてから当該SCell BWPドーマント移行通知が送信されるまでの経過時間であってもよく、秒(例えば、ミリ秒)で表現されてもよく、無線フレーム数(例えば、スロット数)で表現されてもよい。このようなタイミング情報により、ノード200は、SCellにおけるDL受信がいつ停止したのかを知ることができ、当該期間にDL送信されたデータの再送をPCellで実施する時に、効率的に再送対象のデータパケットを特定することができる。
SCell BWPドーマント移行通知は、新たに導入されるMAC CEであってもよい。SCell BWPドーマント移行通知は、ドーマントBWPに移行したSCellのインデックス値(セルIDでもよい)及び/又は当該BWPのBWP IDを含む。但し、SCell BWPドーマント移行通知は、PUCCHで送信するUCIに含まれる通知であってもよいし、PDCP Control PDUであってもよいし、RRCメッセージに含まれる通知であってもよい。
SCell BWPドーマント移行通知の送信に先立ち、PHYレイヤ及びMACレイヤで次の処理が行われてもよい。具体的には、UE100からノード200に対してSRを送信し、ノード200からUE100に対してBSR用のUL grantを送信し、UE100からノード200に対してBSRを送信し、ノード200からUE100に対してPUSCH送信用のUL grantを送信する。そして、UE100は、PUSCH送信用のUL grantに基づいてSCell BWPドーマント移行通知を送信する。
なお、UE100がSCell BWPドーマント移行通知をPCell上でノード200に送信する一例について説明したが、SCell BWPドーマント移行通知をSCell上でノード200に送信してもよい。
ステップS209において、ノード200の送信部210は、SCell BWPドーマント移行通知の受信成功を示すHARQ ACKをPCellのPDCCH上でUE100に送信する。UE100の受信部110は、HARQ ACKを受信する。なお、SCell BWPドーマント移行通知がUCIである場合、ステップS209は行わなくてもよい。
ノード200は、ステップS208でSCell BWPドーマント移行通知を受信したことに応じて、UE100のSCellのアクティブBWPが使用不可になったことを認識する。ステップS210において、ノード200は、SCellのアクティブBWP上でのDL送信を停止する。
(3)第3実施形態
図13及び図14を参照して、第3実施形態について、上述の実施形態との相違点を主として説明する。第3実施形態は、上述の第1実施形態を前提とした実施形態である。但し、第3実施形態は、上述の第2実施形態を前提とした実施形態であってもよい。
上述の実施形態では、UE100は、SCellの無線品質が所定品質を満たしたことを検知してSCell非アクティブ化又はドーマントBWP移行を行う。ここで、SCellの無線品質が所定品質を満たしたことを速やかに検知するためには、UE100がSCellの無線品質を常時測定できることが望ましい。上述の実施形態では、UE100は、SSB又はTRS(CSI-RS)を参照信号として用いて無線品質(RSRP等)を測定する一例を説明したが、これらの参照信号は、時間的に離散して送信される。そのため、SSBやCSI-RSが送信されていないタイミングでは、UE100は無線通信の測定を行うことができず、SCellの無線品質が所定品質を満たしたことを検知する際に遅延が生じ得る。
そこで、第3実施形態では、ノード200の送信部210は、無線品質の測定に用いられる参照信号(「Fast tracking RS」とも称する)をSCell上で時間方向に連続的に送信する。UE100の受信部110は、ノード200からSCell上で時間方向に連続的に送信されるFast tracking RSを受信する。UE100の制御部130は、Fast tracking RSに基づいてSCellの無線品質を測定する。これにより、上述の遅延を抑制できる。
図13は、第3実施形態に係るFast tracking RSの具体例を示す図である。第3実施形態に係るFast tracking RSは、セル(SCell)の帯域幅のうち一部の周波数リソースにFast tracking RSが配置される。
図13の(1)の例では、Fast tracking RSは、SCellの帯域幅の中央の1つ又は複数のリソースブロック、又はSCellの帯域幅の中央の1つ又は複数のサブキャリアに配置されている。図13の(2)の例では、Fast tracking RSは、SCellの帯域幅の一端側の1つ又は複数のリソースブロック、又はSCellの帯域幅の一端側の1つ又は複数のサブキャリアに配置されている。図13の(3)の例では、Fast tracking RSは、SCellの帯域幅の両端側の1つ又は複数のリソースブロック、又はSCellの帯域幅の両端側の1つ又は複数のサブキャリアに配置されている。
図14は、第3実施形態に係るシステム動作例を示す図である。図14において、必須ではないステップを破線で示している。また、上述の第1実施形態と同様な動作については重複する説明を省略する。
ステップS301において、UE100の送信部120は、Measurement Reportメッセージを例えばPCell上でノード200に送信する。ノード200の受信部220は、Measurement Reportメッセージを受信する。
ステップS302において、ノード200の送信部210は、RRC Reconfigurationメッセージを例えばPCell上でUE100に送信する。UE100の受信部110は、RRC Reconfigurationメッセージを受信する。
第3実施形態では、RRC Reconfigurationメッセージは、上述の第1実施形態で説明した情報に加えて、Fast tracking RSに関する設定情報を含んでもよい。Fast tracking RSに関する設定情報は、Fast tracking RSの有無を示す情報、Fast tracking RSの周波数軸上の位置を示す情報(例えば、リソースブロック番号、サブキャリア番号、及び/又はARFCN(Absolute Radio-Frequency Channel Number))、及びFast tracking RSの復調を補助する情報(例えば、参照信号の信号系列を示すルートシーケンス番号等)のうち、少なくとも1つを含む。
或いは、ノード200は、Fast tracking RSに関する設定情報を、PCellのシステム情報ブロック(SIB)中でブロードキャストしてもよい。
ステップS303において、UE100の送信部210は、RRC Reconfiguration Completeメッセージを例えばPCell上でノード200に送信する。ノード200の受信部220は、RRC Reconfiguration Completeメッセージを受信する。
UE100に追加されたSCellの初期状態はアクティブ状態であってもよい(ステップS304)。或いは、UE100にSCellが追加された後に、MAC CEによりSCellがアクティブ化されてもよい(ステップS304)。
ステップS305において、ノード200の送信部210は、高速検知対象のSCellにおいて時間軸上で定常的なFast tracking RSを送信する。UE100の受信部110は、Fast tracking RSをSCell上で受信する。
ステップS306において、UE100の制御部130は、SCellのFast tracking RSに基づいて無線品質を測定する。
ステップS307において、UE100の制御部130は、ステップS302で設定された無線品質条件が満たされたか否かを判定する。無線品質条件が満たされていないと判定した場合(ステップS307:NO)、ステップS306に処理が戻る。
無線品質条件が満たされたと判定した場合(ステップS307:YES)、ステップS308において、UE100の制御部130は、SCellを非アクティブ化する。
ステップS309において、UE100の送信部120は、SCell非アクティブ化通知をPCell上でノード200に送信する。ノード200の受信部220は、SCell非アクティブ化通知を受信する。
ステップS310において、ノード200の送信部210は、SCell非アクティブ化通知の受信成功を示すHARQ ACKをPCellのPDCCH上でUE100に送信する。UE100の受信部110は、HARQ ACKを受信する。なお、SCell非アクティブ化通知がUCIである場合、ステップS308は行わなくてもよい。
ステップS311において、ノード200は、ノード200は、UE100に対して、SCellを介したDL送信を停止する。
(4)他の実施形態
上述の第1実施形態乃至第3実施形態は、別個独立に実施してもよいし、2以上の実施形態を組み合わせて実施してもよい。
上述の実施形態では、SCellがTHz波セルである一例について主として説明したが、SCellは、THz波セルに限定されない。例えば、SCellは、mmWセルであってもよい。
UE100は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ノードのMT(Mobile Termination)であってもよい。この場合、IAB MTが第1ノードに接続され、第1ノードが第2ノードに接続されていてもよい。第1ノードは、第1ノードと第2ノードとの間のバックホールリンクの無線リンク障害を示す通知をIAB MTに送信してもよい。IAB MTは、当該通知を受信すると、無線品質条件が満たされたと判定し、SCell非アクティブ化(又はドーマントBWP移行)を行ってもよい。
上述の実施形態における動作フローは、必ずしもフロー図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてもよい。例えば、動作におけるステップは、フロー図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、動作におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
上述の実施形態に係る動作をコンピュータ(UE100、ノード200)に実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
本開示で使用する「に基づいて(based on)」、「に応じて(depending on/in response to)」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」、「のみに応じて」を意味しない。「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」及び「に少なくとも部分的に基づいて」の両方を意味する。同様に、「に応じて」という記載は、「のみに応じて」及び「に少なくとも部分的に応じて」の両方を意味する。また、「含む(include)」、「備える(comprise)」、及びそれらの変形の用語は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。また、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。さらに、本開示で使用した「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。本開示において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
(5)付記
上述の実施形態に関する特徴について付記する。
(付記1)
移動通信システムにおいてキャリアアグリゲーションを用いてノードとの無線通信を行うユーザ装置であって、
前記ユーザ装置に設定されたセカンダリセルについて、前記ユーザ装置が非アクティブ化処理を実行するために満たされるべき無線品質条件を示す情報を前記ノードから受信する受信部と、
無線品質を測定するとともに、前記無線品質条件が満たされたか否かを評価する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記無線品質条件が満たされたことに応じて、前記セカンダリセルについて前記非アクティブ化処理を実行する
ユーザ装置。
(付記2)
前記非アクティブ化処理は、アクティブ状態にある前記セカンダリセルを非アクティブ状態に遷移させる処理を含む
付記1に記載のユーザ装置。
(付記3)
前記非アクティブ化処理は、前記セカンダリセルにおいて非ドーマント状態にある帯域幅部分についてドーマント状態に移行させる処理を含む
付記1又は2に記載のユーザ装置。
(付記4)
前記無線品質条件が満たされたことに応じて、前記非アクティブ化処理に関する通知を前記ノードに送信する送信部をさらに備える
付記1乃至3のいずれかに記載のユーザ装置。
(付記5)
前記送信部は、前記通知をプライマリセル上で前記ノードに送信する
付記4に記載のユーザ装置。
(付記6)
前記制御部は、前記無線品質条件が満たされた際に又は前記通知に対する肯定応答を前記ノードから受信した際に、前記セカンダリセルに対する物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)監視を停止する
付記4又は5に記載のユーザ装置。
(付記7)
前記受信部は、前記ノードから前記セカンダリセル上で時間方向に連続的に送信される参照信号を受信し、
前記制御部は、前記参照信号に基づいて前記無線品質を測定する
付記1乃至6のいずれかに記載のユーザ装置。
(付記8)
移動通信システムにおいてキャリアアグリゲーションを用いてユーザ装置との無線通信を行うノードであって、
前記ユーザ装置にセカンダリセルを設定する制御部と、
前記セカンダリセルについて前記ユーザ装置が非アクティブ化処理を実行するために満たされるべき無線品質条件を示す情報を前記ユーザ装置に送信する送信部と、を備える
ノード。
(付記9)
前記非アクティブ化処理は、アクティブ状態にある前記セカンダリセルを非アクティブ状態に遷移させる処理を含む
付記8に記載のノード。
(付記10)
前記非アクティブ化処理は、前記セカンダリセルにおいて非ドーマント状態にある帯域幅部分についてドーマント状態に移行させる処理を含む
付記8又は9に記載のノード。
(付記11)
前記ユーザ装置において前記無線品質条件が満たされたことに応じて、前記非アクティブ化処理に関する通知を前記ユーザ装置から受信する受信部をさらに備える
付記8乃至10のいずれかに記載のノード。
(付記12)
前記受信部は、前記通知をプライマリセル上で前記ユーザ装置から受信する
付記11に記載のノード。
(付記13)
前記制御部は、前記通知を受信した際に、又は前記通知に対する肯定応答を前記ユーザ装置に送信した際に、前記セカンダリセル上での下りリンク送信の処理を停止する
付記11又は12に記載のノード。
(付記14)
前記送信部は、前記無線品質の測定に用いられる参照信号を前記セカンダリセル上で時間方向に連続的に送信する
付記8乃至13のいずれかに記載のノード。
(付記15)
移動通信システムにおいてキャリアアグリゲーションを用いてノードとの無線通信を行うユーザ装置で用いる通信方法であって、
前記ユーザ装置に設定されたセカンダリセルについて前記ユーザ装置が非アクティブ化処理を実行するために満たされるべき無線品質条件を示す情報を前記ノードから受信するステップと、
無線品質を測定するとともに、前記無線品質条件が満たされたか否かを評価するステップと、
前記無線品質条件が満たされたことに応じて、前記セカンダリセルについて前記非アクティブ化処理を実行するステップと、を有する
通信方法。
(付記16)
移動通信システムにおいてキャリアアグリゲーションを用いてユーザ装置との無線通信を行うノードで用いる通信方法であって、
前記ユーザ装置にセカンダリセルを設定するステップと、
前記セカンダリセルについて前記ユーザ装置が非アクティブ化処理を実行するために満たされるべき無線品質条件を示す情報を前記ユーザ装置に送信するステップと、を有する
通信方法。