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JP2025026068A - 発光素子 - Google Patents

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JP2025026068A
JP2025026068A JP2023131420A JP2023131420A JP2025026068A JP 2025026068 A JP2025026068 A JP 2025026068A JP 2023131420 A JP2023131420 A JP 2023131420A JP 2023131420 A JP2023131420 A JP 2023131420A JP 2025026068 A JP2025026068 A JP 2025026068A
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JP2023131420A
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浩司 奥野
浩一 五所野尾
昌輝 大矢
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Toyoda Gosei Co Ltd
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Toyoda Gosei Co Ltd
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Abstract

Figure 2025026068000001
【課題】電子ブロック機能の高い構造を有した発光素子を提供する。
【解決手段】発光素子は、基板と、基板上に設けられたn型層と、n型層上に設けられ、所定の発光波長の第1活性層と、第1活性層上に接して設けられ、ノンドープのIII族窒化物半導体からなり、第1活性層を透過しようとする電子をブロックする中間電子ブロック層と、中間電子ブロック層上に設けられ、ノンドープのInを含むIII族窒化物半導体からなる中間層と、中間層上に設けられ、第1活性層とは異なる発光波長の第2活性層と、第2活性層側から中間層または中間電子ブロック層に達する深さの溝と、第2活性層上に設けられた第1p型層と、溝の底面に設けられ、MgドープのIII族窒化物半導体からなり、第1活性層を透過しようとする電子をブロックする電子ブロック層と、電子ブロック層上に設けられた第2p型層と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光素子に関する。
近年、ディスプレイの高精細化が求められており、1ピクセルを1~100μmオーダーの微細なLEDとするマイクロLEDディスプレイが注目されている。フルカラーとする方式は各種知られているが、たとえば青、緑、赤の各色を発光する3つの活性層を同一基板上に順に積層する方式が知られている。
特許第5854419号公報
発明者らは、3つの活性層が同一基板上に順に積層された発光素子において、活性層間に中間層を挿入し、各中間層に達する溝を形成し、その溝の底面に電子ブロック層、p型層を再成長させた構造とすることを考えた。このような構造により各活性層を独立に制御することができる。
しかし、上記の構造では、活性層と電子ブロック層の間に中間層が存在することになり、電子ブロック層が活性層に直接接していないため、電子ブロック層の電子ブロック機能が低くなってしまう。また、中間層はGaNやInGaNであり、中間層自体は電子をブロックできるような障壁を形成しない。そのため、電子ブロック機能を高めることが求められていた。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、電子ブロック機能の高い構造を有した発光素子を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、
III族窒化物半導体を用いた発光素子において、
基板と、
前記基板上に設けられ、n型のIII族窒化物半導体からなるn型層と、
前記n型層上に設けられ、所定の発光波長の第1活性層と、
前記第1活性層上に接して設けられ、ノンドープのIII族窒化物半導体からなり、前記第1活性層を透過しようとする電子をブロックする中間電子ブロック層と、
前記中間電子ブロック層上に設けられ、ノンドープのInを含むIII族窒化物半導体からなる中間層と、
前記中間層上に設けられ、前記第1活性層とは異なる発光波長の第2活性層と、
前記第2活性層側から前記中間層または前記中間電子ブロック層に達する深さの溝と、
前記第2活性層上に設けられ、p型のIII族窒化物半導体からなる第1p型層と、
前記溝の底面に設けられ、MgドープのIII族窒化物半導体からなり、前記第1活性層を透過しようとする電子をブロックする電子ブロック層と、
前記電子ブロック層上に設けられ、p型のIII族窒化物半導体からなる第2p型層と、
を有する、発光素子にある。
本発明の他の態様は、
III族窒化物半導体を用いた発光素子の製造方法において、
前記基板上に、n型のIII族窒化物半導体からなるn型層を形成するn型層形成工程と、
前記n型層上に、所定の発光波長の第1活性層を形成する第1活性層形成工程と、
前記第1活性層上に接して、ノンドープのIII族窒化物半導体からなり、前記第1活性層を透過しようとする電子をブロックする中間電子ブロック層を形成する中間電子ブロック層形成工程と、
前記中間電子ブロック層上に、ノンドープのInを含むIII族窒化物半導体からなる中間層を形成する中間層形成工程と、
前記中間層上に、前記第1活性層とは異なる発光波長の第2活性層を形成する第2活性層形成工程と、
前記第2活性層側から前記中間層または前記中間電子ブロック層に達する深さの溝を形成する溝形成工程と、
前記溝の底面に、MgドープのIII族窒化物半導体からなり、前記第1活性層を透過しようとする電子をブロックする電子ブロック層を形成する電子ブロック層形成工程と、
前記第2活性層上および前記電子ブロック層上に、p型のIII族窒化物半導体からなる第1p型層と第2p型層をそれぞれ形成するp型層形成工程と、
を有し、
前記中間電子ブロック層および前記電子ブロック層の成長温度は、前記中間層の成長温度に対して-50~50℃である、発光素子の製造方法にある。
上記態様では、第1活性層と中間層の間に第1活性層と接する中間電子ブロック層を設け、溝の底面に電子ブロック層を設けている。これによって効果的に電子をブロックすることができる。
実施形態1における発光素子の構成を示した断面図であって、基板主面に垂直な方向での断面を示した図。 等価的な電気回路図を示した図。 実施形態1における発光素子の製造工程を示した図。 実施形態1における発光素子の製造工程を示した図。 実施形態1における発光素子の製造工程を示した図。 実施形態1における発光素子の製造工程を示した図。
発光素子は、III族窒化物半導体を用いた発光素子であり、基板と、基板上に設けられ、n型のIII族窒化物半導体からなるn型層と、n型層上に設けられ、所定の発光波長の第1活性層と、第1活性層上に接して設けられ、ノンドープのIII族窒化物半導体からなり、第1活性層を透過しようとする電子をブロックする中間電子ブロック層と、中間電子ブロック層上に設けられ、ノンドープのInを含むIII族窒化物半導体からなる中間層と、中間層上に設けられ、第1活性層とは異なる発光波長の第2活性層と、第2活性層側から中間層または中間電子ブロック層に達する深さの溝と、第2活性層上に設けられ、p型のIII族窒化物半導体からなる第1p型層と、溝の底面に設けられ、MgドープのIII族窒化物半導体からなり、第1活性層を透過しようとする電子をブロックする電子ブロック層と、電子ブロック層上に設けられ、p型のIII族窒化物半導体からなる第2p型層と、を有する。
第1活性層は、井戸層と障壁層を有した量子井戸構造であり、中間電子ブロック層のバンドギャップエネルギーは、障壁層のバンドギャップエネルギーよりも大きくてもよい。
中間電子ブロック層の厚さは、0.5~50nmであってもよい。また、中間電子ブロック層のAl組成は、3~30%であってもよい。
電子ブロック層のAl組成は、中間電子ブロック層のAl組成以上であってもよい。また、電子ブロック層は、超格子構造であってもよい。
溝は、第2活性層側から中間層に達する深さであり、溝の設けられた領域において、中間電子ブロック層、中間層、電子ブロック層の積層が超格子構造を構成し、中間層は超格子構造における井戸層として機能してもよい。
発光素子の製造方法は、III族窒化物半導体を用いた発光素子の製造方法であり、基板上に、n型のIII族窒化物半導体からなるn型層を形成するn型層形成工程と、n型層上に、所定の発光波長の第1活性層を形成する第1活性層形成工程と、第1活性層上に接して、ノンドープのIII族窒化物半導体からなり、第1活性層を透過しようとする電子をブロックする中間電子ブロック層を形成する中間電子ブロック層形成工程と、中間電子ブロック層上に、ノンドープのInを含むIII族窒化物半導体からなる中間層を形成する中間層形成工程と、中間層上に、第1活性層とは異なる発光波長の第2活性層を形成する第2活性層形成工程と、第2活性層側から中間層または中間電子ブロック層に達する深さの溝を形成する溝形成工程と、溝の底面に、MgドープのIII族窒化物半導体からなり、第1活性層を透過しようとする電子をブロックする電子ブロック層を形成する電子ブロック層形成工程と、第2活性層上および前記電子ブロック層上に、p型のIII族窒化物半導体からなる第1p型層と第2p型層をそれぞれ形成するp型層形成工程と、を有し、中間電子ブロック層および電子ブロック層の成長温度は、中間層の成長温度に対して-50~50℃である。
中間電子ブロック層および電子ブロック層の成長温度は、800~1000℃であってもよい。
電子ブロック層の成長温度は、第1p型層および第2p型層の成長温度以下であってもよい。
中間電子ブロック層および電子ブロック層の成長速度は、0.5~5nm/minであってもよい。
(実施形態)
図1は、実施形態1における発光素子の構成を示した図である。実施形態1における発光素子は青、緑、赤のそれぞれを発光可能である。また、実施形態1における発光素子は、基板の裏面側から光を取り出すフリップチップ型であり、図示しない実装基板にフェイスダウンで実装される。なお、実施形態1は1ピクセルが1チップの構造であるが、モノリシック型であってもよい。つまり、実施形態1の素子構造が同一基板上にマトリクス状に配列されたマイクロLEDディスプレイ素子としてもよい。
1.発光素子の構成
実施形態1における発光素子は、図1に示すように、基板10と、n型層11と、下地層12と、第1活性層13と、第1中間電子ブロック層14と、第1中間層15と、第2活性層16と、第2中間電子ブロック層17と、第2中間層18と、第3活性層19と、保護層20と、非n型層21A~21Cと、電子ブロック層22A~22Cと、p型層23A~23Cと、n側電極24と、p側電極25A~25Cと、を有している。
基板10は、III族窒化物半導体を成長させる成長基板である。たとえば、サファイア、Si、GaN、ScAlMgO(SAM)などである。
n型層11は、低温バッファ層や高温バッファ層(図示しない)を介して基板10上に設けられたn型の半導体である。ただし、バッファ層は必要に応じて設ければよく、基板がGaNである場合などにはバッファ層を設けなくともよい。n型層11は、たとえばn-GaN、n-AlGaN、n-InGaNなどである。Si濃度は、たとえば1×1018~100×1018cm-3である。
下地層12は、n型層11上に設けられた超格子構造の半導体層であり、下地層12上に形成される半導体層の格子歪みを緩和するための層である。下地層12は必要に応じて設ければよく、省略してもよい。下地層12は、組成の異なるIII族窒化物半導体薄膜(たとえばGaN、InGaN、AlGaNのうち2つ)を交互に積層させたものであり、ペア数はたとえば3~30である。ノンドープでもよいし、Siを1×1017~100×1017cm-3程度ドープしてもよい。また、歪を緩和できるのであれば超格子構造である必要はない。第1活性層13とのヘテロ界面で格子定数差が小さくなるような材料であればよく、たとえば、InGaN型層、AlInN型層、AlGaIn型層であってもよい。
n型層11と下地層12の間にESD層を設けてもよい。ESD層は、静電耐圧向上のために設ける層である。ESD層は、たとえば、ノンドープまたは低濃度にSiがドープされたGaN、InGaN、またはAlGaNである。
第1活性層13は、下地層12上に設けられたSQWまたはMQW構造の発光層である。発光波長は青色であり、430~480nmである。第1活性層13はAlGaNからなる障壁層とInGaNからなる井戸層を交互に1~9ペア積層させた構造である。より好ましくは1~7ペア、さらに好ましくは1~5ペアである。
第1中間電子ブロック層14は、第1活性層13上に接して設けられた層である。第1中間電子ブロック層14は、ノンドープのAlGaNからなる。第1中間電子ブロック層14のAl組成は、第1活性層13の障壁層よりもバンドギャップエネルギーが大きくなるように設定されている。たとえば、Al組成は3~30%である。より好ましいAl組成は、3~20%、さらに好ましくは3~10%である。上記範囲でAl組成を傾斜させてもよい。
このように、第1中間電子ブロック層14は第1活性層13に接して設けられているため、電子ブロック機能が高い。つまり、第1活性層13から第1中間電子ブロック層14へと透過しようとする電子をブロックする効果が高く、第1活性層13中に電子を効率的に閉じ込めることができる。また、第1中間電子ブロック層14はノンドープであり、Mgが第1活性層13に拡散して発光効率が低下してしまうことを抑制している。
第1中間電子ブロック層14の厚さは、0.5~50nmである。第1中間電子ブロック層14は、第2活性層16、第3活性層19への電子の注入をブロックする障壁となる。そのため、高抵抗となりVfを上昇させてしまう。そこで厚さを上記範囲とすることで第1活性層13を透過しようとする電子のブロック機能を維持しつつ、第2活性層16、第3活性層19への電子注入は阻害しないようにし、高抵抗化を抑制している。第1中間電子ブロック層14のより好ましい厚さは、0.5~20nmであり、さらに好ましくは0.5~10nmである。
なお、第1中間電子ブロック層14は、ノンドープのAlGaInNとしてもよい。ただし、Al組成、In組成は、第1活性層13の障壁層よりもバンドギャップエネルギーが大きくなるように設定する。
第1中間層15は、第1活性層13上に設けられた半導体層であり、第1中間電子ブロック層14と第2活性層16の間に位置している。第1中間層15は、第1活性層13からの発光と第2活性層16からの発光とを個別に制御可能とするために設ける層である。また、後述の第2溝31を形成する際に第1活性層13をエッチングダメージから保護する役割も有する。
第1中間層15は、第1中間電子ブロック層14側から順にノンドープ中間層15A、n型中間層15Bを積層させた構造である。ノンドープ中間層15A、n型中間層15Bは不純物を除いて同一材料から構成してもよい。第1中間層15をこのような2層構造とする理由は後述する。
第1中間層15の材料は、Inを含むIII族窒化物半導体であり、たとえばInGaNとするのがよい。Inによるサーファクタント効果によって第1中間層15表面の荒れを抑制し、表面平坦性を向上させることができる。また、格子歪みを緩和させることができる。
第1中間層15のIn組成(III族窒化物半導体のIII族金属全体に占めるInのモル比)は、第1活性層13および第2活性層16から発光した光を吸収しないバンドギャップとなるように設定されていればよい。好ましいIn組成は、10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下である。In組成が10%よりも大きいと、第1中間層15の表面が荒れる原因となる。Inは0%よりも大きければ任意であり、ドープレベル(混晶を形成しないレベル)でもよい。たとえばIn濃度が1×1014cm-3以上1×1022cm-3以下のGaNである。
ノンドープ中間層15Aはノンドープであり、n型中間層15BはSiドープである。n型中間層15BのSi濃度は、1×1017~1000×1017cm-3とすることが好ましい。好ましくは10×1017~100×1017cm-3、さらに好ましくは20×1017~80×1017cm-3である。n型中間層15BはSiを変調ドープしてもよく、n型中間層15Bの一部領域にノンドープの領域があってもよい。
第1中間層15の厚さは、20~150nmとすることが好ましい。150nmよりも厚いと、第1中間層15の表面が荒れる原因となり得る。また、20nmよりも薄いと、後述の第2溝31を形成する際に第2溝31の深さをノンドープ中間層15A内とする制御が難しくなる可能性がある。より好ましくは30~100nm、さらに好ましくは50~80nmである。
また、ノンドープ中間層15Aの厚さは、10nm以上とすることが好ましい。エッチング深さの制御性および第1活性層13へのエッチングダメージを回避するためである。また、n型中間層15Bの厚さは、10nm以上とすることが好ましい。各活性層の発光特性を独立に制御するためである。
第2活性層16は、第1中間層15上に設けられた層であり、歪緩和層16AとSQWまたはMQWの量子井戸構造層(発光層)16Bを順に積層させた構造である。量子井戸構造層16Bの発光波長は緑色であり、510~570nmである。量子井戸構造層16BはGaNまたはAlGaNからなる障壁層とInGaNからなる井戸層を交互に1~7ペア積層させた構造である。より好ましくは1~5ペア、さらに好ましくは1~3ペアである。また、第1活性層13のペア数と等しいか少ないことが好ましく、少ないことがより好ましい。
歪緩和層16Aは、障壁層と井戸層を順に積層させたSQW構造であり、発光しないように井戸層の厚さを薄く調整した量子井戸構造である。たとえば井戸層の厚さを1nm以下とすることで発光しないようにすることができる。障壁層はAlGaN、井戸層はInGaNである。歪緩和層16Aの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長は、量子井戸構造層16Bの発光波長よりも短ければよく、たとえば発光波長が500~560nmであれば400~460nmである。好ましくは量子井戸構造層16Bの発光波長よりも40~100nm短くする。この場合、歪緩和層16Aの成長温度は、700~800℃である。
歪緩和層16Aの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長は、第1活性層13の発光波長と等しくしてもよい。この場合、第1活性層13と同様の成長温度で成長させてもよい。
歪緩和層16Aの井戸層におけるバンド端エネルギーの制御は、井戸層の厚さで制御することができる。すなわち、歪緩和層16Aの井戸層の厚さを十分に薄くすることで井戸内のサブバンドのエネルギーが上昇しバンド端エネルギーが大きくなる。これにより、量子井戸構造層16Bの発光波長よりも短くしてもよい。成長温度は任意であるが、量子井戸構造層16Bと同様の成長温度で成長させてもよい。さらに、歪緩和層16Aの井戸層の膜厚を薄くすると、サブバンドがさらに上昇し、障壁層とのエネルギー差が小さくなる。すなわち、障壁層のバンド端エネルギーに近くなる。その結果、歪緩和層16Aの井戸層におけるキャリアの閉じ込めがされ難くなり、発光しにくくなることから、量子井戸構造層16Bの障壁層の一部として機能するとともに、歪緩和の効果も同時に得られる。
このように、量子井戸構造層16Bの井戸層よりもキャリア閉じ込めの悪い井戸層を持つ歪緩和層16Aを形成することで、発光しない歪緩和層16Aを形成することができる。
要するに、歪緩和層16A全体の平均的な格子定数が、第1中間層15の格子定数と量子井戸構造層16Bの格子定数の間となるように歪緩和層16Aの材料や層構成が設定され、かつ、歪緩和層16Aが発光しないように井戸層の厚さが設定されていればよい。
歪緩和層16Aは障壁層と井戸層を2ペア以上積層させたMQW構造としてもよいが、第2活性層16が厚くなるのでSQW構造とすることが好ましい。
以上のように歪緩和層16Aを設けることで、その上に積層される量子井戸構造層16Bの歪を緩和させることができ、量子井戸構造層16Bの井戸層の結晶品質を向上させることができる。
第2活性層16の厚さに対する第1活性層13の厚さの比が30%以下となるように設定することが好ましい。より効率的に量子井戸構造層16Bの歪を緩和させることができるとともに、pn接合間距離が各p側電極25A~25C下で一定となり、各p側電極25A~25C下でのデバイス特性を均一にできる。
第2中間電子ブロック層17は、第2活性層16上に接して設けられた層である。第2中間電子ブロック層17は、ノンドープのAlGaNからなる。第2中間電子ブロック層17のAl組成は、第2活性層16の障壁層よりもバンドギャップエネルギーが大きくなるように設定されている。
第2中間電子ブロック層17は、第2活性層16に接して設けられているため、電子ブロック機能が高い。つまり、第2活性層16から第2中間電子ブロック層17へと透過しようとする電子をブロックする効果が高く、第2活性層16中に電子を効率的に閉じ込めることができる。また、第2中間電子ブロック層17はノンドープであり、Mgが第2活性層16に拡散して発光効率が低下してしまうことを抑制している。
第2中間電子ブロック層17の厚さおよびAl組成は、第1中間電子ブロック層14と同様の範囲とすることが好ましい。この範囲内であれば、第1中間電子ブロック層14と第2中間電子ブロック層17とで同一の厚さ、同一のAl組成とする必要はない。
第2中間層18は、第2中間電子ブロック層17上に設けられた半導体層であり、第2中間電子ブロック層17と第3活性層19の間に位置している。第2中間層18は、第1中間層15と同様の理由により設けられたものであり、第2活性層16からの発光と第3活性層19からの発光とを個別に制御可能とするために設ける層である。また、後述の第3溝32を形成する際に第2活性層16をエッチングダメージから保護する役割も有する。
第2中間層18は、第2中間電子ブロック層17側から順にノンドープ中間層18A、n型中間層18Bを積層させた構造である。ノンドープ中間層18A、n型中間層18Bは、ノンドープ中間層15A、n型中間層15Bと同様の構造である。つまり、ノンドープ中間層18A、n型中間層18Bは不純物を除いてノンドープ中間層15A、n型中間層15Bと同様の材料であり、厚さの範囲などもノンドープ中間層15A、n型中間層15Bと同様である。ノンドープ中間層18Aはノンドープ、n型中間層18BはSiドープである。第2中間層18をこのような2層構造とする理由は後述する。
第1中間層15と第2中間層18を同一材料としてもよい。また、第1中間層15と第2中間層18の厚さを同一としてもよい。ただし、第1中間層15よりも薄くし、In組成も第1中間層15より大きくすることが好ましい。緑色発光の第2活性層16は、青色発光の第1活性層13よりも熱ダメージを受けやすく、界面での歪みの影響が大きくなるためである。
ここで、第1中間層15、第2中間層18を2層構造とした理由を説明する。まず、pn接合間距離について説明する。pn接合間距離は、ゼロバイアス時に空乏化している膜厚に相当する。LEDにおいては高濃度のアクセプタ不純物を持つp型層と、高濃度のドナー不純物を持つn型層とに挟まれたノンドープもしくは低ドープの活性層の総膜厚に相当する。
第1中間層15、第2中間層18をノンドープとする場合、pn接合間距離(空乏層の厚さ)は、p側電極25A下の領域においてはアクセプタ不純物を高ドープされた電子ブロック層22Aからドナー不純物を高ドープされたn型層11までの距離、すなわち、第1活性層13、第2活性層16、第3活性層19と、第1中間層15、第2中間層18を含む膜厚に相当する。また、p側電極25B下においてはアクセプタ不純物を高ドープされた電子ブロック層22Bからn型層11までの距離、すなわち、第1活性層13、第2活性層16と、第1中間層15と、第2中間層18の一部を含む膜厚に相当する。また、p側電極25C下においてはアクセプタ不純物を高ドープされた電子ブロック層22Cからn型層11までの距離、すなわち、第1活性層13と、第1中間層15の一部を含む膜厚に相当する。
そのため、これら3つの場合でそれぞれpn接合間距離が異なり、駆動電圧や電流注入効率、逆方向電流が異なってしまう。また、p側電極25Aに電圧を印加して第3活性層19を発光させたい場合に、電子とホールのキャリアがすべての活性層に供給されてしまい、第2活性層16や第1活性層13からも発光してしまう可能性がある。同様に、p側電極25Bに電圧を印加して第2活性層16を発光させたい場合に第1活性層13からも発光してしまう可能性がある。
このような問題を中間層の構造で解決している。つまり、第1中間層15をノンドープ中間層15A、ドナー不純物が高濃度にドープされたn型中間層15Bの2層とし、第2中間層18をノンドープ中間層18A、ドナー不純物が高濃度にドープされたn型中間層18Bの2層とし、n型中間層15B、18BにSiをドープしてn型としている。
そのため、pn接合間距離は、p側電極25A下の領域においては電子ブロック層22Aから第2中間層18のn型中間層18Bまでの距離、p側電極25B下の領域においては電子ブロック層22Bから第1中間層15のn型中間層15Bまでの距離、p側電極25C下の領域においては電子ブロック層22Cからn型層11までの距離となる。すなわち、すべての電極下におけるpn接合間距離は、複数の活性層を含まず、1つの活性層と中間層のうちノンドープ中間層とを含む総膜厚に相当することとなる。
ここで、第1中間層15のノンドープ中間層15A、第2中間層18のノンドープ中間層18Aの厚さを適切に制御することで、これら3つの場合でpn接合間距離を等しくすることができる。その結果、これら3つの場合で駆動電圧や電流注入効率、逆方向電流のばらつきを抑えることができ、均一な制御が可能となる。さらに、これら3つの場合でpn接合間には第1活性層13、第2活性層16、第3活性層19がそれぞれ1つしか含まれず、中間層のn型層がホールにとって障壁層となるため、ホールが中間層のn型層を超えて下部の活性層へ注入され難くなる。その結果、pn接合間に位置する発光させたい活性層以外が発光してしまうことを抑制できる。
第3活性層19は、第1歪緩和層19Aと、第2歪緩和層19Bと、SQWまたはMQWの量子井戸構造層19Cを順に積層させた構造である。量子井戸構造層19Cの発光波長は赤色であり、590~700nmである。量子井戸構造層19CはInGaNからなる障壁層とInGaNからなる井戸層を交互に1~7ペア積層させた構造である。より好ましくは1~5ペア、さらに好ましくは1~3ペアである。また、第2活性層16の量子井戸構造層16Bのペア数と等しいか少ないことが好ましく、少ないことがより好ましい。
第1歪緩和層19Aは、第2活性層16の歪緩和層16Aと同様の構造である。第1歪緩和層19Aの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長は、量子井戸構造層16Bの発光波長よりも短ければよく、たとえば400~460nmである。
第2歪緩和層19Bは、第2歪緩和層19Bの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長が量子井戸構造層19Cの発光波長よりも短く、第1歪緩和層19Aの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長よりも長い。たとえば、510~570nmである。それ以外は第1歪緩和層19Aと同様である。
第1歪緩和層19Aの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長と第2歪緩和層19Bの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長の差、および第2歪緩和層19Bの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長と量子井戸構造層19Cの発光波長の差は、40~100nmとすることが好ましい。
第3活性層19の厚さに対する第1活性層13の厚さの比や、第3活性層19の厚さに対する第2活性層16の厚さの比は、30%以下となるように設定することが好ましい。より効率的に量子井戸構造層19Cの歪を緩和させることができるとともに、pn接合間距離が各p側電極25A~25C下で一定となり、各p側電極25A~25C下でのデバイス特性を均一にできる。
このように第1歪緩和層19A、第2歪緩和層19Bを設けることで、段階的に歪を緩和させることができ、その上に積層される量子井戸構造層19Cの歪を効果的に緩和させることができる。その結果、量子井戸構造層19Cの井戸層の品質を向上させることができる。
なお、第3活性層19では第1歪緩和層19A、第2歪緩和層19Bによって2段階に歪を緩和させているが、歪緩和層を3つ以上設けて3段階以上に歪を緩和させてもよい。また、第2活性層16においても、歪緩和層16Aを複数にして段階的に歪を緩和させてもよい。
また、第1活性層13においても、同様にして歪緩和層を設けてよい。この場合、歪緩和層の成長温度は、たとえば、800~900℃である。
保護層20は、第3活性層19上に設けられた半導体層である。保護層20は、活性層を保護するとともに、電子ブロック層としても機能する層である。保護層20は、第3活性層19の井戸層よりもバンドギャップの広い材料であればよく、AlGaN、GaN、InGaNなどである。保護層20の厚さは、2.5~50nmが好ましく、より好ましくは5~25nmである。保護層20に不純物をドープしてもよく、Mgをドープしてもよい。その場合、Mg濃度は1×1018~1000×1018cm-3とするのがよい。
保護層20の一部領域はエッチングされて溝が設けられ、保護層20から第2中間層18に達する第3溝32、第1中間層15に達する第2溝31、n型層11に達する第1溝30が設けられている。
第3溝32は、第2中間層18のノンドープ中間層18Aに達する深さとなっている。このように、p側電極25B下において第2中間層18のn型中間層18Bを除去することで第2活性層16上にn型層が位置しないようにし、第2活性層16が発光するようにしている。また、第2溝31は、第1中間層15のノンドープ中間層15Aに達する深さとなっている。これも同様の理由であり、p側電極25C下において第1中間層15のn型中間層15Bを除去することで第1活性層13上にn型層が位置しないようにし、第1活性層13が発光するようにしている。
なお、第2溝31は、第1中間電子ブロック層14に達する深さであってもよい。また、第3溝32は、第2中間電子ブロック層17に達する深さであってもよい。つまり、ノンドープ中間層15A、18Aは残っていてもよいし、残っていなくてもよい。ただし、後述のように、残すことで超格子構造の井戸層として機能させることも可能である。
非n型層21A~21Cは、保護層20上、第3溝32底面に露出する第2中間層18のノンドープ中間層18A上、第2溝31底面に露出する第1中間層15のノンドープ中間層15A上にそれぞれ接して設けられている。非n型層21A~21Cは、成長炉からウェハを一旦取り出した後、再び成長炉にウェハを入れて結晶成長させた層である。
非n型層21A~21CのMg濃度は、0.1×1018~100×1018cm-3である。非n型層21A~21Cにこのような濃度範囲のMgをドープする理由は次の通りである。
実施形態1における発光素子では、後述の製造工程で述べるように、第3溝32や第2溝31の形成のためウェハが一旦反応炉から取り出され、大気に暴露される。このとき、ウェハの表面がOやSiなどの元素により汚染されてしまう。洗浄などによって不純物はある程度取り除けるが、完全には取り除くことができない。
これらの不純物は、意図しないn型不純物となり、非発光再結合中心となる。また、意図しないn型層が形成されてバンド構造を変化させる。たとえば、n型層が形成されることでpn接合間のビルトインポテンシャルを変化させてしまい、電子やホールの注入効率に影響し、発光効率の低下を引き起こす。特に、活性層へのホールの注入がn型層によって阻害され、発光効率が低下する。以上の理由により、活性層に近いところ、特にpn接合内に再成長界面が存在すると発光効率の低下が著しい。実施形態1における発光素子では、保護層20と非n型層21Aの界面、ノンドープ中間層18Aと非n型層21Bの界面、およびノンドープ中間層15Aと非n型層21Cの界面が再成長界面となり、pn接合内となる。
そこで実施形態1では、非n型層21A~21CにMgをドープすることで再成長界面の意図しないn型層を中性化(高抵抗化、絶縁化)、もしくはp型化している。発明者らの検討により、再成長界面におけるOやSiの濃度が0.1×1018~100×1018cm-3程度であることが分かった。そこで、非n型層21A~21CのMg濃度を0.1×1018~100×1018cm-3とし、n型不純物であるOやSiの濃度と同程度もしくはそれ以上のMg濃度とすることで、共ドープ状態にし、再成長界面を中性化もしくはp型化して、n型層ではない状態にしている。
再成長界面の中性化により、実質的なn型層は活性層(第1活性層13、第2活性層16、第3活性層19)の下部(基板10側)となる。これにより、活性層へのホール注入効率を向上させ、発光効率の向上を図っている。
非n型層21A~21Cの材料は、AlGaNとするのがよい。Al組成はたとえば0.5~30%である。非n型層21A~21CをAlGaNとすることで電子ブロック層として機能させることができる。非n型層21A~21Cの厚さは、たとえば0.5~10nmである。
電子ブロック層22A~22Cは、非n型層21A~21C上にそれぞれ設けられた半導体層であり、n型層11から注入された電子を第1活性層13、第2活性層16、第3活性層19に効率よく閉じ込めるためにブロックする層である。電子ブロック層はGaNやAlGaNの単層でもよいし、AlGaN、GaN、InGaNのうち2以上を積層させた構造や、組成比のみ替えて積層させた構造であってもよい。また、超格子構造としてもよい。超格子構造とすることでより効率的に電子をブロックすることができる。超格子構造は、たとえば、p-AlGaNとp-InGaNを交互に積層させた構造や、p-AlGaNとp-GaNを交互に積層させた構造である。
第2溝31の設けられた領域では、第1活性層13側から順に、第1中間電子ブロック層14、第1中間層15のノンドープ中間層15A、非n型層21C、電子ブロック層22Cが積層された構造となるが、第1中間電子ブロック層14はAlGaN、ノンドープ中間層15AはInGaN、非n型層21C、電子ブロック層22CはAlGaNである。そのため、第1中間電子ブロック層14、非n型層21C、電子ブロック層22Cを超格子構造の障壁層、ノンドープ中間層15Aを超格子構造の井戸層として機能させ、第1中間電子ブロック層14、ノンドープ中間層15A、非n型層21C、電子ブロック層22C全体として超格子構造として機能させることが可能である。その結果、電子ブロック機能をより高めることができる。
第3溝32の設けられた領域においても、同様に、第2中間電子ブロック層17、ノンドープ中間層18A、非n型層21B、電子ブロック層22B全体として超格子構造として機能させることができ、電子ブロック機能をより高めることができる。
電子ブロック層22A~22Cの厚さは、5~50nmが好ましく、より好ましくは5~25nmである。
また、電子ブロック層22A~22CはMgドープのp型である。p型とすることで、ホールを効率的に活性層へ注入することができる。また、電子に対してより大きな障壁とすることができ、電子ブロック機能を高めることができる。電子ブロック層22A~22CのMg濃度は1×1019~100×1019cm-3とするのがよい。
電子ブロック層22A~22CのAl組成は、第1中間電子ブロック層14、第2中間電子ブロック層17のAl組成以上であることが好ましい。電子ブロック機能をより高めることができる。
なお、非n型層21A~21Cは必ずしも設ける必要はない。再成長界面におけるOやSiなどのn型不純物によって形成されるn型層は、第1中間電子ブロック層14と電子ブロック層22C、第2中間電子ブロック層17と電子ブロック層22B、保護層20と電子ブロック層22Aとによって挟まれる構造となるので、その挟まれる構造全体として超格子構造が構成されるようにすれば、再成長界面の非発光再結合を抑制することができる。ただし、非n型層21A~21Cを設け、再成長界面にn型層が存在しないようにすることが好ましい。
また、実施形態1では電子ブロック層22A~22Cを同一構成としているが、異なる構成としてもよい。たとえば、赤色発光は一般に青色発光や緑色発光よりも発光効率が低いため、第3活性層19上の電子ブロック層22Aを超格子構造、他の電子ブロック層22B、22CをAlGaN単層として、第3活性層19を透過しようとする電子のブロック機能を第2活性層16や第1活性層13より強化するようにしてもよい。
p型層23A~23Cは、電子ブロック層22A~22C上にそれぞれ設けられた半導体層であり、電子ブロック層22A~22C側から順に第1層、第2層で構成されている。第1層は、p-GaN、p-InGaNが好ましい。第1層の厚さは10~500nmが好ましく、より好ましくは10~200nm、さらに好ましくは10~100nmである。第1層のMg濃度は1×1019~100×1019cm-3とするのがよい。第2層は、p-GaN、p-InGaNが好ましい。第2層の厚さは2~50nmが好ましく、より好ましくは4~20nm、さらに好ましくは6~10nmである。第2層のMg濃度は1×1020~100×1020cm-3とするのがよい。
n側電極24は、第1溝30の底面に露出するn型層11上に設けられた電極である。基板10が導電性材料である場合には、第1溝30を設けずに基板10裏面にn側電極24を設けてもよい。n側電極24の材料は、たとえばTi/Al、V/Alである。
p側電極25A~25Cは、p型層23A~23C上にそれぞれ設けられた電極である。p側電極25A~25Cの材料は、発光波長の光の反射率が高く、p型層23A~23Cに対するコンタクト抵抗の低い材料がよい。たとえばAg、Ni/Au、Co/Au、ITO/Ni/Al、Rh、Ruなどである。第3活性層19から放射される赤色光のうちp型層23A側に向かう光はp側電極25Aによって反射され、基板10側へと向かう。同様に、第2活性層16から放射される緑色光のうちp型層23B側に向かう光はp側電極25Bによって反射され、基板10側へと向かい、第1活性層13から放射される青色光のうちp型層23C側に向かう光はp側電極25Cによって反射され、基板10側へと向かう。
以上、実施形態1における発光素子では、第1活性層13と第1中間層15との間に第1活性層13と接するノンドープの第1中間電子ブロック層14を設け、第2活性層16と第2中間層18との間に第2活性層16と接するノンドープの第2中間電子ブロック層17を設けている。そのため、第1中間電子ブロック層14、第2中間電子ブロック層17による電子ブロック機能が高く、発光効率を向上させることができる。
2.発光素子の動作
次に、実施形態1における発光素子の動作について説明する。実施形態1における発光素子では、p側電極25Aとn側電極24の間に電圧を印加することで第3活性層19から赤色の光を発光させることができ、p側電極25Bとn側電極24の間に電圧を印加することで第2活性層16から緑色の光を発光させることができ、p側電極25Cとn側電極24の間に電圧を印加することで第1活性層13から青色の光を発光させることができる。これらの発光は個別に制御することができ、青色、緑色、赤色のうち2以上を同時に発光させることもできる。
このように、実施形態1における発光素子では、電圧を印加する電極の選択によって青、緑、赤の発光を制御することができ、ディスプレイの1ピクセルとして利用することができる。また、光波長多重通信用の光源としても利用することができる。
図2に実施形態1における発光素子の等価回路を示す。図2に示すように、実施形態1における発光素子は、青色、緑色、赤色のLEDが1素子内に形成された構造であり、1素子でフルカラーの発光を実現することができる。そのため、青色、緑色、赤色のLEDを個別に準備してそれらを同一基板に配列させて1ピクセルのフルカラーの発光素子を作製するよりも、1素子のサイズを非常に小さくすることが可能である。さらに、実施形態1の構造であれば、青色、緑色、赤色のLEDを個別に準備して配列する工程を省くことができ、製造コストも大幅に低減でき、非常に低コストなフルカラー発光素子、およびそれを応用した発光ディスプレイを実現することができる。
3.発光素子の製造工程
次に、実施形態1における発光素子の製造工程について、図を参照に説明する。
まず、基板10を用意し、水素や窒素、必要に応じてアンモニアを加えて、基板の熱処理を行う。
次に、基板10上にバッファ層を形成し、バッファ層上にn型層11、下地層12、第1活性層13、第1中間電子ブロック層14、第1中間層15、第2活性層16、第2中間電子ブロック層17、第2中間層18、第3活性層19、保護層20を順に形成する(図3参照)。各層の好ましい成長温度は次の通りである。
第1活性層13の成長温度は、700~950℃が好ましい。結晶品質を向上でき、発光効率を高めることができる。第1活性層13は井戸層と障壁層で構成されるが、井戸層と障壁層は同じ温度で形成してもよいし、上記温度範囲内で異なる温度としてもよい。異なる温度とする場合は、井戸層の成長温度を障壁層の成長温度よりも低いことが好ましい。
第1中間電子ブロック層14の成長温度は、800~1000℃が好ましい。活性層への熱ダメージを抑制するとともに、第1中間電子ブロック層14の結晶品質を向上でき、電子ブロック機能を高めることができる。また、同様の理由により、第1中間層15の成長温度に対して-50~50℃の範囲とすることが好ましい。さらに好ましくは第1中間層15の成長温度に対して-30~30℃の範囲である。
第1中間電子ブロック層14の成長速度は、0.5~5nm/minとすることが好ましい。成長速度をこの範囲とすることで第1中間電子ブロック層14を平坦に結晶性よく成長させることができ、電子ブロック機能の向上を図ることができる。より好ましくは0.5~3nm/minであり、さらに好ましくは0.5~1.5nm/minである。
第1中間層15の成長温度は、700~1000℃が好ましい。第1活性層13への熱ダメージを抑制するためである。また、700℃よりも低いと貫通転位に起因したピットや点欠陥が生じやすくなってしまう。より好ましくは800~950℃、さらに好ましくは850~950℃である。
第2活性層16の成長温度は、650~950℃が好ましい。結晶品質を向上でき、発光効率を高めることができる。第2活性層16は井戸層と障壁層で構成されるが、井戸層と障壁層は同じ温度で形成してもよいし、上記温度範囲内で異なる温度としてもよい。異なる温度とする場合は、井戸層の成長温度を障壁層の成長温度よりも低くすることが好ましい。また、第2活性層16の成長温度は、第1活性層13の成長温度よりも低いことが好ましい。
第2中間電子ブロック層17の成長温度、成長速度は、第1中間電子ブロック層14の成長温度、成長速度と同様の範囲とすることが好ましい。この範囲であれば、同一の成長温度、同一の成長速度である必要はない。
第2中間層18の成長温度は、第1中間層15の成長温度と同様の範囲が好ましい。ただし、第2中間層18の成長温度は、第1中間層15の成長温度よりも低くすることが好ましい。緑色発光の第2活性層16は、青色発光の第1活性層13よりも熱ダメージを受けやすく、界面での歪みの影響が大きくなるためである。
第3活性層19の成長温度は、500~950℃が好ましい。結晶品質を向上でき、発光効率を高めることができる。第3活性層19は井戸層と障壁層で構成されるが、井戸層と障壁層は同じ温度で形成してもよいし、上記温度範囲内で異なる温度としてもよい。異なる温度とする場合は、井戸層の成長温度を障壁層の成長温度よりも低くすることが好ましい。また、第3活性層19の成長温度は、第2活性層16の成長温度よりも低いことが好ましい。
保護層20の成長温度は、500~950℃が好ましい。第1活性層13、第2活性層16、第3活性層19への熱ダメージを抑制するためである。保護層20の結晶性向上のためには成長温度が高い方が好ましく、より好ましくは600~900℃、さらに好ましくは700~900℃である。
次に、保護層20表面の一部領域を第2中間層18のノンドープ中間層18Aに達するまでドライエッチングして第3溝32を形成し、第1中間層15のノンドープ中間層15Aに達するまでドライエッチングして第2溝31を形成する(図4参照)。
この第3溝32、第2溝31の形成の過程では、ウェハは一旦成長炉から取り出され、エッチング工程を行った後、再び成長炉に戻される。そのため、ウェハは大気に暴露され、ウェハ表面はO、Siなどの不純物に汚染される。
なお、第3溝32は第2中間電子ブロック層17に達するまでエッチングしてノンドープ中間層18Aを残さないようにしてもよい。また、第2溝31は第1中間電子ブロック層14に達するまでエッチングしてノンドープ中間層15Aを残さないようにしてもよい。ただし、エッチング深さの制御性や、第1中間電子ブロック層14、第2中間電子ブロック層17の厚さにばらつきが生じ、電子ブロック機能にばらつきが生じる可能性を考えると、実施形態1のようにノンドープ中間層15A、18Aが残る深さにエッチングすることが好ましい。
次に、保護層20上、第3溝32によって露出した第2中間層18のノンドープ中間層18A上、および第2溝31によって露出した第1中間層15のノンドープ中間層15A上に、非n型層21A~21Cを形成する。保護層20と非n型層21Aの界面、ノンドープ中間層18Aと非n型層21Bの界面、およびノンドープ中間層15Aと非n型層21Cの界面が再成長界面であり、OやSiなどの不純物が存在している。
非n型層21A~21Cの成長温度は、たとえば800~1000℃である。第1活性層13、第2活性層16、第3活性層19への熱ダメージを抑制するためである。好ましくは850~950℃、より好ましくは875~925℃である。
また、非n型層21A~21Cの成長速度は0.5~5nm/minとすることが好ましい。エッチングされた荒れた表面上に、もしくは汚染された表面上に成長する非n型層は、成長速度が速いとその表面が荒れやすくなるため、遅い成長速度で1原子層ずつゆっくりと成長させた方が非n型層21A~21Cの表面を平坦にできるためである。
Mg/III気相比(III族金属の原料ガスに対するMgドーパントガスのモル比)は0.0005~0.02とすることが好ましい。この範囲であれば再成長界面を十分に中性化して光出力の向上を図ることができる。特に0.002~0.02とすることが好ましい。
次に、非n型層21A~21C上に電子ブロック層22A~22Cを形成する。電子ブロック層22A~22Cの成長温度は、第1中間電子ブロック層14、第2中間電子ブロック層17と同様の範囲とすることが好ましい。第1活性層13、第2活性層16、第3活性層19への熱ダメージを抑制するためである。この範囲であれば、同一の成長温度である必要はない。また、電子ブロック層22A~22Cの成長温度は、p型層23A~23Cの成長温度以下とすることが好ましい。また、電子ブロック層22A~22Cの成長速度についても、第1中間電子ブロック層14、第2中間電子ブロック層17と同様の範囲とすることが好ましい。この範囲であれば、同一の成長速度である必要はない。
次に、電子ブロック層22A~22C上にp型層23A~23Cを形成する(図5参照)。p型層23A~23Cの成長温度は、650~1000℃が好ましい。より好ましくは700~950℃、さらに好ましくは750~900℃である。
次に、p型層23C表面の一部領域をn型層11に達するまでドライエッチングして第1溝30を形成する(図6参照)。そして、第1溝30の底面に露出するn型層11上にn側電極24を形成し、p型層23A~23C上にp側電極25A~25Cを形成する。以上によって実施形態1における発光素子が製造される。
4.各種変形形態
なお、実施形態1では、非n型層21A~21C、電子ブロック層22A~22C、p型層23A~23Cはそれぞれ分離して設けられているが、一続きにしてもよい。この場合、第3溝32の側面や第2溝31の側面にも非n型層、電子ブロック層、p型層が形成されることとなるが、素子の動作にはほとんど影響しない。その理由は次の通りである。
p側電極25A、p側電極25B、p側電極25Cがそれぞれ空間的に十分に分離されていれば、p側電極25A、p側電極25B、p側電極25Cの間をつなぐp型層の抵抗が非常に高いために電流はほとんど流れない。加えて、ホールは移動度が低いため、電極と接触している領域からホールは横方向に広がらず、電極直下のpnジャンクションを縦方向へ支配的に流れる。そのため非n型層21A~21C、電子ブロック層22A~22C、p型層23A~23Cが一続きであっても素子の動作に影響がないのである。すなわち、p側電極25Aに電流を流した場合、p側電極25Aの直下に電流が流れ、その結果p側電極25A直下の活性層が発光し、p側電極25B、25C直下の活性層に電流が流れて発光することはほとんどないのである。
また、第3溝32の側面や第2溝31の側面に絶縁膜を設けてもよい。この絶縁膜は、非n型層21A~21C、電子ブロック層22A~22C、p型層23A~23Cを選択成長させる際のマスクを残したものとすることができる。
また、実施形態1では非n型層21A~21C、電子ブロック層22A~22C、p型層23A~23CについてMOCVD法によって形成しているが、スパッタによって形成してもよい。スパッタにより形成する場合、プラズマ処理によって再成長界面のOやSiによるn型層を除去することができ、そのまま大気に暴露することなくスパッタで成膜することができる。よって、スパッタを用いる場合は非n型層21A~21Cを形成しなくてもよいが、形成することが好ましい。また、スパッタで形成する場合、MOCVD法による結晶成長よりもクリーンな環境で一貫して加工が可能であるため、パーティクルの付着なども抑制することができる。
また、非n型層21A~21C、電子ブロック層22A~22C、p型層23A~23Cは、Mgをイオン注入して熱処理することによってp型としてもよい。
10:基板
11:n型層
12:下地層
13:第1活性層
14:第1中間電子ブロック層
15:第1中間層
16:第2活性層
17:第2中間電子ブロック層
18:第2中間層
19:第3活性層
20:保護層
21A~21C:非n型層
22A~22C:電子ブロック層
23A~23C:p型層
24:n側電極
25A~25C:p側電極
15A、18A:ノンドープ中間層
15B、18B:n型中間層
16A:歪緩和層
16B、19C、19C:量子井戸構造層
19A:第1歪緩和層
19B:第2歪緩和層

Claims (11)

  1. III族窒化物半導体を用いた発光素子において、
    基板と、
    前記基板上に設けられ、n型のIII族窒化物半導体からなるn型層と、
    前記n型層上に設けられ、所定の発光波長の第1活性層と、
    前記第1活性層上に接して設けられ、ノンドープのIII族窒化物半導体からなり、前記第1活性層を透過しようとする電子をブロックする中間電子ブロック層と、
    前記中間電子ブロック層上に設けられ、ノンドープのInを含むIII族窒化物半導体からなる中間層と、
    前記中間層上に設けられ、前記第1活性層とは異なる発光波長の第2活性層と、
    前記第2活性層側から前記中間層または前記中間電子ブロック層に達する深さの溝と、
    前記第2活性層上に設けられ、p型のIII族窒化物半導体からなる第1p型層と、
    前記溝の底面に設けられ、MgドープのIII族窒化物半導体からなり、前記第1活性層を透過しようとする電子をブロックする電子ブロック層と、
    前記電子ブロック層上に設けられ、p型のIII族窒化物半導体からなる第2p型層と、
    を有する、発光素子。
  2. 前記第1活性層は、井戸層と障壁層を有した量子井戸構造であり、
    前記中間電子ブロック層のバンドギャップエネルギーは、前記障壁層のバンドギャップエネルギーよりも大きい、請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記中間電子ブロック層の厚さは、0.5~50nmである、請求項1または請求項2に記載の発光素子。
  4. 前記中間電子ブロック層のAl組成は、3~30%である、請求項1または請求項2に記載の発光素子。
  5. 前記電子ブロック層のAl組成は、前記中間電子ブロック層のAl組成以上である、請求項1または請求項2に記載の発光素子。
  6. 前記電子ブロック層は、超格子構造である、請求項1または請求項2に記載の発光素子。
  7. 前記溝は、前記第2活性層側から前記中間層に達する深さであり、
    前記溝の設けられた領域において、前記中間電子ブロック層、前記中間層、前記電子ブロック層の積層が超格子構造を構成し、前記中間層は前記超格子構造における井戸層として機能する、請求項1または請求項2に記載の発光素子。
  8. III族窒化物半導体を用いた発光素子の製造方法において、
    前記基板上に、n型のIII族窒化物半導体からなるn型層を形成するn型層形成工程と、
    前記n型層上に、所定の発光波長の第1活性層を形成する第1活性層形成工程と、
    前記第1活性層上に接して、ノンドープのIII族窒化物半導体からなり、前記第1活性層を透過しようとする電子をブロックする中間電子ブロック層を形成する中間電子ブロック層形成工程と、
    前記中間電子ブロック層上に、ノンドープのInを含むIII族窒化物半導体からなる中間層を形成する中間層形成工程と、
    前記中間層上に、前記第1活性層とは異なる発光波長の第2活性層を形成する第2活性層形成工程と、
    前記第2活性層側から前記中間層または前記中間電子ブロック層に達する深さの溝を形成する溝形成工程と、
    前記溝の底面に、MgドープのIII族窒化物半導体からなり、前記第1活性層を透過しようとする電子をブロックする電子ブロック層を形成する電子ブロック層形成工程と、
    前記第2活性層上および前記電子ブロック層上に、p型のIII族窒化物半導体からなる第1p型層と第2p型層をそれぞれ形成するp型層形成工程と、
    を有し、
    前記中間電子ブロック層および前記電子ブロック層の成長温度は、前記中間層の成長温度に対して-50~50℃である、発光素子の製造方法。
  9. 前記中間電子ブロック層および前記電子ブロック層の成長温度は、800~1000℃である、請求項8に記載の発光素子の製造方法。
  10. 前記電子ブロック層の成長温度は、前記第1p型層および前記第2p型層の成長温度以下である、請求項8または請求項9に記載の発光素子の製造方法。
  11. 前記中間電子ブロック層および前記電子ブロック層の成長速度は、0.5~5nm/minである、請求項8または請求項9に記載の発光素子の製造方法。
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