JP2025021172A - リサイクル吸水性樹脂の製造方法、および、リサイクル吸水性樹脂を原料の一部として用いる吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】着色が抑制されたリサイクル吸水性樹脂を提供する。【解決手段】使用済み吸収性物品、または、吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物、から回収された吸水性樹脂からリサイクル吸水性樹脂を製造する方法であって、前記吸水性樹脂を漂白する漂白工程、および/または、前記吸水性樹脂に白色顔料を添加する白色顔料添加工程を含む、リサイクル吸水性樹脂の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、リサイクル吸水性樹脂の製造方法、および、リサイクル吸水性樹脂を原料の一部として用いる吸水性樹脂の製造方法に関する。
近年、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パット等の吸収性物品には、体液吸収の観点から、その構成材としての吸水性樹脂が、吸水剤として幅広く利用されている。このような吸水性樹脂としては、例えば、澱粉-アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、澱粉-アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリル酸部分中和物重合体の架橋物等が知られている。中でも、吸水性能の観点から、アクリル酸および/またはその塩を単量体として用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が、工業的に最も多く生産されており、当該吸水性樹脂に係る技術が多数開示されている。
吸収性物品は使い捨てが一般的であるが、環境意識の高まりから、吸収性物品のリサイクルへの関心が高まっている。特に、吸収性物品に含まれる使用済の吸水性樹脂において、当該使用済の吸水性樹脂を、吸水性樹脂またはその他の有用な物質にリサイクルする技術が多数開発されている(特許文献1~3)。
現在、種々の使用済み吸収性物品等から吸水性樹脂をリサイクルする方法が開発されている。しかし、使用済み吸収性物品等から回収された吸水性樹脂をリサイクルした場合、得られるリサイクル吸水性樹脂が着色し、当該リサイクル吸水性樹脂の色調が悪化する場合があり、この点について改善の余地があった。
上記のような状況にあって、本発明の一態様は、着色が抑制されたリサイクル吸水性樹脂を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、以下の構成を含む。
〔1〕使用済み吸収性物品、または、吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物、から回収された吸水性樹脂からリサイクル吸水性樹脂を製造する方法であって、前記吸水性樹脂を漂白する漂白工程、および/または、前記吸水性樹脂に白色顔料を添加する白色顔料添加工程を含む、リサイクル吸水性樹脂の製造方法。
〔2〕前記漂白工程において、酸化漂白剤または還元漂白剤を用いて前記吸水性樹脂を漂白する、〔1〕に記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
〔3〕前記吸水性樹脂を洗浄する洗浄工程、前記吸水性樹脂を脱水する脱水工程および前記吸水性樹脂を乾燥する乾燥工程、を含み、前記漂白工程を、前記脱水工程以後に行う、〔1〕または〔2〕に記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
〔4〕前記吸水性樹脂を洗浄する洗浄工程、前記吸水性樹脂を脱水する脱水工程および前記吸水性樹脂を乾燥する乾燥工程、を含み、前記白色顔料添加工程を、前記脱水工程以後に行う、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
〔5〕前記漂白工程において、前記酸化漂白剤または還元漂白剤を、前記吸水性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上100質量部以下添加する、〔2〕に記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
〔6〕前記白色顔料添加工程において、前記白色顔料を、前記吸水性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上100質量部以下添加する、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
〔7〕吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造過程において〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂を原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法。
〔8〕前記リサイクル吸水性樹脂が、全ての吸水性樹脂原料に対し占める割合が1質量%以上60質量%以下である、〔7〕に記載の吸水性樹脂の製造方法。
〔9〕吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造過程において、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法。
〔10〕前記リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーが、全ての吸水性樹脂原料に対し占める割合が1質量%以上60質量%以下である、〔9〕に記載の吸水性樹脂の製造方法。
〔1〕使用済み吸収性物品、または、吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物、から回収された吸水性樹脂からリサイクル吸水性樹脂を製造する方法であって、前記吸水性樹脂を漂白する漂白工程、および/または、前記吸水性樹脂に白色顔料を添加する白色顔料添加工程を含む、リサイクル吸水性樹脂の製造方法。
〔2〕前記漂白工程において、酸化漂白剤または還元漂白剤を用いて前記吸水性樹脂を漂白する、〔1〕に記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
〔3〕前記吸水性樹脂を洗浄する洗浄工程、前記吸水性樹脂を脱水する脱水工程および前記吸水性樹脂を乾燥する乾燥工程、を含み、前記漂白工程を、前記脱水工程以後に行う、〔1〕または〔2〕に記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
〔4〕前記吸水性樹脂を洗浄する洗浄工程、前記吸水性樹脂を脱水する脱水工程および前記吸水性樹脂を乾燥する乾燥工程、を含み、前記白色顔料添加工程を、前記脱水工程以後に行う、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
〔5〕前記漂白工程において、前記酸化漂白剤または還元漂白剤を、前記吸水性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上100質量部以下添加する、〔2〕に記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
〔6〕前記白色顔料添加工程において、前記白色顔料を、前記吸水性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上100質量部以下添加する、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
〔7〕吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造過程において〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂を原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法。
〔8〕前記リサイクル吸水性樹脂が、全ての吸水性樹脂原料に対し占める割合が1質量%以上60質量%以下である、〔7〕に記載の吸水性樹脂の製造方法。
〔9〕吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造過程において、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法。
〔10〕前記リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーが、全ての吸水性樹脂原料に対し占める割合が1質量%以上60質量%以下である、〔9〕に記載の吸水性樹脂の製造方法。
本発明の一態様によれば、着色が抑制されたリサイクル吸水性樹脂を提供することができる。さらに、前記リサイクル吸水性樹脂またはその分解物である可溶化ポリマーを吸水性樹脂原料の一部に用いた吸水性樹脂の製造方法を提供することができる。
<1.リサイクル吸水性樹脂の製造方法>
〔1-1〕本発明の第1の実施形態の技術思想
本発明者らは、使用済み吸収性物品に含まれる吸水性樹脂や、吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物、をリサイクルして得られるリサイクル吸水性樹脂について研究を進めるうちに、リサイクル吸水性樹脂が着色し、当該リサイクル吸水性樹脂の色調が悪化する場合があることを見出した。
〔1-1〕本発明の第1の実施形態の技術思想
本発明者らは、使用済み吸収性物品に含まれる吸水性樹脂や、吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物、をリサイクルして得られるリサイクル吸水性樹脂について研究を進めるうちに、リサイクル吸水性樹脂が着色し、当該リサイクル吸水性樹脂の色調が悪化する場合があることを見出した。
色調の悪化した(特に、黄変した)リサイクル吸水性樹脂は、通常の(使用前の)吸水性樹脂が白色であることから、使用者にし尿等の存在を想起させ、非衛生的な印象を与える虞がある。そのため、上記のような着色し、色調が悪化した吸水性樹脂は、製品用途、特に、主用途である衛生材料用途に不適であるとの問題がある。
上記のような着色は、し尿等の体液由来の物質の残存物や、吸水性樹脂の製造過程での熱劣化等に起因するものと本発明者らは推測した。そこで、本発明者らは、吸水性樹脂のリサイクル過程において、し尿等の体液由来の物質を出来る限り除去すること、および、製造工程の条件変更等により製造過程での熱劣化を抑制することを試みた。しかしながら、係る試みによる着色の抑制効果は十分なものではなく、さらなる着色の改善の必要があった。
係る課題についてさらに鋭意検討した結果、本発明者らは、使用済吸水性樹脂のリサイクル過程において、当該使用済吸水性樹脂をさらに漂白および/または白色顔料を添加することにより、換言すれば、リサイクル過程において漂白工程および/または白色顔料添加工程を実施することにより、着色が十分に抑制された(換言すれば、色調の改善された)リサイクル吸水性樹脂を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。このような、着色が抑制されたリサイクル吸水性樹脂は、環境負荷の低いリサイクル吸水性樹脂でありながら、通常の(未使用の)吸水性樹脂と遜色なく、製品用途(例えば、衛生材料用途)に好適に利用することができる。
〔1-2〕第1の実施形態に係るリサイクル吸水性樹脂の製造方法
本発明の第1の実施形態において、使用済み吸収性物品、または、吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物、から回収された吸水性樹脂からリサイクル吸水性樹脂を製造する方法であって、前記吸水性樹脂を漂白する漂白工程、および/または、前記吸水性樹脂に白色顔料を添加する白色顔料添加工程を含む、リサイクル吸水性樹脂の製造方法を提供する。以下において、「本発明の第1の実施形態に係るリサイクル吸水性樹脂の製造方法を、「本第1の製造方法」と称する場合がある。
本発明の第1の実施形態において、使用済み吸収性物品、または、吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物、から回収された吸水性樹脂からリサイクル吸水性樹脂を製造する方法であって、前記吸水性樹脂を漂白する漂白工程、および/または、前記吸水性樹脂に白色顔料を添加する白色顔料添加工程を含む、リサイクル吸水性樹脂の製造方法を提供する。以下において、「本発明の第1の実施形態に係るリサイクル吸水性樹脂の製造方法を、「本第1の製造方法」と称する場合がある。
本第1の製造方法によれば、着色が抑制されたリサイクル吸水性樹脂を提供することができる。なお、吸水性樹脂(リサイクル吸水性樹脂)の「着色」の度合いは、実施例に記載の方法で測定ないし評価することができる。
〔1-2-1〕吸収性物品
本明細書における「吸収性物品」とは、吸水用途に用いられる物品を意図する。「吸収性物品」の一例としては、吸水性樹脂および繊維状物質を含む吸収体、通液性を有する表面シート、および液不透過性を有する背面シートを備える吸収性物品が挙げられる。前記吸収体は、吸水性樹脂と繊維状物質とをブレンドするか、または、吸水性樹脂を繊維状物質で挟み込み、フィルム状、筒状、シート状等の形状に成型することにより好適に製造される。ここで、前記繊維状物質としては、親水性繊維、例えば、粉砕された木材パルプ、コットンリンター、架橋セルロース繊維、レーヨン、綿、羊毛、アセテート、ビニロン等が挙げられる。「吸収性物品」の具体例としては、紙おむつ、生理用ナプキン、成人向け失禁用製品(失禁パッド)、ペット用シート等の衛生材料(衛生用品)が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書における「吸収性物品」とは、吸水用途に用いられる物品を意図する。「吸収性物品」の一例としては、吸水性樹脂および繊維状物質を含む吸収体、通液性を有する表面シート、および液不透過性を有する背面シートを備える吸収性物品が挙げられる。前記吸収体は、吸水性樹脂と繊維状物質とをブレンドするか、または、吸水性樹脂を繊維状物質で挟み込み、フィルム状、筒状、シート状等の形状に成型することにより好適に製造される。ここで、前記繊維状物質としては、親水性繊維、例えば、粉砕された木材パルプ、コットンリンター、架橋セルロース繊維、レーヨン、綿、羊毛、アセテート、ビニロン等が挙げられる。「吸収性物品」の具体例としては、紙おむつ、生理用ナプキン、成人向け失禁用製品(失禁パッド)、ペット用シート等の衛生材料(衛生用品)が挙げられるがこれらに限定されない。
本第1の製造方法における「使用済み吸収性物品」とは、任意の液体(被吸収液)、特に、尿、血液等の体液を吸収した状態の吸収性物品(特に、衛生材料)を意図する。
〔1-2-2〕吸水性樹脂
本明細書において「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であって、通常、体積の10倍以上1000倍以下の吸水倍率を有する慣用の吸水性樹脂を意図する。より具体的には、被吸収液を吸液する前の吸水性樹脂は、「水膨潤性」として、ERT441.2-02で規定されるCRCが5g/g以上の物性を満たし、「水膨潤性」として、ERT470.2-02で規定されるExt(水可溶分)が0質量%以上50質量%以下の物性を満たすことが好ましい。
吸水性樹脂の具体例としては、ポリアクリル酸(塩)系樹脂、ポリスルホン酸(塩)系樹脂、無水マレイン酸(塩)系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリアスパラギン酸(塩)系樹脂、ポリグルタミン酸(塩)系樹脂、ポリアルギン酸(塩)系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル酸塩架橋重合体、(メタ)アクリル酸エステル-酢酸ビニル共重合体のケン化物架橋体、デンプン-アクリル酸塩グラフト重合体およびその架橋物等が挙げられる。
本明細書において「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であって、通常、体積の10倍以上1000倍以下の吸水倍率を有する慣用の吸水性樹脂を意図する。より具体的には、被吸収液を吸液する前の吸水性樹脂は、「水膨潤性」として、ERT441.2-02で規定されるCRCが5g/g以上の物性を満たし、「水膨潤性」として、ERT470.2-02で規定されるExt(水可溶分)が0質量%以上50質量%以下の物性を満たすことが好ましい。
吸水性樹脂の具体例としては、ポリアクリル酸(塩)系樹脂、ポリスルホン酸(塩)系樹脂、無水マレイン酸(塩)系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリアスパラギン酸(塩)系樹脂、ポリグルタミン酸(塩)系樹脂、ポリアルギン酸(塩)系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル酸塩架橋重合体、(メタ)アクリル酸エステル-酢酸ビニル共重合体のケン化物架橋体、デンプン-アクリル酸塩グラフト重合体およびその架橋物等が挙げられる。
〔1-2-3〕吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物
本明細書における「吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物」とは、吸水性樹脂の製造過程で生じる、何らかの理由により(例えば、吸水特性、色調等が規格外であるために)製品用途から排除された吸水性樹脂を意図し、通常は廃棄されているために、「廃棄物」と称している。「吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物」の一例としては、吸水性樹脂の製造過程で生じる微粉、ゲル、および、過度に粒径が大きいかまたは過度に小さい吸水性樹脂の粒子等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書における「吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物」とは、吸水性樹脂の製造過程で生じる、何らかの理由により(例えば、吸水特性、色調等が規格外であるために)製品用途から排除された吸水性樹脂を意図し、通常は廃棄されているために、「廃棄物」と称している。「吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物」の一例としては、吸水性樹脂の製造過程で生じる微粉、ゲル、および、過度に粒径が大きいかまたは過度に小さい吸水性樹脂の粒子等が挙げられるが、これらに限定されない。
〔1-2-4〕リサイクル吸水性樹脂
本明細書における「リサイクル吸水性樹脂」とは、使用済みの吸収性物品中から回収される、し尿等の被吸収液を含む吸水性樹脂、および/または、吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物より回収される吸水性樹脂を、吸水機能が必要な用途のためにリサイクルしてなる吸水性樹脂を意図する。本明細書において、このような使用済みの吸収物品中または吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物から回収された吸水性樹脂、換言すれば、リサイクルに供される吸水性樹脂を、「回収吸水性樹脂」と称する場合がある。
本明細書における「リサイクル吸水性樹脂」とは、使用済みの吸収性物品中から回収される、し尿等の被吸収液を含む吸水性樹脂、および/または、吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物より回収される吸水性樹脂を、吸水機能が必要な用途のためにリサイクルしてなる吸水性樹脂を意図する。本明細書において、このような使用済みの吸収物品中または吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物から回収された吸水性樹脂、換言すれば、リサイクルに供される吸水性樹脂を、「回収吸水性樹脂」と称する場合がある。
通常、回収吸水性樹脂は、吸水性能を持たないか、あるいは、吸水性能が非常に低い場合があり、また、体液に由来する、もしくは、吸水性樹脂の製造過程で生じる不純物を多く含む場合がある。そのため、回収吸水性樹脂は、吸収性物品等の吸水目的の製品用途には使用されず、廃棄、燃料としてサーマルリサイクル、またはコンポスト化するなどして処理されている。一方で、「リサイクル吸水性樹脂」は、回収吸水性樹脂由来の吸水性樹脂でありながら、吸水目的で再度使用できるよう回収吸水性樹脂の吸液性能を回復させてなる吸水性樹脂である。換言すれば、「リサイクル吸水性樹脂」は、回収吸水性樹脂を原料とする吸水性樹脂であって、吸水性能を有し、吸収性物品等の製品用途に使用可能な吸水性樹脂を意図する。
〔1-2-5〕洗浄工程
本第1の製造方法は、回収吸水性樹脂を洗浄する洗浄工程を含む。本第1の製造方法に係る洗浄工程は、回収吸水性樹脂の膨潤ゲルの粒子間、粒子表面等に存在している不純物(例えば、し尿等の体液、製造過程で生じた不純物等)を、洗浄液で洗浄する(洗浄処理する)ことによって取り除く工程であるとも言える。具体的な回収吸水性樹脂の洗浄方法としては、例えば、回収吸水性樹脂に洗浄液を添加する方法、回収吸水性樹脂を洗浄液に浸漬させる方法、回収吸水性樹脂を洗浄液に浸漬させながら撹拌する方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
本第1の製造方法は、回収吸水性樹脂を洗浄する洗浄工程を含む。本第1の製造方法に係る洗浄工程は、回収吸水性樹脂の膨潤ゲルの粒子間、粒子表面等に存在している不純物(例えば、し尿等の体液、製造過程で生じた不純物等)を、洗浄液で洗浄する(洗浄処理する)ことによって取り除く工程であるとも言える。具体的な回収吸水性樹脂の洗浄方法としては、例えば、回収吸水性樹脂に洗浄液を添加する方法、回収吸水性樹脂を洗浄液に浸漬させる方法、回収吸水性樹脂を洗浄液に浸漬させながら撹拌する方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
洗浄工程で使用する洗浄液としては、不純物を洗浄でき、かつ、回収吸水性樹脂を変質させない水性の液体であれば特に限定されないが、後述する脱水工程において回収吸水性樹脂の膨潤ゲルを脱水する際に、より多くの不純物、特に回収吸水性樹脂内部の不純物をより多く除去できることから、回収吸水性樹脂が当該洗浄液を吸水し、膨潤できるものが好ましい。このような洗浄液としては、例えば、脱イオン水、水道水、蒸留水、生理食塩水、海水などが挙げられる。また、これらの洗浄液は、回収吸水性樹脂を変質させない範囲で、界面活性剤、消泡剤等の添加剤を含むものであってもよい。
洗浄工程における洗浄液の温度は、特に限定されず、室温から100℃までのものが使用でき、また、洗浄液のスチームを使用することもできる。60℃以上の高温の洗浄液または洗浄液のスチームを使用する場合は、洗浄効果に加え、殺菌効果も期待できるため好ましい。
洗浄工程における洗浄液の使用量(総使用量)は、回収吸水性樹脂を十分に洗浄できる限り特に限定されないが、例えば、回収吸水性樹脂100質量部に対して、2,000質量部以上であることが好ましく、10,000質量部以上であることが好ましく、100,000質量部以上さらに好ましい。
本第1の製造方法においては、洗浄工程を少なくとも1回実施すればよいが、洗浄工程を複数回実施することもできる。例えば、1回目の洗浄工程および続く脱水工程を実施した後、さらに2回目以降の洗浄工程を実施してもよい。
〔1-2-6〕脱水工程
本第1の製造方法は、回収吸水性樹脂、好ましくは、洗浄工程後の回収吸水性樹脂を脱水する脱水工程を含む。本第1の製造方法に係る脱水工程は、回収吸水性樹脂(好ましくは、回収吸水性樹脂の膨潤ゲル)を脱水する(脱水処理する)ことにより、吸水性樹脂内部に存在している不純物を、水分と共に系外に排出させる工程であるとも言える。
本第1の製造方法は、回収吸水性樹脂、好ましくは、洗浄工程後の回収吸水性樹脂を脱水する脱水工程を含む。本第1の製造方法に係る脱水工程は、回収吸水性樹脂(好ましくは、回収吸水性樹脂の膨潤ゲル)を脱水する(脱水処理する)ことにより、吸水性樹脂内部に存在している不純物を、水分と共に系外に排出させる工程であるとも言える。
本第1の製造方法に係る脱水工程において、回収吸水性樹脂を脱水する方法は特に限定されず、(例えば洗浄に使用した水性液を)吸液した状態の膨潤している回収吸水性樹脂の含水率を低減させることが可能な方法であれば特に限定されない。具体的な脱水方法としては、例えば、回収吸水性樹脂の膨潤ゲルを、親水性有機溶剤を含む水溶液、低pH(例えば3以下)の水溶液、および、多価金属塩(例えば、塩化カルシウム)の水溶液等の各種の脱水液と接触させる方法、ならびに、前記膨潤ゲルに一対の電極を用いて電圧を印加する方法、などが挙げられる。回収吸水性樹脂の膨潤ゲルと、上記の各種の脱水液とを接触させる方法としては、膨潤状態の回収吸水性樹脂ゲル(膨潤ゲル)に上記液を添加する方法、膨潤ゲルを上記液に浸漬させる方法、膨潤ゲルを上記液に浸漬させながら撹拌する方法などが挙げられるが、これらに限定されない。
脱水工程において、親水性有機溶剤を含む水溶液に回収吸水性樹脂の膨潤ゲルを浸漬する場合、回収吸水性樹脂を浸漬させる水溶液中の親水性有機溶剤の濃度は、35質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、親水性有機溶剤とは、20℃の水100mLに対する溶解度が20g以上の有機溶剤を意図する。親水性有機溶剤としては、20℃の水100mLに対する溶解度が25g以上であるものがより好ましく、20℃の水100mLに対する溶解度が30g以上であるものがさらに好ましい。
このような親水性有機溶媒の具体例としては、(1)メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール等の低級アルコール類;(2)アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;(3)テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、および、(4)酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類が挙げられる。これらの親水性有機溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
脱水工程において、低pH(例えば3以下)の水溶液に吸水性樹脂の膨潤ゲルを浸漬する場合、当該水溶液のpHは、3以下であることが好ましく、0.5以上2.5以下であることがより好ましい。前記水溶液としては、酸を含む水溶液を好適に使用できる。このような酸としては、無機酸、有機酸のいずれも使用可能である。無機酸の場合、例えば、塩酸、硫酸などが使用できる。有機酸の場合、例えば、酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、酢酸などが使用できる。これらの酸は、1種類を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
脱水工程において、回収吸水性樹脂の膨潤ゲルを多価金属塩水溶液と接触させる場合、多価金属塩としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の金属と、塩素、炭酸、酢酸等との塩が挙げられる。これらの多価金属塩は、1種類を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
本第1の製造方法においては、脱水工程を少なくとも1回実施すればよいが、脱水工程を複数回実施することもできる。また、脱水工程は、洗浄工程の後に行うことが好ましい。
〔1-2-7〕漂白工程
本第1の製造方法は、回収吸水性樹脂を漂白する漂白工程を含むことが好ましい。
本第1の製造方法は、回収吸水性樹脂を漂白する漂白工程を含むことが好ましい。
漂白工程において、回収吸水性樹脂を漂白する方法は特に限定されないが、例えば、回収吸水性樹脂に漂白剤を直接、水溶液またはスラリー状の状態で添加する方法、漂白剤を溶解させた水溶液中に回収吸水性樹脂を浸漬する方法、回収吸水性樹脂と、漂白剤と、任意で水とを反応容器中に添加し、撹拌翼等で攪拌混合する方法等が挙げられる。
中でも、漂白効率の観点から、漂白工程においては、回収吸水性樹脂に漂白剤を添加することで回収吸水性樹脂を漂白することが好ましい。
中でも、漂白効率の観点から、漂白工程においては、回収吸水性樹脂に漂白剤を添加することで回収吸水性樹脂を漂白することが好ましい。
漂白工程において使用し得る漂白剤としては、特に限定されないが、例えば、(a1)塩素、次亜塩素酸(塩)、二酸化塩素などの塩素系漂白剤、または(a2)酸素、過酸化水素、オゾン、過酢酸(塩)、過炭酸(塩)、過ホウ酸(塩)などの酸素系漂白剤に例示される、着色の原因物質を酸化分解して除去することにより漂白効果を示す、酸化漂白剤;またはハイドロサルファイト、ソジウムボロハイドライト、二酸化チオ尿素等に例示される、着色の原因物質の結合部位である二重結合部分に水素を付加させて、二重結合を消失させることで消臭効果を示す還元漂白剤;を、好適な消臭剤として例示することができる。これらの漂白剤は、1種類を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。ただし、互いの酸化作用および還元作用を相殺してしまうことから、酸化漂白剤と還元漂白剤を併用することは好ましくない。すなわち、漂白工程においては、酸化漂白剤または還元漂白剤(何れか一方)を用いて、回収吸水性樹脂を漂白することが好ましい。
漂白工程において、漂白剤を用いて回収吸水性樹脂を漂白する場合、漂白剤の添加量は特に限定されないが、回収吸水性樹脂100質量部に対して、漂白剤を0.01質量部以上100質量部以下添加することが好ましく、0.05質量部以上50質量部以下添加することが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下添加することがさらに好ましい。漂白剤の使用量を上記の範囲に制御することにより、回収吸水性樹脂の着色を十分に抑制しつつ、さらに漂白剤による回収吸水性樹脂の分解を抑制することができる。
漂白工程を実施する温度、換言すれば、漂白工程中の回収吸水性樹脂と漂白剤の混合物の温度は、特に限定されないが、効率的な漂白作用を発現させる観点から、10℃以上120℃以下であることが好ましく、20℃以上110℃以下であることがより好ましく、30℃以上100℃以下であることがさらに好ましい。
漂白工程を実施するpH、換言すれば、漂白工程中の回収吸水性樹脂と漂白剤の混合物のpHは、漂白剤の種類によって最も漂白効果を示すpH領域が異なるため、一概には規定できないが、低pHまたは高pH条件下での回収吸水性樹脂の分解を抑制する観点から、pHが3以上12以下の条件下で漂白工程を実施すること(換言すれば、pH3未満またはpH12超の条件下での漂白処理を避けること)が好ましい。すなわち、漂白工程においては、pHが3以上12以下となるように(換言すれば、pH3未満またはpH12超とならないように)、上記混合物のpHを調整することが好ましい。
漂白工程においては、上記の漂白剤に加えて、漂白剤の効果を増進させる作用を有する漂白活性増加剤を回収吸水性樹脂に添加してもよい。漂白活性増加剤をさらに添加することにより、より着色の抑制された回収吸水性樹脂を提供することができる。
漂白工程において使用し得る漂白活性増加剤としては、具体的には、TAED(テトラアセチルエチレンジアミン)、NOBS(ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸)、DOBA(デカノイルオキシ安息香酸)、PAG(ペンタアセチルグルコース)等が挙げられる。これらの漂白活性増加剤は、1種類を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
本第1の製造方法において、漂白工程を実施するタイミングは、特に限定されず、任意のタイミングで実施することができるが、洗浄工程および脱水工程での漂白剤の流出を防止できることから、脱水工程の後(脱水工程を複数回実施する場合は、最後の脱水工程の後)に実施することが好ましい。また、回収吸水性樹脂と漂白剤との分子レベルでの接触確率を向上し、より効率的に漂白を行う観点からは、漂白工程を、乾燥工程の前に実施することが好ましい。すなわち、本第1の製造方法においては、漂白工程を、脱水工程と乾燥工程との間で行うことが好ましい。
〔1-2-8〕白色顔料添加工程
本第1の製造方法は、回収吸水性樹脂に白色顔料を添加する白色顔料添加工程を含む好ましい。
本第1の製造方法は、回収吸水性樹脂に白色顔料を添加する白色顔料添加工程を含む好ましい。
白色顔料添加工程において使用し得る白色顔料としては、光を散乱反射することで、吸水性樹脂の色調をより白く見せかけることができる限り特に限定されないが、例えば亜鉛華、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、沈降性炭酸カルシウム、胡粉、石膏、アルミナ白、クレー、シリカ、滑石粉、珪酸カルシウム、鉛白、鉛亜鉛華、リトポン、硫化亜鉛、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、アンチモン白、酸化ジルコン、酸化錫、メタホウ酸バリウムまたは炭酸マグネシウムを、好適な白色顔料として例示することができる。これらの白色顔料は、1種類を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
上記の白色顔料の中でも、得られるリサイクル吸水性樹脂の吸水特性への悪影響が少なく、かつ比較的安価であることから、酸化チタンまたはシリカが好ましい。
白色顔料添加工程における、白色顔料の添加量は特に限定されないが、色調改善効果とコスト面とのバランスの観点から、回収吸水性樹脂100質量部に対して、白色顔料を0.01質量部以上10質量部以下添加することが好ましく、0.05質量部以上5質量部以下添加することが好ましく、0.1質量部以上1質量部以下添加することがさらに好ましい。
白色顔料添加工程において、回収吸水性樹脂に白色顔料を添加する方法としては、回収吸水性樹脂に白色顔料を直接、水溶液またはスラリー状の状態で添加する方法、回収吸水性樹脂と、白色顔料と、任意で水と、を反応容器中に添加し、撹拌翼等で撹拌混合する方法などが挙げられるが、これらに限定されない。
本第1の製造方法において、白色顔料添加工程を実施するタイミングは、特に限定されず、任意のタイミングで実施することができるが、洗浄工程および脱水工程での白色顔料の流出を防止できることから、脱水工程の後(脱水工程を複数回実施する場合は、最後の脱水工程の後)に実施することが好ましい。白色顔料添加工程を脱水工程の後に実施する場合、後述する乾燥工程の前、または、乾燥工程の後の何れのタイミングでも実施することができるが、白色顔料の劣化や飛散を抑制できることから、乾燥工程の後に実施されることが好ましい。すなわち、本第1の製造方法においては、白色顔料添加工程を、乾燥工程後に行うことが好ましい。また、白色顔料添加工程は、上記の消臭剤添加工程と同時に実施されてもよい。
着色が抑制されたリサイクル吸水性樹脂を提供する観点からは、本第1の製造方法は、上記の漂白工程および白色顔料添加工程のうちの少なくとも一方の工程を含むものであればよいが、より着色が抑制されたリサイクル吸水性樹脂を提供する観点からは上記の漂白工程および白色顔料添加工程の両方を含むことが好ましい。
〔1-2-9〕乾燥工程
本第1の製造方法は、回収吸水性樹脂を乾燥する乾燥工程を含む。乾燥工程は、水分を含んだ状態の回収吸水性樹脂を、所望する樹脂固形分まで乾燥させる工程である。なお、吸水性樹脂の樹脂固形分は、当該吸水性樹脂の乾燥減量(当該吸水性樹脂1gを180℃で3時間加熱した前後の質量変化)から求められ、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上99質量%以下、更に好ましくは90質量%以上98質量%以下、特に好ましくは92質量%以上97質量%以下である。
本第1の製造方法は、回収吸水性樹脂を乾燥する乾燥工程を含む。乾燥工程は、水分を含んだ状態の回収吸水性樹脂を、所望する樹脂固形分まで乾燥させる工程である。なお、吸水性樹脂の樹脂固形分は、当該吸水性樹脂の乾燥減量(当該吸水性樹脂1gを180℃で3時間加熱した前後の質量変化)から求められ、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上99質量%以下、更に好ましくは90質量%以上98質量%以下、特に好ましくは92質量%以上97質量%以下である。
乾燥工程において、回収吸水性樹脂を乾燥する方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸脱水による乾燥、高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられる。これらの中でも、乾燥効率の観点から、乾燥方法としては、熱風乾燥が好ましく、通気ベルト上で熱風乾燥を行うバンド乾燥がより好ましい。また、乾燥工程においてはこれらの乾燥方法のうち1種類のみを実施してもよく、二種以上を組み合わせて実施してもよい。
乾燥工程において熱風乾燥を実施する場合、熱風乾燥における乾燥温度(熱風の温度)としては、得られるリサイクル吸水性樹脂の色調、乾燥効率等の観点から、好ましくは120℃以上250℃以下、より好ましくは150℃以上200℃以下である。なお、熱風の風速および乾燥時間等、上記乾燥温度以外の乾燥条件については、乾燥に供する回収吸水性樹脂の含水率、総質量および目的とする樹脂固形分に応じて、適宜設定することができる。また、バンド乾燥を行う際には、公知の乾燥条件、例えば、国際公開第2006/100300号、同第2011/025012号、同第2011/025013号、同第2011/111657号等に記載される条件を、乾燥条件として適宜適用することができる。
〔1-2-10〕再生工程
本第1の製造方法に供される回収吸水性樹脂は、吸水性能を持たないか、あるいは、吸水性能が非常に低い場合がある(特に、回収吸水性樹脂が、使用済吸収性物品由来の回収吸水性樹脂である場合)が、再生工程に当該回収吸水性樹脂を供することにより、当該回収吸水性樹脂に十分な(製品用途に足る)吸水性能を付加(再生)することができる。
本第1の製造方法に供される回収吸水性樹脂は、吸水性能を持たないか、あるいは、吸水性能が非常に低い場合がある(特に、回収吸水性樹脂が、使用済吸収性物品由来の回収吸水性樹脂である場合)が、再生工程に当該回収吸水性樹脂を供することにより、当該回収吸水性樹脂に十分な(製品用途に足る)吸水性能を付加(再生)することができる。
再生工程における回収吸水性樹脂の再生方法としては、回収吸水性樹脂の吸水能力を復活させるものであれば特に制限はない。例えば、吸尿した回収吸水性樹脂に多価金属塩を接触させて脱水した後、酸性液で処理し、アルカリ金属塩で中和した後に乾燥する方法(特開2003-225645);吸尿した回収吸水性樹脂を、親水性有機溶剤を含む溶液に接触させて脱水した後に乾燥する方法(特開2003-326161);吸尿した吸水性樹脂に多価金属塩を接触させて脱水した後、アルカリ金属塩水溶液で処理してイオン交換処理した後に乾燥する方法(特開2013-198862);吸尿した回収吸水性樹脂を酸性の水溶液と接触させて脱水した後、アルカリ金属塩で中和し、乾燥する方法(特開2019-135046など);など公知の再生方法を使用できる。
〔1-2-11〕破砕(裁断)工程
本第1の製造方法は、使用済み吸収性物品を破砕(裁断)して破砕物(裁断物)とする破砕(裁断)工程を含んでもよい。
本第1の製造方法は、使用済み吸収性物品を破砕(裁断)して破砕物(裁断物)とする破砕(裁断)工程を含んでもよい。
破砕(裁断)工程において、使用済み吸収性物品を破砕(裁断)する方法としては、特に限定されず、カッター等の切断工具を用いて切断する方法等が挙げられる。破砕(裁断)工程を行うことにより、吸収性物品中の回収吸水性樹脂と洗浄水、脱水液等との接触機会を増大させることができる。それにより、洗浄効果、脱水効果ならびにこれらの速度等を高めることができる。また、後述する分離工程における使用済みの吸収性物品からの吸水性樹脂、パルプ、不織布等の各部材の分離を容易にすることもできる。
本第1の製造方法において、破砕(裁断)工程を実施するタイミングは、特に限定されないが、例えば、上記の脱水工程の後に行うことが好ましく、上記の脱水工程と、上記の消臭剤添加工程の間に実施することがより好ましい。
〔1-2-12〕分離工程
本第1の製造方法は、使用済みの吸収性物品から吸水性樹脂を分離する分離工程を含んでもよい。「使用済みの吸収性物品から吸水性樹脂を分離する」とは、被吸収液を排出することにより収縮した吸水性樹脂を、使用済みの吸収性物品に含まれるパルプ、不織布等の隙間から取り出し、処理液中に分散させることを指す。
本第1の製造方法は、使用済みの吸収性物品から吸水性樹脂を分離する分離工程を含んでもよい。「使用済みの吸収性物品から吸水性樹脂を分離する」とは、被吸収液を排出することにより収縮した吸水性樹脂を、使用済みの吸収性物品に含まれるパルプ、不織布等の隙間から取り出し、処理液中に分散させることを指す。
使用済みの吸収性物品から吸水性樹脂を分離する方法としては、例えば、処理液と使用済みの吸収性物品との混合物を撹拌する方法が挙げられる。処理液中に分散された吸水性樹脂は、可溶性物質と不溶性物質とを分離する慣用の固液分離手段、例えば、ろ過、遠心分離等により回収することができる。
本第1の製造方法において、分離工程を実施するタイミングは、特に限定されないが、例えば、上記の脱水工程の後に行うことが好ましく、上記の脱水工程と、上記の消臭剤添加工程の間に実施することがより好ましい。また、上記の破砕(裁断)工程と、分離工程を並行して実施することもできる。
〔1-2-13〕その他の工程
本第1の製造方法は、上記の各工程に加えて、得られるリサイクル吸水性樹脂を分級する分級工程、得られるリサイクル吸水性樹脂を表面架橋する表面架橋工程、回収吸水性樹脂を消毒および/または殺菌する消毒・殺菌工程等の通常の吸水性樹脂の製造過程で実施されうる任意の工程(その他の工程)を含むものであってもよい。なお、本第1の製造方法におけるその他の工程の具体的態様としては、例えば、後述する第2の実施形態の分級工程項、表面架橋工程項等に記載の態様を適宜採用することができる。
本第1の製造方法は、上記の各工程に加えて、得られるリサイクル吸水性樹脂を分級する分級工程、得られるリサイクル吸水性樹脂を表面架橋する表面架橋工程、回収吸水性樹脂を消毒および/または殺菌する消毒・殺菌工程等の通常の吸水性樹脂の製造過程で実施されうる任意の工程(その他の工程)を含むものであってもよい。なお、本第1の製造方法におけるその他の工程の具体的態様としては、例えば、後述する第2の実施形態の分級工程項、表面架橋工程項等に記載の態様を適宜採用することができる。
〔1-2-14〕本第1の製造方法により得られるリサイクル吸水性樹脂の着色性(黄色度/YI値)
本第1の製造方法により得られるリサイクル吸水性樹脂のYI値は、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましく、16以下であることがさらに好ましい。また、YI値の下限は特に限定されず、0であってもよい。吸水性樹脂のYI値は、当該吸水性樹脂の着色性を示す指標であり、リサイクル吸水性樹脂のYI値が上記の範囲内であることは、当該リサイクル吸水性樹脂の着色がより抑制されていることを意味する。なお、吸水性樹脂(リサイクル吸水性樹脂)のYI値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本第1の製造方法により得られるリサイクル吸水性樹脂のYI値は、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましく、16以下であることがさらに好ましい。また、YI値の下限は特に限定されず、0であってもよい。吸水性樹脂のYI値は、当該吸水性樹脂の着色性を示す指標であり、リサイクル吸水性樹脂のYI値が上記の範囲内であることは、当該リサイクル吸水性樹脂の着色がより抑制されていることを意味する。なお、吸水性樹脂(リサイクル吸水性樹脂)のYI値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔1-2-15〕本第1の製造方法により得られる吸水性樹脂の吸水物性
本第1の製造方法により得られるリサイクル吸水性樹脂の吸水物性としては、CRCが25g/g以上であることが好ましく、30g/g以上であることがより好ましく、35g/g以上であることがさらに好ましく、40g/g以上であることがよりさらに好ましい。また、AAP(0.3psi)が10g/g以上であることが好ましく、15g/g以上であることがより好ましく、20g/g以上であることがより好ましく、22g/g以上であることがより好ましく、24g/g以上であることがさらに好ましく、26g/g以上であることがよりさらに好ましい。吸水性樹脂(リサイクル吸水性樹脂)のCRCおよび/またはAAP(0.3psi)が上記の範囲であることは、当該吸水性樹脂(リサイクル吸水性樹脂)が優れた吸水性を有することを意味する。なお、吸水性樹脂(リサイクル吸水性樹脂)のCRCおよびAAP(0.3psi)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本第1の製造方法により得られるリサイクル吸水性樹脂の吸水物性としては、CRCが25g/g以上であることが好ましく、30g/g以上であることがより好ましく、35g/g以上であることがさらに好ましく、40g/g以上であることがよりさらに好ましい。また、AAP(0.3psi)が10g/g以上であることが好ましく、15g/g以上であることがより好ましく、20g/g以上であることがより好ましく、22g/g以上であることがより好ましく、24g/g以上であることがさらに好ましく、26g/g以上であることがよりさらに好ましい。吸水性樹脂(リサイクル吸水性樹脂)のCRCおよび/またはAAP(0.3psi)が上記の範囲であることは、当該吸水性樹脂(リサイクル吸水性樹脂)が優れた吸水性を有することを意味する。なお、吸水性樹脂(リサイクル吸水性樹脂)のCRCおよびAAP(0.3psi)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔1-2-16〕「EDANA」および「ERT」
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称である。また、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明の一実施形態では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称である。また、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明の一実施形態では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
〔1-2-17〕その他
本明細書において、特記しない限り、「ppm」は、「質量ppm」を意味する。
本明細書において、特記しない限り、「ppm」は、「質量ppm」を意味する。
本明細書において、「~酸(塩)」は「~酸および/またはその塩」を意味する。「(メタ)アクリル」は「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味する。
本明細書においては、体積の単位「リットル」を「l」または「L」と表記する場合がある。
<2.リサイクル吸水性樹脂を原料の一部として含む吸水性樹脂の製造方法>
〔2-1〕第2の実施形態の技術思想
実際の使用済み吸収性物品のリサイクル現場では、様々な種類、メーカー等の衛生材料をまとめてリサイクル処理する。よって、そこから回収される吸水性樹脂も様々なメーカー、性能のものが混合されたものとなるため、安定した吸水性能を有するリサイクル吸水性樹脂を得ることは困難である。
〔2-1〕第2の実施形態の技術思想
実際の使用済み吸収性物品のリサイクル現場では、様々な種類、メーカー等の衛生材料をまとめてリサイクル処理する。よって、そこから回収される吸水性樹脂も様々なメーカー、性能のものが混合されたものとなるため、安定した吸水性能を有するリサイクル吸水性樹脂を得ることは困難である。
一方、衛生材料用の吸水性樹脂は、様々な用途、要求特性等に対応するために、吸水倍率、加圧下吸水倍率、通液性など各種吸水特性のバランスを高度に調整したものとなっている。換言すれば、衛生材料用の吸水性樹脂には、各種吸水特性のバランスに優れることが要求される。しかしながら、上記のように、リサイクル吸水性樹脂は吸水特性が不安定な場合が多く、リサイクル吸水性樹脂を衛生材料用途に使用するには、吸水特性バランスを調整する必要がある。
そこで発明者らは、上記のように吸水特性が不安定なリサイクル吸水性樹脂を、新たに吸水性樹脂を製造する際の使用原料の一部に混ぜ込んで使用することにより、物性バランスの調整が容易になると考えた。なお、「新たに吸水性樹脂を製造する」とは、吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする従来(通常)の吸水性樹脂の製造を示している。この場合、従来(通常)の吸水性樹脂には、前記のリサイクル吸水性樹脂を一部含む樹脂も、リサイクルで生成した単量体を原料の一部に利用する吸水性樹脂も含まれない。
そして、原料の一部たるリサイクル吸水性樹脂として、上記の第1の製造方法により製造されたリサイクル吸水性樹脂を用いることにより、吸水特性のバランスに優れ、かつ、着色の抑制された、リサイクル吸水性樹脂を原料の一部として含む吸水性樹脂が得られることを見出し本発明の第2の実施形態を完成させた。
〔2-2〕第2の実施形態に係る吸水性樹脂の製造方法
本発明の第2の実施形態において、吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造過程において、本第1の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂を原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法を提供する。以下において、「本発明の第2の実施形態に係る吸収性樹脂の製造方法」を、「本第2の製造方法」と称する場合がある。
本発明の第2の実施形態において、吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造過程において、本第1の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂を原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法を提供する。以下において、「本発明の第2の実施形態に係る吸収性樹脂の製造方法」を、「本第2の製造方法」と称する場合がある。
本第2の製造方法によれば、吸水特性バランスに優れ、かつ、着色の抑制された、リサイクル吸水性樹脂を原料の一部として含む吸水性樹脂を提供することができる。
本第2の製造方法における、「吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造」とは、吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする、通常の(非リサイクルの)吸水性樹脂の製造方法、例えば、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程、ゲル乾燥工程、分級工程および表面架橋工程を含む、通常の(非リサイクルの)吸水性樹脂の製造方法を意図する。したがって、本第2の製造方法の一態様は、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程、ゲル乾燥工程、分級工程および表面架橋工程を含む吸水性樹脂の製造方法であって、回収吸水性樹脂を洗浄する洗浄工程、回収吸水性樹脂を脱水する脱水工程、回収吸水性樹脂を乾燥する乾燥工程、を含み、回収吸水性樹脂に消臭剤を添加する消臭剤添加工程を、脱水工程以後に行う、回収吸水性樹脂のリサイクル方法で得られるリサイクル吸水性樹脂(すなわち、本第1の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂)を原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法、と表現することもできる。
以下、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程、ゲル乾燥工程、分級工程および表面架橋工程を含む方法を例に挙げて、本第2の製造方法の具体的な態様について詳説する。
なお、本発明の第2の実施形態に係る「吸収性物品」、「吸水性樹脂」、「リサイクル吸水性樹脂」、ならびに本第1の製造方法(「洗浄工程」、「脱水工程」、「消臭剤添加工程」、「乾燥工程」、「抗菌剤添加工程」、「再生工程」、「破砕(裁断)工程」および「分離工程」)の定義および具体的な態様については、上述の第1の実施形態の記載を適宜援用する。
〔2-2-1〕単量体水溶液の調製工程
本第2の製造方法は、アクリル酸(塩)を主成分として含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を調製する単量体水溶液の調製工程を含むことが好ましい。なお、本第2の製造方法においては、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下しない範囲で、単量体水溶液に加え、単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では便宜上、単量体水溶液について説明を行う。
本第2の製造方法は、アクリル酸(塩)を主成分として含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を調製する単量体水溶液の調製工程を含むことが好ましい。なお、本第2の製造方法においては、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下しない範囲で、単量体水溶液に加え、単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では便宜上、単量体水溶液について説明を行う。
また、上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の使用量(含有量)が、吸水性樹脂の重合反応に供される単量体(換言すれば、単量体水溶液に含まれる単量体、ただし、内部架橋剤は除く)の全量100モル%中、50モル%以上であることを意味する。単量体の全量100モル%中のアクリル酸(塩)の含有量は、70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上(上限は100モル%)であることがより好ましい。
(アクリル酸)
本第2の製造方法における吸水性樹脂の原料たる単量体としては、得られる吸水性樹脂の物性および生産性の観点から、アクリル酸および/またはその塩(以下「アクリル酸(塩)」と称する)が用いられる。このような「アクリル酸」としては、公知のアクリル酸を使用することができる。
本第2の製造方法における吸水性樹脂の原料たる単量体としては、得られる吸水性樹脂の物性および生産性の観点から、アクリル酸および/またはその塩(以下「アクリル酸(塩)」と称する)が用いられる。このような「アクリル酸」としては、公知のアクリル酸を使用することができる。
また、「アクリル酸塩」は、アクリル酸を塩基性組成物で中和したものを意図する。アクリル酸塩は、市販のアクリル酸塩(例えば、アクリル酸ナトリウム)でもよいし、吸水性樹脂の製造プラント内で中和して得られたものでもよい。
(塩基性組成物)
本明細書において、「塩基性組成物」とは、塩基性化合物を含有する組成物を意図する。塩基性化合物としては、より具体的には、アルカリ金属の炭酸塩および/または炭酸水素塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。これらの中でも、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、強塩基性の塩基性化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
本明細書において、「塩基性組成物」とは、塩基性化合物を含有する組成物を意図する。塩基性化合物としては、より具体的には、アルカリ金属の炭酸塩および/または炭酸水素塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。これらの中でも、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、強塩基性の塩基性化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
(中和)
本第2の製造方法においては、アクリル酸の少なくとも一部を中和することが好ましい。本第2の製造方法における中和としては、アクリル酸に対する中和(重合前)またはアクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下、「後中和」と称する)の何れかを選択または併用することができる。また、これらの中和の様式は特に限定されず、連続式でもバッチ式でもよいが、生産効率等の観点から連続式が好ましい。
本第2の製造方法においては、アクリル酸の少なくとも一部を中和することが好ましい。本第2の製造方法における中和としては、アクリル酸に対する中和(重合前)またはアクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下、「後中和」と称する)の何れかを選択または併用することができる。また、これらの中和の様式は特に限定されず、連続式でもバッチ式でもよいが、生産効率等の観点から連続式が好ましい。
なお、中和を行う装置、中和温度、滞留時間等の条件については、国際公開第2009/123197号、米国特許出願公開第2008/0194863号等に記載された条件が本発明にも適用される。
本第2の製造方法における単量体(アクリル酸を含む酸基を有する単量体)の中和率は、単量体の酸基の全量100モル%中、好ましくは10モル%以上90モル%以下、より好ましくは40モル%以上85モル%以下、更に好ましくは50モル%以上80モル%以下、特に好ましくは60モル%以上75モル%以下である。中和率を10モル%以上とすることで、十分な吸水倍率を有する吸水性樹脂を提供でき、中和率を90モル%以下とすることで、加圧下吸水倍率のより高い吸水性樹脂を提供することができる。単量体水溶液が、単量体成分としてアクリル酸のみを含む場合を例に挙げて、当該単量体水溶液の中和率についてさらに説明する。この場合、単量体の中和率が75モル%であるとは、単量体水溶液に含まれる単量体成分が、アクリル酸25モル%とアクリル酸塩75モル%との混合物であることを意味する。このような混合物をアクリル酸部分中和物と称する場合もある。
上記中和率は、後中和の場合でも同様である。また、最終製品としての吸水性樹脂の中和率についても、上記中和率が適用される。また、本第2の製造方法においては、前記のリサイクル吸水性樹脂を原料の一部として吸水樹脂の製造に用いる。このようなリサイクル吸水性樹脂を原料の一部として吸水性樹脂の製造に用いる場合、当該リサイクル吸水性樹脂に塩基性化合物が含まれる可能性がある。そして、この塩基性化合物が重合前のアクリル酸または重合後の含水ゲル状架橋重合体を中和する可能性がある。したがって、このリサイクル吸水性樹脂に由来する塩基性化合物による中和を加味して、単量体水溶液中の単量体、含水ゲル状重合体および最終製品としての吸水性樹脂の中和(後中和)率を所定の範囲に調整する。
(他の単量体)
単量体水溶液は、上記アクリル酸(塩)以外の単量体(他の単量体)を含んでいてもよい。本第2の製造方法においては、このような他の単量体をアクリル酸(塩)と併用して吸水性樹脂を製造することができる。
単量体水溶液は、上記アクリル酸(塩)以外の単量体(他の単量体)を含んでいてもよい。本第2の製造方法においては、このような他の単量体をアクリル酸(塩)と併用して吸水性樹脂を製造することができる。
上記他の単量体としては、水溶性または疎水性の不飽和単量体が挙げられる。具体的には、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、ビニルスルホン酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート等のアニオン性不飽和単量体および/またはその塩を、上記他の単量体として好適に用いることができる。また、これらの他の単量体は、1種類を単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
(内部架橋剤)
単量体水溶液は、内部架橋剤を含むことが好ましい。単量体水溶液に含まれ得る内部架橋剤としては、例えば、米国特許第6241928号に記載された化合物を挙げることができる。これらの中から反応性を考慮して1種または2種以上の化合物を内部架橋剤として使用することができる。
単量体水溶液は、内部架橋剤を含むことが好ましい。単量体水溶液に含まれ得る内部架橋剤としては、例えば、米国特許第6241928号に記載された化合物を挙げることができる。これらの中から反応性を考慮して1種または2種以上の化合物を内部架橋剤として使用することができる。
また、得られる吸水性樹脂の吸水性能等の観点から、内部架橋剤としては、重合性不飽和基を2個以上有する化合物が好ましく、下記乾燥温度で熱分解性を有する化合物がより好ましく、(ポリ)アルキレングリコール構造単位を有する重合性不飽和基を2個以上する化合物がさらに好ましい。
上記重合性不飽和基としては、例えば、アリル基、(メタ)アクリレート基が好ましく、(メタ)アクリレート基がより好ましい。また、上記(ポリ)アルキレングリコール構造単位としては、ポリエチレングリコールが好ましく、n数としては1以上100以下が好ましく、6以上50以下がより好ましい。
上記内部架橋剤の使用量(単量体水溶液中の含有量)は、単量体全量に対して、好ましくは0.0001モル%以上10モル%以下、より好ましくは0.001モル%以上1モル%以下である。内部架橋剤の使用量を上記範囲内とすることにより、所望する吸水性能を有する吸水性樹脂が得られる。なお、内部架橋剤の使用量が0.0001モル%未満である場合、得られる吸水性樹脂のゲル強度が低下し水可溶分が過剰に増加する傾向にあり、内部架橋剤の使用量が10モル%超である場合、得られる吸水性樹脂の吸水倍率が低下する傾向にあるため、好ましくない。なお、上記単量体全体に対するモル%とは、上記単量体水溶液に含まれる単量体の総モル数に対する、上記内部架橋剤のモル数の百分率である。
第2の製造方法においては、所定量の(上記の範囲の)内部架橋剤を予め単量体水溶液に添加しておき、重合と同時に架橋反応を開始する方法が好ましく適用される。一方、当該方法以外に、重合中および/または重合後に内部架橋剤を添加して後架橋する方法;ラジカル重合開始剤を用いてラジカル架橋する方法;電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いた放射線架橋する方法等を採用することもできる。また、これらの方法を併用することもできる。
(重合禁止剤)
単量体水溶液は、重合禁止剤を、アクリル酸の重合性および吸水性樹脂の色調の観点から、好ましくは200ppm以下、より好ましくは10ppm以上160ppm以下、更に好ましくは20ppm以上100ppm以下を含むことが好ましい。重合禁止剤は、特に限定されないが、好ましくはメトキシフェノール類、より好ましくはp-メトキシフェノールである。
単量体水溶液は、重合禁止剤を、アクリル酸の重合性および吸水性樹脂の色調の観点から、好ましくは200ppm以下、より好ましくは10ppm以上160ppm以下、更に好ましくは20ppm以上100ppm以下を含むことが好ましい。重合禁止剤は、特に限定されないが、好ましくはメトキシフェノール類、より好ましくはp-メトキシフェノールである。
また、本第2の製造方法に係る単量体水溶液は、当該単量体水溶液中の各成分に由来する不純物を含むものであってもよい。例えば、アクリル酸に由来する不純物については、米国特許出願公開第2008/0161512号に記載された化合物に係る記載を、本発明の第2の実施形態にも適用することができる。
(その他の物質)
単量体水溶液は、得られる吸水性樹脂の物性向上の観点から、上記の各成分以外の物質(その他の物質)を含んでいてもよい。
単量体水溶液は、得られる吸水性樹脂の物性向上の観点から、上記の各成分以外の物質(その他の物質)を含んでいてもよい。
その他の物質としては、例えば、澱粉、澱粉誘導体、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子;および炭酸塩、アゾ化合物物等の発泡剤、界面活性剤、キレート剤、連鎖移動剤等のその他の添加剤を挙げることができる。
単量体水溶液がその他の物質として親水性高分子を含む場合、当該親水性高分子の含有量は、単量体水溶液の全量(100質量%)に対して、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下(下限は0質量%)であることが特に好ましい。また、単量体水溶液がその他の物質としてその他の添加剤を含む場合、当該その他の添加剤の含有量は、単量体水溶液の全量(100質量%)に対して、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下(下限は0質量%)であることがさらに好ましい。
また、上記のその他の物質は、後述する重合工程で反応系内に添加されてもよい。その場合、単量体水溶液中に含まれるその他の物質と、重合工程で反応系内に添加されるその他の物質との合計量が、上記の範囲であることが好ましい。
なお、親水性高分子として水溶性樹脂または吸水性樹脂を使用する場合には、グラフト重合体または吸水性樹脂組成物(例えば、澱粉-アクリル酸重合体、PVA-アクリル酸重合体等)が得られる。これらの重合体、吸水性樹脂組成物もまた、本発明の一態様の範疇である。
〔2-2-2〕重合工程
本第2の製造方法は、上記単量体水溶液の調製工程で得られた単量体水溶液中の単量体(特に、アクリル酸(塩)系単量体)を重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る重合工程を含むことが好ましい。
本第2の製造方法は、上記単量体水溶液の調製工程で得られた単量体水溶液中の単量体(特に、アクリル酸(塩)系単量体)を重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る重合工程を含むことが好ましい。
(重合開始剤)
重合工程においては、重合開始剤を用いて単量体の重合反応を実施することが好ましい。重合工程において使用する重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択されるため、特に限定されないが、例えば、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、またはこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第7265190号に開示された重合開始剤のうち、1種または2種以上を好適に用いることができる。なお、取扱性、および得られる吸水性樹脂の物性等の観点から、重合開始剤としては、過酸化物またはアゾ化合物が好ましく、過酸化物がより好ましく、過硫酸塩がさらに好ましい。
重合工程においては、重合開始剤を用いて単量体の重合反応を実施することが好ましい。重合工程において使用する重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択されるため、特に限定されないが、例えば、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、またはこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第7265190号に開示された重合開始剤のうち、1種または2種以上を好適に用いることができる。なお、取扱性、および得られる吸水性樹脂の物性等の観点から、重合開始剤としては、過酸化物またはアゾ化合物が好ましく、過酸化物がより好ましく、過硫酸塩がさらに好ましい。
重合工程における重合開始剤の使用量は、重合に供される単量体(単量体水溶液に含まれる単量体)の全量に対して、好ましくは0.001モル%以上1モル%以下であり、より好ましくは0.001モル%以上0.5モル%以下である。また、還元剤を併用する場合(すなわち、レドックス系重合開始剤を使用する場合)、還元剤の使用量は、単量体の全量に対して、好ましくは0.0001モル%以上0.02モル%以下である。なお、上記単量体に対するモル%とは、上記単量体水溶液に含まれる単量体の総モル数に対する、上記重合開始剤または還元剤のモル数の百分率である。
なお、上記重合開始剤に代えて、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合反応を実施してもよく、これらの活性エネルギー線と重合開始剤とを併用して重合反応を実施してもよい。
(重合形態)
重合工程における重合形態としては、特に限定されないが、得られる吸水性樹脂の吸水特性、および、重合制御の容易性等の観点から、好ましくは噴霧液滴重合、水溶液重合、逆相懸濁重合、より好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合、更に好ましくは水溶液重合が挙げられる。中でも、連続水溶液重合が特に好ましい。連続ベルト重合、連続ニーダー重合等の形態を適用することもできる。また、単量体水溶液に気泡(特に不活性ガス等)を分散させて重合を行う発泡重合の形態を適用することもできる。
重合工程における重合形態としては、特に限定されないが、得られる吸水性樹脂の吸水特性、および、重合制御の容易性等の観点から、好ましくは噴霧液滴重合、水溶液重合、逆相懸濁重合、より好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合、更に好ましくは水溶液重合が挙げられる。中でも、連続水溶液重合が特に好ましい。連続ベルト重合、連続ニーダー重合等の形態を適用することもできる。また、単量体水溶液に気泡(特に不活性ガス等)を分散させて重合を行う発泡重合の形態を適用することもできる。
具体的な重合形態として、連続ベルト重合は米国特許第4893999号、同第6241928号、米国特許出願公開第2005/215734号等に、連続ニーダー重合は米国特許第6987151号、同第6710141号等に、それぞれ開示されている。これらの連続水溶液重合を採用することにより、吸水性樹脂の生産効率を向上することができる。
また、上記連続水溶液重合の好ましい形態として、「高温開始重合」および「高濃度重合」が挙げられる。「高温開始重合」とは、重合に供される単量体水溶液の温度を好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上、特に好ましくは50℃以上(上限は沸点)の温度として重合を開始する形態をいう。「高濃度重合」とは、重合に供される単量体水溶液の単量体濃度を好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、特に好ましくは45質量%以上(上限は飽和濃度)として重合を行う形態をいう。これらの重合形態を併用することもできる。
重合工程においては、所望の雰囲気下、例えば、空気雰囲気下で重合を行うことができるが、得られる吸水性樹脂の色調の観点から、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で重合を行うことが好ましい。この場合、酸素濃度を1容積%以下に制御することが好ましい。また、単量体水溶液中の溶存酸素についても、不活性ガスで置換(例えば、溶存酸素;1mg/l未満となるよう)しておくことが好ましい。
また、本発明の一実施形態では、重合形態を、単量体水溶液に気泡(特に上記不活性ガス等)を分散させて重合を行う発泡重合とすることもできる。
〔2-2-3〕ゲル粉砕工程
本第2の製造方法は、上記重合工程で得られた含水ゲルを、例えば、ニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押出し機、または、カッターミル等のゲル粉砕機でゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得るゲル粉砕工程を含む。なお、上記重合工程において、重合形態としてニーダー重合を採用する場合、重合工程とゲル粉砕工程とが同時に実施される。また、気相重合、逆相懸濁重合等のように、粒子状の含水ゲルが重合過程で直接得られる場合には、ゲル粉砕工程が実施されないこともある。
本第2の製造方法は、上記重合工程で得られた含水ゲルを、例えば、ニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押出し機、または、カッターミル等のゲル粉砕機でゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得るゲル粉砕工程を含む。なお、上記重合工程において、重合形態としてニーダー重合を採用する場合、重合工程とゲル粉砕工程とが同時に実施される。また、気相重合、逆相懸濁重合等のように、粒子状の含水ゲルが重合過程で直接得られる場合には、ゲル粉砕工程が実施されないこともある。
上記以外のゲル粉砕条件および形態については、国際公開第2011/126079号に開示される内容が、本発明に好ましく適用される。
〔2-2-4〕ゲル乾燥工程
本第2の製造方法は、上記重合工程および/またはゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを、所望する樹脂固形分まで乾燥させることにより、乾燥重合体を得るゲル乾燥工程を含むことが好ましい。なお、乾燥重合体の樹脂固形分は、乾燥減量(乾燥重合体1gを180℃で3時間加熱した際の質量変化)から求められ、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上99質量%以下、更に好ましくは90質量%以上98質量%以下、特に好ましくは92質量%以上97質量%以下である。
本第2の製造方法は、上記重合工程および/またはゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを、所望する樹脂固形分まで乾燥させることにより、乾燥重合体を得るゲル乾燥工程を含むことが好ましい。なお、乾燥重合体の樹脂固形分は、乾燥減量(乾燥重合体1gを180℃で3時間加熱した際の質量変化)から求められ、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上99質量%以下、更に好ましくは90質量%以上98質量%以下、特に好ましくは92質量%以上97質量%以下である。
上記粒子状含水ゲルの乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸脱水による乾燥、高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられる。中でも乾燥効率の観点から、熱風乾燥が好ましく、通気ベルト上で熱風乾燥を行うバンド乾燥がより好ましい。
上記熱風乾燥における乾燥温度(熱風の温度)としては、得られる吸水性樹脂の色調、乾燥効率等の観点から、好ましくは120℃以上250℃以下、より好ましくは150℃以上200℃以下である。なお、熱風の風速および乾燥時間等、上記乾燥温度以外の乾燥条件については、乾燥に供する粒子状含水ゲルの含水率や総質量および目的とする樹脂固形分に応じて、適宜設定することができる。また、バンド乾燥を行う際には、国際公開第2006/100300号、同第2011/025012号、同第2011/025013号、同第2011/111657号等に記載される諸条件が、乾燥条件として適宜適用される。
〔2-2-5〕分級工程
本第2の製造方法は、乾燥工程にて得られる乾燥重合体を分級し、所望の粒度の粒子状乾燥重合体を得る分級工程を含むことが好ましい。
本第2の製造方法は、乾燥工程にて得られる乾燥重合体を分級し、所望の粒度の粒子状乾燥重合体を得る分級工程を含むことが好ましい。
分級工程において、乾燥重合体を分級する方法としては、JIS標準篩(JIS Z8801-1(2000))を用いた篩分級や気流分級等が挙げられる。中でも、分級効率の観点から、好ましくは篩分級が選択される。
分級工程にて得られる粒子状乾燥重合体の粒度としては、特に限定されないが、例えば、質量平均粒子径(D50)が200μm以上500μm以下であることが好ましく、250μm以上450μm以下であることがより好ましく、300μm以上400μm以下であることがさらに好ましい。また、また、150μm未満の粒子の割合が、5質量%未満であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
分級工程においては、所望の粒度の粒子状乾燥重合体を得るために、乾燥重合体を適宜粉砕してもよい。また、粉砕方法は特に限定されず、ロールミル、ハンマーミル、スクリューミル、ピンミル等の高速回転式粉砕機や、振動ミル、ナックルタイプ粉砕機、円筒型ミキサー等を使用することができる。
〔2-2-6〕表面架橋工程
本第2の製造方法は、上述した分級工程を経て得られる粒子状乾燥重合体の表面層(粒子状乾燥重合体の表面から数10μmの部分)に、更に架橋密度の高い部分を設ける工程である、表面架橋工程を含むことが好ましい。表面架橋工程は、混合工程、加熱処理工程および冷却工程(任意)から構成される。
本第2の製造方法は、上述した分級工程を経て得られる粒子状乾燥重合体の表面層(粒子状乾燥重合体の表面から数10μmの部分)に、更に架橋密度の高い部分を設ける工程である、表面架橋工程を含むことが好ましい。表面架橋工程は、混合工程、加熱処理工程および冷却工程(任意)から構成される。
表面架橋工程において、粒子状乾燥重合体表面でのラジカル架橋、表面重合、表面架橋剤との架橋反応等により、表面架橋された吸水性樹脂が得られる。したがって、表面架橋工程に供される粒子状乾燥重合体は、吸水性樹脂前駆体であるとも言える。
(表面架橋剤)
表面架橋工程においては、表面架橋剤を使用して粒子状乾燥重合体の表面を架橋することが好ましい。表面架橋剤としては、特に限定されないが、有機または無機の表面架橋剤が挙げられる。中でも、吸水性樹脂の物性、表面架橋剤の取扱性等の観点から、カルボキシル基と反応する有機表面架橋剤が好ましい。具体的には、表面架橋剤としては、米国特許7183456号に開示される1種または2種以上の化合物を使用することができる。より具体的には、表面架橋剤としては、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、ハロエポキシ化合物、多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、オキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物、環状尿素化合物等が挙げられる。これらの表面架橋剤の1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの表面架橋剤は、水溶液の状態(すなわち、表面架橋液の状態で)で使用することが好ましい。
表面架橋工程においては、表面架橋剤を使用して粒子状乾燥重合体の表面を架橋することが好ましい。表面架橋剤としては、特に限定されないが、有機または無機の表面架橋剤が挙げられる。中でも、吸水性樹脂の物性、表面架橋剤の取扱性等の観点から、カルボキシル基と反応する有機表面架橋剤が好ましい。具体的には、表面架橋剤としては、米国特許7183456号に開示される1種または2種以上の化合物を使用することができる。より具体的には、表面架橋剤としては、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、ハロエポキシ化合物、多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、オキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物、環状尿素化合物等が挙げられる。これらの表面架橋剤の1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの表面架橋剤は、水溶液の状態(すなわち、表面架橋液の状態で)で使用することが好ましい。
表面架橋工程における表面架橋剤の使用量(複数使用の場合は合計使用量)は、粒子状乾燥重合体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以上5質量部以下である。また、表面架橋剤は水溶液の形態で添加することが好ましく、この場合、水の使用量は、粒子状乾燥重合体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下である。更に、必要に応じて、親水性有機溶媒を併用してもよく、その場合、親水性有機溶媒の使用量は粒子状乾燥重合体100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下である。また、後述の「再加湿工程」で添加される各添加剤をそれぞれ5質量部以下の範囲内で、表面架橋剤の水溶液に混合することもできる。
(混合工程)
表面架橋工程は、粒子状乾燥重合体と上記表面架橋剤とを混合する、混合工程を含む。混合工程における表面架橋剤の混合方法については、特に限定されないが、例えば、予め表面架橋剤溶液を作製しておき、当該溶液粒子状乾燥重合体に対して、好ましくは噴霧または滴下して、より好ましくは噴霧して混合する方法が挙げられる。
表面架橋工程は、粒子状乾燥重合体と上記表面架橋剤とを混合する、混合工程を含む。混合工程における表面架橋剤の混合方法については、特に限定されないが、例えば、予め表面架橋剤溶液を作製しておき、当該溶液粒子状乾燥重合体に対して、好ましくは噴霧または滴下して、より好ましくは噴霧して混合する方法が挙げられる。
粒子状乾燥重合体と上記表面架橋剤との混合を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくは高速撹拌型混合機、より好ましくは高速撹拌型連続混合機が挙げられる。
(加熱処理工程)
表面架橋工程は、上記混合工程から排出された混合物を加熱して、粒子状乾燥重合体の表面上で架橋反応を起こさせる加熱処理工程を含む。加熱処理工程は、架橋反応工程であるとも言える。
表面架橋工程は、上記混合工程から排出された混合物を加熱して、粒子状乾燥重合体の表面上で架橋反応を起こさせる加熱処理工程を含む。加熱処理工程は、架橋反応工程であるとも言える。
加熱処理を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくはパドルドライヤーが挙げられる。また、加熱処理における加熱温度、換言すれば、架橋反応での反応温度は、使用される表面架橋剤の種類に応じて適宜設定されるが、好ましくは50℃以上300℃以下であり、より好ましくは100℃以上200℃以下である。
(冷却工程)
表面架橋工程は、加熱処理後の表面架橋された粒子状乾燥重合体を冷却する冷却工程を含むことが好ましい。
表面架橋工程は、加熱処理後の表面架橋された粒子状乾燥重合体を冷却する冷却工程を含むことが好ましい。
冷却工程において、冷却を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくは加熱処理工程で使用される装置と同一仕様の装置であり、より好ましくはパドルドライヤーである。熱媒を冷媒に変更することにより、冷却装置として使用できるためである。なお、上記加熱処理工程で得られた表面架橋された粒子状乾燥重合体は、冷却工程において、好ましくは40℃以上80℃以下、より好ましくは50℃以上70℃以下に、必要に応じて強制冷却される。
〔2-2-7〕リサイクル吸水性樹脂の利用
本第2の製造方法においては、本第1の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂を、得られる吸水性樹脂の原料の一部として用いる。本第2の製造方法において、「リサイクル吸水性樹脂を、得られる吸水性樹脂の原料の一部として用いる」とは、上記の各工程の何れか、具体的には、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程、ゲル乾燥工程、分級工程および表面架橋工程のいずれかの工程において、リサイクル吸水性樹脂を吸水性樹脂原料(例えば、単量体水溶液、含水ゲル、乾燥重合体、および/または、粒子状乾燥重合体)に添加することを意味する。
本第2の製造方法においては、本第1の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂を、得られる吸水性樹脂の原料の一部として用いる。本第2の製造方法において、「リサイクル吸水性樹脂を、得られる吸水性樹脂の原料の一部として用いる」とは、上記の各工程の何れか、具体的には、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程、ゲル乾燥工程、分級工程および表面架橋工程のいずれかの工程において、リサイクル吸水性樹脂を吸水性樹脂原料(例えば、単量体水溶液、含水ゲル、乾燥重合体、および/または、粒子状乾燥重合体)に添加することを意味する。
リサイクル吸水性樹脂を吸水性樹脂原料に添加する方法としては、特に限定されず、リサイクル吸水性樹脂をそのまま添加する方法、リサイクル吸水性樹脂を水で膨潤させた膨潤ゲルの状態で添加する方法、リサイクル吸水性樹脂を水に分散させた状態で添加する方法、等が挙げられる。
より具体的に、リサイクル吸水性樹脂を「単量体水溶液の調製工程」で添加する場合、単量体水溶液にリサイクル吸水性樹脂を添加しても良いし、予めリサイクル吸水性樹脂を水に添加した後に、単量体等の他原料と混合しても良い。原料の均一混合性の観点から、単量体水溶液にリサイクル吸水性樹脂を添加することが好ましい。
リサイクル吸水性樹脂を「重合工程」で添加する場合、重合開始前にリサイクル吸水性樹脂を添加しても良いし、重合開始後に添加しても良い。重合体成分の均一性の観点から、重合開始前にリサイクル吸水性樹脂を添加することが好ましい。
リサイクル吸水性樹脂を「ゲル粉砕工程」で添加する場合、粉砕前にリサイクル吸水性樹脂を添加しても良いし、粉砕途中に添加しても良い。さらに分割投入しても良い。ゲル成分の均一性の観点から、ゲル粉砕前にリサイクル吸水性樹脂を添加することが好ましい。
リサイクル吸水性樹脂を「ゲル乾燥工程」で添加する場合、乾燥前に含水ゲルとリサイクル吸水性樹脂とを混合しても良いし、乾燥後に混合しても良い。リサイクル吸水性樹脂の粉体と含水ゲルとを乾燥前に混合すると、含水ゲルの水分がリサイクル吸水性樹脂粉体に移行する。それゆえ、乾燥速度の短縮、未乾燥ゲルの生成低減等の効果が期待できるため好ましい。
リサイクル吸水性樹脂を「分級工程」で添加する場合、分級前に乾燥重合体とリサイクル吸水性樹脂とを混合しても良いし、分級後に混合しても良い。粒度の均一性の観点から、分級前にリサイクル吸水性樹脂を添加することが好ましい。
リサイクル吸水性樹脂を「表面架橋工程」で添加する場合、事前に粒子状乾燥重合体とリサイクル吸水性樹脂とを混合しても良いし、混合せずに処理しても良い。表面架橋液と吸水性樹脂との均一混合性の観点から、粒子状のリサイクル吸水性樹脂を用いて、全ての被表面架橋物(すなわち、粒子状乾燥重合体および粒子状のリサイクル吸水性樹脂)を、粒子状の形態で表面架橋に供することが好ましい。
本第2の製造方法においては、上記の何れのタイミングでリサイクル吸水性樹脂を添加してもよい。また、添加するリサイクル吸水性樹脂の全量を何れかのタイミングで一度に添加してもよく、複数のタイミングで分割して添加してもよい。また、添加するタイミングに合わせて、それぞれ異なる形態でリサイクル吸水性樹脂を添加してもよい。
本第2の製造方法において、リサイクル吸水性樹脂が全ての吸水性樹脂原料に対し占める割合は、特に限定されないが、1質量%以上60質量%以下であることが好ましく、3質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。換言すれば、本第2の製造方法においては、リサイクル吸水性樹脂が全ての吸水性樹脂原料に対し占める割合が、上記の範囲となるようにリサイクル吸水性樹脂を添加することが好ましい。なお、前記「全ての吸水性樹脂原料」とは、吸水性樹脂の製造過程で用いる原料全て(すなわち、添加するリサイクル吸水性樹脂と、単量体水溶液から調製した吸水性樹脂との合計量)を指す。前記原料としては、より具体的には、リサイクル吸水性樹脂、ならびに、非リサイクル吸水性樹脂およびその原料(例えば、アクリル酸(塩);塩基性組成物;他の単量体;内部架橋剤;その他の物質(澱粉等);重合開始剤;および表面架橋剤等)が挙げられる。なお、前記割合は、前記全ての吸水性樹脂原料の固形分量中の、前記リサイクル吸水性樹脂の固形分量の割合である。
〔2-2-8〕本第2の製造方法により得られる吸水性樹脂の着色性(黄色度/YI値)
本第2の製造方法により得られる吸水性樹脂のYI値は、20以下であることが好ましく、16以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましい。また、YI値の下限は特に限定されず、0であってもよい。吸水性樹脂のYI値は、当該吸水性樹脂の着色性を示す指標であり、吸水性樹脂のYI値が上記の範囲内であることは、当該吸水性樹脂の着色がより抑制されていることを意味する。なお、吸水性樹脂のYI値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本第2の製造方法により得られる吸水性樹脂のYI値は、20以下であることが好ましく、16以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましい。また、YI値の下限は特に限定されず、0であってもよい。吸水性樹脂のYI値は、当該吸水性樹脂の着色性を示す指標であり、吸水性樹脂のYI値が上記の範囲内であることは、当該吸水性樹脂の着色がより抑制されていることを意味する。なお、吸水性樹脂のYI値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔2-2-9〕本第2の製造方法により得られる吸水性樹脂の吸水物性
本第2の製造方法により得られる吸水性樹脂の吸水物性としては、CRCが25g/g以上であることが好ましく、30g/g以上であることがより好ましく、35g/g以上であることがさらに好ましく、40g/g以上であることがよりさらに好ましい。また、AAP(0.3psi)が10g/g以上であることが好ましく、15g/g以上であることがより好ましく、20g/g以上であることがより好ましく、22g/g以上であることがより好ましく、24g/g以上であることがさらに好ましく、26g/g以上であることがよりさらに好ましい。吸水性樹脂のCRCおよび/またはAAP(0.3psi)が上記の範囲であることは、当該吸水性樹脂が優れた吸水性を有することを意味する。なお、吸水性樹脂のCRCおよびAAP(0.3psi)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本第2の製造方法により得られる吸水性樹脂の吸水物性としては、CRCが25g/g以上であることが好ましく、30g/g以上であることがより好ましく、35g/g以上であることがさらに好ましく、40g/g以上であることがよりさらに好ましい。また、AAP(0.3psi)が10g/g以上であることが好ましく、15g/g以上であることがより好ましく、20g/g以上であることがより好ましく、22g/g以上であることがより好ましく、24g/g以上であることがさらに好ましく、26g/g以上であることがよりさらに好ましい。吸水性樹脂のCRCおよび/またはAAP(0.3psi)が上記の範囲であることは、当該吸水性樹脂が優れた吸水性を有することを意味する。なお、吸水性樹脂のCRCおよびAAP(0.3psi)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
<3.リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを原料の一部として含む吸水性樹脂の製造方法>
〔3-1〕第3の実施形態の技術思想
発明者らは、第2の実施形態において、本第1の製造方法より得られるリサイクル吸水性樹脂を、新たに吸水性樹脂を製造する際の使用原料の一部に混ぜ込んで使用することにより、さらに吸水特性バランスおよび着色の抑制に優れた吸水性樹脂が得られることを述べた。
〔3-1〕第3の実施形態の技術思想
発明者らは、第2の実施形態において、本第1の製造方法より得られるリサイクル吸水性樹脂を、新たに吸水性樹脂を製造する際の使用原料の一部に混ぜ込んで使用することにより、さらに吸水特性バランスおよび着色の抑制に優れた吸水性樹脂が得られることを述べた。
一方で、リサイクル吸水性樹脂を、吸水性樹脂を製造する際の使用原料の一部に用いた場合、当該リサイクル吸水性樹脂が原料中の水分を吸収して混合材料の粘性が増加し、その結果、混合材料の取扱い性の低下、混合材料の不均一性等の問題が発生するケースがあることを本発明者らは見出した。
係る問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは、リサイクル吸水性樹脂に可溶化処理を行って可溶化ポリマー化し、この可溶化ポリマーの形態で吸水性樹脂を製造する際の使用原料の一部に用いることより、混合材料の粘性を大幅に低減させることができ、混合材料の取扱い性および均一性等を向上できること、換言すれば、リサイクル吸水性樹脂を原料の一部として使用しつつも、より吸水特性バランスに優れ、かつ、着色の抑制された吸水性樹脂が得られることを見出し、本発明の第3の実施形態を完成させた。
〔3-2〕第3の実施形態に係る吸水性樹脂の製造方法
本発明の第3の実施形態において、吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造過程において、本第1の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法を提供する。以下、本発明の第3の実施形態に係る吸水性樹脂の製造方法を、「本第3の製造方法」と称する場合がある。
本発明の第3の実施形態において、吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造過程において、本第1の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法を提供する。以下、本発明の第3の実施形態に係る吸水性樹脂の製造方法を、「本第3の製造方法」と称する場合がある。
本第3の製造方法によれば、より吸水特性バランスに優れ、かつ、着色の抑制された、リサイクル吸水性樹脂を原料の一部として使用した吸水性樹脂を提供することができる。
本第3の製造方法において、「吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造過程」とは、吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする、通常の(非リサイクルの)吸水性樹脂の製造過程、例えば、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程、ゲル乾燥工程、分級工程および表面架橋工程を含む、通常の(非リサイクルの)吸水性樹脂の製造過程(方法)を意図する。そして、本第3の製造方法に係る「リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマー」とは、リサイクル吸水性樹脂に可溶化処理を行うことで得られる可溶化ポリマーを意図する。すなわち、本第3の製造方法は、リサイクル吸水性樹脂を可溶化して可溶化ポリマーを得る可溶化工程を含むと言える。したがって、本第3の製造方法の一態様は、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程、ゲル乾燥工程、分級工程および表面架橋工程を含む吸水性樹脂の製造方法であって、さらに、回収吸水性樹脂を洗浄する洗浄工程、回収吸水性樹脂を脱水する脱水工程、回収吸水性樹脂を乾燥する乾燥工程、を含み、回収吸水性樹脂に消臭剤を添加する消臭剤添加工程を、脱水工程以後に行う、回収吸水性樹脂のリサイクル方法で得られるリサイクル吸水性樹脂(すなわち、本第1の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂)を可溶化する可溶化工程を含み、上記可溶化工程で得られる可溶化ポリマーを原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法、と表現することもできる。
以下、リサイクル吸水性樹脂を可溶化する可溶化工程、ならびに、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程、ゲル乾燥工程、分級工程および表面架橋工程を含む方法を例に挙げて、本第3の製造方法の具体的な態様について詳説する。
なお、本発明の第3の実施形態に係る「吸収性物品」、「吸水性樹脂」、「リサイクル吸水性樹脂」、ならびに本第1の製造方法(「洗浄工程」、「脱水工程」、「消臭剤添加工程」、「乾燥工程」、「抗菌剤添加工程」、「再生工程」、「破砕(裁断)工程」および「分離工程」)の定義および具体的な態様については、上述の第1の実施形態の記載を適宜援用する。
〔3-2-1〕可溶化工程
本第3の製造方法は、本第1の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂(以下、単に「リサイクル吸水性樹脂」と称する)を可溶化する可溶化工程を含む。可溶化工程は、リサイクル吸水性樹脂を水に可溶化させて、可溶化ポリマーを得る工程であるとも言える。可溶化工程で得られた可溶化ポリマーは、すべてが水に可溶化したものでも良く、部分的に可溶化されていないポリマーが含まれた部分可溶化物でも良い。
本第3の製造方法は、本第1の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂(以下、単に「リサイクル吸水性樹脂」と称する)を可溶化する可溶化工程を含む。可溶化工程は、リサイクル吸水性樹脂を水に可溶化させて、可溶化ポリマーを得る工程であるとも言える。可溶化工程で得られた可溶化ポリマーは、すべてが水に可溶化したものでも良く、部分的に可溶化されていないポリマーが含まれた部分可溶化物でも良い。
リサイクル吸水性樹脂を可溶化させる方法としては、吸水性樹脂を分解して水に可溶化できる方法であれば特に限定はない。例えば、還元剤および遷移金属イオンで吸水性樹脂を分解して可溶化する方法(例えば、特開2019-131789号公報に記載の方法);pHが4以上7.5以下の条件下で還元剤であるアスコルビン酸を使用して吸水性樹脂を可溶化する方法(例えば、特許第3146053号に記載の方法);酸化剤存在下で加熱処理して吸水性樹脂を可溶化する方法(例えば、特許第3091251号に記載の方法);酸性下で二酸化塩素を使用して吸水性樹脂を可溶化する方法(例えば、特開2019-108639号に記載の方法);過酸化水素を使用して吸水性樹脂を可溶化する方法(例えば、特開2019-108640号に記載の方法);オゾンを含むオソン水で吸水性樹脂を可溶化する方法(例えば、特開2019-085343号等に記載の方法)等が挙げられる。
可溶化工程で得られた可溶化ポリマーは、そのまま水溶液の状態で吸水性樹脂原料の一部として使用してもよく、乾燥して固形物にしてから吸水性樹脂原料の一部として使用してもよい。
可溶化工程で得られる可溶化ポリマーの分子量は、ポリマー水溶液のハンドリング性、他原料との混合性の観点からは分子量が低いほど好ましいが、吸水性樹脂の吸水特性バランス、可溶分低減等の観点からは分子量が大きい方が好ましい。したがって、他原料との混合性と、吸水特性とをバランスよく両立し、かつ、可溶分が低減された可溶化ポリマーを得る観点から、可溶化工程で得られる可溶化ポリマーの質量平均分子量は、1万以上100万以下であることが好ましく、2万以上80万以下であることがより好ましく、3万以上60万以下であることがさらに好ましい。
〔3-2-2〕その他の工程
本第3の製造方法が含み得る吸水性樹脂の製造工程、すなわち、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程、ゲル乾燥工程、分級工程および表面架橋工程の具体的な態様については、上述の第2の実施形態の記載を適宜援用する。
本第3の製造方法が含み得る吸水性樹脂の製造工程、すなわち、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程、ゲル乾燥工程、分級工程および表面架橋工程の具体的な態様については、上述の第2の実施形態の記載を適宜援用する。
〔3-2-3〕リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーの利用
本第3の製造方法においては、本第1の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを、得られる吸水性樹脂の原料の一部として用いる。本第3の製造方法において、「リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを、得られる吸水性樹脂の原料の一部として用いる」とは、上記の本第3の製造方法が含み得る吸水性樹脂の製造工程の何れか、具体的には、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程、ゲル乾燥工程、分級工程および表面架橋工程のいずれかの工程において、リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを吸水性樹脂原料(例えば、単量体水溶液、含水ゲル、乾燥重合体、および/または、粒子状乾燥重合体)に添加することを意味する。
本第3の製造方法においては、本第1の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを、得られる吸水性樹脂の原料の一部として用いる。本第3の製造方法において、「リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを、得られる吸水性樹脂の原料の一部として用いる」とは、上記の本第3の製造方法が含み得る吸水性樹脂の製造工程の何れか、具体的には、単量体水溶液の調製工程、重合工程、ゲル粉砕工程、ゲル乾燥工程、分級工程および表面架橋工程のいずれかの工程において、リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを吸水性樹脂原料(例えば、単量体水溶液、含水ゲル、乾燥重合体、および/または、粒子状乾燥重合体)に添加することを意味する。
リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを上記の工程において添加する方法としては、水溶液として添加する方法、一度乾燥させた後に粉体として添加する方法、部分的に未溶解物が残ったスラリー状で添加する方法、が挙げられるが、特に限定されない。
なお、リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーには、原料たるリサイクル吸水性樹脂に由来する塩基性化合物が含まれる場合がある。リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーに塩基性化合物が含まれる場合、当該ポリマーを吸水性樹脂原料に添加することにより、単量体、および/または最終製品としての吸水性樹脂の中和率が変化する可能性がある。そのため、リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを吸水性樹脂原料に添加する際には、当該ポリマーに含まれる塩基性化合物の量を考慮して、単量体の中和率および最終製品の吸水性樹脂の中和率を、所定の範囲に入るように調整することが好ましい。
より具体的に、リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを「単量体水溶液の調製工程」で添加する場合、単量体水溶液にリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを混合しても良いし、あらかじめリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを水に混合した後に他原料と混合しても良い。原料の均一混合性の観点から、単量体水溶液にリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを混合することが好ましい。
リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを「重合工程」で添加する場合、リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを重合開始前に添加しても良いし、重合開始後に添加しても良い。重合体成分の均一性の観点から、重合開始前にリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを添加することが好ましい。
リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを「ゲル粉砕工程」で添加する場合、リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを粉砕前に添加しても良いし、粉砕途中に添加しても良い。さらに分割投入しても良い。ゲル成分の均一性の観点から、ゲル粉砕前にリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを添加することが好ましい。
リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを「ゲル乾燥工程」で添加する場合、乾燥前に含水ゲルとリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーとを混合しても良いし乾燥後に混合しても良い。
リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを「分級工程」で添加する場合、分級前に乾燥重合体とリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーとを混合しても良いし、分級後に混合しても良い。粒度の均一性の観点から、分級前にリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを添加することが好ましい。
リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを「表面架橋工程」で添加する場合、事前に乾燥させた吸水性樹脂とリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーとを混合しても良いし、表面架橋後に混合しても良い。表面架橋液と吸水性樹脂との均一混合性の観点から、粉体状のリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを用いて、全ての被表面架橋物(すなわち、粒子状乾燥重合体および粉体状のリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマー)を、粉体状の形態で表面架橋に供することが好ましい。また、リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを表面架橋後に混合する場合、当該リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーとしては、表面架橋されたリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを使用することが好ましい。
本第3の製造方法においては、上記の何れのタイミングでリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを添加してもよい。また、添加するリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーの全量を何れかのタイミングで一度に添加してもよく、複数のタイミングで分割して添加してもよい。また、添加するタイミングに合わせて、それぞれ異なる形態でリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを添加してもよい。
本第3の製造方法において、リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーが全ての吸水性樹脂原料に対し占める割合は、特に限定されないが、1質量%以上60質量%以下であることが好ましく、3質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。換言すれば、本第3の製造方法においては、リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーが全ての吸水性樹脂原料に対し占める割合が、上記の範囲となるようにリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを添加することが好ましい。なお、「全ての吸水性樹脂原料」については、前述したとおりである。また、前記割合は、前記全ての吸水性樹脂原料の固形分量中の、前記リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーの固形分量の割合である。
〔3-2-4〕本第3の製造方法により得られる吸水性樹脂の着色性(黄色度/YI値)
本第3の製造方法により得られる吸水性樹脂のYI値は、20以下であることが好ましく、16以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましい。また、YI値の下限は特に限定されず、0であってもよい。吸水性樹脂のYI値は、当該吸水性樹脂の着色性を示す指標であり、吸水性樹脂のYI値が上記の範囲内であることは、当該吸水性樹脂の着色がより抑制されていることを意味する。なお、吸水性樹脂のYI値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本第3の製造方法により得られる吸水性樹脂のYI値は、20以下であることが好ましく、16以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましい。また、YI値の下限は特に限定されず、0であってもよい。吸水性樹脂のYI値は、当該吸水性樹脂の着色性を示す指標であり、吸水性樹脂のYI値が上記の範囲内であることは、当該吸水性樹脂の着色がより抑制されていることを意味する。なお、吸水性樹脂のYI値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔3-2-5〕本第3の製造方法により得られる吸水性樹脂の吸水物性
本第3の製造方法により得られる吸水性樹脂の吸水物性としては、CRCが25g/g以上であることが好ましく、30g/g以上であることがより好ましく、35g/g以上であることがさらに好ましく、40g/g以上であることがよりさらに好ましい。また、AAP(0.3psi)が10g/g以上であることが好ましく、15g/g以上であることがより好ましく、20g/g以上であることがより好ましく、22g/g以上であることがより好ましく、24g/g以上であることがさらに好ましく、26g/g以上であることがよりさらに好ましい。吸水性樹脂のCRCおよび/またはAAP(0.3psi)が上記の範囲であることは、当該吸水性樹脂が優れた吸水性を有することを意味する。なお、吸水性樹脂のCRCおよびAAP(0.3psi)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本第3の製造方法により得られる吸水性樹脂の吸水物性としては、CRCが25g/g以上であることが好ましく、30g/g以上であることがより好ましく、35g/g以上であることがさらに好ましく、40g/g以上であることがよりさらに好ましい。また、AAP(0.3psi)が10g/g以上であることが好ましく、15g/g以上であることがより好ましく、20g/g以上であることがより好ましく、22g/g以上であることがより好ましく、24g/g以上であることがさらに好ましく、26g/g以上であることがよりさらに好ましい。吸水性樹脂のCRCおよび/またはAAP(0.3psi)が上記の範囲であることは、当該吸水性樹脂が優れた吸水性を有することを意味する。なお、吸水性樹脂のCRCおよびAAP(0.3psi)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に示す実施例および比較例に従って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれることとする。
(測定・評価方法)
実施例および比較例における各物性の測定・評価方法は下記の通りであった。
実施例および比較例における各物性の測定・評価方法は下記の通りであった。
(a)CRC
吸水性樹脂の「CRC」とは、「Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)」の略称であり、吸水性樹脂の0.90質量%塩化ナトリウム水溶液に対する無加圧下での30分間の吸収倍率(単位:g/g)を示す。具体的な吸水性樹脂(リサイクル吸水性樹脂)のCRCの測定方法は下記の通りであった。
吸水性樹脂の「CRC」とは、「Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)」の略称であり、吸水性樹脂の0.90質量%塩化ナトリウム水溶液に対する無加圧下での30分間の吸収倍率(単位:g/g)を示す。具体的な吸水性樹脂(リサイクル吸水性樹脂)のCRCの測定方法は下記の通りであった。
吸水性樹脂0.200gを不織布製(南国パルプ工業株式会社製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP-22)の袋(85mm×60mm)に均一に入れてヒートシールした。当該(吸水性樹脂を収納した)袋を、室温下で大過剰(通常500ml程度)の0.90質量%塩化ナトリウム水溶液中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H-122)を用いてedana ABSORBENCY II 441.1-99に記載の遠心力(250G)で3分間水切りを行った後、袋の質量W1(g)を測定した。また、吸水性樹脂を用いずに同様の操作を行い、その時の質量W0(g)を測定した。計測されたW1、W0の値から、下式(1)に従って、対照の吸水性樹脂のCRCを算出した:
吸水性樹脂のCRC(g/g)=(W1-W0)/(吸水性樹脂の質量(g))-1・・・式(1)。
吸水性樹脂のCRC(g/g)=(W1-W0)/(吸水性樹脂の質量(g))-1・・・式(1)。
(b)AAP0.3
吸水性樹脂の「AAP」は、「Absorption Against Pressure」の略称であり、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液に対する加圧下吸収倍率(単位:g/g)を示す。また、「AAP0.3」とは、0.3psi加圧下でのAAPを意味する。
吸水性樹脂の「AAP」は、「Absorption Against Pressure」の略称であり、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液に対する加圧下吸収倍率(単位:g/g)を示す。また、「AAP0.3」とは、0.3psi加圧下でのAAPを意味する。
具体的な吸水性樹脂(リサイクル吸水性樹脂)のAAP0.3は、加圧下条件を0.7psiから0.3psiに変更した以外はNWSP 242.0.R2(15)に準拠して測定した。より具体的には、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を用い、吸水性樹脂0.9gを1時間、2.07kPa(21g/cm2、0.3psi)の加圧下で膨潤させた後、AAP(加圧下吸収倍率)を測定した。
(c)可溶化ポリマー水溶液の固形分濃度
吸水性樹脂を可溶化してなる可溶化ポリマーの水溶液の固形分濃度の測定方法は以下の通りであった。質量Wa(g)の可溶化ポリマー水溶液を、質量Wb(g)のアルミニウム皿に載せ、180℃の熱風循環オーブン中で3時間乾燥させた。乾燥後、可溶化ポリマーとアルミニウム皿の合計質量Wc(g)を測定した。下式(2)に従って、可溶化ポリマー水溶液の固形分濃度を算出した。
吸水性樹脂を可溶化してなる可溶化ポリマーの水溶液の固形分濃度の測定方法は以下の通りであった。質量Wa(g)の可溶化ポリマー水溶液を、質量Wb(g)のアルミニウム皿に載せ、180℃の熱風循環オーブン中で3時間乾燥させた。乾燥後、可溶化ポリマーとアルミニウム皿の合計質量Wc(g)を測定した。下式(2)に従って、可溶化ポリマー水溶液の固形分濃度を算出した。
可溶化ポリマー水溶液の固形分濃度(質量%)={(質量Wc-質量Wb)/質量Wa}×100・・・式(2)
(d)可溶化ポリマーの質量平均分子量
実施例および比較例で得られた可溶化ポリマーの質量平均分子量(Mw)は、以下の手順に従って測定した。
(d)可溶化ポリマーの質量平均分子量
実施例および比較例で得られた可溶化ポリマーの質量平均分子量(Mw)は、以下の手順に従って測定した。
(測定試料の調製)
先ず、可溶化ポリマーを下記溶媒に溶解し、濃度0.1質量%の溶液とした。次いで、得られた可溶化ポリマーの溶液をフィルター(ジーエルサイエンス社製:GLクロマトディスク、水系25A、孔径0.2μm)に通過させて測定試料とした。
先ず、可溶化ポリマーを下記溶媒に溶解し、濃度0.1質量%の溶液とした。次いで、得られた可溶化ポリマーの溶液をフィルター(ジーエルサイエンス社製:GLクロマトディスク、水系25A、孔径0.2μm)に通過させて測定試料とした。
溶媒:リン酸2水素ナトリウム2水和物60mM・リン酸水素2ナトリウム12水和物20mM・アジ化ナトリウム400ppmを含む水溶液(pH6.35から6.38)
当該測定試料を用いて以下の測定条件でGPC測定を行った。
当該測定試料を用いて以下の測定条件でGPC測定を行った。
(GPC測定)
マルバーン社製のビスコテックTDAmaxを用いて上記測定試料のGPC測定を行った。測定装置には、サイズ排除クロマトグラフィー、屈折率検出器、光散乱検出器およびキャピラリー粘度計を搭載した。測定装置および測定条件は、以下の通りとした。
マルバーン社製のビスコテックTDAmaxを用いて上記測定試料のGPC測定を行った。測定装置には、サイズ排除クロマトグラフィー、屈折率検出器、光散乱検出器およびキャピラリー粘度計を搭載した。測定装置および測定条件は、以下の通りとした。
ポンプ、オートサンプラー:ビスコテックGPCmax(マルバーン社製)
ガードカラム:OHpak SB-G(昭和電工株式会社製)
カラム:OHpak SB-806MHQ(昭和電工株式会社製)2本を直列に接続して使用
検出器:ビスコテックTDAmax(マルバーン社製)
溶媒:リン酸2水素ナトリウム2水和物60mM・リン酸水素2ナトリウム12水和物20mM・アジ化ナトリウム400ppmを含む水溶液(pH6.35から6.38)
流速:0.5ml/min
注入量:100μl。
ガードカラム:OHpak SB-G(昭和電工株式会社製)
カラム:OHpak SB-806MHQ(昭和電工株式会社製)2本を直列に接続して使用
検出器:ビスコテックTDAmax(マルバーン社製)
溶媒:リン酸2水素ナトリウム2水和物60mM・リン酸水素2ナトリウム12水和物20mM・アジ化ナトリウム400ppmを含む水溶液(pH6.35から6.38)
流速:0.5ml/min
注入量:100μl。
GPC測定で使用する水としては、不純物を充分に取り除いた純水を使用した。また、GPC測定は、検出器のベースラインが安定した状態、特に、光散乱検出器でのノイズピークがない状態で行った。
上記測定装置は、ポリオキシエチレングリコール(質量平均分子量(Mw):21966、分子量分布(Mw/Mn):1.0、示差屈折率(dn/dc):0.132、溶媒屈折率:1.33)を標準サンプルとして、校正した。
また、測定対象の可溶化ポリマーの示差屈折率(dn/dc)を0.12、溶媒屈折率を1.33として、測定した。屈折率、光散乱強度および粘度のデータ収集、解析は、ソフトウェア(Viscotek OmniSEC4.7.0(登録商標))を用いて行った。
上記測定で得られた屈折率(RI)、光散乱強度(角度:7°)(LALS)、および粘度計(DP)から得られたデータに基づいて、可溶化ポリマーの質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
(e)吸水性樹脂の着色評価(YI値/黄色度)
実施例および比較例で得られたリサイクル吸水性樹脂およびリサイクル吸水性樹脂を原料の一部とする吸水性樹脂の着色評価は、日本電色工業株式会社製の分光式色差計(Spectrophotometer SE7700)を用いて行った。
実施例および比較例で得られたリサイクル吸水性樹脂およびリサイクル吸水性樹脂を原料の一部とする吸水性樹脂の着色評価は、日本電色工業株式会社製の分光式色差計(Spectrophotometer SE7700)を用いて行った。
具体的には、室温(20℃以上25℃以下)および湿度50RH%の条件下で、上記分光式色差計にて上記吸水性樹脂のYI値(Yellow Index)を測定した。測定の設定条件として反射測定を選択し、測定径はLAV(28mm)とした。また、付属品の35Φ×15H丸セル、35Φ×15H用セルケース、および粉体用標準白板を用いた。
[製造例1]
反応容器に、アクリル酸244.9g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.71g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対して0.040モル%)、1.0質量%のジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウム(DTPA・3Na)水溶液1.83g、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液103.7g、および脱イオン水389.0gを投入し混合させて、単量体水溶液(a’)を作製した。
反応容器に、アクリル酸244.9g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.71g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対して0.040モル%)、1.0質量%のジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウム(DTPA・3Na)水溶液1.83g、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液103.7g、および脱イオン水389.0gを投入し混合させて、単量体水溶液(a’)を作製した。
次に、上記単量体水溶液(a’)を撹拌しながら冷却した。液温が40.0℃となった時点で、40℃に調温した48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液100.9gを加え、混合することで単量体水溶液(a)を作製した。このとき、当該単量体水溶液(a)の温度は、作製直後の2段目の中和熱によって78.2℃まで上昇した。48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を混合し始めた直後は、析出物が観察されたが、次第に溶解し透明な均一溶液となった。
次に、撹拌状態の上記単量体水溶液(a)に4.0質量%の過硫酸ナトリウム水溶液12.1gを加えた後、直ちにステンレス製バット型容器に大気開放系で注いだ。なお、2段目の中和開始からバット型容器に単量体水溶液(a)を注ぎ込むまでの時間は55秒間とし、当該バット型容器としてはホットプレートを用い、単量体水溶液(a)の注入後に表面温度が40℃となるまで加熱した。上記単量体水溶液(a)がバット型容器に注がれてから60秒経過後に重合反応が開始した。当該重合反応は、反応物が水蒸気を発生しつつ、四方八方に膨脹発泡しながら進行した。反応後、反応物はバット型容器よりも若干大きなサイズまで収縮した。重合反応の開始から3分経過後に、反応物を、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)(S1)として取り出した。なお、これら一連の操作は、大気開放系で行った。
上記重合反応で得られた含水ゲル(1)を短冊状に切断し、ダイス径7.5mmのミートチョッパーでゲル粉砕した。粉砕後の含水ゲル(1)を50メッシュの金網上に広げ、190℃で60分間熱風乾燥し、乾燥重合体(1)を得た。
次いで、振動ミルを用いて乾燥重合体(1)をさらに粉砕し、さらに目開き850μmおよび150μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の粒子状乾燥重合体(S1)を得た。
得られた粒子状乾燥重合体(S1)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030質量部、プロピレングリコール1.35質量部および脱イオン水3.15質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理することで、粒子状乾燥重合体(S1)の表面架橋を行った。
表面架橋後の粒子状乾燥重合体(S1)を冷却し、さらに目開き710μmのJIS標準篩に通過させることで、吸水性樹脂(S1)を得た。得られた吸水性樹脂(S1)について、各物性を測定・評価した。結果を表1に示す。
[製造例2]
撹拌装置付き反応釜に製造例1で得られた吸水性樹脂(S1)100質量部(200g)を加え、人工尿(尿素1.9質量%、塩化ナトリウム0.80質量%、塩化マグネシウム6水和物0.10質量%、塩化カルシウム2水和物0.10質量%およびイオン交換水97.1質量%からなる溶液)3000質量部(6,000g)を加えた後、室温で24時間放置することで、模擬使用済み吸水性樹脂(1)を得た。
撹拌装置付き反応釜に製造例1で得られた吸水性樹脂(S1)100質量部(200g)を加え、人工尿(尿素1.9質量%、塩化ナトリウム0.80質量%、塩化マグネシウム6水和物0.10質量%、塩化カルシウム2水和物0.10質量%およびイオン交換水97.1質量%からなる溶液)3000質量部(6,000g)を加えた後、室温で24時間放置することで、模擬使用済み吸水性樹脂(1)を得た。
[比較例1]
上記模擬使用済み吸水性樹脂(1)が入った反応釜にエタノール10,000gを加え、15分間撹拌を行って脱水した後、反応釜の内容物を100メッシュのステンレス製金網でろ過した。得られたろ過物(固形分濃度24.6質量%)800gを連続的にミートチョッパーに投入し、粉砕した後、190℃のオーブンで2時間乾燥した。
上記模擬使用済み吸水性樹脂(1)が入った反応釜にエタノール10,000gを加え、15分間撹拌を行って脱水した後、反応釜の内容物を100メッシュのステンレス製金網でろ過した。得られたろ過物(固形分濃度24.6質量%)800gを連続的にミートチョッパーに投入し、粉砕した後、190℃のオーブンで2時間乾燥した。
次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに目開き850μmおよび106μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の比較リサイクル吸水性樹脂前駆体(C1)を得た。
得られた比較リサイクル吸水性樹脂前駆体(C1)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030質量部、プロピレングリコール1.35質量部および脱イオン水3.15質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理することで、比較リサイクル吸水性樹脂前駆体(C1)の表面架橋を行った。
表面架橋後の比較リサイクル吸水性樹脂前駆体(C1)を冷却し、水1質量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01質量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩に通過させることで、比較リサイクル吸水性樹脂(C1)を得た。得られた比較リサイクル吸水性樹脂(C1)について、各物性を測定・評価した。結果を表1に示す。
[実施例1]
上記模擬使用済み吸水性樹脂(1)が入った反応釜にエタノール10,000gを加え、15分間撹拌を行って脱水した後、反応釜の内容物を100メッシュのステンレス製金網でろ過した。得られたろ過物(固形分濃度24.6質量%)800gと、漂白剤として0.50質量%の過酸化水素水溶液39.4gとを連続的にミートチョッパーに投入し(漂白工程)、粉砕した後、190℃のオーブンで2時間乾燥した。
上記模擬使用済み吸水性樹脂(1)が入った反応釜にエタノール10,000gを加え、15分間撹拌を行って脱水した後、反応釜の内容物を100メッシュのステンレス製金網でろ過した。得られたろ過物(固形分濃度24.6質量%)800gと、漂白剤として0.50質量%の過酸化水素水溶液39.4gとを連続的にミートチョッパーに投入し(漂白工程)、粉砕した後、190℃のオーブンで2時間乾燥した。
次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに目開き850μmおよび106μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状のリサイクル吸水性樹脂前駆体(1)を得た。
得られたリサイクル吸水性樹脂前駆体(1)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030質量部、プロピレングリコール1.35質量部および脱イオン水3.15質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理することで、リサイクル吸水性樹脂前駆体(1)の表面架橋を行った。
表面架橋後のリサイクル吸水性樹脂前駆体(1)を冷却し、水1質量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01質量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩に通過させることで、リサイクル吸水性樹脂(1)を得た。得られたリサイクル吸水性樹脂(1)について、各物性を測定・評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
上記模擬使用済み吸水性樹脂(1)が入った反応釜にエタノール10,000gを加え、15分間撹拌を行って脱水した後、反応釜の内容物を100メッシュのステンレス製金網でろ過した。得られたろ過物(固形分濃度24.6質量%)800gと、漂白剤として0.50質量%の過酸化水素水溶液59.0gとを連続的にミートチョッパーに投入し(漂白工程)、粉砕した後、190℃のオーブンで2時間乾燥した。
上記模擬使用済み吸水性樹脂(1)が入った反応釜にエタノール10,000gを加え、15分間撹拌を行って脱水した後、反応釜の内容物を100メッシュのステンレス製金網でろ過した。得られたろ過物(固形分濃度24.6質量%)800gと、漂白剤として0.50質量%の過酸化水素水溶液59.0gとを連続的にミートチョッパーに投入し(漂白工程)、粉砕した後、190℃のオーブンで2時間乾燥した。
次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに目開き850μmおよび106μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状のリサイクル吸水性樹脂前駆体(2)を得た。
得られたリサイクル吸水性樹脂前駆体(2)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030質量部、プロピレングリコール1.35質量部および脱イオン水3.15質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理することで、リサイクル吸水性樹脂前駆体(2)の表面架橋を行った。
表面架橋後のリサイクル吸水性樹脂前駆体(2)を冷却し、水1質量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01質量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩に通過させることで、リサイクル吸水性樹脂(2)を得た。得られたリサイクル吸水性樹脂(2)について、各物性を測定・評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
上記模擬使用済み吸水性樹脂(1)が入った反応釜にエタノール10,000gを加え、15分間撹拌を行って脱水した後、反応釜の内容物を100メッシュのステンレス製金網でろ過した。得られたろ過物(固形分濃度24.6質量%)800gと、漂白剤として0.50質量%の過酸化水素水溶液59.0gとを連続的にミートチョッパーに投入し(漂白工程)、粉砕した後、190℃のオーブンで2時間乾燥した。
上記模擬使用済み吸水性樹脂(1)が入った反応釜にエタノール10,000gを加え、15分間撹拌を行って脱水した後、反応釜の内容物を100メッシュのステンレス製金網でろ過した。得られたろ過物(固形分濃度24.6質量%)800gと、漂白剤として0.50質量%の過酸化水素水溶液59.0gとを連続的にミートチョッパーに投入し(漂白工程)、粉砕した後、190℃のオーブンで2時間乾燥した。
次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに目開き850μmおよび106μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状のリサイクル吸水性樹脂前駆体(3)を得た。
得られたリサイクル吸水性樹脂前駆体(3)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030質量部、プロピレングリコール1.35質量部および脱イオン水3.15質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理することで、リサイクル吸水性樹脂前駆体(3)の表面架橋を行った。
表面架橋後のリサイクル吸水性樹脂前駆体(3)を冷却し、水1質量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01質量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩に通過させ、さらに、二酸化チタン(関東化学工業株式会社製)0.50質量部を均一に混合することで(白色顔料添加工程)、リサイクル吸水性樹脂(3)を得た。得られたリサイクル吸水性樹脂(3)について、各物性を測定・評価した。結果を表1に示す。
表中、漂白剤および白色顔料の添加量は、模擬使用済み吸水性樹脂100質量部に対する添加量を示す。
(まとめ)
表1に、比較例1および実施例1~3で製造されたリサイクル吸水性樹脂の吸水物性およびYI値(黄色度)を示した。
表1に、比較例1および実施例1~3で製造されたリサイクル吸水性樹脂の吸水物性およびYI値(黄色度)を示した。
比較例1で製造された比較リサイクル吸水性樹脂(C1)は、製造例1で製造された吸水性樹脂(S1)と同等の吸水物性を有しているが、一方で、YI値(黄色度)が非常に高く、製品用途に不適であることが分かる。
一方、漂白剤として過酸化水素を添加する漂白工程を実施した実施例1、2のリサイクル吸水性樹脂は、吸水性樹脂(S1)と同等の吸水物性を維持しつつも、さらに、YI値(黄色度)が大きく改善されている。また、漂白工程に加え、白色顔料である二酸化チタンを添加する白色顔料添加工程を実施した実施例3のリサイクル吸水性樹脂はさらにYI値(黄色度)が改善されている。これらの結果より、漂白工程および/または白色顔料添加工程を含む、本発明の一実施形態に係るリサイクル吸水性樹脂の製造方法によれば、着色が抑制されたリサイクル吸水性樹脂を提供できることが示された。
[製造例3]
撹拌翼付き反応容器に、実施例3で得られたリサイクル吸水性樹脂(3)100質量部、脱イオン水733質量部、pH調整剤として15質量%炭酸ナトリウム水溶液149.3質量部、および、分解剤として30質量%過酸化水素6.67質量部を加え、撹拌機で混合した。
撹拌翼付き反応容器に、実施例3で得られたリサイクル吸水性樹脂(3)100質量部、脱イオン水733質量部、pH調整剤として15質量%炭酸ナトリウム水溶液149.3質量部、および、分解剤として30質量%過酸化水素6.67質量部を加え、撹拌機で混合した。
続いて、混合物の入った反応容器を80℃の恒温槽に浸漬し、分解反応を開始した。60分後に、ゲル状物が全て可溶化していることを確認した。
続いて、系中に残存する過酸化水素をなくすため、15質量%炭酸ナトリウム80.7質量部を加え、そのまま1時間撹拌を続けた。1時間後、溶液を室温まで冷却することで、リサイクル吸水性樹脂(3)に由来する可溶化ポリマー(A)の水溶液を得た。可溶化ポリマー(A)は、水溶液の固形分濃度が9.37質量%、質量平均分子量Mwが48.3万であった。
[実施例4]
反応容器に、アクリル酸220.4g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.64g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対して0.040モル%)、製造例3で得られた可溶化ポリマー(A)水溶液320.2g、1.0質量%のジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウム(DTPA・3Na)水溶液1.83g、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液93.4gおよび脱イオン水29.8gを投入し混合させて、単量体水溶液(4’)を作製した。
反応容器に、アクリル酸220.4g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.64g(カルボキシル基含有不飽和単量体に対して0.040モル%)、製造例3で得られた可溶化ポリマー(A)水溶液320.2g、1.0質量%のジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウム(DTPA・3Na)水溶液1.83g、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液93.4gおよび脱イオン水29.8gを投入し混合させて、単量体水溶液(4’)を作製した。
次に、上記単量体水溶液(4’)を撹拌しながら冷却した。液温が40.0℃となった時点で、40℃に調温した48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液90.8gを加え、混合することで単量体水溶液(4)を作製した。このとき、当該単量体水溶液(4)の温度は、作製直後の2段目の中和熱によって78.2℃まで上昇した。なお、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を混合し始めた直後は、析出物が観察されたが、次第に溶解し透明な均一溶液となった。
次に、撹拌状態の上記単量体水溶液(4)に4.0質量%の過硫酸ナトリウム水溶液10.9gを加えた後、直ちにステンレス製バット型容器に大気開放系で注いだ。なお、2段目の中和開始からバット型容器に単量体水溶液(b)を注ぎ込むまでの時間は55秒間とし、当該バット型容器としてはホットプレートを用い、単量体水溶液(b)の注入後に表面温度が40℃となるまで加熱した。上記単量体水溶液(b)がバット型容器に注がれてから70秒経過後に重合反応が開始した。当該重合反応は、反応物が水蒸気を発生しつつ、四方八方に膨脹発泡しながら進行した。反応後、反応物はバット型容器よりも若干大きなサイズまで収縮した。重合反応の開始から3分経過後に、反応物を、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)(4)として取り出した。なお、これら一連の操作は、大気開放系で行った。
上記重合反応で得られた含水ゲル(4)を短冊状に切断し、ダイス径7.5mmのミートチョッパーでゲル粉砕した。粉砕後の含水ゲル(4)を50メッシュの金網上に広げ、190℃で60分間熱風乾燥し、乾燥重合体(4)を得た。
次いで、振動ミルを用いて得られた乾燥重合体(4)をさらに粉砕し、さらに目開き850μmおよび150μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の粒子状乾燥重合体(4)を得た。
得られた粒子状乾燥重合体(4)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030質量部、プロピレングリコール1.35質量部および脱イオン水3.15質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理することで、粒子状乾燥重合体(4)の表面架橋を行った。
表面架橋後の粒子状乾燥重合体(4)を冷却し、さらに目開き710μmのJIS標準篩に通過させることで、リサイクル吸水性樹脂(3)に由来する可溶化ポリマー(A)を原料の一部とする、吸水性樹脂(4)を得た。得られた吸水性樹脂(4)について、各物性を測定・評価した。結果を表2に示す。
表2に、可溶化ポリマーを原料に用いない(通常の単量体原料のみを使用する)製造例1の吸水性樹脂と、可溶化ポリマーを、全ての吸水性樹脂原料に対して10質量%用いた吸水性樹脂である、実施例4の吸水性樹脂の吸水物性、YI値(黄色度)を示す。 表2より、実施例4で得られた吸水性樹脂は、優れた吸水物性と、通常の吸水性樹脂と遜色ない優れたYI値を兼ね備えた(換言すれば着色が十分に抑制された)、吸水性樹脂であることが分かる。すなわち、本発明の一実施形態に係るリサイクル吸水性樹脂の製造方法により製造されたリサイクル吸水性樹脂に由来する可溶化ポリマーを原料の一部とすることで、リサイクル吸水性樹脂を原料として使用しつつ、着色が抑制された吸水性樹脂を提供できることが示された。
本発明の一態様によれば着色が抑制されたリサイクル吸水性樹脂を提供することができる。当該リサイクル吸水性樹脂は、種々の用途、特に、紙オムツや生理用ナプキン、成人向け失禁用製品等の衛生用品用途に好適に利用することができる。
Claims (10)
- 使用済み吸収性物品、または、吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄物、から回収された吸水性樹脂からリサイクル吸水性樹脂を製造する方法であって、
前記吸水性樹脂を漂白する漂白工程、および/または、前記吸水性樹脂に白色顔料を添加する白色顔料添加工程を含む、リサイクル吸水性樹脂の製造方法。 - 前記漂白工程において、酸化漂白剤または還元漂白剤を用いて前記吸水性樹脂を漂白する、請求項1に記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
- 前記吸水性樹脂を洗浄する洗浄工程、前記吸水性樹脂を脱水する脱水工程および前記吸水性樹脂を乾燥する乾燥工程、を含み、
前記漂白工程を、前記脱水工程以後に行う、請求項1に記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。 - 前記吸水性樹脂を洗浄する洗浄工程、前記吸水性樹脂を脱水する脱水工程および前記吸水性樹脂を乾燥する乾燥工程、を含み、
前記白色顔料添加工程を、前記脱水工程以後に行う、請求項1に記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。 - 前記漂白工程において、前記酸化漂白剤または還元漂白剤を、前記吸水性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上100質量部以下添加する、請求項2に記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
- 前記白色顔料添加工程において、前記白色顔料を、前記吸水性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上100質量部以下添加する、請求項1に記載のリサイクル吸水性樹脂の製造方法。
- 吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造過程において、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂を原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法。
- 前記リサイクル吸水性樹脂が、全ての吸水性樹脂原料に対し占める割合が1質量%以上60質量%以下である、請求項7に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造過程において、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法で得られるリサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法。
- 前記リサイクル吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーが、全ての吸水性樹脂原料に対し占める割合が1質量%以上60質量%以下である、請求項9に記載の吸水性樹脂の製造方法。
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