JP2025017229A - メタクリル酸メチルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より簡便でより低コストな方法で、MMA含有メタノールを利用してメタクリル酸メチルを製造できる、メタクリル酸メチルの製造方法を提供すること。
【解決手段】メタクリルアミド硫酸塩とメタノールを反応させてメタクリル酸メチルを製造する方法であって、メタクリルアミド硫酸塩に、メタノールとメタクリル酸メチルとの質量比が51:49~99:1である混合液(1)を加える工程を含む、メタクリル酸メチルの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】メタクリルアミド硫酸塩とメタノールを反応させてメタクリル酸メチルを製造する方法であって、メタクリルアミド硫酸塩に、メタノールとメタクリル酸メチルとの質量比が51:49~99:1である混合液(1)を加える工程を含む、メタクリル酸メチルの製造方法。
【選択図】なし
Description
本開示は、メタクリル酸メチルの製造方法に関する。
メタクリル酸メチル(以降、MMAとも記す)の工業的な製造方法として、以下の方法が知られている。すなわち、アセトンとシアン化水素(青酸)とを反応させて得られたアセトンシアンヒドリン(以降、ACHとも記す)を、硫酸又は発煙硫酸と反応させてメタクリルアミド硫酸塩を製造し、さらに、水及びメタノールと反応させてMMAを製造する、所謂、ACH法が知られている。
特許文献1に示すように、ACH法では、MMAを製造する際、メタクリルアミド硫酸塩に対して、メタノールを過剰量使用するため、硫酸アンモニウムとともに、メタクリル酸メチルとメタノールとを含む混合液が得られる。
特許文献2及び特許文献3では、メタクリル酸メチルとメタノールとを含む混合物から、メタクリル酸メチル及びメタノールをそれぞれ蒸留精製する方法が開示されている。また、特許文献3には、当該混合物が、メタクリル酸のメタノールによるエステル化反応、又は、メタクリル酸メチルとアルコールとのエステル交換反応から得られることが開示されている。
多価アルコールや高級アルコール等の高沸点アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの合成は、これらのアルコールを原料に(メタ)アクリル酸低級アルコールとのエステル交換反応により製造している。当該製造方法では、例えば低級アルコールがメタノールである場合、目的化合物である多価アルコールや高級アルコール等の(メタ)アクリル酸エステルに加えて精製の際に残余の(メタ)アクリル酸メチルと副生メタノールとの混合液が生成する。
従来、当該混合液の処理は、焼却処理して熱回収するか、または各成分である(メタ)アクリル酸メチルとメタノールとを単離するために共沸溶媒を加えてメタノールを留去し(メタ)アクリル酸メチルを分離する工程、およびメタノールと共沸溶媒とをデカンターで分液する工程を要していた(特許文献2、3[図3、4]参照)。これらの工程を経た(メタ)アクリル酸メチルは製品となり、メタノールは例えば、後工程としての(メタ)アクリル酸のエステル化や、硫酸共存下での(メタ)アクリルアミドの加メタノール分解による(メタ)アクリル酸メチルの合成に供されていた。該後工程での(メタ)アクリル酸メチルの合成反応では、製品の(メタ)アクリル酸メチルと残余のメタノールとの混合液が生成し、再びこれらを単離する工程を要していた。
従来、当該混合液の処理は、焼却処理して熱回収するか、または各成分である(メタ)アクリル酸メチルとメタノールとを単離するために共沸溶媒を加えてメタノールを留去し(メタ)アクリル酸メチルを分離する工程、およびメタノールと共沸溶媒とをデカンターで分液する工程を要していた(特許文献2、3[図3、4]参照)。これらの工程を経た(メタ)アクリル酸メチルは製品となり、メタノールは例えば、後工程としての(メタ)アクリル酸のエステル化や、硫酸共存下での(メタ)アクリルアミドの加メタノール分解による(メタ)アクリル酸メチルの合成に供されていた。該後工程での(メタ)アクリル酸メチルの合成反応では、製品の(メタ)アクリル酸メチルと残余のメタノールとの混合液が生成し、再びこれらを単離する工程を要していた。
MMA含有回収メタノールを再利用して、ACH法によりメタクリル酸メチルを製造する場合には、例えば、以下の方法が考えられる。すなわち、MMA含有回収メタノールを、n-ヘキサン等の共沸溶剤を使用して、特許文献2又は特許文献3に記載の方法で蒸留精製し、精製されたMMAを単離する。その後、MMAが除去された、共沸溶剤と回収メタノールとの混合液を分液操作により分離する。そして、得られた回収メタノールに対して、ACH法により得られるメタクリルアミド硫酸塩を作用させることで、メタクリル酸メチルを製造する。
しかしながら、回収メタノールを用いて製造したメタクリル酸メチルを再度蒸留精製する場合を考えると、上述した方法を適用した場合、2度の蒸留精製が必要になる。したがって、より簡便でより低コストに、MMA含有メタノールを利用してメタクリル酸メチルを製造する方法の開発が望まれていた。
本開示は、より簡便でより低コストな方法で、MMA含有メタノールを利用してメタクリル酸メチルを製造できる、メタクリル酸メチルの製造方法を提供することを目的とする。
本開示に係るメタクリル酸メチルの製造方法は、下記[1]~[4]の構成を有する。
[1]メタクリルアミド硫酸塩とメタノールを反応させてメタクリル酸メチルを製造する方法であって、メタクリルアミド硫酸塩に、メタノールとメタクリル酸メチルとの質量比が51:49~99:1である混合液(1)を加える工程を含む、メタクリル酸メチルの製造方法。
[2]さらに、前記工程で生じるメタノールとメタクリル酸メチルとの質量比1:99~49:51である混合液(2)に、メタノールとの共沸溶媒を加えてメタノールを留去する工程を含む、[1]に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[3]前記混合液(1)が、高沸点アルコールとメタクリル酸メチルとのエステル交換反応による生成物である、[1]又は[2]に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[4]前記混合液(1)が、メタクリル酸の製造工程で生じる生成物である[1]又は[2]に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[1]メタクリルアミド硫酸塩とメタノールを反応させてメタクリル酸メチルを製造する方法であって、メタクリルアミド硫酸塩に、メタノールとメタクリル酸メチルとの質量比が51:49~99:1である混合液(1)を加える工程を含む、メタクリル酸メチルの製造方法。
[2]さらに、前記工程で生じるメタノールとメタクリル酸メチルとの質量比1:99~49:51である混合液(2)に、メタノールとの共沸溶媒を加えてメタノールを留去する工程を含む、[1]に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[3]前記混合液(1)が、高沸点アルコールとメタクリル酸メチルとのエステル交換反応による生成物である、[1]又は[2]に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[4]前記混合液(1)が、メタクリル酸の製造工程で生じる生成物である[1]又は[2]に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
本開示によれば、より簡便でより低コストな方法で、MMA含有メタノールを利用してメタクリル酸メチルを製造できる、メタクリル酸メチルの製造方法を提供できる。
MMA含有回収メタノールを再利用(リサイクル)して、ACH法によりメタクリル酸メチルを製造する場合には、これまでは、MMA含有回収メタノールを焼却処理して熱回収するか、メタクリル酸メチルとメタノールとを単離するために、以下の操作を行う必要があった。すなわち、MMA含有回収メタノールに、n-ヘキサン等の共沸溶媒を加えてメタノールを留去して、メタクリル酸メチルを単離し、留去したメタノールと共沸溶媒とをデカンターで分液し、両成分を分離する。これらの工程を経たメタクリル酸メチルは製品となり、分離されたメタノールは硫酸共存下でメタクリルアミドのメタノリシス(加メタノール分解)によりメタクリル酸メチルの合成に供される。
一方、本開示のメタクリル酸メチルの製造方法(以降、本製造方法とも記す)では、メタクリル酸メチルとメタノールとを含む混合液を単離精製せずに、直接メタクリルアミドとのメタノリシスに供する。このため、本製造方法では、MMA含有回収メタノールの蒸留精製等を省略できるため、資源の有効利用、温室効果ガス排出量の削減、蒸留・分液工程の削減、共沸溶媒の使用量削減が可能となる。
以下に、本製造方法の実施形態について詳しく説明するが、本開示はこの実施形態に限定されるものではない。また、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施できる。
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸及びアクリル酸のいずれか一方又は両方を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸及びアクリル酸のいずれか一方又は両方を意味する。
本製造方法は、メタクリル酸メチル含有メタノールを利用したメタクリル酸メチルの製造方法である。より具体的には、本製造方法では、メタクリル酸メチルと、メタノールとを含む混合液(MMA含有回収メタノール)に、メタクリルアミド硫酸塩を反応させて、前記メタノールからメタクリル酸メチルを製造する。すなわち、本製造方法は、MMA含有回収メタノールを活用したACH法を用いたメタクリル酸メチルの製造方法であると言える。なお、メタクリル酸メチル(MMA)は、透明樹脂として知られるポリメタクリル酸メチル(PMMA)等各種ポリマーの原料モノマーとして用いられる。
ここで、上記混合液は、メタノールとメタクリル酸メチルとを質量比51:49~99:1で含む混合液(1)であればよく、その製造方法及びその他の含有成分等は、本開示の効果が得られる範囲で、特に限定されない。
前記混合液(1)は、例えば、メタクリル酸とメタノールとのエステル化反応、メタクリル酸メチルとアルコール(好ましくは高沸点アルコール)とのエステル交換反応、又は、メタクリルアミド硫酸塩とメタノールとのメタノリシス反応による反応生成物、メタクリルアミドを経由しないメタクリル酸の製造工程で生じる生成物、等であってもよい。また、前記混合液(1)は、これらの反応生成物に対して、必要に応じて、蒸留精製等の他の処理操作を経たもの(すなわち、反応生成物由来のもの)を用いることができる。
メタクリル酸とメタノールとのエステル化反応では、メタクリル酸メチル、メタノール及び水を含む混合液が得られる。エステル化反応においては、通常、メタノールは、メタクリル酸に対して過剰量使用されるので、メタクリル酸はほとんど消費され、未反応のメタクリル酸はなくなる。したがって、反応後の反応液は、過剰のメタノールと、反応生成物であるメタクリル酸メチル、反応副生成物である水の混合液となる。
また、メタクリル酸メチルと高沸点アルコール(例えば、分子内に水酸基を2個以上有する多価アルコール、炭素数が6以上の高級アルコール)とのエステル交換反応では、メタクリル酸メチル及びメタノールを含む混合液(1)が得られる。エステル交換反応においては、通常、メタクリル酸メチルはアルコールに対して過剰量使用されるので、アルコールはエステル交換反応によりほとんど消費される。したがって、反応後の反応液は、反応副生成物であるメタノール、未反応のメタクリル酸メチル及び反応生成物であるエステル(使用したアルコールに対応するメタクリル酸エステル)の混合液となる。このうち、反応生成物であるエステルは、メタノール及びメタクリル酸メチルとの沸点差が大きいので、分離が比較的容易であり、このエステルを除いたメタノールとメタクリル酸メチルとを含む混合液を得ることができる。
メタクリルアミド硫酸塩とメタノールとのメタノリシス反応は、上述したACH法に含まれる反応工程であってもよい。
なお、ACH法は、例えば、以下の工程を有するものである。
(a)アセトンとシアン化水素とを、例えば、アルカリ触媒存在下で付加反応させて、アセトンシアンヒドリン(ACH)を得る。
(b)ACHと、硫酸又は発煙硫酸(硫酸類)とを、必要に応じて熱をかけて、アミド化反応させて、メタクリルアミド硫酸塩(以降、MAAmとも記す)を得る。
(c)MAAmと、水と、メタノールとを、メタノリシス反応させて、MMAを得る。
ここで、工程(c)では、MAAmに対して、メタノールを過剰量使用するため、硫酸アンモニウムとともに、メタクリル酸メチルとメタノールとを含む混合液が得られる。この工程(c)で得られる混合液を、本製造方法における混合液(1)(MMA含有回収メタノール)として使用してもよい。
なお、ACH法は、例えば、以下の工程を有するものである。
(a)アセトンとシアン化水素とを、例えば、アルカリ触媒存在下で付加反応させて、アセトンシアンヒドリン(ACH)を得る。
(b)ACHと、硫酸又は発煙硫酸(硫酸類)とを、必要に応じて熱をかけて、アミド化反応させて、メタクリルアミド硫酸塩(以降、MAAmとも記す)を得る。
(c)MAAmと、水と、メタノールとを、メタノリシス反応させて、MMAを得る。
ここで、工程(c)では、MAAmに対して、メタノールを過剰量使用するため、硫酸アンモニウムとともに、メタクリル酸メチルとメタノールとを含む混合液が得られる。この工程(c)で得られる混合液を、本製造方法における混合液(1)(MMA含有回収メタノール)として使用してもよい。
なお、本製造方法に用いる混合液を得るための上述した各反応における詳細な反応条件は従来公知のものを適宜使用でき、特に限定されない。
例えば、上記ACH法における工程(b)において、ACHと硫酸類との反応は、ACH1モルに対して、通常、硫酸類は、1.0~3.0モル、好ましくは1.42~2.1モルで行う。反応温度は50~180℃、好ましくは90~150℃である。また、反応は、連続式で行ってもよいし、回分式で行ってもよいが、連続式が好ましい。また、反応に使用される反応器としては、例えば、攪拌式反応槽、連続撹拌式反応槽、流通式反応槽が挙げられるが、連続撹拌式反応槽が好ましい。
また、工程(c)において、MAAm1モルに対して、使用する水は通常、1~5モル、好ましくは2~3モルである。水は加熱源を兼ねたスチームであってもよい。また、使用するメタノールは通常、1~5モルであるが、MAAmに対して過剰量使用することが好ましい。反応温度は60~150℃、好ましくは90~140℃である。反応は、連続式で行っても回分式で行ってもよいが、連続式が好ましい。反応に使用される反応器としては、例えば、攪拌式反応槽、連続攪拌式反応槽、流通式反応槽が挙げられるが、連続攪拌式反応槽が好ましい。反応で得られたMMAには、水、未反応メタノール、反応で生じた低沸点不純物等が含まれる。なお、蒸留、抽出等の分離操作でこれらの物質を除去することもできる。通常、水および未反応メタノールは抽出操作で、低沸点不純物は蒸留で除去できる。
本製造方法では、別途、蒸留分液操作等を行わずに、MMAとメタノールとが混合された状態で(すなわち、MMA含有回収メタノール混合液(1)に対して)MAAmと反応させて、MMAを製造する。ここで、当該混合液(1)(MMA含有回収メタノール)におけるメタノールとメタクリル酸メチルとの混合割合は、反応器容積が過大とならない観点から、51:49~99:1であり、75:25~99:1であることが好ましい。MAAmのメタノリシス反応後の生成物に含まれる硫酸アンモニウム、残余の硫酸、酸性硫酸アンモニウム(NH4HSO4)等は反応器の槽底から抜出し、MMAと残余のメタノールは蒸留により留出させてメタノールとMMAを質量比1:99~49:51で含む混合液(2)を得ることができる。
また、本製造方法では、MMA含有回収メタノールにMAAmを反応させて得られた反応生成物(MMAとメタノールを含む混合液(2))に対して、必要に応じて、後述する精製操作を加えた後に、再度、MAAmを反応させてもよい。すなわち、本製造方法では、メタクリル酸メチルとメタノールとを含む混合液に、MAAmを反応させる操作を複数回繰り返して、混合液(2)中のMMAの含有割合を高めてもよい。
本製造方法では、前記混合液(1)(MMA含有回収メタノール)と、メタクリルアミド硫酸塩とを反応させることにより得られる混合液(2)を蒸留して、メタクリル酸メチルを精製してもよい。すなわち、本製造方法は、得られた反応生成物に対する、蒸留等の精製工程を含むことができる。
ここで、上記混合液(2)に対する蒸留方法は、特に限定されず、従来公知の方法を適宜使用できる。例えば、上述した特許文献2及び特許文献3に記載の精製方法の如くメタノールとの共沸溶媒を加えてメタノールを留去する工程を利用してもよい。該共沸溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ペプタン等のメタノールと相溶しない低沸点炭化水素溶媒を挙げることができる。
さらに以下の精製方法を利用してもよい。具体的には、MMA含有回収メタノールと、MAAmとの反応生成物(粗MMA)を蒸留塔へ供給する。粗MMAにはMMAより低沸点および高沸点の不純物が含まれている。高沸点の不純物としては、例えば、メタクリル酸エチル、α-ヒドロキシイソ酪酸メチル、α-メトキシイソ酪酸メチル、β-ヒドロキシイソ酪酸メチル、β-メトキシイソ酪酸メチル、メタクリル酸メチルダイマー、メタクリル酸が挙げられる。含有率の高い高沸点不純物とその一般的な含有率は、α-ヒドロキシイソ酪酸メチル1~2%、β-メトキシイソ酪酸メチル1~2%、及びメタクリル酸2~8%である。
蒸留操作では精製MMAを蒸留塔の塔頂部より留出させる。その際、留出成分中の少なくとも1種の高沸点不純物を指標物質として選定し、その各々の濃度が50ppm以下、好ましくは20ppm以下になるように運転する。ただし、MMAの回収率を高めるためには、留出成分中の各々の指標物質の濃度は15ppm以上が好ましい。指標物質としては、例えば、α-ヒドロキシイソ酪酸メチル(常圧における沸点137℃)、β-メトキシイソ酪酸メチル(同147℃)等が挙げられる。例えば、指標物質がα-ヒドロキシイソ酪酸メチルで粗MMA中のα-ヒドロキシイソ酪酸メチルの含有率が1~2%の場合、蒸留精製におけるMMAの回収率は80~86%を目標にすることが好ましい。
蒸留操作で使用する蒸留塔の形式は特に限定されず、例えば、充填塔、トレイタイプの塔等が挙げられる。充填塔に使用する充填物としては、例えば、ヘリパック、マクマホン、カスケードミニリング等が挙げられる。トレイタイプの蒸留塔としては、例えば、オルダーショウ型、リフトトレイ型等が挙げられる。蒸留塔の理論段数は特に限定されないが、5段以上が好ましく、10段以上がより好ましい。また、70段以下が好ましく、50段以下がより好ましい。理論段数は、多いほど分離能力が向上し、少ないほど蒸留塔内の差圧が小さくなる。
蒸留操作は、常圧(大気圧付近)、減圧および加圧のいずれの圧力下でも行うことができるが、好ましい蒸留圧力は、2600~108000Pa(絶対圧)である。
蒸留温度(蒸留塔内の温度)は蒸留圧力によって変動するので一概には決められないが、一般には40~110℃である。反応圧力が常圧の場合、蒸留温度は通常90~105℃である。
蒸留温度(蒸留塔内の温度)は蒸留圧力によって変動するので一概には決められないが、一般には40~110℃である。反応圧力が常圧の場合、蒸留温度は通常90~105℃である。
蒸留に際しては系内に重合防止剤を存在させてもよい。重合防止剤はMMAに対して重合防止効果を有するものであればいずれも用いることができる。このような重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、パラメトキシフェノール、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール等のフェノール系化合物;フェノチアジン、N-フェニル-N’-イソプロピルパラフェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチルパラフェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)パラフェニレンジアミン等のアミン系化合物;4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-アセチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、あるいは、下記一般式(1)で示されるN-オキシル系化合物等のN-オキシル化合物等が挙げられる。重合防止剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
以上のように、本製造方法により、MMA含有回収メタノールから、必要に応じて精製されたMMAを得ることができる。
以上のように、本製造方法により、MMA含有回収メタノールから、必要に応じて精製されたMMAを得ることができる。
以下に、複数の例により本発明をさらに詳しく説明するが、本開示はこれらの例により何ら限定されるものではない。
<混合液の組成分析>
ガスクロマトグラフ(島津製作所社製;GC-14A)に、カラム(GL Sciences社製;InertCap 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m))を繋いだ。そして、インジェクション温度を180℃に、検出器温度を180℃に、カラム温度を60℃(5分間保持)から昇温速度10℃/分で200℃まで昇温する条件により測定した。
ガスクロマトグラフ(島津製作所社製;GC-14A)に、カラム(GL Sciences社製;InertCap 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m))を繋いだ。そして、インジェクション温度を180℃に、検出器温度を180℃に、カラム温度を60℃(5分間保持)から昇温速度10℃/分で200℃まで昇温する条件により測定した。
[実施例1]
高沸点アルコールとメタクリル酸メチル(MMA)とのエステル交換反応により、副生物としてメタノール80質量%とMMA20質量%からなる混合液(1-1)を得た。
反応器に、メタクリルアミド分100質量部を含むメタクリルアミド硫酸塩と硫酸との混合液250質量部、混合液(1-1)75質量部を連続的に供給して、130℃で反応を行なった。生成した酸性硫酸アンモニウム(NH4HSO4)は反応器の底から抜き出し、メタノール15質量%とMMA85質量%からなる混合液(2-1)155質量部を蒸留分として得た。
混合液(2-1)に共沸溶媒としてn-ヘキサンを加えて蒸留し、塔頂からメタノールとn-ヘキサンを共沸留去して塔底から精製MMA133質量部を得た。
高沸点アルコールとメタクリル酸メチル(MMA)とのエステル交換反応により、副生物としてメタノール80質量%とMMA20質量%からなる混合液(1-1)を得た。
反応器に、メタクリルアミド分100質量部を含むメタクリルアミド硫酸塩と硫酸との混合液250質量部、混合液(1-1)75質量部を連続的に供給して、130℃で反応を行なった。生成した酸性硫酸アンモニウム(NH4HSO4)は反応器の底から抜き出し、メタノール15質量%とMMA85質量%からなる混合液(2-1)155質量部を蒸留分として得た。
混合液(2-1)に共沸溶媒としてn-ヘキサンを加えて蒸留し、塔頂からメタノールとn-ヘキサンを共沸留去して塔底から精製MMA133質量部を得た。
[実施例2]
混合液(1-1)をメタノールで10倍に希釈し、メタノール98質量%とMMA2質量%からなる混合液(1-2)を得た。反応器へ供給する混合液を混合液(1-2)61質量部に変更した以外は実施例1と同様に反応させ、メタノール16質量%とMMA84質量%からなる混合液(2-2)141質量部を蒸留分として得た。
混合液(2-2)に共沸溶媒としてn-ヘキサンを加えて蒸留し、塔頂からメタノールとn-ヘキサンを共沸留去して塔底からMMA119質量部を得た。
混合液(1-1)をメタノールで10倍に希釈し、メタノール98質量%とMMA2質量%からなる混合液(1-2)を得た。反応器へ供給する混合液を混合液(1-2)61質量部に変更した以外は実施例1と同様に反応させ、メタノール16質量%とMMA84質量%からなる混合液(2-2)141質量部を蒸留分として得た。
混合液(2-2)に共沸溶媒としてn-ヘキサンを加えて蒸留し、塔頂からメタノールとn-ヘキサンを共沸留去して塔底からMMA119質量部を得た。
[実施例3]
反応器へ供給する混合液をメタノール70質量%とMMA30質量%からなる混合液(1-3)86質量部に変更した以外は実施例1と同様に反応させ、メタノール14質量%とMMA86質量%からなる混合液(2-3)166質量部を蒸留分として得た。
混合液(2-3)に共沸溶媒としてn-ヘキサンを加えて蒸留し、塔頂からメタノールとn-ヘキサンを共沸留去して塔底からMMA143質量部を得た。
反応器へ供給する混合液をメタノール70質量%とMMA30質量%からなる混合液(1-3)86質量部に変更した以外は実施例1と同様に反応させ、メタノール14質量%とMMA86質量%からなる混合液(2-3)166質量部を蒸留分として得た。
混合液(2-3)に共沸溶媒としてn-ヘキサンを加えて蒸留し、塔頂からメタノールとn-ヘキサンを共沸留去して塔底からMMA143質量部を得た。
[比較例1]
実施例1において混合液(1-1)をメタクリルアミド硫酸塩に反応させる前に、混合液(1-1)に対して共沸溶媒としてn-ヘキサンを用いて蒸留し、塔頂から留出したn-ヘキサンとメタノールとをデカンターで分液してメタノールを得る事前の精製操作を行った以外は、実施例1と同様にして、MMAを製造した。
実施例1において混合液(1-1)をメタクリルアミド硫酸塩に反応させる前に、混合液(1-1)に対して共沸溶媒としてn-ヘキサンを用いて蒸留し、塔頂から留出したn-ヘキサンとメタノールとをデカンターで分液してメタノールを得る事前の精製操作を行った以外は、実施例1と同様にして、MMAを製造した。
以上より、本製造方法では、MMA含有回収メタノールに対して、蒸留及び分液等の精製操作を経ずに直接メタクリルアミド硫酸塩を反応させて、MMAを製造する。このため、MMA含有回収メタノールの上述した精製操作を経る従来の方法に比べて、より短い工程にて簡便にMMAを製造できる。なお、本製造方法によるMMAの回収率は、MMA含有回収メタノールに対して事前に精製操作を行う従来の方法によるMMAの回収率と同等であった。さらに、本製造方法では、MMA含有回収メタノールの蒸留精製に用いるヘキサン等の共沸溶媒の使用量を削減できるため、従来の方法に比べて低いコストでMMAを製造できる。
本開示によれば、より簡便で低コストにMMAを製造でき、さらに、当該MMAを原料モノマーとする各種ポリマー(例えば、PMMA)も低コストに製造できる。なお、本開示は、アクリル酸メチルの製造にも適用可能である。すなわち、本製造方法は、(メタ)アクリル酸メチルの製造方法としても利用できる。
Claims (4)
- メタクリルアミド硫酸塩とメタノールを反応させてメタクリル酸メチルを製造する方法であって、
メタクリルアミド硫酸塩に、メタノールとメタクリル酸メチルとの質量比が51:49~99:1である混合液(1)を加える工程を含む、メタクリル酸メチルの製造方法。 - さらに、前記工程で生じるメタノールとメタクリル酸メチルとの質量比1:99~49:51である混合液(2)に、メタノールとの共沸溶媒を加えてメタノールを留去する工程を含む、請求項1に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
- 前記混合液(1)が、高沸点アルコールとメタクリル酸メチルとのエステル交換反応による生成物である、請求項1に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
- 前記混合液(1)が、メタクリル酸の製造工程で生じる生成物である、請求項1に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
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