JP2024535429A - 連続クロマトグラフィ動作中のクロマトグラフィ樹脂をモニタリングするための方法 - Google Patents
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Abstract
バッファの変化をモニタリングし、続いて記録された値を平滑化および微分することにより、カラム動作を中断することなく、連続モードで動作させられるクロマトグラフィカラムの品質および効率をモニタリングするための方法。
Description
カラムクロマトグラフィは、生成物を精製するためにバイオテクノロジー産業で広く使用されている。典型的には、インスリンまたはモノクローナル抗体などの標的治療用タンパク質は、原核細胞または真核細胞内で作り出される。標的タンパク質はその後、培地、細胞、細胞デブリおよび培養プロセスに起因するあらゆる他の不純物から精製される必要がある。カラムクロマトグラフィは、例えば、標的タンパク質と不純物の電荷の違い、リガンドに対する標的タンパク質または不純物のアフィニティ、およびサイズ排除によって、標的タンパク質を分離するために使用される。ほとんどの精製プロトコルは、標的タンパク質を精製するために、いくつかの異なるクロマトグラフィステップを順次に必要とする。
クロマトグラフィ動作は、理論段相当高さ(HETP:Height of Equivalent Theoretical Plate)検査を通じて充填ベッドの品質を検査することにより、カラム効率の定期的なチェックを必要とする。この検査は一般に、カラムを生産から外し、パルス分析を用いて行われる。
従来、バイオマニュファクチャリングはバッチモードで行われており、各ステージは、順次のステップ同士の間、生成物を保持するための保持タンクまたは同等のものを必要とした。このことは、プロセスを停止および開始すること、時間を犠牲にすること、および貴重な空間を犠牲にする貯蔵容器の使用を必要とする。連続プロセスとは、保持タンクまたはプロセスの停止および開始を必要とすることなく、原料(すなわち、培養された操作された細胞(engineered cell)および培地)を製造プロセスの一方の端に入れ、他方の端から生成物を出すという概念である。しかし、連続プロセスは、クロマトグラフィカラムの品質および効率を、効果的に一貫してモニタリングすることをほぼ不可能にする。当技術で必要とされているのは、検査するためにプロセス状態を停止または遅延させる必要なく、クロマトグラフィ品質をモニタリングするための方法である。
Gueffroy,D.、Calbiochem Corporation編、「Buffers.A Guide for the Preparation and Use of Buffers in Biological Systems」(1975年)
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本発明は、製造プロセスを停止する必要なくカラムクロマトグラフィをモニタリングするための方法を提供する。換言すれば、本発明は、カラムの品質および効率(すなわち、カラム性能)をモニタリングする際の困難という先行技術の問題を解決する。本発明は、連続プロセス製造シナリオにおいて、プロセスを停止する必要性、プロセスフローに追加的な検査特有ステップを追加する必要性、またはカラム検査目的に特有の試薬(パルス化学物質または試薬など)を追加する必要性を伴うことなく、カラム性能をモニタリングすることを対象とする。換言すれば、プロセスを中断することなく、カラム性能がモニタリングされる。
本発明は、プロセスパラメータの相変化をモニタリングすることにより、この問題を解決する。本発明によってカラム性能をモニタリングするためにモニタリングされ得るプロセスパラメータは、例えば、a)導電率;b)pH;c)塩濃度;d)光吸収;e)適切な波長の光で励起した後の蛍光;f)屈折率;g)電気化学的応答;およびh)質量分析データを含むが、これらに限定されない。1つ以上のプロセスパラメータは、任意の製造プロセスにおいて、および製造プロセス中の任意のカラムについてモニタリングされ得る。
本発明の一態様では、充填ベッドの品質は、そのような導電率、吸光度またはpHの測定可能なパラメータの変化を測定することによってなされる。したがって、HETP前端分析の本方法は、測定される値のステップを生成するために、カラム内をフローする溶液を突然変化させることからなる。これらのステップを生成する既存のクロマトグラフィ動作に対して前端分析を使用し、サイクルごとにこの分析を繰り返すことによって、プロセスを中断することなく、クロマトグラフィカラムの充填の品質をモニタリングすることが可能である。その上、サイクルごとの、この分析の繰り返しにより、連続プロセス中のカラム品質の変化を確認することができる。
プロセスパラメータは、モニタリングされているプロセスパラメータ特有のプローブを使用してモニタリングされてもよい。当業者であれば、特有のプロセスパラメータをモニタリングするために適当なプローブを選択することができるであろう。
プロセスパラメータは、手動で、すなわち、人がプローブまたは記録システムの読み取り値を観察し、記録することによってモニタリングされてもよい。しかしながら、好ましくは、プロセスパラメータは、前記プロセスパラメータをモニタリングし、プローブからの値を記録するために設計、プログラムまたは適合されたコンピュータまたはコンピュータシステムによって自動的にモニタリングされる。このようにして観察および記録された値は、カラム品質が別の運転に十分であるか、またはカラムがクリーニングもしくは再充填されることを必要とするかどうかの決定のために、分析用のプログラムに入力することができる。
本発明は、連続プロセスモードで動作させられている1つ以上のクロマトグラフィカラムを、効率および品質に関してモニタリングする方法を企図しており、方法は:連続モードで使用される1つ以上のクロマトグラフィカラムを用意すること;pH、導電率、塩濃度、光吸収、適切な波長の光で励起した後の蛍光、屈折率、電気化学的応答、および質量分析からなる群から選択される1つ以上のプロセスパラメータの変化を、1つのプロセス流体を1つ以上のプロセスパラメータに違いのある別のプロセス流体に交換する直前、最中、および直後に検出して、プロセスデータを生成すること;前記プロセスデータに曲線平滑化フィルタを適用して、補正されたプロセスデータを生成すること;前記補正されたプロセスデータの一次導関数を計算して、前記補正されたプロセスデータの微分されたプロセスデータを作り出すこと;前記微分されたデータのHETP値およびアシンメトリを決定すること;HETP値およびアシンメトリを標準化された値と比較すること;HETP値およびアシンメトリが前記標準化された値の範囲内にある場合、カラムが別のプロセス運転に使用されることを含む。
方法はさらに、曲線平滑化計算が、Savitzky-Golay平滑化フィルタであることを企図している。
方法は、カラムが、2回から100回までの運転にわたって、連続的に使用されたものであることをさらになお企図し得る。
前記カラムが、5回から50回までの運転にわたって、連続的に使用されたものである、請求項1に記載の方法。
方法は、連続プロセスモードが、少なくとも2つ、しかし5つ以下の異なるカラムを順次に含むことをさらになお企図し得る。
方法は、カラムが、アフィニティ、イオン交換、サイズ排除、逆相、キラル、前端、および疎水性からなる群から選択されることをさらになお企図し得る。
方法は、各カラムが、効率および品質に関してモニタリングされることをさらになお企図し得る。
方法は、連続プロセスモードが、複数のプロセスステップを含み、少なくとも2つ、しかし10以下のプロセスステップを順次に含み、少なくとも1つのプロセスステップが、クロマトグラフィカラムを含むことをさらになお企図し得る。
方法は、標準化された値が、同一または実質的に同一の、カラムおよびプロセスパラメータを使用する履歴データに基づくことをさらになお企図し得る。
方法は、HETP値およびアシンメトリが前記標準化された値の範囲内になく、カラムが再生されることをさらになお企図し得る。
方法は、HETP値およびアシンメトリが前記標準化された値の範囲内になく、自動システムによってオペレータに通知されることをさらになお企図し得る。いくつかの実施形態では、自動システムは、アラームシステムまたは他の通知システムである。これらのアラームにはいくつかのパラメータがあってもよいことが企図される。例えば、1)有効/無効、2)ブザーをトリガして、非クリティカルアラームを表示し得る、非クリティカルレベル-高/低、3)プロセスを停止するが、オペレータは確認応答する必要があり、例えばプロセス運転を完了するためにプロセスを再開始することがある、クリティカルアラーム-高/低。
定義
本明細書で使用される、「クロマトグラフィ」という用語は、関心対象の被検物(例えば、ターゲット分子)を混合物中に存在する他の分子から分離するあらゆる種類の技術を指す。通常、関心対象の被検物は、移動相の影響下で混合物の個々の分子が静止している媒体中を移動する速度の違い、または結合および溶出プロセスの結果として、他の分子から分離される。
本明細書で使用される、「クロマトグラフィ」という用語は、関心対象の被検物(例えば、ターゲット分子)を混合物中に存在する他の分子から分離するあらゆる種類の技術を指す。通常、関心対象の被検物は、移動相の影響下で混合物の個々の分子が静止している媒体中を移動する速度の違い、または結合および溶出プロセスの結果として、他の分子から分離される。
「クロマトグラフィ樹脂」または「クロマトグラフィ媒体」という用語は、本明細書では置き換え可能に使用され、関心対象の被検物(例えば、ターゲット分子)を混合物中に存在する他の分子から分離するあらゆる種類の相(例えば、固相)を指す。通常、関心対象の被検物は、移動相の影響下で混合物の個々の分子が静止している固相を移動する速度の違い、または結合および溶出プロセスの結果として、他の分子から分離される。様々なタイプのクロマトグラフィ媒体の例は、例えば、陽イオン交換樹脂、アフィニティ樹脂、陰イオン交換樹脂、陰イオン交換膜、疎水性相互作用樹脂、およびイオン交換モノリスを含む。他のクロマトグラフィ媒体は、本出願の提出時点で当業者に知られているものであり、本明細書に含まれる。
本明細書で使用される、「捕捉ステップ」という用語は、一般に、ターゲット分子を刺激応答性ポリマーまたはクロマトグラフィ樹脂と結合させるために使用され、その結果、ターゲット分子とポリマーまたは樹脂の沈殿物を含む固相をもたらす方法を指す。典型的には、ターゲット分子はその後、溶出ステップを使用して回収され、これによりターゲット分子が固相から除去され、それにより、1つ以上の不純物からのターゲット分子の分離をもたらす。様々な実施形態において、捕捉ステップは、樹脂、膜もしくはモノリスなどのクロマトグラフィ媒体、または刺激応答性ポリマー、高分子電解質もしくはターゲット分子を結合するポリマーなどのポリマーを用いて遂行することができる。
本明細書では、ターゲット分子(例えば、タンパク質を含むFc領域)とマトリックスに付着したリガンド(例えば、固相マトリックスまたは樹脂に結合したプロテインA)との間の相互作用を説明するために使用される「結合」という用語は一般に、結合部位における静電気力、水素結合、疎水性力、および/またはファンデルワールス力とあいまっての、結合部位における、例えばタンパク質およびリガンド構造の空間的相補性の組み合わさった効果による、ターゲット分子のリガンドに対する可逆的な結合を指す。一般に、空間的相補性が大きいほど、また結合部位における他の力が強いほど、それぞれのリガンドに対するタンパク質の結合特異性は大きくなる。特異的結合の非限定的な例は、抗体-抗原結合、酵素-基質結合、酵素-補因子結合、金属イオンキレーション、DNA結合タンパク質-DNA結合、制御タンパク質-タンパク質相互作用などを含む。理想的には、アフィニティクロマトグラフィでは、自由溶液中で約10-4-10-8Mのアフィニティで特異的結合が起こる。
「洗浄剤」という用語は、イオン性および非イオン性の界面活性剤を指し、例えばポリソルベート(例えば、ポリソルベート20または80);ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188);トリトン;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ラウリル硫酸ナトリウム;オクチルグリコシドナトリウム;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-スルホベタイン;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-サルコシン;リノレイル-、ミリスチル-、またはセチル-ベタイン;ラウロアミドプロピル-、コカミドプロピル-、リノールアミドプロピル-、ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン;ココイルメチルタウリンナトリウムまたはオレイルメチルタウリンジナトリウム;およびMONAQUAT(TM)シリーズ(ニュージャージー州パターソンMona Industries,Inc.)であり、有用な洗浄剤は、ポリソルベート20(TWEEN20(R))またはポリソルベート80(TWEEN80(R))などのポリソルベート、またはオクタン酸などの様々な酸類である。
「バッファ」とは、酸塩基共役成分の作用によってpHの変化に抵抗する溶液である。例えば、バッファの所望のpHに応じて、採用され得る様々なバッファは、以下:「Buffers.A Guide for the Preparation and Use of Buffers in Biological Systems」、Gueffroy,D.、Calbiochem Corporation編(1975年)に記載されている。バッファの非限定的な例は、MES、MOPS、MOPSO、Tris、HEPES、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、およびアンモニウムバッファ、ならびにこれらの組み合わせを含む。
本発明によれば、「バッファ」または「溶媒」という用語は、分離ユニットのロード、洗浄、溶出および再平衡化に使用される任意の液体組成物に使用される。
分離カラムを「ロードする」とき、バッファは、ターゲット分子(例えば、標的タンパク質を含むFc領域)および1つ以上の不純物を含む試料または組成物を、クロマトグラフィカラム(例えば、アフィニティカラムまたはイオン交換カラム)にロードするために使用される。バッファは、ターゲット分子はクロマトグラフィマトリックスに結合されるが、理想的にはすべての不純物が結合されずにカラムをフロースルーするような、導電率および/またはpHを有する。
ターゲット分子を「フロースルー」させるように分離カラムを「ロードする」とき、バッファは、ターゲット分子(例えば、標的タンパク質を含むFc領域)および1つ以上の不純物を含む試料または組成物を、クロマトグラフィカラム(例えば、アフィニティカラムまたはイオン交換カラム)にロードするために使用される。バッファは、ターゲット分子はクロマトグラフィマトリックスに結合せずカラムをフロースルーし、理想的にはすべての不純物がカラムに結合するような、導電率および/またはpHを有する。
「再平衡化」という用語は、ターゲット分子をロードする前に、クロマトグラフィマトリックスを再平衡化するためのバッファの使用を指す。典型的には、ローディングバッファが再平衡化に使用される。
クロマトグラフィマトリックスを「洗浄する」または「洗浄」とは、適当な液体、例えばバッファを、マトリックスに通す、またはマトリックスを通過させることを意味する。典型的には、ターゲット分子を溶出する前にマトリックスから弱く結合した汚染物質を除去するため、および/またはローディング後に非結合のもしくは弱く結合したターゲット分子を除去するために、洗浄が使用される。
本明細書で使用される、「アフィニティクロマトグラフィマトリックス」という用語は、アフィニティクロマトグラフィに適切なリガンドを担持するクロマトグラフィマトリックスを指す。典型的には、リガンド(例えば、プロテインAまたはその機能的変異体またはフラグメント)は、クロマトグラフィマトリックス材料に共有結合しており、溶液がクロマトグラフィマトリックスに接触すると、溶液中のターゲット分子にとってアクセス可能である。アフィニティクロマトグラフィマトリックスの一例は、プロテインAマトリックスである。典型的には、アフィニティクロマトグラフィマトリックスは、抗原/抗体または酵素/受容体結合などのロック/キーメカニズムに基づき、高い特異性でターゲット分子と結合する。アフィニティマトリックスの例は、Protein A SEPHAROSE(TM)、PROSEP(R)-A、ESHMUNO(R)AおよびESHMUNO(R)P(すべてミズーリ州セントルイス、MilliporeSigmaより入手可能)のような、プロテインAリガンドを担持するマトリックスである。本明細書において説明されるプロセスおよびシステムにおいて、アフィニティクロマトグラフィステップは、精製プロセス全体における結合および溶出クロマトグラフィステップとして使用され得る。
本明細書で使用される、「イオン交換」および「イオン交換クロマトグラフィ」という用語は、関心対象の溶質または被検物が、混合物中の溶質不純物または汚染物質よりも荷電化合物と非特異的に多くまたは少なく相互作用するように、混合物中の関心対象の溶質または被検物(例えば、精製されるターゲット分子)が、固相イオン交換材料に(共有結合などによって)リンクされた荷電化合物と相互作用する。クロマトグラフィプロセスを指す。混合物中の汚染溶質は、関心対象の溶質よりも速くもしくは遅くイオン交換材料のカラムから溶出するか、または関心対象の溶質に対して樹脂に結合するかもしくは樹脂から排除される。
「イオン交換クロマトグラフィ」は、具体的には陽イオン交換、陰イオン交換、および混合モードイオン交換クロマトグラフィを含む。例えば、陽イオン交換クロマトグラフィは、ターゲット分子(例えば、標的タンパク質を含むFc領域)を結合した後に溶出する(例えば、陽イオン交換結合および溶出クロマトグラフィまたは「CIEX」または「CEX」を使用する)ことができるか、またはターゲット分子がカラムを「フロースルー」する間に不純物を支配的に結合することができる(陽イオン交換フロースルークロマトグラフィFT-CEX)。陰イオン交換クロマトグラフィは、ターゲット分子(例えば、標的タンパク質を含むFc領域)を結合した後に溶出することができるか、またはターゲット分子がカラムを「フロースルー」する間に不純物を支配的に結合することができ、ネガティブクロマトグラフィとも呼ばれる。いくつかの実施形態では、そして本明細書に記載の例で実証されるように、陰イオン交換クロマトグラフィステップは、フロースルーモードで行われる。
「イオン交換マトリックス」という用語は、負に帯電したマトリックス(すなわち、陽イオン交換媒体)または正に帯電したマトリックス(すなわち、陰イオン交換媒体)を指す。電荷は、1つ以上の荷電リガンドを、例えば共有結合によってマトリックスに付着させることによって提供されることができる。あるいは、または加えて、電荷は(例えば、全体的に負の電荷を有するシリカの場合のように)マトリックスの固有の性質であってもよい。
混合モード陰イオン交換材料は、典型的には陰イオン交換基と疎水性部分を有する。適切な混合モード陰イオン交換材料は、CAPTO(R)Adhere(マサチューセッツ州ウォバーン、GE Healthcare)である。
「陰イオン交換マトリックス」という用語は、本明細書では、正に帯電したマトリックス、例えば、第4級アミノ基(quaternary amino group)などの1つ以上の正に帯電したリガンドを付着させたマトリックスを指すために用いられる。市販の陰イオン交換樹脂には、DEAEセルロース、QAE SEPHADEX(TM)およびFAST Q SEPHAROSE(TM)(GE Healthcare)がある。本明細書において説明されるプロセスおよびシステムにおいて使用され得る他の例示的な材料は、FRACTOGEL(R)EMD TMAE、FRACTOGEL(R)EMD TMAE HIGHCAP、ESHMUNO(R)QおよびFRACTOGEL(R)EMD DEAE(マサチューセッツ州バーリントン、MilliporeSigma)である。
「陽イオン交換マトリックス」という用語は、負に帯電したマトリックスであって、マトリックスの固相と接触されて水溶液中の陽イオンと交換するための遊離陽イオンを有する、マトリックスを指す。陽イオン交換マトリックスまたは樹脂を形成するように固相に付着した負に帯電したリガンドは、例えばカルボン酸塩またはスルホン酸塩である。市販の陽イオン交換マトリックスは、カルボキシメチルセルロース、アガロースに固定化されたスルホプロピル(SP)(例えば、GE HealthcareのSP-SEPHAROSE FAST FLOW(TM)またはSP-SEPHAROSE HIGH PERFORMANCE(TM))およびアガロースに固定化されたスルホニル(例えば、GE HealthcareのS-SEPHAROSE FAST FLOW(TM))を含む。好ましいのは、FRACTOGEL(R)EMD SO3、FRACTOGEL(R)EMD SE HIGHCAP、ESHMUNO(R)S、ESHMUNO(R)CP-FT、ESHMUNO(R)CPXおよびFRACTOGEL(R)EMD COO(MilliporeSigma)である。
「再生」という用語は、本明細書でカラム再生に適用されるとき、クロマトグラフィ樹脂に強固に結合した汚染物質を除去するためのカラムの処理を意味するものとする。当業者であれば、クロマトグラフィカラムを再生する方法を知っている。クロマトグラフィ媒体をクリーニングするために様々な方法が実現可能である。材料の化学的安定性、および汚染の種類が考慮される。有機溶剤、塩基および酸が、よく使用される。ポリマー性のマトリックスは、NaOHまたは他のアルカリの存在下で不安定になる可能性のあるシリカゲルをベースとした無機吸着剤よりも化学的安定性が高いという特徴がある。また、炭水化物をベースとした媒体とは対照的に、酸による処理にも耐えることができる。
脂質または類似物質(例えば、リポタンパク質)は、エタノール、イソプロパノールまたはエチレングリコールのような有機溶媒で除去することができる。変性タンパク質は、水酸化ナトリウム(0.1Nから1.0NまでのNaOH)で効果的に除去できる。
汚染物質が強く結合している場合、酸性ペプシン溶液(例えば、0.01N HCL中0.1%ペプシン)、6M塩酸グアニジンまたは希釈ラウロイルサルコシン酸ナトリウム(SLS)溶液(0.25M NaCl中2%SLS)でカラム材料を再生する必要がある場合がある。この後SLSは、0.01N HCL中の20% 2-プロパノールで除去することができる。
「平衡バッファ」という用語は、クロマトグラフィカラムまたはバイオリアクター内でターゲット分子がリガンドと効果的に相互作用するように、状態を中和する、またはその他の方法でターゲット分子をバイアスするために使用される溶液または試薬を指す。例えば、本明細書において説明されるバッファ溶液は、化学変化が起こっている間、生物系のpHをほぼ一定に保つことができる。本開示の実施形態によるいくつかの例では、pHは、生物系が例えば7.0-10.0の間のpHを有するにもかかわらず、平衡バッファによってほぼ一定に維持される。
「溶出バッファ」という用語は、クロマトグラフィ媒体に結合した生成物を取り出すまたは溶出するために使用されるバッファまたは試薬を指す。例えば、溶出バッファは、第1の溶出の間empty AAV(アデノ随伴ウイルス)粒子を溶出し、そして第2の溶出の間full AAV粒子を溶出することができ、それによりfull AAV粒子の濃縮を可能にすることができる。
「流出液」という用語は、クロマトグラフィプロセス中に移動する、すなわち出て行く成分を指し、例えばバッファ組成を増減することなく一定組成の溶出バッファを使用する、溶出液としても知られる。
「アイソクラティック溶出状態」という用語は、クロマトグラフィプロセス中に溶出バッファの組成が一定であるという状態を指す。
「グラジエント溶出状態」という用語は、クロマトグラフィプロセス中の溶出バッファの組成が変化するという状態を指し、例えば、特定の時間において、および/または複数のカラムボリュームの間に、0-100%の溶出バッファのグラジエントを形成する。
クロマトグラフィは3つのモードのいずれかで動作させられ得る:(1)バッチモード:媒体に標的タンパク質をロードし、ローディングが停止され、媒体が洗浄および溶出され、プールが回収される;(2)半連続モード:ローディングは連続的に行われ、溶出は断続的である(例えば、連続マルチカラムクロマトグラフィの場合);および(3)完全「連続モード」:ローディングおよび溶出の両方が連続的に行われる。米国特許出願第2013/0280788号(本明細書においてその全体が組み込まれる)は、複数のクロマトグラフィカラムを順番に順次利用する、連続クロマトグラフィ方法および装置と呼ばれるものの実施形態を説明している。連続クロマトグラフィは、「連続プロセス」の精製手順または動作の一部とすることができる。
本明細書において置き換え可能に使用される、「連続プロセス」または「連続的なプロセス」という用語は、ターゲット分子を精製するための2つ以上のプロセスステップ(または単位動作)を含むプロセスを指し、1つのプロセスステップからのアウトプットが、中断なく、プロセス中の次のプロセスステップに直接フローし、この場合2つ以上のプロセスステップは、それらの持続時間の少なくとも一部について同時に行われ得る。換言すれば、本明細書において説明されるような連続プロセスの場合、次のプロセスステップが開始される前にプロセスステップを完了する必要はないが、試料の一部は常にプロセスステップを移動している。「連続プロセス」という用語は、プロセスステップ内のステップにも適用され、この場合、複数のステップを含むプロセスステップを行っている間、試料は、プロセスステップを行うのに必要な複数のステップを通して連続的にフローする。本明細書において説明されるこのようなプロセスステップの一例は、フロースルー精製ステップであり、これは、連続的な方法で行われる複数のステップ、例えば、フロースルー活性炭、続いてフロースルーAEX媒体、続いてフロースルーCEX媒体、続いてフロースルーウイルス濾過を含む。
本明細書で使用される、「半連続プロセス」という用語は、ターゲット分子を精製するための全体的に連続的なプロセスを指し、この場合任意の単一のプロセスステップにおける流体材料のインプットまたはそのアウトプットは、不連続的または断続的である。例えば、本発明によれば、いくつかの実施形態では、プロセスステップ(例えば、結合および溶出クロマトグラフィステップ)におけるインプットは連続的にロードされ得るが、精製プロセスにおける他のプロセスステップが連続的である場合、アウトプットは断続的に(例えば、サージタンクまたはプールタンクにおいて)回収され得る。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書において説明されるプロセスおよびシステムは、断続的な方法で動作させられる少なくとも1つの単位動作を含むという点で、本質的に「半連続的」であるが、プロセスまたはシステムにおける他の単位動作は、連続的な方法で動作させられ得る。
「接続されたプロセス」という用語は、ターゲット分子を精製するためのプロセスを指し、このプロセスは、互いに直接流体連通している2つ以上のプロセスステップ(または単位動作)を含み、そのことにより流体材料がプロセス中のプロセスステップを連続的にフロースルーし、プロセスの通常動作中に2つ以上のプロセスステップと同時に接触するようになっている。時には、プロセス中の少なくとも1つのプロセスステップは、閉位置にあるバルブなどのバリアによって、他のプロセスステップから一時的に隔離されることがあることを理解されたい。個々のプロセスステップのこの一時的な隔離は、例えばプロセスのスタートアップの間もしくはシャットダウンの間、または個々の単位動作の除去/交換時に必要となる場合がある。「接続されたプロセス」という用語はプロセスステップ内のステップにも適用され、例えば、あるプロセスステップが、そのプロセスステップの意図する結果を達成するために、いくつかのステップが行われることを必要とするときなどである。そのような例の1つが、フロースルーモードで行われるいくつかのステップ、例えば、活性炭、陰イオン交換クロマトグラフィ、陽イオン交換クロマトグラフィおよびウイルス濾過を含み得る、本明細書において説明されるフロースルー精製プロセスステップである。
本明細書で使用される、「流体連通」という用語は、2つのプロセスステップ間の流体材料のフロー、またはあるプロセスステップのステップ間の流体材料のフローを指し、この場合プロセスステップは、任意の適切な手段(例えば、接続ラインまたはサージタンク)によって接続され、それによって1つのプロセスステップから別のプロセスステップへの流体のフローを可能にする。いくつかの実施形態では、2つの単位動作間の接続ラインは、接続ラインを通る流体のフローを制御するために、1つ以上のバルブによって中断され得る。
本明細書で使用される、「精製すること」、「精製」、「分離する」、「分離すること」、「分離」、「隔離する」、「隔離すること」または「隔離」という用語は、ターゲット分子と1つ以上の不純物とを含む試料からターゲット分子の純度を増加させることを指す。典型的には、ターゲット分子の純度は、試料から少なくとも1つの不純物を(完全にまたは部分的に)除去することによって増加される。いくつかの実施形態では、試料中のターゲット分子の純度は、本明細書において説明される、例えば、クロマトグラフィプロセスを使用して、試料から1つ以上の不純物を除去(完全または部分的に)することによって増加される。別の実施形態では、ターゲット分子を試料中の1つ以上の不純物から離れるよう沈殿させることにより、試料中のターゲット分子の純度が増加される。本明細書で置き換え可能に使用される、ポリペプチドの「pI」または「等電点」という用語は、ポリペプチドの正電荷がその負電荷とバランスするpHを指す。pIは、ポリペプチドの付着炭水化物のアミノ酸残基もしくはシアル酸残基の正味電荷から計算することができる、または等電点収束によって決定することができる。
「pH」という用語は、液体中の水素イオン濃度の尺度を指すものとして当技術で知られている。pHは溶液の酸性またはアルカリ性を示す尺度である。pHを計算するための式は1909年、デンマークの生化学者Soren Peter Lauritz Sorensenによって提案された:
pH=-log[H+]
ただしlogは底10の対数であり、[H+]は水素イオン濃度を表し、単位は溶液1リットルあたりのモル数である。「pH」という用語は、「power」を意味するドイツ語「potenz」と水素の元素記号である「H」を組み合わせたものに由来し、そのため「pH」は「power of hydrogen」の略語である。
pH=-log[H+]
ただしlogは底10の対数であり、[H+]は水素イオン濃度を表し、単位は溶液1リットルあたりのモル数である。「pH」という用語は、「power」を意味するドイツ語「potenz」と水素の元素記号である「H」を組み合わせたものに由来し、そのため「pH」は「power of hydrogen」の略語である。
精製プロセスで使用される状態として本明細書で使用される、「プロセスパラメータ」という用語。これらのプロセスパラメータは、例えば、1つ以上のセンサおよび/またはプローブでモニタリングされ得る。プロセスパラメータの例としては、温度、圧力、pH、導電率、溶存酸素(DO)、溶存二酸化炭素(DCO2)、混合速度、および流速などがある。センサはまた、場合によっては光学センサであってもよい。センサは、プロセスパラメータを調整するための自動制御システムに接続されることができる。
本明細書で使用される、「導電率」という用語は、2つの電極間で電流を伝導させる水溶液の能力を指す。溶液中では、電流はイオン輸送によって流れる。したがって、水溶液中に存在するイオンの量が増加すると、溶液はより高い導電率を持つ。導電率の測定単位は1センチメートルあたりのミリジーメンス(mS/cmまたはmS)であり、市販の導電率メータ(例えば、Orion、OPTEXおよびKNAUERから販売されている)を使用して測定することができる。溶液の導電率は、その中のイオン濃度を変えることによって変化させることができる。例えば、所望の導電率を達成するために、溶液中のバッファリング剤の濃度および/または塩(例えば、NaClまたはKCl)の濃度が変更されてもよい。いくつかの実施形態では、様々なバッファの塩濃度は、所望の導電率を達成するように改変される。いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤が試料ロード(sample load)に添加されるプロセスでは、その後に1つ以上の洗浄ステップが使用される場合、このような洗浄ステップは、約20mS/cm以下の導電率を有するバッファを採用する。
本明細書で使用される、「塩」という用語は、酸と塩基の相互作用によって形成される化合物を指す。本明細書において説明される方法において採用される様々なバッファ中で使用され得る様々な塩は、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、塩化物(例えば、塩化ナトリウム)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム)、またはカリウム塩を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用される、「結合および溶出モード」と「結合および溶出プロセス」という用語は、試料に含まれる少なくとも1つのターゲット分子(例えば、タンパク質を含むFc領域)が適切な樹脂または媒体(例えば、アフィニティクロマトグラフィ媒体または陽イオン交換クロマトグラフィ媒体)に結合し、その後溶出される分離技術を指す。
「フロースループロセス」、「フロースルーモード」、および「フロースルー動作」という用語は、本明細書で置き換え可能に使用される場合、1つ以上の不純物とともにバイオ医薬品調製物中に含まれる少なくとも1つのターゲット分子(例えば、タンパク質または抗体を含むFc領域)が、通常は1つ以上の不純物と結合し、ターゲット分子は通常結合しない(すなわち、フロースルーする)材料をフロースルーすることが意図される分離技術を指す。
「ブレイクスルー」という用語は、カラムを通して連続的に送液された特定の溶質が溶出し始めるボリュームを指す。ブレイクスルーボリュームは、特定の溶質に対するカラムの全試料容量を決定するのに有用である。
「有効ブレイクスルー」という用語は、カラムのアウトレットでフローする溶液の280nmにおける吸光度を、標的タンパク質(例えば、イムノグロブリンG)のあらゆるブレイクスルーの前に測定された不純物のプラトーの間に測定された吸光度から減算し、それをフィードの280nmにおける吸光度のオフライン測定値と不純物のプラトーの280nmにおける吸光度との間の差分で除算することによって測定される。
本明細書において置き換え可能に使用される、「プロセスステップ」または「単位動作」という用語は、精製プロセスにおいて特定の結果を達成するための1つ以上の方法またはデバイスの使用を指す。本明細書において説明されるプロセスおよびシステムにおいて採用され得るプロセスステップまたは単位動作の例は、清澄化、結合および溶出クロマトグラフィ、ウイルス不活性化、フロースルー精製および製剤化を含むが、これらに限定されない。プロセスステップまたは単位動作の各々は、そのプロセスステップまたは単位動作の意図された結果を達成するために、複数のステップまたは方法またはデバイスを採用できることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるように、清澄化ステップおよび/またはフロースルー精製ステップは、そのプロセスステップまたは単位動作を達成するために、複数のステップまたは方法またはデバイスを採用できる。いくつかの実施形態では、プロセスステップまたは単位動作を行うために使用される1つ以上のデバイスは、使い捨てデバイスであり、プロセス内の他の任意のデバイスを交換する必要なく、またはプロセス運転を停止する必要さえなく、除去および/または交換することができる。
本明細書で使用される「サージタンク」という用語は、プロセスステップ間またはプロセスステップ内(例えば、単一プロセスステップが2つ以上のステップを含むとき)で使用される、任意のコンテナまたは容器またはバッグを指す;この場合1つのステップからのアウトプットは、サージタンクを通って次のステップにフローする。したがって、サージタンクは、あるステップからのアウトプットの全ボリュームを保持または回収することが意図されておらず;その代わりに、あるステップから次のステップへのアウトプットの連続フローを可能にするという点で、プールタンクとは異なる。いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるプロセスまたはシステムにおいて、2つのプロセスステップ間またはプロセスステップ内で使用されるサージタンクのボリュームは、プロセスステップからのアウトプットの全ボリュームの25%以下である。別の実施形態では、サージタンクのボリュームは、プロセスステップからのアウトプットの全ボリュームの10%以下である。いくつかの他の実施形態では、サージタンクのボリュームは、そこからターゲット分子が精製される出発物質を構成するバイオリアクター内の細胞培養物の全ボリュームの35%未満、または30%未満、または25%未満、または20%未満、または15%未満、または10%未満である。
「スタティックミキサー」という用語は、2つの流体材料、典型的には液体を混合するためのデバイスを指す。このデバイスは一般に、円筒形(管状)の筐体に含まれるミキサー要素で構成されている。システム全体の設計は、流体の2つの流れをスタティックミキサーに送達するための方法を組み込んでいる。流れがミキサーを通って移動すると、非可動要素が材料を連続的にブレンドする。完全な混合は、流体の性質、管の内径、ミキサー要素の数およびそれらの設計などを含む、多くの変数に依存する。
「標準化された値」または「許容される値」という用語は、特定のプロセスパラメータまたは手順パラメータについて、ある分野における当業者によって許容される値または値の範囲を指す。標準化された値の外側の値は、プロセスまたは手順が効率的に動作していないことを示し、プロセスパラメータまたはプロセス構成要素が、調整、クリーニングまたは交換されることを必要とする場合がある。例えば、当面の発明に関連するように、プロセスパラメータが効率的なクロマトグラフィカラム運転の標準化された値または許容される値の外側である場合、クロマトグラフィカラムは再生、クリーニングまたは交換される。標準化された値は、例えば、pH、温度、導電率、塩濃度、光吸収、適切な波長の光で励起した後の蛍光、屈折率、電気化学的応答および質量分析のうちの1つ以上から選択することができる。値は、プロセスデータ(すなわち、プロセス値)を生成するために、1つのプロセス流体を1つ以上のプロセスパラメータに違いのある別のプロセス流体に交換する直前、最中、および直後を含むがこれらに限定されない、クロマトグラフィ運転中の任意の時間に測定することができ、前記プロセスデータは、処理されているクロマトグラフィ運転に関してそのパラメータの標準とみなされる値(標準値)と比較される。当業者であれば、任意の特定のクロマトグラフィカラムおよびプロセスパラメータについて標準化された値を決定することができる。
理論段相当高さ
理論段相当高さ(HETP)は、カラムの効果および効率を評価するために使用されるモデリングシステムである。HETPモデルは、カラムを最適化するために、ユーザーがクロマトグラフィカラムを設計および評価するのに役立つ。その目標は、カラム流出液ピークの、最小のまたは限定的なブロードニングを得ることである。HETPモデルは、クロマトグラフィカラムを段(plate)と呼ばれる理論的な層に分割する。固定相と移動相との間の、試料の分離した平衡化は、「段」の中で生じる。段番号(N)が高いほど、分離は良好となる。カラムが適切に充填されていれば、カラムは「良好な」数の段を有し、したがってHETPは小さい。段数が比較的高いカラムは、ピーク数が低い類似のカラムよりもシャープなカラムピークを有する。
HETP=L/N
理論段相当高さ(HETP)は、カラムの効果および効率を評価するために使用されるモデリングシステムである。HETPモデルは、カラムを最適化するために、ユーザーがクロマトグラフィカラムを設計および評価するのに役立つ。その目標は、カラム流出液ピークの、最小のまたは限定的なブロードニングを得ることである。HETPモデルは、クロマトグラフィカラムを段(plate)と呼ばれる理論的な層に分割する。固定相と移動相との間の、試料の分離した平衡化は、「段」の中で生じる。段番号(N)が高いほど、分離は良好となる。カラムが適切に充填されていれば、カラムは「良好な」数の段を有し、したがってHETPは小さい。段数が比較的高いカラムは、ピーク数が低い類似のカラムよりもシャープなカラムピークを有する。
HETP=L/N
つまり、HETPはガウス曲線の広がり(broadness)を記述する。よく充填されたカラムの場合、HETPは平均粒子直径の3-6倍の範囲になる。例えば、75μmビーズの場合、HETPターゲットは0.0225から0.045cmである。
アシンメトリは、カラムの効果および効率に影響を与え得る別のファクタである。理想的なカラム運転では、カラムピークの前半分は、カラムピークの後半分と鏡像となるべきである。換言すれば、一方の半分は、もう一方の半分より「小さくなる(trail off)」べきではない。アシンメトリは次のように計算される:
AS=b/a
AS=b/a
図1は、ある程度のアシンメトリを持つ代表的なカラムピークを示している。
つまり、アシンメトリは、理想的なガウス曲線からのピーク形状のずれを記述する。良好な動作範囲は0.8-1.8であるが、この範囲はカラム長に基づいてさらに改善されることができる。ロングベッドでは、良好な動作範囲は0.8-1.5であり、ショートベッドでは良好な動作範囲は0.7-1.8である。
パルス分析
HETPパルス分析は、一般に、吸光度測定または導電率測定によってモニタリングされる不活性トレーサーを少量注入することによって達成され、理論的には、無限に短い持続時間(dt)と無限に高い値(ymax=1/dt)のパルスとして表される。トレーサーのこのパルスが、多孔質媒体を通ってフローする以外の相互作用を伴うことなく充填ベッドをフローすることが、ガウス形状を持つピークの、カラムの後の表示をもたらす。このガウス曲線の分析は、以下の式を用いて、HETPおよびアシンメトリの値を与える:
ただし、BHはベッド高さ、tRはトレーサーの注入時から最大ピーク高さの表示時までの持続時間を用いて決定され得る保持時間である。W1/2は、ピークの最大高さの半分におけるピークの幅である。図1を参照されたい。A10およびB10は、最大値の10%に達する時間とピーク高さの最大値に達する時間の間の持続時間である。HETP値がより小さいこと、およびアシンメトリが1に近いことは、カラム内のクロマトグラフィ媒体の充填の品質が良好であることのサインである。
HETPパルス分析は、一般に、吸光度測定または導電率測定によってモニタリングされる不活性トレーサーを少量注入することによって達成され、理論的には、無限に短い持続時間(dt)と無限に高い値(ymax=1/dt)のパルスとして表される。トレーサーのこのパルスが、多孔質媒体を通ってフローする以外の相互作用を伴うことなく充填ベッドをフローすることが、ガウス形状を持つピークの、カラムの後の表示をもたらす。このガウス曲線の分析は、以下の式を用いて、HETPおよびアシンメトリの値を与える:
前端分析
別の方法である、HETP前端分析は、測定値のステップを生成するために、カラムをフローするバッファを突然変化させることからなる。このステップは、理論的には、次の式を用いた前述のパルスの積分である:t<t0の時y=y1、およびt≧t0の時y=y2であり、(y2-y1)がステップの高さである。このカラムを通るステップのフローイングは、理論的にはガウス曲線の積分である曲線となる。この曲線を微分することで、ガウス形状を持つ同様のピークを得て、HETP値およびアシンメトリ値を得ることができる。図2Aおよび図2Bを参照されたい。図3は、カラム運転の様々なステージ中に生成される導電率の代表的なグラフである。HETP前端分析を行うことができるエリアが示される。
別の方法である、HETP前端分析は、測定値のステップを生成するために、カラムをフローするバッファを突然変化させることからなる。このステップは、理論的には、次の式を用いた前述のパルスの積分である:t<t0の時y=y1、およびt≧t0の時y=y2であり、(y2-y1)がステップの高さである。このカラムを通るステップのフローイングは、理論的にはガウス曲線の積分である曲線となる。この曲線を微分することで、ガウス形状を持つ同様のピークを得て、HETP値およびアシンメトリ値を得ることができる。図2Aおよび図2Bを参照されたい。図3は、カラム運転の様々なステージ中に生成される導電率の代表的なグラフである。HETP前端分析を行うことができるエリアが示される。
この方法は、連続クロマトグラフィ動作を停止することなく、連続クロマトグラフィ動作の各サイクル終了時にクロマトグラフィ樹脂の充填の品質を与える。図4に、範囲内にあるHETPの値をカラムごとおよびサイクルごとに示した。図5に、図4のHEPT値とは対照的に、範囲外にあるアシンメトリの値をカラムごとおよびサイクルごとに示した。横の実線は、推奨されるHETPおよびアシンメトリの例示的な範囲を示す(許容可能な値)。許容可能な値は、特有のカラムパラメータに基づき異なる場合がある。当業者であれば、本明細書によって与えられる教示を用いて、特定のカラム運転について許容可能なHETPおよびアシンメトリパラメータを決定することができるであろう。典型的には、よく充填されたカラムの場合、HETPは平均粒子直径の3-6倍の範囲になる。例えば、75μmビーズの場合、HETPターゲットは0.0225から0.045cmである。
アシンメトリの良好な動作範囲は0.8-1.8であるが、この範囲はカラム長に基づいてさらに改善されることができる。ロングベッドでは、良好な動作範囲は0.8-1.5であり、ショートベッドでは良好な動作範囲は0.7-1.8である。
平滑化フィルタ
平滑化フィルタは、統計学、画像処理およびデータ処理において、データセットを平滑化するために使用される数式またはアルゴリズムであり、ノイズまたはその他の微細な構造/急な現象を除外しながら、データの重要なパターンを捉えようとする近似関数を作成することである。平滑化では、信号のデータ点が改変され、(おそらくノイズに起因する)隣接する点より高い個々の点は低くされ、隣接する点より低い点は高くされ、より滑らかな信号を導く。換言すれば、これらのフィルタの目的は、信号強度を低減させることなく、ノイジーなデータを平滑化することである。
平滑化フィルタは、統計学、画像処理およびデータ処理において、データセットを平滑化するために使用される数式またはアルゴリズムであり、ノイズまたはその他の微細な構造/急な現象を除外しながら、データの重要なパターンを捉えようとする近似関数を作成することである。平滑化では、信号のデータ点が改変され、(おそらくノイズに起因する)隣接する点より高い個々の点は低くされ、隣接する点より低い点は高くされ、より滑らかな信号を導く。換言すれば、これらのフィルタの目的は、信号強度を低減させることなく、ノイジーなデータを平滑化することである。
当技術で知られている多くの特有の平滑化フィルタがあり、それぞれが様々な異なる用途に対して利点および欠点を有している。ほとんどが、「移動平均」分析を使用する。移動平均分析では、各データ点は周囲のデータ点の局所平均で置き換えられる。アルゴリズムは、加重平滑化関数または非加重平滑化関数を実装することができる。加重平均は、分析対象の中央値に大きな重みを与えるのに対し、非加重平均は、その名が示唆する通り、分析対象のすべての値に等しい重みを与える。
特定の用途について、あるアルゴリズムを他のアルゴリズムに優先して使用するかどうかを決める選定は、殊にその用途が新しいもの、従来にないもの、または試験されていないものである場合、実験的手段によって決定される必要があるかも知れない。さらになお、例えばWeinerフィルタリング(en.wikipedia.org/wiki/Wiener_filter)、または平滑化されていない生のデータを使用することを含む、平滑化フィルタの代替が当技術では存在する。
特に限定するものではないが、好ましい実施形態では、本発明はSavitzky-Golayフィルタを利用する。Savitzky A.およびGolay,M.J.E.、Analytical Chemistry、第36巻、1627-1639頁(1964年)。Savitzky-Golayフィルタはローパスフィルタである。ローパスフィルタは、本質的には低周波信号以外のすべてをフィルタ除去することで機能する。事実上、これは「ジッター的(jittery)」な高周波ノイズを取り除くことによってデータを「平滑化する」。
連続クロマトグラフィ
連続クロマトグラフィでは、典型的には、複数の同一カラムが、方法要件に応じてカラムを直列および/または並列に動作させることができる配置で接続される。したがって、すべてのカラムは同時に運転されることも可能であるし、または断続的に動作を重複させてもよい。典型的には、各カラムは1つのプロセス運転中、複数回ロード、溶出、および再生される。1回のクロマトグラフィサイクルが、ローディング、洗浄、溶出および再生などの複数の連続したステップに基づく従来のクロマトグラフィと比較して、複数の同一カラムに基づく連続クロマトグラフィの場合、これらのステップがすべて異なるカラムで発生することができる。したがって、連続クロマトグラフィ動作により、クロマトグラフィ樹脂のより良好な利用率、およびバッファ必要量の低減をもたらし、プロセス経済性にメリットがある。
連続クロマトグラフィでは、典型的には、複数の同一カラムが、方法要件に応じてカラムを直列および/または並列に動作させることができる配置で接続される。したがって、すべてのカラムは同時に運転されることも可能であるし、または断続的に動作を重複させてもよい。典型的には、各カラムは1つのプロセス運転中、複数回ロード、溶出、および再生される。1回のクロマトグラフィサイクルが、ローディング、洗浄、溶出および再生などの複数の連続したステップに基づく従来のクロマトグラフィと比較して、複数の同一カラムに基づく連続クロマトグラフィの場合、これらのステップがすべて異なるカラムで発生することができる。したがって、連続クロマトグラフィ動作により、クロマトグラフィ樹脂のより良好な利用率、およびバッファ必要量の低減をもたらし、プロセス経済性にメリットがある。
結合および溶出クロマトグラフィまたはサイジングクロマトグラフィ(sizing chromatography)プロセスステップで使用され得る例示的な連続クロマトグラフィプロセスは、例えば、ともに参照により組み込まれるEP11008021.5(米国特許出願公開第2014/0251911号)およびEP12002828.7(米国特許出願公開第2020/0101399号)に見出すことができる。また、米国特許第9,149,738号(本明細書においてその全体が組み込まれる)は、複数のクロマトグラフィカラムを順番に順次利用する、連続クロマトグラフィ方法および装置を説明している。連続クロマトグラフィは、当技術で知られている任意の1つ以上のタイプのクロマトグラフィに適用することができる。
例証
連続クロマトグラフィ手順で実証されるHETP
このような分析法の利点を実証するため、4g/LのイムノグロビンGの捕捉を、これを0.05mol/L、pH=6.5で調整されたTRISバッファで調製することで行った。3つのQuikScale(Milliporeigma、Bedfor、MA)クロマトグラフィカラムを使用し、これらは、内径200mmであり、Merck KGaA製Eshmuno(R)Aと呼ばれるプロテインAアフィニティクロマトグラフィ樹脂で充填され、ベッド高さ9.8mm、カラム総ボリューム3.079Lであった。各カラムは、NaCl 0.3Mのバッファ中アセトン2% w/w、線速度150cm/hのパルスを用いる、HETPパルス分析法で検査された。アセトンパルスボリュームは、カラムボリュームの2%であった。検査はCoPrime(R)Biochromatography(MilliporeSigma)システムで行われ、HETPパルス分析はMerck KGgAによって開発されたそのソフトウェアCommon Control Platform(R)のレポートジェネレータで計算された。カラム1の結果はHETP=0.0183cmおよびアシンメトリ=1.692、カラム2の結果はHETP=0.0145cmおよびアシンメトリ=1.783、カラム3の結果はHETP=0.0337cmおよびアシンメトリ=1.333であった。
連続クロマトグラフィ手順で実証されるHETP
このような分析法の利点を実証するため、4g/LのイムノグロビンGの捕捉を、これを0.05mol/L、pH=6.5で調整されたTRISバッファで調製することで行った。3つのQuikScale(Milliporeigma、Bedfor、MA)クロマトグラフィカラムを使用し、これらは、内径200mmであり、Merck KGaA製Eshmuno(R)Aと呼ばれるプロテインAアフィニティクロマトグラフィ樹脂で充填され、ベッド高さ9.8mm、カラム総ボリューム3.079Lであった。各カラムは、NaCl 0.3Mのバッファ中アセトン2% w/w、線速度150cm/hのパルスを用いる、HETPパルス分析法で検査された。アセトンパルスボリュームは、カラムボリュームの2%であった。検査はCoPrime(R)Biochromatography(MilliporeSigma)システムで行われ、HETPパルス分析はMerck KGgAによって開発されたそのソフトウェアCommon Control Platform(R)のレポートジェネレータで計算された。カラム1の結果はHETP=0.0183cmおよびアシンメトリ=1.692、カラム2の結果はHETP=0.0145cmおよびアシンメトリ=1.783、カラム3の結果はHETP=0.0337cmおよびアシンメトリ=1.333であった。
この実証に使用されたマルチカラム捕捉システムは、2本のカラムを直列的に294cm/hでロードし、その間に第3のカラムが非ローディングステップを行うことを可能とする。第1のカラムは、そのインレットに第1のポンプによりイムノグロブリンGが直接供給されるローディングカラムである。第1のカラムがロードされている間、イムノグロブリンGの一部はプロテインA樹脂Eshumno(R)Aに結合する。第1のカラムのアウトレットはプレローディングカラムである第2のカラムに直接接続される。第2のカラムは、不純物である、第1のカラムに結合しない材料、さらに第1のカラムのプロテインA樹脂に結合していないイムノグロブリンGを受け取る。第2のカラムのアウトレットは廃液に向かう。ローディングが起こると、樹脂のプロテインA部位は捕捉されたイムノグロブリンGと結合する。結合部位の飽和度は、第1のカラムのインレットからアウトレットに向かってグラジエントをたどり、まずインレットが結合したイムノグロブリンGで飽和するが、アウトレット付近の結合部位は飽和しないことがある。しかしながら、カラムの末端付近の結合部位がどんどん飽和したことに伴い、結合部位はロードされ、過剰のイムノグロブリンGがカラムをブレイクスルーした。
カラムを1本しか含まない従来のバッチ手法では、生成物がブレイクスルーする前にプロセスを停止することで、生成物の損失が避けられる。これは、カラムのアウトレットにおける生成物中の濃度がインレットにおける濃度の10%であることを意味する、10%のブレイクスルーが得られると推定されるボリュームの90%でカラムのローディングを停止することにより行われる。したがって、従来の手法では、インレットからアウトレットへの結合プロテインA部位のグラジエントは、アウトレットに近いほど使用される結合部位が少なくなる。連続クロマトグラフィの目的は、第1のカラムを60%または70%まで過飽和にし、カラムのフロースルーを第2のカラムにフィードし、第1のカラムをブレイクスルーするイムノグロブリンGを捕捉することである。これにより、第1のカラムのプロテインA樹脂のより効率的な使用がもたらされる。
第2のカラムは、フィード濃度が0%と60-70%の間である、より低いインレット濃度でイムノグロブリンGを捕捉するため、プレローディングにあると考えられる。生成物および不純物の濃度は、280nmで測定される吸光度を用いて推定する。ローディングの開始時、未結合生成物のあらゆるブレイクスルーの前に、プロテインAに結合できるFc部位を持たない不純物はフロースルーし、最初にカラムから出て行く。これらの不純物の280nmにおける吸光度は不純物プラトーと呼ばれ、0%ブレイクスルーに相当する。それとは対照的に、第1のカラムにロードする前の、イムノグロブリンGのフィードの280nmにおけるオフライン吸光度の測定は、100%ブレイクスルーの値を与える。有効ブレイクスルーは、カラムのアウトレットでフローする溶液の280nmにおける吸光度を、イムノグロブリンGのあらゆるブレイクスルーの前に測定された不純物のプラトーの間に測定された吸光度から減算し、それをフィードの280nmにおける吸光度のオフライン測定値と不純物のプラトーの280nmにおける吸光度との間の差分で除算することによって測定される。
ブレイクスルーレベルが60%または70%などに達したときに、1組の3方バルブを使用して、第1のカラムをフィードポンプから切り離し、非ローディングステップのためにバッファポンプに接続した。第1のカラムのアウトレットは第2のカラムから切り離され、廃液またはフラクション回収などの1組のアウトレットに接続される。第2のカラムのインレットはフィードポンプに接続される。第2のカラムがローディングカラムとなる。第2のカラムのアウトレットは第3のカラムのインレットに接続され、このカラムは廃液に接続されたプレローディングカラムとなる。カラム1の非ローディングステップは、カラム2のブレイクスルーよりも速くなければならない。カラム2のブレイクスルー後、それは非ローディングステップのためにバッファポンプに接続される。カラム3はローディングカラムとなり、そのインレットはフィードポンプに接続され、カラム3のアウトレットはプレローディングカラムとなるカラム1のインレットに接続される。カラム3でのブレイクスルーの後、完全なサイクルが完了し、システムはカラム1のインレットをフィードポンプに接続すること、および新しいサイクルのためのローディングカラムとなることにより新しいサイクルを開始し、カラム1のアウトレットは再びプレローディングカラムとなるカラム2のインレットに接続され、カラム3は非ローディングステップ用にバッファポンプに接続される。本発明のさらなる利点は、フィードポンプを決して停止せず、すべての非ローディングフェーズをローディングフェーズより速くすることである。
我々の実証では、非ローディングフェーズは430cm/hで実行された。非ローディングフェーズはまず、8カラムボリュームについてpH=6.5、TRIS0.05mol/Lを用いてカラムを洗浄することから構成された。次いで、pH=3で酢酸0.1mol/Lを用いた溶出、0.05AU(吸光度単位。en.wikipedia.org/wiki/Absorbance#Absorbance_of_a_materialを参照されたい)で回収のピーク開始および終了としてのピーク回収、続いて3カラムボリュームについてNaOH0.1mol/Lを用いたサニタイゼーション(sanitization)ステップ、5カラムボリュームについてpH=6.5でTRIS0.05mol/Lを用いた平衡化が続く。
ステップのこのシーケンスは、すべてのカラムの非ローディングフェーズでサイクルごとに運転されたため、サイクルごとにカラムの状態をモニタリングすることができた。我々の実証では、導電率がNaCl0.1mol/Lの20mS/cmから、pH=6.5におけるTRISバッファ0.05mol/Lの9mS/cmまで低下するときの、平衡化中の導電率の曲線を分析する。カラムの滞留時間分布の決定(例えば、en.wikipedia.org/wiki/Residence_time#Pulse_experimentsおよびen.wikipedia.org/wiki/Residence_time#Biochemicalを参照されたい)との比較を行った。NaCl0.1mol/LからTRISバッファ0.05mol/Lへの切り替えによる導電率低下を、パルス関数の積分関数である、導電率ステップの実験として考える(例えば、en.wikipedia.org/wiki/Laplace_transform#Table_of_selected_Laplace_transformsを参照されたい)。つまり、HETPパルス分析とHETP前端分析との間のアナロジーとして考える。カラムアウトレットにおける導電率の曲線の微分により、パルス分析で得られ得る曲線と同様の曲線を得ることができる。図6を参照されたい。最小ノイズが導電率曲線の微分を乱すため、この曲線の平滑化および微分は必須である。
導電率曲線の平滑化には、Savitzky-Golay Smoothing Filterを使用し、次式を用いた:
この式において、sfは2から12の間の平滑化ファクタであり;図bbではsf2、3、6および9を示している。ctは時刻tにおける導電率であり、ct+iは、tに2点間の時間間隔の数iを加えた時刻における導電率で、2点間の時間間隔は我々の実証では2秒であり、ytは時刻tにおける平滑化された導電率である。aiは平滑化係数であり、ai=a-iで平滑化ファクタに従った値であり、これらを以下の表に記載する。平滑化された導電率の各点は、点ごとに不等な重みを持つ移動平均の結果であることを観察した。この移動平均に使用される点の数は、計算時の点ct、この点より前のsf個の点、およびこの点より後のsf個の点を使用したため、2sf+1個に等しい。
図7は、第10のサイクルの非ローディングフェーズの平衡化におけるカラム3に関する結果を示している。112秒におけるわずかな導電率の低下が平滑化されていることを観察した。
導電率の微分を得るために、再びSavitzky-Golay Smoothing Filterを使用したが、一次導関数には次式を用いた:
この式では、sfは2から12の間の平滑化ファクタであり、我々の実証では同じsf数:2、3、6および9を維持する。ctは時刻tにおける導電率であり、ct+iは、tに2点間の時間間隔の数iを加えた時刻における導電率で、2点間の時間間隔は我々の実証では2秒であり、ytは時刻tにおける平滑化された導電率である。今回の平滑化係数はai=iであり、したがってai=-a-iおよびa0=0である。平滑化ファクタに従ったh’sfの値を以下の表に記載する。平滑化された導電率微分曲線の各点は、やはり点ごとに不等な重みを持つ移動平均の結果であることを観察した。この移動平均に使用された点数もやはり、計算時の点ct、この点より前のsf個の点、およびこの点より後のsf個の点を使用したため、再び2sf+1個に等しくなった。
図8には、第10のサイクルの非ローディングフェーズの平衡化中のカラム3に関する結果が示される。HETPパルスの結果関数によく似た、少しのアシンメトリを伴うガウス状曲線を得たことが観察された。それにも関わらず、曲線を平滑化すればするほど、曲線は幅広になり、HETPは高くなることが観察された。平滑化ファクタ2はノイズのない曲線を与えているため、導電率曲線のこの軽度な平滑化を用いた。
連続運転の間に溶出ピークを回収し、NANODROP(TM)システム(マサチューセッツ州ウォルサム、Thermofisher)を用いて280nmで測定することにより、そのボリュームおよびイムノグロビンGの量を評価した。HETPの結果と収集された溶出液の量をプロットすると(図9、図11および図12を参照されたい)、測定されたHETPが低いほど、より多くのイムノグロビンGが回収されていることが観察された。これは、カラムの捕捉の品質を連続的にモニタリングすることの真の利点を示している。アシンメトリ(図10、図12および図14を参照されたい)と溶出ボリュームのプロットはあまり多くの情報を与えないが、どちらの値もHETP増加と溶出量減少とともに増加する傾向があり、性能の低下を意味している。
Claims (11)
- 連続プロセスモードで動作させられている1つ以上のクロマトグラフィカラムを、効率および品質に関してモニタリングする方法であって、
a)連続モードで使用される1つ以上のクロマトグラフィカラムを用意すること、
b)pH、導電率、塩濃度、光吸収、適切な波長の光で励起した後の蛍光、屈折率、電気化学的応答、および質量分析からなる群から選択される1つ以上のプロセスパラメータの変化を、1つのプロセス流体を1つ以上のプロセスパラメータに違いのある別のプロセス流体に交換する直前、最中、および直後に検出して、プロセスデータを生成すること、
c)前記プロセスデータに曲線平滑化フィルタを適用して、補正されたプロセスデータを生成すること、
d)前記補正されたプロセスデータの一次導関数を計算して、前記補正されたプロセスデータの微分されたプロセスデータを作り出すこと、
e)前記微分されたデータのHETP値およびアシンメトリを決定すること、
f)HETP値およびアシンメトリを標準化された値と比較すること、
g)HETP値およびアシンメトリが前記標準化された値の範囲内にある場合、カラムが別のプロセス運転に使用されること
を含む、方法。 - 前記曲線平滑化計算が、Savitzky-Golay平滑化フィルタである、請求項1に記載の方法。
- 前記カラムが、2回から200回までの運転にわたって、連続的に使用されたものである、請求項1または2に記載の方法。
- 前記カラムが、5回から50回までの運転にわたって、連続的に使用されたものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記連続プロセスモードが、少なくとも2つ、しかし5つ以下の異なるカラムを順次に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記カラムが、アフィニティ、イオン交換、サイズ排除、逆相、キラル、前端、および疎水性からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- 各カラムが、効率および品質に関してモニタリングされる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記連続プロセスモードが、複数のプロセスステップを含み、少なくとも2つ、しかし10以下のプロセスステップを順次に含み、少なくとも1つのプロセスステップが、クロマトグラフィカラムを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記標準化された値が、同一または実質的に同一の、カラムおよびプロセスパラメータを使用する履歴データに基づく、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
- HETP値およびアシンメトリが前記標準化された値の範囲内にない場合、カラムが再生される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
- HETP値およびアシンメトリが前記標準化された値の範囲内にない場合、自動システムによってオペレータに通知される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
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