JP2024522947A - 極めて高い特異性及び感度で標的核酸を増幅及び検出するための方法 - Google Patents
極めて高い特異性及び感度で標的核酸を増幅及び検出するための方法 Download PDFInfo
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Abstract
核酸増幅による核酸標的検出方法であって、少なくとも1種の標的核酸と、核酸分子にハイブリダイゼーションする際または核酸分子に組み込まれる際に余分に発光するように適合された少なくとも1種の発光基/部分で標識された、少なくとも1種の非伸長性オリゴヌクレオチドまたは伸長可能なオリゴヌクレオチドとを提供すること;発光基/部分の色を異なる色に変換するかまたはそれを発熱(thermalise)するように適合された少なくとも1種のコンバーターまたはアクセプター基/部分で標識されており、増幅産物に組み込まれる、少なくとも1種の伸長可能なオリゴヌクレオチドを提供すること;発光基で標識されたオリゴヌクレオチドの発光基/部分を標的核酸増幅産物にハイブリダイズさせるかまたは組み込むことであって、それにより発光基/部分が余分に発光し、余分な発光が標的増幅の尺度となる、ハイブリダイズさせるかまたは組み込むこと、を含む、方法。方法では、いかなる非特異的増幅も、発光基の余分な発光のみの除去を選択的に制御することにより、制御された減衰下で検出可能なシグナルを一切生成しない。【選択図】 図1
Description
本発明は、核酸増幅のためのプロセスに関する。より具体的には、Libraプライマー対及びLibraプローブ-プライマー対を含む当該プロセスは、極めて高い特異性及び感度で標的核酸を増幅及び検出する。
全ての生体及び細胞に存在する遺伝性(遺伝)物質であるデオキシリボ核酸(DNA)は、それらの全ての特性及び能力の設計図である。このため、遺伝物質は、生体もしくはウイルスまたはその任意の特別な特性の同定、あるいは遺伝子型の変動の判定、あるいは生体の疾患または欠損の分子分析のために想定されてきた。細胞中ならびに生体の器官及び組織の入手可能な試料中の核酸の量が少ないため、核酸の検出または分析には、核酸の検出及び/または定量化のためにその量を増幅する必要がある。過去40年間に多くの核酸増幅技術が開発されてきた。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は最も重要であり、開発された最初の増幅技術であり(米国特許第4,683,195号明細書;同第4,683,202号明細書;及び同第4,965,188号明細書;Saiki et al., 1985, Science 230:1350-1354)、LDR及びPCR(米国特許第6,797,470号明細書)、1種以上のRNAポリメラーゼを使用する等温増幅反応または手順(国際公開第2006/081222号パンフレット)、鎖置換増幅(米国特許第RE39,007E号明細書)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu, et al Genomics 4: 560-569(1990)、Barany, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 189 - 193 (1991))、Qβ RNAレプリカーゼ系(国際公開第1994/016108号パンフレット)、ローリングサークル増幅(RCA)(米国特許第5,854,033号明細書)、NASBA(米国特許第5,130.238号明細書)、ループ媒介増幅(LAMP)(Nucleic Acids Research ---)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ヘリカーゼポリメラーゼ増幅(HPA)が特に挙げられ、これらの各々はその全体が参照により本明細書に援用される。
測定可能/定量可能なシグナルを生成するための多くの化学反応も開発されており、中でもとりわけ、蛍光ベースの化学反応が最適な化学反応であり、中でも最も重要なものとしては、フルオロフォア及びクエンチャーで二重標識された加水分解プローブを使用するTaqman Chemistry(米国特許第5,538,848号明細書)、プライマーの1つに二重標識ステム構造プローブ及びPCRブロッカーエレメント(PCR blocker element)ヘキサエチレン単量体を含むScorpionプライマー法(Whitcombe, et al Nat Biotech. 17: 804-807(1999)、米国特許第6,589,743号明細書、Solinas et al Nucleic Acids Res 29: E96,2001)、二本鎖DNAにインターカレートしたときに一本鎖DNAまたはRNAに結合したときよりも強力に蛍光を発するインターカレーティング色素である臭化エチジウム(米国特許第5,994,056号明細書;同第6,171,785号明細書、同第6,814,934号明細書)、インターカレーティング色素SYBR Green1[Ririe et al., Analytical Biochem. 245: 154 (1997)]、分子ビーコン(米国特許5,925,517号明細書及び同第6,103,476号明細書、同第6,485,901号明細書、同第6,355,421号明細書及び同第6,593,091号明細書)、LUXプライマー(Nazarenko et al Nucleic Acids Res 30:e37,2002)、FRETシグナルを生成するドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォアで標識された直鎖状プライマー対(国際公開第03/102239A2号パンフレット)が特に挙げられ、これらの各々はその全体が参照により本明細書に援用される。
核酸増幅では、増幅の範囲は非常に大きく、数コピーから数十億コピーの標的核酸が合成され得る。しかし、核酸増幅に伴う問題は、特異的増幅産物とともに非特異的増幅産物が生成されることである。しばしば観察される非特異的増幅産物の種類の1つは、鋳型非依存性増幅アーチファクトである「プライマー二量体」である。プライマー二量体は二本鎖増幅産物であり、その長さは典型的には、増幅反応に使用される2つのプライマーの長さの合計に近似する。これは、一方のプライマーが他方のプライマー上で伸長されるときに形成される。結果として生じる鎖状連結(concatenation)により、望ましくない鋳型が形成され、その鋳型は長さが短いことから、より効率的に増幅され、特異的標的増幅産物と競合する。同様に、2つの増幅プライマーに加えてプローブを使用する場合、一方のプライマーがプローブ上で伸長されるとき、同様の望ましくない鎖状連結された増幅アーチファクトである「プライマー二量体様」産物が形成され、その長さは典型的には、2つのプライマー及びプローブの長さの合計に等しい。これらの非特異的増幅産物は、標的核酸のコピー数が少ない場合、阻害物質が試料中に存在する場合、及び試薬、すなわちプライマー及びプローブの品質が良好ではない場合により多く形成される。非特異的増幅産物の形成を回避することは極めて困難であり、低減させることができるが消失させることは不可能である。これらの非特異的産物の形成は、検出方法の特異性及び感度を低下させる。
さらに、これら全てのシグナル生成化学反応では、非特異的増幅産物も同様に標的増幅産物とともにシグナルを生成し、標的検出感度及び特異性に影響を及ぼす。この問題を克服するために、非特異的増幅産物の形成を抑制することが問題の解決策として提供されている。また、これに対し、ホットスタート増幅、具体的にはホットスタートPCR増幅法が解決策として採用されている。段階的に改善されている多くのホットスタート法が開発されてきた。
例えば、とりわけ、試薬を分離または隔離するためのワックスなどの感熱性物質の使用(米国特許第5,411,876号明細書)、米国特許第5,338,671号明細書、同第5,677,152号明細書に記載されているDNAポリメラーゼ特異的抗体によるDNAポリメラーゼの熱可逆的阻害、米国特許第5,418,149号明細書に記載されている方法を使用した反応の開始前に形成された伸長産物の酵素的分解、3’末端でのプライマー(単数または複数)の化学修飾(米国特許第6,001,611号明細書)、高温で元に戻るまたは解離する核酸ポリメラーゼの可逆的化学修飾(米国特許第5,773,258号明細書及びMoretti et al, Biotechniques 25: 716, 1998)があり、これらは全体が参照により組み込まれる。米国特許出願公開第2020/0370109号明細書と付された2020年11月26日付の最近の米国特許出願では、2つ以上の既存のホットスタート機構を組み合わせて使用するデュアルホットスタートによる解決策が開示されている。
あらゆる解決策があるにもかかわらず、核酸標的増幅の感度及び特異性を増加させる、核酸増幅の非特異的増幅問題に対する完全なまたは極めて良好な解決策は依然として見つかっていない。良好な感度と特異性の両方を有する単一のプロセスは存在せず、全ての既存のプロセスは概ね同じ特異性及び感度(それぞれ約95%及び70~80%)を有する。非特異的増幅は感度及び特異性を低下させる。ホットスタートPCR以外で、ホットスタートPCRに近い他の妥当な解決策はない。ホットスタートPCRにより、反応設定中及び初期変性工程中の非特異的産物の形成を防止することができる。その後、ポリメラーゼは後続の熱サイクリングまたは増幅サイクルにおいて全ての温度で活性になるため、このサイクリング工程中のプライマー二量体またはプライマー二量体様非特異的産物の形成は回避することができない。非特異的増幅産物はサイズが小さいため、比較的より効率的な増幅用鋳型である。非特異的産物の形成は確率論的現象であり、増幅プロセスの初期サイクルで非特異的産物が形成される場合、非特異的産物が標的配列の増幅を凌駕し、その結果、標的増幅の失敗または標的増幅産物の収率低下及び標的検出の感度低下が生じる。よって、この問題に対する解決策ならびに本発明で論じられるようなより高い特異性及び感度での標的核酸の検出のための改善された核酸増幅プロセスが、依然として必要とされている。結果として、この問題は、過去30年間で克服されていないPCR技術の発展に対する技術的制約となっている。結果として、PCR及びqPCRは、新規技術であり極めて高価な装置を必要とするデジタルドロップレットPCR(dPCR)に敗れつつある。よって、PCR及び他の増幅プロセスにおける上記問題を費用効果が高い形で解決するための解決策または改善策が必要とされている。したがって、この問題に対するさらなる改善策またはより良好な解決策が必要とされている。
発明の目的
したがって、本発明の基本的な目的は、標的核酸の検出及び/または定量化のための核酸増幅方法を提供することである。
したがって、本発明の基本的な目的は、標的核酸の検出及び/または定量化のための核酸増幅方法を提供することである。
本発明の別の目的は、より高い感度及びより高い特異性を有し、プライマー二量体及びプライマー二量体様非特異的核酸増幅産物からの一切のシグナルまたは微小なシグナルを伴わない核酸増幅方法を提供することである。
本発明の別の目的は、プライマー二量体及びプライマー二量体様非特異的増幅産物からのシグナルの低減または消失を伴う方法を提供することにより、かかる非特異的シグナルの干渉に起因する従来のPCRまたは定量的PCR(qPCR)及び他の核酸増幅法の問題に対する解決策によって問題を解決することである。
別の目的は、標的核酸の増幅ならびに標的核酸の検出及び/または定量化のためのキット(単数または複数)を提供することであり、キットは、ドナー・フルオロフォアもしくはアクセプター・フルオロフォア(放射性クエンチャー)/非放射性クエンチャーで別々に標識された本発明の標識されたプライマー対、または本発明のドナー・フルオロフォアで標識されたプローブ、アクセプター・フルオロフォア(放射性クエンチャー)/非放射性クエンチャーで標識されたプライマー及び非標識プライマーもしくはアクセプター・フルオロフォア(放射性クエンチャー)/非放射性クエンチャーで標識された2つのプライマー、のいずれかを含み、本発明はまた、1種以上の増幅試薬、例えば、核酸ポリメラーゼまたはリガーゼ、ヌクレオシド三リン酸及び適切な緩衝液を制限なく含み得る。
さらに別の目的は、本発明のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア(放射性クエンチャー)/非放射性クエンチャーで標識されたプライマーまたはドナー・フルオロフォアで標識されたプローブ及びアクセプター・フルオロフォア(放射性クエンチャー)/非放射性クエンチャーで標識されたプライマー(複数可)を使用して、試料中の標的核酸の絶対定量化を達成することである。
発明の概要
したがって、本発明における基本的な態様によれば、核酸増幅による核酸標的の検出及び/または定量化の方法であって、
少なくとも1種の標的核酸と、核酸分子にハイブリダイゼーションする際または核酸分子に組み込まれる際に余分に発光するように適合された少なくとも1種の発光基/部分で標識された、少なくとも1種の非伸長性オリゴヌクレオチドまたは伸長可能なオリゴヌクレオチドとを提供すること、
発光基/部分の色を異なる色に変換するかまたはそれを発熱(thermalise)するように適合された少なくとも1種のコンバーターまたはアクセプター基/部分で標識されており、増幅産物に組み込まれる、少なくとも1種の伸長可能なオリゴヌクレオチドを提供すること、
発光基で標識されたオリゴヌクレオチドの発光基/部分を標的核酸増幅産物にハイブリダイズさせるかまたは組み込むことであって、それにより発光基/部分が余分に発光し、余分な発光が標的増幅の尺度となる、ハイブリダイズさせるかまたは組み込むこと、を含み、
核酸増幅が、特定のシグナリング部分とアテニュエーターもしくはアクセプター部分との対の、シグナリングオリゴヌクレオチド上のシグナリング部分を選択的に配置することにより、及びアテニュエーターもしくはアクセプターオリゴヌクレオチド上のアテニュエーターもしくはアクセプター部分を選択的に配置することにより、コンバーターまたはアクセプター基/部分による非特異的増幅産物中の発光基の余分な発光のみの除去を選択的に制御することによって、いかなる非特異的増幅も、制御された減衰下で検出可能なシグナルを一切生成しないように行われ、その結果、非特異的産物からの正味のシグナル増強及び正味のシグナル、標的増幅シグナルの正味のシグナル減衰及び減少がない、方法が提供される。
したがって、本発明における基本的な態様によれば、核酸増幅による核酸標的の検出及び/または定量化の方法であって、
少なくとも1種の標的核酸と、核酸分子にハイブリダイゼーションする際または核酸分子に組み込まれる際に余分に発光するように適合された少なくとも1種の発光基/部分で標識された、少なくとも1種の非伸長性オリゴヌクレオチドまたは伸長可能なオリゴヌクレオチドとを提供すること、
発光基/部分の色を異なる色に変換するかまたはそれを発熱(thermalise)するように適合された少なくとも1種のコンバーターまたはアクセプター基/部分で標識されており、増幅産物に組み込まれる、少なくとも1種の伸長可能なオリゴヌクレオチドを提供すること、
発光基で標識されたオリゴヌクレオチドの発光基/部分を標的核酸増幅産物にハイブリダイズさせるかまたは組み込むことであって、それにより発光基/部分が余分に発光し、余分な発光が標的増幅の尺度となる、ハイブリダイズさせるかまたは組み込むこと、を含み、
核酸増幅が、特定のシグナリング部分とアテニュエーターもしくはアクセプター部分との対の、シグナリングオリゴヌクレオチド上のシグナリング部分を選択的に配置することにより、及びアテニュエーターもしくはアクセプターオリゴヌクレオチド上のアテニュエーターもしくはアクセプター部分を選択的に配置することにより、コンバーターまたはアクセプター基/部分による非特異的増幅産物中の発光基の余分な発光のみの除去を選択的に制御することによって、いかなる非特異的増幅も、制御された減衰下で検出可能なシグナルを一切生成しないように行われ、その結果、非特異的産物からの正味のシグナル増強及び正味のシグナル、標的増幅シグナルの正味のシグナル減衰及び減少がない、方法が提供される。
本発明の別の態様は、非特異的増幅産物におけるシグナルの減衰の程度が、非特異的増幅産物におけるシグナリング部分のシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しく、その結果、非特異的産物からの正味のシグナル増強及び正味のシグナル、標的増幅シグナルの正味のシグナル減衰及び減少がない、方法を提供する。
本発明のさらに別の態様は、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端からのシグナリング部分で標識された塩基の距離に、レシーバーまたはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端からのアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基の距離を加算し、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端とアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端との間の起こり得る重複の距離を減算した距離が、非特異的増幅産物におけるシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しいシグナルの減衰をもたらす、非特異的増幅産物中のシグナリング部分で標識された塩基とアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基との間の分離距離を含む、方法を提供することである。
本発明のさらに別の態様は、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端からシグナリング部分で標識された塩基を分離している塩基の数に、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端からアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基を分離している塩基の数を加算し、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端とアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端との間の起こり得る塩基重複の数を減算したものが、非特異的増幅産物におけるシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しいシグナルの減衰をもたらす、非特異的増幅産物中のシグナリング部分で標識された塩基とアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基との間を分離している塩基の数を構成する、方法を提供する。
本発明のさらに別の態様は、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端からのシグナリング部分で標識された塩基の距離に、レシーバーまたはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端からのアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基の距離を加算し、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端とアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端との間の起こり得る重複の距離を減算したものが、非特異的増幅産物におけるシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しいシグナルの減衰をもたらす、非特異的増幅産物中のシグナリング部分で標識された塩基とアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基との間の分離距離を構成する、方法を提供する。
本発明の別の態様は、シグナル増強及び対応する減衰の程度が、(i)約1~100%のシグナル増強の場合、非特異的増幅産物からの均衡した非実質的シグナルのためのシグナルの対応する減衰が約1~50%に維持されるように選択的に制御され、(ii)約20~80%のシグナル増強の場合、非特異的増幅産物からの均衡した非実質的シグナルのためのシグナルの対応する減衰が約17~45%に維持されるように選択的に制御され、(iii)約30~70%のシグナル増強の場合、非特異的増幅産物からの均衡した非実質的シグナルのためのシグナルの対応する減衰が約23~40%に維持されるように選択的に制御される、方法を提供する。
本発明のさらに別の態様は、使用されるシグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、標的増幅産物または標的の一方の鎖にハイブリダイズする、核酸増幅をモニタリングするためのプローブであり、使用されるアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、プローブがハイブリダイズするのと同じ鎖または標的増幅産物もしくは標的の他方の鎖のいずれかにアニーリングされる核酸増幅プライマーの一方であり、使用される両方の増幅プライマーがアテニュエーターもしくはアクセプター部分で選択的に標識される、方法を提供する。
本発明の別の態様は、シグナリング部分が、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端上または3’末端から最大30塩基離れた位置の、但し5’末端を除く、塩基のいずれかに配置され、アテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から少なくとも2塩基離れた任意の塩基上または3’末端から最大30塩基離れた任意の塩基上に配置される、方法を提供する。
本発明のなお別の態様は、使用されるシグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及びアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、標的増幅産物または標的核酸の2本の鎖に別々にアニーリングし、かつポリメラーゼ(単数または複数)によって伸長される、2つの核酸増幅プライマーである方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、シグナリング部分が、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から少なくとも2ヌクレオチド離れた任意の塩基上または3’末端から最大30塩基離れた位置の、但し5’末端を除く、塩基のいずれかに配置され、アテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から少なくとも2ヌクレオチド離れた任意の塩基上または3’末端から最大30塩基離れた任意の塩基上に配置される、方法を提供する。
本発明のさらに別の態様は、使用されるシグナリング部分が、ドナー・フルオロフォアであり、使用されるアテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アクセプター・フルオロフォアであるかまたはエネルギーを受容するがエネルギーもしくは電磁放射線を一切放出しない非放射性アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分であり、シグナルが蛍光シグナルであり、シグナル減衰がドナー・フルオロフォアの蛍光シグナルのクエンチングであり、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター部分がエネルギー移動対である、方法を提供する。
本発明の別の態様は、非特異的増幅産物中のシグナリング部分で標識された塩基とアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基との間の分離距離が、非特異的増幅産物におけるシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しいシグナルの減衰がそれぞれ2R0距離とR0距離との間となるように選択される方法を提供し、ここで、3.7オングストロームは塩基間距離であり、R0は、シグナリング部分とアクセプター部分との対、より具体的にはドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアまたは非放射性アクセプター部分との対のフェルスター半径である(フェルスター半径R0値範囲 22Å~75Å)。
本発明のさらなる態様は、非特異的増幅産物中のシグナリング部分で標識された塩基とアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基との間の分離距離が、選択的にそれぞれ1.3025R0距離~1.034R0距離である非特異的増幅産物におけるシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しいシグナルの減衰がもたらされるように選択される方法を提供し、ここで、3.7オングストロームは塩基間距離であり、R0は、シグナリング部分とアクセプター部分との対、より具体的にはドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアまたは非放射性アクセプター部分との対のフェルスター半径である(フェルスター半径R0値範囲 22Å~75Å)。
本発明のさらに別の態様は、使用される非特異的増幅産物中のシグナリング部分で標識された塩基とアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基との間の分離距離が、それぞれ1.224R0距離~1.0699R0距離である非特異的増幅産物におけるシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しいシグナルの減衰をもたらすような方法を提供し、ここで、3.7オングストロームは塩基間距離であり、R0は、シグナリング部分とアクセプター部分との対、すなわちドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアまたは非放射性アクセプター部分との対のフェルスター半径である(フェルスター半径R0値範囲 22Å~75Å)。
本発明のなお別の態様は、非特異的増幅産物中のシグナリング部分で標識された塩基とアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基との間を分離している塩基の数が、1.3025(R0)~1.034(R0)の距離に相当する非特異的増幅産物におけるシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しいシグナルの減衰が約(1.3025R0/3.7)塩基~(1.034R0/3.7)塩基となるように選択される方法を提供し、ここで、3.7オングストロームは塩基間距離であり、R0は、オングストロームで表されるドナー・フルオロフォア部分とアクセプター部分とのエネルギー移動対のフェルスター半径であり、フルオロフォア部分とアクセプター部分とのエネルギー移動対の全範囲で約6.1~26.4塩基に相当する(フェルスター半径R0値範囲 22Å~75Å)。
本発明のなお別の態様は、非特異的増幅産物中のシグナリング部分で標識された塩基とアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基との間を分離している塩基の数が、1.3025(R0)~1.034(R0)の距離に相当する非特異的増幅産物におけるシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しいシグナルの減衰が約(1.3025R0/3.7)塩基~(1.034R0/3.7)塩基となるように選択されることを提供し、ここで、3.7オングストロームは塩基間距離であり、R0は、オングストロームで表されるドナー・フルオロフォア部分とアクセプター部分とのエネルギー移動対のフェルスター半径であり、フルオロフォア部分とアクセプター部分とのエネルギー移動対の全範囲で約6.1~26.4塩基に相当する(フェルスター半径R0値範囲 22Å~75Å)。
本発明の別の態様は、非特異的増幅産物中のシグナリング部分で標識された塩基とアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基との間を分離している塩基の数が、1.224(R0)~1.0699(R0)の距離に相当する非特異的増幅産物におけるシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しいシグナルの減衰が約(1.224R0/3.7)塩基~(1.0699R0/3.7)塩基となるように選択される方法を提供し、ここで、3.7オングストロームは塩基間距離であり、R0は、オングストロームで表されるドナー・フルオロフォア部分とアクセプター部分とのエネルギー移動対のフェルスター半径であり、フルオロフォア部分とアクセプター部分とのエネルギー移動対の全範囲で約6.4~24.8塩基に相当する(フェルスター半径R0値範囲 22Å~75Å)。
本発明のさらに別の態様は、使用されるシグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及びアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが直鎖状である方法を提供する。
本発明のなお別の態様は、標識されたプローブの3’末端及び/5’末端に追加の標識部分であるビオチンなどが配置される方法を提供する。
本発明の別の態様は、請求項6に記載のシグナリング部分もしくはドナー・フルオロフォアで標識されたプローブまたは請求項8に記載のシグナリング部分もしくはドナー・フルオロフォア部分で標識されたプライマーが、さらにアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーを、またはフルオロフォアで標識された塩基の近傍にある標識されたプライマーもしくはプローブの配列に十分に相補的でありステム構造を形成するための5~8塩基の配列を、5’末端に備えており、かつクエンチャーを備えているかまたは備えておらず、フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブと5~8塩基の配列との間の介在スペーサーを備えているかまたは備えていない、方法を提供する。
本発明のなお別の態様は、シグナリング部分またはドナー・フルオロフォア部分で標識された塩基とドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端とを分離している塩基の数に、アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識された塩基とアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識されたプライマーの3’末端とを分離している塩基の数を加算したものが、ドナー・フルオロフォア部分とアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分とのエネルギー移動対の全範囲で6~40塩基である、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、シグナリング部分またはフルオロフォアで標識された塩基とフルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端とを分離している塩基の数に、アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識された塩基とアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識されたプライマーの3’末端とを分離している塩基の数を加算したものが、ドナー・フルオロフォアとアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分とのエネルギー移動対の全範囲で10~30塩基である、方法を提供する。
本発明のなおさらなる態様は、2つ以上のシグナリング部分またはドナー・フルオロフォアが、シグナリング部分で標識されたプローブまたはプライマー上に配置され、2つ以上のアクセプター部分またはクエンチャーが、アクセプター部分で標識されたプライマー(単数または複数)上に配置される、方法を提供する。
本発明の別の態様は、ネステッド核酸増幅において、第1のプライマー対が標的核酸の第1のセグメントを増幅し、第2のプライマー対が第1のセグメントの第2のセグメントを増幅する方法であって、第2のプライマー対が、アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識された第2のプライマー対から選択される2つの核酸増幅プライマーを含む、シグナリング部分またはドナー・フルオロフォア部分で標識されかつアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識されたlibraプライマー対である、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、第1のプライマー対のプライマーが、さらにアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で適切に標識されて提供される、方法を提供する。
本発明のさらに別の態様は、セミネステッド核酸増幅において、第1のプライマー及び第2のプライマーが標的核酸の第1のセグメントを一緒に増幅し、第3のプライマーが第1のプライマーと共同して第1のセグメントの第2のセグメントを増幅する方法であって、第1のプライマー及び第3のプライマーが、シグナリング部分またはフルオロフォア部分で標識されかつアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識されたlibraプライマー対であり、第2のプライマーもまたアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーでさらに標識されて提供される、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、ネステッド核酸増幅において、第1のプライマー対が標的核酸の第1のセグメントを増幅し、第2のプライマー対が第1のセグメントの第2のセグメントを増幅し、プローブが使用され、このプローブが第2のセグメントにハイブリダイズし、プローブ及び第2のプライマー対が、それぞれシグナリング部分またはドナー・フルオロフォア部分で標識されたプローブ及びアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識されたプライマー(複数可)であり;ここで、第1のプライマー対もまたアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で適切に標識されてさらに提供される、方法を提供する。
本発明のさらに別の態様は、セミネステッド核酸増幅において、第1のプライマー及び第2のプライマーが標的核酸の第1のセグメントを一緒に増幅し、第3のプライマーが第1のプライマーとともに第1のセグメントの第2のセグメントを増幅し、第2のセグメントにハイブリダイズするプローブが使用され、プローブならびに第1のプライマー及び/または第3のプライマーが、それぞれシグナリング部分またはドナー・フルオロフォア部分で標識されたプローブ及びアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識されたプライマー(複数可)である、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、半合成標的核酸配列が、当該技術分野における任意の公知の方法(多くの方法があり、当業者であればこれらの方法を認識している)によって、第1の非標的配列または第1の非標的配列及び第2の非標的配列を標的核酸配列の一方または両方の末端に付加することにより生成され、標的核酸の増幅が、1つの標的特異的プライマー及び第1の非標的配列特異的プライマーによって、または第1及び第2の非標的配列特異的プライマーによって、のいずれかでそれぞれ駆動される方法であって、増幅プライマーが、配列番号21及び22を選択的に含む請求項8または本発明に記載のシグナリング部分またはドナー・フルオロフォア部分で標識されたプライマー及びアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識されたプライマーであり、また、第1の非標的配列及び第2の非標的配列がtail PCRによって標的配列に付加されており、第1の非標的配列及び第2の非標的配列が2つのPCRプライマーの5’末端に付加されている、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、プローブがさらに提供され、ここで、このプローブ及びプライマーが、本発明の標識されたプライマー(複数可)及びプローブであり、シグナリング部分またはドナー・フルオロフォアで標識されたプローブである、方法を提供する。
本発明のさらに別の態様は、配列番号22を選択的に含む、シグナリング部分またはドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブが、5’末端にクエンチャー/アクセプター・フルオロフォアを備えているか、またはドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーもしくはプローブのドナー・フルオロフォアで標識された塩基付近の塩基にハイブリダイズしてヘアピンを形成する5~8塩基の配列が付加されているかのいずれかであり、5’末端にクエンチャーを有しているかまたは有しておらず、かつリンカーで連結されているかまたはリンカーを有さない、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、シグナリング部分もしくはフルオロフォア部分で標識されたプライマーの標的増幅産物への組み込み時またはシグナリング部分もしくはフルオロフォア部分で標識されたプローブの標的増幅産物へのハイブリダイゼーション時のドナー・フルオロフォアのシグナル増強または蛍光増強の程度が、4~8倍であり、かかる産物からの非実質的シグナルのための非特異的増幅産物におけるシグナル減衰または蛍光クエンチングの程度が、75~87%であり、シグナリング部分またはフルオロフォア部分とアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分との分離が、0.8327(R0/3.7)塩基~0.7284(R0/3.7)塩基に相当する0.8327R0~0.7284R0である方法を提供し、ここで、3.7オングストロームは塩基間距離であり、R0は、オングストローム単位でのフルオロフォア部分とアクセプター部分とのエネルギー移動対のフェルスター半径であり、フルオロフォア部分とアクセプター部分とのエネルギー移動対の全範囲で約4~16塩基に相当する(フェルスター半径R0値範囲 22Å~75Å)。
本発明の別の態様は、シグナリング部分またはフルオロフォアで標識された塩基とフルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端とを分離している塩基の数に、アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識された塩基とアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識されたプライマーの3’末端とを分離している塩基の数を加算したものが4~16塩基である、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、第1のシグナリング部分または第1のフルオロフォア部分で標識された第1のプライマー、アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識された第2のプライマー及び第2のシグナリング部分または第2のフルオロフォア部分で標識されたプローブが、核酸増幅に使用され、ここで、第1のシグナリング部分または第1のフルオロフォア部分が、標的増幅時に第1のシグナルを生成し、プローブの第2のシグナリング部分または第2のフルオロフォア部分が、標的増幅産物へのプローブのハイブリダイゼーション時に第2の蛍光シグナルを生成し、第1のシグナリング部分または第1のフルオロフォアで標識された第1のプライマー及びアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識された第2のプライマーが、本発明のシグナリング部分またはフルオロフォア部分で標識されたプライマーとアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識されたプライマーとの対であり、第1のシグナリング部分またはフルオロフォア部分で標識された第1のプライマー、アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識された第2のプライマー及び第2のシグナリング部分または第2のフルオロフォア部分で標識されたプローブが、本発明の標識されたプライマー及びプローブであり、第1のシグナリング部分または第1のフルオロフォア部分が、第2のシグナリング部分または第2のフルオロフォア部分に対するアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーであるかまたはその逆である、方法32を提供する。
本発明のさらなる態様は、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマー及びアクセプター・フルオロフォアで標識されたプライマーが、標的核酸配列を増幅するために使用され、ここで、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォアが、プライマーの3’末端から少なくとも2ヌクレオチド離れて配置されており、ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアとが、標的増幅産物中で5~30塩基で分離されており、その結果、FRETシグナル、より具体的にはドナー・フルオロフォアの励起に対するアクセプター・フルオロフォアからの放出が標的増幅時に生成される、方法を提供する。
本発明の別の態様は、2つの増幅プライマーの一方が、アクセプター・フルオロフォアで標識されて提供され、標的配列にハイブリダイズするドナー・フルオロフォアで標識されたプローブが、代わりに標的核酸増幅に使用され、ここで、アクセプター・フルオロフォアが、標識されたプライマーの3’末端から少なくとも2ヌクレオチド離れて配置されており、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブが、その3’末端でまたは5’末端塩基を除く3’末端から離れた塩基上でドナー・フルオロフォアで標識されており、ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアとが、プローブが標的増幅産物にハイブリダイズするときに5塩基以上で分離されており、その結果、FRETシグナル、より具体的にはドナー・フルオロフォアの励起に対するアクセプター・フルオロフォアからの放出が標的増幅時に生成される、方法を提供する。
本発明のなおさらなる態様は、プローブがアクセプター・フルオロフォアで標識されて提供され、標識されたプライマーが代わりにドナー・フルオロフォアで標識されて提供される方法を提供する。
本発明のさらに別の態様は、標的増幅においてドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアとが10~20塩基で分離されている方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、標的増幅産物中でドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアとが14~20塩基で分離されている方法を提供する。
本発明の別の態様は、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端からドナー・フルオロフォアで標識された塩基を分離している距離または塩基の数に、アクセプター・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端からアクセプター・フルオロフォアで標識された塩基を分離している距離または塩基の数を加算し、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端とアクセプター・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端との間の重複距離または重複塩基の数を減算したものがそれぞれ、非特異的増幅産物からの非実質的シグナルのためのドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアとの間の静的クエンチングのための距離または相当する塩基の分離と等しい、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、静的クエンチングの距離がプラスマイナス3もしくはプラスマイナス2もしくはプラスマイナス1もしくは0であるか、または標識された塩基が互いに対向して配置される方法を提供する。
本発明のさらに別の態様は、3’末端に標的特異的配列もしくはポリチミジン配列もしくは1つ以上の非チミン塩基を有するポリチミジン配列を保有し、5’末端にプロモーター配列を保有する第1のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、または二本鎖アダプターであって、アダプターを標的配列に付着させるための塩基数個の5’末端突出部とアダプターの5’末端にあるプロモーター配列とを有するか、もしくはアダプターを標的配列に付着させるための塩基数個の3’末端突出部とアダプターの5’末端にあるプロモーター配列とを有する、二本鎖アダプターを使用して、または一続きの標的配列及びプロモーター配列を5’末端に有する第1のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、プロモーター配列が、一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAである標的核酸配列に付加されており;
標的配列の線形増幅が、RNAポリメラーゼ及びリボヌクレオシド三リン酸を使用したRNA転写と併せて、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素及びデオキシヌクレオシド三リン酸を使用して、第2の標的特異的プライマーとプロモーター配列を保有する第1のオリゴヌクレオチドプライマーとを使用した連続的ポリメラーゼ伸長によって行われ、ここで、プロモーター配列を保有する第1のプライマー及び第2の標的特異的プライマーが、ドナー・フルオロフォア及びクエンチャー/アクセプター・フルオロフォアで標識された本発明の請求項8~10及び17のいずれか一項に記載のプライマー対であり、使用されるシグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及びアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、標的増幅産物または標的核酸の2本の鎖に別々にアニーリングし、かつポリメラーゼ(単数または複数)によって伸長される、2つの核酸増幅プライマーであり(請求項8);シグナリング部分が、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から少なくとも2ヌクレオチド離れた任意の塩基上または3’末端から最大30塩基離れた位置の、但し5’末端を除く、塩基のいずれかに配置され、アテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から少なくとも2ヌクレオチド離れた任意の塩基上または3’末端から最大30塩基離れた任意の塩基上に配置され(請求項9);使用されるシグナリング部分が、ドナー・フルオロフォアであり、使用されるアテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アクセプター・フルオロフォアであるかまたはエネルギーを受容するがエネルギーもしくは電磁放射線を一切放出しない非放射性アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分であり(請求項10)、使用されるシグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及びアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが直鎖状である(請求項17)、方法を提供する。
標的配列の線形増幅が、RNAポリメラーゼ及びリボヌクレオシド三リン酸を使用したRNA転写と併せて、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素及びデオキシヌクレオシド三リン酸を使用して、第2の標的特異的プライマーとプロモーター配列を保有する第1のオリゴヌクレオチドプライマーとを使用した連続的ポリメラーゼ伸長によって行われ、ここで、プロモーター配列を保有する第1のプライマー及び第2の標的特異的プライマーが、ドナー・フルオロフォア及びクエンチャー/アクセプター・フルオロフォアで標識された本発明の請求項8~10及び17のいずれか一項に記載のプライマー対であり、使用されるシグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及びアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、標的増幅産物または標的核酸の2本の鎖に別々にアニーリングし、かつポリメラーゼ(単数または複数)によって伸長される、2つの核酸増幅プライマーであり(請求項8);シグナリング部分が、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から少なくとも2ヌクレオチド離れた任意の塩基上または3’末端から最大30塩基離れた位置の、但し5’末端を除く、塩基のいずれかに配置され、アテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から少なくとも2ヌクレオチド離れた任意の塩基上または3’末端から最大30塩基離れた任意の塩基上に配置され(請求項9);使用されるシグナリング部分が、ドナー・フルオロフォアであり、使用されるアテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アクセプター・フルオロフォアであるかまたはエネルギーを受容するがエネルギーもしくは電磁放射線を一切放出しない非放射性アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分であり(請求項10)、使用されるシグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及びアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが直鎖状である(請求項17)、方法を提供する。
本発明の別の態様は、プロモーター配列を保有する第1のプライマー及び第2のプライマーのいずれかまたは両方が、クエンチャーまたはアクセプター・フルオロフォアで標識されており、ドナー・フルオロフォアで標識された標的特異的プローブが使用され、標識されたプローブ及び標識されたプライマー(複数可)が、請求項6に記載のシグナリング部分またはドナー・フルオロフォアで標識されたプローブを有する、本発明のドナー・フルオロフォアで標識されたプローブ及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたプライマー(複数可)であり;ここで、シグナリング部分が、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端上または3’末端から最大30塩基離れた位置の、但し5’末端を除く、塩基のいずれかに配置され、アテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から少なくとも2塩基離れた任意の塩基上または3’末端から最大30塩基離れた任意の塩基上に配置され(請求項7);使用されるシグナリング部分が、ドナー・フルオロフォアであり、使用されるアテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アクセプター・フルオロフォアであるかまたはエネルギーを受容するがエネルギーもしくは電磁放射線を一切放出しない非放射性アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分であり(請求項10);使用されるシグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及びアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが直鎖状である(請求項17)、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、クエンチャーが、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの5’末端にも付着されている方法を提供する。
本発明のなおさらなる態様は、核酸増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含み、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が、限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、アレルまたはアレル特異的ポリメラーゼ連鎖反応(アレルPCR)、アレルRT-PCR、Tail PCR、ドロップレットPCR、エマルジョンPCR、デジタルPCR、非対称PCR(2つのプライマーの一方が他方のプライマーと比較して極めて低濃度で使用され、一本鎖標的増幅産物が生成される)、ネステッドPCR、セミネステッドPCR、メチル化状態(methylation status)PCR、in-situ PCRであり、標的増幅産物のサイズが、35~400塩基対、好ましくは50~250塩基対である、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、核酸増幅反応が、ループ媒介等温核酸増幅反応(LAMP)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅反応(RPA)、ヘリカーゼポリメラーゼ増幅反応(HPA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)を含むがこれらに限定されない等温核酸増幅反応を含み、ここで、LAMPで使用されるループプライマーがDNA鎖分離を促進し、リコンビナーゼ、ヘリカーゼ、ジャイレース、トポイソメラーゼなどの鎖分離酵素が、一本鎖結合(SSB)タンパク質と共同での変性または鎖分離のためにRPA及びHPAで使用され、標的増幅産物のサイズが、75~1000塩基対、好ましくは100~250塩基対である、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、標識されたプライマー-プローブ対を使用して標的核酸の絶対定量化が行われ、ここで、使用されるシグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、標的増幅産物または標的の一方の鎖にハイブリダイズする、核酸増幅をモニタリングするためのプローブであり、使用されるアテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、核酸増幅プライマーの一方であり(請求項6に記載);
シグナリング部分が、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端上または3’末端から最大30塩基離れた位置の、但し5’末端を除く、塩基のいずれかに配置され、アテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から少なくとも2塩基離れた任意の塩基上または3’末端から最大30塩基離れた任意の塩基上に配置され(請求項7に記載);
使用されるシグナリング部分が、ドナー・フルオロフォアであり、使用されるアテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アクセプター・フルオロフォアであるかまたはエネルギーを受容するがエネルギーもしくは電磁放射線を一切放出しない非放射性アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分であり、シグナルが蛍光シグナルであり、シグナル減衰がドナー・フルオロフォアの蛍光シグナルのクエンチングであり、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター部分がエネルギー移動対である(請求項10)、方法;
ならびに、配列番号21及び22を選択的に含む標識されたプライマー対及びそのためのキット(単数または複数)であって、キット(単数または複数)が、少なくとも1種のドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプローブ及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(複数可)、
または少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー及びアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマーであって、使用されるシグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及びアテニュエーター部分もしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、標的増幅産物もしくは標的核酸の2本の鎖に別々にアニーリングし、かつポリメラーゼ(単数または複数)によって伸長される、2つの核酸増幅プライマーであるオリゴヌクレオチドプライマー、を1つ以上の容器中に含むキット(単数または複数)を提供し、
キット(単数または複数)は、反応緩衝液、複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、ポリメラーゼ酵素(単数または複数)、陽性対照鋳型及び増幅用の対応する標識されたプライマー対、ならびに追加の構成成分をさらに含有し得る。
シグナリング部分が、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端上または3’末端から最大30塩基離れた位置の、但し5’末端を除く、塩基のいずれかに配置され、アテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から少なくとも2塩基離れた任意の塩基上または3’末端から最大30塩基離れた任意の塩基上に配置され(請求項7に記載);
使用されるシグナリング部分が、ドナー・フルオロフォアであり、使用されるアテニュエーターもしくはアクセプター部分が、アクセプター・フルオロフォアであるかまたはエネルギーを受容するがエネルギーもしくは電磁放射線を一切放出しない非放射性アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分であり、シグナルが蛍光シグナルであり、シグナル減衰がドナー・フルオロフォアの蛍光シグナルのクエンチングであり、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター部分がエネルギー移動対である(請求項10)、方法;
ならびに、配列番号21及び22を選択的に含む標識されたプライマー対及びそのためのキット(単数または複数)であって、キット(単数または複数)が、少なくとも1種のドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプローブ及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(複数可)、
または少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー及びアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマーであって、使用されるシグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及びアテニュエーター部分もしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、標的増幅産物もしくは標的核酸の2本の鎖に別々にアニーリングし、かつポリメラーゼ(単数または複数)によって伸長される、2つの核酸増幅プライマーであるオリゴヌクレオチドプライマー、を1つ以上の容器中に含むキット(単数または複数)を提供し、
キット(単数または複数)は、反応緩衝液、複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、ポリメラーゼ酵素(単数または複数)、陽性対照鋳型及び増幅用の対応する標識されたプライマー対、ならびに追加の構成成分をさらに含有し得る。
本発明の別の態様は、オリゴヌクレオチドが、選択的に10~50塩基長、好ましくは15~35塩基長、より好ましくは20~30塩基長であり、標的配列に相補的であり、標的上でハイブリダイズまたはアニーリングする能力を有しており、標的上で核酸合成をプライミングする能力を失っておらず、1つ以上の修飾塩基、または修飾糖部分(単数または複数)、または1つ以上の塩基アナログを保有している、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、陽性対照鋳型及び陽性対照鋳型に特異的な請求項6~17、28、29、34、35、46のいずれか一項に記載の標識されたプライマー対または標識されたプライマーとプローブとの対が増幅反応中にさらに提供される、方法を提供する。
本発明のさらに別の態様は、本発明の請求項6~17、28~29、34~35、46のいずれか一項に記載のドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーとの複数の対またはドナー・フルオロフォアで標識されたプローブとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーとの複数の対が、複数の標的配列の同時検出及び/または定量化のための多重化反応に使用される、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、1つまたは複数または非常に多数の、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはドナー・フルオロフォアで標識されたプローブが、多炭素原子(multi-carbon atom)有機リンカーまたはポリエチレングリコールまたはハイブリッドリンカーまたはポリチミジンオリゴヌクレオチドを介して、十分な長さの追加の有機リンカーを有してまたは有さずに、ガラスもしくはガラスウエハ、またはポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチック、またはデキストラン、セルロース、ナイロンなどの透明または半透明の固体表面に付着されるかまたは共有結合されるかまたは係留され、マイクロ流体チャネルが、単一の増幅反応において単一または複数または多数の核酸標的の検出に使用される、方法を提供する。
本発明の別の態様は、核酸増幅反応が、任意の公知の核酸増幅反応、好ましくはポリメラーゼ連鎖反応を含み、有効量の増幅プライマーまたは有効量の標識されたプライマーと標識されたプローブまたは標識されたプライマーに加えて、少なくとも1種のポリメラーゼ酵素、反応緩衝液、デオキシヌクレオシド三リン酸を試料に添加する工程と、少なくとも変性工程、アニーリング工程、伸長工程もしくはアニーリングと伸長とを組み合わせた単一の工程の間、または等温反応工程において試料をサイクルにかける工程と、ドナー・フルオロフォア励起光または放射線で反応混合物を励起させる工程と、ドナー・フルオロフォアまたはアクセプター・フルオロフォアの放出を測定する工程とを少なくとも含む、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、ドナー・フルオロフォア、アクセプター・フルオロフォア及びクエンチャーが、二本鎖DNAへのインターカレーション時に蛍光を増強させる、インターカレーティング色素臭化エチジウム、SYBR Green1(商標)、Picogreen(商標)、YOPRO 1(商標)、SYTO 9(商標)、アクリジンオレンジ、非対称シアニン色素を含むがこれらに限定されない二本鎖DNAインターカレーティング色素、及び色素フルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン(5-FAM)、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)、6-FAM(アジド)、2’7’-ジメトキシ-4’5-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、フルオレセインイソチオシアネート、HEX(ヘキサクロロフルオレセイン)、TET(テトラクロロフルオレセイン)、VIC(ビクトリアブルー)、VICとほぼ同一のスペクトルプロファイルを有するMAX VIC、A VIC(登録商標)(ThermoFisher Scientific社)の同等物であるSUN(商標)、TYE(商標)563、TYE 665、TYE 705、NED、フルオレスカミン、ピレン、ピレンブチレート、スクシミジル(succimidyl)1ピレンブチレート、ローダミン(Rhod)、ローダミン123、ローダミンB、スルホローダミン、6-カルボキシローダミン(R6G)、6-カルボキシ-Xローダミン(ROX)、スルホローダミンb、スルホローダミン101、スルホローダミン101の塩化スルホニル誘導体(Texas Red)、Texas Red(登録商標)-X、SIMA dye(商標)、Texas Red(登録商標)-X、TEX615 N’,N’,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、TAMRA(商標)(アジド)、Rhodamine Green(商標)-X、Rhodamine Red(商標)、テトラメチルローダミン、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、テルビウムキレート、ユーロピウムキレート、量子ドット、グラフェン量子ドット、5-(2’-アミノエチル)アミノナフチルアミド-3,5ジスルホネート(ルシファーイエローvs)、7-アミノ-4-メチルクマリン(amc、クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(クマリン151)、シアニン2、シアニン3、シアニン3.5、シアニン5、シアニン5.5、シアニン7を含むがこれらに限定されないシアニン色素(スルホン化もしくは非スルホン化)、[5-ジメチルアミノ]ナフタレン-1-スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド)、4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、DABSYL、4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル)-4’-イソチオシアネート(DABITC)、IAEDANS(5-((((2-ヨードアセチル)アミノ)エチル)アミノ)ナフタレンスルホン酸)、EDANS、QST 7、QSY9、QSY 21、QSY 35(QSY色素はジアリール-ローダミン誘導体である)、BIODIPY FLを含むがこれに限定されないBIODIPY色素、Alexa fluor 350、488、546、555、568、594、647、660、750色素を含むがこれらに限定されないAlexa fluor色素、ATTO(商標)488(NHSエステル)、ATTO(商標)532、ATTO(商標)550、ATTO(商標)565、ATTO(商標)590、ATTO(商標)633、ATTO(商標)647N、ATTO(商標)Rho101、ATTO(商標)647N(NHSエステル)を含むがこれらに限定されないATTO色素、Yakima Yellow、MGB色素(主溝もしくは副溝結合色素)、LI-COR社のIRDyes(登録商標)IRDye(登録商標)700、IRDye(登録商標)800、IRDye(登録商標)800CW、Lightcycler(登録商標)640、Dy750、非放射性クエンチャー(Nanogold Particle、Blackholeクエンチャー0、Blackholeクエンチャー1、Blackholeクエンチャー2、Blackholeクエンチャー3、Eclipse Quenchers(商標)、Dark Quenchers(商標)、IDT社クエンチャーIowa Black(商標)RQ、Iowa Black FQ、ZEN(商標)、TAO及び/またはZEN(登録商標)、ナノ粒子クエンチャーを含むがこれらに限定されない)、一本鎖結合タンパク質を含む群から選択される方法を提供する。
本発明のさらに別の態様は、核酸増幅反応に使用されるポリメラーゼ酵素(単数または複数)が、天然であるかまたは修飾されているかまたはキメラの、鎖置換活性もしくは鋳型非依存性プライマー活性もしくは塩基伸長活性、エキソヌクレアーゼ活性を有するもしくは有さないDNAポリメラーゼ、または逆転写酵素、または逆転写酵素活性とDNAポリメラーゼ活性の両方を有するポリメラーゼ、またはRNAポリメラーゼ、またはRNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼである、酵素であり、ここで、ポリメラーゼが、熱安定性、周囲温度または周囲温度未満で活性な酵素、ホットスタートポリメラーゼ(ポリメラーゼが高温、好ましくはプライマーアニーリング温度で加熱された後に活性化する)であり得る、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、核酸(メチル化もしくは非メチル化)または非核酸標的を検出するために使用される方法であって、核酸または非核酸標的に対して極めて高い親和性を有する第1の結合部分が、核酸または非核酸標的を捕捉するために使用され、かつ同じ第1の結合部分であり得るかまたは核酸もしくは非核酸標的に対して極めて高い親和性を有する異なる結合部分であり得る第2の結合部分が、捕捉された核酸または非核酸標的に結合するために使用されるか、あるいは極めて高い親和性で第2の結合部分に結合する第3の結合部分が使用され、ここで、第2の結合部分または第3の結合部分が、合成または天然の核酸標的分子が付加されて提供され、結合した第2の結合部分または第3の結合部分が、核酸が付加された未結合の第2の結合部分または第3の結合部分(unbound nucleic acid appended second or third binding moiety)を洗い落とした後に、請求項6~17、28~29、34~35、46、54のいずれか一項に記載のものを選択的に含むドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマー対またはプローブとプライマーとの対を使用した核酸増幅によって検出及び定量化され;
結合部分が、結合対である抗原-抗体、タンパク質-抗タンパク質抗体、抗体-抗体、抗体-抗IgG抗体、一次抗体-二次抗体、プロテインA-抗体、プロテインG-抗体、ビオチン-アビジン、ビオチン-ストレプトアビジン、レクチン-糖、核酸-核酸、タンパク質-核酸、ペプチド核酸、アプタマー-アプタマー、アプタマー-核酸、アプタマー-タンパク質、ハプテン-抗ハプテン抗体から好ましくは選択され、ハプテンが、蛍光色素、ブロモ-d-UTP、アフラトキシン及び他のマイコトキシン、ペプチド、糖を含むがこれらに限定されない小分子である、方法を提供する。
結合部分が、結合対である抗原-抗体、タンパク質-抗タンパク質抗体、抗体-抗体、抗体-抗IgG抗体、一次抗体-二次抗体、プロテインA-抗体、プロテインG-抗体、ビオチン-アビジン、ビオチン-ストレプトアビジン、レクチン-糖、核酸-核酸、タンパク質-核酸、ペプチド核酸、アプタマー-アプタマー、アプタマー-核酸、アプタマー-タンパク質、ハプテン-抗ハプテン抗体から好ましくは選択され、ハプテンが、蛍光色素、ブロモ-d-UTP、アフラトキシン及び他のマイコトキシン、ペプチド、糖を含むがこれらに限定されない小分子である、方法を提供する。
本発明の別の態様は、多数のm-RNAまたはc-DNAの検出及び/または定量化のための方法であって、各m-RNAまたはc-DNA(mRNAに相補的なDNA)に特異的な第1の増幅プライマーを提供すること、及びm-RNAまたはc-DNAに付加された配列から選択される共通プライマー(試料中の全てのm-RNAまたはc-DNAに共通)を第2の増幅プライマーとして提供し、かつさらに各m-RNAまたはc-DNAに特異的なプローブを提供すること、を含み、ここで、第1の増幅プライマー、第2の共通増幅プライマー及びプローブが、6~17、28~29、34~35、46を選択的に含むプライマー及びプローブである、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブが、非ヌクレオチド有機リンカー、ヘキサメチレン、ヘキサポリエチレングリコールまたはそれらのキメラもしくはより長い長さのものを介してプライマーの一方に付着または連結されて提供され、プローブが、連結されたプライマーの伸長を通じて生成された新生核酸鎖(nascent nucleic strand)にハイブリダイズする、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、核酸増幅反応を行うためのキットであって、
(a)請求項8~17、28、34、41、43、48~50、54~56のいずれか一項に記載の、少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー;
(b)請求項28、43、48及び50のいずれか一項に記載のものならびに配列番号21~22を選択的に含む、少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(単数または複数)及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(単数または複数);
(c)請求項19、23、24~25、29、35、48~50のいずれか一項に記載のものを選択的に含む、少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(単数または複数)及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(単数または複数);
(d)請求項41に記載のものを選択的に含む、少なくともドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識された、プロモーター配列を保有する第1のプライマー及び標的特異的な第2のプライマー;
(e)少なくとも陽性対照鋳型及び請求項6~17、24~35、41~43、48~50、54~56のいずれか一項に記載のものを選択的に含む、陽性対照鋳型に特異的なドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマー対またはプライマー及びプローブ;
(f)標識されたプライマー対であって、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブが、非ヌクレオチド有機リンカー、ヘキサメチレン、ヘキサポリエチレングリコールまたはそれらのキメラもしくはより長い長さのものを介してアクセプター・フルオロフォア部分またはクエンチャー部分で標識されたプライマーに付着または連結されて提供され、プローブが、連結されたプライマーの伸長を通じて生成された新生核酸鎖にハイブリダイズする、標識されたプライマー対
を選択的に含む請求項6、10~17、26~33、35、42、49~50、54~56のいずれか一項に記載のものを選択的に含む、少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプローブ及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(複数可)を1つ以上の容器中に含む、キットを提供する。
(a)請求項8~17、28、34、41、43、48~50、54~56のいずれか一項に記載の、少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー;
(b)請求項28、43、48及び50のいずれか一項に記載のものならびに配列番号21~22を選択的に含む、少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(単数または複数)及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(単数または複数);
(c)請求項19、23、24~25、29、35、48~50のいずれか一項に記載のものを選択的に含む、少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(単数または複数)及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(単数または複数);
(d)請求項41に記載のものを選択的に含む、少なくともドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識された、プロモーター配列を保有する第1のプライマー及び標的特異的な第2のプライマー;
(e)少なくとも陽性対照鋳型及び請求項6~17、24~35、41~43、48~50、54~56のいずれか一項に記載のものを選択的に含む、陽性対照鋳型に特異的なドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマー対またはプライマー及びプローブ;
(f)標識されたプライマー対であって、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブが、非ヌクレオチド有機リンカー、ヘキサメチレン、ヘキサポリエチレングリコールまたはそれらのキメラもしくはより長い長さのものを介してアクセプター・フルオロフォア部分またはクエンチャー部分で標識されたプライマーに付着または連結されて提供され、プローブが、連結されたプライマーの伸長を通じて生成された新生核酸鎖にハイブリダイズする、標識されたプライマー対
を選択的に含む請求項6、10~17、26~33、35、42、49~50、54~56のいずれか一項に記載のものを選択的に含む、少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプローブ及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(複数可)を1つ以上の容器中に含む、キットを提供する。
別の態様では、本発明は、反応緩衝液、複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、ポリメラーゼ酵素または酵素、陽性対照鋳型及び陽性鋳型のそれぞれの標識されたプライマー対を含むキットを提供する。
本発明のさらに別の態様は、標的核酸が、精製もしくは部分精製された核酸または未精製の核酸であり、天然もしくは合成もしくは半合成の一本鎖もしくは二本鎖DNAもしくはRNA、一本鎖もしくは二本鎖c-DNA、ゲノムDNA、メチル化DNA、ミトコンドリアDNA、エキソソームDNA、プラスミドDNA、リボソームRNA(rRNA)、転移RNA(tRNA)、メッセンジャーRNA(m-RNA)、小分子RNA(マイクロRNA、sRNA、stRNA、snoRNA、ncRNAを含むがこれらに限定されない)、極小胚様幹細胞を含む幹細胞由来DNA、ウイルスDNAもしくはRNA、または癌細胞DNA(体液、生検試料、腫瘍、膿、唾液、糞便、癌幹細胞を含むがこれらに限定されない任意の供給源に由来する)、及び1つまたは2つの非標的合成配列を標的核酸の末端に付加することにより生成される一本鎖または二本鎖の合成または半合成DNAまたはRNAから選択されることを提供する。さらに、標的核酸は、核酸分子全体を構成する必要はなく、また、感染因子のゲノム配列、ゲノム配列の変異(数個の塩基もしくは長い配列の単一塩基の変化もしくは欠失もしくは挿入)、または生死を問わない、ヒト細菌、酵母、真菌、植物、動物、ヒト、寄生生物及びそれらのウイルスならびに任意の他の生物のゲノム配列の存在もしくは不在またはそれらの変異(数個の塩基もしくは長い配列の単一塩基の変化もしくは欠失もしくは挿入)は、疾患もしくは障害の存在、または感染症もしくは疾患もしくは障害に対する感受性、または疾患治療に対する適合性、出生前診断、遺伝形質、遺伝子型、アレル型、SNP検出、細胞型、組織型、種もしくは株の種類、癌種もしくは癌のサブタイプ、癌の検出、疾患タイピングもしくはサブタイピング、発現遺伝子に関連付けられる。
本発明の設定の完全な理解は、以下の図を参照することによって得ることができる。
本発明は、添付図面及び以下の説明を参照して詳細に記載される。
したがって、本発明の基本的な態様によれば、他の既存の方法と比較して、より高い感度及びより高い特異性を有する標的検出のための核酸増幅方法が提供される。本発明は、プライマー二量体またはプライマー二量体様非特異的増幅産物の形成の低減を試みるものではなく、プライマー二量体及びプライマー二量体様非特異的増幅産物からのシグナルの低減または消失を試みるものである。結果として、増幅反応に任意の非特異的シグナルが含まれなくなり、よって特異性及び感度が高くなる(特異性及び感度は相互依存的であり、特異性を増加させようとすると感度が低下し、逆もまた同様である)。非特異的増幅産物の形成を低減させるために現在利用可能なホットスタート手法を使用することは必要ではないが、追加として本発明の解決策とともに使用することができる。本発明は、95%以上の特異性、及び本分野の至適基準であるTaqman Chemistryの感度(70~80%)よりも高い、すなわち80%超、好ましくは90%超の感度を示す検出方法を開示する。この方法は、特異性を増加させることに加えて標的増幅産物のシグナルを増加させることにより、感度を増加させる。
当該技術分野における既存の/現在の方法及び他の方法のプライマー及びプローブは、標的増幅産物に加えて、非特異的プライマー二量体及びプライマー二量体様増幅産物からもシグナルを生成する。シグナルが増加すると、標的増幅産物と非特異的増幅産物の両方のシグナルが増加するが、シグナル対ノイズ比は何らの影響も受けない。他方、本発明の方法のプライマー及びプローブは、標的増幅産物のみからシグナルを生成し、非特異的プライマー二量体及びプライマー二量体様増幅産物からのシグナル生成を回避するように特別に設計されている。さらに、本発明の方法のプライマー及びプローブは、標識されたプライマーまたは標識されたプローブのドナー・フルオロフォアで標識された塩基の位置及び隣接塩基配列に応じて、標的増幅産物からより高いシグナルを生じさせるようにさらに設計されている。したがって、プライマー二量体及びプライマー二量体様非特異的産物からのシグナルがゼロまたはそれに近いことに加えて、標的増幅産物からのシグナルが増加すると、シグナル対ノイズ比がより高くなり、よって検出感度及び特異性がより高くなる。
本発明の方法のプライマー及びプローブは、ドナー・フルオロフォア及び/またはアクセプター・フルオロフォア(放射性クエンチャー)/クエンチャーで標識され、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア(放射性クエンチャー)/クエンチャーが、標的増幅産物中で十分に分離されかつそれらのFRET(エネルギー移動)距離を越えた状態に維持されるように選択、設計及び標識され、その結果、それらの間にはエネルギー移動相互作用がなく、ドナー・フルオロフォアの蛍光の増強によって標的増幅時に蛍光シグナルが生成される。
他方、プライマー二量体またはプライマー二量体様非特異的増幅産物では、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア(放射性クエンチャー)/クエンチャーがそれらのFRET(エネルギー移動)距離内にあり、その結果、ドナー・フルオロフォアからアクセプター・フルオロフォア(放射性クエンチャー)/クエンチャーへのエネルギー移動及びドナー・フルオロフォアの蛍光のクエンチングが生じる。かかる産物では、ドナー・フルオロフォアの蛍光の増強及びクエンチングが同時に生じる。ドナー・フルオロフォアの蛍光のクエンチングの程度は、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア(放射性クエンチャー)/クエンチャーのスペクトル特性、ならびにプライマー二量体産物またはプライマー二量体様産物におけるそれらの分離、ならびにドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア(放射性クエンチャー)/クエンチャーの付着に使用されるリンカーの長さに依存する。
クエンチングの程度が増強より大きい場合、これらの非特異的産物からシグナルは生成されない。結果として、特異性は高くなるが、プライマー二量体産物またはプライマー二量体様産物における過剰なクエンチングにより全体の蛍光シグナルが低減し、よって標的増幅産物により生成されるシグナルが低減するため、感度は減少する。この場合、特異性は最も高くなるが、感度はわずかに低減する。
プライマー二量体またはプライマー二量体様非特異的産物におけるドナー・フルオロフォアの蛍光の増強及びクエンチングが等しいかまたは均衡している場合、これらの非特異的産物によるシグナルは生成されず、標的増幅産物の蛍光シグナルは失われない。結果として、特異性と感度の両方が最も高くなる。
一方、クエンチングが増強よりも少ない場合、これらの非特異的産物からのシグナルが存在し、その結果特異性は減少するが、感度は減少しない。この場合、特異性はわずかに低減するが、感度は最も高くなる。この選択は、本発明の方法において利用可能な3つの選択肢のうちの最後にすべきであるが、ある特定の状態で使用することができる。ドナー・フルオロフォアの蛍光の増強とクエンチングとのこの均衡によって、本発明の標識されたプライマー及びプローブは、Libraプライマー対及びLibraプライマー-プローブ対と命名されている。この機構は既存のプライマー及びプローブでは機能せず、これは本発明の設計及び方法に特有のものである。
プライマー及びプローブは、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォアで標識されており、かつ標的増幅産物中でドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォアがそれらのFRET距離内に配置されるように選択、設計及び標識されており、その結果、ドナー・フルオロフォアからアクセプター・フルオロフォアへのエネルギー移動が生じ、アクセプター・フルオロフォアからのFRETシグナル(ドナー・フルオロフォアの励起に特有の波長の放射線でドナー・フルオロフォアを励起させ、アクセプター・フルオロフォアの蛍光を測定する)が標的増幅時に生成される。また、プライマー二量体またはプライマー二量体様非特異的増幅産物中では、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォアは、それらの短距離エネルギー移動距離、すなわち静的/接触クエンチング距離内にあり(ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォアで標識された塩基は、互いに対向して配置されるか、またはそれらの間が0~3塩基、好ましくは0~1塩基で分離されて配置される)、その結果、ドナー・フルオロフォアからアクセプター・フルオロフォアへのエネルギー移動及びドナー・フルオロフォアの蛍光のクエンチング、ならびにアクセプター・フルオロフォアの蛍光が生じ、プライマー二量体産物またはプライマー二量体様産物からのシグナルがゼロまたはほぼゼロになる。
標的核酸配列は、一本鎖もしくは二本鎖の核酸配列(天然もしくは人工)、核酸増幅産物、メチル化DNA、ミトコンドリアDNA、C-DNA(相補的DNA)、エキソソームDNA、または感染因子の配列、ゲノムDNA(gDNA)、ゲノム配列の変異(数個の塩基もしくは長い配列の単一塩基の変化もしくは欠失もしくは挿入)、または生死を問わない、細菌、酵母、ヒト、動物、植物及びそれらの病原体(ウイルスを含む)もしくは任意の他の生物のゲノム配列、RNA、メッセンジャーRNA(m-RNA)、リボソームRNA(r-RNA)、小分子RNA、転移RNA(t-RNA)、マイクロRNA(mi-RNA)、マイクロRNA前駆体(pre-/pri-mi-RNA)であり、それらの存在または不在は、感染因子、障害もしくは疾患の存在、または感染症もしくは疾患もしくは障害に対する感受性、または疾患治療に対する適合性、遺伝形質、出生前診断、遺伝子型、細胞型、組織型、アレル型、SNP検出種もしくは株の種類、癌種、癌のサブタイプ、癌の検出、疾患の種類もしくはサブタイプ、発現遺伝子などに関連付けられるが、上記に限定されない。
別の目的は、臨床試料(限定されないが、血液、尿、リンパ液、唾液、脳脊髄(CSF)液、気管支洗浄液、汗、腹水、羊水、痰、糞便、膿、精液、膣スワブ、咽頭及び鼻スワブなどの体液、結節、組織試料、腫瘍試料、生検試料、液体細胞診試料、循環腫瘍細胞、循環幹細胞、極小胚様幹細胞、幹細胞、癌細胞、癌幹細胞、培地、発酵ブロス、土壌、水、食品、石油坑井試料、法医学的試料などを含む)を含むがこれらに限定されない生体試料または非生体試料中に存在する、ポリヌクレオチド(核酸)または非核酸分析物を検出することである。ポリヌクレオチド/核酸、非核酸分析物は、精製されていないか、あるいは公知の核酸精製方法もしくは抽出方法、または他の方法のいずれかによって精製されているかまたは部分的に精製されている場合がある。
以下の定義は、本開示の主題をより明確かつ簡潔に説明しかつ明らかにするために、以下の説明及び添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語に対して提供される。
別途明記されていない限り、本明細書における「a」または「an」という単語は、少なくとも1つを意味し、単数形には複数形も含まれる。一例としてであり限定するものではないが、「標的核酸(a target nucleic acid)」は、標的核酸種の特定の種の1つ以上(more than one or more)のコピー及び2つ以上の異なる標的核酸種を意味する。「及び/または」は、スラッシュの前後の用語が一緒にまたは別々に採用され得ることを意味する。例示目的であり限定するものではないが、A及び/またはBは、A及びB、またはAもしくはBを意味し得る。
本明細書における「シグナルがゼロ」という単語は、検出可能なシグナルがないことを意味し、「シグナルがほぼゼロ」とは、微小なまたは非実質的なシグナルを意味する。
本明細書で論じられる濃度、距離、時間、量、温度などの前に、「約」、「概ね」が言外に存在し、わずかで非実質的な偏差は本明細書における本発明の教示の範囲内であると解釈されることが理解されよう。
さらに、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含む(including)」、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「からなる(consist)」、「からなる(consists)」、「からなる(consisting)」という単語の使用は、本発明の教示の範囲を限定することを意図するものではない。前述の一般的な説明及び詳細な説明は、例示及び説明のためのものに過ぎず、本教示を制限するものではないことを理解されたい。
「核酸」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され、完全な2’-デオキシヌクレオチド(DNA)もしくは完全なリボヌクレオチド(RNA)またはそれらのキメラ混合物を含むがこれらに限定されないヌクレオチド単量体の一本鎖及び二本鎖ポリマーを指し、またヌクレオチドアナログを含む場合があり、ヌクレオチドモノマーは、ヌクレオチド間ホスホジエステル結合連結、またはヌクレオチド間アナログ及びH+、NH4+、トリアルキルアンモニウム、Mg2+、Na+などを含む関連する対イオンによって連結されている。
互換的に使用される「鎖」、「核酸鎖」という用語は、デオキシヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの単一のポリヌクレオチド鎖を指す。
合成核酸または半合成核酸は、それらのヌクレオチド基本単位を使用して、(PCRもしくはPCR以外の生化学的反応、または天然配列への合成配列の追加によって)化学的または生化学的に実験室で合成される。
オリゴヌクレオチドは、それらの基本単位を使用して実験室で化学合成されるかまたは天然核酸分子から実験室で生化学的に生成される、長さが短いリボース核酸ポリマーまたはデオキシリボース核酸ポリマーである。それは、2つの末端、すなわち5’末端及び3’末端に2つのヒドロキシル部分を有する。ポリヌクレオチドは、典型的には5~40ヌクレオチドの範囲のサイズであり、当該技術分野ではオリゴヌクレオチドと称されることもあり、数千モノマー単位のサイズになる場合がある。別途記載されていない限り、ポリヌクレオチドが示される場合は常に、ヌクレオチドは左から右へ5’-3’方向にあり、「A」はデオキシ-アデノシンを表し、「G」はデオキシ-グアノシンを表し、「C」はデオキシシトシンを表し、「U」はデオキシ-ウリジンを表し、「T」はデオキシ-チミジンを表すと理解される。さらに、リボース核酸またはデオキシリボース核酸と、リボヌクレオチド及び2’-デオキシヌクレオチドとは同義である。
「ヌクレオチド」という用語は、ヌクレオシドのリン酸エステル、例えば三リン酸エステルを指し、最も一般的なエステル化部位は、ペントース糖のC5位である。「ヌクレオシド」という用語は、アデニン、グアニン、デアザデニン、デアザグアニンなどのプリン塩基もしくはデアザプリン塩基、またはシトシン、ウラシル、シュードウラシル、チミン、イノシンなどのピリミジン塩基を含有しており、その1’位でペントース糖に連結された化合物を指し、ペントース塩基がプリン塩基の9位及びピリミジン塩基の1位に付着している2’デオキシ型及び2’ヒドロキシル型を含む。
人工ヌクレオチドは、プリン-ピリミジン塩基または糖部分またはリン酸基のいずれかが修飾された合成修飾ヌクレオチドである。例示的な塩基アナログには、シュードウリジン、2,6ジアミノプリン、ヒポキサンチン、イソグアニン、イソシトシン、2-チオピリミジン、C-5プロピレンが含まれ、例示的な糖アナログには、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、アリルオキシ、ブトキシ、イソブトキシ、イソプロポキシ及びフェノキシ、アジド、アミノまたはアルキルアミノ、フルオロ、クロロ及びブロモで修飾された糖の2’位または3’位が含まれ、ロックドヌクレオチド(リボヌクレオチドのリボース糖部分の2’ヒドロキシル基及び4’ヒドロキシル基が互いに連結されており、したがってロックされている(LNA))が含まれる。リン酸アナログは、非酸素部分、例えば硫黄、セレン、ホウ素に置き換えられた1つ以上の酸素原子を有する。例示的なリン酸アナログには、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエートが含まれる。関連する対イオン及びペプチドヌクレオチド(N-(2-アミノエチル)グリシン骨格などの中性ペプチドがリン酸基に付着している(PNA))を含む、ホスホラニリノチオエート(Phosphoranilinothioate)、ホスホラニリデート(phosphoranilidate)、ホスホラミダイト、ボラノホスフェート。
ハプテン:ハプテンは、それ自体では免疫応答を誘発しないが、タンパク質またはペプチドなどのキャリア分子に付着されると免疫応答を誘発する小分子であり、キャリア分子自体が免疫原性である場合もあればそうでない場合もある。
アプタマー:アプタマーは、塩基または糖部分(単数または複数)が修飾された、長さの短い一本鎖DNAまたはRNAまたは合成核酸である。
「増幅された産物」、「増幅産物」または「アンプリコン」という用語は、PCRなどの増幅法において一対のプライマーを使用してポリメラーゼにより増幅されたDNAの断片を指す。
「標的増幅産物」、「特異的増幅産物」、「標的特異的増幅産物」、「特異的増幅産物」、「特異的標的増幅産物」という用語は、互換的に使用され、PCRなどの増幅法において一対のプライマーを使用してポリメラーゼにより増幅された特定の核酸の断片を指す。
「標的」、「標的配列」、「標的核酸」、「特異的標的」、「標的特異的」、「標的核酸配列」、「特異的配列」、「標的特異的配列」、「特異的核酸」、「特異的核酸配列」、「目的の核酸」、「鋳型」という用語は、互換的に使用され、増幅されるかもしくは検出されるかのいずれかまたはその両方である、あるいは増幅されかつ定量化される、所望の領域または特定の核酸の所望の領域を指す。
「同一の」、「同一の配列」という用語は、互換的に使用され、同じ配列または相補的配列を有する2つの核酸配列を意味する。
「相補的配列」は、相補的配列のヌクレオチド塩基がヌクレオチド配列のそれぞれの相補的塩基と対形成する、核酸配列の相補体であり、例えば、グアニン塩基はシトシン塩基に相補的であり、アデニン塩基はチミジン塩基またはウラシル塩基に相補的である。ハイブリッドが安定している限り、塩基相補性は完全であっても部分的であってもよい。塩基相補性とは、塩基対を形成する能力である。2つの配列が相補的であるとは、一方の配列が他方の配列を補完することを意味する。
互換的に使用される「重合」、「核酸合成」は、核酸鋳型、ポリメラーゼ及びヌクレオチドの使用を通じて、またはヌクレオチドの連続的付加を通じてプライマーの配列を伸長させるプロセスを指す。
3’ヒドロキシル(OH)基を備えた自由に伸長可能な3’末端を有する「プライマー」は、G、C、A及びTなどのデオキシリボヌクレオチド、ならびにDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素などのポリメラーゼ酵素、ならびに補助因子である置換基またはpH、イオン強度などに影響を及ぼす置換基を含む適切な緩衝液の存在下で、適切な温度で十分な時間にわたって、プライマーを伸長しかつ核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物を産生する合成または重合反応をプライミングまたは開始することができる、化学合成されたまたは比較的大きな核酸分子から生成されたオリゴヌクレオチドを指す。選択されたプライマーは、増幅される各特異的核酸配列のそれぞれの鎖にハイブリダイズするように少なくとも実質的に相補的である。プライマーは通常、記載されたようなプライマー末端などの所定の配列位置に非相補的ヌクレオチドが存在し得る場合を除いて、相補的である。
いくつかの実施形態では、プライマーは一本鎖であり得る。いくつかの実施形態では、非相補的ヌクレオチド配列または断片は、プライマー配列の残部が標的核酸の標的領域に相補的または十分に相補的である場合、プライマーの5’末端に付着され得る。いくつかの実施形態では、非相補的ヌクレオチド配列は、非標的配列と称される。
「プローブ」は、蛍光レポーター色素に付着した、または蛍光レポーター色素及びビオチンなど、もしくは蛍光レポーター色素及びクエンチャーに付着した非伸長性オリゴヌクレオチドであり、このオリゴヌクレオチドは、核酸増幅反応で増幅される標的核酸の鎖に相補的である。
「アニーリングする(annealing)」または「アニーリングする(anneal)」及び「ハイブリダイズする(hybridizing)」または「ハイブリダイズする(hybridize)」または「ハイブリダイゼーション」という用語は、限定されないが、A:T、A:U及びG:Cのワトソン-クリック塩基対形成を使用した、二重鎖またはより高次の構造の形成をもたらす、ある核酸と別の核酸とのヌクレオチド塩基対形成を意味する。
「増幅」、「標的増幅」、「核酸増幅」という用語は、互換的に使用され、核酸配列の混合物内の特定の核酸配列の濃度を増加させるための任意の増幅プロセスまたは手順の使用を指す。
核酸増幅プロセスであるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で典型的に使用される「熱サイクリング」、「熱サイクル(thermal cycles)」、「熱サイクル(thermal cycle)」という用語は、完全変性温度からアニーリング/ハイブリダイゼーション温度へ、伸長温度へ、そして完全変性温度に戻る、温度変化の反復サイクルを指す。いくつかの実施形態では、アニーリング/ハイブリダイゼーション温度及び伸長温度は、単一の温度に統合される。この用語は、上記の温度変化サイクルの反復サイクルも指す。いくつかの実施形態では、使用され得る「単一サイクル」または「単一ラウンドのサイクリング」という用語は、上述の一連の温度変化(単数または複数)の1ラウンドを意味する。いくつかの実施形態では、単一ラウンドのサイクリングは、変性温度、第1のアニーリング/ハイブリダイゼーション温度と第1の伸長温度との反復サイクル、及び第2のアニーリング/ハイブリダイゼーション温度と第2の伸長温度との反復サイクルを含んでもよく、ここで、第1のアニーリング温度及び伸長温度は第2のアニーリング温度及び伸長温度と異なるか、または第1のアニーリング温度は第2のアニーリング温度と異なる。サイクル数は1回または45回までの任意の数であり得る。完全変性温度は二本鎖DNA断片を巻き戻して2本の一本鎖にし、アニーリング温度はプライマーがDNA断片の分離された鎖の相補鎖にアニーリングまたはハイブリダイズすることができるようにし、伸長温度は増幅産物またはアンプリコンの新生DNA鎖の合成ができるようにする。
等温増幅プロセスでは、標的配列の増幅に単一の温度のみが使用され、二本鎖DNAの2本の鎖の分離は、プライマーがループにアニーリングすることができるようにするループ構造を備えたプライマーを使用すること(ループ媒介増幅(LAMP))、またはリコンビナーゼ(リコンビナーゼ-ポリメラーゼ増幅(RPA))、ヘリカーゼ(ヘリカーゼ-ポリメラーゼ増幅(HPA))、トポイソメラーゼ(トポイソメラーゼ-ポリメラーゼ増幅(TPA))などのDNA二本鎖巻き戻し酵素を使用することにより達成され、またLAMPで使用される、核酸の新生鎖を合成するポリメラーゼは、鎖置換酵素活性も有している。
定量的PCR(qPCR)または定量的等温増幅とは、反応混合物または核酸試料中の核酸を定量化するための増幅を意味し、増幅シグナルは、増幅反応の対数期においてシグナルが閾値を越えるときに取得される。
ホットスタートPCRは、一般に、必須反応構成成分、例えばポリメラーゼの第1の温度(典型的には比較的低温)での利用可能性を、必須構成成分が増幅反応に関与することが可能になる第2の温度(典型的にはプライマーのアニーリング温度である比較的高温)に達するまで、制限することを指す。
逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)は、逆転写酵素を使用してRNA鎖からDNA鎖を合成し、次いで合成されたDNA鎖に対してPCRを用いるプロセスである。このプロセスでは、逆転写酵素とDNAポリメラーゼとの組み合わせ、または逆転写酵素活性とポリメラーゼ活性の両方を有する酵素のいずれかが使用される。
アレルポリメラーゼ連鎖反応(アレルPCR)では、増幅反応の2つのプライマーの一方が、その3’末端から1~4塩基離れた1塩基または2塩基に標的配列との塩基ミスマッチ(単数または複数)を保有し、標的配列のアレルは、1塩基または2塩基の配列、好ましくはプライマーの一方の3’末端から2番目の塩基である1塩基の配列が異なる。さらに、プライマーの一方は、アクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分で標識されたアレルプライマーであり、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブは、増幅された標的の2本の鎖の一方にハイブリダイズする。
メチル化状態PCRまたはメチル化特異的PCRを含むメチル化特異的核酸増幅では、メチル化DNAが亜硫酸水素塩試薬で処理され、これによりメチル化DNAのメチルシトシン塩基がウラシル塩基に変換されて、DNAの配列が変化する。次いで、変化した配列に特異的なプライマーを使用してその配列が増幅される。
エマルジョンPCRでは、標的配列のPCR増幅は油-水エマルジョン中で行われ、形成される水滴の各々が少数の、好ましくは単一の核酸分子を含有する程度まで、水性PCR反応混合物が油で希釈される。
ビーズPCRでは、標的核酸に結合してそれを捕捉し、別の標的特異的プライマーと共同して標的核酸を増幅するプライマーをビーズ(単数または複数)が保有している。ビーズがエマルジョンPCRに使用されるか、または捕捉された標的核酸を有する各ビーズが小孔中に捕捉されPCR増幅に供されるかのいずれかである。
ドロップレットPCRまたはデジタルPCR(dPCR)では、全ての必要成分、反応緩衝液、ヌクレオチド、酵素(単数または複数)、プライマー、またはプライマー及びプローブ、ならびに標的核酸を完全に備えたPCR反応混合物が、数千の個々の反応液滴に分配され、増幅シグナルが増幅反応の終点で取得される。dPCRにより、極めて低いコピー数の標的の検出及び標的の絶対定量化が可能になる。
互換的に使用される「非特異的シグナル」、「非特異的蛍光」、「バックグラウンド蛍光」という用語は、所望の増幅産物またはアンプリコン以外の二本鎖核酸(非特異的増幅産物または非特異的アンプリコン)に会合したフルオロフォアまたは核酸結合色素分子から放出される検出可能なシグナルを指し、所望の増幅産物またはアンプリコンは、標的核酸の増幅産物を含み、いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態の反応に含まれ得る内部標準物質または陽性対照配列を含む。
非特異的増幅は、意図される増幅産物(特異的標的増幅産物)以外の増幅産物(単数または複数)が生成または産生される増幅事象であり、当該意図されない増幅産物は非特異的増幅産物と呼ばれる。
プライマー二量体:これは、2つのプライマー分子がそれらの伸長可能3’末端で互いに重複し、増幅反応のポリメラーゼが2つのプライマー分子の3’末端を、一方を他方の鋳型として使用して伸長させる場合に生成または産生される非特異的増幅産物である。
プライマー二量体様増幅産物は、一方または両方の増幅プライマーの3’末端配列が、増幅反応のモニタリングに使用されるプローブの非伸長性3’末端配列と重複する場合に生成または産生される非特異的増幅産物であり、増幅反応のポリメラーゼは、プローブを鋳型として使用してプライマー(複数可)分子の3’末端を伸長させる。このように形成されたプライマー二量体様産物は、増幅プロセスにおいて、プローブがハイブリダイズする鎖に相補的な標的鎖に対してさらに伸長され、増幅可能なプライマー二量体様産物が生成される。
本明細書で使用される「変性(denaturing)」及び「変性(denaturation)」という用語は、ゲノムDNA(gDNA)断片、少なくとも1種の標的核酸、二本鎖増幅産物またはアンプリコン、二本鎖ポリヌクレオチド断片を含むがこれらに限定されない二本鎖核酸/ポリヌクレオチドが、適宜、2本の一本鎖ポリヌクレオチドまたは一本鎖もしくは実質的に一本鎖のポリヌクレオチドに変換されるプロセスを指す。融解温度、または「Tm」は、核酸二重鎖の安定性の尺度であり、特定の核酸二重鎖の塩基対の半分が解離する温度である。「融解曲線(melting curve)」または「融解曲線(melt curve)」は、特定の核酸二重鎖の塩基対の解離及び会合の曲線またはプロファイルであり、通常は-dF/dT対Tのプロットであり、ここで「F」は核酸二重鎖の蛍光の尺度であり、「T」は温度である。
本明細書で使用される「標識」という用語は、検出可能なまたは定量化可能なシグナルを提供するためにまたはその提供を補助するために使用することができ、かつ核酸またはオリゴヌクレオチドに付着させることができる、任意の原子または分子を指し、ここで、検出可能シグナルは蛍光シグナルであり、検出可能な蛍光を生成する標識は、本明細書では「フルオロフォア」または「レポーター色素」または「蛍光色素」または「色素」と称され、フルオロフォアの蛍光シグナルを吸収するもしくは低減させるか、またはフルオロフォアもしくは蛍光色素の蛍光をクエンチングする標識は、クエンチャーである。クエンチャーは、フルオロフォア(アクセプター・フルオロフォアもしくは放射性クエンチャー)または非放射性クエンチャーまたはダーククエンチャー(蛍光シグナルを吸収するが、光または放射線を一切放出しない)であり得る。フルオロフォアは、光を含む電磁放射線が照射されると、エネルギーまたは光を含む電磁放射線を発し、このエネルギーまたは電磁放射線もしくは光の発出が、フルオロフォアの放出である。フルオロフォアにより放出されるエネルギーまたは電磁放射線もしくは光は、フルオロフォアに照射されるエネルギーまたは電磁放射線とは異なり、フルオロフォアの蛍光である。フルオロフォアは、特定の波長(単数または複数)の光または放射線を吸収し、波長(単数または複数)が異なる独特の光または放射線を放出する。蛍光最大値または放出最大値は、フルオロフォアの蛍光放出が最大となる波長である。自身のエネルギーまたは光もしくは放射線をアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーに移動させるフルオロフォアは、ドナー・フルオロフォアである。アクセプター・フルオロフォアは、ドナー・フルオロフォアのエネルギーを吸収し、ドナーのものとは異なる特有のエネルギーまたは電磁放射線もしくは光を発し、放射性クエンチャーとも呼ばれる。他方、ダーククエンチャーまたは非放射性クエンチャーは、ドナーのエネルギーまたは電磁放射線もしくは光を吸収し、電磁放射線または光を一切発しない。
「レポーター色素」、「蛍光色素」、「色素」という用語は、「核酸結合色素」または「インターカレーティング色素」も含み、これらの用語は互換的に使用される。核酸結合色素は、二本鎖ポリヌクレオチドに特異的な蛍光分子、または二本鎖ポリヌクレオチドと会合したときに一本鎖ポリヌクレオチドとの会合よりも実質的に大きな蛍光増強を少なくとも示す蛍光分子を指す。核酸結合色素の非限定的な例としては、臭化エチジウム、ヘキスト色素33342、ヘキスト色素33258、DAPI、ランタニドキレート(NDI-(BH-HCT-Eu3+キレート)ならびに非対称シアニン色素SYBR(登録商標)Green及びPico(登録商標)Green、Avagreen(登録商標)、YOPRO 1、SYTO 9、アクリジンオレンジが挙げられる。
フルオロフォアの励起スペクトルは、電磁放射線のスペクトル波長範囲全体にわたってフルオロフォアにより吸収される電磁放射線のエネルギーをグラフ表示したものであり、フルオロフォアの放出スペクトルは、電磁放射線のスペクトル波長範囲全体にわたってフルオロフォアにより放出される電磁放射線のエネルギーである。
スペクトル重なりとは、あるフルオロフォアまたはクエンチャーの励起スペクトルと別のフルオロフォアの放出スペクトルとの重なりである。
本明細書におけるポリメラーゼは、ヌクレオチドの重合反応を触媒する酵素である。ポリメラーゼは、デオキシリボヌクレオチドが重合されるかまたはリボヌクレオチドが重合されるかに応じて、DNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼであり得る。DNAポリメラーゼは、DNA依存性DNAポリメラーゼまたはRNA依存性DNAポリメラーゼであり得る。RNAポリメラーゼの場合、RNAポリメラーゼが一本鎖DNAを鋳型として使用してリボヌクレオチドを重合させることによりRNA分子を合成するとき(このプロセスはRNA転写と呼ばれる)、または逆転写酵素は、それがRNA鎖を鋳型として使用してデオキシヌクレオチドを重合させることによりDNA鎖を合成するとき(このプロセスは逆転写と呼ばれる)。一部の逆転写酵素は、逆転写酵素活性とDNAポリメラーゼ酵素活性の両方を有する(Thermus thermophilusまたはTthポリメラーゼ)。一部のDNAポリメラーゼは、鎖置換活性、エキソヌクレアーゼ酵素活性、鋳型非依存性ポリメラーゼ活性を有し得る。ポリメラーゼは、370C超かつ最大60℃超の温度で酵素活性を示す場合、中度熱安定性(meso-thermostable)ポリメラーゼであり、ポリメラーゼが600℃超の温度で活性である場合、熱安定性ポリメラーゼである。ポリメラーゼは、370℃以下の温度で酵素活性を示す場合は周囲温度ポリメラーゼ(37℃~250℃)であり、または250℃未満の温度で酵素活性を示す場合は低温ポリメラーゼである。ポリメラーゼは、プライマーのアニーリング温度で重合活性を示すポリメラーゼであるホットスタートポリメラーゼであり得る。核酸ポリメラーゼ(nucleic polymerase)は、Taq DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Vent(商標)DNAポリメラーゼ、Tfl DNAポリメラーゼ、Tfi DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Tli DNAポリメラーゼ、ヘリカーゼ活性またはDNA巻き戻し活性を有する熱安定性ポリメラーゼからなる群から選択され得るがこれらに限定されない。
さらに、本明細書では、本発明で教示する方法を実践または実施するためのキットも提供される。本明細書における「キット」という用語は、典型的には1つ以上の容器または器に入った1つ以上の、関連する構成成分または組成物のパッケージ化されたセットを指す。キットは、典型的には、試料からの少なくとも1種の標的核酸を重合及び/または増幅するためのプライマー対として少なくとも1対のオリゴヌクレオチドを含むことができ、オリゴヌクレオチド対の一方の構成要素は、フルオロフォアまたはインターカレーティング色素などの検出可能な標識で標識されており、対の他方の構成要素はクエンチャーで標識されている。キットはまた、典型的には、試料からの少なくとも1種の標的核酸を重合及び/または増幅するためのプライマー対としての少なくとも1対のオリゴヌクレオチド(オリゴヌクレオチドプライマー対の少なくとも一方の構成要素はクエンチャーで標識されている)と、増幅反応をモニタリングするためのプローブとしての、検出可能な標識、フルオロフォアまたはインターカレーティング色素を備えた別の非伸長性オリゴヌクレオチドと、を含むことができる。キットはまた、典型的には、試料からの少なくとも1種の標的核酸を重合及び/または増幅するためのプライマー対として少なくとも1対のオリゴヌクレオチドを含むことができ、オリゴヌクレオチドは、フルオロフォアまたはインターカレーティング色素などの検出可能な標識で標識されており、フルオロフォアの一方の構成要素はドナー・フルオロフォアであり、他方の構成要素はアクセプター・フルオロフォアである。キットはまた、典型的には、試料からの少なくとも1種の標的核酸を重合及び/または増幅するためのプライマー対としての少なくとも1対のオリゴヌクレオチド(オリゴヌクレオチドプライマー対の少なくとも一方の構成要素は検出可能な標識で標識されている)と、増幅反応をモニタリングするためのプローブとしての別の検出可能な標識で標識された別の非伸長性オリゴヌクレオチドと、を含むことができ、検出可能な標識はフルオロフォアまたはインターカレーティング色素であり、2つの標識はドナーとアクセプターとの対である。キットはまた、対照反応に使用される予め定義された核酸を含有する試料も含有することができる。キットはまた、任意選択的に、核酸鋳型から少なくとも1種の標的核酸を増幅するのに必要な、プライマー及びプローブ以外の全ての構成成分を含有する反応混合物もしくはPCRマスター混合物を含むことができ、または核酸鋳型から少なくとも1種の標的核酸を増幅するのに必要な、緩衝液、塩、二価金属イオン(Mg2+、Mn、2+ dNTP(dA、dC、dG、dT、dU)、酵素、グリセロール、BSA(ウシ血清アルブミン)、ゼラチン、1種以上の界面活性剤、PVP(ポリビニルピロリドン)、PEG(ポリエチレングリコール)のストック溶液も含有することができ、各構成成分の使用濃度範囲は当該技術分野で周知であり、当業者によってさらに最適化することができる。いくつかの実施形態では、キットは、複数のプライマーセットまたはプライマープローブセットを含み得る。他の実施形態では、当業者によって理解されるであろう特定の系またはキットも含まれるかまたは企図される。キットはまた、増幅反応を行うための反応器(単数または複数)を含有することができ、反応器は、分子生物学実験室で一般的に使用されるマイクロチューブまたは微量遠心管(0.2/0.5ml)及びそれに類するもの、マルチウェルプレートのウェル、スライドガラスまたはシリコンウエハのスポット、マイクロ流体デバイスのチャネルまたはチャンバを含むがこれらに限定されない。
本明細書で使用されるセクションの見出しは、単に構成上の目的のためのものであり、いかなる形でも所望の主題を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に組み込まれる全ての特許及び他の参照文献は、任意の目的でその全体が参照により明示的に組み込まれる。組み込まれた文献のいずれかが本明細書に定義されているいずれかの用語と矛盾する場合、本明細書が優先される。本発明の教示は種々の実施形態と併せて説明されているが、本発明の教示がかかる実施形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の教示は、当業者によって理解されるであろう種々の代替例、修正例及び同等物を包含する。本明細書全体を通じて、特定の用語の例示は、非限定的な例とみなされるべきである。
したがって、本発明は、標的増幅のシグナルを生成するためのドナー・フルオロフォアの蛍光の増強のため、及びプライマー二量体もしくはプライマー二量体様非特異的核酸増幅産物からのゼロもしくはほぼゼロのシグナルを生成するためのドナー・フルオロフォアの蛍光のクエンチングを相殺する均衡した蛍光の増強またはドナー・フルオロフォアの増強を相殺する均衡したクエンチングのための、核酸増幅のプロセスを提供する。
別の目的は、非特異的プライマー二量体(増幅反応に使用されるポリメラーゼによる、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーの3’末端とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーの3’末端の重複及び伸長により形成される)ならびにプライマー二量体様増幅産物(ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブの3’末端とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーの3’末端の重複ならびにプローブを鋳型として使用したポリメラーゼによる標識されたプライマーの伸長により形成される)において同時に発生するドナー・フルオロフォアの蛍光の増強とドナー・フルオロフォアの蛍光のクエンチングとを均衡させて、これらの非特異的産物によるシグナルが生成されないようにすることである。
本発明のさらに別の目的は、ドナー・フルオロフォア部分で標識された直鎖状プライマー及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分で標識された直鎖状プライマーを標的核酸増幅に使用することである。プライマーは、ドナー・フルオロフォア部分及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分が標的増幅産物中で互いに十分に分離されて、この2つの部分間で顕著なエネルギー移動がなく、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーの標的増幅産物への組み込みによりドナー・フルオロフォアの蛍光が顕著に増強され、且つ融解曲線及び融解温度(Tm)も標的増幅産物によって生成されるように選択され、そのように標識される。
しかし、非特異的プライマー二量体増幅産物では、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーがそれらのFRET距離内にあり、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分がドナー・フルオロフォア部分の蛍光をクエンチングし(図1)、2つのプライマー上のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーの位置は、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーによるドナー・フルオロフォアの蛍光のクエンチング量がドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーのプライマー二量体産物への組み込みによるドナー・フルオロフォアの蛍光の増強量と等しいかまたは概ね等しいように選択される。結果として、非特異的プライマー二量体産物の形成時にシグナルは生成されず、標的検出の感度はプライマー二量体中のドナー・フルオロフォアの蛍光のクエンチングによる影響を受けず、融解曲線もプライマー二量体によって生成される。
別の目的は、2つのプライマー上のドナー・フルオロフォア部分及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分の、3’末端から少なくとも2塩基離れた位置、好ましくはより多くの塩基数離れた位置の任意の塩基(ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーの5’末端塩基を除く)への配置を適切に選択することである。ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーとアクセプター・フルオロフォアで標識されたプライマーとの対は、libraプライマー対である。
別の目的は、非特異的プライマー二量体増幅産物中のドナー・フルオロフォアの蛍光が、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーによって、それぞれ1~100パーセント、好ましくは20~80パーセント、より好ましくは40~70パーセントである対応するプローブハイブリダイゼーション時のドナー・フルオロフォアの蛍光の増強の程度に応じて、1~50パーセント、好ましくは17~45パーセント、より好ましくは30~40パーセントクエンチングされるように、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーをプライマー上に配置することである。
別の目的は、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーの3’末端とドナー・フルオロフォアで標識された塩基とを分離している塩基の数に、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーの3’末端とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識された塩基とを分離している塩基の数を加算し、プライマー二量体中で互いに重複している標識されたプライマーの3’末端にある塩基の数を減算したものが、ドナー・フルオロフォア部分とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分との間での1~50パーセント、好ましくは17~45パーセント、より好ましくは30~40パーセントのエネルギー移動の距離に相当する塩基の数と等しくなることである。
別の目的は、ドナー・フルオロフォアで標識された塩基とドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーの3’末端との間の距離に、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識された塩基とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーの3’末端との間の距離を加算し、プライマー二量体中のプライマーの3’末端にある塩基間で重複している距離を減算したものが、ドナー・フルオロフォア部分とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分との間での1~50パーセント、好ましくは17~45パーセント、より好ましくは30~40パーセントのエネルギー移動の距離と等しくなることである。
別の態様では、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーは、同じ実体であっても異なる実体であってもよい2つのフルオロフォアで標識されている。これにより、2つのフルオロフォア間でFRETが生じ、増幅産物の増強されたシグナルがさらに増加する。
本発明の別の目的は、ドナー・フルオロフォア部分で標識された直鎖状プローブ及び一対の直鎖状プライマーを標的核酸増幅に使用することであり、ここで、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分は、一方または両方のプライマー上に配置されている。プライマー及びプローブは、ドナー・フルオロフォア部分とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分が互いに十分に分離されて、アクセプター/クエンチャーで標識されたプライマーが組み込まれた標的増幅産物の鎖またはアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーがハイブリダイズ/アニーリングする標的鎖のいずれかにプローブがハイブリダイズするときに、この2つの部分間で顕著なエネルギー移動がなく、且つ標識されたプローブのハイブリダイゼーション時にドナー・フルオロフォアの蛍光が顕著に増強するように選択されて、そのように標識される。標識されたプローブは、標的増幅産物からのプローブの融解に特異的な融解曲線及び融解温度を生成する。
しかし、非特異的プライマー二量体様増幅産物(標識されたプローブ及び標識されたプライマー(複数可)の3’末端の重複ならびにプローブを鋳型として使用した、増幅反応に使用されるポリメラーゼによる標識されたプライマーの伸長により形成される)では、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーは、プライマー二量体様産物の一方の鎖に組み込まれ、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブは、アクセプター/クエンチャーで標識されたプライマーが組み込まれたプライマー二量体様産物の鎖にハイブリダイズする(図2)。ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブのハイブリダイゼーションにより、ドナー・フルオロフォアの蛍光が増強され、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーがそれらのFRET/エネルギー移動距離内に入り、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分がドナー・フルオロフォア部分の蛍光をクエンチングする。プローブ及びプライマー(複数可)上のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーの位置は、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーによるドナー・フルオロフォアの蛍光のクエンチング量がドナー・フルオロフォアの蛍光の増強量と等しいかまたは概ね等しくなるように選択される。結果として、非特異的プライマー二量体様産物の形成時にシグナルは生成されず、標的検出の感度はプライマー二量体様産物中のドナー・フルオロフォアの蛍光のクエンチングによる影響を受けない。
さらに、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブは、MGB色素(副溝結合物質)をさらに有することができ、プローブはMGBプローブである。本明細書で使用される「副溝結合物」という用語は、二本鎖DNAの副溝に、場合によっては配列特異的な形で適合する小分子を指す。一般に、副溝結合物質は長く平坦な分子であり、三日月様形状をとることができるため、二重らせんの副溝にぴったりと適合し、水に取って代わることが多い。副溝結合分子は、典型的にはねじれの自由度を有する結合(bonds with torsional freedom)により接続されたいくつかの芳香環(限定されないが、例えばフラン環、ベンゼン環またはピロール環)で構成される。
別の目的は、プローブ上のドナー・フルオロフォア部分の、3’末端への配置、または5’末端塩基位置を除く3’末端から離れた任意の塩基上への配置、及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマー上のアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分の、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーの3’末端から少なくとも2塩基離れた、好ましくはより多くの塩基数離れた任意の塩基上への配置を適切に選択することである。ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプローブプライマー対は、libraプローブ-プライマー対である。
さらなる目的は、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分で標識された、プローブベースの検出の両方のプライマーを使用することであり、2つのプライマー上のアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分は同じであっても異なっていてもよい。
別の態様では、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーは、非特異的プライマー二量体様増幅産物へのドナー・フルオロフォアで標識されたプローブのハイブリダイゼーション時に、ドナー・フルオロフォアの蛍光が、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーによって、それぞれ1~100パーセント、好ましくは20~80パーセント、より好ましくは40~70パーセントである対応するプローブハイブリダイゼーション時のドナー・フルオロフォアの蛍光の増強の程度に応じて、1~50パーセント、好ましくは17~45パーセント、より好ましくは30~40パーセントクエンチングされるように、プローブ及びプライマー上にそれぞれ配置される。
別の目的は、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブの3’末端とドナー・フルオロフォアで標識された塩基とを分離している塩基の数に、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーの3’末端とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識された塩基とを分離している塩基の数を加算し、プライマー二量体様産物中でドナー・フルオロフォアで標識されたプローブの3’末端塩基と重複しているアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーの3’末端にある塩基の数を減算したものが、ドナー・フルオロフォア部分とアクセプター/クエンチャー部分との間での1~50パーセント、好ましくは17~45パーセント、より好ましくは30~40パーセントの共鳴エネルギー移動/エネルギー移動の距離に相当する塩基の数と等しくなることである。
別の目的は、ドナー・フルオロフォアで標識された塩基とドナー・フルオロフォアで標識されたプローブの3’末端との間の距離に、アクセプター/クエンチャーで標識された塩基とアクセプター/クエンチャーで標識されたプライマーの3’末端との間の距離を加算し、プライマー二量体様産物中の標識されたプライマーの3’末端塩基とプローブの3’末端塩基との間で重複している距離を減算したものが、ドナー・フルオロフォア部分とアクセプター/クエンチャー部分との間での1~50パーセント、好ましくは17~45パーセント、より好ましくは30~40パーセントの共鳴エネルギー移動の距離と等しくなることである。
実施形態の特定の拡張では、ヘキサメチレンまたはヘキサ-ポリエチレングリコール、好ましくはヘキサ-ポリエチレングリコールまたはそれらのキメラもしくはそれらのより長い長さのものなどの非ヌクレオチド有機リンカー(非ヌクレオチド有機リンカーは、前進中のポリメラーゼを鋳型から脱落させる)によって2つの増幅プライマーの一方に連結されたドナー・フルオロフォアで標識されたプローブが提供され、このプローブは、プローブに連結したプライマーによって合成された新生標的増幅鎖または標的アンプリコン鎖にハイブリダイズするように設計されている。
別の拡張では、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブは、同じ実体であっても異なる実体であってもよい2つのフルオロフォアで標識されている。これによりFRETが生じ、フルオロフォアで標識されたプローブの増強されたシグナルがさらに増加する。
ドナー・フルオロフォアの蛍光は、通常、ドナー・フルオロフォアで標識された塩基周囲のプライマーまたはプローブのヌクレオチド配列、ドナー・フルオロフォアで標識された塩基周囲のグアニン塩基の存在、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端に対するドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブ上のドナー・フルオロフォアの位置、プライマーまたはプローブへのドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーの付着に使用されるリンカー、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの二次構造、プライマーまたはプローブの標識効率、適用される反応条件に応じて、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーの増幅産物への組み込み時またはドナー・フルオロフォアで標識されたプローブの増幅産物もしくは標的鎖へのハイブリダイゼーション時に、1~100パーセント、好ましくは20~80パーセント、より好ましくは40~70パーセント増強される。
非特異的プライマー二量体またはプライマー二量体様増幅産物では、非特異的増幅産物による任意のシグナル生成を回避するために、プライマーまたはプローブのドナー・フルオロフォアの蛍光は、プライマーのアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーによって、1~50パーセント、好ましくは17~45パーセント、より好ましくは30~40パーセントクエンチングされる。アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーによるドナー・フルオロフォアの蛍光のクエンチングの程度は、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーのスペクトル特性及びそれらの距離または分離に依存するのみならず、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーをプライマー及びプローブに付着させるために使用されるリンカーにも依存する。
別の目的は、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの5’末端に、ドナー・フルオロフォアに対する追加のクエンチャーまたはドナー・フルオロフォアで標識された塩基周囲の塩基に相補的な4~8塩基(クエンチャーを有しているかまたは有していない)の非標的配列を配置することである。かかる状態では、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブが増幅産物に組み込まれるかまたはそれにハイブリダイズされると、ドナー・フルオロフォアの蛍光が約3~8倍増加する。プライマー上、またはプライマー及びプローブ上のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーの位置は、ドナー・フルオロフォアの蛍光がプライマー二量体産物またはプライマー二量体様産物中で65~90パーセントクエンチングされるように選択される。ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端とドナー・フルオロフォアを保有する塩基とを分離している塩基の数に、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーの3’末端とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーを保有する塩基とを分離している塩基の数を加算し、プライマー二量体産物またはプライマー二量体様産物中の標識されたプライマーの3’末端間で、または標識されたプライマーの3’末端と標識されたプローブの3’末端で重複している塩基の数を減算したものは、ドナー・フルオロフォア部分とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分との間での65~90パーセントの共鳴エネルギー移動/エネルギー移動の距離に相当する塩基の数と等しい。
ドナー・フルオロフォアを保有する塩基とドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端との間の距離に、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識された塩基とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーの3’末端との間の距離を加算し、プライマー二量体産物またはプライマー二量体様産物中の標識されたプライマーの3’末端にある塩基間で、または標識されたプライマーの3’末端にある塩基と標識されたプローブの3’末端にある塩基との間で重複している距離を減算したものは、ドナー・フルオロフォア部分とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分との間での65~90パーセントの共鳴エネルギー移動/エネルギー移動の距離と等しい。
エネルギー移動は、第2のフルオロフォアまたはクエンチャーの励起スペクトルが第1のフルオロフォアの放出スペクトルと相当多く重複しており、且つ2つの部分が近接している場合における、適切な電磁放射線で励起されたときの第1のフルオロフォア部分から第2のフルオロフォア部分またはクエンチャー部分へのエネルギー移動のプロセスである。エネルギーを移動させる第1のフルオロフォアはドナー・フルオロフォアまたはドナーと呼ばれ、第2のフルオロフォアはアクセプター・フルオロフォアまたはドナー・フルオロフォアのアクセプターと呼ばれ、クエンチャーはドナー・フルオロフォアのアクセプターまたはクエンチャーと呼ばれる。ドナー・フルオロフォアからアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーへの、それらが互いに極めて近接しているかまたは接触しているときに短い距離で起こるエネルギー移動は、短距離エネルギー移動プロセスであり、結果として生じるドナー・フルオロフォアのクエンチングは、静的または接触クエンチングと呼ばれる。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーとの間で一切の接触を伴わずに溶液相で発生する長距離エネルギー移動である。
フェルスター半径の値は、特定のエネルギー移動効率に対するドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーとの間の距離の目安を示すものである。有意なエネルギー移動は、最大2R0の距離までである。さらに、エネルギー移動効率「E」に対するドナーとアクセプターとの間の距離「R」は、式R=(1/E-1)1/6 R0で得られ、R0は、50%のエネルギー移動効率に対するドナーとアクセプターとの間の距離である。
フェルスター半径R0は、
R0=[8.8×1023×k2×n4×QYD×J(λ)]1/6 Å
として表される(式中、k2=双極子方向係数、n=屈折率、εA=アクセプターの消衰係数、QYD=アクセプター不在下でのドナーの蛍光量子収率、J(λ)=スペクトル重なり積分=積分[εA(λ).FD(λ).(λ)4d(λ)]cm3 M(式中、FD=総積分強度の関数としてのドナーの蛍光放出強度)及びÅ=オングストローム単位)。
R0=[8.8×1023×k2×n4×QYD×J(λ)]1/6 Å
として表される(式中、k2=双極子方向係数、n=屈折率、εA=アクセプターの消衰係数、QYD=アクセプター不在下でのドナーの蛍光量子収率、J(λ)=スペクトル重なり積分=積分[εA(λ).FD(λ).(λ)4d(λ)]cm3 M(式中、FD=総積分強度の関数としてのドナーの蛍光放出強度)及びÅ=オングストローム単位)。
フェルスター半径R0は、スペクトルの重なりまたはスペクトルの重なりの積分が小さい場合、すなわち、ドナー・フルオロフォアの放出最大値とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーの励起最大値がそれほど近似していない場合には長くなり、スペクトルの重なりまたはスペクトルの重なりの積分が大きい場合、すなわち、ドナー・フルオロフォアの放出最大値とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーの励起最大値が極めて近似している場合には短くなる。フェルスター半径は通常、22~75オングストロームの範囲内に入る。多くのドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアとの対のフェルスター半径は、公開されている文献(Penguang Wu et al, Analytical Biochemistry vol - 218, pages 1 - 13, 1994、Robert H Fairclough et al Methods in Enzymology, vol - 48, pages - 347 - 379, 1978)またはドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー色素の供給業者、特にMolecular Probes社のカタログ/ハンドブックもしくはウェブサイトから利用可能である。さらに、より新しいドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーが常に開発されている。
ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー分子は、主に疎水性であり、近接すると互いに折り重なる(collapse)傾向があり、その結果、FRET相互作用に加えて静的または接触クエンチング相互作用が生じる。さらに、一本鎖オリゴヌクレオチドは二次構造を形成し、折り返している。結果として、近距離では、2つのエネルギー移動機構(FRET及び静的/接触クエンチング)が機能し、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドの場合のR0値の測定値は、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーをオリゴヌクレオチドに連結するために使用されるリンカーの長さ及び種類に依存することになる。このため、R0値を正確にまたはより良好に推定するには、静的/接触クエンチングエネルギー移動の任意の寄与を排除するために、2R0距離に対するエネルギー移動効率「E」の測定が必要となる。二次構造または折り返しを有さない二本鎖構造中の2つの部分間に特定の分離を設けることにより、任意のドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーとの対のクエンチングを測定することが好都合である場合がある。
ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマー/プローブの3’末端とドナー・フルオロフォアを保有する塩基とを分離している塩基の数に、アクセプター/クエンチャーで標識されたプライマー(複数可)の3’末端とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーを保有する塩基とを分離している塩基の数を加算した値は、非特異的プライマー二量体またはプライマー二量体様増幅産物からのシグナル生成を回避するためには、通常6~35塩基、好ましくは8~30塩基、より好ましくは10~25塩基の範囲内にになり、これは、ドナー・フルオロフォア-アクセプター・フルオロフォア/クエンチャー対、ならびに標識されたプライマーの3’末端間及び標識されたプライマーの3’末端と標識されたプローブの3’末端との間での最大6塩基の重複を考慮したドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマー対またはプライマープローブ対の3’末端の重複の程度に依存する。標識された複数のプライマーの3’末端間及び標識されたプライマーの3’末端と標識されたプローブの3’末端との間の塩基の重複が6塩基を超える場合、6~35の範囲のより長い方の末端がさらに伸長される。
ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーのドナー・フルオロフォアに加えて、クエンチャーまたは4~8塩基の非標的配列もドナー・フルオロフォアで標識されたプライマー/プローブの5’末端に配置される場合、非特異的プライマー二量体またはプライマー二量体様増幅産物からのシグナル生成を回避するために、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマー/プローブの3’末端とドナー・フルオロフォアを保有する塩基とを分離している塩基の数に、アクセプター/クエンチャーで標識されたプライマーの3’末端とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーを保有する塩基とを分離している塩基の数を加算した値は、ドナー・フルオロフォア-アクセプター・フルオロフォア/クエンチャー対、ならびにドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマー対またはプライマープローブ対の3’末端の重複に応じて、約5~25塩基、好ましくは10~20塩基である。
別の目的は、第1のプライマー対が標的核酸の第1のセグメントを増幅し、第2のプライマー対が第1のセグメントの第2のセグメントを増幅する、ネステッド核酸増幅を適用して標的核酸を検出することである。第2のプライマー対が本発明のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォアで標識されたlibraプライマー対であるか、または第2のプライマー対の一方もしくは両方の構成要素がアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーで標識されており、且つ第2のセグメントにハイブリダイズするドナー・フルオロフォアで標識されたプローブがさらに使用されるか、のいずれかであり、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブ及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識された第2のプライマー対は、上述したような本発明のドナー・フルオロフォア部分で標識されたプローブ及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマー(複数可)(libraプライマープローブ対)である。さらに、第1のプライマー対は、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識して提供することもできる。さらに、第3のプライマー対を用いて、第1のセグメントが増幅され得る標的核酸のより大きなセグメントを増幅することもできる。さらに、増幅反応は1工程または2工程で行うことができ、第1の工程で生成されたアンプリコンが第2の工程で増幅される。
別の目的は、第1のプライマー及び第2のプライマーが標的核酸の第1のセグメントを増幅し、第3のプライマーが第1のプライマーとともに第1のセグメントの第2のセグメントを増幅する、セミネステッド核酸増幅を適用して標的核酸を検出することである。第1のプライマー及び第3のプライマーが本発明のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーで標識されたlibraプライマー対であるか、または第1のプライマー及び第3のプライマーの一方もしくは両方がアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーで標識されており、且つ第2のセグメントにハイブリダイズするドナー・フルオロフォアで標識されたプローブがさらに使用されるか、のいずれかであり、プローブならびに第1のプライマー及び第3のプライマーは、上述したような本発明のドナー・フルオロフォア部分で標識されたプローブ及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマー(複数可)(libraプライマープローブ対)である。さらに、増幅反応は1工程または2工程で行うことができ、第1の工程で生成されたアンプリコンが第2の工程で増幅される。
別の目的は、タンパク質、抗原、抗体、脂質、グリコシル化生体分子、生細胞または死細胞、癌細胞、幹細胞、極小胚様幹細胞、癌幹細胞、癌タンパク質及びDNAマーカー、メチル化DNA、転写因子、サイトカイン、炭水化物/糖、ハプテンなどの小分子を含むがこれらに限定されない核酸または非核酸標的を検出することであり、ここで、核酸または非核酸標的に対して極めて高い親和性を有する第1の結合部分が、核酸または非核酸標的を捕捉するために使用され、且つ同じ第1の結合部分であり得るかまたは核酸もしくは非核酸標的に対して極めて高い親和性を有する異なる結合部分であり得る第2の結合部分が、捕捉された核酸または非核酸標的に結合するために使用されるか、あるいは極めて高い親和性で第2の結合部分に結合する第3の結合部分が使用される。第2の結合部分または第3の結合部分は、核酸が付加された未結合の第2の結合部分または第3の結合部分を洗い落とした後に、本発明のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたlibraプライマー対またはlibraプローブ及びプライマー対を使用した核酸増幅によって検出され得る合成または天然の核酸標的分子が付加されて提供される。
結合部分は、結合対である抗原-抗体、タンパク質-抗タンパク質抗体、抗体-抗体、抗体-抗IgG抗体、一次抗体-二次抗体、プロテインA-抗体、プロテインG-抗体、ビオチン-アビジン、ビオチン-ストレプトアビジン、レクチン-糖、核酸-核酸、タンパク質-核酸、タンパク質-タンパク質、アプタマー-アプタマー、アプタマー-核酸、アプタマー-タンパク質、ハプテン-抗ハプテン抗体の群から選択され得るがこれらに限定されず、ハプテンは、蛍光色素、ブロモ-d-UTP、アフラトキシン及び他のマイコトキシン、ペプチド、糖を含むがこれらに限定されない小分子である。
別の目的は、結合部分を使用して細胞または標的核酸(メチル化もしくは非メチル化)を捕捉することであり、この結合部分は、抗体、タンパク質、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、アプタマーまたは核酸であり、捕捉された細胞または捕捉された標的核酸は、本発明のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたlibraプライマー対またはlibraプローブ及びプライマー対を使用した核酸増幅によって、精製の有無を問わず検出される。
別の目的は、第1のドナー・フルオロフォアで標識された第1のプライマー、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識された第2のプライマー及び第2のドナー・フルオロフォアで標識されたプローブを使用することであり、2つのプライマー上の第1のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーの位置は、標的増幅時に第1のドナー・フルオロフォアが第1の蛍光シグナルを生成するように選択される。第1のドナー・フルオロフォアで標識されたプライマー及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーは、本発明のlibraプライマー対である。
さらに、第2のドナー・フルオロフォアで標識されたプローブが標的増幅産物にハイブリダイゼーションする際にプローブの第2のドナー・フルオロフォアが第2の蛍光シグナルを生成するように、第1及び第2のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーが選択され、プライマー及びプローブ上のそれらの位置が選択される。第2のドナー・フルオロフォアで標識されたプローブ、第1のドナー・フルオロフォアで標識されたプライマー及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーは、本発明のlibraプライマー-プローブ対であり、第1のドナー・フルオロフォアが第2のドナー・フルオロフォアのドナーであるか、または好ましくは第2のドナー・フルオロフォアが第1のドナー・フルオロフォアのドナーであるかのいずれかである。
別の目的は、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマー及びアクセプター・フルオロフォアで標識されたプライマーを使用して、標的核酸配列を増幅することである。ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマー及びアクセプター・フルオロフォアで標識されたプライマーは、標的増幅産物中のドナーとアクセプター間のエネルギー移動が20~70パーセント、好ましくは30~40パーセントとなるように選択されて、そのように標識される。標的増幅におけるドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアとの間の分離は、標的増幅産物がプライマー二量体の融解曲線または融解温度から十分に分離されている融解曲線または融解温度が生成されるように、ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアとの対のスペクトル特性に応じて、8~25塩基であることが好ましく、12~20塩基であることがより好ましい。ドナー・フルオロフォアが励起され、アクセプター・フルオロフォアの放出(FRETシグナル)が測定されて、標的増幅の推定値が得られる。
ドナー・フルオロフォアで標識された塩基とドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーの3’末端を分離している塩基の数に、アクセプター・フルオロフォアで標識された塩基とアクセプター・フルオロフォアで標識されたプライマーの3’末端とを分離している塩基の数を加算し、2つのプライマーの3’末端の間で重複する可能性のある塩基数を減算したものが、プラスマイナス3、好ましくはプラスマイナス1、または0であるか、またはより好ましくは、2つの標識された塩基がプライマー二量体中で互いに対向して配置され、その結果、ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアとの間に静的または接触クエンチングが存在し、ドナーのクエンチングを生じさせるドナー・フルオロフォアからアクセプター・フルオロフォアへのエネルギー移動が存在すると同時に、静的または接触クエンチングによるアクセプター・フルオロフォア放出のクエンチングが存在することにより、プライマー二量体からのシグナルがゼロまたはほぼゼロになる。
この実施形態の別の拡張では、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーとアクセプターで標識されたプライマーとの対の代わりに、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブ及びアクセプター・フルオロフォアで標識されたプライマーが同じ規格で使用される。
別の目的は、本発明のドナー・フルオロフォアで標識されたプライマー及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーを、アレル特異的増幅、好ましくはアレルPCRにおいて使用することである。ここでは、プライマーの一方がアレル特異的であり、その3’末端から2番目の塩基がアレル塩基(対象とされる変異塩基)であり、アレルプライマーのドナー・フルオロフォアまたはアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識された塩基は、アレルプライマーの3’末端から2~5塩基、好ましくは3~4塩基離れたチミン塩基であり、さらに、ドナー・フルオロフォアまたはアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたT塩基は、2つのアレル間のより良好な識別のために、標的配列の対応する塩基と、GからTまたはCからTまたはAからT、好ましくはGからTまたはCからTの塩基ミスマッチを有し得る。さらに、上記の2つの標識されたプライマーは、本発明のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォアで標識されたlibraプライマーである。
別の拡張では、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブは、本発明のアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーと併せて使用され、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーは、好ましくはアレル特異的プライマーである。さらに上述したものと同じ規格を有しており、標識されたプローブ及びプライマーは、本発明のドナー・フルオロフォアで標識され、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたlibraプローブ-プライマー対である。
本発明の別の目的は、少なくとも陽性対照鋳型(複数可)に加えて、陽性対照鋳型(単数または複数)に対する本発明の少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたプライマー及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマー[libraプライマー対]または少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたプローブ及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマー(複数可)[libraプライマー-プローブ対(複数可)]を提供することである。
別の目的は、複数の標的配列の検出及び/または定量化のために、本発明のドナー・フルオロフォアで標識され、且つアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識された複数のlibraプライマー対、またはドナー・フルオロフォアで標識され、且つアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識された複数のlibraプローブ及びプライマー対を使用した多重化を用いることである。
別の目的は、1つの非標的プライマーを標的特異的プライマーと併せて使用して、または2つの非標的プライマーを使用して少なくとも1種の標的配列を増幅することであり、ここで、非標的プライマー配列(単数または複数)は、当該技術分野で公知の方法のいずれかによって標的配列の1つまたは2つの末端に付加されるかまたは組み込まれ、1つの標的特異的プライマーと1つの非標的プライマーとの組み合わせ及び2つの非標的プライマーの組み合わせは、本発明のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォアで標識されたlibraプライマー対である。さらに、非標的配列(単数または複数)を、当該技術分野で公知の方法のいずれかを使用して標的配列(単数または複数)に付加することができ、決して限定されるものではないが、その方法には、5’末端に非標的配列(単数または複数)が付加され、それらを重合またはPCR反応(Tail PCR反応などを含む)で伸長させる、PCRプライマー(単数または複数)、あるいは5’末端に第1の非標的配列の配列を保有する第1の標的特異的一本鎖オリゴヌクレオチド及び3’末端に第2の非標的配列の配列を保有する第2の標的特異的一本鎖オリゴヌクレオチドを標的配列の一方の鎖とハイブリダイズさせ、リガーゼ酵素を使用して第1の標的特異的オリゴヌクレオチドと第2の標的特異的オリゴヌクレオチドとをライゲーションさせること(2つの標的特異的一本鎖オリゴヌクレオチドは2つの連続した配列であり、そのうちの1つはライゲーション用のリン酸基を有する)である。あるいはポリメラーゼを使用して、5’末端に第1の非標的配列を保有しかつ一本鎖RNAまたはマイクロRNAまたはm-RNAまたは一本鎖もしくは二本鎖DNA標的の3’末端と重複する数個の塩基を3’末端に有する第1の一本鎖配列を伸長させ、同様に、5’末端に第2の非標的配列を保有しかつ(一本鎖RNAまたはDNA標的上の)上記伸長産物の3’末端と重複する数個の塩基を3’末端に有する第2の一本鎖配列を伸長させることが含まれる。
さらに、tail PCRでは、特定の目的は、通常必要とされるプライマー濃度の一部が、増幅プライマーまたはプライミング配列と、プライマーまたはプライミング配列の5’末端にあるtail配列とをそれぞれ含む2つのtailプライマーを使用することであり、ここで、tail配列は標的特異的配列ではなく、標的増幅の開始及び標的増幅の駆動には、2つの非標的tail配列に対応する別のプライマー対を使用する。2つのtail配列に対応するプライマー対は、本発明のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたlibraプライマー対である。
さらなる目的は、ドナー・フルオロフォア部分で標識された上記の非標的プライマーであって、その5’末端にアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーまたは4~8個の非標的配列を追加的に提供することによりクエンチングされた、非標的プライマーを提供することである。
別の目的は、5’末端にプロモーター配列を保有し、3’末端にポリT配列を保有し、それに続いて1つまたは2つの非チミン塩基を有するまたは有さない(好ましくは有する)第1の非標的プライマーと、第2の標的特異的プライマーとを使用して標的を増幅することであり、第1の非標的プライマー及び第2の標的特異的プライマーは、本発明のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォアで標識されたlibraプライマー対である。第1の非標的プライマーは、標的配列(RNA/DNA、好ましくはメッセンジャーRNA、m-RNA)上に伸長され、第2の標的特異的プライマーは、伸長鎖上に位置し、逆転写酵素及びDNAポリメラーゼを含むポリメラーゼ(単数または複数)によって伸長され、RNAポリメラーゼがRNA配列を転写するための鋳型が生成され、RNAが転写される。プライマー伸長及びRNA転写が何度も繰り返され、標的配列が線形増幅される。別の拡張では、プロモーター配列と塩基数個の3’末端突出部とを有する二本鎖アダプターが、上記の第1の非標的プライマー配列の代わりに使用される。標的DNAは一本鎖であっても二本鎖であってもよい。さらなる拡張では、ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブも使用され、標識されたプローブ及びプライマー(複数可)は本発明のlibraプライマー-プローブ対である。
別の目的は、ドナー・フルオロフォアもしくはアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーまたはドナー・フルオロフォアで標識されたプローブを、(それらの5’末端もしくは3’末端または内部塩基/内部連結を介して)ガラスもしくはガラスウエハまたはプラスチック(透明もしくは半透明)またはウェルもしくはスポットなどの固体表面に共有結合的に付着させ、反応混合物中で反応チャンバの固体表面と接触している他のプライマー(単数または複数)を提供し、核酸増幅に供することである。単一の核酸標的配列または複数の核酸標的配列に対する非常に多くの標識されたプライマーまたはプローブを、単一または複数の核酸標的を検出するために反応チャンバ(単数または複数)[ウェル(複数可)]の固体表面に共有結合的に付着させることができる。
別の目的は、本発明のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたlibraプライマー対またはドナー・フルオロフォアで標識されかつアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたlibraプローブ-プライマー対を、標的配列(単数または複数)の絶対定量化に使用することである。増幅による核酸標的の絶対定量化の1つの態様は、核酸増幅反応にポアソン分布を適用することである。ポアソン分布を適用するには、増幅反応中に単一の標的配列が存在する確率が1未満である必要があり、同じ増幅反応混合物がナノリットル以下の体積の数千の液滴に分割され、各液滴の増幅反応シグナルは、PCRまたはqPCRで使用される増幅の対数期におけるシグナルの測定とは著しく対照的に、増幅反応の終点で測定される。これは、デジタルPCRまたはドロップレットPCRとして知られている。デジタルPCRでは、終点での測定を使用することと、そのためのプライマーまたはプライマー及びプローブの使用量が少ないことにより、多数の増幅反応が失敗することが問題である。結果として、良好な定量化のために20000~40000個の液滴が生成されるが、これには高価な専用装置が必要となる。libraプライマー対またはlibraプローブ-プライマー対の使用により、より多くのプライマー及びプローブを使用することができるようになり、よって反応の失敗が少なくなり、よって標的配列(単数または複数)の良好な絶対定量化を達成するために使用する液滴の数が少なくなるか、または極少体積の反応の数が少なくなる。
ある特定の実施形態では、核酸分子を合成する方法が提供され、かかる方法は、少なくとも1種の、ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマー及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたプライマーと、1種以上のヌクレオシド三リン酸及び/またはデオキシヌクレオシド三リン酸と、熱安定性または非熱安定性ポリメラーゼとの混合物と標的核酸配列を接触させることを含み、ここで、非特異的プライマー二量体産物からのシグナルは消失されるかまたは概ね消失される。ある特定の実施形態では、核酸分子を合成する方法が提供され、かかる方法は、ドナー・フルオロフォアで標識された少なくとも1種のプローブ及びアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識された1つ以上のプライマーと、1種以上のヌクレオシド三リン酸及び/またはデオキシヌクレオシド三リン酸と、熱安定性または非熱安定性ポリメラーゼとの混合物と標的核酸配列を接触させることを含み、ここで、非特異的プライマー二量体様産物からのシグナルは消失されるかまたは概ね消失される。ある特定の実施形態では、ポリメラーゼは、DNA依存性DNAポリメラーゼまたはRNA依存性DNAポリメラーゼである。
ある特定の実施形態では、ある特定の本発明の方法を実施するためのキット(単数または複数)が提供される。キット(単数または複数)は、ドナー・フルオロフォアまたはアクセプター・フルオロフォアもしくは非放射性クエンチャーで別々に標識された少なくとも1種のプライマー対を1つ以上の容器中に含む。ある特定の実施形態では、ある特定の本発明の方法を実施するためのキット(単数または複数)が提供され、キット(単数または複数)は、ドナー・フルオロフォアまたはアクセプター・フルオロフォアもしくは非放射性クエンチャーで別々に標識された少なくとも1種のプライマー対を1つ以上の容器中に含み、このプライマー対は、任意の標的配列を増幅するための共通のユニバーサルプライマー対である。ある特定の実施形態では、キット(単数または複数)は、ドナー・フルオロフォアで標識された少なくとも1種のプローブ及びアクセプター・フルオロフォアまたは非放射性クエンチャーで標識された少なくとも1種以上のプライマーを含む。さらに、キット(単数または複数)はまた、全ての必要な構成成分(PCRミックスまたはPCRマスターミックスまたは増幅反応ミックス)を含有する反応混合物、1種以上のヌクレオシド三リン酸及び/もしくはデオキシヌクレオシド三リン酸、反応緩衝液、熱安定性もしくは非熱安定性ポリメラーゼ(単数または複数)または熱安定性もしくは非熱安定性リガーゼ、酵素トポイソメラーゼ、リコンビナーゼ、熱安定性もしくは非熱安定性ヘリカーゼ、熱安定性もしくは非熱安定性一本鎖結合タンパク質(単数または複数)を含有してもよい。さらに、キット(単数または複数)はまた、少なくとも1種の陽性対照鋳型、及び陽性対照鋳型を増幅するための標識されたプライマー対または標識されたプライマープローブ対を含有してもよい。
プライマー及びプローブは、10~50塩基長、好ましくは15~35塩基長、より好ましくは20~30塩基長のオリゴヌクレオチドであり、相補性に起因する所望の特性が得られる限り、すなわち標的にハイブリダイズする能力または標的をプライミングする能力が失われていない限り、標的配列と完全にまたは不完全に相補的であってよく、1つ以上の修飾塩基または修飾糖部分(単数または複数)を保有することができ、1つ以上の修飾塩基または修飾糖部分を保有することができる。
標的核酸は、天然もしくは合成もしくは半合成の一本鎖もしくは二本鎖DNAもしくはRNA、一本鎖もしくは二本鎖c-DNA、ゲノムDNA、メチル化DNA、ミトコンドリアDNA、エキソソームDNA、プラスミドDNA、リボソームRNA(rRNA)、転移RNA(tRNA)、メッセンジャーRNA(m-RNA)、小分子RNA(マイクロRNA、sRNA、stRNA、snoRNA、ncRNAを含むがこれらに限定されない)、極小胚様幹細胞を含む幹細胞由来DNA、ウイルスDNAもしくはRNA、または癌細胞DNA(体液、生検試料、腫瘍、膿、唾液、糞便、癌幹細胞を含むがこれらに限定されない任意の供給源に由来する)、及び1つまたは2つの非標的合成配列を標的核酸の末端に付加することにより生成される一本鎖または二本鎖の合成または半合成DNAまたはRNAから選択される。さらに、標的核酸は核酸分子全体を構成する必要はない。
内部塩基上のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー標識は、デオキシヌクレオチドの4つの塩基上、デオキシウリジン上、好ましくはチミン塩基上のいずれかにあり得る。
別の目的は、定量的PCR(qPCR)、逆転写酵素PCR(RT-PCR)、アレルPCR、ネステッドPCR、セミネステッドPCR、メチル化状態PCR、エマルジョンPCR、Tail PCR、ドロップレットPCRまたはデジタルPCR(dPCR)、In-situ PCR、ループ媒介増幅(LAMP)を含むがこれらに限定されない等温核酸増幅、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ヘリカーゼポリメラーゼ増幅(HPA)、NASBA、及び等温増幅の変形(等温増幅のアレルプライマーまたはプライマー-プローブ対、ネステッドまたはセミネステッドプライマー対、ネステッドまたはセミネステッドプライマー-プローブ対の変形を含むがこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されないポリメラーゼ連鎖反応(PCR)から核酸増幅を選択することである。
PCR増幅における標的増幅産物の長さは、40~200塩基対、好ましくは70~120塩基対である。等温ループ媒介核酸増幅(LAMP)における標的増幅産物の長さは、100~600塩基対、好ましくは150~280塩基対であり、内部プライマーまたはループプライマーはlibraプライマー対として標識される。リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)では、標的増幅産物の長さは1000塩基対にもなり得るが、100~200塩基対が好ましく、プライマーはlibraプライマー対として標識される。ヘリカーゼポリメラーゼ増幅(HPA)では、標的増幅産物の長さは1000塩基対にもなり得るが、100~200塩基対が好ましい。
本発明のドナー・フルオロフォア、アクセプター・フルオロフォア及びクエンチャーは、レポーター色素または色素、フルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン(5-FAM)、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)、6-FAM(アジド)、2’7’-ジメトキシ-4’5-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、フルオレセインイソチオシアネート、HEX(ヘキサクロロフルオレセイン)、TET(テトラクロロフルオレセイン)、VIC(ビクトリアブルー)、VICとほぼ同一のスペクトルプロファイルを有するMAX(商標)VIC、A VIC(登録商標)(ThermoFisher Scientific社)の同等物であるSUN(商標)、TYE(商標)563、NED、フルオレスカミン、ピレン、ピレンブチレート、スクシミジル1ピレンブチレート、ローダミン(Rhod)、ローダミン123、ローダミンB、スルホローダミン、6-カルボキシローダミン(R6G)、6-カルボキシ-Xローダミン(ROX)、スルホローダミンb、スルホローダミン101、スルホローダミン101の塩化スルホニル誘導体(Texas Red)、Texas Red(登録商標)-X、Texas Red(登録商標)-X、TEX615 N’,N’,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、TAMRA(商標)(アジド)、Rhodamine Green(商標)-X、Rhodamine Red(商標)、テトラメチルローダミン、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、テルビウムキレートユーロピウムキレート、量子ドット、グラフェン量子ドット、5-(2’-アミノエチル)アミノナフチルアミド-3,5ジスルホネート(ルシファーイエローvs)、7-アミノ-4-メチルクマリン(amc、クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(クマリン151)、シアニン2、シアニン3、シアニン3.5、シアニン5、シアニン5.5、シアニン7を含むがこれらに限定されないシアニン色素(スルホン化もしくは非スルホン化)、[5-ジメチルアミノ]ナフタレン-1-スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド)、4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、DABSYL、4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル)-4’-イソチオシアネート(DABITC)、IAEDANS(5-((((2-ヨードアセチル)アミノ)エチル)アミノ)ナフタレンスルホン酸)、EDANS、QST 7、QSY9、QSY 21、QSY 35(QSY色素はジアリール-ローダミン誘導体である)、BIODIPY FLを含むがこれに限定されないBIODIPY色素、Alexafluor 350、488、546、555、568、594、647色素を含むがこれらに限定されないAlexafluor色素、ATTO(商標)488、ATTO(商標)532、ATTO(商標)550、ATTO(商標)565、ATTO(商標)、ATTO(商標)590、ATTO(商標)633、ATTO(商標)647Nを含むがこれらに限定されないATTO色素、Yakima Yellow、LI-COR社のIRDyes(登録商標)IRDye(登録商標)700、IRDye(登録商標)800、IRDye(登録商標)800CW、Lightcycler(登録商標)640、Dy750、非放射性クエンチャー(Nanogold、Blackholeクエンチャー0、Blackholeクエンチャー1、Blackholeクエンチャー2、Blackholeクエンチャー3、Eclipseクエンチャー、ダーククエンチャー、IDT社クエンチャーIowa Black(商標)RQ、Iowa Black FQ、ZEN(商標)、TAO及び/またはZEN(登録商標)、ナノ粒子クエンチャー、MGB色素を含むがこれらに限定されない)から選択される。
さらなる色素は、参照文献(Penguang Wu et al, Analytical Biochemistry vol - 218, pages 1 - 13, 1994、Robert H Fairclough et al Methods in Enzymology, vol - 48, pages - 347 - 379, 1978)に列挙されている色素から選択することもでき、www.ncbi.nlm.nih.govsiteでは、一般的なFRET対及びMolecular Probes社のHand Book of Fluorescent Probes and Research Productsについて検索することができる。新たなフルオロフォア及びクエンチャーは常に開発されており、特別な要件なしに使用することができる。実際、多数のフルオロフォア及びクエンチャーがあり、それらを全て含めると極めて大きなリストとなる。
一般的な方法は以下のとおりである。
1)全てのオリゴヌクレオチドは、Eurogentec社及び他の商業ベンダーからHPLC精製済みで購入したものであるか、または固相ホスホトリエステル化学反応によって化学合成することができる。
2)染色体DNAの調製:
大腸菌細胞をLB培地で一晩増殖させ、5000rpmで10分間遠心分離し、洗浄緩衝液(20mM Tris-HCl pH-7.5、50mM NaCl、1mM EDTA)で洗浄し、5000rpmで5分間遠心分離した。
大腸菌細胞をLB培地で一晩増殖させ、5000rpmで10分間遠心分離し、洗浄緩衝液(20mM Tris-HCl pH-7.5、50mM NaCl、1mM EDTA)で洗浄し、5000rpmで5分間遠心分離した。
Qiagen社の染色体DNA精製キットをキットのプロトコルに従って使用して、細胞ペレットを染色体DNA単離に使用した。精製DNAを、260nmでの光学密度を測定することにより分光光度的に推定した。
3).フルオロフォアまたはクエンチャーで標識したプライマー及びプローブの合成:
内部ドナー・フルオロフォアまたはアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識したプライマー及びプローブを、4種のデオキシヌクレオチドホスホラミダイト及びドナー・フルオロフォアまたはアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー標識チミジン(dT)ホスホラミダイト(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1995, vol - 92, pages 9347 - 9351)を内部標識に使用して、オリゴ合成機での固相ホスホトリエステル化学反応により化学合成する。
内部ドナー・フルオロフォアまたはアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識したプライマー及びプローブを、4種のデオキシヌクレオチドホスホラミダイト及びドナー・フルオロフォアまたはアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー標識チミジン(dT)ホスホラミダイト(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1995, vol - 92, pages 9347 - 9351)を内部標識に使用して、オリゴ合成機での固相ホスホトリエステル化学反応により化学合成する。
ドナー・フルオロフォアを標識した3’末端標識ホスホラミダイトを使用して、3’末端にドナー・フルオロフォアで標識したプローブを合成する。
ドナー・フルオロフォアもしくはアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーまたはビオチンを標識した5’末端標識ホスホラミダイトを使用して、5’末端にドナー・フルオロフォアもしくはアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーまたはビオチンを標識したプローブを合成する。
ドナー・フルオロフォアまたはアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識したプライマー及びプローブは、商業ベンダーから入手することができる。
4)オリゴヌクレオチドの精製:
使用するプライマー及びプローブを、HPLCまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により精製する。
使用するプライマー及びプローブを、HPLCまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により精製する。
オリゴヌクレオチドのHPLC精製は、一般に、75%アセトニトリル中の0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH-6.5)及び0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH-6.5)の直線勾配を使用して、C-18逆相カラムで行われる。
PAGE精製は、オリゴ合成機からの脱塩オリゴヌクレオチド調製物を8%ポリアクリルアミドゲルに適用し、高電圧(ゲルの長さに応じて500~1000ボルト)を印加することにより行われる。
最も緩徐に移動するバンドをゲルから切り出し、それを破砕して溶出緩衝液(酢酸アンモニウム緩衝液)中またはゲル溶出器具内で浸漬させた後、精製オリゴヌクレオチドをゲルから溶出させる。
オリゴヌクレオチドのHPLC及びPAGE精製のための多くの方法が、当該技術分野で利用可能である。非標識及び標識オリゴヌクレオチドを供給する商業ベンダーは、依頼された場合、オリゴヌクレオチドの必要な精製を提供する。
カートリッジ精製、HPLC精製またはPAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)精製を含む、様々な種類の精製が利用可能である。
全ての標識オリゴヌクレオチドならびに非標識オリゴヌクレオチド及び合成配列は、ベンダーがHPLCまたはPAGEにより精製した。
5.PCRの増幅条件(プライマー対またはプライマー-プローブ対を使用):
増幅反応は、商業ベンダーのKapa Corporationから供給された2X Kapa PCRマスターミックス、濃度0.2μMの標識プライマー及び非標識プライマーならびに標識プローブを使用して、10または15μlの増幅反応体積で行った。
増幅反応は、商業ベンダーのKapa Corporationから供給された2X Kapa PCRマスターミックス、濃度0.2μMの標識プライマー及び非標識プライマーならびに標識プローブを使用して、10または15μlの増幅反応体積で行った。
あるいは、市販の反応マスターミックスの代わりに、20mM Tris-HCl(pH8.3)と、50mM KClと、1.5mM MgCl2と、0.2mMの各dNTPと、0.01%ゼラチンと、2.0または3.0単位のTaqポリメラーゼと、を含有するPCR反応ミックスを使用することができる。
PCRに使用した熱サイクリングパラメータは、95℃で2分間の初期変性、続いて95℃で10秒間の変性と、55℃で45秒のアニーリングと、72℃で15秒間の伸長とのサイクルが45回であった。
20分間の94℃での最終変性の分析も行った。
PCR増幅は、CFX 384 RT PCRブロックを備えたBio Radシリーズ1000サイクラーで行った。
全てのプライマー及びプローブは、IDT社Webサイトのprimer premier、またはGene scriptソフトウェア、またはIDT社Oligoanalyzerソフトウェアを使用して設計及び分析した。
この進歩は、以下の非限定的な例示的な説明によって下記でさらに説明される。以下の実施例1~8は、本発明の特徴を説明するものである。
実施例1: ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーとの間の、2つの部分間のエネルギー移動が微小である距離または分離
ドナー・フルオロフォアからアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーへのエネルギー移動が微小である、ドナー・フルオロフォア部分とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分との間の分離は、ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーとの対ごとに異なる。全てのドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーとの対は、それぞれのフェルスター半径(R0)(ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー間のエネルギー移動効率が0.5である分離)を有しており、その範囲は22オングストローム~75オングストロームであり、2R0分離したドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー間のエネルギー移動は無視できるものである。したがって、2R0を越える分離の場合、エネルギー移動は微小であり、対応する分離は12塩基~40塩基となる。しかしながら、PCRでは極めて高レベルの増幅が行われるため、検出可能なシグナルが少量のエネルギー移動によって生成され得る。加えて、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーをオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブに付着させるために使用するリンカーの長さも、2つの部分間の実際の分離を決定する際に重要である。さらに、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー分子は、大部分が疎水性であり、近くに配置されると互いに相互作用する傾向がある。したがって、ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーとの対は、R0値範囲の下限から選択される場合、分離はそれらの2R0距離よりもさらに大きくする必要がある。したがって、エネルギー移動が微小である分離のためには、ドナーとアクセプター/クエンチャーとの対の2R0分離に小さな追加の分離を追加した方がよい。
ドナー・フルオロフォアからアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーへのエネルギー移動が微小である、ドナー・フルオロフォア部分とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー部分との間の分離は、ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーとの対ごとに異なる。全てのドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーとの対は、それぞれのフェルスター半径(R0)(ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー間のエネルギー移動効率が0.5である分離)を有しており、その範囲は22オングストローム~75オングストロームであり、2R0分離したドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー間のエネルギー移動は無視できるものである。したがって、2R0を越える分離の場合、エネルギー移動は微小であり、対応する分離は12塩基~40塩基となる。しかしながら、PCRでは極めて高レベルの増幅が行われるため、検出可能なシグナルが少量のエネルギー移動によって生成され得る。加えて、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーをオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブに付着させるために使用するリンカーの長さも、2つの部分間の実際の分離を決定する際に重要である。さらに、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャー分子は、大部分が疎水性であり、近くに配置されると互いに相互作用する傾向がある。したがって、ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーとの対は、R0値範囲の下限から選択される場合、分離はそれらの2R0距離よりもさらに大きくする必要がある。したがって、エネルギー移動が微小である分離のためには、ドナーとアクセプター/クエンチャーとの対の2R0分離に小さな追加の分離を追加した方がよい。
標的増幅反応におけるドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーとの間の40塩基以上の分離は、標的配列増幅用の標識プライマー及び標識プローブを設計する際に、一切の悪影響を伴わずに安全に使用することができる。本実施例では、ドナー・フルオロフォアFAM及びBHQ1クエンチャーを、標的増幅産物中で40塩基/塩基対を超える分離で使用した。
実施例2: ドナー・フルオロフォアFAM標識プライマー及びプローブの蛍光増強の測定
この目的のために、ドナー・フルオロフォアFAMで標識したオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブ(各々2.5pモル)の蛍光を、CFX 384 RT PCRブロックを備えたBio Radシリーズ1000サイクラーにおいて、20mM Tris-HCl Ph-8.4、50mM KCl及び2.0mM MgCl2の緩衝液中、総体積15μlで、鋳型を用いずに(F1)、及び最初に95℃で2分間加熱し、次いで温度を0.1℃/秒の速度で25℃まで低減させることにより、これらのオリゴヌクレオチドに対する相補性を有するHPLC精製合成鋳型3、配列番号18(各々12.5pモル)にハイブリダイズさせて(F2)、測定した。
この目的のために、ドナー・フルオロフォアFAMで標識したオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブ(各々2.5pモル)の蛍光を、CFX 384 RT PCRブロックを備えたBio Radシリーズ1000サイクラーにおいて、20mM Tris-HCl Ph-8.4、50mM KCl及び2.0mM MgCl2の緩衝液中、総体積15μlで、鋳型を用いずに(F1)、及び最初に95℃で2分間加熱し、次いで温度を0.1℃/秒の速度で25℃まで低減させることにより、これらのオリゴヌクレオチドに対する相補性を有するHPLC精製合成鋳型3、配列番号18(各々12.5pモル)にハイブリダイズさせて(F2)、測定した。
2つの測定値間の蛍光値の差から、合成鋳型へのハイブリダイゼーション時のフルオロフォアFAMの蛍光増強の程度を得た。使用したオリゴヌクレオチドは、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号11及び配列番号12であった。FAM標識オリゴが合成鋳型配列にハイブリダイゼーションした際のドナー・フルオロフォアの蛍光の増強率を、上記の2つの蛍光シグナル測定値から算出した(増強=[{(F2-F1)/F1}×100パーセント])。異なるプロトコル及び異なる合成鋳型が使用されている。チューブ間に多少の変動があったが、最良の結果を考慮に入れた。リアルタイムPCR機を使用するよりも、分光蛍光光度計での測定の方が増強率のより良好な推定値が得られる。
結果:
増強%は以下のとおりである(合成鋳型-3、配列番号18を使用):
1)配列番号5-(-)2.0% 2)配列番号6-17% 3)配列番号7-15% 4)配列番号8-45% 5)配列番号9-40% 6)配列番号11-(-)4% 7)配列番号12-(-)28%
増強%は以下のとおりである(合成鋳型-3、配列番号18を使用):
1)配列番号5-(-)2.0% 2)配列番号6-17% 3)配列番号7-15% 4)配列番号8-45% 5)配列番号9-40% 6)配列番号11-(-)4% 7)配列番号12-(-)28%
結論:FAM標識オリゴヌクレオチドのFAM蛍光の増強の程度は、FAM標識オリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端または内部塩基にあるFAM標識塩基の位置に応じて異なる。さらに、増強率の値は、HPLC精製合成鋳型の純度にも依存する。
フルオロフォア標識塩基の近傍にG塩基が存在することが、フルオロフォアで標識したオリゴヌクレオチドの蛍光のクエンチングに重要な役割を果たすことが知られている。これはさらに、塩基配列、オリゴヌクレオチドの一次及び二次構造、局所配列ならびにリンカーの長さに依存し、標識オリゴヌクレオチドが相補的配列にハイブリダイズするかまたは伸長される場合に変化する(Seidel et al, J Phys Chem, 1996, Vol-100: 5541 - 5553;Kelly et al, Science, 1999, Vol - 283: 375 - 381;Nazarenko et al, Nucleic Acid Research, 2002, Vol. 30, No. 9, 2089 - 2195)。
実施例3: ドナー・フルオロフォアFAMとクエンチャーBHQ1間のクエンチングの程度の測定
この目的のために、ドナー・フルオロフォアFAMで標識したオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブ(各々2.5pモル)の蛍光放出を、20mM Tris-HCl Ph-8.4、50mM KCl及び2.0mM MgCl2の緩衝液中、総体積15μlで、ハイブリダイズさせずに(F1)、またはこれらのオリゴヌクレオチドに対する相補性を有するHPLC精製合成鋳型(12.5pモル)に55℃で10分間、別々にハイブリダイズさせて(F2)、ならびにFAM標識オリゴヌクレオチド(各々2.5pモル)とBHQ1クエンチャー標識オリゴヌクレオチド(各々3.75pモル)とを一緒に、両方のオリゴヌクレオチドに対する相補性を有するHPLC精製合成鋳型(12.5pモル)に55℃で10分間、別々にハイブリダイズさせて(F3)、測定した。F2値とF1値の差は増強を示す。F2-F1値は増強された蛍光値を示し、F3-F2は正味のクエンチングを示す。また、クエンチング率は[(F3-F2)/F2]×100%で算出される。実験は、CFX384 RT-PCRブロックを備えたBio-Radシリーズ1000サイクルで行った。
この目的のために、ドナー・フルオロフォアFAMで標識したオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブ(各々2.5pモル)の蛍光放出を、20mM Tris-HCl Ph-8.4、50mM KCl及び2.0mM MgCl2の緩衝液中、総体積15μlで、ハイブリダイズさせずに(F1)、またはこれらのオリゴヌクレオチドに対する相補性を有するHPLC精製合成鋳型(12.5pモル)に55℃で10分間、別々にハイブリダイズさせて(F2)、ならびにFAM標識オリゴヌクレオチド(各々2.5pモル)とBHQ1クエンチャー標識オリゴヌクレオチド(各々3.75pモル)とを一緒に、両方のオリゴヌクレオチドに対する相補性を有するHPLC精製合成鋳型(12.5pモル)に55℃で10分間、別々にハイブリダイズさせて(F3)、測定した。F2値とF1値の差は増強を示す。F2-F1値は増強された蛍光値を示し、F3-F2は正味のクエンチングを示す。また、クエンチング率は[(F3-F2)/F2]×100%で算出される。実験は、CFX384 RT-PCRブロックを備えたBio-Radシリーズ1000サイクルで行った。
チューブ間に変動があったが、起こり得る最良の結果を考慮に入れた。この測定には、分光蛍光光度計がリアルタイムPCR機よりも良好な機器である。また、FAM標識オリゴと非標識相補性オリゴ及びBHQ1標識オリゴとのハイブリダイゼーションにより、より良好な結果が得られる。
使用したオリゴヌクレオチド及び合成鋳型ならびに様々な分離でのクエンチング率は以下のとおりである。
1)鋳型1-配列番号16、配列番号5及び配列番号4、分離-6塩基、及びクエンチング-26%、
2)鋳型1-配列番号16、配列番号6及び配列番号4、分離-9塩基、及びクエンチング-21%、
3)鋳型2-配列番号17、配列番号5及び配列番号4、分離-8塩基、及びクエンチング-23%、
4)鋳型2-配列番号17、配列番号6及び配列番号4、分離-11塩基、及びクエンチング-16%。
1)鋳型1-配列番号16、配列番号5及び配列番号4、分離-6塩基、及びクエンチング-26%、
2)鋳型1-配列番号16、配列番号6及び配列番号4、分離-9塩基、及びクエンチング-21%、
3)鋳型2-配列番号17、配列番号5及び配列番号4、分離-8塩基、及びクエンチング-23%、
4)鋳型2-配列番号17、配列番号6及び配列番号4、分離-11塩基、及びクエンチング-16%。
本実験で使用した合成鋳型の配列は、鋳型-1(配列番号16)及び鋳型-2(配列番号17)である。
合成鋳型上のFAMフルオロフォア標識オリゴヌクレオチド及びBHQ1クエンチャー標識オリゴヌクレオチドの相対的配向を図-3に示す。
鋳型-1、配列番号16:
5’ TTC TAC GGT TTA CCG AAT GTG A/AG AAT GGT CAC TGG CTT ATC ACC C 3’ 3’AAG ATG CCA AAT GGC TTA CAC T/TC TTA CCA GAG ACC GAA TAG TGG G 5’
鋳型-2、配列番号17:
5’ TTC TAC GGT TTA CCG AAT GTG A/AT/AG AAT GGT CAC TGG CTT ATC ACC C 3’
3’ AAG ATG CCA AAT GGC TTA CAC T/TA/TC TTA CCA GAG ACC GAA TAG TGG G 5’
鋳型-3、配列番号18:
5’ CAT CAC CAA TAA ACG CCG AGA/AGA ATG GTC ACT GGC TTA TCA CCC 3’
3’ GTA GTG GTT ATT TGC GGC TCT/ TCT TAC CAG TGA CCG AAT AGT GGG 5’
赤-配列番号4、青-配列番号5/6、マゼンタ-配列番号7/8/9
5’ TTC TAC GGT TTA CCG AAT GTG A/AG AAT GGT CAC TGG CTT ATC ACC C 3’ 3’AAG ATG CCA AAT GGC TTA CAC T/TC TTA CCA GAG ACC GAA TAG TGG G 5’
鋳型-2、配列番号17:
5’ TTC TAC GGT TTA CCG AAT GTG A/AT/AG AAT GGT CAC TGG CTT ATC ACC C 3’
3’ AAG ATG CCA AAT GGC TTA CAC T/TA/TC TTA CCA GAG ACC GAA TAG TGG G 5’
鋳型-3、配列番号18:
5’ CAT CAC CAA TAA ACG CCG AGA/AGA ATG GTC ACT GGC TTA TCA CCC 3’
3’ GTA GTG GTT ATT TGC GGC TCT/ TCT TAC CAG TGA CCG AAT AGT GGG 5’
赤-配列番号4、青-配列番号5/6、マゼンタ-配列番号7/8/9
異なる鋳型にハイブリダイズしたときの配列番号4、5、6、7、8、9の配列の互いに対する相対的アラインメントを示すために、個々の配列(5~9)を色分けした。配列番号5及び6は、標識の位置が異なる同一の配列を有する。配列番号7、8及び9は、標識の位置が異なる同一の配列を有する。
実施例4: FAM標識プライマー及びBHQ1標識プライマーを使用した細菌大腸菌のトレオニン合成酵素遺伝子の増幅
標的配列:
配列番号26 gatcctctcg gcgtttattg gtgatgaaat cccacaggaa atcctggaag agcgcgtgcg cgcggcgttt gccttcccgg ctccggtcgc caatgttgaa agcgatgtcg gttgtctgga
標的配列:
配列番号26 gatcctctcg gcgtttattg gtgatgaaat cccacaggaa atcctggaag agcgcgtgcg cgcggcgttt gccttcccgg ctccggtcgc caatgttgaa agcgatgtcg gttgtctgga
増幅反応を、各0.2μMのFAM標識フォワードプライマー(配列番号7、8及び9)ならびに0.2μMのBHQ1標識リバースプライマー(配列番号10)を別々に使用し、2X Kapa PCRマスターミックス、1ngの大腸菌染色体DNA調製物を使用してまたはDNAなしで(対照として)、15μlまたは10μlの反応体積で三連で行い、大腸菌トレオニン合成酵素遺伝子の111塩基対セグメントを増幅した。いずれか1つの増幅反応セット(鋳型ありまたは鋳型なしの反応のセット)において、FAM標識プライマーのいずれか1つ及びBHQ1標識リバースプライマーを使用した。
比較のために、増幅反応を、同じ1ng量の大腸菌染色体DNAを使用してまたはDNAなしで(対照反応)、5’末端にFAM、3’末端にクエンチャーBHQ1を保有する0.2μMのTaqmanプローブ(配列番号15)、各々0.6μMのフォワードプライマー(配列番号13)及びリバースプライマー(配列番号14)ならびに2X Kapa PCRマスターミックスを使用して、15μlまたは10μlの反応体積で三連で行い、大腸菌ホモセリンキナーゼ遺伝子の145塩基対セグメントを増幅した。
配列番号7、8及び9は同じヌクレオチド配列を有するが、FAM標識の位置が異なる。FAM標識フォワードプライマー及びBHQ1標識リバースプライマーのヘテロ二量体分析では、それらの3’末端が9塩基重複し、うち4塩基が一致しており、ΔG=(-)5.0kcal/モルでヘテロ二量体が形成されたことが示されている。
配列番号7、8及び9について、FAM標識プライマーの3’末端からのFAM標識塩基の分離とBHQ1標識リバースプライマーの3’末端からのBHQ1標識塩基の分離との合計は、それぞれ21塩基、11塩基及び14塩基であり、プライマー二量体中のFAM標識塩基とBHQ1標識塩基との推定される分離は、それぞれ12塩基、2塩基及び5塩基である。
配列番号8のフォワードプライマー及び配列番号10のリバースプライマーの増幅反応は、鋳型DNAを用いた増幅反応では平均増幅Cq値19.8を示し(図3)、鋳型なし対照反応ではCq値0を示した(図4)。図3A及び図4Aはそれぞれの融解曲線である。
配列番号9のフォワードプライマー及び配列番号10のリバースプライマーの増幅反応は、鋳型DNAを用いた増幅反応では平均増幅Cq値19.2を示し(図5)、鋳型なし対照反応ではCq値37.4、38.6、40.4及び0を示した(図6)。図5A及び図6Aはそれぞれの融解曲線である。
配列番号7のフォワードプライマー及び配列番号10のリバースプライマーの増幅反応は、鋳型DNAを用いた増幅反応では平均増幅Cq値21.8を示し(図7)、鋳型なし対照反応ではCq値0を示した(図8)。図7A及び図8Aはそれぞれの融解曲線である。
考察:配列番号9のフォワードプライマー及び配列番号10の場合、配列番号9の3’末端からのFAM標識塩基の分離と配列番号10リバースプライマーの3’末端からのBHQ1標識塩基の分離の合計は、14塩基である。これら2つのプライマーによって、9塩基が重複し、ΔG=(-)5.0kcal/モル(インシリコ分析)のヘテロ二量体が形成される可能性がある。結果として、フォワードプライマーのドナー・フルオロフォアFam及びリバースプライマーのクエンチャーBHQ1は、非特異的プライマー二量体において5個の介在塩基(6塩基間距離)で分離して近接すると予想される。実施例2で実証されたように、相補的配列へのFAM標識プライマー配列番号9のハイブリダイゼーション時に約40%の増強が見られる。40%の増強を均衡させるのに必要なクエンチングの程度は、約28.6%である。5塩基の分離でのFAMフルオロフォアとBHQ1クエンチャーとの間のクエンチングの程度は、6塩基の分離で測定した場合(実施例3)の26%を超えるはずであり、プライマー二量体におけるFAM蛍光の増強を正確に均衡させるのに必要な28.6%のクエンチングよりも少ない場合がある。結果として、プライマー二量体からの有効な正味の蛍光放出が起こり、プライマー二量体からのシグナルが生じる。このため、鋳型なしの対照反応は、本発明のプライマー配列番号9及び配列番号10を使用して、増幅Cq値37.4、38.6、40.4及び0を示した。プライマー上のFAMフルオロフォア及びクエンチャーBHQ1の配置は、プライマー二量体からのシグナルがゼロになる最適な配置よりも高い側(higher side)にある。しかし、このシグナルはほぼゼロのシグナルであり、たとえシグナルをゼロにするのに最適なプライマー対ではないとしても、標的増幅に使用することができる。配列番号9について測定された40%の増強は、実際の増強よりわずかに少ない可能性がある。
さらに、フォワードプライマーとリバースプライマーの代わりにプライマー二量体を形成する配列番号9のフォワードプライマーの問題に関して、増幅反応を、鋳型を使用せずに、濃度0.4μMのフォワードプライマー(通常使用する濃度の2倍)を使用しリバースプライマーを使用せずに(図9)[図9Aは融解曲線]、濃度0.1μMのフォワードプライマー及び濃度0.2μMのリバースプライマーを使用して、濃度0.1μMのフォワードプライマー(通常使用する濃度の半分)及び濃度0.3μMのリバースプライマー(通常使用する濃度の1.5倍)を使用して(図10、図10Aは融解曲線である)、濃度0.2μM濃度のフォワードプライマー及び濃度0.2μMのリバースプライマー(標識プライマーに通常使用する)を使用して(図12、図12Aは融解曲線)行った。これらの反応ではプライマー二量体の形成はなかった。しかし、鋳型DNAを一切用いずに、0.2μM(通常)濃度のフォワードプライマー及び0.3μM(通常濃度の1.5倍のリバースプライマー)を使用した増幅反応では、プライマー二量体が形成された(図11、図11A)。通常使用する濃度の2倍のFAM標識フォワードプライマーではプライマー二量体が一切形成されなかったため、鋳型なし対照反応(図-6)で形成されたプライマー二量体は、FAM標識フォワードプライマー配列番号9とBHQ1標識リバースプライマー配列番号10との間のプライマー二量体の形成によるものであり、FAM標識フォワードプライマーによるホモ二量体形成によるものではない。さらに、FAM標識フォワードプライマーを通常使用する濃度の半分で使用し、かつBHQ1標識リバースプライマーの濃度を増加させることにより、またはFAM標識フォワードプライマーを通常使用する濃度で使用し、かつBHQ1標識リバースプライマーの濃度を増加させることにより、FAM標識フォワードプライマーとBHQ1標識リバースプライマーとの間のプライマー二量体の形成をFAM標識フォワードプライマーの自己二量体に対して偏らせることができる。この方針で、FAM標識フォワードプライマー0.1μM(通常使用する濃度の半分)及び0.3μMのBHQ1標識リバースプライマー(通常濃度の1.5倍)を使用して増幅反応を行った(図13、図13Aは融解曲線である)。感度を大きく減少させることなく、標的配列が良好に増幅された。他方、FAM標識フォワードプライマー0.2μM(通常使用する濃度)及び0.3μMのBHQ1標識リバースプライマー(通常濃度の1.5倍)を使用したところ(図14、図14Aは融解曲線である)、比較するとわずかに良好な増幅が示された。したがって、FAM標識フォワードプライマー(配列番号9)0.2μM(通常使用する濃度)及び0.3μMのBHQ1標識リバースプライマー(通常濃度の1.5倍)は、多くの有害影響及びFAM標識プライマーのホモ二量体を伴わずにこの偏りを生じさせる目的に使用することができる。4塩基の相補性を有する非特異的プライマー二量体の形成に偏るようにプライマーが設計されたことに留意すべきである。これらの塩基相補性の多さ及びΔG=-5.0KCal/モルは望ましくなく、ヘテロ二量体形成のΔG値は-3.0KCal/モル未満である必要がある。
配列番号8と配列番号10とのプライマー対の場合、配列番号8の3’末端からのFAM標識塩基の分離と配列番号10の3’末端からのBHQ1標識塩基の分離の合計は、11塩基である。9塩基が重複し、ヘテロ二量体の形成にはΔG値-5.0KCal/モルである可能性がある(インシリコ分析)。結果として、フォワードプライマーのドナー・フルオロフォアFAM及びリバースプライマーのクエンチャーBHQ1は、非特異的プライマー二量体において2個の介在塩基で分離して近接すると予想される。実施例(2)で実証されたように、FAM標識プライマー(配列8)のその相補的配列へのハイブリダイゼーション時に約45%の増強が見られる。45%の増強を均衡させるのに必要なクエンチングの程度は、約31%である。
2塩基の分離でのFAMフルオロフォアとBHQ1クエンチャーとの間のクエンチングの程度は、6塩基の分離で測定した場合(実施例3)の26%を超え、かつ28.6%を超える(配列番号9及び配列番号10の場合)はずであり、プライマー二量体におけるFAM蛍光の増強を正確に均衡させるのに必要な31%のクエンチング以下である場合がある。結果として、形成されたプライマー二量体では、増強とクエンチングが概ね均衡するか、またはクエンチングがごくわずかに多くなるかのいずれかであり、その結果、プライマー二量体からのシグナルがなくなるか、または過剰なクエンチングによりシグナルがわずかに減少する。2塩基及び5塩基の近接した分離では、かかる短い分離における接触クエンチングの関与を考慮すると、クエンチングの程度に大きな差がない可能性があることが留意され得る。配列番号8及び配列番号10のBHQ2の増幅反応の増幅曲線(図3)及び融解曲線(図3A)は、これを裏付けている。結果として、配列番号9と配列番号10とのプライマー対のCq値(19.2)と比較してCq値(19.8)がわずかに増加し、配列番号9及び配列番号10と比較して感度が少し低いことが示される。これは、配列番号9及び配列番号10による増幅の場合にはわずかな正味の増強があるためである。
配列番号7と配列番号10とのプライマー対の場合、配列番号7の3’末端からのFAM標識塩基の分離と配列番号10の3’末端からのBHQ1標識塩基の分離の合計は、21塩基である。9塩基が重複し、ヘテロ二量体の形成にはΔG値が-5.0KCal/モルである可能性がある。結果として、フォワードプライマーのドナー・フルオロフォアFAM及びリバースプライマーのクエンチャーBHQ1は、非特異的プライマー二量体において12個の介在塩基で分離して近接すると予想される。実施例(2)で実証されたように、相補的配列へのFAM標識プライマー(配列番号7)のハイブリダイゼーション時に約15%の増強が見られる。15%の増強を均衡させるのに必要なクエンチングの程度は、約13.05%である。
12塩基の分離でのFAMフルオロフォアとBHQ1クエンチャーとの間のクエンチングの程度は、11塩基の分離で測定した場合(実施例3)の16%よりもわずかに少ないはずであり、プライマー二量体におけるFAM蛍光の増強を正確に均衡させるのに必要な13.05%を超えるであろう。結果として、形成されたプライマー二量体では正味のクエンチングが生じ、その結果、プライマー二量体からのシグナルがなくなり、過剰なクエンチングによりシグナルが減少する。配列番号7及び配列番号10を使用した増幅の標的増幅曲線(図7)及び鋳型なし対照の増幅曲線(図8)は、これを裏付けている。鋳型なし対照の増幅の35サイクル後に、蛍光シグナルの漸進的な下方低減または増幅曲線の負の曲率が観察され得る。結果として、配列番号9と配列番号とのプライマー対(19.2)のCq値と比較してCq値(21.8)が増加し、配列9及び配列番号10ならびにTaqmanプローブ増幅(Cq-21.2)(図21)と比較して感度が低いことが示される。図22はTaqmanアッセイの鋳型なし対照反応である。
さらに、配列番号9と配列番号10とのプライマー対の平均Cq値19.2は、Taqmanプローブアッセイ(配列番号13、配列番号14及び配列番号15)のCq値21.2より2.0単位低い。Cq値が低いほど標的増幅産物の収率が高く、検出感度が高い。すなわち、配列番号9と配列番号10とのプライマー対の増幅は、本開示の配列番号9及び配列番号10を使用した標的増幅がTaqmanアッセイよりも高感度であることを実証する。通常、2.0単位のCq値の差は、標的数量の約5~7倍の差に相当する。
配列番号8と配列番号10とのプライマー対のCq値19.8は、Taqmanプローブアッセイ(配列番号13、配列番号14及び配列番号15)のCq値より1.4単位低く、配列番号9と配列番号10とのプライマー対のCq値より0.6単位大きい。配列番号8と配列番号10とのプライマー対の増幅は、標的増幅において、Taqmanアッセイも高感度であるが、配列番号9と配列番号10とのプライマー対よりも低感度であることを実証する。両方のプライマー対(配列番号9と配列番号10及び配列番号8と配列番号10)の結果は、本発明の蛍光増強及びクエンチングの相殺/均衡の概念と一致している。
さらに、プライマー配列である配列番号9/配列番号8の場合の蛍光増強は40/45%に過ぎないが、増強の程度は、文献に報告されているように60%~80%もの高さになり得る。その場合、至適基準であるTaqmanアッセイに対する現在のCq値の差である2.0単位は、3.0~4.0単位に増加する可能性があり、これは標的増幅シグナルにおける及び本開示の方法を使用した核酸増幅による標的検出または定量化の感度における大きな飛躍となる。FAM標識プライマーの5’末端にクエンチャーをさらに配置すると、蛍光増強が増加し、よって感度がより良好になる。
配列番号8及び配列番号9のFAMフルオロフォアはプライマー配列の概ね中央にあり、配列番号7では配列の5’末端付近にあることが観察され得る。リバースプライマー配列番号10では、クエンチャーBHQ1は3’末端から5塩基離れている。さらに、シグナルをゼロまたはほぼゼロにするためには、非特異的プライマー二量体産物における蛍光増強とクエンチングとを均衡させるためにクエンチャーBHQ1をFAMフルオロフォアにより近づける必要があり、これには、フォワードプライマー配列である配列番号8または配列番号9の3’末端とリバースプライマー配列番号10の3’末端との間の長い塩基重複(9塩基)、及びリバースプライマー配列番号10内のBHQ1の3’末端付近への配置が必要であることが観察され得る。標的検出の感度をより高くするには蛍光増強をより高くする必要があり、そのためにはドナー・フルオロフォアをドナー・フルオロフォア標識プライマーの中央付近に配置する必要があり、かつアクセプターまたはクエンチャーで標識したプライマーのアクセプターまたはクエンチャー部分アクセプターまたはクエンチャー部分をその3’末端付近で標識する必要がある。ドナー・フルオロフォアの蛍光増強は、それを3’末端付近に配置する場合は1~20パーセント少なくなり、これは実施例5のドナー・フルオロフォアFAM標識プローブである配列番号5及び配列番号6の場合に見ることができる。ドナー・フルオロフォアを、フルオロフォア標識プライマーの3’末端から遠く離れた、ドナー・フルオロフォア標識プライマー(配列番号7)の中央と5’末端との間に配置する場合、アクセプターまたはクエンチャーを、アクセプターまたはクエンチャーで標識したプライマーの3’末端付近に配置する必要があり、かつフルオロフォア標識フォワードプライマー(配列番号7)とBHQ1標識リバースプライマー(配列番号10)との間のより長い重複がある。
標識プライマー及び標識プローブの新しいロットにより、より良好な結果が得られる。新しいロットは常により良好に動作する。それは、これらの標識オリゴヌクレオチドは安定化されない限りそれほど安定していないためであり、安定化は一部の企業によって適正な組成で行われている。非特異的プライマー二量体産物の形成はランダム/確率論的現象であり、あるときには形成され、別のときには形成されない場合がある。さらに、非特異的産物の形成は、使用する標識プライマー及び標識プローブの品質ならびに阻害物質の存在に依存する。標識プライマー及び標識プローブを2つの異なるロットで入手した。
実施例5: FAM標識プローブ及びBHQ1標識プライマーを使用した細菌大腸菌のトレオニン合成酵素遺伝子の増幅
標的DNA
配列番号-3 tggcacaaat gctgacccat attgcgggtg ataagccagt gaccattctg accgcgacct ccggtgatac cggagcggca gtggctcatg ctttctacgg tttaccgaat gtgaaagtgg
標的DNA
配列番号-3 tggcacaaat gctgacccat attgcgggtg ataagccagt gaccattctg accgcgacct ccggtgatac cggagcggca gtggctcatg ctttctacgg tttaccgaat gtgaaagtgg
増幅反応を、各0.2μMの非標識フォワードプライマー(配列番号1)を使用し、BHQ1標識リバースプライマー(配列番号4、配列番号2)を別々に使用し、FAM標識プローブ(配列番号5及び配列番号6)を別々に使用し、2x Kapa PCRマスターミックス(Kapa Corporation)を1ngの大腸菌染色体DNA調製物とともに使用してまたはDNAなしで(対照として)、10/15μlの反応体積で三連で行い、大腸菌トレオニン合成酵素遺伝子の113塩基対セグメントを増幅した。いずれかの増幅反応セット(鋳型ありまたは鋳型なしの反応のセット)において、FAM標識プローブのいずれか1つ及びBHQ1標識リバースプライマーのいずれか1つを、フォワードプライマー配列1と組み合わせて使用した。
比較のために、増幅反応を、同じ1ng量の大腸菌染色体DNAを使用してまたはDNAなしで(対照反応)、5’末端にFAM、3’末端にクエンチャーBHQ1を保有する0.2μMのTaqmanプローブ(配列番号15)、各々0.6μMのフォワードプライマー(配列番号13)及びリバースプライマー(配列番号14)ならびに2X Kapa PCRマスターミックスを使用して、10/15μlの反応体積で三連で行い、大腸菌ホモセリンキナーゼ遺伝子の145塩基対セグメントを増幅した。
プローブ配列である配列番号5及び6は同じヌクレオチド配列を有するが、FAM標識の位置が異なる。リバースプライマーである配列番号4及び配列番号2は同じヌクレオチド配列を有するが、BHQ1標識の位置が異なる。FAM標識プローブ及びBHQ1標識リバースプライマーのヘテロ二量体分析では、それらの3’末端で4塩基が重複し、3’末端で4塩基が一致し、ΔG=(-)5.12kcal/モルでヘテロ二量体が形成されたことが示されている。
FAM標識プローブ(配列番号5)の3’末端からのFAM標識塩基の分離とBHQ1標識リバースプライマー(配列番号4)の3’末端からのBHQ1標識塩基の分離との合計は15塩基であり、プライマー二量体様非特異的産物中のFAM標識塩基とBHQ1標識塩基との推定される分離は11塩基である。FAM標識プローブ(配列番号6)の3’末端からのFAM標識塩基の分離とBHQ1標識リバースプライマー(配列番号4)の3’末端からのBHQ1標識塩基の分離との合計は18塩基であり、プライマー二量体様非特異的産物中のFAM標識塩基とBHQ1標識塩基との推定される分離は14である。FAM標識プローブ(配列番号6)の3’末端からのFAM標識塩基の分離とBHQ1標識リバースプライマー(配列番号2)の3’末端からのBHQ1標識塩基の分離との合計は7塩基であり、プライマー二量体様非特異的産物中のBHQ1標識リバースプライマーの3’末端からのBHQ1標識塩基の推定される分離は3である。
プローブ(配列番号5)及びリバースプライマー(配列番号4)の増幅反応から、鋳型DNAを用いた増幅反応では平均増幅Cq値21.8が得られ(図15)、鋳型なし対照反応ではCq値41.07、40.25及び0が得られた(図16)。図16Aは、鋳型なし対照反応の融解曲線である。
プローブ(配列番号6)及び配列番号4のリバースプライマーの増幅反応は、鋳型DNAを用いた増幅反応では平均増幅Cq値20.4を示し(図17)、鋳型なし対照反応ではCq値0を示した(図18)。反応の2つは異常であったため無視した。
プローブ(配列番号6)及び配列番号2のリバースプライマーの増幅反応は、鋳型DNAを用いた増幅反応では平均増幅Cq値24.0を示し(図19)、鋳型なし対照反応ではCq値0を示した(図20)。
考察:プローブ(配列番号5)及びリバースプライマー(配列番号4)の場合、配列番号5の3’末端からのFAM標識塩基の分離と配列番号4の3’末端からのBHQ1標識塩基の分離の合計は、15塩基である。これら2つの標識プローブ及び標識プライマーによって、4塩基が重複し、ΔG=(-)5.0kcal/モル(インシリコ分析)のヘテロ二量体が形成される。結果として、プローブのドナー・フルオロフォアFAM及びリバースプライマーのクエンチャーBHQ1は、非特異的プライマー二量体様産物中で11個の介在塩基で分離して近接すると予想される。実施例2で実証されたように、増強測定試験では、相補的配列へのFAM標識プローブのハイブリダイゼーション時の顕著な増強は観察されなかった。しかし、標的増幅のCq値21.8は、FAM標識プローブ(配列番号5)の蛍光が増強されていることを示している。11塩基の分離でのFAMフルオロフォアとBHQ1クエンチャーとの間の測定されたクエンチングの程度(実施例3)は、約16%であり、これは、プローブ(配列番号5)のハイブリダイゼーション時のFAM蛍光の増強を均衡させるのに必要なクエンチングよりも大きい。
プライマー二量体様産物からの蛍光放出の正味のクエンチングが予想される。1つの増幅曲線のみがCq値が0で非特異的産物の形成のない水平の増幅曲線を示し、3つの増幅曲線はCq値36、40.25及び41.07を示す(図19)[図19A、融解曲線]ため、わずかな正味のクエンチングとも考えることができる。1つの融解曲線のみが良好な負のピークを示す一方で、残りの3つの融解曲線はいずれも正のピークを示さないが、これらの2つの融解曲線は、鋭い負のピークを伴わずに負の方向に漸進的に融解していることを示しており、水平状態とはわずかに異なる可能性がある。これは、増幅反応の後の方のサイクルでの非特異的産物の形成によるものであり得る。プローブ及びプライマー上のFAMフルオロフォア及びクエンチャーBHQ1の配置は、プライマー二量体からのシグナルがゼロになる最適な配置には満たないか、またはその境界域にある。本発明の標識の構成は、シグナルをゼロにするための最良のプライマー対ではないとしても、標的増幅に使用することができる。プライマー二量体様産物中のFAMとBHQ1との間の分離が1塩基または2塩基増加すると、シグナルがゼロまたはほぼゼロになる可能性がある。
プローブ(配列番号6)及びリバースプライマー配列番号4の場合、配列番号6の3’末端からのFAM標識塩基の分離と配列番号4の3’末端からのBHQ1標識塩基の分離の合計は18塩基であり、FAM標識プローブの3’末端とBHQ1標識リバースプライマーの3’末端との間に4塩基の重複が存在する可能性がある。結果として、フォワードプライマーのドナー・フルオロフォアFAM及びリバースプライマーのクエンチャーBHQ1は、非特異的プライマー二量体様産物中で14個の介在塩基で分離して近接すると予想される。実施例2で実証されたように、相補的配列へのFAM標識プローブ(配列番号6)のハイブリダイゼーション時に約17%の増強が見られる。17%の増強を均衡させるのに必要なクエンチングの程度は、約15%である。11塩基の分離でのFAMフルオロフォアとBHQ1クエンチャーとの間のクエンチングの程度(実施例3)は16%であり、この場合、14個の介在塩基の分離によりクエンチングが生じ、これは、プライマー二量体におけるFAM蛍光の増強を正確に均衡させるのに必要な15%のクエンチングとほぼ等しくなる。配列番号6及び配列番号4を使用した増幅の増幅曲線(図17)及び鋳型なし対照の増幅曲線(図18)は、これを裏付けている。さらに、鋳型なし対照反応はCq値0を示した。これは、増強とクエンチングがほぼ均衡しているかまたは非特異的産物の形成がないかのいずれかを示している。
プローブ(配列番号6)及びリバースプライマー(配列番号2)の場合、配列番号6の3’末端からのFAM標識塩基の分離と配列番号2の3’末端からのBHQ1標識塩基の分離の合計は、7塩基である。プローブ(配列番号6)の3’末端とリバースプライマー(配列番号2)の3’末端との間の4塩基の重複の可能性を考慮すると、プローブのドナー・フルオロフォアFAM及びリバースプライマーのクエンチャーBHQ1は、非特異的プライマー二量体様産物中で3個の介在塩基で分離して近接すると予想される。実施例2で測定され実証されたように、相補的配列へのハイブリダイゼーションでは、FAM標識プローブ(配列番号6)のハイブリダイゼーション時に約17%の増強が見られる。17%の増強を均衡させるのに必要なクエンチングの程度は、15%である。3塩基の分離でのFAMフルオロフォアとBHQ1クエンチャーとの間のクエンチングの程度(実施例3)は26%を超えると予想され、これは、増強とクエンチングとを均衡させるのに必要な15%のクエンチングよりも大きい。プライマー二量体様非特異的産物には正味のクエンチングがあり、これにより標的検出の感度が低減する。標的増幅曲線(図19)及び鋳型なし対照増幅曲線(図20)は、これを裏付けている。鋳型なし対照の増幅曲線が35サイクル後に負の傾きを示すことに留意され得る。
標識プライマー及び標識プローブの新しいロットにより、より良好な結果が得られる。新しいロットは常により良好に動作する。それは、これらの標識オリゴヌクレオチドは安定化されない限りそれほど安定していないためであり、安定化は一部の企業によって適正な組成で行われている。本実施例のFAM標識プローブ中のFAMは、プローブの3’末端またはその付近に配置されている。FAM標識プローブ中のFAMをプローブの3’末端から遠く離して配置すると、FAMの蛍光の増強がより高くなり、その結果標的検出の感度が高くなる。非特異的プライマー二量体産物の形成はランダム/確率論的現象であり、あるときには形成され、別のときには形成されない場合がある。さらに、非特異的産物の形成は、使用する標識プライマー及び標識プローブの品質ならびに阻害物質の存在に依存する。
FAMフルオロフォアがプローブ配列5の3’末端にあるか、またはプローブ配列6の3’末端から4塩基離れており、BHQ1クエンチャーがクエンチャー標識プライマー配列4の3’末端から15塩基離れており、かつBHQ1標識リバースプライマー配列2の3’末端から5塩基離れていることが観察され得る。したがって、3’末端またはその付近にフルオロフォアを配置した場合、プローブ配列6の標的配列へのハイブリダイゼーションの蛍光増強は約17パーセントである。非特異的プライマー二量体様産物における17パーセントの増強を均衡させるには、リバースプライマーのクエンチャーBHQ1によるFAMフルオロフォアの15パーセントのクエンチングが必要となる。プローブ配列5の場合、増強ははるかに少なく、プライマー二量体様非特異的産物における配列5のFAMフルオロフォアのクエンチングに必要とされるのは、BHQ1標識リバースプライマーのBHQ1クエンチャーによる15パーセントのクエンチングよりはるかに低いものである。非特異的プライマー二量体様産物におけるFAMのクエンチングを少なくするには、フルオロフォアFAM及びBHQ1クエンチャーが極めて遠く離れている必要がある。プローブ配列5及びリバースプライマー配列4を使用した非特異的産物におけるFAMとBHQ1間の11塩基の分離により、正味のクエンチングが生じ、この非特異的産物ではFAMの蛍光増強の均衡が取れていない。配列4のBHQ1標識は、3’末端から15塩基離れており、これは配列4の中央と5’末端との間である。同様に、プローブ配列6及びリバースプライマー配列4を使用した非特異的産物におけるFAMとBHQ1間の14塩基の分離により、非特異的産物におけるFAMの蛍光増強が概ね均衡してクエンチングされ、ここで、FAMは配列6の3’末端から4塩基離れており、BHQ1は3’末端から15塩基離れており、これは配列4の中央と5’末端との間である。したがって、ドナー・フルオロフォアFAMがFAM標識プローブの3’末端またはその付近に配置されている場合、クエンチャーBHQ1を、BHQ1クエンチャー標識プライマーの3’末端から遠く離れた、BHQ1標識プライマーの中央と5’末端との間に配置する必要がある。さらに、プローブ配列番号6では、FAMフルオロフォアは3’末端から4塩基離れており、BHQ1クエンチャー標識プライマー配列番号2では、BHQ1は3’末端から5番目の塩基に配置されている。標識プローブと標識プライマーの両方において、標識は3’末端付近にある。非特異的シグナルはないが標的増幅シグナルの大幅な減少があり、よって感度が減少する。これは、ドナー・フルオロフォア及びクエンチャーを3’末端またはその付近に配置する際の問題である。
実施例6: TaqmanアッセイとLibraアッセイとの間の特異性及び感度の比較
90個の陽性模擬臨床試料及び84個の陰性模擬臨床試料で感度及び特異性の比較を行った。ヒト鼻スワブ抽出物に大腸菌染色体DNA(コピー数2×105、2×104、2×103、2×102、2×101、2×100、1ng~10fgのDNA)をスパイクすることにより、模擬臨床試料を調製した。
90個の陽性模擬臨床試料及び84個の陰性模擬臨床試料で感度及び特異性の比較を行った。ヒト鼻スワブ抽出物に大腸菌染色体DNA(コピー数2×105、2×104、2×103、2×102、2×101、2×100、1ng~10fgのDNA)をスパイクすることにより、模擬臨床試料を調製した。
鼻スワブを20mM Tri-HCl Ph-7.5に懸濁させ、それぞれ市販の染色体DNA抽出キットからのものである、染色体DNA抽出緩衝液200μl及び無水エタノール200μlを鼻スワブ懸濁液200μlに加え、シリカDNA抽出カラムにロードし、60パーセントのエタノール及び80パーセントのエタノールを含有する洗浄緩衝液で洗浄して、最後にミリQ水100μlでカラムを溶出することにより、鼻スワブ抽出物を調製した。溶離液は、実験に使用した鼻スワブ抽出物である。
大腸菌染色体DNA調製物を水で10倍に段階希釈した。実験にはKapa Corporationの2X Kapaマスターミックスを使用した。増幅反応を、Bio Radサーマルサイクラーシリーズ1000 CFX 384 RT-PCR機で、濃度0.2μMの各標識プライマー及び標識プローブならびに濃度0.2μMの非標識プライマー(但しTaqManアッセイ用の濃度0.4μMの非標識プライマーは例外とする)を用いて12.5μlの反応体積で行った。
使用したプライマー及びプローブは、大腸菌トレオニン合成酵素遺伝子の113bp及び111bpセグメントの増幅用は配列番号1、6及び4;配列番号1、6及び2;配列番号8及び10であり、大腸菌ホモセリンキナーゼ遺伝子の145bpセグメントの増幅用は配列番号13、配列番号14及び配列番号15であった。
考察:配列番号1は、大腸菌トレオニン合成酵素遺伝子の113bpセグメントを増幅するための非標識フォワードプライマーであり、配列番号2及び配列番号4はそのセグメントを増幅するためのBHQ1標識リバースプライマーであり、配列番号6は、これら2つの増幅反応のためのFAM標識共通プローブである。配列番号13、配列番号14及び配列番号15はそれぞれ、大腸菌ホモセリンキナーゼ遺伝子の145bpセグメントを増幅するための、非標識フォワードプライマー及びリバースプライマー、ならびにFAM及びBHQ1二重標識TaqManプローブである。配列番号8は、大腸菌トレオニン合成酵素遺伝子の111bpセグメントを増幅するためのFAM標識フォワードプライマーであり、配列番号10は、そのセグメントを増幅するためのBHQ1標識リバースプライマーである。
配列番号1、配列番号4及び配列番号6を使用した増幅反応では、TaqManアッセイと比較して約5.5%高い感度及び3.6%高い特異性が示されたのに対し、配列番号8及び配列番号10を使用した増幅反応では、TaqManアッセイと比較して約10.3%高い感度及び5.9%高い特異性が示された。
プローブ配列番号6のFAMフルオロフォアの蛍光増強は、プライマー配列番号8のFAMフルオロフォアの蛍光増強と比較して小さく、したがってこの差により、プローブ配列番号6及びリバースプライマー4を使用した増幅反応と比較して、配列番号8及び配列番号10を使用した増幅反応の場合に感度がより高くなる。
さらに、配列番号8と配列番号10とのプライマー対の場合には、FAM標識プローブ配列番号6及びBHQ1標識リバースプライマー配列番号4の場合と比較して、非特異的増幅産物におけるBHQ1によるFAM蛍光のクエンチングが比較的多い。これが、配列番号8と配列番号10とのプライマー対の増幅反応(35サイクル後の鋳型なし対照の曲線の下降)の場合に、プローブ配列番号6及びリバースプライマー配列番号4の増幅反応(鋳型なし対照の直線増幅曲線)と比較して特異性が高くなる理由である。
プローブ配列番号6のFAM標識の蛍光増強は、配列番号6のFAM標識プローブ及びBHQ1標識リバースプライマー2を含む増幅反応と、FAM標識プローブ配列番号6及びBHQ1標識リバースプライマー4を含む増幅反応とで同じであり、共通である。唯一の相違は、BHQ1が、リバースプライマー配列番号4(3’末端から16塩基離れている)と比較して、リバースプライマー配列番号2の3’末端に極めて近接している(3’末端から5塩基離れている)ことである。前者の場合(配列番号2)では、後者の場合(配列番号4)と比較して非特異的増幅産物におけるFAMとBHQ1間の分離がはるかに少なく、よって非特異的増幅産物におけるクエンチャーBHQ1によるFAMフルオロフォアのクエンチングがはるかに増加する。これにより、プローブ配列6及びリバースプライマー配列番号4を含む増幅反応の特異性(特異性-92.8%)と比較して、プローブ配列番号6及びリバースプライマー配列番号2を含む増幅反応の特異性が改善される(特異性-96.6%)。非特異的増幅産物におけるBHQ1によるFAM蛍光のこの過剰なクエンチングによって、非特異的増幅からの非実質的シグナルの生成に必要な均衡したクエンチングを超える正味のクエンチングが存在する。この反応中の非特異的増幅産物におけるこの過剰なクエンチングにより、この増幅反応の全体的な蛍光レベルが低減し、これにより標的増幅産物からのシグナルが低減し、よって感度が低減する。このため、標識プローブ配列番号6及び標識リバースプライマー配列番号2を含むこの反応では、標的検出感度が相当低減し(感度-65.4%)、これは標識プローブ配列番号6及び標識リバースプライマー配列番号4を含む後者の場合の標的検出感度(感度-81.3%)、ならびにTaqManアッセイを含む他の全ての反応(感度-75.8%)よりも低い。
配列番号2及び6は、この標的増幅のためのBHQ1標識リバースプライマーとFAM標識プローブの組み合わせとしては良好ではない。
実施例7: 標識された非標的プライマーを使用した細菌大腸菌のトレオニン合成酵素遺伝子の増幅
各々3フェムトモルの、5’末端に第1の非標的プライマー配列を保有し、3’末端に大腸菌トレオニン合成酵素遺伝子配列を保有する第1のオリゴヌクレオチド配列(配列番号19)及び5’末端に大腸菌トレオニン合成酵素遺伝子配列を保有し、3’末端に第2の非標的プライマー配列を保有する第2のオリゴヌクレオチド配列(配列番号20)であって、配列番号19の3’末端がリン酸基を有し、第1及び第2のオリゴヌクレオチド上のトレオニン合成酵素遺伝子配列が2つの連続した配列であり、かつ1本の鎖にハイブリダイズするように設計されている第1及び第2のオリゴヌクレオチド配列を、リガーゼ酵素を含有するライゲーション緩衝液中の1ngの大腸菌染色体DNAに加え、8℃で4時間インキュベートした。
各々3フェムトモルの、5’末端に第1の非標的プライマー配列を保有し、3’末端に大腸菌トレオニン合成酵素遺伝子配列を保有する第1のオリゴヌクレオチド配列(配列番号19)及び5’末端に大腸菌トレオニン合成酵素遺伝子配列を保有し、3’末端に第2の非標的プライマー配列を保有する第2のオリゴヌクレオチド配列(配列番号20)であって、配列番号19の3’末端がリン酸基を有し、第1及び第2のオリゴヌクレオチド上のトレオニン合成酵素遺伝子配列が2つの連続した配列であり、かつ1本の鎖にハイブリダイズするように設計されている第1及び第2のオリゴヌクレオチド配列を、リガーゼ酵素を含有するライゲーション緩衝液中の1ngの大腸菌染色体DNAに加え、8℃で4時間インキュベートした。
このライゲーション混合物のアリコートを、3pモルのBlackholeクエンチャー1を標識した第1の非標的プライマー(配列番号21)及び3pモルのFAM標識した第2の非標的プライマー(配列番号22)を使用し、2X Kapa PCRマスターミックスを使用して、標的DNAを含有しない対照反応とともに、15μlの反応体積で三連でPCR増幅に使用した。PCR増幅には、63℃で45秒間のアニーリング及び15秒間の伸長を使用した。大腸菌トレオニン合成酵素遺伝子配列はCq値20.4で良好に増幅され(図23)、対照反応ではCq値0が示された(図24)。
実施例7の実例は、実施例4及び5の実例とは異なる。実施例4及び5は、標識したLibraプライマー対及び標識したLibraプライマー-プローブ対を使用した標的検出に関するものである。これら2つの実施例のlibraプライマー-プローブ対及びlibraプライマー対は、標的ごとに異なり、各標的に対して別々に設計及び標識されている。他方、実施例7の共通非標的プライマー対もlibraプライマー対であるが、任意の特定の標的のために特別に設計されたものではなく、同じプライマー対をより高い特異性及び感度で任意の標的の増幅に使用することができるように特別に設計されており、同時に、プライマー対は非特異的標的配列を一切増幅せず、共通非標的プライマー対はいかなる生体の配列とも相当多くの塩基の一致を有さない。プライマー対である配列番号21及び22は、2つのユニバーサルプライマーの対であるため、これは、2つの非標識の標的特異的増幅プライマー及びDNAインターカレーティング色素のみが提供される、任意の標的に汎用的な標的検出方法であるDNA二本鎖インターカレーティング色素ベースの検出を代替するものである。この二本鎖DNAインターカレーティング色素ベースの検出方法は、特異性及び感度が不足しているため、より高い特異性及び感度が必要とされる診断用途などの用途には使用されない。実施例6の解決策は、より高い特異性及び感度を備えながらも、DNAインターカレーティング色素ベースの検出の有用性を達成することである。実際、実施例7の標識プライマー対は、DNAインターカレーティング色素の代用品である。この検出戦略は、新しく、簡素でより安価であり、DNAインターカレーティング色素ベースの増幅試薬などの既製の増幅試薬として使用するために設計されており、特に、DNAインターカレーティング色素ベースの増幅試薬と比較して優れた特異性及び感度のために設計されている。これは、DNAインターカレーティング色素ベースの検出の特異性及び感度が比較的低いという問題の解決策である。本実施例7のプライマーの設計要件は、libraプライマー対及びlibraプライマー-プローブ対の設計要件と同じである。すなわち、ドナー・フルオロフォアを保有する塩基とドナー・フルオロフォアで標識したプライマーの3’末端とを分離している塩基の数に、アクセプター・フルオロフォア/クエンチャーを保有する塩基とアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識したプライマーの3’末端とを分離している塩基の数を加算した合計が、6~35塩基または6~40塩基の範囲内である。さらに、これらのプライマーは、非標的配列からの非特異的増幅産物の形成を回避するために、いかなる生物のヌクレオチド配列またはいかなる配列とも相当多くの塩基の一致を有さないように設計されている。
実施例6の2つのプライマーは、異なる目的(ユニバーサル試薬)のための異なる戦略で使用されるlibraプライマーであり、よって、libraプライマー対及びlibraプライマー-プローブ対の特異性及び感度と同様の特異性及び感度をもたらす。標的増幅のCq値20.4及び標的なし対照反応のCq値0は、感度及び特異性が高いことをそれぞれ示しており、TaqmanプローブアッセイのCq値はそれぞれ21.2及び0である。本実施例7のプライマー対は、最良のlibraプライマー対ではなく、さらにより良好な特異性及び感度を達成するために、より良好な標識プライマー対を設計することができる。
代替的戦略では、標的配列に対する2つのPCRプライマーに、2つの標識された非標的プライマー配列(配列番号21及び配列番号22)に対応する配列を2つのPCRプライマーの5’末端に別々に付加し、非標的配列が付加された通常のPCRプライマー濃度の100分の1の2つの標的増幅プライマーならびに通常の濃度の2つの標識された非標的プライマー(配列番号21及び配列番号22)を用いて標的配列の増幅を行う。
実施例8: FRETシグナルを生成するための標識プライマーを使用した細菌大腸菌のホモセリンキナーゼ遺伝子の増幅
増幅反応を、PCRマスターミックス中で、1ngの大腸菌染色体DNA調製物を用いてまたはDNAなしで(対照として)、各々3pモルの非標識フォワードプライマー(配列番号23、5’-GATAAGCTGCCGTCAGAACC-3’)、内部フルオレセイン標識リバースプライマー(配列番号24、5’-AACAGGCACTGGAGCCTAAG-3’)及び内部フルオレセイン標識プローブ(配列番号25、5’-CCA GTG GCG ATG ACC CTG GAA AAG AAT ATG-3’)を使用して、15μlの反応体積で三連で行い、大腸菌ホモセリンキナーゼ遺伝子の145塩基対セグメントを増幅した。フルオレセインを465nmで励起させ、フルオレセインの放出を510nmで測定することにより増幅反応をモニタリングした。標的増幅反応はCq値21.3(図25)を示したのに対し、標的DNAを含有しない対照反応はCq値0を示した(図26)。
増幅反応を、PCRマスターミックス中で、1ngの大腸菌染色体DNA調製物を用いてまたはDNAなしで(対照として)、各々3pモルの非標識フォワードプライマー(配列番号23、5’-GATAAGCTGCCGTCAGAACC-3’)、内部フルオレセイン標識リバースプライマー(配列番号24、5’-AACAGGCACTGGAGCCTAAG-3’)及び内部フルオレセイン標識プローブ(配列番号25、5’-CCA GTG GCG ATG ACC CTG GAA AAG AAT ATG-3’)を使用して、15μlの反応体積で三連で行い、大腸菌ホモセリンキナーゼ遺伝子の145塩基対セグメントを増幅した。フルオレセインを465nmで励起させ、フルオレセインの放出を510nmで測定することにより増幅反応をモニタリングした。標的増幅反応はCq値21.3(図25)を示したのに対し、標的DNAを含有しない対照反応はCq値0を示した(図26)。
実施例8における標的検出の方法または戦略は、libraプライマー-プローブ対及びlibraプライマー対に基づく実施例4~7のものとは異なる。実施例4~7では、標的検出に非FRETシグナル生成を使用しており、ドナー・フルオロフォアが励起され、ドナー・フルオロフォアの放出がシグナルとして測定される。反対に、実施例8では、標的検出のためにFRETシグナルが生成され、ドナー・フルオロフォアが励起され、アクセプター・フルオロフォアの放出がシグナルとして測定される。この戦略の利点は、蛍光バックグラウンドが低く、プライマー二量体と区別可能である標的増幅産物の融解曲線が生成されることであり、これはTaqmanプローブベースの検出では不可能なさらなる特異性である。実施例8の戦略または方法の感度及び特異性は、Taqmanプローブベースの標的検出方法の感度及び特異性と同程度またはそれよりわずかに良好であるが、libraプライマー-プローブ対及びlibraプライマー対を含む本発明の上記の3つの戦略(実施例4~6及び7)の感度及び特異性より低い。
FRETベースのシグナル生成方法では、FRETプライマー対及びFRETプライマー-プローブ対は、アクセプター・フルオロフォアからのシグナルをより高くするために、ドナーとアクセプター間でエネルギー移動が最大(70~80パーセント)となるように設計されている。アクセプターからのより高いシグナルは、標的検出感度及び特異性に相当の差を生じさせず、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォアで標識したプライマー対の標的増幅産物の融解曲線は、非特異的プライマー二量体の融解曲線と弁別不能であることが観察された。他方、実施例8の方法では、プライマー及びプローブは、標的増幅産物中でドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォア間のエネルギー移動が30~50パーセントのみとなるように標識されかつそのように構成されており、結果として、標識プライマー対または標識プライマープローブ対がさらに分離されることにより、非特異的プライマー二量体の融解曲線と区別可能である標的増幅産物の融解曲線が得られる。したがって、さらなる特異性が達成される。さらに、プライマーは、プライマー二量体またはプライマー二量体様非特異的増幅産物中で、ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアとが3ヌクレオチド以下で分離されるように標識されており、その結果、プライマー二量体またはプライマー二量体様非特異的増幅産物からのシグナルがゼロまたはほぼゼロになる。
本実施例8では、非標識プライマー及びフルオレセイン標識プライマー及びフルオレセイン標識プローブ(一方のフルオレセインがドナーとして機能し、他方のフルオレセインがアクセプターとして機能する)が使用されるが、ドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア(ドナー・フルオロフォアとは異なる)を標識したプライマー対を、標的検出に同様に使用することができる。アクセプター・フルオロフォアは、ドナー・フルオロフォアとは異なることが好ましい。標識プライマー及び標識プローブは、ドナー・フルオロフォアとアクセプター・フルオロフォアとが標的増幅産物中で15~25塩基で分離されるように選択されかつ標識される。
配列番号1: 合成プライマー
配列番号2: 18番塩基にBHQ1 DYEを有する合成プライマー
配列番号4: 合成プライマー-7番塩基にブラックホールクエンチャー1
配列番号5: 合成オリゴヌクレオチドプローブ-24番塩基にフルオレセイン色素
配列番号6: 合成オリゴヌクレオチドプローブ-21番塩基にフルオレセイン色素
配列番号7: 合成プライマー-3番塩基にフルオレセイン色素
配列番号8: 合成プライマー-13番塩基にフルオレセイン色素
配列番号9: 合成プライマー-10番塩基にフルオレセイン色素
配列番号10: 合成プライマー-16番塩基にブラックホールクエンチャー1
配列番号11: 合成オリゴヌクレオチドプローブ-1番塩基にフルオレセイン色素
配列番号12: 合成プライマー-1番塩基にフルオレセイン色素onBase1
配列番号13: 合成プライマー
配列番号14: 合成プライマー
配列番号15: 合成オリゴヌクレオチドプローブ-15番塩基(5’末端)にフルオレセイン色素および21番塩基(3’末端)にブラックホールクエンチャー1
配列番号16: 配列番号5(プローブ)と配列番号6(プローブ)と配列番号4(プライマー)とハイブリダイズし、フルオレセイン色素およびブラックホールクエンチャー1の間位に異なる分離を生成するための合成標的配列
配列番号17:配列番号5(プローブ)と配列番号6(プローブ)と配列番号4(プライマー)とハイブリダイズし、フルオレセイン色素およびブラックホールクエンチャー1の間位に異なる分離を生成するための合成標的配列
配列番号18: 配列番号7(プライマー)と配列番号8(プライマー)と配列番号9(プライマー)とハイブリダイズし、フルオレセイン色素の増強を測定するための合成標的配列
配列番号19: 5’末端の非標的プライマー配列および3’末端の大腸菌スレオニンシンターゼ遺伝子配列
配列番号20: 5’末端の大腸菌スレオニンシンターゼ遺伝子配列および3’末端の非標的プライマー配列
配列番号21: 合成プライマー-23番塩基にブラックホールクエンチャー1
配列番号22: 合成プライマー-15番塩基にフルオレセイン色素
配列番号23: 合成プライマー
配列番号24: 合成プライマー-17番塩基にフルオレセイン色素
配列番号25: 合成オリゴヌクレオチドプローブ-27番塩基にフルオレセイン色素
配列番号2: 18番塩基にBHQ1 DYEを有する合成プライマー
配列番号4: 合成プライマー-7番塩基にブラックホールクエンチャー1
配列番号5: 合成オリゴヌクレオチドプローブ-24番塩基にフルオレセイン色素
配列番号6: 合成オリゴヌクレオチドプローブ-21番塩基にフルオレセイン色素
配列番号7: 合成プライマー-3番塩基にフルオレセイン色素
配列番号8: 合成プライマー-13番塩基にフルオレセイン色素
配列番号9: 合成プライマー-10番塩基にフルオレセイン色素
配列番号10: 合成プライマー-16番塩基にブラックホールクエンチャー1
配列番号11: 合成オリゴヌクレオチドプローブ-1番塩基にフルオレセイン色素
配列番号12: 合成プライマー-1番塩基にフルオレセイン色素onBase1
配列番号13: 合成プライマー
配列番号14: 合成プライマー
配列番号15: 合成オリゴヌクレオチドプローブ-15番塩基(5’末端)にフルオレセイン色素および21番塩基(3’末端)にブラックホールクエンチャー1
配列番号16: 配列番号5(プローブ)と配列番号6(プローブ)と配列番号4(プライマー)とハイブリダイズし、フルオレセイン色素およびブラックホールクエンチャー1の間位に異なる分離を生成するための合成標的配列
配列番号17:配列番号5(プローブ)と配列番号6(プローブ)と配列番号4(プライマー)とハイブリダイズし、フルオレセイン色素およびブラックホールクエンチャー1の間位に異なる分離を生成するための合成標的配列
配列番号18: 配列番号7(プライマー)と配列番号8(プライマー)と配列番号9(プライマー)とハイブリダイズし、フルオレセイン色素の増強を測定するための合成標的配列
配列番号19: 5’末端の非標的プライマー配列および3’末端の大腸菌スレオニンシンターゼ遺伝子配列
配列番号20: 5’末端の大腸菌スレオニンシンターゼ遺伝子配列および3’末端の非標的プライマー配列
配列番号21: 合成プライマー-23番塩基にブラックホールクエンチャー1
配列番号22: 合成プライマー-15番塩基にフルオレセイン色素
配列番号23: 合成プライマー
配列番号24: 合成プライマー-17番塩基にフルオレセイン色素
配列番号25: 合成オリゴヌクレオチドプローブ-27番塩基にフルオレセイン色素
Claims (59)
- 核酸増幅による核酸標的の検出及び/または定量化の方法であって、下記工程を含む方法。
少なくとも1種の標的核酸と、核酸分子にハイブリダイゼーションする際または核酸分子に組み込まれる際に余分に発光するように適合された少なくとも1種の発光基/部分で標識された、少なくとも1種の非伸長性オリゴヌクレオチドまたは伸長可能なオリゴヌクレオチドとを提供すること、
前記発光基/部分の色を異なる色に変換するかまたはそれを発熱(thermalise)させるように適合された少なくとも1種のコンバーターまたはアクセプター基/部分で標識されており、増幅産物(複数可)に組み込まれる、少なくとも1種の伸長可能なオリゴヌクレオチドを提供すること、
前記発光基で標識されたオリゴヌクレオチドの前記発光基/部分を標的核酸増幅産物にハイブリダイズさせるかまたは組み込み、前記発光基/部分を余分に発光させ、前記余分な発光が前記法的増幅の基準とすること、
を含み、前記核酸増幅を、減衰の制御下において任意の非特異的な増幅が任意の検出可能なシグナルを生じないように実施するが、このとき、コンバーターまたはアクセプター基/部分による、非特異的な増幅産物内の発光基による余分な発光のみの除去を選択的に制御して、特定のシグナリング部分及びアテニュエーター/コンバーター部分対のために、シグナリングオリゴヌクレオチド上のシグナリング部分を選択的に配置し、且つアテニュエーターもしくはアクセプターオリゴヌクレオチド上のアテニュエーターもしくはアクセプター部分を選択的に配置して、非特異的増幅産物中の正味のシグナル増強及び正味のシグナルを無くし、正味のシグナルの減衰が無く、標的増幅シグナルの喪失がない状態とする、方法。 - 非特異的増幅産物におけるシグナルの減衰の程度を非特異的増幅産物中の前記シグナリング部分のシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しくするような制御を提供して、非特異的増幅産物中の正味のシグナル増強及び正味のシグナルを無くし、正味のシグナルの減衰が無く、標的増幅シグナルの喪失がない状態とする、請求項1に記載の方法。
- 前記シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から前記シグナリング部分で標識された塩基までの距離に対して、レシーバーまたはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基までの距離を加算し、さらに前記シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端と前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端との間の起こり得る重複の距離を減算した距離が、前記非特異的増幅産物におけるシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しいシグナルの減衰をもたらす、非特異的増幅産物中の前記シグナリング部分で標識された塩基と前記アテニュエーター部分または前記アクセプター部分で標識された塩基との間の分離距離を含む、請求項2に記載の方法。
- 前記シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から前記シグナリング部分で標識された塩基を分離する塩基の数に対して、前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端から前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識された塩基を分離する塩基の数を加算し、前記シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端と前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドの3’末端との間で重複し得る塩基の数を減算した塩基数は、非特異的な増幅産物において前記シグナリング部分と前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分とを分離する塩基の数を含み、これによって、非特異的増幅産物におけるシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しくするようにシグナルが減衰される、請求項2に記載の方法。
- シグナル増強及び対応する減衰の程度の選択的制御が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
(i)シグナル増強が約1~100%のとき、非特異的増幅産物からのシグナルの均衡した非実質的なシグナルの対応する減衰を約1~50%に維持し、
(ii)シグナル増強が約20~80%のとき、非特異的増幅産物からの均衡した非実質的なシグナルのために、シグナルの対応する減衰を約17~45%に維持し、
(iii)シグナル増強が約30~70%のとき、非特異的増幅産物からの均衡した非実質的なシグナルのために、シグナルの対応する減衰を約23~40%に維持する。 - 使用する前記シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、前記標的増幅産物または前記標的の一方の鎖にハイブリダイズされる、核酸増幅をモニタリングするためのプローブであり、
使用する前記アテニュエーター部分または前記アクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、前記標的増幅産物もしくは標的において前記プローブがハイブリダイズするのと同じ鎖または他方の鎖にアニーリングされ、使用する増幅プライマーの両鎖がアテニュエーターもしくはアクセプター部分で選択的に標識される、請求項1に記載の方法。 - シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドにおいて、その3’末端の塩基、または前記3’末端から最大30塩基離れた位置の、但し5’末端を除く、任意の塩基に前記シグナリング部分が配置され、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドにおいて、その3’末端から少なくとも2塩基で最大30塩基離れた位置の任意の塩基にアテニュエーターもしくはアクセプター部分が配置される、請求項6に記載の方法。
- 使用される前記シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及び前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチド(複数)が、前記標的増幅産物または前記標的核酸の2本の鎖に別々にアニーリングし、ポリメラーゼ(単数または複数)によって伸長される、2つの核酸増幅プライマーである、請求項1に記載の方法。
- 前記シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドにおいて、3’末端から少なくとも2ヌクレオチドで最大30塩基離れた位置の、但し5’末端を除く、任意の塩基に前記シグナリング部分が配置されており、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドにおいて、3’末端から少なくとも2ヌクレオチドで最大30塩基離れた位置の任意の塩基にアテニュエーターもしくはアクセプター部分が配置されている、請求項8に記載の方法。
- 使用する前記シグナリング部分がドナー・フルオロフォアであり、使用する前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分がアクセプター・フルオロフォアであるか、あるいはエネルギーを受容するがエネルギーまたは電磁放射線を一切放出しない非放射性アクセプターもしくはクエンチャー部分であり、シグナルが蛍光シグナルであり、シグナル減衰が前記ドナー・フルオロフォアの蛍光シグナルのクエンチングであり、前記ドナー・フルオロフォアと前記アクセプター部分がエネルギー移動対である、請求項1に記載の方法。
- 非特異的増幅産物における、前記シグナリング部分標識塩基と、前記アテニュエーターもしくはアクセプター標識塩基との間の分離距離を、非特異的増幅産物におけるシグナルの減衰の程度を非特異的増幅産物中の前記シグナリング部分のシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しくするように選択し、前記距離はそれぞれ2R0距離とR0距離との間であり、塩基間距離は3.7オングストロームであり、前記R0は、前記シグナリング部分と前記アクセプター部分との対、より具体的には前記ドナー・フルオロフォアと前記アクセプター・フルオロフォアまたは非放射性アクセプター/クエンチャー部分との対のフェルスター半径(フェルスター半径R0の値は22Å~75Åの範囲内)である、請求項5に記載の方法。
- 非特異的増幅産物における、前記シグナリング部分標識塩基と、前記アテニュエーターもしくはアクセプター標識塩基との間の分離距離を、非特異的増幅産物におけるシグナルの減衰の程度を非特異的増幅産物中の前記シグナリング部分のシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しくするように選択し、前記距離はそれぞれ1.3025R0距離と1.034R0距離との間であり、塩基間距離は3.7オングストロームであり、前記R0は、前記シグナリング部分と前記アクセプター部分との対、より具体的には前記ドナー・フルオロフォアと前記アクセプター・フルオロフォアまたは非放射性アクセプター/クエンチャー部分との対のフェルスター半径(フェルスター半径R0の値は22Å~75Åの範囲内)である、請求項5に記載の方法。
- 非特異的増幅産物における、前記シグナリング部分標識塩基と、前記アテニュエーターもしくはアクセプター標識塩基との間の分離距離を、非特異的増幅産物におけるシグナルの減衰の程度を非特異的増幅産物中の前記シグナリング部分のシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しくするように選択し、前記距離はそれぞれ1.224R0距離と1.0699R0距離との間であり、塩基間距離は3.7オングストロームであり、前記R0は、前記シグナリング部分と前記アクセプター部分との対、より具体的には前記ドナー・フルオロフォアと前記アクセプター・フルオロフォアまたは非放射性アクセプター/クエンチャー部分との対のフェルスター半径(フェルスター半径R0の値は22Å~75Åの範囲内)である、請求項5に記載の方法。
- 非特異的増幅産物における、前記シグナリング部分標識塩基と、前記アテニュエーターもしくはアクセプター標識塩基とを分離する塩基数を、非特異的増幅産物におけるシグナルの減衰の程度を非特異的増幅産物中の前記シグナリング部分のシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しくするように選択し、前記塩基数が、2.0(R0)と(R0)との間の距離に等しい(2R0/3.7)から(R0/3.7)塩基であり、塩基間距離は3.7オングストロームであり、前記R0は、ドナー・フロオロフォアとアクセプター部分とのエネルギー移動対のフェルスター半径をオングストロームで表したものであり、前記ドナー・フロオロフォアとアクセプター部分とのエネルギー移動対の全体に対しては6~40塩基に等しい(フェルスター半径R0の値は22Å~75Åの範囲内)、請求項11に記載の方法。
- 非特異的増幅産物における、前記シグナリング部分標識塩基と、前記アテニュエーターもしくはアクセプター標識塩基とを分離する塩基数を、非特異的増幅産物におけるシグナルの減衰の程度を非特異的増幅産物中の前記シグナリング部分のシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しくするように選択し、前記塩基数が、1.3025(R0)と1.034(R0)との間の距離に等しい(1.3025R0/3.7)から(1.034R0/3.7)塩基であり、塩基間距離は3.7オングストロームであり、前記R0は、ドナー・フロオロフォアとアクセプター部分とのエネルギー移動対のフェルスター半径をオングストロームで表したものであり、前記ドナー・フロオロフォアとアクセプター部分とのエネルギー移動対の全体に対しては6.1~26.4塩基に等しい(フェルスター半径R0の値は22Å~75Åの範囲内)、請求項12に記載の方法。
- 非特異的増幅産物における、前記シグナリング部分標識塩基と、前記アテニュエーターもしくはアクセプター標識塩基とを分離する塩基数を、非特異的増幅産物におけるシグナルの減衰の程度を非特異的増幅産物中の前記シグナリング部分のシグナルの増強の程度と等しいかまたは概ね等しくするように選択し、前記塩基数が、1.224(R0)と1.0699(R0)との間の距離に等しい(1.224R0/3.7)から(1.0699R0/3.7)塩基であり、塩基間距離は3.7オングストロームであり、前記R0は、ドナー・フロオロフォアとアクセプター部分とのエネルギー移動対のフェルスター半径をオングストロームで表したものであり、前記ドナー・フロオロフォアとアクセプター部分とのエネルギー移動対の全体に対しては6.4~24.8塩基に等しい(フェルスター半径R0の値は22Å~75Åの範囲内)、請求項13に記載の方法。
- 使用する前記シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及び前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが直鎖状である、請求項1に記載の方法。
- 追加の標識部分であるビオチン等も、標識プローブの3’末端及び5’末端に配置されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
- 前記シグナリング部分またはドナー・フルオロフォアで標識された、請求項6に記載のプローブ、またはシグナリング部分またはドナー・フルオロフォア部分で標識された、請求項8に記載のプライマーが、その5’末端にアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャー、またはステム構造を形成する前記フルオロフォアで標識された塩基の近傍にある前記標識されたプライマーまたはプローブの配列に十分に相補的な5~8塩基の配列をさらに備えて、前記伸長可能なオリゴヌクレオチドがクエンチャーを備えているかまたは備えておらず、前記ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブと前記5~8塩基の配列との間に介在スペーサーを備えているかまたは備えていない、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
- 前記シグナリング部分もしくはドナー・フルオロフォア部分で標識された塩基と、前記ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端とを分離している塩基の数に対して、前記アクセプターもしくはクエンチャー部分で標識された塩基と、前記アクセプターもしくはクエンチャー部分で標識されたプライマーの3’末端とを分離している塩基の数を加算した値が、前記ドナー・フロオロフォアとアクセプターもしくはクエンチャー部分とのエネルギー移動対の全体に対して6~40塩基である、請求項6または8に記載の方法。
- 前記シグナリング部分もしくはフルオロフォア部分で標識された塩基と、前記ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端とを分離している塩基の数に対して、前記アクセプターもしくはクエンチャー部分で標識された塩基と、前記アクセプターもしくはクエンチャー部分で標識されたプライマーの3’末端とを分離している塩基の数を加算した値が、前記ドナー・フロオロフォアとアクセプターもしくはクエンチャー部分とのエネルギー移動対の全体に対して10~30塩基である、請求項6または8に記載の方法。
- 2つ以上のシグナリング部分またはドナー・フルオロフォアが、前記シグナリング部分で標識されたプローブまたはプライマー上に配置され、2つ以上のアクセプター部分またはクエンチャーが、前記アクセプター部分で標識されたプライマー(単数または複数)上に配置される、請求項6または8に記載の方法。
- ネステッド核酸増幅において、第1のプライマー対が標的核酸の第1のセグメントを増幅し、第2のプライマー対が前記第1のセグメントの第2のセグメントを増幅し、前記第2のプライマー対が前記シグナリングもしくはドナー・フルオロフォア部分で標識され、前記第2のプライマー対から選択される2つの核酸増幅プライマーを含む、アクセプターもしくはクエンチャー部分で標識されたlibraプライマー対がアクセプターもしくはクエンチャー部分で標識されている、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第1のプライマー対の複数のプライマーが、アクセプターもしくはクエンチャー部分である適切な標識をさらに備える、請求項23に記載の方法。
- 第1のプライマーと第2のプライマーが共に標的核酸の第1のセグメントを増幅し、第3のプライマーが前記第1のプライマーと共同で前記第1のセグメントの第2のセグメントをセミネステッド核酸増幅で増幅し、前記第1及び第3のプライマーが、シグナリングもしくはフルオロフォア部分で標識され、且つアクセプターもしくはクエンチャー部分で標識されたlibraプライマー対であり、前記第2のプライマーもアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーでさらに標識されている、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
- 第1のプライマー対が標的核酸の第1のセグメントを増幅し、第2のプライマー対が前記第1のセグメントの第2のセグメントをネステッド核酸増幅で増幅し、前記第2のセグメントにプローブがハイブリダイズするときにプローブを使用し、前記プローブと前記第2のプライマー対が、シグナリングもしくはフルオロフォア部分で標識されたプローブとアクセプターもしくはクエンチャーで標識されたプライマー(複数可)であり、前記第1のプライマー対もアクセプターもしくはクエンチャーでさらに標識されている、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
- 第1のプライマーと第2のプライマーが共に標的核酸の第1のセグメントを増幅し、第3のプライマーと第1のプライマーが前記第1のセグメントの第2のセグメントをセミネステッド核酸増幅で増幅し、前記第2のセグメントにハイブリダイズするプローブを使用し、前記プローブと前記第1及び/または第3のプライマーが、シグナリングもしくはフルオロフォア部分で標識されたプローブとアクセプターもしくはクエンチャーで標識されたプライマー(複数可)である、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
- 第1の非標的配列または第1の非標的配列と第2の非標的配列を前記標的核酸配列の一方または両方の末端に付加することにより半合成標的核酸配列を生成し、前記標的核酸の増幅を、1つの標的特異的プライマー及び前記第1の非標的配列に特異的なプライマー、または前記第1の非標的配列に特異的なプライマー及び前記第2の非標的配列に特異的なプライマーのいずれかによって実施し、前記増幅プライマー(複数)がシグナリングもしくはドナー・フルオロフォア部分及びアクセプターもしくはクエンチャー部分で標識されたプライマーである配列番号21: agatgtccgt gctaccagag actctcg及び配列番号22: tgggcaggtc gttataccgg tgact であり、加えて、第1及び第2の非標的配列がテールPCRにより標的比列に付加され、前記第1及び第2の非標的配列が2つのPCRプリマ-の5’末端に付加されている、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
- 追加でプローブを提供し、前記プローブ及びプライマーは本発明の標識プライマー(複数可)及びプローブであり、シグナリング部分もしくはドナー・フルオロフォアで標識された、請求項6に記載のプローブである、請求項28に記載の方法。
- 選択的に配列番号22を含む、前記シグナリング部分もしくはドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブが、さらにその5’末端にクエンチャー/アクセプター・フルオロフォアを備えるか、またはヘアピン構造を形成するドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの前記ドナー・フルオロフォアで標識された塩基の近傍にある塩基にハイブリダイズする5~8塩基の配列を備え、5’末端にクエンチャーを有するか有しておらず、リンカーを介すか解せず連結されている、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
- 前記シグナリングもしくはドナー・フルオロフォア部分で標識されたプライマーが前記標的増幅産物へ組み込まれるときの、または前記シグナリングもしくはドナー・フルオロフォア部分で標識されたプローブが前記標的増幅産物へハイブリダイズするときの、前記ドナー・フルオロフォアのシグナル増強または蛍光増強の程度が4~8倍であり、且つ非特異的増幅産物からの非実質的シグナルにおけるシグナル減衰または蛍光クエンチングの程度が75~87%であり、前記シグナリングもしくはフルオロフォア部分と、前記アクセプターもしくはクエンチャー部分との分離は0.8327R0~0.7284R0であり、0.8327(R0/3.7)塩基~0.7284(R0/3.7)塩基に等しく、塩基間距離は3.7オングストロームであり、前記R0は、フロオロフォアとアクセプター部分とのエネルギー移動対のフェルスター半径をオングストローム単位で表したものであり、前記フロオロフォア部分とアクセプター部分とのエネルギー移動対の全体に対しては約4~16塩基に等しい(フェルスター半径R0の値は22Å~75Åの範囲内)、請求項30に記載の方法。
- 前記シグナリング部分もしくはフルオロフォアで標識された塩基と、フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの3’末端とを分離する塩基数に対して、前記アクセプターもしくはクエンチャー部分で標識された塩基と、前記アクセプターもしくはクエンチャー部分で標識されたプライマーの3’末端とを分離する塩基数を加算した値が、4~16塩基である、請求項31に記載の方法。
- 第1のシグナリングもしくは第1のフルオロフォア部分で標識された第1のプライマー、アクセプターもしくはクエンチャー部分で標識された第2のプライマーと第2のシグナリングもしくは第2のフルオロフォア部分で標識されたプローブを核酸増幅に使用し、前記第1のシグナリングもしくは第1のフルオロフォア部分が標的増幅の際に第1のシグナルを発生し、前記プローブの第2のシグナリングもしくは第2のフルオロフォア部分が、前記プローブの標的増幅産物へのハイブリダイゼイションのときに第2の蛍光シグナルを発生し、前記第1のシグナリングもしくは第1のフルオロフォア部分で標識された第1のプライマーと、前記アクセプターもしくはクエンチャー部分で標識された第2のプライマーとが、シグナリングもしくはフルオロフォア部分およびアクセプターもしくはクエンチャー部分で標識された本発明のプライマー対であり、前記第1のシグナリングもしくは第1のフルオロフォア部分で標識された第1のプライマーと、前記アクセプターもしくはクエンチャー部分で標識された第2のプライマーと、前記第2のシグナリングもしくは第2のフルオロフォア部分で標識されたプローブとが、本発明の標識されたプライマー(複数)とプローブであり、前記第1のシグナリングもしくは第1のフルオロフォア部分が、前記第2のシグナリングもしくは第2のフルオロフォア部分のアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーであるか、その反対である、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
- ドナー・フルオロフォア標識プライマー及びアクセプター・フルオロフォア標識プライマーを標的核酸配列の増幅に使用し、前記ドナー・フルオロフォア及び前記アクセプター・フルオロフォアは前記プライマーの3’末端から少なくとも2ヌクレオチド離れた位置に配置され、前記標的増幅産物内で、前記ドナー・フルオロフォアと前記アクセプター・フルオロフォアが5~30塩基離されていることによって、標的増幅のときに、FRETシグナル、より具体的には、ドナー・フルオロフォアの励起によるアクセプター・フルオロフォアからの放出、が発生する、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
- 2つの増幅プライマーの内の1つがアクセプター・フルオロフォアで標識されており、前記標的配列にハイブリダイズする、ドナー・フルオロフォアで標識したプローブを代わりに標的核酸増幅に使用し、前記アクセプター・フルオロフォアが標識プライマーの3’末端から少なくとも2ヌクレオチド離れた位置に配置され、前記ドナー・フルオロフォアで標識したプローブにおいて、3’末端の塩基、または前記3’末端から離れた位置の、但し5’末端を除く、塩基がドナー・フルオロフォアで標識されており、前記プローブが前記標的増幅産物にハイブリダイズするときに前記ドナー・フルオロフォアと前記アクセプター・フルオロフォアが5~30塩基離されていることによって、標的増幅のときに、FRETシグナル、より具体的には、ドナー・フルオロフォアの励起によるアクセプター・フルオロフォアからの放出、が発生する、請求項34に記載の方法。
- 前記プローブがアクセプター・フルオロフォアで標識された状態であり、前記プライマーは代わりにドナー・フルオロフォアで標識された状態である、請求項35に記載の方法。
- 標的増幅産物において、前記ドナー・フルオロフォアと前記アクセプター・フルオロフォアが10~20塩基で分離されている、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
- 標的増幅産物において、前記ドナー・フルオロフォアと前記アクセプター・フルオロフォアが14~20塩基で分離されている、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの前記ドナー・フルオロフォアで標識された塩基と3’末端とを分離している距離もしくは塩基の数に対して、前記アクセプター・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの前記アクセプター・フルオロフォアで標識された塩基と3’末端とを分離している距離もしくは塩基の数を加算し、前記ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブと前記アクセプター・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブのそれぞれの3’末端の間で重複している距離もしくは重複している塩基の数を減算した値が、
非特異的増幅産物からの非実質的シグナルに対する前記ドナー・フルオロフォアと前記アクセプター・フルオロフォアとの間の静的クエンチングの距離もしくは対応する塩基分離と等しい、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。 - 前記静的クエンチングの距離が、±3、または±2、または±1、または0、または標識塩基は互いの反対に配置されている、請求項39に記載の方法。
- 3’末端に標的特異的配列を保有する第1のオリゴヌクレオチドプライマー、またはポリチミジン配列、または1以上の非チミジン塩基を有し且つその5’末端にプロモータ配列を有するポリチミジン配列を使用して、あるいはアダプターを標的配列に結合するための数塩基の突出部を5’末端に有する2本鎖アダプターと、アダプターの5’末端のプロモーター配列、またはアダプターを標的配列に結合するための数塩基の突出部を3’末端に有する2本鎖アダプターと、アダプターの5’末端のプロモーター配列を使用して、あるいは標的配列の伸長鎖とプロモーター配列を5’末端に有する第1のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、プロモーター配列を標的核酸配列、単鎖もしくは2本鎖のDNAまたはRNAに結合され、
標的配列の直鎖状増幅を、第2の標的特異的プライマー、及び第1の標的特異的プライマーを保有する前記プロモーター配列を用い、DNAポリメラーゼもしくは逆転写酵素とデオキシヌクレオシド三リン酸をRNAポリメラーゼとリボヌクレオシド三リン酸を用いるRNA転写と組み合わせて用いたシーケンシャルポリメラーゼ伸長反応で実施し、
プライマーと第2標的特異的プライマーを保有する前記第1のプロモーター配列は、本発明の請求項8~10及び17のドナー・フルオロフォア及びクエンチャー/アクセプター・フルオロフォア標識プライマー対であり、使用するシグナリング部分標識オリゴヌクレオチド及びアテニュエーターもしくはアクセプター部分標識オリゴヌクレオチドが、標的増幅産物または標的核酸の2つの鎖に別個にアニーリングし、ポリメラーゼ(単数または複数)によって伸長される2つの核酸増幅プライマー(請求項8)であり、シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドにおいて、その3’末端から少なくとも2塩基で最大30塩基離れた位置の、但し5’末端を除く、任意の塩基にシグナリング部分が配置されており、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドにおいて、その3’末端から少なくとも2塩基で最大30塩基離れた位置の任意の塩基にアテニュエーターもしくはアクセプター部分が配置されており(請求項9)、使用される前記シグナリング部分がドナー・フルオロフォアであり、使用される前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分がアクセプター・フルオロフォアであるかまたはエネルギーを受容するがエネルギーもしくは電磁放射線を一切放出しない非放射性アクセプターもしくはクエンチャー部分であり(請求項10)、シグナルが蛍光シグナルであり、シグナル減衰が前記ドナー・フルオロフォアの蛍光シグナルのクエンチングであり、前記ドナー・フルオロフォア及び前記アクセプター部分がエネルギー移動対であり、使用する前記シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及び前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが直鎖状である(請求項17)、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。 - 第1のプライマー及び第2のプライマーを保有するプロモーター配列の一方または両方をクエンチャーもしくはアクセプター・フルオロフォアで標識し、ドナー・フルオロフォアで標識した標的特異的プローブを使用し、標識されたプローブ及びプライマー(複数可)が、請求項6のシグナリング部分またはドナー・フルオロフォアで標識したプローブを有するドナー・フルオロフォアで標識したプローブ及びアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーで標識した本発明のプライマー(複数可)であり、
シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドにおいて、その3’末端から少なくとも2ヌクレオチドで最大30塩基離れた位置の、但し5’末端を除く、任意の塩基のいずれかに前記シグナリング部分が配置され、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドにおいて、その3’末端から少なくとも2塩基で最大30塩基離れた位置の任意の塩基のいずれかに前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分が配置され(請求項7)、使用される前記シグナリング部分がドナー・フルオロフォアであり、使用される前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分がアクセプター・フルオロフォアであるかまたはエネルギーを受容するがエネルギーもしくは電磁放射線を一切放出しない非放射性アクセプターもしくはクエンチャー部分であり(請求項10)、シグナルが蛍光シグナルであり、シグナル減衰が前記ドナー・フルオロフォアの蛍光シグナルのクエンチングであり、前記ドナー・フルオロフォア及び前記アクセプター部分がエネルギー移動対であり、使用する前記シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及び前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが直鎖状である(請求項17)、請求項41に開催の方法。 - 前記ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはプローブの5’末端にクエンチャーが皿に結合されている、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
- 前記核酸増幅反応が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含み、前記ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、アレルまたはアレル特異的ポリメラーゼ連鎖反応(アレルPCR)、アレルRT-PCR、Tail PCR、ドロップレットPCR、エマルジョンPCR、デジタルPCR、非対称PCR、ネステッドPCR、セミネステッドPCR、メチル化状態(methylation status)PCR、またはin-situ PCRであり、前記標的増幅産物のサイズが、35~400塩基対、好ましくは50~150塩基対である、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
- 核酸増幅反応が、ループ媒介等温核酸増幅反応(LAMP)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅反応(RPA)、ヘリカーゼポリメラーゼ増幅反応(HPA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)などの等温核酸増幅反応を含み、前記LAMPで使用されるループプライマーがDNA鎖分離を促進し、リコンビナーゼ、ヘリカーゼ、ジャイレース、トポイソメラーゼなどの鎖分離酵素が、一本鎖結合(SSB)タンパク質と共同での変性または鎖分離のためにRPA及びHPAで使用され、前記標的増幅産物のサイズが、75~1000塩基対、好ましくは100~250塩基対であり、前記等温核酸増幅反応の変法がアレルプライマーまたはプライマー-プローブ対、ネステッドまたはセミネステッドプライマー対、ネステッドまたはセミネステッドプライマー-プローブ対を含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
- 標的核酸の絶対的定量を表記されたプライマー-プローブ対で実施し、前記シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、前記標的増幅産物または前記標的の一方の鎖にハイブリダイズされる、核酸増幅をモニタリングするためのプローブであり、使用する前記アテニュエーター部分または前記アクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、(請求項6の)核酸増幅プライマーの1つであり、
シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチドにおいて、その3’末端から少なくとも2ヌクレオチドで最大30塩基離れた位置の、但し5’末端を除く、任意の塩基のいずれかに前記シグナリング部分が配置され、アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドにおいて、その3’末端から少なくとも2塩基で最大30塩基離れた位置の任意の塩基のいずれかに前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分が配置され(請求項7)、
使用される前記シグナリング部分がドナー・フルオロフォアであり、使用される前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分がアクセプター・フルオロフォアであるかまたはエネルギーを受容するがエネルギーもしくは電磁放射線を一切放出しない非放射性アクセプターもしくはクエンチャー部分であり、シグナルが蛍光シグナルであり、シグナル減衰が前記ドナー・フルオロフォアの蛍光シグナルのクエンチングであり、前記ドナー・フルオロフォアと前記アクセプター部分がエネルギー移動対であり(請求項10)、標識プライマー対は配列番号21及び22を選択的に含み、そのためのキット(複数可)は、単数または複数の容器内に少なくとも1種の前記ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブ及びアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーで標識したオリゴヌクレオチドプライマー(複数可)を含む、あるいは少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー及びアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーで標識したオリゴヌクレオチドプライマーを含み、前記シグナリング部分で標識されたオリゴヌクレオチド及び前記アテニュエーターもしくはアクセプター部分で標識されたオリゴヌクレオチドが、前記標的増幅産物または前記標的核酸の2本の鎖に別々にアニーリングし、ポリメラーゼ(単数または複数)によって伸長される、2つの核酸増幅プライマーであり、前記キット(複数可)は、反応緩衝液、複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、ポリメラーゼ酵素または酵素、陽性対照鋳型及び陽性鋳型のそれぞれの標識されたプライマー対、および追加成分をさらに含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。 - 前記オリゴヌクレオチドが、選択的に10)は~50塩基長、好ましくは15~35塩基長、より好ましくは20~30塩基長であり、標的配列に十分に相補的であり、前記標的上でハイブリダイズまたはアニーリングする能力及び前記標的上で核酸合成をプライミングする能力を有しており、且つ1種以上の修飾塩基、または修飾糖部分(単数または複数)または1種以上の塩基アナログを保有している、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
- 陽性対照鋳型及び陽性対照鋳型に特異的な請求項6~17、28、29、34、35、46に記載の標識されたプライマー対または標識されたプライマーとプローブとの対が、前記増幅反応中にさらに提供される、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項6~17、28、29、34、35、46に記載の、本発明のドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーとの複数の対またはドナー・フルオロフォアで標識されたプローブとアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーとの複数の対が、複数の標的配列の同時検出及び/または定量化のための多重化反応に使用される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
- ドナー・フルオロフォアで標識されたプライマーまたはドナー・フルオロフォアで標識されたプローブの単数、複数種、または大きなアレイが、多炭素原子(multi-carbon atom)有機リンカー、ポリエチレングリコール、ハイブリッドリンカーまたはポリチミジンオリゴヌクレオチドを介し、十分な長さの追加の有機リンカーを有りまたは無しで、ガラスもしくはガラスウエハ、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチック、デキストラン、セルロース、ナイロンなどの透明または半透明の固体表面に付着されるかまたは共有結合されるかまたは係留され、単一の増幅反応における単一、複数または多数の核酸標的の検出にマイクロ流体チャネルを使用する、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
- 前記核酸増幅反応が、任意の公知の核酸増幅反応、好ましくはポリメラーゼ連鎖反応を含み、有効量の増幅プライマーまたは有効量の標識されたプライマーと標識されたプローブまたは標識されたプライマーに加えて、少なくとも1種のポリメラーゼ酵素、反応緩衝液、デオキシヌクレオシド三リン酸を試料に添加する工程と、少なくとも変性工程、アニーリング工程、伸長工程もしくはアニーリングと伸長とを組み合わせた単一の工程の間、または等温反応工程において試料をサイクルにかける工程と、ドナー・フルオロフォア励起光または放射線で反応混合物を励起させる工程と、ドナー・フルオロフォアまたはアクセプター・フルオロフォアの放出を測定する工程とを少なくとも含む、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ドナー・フルオロフォア、アクセプター・フルオロフォア及びクエンチャーが、二本鎖DNAへのインターカレーション時に蛍光を増強させる、インターカレーティング色素臭化エチジウム、SYBR Green1(商標)、Picogreen(商標)、YOPRO 1(商標)、SYTO 9(商標)、アクリジンオレンジ、非対称シアニン色素を含むがこれらに限定されない二本鎖DNAインターカレーティング色素、及び色素フルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン(5-FAM)、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)、6-FAM(アジド)、2’7’-ジメトキシ-4’5-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、フルオレセインイソチオシアネート、HEX(ヘキサクロロフルオレセイン)、TET(テトラクロロフルオレセイン)、VIC(ビクトリアブルー)、VICとほぼ同一のスペクトルプロファイルを有するMAX VIC、A VIC(登録商標)(ThermoFisher Scientific社)の同等物であるSUN(商標)、TYE(商標)563、TYE 665、TYE 705、NED、フルオレスカミン、ピレン、ピレンブチレート、スクシミジル(succimidyl)1ピレンブチレート、ローダミン(Rhod)、ローダミン123、ローダミンB、スルホローダミン、6-カルボキシローダミン(R6G)、6-カルボキシ-Xローダミン(ROX)、スルホローダミンb、スルホローダミン101、スルホローダミン101の塩化スルホニル誘導体(Texas Red)、Texas Red(登録商標)-X、SIMA dye(商標)、Texas Red(登録商標)-X、TEX615 N’,N’,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、TAMRA(商標)(アジド)、Rhodamine Green(商標)-X、Rhodamine Red(商標)、テトラメチルローダミン、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、テルビウムキレート、ユーロピウムキレート、量子ドット、グラフェン量子ドット、5-(2’-アミノエチル)アミノナフチルアミド-3,5ジスルホネート(ルシファーイエローvs)、7-アミノ-4-メチルクマリン(amc、クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(クマリン151)、シアニン2、シアニン3、シアニン3.5、シアニン5、シアニン5.5、シアニン7を含むがこれらに限定されないシアニン色素(スルホン化もしくは非スルホン化)、[5-ジメチルアミノ]ナフタレン-1-スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド)、4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、DABSYL、4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル)-4’-イソチオシアネート(DABITC)、IAEDANS(5-((((2-ヨードアセチル)アミノ)エチル)アミノ)ナフタレンスルホン酸)、EDANS、QST 7、QSY9、QSY 21、QSY 35(QSY色素はジアリール-ローダミン誘導体である)、BIODIPY FLを含むがこれに限定されないBIODIPY色素、Alexa fluor 350、488、546、555、568、594、647、660、750色素を含むがこれらに限定されないAlexa fluor色素、ATTO(商標)488(NHSエステル)、ATTO(商標)532、ATTO(商標)550、ATTO(商標)565、ATTO(商標)590、ATTO(商標)633、ATTO(商標)647N、ATTO(商標)Rho101、ATTO(商標)647N(NHSエステル)を含むがこれらに限定されないATTO色素、Yakima Yellow、MGB色素(主溝もしくは副溝結合色素)、LI-COR社のIRDyes(登録商標)IRDye(登録商標)700、IRDye(登録商標)800、IRDye(登録商標)800CW、Lightcycler(登録商標)640、Dy750、非放射性クエンチャー(Nanogold Particle、Blackholeクエンチャー0、Blackholeクエンチャー1、Blackholeクエンチャー2、Blackholeクエンチャー3、Eclipse Quenchers(商標)、Dark Quenchers(商標)、IDT社クエンチャーIowa Black(商標)RQ、Iowa Black FQ、ZEN(商標)、TAO及び/またはZEN(登録商標)、ナノ粒子クエンチャーを含むがこれらに限定されない)、一本鎖結合タンパク質を含む群から選択される、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
- 核酸増幅反応に使用するポリメラーゼ酵素(単数または複数)が、天然、修飾、またはキメラ酵素であって、ポリメラーゼ活性に加えて鎖置換活性、鋳型非依存性プライマー活性、塩基伸長活性もしくはエキソヌクレアーゼ活性を有するか有さないDNAポリメラーゼ、または逆転写酵素、または逆転写酵素活性とDNAポリメラーゼ活性の両方を有するポリメラーゼ、またはRNAポリメラーゼ、またはRNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼであり、前記ポリメラーゼが、熱安定性、周囲温度または周囲温度未満で活性な酵素、ホットスタートポリメラーゼであり得、前記ポリメラーゼが高温、好ましくはプライマーアニーリング温度、で加熱された後に活性化される、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
- (メチル化もしくは非メチル化)核酸または非核酸標的を検出するために使用する、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法であって、
核酸または非核酸標的に対して極めて高い親和性を有する第1の結合部分を、前記核酸または非核酸標的を捕捉するために使用し、前記第1の結合部分と同一または異なる、前記核酸または非核酸標的に対して極めて高い親和性を有する第2の結合部分を、捕捉された前記核酸または非核酸標的を結合するために使用するか、あるいは前記第2の結合部分に極めて高い親和性で結合する第3の結合部分を使用し、合成または天然の核酸標的分子が付加された状態の前記第2の結合部分または前記第3の結合部分を提供し、核酸が付加された状態の未結合の第2の結合部分または第3の結合部分を洗い落とした後に、結合した前記第2の結合部分または前記第3の結合部分を、請求項6~17、28、29、34、35、46に記載のドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマー対またはプローブとプライマーとの対を使用した核酸増幅によって検出及び定量化し、
前記結合部分が、好ましくは以下の結合対:抗原-抗体、タンパク質-抗タンパク質抗体、抗体-抗体、抗体-抗IgG抗体、一次抗体-二次抗体、プロテインA-抗体、プロテインG-抗体、ビオチン-アビジン、ビオチン-ストレプトアビジン、レクチン-糖、核酸-核酸、タンパク質-核酸、ペプチド核酸、アプタマー-アプタマー、アプタマー-核酸、アプタマー-タンパク質、ハプテン-抗ハプテン抗体から選択され、前記ハプテンが、蛍光色素、ブロモ-d-UTP、アフラトキシン及び他のマイコトキシン、ペプチド、糖を含むがこれらに限定されない小分子である、方法。 - 多数のm-RNAまたはc-DNAの検出及び/または定量化のための方法である、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法であって、
各m-RNAまたはc-DNAに対して特異的な第1の増幅プライマーを提供すること、及び前記m-RNAまたは前記c-DNA及び各m-RNAまたはc-DNAに対して特異的な追加のプローブに付加された配列から選択される共通プライマー(試料中の全てのm-RNAまたはc-DNAに共通するもの)を第2の増幅プライマーとして提供すること、を含み、前記第1の増幅プライマー、前記第2の共通増幅プライマー、特異的プローブが、請求項6~17、28、29、34、35、46に岸尚標識プライマー対または標識プローブ対である、方法。 - 前記ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブが、非ヌクレオチド有機リンカー、ヘキサメチレン、ヘキサポリエチレングリコール、またはそれらのキメラ、またはそれらのより長い長さのものを介して前記アクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャー部分で標識されたプライマーに付着または連結されて提供され、前記プローブが、前記プローブに連結したプライマーの伸長を通じて生成された新生核酸鎖(nascent nucleic strand)にハイブリダイズする、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
- 核酸増幅反応を行うためのキットであって、単数または複数の容器に、請求項6、10~17、26~33、35、42、49~50、54~56に記載のドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプローブと、アクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(複数可)とを少なくとも選択的に含み、選択的に下記:
a)請求項8~17、28、34、41、43、48~50、54~56に記載の、少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー及びアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(複数)、
b)請求項28、43、48及び50並びに配列番号21~22から選択的に含まれる、少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(複数可)またはアクセプター・フルオロフォアまたはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(複数可)、
c)請求項19、23、24~25、29、35、48~50から選択的に含まれる、少なくともドナー・フルオロフォアで標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(複数可)及びアクセプター・フルオロフォアもしくはクエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(複数可)、
d)第1のプライマーを保有する、少なくともドナー・フルオロフォア及びアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたオリゴヌクレオチドプロモーター配列と、請求項41に記載のものを選択的に含む標的特異的な第2のプライマー、
e)少なくとも陽性対照鋳型及び陽性対照鋳型に特異的なドナー・フルオロフォア並びにアクセプター・フルオロフォア/クエンチャーで標識されたプライマーとの対、及び請求項6~17、24~35、41~43、48~50、54~56に記載のものを選択的に含むプローブ、
(f)請求項56に記載の標識プライマー対であって、前記ドナー・フルオロフォアで標識されたプローブが、非ヌクレオチド有機リンカー、ヘキサメチレン、ヘキサポリエチレングリコール、またはそれらのキメラ、またはそれらのより長い長さのものを介して前記アクセプター・フルオロフォア部分または前記クエンチャー部分で標識されたプライマーに付着または連結されて提供され、前記プローブが、前記プローブに連結したプライマーの伸長を通じて生成された新生核酸鎖(nascent nucleic strand)にハイブリダイズする、方法。 - 反応緩衝液、複数のデオキシヌクレオシド三リン酸、ポリメラーゼ酵素または酵素、陽性対照鋳型及び陽性鋳型のそれぞれの標識されたプライマー対をさらに含む、請求項57に記載のキット。
- 前記標的核酸が、精製もしくは部分精製された核酸または未精製の核酸であり、天然もしくは合成もしくは半合成の一本鎖もしくは二本鎖DNAもしくはRNA、一本鎖もしくは二本鎖c-DNA、ゲノムDNA、メチル化DNA、ミトコンドリアDNA、エキソソームDNA、プラスミドDNA、リボソームRNA(rRNA)、転移RNA(tRNA)、メッセンジャーRNA(m-RNA)、小分子RNA(マイクロRNA、sRNA、stRNA、snoRNA、ncRNAを含むがこれらに限定されない)、極小胚様幹細胞を含む幹細胞由来DNA、ウイルスDNAもしくはRNA、または癌細胞DNA(体液、生検試料、腫瘍、膿、唾液、糞便、癌幹細胞を含むがこれらに限定されない任意の供給源に由来する)、及び1つまたは2つの非標的合成配列を前記標的核酸の末端に付加することにより生成される一本鎖または二本鎖の合成または半合成DNAまたはRNAから選択され、標的核酸が、核酸分子全体を構成する必要はなく、また、感染因子のゲノム配列、ゲノム配列の変異(数個の塩基もしくは長い配列の単一塩基の変化もしくは欠失もしくは挿入)、または生死を問わない、ヒト細菌、酵母、真菌、植物、動物、ヒト、寄生生物及びそれらのウイルスならびに任意の他の生物のゲノム配列の存在もしくは不在またはそれらの変異(数個の塩基もしくは長い配列の単一塩基の変化もしくは欠失もしくは挿入)が、疾患もしくは障害の存在、または感染症もしくは疾患もしくは障害に対する感受性、または疾患治療に対する適合性、出生前診断、遺伝形質、遺伝子型、アレル型、SNP検出、細胞型、組織型、種もしくは株の種類、癌種もしくは癌のサブタイプ、癌の検出、疾患タイピングもしくはサブタイピング、発現遺伝子に関連付けられる、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
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