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JP2024522083A - ナノポアを使用して分子を検出する多重方法 - Google Patents

ナノポアを使用して分子を検出する多重方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2024522083000001
試料中の複数の分子を検出するための方法であって、(a)試料を担体及びナノポアと接触させることであって、担体が、一本鎖リーダーと、識別子領域と、検出される分子に特異的な分子結合領域と、を含み、モータータンパク質が、ナノポア内の識別子領域の移動を制御することができるように、担体に結合している、接触させることと、(b)担体がナノポア内を移動するとき、1つ以上の光学的又は電気的測定を行って、識別子領域を特徴付け、かつ分子が分子結合領域に結合しているか否かを判定することと、を含む、方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナノポア技術を使用して試料中の分子を検出する多重方法に関する。本発明はまた、分子を結合及び特定するための担体、及びそのような担体の集団、並びにそのような担体を含むキット及びシステムに関する。
生物学的センサは、医療診断の極めて重要な部分であり、急速に成長している業界の部分である。バイオマーカー(例えば、タンパク質)センシングに使用される現在の最先端の検出技術は、通常、ELISAアッセイを介した定量的な光学読み出し、又は定性的な色の読み出しとカップリングされており、低濃度によって制限され、まれな事象を隠す。抗体に基づく検出技術は、通常、ポリペプチド標的に範囲が限定され、低濃度での低い感度に苦しむ。質量分析(MS)に基づく技術は、概して、大規模な試料調製を必要とし、また、低濃度での低い感度に苦しむ場合があるが、標的化されたMS技術は、複数の標的を分析する場合、大きな試料サイズを必要とする。
ナノポア技術は、これまで非ポリヌクレオチド分子を検出するために使用されてきた。WO2013/121201には、アプタマーを含むプローブ及び膜貫通ポア技術を使用して1つ以上の分子の存在又は不在を判定するための方法が記載され、トロンビンの検出が例示されている。DNA担体は、これまで標的の選択的な標識なしの検出を可能にするために使用されてきたが、単一の分析物に限定され、容易に拡張することができない(例えば、Sze et al.”Nature comms 8.1(2017):1-10、及びCai et al.Nature comms 10.1(2019):1-9を参照されたい)。
更に、バイオマーカーのいくつかの集団、例えば、miRNAの集団は、寿命が短く、低濃度で存在し、これは、それらが現在、臨床的にアクセス不可能であることを意味する。
したがって、生体液などの複雑な試料中の複数の可溶性タンパク質、miRNA、及びバイオマーカーなどの他の分子の同時検出を達成することができる分析方法が必要とされている。更に、そのような技術には標的分子の非常に低い濃度を検出することができることも必要とされている。これを達成することができる技術は、例えば、診断及び病気の進行の監視のための医療において、広範囲に影響を与えることが期待される。そのような技術はまた、汚染物質(pollutant)又は他の汚染物質(contaminant)の存在について水試料を研究するなど、異なる分野で適用される可能性がある。
本開示は、タンパク質、miRNA、及び他のバイオマーカー、並びに他のタイプの分子を検出するために、ナノポア技術を利用する方法などに関する。この技術は、高い感度及び迅速な読み出しでの、未処理の試料における、直接に高度な多重化検出の可能性を有している。
したがって、以下のものが本明細書で提供される:
-試料中の複数の分子を検出するための方法であって、
(a)試料を担体及びナノポアと接触させることであって、担体が、一本鎖リーダーと、識別子領域と、検出される分子に特異的な分子結合領域と、を含み、モータータンパク質が、ナノポア内の識別子領域の移動を制御することができるように、担体に結合している、接触させることと、
(b)担体がナノポア内を移動するとき、1つ以上の光学的又は電気的測定を行って、識別子領域を特徴付け、かつ分子が分子結合領域に結合しているか否かを判定することと、を含む、方法、
-一本鎖リーダーと、識別子領域と、検出される分子に特異的な分子結合領域と、を含む担体であって、モータータンパク質が、一本鎖リーダーと識別子領域との間の位置で担体に結合している、担体、
-複数の分子のための担体の集団であって、各担体が、一本鎖リーダーと、識別子領域と、検出される分子に特異的な分子結合領域と、を含み、モータータンパク質が、一本鎖リーダーと識別子領域との間の位置で担体に結合しており、集団における異なる担体が、異なる識別子領域及び異なる分子結合領域を含む、担体の集団、
-試料中の複数の分子を検出するためのキットであって、
(i)担体の集団であって、各担体が、識別子領域と、検出される分子に特異的な分子結合領域と、を含み、集団における異なる担体が、異なる識別子領域及び異なる分子結合領域を含む、担体の集団と、
(ii)一本鎖リーダーを含むアダプターと、
(ii)モータータンパク質と、を含む、キット、並びに
-試料中の複数の分子を検出するためのシステムであって、
(i)担体の集団であって、各担体が、一本鎖リーダーと、識別子領域と、検出される分子に特異的な分子結合領域と、を含み、モータータンパク質が、一本鎖リーダーと識別子領域との間の位置で担体に結合しており、集団内の異なる担体が、異なる識別子領域及び異なる分子結合領域を含む、担体の集団と、
(iii)ナノポアと、を含む、システム。
バーコード配列決定及びバイオマーカーの検出の概略図。全体的に、主に、バーコードと、標的化された分析物が結合した結合領域(例えば、cDNA、アプタマー、抗体)と、からなるカスタム設計された鎖が膜につながれている。標的が結合した鎖は、生物学的ナノポア(CsgG)を通って転位することによって検出される。 (i)ナノポアへの通り抜けを容易にするためのリーダーと、(ii)捕捉速度を増強させるためのコレステロールリンカーを有するテザーと、(iii)印加電圧下でナノポアとカップリングするときに、バーコードを配列決定するための不規則な曲線のシグナルを提供するモータータンパク質と、(iv)ポリヌクレオチド識別子区画(例えば、バーコード又は繰り返され得る複数のバーコード)と、(v)バーコードを接続するスペーサーと、(vi)例えば、miRNA、タンパク質、又は神経伝達物質を選択的に標的とする、アプタマー/c-miRNA/抗体などの分子結合領域と、を含む、例示的な完全な担体の概略図。 (i)ナノポアへの通り抜けを容易にするためのリーダーと、(ii)捕捉速度を増強させるためのコレステロールリンカーを有するテザーと、(iii)印加電圧下でナノポアとカップリングするときに、バーコードを配列決定するための不規則な曲線のシグナルを提供するモータータンパク質と、からなるアダプターを含む、例示的な完全な担体の概略図。アダプターは、(i)単一Aのオーバーハングで相補鎖にハイブリダイゼーションされたアダプターライゲーション部分と、(ii)ポリヌクレオチド識別子区画(バーコード又は繰り返され得る複数のバーコード)と、(iii)バーコードを接続するスペーサーと、(iv)例えば、標的miRNA、タンパク質、又は神経伝達物質を選択的に結合するアプタマー/c-miRNA/抗体などの1つ以上の分子結合領域と、からなるDNA鎖にライゲーションされている。 担体及び分子結合領域上の分子の存在又は不在を判定するための方法の例示。酵素消化を使用して、特異的である分子に結合していない任意の分子結合領域を除去/消化する。(a)ニッキング酵素又はエンドヌクレアーゼの部位は、分子結合領域が、特異的である分子に結合している場合にはニッキング酵素又はエンドヌクレアーゼから隠されるが、分子が分子結合領域に結合していない場合には露出されるように、担体に含まれる。試料を、特異的である分子に対して分子結合領域に好適な条件下で担体と接触させた後、ニッキング酵素又はエンドヌクレアーゼを、分子結合領域が特異的である分子に結合していない任意の担体にニックが導入されるように添加し得る。そのような消化後、標的分子に結合している担体は、識別子領域(バーコード配列)によって生成されたシグナルの後の電流シグナルの存在又は不在に基づいて、標的分子に結合している担体と区別され得る。 担体及び分子結合領域上の分子の存在又は不在を判定するための方法の例示。酵素消化を使用して、特異的である分子に結合していない任意の分子結合領域を除去/消化する。(b)試料を、特異的である分子に対して分子結合領域に好適な条件下で担体と接触させた後、エキソヌクレアーゼを、分子結合領域が消化されるように添加され得る。そのような消化後、標的分子に結合している担体は、識別子領域(バーコード配列)によって生成されたシグナルの後の電流シグナルの存在又は不在に基づいて、標的分子に結合している担体と区別され得る。 バーコード配列決定及び逆多重化。(a)全ての配列は、ベースコールアルゴリズムでベースコールされ(スライド19~25を参照されたい)、バーコード配列である参照配列に整列される。最大整列スコアは、バーコードを分類するために使用される。最大整列スコア及び2番目に高いスコアが近すぎる場合、事象は分類されない。更に、p値は、事象を分類し、偽陽性分類を除去するために使用される。 バーコード配列決定及び逆多重化。(b)この方法では、記録された全ての事象の86%が使用及び分類され、99.95%の精度が達成される。 配列決定、整列、及びバーコード分類。(a)バーコード配列決定は、90%超の精度を有し、偽陽性について、0.0001%の可能性を有する。 配列決定、整列、及びバーコード分類。(b)誤ったバーコード分類に対する優先が非常に低いことを示す混同マトリックス。 バーコード1:TGCTACTCTCCTCATAAGCAGTCCGGTGTATCGAT, バーコード2:ATCGCTACGCCTTCGGCTCGTAATCATAGTCGAGT, バーコード3:AGCTCAGAGCAGGTCACTCAAGATACGAGCTGCGT, バーコード4:GTAAGTCTGCATCAGCGCGCGGCTGTGCGAGGATA, バーコード5:CTACGACAGTACGCTAGCAAGGATAGACACTACGA, バーコード6:TACTGAACACAAGTTCGTCGTCGAGCAATCACAAT, バーコード7:AGTCTACCATTACTTGGATCGGATTAGCCTCACTC, バーコード8:TGCACGAGTGCGTGTCAACCGTCCAGATGCTCGTG, バーコード9:CTAGTGCGCAGTTGTCTCGGCGGAGTTGAGACTGA, バーコード10:GATCATGGTAGTCTTCAAGATCGAGTATGTCTGTC. 複雑な混合物中で10個のバーコード化された担体を識別した。同じ濃度では、バーコード化された担体の検出率においてバイアスは観察されなかった。使用されたバーコードは、上記のバーコード1~10であった。 失速分析を使用して、標的がバーコード化された鎖に結合しているか否かを判定した。(a)標的分析物がバーコード化された鎖に結合していない場合、電流シグナルは、(滞留時間、電流振幅において)失速を示さない。 失速分析を使用して、標的がバーコード化された鎖に結合しているか否かを判定した。(b)結合した分析物(ここでは、相補的miRNAで例を示す)は、担体を失速させ、それは固有の電流プロファイルをもたらす。 miRNAを添加した場合(62.18%)よりも、miRNAを含まない担体(バーコード6)の失速が有意に少ない(6.4%)。 図8-1の続きである。 濃度依存性を有するmiRNAの多重化検出。10個の異なるバーコードは、10個の異なるmiRNAの検出及び区別を可能にする。捕捉速度においてはいくつかの不均一性が観察されたが、動作範囲は0~5nMのmiRNAで同様のままであった。使用されたバーコードは、上記のバーコード1~10であった。 miRNA1: CAGCAGCACACUGUGGUUUGU, miRNA2: AGAGCUUAGCUGAUUGGUGAAC, miRNA3: UAGCUUAUCAGACUGAUGUUG, miRNA4: ACCUGGCAUACAAUGUAGAUUU, miRNA5: UGUAAACAUCCCCGACUGGAAG, miRNA6: UGUAAACAUCCUACACUCUCAGC, miRNA7: AGCUGGUAAAAUGGAACCAAAU, miRNA8: GAGCUUUUGGCCCGGGUUAUAC, miRNA9: AACAUUCAUUGCUGUCGGUGGGU, miRNA10: UAGCACCAUCUGAAAUCGGUUA. 図9-1の続きである。 トロンビンと15merのトロンビン結合アプタマーとの間の結合の検出。トロンビンとの結合時に、不規則な曲線の事象は、はるかに長い滞留時間を示し、電流反転の観点から、400nMのトロンビンとの結合時の失速の有意な増加が見られ、これは、G四重鎖及びアプタマー-タンパク質相互作用の巻き戻しに対応する。実施例1で提供される第1のトロンビン担体をこの実験で使用した。 図10-1の続きである。 トロンビンと15merのトロンビン結合アプタマーとの間の結合の濃度依存性。結合を、トロンビン濃度を0nMから400nMに増加させることによって確認した。トロンビン濃度が増加するにつれて、より長い滞留時間を伴うより多くの不規則な曲線の事象として、担体の失速の増加が観察された。実施例1で提供される第1のトロンビン担体をこの実験で使用した。 ステム-ループアプタマーを使用したセロトニンの検出。実施例1に提供されるセロトニンアプタマーに関連するバーコード配列を使用した。担体におけるセロトニン及びアプタマーの構造を示す。バーコードがポアと相互作用する場合に生成されるシグナル、及びアプタマーがポアと相互作用する場合に生成されるシグナルを示す例示的な電流トレースが提供される。表及びグラフに示されるように、アプタマーの展開によって引き起こされる平均の遅延は、セロトニン濃度とともに増加する。 ステム-ループアプタマーを使用したセロトニンの検出。(A)セロトニンの不在下及び40mMのセロトニンの存在下での電流トレース。電流対滞留時間のプロットに示されるように、セロトニンの存在下で滞留時間が増加する。 図13A-1の続きである。 ステム-ループアプタマーを使用したセロトニンの検出。(B)0mM、2.5mM、5mM、10mM、20mM、及び40mMのセロトニンについての電流対滞留時間のプロットを示す。失速事象の濃度依存的な増加が観察された。 ステム-ループアプタマーを使用したアセチルコリンの検出。使用されたバーコード及びアプタマー配列を示す。アセチルコリンを伴わない、及び伴う担体の例示的な測定値が提供される。アセチルコリンの濃度と遅延パーセンテージとの間の相関が観察された。 モータータンパク質を伴わない分子の検出。(A)トロンビン結合アプタマー(TBA)を使用した、増加する濃度のトロンビンの検出。影付き領域は、TBAのシグナルを示す。より低いnAでシグナルを有する事象は、TBAが結合したトロンビンを示す。 図15A-1の続きである。 モータータンパク質を伴わない分子の検出。(B)セロトニン結合アプタマー(SBA)を使用した、増加するセロトニン濃度の検出。影付き領域は、SBAが結合したセロトニンのSBA単独について観察されるシグナルに関連する。 モータータンパク質を伴わない分子の検出。(C)多重化試料中のバーコードの検出。バーコードは、バーコード領域のシグナルの振幅に基づいて区別される。 図15C-1の続きである。 多重化スクリーニング及び検出戦略の例。担体の集団を使用して、スクリーニング及び診断のための生物学的パスポートを生成し得る。 担体鎖の配列-miRNA。 図17-1の続きである。 担体鎖の配列-タンパク質及び神経伝達物質。 バーコード分類の混同マトリックス。 複数のmiRNAの検出 A.対照(0nM)と比較して、10nMのmiRNAを有するバーコード化された試料(バーコード13)の転位時間の増加。 複数のmiRNAの検出 B.(上部)関連する移動標準偏差プロットを伴うバーコード事象の特性電流トレース。移動標準偏差がある特定の閾値(0.003)を下回る場合、事象は遅延として分類された。(下部)関連する移動標準偏差プロットを伴う遅延した事象の特性電流トレース。 複数のmiRNAの検出 C.単一バーコード(バーコード38)滴定曲線(n=5)。 複数のmiRNAの検出 D.同じ試料中の(それぞれの)miRNA濃度を増加させた40個の異なるバーコードの多重化滴定曲線(n=5)。 複数のmiRNAの検出 E.多重化実験(n=5)において添加された10nMのmiRNAについて検出された遅延を示し、10nMのmiRNAが添加された各バーコードについて個々の実験の散布図と重ね合わせた、箱ひげ図(n=1、ドット)。 多重化実験における未知のmiRNA濃度の定量化。(A)40個のバーコード多重化実験のための滴定曲線を個別にプロットした。各曲線は、ヒルフィット関数で適合された。添加されたmiRNAの真の濃度(濃い灰色)及び標準曲線に基づいて判定された添加されたmiRNAの予測濃度(薄い灰色)。結果は、予測された濃度と実際の濃度との間の非常に高い重複を示している。 多重化実験における未知のmiRNA濃度の定量化。(B)予測値から実際の値を引いた差(n=12)を示す残差解析。 cTnIの検出。A:cTnIアプタマー配列。 cTnIの検出。B: 事象時間の比較+/-30ng/mlのcTnI cTnIの検出。C: C3ピークまでの事象時間。 cTnIの検出。D: C3ピークから終了までの事象時間。cTnIの濃度-遅延関係、事象は、対照事象のt>95%ileで「遅延」される。 cTnIの検出。E: 総事象時間。 cTnIの検出。F: C3ピークまでの事象時間。 cTnIの検出。G: C3ピークから終了までの事象時間。
分子担体及び多重方法
本開示は、試料中の複数の分子を検出する方法に関する。本方法は、試料を担体と接触させることを含み、担体は、検出される分子に特異的な分子結合領域に関連した識別子領域を含む。モータータンパク質の制御下で、担体がポアなどの検出器内を移動するとき、識別子領域が特徴付けられ、分子が分子結合領域に結合しているか否かが判定される。したがって、方法は、関連する識別子領域の特徴付け及び分子が分子結合領域に結合しているか否かの判定から、検出される分子が存在するか、又は不在かを特定する。試料内の複数の分子が検出され得る。以下でより詳細に説明するように、本方法は、試料中の複数の分子を正しく検出及び特定することを可能にする。
上記で説明したように、試料中の分子を特定するための方法は、当該技術分野で既知である。当該技術分野で既知の1つの方法は、アプタマー及び尾部を含むプローブを含む(WO2013/121201を参照されたい)。異なるアプタマー及び異なる尾部を有する異なるプローブが提供され、各尾部は、分析物がアプタマーに結合しているか否かに応じて、ポアを通って流れる電流に対して異なる効果を有し得る。このようにして、本方法は、試料中の複数の分析物を検出し得る。アプタマーに結合した分析物の存在又は不在は、分析物がアプタマーに結合していないプローブと比較した場合、分析物がアプタマーに結合している場合のポアを通る尾部の移動の失速によって検出される。
しかしながら、従来技術の方法は、生成され得るプローブの多様性及び異なる尾部の数によって制限される。異なる分析物は、単に、プローブの長さ、プローブの尾部における二本鎖領域の存在又は不在、及び各担体における異なるアプタマーの異なる結合親和性を変化させることによって互いに区別される。これらの制限は、互いに区別され得る試料中の異なる分析物の数を制限する。
本発明者らは、試料内の多数の異なる分析物及び/又は担体を区別する方法を考案した。本発明者らは、ポア内の分子特異的な識別子領域の移動を制御することができるように、担体上に位置するモータータンパク質を含む担体を考案した。制御された移動は、例えば、配列決定によって、識別子領域の正確な特徴付けを可能にする。異なる分子を検出するように設計されたモータータンパク質を含む担体における識別子領域間の差は、ポアを通る担体の移動がこのように制御される場合、はるかに小さくなり得る。したがって、本発明者らによって考案された担体は、多数の異なる識別子領域の標識なしの特定を可能にする。したがって、単一試料中の複数の分析物を特定するための高度な多重化方法は、本担体を使用して実施され得る。異なる試料と接触した担体の代替識別子領域を含むことによって、本発明の方法はまた、複数の試料からの複数の分析物の同時測定を可能にする。
本明細書に開示の改良された方法は、試料中の非常に低レベルの分析物の検出において良いパフォーマンスを発揮する(すなわち、高い感度を有する)。本明細書に開示の方法は、超希釈試料(サブピコモルレベル)を使用して、例えば、希少タンパク質及びmiRNA分子の効率的な検出及びスクリーニングを可能にし、ハイスループットな方法で単一分子感度を達成し得る。本明細書に開示の方法は、例えば、約1pM~約1fMという低い濃度で試料中に存在する、タンパク質又はmiRNAなどのポリヌクレオチドなどの分子を検出するために使用され得る。分子を検出する標準的なアプタマーに基づく方法は、検出可能なシグナルを生成するためにより高い濃度の分析物を必要とする。本明細書に開示の方法は、単一分子レベルでの検出を可能にし、試料中の分子の濃度を判定するために使用され得る。担体の分子結合領域への分子の特異的な結合は、例えば、担体上の膜アンカーを介したポアを含む膜への局在化によって、分子の有効濃度を増加させることを可能にする。本明細書に開示の担体はまた、例えば、天然の臨床試料などの未処理の試料中の分子の多重検出を可能にするという利点も提供する。
したがって、本明細書で提供されるのは、試料中の複数の分子を検出するための方法において複数の分子を検出するための方法であって、
(a)試料を担体及びナノポアと接触させることであって、担体が、一本鎖リーダーと、識別子領域と、検出される分子に特異的な分子結合領域と、を含み、モータータンパク質が、ナノポア内の識別子領域の移動を制御することができるように、担体に結合している、接触させることと、
(b)担体がナノポア内を移動するとき、1つ以上の光学的又は電気的測定を行って、識別子領域を特徴付け、かつ分子が分子結合領域に結合しているか否かを判定することと、を含む、方法である。
識別子領域の特徴付け
担体は、1つ以上の識別子領域を含む。方法は、識別子領域を特徴付けるために、担体が、検出器と相互作用する、例えば、ポア内を移動することを必要とする。識別子領域を特徴付けるために行われ得る好適な測定は、以下に考察される。
好ましくは、識別子領域は、ポリヌクレオチドを含むか、又はそれである。好ましくは、識別子領域のポリヌクレオチド配列が、決定される。任意の好適な技術が、使用され得る。本開示は、特に、単一分子の特徴付け及び低濃度の分子の検出に適している。例示的な好適な配列決定技術は、本明細書においてより詳細に考察される。例えば、いくつかの好ましい実施形態では、配列決定技術は、ナノポアセンシング方法である。ナノポアセンシング方法は、ここで詳細に説明される。しかしながら、本明細書に開示の方法は、ナノポアセンシングに限定されない。他の単一分子配列決定技術は、本明細書に開示の方法に従うことが可能である。
ナノポア鎖配列決定において、識別子領域はポア内を移動する。識別子領域がポア内を移動するときに記録されたシグナルは、識別子領域の配列が決定されることを可能にする。識別子領域の他の特徴、例えば(i)ポリヌクレオチドの長さ、(ii)ポリヌクレオチドの同一性、(iii)ポリヌクレオチドの二次構造、及び(iv)ポリヌクレオチドが修飾されているか否かは、識別子領域を特徴付けるために代替的に又は追加的に決定され得る。
ナノポアのチャネル内の担体分子の存在は、ポアを通るオープンチャネルイオン流に影響を及ぼす。これがポアチャネルの「分子センシング」の本質である。オープンチャネルイオン流の変動は、好適な測定技術を使用して、例えば、電流の変化によって測定され得る(例えば、WO2000/28312、及びD.Stoddart et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,2010,106,7702-7又はWO2009/077734)。電流の減少によって測定されるイオン流の減少度は、ポア内又はポアの近くの障害物のサイズに関連している。類似の情報は、例えば、Huang et al.,Nature Nanotechnology 10,986-991(2015)に開示の光学的方法を使用して得られ得る。したがって、ポア内又はポアの近くでの目的とする分子(例えば、標的ポリヌクレオチド)の結合により、検出可能かつ測定可能な事象が提供され、それにより、「生物学的センサ」の基礎が形成される。
核酸分子又は個々の塩基がポア内を移動するとき(例えば、ナノポアのチャネルを通過するとき)、塩基間のサイズの違いにより、チャネルを通るイオン流の直接相関した減少が引き起こされる。イオン流の変動が記録され得る。イオン流の変動を記録するための好適な電気的測定技法は、例えば、WO2000/28312及びD.Stoddart et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,2010,106,pp7702-7(単一チャネル記録機器)、並びに例えばWO2009/077734(マルチチャネル記録技法)に記載されている。好適な較正により、イオン流の特徴的な減少を使用して、チャネルを横断する特定のヌクレオチド及び関連塩基をリアルタイムで特定することができる。典型的なナノポア核酸配列決定では、ヌクレオチドによるチャネルの部分的遮断のため、目的とするヌクレオチド配列の個々のヌクレオチドがナノポアのチャネルを連続して通過したときにオープンチャネルのイオン流が減少する。上記の好適な記録技法を使用して測定されるのは、このイオン流の減少である。イオン流の減少は、チャネルを通る既知のヌクレオチドについて測定されたイオン流の減少に較正することができ、結果としてどのヌクレオチドがチャネルを通過するかを判定するための手段が得られ、したがって、連続して行われる場合、ナノポアを通過する核酸のヌクレオチド配列を決定する方法が得られる。個々のヌクレオチドの正確な判定では、チャネルを通るイオン流の減少が、典型的には、狭窄部(又は「読み取りヘッド」)を通過する個々のヌクレオチドのサイズと直接相関する必要がある。配列決定は、例えば、ポリメラーゼ又はヘリカーゼなどの関連モータータンパク質の作用を介してポアを通って「通り抜けた」無傷の核酸ポリマーに対して実施され得ることが理解されるであろう。好適なモータータンパク質は、本明細書でより詳細に記載されている。
分子結合の判定
本方法は、分子が担体の分子結合領域に結合しているか否かを判定する。いくつかの実施形態では、本方法は、担体に特異的に結合した分子の存在又は不在を検出するために使用される。担体に特異的に結合した分子の不在の存在は、試料中の分子の不在の存在を示す。
方法はまた、遊離担体に対する分子結合担体の相対濃度、又は試料中の分子の絶対濃度など、分子の濃度を判定するために使用され得る。相対濃度及び絶対濃度は、得られた測定値から任意の好適な方法で計算され得る。相対濃度及び絶対濃度を判定する方法の例は、実施例及び図に提供される。
担体の分子結合領域と検出器との相互作用を使用して、分子が担体の分子結合領域に結合しているか否かを判定する。
ナノポア検出を使用する場合、分子結合領域は、分子結合領域が分子に特異的に結合しているか否かに応じて、ポアを通って流れる電流に影響を及ぼす。分子結合領域は、分子が結合していない場合には一方向にポアを通る電流に影響を及ぼし、分子が結合している場合には異なる方向にポアを通る電流に影響を及ぼす。これは、分子結合領域に特異的に結合した分子の存在又は不在、したがって、方法を使用して判定される試料中の分子の存在又は不在を可能にするため、重要である。
担体における分子特異的な識別子領域(すなわち、担体においてのみ存在する識別子領域であり、その担体はまた、所与の目的の分子に特異的な分子結合領域を含む)によって生成されるシグナルを使用して、担体に結合しているか、又は結合していない分子を特定し、したがって、試料中に存在するか、又は不在の分子を特定する。
分子が分子結合領域に結合しているか否かに応じて、ポアを通って流れる電流に対する分子結合領域の影響は、担体、又は担体の分子結合領域がポア内を移動するのにかかる時間に基づいて測定され得る。例えば、分子結合領域がアプタマーである場合、アプタマーの二次及び三次構造は、ポア内の担体の進行を検出可能に遅延させるか、又は一時的に失速させ得る。アプタマーがその同族分子に結合している場合、担体は、ポア内で進行するためのより高いエネルギー障壁を克服する必要があり得、ポアを通るアプタマーの進行の速度は、アプタマーが分子に結合していない場合よりも(伸長相互作用など)検出可能に遅延し得る。
いくつかの実施形態では、分子結合領域は、miRNAなどの標的分子に相補的なポリヌクレオチドであり得る。そのような実施形態では、分子結合領域が分子に結合していない場合、担体は「通常の」速度でポア内を進行し得る。分子結合領域がmiRNAなどの標的分子に結合する場合、そのとき、分子結合領域の二本鎖区画は、進行が検出可能に遅延又は失速されるように、ポア内の担体の進行に影響を及ぼし得る。このようにして、担体の分子結合領域に特異的に結合した分子の存在又は不在が判定され得る。
いくつかの実施形態では、分子結合領域は、抗体、抗体断片、ナノボディ、又はアフィボディであり得る。そのような分子結合領域の存在は、ポアを通る担体全体の移動を防止し得るが、分子の存在又は不在が判定され得る。理論に拘束されることを望まないが、担体のそのような分子結合領域は、ポアへの「漏れたプラグ」として機能する。ナノポア測定は、システム内の小さな変化に非常に敏感であり、個々のヌクレオチド塩基間を区別することができるため、分子が分子結合領域に結合しているか否かに応じて、プラグの「漏れ」の違いを検出することができる。
対照実験を実行して、分子が結合していない場合と比較して、担体が分子に特異的に結合している場合に、ポアを通って流れる電流及び/又は担体の進行に対して分子結合領域が有する影響を判定し得る。次いで、特定の分子が試験試料中に存在するか、又は不在かを判定するために、試験試料に対する本明細書に記載の方法の実行からの結果をそのような対照実験から導出された結果と比較し得る。これは、WO2013/121201においてより詳細に記載されている。
代替的な方法を使用して、分子が分子結合領域に結合しているか否かを判定し得る。例えば、分子が結合している場合と分子が結合していない場合の、分子結合領域の消化の差異に依存する消化に基づく方法が使用され得る。概して、担体の分子結合領域に結合した分子は、分子結合領域を消化から保護し得る。
例えば、分子結合領域がポリヌクレオチドである場合、制限酵素又は一本鎖ニッキング酵素などの部位特異的エンドヌクレアーゼが使用され得る。分子が結合していない場合、ポリヌクレオチド分子結合領域は消化され、ポア内で担体が移動すると、その不在が検出される。分子が結合している場合、ポリヌクレオチド分子結合領域は、消化されないか、又は単に「ニックが入り」、上記のように、ポア内の担体の進行の遅延又は失速、及び任意選択で、分子結合領域の特徴付けをもたらす。
消化方法は、分子結合領域が、抗体、抗体断片、ナノボディ、又はアフィボディなどのポリヌクレオチドである場合にも適用され得る。分子結合領域への分子の結合は、プロテアーゼ標的部位の保護をもたらし得、したがって、分子結合領域は消化されない。分子が不在の場合、分子結合領域は消化され得る。シグナルの差を使用して、担体上の分子の存在又は不在を判定し得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスペーサーは、担体の分子結合領域のリーダー配列側に位置付けされ得る。スペーサーは、ポア内の担体の進行を遅延させるか、又は失速させ、したがって、測定されたシグナルにおける分子結合領域の位置の指標を提供する。更に、スペーサーの存在はまた、分子が結合している場合にポア内の担体の進行の遅延又は失速が誇張されることを可能にし、したがって、担体上の分子の存在又は不在を判定するためのより明確なシグナルを提供する。
本方法はまた、実施例でより詳細に記載されるように、分子の濃度を判定することを可能にする。いくつかの実施形態では、試料における遊離担体と比較した分子が結合した担体の相対濃度を判定する。これは、試料間の分子レベルの相対的変化の判定に有用であり得る。いくつかの実施形態では、試料内の分子の絶対濃度を判定し得る。これは、実施例に例示されるように、標準曲線を参照として使用して実施され得る。
本方法は、好ましくは、複数の分子を同時に検出することを可能にする多重方法である。例えば、本方法は、5つ以上、10個以上、50個以上、100個以上、例えば、200~500個、500個以上、例えば、600~1000個、又は少なくとも1000個、例えば、1000~10000個などの2つ以上の異なる分子を検出するためのものであり得る。
モータータンパク質
当業者が理解するように、任意の好適なモータータンパク質を本明細書に提供される方法及び製品に使用することができる。モータータンパク質は、ポリヌクレオチドに結合し、ナノポアなどの検出器に関する、例えばポアを通るその移動を制御することができる任意のタンパク質であり得る。いくつかの実施形態では、2つ以上のモータータンパク質が担体に結合している。
いくつかの実施形態では、モータータンパク質は、ポリヌクレオチドハンドリング酵素であるか、又はそれに由来する。ポリヌクレオチドハンドリング酵素は、ポリヌクレオチドと相互作用し、ポリヌクレオチドの少なくとも1つの特性を改変することが可能なポリペプチドである。酵素は、ポリヌクレオチドを特定の位置に配向させるか又は移動させることによって、ポリヌクレオチドを修飾することができる。
いくつかの実施形態では、モータータンパク質は、酵素分類(EC)群3.1.11、3.1.13、3.1.14、3.1.15、3.1.16、3.1.21、3.1.22、3.1.25、3.1.26、3.1.27、3.1.30及び3.1.31のうちのいずれかのメンバーに由来する。
典型的には、モータータンパク質は、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、エキソヌクレアーゼ、トポイソメラーゼ、又はそれらのバリアントである。
モータータンパク質は、典型的には、担体が溶液中にあるとき、担体上で失速される。いくつかの実施形態では、担体上のモータータンパク質は、モータータンパク質が(スペーサーの末端から外れて移行することによって以外)担体から離脱するのを防止するように修飾される。モータータンパク質を任意の好適な方法で適合させることができる。例えば、モータータンパク質が担体にロードされ、その後、それがスペーサーから離脱するのを防止するように修飾され得る。代替的に、モータータンパク質が担体にロードされる前に、それが担体から離脱するのを防止するように修飾され得る。モータータンパク質が担体から離脱するのを防止するためのモータータンパク質の修飾は、WO2014/013260において考察されている方法など当該技術分野で既知の方法を使用して達成され得、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、特にポリヌクレオチド鎖から離脱するのを防止するためのヘリカーゼなどのモータータンパク質の修飾について記載する一節を参照する。
例えば、モータータンパク質は、モータータンパク質がポリヌクレオチド鎖から離脱するときにその鎖が通過することができるポリヌクレオチド非結合開口部、例えば、空洞、溝、又は空隙を有し得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド非結合開口部は、モータータンパク質がスペーサーから離脱するときにスペーサーが通過することができる開口部である。いくつかの実施形態では、所与のモータータンパク質のポリヌクレオチド非結合開口部は、その構造を参照することにより、例えば、そのX線結晶構造を参照することにより判定することができる。X線結晶構造は、ポリヌクレオチド基質の存在下及び/又は不在下で得ることができる。いくつかの実施形態では、所与のモータータンパク質におけるポリヌクレオチド非結合開口部の位置は、当該技術分野で既知の標準パッケージを使用して分子モデリングによって推定又は確認され得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド脱結合開口部は、モータータンパク質の1つ以上の部分、例えば、1つ以上のドメインの移動によって過渡的に生成され得る。
モータータンパク質は、ポリヌクレオチド非結合開口部を閉鎖することによって修飾され得る。したがって、ポリヌクレオチド非結合開口部を閉鎖することにより、モータータンパク質がスペーサーから離脱するのが防止され得る。例えば、モータータンパク質は、ポリヌクレオチド非結合開口部を共有結合的に閉じることによって修飾され得る。いくつかの実施形態では、この方式で対処するための好ましいモータータンパク質は、ヘリカーゼである。
一実施形態では、モータータンパク質は、エキソヌクレアーゼである。好適な酵素には、E.coli由来のエキソヌクレアーゼI(配列番号1)、E.coli由来のエキソヌクレアーゼIII酵素(配列番号2)、T.thermophilus由来のRecJ(配列番号3)及びバクテリオファージラムダエキソヌクレアーゼ(配列番号4)、TatDエキソヌクレアーゼ、並びにそれらのバリアントが含まれるが、これらに限定されない。配列番号3に示される配列又はそのバリアントを含む3つのサブユニットが相互作用して、トリマーエキソヌクレアーゼを形成する。
一実施形態では、モータータンパク質は、ポリメラーゼである。ポリメラーゼは、PyroPhage(登録商標)3173DNAポリメラーゼ(Lucigen(登録商標)Corporationから市販されている)、SDポリメラーゼ(Bioron(登録商標)から市販されている)、NEBからのKlenow、又はそれらのバリアントであり得る。一実施形態では、酵素は、Phi29 DNAポリメラーゼ(配列番号5)又はそのバリアントである。本開示において使用され得るPhi29ポリメラーゼの修飾されたバージョンが米国特許第5,576,204号に開示されている。
一実施形態では、モータータンパク質は、トポイソメラーゼである。一実施形態では、トポイソメラーゼは、部分分類(EC)群5.99.1.2及び5.99.1.3のうちのいずれかのメンバーである。トポイソメラーゼは、RNA鋳型からのcDNAの形成を触媒することが可能な酵素である、逆転写酵素であり得る。それらは、例えば、New England Biolabs(登録商標)及びInvitrogen(登録商標)から市販されている。
一実施形態では、モータータンパク質は、ヘリカーゼである。任意の好適なヘリカーゼが、本明細書に提供される方法に従って使用され得る。例えば、本開示に従って使用されるモータータンパク質又は各モータータンパク質は、Hel308ヘリカーゼ、RecDヘリカーゼ、TraIヘリカーゼ、TrwCヘリカーゼ、XPDヘリカーゼ、及びDdaヘリカーゼ、又はそれらのバリアントから独立して選択され得る。モノマーヘリカーゼは、一緒に結合されたいくつかのドメインを含み得る。例えば、TraIヘリカーゼ及びTraIサブグループヘリカーゼは、2つのRecDヘリカーゼドメイン、1つのリラクサーゼドメイン、及び1つのC末端ドメインを含有し得る。ドメインは、典型的には、オリゴマーを形成することなく機能することが可能であるモノマーヘリカーゼを形成する。好適なヘリカーゼの特定の例としては、Hel308、NS3、Dda、UvrD、Rep、PcrA、Pif1、及びTraIが挙げられる。これらのヘリカーゼは、典型的には、一本鎖DNAに作用する。二本鎖DNAの両方の鎖に沿って移動することができるヘリカーゼの例としては、FtfK及び六量体酵素複合体、又はRecBCDなどのマルチサブユニット複合体が挙げられる。Hel308ヘリカーゼは、その全内容が参照により組み込まれる、WO2013/057495などの刊行物に記載されている。RecDヘリカーゼは、その全内容が参照により組み込まれる、WO2013/098562などの刊行物に記載されている。XPDヘリカーゼは、その全内容が参照により組み込まれる、WO2013/098561などの刊行物に記載されている。Ddaヘリカーゼは、これらの各々の全内容が参照により組み込まれる、WO2015/055981及びWO2016/055777などの刊行物に記載されている。
一実施形態では、ヘリカーゼは、配列番号6に示される配列(Trwc Cba)若しくはそのバリアント、配列番号7に示される配列(Hel308 Mbu)若しくはそのバリアント、又は配列番号8に示される配列(Dda)若しくはそのバリアントを含む。バリアントは、本明細書において考察される方式のうちのいずれかにおいて天然配列とは異なり得る。配列番号8の例示的なバリアントは、E94C/A360Cを含む。配列番号8の更なる例示的なバリアントは、E94C/A360C、次いで(ΔM1)G1G2(すなわち、M1の欠失、次いでG1及びG2の付加)を含む。
いくつかの実施形態では、モータータンパク質(例えば、ヘリカーゼ)は、作動の少なくとも2つの活性モード(モータータンパク質が移動を容易にするのに必要な全ての成分、例えば、本明細書において考察されるATP及びMg2+などの燃料及び補因子を備えている場合)及び作動の1つの不活性モード(モータータンパク質が移動を容易にするのに必要な成分を備えていない場合)でポリヌクレオチドの移動を制御し得る。
移動を容易にするのに必要な全ての成分を備えている場合(つまり、活性モードで)、モータータンパク質(エゲリカーゼ)は、ポリヌクレオチドに沿って5’から3’又は3’から5’の方向(モータータンパク質によって異なる)に移動する。モータータンパク質を使用してナノポアに対するポリヌクレオチド鎖の移動を制御する実施形態では、モータータンパク質を使用して、ポリヌクレオチドを(例えば、印加された場に逆らって)ポアから離れて(例えば、それから出て)移動させるか、又はポリヌクレオチドを(例えば、印加された場に従って)ポアに向かって(例えば、その中に)移動させるかのいずれかを行うことができる。例えば、モータータンパク質が向かって移動するポリヌクレオチドの末端がポアによって捕捉されると、モータータンパク質は、印加された電位から生じる場の方向に逆らって作用し、ねじ状(threaded)ポリヌクレオチドをポアから(例えばシスチャンバ内に)引き抜く。しかしながら、モータータンパク質が離れて移動する端がポア内で捕捉されると、モータータンパク質は、印加された電位から生じる場の方向に従って作用し、ねじ状ポリヌクレオチドをポア内に(例えば、トランスチャンバ内に)押し込む。
モータータンパク質(例えば、ヘリカーゼ)が移動を容易にするのに必要な成分を備えていない場合(すなわち、不活性モードで)、モータータンパク質は、ポリヌクレオチドに結合し、ポリヌクレオチドが、例えば印加された電位から生じる場によってポア内に引き込まれることによってナノポアに対して移動するときに、ポリヌクレオチドの移動を遅延させるブレーキとして機能することができる。不活性モードでは、ポリヌクレオチドのどちらの末端が捕捉されるかは問題ではなく、ポアに対するポリヌクレオチドの移動を決定するのは印加される場であり、モータータンパク質は、ブレーキとして作用する。不活性モードにある場合、モータータンパク質によるポリヌクレオチドの移動制御は、ラチェッティング、スライディング、及びブレーキングを含む、いくつかの方式で記載することができる。
活性モードでは、モータータンパク質は、典型的には、燃料分子を消費する。燃料は、典型的には、遊離ヌクレオチド又は遊離ヌクレオチド類似体である。遊離ヌクレオチドは、限定されないが、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン一リン酸(GMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)、チミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)、チミジン三リン酸(TTP)、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、環式アデノシン一リン酸(cAMP)、環式グアノシン一リン酸(cGMP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシアデノシン二リン酸(dADP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシグアノシン二リン酸(dGDP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(dTDP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシシチジン二リン酸(dCDP)、及びデオキシシチジン三リン酸(dCTP)のうちの1つ以上であり得る。遊離ヌクレオチドは、通常、AMP、TMP、GMP、CMP、UMP、dAMP、dTMP、dGMP、又はdCMPから選択される。遊離ヌクレオチドは、典型的には、アデノシン三リン酸(ATP)である。
モータータンパク質の補因子は、モータータンパク質が機能することを可能にする因子である。補因子は、好ましくは、二価金属カチオンである。二価金属カチオンは、好ましくは、Mg2+、Mn2+、Ca2+、又はCo2+である。補因子は、最も好ましくは、Mg2+である。
本明細書に記載の方法では、モータータンパク質は、膜貫通ポアなどの検出器内の識別子領域の移動を制御することができるように、担体に結合している。
検出器内の担体の移動は、任意の好適な手段によって制御され得る。いくつかの実施形態では、構築物の移動は、物理的又は化学的力(電位)によって駆動される。いくつかの実施形態では、物理的な力は、電気的(例えば電圧)電位又は温度勾配などによって提供される。
いくつかの実施形態では、検出器は、ナノポアであり、構築物は、電位がナノポアを横切って印加されると、ナノポアに対して移動する。ポリヌクレオチドは負に帯電しているため、ナノポアを横切って電位を印加すると、ポリヌクレオチドは、印加された電位の影響下でナノポアに対して移動する。例えば、正の電位がナノポアのシス側に対してナノポアのトランス側に印加されると、負に帯電した分析物がナノポアのシス側からナノポアのトランス側に移動するように誘導される。同様に、正の電位がナノポアのシス側に対してナノポアのトランス側に印加される場合、これは、ナノポアのトランス側からナノポアのシス側への負に帯電した分析物の移動を妨げる。負の電位がナノポアのシス側に対してナノポアのトランス側に印加されると、逆のことが起こる。適切な電圧を印加する装置及び方法は、本明細書でより詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、化学的力は、濃度(例えば、pH)勾配によって提供される。
試料
試料は、任意の好適な試料であり得る。試料は、生体試料であってもよい。本明細書に記載のいずれの方法も、任意の有機体又は微生物から得られたか、又は抽出された試料に対してインビトロで実行され得る。有機体又は微生物は、通常は、古細菌、原核生物、又は真核生物であり、通常は、植物界、動物界、真菌界、モネラ界、及び原生生物界の五界のうちの一つに属する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の様々な態様の方法は、任意のウイルスから得られたか、又は抽出された試料に対してインビトロで実行され得る。
試料は、好ましくは、流体試料である。試料は、複雑な生物流体であってもよい。試料は、通常は、体液を含む。体液は、ヒト又は動物から取得してもよい。ヒト又は動物は、疾患を有する、疾患を有する疑いがある、又は疾患の危険性があるものであってもよい。試料は、尿、リンパ液、唾液、粘液、精液、脳脊髄液又は羊水、全血、血漿、又は血清であり得る。典型的には、試料は、ヒト由来のものであるが、代わりに、別の哺乳動物由来のもの、例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ又はブタなどの商業的に飼育されている動物由来のもの、あるいはネコ又はイヌなどのペットであってもよい。
代替的に、植物由来の試料は、通常は、穀物、豆類、果物、又は野菜などの市販の作物、例えば、小麦、大麦、オート麦、セイヨウアブラナ、トウモロコシ、大豆、米、バナナ、リンゴ、トマト、ジャガイモ、ブドウ、タバコ、豆、レンズ豆、サトウキビ、ココア、綿、茶、又はコーヒーから取得する。
試料は、非生体試料であってもよい。非生体試料は、好ましくは、流体試料である。非生体試料の例としては、外科用流体、水、例えば飲料水、海水、又は河川水、及び臨床検査用の試薬が挙げられる。
試料は、典型的には、アッセイされる前に、例えば、遠心分離によって、又は不必要な分子若しくは細胞、例えば赤血球を濾過して取り除く膜への通過によって処理され得る。試料は、採取された直後に測定されてもよい。試料はまた、典型的には、アッセイの前に、好ましくは-70℃未満で保管され得る。
いくつかの実施形態では、試料は、ゲノムDNAを含み得る。ゲノムDNAは、断片化され得るか、又は本明細書に記載のいずれの方法もゲノムDNAを断片化することを更に含み得る。DNAは、任意の好適な方法によって断片化され得る。例えば、DNAを断片化する方法は、当該技術分野で既知である。そのような方法は、MuAトランスポザーゼなどのトランスポザーゼ、又は市販のGチューブを使用し得る。
本明細書に開示の方法は、1つ以上の試料から1つ以上の分子を検出し、単一のアッセイを使用して、どの試料で分子が検出されるかを判定するために使用され得る。これは、特定の分子結合領域に関連する識別子領域及び特定の試料に関連する識別子領域の両方を含む担体が使用される場合に、達成され得る。1つ以上の試料は、少なくとも3、4、5、10、20、50、又は100個の試料など、2つ以上であり得る。試料は、例えば、異なる患者、患者内の異なるタイプの組織、又は異なる時点で採取され得る。異なる時点は、秒、分、日、月、又は年によって区切られ得る。試料には、1つ以上の対照試料が含まれ得る。
試料は、試料調製なしで、又は最小限の試料調製で調べられ得るか、又は試料は、例えば、本方法における使用前に、不純物を除去するか、又は検出される分子のタイプを濃縮するために処理をされ得る。未処理又は最小限に処理された試料を使用する能力は、試料収集から分析への迅速なターンオーバーをもたらす。
分子
本明細書に記載の担体は、検出される分子に特異的な分子結合領域を含む。本明細書に開示の方法は、複数の分子を検出するためのものである。本明細書で提供される「分子」という用語は、「分析物」という用語と互換的に使用され得る。
分子は、分子結合領域によって特異的に結合し得る任意の分子であり得る。例えば、分子は、金属イオン、無機塩、ポリマー、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、染料、漂白剤、医薬品、診断薬、レクリエーショナルドラッグ、爆発物、及び/又は環境汚染物質であり得る。分子は、バイオマーカーであり得る。本方法は、2つ以上のタンパク質、2つ以上のヌクレオチド、又は2つ以上の医薬品など、2つ以上の同じタイプの分子を検出することを含み得る。本方法は、1つ以上のタンパク質、1つ以上のヌクレオチド、及び1つ以上の医薬品など、2つ以上の異なるタイプの分子を検出することを含み得る。
分子は、細胞から分泌され得る。代替的に、分子は、本方法が実行され得る前に分子が細胞から抽出される必要があるように、細胞内に存在していてもよい。
一実施形態では、分子は、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、及び/又はポリヌクレオチドから選択される。
一実施形態では、分子は、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド及び/又はタンパク質から選択される。アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、天然に生じるものであっても、非天然に生じるものであってもよい。ポリペプチド又はタンパク質は、それらの中に合成又は修飾アミノ酸を含み得る。アミノ酸へのいくつかの異なるタイプの修飾が当該技術分野で既知である。好適なアミノ酸及びその修飾は、膜貫通ポアに関して以下に考察される。本開示の目的のために、分子は、当該技術分野で利用可能な任意の方法によって修飾され得ることを理解されたい。
タンパク質は、酵素、抗体、ホルモン、成長因子、又はサイトカインなどの成長調節タンパク質であり得る。サイトカインは、IL-1、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、及びIL-13などのインターロイキン、IFN-γなどのインターフェロン、並びにTNF-αなどの他のサイトカインから選択され得る。タンパク質は、細菌タンパク質、真菌タンパク質、ウイルスタンパク質、又は寄生生物由来タンパク質であり得る。
一実施形態では、分子は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、及び/又はポリヌクレオチドから選択される。ヌクレオチドは、典型的には、核酸塩基、糖、及び少なくとも1つのリン酸基を含有する。核酸塩基は、典型的には、複素環式である。核酸塩基には、プリン及びピリミジン、より具体的にはアデニン、グアニン、チミン、ウラシル、及びシトシンが挙げられるが、これらに限定されない。糖は、典型的には、ペントース糖である。ヌクレオチド糖としては、限定されないが、リボース及びデオキシリボースが挙げられる。ヌクレオチドは、典型的には、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドである。ヌクレオチドは、典型的には、一リン酸、二リン酸、又は三リン酸を含有する。リン酸は、ヌクレオチドの5’又は3’側に結合され得る。
ヌクレオチドには、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン一リン酸(GMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)、チミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)、チミジン三リン酸(TTP)、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、5-メチルシチジン一リン酸、5-メチルシチジン二リン酸、5-メチルシチジン三リン酸、5-ヒドロキシメチルシチジン一リン酸、5-ヒドロキシメチルシチジン二リン酸、5-ヒドロキシメチルシチジン三リン酸、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、環状グアノシン一リン酸(cGMP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシアデノシン二リン酸(dADP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシグアノシン二リン酸(dGDP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(dTDP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシシチジン二リン酸(dCDP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、5-メチル-2’-デオキシシチジン一リン酸、5-メチル-2’-デオキシシチジン二リン酸、5-メチル-2’-デオキシシチジン三リン酸、5-ヒドロキシメチル-2’-デオキシシチジン一リン酸、5-ヒドロキシメチル-2’-デオキシシチジン二リン酸、及び5-ヒドロキシメチル-2’-デオキシシチジン三リン酸が挙げられるが、これらに限定されない。ヌクレオチドは、好ましくは、AMP、TMP、GMP、UMP、dAMP、dTMP、dGMP、又はdCMPから選択される。ヌクレオチドは、脱塩基であり得る(すなわち、核酸塩基を欠く)。ヌクレオチドは、追加の修飾を含有してもよい。特に、好適な修飾されたヌクレオチドには、2’-アミノピリミジン(2’-アミノシチジン及び2’-アミノウリジンなど)、2’-ヒドロキシルプリン(2’-フルオロピリミジンなど(2’-フルオロシチジン及び2’フルオロウリジンなど)、ヒロドキシルピリミジン(5’-α-P-ボラノウリジンなど)、2’-O-メチルヌクレオチド(2’-O-メチルアデノシン、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-メチルシチジン、及び2’-O-メチルウリジンなど)、4’-チオピリミジン(4’-チオウリジン及び4’-チオシチジンなど)が含まれるが、これらに限定されず、ヌクレオチドは、核酸塩基の修飾(5-ペンチニル-2’-デオキシウリジン、5-(3-アミノプロピル)-ウリジン、及び1,6-ジアミノヘキシル-N-5-カルバモイルメチルウリジンなど)を有する。
オリゴヌクレオチドは、典型的には、40以下、30以下、20以下、10以下、又は5以下のヌクレオチドなどの、50以下のヌクレオチドを有する短いヌクレオチドポリマーである。オリゴヌクレオチドは、脱塩基及び修飾されたヌクレオチドを含む、上に考察されたヌクレオチドのうちのいずれかを含み得る。
ポリヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖であり得る。ポリヌクレオチドの少なくとも一部は、二本鎖であってもよい。ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)などの核酸であり得る。ポリヌクレオチドは、DNAの1つの鎖にハイブリダイズした1つの鎖のRNAを含み得る。ポリヌクレオチドは、ペプチド核酸(PNA)、グリセロール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ロック核酸(LNA)、又はヌクレオチド側鎖を有する他の合成ポリマーなどの当該技術分野で既知の任意の合成核酸であり得る。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチドを含む、上記で考察されたヌクレオチドのうちのいずれかを含み得る。
ポリヌクレオチドは、任意の長さであり得る。例えば、ポリヌクレオチドは、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、又は少なくとも500ヌクレオチド長若しくはヌクレオチド対長であり得る。ポリヌクレオチドは、1000ヌクレオチド長以上若しくはヌクレオチド対長以上、5000ヌクレオチド長以上若しくはヌクレオチド対長以上、又は100000ヌクレオチド長以上若しくはヌクレオチド対長以上であり得る。
一実施形態では、分子は、マイクロRNA(miRNA)である。miRNAは、遺伝子発現の転写後調節において役割を果たす一本鎖RNAポリヌクレオチド分子である。
分子は、特定の表現型又は特定のタイプの細胞に関連し得る。例えば、分子は、細菌細胞を示し得る。分子は、ウイルス、真菌、又は寄生生物を示し得る。これらの分子は、レクリエーショナルドラッグ(SAMHSA5パネル試験など)、爆発物、又は環境汚染物質の特定のパネルであり得る。
一実施形態では、分子は、疾患又は状態を診断又は予後するために使用され得るバイオマーカーである。バイオマーカーは、タンパク質又はポリヌクレオチドなどの上記の分子のうちのいずれかであり得る。バイオマーカーの好適なパネルは、例えば、Edwards,A.V.G.et al.(2008)Mol.Cell.Proteomics 7,p1824-1837、Jacquet,S.et al.(2009),Mol.Cell.Proteomics 8,p2687-2699、Anderson N.L.et al(2010)Clin.Chem.56,177-185に記載のように、当該技術分野で既知である。疾患又は状態は、好ましくは、がん、冠状動脈性心疾患、心血管疾患、又は敗血症である。
一実施形態では、分子は、神経伝達物質である。神経伝達物質は、細胞間でシナプスを横切ってシグナルを伝達する分子である。神経伝達物質の例としては、アセチルコリン、ドーパミン、エピネフリン、ノルエピネフリン、ATPなどのヌクレオチド、グルタメート、アスパラテート、及びδ-アミノ酪酸などのアミノ酸、並びにエンケファリンが挙げられる。
リーダー配列
本開示の担体は、一本鎖リーダー配列を含む。リーダー配列は、典型的には、ポリヌクレオチド、例えば、DNA若しくはRNA、修飾されたポリヌクレオチド(脱塩基DNAなど)、PNA、LNA、ポリエチレングリコール(PEG)、又はポリペプチドなどのポリマーを含む。いくつかの実施形態では、リーダー配列は、ポリdT区画などのDNAの一本鎖を含む。リーダー配列は、任意の長さであり得るが、典型的には、20~120、30~100、40~80、又は50~70ヌクレオチド長などの、10~150ヌクレオチド長である。
識別子領域
本開示の担体は、識別子領域を含む。担体は、2つ以上、3、4、5つ以上など2つ以上の識別子領域、例えば、約10個以上の識別子領域などを含み得る。いくつかの実施形態では、担体上の異なる識別子領域は、識別子領域が検出器内を通過するとき、関連した分子結合領域の同一性が判定され得るように、異なる分子結合領域と関連し得る。したがって、担体は、一連の識別子領域及び分子結合領域を含み得る。担体は、検出器内の識別子領域の移動が、担体に結合したモータータンパク質によって制御されるように配置される。
いくつかの実施形態では、担体上の2つ以上の識別子領域の存在を使用して、異なる試料から担体を区別し得る。いくつかの実施形態では、2つ以上識別子領域を含む担体は、複数の試料中の複数の分子を検出するための方法において使用され得、したがって、担体は、例えば、試料に固有の1つの識別子領域及び担体が結合する分子に固有の1つの識別子領域を含み得る。担体の識別子領域は、担体が膜貫通ポアに接触すると、担体に結合したモータータンパク質が膜貫通ポア内の識別子領域の移動を制御するように位置付けされる。
識別子領域の目的は、担体に結合している分子の同一性の固有のシグナルとして機能することである。更なる識別子領域は、例えば、担体が接触された試料を特定するために、担体の供給源の固有のシグナルとして機能し得る。いくつかの実施形態では、識別子領域は、ポリヌクレオチドであるか、又はポリヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチドは、以下に考察されるもののうちのいずれかであり得る。識別子ポリヌクレオチドは、2~200、2~100、2~75、2~50、2~40、2~30、2~25、4~100、4~75、4~50、4~40、4~30、4~25、4~20、4~15、4~10、6~100、6~75、6~50、6~40、6~30、6~25、6~20、6~15、6~10、8~100、8~75、8~50、8~40、8~30、8~25、8~20、又は8~15ヌクレオチド長などの2~300ヌクレオチド長であり得る。
いくつかの実施形態では、分子結合領域又はその一部は、識別子領域である。例えば、識別子領域は、分子結合領域と重複し得る。そのような実施形態では、分子結合領域及び識別子領域は、好ましくはポリヌクレオチドである。分子結合領域が、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズするアプタマー又はポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチドである場合、分子結合領域のポリヌクレオチド配列は、結合した分子に固有であり、したがって、分子を特定するために作用する。いくつかの実施形態では、識別子領域及び分子結合領域は、重複しない。
いくつかの実施形態では、識別子領域は、バーコード配列を含む。ポリヌクレオチドバーコードは、当該技術分野で周知である(Kozarewa,I.et al,(2011),Methods Mol.Biol.733,p279-298)。バーコードは、特異的かつ既知の方法でポアを通って流れる電流に影響を及ぼすポリヌクレオチドの特異的な配列である。バーコード配列は、典型的には、4ヌクレオチド長以上、8ヌクレオチド長以上、又は12ヌクレオチド長以上などの2ヌクレオチド長以上である。いくつかの実施形態では、バーコード配列は、2~45、2~40、2~35、2~30、2~25、4~50、4~45、4~40、4~35、4~30、4~25、4~20、4~15、4~10、6~50、6~45、6~40、6~35、6~30、6~25、6~20、6~15、6~10、8~50、8~45、8~40、8~35、8~30、8~25、8~20、又は8~15ヌクレオチド長などの2~50ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、バーコード配列は、10~50、10~45、10~40、10~35、10~30、10~25、又は10~20ヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態では、バーコード配列は、15~50、15~45、15~40、15~35、15~30、又は15~25ヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態では、バーコード配列は、20~50、20~45、20~40、20~35、又は20~30ヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態では、バーコード配列は、25~50、25~45、25~40、又は25~35ヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態では、バーコード配列は、約10、15、20、25、30、35、40、45、又は50ヌクレオチド長であり得る。
バーコードの長さが長いほど、使用され得る固有の組み合わせの数が多くなる。バーコード配列決定の精度を増加させるために、バーコードは担体において繰り返され、バーコードが校正読み取りされることを可能にし得る。したがって、識別子領域は、3~10個などの2つ以上、例えば、3つ以上、4つ以上、5つ以上、又は6つ以上のコピーのバーコードを含み得る。
バーコード化は、ハイライト多重化検出を可能にする。例えば、4塩基のバーコードは、最大256個のタンパク質又はmiRNA標的を可能にする(4=256)固有の構成を生成するであろう。塩基の数を増やして、例えば、4、412個の固有の組み合わせを生成し得る。例えば、8塩基配列を使用して、65,536個の固有のバーコードを生成し得る。これは、通常、最大で約5個又は約10個の分子など、1個又は一握りの分子のみを任意の一度に選択的にプローブし得る感知及び診断の全般において、大きな前進である。
いくつかの実施形態では、識別子領域は、本明細書に記載のスペーサー又は一連のスペーサーを含み得る。一連のスペーサーは、2つ以上、例えば、3つ以上、4つ以上、5つ以上、又は6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、又は10個以上のスペーサーを含み得る。一連のスペーサーは、20個以上、50個以上、又は100個以上のスペーサーを含み得る。一連のスペーサーは、2~100、2~50、2~20、又は2~10などの2~1000個のスペーサーを含み得る。一連のスペーサーにおけるスペーサーは、同じでも異なってもよい。識別子領域がポア内で移動するとき、スペーサーの特徴的なシグナルが測定され得る。異なる担体分子におけるスペーサーのタイプ及び数は、測定されたシグナルに基づいて区別され得る。スペーサーは、本明細書に記載のスペーサー、例えば、iSp9及びiSp18スペーサーのうちのいずれかであり得る。
分子結合領域
本開示の担体は、検出される分子に特異的な分子結合領域を含む。いくつかの実施形態では、担体は、2つ以上の分子結合領域を含み得る。担体は、同じタイプの1つ以上の分子結合領域を含み得、及び/又は2つ以上の異なる分子結合領域を含み得る。2つ以上の分子結合領域は、4、5、6つ以上など、例えば、約10個などの3つ以上の分子結合領域であり得る。担体中の異なる分子結合領域は、典型的には、異なる分子に特異的に結合する。これにより、単一の担体を使用して複数の分子(分析物)の検出が可能になる。
担体において、識別子領域は、各分子結合領域に関連し得る。典型的には、識別子領域は、その関連する分子結合領域が検出器と相互作用する前に、ポアなどの検出器を通過するように位置付けされる。
担体において、1つの識別子領域は、2つ以上、3つ以上などの1つ以上の分子結合領域、例えば4~10個の分子結合領域に関連し得る。この状況では、2つ以上の分子結合領域は、典型的には、同じ分子に結合する。2つ以上の分子結合領域は、異なる分子に特異的であり得る。2つ以上の分子結合領域は、本明細書に定義されるものなどのスペーサー又は一連のスペーサーによって分離され得る。スペーサーは、分子結合領域を、関連する識別子領域から分離し得る。
担体がポアと接触するとき、分子結合領域に結合した分子の存在又は不在が判定され得るように、目的の分子に特異的に結合することを条件として、任意の分子結合領域が使用され得る。例えば、分子結合領域は、アプタマー;相補的DNA配列;抗体、抗体断片、ナノボディ、若しくはアフィボディなどのペプチド若しくはタンパク質;クリック化学反応基;ビオチン若しくはストレプトアビジンなどであり得る。
一実施形態では、分子結合領域は、アプタマーである。アプタマーは、1つ以上の分子に結合する小分子である。好適なアプタマー及びアプタマーの作製方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、WO2013/121201において提供され、これは、参照により本明細書に組み込まれる。アプタマーは、SELEX(Stoltenburg,R.et al.,(2007),Biomolecular Engineering 24,p381-403、Tuerk,C.et al.,Science 249,p505-510、Bock,L.C.et al.,(1992),Nature 355,p564-566)又はNON-SELEX(Berezovski,M.et al.(2006),Journal of the American Chemical Society 128,p1410-1411)を使用して生成され得る。アプタマーは、ペプチドアプタマー又はオリゴヌクレオチドアプタマーであり得る。一実施形態では、アダプターは、ペプチドアプタマーである。ペプチドアプタマーは、任意のアミノ酸を含み得る。アミノ酸は、以下に考察されるもののうちのいずれかであり得る。一実施形態では、アプタマーは、オリゴヌクレオチドアプタマーである。オリゴヌクレオチドアプタマーは、任意のヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチドは、上に考察されるもののうちのいずれかであり得る。アプタマーは、任意の長さであり得る。アプタマーは、典型的には、約15~約50、約20~約40、又は約25~約30のアミノ酸長又はヌクレオチド長などの少なくとも15アミノ酸長又はヌクレオチド長である。
一実施形態では、分子結合領域は、ポリヌクレオチドである。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、アプタマーである。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、検出されるポリヌクレオチド分子(標的ポリヌクレオチド)に相補的な配列を含む。標的ポリヌクレオチドは、任意の長さであり得る。例えば、標的ポリヌクレオチドは、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、又は少なくとも500ヌクレオチド長若しくはヌクレオチド対長であり得る。標的ポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、典型的には、40以下、30以下、20以下、10以下、又は5以下のヌクレオチドなどの、50以下のヌクレオチドを有する短いヌクレオチドポリマーである。分子結合領域は、好ましくは、miRNAに相補的である。miRNAは、転写後遺伝子調節の役割を有する短い非コードRNAであり、通常、21~23ヌクレオチド長であるが、20~25ヌクレオチド長などの18~30ヌクレオチド長であり得る。
検出される分子がポリヌクレオチドである場合、分子結合領域は、標的ポリヌクレオチドの相補体と、少なくとも97%、98%、又は99%など、90%以上同一である配列を含み得る。そのような分子結合領域では、相補体中の1つ以上、例えば2、3、4、又は5つのヌクレオチドは、標的ポリペプチド中の対応するヌクレオチドと塩基対形成し得る非正準ヌクレオチドで置き換えられ得る。好ましくは、分子結合領域は、標的ポリヌクレオチドの相補体を含む。
一実施形態では、分子結合領域は、抗体、抗体断片、ナノボディ、又はアフィボディである。本明細書で使用される「抗体」という用語は、全抗体(2つの重鎖及び2つの軽鎖を含む)、並びにその抗原結合断片に関し得る。抗体には、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、dAb(ドメイン抗体)、一本鎖、Fab、Fab’及びF(ab’)2断片、並びにscFvが含まれ得るが、これらに限定されない。ナノボディは、VH断片又はVNAR断片などの単一ドメイン抗体である。アフィボディは、アミノ酸配列及び潜在的な抗原結合の大きな多様性を可能にする、3つのヘリックスのうちの2つ上にアミノ酸置換を有する3つのヘリックス足場ドメインを含む抗体模倣物である。アフィボディは、Frejd,Fredrik Y.、及びKyu-Tae Kim.(Experimental & molecular medicine 49.3(2017):e306-e306)及びLolom,John,et al.(FEBS letters 584.12(2010): 2670-2680)において考察されている。好適な抗体、抗体断片、ナノボディ、及びアフィボディは、当該技術分野で既知であるか、又は標準的な方法によって調製され得る。
ポリペプチドを結合する方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Guimaraes et al.Nature protocols 8.9(2013):1787、Theile et al.Nature protocols 8.9(2013):1800、及びKoussa et al.Methods 67.2(2014):134-141に記載されているように、ソルターゼ媒介反応を使用したタンパク質の部位特異的なC末端、N末端、又は内部ループ標識を使用が使用され得、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。当業者は、好適な技術を利用して、抗体などのタンパク質を担体に組み込むことができる。
検出される分子に特異的な分子結合領域は、無関係の分子に結合するよりも高い親和性で、その意図する標的分子(それが検出することを意図する分子)に結合することができる。検出される分子がタンパク質である場合、無関係の分子は、ウシ血清アルブミンなどの無関係の対照タンパク質であり得る。無関係の分子は、検出される分子がポリヌクレオチドである場合、スクランブルされた対照ポリヌクレオチド(例えば、意図された標的分子と同じ数及びタイプのヌクレオチドを有するランダムポリヌクレオチド配列)であり得る。検出される分子は、好ましくは、対照よりも少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、又は少なくとも1000倍大きい親和性で分子結合領域に結合する。親和性は、当該技術分野で既知の方法によって判定され得る。例えば、親和性は、ELISAアッセイ、生体層干渉法、表面プラズモン共鳴、速度論的方法、又は平衡/溶液法によって判定され得る。当業者は、どの分子が分子結合領域に特異的に結合するかを認識するであろう。
いくつかの交差反応性は、例えば、意図される標的miRNA分子と同様の配列を有するmiRNAポリヌクレオチド、又は密接に関連するドメインを共有するタンパク質とで生じ得る。好ましくは、分子結合領域は、その標的分子に、より高い親和性、例えば、関連するポリヌクレオチドなど、例えば、同様の配列を有するmiRNAポリヌクレオチド、又は相同体などの関連タンパク質などの関連する分子よりも少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、又は少なくとも1000倍大きい親和性で結合する。
スペーサー
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、担体は、スペーサーを含む。スペーサーは、好ましくは、結合したモータータンパク質と分子結合領域との間に位置付けされる。モータータンパク質がスペーサーと相互作用する場合、ポア内の担体の移動が失速する(又は、言い換えれば、遅延(slowed)又は遅延(delayed)する)。スペーサーは、より好ましくは、分子結合領域に直接隣接して位置付けされる。担体が検出器内で移動するとき、モータータンパク質の移動は、分子結合領域がポアと相互作用する前に、スペーサーによって失速される。モータータンパク質がスペーサーで失速した場合、スペーサーを含まない同様の担体と比較して、分子が分子結合領域に結合している場合、誇張された光学的又は電気的シグナルが生成され得る。識別子領域が分子結合領域から分離されている場合、スペーサーは、好ましくは、識別子領域と分子結合領域との間で担体に配置される。
担体が検出器を通って移動するとき、例えば、担体がナノポアに対して移動するとき、モータータンパク質がスペーサーに遭遇するとき、特有の電気的又は光学的シグナルが生成される。例えば、結合したモータータンパク質と分子結合領域との間に位置付けされたスペーサーは、分子結合領域が検出器と相互作用するときに生成されるシグナルが明確に特定されることを可能にする特有のシグナルとして機能し得、例えば、担体がナノポア内を移動するときに生成されるシグナル/トレース/不規則な曲線で配置される。したがって、スペーサーは、分子結合領域が検出器内で移動するときに生成されるシグナルの位置を決めるためのマーカーとして使用され得、分子結合領域に特異的に結合した分子の存在又は不在の判定を容易にする。
スペーサーは、モータータンパク質の移動を妨げるエネルギー障壁を提供し得る。例えば、スペーサーは、ポリヌクレオチド上のモータータンパク質の牽引を減少させることによってモータータンパク質を失速させ得る。これは、例えば、脱塩基スペーサー、すなわち、塩基が担体中の1つ以上のヌクレオチドから除去されたスペーサーを使用することによって達成され得る。
スペーサーは、例えば、嵩高い化学基を導入してモータータンパク質の移動を物理的に妨げることによって、モータータンパク質の移動を物理的にブロックすることができる。スペーサーは、ポリヌクレオチドの二本鎖領域であり得る。
スペーサーは、典型的には、ポリマーなどの線状分子を含み得る。典型的には、線状スペーサーは、標的ポリヌクレオチドとは異なる構造を有する。例えば、標的ポリヌクレオチドが、DNAである場合、スペーサー又は各スペーサーは、典型的には、DNAを含まない。特に、標的ポリヌクレオチドが、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)である場合、スペーサー又は各スペーサーは、好ましくは、ペプチド核酸(PNA)、グリセロール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ロック核酸(LNA)、又はヌクレオチド側鎖を有する合成ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、1つ以上のニトロインドール、1つ以上のイノシン、1つ以上のアクリジン、1つ以上の2-アミノプリン、1つ以上の2-6-ジアミノプリン、1つ以上の5-ブロモ-デオキシウリジン、1つ以上の逆位チミジン(逆位dT)、1つ以上の逆位ジデオキシ-チミジン(ddT)、1つ以上のジデオキシ-シチジン(ddC)、1つ以上の5-メチルシチジン、1つ以上の5-ヒドロキシメチルシチジン、1つ以上の2’-O-メチルRNA塩基、1つ以上のイソ-デオキシシチジン(Iso-dC)、1つ以上のイソ-デオキシグアノシン(Iso-dG)、1つ以上のC3(OCOPO)基、1つ以上の光切断可能な(PC)[OC-C(O)NHCH-CNO-CH(CH)OPO]基、1つ以上のヘキサンジオール基、1つ以上のスペーサー9(iSp9)[(OCHCHOPO]基、若しくは1つ以上のスペーサー18(iSp18)[(OCHCHOPO]基、又は1つ以上のチオール結合を含み得る。スペーサーは、これらの基の任意の組み合わせを含み得る。これらの基の多くは、IDT(登録商標)(Integrated DNA Technologies(登録商標))から市販されている。例えば、C3、iSp9、及びiSp18スペーサーは、全てIDT(登録商標)から入手可能である。スペーサーは、スペーサー単位として任意の数の上の基を含み得る。
いくつかの実施形態では、スペーサーは、モータータンパク質を失速させる1つ以上の化学基を含み得る。いくつかの実施形態では、好適な化学基は、1つ以上のペンダント化学基である。1つ以上の化学基は、担体における1つ以上の核酸塩基に結合され得る。1つ以上の化学基は、担体の骨格に結合され得る。2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個以上などの任意の数の適切な化学基が存在し得る。好適な基としては、限定されないが、フルオロフォア、ストレプトアビジン及び/又はビオチン、コレステロール、メチレンブルー、ジニトロフェノール(DNPs)、ジゴキシゲニン及び/又は抗ジゴキシゲニン、並びにジベンジルシクロオクチン基が挙げられる。いくつかの実施形態では、スペーサーはポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、スペーサーは、ポリペプチド又はポリエチレングリコール(PEG)であるポリマーを含み得る。
いくつかの実施形態では、スペーサーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個以上の脱塩基ヌクレオチドなどの、1つ以上の脱塩基ヌクレオチド(すなわち、核酸塩基を欠くヌクレオチド)を含み得る。核酸塩基は、脱塩基ヌクレオチドにおける-H(idSp)又は-OHによって置き換えられ得る。脱塩基スペーサーは、1つ以上の隣接するヌクレオチドから核酸塩基を除去することによって、標的ポリヌクレオチドに挿入され得る。例えば、ポリヌクレオチドは、3-メチルアデニン、7-メチルグアニン、1,N6-エテノアデニンイノシン、又はヒポキサンチンを含むように修飾され得、核酸塩基は、ヒトアルキルアデニンDNAグリコシラーゼ(hAAG)を使用してこれらのヌクレオチドから除去され得る。あるいは、ポリヌクレオチドは、ウラシル、及びウラシル-DNAグリコシラーゼUDG)で除去された核酸塩基を含むように修飾され得る。一実施形態では、1つ以上のスペーサーは、いかなる脱塩基ヌクレオチドも含まない。
1つ以上のスペーサーが、単体の他の場所に存在し得る。スペーサーは、任意の好適な数のスペーサーを含み得る。例えば、担体は、1~約20個のスペーサーなど、2つ以上、3つ以上、又は5つ以上のスペーサー、例えば、1~約10個のスペーサーを含み得る。
失速領域
いくつかの実施形態では、担体は、失速領域を含む。担体の失速領域は、担体が溶液中にあるとき(すなわち、ポアと接触し、ポア内で移動する前に)、モータータンパク質が担体上に局在する位置を提供する。失速領域は、典型的には、リーダー領域と識別子領域との間に存在する。これにより、リーダーは、ポアへの通り抜けなど、検出器と相互作用することができる。また、それは、担体と検出器との相互作用時に、検出器、例えば、ポアを通る識別子領域の移動を制御することができるように、担体上にモータータンパク質を位置付けする。
いくつかの実施形態では、失速領域は、本明細書及びWO2020/234612に記載のスペーサーである。担体は、モータータンパク質がスペーサーから離れるのを防ぐブロッキング部分を更に含み得る。
ブロッキング部分は、典型的には、モータータンパク質が生来ポリヌクレオチドを処理する方向とは反対の方向へのモータータンパク質の移動を阻止する部分である。例えば、モータータンパク質がポリヌクレオチド鎖を自然に5’から3’の方向に処理する場合、好適なブロッキング部分は、モータータンパク質が3’から5’の方向に移動するのを阻止する部分であり得る。同様に、モータータンパク質がポリヌクレオチド鎖を自然に3’から5’の方向に処理する場合、好適なブロッキング部分は、モータータンパク質が5’から3’の方向に移動するのを阻止する部分であり得る。
ブロッキング部分は、典型的には、モータータンパク質がスペーサーから離れる移動を阻止するために担体に結合している。モータータンパク質がスペーサーから離れるのを阻止することは、立体ブロックを提供してモータータンパク質の移動を物理的に阻止することによって達成され得る。モータータンパク質がスペーサーから離れて移動するのを阻止することは、化学的ブロッキング部分であって、モータータンパク質がその上で又はそれを越えて移動することができない、化学的ブロッキング部分を使用することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、ブロッキング部分は、本明細書において考察されるスペーサー基のうちの1つ以上を含む。他の実施形態では、ブロッキング部分は、ポリヌクレオチド鎖を含み得る。
担体はまた、失速領域又はスペーサーに接続されたローディング部位を含み得る。ローディング部位は、モータータンパク質をポリヌクレオチドアダプターにロードするための部位である。好適なローディング部位は、WO2020/234612により詳細に記載されている。
モータータンパク質をポリヌクレオチド上にロードし、溶液中でポリヌクレオチド上のモータータンパク質を失速させる方法、好適なスペーサー、及び好適なブロッキング部分は、参照により本明細書に組み込まれるWO2020/234612、及び参照により本明細書に組み込まれるWO2014/135838においてより詳細に記載されている。
アンカー
いくつかの実施形態では、担体は、担体に結合された膜アンカー又は膜貫通ポアアンカーを含む。アンカーは、担体に共有結合で、又は非共有結合で結合され得る。例えば、アンカーは、担体のポリヌクレオチド領域にハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドに結合され得る。アンカーオリゴヌクレオチドがハイブリダイズされる担体のポリヌクレオチド領域は、分子の分子結合領域への特異的結合を妨げないという意味で、分子結合領域とは異なる。
いくつかの実施形態では、アンカーは、本明細書に開示の方法に従って標的ポリヌクレオチドの特徴付けを助ける。例えば、担体を膜貫通ポアと接触させることを含む方法では、膜アンカー又は膜貫通ポアアンカーは、膜貫通ポアの周りでの選択された担体の局在化を容易にし得る。アンカー及びテザーという用語は、本明細書で互換的に使用される。
アンカーは、膜に挿入することができるポリペプチドアンカー及び/又は疎水性アンカーであり得る。一実施形態では、疎水性アンカーは、脂質、脂肪酸、ステロール、カーボンナノチューブ、ポリペプチド、タンパク質、又はアミノ酸、例えば、コレステロール、パルミテート、又はトコフェロールである。アンカーは、チオール、ビオチン、又は界面活性剤を含み得る。一態様では、アンカーは、ビオチン(ストレプトアビジンに結合するため)、アミロース(マルトース結合タンパク質又は融合タンパク質に結合するため)、Ni-NTA(ポリ-ヒスチジン又はポリ-ヒスチジンタグ付きタンパク質に結合するため)、又はペプチド(抗原など)であり得る。
一実施形態では、アンカーは、1つのリンカー、又は2つ、3つ、4つ以上のリンカーを含む。好ましいリンカーとしては、限定されないが、ポリヌクレオチド、ポリエチレングリコール(PEG)、多糖、及びポリペプチドなどのポリマーが挙げられる。これらのリンカーは、線状、分岐状、又は環式であり得る。例えば、リンカーは、環式ポリヌクレオチドであり得る。アダプターは、環式ポリヌクレオチドリンカー上の相補配列にハイブリダイズすることができる。1つ以上のアンカー又は1つ以上のリンカーは、制限部位又は光解離性基などの、切断又は分解され得る成分を含み得る。リンカーは、タンパク質中のシステイン残基に結合するためにマレイミド基で官能化され得る。好適なリンカーは、WO2010/086602に記載されている。
一実施形態では、アンカーは、コレステロール又は脂肪アシル鎖である。例えば、ヘキサデカン酸などの6~30個の炭素原子の長さを有する任意の脂肪アシル鎖が使用され得る。好適なアンカー、及びアンカーをアダプターに結合する方法の例は、WO2012/164270及びWO2015/150786に開示されている。同じ方法を使用して、アンカーを担体に結合することができる。
検出器
任意の好適な検出器が、本明細書に記載の方法において使用され得る。検出器は、配列決定方法に有用な任意の検出器であり得る。例えば、ナノポア配列決定又は単一分子リアルタイム配列決定、例えば、合成による配列決定、技術。好ましくは、本明細書で使用される方法における検出器は、ナノポアである。任意の好適なナノポアが、本明細書に記載の方法において使用され得る。一実施形態では、ナノポアは、膜貫通ポアである。
膜貫通ポアは、膜をある程度横切る構造である。それは、印加された電位によって駆動される水和イオンが膜を横切って又は膜内を流れることを可能にする。膜貫通ポアは、典型的には、水和イオンが膜の一方の側から膜の他方の側に流れることができるように、膜全体を横切る。しかしながら、膜貫通ポアは、膜を横切る必要はない。それは一端で閉鎖されている場合もある。例えば、ポアは、膜内のウェル、ギャップ、チャネル、トレンチ、又はスリットであり得、それに沿って又はその中に水和イオンが流れることができる。
任意の膜貫通ポアが本明細書に提供される方法で使用され得る。ポアは、生物学的であっても人工であってもよい。好適なポアには、タンパク質ポア、ポリヌクレオチドポア、及び固体ポアが含まれるが、これらに限定されない。ポアは、DNA折り紙ポアであり得る(Langecker et al.,Science,2012;338: 932-936)。好適なDNA折り紙ポアは、WO2013/083983、WO2018/011603、及びWO2020/025974に開示されている。
一実施形態では、ナノポアは、膜貫通タンパク質ポアである。膜貫通タンパク質ポアは、ポリヌクレオチドなどの、水和イオンが膜の一方の側から膜の他方の側に流れることを可能にする、ポリペプチド又はポリペプチドの集合体である。本明細書に提供される方法では、膜貫通タンパク質ポアは、印加電位によって駆動される水和イオンが膜の片側から反対側に流れることを可能にするポアを形成することができる。膜貫通タンパク質ポアは、好ましくは、ポリヌクレオチドが、トリブロックコポリマー膜などの膜の一方の側から他方の側に流れることを可能にする。膜貫通タンパク質ポアは、ポリヌクレオチドがポアを通って移動することを可能にする。
一実施形態では、ナノポアは、モノマー又はオリゴマーである膜貫通タンパク質ポアである。ポアは、好ましくは、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、又は少なくとも16のサブユニットなどのいくつかの繰り返しサブユニットから構成されている。ポアは、好ましくは、ヘキサマー、ヘプタマー、オクタマ-、又はナノマーポアである。ポアは、ホモオリゴマー又はヘテロオリゴマーであり得る。
一実施形態では、膜貫通タンパク質ポアは、イオンが通って流れることができるバレル又はチャネルを含む。ポアのサブユニットは、典型的には、中心軸を取り囲み、鎖を膜貫通βバレル若しくはチャネル又は膜貫通α-ヘリックスバンドル若しくはチャネルに寄与する。
典型的には、膜貫通タンパク質ポアのバレル又はチャネルは、標的ポリヌクレオチド(本明細書に記載のもの)などの分析物との相互作用を促進するアミノ酸を含む。これらのアミノ酸は、好ましくは、バレル又はチャネルの狭窄部付近に位置する。膜貫通タンパク質ポアは、典型的には、アルギニン、リジン、若しくはヒスチジンなどの1つ以上の正電荷アミノ酸、又はチロシン若しくはトリプトファンなどの芳香族アミノ酸を含む。これらのアミノ酸は、典型的には、ポアと、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、又は核酸との間の相互作用を促進する。
一実施形態では、ナノポアは、β-バレルポア又はα-ヘリックス束ポアに由来する膜貫通タンパク質ポアである。β-バレルポアは、β鎖から形成されるバレル又はチャネルを含む。好適なβ-バレルポアは、α-溶血毒、炭疽毒素、及びロイコシジンなどβ-毒素、並びにMycobacterium smegmatisポリン(Msp)、例えばMspA、MspB、MspC、又はMspD、CsgG、外膜ポリンF(OmpF)、外膜ポリンG(OmpG)、外膜ホスホリパーゼA及びNeisseriaオートトランスポーターリポタンパク質(NalP)など細菌の外膜タンパク質/ポリン、並びにリセニンなど他のポアを含むが、これらに限定されない。α-ヘリックスバンドルポアは、α-ヘリックスから形成されるバレル又はチャネルを含む。好適なα-ヘリックスバンドルポアは、内膜タンパク質及びα外膜タンパク質、例えばWZA及びClyA毒素を含むが、これらに限定されない。
一実施形態では、ナノポアは、Msp、α-溶血素(α-HL)、リセニン、CsgG、ClyA、Sp1、若しくは溶血性タンパク質フラガセアトキシンC(FraC)に由来するか、又はそれらに基づく膜貫通ポアである。
一実施形態では、ナノポアは、CsgG、例えば、E.coli株K-12亜株MC4100由来のCsgGに由来する。そのようなポアはオリゴマーであり、典型的には、CsgGに由来する7、8、9、又は10個のモノマーを含む。ポアは、同一のモノマーを含むCsgGに由来するホモオリゴマーポアであり得る。代替的に、ポアは、他とは異なる少なくとも1つのモノマーを含むCsgGに由来するヘテロオリゴマーポアであり得る。CsgGに由来する好適なポアの例は、例えば、WO2016/034591、WO2017/149316、WO2017/149317、WO2017/149318、WO2018/211241、及びWO2019/002893に開示されている。
一実施形態では、ナノポアは、リセニンに由来する膜貫通ポアである。ライセニンに由来する好適なポアの例は、WO2013/153359に開示されている。
一実施形態では、ナノポアは、α-溶血素(α-HL)に由来するか、又はそれに基づく膜貫通ポアである。野生型α-ヘモリジンポアは、7つの同一のモノマー又はサブユニットで形成される(すなわち、七量体である)。α-ヘモリジンポアは、α-ヘモリジン-NN又はそのバリアントであり得る。バリアントは、好ましくは、E111位及びK147位にN残基を含む。
一実施形態では、ナノポアは、Mspに由来する、例えば、MspAに由来する膜貫通タンパク質ポアである。MspAに由来する好適なポアの例は、WO2012/107778に開示されている。
一実施形態では、ナノポアは、ClyAに由来するか、又はそれに基づく膜貫通ポアである。ClyA に由来する好適なポアの例は、WO2014/153625に開示されている。
一実施形態では、検出器は、ナノピペットである。ナノピペットは、典型的には、約10nm~約12、約15、約18、又は約20nmなどの約10nmの直径を有する。ナノピペットは、石英毛細管、ガラス、及び/又は炭素、炭素層でコーティングされたそのようなガラスから作製され得る。好適なナノピペットは、当該技術分野で既知である。

ナノポアの使用を含む実施形態では、ナノポアは、典型的には、膜内に存在し、例えば、ナノポアは、膜を横切り、及び/又は膜を通るチャネルを提供する。任意の好適な膜が使用され得、好適な膜は、当該技術分野で既知である。
膜は、好ましくは、両親媒性層である。両親媒性層は、親水性及び親油性の両方の特性を有するリン脂質などの両親媒性分子から形成される層である。両親媒性分子は、合成であっても天然であってもよい。非天然両親媒性物質及び単層を形成する両親媒性物質は、当該技術分野で既知であり、例えば、ブロックコポリマーが挙げられる(Gonzalez-Perez et al.,Langmuir,2009,25,10447-10450)。
ブロックコポリマーは、ジブロック(2つのモノマーサブユニットからなる)であり得るが、また、2つ超のモノマーサブユニットから構築されて、両親媒性物質として挙動する、より複雑な配置を形成することができる。コポリマーは、トリブロック、テトラブロック、又はペンタブロックコポリマーであり得る。膜は、好ましくは、トリブロックコポリマー膜である。
膜は、例えば、国際出願第2014/064443号又は同第2014/064444号に開示されている膜のうちの1つであり得る。
両親媒性分子は、アンカーのカップリングを容易にするように化学修飾又は官能化され得る。両親媒性層は、単層又は二重層であり得る。両親媒性層は、典型的には、平面である。両親媒性層は、湾曲していてもよい。両親媒性層は、支持されていてもよい。
両親媒性膜は、典型的には、天然に可動性であり、本質的には、およそ10-8cms-1の脂質拡散速度を有する二次元流体として作用する。これは、ポア及びアンカーされた担体が、典型的には、両親媒性膜内を移動することができることを意味する。
膜は、脂質二重層であり得る。脂質二重層は、任意の脂質二重層であり得る。好適な脂質二重層としては、限定されないが、平面脂質二重層、支持二重層又はリポソームが挙げられる。脂質二重層は、好ましくは、平面脂質二重層である。好適な脂質二重層は、WO2008/102121、WO2009/077734、及びWO2006/100484に開示されている。
脂質二分子層は、WO2009/077734に記載の乾燥脂質から形成され得る。脂質二分子層は、WO2009/077734に記載の開口を横切って形成され得る。
脂質二重層を形成する任意の脂質組成物が使用され得る。脂質組成物は、表面電荷、膜タンパク質を支持する能力、充填密度、又は機械的特性などの必要な特性を有する脂質二重層が形成されるように選択される。脂質組成物は、1つ以上の異なる脂質を含み得る。例えば、脂質組成物は、最大100個の脂質を含有し得る。脂質組成物は、好ましくは、1~10個の脂質を含有する。脂質組成物は、天然脂質及び/又は人工脂質を含み得る。
膜は、固体層を含み得る。固体状態層は、限定されないが、マイクロエレクトロニクス材料、Si、A1、及びSiOなどの絶縁材料、ポリアミドなどの有機及び無機ポリマー、Teflon(登録商標)などのプラスチック、又は2成分付加硬化シリコーンゴムなどのエラストマー、並びにガラスを含む、有機及び無機材料の両方から形成され得る。固体状態層は、グラフェンから形成され得る。好適なグラフェン層は、WO2009/035647に開示されている。膜が固体状態層を含む場合、ポアは、典型的には、固体状態層内に含有される両親媒性膜又は層に、例えば、固体状態層内の穴、ウェル、ギャップ、チャネル、トレンチ、又はスリット内に存在する。当業者は、好適な固体状態/両親媒性ハイブリッド系を調製することができる。好適な系は、WO2009/020682及びWO2012/005857に開示されている。上述の両親媒性膜又は層のうちのいずれかが使用され得る。
本明細書に開示の方法は、(i)ポアを含む人工両親媒性層、(ii)ポアを含む単離された天然に生じる脂質二分子層を使用して実行され得る。人工両親媒性層は、典型的には人工トリブロックコポリマー層である。層は、ポアに加えて、他の膜貫通タンパク質及び/又は膜内タンパク質、並びに他の分子を含み得る。好適な装置及び条件は、以下に考察される。本開示の方法は、典型的には、インビトロで実行される。
特徴付け
本開示の方法は、本明細書により詳細に記載されるように、担体の識別子領域を特徴付けることと、分子が分子結合領域に結合しているか否かを判定することと、を含む。
特徴付け及び分子が分子結合領域に結合しているか否かの判定は、任意の好適な検出器システムを使用して実行され得る。特徴付け、及び分子が分子結合領域に結合しているか否かの判定は、例えば、ポアが膜に挿入されている膜/ポア系を調査するのに好適な任意の装置を使用して実行され得る。この方法は、膜貫通ポアセンシングに好適な任意の装置を用いて実施してもよい。例えば、装置は、水溶液を含むチャンバと、チャンバを2つの区画に分離する障壁と、を備え得る。障壁は、膜貫通ポアを含有する膜が形成される開口を有し得る。膜貫通ポアが、本明細書に記載されている。
特徴付け方法は、WO2008/102120、WO2010/122293、又はWO2000/028312に記載の装置を使用して実行され得る。
特徴付け方法は、担体が検出器、例えばナノポア内を移動するとき、1つ以上の光学的又は電気的測定を行うことを含み得る。電気的測定は、典型的には、電流の測定によって、ポアを通るイオン電流の流れを測定することであり得る。可能な電気的測定には、電流測定、インピーダンス測定、トンネル又は電子トンネル測定(Ivanov AP et al.,Nano Lett.2011 Jan 12;1 l(l):279-85)、及びFET測定(国際出願第2005/124888号)、例えば、電圧FET測定が含まれる。いくつかの実施形態では、シグナルは、固体ナノポアを横断する電子トンネル又は固体ナノポアを横断する電圧FET測定であり得る。
代替的に、ポアを通るイオンの流れは、Heron et al:J.Am.Chem.Soc.9 Vol.131,No.5,2009によって開示されるように、光学的に測定され得る。ナノポアを使用した光学ポリマー配列決定のための方法は、WO2016/009180に記載されている。
したがって、装置はまた、電位を印加し、膜及びポアを横切る電気的シグナルを測定することが可能な、電気回路を備え得る。特徴付け方法は、パッチクランプ又は電圧クランプを使用して実行され得る。特徴付け方法は、好ましくは、電圧クランプの使用を含む。
特徴付け方法は、各アレイが、128、256、512、1024、2000、3000、4000、6000、10000、12000、15000個以上のウェルを備える、ウェルのシリコンに基づくアレイで実行され得る。
特徴付け方法は、ポアを通って流れる電流の測定を含み得る。本方法は、典型的には、膜及びポアを横切って印加される電圧を用いて実行される。使用される電圧は、典型的には、+2V~-2V、典型的には、-400mV~+400mVである。使用される電圧は、好ましくは、-400mV、-300mV、-200mV、-150mV、-100mV、-50mV、-20mV、及び0mVから選択される下限並びに+10mV、+20mV、+50mV、+100mV、+150mV、+200mV、+300mV、及び+400mVから独立して選択される上限を有する範囲にある。使用される電圧は、より好ましくは、100mV~240mVの範囲、最も好ましくは、120mV~220mVの範囲にある。増加した印加電位を使用することによって、ポアによる異なるヌクレオチド間の区別を増加させることが可能である。
特徴付け方法は、典型的には、例えば、アルカリ金属塩、ハロゲン化物塩などの金属塩、例えば、アルカリ金属塩化物塩などの塩化物塩などの任意の電荷担体の存在下で実行される。電荷担体としては、イオン性液体又は有機塩、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、トリメチルフェニルアンモニウムクロリド、フェニルトリメチルアンモニウムクロリド、又は1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリドを挙げることができる。上述の例示的な装置では、塩は、チャンバ内の水溶液中に存在する。典型的には、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、又は塩化セシウム(CsCl)が使用される。KClが、好ましい。塩は、塩化カルシウム(CaCl2)などのアルカリ土類金属塩であり得る。塩濃度は、飽和であり得る。塩濃度は、3M以下であってもよく、典型的には、0.1~2.5M、0.3~1.9M、0.5~1.8M、0.7~1.7M、0.9~1.6M、又は1M~1.4Mである。塩濃度は、好ましくは、150mM~1Mである。特徴付け方法は、好ましくは、少なくとも0.4M、少なくとも0.5M、少なくとも0.6M、少なくとも0.8M、少なくとも1.0M、少なくとも1.5M、少なくとも2.0M、少なくとも2.5M、又は少なくとも3.0Mなどの、少なくとも0.3Mの塩濃度を使用して実行される。高い塩濃度は、高いシグナル対ノイズ比を提供し、結合/非結合を示す電流が正常な電流変動のバックグラウンドに対して特定されることを可能にする。
特徴付け方法は、典型的には、緩衝液の存在下で実行される。上述の例示的な装置では、緩衝剤は、チャンバ内の水溶液中に存在する。任意の好適な緩衝液が使用され得る。典型的には、緩衝液は、HEPESである。別の好適な緩衝液は、Tris-HCl緩衝液である。本方法は、典型的には、4.0~12.0、4.5~10.0、5.0~9.0、5.5~8.8、6.0~8.7、又は7.0~8.8、又は7.5~8.5のpHで実行される。使用されるpHは、好ましくは、約7.5である。
特徴付け方法は、0℃~100℃、15℃~95℃、16℃~90℃、17℃~85℃、18℃~80℃、19℃~70℃、又は20℃~60℃で実施され得る。特徴付け方法は、典型的には、室温で実行され得る。特徴付け方法は、任意選択で、酵素機能を支持する温度、例えば、約37℃で実行される。
担体、担体の集団、キット、及びシステム
担体、担体の集団、キット、及びシステムもまた本明細書に提供される。
本開示の担体は、一本鎖リーダーと、識別子領域と、検出される分子に特異的な分子結合領域と、を含み、モータータンパク質が、一本鎖リーダーとポリヌクレオチド識別子との間の位置で担体に結合している。本明細書に記載のリーダー、識別子領域、分子結合領域、及びモータータンパク質は、考察される担体、担体の集団、キット、及びシステムの実施形態のうちのいずれかにおいて適用され得る。担体は、上述した追加の特色のうちのいずれかを更に含み得る。
複数の分子についての本明細書に記載の担体の集団もまた提供される。集団における異なる担体は、異なる識別子領域及び異なる分子結合領域を含み得る。例えば、集団における各担体は、固有の識別子領域及び固有の分子結合領域を含み得る。集団における各担体の複数のコピーが存在してもよい。言い換えれば、担体の分子結合領域に関連する識別子領域は、集団における異なる分子に結合する他の全ての分子結合領域に関連する識別子領域とは異なり得る。いくつかの実施形態では、担体の識別子領域は、異なる分子に結合する集団における他の担体の識別子領域とは異なる。
「に関連する」という用語は、識別子領域を使用して、同じ担体上の1つ以上の分子結合領域を固有に特定し得るように識別子領域及び1つ以上の分子結合領域が同じ担体上に存在することを意味する。典型的には、識別子領域は、分子結合領域が検出器と相互作用する前に、モータータンパク質の制御下で検出器と相互作用するように、担体において位置付けされる。識別子領域は、分子結合領域に直接隣接していてもよく、又はリンカーによって分離されていてもよい。リンカーは、典型的には、3~約20などの2~約50、好ましくは、約5~約10塩基長である。リンカーは、本明細書に記載の任意のヌクレオチドを含み得る。1つ以上のスペーサーはまた、識別子領域とその関連する分子結合領域との間に位置付けられ得る。スペーサーは、スペーサーの片側又は両側にリンカーを有するか、又は有しないで存在し得る。
(i)本明細書に記載の担体の集団と、(ii)モータータンパク質と、を含む、試料中の複数の分子を検出するためのキットもまた提供される。
(i)本明細書に記載の担体の集団と、(ii)モータータンパク質と、(iii)膜貫通ポアと、を含む、試料中の複数の分子を検出するためのシステムが更に提供される。
キット又はシステムは、本明細書で定義されるように、2つ以上の担体の集団を含み得る。分子結合領域に関連する識別子領域に加えて、集団における各担体は、その集団における全ての担体に共通であり、キット又はシステムにおける任意の他の集団の担体には存在しない更なる識別子領域を含み得、すなわち、更なる識別子領域は、その集団の担体に固有である。したがって、キット又はシステムは、3、4、5つ以上などの2つ以上の担体集団、例えば、10個以上、20個以上、又は50個以上の担体集団を含み得、各集団における担体は、その集団の担体に固有の更なる識別子領域を含み得る。そのようなキット又はシステムを使用して、複数の試料を同時に分析し得る。同じ検出器及び更なる識別子領域を使用して検出される試料の各々に存在する分子は、所与の分子がどの試料に存在するか、又は不在かを判定するために使用され得る。
定義
単数名詞を指すときに不定冠詞又は定冠詞、例えば、「a」又は「an」、「the」が使用される場合、他のことが明記されない限り、これは、その名詞の複数形を含む。「含む(comprising)」という用語が本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、他の要素又はステップを除外しない。更に、明細書及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、同様の要素を区別するために使用されており、必ずしも連続的又は経時的な順序について記載するために使用されているわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載又は例示される以外の順序で操作可能であることを理解されたい。以下の用語又は定義は、単に、本発明の理解を助けるために提供される。別途本明細書で具体的に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語は、それらが本発明の技術分野の当業者にとってそうであるのと同じ意味を有する。開業医には、特に、当該技術分野の定義及び技術用語について、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Press,Plainsview,New York(2012)、及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(Supplement 114),John Wiley&Sons,New York (2016)を参照することを推奨する。本明細書に提供される定義は、当業者によって理解されるよりも小さい範囲を有すると解釈されるべきではない。
本明細書で使用される「約」は、量、持続時間などの測定可能な値を指す場合、特定の値から±20%又は±10%、より好ましくは、±5%、更により好ましくは、±1%、なおより好ましくは、±0.1%の変動を包含することを意味するが、そのような変動は、開示の方法を実施するのに適切である。
本明細書で使用される「ヌクレオチド配列」、「DNA配列」、又は「核酸分子」は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかの、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。この用語は、分子の一次構造のみを指す。したがって、この用語は、二本鎖及び一本鎖DNA、並びにRNAを含む。本明細書で使用される「核酸」という用語は、各ヌクレオチド上の3’末端及び5’末端が、ホスホジエステル結合によって連結されている、一本鎖又は二本鎖の共有結合したヌクレオチド配列である。ポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド塩基又はリボヌクレオチド塩基で構成され得る。核酸は、インビトロで合成によって製造され得るか、又は天然源から単離され得る。核酸としては、修飾されたDNA若しくはRNA、例えば、メチル化されたDNA若しくはRNA、又は翻訳後修飾、例えば、7-メチルグアノシンによる5’-キャッピング、切断及びポリアデニル化などの3’-処理、並びにスプライシングを受けたRNAを更に挙げることができる。核酸としてはまた、ヘキシトール核酸(HNA)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、トレオース核酸(TNA)、グリセロール核酸(GNA)、ロック核酸(LNA)及びペプチド核酸(PNA)などの合成核酸(XNA)を挙げることができる。また、本明細書で「ポリヌクレオチド」とも称される核酸のサイズは、典型的には、二本鎖ポリヌクレオチドについては塩基対(bp)の数として、又は一本鎖ポリヌクレオチドの場合にはヌクレオチド(nt)の数として表される。1000bp又はntは、キロベース(kb)に等しい。約40ヌクレオチド長未満のポリヌクレオチドは、典型的には、「オリゴヌクレオチド」と呼ばれ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などを介したDNAの操作に使用するためのプライマーを含み得る。
本開示の文脈における「アミノ酸」という用語は、その最も広い意味で使用され、各アミノ酸に特異的な側鎖(例えば、R基)とともに、アミン(NH)官能基及びカルボキシル(COOH)官能基を含有する有機化合物を含むことを意味する。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、天然Lα-アミノ酸又は残基を指す。天然に生じるアミノ酸について一般的に使用される1文字及び3文字の略語が、本明細書で使用される:A=Ala、C=Cys、D=Asp、E=Glu、F=Phe、G=Gly、H=His、I=Ile、K=Lys、L=Leu、M=Met、N=Asn、P=Pro、Q=Gln、R=Arg、S=Ser、T=Thr、V=Val、W=Trp、及びY=Tyr(Lehninger,A.L.,(1975)Biochemistry,2d ed.,pp.71-92,Worth Publishers,New York)。「アミノ酸」という一般用語は、更に、D-アミノ酸、レトロ-インベルソアミノ酸、並びにアミノ酸類似体などの化学修飾されたアミノ酸、ノルロイシンなどのタンパク質に通常組み込まれない天然アミノ酸、及びβ-アミノ酸などのアミノ酸に特徴的であることが当該技術分野で既知の特性を有する化学合成された化合物を含む。例えば、天然のPhe又はProと同じペプチド化合物の立体構造制限を可能にするフェニルアラニン又はプロリンの類似体又は模倣体は、アミノ酸の定義内に含まれる。そのような類似体及び模倣物は、本明細書では、それぞれのアミノ酸の「機能的等価物」と称される。アミノ酸の他の例は、Roberts and Vellaccio,The Peptides: Analysis,Synthesis,Biology,Gross and Meiehofer,eds.,Vol.5 p.341,Academic Press,Inc.,N.Y.1983によって列挙されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
「ポリペプチド」及び「ペプチド」という用語は、アミノ酸残基のポリマー、並びにそのバリアント及び合成類似体を指すために本明細書で交換可能に使用される。したがって、これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然アミノ酸の化学類似体などの合成非天然アミノ酸であるアミノ酸ポリマー、並びに天然アミノ酸ポリマーに適用される。ポリペプチドはまた、限定されないが、グリコシル化、タンパク質分解性切断、脂質化、シグナルペプチド切断、プロペプチド切断、リン酸化などを挙げることができる、成熟又は翻訳後修飾プロセスを受け得る。ペプチドは、組換え技法を使用して、例えば、組換え又は合成ポリヌクレオチドの発現を通じて作製され得る。組換え生成されたペプチドは、典型的には、培養培地を実質的に含まず、例えば、培養培地は、タンパク質調製物の体積の約20%未満、より好ましくは、約10%未満、最も好ましくは、約5%未満に相当する。
「タンパク質」という用語は、二次構造又は三次構造を有する折り畳まれたポリペプチドについて記載するために使用される。タンパク質は、単一のポリペプチドから構成され得るか、又は集合して多量体を形成する複数のポリペプチドを含み得る。多量体は、ホモオリゴマー、又はヘテロオリゴマーであり得る。タンパク質は、天然タンパク質若しくは野生型タンパク質、又は修飾されたタンパク質若しくは非天然タンパク質であり得る。タンパク質は、例えば、1つ以上のアミノ酸の付加、置換、又は欠失によって、野生型タンパク質とは異なり得る。
タンパク質の「バリアント」は、問題の未修飾又は野生型タンパク質と比較して、アミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入を有し、それらが由来する未修飾タンパク質と同様の生物学的及び機能的活性を有する、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、及び酵素を包含する。本明細書で使用される「アミノ酸同一性」という用語は、配列が、比較枠にわたってアミノ酸ごとに同一である程度を指す。したがって、「配列同一性のパーセンテージ」は、2つの最適に整列された配列を比較枠にわたって比較し、同一のアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys、及びMet)が両方の配列に現れる位置の数を判定して、一致した位置の数を得、一致した位置の数を比較枠(すなわち、枠サイズ)における位置の総数で除算し、その結果に100を乗算することによって計算して、配列同一性のパーセンテージが得られる。
本発明の全ての態様及び実施形態では、「バリアント」は、対応する野生型タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%の完全配列同一性を有する。配列同一性はまた、全長ポリヌクレオチド又はポリペプチドの断片又は部分に対するものであり得る。したがって、配列は、全長参照配列と50%のみの全体的な配列同一性を有し得るが、特定の領域、ドメイン、又はサブユニットの配列は、参照配列と80%、90%、又は99%もの配列同一性を共有し得る。
「野生型」という用語は、天然源から単離された遺伝子又は遺伝子生成物を指す。野生型遺伝子は、集団において最も頻繁に観察される遺伝子であり、したがって、遺伝子の「正常」又は「野生型」形態を任意に設計される。対照的に、「修飾された」、「変異体」、又は「バリアント」という用語は、野生型遺伝子又は遺伝子生成物と比較した場合、配列における修飾(例えば、置換、切断、又は挿入)、翻訳後修飾、及び/又は機能的特性(例えば、変化した特徴)を示す遺伝子又は遺伝子生成物を指す。天然に存在する変異体を単離することができることに留意されたく、これらは、野生型遺伝子又は遺伝子産物と比較して改変された特徴を有するという事実によって特定される。天然アミノ酸を導入又は置換するための方法は、当該技術分野で周知である。例えば、メチオニン(M)は、変異体モノマーをコードするポリヌクレオチドにおける関連する位置でメチオニンのコドン(ATG)をアルギニンのコドン(CGT)で置き換えることによって、アルギニン(R)で置換され得る。非天然アミノ酸を導入又は置換するための方法もまた、当該技術分野で周知である。例えば、非天然アミノ酸は、変異体モノマーを発現するために使用されるIVTT系に合成アミノアシル-tRNAを含めることによって導入され得る。代替的に、それらは、特定のアミノ酸の合成(すなわち、天然に存在しない)類似体の存在下で、それらの特定のアミノ酸に対して栄養要求性であるE.coli中で変異体モノマーを発現させることによって導入され得る。それらはまた、変異体モノマーが部分的ペプチド合成を使用して生成される場合、裸のライゲーションによって生成され得る。保存的置換は、同様の化学構造、同様の化学的特性、又は同様の側鎖体積の他のアミノ酸でアミノ酸を置き換える。導入されるアミノ酸は、それらが置き換えられるアミノ酸と同様の極性、親水性、疎水性、塩基性、酸性、中性、又は電荷を有し得る。あるいは、保存的置換は、既存の芳香族又は脂肪族アミノ酸の代わりに芳香族又は脂肪族である別のアミノ酸を導入してもよい。保存的アミノ酸変化は、当該技術分野で周知であり、以下の表1に定義される20個の主要なアミノ酸の特性に従って選択され得る。アミノ酸が同様の極性を有する場合、これはまた、表2におけるアミノ酸側鎖についての疎水性スケールを参照することによって判定され得る。
Figure 2024522083000002
Figure 2024522083000003
本明細書においてより詳細に記載されるように、変異体又は修飾されたタンパク質、モノマー又はペプチドは、任意の方式及び任意の部位で化学修飾され得る。変異体又は修飾されたモノマー若しくはペプチドは、好ましくは、1つ以上のシステインへの分子の結合(システイン結合)、1つ以上のリジンへの分子の結合、1つ以上の非天然アミノ酸への分子の結合、エピトープの酵素修飾、又は末端の修飾によって化学修飾される。そのような修飾を実行するための好適な方法は、当該技術分野で周知である。修飾されたタンパク質、モノマー、又はペプチドの変異体は、任意の分子の結合によって化学修飾され得る。例えば、修飾されたタンパク質、モノマー、又はペプチドの変異体は、色素又はフルオロフォアの結合によって化学修飾され得る。
本発明は、特定の実施形態に関して、及び特定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。無論、必ずしも全ての態様又は利点が本発明の任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではないことを理解されたい。したがって、例えば、当業者は、本発明が、本明細書で教示又は示唆され得る他の態様又は利点を必ずしも達成するのではなく、本明細書で教示される1つの利点又は利点の群を達成又は最適化する様式で具現化又は実行され得ることを認識するであろう。
本発明は、添付の図面と併せて閲読される場合、その特色及び利点と一緒に、構成及び操作する方法の両方に関して、以下の詳細な説明を参照することによって最も良好に理解され得る。本発明の態様及び利点は、以下に記載の実施形態から明らかになり、それらを参照して解明されるであろう。本明細書全体を通じて、「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態と併せて記載される特定の特色、構造、又は特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所で「一実施形態では(in one embodiment)」又は「一実施形態では(in an embodiment)」という語句が出現した場合、必ずしも全て同じ実施形態を指すわけではないが、指す場合もある。同様に、本発明の例示的な実施形態の記載において、本発明の様々な特色は、開示を合理化し、様々な本発明の態様のうちの1つ以上の理解を助けることを目的として、単一の実施形態、図、又はその記載において一緒にグループ化されることがあることが理解されるべきである。しかしながら、開示のこの方法は、特許請求される発明が、各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特色を必要とする意図を反映するものとして解釈されるものではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、単一の前述の開示の実施形態の全ての特色よりも少ない範囲にある。
本開示の「実施形態」は、別途文脈が示さない限り、具体的に一緒に組み合わせられ得ることが理解されるべきである。(別途文脈が暗示しない限り)全ての開示の実施形態の特定の組み合わせは、特許請求される本発明の更に開示された実施形態である。
加えて、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明らかに指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ポリヌクレオチド」への言及は、2つ以上のポリヌクレオチドを含み、「モータータンパク質」への言及は、2つ以上のそのようなタンパク質を含み、「ヘリカーゼ」への言及は、2つ以上のヘリカーゼを含み、「モノマー」への言及は、2つ以上のモノマーを指し、「ポア」への言及は、2つ以上のポアを含むなどである。
本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、上記又は下記にかかわらず、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明による方法の特定の実施形態、特定の構成、並びに材料及び/又は分子が、本明細書において考察されてきたが、形態及び詳細における様々な変更又は修正が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく行われ得ることが理解されるべきである。以下の実施例は、特定の実施形態をより良好に例示するために提供されており、本出願を限定するものとみなされるべきではない。本出願は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下の実施例では、担体を2つの部分で合成し、その部分を一緒にライゲーションした。担体全体が、ライゲーションを必要とせずに単一の単位として合成され得ることも想定される。
実施例1
この例では、これまでに設計された担体のうちのいくつかについて説明する。提供された配列にはリーダーは含まれない。リーダーは、図2Aに示すように、リーダー及びモータータンパク質の失速領域を含むポリヌクレオチドの3’末端に相補的な領域も含む、ライゲーションC鎖(例えば、CCCAGCGGAACTAGGA)の使用を介して提供される配列に付加され得る。
提供される担体配列は、タンパク質(トロンビン及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質など)、神経伝達物質(セロトニン及びドーパミンなど)及びmiRNAを含む分子に結合し得る。各担体の識別子領域は、他の全ての担体の担体とは異なる。同じ分子に結合する異なる担体上の異なる分子結合領域が、同じバーコードを使用する場合があることが予見される。
配列は、5’ライゲーション鎖と、識別子配列又はバーコード(下線)と、任意選択で、iSpC3又はiSp18スペーサーを含むスペーサー領域と、分子結合領域(斜体)と、を含む。この例における分子結合領域は、アプタマー又はmiRNAの相補的配列である。
トロンビン
Figure 2024522083000004
セロトニン
Figure 2024522083000005
ドーパミン
Figure 2024522083000006
SARS-CoV-2、Sタンパク質
Figure 2024522083000007
miRNA(バーコード11~20)
アダプター_バーコード11_c-has-miR-497-5p
Figure 2024522083000008
アダプター_バーコード12_c-has-miR-27b-5p
Figure 2024522083000009
アダプター_バーコード13_c-has-miR-21-5p
Figure 2024522083000010
アダプター_バーコード14_c-has-miR-221-5p
Figure 2024522083000011
アダプター_バーコード15_c-has-miR-30d-5p
Figure 2024522083000012
アダプター_バーコード16_c-has-miR-30c-5p
Figure 2024522083000013
アダプター_バーコード17_c-has-miR-133a-5p
Figure 2024522083000014
アダプター_バーコード18_c-has-miR-208a-5p
Figure 2024522083000015
アダプター_バーコード19_c-has-miR-181b-5p
Figure 2024522083000016
アダプター_バーコード20_c-has-miR-29a-3p
Figure 2024522083000017
C3スペーサーなしのmiRNAS(バーコード21~22)
アダプター_バーコード21_c-has-miR-30c-5p
Figure 2024522083000018
アダプター_バーコード22_c-has-miR-29a-3p
Figure 2024522083000019
実施例2
この実施例は、それらの固有のバーコードの配列決定及び逆多重化による個々の担体の特定を説明する。この実施例はまた、失速分析によって分析物に結合している担体の特定についても説明する。
方法
実施例1に記載のバーコード(総濃度30nM、各々等しい濃度)を、ヌクレアーゼフリー水中で1:3のモル比で、ライゲーションc鎖とともに1時間インキュベーションした。ハイブリダイゼーションは、4℃で3分間遠心分離し、続いて室温で1時間インキュベーションすることによって開始した。得られた混合物を10nMのアダプターと混合し、ライゲーションを、等量のTAリガーゼマスターミックス(New England Biolabs)を添加することによって実施し、4℃で3分間遠心分離して、低温でリガーゼを保存しながら、異なる成分を完全に混合した。室温で20分間インキュベーションした後、総体積の1.4倍のAmpure XPビーズ(Beckmann Coutler)を添加して、更なる精製のために核酸を吸収した。ビーズを短い断片緩衝液(Oxford Nanopore Technologies)で洗浄して、ライゲーションされていない過剰な量の非ハイブリダイズのライゲーションc鎖及びバーコードを選択的に除去した。精製後、ビーズをヌクレアーゼフリー水で洗浄して、ライゲーションされたモータータンパク質-バーコード複合体を含有する精製された核酸を洗い流した。配列決定実験の最終溶液を、溶出液、配列決定緩衝液、テザー(100nM)、ヌクレアーゼフリー水によって作製し、ある特定の濃度の標的化された分析物とともに少なくとも30分間インキュベーションした。
全ての実験を、既存のカスタム作成されたMATLABコードであるNanoporeアプリ(2006年から2021年の間にJoshua Edelによって開発された)で分析した。FAST5配列決定ファイルがアプリにアップロードされ、更に処理された。このアプリは、MinIONの512チャネル全てを個別又は一括でアップロードして分析することを可能にした。
転位事象を、閾値化アルゴリズムを使用して検出した。最初に、実験に応じて、線形ベースラインを-0.16~-2nAの間に設定した。1.8のステップオフセットを使用して、事象の開始を定義した(緑色の線)。事象がstd50(黒色の線)の閾値を超える場合、それらはアルゴリズムによって検出される。これらの事象は、0.025秒~10秒の事象をフィルタリングすることによって更に分析される。この時間枠内の全ての事象は、事象として定義される。加えて、アルゴリズムを使用して、整列マーカーとして使用される鎖設計内のC3又は他のスペーサー要素を位置決めする。このようにして、スペーサーの存在は、担体上の分子の存在又は不在の検出に不可欠ではない。
GUPPY又は/及びMinKNOWソフトウェア(Oxford Nanopore Technologies)を使用して、前のステップで検出された事象を配列決定し、ベースコールした。
生の読み取りシグナルをベースコールにした後、配列決定された事象を、参照配列、例えば、バーコード配列1~10に整列させた。次の点が当てはまる場合、アルゴリズムは、最も高い整列スコアの事象にバーコードを割り当てる:
1)整列スコアは50以上である必要があり、
2)最大整列スコアと2番目に高いスコアとの差は、少なくとも5である必要があり、
3)最大整列スコアと他のバーコードの平均整列スコアとの差は、少なくとも10である必要があり、
4)p値は、0.0001以下である必要がある。
全ての基準が満たされた場合にのみ、最大整列は、バーコードとして分類された。そうでない場合、事象は削除され、更なる分析のために考慮されなかった。偽陽性を、集団の残りの部分と比較した最も高い整列スコアのp値を計算することによって除去した。
失速分析では、C3部分、並びに事象の開始及び終了を定義した。これは、全ての配列決定された読み取りの平均転位時間を計算するために重要であった。事象の転位時間が平均と比較して顕著に長かった場合(典型的には、移動するstd100ビンが使用された)、事象は失速として分類された。更に、各失速は、失速とみなすには、20ビン超である必要があった。
固有のバーコードの配列決定及び逆多重化による個々の担体の特定。
全ての配列をベースコールし、上に記述し、バーコード配列である参照配列に整列させた。最大整列スコアを使用して、バーコードを分類した。最大整列スコア及び2番目に高いスコアが近すぎる場合、事象は分類されなかった。更に、p値を使用して、事象を分類し、偽陽性分類を除去した。この方法では、個々のバーコードの特定で、99.95%の精度が達成され、記録された全ての事象の86%が使用及び分類され、当該技術分野における以前の方法と比較して比較的少ないデータが浪費されたことを意味する(図4)。
バーコード配列は、90%超の精度を有した。わずか0.0001%の偽陽性率が観察された(図5(a))。本方法は、図5(b)の混同マトリックスに示されるように、間違ったバーコード分類に対して優先が非常に低かった。改良されたアルゴリズム及び検出技術は、バーコード分類を引き続き改善するであろう。バーコード分類を改善する別の方法は、校正読み取り機序として、担体においてバーコードの繰り返しを含むことである。実施例は、10個のバーコード化された担体が、複雑な混合物内で成功裏に区別され得、高度に多重化アッセイを可能にすることを示す。
失速分析による分析物に結合している担体の特定。
この実施例では、失速分析を使用して、標的がバーコード化された鎖に結合しているか否かを判定した。標的分析物がバーコード化された鎖に結合していない場合、電流シグナルは、(滞留時間、電流振幅において)失速を示さない。結合した分析物(ここでは、相補的miRNAで例を示す)は、担体を失速させ、それは固有の電流プロファイルをもたらす(図7を参照されたい)。失速は、例えば、(1)二本鎖ヌクレオチド構造の解凍(例えば、miRNA、DNA検出)、(2)G四重鎖又はステム-ループアプタマー構造のいずれかの解明(例えば、タンパク質、神経伝達物質、及び小さな結合分子分析物の検出のため)、又は(3)結合した抗体-抗原の縞模様に起因し得る。標的分子の相対濃度は、失速した担体対失速していない担体の割合を相関させることによって判定され得る(図8を参照されたい)。試料中の担体の絶対濃度は、ナノポア文献に広く記載されているように、個々の単一分子検出事象間の時間(事象間時間)を測定することによって判定され得る。
本明細書に記載の方法を使用して分子の濃度を判定する別の方法は、分子に結合した担体の検出に対する分子の濃度依存性を判定することである。例えば、標準曲線は、図9に示されるものと同様の様式で調製され得る。
別の実験では、トロンビンと15merのトロンビン結合アプタマーとの間の結合の検出が研究された。トロンビンとの結合時に、「不規則な曲線の」事象は、はるかに長い滞留時間を示し、電流反転の観点から、400nMのトロンビンとの結合時の失速の有意な増加が見られ、これは、G四重鎖及びアプタマー-タンパク質相互作用の巻き戻しに対応する。トロンビンと15merのトロンビン結合アプタマーとの間の結合の濃度依存性は、トロンビン濃度を0nMから400nMに増加させることによって更に検証され、失速の増加は、より長い滞留時間を伴うより多くの不規則な曲線の事象として観察された(図10及び11を参照されたい)。
別の実験では、ステム-ループアプタマーを使用した結合セロトニンの検出を研究した。セロトニンとの結合時の失速の増加は、セロトニンとの結合時のアプタマーのループからG四重鎖への構造再編成に起因し、ループ、G四重鎖、及びアプタマー-セロトニン相互作用の巻き戻しをもたらした(図12を参照されたい)。セロトニンとアプタマーとの間の結合の濃度依存性は、0nMから40nMの間でセロトニン濃度を増加させることによって更に検証された。失速の増加は、より多くの不規則な曲線の事象及びより長い滞留時間として観察された(図13を参照されたい)。
下の表3に示されるように、平均遅延時間対濃度に基づいて、セロトニンとアプタマーとの間の結合の濃度依存性も観察された。
Figure 2024522083000020
別の実験では、ステップループアプタマーを使用した結合アセチルコリンの検出を研究した。使用されたバーコード(下線)-スペーサー-アプタマー(斜体)は、以下のとおりであった:
Figure 2024522083000021
アセチルコリンとの結合時に明らかな失速事象を見ることができる。遅延(失速)パーセンテージに対するアセチルコリンとアプタマーとの間の結合の濃度依存性は、アセチルコリン濃度を0nMから40nMの間で増加させることによって観察された(図14)。
実施例3
分析物に結合している担体を特定するための代替方法が利用可能である。
いくつかの実施形態では、特定の失速分析を実施する必要はない。ベースコーリングソフトウェアプログラムGUPPY及びMinKNOW(Oxford Nanopore Technologies)を使用して、担体がポア内を移動するときに生成されるデータを直接分析し得る。
別に、及び前述したように、別の選択肢は、酵素消化を使用して、結合していない分子結合領域を有する担体の任意の部分を除去/消化することである。これは、分析物標的に結合していない担体における分子結合領域を標的とするa)エンドヌクレアーゼ又はb)エキソヌクレアーゼを使用することによって達成され得る(図3を参照されたい)。したがって、消化後、標的に結合している担体、及び標的に結合していない担体は、バーコード配列後の電流シグナルの存在又はその欠如に基づいて区別される。代替的に、分子結合領域がポリペプチドである場合、結合していない分子結合領域を有する担体の部分を消化するプロテアーゼが使用され得るが、ただし、分子結合領域に結合した分子を含む担体と比較し場合、結合されていない、酵素的に消化された分子結合領域を含む担体がポア内を通過するとき、シグナルの差が観察され得る。
実施例4
担体のアセンブリプロトコル
バーコード(総濃度30nM、各々等しい濃度)を、1:3のモル比で、ライゲーションc鎖とともにインキュベーションした。ハイブリダイゼーションを、4℃で1分間遠心分離し、続いて室温で1時間インキュベーションすることによって開始した。得られた混合物を10nMのアダプターと混合し、ライゲーションを、等量のTAリガーゼマスターミックス(New England Biolabs)を添加することによって実施した。試料を4℃で1分間遠心分離して、低温でリガーゼを保存しながら、異なる成分を完全に混合した。室温で20分間インキュベーションした後、総体積の1.4倍のAmpure XPビーズ(Beckmann Coulter)を添加して、更なる精製のために核酸を吸収した。ビーズを短い断片緩衝液(Oxford Nanopore Technologies)で2回洗浄して、ライゲーションされていない過剰な量の非ハイブリダイズのライゲーションc鎖及びバーコードを選択的に除去した。精製後、ビーズをヌクレアーゼフリー水で洗浄して、ライゲーションされたモータータンパク質-バーコード複合体を含有する精製された核酸を洗い流した。配列決定実験の最終溶液を、溶出液、配列決定緩衝液、テザー(100nM)、ヌクレアーゼフリー水によって作製し、ある特定の濃度の標的化された分析物とともに少なくとも30分間インキュベーションした。miRNA実験には、0.05nM、0.1nM、0.25nM、0.5nM、1nM、2.5nM、5nM、10nM、25nM、及び50nMの濃度を使用した。タンパク質実験には、10pg/mL、50pg/mL、100pg/mL、500pg/mL、1ng/mL、30ng/mLの濃度を使用した。
実験実行のプロトコル
全ての実験を、37℃で調査及び/又は顧客のスクリプトを使用して30分間実行した。
データ分析ワークフロー
全ての実験を、既存のカスタム作成されたMATLABコードであるNanoporeアプリで分析した。ナノポア配列決定デバイス(MinIONデバイス、Oxford Nanopore Technologies)から出力されたFAST5配列決定ファイルをアプリにアップロードし、それらを更に処理した。このアプリは、MinIONの512チャネル全てを個別又は一括でアップロードして分析することを可能にする。
事象検出
転位事象を、閾値化アルゴリズムを使用して検出する。最初に、実験に応じて、線形ベースラインを-0.16~-2nAの間に設定する。1.8のステップオフセットを使用して、事象の開始を定義する。事象がstd30の閾値を超える場合、それらはアルゴリズムによって検出される。これらの事象は、0.1秒超の事象についてフィルタリングすることによって更に分析される。この時間枠の全ての事象は、事象として定義される。
配列決定及びベースコーリング
GUPPY及び/又はMinKNOWソフトウェア(Oxford Nanopore Technologies)を使用して、前のステップで検出された事象を配列決定し、ベースコールした。
整列
生の読み取りシグナルをベースコールにした後、配列決定された事象を、参照配列、この場合、バーコード配列1~40に整列させた。次の点が当てはまる場合、アルゴリズムは、最も高い整列スコアの事象にバーコードを割り当てた:
1)配列は、「GGG」で始まる必要があり、
2)少なくとも15個の塩基を整列させる必要があり、
3)最初の10塩基で1つのミスマッチのみ、
4)全ての整列された塩基で1つのミスマッチのみ。
全ての基準が満たされた場合にのみ、最大整列は、バーコードとして分類された。そうでない場合、事象は削除され、更なる分析のために考慮されなかった。
失速
失速分析では、C3部分、並びに事象の開始及び終了を定義した。これを使用して、全ての配列決定された読み取りの平均転位時間を計算した。事象の転位時間が平均と比較して顕著に長かった場合(典型的には、移動するstd75ビンが使用された)、事象は失速として分類された。更に、各失速は、失速とみなすには、10ビン超である必要があった。
結果:40個のバーコードのヒートマップ(図19)
図19は、誤ったバーコード分類の優先が非常に低いことを示す混同マトリックスを提示する。試験された40個のバーコード全てを、95%超の精度で呼び出した。
結果:複数のmiRNAの検出
本明細書に記載の多重化バーコード配列決定方法は、40個の異なるmiRNAの検出を可能にした。結果を図20に提示する。
結果:未知のmiRNA濃度の定量化
本明細書に記載の方法は、既知のmiRNA濃度の複数の異なる試料の盲検試験を使用して、miRNA濃度の正確な予測を可能にした。結果を図21に提示する。
結果:cTnIの検出
タンパク質心臓トロポニンI(cTnI)の検出に関するデータを図22に示す。示されるトロポニンアプタマー配列は以下のとおりである:AGTCTCCGCTGTCCTCCCGATGCACTTGACGTATGTCTCACTTTCTTTTCATTGACATGGGATGACGCCGTGACTG
実施例4の付録
担体鎖の配列-miRNA(図17)
Figure 2024522083000022
Figure 2024522083000023
Figure 2024522083000024
Figure 2024522083000025
Figure 2024522083000026
担体鎖の配列-タンパク質及び神経伝達物質(図18)
心臓トロポニンI(cTnI):
Figure 2024522083000027
心臓トロポニンT(cTnT):
Figure 2024522083000028
BNP:
Figure 2024522083000029
トロンビン:
Figure 2024522083000030
S-タンパク質:
Figure 2024522083000031
N-タンパク質:
Figure 2024522083000032
セロトニン:
Figure 2024522083000033
アセチルコリン:
Figure 2024522083000034
標的分析物
Figure 2024522083000035
タンパク質:
心臓トロポニンI(cTnI)[Genscript]
心臓トロポニンT(cTnT):TNNT2タンパク質ヒト組換え|CTnT抗原|ProSpec(prospecbio.com)
BNP-32ペプチド:[Bachem]
ヒトアルファ-トロンビン天然タンパク質、ビオチン(RP-43103)[Thermofisher]
参照例1
モータータンパク質を使用しない多重アッセイの制限。
上記のように、担体上のモータータンパク質の存在は、識別子領域の正確な特定及び分子結合領域上の分子の存在又は不在の判定を可能にする。本方法がモータータンパク質の不在下で実行される場合、得られ得る測定値に対して制限がある。
一実験では、トロンビンの濃度の増加を、アプタマー(下線)及び30*T通り抜け鎖を含む担体を使用したナノポア測定によって検出した。
Figure 2024522083000036
このアプローチでは、トロンビンの濃度を定量化することは可能であるが、偽陽性を確認する方法はなく、アッセイを多重化する簡単な方法もない。測定されるのは、アプタマーとタンパク質が結合したアプタマーとの間のシグナルレベルの差だけである(図15A)。
第2の実験では、セロトニンの濃度の増加を、ステム-ループアプタマー(下線)及び30*T通り抜け鎖を含む担体を使用したナノポア測定によって検出した。
Figure 2024522083000037
トロンビン実験と同様に、セロトニンの濃度を定量化することは可能であるが、偽陽性を確認する方法はなく、アッセイを多重化する簡単な方法もない。測定されるのは、アプタマーと神経伝達物質が結合したアプタマーとの間のシグナルレベルの差だけである(図15B)。
第3の実験では、miRNAのレベルを多重形式で検出した。バーコード1~6(ACGTA、GGACT、TTAAC、GCTAG、CTGAG、及びTAGCG)は、各バーコードについて観察された固有の平均電流(それぞれ、122.4pA、121.8pA、111.5pA、152.7pA、129.3pA、135.4pA)によって特定された(図14C)。しかしながら、このアプローチは、その多重化能力が制限され、シグナルにおける振幅変動によって制限される。現実的には、多重アッセイでは、5つのバーコードが使用され得る。バーコードの割り当て及び分類は、他のバーコードの特徴的なシグナルと重複する各バーコードについて観察される振幅の分布により、必ずしも正確に分類されるとは限らない。
配列表
配列番号1-E.coli由来のエキソヌクレアーゼI
MMNDGKQQSTFLFHDYETFGTHPALDRPAQFAAIRTDSEFNVIGEPEVFYCKPADDYLPQPGAVLITGITPQEARAKGENEAAFAARIHSLFTVPKTCILGYNNVRFDDEVTRNIFYRNFYDPYAWSWQHDNSRWDLLDVMRACYALRPEGINWPENDDGLPSFRLEHLTKANGIEHSNAHDAMADVYATIAMAKLVKTRQPRLFDYLFTHRNKHKLMALIDVPQMKPLVHVSGMFGAWRGNTSWVAPLAWHPENRNAVIMVDLAGDISPLLELDSDTLRERLYTAKTDLGDNAAVPVKLVHINKCPVLAQANTLRPEDADRLGINRQHCLDNLKILRENPQVREKVVAIFAEAEPFTPSDNVDAQLYNGFFSDADRAAMKIVLETEPRNLPALDITFVDKRIEKLLFNYRARNFPGTLDYAEQQRWLEHRRQVFTPEFLQGYADELQMLVQQYADDKEKVALLKALWQYAEEIVSGSGHHHHHH
配列番号2-E.coli由来のエキソヌクレアーゼIII酵素
MKFVSFNINGLRARPHQLEAIVEKHQPDVIGLQETKVHDDMFPLEEVAKLGYNVFYHGQKGHYGVALLTKETPIAVRRGFPGDDEEAQRRIIMAEIPSLLGNVTVINGYFPQGESRDHPIKFPAKAQFYQNLQNYLETELKRDNPVLIMGDMNISPTDLDIGIGEENRKRWLRTGKCSFLPEEREWMDRLMSWGLVDTFRHANPQTADRFSWFDYRSKGFDDNRGLRIDLLLASQPLAECCVETGIDYEIRSMEKPSDHAPVWATFRR
配列番号3-T.thermophilus由来のRecJ酵素
MFRRKEDLDPPLALLPLKGLREAAALLEEALRQGKRIRVHGDYDADGLTGTAILVRGLAALGADVHPFIPHRLEEGYGVLMERVPEHLEASDLFLTVDCGITNHAELRELLENGVEVIVTDHHTPGKTPPPGLVVHPALTPDLKEKPTGAGVAFLLLWALHERLGLPPPLEYADLAAVGTIADVAPLWGWNRALVKEGLARIPASSWVGLRLLAEAVGYTGKAVEVAFRIAPRINAASRLGEAEKALRLLLTDDAAEAQALVGELHRLNARRQTLEEAMLRKLLPQADPEAKAIVLLDPEGHPGVMGIVASRILEATLRPVFLVAQGKGTVRSLAPISAVEALRSAEDLLLRYGGHKEAAGFAMDEALFPAFKARVEAYAARFPDPVREVALLDLLPEPGLLPQVFRELALLEPYGEGNPEPLFL
配列番号4-バクテリオファージラムダエキソヌクレアーゼ
MTPDIILQRTGIDVRAVEQGDDAWHKLRLGVITASEVHNVIAKPRSGKKWPDMKMSYFHTLLAEVCTGVAPEVNAKALAWGKQYENDARTLFEFTSGVNVTESPIIYRDESMRTACSPDGLCSDGNGLELKCPFTSRDFMKFRLGGFEAIKSAYMAQVQYSMWVTRKNAWYFANYDPRMKREGLHYVVIERDEKYMASFDEIVPEFIEKMDEALAEIGFVFGEQWR
配列番号5-Phi29 DNAポリメラーゼ
MKHMPRKMYSCAFETTTKVEDCRVWAYGYMNIEDHSEYKIGNSLDEFMAWVLKVQADLYFHNLKFDGAFIINWLERNGFKWSADGLPNTYNTIISRMGQWYMIDICLGYKGKRKIHTVIYDSLKKLPFPVKKIAKDFKLTVLKGDIDYHKERPVGYKITPEEYAYIKNDIQIIAEALLIQFKQGLDRMTAGSDSLKGFKDIITTKKFKKVFPTLSLGLDKEVRYAYRGGFTWLNDRFKEKEIGEGMVFDVNSLYPAQMYSRLLPYGEPIVFEGKYVWDEDYPLHIQHIRCEFELKEGYIPTIQIKRSRFYKGNEYLKSSGGEIADLWLSNVDLELMKEHYDLYNVEYISGLKFKATTGLFKDFIDKWTYIKTTSEGAIKQLAKLMLNSLYGKFASNPDVTGKVPYLKENGALGFRLGEEETKDPVYTPMGVFITAWARYTTITAAQACYDRIIYCDTDSIHLTGTEIPDVIKDIVDPKKLGYWAHESTFKRAKYLRQKTYIQDIYMKEVDGKLVEGSPDDYTDIKFSVKCAGMTDKIKKEVTFENFKVGFSRKMKPKPVQVPGGVVLVDDTFTIKSGGSAWSHPQFEKGGGSGGGSGGSAWSHPQFEK
配列番号6-Trwc Cbaヘリカーゼ
MLSVANVRSPSAAASYFASDNYYASADADRSGQWIGDGAKRLGLEGKVEARAFDALLRGELPDGSSVGNPGQAHRPGTDLTFSVPKSWSLLALVGKDERIIAAYREAVVEALHWAEKNAAETRVVEKGMVVTQATGNLAIGLFQHDTNRNQEPNLHFHAVIANVTQGKDGKWRTLKNDRLWQLNTTLNSIAMARFRVAVEKLGYEPGPVLKHGNFEARGISREQVMAFSTRRKEVLEARRGPGLDAGRIAALDTRASKEGIEDRATLSKQWSEAAQSIGLDLKPLVDRARTKALGQGMEATRIGSLVERGRAWLSRFAAHVRGDPADPLVPPSVLKQDRQTIAAAQAVASAVRHLSQREAAFERTALYKAALDFGLPTTIADVEKRTRALVRSGDLIAGKGEHKGWLASRDAVVTEQRILSEVAAGKGDSSPAITPQKAAASVQAAALTGQGFRLNEGQLAAARLILISKDRTIAVQGIAGAGKSSVLKPVAEVLRDEGHPVIGLAIQNTLVQMLERDTGIGSQTLARFLGGWNKLLDDPGNVALRAEAQASLKDHVLVLDEASMVSNEDKEKLVRLANLAGVHRLVLIGDRKQLGAVDAGKPFALLQRAGIARAEMATNLRARDPVVREAQAAAQAGDVRKALRHLKSHTVEARGDGAQVAAETWLALDKETRARTSIYASGRAIRSAVNAAVQQGLLASREIGPAKMKLEVLDRVNTTREELRHLPAYRAGRVLEVSRKQQALGLFIGEYRVIGQDRKGKLVEVEDKRGKRFRFDPARIRAGKGDDNLTLLEPRKLEIHEGDRIRWTRNDHRRGLFNADQARVVEIANGKVTFETSKGDLVELKKDDPMLKRIDLAYALNVHMAQGLTSDRGIAVMDSRERNLSNQKTFLVTVTRLRDHLTLVVDSADKLGAAVARNKGEKASAIEVTGSVKPTATKGSGVDQPKSVEANKAEKELTRSKSKTLDFGI
配列番号7-Hel308 Mbuヘリカーゼ
MMIRELDIPRDIIGFYEDSGIKELYPPQAEAIEMGLLEKKNLLAAIPTASGKTLLAELAMIKAIREGGKALYIVPLRALASEKFERFKELAPFGIKVGISTGDLDSRADWLGVNDIIVATSEKTDSLLRNGTSWMDEITTVVVDEIHLLDSKNRGPTLEVTITKLMRLNPDVQVVALSATVGNAREMADWLGAALVLSEWRPTDLHEGVLFGDAINFPGSQKKIDRLEKDDAVNLVLDTIKAEGQCLVFESSRRNCAGFAKTASSKVAKILDNDIMIKLAGIAEEVESTGETDTAIVLANCIRKGVAFHHAGLNSNHRKLVENGFRQNLIKVISSTPTLAAGLNLPARRVIIRSYRRFDSNFGMQPIPVLEYKQMAGRAGRPHLDPYGESVLLAKTYDEFAQLMENYVEADAEDIWSKLGTENALRTHVLSTIVNGFASTRQELFDFFGATFFAYQQDKWMLEEVINDCLEFLIDKAMVSETEDIEDASKLFLRGTRLGSLVSMLYIDPLSGSKIVDGFKDIGKSTGGNMGSLEDDKGDDITVTDMTLLHLVCSTPDMRQLYLRNTDYTIVNEYIVAHSDEFHEIPDKLKETDYEWFMGEVKTAMLLEEWVTEVSAEDITRHFNVGEGDIHALADTSEWLMHAAAKLAELLGVEYSSHAYSLEKRIRYGSGLDLMELVGIRGVGRVRARKLYNAGFVSVAKLKGADISVLSKLVGPKVAYNILSGIGVRVNDKHFNSAPISSNTLDTLLDKNQKTFNDFQ
配列番号8-Ddaヘリカーゼ
MTFDDLTEGQKNAFNIVMKAIKEKKHHVTINGPAGTGKTTLTKFIIEALISTGETGIILAAPTHAAKKILSKLSGKEASTIHSILKINPVTYEENVLFEQKEVPDLAKCRVLICDEVSMYDRKLFKILLSTIPPWCTIIGIGDNKQIRPVDPGENTAYISPFFTHKDFYQCELTEVKRSNAPIIDVATDVRNGKWIYDKVVDGHGVRGFTGDTALRDFMVNYFSIVKSLDDLFENRVMAFTNKSVDKLNSIIRKKIFETDKDFIVGEIIVMQEPLFKTYKIDGKPVSEIIFNNGQLVRIIEAEYTSTFVKARGVPGEYLIRHWDLTVETYGDDEYYREKIKIISSDEELYKFNLFLGKTAETYKNWNKGGKAPWSDFWDAKSQFSKVKALPASTFHKAQGMSVDRAFIYTPCIHYADVELAQQLLYVGVTRGRYDVFYV

Claims (23)

  1. 試料中の複数の分子を検出するための方法であって、
    (a)前記試料を担体及びナノポアと接触させることであって、前記担体が、一本鎖リーダーと、識別子領域と、検出される分子に特異的な分子結合領域と、を含み、モータータンパク質が、前記ナノポア内の前記識別子領域の移動を制御することができるように、前記担体に結合している、接触させることと、
    (b)担体が前記ナノポア内を移動するとき、1つ以上の光学的又は電気的測定を行って、前記識別子領域を特徴付け、かつ前記分子が前記分子結合領域に結合しているか否かを判定することと、を含む、方法。
  2. 前記担体が、前記結合したモータータンパク質と前記分子結合領域との間にスペーサーを更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記担体が、順に、一本鎖リーダーと、識別子領域と、スペーサーと、分子結合領域と、を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記分子結合領域及び/又は前記識別子領域が、ポリヌクレオチドである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記分子結合領域又はその一部が、前記識別子領域である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記識別子領域が、ポリヌクレオチドであり、バーコード配列を含む、請求項4に記載の方法。
  7. 前記担体が、2つ以上の識別子領域及び/又は2つ以上の分子結合領域を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記担体が、2つ以上の識別子領域を含み、前記方法が、複数の試料中の複数の分子を検出するためのものであり、前記担体における1つの識別子領域が、前記試料に固有であり、前記担体における1つの識別子領域が、前記担体が結合する前記分子に固有である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記分子が、神経伝達物質、タンパク質、及び/又はmiRNAを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記分子結合領域が、アプタマーである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記分子結合領域が、抗体、抗体断片、ナノボディ、又はアフィボディである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記分子結合領域が、miRNAに相補的である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記識別子領域が、ポリヌクレオチドであり、前記方法が、前記識別子領域の前記ポリヌクレオチド配列を決定することを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記方法が、前記分子の存在又は不在を検出するために使用される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記方法が、前記分子の前記濃度を判定するために使用される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記複数の分子が、10個以上の異なる分子である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記モータータンパク質が、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、トランスロカーゼ、又はトポイソメラーゼである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記ナノポアが、タンパク質ポア、固体状態ポア、又はDNA折り紙ポアである、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 一本鎖リーダーと、識別子領域と、検出される分子に特異的な分子結合領域と、を含む担体であって、モータータンパク質が、前記一本鎖リーダーと前記識別子領域との間の位置で前記担体に結合している、担体。
  20. 前記識別子領域と前記分子結合領域との間にスペーサー、及び/又は前記分子結合領域に特異的に結合した分子を更に含む、請求項19に記載の担体。
  21. 複数の分子のための担体の集団であって、前記担体が、請求項19又は20で定義されるとおりであり、前記集団における異なる担体が、異なる識別子領域及び異なる分子結合領域を含む、担体の集団。
  22. 試料中の複数の分子を検出するためのキットであって、
    (i)担体の集団であって、各担体が、識別子領域と、検出される分子に特異的な分子結合領域と、を含み、前記集団における異なる担体が、異なる識別子領域及び異なる分子結合領域を含む、担体の集団と、
    (ii)一本鎖リーダーを含むアダプターと、
    (iii)モータータンパク質と、を含む、キット。
  23. 試料中の複数の分子を検出するためのシステムであって、
    (i)請求項21に記載の担体の集団と、
    (iii)ナノポアと、を含む、システム。
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