JP2024508677A - 個別化がんワクチン用ネオアンチゲンのランク付け - Google Patents
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Abstract
本明細書には、対象特異的免疫原性組成物に適した対象者の腫瘍由来の腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けするための方法が開示される。適切な腫瘍特異的ネオアンチゲンは、腫瘍の細胞表面に提示される可能性が高く、免疫原性である可能性が高く、対象者における免疫応答の誘発に十分な量で発現されると予測され、必要に応じて腫瘍の全体にわたって十分な多様性を示し、また、比較的高い製造可能性を有する腫瘍特異的ネオアンチゲンである。当該方法は、ネオアンチゲン群(ペプチドワクチン候補)を取得して、ネオアンチゲンをランク付けし、上位のランクのネオアンチゲンの群がクラスI及びクラスIIのMHC分子に対する重要なネオアンチゲンの細胞表面提示を同時に促進するようにする。続いて、製造可能性及び/または他の基準に従って、上位にランクしたネオアンチゲンを更に絞り込むことができる。
Description
本出願は、2021年2月5日出願の米国仮特許出願第63/146,392号の優先権を主張し、その全文は本明細書に援用されている。
配列表の参照
本願は、コンピュータ可読形式の配列表を含む。コンピュータ可読の形式については、本明細書に援用されている。2022年2月3日に作成された該ASCIIコピーのファイル名は146401_091686_SL.txtであり、サイズは14,005バイトである。
本願は、コンピュータ可読形式の配列表を含む。コンピュータ可読の形式については、本明細書に援用されている。2022年2月3日に作成された該ASCIIコピーのファイル名は146401_091686_SL.txtであり、サイズは14,005バイトである。
がんは世界各国の主要な死因であり、およそ4人に1人はがんにより死亡する。Siegel et al.、CA: A Cancer Journal for Clinicians、68:7-30 (2018)。2018年には1810万人が新たにがんに罹患し、960万人ががんに係る理由により死亡している。Bray et al.、CA: A Cancer Journal for Clinicians、68(6):394-424。切除技術(外科的処置や放射線など)や化学技術(化学療法剤など)を含む、標準がん治療法は数多く現存する。残念ながら、そのような治療法は、重大なリスク、有毒な副作用、非常に高額な費用を伴うことが多く、有効性も不確実である。
がん免疫療法(がんワクチンなど)は、有望ながん治療法として浮上している。がん免疫療法の目標は、免疫系を活性化させ正常組織を無傷のまま保護しながらがんを選択的に破壊することである。従来のがんワクチンは通常、腫瘍関連抗原を標的とする。腫瘍関連抗原は通常、正常組織に存在するが、がんでは過剰発現する。ただし、これらの抗原は正常組織に存在することが多いため、免疫寛容により免疫活性化が妨げられる場合がある。腫瘍関連抗原を対象とした一部の臨床試験では、標準治療と比較して持続的な有益な効果を実証できなかった。Li et al.、Ann Oncol.、28 (Suppl 12): xii11-xii17 (2017)。
ネオアンチゲンは、がん免疫療法にとって非常に魅力的な標的となり得る。ネオアンチゲンとは、個別の特異性を持つ非自己タンパク質である。ネオアンチゲンは腫瘍細胞ゲノム内のランダムな体細胞変異に由来し、正常細胞の表面には発現しない。同上。ネオアンチゲンは腫瘍細胞上でのみ発現され、中枢性免疫寛容を誘導しないため、がんネオアンチゲンを標的とするがんワクチンには、中枢性免疫寛容の低下や安全性プロファイルの向上などの利点を期待できる。同上。
がんの突然変異の状況は複雑であり、腫瘍の突然変異は各被験者に固有である。シーケンシング(配列決定)によって検出される体細胞変異のほとんどは、有効なネオアンチゲンをもたらさない。腫瘍DNAまたは腫瘍細胞変異のごく一部だけが、効果が期待できるワクチンを設計するのに十分な精度で転写・翻訳され、腫瘍特異的ネオアンチゲンとして加工される。更に、すべてのネオアンチゲンに免疫原性があるわけではない。実際、内因性ネオアンチゲンを自発的に認識する T 細胞の割合は約1%~2%にすぎない。Karpanen et al.、Front Immunol.、8:1718 (2017)を参照。更に、ネオアンチゲンワクチンの製造にかかるコストと時間は膨大である。
従って、免疫原性組成物のネオアンチゲン候補を効率的かつ正確に予測し、優先順位を付け、選択することは依然として課題である。よって、腫瘍ゲノム物質を特徴付けてネオアンチゲンを同定し、どのネオアンチゲンが免疫系の標的となっているかを同定し、どのネオアンチゲンが有効な免疫原性組成物に適している可能性が高いかを選択するための統合された方法に対する、未だ満たされていない重要なニーズが存在する。
発明の概要
本開示は、個別化された(つまり、対象特異的)免疫原性組成物について、対象者の腫瘍からの1つ以上の適切な腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けするための新規な方法に関する。本開示はまた、腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けし、当該ランク付け技術に基づいて選択された腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物を製剤化するための新規なアプローチを使用して、選択された腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物を投与することによって、それを必要とする対象者においてがんを処置する方法に関する。適切な腫瘍特異的ネオアンチゲンは、腫瘍の細胞表面に存在する可能性が高く、免疫原性である可能性が高く、対象者において免疫応答を誘発するのに十分な量で発現すると予測され、場合により腫瘍全体にわたって十分な多様性を示すネオアンチゲンであり、比較的高い製造可能性を有している。当該方法は、ネオアンチゲン群(ペプチドワクチン候補)を取得して、ネオアンチゲンをランク付けし、上位のランクのネオアンチゲンの群がクラスI及びクラスIIのMHC分子に対する重要なネオアンチゲンの細胞表面提示を同時に促進するようにする。続いて、製造可能性及び/または他の基準に従って、上位にランクしたネオアンチゲン群を更に絞り込むことができる。
本開示は、個別化された(つまり、対象特異的)免疫原性組成物について、対象者の腫瘍からの1つ以上の適切な腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けするための新規な方法に関する。本開示はまた、腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けし、当該ランク付け技術に基づいて選択された腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物を製剤化するための新規なアプローチを使用して、選択された腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物を投与することによって、それを必要とする対象者においてがんを処置する方法に関する。適切な腫瘍特異的ネオアンチゲンは、腫瘍の細胞表面に存在する可能性が高く、免疫原性である可能性が高く、対象者において免疫応答を誘発するのに十分な量で発現すると予測され、場合により腫瘍全体にわたって十分な多様性を示すネオアンチゲンであり、比較的高い製造可能性を有している。当該方法は、ネオアンチゲン群(ペプチドワクチン候補)を取得して、ネオアンチゲンをランク付けし、上位のランクのネオアンチゲンの群がクラスI及びクラスIIのMHC分子に対する重要なネオアンチゲンの細胞表面提示を同時に促進するようにする。続いて、製造可能性及び/または他の基準に従って、上位にランクしたネオアンチゲン群を更に絞り込むことができる。
このアプローチは、腫瘍から配列データを取得することから始まる。配列データは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンのポリペプチド配列を表すデータを得るために使用される。配列データは、ヌクレオチド配列データ、ポリペプチド配列データ、エキソーム配列データ、トランスクリプトーム配列データ、または全ゲノムヌクレオチド配列データであってもよい。適切な腫瘍特異的ネオアンチゲンは、腫瘍の細胞表面に存在する可能性が高く、免疫原性である可能性が高く、対象者において免疫応答を誘発するのに十分な量で発現すると予測され、場合により腫瘍全体にわたって十分な多様性を示すネオアンチゲンであり、比較的高い製造可能性を有している。当該方法は、ネオアンチゲン群(ペプチドワクチン候補)を取得して、ネオアンチゲンをランク付けし、上位のランクのネオアンチゲンの群がクラスI及びクラスIIのMHC分子に対する重要なネオアンチゲンの細胞表面提示を同時に促進するようにする。続いて、製造可能性及び/または他の基準に従って、上位にランクしたネオアンチゲン群を更に絞り込むことができる。以下でより詳しく説明するが、ランク付けは主にネオアンチゲンの免疫原性の算出に基づいている。短鎖ネオアンチゲンにつき、短鎖ネオアンチゲンの免疫原性は、対象者の複数のHLAクラスI対立遺伝子中の少なくとも1つの対立遺伝子が短鎖ネオアンチゲンを提示し、短鎖ネオアンチゲンの生殖系列兄弟を提示しない確率に少なくとも部分的に基づいて判定される。同じく、長鎖ネオアンチゲンにつき、長鎖ネオアンチゲンの免疫原性は、対象者の複数のHLAクラスII対立遺伝子中の少なくとも1つの対立遺伝子が長鎖ネオアンチゲンを提示し、長鎖ネオアンチゲンの生殖系列兄弟を提示しない確率に少なくとも部分的に基づいて判定される。これらの確率は、1つ以上の機械学習プラットフォーム/モデルによって提供される出力を用いて判定され、機械学習プラットフォーム/モデルは、所与の対立遺伝子が特定の抗原を提示する確率を判定できるように訓練されている。
本発明の技術に少なくとも部分的に基づいて製剤化された免疫原性組成物は、少なくとも約10個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、または少なくとも約20個の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含んでもよい。腫瘍特異的ネオアンチゲンは、短鎖ポリペプチドまたは長鎖ポリペプチドによってコードされてもよい。免疫原性組成物は、ヌクレオチド配列、ポリペプチド配列、RNA、DNA、細胞、プラスミド、ベクター、樹状細胞、または長い合成ペプチドを含んでもよい。免疫原性組成物は更にアジュバントを含んでもよい。
本開示はまた、本明細書に記載の方法を用いて選択される1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む個別化免疫原性組成物を投与することを含む、それを必要とする対象者におけるがんの治療方法に関する。本明細書に開示される方法は、さまざまながんの治療に適することができる。腫瘍には、黒色腫、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、腎臓がん、胃がん、結腸がん、精巣がん、頭頸部がん、膵臓がん、脳がん、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性腫瘍、白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リンパ性白血病、膀胱がん、または肺がんが含まれる。好ましくは、がんは黒色腫、乳がん、肺がん、膀胱がんである。
本開示に係る様々な実施形態を、図面を参照して説明する。
本開示は、強力な個別化癌免疫原性組成物(例えば、対象特異的免疫原性組成物)に含めるための腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けする新規なアプローチに関する。本開示はまた、腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けし、選択された腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物を製剤化するための新規なアプローチを使用して形成された、腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物を投与することによって、それを必要とする対象者においてがんを処置する方法に関する。
本明細書で引用されるすべての特許及び出版物は、全文が本明細書に援用されている。援用されている資料が本明細書と矛盾する場合、本明細書はそのような資料に優先する。また、本明細書における参考文献の引用は、当該参考文献が本開示に対する先行技術であることを意味するものではない。値の範囲が表現される場合、その範囲内の特定の値を使用する実施形態が含まれる。更に、範囲内に記載された値を言及することは、その範囲内のあらゆる値をすべて含むことになる。すべての範囲は端点を含み、組み合わせが可能である。値が近似値として表される場合、先行詞「約(about)」の使用により、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。特定の数値に関する言及には、文脈上明らかに別段の指示がない限り、少なくともその特定の値が含まれる。「または(or)」の使用は、具体的な文脈で別段の指示がない限り、「及び/または(and/or)」を意味する。
本明細書と請求項において、本発明の態様に関連する様々な用語が用いられている。別段の指示がない限り、このような用語には、当該技術分野における通常の意味を付与するものとする。具体的に定義されているその他の用語は、本明細書に示されている定義と一致する形で解釈されるものとする。本明細書に記載または言及される技法及び手順は、当業者には概ね十分に理解されており、例えば、Sambrook et al.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 4th ed. (2012) Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor, NYなどのような、周知の従来の方法論を以って採用されている。必要に応じて、市販のキットや試薬の使用を伴う手順は、特に指示のない限り、一般に製造業者が定めたプロトコル及び条件に従って実行される。
本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈上明らかに別段の指示しない限り、複数形を含む。「含む(include)」、「など(such as)」などの用語は、特に明記しない限り、制限なく包含を意味するものとする。
別段の指示がない限り、一連の要素または範囲に先行詞として用いられる「少なくとも」、「未満」、「約」という用語、或いは同様の用語は、その一連または範囲内のすべての要素を指すものと理解されるべきである。当業者は、通常な実験のみを用いて、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識する、または確認することができるはずである。そのような等価物は、下記の特許請求の範囲によって網羅されることを意図している。
「がん」とは、細胞集団が制御されない増殖、不死性、転移能、急速な成長、増殖速度、及び/または特定の形態学的特性を特徴とする、対象者における生理学的状態を指す。多くの場合、がんは腫瘍または塊の形をとるが、対象者の体内に単独で存在することもあれば、白血病細胞やリンパ腫細胞などの独立した細胞として血流中を循環することもある。「がん」という用語は、血液悪性腫瘍、固形腫瘍、肉腫、癌腫、他の固形腫瘍や非固形腫瘍を含む、あらゆる種類のがん及び転移を網羅する。がんの例としては、がん腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、白血病が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。かかるがんの更に特定の例としては、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞がん、消化器がん、膵臓がん、膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、肝がん、乳がん(例:トリプルネガティブ乳がん、ホルモン受容体陽性乳がん)、骨肉腫、黒色腫、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜(例、漿液性)または子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、肝臓がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝臓がん、様々な種類の頭頸部がんが挙げられる。一部の実施形態において、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、またはHer2/neuの遺伝子を発現しない乳癌を指す。ホルモン受容体陽性乳がんとは、ERまたはPRのうち少なくとも1つが陽性であり、Her2/neu(HER2)が陰性である乳がんを指す。
本明細書における「ネオアンチゲン(新抗原)」とは、例えば腫瘍細胞における突然変異や腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾を介して、対応する親抗原とは区別される少なくとも1つの変化を有する抗原を指す。突然変異、もしくは変異には、フレームシフト、インデル、ミスセンスまたはナンセンス置換、スプライス部位の変化、ゲノムの再配列または遺伝子融合、或いはネオアンチゲンを生じさせるゲノム発現の変化が含まれる。突然変異にはスプライス突然変異が含まれる場合がある。腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾には、異常なリン酸化が含まれてもよい。腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾には、プロテアソームによって生成されるスプライス抗原も含まれてもよい。Lipe et al.、Science、354(6310):354:358 (2016)を参照。通常、点変異は腫瘍の変異の約 95%を占め、インデルやフレームシフト変異が残りを占める。Snyder et al.、N Engl J Med.、371:2189-2199 (2014)を参照。
本明細書における「腫瘍特異的ネオアンチゲン」とは、対象者の腫瘍細胞または組織には存在するが、対象の正常細胞または組織には存在しないネオアンチゲンを指す。
本明細書における「生殖系列兄弟」とは、対応するネオアンチゲンの非変異ペプチド同等物を表す生殖系列抗原を指す。
本明細書における「次世代シーケンシング」または「NGS」とは、従来のアプローチ(例えば、サンガー法)と比較してスループットが向上し、一度に数十万の配列リードを生成できる能力を備えたシーケンシング(配列決定)技術を指す。
本明細書における「ニューラルネットワーク」とは、通常、確率的勾配降下法及び逆伝播によって訓練された要素ごとの非線形性が後に続く線形変換の複数の層で構成される、分類または回帰のための機械学習モデルを指す。
本明細書でおける「対象者」とは、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類などを含むがこれらに限定される訳ではない哺乳動物など、任意の動物を指す。一部の実施形態では、哺乳動物は、マウスである。一部の実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
本明細書における「がん細胞」とは、がん細胞である、またはがん細胞に由来するいずれかの細胞を指す。「腫瘍細胞」もまた、がん様特性、例えば、制御不能な複製、抗増殖信号に対する抵抗性、転移能、プログラム細胞死を起こす能力の喪失を示す細胞を指す。
本明細書には、本方法に関する補足説明と、本方法を実施するための指針が記載されている。
I.腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けする方法
本明細書には、対象特異的免疫原性組成物に適した、対象者の腫瘍由来の腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けするための方法が開示される。適切な腫瘍特異的ネオアンチゲンは、腫瘍の細胞表面に提示される可能性が高く、免疫原性である可能性が高く、対象者における免疫応答の誘発に十分な量で発現されると予測され、必要に応じて腫瘍の全体にわたって十分な多様性を示し、また、比較的高い製造可能性を有する腫瘍特異的ネオアンチゲンである。当該方法は、ネオアンチゲン群(ペプチドワクチン候補)を取得して、ネオアンチゲンをランク付けし、上位のランクのネオアンチゲンの群がクラスI及びクラスIIのMHC分子に対する重要なネオアンチゲンの細胞表面提示を同時に促進するようにする。続いて、製造可能性及び/または他の基準に従って、上位にランクしたネオアンチゲン群を更に絞り込むことができる。
本明細書には、対象特異的免疫原性組成物に適した、対象者の腫瘍由来の腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けするための方法が開示される。適切な腫瘍特異的ネオアンチゲンは、腫瘍の細胞表面に提示される可能性が高く、免疫原性である可能性が高く、対象者における免疫応答の誘発に十分な量で発現されると予測され、必要に応じて腫瘍の全体にわたって十分な多様性を示し、また、比較的高い製造可能性を有する腫瘍特異的ネオアンチゲンである。当該方法は、ネオアンチゲン群(ペプチドワクチン候補)を取得して、ネオアンチゲンをランク付けし、上位のランクのネオアンチゲンの群がクラスI及びクラスIIのMHC分子に対する重要なネオアンチゲンの細胞表面提示を同時に促進するようにする。続いて、製造可能性及び/または他の基準に従って、上位にランクしたネオアンチゲン群を更に絞り込むことができる。
対象者の腫瘍に由来する腫瘍特異的ネオアンチゲンのランク付けには、腫瘍や対象者の配列データが用いられる。腫瘍の配列データは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンのポリペプチド配列を表すデータを得るために使用される。通常、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンのポリペプチド配列を表す配列データは、腫瘍サンプルを配列分析にかけて得ることができる。一部の実施形態では、配列データを取得することは、以前に実行された配列決定から保存されたデータを受信するか、或いはそのデータにアクセスすることを含む。配列データは、エクソーム配列データ、トランスクリプトーム配列データ、全ゲノムヌクレオチド配列データ、ヌクレオチド配列データ、またはポリペプチド配列データであってもよい。腫瘍及び対象者の配列データを取得する様々な方法を、本明細書に記載の方法において使用してもよい。一部の例示的な配列決定方法を以下により詳しく説明する。
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンのポリペプチド配列を表す配列データが得られると、その配列データを対象者のMHC分子と併せて分析して、対象者の免疫原性組成物に入れるためのネオアンチゲン候補を同定し、ランク付けすることができる。
一実施形態では、対象者のHLA I対立遺伝子及びHLAI I対立遺伝子の群、腫瘍の体細胞変異リストが与えられると、約30個の長鎖ペプチド候補と約15個の短鎖ペプチド候補の上位ランク群が特定され、製造可能性分析を受ける。ペプチドの開始群は、各体細胞変異に対するスライディングウィンドウ群を用いて同定される。これらには、下記に説明するMHCクラスI及びクラスII機械学習モデルを使用してスコアを付ける。15個の短鎖ペプチド及び30個の長鎖ペプチドは、少なくとも1個のMHCクラスIエピトープを含み、かつ長鎖ペプチドはまた、1個以上のMHCクラスIIエピトープを含むことがある。次いで、30個の長鎖ペプチド候補のうち9個、15個の短鎖ペプチド候補のうち10個が、製造可能性に基づいて免疫原性組成物に添加するために選択される。他の実施形態では、上位にランクした長鎖及び/または短鎖ペプチド候補を、様々な数で、製造可能性分析にかけるべく提供する。一部の実施形態では、20~100個(例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100)の候補が提供される。他の実施形態では、製造可能性分析のために、より多くの、またはより少ない上位ランクの候補が提供されてもよい。
同様に、免疫原性組成物に添加するために、様々な数の長鎖及び/または短鎖ペプチド候補が最終的に選択されてもよい。通常、長鎖ネオアンチゲンは、短鎖ネオアンチゲンよりも製造上の制約がより多いため、長鎖ネオアンチゲンがより多く必要となる。一部の実施形態では、約15~30個のアミノ酸(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個のアミノ酸)を有するネオアンチゲンを長鎖ネオアンチゲンとし、約8~11個のアミノ酸(例えば、8、9、10、または11個のアミノ酸)を有するネオアンチゲンを短鎖ネオアンチゲンとする。本技術の他の実施形態/実装で、異なる数のアミノ酸を有する長鎖及び短鎖ネオアンチゲンを定義してもよい。
図4は、対象特異的免疫原性組成物に関して対象者の腫瘍からの腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けする例示的な方法(400)を説明する。まず、腫瘍内に存在する複数の体細胞変異を同定する(410)。次いで、個別体細胞変異につき、その体細胞変異に関連する最初の複数の短鎖ネオアンチゲン及び最初の複数の長鎖ネオアンチゲンを同定するか、または別の方法で取得する(420)。最初の複数の短鎖ネオアンチゲンは、対象者に関連する少なくとも1つのMHCクラスIエピトープを含む短鎖ポリペプチドを含んでもよい。最初の複数の長鎖ネオアンチゲンは、対象者に関連する少なくとも1つのMHCクラスIエピトープと、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープとを含む長鎖ポリペプチドを含んでもよい。
最初の複数の短鎖ネオアンチゲンのうち、最も高い免疫原性スコアを有する短鎖ネオアンチゲンが選択または判定され(430)、短鎖ネオアンチゲン候補リストに追加される(440)。選択された短鎖ネオアンチゲンは、特定の体細胞変異に関して最良の短鎖ネオアンチゲンとも呼ばれる。同様に、最初の複数の長鎖ネオアンチゲンのうち、最も高い免疫原性スコアを有する長鎖ネオアンチゲンが選択または判定され(460)、長鎖ネオアンチゲン候補リストに追加される(470)。選択された長鎖ネオアンチゲンを、特定の体細胞変異に対して最良の長鎖ネオアンチゲンともする。免疫原性スコアは、1つ以上の基準に関して、1つ以上のデータに基づいてネオアンチゲンの品質を表すために使用される、数値または非数値など、任意の形式の評価や値であってもよい。ネオアンチゲンの免疫原性スコアは、下記に詳しく説明する技術に従って判定することができる。最良の短鎖ネオアンチゲンと最良の長鎖ネオアンチゲンを選択するステップは、複数の体細胞変異中のそれぞれの体細胞変位に対して行い、完成した短鎖ネオアンチゲン候補リストは、体細胞変異のそれぞれに対する最良の短鎖ネオアンチゲンを含み、完成した長鎖ネオアンチゲン候補リストは、体細胞変異のそれぞれに対する最良の長鎖ネオアンチゲンを含む。言い換えれば、短鎖ネオアンチゲン候補リスト内の各短鎖ネオアンチゲンは、複数の同定された体細胞変異のうち、それぞれの体細胞変異に対する最良の短鎖ネオアンチゲンであってもよい。同様に、長鎖ネオアンチゲン候補リスト内の各長鎖ネオアンチゲンは、複数の同定された体細胞変異のうち、それぞれの体細胞変異に対する最良の長鎖ネオアンチゲンであってもよい。体細胞変異ごとに、最良の短鎖ネオアンチゲンと最良の長鎖ネオアンチゲンが同定される。次いで、短鎖ネオアンチゲン候補リストと長鎖ネオアンチゲン候補リストがそれぞれソートされ、免疫原性スコアの降順でランク付けをされる(450、480)。
一部の実施形態では、ソートされた長鎖ネオアンチゲン候補リストから、上位ランクの長鎖ネオアンチゲン候補を所定の数までトリミングする。例えば、リストは、上位30個の長鎖ネオアンチゲン候補までトリミングされてもよい。言い換えれば、ソートされたリストの上位にランク付けされた所定の数の長鎖ネオアンチゲンが、製造可能性分析や判定のために選択される。一部の実施形態では、長鎖ネオアンチゲン候補をトリミングしたリスト(つまり、上位にランクした長鎖ネオアンチゲンのうち所定の数)が、製造可能性を判断するために製造業者に提供される。特定のネオアンチゲンの製造可能性は、数値または非数値のスコア、値、分類などで表現されてもよい。製造可能性は、様々な方法で計算、重み付け、またはその他の方法で処理を行うことができる、1以上の基準またはデータに基づいてもよい。製造可能性の判定は、実際のネオアンチゲンに対して実行された分析に基づいて行われてもよく、標準物質に基づいて行われてもよい。次いで、製造業者は、製造可能性に基づいて、長鎖ネオアンチゲン候補をトリミングしたリストから長鎖ネオアンチゲン候補の下位群を選択する(つまり、製造可能性スコアの上位群)。例えば、下位群には、製造可能性スコアが最も高い上位9個の長鎖ネオアンチゲンが含まれる。本明細書における「製造業者」とは、製造可能性分析を行い、下位群を選択する事業体を指すが、残りの技術を担当する同様の事業体や第三者であってもよい。
製造可能性に基づいた長鎖ネオアンチゲン候補の下位群が得られると、長鎖ネオアンチゲンの下位群内のネオアンチゲンのいずれかに含まれる短鎖ネオアンチゲン候補リスト内のネオアンチゲンは、重複を避けるため、短鎖ネオアンチゲン候補リストから取り除かれる。言い換えると、長鎖ネオアンチゲン候補の下位群内の長鎖ネオアンチゲンのそれぞれについて、その変異を同定し、対応する短鎖ネオアンチゲンを短鎖ネオアンチゲン候補リストから削除するものである。短鎖ネオアンチゲン候補リストに残った短鎖ネオアンチゲンを、免疫原性スコアに基づいて所定の数までトリミングする。例えば、リストから、約15個のネオアンチゲンまでトリミングしてもよい。次いで、これらの短鎖候補について製造可能性の判定が行われ、それらの製造可能性について選択された短鎖ネオアンチゲン候補の下位群が得られる。短鎖ネオアンチゲン候補の下位群及び長鎖ネオアンチゲン候補の下位群は、対象者に投与し得る対象特異的免疫原性組成物を形成または生成するために用いられる。
最初の複数の短鎖ネオアンチゲンの取得:
個別体細胞変異に対して最初に定義された複数の短鎖ネオアンチゲンを取得するために、まずは、変異アミノ酸を含む最長のネオアンチゲン配列、neoTを同定する。このネオアンチゲンの生殖系列兄弟neoGも同定される。次いで、最小数(例えば8)~最大数(例えば11)のアミノ酸を有する変異を含むすべてのネオアンチゲン配列を、最長鎖ネオアンチゲン配列にわたるスライディングウィンドウを用いて同定する。これにより、最初の複数の短鎖ネオアンチゲン、neoT_1が得られる。例えば、アミノ酸の最小数が8であり、最大数が11である実施形態では、最長鎖ネオアンチゲンneoT内において、変異を含み、長さが8個、9個、10個、11個のアミノ酸を有するすべてのネオアンチゲン配列に対して同定を行い、最初の複数の短いネオアンチゲン neoT_1の一員として指定する。一部の実施形態では、対象者の複数のHLAクラスI対立遺伝子a1における個別対立遺伝子
につき、それぞれに対してネオアンチゲン-対立遺伝子スコアを、同定された最初の複数の短鎖ネオアンチゲンに対して判定する。最初の複数の短鎖ネオアンチゲン neoT_1における個別ネオアンチゲン
及び個別対立遺伝子
のネオアンチゲン-対立遺伝子スコアは、個別ネオアンチゲンが個別の対立遺伝子により提示されるが、個別ネオアンチゲンの生殖系列兄弟は個別により提示されない確率に少なくとも部分的に基づいている。該確率は次のように表すことができる。
個別体細胞変異に対して最初に定義された複数の短鎖ネオアンチゲンを取得するために、まずは、変異アミノ酸を含む最長のネオアンチゲン配列、neoTを同定する。このネオアンチゲンの生殖系列兄弟neoGも同定される。次いで、最小数(例えば8)~最大数(例えば11)のアミノ酸を有する変異を含むすべてのネオアンチゲン配列を、最長鎖ネオアンチゲン配列にわたるスライディングウィンドウを用いて同定する。これにより、最初の複数の短鎖ネオアンチゲン、neoT_1が得られる。例えば、アミノ酸の最小数が8であり、最大数が11である実施形態では、最長鎖ネオアンチゲンneoT内において、変異を含み、長さが8個、9個、10個、11個のアミノ酸を有するすべてのネオアンチゲン配列に対して同定を行い、最初の複数の短いネオアンチゲン neoT_1の一員として指定する。一部の実施形態では、対象者の複数のHLAクラスI対立遺伝子a1における個別対立遺伝子
一部の実施形態では、確率は、複数のHLAクラスI対立遺伝子中の所定の対立遺伝子が特定の抗原を提示する確率を判定するように訓練されたMHCクラスI機械学習モデルからのデータに少なくとも部分的に基づいて判定されてもよい。
最初の複数の短鎖ネオアンチゲンは、最初の複数の短鎖ネオアンチゲンのうちのネオアンチゲンにネストされている、または別のネオアンチゲンにネストされているネオアンチゲンを含まないように、更にフィルタリングされる。当該フィルタリングは、対の一方の配列が他方の配列内にネストされているネオアンチゲンの対を識別して行ってもよく、上記の式(1)を用いて計算したように、より高い確率スコア
を有する対からネオアンチゲンを遠ざける。ペア内の確率スコアが低いネオアンチゲンは取り除かれる。このプロセスは、最初の複数の短鎖ネオアンチゲンに上記のような対が残らなくなるまで繰り返すことができ、その結果、フィルタリングをかけられた最初の複数の短鎖ネオアンチゲンneoT_1_filtが得られる。
最初の複数の長鎖ネオアンチゲンの取得:
最初の複数の短鎖ネオアンチゲンが定義されると、短部分配列T1が最長鎖ネオアンチゲン配列neoTから同定される。短部分配列T1は、最初の複数の短鎖ネオアンチゲンneoT_1におけるすべてのネオアンチゲンを含む最長鎖ネオアンチゲン配列neoTの最短部分配列として同定される。上述したように、フィルタリングをかけられた最初の複数の短鎖ネオアンチゲンneoT_1_filtは、最初の複数の短鎖ネオアンチゲンに含まれるネオアンチゲンを含まないか、または、他のネオアンチゲンを含む。拡張配列T1_longを識別できる。拡張配列T1_longは、最長鎖ネオアンチゲンneoTに従って、短部分配列T1の両側にアミノ酸を追加して得る。これにより、変異アミノ酸の各側に隣接する第1最大数のアミノ酸が存在するようになる。例えば、第1最大数は29である。一部の実施形態では、アミノ酸の第2最大数は、9~50(例えば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、2425、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50)であってもよい。従って、当該実施形態では、拡張配列 T1_longは、短部分配列T1と、変異アミノ酸の両側に隣接する29個のアミノ酸を含む。
最初の複数の短鎖ネオアンチゲンが定義されると、短部分配列T1が最長鎖ネオアンチゲン配列neoTから同定される。短部分配列T1は、最初の複数の短鎖ネオアンチゲンneoT_1におけるすべてのネオアンチゲンを含む最長鎖ネオアンチゲン配列neoTの最短部分配列として同定される。上述したように、フィルタリングをかけられた最初の複数の短鎖ネオアンチゲンneoT_1_filtは、最初の複数の短鎖ネオアンチゲンに含まれるネオアンチゲンを含まないか、または、他のネオアンチゲンを含む。拡張配列T1_longを識別できる。拡張配列T1_longは、最長鎖ネオアンチゲンneoTに従って、短部分配列T1の両側にアミノ酸を追加して得る。これにより、変異アミノ酸の各側に隣接する第1最大数のアミノ酸が存在するようになる。例えば、第1最大数は29である。一部の実施形態では、アミノ酸の第2最大数は、9~50(例えば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、2425、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50)であってもよい。従って、当該実施形態では、拡張配列 T1_longは、短部分配列T1と、変異アミノ酸の両側に隣接する29個のアミノ酸を含む。
短部分配列の長さ[length(T1)]と、第2最大数のアミノ酸数の長さの間の長さを有する長部分配列からすべての可能な部分配列を同定し、最初の複数の長鎖ネオアンチゲン neoT_2として指定してもよい。例えば、第2最大数は30である。一部の実施形態では、アミノ酸の第2最大数は、9~50(例えば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、2425、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50)であってもよい。一部の実施形態では、最初の複数の長鎖ネオアンチゲンは、1つ以上の製造可能性条件に基づいてフィルタリングされてもよい。
ネオアンチゲンの免疫原性スコアの取得:
短鎖ネオアンチゲンの選択とランク付け(ソート)に用いられる個別短鎖ネオアンチゲンの免疫原性スコアは、対象者の複数のHLAクラスI対立遺伝子における少なくとも1つの対立遺伝子が個別短ネオアンチゲンを提示し、個別短ネオアンチゲンの生殖系列兄弟を提示しない確率に少なくとも部分的に基づいて判定することができる。該確率は次のように表すことができる。
短鎖ネオアンチゲンの選択とランク付け(ソート)に用いられる個別短鎖ネオアンチゲンの免疫原性スコアは、対象者の複数のHLAクラスI対立遺伝子における少なくとも1つの対立遺伝子が個別短ネオアンチゲンを提示し、個別短ネオアンチゲンの生殖系列兄弟を提示しない確率に少なくとも部分的に基づいて判定することができる。該確率は次のように表すことができる。
一部の実施形態では、上記の計算値は、ネスト対についてフィルタリングされる前の、最初の複数の短鎖ネオアンチゲンにおける各短鎖ネオアンチゲンの汎HLAI対立遺伝子スコアと呼ばれる。
の値は上記の式(1)で求めることができる。式(2)で計算されたスコアは、各短鎖ネオアンチゲンの免疫原性スコアを導出するために使用される。一部の実施形態では、免疫原性スコアは、式(2)で計算されたスコアと同じであってもよい。一部の他の実施形態では、式(2)で計算されたスコアは、免疫原性スコアを求めるための更なる計算や処理に用いられてもよい。
更に、一部の実施形態では、個別MHCクラスI対立遺伝子に対する変異アミノ酸とMHCクラスIエピトープとを含むペプチド配列の対立遺伝子スコアは、個別対立遺伝子が、ネスト対に対してフィルタリングされた後の最初の複数の短鎖ネオアンチゲンにおける少なくとも1つのネオアンチゲンを提示し、少なくとも1つのネオアンチゲンの生殖系列兄弟を提示しない確率に基いて判定される。これは次のように表すことができる。
一部の実施形態では、汎対立遺伝子HLAクラスIスコアは、対象者の複数のHLAクラスI対立遺伝子における少なくとも1つの対立遺伝子が短鎖ネオアンチゲン群における少なくとも1つのネオアンチゲンを提示し、少なくとも1つのネオアンチゲンの生殖系列兄弟を提示しない確率に少なくとも部分的に基づいて判定される。これは次のように表すことができる。
長鎖ネオアンチゲンの選択とランク付け(ソート)に用いられる個別長鎖ネオアンチゲンの免疫原性スコアは、対象者の複数のHLAクラスII対立遺伝子中の少なくとも1つの対立遺伝子が個別ネオアンチゲンを提示し、個別ネオアンチゲンの生殖系列兄弟を提示しない確率に少なくとも部分的に基づいて判定することができる。最初の複数の長鎖ネオアンチゲンneoT_2 内の各ネオアンチゲン,
(インデックス j付き)には、特定のHLAII 対立遺伝子である対立遺伝子
により提示されるが、その生殖系列兄弟
によっては提示されない確率に基づき、MHCクラスII機械学習モデルを用いて、スコア付けがなされる。この確率
は、ペプチドの提示と、その生殖系列兄弟が独立しているというおおよその仮定の下で計算される。
当該確率は、複数のHLAクラスII対立遺伝子における所定の対立遺伝子が特定の抗原を提示する確率を判定するように訓練されたMHCクラスII機械学習モデルからのデータに少なくとも部分的に基づいて判定される。
変異ペプチド配列が1つ以上のHLAクラスI対立遺伝子に対して免疫応答を生成する確率は、次のように表すことができる。
同様、次のように表すこともできる。
ここで、
Sは全体的なクロス対立遺伝子のペプチドごとのスコアであり、
i∈{0,1}は対立遺伝子特異的なCD8+ T 細胞免疫原性のバイナリ指標であり、
Mは変異ペプチド配列であり、
G生殖系列兄弟ペプチド配列であり、一例によれば、腫瘍ゲノムにおける変異体配列の位置に対応する生殖系列ゲノムにおける位置として定義されてもよく、
Aiは i番目のHLAクラス1対立遺伝子であり、
は変異の推定細胞有病率であり、
P(I|M,G,Ai)は、M,G,Aiが与えられた場合、特定のHLA対立遺伝子に対して免疫応答が生じる確率である。
腫瘍全体にわたってより均一に分布している変異に対応するペプチドに、同腫瘍にとって稀であると思われる変異よりも高いスコアをつけてもよい。
Sは全体的なクロス対立遺伝子のペプチドごとのスコアであり、
i∈{0,1}は対立遺伝子特異的なCD8+ T 細胞免疫原性のバイナリ指標であり、
Mは変異ペプチド配列であり、
G生殖系列兄弟ペプチド配列であり、一例によれば、腫瘍ゲノムにおける変異体配列の位置に対応する生殖系列ゲノムにおける位置として定義されてもよく、
Aiは i番目のHLAクラス1対立遺伝子であり、
P(I|M,G,Ai)は、M,G,Aiが与えられた場合、特定のHLA対立遺伝子に対して免疫応答が生じる確率である。
腫瘍全体にわたってより均一に分布している変異に対応するペプチドに、同腫瘍にとって稀であると思われる変異よりも高いスコアをつけてもよい。
短鎖ペプチドはワクチンに直接組み込むことができ、MHC-Iへの結合に関して内因的に発現したペプチドと競合すると予想される。従って、これらのペプチドについて、スコア Sは、所定のMHC-I分子に対するペプチドの予測結合確率も含むように調整されてもよい。短鎖ペプチドの修正スコアは次のように表すことができる。
ここで、
P(I|M,G,Ai)は、M,G,Aiが与えられた場合、特定のHLA対立遺伝子に対して免疫応答が生じる確率であり、
P(bind|M,Ai)は、HLA-I対立遺伝子Aiにおける変異ペプチドの予測結合確率である。
このスコアは、結合親和性データに合わせて調整した後、クラスI機械学習モデルによって得られてもよい。
P(I|M,G,Ai)は、M,G,Aiが与えられた場合、特定のHLA対立遺伝子に対して免疫応答が生じる確率であり、
P(bind|M,Ai)は、HLA-I対立遺伝子Aiにおける変異ペプチドの予測結合確率である。
このスコアは、結合親和性データに合わせて調整した後、クラスI機械学習モデルによって得られてもよい。
対立遺伝子特異的なCD8+免疫原性は次のように表すことができる。
ここで、
P(I|M,Ai)は、生殖細胞系列に依存しない免疫原性の確率であり、
DM,Gは、変異体配列と生殖細胞系列配列の間の自己までの距離(「DistToSelf」)である。
P(I|M,Ai)は、生殖細胞系列に依存しない免疫原性の確率であり、
DM,Gは、変異体配列と生殖細胞系列配列の間の自己までの距離(「DistToSelf」)である。
DistToSelfは次のように表現できる。
ここで、
Lは、生殖細胞系列または変異体配列のうち長い方の長さであり、
合計は、N 末端及び C 末端アンカー位置ではないすべてのインデックス iに対して求め、また、一部のHLAクラスI対立遺伝子の中間アンカー位置及びその隣接位置も除外され、
Gi及びMiは、それぞれ、生殖細胞系列及び変異体配列におけるi番目のアミノ酸であり、
b(A,B)はアミノ酸A及びBに対応する行列のエントリである。
Lは、生殖細胞系列または変異体配列のうち長い方の長さであり、
合計は、N 末端及び C 末端アンカー位置ではないすべてのインデックス iに対して求め、また、一部のHLAクラスI対立遺伝子の中間アンカー位置及びその隣接位置も除外され、
Gi及びMiは、それぞれ、生殖細胞系列及び変異体配列におけるi番目のアミノ酸であり、
b(A,B)はアミノ酸A及びBに対応する行列のエントリである。
次の関数を用いて生殖系列ペプチドに近い変異ペプチドの免疫原性の確率を抑制することができる。
ここで、
ここで、
α、β、γ、δは、DM,Gの所定の整数値における N 個のペプチドの群からの免疫原性ペプチドの数kが確率p=f(DM,G)で二項分布すると仮定し、免疫原性データに対してpの最尤推定を行って判定する。この実施例では、生殖系列ペプチドと化学的に異なる変異ペプチドにはより高いスコアが、生殖系列ペプチドと化学的に類似する変異ペプチドにはより低いスコアが付けられる。当該実施例の方法は、ランク付けされた結果をスケールするために用いることができる。
α、β、γ、δは、DM,Gの所定の整数値における N 個のペプチドの群からの免疫原性ペプチドの数kが確率p=f(DM,G)で二項分布すると仮定し、免疫原性データに対してpの最尤推定を行って判定する。この実施例では、生殖系列ペプチドと化学的に異なる変異ペプチドにはより高いスコアが、生殖系列ペプチドと化学的に類似する変異ペプチドにはより低いスコアが付けられる。当該実施例の方法は、ランク付けされた結果をスケールするために用いることができる。
一部の実施形態では、対象特異的免疫原性組成物に関して対象者の腫瘍からの腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けする方法は、腫瘍内に存在する複数の体細胞変異を同定し、複数の体細胞変異における各体細胞変異につき、最良の短鎖ネオアンチゲンの品質スコアに少なくとも部分的に基づいて、最初の複数の短鎖ネオアンチゲンから最良の短鎖ネオアンチゲンを判定し、最良の長鎖ネオアンチゲンの品質スコアに少なくとも部分的に基づいて、最初の複数の長鎖ネオアンチゲンから最良の長鎖ネオアンチゲンを判定する。各体細胞変異に対する最良の短鎖ネオアンチゲンを短鎖ネオアンチゲン候補リストに追加し、各体細胞変異に対する最良の長鎖ネオアンチゲンを長鎖ネオアンチゲン候補リストに追加する。次に、リストに、品質スコアの降順でそれぞれランク付けを行う。一部の実施形態では、品質スコアは、予測提示確率、予測結合親和性、予測免疫原性応答のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づく。一部の実施形態では、品質スコアは、予測提示確率に少なくとも部分的に基づく。一部の実施形態では、品質スコアは、予測結合親和性に少なくとも部分的に基づく。一部の実施形態では、予測結合親和性は、クラスII対立遺伝子と所定のペプチドとの間の結合親和性を判定するように訓練されたMHCクラスII学習モデルからのデータに少なくとも部分的に基づいて判定される。一部の実施形態では、品質スコアは、予測免疫原性応答に少なくとも部分的に基づく。一部の実施形態では、品質スコアは、予測提示確率、予測結合親和性、予測提示確率の組み合わせに少なくとも部分的に基づく。一部の実施形態では、予測提示確率、予測結合親和性、予測提示確率は、1つ以上機械学習モデルによって判定される。
一部の実施形態では、ペプチドは、次の基準の任意の群に基づいて、検討、または最終的な対象特異的免疫原性組成物に組み入れるためにフィルタリングされてもよい。1)体細胞変異が属する遺伝子のRNA存在量 (transcripts per million、TPMで測定)。例えば、RNA存在量は、変異体が属する遺伝子のRNATPM値に、(a)変異体対立遺伝子を含む変異体遺伝子座に重畳するリードの数と、(b)変異体遺伝子座に重畳リードの総数との和に対する、変異体対立遺伝子を含む変異体遺伝子座に重畳するリードの数の比を乗じて判定することができる。2)体細胞変異が必須遺伝子またはドライバー遺伝子にあるか否か。ドライバー遺伝子とは、変異が腫瘍増殖を引き起こす可能性がある遺伝子である。必須遺伝子とは、生物の生存に不可欠な遺伝子である。3)ペプチドが合成性と溶解性に関する品質管理の閾値に合格できると予測されるか。4)変異ペプチドが対応する生殖系列ペプチドに対してどの程度異質外来性であるか (つまり、異なるか)。一部の実施形態では、検討または組み入れの対象となるペプチドには最小数の変異アミノ酸が必要であり、外来性の低いペプチドよりも外来性の高いペプチドが優先されてもよい。5)特定の変異が特定の対象者に存在する信頼係数。例えば、稀な体細胞変異には、より頻繁に発生する変異よりも低い信頼スコアが与えられる。6)ペプチド候補にシステインなどの特定のアミノ酸が含まれているか否か。
体細胞変異体は、0、1、またはそれ以上のアミノ酸を変異させることができる。例えば、サイレント変異はアミノ酸0個を変異させるが、単一ヌクレオチド変異型は通常1個のアミノ酸を変異させ、フレームシフトまたはストップロス変異は複数のアミノ酸を変異させることができる。RNA上位リードが変異遺伝子座の上流側でアセンブリングされていることが判明した場合、変異アミノ酸と重複する最長コンセンサスmRNA配列がアセンブリングされる。RNAリードカバレッジが終わるか、新しい停止コドンが見つかった場合、mRNA配列のアセンブリングは中止となる。RNA上位リードが見つからない場合、要求されたタンパク質配列の長さを超える変異アミノ酸が見つからないとなると、mRNA配列のアセンブリングを中止する。
予測提示データは完全に、細胞表面に提示される可能性がある「陽性」サンプルで構成される。従って、細胞表面に提示できない「陰性」サンプルを必要とする可能性がある予測子を想定して訓練するため、訓練中に1つ以上の確率的陰性マイニング戦略を使用できる。このようなプロセスには、HLA対立遺伝子シャッフルが含まれる場合があり、陽性サンプル(例えば、ペプチド及び対応するHLA対立遺伝子)が与えられると、その陽性対立遺伝子の上位タイプに属さない異なる対立遺伝子をランダムにサンプリングし、所定の対立遺伝子を置き換えることができる。各HLA対立遺伝子は、未分類のHLA対立遺伝子のみが残るまで、1つ以上のHLA上位タイプに分類してもよい。未分類のHLA対立遺伝子は1つ以上の「未分類」上位タイプクラスにマッピングでき、これらの群は分類された上位タイプクラスと同様に処理できる。
更に、ペプチドシャッフルを用いて予測子を訓練することもできる。この場合、ペプチドと対応するHLA対立遺伝子からなる陽性サンプルが与えられた場合、そのペプチドは、ペプチドのタンパク質源からランダムにサンプリングされた同じ長さのアミノ酸部分配列に置き換えられる。
予測子の訓練を支援するために、ランダムなペプチドを生成してもよい。この実施例によれば、アミノ酸データ分布からサンプリングされたランダムペプチドを生成することができ、定性的親和性の目標値は、所定の閾値と陰性提示ターゲットを下回る値である。ランダムペプチドの長さは、各対立遺伝子についてペプチド長ごとに同数の非結合データポイントが存在するようにして判定する。陰性の提示サンプルと陽性の提示サンプルとの所定の比率(例えば、10:1)をサンプリングし、平衡損失のためにサンプルの重みを陰性サンプルに印加することができる。陰性サンプルごとに、サンプリング方法は均一な分布でランダムに選択できる。
配列決定(シーケンシング)の方法
様々な配列決定方法が当技術分野で周知であり、リアルタイムPCを含むPCRベースの方法、全エキソーム配列決定、ディープ配列決定、ハイスループット配列決定、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。一部の実施形態では、前述の技術及び手順は、例えばSambrook et al.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 4th ed. (2012) Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NYに記載されている方法に従って行われる。他にも、Austell et al.、Current Protocols in Molecular Biology、ed.、Greene Publishing and Wiley-Interscience New York (1992)(定期更新あり)などを参照することができる。
様々な配列決定方法が当技術分野で周知であり、リアルタイムPCを含むPCRベースの方法、全エキソーム配列決定、ディープ配列決定、ハイスループット配列決定、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。一部の実施形態では、前述の技術及び手順は、例えばSambrook et al.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 4th ed. (2012) Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NYに記載されている方法に従って行われる。他にも、Austell et al.、Current Protocols in Molecular Biology、ed.、Greene Publishing and Wiley-Interscience New York (1992)(定期更新あり)などを参照することができる。
配列決定方法としては、ハイスループット配列決定、単一細胞RNA配列、RNA配列決定、パイロ配列決定、合成による配列決定、単一分子配列決定、ナノポア配列決定、半導体配列決定、合成による配列決定、ライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、RNA-Sew(Illumina)、Digital Gene Expression(Helicos)、次世代配列決定、合成による単一分子配列決定(SMSS)(Helicos)、超並列配列決定、クローン単一分子アレイ(Solexa)、ショットガン配列決定、マクサム・ヒルベリーまたはサンガー配列決定、全ゲノム配列決定、全エキソーム配列決定、プライマーウォーキング、PacBio、SOLid、IonTorrent、またはNanoporeプラットフォームを使用した配列決定、当技術分野で周知の他の任意の配列決定方法が挙げられる。配列データを取得するために本明細書で使用される配列決定方法は、好ましくはハイスループット配列決定である。ハイスループット配列決定技術は、複数の核酸分子を並行して配列決定することができ、一度に数百万の核酸分子を配列決定することができる。Churko et al.、Circ. Res. 112(12):1613-1623 (2013)を参照すること。
場合によっては、ハイスループット配列決定を次世代配列決定に取り替えることもできる。異なる配列決定技術を使用する(例えば、Illumina(カリフォルニア州サンディエゴ)から入手可能なHiSeqまたはMiSeq機器を使用するなど)さまざまな次世代プラットフォームが数多く存在する。これらのプラットフォームのいずれも、本明細書に開示される遺伝物質の配列決定に使用することができる。次世代配列決定は、それぞれが10~1000塩基の核酸を表す多数の独立したリードの配列決定に基づいている。合成による配列決定は、次世代配列決定で使用される一般的な手法である。一般に、配列決定には、プライマーをテンプレートにハイブリダイズさせてテンプレート/プライマー二重鎖を形成し、検出可能に標識されたヌクレオチドの存在の下、ポリメラーゼがテンプレート依存的にプライマーにヌクレオチドを付加できる条件で二重鎖をポリメラーゼと接触させる方法がある。次に、検出可能な標識からの信号を使用して取り込まれた塩基を特定し、テンプレート内のヌクレオチドの線形順序を決定するためにこのステップを順番に繰り返す。検出可能な標識には、放射線標識、蛍光標識、酵素的標識などがある。サイクルエンド配列決定によるIllumina NextSeqプラットフォームなど、配列を 検出するための多くの技術が知られている。
機械学習モデル
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンのポリペプチド配列を表す配列データが得られると、その配列データを対象のMHC分子とともに機械学習プラットフォーム(つまり、モデル)に入力することができる。機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫原性であるか否か(例えば、対象者において免疫応答を誘発するか否か)を予測する1つ以上の数値確率スコアを生成することができる。
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンのポリペプチド配列を表す配列データが得られると、その配列データを対象のMHC分子とともに機械学習プラットフォーム(つまり、モデル)に入力することができる。機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫原性であるか否か(例えば、対象者において免疫応答を誘発するか否か)を予測する1つ以上の数値確率スコアを生成することができる。
MHC分子はペプチドを輸送し、細胞表面に提示する。MHC分子は、クラスIとクラスIIのMHC分子に分類される。MHCクラスIは、ほとんどの腫瘍細胞を含む、体のほぼすべての細胞の表面に存在する。MHCクラスIのタンパク質には、通常、内因性タンパク質または細胞内に存在する病原体に由来する抗原が負荷され、細胞傷害性Tリンパ球(つまり、CD8+)に提示される。MHCクラスI分子は、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cを含むことができる。クラスIIのMHC分子は、樹状細胞、Bリンパ球、マクロファージ、その他の抗原提示細胞上にのみ存在する。それらは主にペプチドを提示し、外部抗原源、つまり細胞の外側からヘルパーT(Th)細胞(つまりCD4+)に処理される。MHCクラスII分子は、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1を含むことができる。場合によっては、MHCクラスII分子ががん細胞でも発現することがある。
MHCクラスI分子及び/またはMHCクラスII分子を機械学習プラットフォームに入力できる。通常、MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子のいずれかが機械学習プラットフォームに入力される。一部の実施形態では、MHCクラスI分子が機械学習プラットフォームに入力される。他の実施形態では、MHCクラスII分子が機械学習プラットフォームに入力される。一部の実施形態では、MHCクラスI機械学習プラットフォームは、MHCクラスI訓練データに基づいて訓練されてもよい。一部の実施形態では、MHCクラスII機械学習プラットフォームは、MHCクラスII訓練データに基づいて訓練されてもよい。一部の実施形態では、同じ機械学習プラットフォームが、MHCクラスIとMHCクラスII両方の訓練データに基づいて訓練されてもよい。一部の実施形態では、機械学習プラットフォームは、MHCクラスIモデル及びMHCクラスIIモードを含んでもよい。
MHCクラスI分子は短鎖ペプチドに結合する。MHCクラスI分子は、通常約8アミノ酸~約10アミノ酸の長さを持つペプチドを収容することができる。一実施形態において、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンをコードする配列データは、約8アミノ酸~約10アミノ酸の長さを持つ短鎖ペプチドである。MHCクラスII分子は、より長い長さのペプチドに結合する。MHCクラスII分子は、通常約13アミノ酸~約25アミノ酸の長さを持つペプチドを収容することができる。一実施形態において、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンをコードする配列データは、約13アミノ酸~約25アミノ酸の長さを持つ長鎖ペプチドである。
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンをコードする配列データは、約5アミノ酸長、約6アミノ酸長、約7アミノ酸長、約8アミノ酸長、約9アミノ酸長、約10アミノ酸であり得る。アミノ酸長、約11アミノ酸長、約12アミノ酸長、約13アミノ酸長、約14アミノ酸長、約15アミノ酸長、約16アミノ酸長、約17アミノ酸アミノ酸長、約18アミノ酸長、約19アミノ酸長、約20アミノ酸長、約21アミノ酸長、約22アミノ酸長、約23アミノ酸長、約24アミノ酸長、約25アミノ酸長、約26アミノ酸長、約27アミノ酸長、約28アミノ酸長、約29アミノ酸長、または約30アミノ酸長を有してもよい。
機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫原性である(例えば、免疫応答を誘発する)可能性を予測することができる。
免疫原性腫瘍特異的ネオアンチゲンは正常組織では発現されない。これらは、抗原提示細胞によってCD4+及びCD8+T細胞に提示され、免疫応答を引き起こすことができる。実施形態において、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンによって誘発される対象者における免疫応答は、腫瘍細胞表面への1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの提示を含む。より具体的には、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンによって誘発される対象者における免疫応答は、腫瘍細胞における一つ以上のMHC分子による1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの提示を含む。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンによって誘発される免疫応答は、T細胞媒介応答であることが予想される。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンによって誘発される対象における免疫応答には、樹状細胞などの抗原提示細胞によってT細胞に提示できる1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが関与し得る。好ましくは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンは、CD8+T細胞及び/またはCD4+T細胞を活性化することができる。
一部の実施形態では、機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンがCD8+T細胞を活性化する可能性を予測することができる。他の実施形態では、機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンがCD4+T細胞を活性化する可能性を予測することができる。場合によっては、機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが誘発できる抗体力価を予測することができる。他の例では、機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンによるCD8+活性化の頻度を予測することができる。
機械学習プラットフォームは、訓練データに基づいて訓練されたモデルを含むことができる。訓練データは、異なる一群の対象者から取得できる。訓練データは、健常者の対象者だけでなく、がんに罹患している対象者から得られたデータを含むことができる。訓練データには、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが対象者において免疫応答を誘発するか否かを示す確率スコアを生成するために使用できる様々なデータが含まれてもよい。例示的な訓練データとしては、正常組織及び/または細胞に由来するヌクレオチドまたはポリペプチド配列を表すデータ、腫瘍組織に由来するヌクレオチドまたはポリペプチド配列を表すデータ、正常組織及び腫瘍組織に由来するMHCペプチドドーム配列を表すデータ、ペプチド-MHC結合親和性測定、またはそれらの組み合わせなどが挙げられる。参照データは更に、質量分析データ、DNA配列データ、RNA配列データ、健常者またはがんにり患している対象者からの臨床データ、サイトカインプロファイリングデータ、T細胞毒性アッセイデータ、ペプチド-MHC単量体または多量体データ、所定のMHC対立遺伝子を発現するように操作され、その後、合成タンパク質、正常・腫瘍ヒト細胞株、新鮮・凍結一次サンプル、T細胞アッセイに曝露される単一対立遺伝子細胞株のプロテオミクスデータなどを含んでもよい。
一部の例示的な実施形態では、未知の結合親和性予測を有するサンプルに対する対応の「弱」ラベルを含む、様々なサンプルに対する結合親和性予測が抽出され、結合親和性訓練データセットに追加されてもよい。結合親和性予測が所定の閾値を超えるサンプルは取り除かれ、更なる訓練プロセスで使用するための精錬されたデータセットが残される。
機械学習プラットフォームは、教師あり学習プラットフォーム、教師なし学習プラットフォーム、または半教師あり学習プラットフォームにすることができる。機械学習プラットフォームは、配列ベースのアプローチを用いて、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫応答を誘発できる(例えば、高/低抗体応答またはCD8+応答を誘発する)数値確率を生成することができる。シーケンスベースの予測には、人工ニューラルネットワーク(ディープまたはその他)、サポートベクターマシン、k近傍法、ロジスティック多重ネットワーク制約回帰(LogMiNeR)、回帰ツリー、ランダムフォレスト、adaboost、XGBoost、または隠れマルコフモデルなどが含まれる。これらのプラットフォームには、既知の MHC結合ペプチドを含む訓練データセットが必要である。
一部の実施形態によれば、マスクされた言語モデリングを、事前訓練段階で実装し、ペプチド配列の決定されたサブセットをトークン化プロセスを介してマスクしてもよい。その後、分類器は、マスクされていない既存のトークンに基づいて、元のトークン値を予測できる。
別の例によれば、配列内の次のペプチドは、入力配列が主要訓練段階におけるペプチド及び対立遺伝子配列の代わりに、2つのペプチド配列の連結であってもよい事前訓練プロセスに従って判定される。2つのペプチド配列を特別な分離トークンを使用して分離し、各セグメントは異なるセグメントインデックスと埋め込みを持つことができる。セグメントシーケンスはネットワークへの入力として提供され、各トークンが第1のシーケンスに属するか、第2のシーケンスに属するか、または特別なトークンであるかを示すことができる。トークンを使用して分類器を訓練し、2番目のペプチドがタンパク質内で次に出現するペプチドであるか否かを予測できる。ペプチドは、ヒトタンパク質からの2つの連続した同じ長さのペプチドによって提供されてもよく、異なるタンパク質からランダムにサンプリングされてもよい。
腫瘍特異的ネオアンチゲンが MHC分子上に提示され、免疫応答を誘発できるかどうかを予測するために、数多くの予測プログラムが用いられている。例示的な予測プログラムとしては、例えば、HLAminer (Warren et al., Genome Med., 4:95 (2012);HLA type predicted by orienting the assembly of shotgun sequence data and comparing it with the reference allele sequence database)、VariantEffect Predictor Tool (McLaren et al., Genome Biol., 17:122 (2016))、NetMHCpan(Andreatta et al., Bioinformatics., 32:511-517 (2016);sequence comparison method based on artificial neural network, and predict the affinity of peptide-MHC-I type molecular)、UCSC browser (Kent et al., Genome Res., 12:996-1006 (2002))、CloudNeo pipeline (Bais et al., Bioinformatics, 33:3110-2 (2017))、OptiType (Szolek et al., Bioinformatics, 30:3310-316 (2014))、ATHLATES (Liu C et al., Nucleic Acids Res. 41:e142 (2013))、pVAC-Seq (Hundal et al., Genome Med. 8:11 (2016)、MuPeXI (Bjerregaard et al., Cancer Immunol Immunother., 66:1123-30 (2017))、Strelka (Saunders et al., Bioinformatics. 28:1811-7 (2012)), Strelka2 (Kim et al., Nat Methods. 2018;15:591-4.)、VarScan2 (Koboldt et al., Genome Res., 22:568-76 (2012))、Somaticseq (Fang L et al., Genome Biol., 16:197 (2015))、SMMPMBEC (Kim et al., BMC Bioinformatics., 10:394 (2009))、NeoPredPipe (Schenck RO, BMC Bioinformatics., 20:264 (2019))、Weka (Witten et al., Data mining: practical machine-learning tools and techniques. 4th ed. Elsevier, ISBN: 97801280435578 (eBook) (2017)、またはOrange (Demsar et al., Orange: Data Mining Toolbox in Python., J. Mach Learn Res., 14:2349-2353 (2013)などが挙げられる。任意の既知の予測プログラムを機械学習プラットフォームとして使用して、ネオアンチゲンが免疫応答を誘発するか否かを示す数値確率スコアを生成することができる。
使用する機械学習プラットフォームに応じて、追加のフィルターを適用して腫瘍特異的ネオアンチゲン候補を優先することができ、これには、仮説に基づいた(Riken)タンパク質の除去、構成的プロテアソームまたは免疫プロテアソームによってタンパク質分解的に生成される可能性が低いエピトープを除去するための抗原処理アルゴリズムの使用、対応する野生型配列よりも高い予測結合親和性を有するネオアンチゲンの優先順位付けなどが含まれる。
数値確率スコアは、0~1の数値であってもよい。実施形態では、数値確率スコアは、0、0.0001、0.0002、0.0003、0.0004、0.0005、0.0006、0.0007、0.0008、0.0009、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、または1であってもよい。低い数値確率スコアと比較して数値確率スコアが高い腫瘍特異的ネオアンチゲンは、その腫瘍特異的ネオアンチゲンが対象者においてより大きな免疫応答を誘発することを示し、従って、免疫原性組成物用として適切な候補である可能性が高いことを示す。例えば、1の数値確率スコアを有する腫瘍特異的ネオアンチゲンは、0.05の数値確率スコアを有する腫瘍特異的ネオアンチゲンよりも、対象者においてより大きな免疫応答を誘発する可能性が高い。同様、0.5の数値確率スコアを有する腫瘍特異的ネオアンチゲンは、0.1の数値確率スコアを有する腫瘍特異的ネオアンチゲンよりも、対象者においてより大きな免疫応答を誘発する可能性が高い。
低い数値確率スコアより、高い数値確率スコアの方が好ましい。好ましくは、腫瘍特異的ネオアンチゲンは、少なくとも0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、または1の数値確率スコアを有し、これは対象者において免疫応答が誘発される可能性が高いことを示す。
確率スコアの数値が高いほど好ましいが、確率スコアの数値が低くても、腫瘍特異的ネオアンチゲンが十分な免疫応答を誘発することができ、腫瘍特異的ネオアンチゲンが適切な候補である可能性が高いことを示すこともある。
場合によっては、本明細書に記載の機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが腫瘍細胞上のMHC分子によって提示される可能性を予測することもできる。機械学習プラットフォームは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンがMHCクラスI分子またはMHCクラスII分子によって提示される可能性を予測できる。
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを選択するための方法は、対象者におけるMHC分子に結合する1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの親和性を、in silicoで測定するステップを更に含んでもよい。約1000nM未満のMHC分子との結合親和性を有する腫瘍特異的ネオアンチゲンは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫原性組成物に適している可能性があることを示す。約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、または約50nM未満のMHC分子との結合親和性を有する腫瘍特異的ネオアンチゲンは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫原性組成物に適している可能性があることを示す。対象者におけるMHC分子に結合する1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチ原の親和性から、腫瘍特異的ネオアンチゲンの免疫原性を予測することができる。或いは、親和性の中央値が、腫瘍特異的なネオアンチゲンの免疫原性を予測する効果的な方法となる。親和性中央値は、NetMHCpan、ANN、SMM、SMMPMBECなどのエピトープ予測アルゴリズムを用いて計算できる。
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンのRNA発現も定量化される。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンのRNA発現を定量して、対象者において免疫応答を誘発する1つ以上のネオアンチゲンを同定する。RNA発現を測定する方法としては、様々なものがある。RNA発現を測定できる既知の技術には、RNA-seq、in situハイブリダイゼーション(例えば、FISH)、ノーザンブロット、DNAマイクロアレイ、タイリングアレイ、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)が含まれる。当技術分野で他の既知の技術を使用して、RNA発現を定量することができる。RNAには、メッセンジャーRNA(mRNA)、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、環状RNA(circRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、低分子核小体RNA(snRNA)、Piwi相互作用性RNA(piRNA)、長非コードRNA(長ncRNA)、サブゲノムRNA(sgRNA)、組み込みウイルスまたは非組み込みウイルスからのRNA、またはその他のRNAなどが含まれる。好ましくは、mRNA発現を測定する。
本技術は、正常組織において自己免疫応答を誘導する可能性がある腫瘍特異的ネオアンチゲンを選択する可能性を更に低減することができる。正常抗原と類似の配列を有する腫瘍特異的ネオアンチゲンは、正常組織において自己免疫応答を誘導する可能性があると予想される。例えば、正常抗原と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%類似している腫瘍特異的ネオアンチゲンは、自己免疫応答を誘導する可能性がある。自己免疫応答を誘導すると予測される腫瘍特異的ネオアンチゲンは、免疫原性組成物として優先されない。自己免疫応答を誘導すると予測される腫瘍特異的ネオアンチゲンは、通常、免疫原性組成物として選択されない。この方法は更に、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫寛容を引き起こす能力を測定することを含むことができる。免疫寛容を引き起こすと予測される腫瘍特異的ネオアンチゲンは、免疫原性組成物として優先されない。免疫寛容を引き起こすと予測される腫瘍特異的ネオアンチゲンは、免疫原性組成物として優先されない。
最後に、腫瘍特異的スコアに基づいて1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを、対象特異的免疫原性組成物の製剤化のために選択する。実施形態では、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30,少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約50以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンが免疫原性組成物として選択される。通常、少なくとも約10個の腫瘍特異的ネオアンチゲンが選択される。他の例では、少なくとも約20個の腫瘍特異的ネオアンチゲンが選択される。
II.治療方法
本開示はまた、本明細書に記載の方法を用いて選択される1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む個別化免疫原性組成物を投与することを含む、それを必要とする対象者におけるがんの治療方法に関する。
本開示はまた、本明細書に記載の方法を用いて選択される1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む個別化免疫原性組成物を投与することを含む、それを必要とする対象者におけるがんの治療方法に関する。
がんは、任意の固形腫瘍または任意の血液腫瘍である。本明細書に開示される方法は、好ましくは固形腫瘍に適している。腫瘍は原発腫瘍(例えば、腫瘍が最初に発生した元の部位にある腫瘍)であってもよい。固形腫瘍には、乳がん腫瘍、卵巣がん腫瘍、前立腺がん腫瘍、肺がん腫瘍、腎臓がん腫瘍、胃がん腫瘍、精巣がん腫瘍、頭頸部がん腫瘍、膵臓がん腫瘍、脳がん 腫瘍、黒色腫腫瘍などが含まれるが、これらに限定される訳ではない。血液腫瘍としては、リンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫)や白血病(例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、及びT細胞リンパ性白血病)由来の腫瘍が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
本明細書に開示される方法は、血液悪性腫瘍、固形腫瘍、肉腫、がん腫、他の固形腫瘍及び非固形腫瘍を含む、適切ながん性腫瘍に使用することができる。適切ながんの例としては、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質がん、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、基底細胞がん、脳腫瘍、胆管がん、膀胱がん、骨がん、乳がん、気管支腫瘍、原発不明がん、心臓腫瘍、子宮頸がん、脊索腫、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、乳管がん、胎児腫瘍、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、感覚神経芽腫、線維性組織球腫、ユーイング肉腫、眼がん、胚細胞腫瘍、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛膜疾患、神経膠腫、頭頸部がん、肝細胞がん、組織球症、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、唇・口腔がん、肝臓がん、上皮内小葉がん、肺がん、マクログロブリン血症、悪性線維性組織球腫、黒色腫、メルケル細胞がん、中皮腫、NUT遺伝子が関与する隠れ原発性正中路がんを伴う転移性扁平上皮がん、口腔がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、鼻腔及び副鼻腔がん、上咽頭がん、神経芽腫、非小細胞肺がん、中咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腫症、傍神経節腫、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん、腎盂及び尿管がん、網膜芽細胞腫、ラブドイド腫瘍、唾液腺がん、セザリー症候群、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部肉腫、脊髄腫瘍、胃がん、T細胞リンパ腫、奇形腫、精巣がん、咽頭がん、胸腺腫、胸腺がん、甲状腺がん、尿道がん、子宮がん、膣がん、外陰がん、ウィルムス腫瘍などが挙げられる。好ましくは、がんは、黒色腫、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、腎臓がん、胃がん、結腸がん、精巣がん、頭頸部がん、膵臓がん、脳がん、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性腫瘍、白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リンパ性白血病、膀胱がん、または肺がんである。黒色腫は特に関心の対象である。乳がん、肺がん、膀胱がんにも特に関心が寄せられている。
免疫原性組成物は、対象者の免疫系、特に特定のCD8+T細胞またはCD4+T細胞の応答を刺激する。CD8+及びTヘルパーCD4+細胞によって産生されるインターフェロンガンマは、PD-L1の発現を調節する。腫瘍細胞におけるPD-L1の発現は、T細胞に攻撃を受けると上方制御される。従って、腫瘍ワクチンは特定のT細胞の産生を誘導し、同時にPD-L1の発現を上方制御する可能性があり、これにより免疫原性組成物の有効性が制限される可能性がある。更に、免疫系が活性化されると、それに応じてT細胞表面レポーターCTLA-4の発現が増加する。CTLA-4は、抗原提示細胞上のリガンドB7-1/B7-2に結合して免疫抑制効果を発揮する。従って、場合によっては、対象者に更に、チェックポイント阻害剤などの抗免疫抑制剤や免疫刺激剤を投与してもよい。チェックポイント阻害剤には、抗CTL4-A抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体などが含まれるが、これらに限定される訳ではない。これらのチェックポイント阻害剤は、T細胞の免疫チェックポイントタンパク質に結合して、腫瘍細胞によるT細胞機能の阻害を取り除く。抗体によるCTLA-4またはPD-L1の遮断により、患者の癌細胞に対する免疫応答が強化される可能性がある。CTLA-4は、ワクチン接種計画に従う場合に効果的であることが示されている。
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物は、がんと診断された対象者、既にがんに罹患している対象者、再発がん(つまり再発)を有する対象者、またはがんを発症する危険性がある対象者に投与することができる。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物は、他の形態のがん治療(例えば、化学療法、免疫療法、放射線)に抵抗性である対象者に投与することができる。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物は、他の標準がん治療(例えば、化学療法、免疫療法、放射線)の前に対象者に投与することができる。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物は、他の標準がん治療(例えば、化学療法、免疫療法、放射線)と併用して、その後に、或いは組み合わせて対象者に投与することができる。
対象者は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、または腫瘍特異的応答が望まれる動物であってもよい。
免疫原性組成物は、腫瘍特異的ネオアンチゲンに対する免疫応答を誘発し、症状及び/または合併症を破壊または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で対象者に投与される。実施形態において、免疫原性組成物は、長期持続する免疫応答を提供することができる。長期持続する免疫応答は、追加免疫原性組成物を対象者に投与することによって確立することができる。免疫原性組成物に対する免疫応答は、対象に追加免疫用量を投与することによって延長することができる。実施形態では、がんを緩和するために、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回以上の追加免疫投与を行ってもよい。一番目の追加免疫用量は、免疫応答を少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、またはなくとも1000%増加させることができる。二番目の追加免疫用量は、免疫応答を少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、またはなくとも1000%増加させることができる。三番目の追加免疫用量は、免疫応答を少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、またはなくとも1000%増加させることができる。
免疫応答を誘発するのに十分な量は、「治療有効量」として定義される。この使用に有効な量は、例えば、組成物、投与方法、治療される疾患の病期や重症度、患者の体重や一般的な健康状態、処方する医師の判断に左右される。免疫原性組成物は一般に、重篤な病状、つまり生命を脅かす状況、または生命を脅かす可能性がある状況、特にがんが転移した場合に使用できることに留意すべきである。このような場合、外来物質の最小化とネオアンチゲンの比較的非毒性の性質を考慮し、担当医はこれらの免疫原性組成物を実質的に過剰に投与することが可能であり、望ましいと判断することができる。
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物は、単独で、または他の治療薬と組み合わせて対象に投与することができる。治療薬は、例えば、化学療法剤、放射線療法、または免疫療法であってもよい。特定のがんに対して適切な治療処置を施してもよい。例示的な化学療法剤としては、アルデスロイキン、アルトレタミン、アミホスチン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クラドリビン、シサプリド、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロナビノール、エポエチンα、エトポシド、フィルグラスチム、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、グラニセトロン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンα、イリノテカン、ランソプラゾール、レバミゾール、ロイコボリン、メゲストロール、メスナ、メトトレキサート、メトクロプラミド、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、ピロカルピン、プロクロロペラジン、リツキシマブ、タモキシフェン、タキソール、トポテカン塩酸塩、トラスツズマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、酒石酸ビノレルビンなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。対象者には、小分子または標的療法(例えば、キナーゼ阻害剤)が投与されてもよい。対象者には、抗CTLA抗体、抗PD-1抗体、または抗PD-L1抗体を更に投与してもよい。抗体によるCTLA-4またはPD-L1の遮断により、患者の癌細胞に対する免疫応答が強化される可能性がある。
III.免疫原性組成物
本発明は更に、本明細書に記載の方法を用いて選択される1つ以上の腫瘍特異的抗原を含む個別化(つまり、対象特異的)免疫原性組成物(例えば、がんワクチン)に関する。このような免疫原性組成物は、当技術分野の標準手順に従って製剤化することができる。免疫原性組成物は、特異的な免疫応答を引き起こすことができる。
本発明は更に、本明細書に記載の方法を用いて選択される1つ以上の腫瘍特異的抗原を含む個別化(つまり、対象特異的)免疫原性組成物(例えば、がんワクチン)に関する。このような免疫原性組成物は、当技術分野の標準手順に従って製剤化することができる。免疫原性組成物は、特異的な免疫応答を引き起こすことができる。
免疫原性組成物は、腫瘍特異的ネオアンチゲンの選択及び数を、対象者の特定のがんに合わせて調整するように製剤化することができる。例えば、腫瘍特異的ネオアンチゲンの選択は、特定の種類のがん、がんの状態、対象者の免疫状態、対象者のMHC型に依存し得る。
免疫原性組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、37、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個、またはそれ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含むことができる。免疫原性組成物は、約10~20個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~30個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~40個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~50個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~60個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~70個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~80個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、約10~90個の腫瘍特異的ネオアンチゲン、または約10~100個の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含んでもよい。好ましくは、免疫原性組成物は、少なくとも約10個の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む。また、少なくとも約20個の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物が好ましい。
免疫原性組成物は、天然抗原または合成抗原を更に含むことができる。天然抗原または合成抗原は、免疫反応を高める可能性がある。例示的な天然抗原または合成抗原としては、汎DRエピトープ(PADRE)や破傷風毒素抗原が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
免疫原性組成物は、任意の形態、例えば、合成長鎖ペプチド、RNA、DNA、細胞、樹状細胞、ヌクレオチド配列、ポリペプチド配列、プラスミド、またはベクターであってもよい。
腫瘍特異的ネオアンチゲンも、ワクシニア、鶏痘、自己複製アルファウイルス、マラバウイルス、アデノウイルス(例えば、Tatsis et al., Molecular Therapy, 10:616-629 (2004)を参照すること)、或いは、第2世代、第3世代、またはハイブリッド第2/3世代レンチウイルス、特定の細胞型または受容体を標的とするように設計された任意の世代の組換えレンチウイルスが含まれるが、これに限定される訳ではないレンチウイルス(例えば、Hu et al., Immunol Rev., 239(1): 45-61 (2011), Sakma et al, Biochem J., 443(3):603-18 (2012)を参照すること)などのウイルスベクターベースのワクチンプラットフォームに含めることができる。上述のウイルスベクターベースのワクチンプラットフォームのパッケージング能力に応じて、このアプローチは、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンペプチドをコードする1つ以上のヌクレオチド配列を送達することができる。配列は、非変異配列に隣接していてもよく、リンカーによって分離されていてもよく、または細胞内コンパートメントを標的とする1つまたは複数の配列が先行していてもよい(例えば、Gros et al., Nat Med., 22 (4):433-8 (2016), Stronen et al., Science., 352(6291): 1337-1341 (2016), Lu et al., Clin Cancer Res., 20(13):3401-3410 (2014)を参照すること)。宿主に導入されると、感染細胞は1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを発現し、それにより1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンに対する宿主免疫(例えば、CD8+またはCD4+)応答を誘発する。免疫化プロトコールに有用なワクシニアベクター及び方法は、例えば、米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターはBCG(Bacille Calmette Guerin)である。BCGベクターはStover et al. (Nature 351:456-460 (1991))に記載されている。本明細書の記載から当業者には自明なネオアンチゲンの治療的投与または免疫化に有用な他の多種多様なワクチンベクターも使用することができる。
免疫原性組成物は、特定の対象の個人的なニーズに応じて、個別化成分を含むことができる。
本明細書の免疫原性組成物は更にアジュバントを含んでもよい。アジュバントは、免疫原性組成物への混合により、腫瘍特異的ネオアンチゲンに対する免疫応答が増加する、または他の方法で増強及び/またはブーストされる物質であるが、その物質が単独で投与される場合には、腫瘍特異的ネオアンチゲンに対する免疫応答は生じない。アジュバントは、ネオアンチゲンに対する免疫応答を生成し、アレルギーまたは他の有害反応を引き起こさないことが好ましい。本明細書では、免疫原性組成物は、免疫原性組成物の投与前、同時、または投与後に投与できることが企図される。
アジュバントは、例えば、リンパ球の動員、B細胞及び/またはT細胞の刺激、マクロファージの刺激を含む何らかの機構によって免疫応答を増強することができる。本発明の免疫原性組成物がアジュバントを含む場合、または1つ以上のアジュバントと一緒に投与される場合、使用できるアジュバントには、ミネラル塩アジュバントまたはミネラル塩ゲルアジュバント、粒子アジュバント、微粒子アジュバント、粘膜アジュバント、免疫刺激性アジュバントが含まれるが、これらに限定される訳ではない。アジュバントの例には、アルミニウム塩(ミョウバン)(水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなど)、3-脱O-アシル化モノホスホリルリピドA(MPL)(GB2220211を参照)、MF59(Novartis)、AS03(Glaxo SmithKline)、AS04(Glaxo SmithKline)、ポリソルベート80(Tween80;ICL Americas)、イミダゾピリジン化合物(国際公開番号WO2007/109812として公開された国際出願番号PCT/US2007/064857を参照)、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開番号WO2007/109813として公開された国際出願番号PCT/US2007/064858を参照)、QS21などのサポニン( Kensil et al, in Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach (eds. Powell & Newman, Plenum Press, NY, 1995)、米国特許第5,057,540号を参照)などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。一部の実施形態では、アジュバントはフロイントアジュバント(完全または不完全)である。他のアジュバントは、水中油型エマルション(スクアレンまたはピーナッツ油など)であり、必要に応じて、モノホスホリルリピドAなどの免疫刺激剤と組み合わせられる(Stoute et al, N. Engl. J. Med. 336, 86-91 (1997)を参照すること)。
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ワクチン設定においてアジュバントの効果を高めることも報告されている。TLR7、TLR8及び/またはTLR9に結合するRNAなどの他のTLR結合分子も使用することができる。
有用なアジュバントの他の例には、化学的に修飾されたCpG(例:CpR、Idera)、ポリ(I:C)(例:ポリi:CI2U)、ポリICLC、非CpG細菌DNAまたはRNA、免疫活性小分子及び抗体、例えば、シクロホスファミド、スニトミブ、ベバシズマブ、セレブレックス(セレコキシブ)、NCX-4016、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ソラフィニブ、XL-999、CP-547632、パゾパム、ZD2171、AZD2171、イピリムマブ、トレメリムマブ、SC58175など、治療上及び/またはアジュバントとして作用するものなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。実施形態では、ポリICLCが好ましいアジュバントである。
免疫原性組成物は、本明細書に記載される1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを単独で、または薬学的に許容される担体と一緒に含むことができる。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの懸濁液または分散液、特に等張水性懸濁液、分散液、または両親媒性溶媒を使用することができる。免疫原性組成物は滅菌されてもよく、及び/または賦形剤、例えば保存剤、安定剤、湿潤剤及び/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩及び/または緩衝剤を含んでもよく、公知の方法、例えば従来の分散及び懸濁プロセスの手段で調製されてもよい。特定の実施形態では、そのような分散液または懸濁液は、粘度調整剤を含んでもよい。懸濁液または分散液は約 2℃~8℃の温度で保管され、優先的に長期間保管する場合は、凍結し、使用直前に解凍することもできる。注射の場合、ワクチンまたは免疫原性調製物は、水溶液、好ましくはハンクス液、リンゲル液、または生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合する緩衝液中で製剤化されてもよい。この溶液は、懸濁剤、安定化剤及び/または分散剤のような配合剤を含有していもよい。
特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、防腐剤、例えば水銀誘導体チメロサールを更に含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、0.001%~0.01%のチメロサールを含む。他の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は防腐剤を含まない。
賦形剤はアジュバントとは独立して存在することができる。賦形剤の機能は、例えば、免疫原性組成物の分子量を増加させること、活性または免疫原性を増加させること、安定性を付与すること、生物活性を増加させること、または血清半減期を増加させることである。賦形剤はまた、T細胞(例えば、CD4+またはCD8+T細胞)への1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの提示を補助するために使用することもできる。賦形剤は、キーホールリンペットヘモシアニン、トランスフェリンなどの血清タンパク質、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、チログロブリンまたはオボアルブミン、免疫グロブリン、またはインスリンやパルミチン酸などのホルモンなどの担体タンパク質であってもよいが、これらに限定される訳ではない。ヒトへの免疫の場合、担体は一般的に人体に受け入れられ、安全な生理学的に許容される担体である。或いは、担体はデキストラン、例えばセファロースであってもよい。
細胞傷害性T細胞は、無傷の外来抗原そのものではなく、MHC分子に結合したペプチドの形で抗原を認識する。MHC分子自体は、抗原提示細胞の細胞表面に存在する。従って、ペプチド抗原、MHC分子、抗原提示細胞(APC)の三量体複合体が存在する場合、細胞傷害性T細胞の活性化が可能である。細胞傷害性T細胞の活性化に1つ以上の腫瘍特異的抗原を使用することに留まらず、それぞれのMHC分子を含む追加のAPCを追加すると、免疫応答が強化される可能性がある。従って、一部の実施形態では、免疫原性組成物は、少なくとも1つのAPCを更に含む。
免疫原性組成物は、許容可能な担体(例えば、水性担体)を含むことができる。様々な水性担体、例えば、水、緩衝水、0.9%生理食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸などを使用することができる。これらの組成物は、従来且つ周知の殺菌技法によって殺菌され得るか、または無菌濾過されてもよい。結果として得た水溶液は、そのままで使用するために包装されてもよく、または凍結乾燥させられてもよく、凍結乾燥調製品は、投与の前に無菌溶液と組み合わされる。組成物は、生理学的条件に近似させるために必要な薬学的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤、緩衝剤、強壮剤、湿潤剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンなどを含有していてもよい。
ネオアンチゲンは、リンパ組織などの特定の細胞組織を標的とするリポソームを介して投与することもできる。リポソームは半減期を延長にも役立つ。リポソームには、エマルション、フォーム、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散液、ラメラ層などが含まれる。これらの組成製剤には、送達されるネオアンチゲンはリポソームの一部として、単独で、或いはCD45抗原に結合するモノクローナル抗体のような、例えばリンパ系細胞に広く存在する受容体に結合する分子と一緒に、または他の治療組成物や免疫原性組成物と一緒に組み込まれる。従って、所望のネオアンチゲンを充填したリポソームをリンパ系細胞の部位に導くことができ、そこでリポソームは選択された免疫原性組成物を送達する。リポソームは標準的な小胞形成脂質から形成することができ、一般的には中性や負に荷電したリン脂質とコレステロールなどのステロールを含む。脂質は、一般に、例えば、リポソームの大きさ、酸不安定性、血流中でのリポソームの安定性を考慮して選択する。リポソームの調製には様々な方法を利用でき、例えば、Szoka et al., An. Rev. Biophys. Bioeng. 9;467 (1980)、米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,501,728号、第4,837,028号、第5,019,369号に記載の方法などが挙げられる。
免疫細胞を標的とするために、リポソームに組み込まれるリガンドには、例えば、所望の免疫系細胞の細胞表面決定基に特異的な抗体またはその断片が含まれてもよい。リポソーム懸濁液は、特に、投与方法、送達されるペプチド、治療される疾患の病期に応じて変化する用量で、静脈内、局所などに投与することができる。
免疫細胞を標的とする別の方法として、抗原(つまり、腫瘍特異的新抗原)、リガンド、またはアジュバント(例えば、TLR)などの免疫原性組成物の成分を、ポリ乳酸グリコール酸共重合体ミクロスフェアに組み込むことができる。ポリ乳酸グリコール酸共重合体ミクロスフェアは、エンドソーム送達デバイスとして免疫原性組成物の成分を捕捉することができる。
治療または免疫化の目的で、本明細書に記載の腫瘍特異的ネオアンチゲンをコードする核酸を患者に投与することもできる。核酸を患者に送達するために、多くの方法が採用されている。例えば、核酸は「裸のDNA」として直接送達してもよい。このアプローチは、例えば、Wolff et al., Science 247: 1465-1468 (1990)、ならびに米国特許第5,580,859号、第5,589,466号に記載されている。核酸はまた、例えば、米国特許第5,204,253号に記載の弾道送達を用いて投与することもできる。DNAのみからなる粒子を投与することもできる。或いは、DNAを金粒子などの粒子に付着させることもできる。核酸配列送達のアプローチには、エレクトロポレーション法の使用の可否にかかわらず、ウイルスベクター、mRNAベクター、DNAベクターが含まれる。核酸は、カチオン性脂質などのカチオン性化合物と複合体を形成して送達することもできる。
本明細書で提供される免疫原性組成物は、経口、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、静脈内、局所、皮下、経皮、鼻腔内、吸入経路、傷痕形成(例えば、二股針を使用して皮膚の最上層を引っ掻く)による投与を含むがこれらに限定されない方法によって対象者に投与することができる。免疫原性組成物を腫瘍部位に投与し、腫瘍に対する局所免疫応答を誘導することができる。
1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンの用量は、組成物の種類、対象者の年齢、体重、体表面積、個々の状態、個々の薬物動態データ、投与様式に左右される。
また、本明細書に開示される方法によって選択された1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンを含む免疫原性組成物を製造する方法も本明細書に開示されている。本明細書に記載の免疫原性組成物は、当技術分野で知られている方法を使用して製造することができる。例えば、本明細書に開示される腫瘍特異的ネオアンチゲンまたはベクター(例えば、1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンをコードする少なくとも1つの配列を含むベクター)を生成する方法は、ネオアンチゲンまたはベクターを発現するのに適した条件下で宿主細胞を培養することを含む。宿主細胞は、ネオアンチゲンまたはベクターをコードし、ネオアンチゲンまたはベクターを精製する少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。標準的な精製方法には、クロマトグラフィー技術、電気泳動、免疫学的、沈殿、透析、濾過、濃縮、クロマトフォーカシング技術が含まれる。
宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、酵母、またはHEK293細胞が含まれてもよい。宿主細胞は、本明細書に開示される1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンまたはベクターをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む1つ以上のポリヌクレオチドで形質転換されてもよい。特定の実施形態では、単離ポリヌクレオチドはcDNAである。
IV.サンプル
本明細書に開示される方法は、腫瘍に由来する1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けすることを含む。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けする方法は、腫瘍に由来する配列データを取得することを含む。このような配列データは、対象者の腫瘍サンプルから得ることができる。腫瘍サンプルは腫瘍生検から得ることができる。
本明細書に開示される方法は、腫瘍に由来する1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けすることを含む。1つ以上の腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けする方法は、腫瘍に由来する配列データを取得することを含む。このような配列データは、対象者の腫瘍サンプルから得ることができる。腫瘍サンプルは腫瘍生検から得ることができる。
腫瘍サンプルは、ヒトまたは非ヒトの対象者から得ることができる。好ましくは、腫瘍サンプルはヒトから得られる。腫瘍サンプルは、がん性腫瘍を含む様々な生物学的供給源から得ることができる。腫瘍は腫瘍部位由来のもの、または血液中の循環腫瘍細胞由来のものであってもよい。サンプルの例としては、体液、組織生検、血液サンプル、血清血漿、便、皮膚サンプルなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。サンプルの供給源は、腫瘍組織生検などの固形組織サンプルであってもよい。組織生検サンプルは、例えば、肺、前立腺、結腸、皮膚、乳房組織、またはリンパ節からの生検によるものであってもよい。サンプルは、例えば、骨髄吸引液及び骨髄生検を含む骨髄のサンプルであってもよい。サンプルはまた、循環腫瘍細胞、無細胞循環腫瘍DNA、またはエクソソームなどの液体生検サンプルであってもよい。血液サンプルは、全血、部分的に精製された血液、或いは末梢血単核球(PBMC)などの全血または部分的に精製された血液の一部であってもよい。
本明細書に記載される腫瘍サンプルは、対象者から直接得てもよく、対象者に由来してもよく、体液または組織サンプルに由来する培養細胞などの対象者から得られるサンプルに由来してもよい。腫瘍生検サンプルは新鮮なサンプルであってもよい。新鮮なサンプルは、対象者から取り出した後、既知の固定剤(例えば、ホルマリン、ツェンカー固定剤、またはB-5固定剤)を使用して固定することができる。腫瘍生検サンプルはまた、対象者から直接得られた細胞または対象者から得られた細胞に由来する細胞の凍結サンプル、凍結保存サンプルなど、保存サンプルであってもよい。好ましくは、対象者から得られる腫瘍サンプルは新鮮な腫瘍生検サンプルである。
腫瘍サンプルは、腫瘍生検、針吸引、掻爬、外科的切除、外科的切開、静脈穿刺、または当技術分野で公知の手段を含むがこれらに限定されない手段によって対象者から得ることができる。腫瘍生検は、腫瘍の採取に好ましい方法である。腫瘍生検は、原発腫瘍または二次腫瘍など、任意のがん部位で行うことができる。一般的には、原発腫瘍からの腫瘍生検が好ましい。当業者であれば、腫瘍サンプルを取得するための他の適切な技術にも思い付くはずである。
腫瘍サンプルは一回の手順で対象者から採取できる。腫瘍サンプルは、一定期間にわたって対象者から繰り返し採取することもできる。例えば、腫瘍サンプルは、1日に1回、1週間に1回、毎月、半年ごと、または毎年採取してもよい。一定期間にわたって多数のサンプルを得ると、新しい腫瘍特異的ネオアンチゲンを同定して選択するときに役立つ。腫瘍サンプルは、同じ腫瘍または異なる腫瘍から取得できる。
腫瘍サンプルは、原発腫瘍、1つ以上の転移、及び/または腫瘍成長の個々の部位(例えば、股関節、骨、または椎骨などの異なる骨格部分からの骨髄)から得ることができる。腫瘍サンプルは同じ部位から採取することも、異なる部位から採取することもできる。
上述のすべてまたは一部は、図1~図3に示されるような演算環境上で実装することができる。図1は一部の実施形態による、例示的なプロバイダネットワーク(または「サービスプロバイダシステム」)環境を示す。プロバイダネットワーク900は、1つ以上の仮想化サービス910を介して顧客にリソース仮想化を提供し得、これにより、顧客は、1つ以上のデータセンタにおけるプロバイダネットワーク(複数可)内のデバイス上で実施される計算リソース及びストレージリソースを含むがこれらに限定されない仮想化リソースのインスタンス912を、購入、レンタル、或いは取得することが可能となる。ローカルインターネットプロトコル(IP)アドレス916は、リソースインスタンス912に対応付けられ得、ローカルIPアドレスは、プロバイダネットワーク900上のリソースインスタンス912の内部ネットワークアドレスである。一部の実施形態では、プロバイダネットワーク900はまた、顧客がプロバイダ900から取得し得るパブリックIPアドレス914及び/またはパブリックIPアドレス範囲(例えばインターネットプロトコルバージョン4(IPv4)またはインターネットプロトコルバージョン6(IPv6)アドレス)を提供する。
従来、プロバイダネットワーク900は、仮想化サービス910を介して、サービスプロバイダの顧客(例えば1つ以上の顧客デバイス952を含む1つ以上の顧客ネットワーク950A~950Cを運用する顧客)が、顧客にアサインされたまたは割り当てられた少なくともいくつかのパブリックIPアドレス914を、顧客にアサインされた特定のリソースインスタンス912に、動的に対応付けることを可能にする。プロバイダネットワーク900はまた、顧客に割り当てられた1つの仮想化コンピューティングリソースインスタンス912に以前にマッピングされたパブリックIPアドレス914を、やはり顧客に割り当てられた別の仮想化コンピューティングリソースインスタンス912に顧客が再マッピングすることを可能にする。顧客ネットワーク950A~950C(複数可)のオペレータといったサービスプロバイダの顧客は、サービスプロバイダにより提供される仮想化コンピューティングリソースインスタンス912及びパブリックIPアドレス914を使用して、例えば、顧客特有アプリケーションを実施し、インターネットなどの中間ネットワーク940上で顧客アプリケーションを提示する。次に、中間ネットワーク940上の別のネットワークエンティティ920は、顧客ネットワーク950A~950C(複数可)により公開された宛先パブリックIPアドレス914へのトラフィックを生成し得、トラフィックは、サービスプロバイダデータセンタへルーティングされ、データセンタにて、ネットワーク基板を介して、宛先パブリックIPアドレス914へ現在マッピングされている仮想化コンピューティングリソースインスタンス912のローカルIPアドレス916へルーティングされる。同様に、仮想化コンピューティングリソースインスタンス912からの応答トラフィックは、ネットワーク基板を介して中間ネットワーク940に戻って、ソースエンティティ920へルーティングされる。
本明細書におけるローカルIPアドレスは、プロバイダネットワーク内の例えばリソースインスタンスの内部すなわち「プライベート」のネットワークアドレスを指す。ローカルIPアドレスは、インターネット技術標準化委員会(IETF)のコメント要求(RFC)1918により確保されたアドレスブロック内及び/またはIETF RFC4193により指定されたアドレス形式のアドレスブロック内に存在し得、プロバイダネットワーク内で変更可能である。プロバイダネットワークの外側から生じるネットワークトラフィックは、ローカルIPアドレスへ直接ルーティングされず、代わりに、トラフィックは、リソースインスタンスのローカルIPアドレスにマッピングされたパブリックIPアドレスを使用する。プロバイダネットワークは、パブリックIPアドレスからローカルIPアドレスへのマッピング、及びその逆方向のマッピングを実行するために、ネットワークアドレス変換(NAT)または同様の機能を提供するネットワークデバイスまたはアプライアンスを含む。
パブリックIPアドレスは、サービスプロバイダまたは顧客によってリソースインスタンスに割り当てられる、インターネットで変更可能なネットワークアドレスである。パブリックIPアドレスにルーティングされたトラフィックは、例えば1:1NATを介して変換され、リソースインスタンスのそれぞれローカルIPアドレスに転送される。
一部のパブリックIPアドレスは、プロバイダネットワークインフラストラクチャによって特定のリソースインスタンスに割り当てられる場合があり、これらのパブリックIPアドレスは、標準パブリックIPアドレス、または単に標準IPアドレスと呼ばれることがある。一部の実施形態では、標準IPアドレスをリソースインスタンスのローカルIPアドレスにマッピングすることは、全てのリソースインスタンスタイプのデフォルトの起動構成である。
少なくともいくつかのパブリックIPアドレスは、プロバイダネットワーク900の顧客に割り当てられ得、または顧客により取得され、次に、顧客は、自身の割り当てられたパブリックIPアドレスを、顧客に割り当てられた特定のリソースインスタンスに割り当てる。これらのパブリックIPアドレスは、顧客パブリックIPアドレス、または単純に顧客IPアドレスと称される。顧客IPアドレスは、標準IPアドレスの事例のようにプロバイダネットワーク900によりリソースインスタンスにアサインされる代わりに、例えばサービスプロバイダにより提供されるAPIを介して、顧客によりリソースインスタンスに割り当てる。標準IPアドレスと異なり、顧客IPアドレスは、顧客アカウントに割り当てられ、必要または所望に応じて、それぞれの顧客により他のリソースインスタンスに再マッピングすることができる。顧客IPアドレスは、特定のリソースインスタンスではなく、顧客のアカウントに対応付けられ、顧客がそのIPアドレスを解除することを選択するまで、顧客はそのIPアドレスを制御する。従来の静的IPアドレスと異なり、顧客IPアドレスは、顧客が、顧客のパブリックIPアドレスを、顧客のアカウントに対応付けられた任意のリソースインスタンスに再マッピングすることにより、リソースインスタンスまたはアベイラビリティゾーンの障害をマスクすることを可能にする。顧客IPアドレスは、例えば、顧客が、顧客IPアドレスを代替リソースインスタンスに再マッピングすることにより、顧客のリソースインスタンスまたはソフトウェアの問題に対処することを可能にする。
図2は、一部の実施形態による、顧客にストレージサービス及びハードウェア仮想化サービスを提供する例示的なプロバイダネットワークのブロック図である。ハードウェア仮想化サービス1020は、多数の計算リソース1024(例えばVM)を顧客に提供する。計算リソース1024は、例えば、プロバイダネットワーク1000の顧客に(例えば顧客ネットワーク1050を実施する顧客に)レンタルまたはリースされてもよい。各計算リソース1024には、1つ以上のローカルIPアドレスが提供される。プロバイダネットワーク1000は、計算リソース1024のローカルIPアドレスからパブリックインターネット発信先へ、及びパブリックインターネット発信元から計算リソース1024のローカルIPアドレスへ、パケットをルーティングするように構成される。
プロバイダネットワーク1000は、例えばローカルネットワーク1056を介して中間ネットワーク1040に接続された顧客ネットワーク1050に、中間ネットワーク1040及びプロバイダネットワーク1000に接続されたハードウェア仮想化サービス1020を介して、仮想コンピューティングシステム1092を実施する能力を提供する。一部の実施形態では、ハードウェア仮想化サービス1020は、1つ以上のAPI1002、例えばウェブサービスインターフェースを提供し得、これを介して顧客ネットワーク1050は、例えばコンソール1094(例えばウェブベースアプリケーション、スタンドアロンアプリケーション、モバイルアプリケーションなど)により、ハードウェア仮想化サービス1020が提供する機能にアクセスする。一部の実施形態では、顧客ネットワーク1050の各仮想コンピューティングシステム1092は、プロバイダネットワーク1000において、顧客ネットワーク1050にリース、レンタル、或いは提供される計算リソース1024に対応する。
仮想コンピューティングシステム1092及び/または別の顧客デバイス1090(例えばコンソール1094を介する)のインスタンスから、顧客は、例えば1つ以上のAPI1002を介して、ストレージサービス1010の機能にアクセスして、プロバイダネットワーク1000が提供する仮想データストア1016(例えば、フォルダまたは「バケット」、仮想化ボリューム、データベースなど)のストレージリソース1018A~1018Nに対しデータアクセス及びデータ格納を行う。一部の実施形態では、仮想化データストアゲートウェイ(図示せず)が顧客ネットワーク1050に設けられ得、仮想化データストアゲートウェイは、少なくともあるデータ、例えば頻繁にアクセスされるデータまたは重要データをローカルにキャッシュし得、データの1次ストア(仮想データストア1016)が維持されるように、1つ以上の通信チャンネルを介してストレージストレージサービス1010と通信して、ローカルキャッシュから新たなデータまたは変更されたデータをアップロードする。一部の実施形態では、ユーザは、仮想コンピューティングシステム1092を介して及び/または別の顧客デバイス1090上で、仮想データストア1016のボリュームを、ストレージ仮想化サービスとして機能するストレージサービス1010を介して、マウントしアクセスすることができ、これらのボリュームは、ローカル(仮想化)ストレージ1098としてユーザに示される。
図2には図示されないが、仮想化サービス(複数可)には、API1002(複数可)を介してプロバイダネットワーク1000内のリソースインスタンスからもアクセスすることができる。例えば、顧客、アプライアンスサービスプロバイダ、または他のエンティティは、API1002を介してプロバイダネットワーク1000上の各自の仮想ネットワーク内の仮想化サービスにアクセスして、仮想ネットワーク内または別の仮想ネットワーク内の1つ以上のリソースインスタンスの割り当てを要求する。
例示的システム
一部の実施形態では、本明細書で説明される技法の一部または全てを実施するシステムは、図3に示されるコンピュータシステム1100などの、1つ以上のコンピュータアクセス可能媒体を含む、または1つ以上のコンピュータアクセス可能媒体にアクセスするように構成された汎用コンピュータシステムを含むことができる。図示の実施形態では、コンピュータシステム1100は、入出力(I/O)インタフェース1130を介してシステムメモリ1120に結合された1つ以上のプロセッサ1110を含む。コンピュータシステム1100は更に、I/Oインターフェース1130に接続されたネットワークインターフェース1140を含む。図3は、コンピュータシステム1100を単一のコンピューティングデバイスとして示すが、様々な実施形態では、コンピュータシステム1100は、1つのコンピューティングデバイス、または単一のコンピュータシステム1100として共働するように構成された任意の数のコンピューティングデバイスを含む。
一部の実施形態では、本明細書で説明される技法の一部または全てを実施するシステムは、図3に示されるコンピュータシステム1100などの、1つ以上のコンピュータアクセス可能媒体を含む、または1つ以上のコンピュータアクセス可能媒体にアクセスするように構成された汎用コンピュータシステムを含むことができる。図示の実施形態では、コンピュータシステム1100は、入出力(I/O)インタフェース1130を介してシステムメモリ1120に結合された1つ以上のプロセッサ1110を含む。コンピュータシステム1100は更に、I/Oインターフェース1130に接続されたネットワークインターフェース1140を含む。図3は、コンピュータシステム1100を単一のコンピューティングデバイスとして示すが、様々な実施形態では、コンピュータシステム1100は、1つのコンピューティングデバイス、または単一のコンピュータシステム1100として共働するように構成された任意の数のコンピューティングデバイスを含む。
様々な実施形態では、コンピュータシステム1100は、1つのプロセッサ1110を含むユニプロセッサシステム、またはいくつか(例えば2つ、4つ、8つ、もしくは別の好適な個数)のプロセッサ1110を含むマルチプロセッサシステムである。プロセッサ1110は、命令を実行可能な任意の好適なプロセッサであってもよい。例えば、様々な実施形態では、プロセッサ1110は、様々な命令集合アーキテクチャ(ISA)、例えばx86、ARM、PowerPC、SPARC、もしくはMIPS‐ISA、または任意の他の好適なISAなどのうちのいずれかを実施する汎用プロセッサまたは組み込みプロセッサであってもよい。マルチプロセッサシステムでは、プロセッサ1110のそれぞれは、通常、必ずしもではないが、同一のISAを実装する。
システムメモリ1120は、プロセッサ1110(複数可)によりアクセス可能な命令及びデータを格納する。様々な実施形態では、システムメモリ1120は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、静的RAM(SRAM)、同期式動的RAM(SDRAM)、不揮発性/フラッシュ型メモリ、または任意の他の種類のメモリなど、任意の好適なメモリ技術をよって実装される。示される実施形態では、前述の方法、技術、及びデータなどの1つ以上の所望の機能を実施するプログラム命令及びデータは、システムメモリ1120内に酵素基質予測サービスコード1125及びデータ1126として格納されることが示される。
一実施形態では、I/Oインターフェース1130は、プロセッサ1110と、システムメモリ1120と、ネットワークインターフェース1140または他の周辺インターフェースを含むデバイス内の任意の周辺デバイスとの間のI/Oトラフィックを調整するように構成される。一部の実施形態では、I/Oインターフェース1130は、1つの構成要素(例えばシステムメモリ1120)からのデータ信号を、別の構成要素(例えばプロセッサ1110)が使用するのに好適な形式に変換するために、任意の必要なプロトコル変換、タイミング変換、または他のデータ変換を実行する。一部の実施形態では、I/Oインターフェース1130は、例えば周辺構成要素相互接続(PCI)バス規格または汎用シリアルバス(USB)規格の変形など、様々な種類の周辺バスを介して取り付けられるデバイスのサポートを含む。一部の実施形態では、I/Oインターフェース1130の機能は、例えばノースブリッジ及びサウスブリッジなどの2つ以上の別個の構成要素に分割される。また、一部の実施形態では、システムメモリ1120へのインターフェースなどのI/Oインターフェース1130の機能の一部または全てが、プロセッサ1110に直接組み込まれる。
ネットワークインターフェース1140は、コンピュータシステム1100と、ネットワーク1150(複数可)に接続された他のデバイス1160との間で、データを交換可能なように構成される。様々な実施形態では、ネットワークインターフェース1140は、例えばイーサネットネットワーク類など、任意の好適な有線または無線の汎用データネットワークを介した通信に対応する。更に、ネットワークインターフェース1140は、アナログ音声ネットワークまたはデジタルファイバ通信ネットワークなどの電気通信/電話ネットワークを介した、或いはストレージエリアネットワーク(SAN)、例えばファイバチャネルSANを介した、或いは他の好適な種類のネットワーク及び/またはプロトコルを介した通信に対応する。
一部の実施形態では、コンピュータシステム1100は、I/Oインターフェース1130(例えば周辺構成要素相互接続エクスプレス(PCI-E)規格のあるバージョン、またはQuickPath相互接続(QPI)もしくはUltraPath相互接続(UPI)などの別の相互接続を実施するバス)を使用して接続された1つ以上のオフロードカード1170(1つ以上のプロセッサ1175を含み、場合によっては1つ以上のネットワークインターフェース1140を含む)を含む。例えば、一部の実施形態では、コンピュータシステム1100は、計算インスタンスをホストするホスト電子デバイス(例えばハードウェア仮想化サービスの一部として作動する)として機能し得、1つ以上のオフロードカード1170は、ホスト電子デバイス上で実行される計算インスタンスを管理し得る仮想化マネージャを実行する。一例として、一部の実施形態では、オフロードカード1170(複数可)は、計算インスタンスの一時停止及び/または一時停止解除、計算インスタンスの起動及び/または終了、メモリ転送/コピー動作の実行など、計算インスタンス管理動作を実行し得る。これらの管理動作は、一部の実施形態では、コンピュータシステム1100の他のプロセッサ1110A~1110Nが実行するハイパーバイザと協働して(例えばハイパーバイザからの要求に応じて)、オフロードカード1170(複数可)により実行される。しかし、一部の実施形態では、オフロードカード1170(複数可)により実施される仮想化マネージャは、他のエンティティからの(例えば計算インスタンス自体からの)要求に対応し得、任意の別個のハイパーバイザと協働しない(または任意の別個のハイパーバイザにサービス提供し得ない)。
一部の実施形態では、システムメモリ1120は、前述されたプログラム命令及びデータを格納するように構成されたコンピュータアクセス可能媒体の一実施形態であってもよい。しかしながら、他の実施形態では、プログラム命令及び/またはデータは、異なるタイプのコンピュータアクセス可能な媒体において、受信、送信、または記憶されてもよい。一般に、コンピュータアクセス可能媒体には、例えばI/Oインターフェース1130を介してコンピュータシステム1100に接続されたディスクまたはDVD/CDといった磁気媒体または光学媒体などの非一時的記憶媒体またはメモリ媒体が含まれる。非一時的コンピュータアクセス可能記憶媒体には、RAM(例えばSDRAM、ダブルデータレート(DDR)SDRAM、SRAMなど)、読み出し専用メモリ(ROM)など、コンピュータシステム1100の一部の実施形態にシステムメモリ1120または別の種類のメモリとして含まれ得る任意の揮発性または不揮発性媒体も含まれる。更に、コンピュータアクセス可能媒体は、ネットワークインターフェース1140を介して実施され得るようなネットワーク及び/または無線リンクなどの通信媒体を介して伝達される伝送媒体または電気信号、電磁信号、もしくはデジタル信号などの信号を含む。
本明細書で検討または提案されている様々な実施形態は、多様な動作環境で実装することができ、動作環境は、いくつかの場合、任意の数のアプリケーションを操作するために使用できる1つ以上のユーザコンピュータ、コンピューティングデバイス、または処理デバイスを含む。ユーザまたはクライアントデバイスは、標準オペレーティングシステムを稼働させるデスクトップもしくはラップトップコンピュータ、ならびに、携帯ソフトウェアを稼働させかつ多数のネットワーキング及びメッセージプロトコルをサポートすることができる、セルラー、無線、及び携帯型デバイスなどの、多数の汎用パーソナルコンピュータのうちのいずれかを含む。このようなシステムは、開発及びデータベース管理などの目的のために、様々な市販のオペレーティングシステム及び他の既知のアプリケーションのうちのいずれかを起動するいくつかのワークステーションも含む。これらのデバイスは、ダミー端末、シンクライアント、ゲーミングシステム、及び/またはネットワークを介して通信できる他のデバイスなど、他の電子デバイスも含むことができる。
ほとんどの実施形態は、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、ファイル転送プロトコル(FTP)、ユニバーサルプラグアンドプレイ(UPnP)、ネットワークファイルシステム(NFS)、共通インターネットファイルシステム(CIFS)、Extensible Messaging and Presence Protocol(XMPP)、AppleTalkなど、広く利用可能な様々なプロトコルのいずれかを使用して通信をサポートするために、当業者によく知られている少なくとも1つのネットワークを利用する。ネットワーク(複数可)には、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット、公衆交換電話網(PSTN)、赤外線ネットワーク、ワイヤレスネットワーク、及びそれらの組み合わせが含まれる。
ウェブサーバを利用する実施形態では、ウェブサーバは、HTTPサーバ、ファイル転送プロトコル(FTP)サーバ、共通ゲートウェイインタフェース(CGI)サーバ、データサーバ、Javaサーバ、業務アプリケーションサーバなどを含む様々なサーバまたは中間層アプリケーションのいずれかを実行することができる。サーバ(複数可)は、Java(登録商標)、C、C#、またはC++などの任意のプログラム言語、または、Perl、Python、PHP、もしくはTCLなどのスクリプト言語、ならびにそれらの組み合わせで書かれた、1つ以上のスクリプトまたはプログラムとして実装され得る、1つ以上のウェブアプリケーションを実行することなどによって、ユーザデバイスからの要求に応答して、プログラムまたはスクリプトを実行することもまたできる。サーバ(複数可)はまた、Oracle(登録商標)、Microsoft(登録商標)、Sybase(登録商標)、IBM(登録商標)などから市販されているものを含むがこれらに限定されないデータベースサーバを含んでもよい。データベースサーバはリレーショナルまたは非リレーショナルであってもよく(例:「NoSQL」)、分散型または非分散型などであってもよい。
本明細書に開示される環境は、上述の通り、様々なデータストアならびに他のメモリ及び記憶媒体を含んでもよい。これらは、1つ以上のコンピュータに対してローカルな(及び/またはコンピュータの中に常駐する)、またはネットワーク全体でコンピュータのいずれかもしくは全てからリモートな記憶媒体など、様々な場所に常駐する場合がある。実施形態の特定の組では、情報は、当業者によく知られたストレージエリアネットワーク(「SAN」)内に存在し得る。同様に、コンピュータ、サーバ、または他のネットワークデバイスに属する機能を行うための任意の必要なファイルは、適宜、ローカルに及び/または遠隔に記憶される。システムがコンピュータ化されたデバイスを含む場合、それぞれのかかるデバイスは、バスを介して電気的に連結され得るハードウェア要素を含み得、要素は、例えば、少なくとも1つの中央処理ユニット(CPU)、少なくとも1つの入力デバイス(例えば、マウス、キーボード、コントローラ、タッチスクリーン、またはキーパッド)、及び/または少なくとも1つの出力デバイス(例えば、ディスプレイデバイス、プリンタ、またはスピーカ)を含む。このようなシステムはまた、ディスクドライブ、光学記憶デバイス、ならびに、ランダムアクセスメモリ(RAM)または読み出し専用メモリ(ROM)、ならびに取り外し可能記憶デバイス、メモリカード、フラッシュカードなどのソリッドステート記憶デバイスなど、1つ以上の記憶デバイスを含む。
また、このようなデバイスは、上述のようにコンピュータ可読記憶媒体読取装置、通信装置(例えば、モデム、ネットワークカード(無線または有線)、赤外線通信装置など)、及び作業メモリを含む。コンピュータ可読記憶媒体リーダは、コンピュータ可読情報を一時的に、及び/またはより恒久的に含み、記憶し、送信しかつ取り出すための、リモートストレージデバイス、ローカルストレージデバイス、固定ストレージデバイス及び/または取り外し可能なストレージデバイスならびに記憶媒体を表すコンピュータ可読記憶媒体と、接続することができ、またはそれを受容するように構成できる。また、システム及び多様なデバイスは、通常、オペレーティングシステム、及びクライアントアプリケーションまたはウェブブラウザなどのアプリケーションプログラムを含む、少なくとも1つのワーキングメモリデバイス内に位置するいくつかのソフトウェアアプリケーション、モジュール、サービス、または他の要素を含む。代替の実施形態は、上述のものを変形または改良したものを含むことを理解されたい。例えば、また、カスタマイズされたハードウェアも使用する場合があり、及び/または特定の要素がハードウェア、ソフトウェア(アプレットなどのポータブルソフトウェアを含む)、もしくはその両方で実装される場合がある。更に、ネットワーク入力/出力デバイスなどの、他のコンピューティングデバイスへの接続が用いられてもよい。
コードまたはコードの一部を包含するための記憶媒体及びコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(「EEPROM」)、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(「CD-ROM」)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)もしくは他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、または所望の情報を記憶するために使用することができ、かつシステムデバイスによってアクセスできる任意の他の媒体を含む、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報の記憶及び/または送信のために任意の方法または技術で実装される揮発性及び不揮発性の媒体、取り外し可能及び取り外し不可能な媒体などであるが、これに限定されるものではない記憶媒体及び通信媒体を含む当該分野において既知の、または使用される任意の適切な媒体を含むことがある。本明細書に提供される本開示及び教示に基づいて、当業者であれば、様々な実施形態を実装する他の様式及び/または方法を理解するであろう。
上記では、様々な実施形態が説明されている。説明を目的として、実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な構成やその詳細を記載している。しかしながら、実施形態は具体的な詳細を伴わずに実施され得ることは、当業者であれば理解するはずである。更に、説明される実施形態を不明瞭にしないために、周知の特徴は省略または簡略化することもある。
本明細書では、括弧で囲まれたテキスト及び破線(例えば大きい破線、小さい破線、鎖線、点)で囲まれたブロックを使用して、一部の実施形態に付加的特徴を追加する任意の動作が説明される。しかしながら、このような表記は、これらが唯一の選択肢または任意の動作であること、及び/または実線で囲まれたブロックは、特定の実施形態では任意ではないことを意味すると、理解してはならない。
接尾辞文字を有する参照番号を使用して、様々な実施形態で言及されるエンティティの1つ以上のインスタンスが存在し得ること、複数のインスタンスが存在する場合、それぞれが同一である必要はないが、代わりにいくつかの一般的な特性を共有し得る、または同じように作動し得ることが示されてもよい。更に、使用される特定の接尾辞は、特に反対の指示がない限り、特定の数のエンティティが存在することを意味するものではない。したがって、同じまたは異なる接尾辞文字を使用する2つのエンティティは、様々な実施形態において同じ数のインスタンスを有しても有さなくてもよい。
「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを示すが、あらゆる実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含むわけではない。更に、このような句は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。更に、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明される場合、他の実施形態と関連してこのような特徴、構造、または特性を備えることは、明確に記載されているか否かに関わらず、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
更に、前述の様々な実施形態では、特に断りのない限り、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」という句などの選言的表現は、A、B、またはCのいずれか、或いはこれらの任意の組み合わせ(例えばA、B、及び/またはC)を意味すると理解されることが意図される。よって、選言的表現は、所与の実施形態に少なくとも1つのA、少なくとも1つのB、または少なくとも1つのCがそれぞれ存在する必要があることを意味する意図はなく、またそのように理解されてはならない。
従って、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考えられるべきである。しかしながら、特許請求の範囲に記載される本開示のより広範の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正や変更が本明細書に加えられ得ることは明らかである。
均等物
本明細書に記載される本発明の方法の他の適切な修正及び適応は明らかであり、本開示または実施形態の範囲から逸脱することなく、適切な均等物を使用して行うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。ここまで、特定の組成物及び方法を詳細に説明してきたが、以下の実施例を参照することにより、同様のことがより明確に理解されるであろう。これらの実施例は、説明のためにのみ紹介され、限定することを意図するものではない。
以下の実施例は、例証を目的とするものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。
実施例1は、例示的な実施形態による、短鎖MHCクラスIワクチンペプチド候補及び例示的な変異体についての予測変異エピトープを示す。この例では、四角で囲まれた文字「H」は、ワクチンペプチド配列「FVLQHLVFL」のうち変異した部分配列を表す。本明細書に記載される1つ以上の方法によって、1つ以上の変異エピトープを予測し、免疫原性スコアを生成することができる。この例によれば、免疫原性スコアは、長鎖ペプチド配列における少なくとも1つのエピトープが対象者のMHCクラスI対立遺伝子の少なくとも1つに対して免疫原性である確率を示す。MHCクラスI結合スコアは、ペプチドが対象のMHCクラスI対立遺伝子の少なくとも1つに結合する確率を示してもよい。更に、長さは配列内のアミノ酸の数を示してもよく、これを用いて短鎖ネオアンチゲンと長鎖ネオアンチゲンを区別することができる。MHCクラスI免疫原性結合スコアは、MHCクラスI免疫原性スコアにMHCクラスI結合スコアを乗算して判定できる。RNA TPMは、遺伝子の長さ及び配列の深さごとに正規化RNAリードの数を、TPMで示すものである。最大コード配列カバレッジは、ワクチンペプチド配列をカバーするRNAリードの数を示してもよい。
実施例2は、例示的な実施形態による、別の短鎖MHCクラスIワクチンペプチド候補及び例示的な変異体についての予測変異エピトープを示す。この例では、四角で囲まれた文字「C」は、ワクチンペプチド配列「KACHYHSYNGW」のうち変異した部分配列を表す。
実施例3は、別の短鎖MHCクラスIワクチンペプチド候補及び例示的な変異体についての予測変異エピトープを示す。この例では、四角で囲まれた文字「H」は、ワクチンペプチド配列「REEENHSFL」のうち変異した部分配列を表す。
上記の実施例4及び5では、実施例1の短鎖配列「FVLQHLVFL」を使用して、実施例4の長鎖MHCクラスIワクチンペプチド及び実施例5の長鎖MHCクラスIIワクチンペプチドの配列を作製した。両方とも配列の中心に同じ短部分配列を含む(例:文字「H」)。本明細書に説明されるように、アミノ酸は、最長鎖ネオアンチゲンに従って短部分配列の両側に付加される。これにより、変異アミノ酸の各側に隣接する第1最大数のアミノ酸が存在するようになる。予測変異エピトープは、MHCクラスIワクチンペプチドとMHCクラスIIワクチンペプチドの両方について、対応する免疫原性スコアとともに生成、或いは判定される。MHCクラスI免疫原性スコアは、長鎖ペプチド配列における少なくとも1つのエピトープが対象者のMHCクラスI対立遺伝子の少なくとも1つに対して免疫原性である確率を示す。MHCクラスII免疫原性スコアは、長鎖ペプチド配列における少なくとも1つのエピトープが対象者のMHCクラスII対立遺伝子の少なくとも1つに対して免疫原性である確率を示す。
上記の実施例6及び7では、実施例2の短鎖配列「KACHYHSYNGW」を使用して、実施例6の長鎖MHCクラスIワクチンペプチド及び実施例7の長鎖MHCクラスIIワクチンペプチドの配列を作製した。両方とも配列の中心に実施例2と同じ短部分配列を含む(例:文字「C」)。予測変異エピトープは、MHCクラス IワクチンペプチドとMHCクラスIIワクチンペプチドの両方について、対応する免疫原性スコアとともに生成、或いは判定される。MHCクラスI免疫原性スコアは、長鎖ペプチド配列における少なくとも1つのエピトープが対象者のMHCクラスI対立遺伝子の少なくとも1つに対して免疫原性である確率を示す。MHCクラスII免疫原性スコアは、長鎖ペプチド配列における少なくとも1つのエピトープが対象者のMHCクラスII対立遺伝子の少なくとも1つに対して免疫原性である確率を示す。
上記の実施例8及び9では、実施例3の短鎖配列「REEENHSFL」を使用して、実施例8の長鎖MHCクラスIワクチンペプチド及び実施例9の長鎖MHCクラスIIワクチンペプチドの配列を作製した。両方とも配列の中心に実施例3と同じ短部分配列を含む(例:文字「H」)。予測変異エピトープは、MHCクラス IワクチンペプチドとMHCクラスIIワクチンペプチドの両方について、対応する免疫原性スコアとともに生成、或いは判定される。MHCクラスI免疫原性スコアは、長鎖ペプチド配列における少なくとも1つのエピトープが対象者のMHCクラスI対立遺伝子の少なくとも1つに対して免疫原性である確率を示す。MHCクラスII免疫原性スコアは、長鎖ペプチド配列における少なくとも1つのエピトープが対象者のMHCクラスII対立遺伝子の少なくとも1つに対して免疫原性である確率を示す。
Claims (42)
- 対象特異的免疫原性組成物に関して対象者の腫瘍からの腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けする方法であって、
a)前記腫瘍内に存在する複数の体細胞変異を同定することと、
b)前記複数の体細胞変異のうちの個別体細胞変異に対して、
i)最良の短鎖ネオアンチゲンの免疫原性スコアに少なくとも部分的に基づいて、最初の複数の短鎖ネオアンチゲンから前記最良の短鎖ネオアンチゲンを判定することと、
ii)最良の長鎖ネオアンチゲンの免疫原性スコアに少なくとも部分的に基づいて、最初の複数の長鎖ネオアンチゲンから前記最良の長鎖ネオアンチゲンを判定することと、
iii)前記最良の短鎖ネオアンチゲンを短鎖ネオアンチゲン候補リストに追加することと、
iv)前記最良の長鎖ネオアンチゲンを長鎖ネオアンチゲン候補リストに追加することと、
c)前記複数の体細胞変異に対してb)を実行することであって、完成した前記短鎖ネオアンチゲン候補リストは、前記複数の体細胞変異のそれぞれに対する前記最良の短鎖ネオアンチゲンを含み、完成した前記長鎖ネオアンチゲン候補リストは、前記複数の体細胞変異のそれぞれに対する前記最良の長鎖ネオアンチゲンを含む、前記実行することと、
d)前記短鎖ネオアンチゲン候補リストを免疫原性スコアの降順でランク付けすることと、
e)前記長鎖ネオアンチゲン候補リストを免疫原性スコアの降順でランク付けすることと、を含む、前記方法。 - 前記個別体細胞変異について、変異アミノ酸を含む最長鎖ネオアンチゲン配列を同定することと、
前記最長鎖ネオアンチゲン配列から前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲンを同定することとを更に含み、前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲンにおける個別ネオアンチゲンは前記変異アミノ酸と、最小数から最大数までのアミノ酸とを有する、請求項1に記載の方法。 - 前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲンにおける個別ネオアンチゲンが、8個、9個、10個、または11個のアミノ酸を有する、請求項2に記載の方法。
- 前記対象者に存在する複数のHLAクラスI対立遺伝子における個別対立遺伝子につき、前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲンのそれぞれのネオアンチゲン-対立遺伝子スコアを判定することを更に含む、請求項2に記載の方法。
- 前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲンにおける個別ネオアンチゲンと前記個別対立遺伝子との前記ネオアンチゲン-対立遺伝子スコアは、前記個別ネオアンチゲンが前記個別対立遺伝子により提示されるが、前記個別ネオアンチゲンの生殖系列兄弟は前記個別対立遺伝子により提示されない確率に少なくとも部分的に基づく、請求項4に記載の方法。
- 前記確率は、前記複数のHLAクラスI対立遺伝子における所定の対立遺伝子が特定の抗原を提示する確率を判定するように訓練されたMHCクラスI機械学習モデルからのデータに少なくとも部分的に基づいて判定される、請求項5に記載の方法。
- 前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲンにおける任意の2つのネオアンチゲンについて、前記2つのネオアンチゲンのうちの一方が他方を含み、前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲンから、前記2つのネオアンチゲンのうち、前記個別対立遺伝子に対してネオアンチゲン対立遺伝子スコアが低い方のネオアンチゲンを除去することを更に含む、請求項4に記載の方法。
- 短部分配列を同定することを更に含み、前記短部分配列は、前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲン中のネオアンチゲンをすべて含む前記最長鎖ネオアンチゲン配列の最短部分配列であり、前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲンにおけるネオアンチゲンは、前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲンにおける別のネオアンチゲンに含まれない、請求項7に記載の方法。
- 前記個別対立遺伝子が、短鎖ネオアンチゲン群における少なくとも1つのネオアンチゲンを提示し、前記少なくとも1つのネオアンチゲンの生殖系列兄弟を提示しない確率を判定することを更に含む、請求項8に記載の方法。
- 前記短鎖ネオアンチゲン群における個別ネオアンチゲンの免疫原性スコアを判定することを更に含み、前記免疫原性スコアは、前記対象者の複数のHLAクラスI対立遺伝子における少なくとも1つの対立遺伝子が前記個別ネオアンチゲンを提示し、前記個別ネオアンチゲンの生殖系列兄弟を提示しない確率に少なくとも部分的に基づく、請求項2に記載の方法。
- 前記対象者の複数のHLAクラスI対立遺伝子における少なくとも1つの対立遺伝子が、前記短鎖ネオアンチゲン群における少なくとも1つのネオアンチゲンを提示し、前記少なくとも1つのネオアンチゲンの生殖系列兄弟を提示しない確率を判定することを更に含む、請求項2に記載の方法。
- 拡張配列を同定することであって、前記拡張配列は、前記短部分配列と、前記変異アミノ酸の各側にある第1最大数のアミノ酸とを含む前記最長鎖ネオアンチゲンの部分配列である、前記同定することと、
前記拡張配列から長鎖ネオアンチゲン群を同定することであって、前記長鎖ネオアンチゲン群は、前記短部分配列の長さと第2最大数のアミノ酸の長さの間の長さを有する、前記同定することと、を更に含む、請求項8に記載の方法。 - 前記第1最大数は29である、請求項12に記載の方法。
- 前記第2最大数は30である、請求項12に記載の方法。
- 前記長鎖ネオアンチゲン群から製造可能条件を満たさないネオアンチゲンを取り除くことを更に含む、請求項12に記載の方法。
- 前記長鎖ネオアンチゲン群における個別ネオアンチゲンの免疫原性スコアを判定することを更に含み、前記免疫原性スコアは、前記対象者の複数のHLAクラスII対立遺伝子における少なくとも1つの対立遺伝子が前記個別ネオアンチゲンを提示し、前記個別ネオアンチゲンの生殖系列兄弟を提示しない確率に少なくとも部分的に基づく、請求項12に記載の方法。
- 前記確率は、前記複数のHLAクラスII対立遺伝子における所定の対立遺伝子が特定の抗原を提示する確率を判定するように訓練されたMHCクラスII機械学習モデルからのデータに少なくとも部分的に基づいて判定される、請求項16に記載の方法。
- 免疫原性スコアに基づいて、前記長鎖ネオアンチゲン候補リストから、上位ランクの長鎖ネオアンチゲン候補を所定の数までトリミングすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
- 製造可能性分析のために前記長鎖ネオアンチゲン候補リストを作成することを更に含む、請求項1~18のうちいずれか一項に記載の方法。
- 長鎖ネオアンチゲン候補下位群を受け取ることを更に含み、前記長鎖ネオアンチゲン候補下位群は、製造可能性に少なくとも部分的に基づいて、前記長鎖ネオアンチゲン候補リストから選択される、請求項19に記載の方法。
- 製造可能性に少なくとも部分的に基づいて、前記長鎖ネオアンチゲン候補リストから長鎖ネオアンチゲン候補下位群を選択することを更に含む、請求項1~18のうちいずれか一項に記載の方法。
- 前記短鎖ネオアンチゲン候補リストから、前記長鎖ネオアンチゲン候補下位群のいずれかに含まれるいずれかのネオアンチゲンを取り除くことを更に含む、請求項20または21に記載の方法。
- 免疫原性スコアに基づいて、前記短鎖ネオアンチゲン候補リストから、上位ランクの短鎖ネオアンチゲン候補を所定の数までトリミングすることを更に含む、請求項1~22のうちいずれか一項に記載の方法。
- 製造可能性分析のために前記短鎖ネオアンチゲン候補リストを作成することを更に含む、請求項1、22、または23のうちいずれか一項に記載の方法。
- 短鎖ネオアンチゲン候補下位群を受け取ることを更に含み、前記短鎖ネオアンチゲン候補下位群は、製造可能性に少なくとも部分的に基づいて、前記短鎖ネオアンチゲン候補リストから選択される、請求項24に記載の方法。
- 製造可能性に少なくとも部分的に基づいて、前記短鎖ネオアンチゲン候補リストから短鎖ネオアンチゲン候補下位群を選択することを更に含む、請求項1、22、または23のうちいずれか一項に記載の方法。
- 前記短鎖ネオアンチゲン候補リストから得た1つ以上のネオアンチゲンを含む、対象特異的免疫原性組成物を形成することを更に含む、請求項1、22、23、25、または26のうちいずれか一項に記載の方法。
- 前記長鎖ネオアンチゲン候補リストから得た1つ以上のネオアンチゲンを含む、対象特異的免疫原性組成物を形成することを更に含む、請求項1、20、または21のうちいずれか一項に記載の方法。
- 前記対象特異的免疫原性組成物を前記対象者に投与することを更に含む、請求項27または28に記載の方法。
- 前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲンは、前記対象者に関連する少なくとも1つのMHCクラスIエピトープを含む短鎖ポリペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記最初の複数の長鎖ネオアンチゲンは、前記対象者に関連する少なくとも1つのMHCクラスIエピトープと、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープとを含む長鎖ポリペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲン及び前記最初の複数の長鎖ネオアンチゲンが前記腫瘍に由来し、前記個別体細胞変異を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記免疫原性スコアは、機械学習モデルからのデータに少なくとも部分的に基づいて判定される、請求項1に記載の方法。
- 前記個別体細胞変異に対する前記最良の短鎖ネオアンチゲンは、前記個別体細胞変異に対する前記最初の複数の短鎖ネオアンチゲンのうちの最も高い免疫原性スコアを有する短鎖ネオアンチゲンである、請求項1に記載の方法。
- 前記個別体細胞変異に対する前記最良の長鎖ネオアンチゲンが、前記個別体細胞変異に対する前記最初の複数の長鎖ネオアンチゲンのうちの最も高い免疫原性スコアを有する長鎖ネオアンチゲンである、請求項1に記載の方法。
- 対象特異的免疫原性組成物に関して対象者の腫瘍からの腫瘍特異的ネオアンチゲンをランク付けする方法であって、
a)前記腫瘍内に存在する複数の体細胞変異を同定することと、
b)前記複数の体細胞変異のうちの個別体細胞変異に対して、
i)最良の短鎖ネオアンチゲンの品質スコアに少なくとも部分的に基づいて、最初の複数の短鎖ネオアンチゲンから前記最良の短鎖ネオアンチゲンを判定することであって、前記品質スコアは、予測提示確率、予測結合親和性、及び予測免疫原性応答からなる群から選択される少なくとも1つに少なくとも部分的に基づく、前記判定することと、
ii)最良の長鎖ネオアンチゲンの品質スコアに少なくとも部分的に基づいて、最初の複数の長鎖ネオアンチゲンから前記最良の長鎖ネオアンチゲンを判定することであって、前記品質スコアは、予測提示確率、予測結合親和性、及び予測免疫原性応答からなる群から選択される少なくとも1つに少なくとも部分的に基づく、前記判定することと、
iii)前記最良の短鎖ネオアンチゲンを短鎖ネオアンチゲン候補リストに追加することと、
iv)前記最良の長鎖ネオアンチゲンを長鎖ネオアンチゲン候補リストに追加することと、
c)前記複数の体細胞変異に対してb)を実行することであって、完成した前記短鎖ネオアンチゲン候補リストは、前記複数の体細胞変異のそれぞれに対する前記最良の短鎖ネオアンチゲンを含み、完成した前記長鎖ネオアンチゲン候補リストは、前記複数の体細胞変異のそれぞれに対する前記最良の長鎖ネオアンチゲンを含む、前記実行することと、
d)品質スコアを含むランク付けアルゴリズムに少なくとも部分的に基づいて、前記短鎖ネオアンチゲン候補リストをランク付けすることと、
e)前記ランク付けアルゴリズム、または品質スコアを含む第2のランク付けアルゴリズムに少なくとも部分的に基づいて、前記長鎖ネオアンチゲン候補リストをランク付けすることと、を含む、前記方法。 - 前記品質スコアは、予測提示確率に少なくとも部分的に基づく、請求項36に記載の方法。
- 前記品質スコアは、予測結合親和性に少なくとも部分的に基づく、請求項36に記載の方法。
- 前記予測結合親和性は、HLAクラスII対立遺伝子と所定のペプチドとの間の結合親和性を判定するように訓練されたMHCクラスII学習モデルからのデータに少なくとも部分的に基づいて判定される、請求項38に記載の方法。
- 前記品質スコアは、予測免疫原性応答に少なくとも部分的に基づく、請求項36に記載の方法。
- 前記品質スコアは、予測提示確率、予測結合親和性、及び予測提示確率の組み合わせに少なくとも部分的に基づく、請求項36に記載の方法。
- 前記予測提示確率、前記予測結合親和性、及び前記予測提示確率は、1つ以上の機械学習モデルによって判定される、請求項36に記載の方法。
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