JP2024085210A - 研磨液組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】研磨速度の向上と研磨後の基板表面のスクラッチの低減を両立する磁気ディスク基板用研磨液組成物を提供する。【解決手段】研磨液組成物は、シリカ粒子(成分A)と水溶性高分子(成分B)と酸(成分C)と水系媒体とを含有し、成分Bはアクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位を含む共重合体で、成分Bを構成する全構成単位中に占めるアクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位の構成比率が50mol%以上で、成分Bの重量平均分子量は700以上10000以下、成分Bは、0.4質量%の酸化ニッケル粒子、研磨液組成物と同じ濃度の成分C及び研磨液組成物と同じ濃度の成分Bを配合したときの、成分Bの酸化ニッケル粒子への吸着率が5質量%以上で、研磨液組成物中の成分Aの平均粒径dと、研磨液組成物から成分Bが除かれた組成である組成物中の成分Aの平均粒径d0との比d/d0が1.1以下であり、pHが0.1以上4以下である。【選択図】なし
Description
本開示は、研磨液組成物、並びにこれを用いた基板の製造方法及び研磨方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化するために、単位記録面積を縮小し、弱くなった磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、表面粗さ、うねり、端面ダレ(ロールオフ)の低減に代表される平滑性・平坦性の向上とスクラッチ、突起、ピット等の低減に代表される欠陥低減に対する要求が厳しくなっている。
このような要求に対して、例えば、特許文献1には、粗研磨工程と仕上げ研磨工程とを含む磁気ディスク基板の製造方法において、前記粗研磨工程を、同一の研磨機において、アルミナ粒子及び水を含有する研磨液組成物Aを用いる第1の粗研磨と、第1の粗研磨後のリンス処理と、前記リンス処理後のシリカ粒子及び水を含有する研磨液組成物Bを用いる第2の粗研磨とをこの順で含む構成とすることが提案されている。同文献の0073段落には、研磨液組成物Aは、ポリアクリル酸又はその塩を含有することが好ましいと記載されている。
特許文献2には、磁気ディスク基板研磨用組成物であって、砥粒としてのシリカ粒子と水とを含み、亜リン酸エステル、および、分子量が150以上であるリン酸エステルから選択される少なくとも1種をさらに含む研磨用組成物が提案されている。
特許文献3には、コロイダルシリカとリン含有化合物と水溶性高分子化合物と水とを含み、前記水溶性高分子化合物が不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位と不飽和アミドに由来する構成単位とを含有する共重合体である磁気ディスク基板用研磨剤組成物が提案されている。
特許文献2には、磁気ディスク基板研磨用組成物であって、砥粒としてのシリカ粒子と水とを含み、亜リン酸エステル、および、分子量が150以上であるリン酸エステルから選択される少なくとも1種をさらに含む研磨用組成物が提案されている。
特許文献3には、コロイダルシリカとリン含有化合物と水溶性高分子化合物と水とを含み、前記水溶性高分子化合物が不飽和脂肪族カルボン酸に由来する構成単位と不飽和アミドに由来する構成単位とを含有する共重合体である磁気ディスク基板用研磨剤組成物が提案されている。
磁気ディスクドライブの大容量化に伴い、基板の表面品質に対する要求特性はさらに厳しくなっており、基板表面のスクラッチをいっそう低減できる研磨液組成物の開発が求められている。また、一般的に、研磨速度とスクラッチとはトレードオフの関係にあり、一方が改善すれば一方が悪化するという問題がある。
そこで、本開示は、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のスクラッチの低減とを両立できる研磨液組成物、並びにこれを用いた磁気ディスク基板の製造方法及び基板の研磨方法を提供する。
本開示は、一態様において、シリカ粒子(成分A)と水溶性高分子(成分B)と酸(成分C)と水系媒体とを含有する研磨液組成物であって、成分Bは、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位を含む共重合体であり、成分Bを構成する全構成単位中に占める、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位の構成比率が50mol%以上であり、成分Bの重量平均分子量は、700以上10000以下であり、成分Bは、0.4質量%の酸化ニッケル粒子、前記研磨液組成物と同じ濃度の成分C、及び、前記研磨液組成物と同じ濃度の成分Bを配合したときの、成分Bの酸化ニッケル粒子への吸着率が5質量%以上となるものであり、前記研磨液組成物中の成分Aの平均粒径dと、前記研磨液組成物から成分Bが除かれた組成である組成物中の成分Aの平均粒径d0との比d/d0が1.1以下であり、pHが0.1以上4以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
本開示は、一態様において、シリカ粒子(成分A)と水溶性高分子(成分B)と酸(成分C)と水系媒体とを含有し、成分Bは、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位を含む共重合体であって、下記式(I)で表される構成を含む共重合体であり、成分Bを構成する全構成単位中に占める、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位の構成比率が50mol%以上であり、成分Bの重量平均分子量は、700以上10000以下であり、pHが0.1以上4以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
式(I)中、m、nは成分Bにおけるそれぞれの構成単位の構成比率(モル比率)を表し、m>0、n>0、m+n=100を満たす。Mは、水素原子、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、有機カチオン、又はアンモニウム(NH4
+)を示す。Rは炭素数2~6の炭化水素基であり、XとRを結ぶ破線は、Rを構成する炭素原子がXに結合してもよいことを表す。Xは酸素原子又は窒素原子又はNH基を表す。
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することを含み、前記被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である、基板の研磨方法に関する。
本開示の研磨組成物によれば、一又は複数の実施形態において、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のスクラッチの低減とを両立できるという効果が奏されうる。
本開示は、シリカ粒子、特定の水溶性高分子、酸、及び水系媒体を含有し、pH0.1~4の研磨液組成物を磁気ディスク基板の研磨に用いると、研磨速度を向上しつつ、研磨後の基板表面のスクラッチを低減できるという知見に基づく。
すなわち、本開示は、一態様において、シリカ粒子(成分A)と水溶性高分子(成分B)と酸(成分C)と水系媒体とを含有する研磨液組成物であって、成分Bは、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位を含む共重合体であり、成分Bを構成する全構成単位中に占める、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位の構成比率が50mol%以上であり、成分Bの重量平均分子量は、700以上10000以下であり、成分Bは、0.4質量%の酸化ニッケル粒子、前記研磨液組成物と同じ濃度の成分C、及び、前記研磨液組成物と同じ濃度の成分Bを配合したときの、成分Bの酸化ニッケル粒子への吸着率が5質量%以上となるものであり、前記研磨液組成物中の成分Aの平均粒径dと、前記研磨液組成物から成分Bが除かれた組成である組成物中の成分Aの平均粒径d0との比d/d0が1.1以下であり、pHが0.1以上4以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
本開示は、その他の態様において、シリカ粒子(成分A)と水溶性高分子(成分B)と酸(成分C)と水系媒体とを含有し、成分Bは、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位を含む共重合体であって、上記式(I)で表される構成を含む共重合体であり、成分Bを構成する全構成単位中に占める、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位の構成比率が50mol%以上であり、成分Bの重量平均分子量は、700以上10000以下であり、pHが0.1以上4以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
以下、これらをまとめて「本開示の研磨液組成物」ともいう。
本開示は、その他の態様において、シリカ粒子(成分A)と水溶性高分子(成分B)と酸(成分C)と水系媒体とを含有し、成分Bは、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位を含む共重合体であって、上記式(I)で表される構成を含む共重合体であり、成分Bを構成する全構成単位中に占める、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位の構成比率が50mol%以上であり、成分Bの重量平均分子量は、700以上10000以下であり、pHが0.1以上4以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
以下、これらをまとめて「本開示の研磨液組成物」ともいう。
本開示の効果発現のメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推察される。
カルボニル基は基板表面のニッケル原子に配位する性質を持つ。本開示では、成分Bのカルボニル基は主鎖から遠い位置に存するため、立体的な自由度が高く基板表面への配位が容易に起こると考えられる。また、成分Bがカルボニル基によって基板に吸着し、親水基であるカルボン酸基が表層側に配向されることで、基板表面を親水化できると考えられる。それにより、研磨液の濡れ広がり性が向上し、研磨液が効率的に基板表面に行きわたることで、研磨速度が向上し、スクラッチが低減したと考えられる。
但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
カルボニル基は基板表面のニッケル原子に配位する性質を持つ。本開示では、成分Bのカルボニル基は主鎖から遠い位置に存するため、立体的な自由度が高く基板表面への配位が容易に起こると考えられる。また、成分Bがカルボニル基によって基板に吸着し、親水基であるカルボン酸基が表層側に配向されることで、基板表面を親水化できると考えられる。それにより、研磨液の濡れ広がり性が向上し、研磨液が効率的に基板表面に行きわたることで、研磨速度が向上し、スクラッチが低減したと考えられる。
但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示において、基板表面のスクラッチは、例えば、光学式欠陥検査装置により検出可能であり、スクラッチ数として定量評価できる。スクラッチ数は、具体的には実施例に記載した方法で評価できる。
[シリカ粒子(成分A)]
本開示の研磨液組成物に含まれるシリカ粒子(以下「成分A」ともいう)としては、研磨速度の確保及びスクラッチ低減の観点から、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、粉砕シリカ、それらを表面修飾したシリカ等が挙げられるが、コロイダルシリカが好ましい。成分Aは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の研磨液組成物に含まれるシリカ粒子(以下「成分A」ともいう)としては、研磨速度の確保及びスクラッチ低減の観点から、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、粉砕シリカ、それらを表面修飾したシリカ等が挙げられるが、コロイダルシリカが好ましい。成分Aは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Aの平均二次粒子径は、研磨速度向上の観点から、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上が更に好ましく、そして、スクラッチ低減の観点から、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましく、70nm以下が更に好ましく、40nm以下が更に好ましい。より具体的には、成分Aの平均二次粒子径は、1nm以上500nm以下が好ましく、1nm以上300nm以下がより好ましく、1nm以上100nm以下が更に好ましく、5nm以上70nm以下が更に好ましく、10nm以上40nm以下が更に好ましい。本開示において、「シリカ粒子の平均二次粒子径」とは、動的光散乱法により測定される値であり、例えば、動的光散乱法において検出角を173°で測定し、得られた粒子径分布の累積体積割合が50%になる値(D50)を平均粒径(平均二次粒子径)とすることができる。シリカ粒子の平均二次粒子径は、具体的には実施例に記載の方法により求めることができる。
[平均粒径比d/d0]
本開示の研磨液組成物において、前記研磨液組成物中のシリカ粒子(成分A)の平均粒径dと、前記研磨液組成物から成分Bが除かれた組成ある組成物中のシリカ粒子(成分A)の平均粒径d0との比d/d0(以下、「平均粒径比d/d0」ともいう)は、スクラッチ低減の観点から、1.5以下であることが好ましく、1.3以下がより好ましく、1.1以下が更に好ましく、同様の観点から、1以上が好ましい。本開示において、平均粒径d及びd0はそれぞれ、動的光散乱法により測定される値であり、具体的には、実施例に記載の方法により測定できる。
本開示の研磨液組成物において、前記研磨液組成物中のシリカ粒子(成分A)の平均粒径dと、前記研磨液組成物から成分Bが除かれた組成ある組成物中のシリカ粒子(成分A)の平均粒径d0との比d/d0(以下、「平均粒径比d/d0」ともいう)は、スクラッチ低減の観点から、1.5以下であることが好ましく、1.3以下がより好ましく、1.1以下が更に好ましく、同様の観点から、1以上が好ましい。本開示において、平均粒径d及びd0はそれぞれ、動的光散乱法により測定される値であり、具体的には、実施例に記載の方法により測定できる。
本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量は、研磨速度向上の観点から、SiO2換算で、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、そして、スクラッチ低減の観点から、SiO2換算で、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量は、SiO2換算で、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下が更に好ましい。成分Aが2種以上のシリカ粒子からなる場合、成分Aの含有量は、それらの合計含有量をいう。
[水溶性高分子(成分B)]
本開示の研磨液組成物に含まれる水溶性高分子(以下、「成分B」ともいう)は、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位(以下、「構成単位b1」ともいう)を含む共重合体である。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。成分Bは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の研磨液組成物に含まれる水溶性高分子(以下、「成分B」ともいう)は、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位(以下、「構成単位b1」ともいう)を含む共重合体である。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。成分Bは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Bを構成する全構成単位中に占める構成単位b1の構成比率は、シリカの凝集抑制の観点から、50mol%以上が好ましく、60mol%以上がより好ましく、70mol%以上が更に好ましく、そして、研磨速度向上及びスクラッチ低減の観点から、98mol%以下が好ましく、95mol%以下がより好ましく、90mol%以下が更に好ましい。構成単位b1の構成比率は、50mol%以上98mol%以下が好ましく、60mol%以上95mol%以下がより好ましく、70mol%以上90mol%以下が更に好ましい。
本開示において、成分Bを構成する全構成単位中に占めるある構成単位の含有量(モル%)として、合成条件によっては、成分Bの合成の全工程で反応槽に仕込まれた全構成単位を導入するための化合物中に占める前記反応槽に仕込まれた該構成単位を導入するための化合物量(モル%)を使用してもよい。また、本開示において、成分Bが2種以上の構成単位を含む場合、2種以上の構成単位の構成比(モル比)として、合成条件によっては、前記成分Bの合成の全工程で反応槽に仕込まれた該2種以上の構成単位を導入するための化合物量比(モル比)を使用してもよい。
成分Bは、構成単位b1以外の構成単位(以下、「構成単位b2」ともいう)を有する。構成単位b2を形成するモノマーとしては、主鎖から2原子以上離れた位置にカルボニル酸素原子を有するモノマーが好ましく、例えば、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ペンタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、へプタン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、ビニルピロリドン、ε―カプロラクタム等が挙げられ、好ましくはピバル酸ビニル、ビニルピロリドン等が挙げられる。成分Bを構成する全構成単位中に占める構成単位b2の含有率は、シリカの凝集抑制の観点から、50mol%以下が好ましく、40mol%以下がより好ましく、30mol%以下が更に好ましく、そして、研磨速度向上及びスクラッチ低減の観点から、2mol%以上が好ましく、5mol%以上がより好ましく、10mol%以上が更に好ましい。構成単位b2を形成するモノマーは、一又は複数の実施形態において、保存安定性向上の観点から、酢酸ビニルを含まないことが好ましい。
成分Bを構成する各構成単位の配列は、ランダム、ブロック、又はグラフトのいずれでもよく、研磨速度向上及びスクラッチ低減の観点から、ランダムが好ましい。
成分Bとしては、一又は複数の実施形態において、研磨速度向上及びスクラッチ低減の観点から、0.4質量%の酸化ニッケル粒子、前記研磨液組成物と同じ濃度の成分C、及び、前記研磨液組成物と同じ濃度の成分Bを配合したときの、成分Bの酸化ニッケル粒子への吸着率が、5質量%以上となるものである。前記吸着率は、同様の観点から、6質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。成分Bがこれらの吸着率を満たすと、一又は複数の実施形態において、基板表面が親水化されて研磨液組成物の濡れ広がり性が向上し、研磨液組成物が効率的に基板表面に行きわたり、研磨速度向上及びスクラッチ低減への寄与が大きくなる。本開示において、成分Bの酸化ニッケル粒子への吸着率とは、全有機体炭素計を用いて測定でき、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
式(I)中、m、nは成分Bにおけるそれぞれの構成単位の構成比率(モル比率)を表し、m>0、n>0、m+n=100を満たす。Mは、水素原子、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、有機カチオン、又はアンモニウム(NH4
+)を示す。Rは炭素数2~6の炭化水素基であり、XとRを結ぶ破線は、Rを構成する炭素原子がXに結合してもよいことを表す。Xは酸素原子又は窒素原子又はNH基を表す。
式(I)において、Rは、成分Bの製品中における保存安定性向上の観点から、炭素数2以上の炭化水素基が好ましく、そして、成分Bの製品中における溶解性向上の観点から炭素数6以下の炭化水素基が好ましい。
式(I)において、mは、シリカの凝集抑制の観点から、50以上が好ましく、60以上がより好ましく、70以上が更に好ましく、そして、研磨速度向上及びスクラッチ低減の観点から、98以下が好ましく、95以下がより好ましく、90以下が更に好ましい。
式(I)において、nは、研磨速度向上及びスクラッチ低減の観点から、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、そして、シリカの凝集抑制の観点から、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。
式(I)において、Rは、成分Bの製品中における保存安定性向上の観点から、炭素数2以上の炭化水素基が好ましく、そして、成分Bの製品中における溶解性向上の観点から炭素数6以下の炭化水素基が好ましい。
式(I)において、mは、シリカの凝集抑制の観点から、50以上が好ましく、60以上がより好ましく、70以上が更に好ましく、そして、研磨速度向上及びスクラッチ低減の観点から、98以下が好ましく、95以下がより好ましく、90以下が更に好ましい。
式(I)において、nは、研磨速度向上及びスクラッチ低減の観点から、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、そして、シリカの凝集抑制の観点から、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。
成分Bとしては、一又は複数の実施形態において、アクリル酸及び/又はその塩とピバル酸ビニルとの共重合体、並びに、アクリル酸及び/又はその塩とビニルピロリドンとの共重合体から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
成分Bの製造方法は特に制限されないが、水溶液重合法が好ましい。重合溶媒中で構成単位b1、構成単位b2、重合開始剤、連鎖移動剤を混合し反応させることによって製造できる。
上記水溶液重合の重合溶媒としては、例えば、水、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類が挙げられる。これらは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
重合反応では公知の重合開始剤を使用でき、特にラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。ラジカル重合開始剤として、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、過酸化水素等の水溶性過酸化物、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類等の油溶性の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド等のアゾ化合物等が挙げられる。生成物の安定性の観点から、過硫酸塩及びアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)等のアゾ化合物がより好ましい。これらは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Bの製造において、分子量を調整するために、連鎖移動剤を重合系に適宜添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、2-プロパンチオール、2-メルカプトエタノール及びチオフェノール等が挙げられる。
重合温度は、特に制限されないが、反応性向上の観点から60℃以上が好ましく、着色抑制の観点から100℃以下が好ましい。
重合時間は、特に制限されないが、反応性向上の観点から2時間以上が好ましく、着色抑制の観点から20時間以下が好ましい。
重合反応後、必要に応じて塩基性化合物で中和を行うことができる。中和に使用する塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類等が挙げられる。生成した水溶性高分子化合物の分散性と研磨対象基板の汚染を避ける観点から、アンモニア水が好ましい。中和後のpH値(25℃)は、生成物の安定性向上の観点から3以上10以下が好ましく、4以上9以下がより好ましい。
上記水溶液重合の重合溶媒としては、例えば、水、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類が挙げられる。これらは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
重合反応では公知の重合開始剤を使用でき、特にラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。ラジカル重合開始剤として、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、過酸化水素等の水溶性過酸化物、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類等の油溶性の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド等のアゾ化合物等が挙げられる。生成物の安定性の観点から、過硫酸塩及びアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)等のアゾ化合物がより好ましい。これらは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Bの製造において、分子量を調整するために、連鎖移動剤を重合系に適宜添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、2-プロパンチオール、2-メルカプトエタノール及びチオフェノール等が挙げられる。
重合温度は、特に制限されないが、反応性向上の観点から60℃以上が好ましく、着色抑制の観点から100℃以下が好ましい。
重合時間は、特に制限されないが、反応性向上の観点から2時間以上が好ましく、着色抑制の観点から20時間以下が好ましい。
重合反応後、必要に応じて塩基性化合物で中和を行うことができる。中和に使用する塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類等が挙げられる。生成した水溶性高分子化合物の分散性と研磨対象基板の汚染を避ける観点から、アンモニア水が好ましい。中和後のpH値(25℃)は、生成物の安定性向上の観点から3以上10以下が好ましく、4以上9以下がより好ましい。
成分Bの重量平均分子量は、研磨速度向上及びスクラッチ低減の観点から、700以上であって、1,000以上が好ましく、1,500以上がより好ましく、そして、シリカの凝集抑制の観点から、10,000以下であって、8,500以下が好ましく、7,000以下がより好ましい。より具体的には、成分Bの重量平均分子量は、700以上10,000以下であって、1,000以上8,500以下が好ましく、1,500以上7,000以下がより好ましい。本開示において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて実施例に記載の条件で測定される値とする。
本開示の研磨液組成物中の成分Bの含有量は、研磨速度向上及びスクラッチ低減の観点から、10質量ppm以上が好ましく、20質量ppm以上がより好ましく、50質量ppm以上が更に好ましく、そして、シリカの凝集抑制の観点から、10000質量ppm以下が好ましく、5000質量ppm以下がより好ましく、3000質量ppm以下が更に好ましく、1000質量ppm以下が更に好ましく、500質量ppm以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Bの含有量は、10質量ppm以上10000質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以上5000質量ppm以下がより好ましく、50質量ppm以上3000質量ppm以下が更に好ましく、50質量ppm以上1000質量ppm以下が更に好ましく、50質量ppm以上500質量ppm以下が更に好ましい。成分Bが2種以上の組合せである場合、成分Bの含有量はそれらの合計含有量である。なお、本開示において、1質量%は10,000質量ppmである(以下同じ)。
本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量と成分Bの含有量との質量比A/Bは、研磨速度向上及びスクラッチ低減の観点から、10以上が好ましく、30以上がより好ましく、50以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、3000以下が好ましく、2500以下がより好ましく、2000以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物中の質量比A/Bは、10以上3000以下が好ましく、30以上2500以下がより好ましく、50以上2000以下が更に好ましい。
[酸(成分C)]
本開示の研磨液組成物は、酸(成分C)を含有する。本開示において、酸の使用は、酸又はその塩の使用を含む。成分Cは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の研磨液組成物は、酸(成分C)を含有する。本開示において、酸の使用は、酸又はその塩の使用を含む。成分Cは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Cとしては、例えば、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸;有機リン酸、有機ホスホン酸、カルボン酸等の有機酸;等が挙げられる。中でも、研磨速度の確保及びスクラッチ低減の観点から、無機酸及び有機ホスホン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。無機酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸及びリン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、硫酸及びリン酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、リン酸が更に好ましい。有機ホスホン酸としては、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、HEDPがより好ましい。これらの酸の塩としては、例えば、上記の酸と、金属、アンモニア及びアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種との塩が挙げられる。上記金属としては、周期表の1~11族に属する金属が挙げられる。
本開示の研磨液組成物中の成分Cの含有量は、研磨速度の確保及びスクラッチ低減の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物中の成分Cの含有量は、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上4質量%以下がより好ましく、1質量%以上3質量%以下が更に好ましい。成分Cが2種以上の組合せである場合、成分Cの含有量はそれらの合計含有量をいう。
本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量と成分Cの含有量との質量比A/Cは、研磨速度向上及びスクラッチ低減の観点から、0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、1以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、10以下が好ましく、7以下がより好ましく、4以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物中の質量比A/Cは、0.2以上10以下が好ましく、0.5以上7以下がより好ましく、1以上4以下が更に好ましい。
[水系媒体]
本開示の研磨液組成物に含まれる水系媒体としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等の水、又は、水と溶媒との混合溶媒等が挙げられる。上記溶媒としては、水と混合可能な溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)が挙げられる。水系媒体が、水と溶媒との混合溶媒の場合、混合媒体全体に対する水の割合は、本開示の効果が妨げられない範囲であれば特に限定されなくてもよく、経済性の観点から、例えば、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%が更に好ましい。被研磨基板の表面清浄性の観点から、水系媒体としては、イオン交換水及び超純水が好ましい。本開示の研磨液組成物中の水系媒体の含有量は、成分A、成分B、成分C、及び必要に応じて配合される後述する任意成分を除いた残余とすることができる。
本開示の研磨液組成物に含まれる水系媒体としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等の水、又は、水と溶媒との混合溶媒等が挙げられる。上記溶媒としては、水と混合可能な溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)が挙げられる。水系媒体が、水と溶媒との混合溶媒の場合、混合媒体全体に対する水の割合は、本開示の効果が妨げられない範囲であれば特に限定されなくてもよく、経済性の観点から、例えば、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%が更に好ましい。被研磨基板の表面清浄性の観点から、水系媒体としては、イオン交換水及び超純水が好ましい。本開示の研磨液組成物中の水系媒体の含有量は、成分A、成分B、成分C、及び必要に応じて配合される後述する任意成分を除いた残余とすることができる。
[酸化剤(成分D)]
本開示の研磨液組成物は、研磨速度の更なる向上及びスクラッチの更なる低減の観点から、酸化剤(以下、「成分D」ともいう)をさらに含有してもよい。成分Dは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の研磨液組成物は、研磨速度の更なる向上及びスクラッチの更なる低減の観点から、酸化剤(以下、「成分D」ともいう)をさらに含有してもよい。成分Dは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Dとしては、研磨速度の更なる向上及びスクラッチの更なる低減の観点から、例えば、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、研磨速度の更なる向上の観点、被研磨基板の表面に金属イオンが付着しない観点及び入手容易性の観点から、過酸化水素がより好ましい。
本開示の研磨液組成物が成分Dを含有する場合、本開示の研磨液組成物中の成分Dの含有量は、研磨速度の更なる向上及びスクラッチの更なる低減の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、4質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Dの含有量は、0.01質量%以上4質量%以下が好ましく、0.05質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上1.5質量%以下が更に好ましい。成分Dが2種以上の組合せである場合、成分Dの含有量はそれらの合計含有量をいう。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、複素環芳香族化合物(成分E)、及び、脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物(成分F)から選ばれる少なくとも1種をさらに含有してもよい。成分E及び成分Fについて以下に説明する。
[複素環芳香族化合物(成分E)]
本開示の研磨液組成物は、スクラッチの更なる低減の観点から、複素環芳香族化合物(その塩も含む)(以下、「成分E」ともいう)をさらに含有してもよい。成分Eは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の研磨液組成物は、スクラッチの更なる低減の観点から、複素環芳香族化合物(その塩も含む)(以下、「成分E」ともいう)をさらに含有してもよい。成分Eは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Eとしては、スクラッチの更なる低減の観点から、複素環内に窒素原子を2個以上含む複素環芳香族化合物であることが好ましく、複素環内に窒素原子を3個以上有することがより好ましく、3個以上9個以下が更に好ましく、3個以上5個以下が更に好ましく、3又は4個が更に好ましい。
成分Eとしては、一又は複数の実施形態において、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、5-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1H-テトラゾール、5-アミノテトラゾール、1H-ベンゾトリアゾール(BTA)、1H-トリルトリアゾール、2-アミノベンゾトリアゾール、3-アミノベンゾトリアゾール、及びこれらのアルキル置換体若しくはアミン置換体から選ばれる少なくとも1種が好ましい。前記アルキル置換体のアルキル基としては、例えば、炭素数1~4の低級アルキル基が挙げられ、一又は複数の実施形態において、メチル基、エチル基が挙げられる。前記アミン置換体としては、一又は複数の実施形態において、1-[N,N-ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]トリルトリアゾールが挙げられる。
本開示の研磨液組成物が成分Eを含有する場合、本開示の研磨液組成物中の成分Eの含有量は、スクラッチの更なる低減の観点から、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましく、そして、研磨速度低下抑制の観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Eの含有量は、スクラッチの更なる低減及び研磨速度低下抑制の観点から、0.005質量%以上10質量%以下が好ましく、0.01質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.02質量%以上1質量%以下が更に好ましく、0.02質量%以上0.2質量%以下が更に好ましい。成分Eが2種以上の組合せである場合、成分Eの含有量はそれらの合計含有量をいう。
[脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物(成分F)]
本開示の研磨液組成物は、スクラッチの更なる低減の観点から、脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種(以下、「成分F」ともいう)をさらに含有してもよい。スクラッチの更なる低減の観点から、成分Fの分子内の窒素原子数又はアミノ基若しくはイミノ基の併せた数は、2個以上4個以下が好ましい。成分Fは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の研磨液組成物は、スクラッチの更なる低減の観点から、脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物から選ばれる少なくとも1種(以下、「成分F」ともいう)をさらに含有してもよい。スクラッチの更なる低減の観点から、成分Fの分子内の窒素原子数又はアミノ基若しくはイミノ基の併せた数は、2個以上4個以下が好ましい。成分Fは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
前記脂肪族アミン化合物としては、一又は複数の実施形態において、スクラッチの更なる低減の観点から、エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、3-(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジブチルアミノ)プロピルアミン、3-(メチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、N-アミノエチルイソプロパノールアミン、及びN-アミノエチル-N-メチルエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、N-アミノエチルエタノールアミン、N-アミノエチルイソプロパノールアミン、及びN-アミノエチル-N-メチルエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、N-アミノエチルエタノールアミン(AEA)が更に好ましい。
前記脂環式アミン化合物としては、一又は複数の実施形態において、スクラッチの更なる低減の観点から、ピペラジン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、1-アミノ-4-メチルピペラジン、N-メチルピペラジン、及びヒドロキシエチルピペラジン(HEP)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ヒドロキシエチルピペラジン(HEP)がより好ましい。
本開示の研磨液組成物が成分Fを含有する場合、本開示の研磨液組成物中の成分Fの含有量は、スクラッチの更なる低減の観点から、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましく、そして、研磨速度低下抑制の観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Fの含有量は、スクラッチの更なる低減及び研磨速度低下抑制の観点から、0.005質量%以上10質量%以下が好ましく、0.01質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.02質量%以上1質量%以下が更に好ましくは、0.02質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。成分Fが2種以上の組合せである場合、成分Fの含有量はそれらの合計含有量をいう。
[陰イオン性界面活性剤(成分G)]
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、スクラッチの更なる低減の観点から、陰イオン性界面活性剤(以下、「成分G」ともいう)をさらに含有してもよい。成分Gは、分子内に繰り返し単位とスルホン酸基又はその塩を有するものであり、スクラッチの更なる低減の観点から、繰り返し単位の主鎖に芳香環を有する構造であることが好ましい。芳香環としては、例えば、フェノール骨格、ナフタレン骨格が挙げられる。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が挙げられる。成分Gは、1種であってもよいし、2種以上の組合せでもよい。成分Gは、水溶性であることが好ましく、水(20℃)に対して0.5g/100mL以上の溶解度を有することが好ましい。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、スクラッチの更なる低減の観点から、陰イオン性界面活性剤(以下、「成分G」ともいう)をさらに含有してもよい。成分Gは、分子内に繰り返し単位とスルホン酸基又はその塩を有するものであり、スクラッチの更なる低減の観点から、繰り返し単位の主鎖に芳香環を有する構造であることが好ましい。芳香環としては、例えば、フェノール骨格、ナフタレン骨格が挙げられる。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が挙げられる。成分Gは、1種であってもよいし、2種以上の組合せでもよい。成分Gは、水溶性であることが好ましく、水(20℃)に対して0.5g/100mL以上の溶解度を有することが好ましい。
成分Gとしては、一又は複数の実施形態において、不飽和カルボン酸由来の構成単位と分子内にスルホン酸基を有するモノマー由来の構成単位を含む共重合体が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。分子内にスルホン酸基を有するモノマーとしては、例えば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。不飽和カルボン酸由来の構成単位と分子内にスルホン酸基を有するモノマー由来の構成単位を含む共重合体としては、例えば、アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸共重合体(AA/AMPS)が挙げられる。
成分Gとしては、一又は複数の実施形態において、スルホン酸基又はその塩を有する芳香族モノマーの縮合物又はその塩、スルホン酸基又はその塩を有する芳香族モノマー由来の構成単位と該構成単位以外の構成単位を含む縮合物又はその塩等が挙げられる。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が挙げられる。
スルホン酸基又はその塩を有する芳香族モノマーの縮合物又はその塩としては、スクラッチの更なる低減の観点から、主鎖を構成する芳香環の少なくとも1つの水素原子がスルホン酸基に置換された構造を有する縮合物又はその塩が好ましく、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。例えば、フェノールスルホン酸(PhS)のホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物(NaS)が挙げられる。
スルホン酸基又はその塩を有する芳香族モノマー由来の構成単位と該構成単位以外の構成単位を含む縮合物又はその塩としては、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(BisS)とフェノールスルホン酸(PhS)のホルマリン縮合物(BisS/PhS)等が挙げられる。
成分Gとしては、一又は複数の実施形態において、スルホン酸基又はその塩を有する芳香族モノマーの縮合物又はその塩、スルホン酸基又はその塩を有する芳香族モノマー由来の構成単位と該構成単位以外の構成単位を含む縮合物又はその塩等が挙げられる。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が挙げられる。
スルホン酸基又はその塩を有する芳香族モノマーの縮合物又はその塩としては、スクラッチの更なる低減の観点から、主鎖を構成する芳香環の少なくとも1つの水素原子がスルホン酸基に置換された構造を有する縮合物又はその塩が好ましく、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。例えば、フェノールスルホン酸(PhS)のホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物(NaS)が挙げられる。
スルホン酸基又はその塩を有する芳香族モノマー由来の構成単位と該構成単位以外の構成単位を含む縮合物又はその塩としては、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(BisS)とフェノールスルホン酸(PhS)のホルマリン縮合物(BisS/PhS)等が挙げられる。
成分Gの重量平均分子量は、スクラッチの更なる低減の観点から、1500以上が好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上が更に好ましく、そして、研磨速度低下抑制の観点から、100000以下が好ましく、70000以下がより好ましく、50000以下が更に好ましい。より具体的には、スクラッチの更なる低減及び研磨速度低下抑制の観点から、成分Gの分子量は、1500以上100000以下が好ましく、2000以上70000以下がより好ましく、3000以上50000以下が更に好ましい。
本開示の研磨液組成物が成分Gを含有する場合、本開示の研磨液組成物中の成分Gの含有量は、スクラッチの更なる低減の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、そして、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Gの含有量は、0.001質量%以上10質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上1質量%以下が更に好ましい。成分Gが2種以上の組合せである場合、成分Gの含有量はそれらの合計含有量をいう。
[その他の成分]
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、必要に応じてさらにその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、成分B以外の高分子化合物、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、成分G以外の界面活性剤、可溶化剤等が挙げられる。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、必要に応じてさらにその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、成分B以外の高分子化合物、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、成分G以外の界面活性剤、可溶化剤等が挙げられる。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、亜リン酸エステル及び分子量が150以上であるリン酸エステルの少なくとも一方を実質的に含まないものとすることができる。例えば、本開示の研磨液組成物中の亜リン酸エステル及び分子量が150以上であるリン酸エステルの含有量(合計量)は、好ましくは0.001mM未満が好ましく、より好ましくは0mM(すなわち、含まないこと)である。
[研磨液組成物のpH]
本開示の研磨液組成物のpHは、研磨速度の向上及びスクラッチ低減の観点から、4以下であって、3.5以下が好ましく、3.2以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、そして、同様の観点から、0.1以上であって、0.5以上がより好ましく、1以上が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物のpHは、0.1以上4以下であって、1以上3以下がより好ましい。pHは、上述した酸(成分C)や公知のpH調整剤等を用いて調整することができる。本開示において、上記pHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、例えば、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値とすることができる。
本開示の研磨液組成物のpHは、研磨速度の向上及びスクラッチ低減の観点から、4以下であって、3.5以下が好ましく、3.2以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、そして、同様の観点から、0.1以上であって、0.5以上がより好ましく、1以上が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物のpHは、0.1以上4以下であって、1以上3以下がより好ましい。pHは、上述した酸(成分C)や公知のpH調整剤等を用いて調整することができる。本開示において、上記pHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、例えば、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値とすることができる。
[研磨液組成物の製造方法]
本開示の研磨液組成物は、例えば、成分A、成分B、成分C及び水系媒体と、さらに所望により任意成分(成分D、成分E、成分F、成分G及びその他の成分)とを公知の方法で配合することにより製造できる。すなわち、本開示は、その他の態様において、少なくとも成分A、成分B、成分C及び水系媒体を配合する工程を含む、研磨液組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A、成分B、成分C及び水系媒体、並びに必要に応じて任意成分(成分D、成分E、成分F、成分G及びその他の成分)を同時に又は任意の順に混合することを含む。成分Aは、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。成分Aが複数種類のシリカ粒子からなる場合、複数種類のシリカ粒子は、同時に又はそれぞれ別々に配合できる。成分Bが複数種類の水溶性高分子からなる場合、複数種類の水溶性高分子は同時に又はそれぞれ別々に配合できる。成分Cが複数種類の酸からなる場合、複数種類の酸は、同時に又はそれぞれ別々に配合できる。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。研磨液組成物の製造方法における各成分の好ましい配合量は、上述した本開示の研磨液組成物中の各成分の好ましい含有量と同じとすることができる。
本開示の研磨液組成物は、例えば、成分A、成分B、成分C及び水系媒体と、さらに所望により任意成分(成分D、成分E、成分F、成分G及びその他の成分)とを公知の方法で配合することにより製造できる。すなわち、本開示は、その他の態様において、少なくとも成分A、成分B、成分C及び水系媒体を配合する工程を含む、研磨液組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A、成分B、成分C及び水系媒体、並びに必要に応じて任意成分(成分D、成分E、成分F、成分G及びその他の成分)を同時に又は任意の順に混合することを含む。成分Aは、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。成分Aが複数種類のシリカ粒子からなる場合、複数種類のシリカ粒子は、同時に又はそれぞれ別々に配合できる。成分Bが複数種類の水溶性高分子からなる場合、複数種類の水溶性高分子は同時に又はそれぞれ別々に配合できる。成分Cが複数種類の酸からなる場合、複数種類の酸は、同時に又はそれぞれ別々に配合できる。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。研磨液組成物の製造方法における各成分の好ましい配合量は、上述した本開示の研磨液組成物中の各成分の好ましい含有量と同じとすることができる。
本開示において「研磨液組成物中の各成分の含有量」とは、使用時、すなわち、研磨液組成物の研磨への使用を開始する時点における前記各成分の含有量をいう。
本開示の研磨液組成物は、その保存安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存及び供給されてもよい。この場合、製造及び輸送コストを更に低くできる点で好ましい。本開示の研磨液組成物の濃縮物は、使用時に、必要に応じて前述の水系媒体で適宜希釈して使用すればよい。希釈倍率は、希釈した後に上述した各成分の含有量(使用時)を確保できれば特に限定されるものではなく、例えば、10~100倍とすることができる。
本開示の研磨液組成物は、その保存安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存及び供給されてもよい。この場合、製造及び輸送コストを更に低くできる点で好ましい。本開示の研磨液組成物の濃縮物は、使用時に、必要に応じて前述の水系媒体で適宜希釈して使用すればよい。希釈倍率は、希釈した後に上述した各成分の含有量(使用時)を確保できれば特に限定されるものではなく、例えば、10~100倍とすることができる。
[研磨液キット]
本開示は、その他の態様において、本開示の研磨液組成物を製造するためのキット(以下、「本開示の研磨液キット」ともいう)に関する。本開示の研磨液キットとしては、例えば、成分A及び水系媒体を含むシリカ分散液と、成分B及び成分Cを含む添加剤水溶液と、を相互に混合されない状態で含み、これらが使用時に混合され、必要に応じて水系媒体を用いて希釈される、研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。前記シリカ分散液に含まれる水系媒体は、研磨液組成物の調製に使用する水の全量でもよいし、一部でもよい。前記添加剤水溶液には、研磨液組成物の調製に使用する水系媒体の一部が含まれていてもよい。前記シリカ分散液及び前記添加剤水溶液にはそれぞれ必要に応じて、上述した任意成分(成分D~G及びその他の成分)が含まれていてもよい。本開示の研磨液キットによれば、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のスクラッチの低減を両立可能な研磨液組成物を得ることができる。
本開示は、その他の態様において、本開示の研磨液組成物を製造するためのキット(以下、「本開示の研磨液キット」ともいう)に関する。本開示の研磨液キットとしては、例えば、成分A及び水系媒体を含むシリカ分散液と、成分B及び成分Cを含む添加剤水溶液と、を相互に混合されない状態で含み、これらが使用時に混合され、必要に応じて水系媒体を用いて希釈される、研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。前記シリカ分散液に含まれる水系媒体は、研磨液組成物の調製に使用する水の全量でもよいし、一部でもよい。前記添加剤水溶液には、研磨液組成物の調製に使用する水系媒体の一部が含まれていてもよい。前記シリカ分散液及び前記添加剤水溶液にはそれぞれ必要に応じて、上述した任意成分(成分D~G及びその他の成分)が含まれていてもよい。本開示の研磨液キットによれば、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のスクラッチの低減を両立可能な研磨液組成物を得ることができる。
[被研磨基板]
被研磨基板は、一又は複数の実施形態において、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である。一又は複数の実施形態において、被研磨基板の表面を本開示の研磨液組成物を用いて研磨する工程の後、スパッタ等でその基板表面に磁性層を形成する工程を行うことにより磁気ディスク基板を製造できる。
被研磨基板は、一又は複数の実施形態において、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である。一又は複数の実施形態において、被研磨基板の表面を本開示の研磨液組成物を用いて研磨する工程の後、スパッタ等でその基板表面に磁性層を形成する工程を行うことにより磁気ディスク基板を製造できる。
本開示において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属及びこれらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板に好適である。被研磨基板としては、例えば、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板や、結晶化ガラス、強化ガラス、アルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス等のガラス基板がより適しており、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板が更に適している。本開示において「Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板」とは、アルミニウム合金基材の表面を研削後、無電解Ni-Pメッキ処理したものをいう。
被研磨基板の形状としては、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状が挙げられる。中でも、ディスク状の被研磨基板が適している。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば2~95mm程度であり、その厚みは例えば0.4~2mm程度である。
[磁気ディスク基板の製造方法]
一般に、磁気ディスクは、研削工程を経た被研磨基板が、粗研磨工程、仕上げ研磨工程を経て研磨され、記録部形成工程にて磁気ディスク化されて製造される。本開示における研磨液組成物は、磁気ディスク基板の製造方法における、被研磨基板を研磨する研磨工程、好ましくは仕上げ研磨工程に使用されうる。すなわち、本開示は、その他の態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう)を含む、磁気ディスク基板の製造方法(以下、「本開示の基板製造方法」ともいう)に関する。本開示の基板製造方法は、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。
一般に、磁気ディスクは、研削工程を経た被研磨基板が、粗研磨工程、仕上げ研磨工程を経て研磨され、記録部形成工程にて磁気ディスク化されて製造される。本開示における研磨液組成物は、磁気ディスク基板の製造方法における、被研磨基板を研磨する研磨工程、好ましくは仕上げ研磨工程に使用されうる。すなわち、本開示は、その他の態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう)を含む、磁気ディスク基板の製造方法(以下、「本開示の基板製造方法」ともいう)に関する。本開示の基板製造方法は、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。
本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程は、一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨する工程である。また、本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程は、その他の一又は複数の実施形態において、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本開示の研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤や被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨する工程である。
被研磨基板の研磨工程が多段階で行われる場合は、本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程又は仕上げ研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨基板を洗浄することが好ましい。さらに、使用した研磨液を再利用する循環研磨においても、本開示の研磨液組成物は使用できる。研磨機としては、特に限定されず、基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
本開示で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、例えば、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができ、研磨速度の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、研磨速度の確保の観点から、好ましくは5.9kPa以上、より好ましくは6.9kPa以上、更に好ましくは7.5kPa以上であり、そして、スクラッチ低減の観点から、20kPa以下が好ましく、より好ましくは18kPa以下、更に好ましくは16kPa以下である。本開示の製造方法において研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。また、研磨荷重の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行うことができる。
本開示の研磨液組成物を用いた研磨工程における本開示の研磨液組成物の供給速度は、スクラッチ低減の観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.05mL/分以上15mL/分以下であり、より好ましくは0.06mL/分以上10mL/分以下、更に好ましくは0.07mL/分以上1mL/分以下、更に好ましくは0.07mL/分以上0.5mL/分以下である。
本開示の研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本開示の研磨液組成物となる。
本開示の基板製造方法によれば、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のスクラッチの低減とを両立できる本開示における研磨液組成物を用いることで、高品質の磁気ディスク基板を高収率で、生産性よく製造できるという効果が奏されうる。
[研磨方法]
本開示は、その他の態様として、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することを含む、基板の研磨方法(以下、「本開示の研磨方法」ともいう)に関する。本開示の研磨方法によれば、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のスクラッチの低減とを両立可能な本開示の研磨液組成物を用いることで、高品質の磁気ディスク基板を高収率で、生産性よく製造できる。本開示の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。本開示の研磨方法における、研磨の方法及び条件は、上述した本開示の基板製造方法と同じ方法及び条件とすることができる。
本開示は、その他の態様として、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することを含む、基板の研磨方法(以下、「本開示の研磨方法」ともいう)に関する。本開示の研磨方法によれば、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のスクラッチの低減とを両立可能な本開示の研磨液組成物を用いることで、高品質の磁気ディスク基板を高収率で、生産性よく製造できる。本開示の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。本開示の研磨方法における、研磨の方法及び条件は、上述した本開示の基板製造方法と同じ方法及び条件とすることができる。
本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することは、一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨することであり、或いは、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本開示の研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤や被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨することである。
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
1.水溶性高分子B1~B10
水溶性高分子B1~B10には、以下のものを用いた。
(原料)
アクリル酸:東京化成工業社製
ピバル酸ビニル:東京化成工業社製
ビニルピロリドン::東京化成工業社製
エタノール:富士フィルム和光純薬社製 99.5%エタノール
メルカプトプロピオン酸:東京化成工業社製
2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル):富士フィルム和光純薬社製
N-tertブチルアクリルアミド:東京化成工業社製
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸:東京化成工業社製
アンモニア水:関東化学社製29%アンモニア水(電子工業用)
(成分B又は非成分B)
B1の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(1.74g)、アクリル酸(20.00g)、ピバル酸ビニル(6.28g)、エタノール(17.52g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.49g)、エタノール(23.84g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(19.95g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B1を得た。
B2の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(1.89g)、アクリル酸(20.00g)、ピバル酸ビニル(10.03g)、エタノール(20.02g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.53g)、エタノール(25.98g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(24.07g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B2を得た。
B3の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(1.73g)、アクリル酸(20.00g)、ビニルピロリドン(5.44g)、エタノール(16.96g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.49g)、エタノール(23.84g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(18.56g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B3を得た。
B4の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(0.35g)、アクリル酸(20.00g)、ビニルピロリドン(5.44g)、エタノール(16.96g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.08g)、エタノール(26.95g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(15.45g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B4を得た。
B5の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(1.89g)、アクリル酸(20.00g)、ビニルピロリドン(8.70g)、エタノール(19.13g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.53g)、エタノール(25.98g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(21.85g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B5を得た。
B6の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(0.30g)、アクリル酸(15.00g)、ビニルピロリドン(7.71g)、エタノール(15.14g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.07g)、エタノール(22.91g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(14.94g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B6を得た。
B7の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(0.34g)、アクリル酸(20.00g)、N-tertブチルアクリルアミド(5.75g)、エタノール(17.16g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.08g)、エタノール(15.95g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(26.96g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B7を得た。
B8の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(0.33g)、アクリル酸(20.00g)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(6.39g)、エタノール(17.59g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.08g)、エタノール(15.24g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(28.74g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B8を得た。
B9:ポリアクリル酸[東亜合成社製(A―210]、重量平均分子量:2,000]
B10の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(0.57g)、ビニルピロリドン(20.00g)、エタノール(13.33g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.22g)、エタノール(10.95g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(22.38g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。溶媒を減圧留去し、真空乾燥することで目的の化合物B10を得た。
水溶性高分子B1~B10には、以下のものを用いた。
(原料)
アクリル酸:東京化成工業社製
ピバル酸ビニル:東京化成工業社製
ビニルピロリドン::東京化成工業社製
エタノール:富士フィルム和光純薬社製 99.5%エタノール
メルカプトプロピオン酸:東京化成工業社製
2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル):富士フィルム和光純薬社製
N-tertブチルアクリルアミド:東京化成工業社製
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸:東京化成工業社製
アンモニア水:関東化学社製29%アンモニア水(電子工業用)
(成分B又は非成分B)
B1の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(1.74g)、アクリル酸(20.00g)、ピバル酸ビニル(6.28g)、エタノール(17.52g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.49g)、エタノール(23.84g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(19.95g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B1を得た。
B2の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(1.89g)、アクリル酸(20.00g)、ピバル酸ビニル(10.03g)、エタノール(20.02g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.53g)、エタノール(25.98g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(24.07g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B2を得た。
B3の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(1.73g)、アクリル酸(20.00g)、ビニルピロリドン(5.44g)、エタノール(16.96g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.49g)、エタノール(23.84g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(18.56g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B3を得た。
B4の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(0.35g)、アクリル酸(20.00g)、ビニルピロリドン(5.44g)、エタノール(16.96g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.08g)、エタノール(26.95g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(15.45g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B4を得た。
B5の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(1.89g)、アクリル酸(20.00g)、ビニルピロリドン(8.70g)、エタノール(19.13g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.53g)、エタノール(25.98g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(21.85g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B5を得た。
B6の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(0.30g)、アクリル酸(15.00g)、ビニルピロリドン(7.71g)、エタノール(15.14g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.07g)、エタノール(22.91g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(14.94g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B6を得た。
B7の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(0.34g)、アクリル酸(20.00g)、N-tertブチルアクリルアミド(5.75g)、エタノール(17.16g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.08g)、エタノール(15.95g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(26.96g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B7を得た。
B8の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(0.33g)、アクリル酸(20.00g)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(6.39g)、エタノール(17.59g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.08g)、エタノール(15.24g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(28.74g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。エタノール500gを加え、激しく攪拌しながらpHが7.0になるまでアンモニア水を滴下した。析出した白色固体を減圧濾過し、真空乾燥すること目的の化合物B8を得た。
B9:ポリアクリル酸[東亜合成社製(A―210]、重量平均分子量:2,000]
B10の合成例:
攪拌羽根、温度計、ジムロート冷却器、窒素ガスの吹込み管、バブラー管、2本の滴下漏斗(滴下漏斗1,2)を接続した300mL3つ口ガラスフラスコを用意した。滴下漏斗1にはメルカプトプロピオン酸(0.57g)、ビニルピロリドン(20.00g)、エタノール(13.33g)を、滴下漏斗2には2,2'-アゾビス(2,4-ジメチロバレロニトリル)(0.22g)、エタノール(10.95g)を加えた。前記3つ口ガラスフラスコにエタノール(22.38g)を入れ、窒素ガスを流し、ジムロート冷却器に水道水を流し、攪拌羽根で回転させながら、80℃に昇温し、前記滴下漏斗1,2の混合物を60分かけて均一な速度で滴下した。滴下後、80℃で3時間攪拌したのち、25℃に冷却した。溶媒を減圧留去し、真空乾燥することで目的の化合物B10を得た。
2.研磨液組成物の調製(実施例1~19、比較例1~5)
(実施例1~14、比較例1~5の研磨液組成物)
成分A(コロイダルシリカ)、成分B又は非成分B(表1に示すB1~B10)、成分C(リン酸)、成分D(過酸化水素)、及び水を配合して撹拌することにより、表2に示す実施例1~14及び比較例1~5の研磨液組成物を調製した。各研磨液組成物中の各成分の含有量(質量%又は質量ppm、有効量)は、表2に示すとおりである。水の含有量は、成分Aと成分B又は非成分Bと成分Cと成分Dとを除いた残余である。
(実施例15~19の研磨液組成物)
成分A(コロイダルシリカ)、成分B(表1に示すB3)、成分C(リン酸)、成分D(過酸化水素)、添加剤(表2に示す成分E、成分F、成分G)、及び水を配合して撹拌することにより、表2に示す実施例15~19の研磨液組成物を調製した。各研磨液組成物中の各成分の含有量(質量%又は質量ppm、有効量)は、表2に示すとおりである。水の含有量は、成分Aと成分Bと成分Cと成分Dと添加剤(成分E、成分F、成分G)とを除いた残余である。
(実施例1~14、比較例1~5の研磨液組成物)
成分A(コロイダルシリカ)、成分B又は非成分B(表1に示すB1~B10)、成分C(リン酸)、成分D(過酸化水素)、及び水を配合して撹拌することにより、表2に示す実施例1~14及び比較例1~5の研磨液組成物を調製した。各研磨液組成物中の各成分の含有量(質量%又は質量ppm、有効量)は、表2に示すとおりである。水の含有量は、成分Aと成分B又は非成分Bと成分Cと成分Dとを除いた残余である。
(実施例15~19の研磨液組成物)
成分A(コロイダルシリカ)、成分B(表1に示すB3)、成分C(リン酸)、成分D(過酸化水素)、添加剤(表2に示す成分E、成分F、成分G)、及び水を配合して撹拌することにより、表2に示す実施例15~19の研磨液組成物を調製した。各研磨液組成物中の各成分の含有量(質量%又は質量ppm、有効量)は、表2に示すとおりである。水の含有量は、成分Aと成分Bと成分Cと成分Dと添加剤(成分E、成分F、成分G)とを除いた残余である。
各研磨液組成物の調製において、成分C及び添加剤(成分D、成分E、成分F、成分G)には以下のものを使用した。
(成分C)
リン酸[和光純薬工業社製、特級]
(成分D)
過酸化水素[濃度35質量%、ADEKA社製]
(成分E)
BTA[1,2,3-ベンゾトリアゾール、東京化成工業社製]
(成分F)
HEP[N-ヒドロキシエチルピペラジン、和光純薬工業社製]
(成分G)
BisS/PhS[ビスフェノールS/フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物、小西化学社製、モル比(BisS/PhS):20/80、重量平均分子量:5000]
NaS[ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、花王社製、商品名:デモールN、重量平均分子量:2800]
AA/AMPS[アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸共重合体、モル比(AA/AMPS):80/20、東亜合成社製、商品名:A6012、重量平均分子量:10000]
(成分C)
リン酸[和光純薬工業社製、特級]
(成分D)
過酸化水素[濃度35質量%、ADEKA社製]
(成分E)
BTA[1,2,3-ベンゾトリアゾール、東京化成工業社製]
(成分F)
HEP[N-ヒドロキシエチルピペラジン、和光純薬工業社製]
(成分G)
BisS/PhS[ビスフェノールS/フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物、小西化学社製、モル比(BisS/PhS):20/80、重量平均分子量:5000]
NaS[ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、花王社製、商品名:デモールN、重量平均分子量:2800]
AA/AMPS[アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸共重合体、モル比(AA/AMPS):80/20、東亜合成社製、商品名:A6012、重量平均分子量:10000]
3.各パラメータの測定
[コロイダルシリカ(成分A)の平均二次粒子径]
研磨液組成物の調製に用いた成分A(コロイダルシリカ)を0.25質量%濃度となるようにイオン交換水に添加した後、得られた水分散液をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製セル)に下底からの高さ10mmまで入れ、動的光散乱法(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、Malvern Panalytical社製)を用いて測定した。積算回数は20回、検出角は173°において得られる粒子径分布の累積体積割合が50%となる粒径(D50)を求め、コロイダルシリカの平均二次粒子径とした。結果を表2に示す。
[コロイダルシリカ(成分A)の平均二次粒子径]
研磨液組成物の調製に用いた成分A(コロイダルシリカ)を0.25質量%濃度となるようにイオン交換水に添加した後、得られた水分散液をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製セル)に下底からの高さ10mmまで入れ、動的光散乱法(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、Malvern Panalytical社製)を用いて測定した。積算回数は20回、検出角は173°において得られる粒子径分布の累積体積割合が50%となる粒径(D50)を求め、コロイダルシリカの平均二次粒子径とした。結果を表2に示す。
[平均粒径d/d0]
平均粒径d
成分Aの平均粒径dは、表2に示す研磨液組成物をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製セル)に下底からの高さ10mmまで入れた後に、動的光散乱法(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、Malvern Panalytical社製)を用いて測定した。積算回数は20回、検出角は173°において得られる粒子径分布のZ-平均値(Z-Averageサイズ)を求め、シリカ粒子の平均粒径dとした。
平均粒径d0
成分Aの平均粒径d0は、表2の研磨液組成物から成分Bが除かれた組成である組成物をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製セル)に下底からの高さ10mmまで入れた後に、動的光散乱法(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、Malvern Panalytical社製)を用いて測定した。積算回数は20回、検出角は173°において得られる粒子径分布のZ-平均値(Z-Averageサイズ)を求め、シリカ粒子の平均粒径d0とした。
平均粒径比d/d0
得られた平均粒径d及び平均粒径d0を用いて、平均粒径比d/d0を算出した。結果を表2に示した。
平均粒径d
成分Aの平均粒径dは、表2に示す研磨液組成物をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製セル)に下底からの高さ10mmまで入れた後に、動的光散乱法(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、Malvern Panalytical社製)を用いて測定した。積算回数は20回、検出角は173°において得られる粒子径分布のZ-平均値(Z-Averageサイズ)を求め、シリカ粒子の平均粒径dとした。
平均粒径d0
成分Aの平均粒径d0は、表2の研磨液組成物から成分Bが除かれた組成である組成物をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製セル)に下底からの高さ10mmまで入れた後に、動的光散乱法(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、Malvern Panalytical社製)を用いて測定した。積算回数は20回、検出角は173°において得られる粒子径分布のZ-平均値(Z-Averageサイズ)を求め、シリカ粒子の平均粒径d0とした。
平均粒径比d/d0
得られた平均粒径d及び平均粒径d0を用いて、平均粒径比d/d0を算出した。結果を表2に示した。
[水溶性高分子(成分B又は非成分B)の重量平均分子量]
水溶性高分子(成分B又は非成分B)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により下記条件で測定した。結果を表1に示す。
<測定条件>
カラム:TSKgel GMPWXL+TSKgel GMPWXL(東ソー社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=7/3(体積比)
温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料サイズ:2mg/mL
検出器:RI
標準物質:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量:1,100、3,610、14,900、152,000、POLMER STANDARDS SERVICE社製)
水溶性高分子(成分B又は非成分B)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により下記条件で測定した。結果を表1に示す。
<測定条件>
カラム:TSKgel GMPWXL+TSKgel GMPWXL(東ソー社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=7/3(体積比)
温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料サイズ:2mg/mL
検出器:RI
標準物質:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量:1,100、3,610、14,900、152,000、POLMER STANDARDS SERVICE社製)
[水溶性高分子(成分B又は非成分B)の酸化ニッケル粒子への吸着率]
0.4%の酸化ニッケル粒子(ALDRICH社製、平均粒径:50nm)、実施例に記載の研磨液組成物と同じ濃度の成分C、実施例に記載の記研磨液組成物と同じ濃度の成分B(又は非成分B)、残部にイオン交換水、を含有する酸化ニッケル分散液を調製した。
得られた酸化ニッケル分散液を沈降管に30mL入れ、25℃で30分間超音波振動(ヤマト科学株式会社製、卓上型超音波洗浄機W-113、28kHz)をかけたのち、25℃で3時間静置した。沈降管を遠心分離機(Beckman Coulter社製、卓上型遠心機Allegra 64R)にセットし、25000rpmで30分遠心分離を行った。遠沈管から上澄み液を分取し、下記装置を用いて下記条件で上澄み液の炭素濃度C1を測定した。
次に、実施例に記載の研磨液組成物と同じ濃度の成分C、実施例に記載の研磨液組成物と同じ濃度の成分B(又は非成分B)、残部にイオン交換水、を含有する水溶液を調製し、水溶液中の炭素濃度C2を測定した。(C2-C1)/C2×100を計算することによって、酸化ニッケル粒子に吸着した成分B(又は非成分B)の割合(吸着率)を算出した。結果を表2に示す。
<測定条件>
装置:株式会社島津製作所製、全有機体炭素計 TOC-L
サンプル量:10mL
測定モード:NPOC
測定温度:25℃
0.4%の酸化ニッケル粒子(ALDRICH社製、平均粒径:50nm)、実施例に記載の研磨液組成物と同じ濃度の成分C、実施例に記載の記研磨液組成物と同じ濃度の成分B(又は非成分B)、残部にイオン交換水、を含有する酸化ニッケル分散液を調製した。
得られた酸化ニッケル分散液を沈降管に30mL入れ、25℃で30分間超音波振動(ヤマト科学株式会社製、卓上型超音波洗浄機W-113、28kHz)をかけたのち、25℃で3時間静置した。沈降管を遠心分離機(Beckman Coulter社製、卓上型遠心機Allegra 64R)にセットし、25000rpmで30分遠心分離を行った。遠沈管から上澄み液を分取し、下記装置を用いて下記条件で上澄み液の炭素濃度C1を測定した。
次に、実施例に記載の研磨液組成物と同じ濃度の成分C、実施例に記載の研磨液組成物と同じ濃度の成分B(又は非成分B)、残部にイオン交換水、を含有する水溶液を調製し、水溶液中の炭素濃度C2を測定した。(C2-C1)/C2×100を計算することによって、酸化ニッケル粒子に吸着した成分B(又は非成分B)の割合(吸着率)を算出した。結果を表2に示す。
<測定条件>
装置:株式会社島津製作所製、全有機体炭素計 TOC-L
サンプル量:10mL
測定モード:NPOC
測定温度:25℃
[pHの測定]
研磨液組成物のpHは、pHメータ(東亜ディーケーケー社製)を用いて25℃にて測定し、電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値を採用した。結果を表2に示す。
研磨液組成物のpHは、pHメータ(東亜ディーケーケー社製)を用いて25℃にて測定し、電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値を採用した。結果を表2に示す。
4.研磨方法
前記のように調製した実施例1~19及び比較例1~5の研磨液組成物を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。次いで、研磨速度及びスクラッチ数を測定した。その結果を表2に示す。
なお、比較例5ではシリカが凝集していたため、比較例5の研磨液組成物を用いた研磨は行っていない。
前記のように調製した実施例1~19及び比較例1~5の研磨液組成物を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。次いで、研磨速度及びスクラッチ数を測定した。その結果を表2に示す。
なお、比較例5ではシリカが凝集していたため、比較例5の研磨液組成物を用いた研磨は行っていない。
[被研磨基板]
被研磨基板として、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。この被研磨基板は、厚さが0.8mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nmであった。
被研磨基板として、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。この被研磨基板は、厚さが0.8mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nmであった。
[研磨条件]
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー、厚さ0.9mm、平均開孔径10μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.076mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:13.0kPa
研磨時間:6分間
基板の枚数:10枚
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー、厚さ0.9mm、平均開孔径10μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.076mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:13.0kPa
研磨時間:6分間
基板の枚数:10枚
5.評価
[研磨速度の評価]
研磨前後の各基板1枚当たりの重さを計り(Sartorius社製、「BP-210S」)を用いて測定し、各基板の質量変化から質量減少量を求めた。全10枚の平均の質量減少量を研磨時間で割った値を研磨速度とし、下記式により算出した。研磨速度の測定結果を、比較例1を100とした相対値として表2に示す。
質量減少量(mg)={研磨前の質量(mg)- 研磨後の質量(mg)}
研磨速度(mg/分)=質量減少量(mg)/ 研磨時間(分)
[研磨速度の評価]
研磨前後の各基板1枚当たりの重さを計り(Sartorius社製、「BP-210S」)を用いて測定し、各基板の質量変化から質量減少量を求めた。全10枚の平均の質量減少量を研磨時間で割った値を研磨速度とし、下記式により算出した。研磨速度の測定結果を、比較例1を100とした相対値として表2に示す。
質量減少量(mg)={研磨前の質量(mg)- 研磨後の質量(mg)}
研磨速度(mg/分)=質量減少量(mg)/ 研磨時間(分)
[スクラッチの評価]
測定機器:KLA ・テンコール社製、「Candela OSA7100」
評価:研磨試験機に投入した基板のうち、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10,000rpmにてレーザーを照射してスクラッチ数を測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのスクラッチ数を算出した。スクラッチ数の評価結果を、比較例1を100とした相対値として表2に示す。
測定機器:KLA ・テンコール社製、「Candela OSA7100」
評価:研磨試験機に投入した基板のうち、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10,000rpmにてレーザーを照射してスクラッチ数を測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのスクラッチ数を算出した。スクラッチ数の評価結果を、比較例1を100とした相対値として表2に示す。
上記表2に示すとおり、実施例1~19の研磨液組成物は、比較例1~5の研磨液組成物に比べて、研磨速度が向上し、スクラッチが低減していた。
本開示によれば、例えば、高記録密度化に適した磁気ディスク基板を提供できる。
Claims (9)
- シリカ粒子(成分A)と、水溶性高分子(成分B)と、酸(成分C)と、水系媒体と、を含有する、研磨液組成物であって、
成分Bは、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位を含む共重合体であり、
成分Bを構成する全構成単位中に占める、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位の構成比率が50mol%以上であり、
成分Bの重量平均分子量は、700以上10000以下であり、
成分Bは、0.4質量%の酸化ニッケル粒子、前記研磨液組成物と同じ濃度の成分C、及び、前記研磨液組成物と同じ濃度の成分Bを配合したときの、成分Bの酸化ニッケル粒子への吸着率が5質量%以上となるものであり、
前記研磨液組成物中の成分Aの平均粒径dと、前記研磨液組成物から成分Bが除かれた組成である組成物中の成分Aの平均粒径d0との比d/d0が1.1以下であり、
pHが0.1以上4以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物。 - シリカ粒子(成分A)と、水溶性高分子(成分B)と、酸(成分C)と、水系媒体と、を含有し、
成分Bは、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位を含む共重合体であって、下記式(I)で表される構成を含む共重合体であり、
成分Bを構成する全構成単位中に占める、アクリル酸及び/又はその塩に由来する構成単位の構成比率が50mol%以上であり、
成分Bの重量平均分子量は、700以上10000以下であり、
pHが0.1以上4以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
- 成分Bは、アクリル酸及び/又はその塩とピバル酸ビニルとの共重合体、並びに、アクリル酸及び/又はその塩とビニルピロリドンとの共重合体から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の研磨液組成物。
- 酸化剤(成分D)をさらに含有する、請求項1から3のいずれかに記載の研磨液組成物。
- 複素環芳香族化合物(成分E)、及び、脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物(成分F)から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する、請求項1から4のいずれかに記載の研磨液組成物。
- 分子内に繰り返し単位とスルホン酸基又はその塩を有する陰イオン界面活性剤(成分G)をさらに含有する、請求項1から5のいずれかに記載の研磨液組成物。
- 成分Gは、繰り返し単位の主鎖に芳香環を有する構造である、請求項1から6のいずれかに記載の研磨液組成物。
- 請求項1から7のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する研磨工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することを含み、前記被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である、基板の研磨方法。
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JP2022199614A JP2024085210A (ja) | 2022-12-14 | 2022-12-14 | 研磨液組成物 |
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2022
- 2022-12-14 JP JP2022199614A patent/JP2024085210A/ja active Pending
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