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JP2024067802A - 固定子 - Google Patents

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JP2024067802A
JP2024067802A JP2022178136A JP2022178136A JP2024067802A JP 2024067802 A JP2024067802 A JP 2024067802A JP 2022178136 A JP2022178136 A JP 2022178136A JP 2022178136 A JP2022178136 A JP 2022178136A JP 2024067802 A JP2024067802 A JP 2024067802A
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teeth
wound
phase
stator
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JP2022178136A
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飛鳥 田中
Asuka Tanaka
秀紀 加藤
Hidenori Kato
祐司 山下
Yuji Yamashita
明彦 関
Akihiko Seki
健朗 戸塚
Takero Totsuka
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
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    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02KDYNAMO-ELECTRIC MACHINES
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    • H02K3/04Windings characterised by the conductor shape, form or construction, e.g. with bar conductors
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  • Power Engineering (AREA)
  • Windings For Motors And Generators (AREA)
  • Insulation, Fastening Of Motor, Generator Windings (AREA)

Abstract

【課題】同一ティースにおいて第1巻線及び第2巻線を好適に巻回させる。【解決手段】固定子コア31のティース34には、固定子巻線として、互いに異相となる第1巻線101と第2巻線102とが巻回されている。詳しくは、第1巻線101及び第2巻線102が巻回されるティース34において、径方向一方の側の第1端部34aから径方向の中間位置までの第1範囲R1で、ティース34に対して導線材を多重に重ねて第1巻線101が巻回されるとともに、径方向他方の側の第2端部34bから第1巻線101に重複する位置までの第2範囲R2で第2巻線102が巻回されている。第1巻線101は、導線材の巻き始め端部及び巻き終わり端部を第1端部34a側の位置にして巻回され、第2巻線102は、その一部が第1巻線101の上に重なるようにして巻回されている。【選択図】 図11

Description

本発明は、固定子に関するものである。
固定子と回転子とを具備する回転電機において、固定子コアのティースに対して集中巻により固定子巻線を巻回した構成が知られている。また、固定子コアの同一のティースに、互いに異相となる2つの相巻線を巻回した構成が知られており、例えば特許文献1には、ティースにおいて径方向に二分する一方の領域と他方の領域とにそれぞれ、互いに異相となる2つの相巻線が巻回された構成が記載されている。
特許第5304427号公報
しかしながら、上述したとおりティースにおいて径方向に二分した各領域に2つの相巻線を巻回する構成では、それら相巻線ごとに設けられる導線端部が径方向内側と径方向外側とに分かれて存在することになり、コイルエンドにおいて導線端部どうしを接続したり、各導線端部をバスバ等の接続部材に接続したりする端末処理が複雑になることが懸念される。また、仮に2つの相巻線を互いに積層させた状態で巻回する構成では、同一のティースに2つの相巻線を巻回する際に、先巻きの巻線から引き出される導線端部に対して後巻きの巻線が干渉することが懸念される。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、同一ティースにおいて第1巻線及び第2巻線を好適に巻回させることができる固定子を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
手段1は、
円環状をなすバックヨークと、そのバックヨークから径方向に延び周方向に所定間隔で設けられた複数のティースとを有する固定子コアと、
前記ティースに導線材が集中巻により巻回されてなる多相の固定子巻線と、を有する固定子であって、
前記複数のティースのうち所定のティースに、前記固定子巻線として、互いに異相となる第1巻線と第2巻線とが巻回されており、前記第1巻線は、前記ティースに対して先に巻回された巻線であり、前記第2巻線は、前記ティースに対して後から巻回された巻線であり、
前記第1巻線及び前記第2巻線が巻回される前記ティースにおいて、径方向一方の側の第1端部から径方向の中間位置までの第1範囲で、当該ティースに対して前記導線材を多重に重ねて前記第1巻線が巻回されるとともに、径方向他方の側の第2端部から前記第1巻線に重複する位置までの第2範囲で前記第2巻線が巻回されており、
前記第1巻線は、前記導線材の巻き始め端部及び巻き終わり端部を前記第1端部側の位置にして巻回され、前記第2巻線は、その一部が前記第1巻線の上に重なるようにして巻回されていることを特徴とする。
固定子コアの同一のティースに、固定子巻線として互いに異相となる第1巻線と第2巻線とが巻回される構成では、これら各巻線の端末処理(コイルエンドでの端末処理)が複雑化することが懸念される。また、各巻線を積層状態で巻回させる場合に、先巻きの第1巻線の巻き始め端部及び巻き終わり端部が、後巻きの第2巻線が巻回される際の邪魔になることが懸念される。この点、第1巻線及び第2巻線が巻回されるティースにおいて、径方向一方の側の第1端部から径方向の中間位置までの第1範囲で、ティースに対して導線材を多重に重ねて第1巻線が巻回されることにより、ティースの径方向片側に寄せて第1巻線を配置することができ、ひいては、第1巻線における導線材の端部(巻き始め端部及び巻き終わり端部)を、ティースの第1端部側に好適に集約させることができる。これにより、先巻きの第1巻線の巻き始め端部及び巻き終わり端部が、後巻きの第2巻線が巻回される際の邪魔になるといった不都合を抑制できる。また、ティースにおいて、径方向他方の側の第2端部から第1巻線に重複する位置までの第2範囲で第2巻線が巻回されることにより、ティースにおいて第1巻線が巻回されていない空き領域を用いつつ、第1巻線に重ねた状態で第1端部に近づけて第2巻線を巻回させることができる。これにより、第2巻線についても、導線材の端部を第1端部に近づけることができる。その結果、同一ティースにおいて第1巻線及び第2巻線を好適に巻回させることができる。
手段2では、前記第1巻線は、前記第1端部を巻き始め位置とし、かつ当該巻き始め位置の前記導線材に重なる位置を巻き終わり位置として巻回されており、前記第2巻線は、前記第1巻線の巻き始め位置よりも、前記ティースの径方向両端の間のティース中央寄りの位置を巻き始め位置とし、その巻き始め位置から前記ティース中央に向けて巻回されている。
上記構成によれば、第1巻線が、ティースの第1端部を巻き始め位置とし、かつ巻き始め位置の導線材に重なる位置を巻き終わり位置として巻回されていることで、ティースの径方向片側に寄せて第1巻線を配置する上で好適な構成を実現できる。また、第2巻線の巻き始め位置を、第1巻線の巻き始め位置よりもティースの径方向両端の間のティース中央寄りの位置としてティース中央に向けて巻回するようにしたため、第1巻線の端部との干渉を回避しつつ第2巻線を好適に巻回させることができる。
手段3では、前記導線材は横断面が円形状の丸線であり、前記第1巻線及び前記第2巻線は、前記導線材の千鳥配置により前記ティースに巻回されており、前記第2巻線は、前記第1端部から、前記導線材の1巻き分のスペースを離した位置を巻き始め位置として巻回されている。
導線材として丸線を用いた構成では、千鳥配置により第1巻線及び第2巻線を巻回することで占積率の向上を図ることができる。また、丸線の千鳥配置構造によれば、第2巻線の巻き始め位置として径方向の位置ずらしが比較的容易となり、第2巻線について第1巻線の端部との干渉回避を好適に実現することができる。
手段4では、前記第2巻線は、前記ティースにおいて、前記第1端部側を巻き始めとするとともに、前記第2端部で折り返すことで、前記ティースに対して前記導線材が多重に重ねて巻回されている。
上記構成によれば、第1巻線及び第2巻線の各々について、導線材の巻き始め及び巻き終わりを、ティースの第1端部側に集約させることができる。これにより、固定子巻線を構成する複数の第1巻線どうしを接続したり、複数の第2巻線どうしを接続したり、第1巻線及び第2巻線を接続したりする際の端末処理の作業性を向上させることができる。
手段5では、前記ティースには、前記第1巻線が巻回される前記第1範囲において反第1端部側の境界位置に、径方向に直交し、かつティース表面から離れる向きに延びる突起部が設けられている。
上記のとおりティースの第1端部から径方向の中間位置までの第1範囲で、ティースに対して導線材を多重に重ねて第1巻線が巻回される場合には、ティースの中間位置での導線材の位置ずれに伴う巻き崩れの懸念が生じる。この点、ティースにおいて、第1巻線が巻回される第1範囲の境界位置(中間位置側の境界部)に突起部を設けたため、第1巻線の巻き崩れを抑制できる。
手段6では、前記ティースには、その軸方向端部に絶縁部材が取り付けられ、前記ティースとの間に前記絶縁部材を介在させた状態で前記第1巻線及び前記第2巻線が巻回されており、前記絶縁部材は、径方向において前記第1範囲に相当する部位である第1絶縁部と、当該第1範囲以外の部位である第2絶縁部とで軸方向の厚さ寸法が相違しており、前記第1絶縁部の方が、前記第2絶縁部よりも軸方向の厚さ寸法が小さい。
ティースの軸方向端部に取り付けられた絶縁部材において、第1範囲に相当する部位である第1絶縁部と、第1範囲以外の部位である第2絶縁部とで軸方向の厚さ寸法を相違させ、第1絶縁部の方が、第2絶縁部よりも軸方向の厚さ寸法が小さい構成とした。この場合、第1絶縁部と第2絶縁部とで段差を持たせることができ、その段差により、第1巻線の巻き崩れを抑制することができる。
また、ティースにおいて第1範囲では、第1巻線及び第2巻線の両方が積層状態で巻回されるのに対し、第1範囲以外の部位では第2巻線のみが巻回される。この構成において、第1範囲に対応する第1絶縁部が、第2絶縁部よりも軸方向の厚さ寸法が小さい構成としたため、第1範囲において他よりも過剰に軸長寸法が大きくなることが抑制され、ティースの径方向における巻線軸長寸法の均等化を図ることができる。
手段7では、前記固定子巻線は、相ごとに設けられた複数の相巻線を有し、前記各相巻線は、前記ティースにそれぞれ集中巻により巻回されており、
前記固定子コアにおいて周方向に3連続となる前記ティースを第1ティース、第2ティース及び第3ティースとする場合に、前記第1ティース及び前記第2ティースに、前記複数の相巻線のうち第1相巻線が連続して巻回されるとともに、前記第2ティース及び前記第3ティースに、前記複数の相巻線のうち第2相巻線が連続して巻回され、前記第2ティースが、前記第1巻線及び前記第2巻線が巻回されたティースであり、
前記第1相巻線の一端及び他端がそれぞれ、前記第1ティース及び前記第2ティースの径方向両端のうち前記バックヨーク側の端部から引き出される一方、
前記第2相巻線の一端及び他端がそれぞれ、前記第3ティース及び前記第2ティースの径方向両端のうち前記バックヨーク側の端部から引き出されており、
前記第1相巻線及び前記第2相巻線のうち、第1相巻線が巻線巻回時において先に巻回される先巻き巻線、第2相巻線が後に巻回される後巻き巻線であり、前記第1相巻線は、前記第1ティースと前記第2ティースとの間で、前記バックヨークに沿って周方向に延びる渡り部により連続している。
例えば固定子におけるリプル電流の低減等を図るべく、周方向に3連続となる各ティースにおいて、互いに異相となる2つの相巻線(第1相巻線、第2相巻線)を巻回することが考えられる。具体的には、固定子コアにおいて周方向に3連続となる第1~第3ティースのうち、第1,第2ティースに第1相巻線を連続して巻回するとともに、第2,第3ティースに第2相巻線を連続して巻回することが考えられる。そしてかかる構成において、第1相巻線の一端及び他端がそれぞれ、第1ティース及び第2ティースの径方向両端のうちバックヨーク側の端部から引き出される一方、第2相巻線の一端及び他端がそれぞれ、第3ティース及び第2ティースの径方向両端のうちバックヨーク側の端部から引き出されるようにした。これにより、3つのティースを一組としつつ、各相巻線における導線端部の電源側への接続や中性点の接続を好適に実施することができる。また、先巻き巻線である第1相巻線を、第1ティースと第2ティースとの間で、バックヨークに沿って周方向に延びる渡り部により連続させる構成としたため、ティース単位で生じる複数の導線端部を、全てバックヨーク側で処理する構成となっている。
手段8では、前記固定子コアの軸方向端部には、前記ティースと前記固定子巻線とを絶縁する絶縁部材が設けられており、前記絶縁部材は、前記ティースにおける前記バックヨーク側に軸方向に延びるように設けられた起立部を有しており、前記起立部には、前記第2ティースに巻回される前記第1巻線の巻き始め端部及び巻き終わり端部のうち一方の端部である前記渡り部と、他方の端部とを保持する保持部が設けられている。
第1相巻線が第1ティース及び第2ティースに対して連続して巻回される構成では、第1相巻線のうち第2ティースに巻回される第1巻線において、第1ティース側から延びる渡り部が巻き始め端部となり、その反対側が巻き終わり端部となる。又はその逆に、第1ティース側から延びる渡り部が巻き終わり端部となり、その反対側が巻き始め端部となる。この場合、絶縁部材においてバックヨーク側に設けられた起立部を用いて、第1巻線の巻き始め端部及び巻き終わり端部を保持するようにした。これにより、第1巻線の巻き始め端部及び巻き終わり端部をバックヨーク側で保持しつつ、第2巻線の巻回時に邪魔になることを好適に回避できる。
モータの縦断面図。 モータの横断面図。 制御装置の電気的構成を示す図。 固定子の斜視図。 固定子の平面図。 固定子コアの構成を示す斜視図。 固定子巻線の巻線構成図。 固定子巻線の各部分巻線についてティースとの対応関係を示す図。 分割コアの構成を示す図。 1つのティース群に対して部分巻線が巻回された状態を示す斜視図。 ティース群の中央のティースA2において、導線材の巻き順序を示す図。 ティースA2における巻線構造を示す斜視図。 バスバモジュールの斜視図。 バスバの構成を示す斜視図。 バスバホルダの構成を示す斜視図。 固定子にバスバモジュールを組み付けた状態を示す斜視図。 別例においてティースに巻線が巻回された状態を示す図。 別例においてティースに巻線が巻回された状態を示す図。 別例においてティースに巻線が巻回された状態を示す図。 別例における固定子巻線の巻線構成図。
(第1実施形態)
以下、各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。第1実施形態では、回転電機としてのモータ10を例示して説明する。
図1に示すモータ10は、永久磁石界磁型のものであり、具体的には3相巻線を有する永久磁石界磁型同期機である。つまり、モータ10は、ブラシレスモータである。この3相巻線は2系統有していてもよい。モータ10は、ハウジング20と、ハウジング20に固定される固定子30と、固定子30に対して回転する回転子40と、回転子40が固定される回転軸11と、を備える。以下、本実施形態において、軸方向とは回転軸11の軸方向のことを示し、径方向とは回転軸11の径方向のことを示し、周方向とは回転軸11の周方向のことを示す。
ハウジング20は円筒形状に形成されており、ハウジング20内には、固定子30及び回転子40等が収容されている。ハウジング20には、軸受23,24が設けられており、この軸受23,24により回転軸11が回転自在に支持されている。ハウジング20の内周面の軸心は回転軸11と同軸となっている。回転軸11の先端側には、角度センサ12が設けられている。角度センサ12は、磁気センサでもレゾルバでもよい。
固定子30は、ハウジング20の軸方向略中央において、ハウジング20の内周に沿って円筒状に設けられている。そして、固定子30は、回転軸11の軸心Oを中心にして、ハウジング20の内周面に固定されている。固定子30は、磁気回路の一部を構成するものであり、円環状をなし回転子40の外周側において径方向に対向して配置される固定子コア31と、固定子コア31に巻回された固定子巻線32とを有している。
図2に示すように、固定子コア31は、円環状のバックヨーク33と、バックヨーク33から径方向内側に向けて突出し、周方向に所定距離を隔てて配列された複数のティース34とを有し、隣り合うティース34の間にスロット35が形成されている。固定子コア31においてティース34は周方向に等間隔に設けられ、そのティース34に固定子巻線32が巻回されている。これにより、各スロット35内に固定子巻線32の導体が収容されている。本実施形態では、ティース34の数、スロット35の数をそれぞれ「18」としている。説明の都合上、各ティース34には、周方向の配列順で反時計回りに符号T1~18を付しており、ティース番号を示す必要のある場合には、ティース34をティースT1,T2,T3・・・としても記載する。固定子巻線32は、スロット35に収容された状態で保持されており、電力(交流電力)が供給されることで磁束を発生する。
固定子コア31は、複数の薄板状の磁性体である鋼板(コアシート)が、固定子コア31の軸方向に積層されることで形成されている。鋼板は、例えば帯状の電磁鋼板材をプレス打ち抜きすることで形成されているとよい。
回転子40は、磁気回路の一部を構成するものであり、周方向に複数の磁極を有し、固定子30に対して径方向に対向するように配置されている。本実施形態において、回転子40は、14個の(すなわち、磁極対数が7個となる)磁極を有する。回転子40は、磁性体からなる回転子コア41と、回転子コア41に固定される永久磁石42と、を備える。具体的には、図2に示すように、回転子40は、周方向に極性が交互となるように磁石部としての永久磁石42を14個備えており、回転子コア41に軸方向に沿って設けられた収容孔に永久磁石42が埋め込まれている。
回転子40は、周知の構成でよく、例えば、IPM型(Interior Permanent Magnet:埋め込み磁石型)の回転子であっても、SPM型(Surface Permanent Magnet:表面磁石側)の回転子であってもよい。また、回転子40として、界磁巻線側の回転子を採用してもよい。本実施形態では、IPM型の回転子を採用している。回転子40には、回転軸11が挿通され、回転軸11を中心にして回転軸11と一体回転するように回転軸11に固定されている。
モータ10には、制御装置50が接続されている。制御装置50は、CPU、ROM、RAM及びI/O等を備えたマイクロコンピュータを主体として構成されており、CPUがROMに記憶されているプログラムを実行することにより、各種機能を実現する。なお、各種機能は、ハードウェアである電子回路によって実現されてもよく、あるいは、少なくとも一部をソフトウェア、すなわちコンピュータ上で実行される処理によって実現されてもよい。
制御装置50が備える機能としては、例えば、外部(例えばバッテリ)からの電力を変換し、モータ10に供給して駆動力を発生させる機能を有する。また、例えば、制御装置50は、角度センサ12から入力された回転角度に関する情報を利用して、モータ10の制御(電流制御など)を行う機能を備える。
図3は、本実施形態における制御装置50の電気的構成を示す図である。
本実施形態では、固定子巻線32が第1固定子巻線32aと第2固定子巻線32bとから構成されており、制御装置50には、固定子巻線32a,32bごとに第1インバータ回路51及び第2インバータ回路52が設けられている。各インバータ回路51,52は、それぞれ3相の相数と同数の上下アームを有するフルブリッジ回路により構成されている。制御装置50は、各アームに設けられたスイッチング素子のオンオフにより、各相における電流を制御する。
詳しく説明すると、第1インバータ回路51は、U相、V相及びW相からなる3相において、スイッチング素子としての上アームスイッチSpと下アームスイッチSnとの直列接続体をそれぞれ備えている。本実施形態では、各相における上アームスイッチSp及び下アームスイッチSnとして、電圧制御形の半導体スイッチング素子を用いており、具体的にはIGBTを用いている。なお、MOSFETを用いてもよい。各相における上アームスイッチSp及び下アームスイッチSnには、それぞれフリーホイールダイオード(還流ダイオード)Dp,Dnが逆並列に接続されている。
各相の上アームスイッチSpの高電位側端子(コレクタ)は、バッテリの正極端子に接続されている。また、各相の下アームスイッチSnの低電位側端子(エミッタ)は、バッテリの負極端子(グランド)に接続されている。各相の上アームスイッチSpと下アームスイッチSnとの間の中間接続点は、それぞれ第1固定子巻線32aにおける各相の相巻線の一端に接続されている。第1固定子巻線32aはU相、V相、W相の相巻線を有しており、第1インバータ回路51では、それら各相の相巻線の一端がそれぞれ上下アームのスイッチSp,Snの中間接続点に接続されている。
第2インバータ回路52は、第1インバータ回路51と同様の構成を有するものであるため、ここでは詳細な説明を省略する。第2固定子巻線32bは、X相、Y相、Z相の相巻線を有しており、第2インバータ回路52では、それら各相の相巻線の一端がそれぞれ上下アームのスイッチSp,Snの中間接続点に接続されている。
第1インバータ回路51から供給される3相の電流と、第2インバータ回路52から供給される3相の電流とは、互いに所定の電流位相差を有するものとなっている。
以下には、固定子30の構成を詳細に説明する。図4は、固定子30の斜視図であり、図5は、固定子30の平面図である。また、図6は、固定子コア31の構成を示す斜視図である。なお、図4,図5に示す固定子30は、図2に示す固定子30に相当する。
固定子30において、固定子コア31は複数の分割コア61により構成されており、各分割コア61が周方向に並べて配置されることで固定子コア31が円筒状に形成されている。各分割コア61はティース34を有しており(図9(a)参照)、各分割コア61が周方向に並ぶことにより、図2に示すとおりティース34とスロット35とが周方向に交互に配置されるようになっている。本実施形態では、18個の分割コア61により固定子コア31が構成されている。固定子巻線32は、横断面が円形状をなす丸線を導線材として用い、各ティース34に導線材が集中巻により巻回されることにより構成されている。
図7は、本実施形態における固定子巻線32の巻線構成図であり、図7(a)は、第1固定子巻線32aにおいてU相、V相、W相の相巻線の構成を示し、図7(b)は、第2固定子巻線32bにおいてX相、Y相、Z相の相巻線の構成を示している。これら各固定子巻線32a,32bは、星形結線(Y結線)により各相の相巻線が互いに接続されている。
図7(a)に示すように、第1固定子巻線32aは、U相の相巻線として部分巻線U1,U2,U3,U4を有し、V相の相巻線として部分巻線V1,V2,V3,V4を有し、W相の相巻線として部分巻線W1,W2,W3,W4を有している。そして、部分巻線U1,U2の直列接続体の一端と、部分巻線V1,V2の直列接続体の一端と、部分巻線W1,W2の直列接続体の一端とが中性点N1aにて互いに接続されるとともに、部分巻線U3,U4の直列接続体の一端と、部分巻線V3,V4の直列接続体の一端と、部分巻線W3,W4の直列接続体の一端とが中性点N1bにて互いに接続されている。
また、図7(b)に示すように、第2固定子巻線32bは、X相の相巻線として部分巻線X1,X2,X3,X4を有し、Y相の相巻線として部分巻線Y1,Y2,Y3,Y4を有し、Z相の相巻線として部分巻線Z1,Z2,Z3,Z4を有している。そして、部分巻線X1,X2の直列接続体の一端と、部分巻線Y1,Y2の直列接続体の一端と、部分巻線Z1,Z2の直列接続体の一端とが中性点N2aにて互いに接続されるとともに、部分巻線X3,X4の直列接続体の一端と、部分巻線Y3,Y4の直列接続体の一端と、部分巻線Z3,Z4の直列接続体の一端とが中性点N2bにて互いに接続されている。
なお、各固定子巻線32a,32bにおける相巻線ごとの4つの部分巻線は、上記のごとく2つずつに分けてそれぞれ星形結線される構成以外に、相巻線ごとの4つの部分巻線が2並列に接続された上で星形結線される構成であってもよい。この場合、第1固定子巻線32aでは中性点(N1a,N1b)が1つにまとめられ、第2固定子巻線32bでも同様に中性点(N2a,N2b)が1つにまとめられる。
第1固定子巻線32aにおける各相の部分巻線U1~U4,V1~V4,W1~W4と、第2固定子巻線32bにおける各相の部分巻線X1~X4,Y1~Y4,Z1~Z4は、それぞれ固定子コア31のティース34に集中巻により巻回されている。本実施形態では、第1固定子巻線32aの12個の部分巻線と第2固定子巻線32bの12個の部分巻線とが、固定子コア31の18個のティース34に対して振り分けられて巻回されている。この点について以下に詳しく説明する。
固定子コア31では、全18個のティース34が3つずつのティース群に分けられ、各ティース群における3つずつのティース34に、互いに異相となる2つの相巻線の部分巻線がそれぞれ巻回されている。つまり、固定子30では、図5に示すように、固定子コア31の全てのティース34(T1~T18)が6つのティース群G1~G6に分けられており、各ティース群G1~G6に、第1固定子巻線32aの部分巻線U1~U4,V1~V4,W1~W4のうち2つの部分巻線と、第2固定子巻線32bの部分巻線X1~X4,Y1~Y4,Z1~Z4のうち2つの部分巻線とが振り分けられた状態で巻回されている。この場合、各ティース群G1~G6において、周方向の両側となる各ティース34の一方には、第1固定子巻線32aの部分巻線が巻回されるとともに、各ティース34の他方には、第2固定子巻線32bの部分巻線が巻回されている。また、各ティース群G1~G6の中央となるティース34には、第1,第2固定子巻線32a,32bにおける両方の部分巻線が巻回されている。
ここで、各ティース群G1~G6において、周方向に3連続となるティース34を、周方向の並び順で第1ティース、第2ティース及び第3ティースとすると、それら第1~第3ティースのうち、第1,第2ティースに、複数の相巻線のうち第1相巻線の部分巻線が連続して巻回されるとともに、第2,第3ティースに、複数の相巻線のうち第2相巻線の部分巻線が連続して巻回されている。3連続となるティース34のうち中央となる第2ティースは、第1,第2相巻線が共に巻回される共通ティースとなっている。この場合、「第1相巻線」は、第1,第2固定子巻線32a,32bにおける6相の相巻線のうちいずれかであり、「第2相巻線」は、同じく6相の相巻線のうち第1相巻線とは異なる相巻線である。
図8は、固定子巻線32a,32bの各部分巻線について各ティースT1~T18との対応関係を示す図である。図8では、例えばティース群G1において、
・ティースT1には、第2固定子巻線32bの部分巻線W1が巻回され、
・ティースT2には、第2固定子巻線32bの部分巻線W2と第1固定子巻線32aの部分巻線X2とが巻回され、
・ティースT3には、第1固定子巻線32aの部分巻線X1が巻回されている。これら各ティースT1~T3が第1~第3ティースに相当する。その他のティース群G2~G6については説明を省くが、同様の態様で各部分巻線が巻回されており、各ティース群G2~G6における各3つのティースが、それぞれ第1~第3ティースに対応するものとなっている。
以下に、各ティース群における各部分巻線の巻回構造について説明する。なおここでは、各部分巻線の巻回構造の説明に先立って、固定子コア31に関するより詳細な構成を説明する。
図9(a)は、分割コア61の斜視図であり、図9(b)は、分割コア61の分解斜視図である。分割コア61は、鋼板積層体であるコア本体62と、そのコア本体62の軸方向一端側及び他端側(図の上側及び下側)に設けられた絶縁部材63,64とを有している。コア本体62は、径方向(固定子コア31における径方向)に延びるティース34と、その一端側に設けられたヨーク部62aと、他端側に設けられた鍔部62bとを有している。ヨーク部62aは、図2に示す固定子コア31のバックヨーク33に相当する部位である。複数の分割コア61が周方向に並べて配置された状態では、各分割コア61のヨーク部62aが互いに連結されることで、円環状のバックヨーク33が形成されるようになっている。なお、隣り合う分割コア61ではヨーク部62aどうしが接着等により接合されているとよい。
絶縁部材63,64は、絶縁性の樹脂材料等により構成されており、ティース34の軸方向両端にそれぞれ装着される。絶縁部材63は、ティース34の軸方向端面(図の上面)に被せられる被せ部63aと、その被せ部63aの径方向一端側及び他端側に設けられ、軸方向(図の上方)に延びる起立部63b,63cとを有している。起立部63bは、径方向においてヨーク部62aの側、すなわちティース34の基端側に設けられ、起立部63cは、径方向において反ヨーク部の側、すなわちティース34の先端側に設けられている。起立部63bには、部分巻線の導線材を挿通可能な溝部65a,65bが周方向2箇所に設けられている。絶縁部材64も同様に、被せ部64aと、起立部64b,64cとを有している。
分割コア61は、コア本体62に対して絶縁部材63,64が装着されることで構成されており、各絶縁部材63,64に架け渡すようにして導線材が多重に巻かれることで、分割コア61のティース34に部分巻線が巻回される。
図10は、1つのティース群Gに対して部分巻線が巻回された状態を示す斜視図であり、(a)は径方向内側から見た斜視図、(b)は径方向外側から見た斜視図である。
図10(a),(b)では、ティース群Gにおいて、周方向に3連続の各ティース34を、周方向の並び順でティースA1(第1ティース)、ティースA2(第2ティース)及びティースA3(第3ティース)としており、ティースA1,A2に第1相巻線C1が連続して巻回されるとともに、ティースA2,A3に第2相巻線C2が連続して巻回されている。ティースA1~A3のうち中央のティースA2が、第1,第2相巻線C1,C2が共に巻回される共通ティースとなっている。なお、図10(a),(b)に示すティース群Gは、例えば図2や図8に示すティース群G1であり、ティース群G1のティースT1が「ティースA3」、ティースT2が「ティースA2」、ティースT3が「ティースA1」に相当する。つまり、図10(a),(b)では、ティースA1,A2に、第1相巻線C1として部分巻線X1,X2が巻回され、ティースA2,A3に、第2相巻線C2として部分巻線W1,W2が巻回されている。各相巻線C1,C2のうち第1相巻線C1が、巻線巻回時において先に巻回される先巻き巻線であり、第2相巻線C2が後に巻回される後巻き巻線である。
先巻き巻線である第1相巻線C1では、導線材の巻回作業時において、ティースA1→ティースA2の順に導線材が巻回される。これら各ティースA1,A2では、導線材が互いに逆となる周回方向で巻回されるようになっており、図10(a)で言えば、ティースA1に対して導線材が反時計回りで巻き数Naにて巻回され、続いてティースA2に対して導線材が時計回りで巻き数Nbにて巻回された状態となっている。また、第1相巻線C1において、導線材の巻き始め側の導線端部と、巻き終わり側の導線端部とは、軸方向に引き出され、分割コア61から所定長さで延びる引出部H11,H12となっている。
巻き始め側の引出部H11は、ティースA1の基端側(バックヨーク33側)から引き出され、巻き終わり側の引出部H12は、ティースA2の基端側(バックヨーク33側)から引き出されている。この場合特に、各分割コア61において絶縁部材63の起立部63bには溝部65a,65bが設けられており、引出部H11は、ティースA1に対応する絶縁部材63の溝部65aに挿し入れられた状態で引き出されている。また、引出部H12は、ティースA2に対応する絶縁部材63の溝部65aに挿し入れられた状態で引き出されている。
また、第1相巻線C1において、ティースA1に巻回された部分巻線X1とティースA2に巻回された部分巻線X2との間は、これら各ティースA1,A2間で架け渡される渡り部H13となっており、その渡り部H13は、絶縁部材63の起立部63bの外側に案内されるようになっている。詳しくは、渡り部H13は、部分巻線X1のティース巻き終わり位置から、部分巻線X2のティース巻き始め位置までの区間の導線材であり、その渡り部H13が、ティースA1側の溝部65bとティースA2側の溝部65bとの間において起立部63bの外側に引き出された状態となっている。なお、図10(b)に示すように、起立部63bの外側面には案内溝65cが設けられ、渡り部H13は案内溝65cに組み入れられた状態で案内されるとよい。
一方で、後巻き巻線である第2相巻線C2では、導線材の巻回作業時において、ティースA3→ティースA2の順に導線材が巻回される。ここで、第1,第2相巻線C1,C2を対比すると、これら各相巻線C1,C2では、周方向に互いに逆となる順序で、隣接する一方のティースから他方のティースへの巻回作業が行われるようになっている。つまり、先巻き巻線である第1相巻線C1では、図10(a)の左から右へ移行するようにして部分巻線X1,X2が巻回されるのに対し、後巻き巻線である第2相巻線C2では、図10(a)の右から左へ移行するようにして部分巻線W1,W2が巻回されるようになっている。
各ティースA2,A3では、導線材が互いに逆となる周回方向で巻回されるようになっており、図10(a)で言えば、ティースA3に対して導線材が反時計回りで巻き数Naにて巻回され、続いてティースA2に対して導線材が時計回りで巻き数Nbにて巻回された状態となっている。また、第2相巻線C2において、導線材の巻き始め側の導線端部と、巻き終わり側の導線端部とは軸方向に引き出され、分割コア61から所定長さで延びる引出部H21,H22となっている。
巻き始め側の引出部H21は、ティースA3の基端側(バックヨーク33側)から引き出され、巻き終わり側の引出部H22は、ティースA2の基端側(バックヨーク33側)から引き出されている。この場合特に、引出部H21は、ティースA3に対応する絶縁部材63の溝部65aに挿し入れられた状態で引き出されている。また、引出部H22は、ティースA2に対応する絶縁部材63の溝部65bに挿し入れられた状態で引き出されている。
また、第2相巻線C2において、ティースA3に巻回された部分巻線W1とティースA2に巻回された部分巻線W2との間は、これら各ティースA2,A3間で架け渡される渡り部H23となっており、その渡り部H23は、第1相巻線C1の渡り部H13とは異なり、絶縁部材63の起立部63bの外側に案内されずに、ティースA3側からティースA2側に直接架け渡されるようになっている。
上記構成によれば、第1相巻線C1の2つの引出部H11,H12と、第2相巻線C2の2つの引出部H21,H22とは、それぞれ径方向に同じ位置(すなわち、各ティースの基端側の位置)で周方向に並ぶように配置されるものとなっている。図2等に示す各ティース群G1~G6ではいずれも同様の巻線構造を有している。
上述したとおり、第1相巻線C1では、ティースA1に対する部分巻線の巻き数は「Na」、ティースA2に対する部分巻線の巻き数は「Nb」である。また、第2相巻線C2では、ティースA3に対する部分巻線の巻き数は「Na」、ティースA2に対する部分巻線の巻き数は「Nb」である。これら各巻き数の関係は、Na/2<Nbとなっている。つまり、本実施形態では、周方向に3連続の各ティースA1~A3のうち両端のティースA1,A3については巻き数がそれぞれ「Na」となり、中央のティースA2については巻き数が「2Nb」となり、それらの関係は「Na<2Nb」となっている。巻き数Nbの上限は、例えば巻き数Naである。
この場合、3連続の各ティースA1~A3のうち中央のティースA2(共通ティース)の導線量が両端のティースA1,A3の導線量よりも多いため、共通ティースに導線材を巻回する際において、巻き乱れが生じることが懸念される。この点、本実施形態では、各相巻線の導線端部の引出位置が規定されていること、第1相巻線C1(先巻き巻線)の渡り部H13が絶縁部材63の起立部63bにより案内されていること、導線端部が絶縁部材63の溝部65aにより保持されていることにより、導線材の巻き乱れによる不都合が抑制されるようになっている。
上述したように固定子コア31の同一のティースに複数の巻線が巻回される巻線構造では、各巻線の端末処理(コイルエンドでの端末処理)が複雑化することや、先巻きの巻線の巻き始め端部及び巻き終わり端部が、後巻きの巻線が巻回される際の邪魔になることが懸念される。本実施形態では、こうした不都合を改善した巻線構造となっており、以下にその詳細を説明する。
図11は、ティース群Gの中央のティースA2において、導線材の巻き順序を示す図である。ここでは、第1相巻線C1のうちティースA2に巻回される部分巻線を第1巻線101、第2相巻線C2のうちティースA2に巻回される部分巻線を第2巻線102とし、説明の便宜上、第1巻線101を一重丸で示し、第2巻線102を二重丸で示している。図10(a)において、各巻線101,102に付した数字は巻き順序を示しており、各巻線101,102はそれぞれ図示の1番を巻き始めとし、8番を巻き終わりとして巻回されている。ただし、巻き数はこれに限られない。図の左右が周方向である。また、図の上下が径方向であり、図の上側がバックヨーク33側、すなわち径方向外側(外径側)である。図11(b)は、ティースA2(ティース34)に対して第1巻線101が巻回された状態を示し、図11(c)は、第1巻線101の巻回後に、第2巻線102が巻回された状態を示している。
図11に示すように、ティース34には、バックヨーク33側の端部(第1端部34a)から径方向の中間位置までの第1範囲R1で、導線材を多重に重ねた状態で第1巻線101が巻回されている。この場合、第1巻線101は、ティース34の第1端部34aを巻き始め位置(一重丸1番)とし、かつ巻き始め位置の導線材に重なる位置を巻き終わり位置(一重丸8番)として巻回されている。これにより、ティース34の径方向片側に寄せて第1巻線101が配置されるとともに、第1巻線101における導線材の端部(巻き始め端部及び巻き終わり端部)が、ティース34の第1端部側に集約されている。
また、第2巻線102は、第1巻線101の巻き始め位置よりも、ティース34の径方向中央寄りの位置を巻き始め位置(二重丸1番)とし、その巻き始め位置からティース中央に向けて巻回されており、一部が第1巻線101の上に重なるようにして巻回されている。つまり、第2巻線102は、ティース34において、反バックヨーク側の端部(第2端部34b)から第1巻線101に重複する位置までの第2範囲R2で巻回されるようになっており、第1端部34a側を巻き始めとし、第2端部34bで折り返すことにより、ティース34に対して導線材が多重に重ねて巻回されている。
ここで、第1巻線101及び第2巻線102は、丸線である導線材の千鳥配置によりティース34に巻回されており、第2巻線102は、第1端部から、導線材の1巻き分のスペースを離した位置を巻き始め位置として巻回されている。また、径方向内側と径方向外側とを比べると、径方向外側(バックヨーク33側)の方が導線材の巻き数が多い構成となっている。ただし、径方向内側と径方向外側とにおいて導線材の巻き数を同じにすることも可能である。
上記構成によれば、第1巻線101の巻き始め端部及び巻き終わり端部が、ティース34の第1端部側に集約されていることにより、第2巻線102が巻回される際において、第1巻線101の巻き始め端部及び巻き終わり端部が邪魔になるといった不都合が抑制されるようになっている。
図12は、ティースA2における巻線構造を示す斜視図である。図12に示すように、第1巻線101は、渡り部H13及び引出部H12がそれぞれ絶縁部材63の溝部65a,65bにより保持された状態で巻回されている。そして、その第1巻線101に重なるようにして第2巻線102が巻回されている。この場合、絶縁部材63の溝部65a,65bが、第1巻線101の渡り部H13及び引出部H12を保持する保持部に相当する。
以下には、固定子30の軸方向一端の側に組み付けられるバスバモジュール70について説明する。図13は、バスバモジュール70の斜視図である。
バスバモジュール70は、複数のバスバ71と、それら各バスバ71を保持するバスバホルダ72とを有している。バスバ71には、各固定子巻線32a,32bの相ごとに設けられた各相用のバスバ73と、中性点用のバスバ74とが含まれている。各相用のバスバ73は、同相の部分巻線を互いに接続する導電部材であり、中性点用のバスバ74は、各相の部分巻線を星形結線により接続する導電部材である。本実施形態では、各相用のバスバ73として、U相バスバ、V相バスバ、W相バスバ、X相バスバ、Y相バスバ、Z相バスバの6つのバスバが設けられ、中性点用のバスバ74として、第1固定子巻線32aの中性点バスバ、第2固定子巻線32bの中性点バスバの2つのバスバが設けられている。なおここでは、各固定子巻線32a,32bにおいて中性点が1つずつ設けられた構成を例示している。
図14(a)は、各相用のバスバ73として1つのバスバの構成を示す斜視図である。各相用のバスバ73は、全体として円弧状をなしており、その両端にはそれぞれ径方向に延びるアーム部73aが設けられるとともに、各アーム部73aの先端部には、各相の相巻線に接続される巻線接続部73bが設けられている。また、円弧部分には、相ごとに電力の入出力が行われる電力端子部73cが設けられている。図13に示すように、各相のバスバ73では、それぞれアーム部73aの径方向の長さや、電力端子部73cの周方向の位置が相違している。
また、図14(b)は、中性点用のバスバ74として1つのバスバの構成を示す斜視図である。中性点用のバスバ74は、全体として円弧状をなしており、その長手方向の複数箇所(本実施形態では6箇所)に径方向に延びるアーム部74aが設けられるとともに、各アーム部74aの先端部には、各相の相巻線の中性点側端部に接続される中性点接続部74bが設けられている。
図15は、バスバホルダ72の構成を示す斜視図である。バスバホルダ72は、例えば絶縁性の樹脂材料よりなり、円環状に形成されている。バスバホルダ72は、周方向に弧状に延びる複数の溝部72aを有している。これら複数の溝部72aは、径方向内外に多層に形成されており、各溝部72aに、バスバ板面が径方向に互いに対向するようにして各バスバ73,74が組み付けられるものとなっている。また、バスバホルダ72の上面には複数の突出部72bが設けられている。この突出部72bは、各バスバ73,74のアーム部73a,74aを支持する支持部であり、各アーム部73a,74aの位置に応じて周方向に分散させて各々設けられている。
バスバホルダ72の外縁部、すなわち各溝部72aの径方向外側には、軸方向(図の上下方向)に貫通する複数の貫通孔72cが設けられている。この貫通孔72cは、各相巻線の導線端部である引出部、すなわち図10(a)等に示す引出部H11,H12,H21,H22を挿通させる挿通孔である。本実施形態では、バスバモジュール70において導線接続部である貫通孔72cがバスバホルダ72の外縁部に集約して設けられている。また、バスバホルダ72には、バスバモジュール70を固定子コア31に組み付けるための複数の組み付け部72dが設けられている。
図16は、固定子30においてバスバモジュール70を組み付けた状態を示す斜視図である。図16では、固定子コア31の軸方向一端の側に、固定子コア31と同軸の状態でバスバモジュール70が組み付けられている。
各相巻線の導線端部である引出部は、バスバホルダ72の貫通孔72cに挿通された状態で、バスバホルダ72の上面側にて各バスバ73,74にそれぞれ接続されている。具体的には、各相巻線の導線端部と各バスバ73,74の接続部73b,74bとが溶接等により接合されている。これにより、各固定子巻線32a,32bにおいて各相の相巻線が所望の形態で互いに接続されるものとなっている。また、各相用のバスバ73の電力端子部73cには、相ごとに電力線75が接続されている。
ところで、回転電機では、トルクリプルに基づく騒音や振動が問題となっている。トルクリプルは、主に6次高調波成分又は12次高調波成分が主要成分となるため、これらの抑制することが望ましい。そこで、上記構成のモータ10を用い、制御装置50において以下のような制御が行われるとよい。
上記構成のモータ10では、
・各ティース群の第1ティース(T3,T6,T9,T12,T15,T18)に、第1固定子巻線32aにおけるU相、V相、W相の各部分巻線(第1コイル体)が巻回され、
・各ティース群の第2ティース(T2,T5,T8,T10,T14,T17)に、第1,第2固定子巻線32a,32bにおけるいずれか1相ずつの部分巻線(第2コイル体)が巻回され、
・各ティース群の第3ティース(T1,T4,T7,T10,T13,T16)に、第2固定子巻線32bにおけるX相、Y相、Z相の各部分巻線(第3コイル体)が巻回されている。
そしてかかる構成において、制御装置50が、各相の第1コイル体の起磁力に対する各相の第2コイル体の起磁力の各位相差と、各相の第2コイル体の起磁力に対する各相の第3コイル体の起磁力の各位相差と、が電気角で20度を含む所定の位相範囲内となるように、又は、各相の第1コイル体の起磁力に対する各相の第3コイル体の起磁力の各位相差と、各相の第3コイル体の起磁力に対する各相の第2コイル体の起磁力の各位相差と、が電気角で20度を含む所定の位相範囲内となるように、第2ティースに巻回される第1固定子巻線32aの部分巻線により発生する起磁力と当該第2ティースに巻回される第2固定子巻線32bの部分巻線により発生する起磁力との合算位相差を設定する。合算位相差は、例えば電気角で72~88度の範囲で設定されるとよい。若しくは、制御装置50は、第2ティースに巻回される第1固定子巻線32aの部分巻線に流れる電流と当該第2ティースに巻回される第2固定子巻線32bの部分巻線に流れる電流との合算位相差を設定する。なお、本制御の詳細は、本願出願人の出願による特許第7103299号公報に詳細に記載されている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
固定子コア31の同一のティース34に、固定子巻線32として互いに異相となる第1巻線101と第2巻線102とが巻回される構成では、これら各巻線101,102の端末処理(コイルエンドでの端末処理)が複雑化することが懸念される。また、先巻きの第1巻線101の巻き始め端部及び巻き終わり端部が、後巻きの第2巻線102が巻回される際の邪魔になることが懸念される。この点、第1巻線101及び第2巻線102が巻回されるティース34の第1端部34aから径方向の中間位置までの第1範囲R1で、ティース34に対して導線材を多重に重ねて第1巻線101が巻回されることにより、ティース34の径方向片側に寄せて第1巻線101を配置することができ、ひいては、第1巻線101における導線材の端部(巻き始め端部及び巻き終わり端部)を、ティース34の第1端部34a側に好適に集約させることができる。これにより、先巻きの第1巻線101の巻き始め端部及び巻き終わり端部が、後巻きの第2巻線102が巻回される際の邪魔になるといった不都合を抑制できる。また、ティース34の第2端部34bから第1巻線101に重複する位置までの第2範囲R2で第2巻線102が巻回されることにより、ティース34において第1巻線101が巻回されていない空き領域を用いつつ、第1巻線101に重ねた状態で第1端部34aに近づけて第2巻線102を巻回させることができる。これにより、第2巻線102についても、導線材の端部を第1端部34aに近づけることができる。その結果、同一ティースにおいて第1巻線101及び第2巻線102を好適に巻回させることができる。
第1巻線101を、ティース34の第1端部34aを巻き始め位置とし、かつ巻き始め位置の導線材に重なる位置を巻き終わり位置として巻回する構成としたため、ティース34の径方向片側に寄せて第1巻線101を配置する上で好適な構成を実現できる。また、第2巻線102の巻き始め位置を、第1巻線101の巻き始め位置よりも、ティース34の径方向両端の間のティース中央寄りの位置としてティース中央に向けて巻回するようにしたため、第1巻線101の端部との干渉を回避しつつ第2巻線102を好適に巻回させることができる。
導線材として丸線を用いた構成では、千鳥配置により第1巻線101及び第2巻線102を巻回することで占積率の向上を図ることができる。また、丸線の千鳥配置構造によれば、第2巻線の巻き始め位置として径方向の位置ずらしが比較的容易となり、第2巻線102の巻き始め位置を、第1端部43aから導線材の1巻き分だけ離すといった構成を容易に実現できる。これにより、第2巻線について第1巻線の端部との干渉回避を好適に実現することができる。
また、第2巻線102を、ティース34の第1端部34a側を巻き始めとするとともに、第2端部34bで折り返すことで、ティース34に対して導線材を多重に重ねて巻回させる構成とした。これにより、第2巻線102についても、第1巻線101と同様に、導線材の巻き始め及び巻き終わりを、ティース34の第1端部34a側に集約させることができる。したがって、固定子巻線32を構成する複数の第1巻線101どうしを接続したり、複数の第2巻線102どうしを接続したり、第1巻線101及び第2巻線102を接続したりする際の端末処理の作業性を向上させることができる。
固定子コア31において、周方向に3連続となる第1~第3ティースのうち、第1,第2ティースに第1相巻線C1を連続して巻回するとともに、第2,第3ティースに第2相巻線C2を連続して巻回する構成とした。そしてかかる構成において、第1相巻線C1の一端及び他端がそれぞれ、第1ティース及び第2ティースの径方向両端のうちバックヨーク33側の端部から引き出される一方、第2相巻線C2の一端及び他端がそれぞれ、第3ティース及び第2ティースの径方向両端のうちバックヨーク33側の端部から引き出されるようにした(図10(a),(b)参照)。これにより、3つのティース34を一組としつつ、各相巻線における導線端部の電源側への接続や中性点の接続を好適に実施することができる。また、先巻き巻線である第1相巻線C1を、第1ティースと第2ティースとの間で、バックヨーク33に沿って周方向に延びる渡り部H13により連続させる構成としたため、ティース単位で生じる複数の導線端部を、全てバックヨーク33側で処理する構成となっている。
第1相巻線C1が周方向に隣り合う第1ティースA1及び第2ティースA2に対して連続して巻回される構成では、第2ティースA2に巻回される第1巻線101において、第1ティースA1側から延びる渡り部H13が巻き始め端部となり、その反対側が巻き終わり端部となる。この場合、絶縁部材63,64においてバックヨーク33側に設けられた起立部を63b用いて、第1巻線101の巻き始め端部(渡り部H13)及び巻き終わり端部を保持するようにした。これにより、第1巻線101の巻き始め端部及び巻き終わり端部をバックヨーク33側で保持しつつ、第2巻線102の巻回時に邪魔になることを好適に回避できる。
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
・ティース群Gの中央のティースA2(ティース34)において第1端部34aから径方向の中間位置までの第1範囲R1で第1巻線101が巻回される構成では、巻線巻き工程において第1巻線101の巻き崩れが懸念される。そこで、第1巻線101の巻き崩れを抑制するための構成として以下の構成を有していてもよい。
図17に示すように、ティース34には、第1巻線101が巻回される第1範囲R1において反第1端部側の境界位置に、径方向に直交し、かつティース表面から離れる向きに延びる突起部81が設けられているとよい。つまり、径方向において、第1巻線101と第2巻線102との境界部となる位置に突起部81が設けられている。突起部81は、例えば絶縁部材63,64に一体成形され、ティース表面側から軸方向及び周方向の少なくともいずれかの向きに延びるように設けられているとよい。ただし、ティース34において電磁鋼板により突起部81が形成されていてもよい。上記構成によれば、ティース34の第1端部34aから径方向の中間位置までの第1範囲R1で第1巻線101が巻回される構成であっても、第1巻線101の巻き崩れを好適に抑制することができる。
また、図18(a),(b)に示す構成では、絶縁部材63,64においてティース34の軸方向端面に被せられた被せ部63a,64aに、第1範囲R1と第1範囲R1以外とで軸方向の厚さ寸法を相違させるための段差部82が設けられている。この場合、第1範囲R1は、ティース34における第1巻線101の巻回範囲であり、その第1範囲R1において被せ部63a,64aの軸方向の厚さ寸法が小さくなっている。分割コア61においてコイルサイドCSの軸方向端面との関係でいえば、第1範囲R1では、その第1範囲以外よりもコイルサイドCSの軸方向端面からの高さ寸法が小さくなっている。被せ部63a,64aにおいて、第1範囲R1の部位が「第1絶縁部」に相当し、第1範囲R1以外の部位が「第2絶縁部」に相当する。
上記構成では、分割コア61において第1巻線101が巻回される第1範囲R1とその第1範囲以外とを段差状に形成することにより、第1巻線101の巻き崩れを抑制することができる。また、ティース34において第1範囲R1では、第1巻線101及び第2巻線102の両方が積層状態で巻回され、第1範囲R1以外の部位では第2巻線102のみが巻回されることを併せ考えると、第1範囲R1において他よりも過剰に軸長寸法が大きくなることを抑制し、ティース34の径方向において巻線軸長寸法の均等化を図ることができる。
なお、軸方向両側の各絶縁部材63,64に段差部82を設ける構成に代えて、軸方向両側のうちいずれか一方の絶縁部材63,64に段差部82を設ける構成とすることも可能である。
また、図19(a)に示すように、絶縁部材63の被せ部63aにおいて、第1範囲R1に相当する部位を、バックヨーク33側(図の右側)ほど低くなる傾斜部83としてもよい。この場合、第1巻線101をバックヨーク33側の起立部63bに寄せた状態で巻回することができ、第1巻線101の巻き崩れを抑止できる。
図19(b)に示すように、絶縁部材63の被せ部63aにおいて、第1巻線101及び第2巻線102が巻回される全域を、バックヨーク33側(図の右側)ほど低くなる傾斜部83とすることも可能である。なお、図18(a),(b)の構成、図19(a),(b)の構成において、図17に示すように第1範囲R1の境界位置に突起部81を設けた構成を組み合わせることも可能である。例えば、絶縁部材63,64において、その周方向側面から周方向に向けて突起部81が設けられているとよい。
・固定子巻線32において、導線材として、複数の線材を並列にした導線材を用い、その導線材をティースに巻回する構成としてもよい。この場合、導線材の細線化により、第1巻線101の巻き崩れを抑制することができる。
・上記実施形態では、先巻き巻線である第1相巻線C1において、第1ティース→第2ティースの順で部分巻線を巻回する構成としたが、これを変更し、第2ティース→第1ティースの順で部分巻線を巻回する構成としてもよい。また、上記実施形態では、後巻き巻線である第2相巻線C2において、第3ティース→第2ティースの順で部分巻線を巻回する構成としたが、これを変更し、第2ティース→第3ティースの順で部分巻線を巻回する構成としてもよい。
・上記実施形態では、図7(a)に示すように、第1固定子巻線32aにおいて、各相の部分巻線U1~U4,V1~V4,W1~W4を2つずつに分けて星形結線により接続する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、図20(a)に示すように、各相の部分巻線U1~U4,V1~V4,W1~W4を直列接続し、それら3相の直列接続体を星形結線により接続する構成としてもよい。第2固定子巻線32bについても同様に、図20(b)に示すように、各相の部分巻線X1~X4,Y1~Y4,Z1~Z4を直列接続し、それら3相の直列接続体を星形結線により接続するとよい。
各固定子巻線32a,32bにおいて、星形結線(Y結線)に代えて、Δ結線により各相の相巻線を接続することも可能である。
・固定子コア31において、各分割コア61は複数個ずつのティース34を有するものであってもよい。例えば、分割コア61は3つのティース34を有するものであるとよい。また、固定子コア31は、分割コア構造でない構成、すなわち周方向に分割不可な一体の円環状をなす構成であってもよい。
・固定子コア31のティース数は18以外であってもよい。ただしこの場合、ティース数は3×n個であるとよい。
・上記実施形態では、固定子巻線32が、第1固定子巻線32aと第2固定子巻線32bとを有し、合計6相の相巻線を有する構成としたが、これを変更し、固定子巻線32が3相一組の相巻線を有する構成であってもよい。
・回転電機は、インナロータ式の回転電機に代えて、アウタロータ式の回転電機であってもよい。アウタロータ式の回転電機では、固定子コア31においてバックヨーク33が径方向内側となり、そのバックヨーク33から径方向外側に向けて延びるようにティース34が設けられている。この場合、第1巻線101の巻き始め端部及び巻き終わり端部、並びに第2巻線102の巻き始め端部及び巻き終わり端部を、ティース34において径方向内側の基端側(バックヨーク33側)に集約させるとよい。
上述の実施形態から抽出される技術思想を以下に記載する。
[構成1]
円環状をなすバックヨーク(33)と、そのバックヨークから径方向に延び周方向に所定間隔で設けられた複数のティース(34)とを有する固定子コア(31)と、
前記ティースに導線材が集中巻により巻回されてなる多相の固定子巻線(32)と、を有する固定子(30)であって、
前記複数のティースのうち所定のティースに、前記固定子巻線として、互いに異相となる第1巻線(101)と第2巻線(102)とが巻回されており、前記第1巻線は、前記ティースに対して先に巻回された巻線であり、前記第2巻線は、前記ティースに対して後から巻回された巻線であり、
前記第1巻線及び前記第2巻線が巻回される前記ティースにおいて、径方向一方の側の第1端部から径方向の中間位置までの第1範囲で、当該ティースに対して前記導線材を多重に重ねて前記第1巻線が巻回されるとともに、径方向他方の側の第2端部から前記第1巻線に重複する位置までの第2範囲で前記第2巻線が巻回されており、
前記第1巻線は、前記導線材の巻き始め端部及び巻き終わり端部を前記第1端部側の位置にして巻回され、前記第2巻線は、その一部が前記第1巻線の上に重なるようにして巻回されている、固定子。
[構成2]
前記第1巻線は、前記第1端部を巻き始め位置とし、かつ当該巻き始め位置の前記導線材に重なる位置を巻き終わり位置として巻回されており、
前記第2巻線は、前記第1巻線の巻き始め位置よりも、前記ティースの径方向両端の間のティース中央寄りの位置を巻き始め位置とし、その巻き始め位置から前記ティース中央に向けて巻回されている、構成1に記載の固定子。
[構成3]
前記導線材は横断面が円形状の丸線であり、前記第1巻線及び前記第2巻線は、前記導線材の千鳥配置により前記ティースに巻回されており、
前記第2巻線は、前記第1端部から、前記導線材の1巻き分のスペースを離した位置を巻き始め位置として巻回されている、構成2に記載の固定子。
[構成4]
前記第2巻線は、前記ティースにおいて、前記第1端部側を巻き始めとするとともに、前記第2端部で折り返すことで、前記ティースに対して前記導線材が多重に重ねて巻回されている、構成2又は3に記載の固定子。
[構成5]
前記ティースには、前記第1巻線が巻回される前記第1範囲において反第1端部側の境界位置に、径方向に直交し、かつティース表面から離れる向きに延びる突起部(81)が設けられている、構成1~4のいずれか1つに記載の固定子。
[構成6]
前記ティースには、その軸方向端部に絶縁部材(63,64)が取り付けられ、前記ティースとの間に前記絶縁部材を介在させた状態で前記第1巻線及び前記第2巻線が巻回されており、
前記絶縁部材は、径方向において前記第1範囲に相当する部位である第1絶縁部と、当該第1範囲以外の部位である第2絶縁部とで軸方向の厚さ寸法が相違しており、前記第1絶縁部の方が、前記第2絶縁部よりも軸方向の厚さ寸法が小さい、構成1~5のいずれか1つに記載の固定子。
[構成7]
前記固定子巻線は、相ごとに設けられた複数の相巻線を有し、前記各相巻線は、前記ティースにそれぞれ集中巻により巻回されており、
前記固定子コアにおいて周方向に3連続となる前記ティースを第1ティース、第2ティース及び第3ティースとする場合に、前記第1ティース及び前記第2ティースに、前記複数の相巻線のうち第1相巻線(C1)が連続して巻回されるとともに、前記第2ティース及び前記第3ティースに、前記複数の相巻線のうち第2相巻線(C2)が連続して巻回され、前記第2ティースが、前記第1巻線及び前記第2巻線が巻回されたティースであり、
前記第1相巻線の一端及び他端がそれぞれ、前記第1ティース及び前記第2ティースの径方向両端のうち前記バックヨーク側の端部から引き出される一方、
前記第2相巻線の一端及び他端がそれぞれ、前記第3ティース及び前記第2ティースの径方向両端のうち前記バックヨーク側の端部から引き出されており、
前記第1相巻線及び前記第2相巻線のうち、第1相巻線が巻線巻回時において先に巻回される先巻き巻線、第2相巻線が後に巻回される後巻き巻線であり、前記第1相巻線は、前記第1ティースと前記第2ティースとの間で、前記バックヨークに沿って周方向に延びる渡り部(H13)により連続している、構成1~6のいずれか一項に記載の固定子。
[構成8]
前記固定子コアの軸方向端部には、前記ティースと前記固定子巻線とを絶縁する絶縁部材(63)が設けられており、
前記絶縁部材は、前記ティースにおける前記バックヨーク側に軸方向に延びるように設けられた起立部(63b)を有しており、
前記起立部には、前記第2ティースに巻回される前記第1巻線の巻き始め端部及び巻き終わり端部のうち一方の端部である前記渡り部と、他方の端部とを保持する保持部(65a,65b)が設けられている、構成7に記載の固定子。
30…固定子、31…固定子コア、32…固定子巻線、33…バックヨーク、34…ティース、101…第1巻線、102…第2巻線。

Claims (8)

  1. 円環状をなすバックヨーク(33)と、そのバックヨークから径方向に延び周方向に所定間隔で設けられた複数のティース(34)とを有する固定子コア(31)と、
    前記ティースに導線材が集中巻により巻回されてなる多相の固定子巻線(32)と、を有する固定子(30)であって、
    前記複数のティースのうち所定のティースに、前記固定子巻線として、互いに異相となる第1巻線(101)と第2巻線(102)とが巻回されており、前記第1巻線は、前記ティースに対して先に巻回された巻線であり、前記第2巻線は、前記ティースに対して後から巻回された巻線であり、
    前記第1巻線及び前記第2巻線が巻回される前記ティースにおいて、径方向一方の側の第1端部から径方向の中間位置までの第1範囲で、当該ティースに対して前記導線材を多重に重ねて前記第1巻線が巻回されるとともに、径方向他方の側の第2端部から前記第1巻線に重複する位置までの第2範囲で前記第2巻線が巻回されており、
    前記第1巻線は、前記導線材の巻き始め端部及び巻き終わり端部を前記第1端部側の位置にして巻回され、前記第2巻線は、その一部が前記第1巻線の上に重なるようにして巻回されている、固定子。
  2. 前記第1巻線は、前記第1端部を巻き始め位置とし、かつ当該巻き始め位置の前記導線材に重なる位置を巻き終わり位置として巻回されており、
    前記第2巻線は、前記第1巻線の巻き始め位置よりも、前記ティースの径方向両端の間のティース中央寄りの位置を巻き始め位置とし、その巻き始め位置から前記ティース中央に向けて巻回されている、請求項1に記載の固定子。
  3. 前記導線材は横断面が円形状の丸線であり、前記第1巻線及び前記第2巻線は、前記導線材の千鳥配置により前記ティースに巻回されており、
    前記第2巻線は、前記第1端部から、前記導線材の1巻き分のスペースを離した位置を巻き始め位置として巻回されている、請求項2に記載の固定子。
  4. 前記第2巻線は、前記ティースにおいて、前記第1端部側を巻き始めとするとともに、前記第2端部で折り返すことで、前記ティースに対して前記導線材が多重に重ねて巻回されている、請求項2に記載の固定子。
  5. 前記ティースには、前記第1巻線が巻回される前記第1範囲において反第1端部側の境界位置に、径方向に直交し、かつティース表面から離れる向きに延びる突起部(81)が設けられている、請求項1に記載の固定子。
  6. 前記ティースには、その軸方向端部に絶縁部材(63,64)が取り付けられ、前記ティースとの間に前記絶縁部材を介在させた状態で前記第1巻線及び前記第2巻線が巻回されており、
    前記絶縁部材は、径方向において前記第1範囲に相当する部位である第1絶縁部と、当該第1範囲以外の部位である第2絶縁部とで軸方向の厚さ寸法が相違しており、前記第1絶縁部の方が、前記第2絶縁部よりも軸方向の厚さ寸法が小さい、請求項1に記載の固定子。
  7. 前記固定子巻線は、相ごとに設けられた複数の相巻線を有し、前記各相巻線は、前記ティースにそれぞれ集中巻により巻回されており、
    前記固定子コアにおいて周方向に3連続となる前記ティースを第1ティース、第2ティース及び第3ティースとする場合に、前記第1ティース及び前記第2ティースに、前記複数の相巻線のうち第1相巻線(C1)が連続して巻回されるとともに、前記第2ティース及び前記第3ティースに、前記複数の相巻線のうち第2相巻線(C2)が連続して巻回され、前記第2ティースが、前記第1巻線及び前記第2巻線が巻回されたティースであり、
    前記第1相巻線の一端及び他端がそれぞれ、前記第1ティース及び前記第2ティースの径方向両端のうち前記バックヨーク側の端部から引き出される一方、
    前記第2相巻線の一端及び他端がそれぞれ、前記第3ティース及び前記第2ティースの径方向両端のうち前記バックヨーク側の端部から引き出されており、
    前記第1相巻線及び前記第2相巻線のうち、第1相巻線が巻線巻回時において先に巻回される先巻き巻線、第2相巻線が後に巻回される後巻き巻線であり、前記第1相巻線は、前記第1ティースと前記第2ティースとの間で、前記バックヨークに沿って周方向に延びる渡り部(H13)により連続している、請求項1~6のいずれか一項に記載の固定子。
  8. 前記固定子コアの軸方向端部には、前記ティースと前記固定子巻線とを絶縁する絶縁部材(63)が設けられており、
    前記絶縁部材は、前記ティースにおける前記バックヨーク側に軸方向に延びるように設けられた起立部(63b)を有しており、
    前記起立部には、前記第2ティースに巻回される前記第1巻線の巻き始め端部及び巻き終わり端部のうち一方の端部である前記渡り部と、他方の端部とを保持する保持部(65a,65b)が設けられている、請求項7に記載の固定子。
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