以下、本開示に係る加熱調理器の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。また、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本開示を限定するものではない。方向を表す用語としては、例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」又は「後(背面)」等が挙げられる。なお、加熱調理器は、複数種類の加熱手段を有する複合加熱調理器を含む。
実施の形態1.
本実施の形態1において、「第1の加熱手段」HM1とは、後述するトッププレート2A上にある被加熱物を加熱するための加熱源である。第1の加熱手段HM1として代表的には誘導加熱コイルがある。誘導加熱コイル(IHコイル)の代表的なものとして、0.1mm~0.3mm程度の細い銅線又はアルミ線を30本程度束にして、この束を複数本撚りながら渦巻状に巻いて構成したものがある。また、誘導加熱コイルとして、0.05mm程度のものを1000本~1500本程度巻いて構成したものもある。また、誘導加熱コイルとして、平板状の導電材料で、環状に形成した環状導電体で構成する提案もある。これらのいずれの形態も、誘導加熱源9の主要部となる「IHコイル」に相当する。
本実施の形態1において、「第2の加熱手段」HM2とは、後述する加熱室6の内部に収容した被加熱物を加熱するための加熱源をいう。第2の加熱手段HM2は、高温の蒸気、例えば過加熱蒸気等を供給する蒸気発生器、即ち、ボイラーでも良い。本実施の形態1では、マイクロ波加熱源にはマイクロ波発振装置であるマグネトロンが使用されているが、マイクロ波発振器等、マイクロ波発振原理又は方式に制限はない。また、加熱調理器1は、加熱源を複数個備えても良い。
本実施の形態1において「第3の加熱手段」HM3とは、第2の加熱手段HM2との差異を示すために「第3」と称しているが、優劣関係を意味していない。また、本実施の形態1では、輻射式電熱源、例えばシーズヒーター、マイカヒーター、カーボンヒーター、セラミックヒーター、赤外線ヒーター又はラジアントヒータ等を用いた加熱源を使用しているが、他の形態又は方式で発熱する加熱源を使用してもよい。第3の加熱手段HM3は、1つの加熱室6において加熱調理ができるものをいう。
電気ヒーター等から構成した加熱源及びガス燃焼器(バーナー)のように、異なる加熱原理を有する複数の加熱源を併用する形態でも良い。また、加熱室6を加熱する加熱源として、誘導加熱源9を使用しても良い。また、加熱源は、高温の蒸気、例えば過加熱蒸気等を供給する蒸気発生器、即ちボイラーでも良い。さらに、第3の加熱手段HM3は、加熱室6の壁面を、外側から加熱する加熱源でもよいし、加熱室6の内部空間に設置し、当該内部空間の雰囲気を高温にする加熱源でも良い。また、誘導加熱方式で高温になる発熱部材を加熱室6に配置し、この発熱部材で加熱室6の壁面を外側から加熱したり、又は加熱室6内部の空気を加熱したりする形態であっても良い。
(システム構成と本体構成)
図1は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理システムを示す模式図である。加熱調理システム1aは、加熱調理器1と、加熱調理器1との間で無線通信を行う機能を有する音声入力が可能なスマートスピーカー等の外部通信機器200と、制御装置201とを備えている。制御装置201はクラウドサーバー300からの通信や情報の管理や使用者からの入力された音声をクラウドサーバー300へ通知するためのデータ変換などを行っている。また、外部通信機器200には使用者の音声の入力するための音声入力部(図示せず)と音声を出力するための音声出力部(図示せず)を備えている。なお、外部通信機器200は、例えば情報処理端末機器であり、スマートスピーカーの他、通信機能付きタブレット端末機器又はスマートフォンなどの携帯端末機器でも良い。
クラウドサーバー300に備えられるレシピ情報提供サーバー301は、外部通信機器200とレシピ情報のやり取りを行うもので、外部通信機器200とレシピ情報提供サーバー301とは、インターネット回線等のネットワーク202で接続される。ここで、レシピ情報提供サーバー301には、レシピ提供サイトが含まれる。なお、レシピ提供サイトには、レシピデータベース302が含まれる。また、レシピ情報提供サーバー301と加熱調理器1とは、インターネット回線等のネットワーク203で接続される。なお、外部通信機器200と、クラウドサーバー300との間には、無線ルータ(図示せず)を介在させても良い。同様に、加熱調理器1とクラウドサーバー300との間には、無線ルーター(図示せず)を介在させても良い。レシピ情報提供サーバー301には加熱調理器1の加熱設定データも含まれており、後述する、外部通信機器200から加熱調理器1へ設定可能な加熱条件などが記録されている。
加熱調理システム1aは、外部通信機器200において使用者が作成したレシピに対応した調理条件データ(図示せず)を、レシピ情報提供サーバー301に送信して、レシピデータベース302に一旦格納させ、加熱調理器1向けに提供することができる。即ち、加熱調理器1が設置された家屋から遠く離れた外出先等の場所に外部通信機器200が存在している場合、外部通信機器200の調理条件データ(図示せず)を、レシピ情報提供サーバー301に保存しておくことができるため、利便性が高い。
加熱調理器1は、レシピ情報提供サーバー301との間のネットワーク203を通じて、レシピ情報提供サーバー301に蓄積されている特定のレシピに対応した調理条件データ(図示せず)をダウンロードする。
使用者は、初期設定として加熱調理器1の機種名等といった識別情報を登録する操作を行う。この登録によって、使用者は、各加熱手段HM1~HM3の加熱能力等といった加熱調理器1の仕様に対応した調理条件データ(図示せず)を、レシピ情報提供サーバー301から取得することができる。クラウドサーバー300には、ネットワーク203を用いた通信の制御や加熱調理器1や外部通信機器200がレシピ情報提供サーバー301にアクセスする際の管理などを行うクラウド制御部303がある。
図2は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の一例を示す外観斜視図、図3は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器が組み込まれる厨房家具(システムキッチン)の一例を示す外観斜視図、図4は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器を厨房家具(システムキッチン)に組み込む一例を示す模式図、図5は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器が厨房家具(システムキッチン)に組み込まれた状態を示す外観斜視図、図6は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器を上方から見た状態を示す外観平面図、図7は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の左表示部、左火力表示部及び左操作部を示す模式図、図8は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の中央操作部を示す模式図、図9は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の右表示部、右火力表示部及び右操作部を示す模式図、図10は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の制御部を示す機能ブロック図、図11は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器を前方から見た状態を示す外観正面図、図12は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器を右側方から見た状態を示す外観側面図、図13は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器を後方から見た状態を示す外観背面図、図14は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器を後下方から見た状態を示す外観斜視図、図15は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の天板を外した状態を上方側から見た図、図16は、図5に示す加熱調理器の切断線A-Aで切断した右側方から見た断面図、図17は、図5に示す加熱調理器の切断線B-Bで切断した右側方から見た断面図、図23は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の中央操作部の操作手順の一例を示す模式図、図24は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の中央操作部の操作手順の他の一例を示す模式図である。
加熱調理器1は、図3に示す上部に調理台(カウンタートップと称する場合もある)500Aを備えた厨房家具(システムキッチンと称する場合もある)500、即ち厨房家具500に組み込まれて使用されるビルトイン式の組込み型IHクッキングヒーターである。加熱調理器1は、本体3と、本体3の上に設置された天板2とを有する。
天板2は、厨房家具500の天面を構成する調理台500Aの上に露出している。天板2は、例えば、耐熱性のガラス板で形成されたトッププレート2Aと、トッププレート2Aの周囲に取り付けられた金属で枠状に形成された枠体2Bとによって構成される。トッププレート2Aの上面には、図6に示すように左加熱口2Lと中央加熱口2Mと右加熱口2Rの3つの加熱口が設けられている。
左加熱口2Lと中央加熱口2Mと右加熱口2Rは、鍋又はフライパン等の金属製調理容器が載置される領域を示すものである。金属製調理容器は、第1の加熱手段HM1に関する「被加熱物」ともいう。左加熱口2Lと中央加熱口2Mと右加熱口2Rには、それぞれに被加熱物を載置するための目安となる案内マーク(図示せず)が、トッププレート2Aの上面に印刷で描かれている。
天板2の奥側である後方側には、排気口カバー5が設けられている。排気口カバー5は、小さな貫通孔を無数に形成したパンチングメタル又は格子状の金属部材で構成されていて、全体に亘って通気性があり、通気抵抗を少なくしている。加熱調理器1の内部から放出される排気は、排気口カバー5を通過して加熱調理器1の外へ出る。後段で説明するが、加熱調理器1の内部から放出される排気は、加熱調理器1の内部に設けられている高温になる部品などを冷却した冷却風が排出されるものである。
図6に示すように、加熱調理器1の天板2の上面の手前側には、左操作部15L、中央操作部15M及び右操作部15Rが設けられている。これらを総称して「操作部」又は「入力操作部」と呼ぶ場合があり、その場合の符号は15を用いる。左操作部15L、中央操作部15M及び右操作部15Rの奥側である後方側には、左火力表示部17L、中央表示部16M及び右火力表示部17Rと、左表示部16L及び右表示部16Rと、が設けられている。
左表示部16L、中央表示部16M及び右表示部16Rの3つを総称して「表示部」と呼ぶ場合があり、その場合は、符号は16を用いる。なお、中央表示部16Mは、横方向に長い液晶表示画面を有している。左火力表示部17Lと右火力表示部17Rとは、発光素子(LED等)によって火力レベルを表示するものであり、表示画面は備えていない。
また、右操作部15Rに隣接して、主電源スイッチ20(図10参照)の操作用ボタン20Aが設けられている。主電源スイッチ20は、加熱調理器1の主電源をON又はOFFする。そのON-OFFの際に押下げされるボタンが操作用ボタン20Aである。本開示の実施の形態では、操作用ボタン20Aは、静電容量方式のタッチ式ボタンである。加熱調理器1の主電源がOFFの状態で、操作用ボタン20Aが例えば数秒間タッチされることにより、主電源がONとなる。また、加熱調理器1の主電源がONの状態で、操作用ボタン20Aが例えば数秒間タッチされることにより、主電源がOFFとなる。なお、操作用ボタン20Aは、静電容量方式のタッチ式ボタンに限定されるものではなく、機械式の操作用ボタンでもよい。
中央表示部16Mは、加熱調理器1全体の情報及び警報を表示するものであり、液晶ディスプレイにより構成される。中央表示部16Mの表示画面には、誘導加熱手段(第1の加熱手段)HM1、マイクロ波加熱手段(第2の加熱手段)HM2又は輻射熱加熱手段(第3の加熱手段)HM3の選択結果が表示される。さらに、中央表示部16Mの表示画面には、各加熱手段の動作状態、各加熱手段による加熱調理に対する注意情報、又は警告情報が表示される。中央表示部16Mは、ハードウエア上は1枚の液晶ディスプレイであるが、図8に示すように左側の第1表示エリア22、中央の第2表示エリア23および右側の第3表示エリア24の3つの表示エリアを有し、表示エリア毎に異なる表示を行うこともできる。
また、3つの表示エリア22~24は、表示の場面に応じて適宜連携して1つの広い面積の表示エリアになり、1つの目的の表示を行う場合もある。中央操作部15Mは、主に加熱室6における加熱調理と中央加熱口4Cによる加熱調理に関する操作を入力するものである。
図8に示すように、中央操作部15Mは、9個の入力ボタン151M、152M、153M、154M、155M、156M、157M、158M、159Mを備える。9個の入力ボタン151M~159Mは、静電容量方式のタッチ式ボタンである。また、これら入力ボタン151M~159Mの近傍には、それぞれ個別発光部21Mが設けられている。機能設定に用いられる入力ボタン159Mは、加熱調理器1全体の各種動作及び表示等を、使用者の希望通りに設定できるようにするためのものである。
機能設定する入力ボタン159Mが押下されると、後述する加熱調理器制御部40は「機能モード」に切り替わり、中央表示部16Mの表示画面に以下のような「機能設定メニュー」(図示せず)を表示する。なお、これらは一例でありこの他にも設定項目を表示するようにしてもよいし、これらより少ない設定項目を表示するようにしてもよい。
(1)チャイルドロック設定(各種入力ボタンの操作無効化設定)。
(2)換気扇連動モード設定。
(3)お掃除ガイド設定(加熱室6及び排気口カバー5の清掃時期自動報知機能設定)。
(4)ピークカット設定(最大消費電力を、5700W、5000W、4800W及び4000Wの4段階から1つ選択)。
(5)音声ガイドの音声設定。
(6)音声ガイドの音量設定。
(7)加熱室6からの被調理物、調理器具等の出し忘れを防止する設定(音声報知部50及び中央表示部16Mでの警報の要否)。
(8)HEMS登録設定(家庭用電力制御装置による電力使用制限機能に関する設定)。
以上のような設定について、中央操作部15Mを操作することによって各種設定を変更することができる。
図7は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器1の左表示部16L、左火力表示部17L及び左操作部15Lを示す模式図である。図7に示すように、左表示部16Lは、左加熱口4Lにおける加熱調理に関する情報を表示するものであり、例えば液晶ディスプレイで構成される。左表示部16Lは、左加熱口4L上に載置された被加熱物に対するタイマー調理の設定時間、左加熱口4Lでの加熱動作を開始してからの経過時間、又はタイマー設定時間が終了するまでの残時間等を表示する。
左表示部16Lは、左加熱口4Lにおける予熱調理が選択された場合には、自動的に設定された温度であるデフォルト温度、又は現在の温度等を表示する。自動的に設定された温度であるデフォルト温度とは、左加熱口4Lにおいて被加熱物、例えば、金属製鍋を加熱したときにおける被加熱物の底面の目標の温度をいう。デフォルト温度は、使用者によって一定の範囲内で任意に変更することができる。
左火力表示部17Lは、横一直線上に配置した複数の発光素子であるLEDから構成され、左加熱口4Lの火力を複数段階に表示するものである。左火力表示部17Lは、複数のLEDの点灯状態、例えば点灯、消灯、又は点滅を切り替えたり、点灯色を切り替えたりすることにより、火力を表現する。これにより、使用者に直感的で分かりやすい火力の報知を行うことができる。
左操作部15Lは、左加熱口4Lにおける加熱調理に関する操作を入力するものである。図7に示すように、左操作部15Lは、5つの入力ボタン151L、152L、153L、154L及び155Lを備える。入力ボタン151L、152L、153L、154L及び155Lは、例えば使用者が指等で軽く触れた時の静電容量の変化を利用して入力することができる静電容量方式のタッチセンサであるタッチ式スイッチである。
入力ボタン151L、152L、153L、154L及び155Lに対応して、個別発光部21Lが設けられる。個別発光部21Lは、複数の発光素子であるLEDで構成され、入力ボタン151L、152L、153L、154L及び155Lの操作に応じて発光する。なお、隣接している2つの入力ボタン154Lと155Lとは、火力の増減という同じ種類の機能を発揮するため、1つの個別発光部21Lを共用している。
入力ボタン151Lは、左加熱口4Lにおけるタイマー調理を選択する際に押下げられるボタンである。タイマー調理は、使用者が調理時間を設定し、設定された時間の間だけ加熱動作を行う調理方法である。入力ボタン152Lは、左加熱口4Lで実施する制御メニューを選択する際に押下げられるボタンである。入力ボタン152Lが押される毎に、複数の制御メニューの中から1つを選択することができる。ここでいう「制御メニュー」とは、例えば、湯沸し、煮込み及び揚げ物(自動調理)である。制御メニュー毎に、左加熱口4Lの駆動時間、火力又は駆動パターン等が異なる。
左加熱口4Lと右加熱口4Rとを、左操作部15L又は右操作部15Rを操作し、中央操作部15Mを操作しない状態で使用する制御メニューは、全て誘導加熱で行う「単独調理モード」KM1の制御メニューである。「単独調理モード」KM1については後述する。入力ボタン153Lは、左加熱口4Lにおける加熱調理を開始又は停止するために押下げられるボタンである。即ち、入力ボタン153Lが押されることにより、左加熱口4Lの下方に配置されている左IHコイル9Lが駆動される。左IHコイル9Lが駆動されている状態で、再度入力ボタン153Lが押されると、左IHコイル9Lの駆動が停止され、誘導加熱動作が即時停止される。
入力ボタン154L及び155Lは、左加熱口4Lにおける加熱調理時の火力を指定する際に押下げられるボタンである。左側にある入力ボタン154Lを押すことで、1段階ずつ火力が下げられる。逆に、右側にある入力ボタン155Lを押すことで、1段階ずつ火力が上げられる。なお、左加熱口4Lにおける誘導加熱調理時の火力は、定格最小火力(火力レベル1:150W)~定格最大火力(火力レベル9:3200W)まで、9段階になっている。
図8は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器1の中央操作部15Mを示す模式図である。図8に示すように、入力操作部15の中央操作部15Mには、個別発光部21Mと入力ボタン群で構成されている。個別発光部21Mは、それぞれの入力ボタンの入力機能が有効である場合に発光し、入力機能が無効になるまでの期間中、発光を継続する。中央操作部15Mにおいて、入力ボタン153Mの左に隣接した位置には、機能設定用の入力ボタン157Mが配置されている。
本実施の形態1では、使用者が指先等で押す操作(軽く接触する程度を含む)によって、加熱調理器1の制御を行う入力形態を「タッチ入力モード」TMと呼ぶ。このため、後述する各種入力ボタン151M~159M、151R~155R、151L~155Lは、「タッチ入力モード選択部」TMCと呼ぶ場合がある。なお、静電容量変化を利用したタッチ入力ボタンだけでなく、押しボタン式の機械的スイッチを用いた入力ボタンも、タッチ入力モード選択部TMCの1種である。
図9は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器1の右表示部16R、右火力表示部17R及び右操作部15Rを示す模式図である。図9に示すように、右表示部16Rは、右加熱口4Rにおける加熱調理に関する情報を表示するものであり、例えば液晶ディスプレイで構成される。
右表示部16Rに表示される右加熱口4Rにおける加熱調理に関する情報は、左加熱口4Lにおける加熱調理に関する情報と同じである。右火力表示部17Rは、複数の発光素子であるLEDから構成され、右加熱口4Rの火力を複数段階に表示するものである。右火力表示部17Rは、左火力表示部17Lと同様に複数の発光素子であるLEDの点灯状態、例えば点灯、消灯又は点滅を切り替えたり、点灯色を切り替えたりすることにより、火力を表現する。
右操作部15Rは、右加熱口4Rにおける加熱調理に関する操作を入力するものである。図9に示すように、右操作部15Rは、5つの入力ボタン151R、152R、153R、154R及び155Rを備える。入力ボタン151R、152R、153R、154R及び155Rは、例えば使用者が指等で軽く触れた時の静電容量の変化を利用して入力することができる静電容量方式のタッチ式ボタンである。入力ボタン151R、152R、153R、154R及び155Rに対応して、個別発光部21Rがそれぞれ設けられる。
個別発光部21Rは発光素子であるLEDであり、入力ボタン151R、152R、153R、154R及び155Rの操作に応じて、入力ボタンにそれぞれ対応した個別発光部21Rが、発光する。但し、隣接している2つの入力ボタン154R及び155Rは、火力の増減という同じ種類の機能を発揮するため、1つの個別発光部21Rを共用している。
入力ボタン151Rは、右加熱口4Rにおけるタイマー調理を選択する際に押下げられるボタンである。入力ボタン152Rは、右加熱口4Rで実施する制御メニューを選択する際に押下げられるボタンである。入力ボタン153Rは、右加熱口4Rにおける加熱調理を開始又は停止するために押下げられるボタンである。入力ボタン154R及び155Rは、右加熱口4Rにおける加熱調理時の火力を指定する際に押下げられるボタンである。左側の入力ボタン154Rを押すことで、1段階ずつ火力が下げられる。逆に、右側の入力ボタン155Rを押すことで、1段階ずつ火力が上げられる。なお、右加熱口4Rにおける誘導加熱調理時の火力は、定格最小火力(火力レベル1)150W~定格最大火力(火力レベル9)3200Wまで、9段階になっている。
図10は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器1の制御部(40)を示す機能ブロック図である。図10に示すように、加熱調理器1は、加熱調理器1の全体を統合制御する加熱調理器制御部40を備える。
加熱調理器制御部40は、加熱調理器1を構成する各部の動作を制御する制御回路等の電子部品が実装された電子回路基板であり、図15に示す操作表示基板115により制御が行われる。加熱調理器制御部40は、左操作部15L、右操作部15Rの操作、及び後段で説明する接触式温度センサー30Aや非接触式温度センサー30Bが検出したトッププレート2A上の被加熱物(図示せず)の温度に基づき、左IHコイル9L、右IHコイル9R及び中央IHコイル9Mの駆動を制御する。
また、加熱調理器制御部40は、中央操作部15Mの操作、接触式温度センサー30Aや非接触式温度センサー30Bが検出したトッププレート2A上の被加熱物の温度、後述する加熱室6内に配置された被加熱物の温度を非接触で検知する赤外線センサー30Cの検出結果、及び加熱室6内の温度を検知する図示しない温度センサーの検出結果に基づいて、以下の駆動を制御する。例えば、中央IHコイル9M、マイクロ波発振装置11、上側輻射熱加熱手段12A及び下側輻射熱加熱手段12Bの駆動である。
さらに、加熱調理器制御部40は、左操作部15L及び右操作部15Rの操作に基づき、左表示部16L、右表示部16R、左火力表示部17L及び右火力表示部17Rの表示を制御する。それから、加熱調理器制御部40は、開閉検知部10からの開放信号、左操作部15L、右操作部15R及び中央操作部15Mの操作に基づき、中央表示部16Mの表示を制御する。
加熱調理器制御部40は、加熱調理器1の制御に用いられる図示しない各種プログラム及びパラメータ等のデータと、各表示部16L、16R、16M、17L及び17Rに表示される表示画面のデータとを記憶する記憶装置41を有する。各種プログラム及びパラメータ等のデータを総称して「制御データ」と呼ぶ。表示部16L、16R、16M、17L及び17Rに表示される表示画面のデータを総称して「表示条件データ」と呼ぶ。
また、加熱調理器制御部40は、音声報知部50を必要に応じて起動し、使用者に対して加熱調理器1の動作状況を音声で伝える。前述の如く、左操作部15L、右操作部15R及び中央操作部15Mを、操作部15と呼称する場合がある。操作部15は、後述する外部通信機器200からの加熱条件の入力を受け付けるスタンバイ状態に移行するボタンを有している。
スタンバイ状態に移行するボタンとは、本開示の実施の形態1においては、例えば、図8に示す、メニューを選択するメニューボタンである入力ボタン153M及び154Mがその一例であり、電源がONした後の入力ボタン153M及び154Mの最初の操作でスタンバイ状態に移行するようになっている。
加熱調理器制御部40は、加熱制御部43の加熱調理制御に用いられる各種プログラム及びパラメータ等の情報を一定のフォーマットに纏めたデータを、記憶装置41の調理条件データ記憶部42に記憶させている。このデータが、前述した調理条件データである。「調理条件データ」と「表示条件データ」とは、通信端末器等の外部通信機器200から、加熱調理器1が個々の調理メニュー毎に取得することができる。
調理条件データ記憶部42は、「調理条件データ」と「表示条件データ」とを記憶する。なお、調理条件データ記憶部42は、記憶装置41の中の1つの区画、即ちエリアを構成するものでも良く、ハードウエア上は記憶装置41と別体に構成されても良い。
加熱制御部43は、加熱調理器1の全体の加熱動作を統合制御するものであり、マイクロコンピュータ(マイコンを主体に構成されている。データ取得部53は、通信部51を介して、外部通信機器200又はクラウドサーバー300から、「調理条件データ」を取得する。また、データ取得部53は、通信部51を介して、外部通信機器200又はクラウドサーバー300から、「表示条件データ」を取得する場合もある。通信部51は、外部と無線で通信を行うものであり、図1に示したように外部通信機器200又はクラウドサーバー300と無線通信を行う機能を有している。
電源回路57は、加熱調理器制御部40に対して一定電圧の電力を供給する。主電源スイッチ20は、電源回路57に挿入された主電源のスイッチである。
図8に示すように、メニューボタン153M及び154Mがメニュー選択の下降上昇の機能を有する。また、火力ボタン155M及び156Mが火力選択の下降上昇の機能を有する。さらに、時間ボタン157M及び158Mが時間選択の下降上昇の機能を有する。
図15に示すように、左加熱口2Lの下方には、左誘導加熱手段としての誘導加熱コイル(以下、「左IHコイル9L」という)が設けられている。同様に、右加熱口2Rの下方には、右誘導加熱手段としての誘導加熱コイル(以下、「右IHコイル9R」という)が、また、中央加熱口2Mの下方には、中央誘導加熱手段としての誘導加熱コイル(以下、「中央IHコイル9M」という)が、設けられている。
左IHコイル9L、右IHコイル9R及び中央IHコイル9Mと、これを駆動するインバーター回路等の高周波電源供給回路である駆動回路を搭載した第1インバーター基板112、第2インバーター基板113とを含めた加熱手段を、誘導加熱源9又は第1の加熱手段HM1と呼ぶ場合がある。以下の説明では、特に矛盾が起こらない限り、第1の加熱手段HM1を使用する。左IHコイル9L、右IHコイル9R及び中央IHコイル9Mにはトッププレート2A又は被加熱物の温度を検知するために、複数個の温度センサーからなる温度センサー群30(図10参照)が搭載されている。
例えば、サーミスターなどで構成される接触式温度センサー30A(図15参照)、赤外線センサーなどで構成される非接触式温度センサー30B(図15参照)などが、温度センサー群30の中の1つのセンサーを構成している。本実施の形態では、図15に示すように左IHコイル9Lと右IHコイル9Rには、2つの接触式温度センサー30Aと1つの非接触式温度センサー30B、中央IHコイル9Mには1つの接触式温度センサー30Aが搭載されている事例で説明しているが、温度センサー群30の構成はこれに限定されるものではなく、組合せや個数は適宜設定可能である。
本体1の内部であって、左IHコイル9L、右IHコイル9R及び中央IHコイル9Mの下方には、加熱室6が設けられている。加熱室6は、周囲がステンレス等の金属壁で構成されており、加熱室6内に収容される被調理物である食品及び食材等を加熱するための空間である。被調理物は、耐熱性プラスチック容器の中に入れられて加熱室6に置かれたり、磁器製の皿又は耐熱ガラス製の皿に載せられたりする。この場合、皿又は容器を「被加熱容器」と呼ぶ場合がある。
加熱室6の前面には、被調理物を出し入れするための開口が形成されている。加熱室6の前面にある開口は、加熱室扉4により開閉自在に覆われている。加熱室扉4は、本体1とヒンジ(図示せず)及びアーム(図示せず)を介して回動自在に連結、支持されている。加熱室扉4には、開閉するための取っ手4Aが設けられていて、加熱室扉4は取っ手4Aを引くと下端部を支点、即ち回動中心として前方に水平位置まで開く構成となっている。なお、加熱室扉4は、スライドレール(図示せず)によって、被加熱容器を下方から支持する支持部材(図示せず)と一体的に前方へ引き出されてもよい。支持部材は、例えば受け皿、焼き網等の構造物をいう。
加熱室扉4には、加熱室扉4の開閉を検知するための開閉検知部10(図10、図18参照)が設けられている。図18に示すように、開閉検知部10は、例えばマイクロスイッチで構成される。なお、加熱室扉4の開閉を検知できるものであればよいので、マイクロスイッチに限定されるものでなく赤外線センサーなどで構成してもよい。
加熱室6の側方で後方寄りの位置には、加熱室6内に収容される被調理物をマイクロ波で加熱するマイクロ波発振装置11が設けられている。マイクロ波発振装置11は、例えばマグネトロンから構成されており、加熱室6内にマイクロ波を放射することで、加熱室6の中に置かれた被調理物を加熱する。マイクロ波発振装置11と、これを駆動するインバーター回路を搭載したマイクロ波発振装置駆動用インバーター基板116、及びマイクロ波発振装置駆動用インバーター基板116に電源を供給する電源基板117を含めた加熱手段は、第2の加熱手段HM2と呼ぶ場合がある。
また、加熱室6には、被調理物を上下からヒーター加熱する上側輻射熱加熱手段12A、及び、下側輻射熱加熱手段12Bが設けられている。なお、上側輻射熱加熱手段12Aは、加熱室6の外側又は内側の天井壁面に配置されており、また、下側輻射熱加熱手段12Bは加熱室6の内側又は外側壁面に配置されており、共に、マイカヒーターである。他の種類の輻射熱加熱手段として、例えば、シーズヒーター又はカーボンヒーター等が加熱室6の外側に設置されても良い。図16、17では、マイカヒーターである上側輻射熱加熱手段12Aと下側輻射熱加熱手段12Bとが、いずれも加熱室6の外側壁面に密着するように設置した例を示している。
前述した電源基板117は、輻射熱加熱手段へも電源を供給している。上側輻射熱加熱手段12Aと、下側輻射熱加熱手段12B、及び電源基板117を含めた加熱手段を、第3の加熱手段HM3と呼ぶ場合がある。なお、上側輻射熱加熱手段12aと下側輻射熱加熱手段12bとを総称して「輻射熱加熱手段」と呼ぶ場合があり、その場合の符号は12を使用する。
さらに、加熱室6には、加熱室6内の被調理物の温度を非接触で検知するため、非接触式温度センサーである赤外線センサー30Cが設けられている。赤外線センサー30Cによって検知される温度範囲は、例えば-20℃~100℃に設定される。これにより、被調理物の加熱度合を、例えば1℃刻みで精度良く、リアルタイムで検出することができる。赤外線センサー30Cも、温度センサー群30(図10参照)の中の1つのセンサーを構成している。
それから、加熱室6には、加熱室6内部の雰囲気温度又は加熱室6の壁面温度を検知する室内温度センサーである図示しない接触式温度センサーも設けられている。接触式温度センサーは、温度の変化を電気抵抗の変化で捉えて温度を検知するという特性から、検知することができる温度の上限値は、250℃程度である。接触式温度センサーも、温度センサー群30(図10参照)の中の1つのセンサーを構成している。
天板2を外すと、図15に示すように、トッププレート2A下の左操作部15L、中央操作部15M、右操作部15Rに対応する位置に操作スイッチ基板131Aおよび操作スイッチ基板131Bが配置されている。操作スイッチ基板131Aと操作スイッチ基板131Bは、静電容量の変化を検出する複数の電極132を有する。
まず、天板2のトッププレート2A上の操作用ボタン20Aに所定の時間タッチすると、トッププレート2A下の操作スイッチ基板131Bの操作キーに対応する電極132により静電容量の変化が検出され、当該操作キーが入力されたことが、後述する操作表示基板115に実装された操作表示制御マイコン115Dに信号として入力され、加熱調理器1の電源が入る。
その後、トッププレート2A上の左操作部15L、中央操作部15M、右操作部15Rの何れかのキーにタッチすると、トッププレート2A下の操作スイッチ基板131A、あるいは操作スイッチ基板131Bの操作キーに対応する電極132により静電容量の変化が検出され、当該操作キーが入力されたことが、後述する操作表示基板115に実装された図示しない操作表示制御マイコンに信号として入力され、中央表示装置(主表示装置)115Mに操作内容が表示される。
図15に示すように、本体ケース101の前側寄りに操作表示基板115が収容されている。本体ケース101は、それぞれ金属で形成された左側面板101Aと右側面板101B及び底面板101CによりU字に構成されている。
操作表示基板115と操作スイッチ基板131Aおよび操作スイッチ基板131Bは、例えばフラットケーブルのような図示しない操作スイッチ基板接続線で接続されている。操作表示基板115には、トッププレート2Aの左表示部16L、中央表示部(主表示部)16M、右表示部16Rにそれぞれ対応する左表示装置115L、中央表示装置(主表示装置)115M、右表示装置115Rが実装されている。
左表示装置115L、中央表示装置(主表示装置)115M、右表示装置115RはLCD(Liquid Crystal Device)であり、中央表示装置(主表示装置)115Mは表示する情報量が多いため、フルドットのLCDとなっている。
左表示装置115L、中央表示装置(主表示装置)115M、右表示装置115Rに表示された設定情報などは、トッププレート2Aの透明部である左表示部16L、中央表示部(主表示部)16M、右表示部16Rにおいて、トッププレート2Aを透過して使用者に目視される。
本体ケース101には各種基板が収容されており、具体的には、図15に示すように前述の操作表示基板115の他、電源基板111、第1インバーター基板112、第2インバーター基板113、フィルター基板114が収容されている。なお、第1インバーター基板112は左IHコイル9L、右IHコイル9R、操作表示基板115の下方に収容されているため図15では示されないが、図16から図19に図示されている。
フィルター基板114は、外部電源から入力された商用交流電圧200Vのノイズを除去するための図示しないフィルター回路を備えている。電源基板111は、操作表示基板115などに供給される24V以下の定電圧を生成する図示しない定電圧回路を備えている。なお、本開示の加熱調理器1では、フィルター基板114と電源基板111を個別に構成した例で説明しているが、それらは一体で構成されていてもよい。
第2インバーター基板113は、中央IHコイル9Mを高周波駆動するための回路が搭載された駆動制御基板である。なお、本開示の加熱調理器1では、加熱口が3つの形態で説明しているが、加熱口は2つであってもよく、加熱口が2口の場合、中央IHコイル9Mがなくなるため、中央IHコイル9Mを高周波駆動する第2インバーター基板113は不要となる。
第1インバーター基板112は左右方向に並設されている左IHコイル9Lおよび右IHコイル9Rを高周波駆動するための回路、一般的にインバーター回路と呼ばれる回路が搭載された駆動制御基板である。
図23は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器1の中央操作部15Mの操作手順の一例を示す模式図である。図23(a)に示すように、電源がONされている状態の場合、中央表示部16Mに「電源が入っています」と表示される。このとき、第1表示エリア22から第3表示エリア24の全エリアを分けることなく全エリアに跨って「電源が入っています」と表示されており、状況や内容に応じて3つのエリア全てに跨って1つの情報を表示したり、2つのエリアに跨って表示したりして、使用者に分かりやすい表示を行っている。
そして、図23(b)に示すように、メニューボタン153M(あるいは154)を押下すると初期メニュー選択としてスタンバイ状態となり、中央表示部16Mに加熱メニュー及び設定範囲が表示される。
メニューボタン153Mあるいは154Mが押下されて、例えば「切り身」が選択されると、図23(c)に示すように、中央表示部16Mに切り身及び切り身に対応する設定範囲が表示される。火力ボタン155Mあるいは156Mが押下されて「やや強め」が選択されると、図23(d)に示すように、中央表示部16Mに切り身及びやや強めが表示される。その後、スタートボタン151Mが押下されると、調理が開始される。
図24は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器1の中央操作部15Mの操作手順の他の一例を示す模式図である。図24(a)に示すように、初期メニュー選択としてスタンバイ状態となり、中央表示部16Mに加熱メニュー及び設定範囲が表示される。メニューボタン153Mあるいは154Mが押下されて「レンジ手動」が選択されると、図24(b)に示すように、中央表示部16Mの第1表示エリア22から第3表示エリア24にレンジ手動及びレンジ手動に対応する設定範囲が表示される。
火力ボタン155Mあるいは156Mが押下されて「200W」が選択されると、図24(c)に示すように、中央表示部16Mの第1表示エリア22と第2表示エリア23にレンジ手動及び200Wが表示される。時間ボタン157Mあるいは158Mが押下されて「5分00秒」が選択されると、図24(d)に示すように、中央表示部16Mの第1表示エリア22から第3表示エリア24にレンジ手動、200W及び5分00秒が表示される。その後、スタートボタン151Mが押下されると、調理が開始される。
ここまで、入力操作部15から手動で加熱条件などを入力、設定して調理を開始する例を説明したが、図23(a)に示す電源がONされている状態から、前述のようにメニューボタン153M(あるいは154)を押下すると初期メニュー選択としてスタンバイ状態となるが、このスタンバイ状態とは、加熱調理器1がスマートスピーカーやスマートフォンなどの外部通信機器200からの入力、操作が可能な状態になることを言う。
加熱調理器1をスタンバイ状態にする操作が行われると、加熱調理器1の加熱調理器制御部40から加熱調理器1がスタンバイ状態になったとの情報が通信部51に送られ、その情報が通信部51からネットワーク203を経由してクラウドサーバー(外部通信機器)300に送信される。
クラウド制御部303はその情報を受信すると、ネットワーク202を経由して外部通信機器200に対し、外部通信機器200からの入力、操作が可能になった旨を報知する。なお、報知については、表示手段を備えた外部通信機器200であれば、その旨を表示手段に表示してもよいし、音声発出手段を備えた外部通信機器200であれば、その旨を音声で報知してもよい。
(本体内風路の構成、通信部の構成と配置)
図18は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器内部における風が通る風路を示す右側方から見た状態を示す模式断面図、図19は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器内部における風が通る風路を示す前方から見た状態を示す模式断面図、図20は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の通信部と、通信部が収容される凹部、及び関連部品の分解した状態を右側方から見た分解図、図21(a)は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の通信部と、通信部が収容される凹部、及び関連部品の分離した状態を斜め下方から見た分解斜視図、図21(b)は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の通信部が収容される凹部を構成する部品を示す斜視図、図22(a)は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の通信部を、斜め下方から見た外観斜視図、図22(b)は、本開示の実施の形態1に係る加熱調理器の通信部を分解した状態を斜め下方から見た分解斜視図である。
ネットワーク202及びネットワーク203(図1参照)を経由して、外部通信機器200からクラウドサーバー(外部通信機器)300へ送信された入力、操作情報を、クラウドサーバー(外部通信機器)300から受信し、加熱調理器1の加熱調理器制御部40へ送信する通信部51は、図13、図14、図20に示すように本体3の本体背面板102に設けた図示しない穴に、金属で形成された通信部保持ケース102Cを介して取り付けられている。通信部保持ケース102Cは本件発明の凹部を構成するものである。
さらに詳しく説明すると、金属で形成された本体背面板102は垂直面部102Aと、垂直面下端部102Aaから本体3の前側方向に向かって傾斜する斜面部102Bを有している。本体背面板102に斜面部102Bを形成することで、図4に示すように加熱調理器1を厨房家具(システムキッチン)500に組み込み易くしている。
凹状の通信部保持ケース(本件発明の凹部構成部品)102Cは、その凹状の部分、つまり凹部が本体3内部に埋没するように本体背面板102の斜面部102Bに固定ネジ103で取り付けられている。通信部51は、その凹部の内側に収められるようにして、通信部保持ケース(凹部構成部品)102Cに設けられた突起部受け穴102Ccに、図20に示す突起部51Dbを差し込んで取付位置の仮決めをした後、ネジ受け穴102cbに固定ネジ52をねじ込んで取り付けられている。
通信部51は、通信部保持ケース102Cの凹部に収められた状態のとき、図17のA部拡大図に示すように、本体背面板102の斜面部102Bの表面から通信部51の表面、詳しくは通信部51の本体背面板102の表面側となる第1ケース51Cの表面は、L1の段差を有して取り付けられている。L1は例えば1mmから3mm程度の段差を想定しているが、これ以上深い段差でもよい。
このように、通信部51は本体背面板102の斜面部102Bの表面から所定の段差L1を有して取り付けられているので、本体背面板102の斜面部102Bの表面から突出することが無く、図4に示すように加熱調理器1を厨房家具500に組み込むときも作業の邪魔にならない。
通信部51は、図22(b)に示すように、樹脂で形成された第1ケース51Cと同様に樹脂で形成された第2ケース51Dとで、通信用基板51Aを挟むようにして収容したものである。通信用基板51Aに設けられたコネクター51Acに接続線51Bのコネクター51Baを接続することで、通信用基板51Aに搭載された図示しない通信部制御部(マイコン)と加熱調理器1の加熱調理器制御部40が通信可能となる。
通信用基板51Aには、通信状態や設定状態などを発光することで確認できる表示用LED51Aaが搭載されている。また、通信テストや通信の設定などを行うことができるスイッチ51Abが搭載されている。通信用基板51Aは、通信部51として組み立てられた状態では第1ケース51Cと第2ケース51Dに囲われているため、第1ケース51Cには、表示用LED51Aaを直接視認するための貫通穴である窓部51Caが設けられている。
また、同様に通信用基板51Aは、通信部51として組み立てられた状態では第1ケース51Cと第2ケース51Dに囲われているため、第1ケース51Cには、スイッチ51Abを図示しない棒状の部材で入力できるようにするための貫通穴51Cbが設けられている。これら、窓部51Caと貫通穴51Cbにより、通信部51として組み立てられた状態でも表示用LED51Aaの発行状況で通信状態の確認が可能となり、スイッチ51Abを操作して通信テストや通信の設定などを行うことができるので、使用者あるいはサービス担当者の利便性が向上する。
本体3の外郭は図12~図19に示すように、天板2が設けられた上面と加熱室扉4が設けられた前面以外の面が、それぞれ金属で形成された左側面板101A、右側面板101B、底面板101C、本体背面板102で構成されている。金属板で囲われた内部に外部との通信用の通信部51を配置すると、外部と通信を行う場合に通信強度の低下、通信不具合などが生じる可能性が高くなる。
そのため、金属板で囲われていない上面、天板2の下方に配置しようとすると、天板2の下方には、図15及び図19に示すように左IHコイル9L、中央IHコイル9M、右IHコイル9Rといった誘導加熱源9、及び左IHコイル9Lに電力を供給する第1インバーター基板112と、中央IHコイル9Mと右IHコイル9Rに電力を供給する第2インバーター基板113が配置されているため、高周波駆動時のノイズなどの影響を受けて通信に不具合が生じる可能性が高くなる。
また、図19に示すように、本体3の内部は本体上下仕切板106で上部空間と下部空間に仕切られており、左IHコイル9L、中央IHコイル9M、右IHコイル9Rといった誘導加熱源9、及び左IHコイル9Lに電力を供給する第1インバーター基板112と、中央IHコイル9Mと右IHコイル9Rに電力を供給する第2インバーター基板113などは上部空間に配置されている。
左IHコイル9L、中央IHコイル9M、右IHコイル9Rといった誘導加熱源9、及び左IHコイル9Lに電力を供給する第1インバーター基板112と、中央IHコイル9Mと右IHコイル9Rに電力を供給する第2インバーター基板113は駆動時に高温となるため冷却が必要となる。
その冷却のため、加熱調理器制御部40が本体3の上部空間に設けられた本開示の第1の冷却ファンである冷却ファン121を駆動させると、左側面板101Aに設けられた外気導入口101Aaから本体外部の空気G3が取り込まれ、本体上下仕切板106に設けられた吸気口106Aから冷却ファン121に取り込まれて、本体内部の空気流N3として誘導加熱源9及び第1インバーター基板112などを冷却した後、図15に示す排気口101Fから外部に排出される。この外気導入口101Aaから排気口101Fまでの風路が、本開示の第1の風路である。
このように、上部空間には冷却する空気が流れるルートである第1の風路があるため、天板2の下方の本体3の上部空間に通信部51を不用意に配置すると、冷却する空気の風路に干渉し空気の流れを阻害する可能性があり、その場合、冷却能力が低下し誘導加熱源9の加熱性能の低下の原因となる虞がある。よって、天板2の下方の本体3の上部空間への通信部51の配置は行わないことが好ましい。
また、前述のように本体3の左側面板101Aには外気導入口101Aaが設けられており、本体3の左側面板101A寄りの空間は本開示の第1の風路の一部であるので、冷却する空気の風路に干渉し空気の流れを阻害してしまわないようにするため、本体3の左側面板101A寄りの空間への通信部51の配置は行わないことが好ましい。
次に、金属板で囲われていない前面寄りに配置しようとすると、図16、図17に示すように、加熱室6の前面には加熱室開口6Aが設けられており、その加熱室開口6Aは加熱室扉4で閉塞されるようになっている。前述のように加熱室6はマイクロ波による加熱もできるようになっているが、マイクロ波の発振周波数は2.45GHz帯域であるのに対し、外部との通信に使う周波数は2.5GHz帯域であり周波数帯域が近似している。そのため、前面寄りに配置しようとすると加熱室開口6Aに近くなることから、マイクロ波の影響を受ける可能性が生あり、マイクロ波による加熱を行っているときに通信を行うと通信に不具合が生じる可能性がある。よって、マイクロ波による加熱を行う加熱室開口6Aの近くへの通信部51の配置は行わないことが好ましい。
前述のように加熱室6はマイクロ波による加熱もできるようになっているので、図18に示すようにマイクロ波を発生するマイクロ波発振装置11と、これを駆動するインバーター回路を搭載したマイクロ波発振装置駆動用インバーター基板116を備えている。マイクロ波による加熱を行っているとき、マイクロ波発振装置11とマイクロ波発振装置駆動用インバーター基板116は高温となるため、何れも冷却が必要となる。
そのため、マイクロ波発振装置11の冷却用に本開示の第3の冷却ファンである後側冷却ファン142が備えられ、マイクロ波発振装置駆動用インバーター基板116の冷却用に本開示の第2の冷却ファンである前側冷却ファン141が備えられている。
加熱調理器制御部40がマイクロ波発振装置11の駆動に合わせて、後側冷却ファン142を駆動させると、図14及び図18に示す底面板101Cに設けられた後側吸気口101Cbから本体外部の空気G2が取り込まれ、本体内部の空気流N2としてマイクロ波発振装置11を冷却し、排出ダクト62を通過した本体内部の空気流N2は、図15及び図18に示す排気口101Dからから外部に排出される。
この後側吸気口101Cbから排出ダクト62を通過して排気口101Dまでの風路が、本開示の第3の風路である。この第3の風路は、後側吸気口101Cbから排気口101Dに至るまで、加熱調理器1内部で他の風路と独立しており、他の冷却ファンで本体内に取り込まれた空気と交わることがない。
同様に、加熱調理器制御部40がマイクロ波発振装置11の駆動に合わせて、前側冷却ファン141を駆動させると、図14、図18及び図19に示す底面板101Cに設けられた前側吸気口101Caから本体外部の空気G1が取り込まれ、本体内部の空気流N1としてマイクロ波発振装置駆動用インバーター基板116を冷却し連通部60へ送られる。
連通部60へ送られる本体内部の空気流N1の一部はN1aとして、加熱室6内に配置された被加熱物(図示せず)の温度を非接触で検知する赤外線センサー30Cの冷却のために使われる。連通部60へ送られた本体内部の空気流N1は、さらに排出ダクト61へ送られ、排出ダクト61を通過した本体内部の空気流N1は、図15に示す排気口101Eからから外部に排出される。
この前側吸気口101Caから連通部60、排出ダクト61を通過して排気口101Eまでの風路が、本開示の第2の風路である。この第2の風路は、前側吸気口101Caから排気口101Eに至るまで、加熱調理器1内部で他の風路と独立しており、他の冷却ファンで本体内に取り込まれた空気と交わることがない。
このように、本体3の右側面板101B寄りの空間は本開示の第2及び第3の風路の一部であるので、冷却する空気の風路に干渉し空気の流れを阻害してしまわないようにするため、本体3の右側面板101B寄りの空間への通信部51の配置は行わないことが好ましい。
ここまで、それぞれ風路がある天板2の下方の本体3の上部空間、本体3の左側面板101A寄りの空間、本体3の右側面板101B寄りの空間への通信部51の配置は行わないことが好ましく、マイクロ波による加熱を行う加熱室開口6Aの近くへの通信部51の配置も行わないことが好ましいことを説明してきたが、図16及び図17に示すように本体3内の加熱室6の後方には本体下部後方空間3aがあり、前述のような冷却のための空気が流れる風路が設けられていない。
そのため、この本体下部後方空間3aへ通信部51を配置しても冷却する空気の風路に干渉し空気の流れを阻害してしまうことがないので、通信部51を配置する空間として好適である。但し、前述のように金属で形成された本体背面板102で囲われた本体3の内部空間に配置すると、外部と通信を行う場合に通信強度の低下、通信不具合などが生じる可能性が高くなる。よって、通信部51は、図13、図14、図20に示すように本体3の本体背面板102に設けた図示しない穴に、凹状の通信部保持ケース102Cを介して取り付けられている。
このように、通信部51は、通信部保持ケース102Cの凹部の内側に収められて、風路ではない空間に配置するようにしたので、本体内の冷却する空気の風路に干渉しないので、空気の流れを阻害しないので、本体3内の高温になる部品の冷却性能低下などの影響を及ぼすことが無い。
また、金属で形成された本体背面板102で囲われることなく、通信部51自体は通信部保持ケース102Cの凹部の内側に収められて、本体3の外部に露出しているため、金属板に遮蔽されることによる通信強度の低下、通信不具合などが生じることがない。
当然ながら加熱室6での調理には輻射式の加熱手段、詳しくは上側輻射熱加熱手段12A及び下側輻射熱加熱手段12B(図16参照)を使用した加熱も行われる。加熱室6内に載置された図示しない被加熱物は、上側輻射熱加熱手段12A及び下側輻射熱加熱手段12Bに加熱されることで油煙が発生し、その油煙は加熱室6内の温度上昇により加熱室6内の圧力が高くなることで、加熱室6の図示しない排気口から加熱室6に接続された図示しない排出ダクトに送られて、図15に示す排気口101Gから外部に排出される。
このとき、上側輻射熱加熱手段12A及び下側輻射熱加熱手段12Bの輻射熱により加熱室6自体も高温となるが、通信部51は金属で形成された通信部保持ケース102Cの凹部の内側に収められているので、高温となる加熱室6と通信部51との間に金属板を遮熱材として介在させることができ、通信部51の遮熱対策としての効果もある。但し、本体下部後方空間3aは前述のように風路が無く空気の流れがないので、加熱室6からの放熱の影響を通信部保持ケース102Cだけでは緩和できない可能性があることから、図20及び図21(a)に示すように、通信部保持ケース102Cの凹部の外側(本体3内側)に断熱部材104を設けている。
断熱部材104は、端部104Aaと端部104Abを合わせ目104Acで突き合わせるようにして通信部保持ケース102Cの凹部の外側(本体3内側)に巻き付けるようにする枠状断熱材104Aと、その枠状断熱材104Aに蓋をするように取り付ける板状断熱材104Bからなる。
通信部保持ケース102Cの凹部には、本体背面板102に取り付けた状態で、上下方向において下となる側に、図21(a)に示す接続線51Bを通過させる接続線通過用穴102Caが設けられている。枠状断熱材104Aは、合わせ目104Acが接続線通過用穴102Caと重なるように巻き付けられている。枠状断熱材104Aは、端部104Aaと端部104Abを突き合わせているだけで接合されてはいないため、合わせ目104Acを接続線通過用穴102Caと重なるように巻き付けることで、接続線通過用穴102Caから出ている接続線51Bを端部104Aaと端部104Abの合わせ目104Acに通すことができ、断熱部材に余計な加工をする必要が無く接続線を容易に通すことができる。
前述のように加熱室6はマイクロ波による加熱もできるようになっていて、加熱調理器制御部40がマイクロ波発振装置駆動用インバーター基板116により、マイクロ波発振装置11を駆動させると、図16から図18に示す、例えば金属で形成された導波管118内にマイクロ波が発振され、導波管118内を進んで加熱室6の背面側から加熱室6内に放射される。
マイクロ波は金属では反射するため、加熱室6の背面には、例えば耐熱性のガラスで形成された加熱室背面板66が設けられている。マイクロ波は加熱室背面板66を透過して加熱室6内に放射される。マイクロ波は直進性が高いため、加熱室6内にまんべんなくマイクロ波が放射されるように、加熱調理器制御部40はマイクロ波発振装置11を駆動させているときにアンテナ回転用モーター143を回転させることでアンテナ回転用モーター143に取り付けられたアンテナ144を回転させ、マイクロ波を拡散させて加熱室6内に放射するようにしている。
前述したように、マイクロ波は導波管118内を進んで加熱室6の背面側から加熱室6内に放射される。図16及び図17に示すように、導波管118は加熱室6の背面側に設けられており、加熱室6の背面側から加熱室6内に向かって放射、言い換えると加熱室6の背面側から本体3の前側に向かって放射される。
図16及び図17に示すように、通信部51はマイクロ波の放射方向の反対側である本体3の背面側に設けられている。図16及び図17に示すように、通信部51はマイクロ波が放射される方向の反対側に取り付けられているので、通信部51の通信用基板51A(図22(b)参照)に搭載された図示しない通信部制御部(マイコン)と加熱調理器1の加熱調理器制御部40を通信可能に接続している接続線51B(図21(a)参照)が、マイクロ波の放射によるノイズなどの影響を受けにくい。よって、マイクロ波発振装置11を駆動していても安定した通信状態の確保、維持が可能である。
前述のように通信部保持ケース102Cは、その凹状の部分、つまり凹部が本体3内部に埋没するように本体背面板102の斜面部102Bに固定ネジ103で取り付けられている。さらに説明すると、図21に示すように通信部保持ケース102Cは、本体背面板102に取り付けた状態で本体背面板102に近い側に上外角部102Cd、下外角部102Ce、右外角部102Cf、左外角部102Cgの4つの角部を有している。また、凹部の奥側に上内角部102Ch、下内角部102Ci、右内角部102Cj、左内角部102Ckの4つの角部を有している。
図13、図14、図16及び図17に示すように、通信部保持ケース102Cは、上外角部102Cdが本体背面板102の垂直面部102Aの下端部である垂直面下端部102Aaよりも下に下がった位置になるように取り付けられている。取り付けられた状態では、上内角部102Chが上外角部102Cdよりも上の位置にあることから、上外角部102Cdが下となるように傾斜している。
不測の事態により本体背面板102の垂直面部102A沿いに水などの液体が垂れてきてしまった場合、その水などの液体が斜面部102Bに沿って流れてしまったとしても上内角部102Ch側へは流れることはなく、上外角部102Cdで滴下させることができる。
また、通信部51の本体背面板102の表面側となる第1ケース51Cは第1ケース上角部51Ccを有する。図17のA部拡大図に示すように、第1ケース上角部51Ccは、通信部51が取り付けられた状態では最も外側に突出している。その通信部51の最も外側に突出している第1ケース上角部51Ccと通信部保持ケース102Cの上外角部102Cdとは、取り付けられた状態の水平の前後方向で、L2の長さで上外角部102Cdの方が外寄りに位置している。よって、上外角部102Cdで滴下した水などの液体が通信部51に掛かることがない。なお、L2は例えば5mmから8mm程度の段差を想定しているが、これ以上の長さでもよい。
このように、通信部51は不測の事態により本体背面板102の垂直面部102A沿いに水などの液体が垂れてきたとしても、通信部保持ケース102Cの上外角部102Cdから滴下した水などの液体を受けることなく、水などの液体によって通信用基板51Aが濡れて不具合となることがないので、安定した通信状態の確保、維持が可能である。
以上のように、本開示の実施の形態1の加熱調理器の通信部51は本体背面板102の斜面部102Bの表面から所定の段差L1を有して取り付けられているので、本体背面板102の斜面部102Bの表面から突出することが無く、図4に示すように加熱調理器1を厨房家具500に組み込むときも作業の邪魔にならない。
また、通信部51は、通信部保持ケース102Cの凹部の内側に収められて、風路ではない空間に配置するようにしたので、本体内の冷却する空気の風路に干渉しないので、空気の流れを阻害しないので、本体3内の高温になる部品の冷却性能低下などの影響を及ぼすことが無い。
さらに、通信部51は不測の事態により本体背面板102の垂直面部102A沿いに水などの液体が垂れてきたとしても、通信部保持ケース102Cの上外角部102Cdから滴下した水などの液体を受けることなく、水などの液体によって通信用基板51Aが濡れて不具合となることがないので、安定した通信状態の確保、維持が可能である。