JP2024012767A - 光メルト接着剤粒子及び前記接着剤粒子を用いる位置選択的接着方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のホットメルト接着剤を用い位置選択的接着をする際のハンドリング性等の問題を解決する光メルト接着剤粒子、及び、当該光メルト接着剤粒子を用い微細箇所の位置選択的接着を、優れたハンドリング性で可能にする位置選択的接着方法を提供する。
【解決手段】ホットメルト接着剤の粒子及び前記粒子を被覆する光熱変換能を有する材料の層を有する光メルト接着剤粒子、及び、被接着体1上にその光メルト接着剤粒子を配置する接着剤粒子配置工程、前記光メルト接着剤粒子に光照射して前記ホットメルト接着剤の粒子を加熱溶融させる接着剤粒子溶融工程、前記光メルト接着剤粒子と被接着体2とを接触させ接合する接合工程、及び加熱溶融した接着剤粒子を徐熱し固化して、被接着体1及び被接着体2を接着させる接着工程を有する位置選択的接着方法。
【選択図】 図1
【解決手段】ホットメルト接着剤の粒子及び前記粒子を被覆する光熱変換能を有する材料の層を有する光メルト接着剤粒子、及び、被接着体1上にその光メルト接着剤粒子を配置する接着剤粒子配置工程、前記光メルト接着剤粒子に光照射して前記ホットメルト接着剤の粒子を加熱溶融させる接着剤粒子溶融工程、前記光メルト接着剤粒子と被接着体2とを接触させ接合する接合工程、及び加熱溶融した接着剤粒子を徐熱し固化して、被接着体1及び被接着体2を接着させる接着工程を有する位置選択的接着方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光照射により発熱する材料が被覆されたホットメルト接着剤の粒子、及び前記粒子への光照射によりホットメルト接着剤を加熱溶融して位置選択的な接着を実現する接着方法に関するものである。
ホットメルト(HM)接着剤とは、接着性を有する熱可塑性高分子(樹脂又はエラストメー)等を主体としてなり、加熱により溶融した後徐熱し固化して、当該接着剤が配置された基材(被接着体)間を接着する接着剤である。ホットメルト接着剤は、高い接着力が得られる、引火の可能性のある有機溶剤を含まないので安全性に優れ環境適応型である、等の特徴を有するので、段ボールの接着、電子部品の固定、縫製作業の合理化、プラスチック成型品用等、工業的に広範に利用されており種々の熱可塑性高分子からなるホットメルト接着剤が提案されている(特許文献1、2)。
また、軟化温度が低く接着力が大きい熱可塑性樹脂からなるホットメルト接着剤の場合は、接着剤粒子が凝集しやすいとの問題があったので、この問題の解決のため、ガラス転移温度が高い樹脂又は無機物の外殻(シェル)内にホットメルト接着剤からなるコア部分を包含させたシェル-コア構造のホットメルト接着剤用複合粒子も提案されている(特許文献3)。
ホットメルト接着剤として、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体を主体とするものを用いる場合は、80~150℃程度の温度で加熱して溶融する。しかし、溶融状態の接着剤の粘度が高く接着の際のハンドリング性が問題となる場合があった。
ホットメルト接着剤により、微細箇所を位置選択的に接着する場合、接着が意図される位置(接着位置)に加熱溶融された接着剤を配置するために、グルーガン等の加熱装置が用いられるが、この場合は、加熱装置の加熱部分が十分に加熱されるまで電源を入れてから時間がかかる、加熱部分に接触し火傷をする危険性がある、接着を望まない箇所にホットメルト接着剤が誤ってつき希望しない箇所の接着も起こることがある等もハンドリング性の問題として挙げられている。
又、接着剤を加熱する際に、接着剤と接する基材(被接着体)も加熱され、基材の変形や損傷等が生じやすくなるとの問題もある。
ホットメルト接着剤により、微細箇所を位置選択的に接着する場合、接着が意図される位置(接着位置)に加熱溶融された接着剤を配置するために、グルーガン等の加熱装置が用いられるが、この場合は、加熱装置の加熱部分が十分に加熱されるまで電源を入れてから時間がかかる、加熱部分に接触し火傷をする危険性がある、接着を望まない箇所にホットメルト接着剤が誤ってつき希望しない箇所の接着も起こることがある等もハンドリング性の問題として挙げられている。
又、接着剤を加熱する際に、接着剤と接する基材(被接着体)も加熱され、基材の変形や損傷等が生じやすくなるとの問題もある。
一方、接着剤の固化後は、接着箇所(接着された位置)の修正等を行うことができないので、接着は、徐熱による固化前に終了する必要がある。しかし、加熱溶融した接着剤は、通常、徐熱により短時間で固化し、特に、微細な部分を接着する場合は、加熱溶融される接着剤量も少ないので、加熱溶融後徐熱され固化するまでの時間はより短い。従って、接着の作業を短時間で終了させる必要があり、この理由でもホットメルト接着剤を用いる接着は、ハンドリング性が低いとの問題を有し、特に、微細箇所の位置選択的接着が困難である問題を有している。
本発明は、従来のホットメルト接着剤を用いる接着の問題、特に、微細箇所の位置選択的接着の際のハンドリング性等の問題を解決し、容易かつ確実なホットメルト接着を可能にする光メルト接着剤粒子(光照射により発熱し溶融する接着剤粒子を言う。)、及び、当該光メルト接着剤粒子を用い微細箇所の位置選択的接着を、優れたハンドリング性で可能にする位置選択的接着方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、光の照射により発熱する材料(光熱変換能を有する材料)で構成された外殻(シェル)内にホットメルト接着剤で構成されたコアを包含してなる接着剤粒子を用い、基材(被接着体)上の接着位置にこの接着剤粒子を配置し、光を照射して前記光熱変換能を有する材料を発熱させて前記ホットメルト接着剤を加熱溶融させる方法により、微細箇所の位置選択的接着の際のハンドリング性の問題を解決し、容易かつ確実な接着を可能にすることを見出し、本発明を完成した。さらに、光熱変換能を有する材料としてポリピロールやポリ(N-アルキルピロール)を用い、近赤外線を含む光を照射することが好ましいことを見出した。
すなわち、前記の本発明の課題は、下記の構成により解決される。
すなわち、前記の本発明の課題は、下記の構成により解決される。
本発明の第1は、ホットメルト接着剤の粒子をコアとし、前記粒子を被覆する光熱変換能を有する材料の層をシェルとすることを特徴とする光メルト接着剤粒子である。この光メルト接着剤粒子は、光熱変換能を有する材料の層からなるシェルと、このシェル内に包含されるホットメルト接着剤粒子のコアを有する所謂シェル-コア構造の粒子である。
本発明の第2は、前記光熱変換能を有する材料が、ポリピロール又はポリ(N-アルキルピロール)であることを特徴とする本発明の第1の光メルト接着剤粒子である。ここでポリ(N-アルキルピロール)のアルキルとしては、炭素数1-4の低級アルキルが例示される。
本発明の第3は、前記ホットメルト接着剤が、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタンよりなる群から選ばれる重合体をベースポリマーとして含むことを特徴とする本発明の第1-3の光メルト接着剤粒子である。
本発明の第4は、
被接着体1上に、ホットメルト接着剤の粒子をコアとし、前記粒子を被覆する光熱変換能を有する材料の層をシェルとする光メルト接着剤粒子を配置する接着剤粒子配置工程、
接着剤粒子配置工程後、前記光メルト接着剤粒子に、光照射して前記光熱変換能を有する材料を発熱させ、前記ホットメルト接着剤の粒子を加熱溶融させる接着剤粒子溶融工程、
前記光メルト接着剤粒子と被接着体2とを接触させ接合する接合工程、及び
接着剤粒子溶融工程及び接合工程後に、加熱溶融した接着剤粒子を徐熱し固化して、被接着体1及び被接着体2を接着させる接着工程
を有することを特徴とする位置選択的接着方法である。
被接着体1上に、ホットメルト接着剤の粒子をコアとし、前記粒子を被覆する光熱変換能を有する材料の層をシェルとする光メルト接着剤粒子を配置する接着剤粒子配置工程、
接着剤粒子配置工程後、前記光メルト接着剤粒子に、光照射して前記光熱変換能を有する材料を発熱させ、前記ホットメルト接着剤の粒子を加熱溶融させる接着剤粒子溶融工程、
前記光メルト接着剤粒子と被接着体2とを接触させ接合する接合工程、及び
接着剤粒子溶融工程及び接合工程後に、加熱溶融した接着剤粒子を徐熱し固化して、被接着体1及び被接着体2を接着させる接着工程
を有することを特徴とする位置選択的接着方法である。
本発明の第5は、前記光熱変換能を有する材料が、ポリピロール又はポリ(N-アルキルピロール)であることを特徴とする本発明の第4の位置選択的接着方法である。
本発明の第6は、前記光照射が、近赤外線を含む光の照射であることを特徴とする本発明の第5の位置選択的接着方法である。
本発明の第7は、前記光照射が、波長700nm以上、1200nm以下の近赤外線の50mW以上の照射であることを特徴とする本発明の第6の位置選択的接着方法である。
本発明の第8は、前記光メルト接着剤粒子の粒子径(最大径)が、0.5mm以上、5mm以下であることを特徴とする本発明の第5~7の位置選択的接着方法である。
本発明の第9は、前記光熱変換能を有する材料の層の厚みが、50nm以上、100μm以下であることを特徴とする本発明の第8の位置選択的接着方法である。
本発明の第4~9の位置選択的接着方法は、本発明の第1~3の光メルト接着剤粒子を使用することにより実施できる。そして、本発明の位置選択的接着方法により、ホットメルト接着剤により被接着体の微細箇所を位置選択的に接着する際のハンドリング性の問題を解決し、当該微細箇所を正確な位置で確実に容易に接着することができる。より具体的には、例えば、以下に示すような優れた効果が得られる。
従来、ホットメルト接着剤により微細な範囲を位置選択的に接着する場合は、溶融された接着剤を、グルーガン等の加熱装置を用いて接着位置に配置していたが、加熱溶融された接着剤の粘度が高い等の理由により、グルーガン等を用いても、微細な隙間にホットメルト接着剤を入れることが困難な場合が多かった。しかし、本発明の位置選択的接着方法では、ホットメルト接着剤を含む粒子を、加熱溶融することなく、接着位置に配置するので、従来の方法では接着剤を配置することが叶わない微細な隙間・空間への接着剤の配置を実現し、接着位置への正確な位置選択的接着を容易にする。また、接着位置以外の位置にも接着剤粒子が配置された場合でも、接着位置のみに光を照射すれば、照射された部分のみが接着し、他の位置は接着されないので、この点からも正確な位置選択的接着が容易になる。すなわち、本発明により、ホットメルト接着剤による位置選択的接着が容易となる。
又、従来法では、ホットメルト接着剤を加熱溶融するためのグルーガン等の加熱装置や電源が必要であり、加熱装置の加熱部分が、接着剤の溶融のための温度に加熱されるまで時間がかかり接着の作業を待つ必要がある、装置の加熱部分に接触し火傷をする危険性がある、被接着体(基材)に加熱部分を接触させて加熱させる場合がありこの場合被接着体の変形や損傷等が生じやすい、等の問題があった。一方、本発明の位置選択的接着方法では、ホットメルト接着剤の加熱溶融は、外部からの光照射により行われ、加熱装置による加熱は必要ない。すなわち、本発明により、加熱装置を必要としないホットメルト接着剤による接着が可能になり、又、希望するタイミングでの接着、及び非接触での接着、例えば、遠方からの光照射による遠隔的な操作による接着が可能になるので、接着のハンドリング性を向上させることができる。又、前記のような加熱装置の使用による問題も解決することができる。そして、光源として、太陽光を利用することもできる点で、環境適応型の接着技術とも言える。
本発明の光メルト接着剤粒子のシェルを構成する光熱変換能を有する材料がポリピロールの場合、照射される光としては波長が800nm以上、1200nm以下程度の近赤外光が好ましく用いられるが、前記の波長の近赤外光を所定の強度以上含む光であれば、その光源の種類は特に限定されない。従って、広く使用されている赤外ランプを用いることができる。又、太陽光は近赤外光を含むので、太陽光照射によっても接着が可能である。すなわち、本発明では、太陽光を光源として用いることもできる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明するが、本発明の範囲は、以下の形態に限定されない。
(本発明の完成に至る経緯)
光熱変換能を有する材料としては、ポリピロールやポリアニリンが知られている。例えば、J. Mater. Chem. 2007, 17(40), 4309、Chem. Commun. 2012, 48(71), 8934、Polym. Chem. 2017, 8(17), 2609では、ポリピロールに光(近赤外光、太陽光)を照射すると、発熱する(光熱変換能を有する)ことが開示されている。ポリピロールで被覆したポリスチレン粒子に光を照射することで、ポリピロールの発熱及び炭化とポリスチレンの熱分解・気化を同時に引き起こし、カーボンカプセルの合成を行った研究例も報告されている(Langmuir 2021, 37, 15, 4599)。又、加熱により溶融する高分子の基材の間に共役系高分子であるポリアニリンを挟み、そこにマイクロウェーブを照射してポリアニリンを発熱させ、高分子基材を溶融し、その後冷却により固化して接着を実現した例も開示されている(Polym. Eng. Sci., 1997, 37, 738-743.)。
光熱変換能を有する材料としては、ポリピロールやポリアニリンが知られている。例えば、J. Mater. Chem. 2007, 17(40), 4309、Chem. Commun. 2012, 48(71), 8934、Polym. Chem. 2017, 8(17), 2609では、ポリピロールに光(近赤外光、太陽光)を照射すると、発熱する(光熱変換能を有する)ことが開示されている。ポリピロールで被覆したポリスチレン粒子に光を照射することで、ポリピロールの発熱及び炭化とポリスチレンの熱分解・気化を同時に引き起こし、カーボンカプセルの合成を行った研究例も報告されている(Langmuir 2021, 37, 15, 4599)。又、加熱により溶融する高分子の基材の間に共役系高分子であるポリアニリンを挟み、そこにマイクロウェーブを照射してポリアニリンを発熱させ、高分子基材を溶融し、その後冷却により固化して接着を実現した例も開示されている(Polym. Eng. Sci., 1997, 37, 738-743.)。
本発明者は、光熱変換能を有する材料であるポリピロール又はポリ(N-アルキルピロール)により、粒子形態のホットメルト接着剤の表面を被覆してシェル-コア構造の接着剤粒子を作製し、この接着剤粒子に光を照射すれば、ポリピロールの発熱によりホットメルト接着剤を溶融できること、そして、この接着剤粒子を、接着位置に配置した後に光を照射すれば、ポリピロールの発熱によりホットメルト接着剤を溶融させホットメルト接着を実施できることを見出した。そして、溶融前の接着剤粒子は、微細な箇所であっても、容易に正確に(すぐれたハンドリング性で)接着位置に配置することができるので、前記の課題を解決し、位置選択的接着が可能となるとの着想を得た。すなわち、前記シェル-コア構造のホットメルト接着剤粒子を、被接着体上に配置した後光を照射すると、粒子が存在する場所のみで発熱が起こり、粒子のコアを形成するホットメルト接着剤が溶融、漏出することで、基材の局所的接着が実現できることを見出し、本発明を完成した。
(本発明のホットメルト接着剤粒子の構成、形状)
前記のように本発明の光メルト接着剤粒子は、光熱変換能を有する材料の層からなるシェルと、このシェル内に包含されるホットメルト接着剤粒子のコアを有する所謂シェル-コア構造の粒子である。図1は、本発明の光メルト接着剤粒子の一例であって形状が立方体のものを模式的に示す図である。図1中、(a)は本発明の光メルト接着剤粒子の一例の外観を示す模式斜視図(白抜き破線は立方体の辺を表す)、(b)は図(a)で表される接着剤粒子のコアから光熱変換能を有する材料の層からなるシェルを剥がした状態を示す模式分解斜視図、(c)は図(a)におけるa-a断面を表す模式断面図、である。
前記のように本発明の光メルト接着剤粒子は、光熱変換能を有する材料の層からなるシェルと、このシェル内に包含されるホットメルト接着剤粒子のコアを有する所謂シェル-コア構造の粒子である。図1は、本発明の光メルト接着剤粒子の一例であって形状が立方体のものを模式的に示す図である。図1中、(a)は本発明の光メルト接着剤粒子の一例の外観を示す模式斜視図(白抜き破線は立方体の辺を表す)、(b)は図(a)で表される接着剤粒子のコアから光熱変換能を有する材料の層からなるシェルを剥がした状態を示す模式分解斜視図、(c)は図(a)におけるa-a断面を表す模式断面図、である。
図中、1は光熱変換能を有する材料の層からなるシェルであり、2はホットメルト接着剤粒子のコアである。本発明の光メルト接着剤粒子の形状は、特に限定されず、図1に示される立方体の他にも、直方体、柱状等の6面以上の面数を有する多面体、球状、さらにフィルム状、紐状、スティック状等も考えられ、反応容器に入るサイズであれば、基本的に形状は限定されない。ただし、粒子が転がりにくく、微細な接着位置への配置が容易になるとの観点からは、立方体又は直方体が好ましい。
(本発明の光メルト接着剤粒子のシェルについて)
シェルを構成する材質は、光熱変換機能、すなわち照射された光を熱に変換する機能を有し、かつコアの表面を覆うシェルを形成できるものであれば、特に限定されないが、シェルの形成の容易さ及び形成されたシェルの強度を考慮すれば、光熱変換機能を有する有機高分子化合物や無機材料であるカーボン材料が好ましい。ホットメルト接着剤粒子表面へのコーティングしやすさの点では有機高分子化合物が好ましいと考えられ、具体的には、ポリピロール、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(N-エチルピロール)等のポリ(N-アルキルピロール)、ポリアニリン、ポリトルイジン等のポリアルキルアニリン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアルキルチオフェン等が用いられる。中でも、近赤外線の照射による光熱変換機能に優れる点でポリピロール又はポリ(N-アルキルピロール)が特に好ましい。なお、重合法により合成されたポリピロール、ポリ(N-アルキルピロール)は、通常ドーパントを含んでいるが、ドーパント等の不純物を含んだポリピロール、ポリ(N-アルキルピロール)も好ましく使用できるし、ドーパント等の不純物をとり除いて得ることができる、不純物を含まないポリピロール、ポリ(N-アルキルピロール)も好ましく使用できる。
シェルを構成する材質は、光熱変換機能、すなわち照射された光を熱に変換する機能を有し、かつコアの表面を覆うシェルを形成できるものであれば、特に限定されないが、シェルの形成の容易さ及び形成されたシェルの強度を考慮すれば、光熱変換機能を有する有機高分子化合物や無機材料であるカーボン材料が好ましい。ホットメルト接着剤粒子表面へのコーティングしやすさの点では有機高分子化合物が好ましいと考えられ、具体的には、ポリピロール、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(N-エチルピロール)等のポリ(N-アルキルピロール)、ポリアニリン、ポリトルイジン等のポリアルキルアニリン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアルキルチオフェン等が用いられる。中でも、近赤外線の照射による光熱変換機能に優れる点でポリピロール又はポリ(N-アルキルピロール)が特に好ましい。なお、重合法により合成されたポリピロール、ポリ(N-アルキルピロール)は、通常ドーパントを含んでいるが、ドーパント等の不純物を含んだポリピロール、ポリ(N-アルキルピロール)も好ましく使用できるし、ドーパント等の不純物をとり除いて得ることができる、不純物を含まないポリピロール、ポリ(N-アルキルピロール)も好ましく使用できる。
シェルの厚みが薄すぎる場合は、光熱変換機能を有する材料の量が少なくなるので光照射による発熱も小さくなり、コアのホットメルト接着剤の粒子を充分加熱溶融させることができない。ここで、ホットメルト接着剤の粒子を充分加熱溶融させるとは、前記粒子を、十分な接着が得られる面積まで容易に変形しぬれ広がることができるように溶融させることを意味する。従って、シェルの厚みは、コアのホットメルト接着剤の粒子を充分加熱溶融させることができる厚み以上が選択されるが、この厚みは、光熱変換機能を有する材料の種類、コアの大きさ、ホットメルト接着剤の種類(軟化点)等により変動するので、これらを考慮して最適な厚みが選択される。
光熱変換機能を有する材料がポリピロール又はポリ(N-アルキルピロール)であり、コアが最大径2mm以下の立方体であり、ホットメルト接着剤が、エチレン-酢酸ビニル樹脂等の軟化点50~100℃の樹脂を主体とするものの場合、シェルの厚みは、通常50nm~100μmとすることができるが、好ましくは、100nm~800nmの範囲内である。
光熱変換機能を有する材料がポリピロール又はポリ(N-アルキルピロール)であり、コアが最大径2mm以下の立方体であり、ホットメルト接着剤が、エチレン-酢酸ビニル樹脂等の軟化点50~100℃の樹脂を主体とするものの場合、シェルの厚みは、通常50nm~100μmとすることができるが、好ましくは、100nm~800nmの範囲内である。
(本発明の光メルト接着剤粒子のコアについて)
コアは、ホットメルト接着剤の粒子であり、その大きさは特に限定されないが、ホットメルト接着剤の量が、十分な(所望の)接着力を得るために必要な量以上となる大きさ(体積)が必要である。一方、コアが大きい場合は、光メルト接着剤粒子も大きくなり、微細な隙間への光メルト接着剤粒子の配置が困難になる場合もあり、又、シェルの光熱変換機能を有する材料の光照射による発熱ではコア全体が十分に溶融しない場合もあり得る。
そこで、十分な(所望の)接着力を得るために必要な量、接着剤粒子を配置する場所の形状や大きさ、シェルの光照射による発熱の大きさ等を考量し、適当な大きさが選択される。
光熱変換機能を有する材料がポリピロール又はポリ(N-アルキルピロール)であり、ホットメルト接着剤が、エチレン-酢酸ビニル樹脂等の軟化点50~100℃の樹脂を主体とするものの場合、コアの大きさとしては、通常、最大径が0.5mm~5mm程度のものが好ましく、より好ましくは、0.5mm~1.5mm程度のものである。
コアは、ホットメルト接着剤の粒子であり、その大きさは特に限定されないが、ホットメルト接着剤の量が、十分な(所望の)接着力を得るために必要な量以上となる大きさ(体積)が必要である。一方、コアが大きい場合は、光メルト接着剤粒子も大きくなり、微細な隙間への光メルト接着剤粒子の配置が困難になる場合もあり、又、シェルの光熱変換機能を有する材料の光照射による発熱ではコア全体が十分に溶融しない場合もあり得る。
そこで、十分な(所望の)接着力を得るために必要な量、接着剤粒子を配置する場所の形状や大きさ、シェルの光照射による発熱の大きさ等を考量し、適当な大きさが選択される。
光熱変換機能を有する材料がポリピロール又はポリ(N-アルキルピロール)であり、ホットメルト接着剤が、エチレン-酢酸ビニル樹脂等の軟化点50~100℃の樹脂を主体とするものの場合、コアの大きさとしては、通常、最大径が0.5mm~5mm程度のものが好ましく、より好ましくは、0.5mm~1.5mm程度のものである。
コアを構成する材質としては、接着性の固体であって、シェルへの光照射による発熱により溶融するものであれば特に限定されない。ホットメルト接着剤として通常用いられている熱可塑性の樹脂、エラストマーを用いることができるが、それらの中から、被接着体の種類、大きさ、形状、接着に求められている強度等の性質を考慮して選択される。
コアを形成するホットメルト接着剤としては、ホットメルト接着剤として従来広く使用されているものを用いることができ、特に限定されないが、具体的な例としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタンよりなる群から選ばれる重合体をベースポリマーとするものを挙げることができる。
ホットメルト接着剤として通常使用されているものは、ベースポリマーに加えて、接着剤の諸物性を調整する等の目的で必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤(軟化剤)、ワックス、酸化防止剤、充填剤、各種添加剤等が添加、配合される。
粘着付与剤としては、テルペン樹脂、ロジン、各種石油樹脂等を、可塑剤(軟化剤)としては、鉱物油、液状パラフィン、液状ポリブテンを、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノールタイプ、ヒンダードアミンタイプ、リン系、硫黄系の酸化防止剤を、具体例として挙げることができる。
又、各種添加剤としては、無機フィラー、紫外線吸収剤、核剤、帯電防止剤、難燃剤、防菌剤等を挙げることができる。
ホットメルト接着剤として通常使用されているものは、ベースポリマーに加えて、接着剤の諸物性を調整する等の目的で必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤(軟化剤)、ワックス、酸化防止剤、充填剤、各種添加剤等が添加、配合される。
粘着付与剤としては、テルペン樹脂、ロジン、各種石油樹脂等を、可塑剤(軟化剤)としては、鉱物油、液状パラフィン、液状ポリブテンを、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノールタイプ、ヒンダードアミンタイプ、リン系、硫黄系の酸化防止剤を、具体例として挙げることができる。
又、各種添加剤としては、無機フィラー、紫外線吸収剤、核剤、帯電防止剤、難燃剤、防菌剤等を挙げることができる。
(本発明の光メルト接着剤粒子の作製方法)
光メルト接着剤粒子を構成するコア、すなわちホットメルト接着剤の粒子は、ホットメルト接着剤を溶融し、粒状に成形・固化して作製することができる。例えば、グルーガンによりホットメルト接着剤を溶融して射出したものを、適当な大きさに切断して作製することができる。または、溶融状態のホットメルト接着剤を液滴状態にして温度を下げる等の方法で粒子化してもよい。
シェルは、前記のようにして作製されたホットメルト接着剤の粒子(コア)の表面に、シェルを形成する材料の層を形成して被覆することにより得られるが、例えば、シェルを形成する材料がポリピロールの場合、下記の式(I)で表される反応(酸化重合)を前記のようにして作製されたホットメルト接着剤の粒子を存在させた溶液中で行い、ホットメルト接着剤の粒子の表面に反応生成物(重合物)を析出する方法でシェルを形成することができる。
光メルト接着剤粒子を構成するコア、すなわちホットメルト接着剤の粒子は、ホットメルト接着剤を溶融し、粒状に成形・固化して作製することができる。例えば、グルーガンによりホットメルト接着剤を溶融して射出したものを、適当な大きさに切断して作製することができる。または、溶融状態のホットメルト接着剤を液滴状態にして温度を下げる等の方法で粒子化してもよい。
シェルは、前記のようにして作製されたホットメルト接着剤の粒子(コア)の表面に、シェルを形成する材料の層を形成して被覆することにより得られるが、例えば、シェルを形成する材料がポリピロールの場合、下記の式(I)で表される反応(酸化重合)を前記のようにして作製されたホットメルト接着剤の粒子を存在させた溶液中で行い、ホットメルト接着剤の粒子の表面に反応生成物(重合物)を析出する方法でシェルを形成することができる。
式(I)で表される反応(酸化重合)は、例えば、
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2009/jm/b816839c
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/1997/JM/a700237h
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.0c19758
に記載の条件に準じて行うことができる。
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2009/jm/b816839c
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/1997/JM/a700237h
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.0c19758
に記載の条件に準じて行うことができる。
(本発明の位置選択的接着方法の構成)
前記のように、本発明の位置選択的接着方法は、接着剤粒子配置工程、接着剤粒子溶融工程、接合工程、及び接着工程を有する。
前記のように、本発明の位置選択的接着方法は、接着剤粒子配置工程、接着剤粒子溶融工程、接合工程、及び接着工程を有する。
接着剤粒子配置工程では、前記のようにして得られた本発明の光メルト接着剤粒子を、被接着体の一方(被接着体1)の接着位置に配置する。配置の段階では、光メルト接着剤粒子は溶融されていない粒子なので、微細な箇所、例えば微細な隙間であっても容易に正確に配置することができる。
接着剤粒子配置工程後、前記光メルト接着剤粒子に、光照射してシェルを形成する前記光熱変換能を有する材料を発熱させる。そしてこの発熱によりコアを形成するホットメルト接着剤を溶融する(接着剤粒子溶融工程)。発熱には、加熱装置による加熱を要しないので、加熱装置の使用により生じる諸問題はなく、光照射によるので遠隔からの発熱も可能であり、又微細な箇所での発熱も容易である。
光照射は、近赤外光等を発する光源を有し、対象物に所定の強度で照射できる光照射装置を用いて行うことができるが、太陽光も用いることができる。例えば、太陽光をレンズ等で集光して照射することができる。
照射は、コアのホットメルト接着剤がシェルの発熱により十分溶融する光強度(光のエネルギー)で行われるが、照射の光のエネルギーが、ホットメルト接着剤を十分溶融できる大きさとなるように、光源、照射装置、接着位置から光源までの距離、照射時間等が選択される。
照射は、コアのホットメルト接着剤がシェルの発熱により十分溶融する光強度(光のエネルギー)で行われるが、照射の光のエネルギーが、ホットメルト接着剤を十分溶融できる大きさとなるように、光源、照射装置、接着位置から光源までの距離、照射時間等が選択される。
接合工程は、被接着体1上に配置された光メルト接着剤粒子と、被接着体1との接着を意図する他方の被接着体(被接着体2)とを接触させ、被接着体1と被接着体2を接合する工程である。接合工程は、前記の接着剤粒子溶融工程の後、すなわちホットメルト接着剤を溶融した後に行ってもよいが、被接着体1又は被接着体2が近赤外線を透過する材質からなる場合は、接着剤粒子溶融工程の前に接合工程を行ってもよい。この場合は、被接着体1上に配置された光メルト接着剤粒子と被接着体2とを接触させた後、被接着体1又は被接着体2の外側から、近赤外線等を含む光が(被接着体1又は被接着体2を透過して)光メルト接着剤粒子に照射される。
接着剤粒子溶融工程及び接合工程の後、通常、被接着体(被接着体1と被接着体2)の接着位置は、被接着体間に挟まれるホットメルト接着剤が押し広げられるように加圧される。加圧により、溶融されたホットメルト接着剤は、光メルト接着剤粒子から漏出し、押し広げられて、接着面積が増加し、より優れた接着力が得られる。
接着剤粒子溶融工程及び接合工程後に、場合によりさらに加圧された後に、加熱溶融したホットメルト接着剤、場合により加圧により押し広げられたホットメルト接着剤は、徐熱により固化して、被接着体1及び被接着体2が接着される。
実験1(光メルト接着剤粒子の作製)
市販のホットメルト接着剤(グルースティック)をカッターナイフで切断することにより、エチレン-酢酸ビニル樹脂55質量%、石油樹脂40質量%及びパラフィン5質量%からなり融点が76.7℃~84.2℃のホットメルト接着剤からなる一辺が1.15±0.17mmのほぼ立方体の粒子1を作製した。
100gの水に、粒子1を1.0g、ピロールを0.1g、FeCl3・6H2Oを0.94g(ピロール:FeCl3・6H2Oのモル比は3:7)を加え、室温にて、マグネチックスターラーにて600rpmで24時間撹拌し、前記の式(I)の反応を行ったところ、粒子1の表面にポリピロールの層が形成され、シェル-コア構造の光メルト接着剤粒子が作製された。光メルト接着剤粒子は、一辺が1.18±0.20mmのほぼ立方体の粒子であった。
市販のホットメルト接着剤(グルースティック)をカッターナイフで切断することにより、エチレン-酢酸ビニル樹脂55質量%、石油樹脂40質量%及びパラフィン5質量%からなり融点が76.7℃~84.2℃のホットメルト接着剤からなる一辺が1.15±0.17mmのほぼ立方体の粒子1を作製した。
100gの水に、粒子1を1.0g、ピロールを0.1g、FeCl3・6H2Oを0.94g(ピロール:FeCl3・6H2Oのモル比は3:7)を加え、室温にて、マグネチックスターラーにて600rpmで24時間撹拌し、前記の式(I)の反応を行ったところ、粒子1の表面にポリピロールの層が形成され、シェル-コア構造の光メルト接着剤粒子が作製された。光メルト接着剤粒子は、一辺が1.18±0.20mmのほぼ立方体の粒子であった。
実験2(光照射による発熱の測定)
実験1と同様にして作製した光メルト接着剤粒子を、トルエンに浸漬し、ホットメルト接着剤のコアから、シェルのポリピロール層を剥がし、ホットメルト接着剤粒子及びポリピロール膜を作製した。このようにして得られたホットメルト接着剤粒子及びポリピロール膜並びに実験1で作製した光メルト接着剤粒子のそれぞれの表面の1mm角に、近赤外ランプにより近赤外光を7秒間照射した後7秒間照射を停止する操作を5回繰り返した(5回の照射エネルギー計200mW)。照射中及び照射停止中の表面の温度をサーモカメラで測定した。ピーク温度(照射中に到達した最高温度)を表1に示す。
実験1と同様にして作製した光メルト接着剤粒子を、トルエンに浸漬し、ホットメルト接着剤のコアから、シェルのポリピロール層を剥がし、ホットメルト接着剤粒子及びポリピロール膜を作製した。このようにして得られたホットメルト接着剤粒子及びポリピロール膜並びに実験1で作製した光メルト接着剤粒子のそれぞれの表面の1mm角に、近赤外ランプにより近赤外光を7秒間照射した後7秒間照射を停止する操作を5回繰り返した(5回の照射エネルギー計200mW)。照射中及び照射停止中の表面の温度をサーモカメラで測定した。ピーク温度(照射中に到達した最高温度)を表1に示す。
表1の結果より、本発明の光メルト接着剤粒子は、近赤外光の照射により、ホットメルト接着剤粒子の溶融温度をはるかに超える211℃程度まで発熱することが示された。一方、ポリピロール膜で被覆されていないホットメルト接着剤粒子は、近赤外光の照射によってもほとんど発熱しないことが示されている。
実験3
(本発明の光メルト接着剤粒子によるPETフィルムの接着実験)
被接着体として、東レ株式会社製のPETフィルムを、カッターナイフで、厚さ250μm、長辺100mm、短辺25mm、質量約0.87gに切断したものを用意した。実験1で得られた光メルト接着剤粒子を、図2に示すPETフィルムの重ね合わせ部分(短辺側より長さ12.5mmの部分)のおおよそ中心の位置に配置した。
(本発明の光メルト接着剤粒子によるPETフィルムの接着実験)
被接着体として、東レ株式会社製のPETフィルムを、カッターナイフで、厚さ250μm、長辺100mm、短辺25mm、質量約0.87gに切断したものを用意した。実験1で得られた光メルト接着剤粒子を、図2に示すPETフィルムの重ね合わせ部分(短辺側より長さ12.5mmの部分)のおおよそ中心の位置に配置した。
PETフィルム上に配置した光メルト接着剤粒子に、近赤外レーザー(NIRレーザー:波長808nm)を7秒間照射した(光メルト接着剤粒子-NIRレーザー間距離:約3cm、照射面積1mm×5mm、出力200mW)。NIRレーザー照射の終了後約3秒以内に、光メルト接着剤粒子の上部にもう一枚のPETフィルム(前記と同種類、同形状のフィルム)を被せ、さらにその上に100gの重りを30秒間乗せ、圧縮応力を印加し、PETフィルム同士の接着を試みた。またコントロール実験としてポリピロール膜が被覆していないホットメルト接着剤粒子(実験1にて作製した粒子1と同じ粒子)でも同様の実験を行った。
(接着力の測定)
前記のようにして接着させたPETフィルムについて、試験機((株)島津製作所製AGS-X)を用いて、引張速度2mm/min、環境温度23℃の条件でせん断はく離試験を行った。その後、せん断はく離試験より得られた接着力(N)を光メルト接着剤粒子が押し広げられた面積(mm2)(接着面積)(図3)で割ることで、光メルト接着剤粒子の接着力(N/mm2)を求めた。
前記のようにして接着させたPETフィルムについて、試験機((株)島津製作所製AGS-X)を用いて、引張速度2mm/min、環境温度23℃の条件でせん断はく離試験を行った。その後、せん断はく離試験より得られた接着力(N)を光メルト接着剤粒子が押し広げられた面積(mm2)(接着面積)(図3)で割ることで、光メルト接着剤粒子の接着力(N/mm2)を求めた。
(実験結果の考察)
前記接着実験を行った後、上部のPETフィルムを持ち上げると、下部のPETフィルムも持ち上がり、光メルト接着剤粒子によりPETフィルム同士が接着していることが明らかになった。さらに接着したPETフィルムを手で持ち、激しく振ってもPETフィルム同士は接着したままであった。しかしポリピロール膜が被覆していないホットメルト接着剤粒子を用いた接着実験(コントロール)では、PETフィルム同士は接着していなかった。
前記接着実験を行った後、上部のPETフィルムを持ち上げると、下部のPETフィルムも持ち上がり、光メルト接着剤粒子によりPETフィルム同士が接着していることが明らかになった。さらに接着したPETフィルムを手で持ち、激しく振ってもPETフィルム同士は接着したままであった。しかしポリピロール膜が被覆していないホットメルト接着剤粒子を用いた接着実験(コントロール)では、PETフィルム同士は接着していなかった。
上記の接着実験の後、接着部分の光メルト接着剤粒子を実体顕微鏡で観察したところ、溶融した光メルト接着剤粒子が押しつぶされて、ホットメルト接着剤成分が漏出しPETフィルム上にぬれ広がっている様子が確認できた(図3)。図3より、光メルト接着剤粒子がぬれ広がった面積は、9.77±1.16mm2と求まった。又、(接着力の測定に記載した)せん断はく離試験により接着力を求めた結果、接着力(N)は12.00±1.25Nと測定された。この接着力(N)を光メルト接着剤粒子がぬれ広がった面積で割ることで光メルト接着剤粒子の接着力(N/mm2)を求めたところ、1.24±0.18N/mm2となり、優れた接着力が得られていることが示された。
以上説明したように、本発明の光メルト接着剤粒子は、ホットメルト接着剤粒子に光熱変換能を有する材料を被覆してなるシェル-コア構造の接着剤粒子であり、本発明の位置選択的接着方法は、この光メルト接着剤粒子を被接着体の接着位置に配置し、光照射による発熱を利用してホットメルト接着剤粒子を溶融して接着を行う点を特徴とする。従って、従来のホットメルト接着とは異なり、加熱手段を必要とせず、又接着剤粒子の配置はその溶融前に行われるので微細箇所に正確に粒子を配置することが容易であり、微細な隙間・空間への接着剤の正確な配置を実現し、ホットメルト接着剤による位置選択的接着が容易となる。又、光照射により、粒子が存在する場所のみで発熱させることができ、加熱手段による被接着体への加熱がないので、被接着体の熱変形、損傷等を抑制することができる。よって、複雑形状を有する部品の局所的接着が求められる電子機器、オートモービル分野への適用が考えられ、これらの分野の発展に資すると考えられる。
1 シェル(光熱変換能を有する材料の層)
2 コア(ホットメルト接着剤粒子)
2 コア(ホットメルト接着剤粒子)
Claims (9)
- ホットメルト接着剤の粒子をコアとし、前記粒子を被覆する光熱変換能を有する材料の層をシェルとすることを特徴とする光メルト接着剤粒子。
- 前記光熱変換能を有する材料が、ポリピロール又はポリ(N-アルキルピロール)であることを特徴とする請求項1に記載の光メルト接着剤粒子。
- 前記ホットメルト接着剤が、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタンよりなる群から選ばれる重合体をベースポリマーとして含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光メルト接着剤粒子。
- 被接着体1上に、ホットメルト接着剤の粒子をコアとし、前記粒子を被覆する光熱変換能を有する材料の層をシェルとする光メルト接着剤粒子を配置する接着剤粒子配置工程、
接着剤粒子配置工程後、前記光メルト接着剤粒子に、光照射して前記光熱変換能を有する材料を発熱させ、前記ホットメルト接着剤の粒子を加熱溶融させる接着剤粒子溶融工程、
前記光メルト接着剤粒子と被接着体2とを接触させ接合する接合工程、及び
接着剤粒子溶融工程及び接合工程後に、加熱溶融した接着剤粒子を徐熱し固化して、被接着体1及び被接着体2を接着させる接着工程
を有することを特徴とする位置選択的接着方法。 - 前記光熱変換能を有する材料が、ポリピロール又はポリ(N-アルキルピロール)であることを特徴とする請求項4に記載の位置選択的接着方法。
- 前記光照射が、近赤外線を含む光の照射であることを特徴とする請求項5に記載の位置選択的接着方法。
- 前記光照射が、波長700nm以上、1200nm以下の近赤外線の50mW以上の照射であることを特徴とする請求項6に記載の位置選択的接着方法。
- 前記光メルト接着剤粒子の粒子径が、0.5mm以上、5mm以下であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の位置選択的接着方法。
- 前記光熱変換能を有する材料の層の厚みが、50nm以上、100μm以下であることを特徴とする請求項8に記載の位置選択的接着方法。
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