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JP2023530004A - ウイルス感染症の処置のための化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、COVID-19を包含するコロナウイルス感染症の処置における、単独でまたは1以上の追加の治療剤と組み合わせての使用のためのATMインヒビターを網羅する。

Description

本発明の技術分野
本発明は、COVID-19などのSARS-CoV感染症を包含する、コロナウイルス感染症の処置におけるATM(毛細血管拡張性運動失調症突然変異)インヒビターの使用を提供する。
本発明の背景
ATMインヒビター
セリン/トレオニンタンパク質キナーゼATM(毛細血管拡張性運動失調症突然変異キナーゼ)は、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3キナーゼ、PI3K)と相同である触媒ドメインを有するPIKKファミリーのキナーゼに属する。これらのキナーゼは、細胞成長、細胞増殖、遊走、分化、生存および細胞接着などの多様な鍵となる細胞機能に関連する。とりわけ、これらのキナーゼは、DNA損傷に対して、細胞周期停止およびDNA修復プログラム(DDR:DNA損傷応答)の活性化によって反応する。ATMは、ATM遺伝子の産物であり、およびDNA二本鎖に対する損傷(DSB:二本鎖切断)の修復において中心的役割を担う。このタイプの二本鎖損傷は、殊更細胞傷害性である。ATMインヒビターは、がんの処置、とりわけ放射線治療と組み合わせて、または他の抗がん剤と組み合わせての処置のために開発されている。
コロナウイルス
コロナウイルス(CoV)は、ニドウイルス目、コロナウイルス科のポジティブセンス、一本鎖RNA(ssRNA)ウイルスである。ヒトを包含するほとんどの哺乳動物に感染するアルファコロナウイルスおよびベータコロナウイルスを含む、4つのサブタイプのコロナウイルス(アルファ、ベータ、ガンマおよびデルタ)がある。ここ20年にわたって、非ヒト哺乳動物宿主から跳び越えてヒトに感染する3つの意義深い新規コロナウイルスが現れている:2002年に出現した重症急性呼吸器症候群(SARS-CoV-1)、2012年に出現した中東呼吸器症候群(MERS-CoV)、および2019年後期に出現したCOVID-19(SARS-CoV-2)。2020年の6月中旬までに、780万人を超える人々が感染したことが知られており、および432,000人を超える人々が亡くなった。両方の数字はおそらく、疾患によって生じた惨状の著しく少なめの見積もりを表している。
COVID-19
SARS-CoV-2は、2002年~03年のSARSの流行の原因物質である、SARS-CoV-1と酷似している(Fung, et al, Annu. Rev. Microbiol. 2019. 73:529-57)。重症疾患は、SARS-CoV-2に感染した患者のおよそ15%と報告されており、そのうち3分の1が重篤な疾患(例として、呼吸不全、ショック、または多臓器機能障害に進行する(Siddiqi., et al, J. Heart and Lung Trans. (2020), doi: https://doi.org/10.1016/j.healun.2020.03.012、Zhou, et al, Lancet 2020; 395: 1054-62. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30566-3)。SARS-CoV-2によってトリガーされるウイルスの病因および免疫応答の機序を完全に理解することは、抗ウイルス処置および対症療法を越えた治療的介入の合理的設計において極めて重要であろう。COVID-19がそれを発症する人々の健康状態に影響を与える様々な方法について発見されるべきことがいまだに多くある。
コロナウイルス疾患2019(COVID-19)についての病原体である、重症急性呼吸器症候群(SARS)-コロナウイルス-2(CoV-2)は、世界中でほぼ八百万人に影響を及ぼし、2020年6月現在で2~4%の症例死亡率を有するパンデミックを引き起こした。ウイルスは、おそらく初期の高いウイルス負荷および既存の免疫の欠如と関連して、高い伝播速度を有する(He, et. al, Nat Med 2020 https://doi.org/10.1038/s41591-020-0869-5)。それは、とくに高齢者および併存疾患を有する個人において重度の疾患を引き起こす。COVID-19の世界的な負担は計り知れず、および疾患に取り組むための治療的アプローチは、益々必要となっている。HIV-1(ロピナビルプラスリトナビル)およびエボラウイルス(レムデシビル)のようなエンベロープRNAウイルスのために開発されたそれらを包含する直感的な抗ウイルスのアプローチが、治験薬として試験が実施されている(Grein et al, NEJM 2020 https://doi.org/10.1056/NEJMoa2007016; Cao,et al, NEJM 2020 DOI: 10.1056/NEJMoa2001282)。しかし、重度の疾患を有する多くの患者が免疫病理を呈することを考慮すると、宿主指向型の免疫調節アプローチもまた、段階的なアプローチかまたは抗ウイルス剤と同時のいずれかで検討されつつある(Metha, et al, The Lancet 2020; 395(10229) DOI: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30628-0、Stebbing, et al, Lancet Infect Dis 2020. https://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30132-8)。
COVID-19の処置に使用するための多くの治療が検討されつつある一方で、今のところ疾患を処置する承認薬はなく、および入手可能なワクチンはない。今日まで、処置は、典型的には、呼吸不全を有する患者のための機械的換気を伴う対症的な管理、酸素治療といった利用可能な臨床の頼みの綱のみからなる。よって、SARS-CoV-2の感染サイクルの種々のステージを扱う新規治療について差し迫った必要性がある(Siddiqi, et al.)。
図面の簡単な記載
図1は、非感染細胞および治療剤への曝露なしの感染した細胞と比較した、4~27μMの濃度の本発明の第1のATMインヒビター(「NCE4」)で処置したときのCalu-3細胞のコンフルエンスを描くグラフを示す。
図2は、非感染細胞および治療剤への曝露なしの感染した細胞と比較した、16~81μMの濃度の本発明の第2のATMインヒビター(「NCE16」)で処置したときのCalu-3細胞のコンフルエンスを描くグラフを示す。
本発明の概要
第1の態様において、本発明は、ウイルス感染症の処置を、これを必要とする対象においてする使用のための本発明のATMインヒビターを提供する。この態様の一側面において、ウイルス感染症は、単一鎖RNAウイルス感染症である。この態様の別の側面において、ウイルス感染症は、コロナウイルス感染症である。この態様のさらなる側面において、ウイルス感染症は、SARS-CoV1、MERS-CoV、またはSARS-CoV-2感染症である。この態様の最終的な側面において、ウイルス感染症は、SARS-CoV-2感染症である。
第2の態様は、コロナウイルス感染症の処置を、これを必要とする対象においてする方法であって、有効量のATMインヒビター、またはその薬学的に許容し得る塩を対象に投与することを含む方法である。この態様の一側面において、ATMインヒビターの投与は、対象におけるウイルス負荷を低減する。この態様の一側面において、ATMインヒビターは、COVID-19肺炎の発症前に投与される。この態様の別の側面において、ATMインヒビターは、対象が重度のサイトカインストームを発症する前に投与される。この態様のさらなる側面において、対象は、軽度から中程度のSARS-CoV-2感染症を有する。この態様の追加の側面において、対象は、投与レジメンの開始時に無症候性である。
詳細な記載
最近の論文は、SARS-CoV-2ウイルスの負荷、症状の重症度およびウイルス排出の間の関係を示唆している(He, et al; Liu, et al, Lancet Infect Dis 2020. https://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30232-2)。コロナウイルスの複製を鈍くするために症状の発病時に投与されるいくつかの抗ウイルス薬が、試験段階にある(Grein, et al; Taccone, et al)が、今のところいずれもほとんど有望性を示せていない。感染症の早期でウイルスの複製を遅らせることを可能にすることは、対象が重度の疾患を回避することを可能とするであろう。
コロナウイルスは、いくつかのヒトの疾患、最も注目すべきことに、2003年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因であるエンベローププラス鎖RNAウイルスの多様なグループを含む。宿主の細胞周期調節の撹乱が、コロナウイルス、伝染性気管支炎ウイルス(IBV)を包含する、多くのDNAおよびRNAウイルスによる感染症の特徴的な特色である(Xu L.H. et al.: Coronavirus Infection Induces DNA Replication Stress Partly through Interaction of Its Nonstructural Protein 13 with the p125 Subunit of DNA Polymerase J Biol Chem 286: 39546-39559, 2011)。IBV感染症は、ウイルスの複製および子孫の産生の増強のためにS期およびG2/M期の両方で細胞周期停止を誘導することが示された。Xuらは、細胞のDNA損傷応答の活性化が、細胞周期停止を誘導するのにコロナウイルスによって利用される鍵となる機構の1つであることを示した。
DNA損傷応答は、ATM(毛細血管拡張性運動失調症突然変異)、ATR(毛細血管拡張性運動失調症およびRad3関連)、およびDNA-PK(DNA依存性タンパク質キナーゼ)を包含するセリン/トレオニンキナーゼのPIKK(ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼ様タンパク質キナーゼ)ファミリーのメンバーによって媒介される(Luftig et al., Annu. Rev. Vir. 2014. 1:605-25)。ATMおよびATRの両方が、DNA損傷およびDNA複製ストレスによって活性化されるが、DNA損傷応答におけるそれらの役割は異なっており、重複していない。ATMおよびATRは、しばしば一緒に働き、DNA損傷をシグナル伝達し、および下流プロセスを調節する。ATMが主に二本鎖DNA切断(DSB)によって活性化される一方で、ATRは細胞周期のS期の間の一本鎖DNAによって活性化される。
Xuらは(同書にて)、ATRシグナル伝達が、IBVに感染したH1299ならびにVero細胞において活性化されることを示した。化学インヒビターによるATRキナーゼ活性の抑制およびsiRNA媒介性のATRのノックダウンは、IBVに誘導されるATRシグナル伝達を低減し、およびIBVの複製を阻害した。それとは反対に、ATM経路の活性化は観察されず、およびATMインヒビターはIBVの複製を低減しなかった。
Luftigらは(同書にて)、コロナウイルスへの具体的な言及はないが、DNA損傷応答とウイルスとの間の一般的な関係性をレビューしており、ウイルスに誘導されたDNA損傷応答の活性化は広範囲であり、ATM、DNA-PKおよびATRタンパク質キナーゼの活性化を包含し得ることを指摘した。
本明細書に示されるような強力かつ選択的なATMインヒビターで観察される抗ウイルス活性に照らして、本発明の化合物がDNA損傷応答およびウイルス複製を有利に妨げることが仮定される。ATMインヒビターが、ウイルスによって誘導される細胞のDNA損傷応答の活性化を阻害することによって、コロナウイルスが誘導する細胞停止、および/または宿主細胞におけるコロナウイルスの複製を阻害することが考えられる。本発明の化合物の抗ウイルス特性について正確な作用機序が何であれ、その投与が本明細書にさらに記載されるとおり1以上の臨床的有用性を有するであろうことが提案される。
「COVID-19」は、SARS-CoV-2の感染によって引き起こされる疾患の名称である。感染および疾患の両方を間違いのない専門用語を用いて記載するよう注意が払われた一方で、「COVID-19」および「SARS-CoV-2感染症」は、等価な用語であることを意味する。
本出願の執筆の時点で、COVID-19の患者/症状の重症度の決定および特徴は、決定的に確立されていない。しかしながら、本発明の文脈において、「軽度から中程度の」COVID-19は、対象が無症候性と提示されるかまたは肺炎の証拠のない、それほど重度でない臨床症状(例として、低悪性度の発熱かまたは発熱がなく(<39.1℃)、咳、軽度から中程度の不快感)を提示するときに生じ、および一般に医療の注意を要さない。「中程度から重度の」感染症と称するとき、患者は一般に、より重度の臨床症状(例として、発熱>39.1℃、息切れ、持続する咳、肺炎等)を示す。本明細書に使用されるとき、「中程度から重度の」感染症は、典型的には、入院を包含する医療介入を必要とする。疾患の進行の間に、対象は、感染症の1回の発作で「軽度から中程度」から「中程度から重度」まで推移し得、および再び戻り得る。
本発明の方法を使用するCOVID-19の処置は、感染症のいずれかのステージで有効量の本発明のATMインヒビターを投与し、それに関連する症状を予防又は低減することを包含する。典型的には、対象は、最も信頼の置ける診断およびSARS-CoV2感染症と一致する症状の提示後に有効量の本発明のATMインヒビターを投与され、および投与が、感染症の重症度を低減する、および/またはより重度の状態への感染症の進行を予防するであろう。かかる投与の際の臨床的有用性は、以下のセクションにてより詳細に記載される。
1.化合物および定義
一態様は、以下の式に従った、ATMインヒビターである第1の化合物:
Figure 2023530004000001
またはその薬学的に許容し得る塩のウイルス感染症の処置のための使用である。
夫々ATMインヒビターである第1の化合物はまた、8-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-フルオロ-5-メトキシ-ピリジン-4-イル)-7-メトキシ-3-メチル-1,3-ジヒドロイミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オンと称されてもよい。それはWO2016/155844において例4として開示され、さらに特徴付けられている。例示の態様において、この第1の化合物またはその薬学的に許容し得る塩のアキシャルなキラル形態が使用され、それは8-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(Sa)-(3-フルオロ-5-メトキシ-ピリジン-4-イル)-7-メトキシ-3-メチル-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オンと称されており、および以下の式で例証される(以下において「NCE4」とも称される):
Figure 2023530004000002
以下において第1の化合物または第1のATMインヒビターへのいずれの言及も、8-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(Sa)-(3-フルオロ-5-メトキシ-ピリジン-4-イル)-7-メトキシ-3-メチル-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オンへの言及を包含するものとして読むべきである。
一態様は、以下の式に従った、ATMインヒビターである第2の化合物:
Figure 2023530004000003
またはその薬学的に許容し得る塩のウイルス感染症の処置のための使用である。
第2の化合物はまた、3-フルオロ-4-[7-メトキシ-3-メチル-8-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-ベンゾニトリルとも呼ばれてもよく、およびその合成を包含して、WO2012/028233に開示される。それはまた、以下において「NCE16」と称されてもよい。第1および第2の化合物の両方が、高度に選択的かつ強力なATMのインヒビターである。
上記の化合物は、それらの遊離形態で、または薬学的に許容し得る塩としてのいずれかで使用されてもよい。遊離化合物は、酸との反応、例えば、等価な量の塩基および酸を、例えば、エタノールなどの不活性溶媒中で反応させ、およびこれに続いて蒸発させることによって、関連する酸付加塩に変換されてもよい。この反応のための好適な酸は、とりわけ、例えば、ハロゲン化水素(例えば、塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素)、他の鉱酸およびその対応する塩(例えば、スルファート、ニトラートまたはホスファート等)、アルキル-およびモノアリールスルホナート(例えば、エタンジスルホナート(エジシレート)、トルエンスルホナート、ナフタレン-2-スルホナート(ナプシレート)、ベンゼンスルホナート)ならびに他の有機酸およびその対応する塩(例えば、フマラート、オキサラート、アセタート、トリフルオロアセタート、タートラート、マレアート、スクシナート、シトラート、ベンゾアート、サリチラート、アスコルバート)等の生理学的に許容し得る塩を与えるそれらである。
第1の化合物またはそのアトロプ異性体(単数または複数)の薬学的に許容し得る塩の例示の態様は、エジシレート、フマラートおよびナプシレートの塩を含む。第2の化合物の薬学的に許容し得る塩の例示の態様は、ほんの数例の名前を挙げるに、スルファート、マレアートおよびオキサラートを含む。
別様に述べられない限り、本明細書に描かれる構造はまた、1以上の同位体が濃縮された原子が存在していることのみ異なる化合物を包含することも意味する。例えば、重水素またはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cまたは14Cが濃縮された炭素による炭素の置き換えを包含する本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。いくつかの態様において、化合物は、1以上の重水素原子を含む。
2.使用、製剤化および投与
本明細書に使用されるとき、用語「患者」または「対象」は、動物、好ましくはヒトを意味する。しかしながら、「対象」は、イヌおよびネコなどの伴侶動物を包含し得る。一態様において、対象は、成人ヒト患者である。別の態様において、対象は、小児科の患者である。小児科の患者は、処置の開始時で18歳を下回るいずれかのヒトを包含する。成人患者は、処置の開始時で18歳以上であるいずれかのヒトを包含する。一態様において、対象は、65歳を超える存在、いずれかの年齢の免疫無防備状態のヒト、慢性肺疾病(喘息、COPD、嚢胞性線維症等)を有するヒト、および他の併存疾患を有するヒトなどのハイリスクグループの一員である。この態様の一側面において、他の併存疾患は、肥満、糖尿病および/または高血圧症である。
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、口腔内に、経膣的に、または移植されたリザーバを介して投与される。好ましくは、組成物は、経口的に投与される。一態様において、本発明の化合物の経口製剤(組成物)は、錠剤またはカプセル形態である。別の態様において、経口製剤は、口または経鼻胃管を介してこれを必要とする対象に与えられるであろう溶液または懸濁液である。本発明のいずれかの経口製剤は、食品の有無にかかわらず投与されてもよい。いくつかの態様において、本発明の薬学的に許容し得る組成物は、食品とは別に投与される。他の態様において、本発明の薬学的に許容し得る組成物は、食品と共に投与される。
本発明の薬学的に許容し得る組成物は、いずれかの経口的に許容し得る剤形で経口的に投与される。例示の経口剤形は、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液である。経口使用のための錠剤のケースにおいて、一般的に使用される担体は、ラクトースおよびコーンスターチを包含する。ステアリン酸マグネシウムなどの平滑剤もまた、典型的に添加される。カプセル形態での経口投与について、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥コーンスターチを包含する。水性懸濁液が経口使用に要求されるとき、活性成分は、乳化剤および懸濁化剤と組み合わせられる。所望される場合、ある甘味料、フレーバー剤または着色剤もまた、任意に添加される。
任意に担体材料と組み合わせて単一の剤形で組成物を産生する本発明の化合物の量は、処置される宿主、具体的な投与のモードに応じて変化するであろう。好ましくは、提供される組成物は、0.01~100mg/kg体重/日の化合物の投薬量が、これらの組成物を受ける患者に投与され得るように処方されるべきである。
一態様において、ATMインヒビターの、これを必要とする対象に投与される総量は、1日あたり約5mg~約1000mgの間である。
一態様において、ATMインヒビターは、1日あたり5mg~1gの総量、実例として、1日あたり20と500mgとの間の総量または1日あたり50と500mgとの間の総量などの1日あたり10と750mgとの間の総量で投与される。一態様において、第1の化合物のアトロプ異性体(「NCE4」)は、1日あたり25~350mgの総量で投与される。一態様において、第2の化合物は、1日あたり150~480mgの総量で投与される。
別の態様において、ATMインヒビターは、1日に1回投与される。この態様の別の側面において、ATMインヒビターは、1日に2回投与される。
上記の態様のいずれかにおいて、ATMインヒビターは、約7日~約28日の期間投与される。上記の態様のいずれかの一側面において、ATMインヒビターは、約14日間投与される。
本発明の一態様において、対象は、COVID-19肺炎を患う。本発明の一態様において、対象は、胸部鬱血、咳、94%を下回る血液酸素飽和(SpO)レベル、息切れ、呼吸困難、発熱、寒気、寒気を伴う繰り返す震え、筋肉疼痛および/または衰弱、頭痛、咽喉痛および/または味覚または臭覚の新たな喪失から選択される1以上の症状を患う。
一態様において、対象は、SARS-CoV-2感染に対する高炎症性の宿主免疫応答を患う。この態様の一側面において、高炎症性の宿主免疫応答は、以下から選択される1以上の臨床適応症に関連する;1)リンパ球、とくに末梢血中のナチュラルキラー(NK)細胞のレベルの低減;2)高レベルの炎症性パラメータ(例として、C反応性タンパク質[CRP]、フェリチン、d-ダイマー)、および炎症促進性のサイトカイン(例として、IL-6、TNFアルファ、IL-8および/またはIL-1ベータ);3)リンパ器官におけるリンパ球の低減とともに、リンパ球減少症および/または脾臓およびリンパ節の萎縮によって実証される免疫系の増悪;4)単球、マクロファージおよび/または好中球が肺病変に浸潤するが、血液の酸素化の低下をもたらすリンパ球浸潤が最小限であることによって表される肺生理機能の機能障害;5)急性呼吸窮迫症候群(ARDS);6)血管炎;7)脳炎、ギラン・バレー症候群、および他の神経学的障害;8)腎機能障害および腎不全;9)動脈血栓症などの高い凝固能;および10)または上記のいずれかの組み合わせがもたらす末端器官障害および死亡。
一態様において、COVID-19を有する対象は、川崎病(すなわち、川崎症候群)および川崎病様疾患(Kawasaki-like disease)を包含する、血管炎を患う小児科の患者である。
本発明の一態様において、対象は、入院中の患者に処置されるものである。別の態様において、対象は、外来診療の患者に処置されるものである。先行する態様の一側面において、対象は、入院中の患者に処置されるものから外来診療の患者に処置されるものまで推移した後に、ATMインヒビターの投与を継続してもよい。
一態様において、ATMインヒビターの投与は、1以上の臨床的有用性をもたらす。この態様の一側面において、1以上の臨床的有用性は、以下を含む群から選択される:入院期間の低減、集中治療室(ICU)にいる期間の低減、対象がICUへ入室する可能性の低減、死亡率の低減、透析を要する腎不全の可能性の低減、非侵襲性または侵襲侵襲性の機械的換気を身に着ける可能性の低減、回復までの時間の低減、必要とされるであろう酸素供給の可能性の低減、機械的な介入なしでの末梢毛細血管の酸素飽和度(SpOレベル)の改善または正常化、胸部のイメージング(例として、CTまたは胸部X線)によって決定されるとおりの肺炎の重症度の低減、サイトカイン産生の低減、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の重症度の低減、ARDSを発症する可能性の低減、COVID-19肺炎の臨床的消散、およびPaO/FiO比率の改善。
別の態様において、1以上の臨床的有用性は、機械的換気または体外式膜型人工肺なしでの対象における末梢毛細血管の酸素飽和度(SpOレベル)の改善または正常化を包含する。
さらなる態様において、1以上の臨床的有用性は、入院する可能性の低減、ICUへの入室の可能性の低減、挿管する(侵襲的な機械的換気)可能性の低減、必要とされるであろう酸素供給の可能性の低減、入院の長さの低減、死亡の可能性の低減および/または再入院の可能性を包含する再発の可能性の低減である。
本発明はまた、ウイルス感染症の処置を、これを必要とする対象においてする方法を提供し、それは有効量の本発明の化合物を対象に投与することを含む。ウイルス感染症を処置または阻害する有効量は、非処置のコントロール対象と比較して、ウイルスの病変、ウイルス負荷、ウイルス産生速度、および死亡率などのウイルス感染症の兆候の1以上の低減を引き起こすであろう量である。
本発明の一態様は、コロナウイルス感染症の処置を、これを必要とする対象においてする方法であって、有効量のATMインヒビター、またはその薬学的に許容し得る塩を対象に投与することを含む。この態様の一側面において、対象は、SARS-CoV-2に感染している。この態様の別の側面において、ATMインヒビターの投与は、対象におけるウイルス負荷の低減をもたらす。
一態様において、ATMインヒビターは、COVID-19肺炎の発症前に投与される。別の態様において、対象は、軽度から中程度のSARS-CoV-2感染症を有する。さらなる態様において、対象は、投与レジメンの開始時に無症候性である。別の態様において、対象は、SARS-CoV-2感染と診断されている患者との既知の接触を有している。追加の態様において、対象は、COVID-19を有すると正式に診断される前にATMインヒビターの投与を始める。
一態様は、COVID-19を有する対象を処置する方法であって、それは有効量のATMインヒビターを対象に投与することを含む。この態様の一側面において、対象は、これまでにSARS-CoV-2ワクチンでワクチン接種されたことがあり、およびワクチンに関する感染の増悪、例えば、抗体依存性の増強または関連する抗体媒介性の機構のワクチン/抗体に関する増悪を発症する。
上記の態様のいずれかにおいて、ATMインヒビターの投与は、1以上の臨床的有用性を対象にもたらす。この態様の一側面において、1以上の臨床的有用性は、感染期間を短くすること、入院の可能性の低減、死亡の可能性の低減、ICUへの入室の可能性の低減、機械的換気をはめる可能性の低減、必要とされるであろう酸素供給の可能性の低減および/または入院の長さの低減である。この態様の別の側面において、1以上の臨床的有用性は、有意な炎症促進反応の回避である。この態様のさらなる側面において、1以上の臨床的有用性は、対象がCOVID-19の有意な症状を発症しないことである。
本発明の化合物(単数または複数)は、SARS-CoV-2感染症の発病前もしくはそれに続いて、または対象において急性感染症が診断された後に投与され得る。本発明の使用の先述の化合物および医薬産物は、具体的には治療処置のために使用される。治療的に関係のある効果は、障害の1以上の症状をある程度和らげるか、または疾患または病態に関連するかまたはそれを引き起こす1以上の生理学的または生化学的パラメータを部分的または完全のいずれかで常態に戻す。モニタリングは、化合物が、例として、応答をブーストし、および病原体および/または疾患の症状を根絶するために、別個の間隔で投与される場合は、処置の一種として考えられる。本発明の方法はまた、障害を発症する可能性の低減する、または軽度から中程度の疾患の兆候に先立ってCOVID-19に関連する障害の開始を予防までもする、または急性感染症の発生した、およびそれの継続する症状を処置するためにも使用され得る。
軽度から中程度のCOVID-19の処置は、典型的には外来診療の患者になされる。中程度から重度のCOVID-19の処置は、典型的には入院中の患者になされる。加えて、処置は、対象が退院した後に外来診療の患者に継続され得る。
本発明はさらにまた、本発明に従う少なくとも1の化合物またはそれらの薬学的な塩を含む医薬に関する。
本発明の意味における「医薬」は、本発明の1以上の化合物またはその調製(例として、医薬組成物または医薬製剤)を含み、および予防法、治療、経過観察において、またはCOVID-19の臨床症状および/またはそれへの既知の曝露を患う患者のケアの後に使用され得る、薬学分野におけるいずれかの剤である。
組み合わせ処置
様々な態様において、ATMインヒビターは、単独でまたは1以上の追加の治療剤と組み合わせて投与されてもよい。相乗的または増加した効果は、医薬組成物中の1より多い活性成分を使用して達成されてもよい。ATMインヒビターおよび1以上の追加の治療剤は、同時にかまたは連続してのいずれかで使用され得る。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上の追加の治療剤と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、1以上の追加の治療剤は、抗炎症薬、抗生物質、抗凝固薬、抗寄生虫薬、抗血小板薬および2剤併用抗血小板療法、アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター、アンジオテンシンII受容体遮断薬、ベータ遮断薬、スタチンおよび他の複合コレステロール低下薬、特異的なサイトカインインヒビター、補体インヒビター、抗VEGF処置、JAKインヒビター、免疫調節薬、抗インフラマソーム治療、スフィンゴシン-1リン酸受容体結合剤、N-メチル-d-アスパルタート(NDMA)受容体グルタミン酸受容体アンタゴニスト、コルチコステロイド、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、抗GM-CSF、インターフェロン、アンジオテンシン受容体ネプリライシンインヒビター、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、利尿薬、筋弛緩薬、および抗ウイルス薬から選択される。
一態様において、ATMインヒビターは、抗ウイルス剤と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、抗ウイルス剤は、レムデシビルである。この態様の別の側面において、抗ウイルス剤は、ロピナビル-リトナビル単独またはリバビリンおよびインターフェロン-ベータと組み合わせたものである。
一態様において、ATMインヒビターは、広域抗生物質と組み合わせて投与される。
一態様において、ATMインヒビターは、クロロキンまたはヒドロキシクロロキンと組み合わせて投与される。この態様の一側面において、ATMインヒビターは、さらにアジスロマイシンと組み合わされる。
一態様において、ATMインヒビターは、インターフェロン-1-ベータ(Rebif(登録商標))と組み合わせて投与される。
一態様において、ATMインヒビターは、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、イベルメクチン、トラネキサム酸、ナファモスタット、ビラゾール、リバビリン、ロピナビル/リトナビル、ファビピラビル、アルビドール、レロンリマブ、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、ベータ-インターフェロン、アジスロマイシン、ニタゾキサニド(nitrazoxamide)、ロバスタチン、クラザキズマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、サリルマブ、トシリズマブ、アナキンラ、エマパルマブ、ピルフェニドン、ベリムマブ、リツキシマブ、オクレリズマブ、アニフロルマブ、ラブリズマブ-cwvz、エクリズマブ、ベバシズマブ、ヘパリン、エノキサパリン、アプレミラスト、クマジン、バリシチニブ、ルキソリチニブ、ダパグリフロジン、メトトレキサート、レフルノミド、アザチオプリン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、コルヒチン、フィンゴリモド、イフェンプロジル、プレドニゾン、コルチゾール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、メラトニン、オチリマブ、ATR-002、APN-01、カモスタットメシル酸塩、ブリラシジン、IFX-1、PAX-1-001、BXT-25、NP-120、免疫グロブリン静注(IVIG)、およびソルナチド(solnatide)から選択される1以上の追加の治療剤と組み合わせて投与される。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上の抗炎症剤と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、抗炎症剤は、コルチコステロイド、ステロイド、COX-2インヒビター、および非ステロイド系の抗炎症薬物(NSAID)から選択される。この態様の一側面において、抗炎症剤は、ジクロフェナク、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン(flurbirprofen)、イブロプロフェン、インドメタシン、メクロフェナム酸、ムフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、フルドコルチゾン、ベタメタゾン(bethamethasone)、プレドニゾロン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾン、デキサメタゾン、フルチカゾン、およびブデソニド(単独またはホルモテノール、サルメテロール、またはビランテロールと組み合わせて)である。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上の免疫調節薬と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、免疫調節薬は、カルシニューリンインヒビター、抗代謝体、またはアルキル化剤である。この態様の別の側面において、免疫調節薬は、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、ダプソン(dapson)、シクロスポリン、シクロホスファミド等から選択される。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上の抗生物質と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、抗生物質は、広域抗生物質である。この態様の別の側面において、抗生物質は、ペニシリン、抗ブドウ球菌(antistraphylococcal)ペニシリン、セファロスポリン、アミノペニシリン(一般的にベータラクタマーゼインヒビターと共に投与される)、モノバクタム、キノリン、アミノグリコシド、リンコサミド、マクロライド、テトラサイクリン、グリコペプチド、抗代謝体またはニトロイミダゾールである。この態様のさらなる側面において、抗生物質は、ペニシリンG、オキサシリン、アモキシシリン、セファゾリン、セファレキシン、セフォテタン(cephotetan)、セフォキシチン、セフトリアキソン(ceftriazone)、オーグメンチン、アモキシシリン、アンピシリン(+スルバクタム)、ピペラシリン(+タゾバクタム)、エルタペネム、シプロフロキサシン、イミペネム、メロペネム、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、アミカシン、クリンダマイシン、アジスロマイシン、ドキシサイクリン、バンコマイシン、バクトリム、およびメトロニダゾールから選択される。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上の抗凝固薬と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、抗凝固薬は、アピキサバン、ダビガトラン、エドキサバン、ヘパリン、リバーロキサバン、およびワルファリンから選択される。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上の抗血小板薬および/または2剤併用抗血小板療法と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、抗血小板薬および/または2剤併用抗血小板療法は、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、プラスグレル、およびチカグレロルから選択される。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上のACEインヒビターと組み合わせて投与される。この態様の一側面において、ACEインヒビターは、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリルから選択される。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上のアンジオテンシンII受容体遮断薬と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、アンジオテンシンII受容体遮断薬は、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、およびバルサルタンから選択される。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上のベータ遮断薬と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、ベータ遮断薬は、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド、ビソプロロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、およびソタロールから選択される。
別の態様において、ATMインヒビターは、1以上のアルファおよびベータ-遮断薬と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、アルファおよびベータ遮断薬は、カルベジロールまたはラベタロール塩酸塩である。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上のインターフェロンと組み合わせて投与される。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上のアンジオテンシン受容体-ネプリライシンインヒビターと組み合わせて投与される。この態様の一側面において、アンジオテンシン受容体ネプリライシンインヒビターは、サクビトリル/バルサルタンである。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上のカルシウムチャネル遮断薬と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、カルシウムチャネル遮断薬は、アムロジピン、ジルチアゼム、フェロジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、およびベラパミルから選択される。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上の血管拡張薬と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、1以上の血管拡張薬は、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、およびミノキシジルから選択される。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上の利尿薬と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、1以上の利尿薬は、アセタゾラミド、アミロライド、ブメタニド、クロロチアジド、クロルタリドン、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メトラゾン、スピロノラクトン、およびトルセミドから選択される。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上の筋弛緩薬と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、筋弛緩薬は、鎮痙薬(antispasmodic)または鎮痙薬(antispastic)である。この態様の別の側面において、1以上の筋弛緩薬は、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メタキサロン、メトカルバモール、オルフェナドリン、チザニジン、バクロフェン、ダントロレン、およびジアゼパムから選択される。
一態様において、ATMインヒビターは、1以上の抗ウイルス薬と組み合わせて投与される。この態様の一側面において、抗ウイルス薬は、レムデシビルである。
一態様において、ATMインヒビターは、抗寄生虫薬(これらに限定されないが、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、イベルメクチンを包含する)、抗ウイルス薬(これらに限定されないが、トラネキサム酸、ナファモスタット、ビラゾール[リバビリン]、ロピナビル/リトナビル、ファビピラビル、レロンリマブ、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、ベータ-インターフェロンを包含する)、細胞内活性を有する抗生物質(これらに限定されないが、アジスロマイシン、ニタゾキサニドを包含する)、スタチンおよび他の複合コレステロール低下薬および抗炎症薬(これらに限定されないが、ロバスタチンを包含する)、特異的なサイトカインインヒビター(これらに限定されないが、クラザキズマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、サリルマブ、トシリズマブ、アナキンラ、エマパルマブ、ピルフェニドンを包含する)、補体インヒビター(これらに限定されないが、ラブリズマブ-cwvz、エクリズマブを包含する)、抗VEGF処置(これらに限定されないが、ベバシズマブを包含する)、抗凝固薬(これらに限定されないが、ヘパリン、エノキサパリン、アプレミラスト、クマジンを包含する)、JAKインヒビター(これらに限定されないが、バリシチニブ、ルキソリチニブ、ダパグリフロジンを包含する)、抗インフラマソーム治療(これらに限定されないが、コルヒチンを包含する)、スフィンゴシン-1リン酸受容体結合剤(これらに限定されないが、フィンゴリモドを包含する)、N-メチル-d-アスパルタート(NDMA)受容体グルタミン酸受容体アンタゴニスト(これらに限定されないが、イフェンプロジルを包含する)、コルチコステロイド(これらに限定されないが、プレドニゾン、コルチゾール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロンを包含する)、GM-CSF、抗GM-CSF(オチリマブ)、ATR-002、APN-01、カモスタットメシル酸塩、アルビドール、ブリラシジン、IFX-1、PAX-1-001、BXT-25、NP-120、免疫グロブリン静注(IVIG)、およびソルナチドから選択される1以上の追加の治療剤と組み合わせて投与される。
いくつかの態様において、ATMインヒビターと1以上の追加の治療剤との組み合わせは、ATMインヒビターまたは追加の治療剤が、単独で投与されるときの投与される有効量と比較して、同じ結果を達成する投与されるATMインヒビターおよび/または1以上の追加の治療剤の有効量(これらに限定されないが、投薬量の体積、投薬量の濃度、および/または投与される合計薬物用量を包含する)を低減する。いくつかの態様において、ATMインヒビターと追加の治療剤との組み合わせは、追加の治療剤単独での投与と比較して合計処置期間を低減する。いくつかの態様において、ATMインヒビターと追加の治療剤との組み合わせは、追加の治療剤単独での投与に関連する副作用を低減する。いくつかの態様において、有効量のATMインヒビターと追加の治療剤との組み合わせは、有効量のATMインヒビターまたは追加の治療剤単独と比較して、より効果的である。一態様において、有効量のATMインヒビターと1以上の追加の治療剤との組み合わせは、いずれかの剤の単独での投与よりも、1以上の追懐の臨床的有用性をもたらす。
本明細書に使用されるとき、用語「処置」、「処置する」および「処置すること」は、本明細書に記載のとおりのウイルス感染症、またはその1以上の症状を、回復すること(reversing)、緩和すること、その発現を遅延させること、またはその進行を阻害することを指す。いくつかの態様において、処置は、1以上の症状が発症した後に施される。他の態様において、処置は、症状の非存在下で施される。例えば、処置は、症状の発現前に感染しやすい個人(例として、感染した人への既知の曝露の観点から、および/または重度の疾患、または他の感染しやすい因子についての予測因子である併存疾患の観点から)へ施される。
例証
以下の例に記載されるとおり、ある例示の態様において、化合物は、以下の手順に従って調製される。
例1:
第1の化合物を、WO2016/155844に開示された手順に従って調製し、これに続き以下の反応スキームに例証されるとおりアトロプ異性体を分離させる:
Figure 2023530004000004
a.6-ブロモ-N-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-3-ニトロ-キノリン-4-アミンの合成:
乾燥窒素雰囲気下で、N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中に溶解された3-フルオロ-5-メトキシピリジン-4-アミン(447mg、3.02mmol)の溶液を提供した。次いで、水素化ナトリウム(504mg、12.6mmol、60%)を溶液に添加し、および室温にて5分間継続して攪拌した。次いで6-ブロモ-4-クロロ-7-メトキシ-3-ニトロ-キノリン(800mg、2.52mmol)を反応混合物に添加し、これに続き15分の室温での攪拌、次いで氷水(100mL)の添加を通してクエンチした。沈殿物を濾過し、氷水で洗浄し、および乾燥させて、黄色固体として1.00g(94%)の6-ブロモ-N-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-3-ニトロ-キノリン-4-アミンを与えた。
b.6-ブロモ-N-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-キノリン-3,4-ジアミンの合成:
メタノール(100mL)中に溶解した6-ブロモ-N-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-3-ニトロ-キノリン-4-アミン(990mg、2.20mmol)を、保護的な窒素雰囲気下で提供した。次いで、ラネーNi(100mg、1.17mmol)を溶液に添加し、および反応混合物を常圧の水素雰囲気化で30分間攪拌した。窒素を導入した後に、懸濁液を濾過し、および濾過物を真空下で乾燥させた。濾過物を、真空下で蒸発乾固させた。残渣を酢酸エチル/石油エーテルの混合物から結晶化させて、黄色固体として0.86g(99%)の6-ブロモ-N-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-キノリン-3,4-ジアミンを生産した。
c.8-ブロモ-1-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-3H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オンの合成
テトラヒドロフラン(20mL)中に溶解した6-ブロモ-N-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-キノリン-3,4-ジアミン(0.85g、2.20mmol)を提供した。次いで、1,1’-カルボニルジイミダゾール(1.84g、11.3mmol)およびヒューニッヒ塩基(1.46g、11.3mmol)を添加した。反応混合物を40℃まで加熱し、および16時間攪拌した。次いで、反応物を氷水(200mL)の添加によりクエンチした。沈殿物を濾過し、氷水で洗浄し、および乾燥させて、淡黄色固体として0.87g(94%)の8-ブロモ-1-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-3H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オンを与えた。
d.8-ブロモ-1-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-3-メチル-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オンの合成:
乾燥した保護的な窒素ガス雰囲気において、N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中に溶解した8-ブロモ-1-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-3H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オン(0.86g、1.94mmol)を提供した。次いで、水素化ナトリウム(388mg、9.71mmol、60%)およびヨウ化メチル(2.76g、19.4mmol)を添加した。反応混合物を室温にて10分間攪拌した。次いで、反応物を氷水(100mL)の添加によりクエンチした。その結果得られる沈殿物を濾過し、および真空下で乾燥させて、淡黄色固体として0.70g(80%)の8-ブロモ-1-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-3-メチル-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オンを与えた。
e.1-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-3-メチル-8-(1,3-ジメチルピラゾール-4-イル)イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オンの合成:
アルゴン不活性ガス雰囲気下で、密閉した機器中で、1,4-ジオキサン(15mL)および水(5mL)中8-ブロモ-1-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-3-メチル-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オン(150mg、0.33mmol)、1-3-ジメチル-4-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(88.4mg、0.40mmol)、Pd(PPh(76.6mg、0.07mmol)および炭酸カリウム(91.6mg、0.66mmol)を提供した。反応混合物を2時間の攪拌と共に80℃まで加熱した。これに続き、これを室温まで冷却し、および反応混合物を還元し、真空下で乾燥させた。残渣を、シリカを使用してクロマトグラフィーで精製した(酢酸エチル/メタノール=97:3、体積部)。溶出液を還元し、乾燥させて、およびその結果得られる未加工の生成物を、分取RP-HPLCを用いて精製した(水/アセトニトリル)。生成物画分を還元した後、1-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-3-メチル-8-(1,3-ジメチルピラゾール-4-イル)イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オン(70mg、47%)を、無色固体として得た。
f.8-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(Ra)-(3-フルオロ-5-メトキシ-ピリジン-4-イル)-7-メトキシ-3-メチル-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オンおよび8-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(Sa)-(3-フルオロ-5-メトキシ-ピリジン-4-イル)-7-メトキシ-3-メチル-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オンの分離:
上記で得られたとおりの1-(3-フルオロ-5-メトキシ-4-ピリジル)-7-メトキシ-3-メチル-8-(1,3-メチルピラゾール-4-イル)イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オン(50.0mg、0.11mmol)を、SFCを使用したキラルHPLCを介して分離した。物質をキラルカラムLux Cellulose-2に適用し、および溶媒としてCO/2-プロパノール+0.5%ジエチルアミン(75:25)を用いて5mL/minの流量および240nmの波長での検出を使用して分離した。生成物画分を減圧下で還元することで、8-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(Ra)-(3-フルオロ-5-メトキシ-ピリジン-4-イル)-7-メトキシ-3-メチル-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オン(25.0mg、50%)および8-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(Sa)-(3-フルオロ-5-メトキシ-ピリジン-4-イル)-7-メトキシ-3-メチル-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オン)(22.1mg、44%)を、両方とも無色固体として生産した。
上の反応のための開始化合物は、実例として下に示されるとおり、容易に入手可能である:
Figure 2023530004000005
第1の化合物のアトロプ異性体は、キラル固定相上のクロマトグラフィーを使用して単離され得る(例として、Chiral Liquid Chromatography; W. J. Lough, Ed. Chapman and Hall, New York, (1989);Okamoto, "Optical resolution of dihydropyridine enantiomers by high-performance liquid chromatography using phenylcarbamates of polysaccharides as a chiral stationary phase", J. of Chromatogr. 513:375-378, (1990)を参照)。アトロプ異性体は、キラル固定相、例えば、Chiralpak ICカラム(5mm、150x4.6mmI.D.)上のクロマトグラフィーによって、例として、HO/ACN 50/50v/v(ACN:アセトニトリル;v:体積)を含有する移動相を用いたアイソクラティック溶離を使用して単離され得る。好適なクロマトグラムを、以下の条件を使用して得てもよい:上に言及したとおりのカラムおよび溶離、流量1.00ml/min;UV@260nm;TcおよびTS:25±5℃、Sconc0.20mg/ml;注入体積10ml。
上に言及されたSFC条件の代替として、分取超臨界流体クロマトグラフィーを、実例として、以下に関して使用してもよい:Chiralpak AS-H(20mm x 250mm、5μm)カラム;アイソクラティック溶離(20:80エタノール:0.1%v/v NHを含むCO)、BPR(背圧レギュレーター):大気圧を上回る約100バール;40℃のカラム温度、50ml/minの流速、2500μl(125mg)の注入体積および265nmの検出波長、(Sa)アトロプ異性体が((Ra)アトロプ異性体の後の)第2に溶離することを伴う)。
夫々のアトロプ異性体の純度の分析のためにまた、SFCを、実例として、以下の設定を使用して適用してもよい:Chiralpak AS-H(4.6mm x 250mm、5μm)カラム;アイソクラティック溶離(20:80エタノール:0.1%v/v NHを含むCO)、BPR(背圧レギュレーター):大気圧を上回る約125バール;40℃のカラム温度、4ml/minの流速、1μlの注入体積および260nmの検出波長。
第1の化合物のアトロプ異性体はまた、実例として、以下のスキームに例証されるとおりジベンゾイル-L-酒石酸を使用して、キラル塩の調製を通して単離されてもよい:
Figure 2023530004000006
第2の化合物、またはその塩は、WO2012/028233の開示に従って調製される。
例2:化合物の抗ウイルス試験
Calu-3細胞を、2つの384ウェルプレートに蒔いた。プレート1は、化合物プラスウイルスSARS-CoV2/ZG/297-20継代6感染多重度0.05を含有し、およびプレート2は、化合物のみを含有した。各ウェルについて、15,000Calu-3細胞を、完全成長培地(EMEM、10%FCS、1%Pen/strep)において50μL/ウェルに蒔いた。細胞を、37℃および5%COで48時間成長させた。この時間の後に、両方のプレートにおいて培地を交換し、および新鮮な培地を各ウェルに添加した。
プレート1について:夫々の濃度で5μLの各化合物を、デュプリケートにて、指定したウェルに1時間で添加し、およびその後0.05のMOIにおいてSARS-Cov-2で感染させた。各ウェルの最終的な体積は、5μLの化合物、5μLのウイルス(0.05MOIに希釈し、および量を調整した)、および40μLのEMEM完全培地のウェルあたり合計50μLを含有した。プレートを、ウイルス添加後、2h間隔で、120時間の合計観察時間、Incucyte顕微鏡でモニタリングした。
Cell Glo試薬(Promega)を用いて細胞の生存率を決定した;50μLの試薬を各ウェルに添加し、rtにて暗中10minの間インキュベートし、次いで、ルミネセンスを、Biotekプレートリーダーを用いて測定した。
図1および2から明白であるように、第1の化合物(より具体的に言うとその(Sa)アトロプ異性体、「NCE4」)および第2の化合物(「NCE16」)の両方は、感染した細胞と比較して細胞のコンフルエンスの有意な保持または改善に繋がり、コンフルエンスのレベルは非感染細胞のレベルとほぼ等しくなる。図1および図2に示された結果は、再現性のあるものであった。

Claims (30)

  1. コロナウイルス感染症の処置を、これを必要とする対象においてする方法であって、有効量のATMインヒビター、またはその薬学的に許容し得る塩を対象に投与することを含む、前記方法。
  2. コロナウイルスが、SARSまたはMERS感染症を引き起こす、請求項1に記載の方法。
  3. コロナウイルスが、SARS-CoV-1またはSARS-CoV-2またはMERS-CoV感染症を引き起こす、請求項1または2に記載の方法。
  4. コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. ATMインヒビターが、8-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(Sa)-(3-フルオロ-5-メトキシ-ピリジン-4-イル)-7-メトキシ-3-メチル-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オン、8-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-フルオロ-5-メトキシ-ピリジン-4-イル)-7-メトキシ-3-メチル-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オン、3-フルオロ-4-[7-メトキシ-3-メチル-8-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-ベンゾニトリルおよびそれらの薬学的に許容し得る塩からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ATMインヒビターの投与が、対象におけるウイルス負荷の低減をもたらす、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ATMインヒビターが、感染した細胞におけるDNA損傷応答のウイルス誘導活性化を低減または阻害する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  8. ATMインヒビターが、COVID-19肺炎の発症前に投与される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  9. 対象が、軽度から中程度のSARS-CoV-2感染症を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  10. 対象が、これまでにSARS-CoV-2ワクチンでワクチン接種され、かつワクチンに関する感染の増悪、例えば、抗体依存性の増強または関連する抗体媒介性機構のワクチン/抗体に関する増悪を発症する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  11. 対象が、処置の開始時に無症候性である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 対象が、SARS-CoV-2感染症を有すると診断されている患者と既知の接触を有したことのある、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 対象が、SARS-CoV-2感染症を有すると正式に診断される前に、ATMインヒビターの投与をし始める、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  14. ATMインヒビターの投与が、1以上の臨床的有用性をもたらす、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  15. 1以上の臨床的有用性が、感染期間を短くすること、入院の可能性の低減、死亡の可能性の低減、ICUへの入室の可能性の低減、機械的換気をはめられる可能性の低減、必要とされるであろう酸素補給の可能性の低減および/または入院の長さの低減から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 対象が、外来患者処置を受けている、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  17. 1以上の追加の治療剤の投与をさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  18. 1以上の追加の治療剤が、抗炎症薬、抗生物質、抗凝固薬、抗寄生虫薬、抗血小板薬および2剤併用抗血小板療法、アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター、アンジオテンシンII受容体遮断薬、ベータ遮断薬、スタチンおよび他の複合コレステロール低下薬、特異的なサイトカインインヒビター、補体インヒビター、抗VEGF処置、JAKインヒビター、免疫調節薬、抗インフラマソーム治療、スフィンゴシン-1リン酸受容体結合剤、N-メチル-d-アスパルタート(NDMA)受容体グルタミン酸受容体アンタゴニスト、コルチコステロイド、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、抗GM-CSF、インターフェロン、アンジオテンシン受容体ネプリライシンインヒビター、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬、利尿薬、筋弛緩薬、ならびに抗ウイルス薬から選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 1以上の追加の治療剤が、抗ウイルス薬である、請求項17に記載の方法。
  20. 1以上の追加の治療剤が、レムデシビルである、請求項17に記載の方法。
  21. 1以上の追加の治療剤が、ロピナビル-リトナビルである、請求項17に記載の方法。
  22. 1以上の追加の治療剤が、リバビリンおよびインターフェロン-ベータをさらに包含する、請求項17に記載の方法。
  23. 1以上の追加の治療剤が、クロロキンまたはヒドロキシクロロキンである、請求項17に記載の方法。
  24. 1以上の追加の治療剤が、アジスロマイシンをさらに包含する、請求項17に記載の方法。
  25. 1以上の追加の治療剤が、インターフェロン-1-ベータ(Rebif(登録商標))である、請求項17に記載の方法。
  26. 1以上の追加の治療剤が、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、イベルメクチン、トラネキサム酸、ナファモスタット、ビラゾール[リバビリン]、ロピナビル/リトナビル、ファビピラビル、レロンリマブ、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、ベータ-インターフェロン、アジスロマイシン、ニタゾキサニド(nitrazoxamide)、ロバスタチン、クラザキズマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、サリルマブ、トシリズマブ、アナキンラ、エマパルマブ、ピルフェニドン、ラブリズマブ-cwvz、エクリズマブ、ベバシズマブ、ヘパリン、エノキサパリン、アプレミラスト、クマジン、バリシチニブ、ルキソリチニブ、ダパグリフロジン、コルヒチン、フィンゴリモド、イフェンプロジル、プレドニゾン、コルチゾール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、GM-CSF、オチリマブ、ATR-002、APN-01、カモスタットメシル酸塩、アルビドール、ブリラシジン、IFX-1、PAX-1-001、BXT-25、NP-120、免疫グロブリン静注(IVIG)、およびソルナチド(solnatide)から選択される、請求項17に記載の方法。
  27. ATMインヒビターが、毎日投与される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  28. 投与されるATMインヒビターの総量が、1日あたり約20mgと約500mgとの間である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  29. ATMインヒビターが、約7日~約21日間投与される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  30. ATMインヒビターが、経口投与を介して投与される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
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