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JP2023160741A - 蓄電デバイス用包装材、蓄電デバイス用包装ケース及び蓄電デバイス - Google Patents

蓄電デバイス用包装材、蓄電デバイス用包装ケース及び蓄電デバイス Download PDF

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JP2023160741A
JP2023160741A JP2023046343A JP2023046343A JP2023160741A JP 2023160741 A JP2023160741 A JP 2023160741A JP 2023046343 A JP2023046343 A JP 2023046343A JP 2023046343 A JP2023046343 A JP 2023046343A JP 2023160741 A JP2023160741 A JP 2023160741A
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直也 甲田
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Resonac Packaging Corp
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Abstract

【課題】成形加工性のバラツキが少ない蓄電デバイス用包装材を提供すること。【解決手段】包装材1は、金属箔層3と、金属箔層3の外面側に設けられた基材層2と、金属箔層3の内面側に設けられた熱融着性樹脂層4とを積層状に備えた積層材からなる。熱融着性樹脂層4は包装材1の内面1aに配置されている。熱融着性樹脂層4がポリオレフィン系フィルムからなる。バーコビッチ圧子を用いて測定された熱融着性樹脂層4の押込み弾性率EITと押込み硬さHITの比EIT/HITが21~50の範囲である。【選択図】図3

Description

本発明は、電池、コンデンサ等の蓄電デバイス用の包装材、蓄電デバイス用包装ケース及び蓄電デバイスに関する。
携帯電子機器(例:スマートフォン、タブレット)、電気自動車(ハイブリッド車を含む)、発電機用蓄電池、夜間電力用蓄電池などに使用される電池(例:リチウムイオン二次電池、全固体電池)、コンデンサ(例:電気2重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等の蓄電デバイスにおいては、その蓄電デバイス本体は包装材で包装される。
この包装材は、金属箔層と、金属箔層の外面側に設けられた基材層と、金属箔層の内面側に設けられた熱融着性樹脂層とを積層状に備えるとともに、これらの層が積層状態で接着一体化された積層材からなる。熱融着性樹脂層は包装材の内面に配置されており、したがって包装材の内面が熱融着性樹脂層の表面からなる。
この包装材で蓄電デバイス本体として例えば電池本体を包装する場合、包装材に電池本体を収容するための空間を形成するため、包装材が容器状などの所定形状になるように包装材に対して成形金型を用いたプレス成形加工(例:深絞り成形加工、張出し成形加工)等の所定の成形加工が施される。
近年、電池の体積エネルギー密度の向上のため、包装材に対してシャープな形状の成形加工が要求されており、そのため、包装材には成形金型に対して良好な滑り性が必要とされている。
そこで、包装材の滑り性を高めるため、包装材の表面粗さを所定の範囲に調整することが行われている。例えば、特開2006-318685号公報(特許文献1)は、包装材の熱接着性樹脂層(熱融着性樹脂層)の表面の中心線平均粗さRaを60~1000nmに調整することを開示している。
包装材の滑り性を高めるためのその他の方法として、特開2003-288865号公報(特許文献2)は、包装材における所定の材料からなるシーラントフィルムに滑剤を1000ppm~5000ppm含有させることを開示している。
特開2006-318685号公報 特開2003-288865号公報
而して、電池用包装材は一般に長尺な包装材を巻回して製作された包装材コイルの形態で製品化されており、近時では連続成形加工時間を延ばすために包装材の長尺化が要求されている。
しかるに、包装材を長尺化すると、これを巻回して得られる包装材コイルの中心部(詳述すると包装材コイルにおける巻芯部材の近傍)の包装材にはコイル外周部の包装材よりも非常に大きな圧縮荷重が加わる。そのため、コイル中心部の包装材における表面状態等の表面形状がコイル外周部の包装材の表面形状に対して大きく変化し、表面粗さが低下する。
そして、コイルから包装材を巻き出した除荷状態にしてもコイル中心部の包装材の表面形状は元の形状に回復せず、即ち表面粗さが低下したままとなる。
そのため、コイル外周部の包装材では良好な滑り性を有して良好な成形加工性が得られていた場合でも、コイル中心部の包装材では滑り性が低下し、良好な成形加工性が得られないことがあった。特に、成形金型と接触する包装材の内面(即ち熱融着性樹脂層の表面)の滑り性が低下すると、シャープで深い成形形状を得ることが困難になる。
このように、コイル状に巻回された包装材にはコイル中心部とコイル外周部とで滑り性の違いに起因する成形加工性のバラツキが生じており、包装材が長尺化されると成形加工性のバラツキが大きくなる。
本発明は上述した技術背景に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、成形加工性のバラツキが少ない蓄電デバイス用包装材、当該包装材を用いた蓄電デバイス用包装ケース、及び当該包装材で包装された蓄電デバイスを提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
1) 金属箔層と、前記金属箔層の外面側に設けられた基材層と、前記金属箔層の内面側に設けられた熱融着性樹脂層とを積層状に備えた積層材からなり、前記熱融着性樹脂層が内面に配置された蓄電デバイス用包装材であって、
前記熱融着性樹脂層がポリオレフィン系フィルムからなり、
バーコビッチ圧子を用いて測定された前記熱融着性樹脂層の押込み弾性率EITと押込み硬さHITの比EIT/HITが21~50の範囲である蓄電デバイス用包装材。
2) 包装材の内面の算術平均高さSaが0.07μm~0.3μmの範囲である前項1記載の蓄電デバイス用包装材。
3) 前記ポリオレフィン系フィルムが少なくとも一層のフィルムで形成されており、
前記少なくとも一層のフィルムにおいて、包装材の内面を形成するフィルムが脂肪酸アミド系滑剤を質量含有率で500ppm~3000ppm含有している前項1又は2記載の蓄電デバイス用包装材。
4) 前項1~3のいずれかに記載の包装材の深絞り成形加工品又は張出し成形加工品を備えた蓄電デバイス用包装ケース。
5) 前項1~3のいずれかに記載の包装材の深絞り成形加工品又は張出し成形加工品を備えた包装ケース内に蓄電デバイス本体が収容された蓄電デバイス。
本発明は以下の効果を奏する。
前項1では、バーコビッチ圧子を用いて測定された熱融着性樹脂層の押込み弾性率EITと押込み硬さHITの比EIT/HITが21~50の範囲であることにより、包装材がコイル状に巻回された場合でも、コイルから包装材を巻き出した除荷状態にするとコイル中心部の包装材の内面の表面形状は元の形状に回復するので、包装材はコイル外周部からコイル中心部までの長さ領域、即ち包装材の略全長さ領域に亘って成形加工性のバラツキが少なく、そのため包装材の略全長さ領域に亘って安定した成形加工性を得ることができる。
前項2では、包装材の内面の算術平均高さSaが0.07μm~0.3μmの範囲であることにより、包装材をコイル状に巻回する前の状態において包装材の内面は良好な滑り性を有する。そして、包装材をコイル状に巻回しその後でコイルから包装材を巻き出した除荷状態においても包装材の内面の表面形状が良好な滑り性を発現する範囲に確実に回復する。そのため、包装材の略全長さ領域に亘って良好な成形加工性を確実に得ることができる。
さらに、Saが0.3μm以下であることにより、包装材を成形加工した場合に、包装材において厳しい成形加工が施された部分と成形加工が施されなかった部分との間の色調差が確実に低減され、これにより外観が良好な成形加工品を確実に得ることができるし、また蓄電デバイスの製造工程において包装材のヒートシール部での電解液の夾雑を確実に抑制することができる。
前項3では、包装材の内面において良好な滑り性を確実に得ることができる。
前項4では、シャープで深い成形形状を有する包装ケースを提供できる。
前項5では、シャープで深い成形形状を有する包装ケースで覆われた蓄電デバイスを提供できる。
図1は本発明の第1実施形態に係る蓄電デバイス用包装材の概略断面図である。 図2は本発明の第2実施形態に係る蓄電デバイス用包装材の概略断面図である。 図3は本発明の第3実施形態に係る蓄電デバイス用包装材の概略断面図である。 図4は包装材コイルの概略側面図である。 図5は本発明の一実施形態に係る蓄電デバイスの概略断面図である。 図6は同蓄電デバイスを分解して示す概略斜視図である。
本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る蓄電デバイス用包装材1は、基本的には、金属箔層3と、金属箔層3の外面側に配置された基材層2と、金属箔層3の内面側に配置された熱融着性樹脂層4とを積層状に備えた積層材からなり、これらの層2~4は積層状態で接着一体化されている。なお、符号「1a」は包装材1の内面、符号「1b」は包装材1の外面である。
詳述すると、基材層2と金属箔層3はこれら両層2、3間に配置された外側接着剤層8bを介して互いに接着されている。金属箔層3と熱融着性樹脂層4はこれら両層3、4間に配置された内側接着剤層8aを介して互いに接着されている。
包装材1において、熱融着性樹脂層4は包装材1の内面1aに配置されており、したがって包装材1の内面1aが熱融着性樹脂層4の表面からなる。
図4に示すように、包装材1は長尺な帯状のものであってこれを巻芯部材15にコイル状に巻回して製作された包装材コイル10の形態で製品化されるのが一般的である。通常は、長尺な包装材1の長さが2000m~4000mの範囲であり、コイル10の内径(即ち巻芯部材15の直径)が100mm~300mmの範囲であり、コイル10の外径が600mm~900mmの範囲である。そして、包装材1を成形加工する際に包装材1がコイル10から巻き出されて成形加工に供される。
本第1実施形態では、包装材1は、図5及び6に示すように蓄電デバイスとして例えばリチウムイオン二次電池30の包装のために使用される。
リチウムイオン二次電池30は、蓄電デバイス本体としての電池本体31と、電池本体31を包囲した状態に収容する包装ケース20とを具備する。図6に示すように、包装ケース20は、上方に開口した直方体容器状の包装ケース本体21と、当該包装ケース本体21の開口を閉塞する平板状の蓋体22とを備える。
包装ケース本体21は、上述の包装材1をその内面1aが内側に向くように成形金型を用いた深絞り成形加工又は張出し成形加工により直方体容器状に成形加工して製造されたものである。すなわち、当該包装ケース本体21は包装材1の深絞り成形加工品又は張出し成形加工品からなる。
包装ケース本体21の内面1aにおける中央部には電池本体31を収容する凹所21bが設けられており、また包装ケース本体21の外周部には外側に突出したフランジ部21aが接合予定部として設けられている。
蓋体22は、包装材1を成形加工しないで平坦な状態で用いられたものであり、蓋体22の外周部22aが蓋体22の接合予定部である。
電池30では、電池本体31が包装ケース本体21の凹所21b内に収容されるとともに、蓋体22がその内面1aを電池本体31側(下側)に向けて包装ケース本体21上に配置されており、そして包装ケース本体21のフランジ部(接合予定部)21aの熱融着性樹脂層(4、図1参照)と蓋体22の外周部(接合予定部)22aの熱融着性樹脂層(4、図1参照)とがヒートシールにより密封状態に熱融着(接合)されており、これにより電池本体31が包装ケース20で包囲された状態の電池30が形成されている。
なお図5中の符号「23」は、包装ケース本体21のフランジ部21aの熱融着性樹脂層4と蓋体22の外周部22aの熱融着性樹脂層4とのヒートシール部(熱融着部)である。
電池30において、包装ケース本体21を形成する包装材1の内面1aは電池本体31側に向いており、蓋体22を形成する包装材1の内面1aも電池本体31側に向いている。
なお、電池本体31に接続されたタブリードは一般に電池本体31からヒートシール部23を通って包装ケース20の外側に導出されているが、図5及び6ではタブリードは図示省略されている。
次に、包装材1の構成について以下に詳しく説明する。
図1に示した本第1実施形態の包装材1では、基材層2は耐熱性樹脂からなり、具体的には耐熱性樹脂フィルムからなる。この耐熱性樹脂フィルムとして、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムまたは二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いるのが好ましい。これらの中でポリアミドフィルムとしては、特に限定されるものではないが例えば、6ナイロンフィルム、6,6ナイロンフィルム、MXDナイロンフィルム等を好適に用いることができる。
基材層2は単層で形成されていてもよいし、複層で形成されていてもよい。基材層2が複層で形成される場合、基材層2の構成としてPETフィルム-ポリアミドフィルムからなる複層構成を例示することができる。
また、基材層2の耐熱性樹脂としては、熱融着性樹脂層4を構成する全ての樹脂に対し10℃以上融点が高い樹脂、より好ましくは20℃以上高い樹脂を用いるのがよい。
基材層2の厚さは限定されるものでなく、好ましくは9μm~50μmの範囲であることがよい。
金属箔層3は金属箔からなる。この金属箔として、アルミニウム(Al)箔、銅(Cu)箔、ステンレス鋼(SUS)箔、チタン(Ti)箔、ニッケル(Ni)箔などを単独で用いてもよいし、2種以上の金属箔を貼り合わせたクラッド材等を用いてもよい。これらのうち金属箔としてアルミニウム箔が好適に用いられる。特に、アルミニウム箔のうち0.7質量%~1.7質量%のFeを含有するAl-Fe系合金箔は優れた強度及び展延性を有しているので、良好な成形加工性を確実に得ることができる。
金属箔層3の厚さは限定されるものではなく、好ましくは20μm~100μmの範囲であることがよい。
金属箔層3の内面及び外面の少なくとも一方の面には下地層3aが形成されていることが好ましい。本第1実施形態では、下地層3aは金属箔層4の内外両面にそれぞれ形成されている。
下地層3aは、シランカップリング剤の塗布処理や、クロメート処理などの化成処理を行うことによって形成することができる。下地層3aの形成により、金属箔層3の内外両面に設けられる接着剤層8a、8bとの接着強度を向上させることができ、接着剤層8a、8bの剥がれを有効に抑制することができる。
化成処理による被膜(化成処理被膜)によって下地層3aを形成する場合、化成処理被膜は、接着剤層8a、8bとの組み合わせによって選定されることもあるが、化成処理皮膜として、クロム酸処理による被膜、リン酸クロメート処理による被膜、リン酸亜鉛処理による被膜、ジルコニウムやチタンをCr代替の金属成分とする非クロム酸塩処理による被膜、ベーマイト処理による酸化被膜などを好適に用いることができる。
下地層3aの厚さは限定されるものではなく、好ましくは0.01μm~1μmの範囲であることがよい。
外側接着剤層8bを構成する接着剤としては、例えば、ポリウレタン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールおよびポリエステルウレタン系ポリオールからなる群より選ばれるポリオールの1種または2種以上からなる第1液と、イソシアネートからなる第2液(硬化剤)とで構成される2液硬化型接着剤などを用いることができる。
外側接着剤層8bの厚さは限定されるものではなく、好ましくは2μm~5μmの範囲であることがよい。
内側接着剤層8aを構成する接着剤としては、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エラストマー系樹脂、フッ素系樹脂及び酸変性ポリプロピレン樹脂からなる群より選ばれる樹脂を1種以上含む接着剤を好適に用いることができる。特に、酸変性ポリプロピレン樹脂等の酸変性ポリオレフィンを主剤とする接着剤を用いるのが好ましい。
内側接着剤層8aの厚さは限定されるものではなく、好ましくは2μm~5μmの範囲であることがよい。
熱融着性樹脂層4はポリオレフィン系フィルムからなる。このポリオレフィン系フィルムとして、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン(例:rPP、bPP、hPP)系フィルムなどが用いられ、また、キャストポリプロピレン(CPP)フィルム、インフレーションポリプロピレン(IPP)フィルムなどの無延伸フィルムが好適に用いられる。さらに、無延伸フィルムとしては、ホモポリマー又はエチレン-プロピレン共重合体からなるものが好適に用いられる。また、ポリオレフィン系フィルムの外面(即ち、ポリオレフィン系フィルムにおける金属箔層3と貼り合わせる面)はコロナ処理されることが好ましい。
熱融着性樹脂層(ポリオレフィン系フィルム)4の厚さは限定されるものではなく、好ましくは20μm~120μmの範囲であることがよく、更に30μm~80μmの範囲であることが特に好ましい。
熱融着性樹脂層4は包装材1の内面1aを形成するシール層7を含んでいる。本第1実施形態では熱融着性樹脂層4はシール層7のみで構成されている。ただし本発明では、熱融着性樹脂層4はシール層7のみで構成されていることに限定されるものではなく、その他に例えば、図2及び図3に示す第2及び第3実施形態のようにシール層7を含む多層で構成されていてもよい。
すなわち、第2実施形態(図2)では、熱融着性樹脂層4はシール層7と金属箔層3側に配置されるラミネート層5との二層で構成されている。第3実施形態(図3)では、熱融着性樹脂層4はシール層7とラミネート層5とこれら両層5、7間に配置された中間層6との三層で構成されている。したがって、熱融着性樹脂層4がシール層(単層)7のみで構成されていても多層で構成されていても、シール層7は包装材1の熱融着性樹脂層4の最内層として配置され、包装材1の内面1aを形成している。
ここで、以下では、熱融着性樹脂層4を構成する上述のポリオレフィン系フィルムを「熱融着性樹脂フィルム」ともいう。
第1実施形態のように熱融着性樹脂層4が単層で構成される場合、熱融着性樹脂フィルムは単層フィルムで形成される。第2実施形態のように熱融着性樹脂層4が二層で構成される場合、熱融着性樹脂フィルムは二層フィルムで形成される。第3実施形態のように熱融着性樹脂層4が三層で構成される場合、熱融着性樹脂フィルムは三層フィルムで形成される。このような多層フィルムは共押出しにより形成することができる。
熱融着性樹脂フィルムが単層フィルムで形成される場合、熱融着性樹脂層4全体がシール層7を形成している。熱融着性樹脂フィルムが二層フィルムで形成される場合、二層フィルムのうち包装材1の内面1a側に配置されるフィルムが熱融着性樹脂層4のシール層7を形成し、金属箔層3側に配置されるフィルムが熱融着性樹脂層4のラミネート層5を形成する。熱融着性樹脂フィルムが三層フィルムで形成される場合、三層フィルムのうち包装材1の内面1a側に配置されるフィルムが熱融着性樹脂層4のシール層7を形成し、金属箔層3側に配置されるフィルムが熱融着性樹脂層4のラミネート層5を形成し、これら両フィルム間に配置されるフィルムが熱融着性樹脂層4の中間層6を形成する。
また、熱融着性樹脂フィルムが三層フィルムで形成される場合、ラミネート層5と中間層6とシール層7との厚さ比は限定されるものではなく、好ましくは1~1.5:7~8:1~1.5であることがよい。
熱融着性樹脂フィルムの融点は限定されるものではなく、好ましくは100℃~200℃の範囲であることがよい。
また、熱融着性樹脂層4のヒートシール性、デラミネーション耐性、電気絶縁性等を高めるため、シール層7及びラミネート層5はエチレン-プロピレンランダム共重合体(rPP)で形成されることが好ましく、中間層6はエチレン-プロピレンブロック共重合体(bPP)又はポリプロピレンホモポリマー(hPP)で形成されることが好ましい。
熱融着性樹脂層4において、少なくともシール層7はアンチブロッキング材(AB材)及び粗面化材の少なくとも一方を含有していることが好ましい。
AB材は平均粒径が0.05μm以上5μm以下の範囲の微粒子からなる。具体的にはAB材として、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、タルク、カオリン、アクリル樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズなどの微粒子が用いられる。
熱融着性樹脂フィルムが多層フィルムで形成される場合、AB材は特にシール層7に含有されることが好ましい。
AB材を含有する層(シール層7など)におけるAB材の質量含有率は限定されるものではなく、好ましくは500ppm~3500ppmの範囲であることがよい。
粗面化材は平均粒径が5μmを超え20μm以下の範囲の粒子からなる。具体的には粗面化材として、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、タルク、カオリン、アクリル樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズなどの粒子が用いられる。
熱融着性樹脂フィルムが多層フィルムで形成される場合、粗面化材は特にシール層7に含有されることが好ましい。
粗面化材を含有する層(シール層7など)における粗面化材の質量含有率は限定されるものではなく、好ましくは500ppm~3500ppmの範囲であることがよい。
さらに、粗面化材を含有する層(シール層7など)の厚さは5μm~20μmの範囲であることが好ましい。この層の厚さが5μm以上であることにより、この層からの粗面化材の脱落を確実に抑制することができる。この層の厚さが20μm以下であることにより、粗面化材の含有による熱融着性樹脂層4の剛性の低下を確実に抑制することができる。
熱融着性樹脂層4において、少なくともシール層7には滑剤が添加されることが好ましい。滑剤の添加により、包装材1の内面1aの滑り性を好適な範囲に確実に調整することができ、これにより、シャープで深い成形加工を包装材1に確実に施すことができる。
滑剤としては、飽和脂肪酸アミド(例:ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド)、不飽和脂肪酸アミド(例:オレイン酸アミド、エルカ酸アミド)、置換アミド(例:N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド)、メチロールアミド(例:メチロールステアリン酸アミド)、飽和脂肪酸ビスアミド(例:メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド)、不飽和脂肪酸ビスアミド(例:エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド)、脂肪酸エステルアミド(例:ステアロアミドエチルステアレート)、芳香族系ビスアミド(例:m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-システアリルイソフタル酸アミド)などが用いられる。
これらの滑剤として、特に脂肪酸アミド系滑剤(即ち、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、脂肪酸エステルアミドなど)を用いることが好ましい。その理由は、脂肪酸アミド系滑剤はポリオレフィン系フィルム材料に均一に混合・添加し易いし、フィルムのエージング後にフィルムの表面にブリードアウトし易いからである。
シール層7における脂肪酸アミド系滑剤の質量添加率(以下「滑剤添加率」ともいう)は500ppm~3000ppmの範囲であることが好ましい。その理由は次のとおりである。
滑剤添加率が500ppm以上であることにより、包装材1の内面1aにおいて良好な滑り性を確実に得ることができる。滑剤添加率が3000ppm以下であることにより、包装材1の内面1aにおける滑剤の過剰なブリードアウト量を確実に低減することができ、そのため、包装材1の内面1aに析出する粉状の滑剤(以下「滑剤粉」ともいう)による成形金型や製造ラインの汚染を確実に抑制することができる。
滑剤添加率について特に好ましい下限は600ppmであり、特に好ましい上限は2500ppmである。
熱融着性樹脂フィルムが多層フィルムで形成される場合、ラミネート層5における滑剤添加率はシール層7における滑剤添加率の0~1/2倍に設定することが好ましい。また多層フィルムが中間層6を含む場合、中間層6における滑剤添加率はシール層7における滑剤添加率の2倍程度に設定することが好ましい。
具体的には滑剤添加率は次の範囲に設定されることが好ましい。
・ラミネート層5における滑剤添加率:0ppm~2000ppm
・中間層6における滑剤添加率 :1000ppm~6000ppm
・シール層7における滑剤添加率 :500ppm~3000ppm。
ラミネート層5における滑剤添加率が2000ppm以下であることにより、ラミネート層5における内側接着剤層8a側の表面(外面)への滑剤のブリードアウトを抑制することができ、そのため熱融着性樹脂層4と金属箔層3とを確実に接着することができる。中間層6における滑剤添加率が1000ppm~6000ppmの範囲であることにより、中間層6からシール層7への滑剤の移行を促進させてシール層7の表面(即ち包装材1の内面1a)への滑剤のブリードアウトを助長することができる。シール層7における滑剤添加率が500ppm~3000ppmの範囲に設定されることが好ましい理由は上述のとおりである。
包装材1の内面(即ち熱融着性樹脂層4の表面)1aに析出する滑剤粉の量は限定されるものではなく、好ましくは0.1μg/cm~1μg/cmの範囲であることがよい。滑剤粉の量が0.1μg/cm以上であることにより、包装材1の内面1aの滑り性を確実に調整することができる。滑剤粉の量が1μg/cm以下であることにより、滑剤粉による成形金型や製造ラインの汚染を確実に抑制することができる。
包装材1の熱融着性樹脂層4の押込み弾性率EITと押込み硬さHITの比EIT/HITは21~50の範囲に設定される。その理由は次のとおりである。なお、EITとHITは圧子としてバービッチ圧子を用いて測定された値である。
IT/HITが21以上であることにより、熱融着性樹脂層4が高い形状回復性を有する。そのため、コイル中心部12の包装材1に大きな圧縮荷重が加わった状態で経時しても、コイル10から包装材1を巻き出した除荷状態では包装材1の内面1aの表面状態等の表面形状が包装材1をコイル状に巻回する前の表面形状に近い形状に回復する。これにより、包装材1はコイル外周部11からコイル中心部12までの長さ領域、即ち包装材1の略全長さ領域に亘って成形加工性のバラツキが小さく、そのため当該包装材1の略全長さ領域に亘って安定した成形加工性を得ることができる。
IT/HITが21未満では、熱融着性樹脂層4の形状回復性が低く、そのため、コイル10から包装材1を巻き出した除荷状態にしてもコイル中心部12の包装材1の内面1aの表面形状が回復せず、包装材1の内面1aの滑り性が低下する。
IT/HITが50を超えると、熱融着性樹脂層4の形状回復性が高すぎてしまい、金属箔層3に対する熱融着性樹脂層4の追従性が低下する。そのため、包装材1の成形加工時に厳しい成形加工が施される部分(例えば成形加工品のコーナー部)において熱融着性樹脂層4と金属箔層3との間にてデラミネーション(層間剥離)が発生し易くなる。デラミネーションが発生すると、包装材1の成形加工時に包装材1にピンホール、クラック等が生じ、包装材1を良好に所定形状に成形加工することができない。
したがって、EIT/HITが21~50の範囲に設定される必要があり、こうすることにより、包装材1がコイル状に巻回された場合でも、包装材1の略全長さ領域に亘って安定した成形加工性を得ることができる。特に好ましいEIT/HITの上限は46である。
熱融着性樹脂層4のEIT及びHITは、熱融着性樹脂フィルムにおける樹脂の条件(例:種類、融点、メルトフローレート(MFR)、分子量、添加剤)、フィルムの製膜条件(例:膜厚、延伸度合、押出し温度、加工速度、冷却ロール温度、エアナイフ風量、アニール温度・時間)などにより変化することから、これらの条件を適宜検討してEIT/HITを21~50の範囲に設定することができる。具体的には、熱融着性樹脂フィルムの製造時に熱融着性樹脂フィルムの製膜条件を次のように調整することが好ましい。
すなわち、冷却ロール温度を通常の冷却ロール温度よりも5℃~20℃低くし且つエアナイフ風量を通常のエアナイフ風量よりも多くすることにより得られた熱融着性樹脂フィルムを、アニール温度40℃~60℃及びアニール時間1~4日間でアニールすることにより、熱融着性樹脂フィルムの応力緩和を行い熱融着性樹脂フィルムの結晶化を促進させる。こうすることにより、熱融着性樹脂層4のEIT/HITを21~50の範囲に設定可能である。
包装材1の内面1aの算術平均高さSaは0.07μm~0.3μmの範囲に設定されることが好ましい。その理由は次のとおりである。
Saが0.07μm以上であることにより、包装材1の内面(即ち熱融着性樹脂層4の表面)1aの表面粗さが大きくなり滑り性が向上する。そのため包装材1の成形加工性が良好になる。
Saが0.3μm以下であることにより、包装材1を成形加工する場合、包装材1において厳しい成形加工が施された部分と成形加工が施されなかった部分との間の色調差が確実に低減され、そのため外観が良好な成形加工品を確実に得ることができる。さらに、電池30の製造工程において包装材1のヒートシール部23での電解液の夾雑を確実に抑制することができる。特に好ましいSaの下限は0.1μmである。
ここで、熱融着性樹脂層4のEIT/HITが21~50の範囲である場合、包装材1の内面(即ち熱融着性樹脂層4の表面)1aのSaは通常の熱融着性樹脂層4の表面のSa0.07μmよりも大きくなる傾向にある。したがって、EIT/HITが21~50の範囲であることにより、Saを0.07μm~0.3μmの範囲に容易に設定可能である。
包装材1がコイル10の形態である場合、即ち長尺な包装材1がコイル状に巻回されて製作された包装材コイル10である場合、コイル外周部11の包装材1における好ましいSaの下限は0.1μmであり、特に好ましいSaの下限は0.2μm超である。コイル中心部12の包装材1における好ましいSaの下限は0.18μmである。
なお、コイル外周部11とはコイル10の包装材製品として使用できるコイル最外周から2周目までの部分を意味し、コイル中心部12とはコイル10の包装材製品として使用できるコイル巻開始端部から200mまでの部分を意味する。
IT/HITが21~50の範囲に設定されることにより、コイル10から包装材1を巻き出した除荷状態において、コイル中心部12の包装材1の内面1aのSaとコイル外周部11の包装材1の内面1aのSaとの差を確実に0.07μmよりも小さくすることができる。そのため、同一コイル10内でのSaのバラツキが確実に抑制され、包装材1を成形加工する際の品質の安定性が確実に得られる。
さらに、EIT/HITが21~50の範囲に設定されることにより、コイル10から包装材1を巻き出した除荷状態において、コイル外周部11の包装材1の内面1aの動摩擦係数とコイル中心部12の包装材1の内面の動摩擦係数とをそれぞれ確実に0.25以下にすることができる。そのため、包装材1の略全長さ領域に亘って良好な成形加工性を確実に得ることができる。
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
例えば上記実施形態では、包装材1において金属箔層3と熱融着性樹脂層4は内側接着剤層8aを介して互いに接着されているが、本発明ではその他に例えば両層3、4が内側接着剤層8aを介さずに接着されていてもよい。
また本発明では、包装材により包装される蓄電デバイスの本体は、リチウムイオン二次電池等の各種電池の電池本体であることに限定されるものではなく、その他に例えば各種コンデンサのコンデンサ本体などであってもよい。
本発明の具体的な実施例及び比較例を以下に示す。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
Figure 2023160741000002
Figure 2023160741000003
Figure 2023160741000004
1.ポリオレフィン系フィルムの製造
包装材1の熱融着性樹脂層4を構成するポリオレフィン系フィルム(以下「熱融着性樹脂フィルム」ともいう)として、単層CPPフィルムと三層共押出しCPPフィルムを次の方法により製造した。
(1)単層CPPフィルム
rPPにAB材、粗面化材及び滑剤を所定量添加し、製膜条件を調整することにより表面特性の異なる厚さ30μmの単層CPPフィルムを製造した(実施例8、比較例4)。AB材としてシリカ微粒子を、粗面化材としてHDPE(高密度ポリエチレン)ビーズを、及び滑剤としてエルカ酸アミドをそれぞれ用いた。その詳細を表1及び2に示す。
なお表1及び2において、AB材の添加率、粗面化材の添加率及び滑剤の添加率はいずれも質量添加率を意味している。以下同じである。
(2)三層共押出しCPPフィルム
bPPを中間層6とし、rPP又は/及びhPPをシール層7及びラミネート層5とし、各層にAB材、粗面化材又は/及び滑剤を所定量添加し、製膜条件を調整することにより表面特性の異なる厚さ40μmと厚さ80μmの三層共押出しCPPフィルムを製造した(実施例1~7、比較例1~3)。AB材としてシリカ微粒子、炭酸カルシウム(炭酸Ca)微粒子又はアルミナ微粒子を、粗面化材としてHDPEビーズ又はアクリル樹脂ビーズを、及び滑剤としてエルカ酸アミドをそれぞれ用いた。その詳細を表1及び2に示す。
2.包装材の製造
厚さ40μm、幅500mm及び長さ2000mのアルミニウム箔コイルのアルミニウム箔(金属箔層3)(材質:A8021-O)の内外両面にそれぞれ下地層3aとして化成処理皮膜(厚さ:0.01μm)を形成した。この化成処理皮膜の形成は、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水及びアルコールからなる化成処理液をアルミニウム箔の両面に塗布した後、180℃で乾燥することにより行った。化成処理皮膜のクロム付着量はアルミニウム箔の片面当たり5mg/mであった。
次いで、上述の化成処理済みアルミニウム箔の一方の面(外面)に、外側接着剤層8bとしての2液硬化型ウレタン系接着剤層(厚さ:3μm)を介して基材層2としての厚さ25μmの二軸延伸6ナイロン(ONy)フィルムをドライラミネートした(貼り合わせた)。
次いで、上述の単層CPPフィルムの外面又は上述の三層共押出しCPPフィルムのラミネート層5の外面に、内側接着剤層8aとして2液硬化型接着剤層(厚さ:2μm)を介して上述のドライラミネート後のアルミニウム箔の他方の面(内面)を重ね合わせて、ゴムニップロールと100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、その後、40℃で7日間エージングすることにより、長さ2000mの包装材コイル10を製造した。
なお、上述の単層CPPフィルムの外面及び上述の三層共押出しフィルムのラミネート層5の外面は、当該外面に上述のドライラミネート後のアルミニウム箔の他方の面(内面)が重ね合わされる前に、コロナ処理されている。また、内側接着剤層8aとしての2液硬化型接着剤層の接着剤として、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂とイソシアネートとの2液硬化型接着剤を用いた。
3.評価
上述の包装材コイル10において、コイル外周部11の包装材1としてコイル最外周から約2周目の部分から複数の評価用包装材を採取するとともに、コイル中心部12の包装材1としてドライラミネート開始部から約100m離れた部分から複数の評価用包装材を採取した。なお、ドライラミネート開始部は包装材1の巻芯部材15への巻開始端部と略一致している。すなわち、上述の包装材コイル10におけるコイル外周部11の評価用包装材の採取位置はコイル最外周から約2周目の部分であり、上述の包装材コイル10におけるコイル中心部12の評価用包装材の採取位置はコイル巻開始端部から約100m離れた部分であった。
そして、採取した評価用包装材について、熱融着性樹脂層4の押込み弾性率EIT、押込み硬さHIT、算術平均高さSa及び動摩擦係数を測定するとともに、成形加工性試験を行った。その結果を表3に示す。
IT、HIT、Sa及び動摩擦係数の測定方法、並びに成形加工性の試験方法は次のとおりである。
<押込み弾性率EIT及び押込み硬さHIT
スライドガラス上に東亞合成株式会社製の瞬間接着剤「アロンアルファ(登録商標)」を1滴塗布し、この瞬間接着剤を介して評価用包装材から採取した試料片における外面1b、即ち基材層2の表面をスライドガラスに接着固定した。次いで、試料片の内面1a、即ち熱融着性樹脂層4(シール層7)の表面を測定面とし、ISO14577(計装化押込み試験)に基づきバーコビッチ圧子を用いてEITとHITを測定した。この測定は少なくとも5回行われ、その測定値の算術平均値をEITとHITの値とした。そして、EITとHITの比EIT/HITを熱融着性樹脂層4の形状回復性として算出した。
この測定に用いた装置は、株式会社島津製作所製のダイナミック超微小硬度計(型番:DUH-211)であり、その測定条件は次のとおりである。
・バーコビッチ圧子:稜間角115.0° 三角錐ダイヤモンド圧子
・測定温度:23℃
・測定相対湿度:60%RH
・押込み荷重速度:2.6648mN/s
・最大押込み深さ:熱融着性樹脂層4の厚さの10%(例:厚さ80μmの熱融着性樹脂フィルムの場合、最大押込み深さは8μm)
・最大荷重の保持時間:5s。
<算術平均高さSa>
評価用包装材から採取した試料片の内面1a、即ち熱融着性樹脂層4(シール層7)の表面について表面粗さとして算術平均高さSaを測定した。
この測定に用いた装置は、株式会社日立ハイテク製の走査型白色干渉顕微鏡(型番:VS1330)であり、その面空間分解能は350nmであり、その垂直方向の分解能は0.01nmである。
この装置を用い、試料片の内面1aにおける縦1000μm×横1000μmの正方形状の測定対象領域について、SaをISO25178に準拠して白色光干渉顕微鏡法(垂直走査型低コヒーレンス干渉法)により測定した。この測定は少なくとも3回行われ、その測定値の算術平均値をSaの値とした。
<動摩擦係数>
評価用包装材から採取した試料片の内面1a、即ち熱融着性樹脂層4(シール層7)の表面について、株式会社東洋精機製作所製の摩擦測定器TR型を用いてJIS K7125に準拠して動摩擦係数を測定した。この測定は少なくとも3回行われ、その測定値の算術平均値を動摩擦係数の値とした。
<成形加工性>
株式会社アマダ製のプレス成形機(品番:TP-25C-X2)を用い、評価用包装材を成形加工速度20spmで縦55mm×横35mm×深さ4mm~8mmの直方体容器状に深絞り成形加工した。そして、得られた深絞り成形加工品のコーナー部においてピンポールの発生の有無を透過光により目視にて確認し、ピンホールが発生しない最大成形加工深さを調べ、包装材の成形加工性を評価した。その評価基準は次のとおりである。なお、◎と○を成形加工性試験の合格とした。
◎:最大成形加工深さが7mm以上
○:最大成形加工深さが5mm以上7mm未満
×:最大成形加工深さが5mm未満。
そして、コイル外周部11の包装材1の最大成形加工深さとコイル中心部12の包装材1の最大成形加工深さとの差(この差を以下では「最大成形加工深さの差」という)に基づいて、成形加工性の総合評価を行った。表3の「総合評価」欄中の符号の意味は次のとおりである。なお、◎と○を成形加工性試験の総合評価の合格とした。
◎:最大成形加工深さの差が0.5mm以下
○:最大成形加工深さの差が0.5mmを超え1mm以下
×:最大成形加工深さの差が1mm超。
表3の「総合評価」欄から分かるように、実施例1~8の場合、コイル外周部11の包装材1の最大成形加工深さとコイル中心部12の包装材1の最大成形加工深さとの差が小さかった。したがって、EIT/HITが21~50の範囲である場合、包装材1はコイル外周部11からコイル中心部12までの長さ領域、即ち包装材1の略全長さ領域に亘って成形加工性のバラツキが少なくなっていると考えられる。そのため、包装材1の略全長さ領域に亘って安定した成形加工性を得ることができる。
さらに、Saが0.07μm~0.3μmである場合(表3の「算術平均高さSa」欄参照)、及び、熱融着性樹脂層(熱融着性樹脂フィルム)4のシール層7における滑剤の質量含有率が500ppm~3000ppmの範囲である場合(表1の「滑剤」欄の「添加率」欄参照)には、良好な成形加工性を確実に得ることができた。
本発明は、電池(例:リチウムイオン二次電池、全固体電池)、コンデンサ(例:電気2重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等の蓄電デバイス用の包装材などに利用可能である。
1:包装材
1a:包装材の内面
2:基材層
3:金属箔層
4:熱融着性樹脂層
20:包装ケース
21:包装ケース本体(成形加工品)
30:電池(蓄電デバイス)
31:電池本体(蓄電デバイス本体)

Claims (5)

  1. 金属箔層と、前記金属箔層の外面側に設けられた基材層と、前記金属箔層の内面側に設けられた熱融着性樹脂層とを積層状に備えた積層材からなり、前記熱融着性樹脂層が内面に配置された蓄電デバイス用包装材であって、
    前記熱融着性樹脂層がポリオレフィン系フィルムからなり、
    バーコビッチ圧子を用いて測定された前記熱融着性樹脂層の押込み弾性率EITと押込み硬さHITの比EIT/HITが21~50の範囲である蓄電デバイス用包装材。
  2. 包装材の内面の算術平均高さSaが0.07μm~0.3μmの範囲である請求項1記載の蓄電デバイス用包装材。
  3. 前記ポリオレフィン系フィルムが少なくとも一層のフィルムで形成されており、
    前記少なくとも一層のフィルムにおいて、包装材の内面を形成するフィルムが脂肪酸アミド系滑剤を質量含有率で500ppm~3000ppm含有している請求項1又は2記載の蓄電デバイス用包装材。
  4. 請求項1又は2記載の包装材の深絞り成形加工品又は張出し成形加工品を備えた蓄電デバイス用包装ケース。
  5. 請求項1又は2記載の包装材の深絞り成形加工品又は張出し成形加工品を備えた包装ケース内に蓄電デバイス本体が収容された蓄電デバイス。
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