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JP2023124489A - 積層成形体の製造方法及び積層成形体 - Google Patents

積層成形体の製造方法及び積層成形体 Download PDF

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JP2023124489A
JP2023124489A JP2022028276A JP2022028276A JP2023124489A JP 2023124489 A JP2023124489 A JP 2023124489A JP 2022028276 A JP2022028276 A JP 2022028276A JP 2022028276 A JP2022028276 A JP 2022028276A JP 2023124489 A JP2023124489 A JP 2023124489A
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JP2022028276A
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涼丞 原子
Ryosuke HARAKO
敬裕 吉岡
Takahiro Yoshioka
浩之 高橋
Hiroyuki Takahashi
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Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Abstract

【課題】 力学特性を下げることなく、タクトタイムを短縮して生産効率を向上させることによって低コスト化が可能な積層成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】 (1)金型温度が160~240℃の範囲内に保持されたプレス装置に金属部材、層間接着剤および繊維強化樹脂材料をセットする工程、(2)金型を閉じ、ホットプレス成形により、金属部材と繊維強化樹脂材料を積層一体化して複合化させると同時に賦形を行う工程、(3)工程(1)の金型温度から-10℃以内の温度で、積層一体化された積層成形体を脱型してプレス装置より取り出す工程、(4)金型温度を工程(1)の温度に調整する工程を1サイクルとして含み、繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂がフェノキシ樹脂を含む樹脂組成物の架橋硬化物であるとともに、工程(1)から(4)までのタクトタイムが10分間未満である積層成形体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化樹脂を含む積層成形体の製造方法及び積層成形体に関する。
近年、環境問題から、自動車業界や航空業界等において燃費向上への取り組みとして、車体や機体の軽量化のために金属から繊維強化樹脂への代替が注目されている。繊維強化樹脂(FRP)とは、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を炭素繊維などの強化繊維を用いて強化した材料であり、軽量かつ高強度高剛性であることから、船舶業界や宇宙分野、風力発電やスポーツ用品等、幅広い分野で適用研究が行われ既に使用されている。
その中でも熱可塑性樹脂を用いたFRPは、加熱により成形や賦型が可能で、高い生産性を有し、溶着等の二次加工が容易であり、電気絶縁性を有し、また腐食せずリサイクル性にも優れる等の特徴から今後様々な分野で広く使用されることが確実視されている。
FRPの加工は、オートクレーブ成形、オーブン成形、プレス成形、RTM/VaRTM法、引き抜き成形などがあるが、この中でも、生産性が高く、良質な積層成形体が得られるという観点から、プレス成形が望ましいとされている。
しかし、FRPは、金属に比べ展延性が小さく、鉄などの金属と同じようなスピードでプレス成形すると、切れたり、皺が発生したりする。さらに、成形するためにプリプレグに熱をかけすぎると、樹脂粘度が低下しすぎて、樹脂が溶融し、きれいな成形品を形成することができず、また、熱をかけないと粘度が低下しないため、成形不良となってしまうという問題がある。また、熱硬化性樹脂を含浸したFRP材料のプレス成形では、硬化を完結させるために時間を要し、タクトタイムが長くなる課題がある。熱可塑性樹脂を含浸したFRP材料のプレス成形では、脱型時に樹脂の固化温度まで金型を冷やすことに時間を要し、タクトタイムが長くなる課題がある。
このような課題に対し、特許文献1では、短時間のプレス成形で完成度の高い積層成形体を得られる方法が開示されている。
また、特許文献2や特許文献3には、FRPのマトリックス樹脂としてフェノキシ樹脂、エポキシ樹脂及び架橋剤を必須成分とし、架橋反応によって高温環境下における力学特性の変化を抑えることができるFRP成形用材料とそれを用いた積層成形体およびその製造方法が開示されおり、10分程度のプレスにて積層成形体を得る実施例が開示されている。
また、特許文献4では、フェノキシ樹脂をマトリックスとした炭素繊維強化樹脂(CFRP)と金属の複合体を230℃に予熱した金型内で5分加熱することで成形タクトタイムを低減する積層成形体の製造方法が開示されている。
特開2021-102274号公報 WO2018/061516 WO2018/124215 特開2021-126776号公報
特許文献1、2に開示される積層成形体は、プレス成形の脱型時に樹脂の固化温度まで金型を冷却する必要があり、冷却と再昇温のためにタクトタイムが長くなるという課題がある。また、特許文献3に開示される積層成形体は、脱型時の操作についての言及はない。更に、特許文献4に開示される積層成形体は金型での加熱プレス加工ののちに冷却プレス工程を行わなければCFRP物性が十分に発現せず、結果として工数が多くなり、タクトタイムはやはり長くなるという課題がある。
そこで、本発明は、力学特性を下げることなく、タクトタイムを短縮して生産効率を向上させることによって低コスト化が可能な積層成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、金型の冷却無しで脱型しても、良好な力学特性を有する積層成形体を製造できる手法を見出した。
すなわち、本発明の第1の観点の積層成形体の製造方法は、金属部材と、フェノキシ樹脂を含有する層間接着剤層と、繊維強化樹脂層と、が積層一体化された構造を備える積層成形体を製造する方法である。本発明の第1の観点の積層成形体の製造方法は、以下の(1)~(4)の工程;
工程(1):金型温度が160~240℃の範囲内に保持されたプレス装置に金属部材、層間接着剤および繊維強化樹脂材料をセットする工程、
工程(2):金型を閉じ、ホットプレス成形により、金属部材と繊維強化樹脂材料を積層一体化して複合化させると同時に賦形を行う工程、
工程(3):前記工程(1)の金型温度から-10℃以内の温度で、積層一体化された積層成形体を脱型してプレス装置より取り出す工程、
工程(4):金型温度を前記工程(1)の温度に調整する工程、
を1サイクルとして含むものである。
そして、本発明の第1の観点の積層成形体の製造方法は、前記繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂がフェノキシ樹脂を含む樹脂組成物の架橋硬化物であるとともに、工程(1)から工程(4)までのタクトタイムが10分間未満である。
本発明の第1の観点の積層成形体の製造方法は、前記金型が固定金型と可動金型を有し、工程(1)における固定金型の設定温度を可動金型の設定温度より10℃以上高い温度に設定してもよい。
本発明の第1の観点の積層成形体の製造方法は、工程(1)において、金属部材、層間接着剤、繊維強化樹脂材料の順に積層して該金属部材が固定金型に接するようにセットしてもよい。
本発明の第1の観点の積層成形体の製造方法は、繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂が、フェノキシ樹脂を含むとともに160℃以上の温度で熱架橋性を有する樹脂組成物の架橋硬化物であってもよい。
本発明の第1の観点の積層成形体の製造方法は、層間接着剤が、フェノキシ樹脂と熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物であってもよい。
本発明の第1の観点の積層成形体の製造方法は、金属部材が厚み0.2mm以上の鉄鋼材料、鉄系合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金から選ばれる1種以上であってもよい。
本発明の第2の観点の積層成形体は、上記いずれかの方法によって製造される積層成形体であって、
前記金属部材の表面と前記繊維強化樹脂層との間に、10μm以上の厚さの層間接着剤層を有するものである。
本発明の第3の観点の積層成形体の製造方法は、複数層の繊維強化樹脂層が積層一体化された構造を備える積層成形体を製造する方法である。本発明の第3の観点の積層成形体の製造方法は、以下の(1)~(4)の工程;
工程(1):金型温度が160~240℃の範囲内に保持されたプレス装置に複数層の繊維強化樹脂材料を積層してセットする工程、
工程(2):金型を閉じ、ホットプレス成形により、複数層の繊維強化樹脂材料を積層一体化させると同時に賦形を行う工程、
工程(3):前記工程(1)の金型温度から-10℃以内の金型温度で積層一体化された積層成形体を脱型してプレス装置より取り出す工程、
工程(4):金型温度を前記工程(1)の温度に調整する工程、
を1サイクルとして含むものである。
そして、本発明の第3の観点の積層成形体の製造方法は、前記繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂がフェノキシ樹脂を含む樹脂組成物の架橋硬化物であるとともに、工程(1)から工程(4)までのタクトタイムが10分間未満である。
本発明の第3の観点の積層成形体の製造方法は、前記金型が固定金型と可動金型を有し、工程(1)における固定金型の設定温度を可動金型の設定温度より10℃以上高い温度に設定してもよい。
本発明の第3の観点の積層成形体の製造方法は、繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂が、フェノキシ樹脂を含むとともに160℃以上の温度で熱架橋性を有する樹脂組成物の架橋硬化物でであってもよい。
本発明方法によれば、適切な樹脂配合と、適切なプレス成形操作、適切なプレス温度により、タクトタイムを短縮して積層成形体をハイサイクルで製造することができる。更に、本発明方法によれば、積層成形体のそり量も低減できる。
本発明方法により得られる金属-FRP複合体の断面構造の一例を示す図面である。 本発明方法により得られる金属-FRP複合体の断面構造の別の例を示す図面である。 本発明方法により得られるFRP積層体の断面構造の一例を示す図面である。 本発明方法における金型温度と圧力の変化を示すタイミングチャートである。 従来方法における金型温度と圧力の変化を示すタイミングチャートである。 金属-FRP複合体のそり測定および曲率半径の算出方法を説明する図面である。
本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、当業者に周知された範囲で適宜設計変更等することが可能である。
[積層成形体の構造]
まず、本発明方法によって製造される積層成形体の構造について、図1~図3を参照しながら説明する。
金属-FRP複合体:
図1は、本発明方法によって製造される積層成形体の一例である金属-FRP複合体の断面構造を示す模式的図面である。図1に示すように、金属-FRP複合体100は、金属部材101と、繊維強化樹脂層としてのFRP層102と、金属部材101とFRP層102との間に介在する層間接着剤層103と、を備えている。金属-FRP複合体100において、FRP層102は、図示は省略するが、マトリックス樹脂と、該マトリックス樹脂中に含有され、複合化された強化繊維と、を有している。層間接着剤層103は、金属部材101の少なくとも片側の面に接して設けられており、金属部材101とFRP層102とを強固に接着している。なお、層間接着剤層103とFRP層102は、金属部材101の両面にそれぞれ形成されていてもよい。また、層間接着剤層103とFRP層102とを含む積層体を挟み込むように、その両側に金属部材101を配置してもよい。
金属-FRP複合体100において、FRP層102は、少なくとも1枚以上のFRP成形用プリプレグを用いて形成されたものである。FRP層102は、1層に限らず、例えば図2に示すように、2層以上であってもよい。FRP層102の厚みや、FRP層102を複数層とする場合のFRP層102の層数(図中、nで表す)は、使用目的に応じて適宜設定できる。FRP層102の各層は、同一の構成であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、FRP層102を構成するマトリックス樹脂の樹脂種、強化繊維の種類や含有比率などは、層ごとに異なっていてもよい。
なお、FRP層102は、金属部材101と複合する際は、FRP成形用プリプレグの他に予め成形したFRPやプリフォームを用いることもできるが、より均一なFRP層102を形成できることや賦形性の観点からプリフォームであることが好ましい。
また、金属-FRP複合体100において、層間接着剤層103を構成する樹脂と、層間接着剤層103に接する1番目のFRP層102のマトリックス樹脂は、層間接着剤層103と1番目のFRP層102との接着性を確保する観点から、同一もしくは同種の樹脂や、ポリマー中に含まれる極性基の比率などが近似した樹脂種を選択することが好ましい。ここで、「同一の樹脂」とは、同じ成分によって構成され、組成比率まで同じであることを意味し、「同種の樹脂」とは、主成分が同じであれば、組成比率は異なっていてもよいことを意味する。「同種の樹脂」の中には、「同一の樹脂」が含まれる。また、「主成分」とは、樹脂成分100重量部のうち、50重量部以上含まれる成分を意味する。なお、「樹脂成分」には、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が含まれるが、架橋剤などの非樹脂成分は含まれない。
金属-FRP複合体100において、層間接着剤層103の厚みとしては、金属部材101とFRP層102との接着性を十分に確保する観点から、例えば10μm以上が好ましく、10~100μmの範囲内がより好ましい。層間接着剤層103の厚みが10μm未満では、金属部材101とFRP層102との接着が不十分となり、金属-FRP複合体100において十分な機械的強度が得られない。一方、層間接着剤層103の厚みが100μmを超えると、層間接着剤層103が厚みに占める割合が過大となるために、金属-FRP複合体100において強化繊維による補強効果が充分に得られなくなる。
FRP積層体:
図3は、本発明方法によって製造される積層成形体の別の例であるFRP積層体の断面構造を示す模式的図面である。図3に示すように、FRP積層体200は、繊維強化樹脂層としての複数層のFRP層102を備えている。FRP積層体200において、FRP層102は、図示は省略するが、マトリックス樹脂と、該マトリックス樹脂中に含有され、複合化された強化繊維と、を有している。
FRP積層体200において、FRP層102は、少なくとも2枚以上のFRP成形用プリプレグを用いて形成されたものである。FRP層102の厚みや層数nは、使用目的に応じて適宜設定できる。FRP層102の各層は、同一の構成であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、FRP層102を構成するマトリックス樹脂の樹脂種、強化繊維の種類や含有比率などは、層ごとに異なっていてもよい。
[積層成形体の個別構成要素]
図1及び図2に示す金属-FRP複合体100、図3に示すFRP積層体200の各構成要素について説明する。
<金属部材>
金属-FRP複合体100における金属部材101の材質や形状、厚みなどについては、プレス等による成形加工が可能であれば特に限定されるものではないが、例えば薄板状が好ましい。金属部材101の厚みは、0.2mm以上が好ましく、0.2~3.0mmの範囲内であることがより好ましい。金属部材101の材質としては、例えば鉄、チタン、アルミニウム、マグネシウムおよびこれらの合金などが好ましい。ここで、合金とは、例えば、鉄系合金(ステンレス鋼含む)、Ti系合金、Al系合金、Mg合金などを意味する。金属部材101の材質のより好ましい例としては、鉄鋼材料、鉄系合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金であり、鉄鋼材料が最も好ましい。そのような鉄鋼材料としては、例えば日本産業規格(JIS)等で規格された鉄鋼材料であり、一般構造用や機械構造用として使用される炭素鋼、合金鋼、高張力鋼等を挙げることができる。このような鉄鋼材料の具体例としては、冷間圧延鋼材、熱間圧延鋼材、自動車構造用熱間圧延鋼板材、自動車加工用熱間圧延高張力鋼板材などを挙げることができる。
<層間接着剤>
本発明で用いる層間接着剤とは、金属部材101とFRP102の間に介在し、層間接着剤層103として両者をより強固に接着させる接着材料である。層間接着剤は、フェノキシ樹脂を含む熱可塑性樹脂の組成物であることが好ましく、より好ましくはフェノキシ樹脂と熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物である。なお、層間接着剤で使用されるフェノキシ樹脂は、繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂に使用されるフェノキシ樹脂(後述)と同じであるため、詳細は該マトリックス樹脂の説明で述べる。
層間接着剤としてフェノキシ樹脂とともに好ましく使用される熱可塑性エラストマーとは、ハードセグメント(結晶相)とソフトセグメント(非晶相)とを構成単位として含む熱可塑性樹脂を意味する。ゴム弾性を示すソフトセグメントを持つことで、層間接着剤層103の引張破断伸びを改善し、特にはく離に対する接着力を高めることができる。また、疑似架橋構造による結晶相となるハードセグメントを持つことで、層間接着剤層103の耐熱性を高めることができる。熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系(TPV)、ポリウレタン系(TPU)、ポリエステル系(TPEE)、ポリアミド系(PEBA)、アクリル系、スチレン系などが挙げられる。その中でも、ポリエステル系エラストマー(ポリエステルエラストマー、TPEE)が好ましい。
上記ポリエステル系エラストマーは、引張破断伸びが200%以上であるものが好適であり、300%以上であるものがより好ましい。引張破断伸びが200%を下回ると層間接着剤層103の接着力、特にはく離に対する接着力が低くなる。なお、本発明におけるポリエステル系エラストマーの引張破断伸びとは、JIS K 7161にて測定される値を言う。
また、上記ポリエステル系エラストマーは、融点が180℃以上であるものが好適であり、融点200℃以上であるものがより好ましい。融点が180℃を下回ると層間接着剤層103の融点が低下し、耐熱性が低くなる。なお、本発明におけるポリエステル系エラストマーの融点とは、示差走査熱量測定装置(DSC)により測定される値を言う。
ポリエステル系エラストマーとしては、特に限定されず、市販品を利用することもできる。市販品としては、例えば、ペルプレン(商品名、東洋紡社製)、ハイトレル(商品名、東レ・デュポン社製)、テファブロック(商品名、三菱ケミカル社製)、エステラール(商品名、アロン化成社製)等が挙げられ、これらを単独または2種以上を混合して使用することができる。
層間接着剤を構成する成分として、さらに任意成分を含んでいても良い。好ましい任意成分としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ナイロン6やナイロン610などのポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。層間接着剤層103は、更に、目的に応じて難燃剤、無機フィラー、着色剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、架橋剤、着色剤などの任意成分を含んでも良い。このとき、層間接着剤中の樹脂成分の総重量に占めるフェノキシ樹脂と熱可塑性エラストマーの合計の重量割合は70%以上であることが望ましく、90%以上であることがより望ましい。フェノキシ樹脂と熱可塑性エラストマーの合計の重量割合が70%未満となると所望の特性が発現しにくくなってしまう。
また、層間接着剤中の固形分の総重量に占めるフェノキシ樹脂と熱可塑性エラストマーの合計の重量割合は70%以上であることが望ましく、90%以上であることがより望ましい。フェノキシ樹脂と熱可塑性エラストマーの合計の重量割合が70%未満となると所望の特性が発現しにくくなってしまう。
層間接着剤は、例えばフェノキシ樹脂、熱可塑性エラストマー、及び、必要に応じて任意成分を混合することによって調製できる。フェノキシ樹脂と熱可塑性エラストマー及びそのほかの成分を混合する方法に特に制限はなく、一般公知の方法を用いることが出来る。例えば、各成分を溶剤で溶かしてワニス化し、プロペラミキサーや自転公転式脱泡撹拌機などの撹拌・混合機を用いてブレンドする方法や、ニーダーや押出機などを用いて各成分を溶融混練する方法などが挙げられる。なかでも、各成分を均一に混合できる方法として溶融混練が好ましく、2軸押出機により溶融混錬する方法が最も好ましい。
層間接着剤におけるフェノキシ樹脂と熱可塑性エラストマーの重量比としては、好ましくは10:90~60:40の範囲内であり、より好ましくは10:90~50:50の範囲内である。フェノキシ樹脂の重量比率が10%未満であると、接着力が低下する恐れがある。フェノキシ樹脂の重量比率が60%を超えると、耐熱性が低下する恐れがある。
また、層間接着剤の引張破断伸びは10%以上であることが好ましく、より好ましくは100%以上である。引張破断伸びが10%を下回ると、特にはく離に対する接着力が低くなる。なお、本発明における層間接着剤の引張破断伸びとは、JIS K 7161にて測定される値を言う。
さらに、層間接着剤は25~180℃の範囲においてガラス転移温度を持たないことが望ましい。このことは、層間接着剤が25~180℃の範囲に貯蔵弾性率の急激な変化(低下=軟化)を持たず、接着力の変化が少ないことを示している。すなわち、耐熱性が高いことを示している。なお、層間接着剤の融点とは、示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて0~280℃の範囲で測定し、セカンドスキャンのピーク値より求められる数値である。
<繊維強化樹脂>
金属-FRP複合体100のFRP層102となる繊維強化樹脂は、マトリックス樹脂と強化繊維を含んで構成される。
繊維強化樹脂は、プレス成形の脱型時、型締め冷却無しで金型の開放と材料の脱型を行うために、200℃における貯蔵弾性率(E’200)が20MPa以上であることが好ましく、より好ましくは50MPa以上である。E’200が20MPaを下回ると、金型開放時にスプリングバックが発生し、積層成形体内部にボイドが発生し、得られる成形体の品質に劣るため好ましくない。
また、繊維強化樹脂は、荷重たわみ温度が200℃以上であると良い。荷重たわみ温度が200℃を下回ると金型からの脱型時に積層成形体に変形を生じる恐れがあるため好ましくない。
<強化繊維>
金属-FRP複合体100のFRP層102に使用される強化繊維には、特に制限はないが、例えば、炭素繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などが好ましく、炭素繊維がより好ましい。炭素繊維の種類については、例えば、PAN系、ピッチ系のいずれも使用可能であり、目的や用途に応じて、これらを単独で使用してもよいし、又は併用してもよい。
強化繊維は、例えば一方向材、平織りや綾織などのクロス、三次元クロス、チョップドストランドマット、或いは不織布等の任意の形態で使用されるが、補強効果の面から一方向材もしくはクロス材であることが好ましい。
<マトリックス樹脂>
マトリックス樹脂は、フェノキシ樹脂を必須成分として構成される。マトリックス樹脂は、フェノキシ樹脂とともにエポキシ樹脂と架橋剤を含有するとともに、160℃以上の温度で熱架橋反応性を有する無溶剤系の樹脂組成物(以下、「マトリックス樹脂組成物」と記すことがある)の架橋硬化物であることが好ましい。なお、マトリックス樹脂組成物はプリプレグまたはプリフォームでは反応性が維持された状態であり、FRPの状態では架橋反応によって架橋硬化物となっている。
マトリックス樹脂組成物は、常温で固形であり、その溶融粘度は160℃以上における最小値が2000Pa・s以下である。好ましくは160℃以上における最小溶融粘度が1950Pa・s以下であり、1900Pa・s以下であるとより好ましい。160℃以上における最小溶融粘度が2000Pa・sを超えると熱プレスによる成形時に強化繊維基材へのマトリックス樹脂組成物の含浸が不十分となり、内部ボイド等の欠陥を生じ、FRPの機械物性が低下する。
また、マトリックス樹脂は、フェノキシ樹脂の2級水酸基を利用した架橋反応によって成形前よりも耐熱性が大きく上昇するため、160℃以上のTgを発現するとともに、繊維強化樹脂として200℃以上の高い荷重たわみ温度を示す成形物を得られることが特徴である。金型を使用した熱プレス成形では、成形物を脱型するために冷却操作が必要であるが、この冷却操作及び再昇温操作が成形タクトタイムを長くする原因となっており、これを短縮するために多大なエネルギーを投入しなければならない。そこで、マトリックス樹脂組成物として、その硬化物のTgが160℃以上であり、かつ、繊維強化樹脂としての荷重たわみ温度が、ホットプレス成形が可能となる金型温度以上となるものを用いることによって、ホットプレス成形時の金型温度から-10℃以内の温度で脱型することができ、ハイサイクル成形を可能としている。荷重たわみ温度が、ホットプレス成形が可能となる金型温度よりも低いと脱型の際に変形してしまう恐れがあるため、冷却操作が必要となるためにタクトタイムが長くなり、生産性が低下してしまう。
以下、マトリックス樹脂組成物の各構成要素についてそれぞれ説明する。
<フェノキシ樹脂>
マトリックス樹脂組成物に必須成分として使用されるフェノキシ樹脂は、常温において固形であり、かつ160℃における溶融粘度が10000Pa・s以下であるものが適する。フェノキシ樹脂の160℃における溶融粘度は、好ましくは100~3000Pa・sであり、より好ましくは200~1000Pa・sである。溶融粘度が10000Pa・sを超えると成形加工時の熱による樹脂の流動性が悪いため、強化繊維基材内に樹脂が十分行き渡らずにボイドの原因となり、積層成形体の機械物性が低下してしまう。
フェノキシ樹脂は、2価フェノール化合物とエピハロヒドリンとの縮合反応、あるいは2価フェノール化合物と2官能エポキシ樹脂との重付加反応から得られる熱可塑性樹脂であり、溶液中あるいは無溶媒下に従来公知の方法で得ることができる。フェノキシ樹脂の平均分子量は、質量平均分子量(Mw)として、通常10,000~200,000であるが、好ましくは、20,000~100,000であり、より好ましくは30,000~80,000である。Mwが低すぎると積層成形体の強度が劣り、高すぎると作業性や加工性に劣るものとなり易い。なお、Mwはゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
フェノキシ樹脂の水酸基当量(g/eq)は、通常50~1000であるが、好ましくは100~750であり、特に好ましくは200~500である。水酸基当量が低すぎると水酸基が増えることで吸水率が上がるため、機械物性が低下する懸念があるので好ましくなく、高すぎると架橋密度が不足して耐熱性が低下する。
フェノキシ樹脂のガラス転移点(Tg)は、65℃~100℃以下のものが適するが、好ましくは70℃~100℃、より好ましくは80℃~100℃である。ガラス転移点が65℃よりも低いと成形性は良くなるが、粉体の貯蔵安定性やプリフォームのタック性に問題が生じる。100℃よりも高いと溶融粘度も高くなり成形性や繊維への充填性が劣り、結果として、より高温のプレス成形が必要とされる。なお、フェノキシ樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)を用い、10℃/分の昇温条件で、20~280℃の範囲で測定し、セカンドスキャンのピーク値より計算された数値である。
フェノキシ樹脂としては、上記の物性を満たしたものであれば特に限定されないが、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、もしくは、ビスフェノールAとビスフェノールFの共重合型フェノキシ樹脂等が挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂は、2官能性以上のエポキシ樹脂が好ましく、さらに好ましくは、室温で固体であり、融点が60℃~145℃で、160℃における粘度が1.0Pa・s以下である結晶性エポキシ樹脂が良い。160℃における粘度1.0Pa・sを超えると、マトリックス樹脂組成物の強化繊維基材への充填性が劣り、得られる積層成形体の均質性に劣るため好ましくない。
<架橋剤>
本発明で用いる架橋剤は、フェノキシ樹脂が有するOH基と反応する官能基を2以上有するものが使用できるが、好ましくはジカルボン酸無水物基を有する化合物(以下、単に酸無水物と呼ぶ)である。
架橋剤としての酸無水物は、フェノキシ樹脂の2級水酸基とエステル結合を形成することによって、フェノキシ樹脂を3次元架橋させるが、1つの酸無水物基は加水分解により2つのカルボキシ基を生じるので、酸無水物基1つで上記官能基を2つ有すると理解される。ジカルボン酸二無水物は4つの官能基を生じるため、モノカルボン酸無水物よりも架橋点が多くなり、架橋密度を向上させることができるので好ましく用いられる。
架橋剤としての酸無水物は、常温で固体であり、昇華性が無いものであれば特に限定されるものではないが、芳香環を有する酸無水物であるピロメリット酸無水物やエチレングリコール ビスアンヒドロトリメリテート(TMEG)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(s-ODPA)、3,4’-オキシジフタル酸無水物(a-ODPA)、ビスフェノールA型酸二無水物(BisDA)が好ましく使われるが、フェノキシ樹脂やエポキシ樹脂との相溶性や耐吸湿性からODPA、BisDAがより好ましい。
特にハイサイクル成形を実現するには架橋反応の開始タイミングが重要であり、融点が150℃~240℃、好ましくは180℃~230℃である芳香族酸二無水物が最も好ましい架橋剤であり、このような芳香族酸二無水物として3,4’-オキシジフタル酸無水物(a-ODPA)、BisDAが例示される。なお、融点が240℃を超えるような芳香族酸二無水物は、熱プレス温度において架橋剤が溶融しないので架橋反応が遅く、溶け残りが異物となってFRPの機械物性に悪影響を及ぼす可能性があるので好ましくない。
マトリックス樹脂組成物は、フェノキシ樹脂100重量部に対して、エポキシ樹脂を5~85重量部となるように配合する。エポキシ樹脂の配合量は好ましくは、9~83重量部であり、より好ましくは10~70重量部である。エポキシ樹脂の配合量が85重量部を超えるとエポキシ樹脂の硬化に時間を要するため、脱型に必要な強度を短時間で得にくくなる。また、エポキシ樹脂の配合量が5重量部未満になるとエポキシ樹脂の配合による効果が得られなくなり、マトリックス樹脂組成物の架橋硬化物が160℃以上のTgを発現しにくくなる。
架橋剤の配合量は、通常、フェノキシ樹脂の2級水酸基1モルに対して酸無水物基0.5~1.5モルの範囲の量であり、好ましくは0.7~1.3モルの範囲の量であり、より好ましくは0.9~1.2モルの範囲である。架橋剤の配合量が少なすぎるとフェノキシ樹脂の2級水酸基に対して反応性の酸無水物基が不足するため、架橋密度が低く剛性が劣り、多すぎるとフェノキシ樹脂の2級水酸基に対して酸無水物基が過剰になり未反応の酸無水物基が硬化特性や架橋密度に悪影響を与える。
さらに、マトリックス樹脂組成物に硬化促進剤を使用する場合、その配合量はフェノキシ樹脂、エポキシ樹脂及び架橋剤の合計量100重量部に対して、0.1~5重量部とする。その他の添加剤については、プリプレグの製造や、FRPの特性を損なわない範囲内となるよう適宜調整して添加される。
また、マトリックス樹脂組成物には、強化繊維基材への良好な付着性や成形後のFRP成形体の物性を損なわない範囲において、難燃剤、その他の熱可塑性樹脂粉末、種々の無機フィラー、体質顔料、着色剤、酸化防止剤、紫外線防止剤等その他添加物を配合することもできる。
なお、難燃剤については常温で固体であって昇華性が無いものであれば特に限定はされないが、非ハロゲン系難燃剤の使用が環境や健康などの影響から好ましく、例えば水酸化カルシウムといった無機系難燃剤や、リン酸アンモニウム類やリン酸エステル化合物といった有機系および無機系のリン系難燃剤、トリアジン化合物等の含窒素系難燃剤などが挙げられる。難燃剤の配合量については、難燃剤の種類や所望の難燃性の程度によって適宜選択されるが、マトリックス樹脂組成物100重量部に対して概ね0.01~10重量部の範囲内で、マトリックス樹脂組成物の付着性やFRPの物性を損なわない程度で配合することが好ましい。
図3に示すFRP積層体200におけるFRP層102の構成は、金属-FRP複合体100におけるFRP層102と同様であるため、説明を省略する。
[積層成形体の製造方法]
次に、本発明の実施の形態である積層成形体の製造方法について、図1及び図2に示した金属-FRP複合体100、図3に示したFRP積層体200を例に挙げて説明する。
金属-FRP複合体の製造:
図1及び図2に例示する金属-FRP複合体100は、以下の(1)~(4)の工程を実施することによって製造できる。ここで、工程(1)から工程(4)までのタクトタイムは10分間未満、好ましくは1~6分間の範囲内、より好ましくは1~3分間の範囲内である。
なお、本発明において、「タクトタイム」とは次のように規定した。工程(1)で材料を金型にセットする時点を開始時点とし、工程(3)の脱型操作後に工程(4)で金型温度が次の積層材料をホットプレス成形するために再び工程(1)の温度に調整された時点を終了時点とし、この区間の所要時間をタクトタイムとした。例えば、脱型の際に型締め冷却を行う場合、脱型後、プレス機上下の金型温度が低下してしまっているため、これをホットプレス成形が可能となる金型温度まで昇温する時間がタクトタイムに含まれる。
工程(1):
工程(1)では、金型温度が160~240℃の範囲内に保持されたプレス装置に金属部材101、層間接着剤層103となる層間接着剤およびFRP層102となる繊維強化樹脂材料をセットする。
ホットプレス成形時の金型温度が160℃未満であると金型にセットされた積層材料に熱が奪われて金型の温度が架橋反応の開始温度(約160℃)から一旦低下してしまうために好ましくなく、240℃を超えると繊維強化樹脂材料の熱劣化や架橋反応が早発してしまうおそれがある。なお、ホットプレス成形のための金型温度は好ましくは180℃~240℃の範囲内である。また、ホットプレス成形のための金型の「設定温度」は、積層材料をホットプレス成形することが可能となる温度よりも+10℃以内、もしくは、+5℃以内で高くしておくことが、温調時間の短縮と、超短時間成形を連続して行っても温調回数を削減できるという観点から好ましい。
金型が、固定側の下金型と可動側の上金型を有する場合は、上金型と下金型で工程(1)におけるホットプレス成形のための設定温度に差を付けても良い。上下のどちらの金型の設定温度を高くするかはセットする積層材料の構成によって任意に設定することができるが、積層材料をセットする際に金型の熱が奪われるので下金型を高くすることが好ましい。下金型と上金型の設定温度差は、好ましくは10℃以上、好ましくは10℃~20℃である。上下の金型の設定温度に差をつけることにより、積層材料に奪われる熱を予め補填することで成形不良が起きる恐れを低減できるほか、積層成形体である金属-FRP複合体100の反りを低減させることもでき、成形品の品質が向上する効果もある。
なお、上金型と下金型の金型温度や設定温度が異なる場合に、「金型温度」や「金型の設定温度」とは低い方の温度を意味する。
積層材料である金属部材101、層間接着剤、繊維強化樹脂材料の積層順については、金属部材101と繊維強化樹脂材料の間に層間接着剤が介在する形であれば特に限定されるものではないが、下金型側から順に金属部材101/層間接着剤/繊維強化樹脂材料という構成であることが好ましい。
また、必要に応じて層間接着剤と繊維強化樹脂材料との間に防食やその他機能付与を目的としてガラス繊維やアラミド繊維の不織布や、前記不織布に樹脂を含浸させたプリプレグなどを挿入することもできる。但し、金型にセットする積層材料の層数を過剰なものとすると金型の熱が奪われて熱板温度が低下してしまうほか、積層成形体に加熱斑が生じることによって成形不良が起きてしまうことから、成形厚みがおおよそ5mm以内、好ましくは4mm以内となるようにするとよい。
積層に際して金属部材101は、表面に任意の表面処理を施しておいていてもよい。ここで、表面処理とは、例えば、亜鉛めっきやアルミニウムめっきなどの各種めっき処理、クロメート処理、ノンクロメート処理などの化成処理や、サンドブラストのような物理的もしくはケミカルエッチングなどによる化学的な表面粗化処理が挙げられるが、特にこれらに限られるものではない。また、複数種の表面処理が施されていてもよい。
層間接着剤は、固形状(ペレット状)、粉末状、液状などの様々な形態とすることが可能であるが、ハンドリング性などの観点からフィルム化して接着樹脂シートとして用いることが好ましい。この場合、フィルムの状態でそのまま金属部材101および繊維強化樹脂材料と積層するか、もしくは金属部材101の表面にラミネートされた状態で使用することができる。なお、層間接着剤をフィルム化する方法に特に制限はなく、一般公知の方法を用いることが可能であり、例えば、溶融押出成形法、溶液キャスティング成形法、カレンダー成形法などが挙げられる。
層間接着剤の接着樹脂シートは、たとえば、5~500マイクロメートルの範囲内の厚さを有することが好ましく、5~250マイクロメートルの範囲内の厚さを有することがより好ましく、10~100マイクロメートルの範囲内の厚さを有することが最も好ましい。
工程(1)で使用する繊維強化樹脂材料は、プリプレグ、プリフォーム、FRP成形体のいずれの状態であってもよい。
<プリプレグ>
繊維強化樹脂材料をプリプレグとして使用する場合、そのプリプレグはマトリックス樹脂組成物の粉末を、粉体塗装法により、強化繊維基材に付着させることによって得たものであることが好ましい。粉体塗装法には流動床を利用した流動塗装法と静電場を利用した静電塗装法があり、本発明ではそのどちらの方法も利用することができるが、強化繊維基材への付着の均一性から静電場を利用した静電塗装法が好適である。
粉体塗工法によってプリプレグを得るに際しては、マトリックス樹脂組成物を構成する各成分を低温乾燥粉砕機(セントリドライミル)等の粉砕混合機を用いて粉砕する。粉体の大きさとしては、平均粒子径が好ましくは10~100μmの範囲内、より好ましくは40~100μmの範囲内、最も好ましくは40~50μmの範囲内である。
また、マトリックス樹脂組成物中のフェノキシ樹脂粉末およびエポキシ樹脂粉末の平均粒子径が、架橋剤の平均粒子径の1~1.5倍であることが好ましい。架橋剤粉末の粒子径をフェノキシ樹脂とエポキシ樹脂の各粉末よりも微細にすることにより、強化繊維基材の内部にまで架橋剤が付着されるとともに、フェノキシ樹脂およびエポキシ樹脂の粒子の周囲に架橋剤が万遍なく存在することで、架橋反応を確実に進行させることができる。
強化繊維基材へのマトリックス樹脂組成物粉末の付着量は、樹脂割合(RC)が、好ましくは20~50%の範囲内、より好ましくは25%~40%の範囲内、最も好ましくは25%~30%の範囲内でとなるように塗工することがよい。樹脂割合(RC)が50%を超えるとFRPの引張・曲げ弾性率等の機械物性が低下してしまい好ましくなく、20%を下回ると樹脂の付着量が極端に少ないことから基材内部へのマトリックス樹脂の含浸が不十分になり、熱物性、機械物性ともに低くなり好ましくない。
<FRP成形体・プリフォーム>
プリプレグを複数枚積層し、加熱かつ加圧することによりFRP成形体またはプリフォームとすることができる。プリプレグを用いるFRP成形体またはプリフォームへの予備成形は、加熱加圧成形である限り、目的とする成形物の大きさや形状に合わせて、オートクレーブ成形や金型を使用したホットプレス成形等の各種成形法を適宜選択して実施することができる。
プリプレグをFRP成形体とする場合の成形温度は、好ましくは160~240℃の範囲内、より好ましくは160℃~220℃の範囲内、最も好ましくは180℃~200℃の範囲内であり、成形圧力は好ましくは3~5MPaの範囲内である。なお、成形温度が上記範囲の上限温度を超えると、過剰な熱を加えてしまうため架橋反応が早く起きてしまうことによる急激な溶融粘度の増加によって強化繊維基材へのマトリックス樹脂の含浸が不十分となるためにFRPの機械物性の低下を招く。
金属―FRP複合体100の製造に使用されるプリプレグは、架橋反応によって高温時での機械強度を速やかに発現させることができる。このため、加熱プレス機の熱板や金型が接触している時間が10分間未満の極短時間でよく、さらに熱板や金型を冷却することなしに脱型することができるハイサイクル成形が可能である。
一方、プリプレグをプリフォームとする場合は、熱プレスを90~200℃、好ましくは160~200℃の温度とし、1~5MPaの圧力で10秒~2分間の短時間で平板状となるように成形加工するとよい。
プリプレグを架橋反応が開始する温度未満で熱プレスすることによって、マトリックス樹脂組成物が再流動可能な程度に架橋反応が留まった状態、すなわちプリフォームとし、160℃以上の温度で再成形することによって架橋反応を完結させるとともに賦形することができる。
繊維強化樹脂材料、層間接着剤(接着樹脂シート)の接着面は、例えば、ブラスト処理等による粗化や、プラズマ処理、コロナ処理などによる活性化がなされていることが好ましい。
金型と積層材料の間には、必要に応じて鏡面板や離型シートを配置するとよい。特に繊維強化材料と金型が直接接触すると樹脂の癒着が起こり、脱型の障害となったり、連続生産時に製品表面の外観を低下させる原因となる。
また、熱プレス時における製品の滑りなどを防止するためにワークエリア外にずれ防止のためのピンなど配置しておくこともよい。
積層材料は熱プレス機の金型以外の場所で予め90~120℃に予熱されているとよい。予熱されていることで熱プレス機にセットした際の金型温度の低下が小さくなるために成形品質の向上が図ることができる。なお、予熱は一般的な大気オーブンやホットプレートなどで良いが、移動中の温度低下をなるべく抑えるために熱プレス装置の近傍で行うことが好ましい。なお、160℃を超える温度で予熱を行うと、架橋反応が早発してしまうため適さない。
工程(2):
工程(2)は、金型を閉じ、ホットプレス成形により、金属部材101と繊維強化樹脂材料を層間接着剤により積層一体化して複合化させると同時に賦形を行う。
<加熱圧着条件>
金属部材101と、層間接着剤と、繊維強化樹脂材料であるプリプレグ(又はFRP成形体又はプリフォーム)とを複合化するための加熱圧着温度は、160℃~240℃の範囲内、好ましくは160~220℃、最も好ましくは190℃~210℃の範囲内がよい。上限温度を超えると、樹脂が繊維に含浸する前に架橋反応が進行し、含浸不良が起きる可能性がある。また、下限温度を下回ると樹脂の溶融粘度が高くなり、強化繊維基材への含浸性が悪くなる。なお、「加熱加圧温度」は、ホットプレス成形のための金型の「設定温度」と厳密には異なる場合があるが、該設定温度から-5℃以内であることが好ましい。
圧着する際の圧力は、例えば3MPa以上が好ましく、3~5MPaの範囲内がより好ましい。圧力が上限を超えると、過剰な圧力を加えてしまうため、変形や損傷が発生する可能性があり、また下限を下回ると強化繊維基材への含浸性が悪くなる。
加熱加圧処理時間については、繊維強化樹脂材料としてプリプレグ、プリフォーム、FRP成形体のいずれを用いるかによって異なるが、プリプレグやプリフォームであれば1分以上、最大でも10分間未満、好ましくは2~5分間の範囲内、より好ましくは2~3分間の範囲内あれば十分であり、FRP成形体であれば少なくとも0.5分以上あれば十分に加熱圧着が可能であり、最大でも10分間未満、好ましくは0.5~5分間の範囲内、より好ましくは0.5~2分間の範囲内であれば十分である。
工程(3):
工程(3)は、工程(1)の金型温度から-10℃以内の温度で積層一体化された積層成形体である金属-FRP複合体100を脱型してプレス装置より取り出す工程である。
工程(2)の終了後、通常は型締め状態で金型を冷却し(型締め冷却)、金属-FRP複合体100を脱型するが、本発明方法によれば、脱型時には型締め冷却は不要である。なお、成形加工時に金型の熱が成形体に奪われることによる温度低下は型締め冷却とは見做さない。
本発明において、脱型時の金型温度(単に「脱型温度」と記すことがある)はホットプレス成形のための金型温度[つまり、工程(1)の金型温度]から-10℃以内であり、好ましくは-5℃以内、最も好ましくは工程(1)の金型温度のままである。ここで、「工程(1)の金型温度-10℃以内」とは、型締め冷却のような強制的な冷却を行わない意味である。型締め冷却を行わないことで、型締め冷却に要する時間と、次の工程(4)で金型を再加熱して工程(1)の金型温度に復帰させるまでの時間を節減して次の製品の成形加工が可能となるためにタクトタイムを大幅に短縮することができる。このように、本発明方法では工程(3)に必要な時間を大幅に低減できることが特徴であり、かかる観点から、工程(3)に要する時間は、タクトタイムの20%以下、好ましくは5~15%の範囲内、より好ましくは5~10%の範囲内とすることができる。
工程(4):
工程(4)は、金型温度を工程(1)の金型温度に調整する工程であり、工程(3)で脱型温度が工程(1)の金型温度よりも低下した場合は、該工程(1)の金型温度まで上昇させる。工程(3)で脱型温度が低下せずに工程(1)の金型温度のまま維持される場合は、工程(3)と工程(4)は同時進行することとなるため、工程(3)の終点である脱型時点を工程(4)の終点とみなすことができる。
このように、本発明方法では工程(3)の所要時間の削減に加え、工程(4)に必要な時間を大幅に削減できることも特徴であり、かかる観点から、工程(4)に要する時間は、30秒以下が望ましく、例えばタクトタイムの15%以下、好ましくは0~5%の範囲内とする。なお、次のサイクルが存在しない場合は、最後のサイクルの工程(3)の終点である脱型時を工程(4)の終点とみなすことができる。
<任意工程>
脱型後の成形品である金属-FRP複合体100は、自然冷却や送風などによる強制冷却、例えば40℃程度の環境下での緩やかな冷却を行っても良い。
また、加熱圧着後の金属-FRP複合体100は、そのままでも十分な機械強度を発現しているが、例えば自動車用途などの高い信頼性が要求される用途に対して適用する場合は、例えば160~240℃の範囲内の温度で5~60分間程度、ポストキュアを行うことが好ましい。ポストキュアにより架橋反応を完結させることによって品質(強度、耐熱性)がより安定化する。なお、塗装などの後工程での熱履歴をポストキュアとして利用することも可能である。
<後加工>
金属-FRP複合体100に対する後工程では、塗装の他、他の部材とのボルトやリベット留めなどによる機械的な接合のための穴あけ加工、接着接合のための接着剤の塗布などが行われ、組立が行われる。
FRP積層体の製造:
図3に例示するFRP積層体200は、以下の(1)~(4)の工程を実施することによって製造できる。ここで、工程(1)から工程(4)までのタクトタイムは10分間未満、好ましくは1~6分間の範囲内、より好ましくは1~3分間の範囲内である。なお、タクトタイムの意味は、金属-FRP複合体100を製造する場合と同様である。
工程(1):
工程(1)では、金型温度が160~240℃の範囲内に保持されたプレス装置に複数層のFRP層102となる複数層の繊維強化樹脂材料をセットする。
ホットプレス成形時の金型温度が160℃未満であると金型にセットされた積層材料に熱が奪われて金型の温度が架橋反応の開始温度(約160℃)から一旦低下してしまうために好ましくなく、240℃を超えると繊維強化樹脂材料の熱劣化や架橋反応が早発してしまうおそれがある。なお、ホットプレス成形のための金型温度は好ましくは180℃~240℃の範囲内である。また、ホットプレス成形のための金型の「設定温度」は、積層材料をホットプレス成形することが可能となる温度よりも+10℃以内、もしくは、+5℃以内で高くしておくことが、温調時間の短縮と、超短時間成形を連続して行っても温調回数を削減できるという観点から好ましい。
金型が、固定側の下金型と可動側の上金型を有する場合は、上金型と下金型で工程(1)におけるホットプレス成形のための設定温度に差を付けても良い。上下のどちらの金型の設定温度を高くするかはセットする積層材料の構成によって任意に設定することができるが、積層材料をセットする際に金型の熱が奪われるので下金型を高くすることが好ましい。下金型と上金型の設定温度差は、好ましくは10℃以上、好ましくは10℃~20℃である。上下の金型の設定温度に差をつけることにより、積層材料に奪われる熱を予め補填することで成形不良が起きる恐れを低減できるほか、積層成形体であるFRP積層体200の反りを低減させることもでき、成形品の品質が向上する効果もある。
積層材料である複数層の繊維強化樹脂材料の間には、必要に応じて、接着剤フィルムや機能付与を目的としてガラス繊維やアラミド繊維の不織布や、前記不織布に樹脂を含浸させたプリプレグなどを挿入することもできる。但し、金型にセットする積層材料の層数を過剰なものとすると金型の熱が奪われて熱板温度が低下してしまうほか、積層材料に加熱斑が生じることによって成形不良が起きてしまうことから、成形厚みがおおよそ5mm以内、好ましくは4mm以内となるようにするとよい。
工程(1)で使用する繊維強化樹脂材料は、プリプレグ、プリフォームのいずれの状態であってもよい。プリプレグ、プリフォームについては、金属-FRP複合体100の製造において説明した内容と同じであるため説明を省略する。
金型と積層材料の間には、必要に応じて鏡面板や離型シートを配置するとよい。特に繊維強化材料と金型が直接接触すると樹脂の癒着が起こり、脱型の障害となったり、連続生産時に製品表面の外観を低下させる原因となる。
また、熱プレス時における製品の滑りなどを防止するためにワークエリア外にずれ防止のためのピンなど配置しておくこともよい。
積層材料は熱プレス機の金型以外の場所で予め90~120℃に予熱されているとよい。予熱されていることで熱プレス機にセットした際の金型温度の低下が小さくなるために成形品質の向上が図ることができる。なお、予熱は一般的な大気オーブンやホットプレートなどで良いが、移動中の温度低下をなるべく抑えるために熱プレス装置の近傍で行うことが好ましい。なお、160℃を超える温度で予熱を行うと、架橋反応が早発してしまうため適さない。
工程(2):
工程(2)は、金型を閉じ、ホットプレス成形により、複数層の繊維強化樹脂材料を積層一体化させると同時に賦形を行う。
<加熱圧着条件>
繊維強化樹脂材料となるプリプレグ(又はプリフォーム)とを複合化するための加熱圧着温度は、160℃~240℃の範囲内、好ましくは160~220℃、最も好ましくは190℃~210℃の範囲内がよい。上限温度を超えると、樹脂が繊維に含浸する前に架橋反応が進行し、含浸不良が起きる可能性がある。また、下限温度を下回ると樹脂の溶融粘度が高くなり、強化繊維基材への含浸性が悪くなる。なお、「加熱加圧温度」は、ホットプレス成形のための金型の「設定温度」と厳密には異なる場合があるが、該設定温度から-5℃以内であることが好ましい。
圧着する際の圧力は、例えば3MPa以上が好ましく、3~5MPaの範囲内がより好ましい。圧力が上限を超えると、過剰な圧力を加えてしまうため、変形や損傷が発生する可能性があり、また下限を下回ると強化繊維基材への含浸性が悪くなる。
加熱加圧処理時間については、繊維強化樹脂材料としてプリプレグ、プリフォームのいずれを用いるかによって異なるが、プリプレグやプリフォームであれば1分以上、最大でも10分間未満、好ましくは2~5分間の範囲内、より好ましくは2~3分間の範囲内であれば十分である。
工程(3):
工程(3)は、工程(1)の金型温度から-10℃以内の温度で積層一体化された積層成形体であるFRP積層体200を脱型してプレス装置より取り出す工程である。
工程(2)の終了後、通常は型締め状態で金型を冷却し、FRP積層体200を脱型するが、本発明方法によれば、脱型時には型締め冷却は不要である。なお、成形加工時に金型の熱が成形体に奪われることによる温度低下は型締め冷却とは見做さない。
本発明において、脱型温度は、ホットプレス成形のための金型温度[つまり、工程(1)の金型温度]から-10℃以内であり、好ましくは-5℃以内、最も好ましくは工程(1)の金型温度のままである。ここで、「工程(1)の金型温度-10℃以内」とは、型締め冷却のような強制的な冷却を行わない意味である。型締め冷却を行わないことで、型締め冷却に要する時間と、次の工程(4)で金型を再加熱して工程(1)の金型温度に復帰させるまでの時間を節減して次の製品の成形加工が可能となるためにタクトタイムを大幅に短縮することができる。このように、本発明方法では工程(3)に必要な時間を大幅に低減できることが特徴であり、かかる観点から、工程(3)に要する時間は、タクトタイムの20%以下、好ましくは5~15%の範囲内、より好ましくは5~10%の範囲内とすることができる。
工程(4):
工程(4)は、金型温度を工程(1)の金型温度に調整する工程であり、工程(3)で脱型温度が工程(1)の金型温度よりも低下した場合は該工程(1)の金型温度まで上昇させる。工程(3)で脱型温度が低下せずに工程(1)の金型温度のまま維持される場合は、工程(3)と工程(4)は同時進行することとなるため、工程(3)の終点である脱型時点を工程(4)の終点とみなすことができる。
このように、本発明方法では工程(3)の所要時間の削減に加え、工程(4)に必要な時間を大幅に削減できることも特徴であり、かかる観点から、工程(4)に要する時間は、30秒以下が望ましく、例えばタクトタイムの15%以下、好ましくは0~5%の範囲内とする。なお、次のサイクルが存在しない場合は、最後のサイクルの工程(3)の終点である脱型時を工程(4)の終点とみなすことができる。
<任意工程>
脱型後の成形品であるFRP積層体200について、任意工程として、金属-FRP複合体100の製造と同様に、冷却、ポストキュア、後加工などを実施することができる。
<作用>
次に、図4及び図5を参照して本発明方法の作用について説明する。
図4は、本発明方法のサイクル成形における工程(1)~(4)の金型温度と圧力の変化を時系列に示すタイミングチャートである。横軸は時間経過を示している。縦軸のT1は積層材料を成形可能な金型温度、T2は脱型時の金型温度(脱型温度)を意味する。また、縦軸のP1はプレス圧力、P2は脱型圧力(常圧)を意味する。また、図中の(1)、(2)、(3)、(4)の数字は、工程(1)~(4)に対応している。なお、積層材料をホットプレス成形するための金型の設定温度は、T1+10℃以内、もしくは、+5℃以内とすることが好ましい。
図4に示すように、本発明方法では、まず、金型温度がT1に保持されているt0で積層材料をセットする。つまり、t0からt1までのいずれかの時点で工程(1)が実施される。なお、図4では積層材料に熱が奪われることによる金型温度の低下は示していない(図5も同様である)。
次に、t1から加圧を開始し、圧力をP1に上昇させる。なお、厳密には加圧を開始して圧力がP2からP1に達するまで僅かな時間がかかるが、他の工程時間に比べると瞬時であるため、図4では同時に描いている(図5も同様である)。そして、t2で加圧を解除し圧力をP2まで降下させる。なお、厳密には圧力がP1からP2に降下するまで僅かな時間がかかるが、他の工程時間に比べて瞬時であるため、図4では同時に描いている(図5も同様である)。以上のt1からt2までの間が工程(2)の長さに相当する。なお、図4では、温度T1、圧力P1が維持される区間(例えば、t1からt2まで、t5からt6まで、t9からt10まで)が加熱加圧処理時間に相当する。
次に、t3で脱型する。つまり、工程(3)が実施される。このとき、脱型温度T2は、ホットプレス成形のための工程(1)の金型温度T1を基準にしてT1-10℃以内である。図4では、t3で脱型するときの金型温度が工程(1)と同じ金型温度T1に維持にされる場合を描いている(つまり、T1=T2)。そのため、脱型時点t3を実質的に工程(4)の終点t4とみなすことが可能であり、t3とt4が実質的に同時となる。すなわち、図4に示す例では、事実上、工程(3)と工程(4)が同時進行で実施されることになり、脱型時点のt3で金型温度がT1に調節されているので、工程(4)もt3で終了する。そのため、脱型時点のt3で次のサイクルの積層材料を金型にセットする準備が整い、t3を次のサイクルにおける工程(1)の開始タイミングとすることができる。したがって、図4に示す例ではタクトタイムの短縮化が可能になっている。
なお、図示は省略するが、脱型時点t3で脱型温度がT1よりも低下した場合は、脱型後に金型温度を調整し、t4までかけてT1まで昇温させる。この場合、t3からt4までの間が工程(4)の長さに相当するが、本発明では脱型時の温度低下が金型温度T1を基準にしてT1-10℃以内であるため、工程(4)は極めて短時間で行われ、タクトタイムに与える影響が少ない。
以上のt0からt4までの間が1回目のサイクルにおけるタクトタイムである。ここで、t4は金型温度がT1に調節されており、次のサイクルの積層材料を金型にセットする準備が整った状態であることから、次のサイクルにおける工程(1)が開始されるタイミングとすることができる。
従って、t4以降t5までの間に金型温度をT1に保持した状態で2回目の積層材料をセットすることができる。そして、t5からt6まで加圧し、圧力がP2に降下後、t7で脱型すると同時に工程(4)の終点t8となる。以上のt4~t8までが2回目のサイクルにおけるタクトタイムである。ここで、t8は金型温度がT1に調節されており、次のサイクルの積層材料を金型にセットする準備が整った状態であることから、次のサイクルにおける工程(1)が開始されるタイミングとすることができる。
同様にして、t8以降t9までの間に金型温度をT1に保持した状態で3回目の積層材料をセットし、t9からt10まで加圧し、圧力がP2に降下後、t11で脱型すると同時に工程(4)の終点t12となる。以上のt8~t12までが3回目のサイクルにおけるタクトタイムである。ここで、t12は金型温度がT1に調節されており、次のサイクルの積層材料を金型にセットする準備が整った状態であることから、次のサイクルにおける工程(1)が開始されるタイミングとすることができる。
以降、同様にして成形を繰り返し、積層成形体を連続的に製造することができる。
以上のように、本発明方法では、脱型前の型締め冷却が不要であるためタクトタイムが短いことが理解される。なお、工程(1)から工程(4)までを1サイクルとしてN回のサイクルを連続的に繰り返して実施する場合には、最後のN回目のサイクルでは次のサイクルの準備としての工程(4)が不要になるので、N-1回目までのサイクルにおいてタクトタイムをいかに短くできるかが重要となる。
一方、図5は、従来方法のサイクル成形における金型温度と圧力の変化を時系列に示すタイミングチャートである。横軸は時間であり、縦軸のT1、T2、P1、P2は、図4と同様である。
図5に示すように、従来方法では、まず、金型を温度T1に保持した状態のt20で積層材料をセットする。つまり、t20からt21までのいずれかの時点で工程(1)が実施される。
次に、t21から加圧を開始し、圧力をP1に上昇させる。そして、図5のt21からt22までの間が本発明の工程(2)に相当するが、従来方法では、その後に加圧を継続しながらt22からt23まで型締め冷却を実施する。すなわち、t22から圧力P1の加圧状態のまま金型温度を型締め冷却のための設定温度であるT2まで降下させていき、金型温度がT2となったt23で加圧を解除し、圧力P2とする。そして、t24で脱型し、脱型後、t25までかけて金型温度をT1まで昇温させる。以上のt20~t25までが1回目のサイクルにおけるタクトタイムである。
同様にして、t25以降、金型温度をT1に保持した状態で次の積層材料をセットし、t26で加圧し、t27からt28まで型締め冷却を実施して金型の温度をT2まで降下させてから加圧を解除してt29で脱型し、脱型後、t30までかけて再び金型を温度T1まで昇温させる。以上のt25~t30までが2回目のサイクルにおけるタクトタイムである。
以降、同様にして成形を繰り返すことができるが、従来方法ではt22からt24までの間(t27からt29までの間)の工程(3)’が型締め冷却を含むため、本発明の工程(3)に比べて大幅に時間がかかる。また、t24からt25までの間(t29からt30までの間)が本発明の工程(4)に相当するものの、金型温度をT1に復帰させるまでの時間が本発明の工程(4)に比べて長く必要になる。このように、従来方法では型締め冷却とその後の温度復帰に相応の時間を要するため、ハイサイクルでの成形が困難であり、工業的規模での量産の支障となっていた。それに対して、本発明方法では、脱型前の型締め冷却が不要であるためタクトタイムが短く、ハイサイクルで成形を繰り返すことが可能であることから、量産性に優れており、工業的規模での積層成形体の連続的製造が可能である。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における各種物性の試験及び測定方法は以下のとおりである。
[平均粒子径(D50)]
平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラックMT3300EX、日機装社製)により、体積基準で累積体積が50%となるときの粒子径を測定した。
[溶融粘度]
レオメータ(Anton Paar社製)を用いて、サンプルサイズ4.3cmのサンプルをパラレルプレートに挟み、20℃/minで250℃まで昇温しながら、周波数:1Hz、負荷ひずみ:5%の条件にて、複素粘度を溶融粘度として測定した。
[DMA分析]
DMA850(TA-Instrument Japan社製)のシングルカンチレバーを用いて、サンプルサイズ(幅15mm×長さ30mm×厚み1mm)のサンプルを、昇温速度5℃/min、ひずみ0.1%、周波数1Hzで測定し、得られるtanδの極大ピークをガラス転移温度とした。
[樹脂割合(RC:%)]
マトリックス樹脂付着前の強化繊維基材の重量(W1)と、樹脂付着後の繊維強化樹脂材料の重量(W2)から下記の式を用いて算出した。
樹脂割合(RC:%)=(W2-W1)/W2×100
W1:樹脂付着前の強化繊維基材重量
W2:樹脂付着後の繊維強化樹脂材料の重量
[曲げ試験]
JIS K 7074:1988 繊維強化プラスチックの曲げ試験方法に準拠して、金属-FRP複合体100及びFRP積層体200の機械物性(曲げ強度及び曲げ弾性率)を万能試験機(エー・アンド・デイ社製)を使用して測定した。
なお、金属-FRP複合体100は、図1に示すように、金属部材101の片側に層間接着剤層103を介してFRP層102の積層体が接合されている構造体にて評価を行っており、曲げ試験における荷重の印加方向は金属部材101側からFRP層102の積層体に向く方向とした。
[そり量計測]
そり量計測は曲げ試験用金属-FRP複合体サンプルを用い、万能試験機(エー・アンド・デイ社製)にて測定した。図6の(a)、(b)に示すように、サンプルを万能試験機にセットし、上に凸の場合の変位差と下に凸の場合の変位差を2×ΔZとし、ΔZをそり量とし、サンプル数5つの平均値を使用した。
[曲率半径計測]
曲率半径はそり量の値から以下の計算式を用いて求めた。
Figure 2023124489000001
式中、rは曲率半径、wは弦を意味する。ここで、図6(c)に示すように、そり量ΔZと曲率半径rと弦wとには、以下の関係が成立する。なお、曲率半径rと弦wは、サンプルの厚み方向の中点を中心Oとする仮想円の弧から導かれる。
=(r-ΔZ/2)+(w/2)
rΔZ=ΔZ/4+w/4
[スプリングバックの計測]
成形体の設計厚み(h0)に対する、成形体の実体厚み(h1)の比をスプリングバックとして次式から100分率で算出した。
スプリングバック(%)=[(h1/h0)×100]-100
[荷重たわみ温度]
JIS K 7191(プラスチック-荷重たわみ温度の求め方)を参考にして試験片となる繊維強化樹脂の荷重たわみ温度を測定し、荷重たわみ温度が300℃以上の場合を◎(優)、200℃以上の場合を〇(良)、200℃未満を×(不可)とした。
[フェノキシ樹脂]
フェノトートYP-50S(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、ビスフェノールA型、Mw;40,000、水酸基当量;284g/eq)、160℃における溶融粘度;2310Pa・s、Tg;83℃)
[エポキシ樹脂]
YSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、テトラメチルビスフェノールF型、エポキシ当量;192g/eq、融点=72℃)
[架橋剤]
BISDA(SHPPジャパン合同会社製、ビスフェノールA型酸二無水物、酸無水物当量;254、融点;185℃)
[ポリアミド樹脂]
CM1017(東レ社製、融点;225℃、250℃における溶融粘度;125Pa・s、Tg;55℃)
[作製例1]
プリプレグ(A)の作製:
フェノキシ樹脂を粉砕、分級した平均粒子径D50が80μmである粉体を、炭素繊維クロス材(クロス材:サカイオーベックス社製、SA-3202I)を基材として、静電場において、電荷70kV、吹き付け空気圧0.32MPaの条件で粉体塗装を行った。その後、オーブンで170℃、1分間加熱溶融して樹脂を熱融着させて部分融着構造を形成し、厚みが0.25mmであり、樹脂割合(RC)が31%のフェノキシ樹脂CFRPプリプレグ(A)(以下、「プリプレグ(A)」と記す)を作製した。
CFRP(A10)の作製:
プリプレグ(A)を100mm×100mmの大きさで使用し、それを12枚重ねて、240℃に加熱したプレス機で5MPa、2分間の加熱プレスを行い、60℃まで型締め冷却することで厚みが0.9mmのCFRP(A10)を成形した。
[作製例2]
プリプレグ(B)の作製:
フェノキシ樹脂を100重量部、エポキシ樹脂を30重量部、架橋剤を73重量部準備し、それぞれ粉砕、分級して平均粒子径D50が80μmである粉体にしたものを、ドライブレンドした。得られた架橋性フェノキシ樹脂組成物を、炭素繊維(帝人社製、IMS60)を開繊して平織したもの(クロス材:サカイオーベックス社製、SA-3202I)を強化繊維基材として、静電場において、電荷70kV、吹き付け空気圧0.32MPaの条件で粉体塗装を行った。その後、オーブンで140℃、10秒間加熱溶融して樹脂を熱融着させて部分融着構造を形成し、厚みが0.25mmであり、樹脂割合(RC)は31%の架橋フェノキシ樹脂CFRPプリプレグ(B)(以下、「プリプレグ(B)」と記す)を作製した。
なお、架橋性フェノキシ樹脂組成物の160℃以上の温度における最小溶融粘度は、308Pa・sであった。また架橋硬化後のフェノキシ樹脂のTgについては、作製したプリプレグを複数枚積層して200℃に加熱したプレス機で5MPa、10分間プレスして厚さ1mmのCFRP積層体を作製し、ダイヤモンドカッターで幅15mm、長さ30mmの試験片を切り出して、動的粘弾性測定装置(TA-Instrument Japan社製 DMA850)を用いて、5℃/分の昇温条件、30~200℃の範囲で測定し、得られるtanδの極大ピークをTgとした。
CFRP(B10)の作製:
プリプレグ(B)を100mm×100mmの大きさで使用し、それを12枚重ねて、200℃に加熱したプレス機で5MPa、2分間の加熱プレスを行い、160℃まで型締め冷却を行った後に脱型し、厚みが0.9mmのCFRP(B10)を成形した。
CFRP(B11)の作製:
プリプレグ(B)を100mm×100mmの大きさで使用し、それを24枚重ねて、200℃に加熱したプレス機で5MPa、5分間の加熱プレスを行った。60℃まで型締め冷却を行った後に脱型し、厚みが1.8mmのCFRP(B11)を成形した。
[作製例3]
プリプレグ(C)の作製:
ポリアミド樹脂を粉砕、分級した平均粒子径D50が80μmである粉体を、炭素繊維クロス材(クロス材:サカイオーベックス社製、SA-3202I)を基材として、静電場において、電荷70kV、吹き付け空気圧0.32MPaの条件で粉体塗装を行った。その後、オーブンで170℃、1分間加熱溶融して樹脂を熱融着させて部分融着構造を形成し、厚みが0.15mmであり、炭素繊維含有量が69重量%、繊維体積含有率(Vf)が60%、樹脂割合(RC)は31%のポリアミド樹脂CFRPプリプレグ(C)(以下、「プリプレグ(C)」と記す)を作製した。
[接着樹脂シートの作製]
ビスフェノールA骨格を有するフェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP50S、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)のペレットと、ポリエステルエラストマー(商品名:ハイトレルBD406、東レ・デュポン株式会社製)のペレットとを、電子天秤を用いて33/67の質量割合で計り取り、ロッキングミキサー(愛知電機社製、RM-10(S))を用いて回転30rpm、揺動30rpmにて15分間混合した。この混合したペレットを、スクリュー径26mmの同方向回転の二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS、L/D約50、シリンダー設定温度200℃、回転数220rpm)のホッパーに投入し、吐出量12kg/hの運転条件で溶融混練を行うことで、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、37t自動プレス機を用いて、厚み0.05mmの接着樹脂シートを作製した。成形条件:200℃、1MPaで3分プレスした後、ガス抜きを3回行い、更に、成形条件:200℃、8MPaで5分プレスを行って、加圧状態のまま60℃まで冷却した。
[金属部材M]
SGCC(スタンダートテストピース社製、溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)、厚み;0.4mm)
[実施例1~10、比較例1~7]
金属部材101として金属部材Mを、層間接着剤として接着樹脂シートを、繊維強化樹脂材料としてプリプレグまたはCFRPとして、表1及び表2に示す積層状態で使用した。
これらの積層材料を、下から順に、金属部材M、接着樹脂シート、繊維強化樹脂材料となる層構成で積層して下金型にセットし、表1及び表2に示す成形条件でプレス機によってプレスを行い、金属-FRP複合体を成形した。各実施例及び比較例のタクトタイムも表1及び表2に示した。比較例1、3、7は脱型時型締め冷却を行い、実施例1~10と比較例2、4、5、6は脱型時型締め冷却を行わなかった。
各実施例及び比較例で得られた金属-FRP複合体の中央から曲げ試験用試験片を5本切り出し、曲げ試験用金属-FRP複合体サンプルとした。得られたサンプルのスプリングバックの測定結果、そり量の計測結果及びマトリックス樹脂の熱物性も表1及び表2に示した。
なお、曲げ試験結果については、FRP層102の積層体と金属部材101の剥離の有無について確認しているが、比較例4にて金属部材101の界面剥離が確認されたのみであった。
Figure 2023124489000002
Figure 2023124489000003
本発明方法の効果は、実施例と、FRPのマトリックス樹脂組成物として架橋性のない熱可塑性樹脂のみを用いた比較例2~5との比較において非常に明確に示された。すなわち、フェノキシ樹脂単独では、反りや、強化繊維の反発力に起因するスプリングバックと呼ばれる厚みの増加の抑制が難しく、ナイロンでは金属との複合化自体が困難であったのに対し、本発明方法ではこれらの問題を生じさせることなくハイサイクル成形を行うことができた。また、実施例1,6と、比較例1、7との比較で示されるように、同様の繊維強化樹脂材料を使用した場合においても、本発明方法によって、10分間未満の非常に短いタクトタイムで従来のホットプレス成形と同等の機械強度を有し、反りやスプリングバックが抑制された良好な金属-FRP複合体を得ることができた。
[実施例11~15、比較例8~14]
積層材料として繊維強化樹脂材料であるプリプレグを、表3及び表4に示す積層状態で金型にセットし、表3及び表4に示す成形条件でプレス機によってプレスを行い、FRP積層体を成形した。各実施例及び比較例のタクトタイムも表3及び表4に示した。比較例8、10は脱型時型締め冷却を行い、実施例11~15と比較例9、11、12、13、14は脱型時型締め冷却を行わなかった。
各実施例及び比較例で得られたFRP積層体の中央から曲げ試験用試験片を5本切り出し、曲げ試験用FRP積層体サンプルとした。得られたサンプルのスプリングバックの測定結果、そり量の計測結果も表3及び表4に示した。
なお、曲げ試験結果については、界面剥離が確認されたものはなかった。
Figure 2023124489000004
Figure 2023124489000005
表3及び表4より、本発明方法によれば、実施例11と比較例9~11との比較で明らかなように、架橋性のない熱可塑性樹脂単独のように大きなスプリングバック発生や物性の低下を引き起こすことなく、タクトタイムが10分間未満でのハイサイクル成形を容易に行うことができた。さらに、同じマトリックス樹脂を用いた場合でも従来の成形法と同等以上の成形体品質を維持しながらのハイサイクル成形が可能であり、FRP積層体の生産性を大きく向上させ、コスト低減につなげることができる。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
100…金属-FRP複合体、101…金属部材、102…FRP層、103…層間接着剤層、200…FRP積層体

Claims (10)

  1. 金属部材と、フェノキシ樹脂を含有する層間接着剤層と、繊維強化樹脂層と、が積層一体化された構造を備える積層成形体の製造方法であって、
    以下の(1)~(4)の工程;
    工程(1):金型温度が160~240℃の範囲内に保持されたプレス装置に金属部材、層間接着剤および繊維強化樹脂材料をセットする工程、
    工程(2):金型を閉じ、ホットプレス成形により、金属部材と繊維強化樹脂材料を積層一体化して複合化させると同時に賦形を行う工程、
    工程(3):前記工程(1)の金型温度から-10℃以内の温度で、積層一体化された積層成形体を脱型してプレス装置より取り出す工程、
    工程(4):金型温度を前記工程(1)の温度に調整する工程、
    を1サイクルとして含み、
    前記繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂がフェノキシ樹脂を含む樹脂組成物の架橋硬化物であるとともに、工程(1)から工程(4)までのタクトタイムが10分間未満であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
  2. 前記金型が固定金型と可動金型を有し、工程(1)における固定金型の設定温度を可動金型の設定温度より10℃以上高い温度に設定する請求項1に記載の積層成形体の製造方法。
  3. 工程(1)において、金属部材、層間接着剤、繊維強化樹脂材料の順に積層して該金属部材が固定金型に接するようにセットする請求項1又は2に記載の積層成形体の製造方法。
  4. 繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂が、フェノキシ樹脂を含むとともに160℃以上の温度で熱架橋性を有する樹脂組成物の架橋硬化物である請求項1~3のいずれか1項に記載の積層成形体の製造方法。
  5. 層間接着剤が、フェノキシ樹脂と熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物である請求項1~4のいずれか1項に記載の積層成形体の製造方法。
  6. 金属部材が厚み0.2mm以上の鉄鋼材料、鉄系合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金から選ばれる1種以上である請求項1~5のいずれか1項に記載の積層成形体の製造方法。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の方法によって製造される積層成形体であって、
    前記金属部材の表面と前記繊維強化樹脂層との間に、10μm以上の厚さの層間接着剤層を有することを特徴とする積層成形体。
  8. 複数層の繊維強化樹脂層が積層一体化された構造を備える積層成形体の製造方法であって、
    以下の(1)~(4)の工程;
    工程(1):金型温度が160~240℃の範囲内に保持されたプレス装置に複数層の繊維強化樹脂材料を積層してセットする工程、
    工程(2):金型を閉じ、ホットプレス成形により、複数層の繊維強化樹脂材料を積層一体化させると同時に賦形を行う工程、
    工程(3):前記工程(1)の金型温度から-10℃以内の金型温度で積層一体化された積層成形体を脱型してプレス装置より取り出す工程、
    工程(4):金型温度を前記工程(1)の温度に調整する工程、
    を1サイクルとして含み、
    前記繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂がフェノキシ樹脂を含む樹脂組成物の架橋硬化物であるとともに、工程(1)から工程(4)までのタクトタイムが10分間未満であることを特徴とする積層成形体の製造方法。
  9. 前記金型が固定金型と可動金型を有し、工程(1)における固定金型の設定温度を可動金型の設定温度より10℃以上高い温度に設定する請求項8に記載の積層成形体の製造方法。
  10. 繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂が、フェノキシ樹脂を含むとともに160℃以上の温度で熱架橋性を有する樹脂組成物の架橋硬化物である請求項8又は9に記載の積層成形体の製造方法。

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