JP2023107678A - ヒートシール紙及び包装材 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境負荷が高いラミネート紙やプラスチックフィルムを含まず、耐水性及びヒートシール層非積層面の印刷適性に優れるヒートシール紙を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係るヒートシール紙は、パルプを主成分とする紙基材と、上記紙基材の片面に積層されるヒートシール層とを備えており、上記ヒートシール層の主成分が、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物であり、上記紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のベック平滑度が5秒以上50秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が3.8μm以上8.0μm以下であり、上記紙基材におけるヒートシール層非積層面の表面のベック平滑度が50秒以上500秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が2.0μm以上4.2μm以下である。上記ヒートシール層の塗工量としては、1.5g/m2以上10.0g/m2以下であることが好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、ヒートシール紙及び包装材に関する。
一般に、菓子類、医薬品、衛生用品等の包装で広く使用されているピロー包装には、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を基紙上に押し出し成型したラミネート紙やプラスチックフィルムが使用される。このようなラミネート紙やプラスチックフィルムを使用した場合、強度や耐水性、防湿性には優れるが、分解できないプラスチッフィルムが残るため古紙として利用できない点や、使用後の廃棄物処理がされずにマイクロプラスチックとして海洋汚染の原因になりやすく、環境負荷に繋がるおそれがある。
このため、従来技術においては、紙基材にアイオノマーを含むヒートシール層を備えることでヒートシール強度を向上させ、プラスチックの使用量を低減させた包装用紙が提案されている(特許文献1参照)。また、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックスを含有する熱接着層を設け、熱接着面の平滑度を特定の範囲にすることで、リサイクルが可能なヒートシールシートが提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、上記従来の包装用紙やヒートシールシートにおいては、ヒートシール層同士を熱融着することで包装加工は可能であるものの、耐水性においては十分ではなく、検討の余地があった。また、ヒートシール層非積層面の印刷適性についてもさらなる向上が求められている。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、環境負荷が高いラミネート紙やプラスチックフィルムを含まず、耐水性及びヒートシール層非積層面の印刷適性に優れるヒートシール紙を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るヒートシール紙は、パルプを主成分とする紙基材と、上記紙基材の片面に積層されるヒートシール層とを備えており、上記ヒートシール層の主成分が、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物であり、上記紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のベック平滑度が5秒以上50秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が3.8μm以上8.0μm以下であり、上記紙基材におけるヒートシール層非積層面の表面のベック平滑度が50秒以上500秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が2.0μm以上4.2μm以下である。
本発明によれば、環境負荷が高いラミネート紙やプラスチックフィルムを含まず、耐水性及びヒートシール層非積層面の印刷適性に優れるヒートシール紙を提供することができる。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係るヒートシール紙は、パルプを主成分とする紙基材と、上記紙基材の片面に積層されるヒートシール層とを備えており、上記ヒートシール層の主成分が、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物であり、上記紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のベック平滑度が5秒以上50秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が3.8μm以上8.0μm以下であり、上記紙基材におけるヒートシール層非積層面の表面のベック平滑度が50秒以上500秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が2.0μm以上4.2μm以下である。
本発明の一態様に係るヒートシール紙は、パルプを主成分とする紙基材と、上記紙基材の片面に積層されるヒートシール層とを備えており、上記ヒートシール層の主成分が、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物であり、上記紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のベック平滑度が5秒以上50秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が3.8μm以上8.0μm以下であり、上記紙基材におけるヒートシール層非積層面の表面のベック平滑度が50秒以上500秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が2.0μm以上4.2μm以下である。
当該ヒートシール紙は、上記ヒートシール層の主成分が、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物であることで、耐水性に優れる。また、上記紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度が3.8μm以上8.0μm以下であることで、ヒートシール強度やヒートシール層の均一な接着面を確保できる。一方、上記紙基材におけるヒートシール層非積層面、すなわちヒートシール層が積層されない面の表面のベック平滑度が50秒以上500秒以下であることで、ヒートシール紙は印刷面となるヒートシール層非積層面の印刷適性に優れる。また、上記紙基材におけるヒートシール層非積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度が2.0μm以上4.2μm以下であることで、当該ヒートシール紙は印刷面となるヒートシール層非積層面の特にグラビア印刷機での印刷適性に優れる。従って、当該ヒートシール紙は、耐水性及びヒートシール層非積層面の印刷適性に優れる。また、上記紙基材におけるヒートシール層積層面、すなわちヒートシール層が積層される面の表面のベック平滑度が5秒以上50秒以下であることで、ヒートシール強度及びヒートシール剤塗工面の熱融着面のブロッキング抑制効果を確保できる。さらに、当該ヒートシール紙は、リサイクルができず、環境負荷が高いラミネート紙やプラスチックフィルムを含まないことから、環境に優しい。なお、本発明において、「ヒートシール層」とは熱融着工程が行われる塗工層をいう。「主成分」とは、構成する物質のうち最も含有率が高いものをいい、好ましくは含有率が50質量%以上であるものをいう。
ベック平滑度、パーカープリントサーフ(以下、PPSともいう。)平滑度は共に空気の流通量(エアーリーク)から平滑性を評価するものである。JIS-P8119(1998)に規定されるベック平滑度は、被測定物であるシートを光学的平面仕上げのガラス製試料台とゴム製押え板間に100kPaの圧力で挟み、10mlの空気が比較的広い10cm2のガラス製標準面との間を通り、水銀柱約370mmlに減圧保持された器内に流入するのに要する時間で表され、いわゆる被測定物の面における平滑性を示す。ベック平滑度は、比較的広い面におけるマクロ的な平滑性を評価する。当該ヒートシール紙においては、ベック平滑度により表面のうねり性を評価できる。
一方、当該ヒートシール紙の表面のパーカープリントサーフ平滑度(以下「PPS平滑度」ともいう。)は、JIS-P8151(2004)の付属書Aに準じて測定されるパーカープリントサーフ平滑度(μm)である。パーカープリントサーフ平滑度は、ベック平滑度と同様に空気の流通量から平滑性を求める装置であるが、測定ヘッドに圧力をかけて測定することにより、押圧下の平滑度を測定することができる。パーカープリントサーフ平滑度は、ソフトタイプのバッキングを用い、クランプ圧1.0Mpaにて測定される値で、本発明者の知見では、ベック平滑度よりミクロ的な印刷版の網点の大きさにおいて、対象物に圧力をかけて測定することにより、各種印刷機にて印圧を掛けた際の印刷時の画質を良くする印刷版(175線数程度)の印刷表面性を評価することができる。当該ヒートシール紙においては、パーカープリントサーフ平滑度は測定面に表出するパルプの表面状態と密接な関係を有する。従って、ベック平滑度にて当該ヒートシール紙のヒートシール層の表面をより適切に評価でき、パーカープリンントサーフ平滑度にて、印刷表面性をより適切に評価できる。このように、上記ベック平滑度と上記パーカープリントサーフ平滑度との評価値の両者を所定の範囲に収めることで、ある程度広い面と微視的な面とにおけるヒートシール紙の表面平坦性を評価できる。
上記ヒートシール層の塗工量(固形分換算)が1.5g/m2以上10.0g/m2以下であることが好ましい。上記ヒートシール層の塗工量が上記範囲であることで、ヒートシール強度及びヒートシール層の熱融着面のブロッキングの抑制性をより向上できる。
emtec electoric社製「表面サイズテスターEST12.2」を用いて測定される上記ヒートシール層塗工面の動的吸水試験における100秒後の動的吸水試験値が85.0%以上97.0%以下であることが好ましい。上記ヒートシール層塗工面の動的吸水試験値が85.0%以上97.0%以下であることで、当該ヒートシール紙のヒートシール層塗工面の耐水性が充分に向上し、耐水性能を発揮できる。上記動的吸水試験値においては、水中に設置された超音波発信素子と受信素子の間に試験試料をおき、超音波の透過強度の変化から紙中への水の浸透量(動的吸水試験値)を求めるものである。当該ヒートシール紙においては、実際の使用条件に近い状態で品質管理をする必要があり、瞬間的な(すなわち実際に包装材として使用されている状態の動的な)ヒートシール紙の吸水度の管理が必要となる。このような状況のもとに、当該ヒートシール紙に対してもより高品質なものが求められていることに鑑み、本実施形態においては、動的吸水試験値を測定している。
動的吸水試験値の測定は、emtec electoric社製「表面サイズテスターEST12.2」を用いて行う。まず、測定用の試料片(75mm×50mm)を両面テープでフォルダーに固定し、溶媒(水350ml)を満たした試験容器に沈める。ここで、フォルダーは、試験容器内に設けられた、超音波の発信素子と受信素子との間に沈める。試料片と溶媒とが接触してから0.025秒後に測定を開始する。超音波の透過強度は溶媒が試料片中へ浸透するのに伴って変化するので、動的吸水試験値(%)と経過時間(秒)とのグラフがサイズテスターのモニターに表示される。そして、このグラフを読みとることによって動的吸水試験値を求めることができる。なお、測定用の超音波周波数は2MHzである。
上記ヒートシール層の表面のベック平滑度が8秒以上70秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が、3.0μm以上5.3μm以下であることが好ましい。上記ヒートシール層の表面のベック平滑度及びパーカープリントサーフ平滑度が上記範囲であることで、当該ヒートシール紙は、ヒートシール強度及び熱融着面のブロッキングの抑制性をより向上できる。
当該ヒートシール紙の透湿度が1,000g/m2・24hr以上2,000g/m2・24hr以下であることが好ましい。当該ヒートシール紙の上記透湿度が上記範囲であることで、包装する内容物の湿気が水滴になりにくく、適度に湿度を保つため、内容物の品質を良好に保持できる。ここで、「透湿度」は、JIS-Z0208(1976)に準拠して測定される値である。
本発明の他の実施形態に係る包装材は、当該ヒートシール紙を有する。当該包装材は、当該ヒートシール紙を有するので、耐水性及びヒートシール層非積層面の印刷適性に優れ、リサイクルが可能となる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の一実施形態に係るヒートシール紙について詳説する。なお、以下で説明する紙基材に配合する各材料の配合量(絶乾内添量)は、特に記載がない場合は、紙基材のパルプの絶乾質量に対する質量割合を指す。また、ヒートシール層形成用組成物に配合する各材料の含有率は、特に記載がない場合は、ヒートシール層全体の質量に対する各材料の絶乾質量割合を指す。
以下、本発明の一実施形態に係るヒートシール紙について詳説する。なお、以下で説明する紙基材に配合する各材料の配合量(絶乾内添量)は、特に記載がない場合は、紙基材のパルプの絶乾質量に対する質量割合を指す。また、ヒートシール層形成用組成物に配合する各材料の含有率は、特に記載がない場合は、ヒートシール層全体の質量に対する各材料の絶乾質量割合を指す。
<ヒートシール紙>
当該ヒートシール紙は、紙基材一方の面にヒートシール層を備える。上記ヒートシール層は、単層又は多層構造のいずれであってもよい。
当該ヒートシール紙は、紙基材一方の面にヒートシール層を備える。上記ヒートシール層は、単層又は多層構造のいずれであってもよい。
[紙基材]
紙基材は、原料パルプを含有するスラリーを抄紙して得られる。紙基材は、単層又は多層のいずれであってもよい。
紙基材は、原料パルプを含有するスラリーを抄紙して得られる。紙基材は、単層又は多層のいずれであってもよい。
(原料パルプ)
紙基材は、パルプを主成分とする。紙基材を構成する原料パルプとしては、例えば、バージンパルプ、古紙パルプ、これらのパルプを組み合わせたもの等を使用することができる。
紙基材は、パルプを主成分とする。紙基材を構成する原料パルプとしては、例えば、バージンパルプ、古紙パルプ、これらのパルプを組み合わせたもの等を使用することができる。
バージンパルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ(MP)から、化学的に又は機械的に製造されたパルプ等を、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。印刷面の見栄えや食品包装用途に使用される観点から、晒クラフトパルプのみを使用することが好ましい。
古紙パルプとしては、例えば、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ(DIP)、離解・脱墨・漂白古紙パルプ等を、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
(その他の添加剤)
紙基材には、必要によりその他の添加剤を内添することができる。添加剤としては、例えば、填料、顔料、サイズ剤、凝結剤、耐油剤、蛍光増白剤、硫酸バンド、歩留り向上剤、濾水性向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色染料、着色顔料、耐水化剤等を、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
紙基材には、必要によりその他の添加剤を内添することができる。添加剤としては、例えば、填料、顔料、サイズ剤、凝結剤、耐油剤、蛍光増白剤、硫酸バンド、歩留り向上剤、濾水性向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色染料、着色顔料、耐水化剤等を、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
[ヒートシール層]
ヒートシール層は、上記紙基材の片面に積層される。上記ヒートシール層は、紙基材の片面にヒートシール層形成用組成物を塗工することで形成される。
ヒートシール層は、上記紙基材の片面に積層される。上記ヒートシール層は、紙基材の片面にヒートシール層形成用組成物を塗工することで形成される。
上記ヒートシール層は、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物を主成分とする。上記ヒートシール層の主成分がエチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物であることで、耐水性及びヒートシール強度が良好である。上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物としては、エチレン(メタ)アクリル酸共重合樹脂の水性分散液を水中で、加熱攪拌下、樹脂中のアクリル酸のカルボキシル基をアンモニアで中和することにより行われるものである。中和剤が揮散し易いアンモニアであることで、乾燥樹脂皮膜中にアルカリが残留しないため、十分な耐水性が発現できるものと推定される。
ヒートシール層の全固形分に対するエチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物の含有率の下限としては50.0質量%であり、好ましくは90.0質量%である。上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物の含有率が50.0質量%未満であると、十分なヒートシール性が得られないおそれがある。一方、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物の含有率の上限としては、100.0質量%であり、好ましくは95.0質量%である。
上記ヒートシール層は、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物以外の樹脂を含んでいてもよい。上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、カルボン酸変性ポリエチレン、スチレンアクリル酸、スチレンブタジエンラテックス及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。また、ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、ランダムポリプロピレン(ランダムPP)、ブロックポリプロピレン(ブロックPP)、塩素化ポリプロピレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらの中でもヒートシール強度の観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。
上記ヒートシール層の塗工量(固形分換算)の下限としては、1.5g/m2が好ましく、2.0g/m2がより好ましい。一方、この塗工量の上限としては、10.0g/m2が好ましく、8.0g/m2がより好ましい。上記塗工量が上記下限を満たさないと、十分なヒートシール強度を有さず、袋にした際に十分な封函ができなくなるおそれがある。上記塗工量が上記上限を超えると、熱融着面のブロッキング抑制性が低下し、製袋工程で滑りにくくなって破れやすくなるおそれがある。上記ヒートシール層の塗工量が上記範囲であることで、ヒートシール強度及びヒートシール層の熱融着面のブロッキングの抑制性をより向上できる。
(その他の添加剤)
本発明のヒートシール層には、上記以外のその他の添加剤を配合することができる。その他の添加剤としては、例えば、水溶性高分子、接着剤、無機顔料、有機顔料、サイズ剤、粘度調整剤、着色染料、着色顔料、耐水化剤、潤滑剤等を、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
本発明のヒートシール層には、上記以外のその他の添加剤を配合することができる。その他の添加剤としては、例えば、水溶性高分子、接着剤、無機顔料、有機顔料、サイズ剤、粘度調整剤、着色染料、着色顔料、耐水化剤、潤滑剤等を、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
[ヒートシール紙の物性]
(ベック平滑度)
上記紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のベック平滑度の下限としては、5秒であり、20秒が好ましい。上記紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のベック平滑度の上限としては、50秒であり、40秒が好ましい。上記ベック平滑度が、上記下限以下の場合、ヒートシール紙の表面が粗くなることから、接触面積が小さくなり、ヒートシール強度が低下するおそれがある。上記ベック平滑度が、上記上限を超えると、上記ヒートシール層の熱融着面のブロッキング抑制効果が低下するおそれがある。
(ベック平滑度)
上記紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のベック平滑度の下限としては、5秒であり、20秒が好ましい。上記紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のベック平滑度の上限としては、50秒であり、40秒が好ましい。上記ベック平滑度が、上記下限以下の場合、ヒートシール紙の表面が粗くなることから、接触面積が小さくなり、ヒートシール強度が低下するおそれがある。上記ベック平滑度が、上記上限を超えると、上記ヒートシール層の熱融着面のブロッキング抑制効果が低下するおそれがある。
当該ヒートシール紙の紙基材におけるヒートシール層非積層面の表面のベック平滑度の下限としては、50秒であり、120秒が好ましい。上記ヒートシール層非積層面の表面のベック平滑度の上限としては、500秒であり、300秒が好ましい。上記ヒートシール層非積層面の表面のベック平滑度が上記下限以下の場合、印刷適性が劣るおそれがある。上記ヒートシール層非積層面の表面のベック平滑度が、上記上限を超えると、滑り性が上がるために、加工適性が悪化するおそれがある。
上記ヒートシール層の表面のベック平滑度の下限としては、8秒が好ましく、20秒がより好ましい。上記ヒートシール層の表面のベック平滑度の上限としては、70秒が好ましく、50秒がより好ましい。上記ヒートシール層の表面のベック平滑度が8秒未満の場合、ヒートシール紙の表面が粗くなるため(接触面積が小さくなり)、ヒートシール強度が低下するおそれがある。上記ヒートシール層の表面のベック平滑度が、70秒を超えると、上記ヒートシール層の熱融着面のブロッキング抑制効果が低下するおそれがある。
(パーカープリントサーフ平滑度)
当該ヒートシール紙の紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度の下限としては、3.8μmであり、5.0μmが好ましい。上記ヒートシール層積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度の上限としては、8.0μmであり、7.0μmが好ましい。上記紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度が上記下限以下の場合、微小な凹凸箇所で接着不良となるおそれがある。上記ヒートシール層積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度が上記上限を超えると、ヒートシール層同士が接触するとブロッキングするおそれがある。
当該ヒートシール紙の紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度の下限としては、3.8μmであり、5.0μmが好ましい。上記ヒートシール層積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度の上限としては、8.0μmであり、7.0μmが好ましい。上記紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度が上記下限以下の場合、微小な凹凸箇所で接着不良となるおそれがある。上記ヒートシール層積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度が上記上限を超えると、ヒートシール層同士が接触するとブロッキングするおそれがある。
当該ヒートシール紙の紙基材におけるヒートシール層非積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度の下限としては、2.0μmであり、2.2μmが好ましい。上記ヒートシール層非積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度の上限としては、4.2μmであり、3.2μmが好ましい。上記ヒートシール層非積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度が上記下限以下の場合、平坦性が高すぎるため、加工時の滑りにより加工不良が発生するおそれがある。上記ヒートシール層非積層面の表面のパーカープリントサーフ平滑度が上記上限を超えると、当該ヒートシール紙の表面へのインキの定着性が劣り、印刷カスレが生じやすくなるおそれがある。
当該ヒートシール紙の紙基材におけるヒートシール層積層面の表面及びヒートシール層非積層面の表面におけるベック平滑度とパーカープリントサーフ平滑度とを特定の範囲で両立させるためには、原料パルプが広葉樹クラフトパルプ70質量%以上であることが好ましく、パルプフリーネスが450ml以上580ml以下であることが好ましく、厚み方向に20:80の割合で艶面側領域と上記非艶面側領域とに分割した場合における上記艶面側領域のJIS-P8251(2003)に準拠して測定された灰分が1.0%以下であることが好ましく、ロジン系サイズ剤の含有量が、0.5kg/パルプt以上5.0kg/パルプt以下であることが好ましい。
上記ヒートシール層の表面のパーカープリントサーフ平滑度の下限としては、3.0μmが好ましく、3.5μmがより好ましい。上記ヒートシール層の表面のパーカープリントサーフ平滑度の上限としては、5.3μmが好ましく、5.0μmがより好ましい。上記ヒートシール層の表面のパーカープリントサーフ平滑度が上記下限以下の場合、表面同士の接触面積が少なくヒートシール強度が低下するおそれがある。上記ヒートシール層表面のパーカープリントサーフ平滑度が上記上限を超えると、ヒートシール層同士の接触面でブロッキングするおそれがある。
(動的吸水試験値)
emtec electoric社製「表面サイズテスターEST12.2」を用いて測定される上記ヒートシール層塗工面の動的吸水試験における100秒後の動的吸水試験値の下限としては、85.0%であり、90.0%が好ましい。上記ヒートシール層塗工面の上記動的吸水試験における100秒後の動的吸水試験値の上限としては、97.0%であり、95.0%が好ましい。上記ヒートシール層塗工面の上記動的吸水試験における100秒後の動的吸水試験値が上記下限以下の場合、耐水性に低下するおそれがある。上記ヒートシール層塗工面の上記動的吸水試験における100秒後の動的吸水試験値が上記上限を超えると、ヒートシール剤の塗工量を多くする必要があるため、ブロッキングが発生するおそれがある。
なお、上記ヒートシール層塗工面の動的吸水試験値は、原料パルプ、特に広葉樹クラフトパルプの配合割合の調整、内添サイズ剤の種類やその配合量の調整、ヒートシール層に用いる樹脂の種類やその配合量、塗工量の調整等により達成することができる。
emtec electoric社製「表面サイズテスターEST12.2」を用いて測定される上記ヒートシール層塗工面の動的吸水試験における100秒後の動的吸水試験値の下限としては、85.0%であり、90.0%が好ましい。上記ヒートシール層塗工面の上記動的吸水試験における100秒後の動的吸水試験値の上限としては、97.0%であり、95.0%が好ましい。上記ヒートシール層塗工面の上記動的吸水試験における100秒後の動的吸水試験値が上記下限以下の場合、耐水性に低下するおそれがある。上記ヒートシール層塗工面の上記動的吸水試験における100秒後の動的吸水試験値が上記上限を超えると、ヒートシール剤の塗工量を多くする必要があるため、ブロッキングが発生するおそれがある。
なお、上記ヒートシール層塗工面の動的吸水試験値は、原料パルプ、特に広葉樹クラフトパルプの配合割合の調整、内添サイズ剤の種類やその配合量の調整、ヒートシール層に用いる樹脂の種類やその配合量、塗工量の調整等により達成することができる。
(透湿度)
当該ヒートシール紙の透湿度は、JIS-Z0208[1976]防湿包装材料の透湿度試験方法[カップ法]に準拠して、条件Bに基づいて測定する。上記透湿度の下限としては、1,000g/m2・24hrが好ましく、1,200g/m2・24hがより好ましい。また、上記透湿度の上限としては、2,000g/m2・24hが好ましく、1,900g/m2・24hがより好ましい。上記透湿度が上記範囲であることにより、包装された内容物の湿気が水滴になりにくく、適度に湿度を保つため内容物の品質を良好に保つことができる。
当該ヒートシール紙の透湿度は、JIS-Z0208[1976]防湿包装材料の透湿度試験方法[カップ法]に準拠して、条件Bに基づいて測定する。上記透湿度の下限としては、1,000g/m2・24hrが好ましく、1,200g/m2・24hがより好ましい。また、上記透湿度の上限としては、2,000g/m2・24hが好ましく、1,900g/m2・24hがより好ましい。上記透湿度が上記範囲であることにより、包装された内容物の湿気が水滴になりにくく、適度に湿度を保つため内容物の品質を良好に保つことができる。
当該ヒートシール紙によれば、耐水性及びヒートシール層非積層面の印刷適性に優れるヒートシール紙を提供することができる。また、当該ヒートシール紙は、環境負荷が高いラミネート紙やプラスチックフィルムを含まず、プラスチックフィルムを用いないことから、環境保全を図ることができる。
[ヒートシール紙の製造方法]
当該ヒートシール紙の製造方法は、特に限定されないが、例えば紙基材の原料となるパルプスラリーを抄紙する工程と、ヒートシール層形成用組成物を生成する工程と、紙基材の少なくとも一方の面にヒートシール層形成用組成物を塗工する工程とを有する。
当該ヒートシール紙の製造方法は、特に限定されないが、例えば紙基材の原料となるパルプスラリーを抄紙する工程と、ヒートシール層形成用組成物を生成する工程と、紙基材の少なくとも一方の面にヒートシール層形成用組成物を塗工する工程とを有する。
抄紙工程では、上述した原料パルプ、耐油剤及びその他の添加剤を含む原料スラリーを公知の抄紙機を用いて行う。
次に、上記抄紙工程で抄紙された紙基材の片面をヤンキードライヤーにより乾燥して艶面を形成する工程を備えることが好ましい。当該ヒートシール紙の紙基材におけるヒートシール層積層面及びヒートシール層非積層面の表面のベック平滑度及びパーカープリントサーフ平滑度は、本工程により調整することができる。
本工程では、ヤンキードライヤーとの接触面が艶面として形成される。より詳細には、ヤンキードライヤーにいわゆる毛布にて湿紙を押し当て、ヤンキードライヤーのシリンダー表面の鏡面を湿紙に写し取ることで紙基材の艶面が得られる。ヤンキードライヤーでの乾燥処理においては、ドライヤーの表面温度が100℃以上150℃以下の範囲で、ヤンキードライヤー鏡面に圧接される。また、ヤンキードライヤーとの非接触面が非艶面として形成される。上記非艶面側においては、毛布の素材や毛布をヤンキードライヤーに押し当てるタッチロールの加圧加減で平滑度を調整する。上記調整方法のなかでも、タッチロールの加圧加減による方法が好ましい。その結果、紙基材の密度を維持したまま、上記艶面と非艶面の平滑度の表裏差を広げることが可能である。上記艶面と非艶面を有する紙基材は、非艶面側にヒートシール層を積層させることで、熱融着面のブロッキング抑制効果を奏し、非艶面側はヒートシール層非積層面の印刷適性に優れた効果を奏することができる。ここで、「艶面」とは、光沢を有する面をいう。「非艶面」とは、光沢性を有さない面をいう。上記紙基材の反艶面にヒートシール層を積層することでヒートシール面同士の熱融着面のブロッキングが抑制できる上、反艶面の反対面である印刷面が艶面になることでヒートシール層非積層面の印刷適性が良い、製袋に適したヒートシール紙を提供できる。
ヒートシール層形成用組成物生成工程では、主成分としてエチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物を含有するヒートシール層形成用組成物を生成する。
ヒートシール層形成用組成物の塗工方法は、公知の塗工方法を採用でき、例えば2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ブレードメタリングコーター、ロッドメタリングコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター等の公知の塗工機を用いることができる。
塗工したヒートシール層形成組成物の乾燥には、公知の乾燥装置を採用でき、例えば赤外線乾燥装置、熱風乾燥装置、接触型ドライヤー乾燥装置等を用いることができる。
このようにして得られたヒートシール紙は、各種公知の仕上げ装置、例えばスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー、マットカレンダーなどを利用でき、適宜製品仕上げを施すこともできる。ヒートシール紙のヒートシール積層面、非積層面のベック平滑度及びパーカープリントサーフ平滑度の調整は、マシンカレンダー又はソフトカレンダーを用いることで、容易に調整することができる。
<包装材>
本発明の他の実施形態に係る包装材は、当該ヒートシール紙を有する。当該包装材は、当該ヒートシール紙を有するので、耐水性及びヒートシール層非積層面の印刷適性に優れ、リサイクルが可能となる。
本発明の他の実施形態に係る包装材は、当該ヒートシール紙を有する。当該包装材は、当該ヒートシール紙を有するので、耐水性及びヒートシール層非積層面の印刷適性に優れ、リサイクルが可能となる。
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において示す塗工量、含有量、質量%は、乾燥固形分あるいは実質成分の値を示す。
[実施例1~実施例7及び比較例1~比較例2]
(紙基材の製造)
始めに、LBKP80質量%、NBKP20質量%を調製して、パルプスラリーを得た。このパルプスラリーには、添加剤として、硫酸バンド、歩留剤、サイズ剤をそれぞれ内添した。得られたパルプスラリーは、オントップ型長網抄紙機にて抄紙した。次に、ヤンキードライヤーを用いてワイヤー面を艶面(裏面)とし、実施例1~実施例7及び比較例1~比較例2の片艶の紙基材を得た。紙基材の坪量は60.0g/m2であった。なお、ヒートシール層が積層される面(非艶面)のベック平滑度及びパーカープリントサーフ平滑度は、後述する方法で測定した。
(紙基材の製造)
始めに、LBKP80質量%、NBKP20質量%を調製して、パルプスラリーを得た。このパルプスラリーには、添加剤として、硫酸バンド、歩留剤、サイズ剤をそれぞれ内添した。得られたパルプスラリーは、オントップ型長網抄紙機にて抄紙した。次に、ヤンキードライヤーを用いてワイヤー面を艶面(裏面)とし、実施例1~実施例7及び比較例1~比較例2の片艶の紙基材を得た。紙基材の坪量は60.0g/m2であった。なお、ヒートシール層が積層される面(非艶面)のベック平滑度及びパーカープリントサーフ平滑度は、後述する方法で測定した。
(ヒートシール層の積層)
次に、紙基材の片面にヒートシール層を形成し、坪量が65.0g/m2のヒートシール紙を得た。ヒートシール層形成用組成物の組成及び塗工量については表1に示す通りとした。また、ヒートシール層形成用組成物のエチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物としては、エチレンアクリル酸共重合体アンモニウム塩を用いた。全固形分に対するエチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物の含有率は100.0質量%である。
次に、紙基材の片面にヒートシール層を形成し、坪量が65.0g/m2のヒートシール紙を得た。ヒートシール層形成用組成物の組成及び塗工量については表1に示す通りとした。また、ヒートシール層形成用組成物のエチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物としては、エチレンアクリル酸共重合体アンモニウム塩を用いた。全固形分に対するエチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物の含有率は100.0質量%である。
[比較例3]
ヒートシール層形成用組成物のエチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物に変えて、エチレンアクリル酸共重合体の金属塩(アイオノマー)を用いた以外は実施例1と同様にしてヒートシール紙を作製した。
ヒートシール層形成用組成物のエチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物に変えて、エチレンアクリル酸共重合体の金属塩(アイオノマー)を用いた以外は実施例1と同様にしてヒートシール紙を作製した。
[比較例4]
ポリプロピレンフィルムを含む1層のラミネート紙を作製した。
基紙の構成は、市販のクラフト紙(坪量50.0g/m2)を用いた。
ポリプロピレンフィルムは、市販のポリプロピレン樹脂をペレッターにて押出ラミネートして、基紙上に20μmの厚みで片面のみに積層させた。
ポリプロピレンフィルムを含む1層のラミネート紙を作製した。
基紙の構成は、市販のクラフト紙(坪量50.0g/m2)を用いた。
ポリプロピレンフィルムは、市販のポリプロピレン樹脂をペレッターにて押出ラミネートして、基紙上に20μmの厚みで片面のみに積層させた。
以上のようにして得られたヒートシール紙の各種評価を行った。
(ヒートシール層の平滑度)
(1)ベック平滑度
JIS-P8119(1998)に準拠して紙基材におけるヒートシール層積層面、ヒートシール層非積層面及びヒートシール層の表面のベック平滑度を測定した。
(2)パーカープリントサーフ平滑度
JIS-P8151(2004)の付属書Aに準拠して紙基材におけるヒートシール層積層面、ヒートシール層非積層面及びヒートシール層の表面のパーカープリントサーフ平滑度を測定した。
(1)ベック平滑度
JIS-P8119(1998)に準拠して紙基材におけるヒートシール層積層面、ヒートシール層非積層面及びヒートシール層の表面のベック平滑度を測定した。
(2)パーカープリントサーフ平滑度
JIS-P8151(2004)の付属書Aに準拠して紙基材におけるヒートシール層積層面、ヒートシール層非積層面及びヒートシール層の表面のパーカープリントサーフ平滑度を測定した。
(透湿度)
実施例及び比較例のヒートシール紙の透湿度については、JIS-Z0208(1976)防湿包装材料の透湿度試験方法[カップ法]に準拠して、条件Bに基づいて測定した。
実施例及び比較例のヒートシール紙の透湿度については、JIS-Z0208(1976)防湿包装材料の透湿度試験方法[カップ法]に準拠して、条件Bに基づいて測定した。
(ヒートシール強度)
熱傾斜試験機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、シーラー圧2kgf/cm2、シーラー時間2秒間、シール温度140℃の条件で加工後、ロードセル型引張試験機を用いてヒートシール部分の剥離強度を測定した。評価基準は以下の4段階の通りとした。評価がA、B及びCの場合、ヒートシール強度が良好である。
A:剥離強度が3.0N/15mm以上である。
B:剥離強度が2.5N/15mm以上3.0N/15mm未満である。
C:剥離強度が1.5N/15mm以上2.5N/15mm未満である。
D:剥離強度が1.5N/15mm未満である。
熱傾斜試験機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、シーラー圧2kgf/cm2、シーラー時間2秒間、シール温度140℃の条件で加工後、ロードセル型引張試験機を用いてヒートシール部分の剥離強度を測定した。評価基準は以下の4段階の通りとした。評価がA、B及びCの場合、ヒートシール強度が良好である。
A:剥離強度が3.0N/15mm以上である。
B:剥離強度が2.5N/15mm以上3.0N/15mm未満である。
C:剥離強度が1.5N/15mm以上2.5N/15mm未満である。
D:剥離強度が1.5N/15mm未満である。
(動的吸水試験値)
emtec electoric社製「表面サイズテスターEST12.2」を用いてヒートシール層塗工面の動的吸水試験における100秒後の動的吸水試験値を求めた。初めに、試料片(75mm×50mm)を両面テープでフォルダーに固定し、このフォルダーを、水350mlを満たした試験容器内に設けられた、超音波の発信素子と受信素子との間に沈めた。試料片と水とが接触してから0.025秒後に測定を開始し、サイズテスターのモニターに表示された動的吸水試験値と経過時間とのグラフから、100秒後の動的吸水試験値を読みとった。なお、測定用の超音波周波数は2MHzであった。
emtec electoric社製「表面サイズテスターEST12.2」を用いてヒートシール層塗工面の動的吸水試験における100秒後の動的吸水試験値を求めた。初めに、試料片(75mm×50mm)を両面テープでフォルダーに固定し、このフォルダーを、水350mlを満たした試験容器内に設けられた、超音波の発信素子と受信素子との間に沈めた。試料片と水とが接触してから0.025秒後に測定を開始し、サイズテスターのモニターに表示された動的吸水試験値と経過時間とのグラフから、100秒後の動的吸水試験値を読みとった。なお、測定用の超音波周波数は2MHzであった。
(熱融着面のブロッキング抑制性)
各実施例及び比較例について、2枚のヒートシール紙のヒートシール層を塗工した面同士を密着させ、1kgの圧着ローラーで1往復圧力を加えた。次に、40℃の条件下で1日保管した後、両手で剥離させた結果を以下の4段階の基準で評価した。評価がA、B及びCの場合、ブロッキング抑制性が良好である。
A:熱融着面のブロッキングが無く、スムーズに剥離する。
B:若干、熱融着面がブロッキングしているが、剥離性は問題のない範囲である。
C:若干、熱融着面がブロッキングしており、剥がすと毛羽立つ。
D:熱融着面がブロッキングを起こしており、剥がすと破れる。
各実施例及び比較例について、2枚のヒートシール紙のヒートシール層を塗工した面同士を密着させ、1kgの圧着ローラーで1往復圧力を加えた。次に、40℃の条件下で1日保管した後、両手で剥離させた結果を以下の4段階の基準で評価した。評価がA、B及びCの場合、ブロッキング抑制性が良好である。
A:熱融着面のブロッキングが無く、スムーズに剥離する。
B:若干、熱融着面がブロッキングしているが、剥離性は問題のない範囲である。
C:若干、熱融着面がブロッキングしており、剥がすと毛羽立つ。
D:熱融着面がブロッキングを起こしており、剥がすと破れる。
(印刷適性)
印刷適性は、グラビア印刷・コーティング試験機GP-2(倉敷紡績(株))に用いるインキを使用し、評価用インキ(東洋インキ社製「PCNT391T藍」)を用いて印刷し、インキ着肉性を以下の3段階の基準で評価した。評価がA及びBの場合、印刷適性が良好である。
A:印刷ムラ、インキ取られ、裏写りが無く、印刷適性が良好である。
B:印刷ムラ、インキ取られ、裏写りが多少発生するが、印刷適性は問題のない範囲である。
C:印刷ムラ、インキ取られ、裏写りが多く発生し、印刷適性に問題がある。
印刷適性は、グラビア印刷・コーティング試験機GP-2(倉敷紡績(株))に用いるインキを使用し、評価用インキ(東洋インキ社製「PCNT391T藍」)を用いて印刷し、インキ着肉性を以下の3段階の基準で評価した。評価がA及びBの場合、印刷適性が良好である。
A:印刷ムラ、インキ取られ、裏写りが無く、印刷適性が良好である。
B:印刷ムラ、インキ取られ、裏写りが多少発生するが、印刷適性は問題のない範囲である。
C:印刷ムラ、インキ取られ、裏写りが多く発生し、印刷適性に問題がある。
(耐水性)
得られたヒートシール紙をヒートシール層が塗工された面を内側にして角を折り畳み、蓋無しの箱型容器を作製した後に、中に着色した水を入れた。そして、24時間後の状態を確認し、耐水性を以下の3段階の基準で評価した。評価がA及びBの場合、耐水性が良好である。
A:水が容器の内部に浸透していない。
B:水が容器の内部に浸透しているが容器の外表面から漏れていない。
C:水が容器の外表面から漏れている。
得られたヒートシール紙をヒートシール層が塗工された面を内側にして角を折り畳み、蓋無しの箱型容器を作製した後に、中に着色した水を入れた。そして、24時間後の状態を確認し、耐水性を以下の3段階の基準で評価した。評価がA及びBの場合、耐水性が良好である。
A:水が容器の内部に浸透していない。
B:水が容器の内部に浸透しているが容器の外表面から漏れていない。
C:水が容器の外表面から漏れている。
各実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、ヒートシール層の主成分が、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物であり、紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のベック平滑度が5秒以上50秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が3.8μm以上8.0μm以下であり、紙基材におけるヒートシール層非積層面の表面のベック平滑度が50秒以上500秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が2.0μm以上3.6μm以下である実施例1~実施例7は、動的吸水試験値、透湿度、ヒートシール強度、熱融着面のブロッキング抑制性、印刷適性及び耐水性の全てにおいて良好であった。一方、ヒートシール層積層面の表面のベック平滑度が5秒未満である比較例1は熱融着面のブロッキング抑制性が劣っていた。また、ヒートシール層積層面の表面のベック平滑度が50秒超、パーカープリントサーフ平滑度が3.8μm未満であり、ヒートシール層非積層面の表面のベック平滑度が50秒未満であり、パーカープリントサーフ平滑度が3.6μm超である比較例2は、ヒートシール強度及び印刷適性が劣っていた。さらに、ヒートシール層の主成分が、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物ではなく、エチレンアクリル酸共重合体の金属塩である比較例3は、耐水性が劣っていた。
比較例4は、ポリプロピレン(PP)ラミネート紙であるため、環境汚染の観点で望ましくない。また、透湿度が低いため、包装材として使用した場合、内容物の鮮度が低下するおそれがあると考えられる。
比較例4は、ポリプロピレン(PP)ラミネート紙であるため、環境汚染の観点で望ましくない。また、透湿度が低いため、包装材として使用した場合、内容物の鮮度が低下するおそれがあると考えられる。
以上の結果、当該ヒートシール紙によれば、耐水性及びヒートシール層非積層面の印刷適性に優れることが示された。また、当該ヒートシール紙は、環境負荷が高いラミネート紙やプラスチックフィルムを含まないことから、環境保全を図ることができる。
本発明のヒートシール紙は、環境に優しく、耐水性及びヒートシール層非積層面の印刷適性に優れ、包装材に好適である。
Claims (6)
- パルプを主成分とする紙基材と、
上記紙基材の片面に積層されるヒートシール層と
を備えており、
上記ヒートシール層の主成分が、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体アルカリ中和物であり、
上記紙基材におけるヒートシール層積層面の表面のベック平滑度が5秒以上50秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が3.8μm以上8.0μm以下であり、
上記紙基材におけるヒートシール層非積層面の表面のベック平滑度が50秒以上500秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が2.0μm以上4.2μm以下であるヒートシール紙。 - 上記ヒートシール層の塗工量が1.5g/m2以上10.0g/m2以下である請求項1に記載のヒートシール紙。
- emtec electoric社製「表面サイズテスターEST12.2」を用いて測定される上記ヒートシール層塗工面の動的吸水試験における100秒後の動的吸水試験値が85.0%以上97.0%以下である請求項1又は請求項2に記載のヒートシール紙。
- 上記ヒートシール層の表面のベック平滑度が8秒以上70秒以下であり、パーカープリントサーフ平滑度が、3.0μm以上5.3μm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のヒートシール紙。
- 透湿度が1,000g/m2・24hr以上2,000g/m2・24hr以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のヒートシール紙。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のヒートシール紙を有する包装材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022008974A JP2023107678A (ja) | 2022-01-24 | 2022-01-24 | ヒートシール紙及び包装材 |
Applications Claiming Priority (1)
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