JP2023049913A - 表面処理剤、表面処理方法及び皮膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属、セラミックス材料等の基材に対して、大規模な設備、及び、複数の処理工程を必要とせず、簡易に表面処理を行うことができ、基材と、当該基材上に形成されるシラノール基を有する皮膜との密着性を向上させることができる表面処理剤、表面処理方法及び皮膜形成方法を提供する。
【解決手段】(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、表面処理剤。
【選択図】なし
【解決手段】(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、表面処理剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、表面処理剤及び皮膜形成方法に関する。
従来、金属材料、セラミックス材料等の基材に塗装を行う前に、基材への塗膜の密着性、耐食性の付与等を目的として、基材表面に表面処理が施されている。
例えば、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、クロム、コバルト、ニッケル、鉄、銅、錫、又は、これらの合金等の各種の金属材料の塗装前の表面処理方法として、アルカリ脱脂処理、リン酸塩処理、クロム化成処理、シランカップリング剤によるプライマー処理、界面活性剤による親水化処理等が施されている。また、ガラス、金属酸化物等の各種セラミックス材料の塗装前の表面処理方法として、アルカリ脱脂処理、プラズマ処理等が施されている(例えば、特許文献1~3参照)。
しかしながら、上述の表面処理を行う場合、脱脂槽、化成処理槽、水洗処理槽の設置が必要であり、また、排水処理設備、プラズマ処理装置等の大掛かりな設備が必要であり、これらの設備の導入が難しいという問題がある。
また、シランカップリング剤によるプライマー処理により物品の表面に皮膜(コーティング膜)を形成した場合、皮膜の種類によっては、皮膜の基材への密着性が十分でないという問題がある。
更に、界面活性剤により物品の表面を親水化した場合、物品の表面に残留した界面活性剤が、基材と皮膜(コーティング膜)との密着性を阻害するという問題がある。
従って、金属材料、セラミックス材料等の基材に対して、大規模な設備、及び、複数の処理工程を必要とせず、簡易に表面処理を行うことができ、基材と、当該基材上に形成される皮膜との密着性を向上させることができる表面処理剤および表面処理方法の開発が求められている。
本発明は、金属、セラミックス材料等の基材に対して、大規模な設備、及び、複数の処理工程を必要とせず、簡易に表面処理を行うことができ、基材と、当該基材上に形成されるシラノール基を有する皮膜との密着性を向上させることができる表面処理剤、表面処理方法及び皮膜形成方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する表面処理剤、それを用いた表面処理方法及び皮膜形成方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の表面処理剤、表面処理方法及び皮膜形成方法に関する。
1.(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、表面処理剤。
2.前記コロイダルシリカは、水分散型コロイダルシリカであり、前記コロイダルシリカの濃度は、表面処理剤を100質量%として0.1~10質量%である、項1に記載の表面処理剤。
3.前記コロイダルシリカの平均粒子径は1~50nmである、項1又は2に記載の表面処理剤。
4.前記有機溶剤は、極性溶剤である、項1~3のいずれかに記載の表面処理剤。
5.前記有機溶剤は、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種である、項1~4のいずれかに記載の表面処理剤。
6.基材表面を表面処理剤で拭き取る工程iを有する表面処理方法であって、
前記表面処理剤は、(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、表面処理方法。
7.前記工程iの前に、基材表面を被覆する保護フィルムを剥離する剥離工程を有し、
前記工程iは、前記剥離工程後に基材表面に付着している接着剤を除去する工程である、項6に記載の表面処理方法。
8.基材表面に皮膜を形成する皮膜形成方法であって、
(1)基材表面を表面処理剤で拭き取る工程I、
(2)前記基材表面に皮膜形成組成物を塗布して、皮膜形成組成物層を形成する工程II、及び、
(3)前記皮膜形成組成物層を加熱して、シラノール基を有する皮膜を形成する工程IIIを有し、
前記表面処理剤は、(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、
皮膜形成方法。
1.(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、表面処理剤。
2.前記コロイダルシリカは、水分散型コロイダルシリカであり、前記コロイダルシリカの濃度は、表面処理剤を100質量%として0.1~10質量%である、項1に記載の表面処理剤。
3.前記コロイダルシリカの平均粒子径は1~50nmである、項1又は2に記載の表面処理剤。
4.前記有機溶剤は、極性溶剤である、項1~3のいずれかに記載の表面処理剤。
5.前記有機溶剤は、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種である、項1~4のいずれかに記載の表面処理剤。
6.基材表面を表面処理剤で拭き取る工程iを有する表面処理方法であって、
前記表面処理剤は、(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、表面処理方法。
7.前記工程iの前に、基材表面を被覆する保護フィルムを剥離する剥離工程を有し、
前記工程iは、前記剥離工程後に基材表面に付着している接着剤を除去する工程である、項6に記載の表面処理方法。
8.基材表面に皮膜を形成する皮膜形成方法であって、
(1)基材表面を表面処理剤で拭き取る工程I、
(2)前記基材表面に皮膜形成組成物を塗布して、皮膜形成組成物層を形成する工程II、及び、
(3)前記皮膜形成組成物層を加熱して、シラノール基を有する皮膜を形成する工程IIIを有し、
前記表面処理剤は、(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、
皮膜形成方法。
本発明の表面処理剤は、金属、セラミックス材料等の基材に対して、大規模な設備、及び、複数の処理工程を必要とせず、簡易に表面処理を行うことができ、基材と、当該基材上に形成されるシラノール基を有する皮膜との密着性を向上させることができる。また、本発明の表面処理方法は、基材表面を表面処理剤で拭き取ることにより、簡易に表面処理を行うことができ、基材と、当該基材上に形成されるシラノール基を有する皮膜との密着性を向上させることができる。更に、本発明の皮膜形成方法は、上記表面処理方法により基材に表面処理を施し、シラノール基を有する皮膜を形成するので、簡易に表面処理を行うことができ、基材との密着性に優れた皮膜を形成することができる。
1.表面処理剤
本発明の表面処理剤は、(A)コロイダルシリカ(以下、「(A)成分」とも示す。)、及び、(B)有機溶剤(以下、「(B)成分」とも示す。)を含有する表面処理剤である。本発明の表面処理剤は、(B)成分中に(A)成分が分散しているため、例えば、本発明の表面処理剤をウエス、厚手のティッシュ等に含ませて基材表面を拭き取ることにより、基材表面を研磨し、且つ、脱脂を行うことができる。また、基材表面で(B)成分が揮発して、表面にシラノール基を有する(A)成分を基材表面に付着させることができる。これにより、基材上の(A)成分の表面に、シラノール基を有する皮膜を形成した際に、皮膜の基材への密着性を向上させることができる。このため、本発明の表面保護層を用いることにより、金属、セラミックス材料等の基材に対して、大規模な設備、及び、複数の処理工程を必要とせず、簡易に表面処理を行うことができ、基材と、当該基材上に形成されるシラノール基を有する皮膜との密着性を向上させることができる。
本発明の表面処理剤は、(A)コロイダルシリカ(以下、「(A)成分」とも示す。)、及び、(B)有機溶剤(以下、「(B)成分」とも示す。)を含有する表面処理剤である。本発明の表面処理剤は、(B)成分中に(A)成分が分散しているため、例えば、本発明の表面処理剤をウエス、厚手のティッシュ等に含ませて基材表面を拭き取ることにより、基材表面を研磨し、且つ、脱脂を行うことができる。また、基材表面で(B)成分が揮発して、表面にシラノール基を有する(A)成分を基材表面に付着させることができる。これにより、基材上の(A)成分の表面に、シラノール基を有する皮膜を形成した際に、皮膜の基材への密着性を向上させることができる。このため、本発明の表面保護層を用いることにより、金属、セラミックス材料等の基材に対して、大規模な設備、及び、複数の処理工程を必要とせず、簡易に表面処理を行うことができ、基材と、当該基材上に形成されるシラノール基を有する皮膜との密着性を向上させることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
((A)コロイダルシリカ)
(A)成分としては特に限定されず、水分散型コロイダルシリカ、疎水性コロイダルシリカ、有機溶剤分散型コロイダルシリカ等を用いることができる。これらの中でも、コロイダルシリカ表面のシラノール基の数に優れる(多い)点で、水分散型コロイダルシリカが好ましい。
(A)成分としては特に限定されず、水分散型コロイダルシリカ、疎水性コロイダルシリカ、有機溶剤分散型コロイダルシリカ等を用いることができる。これらの中でも、コロイダルシリカ表面のシラノール基の数に優れる(多い)点で、水分散型コロイダルシリカが好ましい。
水分散型コロイダルシリカは、二酸化ケイ素を基本単位とするシリカの水溶媒の分散体であることが好ましい。このような水分散型コロイダルシリカの平均粒子径は、1~400nmが好ましく、1~100nmがより好ましく、1~50nmがより好ましく、1~20nmが更に好ましい。平均粒子径の下限が上記範囲であると、表面処理剤の貯蔵安定性がより向上する。また、平均粒子径の上限が上記範囲であると、形成される皮膜の透明性がより向上し、且つ、コロイダルシリカ粒子が表面に有するシラノール基の数も多くなり、基材との静電気的な作用により、基材表面への密着性がより向上する。
水分散型コロイダルシリカは、水性分散液の状態で用いることができ、この場合、水性分散液は、酸性及び塩基性のいずれであってもよい。コロイダルシリカと、水性分散液に含まれる親水性化合物とが非共有結合を介して固定化される場合、非共有結合がより強固になることから、水性分散液のpHは10以下であることが好ましい。
水分散型コロイダルシリカのうち、水を分散媒体とする酸性のコロイダルシリカとして、市販品を用いることができる。このような市販品としては、例えば、日産化学工業(株)製スノーテックス(登録商標)-OXS、スノーテックス-OS、スノーテックス-O、スノーテックス-OL、スノーテックス-OYL、旭電化工業(株)製アデライト(登録商標)AT-20Q、クラリアントジャパン(株)製クレボゾール(登録商標)20H12、クレボゾール30CAL25等が挙げられる。
水分散型コロイダルシリカのうち、水を分散媒体とする塩基性のコロイダルシリカとしては、特に限定されず、例えば、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及びアミンの添加で安定化したシリカが挙げられる。このような塩基性のコロイダルシリカとして、市販品を用いることができる。このような市販品としては、例えば、日産化学工業(株)製スノーテックス-20、スノーテックス-30、スノーテックス-C、スノーテックス-C30、スノーテックス-CM40、スノーテックス-N、スノーテックス-N30、スノーテックス-K、スノーテックス-XL、スノーテックス-YL、スノーテックス-ZL、スノーテックスPS-M、及びスノーテックスPS-L、旭電化工業(株)製アデライトAT-20、アデライトAT-30、アデライトAT-20N、アデライトAT-30N、アデライトAT-20A、アデライトAT-30A、アデライトAT-40、及びアデライトAT-50等も使用可能である。さらに、クラリアントジャパン(株)製クレボゾール30R9、クレボゾール30R50、及びクレボゾール50R50等、デュポン社製ルドックス(登録商標)HS-40、ルドックスHS-30、ルドックスLS、及びルドックスSM-30等が挙げられる。
上記コロイダルシリカは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
(A)成分の濃度は特に限定されず、表面処理剤を100質量%として0.05~70質量%が好ましく、0.1~50質量%がより好ましく、0.2~20質量%が更に好ましく、0.5~10質量%が特に好ましい。(A)成分の含有量の下限が上記範囲であることにより、基材と、当該基材上に形成されるシラノール基を有する皮膜との密着性がより向上する。(A)成分の含有量の上限が上記範囲であることにより表面処理剤の安定性がより向上し、且つ、表面処理後の基材表面での過剰なコロイダルシリカの析出を抑制することができるため、より外観不良を抑制することができる。
((B)有機溶剤)
(B)成分としては特に限定されず、極性溶媒、非極性溶媒等を用いることができる。これらの中でも、よりコロイダルシリカ粒子の分散安定性に優れる点で、極性溶媒が好ましい。
(B)成分としては特に限定されず、極性溶媒、非極性溶媒等を用いることができる。これらの中でも、よりコロイダルシリカ粒子の分散安定性に優れる点で、極性溶媒が好ましい。
(B)成分としては、具体的には、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、エステル系溶媒等が挙げられる。これらの中でも、よりコロイダルシリカ粒子の分散安定性に優れる点で、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、グリコールエーテル系溶媒が好ましく、これらの極性溶媒がより好ましい。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ターシャリーブタノール、セカンダリーブチルアルコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-エチルヘキシルアルコール、イソブタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
グリコール系溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。
上記有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
(B)成分の濃度は特に限定されず、表面処理剤を100質量%として0.1~99質量%が好ましく、1~95質量%がより好ましく、10~90質量%が更に好ましい。(B)成分の含有量の下限が上記範囲であることにより、表面処理剤の安定性がより向上し、且つ、表面処理後の基材表面での過剰なコロイダルシリカの析出を抑制することができるため、より外観不良を抑制することができる。(B)成分の含有量の上限が上記範囲であることにより、基材と、当該基材上に形成されるシラノール基を有する皮膜との密着性がより向上する。
(他の成分)
本発明の表面処理剤は、上記(A)成分、及び(B)成分の他に、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、アルミニウム含有化合物、安定剤等が挙げられる。
本発明の表面処理剤は、上記(A)成分、及び(B)成分の他に、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、アルミニウム含有化合物、安定剤等が挙げられる。
アルミニウム含有化合物としては、アルミナ、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。
アルミニウム含有化合物の含有量としては特に限定されず、本発明の表面処理剤を100質量%として10質量%以下が好ましい。また、含有量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
安定剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の無機塩基;テトラメチルアンモニウム等の有機酸塩等が挙げられる。
安定剤の含有量としては特に限定されず、本発明の表面処理剤を100質量%として10質量%以下が好ましい。また、含有量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
(表面処理剤の製造方法)
上記表面処理剤の製造方法としては特に限定されず、例えば、上記(B)成分に、上記(A)成分、及び、必要に応じて上記他の成分を、上述の配合で順次添加して、撹拌する製造方法が挙げられる。
上記表面処理剤の製造方法としては特に限定されず、例えば、上記(B)成分に、上記(A)成分、及び、必要に応じて上記他の成分を、上述の配合で順次添加して、撹拌する製造方法が挙げられる。
撹拌する際の表面処理剤の温度は特に限定されず、0~50℃程度の常温で撹拌すればよい。また、撹拌時間は、(B)成分中に(A)成分が均一に分散することができれば特に限定されず、1~120分程度とすればよい。
2.表面処理方法
本発明の表面処理方法は、基材表面を表面処理剤で拭き取る工程iを有する表面処理方法であって、前記表面処理剤は、(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する表面処理方法である。
本発明の表面処理方法は、基材表面を表面処理剤で拭き取る工程iを有する表面処理方法であって、前記表面処理剤は、(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する表面処理方法である。
本発明の表面処理方法によれば、上記に説明した本発明の表面処理剤で基材表面を拭き取ることにより、基材表面を研磨し、且つ、脱脂を行うことができる。また、基材表面で(B)成分が揮発して、表面にシラノール基を有する(A)成分を基材表面に付着させることができる。これにより、基材上の(A)成分の表面にシラノール基を有する皮膜を形成した際に、皮膜の基材への密着性を向上させることができる。このため、本発明の表面保護層を用いることにより、金属、セラミックス材料等の基材に対して、大規模な設備、及び、複数の処理工程を必要とせず、簡易に表面処理を行うことができ、基材と、当該基材上に形成されるシラノール基を有する皮膜との密着性を向上させることができる。
(工程i)
工程iは、基材表面を表面処理剤で拭き取る工程である。表面処理剤は、上記に説明した本発明の表面処理剤を用いればよい。
工程iは、基材表面を表面処理剤で拭き取る工程である。表面処理剤は、上記に説明した本発明の表面処理剤を用いればよい。
基材としては特に限定されず、金属材料、セラミックス材料等が挙げられる。
金属材料としては特に限定されず、例えば、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、クロム、コバルト、ニッケル、鉄、銅、錫、又は、これらの合金等が挙げられる。
セラミックス材料としては特に限定されず、例えば、ガラス、アルミナ、ジルコニア、チタニア、フェライト、ほうろう等が挙げられる。
基材表面を表面処理剤で拭き取る方法としては特に限定されず、公知の方法により拭き取ることができる。このような方法としては、例えば、上記表面処理剤をウエス、厚手のティッシュ、タオル等に含ませて基材表面を拭き取る方法が挙げられる。また、基材を上記表面処理剤に浸漬する方法、基材表面に上記表面処理剤をスプレー塗布する方法も、基材表面を拭き取る方法に含まれる。
上記工程iにより、基材表面で(B)成分が揮発して、(A)成分を基材表面に付着させることができる。基材表面の(A)成分の塗布量は特に限定されず、0.001~1.0g/m2が好ましく、0.005~0.5g/m2がより好ましい。上記塗布量の下限が上記範囲であることにより、基材と、当該基材上に形成されるシラノール基を有する皮膜との密着性がより向上する。上記塗布量の上限が上記範囲であることにより、表面処理後の基材表面において、過剰なコロイダルシリカが析出する外観不良をより抑制できる。
工程iを行う際の温度(気温)としては特に限定されず、常温であればよい。常温としては、具体的には、0~50℃が好ましく、5~40℃がより好ましい。
以上説明した工程iにより、基材表面が表面処理剤で拭き取られ、基材表面に表面処理を施すことができる。
(剥離工程)
本発明の表面処理方法は、上記工程iの前に、基材表面を被覆する保護フィルムを剥離する剥離工程を有していてもよい。基材は、基材表面の酸化、汚れを抑制することを目的として、樹脂等で形成された保護フィルムで被覆される場合がある。このような場合、本発明の表面処理方法では、上記工程iの前に、保護フィルムを剥離する剥離工程を有することが好ましい。
本発明の表面処理方法は、上記工程iの前に、基材表面を被覆する保護フィルムを剥離する剥離工程を有していてもよい。基材は、基材表面の酸化、汚れを抑制することを目的として、樹脂等で形成された保護フィルムで被覆される場合がある。このような場合、本発明の表面処理方法では、上記工程iの前に、保護フィルムを剥離する剥離工程を有することが好ましい。
保護フィルムを剥離する方法としては特に限定されず、従来公知の方法により保護フィルムの端部から保護フィルムを引き上げ、基材から引き剥がせばよい。
保護フィルムを剥離した後は、基材表面に、保護フィルムで被覆するための接着剤が残存することとなる。この場合、上記工程iは、上記剥離工程後に基材表面に付着している接着剤を除去する工程となる。
以上説明した剥離工程により、基材表面を被覆する保護フィルムが剥離される。
3.皮膜形成方法
本発明の皮膜形成方法は、基材表面に皮膜を形成する皮膜形成方法であって、
(1)基材表面を表面処理剤で拭き取る工程I、
(2)前記基材表面に皮膜形成組成物を塗布して、皮膜形成組成物層を形成する工程II、及び、
(3)前記皮膜形成組成物層を加熱して、シラノール基を有する皮膜を形成する工程IIIを有し、
前記表面処理剤は、(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、
皮膜形成方法である。
本発明の皮膜形成方法は、基材表面に皮膜を形成する皮膜形成方法であって、
(1)基材表面を表面処理剤で拭き取る工程I、
(2)前記基材表面に皮膜形成組成物を塗布して、皮膜形成組成物層を形成する工程II、及び、
(3)前記皮膜形成組成物層を加熱して、シラノール基を有する皮膜を形成する工程IIIを有し、
前記表面処理剤は、(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、
皮膜形成方法である。
本発明の皮膜形成方法は、工程Iを備えることにより、基材に表面処理を施し、シラノール基を有するコロイダルシリカの層を形成するので、簡易に表面処理を行うことができる。本発明の皮膜形成方法は、更に、工程II及びIIIを有することにより、コロイダルシリカの層上に、シラノール基を有する皮膜を形成することができ、コロイダルシリカの層と、皮膜との密着性が優れるので、基材表面との密着性に優れた皮膜を形成することができる。
(工程I)
工程Iは、基材表面を表面処理剤で拭き取る工程である。工程Iは、上述の本発明の表面処理方法における工程iと同一の工程である。このため、上記工程iで説明した内容に従って、基材表面を表面処理剤で拭き取ればよい。
工程Iは、基材表面を表面処理剤で拭き取る工程である。工程Iは、上述の本発明の表面処理方法における工程iと同一の工程である。このため、上記工程iで説明した内容に従って、基材表面を表面処理剤で拭き取ればよい。
(工程II)
工程IIは、基材表面に皮膜形成組成物を塗布して、皮膜形成組成物層を形成する工程である。
工程IIは、基材表面に皮膜形成組成物を塗布して、皮膜形成組成物層を形成する工程である。
皮膜形成組成物としては、後述する工程IIIにおいて加熱によりシラノール基を有する皮膜を形成することができれば特に限定されない。このような皮膜形成組成物としては、例えば、アルコキシシラン及び/又はケイ酸化合物、触媒、水、並びに溶媒を含有する皮膜形成組成物が挙げられる。
アルコシキシランは特に限定されず、例えば、式:(R1)mSi(OR2)4―m(式中、R1は官能基、R2は低級アルキル基である。mは0~3の整数である)で表され、上記化学式において、官能基としては、ビニル、3-グリシドキシプロピル、3-グリシドキシプロピルメチル、2-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチル、p-スチリル、3-メタクリロキシプロピル、3-メタクリロキシプロピルメチル、3-アクリロキシプロピル、3-アミノプロピル、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチル、3-トリエトキシシリル―N-(1、3-ジメチルーブチリデン)プロピルアミン、N―フェニル―3-アミノプロピル、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル―3-アミノプロピル、トリス―(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピル、3-メルカプトプロピル、3-メルカプトプロピルメチル、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピル、3―プロピルコハク酸無水物等を例示できる。
上記低級アルキル基としては、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、イソペンチル、ネオペンチル等の炭素数1~6程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。
上記化学式で表されるアルコキシシランの具体例としては、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、CH3Si(OCH3)3、CH3Si(OC2H5)3、C2H5Si(OCH3)3、C2H5Si(OC2H5)4、CHCH2Si(OCH3)3、CH2CHOCH2O(CH2)3Si(CH3O)3、CH2C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3、NH2(CH2)3Si(OCH3)3、SH(CH2)3Si(CH3)3、NCO(CH2)3Si(C2H5O)3を挙げることができる。
上記アルコキシシランは、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂と混合して用いることができる。また、これらの樹脂のシリコーン変性樹脂を用いてもよく、これらの中でも、シリコーン変性アクリル樹脂が好ましい。
上記アルコキシシランは、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ケイ酸化合物は特に限定されず、各種の公知のケイ酸化合物を用いることができる。ケイ酸化合物の具体例としては、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アンモニウム、ケイ酸コリン、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ヘキサフルオロケイ酸等が挙げられる。
上記ケイ酸化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
皮膜形成組成物は、水及び触媒を含有することが好ましい。これによりアルコキシシリル基が加水分解し、後述する工程IIIによりシラノール基を有する皮膜を形成することができる。
触媒としては、酸、塩基、有機金属化合物等を用いることができる。
上記酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸等が挙げられる。
上記塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、例えば、金属成分として、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、錫などを含む水溶性の有機金属キレート化合物、金属アルコキシド等を用いることができる。
上記有機金属化合物のうち、有機チタン化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラオクチルチタネート等のチタンアルコキシド化合物;チタンジイソプロポキシビスアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジオクチロキシビスエチルアセトアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンジイソプロポキシビスエチルアセチルアセトネート、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート等のチタンキレート化合物等が挙げられる。有機ジルコニウム化合物としては、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート等のジルコニウムアルコキシド化合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等のジルコニウムキレート化合物が挙げられる。有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート等のアルミニウムアルコキシド化合物;、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセテート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート化合物が挙げられる。
上記触媒は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
上記触媒の含有量は特に限定的されず、皮膜形成組成物を100質量%として、通常、0.01~50質量%程度とすればよく、0.1~20質量%程度とすることが好ましい。
水の含有量は、通常、皮膜形成組成物を100質量%として、0.1~50質量%程度とすればよい。
溶媒としては、アルコキシシリル基が有機溶剤中で加水分解、縮重合反応を起こさせることができれば特に限定されず、アルコール系、グリコール系、グリコールエーテル系、グリコールエステル系、エーテル系、エーテルアルコール系、ケトン系等の溶剤を用いることができる。
溶剤の含有量は、上記成分を溶解させることができれば特に限定されず、皮膜形成組成物を100質量%として、1~95質量%程度とすればよい。
基材表面に皮膜形成組成物を塗布する方法としては特に限定されず、例えば、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、スピンコート、バーコート等の公知の塗布方法により塗布すればよい。
工程IIによる皮膜形成組成物層の塗布量は特に限定されず、10~1000g/m2が好ましく、50~500g/m2がより好ましい。
(工程III)
工程IIIは、皮膜形成組成物層を加熱して、シラノール基を有する皮膜を形成する工程である。工程IIIにおいて皮膜形成組成物層を加熱することにより、皮膜形成組成物中の溶媒を揮発させるとともにシラノール基を有する皮膜を形成することができる。
工程IIIは、皮膜形成組成物層を加熱して、シラノール基を有する皮膜を形成する工程である。工程IIIにおいて皮膜形成組成物層を加熱することにより、皮膜形成組成物中の溶媒を揮発させるとともにシラノール基を有する皮膜を形成することができる。
加熱の方法としては、工程IIで形成された皮膜形成組成物層の溶媒を揮発させることができ、シラノール基を有する皮膜とすることができれば特に限定されず、基材表面に形成された皮膜形成組成物層を、基材ごと恒温槽に入れる方法、基材ごと乾燥機に入れる方法等の方法により加熱することができる。
加熱温度は、20℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。また、加熱温度は、300℃以下が好ましく250℃以下がより好ましい。
加熱時間は特に限定されず、3分以上が好ましく、5分以上がより好ましい。また、加熱時間は、120分以下が好ましく60分以下がより好ましい。
工程IIIにより形成される皮膜の厚みは特に限定されず、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。また、皮膜の厚みは0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。皮膜の厚みの上限が上記範囲であることにより、皮膜が透明であることとあいまって、基材により優れた防錆性を付与できるとともに、基材の外観の低下が抑制される。皮膜の厚みの下限が上記範囲であることにより、基材により優れた防錆性を付与することができる。
以上説明した工程IIIにより、皮膜形成組成物層が加熱されて、シラノール基を有する皮膜が形成される。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
(表面処理剤の調製)
実施例1
平均粒子径が10nmのコロイダルシリカ(日産化学工業社製 商品名スノーテックスST-O)を用意した。当該コロイダルシリカを有機溶媒であるエタノールに添加して撹拌し、表面処理剤を調製した。表面処理剤中のコロイダルシリカの含有量は、表面処理剤を100質量%として10質量%であった。
実施例1
平均粒子径が10nmのコロイダルシリカ(日産化学工業社製 商品名スノーテックスST-O)を用意した。当該コロイダルシリカを有機溶媒であるエタノールに添加して撹拌し、表面処理剤を調製した。表面処理剤中のコロイダルシリカの含有量は、表面処理剤を100質量%として10質量%であった。
(表面処理)
基材として、アルミニウム基材(1050番アルミニウム板:50mm×100mm)を用意した。次いで、表面処理剤をウエスに含ませて、当該ウエスを基材表面で2往復させて、基材表面を拭き取った。基材表面のコロイダルシリカの塗布量は、0.2g/m2であった。
基材として、アルミニウム基材(1050番アルミニウム板:50mm×100mm)を用意した。次いで、表面処理剤をウエスに含ませて、当該ウエスを基材表面で2往復させて、基材表面を拭き取った。基材表面のコロイダルシリカの塗布量は、0.2g/m2であった。
別途に、溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルにシリコーン変性アクリル樹脂を溶解させ、皮膜形成組成物を調製した。皮膜形成組成物中のシリコーン変性アクリル樹脂の含有量は、30質量%であった。
次いで、基材上にシリコーン変性アクリル樹脂を200g/m2の塗布量で塗布し、皮膜形成組成物層を形成した。
皮膜形成組成物層が形成された基材を恒温槽を用いて80℃、30分の条件で加熱して、シラノール基を有する皮膜を形成した。皮膜の厚みは、10μmであった。
実施例2~4
表面処理剤中のコロイダルシリカの平均粒子径、及び含有量を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、表面処理剤を調製し、基材の表面に表面処理を行い、シラノール基を有する皮膜を形成した。
表面処理剤中のコロイダルシリカの平均粒子径、及び含有量を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、表面処理剤を調製し、基材の表面に表面処理を行い、シラノール基を有する皮膜を形成した。
比較例1
表面処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして、基材の表面にシラノール基を有する皮膜を形成した。
表面処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして、基材の表面にシラノール基を有する皮膜を形成した。
比較例2
表面処理剤による表面処理に代えて、アルカリ脱脂処理を行った。具体的には、1%水酸化ナトリウム水溶液を入れた脱脂浴を用意し、50℃、5分間の条件で基材を脱脂浴に浸漬した。それ以外は実施例1と同様にして、基材の表面にシラノール基を有する皮膜を形成した。
表面処理剤による表面処理に代えて、アルカリ脱脂処理を行った。具体的には、1%水酸化ナトリウム水溶液を入れた脱脂浴を用意し、50℃、5分間の条件で基材を脱脂浴に浸漬した。それ以外は実施例1と同様にして、基材の表面にシラノール基を有する皮膜を形成した。
上記実施例及び比較例でシラノール基を有する皮膜が形成された基材について、下記評価を行った。
耐食性評価
(アルカリ浸漬)
アルカリに対する耐食性を評価するためのアルカリ性浴として、2%水酸化ナトリウム水溶液を用意した。実施例及び比較例の、シラノール基を有する皮膜を形成した基材を25℃、10時間の条件でアルカリ浴に浸漬した。基材の皮膜を形成した面を目視で観察し、評価した。
(アルカリ浸漬)
アルカリに対する耐食性を評価するためのアルカリ性浴として、2%水酸化ナトリウム水溶液を用意した。実施例及び比較例の、シラノール基を有する皮膜を形成した基材を25℃、10時間の条件でアルカリ浴に浸漬した。基材の皮膜を形成した面を目視で観察し、評価した。
(酸浸漬)
酸に対する耐食性を評価するための酸性浴として、10%硫酸を用意した。実施例及び比較例の、シラノール基を有する皮膜を形成した基材を25℃、10時間の条件で酸性浴に浸漬した。基材の皮膜を形成した面を目視で観察し、評価した。
酸に対する耐食性を評価するための酸性浴として、10%硫酸を用意した。実施例及び比較例の、シラノール基を有する皮膜を形成した基材を25℃、10時間の条件で酸性浴に浸漬した。基材の皮膜を形成した面を目視で観察し、評価した。
結果を表1に示す。
以上の結果から明らかなように、(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する表面処理剤を用いて基材の表面処理を行うことで、塗膜の防錆性が向上することが分かった。これにより、本発明の表面処理剤を用いることにより、基材に対して、大規模な設備、及び、複数の処理工程を必要とせず、簡易に表面処理を行うことができ、基材と、当該基材上に形成されるシラノール基を有する皮膜との密着性を向上させることができることが分かった。
これに対して、本発明の表面処理剤を用いた表面処理を行わなかった比較例1では、基材の防錆性が低下しており、基材と、当該基材上に形成されるシラノール基を有する皮膜との密着性が低いことが分かった。
また、基材の表面処理としてアルカリ脱脂処理を行った比較例2では、実施例1と同等の防錆性及び密着性を示すが、脱脂浴の設備、及び、排水処理設備が必要であり、時間を要し、簡易に表面処理を行うことができなかった。
Claims (8)
- (A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、表面処理剤。
- 前記コロイダルシリカは、水分散型コロイダルシリカであり、前記コロイダルシリカの濃度は、表面処理剤を100質量%として0.1~10質量%である、請求項1に記載の表面処理剤。
- 前記コロイダルシリカの平均粒子径は1~50nmである、請求項1又は2に記載の表面処理剤。
- 前記有機溶剤は、極性溶剤である、請求項1~3のいずれかに記載の表面処理剤。
- 前記有機溶剤は、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれかに記載の表面処理剤。
- 基材表面を表面処理剤で拭き取る工程iを有する表面処理方法であって、
前記表面処理剤は、(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、表面処理方法。 - 前記工程iの前に、基材表面を被覆する保護フィルムを剥離する剥離工程を有し、
前記工程iは、前記剥離工程後に基材表面に付着している接着剤を除去する工程である、請求項6に記載の表面処理方法。 - 基材表面に皮膜を形成する皮膜形成方法であって、
(1)基材表面を表面処理剤で拭き取る工程I、
(2)前記基材表面に皮膜形成組成物を塗布して、皮膜形成組成物層を形成する工程II、及び、
(3)前記皮膜形成組成物層を加熱して、シラノール基を有する皮膜を形成する工程IIIを有し、
前記表面処理剤は、(A)コロイダルシリカ、及び、(B)有機溶剤を含有する、
皮膜形成方法。
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