以下、本開示の実施形態について説明する。
(実施形態の概要)
図1を参照して、本開示の実施形態に係る設計支援装置10の概要について説明する。設計支援装置10は、例えば上流から下流にわたる一連の設計工程を含む設計業務を支援する装置である。例えば、PC(Personal Computer)、タブレット端末、若しくはスマートフォン等の汎用のコンピュータ、又は専用のコンピュータが、設計支援装置10として採用可能である。ある設計工程を担当するユーザは、設計支援装置10を使用して、自身が担当する設計工程における所望の設計対象物の図面を作成することにより、当該設計対象物を設計する。ここで、ユーザは、自身が担当する設計工程よりも上流の設計工程で設計された設計対象物のデータを用いて、自身が担当する設計工程における所望の設計対象物を設計可能である。例えば、水処理プラントの設計業務に設計支援装置10が用いられる場合、最終的な設計対象物は水処理プラントであり、個々の設計工程における設計対象物は、例えば仕様が個別に定義されたポンプ、電動弁、操作盤、又は制御盤等、水処理プラントの構成要素であり得る。
ここでは設計支援装置10の具体的な使用例として、例えば上流から順にプラント設計工程、電気設備設計工程、及び電気工事設計工程の3つの設計工程を含むプラント設計業務に設計支援装置10が用いられる場合について説明する。また、設計対象物の図面として、プラント設計工程では配管計装図(P&ID;Piping and Instrumentation Diagram)が用いられ、電気設備設計工程では配線系統図が用いられ、電気工事設計工程では電気工事平面図が用いられる。
後述するように、設計支援装置10は、一連の設計工程全体で使用され得る複数のノードのデータを予め記憶する。ノードは、設計対象物(例えば、部屋、盤、機器、負荷、接点、又は水槽等の実体)の基礎となるひな形である。ノードを基礎として、例えば個別仕様等の設計情報が付加されることにより、設計対象物が定義される。例えば、オブジェクト指向の設計手法におけるクラス及びインスタンスは、それぞれ本実施形態に係るノード及び設計対象物に対応し得る。
まず、最も上流の設計工程であるプラント設計工程を担当するユーザは、配管計装図を作成することにより、プラント設計工程における所望の設計対象物を設計する。具体的には、設計支援装置10のディスプレイには、配管計装図の図面が表示されるとともに、予め用意された複数のノードのうち、プラント設計工程に対応する各ノードが選択可能に表示される。ユーザは、表示された1つ以上のノードの中から所望のノードを選択する。例えば、選択されたノードをユーザが図面にドラッグアンドドロップすることで、当該ノードを基礎とする設計対象物が図面に追加される。図面に複数の設計対象物が追加されてもよい。ユーザは、例えば図面上の各設計対象物の個別仕様を入力したり、各設計対象物を配置したり、設計対象物同士を接続したり、第1の設計対象物に第2の設計対象物を包含させたりすることによって、図面上の各設計対象物のデータを編集し得る。そして、編集された各設計対象物のデータは、設計支援装置10の設計対象物データベースに格納される。
次に、中流の設計工程である電気設備設計工程を担当するユーザは、配線系統図を作成することにより、電気設備設計工程における所望の設計対象物を設計する。具体的には、設計支援装置10のディスプレイには、配線系統図の図面が表示されるとともに、予め用意された複数のノードのうち、電気設備設計工程に対応する各ノードが選択可能に表示される。ユーザは、表示された1つ以上のノードの中から所望のノードを選択する。例えば、選択されたノードをユーザが図面にドラッグアンドドロップすることで、当該ノードを基礎とする設計対象物が図面に追加される。図面に複数の設計対象物が追加されてもよい。また、設計支援装置10のディスプレイには、上流の設計工程であるプラント設計工程で設計された設計対象物が選択可能に表示され得る。以下、ユーザが担当する設計工程よりも上流の設計工程で設計された設計対象物を「上流設計対象物」ともいう。ユーザは、表示された1つ以上の上流設計対象物の中から所望の上流設計対象物を選択する。例えば、選択された上流設計対象物をユーザが図面にドラッグアンドドロップすることで、当該上流設計対象物が図面に追加される。したがって、図面上には、自工程(ここでは、電気設備設計工程)における設計対象物と上流設計対象物とが混在し得る。ユーザは、例えば図面上の各設計対象物の個別仕様を入力したり、各設計対象物を配置したり、設計対象物同士を接続したり、第1の設計対象物に第2の設計対象物を包含させたりすることによって、図面上の各設計対象物のデータを編集し得る。また図面上には、例えば配線のように自工程と関連する上流工程で定義された接続関係も自動的に表示される。そして、編集された各設計対象物のデータは、設計支援装置10の設計対象物データベースに格納される。
そして、最も下流の設計工程である電気工事設計工程を担当するユーザは、電気工事平面図を作成することにより、電気工事設計工程における所望の設計対象物を設計する。具体的には、設計支援装置10のディスプレイには、電気工事平面図の図面が表示されるとともに、予め用意された複数のノードのうち、電気工事設計工程に対応する各ノードが選択可能に表示される。ユーザは、表示された1つ以上のノードの中から所望のノードを選択する。例えば、選択されたノードをユーザが図面にドラッグアンドドロップすることで、当該ノードを基礎とする設計対象物が図面に追加される。図面に複数の設計対象物が追加されてもよい。また、設計支援装置10のディスプレイには、上流の設計工程であるプラント設計工程及び電気設備設計工程のそれぞれで設計された上流設計対象物が選択可能に表示され得る。ユーザは、表示された1つ以上の上流設計対象物の中から所望の上流設計対象物を選択する。例えば、選択された上流設計対象物をユーザが図面にドラッグアンドドロップすることで、当該上流設計対象物が図面に追加される。したがって、図面上には、自工程(ここでは、電気工事設計工程)における設計対象物と上流設計対象物とが混在し得る。ユーザは、例えば図面上の各設計対象物の個別仕様を入力したり、各設計対象物を配置したり、設計対象物同士を接続したり、第1の設計対象物に第2の設計対象物を包含させたりすることによって、図面上の各設計対象物のデータを編集し得る。また図面上には、例えば配線のように自工程と関連する上流工程で定義された接続関係も自動的に表示される。そして、編集された各設計対象物のデータは、設計支援装置10の設計対象物データベースに格納される。
このように、設計支援装置10では、何れの設計工程においても、図面上で設計対象物を配置及び接続等することにより設計対象物を設計するという共通の設計手法が採用される。また、上流の設計工程で設計された設計対象物のデータや接続関係が、下流の設計工程において利用可能である。設計支援装置10によれば、上記設計手法を採用した1つの設計システムとして実装可能であるため、例えば設計工程ごとに独立した設計支援システムを用いる必要が無い。したがって、複数の設計工程を含む設計業務の支援をより低コストで実施可能となる。
(設計支援装置の構成)
次に、設計支援装置10の構成について説明する。図1に示すように、設計支援装置10は、表示部11と、操作部12と、記憶部13と、制御部14と、を備える。
表示部11は、1つ以上のディスプレイを含む。ディスプレイは、例えばパネルディスプレイであるが、これに限られない。或いは表示部11は、外部のディスプレイを接続可能な接続インタフェースを含んでもよい。
操作部12は、ユーザによる入力操作を受け付ける1つ以上の入力装置を含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、トラックパッド等の静電容量パネル、又は表示部11のディスプレイと一体的に構成されたタッチスクリーン等であるが、これらに限られない。或いは操作部12は、外部の入力装置を接続可能な端子を含んでもよい。
記憶部13は、1つ以上のメモリを含む。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部13に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部13は、設計支援装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部13は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、組み込みソフトウェア、及びデータベース等を記憶してもよい。なお、記憶部13に記憶される一部又は全部の情報は、例えばサーバ又はクラウド等、インターネット等のネットワークを介して設計支援装置10が通信可能な外部装置に記憶されてもよい。かかる場合、設計支援装置10は、当該外部装置に記憶された任意の情報を、任意のタイミングで当該外部装置から取得可能であってもよい。
本実施形態では、記憶部13は、複数の図面フォーマットのデータを記憶する。各図面フォーマットのデータには、対応する設計工程を示すデータ(例えば、後述する図4の「第2作成可ユーザ属性」に対応するデータ)が含まれてもよい。例えば上述したプラント設計業務の例では、配管計装図、配線系統図、及び電気工事平面図の図面フォーマットが、それぞれプラント設計工程、電気設備設計工程、及び電気工事設計工程に対応付けられる。何れかの図面フォーマットを基礎として図面が作成される。また各図面フォーマットのデータには、図面フォーマットを基礎とする図面上で定義可能な、設計対象物同士の接続の仕様を示すデータ(例えば、後述する図4の「接続仕様」に対応するデータ)が含まれてもよい。
また、記憶部13は、ノードデータベース、設計対象物データベース、及び図面データベースを記憶する。
図2を参照して、ノードデータベースについて説明する。ノードデータベースには、一連の設計工程全体で使用され得る複数のノードのデータが予め記憶される。図中における各行は、1つのノードのデータを示す。以下、ノードのデータを単に「ノードデータ」ともいう。各ノードデータは、「ノードID」、「ノード種類」、「第1作成可ユーザ属性」、「参照可ユーザ属性」、「仕様編集可ユーザ属性/仕様」、「シンボル・端子データ」、及び「シンボル対応図面」の7項目のデータを含む。
「ノードID」は、対応するノードの識別データである。ノードデータベースに格納される各ノードには、互いに異なるノードIDが対応付けられている。
「ノード種類」は、対応するノードの種類を示すデータである。例えば図2では、ノードの種類として「ポンプ」、「電動弁」、「操作盤」、「制御盤」、「部屋」、及び「コメント」の6種類が例示されているが、ノードの種類はこれらの例に限られない。
「第1作成可ユーザ属性」は、対応するノードを基礎として使用することによって新たに設計対象物を作成可能なユーザのユーザ属性を示すデータである。本実施形態において、「ユーザ属性」は設計工程を示し、ユーザ属性の「値」は、一連の設計工程(例えば、プラント設計工程、電気設備設計工程、及び電気工事設計工程)の中から選択される1つの設計工程を示す。以下、新たに作成する設計対象物の基礎としてノードを使用することを、単に「ノードを使用する」ともいう。また、設計支援装置10を使用するユーザが使用可能なノードを「第1ノード」ともいう。例えば、図2に示すポンプ及び電動弁の第1作成可ユーザ属性の値は「プラント設計工程」である。
後述するように、複数のノードのうち、第1作成可ユーザ属性の値が設計支援装置10を使用するユーザのユーザ属性の値(ここでは、当該ユーザが担当する設計工程)と同一である各ノード、及び第1作成可ユーザ属性の値が「null」である各ノードは、当該ユーザが使用可能なノード、すなわち第1ノードとして特定され得る。
また後述するように、設計支援装置10を使用するユーザは、設計対象物データベースに格納されている設計対象物の基礎となったノードが第1ノードである場合、当該設計対象物を使用可能である。本実施形態において「設計対象物を使用する」とは、設計対象物データベースに格納されている設計対象物を図面に追加することをいう。
「参照可ユーザ属性」は、対応するノードを基礎とする設計対象物を参照可能なユーザのユーザ属性を示すデータである。本実施形態において「設計対象物を参照可能」であることは、当該設計対象物を使用可能である一方、当該設計対象物の基礎となったノードを使用できないことをいう。本実施形態において参照可ユーザ属性は、上述した第1作成可ユーザ属性とは値が異なる。例えば、図2に示すポンプ及び電動弁それぞれの参照可ユーザ属性の値は「電気設備設計工程」及び「電気工事設計工程」であり、第1作成可ユーザ属性の値(「プラント設計工程」)とは異なる。
後述するように、複数のノードのうち、参照可ユーザ属性の値が設計支援装置10を使用するユーザのユーザ属性の値(ここでは、当該ユーザが担当する設計工程)と同一である各ノードは、第2ノードとして特定され得る。
また後述するように、設計支援装置10を使用するユーザは、設計対象物データベースに格納されている設計対象物の基礎となったノードが第2ノードである場合、当該設計対象物を使用可能である。
「仕様編集可ユーザ属性/仕様」は、「仕様編集可ユーザ属性」と、当該仕様編集可ユーザ属性に対応する「仕様」との組み合わせを示す。仕様編集可ユーザ属性は、当該ノードを基礎とする設計対象物について、対応する仕様の値を編集可能なユーザのユーザ属性を示すデータである。仕様は、例えばノードを基礎とする設計対象物に要求される、形状、構造、寸法、精度、及び性能等を定めたものである。例えば、オブジェクト指向の設計手法におけるクラスのプロパティは、本実施形態に係るノードの仕様に対応し得る。1つの仕様編集可ユーザ属性に複数の仕様が対応付けられてもよい。例えば図2に示す電動弁では、仕様編集可ユーザ属性の値は「プラント設計工程」であり、当該仕様編集可ユーザ属性には「口径」、「メーカ」、及び「型式」の3つの仕様が対応付けられている。また、1つのノードに複数の仕様編集可ユーザ属性が対応付けられてもよい。例えば図2に示すポンプには、それぞれ値が「プラント設計工程」及び「電気設備設計工程」である2つの仕様編集可ユーザ属性が対応付けられている。また、仕様編集可ユーザ属性及び仕様が対応付けられていないノードが存在してもよい。例えば図2に示す操作盤及び制御盤の仕様編集可ユーザ属性/仕様は「null」である。
後述するように、図面に追加された設計対象物の基礎となったノードの仕様編集可ユーザ属性の値が、ユーザのユーザ属性の値(ここでは、ユーザが担当する設計工程)と同一である場合、又は当該ノードの仕様編集可ユーザ属性の値が「全属性値」である場合、当該ユーザは、当該仕様編集可ユーザ属性に対応する仕様の値を、当該設計対象物のデータの一部として編集可能である。
「シンボル・端子データ」は、対応するノードに基づく設計対象物の図面上での表示態様を規定するシンボルと、当該シンボル上に定義される入出力端子と、を示すデータである。シンボル・端子データは、静止画像を含んでもよく、「.dwg」「.pdf」等のファイルへのポインタ又はハイパーリンクを含んでもよく、或いはテキストで表した図形データを含んでもよい。またシンボル・端子データは、ノードの仕様の値に応じて変化する部分を含む図形データ(例えば、ポンプの送水容量の値が表示される部分を含む図形データ)を含んでもよい。1つのノードに複数のシンボル・端子データが対応付けられてもよい。
「シンボル対応図面」は、シンボル・端子データに対応して設けられ、対応するシンボル・端子データが採用される図面フォーマットを示すデータである。図面に追加された設計対象物は、基礎となったノードに対応付けられている1つ以上のシンボル・端子データのうち、当該図面の基礎となった図面フォーマットに対応するシンボル・端子データに示される表示態様で、当該図面上に表示される。例えば図2に示すポンプに対応付けられている「A01-1」及び「A01-2」の2つのシンボル・端子データは、それぞれ「配管計装図」及び「配線系統図」の2つの図面フォーマットに対応する。このため、例えば図面に追加された設計対象物の基礎となったノードがポンプであるとき、当該図面の基礎となった図面フォーマットが配管計装図である場合は、当該設計対象物は「A01-1」のシンボル・端子データに示される表示態様で当該図面上に表示される一方、当該図面の基礎となった図面フォーマットが配線系統図である場合は、当該設計対象物は「A01-2」のシンボル・端子データに示される表示態様で当該図面上に表示される。なお、シンボル対応図面が「null」である場合、設計対象物は、図面の基礎となった図面フォーマットに関わらず、対応するシンボル・端子データに示される表示態様で図面上に表示される。
次に図3を参照して、設計対象物データベースについて説明する。設計対象物データベースには、一連の設計工程に携わる各ユーザによって設計された各設計対象物のデータが記憶される。図中における各行は、1つの設計対象物のデータを示す。以下、設計対象物のデータを単に「設計対象物データ」ともいう。各設計対象物データは、「設計対象物ID」、「使用ノードID」、「個別名称」、「個別仕様」、「接続データ」、及び「包含データ」の6項目のデータを含む。
「設計対象物ID」は、対応する設計対象物の識別データである。設計対象物データベースに格納される各設計対象物には、互いに異なる設計対象物IDが対応付けられている。
「使用ノードID」は、対応する設計対象物の基礎となったノードの識別データである。使用ノードIDは、図2に示すノードデータベースのノードIDに対応する。設計対象物IDの値をクエリとしてノードデータベースを検索することによって、設計対象物の基礎となったノードを特定可能である。
「個別名称」は、対応する設計対象物に対して個別に定義された名称を示すデータである。設計対象物の基礎となったノードが設計支援装置10を使用するユーザにとって第1ノードである場合、当該ユーザは当該設計対象物の個別名称を編集可能である。一方、設計対象物の基礎となったノードが当該ユーザにとって第1ノードではない場合、当該ユーザは、当該設計対象物の個別名称を編集できない。
「個別仕様」は、対応する設計対象物の基礎となったノードに対応付けられている仕様について個別に定義された値を示すデータである。設計支援装置10を使用するユーザは、図面に追加された設計対象物の基礎となったノードのデータにおいて、ある仕様に対応する仕様編集可ユーザ属性の値が当該ユーザのユーザ属性の値(ここでは、当該ユーザが担当する設計工程)と同一である場合、当該ユーザは、当該仕様の値を編集可能である。一方、ある仕様に対応する仕様編集可ユーザ属性の値が当該ユーザのユーザ属性の値とは異なる場合、当該ユーザは、当該仕様の値を編集できない。
「接続データ」は、設計対象物同士の接続関係を示すデータである。図3に示す例では、接続データは、「接続元」、「接続先」、「接続仕様」、及び「定義図面」の4項目のデータを含む。
「接続元」は、対応する設計対象物の入力端子を示すデータである。1つの設計対象物に複数の入力端子が設けられてもよい。「接続先」は、対応する設計対象物の入力端子に接続される他の設計対象物の設計対象物ID及び出力端子を示すデータである。「接続仕様」は、接続元と接続先との接続の仕様を示すデータである。接続の仕様は、例えば2つの設計対象物を接続する配線又は配管等の接続部材の仕様である。「定義図面」は、接続元と接続先との接続が定義された図面の識別データである。例えば図3に示す設計対象物の1つである「供給ポンプ」の例では、接続元である供給ポンプの「入力端子1」が、接続先である「動力制御盤」の「出力端子1」に接続されている。また、接続の仕様は「CV2sq3c」であり、当該接続は「配線系統図」で定義されている。本実施形態において端子は、図面のシンボル上の接続点であって、具体的には、配管の接続口や配線の端子台等であるがこれらに限られない。図面により接続で定義される情報が異なる。
「包含データ」は、対応する設計対象物と他の設計対象物の間の包含関係を示すデータである。具体的には、包含データは、対応する設計対象物が包含する他の設計対象物の識別データを含み得る。例えば図3に示す設計対象物の1つである「電気室」は、「動力制御盤」を包含している。
次に図4を参照して、図面データベースについて説明する。図面データベースには、一連の設計工程に携わる各ユーザが設計対象物を設計するために作成した図面のデータが記憶される。以下、図面のデータを単に「図面データ」ともいう。各図面データは、「使用図面」、「第2作成可ユーザ属性」、「接続仕様」、「図面ID」、「個別図面名」、「設計対象物ID」、及び「位置データ」の7項目のデータを含む。これらのうち、「使用図面」、「第2作成可ユーザ属性」、及び「接続仕様」の3項目のデータは、上述した図面フォーマットのデータに対応する。
「使用図面」は、対応する図面の基礎となった図面フォーマットを示すデータである。
「第2作成可ユーザ属性」は、使用図面に示される図面フォーマットを基礎として使用することによって新たに図面を作成可能であるとともに、当該図面フォーマットを基礎として作成された図面の編集及び削除が可能なユーザのユーザ属性を示すデータである。以下、新たに作成する図面の基礎として図面フォーマットを使用することを、単に「図面フォーマットを使用する」ともいう。本実施形態では、図面フォーマットの使用、並びに図面フォーマットを基礎とする図面の編集又は削除の権限が、図4に示す第2作成可ユーザ属性によって制御可能である。
「接続仕様」は、使用図面に示される図面フォーマットを基礎とする図面上で定義可能な、設計対象物同士の接続の仕様を示すデータである。例えば、配管計装図に対応する接続仕様は、設計対象物同士を接続する配管の仕様を示す「配管仕様」である。配管仕様は、例えば配管の材質及び口径等であるが、これらに限られない。また、例えば配線系統図に対応する接続仕様は、設計対象物同士を接続する配線の仕様を示す「配線仕様」である。配線仕様は、例えば配線の種類、心数、及び径等であるが、これらに限られない。なお、設計対象物同士の接続データは、上述したように設計対象物データの一部として設計対象物データベースに格納される。
「図面ID」は、対応する図面の識別データである。図面データベースに格納される各図面には、互いに異なる図面IDが対応付けられている。
「個別図面名」は、対応する図面に対して個別に定義された名称を示すデータである。図面の基礎となった図面フォーマットが、設計支援装置10を使用するユーザのユーザ属性の値(ここでは、ユーザが担当する設計工程)に対応付けられている場合(すなわち、図4の第2作成可ユーザ属性の値と当該ユーザのユーザ属性の値が同一である場合)、当該ユーザは個別図面名を編集可能である。一方、図面の基礎となった図面フォーマットが当該ユーザのユーザ属性の値に対応付けられていない場合(すなわち、図4の第2作成可ユーザ属性の値と当該ユーザのユーザ属性の値が異なる場合)、当該ユーザは個別図面名を編集できない。
「設計対象物ID」は、図面に追加された各設計対象物の識別データである。「位置データ」は、各設計対象物の図面上の位置(例えば、座標)を示すデータである。
図1に示す制御部14は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるがこれらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)であるがこれに限られない。専用回路は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)であるがこれに限られない。制御部14は、設計支援装置10全体の動作を制御する。
(設計支援装置の動作フロー)
図5及び図6を参照して、本実施形態に係る設計支援装置10の動作について説明する。
ステップS100:設計支援装置10の制御部14は、設計支援装置10を使用するユーザの操作に応じて当該ユーザのユーザ属性を示す情報、及び当該ユーザが使用可能な図面フォーマットを取得する。
当該ユーザのユーザ属性を示す情報の取得には、任意の手法が採用可能である。例えば制御部14は、操作部12を介して当該ユーザによって入力された属性を示す情報を取得してもよい。或いは制御部14は、設計支援装置10を使用し得る全てのユーザのユーザ属性を示す情報を予め記憶部13に記憶しておき、設計支援装置10を使用するユーザの操作に応じて当該ユーザのログイン処理が完了すると、当該ユーザのユーザ属性を示す情報を記憶部13から取得してもよい。
また、設計支援装置10を使用するユーザが使用可能な図面フォーマットの取得には、任意の手法が採用可能である。例えば制御部14は、操作部12を介して当該ユーザによって選択された図面フォーマットを記憶部13から取得してもよい。或いは制御部14は、記憶部13に記憶された複数の図面フォーマットの中から、取得された当該ユーザのユーザ属性に対応する図面フォーマット(具体的には、図4に示す第2作成可ユーザ属性の値が当該ユーザのユーザ属性の値と同一である図面フォーマット)を取得してもよい。
例えば、設計支援装置10を使用するユーザのユーザ属性の値が「電気設備設計工程」である場合、取得される図面フォーマットは「配線系統図」であってもよい。
ステップS101:制御部14は、記憶部13のノードデータベースに格納された複数のノードのうち、各第1ノード及び各第2ノードを特定する。
具体的には、制御部14は、複数のノードのうち、第1作成可ユーザ属性の値がステップS100で取得されたユーザのユーザ属性の値と同一である各ノード、及び第1作成可ユーザ属性の値が「null」である各ノードを、第1ノードとして特定する。制御部14は、複数のノードのうち、参照可ユーザ属性の値がユーザのユーザ属性の値と同一である各ノードを、第2ノードとして特定する。
例えばユーザのユーザ属性の値が「電気設備設計工程」である場合、図2に示す複数のノードのうち、第1作成可ユーザ属性の値が「電気設備設計工程」又は「null」である操作盤、制御盤、部屋、及びコメントの4つのノードが、それぞれ第1ノードとして特定される。また、参照可ユーザ属性の値が「電気設計工程」であるポンプ及び電動弁の2つのノードが、それぞれ第2ノードとして特定される。
ステップS102:制御部14は、記憶部13の設計対象物データベースに格納された複数の設計対象物(以下、設計対象物データベースに格納された設計対象物を「既存の設計対象物」ともいう。)のうち、各第1設計対象物及び各第2設計対象物を特定する。
具体的には、制御部14は、複数の既存の設計対象物のうち、基礎となったノードが第1ノードである各既存の設計対象物を、第1設計対象物として特定する。第1設計対象物は、例えば設計支援装置10を使用するユーザ自身が作成した設計対象物、又は当該ユーザと同じ設計工程を担当する他のユーザが作成した設計対象物であり得る。制御部14は、複数の既存の設計対象物のうち、基礎となったノードが第2ノードである各既存の設計対象物を、第2設計対象物として特定する。第2設計対象物は、例えば設計支援装置10を使用するユーザとは異なる設計工程を担当する他のユーザが作成した設計対象物であり得る。
例えば、設計支援装置10を使用するユーザのユーザ属性の値が「電気設備設計工程」であり、且つ、上流の「プラント設計工程」において設計された供給ポンプ及び吐出弁の2つの既存の設計対象物が設計対象物データベースに格納されている場合、供給ポンプ及び吐出弁は、基礎となったノード(ポンプ及び電動弁)が第2ノードであるので、それぞれ第2設計対象物として特定される。
ステップS103:制御部14は、設計作業を行うための画面を表示部11のディスプレイに出力する。
例えば図6に示す例では、当該画面は、編集領域41と、第1領域42と、第2領域43と、を含む。
編集領域41は、設計対象物を編集可能に表示する領域であって、ステップS100で取得された図面フォーマットを基礎とする図面に対応する。例えば、設計支援装置10を使用するユーザが図面の新規作成を行う場合、制御部14は、ステップS100で取得された図面フォーマットを基礎とする空白の図面を編集領域41に表示する。或いは、当該ユーザが記憶部13の図面データベースに格納されている図面(以下、「既存の図面」ともいう。)の編集を行う場合、制御部14は、複数の既存の図面のうち、ステップS100で取得された図面フォーマットを基礎とする各既存の図面、又は図4の第2作成可ユーザ属性の値が当該ユーザのユーザ属性の値と同一である各既存の図面を特定する。制御部14は、特定された1つ以上の既存の図面の中から当該ユーザによって選択された既存の図面を編集可能に編集領域41に表示する。なお制御部14は、特定された1つ以上の図面の中から当該ユーザによって選択された既存の図面のデータを削除することも可能である。このように、制御部14は、当該ユーザのユーザ属性と、図4の第2作成可ユーザ属性とに基づいて、当該ユーザによる図面フォーマットの使用、並びに各既存の図面に対する編集及び削除の許否を制御する。
例えば、設計支援装置10を使用するユーザのユーザ属性の値が「電気設備設計工程」である場合、配線系統図の図面フォーマットを基礎として使用して図面を新規作成できる。また当該ユーザは、例えば図4の第2作成可ユーザ属性が「電気設備設計工程」である「水処理設備配線系統図」の図面データを編集及び削除できる。
第1領域42は、ステップS101で特定された各第1ノード(すなわち、記憶部13のノードデータベースに格納されている複数のノードのうち、第1作成可ユーザ属性の値がユーザのユーザ属性の値と同一である各ノード)を選択可能に表示する領域である。第1領域42において各第1ノードは、例えば対応する「ノード種類」を示すテキストが並べられたリスト形式で表示されるが、第1領域42における各第1ノードの表示態様は当該例に限られない。
例えば、設計支援装置10を使用するユーザのユーザ属性の値が「電気設備設計工程」である場合、図6に示すように第1領域42には、図2に示す複数のノードのうち、操作盤、制御盤、部屋、及びコメントの4つの第1ノードがそれぞれ選択可能に表示される。
第2領域43は、複数の既存の設計対象物のうち、所定の条件を満たす各既存の設計対象物を選択可能に表示する領域である。所定の条件は、既存の設計対象物の基礎となったノードの第1作成可ユーザ属性又は参照可ユーザ属性の値がユーザのユーザ属性の値と同一であるという条件である。したがって、第2領域43には、ステップS102で特定された各第1設計対象物及び各第2設計対象物(すなわち、複数の既存の設計対象物のうち、基礎となったノードが第1ノード又は第2ノードである各既存の設計対象物)が選択可能に表示される。第2領域43において各第1設計対象物及び各第2設計対象物は、例えば対応する「個別名称」を示すテキストが並べられたリスト形式で表示されるが、第2領域43における各第1設計対象物及び各第2設計対象物の表示態様は当該例に限られない。
例えば設計支援装置10を使用するユーザのユーザ属性の値が「電気設備設計工程」であり、且つ、上流の「プラント設計工程」において設計された供給ポンプ及び吐出弁の2つの既存の設計対象物が設計対象物データベースに格納されている場合、図6に示すように第2領域43には、供給ポンプ及び吐出弁の2つの第2設計対象物がそれぞれ選択可能に表示される。また例えば、制御部14は、第2領域43に表示すべき各既存の設計対象物を、自工程で未使用か使用済みかを色分けして表示することも可能である。
ステップS104:制御部14は、操作部12に対する当該ユーザの操作に応じて第1領域42からノードが選択される度に、選択されたノードを基礎とする設計対象物(以下、「新規の設計対象物」ともいう。)を編集領域41に追加する。
例えば、設計支援装置10を使用するユーザが第1領域42に表示されている所望のノードを編集領域41にドラッグアンドドロップすると、当該ノードを基礎とする新規の設計対象物が編集領域41に追加される。本実施形態において制御部14は、編集領域41に設計対象物が追加されると、図面データの「設計対象物ID」に当該設計対象物の識別データを入力するとともに、図面データの「位置データ」に当該設計対象物の図面上の位置(座標)を入力する。設計対象物の図面上の位置は、例えば編集領域41内で当該ユーザが当該設計対象物をドラッグアンドドロップすることにより変化する。
また制御部14は、編集領域41に追加された設計対象物を、ステップS100で取得された図面フォーマットに対応する表示態様で表示する。詳細には、制御部14は、編集領域41に追加された設計対象物の基礎となったノードのデータにおける「シンボル・端子データ」及び「シンボル対応図面」を参照し、ステップS100で取得された図面フォーマットに対応するシンボル・端子データを抽出する。制御部14は、当該設計対象物を、抽出されたシンボル・端子データに示される表示態様で表示する。
ステップS105:制御部14は、操作部12に対する当該ユーザの操作に応じて第2領域43から1つの既存の設計対象物が選択される度に、選択された既存の設計対象物を編集領域41に追加する。
例えば、設計支援装置10を使用するユーザが第2領域43に表示されている所望の既存の設計対象物を編集領域41にドラッグアンドドロップすると、当該既存の設計対象物が編集領域41に追加される。なおステップS104と同様に、制御部14は、編集領域41に設計対象物が追加されると、図面データの「設計対象物ID」及び「位置データ」に、それぞれ当該設計対象物の識別データ及び図面上の位置(座標)を入力する。設計対象物の図面上の位置は、例えば編集領域41内で当該ユーザが当該設計対象物をドラッグアンドドロップすることにより変化する。またステップS104と同様に、制御部14は、編集領域41に追加された設計対象物を、ステップS100で取得された図面フォーマットに対応する表示態様で表示する。
ステップS106:制御部14は、操作部12に対する当該ユーザの操作に応じて、編集領域41に追加された所望の設計対象物のデータを編集する。
本実施形態では、編集領域41に追加された設計対象物のデータを編集する際、当該設計対象物のデータのうち、個別名称、個別仕様、接続データ、及び包含データが編集され得る。
まず、個別名称の編集について説明する。制御部14は、編集領域41に追加された1つ以上の設計対象物の中から、設計支援装置10を使用するユーザの操作によって選択された設計対象物を特定する。制御部14は、当該設計対象物の基礎となったノードが第1ノードである場合、当該設計対象物の個別名称を編集する当該ユーザの操作を受け付ける。かかる場合、当該ユーザは当該設計対象物の個別名称を、例えばテキスト入力操作により編集することができる。一方、制御部14は、当該設計対象物の基礎となったノードが第1ノードではない場合、当該設計対象物の個別名称を編集する当該ユーザの操作を受け付けない。かかる場合、当該ユーザは当該設計対象物の個別名称を編集することができない。このように、制御部14は、あるユーザが作成した設計対象物のデータの一部(ここでは、個別名称)を、設計支援装置10を使用する他のユーザが編集しようとする場合、当該他のユーザのユーザ属性に応じて、当該他のユーザによる個別名称の編集の許否を制御する。
次に、個別仕様の編集について説明する。制御部14は、編集領域41に追加された1つ以上の設計対象物の中から、設計支援装置10を使用するユーザの操作によって選択された設計対象物を特定する。制御部14は、当該設計対象物の基礎となったノードのデータを参照し、当該ノードに対応付けられている1つ以上の仕様のうち、仕様編集可ユーザ属性の値がステップS100で取得された当該ユーザのユーザ属性の値と同一である仕様の値を編集する当該ユーザの操作を受け付ける。かかる場合、当該ユーザは当該仕様の値を、例えばテキスト入力操作により編集することで、個別仕様を定義することができる。一方、制御部14は、仕様編集可ユーザ属性の値が当該ユーザのユーザ属性の値とは異なる仕様の値を編集する当該ユーザの操作を受け付けない。かかる場合、当該ユーザは当該設計対象物の当該仕様の値を編集して個別仕様を定義することができない。このように、制御部14は、あるユーザが作成した設計対象物のデータの一部(ここでは、個別仕様)を、設計支援装置10を使用する他のユーザが編集しようとした場合、当該他のユーザのユーザ属性に応じて、当該他のユーザによる個別仕様の編集の許否を制御する。
次に、接続データの編集について説明する。制御部14は、編集領域41に2つ以上の設計対象物が追加されている場合、当該2つ以上の設計対象物のうち、接続元とする設計対象物の接続データを編集する当該ユーザの操作を受け付ける。具体的には、制御部14は、当該2つ以上の設計対象物のうち、設計対象物の入力端子を接続元に指定し、他の設計対象物の出力端子を接続先に指定する操作に応じて、接続元となる設計対象物の接続データの中の「接続元」及び「接続先」に指定された値を入力する。また制御部14は、当該2つの設計対象物の接続仕様を指定する操作に応じて、接続データの中の「接続仕様」に指定された値を入力する。また制御部14は、編集領域41に表示された図面の識別データを、接続データの中の「定義図面」に入力する。
次に、包含データの編集について説明する。制御部14は、編集領域41に2つ以上の設計対象物が追加されている場合、当該2つ以上の設計対象物の中から選択された設計対象物の包含データを編集する当該ユーザの操作を受け付ける。具体的は、制御部14は、編集領域41において、例えば一の設計対象物を他の設計対象物に重ねるようにドラッグアンドドロップする操作に応じて、当該他の設計対象物の「包含データ」に当該一の設計対象物の識別データを入力する。
例えば図6の編集領域41おけるプラント410、機械室411、及び電気室412のそれぞれは、第1領域42から当該ユーザの操作に応じて選択された「部屋」のノードを基礎とする新規の設計対象物である。現場操作盤413は、第1領域42から当該ユーザの操作に応じて選択された「操作盤」のノードを基礎とする新規の設計対象物である。動力制御盤417は、第1領域42から当該ユーザの操作に応じて選択された「制御盤」のノードを基礎とする新規の設計対象物である。修正要求コメント416は、第1領域42から当該ユーザの操作に応じて選択された「コメント」のノードを基礎とする新規の設計対象物である。一方、供給ポンプ414及び吐出弁415は、第2領域43から当該ユーザの操作に応じて選択された既存の第2設計対象物である「供給ポンプ」及び「吐出弁」である。
また図6において、破線L1は動力制御盤417と現場操作盤413との接続を示す。同様に、破線L2は動力制御盤417と供給ポンプ414との接続を示し、破線L3は動力制御盤417と吐出弁415との接続を示す。なお、例えば図3に示す設計対象物データベースでは、吐出弁の入力端子1は供給ポンプの出力端子1に接続されている。ここで、吐出弁と供給ポンプとの接続は、「定義図面」に示されるように配管計装図で定義されている。これに対して、図6の編集領域41に表示される図面の基礎となった図面フォーマットは配線系統図であるため、吐出弁415と供給ポンプ414との接続は非表示となっている。
また図6に示すように、プラント410は、機械室411及び電気室412を包含している。機械室411は、現場操作盤413、供給ポンプ414、吐出弁415、及び修正要求コメント416を包含している。電気室412は、動力制御盤417を包含している。
ステップS107:制御部14は、編集された設計対象物のデータ及び図面のデータを、それぞれ記憶部13の設計対象物データベース及び図面データベースに格納する。具体的には、制御部14は、編集された当該設計対象物が新規の設計対象物である場合、当該設計対象物のデータを新たに設計対象物データベースに追加する。また制御部14は、編集された当該設計対象物が既存の設計対象物である場合、設計対象物データベースに格納されている当該設計対象物のデータを編集後の内容に更新する。
以上述べたように、本実施形態に係る設計支援装置10は、それぞれ第1作成可ユーザ属性が対応付けられた複数のノードのデータを記憶する記憶部13と、ユーザの操作に応じて当該ユーザのユーザ属性を示す情報を取得し、複数のノードのうち、第1作成可ユーザ属性の値が当該ユーザのユーザ属性の値と同一である各ノードを選択可能に表示する第1領域42、及び編集領域41を含む画面をディスプレイに出力し、第1領域42から当該ユーザの操作に応じて選択されたノードを基礎とする新規の設計対象物を編集領域41に追加し、編集領域41に追加された新規の設計対象物のデータを当該ユーザの操作に応じて編集し、編集された新規の設計対象物のデータを記憶部13に記憶し、他のユーザの操作に応じて当該他のユーザのユーザ属性を取得し、当該他のユーザのユーザ属性に応じて、記憶部13に記憶された設計対象物のデータの当該他のユーザによる編集の許否を制御する制御部14と備える。
本実施形態によれば、例えば一連の作業工程全体で使用し得る全てのノードのデータを予め記憶部13に記憶しておき、設計支援装置10を使用するユーザのユーザ属性(例えば、当該ユーザが担当する設計工程)で使用可能なノードのみを第1領域42に表示することで、各設計工程での誤操作の発生が低減され得る。また本実施形態によれば、当該ユーザが担当する設計工程が何れであるかに関わらず、ノードを基礎として設計対象物を追加し当該設計対象物のデータを編集するという共通の設計手法が採用される。このため、当該設計手法を採用した1つの設計システムとして実装可能であり、例えば設計工程ごとに独立した設計支援システムを用いる必要が無い。したがって、複数の設計工程を含む設計業務の支援をより低コストで実施可能となる。
また例えば、編集領域41に追加された設計対象物の表示態様が図面(或いは、設計支援装置10を使用するユーザが担当する設計工程)に応じて変化するので、異なる種類の図面間で設計対象物をコピーする場合に従来の図面以上の操作性及び視認性を確保できる。また、シンボルにマニュアルや仕様書などへのハイパーリンクを設定するなど、作業効率の向上を図れる。また例えば、設計対象物の定義が設計対象物データベース一か所となるため、図面間で不整合が発生しないので、設計の信頼性を確保できる。
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
例えば、上述した実施形態において、設計支援装置10の構成及び動作を、互いに通信可能な複数のコンピュータに分散させた実施形態も可能である。
また上述した実施形態において、ユーザ属性が設計工程である例について説明した。しかしながら、ユーザ属性は設計工程に限られない。例えば、ユーザ属性は、所属部門(例えば、電気機器設計部門又は機械設計部門等)、又は職位等を含んでもよい。
また、上述した実施形態において、設計支援装置10の制御部14は、上述したステップS106の説明で述べたように、編集領域41に追加された既存の設計対象物のデータの少なくとも一部を編集する当該ユーザの操作を受け付けない場合がある。具体的には、制御部14は、当該既存の設計対象物の基礎となったノードが第1ノードではない場合、当該設計対象物の個別名称を編集する当該ユーザの操作を受け付けない。また制御部14は、当該既存の設計対象物の基礎となったノードのデータを参照し、当該ノードに対応付けられている1つ以上の仕様のうち、仕様編集可ユーザ属性の値が当該ユーザのユーザ属性の値とは異なる仕様の値を編集する当該ユーザの操作を受け付けない。かかる場合に、当該既存の設計対象物のデータの修正要求に関する情報を、当該既存の設計対象物のデータの当該少なくとも一部を編集可能な他のユーザに通知する構成も可能である。
当該構成の実現には、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部14は、当該既存の設計対象物のデータの少なくとも一部(例えば「個別名称」又は「個別仕様」)を編集するユーザ操作を受け付けない場合、当該既存の設計対象物の基礎となったノードのデータを参照する。制御部14は、当該既存の設計対象物の「個別名称」を編集可能な他のユーザとして、参照したノードデータの第1作成可ユーザ属性と値の等しいユーザ属性を有する他のユーザを特定する。或いは制御部14は、当該既存の設計対象物の「個別仕様」を編集可能な他のユーザとして、参照したノードデータの仕様編集可ユーザ属性と値の等しいユーザ属性を有する他のユーザを特定する。そして制御部14は、当該既存の設計対象物のデータの修正要求に関する情報(例えば、当該既存の設計対象物のデータの修正を当該ユーザが要求していることを示すメッセージ等)を、特定された他のユーザに通知する。情報の通知は、例えば当該他のユーザが設計支援装置10を用いてログイン処理を行った後に当該情報をディスプレイに出力することで実施されてもよく、或いは電子メール又はチャットツールを介して実施されてもよい。なお制御部14は、既存の設計対象物のデータの少なくとも一部を編集するユーザ操作を受け付ない場合に限らず、当該既存の設計対象物のデータの修正要求に関する情報を他のユーザに通知してもよい。また制御部14は、既存の設計対象物のデータが更新された場合、更新前後のデータの差分を検出し、当該既存の設計対象物のデータの更新履歴として記憶部13に記憶してもよい。かかる場合、制御部14は、任意のユーザからの要求に応じて、当該既存の設計対象物のデータの更新履歴を表示部11のディスプレイに表示してもよい。
また、例えば汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る設計支援装置10として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る設計支援装置10の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。