本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工装置1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る加工装置1の構成例を示す斜視図である。図2は、図1の加工装置1の要部の冷却機構を説明する模式図である。図3は、図1の加工装置1のモータドライバユニット40の構成例を示す斜視図である。図4は、図3のモータドライバユニット40の冷却ユニット42の構成例を示す斜視図である。なお、図2では、モータドライバユニット40の冷却ユニット42内の水路47を簡略化して示している。加工装置1は、図1に示すように、チャックテーブル10と、加工ユニット20と、移動ユニット30と、モータドライバユニット40と、制御ユニット50を備える。
実施形態1において、加工装置1が加工する加工対象である被加工物200は、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素などを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどである。被加工物200は、図1に示すように、平坦な表面201の格子状に形成される複数の分割予定ライン202によって区画された領域にデバイス203が形成されている。被加工物200は、実施形態1では、表面201の裏側の裏面204に粘着テープ205が貼着され、粘着テープ205の外縁部に環状フレーム206が装着されているが、本発明ではこれに限定されない。また、本発明では、被加工物200は、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
チャックテーブル10は、凹部が形成された円板状の枠体と、凹部内に嵌め込まれた円板状の吸着部と、を有する。チャックテーブル10の吸着部は、ポーラス状のポーラスセラミック等から形成され、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。チャックテーブル10の吸着部の上面は、被加工物200が載置されて、載置された被加工物200を吸引保持する保持面11である。保持面11は、実施形態1では、被加工物200が表面201を上方に向けて載置され、載置された被加工物200を裏面204側から粘着テープ205を介して吸引保持する。保持面11とチャックテーブル10の枠体の上面とは、同一平面上に配置されており、水平面であるXY平面に平行に形成される。チャックテーブル10は、移動ユニット30のX軸移動ユニット31により水平方向の一方向であるX軸方向に移動自在で、不図示の回転駆動源により鉛直方向であり保持面11に対して垂直なZ軸方向と平行な軸心周りに回転自在に設けられている。
加工ユニット20は、図2に示すように、スピンドル22と、マウントフランジ23と、モータ24と、スピンドルハウジング25と、を有する。スピンドル22は、円柱状に形成されて、先端に切削ブレード21が装着される。切削ブレード21は、本発明に係る砥石工具の一例である。マウントフランジ23は、切削ブレード21をスピンドル22の先端に固定する。切削ブレード21は、実施形態1では、砥粒をボンド材で固定した環状の切り刃を有する切削砥石であるが、本発明ではこれに限定されず、砥粒がめっき層に固着した切り刃を有する電鋳ボンドタイプのブレードや、超硬合金からなる薄鋼板ブレードで形成された切り刃を有する鋸刃状のメタルソー等でもよい。
モータ24は、スピンドル22の基端部に配置され、スピンドル22を水平方向の別の一方向でありX軸方向に直交するY軸方向と平行な軸心周りに回転させる。モータ24は、スピンドル22を回転させることにより、スピンドル22の先端に装着された切削ブレード21をY軸方向と平行な軸心周りに回転させる。スピンドル22の先端に装着された切削ブレード21は、スピンドル22によりY軸方向と平行な軸心周りの回転動作が加えられて、チャックテーブル10に保持された被加工物200を切削加工する。
スピンドルハウジング25は、スピンドル22の先端を露出させ、かつ、先端を除く部分を収容することで、スピンドル22が挿通されている。スピンドルハウジング25は、内部に、エアー供給路26と、冷却水路27とが形成されている。エアー供給路26は、エアー供給源61からのエアーをスピンドルハウジング25のスピンドル22に対面する内周面に供給する。スピンドルハウジング25は、エアー供給源61から内周面に供給されるエアーがエアーベアリングとして機能することで、スピンドル22を軸受けして、スピンドル22をY軸方向と平行な軸心周りに回転可能に支持する。
冷却水路27は、図2に示すように、一方の端部に形成された供給口28が、温調装置100の冷却水供給管101と接続されており、他方の端部に形成された排出口29が、接続管71を介して、後述する冷却ユニット42の水路47の供給口48と接続されている。加工装置1は、温調装置100から冷却水供給管101により供給される冷却水がスピンドルハウジング25の冷却水路27を通過することによって、加工ユニット20のスピンドル22及びモータ24で発生してスピンドルハウジング25に伝達した熱が冷却水に回収されて、スピンドル22、モータ24及びスピンドルハウジング25が水冷される。冷却水は、実施形態1では、例えば、純水である。
スピンドルハウジング25は、チャックテーブル10に保持された被加工物200に対して、移動ユニット30のY軸移動ユニット32によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、移動ユニット30のZ軸移動ユニット33によりZ軸方向に移動自在に設けられている。スピンドルハウジング25により回転可能に支持されたスピンドル22及びスピンドル22の先端に装着された切削ブレード21は、スピンドルハウジング25とともに移動する。加工装置1は、移動ユニット30によりスピンドル22の先端に装着された切削ブレード21をチャックテーブル10に保持された被加工物200に対して所定の位置にセットし、切削ブレード21を回転させながら被加工物200に対して分割予定ライン202に沿って相対的に移動させることにより、切削ブレード21で被加工物200を分割予定ライン202に沿って切削加工する。
モータドライバユニット40は、図3に示すように、モータドライバ41と、冷却ユニット42とを備える。モータドライバユニット40は、筐体の内部を鉛直方向に沿った面で分けた一方側にモータドライバ41を収容しており、他方側に冷却ユニット42を収容している。このため、モータドライバ41と冷却ユニット42とは、この鉛直方向に沿った面で互いに隣接、接触しており、この面を介して、モータドライバ41の回路基板等で発生した熱が冷却ユニット42に伝達される。
モータドライバ41は、不図示の商用電源からの駆動用の電力をモータ24に供給する。モータドライバ41は、モータ24の回転位置を読み取るエンコーダを含み、エンコーダが読み取ったモータ24の回転位置の時間変化に基づいて、モータ24の回転速度を検出する。モータドライバ41は、モータ24に供給する駆動用の電力を制御して、検出するモータ24の回転速度を一定に維持する。モータドライバ41の側面には、配線接続部43が形成されている。モータドライバ41は、配線接続部43を通じて、モータ24や制御ユニット50と情報通信可能に電気的に接続される。
冷却ユニット42は、図4に示すように、内部に複数の水平方向に延びる冷却フィン46が設けられている。複数の冷却フィン46は、モータドライバ41と冷却ユニット42とを分ける鉛直方向に沿った面から冷却ユニット42の内部空間側に向かって立設している。冷却ユニット42は、内部の空間が複数の冷却フィン46によって部分的に仕切られることにより、内部の空間を蛇行しながら内部の空間の全体に行きわたる水路47が形成される。この冷却ユニット42の内部に形成された水路47は、図4に示すように、鉛直方向の下側に位置する端部に、水路47内に冷却水が供給される供給口48が形成され、鉛直方向の上側に位置する端部に、水路47内から冷却水が排出される排出口49が形成されている。
水路47は、図2に示すように、供給口48が、接続管71を介して冷却水路27の排出口29と接続されており、排出口49が、温調装置100の冷却水回収管102と接続されている。加工装置1は、冷却水路27から排出される冷却水が接続管71により冷却ユニット42の水路47に導入され、冷却ユニット42の水路47を通過することによって、モータドライバ41で発生して冷却ユニット42に伝達した熱が冷却水に回収されて、モータドライバユニット40のモータドライバ41が水冷される。
加工装置1は、図1及び図2に示すように、温調装置100と接続されている。温調装置100は、図2に示すように、冷却水供給管101と、冷却水回収管102と、水供給源105と、バルブ106と、を備える。冷却水供給管101は、冷却水路27の供給口28と接続されている。冷却水回収管102は、冷却ユニット42の水路47の排出口49と接続されている。温調装置100の内部において、冷却水供給管101と冷却水回収管102との間には、不図示の温調部が設けられている。温調装置100は、冷却水供給管101から加工ユニット20の冷却水路27及び冷却ユニット42の水路47にこの順番で冷却水を供給して、加工ユニット20のスピンドル22、モータ24及びスピンドルハウジング25と、モータドライバユニット40のモータドライバ41とを水冷し、水路47から排出された冷却水(水)を冷却水回収管102から受け入れて温調部で再度温調(冷却)し、冷却水路27に戻す。温調装置100は、冷却水回収管102から戻された冷却水を例えば20~24度に温調し、冷却水供給管101から加工ユニット20に供給する。加工ユニット20から排出された冷却水は例えば1~3度ほど温度が上昇した状態でモータドライバユニット40に供給される。空冷する場合に冷却源となる周囲の雰囲気の室温と大差無い温度の冷却水がモータドライバユニット40に供給される事になる。
バルブ106は、水供給源105から冷却水の流路に供給される冷却水の供給量を調整する。ここで、冷却水の流路は、温調装置100の冷却水供給管101、冷却水回収管102及び温調部と、冷却水路27と、接続管71と、水路47とにより構成される。温調装置100は、冷却水の流路内に設けられたレベルセンサ等の不図示の水量検出器によりこの流路内に流れる冷却水の水量を検出し、冷却水の水量が不足していると判定した場合には、バルブ106を開いて水供給源105からこの冷却水の流路に適量の水を供給させて、この流路内に流れる冷却水の水量を自動的に適量に維持する。
なお、加工装置1は、図2に示す実施形態1の例では、モータドライバ41の水路47の排出口49が温調装置100の冷却水回収管102と接続され、水路47内を通過した冷却水が冷却水回収管102により温調装置100に回収されて所定の温度に再冷却されて再利用されているが、本発明ではこれに限定されず、モータドライバ41の水路47の排出口49がドレーンに接続する排水路と接続され、水路47内を通過した冷却水が温調装置100に回収されずに加工装置1外に排出されてもよい。
制御ユニット50は、加工装置1の各構成要素の動作を制御して、加工ユニット20による加工処理を加工装置1に実施させる。制御ユニット50は、モータドライバ41を制御して、モータドライバ41にモータ24の回転速度を制御させる。制御ユニット50は、実施形態1では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット50が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット50の演算処理装置は、制御ユニット50の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を、制御ユニット50の入出力インターフェース装置を介して加工装置1の各構成要素に出力する。
加工装置1は、図1に示すように、さらに、カセット載置部81と、洗浄ユニット82と、表示ユニット87とを備える。カセット載置部81は、複数の被加工物200を収容するための収容器であるカセット85を載置する載置台であり、載置されたカセット85をZ軸方向に昇降させる。洗浄ユニット82は、加工ユニット20による加工後の被加工物200を洗浄し、被加工物200に付着した加工屑等の異物を除去する。
表示ユニット87は、加工装置1の不図示のカバーに、表示面側を外側に向けて設けられており、加工装置1の加工条件等の設定の画面や加工結果を示す画面等をオペレータに視認可能に表示する。表示ユニット87は、液晶表示装置等により構成される。表示ユニット87は、オペレータが加工装置1の加工条件等や画像の表示に関する指令情報等を入力する際に使用する入力ユニット88が設けられている。表示ユニット87に設けられた入力ユニット88は、表示ユニット87に設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
加工装置1は、さらに不図示の搬送ユニットを備える。不図示の搬送ユニットは、加工前の被加工物200をカセット85内からチャックテーブル10上に搬送し、加工後の被加工物200をチャックテーブル10上から洗浄ユニット82に搬送し、洗浄後の被加工物200を洗浄ユニット82からカセット85内に搬送する。
次に、本明細書は、実施形態1に係る加工装置1の作用の一例を説明する。加工装置1は、加工ユニット20により被加工物200の加工処理を実施する際等には、温調装置100から供給される冷却水がスピンドルハウジング25の冷却水路27を通過することによって加工ユニット20のスピンドル22、モータ24及びスピンドルハウジング25が水冷され、冷却水路27から排出される冷却水がさらに冷却ユニット42の水路47を通過することによってモータドライバユニット40のモータドライバ41がさらに水冷される。
以上のような構成を有する実施形態1に係る加工装置1は、スピンドル22を回転可能に支持するスピンドルハウジング25が内部に冷却水路27を備え、スピンドル22を回転させるモータ24を制御するモータドライバ41に隣接して設けられた冷却ユニット42が内部に水路47を備え、冷却水路27の排出口29が接続管71を介して水路47の供給口48と接続されている。このため、実施形態1に係る加工装置1は、冷却水路27を通過させてスピンドル22、モータ24及びスピンドルハウジング25の冷却に用いた冷却水を排水する前に、接続管71を介して水路47を通過させてモータドライバユニット40のモータドライバ41の冷却に再利用することで、コストを増加させずに効率的な冷却機構を実現できるという作用効果を奏する。
また、従来は、モータドライバを冷却用フィンや冷却ファンによって空冷していたが、実施形態1に係る加工装置1は、冷却ユニット42の水路47内に冷却水を供給することによりモータドライバ41を水冷するので、従来よりもモータドライバ41の冷却効率が高めることができるという作用効果を奏する。また、従来は、モータドライバを空冷していたために冷却ファンによって運ばれた埃によって回路基板がショート(短絡)する恐れがあったが、実施形態1に係る加工装置1は、モータドライバ41を水冷するため、埃が回路基板に運ばれる可能性が従来よりも低減されるので、冷却によってモータドライバ41の回路基板がショートする恐れを従来よりも低減できるという作用効果を奏する。
また、従来の加工装置において、モータドライバを空冷する冷却用フィンが設けられた領域に、この領域を水漏れしないように覆う筐体(箱)を設ける等して、この領域内に新たに水路を形成し、さらにスピンドルハウジングの冷却水路の排出口と新たに設けた水路の供給口とを接続する接続管を新たに設けることで、従来の加工装置を、スピンドルハウジング25内部の冷却水路27の排出口29とモータドライバ41を水冷する冷却ユニット42内部の水路47の供給口48とを接続管71を介して接続した実施形態1に係る加工装置1に改良できる。このように、実施形態1に係る加工装置1は、従来の加工装置から大きな設備改良のコストをかけることなく実現できるという作用効果を奏する。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る加工装置1を図面に基づいて説明する。図5は、実施形態2に係る加工装置1のモータドライバユニット40の冷却ユニット42-2の構成例を示す斜視図である。図5は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2に係る加工装置1は、実施形態1において、冷却ユニット42に代えて冷却ユニット42-2に変更したものであり、その他の構成は同じである。冷却ユニット42-2は、図5に示すように、冷却ユニット42と同様に、内部に複数の冷却フィン46が設けられている。冷却ユニット42-2は、さらに、内部空間において冷却フィン46によって仕切られた複数の水平方向に延びる各空間に、当該空間に沿って水平方向に延びる冷却配管44が1本ずつ設けられている。冷却ユニット42-2は、また、互いに隣接する冷却配管44の一方の端部同士または他方の端部同士を連通する連通管45が設けられている。冷却ユニット42-2は、これらの複数の冷却配管44及び複数の連通管45により、冷却ユニット42-2の内部空間内を蛇行しながら内部空間全体に行きわたる水路47-2が形成される。冷却フィン46及び冷却配管44はそれぞれ熱伝導率の高い素材、例えばアルミで構成される。
加工装置1は、実施形態2では、冷却水路27から排出される冷却水が接続管71により冷却ユニット42-2の水路47-2に導入され、冷却ユニット42-2の水路47-2を通過することによって、モータドライバ41で発生して冷却ユニット42-2に伝達した熱が冷却水に回収されて、モータドライバユニット40のモータドライバ41が水冷される。
以上のような構成を有する実施形態2に係る加工装置1は、実施形態1において、内部に水路47が形成された冷却ユニット42に代えて、内部に水路47-2が形成された冷却ユニット42-2に変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同じであるので、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。また、実施形態2に係る加工装置1は、冷却配管44及び連通管45を設けることで冷却水の流れる方向がより明確な水路47-2を形成できるという作用効果を奏する。
また、従来の加工装置において、モータドライバを空冷する冷却用フィンが設けられた領域に、冷却用フィンの間に冷却配管を通して、連通管により冷却配管を互いに接続することにより、この領域内に新たに水路を形成し、さらにスピンドルハウジングの冷却水路の排出口と新たに設けた水路の供給口とを接続する接続管を新たに設けることで、従来の加工装置を、スピンドルハウジング25内部の冷却水路27の排出口29とモータドライバ41を水冷する冷却ユニット42-2内部の水路47-2の供給口48とを接続管71を介して接続した実施形態2に係る加工装置1に改良できる。このように、実施形態2に係る加工装置1は、従来の加工装置から大きな設備改良のコストをかけることなく実現できるという作用効果を奏する。
なお、実施形態1及び実施形態2に係る加工装置1は、冷却ユニット42,42-2が、内部に冷却フィン46が設けられており、冷却フィン46を生かした水路47,47-2を形成しているが、本発明ではこれに限定されず、冷却フィン46が設けられていない、単なる冷却水が溜まる筐体(箱)であってもよい。このような冷却ユニットが単なる冷却水が溜まる筐体(箱)である場合でも、加工装置1は、上記した実施形態1及び実施形態2と同様の作用効果を奏するものとなる。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る加工装置1-3を図面に基づいて説明する。図6は、実施形態3に係る加工装置1-3の構成例を示す斜視図である。図7は、図6の加工装置1-3の要部の冷却機構を説明する模式図である。なお、図7では、モータドライバユニット40の冷却ユニット42内の水路47を簡略化して示している。図6及び図7は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態3に係る加工装置1-3は、図6に示すように、実施形態1に係る加工装置1において、加工ユニット20を加工ユニット20-3に変更し、この変更に合わせて加工装置1のその他の各構成要素の形状や配置等を変更したものである。すなわち、加工装置1-3は、図6に示すように、加工装置1と同様のチャックテーブル10、移動ユニット30、モータドライバユニット40及び制御ユニット50と、加工ユニット20-3と、を備える。
加工ユニット20-3は、図6及び図7に示すように、スピンドル22-3と、モータ24-3と、スピンドルハウジング25-3と、を有する。スピンドル22-3は、先端に研削ホイール21-3が装着される。研削ホイール21-3は、本発明に係る砥石工具の一例である。研削ホイール21-3は、実施形態3では、例えば、環状に配置した研削砥石を有するものである。スピンドル22-3は、図6及び図7に示すように、実施形態1のスピンドル22において、軸心の方向をY軸方向に平行な方向に代えてZ軸方向に平行な方向に変更したものである。
モータ24-3は、実施形態3では、スピンドル22-3をZ軸方向と平行な軸心周りに回転させる。モータ24-3は、実施形態3では、実施形態1のモータ24において、回転対象であるスピンドル22及びその回転の方向を変更し、この変更に合わせて形状や配置等を変更したものであり、その他の構成や機能は実施形態1のモータ24と同様である。モータ24-3は、スピンドル22-3を回転させることにより、スピンドル22-3の先端に装着された研削ホイール21-3をZ軸方向と平行な軸心周りに回転させる。スピンドル22-3の先端に装着された研削ホイール21-3は、スピンドル22-3によりZ軸方向と平行な軸心周りの回転動作が加えられて、チャックテーブル10に保持された被加工物200を研削加工する。
スピンドルハウジング25-3は、スピンドル22-3の先端を露出させ、かつ、先端を除く部分を収容することで、スピンドル22-3が挿通されている。スピンドルハウジング25-3は、図7に示すように、内部に、実施形態1のエアー供給路26と同様の機能を有するエアー供給路26-3が形成されており、エアー供給路26-3により、スピンドル22-3をZ軸方向と平行な軸心周りに回転可能に支持する。
スピンドルハウジング25-3は、図7に示すように、内部に、実施形態1の冷却水路27と同様の機能を有する冷却水路27-3が形成されている。加工装置1-3は、温調装置100から冷却水供給管101により供給される冷却水がスピンドルハウジング25-3の冷却水路27-3を通過することによって、加工ユニット20-3のスピンドル22-3及びモータ24-3で発生してスピンドルハウジング25-3に伝達した熱が冷却水に回収されて、スピンドル22-3、モータ24-3及びスピンドルハウジング25-3が水冷される。加工装置1-3は、また、冷却水路27-3から排出される冷却水が接続管71により冷却ユニット42の水路47に導入され、実施形態1と同様に、冷却ユニット42の水路47を通過することによって、モータドライバユニット40のモータドライバ41が水冷される。
加工装置1-3は、移動ユニット30によりスピンドル22-3の先端に装着された研削ホイール21-3をチャックテーブル10に保持された被加工物200に対して所定の位置にセットし、研削ホイール21-3を回転させながら、チャックテーブル10の回転に伴い回転する被加工物200の裏面204に、研削送り方向(鉛直方向と平行なZ軸方向)に沿って押圧することによって、研削ホイール21-3で被加工物200の裏面204を研削する。
加工装置1-3は、図6に示すように、さらに、カセット91,92と、位置合わせユニット93と、搬入ユニット94と、搬出ユニット95と、洗浄ユニット96と、搬出入ユニット97と、を備える。カセット91,92は、複数の被加工物200を収容するための収容器である。また、位置合わせユニット93は、カセット91,92から取り出された被加工物200が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。搬入ユニット94は、吸着パッドを有し、位置合わせユニット93で位置合わせされた研削処理前の被加工物200を吸着保持してチャックテーブル10上に搬入する。搬出ユニット95は、チャックテーブル10上に保持された研削処理後の被加工物200を吸着保持して洗浄ユニット96に搬出する。洗浄ユニット96は、研削処理後の被加工物200を洗浄し、研削された加工面に付着している研削屑等のコンタミネーションを除去する。搬出入ユニット97は、例えば円形型ハンドを備えるロボットピックであり、円形型ハンドによって被加工物200を吸着保持して被加工物200を搬送する。搬出入ユニット97は、研削処理前の被加工物200をカセット91,92から位置合わせユニット93へ搬出するとともに、研削処理後の被加工物200を洗浄ユニット96からカセット91,92へ搬入する。
以上のような構成を有する実施形態3に係る加工装置1-3は、実施形態1において、加工ユニット20を加工ユニット20-3に変更したものであり、これに伴い、温調装置100から供給される冷却水が水路47に導入される前に通過する対象が、冷却水路27の代わりに冷却水路27-3に変更され、加工ユニット20のスピンドル22、モータ24及びスピンドルハウジング25を冷却する代わりに加工ユニット20-3のスピンドル22-3、モータ24-3及びスピンドルハウジング25-3を冷却するように変更されたものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。このため、実施形態3に係る加工装置1-3は、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。
また、実施形態3に係る加工装置1-3は、冷却ユニット42を実施形態2の冷却ユニット42-2に変更してもよく、この場合、実施形態2と同様の作用効果を奏するものとなる。また、実施形態3に係る加工装置1-3は、実施形態2と同様に、冷却ユニット42を冷却フィン46が設けられていない、単なる冷却水が溜まる筐体(箱)に変更してもよい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。実施形態1,2では、加工装置1が、切削ブレード21を回転させるスピンドル22を有する加工ユニット20(切削ユニット)を備える例を示し、実施形態3では、加工装置1-3が、研削ホイール21-3を回転させるスピンドル22-3を有する加工ユニット20-3(研削ユニット)を備える例を示したが、本発明ではこれに限定されない。加工装置は、他には、研磨パッドを回転させるスピンドルを有する加工ユニット(研磨ユニット)を備えてもよい。このように、本発明に係る加工装置は、被加工物200を加工する砥石工具を回転させるスピンドルを有するいかなる種類の加工ユニットを備えてもよい。