発明の分野
[01]本発明は、偽造及び違法複製に対する有価文書並びに有価商品若しくはブランド商品の保護の分野に関する。特に、本発明は、視角的に動的な外観を示す光学効果層(OEL)を生成するためのプロセス及びそれにより得られる光学効果層のほか、書類及び物品上の偽造防止手段としての前記OELの使用に関する。
発明の背景
[02]当技術分野においては、磁性又は磁化可能顔料粒子、特に非球状光学可変磁性又は磁化可能顔料粒子を含むインク、コーティング組成物、コーティング、又は層を用いることによって、セキュリティ要素及びセキュリティ文書を生成することが知られている。
[03]セキュリティ文書及び物品のセキュリティフィーチャは、「秘密」及び「公然」のセキュリティフィーチャに分類可能である。秘密のセキュリティフィーチャによる保護は、そのようなフィーチャが人間の感覚に対して隠蔽されており、検出には通常、特殊な機器及び知識が必要である、という概念に依拠している。一方、「公然」のセキュリティフィーチャは、人間の感覚のみで容易に検出可能である。このようなフィーチャは、可視化及び/又は触覚による検出が可能でありながら、生成及び/又はコピーは依然として困難である。ただし、公然のセキュリティフィーチャの有効性は、そのセキュリティフィーチャとしての容易な認識に大きく依存している。ユーザは、このようなセキュリティフィーチャの存在及び性質に気付いている場合、そのセキュリティフィーチャに基づいて実際に安全確認を行うしかないためである。
[04]配向磁性又は磁化可能顔料粒子を含むコーティング又は層については、例えば米国特許第2,570,856号、米国特許第3,676,273号、米国特許第3,791,864号、米国特許第5,630,877号、及び米国特許第5,364,689号に開示されている。コーティング中の磁性又は磁化可能顔料粒子によれば、対応する磁界の印加により、非固化コーティング中で磁性又は磁化可能顔料粒子を局所的に配向させた後、これらを固化させて粒子をそれぞれの位置及び配向に固定することにより、磁気誘導像、デザイン、及び/又はパターンを生成することができる。これにより、特定の光学効果すなわち偽造に対する耐性が高い固定磁気誘導像、デザイン、又はパターンが得られる。配向磁性又は磁化可能顔料粒子に基づくセキュリティ要素は、磁性若しくは磁化可能顔料粒子又は当該粒子を含む対応するインク若しくはコーティング組成物と、前記インク若しくはコーティング組成物の塗布並びに塗布インク若しくはコーティング組成物中の前記顔料粒子の配向の後、前記インク又は組成物を固化させるのに用いられる特定の技術と、の両者が利用可能な場合にのみ生成可能である。
[05]視角等の視認条件が変化して、セキュリティフィーチャの視覚的外観が変化する場合は、特筆すべき光学効果を実現可能である。一例として、米国特許出願公開第2005/0106367号に開示されているように、いわゆる「ローリングバー(rolling bar)」効果がある。「ローリングバー」効果は、コーティング全体で湾曲表面を再現した顔料粒子の配向に基づく。観察者には、像の傾斜に応じて観察者から遠ざかったり観察者に近づいたりする鏡面反射領域が見える。この効果は現在、5ユーロ紙幣及び10ユーロ紙幣それぞれの「5」及び「10」等、紙幣上の多くの安全要素に利用されている。リング等のループ状体の印象を与える動的な光学効果の他の例としては、国際公開第2014/108403 A2号及び国際公開第2014/108404 A2号に開示のものがある。
[06]欧州特許第2 846 932 B1号は、光学効果層(OEL)のほか、前記OELを生成する装置及び方法を開示する。開示のOELは、当該OELを備えた基板が傾斜した場合に、傾斜方向と同じ方向に移動する明領域及び暗領域から成るパターンの光学的印象を与える。
[07]インク又はコーティング組成物中の磁気配向磁性又は磁化可能顔料粒子に基づく光学効果層(OEL)を生成するための磁気アセンブリ及びプロセスが依然として求められており、前記磁気アセンブリ及びプロセスは、動的な効果を示すとともに、偽造者が利用可能な機器で大規模に生成することが難しいOELの生成を可能にしつつ、信頼性があり、実装が容易で、高速の生産において機能し得るものとする。
[08]したがって、本発明の目的は、光学効果層(OEL)を基板(x20)上に生成するための磁気アセンブリ(x00)であり、第1の平面(P)と少なくとも一部が平行な配向にて基板(x20)を受容するように構成された、磁気アセンブリ(x00)であって、
a)N極が同じ方向を向き、磁気軸が第1の平面(P)と実質的に平行となるように配向し、互いに離隔した少なくとも4つの第1の双極子磁石(x31)を備えた第1の磁界発生装置(x30)であり、
第1の双極子磁石(x31)がそれぞれ、少なくとも2本の実質的に平行な直線αi(i=1、2、・・・)及び少なくとも2本の実質的に平行な直線βj(j=1、2、・・・)の交差点上に配置され、直線αi及びβjが格子を形成し、
少なくとも2つの第1の双極子磁石(x31)が、直線αiのうちの1本の上に配設され、少なくとも2つの他の第1の双極子磁石(x31)が、直線αiのうちの別の1本の上に配設され、
第1の双極子磁石(x31)の磁気軸が、実質的に平行な直線αiと実質的に平行に配向し、
当該第1の磁界発生装置(x30)の第1の双極子磁石(x31)が、第1の支持マトリクス(x32)に一部又は全部が埋め込まれた、
第1の磁界発生装置(x30)と、
b)磁気軸が第1の平面(P)と実質的に平行となるように配向し、第2の支持マトリクス(x42)に一部又は全部が埋め込まれた1つ又は複数の第2の双極子磁石(x41)を備えた第2の磁界発生装置(x40)であり、
第2の磁界発生装置(x40)が、第1の磁界発生装置(x30)の下方に配設され、
各直線αi及び1つ又は複数の第2の双極子磁石(x41)の磁気軸のベクトル和Hが、互いに実質的に非平行及び実質的に非垂直である、
第2の磁界発生装置(x40)と、
を備えた、磁気アセンブリ(x00)を提供することである。
[09]また、本明細書には、光学効果層(OEL)を本明細書に記載の基板上に生成するための本明細書に記載の磁気アセンブリ(x00)の使用を記載する。
[010]また、本明細書には、本明細書に記載の磁気アセンブリ(x00)のうちの少なくとも1つを備えた回転磁気シリンダを備えた印刷装置、又は本明細書に記載の磁気アセンブリ(x00)のうちの少なくとも1つを備えた平台印刷ユニットを備えた印刷装置を記載する。
[011]また、本明細書には、本明細書に記載の光学効果層(OEL)を本明細書に記載の基板(x20)上に生成するためのプロセスであって、
i)複数の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含み、コーティング層(x10)を形成するような第1の状態である放射線硬化性コーティング組成物を基板(x20)表面に塗布するステップと、
非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるように、本明細書に記載の固定磁気アセンブリ(x00)の磁界に放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップと、
iii)非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの採用された位置及び配向に固定するように、ステップii)の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とするステップと、
を含む、プロセスを記載する。
[012]また、本明細書には、本明細書に記載のプロセスにより生成された光学効果層(OEL)を記載する。
[013]また、本明細書には、セキュリティ文書又は装飾要素若しくは物体を製造する方法であって、a)セキュリティ文書又は装飾要素若しくは物体を用意するステップと、b)セキュリティ文書又は装飾要素若しくは物体に含まれるように、本明細書に記載のような光学効果層(OEL)、特に、本明細書に記載のプロセスにより得られるような光学効果層を用意するステップと、を含む、方法を記載する。
第1の支持マトリクス(132)及び4つの第1の双極子磁石(131i-j:1311-1、1311-2、1312-1、1312-2)を備えた第1の磁界発生装置(130)であって、前記4つの第1の双極子磁石(1311-1、1311-2、1312-1、1312-2)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(C131)が、2本の実質的に平行な直線αi(i=1、2)(α1、α2)及び2本の実質的に平行な直線βj(j=1、2)(β1、β2)を含む格子の交差点上に配置され、直線αiが直線βjと実質的に垂直である、第1の磁界発生装置(130)の模式上面図である。
第1の支持マトリクス(132)及び4つの第1の双極子磁石(131i-j:1311-1、1311-2、1312-1、1312-2)を備えた第1の磁界発生装置(130)であって、前記4つの第1の双極子磁石(1311-1、1311-2、1312-1、1312-2)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(C131)が、2本の実質的に平行な直線αi(i=1、2)(α1、α2)及び2本の実質的に平行な直線βj(j=1、2)(β1、β2)を含む格子の交差点上に配置され、直線αiが直線βjと実質的に垂直ではない、第1の磁界発生装置(130)の模式上面図である。
第1の支持マトリクス(232)及び6つの第1の双極子磁石(231i-j:2311-1、2311-2、2311-3、2312-1、2312-2、2312-3)を備えた第1の磁界発生装置(230)であって、前記6つの第1の双極子磁石(231)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(C231)が、2本の実質的に平行な直線αi(i=1、2)(α1、α2)及び3本の実質的に平行な直線βj(j=1、2、3)(β1、β2、β3)を含む格子の交差点上に配置され、直線αiが直線βjと実質的に垂直である、第1の磁界発生装置(230)の模式上面図である。
第1の支持マトリクス(232)及び6つの第1の双極子磁石(231i-j:2311-1、2311-2、2311-3、2312-1、2312-2、2312-3)を備えた第1の磁界発生装置(230)であって、前記6つの第1の双極子磁石(231)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(C231)が、2本の実質的に平行な直線αi(i=1、2)(α1、α2)及び3本の実質的に平行な直線βj(j=1、2、3)(β1、β2、β3)を含む格子の交差点上に配置され、直線αiが直線βjと実質的に垂直ではない、第1の磁界発生装置(230)の模式上面図である。
第1の支持マトリクス(332)及び6つの第1の双極子磁石(331i-j:3311-1、3311-2、3312-1、3312-2、3313-1、3313-2)を備えた第1の磁界発生装置(330)であって、前記6つの第1の双極子磁石(331)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(C331)が、3本の実質的に平行な直線αi(i=1、2、3)(α1、α2、α3)及び2本の実質的に平行な直線βj(j=1、2)(β1、β2)を含む格子の交差点上に配置され、直線αiが直線βjと実質的に垂直である、第1の磁界発生装置(330)の模式上面図である。
第1の支持マトリクス(332)及び6つの第1の双極子磁石(331i-j:3311-1、3311-2、3312-1、3312-2、3313-1、3313-2)を備えた第1の磁界発生装置(330)であって、前記6つの第1の双極子磁石(331)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(C331)が、3本の実質的に平行な直線αi(i=1、2、3)(α1、α2、α3)及び2本の実質的に平行な直線βj(j=1、2)(β1、β2)を含む格子の交差点上に配置され、直線αiが直線βjと実質的に垂直ではない、第1の磁界発生装置(330)の模式上面図である。
第1の支持マトリクス(432)及び9つの第1の双極子磁石(431i-j:4311-1、4311-2、4311-3、4312-1、4312-2、4312-3、4313-1、4313-2、4313-3)を備えた第1の磁界発生装置(430)であって、前記9つの第1の双極子磁石(431)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(C431)が、3本の実質的に平行な直線αi(i=1、2、3)(α1、α2、α3)及び3本の実質的に平行な直線βj(j=1、2、3)(β1、β2、β3)を含む格子の交差点上に配置され、直線αiが直線βjと実質的に垂直である、第1の磁界発生装置(430)の模式上面図である。
第1の支持マトリクス(432)及び9つの第1の双極子磁石(431i-j:4311-1、4311-2、4311-3、4312-1、4312-2、4312-3、4313-1、4313-2、4313-3)を備えた第1の磁界発生装置(430)であって、前記9つの第1の双極子磁石(431)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(C431)が、3本の実質的に平行な直線αi(i=1、2、3)(α1、α2、α3)及び3本の実質的に平行な直線βj(j=1、2、3)(β1、β2、β3)を含む格子の交差点上に配置され、直線αiが直線βjと実質的に垂直ではない、第1の磁界発生装置(430)の模式上面図である。
第1の支持マトリクス(532)、第1の双極子磁石(5311-1、5311-2、・・・)、並びに1つ若しくは複数の第3の双極子磁石(533)を備えた第1の磁界発生装置(530)であって、前記第1の双極子磁石(531)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(C531)が、2本の実質的に平行な直線αi(i=1、2)(α1、α2)及び2本の実質的に平行な直線βj(j=1、2)(β1、β2)を含む格子の交差点上に配置され、直線αiが直線βjと実質的に垂直であるか、又は、直線βjと実質的に垂直ではなく(図示せず)、1つ若しくは複数の第3の双極子磁石(533)が、格子の交差点と異なる位置で格子内に配置されている、第1の磁界発生装置(530)の模式上面図である。
第1の支持マトリクス(532)、第1の双極子磁石(5311-1、5311-2、・・・)、並びに1つ若しくは複数の第3の双極子磁石(533)を備えた第1の磁界発生装置(530)であって、前記第1の双極子磁石(531)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(C531)が、3本の実質的に平行な直線αi(i=1、2、3)(α1、α2、α3)及び3本の実質的に平行な直線βj(j=1、2、3)(β1、β2、β3)を含む格子の交差点上に配置され、直線αiが直線βjと実質的に垂直であるか、又は、直線βjと実質的に垂直ではなく(図示せず)、1つ若しくは複数の第3の双極子磁石(533)が、格子の交差点と異なる位置で格子内に配置されている、第1の磁界発生装置(530)の模式上面図である。
第1の支持マトリクス(532)、第1の双極子磁石(5311-1、5311-2、・・・)、並びに1つ若しくは複数の第3の双極子磁石(533)を備えた第1の磁界発生装置(530)であって、前記第1の双極子磁石(531)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(C531)が、3本の実質的に平行な直線αi(i=1、2、3)(α1、α2、α3)及び3本の実質的に平行な直線βj(j=1、2、3)(β1、β2、β3)を含む格子の交差点上に配置され、直線αiが直線βjと実質的に垂直であるか、又は、直線βjと実質的に垂直ではなく(図示せず)、1つ若しくは複数の第3の双極子磁石(533)が、格子の交差点と異なる位置で格子内に配置されている、第1の磁界発生装置(530)の模式上面図である。
第1の支持マトリクス(532)、第1の双極子磁石(5311-1、5311-2、・・・)、並びに1つ若しくは複数の第3の双極子磁石(533)を備えた第1の磁界発生装置(530)であって、前記第1の双極子磁石(531)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(C531)が、3本の実質的に平行な直線αi(i=1、2、3)(α1、α2、α3)及び3本の実質的に平行な直線βj(j=1、2、3)(β1、β2、β3)を含む格子の交差点上に配置され、直線αiが直線βjと実質的に垂直であるか、又は、直線βjと実質的に垂直ではなく(図示せず)、1つ若しくは複数の第3の双極子磁石(533)が、格子の交差点と異なる位置で格子内に配置されている、第1の磁界発生装置(530)の模式上面図である。
比較としての光学効果層(OEL)を基板(620)上に生成するための磁気アセンブリ(600)であって、N極が同じ方向を向き、磁気軸が基板(620)表面と実質的に平行となるように配向し、第1の支持マトリクス(632)に埋め込まれた41個の第1の双極子磁石(6311、・・・、63141)を備えた第1の磁界発生装置(630)と、磁気軸が基板(620)と実質的に平行で、第2の支持マトリクス(642)に埋め込まれた第2の双極子磁石(641)を備えた第2の磁界発生装置(640)と、を備え、41個の第1の双極子磁石(6311、・・・、63141)がそれぞれ、特に、それぞれの中心が、9本の平行な直線αi(i=1、・・・、9)(α1~α9)及び9本の平行な直線βj(j=1、・・・、9)(β1~β9)を含む格子の交差点上に配置され、前記直線αiが直線βjと垂直であり、第1の双極子磁石(6311、・・・、63141)及び第2の双極子磁石(642)が、各直線αi及び当該第2の双極子磁石(641)の磁気軸のベクトル和Hが値0°の角度γを成す、すなわち、各直線αi及びベクトル和Hが互いに平行となるように配置されている、磁気アセンブリ(600)を模式的に示した図である。
比較としての光学効果層(OEL)を基板(620)上に生成するための磁気アセンブリ(600)であって、N極が同じ方向を向き、磁気軸が基板(620)表面と実質的に平行となるように配向し、第1の支持マトリクス(632)に埋め込まれた41個の第1の双極子磁石(6311、・・・、63141)を備えた第1の磁界発生装置(630)と、磁気軸が基板(620)と実質的に平行で、第2の支持マトリクス(642)に埋め込まれた第2の双極子磁石(641)を備えた第2の磁界発生装置(640)と、を備え、41個の第1の双極子磁石(6311、・・・、63141)がそれぞれ、特に、それぞれの中心が、9本の平行な直線αi(i=1、・・・、9)(α1~α9)及び9本の平行な直線βj(j=1、・・・、9)(β1~β9)を含む格子の交差点上に配置され、前記直線αiが直線βjと垂直であり、第1の双極子磁石(6311、・・・、63141)及び第2の双極子磁石(642)が、各直線αi及び当該第2の双極子磁石(641)の磁気軸のベクトル和Hが値0°の角度γを成す、すなわち、各直線αi及びベクトル和Hが互いに平行となるように配置されている、磁気アセンブリ(600)を模式的に示した図である。
比較としての光学効果層(OEL)を基板(620)上に生成するための磁気アセンブリ(600)であって、N極が同じ方向を向き、磁気軸が基板(620)表面と実質的に平行となるように配向し、第1の支持マトリクス(632)に埋め込まれた41個の第1の双極子磁石(6311、・・・、63141)を備えた第1の磁界発生装置(630)と、磁気軸が基板(620)と実質的に平行で、第2の支持マトリクス(642)に埋め込まれた第2の双極子磁石(641)を備えた第2の磁界発生装置(640)と、を備え、41個の第1の双極子磁石(6311、・・・、63141)がそれぞれ、特に、それぞれの中心が、9本の平行な直線αi(i=1、・・・、9)(α1~α9)及び9本の平行な直線βj(j=1、・・・、9)(β1~β9)を含む格子の交差点上に配置され、前記直線αiが直線βjと垂直であり、第1の双極子磁石(6311、・・・、63141)及び第2の双極子磁石(642)が、各直線αi及び当該第2の双極子磁石(641)の磁気軸のベクトル和Hが値0°の角度γを成す、すなわち、各直線αi及びベクトル和Hが互いに平行となるように配置されている、磁気アセンブリ(600)を模式的に示した図である。
光学効果層(OEL)を基板(620)上に生成するための磁気アセンブリ(700)であって、N極が同じ方向を向き、磁気軸が基板(720)表面と実質的に平行となるように配向し、第1の支持マトリクス(732)に埋め込まれた41個の第1の双極子磁石(7311、・・・、73141)を備えた第1の磁界発生装置(730)と、磁気軸が基板(720)と実質的に平行で、第2の支持マトリクス(742)に埋め込まれた第2の双極子磁石(741)を備えた第2の磁界発生装置(740)と、を備え、41個の第1の双極子磁石(7311、・・・、73141)がそれぞれ、特に、それぞれの中心が、9本の直線αi(i=1、・・・、9)(α1~α9)及び9本の直線βj(j=1、・・・、9)(β1~β9)を含む格子の交差点上に配置され、前記直線αiが直線βjと垂直であり、第1の双極子磁石(7311、・・・、73141)及び第2の双極子磁石(742)が、各直線αi及び当該第2の双極子磁石(741)の磁気軸のベクトル和Hが値60°の角度γを成す、すなわち、各直線αi及びベクトル和Hが互いに実質的に非平行及び実質的に非垂直となるように配置されている、磁気アセンブリ(700)を模式的に示した図である。
光学効果層(OEL)を基板(620)上に生成するための磁気アセンブリ(700)であって、N極が同じ方向を向き、磁気軸が基板(720)表面と実質的に平行となるように配向し、第1の支持マトリクス(732)に埋め込まれた41個の第1の双極子磁石(7311、・・・、73141)を備えた第1の磁界発生装置(730)と、磁気軸が基板(720)と実質的に平行で、第2の支持マトリクス(742)に埋め込まれた第2の双極子磁石(741)を備えた第2の磁界発生装置(740)と、を備え、41個の第1の双極子磁石(7311、・・・、73141)がそれぞれ、特に、それぞれの中心が、9本の直線αi(i=1、・・・、9)(α1~α9)及び9本の直線βj(j=1、・・・、9)(β1~β9)を含む格子の交差点上に配置され、前記直線αiが直線βjと垂直であり、第1の双極子磁石(7311、・・・、73141)及び第2の双極子磁石(742)が、各直線αi及び当該第2の双極子磁石(741)の磁気軸のベクトル和Hが値60°の角度γを成す、すなわち、各直線αi及びベクトル和Hが互いに実質的に非平行及び実質的に非垂直となるように配置されている、磁気アセンブリ(700)を模式的に示した図である。
光学効果層(OEL)を基板(820)上に生成するための磁気アセンブリ(800)であって、N極が同じ方向を向き、磁気軸が基板(820)表面と実質的に平行となるように配向し、第1の支持マトリクス(832)に埋め込まれた41個の第1の双極子磁石(8311、・・・、83141)を備えた第1の磁界発生装置(830)と、磁気軸が基板(820)と実質的に平行で、第2の支持マトリクス(842)に埋め込まれた2つの第2の双極子磁石(8411、8412)を備えた第2の磁界発生装置(840)と、を備え、41個の第1の双極子磁石(8311、・・・、83141)がそれぞれ、特に、それぞれの中心が、9本の直線αi(i=1、・・・、9)(α1~α9)及び9本の直線βj(j=1、・・・、9)(β1~β9)を含む格子の交差点上に配置され、前記直線αiが直線βjと垂直であり、第1の双極子磁石(8311、・・・、83141)及び第2の双極子磁石(8411、8412)が、各直線αi及び当該第2の双極子磁石(841)の磁気軸のベクトル和Hが値45°の角度γを成す、すなわち、各直線αi及びベクトル和Hが互いに実質的に非平行及び実質的に非垂直となるように配置されている、磁気アセンブリ(800)を模式的に示した図である。
図6~図8に示す装置を用いて得られたOELを図9Aに示すような-20°~+20°の様々な視角で見た写真である。
図6~図8に示す装置を用いて得られたOELを図9Aに示すような-20°~+20°の様々な視角で見た写真である。
図6~図8に示す装置を用いて得られたOELを図9Aに示すような-20°~+20°の様々な視角で見た写真である。
図6~図8に示す装置を用いて得られたOELを図9Aに示すような-20°~+20°の様々な視角で見た写真である。
詳細な説明
定義
[014]以下の定義は、本明細書に採用の用語及び特許請求の範囲に列挙の用語の意味に当てはまる。
[015]本明細書において、不定冠詞「a」は、1つ及び2つ以上を示し、必ずしもその指示対象の名詞を単数に限定するものではない。
[016]本明細書において、用語「およそ(about)」は、対象とする量又は値が指定された特定の値又はその近傍の他の値であってもよいことを意味する。一般的に、ある値を示す用語「およそ」は、その値の±5%の範囲を示すことを意図している。一例として、表現「およそ100」は、100±5の範囲すなわち95~105の範囲を示す。一般的に、用語「およそ」を使用する場合は、本発明に係る類似の結果又は効果が指定値の±5%の範囲で得られることが予想され得る。
[017]用語「実質的に平行(substantially parallel)」/「実質的に非平行(substantially non-parallel)」は、平行整列からの逸脱が10°以下であることを表し、用語「実質的に垂直(substantially perpendicular)」/「実質的に非垂直(substantially non-perpendicular)」は、垂直整列からの逸脱が10°以下であることを表す。
[018]本明細書において、用語「及び/又は(and/or)」は、この用語がつなぐ要素の両者又は1つだけが存在することを意味する。例えば、「A及び/又はB」は、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBの両者」を意味するものとする。「Aのみ」の場合、この用語は、Bが存在しない可能性すなわち「AのみであってBではない」という可能性も網羅している。
[019]本明細書において、用語「備える(具備する、含む)(comprising)」は、非排他的且つオープンエンドであることを意図している。したがって、例えば化合物Aを含む溶液組成物は、A以外の化合物を含んでいてもよい。ただし、用語「備える(具備する、含む)(comprising)」は、その特定の一実施形態として、「~から本質的に成る(consisting essentially of)」及び「~から成る(consisting of)」というより限定的な意味も網羅するため、例えば「A、B、及び任意選択としてCを含む組成物」は、A及びBから(本質的に)成っていてもよいし、A、B、及びCから(本質的に)成っていてもよい。
[020]用語「コーティング組成物(coating composition)」は、本明細書に記載のコーティング、特に、光学効果層(OEL)を固体基板上に形成可能であるとともに、印刷法によって好適且つ非排他的に塗布可能な任意の組成物を表す。本明細書に記載のコーティング組成物は、少なくとも複数の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子及びバインダを含む。
[021]本明細書において、用語「光学効果層(optical effect layer:OEL)」は、少なくとも複数の磁気配向非球状磁性又は磁化可能顔料粒子及びバインダを含み、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子が前記バインダ内で所定の位置及び配向に固定又は停止(固定/停止)された層を示す。
[022]本開示の背景において、「顔料粒子」は、インクにもコーティング組成物にも不溶で、特定のスペクトル特性(例えば、不透明性、色、又は変色)をコーティング組成物に与える粒子状物質を表す。
[023]本発明の背景において、用語「磁気軸(magnetic axis)」は、磁石のN極(「N」及び/又は暗灰色により示される)及びS極(「S」及び/又は明灰色により示される)を接続し、S極からN極に向かう単位ベクトルを示す(Handbook of Physics,Springer 2002の463頁)。図6A、図7A、及び図8において、第2の双極子磁石の磁気軸は、N極に対応する終端を有する矢印によって示されている。
[024]本発明の背景において、用語「ベクトル和(vector sum)」は、ベクトル幾何学の法則に従って2つ以上の磁気軸を足し合わせた結果としてのベクトルを示す。
[025]本明細書において、用語「少なくとも(at least)」は、決定量以上を規定するものであり、例えば、「少なくとも1つ」は、1つ、2つ、又は3つ等を意味する。
[026]用語「セキュリティ文書(security document)」は、少なくとも1つのセキュリティフィーチャにより偽造又は不正に対して保護される文書を表す。セキュリティ文書の例としては、通貨、有価文書、身分証明書類等が挙げられるが、これらに限定されない。
[027]用語「セキュリティフィーチャ(security feature)」は、それを有する文書又は物品の認証に使用可能な公然又は秘密の像、パターン、又は図形要素を示す。
[028]本明細書において「好適な」実施形態/特徴に言及する場合は、これら「好適な」実施形態/特徴の組合せについても、その組合せが技術的に有意である限り開示されているものと考えられる。
[029]本発明は、固化/硬化材料内に分散した複数の非ランダム配向非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む光学効果層(OEL)を生成するための磁気アセンブリ(x00)及び当該磁気アセンブリ(x00)を使用するプロセス、並びに、それらにより得られる光学効果層(OEL)を提供する。前記磁性又は磁化可能顔料粒子の配向パターンにより、本明細書に記載の光学効果層OELは、当該OELを有する基板が垂直/縦軸周りに傾斜している場合に複数の暗点及び複数の明点が対角方向に移動及び/又は出現及び/又は消失するのみならず、当該OELを有する基板が水平/横軸周りに傾斜している場合にも対角方向に移動及び/又は出現及び/又は消失する光学的印象を与える。言い換えると、本明細書に記載の光学効果層OELは、当該OELを有する基板が2つの垂直軸すなわち水平/横軸及び垂直/縦軸周りに傾斜している場合に複数の暗点及び複数の明点が2つの方向(縦方向及び横方向)に移動、出現、及び/又は消失する光学的印象を与える。
[030]本明細書に記載の磁気アセンブリ(x00)によれば、OELを本明細書に記載の基板(x20)上に生成可能であり、前記磁気アセンブリ(x00)は、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の配向によって本明細書に記載のOELを生成するのに用いられる。本明細書に記載の磁気アセンブリ(x00)は、少なくともa)本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)及びb)本明細書に記載の第2の磁界発生装置(x40)の相互作用に基づき、これらは相互に捩れた磁気軸を有する。すなわち、これらの磁気軸は、互いに実質的に非平行且つ互いに実質的に非垂直である。
[031]第2の磁界発生装置(x40)は、第1の磁界発生装置(x30)の下方に配設されている。言い換えると、本明細書に記載の光学効果層(OEL)を生成するためのプロセスにおいて、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含むコーティング層(x10)を有する基板(x20)は、第1の磁界発生装置(x30)の上に配設され、前記第1の磁界発生装置(x30)は、第2の磁界発生装置(x40)の上に配設されている。第1の磁界発生装置(x30)及び第2の磁界発生装置(x40)は、実質的に互いの中心が合っているのが好ましい。すなわち、本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)及び第2の磁界発生装置(x40)は、積み重ねられており、同軸に配置されているのが好ましい。
[032]本明細書に記載の磁気アセンブリ(x00)は、本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)を備えており、前記第1の磁界発生装置(x30)は、本明細書に記載の第1の支持マトリクス(x32)に一部又は全部が埋め込まれた4つ以上の第1の双極子磁石(x31)を備える。例えば図1~図8に示すように、第1の双極子磁石(x31)はそれぞれ、特に、それぞれの中心(Cx31)は、格子の交差点上に配置されており、前記格子は、少なくとも2本の実質的に平行な直線αi及び少なくとも2本の実質的に平行な直線βjを含む(iは1、2等、jは1、2等)。本明細書に記載の格子は、互いに交差することにより、形状が正方形、長方形、又は平行四辺形のセルを形成する直線αi及びβjから成るパターンに対応する。一実施形態によれば、例えば図1~図5に示すように、第1の双極子磁石(x31)はそれぞれ、特に、それぞれの中心(Cx31)は、格子の交差点上に配置されており、前記格子の交差点はそれぞれ、第1の双極子磁石(x31)を含む。別の実施形態によれば、例えば図6A、図7A、及び図8に示すように、第1の双極子磁石(x31)はそれぞれ、特に、それぞれの中心(Cx31)は、格子の交差点上に配置されているが、前記格子の交差点のいくつかは、第1の双極子磁石(x31)を含まない。
[033]少なくとも2つの第1の双極子磁石(x31)、特に、それぞれの中心(Cx31)が実質的に平行な直線αiのうちの1本の上に配設され、少なくとも2つの他の第1の双極子磁石(x31)、特に、それぞれの中心(Cx31)が実質的に平行な直線αiのうちの別の1本の上に配設されている。言い換えると、実質的に平行な各直線αi上には、少なくとも2つの第1の双極子磁石(x31)が存在する。
[034]第1の双極子磁石(x31)、特に、それぞれの中心(Cx31)が、本明細書に記載の少なくとも2本の実質的に平行な直線αi及び少なくとも2本の実質的に平行な直線βjを含む格子の交差点上に配設され、直線αiが直線βjと交差することから、第1の双極子磁石(x31)、特に、それぞれの中心(Cx31)も直線βj上に配設されている。
[035]図1A及び図1Bにおいて、第1の磁界発生装置(130)は、第1の支持マトリクス(132)に埋め込まれた4つの第1の双極子磁石(1311-1、1311-2、1312-1、1312-2)を備え、前記第1の双極子磁石(1311-1、1311-2、1312-1、1312-2)は、2本の実質的に平行な直線αi(α1、α2)及び2本の実質的に平行な直線βj(β1、β2)を含む格子の交差点上に配設されている。図2A及び図2Bにおいて、第1の磁界発生装置(230)は、第1の支持マトリクス(232)に埋め込まれた6つの第1の双極子磁石(2311-1、2311-2、2311-3、2312-1、2312-2、2312-3)を備え、前記第1の双極子磁石(2311-1、2311-2、2311-3、2312-1、2312-2、2312-3)は、2本の実質的に平行な直線αi(α1、α2)及び3本の実質的に平行な直線βj(β1、β2、β3)を含む格子の交差点上に配設されている。図3A及び図3Bにおいて、第1の磁界発生装置(330)は、第1の支持マトリクス(332)に埋め込まれた6つの第1の双極子磁石(3311-1、3311-2、3312-1、3312-2、3313-1、3313-2)を備え、前記第1の双極子磁石(3311-1、3311-2、3312-1、3312-2、3313-1、3313-2)は、3本の実質的に平行な直線αi(α1、α2、α3)及び2本の実質的に平行な直線βj(β1、β2)を含む格子の交差点上に配設されている。図4A及び図4Bにおいて、第1の磁界発生装置(430)は、第1の支持マトリクス(432)に埋め込まれた9つの第1の双極子磁石(4311-1、4311-2、4311-3、4312-1、4312-2、4312-3、4313-1、4313-2、4313-3)を備え、前記第1の双極子磁石(4311-1、4311-2、4311-3、4312-1、4312-2、4312-3、4313-1、4313-2、4313-3)は、3本の実質的に平行な直線αi(α1、α2、α3)及び3本の実質的に平行な直線βj(β1、β2、β3)を含む格子の交差点上に配設されている。
[036]実質的に平行な直線αiは、互いに実質的に平行であり、実質的に平行な直線βjは、互いに実質的に平行である。例えば図1A、図2A、図3A、及び図4Aに示す一実施形態によれば、前記直線αiは、前記直線βjと実質的に垂直である。すなわち、直線αiと直線βjとの間に形成される角度は、90°であるため、形状が正方形又は長方形のセルを含む格子を形成する。例えば図1B、図2B、図3B、及び図4Bに示す別の実施形態によれば、前記直線αiは、前記直線βjと実質的に垂直ではない。すなわち、直線αiと直線βjとの間に形成される角度は、90°ではないため、形状が平行四辺形のセルを含む格子を形成する。
[037]例えば図1A及び図1Bに示す一実施形態によれば、少なくとも4つの第1の双極子磁石(x31)が第1の磁界発生装置(x30)に含まれ、第1の双極子磁石(x31)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(Cx31)が、少なくとも2本の実質的に平行な直線αi(α1、α2)及び少なくとも2本の実質的に平行な直線βj(β1、β2)の交差点上に配置され、直線αiが互いに実質的に平行であり、直線βjが互いに実質的に平行であり、直線αi及びβjが格子(すなわち、2本の実質的に平行な直線αi(α1、α2)及び2本の実質的に平行な直線βj(β1、β2)を含む格子)を形成する。少なくとも2つの第1の双極子磁石(x31)、特に、それぞれの中心(Cx31)は、直線αiのうちの1本(α1)の上に配設され、少なくとも2つの他の第1の双極子磁石(x31)は、直線αiのうちの別の1本(α2)の上に配設されている。
[038]例えば図2A及び図2Bに示す別の実施形態によれば、少なくとも6つの第1の双極子磁石(x31)が第1の磁界発生装置(x30)に含まれ、第1の双極子磁石(x31)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(Cx31)が、少なくとも2本の実質的に平行な直線αi(α1、α2)及び少なくとも3本の実質的に平行な直線βj(β1、β2、β3)の交差点上に配置され、直線αi及びβjが格子(すなわち、2本の実質的に平行な直線αi(α1、α2)及び3本の実質的に平行な直線βj(β1、β2)を含む格子)を形成する。少なくとも3つの双極子磁石(x31)、特に、それぞれの中心(Cx31)は、直線αiのうちの1本(α1)の上に配設され、少なくとも3つの他の第1の双極子磁石(x31)は、直線αiのうちの別の1本(α2)の上に配設されている。
[039]例えば図3A及び図3Bに示す別の実施形態によれば、少なくとも6つの第1の双極子磁石(x31)が第1の磁界発生装置(x30)に含まれ、第1の双極子磁石(x31)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(Cx31)が、少なくとも3本の実質的に平行な直線αi(α1、α2、α3)及び少なくとも2本の実質的に平行な直線βj(β1、β2)の交差点上に配置され、直線αi及びβjが格子(すなわち、3本の実質的に平行な直線αi(α1、α2、α3)及び2本の実質的に平行な直線βj(β1、β2)を含む格子)を形成する。少なくとも2つの第1の双極子磁石(x31)、特に、それぞれの中心(Cx31)は、直線αiのうちの1本(α1)の上に配設され、少なくとも2つの他の第1の双極子磁石(x31)は、直線αiのうちの別の1本(α2)の上に配設され、少なくとも2つの他の第1の双極子磁石(x31)は、直線αiのうちのさらに別の1本(α3)の上に配設されている。
[040]例えば図4A及び図4Bに示す別の実施形態によれば、少なくとも9つの第1の双極子磁石(x31)が第1の磁界発生装置(x30)に含まれ、第1の双極子磁石(x31)がそれぞれ、特に、それぞれの中心(Cx31)が、少なくとも3本の実質的に平行な直線αi(α1、α2、α3)及び少なくとも3本の実質的に平行な直線βj(β1、β2、β3)の交差点上に配置され、直線αi及びβjが格子(すなわち、3本の実質的に平行な直線αi(α1、α2、α3)及び3本の実質的に平行な直線βj(β1、β2、β3)を含む格子)を形成する。少なくとも3つの第1の双極子磁石(x31)、特に、それぞれの中心(Cx31)は、直線αiのうちの1本(α1)の上に配設され、少なくとも3つの他の第1の双極子磁石(x31)は、直線αiのうちの別の1本(α2)の上に配設され、少なくとも3つの他の第1の双極子磁石(x31)は、直線αiのうちのさらに別の1本(α3)の上に配設されている。
[041]格子が3本以上の実質的に平行な直線αiを含む場合、隣り合う直線αi間の距離は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。図3A、図3B、図4A、図4B、及び図5において、隣り合う直線αi間の距離d1及びd2(すなわち、α1とα2との間の距離d1及びα2とα3との間の距離d2)は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
[042]格子が3本以上の実質的に平行な直線βjを含む場合、隣り合う直線βj間の距離は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。図2A、図2B、図4A、図4B、及び図5において、隣り合う直線βj間の距離e1及びe2(すなわち、β1とβ2との間の距離e1及びβ2とβ3との間の距離e2)は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
[043]2本の実質的に平行な直線αi間の距離及び2本の実質的に平行な直線βj間の距離は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
[044]本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)の第1の双極子磁石(x31)はすべて、N極が同じ方向を向き、磁気軸が第1の平面(P)と実質的に平行となるように配向している(すなわち、磁気アセンブリ(x00)が本明細書に記載のプロセスに使用される場合、磁気軸が基板(x20)表面と実質的に平行となるように配向している)。第1の双極子磁石(x31)すべての磁気軸は、実質的に平行な直線αiと実質的に平行に配向している。
[045]各直線αi及び/又は各直線βj上において、本明細書に記載の第1の双極子磁石(x31)は、互いに離隔している。すなわち、隣り合っていない。第1の双極子磁石はそれぞれ、0より大きな間隙すなわち距離だけ、それぞれの隣り合う磁石から分離されている。
[046]一実施形態によれば、各直線αi上において、本明細書に記載の第1の双極子磁石(x31)は、互いに離隔している。すなわち、隣り合っていない。第1の双極子磁石はそれぞれ、0より大きな間隙すなわち距離、好ましくはおよそ0.1mm~10mmの間隙すなわち距離、より好ましくはおよそ0.2mm~6mmの間隙すなわち距離だけ、それぞれの隣り合う磁石から分離されている。一実施形態によれば、各直線βj上において、本明細書に記載の第1の双極子磁石(x31)は、互いに離隔している。すなわち、隣り合っていない。第1の双極子磁石はそれぞれ、0より大きな間隙すなわち距離、好ましくはおよそ0.1mm~10mmの間隙すなわち距離、より好ましくはおよそ0.2mm~6mmの間隙すなわち距離だけ、それぞれの隣り合う磁石から分離されている。一実施形態によれば、各直線αi及び各直線βj上において、本明細書に記載の第1の双極子磁石(x31)は、互いに離隔している。すなわち、隣り合っていない。第1の双極子磁石はそれぞれ、0より大きな間隙すなわち距離だけ、それぞれの隣り合う磁石から分離されており、前記距離は独立して、好ましくはおよそ0.1mm~10mm、独立してより好ましくはおよそ0.2mm~6mmである。
[047]本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)の第1の双極子磁石(x31)は、同じ形状であってもよく、同じ寸法であってもよく、また、同じ材料で構成されていてもよい。
[048]例えば図1A及び図1Bに示す一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)は、2本の実質的に平行な直線αi(α1、α2)及び2本の実質的に平行な直線βj(β1、β2)を含む格子の交差点上に配置され、N極が同じ方向を向き、磁気軸が第1の平面(P)(すなわち、基板(x20)表面)と実質的に平行となるように配向した少なくとも4つの第1の双極子磁石x31i(x311、x312、・・・)を備える。少なくとも4つの第1の双極子磁石x31i(x311、x312、・・・)は、それぞれの中心(Cx31)が格子の交差点上に配置されている。直線αi(α1、α2)は、直線βj(β1、β2)と実質的に垂直である場合(図1A参照)又は直線βj(β1、β2)と実質的に垂直ではない場合(図1B参照)のいずれかである。
[049]例えば図2A及び図2Bに示す一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)は、2本の実質的に平行な直線αi(α1、α2)及び3本の実質的に平行な直線βj(β1、β2、β3)を含む格子の交差点上に配置され、N極が同じ方向を向き、磁気軸が第1の平面(P)(すなわち、基板(x20)表面)と実質的に平行となるように配向した少なくとも6つの第1の双極子磁石x31i(x31)を備える。少なくとも6つの第1の双極子磁石x31i(x311、x312、・・・)は、それぞれの中心(Cx31)が格子の交差点上に配置されている。直線αi(α1、α2)は、直線βj(β1、β2、β3)と実質的に垂直である場合(図2A参照)又は直線βj(β1、β2、β3)と実質的に垂直ではない場合(図2B参照)のいずれかである。
[050]例えば図3A及び図3Bに示す一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)は、3本の実質的に平行な直線αi(α1、α2、α3)及び2本の実質的に平行な直線βj(β1、β2)を含む格子の交差点上に配置され、N極が同じ方向を向き、磁気軸が第1の平面(P)(すなわち、基板(x20)表面)と実質的に平行となるように配向した少なくとも6つの第1の双極子磁石x31i(x31)を備える。少なくとも6つの第1の双極子磁石x31i(x311、x312、・・・)は、それぞれの中心(Cx31)が格子の交差点上に配置されている。直線αi(α1、α2、α3)は、直線βj(β1、β2)と実質的に垂直である場合(図3A参照)又は直線βj(β1、β2)と実質的に垂直ではない場合(図3B参照)のいずれかである。
[051]例えば図4A及び図4Bに示す一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)は、3本の実質的に平行な直線αi(α1、α2、α3)及び3本の実質的に平行な直線βj(β1、β2、β3)を含む格子の交差点上に配置され、N極が同じ方向を向き、磁気軸が第1の平面(P)(すなわち、基板(x20)表面)と実質的に平行となるように配向した少なくとも9つの第1の双極子磁石x31i(x31)を備える。少なくとも9つの第1の双極子磁石x31i(x311、x312、・・・)は、それぞれの中心(Cx31)が格子の交差点上に配置されている。直線αi(α1、α2、α3)は、直線βj(β1、β2、β3)と実質的に垂直である場合(図4A参照)又は直線βj(β1、β2、β3)と実質的に垂直ではない場合(図4B参照)のいずれかである。
[052]本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)は、本明細書に記載の第1の双極子磁石(x31)及び本明細書に記載の第1の支持マトリクス(x32)のほか、前記第1の支持マトリクス(x32)に一部又は全部が埋め込まれた1つ又は複数の第3の双極子磁石(x33)をさらに備えていてもよく、前記1つ又は複数の第3の棒状双極子磁石(x33)は、磁気軸が第1の平面(P)(すなわち、基板(x20)表面)と実質的に平行となるように配向しており、前記1つ又は複数の第3の双極子磁石(x33)並びに前記第1の双極子磁石(x31)は、N極が異なる方向を向いている。本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)が2つ以上の第3の双極子磁石(x33)を備える実施形態の場合、前記2つ以上の第3の棒状双極子磁石(x33)は、N極が同じ方向を向き、磁気軸が第1の平面(P)(すなわち、基板(x20)表面)と実質的に平行となるように配向しており、前記2つ以上の第3の双極子磁石(x33)及び前記第1の双極子磁石(x31)は、N極が異なる方向を向いている。図5に例示の実施形態によれば、第3の双極子磁石(x33)の数は、(直線αの数-1)×(直線βの数-1)である。すなわち、図5Aにおいては(2-1)×(2-1)=1、図5B~図5Dにおいては(3-1)×(3-1)=4である。
[053]1つ又は複数の第3の双極子磁石(x33)は、2本以上の実質的に平行な直線αi及び2本以上の実質的に平行な直線βjを含む本明細書に記載の格子内に配設されるとともに、本明細書に記載の格子の前記2本以上の直線αi及びβjの交差点とは異なる位置に配設されている。本明細書に記載の1つ又は複数の第3の双極子磁石(x33)は、同じ形状であってもよく、同じ寸法であってもよく、また、同じ材料で構成されていてもよい。本明細書に記載の1つ又は複数の第3の双極子磁石(x33)は、第1の双極子磁石(x31)と同じ形状であってもよく、同じ寸法であってもよく、また、同じ材料で構成されていてもよい。
[054]図5Aに示す一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)は、1つ又は複数の第3の双極子磁石(x33)を備える。例えば図5B~図5Dに示す別の実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)は、4つ以上の第3の双極子磁石(x33)を備え、前記第3の双極子磁石(x33)は、非対称構成(図5B参照)又は対称構成(図5C及び図5D参照)で格子内に配設される。
[055]例えば図5C及び図5Dに示す一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)は、4つ以上の第3の双極子磁石(x33)を備え、少なくとも2つの第3の双極子磁石(x33)がある直線σk上に配設され、少なくとも2つの他の第3の双極子磁石(x33)が別の直線σk上に配設され、前記直線σkが互いに実質的に平行である。
[056]例えば図5C及び図5Dに示す一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)は、少なくとも9つの第1の双極子磁石(x31)及び少なくとも4つの第3の双極子磁石(x33)を備える。第1の双極子磁石(x31)は、3本の実質的に平行な直線αi(α1、α2、α3)及び3本の実質的に平行な直線βj(β1、β2、β3)を含む格子の交差点上に配置され、直線αi(α1、α2、α3)が直線βj(β1、β2、β3)と実質的に垂直である。第3の双極子磁石(x33)は、2本の実質的に平行な直線σk(k=1、2)(σ1、σ2)及び2本の実質的に平行な直線τl(l=1、2)(τ1、τ2)を含む別の格子の交差点上に配置されている。直線σkは、αiに対して実質的に平行であるのが好ましい。実質的に平行な直線τlは、(図5Dに示すように)実質的に平行な直線βjに対して実質的に平行であってもよいし、(図5Cに示すように)実質的に平行な直線βjに対して実質的に非平行であってもよい。3つの第1の双極子磁石(x31)が直線αiのうちの1本の上に配設され、3つの第1の双極子磁石(x31)が直線αiのうちの別の1本の上に配設され、3つの別の第1の双極子磁石(x31)が直線αiのうちのさらに別の1本の上に配設されている。2つの第3の双極子磁石(x33)が直線σkのうちの1本の上に配設され、前記第3の双極子磁石(x33)のうちの2つが直線σkのうちの別の1本の上に配設されている。第1の双極子磁石(x31)は、N極が同じ方向を向き、磁気軸が基板(x20)表面と実質的に平行となるように配向している。第3の双極子磁石(x33)は、N極が同じ方向を向き、磁気軸が基板(x20)表面と実質的に平行となるように配向しており、前記第3の双極子磁石(x33)及び前記第1の双極子磁石(x31)は、N極が異なる方向を向いている。2本の隣り合う実質的に平行な直線αi間の距離は、同じである(すなわち、d1がd2に等しい)のが好ましく、2本の実質的に平行な直線σk(σ1、σ2)間の距離は、2本の隣り合う実質的に平行な直線αi間の距離(d1、d2)と同じであるのが好ましい。2本の隣り合う実質的に平行な直線βj間の距離は、同じである(すなわち、e1がe2に等しい)のが好ましく、2本の隣り合う平行直線τl間の距離は、2本の隣り合う直線βj間の距離(e1、e2)と同じであるのが好ましい。
[057]本明細書に記載の通り、本明細書に記載の第1の支持マトリクス(x32)は、本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)の離隔した第1の双極子磁石(x31)並びに任意選択としての1つ若しくは複数の第3の双極子磁石(x33)を一体的に保持するのに用いられる。
[058]磁気アセンブリ(x00)は、磁気軸が第1の平面(P)と実質的に平行となるように配向し、本明細書に記載の第2の支持マトリクス(x42)に一部又は全部が埋め込まれた1つ又は複数の第2の双極子磁石(x41)を備えた本明細書に記載の第2の磁界発生装置(x40)を備える。
[059]一実施形態によれば、第2の磁界発生装置(x40)は、第2の双極子磁石(x41)を1つ備える。別の実施形態によれば、第2の磁界発生装置(x40)は、磁気軸が第1の平面(P)と実質的に平行となるようにそれぞれ配向した2つ以上の第2の双極子磁石(x41)を備える。第2の磁界発生装置(x40)が本明細書に記載の2つ以上の第2の双極子磁石(x41)を備える実施形態の場合は、前記2つの第2の双極子磁石の一方が他方の上に配設されるのが好ましく、前記2つ以上の第2の双極子磁石(x41)は、互いの中心が合っているのが好ましい。すなわち、本明細書の2つ以上の第2の双極子磁石(x41)は、積み重ねられており、同軸に配置されているのがさらに好ましい。第2の磁界発生装置(x40)が本明細書に記載の2つ以上の第2の双極子磁石(x41)を備える実施形態の場合、前記2つ以上の第2の双極子磁石は、N極が同じ方向を向いていてもよいし、N極が異なる方向を向いていてもよい(例えば、図8参照)。N極が同じ方向を向いている2つ以上の第2の双極子磁石(x41)を第2の磁界発生装置(x40)が備える実施形態の場合、前記2つ以上の第2の双極子磁石(x41)は、重なり合って配設されていてもよいし、並んで配置されていてもよく、また、離隔していてもよいが、直接接触しているのが好ましい。N極が異なる方向を向いている2つ以上の第2の双極子磁石(x41)を第2の磁界発生装置(x40)が備える実施形態の場合、前記2つ以上の第2の双極子磁石(x41)は、重なり合って配設されているのが好ましく、また、直接接触しているのが好ましい。例えば図8に示す一実施形態によれば、第2の磁界発生装置(x40)は、本明細書に記載の2つの第2の双極子磁石(x41)を備えており、前記2つの第2の双極子磁石(x41)はそれぞれ、磁気軸が第1の平面(P)と実質的に平行となるように配向し、N極が異なる方向を向き、前記2つの第2の双極子磁石の一方が他方の上に配設され、前記2つ以上の第2の双極子磁石(x41)は互いの中心が合っており、直接接触しているのが好ましい。第2の磁界発生装置(x40)が本明細書に記載の2つ以上の第2の双極子磁石(x41)を備える実施形態の場合、前記2つの第2の双極子磁石は、同じ形状で、同じ寸法を有し、同じ材料で構成されていてもよいし、異なっていてもよい。
[060]本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)の第1の支持マトリクス(x32)及び第2の磁界発生装置(x40)の第2の支持マトリクス(x42)の形状は独立して、ディスク又は正多角形(角丸の有無は任意)であってもよいし、非正多角形(角丸の有無は任意)であってもよい。本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)の第1の支持マトリクス(x32)及び第2の磁界発生装置(x40)の第2の支持マトリクス(x42)は独立して、1つ又は複数の非磁性材料で構成されている。非磁性材料は、非磁性金属、産業用プラスチック、及びポリマーから成る群から選択されるのが好ましい。非磁性金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、真鍮(銅及び亜鉛の合金)、チタン、チタン合金、及びオーステナイト鋼(すなわち、非磁性鋼)が挙げられるが、これらに限定されない。産業用プラスチック及びポリマーとしては、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)とその誘導体であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、及びポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、コポリエーテルエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)コポリマー、フッ素化及び過フッ素化ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、並びに液晶ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい材料は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリオキシメチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ナイロン(Nylon)(登録商標)(ポリアミド)、及びPPSである。
[061]第1の磁界発生装置(x30)の磁気軸及び第2の磁界発生装置(x40)の磁気軸は、前記光学効果層(OEL)が生成される基板(x20)表面と実質的に平行で、相互に捩れている。
[062]本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)は、1つ又は複数の第1の双極子磁石(x31)の磁気軸のベクトル和H1を有し、本明細書に記載の第2の磁界発生装置(x40)は、1つ又は複数の第2の双極子磁石(x41)の磁気軸のベクトル和H2を有する。
[063]各直線αi及び第2の磁界発生装置(x40)の1つ又は複数の第2の双極子磁石(x41)の磁気軸のベクトル和H2は、互いに実質的に非平行及び実質的に非垂直である。言い換えると、[017]を参照して、各直線αi並びに1つ若しくは複数の第2の双極子磁石(x41)の磁気軸のベクトル和H2は、およそ10°~およそ80°の範囲、およそ100°~およそ170°の範囲、およそ190°~およそ260°の範囲、又はおよそ280°~およそ350°の範囲の角度γを成す。
[064]第1の磁界発生装置(x30)の第1の双極子磁石(x31)の磁気軸がそれぞれ、実質的に平行な直線αiに沿って配向していることから、各直線αi上においては、前記直線αi上に配置された第1の磁石(x31)すべてのベクトル和が前記直線αiと平行であり、第1の磁界発生装置(x30)の第1の磁石(x31)すべてのベクトル和H1が前記直線αiと平行である。
[065]第2の磁界発生装置(x40)が第2の双極子磁石(x41)を1つ備える実施形態において、第1の磁界発生装置(x30)を構成する第1の双極子磁石(x31)の磁気軸のベクトル和H1及び第2の磁界発生装置(x40)の第2の双極子磁石(x41)のベクトル和H2は、基板(x20)表面と実質的に平行で、相互に捩れている。これらの実施形態の場合、各直線αi及び第2の双極子磁石(x41)の磁気軸のベクトル和H2のほか、ベクトル和H1及びベクトル和H2は、互いに実質的に非平行及び実質的に非垂直である。
[066]第2の磁界発生装置(x40)が2つ以上の第2の双極子磁石(x41)を備える実施形態において、第1の磁界発生装置(x30)を構成する第1の双極子磁石(x31)の磁気軸のベクトル和H1並びに第2の磁界発生装置(x40)を構成する1つ若しくは複数の第2の双極子磁石(x41)のベクトル和H2は、基板(x20)表面と実質的に平行で、相互に捩れている。これらの実施形態の場合、各直線αi及び2つ以上の第2の双極子磁石(x41)の磁気軸のベクトル和H2のほか、ベクトル和H1及びベクトル和H2は、互いに実質的に非平行及び実質的に非垂直である。
[067]各直線αi及び第2の磁界発生装置(x40)のベクトル和H2は、基板(x20)表面と実質的に平行で、相互に捩れており(図7及び図8に示すように、両者間の角度がγで示される)、互いに実質的に非平行及び実質的に非垂直である。各直線αi及び第2の双極子磁石(x41)の磁気軸のベクトル和H2のほか、ベクトル和H1及びベクトル和H2は、互いに実質的に非平行及び実質的に非垂直であり、およそ20°~およそ70°の範囲、およそ110°~およそ160°の範囲、およそ200°~およそ250°の範囲、およそ290°~およそ340°の範囲を成すのが好ましく、およそ30°~およそ70°の範囲、およそ120°~およそ150°の範囲、およそ210°~およそ240°の範囲、又はおよそ300°~およそ330°の範囲の角度γを成すのがより好ましい。
[068]第1の磁界発生装置(x30)の第1の双極子磁石(x31)並びに第2の磁界発生装置(x40)の1つ若しくは複数の第2の双極子磁石(x41)は、高保磁力材料(強磁性材料とも称する)で独立して構成されているのが好ましい。好適な高保磁力材料は、エネルギー積の最大値(BH)maxが少なくとも20kJ/m3、好ましくは少なくとも50kJ/m3、より好ましくは少なくとも100kJ/m3、さらに好ましくは少なくとも200kJ/m3の材料である。これらは、例えばアルニコ5(R1-1-1)、アルニコ5DG(R1-1-2)、アルニコ5-7(R1-1-3)、アルニコ6(R1-1-4)、アルニコ8(R1-1-5)、アルニコ8HC(R1-1-7)、及びアルニコ9(R1-1-6)等のアルニコ、式MFe12O19のヘキサフェライト(例えば、ストロンチウムヘキサフェライト(SrO*6Fe2O3)又はバリウムヘキサフェライト(BaO*6Fe2O3)、式MFe2O4のハードフェライト(例えば、コバルトフェライト(CoFe2O4)又は磁鉄鉱(Fe3O4))(ただし、Mは二価金属イオン)、セラミック8(SI-1-5)から成る群から選択される1つ又は複数の焼結又はポリマー接合磁性材料、RECo5(RE=Sm又はPr)、RE2TM17(RE=Sm、TM=Fe、Cu、Co、Zr、Hf)、RE2TM14B(RE=Nd、Pr、Dy、TM=Fe、Co)から成る群から選択される希土類磁性材料、Fe、Cr、Coの異方性合金、PtCo、MnAlC、REコバルト5/16、REコバルト14から成る群から選択される材料で構成されているのが好ましい。双極子磁石の高保磁力材料は、好ましくは希土類磁性材料から成る群、より好ましくはNd2Fe14B及びSmCo5から成る群から選択されるのが好ましい。特に好ましいのは、ストロンチウムヘキサフェライト(SrFe12O19)又はネオジム/鉄/ホウ素(Nd2Fe14B)粉末等の永久磁石充填剤をプラスチック系又はゴム系マトリクスに含む加工が容易な永久磁石複合材である。
[069]第1の磁界発生装置(x30)の最上面と第1の磁界発生装置(x30)に対向する基板(x20)の最下面との間の距離(h1)は、好ましくはおよそ0.5mm~およそ10mmであり、より好ましくはおよそ0.5mm~およそ7mmであり、さらに好ましくはおよそ1mm~7mmである。本明細書に記載の第1の磁界発生装置(x30)の最下面と本明細書に記載の第2の磁界発生装置(x40)の最上面との間の距離(h2)は、好ましくはおよそ0~およそ10mmであり、より好ましくはおよそ0~およそ5mmであり、さらに好ましくは0である。
[070]本明細書に記載の磁気アセンブリ(x00)は、1つ又は複数の証印を表す1つ又は複数の表面起伏、彫刻、及び/又は切り欠きを備えた磁化板をさらに備えていてもよく、前記磁化板は、第1の磁界発生装置(x30)の上に配設されている。言い換えると、本明細書に記載の光学効果層(OEL)を生成するためのプロセスにおいて、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含むコーティング層(x10)を有する基板(x20)は、第1の磁界発生装置(x30)の上に配置されている前記磁化板の上に配設され、前記第1の磁界発生装置(x30)は、第2の磁界発生装置(x40)の上に配設されている。第1の磁界発生装置(x30)、第2の磁界発生装置(x40)、及び磁化板は、実質的に互いの中心が合っているのが好ましい。本明細書において、用語「証印(indicia)」は、デザイン及びパターンを意味するものとし、記号、英数字記号、モチーフ、文字、単語、数字、ロゴ、及び図画を含むが、これらに限定されない。証印を有する磁化板の1つ又は複数の表面起伏、彫刻、及び/又は切り欠きは、本明細書に記載の磁気アセンブリ(x00)により生成された磁界を局所的に修正することによって、非硬化状態のOELに転写される。本発明に関して本明細書に記載の1つ又は複数の表面起伏、彫刻、及び/又は切り欠きを含む磁化板(x60)の好適な例は、国際公開第2005/002866 A1号、国際公開第2008/046702 A1号、国際公開第2008/139373 A1号、国際公開第2018/019594 A1号、及び国際公開第2018/033512 A1号に見られる。
[071]本明細書に記載の1つ又は複数の彫刻及び/又は切り欠きを含む磁化板は、任意の機械的に加工可能な軟磁性又は硬磁性材料により構成されていてもよい。硬磁性材料としては、第1の磁界発生装置(x30)の第1の双極子磁石(x31)及び第2の磁界発生装置(x40)の第2の双極子磁石(x41)に関して上述したものが挙げられるが、これらに限定されない。軟磁性材料は、低保磁力及び高透磁率μを特徴とする。それぞれの保磁力は、高速の磁化及び減磁を可能にするため、IEC 60404-1:2000に従った測定で1000Am-1未満である。好適な軟磁性材料は、最大比透磁率μRmaxが少なくとも5である。ここで、比透磁率μRは、自由空間の透磁率μ0に対する材料の透磁率μである(μR=μ/μ0)(Magnetic Materials,Fundamentals and Applications,2nd Ed.,Nicola A.Spaldin,p.16-17,Cambridge University Press,2011)。軟磁性材料については、例えば(1)Handbook of Condensed Matter and Materials Data,Chap.4.3.2,Soft Magnetic Materials,p.758-793,and Chap.4.3.4,Magnetic Oxides,p.811-813,Springer 2005、(2)Ferromagnetic Materials,Vol.1,Iron,Cobalt and Nickel,p.1-70,Elsevier 1999、(3)Ferromagnetic Materials,Vol.2,Chap. 2,Soft Magnetic Metallic Materials,p.55-188,and Chap.3,Ferrites for non-microwave Applications,p.189-241,Elsevier 1999、(4)Electric and Magnetic Properties of Metals,C.Moosbrugger,Chap.8,Magnetically Soft Materials,p.196-209,ASM International,2000、(5)Handbook of modern Ferromagnetic Materials,Chap.9,High-permeability High-frequency Metal Strip,p.155-182,Kluwer Academic Publishers,2002、及び(6)Smithells Metals Reference Book,Chap.20.3,Magnetically Soft Materials,p.20-9~20-16,Butterworth-Heinemann Ltd,1992といったハンドブックに記載されている。
[072]本明細書に記載の磁化板は、軟磁性又は硬磁性材料のポリマー接合板すなわちポリマーを含む複合材で構成された磁化板であるのが好ましい。ポリマー(例えば、ゴム又はプラスチックのようなポリマー)は、構造的バインダとして作用し、軟磁性又は硬磁性材料は、増量剤又は充填剤として作用する。ポリマー並びに軟磁性若しくは硬磁性材料を含む複合材で構成された磁化板は、所望の磁気特性(例えば、高磁性材料の高保磁力及び軟磁性材料の高透磁率)を可鍛性の金属又はプラスチック材料の所望の機械的特性(可撓性、可削性、耐衝撃性)と組み合わせるのが好都合である。好適なポリマーとしては、ニトリルゴム、EPDM炭化水素ゴム、ポリイソプレン、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、及びクロロスルホン化ポリエチレン等のゴムタイプの可撓性材料が挙げられる。
[073]ポリマー及び永久磁性粉末を含む複合材で構成された磁化板は、Group ARNOLD(プラスティフォーム(Plastiform)(登録商標))又はMaterialiMagnetici、Albairate、Milano、イタリア(Plastoferrite)等の多くの異なる供給源から取得可能である。
[074]本明細書に記載の磁化板、特に、本明細書に記載のポリマー並びに軟磁性材料若しくは硬磁性材料を含む複合材で構成された磁化板は、任意所望のサイズ及び形態にて(例えば、一般的に利用可能な機械的切断ツール及びマシンのほか、空気若しくは液体ジェット切断、又はレーザ切断ツールを用いて屈曲及び機械的加工(例えば、所定サイズ又は形状への切断)を行い得る薄い可撓性のプレートとして)得られ得る。
[075]本明細書に記載の磁化板、特に、本明細書に記載のポリマー並びに軟磁性材料若しくは硬磁性材料を含む複合材で構成された磁化板の1つ又は複数の表面彫刻及び/又は切り欠きは、当技術分野において既知の如何なる切断又は彫刻方法により生成されるようになっていてもよく、鋳造、成型、手動彫刻又は機械的切除ツール(コンピュータ制御の彫刻ツールを含む)、気体若しくは液体ジェット切除ツールから成る群から選択される切除ツール、化学エッチング、電気化学エッチング、並びにレーザ切除ツール(例えば、CO2-、Nd-YAG、又はエキシマレーザ)が挙げられるが、これらに限定されない。また、当業者による理解及び本明細書に記載の通り、本明細書に記載の磁化板(x60)、特に、本明細書に記載のポリマー並びに軟磁性材料若しくは硬磁性材料を含む複合材で構成された磁化板は、彫刻ではなく、特定サイズ及び形状への切断又は成型も可能である。孔が切り抜かれるようになっていてもよいし、切り欠き片が支持部に組み付けられるようになっていてもよい。
[076]磁化板(x60)、特に、本明細書に記載のポリマー並びに軟磁性材料若しくは硬磁性材料を含む複合材で構成された磁化板の1つ又は複数の彫刻及び切り欠きは、ポリマーで充填されていてもよく、充填剤を含んでいてもよい。磁化板が硬磁性材料で構成された実施形態の場合、前記充填剤は、1つ又は複数の彫刻/切り欠きの場所で磁束を修正する軟磁性材料であってもよいし、磁界特性の修正又は単に滑らかな表面の生成を行うその他任意の種類の磁性又は非磁性材料であってもよい。また、磁化板、特に、本明細書に記載のポリマー並びに軟磁性材料若しくは硬磁性材料を含む複合材で構成された磁化板(x60)は、表面処理によって基板との接触を容易化することにより、高速印刷用途における摩擦、摩耗、及び/又は静電帯電を抑えるようにしてもよい。
[077]第1の磁界発生装置(x30)の第1の双極子磁石(x31)、第1の磁界発生装置(x30)の第3の双極子磁石(x33)(存在する場合)、第2の磁界発生装置(x40)の1つ若しくは複数の第2の双極子磁石(x41)、磁化板(存在する場合)の材料、並びに距離(h1)及び(h2)は、第1の磁界発生装置(x30)、第2の磁界発生装置(x40)、及び磁化板(存在する場合)の相互作用の結果としての磁界が本明細書に記載の光学効果層(OEL)の生成に適するように選択されている。すなわち、前記結果としての磁界は、磁気アセンブリ(x00)の磁界中に配設され、前記OELを有する基板(x20)が2つの垂直軸すなわち水平/横軸及び垂直/縦軸周りに傾斜している場合に複数の暗点及び複数の明点が対角方向に移動、出現、及び/又は消失する光学的印象を生成する基板(x20)上の未硬化の放射線硬化性コーティング組成物の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を配向させ得る。
[078]本発明は、回転磁気シリンダ並びに本明細書に記載の1つ又は複数の磁気アセンブリ(x00)を備えた印刷装置であって、前記1つ又は複数の磁気アセンブリ(x00)が回転磁気シリンダの周方向又は軸方向溝に取り付けられた、印刷装置と、平台印刷ユニット並びに本明細書に記載の1つ又は複数の磁気アセンブリ(x00)を備えた印刷装置であって、前記1つ又は複数の磁気アセンブリが平台印刷ユニットの凹部に取り付けられた、印刷装置をさらに提供する。本発明は、本明細書に記載の光学効果層(OEL)を本明細書に記載のような基板上に生成するための前記印刷装置の使用をさらに提供する。
[079]回転磁気シリンダは、印刷若しくは被覆機器中での使用、印刷若しくは被覆機器との併用、又は印刷若しくは被覆機器の一部としての構成が意図されており、本明細書に記載の1つ又は複数の磁気アセンブリを支える。一実施形態において、回転磁気シリンダは、高い印刷速度で連続動作する回転式、枚葉給紙式、又はウェブ給紙式の産業用印刷機の一部である。
[080]平台印刷ユニットは、印刷若しくは被覆機器中での使用、印刷若しくは被覆機器との併用、又は印刷若しくは被覆機器の一部としての構成が意図されており、本明細書に記載の1つ又は複数の磁気アセンブリを支える。一実施形態において、平台印刷ユニットは、非連続動作する枚葉給紙式の産業用印刷機の一部である。
[081]本明細書に記載の回転磁気シリンダ又は本明細書に記載の平台印刷ユニットを備えた印刷装置は、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の層を有することにより、顔料粒子に作用して配向させる磁界を磁気アセンブリが生成して本明細書に記載のOELを形成させる本明細書に記載のような基板を供給する基板供給装置を具備していてもよい。本明細書に記載の回転磁気シリンダを備えた印刷装置の一実施形態において、基板は、シート又はウェブの形態で基板供給装置により供給される。本明細書に記載の平台印刷ユニットを備えた印刷装置の一実施形態において、基板は、シートの形態で供給される。
[082]本明細書に記載の回転磁気シリンダ又は本明細書に記載の平台印刷ユニットを備えた印刷装置は、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を本明細書に記載の基板に塗布する被覆又は印刷ユニットであって、本明細書に記載の磁気アセンブリによって生成された磁界により配向されて光学効果層(OEL)を形成する非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を放射線硬化性コーティング組成物が含む、被覆又は印刷ユニットを具備していてもよい。本明細書に記載の回転磁気シリンダを備えた印刷装置の一実施形態において、被覆又は印刷ユニットは、回転連続プロセスに従って動作する。本明細書に記載の平台印刷ユニットを備えた印刷装置の一実施形態において、被覆又は印刷ユニットは、線形非連続プロセスに従って動作する。
[083]本明細書に記載の回転磁気シリンダ又は本明細書に記載の平台印刷ユニットを備えた印刷装置は、本明細書に記載の磁気アセンブリによって磁気的に配向された非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させることにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の配向及び位置を固定して光学効果層(OEL)を生成する硬化ユニットを具備していてもよい。
[084]本発明は、本明細書に記載の光学効果層(OEL)を本明細書に記載の基板(x20)上に生成するためのプロセス及び方法、並びにこれにより得られる光学効果層(OEL)であって、当該プロセスが、i)本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む第1の状態の放射線硬化性コーティング組成物を基板(x20)表面に塗布して、コーティング層(x10)を形成するステップを含む、プロセス及び方法並びに光学効果層(OEL)を提供する。放射線硬化性コーティング組成物は、コーティング層(x10)を形成するために第1の状態にある。放射線硬化性コーティング組成物は、第1の状態すなわち液体又はペースト状態であり、十分に湿潤又は柔軟であるため、当該放射線硬化性コーティング組成物中に分散した非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、磁界への曝露によって、自由な移動、回転、及び/又は配向が可能となる。
[085]本明細書に記載のステップi)は、例えばローラ及びスプレー被覆プロセス等の被覆プロセス又は印刷プロセスにより実行されるようになっていてもよい。本明細書に記載のステップi)は、好ましくはスクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、及び凹版印刷(当技術分野においては銅版凹版印刷及び鋼製金型凹版印刷とも称する)から成る群から選択され、より好ましくはスクリーン印刷、グラビア印刷、及びフレキソ印刷から成る群から選択される印刷プロセスによって実行されるのが好ましい。
[086]本明細書に記載の基板(x20)表面に対する本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物の塗布(ステップi)の後、一部同時、又は同時に、本明細書に記載の磁気アセンブリ(x00)の静的な磁界に対する放射線硬化性コーティング組成物の曝露によって非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させる(ステップii)ことにより、磁気アセンブリ(x00)により生成された磁力線に沿って非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を整列させる。
[087]本明細書に記載の磁界の印加により非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向/整列させるステップの後又は一部同時に、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の配向を固定又は停止する。このように特筆すべきこととして、放射線硬化性コーティング組成物は第1の状態すなわち液体又はペースト状態を有する必要があり、十分に湿潤又は柔軟であるため、放射線硬化性コーティング組成物中に分散した非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、磁界への曝露により自由に移動、回転、及び/又は配向可能である。また、第2の硬化(例えば、固体)状態も有する必要があり、この場合の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、それぞれの位置及び配向で固定又は停止される。
[088]以上から、光学効果層(OEL)を本明細書に記載の基板(x20)上に生成するためのプロセスは、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの採用された位置及び配向に固定するように、ステップii)の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とするステップiii)を含む。放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させるステップiii)は、本明細書に記載の磁界の印加により非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向/整列させるステップ(ステップii))の後又は一部同時に実行されるようになっていてもよい。放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させるステップiii)は、本明細書に記載の磁界の印加により非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向/整列させるステップ(ステップii))と一部同時に実行されるのが好ましい。「一部同時」によって、両ステップの一部が同時に実行される。すなわち、各ステップの実行タイミングが部分的に重なることになる。本明細書に記載の背景において、配向ステップii)と一部同時に硬化が実行される場合は、OELの完全又は部分的な硬化又は固化の前に顔料粒子が配向する時間があるように、配向後に硬化が有効となることが了解される必要がある。
[089]本明細書に記載の光学効果層(OEL)を生成するためのプロセスは、ステップii)の前又は少なくとも一部同時に、血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を2軸配向させるように、コーティング層(x10)を装置の動的な磁界に曝露するステップで(ステップii2))あり、ステップii)の前若しくは一部同時に、且つステップiii)の前に実行される、ステップ(ステップii2))をさらに含んでいてもよい。このように血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を2軸配向させるように、コーティング組成物を装置の動的な磁界に曝露するステップを含むプロセスについては、国際公開第2015/086257 A1号に開示されている。国際公開第2015/086257 A1号に記載のような磁気アセンブリ(x30)の動的な磁界に対するコーティング層(x10)の曝露の後は、内部の血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子がさらに移動及び回転し得るようにコーティング層(x10)が依然として湿潤又は柔軟な間に、本明細書に記載の装置を用いて、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子がさらに再配向される。2軸配向を実行することは、2つの主軸が拘束されるように血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子を配向させることを意味する。すなわち、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子はそれぞれ、顔料粒子の面内に長軸を有し、顔料粒子の面内に直交する短軸を有するものと考えられる。血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子の長軸及び短軸はそれぞれ、動的な磁界に従って配向される。実用上は、これにより、空間中で互いに近くに隣り合う磁性又は磁化可能顔料粒子が本質的に相互平行となる。2軸配向を実行するため、磁性又は磁化可能顔料粒子は、時間に強く依存する外部磁界を受ける必要がある。
[090]磁性又は磁化可能顔料粒子を2軸配向させる特に好ましい装置は、欧州特許出願公開第2 157 141 A1号に開示されている。欧州特許出願公開第2 157 141 A1号に開示の装置は、X軸及びY軸という両主軸が基板表面に対して実質的に平行となるまで磁性又は磁化可能顔料粒子を急激に振動させる方向を変化させる動的な磁界を与える。すなわち、磁性又は磁化可能顔料粒子は、基板表面に実質的に平行なX軸及びY軸との安定したシート状構成になり、前記2つの次元で平坦化するまで回転する。磁性又は磁化可能顔料粒子を2軸配向させる特に好ましい他の装置は、直線状の永久磁石ハルバッハ配列すなわち磁化方向が異なる複数の磁石を備えたアセンブリを含む。ハルバッハ永久磁石の詳細な説明は、Z.Q.Zhu及びD.Howe(Halbach permanent magnet machines and applications:a review,IEE.Proc.Electric Power Appl.,2001,148,p.299-308)によって与えられている。このようなハルバッハ配列により生成される磁界は、一方側に集中し、他方側ではほぼゼロまで弱まる特性を有する。国際公開第2016/083259 A1号は、磁性又は磁化可能顔料粒子を2軸配向させる好適な装置であって、ハルバッハ円筒アセンブリを備えた、装置を開示している。磁性又は磁化可能顔料粒子を2軸配向させる特に好ましい他の装置は、回転磁石であり、それらの直径に沿って本質的に磁化されるディスク状の回転磁石又は磁気アセンブリを含む。好適な回転磁石又は磁気アセンブリは、米国特許出願公開第2007/0172261 A1号に記載されており、半径方向に対称的な時間可変磁界を発生させることによって、未硬化又は未固化コーティング組成物の磁性又は磁化可能顔料粒子の2軸配向が可能になる。これらの磁石又は磁気アセンブリは、外部のモータに接続されたシャフト(又は、スピンドル)によって駆動される。中国特許第102529326 B号は、磁性又は磁化可能顔料粒子を2軸配向させるのに適し得る回転磁石を備えた装置の例を開示している。好適な一実施形態において、磁性又は磁化可能顔料粒子を2軸配向させる好適な装置は、非磁性材料、好ましくは非導電性材料で構成されたハウジング中に拘束されたシャフトのないディスク状回転磁石又は磁気アセンブリであり、ハウジングに巻回された1つ又は複数の磁石ワイヤコイルによって駆動される。このようにシャフトのないディスク状回転磁石又は磁気アセンブリの例は、国際公開第2015/082344 A1号、国際公開第2016/026896 A1号、及び国際公開第2018/141547 A1に開示されている。
[091]放射線硬化性コーティング組成物の第1及び第2の状態は、ある種の放射線硬化性コーティング組成物を用いることによって提供される。例えば、放射線硬化性コーティング組成物の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子以外の成分は、インク又はセキュリティ用途(例えば、紙幣印刷)に用いられるような放射線硬化性コーティング組成物の形態であってもよい。上述の第1及び第2の状態は、電磁放射線への曝露に応答して粘度が高くなる材料を用いることにより提供される。すなわち、流体のバインダ材料は、硬化又は凝固によって、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子がそれぞれの現在位置及び配向に固定されて、バインダ材料内で移動も回転もできなくなる第2の状態に変換される。
[092]当業者には既知の通り、基板等の表面上に塗布する放射線硬化性コーティング組成物に含まれる成分及び前記放射線硬化性コーティング組成物の物性は、放射線硬化性コーティング組成物の基板表面への移動に用いられるプロセスの要件を満たす必要がある。その結果、本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物に含まれるバインダ材料は通常、当技術分野において既知の材料から選定されるとともに、放射線硬化性コーティング組成物の塗布に用いられる被覆又は印刷プロセス及び選定された放射線硬化プロセスによって決まる。
[093]本明細書に記載の光学効果層(OEL)において、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、当該磁性又は磁化可能顔料粒子の配向を固定/停止する硬化バインダ材料を含む硬化/固化された放射線硬化性コーティング組成物中に分散している。硬化バインダ材料は、200nm~2500nmに含まれる様々な波長の電磁放射線に対して、少なくとも一部が透明である。このように、バインダ材料は、少なくともその硬化又は固体状態(本明細書では第2の状態とも称する)において、200nm~2500nmすなわち通常「光学スペクトル」と称し、バインダ材料に含まれる硬化又は固体状態の粒子及びそれぞれの配向に応じた反射性がバインダ材料を通じて認識され得るように、電磁スペクトルの赤外、可視、及びUV(紫外)部分を含む波長範囲内に含まれる様々な波長の電磁放射線に対して、少なくとも一部が透明である。硬化バインダ材料は、好ましくは200nm~800nm、より好ましくは400nm~700nmに含まれる様々な波長の電磁放射線に対して、少なくとも一部が透明である。本明細書において、用語「透明(transparent)」は、該当する(1つ又は複数の)波長において、OEL(血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子は含まないが、OELのその他任意選択の成分があれば、それらをすべて含む)に存在する硬化バインダ材料の20μmの層に対する電磁放射線の透過率が少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%であることを示す。これは、例えばDIN5036-3(1979-11)等の確立した試験方法に従って硬化バインダ材料(非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は含まず)の試験片の透過率を測定することによって決定可能である。OELが秘密のセキュリティフィーチャとして機能する場合、選択した非可視波長を含む各照明条件下においてOELが生成する(完全な)光学効果を検出するには通常、技術的な手段が必要となる。当該検出では、可視領域外(例えば、近UV領域)において入射放射線の波長が選択される必要がある。電磁スペクトルの赤外、可視、及び紫外部分は、700~2500nm、400~700nm、及び200~400nmの波長範囲にそれぞれ略対応する。
[094]上述の通り、本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物は、当該放射線硬化性コーティング組成物の塗布に用いられる被覆又は印刷プロセス及び選定された硬化プロセスによって決まる。放射線硬化性コーティング組成物の硬化には、本明細書に記載のOELを備えた物品の通常使用時に起こり得る(例えば、最大80℃の)単純な温度上昇では不可逆の化学反応を伴うのが好ましい。用語「硬化(curing)」又は「硬化性(curable)」は、塗布した放射線硬化性コーティング組成物中の少なくとも1つの成分が化学反応、架橋、又は重合によって開始材料よりも大きな分子量を有するポリマー材料に変化するプロセスを表す。放射線硬化では、硬化放射線への曝露により放射線硬化性コーティング組成物の粘度が瞬時に高くなり、顔料粒子のさらなる移動が抑えられ、結果的に磁気配向ステップ後の情報喪失が抑えられるため都合がよい。硬化ステップ(ステップiii))は、好ましくはUV・可視光放射線硬化を含む放射線硬化又は電子ビーム放射線硬化、より好ましくはUV・可視光放射線硬化によって実行される。
[095]したがって、本発明に適した放射線硬化性コーティング組成物としては、UV・可視光放射線(以下、UV・可視光放射線と称する)又は電子ビーム放射線(以下、EB放射線と称する)によって硬化可能な放射線硬化性組成物が挙げられる。放射線硬化性組成物は、当技術分野において既知であり、SITA Technology Limitedと提携したJohn Wiley & Sonsが1996年に第4巻を発行したC.Lowe、G.Webster、S.Kessel、及びI.McDonaldによる「Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints」シリーズ等の標準的な教科書に見られる。本発明の特に好適な一実施形態によれば、本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物は、UV・可視放射線硬化性コーティング組成物である。したがって、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物は、UV・可視光放射線、好ましくはUV-A(315~400nm)又は青(400~500nm)スペクトル領域の狭帯域LED光、最も好ましくは350nm~450nmのスペクトル領域で発光する通常の発光帯域幅が20nm~50nmの範囲の高出力LED光源によって、少なくとも部分的に硬化されるのが好ましい。また、水銀灯又はドープ水銀灯からのUV放射線の使用によって、放射線硬化性コーティング組成物の硬化速度を上げることも可能である。
[096]UV・可視放射線硬化性コーティング組成物は、ラジカル硬化性化合物及びカチオン硬化性化合物から成る群から選択される1つ又は複数の化合物を含むのが好ましい。本明細書に記載のUV・可視放射線硬化性コーティング組成物は、ハイブリッド系であってもよく、1つ若しくは複数のカチオン硬化性化合物並びに1つ若しくは複数のラジカル硬化性化合物の混合物を含む。カチオン硬化性化合物は、酸等のカチオン種を遊離させて硬化を開始することにより、モノマー及び/又はオリゴマーの反応及び/又は架橋によって放射線硬化性コーティング組成物を硬化させる1つ又は複数の光開始剤の放射による活性化を通常含むカチオン機構によって硬化する。ラジカル硬化性化合物は、1つ又は複数の光開始剤の放射によってラジカルを生成することにより重合を開始して放射線硬化性コーティング組成物を硬化させる活性化を通常含むフリーラジカル機構によって硬化する。本明細書に記載のUV・可視放射線硬化性コーティング組成物に含まれるバインダの作成に用いられるモノマー、オリゴマー、又はプレポリマーに応じて、異なる光開始剤を使用可能である。遊離基光開始剤の好適な例は、当業者に既知であり、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタル、α-アミノケトン、α-ヒドロキシケトン、ホスフィンオキシド、及びホスフィンオキシド誘導体のほか、これらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。カチオン光開始剤の好適な例は、当業者に既知であり、有機ヨードニウム塩(例えば、ジアリールヨードニウム塩)、オキソニウム(例えば、トリアリールオキソニウム塩)、及びスルホニウム塩(例えば、トリアリールスルホニウム塩)等のオニウム塩のほか、これらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。有用な光開始剤の他の例は、G.Bradleyにより編集され、SITA Technology Limitedと提携したJohn Wiley & Sonsが1998年に発行したJ.V.Crivello及びK.Dietlikerによる「Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints」第3巻の「Photoinitiators for Free Radical Cationic and Anionic Polymerization」第2版等の標準的な教科書に見られる。また、効率的な硬化を実現するため、1つ又は複数の光開始剤と併せて増感剤を含むのが好都合と考えられる。好適な光増感剤の一般的な例としては、イソプロピル-チオキサントン(ITX)、1-クロロ-2-プロポキシ-チオキサントン(CPTX)、2-クロロ-チオキサントン(CTX)、及び2,4-ジエチル-チオキサントン(DETX)、並びにこれらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。UV・可視放射線硬化性コーティング組成物に含まれる1つ又は複数の光開始剤は、好ましくはおよそ0.1重量%~およそ20重量%、より好ましくはおよそ1重量%~およそ15重量%の総量で存在し、重量パーセントは、UV・可視放射線硬化性コーティング組成物の総重量に基づく。
[097]本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物は、1つ若しくは複数のマーカ物質若しくは追跡用添加物並びに/又は磁性材料(本明細書に記載の血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子とは異なる)、発光材料、導電材料、及び赤外線吸収材料から成る群から選択される1つ若しくは複数の機械可読材料をさらに含んでいてもよい。本明細書において、用語「機械可読材料(machine readable material)」は、ある層に含めることによって、特定の認証用機器の使用により当該層又は当該層を含む物品を認証する方法を提供可能な材料(x32)を表す。
[098]本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物は、有機顔料粒子、無機顔料粒子、及び有機色素から成る群から選択される1つ若しくは複数の着色成分、並びに/又は非磁性若しくは非磁化可能光学可変顔料、並びに/又は1つ若しくは複数の添加剤をさらに含んでいてもよい。後者としては、粘度(例えば、溶媒、増粘剤、及び界面活性剤)、稠度(例えば、硬化防止剤、充填剤、及び可塑剤)、起泡性(例えば、消泡剤)、潤滑性(ワックス、オイル)、UV安定性(光安定剤)、密着性、帯電防止特性、保存性(重合防止剤)、光沢等の放射線硬化性コーティング組成物の物理的、流動学的、及び化学的パラメータの調整に用いられる化合物及び材料が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の添加剤は、当該添加剤の寸法のうちの少なくとも1つが1~1000nmの範囲であるいわゆるナノ材料等、当技術分野において既知の量及び形態で放射線硬化性コーティング組成物中に存在していてもよい。
[099]本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物は、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む。非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、好ましくはおよそ2重量%~およそ40重量%、より好ましくはおよそ4重量%~およそ30重量%の量だけ存在する。この重量パーセントは、バインダ材料、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子、及び放射線硬化性コーティング組成物のその他任意選択の成分を含む放射線硬化性コーティング組成物の総重量に基づく。
[0100]本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、形状が非球状であることから、硬化又は固化バインダ材料の少なくとも一部が透明である入射電磁放射線に対して非等方的な反射性を有するように規定されている。本明細書において、用語「非等方的な反射性(non-isotropic reflectivity)」は、第1の角度からの入射放射線が粒子により特定の(観察)方向(第2の角度)に反射される割合が粒子の配向の関数であること、つまり、第1の角度に対する粒子の配向の変化に応じて観察方向への反射の大きさが異なり得ることを示す。さらに好ましいこととして、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、粒子の配向の変化によって当該粒子による反射が特定の方向に変化するように、およそ200~およそ2500nm、より好ましくはおよそ400~およそ700nmの波長範囲の一部又は全部における入射電磁放射線に対して非等方的な反射性を有する。当業者には既知の通り、従来の顔料粒子が粒子配向とは無関係に同じ色及び反射性を示すのに対して、本明細書に記載の磁性又は磁化可能顔料粒子は、粒子配向によって決まる反射性、色、又は両者を示す点において従来の顔料と異なる。本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子であるのが好ましい。
[0101]本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の好適な例としては、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ガドリニウム(Gd)、及びニッケル(Ni)から成る群から選択される磁性金属、鉄、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、及びこれらの2つ以上の混合物の磁性合金、クロム、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル、及びこれらの2つ以上の混合物の磁性酸化物、並びにこれらの2つ以上の混合物を含む顔料粒子が挙げられるが、これらに限定されない。金属、合金、及び酸化物に関する用語「磁性(magnetic)」は、強磁性又はフェリ磁性金属、合金、及び酸化物を対象とする。クロム、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル、又はこれらの2つ以上の混合物の磁性酸化物は、純粋又は混合酸化物であってもよい。磁性酸化物の例としては、赤鉄鉱(Fe2O3)、磁鉄鉱(Fe3O4)、二酸化クロム(CrO2)、磁性フェライト(MFe2O4)、磁性スピネル(MR2O4)、磁性ヘキサフェライト(MFe12O19)、磁性オルソフェライト(RFeO3)、磁性ガーネット(M3R2(AO4)3)等の鉄酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、Mは2価、Rは3価、Aは4価の金属を表す。
[0102]本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の例としては、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ガドリニウム(Gd)、又はニッケル(Ni)等の磁性金属及び鉄、クロム、コバルト、又はニッケルの磁性合金のうちの1つ又は複数で構成された磁気層Mを含む顔料粒子が挙げられるが、これらに限定されない。前記血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子は、1つ又は複数の別の層を含む多層構造であってもよい。1つ又は複数の別の層は、好ましくはフッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化セリウム(CeF3)、フッ化ランタン(LaF3)、フッ化ナトリウムアルミニウム(例えば、Na3AlF6)、フッ化ネオジム(NdF3)、フッ化サマリウム(SmF3)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化リチウム(LiF)、好ましくはフッ化マグネシウム(MgF2)等の金属フッ化物、酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、硫化亜鉛(ZnS)、及び酸化アルミニウム(Al2O3)、より好ましくは二酸化ケイ素(SiO2)から成る群から選択される1つ又は複数の材料で独立して構成された層A、金属及び金属合金、好ましくは反射性金属及び反射性金属合金から成る群から選択される、より好ましくはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金から成る群から選択される1つ又は複数の材料、なお好ましくはアルミニウム(Al)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金から成る群から選択される1つ又は複数の材料、さらに好ましくはアルミニウム(Al)で独立して構成された層B、或いは上述のような1つ又は複数の層A並びに上述のような1つ又は複数の層Bの組合せである。上述の多層構造である血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子の一般的な例としては、A/M多層構造、A/M/A多層構造、A/M/B多層構造、A/B/M/A多層構造、A/B/M/B多層構造、A/B/M/B/A多層構造、B/M多層構造、B/M/B多層構造、B/A/M/A多層構造、B/A/M/B多層構造、B/A/M/B/A多層構造が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、層A、磁気層M、及び層Bは、上述の層から選定される。
[0103]一実施形態によれば、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部が誘電体/反射体/磁性体/反射体/誘電体の多層構造であり、本明細書に記載の反射体層は、B層に関して上述したような金属及び金属合金から成る群から独立して構成され、誘電体層は、A層に関して上述したような材料から成る群から独立して構成され、磁性体層は、M層に関して上述したような磁性金属又は磁性合金のうちの1つ又は複数を含むのが好ましい。或いは、本明細書に記載の誘電体/反射体/磁性体/反射体/誘電体の多層構造は、人間の健康及び環境に対して安全と考えられる多層顔料粒子であってもよく、前記磁性体層は、およそ40重量%~およそ90重量%の鉄、およそ10重量%~およそ50重量%のクロム、及びおよそ0重量%~およそ30重量%のアルミニウムを含む実質的にニッケルを含まない組成の磁性合金を含む。
[0104]本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部は、非球状変色磁性若しくは磁化可能顔料粒子並びに/又は変色特性を持たない非球状磁性若しくは磁化可能顔料粒子で構成されていてもよい。本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部は、非球状変色磁性又は磁化可能顔料粒子によって構成されているのが好ましい。非球状変色磁性又は磁化可能顔料粒子の変色特性によってもたらされる公然のセキュリティフィーチャは、本明細書に記載の非球状変色磁性又は磁化可能顔料粒子を含むインク、放射線硬化性コーティング組成物、コーティング、又は層を有する物品又はセキュリティ文書を人間の感覚のみで容易に検出、認識、及び/又はその考え得る偽造品から識別可能であるが、これに加えて、非球状変色磁性又は磁化可能顔料粒子の光学特性を光学効果層(OEL)認識用の機械可読ツールとして使用するようにしてもよい。したがって、顔料粒子の光学(例えば、スペクトル)特性を解析する認証プロセスにおいては、秘密又は準秘密のセキュリティフィーチャとして、非球状変色磁性又は磁化可能顔料粒子の光学特性を同時に使用するようにしてもよい。OELを生成する放射線硬化性コーティング組成物に非球状変色磁性又は磁化可能顔料粒子を使用すると、OELのセキュリティ文書用途におけるセキュリティフィーチャとしての意義が高くなる。このような材料(すなわち、非球状変色磁性又は磁化可能顔料粒子)は、セキュリティ文書印刷業のためのものであって、一般には市販されていないためである。
[0105]さらに、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、その磁性により機械可読であるため、これらの顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物は、例えば特定の磁気検出器により検出されるようになっていてもよい。したがって、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物は、セキュリティ文書の秘密又は準秘密のセキュリティ要素(認証ツール)として使用可能である。
[0106]上述の通り、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、少なくとも一部が非球状変色磁性又は磁化可能顔料粒子によって構成されているのが好ましい。これらは、非球状磁性薄膜干渉顔料粒子、非球状磁性コレステリック液晶顔料粒子、磁性材料を含む非球状干渉被覆顔料粒子、及びこれらの2つ以上の混合物から成る群から選択可能であるのがより好ましい。
[0107]磁性薄膜干渉顔料粒子については、当業者に既知であって、例えば米国特許第4,838,648号、国際公開第2002/073250 A2号、欧州特許第0 686 675 B1号、国際公開第2003/000801 A2号、米国特許第6,838,166号、国際公開第2007/131833 A1号、欧州特許出願公開第2 402 401 A1号、及びこれらの引用文献に開示されている。磁性薄膜干渉顔料粒子は、5層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子、及び/又は6層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子、及び/又は7層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子を含んでいるのが好ましい。
[0108]好ましい5層ファブリペロー多層構造は、吸収体/誘電体/反射体/誘電体/吸収体の多層構造から成り、反射体及び/又は吸収体が磁性層でもあり、好ましくは反射体及び/又は吸収体が、ニッケル、鉄、及び/若しくはコバルト、ニッケル、鉄、及び/若しくはコバルトを含む磁性合金、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性酸化物を含む磁気層である。
[0109]好ましい6層ファブリペロー多層構造は、吸収体/誘電体/反射体/磁性体/誘電体/吸収体の多層構造から成る。
[0110]好ましい7層ファブリペロー多層構造は、米国特許第4,838,648号に開示されているような吸収体/誘電体/反射体/磁性体/反射対/誘電体/吸収体の多層構造から成る。
[0111]本明細書に記載の反射体層は、金属及び金属合金から成る群から選択され、好ましくは反射性金属及び反射性金属合金から成る群から選択され、より好ましくはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金から成る群から選択され、さらに好ましくはアルミニウム(Al)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金から成る群から選択される1つ又は複数の材料、なお好ましくはアルミニウム(Al)で独立して構成されているのが好ましい。誘電体層は、好ましくはフッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化セリウム(CeF3)、フッ化ランタン(LaF3)、フッ化アルミニウムナトリウム(例えば、Na3AlF6)、フッ化ネオジム(NdF3)、フッ化サマリウム(SmF3)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化リチウム(LiF)等の金属フッ化物、酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)等の金属酸化物から成る群から選択され、より好ましくはフッ化マグネシウム(MgF2)及び二酸化ケイ素(SiO2)から成る群から選択される1つ又は複数の材料、なお好ましくはフッ化マグネシウム(MgF2)で独立して構成されている。吸収体層は、好ましくはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、これらの金属酸化物、金属硫化物、金属炭化物、及び金属合金から成る群から選択され、より好ましくはクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、これらの金属酸化物、及び金属合金から成る群から選択され、さらに好ましくはクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びこれらの金属合金から成る群から選択される1つ又は複数の材料で独立して構成されている。磁性体層は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性合金、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性酸化物を含むのが好ましい。7層ファブリペロー構造を含む磁性薄膜干渉顔料粒子が好ましい場合は、磁性薄膜干渉顔料粒子がCr/MgF2/Al/M/Al/MgF2/Cr多層構造から成る7層ファブリペロー吸収体/誘電体/反射体/磁性体/反射体/誘電体/吸収体の多層構造を有するのが特に好ましく、Mは、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性合金、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性酸化物を含む磁気層である。
[0112]本明細書に記載の磁性薄膜干渉顔料粒子は、人間の健康及び環境に対して安全と考えられ、例えば5層ファブリペロー多層構造、6層ファブリペロー多層構造、及び7層ファブリペロー多層構造に基づく多層顔料粒子であってもよく、前記顔料粒子は、およそ40重量%~およそ90重量%の鉄、およそ10重量%~およそ50重量%のクロム、及びおよそ0重量%~およそ30重量%のアルミニウムを含む実質的にニッケルを含まない組成の磁性合金を含む1つ又は複数の磁気層を備える。人間の健康及び環境に対して安全と考えられる多層顔料粒子の一般的な例は、欧州特許出願公開第2 402 401 A1号に見られるため、そのすべての内容を参照により本明細書に援用する。
[0113]本明細書に記載の磁性薄膜干渉顔料粒子は通常、ウェブ上への異なる所要層の従来堆積技術によって製造される。例えば物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)、又は電解析出によって所望数の層を堆積させた後は、好適な溶媒中での剥離層の溶解又はウェブからの材料の剥離によって層スタックをウェブから除去する。そして、このように得られた材料を粉砕することにより血小板状の顔料粒子が得られるが、これは、研削、ミル加工(例えば、ジェットミル加工プロセス等)、又は任意の好適な方法でさらに処理して所要サイズの顔料粒子を得る必要がある。得られる製品は、縁部が破砕され、形状が不規則で、アスペクト比が異なる平らな血小板状顔料粒子から成る。好適な血小板状磁性薄膜干渉顔料粒子の作成に関する詳細については、例えば欧州特許出願公開第1 710 756 A1号及び欧州特許出願公開第1 666 546 A1号に見られるが、これらを参照により本明細書に援用する。
[0114]変色特性を示す好適な磁性コレステリック液晶顔料粒子としては、磁性単層コレステリック液晶顔料粒子及び磁性多層コレステリック液晶顔料粒子が挙げられるが、これらに限定されない。このような顔料粒子については、例えば国際公開第2006/063926 A1号、米国特許第6,582,781号、及び米国特許第6,531,221号に開示されている。国際公開第2006/063926 A1号は、高い輝度及び変色特性のほか、磁化可能性等の特定の特性を有する単層及び当該単層から得られた顔料粒子を開示している。この開示の単層及び当該単層の粉砕により得られた顔料粒子は、3次元架橋したコレステリック液晶混合物及び磁性ナノ粒子を含む。米国特許第6,582,781号及び米国特許第6,410,130号は、配列がA1/B/A2のコレステリック多層顔料粒子を開示している。ここで、A1及びA2は、同じであってもよいし異なっていてもよく、それぞれ少なくとも1つのコレステリック層を含む。Bは、層A1及びA2から送られた光の全部又は一部を吸収するとともに磁気特性を付与する中間層である。米国特許第6,531,221号は、配列がA/Bであり、任意選択としてCを含む血小板状のコレステリック多層顔料粒子を開示している。ここで、A及びCは、磁気特性を付与する顔料粒子を含む吸収層であり、Bはコレステリック層である。
[0115]1つ又は複数の磁性材料を含む好適な干渉被覆顔料としては、1つ又は複数の層で被覆されたコアから成る群から選択される基板から成る構造が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、上記コア又は1つ若しくは複数の層の少なくとも一方は、磁性を有する。例えば、好適な干渉被覆顔料は、上記のような磁性材料で構成されたコアであって、1つ又は複数の金属酸化物で構成された1つ又は複数の層で被覆された、コアを含むか、合成又は天然雲母、層状ケイ酸塩(例えば、タルク、カオリン、及び絹雲母)、ガラス(例えば、ホウケイ酸塩)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、グラファイト、及びこれらの2つ以上の混合物で構成されたコアから成る構造を有する。さらに、着色層等の1つ又は複数の別の層が存在していてもよい。
[0116]本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、放射線硬化性コーティング組成物に生じ得る任意の劣化に対する保護及び/又は放射線硬化性コーティング組成物への組み込みの容易化のために表面処理されていてもよく、通常は、腐食防止剤及び/又は湿潤剤が用いられるようになっていてもよい。
[0117]本明細書に記載の基板は、紙又はセルロース、紙含有材料、ガラス、金属、セラミック、プラスチック、及びポリマー等のその他繊維材料、金属化プラスチック若しくはポリマー、複合材、並びにこれらの混合物又は組合せから成る群から選択するのが好ましい。代表的な紙、紙状、又はその他の繊維材料は、アバカ、綿、麻、木材パルプ、及びこれらの混合等、様々な繊維で構成されるが、これらに限定されない。当業者には周知の通り、紙幣には綿及び綿/麻混合が好ましく、紙幣以外のセキュリティ文書には、木材パルプが一般的に用いられている。プラスチック及びポリマーの代表例としては、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレン2,6-ナフトエート)(PEN)等のポリエステル、並びにポリ塩化ビニル(PVC)等が挙げられる。基板としては、例えばTyvek(登録商標)という商標で販売されているスパンボンドオレフィン繊維も使用可能である。金属化プラスチック又はポリマーの代表例としては、表面に連続的又は不連続的に配設された金属を有する上述のプラスチック又はポリマー材料が挙げられる。金属の代表例としては、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、これらの組合せ、又はこれら金属の2つ以上の合金が挙げられるが、これらに限定されない。上述のプラスチック又はポリマー材料の金属化は、電着プロセス、高真空被覆プロセス、又はスパッタリングプロセスによって行われるようになっていてもよい。複合材の代表例としては、紙及び上記のような少なくとも1つのプラスチック若しくはポリマー材料の多層構造又は積層並びに上記のような紙状又は繊維材料に組み込まれたプラスチック及び/若しくはポリマー繊維等が挙げられるが、これらに限定されない。当然のことながら、基板には、サイジング剤、漂白剤、加工助剤、補強又は湿潤増強剤等、当業者に既知の別の添加剤を含むことも可能である。本明細書に記載の基板は、ウェブ(例えば、上述の材料の連続シート)の形態又はシートの形態で提供されるようになっていてもよい。本発明に従って生成された光学効果層(OEL)がセキュリティ文書上にある場合は、当該セキュリティ文書の偽造及び違法複製に対するセキュリティレベル及び耐性をさらに高くすることを目的として、上記基板は、印刷、被覆、レーザマーキング、又はレーザ穿孔証印、透かし、セキュリティスレッド、繊維、プランシェット、発光化合物、窓、箔、デカール、及びこれらの2つ以上の組合せを備えていてもよい。セキュリティ文書の偽造及び違法複製に対するセキュリティレベル及び耐性をさらに高くするという同じ目的で、上記基板は、1つ又は複数のマーカ物質若しくは追跡用添加物並びに/又は機械可読物質(例えば、発光物質、UV/可視/IR吸収物質、磁性物質、及びこれらの組合せ)を含んでいてもよい。
[0118]本明細書に記載の光学効果層(OEL)のコーティング層(x10)の形状は、連続的であってもよいし、不連続的であってもよい。一実施形態によれば、コーティング層(x10)の形状は、1つ又は複数の証印、ドット、及び/又はラインを表す。コーティング層(x10)の形状は、何もないエリアによって互いに離隔されたライン、ドット、及び/又は証印から成っていてもよい。
[0119]本明細書に記載の光学効果層(OEL)は、基板上に直接設けて、永久に残るようにしてもよい(例えば、紙幣用途の場合)。或いは、生成のための暫定的な基板上にOELを設け、後でOELを取り外すようにしてもよい。これにより、特にバインダ材料が流体状態のままである場合に、例えばOELの生成が容易化される可能性がある。その後、コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させてOELを生成したら、暫定基板をOELから取り外してもよい。
[0120]或いは、OEL又はOELを備えた基板上に接着層が存在していてもよく、当該接着層は、OELが設けられた面と反対側の基板面に存在していてもよいし、OELと同じ面でOELの上に存在していてもよい。したがって、OEL又は基板に接着層が塗布されていてもよい。このような物品は、機械類や大きな労力を伴う印刷等のプロセスなく、あらゆる種類の文書又は他の物品に取り付けられるようになっていてもよい。或いは、本明細書に記載のOELを備えた本明細書に記載の基板は、独立した転写ステップにおいて文書又は物品に適用可能な転写箔の形態であってもよい。この目的のため、基板には剥離コーティングが設けられ、その上において、本明細書に記載の通り、OELが生成される。このように生成されたOEL上には、1つ又は複数の接着層を塗布するようにしてもよい。
[0121]本明細書には、本明細書に記載のプロセスにより得られた2つ以上すなわち2つ、3つ、4つ等の光学効果層(OEL)を備えた基板も記載する。
[0122]また、本明細書には、本発明に従って生成された光学効果層(OEL)を備えた物品、特に、セキュリティ文書、装飾要素又は物体を記載する。これらの物品、特に、セキュリティ文書、装飾要素又は物体は、本発明に従って生成された2つ以上(例えば、2つ、3つ等)のOELを備えていてもよい。
[0123]前述の通り、本発明に従って生成された光学効果層(OEL)は、装飾目的並びにセキュリティ文書の保護及び認証に用いられるようになっていてもよい。装飾要素又は物体の代表例としては、高級品、化粧品パッケージ、自動車部品、電子/家電製品、家具、及びネイルラッカーが挙げられるが、これらに限定されない。
[0124]セキュリティ文書としては、有価文書及び有価商品が挙げられるが、これらに限定されない。有価文書の代表例としては、紙幣、証書、チケット、小切手、証票、収入印紙及び納税印紙、契約書等、パスポート等の身分証明書類、身分証明書、ビザ、運転免許証、銀行カード、クレジットカード、取引カード、アクセス書類又はカード、入場券、公共交通乗車券又は証書等が挙げられ、紙幣、身分証明書類、権利付与書類、運転免許証、及びクレジットカードが好ましいが、これらに限定されない。用語「有価商品(value commercial good)」は、特に化粧品、栄養補助食品、医薬品、アルコール、タバコ製品、飲料又は食料品、電気/電子製品、織物又は宝飾品、すなわち偽造及び/又は違法複製に対する保護により、例えば本物の薬等のパッケージの内容物を保証すべき物品のパッケージ材料を表す。これらパッケージ材料の例としては、認証ブランドラベル、不正防止ラベル等のラベル及びシールが挙げられるが、これらに限定されない。なお、開示の基板、有価文書、及び有価商品は、本発明の範囲を制限することなく、専ら例示目的で示している。
[0125]或いは、光学効果層(OEL)は、例えばセキュリティスレッド、セキュリティストライプ、箔、デカール、窓、又はラベル等の補助基板上に生成され、その結果、独立したステップにおいて、セキュリティ文書に転写されるようになっていてもよい。
[0126]当業者であれば、本発明の主旨から逸脱することなく、上述した特定の実施形態について、いくつかの改良に想到し得る。このような改良は、本発明に含まれる。
[0127]さらに、本明細書全体で引用したすべての文献は、その全内容を参照により漏れなく本明細書に援用する。
[0128]図6~図8に示す磁気アセンブリ(x00)の使用により、表1に記載のUV硬化性スクリーン印刷インクのコーティング層(x10)における非球状、特に、血小板状光学可変磁性顔料粒子を配向させ、図9B-1~図9B-3に示す光学効果層(OEL)を生成した。T90スクリーンを用いた手動スクリーン印刷によって厚さがおよそ20μm、寸法が35mm×35mmの正方形状のコーティング層(x10)を構成することにより、黒色のコマーシャルペーパー(Gascogne Laminates M-cote 120)(x20)にUV硬化性スクリーン印刷インクを塗布した。その後、このようにして得られた血小板状光学可変磁性顔料粒子の磁気的配向パターンは、配向ステップと一部同時に(すなわち、UV硬化性スクリーン印刷インクのコーティング層(x10)を有する基板(x20)が依然として磁気アセンブリ(x00)の磁界中に存在する間に)、Phoseon社製UV-LEDランプ(ファイアフレックス(FireFlex)タイプ、50×75mm、395nm、8W/cm2)を用いて、顔料粒子を含む層をおよそ0.5秒間にわたってUV硬化に曝露することにより固定した。
比較例1(図6A~図6C及び図9B-1)
[0129]比較例1の光学効果層(OEL)を基板(620)上に作成するのに用いた磁気アセンブリ(600)を図6A~図6Cに示す。磁気アセンブリ(600)は、第1の平面(P)と平行な配向にて、基板(620)を受容するように構成されているものとした。
[0130]磁気アセンブリ(600)は、第1の正方形状支持マトリクス(632)に埋め込まれた41個の第1の双極子磁石(6311~41)を備えた第1の磁界発生装置(630)と、第2の正方形状支持マトリクス(642)に埋め込まれた第2の双極子磁石(641)を備えた第2の磁界発生装置(640)と、を備えるものとし、第2の磁界発生装置(640)が第1の磁界発生装置(630)の下方に配設され、コーティング層(610)を有する基板(620)と第2の磁界発生装置(640)との間に第1の磁界発生装置(630)が配設されるものとした。第1の磁界発生装置(630)及び第2の磁界発生装置(640)は、互いの中心を合わせた。
[0131]第1の磁界発生装置(630)は、9本の平行な直線αi(α1~9)及び9本の平行な直線βj(β1~9)を含む格子の交差点上にそれぞれの中心が配置された41個の第1の双極子磁石(6311~41)を備えるものとし、直線αi(α1~9)が互いに平行且つ直線βj(β1~9)が互いに平行で、直線αiが直線βjと垂直であるものとした。9本の直線αi(α1~9)が等しく離隔し、隣り合う直線が2.5mmの距離(A7)だけ分離されるものとした。5本の直線αi(α1/3/5/7/9)が5つの第1の双極子磁石を含み、4本の直線αi(α2/4/6/8)が4つの第1の双極子磁石を含んで、第1の双極子磁石の総数が41個(6311~41)となるようにした。9本の直線βi(β1~9)が等しく離隔し、隣り合う直線が2.5mmの距離(A6)だけ分離されるものとした。図6A及び図6Bに示すように、第1の双極子磁石(6311~41)がそれぞれ、格子の交差点上に配置されるものの、前記格子の交差点の一部は、第1の双極子磁石を含まないものとした。
[0132]41個の第1の双極子磁石(6311~41)は、円筒状であり、2mm(A4:直径)×2mm(A5:長さ)の寸法を有し、NdFeB N45で構成されるものとした。第1の双極子磁石(6311~41)はすべて、図6AのS→N矢印で示すように、それぞれの長さ(A5)方向に磁化され、磁気軸が直線αi(α1~9)及び基板(620)表面と平行に配向して、すべてが同じ方向を向くものとした。第1の磁界発生装置(630)は、そのベクトル和H1が基板(620)表面と実質的に平行であるものとした。
[0133]第1の磁界発生装置(630)の第1の正方形状支持マトリクス(632)は、50mm(A1)×50mm(A2)×3mm(A3)の寸法を有し、ポリオキシメチレン(POM)で構成され、41個の第1の双極子磁石(6311~41)を保持する41個の窪みを備えるものとし、前記窪みが前記41個の第1の双極子磁石(6311~41)と同じ寸法を有することで、前記41個の第1の双極子磁石(6311~41)の最上面が第1の正方形状支持マトリクス(632)の最上面と同一平面になるようにした。
[0134]第2の磁界発生装置(640)の第2の双極子磁石(641)は、正方形状双極子磁石で、30mm(B4)×30mm(B5)×2mm(B3)の寸法を有し、NdFeB N52で構成されるものとした。第2の双極子磁石(641)は、SN磁気軸が基板(620)表面と実質的に平行であるものとした。第2の磁界発生装置(640)は、そのベクトル和H2(第2の双極子磁石(641)の磁気軸に対応)が基板(620)と実質的に平行であるものとした。
[0135]図6Aに示すように、各直線αi(α1~9)及び第2の磁界発生装置(640)のベクトル和H2のほか、第1の磁界発生装置(630)のベクトル和H1及び第2の磁界発生装置(640)のベクトル和H2は、0°の角度γを成すものとした(すなわち、直線αi(α1~9)がH2に対して平行であるものとした)。
[0136]第2の磁界発生装置(640)の第2の正方形状支持マトリクス(642)は、50mm(B1)×50mm(B2)×2mm(B3)の寸法を有し、ポリオキシメチレン(POM)で構成され、第2の双極子磁石(641)を保持する窪み/孔を備えるものとし、前記窪み/孔が第2の双極子磁石(641)と同じ形状及び寸法を有する(すなわち、30mm(B4)×30mm(B5)×2mm(B3))ことで、前記第2の双極子磁石(641)の最上面及び最下面が第2の正方形状支持マトリクス(642)の最上面及び最下面と同一平面になるようにした。
[0137]第1の磁界発生装置(630)の第1の正方形状支持マトリクス(632)の上面(41個の第1の双極子磁石(6311~41)の上面にも対応と磁気アセンブリ(600)に対向する基板(620)の表面との間の距離(h1)は、1.5mmであるものとした。第2の磁界発生装置(640)の第2の双極子磁石(641)の上面と第1の磁界発生装置(630)の正方形状支持マトリクス(632)の最下面との間の距離(h2)は、0mmであるものとした。すなわち、第1の磁界発生装置(630)及び第2の磁界発生装置(640)は、直接接触するものとした。
[0138]図9B-1には、基板(620)を-20°~+20°傾斜させた様々な視角にて、図6A~図6Cに示す磁気アセンブリ(600)により生成された結果としてのOELを示している。このようにして得られるOELは、当該OELを有する基板が2つの垂直軸すなわち水平/横軸及び垂直/縦軸周りに傾斜している場合に複数の暗点及び複数の明点が単一の方向(縦方向)にのみ移動、出現、及び/又は消失する光学的印象を与える(基板が水平/横軸周りに傾斜している場合は変化なし)。
実施例1(図7A~図7C及び図7B-2)
[0139]実施例1の光学効果層(OEL)を基板(720)上に作成するのに用いた磁気アセンブリ(700)を図7A及び図7Bに示す。磁気アセンブリ(700)は、第1の平面(P)と平行な配向にて、基板(720)を受容するように構成されるものとした。
[0140]磁気アセンブリ(700)は、第1の正方形状支持マトリクス(732)に埋め込まれた41個の第1の双極子磁石(7311~41)を備えた第1の磁界発生装置(730)と、第2の正方形状支持マトリクス(742)に埋め込まれた第2の双極子磁石(741)を備えた第2の磁界発生装置(740)と、を備えるものとし、第2の磁界発生装置(740)が第1の磁界発生装置(730)の下方に配設され、コーティング層(710)を有する基板(720)と第2の磁界発生装置(740)との間に第1の磁界発生装置(730)が配設されるものとした。第1の磁界発生装置(730)及び第2の磁界発生装置(740)は、互いの中心を合わせた。
[0141]第1の磁界発生装置(730)は、比較例C1に関して説明したものと同じであるものとした。
[0142]第2の磁界発生装置(740)第2の双極子磁石(741)は、正方形状双極子磁石で、30mm(B4)×30mm(B5)×4mm(B3)の寸法を有し、NdFeB N30で構成されるものとした。第2の双極子磁石(741)は、SN磁気軸が基板(720)と実質的に平行であるものとした。第2の磁界発生装置(740)は、そのベクトル和H2(唯一の第2の双極子磁石(741)の磁気軸に対応)が基板(720)と実質的に平行であるものとした。
[0143]図7Aに示すように、各直線αi(α1~9)及び第2の磁界発生装置(740)のベクトル和H2のほか、第1の磁界発生装置(730)のベクトル和H1及び第2の磁界発生装置(740)のベクトル和H2は、60°の角度γを成すものとした。
[0144]第2の磁界発生装置(740)の第2の正方形状支持マトリクス(742)は、50mm(B1)×50mm(B2)×4mm(B3)の寸法を有し、ポリオキシメチレン(POM)で構成され、第2の双極子磁石(741)を保持する窪み/孔を備えるものとし、前記窪み/孔が第2の双極子磁石(741)と同じ形状及び寸法を有する(すなわち、30mm(B4)×30mm(B5)×4mm(B3))ことで、前記第2の双極子磁石(741)の最上面及び最下面が第2の正方形状支持マトリクス(742)の最上面及び最下面と同一平面になるようにした。
[0145]第1の磁界発生装置(730)の第1の正方形状支持マトリクス(732)の上面(41個の第1の双極子磁石(7311~41)の上面にも対応)と磁気アセンブリ(700)に対向する基板(720)の表面との間の距離(h1)は、1.5mmであるものとした。第2の磁界発生装置(740)の第2の双極子磁石(741)の上面と第1の磁界発生装置(730)の正方形状支持マトリクス(732)の最下面との間の距離(h2)は、0mmであるものとした。すなわち、第1の磁界発生装置(730)及び第2の磁界発生装置(740)は、直接接触するものとした。
[0146]図9B-2には、図7A及び図7Bに示す磁気アセンブリ(700)により生成された結果としてのOELを示している。このようにして得られるOELは、当該OELを有する基板が2つの垂直軸すなわち水平/横軸及び垂直/縦軸周りに傾斜している場合に複数の暗点及び複数の明点が縦傾斜及び横傾斜方向に関して対角方向に移動、出現、及び/又は消失する光学的印象を与える。
実施例2(図8及び図9B-3)
[0147]実施例2の光学効果層(OEL)を基板(820)上に作成するのに用いた磁気アセンブリ(800)を図8A及び図8Bに示す。磁気アセンブリ(800)は、第1の平面(P)と平行な配向にて、基板(820)を受容するように構成されるものとした。
[0148]磁気アセンブリ(800)は、第1の正方形状支持マトリクス(832)に埋め込まれた41個の第1の双極子磁石(8311~41)を備えた第1の磁界発生装置(830)と、第2の正方形状支持マトリクス(842)に埋め込まれた2つの第2の双極子磁石(8411、841-2)すなわち第1の第2双極子磁石(8411)及び第2の第2双極子磁石(8412)を備えた第2の磁界発生装置(840)と、を備えるものとし、第1の第2双極子磁石(8411)が第2の第2双極子磁石(8412)の上に配設され、第2の磁界発生装置(840)が第1の磁界発生装置(830)の下方に配設され、コーティング層(810)を有する基板(820)と第2の磁界発生装置(840)との間に第1の磁界発生装置(830)が配設されるものとした。第1の磁界発生装置(830)及び第2の磁界発生装置(840)は、本質的に互いの中心を合わせた。第2の磁界発生装置(840)の2つの第2の双極子磁石(8411、841-2)は、互いの中心を合わせた。
[0149]第1の磁界発生装置(830)は、比較例C1に関して説明したものと同じであるものとした。
[0150]第2の磁界発生装置(840)は、いずれも正方形状双極子磁石である2つの第2の双極子磁石(8411、841-2)を備え、30mm(B4)×30mm(B5)×2mm(1/2 B3)の寸法を有し、NdFeB N30で構成されるものとした。2つの第2の双極子磁石(8411、841-2)は、SN磁気軸が基板(820)と実質的に平行であるものとした。図8に示すように、第1の第2双極子磁石(8411)の磁気軸は、第2の第2双極子磁石(8412)の磁気軸と垂直であるものとした。
[0151]第2の磁界発生装置(840)は、2つの第2の双極子磁石(8411、8412)を保持する窪みが2つの第2の双極子磁石(8411、841-2)と同じ形状及び寸法(すなわち、30mm(B4)×30mm(B5)×4mm(B3))を有するように寸法B3を4mm(すなわち、窪みの深さ)とした点を除いて、比較例C1に使用したものと同じ第2の正方形状支持マトリクス(842)を備えることで、第1の第2双極子磁石(8411)の最上面が第2の正方形状支持マトリクス(842)の最上面と同一平面になり、2つの第2の双極子磁石(8411、841-2)が一体的に積み重ねられ、互いの中心が合い、直接接触するようにした。第2の磁界発生装置(840)は、ベクトル和H2(第1の第2双極子磁石(8411)及び第2の第2双極子磁石(8412)の磁気軸の足し合わせの結果)が基板(820)と実質的に平行であるものとした。
[0152]図8に示すように、各直線αi(α1~9)及び第2の磁界発生装置(840)のベクトル和H2のほか、第1の磁界発生装置(830)のベクトル和H1及び第2の磁界発生装置(840)のベクトル和H2は、45°の角度γを成すものとした。
[0153]第1の磁界発生装置(830)の第1の正方形状支持マトリクス(832)の上面(41個の第1の双極子磁石(8311~41)の上面にも対応)と磁気アセンブリ(800)に対向する基板(820)の表面との間の距離(h1)は、1.5mmであるものとした。第2の磁界発生装置(840)の第2の双極子磁石(841)の上面と第1の磁界発生装置(830)の正方形状支持マトリクス(832)の最下面との間の距離(h2)は、0mmであるものとした。すなわち、第1の磁界発生装置(830)及び第2の磁界発生装置(840)は、直接接触するものとした。
[0154]図9B-3には、図8に示す磁気アセンブリ(800)により生成された結果としてのOELを示している。このようにして得られるOELは、当該OELを有する基板が2つの垂直軸すなわち水平/横軸及び垂直/縦軸周りに傾斜した場合に複数の暗点及び複数の明点が縦傾斜及び横傾斜方向に関して対角方向に移動、出現、及び/又は消失する光学的印象を与える。
比較例1
[0129]比較例1の光学効果層(OEL)を基板(620)上に作成するのに用いた磁気アセンブリ(600)を図6A~図6Cに示す。磁気アセンブリ(600)は、第1の平面(P)と平行な配向にて、基板(620)を受容するように構成されているものとした。
実施例1
[0139]実施例1の光学効果層(OEL)を基板(720)上に作成するのに用いた磁気アセンブリ(700)を図7A及び図7Bに示す。磁気アセンブリ(700)は、第1の平面(P)と平行な配向にて、基板(720)を受容するように構成されるものとした。
実施例2
[0147]実施例2の光学効果層(OEL)を基板(820)上に作成するのに用いた磁気アセンブリ(800)を図8A及び図8Bに示す。磁気アセンブリ(800)は、第1の平面(P)と平行な配向にて、基板(820)を受容するように構成されるものとした。