特定の実施形態では、(a)内面及び外面を含む脂質二重層を含む合成脂質小胞と、(b)脂質二重層に埋め込まれたアンカー分子と、(c)アンカー分子に結合した抗原とを含むseVLPが本明細書に開示される。また、特定の実施形態では、内面及び外面を含む、合成、半合成又は天然の脂質二重層を含むナノディスクと、脂質二重層に埋め込まれたアンカー分子と、アンカー分子に結合した抗原とを含むsmVLPが本明細書に開示される。特定の実施形態では、seVLP又はsmVLPを含むワクチン、並びにそれらの使用及び製造方法が本明細書に開示される。
本明細書に記載のいくつかのワクチンの利点は、それらが従来のワクチン又は市販のワクチンよりも費用対効果が高く安全であることである。市販されているいくつかの予防ウイルスワクチンは、不活化ウイルス又は弱毒ウイルスに基づいている。ホルマリン不活化又は不活化ポリオ、(Ipol(登録商標)、Sanofi)及びインフルエンザ(flu)(Afluria(登録商標)、Seqiris;Fluzone(登録商標)、Sanofi)ワクチンは不活化ウイルスワクチンの例であり、一方、弱毒生麻疹、流行性耳下腺炎及び風疹(MMR-II(登録商標)、Merck)ワクチンは弱毒生ウイルスワクチンの例である。
I.概要
本明細書に記載のVLPは、従来のワクチンよりも費用対効果が高いか、より安全であるか、又は作製がより迅速なワクチンを提供する必要性を満たすために開発された。VLPは、それらの親ウイルスに似た非感染性粒子である。いくつかの実施形態では、VLPは、それらの親ウイルスの抗原を有するか、又はそれらの親ウイルスに類似する抗原を有する。いくつかの実施形態では、VLPの抗原性タンパク質は、組換えDNA法によって細菌、酵母、昆虫、植物又は哺乳動物の発現系で産生される。安全性以外で、いくつかのVLPの別の利点は、それらがTLR等の病原体関連分子パターン認識受容体(PAMP)によって、他のワクチンよりもより容易に認識される構造アレイで抗原性タンパク質を提示することである。このようにして、いくつかの実施形態では、VLPは抗原性タンパク質に対するアジュバントとなる。結果として、いくつかの実施形態では、VLPは、それらが構成されている個々の可溶性タンパク質よりも免疫原性が高い。
いくつかの非エンベロープVLPワクチンは、B型肝炎ワクチン(酵母及びHPVで産生されるEngerix-B(登録商標)、GSK;それぞれ酵母及び昆虫細胞で産生されるGardasil(登録商標)9、Merck、Cevarix(登録商標)、GSK)を含み、これらのワクチンは、単一のタンパク質、B型肝炎ウイルスのHBsAg及び空の正二十面体カプシドシェルを自発的に形成するHPVのL1を有する。いくつかの追加の非エンベロープVLPワクチンは、E.コリで産生されるE型肝炎ウイルス(HEV)(Hercolin1(登録商標),Xiamen Innovax Biotech Co.,China)、昆虫細胞で産生されるマラリア(Mosquirix(登録商標),GSK)、及び2つの第二世代B型肝炎ワクチン(Sci-B-Vac(登録商標),VBI Vaccines,Inc.及びHEPLISAV-B(登録商標),Dynavax)を含む。
いくつかのVLPはエンベロープされている(eVLP)。eVLPは、それらが産生される発現系に由来する脂質並びに親ウイルス由来の免疫原性タンパク質のうちの1つ以上を含有するという点で、非エンベロープVLPよりも複雑である。このようなeVLPは、それらの宿主細胞の出芽からそれらの脂質膜を得る。例えば、そのようなeVLPは、HIV、インフルエンザ、Chickungunya、SARS、ニパ、エボラ、デング熱、リフトバレー熱及びラッサウイルスに対するものであった。これらのeVLPは、酵母、昆虫細胞、哺乳動物細胞及び植物において産生された。しかし、これらのeVLPワクチンはいずれも商業生産に到達していない。
問題により、eVLP及び他のワクチンの商業的使用が阻まれた。例えば、市販のeVLPワクチンは、インフルエンザワクチンであるInflexal(登録商標)である。Inflexalを製造するために、インフルエンザウイルスをニワトリの卵で増殖させる。ヘマグルチニン(HA)及びノイロアミニダーゼ(NA)糖タンパク質を含有するビリオンを界面活性剤オクタエチレングリコールモノ(n-ドデシル)エーテルで可溶化し、ヌクレオカプシドを遠心分離によって除去し、得られた未定義の粗製上清混合物に追加の外部リン脂質を10%補充した。これらのeVLPは、界面活性剤の混合及び除去によって製造された。Inflexalは1997年に欧州市場に導入された。Inflexalに関しては、商品のコストが問題であった。2012年に、汚染されたInflexalの2つのロットがスイスからイタリアに出荷され、Inflexalの製造は終了した。これらのeVLPは、卵由来のタンパク質及び脂質汚染物質、未定義の比のインフルエンザHA及びNA、並びに未知の量のインフルエンザM2を含んでいた。eVLPを製造する混合プロセス及び界面活性剤除去は十分に定義されておらず、汚染を導き、製造を終了させた。
したがって、既存のeVLPは、それらの成功を制限する問題を有する。いくつかのeVLPは、脂質膜により単一タンパク質カプシドVLPよりも安定性が低い。いくつかのeVLPは、産生細胞を出芽することによって形成されるため、発現系においてより低い収率で製造される。いくつかのeVLPは、発現系の細胞から出芽するプロセスで、eVLP内に封入された宿主細胞タンパク質によって汚染される。昆虫細胞系で製造されるいくつかのeVLPは、ほぼ同一のサイズ及び形態のバキュロウイルス粒子によって汚染される。いくつかのeVLPは精製が困難であり、スクロース勾配による超遠心分離を必要とすることが多い。本明細書に記載されるワクチンのいくつかの実施形態は、これらの問題の1つ以上を解決し、安全で、汚染物質を含まず、有効である改善されたワクチンに関して当技術分野で長年感じられてきた必要性に対する解決策を提供する。
以前のワクチンは、卵に由来する他のタンパク質又は脂質が除去された完全合成小胞を含まなかった。合成エンベロープVLP又はワクチンの作製は、細胞から作製された現在のVLPワクチンの未定義の性質の問題を解決する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるワクチンは迅速に開発又は製造されるが、以前のインフルエンザワクチンは、例えば、開発に非常に時間がかかるか、又は特定のインフルエンザシーズン中に完全に有効とするには非常に費用がかかった。
A型インフルエンザは、世界中で毎年最大50万人の死亡の原因である。いくつかのサブタイプが一般にヒトにおいて広まっているが、いくつかの実施形態では、新しいサブタイプが、人獣共通感染によって常に導入される。いくつかの実施形態では、人獣共通感染は、H5N1又はH7N9を含む。季節性ワクチンは毎年更新されるが、これらの人獣共通伝染は予測不可能であり、ワクチンでは考慮されない。現在利用可能なワクチンは、(1)不活化ワクチンが堅牢な粘膜免疫応答を生成せず、(2)弱毒生インフルエンザワクチン(LAIV)は、過剰に弱毒化され、使用ガイドラインが制限されていることから、問題があるため、十分ではなく、野生型ウイルスとの再集合のリスクのために、季節性株には存在しないHA及びNAサブタイプを有するLAIVを使用することができない。現在利用可能なワクチンは、特定の株に対して保護するように設計され、毎年再製剤化され、普遍的な保護を提供しない。鳥インフルエンザウイルスに対する、不活化及びLAIVの両方の特定のプレパンデミックワクチンは、さほど免疫原性ではない。人獣共通インフルエンザ感染症の流行を防ぐことを目的としたユニバーサルワクチンは、現在の季節性ワクチンを補うことができ、公衆衛生に有益であろう。いくつかの実施形態では、ユニバーサルワクチンは、全ての鳥サブタイプに対して、16の鳥HAサブタイプ(H1~H16)に対して保護するか、又は流行の場合に迅速に製造される。
いくつかの実施形態では、VLPは、NAに対するHAの免疫優性の問題を回避するために、各々が単一のA型インフルエンザHAサブタイプ(又は単一のNAサブタイプ)を含有するインフルエンザseVLPの多価混合物を含む。いくつかの実施形態では、VLPは、A型インフルエンザNAタンパク質を含有するseVLP又はsmVLPである。いくつかの実施形態では、VLPは、2つ以上の異なる抗原、例えばA型インフルエンザNAタンパク質及びA型インフルエンザマトリックスタンパク質、例えばM1、M2、若しくはその両方を含む。これらの多価VLPは、非感染性であり、安全であり、製造及び使用が容易である。いくつかの実施形態では、これらの多価VLPは、広く保護的な「ユニバーサル」プレパンデミックワクチン及びより広く反応性の季節性ワクチンを提供するために使用される。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、鼻腔内、筋肉内、皮内、全身、又は静脈内に送達されて、インフルエンザウイルスHAのヘッド(head)及びストーク(stalk)上の保存されたエピトープ並びにNAエピトープに対する広範な反応性免疫を誘発し、それによって広範囲のA型インフルエンザウイルスに対する防御を付与する。いくつかの実施形態では、HAは抗原的に多様であるが、HA受容体結合ドメイン及びストークドメイン中の保存されたエピトープは、交差反応性ワクチンの製造を可能にする。
いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2に対するサブユニットワクチンは、哺乳動物細胞株で組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質を発現させ、タンパク質を精製し、膜結合粒子(VMLP)に製剤化することによって開発されて、デュアルアジュバント系と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、サブユニットワクチンの開発における態様は、ワクチンに使用される抗原の効力を決定することを含む。この目的のために、SARS-CoV-2の天然の細胞受容体標的、アンジオテンシン変換酵素2(ACE-2)を、サンドイッチ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)で利用することができる。SARS-CoV-2-SがACE-2に結合する能力をこのアッセイで定量化し、SARS-CoV-2-S効力の指標として使用することができる。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2-Sの安定性は、異なる貯蔵条件又は異なる製剤で経時的に測定される。
いくつかの実施形態では、サンドイッチELISAの改変を、サブユニットワクチンが有効な免疫応答を誘発したかどうかの尺度として使用することもできる。SARS-CoV-2-SのACE-2への結合を中和する抗体の能力は、防御免疫応答と相関することが本明細書で示される。結果として、本明細書に記載されるアッセイを使用して、人々をスクリーニングして、彼らがSARS-Cov-2中和抗体(NAb)を有するかどうかを調べることができる。更に、NAbの量を測定し、COVID-19から人々を保護するために必要とされるNAbのレベルと相関させることができる。現在、NAbは、生きているSARS-CoV-2ウイルス(BSL3を必要とし、変動係数(CV)が高い)、又はレポーター遺伝子を発現するVSV及びSARS-CoV-2スパイク糖タンパク質等の偽型ウイルス(BSL2を必要とし、変動係数(CV)が高い)のいずれかによって生物学的に測定される。本明細書に記載される改善は、NAb試験を低いCVを有する単純なBLS1定量的イムノアッセイに変える。様々な形式の市販のイムノアッセイが想定される。
いくつかの実施形態では、サンドイッチELISAを開発するために、哺乳動物発現ベクターが、タンパク質の最初の740アミノ酸(配列番号17)に対応するACE-2の外部ドメイン(配列番号18)を生成するよう依頼される。いくつかの実施形態では、イオン交換クロマトグラフィを使用してACE-2を精製し、蛍光発生基質アッセイを使用してその酵素活性を保持しているかどうかを判定するために試験した。いくつかの実施形態では、高結合ELISAプレートを一晩ACE-2でコーティングし、ウシ血清アルブミンでブロックし、次いで異なる濃度のSARS-CoV-2-Sとインキュベートしてアッセイの線形範囲を決定した。いくつかの実施形態では、「インハウス(in-house)」SARS-CoV-2-S(VrS01)を市販のSARS-CoV-2-Sと比較した。いくつかの実施形態では、ACE-2への結合がSARS-CoV-2-Sに特異的であることを確実にするために、結合を「インハウス」ヘマグルチニンと比較した。いくつかの実施形態では、熱ストレス、pHストレス、及びSARS-CoV-2-SのS1ドメインに対して産生された市販のポリクローナル抗体を、SARS-CoV-2-S/ACE-2結合に影響を及ぼすそれらの能力について試験した。
いくつかの実施形態では、精製組換えACE-2を、ワクチン抗原としての組換えSARS-CoV-2-Sの効力を試験するために使用されるサンドイッチELISAの捕捉工程に使用することができる。これらの分子間の結合相互作用は、SARS-CoV-2-SがpH又は熱でストレスを受けた場合に破壊され、このアッセイがSARS-CoV-2-Sの品質及び立体配座の変化に感受性を有することを示唆している。広範囲のSARS-CoV-2-S濃度にわたってACE-2との結合相互作用には線形関係があり、組換えSARS-CoV-2-Sが膜結合粒子に組み込まれた場合、ACE-2結合関係は線形のままであり、ワクチン製剤の他の成分によって阻害されない。同じ濃度でアッセイした場合、インフルエンザのB/コロラド’17株由来のヘマグルチニンはACE-2に結合しないため、ACE-2への結合は、SARS-CoV-2-Sに特異的である。最後に、SARS-CoV-2-SのS1サブユニットに対して産生された市販のポリクローナル抗体は、ACE-2への結合を阻害し得る。したがって、ACE-2結合に基づくサンドイッチELISAは、SARS-CoV-2-Sの効力及び/又は安定性を決定する際の強力なツールであり、ワクチン接種個体からの血清が中和抗体を有するかどうかを判定する際の有用性を有する。いくつかのそのような実施形態の非限定的な例は、実施例12~16に含まれる。
II.定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、表記並びに他の技術的及び科学的用語又は学術用語は、特許請求される主題が属する技術分野の通常の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有することが意図される。場合によっては、一般に理解される意味を有する用語は、明確にするために、及び/又は容易に参照するために本明細書で定義され、本明細書にそのような定義を含めることは、当技術分野で一般に理解されるものとの実質的な違いを表すものと必ずしも解釈されるべきではない。
本明細書で使用される場合、ワクチンを対象に「投与する」ことは、ワクチンを対象と接するように与えること、適用すること、又はもたらすことを含む。いくつかの実施形態では、投与は、多数の経路のいずれかによって達成される。いくつかの実施形態では、投与は、局所、経口、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、髄腔内又は皮内経路によって達成される。
本明細書で使用される場合、「抗体」は、いくつかの実施形態では、特定のアミノ酸配列を有するBリンパ球様細胞によって産生される免疫グロブリン分子である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、抗体結合断片を含むか、又は抗体結合断片からなる。いくつかの実施形態では、抗体結合断片は、Fab、Fab’、F(ab)’2、一本鎖Fv(scFv)、Fv断片、又はFc配列を含むか又はこれからなる。いくつかの実施形態では、抗体はヒトIgGを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、特定の抗原(HA及びNA等の免疫原)によってヒト又は他の動物において誘発される。抗体は、いくつかの実施形態では、いくつかの実証可能な方法で抗原と特異的に反応することを特徴とし、抗体及び抗原はそれぞれ他方に関して定義されている。「抗体応答を誘発する」は、いくつかの実施形態では、抗原又は他の分子が抗体の産生を誘導する能力を指す。
いくつかの実施形態では、「抗原」又は「免疫原」は、動物に注射又は吸収される組成物を含む、動物における抗体の産生又はT細胞応答を刺激する化合物、組成物又は物質を指す。いくつかの実施形態では、抗原は、異種免疫原によって誘導されるものを含む、特定の体液性又は細胞性免疫の産物と反応する。開示される組成物及び方法のいくつかの実施形態では、抗原は、インフルエンザHAタンパク質、インフルエンザNAタンパク質、又はその両方である。本明細書で使用される場合、「免疫原性組成物」は、いくつかの実施形態では、抗原を含むワクチン(異なるインフルエンザHAタンパク質を有する複数のseVLP等)である。
「免疫応答」は、いくつかの実施形態では、抗原又はワクチン(A型若しくはB型インフルエンザHA及び/又はNAタンパク質等)等の刺激に対する、B細胞、T細胞、マクロファージ又は多形核球等の免疫系の細胞の応答を指す。いくつかの実施形態では、免疫応答は、例えばインターフェロン又はサイトカインを分泌する上皮細胞を含む、宿主防御応答に関与する身体の任意の細胞を含む。免疫応答は、自然免疫応答又は炎症を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、防御免疫応答は、対象を感染症から保護する(感染症を防止する、又は感染症に関連する疾患の発症を防止する)免疫応答を指す。免疫応答を測定する方法は当技術分野で周知であり、例えば、リンパ球(B又はT細胞等)の増殖及び/又は活性、サイトカイン又はケモカインの分泌、炎症、抗体産生等を測定することを含む。
「単離された」生物学的成分(核酸、タンパク質、VLP、又はウイルス等)は、いくつかの実施形態では、他の生物学的成分(細胞片、又は他のタンパク質若しくは核酸等)から実質的に分離又は精製されている。いくつかの実施形態では、「単離された」生物学的成分は、標準的な精製方法によって精製された成分を含む。この用語はまた、いくつかの実施形態では、組換え核酸、タンパク質、ウイルス及びVLP、並びに化学合成された核酸又はペプチドを包含する。
いくつかの実施形態では、「精製された」という用語は、絶対的純粋性を必要とせず、むしろ相対的な用語として意図されている。いくつかの実施形態では、精製されたタンパク質、ウイルス、VLP又は他の化合物は、天然に関連するタンパク質及び他の汚染物質から全体的又は部分的に単離されたものである。いくつかの実施形態では、「実質的に精製された」という用語は、細胞、細胞培養培地、又は他の粗製調製物から単離され、初期調製物の様々な成分、例えばタンパク質、細胞片及び他の成分を除去するために分別された、タンパク質、ウイルス、VLP又は他の活性化合物を指す。いくつかの実施形態では、単離又は精製された生物学的成分、タンパク質、ウイルス、VLP又は他の化合物は、1%、0.75%、0.5%、0.25%、0.1%、0.05%、0.01%、0.005%、0.001%、0.0005%、0.0001%、0.00005%、0.00001%、0.000005%、若しくは0.000001%、又は前述の百分率のいずれか2つによって定義される百分率の範囲の汚染物質を有する、又は含む。いくつかの実施形態では、単離又は精製された生物学的成分、タンパク質、ウイルス、VLP又は他の化合物は、1%、0.75%、0.5%、0.25%、0.1%、0.05%、0.01%、0.005%、0.001%、0.0005%、0.0001%、0.00005%、0.00001%、0.000005%又は0.000001%未満の汚染物質を有する、又は含む。
いくつかの実施形態では、「脂質」は、天然に存在する、半合成、及び完全合成の脂質を含む。VLPを製造するために使用される脂質のいくつかの例は、DOPC、DOPE、DSPE(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)及びDSPE-PEG(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-2000](アンモニウム塩))、コレステロール、並びにそれらの誘導体を含む。いくつかの実施形態は、10:4.25:3:1:3の比で混合された、ホスファチジルコリン(50mg/ml)、コレステロール(20mg/ml)、ホスファチジルエタノールアミン(10mg/ml)、ホスファチジルセリン(10mg/ml)、スフィンゴミエリン(20mg/ml)及びホスファチジルイノシトール(2.5mg/ml)を含むもの等の混合物を含む。
いくつかの実施形態では、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的関係にある場合、第1の核酸配列は第2の核酸配列と「作動可能に連結される」。いくつかの実施形態では、プロモータがコード配列の転写又は発現に影響を及ぼす場合、プロモータはコード配列に作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、2つのタンパク質コード領域を同じ読み枠に連結する必要がある場合、作動可能に連結されたDNA配列は連続している。
アミノ酸又は核酸配列間の類似性は、場合によっては、配列間の類似性に関して表され、そうでなければ「配列同一性」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、配列同一性は、同一性(又は類似性若しくは相同性)の百分率に関して測定され、例えば、百分率が高いほど、2つの配列はより類似している。いくつかの実施形態では、所与の遺伝子又はタンパク質の相同体又は変異体は、標準的な方法を使用して整列させた場合、比較的高程度の配列同一性を有する。
いくつかの実施形態では、「治療有効量」は、薬剤で治療されている対象において所望の効果を達成するのに十分な特定の薬剤の量を指す。いくつかの実施形態では、これは、対象において免疫応答を誘発するため、及び/又はインフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症又は疾患を予防するために有用なワクチン又はVLPの量である。いくつかの実施形態では、ワクチンの治療有効量は、対象において実質的な細胞傷害効果を引き起こすことなく、対象においてインフルエンザウイルス(A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、又はその両方等)によって引き起こされる感染症に対する耐性を増加させ、感染症を予防し、改善し、及び/又は治療するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、対象における感染症に対する耐性を増加させ、予防し、改善し、及び/又は治療するのに有用なワクチンの有効量は、例えば、治療されている対象、治療用組成物の投与様式及びアジュバント等の他の因子に依存するであろう。
いくつかの実施形態では、「ワクチン」は、感染性疾患等の疾患の予防、改善、又は治療のために投与される、免疫応答を刺激することができる免疫原性物質の調製物を指すか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、免疫原性物質は、本明細書に開示されるVLPである。いくつかの実施形態では、ワクチンは、予防的(防止的)応答及び治療的応答の両方を誘発する。いくつかの実施形態では、投与方法は、ワクチンに従って変化するか、あるいは接種、摂取、鼻腔内、皮内、又は他の投与形態を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、免疫応答を増強するためにアジュバントと共に投与される。
いくつかの実施形態では、VLPは、1つ以上のウイルス構造タンパク質で構成されるがウイルスゲノムを欠くウイルスに似たエンベロープ構造を指すか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、VLPはウイルスゲノムを欠き、非感染性である。いくつかの実施形態では、VLPは、非エンベロープ及びeVLPに分けられる。いくつかの実施形態では、エンベロープVLPは脂質膜を含む。いくつかの実施形態では、VLPは、適切に折り畳まれた機能性抗原を提示する。いくつかの実施形態では、VLPは、上皮細胞又は赤血球上の受容体に結合するHAを提示する。いくつかの実施形態では、VLPはNAを提示し、シアル酸を切り離す酵素活性を有する。いくつかの実施形態では、VLPは、合成エンベロープVLP(seVLP)を含む。いくつかの実施形態では、seVLPは、HA又はNAタンパク質を提示するか、あるいは含み、出芽及び宿主細胞からの粒子の放出を駆動するウイルスコアタンパク質(インフルエンザM1、M2又は両方等)を含む。いくつかの実施形態では、VLPはsmVLPを含む。いくつかの実施形態では、smVLPはナノディスクを含む。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、第1の面及び第2の面を含む合成、半合成又は天然の脂質二重層と、脂質二重層に埋め込まれたアンカー分子と、アンカー分子に結合した抗原と、を含む。
本出願を通して、様々な実施形態が範囲形式で提示され得る。範囲形式での説明は、単に便宜及び簡潔さのためのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の説明は、全ての可能な部分範囲及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示したと見なされるべきである。例えば、1~6等の範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の部分範囲、並びにその範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5、及び6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含む。いくつかの実施形態では、「試料」という用語は、それらの混合物を含む複数の試料を含む。
いくつかの実施形態では、「対象」は、発現した遺伝物質を含有する生物学的実体である。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。
本明細書で使用される場合、「約」数という用語は、その数の±10%を指す。「約」範囲という用語は、その範囲の最低値のマイナス10%及び最大値のプラス10%を指す。
本明細書で使用される場合、「治療」又は「治療すること」という用語は、いくつかの実施形態では、レシピエントにおいて有益又は所望の結果を得るための医薬レジメンに関して使用される。有益又は所望の結果には、治療的利益及び/又は予防的利益が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、治療上の利益は、治療されている症状又は根底にある障害の根絶又は改善を指す。いくつかの実施形態では、治療上の利益は、対象が依然として根底にある障害に罹患している可能性があるにもかかわらず、根底にある障害に関連する生理学的症状の1つ以上が根絶するか、又は改善して、対象において改善が観察されることによって達成される。いくつかの実施形態では、予防効果は、疾患若しくは状態の出現を遅延させるか、予防するか、若しくは排除するか、疾患若しくは状態の症状の発症を遅延させるか、若しくは排除するか、疾患若しくは状態の進行を遅らせるか、停止させるか、若しくは逆転させるか、又はそれらの任意の組合わせを含む。いくつかの実施形態では、予防的利益のために、疾患の診断がなされていなくても、特定の疾患を発症するリスクがある対象、又は疾患の生理学的症状の1つ以上を報告する対象が治療を受ける。いくつかの実施形態では、治療上の利益は、疾患に対する免疫化を含む。
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のためだけであり、記載された主題を限定するものと解釈されるべきではない。
III.SEVLP及びSMVLP
特定の実施形態では、(a)内面及び外面を含む脂質二重層を含む合成脂質小胞と、(b)脂質二重層に埋め込まれたアンカー分子と、(c)アンカー分子に結合した抗原と、を含むか、又はそれからなる合成エンベロープVLP(seVLP)が本明細書に開示される。特定の実施形態では、第1の面及び第2の面を含む合成、半合成又は天然の脂質二重層を含むナノディスクと、脂質二重層に埋め込まれたアンカー分子と、アンカー分子に結合した抗原と、を含むsmVLPも本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、VLPSは室温で安定である。いくつかの実施形態では、脂質二重層は合成である。いくつかの実施形態では、脂質二重層は半合成である。いくつかの実施形態では、脂質二重層は天然又は非合成である。いくつかの実施形態では、脂質二重層は合成脂質を含む。いくつかの実施形態では、脂質二重層は半合成であり、天然又は非合成脂質、及び合成脂質を含む。いくつかの実施形態では、脂質二重層は天然脂質を含む。
いくつかの実施形態では、抗原は、精製された組換えタンパク質を使用して作製される。いくつかの実施形態では、組換えタンパク質は培養細胞から産生される。いくつかの実施形態では、培養細胞は、抗原をコードする核酸を含む。
いくつかの実施形態では、VLP(例えば、seVLP又はsmVLP)は、定義された脂質と混合された定義された精製組換えタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、VLPは、化学的に定義された完全合成seVLPを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、seVLPは、膜に埋め込まれた抗原タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、seVLPは、膜に埋め込まれた本明細書に記載のアンカー分子を含む抗原タンパク質を含有する。いくつかの実施形態では、seVLPは、膜アンカードメインによって膜に埋め込まれた抗原タンパク質を含み、一方、seVLPの表面は、目的の抗原タンパク質の親水性ドメインで装飾されている。いくつかの実施形態では、ワクチン製剤は、単一のseVLP中に抗原の組合わせを含む。いくつかの実施形態では、異なるseVLPを一緒に混合して単一のワクチンとする。
いくつかの実施形態では、seVLPは、抗原のタンパク質親油性膜貫通ドメインによって適所に固定された抗原を含み、一方抗原の親水性ドメインは脂質膜の内面及び外面の両方に提示される。いくつかの実施形態では、膜の脂質は免疫応答を増強するのに役立ち、抗原を提示することは、また免疫応答を増強するための構造化された秩序配列である。いくつかの実施形態では、抗原は、その天然の三次元立体配座をseVLP又はリポソーム内に保持する。
いくつかの実施形態では、VLPは、smVLPを含むか、又はsmVLPからなる。いくつかの実施形態では、smVLPはディスクを含む。いくつかの実施形態では、ディスクはナノディスクである。いくつかの実施形態では、ナノディスクは膜を含む。いくつかの実施形態では、ナノディスク又は膜は、合成、半合成又は天然の脂質二重層を含む。いくつかの実施形態では、脂質二重層の脂質は、疎水性脂肪族側鎖を含む。いくつかの実施形態では、脂質二重層の脂質は親水性ヘッドを含む。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、第1の面及び第2の面を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の面の各々は平坦である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の面の各々は、脂質二重層に埋め込まれた抗原を含む。いくつかの実施形態では、ナノディスクはエッジを含む。いくつかの実施形態では、エッジは円形である。いくつかの実施形態では、エッジは外周を含む。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、ドーナツ形状、円盤形状、又はコイン形状である。
いくつかの実施形態では、ナノディスクは、ポリメタクリレート(PMA)コポリマーから作製されるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、PMAコポリマーは両親媒性である。いくつかの実施形態では、PMAコポリマーはドーナツ形状である。いくつかの実施形態では、PMAコポリマーはナノディスクの外周又はエッジに巻き付く。いくつかの実施形態では、PMAコポリマーは、ナノディスクの外周又はエッジの周りにドーナツ形状を形成する。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、スチレン-マレイン酸脂質粒子(SMALP)から作製されるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、SMALPはドーナツ形状である。いくつかの実施形態では、SMALPは両親媒性である。いくつかの実施形態では、SMALPは、ナノディスクの外周又はエッジの周りに巻き付く。いくつかの実施形態では、SMALPは、ナノディスクの外周又はエッジの周りにドーナツ形状を形成する。いくつかの実施形態では、SMALPは、SMALP 25010P、SMALP 30010P、及び/又はSMALP 40005P(例えば、Polyscience、Geleen、Netherlands製)を含む。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、PMAコポリマー及びSMALPを含む。いくつかの実施形態では、ナノディスクはSMALPSを含まない。いくつかの実施形態では、ナノディスクはPMAコポリマーを含まない。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、膜足場タンパク質(MSPS)又は両親媒性MSPSを含まない。いくつかの実施形態では、ナノディスクはアポリポタンパク質A-1(ApoA)を含まない。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、ApoAの反復アルファヘリックスドメインに由来する非免疫原性の22のアミノ酸模倣ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ナノディスクはヒト使用のために製剤化される。いくつかの実施形態では、PMAコポリマーは、ナノディスクをヒト使用に適したものにする利点を提供する。いくつかの実施形態では、PMAは非毒性である。いくつかの実施形態では、SMALPは、ナノディスクをヒト使用に適したものにする利点を提供する。いくつかの実施形態では、SMALPは非毒性である。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、ポリメタクリレートコポリマー(例えば、N-C4-52-6.9)を含む。いくつかの実施形態では、SMAは、低pH又は二価金属イオンの存在下で不安定である。
いくつかの実施形態では、ナノディスクはDIBMAを含む。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、DIBMAAコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、DIBMAコポリマーはドーナツ形状である。いくつかの実施形態では、ナノディスクは両親媒性ドーナツ形状DIBMAコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、smVLPは、スチレンを含まないか、又はスチレン非含有ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、smVLPは、DIBMA又はポリメタクリレートコポリマー(PMA)を含む。いくつかの実施形態では、DIBMA又はPMAはナノディスクを形成し、脂質アシル鎖に影響を及ぼすか、又はSMAと比較して二価金属イオンに対する安定性が改善されている。
いくつかの実施形態では、ナノディスク膜は、1つ以上の膜結合抗原タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、300、400、又は500nMの直径、あるいは前述の直径のいずれか2つによって定義される直径の範囲からなる。いくつかの実施形態では、ナノディスクは5~200nMの直径からなる。いくつかの実施形態では、ナノディスクは50~200nMの直径からなる。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、300、400、又は500nM未満の直径からなる。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、300、400、又は500nM超の直径からなる。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、50nM未満の直径からなる。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、50nM超の直径からなる。いくつかの実施形態では、ナノディスクは50~100nMの直径からなる。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、100~150nMの直径からなる。いくつかの実施形態では、ナノディスクは150~200nMの直径からなる。いくつかの実施形態では、ナノディスクは75~125nMの直径からなる。いくつかの実施形態では、直径は、VLPの脂質二重層の直径である。いくつかの実施形態では、直径は、VLPの外側エッジ上のドーナツ形状タンパク質の直径である。
いくつかの実施形態では、ナノディスクは、ナノディスクの脂質膜に埋め込まれた抗原(例えばインフルエンザHA抗原)を有する50nM超の直径からなる。いくつかの実施形態では、ナノディスクはエンベロープ又は脂質エンベロープを含まない。いくつかの実施形態では、ナノディスクは単一の抗原又はアンカー分子を含む。いくつかの実施形態では、smVLPは大きなナノディスクを含む。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、複数の抗原及び/又はアンカー分子を含む。いくつかの実施形態では、ナノディスク又は大きなナノディスクは、一連の抗原を埋め込む。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、複数のsmVLP又は多価smVLPを含むワクチンの成分である。いくつかの実施形態では、脂質二重層の第1の面は、第1のアンカー分子及び/又は第1の抗原を含み、脂質二重層の第2の面は、第2のアンカー分子及び/又は第2の抗原を含む。
いくつかの実施形態では、ナノディスクは、脂質二重層に埋め込まれたアンカー分子と、アンカー分子に結合した抗原と、を含む。いくつかの実施形態では、抗原は脂質二重層に直接埋め込まれる。
A.脂質小胞
いくつかの実施形態では、脂質小胞は、ホスファチジルコリン種等の第1の脂質を含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞は、ホスファチジルエタノールアミン種等の第2の脂質を含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞は、第1の脂質及び第2の脂質を所定の比で含む。いくつかの実施形態では、所定の比は、1:0.25~1:4である。いくつかの実施形態では、脂質小胞は、1:0.25~1:4の所定の比で第1の脂質及び第2の脂質を含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞は、本明細書に記載されるようなseVLPの一部である。いくつかの実施形態は、本明細書に記載の第1の脂質、第2の脂質、及び/又は第3の脂質を有するVLPを含む。いくつかの実施形態では、smVLPの脂質(複数可)は、脂質小胞を形成しない。いくつかの実施形態では、smVLPは脂質小胞を含まない。
いくつかの実施形態では、第1の脂質及び/又は第2の脂質はそれぞれ、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれを超える炭素原子、あるいは前述の数字のいずれか2つによって定義される範囲の炭素原子を含むアシル鎖を含む。いくつかの実施形態では、第1の脂質及び/又は第2の脂質はそれぞれ、4~18の炭素原子を含むアシル鎖を含む。いくつかの実施形態では、第1の脂質及び/又は第2の脂質はそれぞれ、4以下の不飽和結合を含む。いくつかの実施形態では、第1の脂質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以下の不飽和結合、又は前述の数のいずれか2つによって定義される範囲の不飽和結合を含む。いくつかの実施形態では、第2の脂質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以下の不飽和結合、又は前述の数のいずれか2つによって定義される範囲の不飽和結合を含む。
いくつかの実施形態では、脂質小胞の第1の脂質及び/又は第2の脂質は、精製された脂質を含むか又は精製された脂質からなる。いくつかの実施形態では、精製された脂質は、少なくとも75.0%、80.0%、85.0%、90.0%、91.0%、92.0%、93.0%、94.0%、95.0%、96.0%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99.0%、99.5%、99.9%、100%、又は前述の百分率のいずれか2つによって定義される百分率の範囲で、純粋である。いくつかの実施形態では、精製された脂質は少なくとも99%純粋である。
いくつかの実施形態では、第1の脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)を含む。いくつかの実施形態では、第2の脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、DOPC又はDOPE等の1つ以上の脂質を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンはコレステロールを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、DSPE-peg2000(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホホエタノアミン-N[アミノ(ポリエテレングリコール)-2000](アンモニウム塩)、又は関連脂質を含む。
いくつかの実施形態では、脂質小胞はステロール又はステロール誘導体を含む。いくつかの実施形態では、ステロール又はステロール誘導体は、コレステロール又はDC-コレステロールを含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞は、ステロール又はステロール誘導体を、第1の脂質及び/又は第2の脂質に対して、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50mol%の比で、あるいは前述のモルモル百分率のいずれか2つによって定義される範囲で含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞は、第1の脂質及び/又は第2の脂質に対して0~30mol%の比でステロール又はステロール誘導体を含む。
いくつかの実施形態では、脂質小胞、脂質小胞の第1の脂質、及び/又は脂質小胞の第2の脂質は合成である。いくつかの実施形態では、脂質小胞、脂質小胞の第1の脂質、及び/又は脂質小胞の第2の脂質は天然脂質である。いくつかの実施形態では、脂質小胞、脂質小胞の第1の脂質、及び/又は脂質小胞の第2の脂質は、天然及び合成の脂質を含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞、脂質小胞の第1の脂質、及び/又は脂質小胞の第2の脂質は、生物学的物質を含まないか、又は実質的に含まない。
B.抗原
いくつかの実施形態では、脂質小胞は外面を含み、抗原は脂質小胞の外面上に提示される。いくつかの実施形態では、脂質小胞は内面を含み、抗原は脂質小胞の内面上に提示される。
いくつかの実施形態では、抗原は、細菌、酵母、植物、昆虫細胞又は哺乳動物細胞で産生される。いくつかの実施形態では、抗原は精製された抗原であるか、精製された抗原からなるか、又は精製された抗原を含む。いくつかの実施形態では、精製された抗原は、少なくとも75.0%、80.0%、85.0%、90.0%、91.0%、92.0%、93.0%、94.0%、95.0%、96.0%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99.0%、99.5%、99.9%、100%、又は前述の百分率のいずれか2つによって定義される百分率の範囲で、純粋である。いくつかの実施形態では、精製された抗原は少なくとも99%純粋である。いくつかの実施形態では、抗原は、1つ以上の脂質と混合される前に精製される。
いくつかの実施形態では、抗原は、本明細書に記載の膜アンカーに直接結合する。いくつかの実施形態では、抗原は膜アンカーを含む。
いくつかの実施形態では、抗原は、ヘキサヒスチジンタグ又はFLAGタグ等のタグを含む。
いくつかの実施形態では、VLP(例えば、seVLP又はsmVLP)は、呼吸器合胞体ウイルス、水痘、HIV、SARS、エボラ、ニパ、デング熱、リフトバレー熱、狂犬病、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、ラッサ熱及びマールブルグウイルス等の膜貫通抗原を含む。いくつかの実施形態の合成的性質は、定義された脂質を定義されたタンパク質と組み合わせ、いくつかの例では目的の任意の抗原に延長する技術を教示する。いくつかの実施形態では、VLPは、本明細書に記載のコロナウイルス抗原等のコロナウイルス抗原を含む。
いくつかの実施形態では、抗原は病原体抗原である。いくつかの実施形態では、抗原は、病原体のタンパク質又は成分である。いくつかの実施形態では、病原体はウイルス又は寄生生物である。VLP標的のウイルス及び寄生生物の種類の非限定的な例は、いくつかの実施形態では、レンチウイルス、フラビウイルス、フィロウイルス、コロナウイルス、パラミクソウイルス、HPV、ヘルペスウイルス、C型肝炎(HepC)ウイルス、プラスモジウム寄生生物、又はトリパノソーマ寄生生物を含む。
いくつかの実施形態では、抗原は、癌関連ペプチド若しくは抗原、又はそれらの断片である。癌関連抗原の例には、腫瘍特異的免疫グロブリン可変領域、GM2、Tn、sTn、TF、Globo H、Le(y)、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5AC、MUC5B、MUC7、癌胎児性抗原、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのベータ鎖(hCGベータ)、C35、HER2/neu、CD20、PSMA、EGFRvIII、KSA、PSA、PSCA、GP100、MAGE1、MAGE2、TRP1、TRP2、チロシナーゼ、MART-1、PAP、CEA、BAGE、MAGE、RAGE、及び関連タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、抗原は、細菌ペプチド若しくは抗原、又はそれらの断片である。細菌抗原の例には、アクチノミセス抗原(Actinomyces antigen)、バチルス抗原(Bacillus antigens)、例えば、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)からの免疫原性抗原、バクテロイド抗原(Bacteroides antigens)、ボルデテラ抗原(Bordetella antigens)、バルトネラ抗原(Bartonella antigens)、ボレリア抗原(Borrelia antigens)、例えば、B.ブルグドフェリOspA(B.burgdorferi OspA)、ブルセラ抗原(Brucella antigens)、カンピロバクター抗原(Campylobacter antigens)、キャプノサイトファーガ抗原(Capnocytophaga antigens)、クラミジア抗原(Chlamydia antigens)、クロストリジウム抗原(Clostridium antigens)、コリネバクテリウム抗原(Corynebacterium antigens)、コクシエラ抗原(Coxiella antigens)、デルマトフィルス抗原(Dermatophilus antigens)、エンテロコッカス抗原(Enterococcus antigens)、エーリキア抗原(Ehrlichia antigens)、エシェリキア抗原(Escherichia antigens)、フランキセラ抗原(Francisella antigens)、フゾバクテリウム抗原(Fusobacterium antigens)、ヘモバルトネラ抗原(Haemobartonella antigens)、ヘモフィルス抗原(Haemophilus antigens)、例えば、H.B型インフルエンザ型外膜タンパク質、ヘリコバクター抗原(Helicobacter antigens)、クレブシエラ抗原(Klebsiella antigens)、L型菌抗原、レプトスピア抗原(Leptospira antigens)、リステリア抗原(Listeria antigens)、マイコバクテリア抗原(Mycobacteria antigens)、マイコプラズマ抗原(Mycoplasma antigens)、ナイセリア抗原(Neisseria antigens)、ネオリケッリア抗原(Neorickettsia antigens)、ノカルジア抗原(Nocardia antigens)、パスツレラ抗原(Pasteurella antigens)、ペプトコッカス抗原(Peptococcus antigens)、ペプトストレプトコッカス抗原(Peptostreptococcus antigens)、肺炎球菌抗原(Pneumococcus antigens)、プロテウス抗原(Proteus antigens)、シュードモナス抗原(Pseudomonas antigens)、リケッチア抗原(Rickettsia antigens)、ロシャリメア抗原(Rochalimaea antigens)、サルモネラ抗原(Salmonella antigens)、シゲラ抗原(Shigella antigens)、スタフィロコッカス抗原(Staphylococcus antigens)、ストレプトコッカス抗原(Streptococcus antigens)、例えば、S.ピオゲネスMタンパク質(S.pyogenes M proteins)、トレポネーマ抗原(Treponema antigens)及びエルシニア抗原(Yersinia antigens)、例えば、Y.ペストF1(Y.pestis F1)及びV抗原(V antigens)が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、抗原は、真菌ペプチド若しくは抗原、又はそれらの断片である。寄生性抗原の例には、大腸バランチニウム抗原(Balantidium coli antigens)、エントアメーバ・ヒストリチカ抗原(Entamoeba histolytica antigens)、肝蛭抗原(Fasciola hepatica antigens)、ランブル鞭毛虫抗原(Giardia lamblia antigens)、リーシュマニア抗原(Leishmania antigens)、及びプラスモジウム抗原(Plasmodium antigens)(例えば熱帯熱マラリア原虫抗原(Plasmodium falciparum antigens))が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、抗原は、寄生性ペプチド若しくは抗原、又はそれらの断片である。寄生生物の例には、大腸バランチニウム抗原(Balantidium coli antigens)、エントアメーバ・ヒストリチカ抗原(Entamoeba histolytica antigens)、肝蛭抗原(Fasciola hepatica antigens)、ランブル鞭毛虫抗原(Giardia lamblia antigens)、リーシュマニア抗原(Leishmania antigens)、及びプラスモジウム抗原(Plasmodium antigens)(例えば熱帯熱マラリア原虫抗原(Plasmodium falciparum antigens))が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、抗原は、ウイルスペプチド若しくは抗原、又はそれらの断片である。ウイルス抗原性及び免疫原性抗原の例には、アデノウイルス抗原、アルファウイルス抗原、カリシウイルス抗原、例えばカリシウイルスカプシド抗原、コロナウイルス抗原、ジステンパーウイルス抗原、エボラウイルス抗原、エンテロウイルス抗原、フラビウイルス抗原、肝炎ウイルス(A~E)抗原、例えばB型肝炎コア又は表面抗原、ヘルペスウイルス抗原、例えば単純ヘルペスウイルス又は水痘帯状疱疹ウイルス糖タンパク質、免疫不全ウイルス抗原、例えばヒト免疫不全ウイルスエンベロープ又はプロテアーゼ、感染性腹膜炎ウイルス抗原、インフルエンザウイルス抗原、例えばA型インフルエンザヘマグルチニン、ノイラミニダーゼ又は核タンパク質、白血病ウイルス抗原、マールブルグウイルス抗原、オルソミクソウイルス抗原、パピローマウイルス抗原、パラインフルエンザウイルス抗原、例えばヘマグルチニン/ノイラミニダーゼ、パラミクソウイルス抗原、パルボウイルス抗原、ペスチウイルス抗原、ピコルナウイルス抗原、例えばポリオウイルスカプシドポリペプチド、ポックスウイルス抗原、例えばワクシニアウイルスポリペプチド、狂犬病ウイルス抗原、例えば狂犬病ウイルス糖タンパク質G、レオウイルス抗原、レトロウイルス抗原、及びロタウイルス抗原が含まれるが、これらに限定されない。
レンチウイルスの場合、抗原は、いくつかの実施形態ではHIV抗原又はタンパク質である。フラビウイルスの場合、抗原は、いくつかの実施形態では、デングウイルス、ジカウイルス、又は西ナイルウイルスの抗原又はタンパク質である。フィロウイルスの場合、抗原は、いくつかの実施形態では、エボラウイルス、マールブルグウイルス、又は狂犬病ウイルスの抗原又はタンパク質である。コロナウイルスの場合、抗原は、いくつかの実施形態では、MERSウイルス又はSARSウイルスの抗原又はタンパク質である。パラミクソウイルスの場合、抗原は、いくつかの実施形態では、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)又はニパウイルスの抗原又はタンパク質である。マラリア原虫の場合、抗原は、いくつかの実施形態では、プラスモジウム寄生生物抗原又はタンパク質である。トリパノソーマ寄生生物の場合、抗原は、いくつかの実施形態では、シャガス寄生生物、睡眠病寄生生物、又はリーシュマニア症寄生生物の抗原又はタンパク質である。
適切な抗原のいくつかの非限定的な例は、エンベロープウイルスの表面タンパク質及び糖タンパク質(GP)等の糖タンパク質、例えばHIVのGag及び/又はEnv、インフルエンザHA及び/又はNA及び/又はM2タンパク質、チクングニアのC、E3、E2、6k及び/又はE1タンパク質、SARSのS、E、M及び/又はNタンパク質、ニパのM、G、Fタンパク質、エボラのV40、GP、NPタンパク質、デングのprM及びEタンパク質、リフトバレー熱ウイルスのGn、Gc又はNPタンパク質、あるいはラッサ熱ウイルスのGPC、NP又はZタンパク質を含む。
いくつかの実施形態では、抗原は、インフルエンザHAの膜アンカードメインに融合したHPVのL2タンパク質等の非膜タンパク質に融合した膜アンカードメイン等の膜アンカーを含有するか、又は含むハイブリッドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、抗原は、MUC、HPV E6及び/又はE7、MAGE-A3、又はCEA等の任意の数の腫瘍関連抗原であるか、あるいはそれらを含む。
いくつかの実施形態では、抗原は、任意のエンベロープウイルスの糖タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、抗原は、本明細書に記載されるようなseVLPを形成する脂質含有構造体の外側表面に付着する。いくつかの実施形態では、抗原はsmVLPの側面に付着する。
いくつかの実施形態では、抗原はタンパク質融合物を含む。いくつかの実施形態では、抗原は膜アンカードメインに融合される。
いくつかの実施形態では、抗原は、膜アンカーを含有するキャリアタンパク質に化学的に結合した炭水化物抗原を含む。いくつかの実施形態では、抗原は膜アンカーを有さない。
いくつかの実施形態では、抗原は融合タンパク質を含む。融合タンパク質のいくつかの実施形態では、抗原は、表面タンパク質又は表面糖タンパク質の膜貫通ドメインに融合される。例えば、HPVがいくつかの実施形態において使用される。HPV感染症は、一部の子宮頸癌の前駆体である。いくつかのHPV VLPは免疫優性タンパク質L1、外カプシドタンパク質に基づくが、L1に基づくHPV VLPは株特異的である。Gardasil9(登録商標)(Merck)は、非エンベロープVLPに集合する9つの異なるL1タンパク質から構成される。対照的に、L2タンパク質は、いくつかの実施形態では免疫原性が低いが、HPV株の一般的な抗原である。いくつかの実施形態では、HPVのL2タンパク質に基づくVLPを作製するために、L2をインフルエンザHAの膜貫通ドメインに融合する。いくつかの実施形態では、これは、抗原がタンパク質のN末端にあり、HA膜貫通ドメインがタンパク質のC末端にある場合である。いくつかの実施形態では、VLPは、HPVの通常は免疫原性が低いL2タンパク質の構造化及びパターン化されたアレイをもたらすであろう。いくつかの実施形態では、L2に基づくHPV VLPは、他のHPV株に対して保護すると予想されるであろう。いくつかの実施形態では、HPVのE6及びE7タンパク質の融合抗原を使用して、子宮頸癌を有する患者を治療するVLPを作製する。
1.インフルエンザ抗原
いくつかの実施形態では、抗原は、インフルエンザウイルス抗原、又はその変異体若しくは断片である。インフルエンザウイルスは、オルソミクソウイルス科ファミリに含まれる断片化されたマイナス鎖RNAウイルスである。3つの型のインフルエンザウイルス、A、B及びCが存在する。A型インフルエンザウイルス(IAV)は、例えば、RNA依存性RNAポリメラーゼタンパク質(PB2、PB1及びPA)、核タンパク質(NP)、ノイラミニダーゼ(NA)、ヘマグルチニン(サブユニットHA1及びHA2)、マトリックスタンパク質(M1及びM2)及び非構造タンパク質(NS1及びNS2)を含む、11のタンパク質をコードする8つのRNA断片(PB2、PB1、PA、NP、M、NS、HA及びNA)を有するネガティブセンス一本鎖断片化RNAウイルスである。このウイルスは、エラータンパク質ポリメラーゼ及び断片再集合によって急速に進化する傾向がある。A型インフルエンザの宿主範囲は非常に多様であり、ヒト、鳥類(例えば、ニワトリ及び水鳥)、ウマ、海洋哺乳動物、ブタ、コウモリ、マウス、フェレット、ネコ、トラ、トラ、及びイヌを含む。動物において、ほとんどのA型インフルエンザウイルスは、呼吸器及び腸管の軽度の局所感染を引き起こす。いくつかの実施形態では、H5N1等の高病原性A型インフルエンザ株は、家禽において全身感染症を引き起こし、死亡率が100%に達する。いくつかの実施形態では、A型インフルエンザに感染した動物は、インフルエンザウイルスのリザーバとして作用し、特定のサブタイプは、ヒトに対する種の障壁を越える。
いくつかの実施形態では、抗原は、A型インフルエンザウイルス抗原、又はその変異体若しくは断片である。A型インフルエンザウイルスは、表面糖タンパク質をコードする2つの遺伝子、すなわち、ウイルス付着及び細胞放出に必要とされるヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)の抗原領域における対立遺伝子変異に基づいてサブタイプに分類される。現在、18の異なるA型インフルエンザウイルスHA抗原サブタイプ(H1~H18)及び11の異なるA型インフルエンザウイルスNA抗原サブタイプ(N1~N11)が存在する。いくつかの実施形態では、1-H16及びN1-N9は、野鳥宿主に見られ、ヒトに対する流行の脅威である。H17~H18及びN10~N11は、コウモリの宿主について記載されており、現在、ヒトに対する流行の脅威であるとは考えられていない。
A型インフルエンザの具体例には、H1N1(1918 H1N1等)、H1N2、H1N7、H2N2(1957 H2N2等)、H2N1、H3N1、H3N2、H3N8、H4N8、H5N1、H5N2、H5N8、H5N9、H6N1、H6N2、H6N5、H7N1、H7N2、H7N3、H7N4、H7N7、H7N9、H8N4、H9N2、H10N1、H10N7、H10N8、H11N1、H11N6、H12N5、H13N6、及びH14N5が含まれるが、これらに限定されない。一例において、A型インフルエンザは、H1N1、H1N2、H3N2、H7N9、及びH5N1等のヒトにおいて広まることが知られているものを含む。
動物では、一部のA型インフルエンザウイルスは、哺乳動物の呼吸器及び/又は鳥類の腸管の自然治癒の局所感染症を引き起こす。いくつかの実施形態では、H5N1等の高病原性A型インフルエンザ株は、家禽において全身感染症を引き起こし、死亡率が100%に達する。2009年には、H1N1インフルエンザがヒトインフルエンザの最も一般的な原因である。豚起源H1N1の新しい株が2009年に出現し、世界保健機関によって流行が宣言されている。この株を「豚インフルエンザ」と呼ぶ。H1N1A型インフルエンザウイルスはまた、1918年のスペインかぜの流行、1976年のフォートディックスにおける発生、及び1977~1978年のソ連かぜの流行の原因であった。
いくつかの実施形態では、抗原は、B型インフルエンザウイルス抗原、又はその変異体若しくは断片を含む。B型インフルエンザウイルス(IBV)は、8つのRNA断片を有するネガティブセンス一本鎖RNAウイルスである。IBVのカプシドはエンベロープされているが、そのビリオンはエンベロープ、マトリックスタンパク質、核タンパク質複合体、ヌクレオカプシド及びポリメラーゼ複合体を含む。表面突起はノイラミニダーゼ(NA)及びヘマグルチニンからなる。このウイルスは、A型インフルエンザよりも進化しにくいが、持続的な免疫が達成されないように十分に変異する。B型インフルエンザの宿主範囲は、A型インフルエンザよりも狭く、ヒト及びアザラシのみに感染することが知られている。B型インフルエンザウイルスはサブタイプに分類されないが、系統及び株に更に分けられる。B型インフルエンザの具体例には、B/山形、B/ビクトリア、B/上海/361/2002及びB/香港/330/2001が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、抗原は、インフルエンザウイルス抗原若しくはタンパク質、又はその断片である。いくつかの実施形態では、インフルエンザタンパク質は、HA、NA、M1、M2、NS1、NS2、PA、PB1、若しくはPB2インフルエンザタンパク質、又はその断片を含む。
いくつかの実施形態では、インフルエンザタンパク質は、配列番号1~14のいずれかと、75.0%、80.0%、85.0%、90.0%、91.0%、92.0%、93.0%、94.0%、95.0%、96.0%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99.0%、99.5%、99.9%、100%、又は前述の百分率のいずれか2つによって定義される百分率の範囲において同一であるアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、インフルエンザタンパク質は、配列番号15又は16と、75.0%、80.0%、85.0%、90.0%、91.0%、92.0%、93.0%、94.0%、95.0%、96.0%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99.0%、99.5%、99.9%、100%、又は前述の百分率のいずれか2つによって定義される百分率の範囲において同一であるアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、インフルエンザタンパク質は、配列番号1~14のいずれかと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40以下、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、インフルエンザタンパク質は、配列番号15又は16と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40以下、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号15のアミノ酸配列、又はその変異体を含む。いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号16のアミノ酸配列、又はその変異体を含む。
いくつかの実施形態では、インフルエンザタンパク質は、配列番号1~14のアミノ酸のいずれかをコードする核酸配列と、75.0%、80.0%、85.0%、90.0%、91.0%、92.0%、93.0%、94.0%、95.0%、96.0%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99.0%、99.5%、99.9%、100%、又は前述の百分率のいずれか2つによって定義される百分率の範囲において同一である配列を有する核酸、あるいはその断片によってコードされる。いくつかの実施形態では、インフルエンザタンパク質は、配列番号15又は16のアミノ酸をコードする核酸配列と、75.0%、80.0%、85.0%、90.0%、91.0%、92.0%、93.0%、94.0%、95.0%、96.0%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99.0%、99.5%、99.9%、100%、又は前述の百分率のいずれか2つによって定義される百分率の範囲において同一である配列を有する核酸、あるいはその断片によってコードされる。いくつかの実施形態では、インフルエンザタンパク質は、配列番号1~14のアミノ酸のいずれかをコードする核酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40以下、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、核酸の置換、欠失及び/又は挿入を有する配列を有する核酸、あるいはその断片によってコードされる。いくつかの実施形態では、インフルエンザタンパク質は、配列番号15又は16のアミノ酸をコードする核酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40以下、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、核酸の置換、欠失及び/又は挿入を有する配列を有する核酸、あるいはその断片によってコードされる。
いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型、又はD型である。いくつかの実施形態では、ウイルスがA型インフルエンザウイルスである場合、それはH1N1、H1N2、H3N1、H3N2、又はH2N3である。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスは、H2N2、H5N1、又はH7N9である。
インフルエンザウイルス株の例を表1に列挙する。いくつかのVLPは、対象において表1の株の少なくとも80%に対する免疫応答を活性化する抗原のセットを含む。いくつかの実施形態では、VLPは、対象において表1の株の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は少なくとも100%に対する免疫応答を活性化する抗原のセットを含む。
いくつかの実施形態では、VLPは表1の株の抗原を含む。いくつかのVLPは、表1の株の1つ以上の抗原の1つ以上の相同体を含む。いくつかの場合、そのような相同体は、表1の抗原に対して少なくとも90%の配列同一性を含む。いくつかの場合、そのような相同体は、表1の抗原に対して少なくとも80%の配列同一性を含む。いくつかの場合、そのような相同体は、表1の抗原に対して少なくとも85%の配列同一性を含む。いくつかの場合、そのような相同体は、表1の抗原に対して少なくとも95%の配列同一性を含む。いくつかの場合、そのような相同体は、表1の抗原に対して少なくとも99%の配列同一性を含む。
いくつかの実施形態では、VLP(例えば、seVLP又はsmVLP)は、H1N1、H1N2、H3N1、H3N2、H2N3、H2N2、H5N1、又はH7N9のうちの2つ以上の抗原を含む。いくつかの実施形態では、VLPは、H1N1、H1N2、H3N1、H3N2、H2N3、H2N2、H5N1、又はH7N9のうちの3つ以上の抗原を含む。いくつかの実施形態では、VLPは、H1N1、H1N2、H3N1、H3N2、H2N3、H2N2、H5N1、又はH7N9のうちの4つ以上の抗原を含む。場合によっては、VLPはインフルエンザワクチンの一部であり、H1N1、H1N2、H3N1、H3N2、H2N3、H2N2、H5N1、又はH7N9のうちの5つ以上の抗原を含む。いくつかの実施形態では、VLPは、H1N1、H1N2、H3N1、H3N2、H2N3、H2N2、H5N1、又はH7N9のうちの6つ以上の抗原を含む。いくつかの実施形態では、VLPは、H1N1、H1N2、H3N1、H3N2、H2N3、H2N2、H5N1、又はH7N9のうちの7つ以上の抗原を含む。いくつかの実施形態では、VLPは、H1N1、H1N2、H3N1、H3N2、H2N3、H2N2、H5N1、及びH7N9の抗原を含む。
いくつかの実施形態では、抗原は、ノイラミニダーゼ(NA)タンパク質、又はその変異体若しくは断片を含む。NAはインフルエンザウイルス膜糖タンパク質であり、いくつかの実施形態では、感染細胞の表面の炭水化物部分から末端シアル酸残基を切り離すことによるウイルスHAの細胞受容体の破壊に関与する。NAはまた、いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質からシアル酸残基を切り離し、ウイルスの凝集を防止する。NA(HAと共に)は、2つの主要なインフルエンザウイルス抗原決定因子のうちの1つである。いくつかのインフルエンザNAタンパク質のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、当該分野で公知であり、GenBankデータベースに寄託されているもの等、公的に入手可能である。
いくつかの実施形態では、NAはホモ四量体を含む。いくつかの実施形態では、NAは、鳥由来のインフルエンザウイルスにおいて同定されているサブタイプを含む(N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8又はN9)。いくつかの実施形態では、NAは山形様及びビクトリア様抗原系統を含む。いくつかの実施形態では、NAは、感染細胞の表面上の炭水化物部分から末端ノイラミン酸(シアル酸とも呼ばれる)残基を切り離すことによって、ウイルスHAの細胞受容体の破壊に関与する。NAはまた、いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質からシアル酸残基を切り離し、ウイルスの凝集を防止する。いくつかの実施形態では、NAは、新しく形成されたウイルス粒子が細胞膜に沿って蓄積するのを防ぐことによって、並びに粘膜表面に存在する粘液を介したウイルスの輸送を促進することによって、ウイルス子孫の放出を促進する。
GenBankから入手可能な非限定的な例示的NA配列(鳥類に見られるIVA NA等)は、N1FJ966084.1、ACP41107.1、HM006761.1、ADD97097.1、AF474048.1、AAO33498.1、AY254145.1、AAP21476.1、AY254139.1、AAP21470.1、CY187031.1、AHZ43937.1、CY020887.1、ABO52063.1、AY207531.1、AAO62045.1、AY207533.1、AAO62047.1、AY207528.1、AAO62042.1、N5、M24740.1、AAA43672.1、P03478.2、NMIVAA、N6、AY207557.1、AAO62071.1、AY207556.1、AAO62070.1、AY207553.1、AAO62067.1、N7、M38330.1、AAA43425.1、P18881.1、N8、L06575.1、AAA43404.1、AY531038.1、AAT08005.1、CY020903.1、ABO52085.1、N9,M17812.1、AAA43575.1、M17813.1、AAA43574.1、AB472040.1、BAH69263.1、NA、AB036870.1、BAB32609.1、NC_002209.1、NP_056663.1、D14855.1、BAA03583.1、AJ419110.1、ACT85965.1、AJ784104.1、AGA18957.1、AJ419111.1、及びAAO38872.1を含む。NAアミノ酸配列のいくつかの例は、本明細書では配列番号1~4として提供される。
いくつかの実施形態では、抗原は、ヘマグルチニン(HA)、又はその変異体若しくは断片を含む。HAはインフルエンザウイルス表面糖タンパク質である。HAは、宿主細胞へのウイルス粒子の結合及びその後のウイルスの宿主細胞への侵入を媒介する。いくつかの実施形態では、HAはまた、赤血球細胞を凝集させる。多数のインフルエンザHAタンパク質のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、当該分野で公知であり、GenBankデータベースに寄託されているもの等、公的に入手可能である。HA(NAと共に)は、2つの主要なインフルエンザウイルス抗原決定因子のうちの1つである。例えば、A型インフルエンザ由来の16のHAサブタイプ及びB型インフルエンザ由来のHAの例の例示的なHA配列は、GenBankデータベースから入手可能である。HAアミノ酸配列のいくつかの例は、本明細書では配列番号5~8として提供される。
いくつかの実施形態では、抗原はHA及びシグナル配列を含む。いくつかの実施形態では、VLP中のHAペプチドは、シグナル配列(すなわち、例えば、前処理されたHAタンパク質配列のアミノ酸1~15、1~16、1~17、1~18又は1~19について)を含まない。いくつかの実施形態では、HA又は変異体HA(例えば、VLPの一部である場合)は、哺乳動物又は鳥等の対象に投与された場合に免疫応答を誘発する能力を保持する。
いくつかの実施形態では、HA又は本明細書に記載の任意の他の抗原をコードする核酸分子は、哺乳動物細胞又は昆虫細胞における発現のためにコドン最適化される。いくつかの実施形態では、核酸分子はRNA安定性のために最適化される。
いくつかの実施形態では、抗原は、マトリックスタンパク質若しくはインフルエンザウイルスマトリックスタンパク質抗原、又はそれらの変異体若しくは断片を含む。A型インフルエンザウイルスは、2つのマトリックスタンパク質、M1及びM2を有する。M1は、ウイルスエンベロープ内に見出される構造タンパク質である。M1は、RNA-核タンパク質コアの膜エンベロープへのカプシド形成を媒介する二機能性膜/RNA結合タンパク質である。M1は、リンカー配列によって連結された2つのドメインからなる。M2タンパク質は、H+イオンチャネル活性を有する四量体を形成する単一スパン膜貫通タンパク質であり、エンドソーム中の低pHによって活性化されると、ビリオンの内部を酸性化し、その脱コーティングを促進する。B型インフルエンザウイルス、M1及びBM2中の相同タンパク質が記載されている。
本明細書に開示されるVLPは、HAサブタイプ又はNAサブタイプを含むか、有するか、又は提示することに加えて、いくつかの実施形態では、M1、M2、又はその両方等のインフルエンザマトリックスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、抗原はマトリックスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、インフルエンザマトリックスタンパク質は、HA又はHAと同じインフルエンザ型に由来する(例えば、VLP中のHA又はNAがA型インフルエンザに由来する場合、マトリックスタンパク質はA型インフルエンザに由来するが、VLP中のHA又はNAがB型インフルエンザに由来する場合、マトリックスタンパク質はB型インフルエンザに由来する)。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるVLPに存在するマトリックスペプチド配列は、A型インフルエンザM1、M2、又はM1及びM2配列、例えば鳥のM1、M2、又はM1及びM2配列、あるいはB型インフルエンザマトリックスペプチド(例えば、M1、BM2、又はM1及びBM2の両方)である。いくつかの実施形態では、VLPは、A型インフルエンザM1タンパク質を含む(例えば、VLPがA型インフルエンザNA又はHAタンパク質を含む場合)。いくつかの実施形態では、VLPは、A型インフルエンザM1及びA型インフルエンザM2タンパク質の両方を含む(例えば、VLPがA型インフルエンザNA又はHAタンパク質を含む場合)。いくつかの実施形態では、VLPは、B型インフルエンザマトリックスペプチドを含む(例えば、VLPがB型インフルエンザNA又はHAタンパク質を含む場合)。いくつかの実施形態では、VLPは、B型インフルエンザM1及びB型インフルエンザのBM2タンパク質の両方を含む(例えば、VLPがB型インフルエンザNA又はHAタンパク質を含む場合)。
多数のA型インフルエンザM1及びM2タンパク質、並びにB型インフルエンザマトリックスタンパク質のヌクレオチド及びアミノ酸配列は、当技術分野で公知であり、GenBankに寄託されているもの等、公的に利用可能である。GenBankから入手可能な例示的な配列。IBVマトリックス、M1、及びM2配列等のいくつかの例示的な配列は、CY002697.1、ABA12718.1、AB189064.1、ABA12719.1、DQ870897.1、AF231361.1、ABS52607.1、AY044171.1、AAD49068.1、ABQ12378.1、AY504605.1、ABS52606.1、ABV53560.1、AB120274.1、AAD49091.1、AAK95902.1、AF100382.1、DQ508916.1、AAT69429.1、BAD29821.1、ABF21318.1、及びAHW46771.1を含む。マトリックス又はM2アミノ酸配列のいくつかの例は、本明細書では配列番号9~12として提供される。いくつかの実施形態では、マトリックス配列は、より大きな細胞質マトリックスタンパク質ではなく、小さなM2膜タンパク質である。場合によっては、より大きな細胞質マトリックスタンパク質を共発現させて、従来のVLPの粒子の出芽を促進するか、又は配列番号9~12で提供されるもの等の小さなM2膜タンパク質を本明細書で提供されるVLPに使用する。
いくつかの実施形態では、抗原又はインフルエンザ抗原は、インフルエンザNBペプチド又はその断片を含む。NBペプチド配列のいくつかの例は、本明細書では配列番号13~14として提供される。いくつかの実施形態では、B型インフルエンザ等のインフルエンザウイルスは、2つの小イオンチャネル膜貫通タンパク質(NB及びBM2)を、A型インフルエンザのもの(M2)ではなくビリオンに組み込む。いくつかの実施形態では、抗原又はインフルエンザ抗原は、NB又はBM2を含む。いくつかの実施形態では、NBは、RNA等の核酸によってコードされ、NAと同じ核酸断片上にあるが、異なる読み枠にある。
開示されるインフルエンザHA、NA、M1及びM2タンパク質ならび本明細書に開示されるにコード配列の変異体は、いくつかの実施形態では、デフォルトパラメータに設定したNCBI Blast2.0、gapped blastpを使用して、アミノ酸配列との全長アラインメントにわたってカウントされた、少なくとも約80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有することを特徴とする。約30アミノ酸を超えるアミノ酸配列の比較のために、Blast2配列機能は、デフォルトパラメータ(ギャップイグジステンスコストは11、残基当たりのギャップコストは1)に設定されたデフォルトBLOSUM62マトリックスを使用して、いくつかの実施形態で使用される。短いペプチド(約30アミノ酸未満)をアライメントする場合、アライメントは、デフォルトパラメータ(オープンギャップ9、エクステンションギャップ1ペナルティ)に設定されたPAM30マトリックスを使用して、Blast2配列機能を使用して実行されるべきである。参照配列とのより大きな類似性を有するタンパク質は、この方法によって評価した場合、例えば、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性等、同一性百分率の増加を示すであろう。いくつかの実施形態では、配列同一性について配列全体よりも少ないものを比較すると、相同体及び変異体は、いくつかの実施形態では、10~20アミノ酸のショートウィンドウにわたって少なくとも80%の配列同一性を有し、いくつかの実施形態では、参照配列に対するそれらの類似性に応じて、少なくとも85%又は少なくとも90%又は少なくとも95%の配列同一性を有する。このようなショートウィンドウで配列同一性を決定するための方法は、インターネット上のNCBIウェブサイトで利用可能である。当業者は、これらの配列同一性範囲が案内のためにのみ提供され、提供された範囲外にある非常に有意な相同体が得られる可能性があることは完全に可能であることを理解するであろう。したがって、変異インフルエンザHA、NA又はマトリックスタンパク質(又はコード配列)は、いくつかの実施形態では、本明細書に提供される任意の抗原又は抗原配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有し、いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法及び組成物において使用される。
いくつかの実施形態では、VLPは、A型インフルエンザM1、A型インフルエンザM2、又はA型インフルエンザM1及びA型インフルエンザM2の両方のタンパク質と組み合わせて、A型インフルエンザHA又はA型インフルエンザNAタンパク質を提示するか、あるいはそれらを含む。本明細書の他の実施形態では、インフルエンザVLPは、B型インフルエンザマトリックスタンパク質M1又はB型インフルエンザM1及びBM2タンパク質の両方と組み合わせて、B型インフルエンザHA又はB型インフルエンザNAタンパク質を提示するか、あるいはそれらを含む。
2.コロナウイルス抗原
いくつかの実施形態では、抗原を含むVLPが本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、抗原は、コロナウイルス抗原、又はその変異体若しくは断片である。いくつかの実施形態では、断片は機能性断片である。いくつかの実施形態では、抗原はコロナウイルス抗原である。いくつかの実施形態では、抗原は変異体又はコロナウイルス抗原である。いくつかの実施形態では、抗原は断片又はコロナウイルス抗原である。
コロナウイルス抗原は、コロナウイルスに由来し得る。コロナウイルスの非限定的な例は、MHV、HCoV-OC43、AIBV、BcoV、TGV、FIPV、HCoV-229E、MERSウイルス、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス1(SARS-CoV-1)、又はSARS-CoV-2を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスはMERSウイルスである。いくつかの実施形態では、コロナウイルスは、SARSコロナウイルスである。いくつかの実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-1である。いくつかの実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2である。いくつかの実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスはウイルス感染症を引き起こす。例えば、SARSコロナウイルスは、SARS感染症を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2は、コロナウイルス疾患2019を引き起こす。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、コロナウイルス感染症である。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)である。いくつかの実施形態では、対象はウイルス感染症を有する。いくつかの実施形態では、対象はCOVID-19を有する。
いくつかの実施形態では、コロナウイルス抗原は、コロナウイルスタンパク質である。いくつかの実施形態では、抗原は、コロナウイルスタンパク質又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、抗原は、コロナウイルスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、スパイク(S)タンパク質、エンベロープ(E)タンパク質、膜タンパク質(M)、又はヌクレオカプシド(N)タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質はスパイク(S)タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質はエンベロープ(E)タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、膜タンパク質(M)を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、ヌクレオカプシド(N)タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、S1又はS2を含む。いくつかの実施形態では、スパイクタンパク質は、S1及び/又はS2に切り離される。いくつかの実施形態では、スパイクタンパク質は、S1を含む。いくつかの実施形態では、スパイクタンパク質は、S2を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、組換え型及び/又は非天然型である。いくつかの実施形態では、スパイクタンパク質は、機能性スパイクタンパク質又はその機能性断片である。いくつかの実施形態では、スパイクタンパク質は受容体に結合する。いくつかの実施形態では、スパイクタンパク質断片は受容体に結合する。いくつかの実施形態では、受容体はACE2を含む。いくつかの実施形態では、受容体はアンジオテンシンACE2である。いくつかの実施形態では、スパイクタンパク質はACE2に結合する。いくつかの実施形態では、スパイクタンパク質断片はACE2に結合する。いくつかの実施形態では、受容体はヒトタンパク質である。いくつかの実施形態では、受容体はACE2である。いくつかの実施形態では、ヒト受容体に結合すると、スパイクタンパク質は細胞内に内在化され得る。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20~29のいずれかと、75.0%、80.0%、85.0%、90.0%、91.0%、92.0%、93.0%、94.0%、95.0%、96.0%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99.0%、99.5%、99.9%、100%、又は前述の百分率のいずれか2つによって定義される百分率の範囲において同一であるアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20~29のいずれかと、75.0%、80.0%、85.0%、90.0%、91.0%、92.0%、93.0%、94.0%、95.0%、96.0%、97.0%、97.5%、98.0%、98.5%、99.0%、99.5%、99.9%、100%、又は前述の百分率のいずれか2つによって定義される百分率の範囲において同一であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20~29のいずれかと、少なくとも75.0%同一、少なくとも80.0%同一、少なくとも85.0%同一、少なくとも90.0%同一、少なくとも91.0%同一、少なくとも92.0%同一、少なくとも93.0%同一、少なくとも94.0%同一、少なくとも95.0%同一、少なくとも96.0%同一、少なくとも97.0%同一、少なくとも97.5%同一、少なくとも98.0%同一、少なくとも98.5%同一、少なくとも99.0%同一、少なくとも99.5%同一、少なくとも99.9%同一、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20~29のいずれかと、75.0%以下同一、80.0%以下同一、85.0%以下同一、90.0%以下同一、91.0%以下同一、92.0%以下同一、93.0%以下同一、94.0%以下同一、95.0%以下同一、96.0%以下同一、97.0%以下同一、97.5%以下同一、98.0%以下同一、98.5%以下同一、99.0%以下同一、99.5%以下同一、99.9%以下同一、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20と、75.0%同一、80.0%同一、85.0%同一、90.0%同一、91.0%同一、92.0%同一、93.0%同一、94.0%同一、95.0%同一、96.0%同一、97.0%同一、97.5%同一、98.0%同一、98.5%同一、99.0%同一、99.5%同一、99.9%同一、若しくは100%同一であるアミノ酸配列又はその断片を含むか、あるいは配列番号20と比較して、百分率同一性の範囲を含むアミノ酸配列又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20の配列を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20の断片の配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号21と、75.0%同一、80.0%同一、85.0%同一、90.0%同一、91.0%同一、92.0%同一、93.0%同一、94.0%同一、95.0%同一、96.0%同一、97.0%同一、97.5%同一、98.0%同一、98.5%同一、99.0%同一、99.5%同一、99.9%同一、若しくは100%同一であるアミノ酸配列又はその断片を含むか、あるいは配列番号21と比較して百分率同一性の範囲を含むアミノ酸配列又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号21の配列を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号21の断片の配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号22と、75.0%同一、80.0%同一、85.0%同一、90.0%同一、91.0%同一、92.0%同一、93.0%同一、94.0%同一、95.0%同一、96.0%同一、97.0%同一、97.5%同一、98.0%同一、98.5%同一、99.0%同一、99.5%同一、99.9%同一、若しくは100%同一であるアミノ酸配列又はその断片を含むか、あるいは配列番号22と比較して百分率同一性の範囲を含むアミノ酸配列又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号22の配列を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号22の断片の配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号23と、75.0%同一、80.0%同一、85.0%同一、90.0%同一、91.0%同一、92.0%同一、93.0%同一、94.0%同一、95.0%同一、96.0%同一、97.0%同一、97.5%同一、98.0%同一、98.5%同一、99.0%同一、99.5%同一、99.9%同一、若しくは100%同一であるアミノ酸配列又はその断片を含むか、あるいは配列番号23と比較して百分率同一性の範囲を含むアミノ酸配列又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号23の配列を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号23の断片の配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号24と、75.0%同一、80.0%同一、85.0%同一、90.0%同一、91.0%同一、92.0%同一、93.0%同一、94.0%同一、95.0%同一、96.0%同一、97.0%同一、97.5%同一、98.0%同一、98.5%同一、99.0%同一、99.5%同一、99.9%同一、若しくは100%同一であるアミノ酸配列又はその断片を含むか、あるいは配列番号24と比較して百分率同一性の範囲を含むアミノ酸配列又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号24の配列を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号24の断片の配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号25と、75.0%同一、80.0%同一、85.0%同一、90.0%同一、91.0%同一、92.0%同一、93.0%同一、94.0%同一、95.0%同一、96.0%同一、97.0%同一、97.5%同一、98.0%同一、98.5%同一、99.0%同一、99.5%同一、99.9%同一、若しくは100%同一であるアミノ酸配列又はその断片を含むか、あるいは配列番号25と比較して百分率同一性の範囲を含むアミノ酸配列又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号25の配列を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号25の断片の配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号26と、75.0%同一、80.0%同一、85.0%同一、90.0%同一、91.0%同一、92.0%同一、93.0%同一、94.0%同一、95.0%同一、96.0%同一、97.0%同一、97.5%同一、98.0%同一、98.5%同一、99.0%同一、99.5%同一、99.9%同一、若しくは100%同一であるアミノ酸配列又はその断片を含むか、あるいは配列番号26と比較して百分率同一性の範囲を含むアミノ酸配列又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号26の配列を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号26の断片の配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号27と、75.0%同一、80.0%同一、85.0%同一、90.0%同一、91.0%同一、92.0%同一、93.0%同一、94.0%同一、95.0%同一、96.0%同一、97.0%同一、97.5%同一、98.0%同一、98.5%同一、99.0%同一、99.5%同一、99.9%同一、若しくは100%同一であるアミノ酸配列又はその断片を含むか、あるいは配列番号27と比較して百分率同一性の範囲を含むアミノ酸配列又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号27の配列を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号27の断片の配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号28と、75.0%同一、80.0%同一、85.0%同一、90.0%同一、91.0%同一、92.0%同一、93.0%同一、94.0%同一、95.0%同一、96.0%同一、97.0%同一、97.5%同一、98.0%同一、98.5%同一、99.0%同一、99.5%同一、99.9%同一、若しくは100%同一であるアミノ酸配列又はその断片を含むか、あるいは配列番号28と比較して百分率同一性の範囲を含むアミノ酸配列又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号28の配列を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号28の断片の配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号29と、75.0%同一、80.0%同一、85.0%同一、90.0%同一、91.0%同一、92.0%同一、93.0%同一、94.0%同一、95.0%同一、96.0%同一、97.0%同一、97.5%同一、98.0%同一、98.5%同一、99.0%同一、99.5%同一、99.9%同一、若しくは100%同一であるアミノ酸配列又はその断片を含むか、あるいは配列番号29と比較して百分率同一性の範囲を含むアミノ酸配列又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号29の配列を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスのタンパク質は、配列番号29の断片の配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20~29のいずれかと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20~29のいずれかと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20~29のいずれかと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40以下、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20~29のいずれかと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40以下、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20~29のいずれかと比較して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20~29のいずれかと比較して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号20と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号21と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号21と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号22と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号22と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号23と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号23と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号24と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号24と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号25と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号25と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号26と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号26と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号27と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号27と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号28と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号28と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号29と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列、あるいはその断片を含む。いくつかの実施形態では、コロナウイルスタンパク質は、配列番号29と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、40、又は前述の整数のいずれかによって定義される範囲の、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含む。
3.多価VLP
2つ以上の異なるVLP(例えば、seVLP又はsmVLP)、例えば2つ以上の異なるVLP集団を含有するワクチンが本明細書で提供される。そのようなワクチンは、多価VLP(又は多価VLP含有ワクチン)と呼ばれる。いくつかの実施形態では、ワクチンは、異なる抗原を含むVLPを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、異なるインフルエンザヘマグルチニン(HA)ポリペプチドを含むVLP、例えば、第1のHAポリペプチドを含有するか又はそれからなる第1のVLPと、第2のHAポリペプチドを含有するか又はそれからなる第2のVLPと、を含み、第1及び第2のHAポリペプチドは異なるサブタイプである(又はA型インフルエンザ及びB型インフルエンザ等の異なるインフルエンザウイルスに由来する)。いくつかの実施形態では、ワクチンは、それぞれが異なるインフルエンザ(例えば、A及びB)由来の異なるHAサブタイプ又はHAからなるか、又は含有する複数の異なるVLPを含有する。いくつかの実施形態では、VLPは、薬学的に許容可能な担体及び/又はアジュバント等の他の試薬を含む。
いくつかの実施形態では、開示されるワクチンは、それぞれA型インフルエンザ又はB型インフルエンザ由来の単一のHAサブタイプを含有するインフルエンザVLPの多価混合物を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、A型インフルエンザ又はB型インフルエンザのNAタンパク質を含有するVLP(例えば、それぞれがA型インフルエンザNAサブタイプ又はB型インフルエンザNAを含む更なるVLP集団)を更に含む。いくつかの実施形態では、VLPはA型インフルエンザ又はB型インフルエンザマトリックスタンパク質も含む。いくつかの実施形態では、A型インフルエンザNA又はHAを含むVLPは、A型インフルエンザM1、M2又はその両方を含み、B型インフルエンザNA又はHAを含むVLPは、B型インフルエンザM1、BM2、又はその両方等のB型インフルエンザマトリックスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、鼻腔内、皮内、全身、若しくは静脈内送達又は投与を使用して、粘膜免疫及び全身免疫を誘導する。いくつかの実施形態では、一価又は多価VLPは、非感染性であり、安全であり、製造及び使用が容易である。いくつかの実施形態では、多価VLP(いくつかの実施形態では、A型インフルエンザ又はB型インフルエンザのHAを含むVLP集団の混合物を含む)は、広く反応性を有する季節性ワクチンを提供するために使用される。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、少なくとも2つの異なるVLP、例えば少なくとも2つの異なるVLP集団を含み、各VLP又はVLP集団は1つのHAサブタイプを含む(又は1つのインフルエンザウイルス、例えばA型インフルエンザ及びB由来のHAを含有する)。いくつかの実施形態は、第1のHAサブタイプ(H-X)を含む第1のVLP及び異なるHAサブタイプ(H-Y)を含む第2のVLPを含む。いくつかの実施形態では、第1のVLPはB型インフルエンザ由来の第1のHA(H-X)を含有し、第2のVLPはB型インフルエンザとは異なる第2のHA(H-Y)を含有するか、又は第1のVLPはA型インフルエンザ由来の第1のHA(H-X)を含有し、第2のVLPはA型インフルエンザとは異なる第2のHA(H-Y)を含有する。いくつかの実施形態では、第1のVLPはA型インフルエンザ由来の第1のHA(H-X)を含有し、第2のVLPはB型インフルエンザ由来の第2のHA(H-Y)を含有する。いくつかの実施形態では、各VLPは複数のVLPを含み、各集団は異なるHAサブタイプ(又は異なるインフルエンザウイルス由来のHA)を含む。
いくつかの実施形態では、3つ以上の異なるVLP又はワクチンがワクチンに含まれる。いくつかの実施形態では、ワクチンは、それぞれが異なる抗原を含む、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18の異なるVLP又はVLP集団を含む。いくつかの実施形態では、異なる抗原はそれぞれ、異なるインフルエンザHAサブタイプに由来するか、並びに/あるいは異なるインフルエンザウイルス、例えば2~8、2~6、5~6、又は4~6の異なるVLP又はVLP集団に由来する(各VLP又はVLP集団は、異なるウイルスに由来する異なるHAタンパク質サブタイプ及び/又はHAを有する)。いくつかの実施形態では、第1のVLPは、HAサブタイプH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15及びH16からなる群から選択される第1のA型インフルエンザHAポリペプチドを含み、一方、第2のVLPは、HAサブタイプH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15及びH16からなる群から選択される第2のA型インフルエンザHAポリペプチドを含み、第1及び第2のHAポリペプチドは異なるサブタイプである。したがって、ワクチンが第3のVLP集団等の第3のVLPを含む場合、第3のA型インフルエンザHAポリペプチドは、HAサブタイプH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15及びH16からなる群から選択され、第3のHAポリペプチドサブタイプは、第1及び第2のHAポリペプチドサブタイプとは異なるであろう。
いくつかの実施形態では、第1のVLPは、HAサブタイプH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15及びH16からなる群から選択される第1のA型インフルエンザHAポリペプチドを含み、一方、第2のVLPは、山形又はビクトリア様抗原等の第1のB型インフルエンザHAポリペプチドを含む。ワクチンが第2のA型インフルエンザHAポリペプチドを含有する第3のVLP集団等の第3のVLPを含む場合、それは、HAサブタイプH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15及びH16からなる群から選択され、第2のA型インフルエンザHAポリペプチドサブタイプは、第1のA型インフルエンザHAポリペプチドサブタイプとは異なるであろう。ワクチンが第2のB型インフルエンザHAポリペプチドを含有する第3のVLP集団等の第3のVLPを含む場合、第2のB型インフルエンザHAは第1のB型インフルエンザHAとは異なるであろう。特定の例では、ワクチンは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、例えば2、3、4、5、6、7、8、9又は10の異なるVLP(又はVLP集団)を含み、少なくとも1つのVLP集団はA型インフルエンザHAサブタイプを含み、少なくとも1つのVLP集団はB型インフルエンザHAを含み、場合により少なくとも1つのVLP集団はA型インフルエンザNAサブタイプを含む。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、別個のVLP(又はVLP集団)を含む。いくつかの実施形態では、第1のVLP集団はA型インフルエンザH1を含み、第2のVLP集団はA型インフルエンザH3を含み、第3のVLP集団はA型インフルエンザH5を含み、第4のVLP集団はA型インフルエンザH7を含み、第5のVLP集団はA型インフルエンザN1を含み、第6のVLP集団はA型インフルエンザN2を含み、第7のVLP集団はB型インフルエンザ山形様又はビクトリア様抗原を含み、場合により、第8のVLP集団はB型インフルエンザ山形様又はビクトリア様抗原(第7のVLP集団とは異なる)を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、季節性ワクチン又はプレパンデミックワクチンとして使用される。
いくつかの実施形態では、A型インフルエンザウイルスHAの2つの主要な群が存在し、群1は、H1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13及びH16を含み、群2は、H3、H4、H7、H10、H14及びH15サブタイプを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、群1の少なくとも1つのHAポリペプチド(例えば、H1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、又はH16)を含む第1のVLP又は第1のVLP集団、及び群2の少なくとも1つのHAポリペプチド(例えば、H3、H4、H7、H10、H14、又はH15)を含む第2のVLP又は第2のVLP集団を含む。別の例では、ワクチンは、少なくとも2つの異なるVLP又は異なるVLP集団を含み、それぞれが群1の異なるHAポリペプチド(例えば、H1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、又はH16)を含む。別の例では、ワクチンは、少なくとも2つの異なるVLP又は異なるVLP集団を含み、それぞれが群2の異なるHAポリペプチド(例えば、H3、H4、H7、H10、H14、又はH15)を含む。同様に、B型インフルエンザウイルスHAは異なるサブタイプを有さないが、2つの主要な抗原系統、ビクトリア様及び山形様が存在し、これらは系統学的にも異なる。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、例えば2、3、4、5、6、7、8、9又は10の異なるVLP(又はVLP集団)を含み、それぞれ群1の異なるA型インフルエンザHAポリペプチド(例えば、H1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、又はH16)を含む。具体的な例において、ワクチンは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、例えば2、3、4、5、又は6つの異なるVLP(又はVLP集団)を含み、それぞれ群2の異なるA型インフルエンザHAポリペプチド(例えば、H3、H4、H7、H10、H14、又はH15)を含む。
いくつかの実施形態では、第1のA型インフルエンザHAポリペプチドは、HAサブタイプH1、H2又はH5であり、第2のA型インフルエンザHAポリペプチドは、HAサブタイプH3、H7又はH9である。別の具体例では、第1のA型インフルエンザHAポリペプチドは、HAサブタイプH1、H2、H3、H5、H7又はH9であり、第2のA型インフルエンザHAポリペプチドは、HAサブタイプH1、H2、H3、H5、H7又はH9であり、第1及び第2のHAポリペプチドは異なるサブタイプである。いくつかの実施形態では、(i)第1のA型インフルエンザHAポリペプチドはHAサブタイプH2であり、第2のA型インフルエンザHAポリペプチドはHAサブタイプH5であり;(ii)第1のA型インフルエンザHAポリペプチドはHAサブタイプH3であり、第2のA型インフルエンザHAポリペプチドはHAサブタイプH7であり;(iii)第1のA型インフルエンザHAポリペプチドはHAサブタイプH1であり、第2のA型インフルエンザHAポリペプチドはHAサブタイプH3であり;(iv)第1のA型インフルエンザHAポリペプチドはHAサブタイプH2であり、第2のA型インフルエンザHAポリペプチドはHAサブタイプH7であり;(v)第1のA型インフルエンザHAポリペプチドはHAサブタイプH5であり、第2のA型インフルエンザHAポリペプチドはHAサブタイプH3であり;又は(vi)第1のA型インフルエンザHAポリペプチドはHAサブタイプH1であり、第2のA型インフルエンザHAポリペプチドはHAサブタイプH7である。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、少なくとも4つの異なるVLP集団を含み、第1のVLP集団はA型インフルエンザHAサブタイプH1を含み、第2のVLP集団はA型インフルエンザHAサブタイプH3を含み、第3のVLP集団はA型インフルエンザHAサブタイプH5を含み、第4のVLP集団はA型インフルエンザHAサブタイプH7を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、A型インフルエンザHAサブタイプH9を含む第5のVLP集団を更に含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、N1又はN2等のA型インフルエンザNAを含む第6のVLP集団を更に含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、A型インフルエンザNAのN1(第7の集団)及びN2(第8の集団)を含む第7及び第8のVLP集団を更に含む。そのようなVLPは、いくつかの実施形態では、M1及びM2も含む。
いくつかの実施形態では、本開示のVLPは、HAタンパク質を有することに加えて、インフルエンザマトリックスタンパク質(例えば、A型インフルエンザM1、A型インフルエンザM2、又はその両方)を含む。いくつかの実施形態では、ワクチン106は、第1のHAサブタイプH-X及びマトリックスタンパク質M1を有するVLP又はVLP集団と、第2のHAサブタイプH-Y及びマトリックスタンパク質M1を有するVLP又はVLP集団と、を含む。いくつかの実施形態では、M2は、VLP及び/又はVLP集団に存在する。いくつかの実施形態では、VLP又はVLP集団は、A型インフルエンザ由来の第1のHA(H-X)及びM1又はM2等のA型インフルエンザマトリックスタンパク質を含み、第2のVLP又はVLP集団は、B型インフルエンザ由来の第2のHA(H-Y)及びB型インフルエンザマトリックスタンパク質を含む。
いくつかの実施形態は、HAを含むVLPを含むことに加えて、インフルエンザノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを含むVLP(又はVLPの集団)を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、それぞれが異なるインフルエンザNAポリペプチドを有する、2つ以上の異なるVLP又はVLP集団を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、第1のインフルエンザNAポリペプチドを含む第1のVLP、第2のインフルエンザNAポリペプチドを含む第2のVLP、又はそれらの両方を含み、第1及び第2のNAポリペプチドは異なるサブタイプであるか、又は異なるインフルエンザウイルスに由来する。いくつかの実施形態では、ワクチンは、それぞれ異なるHAサブタイプ(又は異なるインフルエンザウイルス由来のNA)を有するVLP又はVLP集団を含み、NAサブタイプN-Xを有するVLP又はVLP集団を更に含む。いくつかの実施形態では、VLP又はワクチンは、インフルエンザマトリックスタンパク質(例えば、M1、M2、又はその両方)を含む。
系統的に、2つの群を形成するA型インフルエンザウイルスNAの2つの群が存在し、群1は、N1、N4、N5、及びN8を含み、群2は、N2、N3、N6、N7、及びN9を含む。したがって、一例では、多価VLP含有ワクチンは、群1(例えば、N1、N4、N5、又はN8)の少なくとも1つのNAポリペプチドを含有する第1のVLP又は第1のVLP集団と、群2(例えば、N2、N3、N6、N7、又はN9)の少なくとも1つのNAポリペプチドを含有する第2のVLP又は第2のVLP集団と、を更に含む。別の例では、多価VLP含有ワクチンは、少なくとも2つの異なるVLP又は異なるVLP集団を更に含み、それぞれが群1(例えば、N1、N4、N5、又はN8)の異なるNAポリペプチドを含有する。別の例では、多価VLP含有ワクチンは、少なくとも2つの異なるVLP又は異なるVLP集団を更に含み、それぞれが群2(例えば、N2、N3、N6、N7、又はN9)の異なるNAポリペプチドを含有する。
いくつかの実施形態では、多価VLP含有ワクチンは、1、2、3、又は4つの異なるVLP(又はVLP集団)を更に含み、それぞれが群1(例えば、N1、N4、N5、及びN8)の異なるNAポリペプチドを含有する。具体的な例では、ワクチンは、1、2、3、4、又は5つの異なるVLP(又はVLP集団)を含み、それぞれが群2(例えば、N2、N3、N6、N7、又はN9)の異なるNAポリペプチドを含有する。
同様に、B型インフルエンザウイルスNAは異なるサブタイプを有さないが、2つの主要な抗原系統、ビクトリア様及び山形様が存在し、これらは系統学的にも異なる。いくつかの実施形態では、多価VLP含有ワクチンは、少なくとも1つのB型インフルエンザNAポリペプチド(例えば、ビクトリア様)を含有する第1のVLP又は第1のVLP集団と、少なくとも1つのB型インフルエンザNAポリペプチド(例えば山形様)を含有する第2のVLP又は第2のVLP集団と、を更に含む。
いくつかの実施形態では、NAタンパク質を有することに加えて、本開示のNA-VLPは、インフルエンザマトリックスタンパク質(例えば、A型インフルエンザM1、A型インフルエンザM2、又はその両方、あるいはB型インフルエンザM1、B型インフルエンザBM2、又はその両方)を含む。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、A型インフルエンザHAサブタイプH1を含む第1のVLP集団と、A型インフルエンザHAサブタイプH3を含む第2のVLP集団と、A型インフルエンザHAサブタイプH5を含む第3のVLP集団と、A型インフルエンザHAサブタイプH7を含む第4のVLP集団と、を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、A型インフルエンザHAサブタイプH9を含む第5のVLP集団を更に含むか、又は場合によって含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、N1又はN2等のA型インフルエンザNAを含む第6のVLP集団を更に含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、A型インフルエンザNAのN1(第6の集団)及びN2(第7の集団)を含む第6及び第7のVLP集団を更に含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、B型インフルエンザ山形様又はビクトリア様抗原を含む第8のVLP集団を更に含み、場合により、第9のVLP集団は、B型インフルエンザ山形様又はビクトリア様抗原(第8のVLP集団とは異なる)を含む。いくつかの実施形態では、このようなワクチンは、季節性ワクチン又はプレパンデミックワクチンとして使用される。
C.アンカー分子
特定の実施形態では、(a)内面及び外面を含む脂質二重層を含む合成脂質小胞と、(b)脂質二重層に埋め込まれたアンカー分子と、(c)アンカー分子に結合した抗原と、を含むか、又はそれらからなるseVLPが本明細書に開示される。特定の実施形態では、第1の面及び第2の面を含む合成、半合成又は天然の脂質二重層と、脂質二重層に埋め込まれたアンカー分子と、アンカー分子に結合した抗原と、を含む、smVLPも本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、VLPは室温で安定である。
いくつかの実施形態では、アンカー分子は、膜貫通タンパク質、脂質アンカータンパク質、又はその断片若しくはドメインを含む。
いくつかの実施形態では、アンカー分子は疎水性部分を含む。いくつかの実施形態では、アンカー分子は、プレニル化タンパク質、脂肪アシル化タンパク質、グリコシルホスファチジルイノシトール連結タンパク質、又はその断片を含む。
いくつかの実施形態では、アンカー分子は、疎水性膜貫通ドメイン、グリコシルホスファチジルイノシトール結合、又はタンパク質-タンパク質会合ドメイン、脂質会合ドメイン、糖脂質会合ドメイン若しくはプロテオグリカン会合ドメイン、例えば細胞表面受容体結合ドメイン、細胞外マトリックス結合ドメイン若しくは脂質ラフト会合ドメイン等の、膜への抗原の局在化を補助する別の構造的特徴を含む。
いくつかの実施形態では、アンカー分子は膜貫通ポリペプチドドメインを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ポリペプチドドメインは、原形質膜二重層の内部を形成するリン脂質脂肪アシルテールとのエネルギー的に有利な相互作用が可能な疎水性領域を含む膜貫通ドメイン([α]-ヘリックスドメイン等)、又は膜挿入ドメインポリペプチドを含み、いくつかの実施形態では、膜挿入ドメインポリペプチドは、原形質膜二重層の内部を形成するリン脂質脂肪アシルテールとのエネルギー的に有利な相互作用が可能な疎水性領域であるが、いくつかの実施形態では膜全体を貫通しない。1つ以上の膜貫通ポリペプチドドメインを有する膜貫通タンパク質のいくつかの例は、インテグリンファミリのメンバー、CD44、グリコホリン、MHCクラスI及びIl糖タンパク質、EGF受容体、Gタンパク質共役受容体(GPCR)ファミリ、受容体チロシンキナーゼ(インスリン様成長因子1受容体(IGFR)及び血小板由来成長因子受容体(PDGFR)等)、ポリンファミリ及び他の膜貫通タンパク質を含む。いくつかの実施形態は、膜挿入特性を有する切断型ポリペプチド等の膜貫通ポリペプチドドメインの一部の使用を含む。
いくつかの実施形態では、アンカー分子は、タンパク質-タンパク質会合ドメイン、例えば細胞表面タンパク質又は糖タンパク質の細胞外に配置された領域と特異的に会合することができるタンパク質-タンパク質会合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質-タンパク質会合ドメインは、例えば、細胞表面タンパク質の合成、プロセシング、折畳み、集合、輸送及び/又は細胞表面への輸送と同時に、細胞内で開始される会合をもたらす。いくつかの実施形態では、タンパク質-タンパク質会合ドメインは、膜に固定され、細胞表面上に外側に配置された別の細胞表面タンパク質と会合することが知られている。そのようなドメインの非限定的な例は、インテグリンが可能なものを含むRGD含有ポリペプチドを含む。
いくつかの実施形態では、アンカー分子又は膜貫通ドメインをコードする配列は、ポリペプチドに含まれて、抗原又は抗原及びアンカー分子を含む融合タンパク質の表面発現を提供する。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、選択可能なマーカとインフレームでクローニングされて、生産的なインフレーム産物の選択を可能にする。
IV.ワクチン
特定の実施形態では、(a)VLP(例えば、seVLP又はsmVLP)と、(b)賦形剤、担体又はアジュバントと、を含むワクチンが本明細書に開示される。
いくつかの実施形態では、ワクチンは少なくとも1つの賦形剤を含有する。いくつかの実施形態では、賦形剤は、付着防止剤、結合剤、コーティング、色素又は染料、崩壊剤、香味剤、流動促進剤、潤滑剤、保存剤、吸着剤、甘味料、又はビヒクルである。いくつかの実施形態では、賦形剤は、湿潤剤又は乳化剤、又はpH緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、賦形剤は、浸透圧を調整するための薬学的に許容可能な塩、緩衝剤、保存剤等を含む。
いくつかの実施形態では、賦形剤はアルギン酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、賦形剤はアルギネートミクロスフェアを含む。いくつかの実施形態では、賦形剤は、例えばデンプンと組み合わせてカーボポールを含む。いくつかの実施形態では、賦形剤は、キチン脱アセチル化によって製造される非毒性の線状多糖であるキトサンを含む。一例では、キトサンは、N-トリメチルキトサン(TMC)ベースのナノ粒子等のキトサンナノ粒子の形態である。
いくつかの実施形態では、賦形剤は、湿潤剤又は乳化剤、又はpH緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、賦形剤は、細菌起源の1つ以上のリポペプチド、又はそれらの合成誘導体、例えばPam3Cys(Pam2Cys、単鎖/多鎖パルミチン酸及びリポアミノ酸(LAA))を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、1つ以上のアジュバント、例えばCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)、Flt3リガンド、及びMLAのうち1つ以上等の粘膜アジュバントを含有する。いくつかの実施形態では、アジュバントは、臨床グレードのMLA製剤、例えばMPL(3-O-デサシル-4’-モノホスホリルリピドA)アジュバントを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、例えばCpGオリゴデオキシヌクレオチド、Flt3リガンド、及びMLAのうち1つ以上のような、粘膜アジュバント等の薬学的に許容可能な担体及びアジュバントを含有する。一例では、アジュバントは、MLA、例えば臨床グレード製剤、例えばMPL(3-O-デサシル-4’-モノホスホリルリピドA)アジュバントを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、リピドAモノホスホリル(MPL)、Flt3リガンド、免疫賦活性オリゴヌクレオチド(CpGオリゴヌクレオチド等)、又はそれらの組合わせ等の1つ以上のアジュバントを含有する。いくつかの実施形態では、アジュバントは、イミキモド、Flt3リガンド、MLA等のTLRアゴニスト、又はCpGオリゴヌクレオチド等の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、アジュバントはイミキモドである。
いくつかの実施形態では、ワクチンは少なくとも1つのアジュバントを含有する。本明細書で使用される場合、「アジュバント」は、抗原(例えば、インフルエンザHA及び/又はNA)に対する免疫応答を非特異的に増強する物質又はビヒクルである。いくつかの実施形態では、アジュバントは、本明細書に開示されるVLPと共に使用される。いくつかの実施形態では、アジュバントは、抗原が吸着された無機物(ミョウバン、水酸化アルミニウム、又はホスフェート)の懸濁液、又は抗原溶液が鉱油(例えば、フロイント不完全アジュバント)中で乳化されている油中水型エマルジョンを含み、時として抗原性を更に増強するために死滅したマイコバクテリア(フロイント完全アジュバント)を含む。いくつかの実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチド(CpGモチーフを含むもの等)がアジュバントとして使用される。アジュバントのいくつかの例は、共刺激分子等の生物学的分子を含む。例示的な生物学的アジュバントは、IL-2、RANTES、GM-CSF、TNF-α、IFN-γ、G-CSF、LFA-3、CD72、B7-1、B7-2、OX-40L及び41 BBLを含む。いくつかの実施形態では、アジュバントは、TLR1/2(いくつかの実施形態では合成リガンドである)(例えば、Pam3Cys)、TLR2(例えば、CFA、Pam2Cys)、TLR3(例えば、polyI:C、polyA:U)、TLR4(例えば、MPLA、リピドA、及びLPS)、TLR5(例えば、フラジェリン)、TLR7(例えば、ガーディキモド、イミキモド、ロキソリビン、レシキモド)、TLR7/8(例えば、R848)、TLR8(例えば、イミダゾキノリン、ssPolyU、3M-012)、TLR9(例えば、ODN1826(タイプB)、ODN2216(タイプA)、CpGオリゴヌクレオチド)及び/又はTLR11/12(例えば、プロフィリン)のアゴニスト等の1つ以上のTLRアゴニストである。いくつかの実施形態では、アジュバントは、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清型ミネソタRe595由来のリピドAモノホスホリル(MPL)等のリピドAである。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体を含有する。いくつかの実施形態では、担体は、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、ゴマ油、エタノール、及びそれらの組合わせである。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、投与されている特定のワクチンによって、及び/又はワクチンを投与するために使用される特定の方法によって部分的に決定される。薬学的に許容可能な担体には、生理食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、ゴマ油、エタノール、及びそれらの組合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、担体は無菌であり、製剤は投与様式に適する。いくつかの実施形態では、ワクチンは、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出製剤、又は粉末剤を含有する。
非経口投与用の調製物は、滅菌水溶液又は非水性溶液、懸濁液、及びエマルジョンを含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、及びオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルである。水性担体は、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水、アルコール性/水性溶液、エマルジョン又は懸濁液を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、又は固定油を含む。静脈内ビヒクルは、流体及び栄養補充剤、電解質補充剤(リンゲルデキストロースに基づくもの等)等を含む。いくつかの実施形態では、保存剤又は他の添加剤は、例えば抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガス等が存在する。
いくつかの実施形態では、担体は、1つ以上の生分解性粘膜付着性ポリマー担体を含む。いくつかの実施形態では、ポリラクチド-コ-グリコリド(PLGA)、キトサン(例えば、N-トリメチルキトサン(TMC)ベースのナノ粒子等のキトサンナノ粒子の形態で)、アルギネート(アルギン酸ナトリウム等)及びカーボポール等のポリマーが含まれる。いくつかの実施形態では、賦形剤又は担体は、アルギン酸ナトリウム又はカーボポール等の1つ以上の親水性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、例えばデンプンと組み合わせてカーボポールを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、静脈内又は全身投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、ワクチンは、リポソーム、免疫刺激複合体(ISCOM)及び/又はビロゾーム等のポリマー粒子を含む。
いくつかの実施形態では、担体は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出製剤、又は粉末剤を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、液体、又は凍結乾燥若しくはフリーズドライ粉末を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、従来の結合剤及びトリグリセリド等の担体と共に、坐剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、経口製剤は、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、及び炭酸マグネシウム等の1つ以上の標準担体を含む。
いくつかの実施形態では、担体は、1つ以上の生分解性粘膜付着性ポリマー担体を含む。いくつかの実施形態では、ポリラクチド-コ-グリコリド(PLGA)、キトサン、アルギネート及びカーボポール等のポリマーが含まれる。いくつかの実施形態では、アルギン酸ナトリウム又はカーボポール等の親水性ポリマーは、水素結合を形成することによって粘液に吸収され、その結果、鼻腔内滞留時間が延長され、いくつかの実施形態では、開示されるワクチンに含まれる。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、鼻腔投与に使用される粒子送達系として製剤化されるか、又は静脈内若しくは全身の投与若しくは送達のために製剤化される。いくつかの実施形態では、ワクチンは、リポソーム、免疫刺激複合体(ISCOM)及び/又はビロゾーム等のポリマー粒子を含む。いくつかの実施形態では、リポソームは表面修飾されている(例えば、コーティングされたグリコールキトサン又はオリゴマンノース)。いくつかの実施形態では、リポソームは、融合性又はカチオン性融合性である。
いくつかの実施形態では、ワクチンは凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、開示されるワクチンはフリーズドライされる。いくつかの実施形態では、ワクチンは糖ガラスとしてガラス化される。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、生理食塩水等の溶媒又は液体、乾燥粉末、あるいは糖ガラスとして製剤化される。例えば、いくつかの実施形態では、VLPは、鼻腔内投与又はIM若しくはID注射によるワクチンとして使用され、生理食塩水、乾燥粉末又はトレハロースから作製された糖ガラスとして製剤化され、及び/又はワクチンに対する免疫応答を増強するためのアジュバントと混合される。いくつかの実施形態では、ワクチンは糖ガラスを含む。いくつかの実施形態では、糖ガラスはトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、糖ガラスに埋め込まれたVLP及びアジュバントを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、プリントされ乾燥された塩緩衝トレハロース溶液に製剤化されたVLP又はアジュバントを含む。いくつかの実施形態では、乾燥はガラス化によるものである。いくつかの実施形態では、これは室温安定性の利点を提供する。
いくつかの実施形態では、ワクチン製剤は、トレハロース及びイミキモドを含有する。いくつかの実施形態では、ワクチンは、スルホブチル-β-シクロデキストリン等のシクロデキストリンを含有する。いくつかの実施形態では、ワクチン抗原は、DOPC(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPE(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、コレステロール及びDSPE-peg2000(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホホエタノアミン-N[アミノ(ポリエテレングリコール)-2000](アンモニウム塩)を含むリポソーム製剤に包埋される。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、マイクロニードル投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、ワクチンは、鼻腔内、皮内、筋肉内、局所、経口、皮下、腹腔内、静脈内、又は髄腔内投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、開示されるワクチンは、鼻腔内投与、例えば粘膜免疫のために製剤化される。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、1pg、10pg、25pg、100pg、250pg、500pg、750pg、1ng、5ng、10ng、15ng、20ng、25ng、50ng、100ng、250ng、500ng、1μg、10μg、50μg、100μg、500μg、1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、500mg、若しくは1gの用量、又は前述の用量のいずれか2つによって定義される範囲の用量のワクチンを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、25pL、50pL、100pL、250pL、500pL、750pL、1nL、5nL、10nL、15nL、20nL、25nL、50nL、100nL、250nL、500nL、1μL、10μL、50μL、100μL、500μL、1mL、若しくは5mLの用量、又は前述の用量のいずれか2つによって定義される範囲の用量のワクチンを含む。いくつかの実施形態では、用量は、本明細書に記載のマイクロニードルデバイスの各マイクロニードル上又は各マイクロニードル内にある。
V.デバイス
特定の実施形態では、本明細書に記載のワクチンが充填されたマイクロニードルを含むマイクロニードルデバイスが本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルデバイスは、シートと、そこから延在する複数のマイクロニードルとを含む基板を含む。いくつかの実施形態では、当該マイクロニードルのそれぞれが先端を含む。いくつかの実施形態では、当該マイクロニードルのそれぞれが基部を含む。いくつかの実施形態では、当該マイクロニードルのそれぞれは、マイクロニードルをシートに接続する基部にヒンジを含む。いくつかの実施形態では、当該マイクロニードルのそれぞれは、ワクチンを含むウェルを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは脱水される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルデバイスは、ワクチン含有する糖ガラスを含む。いくつかの実施形態では、糖ガラスはトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、マイクロニードルデバイスは、VaxiPatch等のワクチンパッチを含む。
いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、マイクロメートル~ミリメートルサイズの構造を含む。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、皮膚を穿刺し、対象の表皮又は真皮にワクチンを送達するように設計される。マイクロニードルは、従来の皮下注射又は筋肉内注射よりもいくつかの利点を提供する。いくつかの実施形態では、マイクロニードルを使用してワクチンを皮膚の免疫細胞に直接送達し、これは免疫化目的に有利である。マイクロニードル投与に必要なワクチンの量は、従来の皮下注射又は筋肉内注射と比較して少なく、製造コスト及び時間を短縮することができる。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは自己投与される。いくつかの実施形態では、ワクチンをマイクロニードル上で乾燥させ、これにより、室温におけるワクチンの安定性が大幅に向上する。マイクロニードル投与は無痛であり、より許容される投与形態となる。
いくつかの実施形態では、マイクロニードルは固体構造である。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは中空構造である。いくつかの実施形態では、ワクチンは中空構造を通して放出される(例えば、液体ワクチンが皮膚に注射又は注入される)。いくつかの実施形態では、ワクチンはマイクロニードル上にパッケージングされる(例えば、形成後にマイクロニードルの表面にコーティングされる)。いくつかの実施形態では、ワクチンは、乾燥形態としてマイクロニードル上にパッケージングされる。いくつかの実施形態では、ワクチンは、マイクロニードル上にパッケージングされた後に脱水される。いくつかの実施形態では、ワクチンはマイクロニードルにパッケージングされる(例えば、マイクロニードルの内部への付着によって、又はマイクロニードルを形成するために使用される混合物に含めることによって、マイクロニードル自体の部分を形成すること)。いくつかの実施形態では、ワクチンは皮膚区画に溶解される。いくつかの実施形態では、ワクチンは皮膚に注射される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、複数のマイクロニードルを含むアレイに形成される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルアレイは、5x5アレイのマイクロニードルである。いくつかの実施形態では、マイクロニードルアレイは、固体支持体又は基板に物理的又は動作可能に結合される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、パッチである。いくつかの実施形態では、マイクロニードルアレイは、ワクチンの皮内投与のために皮膚に直接適用される。
マイクロニードルアレイパッチは、任意の適切な形状又はサイズであり得る。いくつかの実施形態では、マイクロニードルアレイパッチは、顔の特徴、例えば眉毛を模倣するように成形される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルアレイパッチは、選択された量の生物活性剤を送達するために許容される最小サイズである。
マイクロニードルのサイズ及び形状は所望に応じて変化する。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、先端を有する円錐形部分に物理的又は動作可能に連結された円筒形部分を含む。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、全体的にピラミッド形状又は全体的に円錐形状を有する。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、基部及び先端を含む。いくつかの実施形態では、先端は、約1マイクロメートル以下の半径を有する。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、角質層に浸透し、表皮又は真皮に入るのに十分な長さである。特定の実施形態では、マイクロニードルは、約0.1マイクロメートル~約5ミリメートル、例えば約5ミリメートル以下、4ミリメートル以下、約1ミリメートル~約4ミリメートル、約500マイクロメートル~約1ミリメートル、約10マイクロメートル~約500マイクロメートル、約30マイクロメートル~約200マイクロメートル、又は約250マイクロメートル~約1,500マイクロメートルの長さ(それらの先端からそれらの基部まで)を有する。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、約400マイクロメートル~約600マイクロメートルの長さ(それらの先端からそれらの基部まで)を有する。
いくつかの実施形態では、個々のマイクロニードルのサイズは、特定の組織型における破損を回避するために、所望の標的深度又は針の強度要件に応じて最適化される。いくつかの実施形態では、経皮マイクロニードルの断面寸法は、約10nm~1mm、又は約1マイクロメートル~約200マイクロメートル、又は約10マイクロメートル~約100マイクロメートルである。いくつかの実施形態では、中空針の外径は、約10マイクロメートル~約100マイクロメートルであり、中空針の内径は、約3マイクロメートル~約80マイクロメートルである。
いくつかの実施形態では、マイクロニードルをパターンに配置する。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、長方形若しくは正方形のグリッド又は同心円等の均一な方法で間隔をあけて配置される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、長方形グリッドの外周等、基板の外周に間隔を置いて配置される。いくつかの実施形態では、間隔は、マイクロニードルの高さ及び幅、マイクロニードルの表面に適用されるフィルムの特性、並びにマイクロニードルを通って移動することが意図されている物質の量及び種類を含む、多くの要因に依存する。いくつかの実施形態では、マイクロニードルの配置は、約50マイクロメートル以上、約100マイクロメートル~約800マイクロメートル、又は約200マイクロメートル~約600マイクロメートルのマイクロニードル間の「先端-先端」間隔である。
いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、任意の適切な材料を含むか、又はそれからなる。材料の例は、金属、セラミック、半導体、有機物、ポリマー、及び複合材料を含む。いくつかの実施形態では、構造材料には、それだけに限らないが、医薬品グレードのステンレス鋼、金、チタニウム、ニッケル、鉄、金、スズ、クロム、銅、これら又は他の金属の合金、ケイ素、二酸化ケイ素、及びポリマーが含まれる。いくつかの実施形態では、ポリマーは生分解性ポリマー又は非生分解性ポリマーである。代表的な生分解性ポリマーには、ヒドロキシ酸、例えば乳酸及びグリコール酸ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチド-コ-グリコリドのポリマー、並びにPEGとのコポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、及びポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)が含まれるが、これらに限定されない。代表的な非生分解性ポリマーは、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸、エチレンビニルアセテート、ポリテトラフルオルエチレン及びポリエステルを含む。
いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、溶解性、生体可溶性、生分解性、又はそれらの任意の組合わせである。「生分解性」は、細菌又は別の生物によって分解される任意の物質又は物体を指すために使用される。本明細書に開示されるワクチン及び方法と共に使用するために、任意の適切な溶解性、生体可溶性、及び/又は生分解性マイクロニードルが企図される。いくつかの実施形態では、溶解性、生体可溶性、又は生分解性マイクロニードルは水溶性材料からなる。いくつかの実施形態では、これらの材料は、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、マルトース、デキストロース、ガラクトース、アルギネート、アガロース、セルロース(カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロース等)、デンプン、ヒアルロン酸、又はそれらの任意の組合わせを含む。いくつかの実施形態では、選択された材料は、皮膚への浸透を可能にするのに十分な弾性である。いくつかの実施形態では、溶解性マイクロニードルは、数秒以内、例えば約5、10、15、20、25、30、45、50、60、120、180秒又はそれ以上の秒以内に皮膚に溶解する。いくつかの実施形態では、溶解性マイクロニードルは、数分以内、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、60、120以上の分以内に皮膚に溶解する。いくつかの実施形態では、溶解性マイクロニードルは、マイクロニードル構造体の一部が皮膚に溶解するように、溶解性部分(マイクロニードルの先端等)及び非溶解性部分(マイクロニードルの基部等)を含む。いくつかの実施形態では、溶解性マイクロニードルは、マイクロニードル構造体全体が皮膚に溶解するようにマイクロニードル全体を包含する。いくつかの実施形態では、溶解性コーティングのみが皮膚に溶解するように、溶解性コーティングが非溶解性支持構造上に形成される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、溶解性、生分解性、生体可溶性、又はそれらの任意の組合わせであるポリマーでコーティングされる。
いくつかの実施形態では、溶解性、生分解性、又は生体可溶性マイクロニードル上にワクチンが直接コーティングされる。いくつかの実施形態では、ワクチンは、溶解性、生分解性、又は生体可溶性マイクロニードル自体内に含まれる(例えば、溶解性ポリマーマトリックスの一部を形成することによって)。いくつかの実施形態では、ワクチンは、マイクロニードル構造体の成形及び重合の前にポリマーマトリックスと混合される。
いくつかの実施形態では、マイクロニードルアレイは、医療グレードのステンレス鋼(SS)の薄いシートを含む。いくつかの実施形態では、光化学エッチングを使用して、二次元(x、y軸)のアレイを作成する。いくつかの実施形態では、個々の各先端が形成され、予め形成されたヒンジによってSSシートに依然として接続される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、尖った先端及び輪郭のはっきりした縁部を有して形成され、それぞれが、その後適切なワクチンを受けるように設計された予め形成されたウェルを有する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体分注器具を使用して、正確な量のワクチンを予め形成された各ウェルに送達する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体分注装置は、ステンレス鋼シートに輪郭が描かれた数百のウェルに流体を同時に及び/又は正確に適用する。いくつかの実施形態では、少量のワクチンは直ちに乾燥し、マイクロニードルのウェルに付着する。いくつかの実施形態では、マイクロニードルアレイは、37マイクロニードルの1.2cm円形マイクロアレイを含む。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、光化学的にエッチングされたステンレス鋼を含む。
マイクロニードルを製造するための様々な方法が利用可能であり、マイクロニードル又はマイクロニードルアレイを製造するための任意の適切な方法が、本明細書に開示されるワクチン及び方法と共に使用するために企図される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、限定するものではないが、成形(例えば、自己成形、マイクロ成形、マイクロエンボス加工、マイクロインジェクション等)、鋳造(例えば、ダイカスト)、又はエッチング(例えば、ソフトマイクロリソグラフィ技術)を含む任意の適切な方法を使用して製造される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルデバイスは、実施例10に従って調製される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルデバイスは、実施例10に記載される1つ以上の工程に従って調製される。
VI.キット
特定の実施形態では、本明細書に記載されるようなワクチンを含むキットが提供され、ワクチンが充填されたマイクロニードル、洗浄ワイプ、乾燥剤、及び包帯を含んでいる。特定の実施形態では、キットは、アジュバントがイミキモドである第2のアジュバント含有ワイプも含む。
いくつかの実施形態では、キットは容器又はバイアルを含む。いくつかの実施形態では、容器又はバイアルはそれぞれ異なるVLP又はワクチンを含む。いくつかの実施形態では、容器は、PBS又は他の薬学的に許容可能な担体等と共に、懸濁液中にVLPを含む。いくつかの実施形態では、ワクチン又はVLPは、エンドユーザによって(例えば、PBS又は他の薬学的に許容可能な担体を用いて)再構成されるように構成された、凍結乾燥又はフリーズドライ等の乾燥又は動力を備えた形態である。いくつかの実施形態では、ワクチン又はVLPは、マイクロニードル皮内投与用のトレハロース糖ガラス中にある。いくつかの実施形態では、キットは、第1の抗原(例えば、第1のHAサブタイプ、又は第1のインフルエンザウイルス由来のHA)を含有するVLPを含む第1の容器を含む。いくつかの実施形態では、キットは、第2の抗原(例えば、第2のHAサブタイプ又は第2のインフルエンザウイルス由来のHA)を含有するVLPを含む第2の容器を含む。いくつかの実施形態では、キットは、第3の抗原(例えば、第1のNAサブタイプ)を含有するVLPを含む第3の容器を含む。いくつかの実施形態では、容器は、本明細書に提供されるVLPの混合物を含む。いくつかの実施形態では、キット中の容器はアジュバントを含む。いくつかの実施形態では、アジュバントはキット中の別個の容器にある。いくつかの実施形態では、容器は、PBS等の薬学的に許容可能な担体を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、別個の容器内にある(例えば、VLPがフリーズドライ又は凍結乾燥されている場合)。いくつかの実施形態では、キット中の容器は、1つ以上の安定剤を更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、対象へのVLPの投与を可能にするデバイスを含む。そのようなデバイスの例は、VaxiPatch中のマイクロニードル又は本明細書で提供される他のデバイスを含む。いくつかの実施形態では、キットはイミキモドワイプを含む。
VII.製造方法
特定の実施形態では、(i)本明細書に記載の抗原を含む第1の溶液と、(ii)第1の脂質及び第2の脂質等の1つ以上の脂質を含む第2の溶液とを微小流体的に組み合わせることを含む、VLP(例えば、seVLP)を作製する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の溶液は水溶液を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の溶液はエタノール溶液を含む。いくつかの実施形態では、抗原はアンカー分子に結合している。いくつかの実施形態では、第1及び第2の溶液を組み合わせることは、第1及び第2の溶液を混合して、本明細書に記載のVLPを形成する。いくつかの実施形態では、VLPは、本明細書に記載の脂質小胞を含む。いくつかの実施形態では、VLPは脂質二重層を含む。いくつかの実施形態では、脂質小胞又は脂質二重層は、アンカー分子が脂質二重層に埋め込まれた第1の脂質及び/又は第2の脂質を含む。
いくつかの実施形態では、方法は、(i)アンカー分子に結合した抗原を含む水溶液を、(ii)第1の脂質及び第2の脂質を含むエタノール溶液と微小流体的に組み合わせ、それによって水溶液をエタノール溶液と混合して、アンカー分子が脂質二重層に埋め込まれている、第1及び第2の脂質を含む脂質二重層を含有するVLPを形成することを含む。いくつかの実施形態では、水溶液をエタノール溶液と微小流体的に組み合わせることは、水溶液の流れをエタノール溶液の流れと混合することを含む。
いくつかの実施形態では、方法は、抗原ドメイン及び膜アンカードメインを含むペプチドを含む水溶液を提供すること、第1の脂質及び第2の脂質を含むエタノール溶液を提供すること、並びに/あるいは水溶液をエタノール溶液と組み合わせて、ペプチドが膜アンカードメインによって脂質小胞に固定され、抗原ドメインが脂質小胞の外面にあるVLPを製造することを含む。いくつかの実施形態では、水溶液とエタノール溶液とを組み合わせることは、水溶液の流れとエタノール溶液の流れとのマイクロ流体混合を含む。
いくつかの実施形態では、抗原は、組換えDNA法を使用して製造された精製タンパク質から製造される。いくつかの実施形態では、定義された精製組換えタンパク質を、マイクロ流体ミキサを使用して定義された脂質と混合して、化学的に定義されたVLP(例えば、seVLP又はsmVLP)を形成する。マイクロ流体ミキサの例は、NanoAssmblr(Precision Nanosystems,Inc.)である。いくつかの実施形態では、VLP(例えば、seVLP)は、(1)任意の組換えDNAベースのタンパク質発現系で本質的に純粋な抗原性タンパク質を製造すること、(2)脂質を化学的に定義すること、及び(3)マイクロ流体ミキサを使用してインビトロで組み立てることによって製造される。
いくつかの実施形態では、方法は、制御されたマイクロ流体プロセスによってseVLPを製造する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体力学は、均一なサイズのリポソームをスケーラブルな市販量で製造する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体力学は、抗原の天然の特性を保存する穏やかな溶媒を使用する。いくつかの実施形態では、seVLPは、透析又は界面活性剤を使用せずに製造される。いくつかの実施形態では、seVLPは、透析又は界面活性剤により製造される。
いくつかの実施形態では、抗原は、本明細書に記載の界面活性剤等の界面活性剤を使用して精製される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は切断可能である。いくつかの実施形態では、界面活性剤により精製された抗原は、VLPを作製するために使用される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、オクチルグルコシド(n-オクチル-β-d-グルコシド)を含む。いくつかの実施形態では、切断可能な界面活性剤は、界面活性剤を除去するための製造における時間を短縮する(例えば、約5日から数分)。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、化学的に切断可能な界面活性剤(CCD)を含む。いくつかの実施形態では、CCDは、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド等の界面活性剤中のジスルフィド結合のジスルフィド組込みによって誘導される。いくつかの実施形態では、界面活性剤のジスルフィド結合は、トリス(2-カルボキシエチル)ホヒン(TCEP)によって切断される。いくつかの実施形態では、界面活性剤のジスルフィド結合は、ジスルフィド結合を含有する天然タンパク質中のジスルフィドを切断しない条件下で切断される。いくつかの実施形態は、オクチルグルコシドの切断可能なジスルフィド複製を含む。
いくつかの実施形態では、VLP(例えば、seVLP)は、2つの工程によって作製される。第1の工程において、抗原は、組換えDNA法によって製造及び/又は精製される。第2に、抗原は、マイクロ流体力学によって規定の脂質と混合される。いくつかの実施形態では、抗原はタンパク質発現系において発現される。いくつかの実施形態では、抗原は、HA、NA、又はインフルエンザマトリックスタンパク質(インフルエンザM1又はM2等)である。いくつかの実施形態では、タンパク質発現系は、細菌、酵母、植物、昆虫細胞又は哺乳動物細胞系である。いくつかの実施形態では、これらの細胞は、細胞における抗原の発現を可能にするのに十分な条件下で、(1)抗原をコードするウイルス又は抗原をコードするウイルスで、及びいくつかの実施形態では、(2)抗原をコードするウイルスでもトランスフェクト又は感染される。第2に、いくつかの実施形態では、抗原は、Nanoassemblr(商標)Benchtop(Precision Nanosystems,Inc.,Vancouver,Canada)等のマイクロフルイダイザ中でDOPC、DOPE及びコレステロールと混合される。いくつかの実施形態では、seVLPは押出成形によって作製される。いくつかの実施形態では、押出形成は、Avanti Polar Lipids製の押出装置等の押出装置の使用を含む。
いくつかの実施形態では、seVLPは、水溶液中でそれらの抗原と共に、エタノール溶液中で脂質と共に形成される。それぞれが水性溶液又はエタノール溶液のいずれかを含む2つの流れが、Precision NanoSystems製のNanoassemblr(商標)Benchtop(Precision Nanosystems,Inc.,Vancouver,Canada)等のミキサ内でマイクロ流体混合によって合わされる。いくつかの実施形態では、VLPは、少なくとも1つの合成又は本質的に純粋なホスファチジルコリン(PC)種及び少なくとも1つの合成又は本質的に純粋なホスファチジルエタノールアミン(PE)を、3:1から1:3のモル比で含有又は含む、脂質成分を含み、アシル鎖が4~18の炭素原子を有し、アシル鎖における不飽和結合の総数が4以下であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、合成l,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)及び合成l,2-コレオイル-S7-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)が使用される。いくつかの実施形態では、DSPE-peg2000(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホホエタノアミン-N[アミノ(ポリエテレングリコール)-2000](アンモニウム塩)、又は関連する脂質を使用して(例えば、精製された抗原と混合される)VLPを作製する。いくつかの実施形態では、脂質成分は、コレステロール等のステロール、又はステロール誘導体により、添加された総リン脂質の0~30mol%の比で補充される。いくつかの実施形態では、VLPは、合成又は本質的に純粋な成分で作製され、それを含み、又はそれからなる。いくつかの実施形態は、定義された品質、純度及び化学構造の外因的に添加された非ウイルス性リン脂質種を含む。いくつかの実施形態は、合成又は本質的に純粋なPC及び/又はPE種を含む。いくつかの実施形態では、VLPは、DOPC、DOPE、コレステロール、及びDSPE-peg2000を組み合わせることによって作製される。
いくつかの実施形態では、VLPは、DOPE対DOPCの比が4:1~0.5:1で製造される。いくつかの実施形態では、ステロール又はステロール誘導体を添加して、seVLPの保存安定性を高める。ステロール誘導体の例は、コレステロール、コレステロールヘミスクシネート、フィトステロール、例えばラノステロール、エルゴステロール、並びにビタミンD及びビタミンD関連化合物を含む。いくつかの実施形態では、合わせたDOPC及びDOPEに対するコレステロールの量は、約20mol%である。
いくつかの実施形態は、脂質に対する抗原の所定の比を含む。本開示のいくつかの実施形態の顕著な特徴は、マイクロ流体混合中のseVLPの膜への抗原の挿入である。seVLPを調製するために、Nanoassembr(商標)Benchtop(Precision Nanosystems,Inc.,Vancouver,Canada)を300μmのStaggered Herringbone Micromixerと共に使用する。いくつかの実施形態では、脂質をメタノール又はエタノールに所定の比率で溶解し、抗原を、界面活性剤である0.1~10%オクチルグルコシド(n-オクチル-β-d-グルコシド)(OG)を含有するPBS、10mM、pH7.4水性緩衝液に溶解する。別の界面活性剤は、1,2-ジカプロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DCPC)である。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインを有する抗原は、seVLPを形成する前に界面活性剤(複数可)中に維持される。いくつかの実施形態では、OG及びDCPCの臨界ミセル濃度(c.m.c.)は、それぞれ25mM及び14mMである。いくつかの実施形態では、5mM未満のc.m.c.を使用して、透析によって界面活性剤を除去する。一例として、水性緩衝生理食塩水及び15~20mMのDCPC中のインフルエンザrHAタンパク質を、Nanoassemblr(商標)Benchtopを用いてエタノール中のDOPE、DOPC、コレステロール及び2~5mMのDCPCと混合して、溶出液がDSPCの14mMのc.m.c.をわずかに下回るようにする。いくつかの実施形態では、この高速界面活性剤除去は、脂質界面活性剤及び脂質タンパク質界面活性剤ミセルの同時合体を導き、脂質及びタンパク質の直接共再構成をもたらし、均質なseVLPを形成する。いくつかの実施形態では、界面活性剤なしで、抗原の膜貫通ドメインは凝集体を形成し、これはインフルエンザHAの場合、ロゼット形成を導く。いくつかの実施形態では、そのような凝集は不可逆的である。いくつかの実施形態では、seVLPは、組換えインフルエンザ膜タンパク質(複数可)の1mg当たり、200~500nmolのDOPC、600~1000nmolのDOPE、約200~300nmolのコレステロールを含む。水性流と溶媒流との間の流量比は、1:1~5:1(水性:アルコール)であり、3:1の比が好ましい。総流量は1~10mL/分である。seVLPを、750kDタンジェンシャルフロー(TFF)カラムSpectra/Por(登録商標)Dialysis membrane,Biotech CE Tubing,Spectrum Laboratories,USAを用いて精製及び濃縮した。
いくつかの実施形態では、VLP(例えば、seVLP)は狭いサイズ分布を有する。いくつかの実施形態では、脂質小胞又はVLPは、40~200nm、50nm~150nm、又は70nm~130nmの範囲の直径(粒径)を有する。いくつかの実施形態では、脂質小胞又はVLPは、150nm超の粒径を有するVLPの15%未満又は10%未満、及び50nm未満の粒径を有するVLPの15%未満又は10%未満の均一なサイズ分布を有する。いくつかの実施形態では、モード径は90nm未満である。いくつかの実施形態では、コレステロールは、DOPCの必要性を低下させ、seVLPを安定化させる。
いくつかの実施形態では、VLPのマイクロ流体調製が使用される。いくつかの実施形態では、VLPは超音波処理によって調製されず、及び/又は界面活性剤除去は透析によって行われない。いくつかの実施形態では、VLPのマイクロ流体調製は、超音波処理又は透析による界面活性剤除去によって調製されたeVLP等のVLPと比較して、サイズ変動をより均一なサイズに狭める。
いくつかのVLPは、本方法の1つ以上の工程又は工程の全てにおいて、界面活性剤を使用せずに作製される。いくつかの実施形態では、VLP(例えば、smVLP)は、ポリマーベースのナノディスクを用いて製造される。いくつかの実施形態では、smVLPは、ポリメタクリレート(PMA)コポリマーの使用を含む方法によって作製される。いくつかの実施形態では、メタクリレートコポリマーは、脂質二重層ナノディスクを形成する天然アポリポタンパク質の両親媒性らせん構造を模倣するように作製される。いくつかの実施形態では、両親媒性αヘリックスペプチドを使用してナノディスクを形成する。いくつかの実施形態では、これらのタンパク質及びペプチドの両親媒性構造は、脂質ナノディスクを形成するのに有益である。いくつかの実施形態では、そのようなタンパク質又はペプチドの両親媒性を模倣するために、疎水性及び親水性側鎖を含む両親媒性ポリメタクリレートランダムコポリマーを使用して、ナノディスク形成ポリマーを製造する。いくつかの実施形態では、それらのモノマー配列はランダムであるが、両親媒性ポリメタクリレートランダムコポリマーは、脂質二重層との相互作用時に両親媒性構造を提供する。いくつかの実施形態では、得られたポリマーの疎水性ブチルメタクリレート及びカチオン性メタクロイルコリンクロリドは、それぞれ脂質の疎水性アシル鎖及びアニオン性リン酸ヘッド基と相互作用して、ポリマーに囲まれた脂質ナノディスク構成を形成する。いくつかの実施形態では、コポリマーは、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)によって開始されるフリーラジカル重合を使用して合成される。いくつかの実施形態では、ポリマーの分子量は、連鎖移動剤として使用されるメチル3-メルカプトプロピオネートの量を変化させることによって調整される。いくつかの実施形態では、疎水性/カチオン性の比は、2つのモノマーの供給比によって変化する。いくつかの実施形態では、得られたポリマーは、ジエチルエーテル中の再沈殿によって精製され、これはいくつかの実施形態では未反応モノマーの完全な除去の利益を提供する。
いくつかの実施形態では、各合成ポリマーが脂質を可溶化する能力を、押出成形法によって調製されたDMPC(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)の大きな単ラメラ小胞(直径100nmのLUV)に対して濁度測定を実施することによって調べる。いくつかの実施形態では、DMPC小胞へのポリマーの添加は、多くの場合、溶液濁度の低下をもたらし、小胞のポリマー誘発断片化及び結果として生じる脂質ナノディスク形成を反映する。いくつかの実施形態では、両親媒性バランスの最適化は、効率的なナノディスク形成ポリマーを得るために有益である。
いくつかの実施形態では、ナノディスクは、スチレンマレイン酸(SMA)ポリマー又はコポリマーを含むか、又はそれを使用して形成される。いくつかの実施形態では、合成又は生物学的脂質膜へのSMAの添加は、ナノディスクの自発的形成を導く。いくつかの実施形態では、そのようなポリマー結合ナノディスクは、保存された組み込まれた脂質分子の二重層組織化を含む。いくつかの実施形態では、SMAを使用する利点は、ネイティブな細胞膜環境からタンパク質を直接抽出するSMAポリマーの能力である。脂質材料の起源に応じて、SMALPという用語は、いくつかの実施形態では合成リポソームに由来する粒子に使用され、合成天然ナノディスクは、いくつかの実施形態では生体膜からの単離を指すために使用される。いくつかの実施形態では、SMALPの使用は、界面活性剤を用いた膜タンパク質の単離、膜タンパク質のリポソームへの挿入、及びその後のSMAの添加によるナノディスクの形成を含む。いくつかの実施形態では、これは、脂質がインビトロで定義されるという利点を有する。いくつかの実施形態では、天然のナノディスク系は、タンパク質を安定化させる最小限に乱された天然の脂質環境を維持しながら、界面活性剤と同様の可溶化力をナノディスクの小さな粒径と組み合わせる。
いくつかの実施形態では、SMALPは、ポリ(スチレン-コ-マレイン酸)(SMA)から作製される。いくつかの実施形態では、SMAは膜に組み込まれ、自発的にSMALPを形成する。いくつかの実施形態では、スチレン無水マレイン酸コポリマー試薬は、2:1のスチレン対マレイン酸比を使用する。いくつかの実施形態では、無水物ポリマー粉末が得られ、加水分解を使用して酸に変換される。いくつかの実施形態では、スチレン無水マレイン酸コポリマーは、1MのNaOHに溶解される。いくつかの実施形態では、反応は、溶液を加熱及び還流しながら行われる。いくつかの実施形態では、室温で冷却した後である。いくつかの実施形態では、スチレン無水マレイン酸コポリマーは、濃HClの添加によってpHを5未満に低下させることによって沈殿される。いくつかの実施形態では、沈殿物を水で3回洗浄し、続いて遠心分離を使用して分離する。いくつかの実施形態では、3回目の洗浄の最後に、沈殿物を0.6MのNaOHに再懸濁する。いくつかの実施形態では、溶液を沈殿させ、再び洗浄し、0.6MのNaOHに再懸濁する。いくつかの実施形態では、次いで、pHをpH8に調整する。いくつかの実施形態では、ポリマーは凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、スチレン無水マレイン酸コポリマーは、脂質の懸濁液に添加される。いくつかの実施形態では、SMAは脂質二重層と相互作用し、SMALPに自己集合する。
いくつかの実施形態では、免疫系に抗原を提示するVLPとして使用される場合、ナノディスク技術は、一連の膜VLP(mVLP)(細胞由来の天然mVLPから、外因性脂質が脂質混合物に補充される半合成半合成mVLP、全ての脂質がインビトロで定義され供給される完全なsmVLPまでを提供する。
いくつかの実施形態では、DIBMA又はSMAは、天然の細胞膜から膜タンパク質を直接抽出する能力を提供する。いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載のVLPが組換えDNA法によって製造されたインフルエンザHA、NA又はM2抗原を含む場合)、これはワクチンナノディスク形成を単純化する。いくつかの実施形態では、DIBMAを細胞膜に直接添加して、タンパク質発現系の膜に埋め込まれた組換え方法によって製造されたワクチン抗原(複数可)を抽出する。いくつかの実施形態では、DIBMAは、Anataceから得られる。いくつかの実施形態では、DIBMAを含むナノディスクの抗原は、例えば抗原のC末端にHISタグを含む。いくつかの実施形態では、抗原及び/又はDIBMAナノディスクはIMACクロマトグラフィによって精製される。いくつかの実施形態では、ナノディスクは、DIBMAのベルトによって定義される産生細胞の平坦な脂質膜に埋め込まれた抗原(例えばHA)を含む。いくつかの実施形態では、DIBMAにDMPC(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)が補充される。いくつかの実施形態では、そのような補充は、産生細胞からの抗原の抽出を改善する利点を提供する。いくつかの実施形態では、VLPは天然ナノディスクを含む。いくつかの実施形態では、ナノディスクは合成又は半合成である。
いくつかの実施形態では、組換えペプチドを含む抗原をコードする核酸分子を含むベクターが含まれる。いくつかの実施形態では、ベクターは、哺乳動物発現ベクター等の組換えポリペプチドの発現のための任意の適切なベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、pCAGGS発現ベクター又はpFastBaclバキュロウイルス移入ベクタープラスミドである。いくつかの実施形態では、トランスフェクション又はバキュロウイルス発現に使用される任意の発現ベクターが使用される。いくつかの実施形態では、ベクターは、組換えペプチドをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモータを含む。特定の例では、プロモータはCMV又はSV40プロモータである。
A.哺乳動物細胞における抗原生成
本明細書に記載のワクチン及び方法と共に使用するための抗原は、任意の適切な方法によって作製される。いくつかの実施形態では、HAタンパク質又はNAタンパク質等の所望の抗原をコードする核酸分子は、いくつかの実施形態では、インフルエンザマトリックスタンパク質(複数可)をコードする核酸分子と共に、それぞれ発現プラスミド(例えば、pCAGGS)にクローニングされる。いくつかの実施形態では、抗原、M1、M2、NA及び/又はHAコード配列は、哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化されている。いくつかの実施形態では、得られたベクターを、マトリックスタンパク質(複数可)含有ベクターと共に細胞にトランスフェクトする。いくつかの実施形態では、マトリックスタンパク質(複数可)は、HA又はNAと同じベクターから発現される。いくつかの実施形態では、トランスフェクションは一過性トランスフェクションである。いくつかの実施形態では、細胞は、293細胞、Vero細胞、A549細胞、CHO細胞等を含む。
いくつかの実施形態では、細胞は、抗原が細胞によって発現されることを可能にする条件下でインキュベートされる。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞を37℃で約72時間インキュベートする。いくつかの実施形態では、タンパク質は当業者に周知の標準的な技術によって精製される。
いくつかの実施形態では、タンパク質の量は、ウエスタンブロット又は他の定量的イムノアッセイ、ブラッドフォードアッセイ、及びHAの場合、FDA承認の力価試験、単純放射状イムノアッセイ(SRID)試験によって決定される。
B.昆虫細胞における抗原生成
いくつかの実施形態では、抗原は昆虫細胞で産生される。いくつかの実施形態では、核酸分子は抗原をコードする。いくつかの実施形態では、インフルエンザマトリックスタンパク質(複数可)をコードする核酸分子と共に、それぞれバキュロウイルス移入ベクタープラスミド(例えば、pFastBacl,Invitrogen,Carlsbad,Calif)にクローニングされる。いくつかの実施形態では、マトリックスタンパク質(複数可)は、HA又はNAと同じバキュロウイルス移入ベクターから発現される。いくつかの実施形態では、抗原、HA、NA、M1及び/又はM2の発現は、オートグラファカリフォルニア多核多角体病ウイルス(AcMNPV)ポリヘドリンプロモータの転写制御下にある。いくつかの実施形態では、抗原、M1、M2、NA及び/又はHAコード配列は、昆虫細胞における発現のためにコドン最適化されている。いくつかの実施形態では、各組換えバキュロウイルス構築物をプラーク精製し、マスターシードストックを調製し、同一性について特性決定し、ワーキングウイルスストックを調製するために使用する。いくつかの実施形態では、バキュロウイルスマスター及びワーキングストックの力価を、迅速滴定キット(例えば、BacPak Baculovirus Rapid Titer Kit;Clontech,Mountain View,Calif)を用いて決定する。
いくつかの実施形態では、昆虫細胞、例えばS.フルギペルダ(S.frugiperda)Sf9昆虫細胞(ATCC CRL-1711)は、昆虫無血清培地(例えば、HyQ-SFX HyClone、Logan、Utah)中、27±2℃で懸濁培養として維持される。いくつかの実施形態では、組換えバキュロウイルスストックを、細胞当たり<0.01プラーク形成単位(pfu)の低感染多重度(MOI)で細胞に感染させることによって調製し、感染の68~72時間後(hpi)に回収する。
いくつかの実施形態では、得られた抗原含有バキュロウイルスベクターを使用して細胞を感染させる。いくつかの実施形態では、マトリックスタンパク質(複数可)と共にバキュロウイルスベクターを含有する。いくつかの実施形態では、約2~3x106細胞/mlが抗原含有バキュロウイルスベクターに感染される。得られた感染細胞を27±2℃で連続的に撹拌しながらインキュベートし、例えば遠心分離(例えば、4000xgで15分間)によって約68~72hpiで回収する。いくつかの実施形態では、抗原は、当技術分野で公知の標準的な方法によって精製される。
VIII.使用方法
特定の実施形態では、本明細書に記載のワクチンを、それを必要とする対象に投与することを含む、疾患を予防する、その発生を減少させる、及び/又はその重症度を低下させる方法が本明細書に開示される。特定の実施形態では、本明細書に記載のワクチンを、それを必要とする対象に投与することを含む、疾患を予防する方法が本明細書に開示される。特定の実施形態では、本明細書に記載のワクチンをそれを必要とする対象に投与することを含む、疾患の発生を減少させる方法が本明細書に開示される。特定の実施形態では、本明細書に記載のワクチンをそれを必要とする対象に投与することを含む、疾患の重症度を低下させる方法が本明細書に開示される。
いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載のVLP(例えば、seVLP又はsmVLP)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、投与は疾患の重症を予防する。いくつかの実施形態では、投与は疾患の発生を減少させる。いくつかの実施形態では、投与は疾患の重症度を低下させる。いくつかの実施形態では、投与は、疾患を予防し、その発生を減少させ、及び/又はその重症度を低下させる。いくつかの実施形態では、方法は、疾患を予防すること、疾患の発生を減少させること、又は疾患の重症度を低下させることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載のワクチンを対象に投与することを含み、当該投与が、疾患を予防するか、疾患の発生を減少させるか、又は疾患の重症度を低下させる。
方法のいくつかの実施形態では、疾患は感染症である。いくつかの実施形態では、疾患は、細菌、真菌、又はウイルス感染症を含む。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症はインフルエンザ感染症を含む。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物又はヒト対象である。
特定の実施形態では、ワクチンを対象に投与することを含む、疾患を予防するか、疾患の発生を減少させるか、又は疾患の重症度を低下させるための方法が本明細書で開示され、当該投与が、疾患を予防するか、疾患の発生を減少させるか、又は疾患の重症度を低下させる。いくつかの実施形態では、疾患は感染症である。いくつかの実施形態では、疾患は、細菌、真菌、又はウイルス感染を含む。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症はインフルエンザ感染症である。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物又はヒト対象である。
いくつかの実施形態では、投与は、1つ以上の針又はマイクロニードルによる投与を含む。いくつかの実施形態では、投与は、予め形成された液体シリンジによる投与を含む。いくつかの実施形態では、投与は、鼻腔内、皮内、筋肉内、皮膚パッチ、局所、経口、皮下、腹腔内、静脈内、又は髄腔内投与を含む。いくつかの実施形態では、投与は、1pg、10pg、25pg、100pg、250pg、500pg、750pg、1ng、5ng、10ng、15ng、20ng、25ng、50ng、100ng、250ng、500ng、1μg、10μg、50μg、100μg、500μg、1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、500mg、若しくは1gの用量、又は前述の用量のいずれか2つによって定義される範囲の用量のワクチンを投与することを含む。いくつかの実施形態では、100pL~20nLのワクチンは、各マイクロニードルによって投与される。いくつかの実施形態では、5~20nLのワクチンは、各マイクロニードルによって投与される。いくつかの実施形態では、10~20nLのワクチンは、各マイクロニードルによって投与される。
A.投与方法
開示されるワクチンのいずれかは、任意の適切な方法によって対象に投与される。適切な投与方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、非経口、静脈内、全身、皮下、粘膜、膣、直腸、鼻腔内、吸入又は経口が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、皮下、静脈内又は筋肉内投与等の非経口投与は注射によって達成される。いくつかの実施形態では、注射剤は、液体溶液若しくは懸濁液、注射前の液体の溶液若しくは懸濁液に適した固体形態、又はエマルジョンのいずれかの従来の形態で調製される。いくつかの実施形態では、注射溶液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒、錠剤等から調製される。いくつかの実施形態では、投与は全身性である。いくつかの実施形態では、投与は局所的である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるワクチンは、経口、鼻腔内、肺、直腸及び膣等の粘膜ワクチン接種用に製剤化される。具体的な例において、これは鼻腔内投与によって達成される。いくつかの実施形態では、投与は、糖ガラスを含む本明細書に記載のワクチンを投与することを含む。いくつかの実施形態では、糖ガラスはトレハロースを含む。
いくつかの実施形態では、投与は、予め形成された液体シリンジによる投与を含む。いくつかの実施形態では、投与は、1つ以上の針又はマイクロニードルによる投与を含む。いくつかの実施形態では、100pL~20nLのワクチンは、各マイクロニードルによって投与される。いくつかの実施形態では、投与は、鼻腔内、皮内、筋肉内、皮膚パッチ、局所、経口、皮下、腹腔内、静脈内、全身、又は髄腔内投与を含む。
いくつかの実施形態では、投与は、針又はマイクロニードルでワクチンを注射する前に、投与部位においてワイプで対象の皮膚を擦る又は拭き取ることを含む。いくつかの実施形態では、ワイプは洗浄ワイプである。いくつかの実施形態では、ワイプはイミキモドワイプである。いくつかの実施形態では、マイクロニードルデバイスを用いて投与部位にワクチンを注射する前に、イミキモドワイプを対象の投与部位の対象の皮膚に擦り込んで、イミキモドがワクチン接種部位の皮膚に擦り込まれるようにする。
いくつかの実施形態は、マイクロニードル投与を含む。いくつかの実施形態は、皮膚パッチ投与を含む。いくつかの実施形態は、マイクロニードルスキンパッチ投与を含む。いくつかの実施形態では、マイクロニードルを対象の洗浄された皮膚上に配置し、皮膚内に押し込む。いくつかの実施形態では、マイクロニードル皮膚パッチは、液体分注工程でマイクロニードル上又はマイクロニードル内に充填された用量のワクチンを含む。いくつかの実施形態では、マイクロニードル当たり10~20nLのマイクロ流体分注が使用される。
いくつかの実施形態では、ワクチンは、各マイクロニードル内のウェル内で乾燥される。いくつかの実施形態では、これは、10ニュートン未満の軽い力が送達に成功するのに十分であるようにマイクロニードルを鋭く保つ。いくつかの実施形態では、ワクチンを各マイクロニードルの外側で乾燥させる。いくつかの実施形態では、マイクロニードルアレイが投与に使用される。
いくつかの実施形態では、ワクチンはマイクロニードル上にパッケージングされる。いくつかの実施形態では、ワクチンはマイクロニードルにパッケージング又は包埋される。いくつかの実施形態では、ワクチンは、マイクロニードルの中又は上にパッケージングした後に脱水される。いくつかの実施形態では、マイクロニードルは、単位用量のワクチンで個別にパッケージングされる。いくつかの実施形態では、単位用量は、抗原に対する免疫応答を対象において誘導するのに有効である。いくつかの実施形態では、単位用量は、室温で少なくとも約1週間(例えば、約1、2、3、4、6、8、12週間又はそれを超える週)貯蔵した後、対象において抗原に対する免疫応答を誘導するのに有効である。いくつかの実施形態では、単位用量は、室温で少なくとも約1ヶ月間(例えば、約1、2、3、4、5、6、8、10、12ヶ月又はそれを超える月)貯蔵した後、対象において抗原に対する免疫応答を誘導するのに有効である。いくつかの実施形態では、ワクチンは、抗原に対する対象の免疫応答を誘導するのに有効な量で存在する。いくつかの実施形態では、マイクロニードル投与は無痛である。
いくつかの実施形態では、ワクチン抗原は、用量当たりの抗原の量に関して発現される。いくつかの実施形態では、用量は、100μgの抗原又は総タンパク質(例えば、1~100μg、例えば約1μg、5μg、10μg、25μg、50μg、75μg又は100μg)を有する。いくつかの実施形態では、発現ははるかに低いレベル(例えば、1μg/用量、100ng/用量、10ng/用量、又は1ng/用量)で見られる。
いくつかの実施形態では、対象は、ワクチン接種前にアジュバントで前治療される。いくつかの実施形態では、アジュバントはイミキモドである。
B.投与時期
いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載のワクチンの複数回投与又は用量を含む。いくつかの実施形態では、開示されるワクチンは、単回又は複数回用量(例えば、追加免疫)として投与される。いくつかの実施形態では、第1の投与の後に第2の投与が続く。いくつかの実施形態では、第2の投与は、投与されたワクチンと同じであるか、又は異なるワクチンである。いくつかの実施形態では、第2の投与は、投与された第1のワクチンと同じワクチンである。いくつかの実施形態では、第2の投与は、投与された第1のワクチンとは異なるVLP(例えば、seVLP又はsmVLP)を含むワクチンによるものである。いくつかの実施形態では、第1のワクチンが第1のHAサブタイプ及び第2のHAサブタイプを含む場合、第2のワクチンは第3のHAサブタイプ及び第4のHAサブタイプを含み、4つのサブタイプは全て異なる(H1、H2、H3、H5、H7、及びH9のうちの4つ等)。
いくつかの実施形態では、2つ以上のVLPを含有するワクチンは、複数回用量、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回用量(2~3回用量等)として投与される。いくつかの実施形態では、用量間のタイミングは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、又は少なくとも5年、例えば1~4週間、2~3週間、1~6ヶ月、2~4ヶ月、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、12週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年、2年、5年、又は10年、あるいはそれらの組合わせである(例えば、少なくとも3回の投与があり、第1の用量と第2の用量との間、及び第2の用量と第3の用量との間のタイミングが、いくつかの実施形態では、同じであるか、又は異なる)。
C.用量
いくつかの実施形態では、方法は、1pg、10pg、25pg、100pg、250pg、500pg、750pg、1ng、5ng、10ng、15ng、20ng、25ng、50ng、100ng、250ng、500ng、1μg、10μg、50μg、100μg、500μg、1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、500mg、若しくは1gのワクチン若しくはVLP(例えば、seVLP又はsmVLP)の用量、又は前述の用量のいずれか2つによって定義される用量の範囲を投与することを含む。
いくつかの実施形態では、対象に、約1~約100μgの各VLP、例えば、約1μg~約50μg、1μg~約25μg、1μg~約5μg、約5μg~約20μg、又は約10μg~約15μgの各VLPが投与される(例えば、静脈内又は全身)。いくつかの実施形態では、対象に、約15μgの各VLPが投与される。いくつかの実施形態では、対象に、約10μgの各VLPが投与される。いくつかの実施形態では、対象に、約20μgの各VLPが投与される。いくつかの実施形態では、対象に、約1μg又は2μgの各VLPが投与される。
いくつかの実施形態では、対象に投与される用量は、対象において有益な治療応答を経時的に誘導するか、又は感染症を阻害若しくは予防するのに十分である。いくつかの実施形態では、用量は対象ごとに異なるか、又は対象の種、年齢、体重及び全身状態、治療されている感染症の重症度、及び/又は使用されている特定のワクチン及びその投与様式に応じて投与される。
D.免疫応答を測定する方法
いくつかの実施形態は、免疫応答を測定することを含む。いくつかの実施形態は、本明細書に開示されるワクチンが免疫応答を誘発又は刺激するかどうか、例えば免疫化の成功を達成するかどうかを決定する方法を含む。例示的なアッセイが本明細書で提供されるが、本開示は特定のアッセイの使用に限定されない。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるワクチンの投与後、1つ以上のアッセイを実施して、得られた免疫応答を評価する。いくつかの実施形態では、アッセイはまた、ワクチンの投与前に、及び/又はベースライン若しくは対照として機能するために行われる。いくつかの実施形態では、ワクチンの投与後に、血液又は血清試料等の試料を対象から回収する。いくつかの実施形態では、試料は、第1のワクチン投与の少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、又は少なくとも8週間後(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12週後)に回収される。いくつかの実施形態では、例えば後続のワクチン投与後に、後続の試料も得られる。
1.赤血球凝集アッセイ
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるワクチンの製造及び精製後、赤血球凝集アッセイが行われる。いくつかの実施形態では、そのようなアッセイは、赤血球凝集単位(HAU)を測定又は評価するために行われる。いくつかの実施形態では、これは、VLP(例えば、seVLP又はsmVLP)が機能性HA三量体を提示し、いくつかの実施形態では、VLP調製物中のHAタンパク質を定量するために使用されることを評価するために使用される。赤血球凝集はまた、チャレンジウイルスに使用されるインフルエンザウイルスの量を定量するために、又は例えば、チャレンジ動物の肺又は呼吸器に存在するウイルスの量(力価)を定量するために使用される。いくつかの実施形態では、ワクチン接種対象は、偽ワクチン接種対象と比較してウイルス力価の低下を示す。
いくつかの実施形態では、アッセイを使用して、VLPの量を定量するか、又は更に本明細書で提供されるワクチンを以前に投与したウイルスチャレンジ対象からの肺試料等の試料中のウイルスを定量する。いくつかの実施形態では、ワクチンを段階希釈し(例えば、1:4から1:4096の2倍)、次いで、赤血球(RBC)を含むウェルに添加する。いくつかの実施形態では、RBC溶液(0.75%~1%RBC等)をウェルに添加する。いくつかの実施形態では、次いで、混合物を室温で30分間インキュベートし、これによりRBCを沈降させる。いくつかの実施形態では、次いで、試料は、例えば試料が配置されているマイクロ力価ウェルを調べることによって、得られた凝集パターンについて分析される。例えば、その端部に配置されたマイクロタイタープレートでは、RBC対照ウェル内のRBCは特徴的なティアドロップ形状に流れる(インフルエンザウイルスは存在せず、したがって凝集はない)。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスを含有するウェルは、RBCを様々な程度に凝集させる。いくつかの実施形態では、ウイルスが架橋赤血球を有し、それらのペレット化を妨げるため、最大量のウイルスを含むウェルは濁って見える。いくつかの実施形態では、後続のウェル中のより少ない量のウイルスが部分凝集をもたらすが、ペレットはRBC対照ウェル中のペレットと同様のティアドロップ形状に流れ込まない。いくつかの実施形態では、エンドポイントは、RBCの完全な凝集をもたらすワクチンの最大希釈として決定される。
いくつかの実施形態では、滴定される試料中の赤血球凝集単位(HAU)の数が決定される。HA力価は、RBCの完全な凝集を示す一連の最後のウェルの希釈の逆数である(例えば、最後の希釈が1:640である場合、試料の力価は640HA単位/5μl試料である)。
2.赤血球凝集阻害(HA1)アッセイ
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるワクチンの投与後、赤血球凝集阻害(HA 1)アッセイが行われる。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスは、赤血球を凝集させ、これは赤血球凝集と呼ばれるプロセスである。いくつかの実施形態では、表面ヘマグルチニンに対する特異的抗体の存在下で、赤血球凝集が阻止される。いくつかの実施形態では、この現象は、血清中の特異的抗ウイルス抗体を検出及び定量するために使用されるHA1アッセイの基礎を提供する。したがって、HA1は、(RBCの赤血球凝集によって評価されるように)HA受容体結合を遮断する抗体の存在を測定する。
いくつかの実施形態では、ヘマグルチニンのヘッドに対する抗体の存在について評価される血清を、37℃で一晩、受容体破壊酵素(RDE)で処理する。いくつかの実施形態では、翌日、RDEを56℃で1時間のインキュベーションによって不活性化する。いくつかの実施形態では、使用されるアッセイプレートは、96ウェル非滅菌非組織培養処理済み丸底マイクロタイタープレートである。いくつかの実施形態では、2倍段階希釈がプレートの行Bから行Gまでの各試料に対して行われる。ウイルス抗原のワーキング希釈物50μl(設定数のHAU)が、列H(RBC対照ウェル)及び抗原対照ウェルを除くマイクロタイタープレートの全てのウェルに添加される。いくつかの実施形態では、プレートを室温で30分間インキュベートする。PBS中1%RBC懸濁液50μlを全てのウェルに添加し、プレートを室温で30~45分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、マイクロタイタープレートを分析して凝集パターンを読み取る。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスがRBCを完全に凝集させるため、陰性対照ウェル(抗インフルエンザ抗体を含まない正常血清を含有するもの)は濁って見える。いくつかの実施形態では、陽性対照ウェル(既知の抗インフルエンザ抗血清を含有するもの)は、凝集を阻害するのに十分な抗インフルエンザ抗体が存在する場合に限り、列H対照ペレットと外観が類似したRBCペレットを有する。いくつかの実施形態では、血清希釈が増加すると、抗体の量が減少し、したがってRBC凝集の量が増加することが明らかになる。いくつかの実施形態では、各血清試料の赤血球凝集阻害(HA1)力価は、RBCの凝集を完全に阻害する最大希釈の逆数である(例えば、RBCペレットを形成する希釈系列の最後のウェル)。いくつかの実施形態では、各試料に対するHA1力価は、その二重希釈系列のエンドポイント力価の平均である。いくつかの実施形態では、複製物の力価が2倍超の希釈で異なる場合、その試料についてHA1力価が繰り返される。
3.インフルエンザウイルス中和アッセイ
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるワクチンの投与後、中和アッセイが行われる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるワクチンを受けた対象からの血清試料を希釈し、インフルエンザウイルスを添加し、ウイルス増殖を予防するのに必要な血清の量を決定する。いくつかの実施形態では、中和は、ウイルス複製を阻害する抗体の存在を評価する。いくつかの実施形態では、HAのストークに対する抗体は、例えば、ウイルス複製を中和するが、エピトープが受容体結合ドメインの周囲にないため、赤血球凝集には影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、ヘッドに結合し、赤血球凝集を阻害する抗体は、通常、中和している。
いくつかの実施形態では、血清試料を、例えば96ウェル丸底組織培養処理マイクロタイタープレート中の組織培養培地(抗生物質を含有するDMEM/5%FBS等)中でインキュベートする。いくつかの実施形態では、血清試料を、例えばマイクロウェルプレートの隣接する2組のウェルで段階希釈する(例えば、最初に希釈した1:10を1:640の試料に希釈する)。いくつかの実施形態では、(任意のサブタイプの)以前に滴定されたインフルエンザウイルスを、希釈して、1TCID50/50μlを含む。いくつかの実施形態では、等量のワーキングストックウイルス(約50TCID50等)を各血清試料(段階希釈を含む)に添加し、37℃で1時間インキュベートする。いくつかの実施形態では、このプロトコルを用いて、ウイルスの最終量が10~100TCID50である場合、同じ中和力価が得られる。いくつかの実施形態では、インキュベーション後に、2.5x105のMDCK細胞/ml(又は他の細胞)を含有する組織培養培地(抗生物質を含むDMEM/5%FBS等)を血清試料(例えば、マイクロタイタープレートの全てのウェル)に添加する。いくつかの実施形態では、これを加湿37℃、5%のCO2インキュベータ内で一晩インキュベートする。いくつかの実施形態では、いくつかのインフルエンザウイルスは、34℃~35℃の温度でより良好に増殖し、したがって、それらの温度が使用される。いくつかの実施形態では、培地を除去し、トリプシン(0.0002%等)を含有する組織培養培地(抗生物質を含むDMEM等)と交換し、混合物を加湿37℃、5%CO2インキュベータで4日間インキュベートする。いくつかの実施形態では、続いて、滅菌0.5%RBC/PBS溶液を添加し、混合物を4℃で1時間インキュベートし、ウェルを凝集の存在について確認する。いくつかの実施形態では、特定の血清試料のウイルス中和力価は、両方のウェルがRBCの凝集を示さない血清の最高希釈の逆数として定義される。
いくつかの実施形態では、十分な濃度でインフルエンザウイルス中和抗体を含有する試料(例えば、マイクロウェル内で)は、ウイルスが細胞に感染することを防ぎ、その結果、ウイルスの増殖が起こらないようにする。いくつかの実施形態では、RBCをこれらのウェルに添加すると、RBCのペレットが形成される。対照的に、いくつかの実施形態では、抗インフルエンザ抗体を全く含まないか、又は中和濃度よりも低い試料(例えば、マイクロウェル内で)は、4日間のインキュベーションの最後にインフルエンザウイルスが存在するであろう。いくつかの実施形態では、これらの試料に添加されたRBCは凝集するであろう。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスは、赤血球を架橋し、マイクロウェルにおけるそれらの沈降を阻害し、したがって、ウェルは濁って見える。
4.ノイラミニダーゼ阻害(NI)抗体価アッセイ
いくつかの実施形態では、ノイラミニダーゼ阻害(NI)抗体価は、ワクチンがNAタンパク質を含有する場合に測定される。いくつかの実施形態では、NI抗体価を測定するために、適切なNAを含有する再集合体ウイルスが、例えば、プラスミドに基づく逆遺伝学を使用することによって作製される。いくつかの実施形態では、適切なNAは、対象に投与されたワクチン中に存在するもの(複数可)と同じである。いくつかの実施形態では、NIアッセイは、フェチュインをNA基質として使用して行われる。例示的な方法を以下に提供する。
いくつかの実施形態では、NI力価は、NA活性の少なくとも50%の阻害をもたらす血清の最大希釈の逆数である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるVLPの使用は、VLPを投与された対象におけるチャレンジウイルス力価を減少させるか、又は排除さえすることが予想されるであろう。いくつかの実施形態では、VLPを投与された対象は、VLPを投与されなかった対象(例えば、擬似ワクチン接種されている)に比べて、肺内に多くとも10分の1、多くとも20分の1、多くとも50分の1、又は更には100分の1となるウイルスを有すると予想される。
いくつかの実施形態では、NI抗体価が、脱シアリル化されたフェチュインに結合するためにペルオキシダーゼ標識ピーナッツ凝集素(PNA-PO)を使用する酵素結合レクチンアッセイにおいて決定される。いくつかの実施形態では、NA活性は、フェチュインコーティングマイクロタイタープレート上で精製された全長NAの段階希釈液をインキュベートすることによって決定される。いくつかの実施形態では、室温で30分間のインキュベーション後、プレートを洗浄し、PNA-POを添加する。いくつかの実施形態では、室温で1時間のインキュベーション後、プレートを再び洗浄し、ペルオキシダーゼ基質3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンを添加し、発色を10分間進行させた。いくつかの実施形態では、発色を停止させ、プレートのOD450を測定する。いくつかの実施形態では、95%のNA活性に対応する希釈度が決定される。
いくつかの実施形態では、NAサブタイプに対するNI力価が、96ウェルU底組織培養プレートにおいて、血清の1:20希釈から始めて、その後、2倍段階希釈で測定される。いくつかの実施形態では、95%の最大活性に対応するNAを希釈血清に添加し、室温で30分間インキュベートし、その後、血清/NA試料をフェチュインコーティングマイクロタイタープレートに移す。いくつかの実施形態では、プレートを37℃で2時間インキュベートし、洗浄し、PNA-POを添加する。いくつかの実施形態では、プレートを室温で更に1時間インキュベートし、洗浄し、ペルオキシダーゼ基質TMBを添加する。いくつかの実施形態では、発色は、10分後に停止され、プレートのOD450が測定される。いくつかの実施形態では、NI力価は、50%のNA活性が阻害される希釈の逆数である。いくつかの実施形態では、アッセイの定量の下限は20である。20未満の力価はネガティブであると見なされ、10の値が割り当てられる。いくつかの実施形態では、良好又はポジティブな応答は、>30の値をもたらし、一方、不十分な応答又は応答なしは、<20の値をもたらす。
5.ウイルス肺力価及び病理
いくつかの実施形態では、ウイルス肺力価及び病理学が決定される。いくつかの実施形態では、肺試料(例えば、膨張した肺試料)等の組織試料を固定し(例えば、10%ホルムアルデヒド中で24時間の固定)、包埋し(例えば、パラフィン中)、切片に切断し(例えば、5μm等の1~10μm)、マウントする。
いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルス抗原分布は、適切な抗体を使用する免疫組織化学によって評価される。いくつかの実施形態では、抗体は、対象をチャレンジするために使用されるウイルスに特異的であるか、又は異なるインフルエンザウイルス株に対して交差反応性であるポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるワクチンの使用は、ワクチンを受けた対象のウイルス力価を減少させるか、又は排除さえするであろうことが予想される。いくつかの実施形態では、ワクチンを投与された対象は、ワクチンを投与されなかった対象(例えば、擬似ワクチン接種されている)に比べて、肺内に多くとも10分の1、多くとも20分の1、多くとも50分の1、又は更には100分の1となるウイルスを有すると予想される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるワクチンの使用は、ワクチンを受けた対象において、気管支炎、細気管支炎、肺胞炎、及び/又は肺水腫等のインフルエンザ感染の症状を減少させるか、又は排除さえするであろうことが予想される。いくつかの実施形態では、ワクチンを受けた対象は、ワクチンを受けなかった対象(例えば、擬似ワクチン接種されている)と比較して、気管支炎、細気管支炎、肺胞炎、及び/又は肺水腫(又はこのような症状の重症度における減少)が少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも75%、又は少なくとも90%少ないと予想される。いくつかの実施形態では、VLPは多価である。
6.他の例示的なアッセイ
いくつかの実施形態では、対象は、呼吸IgA及び/又は全身性IgG、T細胞応答について評価される。いくつかの実施形態では、免疫応答は、トランスクリプトミクス及びサイトカインELISA又は他のサイトカインイムノアッセイによって分析される。いくつかの実施形態では、免疫応答は、マイクロ中和試験によって分析される。いくつかの実施形態では、免疫応答は、抗HAストークアッセイによって分析される。
E.ワクチンを評価する方法
特定の実施形態では、ワクチンの有効性を決定する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態は、ワクチンを投与された対象から得られた試料を得ることを含み、試料はウイルスの存在又は量を含む。いくつかの実施形態は、ウイルスタンパク質に結合することができるACE2又はその断片を含む基質を提供することを含む。いくつかの実施形態は、基質を試料と接触させて、試料中のウイルス又はタンパク質ウイルスをACE2又はその断片に結合させることを含む。いくつかの実施形態は、基質のACE2又はその断片に結合した、ウイルス又はタンパク質ウイルスを検出することを含む。いくつかの実施形態は、基質のACE2又はその断片に結合した検出されたウイルス又はタンパク質ウイルスに基づいて、試料中のウイルスの存在又は量を決定し、それによってワクチンの有効性を決定することを含む。いくつかの実施形態では、試料は対象に由来する。いくつかの実施形態では、試料は血液、血清、又は血漿を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスは、コロナウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、SARS-CoV-2である。いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質である。いくつかの実施形態では、試料中のウイルスの量は、対象がワクチンを投与される前に対象から得られた別の試料と比較して減少する。いくつかの実施形態では、試料中のウイルスの量は、対象がワクチンを投与される前に対象から得られた別の試料と比較して増加する。いくつかの実施形態は、試料中のウイルスの量又はワクチンの有効性に基づいて、対象にウイルス治療を推奨又は提供することを更に含む。いくつかの実施形態では、ウイルス治療は、COVID-19治療等のコロナウイルス治療を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、VLPを含むワクチン等の本明細書に記載のワクチンである。
特定の実施形態では、ワクチンを投与された対象から得られた、抗ウイルス抗体の存在又は量を含む試料を得ることを含む、ワクチンの有効性を決定する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態は、抗ウイルス抗体に結合することができるウイルスタンパク質又はその断片を含む基質を提供することを含む。いくつかの実施形態は、基質を試料と接触させて、ウイルスタンパク質又はその断片に試料中の抗ウイルス抗体を結合させることを含む。いくつかの実施形態は、基質のウイルスタンパク質又はその断片に結合した抗ウイルス抗体を検出することを含む。いくつかの実施形態は、基質のウイルスタンパク質又はその断片に結合した検出された抗ウイルス抗体に基づいて試料中の抗ウイルス抗体の存在又は量を決定し、それによってワクチンの有効性を決定することを含む。いくつかの実施形態では、試料は対象に由来する。いくつかの実施形態では、試料は血液、血清、又は血漿を含む。いくつかの実施形態では、ウイルスは、コロナウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、SARS-CoV-2である。いくつかの実施形態では、ウイルスタンパク質は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質である。いくつかの実施形態では、試料中の抗ウイルス抗体の量は、対象がワクチンを投与される前に対象から得られた別の試料と比較して減少する。いくつかの実施形態では、試料中の抗ウイルス抗体の量は、対象がワクチンを投与される前に対象から得られた別の試料と比較して増加する。いくつかの実施形態は、試料中の抗ウイルス抗体の量又はワクチンの有効性に基づいて、対象にウイルス治療を推奨又は提供することを更に含む。いくつかの実施形態では、ウイルス治療は、COVID-19治療等のコロナウイルス治療を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、VLPを含むワクチン等の本明細書に記載のワクチンである。
IX.実施例
以下の実施例は、例示のみを目的として含まれ、本発明の範囲を限定することを意図しない。
VLPワクチンの使用
実験動物における最適な広域交差反応性VLP(例えば、seVLP又はsmVLP)ワクチンの選択後、多価インフルエンザseVLP(例えば、Paragon Bioservice,Baltimore,Md.製等の適正製造規範(GMP)を使用して製造されるもの)を用いてヒトにおいて試験を行う。いくつかの実施形態では、VLPはM1及びM2も含む。多価VLPは、いくつかの実施形態では、アジュバントとしてMPLも含む。
H1、H2、H3、H5、H7、及びH9を別々に提示するHA VLPと、N1及びN2を別々に提示するNA VLPとの混合物を含む多価ワクチン製剤は、GMP法を使用して作製し、マイクロインジェクションによってヒトに投与する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されていない他の多価インフルエンザワクチンを試験する。
簡潔には、VLPの多価混合物(10μg~20μg、例えばHA/NAのそれぞれが15μg)を有するトレハロース糖ガラスを含むVaxiPatchマイクロニードルアレイによるマイクロニードルインジェクションによってヒトにワクチン接種する。約3~12週間後(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12週間後)、ヒトを同じ混合物で追加免疫する。ヒトの第2の群は、(例えば、生理食塩水で)擬似ワクチン接種される。いくつかの実施形態では、血液試料を得、保存する。試験の経過中の有害事象(AE)について、患者をモニタリングする。VLPワクチンは感染性ではないため、優れた安全性プロファイルを有することが予想される。
VLPは第I相試験で安全であることが示されており、第II相有効性試験は、NIH臨床センターで開発されたようなヒトインフルエンザチャレンジモデルを使用して行う(例えば、Memoli らによる、Validation of a Wild-Type Influenza A Human Challenge Model:H1N1pdMIST,An A(H1N1)pdm09 Dose Finding IND Studyを参照されたい)。対象を、健康状態についてスクリーニングし、チャレンジ2009パンデミックH1N1ウイルスに対する低力価(<1:10)についてHA1アッセイによってスクリーニングする。試験に登録されたスクリーニングされた患者に、VLPの多価混合物(コホート1)、又は生理食塩水による擬似ワクチン接種(コホート2)で、記載されるようにマイクロニードルインジェクションによってワクチン接種する。それらを3週間で追加免疫し、次いで6週間でそれらの血清学的力価をHA1又は他のアッセイによって評価し、チャレンジ前のHA1力価<1:10の60%超の対象においてインフルエンザ病及び放出を誘導することが確認されたウイルスの用量で対象をチャレンジする。ワクチン有効性は、ワクチン接種に対する血清学的応答の発生、症状の軽減、ウイルス力価の低下、及び/又はウイルス放出期間の短縮によって評価される。
インフルエンザに対するワクチン接種
一価HA seVLP又は一価HA smVLPをマイクロニードルインジェクション(全身免疫を誘導するため)でワクチン接種したラットは、異種致死的インフルエンザチャレンジから保護される。更に、アジュバントとしてTLRアゴニストをワクチン接種したラットは、アジュバントを含まない同様のワクチンを投与したラットと比較して、罹患率の低下を示す。場合によっては、多価seVLP又はsmVLP混合物は、1918 H1N1、1957 H2、2004 H5N1及び2013 H7N9等の致死的A型インフルエンザウイルスから保護する。
非限定的な例示的方法
クローニング、発現及びタンパク質精製:抗原の遺伝子配列を合成し、Ndel制限部位とBamH1制限部位との間の発現ベクターpET-28a(+)でクローニングする。クローニングは配列決定によって確認される。構築物は、大腸菌での発現のためにコドン最適化されている。
タンパク質を大腸菌BL21(DE3)細胞で過剰発現させ、細胞培養溶解物の可溶性画分から精製する。目的の抗原をコードする核酸を含むプラスミドで形質転換した大腸菌BL21(DE3)の単一コロニーを、50mlのTartoff-Hobbs HiVeg.TM.培地(HiMedia)に接種する。一次培養物を37℃で一晩増殖させる。2LのTartoff-Hobbs HiVeg培地(500mlx4)(HiMedia)に1%の一次接種材料を接種し、約0.6~0.8のOD600に達するまで37℃で増殖させる。次いで、細胞を1mMイソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導し、20℃で更に12~16時間増殖させる。細胞を5000gで回収し、100mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)に再懸濁する。細胞懸濁液を氷上での超音波処理によって溶解し、続いて14,000gで遠心分離する。上清を緩衝液平衡化Ni-NTA樹脂(GE HealthCare)と共に4℃で2時間、穏やかな混合条件下でインキュベートして結合を促進する。重力流下、イミダゾール勾配(PBS中、pH7.4)を用いてタンパク質を溶出する。目的のタンパク質又は抗原を含有する画分をプールし、1mMのEDTAを含有するPBS(pH 7.4)に対して透析する。透析したタンパク質をAmicon(Millipore)撹拌細胞装置中で約1mg/mlの最終濃度まで濃縮する。タンパク質純度をSDS-PAGEによって評価し、その同一性をESI-MSによって確認する。いくつかの実施形態では、ポリペプチド又は抗原は、ポリペプチド又は抗原をコードする発現系特異的プロモータ又はコドン最適化DNA配列を使用して、大腸菌以外の他の発現系、例えば酵母、植物及び動物で産生される。
免疫化及びチャレンジ試験:雌のSprague Dawleyラット(4~5週齢)を使用する。ラット(10匹/群)を、0日目(プライム)、及び/又は28日目(追加免疫)において、100μgのCpG7909アジュバント(TriLink BioTechnologies,San Diego,Calif.)と共に20μgの試験免疫原で筋肉内免疫化する。未処置(緩衝液単独)ラット及び/又はアジュバント処置ラットを対照として使用する。プライム後21日及び/又は追加免疫の14日後、ラットから、尾静脈静脈穿刺により得た血清試料をMicrotainer血清分離管(BD Biosciences,Franklin Lakes,N.J.)に採取する。一次及び/又は二次免疫化の21日後、ラットをケタミン/キシラジンで麻酔し、20μLのPBS中のラット適応ウイルスのILD90で鼻腔内チャレンジする。より高用量のウイルスに対する防御を試験するために、抗原でプライム及び追加免疫を行ったラットの1つの群を、同種ウイルスの2LD90でチャレンジする。ワクチンが防御を付与する能力を評価する。チャレンジされたラットの生存及び体重変化を、チャレンジ後14日間毎日モニタリングする。各時点で、一群の生存ラットを一緒に秤量し、平均体重を計算する。平均体重の誤差は、同じ数の健康なラットの平均体重の3回の反復測定から推定する。
血清抗体価の決定:試験免疫原に対する抗体価をELISAによって決定する。試験免疫原を、4℃で一晩、50μlのPBS中、4μg/mlで96ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific,Rochester,N.Y.)にコーティングする。次いで、プレートを、0.05%Tween-20(PBST)を含有するPBSで洗浄し、PBST中3%スキムミルクで1時間ブロックする。試験免疫原に対して生じた抗血清100μlをミルク-PBSTで4倍系列に希釈し、各ウェルに添加する。プレートを室温で2時間インキュベートし、続いてPBSTで洗浄する。ミルク-PBST中の50μlのHRPコンジュゲートヤギ抗マウスIgG(H+L)二次抗体を所定の希釈度(1:5000)で各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートする。プレートをPBSTで洗浄し、続いて100μl/ウェルの基質3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)溶液で展開し、3~5分の展開後に100μl/ウェルのTMB用停止溶液で停止させる。450nmにおけるODを測定し、抗体価を、対照ウェルの平均+2標準偏差を上回るOD値を与えた最大希釈の逆数として定義する。
B/コロラド/06/2017 rHA構築物の設計、発現及び精製
B/コロラド/06/2017(B/CO’17)組換えHA(rHA)は、HAのC末端に6xHISタグをもたらすトロンビン切断部位により設計した。切断されると、B/CO’17タンパク質産物は、野生型配列に付加された3つのアミノ酸残基(Val-Pro-Arg)のみを含む。合成構築物のアミノ酸配列は以下の通りであった。
MKAIIVLLMVVTSSADRICTGITSSNSPHVVKTATQGEVNVTGVIPLTTTPTKSHFANLKGTETRGKLCPKCLNCTDLDVALGRPKCTGKIPSARVSILHEVRPVTSGCFPIMHDRTKIRQLPNLLRGYEHVRLSTHNVINAEGAPGGPYKIGTSGSCPNITNGNGFFATMAWAVPDKNKTATNPLTIEVPYVCTEGEDQITVWGFHSDNETQMAKLYGDSKPQKFTSSANGVTTHYVSQIGGFPNQTEDGGLPQSGRIVVDYMVQKSGKTGTITYQRGILLPQKVWCASGRSKVIKGSLPLIGEADCLHEKYGGLNKSKPYYTGEHAKAIGNCPIWVKTPLKLANGTKYRPPAKLLKERGFFGAIAGFLEGGWEGMIAGWHGYTSHGAHGVAVAADLKSTQEAINKITKNLNSLSELEVKNLQRLSGAMDELHNEILELDEKVDDLRADTISSQIELAVLLSNEGIINSEDEHLLALERKLKKMLGPSAVEIGNGCFETKHKCNQTCLDKIAAGTFDAGEFSLPTFDSLNITAASLNDDGLDNHTILLYYSTAASSLAVTLMIAIFVVYMVSRDNVSCSICLVPRGSHHHHHH(配列番号:15)
下線の配列は合成トロンビン切断部位を表し、最後の6つのアミノ酸はC末端6xHisタグである。ネイティブインフルエンザHA0、SanofiからのFluBlok(登録商標)のHA0及びVerndari rHA00023構築物を示す図を図1に示す。
合成ベンダーとしてATUM bioを使用した。pD2600-v10プラスミド骨格を使用した。このベクターは、高レベルの一過性発現のために設計され、細菌選択のためのカナマイシン耐性遺伝子を有する。CHO細胞の配列最適化後、DNA配列は配列番号16に従った。
ExpiCHO-S細胞(Fisher)を、P4継代で、P1で凍結したバイアルから2つのE250フラスコに増殖させた。この増殖培養物は、8.556x106の密度を達成した。それぞれが25mLの培地中に150M細胞を含む5つのE125フラスコを調製した。50mLの培地中300M細胞を用いて1つのE250フラスコも調製した。12.33uLのプラスミドストックを用いて1ug/mLでトランスフェクションを行った。トランスフェクションの19時間後、エンハンサ及び供給試薬をトランスフェクション培養物に添加し、トリパンブルー色素排除によって初期密度及び生存率評価を行った。その後、これらの評価を、0.4mLの懸濁培養物を使用して毎日行った。トランスフェクトされた細胞ペレットは、組換えHAの大部分を保持する。B/コロラド/06/2017 rHA0の精製のフローチャートを図2に示す。
使用した溶解緩衝液は、20mMのリン酸緩衝液(pH7.4)、150mMのNaCl、及び2mMのMgCl2(ベンゾナーゼ活性を支持するため)並びに2%LDAO界面活性剤(n-ドデシル-N,N-ジメチルアミン-N-オキシド、Anatrace)で構成されていた。LDAO界面活性剤をIMACカラムで1%オクチルグルコシド界面活性剤に交換した。図3は、IMACカラムにおける溶解物の充填、界面活性剤交換及びrHAの溶出を示す。
図4のウエスタンブロットは、500mMのイマドゾールの勾配を有するrHA溶出プロファイルを示す。プールしたrHAを濃縮し、緩衝液を1%含有PBSに交換した。このrHAを使用して合成膜VLPを製造した。
リポソームの製造
イミキモド(IMQ)をリポソームに配合した。リポソームは、NanoAssemblr、Precision NanoSystems,Vancouver,BCを使用して形成した。水相はPBSであった。有機相は、エタノール中の25mg/mLの脂質混合物及び3.5mg/mLのIMQからなっていた。流速は8ml/分であった。有機物に対する水の流量比は2.5であった。リポソームを直ちにPBSで10倍希釈した。エタノール及び組み込まれていないIMQを、30Kd Amicon濾過カラム及び4000g遠心分離で除去した。Amicon濃縮物をPBSで希釈し、Amicon濾過を繰り返した。Malvern Zetasizer-NSを使用した動的光散乱(DLS)によって、リポソームのサイズを決定した。図5に示すように、リポソームのサイズは平均92nmであった。
IMQをHPLCによってリポソーム中で定量した。HPLCは、Xterra C18カラム(MS C18 5um 4.6X150mmカラム)、2998フォトダイオードアレイ検出器、2525バイナリ勾配モジュール、及びUVフラクションマネージャを備えたWaters Alliance機器を含んでいた。移動相は15%アセトニトリル及び0.1%トリフルオロ酢酸であった。この系は、60uM~3mMのIMQからのIMQの線形線量反応曲線を与えた。
図6は、IMQ含有リポソームの242nm、245nm及び254nmにおけるUVスキャンを示す。IMQは9.78分で溶出している。IMQを含有するこれらのリポソームを、VaxiPatchマイクロアレイ上にプリントされたseVLPを含む15%トレハロースに製剤化されたアジュバントとして使用し、動物実験で使用した。
seVLPの製造
実施例4のB/コロラド/06/2017のrHAを、seVLPを作製するために2つの方法で使用した。seVLPを作製する第1の方法は透析を含んでいた。seVLPとして再構成するために、2mgの脂質(ホスファチジルコリン(50mg/ml)、コレステロール(20mg/ml)、ホスファチジルエタノールアミン(10mg/ml)、ホスファチジルセリン(10mg/ml)、スフィンゴミエリン(20mg/ml)及びホスファチジルイノシトール(2.5mg/ml)をそれぞれ10:4.25:3:1:3及び0.5%の比で混合したもの)を400μlの10%OGに溶解した。次いで、500ugのB/コロラド/06/2017 rHAを溶解した脂質に添加し、総体積を2mlにして、4%OGの最終濃度を得た。2mlの試料を、少量(3ml)のPBSの多数の変化に対して4℃で24時間透析した。次いで、試料を4x12mlのPBSに対して24時間を超えて透析した。次いで、試料を2x2.5Lに24時間移し、最後に5LのPBSに48時間移してOGを除去した。Malvern Zetasizer-NSを使用して動的光散乱(DLS)によって決定されるように、seVLPのサイズは100~200nMであった。
seVLPを作製する第2の方法は、NanoAssemblrを含んだ。臨界ミセル濃度(c.m.c.)25mMのOGに基づいて、脂質と混合しながら、30nMから20mMにOGを減少させることによって、seVLPを形成した。水性緩衝食塩水及び30mMのOG中のインフルエンザrHAタンパク質を、エタノール中のDOPE、DOPC、コレステロール及びDSPE-PEG(2000)アミンと混合した。水と有機物の体積比は2:1であった。流速は8ml/分であった。seVLPSをPBSに回収し、緩衝液をPBSに交換し、Amicon 30kdカラムを使用して濃縮した。Malvern Zetasizer-NSを使用して動的光散乱(DLS)によって測定されるように、seVLPのサイズは100~200nMであった。
seVLP中のrHA B/コロラド/06/2017の活性及び効力を赤血球凝集及びSRIDによって決定した。
VaxiPatchマイクロアレイ上のワクチンのBioDotプリント
VaxiPatch MicroArray Patches(MAP)は、BioDot(Irvine,CA)マイクロ流体分注装置を利用するように設計された。この分注は二次元(X、Y)で行った。個々のVaxiPatch MAPは、それぞれが37個の個々のMicroTipを有する直径1.2cmの円形であった。BioDotマイクロ流体分注器を使用して、MAPにトレハロース中のワクチンを充填した。手動モードでは、37個の個々のマイクロチップ全てに、10秒でチップ当たり5~20nLで二次元X、Y平面に装填した。カスタム設計の分注装置のスケールアップにより、一度に10アレイの平行分注が可能になり、毎分数百アレイのスループットが得られる。マイクロアレイを装填し、乾燥させたら、アレイをサンドイッチ治具に配置した。治具は、サンドイッチが圧縮された際にMicroTipがZ平面に曲げられるように、アレイに対応するペグを含んでいた。次いで、個々のMAPをダイで打ち抜いた。乾燥剤の存在により、室温安定性を達成した。1ug rHA及び1ugアジュバントをPBS中15%トレハロースに製剤化した。次いで、混合物を、BioDot AD1520を使用してVaxiPatchマイクロアレイ上にプリントした。乾燥及びガラス化すると、糖ガラスが形成された。図7は、青色色素1番を含有する10nLのワクチンを充填したVaxiPatchマイクロニードルアレイの単一マイクロニードルを示す。図中の光反射は、中実糖ガラスの表面を示す。rHA B/コロラド/06/2017の効力をSRIDによって示した。
動物試験
B/コロラド/06/2017からのrHAを提示するseVLPをプールし、30kDカットオフ膜を有するAmicon Ultra-0.5スピンダイアフィルトレーションカラムを使用して濃縮した。ワクチン材料(1.62mL)を、予め冷却した遠心分離機ロータ中、13k RPMで30分間遠心分離した。次いで、濃縮物を13k RPMで1分間の回転で溶出した後、製剤化した。カラムによるrHAの完全な保持及び放出を仮定すると、初期濃縮材料はrHAタンパク質について3.24mg/mLであると推定した。30%トレハロース(4%BB色素を含むか、又は含まない)を1:1で製剤化し、これは、単一の10nL滴でプリントした場合、0.389ugのrHA/アレイと同等であった。得られた材料は、可視化及び送達評価のために2%のBBを含むか、又は含まない15%トレハロースであった。より低用量に関しては、濃縮rHAは各rHAタンパク質について2.32mg/mLであると推定した。次いで、この材料をヌクレアーゼ非含有水で希釈し、製剤化し、2%ブリリアントブルーFCF染料を含む15%トレハロース中で0.2ug/rHA及び0.04ug/rHAプリント用量を調製した。
事前に毛を除去したSprague-Dawleyラットを、5分間の直接圧力(MicroArrayパッチからのワクチン材料のおよそ90%の放出が可能であることが実証された方法)を利用してこれらのアレイで処置した。選択した適用部位は背中の正中線であり、イソフルラン下で動物を処置した。全ての動物を、seVLP B/コロラド/06/2017ワクチンに対する免疫応答のアッセイのために毎週採血して維持した。
3匹の動物の別の対照群に、0.2ug/seVLP B/コロラド/06/2017(滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈)の皮内注射を行った。処理送達の効率は、処置後アレイ上に保持された色素を有する平行プリントされた非適用アレイからの色素溶出の比較に基づいて、全ての色素配合MicroArrayパッチ処理に対して90%を超えると推定した。
毎週採血を4週目まで行い、その時点で動物を人道的に安楽死させ、心臓穿刺によって最終採血を回収した。これらの「4週目」の血液からの血清を、ELISAアッセイによってB/コロラド/06/2017 rHAに対する反応性について分析した。
ELISAアッセイ:プレートを、100mM炭酸緩衝液中0.5μg/mlのrHAタンパク質(B/コロラド/06/2017)で4℃で一晩コーティングした。次いで、プレートをTween-20(TBST)で3回洗浄し、TBS中5%BSAで室温において1時間ブロッキングした。洗浄後、ラット血清(1:100-1:12500)及び陽性対照抗体(1:62、500~1:7、812,500;モノクローナル抗HA抗体、1%BSA/TBST中のImmuneTechを添加し、室温で2時間インキュベートした後、洗浄した。1:20,000のヤギ抗ラットHRP抗体(Jackson Labs,112-035-143)を使用した。データを図8に示す。図8では、MAP=マイクロアレイ皮膚パッチ;IM=筋肉内注射であり、Y軸は、ELISA試験で使用される血清の希釈度である。
ヒトワクチン接種のためのVaxiPatchキット
VaxiPatchの一例を図9に示し、これはVaxiPatchの背面(左パネル)、側面(中央パネル)、及び背面(右パネル)の画像を含む。前面は、投与時に対象の皮膚上に配置される。右パネルは、ワクチンが充填された直径1.2cmのMAPを示す。
ワクチン投与:VaxiPatchデバイスの層を引き離し、MAPを覆う透明なドームを取り除き、MAPを、手首の尺骨のふしの近位の約1インチの皮膚上に配置する。約6ニュートンの力で人差し指でVerndariロゴ(図9の左パネルに示す)の中心が押され、装置が可聴クリック音を発した時、十分な力が加えられたことを示す。MAPは、再現性の高い方法で皮膚内に推進される。装置は、3Mの医療用接着剤によって適所に保持された状態で10分間皮膚上に留まる。10分後、VaxiPatchを取り除き、ポーチに戻し、ジップロックシールで密封し、医療廃棄物として廃棄する。
皮膚中の水分は、MAPからワクチンを溶解し、ワクチンは皮膚に入り、樹状細胞及びランゲルハン細胞等のプロフェッショナル抗原提示細胞によって処理される。マイクロニードルは長さが600μmであり、神経に到達するには短すぎるため、ワクチン接種は痛みを伴わない。
図9に示す透明なプラスチックドーム(中央及び右パネル)は、MAP上のワクチンに対する1次無菌性バリアを提供し、マイクロニードルを保護する。しかし、ドームは密閉構造ではない。VaxiPatchデバイスは、スキンワイプのペーパータオル及び乾燥剤と共に2次的な密閉構造バリアエンベロープにパッケージングされる。乾燥剤及び密閉構造バリアエンベロープは、室温安定性を提供するワクチン糖ガラスの完全性の維持に役立つ乾燥環境を維持する。図10は、VaxiPatchの一例の拡大図を表す概略図を示す。
VaxiPatchワクチン接種キットの一例を図11に示す。VaxiPatch、スキンワイプ及び乾燥剤を含む両面再密封可能な4インチx7インチのパウチを示す。キットは、従来の針又はシリンジを含まない。パウチは、前面が箔であり、背面が透明なプラスチックの密閉構造である。パウチは、その最も厚い点で幅が1/4インチである。
VaxiPatch組立て
この実施例に記載される手順の目的は、マイクロアレイパッチの指定された半エッチングされたウェルにワクチンを調製、製剤化及びプリントする方法を実証することである。
この実施例に記載される手順は、最終的な乾燥及び貯蔵の前に、調製されたVaxiPatchを乾燥剤と共に個々のパウチに効果的に組み立て、パッケージングするように設計されている。
VaxiPatchを組み立てる際にいくつかの実施形態で使用される機器及び材料の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
・滅菌乾燥トレイ
・ステンレス鋼鉗子、タイプPL-30(Fisherbrand 12-000-122)
・顕微鏡(Celestron,Model#:OMAX 40X-2500X)
・カスタムステンレス鋼アレイプリントトレイ(Verndari Inc)
・カスタムステンレス鋼曲げ治具(Verndari Inc)
・カスタムステンレス鋼スナップアプリケータ(Verndari Inc.(Weichhart Stamping Co.により製造された))
・個別包装3g乾燥剤袋(DrieRite(登録商標)、カタログ番号:60013T)
・GMP規格ヒートシーラ(Accu-Seal,Model#:8000-GV)
・乾燥アルゴン圧縮気体シリンダ(Harris gas)
・Foilpak Pouch パウチ5’インチx8’インチ-4.5mL:箔及びポリプロピレンの3面シールバリアパウチ(AMPAC Flexibles,item#:KSP-150-1MB)
・組立前パッケージングピース#1(内部で設計され、3M MBK Tapeで製造)
・両面リング状テープ(内部で設計され、3M MBK Tapeで製造)
・無菌透明ドーム(内部で設計され、UC Davis TEAM Labで製造)
・FoilPak:薄い金属製パウチ
非限定的で例示的な指示は以下の通りである。
パッケージングのために、滅菌プリントアレイ、カスタムステンレス鋼曲げ治具、ステンレス鋼鉗子、予め組み立てられた包装ピース#1、及び両面リング状テープを準備する。滅菌された平らな面に、両面リングテープ、透明ドーム、スナップアプリケータ、予め組み立てられたパッケージング支持材料、鉗子、プリントアレイ、曲げ治具を集める。
図12に示すように、プリントされたアレイを曲げ治具に挿入する。図12の矢印は、マイクロアレイ先端部の頂部が位置する方向を示す。矢印と一致するように先端を上に向けて、プリントされたウェル側を下に向けてアレイを挿入する。
次に、曲げ治具をしっかりと押してマイクロアレイを傾けて、マイクロニードルを適切な皮膚に適用可能な形態で開始する。例えば、アレイを押し下げ、取り出した後、アレイは、マイクロニードルが延在する金属平面から90度延在するマイクロニードルを含む。滅菌鉗子を使用して滅菌表面に屈曲アレイを取っておく。
次に、支持材料及び金属スナップアプリケータを含む予め組み立てられたパッケージングセットを得る。いくつかの実施形態では、金属スナップアプリケータは、すぐに適用できる形態である「作動前」形態である。
支持材料を反転させて、白色円形裏材を上向きに示す。不透明な白色円形テープ裏材片を慎重に取り外して、円形テープを露出させる。
次に、円形テープ及び金属スナップ式アプリケータ(上を向いた凸形状)を位置合わせし、金属スナップアプリケータの縁部を慎重に押圧して、図13に示すように支持材料にしっかりと取り付ける。次に、組み立てられた部品を反転させて、他方の面を上に向ける。
最上部の透明テープ裏材を取り外して、小さな円形接着剤を露出させる。調製した90度曲げアレイを慎重に整列させ(マイクロニードルを上に向けて)、支持体材料に取り付ける。滅菌金属鉗子を使用してアレイの外縁部を軽くタップする。
次に、円形リングテープを得、手袋をはめた手を使用してリング状の白色テープ裏材を除去する。透明ドームを入手し、透明ドームを円形テープに適切に位置合わせして取り付ける。透明ドームの縁部を軽くタップして、しっかりと取り付けられていることを確認する。
次に、より大きな裏材を除去して透明ドーム+両面リング接着剤を分離し、それをアレイの上に慎重に配置する。透明な3Dドームは、マイクロニードル曲げアレイを保護する機能を有することを前提とするため、適切なアライメントがこの工程に不可欠であることに留意されたい。
次に、完全に組み立てられたVaxiPatch部品、3g乾燥剤パッケージ、及び薄い金属製パウチ(例えば、Foilpak)を得る。3gの乾燥剤パッケージを最初に置き、組み立てられたVaxiPatch部品を金属製パウチに慎重に配置する。
ヒートシーラをオンにする。ヒートシーラに正確な圧力を提供するために、アルゴンガスバルブをオンにする。「レシピ1」を選択する。2つのシーリングガスケット間にパウチフィンの開放界面を保持する。パウチが適切に配置され、指がシール領域から安全に取り外されると、ロッカーペダルを使用して熱シーリングを開始する。可聴ビープ音が鳴って、完了を示し、シール面が分離する。次いで、密封されたパウチを取り外すことができる。下部シーリングガスケットから分離するために軽い圧力が必要な場合がある。パウチを密封し、20℃で保存する。
ポイントオブケアワクチン
この実施例に記載される手順の目的は、インフルエンザ、狂犬病、帯状疱疹、COVID-19等の疾患を引き起こす感染症のためのポイントオブケアワクチンを提供する方法を実証することである。いくつかの例は、ワクチン接種キットを含み、室温で安定しており(例えば、郵送のため)、例えば、無痛の5分間包帯による自己投与が可能であり、ワクチン接種の写真証明を可能にし(例えば、モバイルデバイスを介して)、例えばプラスチック製保管バッグで販売業者に郵送することができる。
図14は、ポイントオブケアワクチン接種の問題に対処するための例示的な3方面からなる手法を示す。この実施例は、どのようにしてrGP抗原、アジュバント、及び配送を一緒にして完全ワクチン接種パッケージを提供するかを示す。いくつかの実施形態では、rGPは、ウイルス表面由来の組換え糖タンパク質である。
図15A及び15Bは、マイクロニードルアレイの例示的なシートを示す。いくつかの実施形態では、これらのシートは医療グレードのステンレス鋼を含む。いくつかの実施形態では、マイクロニードルアレイは、2次元(X、Y)でワクチンをプリントする。いくつかの実施形態では、治具を使用して、アレイ内のマイクロニードルをZ平面内で傾斜させることができる。いくつかの実施形態では、中央スポット真空ピックを使用して広げ、配置して、VaxiPatchキットの自動組立てを可能にすることができる。
図16は、ワクチン充填マイクロアレイの一例を示す。図示の例は、10nLワクチンプリント混合物/マイクロニードルのBioDotプリントを示す。
図17は、ヒト対象における5分のVaxiPatch色素送達の一例を示す。
図18は、ラットにおけるVaxiPatch色素送達の一例を示す。実施例は、MLPViとして0.3ugの一価rHA、VAS1.0として0.5ugのQS-21+/-(0.3ugのPHAD)、青色色素1番(w/v)を含む0.5%のFD&C、Flublokの1/150のrHA、及びShingrixとして1/100のQS-21の用量を含んだ。実施例VaxiPatchアレイを、群当たりn=6(雄3匹、雌3匹)、Sprague-Dawleyラットで5分間適用し、免疫前及び毎週の採血、続いて28日目の最終採血を行った。皮膚の赤み/刺激についてのドレイズ評価は、VaxiPatch、用量又は製剤からの刺激を示さなかった。
図19は、IgG経時変化によるVaxiPatchラットELISA力価を示す。図示のように、B/コロラド/06/2017由来のHAに特異的なIgG抗体のレベルを、インハウス全長rHA0タンパク質(VrHA0026)に対するELISAアッセイによってワクチン接種されたSprague-Dawleyラットの血清で評価した。群当たり6匹の動物のN(それぞれ雄3匹及び雌3匹)にわたる5倍希釈系列に基づいてエンドポイント力価を割り当てた。力価をlog10変換し、平均値をプロットしたデータ点に使用した。エラーバーは、群当たり6のNについてのSEMを表す。最初の1:100希釈で陰性の試料(ノンレスポンダと推定される)に「5」の任意の力価を割り当てた。両方のアジュバント製剤は、ワクチン接種後14日という早期に高レベルの特異的IgGを示し、3~4週目までにピークレベルを示した。アジュバント化VaxiPatch動物は、7日目以降の全ての時点でIM注射比較群よりも実質的に高いエンドポイント力価を達成した。
図20は、B/コロラド2017に対するVaxiPatch ELISA力価を示す。図は、最終日である28日時点の各ワクチン接種群内の個々の変動を、各動物のマーカと共に示す。濃い影付きのマーカは雌動物を表す。幾何平均は、各群について破線で表される。筋肉内注射対照動物は4.5マイクログラムの抗原の単回用量を受け、一方VaxiPatch動物は0.3マイクログラムのタンパク質を受けた。FluBlok用量は、四価産物(総タンパク質18マイクログラム)であるため、各株4.5マイクログラムを含むように選択されたことに留意されたい。群間の統計的有意性は、一元配置分散分析(one-way ANOVA)及びテューキーのHSD事後検定に基づいて、グラフの上に示されている。
図21は、B/コロラド2017ドットプロットに対する赤血球凝集阻害(HAI)力価を示す。Sprague-Dawleyラットワクチン接種によって誘発された免疫応答の質を評価するために、同族WHO標準抗原であるBPL不活性化B/コロラド/06/2017インフルエンザビリオンに対して赤血球凝集阻害アッセイを行った。ヒト血清の場合、1:40の力価は、HAIアッセイにおいて保護的であると考えられる。ワクチン接種後28日目に採取したラット血清を、カオリン処理して、凝集の非特異的阻害剤を除去した。処理した免疫後血清の2倍段階希釈物をBPL不活性化抗原と共に室温で45分間インキュベートして結合させた。ヒト単一ドナーO+赤血球を添加し、凝集反応を阻害する免疫血清の能力をスコア化した。このドットプロットは、群当たり6匹全ての動物のスコアを示し、濃い影付きのマーカは雌動物を表す。Y軸は、希釈系列を反映するLog2スケールである。各群の幾何平均を破線で示す。群間の統計的有意性を再び示し、一元配置分散分析、続いてテューキーのHSD事後検定によって評価する。
図22は、HAIデータの棒グラフを示す。図21に示すものと同じデータセットは、ここでは明確にするために棒グラフとして表し、幾何平均値は、1セット当たり6の群サイズの平均の標準誤差を表しているエラーバーと共にプロットされる。抗原のIM注射とVaxiPatch送達との間、及び非アジュバント化VaxiPatch製剤とアジュバント化VaxiPatch製剤との間に有意差が観察された。
図23は、抗原試験のVaxiPatch VMLP加速安定性を示す。本発明者等のワクチン製剤の安定性を評価するために、本発明者等の製剤化されたプリントミックス(rHA抗原、色素、及びトレハロースを含有する)の1uL部分を乾燥下で一晩包装して糖ガラス形成を誘導した。翌日、加速老化試験のために試料を様々な貯蔵温度(4、20、40、又は60℃)に分離した。適切な時点で、試料を取り出し、PBS中で再構成し、次いで、NIBSC(Potters bar,UK)からの較正された株特異的試薬に基づいて、一元放射状免疫拡散アッセイ(SRID)を使用して効力試験を経た。値は、分離時に再構成された「0日目」対照と比較して残存する効力の百分率として表す。QS-21及び3D-(6A)-PHADを含む1つのアジュバント調製物もこのプロットに示す。驚くべきことに、元のHA効力の大部分は、60℃であっても28日間にわたって保持される。
図24は、COGSが業界平均より低いことを示す。例えば、今日のインフルエンザワクチン市場は、先進国のみで約50億ドル、であり、米国では30億ドルである。CMS 2019/2020 AWPは、古典的インフルエンザでは20.34ドルであり、高用量では56.00ドルである。FluBlok(登録商標)は56.00ドルである。Shingrix(登録商標)は346ドルである。
図25は、エンベロープ糖タンパク質サブユニットワクチンを含む例示的なチャートを示す。いくつかの実施形態では、図25のウイルスのタンパク質は、本明細書に記載のVLP中の抗原として含まれる。図に含まれるウイルスのいずれか1つがワクチンに含まれていてもよい。
図26は、ワクチンパイプライン導入を示す。組換え抗原を産生する手法は広く適用可能である。C末端6xHisタグによって可視化されるように、B型インフルエンザ rHA0の2つのバッチからのトランスフェクトされた細胞溶解物を左側のレーンに示す。このウエスタンブロットの中央レーンは、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV-gE)由来のgE抗原の発現の初期時間経過を示し、これは、現在承認されている唯一の組換え帯状疱疹ワクチンで使用されているものと同じタンパク質である。右側のレーンは、狂犬病ウイルス由来のGタンパク質(RABV-G)でトランスフェクトした細胞の時間経過を示す。これらのウイルス糖タンパク質のそれぞれは、C末端Hisタグを有し、初期検出及び精製に対する広く同様の手法を可能にしている。発現レベルは構築物間で異なるが、全て同じ哺乳動物高密度細胞株(この例ではExpi293)で作製することができる。
図27は、ExpiCHOにおける例示的なCOVID-S発現を示す。COVID-19の病因物質であるSARS-CoV-2の糖タンパク質スパイクタンパク質も、本発明者等の系において一過性に発現され得る。ここでは、Hisタグ付き全長COVID-S構築物によるトランスフェクション後2日目のExpiCHO細胞溶解物を示す。右側のパネルは、抗Hisタグモノクローナル抗体からのシグナルを示し、高グリコシル化1273-aaタンパク質と一致する約175kDの特異的バンドを示している。このバンドは、無関係な発現構築物(VSVG)でトランスフェクトした平行ExpiCHOフラスコ溶解物には存在しない。右端の3つのレーンは、レンチウイルスパッケージングプラスミド及び構成的GFP遺伝子を有するシングルサイクルベクターで同時トランスフェクトしたExpiCHO細胞培養物からのものである。偽型の複製欠損レポーターウイルス粒子を作製するために、これらを水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(VSV-G)、COVID-S又はVZV-gEと適合させた。COVID-S及びVZV-gE発現は、それらのC末端Hisタグに基づいてこれらの試料で検出されるが、VSV-G対照は、Hisタグを欠くために検出されない。
図28は、組換えCOVID-Sタンパク質についての同一性を確認する例示的なCOVIDスパイクウエスタンブロットを示す。175-kD、Hisタグ反応性種が実際にSARS-CoV-2由来のスパイクタンパク質であることを確認するために、COVID-19スパイクタンパク質を発現するプラスミドDNAベクターに対して産生された市販のウサギポリクローナル抗体(IT-002-030,Immune Technology Corp.)を使用してウエスタンブロットを行った。陽性対照として、市販の組換えタンパク質対照も実行した(IT-002-0032,Immune Technology Corp.)。精製されたタンパク質対照は、左のレーンにあり、「IT-rS」と標識されている。抗ウサギ二次抗体は、精製タンパク質対照について予想される約175kDのサイズで材料を可視化した。3つのCOVID-19トランスフェクト細胞溶解物(Ad3、Bd3、Dd3)には同程度のサイズのシグナルが存在したが、COVID-19発現構築物を受け取らなかったトランスフェクト細胞溶解物(Cd3)には存在しなかった。これは、本発明者等の組換えCOVID-S抗原についての同一性の重要な二次的指標となった。
図29は、COVID-SのIMAC精製の溶出プロファイルを用いた全長スパイク精製を示す。およそ30mLの高密度ExpiCHO細胞培養物からの細胞抽出物を、0.5%LDAOを含有する緩衝液で予備平衡化したHisTrap Crude FF 1mLカラム(GE Healthcare)に適用した。1%オクチルグルコシドへの界面活性剤交換後、一定の1%オクチルグルコシド下で段階的勾配のイミダゾールを適用して、緩く結合した宿主細胞タンパク質を放出し、続いてHisタグ付き組換えタンパク質を放出した。青色の破線トレースは、280nmにおける吸光度に基づく放出されたタンパク質のレベルを示す。154.5mLのメジャーピークは組換えタンパク質産物を含む。ニッケルカラム精製は、前臨床試験のための初期候補ワクチン材料の迅速かつ非常に特異的な精製を可能にするが、組換え抗原産物への異種エピトープタグの付加を必要としない従来のタンパク質クロマトグラフィ法によって置き換えることができる。
図30は、COVID-19スパイクレンチウイルス偽型構築物を示す。新規ワクチンを検証する重要な課題は、潜在的な有効性をどのように実証するかである。IgG ELISAは、特異的免疫応答の大きさをモデル化し得るが、機能的にウイルスを阻害する抗体と、標的タンパク質の非必須(又は構造的に閉塞された)エピトープに結合し得る抗体と、を区別しない。免疫後血清がインビトロで許容細胞へのウイルス侵入を阻止する能力について試験される中和アッセイは、インビボの有効性を予測するための強力なツールとなり得る。そのようなアッセイに感染性の高いSARS-CoV-2を使用する必要性を回避するために、COVID-Sタンパク質を使用して複製欠損レポーターレンチウイルスがパッケージングされる偽型アッセイが開発されている。この偽型ウイルスがインビトロで許容細胞に形質導入することができる場合、それを中和アッセイにおける真正のSARS-CoV-2の代用として使用することが可能であるはずである。選択されたレンチウイルスベクターは、構成的GFPレポーターを含む。このプロットは、経時的にトランスフェクトされたExpiCHO細胞における蛍光を示し、レンチウイルスベクタープラスミドの活性を示している。(レンチウイルスベクターなしで)COVID-S構築物のみをトランスフェクトしたフラスコBは、バックグラウンドレベルの蛍光しか示さないが、パッケージングミックスをトランスフェクトした3つ全てのフラスコは、トランスフェクション後4日目までに強いGFPシグナルを示す。
ACE-2の生成
いくつかの実施形態では、expi293細胞に一過性にトランスフェクトされたATUM Bioから委託された哺乳動物発現構築物を使用してACE-2を生成した。そのような実施形態では、ACE-2の外部ドメインは、細胞培養培地中に分泌される。そのような実施形態では、トランスフェクションの3日後、細胞培養上清を回収し、PD-10カラム(GE-Health care,カタログ番号17-0851-01)を使用して脱塩し、100mMのNaCl、20mMのTris、pH7.6で溶出した。そのような実施形態では、溶出液を平衡化HiTrap FF DEAEイオン交換カラムに充填し、洗浄し、200mMのNaCl、20mMのTris、pH 7.6で溶出した。
図31は、精製からの試料を示すクマシー染色SDS-PAGEゲルを示す。図示のように、第1のレーンは、Sino Biological製の市販のACE-2(カタログ番号10108H08H20)である。ACE-2タンパク質を決定するために、酵素活性を精製によって保持し、蛍光発生基質(R&D systems,カタログ番号ES007)を使用して酵素活性アッセイを行った。一文字アミノ酸配列YVADAPK(配列番号17)を有する小ペプチドを、共鳴エネルギー移動によってMcaの蛍光を効率的に消光する、高蛍光7-メトキシクマリン(Mca)基と2,4-ジニトロフェニル(Dnp)基との間に挿入した。ACE-2は、プロリンとリジンとの間で基質を切断し、蛍光の増加を、320nmの励起波長及び405nmの発光を有する蛍光プレートリーダを使用して測定した。
アッセイの基本プロトコルは以下の通りであった。
1.基質をアッセイ緩衝液(1MのNaCl、75mMのTris、pH7.5)中で40uMに希釈する。
2.アッセイする各ウェルについて、50uLの基質を黒色96ウェル蛍光アッセイプレートに添加する。
3.同じアッセイバッファーで希釈した50uLの試料を添加する。
4.蛍光プレートリーダで蛍光を経時的に測定する。
蛍光発生基質を使用するACE-2活性アッセイのために、精製された「インハウス」ACE-2を、Sino Biologicalから市販されているACE-2タンパク質に対して試験した。内部で使用するための1回の凍結融解サイクル(-200℃で2.5時間のインキュベーション)の後、40℃で20%グリセロール中でACE-2が活性であるかどうかを試験して、貯蔵条件を決定した。4つ全ての試料が同様のレベルの活性を有すると思われ、ACE-2に使用される精製方法が酵素活性に有害な影響を及ぼさなかったことを示している。これはまた、ACE-2を20%グリセロールに保存し、有意な量の活性を失うことなく少なくとも1回凍結融解を経ることができることを示唆している。図32は、ACE-2試料における活性レベルを示す。
サンドイッチELISA開発
SARS-CoV-2-S効力アッセイの一般プロトコルを以下に記載する。いくつかの実施形態では、高結合性平底マイクロタイタープレート(Corning 3206)を、PBS中2.5μg/mlのACE-2(インハウスの精製されたACE-2)で4℃において一晩コーティングした。次いで、プレートを、0.05%TBSTを含有するトリス緩衝生理食塩水(TBS)で3回洗浄し、TBS中5%ウシ血清アルブミン(BSA)で室温において2~4時間ブロックした。更なるTBST洗浄の1回後、1%のBSA/TBST中のSARS-CoV-2-Sタンパク質を添加し、室温で2時間インキュベートした後、TBSTで更に4回洗浄した。次いで、マウス抗SARS-CoV-2-S(GeneTex、カタログ番号GTX632604)を1%BSA/TBST中1:5000で添加し、室温で1時間インキュベートした。更に4回洗浄した後、1%BSA/TBST中1:5,000でヤギ抗マウスHRP抗体(Jackson Labs,715-035-150)を添加し、室温で1時間インキュベートした。最後に4回洗浄した後、100uLのTMB基質を添加し、室温で30分間インキュベートした。50uLの2N硫酸を添加することによって反応を停止した。次いで、得られた吸光度を自動マイクロプレートリーダ(AccuSkan FC,Fisher Scientific)で450nmで読み取った。
SARS-CoV-2-S効力アッセイ
効力アッセイを行って、VrS01の効力を、Immune-Techから市販されているSARS-CoV-2-S(カタログ番号IT-002-032p)と比較した。インハウス製のB/コロラド’17抗原由来のヘマグルチニン(HA)を陰性対照として含めた。結果は、市販の(S com)タンパク質とインハウスSARS-CoV-2-S(VrS01 0515)タンパク質との間で類似しており、HAは試験した全ての濃度でほぼ0の結合を有していた。図33は、得られたデータ又はこの実験の線形回帰を示す。
SARS-CoV-2-S効力に対する熱ストレスの影響
VrS01が4つの異なる濃度(100、25、6.25、及び1.56ng)にわたって250ngのACE-2に結合する能力を試験して、以下により詳細に記載される予備安定性実験の標準曲線を確立した。図34は、標準曲線を示す。
VrS01の安定性を異なる温度(20、40、及び60℃)で試験し、試料を一晩インキュベートした。VrS01をTBST中1%BSAで0.5ng/uLの濃度で希釈して、100ulのこれらの試料をACE2コーティングウェルに添加した場合、50ngを添加した。950Cの試料も5分間沸騰させた。図35Aは、この実験で得られたデータを示す。図35Bは、図34に示す標準曲線を使用して吸光度値を変換することに基づいて決定された残存する効力のあるVrS01の量を示す。
百分率としての各条件に対する百分率効力は、効力のあるVrS01を、ウェルに添加したVrS01の量で割り、100を掛けることによって計算することができる。表2に示すように値を算出した。
アジュバントと製剤化されたVMLP結合VrS01
「プリントミックス」(例えば、VaxiPatchアレイをプリントするために使用される配合物)に製剤化されたVMLPがACE-2に結合する能力を、400、100、25、又は6.25ngのSARS-CoV-2-Sを250ngのACE-2を含有するウェルに添加することによって試験した。VMLPの量とウェルで測定された吸光度との間の線形関係が観察された。ACE-2への結合量に関して観察された値は、「遊離」タンパク質についてよりも低かった。これは、SARS-CoV-2-SがVMLPに組み込まれた場合の製剤による効力の低下又は結合の動態の違いによる可能性がある。図36は、「プリントミックス」VMLPの線形回帰を示す。
ACE-2/SARS-CoV-2-S結合のpH感受性
ACE-2/VrS01結合のpH感受性を試験した。2、5、7.5、9又は12のpHレベルで250ulの1ng/uL VrS01をプレインキュベートすることによって実験を行った。pHをNaOH又はHClのいずれかで調整し、pH紙のストリップを使用して測定した。100ulの各試料を250ngのACE-2でコーティングしたプレートに二連で載せ、450nmで吸光度を測定した。ACE-2結合の量は、pH5及び9でわずかに減少したように見えたが、pH2及び12ではバックグラウンドをわずかに上回っただけであった。図37は、異なるpHレベルにおけるACE-2結合を示す。
SARS-CoV-2-SのS1サブユニットに対するポリクローナル抗体によるACE-2結合の阻害
ワクチン接種動物モデルの血清の分析を行う準備及び予想において、市販のポリクローナルウサギ抗体がSARS-CoV-2-SのS1サブユニットに対してACE-2との結合相互作用を阻害する能力について試験を行った。ACE-2コーティングプレートがブロッキング溶液中にある間に、1ng/ul又は0.25ng/ulを市販の抗体の複数の希釈液と共に、インハウスのSARS-CoV-2-Sでインキュベートしたことを除いて、上記の設計に記載したように結合アッセイを行った。抗体の添加後、試料を37℃で2時間インキュベートした。試料を250ngのACE-2でコーティングしたウェルに二連で載せ、450nmで吸光度を測定した。図38は、平均吸光度のプロットによる棒グラフを示す。
ポリクローナル抗体は、1:100又は1:1000の希釈を使用した場合、ACE-2へのSARS-CoV-2-Sの結合を効果的に阻害することができ、1:10,000の希釈で結合の部分的阻害が存在した。この結果は、100ng及び25ngのSARS-CoV-2-S条件の両方に当てはまった。
組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質精製及びVMLP製剤
SARS-CoV-2(Wuhan’19)組換えスパイク(rS)を、ORFのC末端に6xHISタグをもたらすトロンビン切断部位を有するように設計し、VrS01と示した。トロンビンによって切断されると、rSタンパク質産物は、野生型配列に付加された4つの残留アミノ酸(Leu-Val-Pro-Arg)のみを含む。Sタンパク質の天然の多塩基性S1/S2切断部位を無傷のままにした。合成構築物のアミノ酸配列は、配列番号30に従った。注:下線の配列は合成トロンビン切断部位を表し、最後の6つのアミノ酸はC末端6xHisタグである。
図39は、Hisタグ付きRBD単独(VrS12)並びにD614G及びフリン部位変異を有する全長分泌可能な外部ドメイン構築物(VrS14)と比較した、この構築物(VrS01)の概略図を示す。合成ベンダーとしてATUM bioを使用した。pD2610-v10プラスミド骨格を使用した。このベクターは、高レベルの一過性発現のために設計され、細菌選択のためのカナマイシン耐性遺伝子を有する。CHO細胞の配列最適化後、DNA配列は配列番号31(VrS01 DNA配列、哺乳動物発現のために最適化されたコドン)に従った。
ExpiCHO-S細胞(Fisher)を、P1で凍結したバイアルからE1000フラスコに継代P8で増殖させた。この増殖培養物は、8.66x106の密度を達成した。200mLのExpiCHO発現培地中1200M細胞を用いて1つのE1000フラスコを調製した。ExpiFectamine CHOトランスフェクションキット(Fisher)を用いて、160uLのプラスミドストックを1ug/mLで使用してトランスフェクションを行った。トランスフェクションの24時間後、エンハンサ及び供給試薬をトランスフェクション培養物に添加し、32℃への温度シフトを適用した。毎日の密度及び生存率の評価を、0.4mLの懸濁培養物を使用してトリパンブルー色素排除によって行った。洗浄した細胞ペレットをトランスフェクション後2日目及び3日目に積み立て、3日目の細胞ペレットをパイロット免疫原性試験のためのVrS01の精製に使用した。
凍結細胞ペレットを1xPBSに再懸濁し、4,000xgで20分間遠心分離して、一部の可溶性細胞タンパク質を除去した。次いで、VrS01を有する細胞ペレットの溶解を、50mMのHEPES緩衝液(pH7.5)、500mMのNaCl、2mMのMgCl2(ベンゾナーゼ活性を支持するため)及び2%のLDAO界面活性剤(n-ドデシル-N,N-ジメチルアミン-N-オキシド、Anatrace)中で行った。ベンゾナーゼ処理(200U)を室温で10分間適用し、続いて4℃で1時間穏やかに回転させた。不溶性細胞片の透明抽出物に2回の遠心分離(4,000xgで20分間の第1スピン、続いて10,000xgで40分間の第2スピン)を適用した。次いで、清澄化した抽出物を、予め平衡化したCapto Lentilレクチン樹脂(Cytiva)と混合し、4℃で4~6時間回転させた。結合した樹脂を洗浄緩衝液(50mMのHEPES、500mMのNaCl、0.5%のLDAO、pH7.5)で洗浄した後、更なる洗浄のために重力カラムに充填した。オンカラム界面活性剤交換を1%オクチルグルコシド、50mMのHEPES、500mMのNaCl(pH7.5)中で行い、続いて300mのMα-Dメチル-グルコシドで溶出した。次いで、この溶出液にイミダゾールを5mMまで補充し、シリンジポンプを介して1mLのHisTrap FFクルードカラムに適用した。溶出液をカラムに3回通した後、5mMのイミダゾール、1%のOG溶液で洗浄し、最終的に500mMのイミダゾールで溶出した。得られたOGミセル化VrS01をAmicon Ultra-15 30K透析濾過カラムで濃縮し、VDB-OG(10mMのNaP、140mMのNaCl、1%オクチルグルコシド、pH7.2)に対して透析してイミダゾールを除去した。次いで、VrS01をBCAアッセイ(Pierce)によって定量化し、純度をSDS-PAGE分析によって確認した。
VrS01を用いて、実施例6に記載したものと同じ方法でVMLPを形成した。seVLPとして再構成するために、0.65mgの脂質(ホスファチジルコリン(50mg/ml)及び植物コレステロール(20mg/ml)を2:1の比)を130μlの10%OGに溶解した。次いで、200ugのOGミセル化VrS01を溶解脂質に添加し、総体積を0.65mLまでにして、最終濃度約4%OGを得た。試料を、少量(26ml)のPBSの多数の変化に対して4℃で24時間透析した。次いで、試料を4x32mlのPBSに対して24時間透析した。次いで、試料を48時間かけて4x2Lに移して、OGを除去した。全ての透析工程は、4℃でVDB(10mMのNaP、140mMのNaCl、pH7.2)に対するものであった。Malvern Zetasizer-NSを用いた動的光散乱(DLS)によって測定したところ、平均直径190~200nmを有する並行して調製された空のDOPC/cholリポソーム(VrS01取り込みなし)と比較して、seVLPの平均直径は230~250nmであった。
Sprague-DawleyラットにおけるVrS01 seVLPの免疫原性
VaxiPatchアレイは、100又は500ngのいずれかのseVLP-VrS01を含有するように配合されたプリントミックスから、パッチ当たり500ngのQS-21及び500ngの3D(6-アシル)-PHADの用量でリポソームアジュバントと共に、実施例7及び8に記載のように、可視化のための0.5%(w/v)FD&C No.1の青色染料と共に調製した。これらを8匹のSprague Dawleyラット(雄4匹、雌4匹)に実施例8と同様に適用した。簡潔には、予め毛を除去したSprague-Dawleyラットを、イソフルオラン麻酔下で背部の正中線への5分間の直接圧力を利用するアレイで処置した。血清を、処置の2、3及び4週間後に伏在静脈採血によって回収した。5週目に、両群の動物は、175ngのseVLP-VrS01+上記のアジュバント(500ngのQS-21、500ngの3D(6-アシル)-PHAD)からなる同じ方法による追加のVaxiPatch追加免疫を受けた。血清を再度採取し、追加免疫の2週間後に試験した。
血清中の特異的IgG応答を、0.5μg/mLの全長rS(Immune Tech,IT-003-032p)を含む100mM炭酸緩衝液中、4℃で一晩コーティングしたプレートでELISAアッセイによって評価した。検出用のラットIgGに対するHRPコンジュゲートポリクローナルヤギ抗体(Jackson labs,112-035-143)を使用して、1:100~1:12,500までの5倍段階希釈物を試験した。陽性を、プレートのブランクウェルの2倍を超えるシグナルに基づいて割り当て、エンドポイント力価を割り当てるために使用した。
図40は、SDラットにおけるVrS01に対する特異的IgG応答を要約する。左パネルは、割り当てられたエンドポイント力価のlog10に基づくVrS01処置群の時間経過を示し、矢印は両方のワクチン接種処置のタイミングを示している。エラーバーはSEMを表す(n=8/群)。右側のパネルは、500ng処置群内の個々の動物からのエンドポイント力価を、初回ワクチン接種後4週間及び追加免疫後2週間において比較する。より濃い陰影のマーカは雄動物を表す。破線は、各群のGMT力価を示す。
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し説明してきたが、上記実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明から逸脱することなく、当業者には多数の変形、変更、及び置換が思い浮かぶであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替形態が、本発明を実施する際に使用され得ることを理解するべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造並びにそれらの均等物がそれによって包含されることが意図される。