詳細な説明
本発明者らは、細胞におけるMSH3レベルおよび/または活性の阻害または枯渇が、トリヌクレオチドリピート伸長障害の処置において有効であることを見出した。したがって、例えば、トリヌクレオチドリピート伸長障害の処置を必要とする対象においてトリヌクレオチドリピート伸長障害を処置するための有用な組成物および方法が、本明細書で提供される。
I.トリヌクレオチドリピート伸長障害
トリヌクレオチドリピート伸長障害は、ゲノム領域内のリピート領域の病原性伸長によって特徴付けられる遺伝子障害のファミリーである。かかる障害では、リピートの数は、遺伝子の正常な安定な閾値の数を超え、病的な範囲まで伸長している。
トリヌクレオチドリピート伸長障害は、一般に、「ポリグルタミン」または「非ポリグルタミン」とカテゴライズされ得る。ハンチントン病(HD)およびいくつかの脊髄小脳失調症を含むポリグルタミン障害は、特定の遺伝子のタンパク質コード領域中のCAG(グルタミン)リピートによって引き起こされる。非ポリグルタミン障害は、より不均一であり、筋強直性ジストロフィーなどでは、非コード領域中のCAGトリヌクレオチドリピート伸長によって引き起こされ得、または脆弱X症候群を担うCGGリピート伸長など、コード領域もしくは非コード領域中にあり得るCAG以外のトリヌクレオチドリピートの伸長によって引き起こされ得る。
トリヌクレオチドリピート伸長障害は、リピートの数が、世代毎に、またはさらには同じ個体において細胞毎に変動し得るという意味で、動的である。リピート伸長は、DNA複製の間のポリメラーゼ「スリッピング」によって引き起こされると考えられている。DNA配列中のタンデムリピートは、親鎖と娘鎖との間の相補的な塩基対合を維持しつつ、「ループアウト」し得る。ループ構造が娘鎖から形成される場合、リピートの数は増加する。
逆に、ループ構造が親鎖から形成される場合、リピートの数は減少する。伸長は、低減よりも一般的なようである。一般に、リピート伸長の長さは、予後判定と負に相関する;より長いリピートは、より早い開始年齢および悪化した疾患重症度と相関する。したがって、トリヌクレオチドリピート伸長障害は、「表現促進」を受けやすいが、これは、1つの世代から次の世代への、これらのリピートの伸長に起因する、罹患した家族の代々の世代を通じた、症状の重症度および/または開始年齢の悪化を意味する。
トリヌクレオチドリピート伸長障害は、当該分野で周知である。例示的なトリヌクレオチドリピート伸長障害およびそれに一般に関連する遺伝子のトリヌクレオチドリピートは、表1に含まれる。
トリヌクレオチドリピート伸長障害に関連するタンパク質は、典型的には、トリヌクレオチドリピート伸長障害に関連するタンパク質の、トリヌクレオチドリピート伸長障害との実験的関連に基づいて選択される。例えば、トリヌクレオチドリピート伸長障害に関連するタンパク質の産生速度または循環濃度は、トリヌクレオチドリピート伸長障害を欠く集団と比較して、トリヌクレオチドリピート伸長障害を有する集団において上昇または抑圧され得る。タンパク質レベルにおける差異は、ウエスタンブロット、免疫組織化学的染色、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)および質量分析が含まれるがこれらに限定されないプロテオミクス技術を使用して評価され得る。あるいは、トリヌクレオチドリピート伸長障害に関連するタンパク質は、DNAマイクロアレイ分析、遺伝子発現の連続分析(SAGE)および定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)が含まれるがこれらに限定されないゲノム技術を使用して、タンパク質をコードする遺伝子の遺伝子発現プロファイルを得ることによって識別され得る。
II.トリヌクレオチドリピート伸長におけるミスマッチ修復経路の関与の証拠
DNA修復経路、特にミスマッチ修復(MMR)がトリヌクレオチドリピートの伸長に関与するという証拠が増えてきている。最近のゲノムワイド関連(GWA)分析は、ハンチントン病(HD)の神経学的開始年齢を変更する遺伝的変異を保有する遺伝子座の識別をもたらした(GEM-HD Consortium, Cell. 2015 Jul 30;162(3):516-26)。この研究は、E.coli DNAミスマッチ修復遺伝子mutLのヒトホモログであるMLH1を識別した。ポリグルタミン病患者における引き続くGWA研究は、全てのポリグルタミン病(HDおよびSCA)をグループにした場合の開始年齢の、群としてのDNA修復遺伝子との顕著な関連、ならびにFAN1およびPMS2中の特定のSNPと疾患との顕著な関連を見出した(Bettencourt et al., (2016) Ann. Neurol., 79: 983-990)。これらの結果は、CAG不安定性の新規の重要な改変因子としてMlh1およびMlh3を識別した、ハンチントン病の2つの異なるマウスモデルにおけるリピート伸長の差異を比較する初期の研究からの結果と一致した(Pinto et al., (2013) Mismatch Repair Genes Mlh1 and Mlh3 Modify CAG Instability in Huntington's Disease Mice: Genome-Wide and Candidate Approaches. PLoS Genet 9(10): e1003930)。体細胞伸長は、ミスマッチ修復経路の別のメンバーである8-オキソ-グアニングリコシラーゼ(OGG1)を欠くトランスジェニックマウスにおいて低減されることが見出されたので、OGG1もまた、伸長に関与している(Kovtun I. V. et al. (2007) Nature 447, 447-452)。しかし、別の研究は、hOGG1中に、低減されたOGG1活性を生じるSer326Cys多型を含むヒト対象が、増加した突然変異体ハンチンチンを生じることを見出した(Coppede et al., (2009) Toxicol., 278: 199-203)。同様に、マウスHDモデルにおける、DNA修復経路の別の構成要素であるFan1の完全な不活性化は、体細胞CAG伸長を生じる(Long et al. (2018) J. Hum Genet., 103: 1-9)。ミスマッチ修復経路の別の構成要素であるMSH3は、体細胞伸長に関連することが報告されている:Msh3中の多型は、筋強直性ジストロフィー1型(DM1)患者における伸長されたCTGトリヌクレオチドリピートの体細胞不安定性に関連した(Morales et al., (2016) DNA Repair 40: 57-66)。さらに、Msh3およびMlh1中の天然の多型は、CTG・CAGリピート不安定性におけるマウス株特異的差異のメディエーターということが明らかになった(Pinto et al. (2013) ibid;Tome et al., (2013) PLoS Genet. 9 e1003280)。伸長リピートにおけるMsh2およびMsh3の関与のさらなる証拠は、MSH2またはMSH3のいずれかの低分子ヘアピン型RNA(shRNA)ノックダウンが、MSH2またはMSH3のいずれかの異所性発現は、FRDA患者に由来する線維芽細胞におけるフリードライヒ運動失調症(FRDA)遺伝子のGAAトリヌクレオチドリピート伸長を緩徐化し、MSH2またはMSH3のいずれかの異所性発現が、FRDA患者に由来する線維芽細胞におけるフリードライヒ運動失調症(FRDA)遺伝子のGAAトリヌクレオチドリピート伸長を誘導した研究において報告された(Halabi et al., (2012) J. Biol. Chem. 287, 29958-29967)。上に提供された一部の一貫性のない結果にもかかわらず、MMR経路が、種々の障害におけるトリヌクレオチドリピートの伸長においていくらかの役割を果たすという強い証拠が存在する。さらに、彼らは、MMR経路の阻害がこれらのリピート伸長障害の処置または予防を提供するということを認識した最初の者である;しかし、これらのリピート伸長障害を処置または予防することを目的としてMMRをモジュレートする治療は、現在入手可能でも開発中でもない。
III.オリゴヌクレオチド薬剤
細胞においてMSH3のレベルおよび/または活性を低減させる本明細書に記載される薬剤は、例えば、ポリヌクレオチド、例えば、オリゴヌクレオチドであり得る。これらの薬剤は、MSH3に関連する活性、もしくは関連の下流の効果のレベルを低減させ、または細胞もしくは対象においてMSH3のレベルを低減させる。
一部の態様では、MSH3のレベルおよび/または活性を低減させる薬剤は、ポリヌクレオチドである。一部の態様では、ポリヌクレオチドは、例えば、RNase H媒介性経路によって作用する、一本鎖オリゴヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドには、標的配列(例えば、MSH3)のヌクレオチド塩基との水素結合相互作用を介してポリヌクレオチド標的配列または配列部分を認識する、典型的には約10~30ヌクレオチド長のDNAおよびDNA/RNAキメラ分子が含まれる。オリゴヌクレオチド分子は、MSH3の発現レベル(例えば、タンパク質レベルまたはmRNAレベル)を減少させ得る。例えば、オリゴヌクレオチドには、全長MSH3を標的化するオリゴヌクレオチドが含まれる。一部の態様では、オリゴヌクレオチド分子は、RNase H酵素を動員し、標的mRNA分解をもたらす。
一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、機能の正の制御因子のレベルおよび/または活性を減少させる。他の態様では、オリゴヌクレオチドは、機能の正の制御因子の阻害剤のレベルおよび/または活性を増加させる。一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、機能の負の制御因子のレベルおよび/または活性を増加させる。
一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、MSH3のレベルおよび/もしくは活性または機能を減少させる。一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、MSH3の発現を阻害する。他の態様では、オリゴヌクレオチドは、MSH3の分解を増加させるおよび/またはMSH3の安定性(即ち、半減期)を減少させる。オリゴヌクレオチドは、化学的に合成され得る。
オリゴヌクレオチドには、MSH3遺伝子の発現において形成されるmRNAの少なくとも一部分に対して相補的な相補性の領域(例えば、連続する核酸塩基領域)を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。相補性の領域は、約30ヌクレオチド長またはそれ未満(例えば、約30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19もしくは18ヌクレオチド長またはそれ未満)であり得る。MSH3遺伝子を発現する細胞との接触の際に、オリゴヌクレオチドは、MSH3遺伝子(例えば、ヒト、霊長類、非霊長類または鳥類MSH3遺伝子)の発現を、例えば、PCRもしくは分岐鎖DNA(bDNA)に基づく方法によって、またはタンパク質に基づく方法によって、例えば、ウエスタンブロッティングもしくはフローサイトメトリー技術などを使用する免疫蛍光分析によってアッセイした場合、少なくとも約10%阻害し得る。
同様に、標的配列に対する相補性の領域は、10と30との間の連結されたヌクレオシド長、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30、または10~29、10~28、10~27、10~26、10~25、10~24、10~23、10~22、10~21、10~20、10~19、10~18、10~17、10~16、10~15、10~14、10~13、10~12、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23もしくは21~22の間の連結されたヌクレオシド長であり得る。上に列挙された範囲および長さの中間の範囲および長さもまた企図される。
オリゴヌクレオチドは、例えば、Biosearch、Applied Biosystems,Inc.などから市販されているような自動化DNA合成機の使用によって、以下にさらに議論されるように、当該分野で公知の標準的な方法によって合成され得る。
オリゴヌクレオチド化合物は、溶液相もしくは固相有機合成またはその両方を使用して調製され得る。有機合成は、非天然のまたは代替えのヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドが容易に調製され得るという利点を提供する。一本鎖オリゴヌクレオチドは、溶液相もしくは固相有機合成またはその両方を使用して調製され得る。
一態様では、オリゴヌクレオチドは、MSH3遺伝子の少なくとも10個の連続するヌクレオチドに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%)の相補性を有する少なくとも10個の連続する核酸塩基の領域を含む。一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、MSH3遺伝子の少なくとも17個の連続するヌクレオチド、19~23個の連続するヌクレオチド、19個の連続するヌクレオチドまたは20個の連続するヌクレオチドに対して相補的な配列を含む。オリゴヌクレオチド配列は、配列番号6~2545のうちいずれか1つに提供される配列の群から選択され得る。
一態様では、配列は、MSH3遺伝子の発現において生成されるmRNAの配列に対して実質的に相補的である。一部の態様では、少なくとも10核酸塩基の領域は、参照mRNA NM_002439.4の配列に対応するMSH3遺伝子に対して、MSH3遺伝子の155~199、355~385、398~496、559~589、676~724、762~810、876~903、912~974、984~1047、1054~1098、1114~1179、1200~1227、1294~1337、1392~1417、1467~1493、1517~1630、1665~1747、1768~1866、2029~2063、2087~2199、2262~2293、2304~2330、2371~2410、2432~2458、2494~2521、2539~2647、2679~2713、2727~2753、2767~2920、2933~3000、3046~3073、3132~3245、3266~3306、3397~3484、3528~3575、3591~3617、3753~3792、3901~3936、4074~4101および4281~4319位のうち1つまたは複数の位置において相補的である。一態様では、少なくとも10核酸塩基の領域は、参照mRNA NM_002439.4の配列に対応するMSH3遺伝子に対して、MSH3遺伝子の155~199、359~385、398~496、559~589、676~724、762~810、876~974、984~1098、1114~1179、1200~1227、1294~1337、1392~1417、1467~1493、1517~1630、1665~1747、1834~1866、2029~2056、2093~2199、2262~2293、2304~2329、2371~2410、2433~2458、2494~2521、2539~2647、2679~2713、2727~2753、2767~2920、2933~3000、3046~3072、3132~3245、3266~3303、3397~3484、3528~3575、3591~3617、3753~3792、3901~3936、4076~4101および4281~4319位のうち1つまたは複数の位置において相補的である。一態様では、少なくとも10核酸塩基の領域は、参照mRNA NM_002439.4の配列に対応するMSH3遺伝子に対して、MSH3遺伝子の155~196、359~385、413~462、559~589、676~724、762~810、876~974、984~1096、1114~1179、1200~1227、1294~1337、1467~1493、1517~1630、1665~1747、1834~1866、2029~2056、2093~2199、2265~2293、2378~2410、2433~2458、2494~2521、2539~2647、2679~2712、2727~2753、2767~2919、2934~3000、3046~3071、3144~3183、3220~3245、3397~3484、3534~3575、3591~3616、3901~3931および4281~4306位のうち1つまたは複数の位置において相補的である。一態様では、少なくとも10核酸塩基の領域は、参照mRNA NM_002439.4の配列に対応するMSH3遺伝子に対して、MSH3遺伝子の435~462、559~584、763~808、876~902、931~958、1001~1083、1114~1179、1294~1337、1544~1578、1835~1863、2031~2056、2144~2169、2543~2577、2590~2615、2621~2647、2685~2711、2769~2795および2816~2868位のうち1つまたは複数の位置において相補的である。一態様では、少なくとも10核酸塩基の領域は、参照mRNA NM_002439.4の配列に対応するMSH3遺伝子に対して、前記MSH3遺伝子の876~902、930~958、1056~1081、1114~1139、1154~1179、1310~1337、1546~1571、1836~1862、2141~2199、2267~2292、2540~2580、2620~2647、2686~2711、2769~2868、2939~2976、3144~3169および3399~3424位のうち1つまたは複数の位置において相補的である。一態様では、少なくとも10核酸塩基の領域は、参照mRNA NM_002439.4の配列に対応するMSH3遺伝子に対して、MSH3遺伝子の984~1021、1467~1493、1722~1747、1767~1802、1833~1861、2385~2410、2554~2581、2816~2845、2861~2920および3151~3183位のうち1つまたは複数の位置において相補的である。
一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号6~2545のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む。一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号20、22~29、31~32、77~78、81~82、115、117、130、132~134、144~145、147、167~168、210、212~215、290~293、295~296、299~305、309、351~359、361~362、365~366、368、407~409、432、437~442、444、459~460、479、482~493、497~498、500~501、503~512、543~550、552~560、562、582~585、588~591、603~604、611、613~616、659、661、699~700、702、705~707、724~725、770~771、812~816、838~842、845~852、856、883~885、889、893~897、936、940~941、945、948、950、955、959~961、965~968、972~973、999、1007、1016~1017、1019、1021~1022、1036、1040~1045、1047、1170、1172~1173、1211、1216、1222、1235、1240~1242、1244~1249、1251~1252、1254~1259、1268、1316、1318~1322、1328~1329、1373~1375、1379~1383、1386~1387、1407~1408、1433~1435、1450~1451、1454~1461、1476~1477、1496~1499、1532、1538~1541、1565~1566、1579、1581~1589、1591、1600~1607、1610、1625、1627~1629、1631~1639、1643、1650~1660、1663~1665、1668~1675、1713~1714、1716~1722、1724、1727~1731、1741、1745~1747、1751~1755、1799~1801、1859~1866、1868~1869、1894~1896、1905~1908、1954、1964~1966、1969、2066~2070、2075~2079、2108、2138、2143~2147、2157~2160、2193~2194、2299~2300、2312~2313、2385、2388、2390~2395、2416~2418、2460、2462および2463のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む。一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号20、22、25~29、31~32、81~82、115、130、132~134、144、145、147、168、210、212~215、290~293、295~296、299~305、309、351~359、361~362、365~366、368、407~409、432、437~442、444、459~460、479、482~493、497~498、500~501、503~506、508~512、543~550、552~560、562、582~585、589~591、603~604、611、613~616、659、661、699~700、702、705~707、724、770~771、812~816、838~842、845~852、856、883~885、889、893~897、936、940~941、945、948、950、955、959~961、965~968、972~973、1041~1045、1047、1170、1172、1216、1222、1235、1241~1242、1244~1249、1251~1252、1254~1259、1268、1316、1318~1319、1321~1322、1328、1373、1379~1383、1386~1387、1408、1433~1435、1450~1451、1454~1461、1476~1477、1496~1499、1532、1538~1541、1565~1566、1579、1581~1582、1584~1589、1591、1601~1607、1610、1625、1627~1629、1631~1638、1650~1655、1659、1665、1668~1675、1713~1714、1716~1722、1727~1731、1745、1747、1751~1755、1799~1800、1859、1861~1862、1865~1866、1868~1869、1895~1896、1905~1908、1954、1694~1966、2066~2070、2075~2079、2108、2138、2144~2146、2158~2160、2193~2194、2299、2300、2313、2385、2388、2390~2392、2394~2395、2418、2460および2462および2463のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む。一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号20、25~29、32、81~82、130、133~134、144~145、147、210、212~213、215、290~293、295~296、299~304、309、351、352~359、361~362、365~366、368、407~409、432、437~442、444、460、479、482~486、488~492、497~498、500~501、503~506、508~512、544~550、553~558、560、582~585、589、603~604、611、613~616、659、661、699~700、702、705~707、770~771、812~816、838~842、845~851、856、883、885、889、893、895~897、936、940、945、961、965~968、972~973、1041~1045、1047、1170、1172、1216、1222、1235、1244、1246~1249、1251~1252、1254~1255、1257~1259、1268、1319、1321~1322、1380~1381、1386~1387、1408、1433~1435、1450~1451、1454~1461、1476~1477、1496~1499、1532、1538~1540、1565~1566、1579、1581~1582、1584~1589、1591、1601~1604、1606~1607、1610、1625、1627~1629、1631~1638、1651~1654、1668、1670~1674、1714、1717~1722、1727~1731、1745、1751~1755、1799、1861、1869、1908、1964、1966、2066~2069、2075~2076、2078~2079、2108、2144~2145、2158~2160、2193、2385、2390および2460のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む。一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号145、147、210、352、365、366、407、408、439~442、444、492、500、504、511、512、544~547、582、604、616、699、700、702、705~707、839~842、848、1042~1045、1172、1255、1454~1457、1477~1499、1538、1539、1581、1582、1606、1607、1610および1631~1633のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む。一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号407、408、441、442、444、545、582、616、705~707、841、1043、1044、1252、1255、1268、1321、1451、1454~1460、1497~1499、1538、1539、1581、1582、1587、1601、1602、1606、1607、1610、1631~1633、1719、1721、1730、1731、1861および2068のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む。一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号479、482~491、770、771、973、998~1000、1007、1008、1040~1043、1387、1454、1456、1459~1461、1538、1539、1606、1607、1610、1643~1665、1668~1675および1862~1869のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む。
一部の態様では、オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、配列番号6~2545のうちいずれか1つからなる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号20、22~29、31~32、77~78、81~82、115、117、130、132~134、144~145、147、167~168、210、212~215、290~293、295~296、299~305、309、351~359、361~362、365~366、368、407~409、432、437~442、444、459~460、479、482~493、497~498、500~501、503~512、543~550、552~560、562、582~585、588~591、603~604、611、613~616、659、661、699~700、702、705~707、724~725、770~771、812~816、838~842、845~852、856、883~885、889、893~897、936、940~941、945、948、950、955、959~961、965~968、972~973、999、1007、1016~1017、1019、1021~1022、1036、1040~1045、1047、1170、1172~1173、1211、1216、1222、1235、1240~1242、1244~1249、1251~1252、1254~1259、1268、1316、1318~1322、1328~1329、1373~1375、1379~1383、1386~1387、1407~1408、1433~1435、1450~1451、1454~1461、1476~1477、1496~1499、1532、1538~1541、1565~1566、1579、1581~1589、1591、1600~1607、1610、1625、1627~1629、1631~1639、1643、1650~1660、1663~1665、1668~1675、1713~1714、1716~1722、1724、1727~1731、1741、1745~1747、1751~1755、1799~1801、1859~1866、1868~1869、1894~1896、1905~1908、1954、1964~1966、1969、2066~2070、2075~2079、2108、2138、2143~2147、2157~2160、2193~2194、2299~2300、2312~2313、2385、2388、2390~2395、2416~2418、2460、2462および2463のうちいずれか1つの核酸塩基配列からなる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号20、22、25~29、31~32、81~82、115、130、132~134、144、145、147、168、210、212~215、290~293、295~296、299~305、309、351~359、361~362、365~366、368、407~409、432、437~442、444、459~460、479、482~493、497~498、500~501、503~506、508~512、543~550、552~560、562、582~585、589~591、603~604、611、613~616、659、661、699~700、702、705~707、724、770~771、812~816、838~842、845~852、856、883~885、889、893~897、936、940~941、945、948、950、955、959~961、965~968、972~973、1041~1045、1047、1170、1172、1216、1222、1235、1241~1242、1244~1249、1251~1252、1254~1259、1268、1316、1318~1319、1321~1322、1328、1373、1379~1383、1386~1387、1408、1433~1435、1450~1451、1454~1461、1476~1477、1496~1499、1532、1538~1541、1565~1566、1579、1581~1582、1584~1589、1591、1601~1607、1610、1625、1627~1629、1631~1638、1650~1655、1659、1665、1668~1675、1713~1714、1716~1722、1727~1731、1745、1747、1751~1755、1799~1800、1859、1861~1862、1865~1866、1868~1869、1895~1896、1905~1908、1954、1694~1966、2066~2070、2075~2079、2108、2138、2144~2146、2158~2160、2193~2194、2299、2300、2313、2385、2388、2390~2392、2394~2395、2418、2460および2462および2463のうちいずれか1つの核酸塩基配列からなる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号20、25~29、32、81~82、130、133~134、144~145、147、210、212~213、215、290~293、295~296、299~304、309、351、352~359、361~362、365~366、368、407~409、432、437~442、444、460、479、482~486、488~492、497~498、500~501、503~506、508~512、544~550、553~558、560、582~585、589、603~604、611、613~616、659、661、699~700、702、705~707、770~771、812~816、838~842、845~851、856、883、885、889、893、895~897、936、940、945、961、965~968、972~973、1041~1045、1047、1170、1172、1216、1222、1235、1244、1246~1249、1251~1252、1254~1255、1257~1259、1268、1319、1321~1322、1380~1381、1386~1387、1408、1433~1435、1450~1451、1454~1461、1476~1477、1496~1499、1532、1538~1540、1565~1566、1579、1581~1582、1584~1589、1591、1601~1604、1606~1607、1610、1625、1627~1629、1631~1638、1651~1654、1668、1670~1674、1714、1717~1722、1727~1731、1745、1751~1755、1799、1861、1869、1908、1964、1966、2066~2069、2075~2076、2078~2079、2108、2144~2145、2158~2160、2193、2385、2390および2460のうちいずれか1つの核酸塩基配列からなる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号145、147、210、352、365、366、407、408、439~442、444、492、500、504、511、512、544~547、582、604、616、699、700、702、705~707、839~842、848、1042~1045、1172、1255、1454~1457、1477~1499、1538、1539、1581、1582、1606、1607、1610および1631~1633のうちいずれか1つの核酸塩基配列からなる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号407、408、441、442、444、545、582、616、705~707、841、1043、1044、1252、1255、1268、1321、1451、1454~1460、1497~1499、1538、1539、1581、1582、1587、1601、1602、1606、1607、1610、1631~1633、1719、1721、1730、1731、1861および2068のうちいずれか1つの核酸塩基配列からなる。一態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号479、482~491、770、771、973、998~1000、1007、1008、1040~1043、1387、1454、1456、1459~1461、1538、1539、1606、1607、1610、1643~1665、1668~1675および1862~1869のうちいずれか1つの核酸塩基配列からなる。
一態様では、オリゴヌクレオチドは、細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、20nMにおいて、少なくとも50%のmRNA阻害を示す。一態様では、オリゴヌクレオチドは、細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、20nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも60%のmRNA阻害を示す。一態様では、オリゴヌクレオチドは、細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、20nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも70%のmRNA阻害を示す。一態様では、オリゴヌクレオチドは、細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、20nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも85%のmRNA阻害を示す。一態様では、オリゴヌクレオチドは、細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、2nMにおいて、少なくとも50%のmRNA阻害を示す。一態様では、オリゴヌクレオチドは、細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、2nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも60%のmRNA阻害を示す。一態様では、オリゴヌクレオチドは、細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、2nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも70%のmRNA阻害を示す。一態様では、オリゴヌクレオチドは、細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、2nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも85%のmRNA阻害を示す。
細胞アッセイは、哺乳動物細胞、例えば、HEK293、NIH3T3またはHeLa細胞を、Lipofectamine 2000(Invitrogen)を使用して所望の濃度のオリゴヌクレオチド(例えば、2nMまたは20nM)でトランスフェクトするステップ、およびトランスフェクトされた細胞のMSH3 mRNAレベルを、対照細胞のMSH3レベルと比較するステップ、を含み得る。対照細胞は、MSH3に対して特異的でないオリゴヌクレオチドでトランスフェクトされ得る、またはモックトランスフェクトされ得る。mRNAレベルは、RT-qPCRを使用して決定され得、MSH3 mRNAレベルは、GAPDH mRNAレベルに対して標準化され得る。パーセント阻害は、対照細胞のMSH3濃度と比較したMSH3 mRNA濃度のパーセントとして計算され得る。
一部の態様では、オリゴヌクレオチドまたはその連続するヌクレオチド領域は、本明細書で単に「ギャップマー」とも称される、ギャップマー設計または構造を有する。ギャップマー構造では、オリゴヌクレオチドは、「5->3」の配向で、少なくとも3つの別個の構造的領域を含む:5’隣接配列(5’ウイングとしても公知)、DNAコア配列(ギャップとしても公知)および3’隣接配列(3’ウイングとしても公知)。この設計では、5’および3’隣接配列は、DNAコア配列に隣接する少なくとも1つの代替えのヌクレオシドを含み、一部の態様では、2~7の代替えのヌクレオシドの連続するストレッチ、または代替えのヌクレオシドおよびDNAヌクレオシドの連続するストレッチ(代替えのヌクレオシドおよびDNAヌクレオシドの両方を含む混合隣接配列)を含み得る。
5’隣接配列領域の長さは、少なくとも2ヌクレオシド長(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5またはそれよりも多くのヌクレオシド長)であり得る。3’隣接配列領域の長さは、少なくとも2ヌクレオシド長(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも少なくとも4、少なくとも5またはそれよりも多くのヌクレオシド長)であり得る。5’および3’隣接配列は、それらが含むヌクレオシドの数に関して、対称または非対称であり得る。一部の態様では、DNAコア配列は、5-10-5ギャップマーとも称される、各々が約5ヌクレオシドを含む5’および3’隣接配列が隣接した約10ヌクレオシドを含む。
結果として、DNAコア配列に隣接する5’隣接配列および3’隣接配列のヌクレオシドは、代替えのヌクレオシド、例えば、2’代替えのヌクレオシドである。DNAコア配列は、オリゴヌクレオチドがMSH3標的核酸との二重鎖中にある場合に、RNase Hを動員することが可能なヌクレオチドの連続するストレッチを含む。一部の態様では、DNAコア配列は、5~16個のDNAヌクレオシドの連続するストレッチを含む。他の態様では、DNAコア配列は、MSH3遺伝子に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%)の相補性を有する少なくとも10個の連続する核酸塩基の領域を含む。一部の態様では、ギャップマーは、MSH3遺伝子の少なくとも17個の連続するヌクレオチド、19~23個の連続するヌクレオチドまたは19個の連続するヌクレオチドに対して相補的な領域を含む。ギャップマーは、MSH3標的核酸に対して相補的であり、したがって、オリゴヌクレオチドの連続するヌクレオシド領域であり得る。
DNAコア配列の5’および3’末端に隣接する5’および3’隣接配列は、1つまたは複数の親和性増強性代替えのヌクレオシドを含み得る。一部の態様では、5’および/または3’隣接配列は、少なくとも1つの2’-O-メトキシエチル(MOE)ヌクレオシドを含む。一部の態様では、5’および/または3’隣接配列は、少なくとも2つのMOEヌクレオシドを含む。一部の態様では、5’隣接配列は、少なくとも1つのMOEヌクレオシドを含む。一部の態様では、5’隣接配列および3’隣接配列は共に、1つのMOEヌクレオシドを含む。一部の態様では、隣接配列中の全てのヌクレオシドが、MOEヌクレオシドである。他の態様では、隣接配列は、MOEヌクレオシドならびに他のヌクレオシド、例えば、DNAヌクレオシドおよび/または非MOE代替えのヌクレオシド、例えば、二環式ヌクレオシド(BNA)(例えば、LNAヌクレオシドまたはcETヌクレオシド)もしくは他の2’置換されたヌクレオシドの両方を含み得る(混合隣接配列)。この場合、DNAコア配列は、親和性増強性代替えのヌクレオシド、例えば、MOEヌクレオシドが5’および3’末端に隣接する少なくとも5個のRNase H動員性ヌクレオシド(例えば、5~16個のDNAヌクレオシド)の連続する配列として定義される。
他の態様では、5’および/または3’隣接配列は、少なくとも1つのBNA(例えば、少なくとも1つのLNAヌクレオシドまたはcETヌクレオシド)を含む。一部の態様では、5’および/または3’隣接配列は、少なくとも2つの二環式ヌクレオシドを含む。一部の態様では、5’隣接配列は、少なくとも1つのBNAを含む。一部の態様では、5’隣接配列および3’隣接配列は共に、BNAを含む。一部の態様では、隣接配列中の全てのヌクレオシドがBNAである。他の態様では、隣接配列は、BNAならびに他のヌクレオシド、例えば、DNAヌクレオシドおよび/または非BNA代替えのヌクレオシド、例えば、2’置換されたヌクレオシドの両方を含み得る(混合隣接配列)。この場合、DNAコア配列は、親和性増強性代替えのヌクレオシド、例えば、BNA、例えば、LNA、例えば、ベータ-D-オキシ-LNAが5’および3’末端に隣接する少なくとも5個のRNase H動員性ヌクレオシド(例えば、5~16個のDNAヌクレオシド)の連続する配列として定義される。
DNAコア配列の5’末端に結合された5’隣接は、少なくとも1つの代替えの糖部分(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7つまたはそれよりも多くの代替えの糖部分)を含む(comprise)、含む(contain)またはそれからなる。一部の態様では、隣接配列は、1~7つの代替えの核酸塩基、例えば、2~6つの代替えの核酸塩基、例えば、2~5つの代替えの核酸塩基、例えば、2~4つの代替えの核酸塩基、例えば、1~3つの代替えの核酸塩基、例えば、1、2、3または4つの代替えの核酸塩基を含むまたはそれからなる。一部の態様では、隣接配列は、少なくとも1つの代替えのヌクレオシド間連結(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7つまたはそれよりも多くの代替えのヌクレオシド間連結)を含むまたはそれからなる。
DNAコア配列の3’末端に結合された3’隣接は、少なくとも1つの代替えの糖部分(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7つまたはそれよりも多くの代替えの糖部分)を含む(comprise)、含む(contain)またはそれからなる。一部の態様では、隣接配列は、1~7つの代替えの核酸塩基、例えば、2~6つの代替えの核酸塩基、例えば、2~5つの代替えの核酸塩基、例えば、2~4つの代替えの核酸塩基、例えば、1~3つの代替えの核酸塩基、例えば、1、2、3または4つの代替えの核酸塩基を含むまたはそれからなる。一部の態様では、隣接配列は、少なくとも1つの代替えのヌクレオシド間連結(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7つまたはそれよりも多くの代替えのヌクレオシド間連結)を含むまたはそれからなる。
ある態様では、隣接配列中の代替えの糖部分のうち1つもしくは複数または全てが、2’代替えの糖部分である。
さらなる態様では、ウイング領域中の2’代替えの糖部分うち1つまたは複数は、2’-O-アルキル-糖部分、2’-O-メチル-糖部分、2’-アミノ-糖部分、2’-フルオロ-糖部分、2’-アルコキシ-糖部分、MOE糖部分、LNA糖部分、アラビノ核酸(ANA)糖部分および2’-フルオロ-ANA糖部分から選択される。
一態様では、隣接配列中の全ての代替えのヌクレオシドが、二環式ヌクレオシドである。さらなる態様では、隣接配列中の二環式ヌクレオシドは、ベータ-Dもしくはアルファ-L立体配置のいずれかまたはそれらの組合せでの、オキシ-LNA、チオ-LNA、アミノ-LNA、cETおよび/またはENAからなる群から独立して選択される。
一部の態様では、隣接配列中の1つまたは複数の代替えのヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結である。一部の態様では、ホスホロチオエート連結は、立体化学的に純粋なホスホロチオエート連結である。一部の態様では、ホスホロチオエート連結は、Spホスホロチオエート連結である。他の態様では、ホスホロチオエート連結は、Rpホスホロチオエート連結である。一部の態様では、代替えのヌクレオシド間連結は、2’-アルコキシヌクレオシド間連結である。他の態様では、代替えのヌクレオシド間連結は、アルキルホスフェートヌクレオシド間連結である。
DNAコア配列は、RNase Hを動員することが可能な少なくとも5~16個の連続したDNAヌクレオシドを含み得る(comprise)、含み得る(contain)またはそれからなり得る。一部の態様では、DNAコア配列中のヌクレオシドの全てが、DNA単位である。さらなる態様では、DNAコア領域は、RNase H切断を媒介することが可能な、DNAおよび他のヌクレオシドの混合物からなり得る。一部の態様では、DNAコア配列のヌクレオシドのうち少なくとも50%は、DNAである、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%もしくは少なくとも80%または少なくとも90%は、DNAである。一部の態様では、DNAコア配列のヌクレオシド(nuceloside)の全てが、RNA単位である。
オリゴヌクレオチドは、標的核酸に対して相補的な連続する領域を含む。一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、5’および3’隣接配列のいずれかに対して5’および/または3’側に位置付けられたさらなる連結されたヌクレオシドをさらに含み得る。これらのさらなる連結されたヌクレオシドは、それぞれ、5’隣接配列の5’末端または3’隣接配列の3’末端に結合され得る。さらなるヌクレオシドは、一部の態様では、標的核酸に対して相補的な連続する配列の一部を形成し得、または他の態様では、標的核酸に対して非相補的であり得る。
5’および3’隣接配列のいずれかまたは両方においてさらなるヌクレオシドを含むことは、標的核酸に対して相補的または非相補的であり得る1、2、3、4または5つのさらなるヌクレオチドを独立して含み得る。この態様では、オリゴヌクレオチドは、一部の態様では、さらなるヌクレオチドが5’および/または3’末端に隣接する標的をモジュレートすることが可能な連続する配列を含み得る。かかるさらなるヌクレオシドは、ヌクレアーゼ感受性の生物切断可能なリンカーとして機能し得、したがって、オリゴヌクレオチドにコンジュゲート部分などの官能基を結合させるために使用され得る。一部の態様では、さらなる5’および/または3’末端ヌクレオシドは、ホスホジエステル連結で連結され、DNAまたはRNAであり得る。別の態様では、さらなる5’および/または3’末端ヌクレオシドは、例えば、ヌクレアーゼ安定性を増強するためまたは合成の容易さのために含められ得る代替えのヌクレオシドである。
他の態様では、オリゴヌクレオチドは、「アルチマー(altimer)」設計を利用し、3ヌクレオシド毎に交互にされる交互の2’-フルオロ-ANAおよびDNA領域を含む。アルチマーオリゴヌクレオチドは、Min, et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2002, 12(18): 2651-2654およびKalota, et al., Nuc. Acid Res. 2006, 34(2): 451-61(これにより参照により本明細書に組み込まれる)でより詳細に議論されている。
他の態様では、オリゴヌクレオチドは、「ヘミマー(hemimer)」設計を利用し、DNAコア配列に(DNAコア配列の5’側または3’側のいずれかの側で)隣接した単一の2’-改変された隣接配列を含む。ヘミマーオリゴヌクレオチドは、Geary et al., 2001, J. Pharm. Exp. Therap., 296: 898-904(これにより参照により本明細書に組み込まれる)でより詳細に議論されている。
一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号6~2545のうちいずれか1つの核酸配列に対して少なくとも50%(例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%)の配列同一性を有する核酸配列を有する。一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、配列番号6~2545のうちいずれか1つの核酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する核酸配列を有する。
配列番号6~2545中の配列は、未改変のおよび/またはコンジュゲートされていない配列として記載されているが、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド、例えば、オリゴヌクレオチドは、以下に詳細に記載されるような代替えのヌクレオシドであるおよび/またはコンジュゲートされた、配列番号6~2545のうちいずれか1つに示される配列のうちいずれか1つを含み得ることが理解されよう。
当業者は、約18~20塩基対の間の構造を有するオリゴヌクレオチドが、RNase H媒介性分解を誘導する際に特に有効であり得ることを十分に認識している。しかし、より短いまたはより長いオリゴヌクレオチドが有効であり得ることが理解され得る。上記態様では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチド配列の性質のおかげで、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、より短いまたはより長いオリゴヌクレオチド配列を含み得る。より短いオリゴヌクレオチドマイナス一方または両方の末端上のいくつかの連結されたヌクレオシドのみは、上記オリゴヌクレオチドと比較して同様に有効であり得ることが、合理的に予想され得る。したがって、本明細書で提供される配列のうち1つに由来する少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれよりも多く連続する連結されたヌクレオシドの配列を有するが、MSH3遺伝子の発現を、完全配列を含むオリゴヌクレオチドから、約5、10、15、20、25または30%以下の阻害分阻害するそれらの能力が異なるオリゴヌクレオチドは、範囲内であることが企図される。
本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、標的核酸のヌクレアーゼ媒介性分解を介して機能し得、ここで、オリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ、例えば、エンドヌクレアーゼ様エンドリボヌクレアーゼ(RNase)(例えば、RNase H)を動員することが可能である。ヌクレアーゼ媒介性機構を介して動作するオリゴヌクレオチド設計の例は、少なくとも5または6つのDNAヌクレオシドの領域を典型的には含み、親和性増強性代替えのヌクレオシドが一方の側または両方の側に隣接するオリゴヌクレオチド、例えば、ギャップマー、ヘッドマーおよびテイルマーである。
オリゴヌクレオチドのRNase H活性は、相補的なRNA分子との二重鎖中にある場合に、RNase Hを動員するその能力を指す。WO01/23613は、RNase Hを動員する能力を決定するために使用され得る、RNase H活性を決定するためのin vitro方法を提供する。典型的には、相補的な標的核酸配列が提供された場合に、試験されている改変されたオリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、オリゴヌクレオチド中の全てのモノマー間にホスホロチオエート連結を有するDNAモノマーのみを含むオリゴヌクレオチドを使用し、WO01/23613(これにより参照により本明細書に組み込まれる)の実施例91~95によって提供される方法論を使用した場合に決定される初期速度の、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%の、または20%よりも大きい、pmol/l/分で測定される初期速度をオリゴヌクレオチドが有する場合、このオリゴヌクレオチドは、RNase Hを動員することが可能であるとみなされる。
さらに、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、RNase H媒介性切断に対して感受性の、MSH3転写物中の部位(単数または複数)を識別する。本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドがその特定の部位内の任意の場所での転写物の切断を促進する場合、RNA転写物の特定の部位内を標的化すると言われる。かかるオリゴヌクレオチドは、一般に、MSH3遺伝子中の選択された配列と連続する領域から取られたさらなる連結されたヌクレオシド配列にカップリングされた、本明細書で提供される配列のうち1つ由来の少なくとも約5~10個の連続する連結されたヌクレオシドを含む。
阻害性オリゴヌクレオチドは、当該分野で周知の方法によって設計され得る。標的配列は、一般に、約10~30の連結されたヌクレオシド長であるが、任意の所与の標的RNAの切断を指示するために、この範囲にある特定の配列の適切性には、広い変形形態が存在する。
任意のRNAを独自に分解するために必要な配列特異性を提供するのに十分な相同性を有するオリゴヌクレオチドは、当該分野で公知のプログラムを使用して設計され得る。
阻害性オリゴヌクレオチド配列の最適化のために設計されたいくつかの種の体系的試験は、本明細書で提供される教示に従って行われ得る。干渉オリゴヌクレオチドを設計する場合の考慮事項には、生物物理的、熱力学的および構造的考慮事項、特定の位置における塩基優先性、ならびに相同性が含まれるがこれらに限定されない。非コードオリゴヌクレオチドに基づく阻害性治療剤の作製および使用もまた、当該分野で公知である。
本明細書に示される種々のソフトウェアパッケージおよびガイドラインは、任意の所与の遺伝子標的に最適な標的配列の識別のためのガイダンスを提供するが、所与のサイズ(非限定的な例としては、21ヌクレオチド)の「ウインドウ」または「マスク」が、標的配列として機能し得るサイズ範囲にある配列を識別するために、標的RNA配列上に文字どおりまたは比喩的に(例えば、in silicoを含む)存在する、経験的アプローチが取られ得る。選択された任意の所与の標的サイズについて可能な配列の完全なセットが識別されるまで、初期標的配列位置の1ヌクレオチド上流または下流に配列「ウインドウ」を漸進的に動かすことによって、次の潜在的標的配列が識別され得る。最適に機能する配列を識別するための、識別された配列の体系的合成および試験(本明細書に記載されるまたは当該分野で公知のアッセイを使用する)とカップリングされたこのプロセスは、オリゴヌクレオチド薬剤を用いて標的化した場合に標的遺伝子発現の最良の阻害を媒介するRNA配列を識別することができる。したがって、本明細書で識別された配列は、有効な標的配列を示すが、阻害効率のさらなる最適化が、等しいまたはより良い阻害特徴を有する配列を識別するために、所与の配列の1ヌクレオチド上流または下流に漸進的に「ウインドウをウォーキング」させることによって達成され得ることが企図される。
さらに、本明細書で識別された任意の配列について、さらなる最適化は、連結されたヌクレオシドを体系的に付加または除去して、より長いまたはより短い配列を生成すること、およびそのポイントから標的RNAの上または下に、より長いまたはより短いサイズのウインドウをウォーキングさせることによって、生成された配列を試験することによって、達成され得ることが企図される。また、新たな候補標的を生成するためのこのアプローチを、当該分野で公知のおよび/または本明細書に記載される阻害アッセイにおいて標的配列に基づいてオリゴヌクレオチドの有効性について試験することとカップリングさせることは、阻害の効率におけるさらなる改善をもたらし得る。
さらになお、かかる最適化された配列は、発現阻害剤として分子をさらに最適化する(例えば、血清安定性または循環半減期を増加させる、熱安定性を増加させる、膜貫通送達を増強する、特定の位置または細胞型に標的化する、サイレンシング経路酵素との相互作用を増加させる、エンドソームからの放出を増加させる)ために、例えば、当該分野で公知および/または本明細書で議論される代替えのヌクレオシド、代替えの糖部分および/または代替えのヌクレオシド間連結を含む、本明細書に記載されるまたは当該分野で公知の代替えのヌクレオシド、代替えの糖部分および/または代替えのヌクレオシド間連結の導入によって、調整され得る。本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド薬剤は、標的配列との1つまたは複数のミスマッチを含み得る。一態様では、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、3つ以下のミスマッチを含む。オリゴヌクレオチドが標的配列とのミスマッチを含む場合、一部の態様では、ミスマッチの領域は、相補性の領域の中央には位置しない。オリゴヌクレオチドが標的配列とのミスマッチを含む場合、一部の態様では、ミスマッチは、相補性の領域の5’末端または3’末端のいずれから最後の5ヌクレオチド以内に制限されるべきである。例えば、30連結されたヌクレオシドのオリゴヌクレオチド薬剤について、MSH3遺伝子の領域に対して相補的な連続する核酸塩基領域は、一般に、中央の5~10の連結されたヌクレオシド内には、いずれのミスマッチも含まない。本明細書に記載される方法または当該分野で公知の方法は、標的配列とのミスマッチを含むオリゴヌクレオチドがMSH3遺伝子の発現を阻害する際に有効であるかどうかを決定するために使用され得る。MSH3遺伝子の発現を阻害する際の、ミスマッチを有するオリゴヌクレオチドの有効性の考慮は、MSH3遺伝子中の相補性の特定の領域が、集団内で多型配列変形形態を有することが公知である場合には特に、重要である。
ポリヌクレオチドの発現のためのベクターの構築は、当業者にとって詳細な説明を必要としない従来の技術を使用して達成され得る。効率的な発現ベクターの生成のためには、ポリヌクレオチドの発現を制御する調節配列を有することが必要である。これらの調節配列には、プロモーターおよびエンハンサー配列が含まれ、これらの調節配列は、これらの配列と相互作用する特定の細胞因子によって影響され、当該分野で周知である。
A.代替えのオリゴヌクレオシド
一態様では、オリゴヌクレオチドの連結されたヌクレオシドまたはヌクレオシド間連結のうち1つまたは複数は、天然に存在し、例えば、当該分野で公知のおよび本明細書に記載される化学的改変および/またはコンジュゲーションを含まない。別の態様では、オリゴヌクレオチドの連結されたヌクレオシドまたはヌクレオシド間連結のうち1つまたは複数は、安定性または他の有益な特徴を増強するために化学的に改変される。理論に束縛されないが、ある特定の改変は、ヌクレアーゼ耐性および/もしくは血清安定性を増加させ得る、または免疫原性を減少させ得ると考えられている。例えば、オリゴヌクレオチドは、DNAもしくはRNA中に天然に存在することが見出されたヌクレオチド(例えば、アデニン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジンまたはイノシン)を含み得、またはヌクレオチドの1つもしくは複数の構成要素(例えば、核酸塩基、糖またはホスホ-リンカー部分)に対する1つもしくは複数の化学的改変を有する代替えのヌクレオシドまたはヌクレオシド間連結を含み得る。オリゴヌクレオチドは、天然に存在するホスホジエステル結合を介して互いに連結され得、または代替えの連結(例えば、ホスホロチオエート(例えば、SpホスホロチオエートまたはRpホスホロチオエート)、3’-メチレンホスホネート、5’-メチレンホスホネート、3’-ホスホロアミダート(phosphoamidate)、2’-5’ホスホジエステル、グアニジウム、S-メチルチオウレア、2’-アルコキシ、アルキルホスフェートまたはペプチド結合を介して共有結合的に連結された)を含み得る。
一部の態様では、オリゴヌクレオチドのヌクレオシドまたはヌクレオシド間連結の実質的に全てが、代替えのヌクレオシドである。他の態様では、オリゴヌクレオチドのヌクレオシドまたはヌクレオシド間連結の全てが、代替えのヌクレオシドである。「ヌクレオシドの実質的に全てが代替えのヌクレオシドである」オリゴヌクレオチドは、完全にではないものの大部分が改変され、5、4、3、2または1つ以下の天然に存在するヌクレオシドを含み得る。なお他の態様では、オリゴヌクレオチドは、5、4、3、2または1つ以下の代替えのヌクレオシドを含み得る。
核酸は、当該分野で十分確立された方法、例えば、これにより参照により本明細書に組み込まれる「Current protocols in nucleic acid chemistry」, Beaucage, S. L. et al. (Edrs.), John Wiley & Sons, Inc., New York, N.Y., USAに記載される方法によって、合成および/または改変され得る。代替えのヌクレオチドおよびヌクレオシドには、例えば、末端改変、例えば、5’末端改変(リン酸化、コンジュゲーション、逆連結)または3’末端改変(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド、逆連結など);塩基改変、例えば、安定化塩基、不安定化塩基、もしくはパートナーの伸長されたレパートリーと塩基対合する塩基による置き換え、塩基の除去(脱塩基ヌクレオチド)、またはコンジュゲートされた塩基;糖改変(例えば、2’位または4’位における)または糖の置き換え;および/あるいはホスホジエステル連結の改変または置き換えを含む骨格改変を含む改変を有するものが含まれる。核酸塩基は、核酸塩基が糖部分のC1位から異なる位置(例えば、C2、C3、C4またはC5)に移動されたイソヌクレオシドであり得る。本明細書に記載される態様において有用なオリゴヌクレオチド化合物の具体的な例には、改変された骨格を含むまたは天然ヌクレオシド間連結を含まない代替えのヌクレオシドが含まれるがこれに限定されない。改変された骨格を有するヌクレオチドおよびヌクレオシドには、とりわけ、骨格中にリン原子を有さないものが含まれる。本明細書の目的のために、かつ当該分野でときおり言及されるように、それらのヌクレオシド間骨格中にリン原子を有さない代替えのRNAは、オリゴヌクレオシドであるとみなされ得る。一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、そのヌクレオシド間骨格中にリン原子を有する。
代替えのヌクレオシド間連結には、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’-アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含むメチルおよび他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびに通常の3’-5’連結を有するボロノホスフェート、これらの2’-5’連結されたアナログ、ならびにヌクレオシド単位の隣接対が3’-5’から5’-3’にまたは2’-5’から5’-2’に連結された逆の極性を有するものが含まれる。種々の塩、混合塩および遊離酸形態もまた含まれる。
上記リン含有連結の調製を教示する代表的な米国特許には、その各々の全内容がこれにより参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,687,808号;同第4,469,863号;同第4,476,301号;同第5,023,243号;同第5,177,195号;同第5,188,897号;同第5,264,423号;同第5,276,019号;同第5,278,302号;同第5,286,717号;同第5,321,131号;同第5,399,676号;同第5,405,939号;同第5,453,496号;同第5,455,233号;同第5,466,677号;同第5,476,925号;同第5,519,126号;同第5,536,821号;同第5,541,316号;同第5,550,111号;同第5,563,253号;同第5,571,799号;同第5,587,361号;同第5,625,050号;同第6,028,188号;同第6,124,445号;同第6,160,109号;同第6,169,170号;同第6,172,209号;同第6,239,265号;同第6,277,603号;同第6,326,199号;同第6,346,614号;同第6,444,423号;同第6,531,590号;同第6,534,639号;同第6,608,035号;同第6,683,167号;同第6,858,715号;同第6,867,294号;同第6,878,805号;同第7,015,315号;同第7,041,816号;同第7,273,933号;同第7,321,029号;および米国再発行特許第39464号が含まれるがこれらに限定されない。
その中にリン原子を含まない代替えのヌクレオシド間連結は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、または1つもしくは複数の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間連結によって形成される骨格を有する。これらには、モルホリノ連結(ヌクレオシドの糖部分から一部形成される)を有するもの;シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格;ホルムアセチル(formacetyl)およびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格;スルホネートおよびスルホンアミド骨格;アミド骨格;ならびに混合N、O、SおよびCH2構成要素部分を有する他のものが含まれる。
上記オリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許には、その各々の全内容がこれにより参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,034,506号;同第5,166,315号;同第5,185,444号;同第5,214,134号;同第5,216,141号;同第5,235,033号;同第5,64,562号;同第5,264,564号;同第5,405,938号;同第5,434,257号;同第5,466,677号;同第5,470,967号;同第5,489,677号;同第5,541,307号;同第5,561,225号;同第5,596,086号;同第5,602,240号;同第5,608,046号;同第5,610,289号;同第5,618,704号;同第5,623,070号;同第5,663,312号;同第5,633,360号;同第5,677,437号;および同第5,677,439号が含まれるがこれらに限定されない。
他の態様では、適切なオリゴヌクレオチドには、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオシド間連結の両方、即ち骨格が置きかえられたオリゴヌクレオチドが含まれる。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。1つのかかるオリゴマー化合物である、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されている模倣物は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物では、ヌクレオシドの糖は、アミド含有骨格、特に、アミノエチルグリシン骨格で置き換えられる。核酸塩基は保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接的にまたは間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許には、その各々の全内容がこれにより参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,539,082号;同第5,714,331号;および同第5,719,262号が含まれるがこれらに限定されない。オリゴヌクレオチドでの使用に適切なさらなるPNA化合物は、例えば、Nielsen et al., Science, 1991, 254, 1497-1500に記載されている。
一部の態様は、ホスホロチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチド、ならびにヘテロ原子骨格、特に、上で言及した米国特許第5,489,677号の-CH2-NH-CH2-、-CH2-N(CH3)-O-CH2-[メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格としても公知]、-CH2-O-N(CH3)-CH2-、-CH2-N(CH3)-N(CH3)-CH2-および-N(CH3)-CH2-CH2-[ここで、ネイティブホスホジエステル骨格は、-O-P-O-CH2-として示される]ならびに上で言及した米国特許第5,602,240号のアミド骨格を有するオリゴヌクレオチドを含む。一部の態様では、本明細書で特色とされるオリゴヌクレオチドは、上で言及した米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有する。他の態様では、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドには、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)が含まれ、ここで、Summerton, et al., Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 1997, 7:63-70に記載されるように、デオキシリボース部分は、モルホリン環によって置き換えられ、荷電したホスホジエステルサブユニット間連結は、非荷電のホスホロジアミデート(phophorodiamidate)連結によって置き換えられる。
代替えのヌクレオシドおよびヌクレオチドは、1つまたは複数の置換された糖部分を含み得る。オリゴヌクレオチド、例えば、本明細書で特色とされるオリゴヌクレオチドは、2’位において、以下のうち1つを含み得る:OH;F;O-、S-もしくはN-アルキル;O-、S-もしくはN-アルケニル;O-、S-もしくはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキル、式中、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換または未置換のC1~C10アルキルまたはC2~C10アルケニルおよびアルキニルであり得る。例示的な適切な改変には、-O[(CH2)nO]mCH3、-O(CH2)nOCH3、-O(CH2)n-NH2、-O(CH2)nCH3、-O(CH2)n-ONH2および-O(CH2)n-ON[(CH2)nCH3]2が含まれ、式中、nおよびmは、1~約10である。他の態様では、オリゴヌクレオチドは、2’位において、以下のうち1つを含む:C1~C10低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリルもしくはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換されたシリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、および類似の特性を有する他の置換基。一部の態様では、改変には、2’-メトキシエトキシ(2’-O-(2-メトキシエチル)または2’-MOEとしても公知の2’-O-CH2CH2OCH3)(Martin et al., Helv. Chin. Acta, 1995, 78:486-504)、即ち、アルコキシ-アルコキシ基が含まれる。MOEヌクレオシドは、未改変のオリゴヌクレオチドと比較して、増加したヌクレアーゼ耐性、改善された薬物動態学特性、低減された非特異的タンパク質結合、低減された毒性、低減された免疫刺激特性および増強された標的親和性が含まれるがこれらに限定されないいくつかの有益な特性を、オリゴヌクレオチドに付与する。
別の例示的な代替物は、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、即ち、本明細書の以下の実施例に記載される、2’-DMAOEとしても公知の-O(CH2)2ON(CH3)2基、および2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該分野で2’-O-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’-DMAEOEとしても公知)、即ち、2’-O-(CH2)2-O-(CH2)2-N(CH3)2を含む。さらなる例示的な代替物には、5’-Me-2’-Fヌクレオチド、5’-Me-2’-OMeヌクレオチド、5’-Me-2’-デオキシヌクレオチド(これら3つのファミリー中のR異性体およびS異性体の両方);2’-アルコキシアルキル;および2’-NMA(N-メチルアセトアミド)が含まれる。
他の代替物には、2’-メトキシ(2’-OCH3)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCH2CH2CH2NH2)および2’-フルオロ(2’-F)が含まれる。類似の改変は、オリゴヌクレオチドのヌクレオシドおよびヌクレオチド上の他の位置、特に、3’末端ヌクレオチド上または2’-5’連結されたオリゴヌクレオチド中の糖の3’位、および5’末端ヌクレオチドの5’位においてなされ得る。オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の代わりに、シクロブチル部分などの糖模倣物を有し得る。かかる改変された糖構造の調製を教示する代表的な米国特許には、米国特許第4,981,957号;同第5,118,800号;同第5,319,080号;同第5,359,044号;同第5,393,878号;同第5,446,137号;同第5,466,786号;同第5,514,785号;同第5,519,134号;同第5,567,811号;同第5,576,427号;同第5,591,722号;同第5,597,909号;同第5,610,300号;同第5,627,053号;同第5,639,873号;同第5,646,265号;同第5,658,873号;同第5,670,633号;および同第5,700,920号が含まれるがこれらに限定されず、これらのうち特定のものは、本出願と共有に係る。上述の各々の全内容は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。
オリゴヌクレオチドは、核酸塩基(当該分野では単に「塩基」と称されることが多い)代替物(例えば、改変または置換)を含み得る。未改変または天然の核酸塩基には、プリン塩基アデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)が含まれる。代替えの核酸塩基には、他の合成および天然核酸塩基、例えば、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-ホルミルシチジン、5-カルボキシシチジン、ピロロシチジン、ジデオキシシチジン、ウリジン、5-メトキシウリジン、5-ヒドロキシデオキシウリジン、ジヒドロウリジン、4-チオウリジン(thiourdine)、プソイドウリジン、1-メチル-プソイドウリジン、デオキシウリジン、5-ヒドロキシブチル(hydroxybutynl)-2’-デオキシウリジン、キサンチン、ヒポキサンチン、7-デアザ-キサンチン、チエノグアニン、8-アザ-7-デアザグアノシン、7-メチルグアノシン、7-デアザグアノシン、6-アミノメチル-7-デアザグアノシン、8-アミノグアニン、2,2,7-トリメチルグアノシン、8-メチルアデニン、8-アジドアデニン、7-メチルアデニン、7-デアザアデニン、3-デアザアデニン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノプリン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、8-アミノ-アデニン、チミン、ジデオキシチミン、5-ニトロインドール、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、2-チオウリジン、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルウリジンおよびシチジン、6-アゾウリジン、シチジンおよびチミン、4-チオウリジン、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよび他の8-置換されたアデニンおよびグアニン、5-ハロ、特に、5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換されたウリジンおよびシチジン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、ならびに3-デアザグアニンが含まれる。さらなる核酸塩基には、米国特許第3,687,808号に開示されるもの、Modified Nucleosides in Biochemistry, Biotechnology and Medicine, Herdewijn, P. ed. Wiley-VCH, 2008に開示されるもの;The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, pages 858-859, Kroschwitz, J. L, ed. John Wiley & Sons, 1990に開示されるもの、Englisch et al., (1991) Angewandte Chemie, International Edition, 30:613によって開示されるものおよびSanghvi, Y S., Chapter 15, Antisense Research and Applications, pages 289-302, Crooke, S. T. and Lebleu, B., Ed., CRC Press, 1993によって開示されるものが含まれる。これらの核酸塩基の特定のものは、オリゴヌクレオチドの結合親和性を増加させるために特に有用である。これらには、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシンが含まれる、5-置換されたピリミジン、6-アザピリミジン、ならびにN-2、N-6および0-6置換されたプリンが含まれる。5-メチルシトシン置換は、核酸二重鎖安定性を0.6~1.2℃増加させることが示されており(Sanghvi, Y. S., Crooke, S. T. and Lebleu, B., Eds., Antisense Research and Applications, CRC Press, Boca Raton, 1993, pp. 276-278)、さらにいっそう特に、2’-O-メトキシエチル糖改変と組み合わせる場合には、例示的な塩基置換である。
上述の代替えの核酸塩基の特定のものならびに他の代替えの核酸塩基の調製を教示する代表的な米国特許には、その各々の全内容がこれにより参照により本明細書に組み込まれる、上述の米国特許第3,687,808号,同第4,845,205号;同第5,130,30号;同第5,134,066号;同第5,175,273号;同第5,367,066号;同第5,432,272号;同第5,457,187号;同第5,459,255号;同第5,484,908号;同第5,502,177号;同第5,525,711号;同第5,552,540号;同第5,587,469号;同第5,594,121号、同第5,596,091号;同第5,614,617号;同第5,681,941号;同第5,750,692号;同第6,015,886号;同第6,147,200号;同第6,166,197号;同第6,222,025号;同第6,235,887号;同第6,380,368号;同第6,528,640号;同第6,639,062号;同第6,617,438号;同第7,045,610号;同第7,427,672号;および同第7,495,088号が含まれるがこれらに限定されない。
他の態様では、ヌクレオチド中の糖部分は、2’-O-メチル、2’-O-MOE、2’-F、2’-アミノ、2’-O-プロピル、2’-アミノプロピルまたは2’-OH改変を必要に応じて有する、リボース分子であり得る。
オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の二環式糖部分を含み得る。「二環式糖」は、2つの原子の架橋によって改変されたフラノシル環である。「二環式ヌクレオシド」(「BNA」)は、糖環の2つの炭素原子を接続し、それによって、二環式環系を形成する架橋を含む糖部分を有するヌクレオシドである。一部の態様では、架橋は、糖環の4’-炭素および2’-炭素を接続する。したがって、一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のロックトヌクレオシドを含み得る。ロックトヌクレオシドは、リボース部分が2’および4’炭素を接続する余分の架橋を含む改変されたリボース部分を有するヌクレオシドである。言い換えると、ロックトヌクレオシドは、4’-CH2-O-2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオシドである。この構造は、3’末端の構造的コンフォメーション中のリボースを効率的に「ロックする」。オリゴヌクレオチドへのロックトヌクレオシドの付加は、血清中のオリゴヌクレオチド安定性を増加させること、およびオフターゲット効果を低減させることが示されている(Grunweller, A. et al., (2003) Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。ポリヌクレオチドにおける使用のための二環式ヌクレオシドの例には、4’リボシル環原子と2’リボシル環原子との間の架橋を含むヌクレオシドが含まれるがこれに限定されない。一部の態様では、ポリヌクレオチド薬剤は、4’から2’への架橋を含む1つまたは複数の二環式ヌクレオシドを含む。かかる4’から2’に架橋された二環式ヌクレオシドの例には、4’-(CH2)-O-2’(LNA);4’-(CH2)-S-2’;4’-(CH2)2-O-2’(ENA);4’-CH(CH3)-O-2’(「拘束エチル」または「cEt」とも称される)および4’-CH(CH2OCH3)-O-2’(およびそのアナログ;例えば、米国特許第7,399,845号を参照のこと);4’-C(CH3)(CH3)-O-2’(およびそのアナログ;例えば、米国特許第8,278,283号を参照のこと);4’-CH2-N(OCH3)-2’(およびそのアナログ;例えば、米国特許第8,278,425号を参照のこと);4’-CH2-O-N(CH3)2-2’(例えば、米国特許出願公開第2004/0171570号を参照のこと);4’-CH2-N(R)-O-2’、式中、Rは、H、C1~C12アルキルまたは保護基である(例えば、米国特許第7,427,672号を参照のこと);4’-CH2-C(H)(CH3)-2’(例えば、Chattopadhyaya et al., J. Org. Chem., 2009, 74, 118-134を参照のこと);および4’-CH2-C(=CH2)-2’(およびそのアナログ;例えば、米国特許第8,278,426号を参照のこと)が含まれるがこれらに限定されない。上述の各々の全内容は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。
ロックト核酸ヌクレオチドの調製を教示するさらなる代表的な米国特許および米国特許出願公開には、以下が含まれるがこれらに限定されない:その各々の全内容がこれにより参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,268,490号;同第6,525,191号;同第6,670,461号;同第6,770,748号;同第6,794,499号;同第6,998,484号;同第7,053,207号;同第7,034,133号;同第7,084,125号;同第7,399,845号;同第7,427,672号;同第7,569,686号;同第7,741,457号;同第8,022,193号;同第8,030,467号;同第8,278,425号;同第8,278,426号;同第8,278,283号;米国特許出願公開第2008/0039618号;および同第2009/0012281号。
例えば、α-L-リボフラノースおよびβ-D-リボフラノースを含む1つまたは複数の立体化学的糖立体配置を有する上述の二環式ヌクレオシドのいずれかが、調製され得る(WO99/14226を参照のこと)。
オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の拘束エチルヌクレオシドを含むように改変され得る。本明細書で使用される場合、「拘束エチルヌクレオシド」または「cEt」は、4’-CH(CH3)-O-2’架橋を含む二環式糖部分を含むロックトヌクレオシドである。一態様では、拘束エチルヌクレオシドは、本明細書で「S-cEt」と称されるSコンフォメーションにある。
オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の「コンフォメーション的に制限されたヌクレオシド」(「CRN」)を含み得る。CRNは、リボースのC2’およびC4’炭素またはリボースのC3および-C5’炭素を接続するリンカーを有するヌクレオシドアナログである。CRNは、リボース環を安定なコンフォメーションにロックし、mRNAに対するハイブリダイゼーション親和性を増加させる。リンカーは、安定性および親和性のための最適な位置に酸素を配置するのに十分な長さのものであり、より少ないリボース環パッカリングを生じる。
上述のCRNの特定のものの調製を教示する代表的な公報には、その各々の全内容がこれにより参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2013/0190383号;およびPCT出願公開WO2013/036868が含まれるがこれらに限定されない。
一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、UNA(アンロックトヌクレオシド)ヌクレオシドである1つまたは複数のモノマーを含む。UNAは、アンロックト非環式ヌクレオシドであり、ここで、糖の結合のうちいずれかが除去されており、アンロックト「糖」残基を形成する。一例では、UNAは、C1’-C4’間の結合(即ち、C1’炭素とC4’炭素との間の共有結合的炭素-酸素-炭素結合)が除去されたモノマーもまた包含する。別の例では、糖のC2’-C3’結合(即ち、C2’炭素とC3’炭素との間の共有結合的炭素-炭素結合)が除去されている(これにより参照により本明細書に組み込まれる、Nuc. Acids Symp. Series, 52, 133-134 (2008)およびFluiter et al., Mol. Biosyst., 2009, 10, 1039を参照のこと)。
UNAの調製を教示する代表的な米国公報には、その各々の全内容がこれにより参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,314,227号;ならびに米国特許出願公開第2013/0096289号;同第2013/0011922号;および同第2011/0313020号が含まれるがこれらに限定されない。
リボース分子は、トリシクロデオキシ核酸(トリシクロDNA)を産生するように、シクロプロパン環で改変され得る。リボース部分は、別の糖、例えば、1,5,-アンヒドロヘキシトール、トレオースヌクレオシド(TNA)を産生するためのトレオース、またはアラビノヌクレオシドを産生するためのアラビノースに置換され得る。リボース分子は、非糖で、例えば、シクロヘキセンヌクレオシドを産生するためにシクロヘキセンで、またはグリコールヌクレオシドを産生するためにグリコールで、置き換えられ得る。
ヌクレオシド分子の末端に対する潜在的に安定化性の改変には、N-(アセチルアミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-NHAc)、N-(カプロイル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6)、N-(アセチル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-NHAc)、チミジン-2’-O-デオキシチミジン(エーテル)、N-(アミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-アミノ)、2-ドコサノイル-ウリジン-3’’-リン酸、逆塩基dT(idT)などが含まれ得る。この改変の開示は、PCT出願公開番号WO2011/005861に見出すことができる。
オリゴヌクレオチドの他の代替物化学には、5’ホスフェートまたは5’ホスフェート模倣物、例えば、オリゴヌクレオチドの5’末端ホスフェートまたはホスフェート模倣物が含まれる。適切なホスフェート模倣物は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0157511号に開示されている。
例示的なオリゴヌクレオチドは、代替えの糖部分を有するヌクレオシドを含み、DNAまたはRNAヌクレオシドを含み得る。一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、代替えの糖部分を含むヌクレオシドおよびDNAヌクレオシドを含む。オリゴヌクレオチド中への代替えのヌクレオシドの取り込みは、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増強し得る。その場合、代替えのヌクレオシドは、親和性増強性代替えのヌクレオチドと称され得る。
一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの代替えのヌクレオシド、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15または少なくとも16個の代替えのヌクレオシドを含む。他の態様では、オリゴヌクレオチドは、1~10個の代替えのヌクレオシド、例えば、2~9個の代替えのヌクレオシド、例えば、3~8個の代替えのヌクレオシド、例えば、4~7個の代替えのヌクレオシド、例えば、6または7個の代替えのヌクレオシドを含む。ある態様では、オリゴヌクレオチドは、これら3つの型の代替物(代替えの糖部分、代替えの核酸塩基および代替えのヌクレオシド間連結)、またはそれらの組合せから独立して選択される代替物を含み得る。一態様では、オリゴヌクレオチドは、代替えの糖部分を含む1つまたは複数のヌクレオシド、例えば、2’糖代替えのヌクレオシドを含む。一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’-フルオロ-ANAおよびBNA(例えば、LNA)ヌクレオシドからなる群から独立して選択される1つまたは複数の2’糖代替えのヌクレオシドを含む。一部の態様では、1つまたは複数の代替えのヌクレオシドが、BNAである。
一部の態様では、代替えのヌクレオシドのうち少なくとも1つが、BNA(例えば、LNA)である、例えば、代替えのヌクレオシドのうち少なくとも2、例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7または少なくとも8つが、BNAである。なおさらなる態様では、全ての代替えのヌクレオシドが、BNAである。
さらなる態様では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの代替えのヌクレオシド間連結を含む。一部の態様では、連続するヌクレオチド配列内のヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエートまたはボロノホスフェートヌクレオシド間連結である。一部の態様では、オリゴヌクレオチドの連続する配列中の全てのヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結である。一部の態様では、ホスホロチオエート連結は、立体化学的に純粋なホスホロチオエート連結である。一部の態様では、ホスホロチオエート連結は、Spホスホロチオエート連結である。他の態様では、ホスホロチオエート連結は、Rpホスホロチオエート連結である。
一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、2’-MOE-RNAである少なくとも1つの代替えのヌクレオシド、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の2’-MOE-RNAヌクレオシド単位を含む。一部の態様では、2’-MOE-RNAヌクレオシド単位は、ホスホロチオエート連結によって接続される。一部の態様では、この代替えのヌクレオシドのうち少なくとも1つは、2’-フルオロDNA、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の2’-フルオロ-DNAヌクレオシド単位である。一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのBNA単位および少なくとも1つの2’置換された改変されたヌクレオシドを含む。一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、2’糖改変されたヌクレオシドおよびDNA単位の両方を含む。一部の態様では、オリゴヌクレオチドまたはその連続するヌクレオチド領域は、ギャップマーオリゴヌクレオチドである。
B.リガンドにコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド
オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みを増強する1つまたは複数のリガンド、部分またはコンジュゲートに化学的に連結され得る。かかる部分には、脂質部分、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al., (1989) Proc. Natl. Acid. Sci. USA, 86: 6553-6556)、コール酸(Manoharan et al., (1994) Biorg. Med. Chem. Let., 4:1053-1060)、チオエーテル、例えば、ベリル(beryl)-S-トリチルチオール(Manoharan et al., (1992) Ann. N.Y. Acad. Sci., 660:306-309;Manoharan et al., (1993) Biorg. Med. Chem. Let., 3:2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al., (1992) Nucl. Acids Res., 20:533-538)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオール(dodecandiol)もしくはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., (1991) EMBO J, 10:1111-1118;Kabanov et al., (1990) FEBS Lett., 259:327-330;Svinarchuk et al., (1993) Biochimie, 75:49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチル-アンモニウム 1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-ホスホネート(Manoharan et al., (1995) Tetrahedron Lett., 36:3651-3654;Shea et al., (1990) Nucl. Acids Res., 18:3777-3783)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., (1995) Nucleosides & Nucleotides, 14:969-973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., (1995) Tetrahedron Lett., 36:3651-3654)、パルミチル部分(Mishra et al., (1995) Biochim. Biophys. Acta, 1264:229-237)、あるいはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニルオキシコレステロール部分(Crooke et al., (1996) J. Pharmacol. Exp. Ther., 277:923-937)が含まれるがこれらに限定されない。
一態様では、リガンドは、取り込まれたオリゴヌクレオチド薬剤の分布、標的化または寿命を変更する。一部の態様では、リガンドは、例えば、かかるリガンドの非存在下での種と比較して、選択された標的、例えば、分子、細胞もしくは細胞型、区画、例えば、細胞もしくは臓器区画、組織、臓器または身体の領域に対する増強された親和性を提供する。
リガンドには、天然に存在する物質、例えば、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)またはグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミンまたはヒアルロン酸);または脂質が含まれ得る。リガンドは、組換えまたは合成分子、例えば、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸であり得る。ポリアミノ酸の例には、ポリリシン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸であるポリアミノ酸、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド(glycolied))コポリマー、ジビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマー、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸(ethylacryllic acid))、N-イソプロピルアクリルアミドポリマーまたはポリホスファジン(polyphosphazine)が含まれる。ポリアミンの例には、ポリエチレンイミン、ポリリシン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、プソイドペプチド-ポリアミン、ペプチド模倣性ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第4級塩、またはアルファらせんペプチドが含まれる。
リガンドは、例えば、細胞または組織標的化剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質またはタンパク質、例えば、腎臓細胞などの特定の細胞型に結合する抗体など、標的化基を含み得る。標的化基は、サイロトロピン、メラニン細胞刺激ホルモン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタントタンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン(gulucosamine) 多価マンノース、多価フコース、グリコシル化されたポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタメート、ポリアスパルテート、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、フォレート、ビタミンB12、ビタミンA、ビオチン、またはRGDペプチドもしくはRGDペプチド模倣物であり得る。
リガンドの他の例には、色素、インターカレート剤(例えば、アクリジン)、クロスリンカー(例えば、ソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン(texaphyrin)、サフィリン(Sapphyrin))、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸(cholenic acid)、ジメトキシトリチルまたはフェノキサジン)およびペプチドコンジュゲート(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換されたアルキル、放射能標識されたマーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進因子(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾールコンジュゲート、テトラアザ大員環のEu3+錯体)、ジニトロフェニル、HRPまたはAPが含まれる。
リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質またはペプチド、例えば、コリガンドに対する特異的親和性を有する分子、または抗体、例えば、肝細胞などの特定の細胞型に結合する抗体であり得る。リガンドには、ホルモンおよびホルモン受容体が含まれ得る。これらには、非ペプチド性の種、例えば、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン 多価マンノースまたは多価フコースが含まれ得る。
リガンドは、例えば、細胞の細胞骨格を破壊することによって、例えば、細胞の微小管、マイクロフィラメントおよび/または中間径フィラメントを破壊することによって、細胞中へのオリゴヌクレオチド薬剤の取り込みを増加させ得る、薬物などの物質であり得る。薬物は、例えば、タキサン(taxon)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャスプラキノリド(japlakinolide)、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン(indanocine)またはミオセルビン(myoservin)であり得る。
一部の態様では、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドに結合されたリガンドは、薬物動態学的モジュレーター(PKモジュレーター)として作用する。PKモジュレーターには、脂溶性薬、胆汁酸、ステロイド、リン脂質アナログ、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどが含まれる。例示的なPKモジュレーターには、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどが含まれるがこれらに限定されない。いくつかのホスホロチオエート連結を含むオリゴヌクレオチドもまた、血清タンパク質に結合することが公知であり、したがって、骨格中に複数のホスホロチオエート連結を含む短いオリゴヌクレオチド、例えば、約5塩基、10塩基、15塩基または20塩基のオリゴヌクレオチドもまた、リガンドとして(例えば、PKモジュレート性リガンドとして)適している。さらに、血清構成要素(例えば、血清タンパク質)に結合するアプタマーもまた、本明細書に記載される態様におけるPKモジュレート性リガンドとしての使用に適切である。
リガンド-コンジュゲートされたオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドへの連結分子の結合に由来するものなどの、ペンダント反応性官能性を保有するオリゴヌクレオチドの使用によって合成され得る(以下に記載される)。この反応性オリゴヌクレオチドは、市販のリガンド、種々の保護基のいずれかを保有する合成されたリガンド、または連結部分がそれに結合したリガンドと、直接的に反応され得る。
コンジュゲートにおいて使用されるオリゴヌクレオチドは、固相合成の周知の技術を介して簡便かつ慣用的に作製され得る。かかる合成のための装置は、例えば、Applied Biosystems(Foster City、Calif.)を含むいくつかの供給業者によって販売されている。当該分野で公知のかかる合成のための任意の他の手段が、さらにまたは代替えのに使用され得る。他のオリゴヌクレオチド、例えば、ホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体を調製するために類似の技術を使用することも公知である。
リガンド-コンジュゲートされたオリゴヌクレオチド、例えば、リガンド分子を保有する配列特異的な連結されたヌクレオシドでは、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオシドは、標準的なヌクレオチドもしくはヌクレオシド前駆体、または連結部分を既に保有しているヌクレオチドもしくはヌクレオシドコンジュゲート前駆体、リガンド分子を既に保有しているリガンド-ヌクレオチドもしくはヌクレオシド-コンジュゲート前駆体、または非ヌクレオシドリガンド保有構成単位を利用して、適切なDNA合成機上でアセンブルされ得る。
連結部分を既に保有しているコンジュゲート前駆体を使用する場合、配列特異的な連結されたヌクレオシドの合成が、典型的には完了され、次いで、リガンド分子が、リガンド-コンジュゲートされたオリゴヌクレオチドを形成するために、連結部分と反応される。一部の態様では、オリゴヌクレオチドまたは連結されたヌクレオシドは、市販のおよびオリゴヌクレオチド合成において慣用的に使用される標準的なホスホラミダイトおよび非標準的なホスホラミダイトに加えて、リガンド-ヌクレオシドコンジュゲートに由来するホスホラミダイトを使用して、自動化合成機によって合成される。
i.脂質コンジュゲート
一態様では、リガンドまたはコンジュゲートは、脂質または脂質に基づく分子である。かかる脂質または脂質に基づく分子は、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合することができる。HSA結合リガンドは、標的組織、例えば、身体の非腎臓標的組織へのコンジュゲートの分布を可能にする。脂質または脂質に基づくリガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する耐性を増加させることができる、(b)標的細胞もしくは細胞膜中への標的化もしくは輸送を増加させることができる、および/または(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合を調整するために使用することができる。
別の態様では、リガンドは、標的細胞、例えば、増殖中の細胞によって取り込まれる部分、例えば、ビタミンである。例示的なビタミンには、ビタミンA、EおよびKが含まれる。
ii.細胞浸透剤
別の態様では、リガンドは、細胞浸透剤、例えば、らせん細胞浸透剤である。一態様では、薬剤は、両親媒性である。例示的な薬剤は、ペプチド、例えば、tatまたはアンテナペディア(antennopedia)である。薬剤がペプチドである場合、これは、ペプチジル模倣物、インバートマー(invertomer)、非ペプチドまたはプソイド-ペプチド連結、およびD-アミノ酸の使用を含め、改変され得る。一態様では、らせん薬剤は、親油性相および疎油性相を有し得るアルファ-らせん薬剤である。
リガンドは、ペプチドまたはペプチド模倣薬であり得る。ペプチド模倣薬(本明細書でオリゴペプチド模倣薬とも称される)は、天然ペプチドと類似の規定された三次元構造へとフォールディングすることが可能な分子である。オリゴヌクレオチド薬剤へのペプチドおよびペプチド模倣薬の結合は、例えば、細胞認識および吸収を増強することによって、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的分布に影響を与え得る。ペプチドまたはペプチド模倣薬部分は、約5~50アミノ酸長、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50アミノ酸長であり得る。
ペプチドまたはペプチド模倣薬は、例えば、細胞浸透ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチドまたは疎水性ペプチド(例えば、Tyr、TrpまたはPheから主になる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、拘束されたペプチドまたは架橋ペプチドであり得る。別の代替法では、ペプチド部分は、疎水性膜輸送配列(MTS)を含み得る。例示的な疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAPを有するRFGFである。疎水性MTSを含むRFGFアナログ(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP)は、標的化部分であり得る。ペプチド部分は、細胞膜を横断して、ペプチド、オリゴヌクレオチドおよびタンパク質が含まれる大きい極性分子を運搬することができる、「送達」ペプチドであり得る。例えば、HIV Tatタンパク質由来の配列(GRKKRRQRRRPPQ)およびDrosophilaアンテナペディアタンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK)は、送達ペプチドとして機能することが可能であることが見出されている。ペプチドまたはペプチド模倣薬は、ファージディスプレイライブラリー、または1ビーズ1化合物(OBOC)コンビナトリアルライブラリーから識別されたペプチドなど、DNAのランダム配列によってコードされ得る(Lam et al., Nature, 354:82-84, 1991)。細胞標的化目的のために、取り込まれたモノマー単位を介してオリゴヌクレオチド薬剤にテザーされたペプチドまたはペプチド模倣薬の例は、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)ペプチドまたはRGD模倣物である。ペプチド部分は、長さが約5アミノ酸~約40アミノ酸の範囲であり得る。ペプチド部分は、例えば、安定性を増加させるためまたはコンフォメーション特性を方向付けるための、構造的改変を有し得る。以下に記載される構造的改変のいずれかが利用され得る。
組成物および方法における使用のためのRGDペプチドは、直鎖または環式であり得、特定の組織(単数または複数)への標的化を促進するために、改変、例えば、グリコシル化またはメチル化され得る。RGD含有ペプチドおよびペプチド模倣薬には、D-アミノ酸、ならびに合成RGD模倣物が含まれ得る。RGDに加えて、インテグリンリガンドを標的化する他の部分を使用することができる。このリガンドの一部のコンジュゲートは、PECAM-1またはVEGFを標的化する。
細胞浸透ペプチドは、細胞、例えば、微生物細胞、例えば、細菌もしくは真菌細胞、または哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞に浸透することが可能である。微生物細胞浸透性のペプチドは、例えば、α-らせん直鎖ペプチド(例えば、LL-37またはCeropin P1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α-デフェンシン、β-デフェンシンまたはバクテネシン(bactenecin))、または1種もしくは2種のみの支配的アミノ酸を含むペプチド(例えば、PR-39またはインドリシジン)であり得る。細胞浸透ペプチドは、核局在化シグナル(NLS)を含み得る。例えば、細胞浸透ペプチドは、二分両親媒性ペプチド、例えば、HIV-1 gp41の融合ペプチドドメインに由来するMPG、およびSV40ラージT抗原のNLSであり得る(Simeoni et al., Nucl. Acids Res. 31:2717-2724, 2003)。
iii.炭水化物コンジュゲート
本明細書に記載される組成物および方法の一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、炭水化物をさらに含む。炭水化物コンジュゲートされたオリゴヌクレオチドは、本明細書に記載される、核酸のin vivo送達、ならびにin vivoの治療的使用に適切な組成物にとって有利である。本明細書で使用される場合、「炭水化物」は、各炭素原子に酸素、窒素もしくは硫黄原子が結合した少なくとも6つの炭素原子を有する1つもしくは複数の単糖単位からそれ自体構成される炭水化物(直鎖、分岐鎖または環式であり得る)である化合物;または各炭素原子に酸素、窒素もしくは硫黄原子が結合した少なくとも6つの炭素原子を各々が有する1つもしくは複数の単糖単位から構成される炭水化物部分(直鎖、分岐鎖または環式であり得る)をその一部分として有する化合物を指す。代表的な炭水化物には、糖(単糖、二糖、三糖、および約4、5、6、7、8または9つの単糖単位を含むオリゴ糖)、ならびに多糖、例えば、デンプン、グリコーゲン、セルロースおよび多糖ガムが含まれる。特定の単糖には、C5およびそれを超える(例えば、C5、C6、C7またはC8)糖が含まれる;二糖および三糖には、2つまたは3つの単糖単位(例えば、C5、C6、C7またはC8)を有する糖が含まれる。
一態様では、本明細書に記載される組成物および方法における使用のための炭水化物コンジュゲートは、単糖である。
一部の態様では、炭水化物コンジュゲートは、例えば、PKモジュレーターおよび/または細胞浸透ペプチドであるがこれらに限定されない、上記のような1つまたは複数のさらなるリガンドをさらに含む。
使用に適切なさらなる炭水化物コンジュゲート(およびリンカー)には、その各々の全内容が参照により本明細書に組み込まれるPCT出願公開番号WO2014/179620およびWO2014/179627に記載されるものが含まれる。
iv.リンカー
一部の態様では、本明細書に記載されるコンジュゲートまたはリガンドは、切断可能または切断不能であり得る種々のリンカーを用いて、オリゴヌクレオチドに結合され得る。
リンカーは、典型的には、直接的結合または原子、例えば、酸素もしくは硫黄、単位、例えば、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO2、SO2NH、あるいは、例えば、置換もしくは未置換のアルキル、置換もしくは未置換のアルケニル、置換または未置換のアルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル(alkylhererocyclylalkynyl)、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリール(alkynylhereroaryl)であるがこれらに限定されない原子の鎖を含み、ここで、1つまたは複数のメチレンは、O、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のヘテロアリール、置換もしくは未置換の複素環式によって割り込まれ得、またはそれによって終結され得る;式中、R8は、水素、アシル、脂肪族または置換された脂肪族である。一態様では、リンカーは、約1~24、2~24、3~24、4~24、5~24、6~24、6~18、7~18、8~18、7~17、8~17、6~16、7~17、8~16個の間の原子、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、21、22、23もしくは24個の原子である。
切断可能な連結基は、細胞の外側で十分に安定であるが、標的細胞中への進入の際に切断されて、リンカーが一緒に保持している2つの部分を放出する基である。一部の態様では、切断可能な連結基は、対象の血液中または第2の参照条件(これは、例えば、血液または血清中に見出される条件を模倣または代表するように選択され得る)下よりも、標的細胞中または第1の参照条件(これは、例えば、細胞内条件を模倣または代表するように選択され得る)下で、少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍もしくはそれよりも速く、または少なくとも約100倍速く切断される。
切断可能な連結基は、切断剤、例えば、pH、酸化還元電位、または分解性分子の存在に対して感受性である。一般に、切断剤は、血清または血液中よりも、細胞の内側で、より普及している、またはより高いレベルもしくは活性で見出される。かかる分解性薬剤の例には、以下が含まれる:例えば、還元によって酸化還元切断可能な連結基を分解することができる、細胞中に存在する酸化もしくは還元酵素または還元剤、例えば、メルカプタンが含まれる、特定の基質に対して選択的であるまたは基質特異性を有さない酸化還元剤;エステラーゼ;エンドソーム、または酸性環境を創出し得る薬剤、例えば、5またはそれ未満のpHを生じるもの;一般酸として作用することによって、酸切断可能な連結基を加水分解または分解することができる酵素、ペプチダーゼ(これは、基質特異的であり得る)およびホスファターゼ。
切断可能な連結基、例えば、ジスルフィド結合は、pHに対して感受性であり得る。ヒト血清のpHは7.4であるが、平均細胞内pHはわずかに低く、約7.1~7.3の範囲である。エンドソームは、5.5~6.0の範囲の、より酸性のpHを有し、リソソームは、おおよそ5.0の、さらにいっそう酸性のpHを有する。一部のリンカーは、好ましいpHで切断される切断可能な連結基を有し、それによって、細胞の内側のリガンドから、または細胞の所望の区画中に、カチオン性脂質を放出する。
リンカーは、特定の酵素によって切断可能な切断可能な連結基を含み得る。リンカー中に取り込まれる切断可能な連結基の型は、標的化される細胞に依存し得る。例えば、肝臓標的化リガンドは、エステル基を含むリンカーを介してカチオン性脂質に連結され得る。肝臓細胞は、エステラーゼに富んでおり、したがって、リンカーは、エステラーゼに富んでいない細胞型中よりも、肝臓細胞中で、より効率的に切断される。エステラーゼに富んだ他の細胞型には、肺、腎皮質および精巣の細胞が含まれる。
ペプチド結合を含むリンカーは、ペプチダーゼに富んだ細胞型、例えば、肝臓細胞および滑膜細胞を標的化する場合に使用され得る。
一般に、候補の切断可能な連結基の適切性は、候補連結基を切断する分解性薬剤(または条件)の能力を試験することによって評価され得る。血液中でのまたは他の非標的組織と接触した場合の切断に抵抗する能力について、候補の切断可能な連結基を試験することが望ましいこともある。したがって、少なくとも2つの条件間で切断に対する相対的感受性を決定することができ、ここで、少なくとも1つの条件は、標的細胞における切断を示すように選択され、別の条件は、他の組織または生物学的流体、例えば、血液もしくは血清における切断を示すように選択される。評価は、無細胞系中、細胞中、細胞培養物中、臓器もしくは組織培養物中、または動物全体中で実施され得る。無細胞または培養条件で初期評価を行い、動物全体中でさらなる評価によって確認することが、有用であり得る。一部の態様では、有用な候補化合物は、血液もしくは血清(または細胞外条件を模倣するように選択されたin vitro条件下)と比較して、細胞中で(または細胞内条件を模倣するように選択されたin vitro条件下で)少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100倍速く切断される。
a.酸化還元切断可能な連結基
一態様では、切断可能な連結基は、還元または酸化の際に切断される、酸化還元切断可能な連結基である。還元的に切断可能な連結基の例は、ジスルフィド連結基(-S-S-)である。候補の切断可能な連結基が適切な「還元的に切断可能な連結基」であるかどうか、または例えば、特定のオリゴヌクレオチド部分および特定の標的化剤との使用に適切かどうかを決定するために、本明細書に記載される方法に注目することができる。例えば、候補は、細胞、例えば、標的細胞において観察される切断の速度を模倣する、当該分野で公知の試薬を使用した、ジチオスレイトール(DTT)または他の還元剤とのインキュベーションによって評価され得る。候補は、血液または血清条件を模倣するように選択された条件下で評価され得る。一態様では、候補化合物は、血液中で多くても約10%切断される。他の態様では、有用な候補化合物は、血液(または細胞外条件を模倣するように選択されたin vitro条件下)と比較して、細胞中で(または細胞内条件を模倣するように選択されたin vitro条件下で)少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100倍速く分解される。候補化合物の切断の速度は、細胞内媒体を模倣するように選択された条件下で、細胞外媒体を模倣するように選択された条件と比較して、標準的な酵素速度論アッセイを使用して決定され得る。
b.ホスフェートに基づく切断可能な連結基
別の態様では、切断可能なリンカーは、ホスフェートに基づく切断可能な連結基を含む。ホスフェートに基づく切断可能な連結基は、ホスフェート基を分解または加水分解する薬剤によって切断される。細胞中のホスフェート基を切断する薬剤の例は、細胞中のホスファターゼなどの酵素である。ホスフェートに基づく連結基の例は、-O-P(O)(ORk)-O-、-O-P(S)(ORk)-O-、-O-P(S)(SRk)-O-、-S-P(O)(ORk)-O-、-O-P(O)(ORk)-S-、-S-P(O)(ORk)-S-、-O-P(S)(ORk)-S-、-S-P(S)(ORk)-O-、-O-P(O)(Rk)-O-、-O-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-O-、-S-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-S-、-O-P(S)(Rk)-S-である。これらの候補は、上記の方法と類似の方法を使用して評価され得る。
c.酸切断可能な連結基
別の態様では、切断可能なリンカーは、酸切断可能な連結基を含む。酸切断可能な連結基は、酸性条件下で切断される連結基である。一部の態様では、酸切断可能な連結基は、約6.5もしくはそれよりも低い(例えば、約6.0、5.75、5.5、5.25、5.0もしくはそれよりも低い)pHを有する酸性環境中で、または一般酸として作用し得る酵素などの薬剤によって、切断される。細胞中では、特定の低pHオルガネラ、例えば、エンドソームおよびリソソームが、酸切断可能な連結基に切断環境を提供し得る。酸切断可能な連結基の例には、ヒドラゾン、エステル、およびアミノ酸のエステルが含まれるがこれらに限定されない。酸切断可能な基は、一般式-C=NN-、C(O)Oまたは-OC(O)を有し得る。一態様では、炭素は、エステル(アルコキシ基)の酸素、アリール基、置換されたアルキル基または三級アルキル基、例えば、ジメチルペンチルもしくはt-ブチルに結合される。これらの候補は、上記の方法と類似の方法を使用して評価され得る。
d.エステルに基づく連結基
別の態様では、切断可能なリンカーは、エステルに基づく切断可能な連結基を含む。エステルに基づく切断可能な連結基は、細胞中のエステラーゼおよびアミダーゼなどの酵素によって切断される。エステルに基づく切断可能な連結基の例には、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基のエステルが含まれるがこれらに限定されない。切断可能なエステル連結基は、一般式-C(O)O-または-OC(O)-を有する。これらの候補は、上記の方法と類似の方法を使用して評価され得る。
e.ペプチドに基づく切断基
さらに別の態様では、切断可能なリンカーは、ペプチドに基づく切断可能な連結基を含む。ペプチドに基づく切断可能な連結基は、細胞中のペプチダーゼおよびプロテアーゼなどの酵素によって切断される。ペプチドに基づく切断可能な連結基は、アミノ酸間に形成されてオリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)およびポリペプチドを生じるペプチド結合である。ペプチドに基づく切断可能な基は、アミド基(-C(O)NH-)を含まない。アミド基は、任意のアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン(alkynelene)の間に形成され得る。ペプチド結合は、アミノ酸間に形成されてペプチドおよびタンパク質を生じる特別な型のアミド結合である。ペプチドに基づく切断基は、一般に、アミノ酸間に形成されてペプチドおよびタンパク質を生じるペプチド結合(即ち、アミド結合)に限定され、アミド官能基全体を含むわけではない。ペプチドに基づく切断可能な連結基は、一般式-NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)-を有し、式中、RAおよびRBは、2つの隣接するアミノ酸のR基である。これらの候補は、上記の方法と類似の方法を使用して評価され得る。
一態様では、オリゴヌクレオチドは、リンカーを介して炭水化物にコンジュゲートされる。リンカーには、二価および三価の分岐鎖リンカー基が含まれる。オリゴヌクレオチド炭水化物コンジュゲートのためのリンカーには、PCT出願公開番号WO2018/195165の式24~35に記載されるものが含まれるがこれらに限定されない。
オリゴヌクレオチドコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許には、その各々の全内容がこれにより参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,828,979号;同第4,948,882号;同第5,218,105号;同第5,525,465号;同第5,541,313号;同第5,545,730号;同第5,552,538号;同第5,578,717号、同第5,580,731号;同第5,591,584号;同第5,109,124号;同第5,118,802号;同第5,138,045号;同第5,414,077号;同第5,486,603号;同第5,512,439号;同第5,578,718号;同第5,608,046号;同第4,587,044号;同第4,605,735号;同第4,667,025号;同第4,762,779号;同第4,789,737号;同第4,824,941号;同第4,835,263号;同第4,876,335号;同第4,904,582号;同第4,958,013号;同第5,082,830号;同第5,112,963号;同第5,214,136号;同第5,082,830号;同第5,112,963号;同第5,214,136号;同第5,245,022号;同第5,254,469号;同第5,258,506号;同第5,262,536号;同第5,272,250号;同第5,292,873号;同第5,317,098号;同第5,371,241号、同第5,391,723号;同第5,416,203号、同第5,451,463号;同第5,510,475号;同第5,512,667号;同第5,514,785号;同第5,565,552号;同第5,567,810号;同第5,574,142号;同第5,585,481号;同第5,587,371号;同第5,595,726号;同第5,597,696号;同第5,599,923号;同第5,599,928および同第5,688,941号;同第6,294,664号;同第6,320,017号;同第6,576,752号;同第6,783,931号;同第6,900,297号;同第7,037,646号;同第8,106,022号が含まれるがこれらに限定されない。
所与の化合物中の全ての位置が均一に改変される必要はなく、実際、上述の改変のうち1つよりも多くが、単一の化合物中に、またはさらにはオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドにおいて、取り込まれ得る。キメラ化合物であるオリゴヌクレオチド化合物もまた企図される。キメラオリゴヌクレオチドは、典型的には、オリゴヌクレオチドに、ヌクレアーゼ分解に対する増加した耐性、増加した細胞取り込み、および/または標的核酸に対する増加した結合親和性を付与するようにRNAが改変された、少なくとも1つの領域を含む。オリゴヌクレオチドのさらなる領域は、RNA:DNAを切断することが可能な酵素の基質として機能し得る。例として、RNase Hは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。したがって、RNase Hの活性化は、RNA標的の切断を生じ、それによって、遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害の効率を大いに増強する。結果として、比較可能な結果が、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドと比較して、キメラオリゴヌクレオチドが使用される場合、より短いオリゴヌクレオチドによって得られ得る場合が多い。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動、および必要に応じて、当該分野で公知の関連の核酸ハイブリダイゼーション技術によって、慣用的に検出され得る。
ある特定の場合には、オリゴヌクレオチドのヌクレオチドは、非リガンド基によって改変され得る。いくつかの非リガンド分子は、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みを増強するためにオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされており、かかるコンジュゲーションを実施するための手順は、科学文献において入手可能である。かかる非リガンド部分には、脂質部分、例えば、コレステロール(Kubo, T. et al., Biochem. Biophys. Res. Comm, 2007, 365(1):54-61;Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86:6553)、コール酸(Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1994, 4:1053)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660:306;Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Let., 1993, 3:2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20:533)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., EMBO J., 1991, 10:111;Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259:327;Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75:49)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム 1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651;Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18:3777)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14:969)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651)、パルミチル部分(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264:229)、あるいはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277:923)が含まれている。かかるオリゴヌクレオチドコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許は、上に列挙されている。典型的なコンジュゲーションプロトコールには、配列の1つまたは複数の位置においてアミノリンカーを保有するオリゴヌクレオチドの合成が関与する。次いで、アミノ基が、適切なカップリング試薬または活性化試薬を使用して、コンジュゲートされている分子と反応される。コンジュゲーション反応は、固体支持体になおも結合したオリゴヌクレオチドを用いて、または溶液相中でオリゴヌクレオチドの切断後に、実施され得る。HPLCによるオリゴヌクレオチドコンジュゲートの精製は、典型的には、純粋なコンジュゲートを生じる。
IV.医薬的使用
本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド組成物は、本明細書に記載される方法において有用であり、理論に束縛されないが、例えば、哺乳動物中の細胞におけるMSH3タンパク質の活性またはレベルを阻害することによって、MSH3を含むMutSβヘテロダイマーのレベル、状態および/または活性をモジュレートするそれらの能力を介して、それらの望ましい効果を発揮すると考えられる。
ある態様は、DNAミスマッチ修復に関連する障害、例えば、トリヌクレオチドリピート伸長障害の処置を必要とする対象においてDNAミスマッチ修復に関連する障害、例えば、トリヌクレオチドリピート伸長障害を処置する方法に関する。別の態様は、トリヌクレオチドリピート伸長障害を有すると識別された対象の細胞においてMSH3のレベルを減少させることを含む。なお別の態様は、対象中の細胞においてMSH3の発現を阻害する方法を含む。さらなる態様は、細胞においてトリヌクレオチドリピート伸長を減少させる方法を含む。これらの方法は、細胞を、細胞においてMSH3の発現を阻害するのに有効な量のオリゴヌクレオチドと接触させ、それによって、細胞においてMSH3の発現を阻害するステップを含む。
上記方法に基づいて、治療における使用のため、または医薬としての使用のため、またはDNAミスマッチ修復に関連する障害、例えば、リピート伸長障害の処置を必要とする対象においてDNAミスマッチ修復に関連する障害、例えばリピート伸長障害を処置する際の使用のため、またはトリヌクレオチドリピート伸長障害を有すると識別された対象の細胞においてMSH3のレベルを低減させる際の使用のため、または対象中の細胞においてMSH3の発現を阻害する際の使用のため、または細胞においてトリヌクレオチドリピート伸長を減少させる際の使用のための、オリゴヌクレオチド、またはかかるオリゴヌクレオチドを含む組成物が、企図される。これらの使用は、細胞を、細胞においてMSH3の発現を阻害するのに有効な量のオリゴヌクレオチドと接触させ、それによって、細胞においてMSH3の発現を阻害するステップを含む。本明細書に記載される方法に関連して、以下に記載される態様は、これらのさらなる態様にも適用可能である。
細胞をオリゴヌクレオチドと接触させることは、in vitroまたはin vivoで実施され得る。細胞をin vivoでオリゴヌクレオチドと接触させることは、対象、例えば、ヒト対象内の細胞または細胞の群を、オリゴヌクレオチドと接触させることを含む。細胞を接触させるin vitro方法およびin vivo方法の組合せもまた可能である。細胞を接触させることは、上で議論したように、直接的または間接的であり得る。さらに、細胞を接触させることは、本明細書に記載されるまたは当該分野で公知の任意のリガンドを含む標的化リガンドを介して達成され得る。一部の態様では、標的化リガンドは、炭水化物部分、例えば、GalNAc3リガンド、または目的の部位にオリゴヌクレオチドを方向付ける任意の他のリガンドである。細胞には、中枢神経系の細胞または筋肉細胞が含まれ得る。
MSH3遺伝子の発現を阻害することは、MSH3遺伝子の任意のレベルの阻害、例えば、MSH3遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制、例えば、少なくとも約20%の阻害を含む。一部の態様では、阻害は、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の阻害である。
MSH3遺伝子の発現は、MSH3遺伝子発現に関連する任意の変数のレベル、例えば、MSH3 mRNAレベルまたはMSH3タンパク質レベルに基づいて評価され得る。
阻害は、対照レベルと比較した、これらの変数のうち1つまたは複数の絶対的または相対的レベルにおける減少によって評価され得る。対照レベルは、当該分野で利用される任意の型の対照レベル、例えば、投薬前のベースラインレベル、または未処置のもしくは対照(例えば、例えば、緩衝剤のみの対照または不活性薬剤対照)で処置された類似の対象、細胞もしくは試料から決定されたレベルであり得る。
一部の態様では、代用マーカーが、MSH3の阻害を検出するために使用され得る。例えば、許容される診断基準およびモニタリング基準によって実証されるように、MSH3発現を低減させる薬剤によるトリヌクレオチドリピート伸長障害の有効な処置は、MSH3における臨床的に適切な低減を実証すると理解され得る。
方法の一部の態様では、MSH3遺伝子の発現は、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%もしくは95%、またはアッセイの検出のレベルを下回るまで、阻害される。一部の態様では、方法は、例えば、MSH3の発現を低減させる薬剤による対象の処置後の臨床的に適切な転帰によって実証されるような、MSH3の発現の臨床的に適切な阻害を含む。
MSH3遺伝子の発現の阻害は、第1の細胞または細胞の群と実質的に同一であるが、そのように処置されていない第2の細胞または細胞の群(オリゴヌクレオチドで処置されていないまたは目的の遺伝子に標的化されたオリゴヌクレオチドで処置されていない対照細胞)と比較してMSH3遺伝子の発現が阻害されるような、MSH3遺伝子がその中で転写される、(例えば、細胞をオリゴヌクレオチドと接触させることによって、または細胞が存在しているもしくは存在していた対象にオリゴヌクレオチドを投与することによって)処置された第1の細胞または細胞の群(かかる細胞は、例えば、対象に由来する試料中に存在し得る)によって発現されるmRNAの量の低減によって明示され得る。阻害の程度は、以下に関して表現され得る:
他の態様では、MSH3遺伝子の発現の阻害は、MSH3遺伝子発現に機能的に関連付けられたパラメーター、例えば、MSH3タンパク質発現またはMSH3シグナル伝達経路の低減に関して評価され得る。MSH3遺伝子のサイレンシングは、内因性のMSH3または発現構築物からの異種のMSH3を発現する任意の細胞において、当該分野で公知の任意のアッセイによって決定され得る。
MSH3タンパク質の発現の阻害は、細胞または細胞の群によって発現されるMSH3タンパク質のレベル(例えば、対象に由来する試料において発現されるタンパク質のレベル)における低減によって明示され得る。上で説明したように、mRNA抑制の評価について、処置された細胞または細胞の群におけるタンパク質発現レベルの阻害は、対照細胞または細胞の群におけるタンパク質のレベルのパーセンテージとして同様に表現され得る。
MSH3遺伝子の発現の阻害を評価するために使用され得る対照細胞または細胞の群には、オリゴヌクレオチドといまだ接触されていない細胞または細胞の群が含まれる。例えば、対照細胞または細胞の群は、オリゴヌクレオチドによる対象の処置の前に、個々の対象(例えば、ヒトまたは動物対象)から引き出され得る。
細胞または細胞の群によって表現されるMSH3 mRNAのレベルは、mRNA発現を評価するための当該分野で公知の任意の方法を使用して決定され得る。一態様では、試料中のMSH3の発現のレベルは、MSH3遺伝子の転写されたポリヌクレオチドまたはその部分、例えば、mRNAを検出することによって決定される。RNAは、例えば、酸性フェノール/チオシアン酸グアニジン抽出(RNAzol B;Biogenesis)、RNEASY(商標)RNA調製キット(Qiagen)またはPAXgene(PreAnalytix、Switzerland)を使用することを含めて、RNA抽出技術を使用して、細胞から抽出され得る。リボ核酸ハイブリダイゼーションを利用する典型的なアッセイ形式には、核ランオンアッセイ、RT-PCR、RNase保護アッセイ、ノザンブロッティグ、in situハイブリダイゼーションおよびマイクロアレイ分析が含まれる。循環するMSH3 mRNAは、その全内容がこれにより参照により本明細書に組み込まれるPCT出願公開WO2012/177906に記載される方法を使用して検出され得る。一部の態様では、MSH3の発現のレベルは、核酸プローブを使用して決定される。用語「プローブ」は、本明細書で使用される場合、特異的MSH3配列、例えば、mRNAまたはポリペプチドに選択的に結合することが可能な任意の分子を指す。プローブは、当業者によって合成され得、または適切な生物学的調製物から引き出され得る。プローブは、標識されるように特異的に設計され得る。プローブとして利用され得る分子の例には、RNA、DNA、タンパク質、抗体および有機分子が含まれるがこれらに限定されない。
単離されたmRNAは、サザンもしくはノザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析、およびプローブアレイが含まれるがこれらに限定されない、ハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイにおいて使用され得る。mRNAレベルの決定のための1つの方法には、単離されたmRNAを、MSH3 mRNAにハイブリダイズすることができる核酸分子(プローブ)と接触させることが関与する。一態様では、mRNAは、例えば、単離されたmRNAをアガロースゲル上で泳動し、mRNAをゲルからメンブレン、例えばニトロセルロースに移すことによって、固体表面上に固定化され、プローブと接触される。代替えのな態様では、プローブ(単数または複数)が固体表面上に固定化され、mRNAは、例えば、AFFYMETRIX遺伝子チップアレイにおいて、プローブ(単数または複数)と接触される。当業者は、MSH3 mRNAのレベルを決定する際の使用のために、公知のmRNA検出方法を容易に適応させることができる。
試料中のMSH3の発現のレベルを決定するための代替えの方法には、例えば、RT-PCR(Mullis、1987、米国特許第4,683,202号に示される実験態様)、リガーゼ連鎖反応(Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193)、自家持続配列複製(Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅系(Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardi et al. (1988) Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardiら、米国特許第5,854,033号)または任意の他の核酸増幅方法と、その後の、当業者に周知の技術を使用する増幅された分子の検出とによる、例えば、試料中のmRNAの核酸増幅および/または逆転写酵素(cDNAを調製するため)のプロセスが関与する。これらの検出スキームは、かかる分子が非常に低い数で存在する場合の核酸分子の検出のために特に有用である。一部の態様では、MSH3の発現のレベルは、定量的蛍光発生RT-PCR(即ち、TAQMAN(商標)System)またはDUAL-GLO(登録商標)Luciferaseアッセイによって決定される。
MSH3 mRNAの発現レベルは、メンブレンブロット(例えば、ハイブリダイゼーション分析、例えば、ノザン、サザン、ドットなどにおいて使用される)、あるいはマイクロウェル、試料チューブ、ゲル、ビーズもしくは繊維(または結合した核酸を含む任意の固体支持体)を使用してモニタリングされ得る。参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,770,722号;同第5,874,219号;同第5,744,305号;同第5,677,195号;および同第5,445,934号を参照のこと。MSH3発現レベルの決定は、溶液中で核酸プローブを使用することを含み得る。
一部の態様では、mRNA発現のレベルは、分岐鎖DNA(bDNA)アッセイまたはリアルタイムPCR(qPCR)を使用して評価される。このPCR方法の使用は、本明細書に提示される実施例において記載および例示される。かかる方法は、MSH3核酸の検出のために使用され得る。
MSH3タンパク質発現のレベルは、タンパク質レベルの測定のための当該分野で公知の任意の方法を使用して決定され得る。かかる方法には、例えば、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超拡散クロマトグラフィー、流体もしくはゲル沈降素反応、吸収分光法、比色アッセイ、分光光度的アッセイ、フローサイトメトリー、免疫拡散法(単一または二重)、免疫電気泳動、ウエスタンブロッティング、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、エレクトロケミルミネッセンスアッセイなどが含まれる。かかるアッセイは、MSH3タンパク質の存在または複製を示すタンパク質の検出のために使用され得る。
本明細書に記載される方法の一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドが対象内の特定の部位に送達されるように、対象に投与される。MSH3の発現の阻害は、対象内の特定の部位に由来する試料中のMSH3 mRNAまたはMSH3タンパク質のレベルまたはレベルにおける変化の測定を使用して評価され得る。一部の態様では、方法は、例えば、MSH3の発現を低減させる薬剤による対象の処置後の臨床的に適切な転帰によって実証されるような、MSH3の発現の臨床的に適切な阻害を含む。
他の態様では、オリゴヌクレオチドは、以下のうち1つ(または複数、例えば、2つまたはそれよりも多く、3つまたはそれよりも多く、4つまたはそれよりも多く)を生じるのに有効な量でおよびそのような時間にわたって投与される:(a)リピートの数を減少させる、(b)ポリグルタミンのレベルを減少させる、(c)細胞死(例えば、CNS細胞死および/または筋肉細胞死)の減少、(d)障害の開始の遅延、(e)対象の生存の増加、ならびに(f)対象の無進行生存の増加。
トリヌクレオチドリピート伸長障害を処置することは、未処置の対象の集団と比較した、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドで処置した個体または対象の集団の平均生存時間における増加を生じ得る。例えば、個体の生存時間または集団の平均生存時間は、30日よりも長く(60日、90日または120日よりも長く)増加される。個体の生存時間または集団の平均生存時間における増加は、任意の再現性のある手段によって測定され得る。個体の生存時間における増加は、例えば、本明細書に記載される化合物による処置の開始後の生存時間の長さを個体について計算することによって測定され得る。集団の平均生存時間における増加は、例えば、本明細書に記載される化合物による処置の開始後の生存時間の平均長さを について計算することによって測定され得る。個体の生存時間における増加は、例えば、本明細書に記載される化合物または化合物の薬学的に許容される塩による第1ラウンドの処置の完了後の生存時間の長さを個体について計算することによって測定され得る。集団の平均生存時間における増加は、例えば、本明細書に記載される化合物または化合物の薬学的に許容される塩による第1ラウンドの処置の完了後の生存時間の平均長さを集団について計算することによって測定され得る。
トリヌクレオチドリピート伸長障害を処置することは、未処置の集団と比較した、処置された対象の集団の死亡率における減少を生じ得る。例えば、死亡率は、2%よりも大きく(例えば、5%、10%または25%よりも大きく)減少される。処置された対象の集団の死亡率における減少は、任意の再現性のある手段によって、例えば、本明細書に記載される化合物または化合物の薬学的に許容される塩による処置の開始後の単位時間当たりの疾患関連死の平均数を集団について計算することによって測定され得る。集団の死亡率における減少は、例えば、本明細書に記載される化合物または化合物の薬学的に許容される塩による第1ラウンドの処置の完了後の単位時間当たりの疾患関連死の平均数を集団について計算することによって測定され得る。
A.抗MSH3剤の送達
細胞、例えば、対象、例えば、ヒト対象、例えば、オリゴヌクレオチドの送達を必要とする対象、例えば、トリヌクレオチドリピート伸長障害を有する対象内の細胞へのオリゴヌクレオチドの送達は、いくつかの異なる方法で達成され得る。例えば、送達は、細胞をin vitroまたはin vivoのいずれかでオリゴヌクレオチドと接触させることによって実施され得る。in vivo送達は、オリゴヌクレオチドを含む組成物を対象に投与することによって、直接的に実施され得る。これらの代替法は、以下でさらに議論される。
一般に、核酸分子を(in vitroまたはin vivoで)送達する任意の方法が、オリゴヌクレオチドとの使用のために適応され得る(例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Akhtar S. and Julian R L., (1992) Trends Cell. Biol. 2(5):139-144およびWO94/02595を参照のこと)。in vivo送達のために、オリゴヌクレオチド分子を送達するために考慮する因子には、例えば、送達される分子の生物学的安定性、非特異的効果の防止、および標的組織における送達された分子の蓄積が含まれる。オリゴヌクレオチドの非特異的効果は、局所投与によって、例えば、組織中への直接的注射もしくはインプランテーションによって、または調製物を外用投与することによって、最小化され得る。処置部位への局所投与は、薬剤の局所濃度を最大化し、薬剤によってさもなくば害され得るまたは薬剤を分解し得る全身組織への薬剤の曝露を制限し、オリゴヌクレオチドのより低い総用量が投与されるのを可能にする。
疾患の処置のためにオリゴヌクレオチドを全身投与するために、オリゴヌクレオチドは、代替えの核酸塩基、代替えの糖部分および/もしくは代替えのヌクレオシド間連結を含み得、またはあるいは、薬物送達系を使用して送達され得る;両方の方法が、エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼによるin vivoでのオリゴヌクレオチドの迅速な分解を防止するように作用する。オリゴヌクレオチドまたは医薬担体の改変は、オリゴヌクレオチド組成物の標的組織への標的化を可能にし得、望ましくないオフターゲット効果を回避し得る。オリゴヌクレオチド分子は、細胞取り込みを増強し、分解を防止するために、親油性基、例えば、コレステロールへの化学的コンジュゲーションによって改変され得る。代替えのな態様では、オリゴヌクレオチドは、薬物送達系、例えば、ナノ粒子、脂質ナノ粒子、ポリプレックスナノ粒子、リポプレックスナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソームまたはカチオン性送達系を使用して送達され得る。正に荷電したカチオン性送達系は、オリゴヌクレオチド分子(負に荷電した)の結合を促進し、また、細胞によるオリゴヌクレオチドの効率的な取り込みを可能にするように、負に荷電した細胞膜における相互作用を増強する。カチオン性脂質、デンドリマーまたはポリマーは、オリゴヌクレオチドに結合され得るか、またはオリゴヌクレオチドを包む小胞もしくはミセルを形成するように誘導され得る。小胞またはミセルの形成は、全身投与された場合のオリゴヌクレオチドの分解をさらに防止する。一般に、当該分野で公知の核酸の送達の任意の方法が、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドの送達のために適応可能であり得る。カチオン性オリゴヌクレオチド複合体を作製するためおよび投与するための方法は、当業者の技術範囲内に十分に入る(例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sorensen, D R., et al. (2003) J. Mol. Biol 327:761-766;Verma, U N. et al., (2003) Clin. Cancer Res. 9:1291-1300;Arnold, A S et al., (2007) J. Hypertens. 25:197-205を参照のこと)。オリゴヌクレオチドの全身送達のために有用な薬物送達系の一部の非限定的な例には、DOTAP(Sorensen, D R., et al (2003), 上記;Verma, U N. et al., (2003), 上記)、Oligofectamine、「固体核酸脂質粒子」(Zimmermann, T S. et al., (2006) Nature 441:111-114)、カルジオリピン(Chien, P Y. et al., (2005) Cancer Gene Ther. 12:321-328;Pal, A. et al., (2005) Int J. Oncol. 26:1087-1091)、ポリエチレンイミン(Bonnet M E. et al., (2008) Pharm. Res. Aug 16 Epub ahead of print;Aigner, A. (2006) J. Biomed. Biotechnol. 71659)、Arg-Gly-Asp(RGD)ペプチド(Liu, S. (2006) Mol. Pharm. 3:472-487)およびポリアミドアミン(Tomalia, D A. et al., (2007) Biochem. Soc. Trans. 35:61-67;Yoo, H. et al., (1999) Pharm. Res. 16:1799-1804)が含まれる。一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、全身投与のために、シクロデキストリンと複合体を形成する。オリゴヌクレオチドおよびシクロデキストリンの投与のための方法および医薬組成物は、その全体がこれにより参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,427,605号中に見出すことができる。一部の態様では、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、ポリプレックスまたはリポプレックスナノ粒子によって送達される。オリゴヌクレオチドならびにポリプレックスナノ粒子およびリポプレックスナノ粒子の投与のための方法ならびに医薬組成物は、これによりそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2017/0121454号;同第2016/0369269号;同第2016/0279256号;同第2016/0251478号;同第2016/0230189号;同第2015/0335764号;同第2015/0307554号;同第2015/0174549号;同第2014/0342003号;同第2014/0135376号;および同第2013/0317086号中に見出すことができる。
i.膜性分子アセンブリ送達方法
オリゴヌクレオチドは、当該分野で公知のポリマー性生分解性マイクロ粒子またはマイクロカプセル送達デバイスを含む種々の膜性分子アセンブリ送達方法を使用して送達され得る。例えば、コロイド分散系が、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド薬剤の標的化された送達のために使用され得る。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームが含まれる、脂質に基づく系が含まれる。リポソームは、in vitroおよびin vivoでの送達ビヒクルとして有用な人工膜小胞である。サイズが0.2~4.0μmの範囲の大型単層膜小胞(LUV)は、大きい高分子を含む水性緩衝剤の実質的なパーセンテージを封入することができることが示されている。リポソームは、作用部位への活性成分の移行および送達に有用である。リポソーム膜は、生物学的膜と構造的に類似しているので、リポソームが組織に適用されると、リポソーム二重層は、細胞膜の二重層と融合する。リポソームと細胞との統合が進行するにつれて、オリゴヌクレオチドを含む内部水性内容物は、細胞中に送達され、その場所で、オリゴヌクレオチドは標的RNAに特異的に結合でき、RNase H媒介性遺伝子サイレンシングを媒介できる。一部の場合には、リポソームはまた、例えば、オリゴヌクレオチドを特定の細胞型へと方向付けるために、特異的に標的化される。リポソームの組成は、通常、ステロイド、特にコレステロールと通常は組み合わせた、リン脂質の組合せである。他のリン脂質または他の脂質が使用され得る。リポソームの物理的特徴は、pH、イオン強度、および二価カチオンの存在に依存する。
オリゴヌクレオチドを含むリポソームは、種々の方法によって調製され得る。一例では、リポソームの脂質構成要素は、脂質構成要素と共にミセルが形成されるように、洗剤中に溶解される。例えば、脂質構成要素は、両親媒性カチオン性脂質または脂質コンジュゲートであり得る。洗剤は、高い臨界ミセル濃度を有し得、非イオン性であり得る。例示的な洗剤には、コレート、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコレートおよびラウロイルサルコシンが含まれる。次いで、オリゴヌクレオチド調製が、脂質構成要素を含むミセルに添加される。脂質上のカチオン性基は、オリゴヌクレオチドと相互作用し、オリゴヌクレオチドの周囲に凝結して、リポソームを形成する。凝結後、洗剤は、例えば、透析によって除去されて、オリゴヌクレオチドのリポソーム調製物が得られる。
必要に応じて、凝結を助ける担体化合物が、例えば、制御された添加によって、凝結反応の間に添加され得る。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマー(例えば、スペルミンまたはスペルミジン)であり得る。pHは、凝結に有利なように調整され得る。
送達ビヒクルの構造的構成要素としてポリヌクレオチド/カチオン性脂質複合体を取り込む安定なポリヌクレオチド送達ビヒクルを産生するための方法は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれるWO96/37194にさらに記載されている。リポソーム形成は、Feigner, P. L. et al., (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8:7413-7417;米国特許第4,897,355号;米国特許第5,171,678号;Bangham et al., (1965) M. Mol. Biol. 23:238;Olson et al., (1979) Biochim. Biophys. Acta 557:9;Szoka et al., (1978) Proc. Natl. Acad. Sci. 75: 4194;Mayhew et al., (1984) Biochim. Biophys. Acta 775:169;Kim et al., (1983) Biochim. Biophys. Acta 728:339;およびFukunaga et al., (1984) Endocrinol. 115:757に記載される例示的な方法の1つまたは複数の態様を含み得る。送達ビヒクルとしての使用に適切なサイズの脂質凝集物を調製するための一般に使用される技術には、超音波処理および凍結-解凍プラス押し出しが含まれる(例えば、Mayer et al., (1986) Biochim. Biophys. Acta 858:161を参照のこと)。一貫して小さく(50~200nm)比較的均一な凝集物が所望される場合、微流動化(microfluidization)が使用され得る(Mayhew et al., (1984) Biochim. Biophys. Acta 775:169)。これらの方法は、オリゴヌクレオチド調製物をリポソームへとパッケージングするために容易に適応される。
リポソームは、2つの広いクラスに入る。カチオン性リポソームは、負に荷電した核酸分子と相互作用して安定な複合体を形成する、正に荷電したリポソームである。正に荷電した核酸/リポソーム複合体は、負に荷電した細胞表面に結合し、エンドソーム中に内在化される。エンドソーム内の酸性pHに起因して、リポソームは破裂し、それらの内容物を細胞原形質中に放出する(Wang et al. (1987) Biochem. Biophys. Res. Commun., 147:980-985)。
pH感受性のまたは負に荷電したリポソームは、核酸と複合体化するのではなく核酸を封入する。核酸および脂質は共に同様に荷電しているので、複合体形成ではなく反発が生じる。それにもかかわらず、一部の核酸は、これらのリポソームの水性内部内に封入される。pH感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子をコードする核酸を、培養物中の細胞単層に送達するために使用されてきた。外因性遺伝子の発現が、標的細胞において検出された(Zhou et al. (1992) Journal of Controlled Release, 19:269-274)。
1つの主要な型のリポソーム組成物は、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質を含む。中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。アニオン性リポソーム組成物は、一般に、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成されるが、アニオン性融合性リポソームは、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から主に形成される。別の型のリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC)、例えば、ダイズPCおよび卵PCなどから形成される。別の型は、リン脂質および/またはホスファチジルコリンおよび/またはコレステロールの混合物から形成される。
リポソームを細胞中にin vitroおよびin vivoで導入する他の方法の例には、米国特許第5,283,185号;米国特許第5,171,678号;WO94/00569;WO93/24640;WO91/16024;Feigner, (1994) J. Biol. Chem. 269:2550;Nabel, (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. 90:11307;Nabel, (1992) Human Gene Ther. 3:649;Gershon, (1993) Biochem. 32:7143;およびStrauss, (1992) EMBO J. 11:417が含まれる。
非イオン性リポソーム系、特に、非イオン性界面活性剤およびコレステロールを含む系もまた、皮膚への薬物の送達におけるそれらの有用性を決定するために試験されている。NOVASOME(商標)I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)およびNOVASOME(商標)II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤は、マウス皮膚の真皮中にシクロスポリン-Aを送達するために使用された。結果は、かかる非イオン性リポソーム系が、皮膚の異なる層中へのシクロスポリンAの沈着を促進するのに有効であったことを示した(Hu et al., (1994) S.T.P.Pharma. Sci., 4(6):466)。
リポソームは、かかる特殊な脂質を欠くリポソームと比較して増強された循環寿命を生じる1つまたは複数の特殊な脂質を含む立体的に安定化されたリポソームであり得る。立体的に安定化されたリポソームの例は、リポソームの小胞形成性脂質部分の一部が、(A)1つもしくは複数の糖脂質、例えば、モノシアロガングリオシドGM1を含む、または(B)1つもしくは複数の親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)部分で誘導体化されている、リポソームである。いずれの特定の理論に束縛されることも望まないが、当該分野では、ガングリオシド、スフィンゴミエリンまたはPEG誘導体化脂質を含む立体的に安定化されたリポソームについては少なくとも、これらの立体的に安定化されたリポソームの増強された循環半減期は、細網内皮系(RES)の細胞中への低減された取り込みに由来すると考えられている(Allen et al., (1987) FEBS Letters, 223:42;Wu et al., (1993) Cancer Research, 53:3765)。
1つまたは複数の糖脂質を含む種々のリポソームが、当該分野で公知である。Papahadjopoulos et al. (Ann. N.Y. Acad. Sci., (1987), 507:64)は、モノシアロガングリオシドGM1、硫酸ガラクトセレブロシドおよびホスファチジルイノシトールの、リポソームの血中半減期を改善する能力を報告した。これらの知見は、Gabizon et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., (1988), 85:6949)によって説明された。共にAllenらに対する米国特許第4,837,028号およびWO88/04924は、(1)スフィンゴミエリンおよび(2)ガングリオシドGM1またはガラクトセレブロシド硫酸エステルを含むリポソームを開示している。米国特許第5,543,152号(Webbら)は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示している。1,2-sn-ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームは、WO97/13499(Limら)に開示されている。
一態様では、カチオン性リポソームが使用される。カチオン性リポソームは、細胞膜に融合することができるという利点を有している。非カチオン性リポソームは、原形質膜と効率的には融合できないが、マクロファージによってin vivoで取り込まれ、オリゴヌクレオチドをマクロファージに送達するために使用され得る。
リポソームのさらなる利点には、以下が含まれる:天然リン脂質から得られたリポソームは、生体適合性かつ生分解性である;リポソームは、広範な水可溶性および脂質可溶性薬物を取り込むことができる;リポソームは、代謝および分解から、それらの内部区画中に封入されたオリゴヌクレオチドを保護することができる(Rosoff, 「Pharmaceutical Dosage Forms」, Lieberman, Rieger and Banker (Eds.), 1988, volume 1, p. 245)。リポソーム製剤の調製における重要な考慮事項は、リポソームの脂質表面電荷、小胞サイズおよび水性体積である。
正に荷電した合成カチオン性脂質、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)は、核酸と自発的に相互作用して組織培養細胞の細胞膜の負に荷電した脂質と融合してオリゴヌクレオチドの送達を生じることが可能な脂質-核酸複合体を形成する小さいリポソームを形成するために使用され得る(例えば、DOTMAおよびDNAとのその使用の記載については、Feigner, P. L. et al., (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8:7413-7417および米国特許第4,897,355号を参照のこと)。
DOTMAアナログ、1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3-(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)は、DNA複合体化性の小胞を形成するために、リン脂質と組み合わせて使用され得る。LIPOFECTIN(商標)(Bethesda Research Laboratories、Gaithersburg、Md.)は、負に荷電したポリヌクレオチドと自発的に相互作用して複合体を形成する正に荷電したDOTMAリポソームを構成する、生きた組織培養細胞中への高度にアニオン性の核酸の送達のための有効な薬剤である。十分に正に荷電したリポソームが使用される場合、得られた複合体上の正味電荷もまた正である。この方法で調製された正に荷電した複合体は、負に荷電した細胞表面に自発的に結合し、原形質膜と融合し、機能的核酸を、例えば組織培養細胞中に効率的に送達する。別の市販のカチオン性脂質、1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3,3-(トリメチルアンモニア)プロパン(「DOTAP」)(Boehringer Mannheim、Indianapolis、Ind.)は、オレオイル部分がエーテル連結ではなくエステルによって連結されているという点で、DOTMAとは異なる。
他の報告されたカチオン性脂質化合物には、例えば、2つの型の脂質の一方にコンジュゲートされた、5-カルボキシスペルミルグリシンジオクタオレオイルアミド(「DOGS」)(TRANSFECTAM(商標)、Promega、Madison、Wis.)およびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン 5-カルボキシスペルミル-アミド(「DPPES」)などの化合物が含まれるカルボキシスペルミンが含まれる、種々の部分にコンジュゲートされた化合物が含まれる(例えば、米国特許第5,171,678号を参照のこと)。
別のカチオン性脂質コンジュゲートには、DOPEと組み合わせてリポソームへと製剤化されたコレステロールによる脂質の誘導体化(「DC-Chol」)が含まれる(Gao, X. and Huang, L., (1991) Biochim. Biophys. Res. Commun. 179:280を参照のこと)。ポリリシンをDOPEにコンジュゲートすることによって作製されるリポポリリシンは、血清の存在下でのトランスフェクションに有効であることが報告されている(Zhou, X. et al., (1991) Biochim. Biophys. Acta 1065:8)。ある特定の細胞系について、コンジュゲートされたカチオン性脂質を含むこれらのリポソームは、より低い毒性を示すと言われ、DOTMA含有組成物よりも効率的なトランスフェクションを提供する。他の市販のカチオン性脂質製品には、DMRIEおよびDMRIE-HP(Vical、La Jolla、Calif.)ならびにLipofectamine(DOSPA)(Life Technology,Inc.、Gaithersburg、Md.)が含まれる。オリゴヌクレオチドの送達に適切な他のカチオン性脂質は、WO98/39359およびWO96/37194に記載されている。
リポソーム製剤は、外用投与に特に適しており、リポソームは、他の製剤を超えるいくつかの利点を示す。かかる利点には、投与された薬物の高い全身吸収に関連する副作用の低減、所望の標的における投与された薬物の蓄積の増加、およびオリゴヌクレオチドを皮膚に投与する能力が含まれる。一部のインプリメンテーションでは、リポソームは、オリゴヌクレオチドを上皮細胞に送達するため、およびまた、真皮組織中、例えば、皮膚中へのオリゴヌクレオチドの穿通を増強するために使用される。例えば、リポソームは、外用適用され得る。リポソームとして製剤化された薬物の皮膚への外用送達は、報告されている(例えば、Weiner et al., (1992) Journal of Drug Targeting, vol. 2,405-410およびdu Plessis et al., (1992) Antiviral Research, 18:259-265;Mannino, R. J. and Fould-Fogerite, S., (1998) Biotechniques 6:682-690;Itani, T. et al., (1987) Gene 56:267-276;Nicolau, C. et al. (1987) Meth. Enzymol. 149:157-176;Straubinger, R. M. and Papahadjopoulos, D. (1983) Meth. Enzymol. 101:512-527;Wang, C. Y. and Huang, L., (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7851-7855を参照のこと)。
非イオン性リポソーム系、特に、非イオン性界面活性剤およびコレステロールを含む系もまた、皮膚への薬物の送達におけるそれらの有用性を決定するために試験されている。NOVASOME I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)およびNOVASOME II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤は、マウス皮膚の真皮中に薬物を送達するために使用された。オリゴヌクレオチドを有するかかる製剤は、皮膚科学的障害を処置するために有用である。
リポソームの標的化は、例えば、臓器特異性、細胞特異性およびオルガネラ特異性に基づいても可能であり、当該分野で公知である。リポソーム標的化送達系の場合、脂質基が、標的化リガンドをリポソーム二重層と安定に関連して維持するために、リポソームの脂質二重層中に取り込まれ得る。種々の連結基が、脂質鎖を標的化リガンドに接合するために使用され得る。さらなる方法は、当該分野で公知であり、例えば、その連結基がこれにより参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20060058255号に記載されている。
オリゴヌクレオチドを含むリポソームは、高度に変形可能にされ得る。かかる変形可能性は、リポソームの平均半径よりも小さい孔を介してリポソームが穿通することを可能にし得る。例えば、トランスファーソームは、なお別の型のリポソームであり、薬物送達ビヒクルとしての魅力的な候補である、高度に変形可能な脂質凝集物である。トランスファーソームは、液滴よりも小さい孔を介して容易に穿通することが可能なほどに高度に変形可能な脂質液滴として記載され得る。トランスファーソームは、表面縁活性化因子(surface edge activator)、通常は界面活性剤を、標準的なリポソーム組成物に添加することによって作製され得る。オリゴヌクレオチドを含むトランスファーソームは、例えば、皮膚中のケラチノサイトにオリゴヌクレオチドを送達するために感染によって、皮下送達され得る。インタクトな哺乳動物皮膚を横断するために、脂質小胞は、適切な経皮勾配の影響下で、50nm未満の直径を各々が有する一連の微細な孔を通過しなければならない。さらに、脂質特性に起因して、これらのトランスファーソームは、自己最適化性(例えば皮膚中の孔の形状に適応する)、自己修復性であり得、断片化することなしにそれらの標的に頻繁に到達でき、しばしば自己充填性であり得る。トランスファーソームは、血清アルブミンを皮膚に送達するために使用されてきた。血清アルブミンのトランスファーソーム媒介性送達は、血清アルブミンを含む溶液の皮下注射と同様に有効であることが示されている。
他の適切な製剤は、2008年1月2日出願の米国仮特許出願第61/018,616号;2008年1月2日出願の同第61/018,611号;2008年3月26日出願の同第61/039,748号;2008年4月22日出願の同第61/047,087号および2008年5月8日出願の同第61/051,528号に記載されている。2007年10月3日出願のPCT出願番号PCT/US2007/080331もまた、適切なものを記載している。界面活性剤は、製剤、例えば、エマルジョン(マイクロエマルジョンが含まれる)およびリポソームにおいて、広い適用を見出す。天然および合成の両方の多くの異なる型の界面活性剤の特性を分類およびランク付けする最も一般的な方法は、親水性/脂溶性バランス(HLB)の使用によるものである。親水性基(「ヘッド」としても公知)の性質は、製剤において使用される異なる界面活性剤をカテゴライズするための最も有用な手段を提供する(Rieger, Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1988, p. 285)。
界面活性剤分子は、イオン化されない場合、非イオン性界面活性剤と分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬製品および化粧品において広い適用を見出し、広範なpH値にわたって使用可能である。一般に、それらのHLB値は、それらの構造に依存して、2~約18の範囲である。非イオン性界面活性剤には、非イオン性エステル、例えば、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステルおよびエトキシ化エステルが含まれる。非イオン性アルカノールアミドおよびエーテル、例えば、脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシ化アルコールおよびエトキシ化/プロポキシ化ブロックポリマーもまた、このクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤のクラスの最も一般的なメンバーである。
水中に溶解または分散された場合に界面活性剤分子が負の電荷を保有する場合、この界面活性剤は、アニオン性と分類される。アニオン性界面活性剤には、カルボキシレート、例えば、セッケン、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミド、硫酸のエステル、例えば、アルキル硫酸塩およびエトキシ化アルキル硫酸塩、スルホン酸塩、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アシルイセチオネート、アシルタウレート(acyl taurate)およびスルホサクシネート、ならびにホスフェートが含まれる。アニオン性界面活性剤のクラスの最も重要なメンバーは、アルキル硫酸塩およびセッケンである。
水中に溶解または分散された場合に界面活性剤分子が正の電荷を保有する場合、この界面活性剤は、カチオン性と分類される。カチオン性界面活性剤には、第4級アンモニウム塩およびエトキシ化アミンが含まれる。第4級アンモニウム塩は、このクラスの最も使用されるメンバーである。
界面活性剤分子が、正または負のいずれかの電荷を保有する能力を有する場合、この界面活性剤は、両性と分類される。両性界面活性剤には、アクリル酸誘導体、置換されたアルキルアミド、N-アルキルベタインおよびホスファチドが含まれる。
薬物製品、製剤およびエマルジョンにおける界面活性剤の使用は、概説されている(Rieger, Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1988, p. 285で)。
方法における使用のためのオリゴヌクレオチドは、ミセル製剤として提供され得る。ミセルは、親水性部分を周囲の水相と接触させたままで、分子の全ての疎水性部分が内向きになるように、両親媒性分子が球状構造で配置される特定の型の分子アセンブリである。環境が疎水性である場合には、逆の配置が存在する。
ii.脂質ナノ粒子に基づく送達方法
オリゴヌクレオチドは、脂質製剤、例えば、脂質ナノ粒子(LNP)、または他の核酸-脂質粒子中に完全に封入され得る。LNPは、静脈内(i.v.)注射後に延長された循環寿命を示し、遠位部位(例えば、投与部位から物理的に離れた部位)に蓄積するので、全身適用のために極めて有用である。LNPには、PCT出願公開番号WO00/03683に示される、封入された凝結剤-核酸複合体を含む「pSPLP」が含まれる。粒子は、典型的には、約50nm~約150nm、より典型的には約60nm~約130nm、より典型的には約70nm~約110nm、最も典型的には約70nm~約90nmの平均直径を有し、実質的に非毒性である。さらに、核酸は、核酸-脂質粒子中に存在する場合、水性溶液中で、ヌクレアーゼによる分解に対して耐性である。核酸-脂質粒子およびそれらの調製の方法は、例えば、米国特許第5,976,567号;同第5,981,501号;同第6,534,484号;同第6,586,410号;同第6,815,432号;米国特許出願公開第2010/0324120号およびPCT出願公開番号WO96/40964に開示されている。
一態様では、脂質の薬物に対する比(質量/質量比)(例えば、脂質のオリゴヌクレオチドに対する比)は、約1:1~約50:1、約1:1~約25:1、約3:1~約15:1、約4:1~約10:1、約5:1~約9:1または約6:1~約9:1の範囲にある。上に列挙された範囲の中間の範囲もまた企図される。
カチオン性脂質の非限定的な例には、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(I-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、N-(I-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N-ジメチル-2,3-ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレイルオキシ(Dilinolenyloxy)-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2-ジリノレイルカルバモイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-C-DAP)、1,2-ジリノレイルオキシ(Dilinoleyoxy)-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパン塩化物塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパン塩化物塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、もしくは3-(N,N-ジリノレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(propanedio)(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)もしくはそのアナログ、(3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルテトラヒドロ(dienyetetrahydro)-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン(ALN100)、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(MC3)、1,1’-(2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イルエチルアザンジイルジドデカン(yeethylazanediyedidodecan)-2-オール(Tech G1)、またはそれらの混合物が含まれる。カチオン性脂質は、例えば、粒子中に存在する総脂質の約20mol%~約50mol%、または約40mol%を構成し得る。
イオン化可能な/非カチオン性脂質は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン 4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、コレステロール、またはそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されないアニオン性脂質または中性脂質であり得る。非カチオン性脂質は、例えば、コレステロールが含まれる場合、粒子中に存在する総脂質の、約5mol%~約90mol%、約10mol%、または約60mol%であり得る。
粒子の凝集を阻害するコンジュゲートされた脂質は、例えば、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、またはそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されないポリエチレングリコール(PEG)-脂質であり得る。PEG-DAAコンジュゲートは、例えば、PEG-ジラウリルオキシプロピル(C12)、PEG-ジミリスチルオキシプロピル(C14)、PEG-ジパルミチルオキシプロピル(C16)またはPEG-ジステアリルオキシプロピル(C18)であり得る。粒子の凝集を防止るコンジュゲートされた脂質は、例えば、粒子中に存在する総脂質の0mol%~約20mol%、または約2mol%であり得る。
一部の態様では、核酸-脂質粒子は、例えば、粒子中に存在する総脂質の約10mol%~約60mol%、または約50mol%のコレステロールをさらに含む。
B.併用療法
オリゴヌクレオチドは、単独で、あるいは、少なくとも1つのさらなる治療剤、例えば、トリヌクレオチドリピート伸長障害もしくはそれに関連する症状を処置する他の薬剤と組み合わせて、またはトリヌクレオチドリピート伸長障害を処置する他の型の治療と組み合わせて、使用され得る。併用処置では、治療化合物のうち1つまたは複数の投薬量は、単独で投与された場合の標準的な投薬量から低減され得る。例えば、用量は、薬物組合せおよび順列から経験的に決定され得る、またはアイソボログラフィック(isobolographic)分析によって推定され得る(例えば、Black et al., Neurology 65:S3-S6 (2005))。この場合、組み合わせた場合の化合物の投薬量が、治療効果を提供すべきである。
一部の態様では、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド薬剤は、トリヌクレオチドリピートを有する遺伝子に関連するトリヌクレオチドリピート伸長障害(例えば、表1に列挙されるトリヌクレオチドリピート伸長障害およびヌクレオチドリピートを有する関連の遺伝子のいずれか)を処置するために、少なくとも1つのさらなる治療剤と組み合わせて使用され得る。一部の態様では、さらなる治療剤のうち少なくとも1つは、トリヌクレオチドリピート伸長障害に関連する遺伝子(例えば、表1に列挙される遺伝子のいずれか)のmRNAとハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(例えば、ASO)であり得る。一部の態様では、トリヌクレオチドリピート伸長障害は、ハンチントン病(HD)である。一部の態様では、トリヌクレオチドリピート伸長障害に関連する遺伝子は、ハンチンチン(HTT)である。ハンチンチン遺伝子のいくつかの対立遺伝子バリアントが、ハンチントン病の原因に関連している。一部の場合には、これらのバリアントは、独自のHD関連一塩基多型(SNP)を有することに基づいて識別される。一部の態様では、オリゴヌクレオチドは、当該分野で公知のHD関連SNPのいずれか(例えば、Skotte et al., PLoS One 2014, 9(9): e107434、Carroll et al., Mol. Ther. 2011, 19(12): 2178-85、Warby et al., Am. J. Hum. Gen. 2009, 84(3): 351-66(これにより参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるHD関連SNPのいずれか)を含むハンチンチン遺伝子のmRNAにハイブリダイズする。一部の態様では、さらなる治療剤であるオリゴヌクレオチドは、いずれのHD関連SNPも欠くハンチンチン遺伝子のmRNAにハイブリダイズする。態様の一部では、さらなる治療剤であるオリゴヌクレオチドは、rs362307およびrs365331からなる群から選択されるSNPのいずれかを有するハンチンチン遺伝子のmRNAにハイブリダイズする。一部の態様では、さらなる治療剤であるオリゴヌクレオチドは、改変されたオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書に記載される改変のいずれかを含むオリゴヌクレオチド)であり得る。一部の態様では、さらなる治療剤である改変されたオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含む。一部の態様では、改変されたオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の2’-MOE部分を含む。一部の態様では、ハンチンチン遺伝子のmRNAにハイブリダイズするさらなる治療剤であるオリゴヌクレオチドは、米国特許第9,006,198号の配列番号6~285;米国特許出願公開第2017/0044539号の配列番号6~8;米国特許出願公開第2018/0216108号の配列番号1~1565;およびPCT出願公開WO2017/192679の配列番号1~2432から選択される配列を有し、これらの配列は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。
一部の態様では、さらなる治療剤のうち少なくとも1つは、化学療法剤(例えば、細胞傷害剤またはトリヌクレオチドリピート伸長障害の処置において有用な他の化学化合物)である。
一部の態様では、さらなる治療剤のうち少なくとも1つは、非薬物処置である治療剤であり得る。例えば、さらなる治療剤のうち少なくとも1つは、理学療法である。
本明細書に記載される組合せ態様のいずれかでは、2つまたはそれよりも多くの治療剤が、同時に、またはいずれかの順序で順次的に投与される。例えば、第1の治療剤は、さらなる治療剤のうち1つまたは複数の直前または直後に、あるいはさらなる治療剤のうち1つまたは複数の前または後、最大で1時間まで、最大で2時間まで、最大で3時間まで、最大で4時間まで、最大で5時間まで、最大で6時間まで、最大で7時間まで、最大で8時間まで、最大で9時間まで、最大で10時間まで、最大で11時間まで、最大で12時間まで、最大で13時間まで、最大で14時間まで、最大で16時間まで、最大で17時間まで、最大で18時間まで、最大で19時間まで、最大で20時間まで、最大で21時間まで、最大で22時間まで、最大で23時間まで、最大で24時間まで、または最大で1~7、1~14、1~21もしくは1~30日までに、投与され得る。
V.医薬組成物
本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、in vivo投与に適切な生物学的に適合性の形態の、ヒト対象への投与のための医薬組成物へと製剤化される。
本明細書に記載される化合物は、遊離塩基の形態で、塩、溶媒和物の形態で、プロドラッグとして、使用され得る。全ての形態が、本明細書に記載される方法の範囲内である。本明細書に記載される方法によれば、記載されるオリゴヌクレオチドまたはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、当業者に理解されるように、選択された投与経路に依存して、種々の形態で患者に投与され得る。本明細書に記載される化合物は、例えば、経口、非経口、くも膜下腔内、側脳室内、実質内、頬側、舌下、経鼻、直腸、パッチ、ポンプまたは経皮投与、およびしかるべく製剤化された医薬組成物によって、投与され得る。非経口投与には、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経上皮、経鼻、肺内、くも膜下腔内、側脳室内、実質内、直腸および外用様式の投与が含まれる。非経口投与は、選択された期間にわたる持続注入によるものであり得る。
本明細書に記載される化合物は、例えば、不活性な希釈剤もしくは吸収可能な食用担体と共に経口投与され得、または硬質もしくは軟質シェルのゼラチンカプセル中に封入され得、または錠剤へと圧縮され得、または食品もしくは食餌と共に直接的に取り込まれ得る。経口治療投与のために、本明細書に記載される化合物は、賦形剤と共に取り込まれ得、摂取可能な錠剤、頬側錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁物、シロップおよびウエハの形態で使用され得る。本明細書に記載される化合物は、非経口投与され得る。本明細書に記載される化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中で調製され得る。分散物は、アルコールありまたはなしの、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、DMSO、およびそれらの混合物中で、ならびに油中で調製され得る。貯蔵および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の成長を防止するための防腐剤を含み得る。適切な製剤の選択および調製のための従来の手順および成分は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (2012, 22nd ed.)およびThe United States Pharmacopeia: The National Formulary (USP 41 NF 36), published in 2018に記載されている。注射可能な使用に適切な医薬形態には、無菌の水性溶液または分散物、および無菌の注射可能な溶液もしくは分散物の即座の調製のための無菌粉末が含まれる。全ての場合において、形態は、無菌でなければならず、シリンジを介して容易に投与され得る程度まで流動的でなければならない。経鼻投与のための組成物は、エアロゾル、ドロップ、ゲルおよび粉末として簡便に製剤化され得る。エアロゾル製剤には、典型的には、生理学的に許容される水性または非水性溶媒中の活性物質の溶液または微細な懸濁物が含まれ、微粒化デバイスとの使用のためのカートリッジまたはリフィルの形態を取り得る密封容器中に、無菌形態の単一用量または複数用量で通常は提示される。あるいは、密封容器は、使用後の処分のために意図された、計測弁が装着された単一用量経鼻インヘラーまたはエアロゾルディスペンサーなどの単位分配デバイスであり得る。投薬形態が、エアロゾルディスペンサーを含む場合、それは、圧縮ガス、例えば圧縮空気、または有機噴霧剤、例えばフルオロクロロ炭化水素であり得る噴霧剤を含む。エアロゾル投薬形態は、ポンプ-アトマイザーの形態を取り得る。頬側または舌下投与に適切な組成物には、錠剤、ロゼンジおよびトローチ剤(pastille)が含まれ、ここで、活性成分は、糖、アカシア、トラガント、ゼラチンおよびグリセリンなどの担体を用いて製剤化される。直腸投与のための組成物は、簡便には、ココアバターなどの従来の坐剤基剤を含む坐剤の形態である。
本明細書に記載される化合物は、本明細書で留意されるように、動物、例えば、ヒトに、単独でまたは薬学的に許容される担体と組み合わせて投与され得、その割合は、化合物の溶解度および化学的性質、選択された投与経路、ならびに標準的な医薬実務によって決定される。
VI.投薬量
本明細書に記載される組成物(例えば、オリゴヌクレオチドを含む組成物)の投薬量は、多くの因子、例えば、化合物の薬力学的特性;投与様式;レシピエントの年齢、健康状態および体重;症状の性質および程度;処置の頻度、および存在する場合には同時発生的処置の型;ならびに処置される動物における化合物のクリアランス速度に依存して変動し得る。本明細書に記載される組成物は、臨床応答に依存して、必要に応じて調整され得る適切な投薬量で最初に投与され得る。一部の態様では、組成物(例えば、オリゴヌクレオチドを含む組成物)の投薬量は、予防有効量または治療有効量である。
VII.キット
(a)本明細書に記載される細胞または対象におけるMSH3のレベルおよび/または活性を低減させるオリゴヌクレオチド薬剤を含む医薬組成物、ならびに(b)本明細書に記載される方法のいずれかを実施するための使用説明書を伴う添付文書、を含むキットが企図される。一部の態様では、キットは、(a)本明細書に記載される細胞または対象におけるMSH3のレベルおよび/または活性を低減させるオリゴヌクレオチド薬剤を含む医薬組成物、(b)さらなる治療剤、ならびに(c)本明細書に記載される方法のいずれかを実施するための使用説明書を伴う添付文書、を含む。
(実施例1)
アンチセンスオリゴヌクレオチドの設計および選択
標的転写物の識別および選択:標的転写物選択およびオフターゲットスコアリング(以下)は、2018年11月21日にNCBIからダウンロードしたNCBI RefSeq配列を利用した。遺伝子の大多数について「XM」予測されたモデルのみを有するカニクイザルを除き、実験的に検証された「NM」転写物モデルを使用した。完全にマッピングされた内部エクソンを含む最も長いヒト、マウス、ラットおよびカニクイザルのMSH3転写物を選択した(ヒト、マウス、ラットおよびカニクイザルについて、それぞれ配列番号1、3、4および5、配列番号2は、タンパク質配列である)。
20マーオリゴヌクレオチド配列の選択:転写物につき、全てアンチセンスの20マーサブ配列を生成した。本発明者らが決定した以下の熱力学的および物理的特徴を満たす候補アンチセンスオリゴヌクレオチド(「ASO」)を選択した:30~65℃の、ASO:標的二重鎖の予測された融解温度(「Tm」)、ヘアピンの予測された融解温度(「Tヘアピン」)<35℃、ホモポリマー形成の予測された融解温度(「Tホモ」)<25℃、20~60%のGC含量、4またはそれよりも長いGホモポリマーなし、および6またはそれよりも長いA、TまたはCホモポリマーなし。これらの選択されたまたは「好ましい」オリゴヌクレオチドを、特異性についてさらに評価した(オフターゲットスコアリング、以下)。
オフターゲットスコアリング:好ましいASOの特異性を、1000のE値カットオフと共にFASTAアルゴリズムを使用して、全てのスプライシングされていないRefSeq転写物(ヒト、マウスおよびラットについては「NM」モデル;カニクイザルについては「NM」および「XM」モデル)に対するアラインメントを介して評価した。各ASOと各転写物との間のミスマッチの数(種による)を集計した。各種における各ASOについての「オフターゲットスコア」を、MSH3遺伝子によってコードされる転写物以外の任意の転写物へのミスマッチの最小の数として計算した。
スクリーニングのためのASOの選択:480個の好ましいASOのセットを、以下のように、特異性およびASO:mRNA(標的)ハイブリダイゼーションエネルギー最大化情報の両方に従って、スクリーニングのために選択した。全ての候補ASOを、Xu and Mathews (Methods Mol Biol. 1490:15-34 (2016))に従って、予測された標的mRNA二次構造とのハイブリダイゼーションのデルタG(ΔG全体)について評価した。次に、ASOの2つのサブセットを選択した:第1に、ヒト、カニクイザルおよびマウス標的転写物とマッチした69個のASOは、3つの種において少なくとも1のオフターゲットスコアを有し、負のΔGoverallを有した;第2に、ヒトおよびカニクイザル標的転写物とマッチした411個のASOは、両方の種において少なくとも2のオフターゲットスコアを有し、ΔG全体は、-9.5℃未満であった。
各ASOの配列、ヒト転写物中の位置、他の種および種特異的オフターゲットスコアにおける保存は、表2に与えられる。「NC」と示される場合、ASOは、その種においてMSH3遺伝子とマッチせず、したがって、オフターゲットスコアは生成しなかった。
ASOを、1~5および16~20位のリボヌクレオチドならびに6~15位のデオキシリボヌクレオチドを有し、以下の一般構造を有する5-10-5「隣接配列-DNAコア配列-隣接配列」アンチセンスオリゴヌクレオチドとして合成した:
5’-NmsNmsNmsNmsNms NsNsNsNsNs NsNsNsNsNs NmsNmsNmsNmsNm-3’
式中、
・ Nm:2’-MOE残基(5メチル-2’-MOE-Cおよび5メチル-2’-MOE-Uが含まれる)
・ N:DNA/RNA残基
・ s:ホスホロチオエート(骨格は、完全にホスホロチオエート改変されている)
・ DNAコア(6~15位)内の全ての「C」は、5’-メチル-2’-MOE-dCである
・ 1~5または16~20位の全ての「T」は、5’-メチル-2’-MOE-Uである。
2nMおよび20nMにおける一次スクリーニングのために、脱塩オリゴヌクレオチドを使用した。オリゴヌクレオチドのサブセットの詳細な特徴付けのために、オリゴヌクレオチドを、HPLCによってさらに精製した。
(実施例2)
MSH3のアンチセンス阻害
MSH3の阻害またはノックダウンは、細胞に基づくアッセイを使用して実施することができる。例えば、製造業者の使用説明書に従ってlipofectamine 2000(Invitrogen)などのトランスフェクション試薬を使用して、少なくとも5つの異なる用量レベルを使用する、上記実施例1において識別されたMSH3を標的化するオリゴヌクレオチドによる、HEK293、NIH3T3もしくはHelaまたは別の入手可能な哺乳動物細胞系。細胞を、mRNAまたはタンパク質分析のいずれかのために、トランスフェクションの7日後まで、複数の時点で回収する。mRNAおよびタンパク質のノックダウンを、以前に記載された標準的な分子生物学技術(例えば、Drouet et al., 2014, PLOS One 9(6): e99341に記載されるものを参照のこと)を使用して、それぞれ、RT-qPCRまたはウエスタンブロット分析によって決定する。異なるオリゴヌクレオチドレベルにおけるMSH3 mRNAおよびタンパク質の相対的レベルを、モックオリゴヌクレオチド対照と比較する。最も強力なオリゴヌクレオチド(例えば、対照と比較した場合に、タンパク質レベルにおける少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%またはそれよりも大きい低下が可能なもの)は、例えば、以下の実施例に記載される引き続く研究のために選択する。
ヒト細胞系
HeLa細胞を、ATCC(LGC Standards、Wesel、Germanyと連携したATCC、cat.# ATCC-CRM-CCL-2)から得、加湿インキュベーター中5%CO
2を有する雰囲気中で37℃で、10%胎仔ウシ血清(1248D、Biochrom GmbH、Berlin、Germany)および100U/mlペニシリン/100μg/mlストレプトマイシン(A2213、Biochrom GmbH、Berlin、Germany)を含むように補充したHAM’s F12(#FG0815、Biochrom、Berlin、Germany)中で培養した。ASOによるHeLa細胞のトランスフェクションのために、細胞を、96ウェル組織培養プレート(#655180、GBO、Germany)中に15,000細胞/ウェル
の密度で播種した。
トランスフェクション
HeLa細胞では、ASOのトランスフェクションを、1ウェル当たり0.25μLのLipofectamine 2000を用いた逆トランスフェクションについての製造業者の使用説明書に従って、Lipofectamine 2000(Invitrogen/Life Technologies、Karlsruhe、Germany)を用いて実施した。
二重用量スクリーニングを、非特異的対照およびモックトランスフェクションとして、AHSA1を標的化する2つのASO(1つのMOE-ASOおよび1つの2’oMe-ASO)を用いて、それぞれ20nMおよび2nMで四連でASOを用いて実施した。用量-応答実験を、20nMで始めて5~6回の希釈ステップで約15~32pMまで、四連でトランスフェクトした5つの濃度でASOを用いて実施した。モックトランスフェクトされた細胞は、用量-応答曲線(DRC)実験において対照として機能した。
分析および定量化
ASOとの24時間のインキュベーション後、培地を除去し、細胞を、150μlのMedium-Lysis Mixture(1体積の溶解混合物、2体積の細胞培養培地)中で溶解させ、次いで、53℃で30分間インキュベートした。bDNAアッセイを、製造業者の使用説明書に従って実施した。ルミネッセンスを、RTで暗中30分間のインキュベーション後に、1420 Luminescence Counter(WALLAC VICTOR Light、Perkin Elmer、Rodgau-Jugesheim、Germany)を使用して読み取った。
2つのAhsa1-ASO(1つの2’-OMeおよび1つのMOE改変)は、それぞれの標的mRNA発現についての非特異的対照として、かつAhsa1 mRNAレベルに関するトランスフェクション効率を分析するための陽性対照として、同時に機能した。Ahsa1プローブセットとのハイブリダイゼーションによって、モックトランスフェクトされたウェルは、Ahsa1 mRNAレベルについての対照として機能した。二重用量スクリーニングにおける各96ウェルプレートおよび両方の用量についてのトランスフェクション効率を、Ahsa1-ASOを用いたAhsa1レベル(GapDHに対して標準化した)を、モック対照を用いて得たAhsa1レベルに関連付けることによって計算した。
各ウェルについて、標的mRNAレベルを、それぞれのGAPDH mRNAレベルに対して標準化した。所与のASOの活性を、対照ウェルにわたって平均した標的mRNA濃度(GAPDH mRNAに対して標準化した)と比較した、処置細胞におけるそれぞれの標的のパーセントmRNA濃度(GAPDH mRNAに対して標準化した)として表現した。
MSH3を標的化する約480個のASOの二重用量スクリーニングの結果、ならびに二重用量スクリーニングからのおよそ42個の陽性ASOのIC
20、IC
50およびIC
80値は、以下の表3に示される。
(実施例3)
低減された伸長についてのin vitroスクリーニング
DNAトリプレットリピートの伸長は、患者由来の細胞系およびDNA損傷剤を使用してin vitroで再現することができる。ハンチントン(GM04281、GM04687およびGM04212)またはフリードライヒ運動失調症患者(GM03816およびGM02153)または筋強直性ジストロフィー1(GM04602、GM03987およびGM03989)由来のヒト線維芽細胞を、Coriell Cell Repositoriesから購入し、製造業者の使用説明書に従って培地中で維持する(Kovtum et al., 2007 Nature, 447(7143): 447-452:Li et al., 2016 Biopreservation and Biobanking 14(4):324-29;Zhang et al., 2013 Mol Ther 22(2): 312-320)。CAG-リピート伸長をin vitroで誘導するために、線維芽細胞を、酸化剤、例えば、過酸化水素(H2O2)、クロム酸カリウム(K2CrO4)または臭素酸カリウム(KBrO3)で、最大で2時間にわたって処置する(Kovtum et al., ibid)。細胞を洗浄し、培地を交換して、細胞を3日間回復させる。処置を最大でもう2回反復し、その後、細胞を回収し、DNAを単離する。CAGリピート長さを、以下に記載される方法を使用して決定する。
DNAトリプレットリピートの伸長は、患者由来の細胞系を使用してin vitroで再現することができる。ハンチントン患者由来のヒト線維芽細胞(CS09iHD-109n1)に由来する誘導多能性幹細胞(iPSC)を、Cedars-Sinai RMI Induced Pluripotent Stem Cell Coreから購入し、製造業者の推奨に従って維持する(https://www.cedars-sinai.org/content/dam/cedars-sinai/research/documents/biomanufacturing/recommended-guidelines-for-handling-ipscsv1.pdf)。109個のCAGを有するiPSC系からのCAGリピートは、分裂中のiPS細胞において、70日間にわたって4つのCAGリピートの平均伸長で、CAGリピートサイズにおける増加を経時的に示す(Goold et al., 2019 Human Molecular Genetics Feb 15; 28(4): 650-661)。
CS09iHD-109n1 iPSCを、標的mRNAの持続的ノックダウンのためにLNP製剤化siRNAまたはASOのいずれかで処置し、CAGリピート伸長を、以下に記載されるDNA断片分析によって決定する。siRNAまたはASOを、3~15日毎に変動する濃度で細胞に添加し、mRNAのノックダウンを、標準的な分子生物学技術を使用するRT-qPCRによって決定する。DNAおよびmRNAを、t=0、14日、28日、42日、56日および80日において、標準的な技術に従って細胞から単離する。線は、線形回帰ベストフィットを示す。処置と対照との間での伸長における差異を、線形反復測定モデルに従い、Tukeyの事後検定に従って各時点において比較する。
(実施例4)
ゲノムDNA抽出およびSmall Pool-PCR(sp-PCR)分析によるCAGリピート長さの定量化
ゲノムDNAを、標準的なプロテイナーゼK消化を使用して精製し、製造業者の使用説明書に従ってDNAzol(Invitrogen)を使用して抽出する。CAGリピート長さを、以前に記載されたsmall pool-PCR分析によって決定する(Mario Gomes-Pereira and Darren Monckton, 2017, Front Cell Neuro 11:153)。簡潔に述べると、DNAをHindIIIで消化し、1~6pg/μlの間の最終濃度に希釈し、およそ10pgを、引き続くPCR反応において使用した。ヒトHTTのエクソン1に隣接するプライマーを使用して、CAG対立遺伝子を増幅し、PCR産物を電気泳動によって分解する。引き続いて、サザンブロットハイブリダイゼーションを実施し、CAG対立遺伝子を、オートラジオグラフィーによって観察する、またはエチジウムブロマイド染色によって可視化する。CAG長さは、MiSeQまたは適切な機械で配列決定することによって直接的に測定することができる。対照と比較した種々の処置群におけるCAGリピート数の変化を、単純な記述統計学(例えば、平均±標準偏差)を使用して計算する。
ゲノムDNA抽出およびDNA断片分析によるCAGリピート長さの定量化
ゲノムDNAを、製造業者の使用説明書に従ってDNAeasy Blood and Tissue Kit(Qiagen)を使用して精製する。DNAを、Qubit dsDNAアッセイ(ThemoScientific)によって定量化し、CAGリピート長さを、Laragen(Culver City、CA)による断片分析によって決定する。
(実施例5)
マウス研究
HDマウスモデルにおける自然経過研究:
HDマウスR6/2系は、およそ120個のCAGリピート伸長を保有するヒトHD遺伝子(HTT)の5’末端についてトランスジェニックである。HTTは、普遍的に発現される。トランスジェニックマウスは、舞踏病様運動、不随意常同運動、振戦およびてんかん様発作、ならびに異常な発声を含む非運動障害構成要素を含むHDの病理学的特色の多くを模倣する、進行性の神経学的表現型を示す。彼らは頻繁に排尿し、疾患の過程を通じて、体重および筋肉量の喪失を示す。神経学的に、これらのマウスは、ハンチンチンタンパク質およびユビキチンタンパク質の両方を含む神経核内封入体(NII)を発達させる。以前には未知であったこれらのNIIは、HD患者において引き続いて識別された。R6/2マウスにおけるHD症状の発症の開始齢は、9週と11週との間にあることが報告されている(Mangiarini et al., 1996 Cell 87: 493-506)。
体細胞伸長は、R6/2マウスの線条体、皮質および肝臓において報告された。体細胞不安定性は、構成的長さが長くなるにつれて増加した(Larson et al, Neurobiology of Disease 76 (2015) 98-111)。120個のCAGリピートを有するR6/2マウスにおける自然経過研究を実施した。彼らの遺伝子型およびCAG伸長の長さを決定した。4、8、12および16週齢のR6/2マウス(1つの週齢群当たり、4匹の雄性マウスおよび4匹の雌性マウス)を屠殺した。線条体、小脳、皮質、肝臓、腎臓、心臓、脾臓、肺、十二指腸、結腸、四頭筋、CSFおよび血漿を収集し、液体窒素中で瞬間凍結した。ゲノムDNAを抽出し、CAGリピートの長さを測定し、不安定性指数を、Lee et al. BMC Systems Biology 2010, 4:29に従って、線条体、小脳、皮質、肝臓および腎臓から計算した。12および16週齢において、線条体は、不安定性指数によって測定した場合、体細胞伸長の有意な増加を示した(****p<0.0001、一元配置ANOVA)(図1)。R6/2マウス小脳では、全ての齢にわたって、体細胞伸長における変化は観察されなかった(図2)。
HD、FAおよびDM1を含むトリヌクレオチドリピート伸長疾患の特色の多くを再現するマウスモデルは、供給業者および学術機関から容易に入手可能である(Polyglutamine Disorders, Advances in Experimental Medicine and Biology, Vol 1049, 2018: Editors Clevio Nobrega and Lois Pereira de Almeida, Springer)。全てのマウス実験を、地域のIACUCガイドラインに従って実施する。異なる罹患マウスモデルの3つの例、および体細胞伸長についてMSH3に対する薬理学的介入の有用性を調査するためにそれらがどのように使用できるかは、以下に含まれる。
ハンチントン研究では、疾患に関与する根底にある病理学的機構を調査するために、いくつかのトランスジェニックおよびノックインマウスモデルが生成された。例えば、R6/2トランスジェニックマウスは、144コピーのCAGリピートを含むヒトHTTの約1.9kbの導入遺伝子を含むが(Mangiarini et al., 1996 Cell 87: 493-506)、HdhQ111モデルは、マウスHTTエクソン1を、111コピーのCAGリピートを含むヒトエクソン1で置き換えることによって生成された(Wheeler et al., 2000 Hum Mol Genet 9:503-513)。R6/2モデルおよびHdhQ111モデルは共に、運動機能障害および行動機能障害、神経喪失、ならびに線条体におけるCAGリピートの伸長を含む、ヒトHDの特色の多くを再現する(Pouladi et al., 2013, Nature Reviews Neuroscience 14: 708-721;Mangiarini et al., 1997 Nature Genet 15: 197-200;Wheeler et al., Hum Mol Genet 8: 115-122)。
R6/2マウスを、離乳時の尾部小片に由来するDNAを使用して遺伝子型決定し、CAGリピートサイズを決定する。マウスを、離乳時に4週齢において群(n=12/群)へとランダム化し、PBS(対照)または最大で500μg用量のMSH3を標的化するオリゴのいずれかの月1回の(4週目および8週目の)ICV注射で投薬する。MSH3の異なる領域を標的化する一連のオリゴを試験して、最も有効なオリゴ配列をin vivoで識別することができる。12週齢の時点で、マウスを安楽死させ、分析のために組織を抽出する。組織のリストは、線条体、皮質、小脳および肝臓を含むがこれらに限定されない。ゲノムDNAを抽出し、CAGリピートの長さを、以下に記載されるように測定する。CSFおよび血漿を、バイオマーカー分析のために収集する。HDのさらなる適切なマウスモデルを考慮することができる。
フリードライヒ運動失調症では、病理を理解するために、YG8 FRDAトランスジェニックマウスモデルが一般に使用される(Al-Mahdawi et al., 2006 Genomics 88(5)580-590;Bourn et al., 2012 PLOS One 7(10); e47085)。このモデルは、ヌルFRDAマウスの背景におけるヒトYACトランスジェニック含有の挿入を介して生成された。YG8モデルは、軽度の運動欠損のみを伴った、神経組織におけるGAAトリプレットリピート伸長の体細胞伸長を実証する。YG8 FRDAマウスを、離乳時の尾部小片に由来するDNAを使用して遺伝子型決定し、方法を使用してCAGリピートサイズを決定する。MSH3が疾患対立遺伝子の体細胞伸長において役割を果たすかどうかを決定するために、ヘミ接合性YG8 FRDA動物に、上で識別したMSH3のノックダウンを標的化するオリゴをICV投与する。
およそ2ヶ月後、動物を安楽死させ、分子分析のために組織を収集する。適切な組織は、心臓、四頭筋、後根神経節(DRG)、小脳、腎臓および肝臓である。ゲノムDNAを抽出し、CAGリピートの長さを、実施例4に上記したように測定する。
筋強直性ジストロフィーでは、DM300-328トランスジェニックマウスモデルが、DM1の背後の病理を調査するために適切である。このマウスモデルは、300個を超えるCTGリピートを含む大きいヒトゲノム配列(約45kb)を有し、ヒトDM1において観察される体細胞伸長および変性性筋肉変化の両方を示す(Seznec et al., 2000;Tome et al., 2009 PLOS Genetics 5(5): e1000482;Pandey et al., 2015 J Pharmacol Exp Ther 355:329-340)。DM300-328マウスを、離乳時の尾部小片に由来するDNAを使用して遺伝子型決定し、CAGリピートサイズを決定する。MSH3が筋強直性ジストロフィーにおける疾患対立遺伝子の体細胞伸長において役割を果たすかどうかを決定するために、DM300-328トランスジェニック動物に、皮下注射(sc)、腹腔内(ip)または静脈内尾注射(iv)のいずれかによって、MSH3のノックダウンを標的化するASOを投与する。マウスに、最大8週間の処置にわたって、週に最大で2回、ASOを投与する。動物を複数の時点で安楽死させ、分子分析のために組織を収集する。適切な組織は、四頭筋、心臓、横隔膜、皮質、小脳、精子、腎臓および肝臓である。ゲノムDNAを抽出し、CAGリピートの長さを測定し、並行対照と比較する。
ハンチントン病についてのHdhQ111マウスモデルは、ヘテロ接合性ノックイン系であり、この系では、ハンチンチン遺伝子(即ち、HTTまたはハンチントン病遺伝子)の1つの対立遺伝子上のエクソン1の大部分およびイントロン1の一部は、約111個のCAGリピートを含むヒトDNAで置き換えられている。この実施例では、MSH3活性またはレベルをノックダウンするASOを投与する。処置期間の後、処置されたまたは未処置のマウス由来の脳組織を単離し(例えば、線条体組織)、以前に記載されたようにqRT-PCRを使用して分析して、MSH3のRNAレベルを決定する。ハンチンチン遺伝子リピート分析を、ノックイン対立遺伝子からのHTT CAGリピートは増幅するが、マウス配列(即ち、野生型対立遺伝子)は増幅しないヒト特異的PCRアッセイを使用して、処置期間後のマウス組織(例えば、線条体組織)を使用して実施する。このプロトコールでは、フォワードプライマーは、(例えば、Pinto RM, Dragileva E, Kirby A, et al. Mismatch repair genes MLH1 and MSH3 modify CAG instability in Huntington's disease mice: genome-wide and candidate approaches. PLoS Genet. 2013;9(10):e1003930.などに以前に記載されたように6-FAMで)蛍光標識され、産物は、CAGリピートサイズ分布トレースを生成するために、内部サイズ標準に対する比較を用いて分析器を使用して分解され得る。リピートサイズを、対照組織(例えば、マウスの尾組織)からおよび影響を受けた組織(例えば、脳線条体組織または脳皮質組織)からの、最大の強度を有するピークから決定する。免疫組織化学を、パラフィン包埋されたまたは他の方法で調製された脳組織の切片に対してポリクローナル抗ハンチンチン抗体(例えば、EM48)を用いて実施し、標準化染色指数を使用して定量化して、核染色強度および染色された核の数の両方を捕捉することができる。影響を受けた組織におけるリピートサイズの減少は、MSH3のレベルおよび/または活性を低減させる薬剤が、ハンチントン病における毒性および/または欠損遺伝子産物の原因となるリピートを減少させることが可能であることを示している。
他の態様
本明細書で言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、各個々の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個々にその全体が参照により本明細書に組み込まれると示されるのと同じ程度まで、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願中の用語が参照により本明細書に組み込まれる文書において異なって定義されていることが見出される場合、本明細書で提供される定義が、その用語の定義として機能する。
本発明は、その具体的な態様と併せて記載されてきたが、本発明がさらなる改変が可能であり、本出願が、本発明の原理に一般に従う、本発明が属する分野内で公知のまたは慣習的な実務の範囲内に入りかつ本明細書で上で示される本質的な特色に適用され得る本開示のかかる逸脱を含む、本発明の全ての変形形態、使用または適応をカバーする意図であり、特許請求の範囲の範囲に従うことが理解される。
本明細書に記載される種々の態様に加えて、本開示は、E1からE90までの番号を振った以下の態様を含む。態様のこのリストは、例示的なリストとして提示されるのであって、本出願は、これらの特定の態様に限定されない。
E1. 10~30の連結されたヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであって、MSH3遺伝子に対して少なくとも80%の相補性を有する少なくとも10個の連続する核酸塩基の領域を含む、オリゴヌクレオチド。
E2. 前記オリゴヌクレオチドが、
(a)連結されたデオキシリボヌクレオシドを含むDNAコア配列;
(b)連結されたヌクレオシドを含む5’隣接配列;および
(c)連結されたヌクレオシドを含む3’隣接配列
を含み、
前記DNAコアが、MSH3遺伝子に対して少なくとも80%の相補性を有する少なくとも10個の連続する核酸塩基の領域を含み、前記5’隣接配列と前記3’隣接配列との間に位置付けられ;前記5’隣接配列および前記3’隣接配列が各々、少なくとも2つの連結されたヌクレオシドを含み;各隣接配列の少なくとも1つのヌクレオシドが、代替えのヌクレオシドを含む、E1に記載のオリゴヌクレオチド。
E3. 細胞におけるヒトMSH3遺伝子の発現を阻害するための10~30の連結されたヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであって、MSH3遺伝子に対して少なくとも80%の相補性を有する少なくとも10個の連続する核酸塩基の領域を含む、オリゴヌクレオチド。
E4. 前記オリゴヌクレオチドが、
(a)連結されたデオキシリボヌクレオシドを含むDNAコア;
(b)連結されたヌクレオシドを含む5’隣接配列;および
(c)連結されたヌクレオシドを含む3’隣接配列
を含み、
前記DNAコアが、MSH3遺伝子に対して少なくとも80%の相補性を有する少なくとも10個の連続する核酸塩基の領域を含み、前記5’隣接配列と前記3’隣接配列との間に位置付けられ;前記5’隣接配列および前記3’隣接配列が各々、少なくとも2つの連結されたヌクレオシドを含み;各隣接配列の少なくとも1つのヌクレオシドが、代替えのヌクレオシドを含む、E3に記載のオリゴヌクレオチド。
E5. 少なくとも10核酸塩基の前記領域が、MSH3遺伝子に対して少なくとも90%の相補性を有する、E1からE4のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E6. 少なくとも10核酸塩基の前記領域が、MSH3遺伝子に対して少なくとも95%の相補性を有する、E1からE5のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E7. 少なくとも10核酸塩基の前記領域が、参照mRNA NM_002439.4の配列に対応するMSH3遺伝子に対して、前記MSH3遺伝子の155~199、355~385、398~496、559~589、676~724、762~810、876~903、912~974、984~1047、1054~1098、1114~1179、1200~1227、1294~1337、1392~1417、1467~1493、1517~1630、1665~1747、1768~1866、2029~2063、2087~2199、2262~2293、2304~2330、2371~2410、2432~2458、2494~2521、2539~2647、2679~2713、2727~2753、2767~2920、2933~3000、3046~3073、31323245、3266~3306、3397~3484、3528~3575、3591~3617、3753~3792、3901~3936、4074~4101または4281~4319位のうち1つまたは複数の位置において相補的である、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E8. 少なくとも10核酸塩基の前記領域が、参照mRNA NM_002439.4の配列に対応するMSH3遺伝子に対して、前記MSH3遺伝子の155~199、359~385、398~496、559~589、676~724、762~810、876~974、984~1098、1114~1179、1200~1227、1294~1337、1392~1417、1467~1493、1517~1630、1665~1747、1834~1866、2029~2056、2093~2199、2262~2293、2304~2329、2371~2410、2433~2458、2494~2521、2539~2647、2679~2713、2727~2753、2767~2920、2933~3000、3046~3072、3132~3245、3266~3303、3397~3484、3528~3575、3591~3617、3753~3792、3901~3936、4076~4101または4281~4319位のうち1つまたは複数の位置において相補的である、E1からE7のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E9. 少なくとも10核酸塩基の前記領域が、参照mRNA NM_002439.4の配列に対応するMSH3遺伝子に対して、前記MSH3遺伝子の155~196、359~385、413~462、559~589、676~724、762~810、876~974、984~1096、1114~1179、1200~1227、1294~1337、1467~1493、1517~1630、1665~1747、1834~1866、2029~2056、2093~2199、2265~2293、2378~2410、2433~2458、2494~2521、2539~2647、2679~2712、2727~2753、2767~2919、2934~3000、3046~3071、3144~3183、3220~3245、3397~3484、3534~3575、3591~3616、3901~3931または4281~4306位のうち1つまたは複数の位置において相補的である、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E10. 少なくとも10核酸塩基の前記領域が、参照mRNA NM_002439.4の配列に対応するMSH3遺伝子に対して、前記MSH3遺伝子の435~462、559~584、763~808、876~902、931~958、1001~1083、1114~1179、1294~1337、1544~1578、1835~1863、2031~2056、2144~2169、2543~2577、2590~2615、2621~2647、2685~2711、2769~2795または2816~2868位のうち1つまたは複数の位置において相補的である、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E11. 少なくとも10核酸塩基の前記領域が、参照mRNA NM_002439.4の配列に対応するMSH3遺伝子に対して、前記MSH3遺伝子の876~902、930~958、1056~1081、1114~1139、1154~1179、1310~1337、1546~1571、1836~1862、2141~2199、2267~2292、2540~2580、2620~2647、2686~2711、2769~2868、2939~2976、3144~3169または3399~3424位のうち1つまたは複数の位置において相補的である、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E12. 少なくとも10核酸塩基の前記領域が、参照mRNA NM_002439.4の配列に対応するMSH3遺伝子に対して、前記MSH3遺伝子の984~1021、1467~1493、1722~1747、1767~1802、1833~1861、2385~2410、2554~2581、2816~2845、2861~2920または3151~3183位のうち1つまたは複数の位置において相補的である、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E13. 配列番号6~2545のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E14. 配列番号20、22~29、31~32、77~78、81~82、115、117、130、132~134、144~145、147、167~168、210、212~215、290~293、295~296、299~305、309、351~359、361~362、365~366、368、407~409、432、437~442、444、459~460、479、482~493、497~498、500~501、503~512、543~550、552~560、562、582~585、588~591、603~604、611、613~616、659、661、699~700、702、705~707、724~725、770~771、812~816、838~842、845~852、856、883~885、889、893~897、936、940~941、945、948、950、955、959~961、965~968、972~973、999、1007、1016~1017、1019、1021~1022、1036、1040~1045、1047、1170、1172~1173、1211、1216、1222、1235、1240~1242、1244~1249、1251~1252、1254~1259、1268、1316、1318~1322、1328~1329、1373~1375、1379~1383、1386~1387、1407~1408、1433~1435、1450~1451、1454~1461、1476~1477、1496~1499、1532、1538~1541、1565~1566、1579、1581~1589、1591、1600~1607、1610、1625、1627~1629、1631~1639、1643、1650~1660、1663~1665、1668~1675、1713~1714、1716~1722、1724、1727~1731、1741、1745~1747、1751~1755、1799~1801、1859~1866、1868~1869、1894~1896、1905~1908、1954、1964~1966、1969、2066~2070、2075~2079、2108、2138、2143~2147、2157~2160、2193~2194、2299~2300、2312~2313、2385、2388、2390~2395、2416~2418、2460、2462または2463のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E15. 配列番号20、22、25~29、31~32、81~82、115、130、132~134、144、145、147、168、210、212~215、290~293、295~296、299~305、309、351~359、361~362、365~366、368、407~409、432、437~442、444、459~460、479、482~493、497~498、500~501、503~506、508~512、543~550、552~560、562、582~585、589~591、603~604、611、613~616、659、661、699~700、702、705~707、724、770~771、812~816、838~842、845~852、856、883~885、889、893~897、936、940~941、945、948、950、955、959~961、965~968、972~973、1041~1045、1047、1170、1172、1216、1222、1235、1241~1242、1244~1249、1251~1252、1254~1259、1268、1316、1318~1319、1321~1322、1328、1373、1379~1383、1386~1387、1408、1433~1435、1450~1451、1454~1461、1476~1477、1496~1499、1532、1538~1541、1565~1566、1579、1581~1582、1584~1589、1591、1601~1607、1610、1625、1627~1629、1631~1638、1650~1655、1659、1665、1668~1675、1713~1714、1716~1722、1727~1731、1745、1747、1751~1755、1799~1800、1859、1861~1862、1865~1866、1868~1869、1895~1896、1905~1908、1954、1694~1966、2066~2070、2075~2079、2108、2138、2144~2146、2158~2160、2193~2194、2299、2300、2313、2385、2388、2390~2392、2394~2395、2418、2460または2462~2463のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E16. 配列番号20、25~29、32、81~82、130、133~134、144~145、147、210、212~213、215、290~293、295~296、299~304、309、351、352~359、361~362、365~366、368、407~409、432、437~442、444、460、479、482~486、488~492、497~498、500~501、503~506、508~512、544~550、553~558、560、582~585、589、603~604、611、613~616、659、661、699~700、702、705~707、770~771、812~816、838~842、845~851、856、883、885、889、893、895~897、936、940、945、961、965~968、972~973、1041~1045、1047、1170、1172、1216、1222、1235、1244、1246~1249、1251~1252、1254~1255、1257~1259、1268、1319、1321~1322、1380~1381、1386~1387、1408、1433~1435、1450~1451、1454~1461、1476~1477、1496~1499、1532、1538~1540、1565~1566、1579、1581~1582、1584~1589、1591、1601~1604、1606~1607、1610、1625、1627~1629、1631~1638、1651~1654、1668、1670~1674、1714、1717~1722、1727~1731、1745、1751~1755、1799、1861、1869、1908、1964、1966、2066~2069、2075~2076、2078~2079、2108、2144~2145、2158~2160、2193、2385、2390または2460のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E17. 配列番号145、147、210、352、365、366、407、408、439~442、444、492、500、504、511、512、544~547、582、604、616、699、700、702、705~707、839~842、848、1042~1045、1172、1255、1454~1457、1477~1499、1538、1539、1581、1582、1606、1607、1610または1631~1633のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む、E1からE6に記載のオリゴヌクレオチド。
E18. 配列番号407、408、441、442、444、545、582、616、705~707、841、1043、1044、1252、1255、1268、1321、1451、1454~1460、1497~1499、1538、1539、1581、1582、1587、1601、1602、1606、1607、1610、1631~1633、1719、1721、1730、1731、1861または2068のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E19. 配列番号479、482~491、770、771、973、998~1000、1007、1008、1040~1043、1387、1454、1456、1459~1461、1538、1539、1606、1607、1610、1643~1665、1668~1675または1862~1869のうちいずれか1つの核酸塩基配列を含む、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E20. 前記オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、配列番号6~2545のうちいずれか1つからなる、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E21. 配列番号20、22~29、31~32、77~78、81~82、115、117、130、132~134、144~145、147、167~168、210、212~215、290~293、295~296、299~305、309、351~359、361~362、365~366、368、407~409、432、437~442、444、459~460、479、482~493、497~498、500~501、503~512、543~550、552~560、562、582~585、588~591、603~604、611、613~616、659、661、699~700、702、705~707、724~725、770~771、812~816、838~842、845~852、856、883~885、889、893~897、936、940~941、945、948、950、955、959~961、965~968、972~973、999、1007、1016~1017、1019、1021~1022、1036、1040~1045、1047、1170、1172~1173、1211、1216、1222、1235、1240~1242、1244~1249、1251~1252、1254~1259、1268、1316、1318~1322、1328~1329、1373~1375、1379~1383、1386~1387、1407~1408、1433~1435、1450~1451、1454~1461、1476~1477、1496~1499、1532、1538~1541、1565~1566、1579、1581~1589、1591、1600~1607、1610、1625、1627~1629、1631~1639、1643、1650~1660、1663~1665、1668~1675、1713~1714、1716~1722、1724、1727~1731、1741、1745~1747、1751~1755、1799~1801、1859~1866、1868~1869、1894~1896、1905~1908、1954、1964~1966、1969、2066~2070、2075~2079、2108、2138、2143~2147、2157~2160、2193~2194、2299~2300、2312~2313、2385、2388、2390~2395、2416~2418、2460、2462または2463のうちいずれか1つの核酸塩基配列からなる、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E22. 配列番号20、22、25~29、31~32、81~82、115、130、132~134、144、145、147、168、210、212~215、290~293、295~296、299~305、309、351~359、361~362、365~366、368、407~409、432、437~442、444、459~460、479、482~493、497~498、500~501、503~506、508~512、543~550、552~560、562、582~585、589~591、603~604、611、613~616、659、661、699~700、702、705~707、724、770~771、812~816、838~842、845~852、856、883~885、889、893~897、936、940~941、945、948、950、955、959~961、965~968、972~973、1041~1045、1047、1170、1172、1216、1222、1235、1241~1242、1244~1249、1251~1252、1254~1259、1268、1316、1318~1319、1321~1322、1328、1373、1379~1383、1386~1387、1408、1433~1435、1450~1451、1454~1461、1476~1477、1496~1499、1532、1538~1541、1565~1566、1579、1581~1582、1584~1589、1591、1601~1607、1610、1625、1627~1629、1631~1638、1650~1655、1659、1665、1668~1675、1713~1714、1716~1722、1727~1731、1745、1747、1751~1755、1799~1800、1859、1861~1862、1865~1866、1868~1869、1895~1896、1905~1908、1954、1694~1966、2066~2070、2075~2079、2108、2138、2144~2146、2158~2160、2193~2194、2299、2300、2313、2385、2388、2390~2392、2394~2395、2418、2460または2462~2463のうちいずれか1つの核酸塩基配列からなる、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E23. 配列番号20、25~29、32、81~82、130、133~134、144~145、147、210、212~213、215、290~293、295~296、299~304、309、351、352~359、361~362、365~366、368、407~409、432、437~442、444、460、479、482~486、488~492、497~498、500~501、503~506、508~512、544~550、553~558、560、582~585、589、603~604、611、613~616、659、661、699~700、702、705~707、770~771、812~816、838~842、845~851、856、883、885、889、893、895~897、936、940、945、961、965~968、972~973、1041~1045、1047、1170、1172、1216、1222、1235、1244、1246~1249、1251~1252、1254~1255、1257~1259、1268、1319、1321~1322、1380~1381、1386~1387、1408、1433~1435、1450~1451、1454~1461、1476~1477、1496~1499、1532、1538~1540、1565~1566、1579、1581~1582、1584~1589、1591、1601~1604、1606~1607、1610、1625、1627~1629、1631~1638、1651~1654、1668、1670~1674、1714、1717~1722、1727~1731、1745、1751~1755、1799、1861、1869、1908、1964、1966、2066~2069、2075~2076、2078~2079、2108、2144~2145、2158~2160、2193、2385、2390または2460のうちいずれか1つの核酸塩基配列からなる、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E24. 配列番号145、147、210、352、365、366、407、408、439~442、444、492、500、504、511、512、544~547、582、604、616、699、700、702、705~707、839~842、848、1042~1045、1172、1255、1454~1457、1477~1499、1538、1539、1581、1582、1606、1607、1610または1631~1633のうちいずれか1つの核酸塩基配列からなる、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E25. 配列番号407、408、441、442、444、545、582、616、705~707、841、1043、1044、1252、1255、1268、1321、1451、1454~1460、1497~1499、1538、1539、1581、1582、1587、1601、1602、1606、1607、1610、1631~1633、1719、1721、1730、1731、1861または2068のうちいずれか1つの核酸塩基配列からなる、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E26. 配列番号479、482~491、770、771、973、998~1000、1007、1008、1040~1043、1387、1454、1456、1459~1461、1538、1539、1606、1607、1610、1643~1665、1668~1675または1862~1869のうちいずれか1つの核酸塩基配列からなる、E1からE6のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E27. 細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、20nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも50%のmRNA阻害を示す、E1からE26のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E28. 細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、20nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも60%のmRNA阻害を示す、E1からE26のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E29. 細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、20nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも70%のmRNA阻害を示す、E1からE26のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E30. 細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、20nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも85%のmRNA阻害を示す、E1からE26のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E31. 細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、2nMにおいて、少なくとも50%のmRNA阻害を示す、E1からE26のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E32. 細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、2nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも60%のmRNA阻害を示す、E1からE26のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E33. 細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、2nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも70%のmRNA阻害を示す、E1からE26のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E34. 細胞アッセイを使用して決定した場合、対照細胞と比較した場合に、2nMのオリゴヌクレオチド濃度において、少なくとも85%のmRNA阻害を示す、E1からE26のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E35. 少なくとも1つの代替えのヌクレオシド間連結を含む、E1からE34のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E36. 前記少なくとも1つの代替えのヌクレオシド間連結が、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結である、E35に記載のオリゴヌクレオチド。
E37. 前記少なくとも1つの代替えのヌクレオシド間連結が、2’-アルコキシヌクレオシド間連結である、E35に記載のオリゴヌクレオチド。
E38. 前記少なくとも1つの代替えのヌクレオシド間連結が、アルキルホスフェートヌクレオシド間連結である、E35に記載のオリゴヌクレオチド。
E39. 少なくとも1つの代替えの核酸塩基を含む、E1からE38のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E40. 前記代替えの核酸塩基が、5’-メチルシトシン、プソイドウリジンまたは5-メトキシウリジンである、E39に記載のオリゴヌクレオチド。
E41. 少なくとも1つの代替えの糖部分を含む、E1からE40のいずれか一つに記載の改変されたオリゴヌクレオチド。
E42. 前記代替えの糖部分が、2’-OMeまたは二環式核酸である、E41に記載の改変されたオリゴヌクレオチド。
E43. 一価または分岐鎖二価もしくは三価リンカーを介して前記オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端にコンジュゲートされたリガンドをさらに含む、E1からE42のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E44. MSH3遺伝子の少なくとも17個の連続するヌクレオチドに対して相補的な領域を含む、E1からE43のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E45. MSH3遺伝子の少なくとも19個の連続するヌクレオチドに対して相補的な領域を含む、E1からE43のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E46. MSH3遺伝子の19~23個の連続するヌクレオチドに対して相補的な領域を含む、E1からE43のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E47. MSH3遺伝子の19個の連続するヌクレオチドに対して相補的な領域を含む、E1からE43のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E48. MSH3遺伝子の20個の連続するヌクレオチドに対して相補的な領域を含む、E1からE43のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E49. 約15~25ヌクレオシド長である、E1からE43のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E50. 20ヌクレオシド長である、E1からE43のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド。
E51. E1からE50のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチドのうち1つまたは複数および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物。
E52. E1からE50のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチドのうち1つまたは複数および脂質ナノ粒子、ポリプレックスナノ粒子、リポプレックスナノ粒子またはリポソームを含む組成物。
E53. 細胞においてMSH3の転写を阻害する方法であって、前記細胞を、MSH3遺伝子のmRNA転写物の分解を得るために十分な時間にわたって、E1からE50のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチドのうち1つもしくは複数、E51に記載の医薬組成物またはE52に記載の組成物と接触させて、前記細胞において前記MSH3遺伝子の発現を阻害するステップを含む、方法。
E54. トリヌクレオチドリピート伸長障害の処置、予防またはその進行の遅延を必要とする対象においてトリヌクレオチドリピート伸長障害を処置、予防するまたはその進行を遅延させる方法であって、前記対象に、E1からE50のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチドのうち1つもしくは複数、E51に記載の医薬組成物またはE52に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
E55. トリヌクレオチドリピート伸長障害を有すると識別された対象の細胞においてMSH3のレベルおよび/または活性を低減させる方法であって、前記細胞を、E1からE50のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチドのうち1つもしくは複数、E51に記載の医薬組成物またはE52に記載の組成物と接触させるステップを含む、方法。
E56. 細胞においてMSH3遺伝子の発現を阻害するための方法であって、前記細胞を、E1からE50のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチドのうち1つもしくは複数、E51に記載の医薬組成物またはE52に記載の組成物と接触させるステップ、およびMSH3遺伝子のmRNA転写物の分解を得るために十分な時間にわたって、前記細胞を維持し、それによって、前記細胞において前記MSH3遺伝子の発現を阻害するステップを含む、方法。
E57. 細胞においてトリヌクレオチドリピート伸長を減少させる方法であって、前記細胞を、E1からE50のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチドのうち1つもしくは複数、E51に記載の医薬組成物またはE52に記載の組成物と接触させるステップを含む、方法。
E58. 前記細胞が対象中にある、E56またはE57に記載の方法。
E59. 前記対象がヒトである、E54、E55およびE58のいずれか一つに記載の方法。
E60. 前記細胞が、中枢神経系の細胞または筋肉細胞である、E54からE58のいずれか一つに記載の方法。
E61. 前記対象が、トリヌクレオチドリピート伸長障害を有すると識別されている、E54、E55およびE58から60のいずれか一つに記載の方法。
E62. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、ポリグルタミン病である、E54、E55およびE57から61のいずれか一つに記載の方法。
E63. 前記ポリグルタミン病が、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、ハンチントン病、球脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症1型、脊髄小脳失調症2型、脊髄小脳失調症3型、脊髄小脳失調症6型、脊髄小脳失調症7型、脊髄小脳失調症17型およびハンチントン病様2からなる群から選択される、E62に記載の方法。
E64. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、非ポリグルタミン病である、E54からE61のいずれか一つに記載の方法。
E65. 前記非ポリグルタミン病が、脆弱X症候群、脆弱X関連振戦/失調症候群、脆弱XE精神遅滞、フリードライヒ運動失調症、筋強直性ジストロフィー1型、脊髄小脳失調症8型、脊髄小脳失調症12型、眼咽頭型筋ジストロフィー、脆弱X関連早期卵巣機能不全、FRA2A症候群、FRA7A症候群および早期乳児てんかん性脳症からなる群から選択される、E64に記載の方法。
E66. トリヌクレオチドリピート伸長障害の予防または処置における使用のための、E1からE50のいずれか一つに記載の1つもしくは複数のオリゴヌクレオチド、E51に記載の医薬組成物またはE52に記載の組成物。
E67. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、ハンチントン病、球脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症1型、脊髄小脳失調症2型、脊髄小脳失調症3型、脊髄小脳失調症6型、脊髄小脳失調症7型、脊髄小脳失調症17型、ハンチントン病様2、脆弱X症候群、脆弱X関連振戦/失調症候群、脆弱XE精神遅滞、フリードライヒ運動失調症、筋強直性ジストロフィー1型、脊髄小脳失調症8型、脊髄小脳失調症12型、眼咽頭型筋ジストロフィー、脆弱X関連早期卵巣機能不全、FRA2A症候群、FRA7A症候群および早期乳児てんかん性脳症からなる群から選択される、E65に記載のオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物。
E68. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、ハンチントン病である、E66またはE67に記載のオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物。
E69. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、フリードライヒ運動失調症である、E66またはE67に記載の使用のためのオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物。
E70. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、筋強直性ジストロフィー1型である、E66またはE67に記載の使用のためのオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物。
E71. 前記改変されたオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物が、くも膜下腔内投与される、E66からE70のいずれか一つに記載の使用のためのオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物。
E72. 前記改変されたオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物が、脳室内投与される、E66からE70のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物。
E73. 筋肉内投与される、E66からE70のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物。
E74. 障害の処置、予防またはその進行の遅延を必要とする対象において障害を処置、予防するまたはその進行を遅延させる方法であって、前記対象が、トリヌクレオチドリピート伸長障害を患っており、前記対象に、E1からE50のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチドのうち1つもしくは複数、E51に記載の医薬組成物またはE52に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
E75. さらなる治療剤を投与するステップをさらに含む、E74に記載の方法。
E76. 前記さらなる治療剤が、ハンチンチン遺伝子をコードするmRNAにハイブリダイズする別のオリゴヌクレオチドである、E75に記載の方法。
E77. 対象においてトリヌクレオチドリピート伸長障害を予防するまたはその進行を遅延させる方法であって、前記対象に、前記対象のトリヌクレオチドリピート伸長障害の進行を遅延させるのに有効な量で、E1からE50のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチドのうち1つもしくは複数、E51に記載の医薬組成物またはE52に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
E78. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、ハンチントン病、球脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症1型、脊髄小脳失調症2型、脊髄小脳失調症3型、脊髄小脳失調症6型、脊髄小脳失調症7型、脊髄小脳失調症17型、ハンチントン病様2、脆弱X症候群、脆弱X関連振戦/失調症候群、脆弱XE精神遅滞、フリードライヒ運動失調症、筋強直性ジストロフィー1型、脊髄小脳失調症8型、脊髄小脳失調症12型、眼咽頭型筋ジストロフィー、脆弱X関連早期卵巣機能不全、FRA2A症候群、FRA7A症候群および早期乳児てんかん性脳症からなる群から選択される、E77に記載の方法。
E79. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、ハンチントン病である、E77またはE78に記載の方法。
E80. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、フリードライヒ運動失調症である、E77またはE78に記載の方法。
E81. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、筋強直性ジストロフィー1型である、E77またはE78に記載の方法。
E82. さらなる治療剤を投与するステップをさらに含む、E77またはE78に記載の方法。
E83. 前記さらなる治療剤が、ハンチンチン遺伝子をコードするmRNAにハイブリダイズする別のオリゴヌクレオチドである、E82に記載の方法。
E84. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害の進行が、予測された進行と比較した場合に、少なくとも120日、例えば、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも10年またはそれよりも長く遅延される、E77からE83のいずれか一つに記載の方法。
E85. 対象においてトリヌクレオチドリピート伸長障害を予防するまたはその進行を遅延させる際の使用のための、E1からE50のいずれか一つに記載の1つもしくは複数のオリゴヌクレオチド、E51に記載の医薬組成物またはE52に記載の組成物。
E86. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、ハンチントン病、球脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症1型、脊髄小脳失調症2型、脊髄小脳失調症3型、脊髄小脳失調症6型、脊髄小脳失調症7型、脊髄小脳失調症17型、ハンチントン病様2、脆弱X症候群、脆弱X関連振戦/失調症候群、脆弱XE精神遅滞、フリードライヒ運動失調症、筋強直性ジストロフィー1型、脊髄小脳失調症8型、脊髄小脳失調症12型、眼咽頭型筋ジストロフィー、脆弱X関連早期卵巣機能不全、FRA2A症候群、FRA7A症候群および早期乳児てんかん性脳症からなる群から選択される、E85に記載のオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物。
E87. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、ハンチントン病である、E85またはE86に記載のオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物。
E88. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、フリードライヒ運動失調症である、E85またはE86に記載のオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物。
E89. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害が、筋強直性ジストロフィー1型である、E85またはE86に記載のオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物。
E90. 前記トリヌクレオチドリピート伸長障害の進行が、予測された進行と比較した場合に、少なくとも120日、例えば、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも10年またはそれよりも長く遅延される、E85からE89のいずれか一つに記載のオリゴヌクレオチド、医薬組成物または組成物。