発明の詳細な記載
概要
本発明は、新規小型化ジストロフィンまたはそれをコードする遺伝子に関する。小型化ジストロフィンは調節カセットに操作可能に連結され得る。本発明はまた筋ジストロフィー、サルコペニア、心不全またはカヘキシーを有する対象を処置する方法に関する。さらに、本発明は、筋ジストロフィー、サルコペニア、心不全またはカヘキシーを発症するリスクのある対象を予防的に処置する方法にも関する。筋ジストロフィー、サルコペニア、心不全またはカヘキシーを有するまたは発症するリスクのある対象を処置する方法は、小型化ジストロフィン遺伝子および送達媒体を含む医薬組成物を対象に投与することを含み得る。
定義
本発明がより容易に理解され得るように、一部用語をまず定義する。本明細書で使用される限り、ここで異なる意味が明示的に示される場合の除き、次の用語の各々は、次に示す意味を有する。さらなる定義は、本明細書において逐次示される。
用語「および/または」は、ここで使用されるとき、二つの特定の性質の各々の、他方を伴うまたは伴わない特定の開示として解釈されるべきである。故に、「Aおよび/またはB」などの表現で使用される用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)および「B」(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、Bおよび/またはC」などの言い回しで使用される用語「および/または」は、次の態様の各々を包含することが意図される:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
態様がここで用語「含む」を用いて記載されているとき、「からなる」および/または「から本質的になる」の用語で記載される他の点で類似する態様もまた提供されることは理解される。
特に異なって定義されない限り、ここで使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が関連する分野の当業者により共通して理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press; The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press;およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、当業者に本開示で使用される用語の多くの一般的辞典を提供する。
単位、接頭辞および記号は、国際単位系(SI)により受け入れられた形態で使用する。数値範囲は、範囲を規定する数値を含む。ここに提供する各文節の表題は開示の種々の態様を限定するのではなく、それは、全体として本明細書を参酌して捉えられるべきである。従って、すぐ下に定義する用語は、本明細書を全体として引用してより完全に定義される。
ジストロフィン(DMD)は、ジストロフィンをコードする大きなヒトX染色体遺伝子である。タンパク質ジストロフィンは、筋鞘の細胞質面に局在化し、筋線維におけるコスタメアで豊富な427kDa細胞骨格タンパク質である。ジストロフィンタンパク質は、アクチン結合アミノ末端ドメイン(ABD1);「スペクトリン反復ドメイン」と称される一連のロッドおよびヒンジを含む中央ロッドドメイン;システインリッチドメイン;およびカルボキシル末端の4つの主な機能的ドメインを有する。
ここで使用する用語「小型化ジストロフィンポリペプチド」または「小型化ジストロフィンペプチド」は、完全長野生型ジストロフィンポリペプチドより小さなサイズのポリペプチドをいう。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、DMD動物モデルにおいて、野生型値の少なくとも約10%または20%まで筋肉生理学または解剖所見の測定可能な値を変え(場合に応じて増加させるかまたは減少させる)、該値を野生型値に近づけるようにする(例えば、mdxマウスは、野生型値の50%である筋肉生理学または解剖所見の測定可能な値を有し、この値は、野生型値の少なくとも60%まで増加する;またはmdxマウスは野生型値の150%である筋肉生理学または解剖所見の測定可能な値を有し、この値が野生型値の最大140%までに減少する)。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、DMD動物モデルにおける筋肉生理学または解剖所見の測定可能な値を。野生型値の少なくとも約30%まで変えることができる。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、DMD動物モデルにおける筋肉生理学または解剖所見の測定可能な値を、野生型値に類似するレベル(例えば、±4%)まで変えることができる。
ここで使用する用語「スペクトリン反復」または「スペクトリン様反復」は、スペクトリン反復が一般に複数コピーで存在する、ジストロフィンを含む、多くの構造タンパク質の棒様形態を担う約100アミノ酸からなるペプチドをいう。スペクトリン反復は、アミノ酸配列における保存的および/または非保存的変化などの天然ペプチド配列の変異ならびにスペクトリン反復末端またはスペクトリン反復内への/からの最大1、2、3、4、5、6、7、8、9または10アミノ酸の付加または欠失を含み得る。ある実施態様において、各スペクトリン反復(R1~R24の各々)は、天然に存在するスペクトリン反復(天然に存在するR1~R24の各々)に少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%配列同一性を有する。
ここで使用する用語「スペクトリン反復コード化配列」は、スペクトリン反復ペプチドをコードする核酸配列をいう。この用語は、スペクトリン反復(例えば、天然に存在するおよび変異両者のスペクトリン反復ペプチド)をコードする天然および合成核酸配列を含む。
ここで使用する用語「スペクトリン反復ドメイン」は小型化ジストロフィンポリペプチドのスペクトリン反復を含む小型化ジストロフィンポリペプチドにおける領域をいう。
用語「融合した」は、通常天然では結合していない第二アミノ酸配列にインフレームで結合し、「融合」タンパク質/ポリペプチドを形成する第一アミノ酸配列をいう。これらの通常別々のタンパク質に存在する融合したアミノ酸配列はまとまって融合ポリペプチドとなり得るかまたは通常同じタンパク質に存在するアミノ酸配列は融合ポリペプチドにおいて新しい配置で配置され得る。融合タンパク質は、例えば、化学ペプチド合成により製造されるか、組み換えDNAテクノロジーによって、それにより、ペプチド領域が所望の関係性でコードされるポリヌクレオチドが製造され、次いで翻訳される。融合タンパク質はまた共有、非ペプチド結合または非共有結合により第一アミノ酸配列に結合した第二アミノ酸配列も含み得る。ある実施態様において、2ポリペプチド間の「融合」は、リンカーにより達成される。リンカーはアミノ酸でも他の化学構造でもよい。ある実施態様において、リンカーは合成され得る。
ある実施態様において、2ポリペプチド間の「融合」は直接融合である、すなわち、介在するリンカーがない。用語「直接的に融合」または「直接融合」は、ペプチド結合による2ポリペプチド鎖間の結合である。例えば、第一アミノ酸は、該第一アミノ酸が第二アミノ酸にペプチド結合により「融合」されるとき、第二アミノ酸に「直接的に融合」される。
それぞれ大きなポリペプチドまたはポリヌクレオチドの一部であるポリペプチド部分またはポリヌクレオチド部分に関する「異種」および「異種部分」は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド分子の残りと異なるポリペプチドまたはポリヌクレオチドに由来するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのさらなる異種成分は、ここに記載する残りのポリペプチドまたはポリヌクレオチドとそれぞれ同じ生物に由来するかまたはさらなる成分は異なる生物に由来し得る。例えば、異種ポリペプチドは合成物であっても、異なる種、個体の異なる細胞型または別の個体の同じもしくは異なるタイプの細胞に由来してもよい。ある態様において、異種部分は、ポリペプチドを産生するように他のポリペプチドに融合したポリペプチドである。他の態様において、異種部分は、ポリペプチドまたはタンパク質にコンジュゲートしたPEGなどの非ポリペプチドである。
ここで使用する用語「筋細胞」は、骨格筋、平滑筋(例えば消化管、膀胱および血管)および心筋由来細胞を含むが、これらに限定されない、筋肉組織由来の細胞をいう。本用語は、インビトロ、エクスビボおよびインビボでの筋細胞を含む。故に、例えば、単離された心筋細胞は、インビボで対象内に存在する筋肉組織に存在する細胞と同様、筋細胞を構成する。この用語はまた末期的に分化したおよび分化していない両方の筋細胞、例えば、ミオサイト、筋管、筋芽細胞、心筋細胞および心筋芽細胞も包含する。
遺伝子調節エレメント(例えば、エンハンサー配列、プロモーター配列)に対比してここで使用する用語「筋肉特異的」は、他の組織において該調節エレメントにより駆動される転写活性と比較して、主に筋細胞または組織で転写活性を駆動する(例えば、20:1)調節エレメントをいう。調節エレメントの筋肉特異性を決定するアッセイは当分野で知られる(例えば、ベータ-ガラクトシドレポーターの発現を駆動する試験する調節エレメントを含む発現ベクターでトランスフェクトしたマウス筋細胞および肝細胞を使用するインビトロアッセイ)。
ここで使用する用語「アデノ随伴ウイルス」または「AAV」は、AAVタイプ1、AAVタイプ2、AAVタイプ3(タイプ3Aおよび3Bを含む)、AAVタイプ4、AAVタイプ5、AAVタイプ6、AAVタイプ7、AAVタイプ8、AAVタイプ9、AAVタイプ10、AAVタイプ11、AAVタイプ12、AAVタイプ13、ヘビAAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヤギAAV、エビAAV、霊長類AAV、非霊長類AAVおよびヒツジAAV、Gao et al. (J. Virol. 78:6381 (2004))およびMoris et al. (Virol. 33:375 (2004))により開示されるAAV血清型およびクレードのものおよび現在知られるもしくは今後発見されるあらゆる他のAAVを含むが、これらに限定されない。例えば、Fields et al. VIROLOGY, volume 2, chapter 69 (4th ed., Lippincott-Raven Publishers)参照。AAVは、パルボウイルス科のウイルス内のディペンドパルボウイルスである。例えば、AAVは、天然に存在する「野生型」ウイルス由来のAAV、天然に存在するcap遺伝子によりコードされたカプシドタンパク質由来のカプシドに封入された組み換えAAV(rAAV)ゲノム由来のAAVおよび/または非天然カプシドcap遺伝子によりコードされるカプシドタンパク質由来のカプシドに封入されたrAAVゲノムであり得る。ここで使用する「AAV」は、ウイルス自体またはその誘導体をいうように使用され得る。本用語は、特に断らない限り、全サブタイプおよび天然に存在するおよび組み換え両者の形態を包含する。「霊長類AAV」は、霊長類に感染するAAVをいい、「非霊長類AAV」は霊長類以外の動物に感染するAAVをいい、「ウシAAV」はウシ科哺乳動物に感染するAAVをいうなどである。例えば、BERNARD N. FIELDS et al., VIROLOGY, volume 2, chapter 69 (3 d ed., Lippincott-Raven Publishers)参照。
用語「rAAV」は、「組み換えAAV」をいう。ある実施態様において、組み換えAAVは、repおよびcap遺伝子の一部または全てが異種ポリヌクレオチド配列で置き換えられているAAVゲノムをいう。
ここで使用する「AAVベクター」または「アデノ随伴ウイルスベクター」は、AAV起源(すなわち、AAVに対して異種のポリヌクレオチド)ではないポリヌクレオチド配列、一般に細胞の遺伝子形質転換のために目的の配列を含む、rAAVをいう。一般に、異種ポリヌクレオチドは、少なくとも1つ、一般に2つのAAV末端逆位配列(ITR)により隣接される。
「無カプシド」または「カプシドレス」(またはこれらの変形)ウイルス(例えば、AAV)ゲノムまたは核酸分子は、カプシドがないゲノムまたは核酸分子をいう。ある実施態様において、カプシドレスゲノムまたは核酸分子は、例えば、AAV Repタンパク質をコードする配列を含まない。
「AAV」または「AAVウイルス粒子」または「AAVベクター」または「rAAVベクター粒子」は、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質(一般に野生型AAVのカプシドタンパク質の全て)およびカプシドに包まれたポリヌクレオチドからなるウイルス粒子をいう。粒子が異種ポリヌクレオチド(すなわち、哺乳動物細胞に送達すべき導入遺伝子のような野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含むならば、一般に「rAAVベクター粒子」または単に「AAVベクター」と称される。
AAVの「ヘルパーウイルス」は、AAV(例えば、野生型AAV)が哺乳動物細胞で複製およびパッケージングされることを可能にするウイルスをいう。アデノウイルス、ヘルペスウイルスおよびワクシニアなどのポックスウイルスを含む、AAVのための多様なこのようなヘルパーウイルスが当分野で知られる。アデノウイルスは、多数の異なるサブグループを含むが、サブグループCのアデノウイルスタイプ5が最も一般的に使用される。ヒト、非ヒト哺乳動物およびトリ起源の多数のアデノウイルスが知られ、ATCCなどの寄託機関から入手可能である。ヘルペス科のウイルスは、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)およびエプスタイン・バーウイルス(EBV)、ならびにサイトメガロウイルス(CMV)および仮性狂犬病ウイルス(PRV)を含み、その全て同様にATCCなどの寄託機関から入手可能である。
ここで使用する用語「末端逆位配列」(または「ITR」)は、下流にその逆相補が続く、ヌクレオチドの一本鎖配列をいう。最初の配列と逆相補の間のヌクレオチドの介在配列は、0を含み、如何なる長さでもよい。AAVゲノムは、一般に末端逆位配列(ITR)を両端に含み、ここで、各末端は、一般に回文式であり、ヘアピンを形成し得る。
用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」はここでは相互交換可能に使用され、鎖内で共有結合された複数のヌクレオチドモノマーからなるバイオポリマーをいう。
ここで使用する用語「向性」は、ウイルスの(例えば、AAVの)1以上の特定の細胞型のみに感染する能力および細胞侵入を達成するために特定の細胞表面部分のみと相互作用し、所望によりおよび好ましくは続いて該ウイルス(例えば、AAV)により細胞内に運搬された配列の発現(例えば、転写および所望により、翻訳)(例えば、組み換えウイルスについて、異種ヌクレオチド配列の発現)をする能力をいう。
ここで使用する用語「形質導入」は、細胞へのウイルス(例えば、AAV)の侵入およびウイルスゲノムから発現させるための該ウイルス内に含まれた遺伝物質の細胞への伝達をいう。一般に、ウイルス(例えば、AAV)は、その向性に従い細胞に侵入する。
「投与」は、当業者に知られる種々の方法および送達系の何れかを使用する、対象への治療剤の物理的導入をいう。例えば、AAV治療に関する投与経路の例は、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外、胸骨内、経口、直腸、局所、上皮、粘膜、鼻腔内、膣、直腸および舌下投与を含む。投与は、例えば、1回、複数回および/またはそれ以上の長期にわたり実施され得る。
対象の「処置」または「治療」は、疾患に関連する症状、合併症、状態または生化学的兆候の発症、進行、進展、重症度または再発の回復、軽減、改善、阻止、原則または予防を目的として実施される、対象へのあらゆるタイプの介入または過程または活性剤の投与をいう。
ここで使用する「治療有効量」、「治療用量」、「有効用量」または「有効投与量」は、ここに記載する治療目標を達成する量または用量をいう。治療有効量などは単回用量で投与できまたは複数用量(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の用量)投与により達成され得ることを当業者はさらに理解する。治療剤が疾患退行を促進するまたは疾患進展もしくは再発を阻止する能力は、臨床治験中のヒト対象、ヒトにおける有効性の予測となる動物モデル系またはインビトロアッセイでの該薬剤の活性のアッセイ結果によるなど、当業者に知られる多様な方法を使用して、評価され得る。
「対象」は、あらゆるヒトまたは非ヒト動物を含む。用語「非ヒト動物」は、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌならびにマウス、ラットおよびモルモットなどの齧歯類などの脊椎動物を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、対象はヒトである。用語「対象」および「患者」はここでは相互交換可能に使用される。
ここで使用する用語「ug」および「uM」は、それぞれ「μg」および「μM」と相互交換可能に使用される。
選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢の何れか一つ、両方またはこれらの何らかの組み合わせを意味すると理解されるべきである。ここで使用する単数表現は、何らかの言及されるまたは挙げられる成分または実体の「1またはそれ以上」をいうと解釈されるべきである。
凡そまたは約:ここで使用する用語「凡そ」または「約」は、1以上の問題の値に付されるとき、特に断らない限りまたは文脈から他のことが明らかでない限り、記載される参照値に類似し、記載される参照値と何れかの方向で(多いまたは少ない)25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満の範囲内に入る値をいう(このような数値が、可能な値の100%を超えるとき以外)。用語「凡そ」または「約」がここで特定の値に付されるとき、用語「凡そ」または「約」を伴わない値もここに開示される。
ここに記載する、あらゆる濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲または整数範囲は、特に断らない限り、記載する範囲内のあらゆる整数値および、適切であれば、その分数(例えば整数の1/10および1/100)を含むと解釈されるべきである。
本発明の種々の態様を、次のサブセクションにさらに詳述する。
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド
小型化ジストロフィン
本発明は、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、ジストロフィンの少なくとも3つのヒンジドメインおよび少なくとも5つのスペクトリン反復ドメインを含む。
ジストロフィンは、細胞膜を介して筋線維の細胞骨格を周囲の細胞外マトリクスに結合させる棒状細胞質タンパク質である。このタンパク質は、主に運動に使用される筋肉(骨格筋)および心臓の筋肉(心筋)に存在する。脳の神経細胞に小量のジストロフィンが存在する。骨格および心筋において、ジストロフィンは、一体となって筋線維を強くし、筋肉の収縮および弛緩の際に傷害から保護する、一群のタンパク質(タンパク質複合体)の一部である。ジストロフィン複合体はアンカーとして働き、各筋細胞の構造フレームワーク(細胞骨格)と細胞外のタンパク質および他の分子の格子(細胞外マトリクス)を結合させる。ジストロフィン複合体は、化学シグナルを送るおよび受け取るタンパク質と相互作用することにより、細胞シグナル伝達にも役割を有する。
完全長ジストロフィンタンパク質をコードするDMD遺伝子は、知られている最長ヒト遺伝子の一つであり、Xp21座位で2.3メガベース(ヒトゲノムの0.08%)を占める。一次転写物は筋肉で約2,100キロベースとなり、転写に16時間かかる;成熟mRNAは14.0キロベースとなる。79エクソン筋肉転写物は、3685アミノ酸残基のタンパク質をコードする。
ここに開示されるのは、ジストロフィンのアミノ酸およびヌクレオチド配列である。ヒト野生型ジストロフィン、アイソフォームDp427mを構成するアミノ酸配列はUniProt識別番号NP_003997.1として知られ、表1に示す。
選択的スプライシングに起因する種々の他のジストロフィンアイソフォームは当分野で知られる。ある実施態様において、構築物は表2に示すヌクレオチド配列を含む。
またここに開示されるのは、完全長ジストロフィンタンパク質をコードするヌクレオチド配列である。
野生型、完全長ジストロフィンタンパク質(アイソフォームDp427m)は、24のスペクトリン様反復、少なくとも4つのヒンジ領域、アクチン結合ドメイン(ABD1)、システインリッチドメイン(CR)およびC末端ドメイン(C-term)を含む。各ドメインのポリペプチド配列を表3に示し、各ドメインのヌクレオチド配列を表4に示す。
本発明は、完全長ジストロフィンタンパク質、すなわち、アイソフォームDp427mより小さく、天然に存在するジストロフィンタンパク質アイソフォームと同一ではない小型化ジストロフィンポリペプチドまたは小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。本明細書が小型化ジストロフィンポリペプチドを開示するとき、本発明は、対応する開示される小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子も開示し、その逆もそうである。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードする核酸分子は遺伝子治療に適する。従って、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードする核酸分子は、遺伝子治療ベクター、例えば、AAVベクターに適合するまたは組み換え発現に適するだけでなく、インビボで投与したときまたは発現されたとき、該小型化ジストロフィンポリペプチドに対するあらゆる望まない免疫応答(例えば、液性免疫応答および/または細胞性免疫応答、例えば、CD4および/またはCD8)を低減するように構築される。ある実施態様において、本発明の小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端からC末端方向でジストロフィンのヒンジ1(H1)ドメイン、スペクトリン反復1(R1)ドメイン、スペクトリン反復3(R3)ドメイン、ヒンジ2(H2)ドメイン、スペクトリン反復16(R16)ドメイン、スペクトリン反復17(R17)ドメイン、スペクトリン反復24(R24)ドメインおよびヒンジ4(H4)ドメインを含む。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、ジストロフィンのスペクトリン反復2(R2)ドメインを含まない。他の実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、スペクトリン反復2(R2)ドメインおよび(1)スペクトリン反復4(R4)ドメイン、(2)スペクトリン反復5(R5)ドメイン、(3)スペクトリン反復6(R6)ドメイン、(4)スペクトリン反復7(R7)ドメイン、(5)スペクトリン反復8(R8)ドメイン、(6)スペクトリン反復9(R9)ドメイン、(7)スペクトリン反復10(R10)ドメイン、(8)スペクトリン反復11(R11)ドメイン、(9)スペクトリン反復12(R12)ドメイン、(10)スペクトリン反復13(R13)ドメイン、(11)スペクトリン反復14(R14)ドメイン、(12)スペクトリン反復15(R15)ドメイン、(13)スペクトリン反復18(R18)ドメイン、(14)スペクトリン反復19(R19)ドメイン、(15)スペクトリン反復20(R20)ドメイン、(16)スペクトリン反復21(R21)ドメイン、(17)スペクトリン反復22(R22)ドメインまたは(18)スペクトリン反復23(R23)ドメインまたは(19)これらの何れかの組み合わせを含まない。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、スペクトリン反復2(R2)ドメイン、スペクトリン反復4(R4)ドメイン、スペクトリン反復5(R5)ドメイン、スペクトリン反復6(R6)ドメイン、スペクトリン反復7(R7)ドメイン、スペクトリン反復8(R8)ドメイン、スペクトリン反復9(R9)ドメイン、スペクトリン反復10(R10)ドメイン、スペクトリン反復11(R11)ドメイン、スペクトリン反復12(R12)ドメイン、スペクトリン反復13(R13)ドメイン、スペクトリン反復14(R14)ドメイン、スペクトリン反復15(R15)ドメイン、スペクトリン反復18(R18)ドメイン、スペクトリン反復19(R19)ドメイン、スペクトリン反復20(R20)ドメイン、スペクトリン反復21(R21)ドメイン、スペクトリン反復22(R22)ドメインおよびスペクトリン反復23(R23)ドメインを含まない。
ある実施態様において、本発明の小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端からC末端方向で、ジストロフィンのヒンジ1(H1)ドメイン、スペクトリン反復1(R1)ドメイン、スペクトリン反復3(R3)ドメイン、ヒンジ2(H2)ドメイン、スペクトリン反復16(R16)ドメイン、スペクトリン反復17(R17)ドメイン、スペクトリン反復24(R24)ドメインおよびヒンジ4(H4)ドメインを含み、ここで、R1ドメインはペプチド結合によりR3ドメインに直接融合されている。例えば、小型化ジストロフィンポリペプチドBXA-027741参照。
ある実施態様において、本発明の小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端からC末端方向で、ジストロフィンのヒンジ1(H1)ドメイン、スペクトリン反復1(R1)ドメイン、スペクトリン反復3(R3)ドメイン、ヒンジ2(H2)ドメイン、スペクトリン反復16(R16)ドメイン、スペクトリン反復17(R17)ドメイン、スペクトリン反復24(R24)ドメインおよびヒンジ4(H4)ドメインを含み、ここで、R1ドメインおよびR3ドメインはアミノ酸ARG-VAL(RV)により融合されている。
ある実施態様において、本発明の小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端からC末端方向で、ジストロフィンのヒンジ1(H1)ドメイン、スペクトリン反復1(R1)ドメイン、スペクトリン反復3(R3)ドメイン、ヒンジ2(H2)ドメイン、スペクトリン反復16(R16)ドメイン、スペクトリン反復17(R17)ドメイン、スペクトリン反復24(R24)ドメインおよびヒンジ4(H4)ドメインを含み、ここで、H2ドメインおよびR16ドメインはリンカーにより融合されている。リンカーは当分野で知られる何れかのリンカーであり得る。他の実施態様において、リンカーは、ここに開示するリンカーの何れかから選択され得る。他の実施態様において、リンカーはセクション5.3.2のリンカーであり得る。ある実施態様において、リンカーは、配列番号75(IHTVREE TMMVMTEDMP LEI)と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
ある実施態様において、本発明の小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端からC末端方向で、ジストロフィンのヒンジ1(H1)ドメイン、スペクトリン反復1(R1)ドメイン、スペクトリン反復3(R3)ドメイン、ヒンジ2(H2)ドメイン、スペクトリン反復16(R16)ドメイン、スペクトリン反復17(R17)ドメイン、スペクトリン反復24(R24)ドメインおよびヒンジ4(H4)ドメインを含み、ここで、H2ドメインおよびR16ドメインはリンカーにより融合されている。ある実施態様において、リンカーは、配列番号74~75の組み合わせ(SEAQ IHTVREE TMMVMTEDMP LEI)と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
ある実施態様において、本発明の小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端からC末端方向で、ジストロフィンのヒンジ1(H1)ドメイン、スペクトリン反復1(R1)ドメイン、スペクトリン反復3(R3)ドメイン、ヒンジ2(H2)ドメイン、スペクトリン反復16(R16)ドメイン、スペクトリン反復17(R17)ドメイン、スペクトリン反復24(R24)ドメインおよびヒンジ4(H4)ドメインを含み、ここで、H2ドメインおよびR16ドメインはリンカーにより融合されている。ある実施態様において、リンカーは、配列番号74(SEAQ)と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
他の実施態様において、本発明の小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端からC末端方向で、ジストロフィンのヒンジ1(H1)ドメイン、スペクトリン反復1(R1)ドメイン、スペクトリン反復3(R3)ドメイン、ヒンジ2(H2)ドメイン、スペクトリン反復16(R16)ドメイン、スペクトリン反復17(R17)ドメイン、スペクトリン反復24(R24)ドメインおよびヒンジ4(H4)ドメインを含み、ここで、R1ドメインおよびR3ドメインはアミノ酸ARG-VALにより融合されており、そしてH2ドメインおよびR16ドメインはリンカー、例えば、配列番号74~75の組み合わせにより融合されている。
ある実施態様において、本発明の小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端からC末端方向で、ジストロフィンのヒンジ1(H1)ドメイン、スペクトリン反復1(R1)ドメイン、スペクトリン反復3(R3)ドメイン、ヒンジ2(H2)ドメイン、スペクトリン反復16(R16)ドメイン、スペクトリン反復17(R17)ドメイン、スペクトリン反復24(R24)ドメインおよびヒンジ4(H4)ドメインを含み、ここで、R1ドメインおよびR3ドメインはアミノ酸ARG-VALにより融合されており、ここで、H2ドメインおよびR16ドメインはリンカー、例えば、配列番号74~75の組み合わせにより融合されており、ここで、(i)H1ドメインおよびR1ドメインは直接融合されている、(ii)R3ドメインおよびH2ドメインは直接融合されている、(iii)R16およびR17ドメインは直接融合されている、(iv)R17およびR24ドメインは直接融合されているまたは(v)R24およびH4ドメインは直接融合されているまたは(vi)これらの何れかの組み合わせによりにより融合されている。ある実施態様において、本発明に有用な小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端からC末端方向で、ジストロフィンのヒンジ1(H1)ドメイン、スペクトリン反復1(R1)ドメイン、スペクトリン反復3(R3)ドメイン、ヒンジ2(H2)ドメイン、スペクトリン反復16(R16)ドメイン、スペクトリン反復17(R17)ドメイン、スペクトリン反復24(R24)ドメインおよびヒンジ4(H4)ドメインを含み、ここで、R1ドメインおよびR3ドメインはアミノ酸ARG-VALにより融合されており、ここで、H2ドメインおよびR16ドメインはリンカー、例えば、配列番号74~75の組み合わせにより融合されており、ここで、(i)H1ドメインおよびR1ドメインは直接融合されている、(ii)R3ドメインおよびH2ドメインは直接融合されている、(iii)R16およびR17ドメインは直接融合されている、(iv)R17およびR24ドメインは直接融合されているおよび(v)R24およびH4ドメインは直接融合されている。ある実施態様において、本発明に有用な小型化ジストロフィンポリペプチドは、ABD1ドメイン(所望によりN末端に)および/またはCRドメイン(所望によりN末端に)をさらに含む。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端からC末端方向で、ジストロフィンのABD1ドメイン、H1ドメイン、R1ドメイン、アミノ酸RV、R3ドメイン、H2ドメイン、配列番号74~75に示されるアミノ酸配列の組み合わせ、R16ドメイン、R17ドメイン、R24ドメイン、H4ドメインおよびCRドメインから本質的になるまたはそれらからなる。
小型化ジストロフィンポリペプチドの各ドメインは、対応する野生型ドメインから1以上の変化を有し得る。
例えば、小型化ジストロフィンBXA-196477は、順に次のタンパク質ドメインからなる。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドにおけるH1ドメインは、配列番号69に少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列である。ある実施態様において、R1ドメインは、配列番号70に少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列である。ある実施態様において、R3ドメインは、配列番号72に少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列である。ある実施態様において、H2ドメインは、配列番号73に少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列である。ある実施態様において、R16ドメインは、配列番号76に少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列である。ある実施態様において、R17ドメインは、配列番号77に少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列である。ある実施態様において、R24ドメインは、配列番号78に少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列である。ある実施態様において、H4ドメインは、配列番号79に少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列である。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端に、配列番号68と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるポリペプチド配列をさらに含む。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、C末端に、配列番号80と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるポリペプチド配列をさらに含む。
ある実施態様において、本発明は、スペクトリン反復1(R1)ドメインおよびスペクトリン16(R16)ドメインを含む小型化ジストロフィンポリペプチドであって、ここで、R1ドメインおよびR16ドメインが配列番号84(IHTVREETMMVMTEDMPLEI)に示すアミノ酸配列を含むリンカーにより融合されているものを提供する。ある実施態様において、本発明は、N末端からC末端方向でジストロフィンのヒンジ1(H1)ドメイン、スペクトリン反復1(R1)ドメイン、スペクトリン反復16(R16)ドメイン、スペクトリン反復17(R17)ドメイン、ヒンジ3(H3)ドメイン、スペクトリン反復23(R23)ドメイン、スペクトリン反復24(R24)ドメインおよびヒンジ4(H4)ドメインを含む小型化ジストロフィンポリペプチドであって、ここで、R1ドメインおよびR16ドメインが配列番号84に示すアミノ酸配列(IHTVREETMMVMTEDMPLEI)により融合されているものを提供する。
ある実施態様において、本発明は、スペクトリン反復1(R1)ドメインおよびスペクトリン16(R16)ドメインを含む小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、ここで、R1ドメインおよびR16ドメインが配列番号84に示すアミノ酸配列(IHTVREETMMVMTEDMPLEI)を含むリンカーにより融合されているものを含む。ある実施態様において、本発明は、N末端からC末端方向でジストロフィンのヒンジ1(H1)ドメイン、スペクトリン反復1(R1)ドメイン、スペクトリン反復16(R16)ドメイン、スペクトリン反復17(R17)ドメイン、ヒンジ3(H3)ドメイン、スペクトリン反復23(R23)ドメイン、スペクトリン反復24(R24)ドメインおよびヒンジ4(H4)ドメインを含む小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、ここで、R1ドメインおよびR16ドメインが配列番号84に示すアミノ酸配列(IHTVREETMMVMTEDMPLEI)により融合されているものを提供する。
ある実施態様において、本発明の小型化ジストロフィンポリペプチドは、次の特徴を有する:(i)H1ドメインおよびR1ドメインは直接融合されている、(ii)R16およびR17ドメインは直接融合されている、(iii)R17およびH3ドメインは直接融合されている、(iv)R23およびR24ドメインは直接融合されているまたは(v)R24およびH4ドメインは直接融合されているまたは(vi)これらの何れかの組み合わせである。ある実施態様において、本発明の小型化ジストロフィンポリペプチドは、スペクトリン反復2(R2)ドメイン、スペクトリン反復3(R3)ドメイン、スペクトリン反復4(R4)ドメイン、スペクトリン反復5(R5)ドメイン、スペクトリン反復6(R6)ドメイン、スペクトリン反復7(R7)ドメイン、スペクトリン反復8(R8)ドメイン、スペクトリン反復9(R9)ドメイン、スペクトリン反復10(R10)ドメイン、スペクトリン反復11(R11)ドメイン、スペクトリン反復12(R12)ドメイン、スペクトリン反復13(R13)ドメイン、スペクトリン反復14(R14)ドメイン、スペクトリン反復15(R15)ドメイン、スペクトリン反復18(R18)ドメイン、スペクトリン反復19(R19)ドメイン、スペクトリン反復20(R20)ドメイン、スペクトリン反復21(R21)ドメインおよび/またはスペクトリン反復22(R22)ドメインを含まない。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、ABD1ドメインおよび/またはCRドメインをさらに含む。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端からC末端方向で、ジストロフィンのABD1ドメイン、H1ドメイン、R1ドメイン、配列番号84に示すアミノ酸配列(IHTVREETMMVMTEDMPLEI)、R16ドメイン、R17ドメイン、H3ドメイン、R23ドメイン、R24ドメイン、H4ドメインおよびCRドメインを含む、それから本質的になるまたはそれからなる。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドに有用なH1ドメインは、配列番号82と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドに有用なR1ドメインは、配列番号83と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドに有用なR16ドメインは、配列番号85と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドに有用なR17ドメインは、配列番号86と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む。
他の実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドに有用なH3ドメインは、配列番号87と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドに有用なR23ドメインは、配列番号88と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む。
他の実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドに有用なR24ドメインは、配列番号89と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドに有用なH4ドメインは、配列番号90と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、N末端に、配列番号81と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列をさらに含む。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、C末端に、配列番号91と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列をさらに含む。
ある実施態様において、各ドメインをコードする核酸配列は次のとおりであり得る。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドにおけるH1ドメインをコードする核酸配列は、配列番号94と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列である。ある実施態様において、R1ドメインをコードする核酸配列は、配列番号95と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列である。ある実施態様において、R3ドメインをコードする核酸配列は、配列番号97と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列である。ある実施態様において、H2ドメインをコードする核酸配列は、配列番号98と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列である。ある実施態様において、R16ドメインをコードする核酸配列は、配列番号101と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列である。ある実施態様において、R17ドメインをコードする核酸配列は、配列番号102と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列である。ある実施態様において、R24ドメインをコードする核酸配列は、配列番号103と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列である。ある実施態様において、H4ドメインをコードする核酸配列は、配列番号104と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列である。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドにおけるABD1ドメインをコードする核酸配列は、配列番号93と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列である。ある実施態様において、CR/C-termポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号105と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列である。
種々の本発明の小型化ジストロフィンポリペプチドを表7に示す。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号118~132と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号118(BXA-196477)、配列番号119(BXA-196473)、配列番号120(BXA-196474)、配列番号121(BXA-196475)、配列番号122(BXA-196476)、配列番号124(BXA-196478)または配列番号125(BXA-196479)の一つと少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号118と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号119と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号120と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号121と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号122と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号123と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号124と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチは、配列番号125と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号126と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号127と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号128と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号129と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号130と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号131と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号132と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。
ある実施態様において、核酸分子によりコードされる小型化ジストロフィンポリペプチドは、式(I)
H1-R1-L1-R3-H2-L2-L3-R16-R17-R24-H4 (I)
〔式中、H1はジストロフィンのヒンジ1ドメインであり;R1はジストロフィンのスペクトリン反復1ドメインであり;L1はアミノ酸Arg-Val(RV)であり;R3はジストロフィンのスペクトリン反復3ドメインであり;H2はジストロフィンのヒンジ2ドメインであり;L2は配列番号74に示すアミノ酸配列(SEAQ)であり;L3は配列番号75に示すアミノ酸配列(IHTVREE TMMVMTEDMP LEI)であり;R16はジストロフィンのスペクトリン反復16であり;R17はジストロフィンのスペクトリン反復17であり;R24はジストロフィンのスペクトリン反復24であり;H4はジストロフィンのヒンジ4ドメインであり;そして(-)はペプチド結合である。〕
を有する。
ある実施態様において、核酸分子によりコードされる小型化ジストロフィンポリペプチドは、(i)BXA-027741と比較して低いCD4増殖、(ii)BXA-027741と比較して低いCD8増殖および(iv)これらの何れかの組み合わせからなる群から選択される1以上の性質を示す。
ある実施態様において、核酸分子によりコードされる小型化ジストロフィンポリペプチドは、式(II)
H1-R1-L-R16-R17-H3-R23-R24-H4 (II)
〔式中、H1はジストロフィンのヒンジ1ドメインであり;R1はジストロフィンのスペクトリン反復1ドメインであり;Lはアミノ酸配列番号84(IHTVREETMMVMTEDMPLEI)であり;R16はジストロフィンのスペクトリン反復16であり;R17はジストロフィンのスペクトリン反復17であり;H3はジストロフィンのヒンジ3ドメインであり;R23はジストロフィンのスペクトリン反復23であり;R24はジストロフィンのスペクトリン反復24であり;H4はジストロフィンのヒンジ4ドメインであり;そして(-)はペプチド結合であり。〕
を有する。
ある実施態様において、核酸分子によりコードされる小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号132と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、ヌクレオチド配列は、配列番号147のヌクレオチド配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一の配列を含む。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、BXA-196481より高い小型化ジストロフィンポリペプチドの発現を示す。ある他の実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチド発現は、BXA-196481ポリペプチド発現より少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.1倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.3倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約2.6倍、少なくとも約2.7倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約2.9倍または少なくとも約3倍高い。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドはヌクレオチド配列によりコードされ得る。ヌクレオチド配列のいくつかの例を表8に示す。
配列番号148は、C末端が欠失される以外構築物BXA-027743と同じである構築物BXA-212371をコードする。
配列番号149は、3’UTRが短い以外BXA-212371と同じである構築物BXA-212372をコードする。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、表9に示す構築物を含むまたはそれである。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号152と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、表10に示す構築物を含むまたはそれである。
配列番号153は、内部SEAQリンカー(配列番号74)のアミノ酸AおよびQならびにC末端の3アミノ酸がBXA-213780J11V3で欠失している以外、構築物BXA-196477と同じである構築物BXA-213780J11V3をコードする。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、配列番号153と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列を含み、ここで、該アミノ酸配列は、発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンBXA-213780J11V3は、表11に示すヌクレオチド配列によりコードされ得る。
ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドは、ヒンジ2(H2)ドメインとR16 スペクトリン反復16(R16)ドメインの間に接合部を有し、それは表12に列記するアミノ酸配列を含む。
他の実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号133~149と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。他の実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号133(BXA-196477)、配列番号134(BXA-196473)、配列番号135(BXA-196474)、配列番号136(BXA-196475)、配列番号137(BXA-196476)、配列番号139(BXA-196478)、配列番号140(BXA-196479)、配列番号148(BXA-212371)または配列番号149(BXA-212372)と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含む。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号133と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号134と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号135と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含む。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号136と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含む。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号137と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含む。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号138と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号139と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号140と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号141と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号142と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号143と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号144と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号145と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号146と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号147と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号148と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。ある実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号149と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である核酸配列を含み、ここで、該小型化ジストロフィンポリペプチドは、該ヌクレオチド配列から発現されたとき、少なくとも1つのジストロフィン活性を有する。
リンカー
またここに提供されるのは、アミノ酸配列または該アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列である。ある実施態様において、本発明は、配列番号100と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列に関し、ここで、該アミノ酸配列は、配列番号75(IHTVREE TMMVMTEDMP LEI)を含む。ある実施態様において、本発明は、配列番号99~100の組み合わせと少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列によりコードされるアミノ酸配列に関し、ここで、該アミノ酸配列は、配列番号74~75の組み合わせ(SEAQIHTVREE TMMVMTEDMP LEI)を含む。
ある実施態様において、核酸分子は、配列番号75(IHTVREE TMMVMTEDMP LEI)を含むアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該核酸分子は、配列番号100(ATCCACACCGTGCGGGAAGAGACAATGATGGTCATGACAGAGGACATGCCCCTGGAAATC)と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である。
ある実施態様において、アミノ酸配列は、ジストロフィンの1以上のドメインを結合するリンカーとして使用され得る。ある実施態様において、リンカーは、ジストロフィンの第一ドメインおよびジストロフィンの第二ドメインを結合する。ある実施態様において、結合され得るジストロフィンの第一ドメインおよび第二ドメインは、R1ドメインおよびR16ドメインである。他の実施態様において、結合され得るジストロフィンの第一ドメインおよび第二ドメインは、R3ドメインおよびR16ドメインである。他の実施態様において、結合され得るジストロフィンの第一ドメインおよび第二ドメインは、H2ドメインおよびR16ドメインである。
ある実施態様において、本発明は、配列番号99(AGTGAAGCTCAG)と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。
ある実施態様において、本発明は、配列番号100(ATCCACACCGTGCGGGAAGAGACAATGATGGTCATGACAGAGGACATGCCCCTGGAAATC)と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。
ある実施態様において、本発明は、配列番号99および100の組み合わせ(AGTGAAGCTCAGATCCACACCGTGCGGGAAGAGACAATGATGGTCATGACAGAGGACATGCCCCTGGAAATC)と少なくとも70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一であるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。
ある実施態様において、リンカーは、小型化ジストロフィンポリペプチドの2ドメイン(例えば、H2およびR16ドメイン)を結合することにより、ここに開示する小型化ジストロフィンポリペプチドに位置づけされる。ある実施態様において、リンカーは、ABD1-H1-R1-R3-H2-L-R16-R17-R24-H4-CR-C-termを含む小型化ジストロフィンポリペプチドのH2ドメインとR16ドメインの間に位置し、ここで、ABD1はアクチン結合ドメイン1であり、H1はヒンジ1ドメインであり、R1はスペクトリン反復1ドメインであり、R3はスペクトリン反復3ドメインであり、H2はヒンジ2ドメインであり、Lはリンカー、例えば、配列番号74または配列番号75(または組み合わさった両者)(またこれらの配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列)であり、R16はスペクトリン反復16ドメインであり、R17はスペクトリン反復17ドメインであり、R24はスペクトリン24ドメインであり、H4はヒンジ4ドメインであり、CRはシステインリッチドメインであり、C-termは、任意のC末端ドメイン(またはその一部)である。
本発明はまたIHTVREETMMVMTEDMPLEI(配列番号84)を含むリンカーを提供する。ある実施態様において、配列番号75に示す配列(IHTVREETMMVMTEDMPLEI)(または配列番号84に示す配列(IHTVREETMMVMTEDMPLEI)と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%同一である配列)を含むリンカーは、小型化ジストロフィンポリペプチドの2ドメイン(例えば、R1およびR16ドメイン)を結合することにより、ここに開示する小型化ジストロフィンポリペプチドに位置づけられる。ある実施態様において、リンカーは、ABD1-H1-R1-L-R16-R17-H3-R23-R24-H4-CR-C-termを含む小型化ジストロフィンポリペプチドのR1ドメインとR16ドメインの間に位置し、ここで、ABD1はアクチン結合ドメイン1であり、H1はヒンジ1ドメインであり、R1はスペクトリン反復1ドメインであり、Lはリンカー、例えば、配列番号84であり、R16はスペクトリン反復16ドメインであり、R17はスペクトリン反復17ドメインであり、H3はヒンジ3ドメインであり、R23はスペクトリン23ドメインであり、R24はスペクトリン24ドメインであり、H4はヒンジ4ドメインであり、CRはシステインリッチドメインであり、C-termはC末端ドメイン(またはその一部)である。
非コードポリヌクレオチド
ある態様において、ここに提供されるのは、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子、例えば、DNAまたはRNAである。
ある実施態様において、ここに開示する核酸分子は、非コード成分を含む。ある実施態様において、ここに開示する核酸分子は、プロモーターを含む。哺乳動物宿主細胞発現のための調節配列の特定の例は、サイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)およびポリオーマ由来のプロモーターおよび/またはエンハンサーなどの、哺乳動物細胞で高レベルのタンパク質発現を指示するウイルス要素を含む。あるいは、ユビキチンプロモーターまたはβ-グロビンプロモーターなどの非ウイルス性調節配列が使用され得る。なおさらに、SV40早期プロモーターの配列とヒトT細胞白血病ウイルスタイプ1の末端反復配列を含むSRプロモーター系などの、種々の供給源からの配列からなる調節エレメントも使用され得る(Takebe, Y. et al. (1988) Mol. Cell. Biol. 8:466-472)。ある実施態様において、調節配列は、組織特異的プロモーターを含む。ある実施態様において、組織特異的プロモーターは、心臓、肝臓、肺、眼、神経系、リンパ系、中枢神経系、神経細胞、筋肉および幹細胞からなる群から選択される組織における目的の遺伝子の発現を駆動する。
ある実施態様において、ここに開示されるプロモーターは、組織特異的プロモーターである。ある実施態様において、プロモーターは、肝細胞、筋細胞、内皮細胞、類洞細胞または神経細胞またはこれらの何れかの組み合わせにおける治療タンパク質の発現を駆動する。ある実施態様において、プロモーターは、シナプシン1遺伝子プロモーター、マウスサイレチンプロモーター(mTTR)、内因性ヒト第VIII因子プロモーター(F8)、ヒトアルファ-1-抗トリプシンプロモーター(hAAT)、ヒトアルブミン最小プロモーター、マウスアルブミンプロモーター、トリステトラプロリン(TTP)プロモーター、CASIプロモーター、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、α1-抗トリプシン(AAT)プロモーター、筋肉クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、ミオシン重鎖アルファ(αMHC)プロモーター、ミオグロビン(MB)プロモーター、デスミン(DES)プロモーター、SPc5-12プロモーター、2R5Sc5-12プロモーター、dMCKプロモーター、tMCKプロモーター、α-シヌクレインプロモーターおよびホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターからなる群から選択される。
ある実施態様において、ここに開示する核酸分子は、イントロン配列を含む。ある実施態様において、イントロン配列は、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の5’に位置する。ある実施態様において、イントロン配列は、プロモーターの3’に位置する。ある実施態様において、イントロン配列は合成イントロン配列を含む。
ある実施態様において、ここに開示する核酸分子は、転写後調節エレメントを含む。ある実施態様において、転写後調節エレメントは、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の3’に位置する。ある実施態様において、転写後調節エレメントは、変異ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)、マイクロRNA結合部位またはDNA核ターゲティング配列またはこれらの何らかの組み合わせを含む。
ある実施態様において、ここに開示する核酸分子は、3’UTRポリ(A)テイル配列を含む。ある実施態様において、3’UTRポリ(A)テイル配列は、bGHポリ(A)、アクチンポリ(A)、ヘモグロビンポリ(A)およびこれらの何れかの組み合わせからなる群から選択される。ある実施態様において、3’UTRポリ(A)テイル配列は、bGHポリ(A)を含む。
ある実施態様において、ここに開示する核酸分子は、エンハンサー配列を含む。ある実施態様において、ここに開示する核酸分子は、第一末端逆位配列(ITR)および/または第二ITRを含む。ある実施態様において、第一ITRおよび第二ITRは同一である。ある実施態様において、第一ITRおよび/または第二ITRはアデノ随伴ウイルス由来である。ある実施態様において、第一ITRはアデノ随伴ウイルスに由来し、第二ITRはアデノ随伴ウイルスに由来する。
核酸分子はポリペプチドの翻訳を助けるさらなる要素を含み得ることはさらに認識される。このような配列は、例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’末端に結合したコザック配列を含む。コザックコンセンサス配列は、翻訳過程の開始に役割を有し、コンセンサス(gee)gccRccAUGG(配列番号150)を有する真核生物mRNAで生じる配列であり、ここで、(1)小文字は、塩基がそれにも関わらず変わり得る位置で最も一般的塩基を示す;(2)大文字は、プリン(アデニンまたはグアニン)が通常その位置で観察されることを示すIUPAC曖昧コード‘R’以外、高度に保存された塩基を示し、すなわち‘AUGG’配列は一定であるかまたは、仮に変化するとしても稀であり;そして(3)括弧内の配列((gee))は意義不明のものである。
ある非限定的実施態様において、核酸分子は、コザック配列の機能的バリアントまたはそのフラグメントを含む。コザック配列の機能的バリアントまたはそのフラグメントは、リーダーを欠く配列の翻訳レベルと比較したとき、タンパク質の翻訳を増加させる能力を保持する。このような機能的フラグメントは、コザック配列の少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40連続ヌクレオチドまたは配列番号150もしくは配列番号151に示す配列(gccaccATGG)を含み得る。あるいは、機能的バリアントは、コザック配列または配列番号150もしくは配列番号151に示す配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列同一性を含み得る。
異種部分
ある実施態様において、本発明のポリペプチドは、さらなる要素、例えば、異種部分をさらに含み得る。このような要素は、ポリペプチドの発現を助ける、ポリペプチドの分泌を助ける、ポリペプチドの安定性を改善する、ポリペプチドのより効率的精製を可能とするおよび/またはポリペプチドの活性を調節することができる。ある実施態様において、異種部分はポリペプチド部分である。他の実施態様において、異種部分は非ポリペプチド部分である。
ある実施態様において、ポリペプチドは、ポリペプチドに融合した異種部分を含む。
ある実施態様において、ここに開示するポリペプチドは、1以上のさらなる異種部分を含む。ある実施態様において、異種部分は半減期延長部分である。ある実施態様において、異種部分は、アルブミンまたはそのフラグメント、免疫グロブリンFc領域、ヒト絨毛膜性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、PAS配列、HAP配列、トランスフェリンまたはそのフラグメントまたはアルブミン結合部分またはその誘導体またはこれらの何れかの組み合わせを含む。
ある実施態様において、ここに開示するポリペプチドは、1以上のさらなる異種部分を含む。ある実施態様において、異種部分は半減期延長部分である。ある実施態様において、異種部分は、アルブミン、免疫グロブリン定常領域またはその一部、免疫グロブリン結合ポリペプチド、免疫グロブリンG(IgG)、アルブミン結合ポリペプチド(ABP)、PASylation部分、HESylation部分、XTEN、ペグ化部分またはFc領域またはこれらの何れかの組み合わせを含む。
細胞
ある態様において、ここに提供されるのは、ここに記載するタンパク質を発現(例えば、組み換えにより)する細胞(例えば、宿主細胞)およびここに記載するタンパク質をコードするヌクレオチドを含む発現ベクターである。
ある実施態様において、宿主細胞は、ここに記載する核酸分子を含む。ある実施態様において、宿主細胞は、ここに記載するベクターを含む。
ある実施態様において、宿主細胞は真核生物細胞である。ある実施態様において、宿主細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、トランスジェニック哺乳動物細胞および植物細胞からなる群から選択される。ある実施態様において、宿主細胞は原核生物細胞である。ある実施態様において、原核生物細胞は細菌細胞である。
ある実施態様において、宿主細胞は哺乳動物細胞である。このような哺乳動物宿主細胞は、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK 293、NIH 3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2OおよびT47D、NS0(内因性に何ら免疫グロブリン鎖を産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、COS(例えば、COS1またはCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10、HBK、NSO、HT1080およびHsS78Bst細胞を含むが、これらに限定されない。
ベクター
アデノ随伴ウイルス(AAV)
概要
ここに提供されるのは、宿主細胞および治療的介入のために標的とされる細胞における組み換え発現のための小型化ジストロフィンタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含むベクター(例えば、発現ベクター)である。ここで使用する用語「ベクター」は、それが結合している他の核酸を輸送できる核酸分子;または他の核酸を輸送できるこのような核酸分子を含むエンティティをいう。ベクターの1タイプは「プラスミド」であり、これは、環状二本鎖DNAループであり、その中にさらなるDNAセグメントがライゲートされ得る。他のタイプのベクターは、さらなるDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲートされ得るウイルスベクターである。あるベクターまたはベクターの一部であるポリヌクレオチドは、導入された宿主細胞で自律複製可能である(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入により宿主細胞のゲノムに統合され、それにより宿主ゲノムと共に複製され得る。さらに、あるベクターは、それが操作可能に結合している遺伝子の発現を指示できる。このようなベクターは、ここでは「組み換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と称する。一般に、組み換えDNA技術で有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般に使用される形態であるため、文脈により相互交換可能に使用できることがある。しかしながら、またここに開示されるのは、等価な機能を発揮するウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)などの他の形態の発現ベクターである。
ある実施態様において、ここに開示されるポリヌクレオチドは、アデノ随伴ウイルス(AAV)を使用して発現される。AAVは、パルボウイルス科のエンベロープの無い、一本鎖DNAウイルスである。パルボウイルス科の大部分の他のメンバーと対照的に、AAVは複製欠損であり、アデノウイルスまたはヘルペスウイルスなどのヘルパーウイルスの存在下でのみ効率的に複製できる。
AAVは、アデノウイルスのウイルス調製物の夾雑物として1960年代半ばに最初に発見された。Atchison R W, Casto B C, HAMMON W M. Science. 149(3685), 754-756 (1965)参照。それ以降、組み換えDNAベクターとしてAAVをより安全かつより効率的に使用する方法の開発が進んでいる。例えば、Hermonat P.L. およびMuzyczka N. Proc Natl Acad Sci USA. 81(20), 6466-6470 (1984). 3. Laughlin C.A., et al. Gene, 23(1), 65-73 (1983). Matsushita T., et al. Gene Ther. 5(7), 938-945 (1998). Xiao X., et al. Journal of Virology. 72(3), 2224-2232 (1998)参照。少数のAAVゲノムが宿主染色体に統合されることが示されている。Cheung AK, Hoggan MD, Hauswirth WW, et al. Integration of the adeno-associated virus genome into cellular DNA in latently infected human detroit 6 cells. J Virol 1980;33:739-748参照。AAVは、あらゆる既知アデノウイルス抗原と免疫学的に異なる。AAVカプシドは、一本鎖DNA(ssDNA)ゲノムを含む。Rose JA, Berns KI, Hoggan MD, et al. Proc Natl Acad Sci USA 1969;64:863-869参照。
AAVは、2つの末端逆位配列(ITR)が隣接する複製(rep)遺伝子およびカプシド(cap)遺伝子をコードする一本鎖、4.7kb DNAゲノムである。優勢に非統合性であり、非分裂組織で安定なエピソームを形成する。成人集団におけるその高い血清有病率にも関わらず、AAVは、どのヒト疾患とも関連付けられていない。Goncalves, M. Virol. J. 2, 43 (2005)参照。組織におけるAAVの安定な発現、病原性欠如および高力価産生の容易さにより、極めて魅力的なベクターかつ人気の高い遺伝子伝達プラットフォームとなっている。
組み換えAAV(rAAV)は、一般にrepおよびcap遺伝子の一部または全てが異種導入遺伝子配列で置き換えられている、遺伝子操作されたAAVである。組み換えAAVは有糸分裂後細胞における長期導入遺伝子発現を誘発でき、これは組み換えAAVゲノムが核内の大型環状エピソームとして持続するためである可能性が最も高い。rAAVの産生に必要であるrAAVのDNAcis要素のみがAAV末端逆位配列(ITR)であり、一方、rep、capおよびアデノウイルスヘルパー遺伝子はtransで提供される。故に、ここに開示するある実施態様において、rAAVは、ITRが隣接する異種導入遺伝子DNAのみを含み、このゲノムは血清型特異的AAVカプシド内でカプシドに包まれている。
AAVは、外来DNAを細胞に送達するためのベクターシステムとして魅力的となる、特有の特性を有する。培養中の細胞のAAV感染は一般に非細胞病原性であり、ヒトおよび他の動物の自然感染は無症状かつ無症候性である。さらに、AAVは多くの異なるタイプの哺乳動物細胞に感染し、インビボで多くの異なる組織をターゲティングする可能性が認められる。AAVはまた他の形態の遺伝子送達と比較して比較的穏やかである免疫応答の促進ならびに非統合性の、エピソームベクターDNAに基づく分裂および静止細胞両者における永続性発現を含む、遺伝子送達のための特に魅力的なウイルス系となるさらなる利点も有する。また、AAVは、アデノウイルス不活化に使用する条件(56°~65℃で数時間)に耐え、rAAVベースのワクチンの低温保存の重要を減らす。
ウイルスDNAの複製は、宿主細胞ゲノムに組込まれる必要はなく、故にヘルパーウイルスがこの過程に不要である。AAVプロウイルスゲノムは、プラスミドにおけるクローン化DNAと同様感染性であり、組み換えゲノムの構築を実行可能とする。さらに、AAV複製、ゲノムカプシド形成および組込みを指示するシグナルがAAVゲノムのITR内に含まれるため、内部の約4.7kbのゲノム(複製および構造カプシドタンパク質、rep-capをコード)が、こうして、プロモーター、目的のDNAおよびポリアデニル化シグナルを含む遺伝子カセットなどの外来DNAと共に複製され得る。
AAVベクターは、cisまたはtransで機能するさらなる要素を含み得る。具体的実施態様において、ベクターゲノムを含むAAVベクターはまたドナー配列の5’または3’末端に隣接する1以上の末端逆位配列(ITR)配列;構成的または制御可能制御要素または組織特異的発現制御要素などのドナー配列の転写を駆動する発現制御要素(例えば、プロモーターまたはエンハンサー);イントロン配列、スタッファーまたはフィラーポリヌクレオチド配列;および/またはドナー配列の3’に位置するポリアデニン配列を含む。
ある実施態様において、AAVは、ヘルパーウイルスを使用して複製される。アデノウイルス、ヘルペスウイルスおよびワクシニアなどのポックスウイルスを含む、AAVのための多様なこのようなヘルパーウイルスは当分野で知られる。アデノウイルスは多数の異なるサブグループを包含するが、サブグループCのアデノウイルスタイプ5が最も一般的に使用される。ヒト、非ヒト哺乳動物およびトリ起源の多数のアデノウイルスが知られ、ATCCなどの寄託機関から入手可能である。ヘルペス科のウイルスは、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)およびエプスタイン・バーウイルス(EBV)、ならびにサイトメガロウイルス(CMV)および仮性狂犬病ウイルス(PRV)を含み、その全て同様にATCCなどの寄託機関から入手可能である。
AAVベクターの例は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、Rh74またはAAV-2i8の何れかのカプシド配列またはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、Rh74またはAAV-2i8のカプシドバリアントを含む。本発明の組み換えAAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、Rh74またはAAV-2i8およびそのバリアントを含む。特定のカプシドバリアントは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、Rh74またはAAV-2i8のカプシドバリアント、例えば、アミノ酸置換、欠失または挿入/付加を有するカプシド配列を含む。ある実施態様において、AAVベクターはAAV9である。
ある態様において、本発明は別個の組織ターゲティング能(例えば、組織向性)を有するAAVに関する。ある実施態様において、バリアントAAVカプシドポリペプチドは、さらに非バリアント親カプシドポリペプチドと比較して1以上のヒト幹細胞型における形質導入または向性増加を示す。ある実施態様において、ヒト幹細胞型は、胚幹細胞、成体組織幹細胞(すなわち、体性幹細胞)、骨髄幹細胞、前駆細胞、誘導型多能性幹細胞および初期化幹細胞を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、成体幹細胞はオルガノイド幹細胞(すなわち、体内の興味ある臓器または臓器系の何れか由来の幹細胞)を含み得る。ある実施態様において、AAVの標的組織は、生殖腺、横隔膜、心臓、胃、肝臓、脾臓、膵臓、筋肉または腎臓である。ある実施態様において、AAVは、皮膚、毛髪、爪、感覚受容体、汗腺、腺鱗、骨、筋肉、脳、脊髄、神経、下垂体、松果腺、視床下部、甲状腺、副甲状腺、胸腺、副腎、膵臓(島組織)、心臓、血管、リンパ節、リンパ管、胸腺、脾臓、扁桃、鼻、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺、口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、直腸、肛門管、歯、唾液腺、舌、肝臓、胆嚢、膵臓、盲腸、腎臓、輸尿管、膀胱、尿道、精巣、(輸)精管、尿道、前立腺、陰茎、陰嚢、卵巣、子宮、子宮(卵)管、膣、外陰および乳腺(乳房)を含むが、これらに限定されない体の臓器を標的とする。体の臓器系は、外皮系、骨格系、筋肉系、神経系、内分泌系、心血管系、リンパ系、呼吸器系、消化器系、泌尿器系および生殖器系を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、バリアントカプシドポリペプチドを有するAAVの形質導入および/または向性は、非バリアントカプシドポリペプチドを有するAAVと比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、65%、約70%%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%または約100%増加する。ある実施態様において、形質導入および/または向性は、約5%~約80%、約10%~約70%、約20%~約60%または約30%~約60%増加する。
AAV遺伝子の複製、カプシドおよび集合
AAVの一本鎖ゲノムは、rep(複製)、cap(カプシド)およびaap(集合)の3遺伝子を含む。これら3遺伝子は、3プロモーター、選択的翻訳開始部位および選択的スプライシングの使用により少なくとも9つの遺伝子産物を生じる。
rep遺伝子は、ウイルスゲノム複製およびパッケージングに必要な4つのタンパク質(Rep78、Rep68、Rep52およびRep40)をコードする。
cap遺伝子発現は、ウイルスゲノムを保護し、同時に細胞結合および内在化に積極的に関与する外面カプシド殻を形成するウイルスカプシドタンパク質(VP1;VP2;VP3)を生じる。ウイルス外被は、二十面体構造に配置された60タンパク質を含む。
aap遺伝子は、cap遺伝子と重複する代替リーディングフレームで集合活性化タンパク質(AAP)をコードする。この核タンパク質は、あるAAV血清型でカプシド集合のための足場機能を提供し、VPタンパク質の核小体局在化に役割を有すると考えられる。
ある実施態様において、rep、capまたはaap遺伝子の1以上は天然に存在する、例えばrep、capまたはapp遺伝子はパルボウイルスrep、capまたはaap遺伝子の全てまたは一部を含む。ある実施態様において、rep、capまたはaap遺伝子の1以上は合成配列を含む。
ある実施態様において、rep遺伝子は、合成配列を含む。ある実施態様において、cap遺伝子は、合成配列を含む。ある実施態様において、aap遺伝子は、合成配列を含む。ある実施態様において、repおよびcap遺伝子は、合成配列を含む。ある実施態様において、repおよびaap遺伝子は、合成配列を含む。ある実施態様において、capおよびaap遺伝子は、合成配列を含む。ある実施態様において、rep、capおよびaap遺伝子は、合成配列を含む。
ある実施態様において、repはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11およびこれらの何れかの組み合わせから選択されるAAVゲノム由来である。特定の実施態様において、repはAAV1ゲノム由来である。特定の実施態様において、repはAAV2ゲノム由来である。特定の実施態様において、repはAAV3ゲノム由来である。特定の実施態様において、repはAAV4ゲノム由来である。特定の実施態様において、repはAAV5ゲノム由来である。特定の実施態様において、repはAAV6ゲノム由来である。特定の実施態様において、repはAAV7ゲノム由来である。特定の実施態様において、repはAAV8ゲノム由来である。特定の実施態様において、repはAAV9ゲノム由来である。特定の実施態様において、repはAAV10ゲノム由来である。特定の実施態様において、repはAAV11ゲノム由来である。
ある実施態様において、capはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11およびこれらの何れかの組み合わせから選択されるAAVゲノム由来である。特定の実施態様において、capはAAV1ゲノム由来である。特定の実施態様において、capはAAV2ゲノム由来である。特定の実施態様において、capはAAV3ゲノム由来である。特定の実施態様において、capはAAV4ゲノム由来である。特定の実施態様において、capはAAV5ゲノム由来である。特定の実施態様において、capはAAV6ゲノム由来である。特定の実施態様において、capはAAV7ゲノム由来である。特定の実施態様において、capはAAV8ゲノム由来である。特定の実施態様において、capはAAV9ゲノム由来である。特定の実施態様において、capはAAV10ゲノム由来である。特定の実施態様において、capはAAV11ゲノム由来である。
ある実施態様において、aapはAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11およびこれらの何れかの組み合わせから選択されるAAVゲノム由来である。特定の実施態様において、aapはAAV1ゲノム由来である。特定の実施態様において、aapはAAV2ゲノム由来である。特定の実施態様において、aapはAAV3ゲノム由来である。特定の実施態様において、aapはAAV4ゲノム由来である。特定の実施態様において、aapはAAV5ゲノム由来である。特定の実施態様において、aapはAAV6ゲノム由来である。特定の実施態様において、aapはAAV7ゲノム由来である。特定の実施態様において、aapはAAV8ゲノム由来である。特定の実施態様において、aapはAAV9ゲノム由来である。特定の実施態様において、aapはAAV10ゲノム由来である。特定の実施態様において、aapはAAV11ゲノム由来である。
ここに記載する特定のAAVゲノムは、異なるAAVゲノム(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10およびAAV11からのゲノム)由来の遺伝子を含み得ることは理解される。故に、ここに開示されるのは、rep、capまたはaapの何れかの可能な並べ替え/組み合わせを含むAAVである。
ここに開示するある実施態様において、AAVは組み換えAAV(rAAV)である。ある実施態様において、rAAVはrep遺伝子、cap遺伝子およびaap遺伝子の1以上を欠く。ある実施態様において、rAAVはrep遺伝子を欠く。ある実施態様において、rAAVはcap遺伝子を欠く。ある実施態様において、rAAVはaap遺伝子を欠く。ある実施態様において、rAAVはrep遺伝子を欠き、かつcap遺伝子を欠く。ある実施態様において、rAAVはrep遺伝子を欠き、かつaap遺伝子を欠く。ある実施態様において、rAAVはcap遺伝子を欠き、かつaap遺伝子を欠く。ある実施態様において、rAAVはrep遺伝子、cap遺伝子およびaap遺伝子を欠く。
ここに開示するある実施態様において、rAAVは、AAV遺伝子の1以上の発現が修飾されるように、rep遺伝子、cap遺伝子およびaap遺伝子の1以上が変異されるように、修飾される。ある実施態様において、rep遺伝子は変異される。ある実施態様において、cap遺伝子は変異される。ある実施態様において、aap遺伝子は変異される。ある実施態様において、rep遺伝子およびcap遺伝子は変異される。ある実施態様において、rep遺伝子およびaap遺伝子は変異される。ある実施態様において、cap遺伝子およびaap遺伝子は変異される。ある実施態様において、cap遺伝子、rep遺伝子およびaap遺伝子は変異される。
末端逆位配列
ある実施態様において、AAVは、第一ITR、例えば、5’ITRおよび第二ITR、例えば、3’ITRを含む。一般に、ITRはパルボウイルス(例えば、AAV)DNA複製およびレスキューまたは原核生物プラスミドからの切除に関する(Samulski et al., 1983, 1987; Senapathy et al., 1984; Gottlieb and Muzyczka, 1988)。さらに、ITRは、AAVプロウイルス組込みおよびAAV DNAのビリオンへのパッケージングに必要な最小配列であると報告されている(McLaughlin et al., 1988; Samulski et al., 1989)。これらの要素は、パルボウイルスゲノムの効率的増殖に必須である。
ある実施態様において、ITRは、天然に存在するITR、例えば、パルボウイルスITRの全てまたは一部を含むITRを含む。ある実施態様において、ITRは、合成配列を含む。ある実施態様において、第一ITRまたは第二ITRは、合成配列を含む。他の実施態様において、第一ITRおよび第二ITRの各々は、合成配列を含む。ある実施態様において、第一ITRまたは第二ITRは、天然に存在する配列を含む。他の実施態様において、第一ITRおよび第二ITRの各々は、天然に存在する配列を含む。
ある実施態様において、ITRは、AAVゲノムからのITRを含む。ある実施態様において、ITRは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11およびこれらの何れかの組み合わせから選択されるAAVゲノムのITRである。特定の実施態様において、ITRは、AAV2ゲノムのITRである。他の実施態様において、ITRは、AAVゲノムの1以上由来のITRをその5’および3’末端に含むよう遺伝子操作された合成配列である。ある実施態様において、ITRは同じゲノム、例えば、同じウイルスのゲノムまたは異なるゲノム、例えば、2以上の異なるAAVゲノムのゲノム由来である。ある実施態様において、ITRは、同じAAVゲノム由来である。特定の実施態様において、本発明の核酸分子に存在する2つのITRは同じであり、特にAAV2 ITRであり得る。ある特定の実施態様において、第一ITRおよび第二ITRは同一である。
ある実施態様において、ITRはヘアピンループ構造を形成する。ある実施態様において、第一ITRはヘアピン構造を形成する。他の実施態様において、第二ITRはヘアピン構造を形成する。さらに他の実施態様において、第一ITRおよび第二ITR両者はヘアピン構造を形成する。
ある実施態様において、ここに記載する核酸分子におけるITRは、転写活性化ITRである。転写活性化ITRは、少なくとも1つの転写活性のある要素の包含により転写活性化されている野生型ITRの全てまたは一部を含み得る。種々のタイプの転写活性のある要素がこの状況での使用に適する。ある実施態様において、転写活性のある要素は構成的な転写活性のある要素である。構成的な転写活性のある要素は、進行中のレベルでの遺伝子転写を提供し、導入遺伝子が進行中ベースで発現されることが望まれるとき、使用され得る。他の実施態様において、転写活性のある要素は、誘導型の転写活性のある要素である。誘導型の転写活性のある要素は、一般にインデューサー(または誘導条件)非存在下では、低活性を示し、インデューサー(または誘導条件への転換)存在下で上方制御される。誘導型の転写活性のある要素は、発現が特定の時間または特定の位置でのみ望まれるときまたは誘導剤を使用して発現レベルをタイトレーションすることが望まれるとき、使用され得る。転写活性のある要素はまた組織特異的;すなわち、特定の組織または細胞型でのみ活性を示すものであってもよい。
転写活性のある要素は、多様な方法でITRに組み込ませ得る。ある実施態様において、転写活性のある要素は、ITRの何れかの部分に対して5’またはITRの何れかの部分に対して3’に組み込まれる。他の実施態様において、転写活性化ITRの転写活性のある要素は、2つのITR配列の間にある。転写活性のある要素が空間的に離れていなければならない2以上の要素を含むならば、これらの要素をITRの位置と交互にし得る。ある実施態様において、ITRのヘアピン構造を欠失させ、転写要素の逆方向反復で置き換える。この後者の配置は、構造における欠失部分を模倣するヘアピンを作る。複数のタンデムの転写活性のある要素も転写活性化ITRに存在でき、これらは隣接していても、空間的に離れていてもよい。さらに、タンパク質結合部位(例えば、Rep結合部位)は、転写活性化ITRの転写活性のある要素に導入され得る。転写活性のある要素は、RNAポリメラーゼによりRNAを形成するDNA転写を制御できるあらゆる配列を含み得て、例えば、下に定義する転写活性のある要素を含み得る。
転写活性化ITRは、運搬され、核酸分子により発現され得る導入遺伝子の長さを効率的に最大化する、比較的限定的なヌクレオチド配列長に核酸分子の転写活性化およびITR機能両者を提供する。ITRへの転写活性のある要素の組み込みは、多様な方法で達成され得る。ITR配列および転写活性のある要素の配列要件の比較により、ITR内で該要素をコードさせる方法についての見識が提供される。例えば、転写活性をITR配列における転写活性のある要素の機能的要素を複製する特定の変化の導入により、ITRに加え得る。特定のヌクレオチド配列の特定の部位で効率的に付加、欠失および/または変化させる多数の技術が当分野で存在する(例えば、Deng and Nickoloff (1992) Anal. Biochem. 200:81-88参照)。転写活性化ITRを作る他の方法は、ITRの所望の位置への制限部位の導入を含む。さらに、複数の転写活性要素を、当分野で知られる方法を使用して、転写活性化ITRに組み込み得る。
例として、転写活性化ITRは、TATAボックス、GCボックス、CCAATボックス、Sp1部位、Inr領域、CRE(cAMP調節エレメント)部位、ATF-1/CRE部位、APBβボックス、APBαボックス、CArGボックス、CCACボックスまたは当分野で知られる転写に関与する何れかの他の要素などの1以上の転写活性のある要素の包含により産生され得る。
目的の遺伝子および他の配列
本発明のある態様は、対象にAAV治療を投与する方法に関する。ある実施態様において、AAVは、目的の遺伝子(GOI)を含む。ある実施態様において、GOIは、ここに開示する小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするここに開示するヌクレオチド配列を含む核酸分子である。
発現されるGOIは、使用者が望むあらゆる必要な制御要素(例えば、プロモーター、オペレーター)を伴うタンパク質をコードするDNAセグメントまたは転写がリボザイムまたは抗感覚分子などのいくつかのRNA含有分子の全てまたは一部を産生する非コードDNAセグメントであり得る。
ある実施態様において、AAVは、1を超えるGOIを含む。1を超えるGOIを有するAAVにおいて、ある実施態様は、1プロモーターからそれらを共発現させるためのIRESまたは2Aなどの要素を含む。ある実施態様において、AAVは、IRES要素により離された2つの目的の遺伝子を含む。ある実施態様において、AAVは、2A要素により離された2つの目的の遺伝子を含む。ある実施態様において、AAVは、目的の遺伝子間をIRES要素により離された3つの目的の遺伝子を含む(例えば、GOI-IRES-GOI-IRES-GOI)。ある実施態様において、AAVは、目的の遺伝子間を2A要素により離された3つの目的の遺伝子を含む。
ある実施態様において、AAVは、調節配列を含む。ある実施態様において、AAVは、非コード調節DNAを含む。ある実施態様において、AAVゲノムは、宿主細胞における抗体鎖遺伝子の発現を調節する調節配列を含む。用語「調節配列」は、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を調節するプロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。このような調節配列は、例えば、Goeddel (Gene Expression Technology. Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990))に記載される。調節配列の選択を含むAAVの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質発現レベルなどの因子により得ることは、当業者には認識される。ある実施態様において、AAVゲノムは、mRNAスプライスドナー/スプライスアクセプター部位を含み得る。哺乳動物宿主細胞発現のためのある調節配列は、サイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)およびポリオーマ由来のプロモーターおよび/またはエンハンサーなどの哺乳動物細胞における高レベルのタンパク質発現を指示するウイルス要素を含む。あるいは、ユビキチンプロモーターまたはβ-グロビンプロモーターなどの非ウイルス調節配列が使用され得る。なおさらに、SV40早期プロモーターの配列とヒトT細胞白血病ウイルスタイプ1の末端反復配列を含むSRプロモーター系などの、種々の供給源からの配列からなる調節エレメントも使用され得る(Takebe, Y. et al. (1988) Mol. Cell. Biol. 8:466-472)。ある実施態様において、調節配列は、組織特異的プロモーターを含む。ある実施態様において、組織特異的プロモーターは、心臓、肝臓、肺、眼、神経系、リンパ系、筋肉および幹細胞からな群から選択される組織における目的の遺伝子の発現を駆動する。
AAV製剤
ある実施態様において、AAVベクターは送達剤と製剤化される。ある実施態様において、送達剤は、脂質ナノ粒子を含む。ある実施態様において、送達剤は、リポソーム、非脂質ポリマー分子、エンドソームおよびこれらの何れかの組み合わせからなる群から選択される。
非AAVベクター
プロモーターに操作可能に結合した上記ポリヌクレオチドを含むベクターもここで提供される。ヌクレオチド配列は、発現調節配列(例えば、プロモーター)の発現が、その配列の転写および翻訳を調節および制御するならば、調節配列に「操作可能に結合」させている。ヌクレオチド配列を参照するときの用語「操作可能に結合」は、発現されるヌクレオチド配列の前に適切な開始シグナル(例えば、ATG)を含み、調節配列の制御下の該配列の発現および該配列によりコードされる所望の産物の産生を可能にする正確なリーディングフレームを維持するものを含む。組み換え核酸分子に挿入することが望まれる遺伝子が適切な開始シグナルを含まないならば、このような開始シグナルを遺伝子の前に入れてよい。「ベクター」は、結合したセグメントの複製がされるように、他の核酸セグメントが結合できるレプリコン、例えばプラスミド、ファージまたはコスミドである。プロモーターは、細菌、酵母、昆虫または哺乳動物プロモーターであり得るまたはそれと同一であり得る。
ある実施態様において、ベクターはプラスミド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、バクテリオファージまたは真核生物ウイルスDNAであり得る。タンパク質発現に有用であることが知られる他の多数のベクター主鎖が用いられ得る。このようなベクターは、次のものを含むが、これらに限定されない。
アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、サルウイルス40(SV40)、サイトメガロウイルス(CMV)、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)およびモロニーマウス白血病ウイルス。さらに、あるクラスのベクターは、ウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルスまたはセムリキ森林熱ウイルスなどのウイルス由来のDNA要素を含む。このようなベクターは、商業的に得ることができまたは当業者に周知の方法により記載の配列から集合させ得る。
ある実施態様において、ここに記載するベクターは、送達剤と製剤化される。ある実施態様において、送達剤は、脂質ナノ粒子を含む。ある実施態様において、送達剤は、リポソーム、非脂質ポリマー分子、エンドソームおよびこれらの何れかの組み合わせからなる群から選択される。
医薬組成物
多様なここに開示するポリペプチドおよびポリヌクレオチド(ここでは「活性化合物」とも称する)を、投与に適する医薬組成物に取り込み得る。このような組成物は、一般にポリペプチドまたはポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体を含む。ここで使用する用語「薬学的に許容される担体」は、医薬投与に適合性の任意かつ全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などを含むことが意図される。薬学的活性化合物のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当分野で周知である。何れかの慣用の媒体または薬剤が活性化合物と不適合でない限り、組成物におけるその使用が意図される。補助的活性化合物も組成物に取り込み得る。
ある実施態様において、開示されるのは、(a)ここに記載するポリペプチドおよび(b)薬学的に許容される添加物を含む、医薬組成物である。
ある実施態様において、開示されるのは、(a)ここに記載するポリペプチドを含む組成物および(b)薬学的に許容される添加物を含む医薬組成物である。
ある実施態様において、開示されるのは、(a)ここに記載するポリヌクレオチドおよび(b)薬学的に許容される添加物を含む、医薬組成物である。
ある実施態様において、開示されるのは、(a)ここに記載するベクター(例えば、rAAV)および(b)薬学的に許容される添加物を含む医薬組成物である。
ある実施態様において、開示されるのは、(a)ここに記載する宿主細胞および(b)薬学的に許容される添加物を含む医薬組成物である。
本発明の医薬組成物は、意図する投与経路と適合性であるように製剤化する。投与経路の例は、非経腸、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口、経皮(局所)および経粘膜およびこれらの何れかの組み合わせを含む。他の投与経路は、肺投与を含む。さらに、治療有効量の医薬組成物を、処置が必要な領域に局所的に投与することが望まれ得る。これは、例えば、手術中の局所または領域性点滴または灌流、局所適用、注射、カテーテル、坐薬またはインプラント(例えば、サイラスティック膜または繊維などの膜を含む多孔性、非多孔性またはゼラチン状物質製のインプラント)などにより達成され得る。他の実施態様において、治療有効量の医薬組成物は、リポソームなどの媒体で送達される(例えば、Langer, Science 249:1527-33, 1990 and Treat et al., in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez Berestein and Fidler (eds.), Liss, N.Y., pp. 353-65, 1989参照)。
さらに他の実施態様において、治療有効量の医薬組成物を制御放出系で送達できる。一例として、ポンプが使用できる(例えば、Langer, Science 249:1527-33, 1990; Sefton, Crit. Rev. Biomed. Eng. 14:201-40, 1987; Buchwald et al., Surgery 88:507-16, 1980; Saudek et al., N Engl. J Med. 321:574-79, 1989参照)。他の例において、ポリマー物質が使用できる(例えば、Levy et al., Science 228:190-92, 1985; During et al., Ann. Neural. 25:351-56, 1989; Howard et al., J Neurosurg. 71:105-12, 1989参照)。Langer (Science 249:1527-33, 1990)記載されたもののような他の制御放出系も使用できる。
許容される担体、添加物または安定化剤は、用いる投与量および濃度でレシピエントに非毒性であり、リン酸、クエン酸および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む単糖、二糖および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成カウンターイオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);および/またはTWEENTM、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
非経腸製剤で使用する薬学的に許容される担体は、水性媒体、非水性媒体、抗微生物剤、等張剤、緩衝液、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁および分散剤、乳化剤、封鎖またはキレート剤および他の薬学的に許容される物質を含む。水性媒体の例は、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロースおよび乳酸リンゲル注射液を含む。非水性非経腸媒体は、植物起源の固定油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油およびピーナツ油を含む。フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムを含む静菌または静真菌濃度の抗微生物剤を、複数回容器に充填された非経腸製剤に添加してよい。等張剤は、塩化ナトリウムおよびデキストロースを含む。緩衝液は、リン酸およびクエン酸を含む。抗酸化剤は、重硫酸ナトリウムを含む。局所麻酔剤は、塩酸プロカインを含む。懸濁および分散剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンを含む。乳化剤は、Polysorbate 80(TWEEN(登録商標)80)を含む。金属イオンの封鎖またはキレート剤は、EDTAを含む。医薬担体は、水混和性媒体のためのエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール;およびpH調節のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸も含む。
非経腸、皮内または皮下に使用する溶液または懸濁液は、次の成分を含む。注射用水、食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの無菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸、クエン酸またはリン酸などの緩衝液および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性調節用薬剤。塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基でpHを調節し得る。非経腸製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回バイアルに封入され得る。
注射用使用に適する医薬組成物は、無菌水溶液(水可溶性であるとき)または分散体および無菌注射用溶液または分散体の即時の調製のための無菌粉末を含む。静脈内投与のために、適当な担体は、生理学的食塩水、静菌水、Cremophor ELS(BASF;Parsippany, NJ)またはリン酸緩衝化食塩水(PBS)を含む。全ての場合、組成物は無菌でなければならず、容易にシリンジに吸引され得る程度に流動性でなければならない。製造および保存条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染化に対して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)および適当なそれらの混合物を含む、溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのコーティングの使用により、分散体の場合必要な粒子径の維持によりおよび界面活性剤の使用により、維持され得る。微生物の作用の予防は、種々の抗細菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成され得る。多くの場合、組成物に等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを入れることが好ましい。注射用組成物の長期吸収は、組成物に吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを入れることによりもたらされ得る。
無菌注射用溶液は、必要な量の活性化合物を、必要に応じて上に挙げた成分の一つまたは組み合わせと共に適切な溶媒に取り込み、続いて滅菌濾過することにより調製され得る。一般に、分散体は、活性化合物を基本的分散媒体および上に挙げたものからの必要な他の成分を含む、無菌媒体に取り込むことにより製造される。無菌注射用溶液の製剤のための無菌粉末の場合、製剤の方法は、あらかじめ滅菌濾過した溶液からの活性成分とさらなる所望の成分の粉末をもたらす、真空乾燥およびフリーズドライであり得る。
吸入投与のために、化合物は、適当な噴射剤、例えば、二酸化炭素またはネブライザーなどのガスを含む加圧容器またはディスペンサーからのエアロゾルスプレーの形で送達される。全身投与は経粘膜または経皮手段にもより得る。
経粘膜または経皮投与のために、浸透すべき障壁に適する浸透剤が製剤で使用される。このような浸透剤は一般に同分野で知られ、例えば、経粘膜投与のために、界面活性剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、経鼻スプレーまたは坐薬の使用により達成される。経皮投与のために、活性化合物を、当分野で一般に知られるとおり、軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに製剤化する。化合物をまた直腸送達用の坐薬(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドなどの慣用の坐薬基剤と共に)または停留浣腸の形にも製剤し得る。
ある実施態様において、活性化合物を、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤などの、体からの迅速な排出に対して化合物を保護する担体と製剤する。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。このような製剤を製剤する方法は、当業者には明らかである。本物質はまたAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から購入できる。リポソーム懸濁液も薬学的に許容される担体として使用し得る。これらは、例えば、米国特許4,522,811に記載のとおり、当業者に知られる方法により調製され得る。
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、経口または非経腸組成物を投与量単位形態に製剤するのが特に有利である。ここで使用する投与量単位形態は、処置する対象への単位の投与量に適合した物理的に別の単位であり、各々の単位は所望の治療効果をもたらすよう計算された予め決定した量の活性化合物と必要な医薬担体を含む。本発明の投与量単位形態の明細は、活性化合物の特有の特徴および達成されるべき特定の治療効果ならびに個体の処置のためのこのような機能的化合物の製造の分野に固有の制限により決定されかつ直接依存する。医薬組成物は、容器、パックまたはディスペンサーに投与指示と共に入れられ得る。
使用および方法
小型化ジストロフィンを製造する方法
またここに開示されるのは、ここに記載する宿主細胞を適当な条件下で培養し、小型化ジストロフィンポリペプチドを回収することを含む、小型化ジストロフィンポリペプチドを製造する方法である。
ここで使用する「単離」ポリヌクレオチドまたは核酸分子は、核酸分子の天然源(例えば、マウスまたはヒト)に存在する他の核酸分子から分離されたものである。さらに、cDNA分子などの「単離」核酸分子は、組み換え技術により産生されたとき他の細胞物質または培養培地が実質的になく、または化学合成されたとき化学前駆体または他の化学物質が実質的にない。例えば、用語「実質的にない」は、約15%、10%、5%、2%、1%、0.5%または0.1%未満(特に約10%未満)の他の物質、例えば、細胞物質、培養培地、他の核酸分子、化学前駆体および/または他の化学物質を有するポリヌクレオチドまたは核酸分子の製剤をいう。特定の実施態様において、ここに記載するポリペプチドをコードする核酸分子は単離または精製される。
ポリヌクレオチドを得て、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を、当分野で知られる何れかの方法により決定し得る。ここに記載するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、例えば、ポリペプチドは、表3および4に記載し、これらのポリペプチドの修飾バージョンは当分野で周知の方法を使用して決定でき、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られるヌクレオチドコドンを、該ポリペプチドをコードする核酸を産生するような方法で集合させる。このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、化学合成オリゴヌクレオチドから集合でき(例えば、Kutmeier G et al., (1994), BioTechniques 17: 242-6に記載)、これは、簡潔には、ポリペプチドをコードする配列の部分を含む重複オリゴヌクレオチドの合成、これらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよび連結、次いで、PCRによる連結オリゴヌクレオチドの増幅を含む。
あるいは、ここに記載するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、当分野で周知の方法(例えば、PCRおよび他の分子クローニング方法)を使用して、適当な源(例えば、ハイブリドーマ)からの核酸から産生し得る。例えば、既知配列の3’および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅を、目的のポリペプチドを産生するハイブリドーマ細胞から得られたゲノムDNAを使用して実施できる。このようなPCR増幅方法が、例えば、IL2、リンカー配列またはIL2-Rαをコードする配列を含む核酸を得るために使用できる。増幅核酸を、宿主細胞における発現のために、および、例えば、ポリペプチドを産生するためのさらなるクローニングのためにベクターにクローン化し得る。
特定のポリペプチドをコードする核酸を含むクローンが入手可能でないが、ポリペプチド分子の配列が知られているならば、ポリペプチドをコードする核酸を化学合成できまたは適当な起源(例えば、ここに記載するポリペプチドを発現するように選択したハイブリドーマ細胞などの目的のタンパク質を発現する何れかの組織または細胞から産生したcDNAライブラリーまたはcDNAライブラリー遺伝子またはそこから単離した核酸、好ましくはポリA+ RNA)から配列の3’および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅によりまたは、例えば、ポリペプチドをコードするcDNAライブラリーからのDNAクローンを同定するための、特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングにより、得ることができる。次いで、PCRにより産生される増幅核酸を当分野で周知の方法の何れかを使用して、複製可能クローニングベクターにクローン化し得る。
ここに記載するポリペプチドをコードするDNAは、慣用法を使用して、容易に単離および配列決定され得る(例えば、ここに開示するポリペプチドをコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用する)。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの起源として役立ち得る。単離されたら、DNAを発現ベクターに入れ、次いでこれを大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO GS SYSTEMTM(Lonza)からのCHO細胞)または免疫グロブリンタンパク質を他の方法で産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトして、組み換え宿主細胞でポリペプチドを合成させ得る。
治療的使用および方法
ここに記載する小型化ジストロフィンポリペプチド、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを担持するベクター(例えば、rAAV)および方法は、多数のインビトロおよびインビボでの有用性がある。例えば、ここに記載する小型化ジストロフィンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、例えば、ベクター、例えば、AAVベクターまたはポリペプチドを、インビトロまたはエクスビボで培養中の細胞にまたはヒト対象に、例えば、インビボで投与して、疾患を処置し得る。
従って、ここに開示されるのは、ここに開示する小型化ジストロフィン核酸分子、ここに開示するポリペプチド、ここに開示する宿主細胞、ここに開示するベクターまたはここに開示する医薬組成物またはこれらの何れかの組み合わせの何れかを使用する、治療方法である。
ある実施態様において、ここに開示されるのは、小型化ジストロフィンポリペプチドをそれを必要とする対象で発現させる方法であって、対象にここに開示する核酸、ここに開示するベクター、ここに開示する宿主細胞またはここに開示する医薬組成物を投与することを含む、方法である。
ある実施態様において、ここに開示されるのは、疾患または状態を有する対象を処置する方法であって、対象にここに開示する核酸、ここに開示するベクター、ここに開示するポリペプチド、ここに開示する宿主細胞またはここに開示する医薬組成物を投与することを含む、方法である。ある実施態様において、疾患または状態はジストロフィン欠損が原因である。ある実施態様において、疾患は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、X染色体拡張型心筋症(XLDC)、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、筋強直性筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、眼球咽頭型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、末梢型筋ジストロフィーおよび/または先天性筋ジストロフィーである。他の実施態様において、処置される疾患は、サルコペニア、心疾患、カヘキシーである。
ある実施態様において、ここに開示する核酸分子、ここに開示するポリペプチド、ここに開示するベクター(例えば、rAAV)、ここに開示する宿主細胞またはここに開示する医薬組成物は静脈内、経皮、皮内、皮下、経口または肺またはこれらの何れかの組み合わせで投与される。ある実施態様において、ここに開示する核酸分子、ここに開示するポリペプチド、ここに開示するベクター、ここに開示する宿主細胞またはここに開示する医薬組成物は、局所、上皮粘膜、鼻腔内、経口、膣、直腸、舌下、局所、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外または胸骨内経路により投与される。ある実施態様において、核酸分子、ベクター(例えば、rAAV)、ここに開示する宿主細胞またはポリペプチドは静脈内投与される。
ある実施態様において、処置方法は対象に第二剤を投与することをさらに含む。
ここで使用する用語「対象」は、あらゆるヒトまたは非ヒト動物を含む。例えば、ここに記載する方法および組成物は、癌を有する対象の処置に使用できる。用語「非ヒト動物」は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。ある実施態様において、対象はヒトである。
ある実施態様において、対象への核酸分子、ベクター(例えば、rAAV)、ポリペプチド、宿主細胞または医薬組成物の投与は、投与前の該対象におけるジストロフィンタンパク質発現に対してジストロフィンタンパク質発現を増加させ、ここで、ジストロフィンタンパク質発現は、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍または少なくとも約100倍増加する。
本発明のある態様において、方法は、対象にAAV治療を施用することを含むまたはそれをさらに含む。ある実施態様において、AAV治療は、組み換えAAVの投与を含む。当分野で知られるおよび/またはここに開示するあらゆる組み換えAAVが本発明方法において使用できる。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ1、AAVタイプ2、AAVタイプ3(タイプ3Aおよび3Bを含む)、AAVタイプ4、AAVタイプ5、AAVタイプ6、AAVタイプ7、AAVタイプ8、AAVタイプ9、AAVタイプ10、AAVタイプ11、AAVタイプ12、AAVタイプ13、ヘビAAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヤギAAV、エビAAVおよびこれらの何れかの組み合わせからなる群から選択されるAAVの投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ1の投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ2の投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ3の投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ4の投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ5の投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ6の投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ7の投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ8の投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ9の投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ10の投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ11の投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ12の投与を含む。ある実施態様において、AAV治療は、AAVタイプ13の投与を含む。
ある実施態様において、ここに開示する小型化ジストロフィン核酸分子、ここに開示するポリペプチド、ここに開示する宿主細胞、ここに開示するベクターまたはここに開示する医薬組成物またはこれらの何れかの組み合わせでの対象の処置は、顕著な炎症性反応、例えば、免疫介在肺炎、免疫介在大腸炎、免疫在肝炎、免疫介在腎炎または腎機能不全、免疫介在下垂体炎、免疫介在甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症または他の免疫介在有害反応をもたらさない。ある実施態様において、ここに開示する小型化ジストロフィン核酸分子、ここに開示するポリペプチド、ここに開示する宿主細胞、ここに開示するベクター、ここに開示する医薬組成物またはこれらの何れかの組み合わせでの対象の処置は、顕著な心臓障害、例えば、心室性不整脈;眼障害、例えば、虹彩毛様体炎;点滴関連反応;アミラーゼ上昇、リパーゼ上昇;神経系障害、例えば、めまい、末梢および感覚ニューロパチー;皮膚および皮下組織障害、例えば、発疹、掻痒、剥脱性皮膚炎、多形性紅斑、白斑症または乾癬;呼吸器、胸郭および縦隔障害、例えば、咳嗽;疲労;悪心;食欲減退;便秘;関節痛;または下痢をもたらさない。
キット
またここに開示されるのは、1以上のここに開示する核酸分子、ここに開示する1以上のベクター(例えば、rAAV)、1以上のここに開示するポリペプチドまたは1以上のここに開示する宿主細胞またはこれらの何れかの組み合わせを含む、キットである。ある実施態様において、キットはまた、前記またはそれらの組み合わせの何れかを、それを必要とする対象に投与するための指示を含む。
ここで使用する用語「キット」および「システム」は、少なくとも1以上のここに開示する核酸分子、ここに開示する1以上のベクター(例えば、rAAV)、1以上のここに開示するポリペプチドまたは1以上のここに開示する宿主細胞またはこれらの何れかの組み合わせをいうことを意図し、特定の実施態様において、1以上の他のタイプの要素または成分(例えば、他のタイプの生化学的試薬、容器、パッケージ、例えば、商業的販売を意図したパッケージング、使用指示など)との組み合わせである。
ある実施態様において、開示されるのは、(a)ここに記載する小型化ジストロフィンポリペプチド、ここに記載する小型化ジストロフィンポリペプチドを含む組成物、ここに記載する小型化ジストロフィンポリペプチドをコードする核酸、ベクター(例えば、rAAV)および/または宿主細胞の1以上;および(b)前記の何れかをそれを必要とする対象に投与するための指示を含む、キットである。ある実施態様において、開示されるのは、(a)ここに記載する小型化ジストロフィンポリペプチドおよび(b)および小型化ジストロフィンポリペプチドをそれを必要とする対象に投与するための指示を含む、キットである。ある実施態様において、開示されるのは、(a)ここに記載する小型化ジストロフィンポリペプチドを含む組成物および(b)および組成物をそれを必要とする対象に投与するための指示を含む、キットである。ある実施態様において、開示されるのは、(a)ここに記載する小型化ジストロフィンポリペプチドをコードする核酸および(b)および核酸をそれを必要とする対象に投与するための指示を含む、キットである。ある実施態様において、開示されるのは、(a)ここに記載するベクターおよび(b)およびベクターをそれを必要とする対象に投与するための指示を含む、キットである。ある実施態様において、開示されるのは、(a)ここに記載するAAVベクターおよび(b)およびベクターをそれを必要とする対象に投与するための指示を含む、キットである。ある実施態様において、開示されるのは、(a)ここに記載する宿主細胞および(b)および宿主細胞をそれを必要とする対象に投与するための指示を含む、キットである。
特定の実施態様において、ここに提供されるのは、ここに提供される1以上の小型化ジストロフィンペプチドなどのここに記載する医薬組成物の成分の1以上が充填された1以上の容器を含む、医薬パックまたはキットである。ある実施態様において、キットは、ここに記載する医薬組成物および何れかの予防または治療剤、例えばここに記載するものを含む。ある実施態様において、キットは、例えば、フィトヘマグルチニン(PHA)および/またはホルボールミリステートアセテート(PMA)または抗CD3抗体および抗CD28抗体などのTCR複合体刺激抗体などの、T細胞有糸分裂促進因子を含み得る。所望により、医薬または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関により規定された形の通知をこのような容器と組み合わせてよく、この通知は、該機関によるヒト投与のための製造、使用または販売のための承認を反映する。
またここに提供されるのは、上記方法で使用できるキットである。ある実施態様において、キットは、ここに記載する小型化ジストロフィンポリペプチド、好ましくは精製小型化ジストロフィンポリペプチドを1以上の容器に含む。特定の実施態様において、ここに記載するキットは、実質的に単離された小型化ジストロフィンポリペプチドを対照として含む。他の特定の実施態様において、ここに記載するキットは、さらに小型化ジストロフィンポリペプチド抗原と反応しない対照タンパク質を含む。他の特定の実施態様において、ここに記載するキットは、小型化ジストロフィンポリペプチドのジストロフィン抗原への結合を検出する1以上の要素を含む(例えば、小型化ジストロフィンポリペプチドを蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物または発光化合物などの検出可能基質にコンジュゲートできまたは検出可能基質にコンジュゲートされ得る第一抗体を認識する第二抗体)。特定の実施態様において、ここに提供されるキットは、組み換え産生または化学合成された小型化ジストロフィンポリペプチドを含む。キットに提供されるここに開示する小型化ジストロフィンポリペプチドに対する抗原は、固体支持体にも結合できる。より具体的な実施態様において、上記キットの検出手段は、小型化ジストロフィンポリペプチドの抗原が結合する固体支持体を含む。このようなキットはまた、非結合レポーター標識抗ヒト抗体または抗マウス/ラット抗体も含み得る。この実施態様において、小型化ジストロフィンポリペプチドの抗原への結合は、該レポーター標識抗体の結合により検出され得る。
本発明の実施は、特に断らない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組み換えDNAおよび免疫学の慣用の技術を用い、これらは当業者の技術の範囲内である。このような技術は文献に十分に説明されている。例えば、Sambrook et al., ed. (1989) Molecular Cloning A Laboratory Manual (2nd ed.; Cold Spring Harbor Laboratory Press); Sambrook et al., ed. (1992) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, (Cold Springs Harbor Laboratory, NY); D. N. Glover ed., (1985) DNA Cloning, Volumes I and II; Gait, ed. (1984) Oligonucleotide Synthesis; Mullis et al. U.S. Pat. No. 4,683,195; Hames and Higgins, eds. (1984) Nucleic Acid Hybridization; Hames and Higgins, eds. (1984) Transcription And Translation; Freshney (1987) Culture Of Animal Cells (Alan R. Liss, Inc.); Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press) (1986); Perbal (1984) A Practical Guide To Molecular Cloning; the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.); Miller and Calos eds. (1987) Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells, (Cold Spring Harbor Laboratory); Wu et al., eds., Methods In Enzymology, Vols. 154 and 155; Mayer and Walker, eds. (1987) Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Academic Press, London); Weir and Blackwell, eds., (1986) Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV; Manipulating the Mouse Embryo, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., (1986); ); Crooks, Antisense drug Technology: Principles, strategies and applications, 2nd Ed. CRC Press (2007) and in Ausubel et al. (1989) Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley and Sons, Baltimore, Md.)を参照のこと。
上に引用する文献の引用全てならびにここで引用する全ての引用文献およびアミノ酸またはヌクレオチド配列(例えば、GenBank番号および/またはUniprot番号)は、引用により全体として本明細書に包含させる。
次の実施例は例として提供され、限定ではない。
実施例1:低減された免疫原性および増加した安定性を有する新規小型化ジストロフィン
ジストロフィン遺伝子における変異は、しばしば対応するジストロフィンタンパク質の安定性の機能障害をもたらし、次いで、これが不安定ジストロフィンタンパク質のプロテアソーム分解およびジストロフィーの病理生理学の問題に至る。同様に、限定的なAAVのパッケージング容積に収容するためのジストロフィンコード化DNAの小型化は、対応する小型化ジストロフィンタンパク質の安定性を障害し得る。
種々の小型化ジストロフィンタンパク質の安定性を、対応するジストロフィン発現ベクターでトランスフェクトした細胞におけるジストロフィンタンパク質:mRNA比の比較により試験した。ジストロフィン遺伝子に内因性ジストロフィン発現を阻止するE2035X中途停止コドンを担持する雄ヒト同質遺伝子的誘導多能性幹細胞(iPSC)由来心臓筋細胞(iCM)を産生した。これら細胞を、種々の小型化ジストロフィンタンパク質を発現する小型化カセットでトランスフェクトし、ジストロフィンタンパク質:mRNA比を、トランスフェクト細胞がインビトロで24日間培養して、試験した。タンパク質レベルをMeso Scale Discovery(MSD)ELISAアッセイでおよびmRNAレベルをqrtPCRで試験した。
試験した小型化ジストロフィンおよび試験結果をそれぞれ図2および図3に示す。データは、小型化ジストロフィンペプチドBXA-027741(配列番号129)およびBXA-027743(配列番号132)が最良のタンパク質安定性を提供することを示す。
続いて、これら2つの最も安定な設計内に作製した新規接合部の免疫原性を、インシリコ免疫原性予測ツールを使用して試験した。BXA-027743設計(R1/リンカーR16(接合部J1)、R17/H3およびH3/R23(接合部J7))(図4参照および示していない)の新規接合部は、前記インシリコアプローチに基づき、免疫原性リスクが最小であることが決定された。
BXA-027741設計(R1/R3(接合部J10)、H2/リンカーR16(接合部J11)およびR17/R24(接合部J9))(図5参照)の新規接合部を、類似の方法で分析した。接合部J9は免疫原性リスクが最小であることが決定され、一方接合部J10およびJ11は改善された。
BXA-027741設計およびその接合部バリアントの前記接合部の免疫原性能を、下記インビトロT細胞増殖アッセイを使用して、試験した。末梢血単核細胞(PBMC)サンプルを、健常ボランティアヒト対象からFicoll(GE Healthcare)勾配遠心分離により単離し、ヒトリンパ球抗原(HLA)クラスIおよびII発現について、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅およびオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションの組み合わせを使用して特徴づけした(ProImmune, Sarasota, FL)。
世界集団頻度とよく合うHLA発現プロファイルを有する40ドナーからのPBMCサンプルのパネルを、さらなる分析に使用した。PBMCサンプルをCFSE(Invitrogen, Carlsbad, CA)で標識して、増殖をモニターし、96ウェルプレートに、10%ヒトAB(Bioreclamation, Westbury, NY)、非必須アミノ酸およびpen-strep(何れもGibco/Fisher Scientific)を含むRPMI(Lonza, Basel, Switzerland)中、ウェルあたり200,000細胞で6反復で播種した。
BXA-027741接合部ペプチド、そのバリアントおよび対照ペプチドを、1μMで7日間、40 PBMCサンプルのパネルと各々培養し、その後培地を洗い流し、細胞を抗CD4および抗CD8 APCモノクローナル抗体(BD Biosciences, Franklin Lake, NJ)で標識した。非結合抗体を洗浄により除去後、細胞をPBS中3.7%ホルマリン(Sigma, St. Louis, MO)で固定し、フローサイトメトリーにより分析して、CD4+細胞またはCD8+細胞の増殖パーセンテージを決定した。
異なるBXA-027741接合部ペプチドおよびそのバリアントと7日間培養後陽性応答 - 接合部ペプチド非添加または対照ペプチドの培地でインキュベートしたPBMCと比較して、CD4+またはCD8+ T増殖細胞数の有意な増加として定義 - を示したサンプルのパーセンテージ(40ドナーサンプル中)を図6A(CD4+)および図6B(CD8+)に示す。使用した対照ペプチドは、(1)アバスチンフレームワークペプチド;(2)VL6-VL CDR3ペプチド;および(3)PADREペプチド-61309であった。
接合部J10のバージョン3(J10v3)が接合部J10および他のその試験したバージョンより優れ、接合部J11のバージョン12(J11v12)が接合部J11に対する免疫原性リスクに関して全体に優れたことが判明した。
次いで、小型化ジストロフィンBXA-027741のC末端ドメインを欠失させて、限定的なAAVのパッケージング容積への収容を改善するため小型化ジストロフィンBXA-196473(配列番号119)(図7)を産生した。次いで小型化ジストロフィンBXA-196473においてJ10v3を使用してJ10を置き換え、J11v12を使用してJ11を置き換え、小型化ジストロフィンBXA-196477(配列番号118)をもたらした(図8Aおよび8B)。J10v3およびJ11v12を作製するために、それぞれBXA-196473において、アミノ酸RVをアミノ酸446と447の間に挿入し、アミノ酸SEAQをアミノ酸606と607の間に挿入した(配列番号119)(図8Aおよび8B)。
BXA-196473(配列番号119)を次のとおり試験した他の接合部バージョンでさらに修飾した。
BXA-196474(配列番号120):接合部9バージョン2(J9v2)および接合部11バージョン12(J11v12)
BXA-196475(配列番号121):接合部9バージョン5(J9v5)および接合部11バージョン12(J11v12)
BXA-196476(配列番号122):接合部9バージョン6(J9v6)および接合部11バージョン12(J11v12)
BXA-196478(配列番号124):接合部10バージョン6(J10v6)および接合部11バージョン12(J11v12)
BXA-196479(配列番号125):接合部11バージョン12(J11v12)
J9v2は、BXA-196473におけるR17ドメインとR24ドメイン、すなわち、アミノ酸843と845の間のアミノ酸LERからKNIへの置換である。
J9v5は、BXA-196473におけるR17ドメインとR24ドメイン、すなわち、アミノ酸842と843の間のKの挿入である。
J9v6は、BXA-196473におけるR17ドメインとR24ドメイン、すなわち、アミノ酸842と843の間のKNIの挿入である。
J10v3は、BXA-196473におけるR1とR3ドメイン、すなわち、アミノ酸446と447の間のRVの挿入である。
J10v6は、BXA-196473におけるR1とR3ドメイン、すなわち、アミノ酸446と447の間のRVLLQDIの挿入である。
J11v12は、BXA-196473におけるH2ドメインとR16ドメイン前のリンカー、すなわち、アミノ酸606と607の間のSEAQの挿入である。
次いで、得られた小型化ジストロフィンを安定性について前記のとおり試験した(図9)。結果は、BXA-196477小型化ジストロフィン設計(J10V3およびJ11V12を含む)が最低免疫原性リスクを有するだけでなく、最も安定であることが判明した。
さらに、小型化ジストロフィンポリペプチド設計BXA-212371を、最後のC末端の3アミノ酸の欠失およびBXA-212371のアミノ酸682位後のアミノ酸接合部バリアント配列KNDL(J2V10;スペクトリン反復17(R17)ドメインとヒンジ3(H3)ドメインの間)の挿入により修飾し(小型化ジストロフィンBXA-213788、配列番号152となる)、これはより低い免疫原性リスクを有することが判明した。
実施例2:インビトロ生理学
DMD iCMは、多電極アレイを使用して同質遺伝子的野生型iCMと比較したとき、Na+チャネル振幅が低く、cFPD(Q-T間隔)が長く、拍動数変動性が大きい。DMD iCMは、また、野生型iCMよりCa2+伝達が高く、インピーダンスが低く、各方法は、ペース調整されていない細胞における拍動数変動性を確認する。
E2035X変異を担持するDMD iCMにおける小型化ジストロフィンBXA-196477の発現が、DMD表現型を軽減でき、細胞の生理学的特性を改善するかを試験する。多電極アレイ、インピーダンス収縮アッセイおよびCa2+過渡応答を、小型化ジストロフィン発現の効果の測定に使用する。限定的なAAVのパッケージング容積によりよく収容されるBXA-212371を製造するために、BXA-027743のC末端ドメインも欠失される。DMD表現型を軽減し、同細胞の生理学的特性を改善するBXA-212371の機能的容量を、BXA196477について提案されるのと同じアッセイを使用して試験する。
本試験で使用したhiPSC CMは、Cellular Dynamics International, Madison, Wisconsinから購入したDMD(E2035X)iCellであった。ヒト心室線維芽細胞をLonza, Walkersville, Marylandから購入した。iCell hiPSC CMは、一次成体心筋細胞に近い電気生理学的性質を有し、広範な心臓イオンチャネル阻害剤ならびにアドレナリンおよびムスカリン受容体アゴニストおよびアンタゴニストに同様に応答することが報告されている。我々の研究は、hiPSC CMと線維芽細胞の共培養が、多電極アレイ(MEA)上での電気生理学的試験のためのより安定な調製物を提供することを示した。hiPSC CMを0.1%ゼラチン処理6ウェル培養プレートで7%CO2で7日間培養し、次いでトリプシン処理し、ヒト成体心線維芽細胞で約5:1比で希釈した。次いで、hiPSC CMおよび線維芽細胞の懸濁液を、ラミニン被覆9ウェル多電極アレイ(MEA)プレート(256-9wellMEA300/30iR-ITO-mq; Multichannel Systems)で共培養した。hiPSC CMをAAV9-mDys発現構築物(発現小型化ジストロフィンBXA-196477およびBXA-213788、図15D)で、1×106MOIで48時間感染させ、次いで、hiPSC CMを感染7日および9日後、細胞外電場電位(FP)に対する影響について評価した。BXA-196477およびBXA-213788両者は、DMD CMと比較して、約80%伝導速度を有意に改善した(テューキー事後検定を伴う二元配置ANOVAで***P<0.001、n=6)(図15E)。ジストロフィンELISAは、細胞におけるジストロフィン発現を確認した(図15F)。
MEAテクノロジーは、細胞が培養されるか組織が位置づけられることができる、包埋基質統合細胞外電極のアレイからの興奮性細胞または組織の高含量時空間解析を可能とする。細胞外電場電位(FP)を各電極により記録し、細胞活動電位と相関させる。FP形態学、期間および伝導速度の評価は、処理のイオンチャネル活性の像ならびに再分極および伝導に対する影響を提供する。MEAプレートでhiPSC CMの7日培養後、細胞は、各ウェルに包埋した記録電極上に、自発的に拍動する単層を形成した。自発的FPをUSB-MEA256-SYSTEMおよびMC Rack acquisition software(Multi Channel Systems)を使用して、10kHzのサンプリング周波数で、28電極/ウェル(30μm直径、中心間距離300μm)から記録した。一定5%CO2および95%O2供給下、37℃で加湿環境での20分平衡化時間後、各ウェルを300μl維持培地中、AAV9-mDys発現構築物でトランスフェクトした。FPのパルス間間隔(IPI)に対する小型化ジストロフィンの発現の影響をモニターし、記録した。データを、MatLab (Mathworks)で書かれたカスタムソフトウェアで分析した。心拍数の代用である拍動数(拍/分)を、BR=60000/IPI(式中、IPIは各条件下、定常状態で記録された100秒の平均IPI(msec)である)を使用して計算した。測定すべき電気生理学的パラメータは、再分極の代用である細胞外電位持続時間および電場電位伝導速度である。細胞外電位持続時間を、拍動数変化(FPDc)に対して補正した。全処理を少なくとも3回繰り返した。
伝導速度を、同期された単一伝播拍動の間、MEAウェルに埋め込まれた各電極の電場電位活性化時間の測定により定量化した。各電極からの電場電位のデジタル化記録を、2.1msのウインドウで21点最小二乗平滑化式(Savitsky & Golay, 1964)を使用して平滑化した。活性化時間は、各電場電位波形の負の導関数のピーク値である。最も早いおよび最も遅い活性化時間の2つの間の時間が、心筋細胞の単層をわたる電場電位伝播の伝導時間であり、これら2つの電極間の距離が伝導距離である。各伝播の伝導距離で除した伝導時間が、MEAウェルの単層心筋細胞の各拍動の伝導速度である(図15)。
データは、両小型化ジストロフィン設計が伝導速度を有意に改善することを示す(図15)。
実施例3:骨格筋生理学のインビボ回復
ジストロフィン欠損骨格筋はあまり比力(specific force)(単位面積あたりの力)を生み出さず、収縮誘導傷害に高度に感受性である。ジストロフィン発現の回復は、これら障害を軽減し得る。ジストロフィー性mdxマウスを、2週齢で、2e14vg/kg AAV9-C5-12-BXA-196477またはAAV9-C5-12-BXA-212371で、後眼窩注射により全身処置する。肢筋肉生理学を8週齢で試験する。簡潔には、マウス膝を固定し、足を鐙に置き、鐙を針電極で筋肉を最大に収縮させながら動かす。このアッセイは、ピーク単収縮および強縮性筋力産生ならびに収縮誘導傷害を測定する。
実施例4:ジストロフィー病理のインビボ予防
DMDのmdxマウスモデルの骨格筋は、一般に約3~4週齢で壊死および再生を起こす。再生された筋肉は、一般にサイズがより変わりやすく、凍結横断切片で中央に位置する核を含む。また、線維症は、再生された筋肉でより多い。未処置mdx筋肉およびAAV9-C5-12-BXA-196477またはAAV9-C5-12-BXA-212371で処置したmdx筋肉の筋線維サイズ、中央に位置する核の割合および線維症を測定する。小型化ジストロフィンを発現する筋線維の割合も定量化する。横隔膜、腓腹筋、前脛骨筋および心筋を、HALOおよびColumbus画像処理コンピュータープログラムを使用して試験する。
実施例5:インビボ検討
試験の概要
mdx4cvマウスを、2週齢で2e14vg/kg AAV9-BXA-196477またはAAV9-BXA-213788で処置した。投与2週間後、n=3マウスを、小型化ジストロフィンの標的結合(生体内分布および発現レベル)を試験するために終了させた。2カ月齢で、右前脛骨筋筋肉を、先の記載(Khairallah et. al., 2012)に類似して強度および収縮誘導傷害に対する抵抗性について試験した(n=10)。マウスを3カ月齢で致死させ、標的結合およびジストロフィー予防について試験した(図16)。
標的結合
免疫蛍光 - 筋肉を液体N2の2-メチルブタンでOCTに凍結させた。10μm凍結切片をAlexa-647にコンジュゲートしたジストロフィン(Mandys106; DSHB; 1:200)および小麦胚芽凝集素に対する抗体で免疫染色した。Alexa-488 IgG2a抗体を使用して、ジストロフィン一次抗体を標識した。切片を、Phoenix Opera High Contentスクリーニング共焦点顕微鏡(Perkin-Elmer)を使用して造影し、Columbusソフトウェアを使用して定量化した。簡潔には、Alexa-647画像を倒置し、M-modeを使用して細胞を検出し、横断切片<2000um2の細胞の選択集団を数値化した。次に、Alexa-488の強度を計算し、mdx4cv対照筋肉より大きい強度の集団を選択した。90%を超える筋肉が、4週および12週マウスで小型化ジストロフィンについて陽性であった(図17)。
mRNA - 総RNA単離のために、組織をQiagen Tissuelyzerで均質化し、RNAをQiagen RNeasy 96 Universal tissue kit(Qiagen catalog number 74881)を使用して単離した。組織(約15)を、750μlのQiazol試薬および1個の5mmスチールビーズを含む
RNeasyキットコレクションマイクロチューブに入れ、30hzで2分間Tissuelyzerを使用して均質化し、この工程を、均質化するまで繰り返し、続いて6000×gで1分間、4℃で遠心分離した。各チューブに150mlのクロロホルムを加え、サンプルを15秒間激しくボルテックス処理した。室温で3分間インキュベーション後、サンプルを6000×gで15分間、4℃で遠心した。水相を除き(約360μl)、1体積のRNAseフリー70%EtOHを含む新しいチューブに移した。全サンプルを96ウェルRNeasy 96プレートに移し、プレートをAirPoreテープで封し、5600×gで4分間、室温で遠心分離した。ウェルあたり400μlのRW1緩衝液を加え、プレートを再び封し、4分間、5600×gで回転させた。この回転中、DNaseI原液を、DNaseバイアルあたり550μlの無RNAse水を加えることにより調製した。670μlのDNase I原液を7.3ml RDD緩衝液で希釈し、混合し、4℃で保管した。遠心分離が完了したとき、フロースルーを廃棄し、80μlのDNase I混合物を各ウェルの中心に直接加え、プレートを室温で15分間インキュベートした。インキュベーション後、400μlのRW1を各ウェルに加え、プレートを封し、4分間、5600×gで遠心分離した。フロースルーを廃棄し、ウェルあたり800μlのRPE緩衝液を加え、プレートを再び封し、4分間、5600×gで回転させた。この過程を繰り返し、プレートを10分間、5600×gで遠心分離した。次いで、各サンプルを、60μlの無RNAse水を各ウェルの中心に加え、4分間、5600×gで遠心分離することにより新鮮なチューブに溶出させた。回収率を改善するため、60μLをプレートに再適用して戻し、さらに4分間、5600×gで遠心分離した。RNA収量をnanodrop 8000を使用して定量化した。
RT-PCR - cDNA合成および続くPCRのために、1μgのRNAを、10μl H2O中96ウェルプレートの1ウェルに加えた(Plate-Axygen, PCR-96-C-S)。各ウェルに、10μlのマスターミックス(High Capacity cDNA Reverse Transcription kit, Applied Biosystem)を加え、プレートを1000rpmで遠心分離した。cDNA合成を25℃で10分間、37℃で120分間、85℃で5分間実施し、続いて4℃で保持した。qPCRのために、各サンプルを384ウェル透明反応プレート(applied biosystem; catalog number 4483285)でプライマー/プローブセット(フォワードプライマー5’-TGGAAGATTGCTACGAGCGC-3’;リバースプライマー5’-CAGGTCGCTGAACAGGTTCT-3’;プローブ-6FAM-GCAAGTTCGGCAAGCAGCACA-MGBNFG)を用いてデュプリケートで流した。各反応物に、2μlのcDNAおよび8μLのマスターミックス(5μl fast advanced master mix、0.5μl 20×FAM primer probe mixおよび2.5μl水)を加え、プレートを1分間、1000rpmで遠心分離した。サンプルを、ViiA7システムおよびデータ分析のためのQuant StudioリアルタイムPCRソフトウェア(Applied Biosystem)を使用して、95℃で20秒間、続いて95℃で1秒間および60℃で20秒間の40サイクルでインキュベートした。
ベクターゲノム/ゲノムDNA単離およびqPCR - ゲノムDNA単離のために、組織をQiagen Tissuelyzerを使用して均質化し、ゲノムDNAをQiagen DNeasy 96 blood and tissue kit(Qiagen catalog number 69581)を使用して単離した。組織(約10mg)を、200μlのプロテイナーゼK-緩衝液ATLおよび1個の5mmスチールビーズを含む96ウェルプレート(costar assay block 1ml、catalog number 3958)に入れ、Tissuelyzerを30hz、2分間使用して均質化し、これを均質化するまで繰り返した。ゲノムDNA単離は取扱い指示書に従った。qPCRのために、各サンプルを、384ウェル透明反応プレート(applied biosystem; catalog number 4483285)中、プライマー/プローブセット(フォワードプライマー5’-TGGAAGATTGCTACGAGCGC-3’;リバースプライマー5’-CAGGTCGCTGAACAGGTTCT-3’;プローブ-6FAM-GCAAGTTCGGCAAGCAGCACA-MGBNFG)とデュプリケートで流した。各反応に、2μlのゲノムDNA(80ng)および8μLのマスターミックス(5μl fast advanced master mix、0.5μl 20×FAM primer probe mixおよび2.5μl水)を加え、プレートを1分間、1000rpmで遠心分離した。サンプルを、ViiA7システムおよびデータ分析のためのQuant StudioリアルタイムPCRソフトウェア(Applied Biosystem)を使用して、95℃で20秒間、続いて95℃で1秒間および60℃で20秒間の40サイクルでインキュベートした。
MSD-ELISA - タンパク質発現をElisaアッセイにより決定した。多アッセイ384ウェルプレート(Meso Scale Discovery, catalog number L21XB-4)を、2μg/ml濃度で、重炭酸緩衝液中、一夜モノクローナル抗体Manex 1011bでプレコートした。次いで、プレートを遮断緩衝液(PBS中5%BSA)で4時間、室温で振盪しながら遮断した。組織(約20mg)を、Qiagen Tissuelyzerを30hzで5分間使用して、プロテアーゼ阻害剤カクテル錠(Roche, catalog number 04 693 159 001)含有1mg組織/10μl溶解緩衝液(Sigma, catalog number R0278)濃度でripa緩衝液で均質化し、この工程を均質化するまで繰り返した。組織ripaライセートを、結合緩衝液(PBS中、1%BSA、0.05%tween 20、20mM Tris pH7.5)で1:3に希釈した。組織ライセートおよびスルホコンジュゲートMandys 106(0.2μg/ml)を、プレコートした384ウェルプレートに加え、40℃で一夜、振盪しながらインキュベートした。プレートを、0.05%tween 20含有PBSで洗浄し、界面活性剤含有40μl MSD read buffer T(catalog number R92TC-1)で洗浄した。次いで、プレートをMSD Sector 6000 machineで読んだ。
データは、4週齢で>90%横紋筋細胞における発現(mRNAおよびタンパク質)を達成するのに十分なウイルスが投与されたことを示した(図18)。
クレアチンキナーゼ - 筋肉損傷の指標としてのクレアチンキナーゼを、市販キットを使用して血清で測定した。CKを4週齢(送達2週後)で測定した。また、CKを、収縮誘導傷害プロトコール1か月後である3カ月齢で測定した(下記参照)。****一元配置ANOVAとテューキー事後検定でP<0.001、n=10、mdx4cvと比較。データは、BXA-196477またはBXA-213788で処置したマウスで、クレアチンキナーゼレベル、故に筋肉損傷が有意に減少したことを示した(図19)。
機能試験
前脛骨筋(TA)筋肉収縮性性質を、製造者の指示(Aurora Scientific)に従い、インビボ(足プレート)装置で試験した。簡潔には、ピーク強縮を、力周波数曲線で150Hzで達成した(力を、ニュートンメートルとしてトルクで測定)。ピーク強縮は、野生型、mdx4cvおよびBXA-196477またはBXA-213788で処置したmdx4cvマウスで同じであった。しかしながら、TA筋肉量はmdx4cvで大きく(****一元配置ANOVAとテューキー事後検定でP<0.001、n=10)、TA質量に対するピーク強収縮力の正規化が、mdx4cvマウスで減少し、処置マウスで野生型レベルであった(***mdx4cvと比較してP<0.001;一元配置ANOVAとテューキー事後検定、n=10)(図20)。
前脛骨筋(TA)筋肉傷害を、製造者の指示(Aurora Scientific)に従い、インビボ(足プレート)装置で測定した。150Hz(最大等尺性トルク)でのピーク強縮中、足プレートを筋肉を引っ張るため90°から135°に回転させた。この収縮を、先に記載のとおり(Khairallah et. al., 2012)、毎分20収縮まで繰り返した。引っ張る直前の最大等尺性トルクは、mdx4cvマウスで各収縮で有意に減少した(野生型と比較してP<0.0001;二元配置ANOVA;n=9~10)。対照的に、BXA-196477およびBXA-213788両者は、野生型レベルに類似して収縮誘導傷害を予防した(mdx4cvと比較して、テューキー事後検定を伴い、BXA-213788で****P<0.0001およびBXA-196477で**P<0.01 n=9~10)。データは、両小型化ジストロフィン設計が、TA筋肉を収縮誘導傷害から保護することを示す(図21)。
ここでの実施例に記載する小型化ジストロフィン構築物のインビトロおよびインビボ発現は、最初の7個および最後の13ヌクレオチドが除去された、C5-12プロモーター制御下にあった(US2004/0175727参照)。使用したAAVはAAV9であり、ここで、ITRはAAV2であった。
実施例6:さらなる免疫原性試験
小型化ジストロフィンポリペプチドBXA-027741内のヒンジ2(H2)ドメインとR16スペクトリン反復16(R16)の間に作製した新規接合部(表12参照:配列番号156~166;配列番号155は元の配列)の免疫原性を、インシリコ免疫原性予測ツールを使用して試験した。新規接合部配列番号157(図22参照)は、前記インシリコアプローチに基づき、免疫原性リスクが最小であることが示された。試験した接合部配列は次のとおり、番号付けされる:配列番号155(1)、配列番号156(2)、配列番号157(3)、配列番号158(4)、配列番号159(5)、配列番号160(6)、配列番号161(7)、配列番号162(8)、配列番号163(9)、配列番号164(10)、配列番号165(11)、配列番号166(12)(図22B参照)。
BXA-027741設計およびその接合部バリアントの前記接合部の免疫原性能を、上記インビトロT細胞増殖アッセイを使用して試験した。データは、接合部J11v3(配列番号157、図22BのNo. 3)が他の試験した接合部と比較して、有意に少ないCD8+(図23A)およびCD4+ T(図23B)細胞増殖を誘発し、それ故に優れることを示す(図23)。小型化ジストロフィンポリペプチドBXA-196477を、接合部J11v3を担持し、C末端の最後の3アミノ酸が欠失され、3’UTRが短縮され、小型化ジストロフィンポリペプチドBXA-213780(配列番号153)およびヌクレオチド配列番号154がもたらされるよう修飾した。