以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この実施形態では、圧電振動デバイスとして水晶振動子に適用して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る水晶振動子の概略側面図である。
この実施形態の水晶振動子1は、圧電振動板である水晶振動板2と、水晶振動板2の一方の主面側を覆って気密に封止する第1封止部材3と、水晶振動板2の他方の主面側を覆って気密に封止する第2封止部材4とを備えている。
この水晶振動子1では、水晶振動板2と第1封止部材3とが接合されると共に、水晶振動板2と第2封止部材4とが接合されて、略直方体のサンドイッチ構造のパッケージが構成される。
この実施形態の水晶振動子1のパッケージサイズは、平面視矩形であって、例えば、1.0mm×0.8mmであり、小型化及び低背化を図っている。なお、パッケージサイズは、上記に限定されるものではなく、異なるサイズであってもよい。
この実施形態の水晶振動子1は、その発振周波数が高く、例えば300MHz以上である。このような高周波に対応するために、水晶振動子1では、図1の仮想線で示すように水晶振動板2の振動部21には、第1励振電極25のみを形成して質量を低減し、第2封止部材4に、水晶振動板2の振動部21に対向する第2励振電極42を形成している。ここで、振動部とは、交流電界の印加によって振動する部分であり、振動部21は、後述の励振電極25,42で交流電界を印加することによって振動する。
以下、水晶振動子1を構成する水晶振動板2及び第1,第2封止部材3,4の各構成について個別に説明する。
以下では、説明の便宜上、水晶振動板2及び第1,第2封止部材3,4のそれぞれの両主面の内、図1において上側に位置する一方の主面を表面、図1において下側に位置する他方の主面を裏面として説明する。
図2は、水晶振動板2の一方の主面である表面側を示す概略平面図であり、図3は、水晶振動板2の表面側から透視した他方の主面である裏面側を示す概略平面図であり、図4は、図2のA-A線に沿う概略断面図である。
この実施形態の水晶振動板2は、厚みすべり振動を行うATカットの水晶板であり、水晶板を水晶の結晶軸であるX軸の周りに35°15´回転させて加工した水晶板であり、その表裏の両主面が、XZ´平面である。なお、水晶振動板2は、ATカットの水晶板に限らず、SCカットの水晶板を用いてもよい。
この表裏の両主面は、鏡面加工されて平坦な平滑面とされている。この水晶振動板2は、一方の主面である表面の中央部が、平坦な他方の主面である裏面側へ窪んだ平面視略矩形の振動部21と、この振動部21の周囲を、貫通部22を挟んで取り囲む厚肉の枠部23と、振動部21と枠部23とを連結する連結部24とを備えている。振動部21と連結部24とは、外周部としての枠部23に比べて薄肉である。
水晶振動板2の振動部21、その周囲の貫通部22及び連結部24は、ATカットの水晶板を一方の主面側である表面側からウェットエッチングすることで形成することができる。
図2及び図4に示すように、水晶振動板2の振動部21の表面には、第1励振電極25が形成されている。この振動部21の裏面には、図3に示すように、第2励振電極は形成されていない。振動部21の裏面は、エッチングされておらず、鏡面加工された平坦な平滑面のままである。
振動部2の表面の第1励振電極25からは、図2に示すように、平面視矩形の水晶振動板2の一方の短辺側(図2の右側)へ第1引出し電極26が引出され、この第1引出し電極26によって、連結部24を経て枠部23に形成された接続用接合パターン200に接続されている。
水晶振動板2の枠部23の表裏の各主面には、図2,図3に示すように、水晶振動板2を、第1,第2封止部材3,4にそれぞれ接合するための第1,第2封止用接合パターン201,202が、振動部21を囲む枠部23の全周に亘って、平面視矩形の水晶振動板2の外周に沿うように環状にそれぞれ形成されている。
水晶振動板2には、枠部23の表裏の両主面間を貫通する5つの第1~第5貫通電極211~215が形成されている。各貫通電極211~215は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されている。第1~第4貫通電極211~214は、平面視矩形の水晶振動板2の4つの角部付近に形成されている。第5貫通電極215は、第3貫通電極213の近傍に形成されている。
図2に示すように、水晶振動板2の枠部23の表面の第1~第3貫通電極211~213の周囲には、第1~第3接続用接合パターン221~223がそれぞれ形成されている。第1~第3貫通電極211~213は、第1~第3接続用接合パターン221~223にそれぞれ電気的に接続されている。第1~第3接続用接パターン221~223は、水晶振動板2の3つの各角部付近において、第1封止用接合パターン201が形成されていない領域に形成されている。すなわち、第1~第3接続用接パターン221~223及び第1~第3貫通電極211~213は、水晶振動板2の外周に沿うように環状に形成されている第1封止用接合パターン201に接続されておらず、第1封止用接合パターン201とは分離されている。これに対して、第4貫通電極214は、第1封止用接合パターン201の形成領域に形成されており、第4貫通電極214は、第1封止用接合パターン201に電気的に接続されている。
水晶振動板2の枠部23の表面の第5貫通電極215の周囲には、第5接続用接合パターン225が形成されている。第5貫通電極215は、第5接続用接合パターン225に電気的に接続されている。平面視矩形の水晶振動板2の一方の短辺側(図2の右側)の第5貫通電極215とは、振動部21を挟んだ他方の短辺側(図2の左側)には、接続用接合パターン226が形成されている。
図3に示すように、水晶振動板2の枠部23の裏面の第1~第3貫通電極211~213の周囲には、第1~第3接続用接合パターン231~233がそれぞれ形成されている。第1~第3貫通電極211~213は、第1~第3接続用接合パターン231~233にそれぞれ電気的に接続されている。第1~第3接続用接パターン231~233は、水晶振動板2の3つの各角部付近において、第2封止用接合パターン202が形成されていない領域に形成されている。すなわち、第1~第3接続用接合パターン231~233及び第1~第3貫通電極211~213は、水晶振動板2の外周に沿うように環状に形成されている第2封止用接合パターン202に接続されておらず、第2封止用接合パターン202とは分離されている。これに対して、第4貫通電極214は、第2封止用接合パターン202の形成領域に形成されており、第4貫通電極214は、第2封止用接合パターン202に電気的に接続されている。
水晶振動板2の枠部23の裏面の第5貫通電極215の周囲には、第5接続用接合パターン235が形成されている。第5貫通電極215は、第5接続用接合パターン235に電気的に接続されている。第5接続用接合パターン235は、第4貫通電極214の近傍の第6接続用接合パターン236に接続されている。水晶振動板2の一方の短辺側(図3の右側)の第5貫通電極215とは、振動部21を挟んだ他方の短辺側(図3の左側)には、第7接続用接合パターン237が形成されている。
この実施形態の水晶振動板2の第1励振電極25、第1引出し電極26、第1,第2封止用接合パターン201,202、及び、各接続用接合パターン200,221~223,231~233,235~237は、例えば、チタン(Ti)からなる下地金属膜上に、金(Au)膜が積層された積層金属膜によって構成されている。この積層金属膜は、例えば、アルミニウム(Al)の単層金属膜で構成してもよい。
図5は、第1封止部材3の一方の主面である表面側を示す概略平面図であり、図6は、第1封止部材3の表面側から透視した他方の主面である裏面側を示す概略平面図である。
第1封止部材3は、水晶振動板2と同様のATカット水晶板からなる直方体の基板であり、水晶振動板2に接合される裏面は、鏡面加工された平坦な平滑面とされている。この第1封止部材3の裏面には、図6に示すように水晶振動板2の表面の第1封止用接合パターン201に接合して封止するための第1封止用接合パターン301が、平面視矩形の第1封止部材3の全周に亘って、その外周に沿うように環状に形成されている。
第1封止部材3には、その表裏の両主面間を貫通する6つの第1~第6貫通電極311~316が形成されている。各貫通電極311~316は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されている。第1~第4貫通電極311~314は、平面視矩形の第1封止部材3の4つの角部付近に形成されている。第5貫通電極315は、図2に示される水晶振動板2の表面の第1励振電極25から引き出された接続用接合パターン200に対応するように、環状の第1封止用接合パターン301の内側であって、平面視矩形の第1封止部材3の一方の短辺側(図6の右側)に形成されている。
第1封止部材3の裏面の第1~第3貫通電極311~313の周囲には、図6に示すように、第1~第3接続用接合パターン321~323がそれぞれ形成されている。第1~第3貫通電極311~313は、第1~第3接続用接合パターン321~323にそれぞれ電気的に接続されている。第1~第3接続用接合パターン321~323は、第1封止部材3の3つの各角部付近において、第1封止用接合パターン301が形成されていない領域に形成されている。すなわち、第1~第3接続用接合パターン321~323及び第1~第3貫通電極311~313は、環状に形成されている第1封止用接合パターン301に接続されておらず、第1封止用接合パターン301とは分離されている。これに対して、第4貫通電極314は、第1封止用接合パターン301の形成領域に形成されており、第4貫通電極314は、第1封止用接合パターン301に電気的に接続されている。
第1封止部材3の裏面の第5貫通電極315の周囲には、第5接続用接合パターン325が形成されており、第5貫通電極315は、この接続用接合パターン325に電気的に接続されている。
第1封止部材3の裏面の第6貫通電極316の周囲には、第6接続用接合パターン326が形成されており、第6貫通電極316は、第6接続用接合パターン326に電気的に接続されている。この第6接続用接合パターン326が、平面視矩形の第1封止部材3の他方の短辺側(図6の左側)に形成されているのに対して、第1封止部材3の一方の短辺側(図6の右側)には、第7接続用接合パターン327が形成されている。この第7接続用接合パターン327は、図2に示される水晶振動板2の表面の第5接続用接合パターン225に対応するように形成されている。第7接続用接合パターン327と、第6貫通電極316の周囲の第6接続用接合パターン326とは、接続用配線パターン330によって電気的に接続されている。したがって、第1封止部材3の裏面の第7接続用接合パターン327は、第1封止部材3の第6貫通電極316に電気的に接続されている。
第1封止部材3の表面には、図5に示すように、配線用の第1、第2金属膜31,32と、シールド用の第3金属膜33とが形成されている。
第1封止部材3の第2貫通電極312と第6貫通電極316とが、配線用の第1金属膜31によって電気的に接続されている。この第1金属膜31は、後述のように、第2封止部材4の表面の第2励振電極42を、第2封止部材4の裏面の第2外部接続端子432に電気的に接続する。
第1封止部材3の第3貫通電極313と第5貫通電極315とが、配線用の第2金属膜32によって電気的に接続されている。この第2金属膜32は、後述のように、水晶振動板2の表面の第1励振電極25を、第2封止部材4の裏面の第3外部接続端子433に電気的に接続する。
シールド用の第3金属膜33は、第1金属膜31と第2金属膜32との間の広い領域に形成されている。第1封止部材3の第1貫通電極311と第4貫通電極314とが、第3金属膜33によって電気的に接続されている。この第3金属膜33は、後述のように、第2封止部材4の裏面の第1外部接続端子431と第4外部接続端子434とを電気的に接続する。
第1封止部材3の第1~第3金属膜31~33、第1封止用接合パターン301、各接続用接合パターン321~323,325~327、及び、接続用配線パターン330は、水晶振動板2の第1,第2封止用接合パターン201,202等と同様に、例えば、チタン(Ti)からなる下地金属膜上に、金(Au)膜が積層された積層金属膜によって構成されている。この積層金属膜は、例えば、アルミニウム(Al)の単層金属膜で構成してもよい。
図7は、第2封止部材4の一方の主面である表面側を示す概略平面図であり、図8は、第2封止部材4の表面側から透視した他方の主面である裏面側を示す概略平面図であり、図9は、図7のB-B線に沿う概略断面図である。
第2封止部材4は、水晶振動板2や第1封止部材3と同様のATカット水晶板からなる直方体の基板であり、水晶振動板2に接合される表面は、鏡面加工された平坦な平滑面とされている。
第2封止部材4の表面には、図7に示すように、水晶振動板2の裏面の第2封止用接合パターン202に接合して封止するための第2封止用接合パターン402が、平面視矩形の第2封止部材4の全周に亘って、その外周に沿うように環状に形成されている。
第2封止部材4の表面は、図9に示すように、水晶振動板2の振動部21に対向する領域が、窪んだ凹部41となっており、この凹部41に、第2励振電極42が形成されている。第2封止部材4の表面の凹部41は、ATカット水晶板を一方の主面である表面側からウェットエッチングすることで形成することができる。
このように第2励振電極42は、水晶振動板2の振動部21の裏面に対向する凹部41が形成されているので、水晶振動板2の図1の仮想線で示される振動部21の裏面と、第2封止部材4の凹部41に形成された第2励振電極42との間隔Gを一定にする場合に、振動部21の平坦な裏面に対して、凹部41を形成すると共に、第2励振電極42を形成すればよい。
これによって、ハーフエッチングによって形成される振動部の励振面に対して、一定間隔となるように励振電極を形成する上記特許文献1のように、掘り込み深さのばらつきの影響を受けることがなく、一定間隔に制御するのが容易である。
第2封止部材4の表面の第2励振電極42からは、図7に示すように、平面視矩形の第2封止部材4の一方の短辺側(図7の右側)へ第2引出し電極43が引出され、第4接続用接合パターン424に接続され、更に、短辺方向に延びて第5接続用接合パターン425に接続されている。
第2封止部材4には、その表裏の両主面間を貫通する4つの第1~第4貫通電極411~414が形成されている。各貫通電極411~414は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されている。第1~第4貫通電極411~414は、平面視矩形の第2封止部材4の4つの角部付近に形成されている。
第2封止部材4の表面の第1~第3貫通電極411~413の周囲には、図7に示すように、第1~第3接続用接合パターン421~423がそれぞれ形成されている。第1~第3貫通電極411~413は、第1~第3接続用接合パターン421~423にそれぞれ電気的に接続されている。第1~第3接続用接パターン421~423は、第2封止部材4の3つの各角部付近において、第2封止用接合パターン402が形成されていない領域に形成されている。すなわち、第1~第3接続用接パターン421~423及び第1~第3貫通電極411~413は、環状に形成されている第2封止用接合パターン402に接続されておらず、分離されている。これに対して、第4貫通電極414は、第2封止用接合パターン402の形成領域に形成されており、第4貫通電極414は、第2封止用接合パターン402に電気的に接続されている。第2封止部材4の他方の短辺側(図7の左側)には、第6接続用接合パターン426が形成されている。
第2封止部材4の裏面には、図8に示すように、当該水晶振動子1を、外部の回路基板に実装するための4つの第1~第4外部接続端子431~434が設けられている。第1~第4外部接続端子431~434は、第1~第4貫通電極411~414にそれぞれ電気的に接続されている。
第2封止部材4の表面の第2励振電極42、第2引出し電極43、第2封止用接合パターン402、及び、各接続用接合パターン421~426は、水晶振動板2の第1,第2封止用接合パターン201,202等と同様に、例えば、チタン(Ti)からなる下地金属膜上に、金(Au)膜が積層された積層金属膜によって構成されている。この積層金属膜は、例えば、アルミニウム(Al)の単層金属膜で構成してもよい。
第2封止部材4の裏面の第1~第4外部接続端子431~434は、例えば、チタン(Ti)からなる下地金属膜上に、耐半田用のNi-Ti合金層が形成され、このNi-Ti合金層上に、金(Au)膜が形成された積層金属膜によって構成されている。
この実施形態では、図10に示すように、第1封止部材3、水晶振動板2、及び、第2封止部材4の位置を合せて、水晶振動板2と第1封止部材3とを、その第1封止用接合パターン201,301を重ね合わせた状態で拡散接合すると共に、水晶振動板2と第2封止部材4とを、その第2封止用接合パターン202,402を重ね合わせた状態で拡散接合して、図1に示すサンドイッチ構造のパッケージを得る。これによって、水晶振動板2の振動部21の第1励振電極25及び第2封止部材4の内底面の第2励振電極42が収容された内部空間が気密に封止される。
この場合、水晶振動板2の第1封止用接合パターン201と、第1封止部材3の第1封止用接合301との拡散接合によって、接合材が生成されて接合され、また、水晶振動板2の第2封止用接合パターン202と、第2封止部材4の第2封止用接合パターン402との拡散接合によって、接合材が生成されて接合される。
この拡散接合を、加圧した状態で行うことによって、接合材の接合強度を向上させることが可能である。
また、この拡散接合の際に、上記の各接続用接合パターン同士も重ね合わせられた状態で拡散接合され、この拡散接合によって生成された接合材によって接合される。
この拡散接合によって、水晶振動板2の表面の第1励振電極25は、第1引出し電極26、接続用接合パターン200、第2封止部材3の裏面の第5接続用接合パターン325及び第5貫通電極315、第2封止部材3の表面の第2金属膜32及び第3貫通電極313、第2封止部材3の裏面の第3接続用接合パターン323、水晶振動板2の表面の第3接続用接合パターン223及び第3貫通電極213、水晶振動板2の裏面の第3接続用接合パターン233、第2封止部材4の表面の第3接続用接合パターン423及び第3貫通電極413を順に経由して第2封止部材4の裏面の第3外部接続端子433に電気的に接続される。
また、第2封止部材4の表面の第2励振電極42は、第2引出し電極43、第4,第5接続用接合パターン424,425、水晶振動板2の裏面の第5,第6接続用接合パターン235,236及び第5貫通電極215、水晶振動板2の表面の第5接続用接合パターン225、第1封止部材3の裏面の第7接続用接合パターン327、接続用配線パターン330、第6接続用接合パターン326及び第6貫通電極316、第2封止部材3の表面の第1金属膜31及び第2貫通電極312、第2封止部材3の裏面の第2接続用接合パターン322、水晶振動板2の表面の第2接続用接合パターン222及び第2貫通電極212、水晶振動板2の裏面の第2接続用接合パターン232、第2封止部材4の表面の第2接続用接合パターン422及び第2貫通電極412を順に経由して第2封止部材4の裏面の第2外部接続端子432に電気的に接続される。
本実施形態では、水晶振動板2と第2封止部材4の接合を拡散接合によって行っているので、水晶振動板2の振動部21の平坦な裏面と、第2封止部材4の凹部41に形成された第2励振電極との間隔G(後述)を、高精度に維持することができる。
第2封止部材3の表面のシールド用の第3金属膜33は、第1貫通電極311、第2封止部材3の裏面の第1接続用接合パターン321、水晶振動板2の表面の第2接続用接合パターン221及び第1貫通電極211、水晶振動板2の裏面の第1接続用接合パターン231、第2封止部材4の表面の第1接続用接合パターン421及び第1貫通電極411を順に経由して第2封止部材4の裏面の第1外部接続端子431に電気的に接続される。
また、第2封止部材3の表面のシールド用の第3金属膜33は、第4貫通電極314、第2封止部材3の裏面の第1封止用接合パターン301及び第4貫通電極314、水晶振動板2の表面の第1封止用接合パターン201及び第4貫通電極214、水晶振動板2の裏面の第2封止用接合パターン202、第2封止部材4の表面の第2封止用接合パターン402及び第4貫通電極414を順に経由して第2封止部材4の裏面の第4外部接続端子434に電気的に接続される。
上記のような構成を有する図1の水晶振動子1では、その裏面側である第2封止部材4の第1~第4外部接続端子431~434が、半田等の接合材によって、図示しない外部の回路基板に接合されて実装される。このとき、シールド用の第3金属膜33に電気的に接続された第1,第4外部接続端子431,434は、グランド端子としてアース接続される。
上記の拡散接合によって構成された水晶振動子1では、第1封止部材2と水晶振動板2との間隔、及び、水晶振動板2と第2封止部材4との間隔を、1.00μm以下(具体的には、本実施の形態のAu-Au接合では、0.15μm~1.00μm)にすることができる。この間隔は、金属ペースト封止材(例えば、5μm~20μm)を用いた接合に比べて非常に薄肉となっている。これにより、水晶振動板2の振動部21の平坦な裏面と、第2封止部材4に形成された第2励振電極との間隔Gを、非常に小さくすることができる。その結果、高周波化に対応しつつ、抵抗値の低い水晶振動子を得ることができる。
また、この実施形態では、図1の仮想線で示される水晶振動板2の振動部21の平坦な裏面と、第2封止部材4の凹部41に形成された第2励振電極42との間隔Gは、0.05μm~1.05μmであるのが好ましい。この間隔Gは、狭い方が好ましいので、上記のAu-Au接合の間隔が、例えば、下限値の0.15μmである場合には、第2励振電極42の厚みを、第2封止部材4の凹部41の深さよりも0.1μm厚くすることによって、間隔Gを、前記0.05μmとするのが好ましい。なお、第2封止部材4に凹部41を形成することなく、第2封止部材4の表面に、第2励振電極42を形成してもよい。
前記間隔Gが、0.05μm未満になると、水晶振動板2の振動部21と第2封止部材4の第2励振電極42との間隔が狭くなり過ぎて、両者が接触する虞がある。
逆に、前記間隔Gが、1.05μmを超えると、水晶振動板2の振動部21と第2封止部材4の第2励振電極42との間隔が広くなり過ぎて、良好な特性、例えば良好なクリスタルインピーダンス値(CI値)を得ることができない。
本実施形態によれば、水晶振動板2の表面の中央部を、平坦な裏面側へ窪ませて振動部21としているので、振動部21の裏面は、鏡面加工によって平滑化された平坦な面である。したがって、第2封止部材4に形成される第2励振電極42は、水晶振動板2の振動部2の平滑な裏面に対して一定間隔となるように形成すればよい。
これによって、ハーフエッチングによって形成される振動部の励振面に対して、一定間隔となるように励振電極を形成する上記特許文献1のように、掘り込み深さのばらつきの影響を受けることがないので、振動部21の裏面と第2励振電極42との間隔を一定に制御するのが容易である。
また、水晶振動板2の振動部21には、第2励振電極42を形成しないので、水晶振動板2の振動部21の質量負荷を削減することができ、振動特性を良好にすることができる。
上記実施形態では、水晶振動板2の振動部21の表面に第1励振電極25を形成したが、本発明の他の実施形態として、図11に示すように、第1封止部材3aに第1励振電極25aを形成してもよい。
この水晶振動子1aでは、第1封止部材3aは、水晶振動板2aの窪んだ振動部21aに近接するように突出した凸部35を有している。この凸部35は、その突出した端面が、水晶振動板2aの振動部21aに対向しており、この対向面に、第1励振電極25aが形成されている。
第2封止部材4aには、上記実施形態と同様に、水晶振動板2aの振動部21aの平坦な裏面に対向するように第2励振電極42aが形成されている。
この実施形態によれば、第1励振電極25aを、水晶振動板2aの振動部21aではなく、第1封止部材3aに形成しているので、その分、水晶振動板2aの振動部21aの質量負荷を削減することができる。
上記各実施形態では、水晶振動板2の振動部2は、一箇所の連結部24によって外周部の枠部23に連結したが、複数個所に連結部を形成して、複数個所で枠部23に連結してもよい。このように振動部2を複数個所で枠部23に連結する場合、水晶振動子が外部衝撃等を受けた場合の振動部の厚み方向の変位量が抑制されるため、励振電極間の間隔をより一定に維持することができる。
また、図4に対応する図12の水晶振動板の概略断面図に示すように、水晶振動板2の貫通部22を省略し、薄肉の振動部21bの全周を枠部23に連結してもよい。
この図12の水晶振動板2bでは、貫通部が形成されていないので、この水晶振動板2bと第1封止部材3との拡散接合によって、第1封止部材3と水晶振動板2bとの間に、気密に封止された第1内部空間が形成される。同様に、水晶振動板2bと第2封止部材4との拡散接合によって、水晶振動板2bと第2封止部材4との間に、気密に封止された第2空間が形成される。第1内部空間は、第1封止部材3と水晶振動板2bの中央部の窪んだ第1凹部とによって区画され、第2内部空間は、水晶振動板2bと第2封止部材4の中央部の窪んだ第2凹部としての凹部41とによって区画される。
その他の構成は、上記図1の実施形態と同様である。
上記の各実施形態では、水晶振動子に適用して説明したが、感温素子(温度センサ)を備えた水晶振動子に適用してもよく、あるいは、発振回路等を内蔵したIC(集積回路素子)を備える水晶発振器に適用してもよい。
図13は、水晶振動子とICとを備える水晶発振器の概略構成図である。
この実施形態の水晶発振器5は、水晶振動子1cと、この水晶振動子1cの第1封止部材3c上に搭載されたIC6とを備えている。IC6は、水晶振動子1cと共に発振回路を構成する集積回路素子である。
第1封止部材3cの表面は、IC6の複数の実装端子がそれぞれ接続される複数の搭載パッドを含む電極パターンが形成されている。
IC6は、複数の実装端子の内の2つの実装端子が、第1封止部材3cの表面の電極パターンを介して、水晶振動子1cの第1,第2励振電極に接続されると共に、IC6の残余の実装端子が、第1封止部材3cの表面の電極パターン及び水晶振動子1cの貫通電極等を介して第2封止部材4cの底面の外部接続端子に接続される。水晶振動子1cの第1励振電極は、上記のいずれかの実施形態と同様に、第1封止部材3c又は水晶振動板2cに形成され、水晶振動板1cの第2励振電極は、上記実施形態と同様に、第2封止部材4に形成される。