JP2022171370A - 歯付ベルト - Google Patents
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Abstract
Description
上述の特許文献2では、カーボン繊維からなるフィラメント(以下、カーボンフィラメント)を片撚りした、片撚りヤーンが心線として採用されている。
ヤーンの撚りを強めると、ヤーンの強度が高まる一方で、中心部のカーボンフィラメントに生じる歪よりも大きな歪みが表層部のカーボンフィラメントに生じる。
カーボンフィラメントは剛直であり、その切断伸びは小さい。そのため、上述の片撚りヤーンでは、ヤーンの強度を高めるために、撚りを強くすると、その表層部のカーボンフィラメントに切断が生じることが懸念される。カーボンフィラメントの切断はヤーンの強度を低下させる。
プーリは歯付ベルトを曲げる。これにより、心線には歪が生じる。プーリ径が小さいほど、心線に生じる歪は大きい。心線においては歪の発生と消失とが繰り返されるので、上述の片撚りヤーンを心線として用いた場合、心線において屈曲疲労による切断が生じることも懸念される。
上記歯付ベルトでは、心線を構成するヤーンはカーボンフィラメントを含む。カーボンフィラメントの弾性率は高いので、歯付ベルトに高い負荷をかけても変形が生じにくく、プーリとの噛み合いがずれにくい。そのため、ベルトとプーリとの噛み合いがずれてベルトがプーリに乗り上げたり、ベルトに局所的な力が掛ってベルト歯が欠けてしまったりすることを回避することができる。加えて、カーボンフィラメントには、有機繊維からなるフィラメントのようなクリープ特性が無いため、歯付ベルトは非常に伸びにくく、この歯付ベルトには張力低下が発生しにくい。
さらにこのヤーンは2以上の撚り階層を有する。同じ撚りの強さであっても、単一の撚り階層で構成されたヤーンのフィラメントに比べてフィラメントに生じる歪は小さい。ヤーン表面の圧縮歪みが小さく抑えられるので、ヤーンを屈曲させてもフィラメントは折れにくい。カーボンフィラメントが切断しにくいので、屈曲疲労による心線の切断が防止される。
この歯付ベルトでは、高負荷伝動に適する状態が長期に亘って維持される。
エポキシ基含有化合物及び硬化剤を含む溶液を収束剤として用いた場合に比べて、軟質な収束被覆層が構成されるので、この収束被覆層によってフィラメントは拘束されるものの、僅かに動くことができる。フィラメントは曲がりやすいので、この歯付ベルトはヤーンの接着処理を行いやすい。この歯付ベルトでは、ヤーンはベルト本体と強固に接着する。そのため、この歯付ベルトに高い負荷が作用しても、ヤーンはベルト本体から剥離しにくい。軟質な収束被覆層は、ヤーンに生じる歪を効果的に緩和する。そのため、プーリ径が小さいプーリにこの歯付ベルトを使用しても、心線に切断は生じにくい。
図1は、本発明の実施形態に係る歯付ベルト10の一部を示す斜視図である。図2は、図1における矢視Xの正面図である。図3は、図1のA-A線端面図である。
歯付ベルト10は、エンドレスの噛み合い伝動ベルトである。
図1には、歯付ベルト10の一部のみを示す。
歯付ベルト10は、図1に示すように、ベルト本体11、心線13及び歯部被覆材としての補強布14を備える。
歯付ベルト10の寸法は、例えば、ベルト周長(ベルトピッチラインBLにおけるベルト長さ)を54mm以上6600mm以下、ベルト幅を3mm以上340mm以下、ベルト最大厚さを1.3mm以上13.2mm以下とすることができる。
本発明の実施形態において、ベルト歯12の歯形はS歯形に限定されるわけではなく、S歯形以外の円弧歯形であってもよいし、台形歯形であってもよいし、その他の歯形であってもよい。
本発明の実施形態において、ベルト歯12は、ベルト幅方向に対して傾斜する方向に延びるハス歯であってもよい。
ベルト歯12の歯高さは、ベルト長さ方向に相互に隣接する一対のベルト歯12間の歯底部15からベルト歯12の先端までの寸法(図3中、H参照)で規定され、例えば0.76mm以上8.4mm以下である。
また、歯付ベルト10は、歯数が、例えば27以上560以下、歯幅(ベルト長さ方向の寸法)が、例えば1.3mm以上15.0mm以下、PLDが、例えば0.254mm以上2.159mm以下である。
これらのベルト歯の寸法は例示であり、これらの範囲に限定されるわけではない。
ベルト本体11は、エンドレスの平帯状の背ゴム部11aと、複数の歯ゴム部11bとを有する。複数の歯ゴム部11bは、ベルト本体11の内周側に設けられている。詳細には、複数の歯ゴム部11bは、背ゴム部11aの一方側である内周側にベルト長さ方向に間隔をおいて一体に設けられている。ベルト本体11では、背ゴム部11a及び歯ゴム部11bのそれぞれが熱可塑性エラストマー組成物で構成されている。
背ゴム部11aを構成する熱可塑性エラストマー組成物と、歯ゴム部11bを構成する熱可塑エラストマー組成物とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記熱可塑性エラストマー組成物は、エラストマー成分のみを含有していてよい。
TPAE及びTPCは、オレフィン系、スチレン系、ウレタン系などの他の熱可塑性エラストマーに比べて、熱に強く、高負荷駆動時や高速回転駆動時のベルト温度でも弾性率の低下が小さい。そのため、高負荷駆動時や高速回転駆動時にベルトの発熱による歯ゴム部11bの変形が発生しにくい。
TPAEは、TPCに比べて、動的な変形に対するエネルギー損失が小さく、屈曲による発熱が少ない。そのため、駆動時のベルト温度が相対的に低く、高負荷や高速での動力伝達に適している。
また、TPAEは、耐薬品性にも優れる。そのため、薬品との接触が想定される用途、例えば、油圧装置を備えた産業用機械、二輪自動車の駆動部、乗用車の電動シートで使用する歯付ベルトとして好適である。
上記ポリアミド(ナイロン)としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1212等が挙げられる。これらのなかでは、アミド結合の含有量が少なく、寸法変化を起こしにくい点から、ナイロン11及びナイロン12が好ましい。
ポリエステルポリオ―ルとポリエーテルポリオ―ルとを比較すると、可塑剤を配合しなくても常温でゴム弾性を呈しやすく、ベルトを屈曲させて際にクラックを発生しにくい点から、ポリエーテルポリオ―ルの方が好ましい。この場合、ソフトセグメントはポリエーテル構造となる。
また、TPAEのポリオール成分として、ポリエーテルポリオ―ルを採用した場合には、可塑剤を配合しなくてもよく、可塑剤を含有しない熱可塑性エラストマー組成物で歯ゴム部11bや背ゴム部11aが構成された歯付ベルト10は、可塑剤が揮発し、設備や製品に付着することがない。よって、このような歯付ベルト10は、クリーンルームで好適に使用することができる。
上記ポリエーテルポリオ―ルとしては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。
上記ポリエステル系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、東レ・デュポン社製のハイトレル(登録商標)シリーズが例示できる。
上記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、アルケマ社製のPEBAX(登録商標)シリーズ、ダイセル・エボニック社製のベスタミド(登録商標)シリーズ及びダイアミド(登録商標)シリーズ、並びに、EMS社製のグリルフレックス(登録商標)シリーズが例示できる。
背ゴム部11aを構成する熱可塑性エラストマー組成物の硬さは、歯ゴム部11bを構成する熱可塑性エラストマー組成物の硬さより小さくてもよい。
上記歯ゴム部硬さも同様に、歯ゴム部11bを構成する熱可塑性エラストマー組成物に含まれるエラスマー成分やエラスマー成分以外の添加剤によって制御することができる。
補強布14は、ベルト本体11の複数の歯ゴム部11bが設けられた内周側の表面を被覆するように貼設されている。従って、各ベルト歯12の歯ゴム部11bは補強布14で被覆されている。
これにより、歯ゴム部11bを構成する熱可塑性エラストマー組成物とプーリとが直接接触することが防止される。そのため、歯ゴム部11bの摩耗を抑制することができる。
補強布14の厚さは、例えば0.1mm以上2.5mm以下である。
上記繊維部材を形成するための糸としては、例えば、ナイロン繊維(ポリアミド繊維)、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、綿等が挙げられる。
上記樹脂フィルムの材質としては、例えば、ナイロン(ポリアミド)、ポリエステル等が挙げられる。
上記ナイロン製補強布は、摩擦係数が低いため、摩擦エネルギーが小さく、摩耗しにくい。
また、上記ナイロン製補強布は、融点が高いので、プーリとの接触部の温度が上がっても、ナイロン製補強布が溶融することによる急激な摩耗を生じにくい。
補強布14は、例えば、緯糸にウーリー加工等が施された織布のように伸縮性を有する物でもよい。
ここで、ナイロン繊維を主成分とするとは、全繊維中に含まれるナイロン繊維の量が50質量%以上であることを意味する。
補強布14は、上記接着処理の前に、エポキシ溶液又はイソシアネート溶液に浸漬した後に加熱する下地処理が施されていてもよい。
補強布14が摩耗改質剤を含有すると、歯ゴム部11bの摩耗による変形がより抑制されることになる。
心線13は、ベルト本体11の背ゴム部11aの内周側の部分に、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配されて埋設されている。
心線13の外径は、例えば0.45mm以上3.0mm以下である。
心線13のピッチ(ベルト幅方向の配設ピッチ)は、例えば0.5mm以上4.0mm以下である。
この歯付ベルトの心線13は、2本以上のストランドを含むヤーン16を備える。
このヤーン16の作製では、多数のフィラメント18を撚り合わせてストランド17aが形成される。5本のストランド17aを撚り合わせて、ヤーン16aが形成される。ストランド17aの形成のためにフィラメント18を撚り合わせることが下撚りであり、ヤーン16aの形成のためにストランド17aを撚り合わせることが上撚りである。この図4に示されたヤーン16aは、下撚り及び上撚りからなる2つの撚り階層を有する。
このヤーン16bの作製では、多数のフィラメント18を撚り合わせて仮ストランド19が形成される。3本の仮ストランド19を撚り合わせて、ストランド17bが形成される。5本のストランド17bを撚り合わせて、ヤーン16bが形成される。仮ストランド19の形成のためにフィラメント18を撚り合わせることが下撚りであり、ストランド17bの形成のために仮ストランド19を撚り合わせることが中撚りであり、ヤーン16bの形成のためにストランド17bを撚り合わせることが上撚りである。この図5に示されたヤーン16は、下撚り、中撚り及び上撚りからなる3つの撚り階層を有する。
カーボンフィラメントのフィラメント径は、例えば5μm以上7μm以下である。ヤーン16に含まれるカーボンフィラメントの本数は、例えば3000本以上である。上記フィラメントの本数の上限は特に限定されず、例えば96000本である。
さらにヤーン16が2以上の撚り階層を有するので、同じ撚りの強さであっても、単一の撚り階層で形成されたヤーン(片撚りヤーンとも称される。)に比べてフィラメント18に生じる歪は小さい。ヤーン16表面の圧縮歪みが小さく抑えられるので、ヤーン16を屈曲させてもフィラメント18は折れにくい。カーボンフィラメントが切断しにくいので、この歯付ベルト10では、屈曲疲労による心線13の切断が防止される。
ヤーン16が2つの撚り階層を有する場合、多数のフィラメント18を一方向(S撚りの方向又はZ撚りの方向)に下撚りして得られるストランド17を複数本集めて、これらを下撚りの方向と逆方向に上撚りする、いわゆる諸撚りで、ヤーン16が撚られていてもよく、多数のフィラメント18を一方向(S撚りの方向又はZ撚りの方向)に下撚りして得られるストランド17を複数本集めて、これらを下撚りの方向と同じ方向に上撚りする、いわゆるラング撚りで、ヤーン16が撚られていてもよい。
ヤーン16がラング撚りで撚られている場合、カーボンフィラメント同士の擦れが低減されるので、摩耗による、心線13の強度低下が防止される。ヤーン16の表層部におけるフィラメント18がベルト長さ方向に対して大きく傾くので、小プーリのように、歯付ベルト10に大きな圧縮歪みが生じる用途においても、カーボンフィラメントに切断は生じにくい。
ヤーン16が3つの撚り階層を有する場合、下撚りの方向と中撚りの方向とは同方向であるのが好ましい。これにより、2つの撚り階層を有するヤーン16aに含まれるフィラメント18に比べて、撚りによってフィラメント18に生じる歪が小さい。カーボンフィラメントが切断しにくいので、屈曲疲労による心線の切断が防止される。この場合、心線13が縺れることなくその形状を安定に保持でき、歯付ベルト10の作製において心線13間隔に乱れが生じることが防止できる観点から、上撚りの方向は中撚りの方向と逆方向であるのがより好ましい。
撚り係数の合計が120以下に設定されることにより、撚りによってフィラメント18に生じる歪が低減される。撚りが強すぎることによるカーボンフィラメントの切断が防止される。そのため、屈曲疲労による心線13の切断が生じにくい。
K=T×√D/100 (1)
例えば、ヤーン16が2つの撚り階層を有する場合、下撚りの撚り係数Kの算出には、下撚りによって得られるストランド17の繊度が撚りの対象である繊維束の繊度Dとして用いられる。上撚りの撚り係数Kの算出には、上撚りによって得られるヤーン16の繊度が撚りの対象である繊維束の繊度Dとして用いられる。ヤーン16が3つの撚り階層を有する場合、下撚りの撚り係数Kの算出には、下撚りによって得られる仮ストランド19の繊度が撚りの対象である繊維束の繊度Dとして用いられる。中撚りの撚り係数Kの算出には、中撚りによって得られるストランド17の繊度が撚りの対象である繊維束の繊度Dとして用いられる。上撚りの撚り係数Kの算出には、上撚りによって得られるヤーン16の繊度が撚りの対象である繊維束の繊度Dとして用いられる。
この歯付ベルト10では、フィラメント18間に収束被覆層20が存在するので、フィラメント18同士が直接擦れ合うことが防止される上に、フィラメント18の動きが抑制される。カーボンフィラメントの擦れが抑えられるので、この歯付ベルト10では、カーボンフィラメントの摩耗による、心線13の強度低下が防止される。
この歯付ベルト10では、接着被覆層21がヤーン16に含まれるストランド17の動きを拘束する。ストランド17に含まれるフィラメント18の動きだけでなく、ヤーン16に含まれるストランド17の動きも抑制される。カーボンフィラメントの擦れが抑えられるので、この歯付ベルト10では、カーボンフィラメントの摩耗による、心線13の強度低下が防止される。
この場合、収束剤からなる収束被覆層20がストランド17に含まれるフィラメント18を十分に拘束する。さらに接着剤からなる接着被覆層21がヤーン16に含まれるストランド17を十分に拘束する。この歯付ベルト10では、カーボンフィラメントの擦れが抑えられる。そのため、カーボンフィラメントの摩耗による、心線13の強度低下が防止される。
これにより、収束剤からなる収束被覆層20が、ストランド17に含まれるカーボンフィラメントを効果的に拘束する。さらに接着剤からなる接着被覆層21がヤーン16に含まれるストランド17を効果的に拘束する。この歯付ベルト10では、ストランド17に含まれるフィラメント18の動きだけでなく、ヤーン16に含まれるストランド17の動きも抑制される。カーボンフィラメントの擦れが抑えられるので、この歯付ベルト10では、カーボンフィラメントの摩耗による、心線の強度低下が防止される。
イソシアネート系硬化剤として、市販品を使用することもできる。イソシアネート系硬化剤の市販品としては、例えば、EMS社製の「Grilbond IL-6」が挙げられる。
アミン系硬化剤として、市販品を使用することができる。このアミン系硬化剤の市販品としては、例えば、四国化成社製の「キュアゾール」が挙げられる。
この水溶液は、RF液とも称され、主剤の固形分比率は、レゾルシン及びホルムアルデヒドの初期縮合物の固形分比率で表される。
RF液中のレゾルシン(R)及びホルムアルデヒド(F)の初期縮合物(RF)について、レゾルシン(R)のホルムアルデヒド(F)に対するモル比(R/F)は、例えば1/3~1/0.5である。
収束剤として、RF液を用いても、収束被覆層20によって、フィラメント18同士が直接擦れ合うことが防止される上に、フィラメント18の動きが抑制される。カーボンフィラメントの擦れが抑えられるので、この歯付ベルト10では、カーボンフィラメントの摩耗による、心線13の強度低下が防止される。さらにこの場合、上述の、エポキシ基含有化合物及び硬化剤を含む溶液を収束剤として用いた場合に比べて、軟質な収束被覆層20が構成される。そのため、収束被覆層20によってフィラメント18は拘束されるものの、フィラメント18は僅かに動くことができる。この歯付ベルト10では、カーボンフィラメントの擦れによる摩耗の発生が効果的に防止されるとともに、耐疲労屈曲性の向上が図られる。
このラテックスとしては、例えば、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス(VP・SBR)、スチレン・ブタジエンゴムラテックス(SBR)、天然ゴムラテックス(NR)、クロロプレンゴムラテックス(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴムラテックス(CSM)、2,3-ジクロロブタジエンゴムラテックス(2,3-DCB)、水素化ニトリルゴムラテックス(H-NBR)、カルボキシル化水素化ニトリルゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス(BR)、ニトリルゴムラテックス(NBR)等が挙げられる。上記収束剤は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことができる。
RFL水溶液中のレゾルシン(R)及びホルムアルデヒド(F)の初期縮合物(RF)について、レゾルシン(R)のホルムアルデヒド(F)に対するモル比(R/F)は、例えば1/3~1/0.5である。RFL水溶液中のレゾルシン(R)及びホルムアルデヒド(F)の初期縮合物(RF)のラテックス由来固形分(L)に対する質量比(RF/L)は、例えば1/10~1/0であり、好ましくは1/6前後である。
ポリアミドフィラメントは、カーボンフィラメント間のバインダーとして機能する。カーボンフィラメントの擦れが抑えられるので、この歯付ベルトでは、カーボンフィラメントの摩耗による、心線の強度低下が防止される。
ポリアミドフィラメントをその融点以上に加熱すると、ポリアミドフィラメントは溶融する。これにより、ポリアミドフィラメントはその周囲に位置するカーボンフィラメント間に入り込む。溶融したポリアミドフィラメントは、カーボンフィラメント間のバインダーとして効果的に機能できる。溶融したポリアミドフィラメントは、フィラメント18を拘束する。カーボンフィラメントの擦れが抑えられるので、この歯付ベルト10では、カーボンフィラメントの摩耗による、心線13の強度低下が防止される。この観点から、この歯付ベルト10では、ストランド17は、カーボンフィラメント以外に、溶融したポリアミドフィラメントを含むのが好ましい。
この歯付ベルト10の心線13は、背ゴム部11aの内周側の部分に配置される。言い換えれば、この心線13は背ゴム部11aと歯ゴム部11bとの境界付近に位置する。そのため、この心線13と背ゴム部11aとの界面は、この剪断歪みの影響を受けやすい状況にある。しかし、心線13に含まれるヤーン16は、上述したように、2以上の撚り階層を有する。このヤーン16は、上述の剪断歪みによる作用を効果的に緩和できる。そのため、心線13が背ゴム部11aに保持された状態が安定に維持される。言い換えれば、心線13の背ゴム部11aからの剥離が効果的に防止される。この歯付ベルト10では、高負荷伝動に適する状態が長期に亘って維持される。
本製造方法を図5~図8を参照しながら説明する。
図5は、歯付ベルトの製造方法で使用するベルト成形型の部分断面図である。図6~8は、製造方法の製造工程を説明する図である。
製造方法は、材料準備工程、積層工程、成形工程、及び仕上げ工程を有する。
≪エラストマーシート≫
背ゴム部用の熱可塑性エラストマーシートと、歯ゴム部用の熱可塑性エラストマーシートとを用意する。各エラストマーシートは、例えば、エラストマー成分であるTPAE又はTPCと、必要な添加剤とを含む熱可塑性エラストマー組成物を調製し、これを押出成形等でシート状に成形することで得られる。
また、背ゴム部用の熱可塑性エラストマーシートと、歯ゴム部用の熱可塑性エラストマーシートとは、共押出で成形してもよい。この場合、背ゴム部用の熱可塑性エラストマーシートと、歯ゴム部用の熱可塑性エラストマーシートとの積層体が得られる。
本工程で成形したエラストマーシートは、一旦、巻取ってもよいし、そのまま次工程に供給してもよい。
ベルト歯の形状に対応した歯形を有する補強布(歯部被覆材)を準備する。
ベルトの歯形と同形状の凹部を有し、加熱された型に、補強布を沿わせ、当該型と反対側から軟らかい弾性体を押付けることで、補強布を歯形が付いた形状に成形する。
その後、歯形の付いた補強布は筒状に成形してもよい。必要に応じて、補強布に対しては、RFL処理のような接着処理を行うことができる。
カーボンフィラメントに所定の撚りや、接着処理等を加えて心線13を用意する。ここでは、S撚りの心線とZ撚りの心線とを一対の心線として用意することが好ましい。
フィラメント18の束を撚り合わせてストランド17を構成する。収束被覆層20で各フィラメント18を被覆する場合は、フィラメント18の束を収束剤を含む溶液中に浸漬して各フィラメント18の表面全体に収束剤を塗布した後、この束を撚り合わせてストランド17を構成する。これにより、収束剤がフィラメント18間に含侵したストランド17が得られる。その後、ストランド17を加熱し、収束剤に含まれる分散媒を揮発させ、収束剤を乾燥させる。これにより、収束剤からなる収束被覆層20(厚さ=0.05~0.35μm)で被覆されたフィラメント18を含むストランド17が得られる。収束剤処理における加熱温度としては、例えば180℃以上250℃以下に設定される。加熱時間としては、例えば3分以上10分以下に設定される。
図5は、ベルト成形型30の一部を示す部分断面図である。
ベルト成形型30は、円筒状であって、各々、軸方向に延びるように形成された複数の歯部形成溝31が周方向に間隔をおいて配設された外周面を有する。
そして、その上に歯ゴム部用の熱可塑性エラストマーシート11b’と、背ゴム部用の熱可塑性エラストマーシート11a’とをこの順に巻き付ける。巻き付けられた各シートの層数は、作製するベルトの寸法に応じて、1層でもよいし、2層以上でもよい。
更に、必要に応じて離型紙又は離型フィルム(図示せず)を巻き付ける。
これにより、ベルト成形型30上に積層体S’を成形する。
ゴムスリーブ32を内面に持ち、スリーブ32と本体との間に密閉した空間をもつジャケットを、積層体S’に被せる。これにより、図7に示すように、ベルト成形型30上の積層体S’にゴムスリーブ32が被せられる。
積層体S’を巻いた成形型30の内部とジャケットの空間に高圧蒸気を入れて加熱・圧縮する。これにより、熱可塑性エラストマーシート11a’、11b’を構成する熱可塑性エラストマーを心線間の隙間を通過させて歯部形成溝31にして流し込み、図8に示すように、ベルト歯12を形成する。
このとき、高圧蒸気の温度は、熱可塑性エラストマーが流動する温度以上の温度とする。なお、熱可塑性エラストマーシートのエラストマー成分が、TPAEの場合には、高圧蒸気の温度を170℃以上にする。
取出した成形体Sを規定の幅に切って分離することで、歯付ベルト10となる。
このような工程を経ることにより、ベルト本体11が熱可塑性エラストマー組成物で構成される歯付ベルト10を製造することができる。
なお、歯ゴム用の熱可塑性エラストマーシート11b’と、背ゴム用の熱可塑性エラストマーシート11a’との硬さが異なる場合には、ベルト成形型30の外周面上に、補強布14、心線13、及び歯ゴム用の熱可塑性エラストマーシート11b’の積層を行った後、上述した高圧蒸気による加熱・圧縮を行ってベルト歯を形成し、一旦冷却した後、背ゴム用の熱可塑性エラストマーシート11a’を巻き付けて、再度、高圧蒸気による加熱・圧縮を行い、その後、再度冷却し、最後に仕上げ工程を行って、歯付ベルトを製造すればよい。
各例の歯付ベルトは、既に説明した上述の製造方法を用いて作製した。
ベルト本体(背ゴム部及び歯ゴム部)を形成するための熱可塑性エラストマー組成物、心線、及び補強布は下記の通り準備した。
下記の熱可塑性エラストマー組成物を用意した。いずれの熱可塑性エラストマー組成物も市販品である。
(A1)アルケマ社製のPEBAX(登録商標) 4033SP-01を使用した。この熱可塑性エラストマー組成物の硬さは42である。
(A2)アルケマ社製のPEBAX(登録商標) 2533SP-01を使用した。この熱可塑性エラストマー組成物の硬さは27である。
PEBAXは、ポリオールをソフトセグメントとする。
三菱ケミカル社製のサーモラン(登録商標) QT85KBを使用した。この熱可塑性エラストマー組成物の硬さは31である。
日本ミラクトラン社製のミラクトラン(登録商標) E490を使用した。この熱可塑性エラストマー組成物の硬さは43である。
補強布として、RFL処理されたナイロン帆布を準備した。
ここでは、経糸が6,6-ナイロン繊維で、緯糸が6,6-ナイロン繊維のウーリー加工糸のナイロン帆布を用意した。
これとは別に、RFL水溶液(ラテックスは、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス)を用意した。
カーボンフィラメント(帝人テナックス社製、フィラメント径7μm)、ポリアミドフィラメントとしてナイロン繊維からなるフィラメント(旭化成社製、フィラメント径19μm)及びガラス繊維からなるフィラメント(NSG社製、フィラメント径9μm)を準備し、下記の表に示される心線を準備した。
各表において、撚りのタイプの欄における「T」は諸撚りであること、「LT」はラング撚りであり、「ST」は片撚りであることを表している。
各心線に含まれるフィラメントの本数は15000本に設定された。
表のCF比率は、ヤーンに含まれる全フィラメントの体積に対する全カーボンフィラメントの体積の比率を表している。PA比率は、ヤーンに含まれる全フィラメントの体積に対する全ポリアミドフィラメントの体積の比率を表している。
次の処理液A、B及びCを準備した。各表の収束剤及び接着剤の欄に、使用した処理液を「A」、[B]又は「C」で表している。
処理液A
ナガセケムテック社製の「デナコール EX-521」と、四国化成社製の「キュアゾール 2E4MZ-CN」とを用い、エポキシ基含有化合物及びアミン系硬化剤を含む処理液Aを準備した。この処理液Aにおける、エポキシ基含有化合物及び硬化剤の固形分比率は10質量%であった。アミン系硬化剤の量は、エポキシ基含有化合物におけるエポキシ基1モルに対して、10モルに設定された。
処理液B
ナガセケムテック社製の「デナコールEX-521」と、四国化成社製の「キュアゾール 2E4MZ-CN」と、EMS社製「Grilbond IL-6」とを用い、エポキシ基含有化合物、アミン系硬化剤及びイソシアネート系硬化剤を含む処理液Bを準備した。この処理液Bにおける、エポキシ基含有化合物及び硬化剤の固形分比率は30質量%であった。アミン系硬化剤及びイソシアネート系硬化剤からなる硬化剤の量は、エポキシ基含有化合物におけるエポキシ基1モルに対して、10モルに設定された。エポキシ基とイソシアネート基との官能基比は、モル基準で1:1に設定された。
・処理液C
処理液Cとして、RF液を準備した。レゾルシン及びホルムアルデヒドの初期縮合物の固形分比率は100質量%であった。レゾルシン(R)のホルマリン(F)に対するモル比(R/F)を1/1.5とした。
背ゴム部及び歯ゴム部に上記TPAE(A1)を使用し、補強布として上記ナイロン帆布を使用し、上記カーボンフィラメントを含む心線を使用して、上述した製造方法A(図6~図9参照)で、歯型の種類がS8Mの歯付ベルトを製造した。ベルト幅は8mm、ベルト長は1200mmとした。
心線については、図4Aに示されるタイプのヤーン、具体的には、下撚り及び上撚りからなる2つの撚り階層を有する、諸撚りタイプのヤーンを準備した。
ヤーンに含まれる各ストランドに含まれるフィラメントの本数は3000本に設定した。フィラメントの全てをカーボンフィラメントで構成した。
フィラメントの束を収束剤としての処理液Aに浸漬した後、このフィラメントの束を下撚りして、ストランドを構成した。このストランドに対して、180℃の温度で5分間の加熱処理を行った。これにより、ストランドのフィラメント間を充填する収束被覆層を形成した。下撚りの撚り係数は40に設定した。
収束被覆層を形成したストランドを5本準備し、これらを上撚りして、ヤーンを構成した。上撚りの撚り係数は40に設定した。
接着剤に処理液Bを用い、ヤーンの接着剤処理を行い、ヤーンの表面に接着被覆層を形成した。この処理における加熱温度は220℃、加熱時間は10分に設定された。
ヤーンの撚りのタイプをラング撚りとした他は実施例1と同様にして、実施例2の歯付ベルトを得た。
心線のヤーンを図4Bに示された構成を有するヤーン、具体的には、下撚り、中撚り及び上撚りからなる3つの撚り階層を有する、諸撚りタイプのヤーンに変えた他は実施例1と同様にして、実施例3の歯付ベルトを得た。
この実施例3では、ヤーンに含まれる各ストランドは3本の仮ストランドで構成された。それぞれの仮ストランドに含まれるフィラメントの本数は1000本に設定した。実施例1と同様、フィラメントの全てをカーボンフィラメントで構成した。
フィラメントの束を収束剤としての処理液Aに浸漬した後、このフィラメントの束を下撚りして、仮ストランドを構成した。下撚りの撚り係数は5に設定した。
3本の仮ストランドを中撚りして、ストランドを構成した。中撚りの方向は下撚りの方向と同方向とし、中撚りの撚り係数は35に設定した。
このストランドに対して、180℃の温度で5分間の加熱処理を行った。これにより、ストランドのフィラメント間を充填する収束被覆層を形成した。
収束被覆層を形成したストランドを5本準備し、これらを上撚りして、ヤーンを構成した。上撚りの方向は中撚りの方向と逆方向とし、上撚りの撚り係数は40に設定した。
接着剤に処理液Bを用い、ヤーンの接着剤処理を行い、ヤーンの表面に接着被覆層を形成した。この処理における加熱温度は220℃、加熱時間は10分に設定された。
心線のヤーンを、15000本のフィラメントの束を片撚りして構成したヤーン(図示されず)に変えた他は実施例1と同様にして、比較例1の歯付ベルトを得た。
この比較例1では、収束剤に処理液Aを用い、ヤーンのフィラメント間を充填する収束被覆層を形成した。処理における加熱温度は180℃、加熱時間は5分に設定された。
収束被覆層を形成したヤーンについてさらに、接着剤に処理液Bを用い接着剤処理を行い、このヤーンの表面に接着被覆層を形成した。この処理における加熱温度は220℃、加熱時間は10分に設定された。
ヤーンの撚り係数は80に設定した。このヤーンの撚り階層は1である。
フィラメントに上記ガラス繊維からなるフィラメントを用いた他は実施例1と同様にして、比較例2の歯付ベルトを得た。
背ゴム部及び歯ゴム部の熱可塑性エラストマー組成物を下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、比較例3-4の歯付ベルトを得た。
上撚りの撚り係数を下記の表2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例4-1~4-5の歯付ベルトを得た。
上撚りの撚り係数を下記の表3に示される通りとした他は実施例2と同様にして、実施例5-1~5-5の歯付ベルトを得た。
上撚りの撚り係数を下記の表4に示される通りとした他は実施例3と同様にして、実施例6-1~6-5の歯付ベルトを得た。
収束剤処理を行わなかった他は実施例1と同様にして、実施例7-1の歯付ベルトを得た。
接着剤処理を行わなかった他は実施例1と同様にして、実施例7-2の歯付ベルトを得た。
収束剤に処理液Cを用い、接着剤に処理液Bを用いた他は実施例1と同様にして、実施例7-3の歯付ベルトを得た。
収束剤処理を行わなかった他は実施例2と同様にして、実施例8-1の歯付ベルトを得た。
接着剤処理を行わなかった他は実施例2と同様にして、実施例8-2の歯付ベルトを得た。
収束剤処理を行わなかった他は実施例3と同様にして、実施例9-1の歯付ベルトを得た。
接着剤処理を行わなかった他は実施例3と同様にして、実施例9-2の歯付ベルトを得た。
ストランドに含まれるフィラメントをカーボンフィラメントとポリアミドフィラメントとで構成し、CF比率及びPA比率を下記の表6に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例10-1の歯付ベルトを得た。
CF比率及びPA比率を下記の表6に示される通りとした他は実施例10-1と同様にして、実施例10-2~10-3の歯付ベルトを得た。
ストランドに含まれるフィラメントをカーボンフィラメントとポリアミドフィラメントとで構成し、CF比率及びPA比率を下記の表6に示される通りとした他は実施例2と同様にして、実施例10-4の歯付ベルトを得た。
収束剤に処理液Bを用いた他は実施例1と同様にして、実施例11-1の歯付ベルトを得た。
収束剤に処理液Bを用いた他は実施例3と同様にして、実施例11-2の歯付ベルトを得た。
背ゴム部に上記TPAE(A2)を使用し、歯ゴム部に上記TPAE(A1)を使用した他は実施例1と同様にして、実施例12-1の歯付ベルトを得た。
実施例及び比較例で製造した歯付ベルトについて、耐久性を評価するための耐久試験1~3を行った。結果は、表1~6に示した。
耐久試験1は、標準的な走行条件で耐久性を評価する試験である。実施例1、7-1~7-3、8-1~8-2、9-1~9-2、10-1~10-4、11-1~11-2及び12、並びに、比較例3~4で製造した歯付ベルトについて行った。
図9は、耐久試験1で使用したベルト走行試験機80を示す。
ベルト走行試験機80は、歯数22歯、歯形8Mの駆動プーリ81と、その右側方に設けられた歯数33歯、歯形8Mの従動プーリ82とを備える。従動プーリ82は、軸荷重(デッドウェイト)を負荷できるように左右に移動可能に設けられている。
また、故障の発生に至らなくても歯飛びが発生した場合には、その時点で試験を終了した。
耐久試験2は、高負荷条件下での耐久性を評価する試験である。実施例1、4-1~4-5、5-1~5-5、6-1~6-5及び12、並びに、比較例2で製造した歯付ベルトについて行った。
図10は、耐久試験2で使用したベルト走行試験機90を示す。
ベルト走行試験機90は、歯数24歯、歯形8Mの駆動プーリ91と、その右側方に設けられた歯数36歯、歯形8Mの従動プーリ92とを備える。従動プーリ92は、軸荷重(デッドウェイト)を負荷できるように左右に移動可能に設けられている。
なお、クラックの発生に至らなくても故障が発生した場合には、その時点で試験を終了した。
耐久試験3は、小プーリを用いて歯付ベルトの耐屈曲疲労性を評価する試験である。実施例1~3、4-1~4-5、5-1~5-5、6-1~6-5、7-3、10-2~10-3、11-1~11-2及び12、並びに、比較例1で製造した歯付ベルトについて行った。
図11は、耐久試験3で使用したベルト走行試験機を示す。
ベルト走行試験機100は、歯数22歯、歯形8Mの駆動プーリ101と、歯数22歯、歯型8Mの3個の従動プーリ102とを備える。従動プーリ102aは、駆動プーリ101の右斜め下方に設けられる。従動プーリ102bは、従動プーリ102aの左斜め下方であって、駆動プーリ101の下方に設けられる。従動プーリ102cは、従動プーリ102bの左斜め上方であって、従動プーリ102aの左側方に設けられる。従動プーリ102bは、軸荷重(デッドウェイト)を付加できるように上下に移動可能に構成されている。このベルト走行試験機100では、歯付ベルトと駆動プーリ101との接触角が120度となるように、駆動プーリ101と3個の従動プーリ102とは配置されている。
この歯付ベルトでは、高負荷伝動に適する状態が長期に亘って維持される。この歯付ベルトは、耐屈曲疲労性に優れ、高負荷伝動に適する。
11 ベルト本体
11a 背ゴム部
11b 歯ゴム部
12 ベルト歯
13 心線
14 補強布(歯部被覆材)
15 歯底部
16 ヤーン
17 ストランド
18 フィラメント
19 仮ストランド
20 収束被覆層
21 接着被覆層
30 ベルト成形型
31 歯部形成溝
32 ゴムスリーブ
80、90、100 ベルト試験機
81、91、101 駆動プーリ
82、92、102 従動プーリ
Claims (15)
- 平帯状の背ゴム部と、前記背ゴム部の内周側に配設されて各々が前記背ゴム部に一体に設けられてベルト歯を構成する複数の歯ゴム部とを有し、前記背ゴム部及び前記歯ゴム部がともに熱可塑性エラストマー組成物からなるベルト本体と、
前記背ゴム部の内周側の部分にベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配されて埋設された心線と、
前記ベルト本体の内周側に設けられた前記複数の歯ゴム部を被覆する歯部被覆材と、
を備え、
前記熱可塑性エラストマー組成物は、エラストマー成分がポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)、又はポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)であり、
前記背ゴム部を構成する熱可塑性エラストマー組成物の硬さが25~70であり、
前記歯ゴム部を構成する熱可塑性エラストマー組成物の硬さが40~70であり、かつ前記背ゴム部を構成する熱可塑性エラストマー組成物の硬さ以上であり、
前記心線は、2以上の撚り階層を有するヤーンを備え、
前記ヤーンは、2本以上のストランドを含み、
それぞれのストランドは、カーボン繊維からなるカーボンフィラメントを含む、多数のフィラメントを撚り合わせてなる、歯付ベルト。 - 前記熱可塑性エラストマー組成物のエラストマー成分は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)である請求項1に記載の歯付ベルト。
- 前記ヤーンは、下撚り及び上撚りからなる2つの撚り階層を有し、諸撚りで撚られている、請求項1又は2に記載の歯付ベルト。
- 前記ヤーンは、下撚り及び上撚りからなる2つの撚り階層を有し、ラング撚りで撚られている、請求項1又は2に記載の歯付ベルト。
- 前記ヤーンは、下撚り、中撚り及び上撚りからなる3つの撚り階層を有し、前記下撚りの方向と前記中撚りの方向とが同方向である、請求項1又は2に記載の歯付ベルト。
- 前記ヤーンでは、各撚り階層における撚り係数の合計は、30より大きく以上120以下である、請求項1から5のいずれかに記載の歯付ベルト。
- 前記ヤーンの上撚りにおける撚り係数は、100以下である、請求項6に記載の歯付ベルト。
- 前記ヤーンの上撚りにおける撚り係数は、30以上60以下である、請求項7に記載の歯付ベルト。
- 前記ストランドは、ポリアミド繊維からなるポリアミドフィラメントを含む、請求項10~12のいずれかに記載の歯付ベルト。
- 前記ストランドにおける、前記カーボンフィラメントの体積と前記ポリアミドフィラメントの体積との合計に対する、前記ポリアミドフィラメントの体積の割合は、3~12体積%である、請求項9に記載の歯付ベルト。
- 前記ストランドにおける各フィラメントは、収束剤からなる収束被覆層で被覆され、
前記収束剤は、エポキシ基含有化合物と硬化剤とを含有し、固形分比率が80質量%以上である、請求項1から10のいずれかに記載の歯付ベルト。 - 前記硬化剤は、イソシアネート系硬化剤、又はアミン系硬化剤である、請求項11に記載の歯付ベルト。
- 前記ストランドにおける各フィラメントは、収束剤からなる収束被覆層で被覆され、
前記収束剤は、レゾルシンとホルムアルデヒドとを含有し、固形分比率が80質量%以上である、請求項1から10のいずれかに記載の歯付ベルト。 - 前記ヤーンは、接着剤からなる接着被覆層で被覆され、
前記接着剤は、エポキシ基含有化合物と硬化剤とを含有し、固形分比率が80質量%以上である、請求項1から13のいずれかに記載の歯付ベルト。 - 前記硬化剤は、イソシアネート系硬化剤、又はアミン系硬化剤である、請求項14に記載の歯付ベルト。
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