JP2022156423A - 折り込み油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】
水分の高い食品と組み合わせても、歯切れの良い食感を有する層状穀粉膨化食品を提供することにある。
【解決手段】
含まれる油脂が、油脂A(条件(A1)~(A5)を満たす油脂)を20~70質量%、油脂B(条件(B1)~(B5)を満たす油脂)を15~50質量%、油脂C(条件(C1)~(C2)を満たす油脂)を10~45質量%含有する層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物であって、前記層状穀粉膨化食品が、水分活性0.80以上の食品と組み合わされる、層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物。
【選択図】なし
水分の高い食品と組み合わせても、歯切れの良い食感を有する層状穀粉膨化食品を提供することにある。
【解決手段】
含まれる油脂が、油脂A(条件(A1)~(A5)を満たす油脂)を20~70質量%、油脂B(条件(B1)~(B5)を満たす油脂)を15~50質量%、油脂C(条件(C1)~(C2)を満たす油脂)を10~45質量%含有する層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物であって、前記層状穀粉膨化食品が、水分活性0.80以上の食品と組み合わされる、層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、折り込み油脂組成物及び層状穀粉膨化食品に関する発明である。
パイ等の層状穀粉膨化食品は、生地が層状を成していることが特徴であり、ベーカリー食品の中でも非常に人気のある商品である。
層状穀粉膨化食品は、小麦粉、水、食塩等の原料を捏ねた生地を調製した後、この生地に折り込み油脂を包み込み、圧延と折り込みを繰り返して層状の生地とし、この生地を焼成することによって製造される。そのため、層状穀粉膨化食品の品質は、使用される折り込み油脂によって大きく変わる。層状穀粉膨化食品の製造に使用される折り込み油脂としては、例えば、特許文献1~5が提案されている。
層状穀粉膨化食品は、折り込み用油脂が生地に折り込まれ、生地と折り込み用油脂とが交互に層を成すことによって、焼成後に生地が層状に膨らみ、層状穀粉膨化食品にボリュームが出る。このように、層状穀粉膨化食品は、焼成後に生地が層状に膨らんでいることから、層状穀粉膨化食品の食感は、サクッとして、歯切れが良いことを特徴としている。
近年の層状穀粉膨化食品は、層状穀粉膨化食品のみではなく、他の食品と組み合わせた商品も多数販売されている。層状穀粉膨化食品と他の食品とを組み合わせた商品としては、例えば、ホイップクリームを組み合わせたパイが挙げられる。しかしながら、水分の高いホイップクリームとパイとを組み合わせると、ホイップクリームからの水分移行等により、経時的にパイの歯切れの良い食感が失われるという問題があった。
以上のような背景から、水分の高い食品と組み合わせても、歯切れの良い食感を有する層状穀粉膨化食品の開発が求められていた。
本発明の目的は、水分の高い食品と組み合わせても、歯切れの良い食感を有する層状穀粉膨化食品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、特定の条件を満たす折り込み油脂組成物を層状穀粉膨化食品の製造に使用することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、含まれる油脂が、下記油脂Aを20~70質量%、下記油脂Bを15~50質量%、下記油脂Cを10~45質量%含有する層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物であって、前記層状穀粉膨化食品が、水分活性0.80以上の食品と組み合わされる、層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物である。
油脂A:下記の条件(A1)~(A5)を満たす油脂である。
(A1)構成脂肪酸として、Mを15~45質量%含有する。
(A2)構成脂肪酸として、Xを30~80質量%含有する。
(A3)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.40~0.80である。
(A4)構成脂肪酸として、Uを28質量%以下含有する。
(A5)C42~48TAGを40~65質量%含有する。
油脂B:下記の条件(B1)~(B5)を満たす油脂である。
(B1)X3を17質量%以下含有する。
(B2)X2Uを25~65質量%含有する。
(B3)XU2を25~65質量%含有する。
(B4)U3を20質量%以下含有する。
(B5)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.80以上である。
油脂C:下記の条件(C1)~(C2)を満たす油脂である。
(C1)20℃で液状である。
(C2)構成脂肪酸として、Uを70質量%以上含有する。
上記の条件において、X、U、M、P、X3、X2U、XU2、U3、C42~48TAGはそれぞれ以下のものを示す。
X:炭素数16~18の飽和脂肪酸
U:炭素数18の不飽和脂肪酸
M:炭素数12~14の飽和脂肪酸
P:パルミチン酸
X3:Xが3分子結合しているトリグリセリド
X2U:Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
XU2:Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
U3:Uが3分子結合しているトリグリセリド
C42~48TAG:構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48のトリグリセリド
本発明の第2の発明は、第1の発明に記載の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物が、折り込まれた層状穀粉膨化食品用生地である。
本発明の第3の発明は、第2の発明に記載の層状穀粉膨化食品用生地を、焼成した層状穀粉膨化食品である。
本発明の第4の発明は、水分活性0.80以上の食品が、組み合わされている第の発明3に記載の層状穀粉膨化食品である。
本発明の第5の発明は、層状穀粉膨化食品が、パイである第の発明3又は第4の発明に記載の層状穀粉膨化食品である。
油脂A:下記の条件(A1)~(A5)を満たす油脂である。
(A1)構成脂肪酸として、Mを15~45質量%含有する。
(A2)構成脂肪酸として、Xを30~80質量%含有する。
(A3)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.40~0.80である。
(A4)構成脂肪酸として、Uを28質量%以下含有する。
(A5)C42~48TAGを40~65質量%含有する。
油脂B:下記の条件(B1)~(B5)を満たす油脂である。
(B1)X3を17質量%以下含有する。
(B2)X2Uを25~65質量%含有する。
(B3)XU2を25~65質量%含有する。
(B4)U3を20質量%以下含有する。
(B5)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.80以上である。
油脂C:下記の条件(C1)~(C2)を満たす油脂である。
(C1)20℃で液状である。
(C2)構成脂肪酸として、Uを70質量%以上含有する。
上記の条件において、X、U、M、P、X3、X2U、XU2、U3、C42~48TAGはそれぞれ以下のものを示す。
X:炭素数16~18の飽和脂肪酸
U:炭素数18の不飽和脂肪酸
M:炭素数12~14の飽和脂肪酸
P:パルミチン酸
X3:Xが3分子結合しているトリグリセリド
X2U:Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
XU2:Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
U3:Uが3分子結合しているトリグリセリド
C42~48TAG:構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48のトリグリセリド
本発明の第2の発明は、第1の発明に記載の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物が、折り込まれた層状穀粉膨化食品用生地である。
本発明の第3の発明は、第2の発明に記載の層状穀粉膨化食品用生地を、焼成した層状穀粉膨化食品である。
本発明の第4の発明は、水分活性0.80以上の食品が、組み合わされている第の発明3に記載の層状穀粉膨化食品である。
本発明の第5の発明は、層状穀粉膨化食品が、パイである第の発明3又は第4の発明に記載の層状穀粉膨化食品である。
本発明によると、水分の高い食品と組み合わせても、歯切れの良い食感を有する層状穀粉膨化食品を提供することができる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、含まれる油脂が、下記油脂Aを20~70質量%、下記油脂Bを15~50質量%、下記油脂Cを10~45質量%含有する層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物であって、前記層状穀粉膨化食品が、水分活性0.80以上の食品と組み合わされる。
油脂A:下記の条件(A1)~(A5)を満たす油脂である。
(A1)構成脂肪酸として、Mを15~45質量%含有する。
(A2)構成脂肪酸として、Xを30~80質量%含有する。
(A3)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.40~0.80である。
(A4)構成脂肪酸として、Uを28質量%以下含有する。
(A5)C42~48TAGを40~65質量%含有する。
油脂B:下記の条件(B1)~(B5)を満たす油脂である。
(B1)X3を17質量%以下含有する。
(B2)X2Uを25~65質量%含有する。
(B3)XU2を25~65質量%含有する。
(B4)U3を20質量%以下含有する。
(B5)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.80以上である。
油脂C:下記の条件(C1)~(C2)を満たす油脂である。
(C1)20℃で液状である。
(C2)構成脂肪酸として、Uを70質量%以上含有する。
油脂A:下記の条件(A1)~(A5)を満たす油脂である。
(A1)構成脂肪酸として、Mを15~45質量%含有する。
(A2)構成脂肪酸として、Xを30~80質量%含有する。
(A3)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.40~0.80である。
(A4)構成脂肪酸として、Uを28質量%以下含有する。
(A5)C42~48TAGを40~65質量%含有する。
油脂B:下記の条件(B1)~(B5)を満たす油脂である。
(B1)X3を17質量%以下含有する。
(B2)X2Uを25~65質量%含有する。
(B3)XU2を25~65質量%含有する。
(B4)U3を20質量%以下含有する。
(B5)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.80以上である。
油脂C:下記の条件(C1)~(C2)を満たす油脂である。
(C1)20℃で液状である。
(C2)構成脂肪酸として、Uを70質量%以上含有する。
本発明で層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物とは、層状穀粉膨化食品の製造において、焼成前の生地に折り込まれる油脂組成物のことである。折り込み油脂組成物は、ロールイン用油脂組成物やシートマーガリンと呼ばれることもある。
また、本発明で層状穀粉膨化食品とは、小麦粉等の穀粉を主成分とした生地に、折り込み油脂を複数回折り込んだ層状の生地を、焼成することによって製造されるベーカリー食品のことである。層状穀粉膨化食品の具体例は、クロワッサン、デニッシュ、パイ等である。
また、層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物に含まれる油脂とは、含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分のことである(例えば、折り込み油脂組成物が油脂a、油脂b、バターを含む場合、折り込み油脂組成物に含まれる油脂は、油脂aと油脂bとバターに含まれる乳脂の混合油脂になる。)。従って、層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物に含まれる油脂には、配合される油脂の他に、乳製品等の含油原料(バター、全脂粉乳等)に含まれる油脂(乳脂等)も含まれる。
また、本発明で層状穀粉膨化食品とは、小麦粉等の穀粉を主成分とした生地に、折り込み油脂を複数回折り込んだ層状の生地を、焼成することによって製造されるベーカリー食品のことである。層状穀粉膨化食品の具体例は、クロワッサン、デニッシュ、パイ等である。
また、層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物に含まれる油脂とは、含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分のことである(例えば、折り込み油脂組成物が油脂a、油脂b、バターを含む場合、折り込み油脂組成物に含まれる油脂は、油脂aと油脂bとバターに含まれる乳脂の混合油脂になる。)。従って、層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物に含まれる油脂には、配合される油脂の他に、乳製品等の含油原料(バター、全脂粉乳等)に含まれる油脂(乳脂等)も含まれる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、含まれる油脂が下記油脂Aを20~70質量%、下記油脂Bを15~50質量%、下記油脂Cを10~45質量%含有し、好ましくは含まれる油脂が下記油脂Aを25~65質量%、下記油脂Bを18~45質量%、下記油脂Cを12~40質量%含有し、より好ましくは含まれる油脂が下記油脂Aを30~63質量%、下記油脂Bを20~42質量%、下記油脂Cを13~38質量%含有し、さらに好ましくは含まれる油脂が下記油脂Aを33~60質量%、下記油脂Bを21~38質量%、下記油脂Cを15~35質量%含有する。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の含まれる油脂が、下記油脂A、下記油脂B及び下記油脂Cを前記範囲で含有すると、水分の高い食品と組み合わせても、歯切れの良い食感を有する層状穀粉膨化食品が得られる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の含まれる油脂が、下記油脂A、下記油脂B及び下記油脂Cを前記範囲で含有すると、水分の高い食品と組み合わせても、歯切れの良い食感を有する層状穀粉膨化食品が得られる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、下記の条件(A1)~(A5)を満たす油脂である。
(A1)構成脂肪酸として、Mを15~45質量%含有する。
(A2)構成脂肪酸として、Xを30~80質量%含有する。
(A3)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.40~0.80である。
(A4)構成脂肪酸として、Uを28質量%以下含有する。
(A5)C42~48TAGを40~65質量%含有する。
(A1)構成脂肪酸として、Mを15~45質量%含有する。
(A2)構成脂肪酸として、Xを30~80質量%含有する。
(A3)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.40~0.80である。
(A4)構成脂肪酸として、Uを28質量%以下含有する。
(A5)C42~48TAGを40~65質量%含有する。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として、Mを15~45質量%含有し、好ましくは20~40質量%含有し、より好ましくは25~35質量%含有する(条件(A1))。
なお、本発明でMは、炭素数12~14の飽和脂肪酸である。
なお、本発明でMは、炭素数12~14の飽和脂肪酸である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として、Xを30~80質量%含有し、好ましくは35~75質量%含有し、より好ましくは40~72質量%含有する(条件(A2))。
なお、本発明でXは、炭素数16~18の飽和脂肪酸である。
なお、本発明でXは、炭素数16~18の飽和脂肪酸である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.40~0.80であり、好ましくは0.42~0.75であり、より好ましくは0.45~0.73である(条件(A3))。
なお、本発明でP/Xの質量比は、X含有量(質量%)に対するP含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でPは、パルミチン酸である。
なお、本発明でP/Xの質量比は、X含有量(質量%)に対するP含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でPは、パルミチン酸である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として、Uを28質量%以下含有し、好ましくは0~25質量%含有し、より好ましくは0~23質量%含有する(条件(A4))。
なお、本発明でUは、炭素数18の不飽和脂肪酸である。
なお、本発明でUは、炭素数18の不飽和脂肪酸である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、C42~48TAGを40~65質量%含有し、好ましくは45~62質量%含有し、より好ましくは50~60質量%含有する(条件(A5))。
なお、本発明でC42~48TAGは、構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48のトリグリセリドのことである。また、トリグリセリドとは、グリセロールに3分子の脂肪酸が結合したトリアシルグリセロールのことである。また、C42~C48TAGを構成する脂肪酸は、炭素数8~24の脂肪酸である。
なお、本発明でC42~48TAGは、構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48のトリグリセリドのことである。また、トリグリセリドとは、グリセロールに3分子の脂肪酸が結合したトリアシルグリセロールのことである。また、C42~C48TAGを構成する脂肪酸は、炭素数8~24の脂肪酸である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として、Zを好ましくは2質量%未満含有し、より好ましくは1.5質量%未満含有し、さらに好ましくは1質量%未満含有する(条件(A6))。
なお、本発明でZは、炭素数20以上の脂肪酸のことである。
なお、本発明でZは、炭素数20以上の脂肪酸のことである。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として、トランス脂肪酸を好ましくは3質量%未満含有し、より好ましくは2質量%未満含有し、さらに好ましくは1質量%未満含有する(条件(A7))。
なお、本発明でトランス脂肪酸は、TFAと記載することもある。
なお、本発明でトランス脂肪酸は、TFAと記載することもある。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、ヨウ素価が好ましくは30以下であり、より好ましくは0~28であり、さらに好ましくは0~25である(条件(A8))。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、融点が好ましくは31~55℃であり、より好ましくは32~53℃であり、さらに好ましくは35~50℃である(条件(A9))。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、トリグリセリドの組成、構成脂肪酸の組成等が前記範囲であれば、特に制限されることなく、通常の食用油脂を使用して製造することができる。前記油脂Aの製造に使用される食用油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ココアバター、シア脂、サル脂、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂等や、これらの加工油脂(水素添加油、分別油、エステル交換油)等が挙げられる。前記食用油脂は2種以上組み合せて使用することもできる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、好ましくはパーム系油脂とラウリン系油脂とのランダムエステル交換油脂である。
なお、本発明でランダムエステル交換油脂は、油脂を構成するトリグリセリドに対して位置特異性のないエステル交換反応を行うことで得られる油脂のことである。また、以下、油脂Aとして使用されるパーム系油脂とラウリン系油脂とのランダムエステル交換油脂は、エステル交換油脂aとする。また、本発明でパーム系油脂は、パーム油やパーム油の加工油脂(エステル交換油、分別油、水素添加油等)のことである。パーム系油脂の具体例としては、例えば、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パーム中融点部等が挙げられる。また、本発明でラウリン系油脂は、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が35質量%以上の油脂のことである。ラウリン系油脂の具体例としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム核オレイン、パーム核ステアリン、パーム核油の極度硬化油、パーム核オレインの極度硬化油、ヤシ油の極度硬化油等が挙げられる。
なお、本発明でランダムエステル交換油脂は、油脂を構成するトリグリセリドに対して位置特異性のないエステル交換反応を行うことで得られる油脂のことである。また、以下、油脂Aとして使用されるパーム系油脂とラウリン系油脂とのランダムエステル交換油脂は、エステル交換油脂aとする。また、本発明でパーム系油脂は、パーム油やパーム油の加工油脂(エステル交換油、分別油、水素添加油等)のことである。パーム系油脂の具体例としては、例えば、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パーム中融点部等が挙げられる。また、本発明でラウリン系油脂は、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が35質量%以上の油脂のことである。ラウリン系油脂の具体例としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム核オレイン、パーム核ステアリン、パーム核油の極度硬化油、パーム核オレインの極度硬化油、ヤシ油の極度硬化油等が挙げられる。
前記エステル交換油脂aの製造に使用されるパーム系油脂は、好ましくはパームステアリン、パーム中融点部、パームステアリンの極度硬化油である。また、前記エステル交換油脂aの製造に使用されるラウリン系油脂は、好ましくはパーム核油の極度硬化油、パーム核オレインの極度硬化油である。
前記エステル交換油脂aの製造に使用されるパーム系油脂とラウリン系油脂との配合比は、パーム系油脂:ラウリン系油脂の質量比で、好ましくは65:35~35:65であり、より好ましくは質量比60:40~40:60であり、さらに好ましくは質量比55:45~45:55である。
前記エステル交換油脂aを得るためのランダムエステル交換反応は、ランダムエステル交換反応であれば特に制限されることはないが、好ましくはナトリウムメトキシド等の合成触媒を用いた化学的エステル交換反応である。ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換
化学的エステル交換反応は、例えば、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.1~1質量%添加した後、減圧下、80~120℃で0.5~1時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、水洗等により触媒を除去した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色・脱臭処理を施すことができる。
化学的エステル交換反応は、例えば、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.1~1質量%添加した後、減圧下、80~120℃で0.5~1時間攪拌しながら反応を行うことができる。エステル交換反応終了後は、水洗等により触媒を除去した後、通常の食用油脂の精製工程で行われる脱色・脱臭処理を施すことができる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、ランダムエステル交換反応前又はランダムエステル交換反応後に水素添加することができる。水素添加の方法は、特に制限はなく、通常の方法で行うことができる。水素添加の方法は、例えば、ニッケル触媒の下、水素圧0.02~0.3Mpa、160~200℃の条件にて行うことができる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、下記の条件(B1)~(B5)を満たす油脂である。
(B1)X3を17質量%以下含有する。
(B2)X2Uを25~65質量%含有する。
(B3)XU2を25~65質量%含有する。
(B4)U3を20質量%以下含有する。
(B5)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.80以上である。
(B1)X3を17質量%以下含有する。
(B2)X2Uを25~65質量%含有する。
(B3)XU2を25~65質量%含有する。
(B4)U3を20質量%以下含有する。
(B5)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.80以上である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、X3を17質量%以下含有し、好ましくは0~15質量%含有し、より好ましくは0~13質量%含有する(条件(B1))。
なお、本発明でX3はXが3分子結合しているトリグリセリド(XXX)である。
なお、本発明でX3はXが3分子結合しているトリグリセリド(XXX)である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、X2Uを25~65質量%含有し、好ましくは28~60質量%含有し、より好ましくは30~55質量%含有し、さらに好ましくは32~55質量%含有する(条件(B2))。
なお、本発明でX2UはXが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド(XUX+XXU+UXX)である。
なお、本発明でX2UはXが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド(XUX+XXU+UXX)である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、XU2を25~65質量%含有し、好ましくは28~60質量%含有し、より好ましくは30~58質量%含有し、さらに好ましくは32~55質量%含有する(条件(B3))。
なお、本発明でXU2はXが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド(UXU+UUX+XUU)である。
なお、本発明でXU2はXが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド(UXU+UUX+XUU)である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、U3を20質量%以下含有し、好ましくは18質量%以下含有し、より好ましくは1~17質量%含有し、さらに好ましくは3~15質量%含有する(条件(B4))。
なお、本発明でU3はUが3分子結合しているトリグリセリド(UUU)である。
なお、本発明でU3はUが3分子結合しているトリグリセリド(UUU)である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.80以上であり、好ましくは0.82~0.98であり、より好ましくは0.85~0.96であり、さらに好ましくは0.86~0.93である(条件(B5))。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、P2U/X2Uの質量比が好ましくは0.70~0.95であり、より好ましくは0.75~0.90であり、さらに好ましくは0.78~0.88である(条件(B6))。
なお、本発明でP2U/X2Uの質量比は、X2U含有量(質量%)に対するP2U含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でP2UはPが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド(PPU+PUP+UPP)である。
なお、本発明でP2U/X2Uの質量比は、X2U含有量(質量%)に対するP2U含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でP2UはPが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド(PPU+PUP+UPP)である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、PU2/XU2の質量比が好ましくは0.80以上であり、より好ましくは0.84~0.98であり、さらに好ましくは0.87~0.95である(条件(B7))。
なお、PU2/XU2の質量比は、XU2含有量(質量%)に対するPU2含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でPU2は、Pが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド(PUU+UPU+UUP)である。
なお、PU2/XU2の質量比は、XU2含有量(質量%)に対するPU2含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でPU2は、Pが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド(PUU+UPU+UUP)である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸として、Yを好ましくは90質量%以上含有し、より好ましくは92質量%以上含有し、さらに好ましくは95質量%以上含有する(条件(B8))。
なお、本発明でYは炭素数16~18の脂肪酸のことである。
なお、本発明でYは炭素数16~18の脂肪酸のことである。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸として、Xを好ましくは30~58質量%含有し、より好ましくは33~55質量%含有し、さらに好ましくは37~52質量%含有する(条件(B9))。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸として、Uを好ましくは40~68質量%含有し、より好ましくは43~65質量%含有し、さらに好ましくは46~62質量%含有する(条件(B10))。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸として、O/Uの質量比が好ましくは0.70~0.90であり、より好ましくは0.72~0.87であり、より好ましくは0.75~0.83である(条件(B11))。
なお、本発明でO/Uの質量比は、U含有量(質量%)に対するO含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でOは、オレイン酸のことである。
なお、本発明でO/Uの質量比は、U含有量(質量%)に対するO含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でOは、オレイン酸のことである。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、構成脂肪酸として、トランス脂肪酸を好ましくは5質量%未満含有し、より好ましくは3質量%未満含有し、さらに好ましくは2質量%未満含有する(条件(B12))。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、上記条件を満たす限り、原料油脂として、どのような食用油脂を使用してもよい。油脂Bの原料油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、胡麻油、ココアバター、シア脂、サル脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bの原料油脂は、上記食用油脂を1種又は2種以上組み合せて使用することができる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、好ましくはパーム系油脂であり、より好ましくはパーム油、パーム分別油、パーム分別油のランダムエステル交換油脂であり、さらに好ましくはパーム油、ヨウ素価56~67のパームオレイン、ヨウ素価53~60のパームオレインのランダムエステル交換油脂である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、下記の条件(C1)~(C2)を満たす油脂である。
(C1)20℃で液状である。
(C2)構成脂肪酸として、Uを70質量%以上含有する。
(C1)20℃で液状である。
(C2)構成脂肪酸として、Uを70質量%以上含有する。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、20℃で液状である(条件(C1))。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、構成脂肪酸として、Uを70質量%以上含有し、好ましくは80質量%以上含有し、より好ましくは80~95質量%含有する(条件(C2))。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、構成脂肪酸として、トランス脂肪酸を好ましくは5質量%未満含有し、より好ましくは3質量%未満含有し、さらに好ましくは2質量%未満含有する。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Cの具体例は、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油やこれらの油脂の加工油脂(エステル交換油、分別油、硬化油(水素添加油)等)等が挙げられる。本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、2種以上を併用することもできる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、好ましくは、大豆油、菜種油である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、好ましくは、大豆油、菜種油である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、上記油脂A~油脂C以外の油脂(例えば、乳脂、乳脂分別油等の乳由来の油脂)を使用することもできる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、油脂を好ましくは75質量%以上含有し、より好ましくは80質量%以上含有し、さらに好ましくは85~97質量%含有する。
油脂のトリグリセリド含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111-1114(1993)準拠)、銀イオンカラム-HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105-107(1995)準拠)及びガスクロマトグラフィー法(AOCS Ce5-86準拠)で測定することができる。
油脂の脂肪酸含有量は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f-96準拠)で測定することができる。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に準じて測定することができる。
油脂の融点は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.2.4.2-1996 融点(上昇融点)」に準じて測定することができる。
油脂の脂肪酸含有量は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f-96準拠)で測定することができる。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に準じて測定することができる。
油脂の融点は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.2.4.2-1996 融点(上昇融点)」に準じて測定することができる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、油脂以外に、通常折り込み油脂組成物の製造に使用される原料を配合することができる。具体的には、砂糖、乳糖及び液糖等の糖類、糖アルコール類、ステビア及びアスパルテーム等の甘味料、水、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステル等の合成乳化剤、増粘安定剤、食塩及び塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸及びグルコン酸等の酸味料、β-カロテン、カラメル及び紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物(カテキン等)及びルチンなどの酸化防止剤、バター、粉乳、乳ペプチド、乳蛋白質及びバター酵素処理分解物等の乳製品、小麦蛋白及び大豆蛋白等の植物蛋白、卵、卵加工品、香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類及び魚介類等の食品素材若しくは食品添加物を配合することができる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、水相を有する乳化物(マーガリン、ファットスプレッド)又は水相を有さないショートニングである。本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物が水相を有する乳化物の場合、好ましくは油中水型乳化物である。本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物が油中水型乳化物の場合、水の含有量は、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは2~18質量%であり、さらに好ましくは3~13質量%である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の折り込み油脂の製造条件及び製造方法を適用できる。具体的には、折り込み油脂組成物は、配合する油溶成分を混合溶解することで製造できる。また、折り込み油脂組成物に可塑性を付与する場合は、折り込み油脂組成物は、配合する油溶成分を混合溶解した油相を、必要に応じて、調製した水相と混合乳化した後、冷却し、結晶化させる工程により製造できる。冷却、結晶化の工程では、折り込み油脂組成物は、好ましくは冷却可塑化される。冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、より好ましくは-5℃/分以上である。この際、冷却は、徐冷却より急冷却の方が好ましい。また、油相の調製後又は混合乳化後、折り込み油脂組成物は、好ましくは殺菌処理される。殺菌方法としては、タンクでのバッチ式や、プレート型熱交換機、掻き取り式熱交換機を用いた連続式が挙げられる。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクターなどのマーガリン製造機や、プレート型熱交換機などが挙げられる。また、冷却する機器としては、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせも挙げられる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、好ましくは可塑化され、成形される。本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、好ましくは可塑性折り込み油脂組成物である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、その形状として、シート状、ブロック状、円柱状、直方体状など様々な形状をとり得る。その中でも、形状は好ましくはシート状である。本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物をシート状とした場合の好ましい大きさは、横が50~1000mm、縦が50~1000mm、厚さが1~50mmである。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用生地は、本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物が折り込まれている。なお、本発明で層状穀粉膨化食品用生地は、穀粉、生地練り込み用油脂、砂糖、乳製品、卵、食塩、水等の原料を捏ね上げることで得られる折り込み前生地に、折り込み油脂組成物を折り込むことで得られる焼成前の生地のことである。また、本発明で穀粉とは、穀物を挽いて粉状にしたもののことである。穀粉の具体例は、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉等である。前記折り込み前生地に配合される穀粉は、好ましくは小麦粉である。前記折り込み前生地に配合される穀粉は、小麦粉を好ましくは50~100質量%含有し、より好ましくは70~100質量%含有し、さらに好ましくは90~100質量%含有する。前記折り込み前生地には、穀粉以外の原料として、通常、折り込み前生地に配合される原料(活性グルテン、でんぷん、セルロース粉末等の粉類、イースト、イーストフード、酵素、食塩、砂糖(グラニュー糖、上白糖)等の糖類・糖アルコール類、卵(全卵、液卵)、各種卵加工品、脱脂粉乳、牛乳等の乳製品、生地練り込み油脂(マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、バター等)、水、豆乳等の水性成分等)を、通常量配合することができる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用生地の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の層状穀粉膨化食品用生地の製造条件及び製造方法を適用できる。本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用生地は、例えば、原料のミキシング、発酵(一次発酵)、分割・丸め、リタード、折り込み、リタード、折り込み、リタード、成形、ホイロ(最終発酵)の工程を経て製造できる。折り込みは、例えば、シート状とした折り込み油脂組成物を、折り込み前生地で包み込んで折りたたみ、さらに薄く伸ばしたり、折り畳んだりしながら幾多の層を形成させる。折り込み、リタードの回数は、製品により適宜調整される。層状穀粉膨化食品用生地がパイ生地の場合、発酵工程は省略される。また、ホイロ前もしくはホイロ後の生地は冷凍保管してもよい。また、生地以外の部分として、果実、ジャム、クリームなどを包餡、トッピング等してもよい。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用生地は、折り込み前生地に含まれる穀粉100質量部に対して、本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物が、好ましくは25~160質量部折り込まれ、より好ましくは30~130質量部折り込まれ、さらに好ましくは35~110質量部折り込まれ、最も好ましくは65~100質量部折り込まれる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用生地は、折り数(層)が好ましくは12~576であり、より好ましくは16~256である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品は、本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用生地を焼成することで得られる。
本発明の実施の形態に係る層状穀粉膨化食品は、好ましくはクロワッサン、デニッシュ又はパイであり、より好ましくはパイである。
本発明の実施の形態に係る層状穀粉膨化食品は、好ましくはクロワッサン、デニッシュ又はパイであり、より好ましくはパイである。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品の焼成方法(製造方法)は、特に制限されるものではなく、従来公知の層状穀粉膨化食品と同様の焼成方法(製造方法)により焼成することができる。焼成方法の具体例は、オーブン加熱、直焼き、高周波加熱(電子レンジ加熱)等である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品の焼成方法は、好ましくはオーブン加熱である。オーブン加熱は、加熱温度が好ましくは190~240℃であり、加熱時間が好ましくは5~30分間である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品の焼成方法は、好ましくはオーブン加熱である。オーブン加熱は、加熱温度が好ましくは190~240℃であり、加熱時間が好ましくは5~30分間である。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物が折り込まれた本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用生地を、焼成することで得られる本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品は、水分の高い食品と組み合わせても、歯切れの良い食感を有する。そのため、本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、水分の高い食品と組み合わせられる層状穀粉膨化食品の折り込み油脂として好適である。すなわち、本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、水分活性0.80以上の食品と組み合わされる層状穀粉膨化食品に使用される。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品は、好ましくは水分活性0.80以上の食品が組み合わされている。本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品に組み合わされる食品は、水分活性が0.80以上であり、好ましくは0.85以上であり、より好ましくは0.87~0.999であり、さらに好ましくは0.90~0.990である。本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品に、組み合わされる食品の具体例は、ホイップクリーム、カスタードクリーム、フラワーペースト、フルーツ加工品、あんこ、ジャム、チョコレートガナッシュ、生チョコレート、バタークリーム、惣菜等である。本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品に組み合わされる食品は、好ましくはホイップクリームである。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品に、水分活性0.80以上の食品を組み合わせる方法は、特に制限されることなく、挟む、注入、被覆等の公知の方法で行うことができる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品に、水分活性0.80以上の食品を組み合わせる方法は、特に制限されることなく、挟む、注入、被覆等の公知の方法で行うことができる。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物が折り込まれた本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用生地を、焼成することで得られる本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品は、冷蔵保存されても、歯切れの良い食感を有する。そのため、本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、冷蔵保存される層状穀粉膨化食品の折り込み油脂として好適である。すなわち、本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物は、好ましくは冷蔵保存される層状穀粉膨化食品に使用される。また、本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品は、好ましくは冷蔵保存される。なお、本発明で冷蔵保存とは、5~10℃での保存のことである。
本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品は、水分の高い食品と組み合わせても、歯切れの良い食感を有する。また、本発明の実施の形態の層状穀粉膨化食品は、冷蔵保存されても、歯切れの良い食感を有する。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
油脂のトリグリセリド含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111-1114(1993)準拠)、銀イオンカラム-HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105-107(1995)準拠)及びガスクロマトグラフィー法(AOCS Ce5-86準拠)で測定した。
油脂の脂肪酸含有量は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f-96準拠)で測定した。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
油脂の融点は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.2.4.2-1996 融点(上昇融点)」に準じて測定した。
油脂のトリグリセリド含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111-1114(1993)準拠)、銀イオンカラム-HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105-107(1995)準拠)及びガスクロマトグラフィー法(AOCS Ce5-86準拠)で測定した。
油脂の脂肪酸含有量は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f-96準拠)で測定した。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
油脂の融点は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.2.4.2-1996 融点(上昇融点)」に準じて測定した。
〔油脂A1の製造〕
パームステアリン(ヨウ素価:32)15質量部とパーム中融点部(ヨウ素価:45)35質量部とパーム核油の極度硬化油(ラウリン酸含有量:48.4質量%)50質量部を混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、油脂A1(M含有量:32.4質量%、X含有量:43.9質量%、P/X質量比:0.693、U含有量:20.3質量%、C42~48TAG含有量:54.4質量%、Z含有量:0.5質量%、TFA含有量:0.1質量%、ヨウ素価:23、融点:37.0℃)を得た。
ランダムエステル交換反応は、常法に従い、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.2質量%添加した後、減圧下、120℃で0.5時間攪拌しながら反応を行った。
パームステアリン(ヨウ素価:32)15質量部とパーム中融点部(ヨウ素価:45)35質量部とパーム核油の極度硬化油(ラウリン酸含有量:48.4質量%)50質量部を混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、油脂A1(M含有量:32.4質量%、X含有量:43.9質量%、P/X質量比:0.693、U含有量:20.3質量%、C42~48TAG含有量:54.4質量%、Z含有量:0.5質量%、TFA含有量:0.1質量%、ヨウ素価:23、融点:37.0℃)を得た。
ランダムエステル交換反応は、常法に従い、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.2質量%添加した後、減圧下、120℃で0.5時間攪拌しながら反応を行った。
〔油脂A2の製造〕
パーム核オレイン(ラウリン酸含量:41質量%)50質量部とパームステアリン(ヨウ素価:32)50質量部とを混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行った後、ヨウ素価が2以下になるまで水素添加を行うことにより、油脂A2(M含有量:27.4質量%、X含有量:68.5質量%、P/X質量比:0.489、U含有量:0.3質量%、C42~48TAG含有量:54.4質量%、Z含有量:0.6質量%、TFA含有量:0質量%、ヨウ素価:1未満、融点:47.8℃)を得た。
ランダムエステル交換反応は、油脂A1と同様の方法で行った。
水素添加反応は、ニッケル触媒を用いて160~200℃にて、ヨウ素価が2以下になるまで行った。水素添加反応が終了後、ニッケル触媒をろ過により除去し、脱色、脱臭を行うことで、極度硬化油を得た。
パーム核オレイン(ラウリン酸含量:41質量%)50質量部とパームステアリン(ヨウ素価:32)50質量部とを混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行った後、ヨウ素価が2以下になるまで水素添加を行うことにより、油脂A2(M含有量:27.4質量%、X含有量:68.5質量%、P/X質量比:0.489、U含有量:0.3質量%、C42~48TAG含有量:54.4質量%、Z含有量:0.6質量%、TFA含有量:0質量%、ヨウ素価:1未満、融点:47.8℃)を得た。
ランダムエステル交換反応は、油脂A1と同様の方法で行った。
水素添加反応は、ニッケル触媒を用いて160~200℃にて、ヨウ素価が2以下になるまで行った。水素添加反応が終了後、ニッケル触媒をろ過により除去し、脱色、脱臭を行うことで、極度硬化油を得た。
〔油脂B1〕
パーム油(ヨウ素価:51)を油脂B1(X3含有量:7.3質量%、X2U含有量:48.3質量%、XU2含有量:36.9質量%、U3含有量:5.2質量%、P/X質量比:0.905、P2U/X2U:0.839、PU2/XU2:0.911、Y含有量:97.8質量%、X含有量:48.3質量%、U含有量:49.3質量%、O/U質量比:0.803、TFA含有量:0.5質量%)とした。
パーム油(ヨウ素価:51)を油脂B1(X3含有量:7.3質量%、X2U含有量:48.3質量%、XU2含有量:36.9質量%、U3含有量:5.2質量%、P/X質量比:0.905、P2U/X2U:0.839、PU2/XU2:0.911、Y含有量:97.8質量%、X含有量:48.3質量%、U含有量:49.3質量%、O/U質量比:0.803、TFA含有量:0.5質量%)とした。
〔油脂B2〕
パームオレイン(ヨウ素価:60)を油脂B2(X3含有量:0.6質量%、X2U含有量:38.0質量%、XU2含有量:52.0質量%、U3含有量:7.3質量%、P/X質量比:0.899、P2U/X2U:0.841、PU2/XU2:0.910、Y含有量:97.9質量%、X含有量:39.6質量%、U含有量:58.1質量%、O/U質量比:0.783、TFA含有量:0.9質量%)とした。
パームオレイン(ヨウ素価:60)を油脂B2(X3含有量:0.6質量%、X2U含有量:38.0質量%、XU2含有量:52.0質量%、U3含有量:7.3質量%、P/X質量比:0.899、P2U/X2U:0.841、PU2/XU2:0.910、Y含有量:97.9質量%、X含有量:39.6質量%、U含有量:58.1質量%、O/U質量比:0.783、TFA含有量:0.9質量%)とした。
〔油脂B3の製造〕
パームオレイン(ヨウ素価:56)を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、油脂B3(X3含有量:11.3質量%、X2U含有量:36.6質量%、XU2含有量:37.5質量%、U3含有量:11.9質量%、P/X質量比:0.901、P2U/X2U:0.822、PU2/XU2:0.920、Y含有量:98.0質量%、X含有量:44.4質量%、U含有量:53.4質量%、O/U質量比:0.794、TFA含有量:0.7質量%)を得た。
ランダムエステル交換反応は、油脂A1と同様の方法で行った。
パームオレイン(ヨウ素価:56)を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、油脂B3(X3含有量:11.3質量%、X2U含有量:36.6質量%、XU2含有量:37.5質量%、U3含有量:11.9質量%、P/X質量比:0.901、P2U/X2U:0.822、PU2/XU2:0.920、Y含有量:98.0質量%、X含有量:44.4質量%、U含有量:53.4質量%、O/U質量比:0.794、TFA含有量:0.7質量%)を得た。
ランダムエステル交換反応は、油脂A1と同様の方法で行った。
〔油脂b1〕
パームステアリン(ヨウ素価:32)を油脂b1(X3含有量:36.2質量%、X2U含有量:40.5質量%、XU2含有量:17.0質量%、U3含有量:2.3質量%、P/X質量比:0.926、P2U/X2U:0.849、PU2/XU2:0.906、Y含有量:97.7質量%、X含有量:67.5質量%、U含有量:30.1質量%、O/U質量比:0.831、TFA含有量:0.2質量%)とした。
パームステアリン(ヨウ素価:32)を油脂b1(X3含有量:36.2質量%、X2U含有量:40.5質量%、XU2含有量:17.0質量%、U3含有量:2.3質量%、P/X質量比:0.926、P2U/X2U:0.849、PU2/XU2:0.906、Y含有量:97.7質量%、X含有量:67.5質量%、U含有量:30.1質量%、O/U質量比:0.831、TFA含有量:0.2質量%)とした。
〔油脂C1〕
大豆油を油脂C1(20℃の性状:液状、U含有量:84.0質量%、TFA含有量:1.3質量%)とした。
大豆油を油脂C1(20℃の性状:液状、U含有量:84.0質量%、TFA含有量:1.3質量%)とした。
<シートマーガリンの製造>
表1~2の配合に従って、油相と水相とをそれぞれ調製し、油相に水相を混合、乳化した。当該乳化物を、急冷混捏し、シート状(縦300mm×横200mm×厚さ10mm)に押し出し成形して、実施例1~3、比較例1~2のシートマーガリンを製造した。
表1~2の配合に従って、油相と水相とをそれぞれ調製し、油相に水相を混合、乳化した。当該乳化物を、急冷混捏し、シート状(縦300mm×横200mm×厚さ10mm)に押し出し成形して、実施例1~3、比較例1~2のシートマーガリンを製造した。
<パイの製造>
薄力粉50質量部、強力粉50質量部、練り込みマーガリン13質量部、食塩1質量部、水46質量部、生地改良剤0.2質量部の配合で、下記工程1~8に従って、パイを得た。得られたパイの硬さ及び食感を、以下の方法に従って評価した。結果を表1~2に示した。
工程1:20コートミキサー(フック使用)のミキサーボールに全ての原料(薄力粉、
強力粉、練り込みマーガリン、食塩、水、生地改良剤)を投入する。
工程2:低速で3分間混合する。
工程3:中速で3分間混合する。
工程4:工程3で得られた折り込み前生地を4℃で一晩休ませる。
工程5:工程4で得られた折り込み前生地に、各シートマーガリン80質量部を折り
込む。(144層 4つ折り×3つ折り 2回)
工程6:工程5で得られたパイ用生地を2mm厚(シーター目盛り)に延ばす。
工程7:8.5cm×5.5cmの抜型で抜く。
工程8:パイ用生地をオーブン(上火200℃、下火210℃)で20分間焼成する。
薄力粉50質量部、強力粉50質量部、練り込みマーガリン13質量部、食塩1質量部、水46質量部、生地改良剤0.2質量部の配合で、下記工程1~8に従って、パイを得た。得られたパイの硬さ及び食感を、以下の方法に従って評価した。結果を表1~2に示した。
工程1:20コートミキサー(フック使用)のミキサーボールに全ての原料(薄力粉、
強力粉、練り込みマーガリン、食塩、水、生地改良剤)を投入する。
工程2:低速で3分間混合する。
工程3:中速で3分間混合する。
工程4:工程3で得られた折り込み前生地を4℃で一晩休ませる。
工程5:工程4で得られた折り込み前生地に、各シートマーガリン80質量部を折り
込む。(144層 4つ折り×3つ折り 2回)
工程6:工程5で得られたパイ用生地を2mm厚(シーター目盛り)に延ばす。
工程7:8.5cm×5.5cmの抜型で抜く。
工程8:パイ用生地をオーブン(上火200℃、下火210℃)で20分間焼成する。
<硬さの評価>
半分の高さで横に切断したパイに、ホイップクリーム(水分活性:0.988)を5g挟み、5℃で3日間保存したものを測定試料とした。レオメーター(株式会社山電製、CREEP METER RE2-33005B)を使用して、パイの硬さを測定した。レオメーターでの測定には、幅30mmのくさび型のプランジャー(樹脂製)を使用した。なお、レオメーターでの硬さは、100%変形時(プランジャーがパイを貫通した時)の総エネルギーとした。レオメーターでの測定値は、測定値が小さいほど、パイは歯切れがいいことを示している。
半分の高さで横に切断したパイに、ホイップクリーム(水分活性:0.988)を5g挟み、5℃で3日間保存したものを測定試料とした。レオメーター(株式会社山電製、CREEP METER RE2-33005B)を使用して、パイの硬さを測定した。レオメーターでの測定には、幅30mmのくさび型のプランジャー(樹脂製)を使用した。なお、レオメーターでの硬さは、100%変形時(プランジャーがパイを貫通した時)の総エネルギーとした。レオメーターでの測定値は、測定値が小さいほど、パイは歯切れがいいことを示している。
<食感の評価>
半分の高さで横に切断したパイに、ホイップクリーム(水分活性:0.988)を5g挟み、5℃で3日間保存したものを評価試料とした。パイを、10名の専門パネルが食し、歯切れを、下記評価基準に従って、1~4点の4段階で採点した。各パネルの採点結果の平均点を算出し、以下の基準に従って評価した。歯切れの評価結果は、◎、○又は△の場合、パイは歯切れの良い食感を有すると判断した。結果を表1~2に示した。
なお、パイの食感を評価した専門パネルは、食品の食感等の官能評価の訓練を定期的に受けており、食品の食感等の官能評価結果に個人差が少ない。
<評価基準>
4点:歯切れ良い
3点:やや歯切れが良い
2点:やや歯切れが悪い
1点:歯切れが悪い
<平均点>
◎:3.5点以上
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
半分の高さで横に切断したパイに、ホイップクリーム(水分活性:0.988)を5g挟み、5℃で3日間保存したものを評価試料とした。パイを、10名の専門パネルが食し、歯切れを、下記評価基準に従って、1~4点の4段階で採点した。各パネルの採点結果の平均点を算出し、以下の基準に従って評価した。歯切れの評価結果は、◎、○又は△の場合、パイは歯切れの良い食感を有すると判断した。結果を表1~2に示した。
なお、パイの食感を評価した専門パネルは、食品の食感等の官能評価の訓練を定期的に受けており、食品の食感等の官能評価結果に個人差が少ない。
<評価基準>
4点:歯切れ良い
3点:やや歯切れが良い
2点:やや歯切れが悪い
1点:歯切れが悪い
<平均点>
◎:3.5点以上
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
実施例のシートマーガリンを使用して製造したパイは、水分の高い食品と組み合わせても、歯切れの良い食感を有していた。
一方、比較例のシートマーガリンを使用して製造したパイは、水分の高い食品と組み合わせると、食感が歯切れの悪いものとなった。
一方、比較例のシートマーガリンを使用して製造したパイは、水分の高い食品と組み合わせると、食感が歯切れの悪いものとなった。
Claims (5)
- 含まれる油脂が、下記油脂Aを20~70質量%、下記油脂Bを15~50質量%、下記油脂Cを10~45質量%含有する層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物であって、前記層状穀粉膨化食品が、水分活性0.80以上の食品と組み合わされる、層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物。
油脂A:下記の条件(A1)~(A5)を満たす油脂である。
(A1)構成脂肪酸として、Mを15~45質量%含有する。
(A2)構成脂肪酸として、Xを30~80質量%含有する。
(A3)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.40~0.80である。
(A4)構成脂肪酸として、Uを28質量%以下含有する。
(A5)C42~48TAGを40~65質量%含有する。
油脂B:下記の条件(B1)~(B5)を満たす油脂である。
(B1)X3を17質量%以下含有する。
(B2)X2Uを25~65質量%含有する。
(B3)XU2を25~65質量%含有する。
(B4)U3を20質量%以下含有する。
(B5)構成脂肪酸として、P/Xの質量比が0.80以上である。
油脂C:下記の条件(C1)~(C2)を満たす油脂である。
(C1)20℃で液状である。
(C2)構成脂肪酸として、Uを70質量%以上含有する。
上記の条件において、X、U、M、P、X3、X2U、XU2、U3、C42~48TAGはそれぞれ以下のものを示す。
X:炭素数16~18の飽和脂肪酸
U:炭素数18の不飽和脂肪酸
M:炭素数12~14の飽和脂肪酸
P:パルミチン酸
X3:Xが3分子結合しているトリグリセリド
X2U:Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
XU2:Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
U3:Uが3分子結合しているトリグリセリド
C42~48TAG:構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48のトリグリセリド - 請求項1に記載の層状穀粉膨化食品用折り込み油脂組成物が、折り込まれた層状穀粉膨化食品用生地。
- 請求項2に記載の層状穀粉膨化食品用生地を、焼成した層状穀粉膨化食品。
- 水分活性0.80以上の食品が、組み合されている請求項3に記載の層状穀粉膨化食品。
- 前記層状穀粉膨化食品が、パイである請求項3又は請求項4に記載の層状穀粉膨化食品。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021060105A JP2022156423A (ja) | 2021-03-31 | 2021-03-31 | 折り込み油脂組成物 |
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Citations (3)
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---|---|---|---|---|
WO2015099160A1 (ja) * | 2013-12-26 | 2015-07-02 | ミヨシ油脂株式会社 | 油脂組成物 |
JP2018191595A (ja) * | 2017-05-18 | 2018-12-06 | 日清オイリオグループ株式会社 | 折り込み用油脂組成物 |
JP2020080862A (ja) * | 2018-11-20 | 2020-06-04 | 日清オイリオグループ株式会社 | 折り込み用油脂組成物 |
-
2021
- 2021-03-31 JP JP2021060105A patent/JP2022156423A/ja active Pending
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WO2015099160A1 (ja) * | 2013-12-26 | 2015-07-02 | ミヨシ油脂株式会社 | 油脂組成物 |
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