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JP2022156333A - 環状スペーサ、電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池および固体酸化物形電解セル - Google Patents

環状スペーサ、電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池および固体酸化物形電解セル Download PDF

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JP2022156333A JP2021059954A JP2021059954A JP2022156333A JP 2022156333 A JP2022156333 A JP 2022156333A JP 2021059954 A JP2021059954 A JP 2021059954A JP 2021059954 A JP2021059954 A JP 2021059954A JP 2022156333 A JP2022156333 A JP 2022156333A
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Abstract

Figure 2022156333000001
【課題】電気化学素子を積層した電気化学モジュールの作成を容易にする手段を提供する。
【解決手段】表裏にわたる貫通孔91aを備える板状の環状スペーサ91は、他の部材に挟まれた状態で貫通孔91aの内側の空間SIから環状スペーサ91の外側の空間SOまで気体を通流させる流路91bを備える。
【選択図】図17

Description

本発明は、環状スペーサ、電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池および固体酸化物形電解セルに関する。
従来、燃料電池(電気化学発電セル)や電解セル等の電気化学装置を構成する電気化学素子積層体は、特許文献1に示すように、気体透過領域を備えるとともに前記気体透過領域を覆って電気化学反応部を形成してなる金属基板や、スペーサやセパレータとして機能する金属基板等を含む多数の基板を気密に積層した構成となっていた。そして、電気化学反応部を備えた金属基板(電気化学素子)の両面に沿って空気(酸化性成分ガス)の空気流路と燃料ガス(還元性成分ガス)の燃料ガス流路とを画定し、それぞれの流路に空気と燃料ガスを流通する。すなわち、電気化学素子の複数を積層して電気化学モジュールとして一体に形成したものとなっていた。これにより、前記電気化学反応部において空気と燃料ガスとの反応から電力等の電気化学出力を生成するものとなっていた。
特表2017-508254号公報
ところが、このように電気化学モジュールは、多数の基板を積層して空気流路と燃料ガス流路とを形成するから、多数の金属基板を確実に密閉固定する必要がある。そのため、このような電気化学モジュールを作製するには、信頼性高く確実に固定するために、多大な工数と細心の注意を必要とする。そのため、このような電気化学モジュールを作製するための作製費は大きく膨らむとともに、作製される電気化学モジュールの信頼性(金属基板間の気密性や電気的接続の確実性など)が低下することになっていた。
したがって、本発明は上記実状に鑑み、電気化学素子が複数集合した状態で配置される電気化学モジュールの作成を容易にする手段を提供すること、また、その電気化学モジュールを作製するにあたって、取り扱い容易な構造の電気化学素子を提供することを目的とする。また、電気化学モジュールを利用した電気化学装置やエネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セルを安価に提供することをさらなる目的とする。
上述した課題を解決する手段として、本発明の環状スペーサは、表裏にわたる貫通孔を備える板状の環状スペーサであって、他の部材に挟まれた状態で前記貫通孔の内側の空間から前記環状スペーサの外側の空間まで気体を通流させる流路を備えることを特徴とする。
本構成によれば、環状スペーサを他の部材に挟んだとき、貫通孔の内部の空間から環状スペーサの外側の空間まで気体を通流させることができる。このような環状スペーサは、電気化学素子の板状支持体に好適に適用できる。例えば、板状支持体が2枚の板状体を対向させて構成され、2枚の板状体の間の空間が気体の流路(内部流路)として利用される場合がある。この場合、環状スペーサを、2枚の板状体に挟まれる状態で配置すると、様々な利点が生じる。まず、板状支持体の剛性を高めることができる。電気化学モジュールを作成するとき、複数の電気化学素子が集合され、集合方向に力が加えられる。環状スペーサの存在により、板状体の変形を抑制し、内部流路の形状を保つことができる。また、環状スペーサの貫通孔及び流路を、板状支持体の内部流路への気体の供給に用いることができる。従って、環状スペーサにより、電気化学素子が複数集合した状態で配置される電気化学モジュールの作成を容易に行なうことができる。換言すれば、環状スペーサにより、電気化学モジュールを作製するにあたって、取り扱い容易な構造の電気化学素子を提供することができる。
本発明において、表面及び裏面の少なくとも一方に周囲よりも表裏方向に突出する突出部を備え、前記突出部の周囲の空間が前記流路として機能すると好適である。
本構成によれば、簡易な構成により環状スペーサの流路を実現することができる。
本発明において、周方向に隙間を空けて配置される複数の第1部位と、前記第1部位を連結する第2部位と、を備え、前記隙間が前記流路として機能すると好適である。
本構成によれば、簡易な構成により環状スペーサの流路を実現することができる。
本発明において、電気伝導性を有する材料により形成されると好適である。
本構成によれば、環状スペーサを他の2つの部材に挟んだとき、環状スペーサを通じて2つの部材が導通可能となる。すなわち、環状スペーサを電気化学素子の板状支持体に用いたとき、板状支持体の電気伝導性を向上させることができる。
本発明において、前記材料が、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、インコネル、銅及びインバー材を何れか1つ以上含むと好適である。
本構成によれば、容易に入手可能な素材を用いて環状スペーサを安価に作製することができる。
上述した課題を解決する手段として、本発明の電気化学素子は、電解質層と、前記電解質層の両側にそれぞれ配置されている第1電極及び第2電極と、前記電解質層と前記第1電極と前記第2電極とを支持する板状支持体と、を備える電気化学素子であって、前記板状支持体は、導電性の第一板状体と、導電性の第二板状体と、前記第一板状体と前記第二板状体との対向面間に形成された内部流路と、を備え、上述の環状スペーサが前記第一板状体と前記第二板状体との間に配置されていることを特徴とする。
本構成によれば、環状スペーサが第一板状体と第二板状体との間に配置されるので、第一板状体及び第二板状体の変形を抑制し、内部流路の形状を保つことができる。換言すれば、板状支持体の剛性を高めることができる。また、環状スペーサの貫通孔及び流路を、板状支持体の内部流路への気体の供給に用いることができる。従って、電気化学素子が複数集合した状態で配置される電気化学モジュールの作成を容易に行なうことができる。換言すれば、環状スペーサにより、電気化学モジュールを作製するにあたって、取り扱い容易な構造の電気化学素子を提供することができる。
本発明において、前記第一板状体及び前記第二板状体のうち少なくとも一方が、前記内部流路への気体の供給路を形成する貫通部を備え、前記板状支持体の厚さ方向視において前記貫通部と前記環状スペーサの前記貫通孔とが重なるように、前記環状スペーサが配置されていると好適である。
本構成によれば、貫通部からの気体を、環状スペーサの貫通孔及び流路を通じて、第一板状体と第二板状体との間の内部流路に供給することができる。
上述した課題を解決する手段として、本発明の電気化学モジュールは、上述の電気化学素子が複数集合した状態で配置されることを特徴とする。
本構成によれば、上述の電気化学素子が複数集合した状態で配置されるので、材料コストと加工コストを抑制しつつ、コンパクトで高性能な、強度と信頼性に優れた電気化学モジュールを得ることができる。
上述した課題を解決する手段として、本発明の電気化学装置は、上述の電気化学素子もしくは上述の電気化学モジュールと、前記電気化学素子または前記電気化学モジュールに供給する還元性成分を生成する、或いは、前記電気化学素子または前記電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器とを少なくとも有することを特徴とする。
本構成によれば、電気化学素子又は電気化学モジュールを燃料電池として動作させる場合、都市ガス等の既存の原燃料供給インフラを用いて供給される天然ガス等を基に、改質器などの燃料変換器により水素を生成するように構成でき、耐久性・信頼性及び性能に優れた電気化学素子又は電気化学モジュールを備えた電気化学装置を実現できる。また、電気化学モジュールから流通される未利用の燃料ガスをリサイクルするシステムを構築し易くなるため、高効率な電気化学装置を実現できる。
一方、電気化学素子又は電気化学モジュールを電解セルとして動作させる場合は、電極層に水蒸気や二酸化炭素を含有するガスが流通され、電極層と対極電極層との間に電圧が印加される。そうすると、電極層において電子eと水分子HOや二酸化炭素分子COが反応して、水素分子Hや一酸化炭素COと酸素イオンO2-となる。発生した酸素イオンO2-は、電解質層を通って対極電極層へ移動する。そして、対極電極層において、酸素イオンO2-が電子を放出して酸素分子Oとなる。以上の反応により、水蒸気を含有するガスが流通する場合には、水分子HOが水素Hと酸素Oとに分解され、二酸化炭素分子COを含有するガスが流通する場合には、一酸化炭素COと酸素Oとに電気分解される。
したがって、水蒸気と二酸化炭素分子COとを含有するガスが流通される場合は、上記電気分解により電気化学素子又は電気化学モジュールで生成した水素及び一酸化炭素等から炭化水素などの種々の化合物を合成する燃料変換器を設けることができる。これにより、燃料変換器が生成した炭化水素等を電気化学素子又は電気化学モジュールに流通する、或いは本システム・装置外に取り出して別途燃料や化学原料として利用することが可能となる。
上述した課題を解決する手段として、本発明の電気化学装置は、上述の電気化学素子もしくは上述の電気化学モジュールと、前記電気化学素子もしくは前記電気化学モジュールから電力を取り出すあるいは前記電気化学素子もしくは前記電気化学モジュールに電力を流通する電力変換器とを少なくとも有することを特徴とする。
本構成によれば、電力変換器は、電気化学素子もしくは電気化学モジュールが発電した電力を取り出し、あるいは、電気化学素子もしくは電気化学モジュールに電力を流通する。これにより、上記のように電気化学素子もしくは電気化学モジュールは、燃料電池として作用し、あるいは、電解セルとして作用する。よって、上記構成によれば、燃料等の化学的エネルギーを電気エネルギーに変換する、あるいは電気エネルギーを燃料等の化学的エネルギーに変換する効率を向上できる電気化学素子等を提供することができる。
なお、例えば、電力変換器としてインバータを用いる場合、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学素子もしくは電気化学モジュールから得られる電気出力を、インバータによって昇圧したり、直流を交流に変換したりすることができるため、電気化学素子もしくは電気化学モジュールで得られる電気出力を利用しやすくなるので好ましい。また、電気分解に供する場合は、交流電源から直流を得て、電気化学素子もしくは電気化学モジュールへ直流の電力供給できる電気化学装置を構築できるので好ましい。
上述した課題を解決する手段として、本発明のエネルギーシステムは、上述の電気化学装置と、前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部とを有することを特徴とする。
本構成によれば、電気化学装置と、電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有するので、耐久性・信頼性および性能に優れ、かつエネルギー効率にも優れたエネルギーシステムを実現することができる。なお、電気化学装置から排出される未利用の燃料ガスの燃焼熱を利用して発電する発電システムと組み合わせてエネルギー効率に優れたハイブリットシステムを実現することもできる。
上述した課題を解決する手段として、本発明の固体酸化物形燃料電池は、上述の電気化学素子を備え、前記電気化学素子で発電反応を生じさせることを特徴とする。
本構成によれば、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学素子を備えた固体酸化物形燃料電池として発電反応を行うことができるので、高耐久・高性能な固体酸化物形燃料電池を得る事ができる。なお、定格運転時に650℃以上の温度域で運転可能な固体酸化物形燃料電池であると、都市ガス等の炭化水素系ガスを原燃料とする燃料電池システムにおいて、原燃料を水素に変換する際に必要となる熱を燃料電池の排熱で賄うことが可能なシステムを構築できるため、燃料電池システムの発電効率を高めることができるので、より好ましい。また、定格運転時に900℃以下の温度域で運転される固体酸化物形燃料電池であると、金属支持型電気化学素子からのCr揮発の抑制効果が高められるのでより好ましく、定格運転時に850℃以下の温度域で運転される固体酸化物形燃料電池であると、Cr揮発の抑制効果を更に高められるので更に好ましい。
上述した課題を解決する手段として、本発明の固体酸化物形電解セルは、上述の電気化学素子を備え、前記電気化学素子で電解反応を生じさせることを特徴とする。
本構成によれば、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学素子を備えた固体酸化物形電解セルとして電解反応によるガスの生成を行うことができるので、高耐久・高性能な固体酸化物形電解セルを得る事ができる。
電気化学素子の概略図 図1におけるII-II断面図 図1におけるIII-III面図 図1におけるIV-IV断面図 図1におけるV-V断面図 図1におけるVI-VI断面図 図1におけるVII-VII断面図 図1におけるVIII-VIII断面図 図1におけるIX-IX断面図 電気化学反応部の要部拡大図 電気化学モジュールの概略図 エネルギーシステムの概略図 別の形態に係る電気化学モジュールの説明図 別のエネルギーシステムの概略図 環状スペーサの斜視図 環状スペーサの平面図 電気化学素子の断面図 環状スペーサの斜視図 環状スペーサの平面図 電気化学素子の断面図
以下に、本発明の環状スペーサ、電気化学素子、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池および固体酸化物形電解セルを説明する。尚、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。なお、層の位置関係などを表す際、例えば電極層から見て電解質層の側を「上」「上側」、第一板状体の側を「下」「下側」などと呼ぶ。
(電気化学素子)
図1~図9に示すように、電気化学素子Aは、導電性の第一板状体1と導電性の第二板状体2との対向面間に形成された内部流路A1を有する板状支持体10を備え、板状支持体10は、当該板状支持体10を構成する第一板状体1及び第二板状体2の少なくとも一部において、当該板状支持体10の内側である内部流路A1と外側とに亘って気体を透過できる気体通流許容部1Aと、気体通流許容部1Aの全部又は一部を被覆する状態で、膜状の電極層31と膜状の電解質層32と膜状の対極電極層33とを記載順に有する電気化学反応部3とを備える(図5~図9参照)。また、板状支持体10には、表面貫通方向外方から内部流路A1にたとえば燃料ガス等の還元性成分ガス及びたとえば空気等の酸化性成分ガスのうちの一方である第一ガスを流通する供給路4を形成する第一貫通部41を一端部側に備え、内部流路A1を通流した第一ガスを板状支持体10の表面貫通方向外方へ流通する排出路5を形成する第二貫通部51を他端部側に備える(図1、図3,図8,図9参照、尚、供給路4等と排出路5等とは対称形にて同様の構造であることも理解される)。
(板状支持体)
第一板状体1は、電極層31と電解質層32と対極電極層33とを有する電気化学反応部3を支持して電気化学素子Aの強度を保つ役割を担う。第一板状体1の材料としては、電子伝導性、耐熱性、耐酸化性および耐腐食性に優れた材料が用いられる。例えば、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、ニッケル基合金などが用いられる。特に、クロムを含む合金が好適に用いられる。本実施形態では、第一板状体1は、Crを18質量%以上25質量%以下含有するFe-Cr系合金を用いているが、Mnを0.05質量%以上含有するFe-Cr系合金、Tiを0.15質量%以上1.0質量%以下含有するFe-Cr系合金、Zrを0.15質量%以上1.0質量%以下含有するFe-Cr系合金、TiおよびZrを含有しTiとZrとの合計の含有量が0.15質量%以上1.0質量%以下であるFe-Cr系合金、Cuを0.10質量%以上1.0質量%以下含有するFe-Cr系合金であると特に好適である。
第二板状体2は、第一板状体1と重ね合わされた状態で、周縁部1aを溶接一体化されて板状支持体10を構成する(図2~図9参照)。第二板状体2は、第一板状体1に対して複数に分割されていてもよく、逆に第一板状体1が第二板状体2に対して複数に分割された状態であってもよい。また、一体化するに際して、溶接に替え、接着、嵌合等他の手段を採用することができ、内部流路を外部と区画して形成できるのであれば、周縁部1a以外の部分で一体化してもよい。
第一板状体1は全体として板状である。そして、表側の面と裏側の面とを貫通して設けられる複数の貫通孔11を多数設けてなる気体通流許容部1Aを有する(図5~図9参照)。なお、例えば、貫通孔11は、レーザー加工などにより、第一板状体1に設けることができる。貫通孔11は、第一板状体1の裏側の面から表側の面へ気体を透過させる機能を有する。気体通流許容部1Aは、第一板状体1における電極層31が設けられる領域より小さい領域に設けられることが好ましい。
第一板状体1にはその表面に、拡散抑制層としての金属酸化物層12(後述、図10参照)が設けられる。すなわち、第一板状体1と後述する電極層31との間に、拡散抑制層が形成されている。金属酸化物層12は、第一板状体1の外部に露出した面だけでなく、電極層31との接触面(界面)にも設けられる。また、貫通孔11の内側の面に設けることもできる。この金属酸化物層12により、第一板状体1と電極層31との間の元素相互拡散を抑制することができる。例えば、第一板状体1としてクロムを含有するフェライト系ステンレスを用いた場合は、金属酸化物層12が主にクロム酸化物となる。そして、第一板状体1のクロム原子等が電極層31や電解質層32へ拡散することを、クロム酸化物を主成分とする金属酸化物層12が抑制する。金属酸化物層12の厚さは、拡散防止性能の高さと電気抵抗の低さを両立させることのできる厚みであれば良い。
金属酸化物層12は種々の手法により形成されうるが、第一板状体1の表面を酸化させて金属酸化物とする手法が好適に利用される。また、第一板状体1の表面に、金属酸化物層12をスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、スパッタリング法やPLD法等のPVD法、CVD法などにより形成しても良いし、メッキと酸化処理によって形成しても良い。更に、金属酸化物層12は導電性の高いスピネル相などを含んでも良い。
第一板状体1としてフェライト系ステンレス材を用いた場合、電極層31や電解質層32の材料であるYSZ(イットリア安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア、CGOとも呼ぶ)等と熱膨張係数が近い。従って、低温と高温の温度サイクルが繰り返された場合も電気化学素子Aがダメージを受けにくい。よって、長期耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できるので好ましい。なお、第一板状体1は、表側の面と裏側の面とを貫通して設けられる複数の貫通孔11を有する。なお、例えば、貫通孔11は、機械的、化学的あるいは光学的穿孔加工などにより、第一板状体1に設けることができる。貫通孔11は、第一板状体1の裏側の面から表側の面へ気体を透過させる機能を有する。第一板状体1に気体透過性を持たせるために、多孔質金属を用いることも可能である。例えば、第一板状体1は、焼結金属や発泡金属等を用いることもできる。
第二板状体2は、第一板状体1の気体通流許容部1Aに対向する領域において、一端部側から他端部側に向かう複数の副流路A11、A11………を備えた内部流路A1を形成する波板状に形成される(図1,図5参照)。また、第二板状体2は、表裏両面とも波板状に形成されており、内部流路A1を区画形成する面の反対面は、隣接する電気化学素子Aの電気化学反応部3に電気的に接続し、波型形状の第二板状体2が第一板状体1と接触する部分の近傍に形成される通路が、通流部A2として機能する。この副流路A11は長方形状に形成される板状支持体10の長辺に沿って複数平行に設けられており、一端部に設けられる供給路4から他端部に設けられる排出路5に至る内部流路A1を構成する。また、第一貫通部41と内部流路A1との接続箇所は、第一板状体1との接触部分から下方に膨出させてなり、第一貫通部41ら流通される第一ガスを副流路A11の夫々に分配する分配部A12を備え(図1参照)、第二貫通部51と内部流路A1の接続箇所は、第一板状体1との接触部分から下方に膨出させてなり、副流路A11のそれぞれを通流した第一ガスを集約して第二貫通部51に導く合流部A13を備える(図1,図3,図4,図6~図9参照、尚、供給路4等と排出路5等とは対称形にて同様の構造であることも理解される)。また、第二板状体2の材料については、耐熱性の金属であることが好ましく、第一板状体1との熱膨張差の低減や、溶接などの接合性の信頼性確保の観点から、第一板状体1と同じ材料であれば、より好ましい。
(電気化学反応部)
(電極層)
電極層31は、図5~10に示すように、第一板状体1の表側の面であって貫通孔11が設けられた領域より大きな領域に、薄層の状態で設けることができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは、5μm~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。貫通孔11が設けられた領域の全体が、電極層31に覆われている。つまり、貫通孔11は第一板状体1における電極層31が形成された領域の内側に形成されている。換言すれば、全ての貫通孔11が電極層31に面して設けられている。
電極層31は、気体透過性を持たせるため、その内部および表面に複数の細孔を有する。
すなわち電極層31は、多孔質な層として形成される。電極層31は、例えば、その緻密度が30%以上80%未満となるように形成される。細孔のサイズは、電気化学反応を行う際に円滑な反応が進行するのに適したサイズを適宜選ぶことができる。なお緻密度とは、層を構成する材料の空間に占める割合であって、(1-空孔率)と表すことができ、また、相対密度と同等である。
電極層31の材料としては、例えばNiO-GDC、Ni-GDC、NiO-YSZ、Ni-YSZ、CuOCeO2、CuCeO2などの複合材を用いることができる。これらの例では、GDC、YSZ、CeO2を複合材の骨材と呼ぶことができる。なお、電極層31は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法やパルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能なプロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに、良好な電極層31が得られる。そのため、第一板状体1を傷めることなく、また、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
(中間層)
中間層34は、電極層31を覆った状態で、電極層31の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは2μm~50μm程度、より好ましくは4μm~25μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な中間層34の材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。中間層34の材料としては、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)等を用いることができる。特にセリア系のセラミックスが好適に用いられる。
中間層34は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに中間層34が得られる。そのため、第一板状体1を傷めることなく、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できる。また、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
中間層34としては、酸素イオン(酸化物イオン)伝導性を有することが好ましい。また、酸素イオン(酸化物イオン)と電子との混合伝導性を有すると更に好ましい。これらの性質を有する中間層は、電気化学素子Aへの適用に適している。
また電極層31において、サーメット材の骨材の含有比、緻密度、および強度を電極層31の下側から上側にかけて連続的に増加するように構成してもよい。この場合、電極層31は層として明確に区別できる領域を持たなくてもよい。しかしこの場合であっても、電極層31における第一板状体1に隣接する部位(下方部位)に比べ、電解質層32に隣接する部位(上方部位)におけるサーメット材の骨材の含有比、緻密度、強度等を高くすることも可能である。
(電解質層)
図5~図10に示すように、電解質層32は、電極層31および中間層34を覆った状態で、前記中間層の上に薄層の状態で形成される。また、厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成することもできる。詳しくは、電解質層32は、中間層34の上と第一板状体1の上とにわたって(跨って)設けられる。このように構成し、電解質層32を第一板状体1に接合することで、電気化学素子全体として堅牢性に優れたものとすることができる。
また電解質層32は、図5に示すように、第一板状体1の表側の面であって貫通孔11が設けられた領域より大きな領域に設けられる。つまり、貫通孔11は第一板状体1における電解質層32が形成された領域の内側に形成されている。
また電解質層32の周囲においては、電極層31および前記中間層(図示せず)からのガスのリークを抑制することができる。説明すると、電気化学素子AをSOFCの構成要素として用いる場合、SOFCの作動時には、第一板状体1の裏側から貫通孔11を通じて電極層31へガスが供給される。電解質層32が第一板状体1に接している部位においては、ガスケット等の別部材を設けることなく、ガスのリークを抑制することができる。なお、本実施形態では電解質層32によって電極層31の周囲をすべて覆っているが、電極層31および前記中間層の上部に電解質層32を設け、周囲にガスケット等を設ける構成としてもよい。
電解質層32の材料としては、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)、LSGM(ストロンチウム・マグネシウム添加ランタンガレート)等の酸素イオンを伝導する電解質材料や、ペロブスカイト型酸化物等の水素イオンを伝導する電解質材料を用いることができる。特にジルコニア系のセラミックスが好適に用いられる。電解質層32をジルコニア系セラミックスとすると、電気化学素子Aを用いたSOFCの稼働温度をセリア系セラミックスや種々の水素イオン伝導性材料に比べて高くすることができる。例えば電気化学素子AをSOFCに用いる場合、電解質層32の材料としてYSZのような650℃程度以上の高温域でも高い電解質性能を発揮できる材料を用い、システムの原燃料に都市ガスやLPG等の炭化水素系の原燃料を用い、原燃料を水蒸気改質等によってSOFCのアノードガスとするシステム構成とすると、SOFCのセルスタックで生じる熱を原燃料ガスの改質に用いる高効率なSOFCシステムを構築することができる。
電解質層32は、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD(化学気相成長)法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃を越える高温域での焼成を用いずに、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層32が得られる。そのため、第一板状体1の損傷を抑制し、また、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制することができ、性能・耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、スプレーコーティング法を用いると、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層32が低温域で容易に得られやすいので更に好ましい。
電解質層32は、アノードガスやカソードガスのガスリークを遮蔽し、かつ、高いイオン伝導性を発現するために、緻密に構成される。電解質層32の緻密度は90%以上が好ましく、95%以上であるとより好ましく、98%以上であると更に好ましい。電解質層32は、均一な層である場合は、その緻密度が95%以上であると好ましく、98%以上であるとより好ましい。また、電解質層32が、複数の層状に構成されているような場合は、そのうちの少なくとも一部が、緻密度が98%以上である層(緻密電解質層)を含んでいると好ましく、99%以上である層(緻密電解質層)を含んでいるとより好ましい。このような緻密電解質層が電解質層32の一部に含まれていると、電解質層32が複数の層状に構成されている場合であっても、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層32を形成しやすくできるからである。
(反応防止層)
反応防止層35は、電解質層32の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは2μm~50μm程度、より好ましくは3μm~15μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な反応防止層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。前記反応防止層の材料としては、電解質層32の成分と対極電極層33の成分との間の反応を防止できる材料であれば良いが、例えばセリア系材料等が用いられる。また反応防止層35の材料として、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有する材料が好適に用いられる。なお、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有し、これら元素の含有率の合計が1.0質量%以上10質量%以下であるとよい。反応防止層35を電解質層32と対極電極層33との間に導入することにより、対極電極層33の構成材料と電解質層32の構成材料との反応が効果的に抑制され、電気化学素子Aの性能の長期安定性を向上できる。反応防止層35の形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、第一板状体1の損傷を抑制し、また、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できるので好ましい。例えば、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などを適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
(対極電極層)
図5~図10に示すように、対極電極層33を、電解質層32もしくは反応防止層35の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは、5μm~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な対極電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。対極電極層33の材料としては、例えば、LSCF、LSM等の複合酸化物、セリア系酸化物およびこれらの混合物を用いることができる。特に対極電極層33が、La、Sr、Sm、Mn、CoおよびFeからなる群から選ばれる2種類以上の元素を含有するペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。以上の材料を用いて構成される対極電極層33は、カソードとして機能する。
なお、対極電極層33の形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、第一板状体1の損傷を抑制し、また、第一板状体1と電極層31との元素相互拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた電気化学素子Aを実現できるので好ましい。例えば、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PDV法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などを適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
このような電気化学反応部3を構成することで、例えば、第一板状体1の裏側の面から貫通孔11を通じて第一ガスとしての水素を含む燃料ガスを電極層31へ流通し、電極層31の対極となる対極電極層33へ第二ガスとしての空気を流通し、例えば、500℃以上900℃以下の作動温度に維持する。そうすると、電解質層32に酸素イオンを伝導する電解質材料を用いた場合には、対極電極層33において空気に含まれる酸素Oが電子eと反応して酸素イオンO2-が生成される。その酸素イオンO2-が電解質層32を通って電極層31へ移動する。電極層31においては、流通された燃料ガスに含まれる水素Hが酸素イオンO2-と反応し、水HOと電子eが生成される。電解質層32に水素イオンを伝導する電解質材料を用いた場合には、電極層31において流通された燃料ガスに含まれる水素Hが電子eを放出して水素イオンHが生成される。その水素イオンHが電解質層32を通って対極電極層33へ移動する。対極電極層33において空気に含まれる酸素Oと水素イオンH、電子eが反応し水HOが生成される。以上の反応により、電極層31と対極電極層33との間に電気化学出力として起電力が発生する。この場合、電極層31は燃料電池の燃料極(アノード)として機能し、対極電極層33は空気極(カソード)として機能する。
また、図5~図9にて省略したが、図10に示すように、本実施の形態では、電気化学反応部3は電極層31と電解質層32との間に中間層34を備える。さらに、電解質層32と対極電極層33との間には反応防止層35が設けられる。
(電気化学反応部の製造方法)
次に、電気化学反応部3の製造方法について説明する。尚、図5~図9においては、下記中間層34及び反応防止層35を省略した記述としているので、ここでは、主に図10を用いて説明する。
(電極層形成ステップ)
電極層形成ステップでは、第一板状体1の表側の面の貫通孔11が設けられた領域より広い領域に電極層31が薄膜の状態で形成される。第一板状体1の貫通孔11はレーザー加工等によって設けることができる。電極層31の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、第一板状体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
電極層形成ステップを低温焼成法で行う場合には、具体的には以下の例のように行う。まず電極層31の材料粉末と溶媒(分散媒)とを混合して材料ペーストを作製し、第一板状体1の表側の面に塗布し、800℃~1100℃で焼成する。
(拡散抑制層形成ステップ)
上述した電極層形成ステップにおける焼成工程時に、第一板状体1の表面に金属酸化物層12(拡散抑制層)が形成される。なお、上記焼成工程に、焼成雰囲気を酸素分圧が低い雰囲気条件とする焼成工程が含まれていると元素の相互拡散抑制効果が高く、抵抗値の低い良質な金属酸化物層12(拡散抑制層)が形成されるので好ましい。電極層形成ステップを、焼成を行わないコーティング方法とする場合を含め、別途の拡散抑制層形成ステップを含めても良い。いずれにおいても、第一板状体1の損傷を抑制可能な1100℃以下の処理温度で実施することが望ましい。
(中間層形成ステップ)
中間層形成ステップでは、電極層31を覆う形態で、電極層31の上に中間層34が薄層の状態で形成される。中間層34の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、第一板状体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
中間層形成ステップを低温焼成法で行う場合には、具体的には以下の例のように行う。
まず、中間層34の材料粉末と溶媒(分散媒)とを混合して材料ペーストを作製し、第一板状体1の表側の面に塗布する。そして中間層34を圧縮成形し(中間層平滑化工程)、1100℃以下で焼成する(中間層焼成工程)。中間層34の圧延は、例えば、CIP(Cold Isostatic Pressing 、冷間静水圧加圧)成形、ロール加圧成形、RIP(Rubber Isostatic Pressing)成形などにより行うことができる。また、中間層34の焼成は、800℃以上1100℃以下の温度で行うと好適である。このような温度であると、第一板状体1の損傷・劣化を抑制しつつ、強度の高い中間層34を形成できるためである。また、中間層34の焼成を1050℃以下で行うとより好ましく、1000℃以下で行うと更に好ましい。これは、中間層34の焼成温度を低下させる程に、第一板状体1の損傷・劣化をより抑制しつつ、電気化学素子Aを形成できるからである。また、中間層平滑化工程と中間層焼成工程の順序を入れ替えることもできる。
なお、中間層平滑化工程は、ラップ成形やレベリング処理、表面の切削・研磨処理などを施すことによって行うことでもできる。
(電解質層形成ステップ)
電解質層形成ステップでは、電極層31および中間層34を覆った状態で、電解質層32が中間層34の上に薄層の状態で形成される。また、厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成されても良い。電解質層32の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、第一板状体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
緻密で気密性およびガスバリア性能の高い、良質な電解質層32を1100℃以下の温度域で形成するためには、電解質層形成ステップをスプレーコーティング法で行うことが望ましい。その場合、電解質層32の材料を第一板状体1上の中間層34に向けて噴射し、電解質層32を形成する。
(反応防止層形成ステップ)
反応防止層形成ステップでは、反応防止層35が電解質層32の上に薄層の状態で形成される。反応防止層35の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、第一板状体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。なお反応防止層35の上側の面を平坦にするために、例えば反応防止層35の形成後にレベリング処理や表面を切削・研磨処理を施したり、湿式形成後焼成前に、プレス加工を施してもよい。
(対極電極層形成ステップ)
対極電極層形成ステップでは、対極電極層33が反応防止層35の上に薄層の状態で形成される。対極電極層33の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、第一板状体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
以上の様にして、電気化学反応部3を製造することができる。
なお電気化学反応部3において、中間層34と反応防止層35とは、何れか一方、あるいは両方を備えない形態とすることも可能である。すなわち、電極層31と電解質層32とが接触して形成される形態、あるいは電解質層32と対極電極層33とが接触して形成される形態も可能である。この場合に上述の製造方法では、中間層形成ステップ、反応防止層形成ステップが省略される。なお、他の層を形成するステップを追加したり、同種の層を複数積層したりすることも可能であるが、いずれの場合であっても、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
(電気化学素子積層体)
図11に示すように、電気化学素子積層体S(電気化学素子集合体)は、電気化学素子Aを複数有し、隣接する電気化学素子Aに関して、一つの電気化学素子Aを構成する板状支持体10と、他の一つの電気化学素子Aを構成する板状支持体10とが対向する形態で、且つ、一つの電気化学素子Aを構成する板状支持体10における電気化学反応部3が配置される第一板状体1とは別の第二板状体2の外面と、他の一つの電気化学素子Aを構成する板状支持体10における第一板状体1の外面とが電気的に接続される形態で、且つ、これら両外面どうしの隣接間に、当該両外面に沿って第二ガスが通流する通流部A2が形成される形態で、複数の電気化学素子Aが積層配置(集合配置)されている。電気的に接続させるためには、電気伝導性表面部同士を単純に接触させる他、接触面に面圧を印可したり、高電気伝導性の材料を介在させて接触抵抗を下げる方法などが採用可能である。具体的には、長方形状の各電気化学素子が一端部の第一貫通部41と他端部の第二貫通部51とを揃えた状態で、それぞれの電気化学素子Aの電気化学反応部3が上向きになる状態で整列して、各第一貫通部41、第二貫通部51同士の間に第一環状シール部42、第二環状シール部52を介在して、積層(集合)されることにより、上記構成となる。
板状支持体10には、表面貫通方向外方から内部流路A1に還元性成分ガス及び酸化性成分ガスのうちの一方である第一ガスを流通する供給路4を形成する第一貫通部41を長方形状の板状支持体10の長手方向一端部側に備え、通流部A2内において、板状支持体10の両外面に夫々形成される第一貫通部41を通流部A2と区画する環状シール部としての第一環状シール部42を備え、第一貫通部41及び第一環状シール部42により、第一ガスを内部流路A1に流通する供給路4が形成される。尚、第一板状体1における第一環状シール部42の接当する部位の周囲には第一板状体1における前記内部流路A1とは反対側面に環状の膨出部aを設けて第一環状シール部42の第一板状体1の面に沿う方向での位置決めを容易にしてある。
また、板状支持体10は、内部流路A1を通流した第一ガスを板状支持体10の表面貫通方向外方へ流通する排出路5を形成する第二貫通部51を他端部側に備え、第二貫通部51は、第二ガスと区画された状態で第一ガスを通流させる構成であり、通流部A2内において、板状支持体10の両外面に夫々形成される第二貫通部51を通流部A2と区画する環状シール部としての第二環状シール部52を備え、第二貫通部51及び第二環状シール部52により、内部流路A1を通流した第一ガスを流通する排出路5が形成される。
第一、第二環状シール部42,52は、アルミナ等の絶縁性セラミックス材料やこれを被覆した金属、あるいは、マイカ繊維、ガラスなどの材料からなり、隣接する電気化学素子どうしを電気的に絶縁する絶縁シール部として機能する。
(電気化学モジュール)
図11に示すように、電気化学モジュールMは、電気化学素子積層体Sを内装する絶縁体からなる筐体Bと、筐体Bの外部から供給路4を介して内部流路A1に第一ガスを流通する第一ガス供給部61と、反応後の第一ガスを流通する第一ガス排出部62と、筐体Bの外部から通流部A2に第二ガスを流通する第二ガス供給部71と、反応後の第二ガスを流通する第二ガス排出部72と、電気化学反応部3における電気化学反応に伴う出力を得る出力部8とを備え、筐体B内に、第二ガス供給部71から流通される第二ガスを通流部A2に分配流通する分配室9を備えている。
分配室9は、電気化学素子積層体Sに対して当該電気化学素子積層体Sの流通部の入口や出口となる側(側方)に位置する空間であり、通流部A2は、空間側に開口形成されて当該空間と連通している。
電気化学素子積層体Sは、筐体Bに対して、一対の集電体81、82に挟持された状態で内装されており、この集電体81、82に出力部8が延設され、筐体B外部の電力供給先に電力供給自在に接続されるとともに、集電体81,82は筐体Bに対して電気化学素子積層体Sを気密に収容し、かつ集電体81,82が各電気化学素子Aに対する緩衝材として機能するよう設けられている。
これにより電気化学モジュールMは、第一ガス供給部61から燃料ガスを流通するとともに、第二ガス供給部71から空気を流通することで、図11破線矢印に示すように燃料ガスが進入し実線矢印に示すように空気が進入する。第一ガス供給部61から流通された燃料ガスは、電気化学素子積層体Sの最上部の電気化学素子Aの第一貫通部41より供給路4に誘導され、第一環状シール部42により区画される供給路4より、すべての電気化学素子Aの内部流路A1に通流する。また第二ガス供給部71から流通された空気は、分配室9に一時流入したのち、各電気化学素子A間に形成される通流部A2に通流する。
ちなみに、第二板状体2を基準にすると、波板状の第二板状体2部分が第一板状体1から膨出する部分で第一板状体1と第二板状体2との間に内部流路A1が形成されるとともに、隣接する電気化学素子Aの電気化学反応部3に接触して電気接続可能にする。一方、波板状の第二板状体2が第一板状体1と接触する部分が第一板状体1と電気接続し、第二板状体2と隣接する電気化学素子Aの電気化学反応部3との間に通流部A2を形成する。
図10の一部に内部流路A1を含む断面の現れる電気化学素子Aと、通流部A2を含む断面の現れる電気化学素子Aとを便宜的に並べて示す部分があるが、第一ガス供給部61から流通された燃料ガスは、分配部A12に達し(図1,4,7参照)、分配部A12を介して一端部側の幅方向に沿って広がって流れ、内部流路A1のうち各副流路A11に達する(図1,図3,図7参照)。すると、内部流路A1に進入した燃料ガスは気体通流許容部1Aを介して電極層31に進入できる。また、燃料ガスは、電気化学反応済みの燃料ガスとともに、さらに内部流路A1を進み、合流部A13、第二貫通部51を介して、第二環状シール部52によって形成される排出路5に進み、他の電気化学素子Aからの電気化学反応済みの燃料ガスとともに第一ガス排出部62より筐体B外に流通される。一方、第二ガス供給部71から流通された空気は、分配室9を介して通流部A2に進入し、対極電極層33に進入できる。また、空気は、電気化学反応済みの空気とともに、さらに電気化学反応部3に沿って通流部A2を進み第二ガス排出部72より筐体B外に流通される。
この燃料ガス及び空気の流れに従って電気化学反応部3で生じた電力は、隣接する電気化学素子Aの電気化学反応部3と第二板状体2との接触により集電体81,82どうしの間で直列に接続され、合成出力が出力部8より取り出される形態となる。
以上説明した電気化学モジュールMを用いて、電気化学装置100およびエネルギーシステムZを構築することができる。
なお、電気化学モジュールMにおいて、電気化学素子Aが積層されていなくてもよい。換言すれば、電気化学モジュールMにおいて、電気化学素子Aが複数集合した状態で配置されてもよい。
(環状スペーサ)
図3、図8、図9、図11に示されるように、電気化学素子Aの夫々において、環状スペーサ91が第一板状体1と第二板状体2との間に配置されている。環状スペーサ91は、板状支持体10における一端部側(第一貫通部41)及び他端部側(第二貫通部51)に配置されている。
(環状スペーサの第1例)
図15、図16、図17を参照しながら、環状スペーサ91の第1例について説明する。なお、図17の断面図では、環状スペーサ91の断面は、図16に示される面CS1による断面として描かれている。
環状スペーサ91は、表裏にわたる貫通孔91aを備える板状の部材である。環状スペーサ91は、他の部材(第一板状体1及び第二板状体2)に挟まれた状態で貫通孔91aの内側の空間SIから環状スペーサ91の外側の空間SOまで気体を通流させる流路91bを備える。
具体的には、環状スペーサ91は、中央に貫通孔91aを有する円盤状の部材である。環状スペーサ91は、プレス加工により一体的に形成され得る。環状スペーサ91は、電気伝導性を有する材料により形成されてもよい。例えば、環状スペーサ91は金属製である。環状スペーサ91の材料が、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、インコネル、銅及びインバー材を何れか1つ以上含むと好ましい。環状スペーサ91の材料が絶縁体でもよい。
第1例の環状スペーサ91は、基部92と、突出部93と、フランジ部94と、を備える。
基部92は、平板状に延びる部位である。
突出部93は、基部92において、周囲よりも表裏方向(図17における上下方向、電気化学素子における上下方向)に突出する部位である。図示例では、環状スペーサ91は、周方向に均等に並んで配置される8個の突出部93を備える。突出部93の上面は平坦である。全ての突出部93の上面は、ほぼ同じ高さである。環状スペーサ91が、表面と裏面との両方に突出部を備えてもよい。突出部93の数は、8に限られず、1から7でもよいし、9以上でもよい。
フランジ部94は、基部92の中央部において、表裏方向に突出するフランジ状の部位である。フランジ部94は、貫通孔91aの周壁である。図示例では、フランジ部94は、表裏方向において突出部93と反対側に突出している。フランジ部94は、環状に形成されている。フランジ部94は、連続した円環状である。フランジ部94の一部が切り欠かれていてもよい。換言すれば、フランジ部94が、非連続の環状であってもよい。
図17に、第1例の環状スペーサ91が第一板状体1と第二板状体2との間に配置された状態が示されている。フランジ部94が、第二板状体2の第二貫通部51(貫通孔2b)に入り込んでいる。フランジ部94により、環状スペーサ91が第二板状体2に対して位置決めされる。環状スペーサ91の上面、すなわち突出部93の上面が、第一板状体1の下面と接触する。基部92の下面が、第二板状体2の上面と接触する。環状スペーサ91を通じて、第一板状体1と第二板状体2とが導通可能である。環状スペーサ91が無い場合に比べて、第一板状体1と第二板状体2との間の電気伝導性が向上する。
突出部93の存在により、基部92と第一板状体1との間に空間Pが生じる。空間Pは、突出部93の周囲の空間である。空間Pは、板状支持体10の内部流路A1(環状スペーサ91の外側の空間SO)と、環状スペーサ91の貫通孔91aの内側の空間SIとを連結する。空間Pは、2つの突出部93の間に形成される。環状スペーサ91は8個の突出部93を備えるので、8個の空間Pが、貫通孔91aの周りに周方向に並んで位置することになる。
図17に示されるように、環状スペーサ91は、その中心軸(貫通孔91aの中心軸)が第二貫通部51の中心軸と一致する状態で配置される。詳しくは、環状スペーサ91は、その中心軸(貫通孔91aの中心軸)が、第一板状体1に形成された貫通孔1bの中心軸、第二板状体2に形成された貫通孔2bの中心軸、及び第二環状シール部52の中心軸と一致する状態で配置される。従って、環状スペーサ91は、板状支持体10の厚さ方向視において第二貫通部51(貫通孔2b)と環状スペーサ91の貫通孔91aとが重なるように配置される。本実施形態では、環状スペーサ91は、第二貫通部51(貫通孔2b)と貫通孔91aの全体とが重なるように配置される。環状スペーサ91が、第二貫通部51(貫通孔2b)と貫通孔91aの一部とが重なるように配置されてもよい。
図17は、環状スペーサ91が板状支持体10における他端部側(第二貫通部51)に配置されている状態を示す。板状支持体10の一端部側(第一貫通部41)に配置される環状スペーサ91も、図17の図示例と同様の形態である。
第一貫通部41に燃料ガス(第一ガス。「気体」の一例)が供給されると、燃料ガスは環状スペーサ91の貫通孔91aから空間Pを通って内部流路A1へ流入する。そして内部流路A1を通流した燃料ガスは、第二貫通部51の側の環状スペーサ91の空間Pを通って貫通孔91aへ流入し、第二貫通部51へ流出する。このようにして、空間Pが流路91bとして機能する。
環状スペーサ91は、8個の空間Pに対応して、8個の流路91bを備える。8個の流路91bは、貫通孔91aから放射状に延びている。8個の流路91bは、周方向に並んで配置されている。従って、第一貫通部41からの第一ガスを内部流路A1(分配部A12)に効果的に拡散させることができる。すなわち、環状スペーサ91により、第一ガスを複数の副流路A11に均一に供給することができる。
(環状スペーサの第2例)
図18、図19、図20を参照しながら、環状スペーサ91の第2例について説明する。なお、図20の断面図では、環状スペーサ91の断面は、図19に示される面CS2による断面として描かれている。
第2例の環状スペーサ91は、第1例と同様に、表裏にわたる貫通孔91aを備える板状の部材である。環状スペーサ91は、他の部材(第一板状体1及び第二板状体2)に挟まれた状態で貫通孔91aの内側の空間SIから環状スペーサ91の外側の空間SOまで気体を通流させる流路91bを備える。
具体的には、環状スペーサ91は、中央に貫通孔91aを有する円盤状の部材である。環状スペーサ91は、プレス加工により一体的に形成され得る。環状スペーサ91は、電気伝導性を有する材料により形成されてもよい。例えば、環状スペーサ91は金属製である。環状スペーサ91の材料が、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、インコネル、銅及びインバー材を何れか1つ以上含むと好ましい。環状スペーサ91の材料が絶縁体でもよい。
第2例の環状スペーサ91は、第1部位95と、第2部位96と、を備える。
第1部位95は、平板状に延びる部位である。図示例では、環状スペーサ91は、周方向に隙間Tを空けて配置される8個の第1部位95を備える。第1部位95の上面及び下面は平坦である。全ての第1部位95の上面及び下面は、ほぼ同じ高さである。換言すれば、全ての第1部位95は、同一平面上に配置される。第1部位95の上面の高さ、下面の高さ、及び厚さが、第1部位95のうちで互いに異なってもよい。第1部位95の数は、8に限られず、2から7でもよいし、9以上でもよい。
隙間Tは、環状スペーサ91の外周端から貫通孔91aまで延びている。環状スペーサ91は8個の第1部位95を備えるので、8個の隙間Tが、貫通孔91aの周りに周方向に並んで位置することになる。図示例では、8個の隙間Tの幅は同じである。隙間Tの幅が異なっていてもよい。
第2部位96は、複数の第1部位95を連結する部位である。第2部位96は、環状スペーサ91の中央部において、表裏方向に突出するフランジ状の部位である。第2部位96は、貫通孔91aの周壁である。第2部位96は、第1部位95の下面に接続され、第1部位95から下方に突出している。図示例では、第2部位96は、環状に形成されている。第2部位96の一部が切り欠かれていてもよい。換言すれば、第2部位96が、非連続の環状であってもよい。
図20に、第2例の環状スペーサ91が第一板状体1と第二板状体2との間に配置された状態が示されている。第2部位96が、第二板状体2の第二貫通部51(貫通孔2b)に入り込んでいる。第2部位96により、環状スペーサ91が第二板状体2に対して位置決めされる。環状スペーサ91の上面、すなわち第1部位95の上面が、第一板状体1の下面と接触する。第1部位95の下面が、第二板状体2の上面と接触する。環状スペーサ91を通じて、第一板状体1と第二板状体2とが導通可能である。環状スペーサ91が無い場合に比べて、第一板状体1と第二板状体2との間の電気伝導性が向上する。
図20の状態では、隙間Tは、2つの第1部位95と第一板状体1と第二板状体2とに囲まれる。隙間Tは、板状支持体10の内部流路A1(環状スペーサ91の外側の空間SO)と、環状スペーサ91の貫通孔91aの内側の空間SIとを連結する。
図20に示されるように、また第1例と同様に、環状スペーサ91は、その中心軸(貫通孔91aの中心軸)が第二貫通部51の中心軸と一致する状態で配置される。詳しくは、環状スペーサ91は、その中心軸(貫通孔91aの中心軸)が、第一板状体1に形成された貫通孔1bの中心軸、第二板状体2に形成された貫通孔2bの中心軸、及び第二環状シール部52の中心軸と一致する状態で配置される。従って、環状スペーサ91は、板状支持体10の厚さ方向視において第二貫通部51(貫通孔2b)と環状スペーサ91の貫通孔91aとが重なるように配置される。本実施形態では、環状スペーサ91は、第二貫通部51(貫通孔2b)と貫通孔91aの全体とが重なるように配置される。環状スペーサ91が、第二貫通部51(貫通孔2b)と貫通孔91aの一部とが重なるように配置されてもよい。
図20は、環状スペーサ91が板状支持体10における他端部側(第二貫通部51)に配置されている状態を示す。板状支持体10の一端部側(第一貫通部41)に配置される環状スペーサ91も、図20の図示例と同様の形態である。
第一貫通部41に燃料ガス(第一ガス。「気体」の一例)が供給されると、燃料ガスは環状スペーサ91の貫通孔91aから隙間Tを通って内部流路A1へ流入する。そして内部流路A1を通流した燃料ガスは、第二貫通部51の側の環状スペーサ91の隙間Tを通って貫通孔91aへ流入し、第二貫通部51へ流出する。このようにして、隙間Tが流路91bとして機能する。
環状スペーサ91は、8個の隙間Tに対応して、8個の流路91bを備える。8個の流路91bは、貫通孔91aから放射状に延びている。8個の流路91bは、周方向に並んで配置されている。従って、第一貫通部41からの第一ガスを内部流路A1(分配部A12)に効果的に拡散させることができる。すなわち、環状スペーサ91により、第一ガスを複数の副流路A11に均一に供給することができる。
第1例及び第2例に共通する環状スペーサ91の利点について述べる。電気化学モジュールMにおいて、複数の電気化学素子Aが積層される。複数の電気化学素子Aは、その積層方向に圧接される。そうすると、第一環状シール部42及び第二環状シール部52から板状支持体10へ、力が作用する。すなわち、板状支持体10には、厚さ方向に圧縮する力が作用する。環状スペーサ91の存在により、板状支持体10の変形(特に、厚さ方向の変形)が抑制される。また、板状支持体10から第一環状シール部42及び第二環状シール部52への反力が大きくなる。第一環状シール部42及び第二環状シール部52が、板状支持体10に強く押しつけられる。第一環状シール部42と板状支持体10との接触部、及び、第二環状シール部52と板状支持体10との接触部における気密性が向上する。
環状スペーサ91が、図17、図20の図示例とは上下逆の姿勢で配置されてもよい。換言すれば、環状スペーサ91が、図17、図20の図示例とは表裏が逆の姿勢で配置されてもよい。
第1例及び第2例の環状スペーサ91は、円形の環状である。環状スペーサ91が、楕円形、方形、多角形など、いかなる形状の環状であってもよい。
(エネルギーシステム、電気化学装置)
図12には、エネルギーシステムZおよび電気化学装置100の概要が示されている。
エネルギーシステムZは、電気化学装置100と、電気化学装置100から流通される熱を再利用する排熱利用部としての熱交換器200とを有する。
電気化学装置100は、電気化学モジュールMと、脱硫器101と燃料変換器の一種である改質器102とを有し、電気化学モジュールMに対して還元性成分を含有する燃料ガスを流通する燃料供給部103と、電気化学モジュールMから電力を取り出す出力部8として電力変換器の一種であるインバータ104とを有する。
詳しくは電気化学装置100は、脱硫器101、改質水タンク105、気化器106、改質器102、ブロア107、燃焼部108、インバータ104、制御部110、および電気化学モジュールMを有する。
脱硫器101は、都市ガス等の炭化水素系の原燃料に含まれる硫黄化合物成分を除去(脱硫)する。原燃料中に硫黄化合物が含有される場合、脱硫器101を備えることにより、硫黄化合物による改質器102あるいは電気化学素子Aに対する悪影響を抑制することができる。気化器106は、改質水タンク105から流通される改質水から水蒸気を生成する。改質器102は、気化器106にて生成された水蒸気を用いて脱硫器101にて脱硫された原燃料を水蒸気改質して、水素を含む改質ガスを生成する。
電気化学モジュールMは、改質器102から流通された改質ガスと、ブロア107から流通された空気とを用いて、電気化学反応させて発電する。燃焼部108は、電気化学モジュールMから流通される反応排ガスと空気とを混合させて、反応排ガス中の可燃成分を燃焼させる。
インバータ104は、電気化学モジュールMの出力電力を調整して、商用系統(図示省略)から受電する電力と同じ電圧および同じ周波数にする。制御部110は電気化学装置100およびエネルギーシステムZの運転を制御する。
改質器102は、燃焼部108での反応排ガスの燃焼により発生する燃焼熱を用いて原燃料の改質処理を行う。
原燃料は、昇圧ポンプ111の作動により原燃料供給路112を通して脱硫器101に流通される。改質水タンク105の改質水は、改質水ポンプ113の作動により改質水供給路114を通して気化器106に流通される。そして、原燃料供給路112は脱硫器101よりも下流側の部位で、改質水供給路114に合流されており、筐体B外にて合流された改質水と原燃料とが気化器106に流通される。
改質水は気化器106にて気化され水蒸気となる。気化器106にて生成された水蒸気を含む原燃料は、水蒸気含有原燃料供給路115を通して改質器102に流通される。改質器102にて原燃料が水蒸気改質され、水素ガスを主成分とする改質ガス(還元性成分を有する第一ガス)が生成される。改質器102にて生成された改質ガスは、燃料供給部103を通して電気化学モジュールMに流通される。
反応排ガスは燃焼部108で燃焼され、燃焼排ガスとなって燃焼排ガス排出路116から熱交換器200に送られる。燃焼排ガス排出路116には燃焼触媒部117(例えば、白金系触媒)が配置され、燃焼排ガスに含有される一酸化炭素や水素等の還元性成分を燃焼除去される。
熱交換器200は、燃焼部108における燃焼で生じた燃焼排ガスと、流通される冷水とを熱交換させ、温水を生成する。すなわち熱交換器200は、電気化学装置100から排出される熱を再利用する排熱利用部として動作する。
なお、排熱利用部の代わりに、電気化学モジュールMから(燃焼されずに)流通される反応排ガスを利用する反応排ガス利用部を設けてもよい。また、第一ガス排出部62より筐体B外に流通される反応排ガスの少なくとも一部を図12中の100,101,103,106,112,113,115の何れかの部位に合流させリサイクルしても良い。反応排ガスには、電気化学素子Aにて反応に用いられなかった残余の水素ガスが含まれる。反応排ガス利用部では、残余の水素ガスを利用して、燃焼による熱利用や、燃料電池等による発電が行われ、エネルギーの有効利用がなされる。
図14には、電気化学反応部3を電解セルとして動作させる場合のエネルギーシステムZおよび電気化学装置100の一例が示されている。本システムでは供給された水と二酸化炭素が電気化学反応部3において電気分解され、水素及び一酸化炭素等を生成する。更に燃料変換器25において炭化水素などが合成される。図14中の熱交換器24を、燃料変換器25で起きる反応によって生ずる反応熱と水とを熱交換させ気化させる排熱利用部として動作させるとともに、図14中の熱交換器23を、電気化学素子Aによって生ずる排熱と水蒸気および二酸化炭素とを熱交換させ予熱する排熱利用部として動作させる構成とすることにより、エネルギー効率を高めることができる。
また、電力変換器104(コンバータ)は、電気化学素子Aに電力を流通する。これにより、上記のように電気化学素子Aは電解セルとして作用する。
よって、上記構成によれば、電気エネルギーを燃料等の化学的エネルギーに変換する効率を向上できる電気化学装置100及びエネルギーシステムZ等を提供することができる。
(他の実施形態)
(1)上記の実施形態では、電気化学素子Aを電気化学装置100としての固体酸化物形燃料電池に用いたが、電気化学素子Aは、固体酸化物形電解セルや、固体酸化物を利用した酸素センサ等に利用することもできる。また、電気化学素子Aは、電気化学素子積層体Sや電気化学モジュールMとして複数組み合わせて用いるのに限らず、単独で用いることも可能である。
(2)上記の実施形態では、電極層31の材料として例えばNiOGDC、NiGDC、NiOYSZ、NiYSZ、CuOCeO2、CuCeO2などの複合材を用い、対極電極層33の材料として例えばLSCF、LSM等の複合酸化物を用いた。このように構成された電気化学素子Aは、電極層31に水素ガスを流通して燃料極(アノード)とし、対極電極層33に空気を流通して空気極(カソード)とし、固体酸化物形燃料電池セルとして用いることが可能である。この構成を変更して、電極層31を空気極とし、対極電極層33を燃料極とすることが可能なように、電気化学素子Aを構成することも可能である。すなわち、電極層31の材料として例えばLSCF、LSM等の複合酸化物を用い、対極電極層33の材料として例えばNiOGDC、NiGDC、NiOYSZ、NiYSZ、CuOCeO2、CuCeO2などの複合材を用いる。このように構成した電気化学素子Aであれば、電極層31に空気を流通して空気極とし、対極電極層33に水素ガスを流通して燃料極とし、電気化学素子Aを固体酸化物形燃料電池セルとして用いることができる。
(3)上述の実施形態では、第一板状体1と電解質層32との間に電極層31を配置し、電解質層32からみて第一板状体1と反対側に対極電極層33を配置した。電極層31と対極電極層33とを逆に配置する構成も可能である。つまり、第一板状体1と電解質層32との間に対極電極層33を配置し、電解質層32からみて第一板状体1と反対側に電極層31を配置する構成も可能である。この場合、電気化学素子Aへの気体の流通についても変更する必要がある。
すなわち、電極層31と対極電極層33の順や第一ガス、第二ガスのいずれが還元性成分ガス及び酸化性成分ガスの一方または他方であるかについては、電極層31と対極電極層33に対して第一ガス、第二ガスが適正に反応する形態で流通されるよう配置されていれば、種々形態を採用しうる。
(4)また、上述の実施形態では、気体通流許容部1Aを覆って電気化学反応部3を、第一板状体1の第二板状体2とは反対側に設けたが、第一板状体1の第二板状体2側に設けてもよい。すなわち、電気化学反応部3は内部流路A1に配置される構成であっても本発明は成り立つ。
(5)上記実施の形態では、第一貫通部41、第二貫通部51を長方形状の板状支持体10の両端部に一対設ける形態としたが、両端部に設ける形態に限らず、また、2対以上設ける形態であってもよい。また、第一貫通部41、第二貫通部51は、対で設けられている必要はない。よって、第一貫通部41、第二貫通部51それぞれが、1個以上設けられることができる。
さらに、板状支持体10は長方形状に限らず、正方形状、円形状等種々形態を採用することができる。
(6)第一、第二環状シール部42,52は、第一、第二貫通部41、51どうしを連通させてガスの漏洩を防止できる構成であれば形状は問わない。つまり、第一、第二環状シール部42,52は、内部に貫通部に連通する開口部を有する無端状の構成で、隣接する電気化学素子Aどうしの間をシールする構成あればよい。第一、第二環状シール部42,52は例えば環状である。環状には、円形、楕円形、方形、多角形状等いかなる形状でもよい。
(7)上記では、板状支持体10は、第一板状体1及び第二板状体2により構成されている。ここで、第一板状体1と第二板状体2とは、別体の板状体から構成されていてもよいし、図13に示すように一の板状体から構成されていてもよい。図13の場合例えば、一の板状体が折り曲げられることで、第一板状体1と第二板状体2とが重ね合される。そして、周縁部1aが溶接等されることで第一板状体1と第二板状体2とが一体化される。なお、第一板状体1と第二板状体2とは一連の継ぎ目のない板状体から構成されていてもよく、一連の板状体が折り曲げられることで図13のように成型されてもよい。
また、後述しているが、第二板状体2が一の部材から構成されていてもよいし、2以上の部材から構成されていてもよい。同様に、第一板状体1が一の部材から構成されていてもよいし、2以上の部材から構成されていてもよい。
(8)上記の第二板状体2は、第一板状体1とともに内部流路A1を形成する。内部流路A1は、分配部A12、複数の副流路A11、合流部A13を有している。分配部A12に供給された第一ガスは、図1に示すように、複数の副流路A11それぞれに分配して供給され、複数の副流路A11の出口で合流部A13において合流する。よって、第一ガスは、分配部A12から合流部A13に向かうガス流れ方向に沿って流れる。
複数の副流路A11は、第二板状体2のうち分配部A12から合流部A13以外の部分を波板状に形成することで構成されている。そして、図5に示すように、複数の副流路A11は、第一ガスのガス流れ方向に交差する流れ交差方向での断面視において波板状に構成されている。このような複数の副流路A11は、図1に示すガス流れ方向に沿って波板が延びて形成されている。複数の副流路A11は、分配部A12と合流部A13との間で一連の波状の板状体から形成されていてもよいし、2以上の波状の板状体から構成されていてもよい。複数の副流路A11は、例えば、ガス流れ方向に沿う方向に沿って分離した2以上の波状の板状体から構成されていてもよいし、流れ交差方向に沿う方向に沿って分離した2以上の波状の板状体から構成されていてもよい。
また、複数の副流路A11は、図5に示すように同一形状の山及び谷が繰り返し形成されることで波形に構成されている。しかし、第二板状体2は、複数の副流路A11が形成される領域において板状部分を有していてもよい。例えば、複数の副流路A11は、板状部分と突状部分とが交互に形成されることで構成されていてもよい。そして、突状部分を第一ガス等の流体が通流する部分とすることができる。
(9)上記の第二板状体2において複数の副流路A11に相当する部分は、全面が波板状に形成されている必要はなく、少なくとも一部が波板状に形成されていればよい。第二板状体2は、例えば、分配部A12と合流部A13との間において、ガス流れ方向の一部が平板状であり、残りが波板状であってもよい。また、第二板状体2は、流れ交差方向の一部が平板状であり、残りが波板状であってもよい。
(10)上記実施形態において、電気化学装置は、複数の電気化学素子Aを備える電気化学モジュールMを備えている。しかし、上記実施形態の電気化学装置は1つの電気化学素子を備える構成にも適用可能である。
なお、上記の実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、環状スペーサ、電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池および固体酸化物形電解セルに利用可能である。
1 :第一板状体
2 :第二板状体
10 :板状支持体
25 :燃料変換器
31 :電極層(第1電極、第2電極)
32 :電解質層
33 :対極電極層(第1電極、第2電極)
41 :第一貫通部(貫通部)
51 :第二貫通部(貫通部)
91 :環状スペーサ
91a :貫通孔
91b :流路
93 :突出部
95 :第1部位
96 :第2部位
100 :電気化学装置
104 :電力変換器
200 :熱交換器(排熱利用部)
A :電気化学素子
A1 :内部流路
CS1 :面
CS2 :面
M :電気化学モジュール
P :空間
SI :空間
SO :空間
T :隙間
Z :エネルギーシステム


Claims (13)

  1. 表裏にわたる貫通孔を備える板状の環状スペーサであって、他の部材に挟まれた状態で前記貫通孔の内側の空間から前記環状スペーサの外側の空間まで気体を通流させる流路を備える環状スペーサ。
  2. 表面及び裏面の少なくとも一方に周囲よりも表裏方向に突出する突出部を備え、前記突出部の周囲の空間が前記流路として機能する請求項1に記載の環状スペーサ。
  3. 隙間を空けて配置される複数の第1部位と、前記第1部位を連結する第2部位と、を備え、前記隙間が前記流路として機能する請求項1に記載の環状スペーサ。
  4. 電気伝導性を有する材料により形成される請求項1から3のいずれか1項に記載の環状スペーサ。
  5. 前記材料が、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、インコネル、銅及びインバー材を何れか1つ以上含む請求項4に記載の環状スペーサ。
  6. 電解質層と、前記電解質層の両側にそれぞれ配置されている第1電極及び第2電極と、前記電解質層と前記第1電極と前記第2電極とを支持する板状支持体と、を備える電気化学素子であって、
    前記板状支持体は、導電性の第一板状体と、導電性の第二板状体と、前記第一板状体と前記第二板状体との対向面間に形成された内部流路と、を備え、
    請求項1から5の何れか1項に記載の環状スペーサが前記第一板状体と前記第二板状体との間に配置されている電気化学素子。
  7. 前記第一板状体及び前記第二板状体のうち少なくとも一方が、前記内部流路への気体の供給路を形成する貫通部を備え、前記板状支持体の厚さ方向視において前記貫通部と前記環状スペーサの前記貫通孔とが重なるように、前記環状スペーサが配置されている請求項6に記載の電気化学素子。
  8. 請求項6または7に記載の電気化学素子が複数集合した状態で配置される電気化学モジュール。
  9. 請求項6または7に記載の電気化学素子もしくは請求項8に記載の電気化学モジュールと、前記電気化学素子または前記電気化学モジュールに供給する還元性成分を生成する、或いは、前記電気化学素子または前記電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器とを少なくとも有する電気化学装置。
  10. 請求項6または7に記載の電気化学素子もしくは請求項8に記載の電気化学モジュールと、前記電気化学素子もしくは前記電気化学モジュールから電力を取り出すあるいは前記電気化学素子もしくは前記電気化学モジュールに電力を流通する電力変換器とを少なくとも有する電気化学装置。
  11. 請求項9または10に記載の電気化学装置と、前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部とを有するエネルギーシステム。
  12. 請求項6または7に記載の電気化学素子を備え、前記電気化学素子で発電反応を生じさせる固体酸化物形燃料電池。
  13. 請求項6または7に記載の電気化学素子を備え、前記電気化学素子で電解反応を生じさせる固体酸化物形電解セル。
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