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JP2022154726A - 摩擦攪拌接合部の検査方法及び接合装置 - Google Patents

摩擦攪拌接合部の検査方法及び接合装置 Download PDF

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JP2022154726A JP2021057900A JP2021057900A JP2022154726A JP 2022154726 A JP2022154726 A JP 2022154726A JP 2021057900 A JP2021057900 A JP 2021057900A JP 2021057900 A JP2021057900 A JP 2021057900A JP 2022154726 A JP2022154726 A JP 2022154726A
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Abstract

Figure 2022154726000001
【課題】二以上の部材の重なり部を摩擦攪拌と締結体とを用いて接合してなる摩擦攪拌接合部の検査を的確に行う。
【解決手段】摩擦攪拌接合部は、第1部材31と、第1部材31の下層に配置される第2部材32とを含む重なり部30に、第2部材32側を裏当て材15で支持した状態で、第1部材32側から摩擦攪拌点接合用のツール1を圧入して摩擦攪拌部4を形成すると共に、当該摩擦攪拌部4に第1部材31側からリベット5を圧入して形成される。このような摩擦攪拌接合部の検査方法は、リベット5の下端部522が裏当て材15に当接したか否かを検出するステップを含む。ピン通電部25からピン部材11に直流電圧を印加したときに、ピン部材11と裏当て材15との間に電流が流れたか否かにより、リベット5が重なり部30を貫通する貫通エラーが発生したか否かを検出する。
【選択図】図7

Description

本発明は、二以上の部材の重なり部を、摩擦攪拌と締結体とを用いて接合してなる摩擦攪拌接合部の検査方法、及び前記重なり部の接合装置に関する。
航空機、鉄道車両又は自動車などの構造物の構成部材として、金属部材、樹脂部材、繊維強化材が混合された熱可塑性樹脂部材などが用いられている。前記構造物の製造に際しては、二以上の部材を重ね合わせての接合が必要となる場合がある。この接合の手法として、リベットのような締結体を用いた接合や、摩擦攪拌を用いた接合が知られている。
特許文献1には、ブラインドリベットを用いた接合方法が開示されている。この接合方法では、二つの部材の重なり部に、その表面側から鍔部付きブラインドリベットを打設して当該重なり部を貫通させる。その後、重なり部の背面側においてブラインドリベットの前記貫通した部分を膨出変形させることで、その膨出部と前記鍔部とで前記重なり部を挟持する態様の接合部が形成される。
特許第5250429号公報
特許文献1の方法で作製された接合部は、前記膨出部及び前記鍔部が外部に露呈する態様となる。このため、前記接合部が正常に施行されているか否かの検査は、目視若しくは画像処理にて比較的容易に行うことができる。しかし、締結体が重なり部を貫通しない態様で打設して形成される接合部について、当該締結体が正常な形状で前記重なり部へ圧入されているか否かを検査することは難しい。
本発明は、二以上の部材の重なり部を摩擦攪拌と締結体とを用いて接合してなる摩擦攪拌接合部の検査を的確に行うことができる検査方法、及び前記検査方法を実行可能な接合装置を提供することを目的とする。
本発明の一の局面に係る摩擦攪拌接合部の検査方法は、第1部材と、前記第1部材の下層に配置される第2部材とを含む重なり部に、前記第2部材側を裏当て材で支持した状態で前記第1部材から摩擦攪拌ツールを圧入して摩擦攪拌部を形成すると共に、当該摩擦攪拌部に前記第1部材側から締結体を圧入して形成された摩擦攪拌接合部の検査方法であって、前記締結体の一部が前記裏当て材に当接したか否かを検出する。
この検査方法によれば、締結体が摩擦攪拌部及び第2部材を貫通して裏当て材に当接したことを検出できる。つまり、前記締結体が、例えば第2部材の母材に対してインターロック部を形成するような、当該締結体に予定されている変形を為すことなく、前記摩擦攪拌部を貫通してしまった不良施行を検出することができる。従って、重なり部を貫通しない態様で締結体が打設される摩擦攪拌接合部の検査を的確に行わせることができる。
本発明の他の局面に係る接合装置は、第1部材と、前記第1部材の下層に配置される第2部材とを含む重なり部を接合する接合装置であって、前記第1部材側から前記重なり部に圧入され、当該重なり部に摩擦攪拌部を形成する摩擦攪拌ツールと、前記摩擦攪拌部に前記第1部材から締結体を圧入する圧入ツールと、前記重なり部を前記第2部材側から支持する裏当て材と、前記締結体の一部が前記裏当て材に当接したか否かを検出する検出手段と、を備える。
この接合装置によれば、摩擦攪拌部に締結体を圧入して摩擦攪拌接合部を形成する一連の工程において、締結体の一部が前記裏当て材に当接したか否かを検出することが可能となる。すなわち、前記締結体が、予定されている変形を為すことなく、前記摩擦攪拌部を貫通してしまった不良施行を、摩擦攪拌接合部の形成工程において検出することができる。従って、品質保証が為された接合部を形成する接合装置を提供することができる。
本発明によれば、二以上の部材の重なり部を摩擦攪拌と締結体とを用いて接合してなる摩擦攪拌接合部の検査を的確に行うことができる検査方法、及び前記検査方法を実行可能な接合装置を提供することができる。
図1は、本発明に係る摩擦攪拌接合部の検査方法を実行可能な、複動式の摩擦攪拌点接合装置の構成を示す模式図である。 図2(A)は、第1部材と第2部材との重なり部を示す断面図、図2(B)は、リベット(締結体)の一部破断側面図、図2(C)は、摩擦攪拌とリベットとを併用して接合された接合体の断面図である。 図3は、摩擦攪拌点接合装置の電気的構成を示すブロック図である。 図4は、リベット併用摩擦攪拌接合の準備状況を示す断面図である。 図5(A)~(D)は、リベット併用摩擦攪拌接合の実施状況を順次示す断面図である。 図6は、本実施形態に係るリベット併用摩擦攪拌接合部の検査方法の工程チャートを示す図である。 図7は、リベットの貫通エラーの検査工程の一例を示す模式図である。 図8は、リベットの貫通エラーの検査工程の他の例を示す模式図である。 図9は、リベットのヘッド部の浮き検査工程の一例を示す模式図である。 図10(A)は、ヘッド部の浮きが生じていない接合部を、図10(B)は、ヘッド部に浮きが生じている接合部を各々示す断面図である。 図11は、リベットの筒体部の拡開度合いの検査工程の一例を示す模式図である。 図12は、リベットの筒体部の拡開度合いの検査工程の他の例を示す模式図である。 図13は、リベットの外部加熱の実施状況を示す断面図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明において検査対象となる摩擦攪拌接合部は、例えば、金属、熱可塑性樹脂、熱可塑性複合材等からなるプレート、フレーム、外装材或いは柱状材等の構造部材を、二つ以上重ね合わせて点接合してなる接合部である。この摩擦攪拌接合部を備えた接合体は、例えば、航空機、鉄道車両又は自動車などの構造物の構成部材となる。
[摩擦攪拌点接合装置の構成]
図1は、本発明に係る摩擦攪拌接合部の検査方法を実行可能な、複動式の摩擦攪拌点接合装置M(接合装置)の構成を示す模式図である。摩擦攪拌点接合装置Mは、例えば6軸の可動関節軸を有するロボットアームを備えた多関節ロボットのアーム先端に取り付けられる。なお、1軸に沿って昇降だけを行う機械装置に摩擦攪拌点接合装置Mが取り付けられていても良い。さらに、単動式の摩擦攪拌点接合装置を用いることもできる。
摩擦攪拌点接合装置Mは、複動式の摩擦攪拌点接合用のツール1と、ツール1を回転及び昇降駆動するツール駆動部2と、ツール1をワークに対して固定するツール固定部17とを含む。なお、図1には「上」「下」の方向表示を付しているが、これは説明の便宜のためであり、実際のツール1の使用方向を限定する意図ではない。本実施形態では前記ワークは、第1部材31と第2部材32とが上下方向に重ね合わされてなる重なり部30であって、摩擦攪拌点接合によって最終的に接合体3を構成する。本実施形態のツール1は、摩擦攪拌を行うツールと、締結体(後述のリベット5)を摩擦攪拌部へ圧入するツールとを兼ねるツールである。
ツール1は、ピン部材11、ショルダ部材12、クランプ部材13及びスプリング14を含む。ピン部材11は円柱状に形成された部材であり、その軸線の方向が上下方向に延びるように配置されている。ピン部材11は、前記軸線を回転軸Rとして回転が可能であり、且つ、回転軸Rに沿って矢印Z1で示す上下方向に進退移動が可能である。なお、ツール1の使用時には、回転軸Rと重なり部30における点接合位置Wとが位置合わせされるように、ツール1が重なり部30に固定される。
ショルダ部材12は、ピン部材11の外周を覆うように位置している。ショルダ部材12は、ピン部材11が内挿される中空部を備え、円筒状に形成された部材である。ショルダ部材12の軸心は、ピン部材11の軸線(回転軸R)と同軸上にある。ショルダ部材12は、ピン部材11と同一の回転軸R回りに回転が可能であり、且つ、回転軸Rに沿って上下方向に沿って矢印Z2で示す上下方向に進退移動が可能である。ショルダ部材12と、前記中空部に内挿されたピン部材11とは、共に回転軸Rの軸回りに回転しつつ、回転軸R方向に相対移動が可能である。すなわち、ピン部材11及びショルダ部材12は、回転軸Rに沿って同時に昇降するだけでなく、一方が下降し他方が上昇するという独立移動が可能である。
クランプ部材13は、ショルダ部材12が内挿される中空部を備え、円筒状に形成された部材である。クランプ部材13の軸心も、回転軸Rと同軸上にある。クランプ部材13は、軸回りに回転はしないが、回転軸Rに沿って矢印Z3で示す上下方向に進退移動が可能である。クランプ部材13は、ピン部材11又はショルダ部材12が摩擦攪拌を行う際に、これらの外周を囲う役目を果たす。クランプ部材13の囲いによって、摩擦攪拌材料を四散させず、摩擦攪拌点接合部分を平滑に仕上げることができる。
スプリング14は、クランプ部材13の上端部131に、上方へ延び出すように取り付けられている。スプリング14は、クランプ部材13を重なり部30に向かう方向(下方)に付勢している。
ツール固定部17は、回転ツール固定器171と、クランプ固定器172とを含む。回転ツール固定器171は、ピン部材11が内挿されたショルダ部材12の上方に配置され、ピン部材11及びショルダ部材12を支持している。クランプ固定器172は、スプリング14を介してクランプ部材13を支持している。また、クランプ固定器172は、後述の回転駆動部23を介して、回転ツール固定器171を支持している。
ツール1の下端面に対向して、裏当て材15が配置されている。裏当て材15は、接合対象のワーク(重なり部30)の下面側に当接する支持平面151を備える。裏当て材15は、ピン部材11又はショルダ部材12、並びに後述のリベット5が重なり部30に圧入される際に、当該重なり部30を裏面から支持する部材である。裏当て材15は、C型フレーム16の先端部161にて保持されている。スプリング14で付勢されたクランプ部材13は、重なり部30を裏当て材15に押し当てる。これにより、ツール1は重なり部30に固定される。なお、C型フレーム16は、例えば前記ロボットアームの先端に取り付けられるフレームである。
ツール駆動部2は、ピン駆動部21、ショルダ駆動部22及び回転駆動部23を含む。ピン駆動部21は、回転軸Rに沿ってピン部材11を進退移動(昇降)させる機構である。ピン駆動部21により、ピン部材11の下端部11Tが重なり部30へ向かうよう下降する、若しくは、重なり部30に対して上昇するように駆動される。ピン駆動部21としては、例えば直動アクチュエータを用いることができる。直動アクチュエータとしては、サーボモータ及びラック/ピニオンで構成されるアクチュエータ、或いは、サーボモータ及びボールねじで構成されるアクチュエータ等を用いることができる。
ショルダ駆動部22は、回転軸Rに沿ってショルダ部材12を進退移動(昇降)させる機構である。ショルダ駆動部22により、ショルダ部材12の下端部12Tが重なり部30への圧入及び退避を行うように駆動される。ショルダ駆動部22としては、上記の同様な直動アクチュエータを用いることができる。本実施形態のショルダ駆動部22は、ピン部材11、ショルダ部材12及びクランプ部材13を支持するツール固定部17自体を昇降させる機構とされている。このため、図1に示している、ピン部材11、ショルダ部材12及びクランプ部材13の矢印Z1、Z2、Z3方向の移動は、全てショルダ駆動部22の駆動によって実現可能である。
但し、ピン部材11については、ピン駆動部21で駆動されることによって、ショルダ部材12及びクランプ部材13とは独立して進退移動が可能である。例えば、ショルダ駆動部22によりショルダ部材12が下降駆動されている状況でも、ピン駆動部21によりピン部材11が上昇駆動されることが可能である。また、クランプ部材13には、ショルダ駆動部22によって下降され、その下端部13Tが重なり部30に当接した状態では、スプリング14の付勢力も作用する。前記付勢力により、クランプ部材13は重なり部30を裏当て材15に押圧し、重なり部30に対してツール1を固定する。
回転駆動部23は、サーボモータ及び駆動ギア等を含み、クランプ固定器172に保持されている。回転駆動部23は、回転ツール固定器171を回転駆動する。この回転駆動により、回転ツール固定器171に支持されているピン部材11及びショルダ部材12は、回転軸R回りに回転する。
[摩擦攪拌接合部の概要]
本発明に係る検査方法は、二以上の部材の重なり部を摩擦攪拌と締結体とを用いて接合してなる摩擦攪拌接合部を検査対象とする。この摩擦攪拌接合部の概要を説明しておく。図2(A)は、摩擦攪拌が行われる前の第1部材31と第2部材32との重なり部30を示す図である。図2(B)は、摩擦攪拌部4に圧入されるリベット5(締結体)の一部破断側面図、図2(C)は、摩擦攪拌とリベット5とを併用して接合された接合体3(摩擦攪拌接合部)の断面図である。
図2(A)では、第1部材31及び第2部材32が、複数枚の薄層シート33の積重体で構成されている例を示している。薄層シート33としては、連続繊維の配列体に熱可塑性樹脂を含浸したシート(プリプレグ)を用いることができる。第1部材31及び第2部材32は、それぞれ一枚の繊維強化熱可塑性樹脂の成形体で構成された部材でも良いし、金属や、繊維強化材を含まない熱可塑性樹脂部材でも良い。図2(A)では、第1部材31と第2部材32とが同一の厚さを有する例を示しているが、両者は摩擦攪拌接合が可能な厚さを有する限りにおいて、異なる厚さであっても良い。
重なり部30は、第1部材31の接合面31A(下面)と、第2部材32の接合面32A(上面)とが直接接触する合わせ面BDを有している。重なり部30は、このような二層構造に限定されない。第1部材31と、この第1部材31の下層に配置される第2部材32とを含み、両者の間に一層以上の他の層が介在されていても良い。重なり部30に対し、上述のツール1が第1部材31側から圧入され、所定の点接合位置Wを軸心として摩擦攪拌が行われ、摩擦攪拌部4が形成される。さらに、摩擦攪拌部4に第1部材31側からリベット5が圧入されることで、接合体3の施工が完了する。
図2(B)を参照して、リベット5は、例えばTi-6Al-4V等の導電性チタン合金からなり、円筒型のヘッド部51と、このヘッド部51の下方に連設された円筒型の筒体部52とを含む。ヘッド部51は、筒体部52よりも大径であり、その大径部分が鍔部54とされている。ヘッド部51は充実体からなり、ツール1から圧入力を受ける頂面51Hを有する。筒体部52は、ヘッド部51に一体的に繋がる上端部521と、重なり部30への打設時に先端部となる下端部522とを含む。筒体部52は、易変形性を具備させるため、その内部に円柱型の中空領域523を備えている。下端部522は、中空領域523の開口縁でもあり、環状の端縁形状を有している。
上記のリベット5としては、例えばセルフピアスリベットを用いることができる。リベット5は、重なり部30に対して打設されることで一部が変形し、第1部材31と第2部材32とを一体化する係合力を発生する。なお、セルフピアスリベットに代えて、その一部が変形可能な各種の接合部材を、前記締結体として用いても良い。
図2(C)に示すように、リベット5は、摩擦攪拌部4において重なり部30へ圧入されている。摩擦攪拌部4は、第1部材31側から第2部材32の一部へ至る深さに形成され、側周面41及び底面42を有する。本実施形態では、筒体部52の全長が摩擦攪拌部4(重なり部30)へ圧入され、ヘッド部51の下端面が摩擦攪拌部4に接面することが予定されている。摩擦攪拌部4への圧入後、筒体部52の下端部522はベル型に拡開変形し、第2部材32における摩擦攪拌部4の周囲の母材部分にも圧入される。すなわち、下端部522は、摩擦攪拌部4の底面42よりも下方且つ側周面41より径方向外側の前記母材部分にも進入することによって、インターロック部53を形成している。インターロック部53単体の係止効果、並びにインターロック部53と鍔部54とによる挟持効果によって、接合体3の接合強度を高めることができる。
本実施形態では、筒体部52の全長が重なり部30へ圧入される例を示しているが、筒体部52の所定長が重なり部30へ圧入される態様としても良い。この場合、重なり部30の上面30Uとヘッド部51の下端面との間に所定長の隙間が形成されることになる。また、ヘッド部51と筒体部52とが同径のリベット5、或いは、ヘッド部51が筒体部52よりも径小のリベット5を用いても良い。さらに、リベット5の圧入後に、ヘッド部51を摩擦攪拌部4よりも径大となるように圧延しても良い。
[摩擦攪拌点接合装置の制御構成]
図3は、摩擦攪拌点接合装置Mの制御構成を示すブロック図である。摩擦攪拌点接合装置Mは、制御構成として、コントローラ61(制御部)、入力部62及び検査部63を備えている。また、摩擦攪拌点接合装置Mは、図1では図示を省略したハード構成として、電流計26、ストロークセンサ27及び温度検出部28を備えている。
コントローラ61は、マイクロコンピュータ等からなり、所定の制御プログラムを実行することで、ツール駆動部2の各部の動作、並びに検査部63の動作を統括的に制御する。具体的にはコントローラ61は、ピン駆動部21を制御して、ピン部材11を独立的に進退移動させる。また、コントローラ61は、ショルダ駆動部22を制御して、ピン部材11、ショルダ部材12及びクランプ部材13に、所要の進退移動を行わせる。これら進退移動により、重なり部30へのツール1の固定、重なり部30へのピン部材11又はショルダ部材12の圧入動作などが実行される。さらに、コントローラ61は回転駆動部23を制御して、前記進退移動の適宜の期間にピン部材11及びショルダ部材12を回転軸R回りに回転させ、重なり部30の点接合位置Wにおいて摩擦攪拌を実行させる。
上述した複動式の摩擦攪拌点接合用のツール1の使用方法としては、ピン先行プロセスと、ショルダ先行プロセスとがある。ピン先行プロセスにて摩擦攪拌を行わせる場合、コントローラ61は、ツール1のピン部材11を先行して重なり部30へ圧入させて摩擦攪拌を実行させる一方、ショルダ部材12を上昇(退避)させる。その後の埋め戻し工程では、ピン部材11を上昇させて退避させる一方で、ショルダ部材12を下降させる。
一方、ショルダ先行プロセスにて摩擦攪拌を行わせる場合、コントローラ61は、ツール1のショルダ部材12を先行して重なり部30へ圧入させて摩擦攪拌を実行させる一方、ピン部材11を上昇(退避)させる。その後の埋め戻し工程では、ショルダ部材12を上昇させて退避させる一方で、ピン部材11を下降させる。後述する実施形態(図5)では、ショルダ先行プロセスにて摩擦攪拌が行われる例を詳述する。
入力部62は、キーボードやタッチパネル等からなり、コントローラ61に対する所要のデータ入力を受け付ける。入力されるデータは、例えば、摩擦攪拌接合の制御に関する各種パラメータ、ワークの厚み、材質、ツール1の圧入深さ、点接合位置Wの座標データなどである。
ツール駆動部2は、上述のピン駆動部21、ショルダ駆動部22及び回転駆動部23に加え、エンコーダ24(計測手段)及びピン通電部25(検出手段)を含む。本実施形態では、ピン駆動部21、ショルダ駆動部22及び回転駆動部23の駆動源として、それぞれ電動モーターが用いられるものとする。エンコーダ24は、ピン駆動部21及びショルダ駆動部22の電動モーターに各々付設され、ピン部材11の下端部11T及びショルダ部材12の下端部12Tの高さ位置の特定に繋がる電気信号を出力する。
ピン通電部25は、直流電圧の発生源を含み、後述するリベット5の貫通エラー検査時に、ピン部材11に直流電圧を印加する。電流計26(検出手段)は、前記貫通エラー検査時に、ピン部材11(ツール1)と裏当て材15との間に流れる電流を検出する。
ストロークセンサ27(計測手段)は、ショルダ部材12とクランプ部材13との相対位置を検出するセンサである。クランプ部材13が重なり部30をクランプしている状態で、ストロークセンサ27がショルダ部材12とクランプ部材13とが同位置にあることを検出した場合、ショルダ部材12の下端部12Tが重なり部30の上面30Uに当接していることになる。
温度検出部28(形状推定手段)は、接合中、若しくは接合後の摩擦攪拌接合部(重なり部30/接合体3)の温度を計測する。温度検出部28としては、各種の非接触型又は接触型の温度計測装置を用いることができる。前者としてはサーモグラフィーを、後者としては熱電対を、好ましい温度計測装置として例示することができる。
検査部63は、摩擦攪拌部4とリベット5とを併用した接合体3に対して、各種の検査動作を行う。検査部63は、機能的に、当接電流検出部64(検出手段)、モーター電流検出部65(検出手段)、ツール位置検出部66(計測手段)、隙間算出部67(計測手段)、形状推定部68(形状推定手段)及び判定部69(形状推定手段)を備えている。これら機能部については、図6乃至図13に基づいて検査工程を説明する際に動作と共に詳述するので、ここでは概要を説明するに止める。
当接電流検出部64は、電流計26が計測した電流値に基づいて、ピン部材11と裏当て材15との間に流れる電流が所定の閾値を超過したか否かを判定する。また、当接電流検出部64は、前記電流が前記所定の閾値を超過した場合、リベット5の下端部522が裏当て材15が当接したと判定する。
モーター電流検出部65は、ピン駆動部21の駆動源の電動モーターのモーター電流、若しくは、ショルダ駆動部22の駆動源の電動モーターのモーター電流を検出する。また、モーター電流検出部65は、前記モーター電流が所定の閾値を超過した場合、リベット5の下端部522が裏当て材15が当接したと判定する。なお、当接電流検出部64及びモーター電流検出部65の検査機能は実質的に同一であるので、両者のうちのいずれか一方を省いても良い。
ツール位置検出部66は、エンコーダ24の出力値に基づいて、ピン部材11及びショルダ部材12の下降位置、すなわち、これらの下端部11T、下端部12Tの高さ位置を算出する。なお、ショルダ部材12の下端部12Tの高さ位置は、ストロークセンサ27の出力値に基づいて、ツール位置検出部66に算出させるようにしても良い。
隙間算出部67は、ツール位置検出部66の前記高さ位置の算出結果に基づいて、リベット5のヘッド部51の下端と、重なり部30の上面30U(第1部材31の上面)との間隔を求める。この際、隙間算出部67は、予め入力部62から与えられているヘッド部51の厚さ情報を参照する。
形状推定部68は、温度検出部28が検出する摩擦攪拌接合部の温度情報に基づいて、リベット5の筒体部52の拡開度合い(変形度合い)を推定する処理を行う。判定部69は、形状推定部68が推定した筒体部52の拡開形状と、予め記憶されたテンプレートとを比較する等して、当該拡開形状が所要の拡開度合いを満たしているか否かを判定する。
[リベットを併用した摩擦攪拌接合方法]
続いて、摩擦攪拌点接合用のツール1を用いて、重なり部30にリベット5を併用した摩擦攪拌接合部を形成する方法の具体例を、図4及び図5を参照して説明する。本実施形態では、ショルダ先行プロセスにてツール1に重なり部30の摩擦攪拌を行わせる例を示す。また、前記摩擦攪拌工程及びリベット5の摩擦攪拌部4への圧入工程の双方を、ツール1にて行わせる例を示す。リベット5の圧入工程を、ツール1とは別個の圧入ツールに行わせても良い。
図4は、リベットを併用する摩擦攪拌接合の準備工程を示す断面図である。準備工程では、第1部材31と第2部材32とを、両者の少なくとも一部が互いに当接した状態で重なり合う重なり部30が形成される。図4では、第1部材31がツール側(上側)、第2部材32が裏当て材15側(下側)に配置される例を示している。重なり部30の下面30Bは裏当て材15で支持され、上面30Uにはツール1の下端面が当接している。
準備工程では、打設するリベット5を予めツール1に装填する動作も行われる。具体的には、コントローラ61(図3)がピン駆動部21を動作させてピン部材11を上昇させ、ショルダ部材12の中空部内にリベット5の収容空間を創出する。つまり、ピン部材11の下端部11Tをショルダ部材12の下端部12Tに対して、リベット5の高さ以上相対的に上昇させて、ショルダ部材12の下端開口付近に収容空間を設ける。しかる後、リベット5が収容空間に装填される。続いて、ツール1の重なり部30へのクランプ動作が行われる。この際、ツール1の回転軸R(図1)は、重なり部30における点接合位置Wに位置合わせされる。この状態で、クランプ部材13は、スプリング14の付勢力を伴って、下端部13Tにて重なり部30を裏当て材15に押圧する。ショルダ部材12の下端部12Tも、上面30Uに接面した状態とされる。
図5(A)~(D)は、リベット併用摩擦攪拌接合の実施状況を順次示す断面図である。図5(A)は、ツール1のショルダ部材12を重なり部30へ圧入して摩擦攪拌を行う摩擦攪拌工程を示している。コントローラ61は、ショルダ駆動部22及び回転駆動部23を制御して、ショルダ部材12を軸回りに高速回転させながら下降させ、当該ショルダ部材12の重なり部30への圧入を開始する。一方、前記圧入で溢れた樹脂材料を逃がすように、コントローラ61はピン駆動部21を制御して、ピン部材11を上方へ退避させる。クランプ部材13は不動である。これにより、点接合位置Wを中心とする摩擦攪拌が実行される。なお、リベット5の収容のためピン部材11は上方に移動されているので、上記のピン部材11の退避動作は省いても良い。
高速回転しているショルダ部材12が重なり部30に圧入されると、当該ショルダ部材12の圧入領域において重なり部30の材料は摩擦攪拌される。ショルダ部材12の圧入によって重なり部30から溢れ出した材料は、ショルダ部材12内の中空部に逃がされる。当該摩擦攪拌によって、前記圧入領域の材料は軟化し、重なり部30に摩擦攪拌部4が形成される。例えば、プレプリグ薄層シート33の積層体にて第1部材31及び第2部材32が形成されている場合、摩擦攪拌部4では薄層シート33の連続繊維は分断され、粉砕された状態となる。このことは、後続するリベット5の打設並びに変形を容易とする。
図5(B)は、先の摩擦攪拌工程で重なり部30から溢れ出した材料の埋め戻し工程を示す図である。埋め戻し工程では、ショルダ駆動部22がショルダ部材12を上昇させる。ピン部材11を上昇させていた場合は、これを下降させる。この動作により、摩擦攪拌部4において、ショルダ部材12の下端部12T付近が占有していた領域に、軟化している材料が流れ込む。従って、重なり部30から溢れ出した材料も前記圧入領域に埋め戻される。以上の工程の実行により、重なり部30には、深さdの円筒型の側周面41と、円板型の底面42とを備える摩擦攪拌部4が形成される。
図5(C)は、リベット5の打設工程の実施状況を示す図である。打設工程では、第1部材31側から摩擦攪拌部4にリベット5を圧入する。具体的には、ピン駆動部21がピン部材11を下降させてヘッド部51に押圧力を与え、リベット5を重なり部30へ押し込む。リベット5は、予めピン部材11の下端部11Tにヘッド部51の頂面51Hが対向するように、前記収容空間に装填されている。従って、ピン部材11が下降すると、リベット5も下降し、下端部522の側から摩擦攪拌部4の内部へ進入してゆく。本実施形態では、リベット5を圧入する工具として摩擦攪拌点接合用のツール1を利用するので、リベット5を打設する圧入ツールを別途準備する必要がない。
図5(D)は、打設したリベット5の一部を変形させてインターロック部53を形成する工程を示す図である。この工程では、第2部材32にリベット5が到達した後、当該リベット5を変形させることで、第2部材32における摩擦攪拌部4の周囲の母材部分にリベット5の一部を入り込ませてインターロック部53を形成する。本実施形態では、円筒型を呈している筒体部52を、下端部522が拡径したベル型に変形させ、その拡径した下端部522を前記母材部分に圧入させることによって、インターロック部53が形成される。
図5(C)の状態からピン部材11によるリベット5の押下が進行すると、やがてリベット5の下端部522が摩擦攪拌部4の底面42に到達する。底面42より下方は母材部分であって軟化されていない。また、裏当て材15によって重なり部30が、底面42の真下の位置において支持されている。このため、底面42に到達後に、さらにピン部材11によるリベット5の押下が継続されると、図5(D)に示すように、筒体部52がベル型に変形される。
つまり、下端部522は、底面42を越えて摩擦攪拌部4の下方の前記母材部分へ圧入されるだけでなく、径方向へ拡径して側周面41を越えて摩擦攪拌部4の側方の前記母材部分へも圧入されるようになる。このうち、側周面41を越えて前記母材部分へ圧入された部分が、第1部材31と第2部材32との引き剥がし方向(上下方向)に対してアンカー効果を発揮するインターロック部53となる。なお、リベット5の筒体部52の変形は、第2部材32に到達する前に生じていても良い。例えば、摩擦攪拌部4に圧入後に第1部材31の領域で徐々に筒体部52の拡開変形が始まり、底面42に到達後にさらに拡開変形するという変形態様であっても良い。
その後、ツール1が重なり部30から取り外され、一つの接合箇所における施工が完了する。施工完了後の状態は、図2(C)に示す接合体3の通りである。必要に応じて、リベット5のヘッド部51を圧潰する工程が追加実行される。例えば圧潰工程では、ヘッド部51の径が摩擦攪拌部4よりも径大となるように、ヘッド部51がプレスされる。以上説明した接合方法によれば、ツール1による摩擦攪拌部4とリベット5との併用により、重なり部30を優れた接合強度で接合することができる。
[リベット併用摩擦攪拌接合部の検査フロー]
リベット5を併用した摩擦攪拌接合部の品質保証のため、摩擦攪拌部4にリベット5が正常に打設されているか否かを検査する必要がある。本実施形態のリベット5は、重なり部30を貫通しない態様で打設されるため、目視や画像処理による外観検査での良否判定は困難である。そこで本実施形態では、外観検査に依らない手法で、リベット併用摩擦攪拌接合部の検査を行う。
図6は、本実施形態に係るリベット併用摩擦攪拌接合部の検査方法の工程チャートを示す図である。最初に実行される検査工程は、リベット5の貫通エラー検査である(ステップS1)。貫通エラーとは、摩擦攪拌部4に打ち込まれたリベット5の筒体部52が、重なり部30を貫通した状態を言う。貫通が生じたということは、筒体部52が予定されている拡開変形が為されず、結果としてインターロック部53が形成されていないことに繋がる。この場合、リベット5は重なり部30の係止効果を発揮しない。
重なり部30は裏当て材15で支持されているので、貫通エラーが生じた場合、筒体部52の下端部522(締結体の一部)が裏当て材15に当接することになる。本実施形態では、この当接を、リベット5を押圧するピン部材11と裏当て材15との間の通電状態に基づいて検査する(図7)、或いは、ピン駆動部21又は回転駆動部23の駆動源である電動モーターのモーター電流の変動に基づいて検査する(図8)。これらの検査の結果、リベット5の裏当て材15への当接が検知された場合(ステップS2でNO)、当該接合部は不良と判定される(ステップS8)。一方、リベット5が裏当て材15へ非当接である場合(ステップS2でYES)、続いてステップS3の検査が実行される。
ステップS3では、リベット5のヘッド部51の浮き検査が実行される。ヘッド部51の浮きとは、ヘッド部51の下端部522が重なり部30の上面30U(摩擦攪拌部4の上面)に当接せずに、両者間に隙間が生じている状態を言う。ヘッド部51の浮きが生じている場合、所定の圧入深さdまで筒体部52が摩擦攪拌部4に圧入されていないことに繋がる。この場合、不十分な圧入に起因して、リベット5が十分に係止効果を発揮しないことが想定される。
ヘッド部51は、ピン部材11の下端部11Tにて押圧される。従って、ヘッド部51の厚さが既知であれば、下端部11Tの下降位置と、重なり部30の上面30Uの位置との差を求めれば、ヘッド部51の下端部522と上面30Uとの間隔を求めることができる。なお、上面30Uの位置は、当該上面30Uに当接しているショルダ部材12の下端部12Tの高さ位置から求めることができる。本実施形態では、下端部11T、12Tの高さ位置を、ピン駆動部21及びショルダ駆動部22の駆動源の電動モーターに付設されているエンコーダ24の出力値に基づいて算出する(図9)。ヘッド部51の浮きに相当する隙間が存在する場合(ステップS4でNO)、当該接合部は不良と判定される(ステップS8)。一方、前記隙間が存在しない場合(ステップS4でYES)、続いてステップS5の検査が実行される。
ステップS5では、リベット5の筒体部52の拡開度合い検査が実行される。筒体部52の拡開度合いとは、円筒型を有する筒体部52がベル型に変形することで、下端部522の径が元の径に比べてどの程度増大しているかを示す指標である。リベット5が重なり部30を貫通せず、ヘッド部51に浮きが検出されなかったとしても、筒体部52が所期の通りに拡開変形していないケースが想定される。筒体部52が拡開不足である場合、或いは歪な拡開形状である場合、十分な係止効果を発揮するインターロック部53が形成されないことが想定される。
一般に、重なり部30を形成する第1部材31及び第2部材32とリベット5とは、異なる材質であることが多い。先の例示では、前者は繊維強化熱可塑性樹脂、後者はチタン合金であり、両者は熱伝導率を異にする。従って、リベット5が打設された摩擦攪拌接合部の温度を計測すれば、当該リベット5とその周囲との温度差に基づき、筒体部52の拡開形状を推定することが可能となる。本実施形態では、前記温度計測をサーモグラフィー281にて行う場合(図11)と、裏当て材15に埋め込まれた熱電対282を用いる場合(図12)とを例示する。筒体部52の拡開度合いが異常である場合(ステップS6でNO)、当該接合部は不良と判定される(ステップS8)。一方、筒体部52の拡開度合いが正常である場合(ステップS6でYES)、当該接合部は合格と判定される(ステップS7)。
[各検査の詳細]
以下、上記ステップS1の貫通エラー検査、ステップS3のヘッド部51の浮き検査、及びステップS5の筒体部52の拡開度合い検査の各具体例を、図7~図13を参照して詳細に説明する。
<貫通エラー検査>
図7は、リベット5の貫通エラーの検査工程の一例を示す模式図である。図7には、リベット5が拡開変形せず、重なり部30を貫通して下端部522が裏当て材15に当接した状態(貫通エラー)が示されている。本検査例では、ピン部材11と裏当て材15との間に導電経路が形成されたか否かに基づき、下端部522が裏当て材15に当接したか否か、つまり、貫通エラーが生じたか否かを検出する。従って本検査例では、ピン部材11、リベット5及び裏当て材15として導電性の部材が、重なり部30を形成する第1部材31及び第2部材32として非導電性の材料が、それぞれ用いられていることが前提である。
ピン部材11は、ピン通電部25と電気的に接続され、ピン通電部25が備える直流電源から直流電圧が印加可能とされている。一方、裏当て材15の接地経路には、電流計26が組み入れられている。電流計26が計測した電流値は、検査部63(図3)の当接電流検出部64に送信される。
リベット5の貫通エラーが生じている状態では、図7に示す通り、リベット5の頂面51Hがピン部材11の下端部11Tに当接すると共に、下端部522が裏当て材15に当接する。このため、ピン部材11と裏当て材15とがリベット5で電気的に短絡された状態となる。この状態では、ピン部材11に直流電圧が印加されていると、貫通エラーの発生と同時に裏当て材15の接地経路には電流が流れる。従って、直流電圧が印加されているピン部材11にてリベット5を打ち込むと、貫通エラーが発生した場合に、電流計26は大きな電流を検出することになる。
当接電流検出部64は、電流計26が計測した電流値が所定の閾値を超過した場合に、リベット5の下端部522が裏当て材15に当接したと判定する。つまり、貫通エラーが発生したと判定する。貫通エラーが発生していない場合、電流計26が計測する電流値はゼロに等しい。従って、前記所定の閾値は、電流のON-OFFを識別できる程度の値とすれば良い。本検査例によれば、シンプルな電気機器の付設により、貫通エラーを電気的に簡易に検出することができる。
図8は、リベット5の貫通エラーの検査工程の他の例を示す模式図である。図8にも、リベット5の貫通エラーが発生している状態が示されている。本検査例では、ピン駆動部21又は回転駆動部23の駆動源である電動モーターのモーター電流に基づいて、リベット5の下端部522が裏当て材15に当接したか否かを検知する。前記モーター電流は、モーター電流検出部65によってモニターされる。
リベット5は、ピン部材11の下降によって摩擦攪拌部4に打ち込まれる。ピン駆動部21の電動モーターには、ピン部材11の下降負荷に応じたモーター電流が流れる。貫通エラーが発生して下端部522が裏当て材15に当接した場合、前記下降負荷は急激に増大する。このため、前記モーター電流も急激に上昇することになる。モーター電流検出部65には、予め貫通エラーの判定基準となるモーター電流の閾値が与えられる。モーター電流検出部65は、前記閾値を超過するモーター電流を検出した場合に、リベット5の下端部522が裏当て材15に当接したと判定する。
リベット5は、その軸回りに回転させながら打設される場合がある。この場合、ピン部材11とリベット5とを係合させる係合部が、下端部11T及び頂面51Hに各々設けられる。リベット5の圧入の際、回転駆動部23はピン部材11を回転させる。この際、回転駆動部23の電動モーターには、ピン部材11の回転負荷に応じたモーター電流が流れる。
このようなリベット5の回転打設が行われる場合において、貫通エラーが発生すると、回転する下端部522が裏当て材15に突き当たることになる。この突き当たりにより、下端部522の回転摩擦抵抗が急激に増大し、前記モーター電流も急激に上昇することになる。モーター電流検出部65は、回転駆動部23のモーター電流が、前記閾値を超過した場合に、リベット5の下端部522が裏当て材15に当接したと判定する。
ピン駆動部21又は回転駆動部23のモーター電流は、摩擦攪拌点接合時において、ツール1の重なり部30に対する圧入量制御等の目的で、モニターされることが多い。つまり、モーター電流検出部65に相当する機能部を、摩擦攪拌点接合装置Mが本来的に具備している場合が多い。図8の検査例によれば、摩擦攪拌点接合装置Mの本来の制御において必要な機能部を利用して、貫通エラーを検出することができる。
<ヘッド部の浮き検査>
図9は、リベット5のヘッド部51の浮き検査工程の一例を示す模式図である。図9には、リベット5の筒体部52の圧入が不十分で、ヘッド部51の下端面51Bが重なり部30の上面30Uから浮き上がっている例を示している。これに対し。図10(A)は、ヘッド部51の浮きが生じていない正常な重なり部30を示している。下端面51Bは上面30Uに接面し、筒体部52の全長が摩擦攪拌部4に圧入されている。一方、図10(B)は、図9の浮き不良が生じている重なり部30から、ツール1を取り外した状態を示している。下端面51Bと上面30Uとの間には、間隔h2が生じている。
本検査例では、下端面51Bと上面30Uとの間隔h2を求める処理を行うことで、ヘッド部51の浮きを検出する。具体的には、リベット5を押し込む圧入ツールであるピン部材11の下降位置と、ヘッド部51の厚さh1とから、間隔h2を算出する。既述の通り、前記算出に際しては、エンコーダ24の出力値が用いられる。
ピン駆動部21の電動モーターには、第1エンコーダ241が付設されている。ショルダ駆動部22の電動モーターには、第2エンコーダ242が付設されている。第1、第2エンコーダ241、242の出力値は、ツール位置検出部66に送信される。図9に示す状態では、ピン部材11の下端部11Tは、ヘッド部51の頂面51Hに当接している。このため、第1エンコーダ241の出力値は、下端部11Tの下降位置、つまり頂面51Hの高さ位置に相当する情報となる。また、ショルダ部材12の下端部12Tは、重なり部30の上面30Uに接面している。このため、第2エンコーダ242の出力値は、上面30Uの高さ位置に相当する情報となる。ツール位置検出部66は、これらの情報に基づいて下端部11T及び上面30Uの高さ位置を特定し、その位置データを隙間算出部67に送信する。
隙間算出部67には、予めヘッド部51の厚さ情報であるヘッド部51の厚さh1のデータが与えられている。隙間算出部67は、下端部11T及び上面30Uの高さ位置と、ヘッド部厚さh1とから、ヘッド部51の下端面51Bと上面30Uとの間の距離である間隔h2を算出する。隙間算出部67は、算出された間隔h2に基づいて、ヘッド部51の浮き不良が発生しているか否かを判定する。筒体部52の全長が摩擦攪拌部4に圧入されることが予定されている場合は、間隔h2の許容値はゼロ又はゼロ近傍である。筒体部52の全長の圧入が予定されておらず、ある程度のヘッド部51の浮きが許容されている場合は、それに応じて間隔h2の許容値が設定される。
上面30Uの高さ位置を、ストロークセンサ27の出力値から取得するようにしても良い。接合時には、クランプ部材13が重なり部30をクランプする。このため、クランプ部材13の下端部13Tは上面30Uに確実に当接している。一方、ストロークセンサ27は、ショルダ部材12とクランプ部材13との相対位置を検出する。従って、ピン部材11とショルダ部材12との原点合わせが行われている場合には、第1エンコーダ241の出力値と、ストロークセンサ27の出力値とから、上面30Uと下端部11Tとの高低差を知見することができる。
なお、ヘッド部51が筒体部52よりも径小のリベット5が用いられることがある。この場合、間隔h2は、ヘッド部51と筒体部52との境界線(ヘッド部の下端)と、上面30Uとの間隔となる。また、リベット5の押し込みに、ツール1(ピン部材11)とは別個の圧入ツールを用いる場合は、その圧入ツールの下降位置に基づいて、ヘッド部51の頂面51Hの高さ位置を知見することができる。
本検査例では、第1、第2エンコーダ241、242の出力値を利用する。一般に、ピン部材11の位置制御等を目的として、ピン駆動部21及びショルダ駆動部22の電動モーターにはエンコーダが標準装備されている。従って、本検査例によれば、新たな計測装置を付加することなく、ヘッド部51の浮き検査を行うことができる。
<筒体部の拡開度合い検査>
本実施形態では、リベット5が打設された摩擦攪拌接合部の温度を計測することで、筒体部52の拡開度合いを推定する形状推定手段を設け、前記拡開度合いの合否判定を行う。すなわち、インターロック部53(筒体部の一部)が摩擦攪拌部4の周囲の第2部材32に入り込むように、筒体部52が拡開しているか否かを判定する。
図11は、リベット5の筒体部52の拡開度合いの検査工程の一例を示す模式図である。図11では、前記形状推定手段として、サーモグラフィー281と、上述の形状推定部68及び判定部69とが用いられる例を示している。サーモグラフィー281は、物体から放射される赤外線を感知して前記物体の熱分布を検出することが可能な非接触型温度計測器である。図11では、サーモグラフィー281は、リベット5が打設された重なり部30の下方に配置されている例を示す。この例では、重なり部30の下面側の二次元温度分布が、サーモグラフィー281によって計測されることになる。
サーモグラフィー281は、裏当て材15と並列にC型フレーム16に搭載することができる。この場合、クランプ部材13による重なり部30のクランプを解除した後、ロボットアームを移動させる等して、リベット5の打設位置にサーモグラフィー281を対向させる。もちろん、サーモグラフィー281を、別個の保持部材に保持させるようにしても良い。また、裏当て材15が赤外線透過性の材質であれば、裏当て材15の下方に配置しても良い。さらに、接合後の別工程で温度計測を行う場合は、サーモグラフィー281を、重なり部30の上方側又は下方側の何れに配置しても良い。
リベット5は、重なり部30への圧入時に熱を帯びる。具体的には、摩擦攪拌されて高熱化している摩擦攪拌部4からの伝熱や、高速回転するピン部材11に接触することによる摩擦熱又は圧入自体による摩擦熱などが高温化の要因である。摩擦攪拌部4からの伝熱の場合、リベット5と第2部材32との熱伝導率が異なるため、リベット5(筒体部52)が存在している領域と、それ以外の領域とには明らかな温度差が生じる。摩擦熱の場合はリベット5自体が発熱するので、やはり第2部材32との温度差が生じる。従って、摩擦攪拌接合部の形成時又は形成直後であって、リベット5が第2部材32よりも高熱を保持している段階でサーモグラフィー281に温度計測を行われば、前記温度差に基づく温度分布を明確に検出することができる。
図11のうちの上図のグラフは、サーモグラフィー281が検出する温度分布を、図示されている重なり部30の断面形状にマッチするように温度勾配TPを表示したグラフである。温度勾配TPは、位置L1及びL2で急激に上昇するカーブを有している。ここでは、位置L1及びL2が、筒体部52の最拡開部、つまりインターロック部53に対応する場合を例示している。重なり部30の下面側からの温度分布では、インターロック部53がリベット5と第2部材32との熱境界となって表出する。
筒体部52が正常に拡開されている場合、インターロック部53は、摩擦攪拌部4の側周面41よりも径方向外側へ延出する。従って、温度勾配TPの位置L1及びL2は、予定されている摩擦攪拌部4の外縁(側周面41)よりも径方向外側に表れる。一方、筒体部52が拡開不調である場合、位置L1及びL2は、側周面41と略同じ位置か、側周面41よりも径方向内側に表れることになる。
図11に例示したグラフは、位置L1及びL2がインターロック部53に対応する場合を想定している。実際には、第2部材32及びリベット5の構成材料の熱伝導率、第2部材32の厚さ、リベット5の圧入の程度等によっては、位置L1及びL2とインターロック部53の位置とにズレが生じる場合がある。この場合、予め実験等でそのズレ量を把握して補正値を設定しておくことで、位置L1及びL2とインターロック部53とを対応付けることができる。
形状推定部68は、サーモグラフィー281が計測するリベット5の圧入後における重なり部30の温度分布に基づき、筒体部52の拡開形状を推定する。例えば形状推定部68は、温度勾配TPの変化率が予め定めた閾値を超過するポイントを探知することで、上述の位置L1及びL2を特定する。判定部69は、既述の通り、形状推定部68により推定された拡開形状と基準のテンプレート等とを比較することで、筒体部52の拡開度合いが正常か否かを判定する。本検査例によれば、リベット5と第2部材32との熱伝導率の相違を利用して、非破壊で筒体部52の拡開度合いを検査することができる。
上掲の例では、非接触型の温度計測器であるサーモグラフィー281を使用する例を示した。続いて、接触型の温度計測器を利用する例を示す。図12は、筒体部52の拡開度合いの検査工程の他の例を示す模式図である。裏当て材15には、接触型の温度計測器として、熱電対282が組み込まれている。裏当て材15には、接合時に重なり部30の下面が当接する。つまり、重なり部30の熱が、そのまま裏当て材15に伝熱される。従って、裏当て材15に熱電対282を埋設しておくことで、重なり部30の下面の温度状態を検知することができる。
熱電対282の感温部は、裏当て材15の表面付近であって、筒体部52が正常に拡開したときのインターロック部53の想定位置に対して、上下方向に対向する位置に配置される。筒体部52が正常に拡開されている場合、熱電対282は高温度を検出する。これは、インターロック部53に対して熱電対282が正対する状態となるため、インターロック部53から発せられる熱を熱電対282が検出するからである。一方、筒体部52が拡開不良である場合、熱電対282は比較的低温度を検出する。これは、インターロック部53に対して熱電対282が正対せず、第2部材32の温度を検出することによる。このように、インターロック部53が重なり部30において所定の位置に存在しているか否かを、熱電対282が検出する温度に基づいて知見することができる。
なお、熱電対282を裏当て材15に多数個組み込んで、重なり部30の下面の温度分布を検出するようにしても良い。この場合、同心円パターンを描くように、多数個の熱電対282を裏当て材15に配列することが望ましい。また、裏当て材15とは別の検温部材に熱電対282を組み込み、摩擦攪拌接合部の形成直後に重なり部30の下面に当接させても良い。さらに、熱電対282以外の他の接触型温度測定エレメントを用いるようにしても良い。
摩擦攪拌接合部の形成時又は形成直後であれば、リベット5と第2部材32との温度差に基づき、図11又は図12の検査例を実行できる。しかし、接合部の形成から経時してリベット5が常温化すると、上掲の検査例は適用できなくなる。例えば、摩擦攪拌接合部の形成工程と検査工程とが時間をおいて別工程で行われる場合は、前記温度差が消失するので、重なり部30に温度分布が表れなくなる。このような場合、検査の前にリベット5に対して外部から熱を与える。
図13は、リベット5の外部加熱の実施状況を示す断面図である。図13には、リベット5のヘッド部51に対し、加熱源283から熱Hが与えられている状況が示されている。加熱源283としては、例えば加熱棒などを用いた接触型加熱源、熱風を発する非接触型加熱源等を用いることができる。また、ヘッド部51を一対の電極で把持し、リベット自体を抵抗加熱しても良いし、リベット5が磁性体である場合はIH加熱源を用いても良い。さらに、重なり部30の下面側から、第2部材32を介して間接的にリベット5に熱Hを与えるようにしても良い。加熱源283からリベット5に熱Hを与えた上で、サーモグラフィー281又は熱電対282で温度計測を行うことで、上述した重なり部30の下面の温度分布を確実に検出することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、次に示すような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記実施形態では、リベット5の貫通エラー検査(図6のステップS1)、ヘッド部51の浮き検査(ステップS3)及び筒体部52の拡開度合い検査(ステップS5)の三種の検査を行う例を示した。これに代えて、前記浮き検査及び前記拡開度合い検査のいずれか一方、若しくは双方を省くようにしても良い。また、前記三種の検査の実行順は任意であり、前記浮き検査又は前記拡開度合い検査を最先に実行するようにしても良い。
(2)上記実施形態では、リベット5の貫通エラー検査を、ピン部材11-裏当て材15間の通電検知(図7)又はモーター電流検知(図8)により行う例を示した。前記貫通エラーは、リベット5の下端部522が裏当て材15に衝突した際の衝突音を検出する音波センサ、衝突時の裏当て材15の振動又は圧力変動を検出する振動センサ又はロードセル等によっても検出することができる。
(3)上記実施形態では、ヘッド部51の浮きを、ピン駆動部21及びショルダ駆動部22の駆動源となる電動モーターのエンコーダ値に基づいて検出する例(図9)を示した。これに代えて、画像処理によりヘッド部51の浮きを検出しても良い。例えば、重なり部30へリベット5を打設した後に、上面30U側に配置したカメラにてヘッド部51の斜視画像を撮像する。ヘッド部51の頂面51Hと側周面とでは画像濃度に差異が生じるため、両者を識別することができる。ヘッド部51に浮きが生じている場合、撮像された斜視画像において前記側周面の面積が増加する。従って、画像上で頂面51Hと前記側周面との面積比を求めることで、ヘッド部51の浮きを知見することができる。
(4)上記実施形態では、摩擦攪拌部4を形成するツールとして、複動式の摩擦攪拌点接合用のツール1が用いられる例を示した。これに代えて、前記ツールとして、摩擦攪拌の線接合用のツール、単動式の摩擦攪拌点接合用のツール、その他の摩擦攪拌接合用のツールを用いるようにしても良い。また、複動式の摩擦攪拌点接合用のツール1を用いる場合において、ピン先行プロセスにて摩擦攪拌を行わせても良い。
以上説明した通り、本発明に係る摩擦攪拌接合部の検査方法は、リベット5の下端部522が裏当て材15に当接したか否かを検出するステップを含む。従って、リベット5が摩擦攪拌部4及び第2部材32を貫通して裏当て材15に当接したことを検出できる。つまり、リベット5が予定された変形、すなわち摩擦攪拌部4の周囲の第2部材32に対してインターロック部53を形成するような変形を為すことなく、摩擦攪拌部4を貫通してしまった不良施行を検出することができる。従って、重なり部30を貫通しない態様でリベット5が打設される摩擦攪拌接合部の検査を的確に行わせることができる。
[上記実施形態に含まれる発明]
以上説明した実施形態には、さらに以下に示す発明が含まれている。
一の実施形態に係る摩擦攪拌接合部の検査方法は、第1部材と、前記第1部材の下層に配置される第2部材とを含む重なり部に、前記第2部材側を裏当て材で支持した状態で前記第1部材側から摩擦攪拌ツールを圧入して摩擦攪拌部を形成すると共に、当該摩擦攪拌部に前記第1部材側から締結体を圧入して形成された摩擦攪拌接合部において、
前記締結体として、ヘッド部と、前記ヘッド部に連設された筒体部とを備え、前記筒体部の所定長が前記重なり部へ圧入される締結体が用いられる摩擦攪拌接合部の検査方法であって、
前記ヘッド部の下端と前記第1部材の上面との間隔を求める。
一の実施形態に係る接合装置は、第1部材と、前記第1部材の下層に配置される第2部材とを含む重なり部を接合する接合装置であって、
前記第1部材側から前記重なり部に圧入され、当該重なり部に摩擦攪拌部を形成する摩擦攪拌ツールと、
ヘッド部と、前記ヘッド部に連設された筒体部とを備え、前記筒体部の所定長が前記重なり部へ圧入される締結体を、前記摩擦攪拌部に前記第1部材側から圧入する圧入ツールと、
前記重なり部を前記第2部材側から支持する裏当て材と、
前記ヘッド部の下端と前記第1部材の上面との間隔を求める計測手段と、を備える。
上記の検査方法若しくは接合装置によれば、計測手段の計測結果に基づき、締結体のヘッド部の下端と前記第1部材の上面との間隔が適正であるか否かを検査することができる。つまり、前記間隔の計測により、締結体の筒体部が規定された圧入深さだけ摩擦攪拌部に圧入されているか否かを検査することができる。例えば、前記筒体部に座屈が生じる等して圧入深さが不足している場合、ヘッド部の下端と第1部材の上面との間には、予め定められた規定値以上の間隔が開くことになる。より具体的には、正常な締結体の圧入が行われると、ヘッド部の下端と第1部材の上面とが密着することが予定されている場合には、圧入不足が生じると両者間に隙間が検出されることになる。従って、重なり部を貫通しない態様で締結体が打設される摩擦攪拌接合部の検査を的確に行わせることができる。
他の実施形態に係る摩擦攪拌接合部の検査方法は、第1部材と、前記第1部材の下層に配置される第2部材とを含む重なり部に、前記第2部材側を裏当て材で支持した状態で前記第1部材側から摩擦攪拌ツールを圧入して摩擦攪拌部を形成すると共に、当該摩擦攪拌部に前記第1部材側から締結体を圧入して形成された摩擦攪拌接合部において、
前記締結体として、前記摩擦攪拌部の周囲の前記第2部材に少なくとも一部が入り込むように変形する筒体部を含む締結体が用いられる摩擦攪拌接合部の検査方法であって、
前記摩擦攪拌接合部の温度計測により、前記筒体部の変形度合いを検出する。
一の実施形態に係る接合装置は、第1部材と、前記第1部材の下層に配置される第2部材とを含む重なり部を接合する接合装置であって、
前記第1部材側から前記重なり部に圧入され、当該重なり部に摩擦攪拌部を形成する摩擦攪拌ツールと、
前記摩擦攪拌部の周囲の前記第2部材に少なくとも一部が入り込むように変形する筒体部を含む締結体を、前記摩擦攪拌部に前記第1部材側から圧入する圧入ツールと、
前記重なり部を前記第2部材側から支持する裏当て材と、
前記摩擦攪拌接合部の温度を計測することで、前記筒体部の変形度合いを推定する形状推定手段と、を備える。
上記の検査方法若しくは接合装置によれば、摩擦攪拌接合部の温度計測により、第1部材及び第2部材と締結体との温度差に基づき、締結体(筒体部)の重なり部の内部における形状を推定できる。そして、推定された筒体部の変形度合いに基づき、当該筒体部の変形状態が適正であるか否かを検査することができる。つまり、前記筒体部が正常に変形し、前記摩擦攪拌部の周囲の前記第2部材に当該筒体部の一部が入り込んでいるか否かを検査することができる。前記筒体部の変形が不十分である場合、前記筒体部の一部は前記摩擦攪拌部の周囲に存在する第2部材に入り込めず、十分なインターロック効果を発揮できない。従って、重なり部を貫通しない態様で締結体が打設される摩擦攪拌接合部の検査を的確に行わせることができる。
1 ツール
11 ピン部材(圧入ツール)
12 ショルダ部材
15 裏当て材
21 ピン駆動部(電動モーター)
22 ショルダ駆動部(電動モーター)
23 回転駆動部(電動モーター)
24 エンコーダ(計測手段)
25 ピン通電部(検出手段)
26 電流計(検出手段)
27 ストロークセンサ(計測手段)
28 温度検出部(形状推定手段)
281 サーモグラフィー
282 熱電対(裏当て材に組み込んだ温度計)
283 加熱源
3 接合体(摩擦攪拌接合部)
30 重なり部
30U 上面(第1部材の上面)
31 第1部材
32 第2部材
4 摩擦攪拌部
5 リベット(締結体)
51 ヘッド部
52 軸部
522 下端部(下端)
53 インターロック部(締結体の一部)
61 コントローラ(制御部)
63 検査部
64 当接電流検出部(検出手段)
65 モーター電流検出部(検出手段)
66 ツール位置検出部(計測手段)
67 隙間算出部(計測手段)
68 形状推定部(形状推定手段)
69 判定部(形状推定手段)
M 摩擦攪拌点接合装置

Claims (15)

  1. 第1部材と、前記第1部材の下層に配置される第2部材とを含む重なり部に、前記第2部材を裏当て材で支持した状態で前記第1部材側から摩擦攪拌ツールを圧入して摩擦攪拌部を形成すると共に、当該摩擦攪拌部に前記第1部材側から締結体を圧入して形成された摩擦攪拌接合部の検査方法であって、
    前記締結体の一部が前記裏当て材に当接したか否かを検出する、
    摩擦攪拌接合部の検査方法。
  2. 請求項1に記載の摩擦攪拌接合部の検査方法において、
    前記摩擦攪拌ツール、前記締結体及び前記裏当て材として導電性の部材を用い、前記第1部材及び前記第2部材として非導電性の材料を用い、
    前記摩擦攪拌ツールと前記裏当て材との間に流れる電流が所定の閾値を超過した場合に、前記締結体の一部が前記裏当て材に当接したと判定する、摩擦攪拌接合部の検査方法。
  3. 請求項1に記載の摩擦攪拌接合部の検査方法において、
    前記摩擦攪拌ツールの駆動源として電動モーターを用い、
    前記電動モーターを駆動するモーター電流が所定の閾値を超過した場合に、前記締結体の一部が前記裏当て材に当接したと判定する、摩擦攪拌接合部の検査方法。
  4. 請求項1に記載の摩擦攪拌接合部の検査方法において、
    前記締結体として、ヘッド部と、前記ヘッド部に連設された筒体部とを備え、前記筒体部の所定長が前記重なり部へ圧入される締結体を用い、
    前記ヘッド部の下端と前記第1部材の上面との間隔を求める、摩擦攪拌接合部の検査方法。
  5. 請求項4に記載の摩擦攪拌接合部の検査方法において、
    前記締結体の前記重なり部への圧入を、圧入ツールの下降による前記締結体の押し込みにより行い、
    前記圧入ツールの下降位置と、前記ヘッド部の厚さとから、前記ヘッド部の下端と前記第1部材の上面との間隔を求める、摩擦攪拌接合部の検査方法。
  6. 請求項5に記載の摩擦攪拌接合部の検査方法において、
    前記圧入ツールとして前記摩擦攪拌ツールを用い、
    前記摩擦攪拌ツールを駆動する電動モーターに付設されたエンコーダの出力値に基づいて、前記摩擦攪拌ツールの下降位置を算出する、摩擦攪拌接合部の検査方法。
  7. 請求項1に記載の摩擦攪拌接合部の検査方法において、
    前記締結体は、前記摩擦攪拌部周囲の前記第2部材に少なくとも一部が入り込むように変形する筒体部を含み、
    前記摩擦攪拌接合部の温度計測により、前記筒体部の変形度合いを検出するステップを含む、摩擦攪拌接合部の検査方法。
  8. 請求項7に記載の摩擦攪拌接合部の検査方法において、
    前記締結体の圧入後の前記摩擦攪拌接合部の温度分布を計測し、前記温度分布に基づいて前記筒体部の変形形状を推定することで、前記筒体部の変形度合いを検出する、摩擦攪拌接合部の検査方法。
  9. 請求項7に記載の摩擦攪拌接合部の検査方法において、
    前記摩擦攪拌接合部の温度計測を、前記裏当て材に組み込んだ温度計で行う、摩擦攪拌接合部の検査方法。
  10. 請求項7~9のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合部の検査方法において、
    前記摩擦攪拌接合部の形成後に、前記締結体に熱を与えて前記摩擦攪拌接合部の温度計測を行う、摩擦攪拌接合部の検査方法。
  11. 請求項7~9のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合部の検査方法において、
    前記摩擦攪拌接合部の形成時又は形成直後であって、前記締結体が前記第2部材よりも高熱を保持している段階で、前記摩擦攪拌接合部の温度計測を行う、摩擦攪拌接合部の検査方法。
  12. 第1部材と、前記第1部材の下層に配置される第2部材とを含む重なり部を接合する接合装置であって、
    前記第1部材から前記重なり部に圧入され、当該重なり部に摩擦攪拌部を形成する摩擦攪拌ツールと、
    前記摩擦攪拌部に前記第1部材側から締結体を圧入する圧入ツールと、
    前記重なり部を前記第2部材側から支持する裏当て材と、
    前記締結体の一部が前記裏当て材に当接したか否かを検出する検出手段と、
    を備える接合装置。
  13. 請求項12に記載の接合装置において、
    前記摩擦攪拌ツール及び前記圧入ツールを兼ねるツールとして、
    軸線回りに回転し、当該軸線方向に進退移動可能な円柱状のピン部材と、
    前記ピン部材の外周を覆うように位置し、当該ピン部材と同一の軸線回りに回転すると共に前記軸線方向に進退移動が可能な円筒状のショルダ部材と、を含む、複動式の摩擦攪拌点接合用のツールと、
    前記ツールの制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記摩擦攪拌部の形成に際しては、前記ピン部材又は前記ショルダ部材を前記重なり部に圧入させて摩擦攪拌動作を実行させ、
    前記締結体の圧入に際しては、当該締結体を前記重なり部に押し込むよう前記ピン部材又は前記ショルダ部材を下降させる、接合装置。
  14. 請求項12又は13に記載の接合装置において、
    前記締結体として、ヘッド部と、前記ヘッド部に連設された筒体部とを備え、前記筒体部の所定長が前記重なり部へ圧入される締結体が用いられ、
    前記ヘッド部の下端と前記第1部材の上面との間隔を求める計測手段をさらに備える、接合装置。
  15. 請求項12又は13に記載の接合装置において、
    前記締結体は、前記摩擦攪拌部の周囲の前記第2部材に一部が入り込むように変形する筒体部を含み、
    前記摩擦攪拌接合部の温度を計測することで、前記筒体部の変形度合いを推定する形状推定手段をさらに備える、接合装置。
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