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JP2022142916A - シューズのソール構造 - Google Patents

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JP2022142916A JP2021043187A JP2021043187A JP2022142916A JP 2022142916 A JP2022142916 A JP 2022142916A JP 2021043187 A JP2021043187 A JP 2021043187A JP 2021043187 A JP2021043187 A JP 2021043187A JP 2022142916 A JP2022142916 A JP 2022142916A
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JP2021043187A
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まりあ 藤井
Maria Fujii
啓介 串田
Keisuke Kushida
勉 中村
Tsutomu Nakamura
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Mizuno Corp
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Abstract

【課題】 ソールとしての安定性およびシューズとしてのフィッティング性を損なうことなく、シューズ内部を通気できるソール構造を提供する。【解決手段】 ミッドソール3と、ミッドソール3の下側に配置され、路面と接地するアウトソール4とからシューズ1のソール構造体2を構成する。ミッドソール3は、ミッドソール3の下面3bに開口するキャビティ30と、キャビティ30に連通して延びかつミッドソール3の上面3aに開口する出口端31cを有する流路31とを有する。ミッドソール3の上面3aは、キャビティ30に対応する位置において、着用者の足裏が直接または間接的に当接する足裏当接面3aを構成する。アウトソール4は、キャビティ30の開口30Aを塞ぐとともに、開口30Aに対応する位置においてアウトソール4の下面4bから下方に突出する突出部40を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、シューズのソール構造に関し、詳細には、ソールとしての安定性およびシューズとしてのフィッティング性を損なうことなく、シューズ内部を通気できるソール構造に関する。
シューズのソール構造として、シューズ内部を通気するための種々の構造が提案されている。たとえば特開平8-196304号公報には、靴底(1)の踵部に配置され、吸気用逆止弁(4)を介して外気を吸入可能に設けられるとともに、排気用逆止弁(6)を介して吸入外気を排出可能に設けられた弾性部材製の収縮/拡張可能なポンプ(3)と、ポンプ(3)に接続され、靴底(1)の内部を通って延びるとともに、靴底(1)の足指付根付近に配置された上向きの通気口(8)を有する通気管(7)とを備えたものが記載されている(同公報の段落[0006]、図1および図2参照)。
上記特開平8-196304号公報に示すソール構造においては、歩行の際には、吸気用逆止弁(4)を介してポンプ(3)内に吸入された外気は、排気用逆止弁(6)を介してポンプ(3)から排出され、通気管(7)を通って通気口(8)から靴底(1)の上面に噴出し、これにより、足指の付根付近に新鮮な外気が供給されるようになっている。
また、特許第6342607号公報には、靴の踵部に配置され、ベース(8)および可動部(9)からなる化粧(1)と、化粧(1)の上面に接着固定され、中央にエアホール(11)を有する積上げ(2)と、積上げ(2)の上面に接着固定され、エアホール(11)と連通する通気孔(12)およびこれと連通する通気溝(13)を有する表底(3)と、表底(3)の上側に配置され、通気孔(14)を有する中底(6)とを備えたものが記載されている(同公報の段落[0014]~[0023]、および図1~図3参照)。化粧(1)の可動部(9)は、ベース(8)の中央に配置され、下側に突出する底面(9a)を有するとともに、肉厚方向に可撓性を有している。
上記特許第6342607号公報に示す靴構造においては、歩行に伴って、化粧(1)の可動部(9)の底面(9a)が接地すると、可動部(9)が変形することにより、積上げ(2)のエアホール(11)内の空気が表底(3)の通気孔(12)および通気溝(13)を通って靴の先方側に流れ、中底(6)の通気孔(14)から靴内部に流出するようになっている。また、化粧(1)の可動部(9)の底面(9a)が離地すると、可動部(9)が元の位置まで復元することにより、新たな空気が靴の履き口(W)から内部に流入し、中底(6)の通気孔(14)から表底(3)の通気溝(13)および通気孔(12)を通って、積上げ(2)のエアホール(11)内に吸引されるようになっている(同公報の段落[0026]~[0028]、および図6参照)。
さらに、米国特許第10477914号明細書には、アウトソール層(5)と、踵領域(9)において上下に開口するキャビティ(10)を有する中間層(6)と、キャビティ(10)を上方から覆う曲げ剛性プレート(8)と、キャビティ(10)から延びかつソール上面に開口する流路からなるエア供給装置(13)と、キャビティ(10)と連通する吸入路(11)とを備えたものが記載されている。アウトソール(5)は、下方に突出する膨出部(18)を有している(同明細書の第5欄第54行~第8欄第42行、およびFig.1、2参照)。
上記米国特許第10477914号明細書に示すソール構造においては、開孔(12)から吸入路(11)を通ってキャビティ(10)内に導入された外部エアは、膨出部(18)の変形により、キャビティ(10)からエア供給装置(13)を通ってシューズ内部に供給されるようになっている(同明細書の第6欄第10行~第7欄20行およびFig.1参照)。
しかしながら、上記特開平8-196304号公報に示すものでは、同公報の図1に示すように、ポンプ(3)の上部が靴底(1)の上面に露出していて、ポンプ(3)の上面が足裏当接面を構成しており、そのため、着用者の足の踵部がポンプ(3)の上面に直接当接して、ポンプ(3)を直接圧縮するように構成されている。この場合には、踵着地時のポンプ(3)の圧縮の際に、シューズ内部の容積が大きく変化することになるため、シューズとしてのフィッティング性が低下するとともに、ソールとしての着地安定性にも欠けることになる。
上記特許第6342607号公報に示すものでは、靴内部を通気するために多数の部品が必要であり、構造が複雑である。
上記米国特許第10477914号明細書に示すものでは、Fig.2に示すように、キャビティ(10)の下側開口を覆うアウトソール層(5)と、キャビティ(10)の上側開口を覆う曲げ剛性プレート(8)とにより、キャビティ(10)の左右両側に配設された各サポートストリップ(16)を上下に挟持するように構成されており、各サポートストリップ(16)の内側面が外側に向かって凹状に形成されている。そのため、踵着地時に踵領域に圧縮荷重が作用すると、アウトソール層(5)の膨出部(18)が上方に向かって変形するだけでなく、各サポートストリップ(16)がそれぞれ外側に向かって変形しやすくなっており、その結果、各サポートストリップ(16)が容易に圧縮変形して、キャビティ(10)の収縮変形が促進されるようになっている。ところが、この場合には、踵着地時に各サポートストリップ(16)が圧縮変形しやすくなっていることで、ソールとしての安定性が低下する恐れがある。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、ソールとしての安定性およびシューズとしてのフィッティング性を損なうことなく、シューズ内部を通気できるシューズのソール構造を提供することにある。また、本発明は、このようなソール構造において構造を簡略化しようとしている。さらに、本発明は、ソールとしての安定性およびシューズとしてのフィッティング性を損なうことなく、シューズ内部を通気できるソール構造を備えたシューズを提供しようとしている。
本発明に係るシューズのソール構造は、上側に配置されるミッドソールと、ミッドソールの下側に配置され、路面と接地するアウトソールとを備えている。ミッドソールは、ミッドソールの下面に開口するキャビティと、キャビティに連通して延びかつミッドソールの上面に開口する出口端を有する少なくとも1つの流路とを有している。ミッドソールの上面は、キャビティに対応する位置において、着用者の足裏が直接または間接的に当接する足裏当接面を構成している。アウトソールは、キャビティの開口を塞ぐとともに、開口に対応する位置においてアウトソールの下面から下方に突出する突出部を有している。
本発明によれば、着地時にアウトソールの突出部が路面と接地すると、突出部の上方への変位によりキャビティが収縮し、キャビティ内部の空気がミッドソールの流路を通って出口端からミッドソールの上面に供給される。これにより、シューズ内部を通気できる。
本発明においては、ミッドソールの上面がキャビティに対応する位置において足裏当接面を構成しており、キャビティがミッドソールの上面に開口していないので、上方からの荷重による局所的な変形を抑制でき、これにより、ソールとしての安定性の低下を防止できるとともに、シューズとしてのフィッティング性の低下を防止できる。さらに、通気装置を有するソール構造が、ミッドソールおよびアウトソールから構成されるので、構造を簡略化できる。
本発明では、キャビティがソール構造の踵領域に設けられている。この場合には、踵接地の頻度が高い着用者(ヒールストライカー)や競技種目に適したソール構造を実現できる。
本発明では、キャビティがソール構造の前足領域に設けられている。この場合には、前足接地の頻度が高い着用者(フォアフットストライカー)や競技種目に適したソール構造を実現できる。
本発明では、キャビティおよび流路の間には、これらに連通して接続される接続部が設けられており、接続部の開口断面積が流路の側に向かって徐々に小さくなっている。この場合には、キャビティおよび流路間において開口断面積が急激に変化する個所をなくすことで、キャビティおよび流路間で空気が移動する際の流体音の発生を低減できる。
本発明では、突出部の延在領域がキャビティの開口の開口領域より小さくなっており、突出部の肉厚が突出部の外側におけるアウトソールの肉厚よりも厚くなっている。この場合には、突出部の上方への変位をスムーズに行えるようになるとともに、変形の頻度が高い突出部を補強でき、突出部の耐久性を向上できる。
本発明では、突出部の延在領域がキャビティの開口の開口領域より小さくなっており、突出部の周辺領域には、突出部を弾性支持する弾性支持部が設けられている。この場合には、突出部の上方への変位が容易になる。
本発明では、突出部がキャビティを外部空間と連通させる連通部を有している。この場合には、連通部を介して外部の新鮮な空気をキャビティ内に導入つまり吸気でき、シューズ内部の湿気を含んだ空気との入れ替えを容易に行えるようになる。
本発明では、突出部の突出高さが前側から後側に向かうに従い高くなっている。この場合には、突出部が路面と接地した際に突出部が上方のキャビティに向かって変位しやすくなるので、接地時にキャビティを急激に収縮させることができるようになり、その結果、キャビティ内部の空気を流路側に勢いよく押し出すことができ、通気性を向上できる。
本発明では、流路がソール構造の土踏まず領域の周辺部を通って延びている。この場合には、接地後の荷重移動の際に流路が上下に圧縮されにくいので、キャビティから流路の出口端までの空気の流れをスムーズにすることができる。
本発明では、流路の出口端が着用者の足指の付け根付近に対応する位置に配置されている。この場合には、足の中でもとくに蒸れやすい足指の付け根部分を効率よく通気することができる。
本発明では、流路の出口端がソール構造の土踏まず領域に配置されている。この場合、土踏まず領域は、シューズ内部においてミッドソールの上方に比較的スペースのある領域なので、これを利用して、出口端の開口状態を維持でき、通気性を向上できる。
本発明では、流路の横断面形状が円弧状の下面と平坦状の上面から構成されている。この場合には、流路に沿って空気が移動しやすくなっているので、通気性を向上できる。
本発明では、ミッドソールの足裏当接面に補強プレートが配設されるとともに、補強プレートの水平投影面がキャビティの水平投影面を覆っており、補強プレートの剛性がミッドソールの剛性より高くなっている。この場合には、補強プレートの設置により、着地時にミッドソールの足裏当接面が下方に沈み込むのを一層抑制でき、これにより、ソールとしての安定性をさらに向上できる。
本発明では、補強プレートがソール構造の踵領域から土踏まず領域まで延設されている。この場合には、補強プレートが土踏まず領域のシャンク強度を向上でき、荷重移動時の土踏まず領域での落ち込みを防止できる。
本発明に係るシューズは、上記ソール構造を備えている。
以上のように、本発明によれば、着地時にアウトソールの突出部が路面と接地すると、突出部の上方への変位によりキャビティが収縮し、キャビティ内部の空気がミッドソールの流路を通って出口端からミッドソールの上面に供給され、これにより、シューズ内部を通気できる。しかも、本発明によれば、ミッドソールの上面がキャビティに対応する位置において足裏当接面を構成しており、キャビティがミッドソールの上面に開口していないので、着地時にミッドソールに作用する上方からの荷重を分散して吸収することでミッドソールの変形を抑制でき、これにより、ソールとしての安定性の低下を防止できるとともに、シューズとしてのフィッティング性の低下を防止できる。さらに、通気装置を有するソール構造が、ミッドソールおよびアウトソールから構成されるので、構造を簡略化できる。
本発明の第1の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の縦断面概略図であって、図2のI-I線断面に相当している。 前記ソール構造(図1)の平面概略図である。 図1、図2のIII-III線断面概略図である。 図1、図2のIV-IV線断面概略図である。 本発明の第2の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の縦断面概略図であって、図6のV-V線断面に相当している。 前記ソール構造(図5)の平面概略図である。 図5、図6のVII-VII線断面概略図である。 図5、図6のVIII-VIII線断面概略図である。 本発明の第3の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の縦断面概略図である。 図9のX-X線断面概略図である。 図9のXI-XI線断面概略図である。 本発明の第4の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の縦断面概略図であって、図13のXII-XII線断面に相当している。 前記ソール構造(図12)の平面概略図である。 図12、図13のXIV-XIV線断面概略図である。 本発明の第5の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の縦断面概略図である。 本発明の第6の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の縦断面概略図である。 本発明の第7の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の縦断面概略図であって、図18のXVII-XVII線断面に相当している。 前記ソール構造(図17)の平面概略図である。 図17、図18のXIX-XIX線断面概略図である。 図17、図18のXX-XX線断面概略図である。 本発明の第8の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の縦断面概略図である。 図21のXXII-XXII線断面概略図である。 本発明の第9の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の縦断面概略図である。 本発明の第10の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の縦断面概略図であって、図25のXXIV-XXIV線断面に相当している。 前記ソール構造(図24)の平面概略図である。 図24のXXVI-XXVI線断面概略図である。 本発明の第11の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の縦断面概略図であって、図28のXXVII-XXVII線断面に相当している。 前記ソール構造(図27)の平面概略図である。 本発明の第12の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の縦断面概略図である。 図29のXXX-XXX線断面概略図である。 図30の一部拡大図である。 本発明の第13の実施例によるソール構造を備えたシューズ(左足用)の外甲側側面概略図である。 図32のXXXIII-XXXIII線断面概略図である。 図32のXXXIV-XXXIV線断面概略図である。 本発明の第14の実施例によるソール構造の横断面概略図であって、前記第13の実施例の図33に相当する図である。 本発明の第15の実施例によるソール構造の横断面概略図であって、前記第13の実施例の図34に相当する図である。
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
<第1の実施例>
図1ないし図4は、本発明の第1の実施例によるソール構造を説明するための図である。ここでは、シューズとしてウォーキングシューズを例にとる。なお、以下の説明中、上方(上側/上)および下方(下側/下)とは、シューズの上下方向の位置関係を表し、前方(前側/前)および後方(後側/後)とは、シューズの前後方向の位置関係を表しており、幅方向(左右方向)とはシューズの幅方向(左右方向)を指すものとする。すなわち、図1を例にとった場合、上方および下方は、同図の右方および左方をそれぞれ指しており、前方および後方は、同図の上方および下方をそれぞれ指しており、幅方向は、同図の紙面奥行方向を指している。また、各図においては、シューズのアッパー(甲被部)および着用者の足を一点鎖線で示している(第2ないし第11の実施例においても同様)。
図1のシューズ縦断面概略図および図2のソール平面概略図に示すように、シューズ1は、ソール構造体2と、その上に配置され、着用者の足Fを覆うアッパーUとを備えている。シューズ構造体2は、足Fの踵部、土踏まず部(中足部)および前足部にそれぞれ対応する踵領域H、中足領域(土踏まず領域)Mおよび前足領域Fを有している。
図1に示すように、ソール構造体2は、上側に配置されるミッドソール3と、下側に配置されるアウトソール4とを有している。ミッドソール3の上面3aは、着用者の足裏が直接または間接的に(つまり、図示しないインソール等を介して)当接する足裏当接面を構成している。上面3aには、アッパーUの底部が接着等によって固着されている。ミッドソール3の下面3bは、アウトソール4の上面4aと接触しており、両面は接着等により固着されている。アウトソール4の下面(底面)4bは、路面と接地する接地面を構成している。
図1ないし図3に示すように、ミッドソール3の踵領域Hには、キャビティ(空気溜り)30が設けられている。キャビティ30は、ミッドソール3の下面3bに形成された概略楕円柱状の凹部であって、下面3b方向から見て(つまり底面視)前後方向に延びる楕円形状を有しており(図2参照)、幅方向の横断面形状は矩形状を有している(図3参照)。キャビティ30は、ミッドソール3の下面3b側つまり下方に開口しているが、上面3a側つまり上方には開口していない。キャビティ30の上部は、足裏当接面(上面)3aを有するミッドソール3で覆われている。
キャビティ30に対応する位置におけるミッドソール3の厚みtは、3~20mmに設定されているのが好ましく、キャビティ30の深さdは、3~20mmに設定されているのが好ましい。また、厚みtは、ミッドソール3の総厚t(=t+d)の10~70%に設定されているのが好ましい。キャビティ30の開口30Aの中心Oの位置は、この例では、踵領域Hの中心位置に略一致している(図2参照)。キャビティ30の内周面(つまり円筒面)30Bは、ミッドソール3の下面3bと略直交する上下方向に延びる平坦状面になっている(図1、図3参照)。キャビティ30の上面30Cは、前後方向および左右方向に延設された平坦状面になっている。
キャビティ30の開口30Aは、アウトソール4で覆われている。アウトソール4は、キャビティ30の開口30Aに対応する位置において、アウトソール4の下面4bから下方に突出する突出部40を有している。突出部40は、図示例では、中実になっている。突出部40の延在領域(図2中の点線で囲まれた領域)は、この例では、前後方向に延びる略楕円状に形成されていて、開口30Aの開口領域よりも小さくなっており、突出部40は開口30Aの内側に配置されている(図2、図3参照)。また、この例では、突出部40の延在領域の中心位置は、キャビティ30の開口30Aの中心Oの位置に略一致している(図2参照)。
突出部40の突出量(突出高さ)は、後方側(つまり踵後端側)に向かうにしたがい、徐々に大きくなっており、突出量が最大となる位置(図1中のIII-III線位置)は、突出部40の延在領域の中心位置よりも後方に配置されている。アウトソール4の下面4bからの突出部40の突出量p(図3)は、好ましくは、2~18mmに設定されている。ここでいう「下面4b」とは、突出部40が設けられていない(つまり、突出部40の延在領域の外側における)アウトソール領域の下面を指している。なお、防滑性や排水性等の観点からアウトソール領域の下面に多数の凸部等からなるトレッド意匠が形成されている場合、各凸部の最突出面をつないでできる基準面を下面4bと呼称する。一方、突出部40の延在領域の周辺領域におけるアウトソール4の厚み(肉厚)tは、たとえば、1~5mmに設定されている。
突出部40の厚み(肉厚)は、[突出量p]+[アウトソール肉厚t]により求まる(図3参照)。突出部40の厚みは、延在領域の外側におけるアウトソール4の厚みtよりも大きくなっている。突出部40の最下面(最突出面)40bは、平坦状または緩やかな凸円弧状に形成されている(図3参照)。
キャビティ30の前方には、キャビティ30に連通しかつミッドソール3の内部を実質的に前方に向かって延びる少なくとも1つの流路31が配設されている。流路31は、中足領域(土踏まず領域)Mから前足領域Fにかけての領域において、幅方向中央部から外甲側寄りの周辺部を通っている。なお、さらに外甲側寄りの周縁部を通るようにしてもよい。また、流路31は前足領域Fの前後方向中央部を越えて延びており、その先端部は上方に向かって略L字状に屈曲しつつ、ミッドソール3の上面3aに開口する出口端31cを有している。出口端31cは、好ましくは、着用者の足指の付け根付近に対応する位置に配置されている(図2参照)。図示例では、出口端31cは、第1足指Pと第2足指Pの間の付け根付近に配置されている。流路31の横断面形状は、図4に示すように、半円弧状(または円弧状)の下面31aと、平坦状の上面31bとから構成されている。下面31aの横断面形状が半円弧状(または円弧状)であることにより、流路31内での空気の流れをスムーズにすることができる。流路31は、中足領域Mから前足領域Fにかけての領域において、概ね一定の幅寸法および高さ(深さ)寸法を有している(図2、図3参照)。
図示例では、流路31として、単一の流路が設けられた例が示されているが、2つ以上の流路を設けるようにしてもよく、その場合には、たとえば、流路31と分岐する1つまたは2つ以上の分岐流路を設けるようにすればよい。
キャビティ30と流路31の間には、図2中の斜線領域に示すように、キャビティ30および流路31を連結する接続流路(接続部)32が設けられている。接続流路32は、踵領域Hの前部から中足領域Mの前部にかけての領域において、キャビティ30の前側開口から連続して延びるとともに、流路31の後側開口まで連続して延びており、キャビティ30および流路31に接続されてこれらに連通している。
接続流路32は、図1および図2に示すように、上面32a、下面32bおよび左右の側面32cから画成されている。上面32aは、キャビティ30の上面30Cに対して段差なく面一に(つまり連続して)接続されているとともに、流路31の上面31bに対しても段差なく面一に(つまり連続して)接続されている。下面32bは、キャビティ30の開口30Aから流路31の下面31aに向かって斜め上方に傾斜して配設されている。これにより、接続流路32は、縦断面テーパー状に形成されている(図1参照)。左右の側面32cは、キャビティ30の円周面30Bに対して段差なく面一に(つまり連続して)接続されているとともに、流路31の左右の側面を構成する下面31aに対しても段差なく面一に(つまり連続して)接続されている。これにより、接続流路32は、平面視テーパー状に形成されている(図2参照)。このように、接続流路32の開口断面積(つまり幅方向断面の面積)は、流路31の側に向かって徐々に小さくなっている。
ミッドソール3は、たとえばEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等の軟質弾性部材から構成されており、その硬度はアスカーCスケールで40~70Cに設定されているのが好ましい。その理由は、硬度が40Cよりも低くなると、とくにキャビティ30の周辺でミッドソールの変形量が大きくなりすぎて、ソールとしての安定性が低下し、それにともなって、シューズとしてのフィッティング性が低下する恐れがあるからであり、硬度が70Cよりも高くなると、ソールとしてのクッション性に欠けることになるからである。なお、より好ましくは、ミッドソール3の硬度は47~60Cに設定されている。
アウトソール4は、たとえばラバー等の弾性部材から構成されており、その硬度はショアAスケールで55~85Aに設定されているのが好ましい。その理由は、硬度が55Aよりも低くなると、突出部40の耐摩耗性が低下する恐れがあるからであり、硬度が85Aよりも高くなると、突出部40の変形(とくに上方への変位)が十分に行われなくなるからである。なお、より好ましくは、アウトソール4の硬度は60~70Aに設定されている。また、アウトソール4の硬度はミッドソール3の硬度よりも高くなっている。
次に、本実施例の作用効果について説明する。
上述のように構成されるソール構造体2およびこれを備えたシューズ1においては、踵着地時にアウトソール4の突出部40が路面と接地すると、突出部40が上方のキャビティ30の側に向かって変位することにより、キャビティ30が収縮する。すると、キャビティ30内部の空気が前方に押し出され、ミッドソール3内部の接続流路32および流路31を通って前方に移動して、先端の出口端31cからミッドソール3の上面に供給され、シューズ1のアッパーUの内部に噴出される。これにより、シューズ1の内部を通気できる。
一方、踵着地の際には、ミッドソール3の足裏当接面3aに足の踵部から下向きの荷重が作用するが、このとき、キャビティ30は上方に開口しておらず、キャビティ30の上方には厚みtのミッドソール3が配設されているので、踵部からの荷重はミッドソール3の足裏当接面3a全体で分散されて吸収され、その結果、ミッドソール3の変形が抑制され、ミッドソール3の下方への変位量は小さい。これにより、ミッドソール3の変位にともなう足の沈み込みを抑制でき、ソールとしての安定性の低下を防止できるとともに、足の沈み込みによるアッパー容積の増加にともなうフィッティング性の低下を防止できる。
このように本実施例によれば、踵着地の際のキャビティ30の収縮変形は、突出部40の上方への変位により行われるので、ソールとしての安定性およびシューズとしてのフィッティング性を損なうことなくシューズ内部を通気できるソール構造を実現できる。さらに、本実施例によれば、通気装置を有するソール構造体2が、ミッドソール3およびアウトソール4から構成されるので、部品点数を削減でき、構造を簡略化できる。
本実施例では、キャビティ30がソール構造体2の踵領域Hに設けられているので、踵接地の頻度が高い着用者(ヒールストライカー)や競技種目に適したソール構造体を実現できる。
本実施例では、キャビティ30および流路31の間には、これらに連通して接続される接続流路32が設けられており、接続流路32の開口断面積が流路31の側に向かって徐々に小さくなっている。この場合には、キャビティ30および流路31間において開口断面積が急激に変化する個所をなくすことにより、キャビティ30および流路31間で空気が移動する際に乱流や剥離の発生を防止して、流体音の発生を防止できる。
本実施例では、突出部40の延在領域がキャビティ30の開口30Aの開口領域より小さくなっており、突出部40の肉厚が外側のアウトソール4の肉厚よりも厚くなっている。これにより、突出部40の上方への変位をスムーズに行えるようになるとともに、変形の頻度が高い突出部40を補強でき、突出部40の耐久性を向上できる。
本実施例では、突出部40の突出高さが前側から後側に向かうに従い徐々に高くなっている。この場合には、突出部40が路面と接地した際に路面から突出部40に対し、前方に向かって斜め上向きの路面反力が作用したとき、突出部40が上方のキャビティ30に向かって変位しやすくなるので、接地時にキャビティ30を急激に収縮させることができるようになり、その結果、キャビティ30内部の空気を流路31側に勢いよく押し出すことができ、通気性を向上できる。
本実施例では、流路31がソール構造体2の土踏まず領域Mの周辺部を通って延びている。この場合には、接地後の荷重移動の際に流路31が上下に圧縮されにくくなるので、キャビティ30から流路31の出口端31cまでの空気の流れをスムーズにすることができる。
本実施例では、流路31の出口端31cが着用者の足指P、Pの付け根付近に対応する位置に配置されている。この場合には、足Pの中でもとくに蒸れやすい足指の付け根部分を効率よく通気することができる。
本実施例では、流路31の横断面形状が円弧状の下面31aと平坦状の上面31bから構成されている。この場合には、流路31に沿って空気が移動しやすくなっているので、通気性を向上できる。
<第2の実施例>
図5ないし図8は、本発明の第2の実施例によるソール構造を説明するための図である。これらの図において、前記第1の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
この第2の実施例では、図5ないし図7に示すように、ソール構造体2の踵領域Hから中足領域Mにかけての領域において、ミッドソール3の上面3aに補強プレート5が設けられており、ミッドソール3、アウトソール4および補強プレート5によりソール構造体2が構成されている点が前記第1の実施例と異なっている。
補強プレート5は、薄肉の硬質プレートであって、たとえばTPU(熱可塑性ポリウレタン)やEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、ナイロン等の素材から構成されており、その硬度は、キャビティ30上方のミッドソール3の下方への変位を抑制する観点からは、ショアAスケールで80A(ショアDスケールで30D)以上に設定されているのが好ましい。補強プレート5の硬度は、ミッドソール3の硬度およびアウトソール4の硬度よりも高くなっており、よって、補強プレート5の剛性は、ミッドソール3の剛性およびアウトソール4の剛性よりも高くなっている。補強プレート5の厚みtは、1~5mmに設定されているのが好ましい。図7に示すように、ミッドソール3の上面3aに補強プレート5を設置することで、キャビティ30上方におけるミッドソール3の肉厚は、前記第1の実施例におけるt(図3)からt-t(図7)に減少するが、ミッドソール3よりも高硬度の補強プレート5を配置したことにより、キャビティ30上方のソール構造全体の剛性はアップしている。
この第2の実施例においても、前記第1の実施例と同様の作用効果を奏する。すなわち、踵着地時にアウトソール4の突出部40が路面と接地すると、突出部40が上方のキャビティ30の側に向かって変位することでキャビティ30が収縮し、キャビティ30内部の空気が前方に押し出されて流路31の出口端31cからアッパーUの内部に噴出され、これにより、シューズ1の内部を通気できる。
踵着地の際には、ミッドソール3の足裏当接面3aに足の踵部から下向きの荷重が作用するが、このとき、キャビティ30の上方にはミッドソール3が配設されているだけでなく、ミッドソール3の上面3aに補強プレート5が配設されているので、踵部からの荷重は補強プレート5で分散されるとともにミッドソール3の足裏当接面3a全体で分散されて吸収される。その結果、ミッドソール3の変形を一層抑制でき、ミッドソール3の下方への変位量をさらに小さくできる。これにより、ミッドソール3の変位にともなう足の沈み込みを一層抑制でき、ソールとしての安定性の低下をさらに防止できるとともに、足の沈み込みによるアッパー容積の増加にともなうフィッティング性の低下を一層防止できる。
とくに、図示例では、補強プレート5の水平投影面がキャビティ30の水平投影面を覆っているので(図6参照)、踵着地時の下向きの荷重の作用にともなうミッドソール3のキャビティ30側への変位をより一層抑制できる。さらに、補強プレート5が踵領域Hおよび中足領域Mを覆っているので、踵着地時の下向きの荷重をこれらの領域全体で効果的に分散することができる。また、補強プレート5の前端縁部5aが中足領域Mまで延設されていることにより、中足領域Mのシャンク強度を向上でき、荷重移動時の中足領域Mでの落ち込みを防止できる。
このように第2の実施例によれば、踵着地の際のキャビティ30の収縮変形は、実質的に突出部40の上方への変位のみにより行われるので、ソールとしての安定性およびシューズとしてのフィッティング性を損なうことなくシューズ内部を通気できるシューズのソール構造を確実に実現できる。
<第3の実施例>
図9ないし図11は、本発明の第3の実施例によるソール構造を説明するための図である。これらの図において、前記第1、第2の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
この第3の実施例では、図9ないし図11に示すように、ミッドソール3が、上側に配置された上部ミッドソール3Aと、その下側に配置された下部ミッドソール3Bとから構成されている点が、前記第2の実施例と異なっている。上下部ミッドソール3A、3Bはそれぞれ別工程で樹脂成形されている。
図9ないし図11に示すように、上部ミッドソール3Aの上面3Aaは前記第1、第2の実施例の上面3aに対応していて足裏当接面を構成している。上部ミッドソール3Aの下面3Abおよび下部ミッドソール3Bの上面3Baは、接着剤等で接着されており、上下部ミッドソール3A、3Bの境界面を構成している。また、上部ミッドソール3Aの下面3Abは、キャビティ30の上面30Cと面一になっているとともに、流路31の上面31bと面一になっている。別の言い方をすれば、第3の実施例では、キャビティ30の上面30Cが上部ミッドソール3Aの下面3Abにより構成され(図10参照)、流路31の上面31bが上部ミッドソール3Aの下面3Abにより構成されている(図11参照)。なお、第3の実施例においても、前記第1、第2の実施例と同様の作用効果を奏する。
上下部ミッドソール3A、3Bは、たとえば、いずれも前記第1の実施例のミッドソール3と同様の素材から形成されていて同様の硬度を有しているが、異なる素材を用いるようにしてもよく、また硬度を異ならせるようにしてもよい。各ミッドソール3A、3Bの硬度を異ならせる場合において、各ミッドソール3A、3Bの硬度はいずれも前記第1の実施例で説明した範囲にあるのが好ましい。
<第4の実施例>
図12ないし図14は、本発明の第4の実施例によるソール構造を説明するための図である。これらの図において、前記第1ないし第3の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
この第4の実施例では、突出部40およびその周辺領域の構造が前記第1ないし第3の実施例と異なっている。図12および図14に示すように、突出部40は、中実ではなく中空になっている。より詳細には、突出部40は、その周辺領域の外側のアウトソール4と同程度の肉厚を有しかつ下方に凸円弧状(つまり下凸状)に形成されている。これにより、キャビティ30の容積が前記第1ないし第3の実施例の場合よりも大きくなっている。
突出部40の突出量(突出高さ)は、前記第1ないし第3の実施例と同様に、後方側(踵後端側)に向かうにしたがい徐々に大きくなっており、突出量が最大となる位置(図12中のXIV-XIV線位置)は、突出部40の延在領域の中心位置よりも後方に配置されている(同図参照)。アウトソール下面4bからの突出部40の突出量p(図14)についても、前記第1ないし第3の実施例と同様である。突出部40の最下面(最突出面)40bは、前記第1ないし第3の実施例と同様に、平坦状または緩やかな凸円弧状に形成されている(図14参照)。
突出部40の周辺領域には、突出部40を弾性支持する弾性支持部41が設けられている。弾性支持部41は、突出部40の外周に沿って環状に配設されており(図13参照)、その内周側部分が突出部40に一体に連設され、外周側部分がアウトソール4に一体に連設されている。弾性支持部41は、その外側のアウトソール4と同程度の肉厚を有しており、上方に凸円弧状(つまり上凸状)またはU字状に屈曲することにより構成されている。これにより、突出部40は、弾性支持部41によって上下方向に変位可能に弾性支持されている。
この第4の実施例においても、前記第1ないし第3の実施例と同様の作用効果を奏する。すなわち、踵着地時にアウトソール4の突出部40が路面と接地すると、突出部40が上方のキャビティ30の側に向かって変位することでキャビティ30が収縮し、キャビティ30内部の空気が前方に押し出されて流路31の出口端31cからアッパーUの内部に噴出され、これにより、シューズ1の内部を通気できる。さらに、この第4の実施例では、踵着地時には、下凸状に形成された中空の突出部40がよりフラットになるように圧縮変形するので、突出部40の上方への変位と相俟って、より多くの空気を前方に押し出すことができ、通気性をアップできる。
踵着地の際には、ミッドソール3の足裏当接面3aに足の踵部から下向きの荷重が作用するが、このとき、キャビティ30の上方にはミッドソール3が配設されているだけでなく、ミッドソール3の上面3aに補強プレート5が配設されているので、踵部からの荷重は補強プレート5で分散されるとともに、ミッドソール3の足裏当接面3a全体で分散されて吸収される。その結果、ミッドソール3の変形を一層抑制でき、ミッドソール3の下方への変位量をさらに小さくできる。これにより、ミッドソール3の変位にともなう足の沈み込みを一層抑制でき、ソールとしての安定性の低下をさらに防止できるとともに、足の沈み込みによるアッパー容積の増加にともなうフィッティング性の低下を一層防止できる。
しかも、第4の実施例によれば、突出部40の周辺領域に弾性支持部41が設けられているので、踵着地の際には、突出部40の上方への変位が容易になって、キャビティ30の収縮が容易になる。
このように第4の実施例によれば、踵着地の際のキャビティ30の収縮変形は、実質的に突出部40の上方への変位および変形のみにより行われるので、ソールとしての安定性およびシューズとしてのフィッティング性を損なうことなくシューズ内部を通気できるシューズのソール構造を確実に実現できる。
なお、前記第1ないし第3の実施例における中実の突出部40の周辺領域においても、この第4の実施例と同様の弾性支持部41を設けるようにしてもよい。
<第5の実施例>
図15は、本発明の第5の実施例によるソール構造を説明するための図である。同図において、前記第1ないし第4の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
この第5の実施例では、図15に示すように、突出部40において、キャビティ30を外部空間と連通させる連通部40cを設けた点が前記第2の実施例と異なっている。図示例では、連通部40cは、突出部40を上下方向に貫通する貫通孔から構成されている。また、図示例では、連通部40cが突出部40の略中央に配置されており、突出部40の突出量(突出高さ)が連通部40cを挟んで前後方向に略対称になっているが、突出部40の突出量は、前記第1ないし第4の実施例と同様に、後方側(踵後端側)に向かうにしたがい徐々に大きくなるようにして、突出量が最大となる位置を突出部40の延在領域の中心位置よりも後方に配置するようにしてもよく、突出量が最大となる位置に連通部40cを配置するようにしてもよい。
第5の実施例においても、前記第1ないし第4の実施例と同様の作用効果を奏する。すなわち、踵着地時にアウトソール4の突出部40が路面と接地すると、突出部40が上方のキャビティ30の側に向かって変位することでキャビティ30が収縮し、キャビティ30内部の空気が前方に押し出されて流路31の出口端31cからアッパーUの内部に噴出され、これにより、シューズ1の内部を通気できる。
踵着地の際には、ミッドソール3の足裏当接面3aに足の踵部から下向きの荷重が作用するが、このとき、キャビティ30の上方にはミッドソール3が配設されているだけでなく、ミッドソール3の上面3aに補強プレート5が配設されているので、踵部からの荷重は補強プレート5で分散されるとともにミッドソール3の足裏当接面3a全体で分散されて吸収される。その結果、ミッドソール3の変形を一層抑制でき、ミッドソール3の下方への変位量をさらに小さくできる。これにより、ミッドソール3の変位にともなう足の沈み込みを一層抑制でき、ソールとしての安定性の低下をさらに防止できるとともに、足の沈み込みによるアッパー容積の増加にともなうフィッティング性の低下を一層防止できる。
このように第5の実施例によれば、踵着地の際のキャビティ30の収縮変形は、実質的に突出部40の上方への変位のみにより行われるので、ソールとしての安定性およびシューズとしてのフィッティング性を損なうことなくシューズ内部を通気できるシューズのソール構造を確実に実現できる。
しかも、第5の実施例においては、踵着地時には、連通部40cの接地面側開口端が路面と接地することで塞がれるので、キャビティ30の収縮にともなってキャビティ30内部の空気が前方に押し出される際、キャビティ30内部の空気は連通部40cの接地面側開口端から外部空間に漏れることはない。その一方、踵離地時には、連通部40cの接地面側開口端が路面から離れて開放されるので、収縮変形していたキャビティ30が元の状態に復元するのにともなって、連通部40cの接地面側開口端から外部空間の空気が連通部40cを通ってキャビティ30内に導入される。これにより、外部の新鮮な空気をキャビティ30内に導入(つまり吸気)でき、シューズ内部の湿気を含んだ空気と入れ替えることができる。
<第6の実施例>
図16は、本発明の第6の実施例によるソール構造を説明するための図である。同図において、前記第1ないし第5の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
前記第5の実施例では、連通部40cが突出部40を上下方向に貫通する貫通孔から構成された例を示したが、この第6の実施例では、図16に示すように、連通部40dが突出部40を前後方向に貫通する貫通孔から構成されており、連通部40’cがキャビティ30および連通部40dと連通する上下方向の流路から構成されている。
図示例では、連通部40’cが突出部40の略中央に配置されており、突出部40の突出量(突出高さ)が連通部40’cを挟んで前後方向に略対称になっているが、突出部40の突出量は、前記第1ないし第4の実施例と同様に、後方側(踵後端側)に向かうにしたがい徐々に大きくなるようにして、突出量が最大となる位置を突出部40の延在領域の中心位置よりも後方に配置するようにしてもよい。
第6の実施例においても、前記第ないし第5の実施例と同様の作用効果を奏する。すなわち、踵着地の際のキャビティ30の収縮変形は、実質的に突出部40の上方への変位のみにより行われるので、ソールとしての安定性およびシューズとしてのフィッティング性を損なうことなくシューズ内部を通気できるシューズのソール構造を確実に実現できる。
しかも、第6の実施例においては、踵着地時には、突出部40が上方に圧縮変形することで連通部40dの流路が狭められることにより、キャビティ30の収縮にともなってキャビティ30内部の空気が前方に押し出される際、キャビティ30内部の空気が連通部40’cを通って連通部40dの開口端から外部空間に漏れるのを規制できる。その一方、踵離地時には、突出部40が圧縮変形する前の状態に戻るので、収縮変形していたキャビティ30が元の状態に復元するのにともなって、連通部40dの開口端から外部空間の空気が連通部40d、40’cを通ってキャビティ30内に導入される。これにより、外部の新鮮な空気をキャビティ30内に導入(つまり吸気)でき、シューズ内部の湿気を含んだ空気と入れ替えることができる。また、この場合、連通部40dの開口端が突出部40の下面ではなく側面に開口しているので、踵着地時に路面の水がキャビティ30内部に浸入するのを防止できる。
図示例では、連通部40dが突出部40を前後方向に貫通した例を示したが、突出部40に対する連通部40dの貫通方向は左右方向でもよく、また水平面内における斜め方向でもよい。さらに、連通部40dは、突出部40を前後方向、左右方向または斜め方向に貫通していなくてもよく、前後方向、左右方向または斜め方向の一端においてのみ突出部40を貫通して、他端は突出部40を貫通することなく連通部40’cと連通するようにしてもよい。この場合、連通部40d、40’cからなる流路は、図16に示すような逆T字状ではなく、L字状または逆L字状になる。
<第7の実施例>
図17ないし図20は、本発明の第7の実施例によるソール構造を説明するための図である。これらの図において、前記第1ないし第6の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
この第7の実施例では、図17ないし図20に示すように、補強プレート5の外周周縁部にヒールスタビライザー50が配設されている点が前記第2ないし第6の実施例と異なっている。ヒールスタビライザー50は、補強プレート5の踵部において、外周縁部から上方に立ち上がるとともに(図17、図19、図20参照)、外周縁部に沿って平面視U字状に延設されている(図18参照)。また、図示例では、補強プレート5の前端縁部5aが中足領域Mを越えて前足領域Fの後部まで延びている。
第7の実施例においても、前記第1ないし第6の実施例と同様の作用効果を奏する。さらに、第7の実施例では、補強プレート5にヒールスタビライザー50が設けられることにより、足の踵部のサポート性を向上でき、着地時において踵部の横ずれを防止して踵部の着地安定性を向上できる。また、補強プレート5の前端縁部5aが中足領域Mを越えて前足領域Fの後部まで延びていることにより、中足領域Mから前足領域Fの後部にかけてシャンク強度を向上できる。
<第8の実施例>
図21および図22は、本発明の第8の実施例によるソール構造を説明するための図である。これらの図において、前記第1ないし第7の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
第8の実施例では、図21および図22に示すように、補強プレート5がミッドソール3の上面3aではなく、ミッドソール3の内部に設けられている点が前記第2ないし第7の実施例と異なっている。図示例では、補強プレート5の下面5bにより、キャビティ30の上面が構成されている。
第8の実施例においても、前記第1ないし第7の実施例と同様の作用効果を奏する。さらに、この第8の実施例では、補強プレート5がミッドソール3の内部に配設されることで、着用者の足裏がミッドソール3の上面3aに当接することになるので、着用時の足当たり感を向上できる。なお、図22に示すように、ミッドソール3の内部に補強プレート5を設置することで、キャビティ30上方におけるミッドソール3の肉厚は、前記第1の実施例におけるt(図3)からt-t(図22)に減少するが、ミッドソール3よりも高硬度の補強プレート5を配置したことにより、キャビティ30上方のソール構造全体の剛性はアップしている。
<第9の実施例>
図23は、本発明の第9の実施例によるソール構造を説明するための図である。同図において、前記第1ないし第8の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
第9の実施例では、図23に示すように、流路31がミッドソール3の下面3bの位置まで下方に移動している点が前記第1ないし第8の実施例と異なっている。また、接続流路32の下面32bは、キャビティ30の開口30Aから流路31の下面31aに対して段差なく面一に(つまり連続して)接続されており、キャビティ30の開口30Aとともに、ミッドソール3の下面3bに開口している。接続流路32の上面32aは、キャビティ30の上面30Cに接続されるとともに、上面30Cの位置から前方に向かうにしたがい徐々に下方に傾斜しつつ延びており、流路31の上面31bに対して段差なく面一に(つまり連続して)接続されている。これにより、接続流路32は、縦断面テーパー状に形成されている(図23参照)。なお、図示していないが、接続流路32の左右の側面は、前記第1ないし第8の実施例と同様に(図2、図6等参照)、キャビティ30の円周面30Bに対して段差なく面一に(つまり連続して)接続されているとともに、流路31の左右の側面を構成する下面31aに対しても段差なく面一に(つまり連続して)接続されている。これにより、接続流路32は、前記第1ないし第8の実施例と同様に(図2、図6等参照)、平面視テーパー状に形成されている。このように、接続流路32の開口断面積(つまり幅方向断面の面積)は、流路31の側に向かって徐々に小さくなっている。
この第9の実施例においても、前記第1ないし第8の実施例と同様の作用効果を奏する。
<第10の実施例>
図24ないし図26は、本発明の第10の実施例によるソール構造を説明するための図である。これらの図において、前記第1ないし第9の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
第10の実施例では、図24、図25に示すように、キャビティ30がソール構造体2の前足領域Fに設けられている点が前記第1ないし第9の実施例と異なっている。これらの図に示すように、キャビティ30は、前足領域Fの略中央部に配置されており、底面方向から見て(つまり底面視)、左右方向に長い(つまり横長の)楕円形状を有している。キャビティ30は、前記第1の実施例と同様に、ミッドソール3の下面3b側つまり下方に開口しているが、上面3a側つまり上方には開口していない。キャビティ30の上部は、足裏当接面(上面)3aを有するミッドソール3で覆われている。キャビティ30に対応する位置におけるミッドソール3の厚みおよびキャビティ30の深さについては、前記第1の実施例と同様である。キャビティ30の内周面(つまり円筒面)30Bは、ミッドソール3の下面3bと略直交する上下方向に延びる平坦状面になっている(図24、図26参照)。キャビティ30の上面30Cは、前後方向および左右方向に延設された平坦状面になっている。
キャビティ30の開口30Aを覆うアウトソール4は、キャビティ30の開口30Aに対応する位置において、アウトソール4の下面4bから下方に突出する中実の突出部40を有している。突出部40の延在領域(図25中の点線で囲まれた領域)は、横長の楕円状に形成されていて、開口30Aの開口領域よりも小さくなっており、突出部40は開口30Aの内側に配置されている(同図参照)。
突出部40の突出量(突出高さ)は、図示例では、後方側(つまり中足領域M側)に向かうにしたがい、徐々に大きくなっており、突出量が最大となる位置は、突出部40の延在領域の中心位置よりも後方に配置されているが(図24参照)、突出部40の延在領域の中心位置に配置されていてもよい。アウトソール4の下面4bからの突出部40の突出量および突出部40の延在領域の周辺領域におけるアウトソール4の厚み(肉厚)については、前記第1ないし第9の実施例と同様である。
キャビティ30の後方には、キャビティ30に連通しかつミッドソール3の内部を実質的に後方に向かって延びる少なくとも1つの流路31’が配設されている。流路31’は、前足領域Fから中足領域(土踏まず領域)Mにかけての領域において、幅方向中央部から外甲側寄りの周辺部を通っている(図25参照)。なお、さらに外甲側寄りの周縁部を通るようにしてもよい。また、流路31’の先端部は、中足領域Mにおいて上方に向かって略L字状に屈曲しつつ、ミッドソール3の上面3aに開口する出口端31’cを有している。出口端31’cは、好ましくは、着用者の足の土踏まず部付近に対応する位置に配置されている(図25参照)。流路31’の横断面形状は前記第1ないし第9の実施例と同様であり、流路31’は、前足領域Fから中足領域Mにかけての領域において、概ね一定の幅寸法および高さ(深さ)寸法を有している(図24、図25参照)。
図示例では、流路31’として、単一の流路が設けられた例が示されているが、2つ以上の流路を設けるようにしてもよく、その場合には、たとえば、流路31’と分岐する1つまたは2つ以上の分岐流路を設けるようにすればよい。
キャビティ30と流路31’の間には、図25中の斜線領域に示すように、キャビティ30および流路31’を連結する接続流路(接続部)32が設けられている。接続流路32は、キャビティ30の後側開口から連続して延びるとともに、流路31’の前側開口に連続して延びており、キャビティ30および流路31’に接続されてこれらに連通している。
接続流路32は、図24および図25に示すように、上面32a、下面32bおよび左右の側面32cから画成されている。上面32aは、キャビティ30の上面30Cに対して段差なく面一に(連続して)接続されているとともに、流路31の上面31bに対しても段差なく面一に(つまり連続して)接続されている。下面32bは、キャビティ30の開口30Aから流路31の下面31aに向かって斜め上方に傾斜して配設されている。これにより、接続流路32は、縦断面テーパー状に形成されている(図24参照)。左右の側面32cは、キャビティ30の円周面30Bに対して段差なく面一に(つまり連続して)接続されているとともに、流路31の左右の側面を構成する下面31aに対しても段差なく面一に(つまり連続して)接続されている。これにより、接続流路32は、平面視テーパー状に形成されている(図25参照)。このように、接続流路32の開口断面積(つまり幅方向断面の面積)は、流路31の側に向かって徐々に小さくなっている。
次に、本実施例の作用効果について説明する。
上述のように構成されるソール構造体2およびこれを備えたシューズ1においては、前足着地時にアウトソール4の突出部40が路面と接地すると、突出部40が上方のキャビティ30の側に向かって変位することにより、キャビティ30が収縮する。すると、キャビティ30内部の空気が後方に押し出され、ミッドソール3内部の接続流路32および流路31’を通って後方に移動して、先端の出口端31’cからミッドソール3の上面に供給され、シューズ1のアッパーUの内部に噴出される。これにより、シューズ1の内部においてとくに足Pの土踏まず部を効率よく通気できる。
一方、前足着地の際には、ミッドソール3の足裏当接面3aに足の前足部から下向きの荷重が作用するが、このとき、キャビティ30は上方に開口しておらず、キャビティ30の上方には所定厚みのミッドソール3が配設されているので、前足部からの荷重はミッドソール3の足裏当接面3a全体で分散されて吸収される。その結果、ミッドソール3の変形が抑制され、ミッドソール3の下方への変位量が小さくなる。これにより、ミッドソール3の変位にともなう足の沈み込みを抑制でき、ソールとしての安定性の低下を防止できるとともに、足の沈み込みによるアッパー容積の増加にともなうフィッティング性の低下を防止できる。
このように本実施例によれば、前足着地の際のキャビティ30の収縮変形は、突出部40の上方への変位により行われるので、ソールとしての安定性およびシューズとしてのフィッティング性を損なうことなくシューズ内部を通気できるシューズのソール構造を実現できる。さらに、本実施例によれば、通気装置を有するソール構造体2が、ミッドソール3およびアウトソール4から構成されるので、部品点数を削減でき、構造を簡略化できる。
本実施例では、キャビティ30がソール構造体2の前足領域Fに設けられているので、前足接地の頻度が高い着用者(フォアフットストライカー)や競技種目に適したソール構造体を実現できる。
本実施例では、キャビティ30および流路31’の間には、これらに連通して接続される接続流路32が設けられており、接続流路32の開口断面積が流路31’の側に向かって徐々に小さくなっている。この場合には、キャビティ30および流路31’間において開口断面積が急激に変化する個所をなくすことにより、キャビティ30および流路31’間で空気が移動する際に乱流や剥離の発生を防止して、流体音の発生を防止できる。
本実施例では、突出部40の延在領域がキャビティ30の開口30Aの開口領域より小さくなっており、突出部40の肉厚が外側のアウトソール4の肉厚よりも厚くなっている。これにより、突出部40の上方への変位をスムーズに行えるようになるとともに、変形の頻度が高い突出部40を補強でき、突出部40の耐久性を向上できる。
本実施例では、流路31’がソール構造体2の土踏まず領域Mの周辺部を通って延びている。この場合には、接地後の荷重移動の際に流路31’が上下に圧縮されにくくなるので、キャビティ30から流路31’の出口端31’cまでの空気の流れをスムーズにすることができる。
<第11の実施例>
図27および図28は、本発明の第11の実施例によるソール構造を説明するための図である。これらの図において、前記第1ないし第10の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
第11の実施例では、前記第10の実施例と同様に、キャビティ30がソール構造体2の前足領域Fに設けられているが(図27、図28参照)、前記第10の実施例と異なり、流路31”は前後方向に延設されておらず、キャビティ30上方(つまり前足領域F)のミッドソール上面3aに出口端31”cを有している(図27、図28参照)。出口端31”cは、図示例では、足Pの第2足指Pの付け根付近に位置している。
キャビティ30と流路31”の間には、キャビティ30および流路31”間を連通する接続流路(接続部)32が設けられている(図28中の斜線領域参照)。接続流路32は、キャビティ30の上側開口から延びるとともに、流路31”の下側開口に連続して延びており、キャビティ30および流路31”に接続されてこれらに連通している。接続流路32は、図27に示すように、上方に向かうにしたがい徐々に開口断面積が小さくなるようにテーパー状に形成されている。
次に、本実施例の作用効果について説明する。
上述のように構成されるソール構造体2およびこれを備えたシューズ1においては、前足着地時にアウトソール4の突出部40が路面と接地すると、突出部40が上方のキャビティ30の側に向かって変位することにより、キャビティ30が収縮する。すると、キャビティ30内部の空気が上方に押し出され、ミッドソール3内部の接続流路32および流路31”を通って上方に移動して、先端の出口端31”cからミッドソール3の上面に供給され、シューズ1のアッパーUの内部に噴出される。これにより、シューズ1の内部においてとくに足指の付け根付近を効率よく通気できる。
一方、前足着地の際には、ミッドソール3の足裏当接面3aに足の前足部から下向きの荷重が作用するが、このとき、キャビティ30は上方に開口しておらず、キャビティ30の上方には所定厚みのミッドソール3が配設されているので、前足部からの荷重はミッドソール3の足裏当接面3a全体で分散されて吸収される。その結果、ミッドソール3の変形が抑制され、ミッドソール3の下方への変位量は小さくなる。これにより、ミッドソール3の変位にともなう足の沈み込みを抑制でき、ソールとしての安定性の低下を防止できるとともに、足の沈み込みによるアッパー容積の増加にともなうフィッティング性の低下を防止できる。
このように本実施例によれば、前足着地の際のキャビティ30の収縮変形は、突出部40の上方への変位により行われるので、ソールとしての安定性およびシューズとしてのフィッティング性を損なうことなくシューズ内部を通気できるシューズのソール構造を実現できる。さらに、本実施例によれば、通気装置を有するソール構造体2が、ミッドソール3およびアウトソール4から構成されるので、部品点数を削減でき、構造を簡略化できる。
本実施例では、キャビティ30がソール構造体2の前足領域Fに設けられているので、前足接地の頻度が高い着用者(フォアフットストライカー)や競技種目に適したソール構造体を実現できる。
本実施例では、キャビティ30および流路31”の間には、これらに連通して接続される接続流路32が設けられており、接続流路32の開口断面積が流路31”の側に向かって徐々に小さくなっている。この場合には、キャビティ30および流路31”間において開口断面積が急激に変化する個所をなくすことにより、キャビティ30および流路31”間で空気が移動する際に乱流や剥離の発生を防止して、流体音の発生を防止できる。
<第12の実施例>
図29ないし図31は、本発明の第12の実施例によるソール構造を説明するための図である。これらの図において、前記第1ないし第11の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
この第12の実施例では、図29および図30に示すように、前記第3の実施例と同様に、ミッドソール3が、上側に配置された上部ミッドソール3Aと、その下側に配置された下部ミッドソール3Bとから構成されており、上部ミッドソール3Aの下面3Abおよび下部ミッドソール3Bの上面3Baが接着剤等で接着されていて、上下部ミッドソール3A、3Bの境界面を構成している。
また、第12の実施例においては、図31に示すように、前記第3の実施例と異なり、流路31の左右両側には、下部ミッドソール3Bの上面3Baから上方に隆起するとともに、流路31に沿って延びる一対のリブ31dが設けられている。一方、上部ミッドソール3Aにおいて、下部ミッドソール3Bの各リブ31dと上下に対向する位置には、各リブ31dに嵌合するように各リブ31dの相補的形状を有し、流路31に沿って延びる左右一対の凹部31eが形成されている。
このようにリブ31dおよび凹部31eを設けたことにより、上下部ミッドソール3A、3Bに接着剤を塗布する際に塗布領域が明確になって接着剤が流路31内に入り込むのを防止できるとともに、上下部ミッドソール3A、3Bを貼り合わせる際に上下部ミッドソール3A、3Bの幅方向の位置合わせを容易に行えるようになる。
<第13の実施例>
図32ないし図34は、本発明の第13の実施例によるソール構造を説明するための図である。これらの図において、前記第1ないし第12の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
この第13の実施例では、図32(ソール構造体の外甲側側面図)に示すように、踵領域Hにおいて、上部ミッドソール3Aの下面3Abが前後方向(図示上下方向)に進む波形状面(図示例では正弦波状の面)から構成され、下部ミッドソール3Bの上面3Baが、上部ミッドソール3Aの下面3Abの波形状面の相補的形状を有する波形状面(図示例では正弦波状の面)から構成されており、各波形状面が接着等によって固着されている。したがって、この例では、上下部ミッドソール3A、3Bは、波状の境界面を有している。好ましくは、上下部ミッドソール3A、3Bの硬度は異なっている。
図33(図32のXXXIII-XXXIII線断面図)は、下部ミッドソール3Bの上面3Baの波形状の山の位置における横断面を示しており、図34は、下部ミッドソール3Bの上面3Baの波形状の谷の位置における横断面を示している。これらの図に示すように、キャビティ30の左右両側に配設される上下部ミッドソール3A、3Bの各波形状面の位相は互いに等しくなっている。すなわち、図33および図34に示すいずれの横断面位置においても、キャビティ30の図示左側の波形状の位相と図示右側の波形状の位相とは等しく、一方の波形状の位相が山の頂部にあるとき、他方の波形状の位相も山の頂部にあり、一方の波形状の位相が谷の底部にあるとき、他方の波形状の位相も谷の底部にある。また、この場合、キャビティ30の左右両側の波形状に関して、位相だけでなく、振幅も波長も等しくすることにより、任意の横断面位置において、下部ミッドソール3Bの上面3Baの高さ位置がキャビティ30の左右両側で互いに等しくなっている。
このように、上下部ミッドソール3A、3Bの境界面を波形状面とすることにより、幅方向の安定性とクッション性を両立できる。
<第14の実施例>
図35および図36は、本発明の第14の実施例によるソール構造を説明するための図である。これらの図において、前記第1ないし第13の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。図35、図36は前記第13の実施例の図33、図34にそれぞれ対応しており、したがって、図35は図32のXXXIII-XXXIII線断面に相当し、図36は図32のXXXIV-XXXIV線断面に相当している。また、前記第13の実施例と同様に、好ましくは、上下部ミッドソール3A、3Bの硬度は異なっている。
前記第13の実施例では、キャビティ30の図示左側の波形状の位相と図示右側の波形状の位相とが等しくなっている例を示したが(図33、図34参照)、この第14の実施例では、図35および図36に示すように、キャビティ30の図示左側の波形状の位相と図示右側の波形状の位相とが(この例ではπだけ)異なっている。すなわち、図35に示すように、キャビティ30の左側において下部ミッドソール3Bの波形状の位相が山の頂部にあるとき、キャビティ30の右側の下部ミッドソール3Bの波形状の位相は谷の底部にある。同様に、図36に示すように、キャビティ30の左側において下部ミッドソール3Bの波形状の位相が谷の底部にあるとき、キャビティ30の右側の下部ミッドソール3Bの波形状の位相は山の頂部にある。したがって、任意の横断面位置において、下部ミッドソール3Bの上面3Ba(したがって、上下部ミッドソール3A、3Bの境界面)の高さ位置がキャビティ30の左右両側(つまり内外甲側)で異なっている
この場合には、キャビティ30の左右両側方においてミッドソール3の圧縮硬さを異ならせることができるので、踵着地時にオーバープロネーション(過回内)が発生するのを抑制できるようになる。
<その他の変形例>
上述した各実施例および各変形例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
<他の適用例>
前記各実施例および前記各変形例では、当該ソール構造がウォーキングシューズに適用された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、本発明は、バレーボールシューズやバドミントンシューズ、卓球シューズ等を含むインドアスポーツシューズにも同様に適用可能である。
以上のように、本発明は、シューズとしてのフィッティング性およびソールとしての安定性を損なうことなく、シューズ内部を通気できるようにするためのソール構造に有用である。
1: ウォーキングシューズ(シューズ)

2: ソール構造体

3: ミッドソール
3a: 上面(足裏当接面)
3b: 下面

30: キャビティ
30A: 開口

31: 流路
31a: 下面
31b: 上面
31c: 出口端

32: 接続流路(接続部)

4: アウトソール
4b: 下面(接地面)

40: 突出部
40c、40’c、40d: 連通部
41: 弾性支持部

5: 補強プレート

: アウトソールの厚み(肉厚)
p: 突出部の突出量(突出高さ)
+p: 突出部の厚み(肉厚)

H: 踵領域
F: 前足領域
M: 中足領域(土踏まず領域)

P: 足
、P: 足指
特開平8-196304号公報(段落[0006]、図1および図2参照) 特許第6342607号公報(段落[0014]~[0023]、[0026]~[0028]、図1~図3および図6参照) 米国特許第10477914号明細書(第5欄第54行~第8欄第42行、およびFig.1、2参照)

Claims (15)

  1. シューズのソール構造において、
    上側に配置されるミッドソールと、前記ミッドソールの下側に配置され、路面と接地するアウトソールとを備え、
    前記ミッドソールが、当該ミッドソールの下面に開口するキャビティと、前記キャビティに連通して延びかつ当該ミッドソールの上面に開口する出口端を有する少なくとも1つの流路とを有し、
    前記ミッドソールの前記上面が、前記キャビティに対応する位置において、着用者の足裏が直接または間接的に当接する足裏当接面を構成しており、
    前記アウトソールが、前記キャビティの開口を塞ぐとともに、前記開口に対応する位置において当該アウトソールの下面から下方に突出する突出部を有している、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  2. 請求項1において、
    前記キャビティが当該ソール構造の踵領域に設けられている、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  3. 請求項1または2において、
    前記キャビティが当該ソール構造の前足領域に設けられている、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記キャビティおよび前記流路の間には、これらに連通して接続される接続部が設けられており、前記接続部の開口断面積が前記流路の側に向かって徐々に小さくなっている、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  5. 請求項1において、
    前記突出部の延在領域が前記キャビティの前記開口の開口領域より小さくなっており、前記突出部の肉厚が突出部の外側におけるアウトソールの肉厚よりも厚くなっている、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  6. 請求項1において、
    前記突出部の延在領域が前記キャビティの前記開口の開口領域より小さくなっており、前記突出部の周辺領域には、当該突出部を弾性支持する弾性支持部が設けられている、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  7. 請求項1、5または6のいずれかにおいて、
    前記突出部が、前記キャビティを外部空間と連通させる連通部を有している、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  8. 請求項1、5ないし7のいずれかにおいて、
    前記突出部の突出高さが、前側から後側に向かうに従い高くなっている、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  9. 請求項1において、
    前記流路が当該ソール構造の土踏まず領域の周辺部を通って延びている、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  10. 請求項1において、
    前記流路の前記出口端が、着用者の足指の付け根付近に対応する位置に配置されている、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  11. 請求項1または10において、
    前記流路の前記出口端が、当該ソール構造の土踏まず領域に配置されている、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  12. 請求項1、9ないし11のいずれかにおいて、
    前記流路の横断面形状が、円弧状の下面と、平坦状の上面とから構成されている、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  13. 請求項1において、
    前記ミッドソールの前記足裏当接面には、補強プレートが配設されるとともに、前記補強プレートの水平投影面は前記キャビティの水平投影面を覆っており、前記補強プレートの剛性は前記ミッドソールの剛性より剛性が高くなっている、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  14. 請求項13において、
    前記補強プレートが当該ソール構造の踵領域から土踏まず領域まで延設されている、
    ことを特徴とするシューズのソール構造。
  15. 請求項1ないし14のいずれかに記載のソール構造を備えたシューズ。
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