JP2022135365A - 有機重合体の製造方法、並びに、有機重合体、硬化性組成物、及び硬化物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水酸基含有有機重合体と、式(1)の化合物を反応させて、ウレタン結合を有する有機重合体を製造する。式中、R1、R2、及びR3のうちいずれか1つの基が、式:-SiRaY3-aで表される加水分解性シリル基を表し、残り2つの基が、同一又は異なって、水素原子、又は炭素数1~20の置換若しくは無置換の炭化水素基を表す。nは、1~5の整数を表す。Rは、炭素数1~20の置換又は無置換の炭化水素基を表す。Yは、水酸基又は加水分解性基を表す。aは、0、1又は2である。
【選択図】なし
Description
好ましくは、前記反応の前に、式(1)で表される化合物を精製して、前記式(1)で表される化合物全体のうちR1が前記加水分解性シリル基を表す化合物の占める割合を高める工程を更に含む。
また本発明は、下記式(2):
で表される構造を有する有機重合体であって、R1、R2、及びR3によって表される加水分解性シリル基全体のうち、R1によって表される加水分解性シリル基の占める割合が、55モル%以上100モル%以下である、有機重合体にも関する。
好ましくは、前記有機重合体の重合体骨格が、ポリオキシアルキレン系重合体である。
さらに本発明は、前記有機重合体を含有する硬化性組成物、又は、該硬化性組成物を硬化させた硬化物にも関する。好ましくは、前記硬化性組成物は、シラノール縮合触媒を更に含有する。
本発明の好適な態様によると、炭素-炭素二重結合を形成する炭素原子に直接結合した加水分解性シリル基を有する有機重合体として、加水分解性シリル基全体のうちR1によって表される加水分解性シリル基の占める割合が高い有機重合体を製造することができる。
本実施形態に係る製造方法によると、水酸基を有する有機重合体に対し、イソシアネート基、炭素-炭素二重結合、及び、該二重結合を形成する炭素原子に直接結合した加水分解性シリル基を有する化合物(式(1)で表される化合物)を反応させて、ウレタン結合を形成させることで、炭素-炭素二重結合を形成する炭素原子に直接結合した加水分解性シリル基を有する有機重合体(式(2)で表される構造を有する有機重合体)を製造する。
出発物質である有機重合体は、水酸基を有する重合体である。前記有機重合体は、複数の繰り返し単位から構成される重合体骨格を有するものである。前記有機重合体の重合体骨格は、直鎖状のものであってもよいし、分岐鎖状のものであってもよい。水酸基が重合体骨格に結合する位置は特に限定されないが、重合体骨格の末端であることが好ましい。
(ポリオキシアルキレン系重合体)
前記水酸基含有有機重合体の重合体骨格がポリオキシアルキレン系重合体である場合、当該重合体は、従来公知の方法によって、水酸基を有する開始剤にエポキシ化合物を重合させることで製造できる。これによって水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体が得られる。具体的な重合方法としては特に限定されないが、分子量分布(Mw/Mn)の小さい重合体が得られることから、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体等の複合金属シアン化物錯体触媒を用いた重合方法が好ましい。
前記水酸基含有有機重合体の重合体骨格が(メタ)アクリル酸エステル系重合体である場合、前記水酸基含有有機重合体の製造方法としては、(I)重合性不飽和基と水酸基を有する化合物(例えば、アクリル酸2-ヒドロキシエチル)を、(メタ)アクリル構造を有するモノマーと共に共重合して重合体を得る方法、(II)原子移動ラジカル重合などのリビングラジカル重合法によって(メタ)アクリル構造を有するモノマーを重合して重合体を得た後、得られた重合体中のいずれかの位置(好ましくは分子鎖末端)に水酸基を導入する方法などが挙げられる。
前記水酸基含有有機重合体の重合体骨格が飽和炭化水素系重合体である場合には、前記水酸基含有有機重合体の製造方法としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、およびイソブチレンなどの炭素原子数2~6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させて重合体を得た後、得られた重合体のいずれかの位置(好ましくは分子鎖末端)に水酸基を導入する方法などが挙げられる。
前記水酸基含有有機重合体に反応させる化合物は、下記式(1)で表される化合物であり、イソシアネート基、炭素-炭素二重結合、及び、該二重結合を形成する炭素原子に直接結合した加水分解性シリル基を有する化合物(以下、略してシラン化合物ともいう)である。
前記水酸基含有有機重合体に対し、式(1)で表される化合物が有するイソシアネート基を反応させて、ウレタン化反応によってウレタン結合を形成させることで、目的の加水分解性シリル基を有する有機重合体を製造することができる。
以上で詳述した製造方法によって、加水分解性シリル基を有する有機重合体として、式(2)で表される構造を有する重合体を製造することができる。
上述した加水分解性シリル基含有有機重合体は、これを含む硬化性組成物を構成することができる。
本実施形態に係る硬化性組成物は、加水分解性シリル基を加水分解・縮合させる反応、即ち硬化反応を促進する目的で、シラノール縮合触媒を含有することが好ましい。
本実施形態に係る硬化性組成物には、種々の充填剤を配合することができる。充填剤としては、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、クレー、タルク、酸化チタン、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、PVC粉末、PMMA粉末、ガラス繊維およびフィラメント等が挙げられる。
本実施形態に係る硬化性組成物には、接着性付与剤を添加することができる。接着性付与剤としては、シランカップリング剤、シランカップリング剤の反応物を添加することができる。
シランカップリング剤の具体例としては、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、(2-アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シラン類;γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、α-イソシアネートメチルトリメトキシシラン、α-イソシアネートメチルジメトキシメチルシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類等が挙げられる。上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
本実施形態に係る硬化性組成物には、可塑剤を添加することができる。可塑剤の具体例としては、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジヘプチルフタレート、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル化合物;ビス(2-エチルヘキシル)-1,4-ベンゼンジカルボキシレートなどのテレフタル酸エステル化合物;1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルなどの非フタル酸エステル化合物;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、コハク酸ジイソデシル、アセチルクエン酸トリブチルなどの脂肪族多価カルボン酸エステル化合物;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどの不飽和脂肪酸エステル化合物;アルキルスルホン酸フェニルエステル;リン酸エステル化合物;トリメリット酸エステル化合物;塩素化パラフィン;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニルなどの炭化水素系油;プロセスオイル;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジルなどのエポキシ可塑剤等が挙げられる。
本実施形態に係る硬化性組成物には溶剤または希釈剤を添加することができる。溶剤及び希釈剤としては、特に限定されないが、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール、エステル、ケトン、エーテルなどを使用することができる。溶剤または希釈剤を使用する場合、組成物を屋内で使用した時の空気への汚染の問題から、溶剤の沸点は、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、250℃以上が特に好ましい。上記溶剤または希釈剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態に係る硬化性組成物には、必要に応じてタレを防止し、作業性を良くするためにタレ防止剤を添加しても良い。タレ防止剤としては特に限定されないが、例えば、ポリアミドワックス類;水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等が挙げられる。これらタレ防止剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態に係る硬化性組成物には、酸化防止剤(老化防止剤)を使用することができる。酸化防止剤を使用すると硬化物の耐候性を高めることができる。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系が例示できる。酸化防止剤の具体例は特開平4-283259号公報や特開平9-194731号公報にも記載されている。
酸化防止剤の使用量は、加水分解性シリル基含有有機重合体100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、0.2~5重量部がより好ましい。
本実施形態に係る硬化性組成物には、光安定剤を使用することができる。光安定剤を使用すると硬化物の光酸化劣化を防止できる。光安定剤としてベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が例示できるが、特にヒンダードアミン系が好ましい。
本実施形態に係る硬化性組成物には、紫外線吸収剤を使用することができる。紫外線吸収剤を使用すると硬化物の表面耐候性を高めることができる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチレート系、置換トリル系及び金属キレート系化合物等が例示できるが、特にベンゾトリアゾール系が好ましく、市販名チヌビンP、チヌビン213、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン329、チヌビン571、チヌビン1600、チヌビンB75(以上、BASF製)が挙げられる。
紫外線吸収剤の使用量は、加水分解性シリル基含有有機重合体100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、0.2~5重量部がより好ましい。
本実施形態に係る硬化性組成物には、必要に応じて生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を添加しても良い。物性調整剤としては特に限定されないが、例えば、フェノキシトリメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどのアリールアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン;トリス(トリメチルシリル)ボレート、トリス(トリエチルシリル)ボレートなどのトリアルキルシリルボレート類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。前記物性調整剤を用いることにより、本実施形態に係る硬化性組成物を硬化させた時の硬度を上げたり、逆に硬度を下げ、破断伸びを出したりし得る。上記物性調整剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態に係る硬化性組成物には、基材への接着性や密着性を高める目的、あるいはその他必要に応じて粘着付与樹脂を添加できる。粘着付与樹脂としては、特に制限はなく通常使用されているものを使うことが出来る。
本実施形態に係る硬化性組成物においてはエポキシ基を含有する化合物を使用できる。エポキシ基を有する化合物を使用すると硬化物の復元性を高めることができる。エポキシ基を有する化合物としてはエポキシ化不飽和油脂類、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル類、脂環族エポキシ化合物類、エピクロルヒドリン誘導体に示す化合物及びそれらの混合物等が例示できる。具体的には、エポキシ化大豆油、エポキシ化あまに油、ビス(2-エチルヘキシル)-4,5-エポキシシクロヘキサン-1,2-ジカーボキシレート(E-PS)、エポキシオクチルステアレート、エポキシブチルステアレート等が挙げられる。エポキシ化合物は、加水分解性シリル基含有有機重合体100重量部に対して0.5~50重量部の範囲で使用するのがよい。
本実施形態に係る硬化性組成物には光硬化性物質を使用できる。光硬化性物資を使用すると硬化物表面に光硬化性物質の皮膜が形成され、硬化物のべたつきや硬化物の耐候性を改善できる。この種の化合物には有機単量体、オリゴマー、樹脂或いはそれらを含む組成物等多くのものが知られており、代表的なものとしては、アクリル系又はメタクリル系不飽和基を1ないし数個有するモノマー、オリゴマー或いはそれ等の混合物である不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂等が使用できる。
本実施形態に係る硬化性組成物には酸素硬化性物質を使用することができる。酸素硬化性物質には空気中の酸素と反応し得る不飽和化合物を例示でき、空気中の酸素と反応して硬化物の表面付近に硬化皮膜を形成し表面のべたつきや硬化物表面へのゴミやホコリの付着を防止するなどの作用をする。酸素硬化性物質の具体例には、キリ油、アマニ油などで代表される乾性油や、該化合物を変性してえられる各種アルキッド樹脂;乾性油により変性されたアクリル系重合体、エポキシ系樹脂、シリコン樹脂;ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3-ペンタジエンなどのジエン系化合物を重合または共重合させてえられる1,2-ポリブタジエン、1,4-ポリブタジエン、C5~C8ジエンの重合体などの液状重合体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態に係る硬化性組成物にはエポキシ樹脂を併用することができる。エポキシ樹脂を添加した組成物は特に接着剤、殊に外壁タイル用接着剤として好ましい。エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂類またはノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
本実施形態に係る硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途、シラノール縮合触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と有機重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調製することもできる。作業性の点からは、1成分型が好ましい。
本実施形態に係る硬化性組成物は、粘着剤、建造物・船舶・自動車・道路などのシーリング材、接着剤、防水材、塗膜防水材、型取剤、防振材、制振材、防音材、発泡材料、塗料、吹付材として使用することができる。本実施形態に係る硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、柔軟性および接着性に優れることから、シーリング材または接着剤として好適に使用することができる。
装置:AVANCE III HD500型デジタル装置(BRUKER社製)
撹拌機、温度計、及び還流冷却機を備えた300mLフラスコに、トルエン150g、プロパルギルクロライド15.0g(201.3mmol)、及び白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)0.072gを仕込み、窒素雰囲気下で60℃まで加温した。次いで、トリメトキシシラン27.1g(221.4mmol)を仕込み、80℃まで加温し1時間反応させた後、混合物を1H-NMRスペクトル測定で分析し、原料のプロパルギルクロライドとトリメトキシシランが消失していることを確認した。蒸留し、生成物である3-クロロプロパ-1-エニルトリメトキシシラン(化合物1)28.5g(収率72%)を2つの異性体の混合物として得た。
これら2つの異性体は、シリル基が結合する炭素原子が異なっている。下記化学式で示すように、炭素-炭素二重結合を形成する2つの炭素原子のうち、塩素原子から数えて2本の結合で隔てられた炭素原子にシリル基が結合した異性体をα体、塩素原子から数えて3本の結合で隔てられた炭素原子にシリル基が結合した異性体をβ体と呼ぶ。化合物1はα体とβ体を82:18のモル比で有することを確認した。
尚、β体はシス体を含まずトランス体のみを含むことを確認した。
撹拌機、温度計、及び還流冷却機を備えた200mLフラスコに、シアン酸カリウム14.8g(182.4mmol)、ジメチルホルムアミド104g、化合物1を30.6g(155.4mmol)、及びメタノール10.4g(323.3mmol)を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら90℃まで加温し、その後4時間かけて120℃まで加温し、さらに120℃で3時間反応させた。固体を濾過により除去した後、液体混合物を蒸留することにより、カルバメート基及びトリメトキシシリル基を有する化合物2(収率47%)を2つの異性体の混合物として、17.2gの量で得た。これらの異性体を1H-NMRスペクトル測定で分析し、α体とβ体を81:19のモル比で有することを確認した。
連結管とリービッヒ冷却器を接続した50mlナスフラスコに、化合物2を17.0g(72.2mmol)、及びジラウリン酸ジブチル錫1.7gを入れ、マグネチックスターラーと攪拌子を用いて攪拌しながら、220℃まで加温した後、真空ポンプを用いて系を減圧し、混合物を気化させた後、リービッヒ冷却器によって冷却され液化して別のナスフラスコに回収された混合物を1H-NMRスペクトル測定で分析した。その結果、混合物は、化合物2と、カルバメート基がイソシアネート基に変換された化合物3’を69:31の割合で含むことを確認した。化合物3’はα体とβ体を81:19のモル比で有していた。さらに混合物を蒸留することにより、β体を含まずα体のみを含む化合物3を単離した。化合物3は、前記式(1)で表されるシラン化合物に該当し、その中でも、R1が加水分解性シリル基を表す化合物に該当する。
数平均分子量が約4,500のポリオキシプロピレングリコールと数平均分子量が約4,500のポリオキシプロピレントリオールの重量比60:40の混合物を開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、末端に水酸基を有する数平均分子量17,300、分子量分布Mw/Mn=1.28の水酸基末端ポリオキシプロピレン(以下、重合体Aと記す)を得た。
撹拌機と温度計を備えた100mLフラスコに、合成例4で得られた重合体Aを25g、及び、メルカプト錫系触媒であるネオスタンU-360(日東化成(株)製)2.5mgを入れて、窒素雰囲気下で加温し、90℃で、重合体Aの水酸基に対して0.61モル当量の化合物3を添加し、45分間攪拌することで、重合体Aの水酸基と化合物3のイソシアネート基との反応でウレタン結合を形成させ、下記式で表される構造を末端に有する重合体Bを得た。重合体Bは、前記式(2)で表される構造を有する有機重合体に該当し、その中でも、R1が加水分解性シリル基を表す場合の有機重合体に該当する。重合体Bにおいて、加水分解性シリル基全体のうち、R1によって表される加水分解性シリル基の占める割合は100モル%である。
1H NMR分析により、重合体Bの水酸基の反応率を算出した結果、66%であった。
重合体Aの水酸基に対して0.95モル当量のナトリウムメトキシドを28%メタノール溶液として添加した。真空脱揮によりメタノールを留去した後、重合体Aの水酸基に対して、0.15モル当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換し、さらに0.75モル当量の臭化プロパルギルを添加して末端の水酸基をプロパルギル基に変換した。未精製のプロパルギル基末端ポリオキシプロピレンをn-ヘキサンに溶解させ、珪酸アルミニウム(協和化学社製キョーワードR700SEN-S)を混合攪拌することで、重合体中の金属塩を珪酸アルミニウムに吸着させた後、珪酸アルミニウムを濾過により除去し、得られたヘキサン溶液からヘキサンを減圧脱揮した。以上により、末端にプロパルギル基を有するポリオキシプロピレンを得た(以下、重合体Cと記す)。
重合体C100重量部に対して、90℃でトリメトキシシラン1.60重量部、続いて白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)100ppmを添加し、ヒドロシリル化反応を実施した。90℃でトリメトキシシランが完全に消費されるまで反応させた後、揮発成分を留去し、下記式で表される構造を末端に有するポリオキシプロピレンを得た(以下、重合体Dと記す)。重合体Dは、特許文献2で開示されている加水分解性シリル基含有有機重合体に該当する。
表1に記載の各重合体100重量部に対して、DINP((株)ジェイプラス製:ジイソノニルフタレート)90重量部、白艶華CCR(白石カルシウム(株)製:沈降炭酸カルシウム)160重量部、ホワイトン SB(白石カルシウム(株)製:重質炭酸カルシウム)54重量部、タイペークR820((株)石原産業製:酸化チタン)5重量部、ディスパロン6500(楠本化学(株)製:脂肪酸アマイドワックス)2重量部、チヌビン770(BASF製:ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート)1重量部、及びチヌビン326(BASF製:2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)1重量部を混合して、A-171(Momentive製:ビニルトリメトキシシラン)2重量部、A-1120(Momentive製:N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン)3重量部、及びDBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7)0.1重量部を添加し混合した後、得られた組成物を厚さ約5mmの型枠にスパチュラを用いて充填し、表面を平面状に整えた時間を硬化開始時間とし、表面をスパチュラで触り、スパチュラに評価用組成物が付着しなくなった時間を皮張り時間として硬化時間の測定を行った。結果を表1に示す。
Claims (7)
- 前記反応の前に、式(1)で表される化合物を精製して、前記式(1)で表される化合物全体のうちR1が前記加水分解性シリル基を表す化合物の占める割合を高める工程を更に含む、請求項1に記載の製造方法。
- 前記有機重合体の重合体骨格が、ポリオキシアルキレン系重合体である、請求項3に記載の有機重合体。
- 請求項3又は4に記載の有機重合体を含有する硬化性組成物。
- シラノール縮合触媒を更に含有する、請求項5に記載の硬化性組成物。
- 請求項5又は6に記載の硬化性組成物を硬化させた硬化物。
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