JP2022120210A - 歯牙消毒用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】歯牙消毒用組成物の提供。【解決手段】本発明は、ナノファイバーと抗菌物質とを含む、歯牙を消毒するためのスラリー状の医薬組成物、を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、歯牙を消毒するためのスラリー状の医薬組成物に関する。
口腔感染症に代表される齲蝕や歯周病を治療又は予防するために、次亜塩素酸などの各種の消毒剤が使われているが(特許文献1)、その単独での効果は弱く断続的である。歯質はエナメル柱および象牙細管などで構成されており、感染症においては細管の内部まで細菌が浸食している場合が多い。しかしながら、消毒剤を用いる既存の治療法では、歯質のエナメル柱および象牙細管の内部にまで有効成分を送達し、歯科治療剤の適用部位(例えば、歯の表面)上で維持することが困難である。
そのため、細管の内部まで細菌が侵食した場合には、感染歯質を全て取り除き、歯質を大幅に削合することが必要となり、その結果、歯質の多くが失われる、という問題がある。
感染症はレーザーを用いる菌の産生物の除去(例えば、エルビニュームレーザーの応用)、および、オゾンガスによる殺菌等によっても治療可能であるが、従来の治療方法には歯髄為害性という問題もあった。
また、齲蝕の治療には感染歯質を除去したあとにコンポジットレジン、グラスアイオノマーセメント、金銀パラジウム合金等を充てんする方法が用いられているが、これらに抗菌性はなく、材料表面には歯と同様に細菌が付着してしまう。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来消毒が不十分であった目的部位(例えば、象牙細管内)に送達することができ、かつ、組成物の適用部位(例えば、歯の表面)に維持されるという特性を発揮する組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、抗菌物質とナノファイバーとを組み合わせて歯牙、特に歯牙根管に適用することで、適用部位に送達した上で消毒剤を長時間維持することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1]ナノファイバーと抗菌物質とを含む、歯牙を消毒するためのスラリー状の医薬組成物。
[2]ナノファイバーがセルロースナノファイバーである、[1]に記載の医薬組成物。
[3]抗菌物質が過酢酸、酢酸、オクタン酸及び1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)からなる群より選択される1種又は複数種である、[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
[4]抗菌物質が過酢酸である、[3]に記載の医薬組成物。
[5]歯牙が歯牙根管である、[1]~[4]のいずれかに記載の医薬組成物。
[6]20℃~37℃での粘度が、1~8mPa・sの範囲である、[5]に記載の記載の組成物。
[7]歯牙の消毒が齲蝕又は感染根管の治療又は予防のためである[1]~[6]のいずれかに記載の医薬組成物。
[8]齲蝕を消毒するために、20℃~37℃での粘度が、5000~6000mPa・sの範囲である、[7]に記載の医薬組成物。
[9]ナノファイバーの外径が3nm~100nmの範囲であり、長さが5μm~500μmの範囲である、[1]~[8]のいずれかに記載の医薬組成物。
[1]ナノファイバーと抗菌物質とを含む、歯牙を消毒するためのスラリー状の医薬組成物。
[2]ナノファイバーがセルロースナノファイバーである、[1]に記載の医薬組成物。
[3]抗菌物質が過酢酸、酢酸、オクタン酸及び1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)からなる群より選択される1種又は複数種である、[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
[4]抗菌物質が過酢酸である、[3]に記載の医薬組成物。
[5]歯牙が歯牙根管である、[1]~[4]のいずれかに記載の医薬組成物。
[6]20℃~37℃での粘度が、1~8mPa・sの範囲である、[5]に記載の記載の組成物。
[7]歯牙の消毒が齲蝕又は感染根管の治療又は予防のためである[1]~[6]のいずれかに記載の医薬組成物。
[8]齲蝕を消毒するために、20℃~37℃での粘度が、5000~6000mPa・sの範囲である、[7]に記載の医薬組成物。
[9]ナノファイバーの外径が3nm~100nmの範囲であり、長さが5μm~500μmの範囲である、[1]~[8]のいずれかに記載の医薬組成物。
従来、抗菌物質単独又はそれらの組み合わせで歯牙を消毒しても殺菌は不十分であった。本発明によれば、抗菌物質にスラリー状のナノファイバーを組み合わせることで、歯牙や、歯牙根管のような従来抗菌物質が留まることが不可能であった部位にも抗菌物質が長時間留まることができ、殺菌効果も顕著に向上する。
以下、本発明の実施形態について、より詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
<定義>
本明細書において、「ナノファイバー」とは、外径の平均値が1nm~100nmの範囲内のナノスケールであり、長さが外径の平均値の100倍以上である繊維状物質を指すものとする。ナノファイバーとしては、中空構造を有するナノチューブ、中空構造を有しないナノロッド、導電性もしくは半導電性の性質を有するナノワイヤーが挙げられる。
本明細書において、「ナノファイバー」とは、外径の平均値が1nm~100nmの範囲内のナノスケールであり、長さが外径の平均値の100倍以上である繊維状物質を指すものとする。ナノファイバーとしては、中空構造を有するナノチューブ、中空構造を有しないナノロッド、導電性もしくは半導電性の性質を有するナノワイヤーが挙げられる。
本明細書において、「歯牙」とは、口腔内で咀嚼するための器官であって一般的な歯を指すが、場合によってはその根管(歯牙根管)をも意味する。
本明細書において、「生体適合性」とは、医薬組成物と生体間の相互作用、ならびに、医薬組成物に隣接する組織の局所的反応および全身的反応に関し、少なくとも所望の意図した効果を超える害を与えないことを意味する。
ナノファイバー
ナノファイバーは、生体適合性を有し、再生可能な天然資源であるため、医薬組成物としての所要の特性を得る観点に加えて、環境保護や資源リサイクルの観点からも好ましく用いることができる。ナノファイバーとしては、例えばセルロースナノファイバーが挙げられる。
ナノファイバーは、生体適合性を有し、再生可能な天然資源であるため、医薬組成物としての所要の特性を得る観点に加えて、環境保護や資源リサイクルの観点からも好ましく用いることができる。ナノファイバーとしては、例えばセルロースナノファイバーが挙げられる。
セルロースナノファイバーとしては、特に限定されず、市販品を用いても、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。セルロースナノファイバーを製造するのに使用する原料としては、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビート等に含まれる植物由来の繊維が挙げられる。好ましい原料としては木材が挙げられ、例えば、マツ、スギ、ヒノキ、ユーカリ、アカシア等が挙げられる。また、これらの木材を原料として得られる紙、あるいは古紙等を用いることもできる。なお、植物由来の繊維は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、セルロースナノファイバーとしては、前記植物由来の繊維を含有する材料から得られるパルプ、マーセル化を施したセルロースナノファイバー、レーヨンやセロファン、リヨセル等の再生セルロースナノファイバー等を含むものも挙げられる。また、資源リサイクルの観点から、廃材や農業廃棄物から得られるセルロースナノファイバーを用いることが好ましい。
また、セルロースナノファイバーは、組成物の種類や用途、所要の特性等に応じて、他の物質と複合化した複合体(本明細書では、「セルロースナノファイバー複合体」と称する。)として用いられてもよい。セルロースナノファイバーと複合化される他の物質としては、例えば、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち、セルロースナノファイバーと炭酸カルシウムとの複合体、セルロースナノファイバーとリン酸三カルシウムとの複合体を用いることが好ましい。なお、セルロースナノファイバーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る医薬組成物において、ナノファイバーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。一実施形態において、ナノファイバーは、セルロースナノファイバーに加え、キトサンナノファイバーおよびキチンナノファイバーのうちの一種以上をさらに含むことが好ましい。これにより、医薬組成物の抗菌性をより向上させることができる。このように、医薬組成物の種類や用途、所要の特性等に応じて、ナノファイバーの種類や複数種のナノファイバーの組み合わせを適宜選択することができる。
医薬組成物中のナノファイバーのサイズは、抗菌物質を目的部位(例えば、象牙細管内)に送達することができ、かつ、適用部位(例えば、歯の表面)に維持されるという特性を発揮する限り、特に限定されることはない。代表的には、ナノファイバーの長さは、5μm~500μm、好ましくは5μm~400μm、より好ましくは5μm~300μm、さらにより好ましくは5μm~200μm、最も好ましくは5μm~100μmであるが、これらに限定されない。代表的には、ナノファイバーの外径は、3nm~100nm程度であるが、これらに限定されない。ナノファイバーのサイズは、電子顕微鏡による観察により測定することができる。
医薬組成物は、例えば、0.1%~50%程度のナノファイバーを含む。
ナノファイバーは、単独で、又は生体適合性材料とともにスラリー状にした上で医薬組成物に配合される。
生体適合性材料
生体適合性材料は、生体適合性がある限り限定されず、その例として生体適合性樹脂などがある。例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、カーボネート、プロピレン、スチレン、アミド、イミド、グリコール酸、乳酸、マルトース、デキストリン等のモノマー、オリゴマーおよびポリマーが生体適合性材料として挙げられるが、これらに限定されない。より具体的には、生体適合性材料としては、例えば、メチルメタクリレート(MMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA);エチルメタクリレート(EMA)、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ラウリルメタクリレート、アルキル(C12~13)メタクリレート、n-ステアリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート等のメタクリル酸のアルキルエステル;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートのベンジルクロライド塩、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のメタクリル酸のジアルキルアミノエチルエステル;メタクリロキシエチルフタレート、2-メタクリロイルオキシエチルフタレート、2-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート等のメタクリル酸のカルボン酸含有エステル;2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート等のメタクリル酸のフルオロアルキルエステル;シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、アリルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、ヒドロキシナフトキシプロピルメタクリレート(HNPM)、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TriEDMA)、1,3-ブタンジオールジメタクリレート(1,3-BuDMA)、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン(Bis-GMA)、2,2-ビス(4-メタクリロキシフェニル)プロパン(BPDMA)、2,2-ビス(4-メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン(Bis-MEPP)、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン(UDMA)、トリ-n-ブチルボラン(TBB)、メタクリロキシエチルフェニルホスフェート(Phenyl-P)、4-メタクリロキシエチルトリメリテートアンハイドライド(4-META)、4-メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)、11-メタクリロキシ-1,1-ウンデカジカルボン酸(MAC-10)、10-メタクリロキシデカメチレンリン酸(MDP)、4-アクリロキシエチルトリメリット酸(4-AET)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのうち、MMA、PMMA、HEMA、TBB、4-METAを用いることが好ましい。なお、生体適合性材料は、一種を単独でも用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
生体適合性材料は、生体適合性がある限り限定されず、その例として生体適合性樹脂などがある。例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、カーボネート、プロピレン、スチレン、アミド、イミド、グリコール酸、乳酸、マルトース、デキストリン等のモノマー、オリゴマーおよびポリマーが生体適合性材料として挙げられるが、これらに限定されない。より具体的には、生体適合性材料としては、例えば、メチルメタクリレート(MMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA);エチルメタクリレート(EMA)、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ラウリルメタクリレート、アルキル(C12~13)メタクリレート、n-ステアリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート等のメタクリル酸のアルキルエステル;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートのベンジルクロライド塩、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のメタクリル酸のジアルキルアミノエチルエステル;メタクリロキシエチルフタレート、2-メタクリロイルオキシエチルフタレート、2-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート等のメタクリル酸のカルボン酸含有エステル;2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート等のメタクリル酸のフルオロアルキルエステル;シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、アリルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、ヒドロキシナフトキシプロピルメタクリレート(HNPM)、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TriEDMA)、1,3-ブタンジオールジメタクリレート(1,3-BuDMA)、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン(Bis-GMA)、2,2-ビス(4-メタクリロキシフェニル)プロパン(BPDMA)、2,2-ビス(4-メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン(Bis-MEPP)、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン(UDMA)、トリ-n-ブチルボラン(TBB)、メタクリロキシエチルフェニルホスフェート(Phenyl-P)、4-メタクリロキシエチルトリメリテートアンハイドライド(4-META)、4-メタクリロキシエチルトリメリット酸(4-MET)、11-メタクリロキシ-1,1-ウンデカジカルボン酸(MAC-10)、10-メタクリロキシデカメチレンリン酸(MDP)、4-アクリロキシエチルトリメリット酸(4-AET)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのうち、MMA、PMMA、HEMA、TBB、4-METAを用いることが好ましい。なお、生体適合性材料は、一種を単独でも用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
抗菌物質
また、本実施形態に係る医薬組成物は、抗菌物質を含む。これにより、歯牙、特に歯牙根管の消毒、ひいては齲蝕又は感染根管の治療又は予防が可能になる。抗菌物質としては、抗菌活性を有する物質であって人体に悪影響を与えない限りにおいて特に限定されず、組成物の種類や用途、所要の特性等に応じて適宜選択することができる。抗菌物質としては、例えば、過酢酸製剤、すなわち、過酢酸、酢酸、過酸化水素水、オクタン酸、過オクタンさん、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)を含む製剤、サホライド(登録商標)、カリソルブ(登録商標)、次亜塩素酸ナトリウム、アミノ酸製剤、ドッグベストセメント、銅イオンセメント、過酸化水素と次亜塩素水の組み合わせ、ホルマリングアヤコール(FG)及びフォルマリンクレゾール(FC)などが挙げられるが、これらに限定されない。いずれも市販されており、過酢酸を含む消毒剤としては、アセサイド(サラヤ株式会社製)、ダイヤパワー(三菱ガス化学社製)などがある。
また、本実施形態に係る医薬組成物は、抗菌物質を含む。これにより、歯牙、特に歯牙根管の消毒、ひいては齲蝕又は感染根管の治療又は予防が可能になる。抗菌物質としては、抗菌活性を有する物質であって人体に悪影響を与えない限りにおいて特に限定されず、組成物の種類や用途、所要の特性等に応じて適宜選択することができる。抗菌物質としては、例えば、過酢酸製剤、すなわち、過酢酸、酢酸、過酸化水素水、オクタン酸、過オクタンさん、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)を含む製剤、サホライド(登録商標)、カリソルブ(登録商標)、次亜塩素酸ナトリウム、アミノ酸製剤、ドッグベストセメント、銅イオンセメント、過酸化水素と次亜塩素水の組み合わせ、ホルマリングアヤコール(FG)及びフォルマリンクレゾール(FC)などが挙げられるが、これらに限定されない。いずれも市販されており、過酢酸を含む消毒剤としては、アセサイド(サラヤ株式会社製)、ダイヤパワー(三菱ガス化学社製)などがある。
抗菌物質は、過酢酸製剤であることが好ましい。
組成物における抗菌物質の含有量は、例えば、0.1~20質量%、好ましくは1~10質量%である。
抗菌物質の含有量は用途に応じて適宜調節され得る。例えば、齲蝕部分の消毒を行う場合、ナノファイバーと過酢酸のみを含む調製物における過酢酸の含有量は、好ましくは約5~15質量%、より好ましくは約10質量%であり、最終的な医薬組成物における過酢酸の含有量は、好ましくは約3~12質量%、より好ましくは約6質量%である。
根管消毒の場合、ナノファイバーと過酢酸のみを含む調製物における過酢酸の含有量は、好ましくは約4~16質量%、より好ましくは約8質量%であり、最終的な医薬組成物における過酢酸の含有量は好ましくは約3~12質量%、より好ましくは約6質量%である。
その他の添加剤
本実施形態においては、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲において、医薬組成物に滑材、ワックス類、着色剤、安定化剤、フィラー、水、緩衝用塩、金属イオン封鎖材、および、界面活性剤、その他の各種の添加剤を含めてもよい。例えば、ナノファイバーと生体適合性樹脂との混合を容易にするために、医薬組成物に相溶化剤を添加してもよい。
本実施形態においては、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲において、医薬組成物に滑材、ワックス類、着色剤、安定化剤、フィラー、水、緩衝用塩、金属イオン封鎖材、および、界面活性剤、その他の各種の添加剤を含めてもよい。例えば、ナノファイバーと生体適合性樹脂との混合を容易にするために、医薬組成物に相溶化剤を添加してもよい。
用途
本実施形態に係る医薬組成物は、代表的には、歯科感染治療剤および/または歯科用予防剤として利用可能であり、抗菌物質を目的部位(例えば、象牙細管内)に送達することができ、かつ、適用部位(例えば、歯の表面)に維持されるという特性を発揮する。
本実施形態に係る医薬組成物は、代表的には、歯科感染治療剤および/または歯科用予防剤として利用可能であり、抗菌物質を目的部位(例えば、象牙細管内)に送達することができ、かつ、適用部位(例えば、歯の表面)に維持されるという特性を発揮する。
本実施形態に係る医薬組成物は顕著に向上した殺菌効果を奏するため、歯質の削除量を軽減することもできる。
本実施形態に係る医薬組成物は、その組成物を患部、例えば歯牙などに行き渡らせることで適用される。歯牙表面のう蝕の場合、組成物の粘度を高くして患部に塗布するのが好ましい。また、その際、例えば、細い毛束のブラシなどを用いて、医薬組成物を適用してもよい。あるいは、本発明の組成物を歯根管に注入することもできる。注入には経の太い針とシリンジなどを用いることができる。組成物を患部に適用した後、必要に応じて約10分間放置し、水洗される。
本実施形態に係る医薬組成物は、ナノファイバーを含むことでスラリー状となっている。その粘度は消毒の対象や用途に応じて純水や生理食塩水などで適宜調節される。例えば、歯牙根管を消毒する場合、組成物の20℃~37℃での粘度は、好ましくは0.5~16mPa・s、より好ましくは1~8mPa・sの範囲である。齲蝕の消毒の場合、組成物の20℃~37℃における粘度は、好ましくは2500~12000mPa・s、より好ましくは5000~6000mPa・sの範囲である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
組成物の調製
セルロース、キチン、およびキトサンを含む外径10~20nm、長さ数μmのナノファイバー(スギノマシン社製BINFI-s(ビンフィス))と、生体適合性樹脂としてメタクリレートモノマーとポリメタクリレートとを準備した。それらを、セルロースナノファイバーと生体適合性樹脂との質量比が85:15となるように水中に分散させ、よく攪拌した後、混練機に投入した。所定の温度で適切な時間溶融混練することでスラリー状の組成物を調製した(実施例1)。過酢酸の量が6質量%になるよう、過酢酸製剤としてのアセサイド6%消毒液(サラヤ株式会社製)をスラリーに添加した。スラリー状の組成物の粘度は5000~6000mPa・s程度であった。
セルロース、キチン、およびキトサンを含む外径10~20nm、長さ数μmのナノファイバー(スギノマシン社製BINFI-s(ビンフィス))と、生体適合性樹脂としてメタクリレートモノマーとポリメタクリレートとを準備した。それらを、セルロースナノファイバーと生体適合性樹脂との質量比が85:15となるように水中に分散させ、よく攪拌した後、混練機に投入した。所定の温度で適切な時間溶融混練することでスラリー状の組成物を調製した(実施例1)。過酢酸の量が6質量%になるよう、過酢酸製剤としてのアセサイド6%消毒液(サラヤ株式会社製)をスラリーに添加した。スラリー状の組成物の粘度は5000~6000mPa・s程度であった。
齲蝕関連細菌の数の測定
実施例1の組成物を用い、被験者の口腔内における代表的な齲蝕関連細菌であるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコックス・ソブリヌス(Streptococcus sobrinus)、乳酸桿菌の数を測定した。コントロールには生理食塩水を使用した。
実施例1の組成物を用い、被験者の口腔内における代表的な齲蝕関連細菌であるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコックス・ソブリヌス(Streptococcus sobrinus)、乳酸桿菌の数を測定した。コントロールには生理食塩水を使用した。
被験者の異なる歯牙にそれぞれ組成物とコントロールを数分間適用し、その後、各適用部位から染色されたプラークを採取した。採取したプラークからDNAを抽出し、PCR測定にかけた。その結果、齲蝕関連細菌、特にストレプトコッカス・ミュータンスが減少するという傾向が明らかとなった。
Claims (9)
- ナノファイバーと抗菌物質とを含む、歯牙を消毒するためのスラリー状の医薬組成物。
- ナノファイバーがセルロースナノファイバーである、請求項1に記載の医薬組成物。
- 抗菌物質が過酢酸、酢酸、オクタン酸及び1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)からなる群より選択される1種又は複数種である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
- 抗菌物質が過酢酸である、請求項3に記載の医薬組成物。
- 歯牙が歯牙根管である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 20℃~37℃での粘度が、1~8mPa・sの範囲である、請求項5に記載の記載の組成物。
- 歯牙の消毒が齲蝕又は感染根管の治療又は予防のためである、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 齲蝕を消毒するために、20℃~37℃での粘度が、5000~6000mPa・sの範囲である、請求項7に記載の医薬組成物。
- ナノファイバーの外径が3nm~100nmの範囲であり、長さが5μm~500μmの範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
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JP2019114051A JP2022120210A (ja) | 2019-06-19 | 2019-06-19 | 歯牙消毒用組成物 |
PCT/JP2020/024201 WO2020256130A1 (ja) | 2019-06-19 | 2020-06-19 | 歯牙消毒用組成物 |
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JP2019114051A JP2022120210A (ja) | 2019-06-19 | 2019-06-19 | 歯牙消毒用組成物 |
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Also Published As
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