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JP2022119196A - 熱伝導性シート積層体及びこれを用いた電子機器 - Google Patents

熱伝導性シート積層体及びこれを用いた電子機器 Download PDF

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JP2022119196A JP2022010671A JP2022010671A JP2022119196A JP 2022119196 A JP2022119196 A JP 2022119196A JP 2022010671 A JP2022010671 A JP 2022010671A JP 2022010671 A JP2022010671 A JP 2022010671A JP 2022119196 A JP2022119196 A JP 2022119196A
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大地 森
Daichi Mori
佑介 久保
Yusuke Kubo
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Dexerials Corp
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Abstract

【課題】熱抵抗が小さく、ハンドリング性と接着性に優れた熱伝導性シート積層体の提供。【解決手段】熱伝導性シート積層体1は、熱伝導性シート2の両面に接着フィルム3が積層されている。熱伝導性シート2は、シリコーン樹脂からなるバインダ樹脂4と、炭素繊維5と、炭素繊維5以外の熱伝導性フィラー6とを含む。接着フィルム2は、造膜成分と、液状のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含む。接着フィルム2は、厚みが20μm未満であり、20℃における粘度が8.0E+05Pa・sより大きく、130℃における粘度が40Pa・s未満である。【選択図】図1

Description

本技術は、熱伝導性シート積層体及びこれを用いた電子機器に関する。
半導体パッケージの熱対策としては、各種の熱伝導部品が検討されている。例えば、各種のシリコンダイ(ICチップ)から生じる熱は、電子機器から生じる様々な熱源の最上流に位置する。以下、シリコンダイに直接適用される熱伝導部材を「TIM(Thermal Interface Material)1」と称する。TIM1には、以下のような特性が求められることがある。
TIM1に求められる1つ目の特性として、低荷重実装性が挙げられる。TIM1は、半導体パッケージ化の工程において実装されるため、半導体チップのマイクロバンプの形状保護を目的として、低荷重(例えば20psi以下程度)での実装条件が望まれることがある。
TIM1に求められる2つ目の特性として、低BLT(Bond Line Thickness)が挙げられる。半導体パッケージの低背化要求の観点では、実装後のTIM1の領域高さ、すなわち、半導体チップとヒートスプレッダとの間隙(実装最小Gap)が、小さいほど好ましい。実装最小Gapは、例えば100μm以下が望まれることがある。
TIM1に求められる3つ目の特性として、半導体と同様の信頼性が挙げられる。TIM1は、例えば、発熱体であるシリコンダイ界面に直接作用することに加えて、半導体パッケージ内に組み込まれるためである。
以上の特性を満たすTIM1としては、液状の製品であるグリースタイプや、反応性タイプ(接着剤タイプ)、固体状の製品であるはんだ(低温はんだ)タイプが挙げられる。
近年、電子機器の更なる高性能化に伴って、半導体素子の高密度化、高実装化が進んでいる。従来の単一シリコンダイをパッケージ化したものの他に、2.5Dや3Dに代表されるインターポーザを介した大型のチップパッケージ(SiP(System in Package))なども導入されている。このように、電子機器を構成する各種シリコンダイや半導体パッケージから生じる熱を効率的に放熱することは、電子機器の性能を発現するためには極めて重要である。また、上述のような大型のチップパッケージを含む次世代のパッケージ技術に対応可能な、より低熱抵抗のTIM1が求められている。
次世代のパッケージ技術に対応可能なTIM1として、炭素材料を用いた熱伝導性シートが挙げられる。特に、炭素繊維は、異方性の熱伝導性特性を有する。そのため、炭素繊維をシートの面方向に対して垂直な方向に配向させて、各種バインダによって形状を維持させたタイプの炭素繊維シート(CFS:Carbo Fiber Sheet)は、40W/m・Kを超える熱伝導率を有するものも開発されている。
このような背景から、炭素材料の特徴を生かしつつ、上述したTIM1の特性を満たすもの、例えば、熱抵抗が小さく、ハンドリング性と接着性に優れた炭素繊維シートが望まれている。
特開2012-201106号公報
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、熱抵抗が小さく、ハンドリング性と接着性に優れた熱伝導性シート積層体を提供する。
本件発明者らが鋭意検討したところ、炭素繊維を含む熱伝導性シートの両面に、特定の厚みと粘度を有する接着フィルムを積層させた接着フィルム付き熱伝導性シート(以下、熱伝導性シート積層体という。)を用いることで、上記課題を解決できることを見出した。
本技術に係る熱伝導性シート積層体は、熱伝導性シートの両面に接着フィルムが積層されており、熱伝導性シートは、シリコーン樹脂からなるバインダ樹脂と、炭素繊維と、炭素繊維以外の熱伝導性フィラーとを含み、接着フィルムは、造膜成分と、液状のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含み、接着フィルムの厚みが20μm未満であり、接着フィルムは20℃における粘度が8.0E+05Pa・sより大きく、130℃における粘度が40Pa・s未満である。
本技術によれば、熱抵抗が小さく、ハンドリング性と接着性に優れた熱伝導性シート積層体を提供できる。
図1は、本技術に係る熱伝導性シート積層体の一例を示す断面図である。 図2は、本技術に係る熱伝導性シート積層体における熱伝導性シートの一例を示す斜視図である。 図3は、絶縁被膜によって被覆された炭素繊維の一例を示す斜視図である。 図4は、半導体装置の一例を示す断面図である。 図5は、実施例で用いた試験片を模式的に示す断面図である。
本明細書において、熱伝導性フィラーの平均粒径とは、熱伝導性フィラーの粒子径分布全体を100%とした場合に、粒子径分布の小粒子径側から粒子径の値の累積カーブを求めたとき、その累積値が50%となるときの粒子径をいう。なお、本明細書における粒度分布(粒子径分布)は、体積基準によって求められたものである。粒度分布の測定方法としては、例えば、レーザー回折型粒度分布測定機を用いる方法が挙げられる。また、本明細書において、「常温」とは、JIS K 0050:2005(化学分析方法通則)に規定される15~25℃の範囲をいう。
<熱伝導性シート積層体>
本技術に係る熱伝導性シート積層体は、熱伝導性シートの両面に接着フィルムが積層されている。熱伝導性シートは、シリコーン樹脂からなるバインダ樹脂と、炭素繊維と、炭素繊維以外の熱伝導性フィラーとを含む。接着フィルムは、造膜成分と、液状のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含む。接着フィルムは、厚みが20μm未満であり、20℃における粘度が8.0E+05Pa・sより大きく、130℃における粘度が40Pa・s未満である。
本技術に係る熱伝導性シート積層体を構成する接着フィルムは、熱伝導性シートの熱伝導性を阻害せず、かつ、発熱体と放熱体とを接着する機能が良好となるように設計されている。また、接着フィルムは、ハンドリング性の観点から、常温付近ではタック性ができるだけ低く、一方、接着プロセスでは可能な限り発熱体と放熱体との間から排斥されることが好ましい。このように、接着フィルムは、硬化が開始するまでの昇温・加圧過程で排斥が容易な低粘度状態を示すことが好ましい。そのため、接着フィルムは、20℃における粘度が8.0E+05Pa・sより大きく、130℃における粘度が40Pa・s未満である。
本技術に係る熱伝導性シート積層体は、熱抵抗が小さく、ハンドリング性と接着性(密着性)に優れている。そのため、本技術に係る熱伝導性シート積層体は、実装後においては、熱伝導性シートにより高熱伝導性を実現しつつ、接着フィルムにより優れた接着性を実現できる。また、熱伝導性シート積層体は、熱伝導性シートの両面に接着フィルムが積層されているため、炭素繊維を含む熱伝導性シートに生じることがある、表面粗さに起因した接触抵抗の不良を防止できる。
図1は、本技術に係る熱伝導性シート積層体の一例を示す断面図である。熱伝導性シート積層体1は、熱伝導性シート2の両面に接着フィルム3が積層されている。
熱伝導性シート積層体1の平均厚みは、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導性シート積層体1の平均厚みは、例えば、0.1mm超とすることができ、0.2mm以上であってもよい。また、熱伝導性シート積層体1の平均厚みの上限値は、例えば、0.52mm以下とすることができ、0.4mm以下であってもよい。また、熱伝導性シート積層体1の平均厚みは、0.15~0.3mmの範囲とすることもできる。熱伝導性シート積層体1の平均厚みは、例えば、熱伝導性シート積層体1の厚みを任意の5箇所で測定し、その算術平均値から求めることができる。
熱伝導性シート積層体1の熱抵抗は、可能な限り小さいことが好ましい。例えば、熱伝導性シート積層体1は、1kgf/cm荷重下における熱抵抗が0.40cm・K/W以下であり、0.35cm・K/W以下であってもよく、0.30cm・K/W以下であってもよく、0.25cm・K/W以下であってもよく、0.20cm・K/W以下であってもよく、0.15cm・K/W以下であってもよく、0.10cm・K/W以下であってもよい。熱伝導性シート積層体1の熱抵抗は、後述する実施例の方法で測定することができる。
熱伝導性シート2の厚みは、0.1~0.5mmの範囲とすることができる。また、熱伝導性シート2の表面粗さRaは、熱伝導性シート2の熱特性の観点から、例えば、25μm以下とすることができ、20μm以下とすることもでき、20~25μmの範囲とすることもできる。熱伝導性シート2の表面粗さRaは、後述する実施例の方法で測定できる。
接着フィルム3の厚みは、20μm未満であればよく、例えば、0.1μm以上とすることができ、1μm以上であってもよく、3μm以上であってもよく、7μm以上であってもよく、15μm以上であってもよく、0.1~15μmの範囲とすることもできる。接着フィルム3の厚みが20μm未満であることにより、熱伝導性シート2による熱伝導性を阻害しないようにすることができ、また、熱伝導性シート積層体1の熱抵抗を小さくすることにも寄与する。
熱伝導シート2は、一般的に、硬質である炭素繊維5と軟質であるバインダ樹脂4とが同時に切断されてなるため、表面平滑性が低い状態にある。このように表面平滑性が低い表面(粗化表面)を接着フィルム3で充填し、発熱体と放熱体の界面に対する密着性を改善することで熱伝導シート2の熱抵抗を改善できる。一方、接着フィルム3は、バルクとしての熱伝導率が低く、熱伝導シート2の厚み方向(熱伝導経路)に接着フィルム3の領域が拡大しすぎると、熱抵抗成分としての寄与が大きくなる。したがって、接着フィルム3の厚みは、熱伝導シート2の表面粗さRaを充填する程度の厚みであることが好ましい。接着フィルム3の厚みは、熱伝導シート2の表面粗さRaに応じて選択することができ、仮に、熱伝導シート2の両表面の表面粗さRaが異なる場合、接着フィルム3の厚みを熱伝導シート2の表面粗さRaに対応させればよい。例えば、接着フィルム3の厚み(μm)と、熱伝導性シート2の表面粗さRa(μm)との比(接着フィルム3の厚み/熱伝導性シート2の表面粗さRa)は、0.003~0.7の範囲であることが好ましく、0.05~0.3の範囲であることがより好ましい。なお、接着フィルム3は、熱伝導シート2の表面粗さRaを完全に充填する厚みでなくても、接着力による密着状態の保持によって、接触熱抵抗を改善できる。
熱伝導性シート積層体1、すなわち、接着フィルム3付き熱伝導シート2が被着体に対して適切な位置に貼付できなかった場合や、均一に貼付できなかった際に、リワーク作業を実施することがある。熱伝導性シート積層体1を均一に貼付できなかった例として、接着フィルム3同士の接着、被着体界面でのボイド巻き込みなどが挙げられる。接着フィルム3の常温付近における粘度が低い場合、接着フィルム3と被着体との接着力が高くなりすぎ、リワーク作業の際に、接着フィルム3と被着体との離型不良、接着フィルム3と熱伝導シート2との間の剥がれ、接着フィルム3の凝集破壊、熱伝導シート2の材破などが起こるおそれがあり、また、熱伝導性シート積層体1のハンドリング性が悪くなる傾向にある。そこで、接着フィルム3の20℃における粘度は、8.0E+05Pa・sより大きく、9.0E+05Pa・s以上であってもよく、1.0E+06Pa・s以上であってもよく、9.0E+05~1.0E+06Pa・sの範囲であってもよい。
接着フィルム3の130℃における粘度は、40Pa・s未満であり、30Pa・s以下であってもよく、25Pa・s以下であってもよく、20Pa・s以下であってもよく、15Pa・s以下であってもよく、10Pa・s以下であってもよく、10~30Pa・sの範囲であってもよい。接着フィルム3の130℃における粘度が40Pa・s未満であることにより、接着プロセスにおいて、発熱体と放熱体との間から接着フィルム3が排斥されやすくなる。接着フィルム3の粘度は、後述する実施例の方法で測定することができる。
熱伝導性シート積層体1の厚み方向の熱伝導率は、例えば、常温において1W/m・K以上とすることができ、4W/m・K以上とすることもでき、7W/m・K以上とすることもでき、9W/m・K以上とすることもできる。
次に、熱伝導性シート2と接着フィルム3の構成例について説明する。
<熱伝導性シート>
図2は、本技術に係る熱伝導性シート積層体1における熱伝導性シート2の一例を示す斜視図である。図2に示すように、熱伝導性シート2は、シリコーン樹脂からなるバインダ樹脂4と、炭素繊維5と、炭素繊維5以外の熱伝導性フィラー6とを含み、炭素繊維5と、熱伝導性フィラー6とがバインダ樹脂4に分散している。また、熱伝導性シート2は、熱伝導性シート2の厚み方向Bに、異方性の熱伝導性特性を有する炭素繊維5の長軸が配向している。このように、熱伝導性シート積層体1中の熱伝導性シート2は、厚み方向Bに炭素繊維5の長軸が配向しているため、熱伝導性シート積層体1の厚み方向の熱伝導性が良好である。
[バインダ樹脂]
バインダ樹脂4は、炭素繊維5と熱伝導性フィラー6とを熱伝導性シート2内に保持するためのものである。バインダ樹脂4としては、例えば、電子部品の発熱面とヒートシンク面との密着性を考慮してシリコーン樹脂が用いられる。バインダ樹脂4は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーン樹脂としては、例えば、アルケニル基を有するシリコーンを主成分とし、硬化触媒を含有する主剤と、ヒドロシリル基(Si-H基)を有する硬化剤とからなる、2液型の付加反応型シリコーン樹脂を用いることができる。アルケニル基を有するシリコーンとしては、例えば、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。硬化触媒は、アルケニル基を有するシリコーン中のアルケニル基と、ヒドロシリル基を有する硬化剤中のヒドロシリル基との付加反応を促進するための触媒である。硬化触媒としては、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられ、例えば、白金族系硬化触媒、例えば白金、ロジウム、パラジウムなどの白金族金属単体や塩化白金などを用いることができる。ヒドロシリル基を有する硬化剤としては、例えば、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。
熱伝導性シート2中のバインダ樹脂4の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導性シート2中のバインダ樹脂4の含有量は、20体積%以上とすることができ、25体積%以上であってもよく、30体積%以上であってもよい。また、熱伝導性シート2中のバインダ樹脂4の含有量の上限値は、70体積%以下とすることができ、60体積%以下であってもよく、50体積%以下であってもよく、40体積%以下であってもよい。熱伝導性シート2の柔軟性を良好にする観点では、熱伝導性シート2中のバインダ樹脂4の含有量は、25~60体積%の範囲とすることができる。
炭素繊維5は、例えば、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、PBO繊維を黒鉛化した炭素繊維、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法(化学気相成長法)、CCVD法(触媒化学気相成長法)等で合成された炭素繊維を用いることができる。これらの中でも、熱伝導性の観点では、ピッチ系炭素繊維が好ましい。
炭素繊維5の平均繊維長(平均長軸長さ)は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50~250μmとすることができ、75~200μmであってもよく、90~170μmであってもよい。また、炭素繊維5の平均繊維径(平均短軸長さ)も、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4~20μmとすることができ、5~14μmであってもよい。炭素繊維5のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、9~30とすることができる。炭素繊維5の平均長軸長さ及び平均短軸長さは、例えば、マイクロスコープや走査型電子顕微鏡(SEM)で測定することができる。
図3は、絶縁被膜によって被覆された炭素繊維の一例を示す斜視図である。熱伝導性シート2の絶縁性を高める観点では、図3に示すように、炭素繊維5は、表面が絶縁被膜7によって被覆されていてもよい。このように、炭素繊維として、絶縁被覆炭素繊維8を用いることができる。絶縁被覆炭素繊維8は、炭素繊維5と、炭素繊維5の表面の少なくとも一部に絶縁皮膜7とを有し、必要に応じて、その他の成分を含んでいてもよい。
絶縁皮膜7は、電気絶縁性を有する材料からなり、例えば、酸化ケイ素や、重合性材料の硬化物で形成されている。重合性材料は、例えばラジカル重合性材料であり、重合性を有する有機化合物、重合性を有する樹脂などが挙げられる。ラジカル重合性材料は、エネルギーを利用してラジカル重合する材料であれば、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジカル重合性2重結合を有する化合物が挙げられる。ラジカル重合性2重結合としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。ラジカル重合性2重結合を有する化合物におけるラジカル重合性2重結合の個数は、耐熱性や、耐溶剤性を含む強度の観点では、2つ以上が好ましい。ラジカル重合性2重結合を2つ以上有する化合物は、例えば、ジビニルベンゼン(Divinylbenzene:DVB)、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する化合物が挙げられる。ラジカル重合性材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ラジカル重合性材料の分子量は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50~500の範囲とすることができる。絶縁皮膜5が重合性材料の硬化物で形成されている場合、絶縁被膜7における重合性材料に由来する構成単位の含有量は、例えば、50重量%以上とすることができ、90重量%以上とすることもできる。
絶縁皮膜7の平均厚みは、目的に応じて適宜選択することができ、高い絶縁性を実現する観点では、50nm以上とすることができ、100nm以上であってもよく、200nm以上であってもよい。絶縁被膜7の平均厚みの上限値は、例えば、1000nm以下とすることができ、500nm以下であってもよい。絶縁被膜7の平均厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めることができる。
絶縁皮膜7により炭素繊維5を被覆する方法としては、例えば、ゾルゲル法、液相堆積法、ポリシロキサン法、特開2018-98515号公報に記載された炭素繊維5の表面の少なくとも一部に重合性材料の硬化物からなる絶縁皮膜7を形成する方法等が挙げられる。
熱伝導性フィラー6は、炭素繊維5以外の熱伝導性フィラーである。熱伝導性フィラー6の材質は、例えば、窒素化合物、金属水酸化物、金属酸化物などが挙げられる。窒素化合物としては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などが挙げられる。金属水酸化物としては、水酸化アルミニウムが挙げられる。金属酸化物としては、酸化アルミニウム(アルミナ、サファイア)、酸化マグネシウムなどが挙げられる。熱伝導性フィラー6は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。熱伝導性フィラー6の形状は、特に限定されず、例えば、球状、粉末状、顆粒状、扁平状、鱗片状、繊維状などが挙げられる。
特に、熱伝導性フィラー6としては、熱伝導性の観点から、窒化アルミニウム粒子と、アルミナ粒子とを併用することが好ましい。窒化アルミニウム粒子の平均粒径は、例えば、1~5μmの範囲とすることが好ましく、1~3μmの範囲であってもよく、1~2μmの範囲であってもよい。また、アルミナ粒子の平均粒径は、例えば、1~10μmの範囲とすることが好ましく、1~8μmの範囲とすることもでき、4~6μmの範囲とすることもできる。
熱伝導性シート2中、炭素繊維5と熱伝導性フィラー6の合計量は、熱伝導性を高める観点では多いほど好ましく、例えば、60体積%以上とすることができ、65体積%であってもよい。熱伝導性シート2中、炭素繊維5と熱伝導性フィラー6の合計量の上限値は、シートの柔軟性の観点では、例えば、90体積%以下とすることができる。
熱伝導性シート2は、炭素繊維5を熱伝導性フィラー6よりも多く含んでもよいし、熱伝導性フィラー6を炭素繊維5よりも多く含んでいてもよいし、炭素繊維5と熱伝導性フィラー6を同量で含んでいてもよい。
熱伝導性シート2中、炭素繊維5の含有量は、例えば、5体積%以上とすることができ、10体積%以上であってもよいし、15体積%以上であってもよいし、20体積%以上であってもよいし、22体積%以上であってもよいし、10~25体積%の範囲であってもよい。
熱伝導性シート2中、熱伝導性フィラー6の含有量は、例えば、5体積%以上とすることができ、10体積%以上であってもよいし、15体積%以上であってもよいし、20体積%以上であってもよいし、25体積%以上であってもよいし、30体積%以上であってもよいし、35体積%以上であってもよいし、40体積%以上であってもよいし、43体積%以上であってもよいし、20~50体積%の範囲であってもよい。熱伝導性フィラー6として、窒化アルミニウム粒子と、アルミナ粒子とを併用する場合、熱伝導性シート1中、アルミナ粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましく、窒化アルミニウム粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましい。
熱伝導性シート2は、上述した成分以外の他の成分をさらに含有してもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、分散剤、硬化促進剤、遅延剤、粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤などが挙げられる。例えば、熱伝導性シート2は、炭素繊維5や熱伝導性フィラー6の分散性をより向上させて、熱伝導性シート2の柔軟性をより向上させる観点で、シランカップリング剤で処理した熱伝導性フィラー6を用いてもよい。
次に熱伝導性シート2の製造方法について説明する。熱伝導性シート2は、下記工程Aと、工程Bと、工程Cとを有する製造方法で得られる。
<工程A>
工程Aでは、炭素繊維5と熱伝導性フィラー6とをバインダ樹脂4に分散させることにより熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を調製する。熱伝導性シート形成用の樹脂組成物は、炭素繊維5と、熱伝導性フィラー6と、バインダ樹脂4との他に、必要に応じて各種添加剤や揮発性溶剤とを公知の手法により均一に混合することにより調製できる。
<工程B>
工程Bでは、調製された熱伝導性シート形成用の樹脂組成物から成形体ブロックを形成する。成形体ブロックの形成方法としては、押出成形法、金型成形法などが挙げられる。押出成形法、金型成形法としては、特に制限されず、公知の各種押出成形法、金型成形法の中から、熱伝導性シート形成用の樹脂組成物の粘度や熱伝導性シートに要求される特性等に応じて適宜採用することができる。
例えば、押出成形法において、熱伝導性シート形成用の樹脂組成物をダイより押し出す際、あるいは金型成形法において、熱伝導性シート形成用の樹脂組成物を金型へ圧入する際、バインダ樹脂が流動し、その流動方向に沿って炭素繊維5が配向する。
成形体ブロックの大きさ・形状は、求められる熱伝導性シート2の大きさに応じて決めることができる。例えば、断面の縦の大きさが0.5~15cmで横の大きさが0.5~15cmの直方体が挙げられる。直方体の長さは必要に応じて決定すればよい。
<工程C>
工程Cでは、成形体ブロックをシート状にスライスして、厚み方向Bに炭素繊維5の長軸が配向した熱伝導性シート2を得る。スライスにより得られるシートの表面(スライス面)には、炭素繊維5が露出する。スライスする方法としては特に制限はなく、成形体ブロックの大きさや機械的強度により公知のスライス装置の中から適宜選択することができる。成形体ブロックのスライス方向としては、成形方法が押出成形法である場合、押出し方向に炭素繊維5が配向しているものもあるため、押出し方向に対して60~120度であることが好ましく、70~100度の方向であることがより好ましく、90度(垂直)の方向であることがさらに好ましい。
このように、工程Aと、工程Bと、工程Cとを有する製造方法では、バインダ樹脂4と、炭素繊維5と、熱伝導性フィラー6とを含有し、炭素繊維5と熱伝導性フィラー6とがバインダ樹脂4に分散しており、厚み方向Bに炭素繊維5の長軸が選択的に配向した熱伝導性シート2を得ることができる。
熱伝導性シート2の製造方法は、上述した例に限定されず、例えば、工程Cの後に、スライス面をプレスする工程Dをさらに有していてもよい。熱伝導性シートの製造方法がプレスする工程Dを有することで、工程Cで得られるシートの表面がより平滑化され、他の部材との密着性をより向上できる。プレスの方法としては、平盤と表面が平坦なプレスヘッドとからなる一対のプレス装置を使用することができる。また、ピンチロールでプレスしてもよい。プレスの際の圧力としては、例えば、0.1~100MPaとすることができる。プレスの効果をより高め、プレス時間を短縮するために、プレスは、バインダ樹脂4のガラス転移温度(Tg)以上で行うことが好ましい。例えば、プレス温度は、0~180℃とすることができ、室温(例えば25℃)~100℃の温度範囲内であってもよく、30~100℃であってもよい。
<接着フィルム>
接着フィルム3は、上述のように、造膜成分と、液状のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含む。
[造膜成分]
接着フィルム3は、膜形成樹脂として機能する造膜成分(バインダ成分)を含む。造膜成分の重量平均分子量は、接着フィルム3のフィルム形成性の観点から、例えば、200,000以上とすることができ、220,000以上であってもよく、300,000以上であってもよく、350,000以上であってもよく、400,000以上であってもよい。また、造膜成分の重量平均分子量の上限値は、接着フィルム3の粘度の観点から、例えば、1,000,000以下とすることができ、900,000以下であってもよく、800,000以下であってもよく、700,000以下であってもよく、600,000以下であってもよい。
造膜成分のガラス転移温度は、接着フィルム3の反応特性(例えば溶融粘度)の観点では、例えば、30℃未満とすることができ、10℃以下であってもよく、-10℃以下であってもよい。造膜成分のガラス転移温度の下限値は、特に限定されないが、例えば-30℃以上とすることができる。造膜成分のガラス転移温度の測定方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、熱機械分析装置を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定できる。
造膜成分としては、例えば、アクリルポリマー(アクリルゴム)を用いることができる。例えば、官能基としてカルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基及びアミド基から選択される少なくとも1種を有するアクリルポリマーを用いることができる。また、アクリルポリマーは、アクリル酸エチル(EA)と、アクリロニトリル(AN)と、グリシジルメタクリレート(GMA)と、ジメチルアクリルアミド(DMAA)との共重合体を用いることができる。造膜成分の具体例としては、ナガセムテックス社製のテイサンレジンシリーズ、SG-80H(Tg;12℃)、SG-P3(Tg;12℃)などが挙げられる。造膜成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
接着フィルム3中の造膜成分の含有量は、例えば、エポキシ樹脂100重量部に対して1重量部以上とすることができ、3重量部以上であってもよく、5重量部以上であってもよく、8重量部以上であってもよい。また、接着フィルム3中の造膜成分の含有量の上限値は、例えば、エポキシ樹脂100重量部に対して15重量部以下とすることができ、13重量部以下であってもよく、10重量部以下であってもよい。
[エポキシ樹脂]
接着フィルム3に用いられるエポキシ樹脂は、室温で液状のエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂は、単官能エポキシ樹脂であってもよいし、2官能のエポキシ樹脂であってもよいし、多官能のエポキシ樹脂であってもよいが、多官能のエポキシ樹脂、例えば4官能のエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂の粘度は、例えば、室温において25000mPa・s以下とすることができ、20000mPa・s以下であってもよい。エポキシ樹脂の粘度の下限値は、例えば、150mPa・s以上とすることができ、200mPa・s以上であってもよい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、100~300g/eqの範囲とすることができ、100~200g/eqの範囲であってもよい。
エポキシ樹脂としては、多官能脂肪族エポキシ樹脂や、多官能芳香族エポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂の具体例としては、昭和電工社製のBATG(2,2’-ジアリルビスフェノールAジアリルエーテルの過酸化水素によるエポキシ化反応生成物)が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
接着フィルム3中のエポキシ樹脂の含有量は、例えば、10~65重量%の範囲とすることができ、20~60重量%の範囲とすることもでき、30~55重量%の範囲とすることもできる。
[硬化剤]
接着フィルム3は、硬化剤を含む。硬化剤は、上述したエポキシ樹脂用の硬化剤である。硬化剤は、アミン系、リン系、フェノール系またはその組み合わせからなるものを用いることができる。硬化剤としては、接着フィルム3の上述した粘度特性をより効果的に発現させる観点では、潜在性硬化剤を用いることが好ましい。また、硬化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、例えば、アミン系の硬化剤とフェノール系の硬化剤を併用することが好ましい。
アミン系の硬化剤としては、イミダゾール類、例えば、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、イミダゾールの1位をシアノエチル基で保護した1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられる。アミン系の硬化剤の具体例としては、T&K TOKA社製のフジキュアー7004が挙げられる。
接着フィルム3が硬化剤としてアミン系の硬化剤を含む場合、接着フィルム3中、アミン系の硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上とすることができ、0.2重量部以上であってもよく、0.5重量部以上であってもよく、1重量部以上であってもよく、1.5重量部以上であってもよく、2重量部以上であってもよい。また、接着フィルム3中、アミン系の硬化剤の含有量の上限値は、例えば、5重量部以下とすることができ、3重量部以下であってもよく、2.5重量部以下であってもよく、2.0重量部以下であってもよい。
フェノール系の硬化剤としては、フェノールノボラック化合物、クレゾールノボラック化合物、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール化合物、ジシクロペンタジエンフェノール付加型化合物、フェノールアラルキル化合物などが挙げられる。フェノール系の硬化剤の具体例としては、DIC社製のTD-2131が挙げられる。
接着フィルム3が硬化剤としてフェノール系の硬化剤を含む場合、フェノール系の硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に応じて決定される。接着フィルム3中、フェノール系の硬化剤の含有量は、エポキシ当量120のエポキシ樹脂100重量部に対して、65重量部以上が好ましく、70重量部以上がより好ましい。また、接着フィルム3中、フェノール系の硬化剤の含有量の上限値は、エポキシ当量120のエポキシ樹脂100重量部に対して、90重量部以下が好ましく、85重量部以下がより好ましく、80重量部以下とすることもできる。接着フィルム3中、フェノール系の硬化剤の含有量は、エポキシ当量120のエポキシ樹脂100重量部に対して、65~90重量部の範囲とすることもでき、70~85重量部の範囲とすることもできる。
[フィラー]
接着フィルム3は、例えば圧着時の接着フィルム3の流動性を調整する目的で、フィラーをさらに含んでいてもよい。また、接着フィルム3がフィラーを含むことにより、接着フィルム3の強度をより向上させることができ、リワーク作業、特に接着フィルム3同士が接着した際に接着フィルム3の材破をより効果的に防止できる。フィラーとしては、例えば、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等の無機フィラーを用いることができ、シリカが好ましい。フィラーの具体例としては、アドマテックス社製のSO-C1が挙げられる。フィラーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。接着フィルム3の中のフィラーの含有量の合計は、例えば、エポキシ樹脂100重量部に対して26~50重量部とすることができ、26~45重量部とすることもできる。
次に、接着フィルム3の製造方法について説明する。まず、上述した造膜成分と、液状のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含む接着フィルム用の組成物を溶剤に溶解させた混合液を準備する。溶剤としては、トルエン、酢酸エチルなど、又はこれらの混合溶剤を用いることができる。混合液を調製後、バーコーター、塗布装置などを用いて剥離基材上に塗布する。剥離基材は、例えば、シリコーンなどの剥離剤を、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methylpentene-1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などに塗布した積層構造からなり、混合液の乾燥を防ぐとともに、混合液の形状を維持する。そして、剥離基材上に塗布された混合液を熱オーブン、加熱乾燥装置などを用いて乾燥させる。これにより、所定の厚みの接着フィルム3が得られる。
<熱伝導性シート積層体の製造方法>
熱伝導性シート積層体1は、例えば、加熱したステージ上で接着フィルム3を加温した状態で、熱伝導性シート2の両面に配置し、所定の圧力で、熱伝導性シート2と接着フィルム3とを貼り合わせることで作製することができる。
<電子機器>
熱伝導性シート積層体1は、例えば、発熱体と放熱体との間に配置することにより、発熱体で生じた熱を放熱体に逃がすためにそれらの間に配された構造の電子機器(放熱構造)とすることができる。熱伝導性シート積層体1を適用した電子機器は、発熱体と、放熱体と、発熱体と放熱体との間に配置された熱伝導性シート積層体1とを備え、発熱体と放熱体とが熱伝導性シート積層体1で接着されている。このように、熱伝導性シート積層体1を適用した電子機器は、発熱体と放熱体とが熱伝導性シート積層体1の接着フィルム3を介して接着されているため、熱伝導性シート2により高熱伝導性を実現しつつ、接着フィルム3により接着性が良好である。
発熱体としては、特に限定されず、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの集積回路素子、トランジスタ、抵抗器など、電気回路において発熱する電子部品等が挙げられる。また、発熱体には、通信機器における光トランシーバ等の光信号を受信する部品も含まれる。
放熱体としては、特に限定されず、例えば、ヒートシンクやヒートスプレッダなど、集積回路素子やトランジスタ、光トランシーバ筐体などと組み合わされて用いられるものが挙げられる。放熱体としては、ヒートスプレッダやヒートシンク以外にも、熱源から発生する熱を伝導して外部に放散させるものであればよく、例えば、放熱器、冷却器、ダイパッド、プリント基板、冷却ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、金属カバー、筐体等が挙げられる。
電子機器は、発熱体と放熱体と熱伝導性シート積層体1とを少なくとも有し、必要に応じて、その他の部材をさらに有していてもよい。
図4は、本技術に係る熱伝導性シート積層体1を適用した半導体装置50の一例を示す断面図である。熱伝導性シート積層体1は、図4に示すように、各種電子機器に内蔵される半導体装置50に実装され、発熱体と放熱体との間に挟持される。図4に示す半導体装置50は、電子部品51と、ヒートスプレッダ52と、熱伝導性シート積層体1とを備え、熱伝導性シート積層体1がヒートスプレッダ52と電子部品51との間に挟持される。熱伝導性シート積層体1が、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に挟持されることにより、ヒートスプレッダ52とともに、電子部品51の熱を放熱する放熱部材を構成する。熱伝導性シート積層体1の実装場所は、ヒートスプレッダ52と電子部品51との間に限定されず、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間であってもよいし、電子機器や半導体装置の構成に応じて、適宜選択できる。
以下、本技術の実施例について説明する。なお、本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
<熱伝導性シートの作製>
2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径1μmの窒化アルミニウム粒子23体積%と、平均粒径5μmのアルミナ粒子20体積%と、繊維状フィラーとして平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維22体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを使用し、シリコーンA剤とB剤との配合比が、17.5vol%:17.5vol%となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中に押出成形し、50mm□のシリコーン成型体を成型した後にオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.5mmとなるようにスライサーで切断した。シリコーン硬化物(熱伝導性シート)の切断面の表面粗さRaは、25μmであった。シリコーン硬化物(熱伝導性シート)の切断面の表面粗さRaは、3次元プロファイラー(ZYGO社製)を用いて測定した。
<接着フィルムの作製>
接着フィルムには、下記成分を用いた。
アクリルポリマーA(モノマー構成:EA-AN-GMA-DMAA、Mw35万)
アクリルポリマーB(モノマー構成:EA-AN-GMA-DMAA、Mw22万)
BATG:4官能のエポキシ樹脂(昭和電工社製)、粘度15,000mPa・s、エポキシ当量120g/eq
TD-2131:フェノール系硬化剤(DIC社製、水酸基当量104g/eq)
フジキュアー7004:潜在性硬化剤(T&K TOKA社製)
SO-C1:フィラー(アドマテックス社製)
表1に示す配合量(重量部)となるように各成分を秤量し、溶剤と共に混合した混合液を、予め表面に離型処理を施したPETフィルム上に塗布し、フィルム状に成形した後、溶剤を揮発させて、接着フィルムを作製した。
<熱伝導性シート積層体>
80℃に加熱したステージ上で接着フィルムを加温した状態で、熱伝導性シートの両面に配置し、10kPaの圧力で10秒間、熱伝導性シートと接着フィルムとを貼り合わせることで、図1に示すように、熱伝導性シート2の両面に接着フィルム3が積層された熱伝導性シート積層体1を作製した。
<試験片の作製>
図5は、実施例で用いた試験片を模式的に示す断面図である。PCB61(サイズ:50mm×50mm)上に接着させたベアシリコンダイ62(サイズ:20mm×20mm、厚み750μm)上に、熱伝導性シート積層体1を配置し、熱伝導性シート積層体1上に、NiメッキしたCu(厚み1.0mm)素材のIHS(Integrated heat spreader)64(サイズ:40mm×40mm)を貼り合わせ、150℃、10kPaで1時間加熱加圧することで、図5に示すようなパッケージ構造の試験片60を準備した。
<熱抵抗>
ASTM-D5470に準拠した熱抵抗測定装置を用いて、荷重1kgf/cmをかけて、熱伝導性シート積層体1の熱抵抗値(cm・K/W)を測定した。結果を表1に示す。
<ハンドリング性>
熱伝導性シート積層体1のハンドリング性について、室温(25℃)において、ピックアンドプレイス時、搬送機(手)からの離型性による評価を行った。具体的には、接着フィルム3のタックが無いとき(離型性良好)をAと評価し、接着フィルム3のタックが有るとき(離型性がやや良好)をBと評価し、接着フィルム3のタックが有るとき(離型不良、接着フィルム3と熱伝導シート2との間に剥がれが発生、接着フィルム3の凝集破壊、熱伝導シート2の材破のいずれかが発生したとき)をCと評価した。実用上、ハンドリング性の評価結果がA又はBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。結果を表1に示す。
<リワーク性>
熱伝導性シート積層体1のリワーク性について、室温(25℃)において、熱伝導性シート積層体1をベアシリコンダイ62上に搭載した直後に、熱伝導性シート積層体1の位置直しが可能であったときを○(OK)と評価し、熱伝導性シート積層体1の位置直しが不可能であったときを×(NG)と評価した。結果を表1に示す。
<実装初期接着性>
熱伝導性シート積層体1の実装初期の接着性について、超音波映像装置(SAT:Scanning Acoustic Tomograph)を用いて観察し、作製した試験片60において熱伝導性シート積層体1が全面接着されていたときを○(OK)と評価し、熱伝導性シート積層体1が部分的に接着されていたとき(熱伝導性シート積層体1の非接着箇所があったとき)を×(NG)と評価した。SATでは、一般的に、接着領域が灰色で表示され、非接着領域が白色で表示される。結果を表1に示す。
<耐リフロー性(接着信頼性)>
試験片60を、温度85℃、相対湿度85%の条件で24時間吸湿させ、最大260℃のリフロー炉で3サイクル加熱(吸湿リフロー)させた。吸湿リフロー後の試験片60におけるベアシリコンダイ62とIHS64との間の剥離の有無を、超音波映像装置(SAT)で観察した。吸湿リフローさせる前後で、剥離起因の変化がなかったときを〇(OK)と評価し、変化があったとき(吸湿リフロー後に剥がれがあったとき)を×(NG)と評価した。結果を表1に示す。
<耐リフロー性(熱抵抗性信頼性)>
試験片60を、温度85℃、相対湿度85%の条件で24時間吸湿させ、最大260℃のリフロー炉で3サイクル加熱(吸湿リフロー)させた。吸湿リフロー後の試験片60における熱伝導性シート積層体1について、ASTM-D5470に準拠した熱抵抗測定装置を用いて、荷重1kgf/cmをかけて熱抵抗(cm・K/W)を測定した。吸湿リフロー前後で熱抵抗値上昇が10%以内であったときを○(OK)と評価し、吸湿リフロー前後で熱抵抗値上昇が10%超であったときを×(NG)と評価した。結果を表1に示す。
<温度サイクル(TCT)試験>
試験片60について、-55℃(30min)⇔125℃(30min)の温度サイクル試験を1000サイクル行った。温度サイクル試験後の試験片60について、試験片60の構成部材の位置変化の有無を、超音波映像装置(SAT)で観察した。具体的には、図5中の矢印の方向が水平方向となるように、すなわち、接着面が垂直方向となるように試験片60を配置してTCT試験を実施し、試験片60における熱伝導性シート積層体1がそれぞれの接着界面に対して位置変化があるかどうかを確認した。温度サイクル試験の前後で、試験片60の構成部材に位置変化がなかったときを○(OK)と評価し、位置変化があったときを×(NG)と評価した。結果を表1に示す。
Figure 2022119196000002
比較例1では、熱伝導シートの両面に接着フィルムが積層されていないもの、すなわち、熱伝導性シートを用いたため、リワーク性、実装初期の接着性、耐リフロー性、TCTの評価結果が良好ではないことが分かった。
比較例2では、接着フィルムの厚みが20μm以上であったため、熱抵抗が高いことが分かった。
比較例3では、接着フィルムの粘度が20℃において8.0E+05Pa・s以下であったため、ハンドリング性が良好ではないことが分かった。
比較例4では、接着フィルムの粘度が130℃において40Pa・s以上であったため、熱抵抗が高いことが分かった。
比較例5では、接着フィルムの粘度が20℃において8.0E+05Pa・s以下であったため、リワーク性と耐リフロー性が良好ではないことが分かった。
一方、実施例で用いた熱伝導性シート積層体は、接着フィルムの厚みが20μm未満であり、接着フィルムの粘度が20℃において8.0E+05Pa・sより大きく、かつ、130℃において40Pa・s未満であったため、熱抵抗を小さくでき、ハンドリング性とリワーク性が良好であり、接着性も優れていることが分かった。
1 熱伝導性シート積層体、2 熱伝導性シート、3 接着フィルム、4 バインダ樹脂、5 炭素繊維、6 熱伝導性フィラー、7 絶縁被膜、8 絶縁被覆炭素繊維、50 半導体装置、51 電子部品、52 ヒートスプレッダ、53 ヒートシンク、60 試験片、61 PCB、62 ベアシリコンダイ、64 IHS

Claims (8)

  1. 熱伝導性シートの両面に接着フィルムが積層された、熱伝導性シート積層体であって、
    上記熱伝導性シートは、シリコーン樹脂からなるバインダ樹脂と、炭素繊維と、炭素繊維以外の熱伝導性フィラーとを含み、
    上記接着フィルムは、造膜成分と、液状のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含み、
    上記接着フィルムの厚みが20μm未満であり、
    上記接着フィルムは、20℃における粘度が8.0E+05Pa・sより大きく、130℃における粘度が40Pa・s未満である、熱伝導性シート積層体。
  2. 上記接着フィルムがフィラーをさらに含む、請求項1に記載の熱伝導性シート積層体。
  3. 1kgf/cm荷重下における熱抵抗が0.4cmK/W以下である、請求項1又は2に記載の熱伝導性シート積層体。
  4. 上記接着フィルムの厚みが0.1μm以上15μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導性シート積層体。
  5. 上記接着フィルムの粘度が20℃において9.0E+05Pa・s以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導性シート積層体。
  6. 上記接着フィルムの粘度が130℃において10Pa・s以上30Pa・s以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱伝導性シート積層体。
  7. 上記接着フィルムの厚み(μm)と、上記熱伝導性シートの表面粗さRa(μm)との比(上記接着フィルムの厚み/上記熱伝導性シートの表面粗さRa)が0.003~0.7である、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱伝導性シート積層体。
  8. 発熱体と、
    放熱体とを備え、
    上記発熱体と上記放熱体とが、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱伝導性シート積層体で接着されてなる、電子機器。
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