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JP2022085446A - 有価金属を回収する方法 - Google Patents

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JP2022085446A
JP2022085446A JP2020197142A JP2020197142A JP2022085446A JP 2022085446 A JP2022085446 A JP 2022085446A JP 2020197142 A JP2020197142 A JP 2020197142A JP 2020197142 A JP2020197142 A JP 2020197142A JP 2022085446 A JP2022085446 A JP 2022085446A
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

【課題】高い回収率で有価金属を回収することができる、効率的な乾式製錬プロセスを提供すること。【解決手段】有価金属(Cu、Ni、Co)を回収する方法であって、以下の工程;少なくとも有価金属を含む装入物を原料として準備する工程と、前記原料を加熱熔融して、合金とスラグとにする工程と、前記スラグを分離して、有価金属を含有する合金を回収する工程と、を有し、前記原料を加熱熔融する際に、金属アルミニウムを還元剤として原料に導入する、方法。【選択図】図1

Description

本発明は有価金属を回収する方法に関する。
近年、軽量で大出力の電池としてリチウムイオン電池が普及している。よく知られているリチウムイオン電池は、外装缶内に負極材と正極材とセパレータと電解液とを封入した構造を有している。ここで外装缶は、鉄(Fe)やアルミニウム(Al)等の金属からなる。負極材は、負極集電体(銅箔等)に固着させた負極活物質(黒鉛等)からなる。正極材は、正極集電体(アルミニウム箔等)に固着させた正極活物質(ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等)からなる。セパレータはポリプロピレンの多孔質樹脂フィルム等からなる。電解液は六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等の電解質を含む。
リチウムイオン電池の主要な用途の一つに、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。そのため自動車のライフサイクルにあわせて、搭載されたリチウムイオン電池が将来的に大量に廃棄される見込みである。また製造中に不良品として廃棄されるリチウムイオン電池がある。このような使用済み電池や製造中に生じた不良品の電池(以下、「廃リチウムイオン電池」)を資源として再利用することが求められている。
再利用の手法として、廃リチウムイオン電池を高温炉(熔融炉)で全量熔解する乾式製錬プロセスが従来から提案されている。乾式製錬プロセスは、破砕した廃リチウムイオン電池を熔融処理し、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及び銅(Cu)に代表される回収対象である有価金属と、鉄(Fe)やアルミニウム(Al)に代表される付加価値の低い金属とを、それらの間の酸素親和力の差を利用して分離回収する手法である。この手法では、付加価値の低い金属はこれを極力酸化してスラグとする一方で、有価金属はその酸化を極力抑制し合金として回収する。
このように酸素親和力の差を利用して有価金属を分離回収する乾式製錬プロセスでは、熔融処理時の酸化還元度のコントロールが非常に重要である。コントロールが不十分であると、有価金属として回収するはずの合金に不純物が混入する。または不純物として回収するはずのスラグに、酸化した有価金属が取り込まれるといった問題が生じ、これが有価金属の回収率を低下させてしまう。そのため乾式製錬プロセスでは、熔融炉に空気や酸素などの酸化剤や還元剤を導入して酸化還元度をコントロールすることが行われている。
例えば、特許文献1では、乾式法による廃リチウムイオン電池からのコバルトの回収方法に関して、廃リチウムイオン電池を熔融炉に投入して酸素により酸化するプロセスが提案されている。また特許文献2には、廃リチウムイオン電池を熔融する際に、SiO及びCaOを添加してスラグの融点を下げてメタルとスラグの分離を促進し、次いで、スラグを分離した後のメタルに酸素を吹込みながらCaOを添加することでリンを除去する脱リン工程を設けたプロセスが提案されている。
特許第5818798号公報 特許第5853585号公報
このように、熔融処理時に空気や酸素を導入して酸化還元度をコントロールすることが従来から提案されているものの、その手法には改良の余地があった。例えば、特許文献1には、コバルトを高い回収率で回収できるとされるものの、リンの除去についての記述はない。したがって、この文献で開示されるプロセスで、有価金属の回収及びリンの除去を安定的且つ効率的に行うことができるか否かについては不明であった。特許文献2のプロセスでは、脱リン工程を別途設ける必要があるため、製造コストが高くなる問題があった。
本発明は、このような従来の問題点を克服するために完成されたものであり、高い回収率で有価金属を回収することができる、効率的な乾式製錬プロセスの提供を課題とする。
本発明は、下記(1)~(11)の態様を包含する。なお本明細書において「~」なる表現は、その両端の数値を含む。すなわち「X~Y」は「X以上Y以下」と同義である。
(1)有価金属(Cu、Ni、Co)を回収する方法であって、以下の工程;
少なくとも有価金属を含む装入物を原料として準備する工程と、
前記原料を加熱熔融して、合金とスラグとにする工程と、
前記スラグを分離して、有価金属を含有する合金を回収する工程と、を有し、
前記原料を加熱熔融する際に、金属アルミニウムを還元剤として原料に導入する、方法。
(2)前記金属アルミニウムは塊から構成され、前記塊の平均体積が10.0mm以上である、上記(1)の方法。
(3)前記金属アルミニウムは粒から構成され、前記粒の平均体積が1.00mm以上10.00mm未満である、上記(1)の方法。
(4)前記金属アルミニウムは粉末から構成され、前記粉末に含まれる粒子の平均体積が1.00mm未満である、上記(1)の方法。
(5)前記原料を加熱熔融する際の加熱温度を1300℃以上1500℃以下にする、上記(1)~(4)のいずれかの方法。
(6)前記還元剤の導入量を、前記原料に含まれる有価金属の全てを還元するのに必要な量(当量)に対して1.0~1.4倍量にする、上記(1)~(5)のいずれかの方法。
(7)前記還元剤は炭素成分を含まない、上記(1)~(6)のいずれかの方法。
(8)原料を加熱熔融する際に、フラックスを原料に導入する、上記(1)~(7)のいずれかの方法。
(9)原料を加熱熔融する前に、前記原料を酸化焙焼する工程をさらに有する、上記(1)~(8)のいずれかの方法。
(10)前記有価金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属又は合金からなる、上記(1)~(9)のいずれかの方法。
(11)前記装入物は廃リチウムイオン電池を含む、上記(1)~(10)のいずれかの方法。
本発明によれば、高い回収率で有価金属を回収することができる、効率的な乾式製錬プロセスが提供される。
有価金属の回収方法の一例を示す。
本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
本実施形態の有価金属(Cu、Ni、Co)を回収する方法は、以下の工程;少なくとも有価金属を含む装入物を原料として準備する工程(準備工程)と、準備した原料を加熱熔融して、合金とスラグとにする工程(熔融工程)と、得られた熔融物からスラグを分離して、有価金属を含有する合金を回収する工程(スラグ分離工程)と、を有する。また原料を加熱熔融する際に、金属アルミニウムを還元剤として原料に導入する。
本実施形態は、少なくとも有価金属(Cu、Ni、Co)を含む装入物から有価金属を回収する方法である。ここで有価金属は回収対象となるものであり、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属又は合金である。装入物はリン(P)を含んでもよい。また本実施形態は主として乾式製錬プロセスによる回収方法である。しかしながら、乾式製錬プロセスと湿式製錬プロセスとから構成されていてもよい。各工程の詳細について以下に説明する。
<準備工程>
準備工程では、装入物を原料として準備する。装入物は、有価金属を回収する処理対象となるものであり、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも一種の有価金属を含有する。装入物はこれらの成分(Cu、Ni、Co等)を金属や元素の形態で含んでもよく、あるいは酸化物等の化合物の形態で含んでもよい。また装入物はこれらの成分(Cu、Ni、Co)以外の他の無機成分や有機成分を含んでもよい。
装入物は、その対象が特に限定されない。一例として、廃リチウムイオン電池、誘電材料又は磁性材料を含む電子部品、電子機器が挙げられる。また後続する工程での処理に適したものであれば、その形態も限定されない。準備工程で装入物に粉砕処理等の処理を施して、適した形態にしてもよい。さらに準備工程で装入物に熱処理や分別処理等の処理を施して、水分や有機物等の不要成分を除去してもよい。
<酸化焙焼工程>
必要に応じて、後続する熔融工程の前に、原料を酸化焙焼(予備加熱)して酸化焙焼物(予備加熱物)にする工程(酸化焙焼工程)を設けてもよい。酸化焙焼工程では原料を酸化焙焼して原料(装入物)に含まれる炭素を減少させる。この工程を設けることで、原料が炭素を過剰に含む場合であっても、この炭素を酸化除去し、それにより、後続する熔融工程での有価金属の合金一体化を促進させることができる。すなわち熔融工程で有価金属は還元されて局所的な熔融微粒子になる。炭素は熔融微粒子(有価金属)が凝集する際に物理的な障害となることがある。そのため酸化焙焼工程を設けないと、熔融微粒子の凝集一体化及びそれによる熔融合金(メタル)とスラグの分離を炭素が妨げ、有価金属回収率が低下してしまう場合がある。これに対して、予め酸化焙焼工程で炭素を除去しておくことで、熔融工程での熔融微粒子(有価金属)の凝集一体化が進行し、有価金属の回収率をより一層に高めることが可能になる。またリン(P)は比較的還元されやすい不純物であるため、炭素が過剰に存在すると、リンが還元されて有価金属とともに熔融合金に取り込まれてしまう恐れがある。過剰な炭素を予め除去しておくことで、熔融合金へのリンの混入を防ぐことができる。酸化焙焼物の炭素量は1質量%未満であることが好ましい。
その上、酸化焙焼工程を設けることで、酸化のばらつきを抑えることが可能となる。酸化焙焼工程では、原料に含まれる付加価値の低い金属(Al等)を酸化することが可能な酸化度で処理(酸化焙焼)を行うことが望ましい。一方で、酸化焙焼の処理温度、時間及び/又は雰囲気を調整することで、酸化度は容易に制御される。そのため酸化焙焼工程によって酸化度をより厳密に調整することができ、酸化ばらつきを抑制できる。
酸化度の調整は次のようにして行う。先述したように、アルミニウム(Al)、リチウム(Li)、炭素(C)、マンガン(Mn)、リン(P)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及び銅(Cu)は、一般的にAl>Li>C>Mn>P>Fe>Co>Ni>Cuの順に酸化されていく。酸化焙焼工程では、アルミニウム(Al)の全量が酸化されるまで酸化を進行させる。鉄(Fe)の一部が酸化されるまで酸化を促進させてもよいが、コバルト(Co)が酸化されてスラグへ分配されることがない程度に酸化度を留める。
酸化焙焼は、酸化剤の存在下で行うことが好ましい。これにより不純物たる炭素(C)の酸化除去及びアルミニウム(Al)の酸化を効率的に行うことができる。酸化剤は特に限定されない。しかしながら取り扱いが容易な点で、酸素含有ガス(空気、準酸素、酸素富化ガス等)が好ましい。また酸化剤の導入量としては、例えば酸化処理の対象となる各物質の酸化に必要な化学当量の1.2倍程度が好ましい。
酸化焙焼の加熱温度は、700℃以上1100℃以下が好ましい。700℃以上で、炭素の酸化効率をより一層に高めることができ、酸化時間を短縮することができる。また、1100℃以下で、熱エネルギーコストを抑制することができ、酸化焙焼の効率を高めることができる。酸化焙焼温度は800℃以上であってよい。また900℃以下であってもよい。
酸化焙焼は、公知の焙焼炉を用いて行うことができる。また後続する熔融工程で使用する熔融炉とは異なる炉(予備炉)を用い、その予備炉内で行うことが好ましい。酸化焙焼炉として、装入物を焙焼しながら酸化剤(酸素等)を供給してその内部で酸化処理を行うことが可能な炉である限り、あらゆる形式の炉を用いることができる。一例して、従来公知のロータリーキルン、トンネルキルン(ハースファーネス)が挙げられる。
<熔融工程>
熔融工程では、準備工程又は酸化焙焼工程を経て得た原料(廃リチウムイオン電池)を加熱熔融して、合金(メタル)とスラグとに分離する。具体的には、熔融原料を加熱熔融して熔体にする。この熔体は熔融合金とスラグとを熔融した状態で含む。次いで得られた熔体を熔融物にする。この熔融物は熔融合金とスラグとを凝固した状態で含む。熔融合金は有価金属を主として含む。そのため有価金属とその他の成分のそれぞれを、熔融合金及びスラグとして分離することが可能である。これは付加価値の低い金属(Al等)は酸素親和力が高いのに対し、有価金属は酸素親和力が低いからである。例えばアルミニウム(Al)、リチウム(Li)、炭素(C)、マンガン(Mn)、リン(P)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及び銅(Cu)は、一般的にAl>Li>C>Mn>P>Fe>Co>Ni>Cuの順に酸化されていく。つまりアルミニウム(Al)が最も酸化され易く、銅(Cu)が最も酸化されにくい。そのため付加価値の低い金属(Al等)は容易に酸化されてスラグになる一方で、有価金属(Cu、Ni、Co)は還元されて熔融金属(合金)になる。このようにして付加価値の低い金属と有価金属とを、スラグと熔融合金とに分離することができる。
本実施形態の方法では、原料を加熱熔融する際に、金属アルミニウムを還元剤として原料に導入する。従来から、石炭、コークスなどの炭素原子を含む還元剤(炭素質還元剤)が多用されている。しかしながら炭素質還元剤は、熔融したスラグとの濡れ性が非常に悪く、還元反応が進みにくいという問題があった。具体的には、熔融工程で炭素質還元剤はスラグからはじかれてしまい、スラグ上で発火することが多かった。これに対して、金属アルミニウムを還元剤として用い、これを熔融したスラグ上に投入すると、投入したアルミニウムは速やかに熔けて、スラグと容易に反応を起こす。また発火の問題を抑えることができる。そのため還元反応を効率よく進めることが可能になるとともに、安全面でも優れている。なお、還元剤として導入した金属アルミニウムは、熔融工程でスラグに分配される。そのため合金に混入することがなく、有価金属の回収率を損なうことがない。
還元剤として用いられる金属アルミニウムの形状は限定されない。例えば塊状であってよく、粒状であってよく、粉末状であってよい。また金属アルミニウムの純度は限定されない。しかしながら好適には純度が90%以上である。このような純度であれば、還元効率が大きく低下することはない。
本実施形態の一態様によれば、金属アルミニウムが塊から構成され、この塊の平均体積が10.0mm以上であることが好ましい。塊状の金属アルミニウムは、炉内に多量に投入し易く、また粉塵の発生を防止することができる。しかしながら、過度に大きい塊は熔融に時間がかかる。平均体積は1000.0mm以下が好ましく、100.0mm以下がより好ましい。
本実施形態の別の態様によれば、金属アルミニウムが粒から構成され、この粒の平均体積が0.50mm以上10.00mm未満であることが好ましい。粒状の金属アルミニウムは、輸送がしやすく、また取り扱いが容易である。ハンドリングを容易にする観点から、粒の平均体積は1.00mm以上がより好ましく、3.00mm以上がさらに好ましい。しかしながら、過度に大きい粒は、溶融に時間がかかる。平均体積は7.00mm以下がより好ましい。
本実施形態の更に別の態様によれば、金属アルミニウムが粉末から構成され、この粉末に含まれる粒子の平均体積が0.50mm未満であることが好ましい。粉末状の金属アルミニウムは、スラグと反応し易く、効率的に還元反応を進めることができる。還元反応を効率的に進める観点から、粒子の平均体積は0.30mm以下がより好ましい。
還元剤の導入量を、原料に含まれる有価金属の全てを還元するのに必要な量(当量)に対して1.0~1.4倍量にすることが好ましい。還元剤の添加量が過度に少ないと、有価金属の還元が不十分になる。そのため、有価金属がスラグに混入してしまい、有価金属の回収率が低下する恐れがある。一方で還元剤の添加量が過度に多いと、還元されやすい不純物が合金(メタル)に混入する恐れがある。特に還元されやすいリン(P)が合金に混入すると、合金のリン品位が高くなるという問題がある。
還元剤が炭素成分を含まないことが好ましい。炭素質還元剤は、還元反応が進みにくくスラグ上で発火する問題がある。炭素成分を含まない還元剤を用いることで、有価金属の回収を効率的且つ安全に行うことが可能になる。
原料を加熱熔融する際の加熱温度は特に限定されない。しかしながら1300℃以上1500℃以下にすることが好ましい。加熱温度を1300℃以上にすることで、有価金属(Cu、Co、Ni)が十分に熔融し、流動性が高められた状態で熔融合金を形成する。そのため後述するスラグ分離工程で熔融合金とスラグとの分離を効率的に行うことができる。加熱温度は1350℃以上がより好ましい。一方で加熱温度が1500℃を超えると、熱エネルギーが無駄に消費されるとともに、坩堝や炉壁等の耐火物の消耗が激しくなり、生産性が低下する恐れがある。加熱温度は1450℃以下がより好ましい。
熔融工程の際に、熔融原料にフラックスを導入(添加)してもよい。フラックスを添加することで、熔融処理温度を低温化することができ、またリン(P)の除去をより一層進めることができる。フラックスとして、不純物元素を取り込んで融点の低い塩基性酸化物を形成する元素を含むものが好ましい。リンは酸化すると酸性酸化物になるため、熔融工程で形成されるスラグが塩基性になるほど、スラグにリンを取り込ませて除去し易くなる。その中でも、安価で常温において安定なカルシウム化合物を含むものがより好ましい。カルシウム化合物として、例えば酸化カルシウム(CaO)や炭酸カルシウム(CaCO)を挙げることができる。またフラックスとして二酸化珪素(SiO)を用いてもよい。
<スラグ分離工程>
スラグ分離工程では、熔融工程で得られた熔融物からスラグを分離して、有価金属を含む熔融合金を回収する。スラグと熔融合金は比重が異なる。熔融合金に比べて比重の小さいスラグは熔融合金の上部に集まるので、比重分離により容易に分離回収することができる。
スラグ分離工程後に、得られた合金を硫化する硫化工程や、得られた硫化物或いは合金を粉砕する粉砕工程を設けてもよい。さらに、このような乾式製錬プロセスを経て得られた有価金属合金に湿式製錬プロセスを施してもよい。湿式製錬プロセスにより、不純物成分を除去し、有価金属(Cu、Ni、Co)を分離精製し、それぞれを回収することができる。湿式製錬プロセスにおける処理としては、中和処理や溶媒抽出処理等の公知の手法が挙げられる。
このような本実施形態の方法によれば、リンの合金への取り込みを抑えることができ、有価金属をより効率的に回収することが可能になる。例えば合金のリン含有率(メタル中リン品位)を0.50質量%以下、0.10質量%以下、0.05質量%以下、0.03質量%以下、または0.01質量%以下にすることができる。また有価金属であるコバルト(Co)の回収率を90.0質量%以上、95.0質量%以上、96.0質量%以上、または97.0質量%以上にすることができる。ここでコバルト(Co)回収率は、最終的に得られた熔融合金とスラグに含まれるコバルト(Co)の含有量を用いて、下記(1)式にしたがって算出される。
Figure 2022085446000002
本実施形態の装入物は有価金属を含有する限り、限定されない。しかしながら装入物は廃リチウムイオン電池を含むことが好ましい。廃リチウムイオン電池は、リチウム(Li)及び有価金属(Cu、Ni、Co)を含むとともに、付加価値の低い金属(Al、Fe)や炭素成分を含んでいる。そのため、廃リチウムイオン電池を装入物として用いることで、有価金属を効率的に分離回収することができる。なお廃リチウムイオン電池とは、使用済みのリチウムイオン電池のみならず、電池を構成する正極材等の製造工程で生じた不良品、製造工程内部の残留物、発生屑等のリチウムイオン電池の製造工程内における廃材を含む概念である。そのため、廃リチウムイオン電池をリチウムイオン電池廃材と言うこともできる。
廃リチウムイオン電池から有価金属を回収する方法を、図1を用いて説明する。図1は回収方法の一例を示す工程図である。図1に示されるように、この方法は、廃リチウムイオン電池の電解液及び外装缶を除去して廃電池内容物を得る工程(廃電池前処理工程S1)と、廃電池内容物を粉砕して粉砕物とする工程(第1粉砕工程S2)と、粉砕物を酸化焙焼して酸化焙焼物にする工程(酸化焙焼工程S3)と、酸化焙焼物を熔融して熔融物にする工程(熔融工程S4)と、熔融物からスラグを分離して、熔融合金を回収する工程(スラグ分離工程)を有する。また図示されていないが、スラグ分離工程の後に、得られた合金を硫化する硫化工程や、得られた硫化物或いは合金を粉砕する第2粉砕工程を設けてもよい。各工程の詳細を以下に説明する。
<廃電池前処理工程>
廃電池前処理工程(S1)は、廃リチウムイオン電池の爆発防止及び無害化並びに外装缶の除去を目的に行われる。リチウムイオン電池は密閉系であるため、内部に電解液などを有している。そのためそのままの状態で粉砕処理を行うと、爆発の恐れがあり危険である。何らかの手法で放電処理や電解液除去処理を施すことが好ましい。廃電池前処理の具体的な方法は特に限定されるものではない。例えば針状の刃先で廃電池を物理的に開孔し、電解液を除去する手法が挙げられる。また廃電池を加熱して、電解液を燃焼して無害化する手法が挙げられる。
また外装缶は金属であるアルミニウム(Al)や鉄(Fe)から構成されることが多く、こうした金属製の外装缶はそのまま回収することが比較的容易である。このように廃電池前処理工程(S1)で電解液及び外装缶を除去することで、安全性を高めるとともに、有価金属(Cu、Ni、Co)の回収率を高めることができる。廃電池前処理工程(S1)で、外装缶に含まれるアルミニウム(Al)や鉄(Fe)を回収する場合には、除去した外装缶を粉砕した後に、粉砕物を篩振とう機を用いて篩分けしてもよい。アルミニウム(Al)は軽度の粉砕で容易に粉状になるため、これを効率的に回収することができる。また磁力選別によって、外装缶に含まれる鉄(Fe)を回収してもよい。
<第1粉砕工程>
第1粉砕工程(S2)では、廃リチウムイオン電池又はその内容物(電池内容物)を粉砕して粉砕物を得る。この工程は乾式製錬プロセスでの反応効率を高めることを目的にしている。反応効率を高めることで、有価金属(Cu、Ni、Co)の回収率を高めることができる。具体的な粉砕方法は特に限定されるものではない。カッターミキサー等の従来公知の粉砕機を用いて粉砕することができる。なお廃電池前処理工程と第1粉砕工程は、これらを併せて先述する準備工程に相当する。
<酸化焙焼工程>
酸化焙焼工程(S3)では、第1粉砕工程(S2)で得られた粉砕物を酸化焙焼して酸化焙焼物を得る。この工程の詳細は先述したとおりである。
<熔融工程>
熔融工程(S4)では、酸化焙焼工程(S3)で得られた酸化焙焼物を熔融して熔融物を得る。この工程の詳細は先述したとおりである。
<スラグ分離工程>
スラグ分離工程では、熔融工程(S4)で得られた熔融物からスラグを分離して、熔融合金を回収する。この工程の詳細は先述したとおりである。
スラグ分離工程後に硫化工程や粉砕工程を設けてもよい。さらに得られた有価金属合金に対して湿式製錬プロセスをおこなってもよい。硫化工程、粉砕工程及び湿式製錬プロセスの詳細は先述したとおりである。
本発明を、以下の実施例及び比較例を用いて更に詳細に説明する。しかしながら本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)有価金属の回収
[例1]
廃リチウムイオン電池を装入物に用いて有価金属を回収した。回収は以下の工程にしたがって行った。
<廃電池前処理工程(準備工程)>
廃リチウムイオン電池として、使用済み電池、及び電池製造工程で回収した不良品を準備した。そして、この廃リチウムイオン電池をまとめて塩水中に浸漬して放電させた後、水分を除去し、大気中260℃で焙焼して電解液及び外装缶を分解除去して、電池内容物を得た。電池内容物の主要元素組成は、下記表1に示されるとおりであった。
Figure 2022085446000003
<粉砕工程>
得られた電池内容物を粉砕機(商品名:グッドカッター、株式会社氏家製作所製)により粉砕して、粉砕物を得た。
<酸化焙焼工程>
得られた粉砕物をロータリーキルンに投入し、大気中800℃で180分間の条件で酸化焙焼を行い、熔融原料を得た。
<熔融工程>
酸化焙焼した粉砕物(熔融原料)に、フラックスとして酸化カルシウム(CaO)及び二酸化珪素(SiO)を添加し、さらに酸化還元度の調整のために還元剤を添加して、これらを混合した。得られた混合物をアルミナ製坩堝に装入し、これを抵抗加熱によって加熱熔融して熔体とした。その後、熔融合金とスラグとを含む熔融物を得た。この際、還元剤として、平均体積12mm以上の塊状金属アルミニウムを用いた。また還元剤の添加量を、原料に含まれる有価金属の全てを還元するのに必要な量(当量)に対して1.1倍量にした。さらに混合物の加熱を1400℃×30分の条件で行った。
<スラグ分離工程>
得られた熔融物から、比重の違いを利用してスラグを分離して、熔融合金を回収した。
[例2]
還元剤として、平均体積35mm以上の塊状金属アルミニウムを用いた。それ以外は例1と同様にして有価金属の回収を行った。
[例3]
還元剤として、平均体積1.3mmの粒状金属アルミニウムを用いた。それ以外は例1と同様にして有価金属の回収を行った。
[例4]
還元剤として、平均体積4.6mmの粒状金属アルミニウムを用いた。それ以外は例1と同様にして有価金属の回収を行った。
[例5]
還元剤として、平均体積0.27mm(平均粒径0.8mm)の粉末状金属アルミニウムを用いた。それ以外は例1と同様にして有価金属の回収を行った。
[例6]
還元剤として、平均体積0.01mm(平均粒径0.3mm)の粉末状金属アルミニウムを用いた。それ以外は例1と同様にして有価金属の回収を行った。
[例7]
還元剤として、平均体積18mmの塊状金属アルミニウムを用いた。また熔融工程での加熱を1320℃×40分の条件で行った。それ以外は例1と同様にして有価金属の回収を行った。
[例8]
還元剤として、平均体積18mmの塊状金属アルミニウムを用いた。また熔融工程での加熱を1480℃×20分の条件で行った。それ以外は例1と同様にして有価金属の回収を行った。
[例9(比較例)]
還元剤として、平均体積4.6mmの粒状石炭を用いた。それ以外は例1と同様にして有価金属の回収を行った。
[例10(比較例)]
還元剤として、平均体積0.27mm(平均粒径0.8mm)の粉末状石炭を用いた。それ以外は例1と同様にして有価金属の回収を行った。
(2)評価
例1~例10において回収した熔融合金(メタル)及びスラグについて、ICP分析装置(アジレント・テクノロジー株式会社、Agilent5100SUDV)を用いて元素分析を行った。この際、最も酸化し易くメタルとしての回収が難しいコバルト(Co)と、メタルからの除去が難しい不純物たるリン(P)を分析元素とした。
そして熔融合金(メタル)中のリン(P)の含有量(質量%)をリン品位とした。また コバルト(Co)の回収率を次のようにして求めた。すなわち元素分析により求めた熔融合金及びスラグ中のコバルト(Co)の含有量を用いて、下記(1)式にしたがってコバルト(Co)回収率を算出した。
Figure 2022085446000004
(3)結果
例1~例10について得られたリン品位とコバルト回収率を表2に示す。実施例である例1~例8では良好な結果が得られた。具体的には、得られた合金は、電池に含まれる有価金属であるコバルトの回収率が95%以上であり、且つ得られた合金中のリン品位が0.01質量%未満であった。このように、アルミニウムを還元剤として用いることで、熔融したアルミニウムによるスラグ中の有価金属の還元反応を速やかに進めることができた。その結果、有価金属を高い回収率で得ることができるとともに、リンを有効に除去することができた。
これに対して、比較例である例9及び例10ではコバルト回収率が低く、実施例に比べて悪い結果が得られた。石炭とスラグとの濡れ性が悪いため、石炭がスラグの上に浮いてしまい、還元反応が速やかに進まなかったためである。
Figure 2022085446000005

Claims (11)

  1. 有価金属(Cu、Ni、Co)を回収する方法であって、以下の工程;
    少なくとも有価金属を含む装入物を原料として準備する工程と、
    前記原料を加熱熔融して、合金とスラグとにする工程と、
    前記スラグを分離して、有価金属を含有する合金を回収する工程と、を有し、
    前記原料を加熱熔融する際に、金属アルミニウムを還元剤として原料に導入する、方法。
  2. 前記金属アルミニウムは塊から構成され、前記塊の平均体積は10.0mm以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記金属アルミニウムは粒から構成され、前記粒の平均体積は0.50mm以上10.00mm未満である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記金属アルミニウムは粉末から構成され、前記粉末に含まれる粒子の平均体積は0.50mm未満である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記原料を加熱熔融する際の加熱温度を1300℃以上1500℃以下とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記還元剤の導入量を、前記原料に含まれる有価金属の全てを還元するのに必要な量(当量)に対して1.0~1.4倍量とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記還元剤は炭素成分を含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 原料を加熱熔融する際に、フラックスを原料に導入する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 原料を加熱熔融する前に、前記原料を酸化焙焼する工程をさらに有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記有価金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属又は合金からなる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記装入物は廃リチウムイオン電池を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。


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