以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、(A)式(X1):
[式中、環Xは、置換基を有していてもよいモノシクロアルカン環、又は置換基を有していてもよいモノシクロアルケン環を示し;a及びbは、それぞれ独立して、0、1、2又は3を示し、且つaとbの合計が1~5であり;*は、結合部位を示す。]
で表される部分構造を有するマレイミド化合物(以下「特定マレイミド化合物」という場合がある)、及び(B)活性エステル化合物を含む。このような樹脂組成物を用いることにより、比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)が低く、ガラス転移点(Tg)が高く、且つ銅密着性に優れた硬化物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、(A)特定マレイミド化合物、及び(B)活性エステル化合物の他に、さらに任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、(A’)その他のラジカル重合性化合物、(C)エポキシ樹脂、(D)無機充填材、(E)硬化促進剤、(F)その他の添加剤、及び(G)有機溶剤が挙げられる。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(A)特定マレイミド化合物>
本発明の樹脂組成物は、(A)特定マレイミド化合物を含む。マレイミド化合物とは、1分子中に少なくとも1個のマレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)を含有する化合物を意味する。(A)特定マレイミド化合物1分子中におけるマレイミド基の数は、2以上であることが好ましく、2であることが特に好ましい。(A)特定マレイミド化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(A)特定マレイミド化合物は、式(X1):
[式中、環Xは、置換基を有していてもよいモノシクロアルカン環、又は置換基を有していてもよいモノシクロアルケン環を示し;a及びbは、それぞれ独立して、0、1、2又は3を示し、且つaとbの合計が1~5であり;*は、結合部位を示す。]
で表される部分構造を有する。
環Xは、置換基を有していてもよいモノシクロアルカン環、又は置換基を有していてもよいモノシクロアルケン環を示す。
モノシクロアルカン環とは、単環式の脂肪族飽和炭化水素環を意味する。モノシクロアルカン環は、炭素原子数4~14のモノシクロアルカン環が好ましく、炭素原子数4~10のモノシクロアルカン環がより好ましく、炭素原子数5又は6のモノシクロアルカン環が特に好ましい。モノシクロアルカン環としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等が挙げられる。シクロアルケン環とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する単環式の脂肪族不飽和炭化水素環を意味する。モノシクロアルケン環は、炭素原子数4~14のモノシクロアルケン環が好ましく、炭素原子数4~10のモノシクロアルケン環がより好ましく、炭素原子数5又は6のモノシクロアルケン環が特に好ましい。モノシクロアルケン環としては、例えば、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキサジエン環等が挙げられる。
本明細書中、「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリール-アルキル基(アリール基で置換されたアルキル基)、アルキル-オキシ基、アルケニル-オキシ基、アリール-オキシ基、アルキル-カルボニル基、アルケニル-カルボニル基、アリール-カルボニル基、アルキル-オキシ-カルボニル基、アルケニル-オキシ-カルボニル基、アリール-オキシ-カルボニル基、アルキル-カルボニル-オキシ基、アルケニル-カルボニル-オキシ基、アリール-カルボニル-オキシ基等の1価の置換基が挙げられ、置換可能であれば、オキソ基(=O)等の2価の置換基も含み得る。
アルキル(基)とは、直鎖、分枝鎖及び/又は環状の1価の脂肪族飽和炭化水素基を意味する。アルキル(基)は、特に指定がない限り、炭素原子数1~14のアルキル(基)が好ましい。アルキル(基)としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、トリメチルシクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。アルケニル(基)とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖、分枝鎖及び/又は環状の1価の脂肪族不飽和炭化水素基を意味する。アルケニル(基)は、特に指定がない限り、炭素原子数2~14のアルケニル基が好ましい。アルケニル(基)としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。アリール(基)とは、1価の芳香族炭化水素基を意味する。アリール(基)は、特に指定がない限り、炭素原子数6~14のアリール(基)が好ましい。アリール(基)としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
環Xは、好ましくは、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいモノシクロアルカン環、又はアルキル基及びアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいモノシクロアルケン環である。環Xは、より好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基及び炭素原子数1~6のアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよい炭素原子数4~10のモノシクロアルカン環、又は炭素原子数1~6のアルキル基及び炭素原子数1~6のアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよい炭素原子数4~10のモノシクロアルケン環である。環Xは、さらに好ましくは、炭素原子数1~6のアルキル基から選ばれる基で置換されていてもよい炭素原子数4~10のモノシクロアルカン環である。環Xは、特に好ましくは、メチル基で置換されていてもよいシクロヘキサン環である。
a及びbは、それぞれ独立して、0、1、2又は3を示し、且つaとbの合計が1~5である。a及びbは、好ましくは、それぞれ独立して、0、1又は2であり、且つaとbの合計が1以上である。a及びbは、より好ましくは、それぞれ独立して、0又は1であり、且つaとbの合計が1以上である。a及びbは、特に好ましくは、a及びbの一方が1であり、他方が0である。
式(X1)で表される部分構造は、好ましくは、式(X2):
[式中、R2は、それぞれ独立して、アルキル基を示し;xは、0~5の整数を示し;その他の記号は上記と同様である。]
で表される部分構造である。
R2は、それぞれ独立して、アルキル基を示す。R2は、それぞれ独立して、好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1~3のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。xは、0~5の整数を示す。xは、好ましくは0、1、2、3又は4であり、より好ましくは1、2、3又は4であり、さらに好ましくは2、3又は4であり、特に好ましくは3である。
式(X1)で表される部分構造は、特に好ましくは、式(X3):
[式中、*は上記と同様である。]
で表される部分構造である。
(A)特定マレイミド化合物1分子中における式(X1)で表される部分構造の数は、少なくとも1であり、2以上であることが好ましく、上限は、例えば、20以下、10以下等であり得る。
(A)特定マレイミド化合物は、好ましくは、式(X1)で表される部分構造に加えてさらに、式(Y1):
[式中、環Yは、置換基を有していてもよいモノシクロアルカン環、又は置換基を有していてもよいモノシクロアルケン環を示し;c及びdは、それぞれ独立して、0又は1以上の整数を示し、且つcとdの合計が6以上であり;*は、結合部位を示す。]
で表される部分構造を有する。
環Yは、置換基を有していてもよいモノシクロアルカン環、又は置換基を有していてもよいモノシクロアルケン環を示す。環Yは、好ましくは、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいモノシクロアルカン環、又はアルキル基及びアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいモノシクロアルケン環である。環Yは、より好ましくは、炭素原子数1~14のアルキル基及び炭素原子数1~14のアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよい炭素原子数4~10のモノシクロアルカン環、又は炭素原子数1~14のアルキル基及び炭素原子数1~14のアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよい炭素原子数4~10のモノシクロアルケン環である。環Yは、さらに好ましくは、炭素原子数1~14のアルキル基から選ばれる基で置換されていてもよい炭素原子数4~10のモノシクロアルカン環である。環Yは、特に好ましくは、炭素原子数4~10のアルキル基から選ばれる基で置換されていてもよいシクロヘキサン環である。
c及びdは、それぞれ独立して、0又は1以上の整数を示し、且つcとdの合計が6以上である。c及びdは、好ましくは、それぞれ独立して、0~20の整数であり、且つcとdの合計が6以上である。c及びdは、より好ましくは、それぞれ独立して、1~20の整数であり、且つcとdの合計が6以上である。c及びdは、さらに好ましくは、それぞれ独立して、5~10の整数である。c及びdは、特に好ましくは、8である。
式(Y1)で表される部分構造は、好ましくは、式(Y2):
[式中、R3は、それぞれ独立して、アルキル基を示し;yは、0~5の整数を示し;その他の記号は上記と同様である。]
で表される部分構造である。
R3は、それぞれ独立して、アルキル基を示す。R3は、それぞれ独立して、好ましくは炭素原子数1~14のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数4~10のアルキル基であり、特に好ましくは炭素原子数6~8のアルキル基である。yは、0~5の整数を示す。yは、好ましくは0、1、2、3又は4であり、より好ましくは1、2、3又は4であり、さらに好ましくは1、2又は3であり、特に好ましくは2である。
式(Y1)で表される部分構造は、特に好ましくは、式(Y3):
[式中、*は上記と同様である。]
で表される部分構造である。
(A)特定マレイミド化合物1分子中における式(Y1)で表される部分構造の数は、少なくとも1であり、2以上であることが好ましく、上限は、例えば、20以下、10以下等であり得る。
(A)特定マレイミド化合物は、一実施形態において、マレイミド末端ポリイミドであることが好ましい。マレイミド末端ポリイミドとは、両末端にマレイミド基を有する鎖状ポリイミド(繰り返し単位にイミド構造を含む鎖状ポリマー)である。マレイミド末端ポリイミドは、例えば、ジアミン化合物とマレイン酸無水物とテトラカルボン酸二無水物とを含む成分をイミド化反応させることにより得ることができることが知られている。
(A)特定マレイミド化合物は、一実施形態において、式(n1):
[式中、R1は、それぞれ独立して、置換基を示し;環Zは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非芳香環、又は置換基を有していてもよい芳香環を示し;Z1及びZ2は、それぞれ独立して、単結合、アルキレン基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、-NHCO-、-COO-、又は-OCO-を示し;eは、それぞれ独立して、0又は1を示し;fは、それぞれ独立して、0又は1以上の整数を示し;gは、それぞれ独立して、0、1又は2を示し;その他の記号は上記と同様である。]
で表される構造単位を含むマレイミド化合物であることが好ましく、式(n1)で表される構造単位に加えてさらに、式(n2):
[式中、各記号は上記と同様である。]
で表される構造単位を含むマレイミド化合物であることがより好ましい。f単位及びg単位は、それぞれ、単位毎に同一であってもよいし、異なっていてもよい。
R1は、それぞれ独立して、置換基を示し、好ましくはアルキル基である。環Zは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非芳香環、又は置換基を有していてもよい芳香環を示し、好ましくは置換基を有していてもよい芳香環である。
芳香環とは、環上のπ電子系に含まれる電子数が4p+2個(pは自然数)であるヒュッケル則に従う環を意味する。芳香環は、炭素原子を環構成原子とする芳香族炭素環、又は環構成原子として、炭素原子に加えて、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する芳香族複素環であり得るが、一実施形態において、芳香族炭素環であることが好ましい。芳香環は、一実施形態において、5~14員の芳香環が好ましく、5~10員の芳香環がより好ましく、5又は6員の芳香環がさらに好ましい。芳香環の好適な具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられ、より好ましくは、ベンゼン環又はナフタレン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。
非芳香環とは、芳香環以外の環を意味する。非芳香環は、炭素原子を環構成原子とする非芳香族炭素環、又は環構成原子として、炭素原子に加えて、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する非芳香族複素環であり得るが、一実施形態において、非芳香族炭素環であることが好ましい。非芳香環は、飽和環であっても、不飽和非芳香環であってもよいが、一実施形態において、飽和環であることが好ましい。非芳香環は、一実施形態において、4~14員の非芳香環が好ましい。非芳香環としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等のモノシクロアルカン環;シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキサジエン環等のモノシクロアルケン環;インダン環、インデン環、テトラリン環、フルオレン環等の芳香環-非芳香環縮合環等が挙げられる。
Z1及びZ2は、それぞれ独立して、単結合、アルキレン基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、-NHCO-、-COO-、又は-OCO-を示す。
アルキレン基とは、直鎖又は分枝鎖の2価の脂肪族飽和炭化水素基を意味する。アルキレン基は、炭素原子数1~14のアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等の直鎖アルキレン基;エチリデン基(-CH(CH3)-)、プロピリデン基(-CH(CH2CH3)-)、イソプロピリデン基(-C(CH3)2-)、エチルメチルメチレン基(-C(CH3)(CH2CH3)-)、ジエチルメチレン基(-C(CH2CH3)2-)等の分枝鎖アルキレン基等が挙げられる。
eは、0又は1を示し、好ましくは0である。fは、それぞれ独立して、0又は1以上の整数を示し、好ましくは0、1又は2である。gは、それぞれ独立して、0、1又は2を示し、好ましくは0である。
式(n1)で表される構造単位に含まれる式(X1)で表される部分構造は、式(X2)で表される部分構造であることが好ましく、式(X3)で表される部分構造であることが特に好ましい。式(n2)で表される構造単位に含まれる式(Y1)で表される部分構造は、式(Y2)で表される部分構造であることが好ましく、式(Y3)で表される部分構造であることが特に好ましい。
式(n1)及び式(n2)で表される構造単位に含まれる式(Z):
[式中、*は上記と同様である。]
で表される部分構造の具体例としては、式(Z-1)~(Z-25):
[式中、*は上記と同様である。]
の何れかで表される部分構造が挙げられ、中でも好ましくは式(Z-1)で表される部分構造である。
(A)特定マレイミド化合物は、一実施形態において、さらに好ましくは、式(A1):
[式中、n1は、1以上の整数を示し;n2は、0又は1以上の整数(好ましくは1以上の整数)を示し;m1及びm2は、いずれか一方が1を示し且つ他方が0を示し;その他の記号は上記と同様である。]
で表される化合物(n1単位とn2単位の間は結合手)である。なお、n1単位及びn2単位の順番及び個々の配置は任意であり、交互共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体等を含む。n1単位及びn2単位は、それぞれ、単位毎に同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(A1)で表される化合物に含まれる式(X1)で表される部分構造は、式(X2)で表される部分構造であることが好ましく、式(X3)で表される部分構造であることが特に好ましい。式(A1)で表される化合物に含まれる式(Y1)で表される部分構造は、式(Y2)で表される部分構造であることが好ましく、式(Y3)で表される部分構造であることが特に好ましい。式(A1)で表される化合物に含まれる式(Z)で表される部分構造は、式(Z-1)で表される部分構造であることが好ましい。
(A)特定マレイミド化合物は、一実施形態において、さらにより好ましくは、式(A2):
[式中、各記号は上記と同様である。]
で表される化合物(n1単位とn2単位の間は結合手)であり、特に好ましくは、式(A3):
[式中、各記号は上記と同様である。]
で表される化合物(n1単位とn2単位の間は結合手)である。
(A)特定マレイミド化合物の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000~50000、より好ましくは2000~50000、より好ましくは2000~40000、さらに好ましくは2500~20000である。(A)特定マレイミド化合物の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1000~50000、より好ましくは1500~40000、さらに好ましくは2000~20000である。樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
(A)特定マレイミド化合物の官能基当量は、好ましくは500g/eq.~20000g/eq.、より好ましくは1000g/eq.~10000g/eq.である。(A)特定マレイミド化合物の官能基当量は、マレイミド基1当量あたりの(A)特定マレイミド化合物の質量である。
(A)特定マレイミド化合物の市販品としては、例えば、信越化学工業社製の「SLK-2600」等が挙げられる。
樹脂組成物中の(A)特定マレイミド化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらにより好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。樹脂組成物中の(A)特定マレイミド化合物の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、さらにより好ましくは5質量%以上、特に好ましくは7質量%以上である。
<(A’)その他のラジカル重合性化合物>
本発明の樹脂組成物は、さらに任意成分として(A)成分以外の(A’)ラジカル重合性化合物を含む場合がある。(A’)ラジカル重合性化合物は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
(A’)ラジカル重合性化合物は、例えば、ラジカル重合性不飽和基を有する化合物であり得る。ラジカル重合性不飽和基としては、ラジカル重合可能である限り特に限定されるものではないが、末端又は内部に炭素-炭素二重結合を有するエチレン性不飽和基が好ましく、具体的に、アリル基、3-シクロヘキセニル基等の不飽和脂肪族基;p-ビニルフェニル基、m-ビニルフェニル基、スチリル基等の不飽和脂肪族基含有芳香族基;アクリロイル基、メタクリロイル基、マレオイル基(イミド化した場合マレイミド基)、フマロイル基等のα,β-不飽和カルボニル基等であり得る。(A’)ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性不飽和基を1個以上有することが好ましく、2個以上有することがより好ましい。
(A’)その他のラジカル重合性化合物としては、公知のラジカル重合性化合物を広く使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、(A)成分以外の2個以上のマレイミド基を有するマレイミド系ラジカル重合性化合物、2個以上のビニルフェニル基を有するビニルフェニル系ラジカル重合性化合物、2個以上のアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する(メタ)アクリル系ラジカル重合性化合物等が挙げられる。
マレイミド系ラジカル重合性化合物は、特に限定されるものではなく、脂肪族アミン骨格を含む脂肪族マレイミド化合物であっても、芳香族アミン骨格を含む芳香族マレイミド化合物であってもよく、市販品としては、例えば、デザイナーモレキュールズ社製の「BMI-1500」、「BMI-1700」、「BMI-3000J」、「BMI-689」、「BMI-2500」(ダイマージアミン構造含有マレイミド化合物)、デザイナーモレキュールズ社製の「BMI-6100」(芳香族マレイミド化合物)、日本化薬社製の「MIR-5000-60T」、「MIR-3000-70MT」(ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物)、ケイ・アイ化成社製の「BMI-70」、「BMI-80」、大和化成工業社製「BMI-2300」、「BMI-TMH」等が挙げられる。また、マレイミド系ラジカル重合性化合物として、発明協会公開技報公技番号2020-500211号に開示されているマレイミド樹脂(インダン環骨格含有マレイミド化合物)を用いてもよい。
ビニルフェニル系ラジカル重合性化合物は、特に限定されるものではないが、一実施形態において、ビニルフェニル基を有する熱可塑性樹脂であることが好ましく、ビニルフェニル基を有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂、並びにビニルフェニル基を有する変性ポリスチレン樹脂から選ばれる樹脂がより好ましく、市販品としては、例えば、三菱ガス化学社製の「OPE-2St 1200」、「OPE-2St 2200」(ビニルベンジル変性ポリフェニレンエーテル樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「ODV-XET-X03」、「ODV-XET-X04」、「ODV-XET-X05」(ジビニルベンゼン/スチレン共重合体)等が挙げられる。
(メタ)アクリル系ラジカル重合性化合物は、特に限定されるものではないが、一実施形態において、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する熱可塑性樹脂であることが好ましく、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂、並びにアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する変性ポリスチレン樹脂から選ばれる樹脂がより好ましく、市販品としては、例えば、SABICイノベーティブプラスチックス社製の「SA9000」、「SA9000-111」(メタクリル変性ポリフェニレンエーテル樹脂)等が挙げられる。
(A’)その他のラジカル重合性化合物の官能基当量は、好ましくは100g/eq.~20000g/eq.、より好ましくは200g/eq.~15000g/eq.、さらに好ましくは300g/eq.~10000g/eq.である。(A’)その他のラジカル重合性化合物の官能基当量は、ラジカル重合性不飽和基(すなわちマレイミド基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基など)1当量あたりの(A’)その他のラジカル重合性化合物の質量である。
(A’)その他のラジカル重合性化合物の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500~50000、より好ましくは700~20000である。(A’)その他のラジカル重合性化合物の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500~50000、より好ましくは700~20000である。
樹脂組成物中の(A’)その他のラジカル重合性化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらにより好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。樹脂組成物中の(A’)その他のラジカル重合性化合物の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば、0質量%以上、0.1質量%以上、1質量%以上、2質量%以上等であり得る。
樹脂組成物中の(A)特定マレイミド化合物の含有量は、樹脂組成物中の全ラジカル重合性化合物((A)成分と(A’)成分の合計)を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。
<(B)活性エステル化合物>
本発明の樹脂組成物は、(B)活性エステル化合物を含有する。(B)活性エステル化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。一実施形態において、樹脂組成物に(C)エポキシ樹脂が含まれる場合、或いは樹脂組成物を(C)エポキシ樹脂と混合する場合、(B)活性エステル化合物は、(C)エポキシ樹脂と反応して硬化させるエポキシ樹脂硬化剤としての機能を有し得る。
(B)活性エステル化合物としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル化合物は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル化合物がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、(B)活性エステル化合物としては、ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物、ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもジシクロペンタジエン型活性エステル化合物、及びナフタレン型活性エステル化合物から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物がさらに好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物が好ましい。
(B)活性エステル化合物の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65M」、「EXB-8000L-65TM」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」、(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150-60T」、「EXB-8150-62T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8」(DIC社製);りん含有活性エステル化合物として、「EXB9401」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル化合物として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製)、スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
(B)活性エステル化合物の活性エステル基当量は、好ましくは50g/eq.~500g/eq.、より好ましくは50g/eq.~400g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。活性エステル基当量は、活性エステル基1当量あたりの活性エステル化合物の質量である。
樹脂組成物中の(B)活性エステル化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらにより好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。樹脂組成物中の(B)活性エステル化合物の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、さらにより好ましくは5質量%以上、特に好ましくは7質量%以上である。
樹脂組成物中の(B)活性エステル化合物に対する(A)特定マレイミド化合物の質量比((A)成分/(B)成分)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、特に好ましくは0.7以上である。樹脂組成物中の(B)活性エステル化合物に対する(A)特定マレイミド化合物の質量比((A)成分/(B)成分)の上限は、好ましくは10以下、より好ましくは3以下、特に好ましくは1.5以下である。
<(C)エポキシ樹脂>
本発明の樹脂組成物は、任意成分として(C)エポキシ樹脂を含む場合がある。(C)エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有する硬化性樹脂である。
(C)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、フェノールフタレイン型エポキシ樹脂等が挙げられる。(C)エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、(C)エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。(C)エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。本発明の樹脂組成物におけるエポキシ樹脂は、固体状エポキシ樹脂であるか、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との組み合わせであることが好ましく、固体状エポキシ樹脂であることがより好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「828EL」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、フェノールフタレイン型エポキシ樹脂が好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、固体状エポキシ樹脂に対する液状エポキシ樹脂の質量比(液状エポキシ樹脂/固体状エポキシ樹脂)は、特に限定されるものではないが、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは1以下、さらにより好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.1以下である。
(C)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~2,000g/eq.、さらに好ましくは70g/eq.~1,000g/eq.、さらにより好ましくは80g/eq.~500g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
(C)エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
樹脂組成物中の(C)エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらにより好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。樹脂組成物中の(C)エポキシ樹脂の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、さらにより好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。
樹脂組成物中の(C)エポキシ樹脂に対する(A)特定マレイミド化合物の質量比((A)成分/(C)成分)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、特に好ましくは0.5以上である。樹脂組成物中の(C)エポキシ樹脂に対する(A)特定マレイミド化合物の質量比((A)成分/(C)成分)の上限は、好ましくは10以下、より好ましくは3以下、特に好ましくは1以下である。
<(D)無機充填材>
本発明の樹脂組成物は、任意成分として(D)無機充填材を含む場合がある。(D)無機充填材は、粒子の状態で樹脂組成物に含まれる。
(D)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(D)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(D)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(D)無機充填材の市販品としては、例えば、電化化学工業社製の「UFP-30」;新日鉄住金マテリアルズ社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」;デンカ社製の「UFP-30」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「DAW-03」、「FB-105FD」などが挙げられる。
(D)無機充填材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm以下、さらにより好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.7μm以下である。(D)無機充填材の平均粒径の下限は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.2μm以上である。(D)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出した。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(D)無機充填材の比表面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.5m2/g以上、さらに好ましくは1m2/g以上、特に好ましくは3m2/g以上である。(D)無機充填材の比表面積の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは100m2/g以下、より好ましくは70m2/g以下、さらに好ましくは50m2/g以下、特に好ましくは40m2/g以下である。無機充填材の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
(D)無機充填材は、適切な表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。表面処理されることにより、(D)無機充填材の耐湿性及び分散性を高めることができる。表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル系シランカップリング剤;3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリル系シランカップリング剤;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル系シランカップリング剤;N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-8-アミノオクチルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート系シランカップリング剤;3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等の等のウレイド系シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤;3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等の酸無水物系シランカップリング剤;等のシランカップリング剤;メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン化合物等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製の「KBM-1003」、「KBE-1003」(ビニル系シランカップリング剤);「KBM-303」、「KBM-402」、「KBM-403」、「KBE-402」、「KBE-403」(エポキシ系シランカップリング剤);「KBM-1403」(スチリル系シランカップリング剤);「KBM-502」、「KBM-503」、「KBE-502」、「KBE-503」(メタクリル系シランカップリング剤);「KBM-5103」(アクリル系シランカップリング剤);「KBM-602」、「KBM-603」、「KBM-903」、「KBE-903」、「KBE-9103P」、「KBM-573」、「KBM-575」(アミノ系シランカップリング剤);「KBM-9659」(イソシアヌレート系シランカップリング剤);「KBE-585」(ウレイド系シランカップリング剤);「KBM-802」、「KBM-803」(メルカプト系シランカップリング剤);「KBE-9007N」(イソシアネート系シランカップリング剤);「X-12-967C」(酸無水物系シランカップリング剤);「KBM-13」、「KBM-22」、「KBM-103」、「KBE-13」、「KBE-22」、「KBE-103」、「KBM-3033」、「KBE-3033」、「KBM-3063」、「KBE-3063」、「KBE-3083」、「KBM-3103C」、「KBM-3066」、「KBM-7103」(アルキルアルコキシシラン化合物)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%で表面処理されていることがさらに好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m2以上が好ましく、0.1mg/m2以上がより好ましく、0.2mg/m2以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1.0mg/m2以下が好ましく、0.8mg/m2以下がより好ましく、0.5mg/m2以下がさらに好ましい。
(D)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
樹脂組成物中の(D)無機充填材の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下、特に好ましくは70質量%以下であり得る。樹脂組成物中の(D)無機充填材の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、1質量%以上等であり得、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上であり得る。
樹脂組成物中の(D)無機充填材に対する(A)特定マレイミド化合物の質量比((A)成分/(D)成分)は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.1以上である。樹脂組成物中の(D)無機充填材に対する(A)特定マレイミド化合物の質量比((A)成分/(D)成分)の上限は、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.3以下である。
<(E)硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物は、任意成分として(E)硬化促進剤を含む場合がある。(E)硬化促進剤は、一実施形態において、樹脂組成物に(C)エポキシ樹脂が含まれる場合、或いは樹脂組成物を(C)エポキシ樹脂と混合する場合、(C)エポキシ樹脂の硬化を促進させる機能を有する。
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、架橋性向上の観点から、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。(E)硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルジメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2MZA-PW」、「2PHZ-PW」、三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
樹脂組成物中の(E)硬化促進剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。樹脂組成物中の(E)硬化促進剤の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば、0質量%以上、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上等であり得る。
<(F)その他の添加剤>
本発明の樹脂組成物は、不揮発成分として、さらに任意の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、過酸化物系ラジカル重合開始剤、アゾ系ラジカル重合開始剤等のラジカル重合開始剤;フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、チオール系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤等の活性エステル化合物以外のエポキシ硬化剤;フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂;ゴム粒子等の有機充填材;有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤等が挙げられる。(F)その他の添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。(F)その他の添加剤の含有量は当業者であれば適宜設定できる。
<(G)有機溶剤>
本発明の樹脂組成物は、上述した不揮発成分以外に、揮発性成分として、さらに任意の有機溶剤を含有する場合がある。(G)有機溶剤としては、公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されるものではない。(G)有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶剤;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。(G)有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
一実施形態において、(G)有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の全成分を100質量%とした場合、例えば、60質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下等であり得る。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、例えば、任意の調製容器に(A)特定マレイミド化合物、(B)活性エステル化合物、必要に応じて(A’)その他のラジカル重合性化合物、必要に応じて(C)エポキシ樹脂、必要に応じて(D)無機充填材、必要に応じて(E)硬化促進剤、必要に応じて(F)その他の添加剤、及び必要に応じて(G)有機溶剤を、任意の順で及び/又は一部若しくは全部同時に加えて混合することによって、製造することができる。また、各成分を加えて混合する過程で、温度を適宜設定することができ、一時的に又は終始にわたって、加熱及び/又は冷却してもよい。また、加えて混合する過程において又はその後に、樹脂組成物を、例えば、ミキサーなどの撹拌装置又は振盪装置を用いて撹拌又は振盪し、均一に分散させてもよい。また、撹拌又は振盪と同時に、真空下等の低圧条件下で脱泡を行ってもよい。
<樹脂組成物の特性>
本発明の樹脂組成物は、(A)特定マレイミド化合物、及び(B)活性エステル化合物を含む。このような樹脂組成物を用いることにより、比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)が低く、ガラス転移点(Tg)が高く、且つ銅密着性に優れた硬化物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物の硬化物は、誘電正接(Df)が低いという特徴を有し得る。したがって、一実施形態において、下記試験例1のように5.8GHz、23℃で測定した場合の樹脂組成物の硬化物の誘電正接(Df)は、好ましくは0.020以下、0.010以下、より好ましくは0.009以下、0.008以下、さらに好ましくは0.007以下、0.006以下、特に好ましくは0.005以下、0.004以下となり得る。
本発明の樹脂組成物の硬化物は、比誘電率(Dk)が低いという特徴を有し得る。したがって、一実施形態において、下記試験例1のように5.8GHz、23℃で測定した場合の樹脂組成物の硬化物の比誘電率(Dk)は、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.5以下、特に好ましくは3.0以下となり得る。
本発明の樹脂組成物の硬化物は、ガラス転移点(Tg)が高いという特徴を有し得る。したがって、一実施形態において、下記試験例2のように測定した場合のガラス転移温度(Tg)が、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは160℃以上となり得る。
本発明の樹脂組成物の硬化物は、銅密着性が優れているという特徴を有し得る。したがって、一実施形態において、下記試験例5のようにJIS C6481に準拠して測定した場合の下地銅(銅箔)密着強度が、好ましくは0.2kgf/cm以上、より好ましくは0.3kgf/cm以上、さらに好ましくは0.4kgf/cm以上、特に好ましくは0.5kgf/cm以上となり得る。上限については特に限定されるものではないが、例えば、10kgf/cm以下等とし得る。また、一実施形態において、下記試験例4のように硬化物に銅めっき導体層の形成し、垂直方向に銅めっき導体層を引き剥がした時の荷重から算出される銅めっきピール強度が、好ましくは0.2kgf/cm以上、より好ましくは0.3kgf/cm以上、さらに好ましくは0.35kgf/cm以上、特に好ましくは0.4kgf/cm以上となり得る。上限については特に限定されるものではないが、例えば、10kgf/cm以下等とし得る。
一実施形態において、本発明の樹脂組成物の硬化物は、粗化処理後の表面の算術平均粗さ(Ra)が低いという特徴を有し得る。したがって、一実施形態において、下記試験例3のように測定される粗化処理後の硬化物表面の算術平均粗さ(Ra)が、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは170nm以下、さらにより好ましくは150nm以下、特に好ましくは130nm以下となり得る。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等とし得る。
<樹脂組成物の用途>
本発明の樹脂組成物は、絶縁用途の樹脂組成物、特に、絶縁層を形成するための樹脂組成物として好適に使用することができる。具体的には、絶縁層上に形成される導体層(再配線層を含む)を形成するための当該絶縁層を形成するための樹脂組成物(導体層を形成するための絶縁層形成用樹脂組成物)として好適に使用することができる。また、後述するプリント配線板において、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層形成用樹脂組成物)として好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物はまた、樹脂シート、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物が必要とされる用途で広範囲に使用できる。
また、例えば、以下の(1)~(6)工程を経て半導体チップパッケージが製造される場合、本発明の樹脂組成物は、再配線層を形成するための絶縁層としての再配線形成層用の樹脂組成物(再配線形成層形成用の樹脂組成物)、及び半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用の樹脂組成物)としても好適に使用することができる。半導体チップパッケージが製造される際、封止層上に更に再配線層を形成してもよい。
(1)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(2)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(3)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(4)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(5)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、及び
(6)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程
また、本発明の樹脂組成物は、部品埋め込み性に良好な絶縁層をもたらすことから、プリント配線板が部品内蔵回路板である場合にも好適に使用することができる。
<シート状積層材料>
本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で塗布して使用することもできるが、工業的には一般に、該樹脂組成物を含有するシート状積層材料の形態で用いることが好適である。
シート状積層材料としては、以下に示す樹脂シート、プリプレグが好ましい。
一実施形態において、樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを含んでなり、樹脂組成物層は本発明の樹脂組成物から形成される。
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上、10μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、任意の層を含んでいてもよい。斯かる任意の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
樹脂シートは、例えば、液状の樹脂組成物をそのまま、或いは有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、これを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、樹脂組成物の成分として説明した有機溶剤と同様のものが挙げられる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂組成物又は樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂組成物又は樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
一実施形態において、プリプレグは、シート状繊維基材に本発明の樹脂組成物を含浸させて形成される。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。プリント配線板の薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。シート状繊維基材の厚さの下限は特に限定されない。通常、10μm以上である。
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
プリプレグの厚さは、上述の樹脂シートにおける樹脂組成物層と同様の範囲とし得る。
本発明のシート状積層材料は、プリント配線板の絶縁層を形成するため(プリント配線板の絶縁層用)に好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するため(プリント配線板の層間絶縁層用)により好適に使用することができる。
<プリント配線板>
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂組成物を硬化して得られる硬化物からなる絶縁層を含む。
プリント配線板は、例えば、上述の樹脂シートを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、樹脂シートを、樹脂シートの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物層を硬化(例えば熱硬化)して絶縁層を形成する工程
工程(I)で用いる「内層基板」とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も本発明でいう「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施され得る。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
工程(II)において、樹脂組成物層を硬化(例えば熱硬化)して、樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を形成する。樹脂組成物層の硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、一実施形態において、硬化温度は好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間とすることができる。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃~120℃、好ましくは60℃~115℃、より好ましくは70℃~110℃の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
プリント配線板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(III)乃至工程(V)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(II)~工程(V)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
他の実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述のプリプレグを用いて製造することができる。製造方法は基本的に樹脂シートを用いる場合と同様である。
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(IV)において、スミアの除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。
粗化処理に用いる膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
粗化処理に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
また、粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。
中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等とし得る。絶縁層表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
工程(V)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
一実施形態において、導体層は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができ、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解メッキによりメッキシード層を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
他の実施形態において、導体層は、金属箔を使用して形成してよい。金属箔を使用して導体層を形成する場合、工程(V)は、工程(I)と工程(II)の間に実施することが好適である。例えば、工程(I)の後、支持体を除去し、露出した樹脂組成物層の表面に金属箔を積層する。樹脂組成物層と金属箔との積層は、真空ラミネート法により実施してよい。積層の条件は、工程(I)について説明した条件と同様としてよい。次いで、工程(II)を実施して絶縁層を形成する。その後、絶縁層上の金属箔を利用して、サブトラクティブ法、モディファイドセミアディティブ法等の従来の公知の技術により、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
金属箔は、例えば、電解法、圧延法等の公知の方法により製造することができる。金属箔の市販品としては、例えば、JX日鉱日石金属社製のHLP箔、JXUT-III箔、三井金属鉱山社製の3EC-III箔、TP-III箔等が挙げられる。
<半導体装置>
本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を用いて製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。特に温度及び圧力の指定が無い場合の温度条件及び圧力条件は、室温(23℃)及び大気圧(1atm)である。
<実施例1>
イソホロンジアミン骨格含有マレイミド化合物(信越化学工業社製「SLK-2600」、固形分50質量%のアニソール溶液、主成分(不揮発成分):下記式(A)で表されるマレイミド化合物)20部、活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8150-62T」、固形分62質量%のトルエン溶液)17.7部、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN-475V」)18部、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m2/g)60部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール)1部、メチルエチルケトン20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
<実施例2>
活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8150-62T」、固形分62質量%のトルエン溶液)の使用量を17.7部から16.1部に変更し、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN-475V」)の使用量を18部から15部に変更し、ビフェニルアラルキルノボラック型ポリマレイミド(日本化薬社製「MIR-3000-70MT」、固形分70%のMEK/トルエン混合溶液)5.7部をさらに使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
<実施例3>
発明協会公開技報公技番号2020-500211号の合成例1に記載の方法で合成された下記式(1)で表されるマレイミド化合物A(Mw/Mn=1.81、t’’=1.47(主に1、2又は3))のMEK溶液(不揮発成分70質量%)を準備した。
活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8150-62T」、固形分62質量%のトルエン溶液)の使用量を17.7部から16.1部に変更し、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN-475V」)の使用量を18部から15部に変更し、マレイミド化合物A(固形分70%のMEK溶液)5.7部をさらに使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
<実施例4>
活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8150-62T」、固形分62質量%のトルエン溶液)の使用量を17.7部から16.1部に変更し、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN-475V」)の使用量を18部から15部に変更し、末端ビニルベンジル化PPE化合物(三菱瓦斯化学社製「OPE-2St 1200」、固形分65%のトルエン混合溶液)6.2部をさらに使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
<実施例5>
活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8150-62T」、固形分62質量%のトルエン溶液)の使用量を17.7部から16.1部に変更し、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN-475V」)の使用量を18部から15部に変更し、ジビニルベンゼン/スチレン共重合体(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ODV-XET-X04」、固形分65%のトルエン溶液)6.2部をさらに使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
<実施例6>
活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8150-62T」、固形分62質量%のトルエン溶液)の使用量を17.7部から16.1部に変更し、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN-475V」)の使用量を18部から15部に変更し、末端メタクリル変性PPE化合物(サビックイノベーティブプラスチックス社製「SA9000-111」、トルエンにて固形分50%溶液に調整)8部をさらに使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
<比較例1>
イソホロンジアミン骨格含有マレイミド化合物(信越化学工業社製「SLK-2600」)20部の代わりに、脂肪族マレイミド(デザイナーモレキュールズ社製「BMI-689」)10部を使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
<比較例2>
イソホロンジアミン骨格含有マレイミド化合物(信越化学工業社製「SLK-2600」)20部の代わりに、ビフェニルアラルキルノボラック型ポリマレイミド(日本化薬社製「MIR-3000-70MT」、固形分70%のMEK/トルエン混合溶液)14.3部を使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
<比較例3>
イソホロンジアミン骨格含有マレイミド化合物(信越化学工業社製「SLK-2600」)20部を使用せず、活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8150-62T」、固形分62質量%のトルエン溶液)の使用量を17.7部から25.8部に変更し、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ESN-475V」)の使用量を18部から23部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
<比較例4>
活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8150-62T」、固形分62質量%のトルエン溶液)17.7部を使用せず、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」)の使用量を60部から51部に変更し、フェノール系エポキシ硬化剤(DIC社製「LA-7054」、固形分60%のMEK溶液)8.3部をさらに使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
<試験例1:比誘電率(Dk)および誘電正接(Df)の測定>
支持体として、離型層を備えたポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製「AL5」、厚さ38μm)を用意した。この支持体の離型層上に、実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが40μmとなるように均一に塗布した。その後、樹脂組成物を80℃~100℃(平均90℃)で4分間乾燥させて、支持体及び樹脂組成物層を含む樹脂シートAを得た。
得られた樹脂シートAを190℃のオーブンで90分硬化した。オーブンから取り出した樹脂シートAから支持体を剥がすことにより、樹脂組成物層の硬化物を得た。その硬化物を長さ80mm、幅2mmに切り出し評価用硬化物Bとした。
評価用硬化物Bについて、アジレントテクノロジーズ(AgilentTechnologies)社製「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて、誘電率の値(Dk値)及び誘電正接の値(Df値)を測定した。2本の試験片にて測定を実施し、その平均を算出した。
<試験例2:ガラス転移点(Tg)の測定>
試験例1で得た樹脂シートAを190℃のオーブンで90分硬化し、更に支持体から剥がすことで硬化フィルムを得た。この硬化フィルムを長さ20mm、幅6mmに切り出し評価サンプルとした。この評価サンプルについてリガク社製TMA装置(熱機械分析装置)を用い25℃から250℃まで5℃/分の昇温速度でガラス転移温度(Tg)を測定した。同一の試験片について2回測定を行い、2回目の値を記録した。
<試験例3:算術平均粗さ(Ra)の測定>
(1)内層基板の用意
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.4mm、パナソニック社製「R1515A」)の両面をマイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
(2)樹脂シートAのラミネート
バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が内層基板と接するように、試験例1で得た樹脂シートAを内層基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行った。
(3)樹脂組成物層の熱硬化
その後、樹脂シートAがラミネートされた内層基板を、130℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで170℃のオーブンに移し替えて30分間加熱して、樹脂組成物層を熱硬化させて、絶縁層を形成した。その後、支持体を剥離して、絶縁層、内層基板及び絶縁層をこの順に有する硬化基板Aを得た。
(4)粗化処理
硬化基板Aに、粗化処理としてのデスミア処理を行った。デスミア処理としては、下記の湿式デスミア処理を実施した。
(湿式デスミア処理)
硬化基板Aを、膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリング・ディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で5分間浸漬し、次いで、酸化剤溶液(アトテックジャパン社製「コンセントレート・コンパクトCP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で20分間浸漬した。次いで、中和液(アトテックジャパン社製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間浸漬した後、80℃で15分間乾燥した。
(5)粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)の測定
粗化処理後の硬化基板Aの絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)を、非接触型表面粗さ計(ブルカー社製WYKO NT3300)を用いて、VSIモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値により求めた。それぞれ10点の平均値を求めることにより測定した。
<試験例4:銅めっきピール強度の測定>
(1)銅めっき導体層の形成
セミアディティブ法に従って、試験例3で得られた粗化処理後の硬化基板Aの絶縁層の粗化面に導体層を形成した。すなわち、粗化処理後の基板を、PdCl2を含む無電解めっき液に40℃で5分間浸漬した後、無電解銅めっき液に25℃で20分間浸漬した。次いで、150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによりパターン形成した。その後、硫酸銅電解めっきを行い、厚さ25μmの導体層を形成し、アニール処理を190℃にて60分間行った。得られた基板を「評価基板B」と称する。
(2)銅めっき導体層のピール強度の測定
絶縁層と導体層のピール強度の測定は、日本工業規格(JIS C6481)に準拠して行った。具体的には、評価基板Bの導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、剥離強度を求めた。測定には、引っ張り試験機(TSE社製「AC-50C-SL」)を使用した。
<試験例5:下地銅(銅箔)密着強度の測定>
(1)銅箔の下地処理
三井金属鉱業(株)製「3EC-III」(電界銅箔、35μm)の光沢面をマイクロエッチング剤(メック(株)製「CZ8101」)に浸漬して銅表面に粗化処理(Ra値=1μm)を行い、防錆処理(CL8300)を施した。この銅箔をCZ銅箔という。さらに、130℃のオーブンで30分間加熱処理した。
(2)銅箔の積層と絶縁層形成
試験例3と同様の方法で樹脂シートAがラミネートされた内層基板を用意した。その後、当該基板から、両面にある支持体を剥離し、双方の樹脂組成物層を露出させた。それらの樹脂組成物層上に、「3EC-III」のCZ銅箔の処理面を、試験例1の樹脂シートAのラミネートと同様の条件で、積層した。そして、190℃、90分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成することで、サンプルを作製した。
(3)銅箔引き剥がし強さ(下地密着性)の測定
作製したサンプルを150×30mmの小片に切断した。小片の銅箔部分に、カッターを用いて幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれて、銅箔の一端を剥がしてつかみ具((株)TSE製「AC-50C-SL」)で掴み、インストロン万能試験機を用いて、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重[kgf/cm(N/cm)]をJIS C6481に準拠して測定した。
実施例及び比較例の樹脂組成物の不揮発成分の使用量、試験例の測定結果を下記表1に示す。
表1を参照すると、(A)特定マレイミド化合物を用いていない比較例2及び3では、銅箔密着性が低く、比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)が高い値となっている。また、(A)特定マレイミド化合物の代わりにダイマージアミン骨格からなるマレイミド化合物を用いた比較例1では、ガラス転移点(Tg)が低い値となっている。エポキシ硬化剤として、(B)活性エステル化合物の代わりにフェノール系硬化剤を用いた比較例4では、比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)が非常に高い値となっている。これに対し、(A)特定マレイミド化合物、及び(B)活性エステル化合物を含む本発明の樹脂組成物を使用した場合は、これらの課題を克服できることがわかる。