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JP2022072210A - 熱音響消音器 - Google Patents

熱音響消音器 Download PDF

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JP2022072210A JP2020181535A JP2020181535A JP2022072210A JP 2022072210 A JP2022072210 A JP 2022072210A JP 2020181535 A JP2020181535 A JP 2020181535A JP 2020181535 A JP2020181535 A JP 2020181535A JP 2022072210 A JP2022072210 A JP 2022072210A
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Abstract

【課題】消音部分によって生じる圧損を防止しつつも、高い消音効果を生じさせることができる熱音響消音器を提供する。【解決手段】上流R1側から作動気体の振動流が入力され、下流R2側が開放された流路Rと、流路に設けられ、液体により湿潤状態に保持されると共に、熱音響デバイスにより形成された蓄熱器2と、を備え、蓄熱器は、上流側から下流側に向かって温度勾配が形成されていると共に、作動気体の音響パワーを減衰させる、熱音響消音器1である。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り (1) 発行日 令和2年10月26日 刊行物 日本騒音制御工学会 2020年度秋季研究発表会講演論文集 公益社団法人日本騒音制御工学会 発行(Web公開・ダウンロードURL:http://www.ince-j.or.jp/ http://www.ince-j.or.jp/20autumn_meeting_online http://www.ince-j.or.jp/journals_download2 ) <資 料> 研究発表会概要 ウェブページ <資 料> 掲載発表 研究論文 抜粋
本発明は、熱音響機関を利用して音響を減衰させる熱音響消音器に関する。
車両等に用いられる消音器は、吸音材を用いて吸音したり、消音器の形状を変化させたりすることによって、消音を行っていた。吸音材を用いた消音器は、例えば、流路の途中にグラスウール等の吸音材が配置されており、音波が流路を通過する際に吸音材に生じる粘性抵抗や摩擦などによって音響エネルギーの一部を熱エネルギーに変換し、消音を行っている。形状を変化させた消音器は、例えば、流路の断面積を拡大させた「拡張型」や、共鳴器を取り付け音波を干渉させて昇温する「共鳴型」などがある。
従来までの消音器は、細管内を音波が通過することによる粘性散逸を利用することで消音を行ってきた。ただし、この構造ではエンジンの排圧が消音部分によってロスし圧損が生じる。この圧損はエンジン性能にも影響を与える。特に近年、エンジンの排圧を利用して出力を向上させるターボエンジンが注目されており、消音部分によって生じる圧損をなるべく低下させることが望まれている。
特許文献1には、配管に音波を入力する音源と、音源の下流側に設けられた熱音響デバイスと、を備えた配管装置が記載されている。特許文献1には、熱音響デバイスを利用し、供給される音波に対してその音響強度を熱音響効果を通じて音波を減衰することが記載されている。
特開2004-258543号公報
特許文献1に記載された配管装置によれば、音波の減衰率が低く、車両等の消音器に適用するほどの音響エネルギーの減衰効果が得られない。また、配管装置に作業用ガスを充填する必要があることから、車両等の開放された騒音源になる配管に直に接続することができず、音波を分離して配管装置に入力する必要があり、大掛かりな装置になるという課題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、消音部分によって生じる圧損を防止しつつも、高い消音効果を生じさせることができる熱音響消音器を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、上流側から作動気体の振動流が入力され、下流側が開放された流路と、前記流路に設けられ、液体により湿潤状態に保持されると共に、熱音響デバイスにより形成された蓄熱器と、を備え、前記蓄熱器は、上流側から下流側に向かって温度勾配が形成されていると共に、前記作動気体の音響パワーを減衰させる、熱音響消音器である。
本発明によれば、熱音響現象を生じさせる蓄熱器を用いることにより、消音部分によって生じる圧損を防止しつ音響パワーを減衰させることができる。また、本発明によれば、蓄熱器が湿潤状態に保持されていることにより、相変化を利用して音響パワーを減衰させる効果を増幅することができる。
本発明は、前記蓄熱器を湿潤状態に保持する前記液体を供給する供給部を備えていてもよい。
本発明によれば、供給部により蓄熱器を常に湿潤状態に保持することができ、相変化による音響パワーを減衰させる効果を維持することができる。
本発明の前記流路は、複数の前記蓄熱器が連続して配置されていいてもよい。
本発明によれば、各蓄熱器の音響パワーの減衰率が低くても多段に直列に連結することにより、音響パワーを減衰させる効果を増幅することができる。
本発明の前記蓄熱器は、所定の帯域の音波を減衰するように構成されていてもよい。
本発明によれば、所望の周波数帯域の音波の音響パワーを減衰させることができる。
本発明は、異なる帯域の音波を減衰する複数の前記蓄熱器を備えていてもよい。
本発明によれば、広い周波数帯域の音響パワーを減衰させることができる。
本発明の前記蓄熱器は、前記作動気体の前記振動流が流通する複数の細管流路が形成され、前記細管流路は前記周波数帯域に応じて径が調整されていてもよい。
本発明によれば、所望の周波数帯域の音響パワーを減衰させる蓄熱器を形成することができる。
本発明の前記液体は、沸点が前記蓄熱器の上流側の温度近傍の温度に調整されていてもよい。
本発明によれば、湿潤状態に保持された蓄熱器の上流側の熱を最大限に有効利用でき、音響パワーの減衰効果を向上させることができる。
本発明の前記蓄熱器は、上流側の温度が前記液体の沸点近傍の温度に調整されていていてもよい。
本発明によれば、蓄熱器を湿潤状態に保持させる液体が、蓄熱器の上流側の熱によって必要以上に揮発させることを抑えることができ、液体の消耗を抑えつつ、音響パワーを減衰させることができる。
本発明によれば、消音部分によって生じる圧損を防止しつつも、高い消音効果を生じさせることができる。
本発明の実施形態に係る熱音響消音器の構成を示す図である。 熱音響消音器の消音効果の検証結果を示す図である。 変形例1に係る熱音響消音器の構成を示す図である。 内燃機関の回転数と排気音の周波数帯域との関係を示す図である。 変形例2に係る熱音響消音器の構成を示す図である。 変形例3に係る熱音響消音器の構成を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る熱音響消音器について説明する。
図1に示されるように、熱音響消音器1は、作動気体の振動流が流通する管路Pと、管路Pに設けられた蓄熱器2と、蓄熱器2に液体を供給する供給部10とを備える。管路Pは、設置される領域に応じて任意の管路長に形成されている。管路Pは、例えば、断面が円形の円管状に形成された導波管である。管路Pは、管軸方向に振動流が伝搬するように形成されている。なお、管路Pの形状は管状であればよく、例えば、断面が四角状や三角状に形成されていてもよい。
管路Pは、内部に流路Rが形成されている。流路Rには、作動気体が流通する。管路Pは、直管状に形成されている。直管状とは概念的な記載であり、必ずしも直線的に形成されているものだけでなく、設置対象の形状に合わせて一つの流路Rにおいて湾曲部や折れ曲がり部が形成されていてもよい。流路Rは、例えば、上流R1側から作動気体の振動流が入力される。流路Rは、下流R2側が大気に開放されている。
管路Pの上流側には、例えば、音波を発生する音源が接続されている。音源は、例えば、内燃機関であり、管路Pの上流側には、内燃機関の排気管が接続される。音源は、内燃機関の他に消音が必要な音波を生じる物であればどのようなものが接続されていてもよい。流路Rには、例えば、作動気体として内燃機関の排気ガスが上流側から流入する。流路Rにおいて、上流R1側と下流R2側との間には、作動気体の音響パワーSを減衰させる蓄熱器2が設けられている。
蓄熱器2は、熱音響原動機である。蓄熱器2は、熱入力により熱音響現象が生じて音響パワーSを減衰する。蓄熱器2は、振動流を利用した熱音響デバイスであればよく、例えば、相変化型振動流等を利用した熱音響デバイスである。蓄熱器2の上流側には高温の熱を供給する第1熱交換器2Cが設けられており、下流側には冷却用の熱を供給する第2熱交換器2Dが設けられている。
蓄熱器2は、例えば、作動気体が流通する単数から複数の小径の細管流路2Rが形成されている。細管流路2Rは、蓄熱器2において作動気体の流線方向に沿って開口するように単数から無数に設けられている。蓄熱器2は、例えば、セラミックスで形成されたハニカム構造体や、多数のステンレス鋼メッシュ薄板が流線方向に積層された構造体により多数の細管流路2Rが形成される。蓄熱器2は、ガラスパイプなどの細かい流路を形成し振動流が通過できる材料であればよく、これらに限定されない。
また、細管流路2Rは発泡金属やスチールウールなどで形成される形状のほか、金属粉を充填したり凸凹のある耐熱性を有する薄膜を丸めたり、異なる流路径(流路幅)・流路形状・厚さを持つ薄板等を組み合わせたりすることで形成されてもよい。
細管流路2Rは、例えば、断面が円管形状、平行平板形状、多角形形状、ピンアレイ形状に形成されている。細管流路2Rは、異なる流路径(流路幅)・流路形状・厚さを持つ薄板等を組合せにより複数のランダムな形状の流路を有するように形成されてもよい。細管流路2Rは、異なる流路径(流路幅)・流路形状・厚さを持つ薄板等の所定の組み合わせにより複数のパターンの形状の流路が繰り返して形成されていてもよい。
熱音響消音器1を内燃機関の消音器として適用する場合、排圧の低下を抑制するために細管流路2Rは、抵抗が少ない直管状に形成されていることが好ましい。排圧の低下に関わりなく熱音響消音器1を用いる場合、細管流路2Rは、上記の任意のパターンの形状によって形成されてもよい。
蓄熱器2は、作動気体の流線方向に沿って上流側の一端部2Aと下流側の他端部2Bとの間に温度差が生じると、振動流を利用した熱音響現象が生じる。蓄熱器2に温度勾配を生じさせるため、熱源からの熱量が入力される。
熱源は、雰囲気温度としての常温に対して温度差を有する熱量を供給するものである。ここで、常温とは、例えば、大気、海水、河川水、湖水、地熱等の周囲の環境により安定的に得られる温度である。常温は、雰囲気温度の他に熱源と温度差を生じさせるように安定的に熱量を供給できる他の熱源から生じる温度であってもよい。
熱源は、例えば、廃熱として捨てられる未利用の熱量を利用する。熱源は、常温に対して高温の熱量を与えるものである。熱源は、熱量を得られれば、特に限定されず、例えば、太陽光や地熱等から得られる熱量や、エンジン、工場、各種施設等から発生するの熱量が利用される。熱量は、例えば、第1熱交換器2Cに入力される。
第1熱交換器2Cは、蓄熱器2の一端部2Aにおいて熱媒体を介して熱交換を行うよう形成されている。第1熱交換器2Cは、蓄熱器2の一端部2Aに常温に対して温度差を有する熱媒体を介して熱交換する。第2熱交換器2Dは、蓄熱器2の他端部2Bにおいて熱交換を行うよう形成されている。第2熱交換器2Dは、蓄熱器2の他端部2Bに常温の熱媒体を介して熱交換する。
熱音響消音器1を内燃機関の消音器に用いる場合、蓄熱器2は、上流側に高温の排気ガスが供給されることで蓄熱器2の上流側が高温に保たれ、下流側との間に温度差が生じるため、第1熱交換器2Cは必ずしも設けられていなくてもよい。同様に、熱音響消音器1を内燃機関の消音器に用いる場合、蓄熱器2は、下流側が常温中に暴露されることで上流側との間に温度差が生じるのであれば第2熱交換器2Dは、必ずしも設けられていなくてもよい。内燃機関に限らず、蓄熱器2は、上流側が高温に保たれ、下流側との間に所定の温度差が生じるように構成されているのであれば、第1熱交換器2C、第2熱交換器2Dは、必ずしも設けられていなくてもよい。
熱量の入力方法として、蓄熱器2の一端部2A側には、例えば、第1熱交換器2Cにより高温の熱量を供給する。第1熱交換器2Cには、例えば、高温の気体や液体等の熱媒体を循環させる。その一方で蓄熱器2の他端部2B側には、例えば、第2熱交換器2Dにより常温の熱量を供給する。第2熱交換器2Dには、例えば、常温の気体や液体等の熱媒体を循環させる。
この場合、高温側となる蓄熱器2の一端部2A側から常温側となる蓄熱器2の他端部2B側に向かって温度勾配が生成される。上記方法により、蓄熱器2の一端部2Aと他端部2Bとの間に温度勾配(温度差)を生じさせると、蓄熱器2において流路Rを流通する作動気体の音波の音響パワーSを減衰させることができる。
上述したように、蓄熱器2に振動流の上流側から下流側に向かって負の温度勾配を生じさせた場合、音響パワーSが減衰することは知られていた。発明者らは、鋭意研究を続けたところ、湿潤状態が保たれた蓄熱器2の温度勾配が負となる状態においては、液体から気体への相変化の効果を用いることにより、音響パワーSの減衰効果が増大することを見出した。蓄熱器2には、例えば、液体から気体への相変化を生じさせるために、蓄熱器2を湿潤状態に保持するための液体を供給する供給部10が設けられている。
供給部10は、蓄熱器2に液体を供給し、蓄熱器2を液体により湿潤状態に保持する。供給部10は、蓄熱器2において揮発する量の液体を補充するように供給する。液体は、例えば、取り扱いの容易さ、入手のし易さが考慮されて、水が用いられる。液体は、揮発性を有し、且つ無害な物であれば水以外のものが用いられてもよい。液体は、例えば、油脂類、アルコール、燃料等が用いられてもよい。液体は、揮発性を有していれば、高い粘性を有するグリス状のものであってもよい。また、沸点の異なる液体を混合して用いてもよい。
燃料を燃焼して排出される排気ガスには、水蒸気が含まれている。上流側に内燃機関が接続された蓄熱器2に排気ガスの水蒸気が供給されて湿潤状態が保たれるのであれば、供給部10は、必ずしも設けられていなくてもよい。また、消音すべき作動気体の流通時間内において蓄熱器2の湿潤状態が保たれるのであれば、供給部10は、必ずしも設けられていなくてもよい。例えば、作動気体の爆発音等の衝撃波を離散的に短時間内において予め湿潤状態にされた蓄熱器2によって消音する場合、蓄熱器2の湿潤状態が保たれる。また、熱音響消音器1の設置環境によって液体が蓄熱器2の周囲に潤沢に存在し、蓄熱器2が液体に曝されて湿潤状態が保たれている場合も供給部10は、必ずしも設けられていなくてもよい。
蓄熱器2は、上流側と下流側との温度差が大きいほど消音効果が増大するため、上流側の温度がなるべく高い状態に保たれていることが望ましい。蓄熱器2の上流部の温度が高い場合、蓄熱器2を湿潤状態に保つ液体として、その温度近傍よりも沸点の低い液体を選択すると、液体の揮発が早くなり、液体の消費が激しくなるが、蓄熱器2の上流側の温度近傍に沸点を有する液体を選択することで、蓄熱器2において、効率よく相変化を利用することができる。即ち、液体は、沸点が蓄熱器2の上流側の温度近傍の温度に調整されていることがより好ましい。例えば、蓄熱器2の上流側の温度が100℃近傍の場合は、液体は水を選択すればよい。また、蓄熱器2を湿潤状態に保つ液体が定まっている場合は、蓄熱器2の上流側の温度は、液体の沸点近傍の温度に調整されていることがより好ましい。蓄熱器2の上流側の温度が大きく変動する場合には、蓄熱器2を湿潤状態に保つ液体は、沸点の異なる液体を混合して用いてもよい。そうすることで、蓄熱器2の上流のどの温度帯でも揮発する液体が存在するため、蓄熱器2において、効率よく相変化を利用することができる。
蓄熱器2は、所定の周波数帯域の音波を減衰するよう形成されている。蓄熱器2は、消音する音波の周波数帯域に応じて細管流路2Rの径が調整されている。細管流路2Rの径は、周波数の帯域が高くなるほど小さくなるように形成される。例えば、細管流路2Rは、高周波の帯域の音波を減衰する場合、低周波の帯域の音波を減衰する場合の径に比して小さく形成される。
次に、熱音響消音器1の消音効果の確認実験について説明する。
実験において蓄熱器2は、音波が入力される上流側が高温側に設定され、下流側が低温側に設定された。蓄熱器2は、例えば、下流側の温度が27℃に固定され、高温側の温度が47℃、67℃、87℃の3パターンに設定された。この状態において、蓄熱器2の高温側の温度を3パターン毎に変更した際の音響パワーSの減衰率が測定された。また、周波数に対する減衰率の変化について、流路Rの上流側に入力する音波の周波数を20Hzから160Hzの範囲において変更して測定された。このときの蓄熱器2の上流側と下流側において音響パワーSが測定され、下流側音響パワー/上流側音響パワーと定義して音響パワーSの減衰率が算出された。
実験においては、蓄熱器2に水を添加することによって蓄熱器2を湿潤状態に保持した。また蓄熱器2を湿潤状態に保持した効果を確認するために、同一諸元、同一実験条件において乾いた状態に保持された蓄熱器2の音響パワーSの減衰率も測定され、測定結果が比較された。
図2には、熱音響消音器1の消音効果の実験結果が示されている。図示するように、横軸は周波数であり、縦軸は周波数に応じた減衰率の測定結果が示されている。図において、プロットの色の差によって蓄熱器2の湿潤状態と乾燥状態との計測結果が示されている。図においてプロットの形の違いによって蓄熱器2の高温側温度の違いが示されている。同図おいて、減衰率の値が小さいほど、減衰効果が大きいことを表す。図示するように、全周波数領域にわたって、湿潤状態の蓄熱器2は、乾燥状態の蓄熱器2に比して減衰効果が大きいことが示されている。全周波数領域にわたって、湿潤状態の蓄熱器2は、乾燥状態の蓄熱器2に比して高温側の温度が高いほど減衰効果が大きいことが示されている。
高温側の温度が最も高い87℃であり、且つ周波数が20Hzの場合において、乾燥状態の蓄熱器2の減衰率が0.8程度であるのに比して、湿潤状態の蓄熱器2の減衰率は0.4程度である。従って、湿潤状態の蓄熱器2は、乾燥状態の蓄熱器2に比して2倍程度の減衰効果が得られることが確認された。以上の結果から、蓄熱器2を湿潤状態に保持すると、消音効果が非常に大きいことが確認された。
上述したように、熱音響消音器1によれば、蓄熱器2の上流側と下流側に負の温度勾配を形成することによって、音響パワーSの減衰を行うことができる。熱音響消音器1によれば、蓄熱器2の内部においては、本質的には粘性散逸を生じさせずに音波の流速を低下させるため、圧損を原則的に生じさせずに音響パワーSを減衰させることができる。
また、熱音響消音器1によれば、蓄熱器2を湿潤状態に保持することにより、蓄熱器2において生じる熱音響現象に液体と蒸気の相変化を伴わせることによって、音響パワーSの減衰効果を大きくすることができる。熱音響消音器1によれば、装置構成を簡略化しつつ、大きな消音効果が得られ、且つ性能の低下に繋がる排気の圧損を防止する消音器を実現することができる。
[変形例1]
上述したように、熱音響消音器1は、湿潤状態の蓄熱器2の上流側と下流側とに温度差をつけることによって音響パワーSの減衰効果が大きくなることが確認できた。湿潤状態の蓄熱器2は、流路Rの導波方向に沿って複数個連結することにより、さらなる減衰効果を得ることができる。以下の説明では、上記実施形態と同一の構成については同一の名称、符号を用い、重複する説明については適宜省略する。
図3に示されるように、変形例1に係る熱音響消音器1Aは、流路Rにおいて複数の蓄熱器2が直列に多段に連結されている。複数の蓄熱器2のそれぞれは、音波の入力方向の上流側に高温側、下流側に低温側に設定されている。熱音響消音器1Aによれば、音源から生じた振動流が各蓄熱器2を通るごとに音響パワーSを減衰させることができる。例えば、熱音響消音器1Aによれば、振動流が各蓄熱器2を通るごとに音響パワーSが1/2になるとすれば、3段の蓄熱器2を通過した後の音響パワーSを1/8まで減衰させることができる。このときの各蓄熱器2は、必ずしも諸元や温度設定が同一に設定されていなくてもよく、細管流路2Rが形成されており、且つ、音波の入力方向の上流側が高温側に設定されてていればよい。熱音響消音器1Aを車両に適用する場合、上流側の蓄熱器2は触媒装置であってもよい。
上述したように、変形例1に係る熱音響消音器1Aによれば、流路Rにおいて複数の蓄熱器2が多段に直列に連結されていることにより、音響パワーを段階的に減衰することができる。
[変形例2]
図4に示されるように、内燃機関は、回転数の上昇に伴って排気音の周波数帯域が上昇する。熱音響消音器1を内燃機関の消音器に適用する場合、広い帯域において消音効果を有することが必要である。
図5に示されるように、変形例に係る熱音響消音器1Bは、例えば、異なる周波数帯域の音波を減衰するように形成された複数の蓄熱器2が多段に直列に連結されている。各蓄熱器2は、上述したように、細管流路2Rの径を調整して異なる所定の周波数帯域A,B,C(図4参照)の音響パワーを減衰するように形成されている。周波数帯域A,B,Cの数は、一例であり、増減されてもよい。各蓄熱器2の周波数帯域は、それぞれオーバーラップしていてもよい(図4参照)。蓄熱器2は、各周波数帯域A,B,Cに応じて消音効果を高めるために、変形例1のように1個以上多段に直列に連結されていてもよい。各蓄熱器2は、の配列順は一例であり、これに限定されない。
上述したように、変形例2に係る熱音響消音器1Bによれば、異なる周波数帯域の音波を減衰するように形成された複数の蓄熱器2が多段に直列に連結されていることにより、音源となる内燃機関に対して広い周波数帯域において消音効果を得ることができる。
[変形例3]
変形例2において、複数の蓄熱器2は、多段に直列に連結されていた。複数の蓄熱器2を多段に直列に連結して広い周波数帯域において高い消音効果を得ることができる反面、音波が細管流路2Rを通過する際に抵抗が生じ、全体として排気抵抗が増加する虞がある。
図6に示されるように、熱音響消音器1Cは、例えば、多段に直列に連結された複数の蓄熱器2を有する流路RA,RB,RCが、周波数帯域に応じて流路Rの下流側に分岐して形成されている。流路RA,RB,RCの下流側には、開口を開閉自在なバルブ20A,20B,20Cがそれぞれ設けられている。熱音響消音器1Cにおいて、バルブ20A,20B,20Cは、それぞれの消音すべき周波数帯域において開状態に調整され、それ以外の周波数帯域においては閉状態に調整される。即ち、バルブ20A,20B,20Cは、内燃機関の回転数に応じて開閉され、広い周波数帯域において音響パワーを減衰させる。バルブ20A,20B,20Cは、流路RA,RB,RCの上流側に設けられていてもよい。
上述したように、熱音響消音器1Cによれば、多段に直列に連結された複数の蓄熱器2を有する流路RA,RB,RCが、周波数帯域に応じて流路Rの下流側に分岐して形成されていることにより、広い周波数帯域において音響パワーを減衰させると共に、排気抵抗の増加を防止することができる。
上述し実施形態に係る熱音響消音器は、自動車や船舶のマフラー部に導入することが考えられる。また、熱音響消音器は、ダクトと蓄熱器や細孔体を設置し、温度勾配をつけることができれば導入することが可能であるために、ボイラーや排気ダクトをはじめとする産業設備・装置の消音に利用することもできる。ダクトと蓄熱器や細孔体の設置と温度勾配の形成が満たされていれば、上述の用途に限らず利用できる。さらに、熱音響消音器は、設計要素として存在する以下のパラメータに関わらず適用可能である。
・作動気体の種類、平均圧力
・添加する液体の種類
・設置する細孔体・蓄熱器の流路径、長さ、材質
・ダクトの大きさ、長さ、形状(円管、矩形管など)
・蓄熱器およびダクト断面積変化
・蓄熱器の数
・音響パワー発生源の数および形状
1、1A、1B、1C 熱音響消音器
2 蓄熱器
2A 一端部
2B 他端部
2C 第1熱交換器
2D 第2熱交換器
2R 細管流路
10 供給部
20A、20B、20C バルブ
P 管路
R 流路
R1 上流
R2 下流
RA、RB、RC 流路
S 音響パワー

Claims (8)

  1. 上流側から作動気体の振動流が入力され、下流側が開放された流路と、
    前記流路に設けられ、液体により湿潤状態に保持されると共に、熱音響デバイスにより形成された蓄熱器と、を備え、
    前記蓄熱器は、上流側から下流側に向かって温度勾配が形成されていると共に、前記作動気体の音響パワーを減衰させる、
    熱音響消音器。
  2. 前記蓄熱器を湿潤状態に保持する前記液体を供給する供給部を備える、
    請求項1に記載の熱音響消音器。
  3. 前記流路は、複数の前記蓄熱器が直列に連結されている、
    請求項1または2に記載の熱音響消音器。
  4. 前記蓄熱器は、所定の周波数帯域の音波を減衰する、
    請求項1から3のうちいずれか1項に記載の熱音響消音器。
  5. 異なる周波数帯域の音波を減衰する複数の前記蓄熱器を備える、
    請求項4に記載の熱音響消音器。
  6. 前記蓄熱器は、前記作動気体の前記振動流が流通する複数の細管流路が形成され、前記細管流路は前記周波数帯域に応じて径が調整されている、
    請求項5に記載の熱音響消音器。
  7. 前記液体は、沸点が前記蓄熱器の上流側の温度近傍の温度に調整されている、
    請求項1から6のうちいずれか1項に記載の熱音響消音器。
  8. 前記蓄熱器は、上流側の温度が前記液体の沸点近傍の温度に調整されている、
    請求項1から6のうちいずれか1項に記載の熱音響消音器。
JP2020181535A 2020-10-29 2020-10-29 熱音響消音器 Active JP7422402B2 (ja)

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