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JP2022063803A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Toru Matsubara
晋一 笹出
Shinichi Sasaide
宏真 達城
Hiromasa Tatsushiro
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Abstract

Figure 2022063803000001
【課題】エンジンおよび回転電機を駆動力源とするハイブリッド車両において、変速機のアップシフトにおけるトルク相中に、運転者によるアクセルペダル操作があった場合であっても、変速ショックを抑制できる制御装置を提供する。
【解決手段】有段変速機20のアップシフト時のトルク相中に、トルク相補償制御部86が第2回転電機MG2から補償トルク(トルクアップ量Tcon)を出力させる過渡期において、アクセルペダル67の操作があっても、トルク保持部88が補償トルクを同じ値に保持するため、トルク相中に補償トルクが変更されることによるショックを抑制できる。このとき、入力トルク変更部90がアクセルペダル67の操作量に基づいて有段変速機20に入力されるAT入力軸トルクTiを変更するため、運転者の加減速要求を実現できる。このように、トルク相中の変速ショックの抑制と運転者の加減速要求とを両立することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンおよび回転電機を駆動力源とするハイブリッド車両の変速ショック抑制に関する。
特許文献1には、エンジンおよび回転電機と、エンジンおよび回転電機と駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられている変速機と、を備えるハイブリッド車両において、変速機の変速過渡期のイナーシャ相における駆動トルクの低下分を補償するように、回転電機のトルクを設定する技術が開示されている。また、特許文献1に記載されているような摩擦係合装置の掴み替えにより変速が進行させられる変速機において、アップシフト時のトルク相中で出力軸トルク(駆動トルク)の落ち込みが発生することが知られている。このようなトルク相での出力軸トルクの落ち込みは、変速ショック等の変速フィーリングの悪化に繋がるため、このトルク相での出力軸トルクの落ち込みを抑制するために回転電機から補償トルクを出力するトルク相補償制御が考えられる。
特開2017-202805号公報
ところで、アップシフト時のトルク相で上記トルク相補償制御を行っている過渡期に、運転者がアクセルペダルの踏み増しまたは踏み戻しなどのアクセルペダル操作を行った場合において、そのアクセルペダル操作に応じて回転電機からの補償トルクを変更すると、変速ショックが発生する虞がある。例えば、トルク相中にアクセルペダルが踏み増しされたとき、それに応じて補償トルクを変更すると、補償トルクの変化に対して係合装置の指示圧が変更されるが、係合装置の指示圧に対して実油圧に追従遅れが生じることを考慮して係合装置の指示圧を予め高くすると、係合装置の実油圧が高くなり過ぎ、その結果、変速ショックが発生する虞がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジンおよび回転電機を駆動力源とするハイブリッド車両において、変速機のアップシフト時におけるトルク相中に、運転者によるアクセルペダル操作があった場合であっても、変速ショックを抑制できる制御装置を提供することにある。
本発明の要旨とするところは、(a)エンジンと、回転電機と、前記エンジンおよび前記回転電機と駆動輪との間に設けられている変速機と、を備えるハイブリッド車両の制御装置であって、(b)前記変速機のアップシフト時のトルク相中に、前記回転電機から補償トルクを出力させるトルク相補償制御部と、(c)前記トルク相補償制御部が前記回転電機から前記補償トルクを出力させる過渡期において、アクセルペダルが踏み増し、または、踏み戻しされたとき、前記回転電機の前記補償トルクを同じ値に保持するトルク保持部と、(d)前記変速機のアップシフト時のトルク相中における前記アクセルペダルの操作量に基づいて、前記変速機に入力されるトルクを変更する入力トルク変更部と、を備えることを特徴とする。
本発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、変速機のアップシフト時のトルク相中に、トルク相補償制御部が回転電機から補償トルクを出力させる過渡期において、アクセルペダルの操作があっても、トルク保持部が補償トルクを同じ値に保持するため、トルク相中に補償トルクが変更されることによるショックを抑制できる。このとき、入力トルク変更部がアクセルペダルの操作量に基づいて変速機に入力されるトルクを変更するため、運転者の加減速要求を実現できる。このように、トルク相中の変速ショックの抑制と運転者の加減速要求とを両立することができる。
本発明が適用される車両に備えられた車両用駆動装置の概略構成を説明する図であると共に、車両における各種制御の為の制御機能および制御系統の要部を説明する図である。 図1で例示した機械式有段変速機の変速作動とそれに用いられる係合装置の作動の組み合わせとの関係を説明する作動図表である。 図1の電気式無段変速機と機械式有段変速機とにおける各回転要素の回転速度の相対的関係を表す共線図である。 図1の有段変速機の変速制御に用いられるATギヤ段変速マップと、走行モードの切替制御に用いられる走行モード切替マップと、の一例を示す図であって、それぞれの関係を示す図でもある。 電子制御装置の制御作動の要部、すなわちアクセルペダルが踏み込まれた状態での有段変速機のアップシフト時に実行されるトルク相補償制御の制御作動を説明するためのフローチャートである。 アクセルペダルが踏み込まれた状態で有段変速機のアップシフトが実施されたときの制御状態を説明するタイムチャートであり、トルク相中にアクセルペダルが踏み増しされたときの制御状態を示している。 アクセルペダルが踏み込まれた状態で有段変速機のアップシフトがされたときの制御状態を説明するタイムチャートであり、トルク相中にアクセルペダルが踏み戻されたときの制御状態を示している。 本発明が適用されるハイブリッド車両の他の態様を示す骨子図である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両10(以下、車両10)に備えられた車両用駆動装置12の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両用駆動装置12は、エンジン14と、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース16(以下、ケース16という)内において共通の軸心上に配設された、エンジン14に直接或いは図示しないダンパーなどを介して間接的に連結された電気式無段変速機18(以下、無段変速機18という)と、無段変速機18の出力側に連結された有段変速機20とを直列に備えている。また、車両用駆動装置12は、有段変速機20の出力回転部材である出力軸22に連結された差動歯車装置24、差動歯車装置24に連結された一対の車軸26等を備えている。車両用駆動装置12において、エンジン14や後述する第2回転電機MG2から出力される動力(特に区別しない場合にはトルクや力も同義)は、有段変速機20へ伝達され、その有段変速機20から差動歯車装置24等を介して車両10が備える駆動輪28へ伝達される。車両用駆動装置12は、例えば車両10において縦置きされるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両に好適に用いられるものである。なお、無段変速機18や有段変速機20等はエンジン14などの回転軸心(上記共通の軸心)に対して略対称的に構成されており、図1ではその回転軸心の下半分が省略されている。
エンジン14は、車両10の走行用の動力源であり、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。このエンジン14は、後述する電子制御装置80によってスロットル弁開度或いは吸入空気量、燃料供給量、点火時期等の運転状態が制御されることによりエンジントルクTeが制御される。本実施例では、エンジン14は、トルクコンバータやフルードカップリング等の流体式伝動装置を介することなく無段変速機18に連結されている。
無段変速機18は、第1回転電機MG1と、エンジン14の動力を第1回転電機MG1および無段変速機18の出力回転部材である中間伝達部材30に機械的に分割する動力分割機構としての差動機構32と、中間伝達部材30に動力伝達可能に連結された第2回転電機MG2とを備えている。無段変速機18は、第1回転電機MG1の運転状態が制御されることにより差動機構32の差動状態が制御される電気式無段変速機である。第1回転電機MG1は、差動用回転電機に相当し、また、第2回転電機MG2は、走行用の駆動力源として機能する回転電機であって、走行用回転電機に相当する。車両10は、走行用の駆動力源として、エンジン14および第2回転電機MG2を備えたハイブリッド車両である。
第1回転電機MG1および第2回転電機MG2は、電動機(モータ)としての機能および発電機(ジェネレータ)としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータである。第1回転電機MG1および第2回転電機MG2は、各々、車両10に備えられたインバータ50を介して、車両10に備えられた蓄電装置としてのバッテリ52に接続されており、電子制御装置80によってインバータ50が制御されることにより、第1回転電機MG1および第2回転電機MG2の各々の出力トルク(力行トルクまたは回生トルク)であるMG1トルクTgおよびMG2トルクTmが制御される。バッテリ52は、第1回転電機MG1および第2回転電機MG2の各々に対して電力を授受する蓄電装置である。なお、第2回転電機MG2が、本発明の回転電機に対応している。
差動機構32は、シングルピニオン型の遊星歯車装置にて構成されており、サンギヤS0、キャリアCA0、およびリングギヤR0を備えている。キャリアCA0には連結軸34を介してエンジン14が動力伝達可能に連結され、サンギヤS0には第1回転電機MG1が動力伝達可能に連結され、リングギヤR0には第2回転電機MG2が動力伝達可能に連結されている。差動機構32において、キャリアCA0は入力要素として機能し、サンギヤS0は反力要素として機能し、リングギヤR0は出力要素として機能する。
有段変速機20は、エンジン14および第2回転電機MG2と駆動輪28との間の動力伝達経路に設けられ、その動力伝達経路の一部を構成する有段変速機である。中間伝達部材30は、有段変速機20の入力軸としても機能する。中間伝達部材30には第2回転電機MG2が一体回転するように連結されているので、有段変速機20は、第2回転電機MG2と駆動輪28との間の動力伝達経路の一部を構成する有段変速機である。有段変速機20は、例えば第1遊星歯車装置36および第2遊星歯車装置38の複数組の遊星歯車装置と、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB1、ブレーキB2の複数の係合装置(以下、特に区別しない場合は単に係合装置CBという)とを備えている、公知の遊星歯車式の自動変速機である。なお、有段変速機20が、本発明の変速機に対応している。
係合装置CBは、油圧アクチュエータにより押圧される多板式或いは単板式のクラッチやブレーキ、油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成される、油圧式の摩擦係合装置である。係合装置CBは、車両10に備えられた油圧制御回路54内のソレノイドバルブSL1-SL4等から各々出力される調圧された各係合圧Pcbによりそれぞれのトルク容量(係合トルク、クラッチトルク)Tcbが変化させられることで、それぞれ作動状態(係合や解放などの状態)が切り替えられる。係合装置CBを滑らすことなく(すなわち係合装置CBに差回転速度を生じさせることなく)中間伝達部材30と出力軸22との間でトルク(例えば有段変速機20に入力される入力トルクであるAT入力軸トルクTi)を伝達する為には、そのトルクに対して係合装置CBの各々にて受け持つ必要がある伝達トルク分(すなわち係合装置CBの分担トルク)が得られる係合トルクTcbが必要になる。但し、伝達トルク分が得られる係合トルクTcbにおいては、係合トルクTcbを増加させても伝達トルクは増加しない。つまり、係合トルクTcbは、係合装置CBが伝達できる最大のトルクに相当し、伝達トルクは、係合装置CBが実際に伝達するトルクに相当する。なお、係合トルクTcb(或いは伝達トルク)と係合圧Pcbとは、例えば係合装置CBのパック詰めに必要な係合圧Pcbを供給する領域を除けば、略比例関係にある。
有段変速機20は、第1遊星歯車装置36および第2遊星歯車装置38の各回転要素(サンギヤS1,S2、キャリアCA1,CA2、リングギヤR1,R2)が、直接的に或いは係合装置CBやワンウェイクラッチF1を介して間接的(或いは選択的)に、一部が互いに連結されたり、中間伝達部材30、ケース16、或いは出力軸22に連結されている。
有段変速機20は、係合装置CBのうちの所定の係合装置の係合によって、変速比(ギヤ比)γat(=AT入力軸回転速度ωi/AT出力軸回転速度ωo)が異なる複数のギヤ段(ギヤ段)のうちの何れかのギヤ段が形成される。本実施例では、有段変速機20にて形成されるギヤ段をATギヤ段と称す。AT入力軸回転速度ωiは、有段変速機20の入力回転部材の回転速度(角速度)である有段変速機20の入力軸回転速度であって、中間伝達部材30の回転速度と同値であり、また、第2回転電機MG2の回転速度であるMG2回転速度ωmと同値である。AT入力軸回転速度ωiは、MG2回転速度ωmで表すことができる。出力軸回転速度ωoは、有段変速機20の出力回転部材である出力軸22の回転速度であって、無段変速機18と有段変速機20とを合わせた全体の変速機構40の出力軸回転速度でもある。
有段変速機20は、例えば図2の係合作動表に示すように、複数のATギヤ段として、AT1速ギヤ段(図中の「1st」)-AT4速ギヤ段(図中の「4th」)の4段の前進用のATギヤ段が形成される。AT1速ギヤ段の変速比γatが最も大きく、高車速側(ハイ側のAT4速ギヤ段側)程、変速比γatが小さくなる。図2の係合作動表は、各ATギヤ段と係合装置CBの各作動状態(各ATギヤ段において各々係合される係合装置である所定の係合装置)との関係をまとめたものであり、「○」は係合、「△」はエンジンブレーキ時や有段変速機20のコーストダウン変速時に係合、空欄は解放をそれぞれ表している。AT1速ギヤ段を成立させるブレーキB2には並列にワンウェイクラッチF1が設けられているので、発進時(加速時)にはブレーキB2を係合させる必要は無い。有段変速機20のコーストダウン変速は、駆動要求量(例えばアクセル開度θacc)の減少やアクセルオフ(アクセル開度θaccがゼロまたは略ゼロ)による減速走行中の車速関連値(例えば車速V)の低下によってダウン変速が判断(要求)されたパワーオフダウン変速のうちで、アクセルオフの減速走行状態のままで要求されたダウン変速である。なお、係合装置CBが何れも解放されることにより、有段変速機20は、何れのギヤ段も形成されないニュートラル状態(すなわち動力伝達を遮断するニュートラル状態)とされる。
有段変速機20は、後述する電子制御装置80によって、運転者のアクセル操作や車速V等に応じて、係合装置CBのうち解放側係合装置の解放と、係合装置CBのうち係合側係合装置の係合とが制御されることで、形成されるATギヤ段が切り替えられる(すなわち複数のATギヤ段が選択的に形成される)。つまり、有段変速機20の変速制御においては、例えば係合装置CBの何れかの掴み替えにより(すなわち係合装置CBの係合および解放の切替えにより)変速が実行される、所謂クラッチツゥクラッチ変速が実行される。なお、係合側係合装置は、変速過渡期に係合される係合装置CBであり、解放側係合装置は、変速過渡期に解放される係合装置CBである。例えば、AT2速ギヤ段からAT1速ギヤ段へのダウン変速(2→1ダウン変速と表す)では、図2の係合作動表に示すように、解放側係合装置となるブレーキB1が解放されると共に、AT1速ギヤ段にて係合される所定の係合装置(クラッチC1およびブレーキB2)のうちで2→1ダウン変速前には解放されていた係合側係合装置となるブレーキB2が係合させられる。この際、ブレーキB1の解放過渡油圧やブレーキB2の係合過渡油圧が予め定められた変化パターンなどに従って調圧制御される。
図3は、無段変速機18と有段変速機20とにおける各回転要素の回転速度の相対的関係を表す共線図である。図3において、無段変速機18を構成する差動機構32の3つの回転要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素RE2に対応するサンギヤS0の回転速度を表すg軸であり、第1回転要素RE1に対応するキャリアCA0の回転速度を表すe軸であり、第3回転要素RE3に対応するリングギヤR0の回転速度(すなわち有段変速機20の入力軸回転速度)を表すm軸である。また、有段変速機20の4本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7は、左から順に、第4回転要素RE4に対応するサンギヤS2の回転速度、第5回転要素RE5に対応する相互に連結されたリングギヤR1およびキャリアCA2の回転速度(すなわち出力軸22の回転速度)、第6回転要素RE6に対応する相互に連結されたキャリアCA1およびリングギヤR2の回転速度、第7回転要素RE7に対応するサンギヤS1の回転速度をそれぞれ表す軸である。縦線Y1、Y2、Y3の相互の間隔は、差動機構32のギヤ比(歯車比)ρ0に応じて定められている。また、縦線Y4、Y5、Y6、Y7の相互の間隔は、第1、第2遊星歯車装置36,38の各歯車比ρ1,ρ2に応じて定められている。共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリアとの間が「1」に対応する間隔とされるとキャリアとリングギヤとの間が遊星歯車装置の歯車比ρ(=サンギヤの歯数Zs/リングギヤの歯数Zr)に対応する間隔とされる。
図3の共線図を用いて表現すれば、無段変速機18の差動機構32において、第1回転要素RE1にエンジン14(図中の「ENG」参照)が連結され、第2回転要素RE2に第1回転電機MG1(図中の「MG1」参照)が連結され、中間伝達部材30と一体回転する第3回転要素RE3に第2回転電機MG2(図中の「MG2」参照)が連結されて、エンジン14の回転を中間伝達部材30を介して有段変速機20へ伝達するように構成されている。無段変速機18では、縦線Y2を横切る各直線L0,L0Rにより、サンギヤS0の回転速度とリングギヤR0の回転速度との関係が示される。
また、有段変速機20において、第4回転要素RE4はクラッチC1を介して中間伝達部材30に選択的に連結され、第5回転要素RE5は出力軸22に連結され、第6回転要素RE6はクラッチC2を介して中間伝達部材30に選択的に連結されると共にブレーキB2を介してケース16に選択的に連結され、第7回転要素RE7はブレーキB1を介してケース16に選択的に連結されている。有段変速機20では、係合装置CBの係合解放制御によって縦線Y5を横切る各直線L1,L2,L3,L4,LRにより、出力軸22における「1st」,「2nd」,「3rd」,「4th」,「Rev」の各回転速度が示される。
図3中の実線で示す、直線L0および直線L1,L2,L3,L4は、少なくともエンジン14を動力源として走行するエンジン走行が可能なハイブリッド走行モードでの前進走行における各回転要素の相対速度を示している。このハイブリッド走行モードでは、差動機構32において、キャリアCA0に入力されるエンジントルクTeに対して、第1回転電機MG1による負トルクである反力トルクが正回転にてサンギヤS0に入力されると、リングギヤR0には正回転にて正トルクとなるエンジン直達トルクTd(=Te/(1+ρ)=-(1/ρ)×Tg)が現れる。そして、要求駆動力に応じて、エンジン直達トルクTdとMG2トルクTmとの合算トルクが車両10の前進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段-AT4速ギヤ段のうちの何れかのATギヤ段が形成された有段変速機20を介して駆動輪28へ伝達される。このとき、第1回転電機MG1は正回転にて負トルクを発生する発電機として機能する。第1回転電機MG1の発電電力Wgは、バッテリ52に充電されたり、第2回転電機MG2にて消費される。第2回転電機MG2は、発電電力Wgの全部または一部を用いて、或いは発電電力Wgに加えてバッテリ52からの電力を用いて、MG2トルクTmを出力する。
図3に図示はしていないが、エンジン14を停止させると共に第2回転電機MG2を動力源として走行するモータ走行が可能なモータ走行モードでの共線図では、差動機構32において、キャリアCA0はゼロ回転とされ、リングギヤR0には正回転にて正トルクとなるMG2トルクTmが入力される。このとき、サンギヤS0に連結された第1回転電機MG1は、無負荷状態とされて負回転にて空転させられる。つまり、モータ走行モードでは、エンジン14は駆動されず、エンジン14の回転速度であるエンジン回転速度ωeはゼロとされ、MG2トルクTm(ここでは正回転の力行トルク)が車両10の前進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段-AT4速ギヤ段のうちの何れかのATギヤ段が形成された有段変速機20を介して駆動輪28へ伝達される。
図3中の破線で示す、直線L0Rおよび直線LRは、モータ走行モードでの後進走行における各回転要素の相対速度を示している。このモータ走行モードでの後進走行では、リングギヤR0には負回転にて負トルクとなるMG2トルクTmが入力され、そのMG2トルクTmが車両10の後進方向の駆動トルクとして、AT1速ギヤ段が形成された有段変速機20を介して駆動輪28へ伝達される。電子制御装置80は、AT1速ギヤ段-AT4速ギヤ段のうちの前進用の低車速側(ロー側)ギヤ段としてのAT1速ギヤ段を形成した状態で、前進用のトルクである前進用のMG2トルクTmとは正負が反対となる後進用のトルクである後進用のMG2トルクTmを第2回転電機MG2から出力させることで後進走行を行うことができる。このように、本実施例の車両10では、前進用のATギヤ段(つまり前進走行を行うときと同じATギヤ段)を用いて、MG2トルクTmの正負を反転させることで後進走行を行う。有段変速機20では、有段変速機20内で入力軸回転を反転して出力する、後進走行専用のATギヤ段は形成されない。なお、ハイブリッド走行モードにおいても、直線L0Rのように第2回転電機MG2を負回転とすることが可能であるので、モータ走行モードと同様に後進走行を行うことが可能である。
車両用駆動装置12では、エンジン14が動力伝達可能に連結された第1回転要素RE1としてのキャリアCA0と、差動用回転電機としての第1回転電機MG1が動力伝達可能に連結された第2回転要素RE2としてのサンギヤS0と、走行駆動用回転電機としての第2回転電機MG2が動力伝達可能に連結された第3回転要素RE3としてのリングギヤR0と、の3つの回転要素を有する差動機構32を備えて、第1回転電機MG1の運転状態が制御されることにより差動機構32の差動状態が制御される電気式変速機構(電気式差動機構)としての無段変速機18が構成される。つまり、エンジン14が動力伝達可能に連結された差動機構32と差動機構32に動力伝達可能に連結された第1回転電機MG1とを有して、第1回転電機MG1の運転状態が制御されることにより差動機構32の差動状態が制御される無段変速機18が構成される。無段変速機18は、中間伝達部材30の回転速度であるMG2回転速度ωmに対する連結軸34の回転速度(すなわちエンジン回転速度ωe)の変速比γ0(=ωe/ωm)が変化させられる電気的な無段変速機として作動させられる。
例えば、ハイブリッド走行モードにおいては、有段変速機20にてATギヤ段が形成されたことで駆動輪28の回転に拘束されるリングギヤR0の回転速度に対して、第1回転電機MG1の回転速度を制御することによってサンギヤS0の回転速度が上昇或いは下降させられると、キャリアCA0の回転速度(すなわちエンジン回転速度ωe)が上昇或いは下降させられる。従って、エンジン走行では、エンジン14を効率の良い運転点にて作動させることが可能である。つまり、ATギヤ段が形成された有段変速機20と無段変速機として作動させられる無段変速機18とで、変速機構40全体として無段変速機を構成することができる。
または、無段変速機18を有段変速機のように変速させることも可能であるので、ATギヤ段が形成される有段変速機20と有段変速機のように変速させる無段変速機18とで、変速機構40全体として有段変速機のように変速させることができる。つまり、変速機構40において、出力軸回転速度ωoに対するエンジン回転速度ωeの変速比γt(=ωe/ωo)が異なる複数のギヤ段(模擬ギヤ段と称する)を選択的に成立させるように、有段変速機20と無段変速機18とを制御することが可能である。変速比γtは、直列に配置された、無段変速機18と有段変速機20とで形成されるトータル変速比であって、無段変速機18の変速比γ0と有段変速機20の変速比γatとを乗算した値(γt=γ0×γat)となる。模擬ギヤ段は、例えば有段変速機20の各ATギヤ段と1または複数種類の無段変速機18の変速比γ0との組合せによって、有段変速機20の各ATギヤ段に対してそれぞれ1または複数種類を成立させるように割り当てられる。
図1に戻り、車両10は、さらに、エンジン14、無段変速機18、および有段変速機20などの制御に関連する車両10の制御装置を含むコントローラとしての電子制御装置80を備えている。よって、図1は、電子制御装置80の入出力系統を示す図であり、また、電子制御装置80による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。電子制御装置80は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置80は、必要に応じてエンジン制御用、変速制御用等に分けて構成される。
電子制御装置80には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ60、MG1回転速度センサ62、MG2回転速度センサ64、出力軸回転速度センサ66、アクセル開度センサ68、スロットル弁開度センサ70、Gセンサ72、シフトポジションセンサ74、バッテリセンサ76、AT油温センサ78など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン回転速度ωe、第1回転電機MG1の回転速度であるMG1回転速度ωg、AT入力軸回転速度ωiであるMG2回転速度ωm、車速Vに対応する出力軸回転速度ωo、運転者の加速操作の大きさを表す運転者の加速操作量(すなわちアクセルペダル67の操作量)であるアクセル開度θacc、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth、車両10の前後加速度G、車両10に備えられたシフト操作部材としてのシフトレバー56の操作位置(操作ポジション)POSsh、バッテリ52のバッテリ温度THbatやバッテリ充放電電流Ibatやバッテリ電圧Vbat、係合装置CBに供給される作動油の油温Toilなど)が、それぞれ供給される。
また、電子制御装置80からは、車両10に備えられた各装置(例えばスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等のエンジン制御装置58、インバータ50、油圧制御回路54など)に各種指令信号(例えばエンジン14を制御する為のエンジン制御指令信号Se、第1回転電機MG1および第2回転電機MG2を制御する為の回転電機制御指令信号Smg、係合装置CBの作動状態を制御する為の(すなわち有段変速機20の変速を制御する為の)油圧制御指令信号Satなど)が、それぞれ出力される。この油圧制御指令信号Satは、例えば係合装置CBの各々の油圧アクチュエータへ供給される各係合圧Pcbを調圧する各ソレノイドバルブSL1-SL4等を駆動する為の指令信号(駆動電流)であり、油圧制御回路54へ出力される。なお、電子制御装置80は、各油圧アクチュエータへ供給される各係合圧Pcbの値に対応する油圧指令値(指示圧)を設定し、その油圧指令値に応じた駆動電流を出力する。
シフトレバー56の操作ポジションPOSshは、例えばP,R,N,D操作ポジションである。P操作ポジションは、変速機構40がニュートラル状態とされ(例えば係合装置CBの何れもの解放によって有段変速機20が動力伝達不能なニュートラル状態とされ)且つ機械的に出力軸22の回転が阻止(ロック)された、変速機構40のパーキングポジション(Pポジション)を選択するパーキング操作ポジションである。R操作ポジションは、有段変速機20のAT1速ギヤ段が形成された状態で第2回転電機MG2による車両10の後進走行を可能とする、変速機構40の後進走行ポジション(Rポジション)を選択する後進走行操作ポジションである。N操作ポジションは、変速機構40がニュートラル状態とされた、変速機構40のニュートラルポジション(Nポジション)を選択するニュートラル操作ポジションである。D操作ポジションは、有段変速機20のAT1速ギヤ段-AT4速ギヤ段の総てのATギヤ段を用いて自動変速制御を実行して前進走行を可能とする、変速機構40の前進走行ポジション(Dポジション)を選択する前進走行操作ポジションである。
電子制御装置80は、例えばバッテリ充放電電流Ibatおよびバッテリ電圧Vbatなどに基づいてバッテリ52の充電状態(充電容量)SOCを算出する。また、電子制御装置80は、例えばバッテリ温度THbatおよびバッテリ52の充電容量SOCに基づいて、バッテリ52の入力電力の制限を規定する充電可能電力(入力可能電力)Win、およびバッテリ52の出力電力の制限を規定する放電可能電力(出力可能電力)Woutを算出する。充放電可能電力Win,Woutは、例えばバッテリ温度THbatが常用域より低い低温域ではバッテリ温度THbatが低い程低くされ、また、バッテリ温度THbatが常用域より高い高温域ではバッテリ温度THbatが高い程低くされる。また、充電可能電力Winは、例えば充電容量SOCが大きな領域では充電容量SOCが大きい程小さくされる。また、放電可能電力Woutは、例えば充電容量SOCが小さな領域では充電容量SOCが小さい程小さくされる。
電子制御装置80は、車両10における各種制御を実現する為に、AT変速制御手段すなわちAT変速制御部82、ハイブリッド制御手段すなわちハイブリッド制御部84、トルク相補償制御手段すなわちトルク相補償制御部86、トルク保持手段すなわちトルク保持部88、および入力トルク変更手段すなわち入力トルク変更部90を、機能的に備えている。
AT変速制御部82は、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係すなわち予め定められた関係である例えば図4に示すようなATギヤ段変速マップを用いて有段変速機20の変速判断を行い、必要に応じて有段変速機20の変速制御を実行する為の油圧制御指令信号Satを油圧制御回路54へ出力する。
図4において、ATギヤ段変速マップは、例えば車速V及び要求駆動力Frdemを変数とする二次元座標上に、有段変速機20の変速が判断される為の予め定められた複数種類の変速線SHを有する所定の関係である。ここでは、車速Vに替えて出力回転速度ωoなどを用いても良い。又、要求駆動力Frdemに替えて要求駆動トルクTrdemやアクセル開度θaccやスロットル弁開度θthなどを用いても良い。複数種類の変速線SHは、例えば実線に示すようなアップシフトが判断される為のアップシフト線SHua、SHub、SHuc、及び破線に示すようなダウンシフトが判断される為のダウンシフト線SHda、SHdb、SHdcを含んでいる。
ハイブリッド制御部84は、エンジン14の作動を制御するエンジン制御手段すなわちエンジン制御部としての機能と、インバータ50を介して第1回転電機MG1および第2回転電機MG2の作動を制御する回転電機制御手段すなわち回転電機制御部としての機能を含んでおり、それら制御機能によりエンジン14、第1回転電機MG1、および第2回転電機MG2によるハイブリッド駆動制御等を実行する。
ハイブリッド制御部84は、予め定められた関係(例えば駆動力マップ)にアクセル開度θaccおよび車速Vを適用することで要求駆動パワーPdem(見方を換えれば、そのときの車速Vにおける要求駆動トルクTdem)を算出する。ハイブリッド制御部84は、バッテリ52の充放電可能電力Win,Wout等を考慮して、要求駆動パワーPdemを実現するように、エンジン14、第1回転電機MG1、および第2回転電機MG2を制御する指令信号(エンジン制御指令信号Seおよび回転電機制御指令信号Smg)を出力する。エンジン制御指令信号Seは、例えばそのときのエンジン回転速度ωeにおけるエンジントルクTeを出力するエンジンパワーPeの指令値である。回転電機制御指令信号Smgは、例えばエンジントルクTeの反力トルク(そのときのMG1回転速度ωgにおけるMG1トルクTg)を出力する第1回転電機MG1の発電電力Wgの指令値であり、また、そのときのMG2回転速度ωmにおけるMG2トルクTmを出力する第2回転電機MG2の消費電力Wmの指令値である。
バッテリ52の充電可能電力Winは、バッテリ52の入力電力の制限を規定する入力可能電力であり、バッテリ52の放電可能電力Woutは、バッテリ52の出力電力の制限を規定する出力可能電力である。バッテリ52の充電可能電力Winや放電可能電力Woutは、例えばバッテリ温度THbat及びバッテリ52の充電量に相当する充電状態値SOC[%]に基づいて電子制御装置80により算出される。バッテリ52の充電状態値SOCは、バッテリ52の充電状態を示す値であり、例えばバッテリ充放電電流Ibat及びバッテリ電圧Vbatなどに基づいて電子制御装置80により算出される。
ハイブリッド制御部84は、例えば無段変速機18を無段変速機として作動させて変速機構40全体として無段変速機として作動させる場合、最適エンジン動作点等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するエンジンパワーPeが得られるエンジン回転速度ωeとエンジントルクTeとなるように、エンジン14を制御すると共に第1回転電機MG1の発電電力Wgを制御することで、無段変速機18の無段変速制御を実行して無段変速機18の変速比γ0を変化させる。この制御の結果として、無段変速機として作動させる場合の変速機構40の変速比γt(=ωe/ωo)が制御される。最適エンジン動作点は、例えば要求エンジンパワーPedemを実現するときに、エンジン14単体の燃費にバッテリ52における充放電効率等を考慮した車両10におけるトータル燃費が最も良くなるエンジン動作点として予め定められている。このエンジン動作点は、エンジン回転速度ωeとエンジントルクTeとで表されるエンジン14の運転点である。
また、無段変速機18を有段変速機のように変速させることも可能であるので、ATギヤ段が形成される有段変速機20と有段変速機のように変速させる無段変速機18とで、変速機構40全体として有段変速機のように変速させることができる。つまり、変速機構40では、エンジン回転速度ωeの出力回転速度ωoに対する比の値を表す変速比γtが異なる複数のギヤ段を選択的に成立させるように、有段変速機20と無段変速機18とを制御することが可能である。本実施例では、変速機構40にて成立させられるギヤ段を模擬ギヤ段と称する。変速比γtは、直列に配置された、無段変速機18と有段変速機20とで形成されるトータル変速比であって、無段変速機18の変速比γ0と有段変速機20の変速比γatとを乗算した値(γt=γ0×γat)となる。
模擬ギヤ段は、例えば有段変速機20の各ATギヤ段と1又は複数種類の無段変速機18の変速比γ0との組合せによって、有段変速機20の各ATギヤ段に対してそれぞれ1又は複数種類を成立させるように割り当てられる。例えば、AT1速ギヤ段に対して模擬1速ギヤ段-模擬3速ギヤ段が成立させられ、AT2速ギヤ段に対して模擬4速ギヤ段-模擬6速ギヤ段が成立させられ、AT3速ギヤ段に対して模擬7速ギヤ段-模擬9速ギヤ段が成立させられ、AT4速ギヤ段に対して模擬10速ギヤ段が成立させられるように予め定められている。変速機構40では、出力回転速度ωoに対して所定の変速比γtを実現するエンジン回転速度ωeとなるように無段変速機18が制御されることによって、あるATギヤ段において異なる模擬ギヤ段が成立させられる。又、変速機構40では、ATギヤ段の切替えに合わせて無段変速機18が制御されることによって、模擬ギヤ段が切り替えられる。
ハイブリッド制御部84は、例えば無段変速機18を有段変速機のように変速させて変速機構40全体として有段変速機のように変速させる場合、予め定められた関係である例えば模擬ギヤ段変速マップを用いて変速機構40の変速判断を行い、AT変速制御部82による有段変速機20のATギヤ段の変速制御と協調して、複数の模擬ギヤ段を選択的に成立させるように無段変速機18の変速制御を実行する。複数の模擬ギヤ段は、それぞれの変速比γtを維持できるように出力回転速度ωoに応じて第1回転電機MG1によりエンジン回転速度ωeを制御することによって成立させることができる。各模擬ギヤ段の変速比γtは、出力回転速度ωoの全域に亘って必ずしも一定値である必要はなく、所定領域で変化させても良いし、各部の回転速度の上限や下限等によって制限が加えられても良い。このように、ハイブリッド制御部84は、エンジン回転速度ωeを有段変速のように変化させる変速制御が可能である。変速機構40全体として有段変速機のように変速させる模擬有段変速制御は、例えば運転者によってスポーツ走行モード等の走行性能重視の走行モードが選択された場合や要求駆動トルクTrdemが比較的大きい場合に、変速機構40全体として無段変速機として作動させる無段変速制御に優先して実行するだけでも良いが、所定の実行制限時を除いて基本的に模擬有段変速制御が実行されても良い。
ハイブリッド制御部84は、走行モードとして、EV走行モード又はHV走行モードを走行状態に応じて選択的に成立させる。例えば、ハイブリッド制御部84は、予め定められた関係である例えば図4に示すような走行モード切替マップを用いて、要求駆動パワーPrdemが比較的小さなEV走行領域にある場合には、EV走行モードを成立させる一方で、要求駆動パワーPrdemが比較的大きなHV走行領域にある場合には、HV走行モードを成立させる。
図4において、走行モード切替マップは、例えば車速V及び要求駆動力Frdemを変数とする二次元座標上に、HV走行モードとEV走行モードとを切り替える為のHV走行領域とEV走行領域との境界線を有する所定の関係である。上記境界線は、例えば一点鎖線に示すような、EV走行とHV走行との切替えが判断される為の予め定められた走行領域切替線CFである。走行モードの切替えでは走行に用いられる駆動力源が切り替えられることから、走行領域切替線CFは駆動力源切替線でもある。なお、図4では、便宜上、この走行モード切替マップをATギヤ段変速マップと共に示している。
ハイブリッド制御部84は、要求駆動パワーPrdemがEV走行領域にあるときであっても、バッテリ52の充電状態値SOCが予め定められたエンジン始動閾値未満となる場合やエンジン14の暖機が必要な場合などには、HV走行モードを成立させる。前記エンジン始動閾値は、エンジン14を強制的に始動してバッテリ52を充電する必要がある充電状態値SOCであることを判断する為の予め定められた閾値である。
ハイブリッド制御部84は、エンジン14の運転停止時にHV走行モードを成立させた場合には、エンジン14を始動するエンジン始動制御を行う。ハイブリッド制御部84は、エンジン14を始動するときには、例えば第1回転電機MG1によりエンジン回転速度ωeを上昇させつつ、エンジン回転速度ωeが点火可能な所定点火可能回転速度以上となったときに点火することでエンジン14を始動する。すなわち、ハイブリッド制御部94は、第1回転電機MG1によりエンジン14をクランキングすることでエンジン14を始動する。
ところで、運転者がアクセルペダル67を踏み込んだ状態での有段変速機20のアップシフトにおいて、AT変速制御部82が係合装置CBの掴み替えを行うトルク相では、有段変速機20から出力されるAT出力軸トルクToの落ち込みが発生し、変速ショック等の変速フィーリングの悪化を招く虞がある。そのため、ハイブリッド制御部84は、有段変速機20のアップシフト時のトルク相中において、補償トルクとして第2回転電機MG2のMG2トルクTmを増大し、トルク相中のAT出力軸トルクToの落ち込みを抑制するトルク相補償制御を実行する、トルク相補償制御手段すなわちトルク相補償制御部86を機能的に備えている。
トルク相補償制御部86は、例えば前後加速度Gの変化などに基づいてトルク相への切り替わりを判断すると、第2回転電機MG2のMG2トルクTmを、補償トルクとして予め設定されているトルクアップ量Tconだけ増加させることで、トルク相におけるAT出力軸トルクToの落ち込み(減少)分をMG2トルクTmによって補償する。上記トルク相補償制御が実行されることで、有段変速機20に入力されるAT入力軸トルクTiが増加するに伴い、トルク相中でのAT出力軸トルクToの落ち込みが抑制される。トルク相補償制御によるMG2トルクTmのトルクアップ量Tconは、トルク相開始時点でのAT入力軸トルクTi、作動油の油温Toil、車速V、ATギヤ段等に基づいて決定される。また、トルク相補償制御は、有段変速機20のアップシフトにおいて一律に実施される訳ではなく、予め設定されている条件が成立した場合に実施される。なお、トルク相補償制御によるMG2トルクTmのトルクアップ量Tconが、本発明の回転電機の補償トルクに対応している。
上記トルク相補償制御が実行されることで、AT入力軸トルクTiが増加するに伴い、トルク相中でのAT出力軸トルクToの落ち込みが抑制される。ここで、トルク相補償制御の実行中に、さらにアクセルペダル67が踏み増しされることが考えられる。このとき、アクセルペダル67の踏み増しに合わせて第2回転電機MG2によるトルク相補償制御のトルクアップ量Tconを増加させると、第2回転電機MG2によるトルク変化に対して係合装置CBの係合圧Pcb(実油圧)は追従遅れが生じるため、係合圧Pcb(実油圧)の追従遅れを予め考慮して係合装置CBの係合圧Pcbを高指示圧に設定すると実油圧が高くなり過ぎ、その結果、実油圧過多になって変速ショックが悪化する虞があった。
このようなトルク相中での運転者によるアクセルペダル操作に伴う変速ショックを抑制するため、トルク保持部88は、トルク相補償制御部86が第2回転電機MG2から補償トルクを出力させる過渡期において、トルク相中にアクセルペダル67のペダル操作(アクセルペダル67の踏み増しまたは踏み戻し)があったとき、第2回転電機MG2のトルクアップ量Tconを同じ値に保持する。すなわち、トルク保持部88は、トルク相中においてアクセルペダル67のペダル操作があっても、第2回転電機MG2から出力されるトルクアップ量Tconを変更しない。一方で、入力トルク変更部90は、有段変速機20のダウンシフト時のトルク相中にアクセルペダル67が操作されると、アクセルペダル67の操作量であるアクセル開度θaccおよび車速Vに基づいて有段変速機20に入力される目標AT入力軸トルクTi*を算出する。ハイブリッド制御部84は、算出された目標AT入力軸トルクTi*となるように、エンジン14、第1回転電機MG1、および第2回転電機MG2の出力を制御する。
また、AT変速制御部82は、トルク相中においてアクセルペダル操作があってもトルク相補償制御によるトルクアップ量Tconが変化しないことから、トルクアップ量Tconの変化に伴う係合装置CBの係合圧Pcbの油圧補正を実施しない。これより、トルクアップ量Tconの変化に伴う係合圧Pcbの油圧補正が不要になり、係合圧Pcbの実油圧の追従遅れに起因する変速ショックが抑制される。また、トルクアップ量Tconの変化に伴う油圧補正用のマップ(油圧補正マップ)を新たに追加する必要もなくなることから制御性が向上する。一方で、AT変速制御部82は、アクセルペダル操作に伴う目標AT入力軸トルクTi*の変化に応じて、係合装置CBの係合圧Pcbの油圧(指示圧)を補正する油圧補正を実行する。
例えば、有段変速機20のアップシフト時のトルク相中、すなわちトルク相中でのトルク相補償制御によって第2回転電機MG2から補償トルクとしてトルクアップ量Tconを出力している過渡期において、運転者によるアクセルペダル67の踏み増しが実行された場合であっても、トルク保持部88は、トルク相補償制御によるトルクアップ量Tconを変更せずに同じ値で保持する。一方で、入力トルク変更部90は、アクセルペダル67の踏み増しに伴うアクセル開度θaccの増加に基づいて目標AT入力軸トルクTi*を算出し、目標AT入力軸トルクTi*を変更する。ハイブリッド制御部84は、変更された目標AT入力軸トルクTi*が実現される、エンジン14のエンジントルクTe、第1回転電機MG1のMG1トルクTg、第2回転電機MG2のMG2トルクTmを算出し、算出された各トルクが出力されるように、エンジン14、第1回転電機MG1、および第2回転電機MG2を各々制御する。また、アクセルペダル67が踏み増しされた場合には、アクセル開度θaccの増加に伴って目標AT入力軸トルクTi*が増加するため、AT変速制御部82は、アクセルペダル67の踏み増しによって増加した目標AT入力軸トルクTi*に合わせて、係合装置CBの係合圧Pcb(指示圧)を増圧側に補正する油圧補正を実施する。
また、有段変速機20のアップシフト時のトルク相中、すなわちトルク相中でのトルク相補償制御によって第2回転電機MG2から補償トルクとしてトルクアップ量Tconを出力している過渡期において、運転者によるアクセルペダル67の踏み戻しが実行された場合であっても、トルク保持部88は、トルク相補償制御によるトルクアップ量Tconを変更せずに同じ値で保持する。一方で、入力トルク変更部90は、アクセルペダル67の踏み戻しに伴うアクセル開度θaccの減少に基づいて目標AT入力軸トルクTi*を算出し、目標AT入力軸トルクTi*を変更する。ハイブリッド制御部84は、変更されたAT入力軸トルクTi*が実現される、エンジン14のエンジントルクTe、第1回転電機MG1のMG1トルクTg、および第2回転電機MG2のMG2トルクTmを算出し、算出された各トルクが出力されるように、エンジン14、第1回転電機MG1、および第2回転電機MG2を各々制御する。また、アクセルペダル67が踏み戻された場合には、アクセル開度θaccの減少に伴って目標AT入力軸トルクTi*が減少するため、AT変速制御部82は、アクセルペダル67の踏み戻しによって減少した目標AT入力軸トルクTi*に合わせて、係合装置CBの係合圧Pcb(指示圧)を減圧側に補正する油圧補正を実施する。
トルク相補償制御部86は、トルク相の終了すなわちイナーシャ相の開始を判断するとトルク相補償制御を終了し、第2回転電機MG2のMG2トルクTmをトルクアップ量Tcon分だけ減少させる。また、AT変速制御部82は、トルク相補償制御が終了すると、トルク相補償制御の終了による第2回転電機MG2のMG2トルクTmの減少に合わせて、係合装置CBの係合圧Pcb(指示圧)を減少側に補正する。
有段変速機20のアップシフト過渡期のイナーシャ相では、以下に説明するように制御される。ハイブリッド制御部84は、予め定められた次式(1)を用いて、MG2角加速度dωm/dtとエンジン角加速度dωe/dtとの各々の目標値、エンジントルクTe、及びAT伝達トルクTatに基づいて、MG1トルクTgおよびMG2トルクTmを算出する。ハイブリッド制御部84は、算出したMG1トルクTgとMG2トルクTmとが各々得られる為の各回転電機制御指令信号Smgをインバータ50へ出力する。次式(1)は、例えば無段変速機18におけるg軸、e軸、及びm軸(図3参照)の各軸毎において成立する、慣性(イナーシャ)、角加速度、及び軸上のトルクで示される運動方程式と、無段変速機18が2自由度(すなわち各軸のうちの2つの軸の各回転速度が決まると残りの1つの軸の回転速度が決まるという2自由度)であることで規定される相互間の関係式とに基づいて、導き出された式である。従って、次式(1)中の2×2の各行列における各値a11、・・・、b11、・・・、c22は、各々、無段変速機18を構成する各回転部材の慣性や差動機構32の歯車比ρ0等の組み合わせで構成された値となっている。
Figure 2022063803000002
前記式(1)中のMG2角加速度dωm/dtとエンジン角加速度dωe/dtとの各々の目標値は、例えば有段変速機20の変速が様々な変速パターンのうちのどの変速パターンであるか、どのATギヤ段間での変速であるかなどによって予め定められている。また、前記式(1)中のエンジントルクTeは、例えば要求駆動パワーPdemを実現するエンジンパワーPe(要求エンジンパワーPedemともいう)が得られる、そのときのエンジン回転速度ωeにおけるエンジントルクTe(要求エンジントルクTedemともいう)である。
また、前記式(1)中のAT伝達トルクTatは、有段変速機20の変速時に係合装置CBの各々にて受け持つ必要がある各伝達トルクを中間伝達部材30(すなわちm軸上)に換算した各換算値の合算値(すなわち有段変速機20が伝達する伝達トルクを中間伝達部材30上に換算した値)である。前記式(1)は有段変速機20の変速を進行させるときのモデル式であるので、本実施例では、前記式(1)中のAT伝達トルクTatを便宜上、変速を進行させる主体となる変速進行側係合装置の伝達トルクTcbとする。前記式(1)において、変速進行側係合装置の伝達トルクTcbの値としてはフィードフォワード値が与えられる。そのため、AT変速制御部82は、変速進行側係合装置の伝達トルクTcbを設定する。AT変速制御部82による変速進行側係合装置の伝達トルクTcbの設定では、有段変速機20の変速ショックや変速時間等のバランスを取るように、有段変速機20の変速パターンやどのATギヤ段間での変速であるかなどの異なる変速の種類毎に予め定められた関係を用いて、要求駆動パワーPdemを実現する要求エンジンパワーPedemに基づく(すなわちアクセル開度θacc及び車速Vに基づく)目標AT入力軸トルクTi*に応じた変速進行側係合装置の伝達トルクTcbの値が設定される。
図5は、電子制御装置の制御作動の要部、すなわちアクセルペダル67が踏み込まれた状態での有段変速機20のアップシフト時に実行されるトルク相補償制御の制御作動を説明するためのフローチャートである。このフローチャートは、アクセルペダル67が踏み込まれた状態で有段変速機20のアップシフトが判断される毎に実行される。
まず、トルク相補償制御部86の制御機能に対応するステップST1(以下、ステップを省略)において、トルク相中であるかが判定される。トルク相の判定は、例えば前後加速度Gの変化に基づいて判断される。ST1が否定された場合、ST1の判定が肯定されるまで、ST1が繰り返し実行される。ST1が肯定された場合、トルク相補償制御部86の制御機能に対応するST2において、第2回転電機MG2のMG2トルクTmをトルクアップ量Tconだけ増大するトルク相補償制御が実施される。ハイブリッド制御部84の制御機能に対応するST3では、トルク相中に運転者によるアクセルペダル67の操作が為されたかが判定される。ST3が否定された場合、後述するST6に進む。ST3が肯定された場合、トルク保持部88および入力トルク変更部90の制御機能に対応するST4において、第2回転電機MG2から出力されるトルクアップ量Tconを同じ値に保持しつつ、有段変速機20の目標AT入力軸トルクTi*がアクセル開度θaccの変化に応じて変更され、実際のAT入力軸トルクTi(以下、区別のため実AT入力軸トルクTi)が目標AT入力軸トルクTi*に追従するように、エンジン14、第1回転電機MG1、および第2回転電機MG2が制御される。このように、トルク相補償制御によるトルクアップ量Tconが同じ値で保持される一方で、アクセル開度θaccの変化に応じて目標AT入力軸トルクTi*が変更されることで、トルクアップ量Tconの変更に伴うショックを防止しつつ、運転者の要求駆動力が確保される。次いで、AT変速制御部82の制御機能に対応するST5では、ST4で変更された目標AT入力軸トルクTi*に応じて、係合側係合装置CBの係合圧Pcb(指示圧)が補正される。トルク相補償制御部86の制御機能に対応するST6では、トルク相が終了したかが判定される。トルク相の終了は、例えば、AT入力軸回転速度ωiの変化に基づいて判定される。ST6が否定される場合、ST2に戻ってトルク相補償制御が継続して実施される。ST6が肯定される場合、トルク相補償制御部86の制御機能に対応するST7において、トルク相補償制御が終了させられる。
図6は、アクセルペダル67が踏み込まれた状態で有段変速機20のアップシフトが実施されたときの制御状態を説明するタイムチャートであり、トルク相中にアクセルペダル67が踏み増しされたときの制御状態を示している。図6において、縦軸は、上から順番に、ATギヤ段、AT入力軸回転速度ωi、アクセル開度θacc、第2回転電機MG2によるトルク相補償制御のトルクアップ量Tcon、AT入力軸トルクTi(目標AT入力軸トルクTi*、実AT入力軸トルクTi)、および係合側係合装置CBの係合圧Pcbを、それぞれ示している。
有段変速機20のアップシフトが判断されると、t1時点において有段変速機20のアップシフトが開始され、アップシフト過渡期に係合される係合側係合装置CBの係合圧Pcbが、一時的に引き上げられた後(ファーストフィル)、所定の待機圧で保持される。t2時点においてトルク相が開始されるとトルク相補償制御が開始され、第2回転電機MG2のMG2トルクTmが所定のトルクアップ量Tconだけ増加させられる。これに併せて、t2時点において、係合側係合装置CBの係合圧Pcb(指示圧)が、トルク相補償制御のトルクアップ量Tconに応じた分だけ引き上げられている。
t2時点以降において、実線がアクセルペダル操作のない場合の制御状態を示しており、破線がアクセルペダル67が踏み増しされた場合の制御状態を示している。まず、アクセルペダル67が踏み増しされなかった場合について説明する。なお、図6において、アクセルペダル67の踏み増し操作があった場合および踏み増し操作がなかった場合の目標AT入力軸トルクTi*を区別するため、アクセルペダル67が踏み増しされない場合を、実線で示す目標AT入力軸トルクTi1*と記載し、アクセルペダル67が踏み増し操作された場合を、破線で示す目標AT入力軸トルクTi2*と記載する。また、目標AT入力軸トルクTi1*に追従する実AT入力軸トルクTi1、および、目標AT入力軸トルクTi2*に追従する実AT入力軸トルクTi2については、それぞれ一点鎖線で示されている。
アクセルペダル67の踏み増しがなかった場合には、t2時点~3時点のトルク相において、トルク相補償制御が実行され、第2回転電機MG2のMG2トルクTmが所定のトルクアップ量Tconだけ増加している。MG2トルクTmが増加することで、トルク相中のAT出力軸トルクToの落ち込みが抑制される。また、t2時点において、係合側係合装置CBの係合圧Pcb(指示圧)が、トルクアップ量Tconに応じた分だけ引き上げられ、t2時点以降は、係合圧Pcbが所定の勾配で増加している。
t3時点において、イナーシャ相の開始すなわちトルク相の終了が判断されると、AT入力軸回転速度ωiがアップシフト後に設定される同期回転速度に向かって低下している。また、t3時点において、トルク相補償制御が終了すると、目標AT入力軸トルクTi1*が減少し、その後は所定の勾配で増加している。図6において、目標AT入力軸トルクTi1*に対する実圧である実AT入力軸トルクTi1が一点鎖線で示されている。一点鎖線で示すように、実AT入力軸トルクTi1は、目標AT入力軸トルクTi1*に対して遅れを伴いつつ追従している。
また、t3時点においてトルク相補償制御が終了したことに伴い、係合側係合装置CBの係合圧Pcbが、トルク相補償制御の終了に伴うAT入力軸トルクTi1の減少分だけ減圧側に補正されている。t3時点以降は、目標AT入力軸トルクTi1*の増加に応じて係合圧Pcbが増圧されている。t4時点においてAT入力軸回転速度ωiがアップシフト後の同期回転速度に同期すると、イナーシャ相が終了する。このとき、係合側係合装置CBの係合圧Pcbが、係合側係合装置CBの完全係合される油圧値まで増圧されてアップシフトが完了する。
次いで、破線で示す、t2時点以降にアクセルペダル67が踏み増しされた場合の制御状態について説明する。t2時点と略同時にアクセルペダル67が踏み増しされることで、破線で示すようにアクセル開度θaccが増加している。このとき、アクセルペダルが踏み増しされても、トルク相補償制御のトルクアップ量Tconは変更されない。すなわち、アクセルペダル67が踏み増しされなかった場合と同様にトルクアップ量Tconが保持されている。一方で、目標AT入力軸トルクTi2*は、アクセルペダル67の踏み増しに伴うアクセル開度θaccの増加に応じて増加している。また、一点鎖線で示す実AT入力軸トルクTi2も同様に、目標AT入力軸トルクTi2*に追従するようにして増加している。また、係合側係合装置CBの係合圧Pcb(指示圧)は、t2時点においてトルク相補償制御によるトルクアップ量Tconに応じた分だけ増加し、さらに、アクセルペダル67の踏み増しによる目標AT入力軸トルクTi2*の増加に応じて増圧されている。
t3時点において、イナーシャ相の開始すなわちトルク相の終了が判断されると、AT入力軸回転速度ωiがアップシフト後に設定される同期回転速度に向かって低下している。また、トルク相補償制御が終了することで、t3時点において、目標AT入力軸トルクTi2*の増加勾配が一時的に緩やかになり、t3時点以降は、目標AT入力軸トルクTi2*がアクセル開度θaccに応じて所定の勾配で増加している。また、一点鎖線で示す実AT入力軸トルクTi2についても、目標AT入力軸トルクTi2*に追従するようにして増加している。
また、t3時点において、トルク相補償制御によるトルクアップが終了したことに伴い、係合側係合装置CBの係合圧Pcb(指示圧)が減圧されている。詳細には、トルク相補償制御によるトルクアップ量Tcon分だけ減圧されている。t3時点以降は、目標AT入力軸トルクTi2*の増加に応じて係合圧Pcbが増圧されている。t4時点においてAT入力軸回転速度ωiがアップシフト後の同期回転速度に同期すると、イナーシャ相が終了する。このとき、係合側係合装置CBの係合圧Pcbが、係合側係合装置CBの完全係合される油圧値まで増圧されてアップシフトが完了する。
図7は、アクセルペダル67が踏み込まれた状態で有段変速機20のアップシフトがされたときの制御状態を説明するタイムチャートであり、トルク相中にアクセルペダル67が踏み戻されたときの制御状態を示している。また、図7において、実線がアクセルペダル67が踏み戻されない場合の作動状態を示し、破線がアクセルペダル67が踏み戻された場合の作動状態を示している。なお、図7において、アクセルペダル67の踏み戻し操作があった場合および踏み戻し操作がなかった場合の目標AT入力軸トルクTi*を区別するため、アクセルペダルが踏み戻されない場合を、実線で示す目標AT入力軸トルクTi1*と記載し、アクセルペダル67の踏み戻し操作のあった場合を、破線で示す目標AT入力軸トルクTi3*と記載する。また、目標AT入力軸トルクTi1*に追従する実AT入力軸トルクTi1、および、目標AT入力軸トルクTi3*に追従する実AT入力軸トルクTi3は、それぞれ一点鎖線で示されている。図7の実線で示すアクセルペダルの踏み戻しのない場合は、前述した図6のタイムチャート同じであるためその説明を省略する。以下では、アクセルペダル67が踏み戻された場合について説明する。
図7のt1時点において有段変速機20のアップシフトが判断されると、有段変速機20のアップシフトが開始される。t1時点では、アップシフト過渡期に係合される係合側係合装置CBの係合圧Pcbが、一時的に引き上げられた(ファーストフィル)後、所定の待機圧で保持されている。t2時点においてトルク相が開始されるとトルク相補償制御が開始され、第2回転電機MG2のMG2トルクTmが所定のトルクアップ量Tconだけ増加させられる。また、トルク相補償制御によるトルクアップ量Tcon分だけ、係合側係合装置CBの係合圧Pcb(指示圧)が増圧されている。
トルク相中のt3時点においてアクセルペダル67が踏み戻されると、破線で示すようにアクセル開度θaccが低下する。このt3時点以降において、アクセルペダル67の踏み戻しに拘わらず、トルク相補償制御による第2回転電機MG2によるトルクアップ量Tconは変更されない。すなわち、アクセルペダル67が踏み戻しされなかった場合と同様にトルクアップ量Tconが保持されている。一方で、目標AT入力軸トルクTi3*は、アクセルペダル67の踏み戻しに伴うアクセル開度θaccの減少に応じて減少している。これに関連して、一点鎖線で示す実AT入力軸トルクTi3についても、目標AT入力軸トルクTi3*に追従するようにして減少している。従って、運転者は、アクセルペダル67の踏み戻しに応じた減速感を得ることができる。また、係合側係合装置CBの係合圧Pcbは、破線で示すように、目標AT入力軸トルクTi3*が減少した分だけ、実線で示す係合圧Pcbに比べて減圧されている。
t4時点において、イナーシャ相の開始すなわちトルク相の終了が判断されると、AT入力軸回転速度ωiがアップシフト後に設定される同期回転速度に向かって低下している。また、トルク相補償制御が終了することで、係合側係合装置CBの係合圧Pcbが、トルク相補償制御によるトルクアップ量Tcon分だけ低下している。また、t4時点以降においても、アクセル開度θaccの低下に伴って目標AT入力軸トルクTi3*が継続して減少している。係合側係合装置CBの係合圧Pcbについては、t4時点以降において、予め設定されている待機圧で待機させられている。すなわち、イナーシャ相中に目標AT入力軸トルクTi3*が減少している場合に設定される待機圧で待機されている。t5時点において、AT入力軸回転速度ωiがアップシフト後の同期回転速度に同期すると、イナーシャ相が終了する。このとき、待機状態にあった係合側係合装置CBの係合圧Pcbが、係合側係合装置CBの完全係合される油圧値まで増圧されてアップシフトが完了する。
上述のように、本実施例によれば、有段変速機20のアップシフト時のトルク相中に、トルク相補償制御部86が第2回転電機MG2から補償トルク(トルクアップ量Tcon)を出力させる過渡期において、アクセルペダル67の操作があっても、トルク保持部88が補償トルクを同じ値に保持するため、トルク相中に補償トルクが変更されることによるショックを抑制できる。このとき、入力トルク変更部90がアクセルペダル67の操作量に基づいて有段変速機20に入力されるAT入力軸トルクTiを変更するため、運転者の加減速要求を実現できる。このように、トルク相中の変速ショックの抑制と運転者の加減速要求とを両立することができる。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図8は、本発明が適用されるハイブリッド車両100(以下、車両100)の概略構成を説明する図である。車両100は、前述の実施例1の車両10とは別の実施例である。
図8において、車両100の電気式無段変速機102(以下、無段変速機102)は、車両10の無段変速機18と比べて、さらに、ブレーキB0とクラッチC0とを備えている。ブレーキB0はサンギヤS0とケース16との間に設けられ、クラッチC0はサンギヤS0とキャリアCA0との間に設けられている。
無段変速機102は、クラッチC0及びブレーキB0が共に解放されると、無段変速機18と同様に、電気式無段変速機とされる。一方で、無段変速機102は、クラッチC0又はブレーキB0が係合されると、差動作用が不能な非差動状態とされる。クラッチC0が係合される非差動状態では、無段変速機102は変速比γ0が「1」に固定された変速機として機能する有段変速状態とされる。ブレーキB0が係合される非差動状態では、無段変速機102は変速比γ0が「1」より小さい値に固定された増速変速機として機能する有段変速状態とされる。
車両100の有段変速機104は、車両10の有段変速機20と同様に、複数組の遊星歯車装置と複数の係合装置とを備えた、公知の遊星歯車式の自動変速機である。
無段変速機102と有段変速機104とを合わせた全体の変速機である変速機構106は、車両10の変速機構40と同様に、エンジン14と駆動輪28との間の動力伝達経路の一部を構成する自動変速機である。変速機構106では、クラッチC0及びブレーキB0の何れも係合させないことで、変速機構40と同様の作動をさせることができる。変速機構106では、クラッチC0及びブレーキB0の何れかを係合させることで、変速機構106全体の変速比γtが異なる複数のギヤ段が形成される有段変速機として作動をさせることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、ハイブリッド車両10は、無段変速機18を含んで構成されていたが、無段変速機18は必ずしも必要なく無段変速機18を備えないものであっても構わない。例えば、駆動力源としてのエンジンおよび回転電機が、直接的またはクラッチ等を介して間接的に接続され、エンジンおよび回転電機と駆動輪との間の動力伝達経路上に有段変速機が設けられるものであっても構わない。また、エンジンおよび回転電機と有段変速機との間にクラッチ或いはトルクコンバータ等が介挿されていても構わない。
また、前述の実施例の有段変速機20、104の構造は一態様であって、必ずしもこれらの構成に限定されない。すなわち、複数個の油圧式係合装置を含んで構成され、有段変速可能な変速機であれば、本発明を適宜適用することができる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10、100:ハイブリッド車両
14:エンジン
20、104:有段変速機(変速機)
28:駆動輪
67:アクセルペダル
80:電子制御装置(制御装置)
86:トルク相補償制御部
88:トルク保持部
90:入力トルク変更部
MG2:第2回転電機(回転電機)

Claims (1)

  1. エンジンと、回転電機と、前記エンジンおよび前記回転電機と駆動輪との間に設けられている変速機と、を備えるハイブリッド車両の制御装置であって、
    前記変速機のアップシフト時のトルク相中に、前記回転電機から補償トルクを出力させるトルク相補償制御部と、
    前記トルク相補償制御部が前記回転電機から前記補償トルクを出力させる過渡期において、アクセルペダルが踏み増し、または、踏み戻しされたとき、前記回転電機の前記補償トルクを同じ値に保持するトルク保持部と、
    前記変速機のアップシフト時のトルク相中における前記アクセルペダルの操作量に基づいて、前記変速機に入力されるトルクを変更する入力トルク変更部と、を備える
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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