発明の詳細な説明
I.序文
本明細書に記載の方法は、成熟VWFとVWFプロペプチドを含む非共有結合的に結合したヘテロ二量体複合体から解離した成熟VWFとVWFプロペプチドを分離させる。タンパク質分離法に対して、少なくとも1つのキレート剤を加えることによって、及び/または成熟VWFとVWFプロペプチドを含む溶液のpHを少なくとも7.0まで上昇させることによって、この分離を促進する(誘導する)。本明細書に記載のすべての強化陰イオン交換(AEX)、陽イオン交換(CEX)及び/またはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法を、あらゆるバリエーションで組み合わせて、特性が改善されたr−vWFを得ることができる。
II.定義の選択
用語「組換え」とは、例えば、細胞、または核酸、タンパク質、もしくはベクターに対して用いる場合、その細胞、核酸、タンパク質またはベクターが、異種核酸もしくは異種タンパク質の導入または天然核酸もしくは天然タンパク質の変更によって改変されているか、あるいは細胞がそのように修飾された細胞に由来することを示す。したがって、例えば、組換え細胞は、その細胞の天然(非組換え)型には認められない遺伝子を発現するか、または天然遺伝子を異常に発現するか、発現が少ないか、もしくはまったく発現しない。
本明細書中で使用する場合、「組換えVWF」または「rVWF」には、組換えDNA技術を介して得られたVWFが含まれる。特定の実施形態では、本発明のrVWFタンパク質は、例えば、組換えVWFの製造方法に関して参照により本明細書に援用されるUS8,597,910に記載されているような構築物を含み得る。本発明におけるVWFは、単量体及び多量体形態を含むすべての潜在的形態を含み得る。また、本発明は、組み合わせて使用するVWFの異なる形態を包含することを理解すべきである。例えば、本発明のVWFには、異なる多量体、異なる誘導体、ならびに生物学的に活性な誘導体及び生物学的に活性ではない誘導体の両方が含まれ得る。
本発明に関して、組換えVWFは、例えば、霊長類、ヒト、サル、ウサギ、ブタ、げっ歯類、マウス、ラット、ハムスター、アレチネズミ、イヌ、ネコなどの哺乳類由来のVWFファミリーのいずれかのメンバー、及び生物学的に活性なその誘導体を包含する。活性を有する変異型及びバリアント型VWFタンパク質もまた、VWFタンパク質の機能的断片及び融合タンパク質と同様に、包含される。さらに、本発明のVWFはさらに、精製、検出、またはその両方を促進するタグを有していてもよい。本明細書に記載のVWFは、さらに、in vitroまたはin vivoでの治療的部分またはイメージングに適した部分で修飾されていてもよい。
用語「VWF多量体」とは、少なくとも10個のサブユニット、または12、14、もしくは16個のサブユニット〜約20、22、24もしくは26個以上のサブユニットを含むVWFを指す。用語「サブユニット」とは、VWFの多量体を指す。当技術分野で公知のように、重合してより高次の多量体を形成するのは、一般的に、VWFの二量体である。(例えば、すべての目的のために、特にVWFの多量体分析に関するすべての教示のために、その全体を参照により本明細書に援用するTurecek et al.,Semin.Thromb.Hemost.,2010,36(5):510−521を参照のこと)。
用語「プレプロペプチドVWF」、「プレプロVWF」または「プロVWF」とは、約22アミノ酸残基のシグナルペプチド、約741アミノ酸残基のVWFプロペプチド、及び約2050アミノ酸残基の成熟VWFサブユニットを含む非成熟VWFポリペプチドを指す。プロVWFサブユニットは、小胞体のカルボキシル末端付近のジスルフィド結合を通じて二量体化し、tail−to tail型の二量体を形成することができ、次いでこれがゴルジ体に輸送される。ゴルジ体では、サブユニットのアミノ末端の近位に追加のhead−to−head型のジスルフィド結合が形成され、それにより多量体が形成される。プロセシングプロテアーゼであるフューリンを介してVWFプロペプチドのタンパク質分解性切断が生じ、そのようにして成熟VWF/VWF−PP複合体が生成する。VWFの名称の前に「r」が含まれる場合、それは組換え型のバージョンであることを指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を、組換えVWF(rVWF)に適用する。
用語「VWF複合体」または「mat−VWF/VWF−PP複合体」とは、成熟VWFサブユニットとVWFプロペプチドを含む非共有結合ヘテロ二量体構造を指す。VWF複合体は、プレプロペプチドVWFのプロペプチド部分と成熟VWF部分との間のフューリン切断の産物として生成し得る。VWFの名称の前に「r」が含まれる場合、それは組換え型のバージョンであることを指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を、組換えVWF(rVWF)に適用する。
用語「成熟VWF」または「mat−VWF」とは、約2050アミノ酸残基の成熟VWFサブユニットを指す。成熟VWFサブユニットは、プレプロペプチドVWFまたはVWF複合体の一部であり得る。成熟VWFは、VWFプロペプチドからの分離(単離)時に「遊離VWF」と呼ばれ得る。VWFの名称の前に「r」が含まれる場合、それは組換え型のバージョンであることを指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を、組換えVWF(rVWF)に適用する。
用語「VWFプロペプチド」または「VWF−PP」とは、約741アミノ酸残基のVWFプロペプチドを指す。VWFプロペプチドは、プレプロペプチドVWFまたはVWF複合体の一部であり得る。例えば、VWF複合体において、VWFプロペプチドは、成熟VWFサブユニットと非共有結合的に会合している。VWFプロペプチドは、成熟VWFからの分離(単離)時に「遊離VWFプロペプチド」と呼ばれ得る。VWFの名称の前に「r」が含まれる場合、それは組換え型のバージョンであることを指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を、組換えVWF(rVWF)に適用する。
用語「単離した」、「精製した」、または「生物学的に純粋な」とは、その天然状態において通常は付随する成分を実質的または本質的に含まない物質を指す。純度及び均質性は、一般的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技術を使用して測定する。VWFは、実質的に精製された調製物中に存在する主要な種である。いくつかの実施形態における用語「精製された」とは、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲル中で本質的に1つのバンドを生じさせることを示す。他の実施形態では、この用語は、核酸またはタンパク質が少なくとも50%純粋であり、より好ましくは少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上純粋であることを意味する。他の実施形態における「精製する」または「精製」とは、精製する組成物から少なくとも1つの汚染物質を除去することを意味する。この意味では、精製は、精製される化合物が均質であること、例えば、100%純粋であることを必要としない。
本明細書中で使用する場合、用語「約」とは、指定の値から±10%の近似範囲を示す。例えば、語句「約20%」は、18〜22%の範囲を包含する。
III.実施形態の詳細な説明
本発明は、遊離成熟組換えフォン・ヴィルブランド因子(rVWF)を含有する高純度組成物を取得するための方法に関し、前記方法は以下の工程を含む:少なくとも1つのキレート剤を含むかまたは少なくともpH7を有する溶液(例えば、解離溶液)を用いてrVWFプロペプチドから成熟rVWFを解離する工程;rVWFプロペプチドから遊離成熟rVWFを分離する工程;及び、少なくとも95%の遊離成熟rVWFと5%未満のrVWFプロペプチドとを含む遊離成熟rVWF組成物を回収する工程。
本発明の方法は、成熟VWFを、そのVWFプロペプチドからin vitroで分離することに特に適している。いくつかの実施形態では、成熟VWF及びVWF−PPを含む溶液に1つ以上のキレート剤を添加するか、溶液のpHを少なくとも7.0に上昇させるか、またはそれらの組み合わせによって、分離を誘導する。いくつかの実施形態では、pHを、pH7.0〜pH9.0の範囲に上昇させる。
分離方法には、成熟VWFをVWF−PPから単離するための1つ以上のタンパク質分離方法、例えば、クロマトグラフィー法の使用が含まれ得るが、これらに限定されない。この方法は、高純度の遊離の成熟rVWF組成物を産生することができる。いくつかの実施形態では、遊離の成熟rVWF組成物は、少なくとも95%の遊離の成熟rVWF及び5%未満の遊離のrVWF−PP及び/またはmatVWF/VWF−PP複合体を含む。いくつかの場合では、遊離の成熟rVWF組成物は、少なくとも96%の遊離の成熟rVWF及び4%未満の遊離のrVWF−PP及び/またはmatVWF/VWF−PP複合体、少なくとも97%の遊離の成熟rVWF及び3%未満の遊離のrVWF−PP及び/またはmatVWF/VWF−PP複合体、少なくとも98%の遊離の成熟rVWF及び2%未満の遊離のrVWF−PP及び/またはmatVWF/VWF−PP複合体、少なくとも99%の遊離の成熟rVWF−PP及び1%未満の遊離のrVWF−PP及び/またはmatVWF/VWF−PP複合体、少なくとも99.5%の遊離の成熟rVWF及び0.5%未満の遊離のrVWF−PP/PP及び/またはmatVWF/VWF−PP複合体を含む。
a.陰イオン交換クロマトグラフィー精製
本方法の一態様では、成熟rVWF(mat−rVWF)を、陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィーを用いてrVWF−PPから分離する。いくつかの場合では、残存する、CHO宿主細胞タンパク質などの宿主細胞由来不純物、組換えフューリンや低分子量ウイルス不活化試薬などのプロセス関連不純物、ダイズペプトンなどの培地化合物、及び他の生成物関連不純物を、成熟VWFから除去する。
本方法の別の態様では、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて、rVWF−PP、例えば、残留rVWF−PPまたは遊離rVWF−PPから成熟rVWFを分離する。分離のために、開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物には、低pH及び少なくとも1つのキレート剤を含ませることができる。ローディング組成物は、フロースルーモードで動作する陰イオン交換体に添加することができる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液は、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含む。いくつかの実施形態では、陰イオン交換体を結合モードで動作させ、成熟VWFとVWF−PPを、少なくとも1つのキレート剤を含む濃度勾配溶出緩衝液を使用して分離する。他の実施形態では、濃度勾配溶出緩衝液は、中性〜高pH、例えば、pH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。別の実施形態では、濃度勾配溶出緩衝液は、1つ以上のキレート剤を含み、pH7.0以上、例えば、pH7.0〜pH9.0を有する。例えば、濃度勾配溶出緩衝液には、EDTAを含ませることができ、pHを8.5とすることができる。
いくつかの実施形態では、本発明は、プロペプチドを枯渇させた高純度成熟組換えrVWF(高純度mat−rVWF)を含む組成物を取得するための方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:(a)プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含む溶液を陰イオン交換カラムにロードし、前記プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFを前記陰イオン交換カラムに結合させる工程;(b)前記結合したプロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFを含有するa)の前記陰イオン交換カラムを1つ以上の洗浄緩衝液で洗浄する工程;(c)前記結合したプロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFを含むb)の前記カラムをフューリンで処理する工程であって、前記フューリンが前記プロrVWFをmat−rVWFとrVWF−PPに切断する、工程;(d)前記結合したプロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFをc)の前記カラムから溶出緩衝液で溶出する工程であって、前記溶出緩衝液が、前記rVWF−PPと非共有結合的に会合しているmat−rVWFからの前記rVWF−PPの解離を誘導し、前記解離を、(i)少なくとも1つのキレート剤を前記溶出緩衝液に添加することまたは(ii)前記溶出緩衝液のpHを少なくともpH7に上昇させることによって誘導する、工程;ならびに(e)前記mat−rVWFを前記rVWF−PPから分離させて回収し、高純度mat−rVWF組成物を取得する工程であって、前記高純度mat−rVWF組成物が、少なくとも95%の成熟rVWFと5%未満のrVWF−PPを含む、工程。
いくつかの実施形態では、a)及びb)を、単一工程で同時に行う。いくつかの実施形態では、a)の溶液は、免疫親和性精製法由来のフロースルーを含む。いくつかの実施形態では、a)の溶液は、モノクローナル抗体カラム由来のフロースルーを含み、前記モノクローナル抗体は、FVIIIモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、a)の溶液は、細胞培養培地、抗体カラムフロースルー溶液、及び緩衝溶液からなる群から選択される。
工程(b)のいくつかの実施形態では、前記結合したプロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFを含むa)の前記陰イオン交換カラムの洗浄は、1つ以上の洗浄緩衝液による洗浄を用い、その場合、1つ以上の洗浄緩衝液には、1つ、2つ、3つ、4つ、及び/または5つの洗浄緩衝液が含まれる。いくつかの実施形態では、第2の洗浄緩衝液は、ウイルス不活化用の成分を含む。いくつかの実施形態では、4つまたは5つの洗浄緩衝液を用いる場合、第2の洗浄緩衝液は、ウイルス不活化用の成分を含む。いくつかの実施形態では、4つまたは5つの洗浄緩衝液を用いる場合、第2または第3の洗浄緩衝液は、ウイルス不活化処理用の成分を含む。いくつかの実施形態では、ウイルス不活化処理は、溶媒及び界面活性剤(S/D)処理である。いくつかの実施形態では、5つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1、第2、第3、及び/または第5の洗浄緩衝液は、第4の洗浄緩衝液よりも高いpHを有する。いくつかの実施形態では、5つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1、第2、第3、及び第5の洗浄緩衝液は約pH7〜pH8のpHを有し、第4の洗浄緩衝液は約pH5〜6のpHを有する。いくつかの実施形態では、5つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1、第2、第3、及び/または第5の洗浄緩衝液は、pH7.4〜pH7.5前後のpHを有し、第4の洗浄緩衝液は、約pH5.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、ウイルス不活化処理工程を、第4の洗浄緩衝液よりも高いpHを有する緩衝液で行う。いくつかの実施形態では、4つの洗浄緩衝液を用いる場合、ウイルス不活化処理工程を、第1の洗浄緩衝液の後に用いる。いくつかの実施形態では、4つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1、第2、及び第4の洗浄緩衝液は、第3の洗浄緩衝液よりも高いpHを有する。いくつかの実施形態では、ウイルス不活化処理工程を、第3の洗浄緩衝液よりも高いpHを有する緩衝液で行う。いくつかの実施形態では、ウイルス不活化工程を、第1、第2、及び/または第4の洗浄緩衝液と同じpHを有する緩衝液で行う。いくつかの実施形態では、4つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1、第2、及び第4の洗浄緩衝液は、約pH7〜約pH8のpHを有し、第3の洗浄緩衝液は、約pH5〜約pH6のpHを有する。いくつかの実施形態では、4つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1、第2、及び第4の洗浄緩衝液は、約pH7.4〜pH7.5のpHを有し、第3の洗浄緩衝液は、約pH5.5のpHを有する。
陰イオン交換クロマトグラフィーは、当業者によって認識されるように実施することができる。いくつかの実施形態では、陰イオン交換体として、STREAMLINE Q XL(商標)、POROS 50 PI(商標)、Q SEPHAROSE(商標)、Emphase(商標)AEX Hybrid Purifier、Nuvia Q、POROS 50 HQ、Capto Q、Capto Q impress、Unosphere Q、Q Ceramic HYPERD(登録商標)F、TOYOPEARL(登録商標)Q、TOYOPEARL(登録商標)Super Q、混合モードAEX樹脂(例えば、Capto Adhere、Capto adhere impress、またはMEP Hypercell)、ならびに任意のDEAE、TMAE、第三級もしくは第四級アミン、またはPEI系樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、陰イオン交換体は、膜陰イオン交換体である。いくつかの実施形態では、膜陰イオン交換体として、Sartobind Q(登録商標)、Sartobind STIC(登録商標)PA、Mustang Q(登録商標)、またはChromaSorb(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、陰イオン交換体は、Fractogel TMAEカラム(Merck−Millipore)またはその等価体である。
いくつかの実施形態では、プロVWFのローディング濃度は、約90IU/ml〜約270IU/ml樹脂、例えば、約90IU/ml〜約270IU/ml、約100IU/ml〜約270IU/ml、約110IU/ml〜約270IU/ml、約120IU/ml〜約270IU/ml、約130IU/ml〜約270IU/ml、約130IU/ml〜約270IU/ml、約140IU/ml〜約270IU/ml、約150IU/ml〜約270IU/ml、約90IU/ml〜約250IU/ml、約100IU/ml〜約250IU/ml、約110IU/ml〜約250IU/ml、約120IU/ml〜約250IU/ml、約130IU/ml〜約250IU/ml、約130IU/ml〜約250IU/ml、約140IU/ml〜約250IU/ml、約150IU/ml〜約250IU/ml、約90IU/ml〜約200IU/ml、約100IU/ml〜約200IU/ml、約110IU/ml〜約200IU/ml、約120IU/ml〜約200IU/ml、約130IU/ml〜約200IU/ml、約130IU/ml〜約200IU/ml、約140IU/ml〜約200IU/ml、約150IU/ml〜約200IU/ml、約90IU/ml〜約100IU/ml、約100IU/ml〜約150IU/ml、約150IU/ml〜約200IU/ml、約200IU/ml〜約250IU/ml、または約250IU/ml〜約270IU/ml樹脂である。
いくつかの実施形態では、陰イオン交換法は、緩衝系を含む。いくつかの実施形態では、緩衝系は、1つ以上の溶出緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝系は、1つ以上の洗浄緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝系は、少なくとも1つの溶出緩衝液及び少なくとも1つの洗浄緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝系は、少なくとも2つの溶出緩衝液及び少なくとも2つの洗浄緩衝液を含む。
いくつかの実施形態では、ローディング濃度は、約90IU/ml〜約270IU/ml樹脂、例えば、約90IU/ml〜約270IU/ml、約100IU/ml〜約270IU/ml、約110IU/ml〜約270IU/ml、約120IU/ml〜約270IU/ml、約130IU/ml〜約270IU/ml、約130IU/ml〜約270IU/ml、約140IU/ml〜約270IU/ml、約150IU/ml〜約270IU/ml、約90IU/ml〜約250IU/ml、約100IU/ml〜約250IU/ml、約110IU/ml〜約250IU/ml、約120IU/ml〜約250IU/ml、約130IU/ml〜約250IU/ml、約130IU/ml〜約250IU/ml、約140IU/ml〜約250IU/ml、約150IU/ml〜約250IU/ml、約90IU/ml〜約200IU/ml、約100IU/ml〜約200IU/ml、約110IU/ml〜約200IU/ml、約120IU/ml〜約200IU/ml、約130IU/ml〜約200IU/ml、約130IU/ml〜約200IU/ml、約140IU/ml〜約200IU/ml、約150IU/ml〜約200IU/ml、約90IU/ml〜約100IU/ml、約100IU/ml〜約150IU/ml、約150IU/ml〜約200IU/ml、約200IU/ml〜約250IU/ml、または約250IU/ml〜約270IU/ml樹脂である。
いくつかの実施形態では、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含む開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物のpHは、pH6.0〜pH9.0、例えば、pH6.0〜pH9.0、pH6.3〜pH9.0、pH6.5〜pH9.0、pH7.0〜pH9.0、pH7.5〜pH9.0、pH7.7.0〜pH9.0、pH8.0〜pH9.0、pH6.0〜pH8.5、pH6.5〜pH8.5、pH7.0〜pH8.5、pH7.5〜pH8.5、pH6.0〜pH8.0、pH6.5〜pH8.0、pH7.0〜pH8.0、pH7.5〜pH8.0、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、またはpH9.0である。
いくつかの実施形態では、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含む開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物の導電性は、約5mS/cm〜約40mS/cm、例えば、約5mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約15mS/cm〜約40mS/cm、約20mS/cm〜約40mS/cm、約25mS/cm〜約40mS/cm、約30mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約30mS/cm、約5mS/cm〜約15mS/cm、約15mS/cm〜約30mS/cm、または約20mS/cm〜約40mS/cmである。
いくつかの実施形態では、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含む開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物を、クエン酸ナトリウム、例えば、限定されないが、10mM〜80mMクエン酸ナトリウム、15mM〜80mMクエン酸ナトリウム、10mM〜80mMクエン酸ナトリウム、15mM〜60mMクエン酸ナトリウム、20mM〜60mMクエン酸ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、40mMクエン酸ナトリウム、50mMクエン酸ナトリウム、55mMクエン酸ナトリウム、60mMクエン酸ナトリウム、65mMクエン酸ナトリウム、70mMクエン酸ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム、80mMクエン酸ナトリウムなどを含む緩衝液で希釈する。
いくつかの実施形態では、第1の洗浄緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含み、場合によりpH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の洗浄緩衝液は、pH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有し、場合により、少なくとも1つのキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、第1の洗浄緩衝液は、pH6.0〜pH6.9の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の洗浄緩衝液は、pH7.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の洗浄緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含むことができ、pH6.0〜pH6.9の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、洗浄溶出緩衝液は、pH7未満を有する。一実施形態では、第2の洗浄緩衝液は、pH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1の洗浄緩衝液はpH7未満を有し、第2の洗浄緩衝液はpH7超を有する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液は、120mM〜200mM、130mM〜200mM、140mM〜200mM、150mM〜200mM、120mM〜190mM、130mM〜190mM、140mM〜190mM、150mM〜190mM、120mM〜180mM、130mM〜180mM、140mM〜180mM、150mM〜180mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、150mM、155mM、160mM、165mM、170mM、175mM、180mM、185mM、190mM、195mM、または200mMのNaCl濃度を有する。
いくつかの実施形態では、成熟VWF及びVWF−PPを含む開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物を、少なくとも1つのキレート剤を含む緩衝液と接触させ、場合により緩衝液はpH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物を、pH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有する緩衝液と接触させ、場合により緩衝液は少なくとも1つのキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、pH7.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、緩衝液は洗浄緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は溶出緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、pH6.0〜6.9を有する洗浄緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、pH7.0〜9.0を有する溶出緩衝液である。いくつかの実施形態では、成熟VWF及びVWF−PPを含む開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物を、第1にpH6.0〜6.9を有する洗浄緩衝液と、第2にpH7.0〜9.0を有する少なくとも1つの溶出緩衝液と接触させる。
いくつかの実施形態では、成熟VWFを、1つの溶出緩衝液を用いて陰イオン交換クロマトグラフィー工程で溶出する。いくつかの実施形態では、成熟VWFを、複数の溶出緩衝液を含む濃度勾配溶出法を用いて陰イオン交換クロマトグラフィー工程で溶出する。例えば、2つの溶出緩衝液、例えば第1の溶出緩衝液及び第2の溶出緩衝液を用いて溶出を実施することができる。いくつかの実施形態では、第1の溶出緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含み、場合によりpH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の溶出緩衝液は、pH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有し、場合により少なくとも1つのキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、第1の溶出緩衝液は、pH6.0〜pH6.9の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の溶出緩衝液は、pH7.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の溶出緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含むことができ、pH6.0〜pH6.9の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の溶出緩衝液は、pH7未満を有する。一実施形態では、第2の溶出緩衝液は、pH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの溶出緩衝液を用いる場合、第1の溶出緩衝液はpH7未満を有し、第2の溶出緩衝液はpH7超を有する。
いくつかの実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィー工程用の洗浄緩衝液のpHは、pH6.0〜pH9.0、例えば、pH6.0〜pH9.0、pH6.3〜pH9.0、pH6.5〜pH9.0、pH7.0〜pH9.0、pH7.5〜pH9.0、pH7.7.0〜pH9.0、pH8.0〜pH9.0、pH6.0〜pH8.5、pH6.5〜pH8.5、pH7.0〜pH8.5、pH7.5〜pH8.5、pH6.0〜pH8.0、pH6.5〜pH8.0、pH7.0〜pH8.0、pH7.5〜pH8.0、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、pH9.0である。いくつかの実施形態では、それは、2つの溶出緩衝液が存在する場合、例えば第1及び第2の溶出緩衝液を含む。
いくつかの実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィー工程用の溶出緩衝液のpHは、pH6.0〜pH9.0、例えば、pH6.0〜pH9.0、pH6.3〜pH9.0、pH6.5〜pH9.0、pH7.0〜pH9.0、pH7.5〜pH9.0、pH7.7.0〜pH9.0、pH8.0〜pH9.0、pH6.0〜pH8.5、pH6.5〜pH8.5、pH7.0〜pH8.5、pH7.5〜pH8.5、pH6.0〜pH8.0、pH6.5〜pH8.0、pH7.0〜pH8.0、pH7.5〜pH8.0、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、pH9.0である。いくつかの実施形態では、それは、2つの溶出緩衝液が存在する場合、例えば第1及び第2の溶出緩衝液を含む。
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHを、工程a)の開始溶液に比べて上昇させ、2つの溶出緩衝液を用いる場合には第1の溶出緩衝液に比べて上昇させ、及び/または洗浄緩衝液を用いる場合には洗浄緩衝液に比べて上昇させる。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液及び溶出緩衝液を用いる場合、洗浄緩衝液はpH7未満を有し、溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの溶出緩衝液を用いる場合、一方の溶出緩衝液はpH7未満を有し、他方の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、洗浄緩衝液はpH7未満を有し、両方の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、洗浄緩衝液及び第1の溶出緩衝液はpH7未満を有し、第2の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、洗浄緩衝液及び第1の溶出緩衝液はpH7未満を有し、第2の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、両方の洗浄緩衝液はpH7未満を有し、両方の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、第1の洗浄緩衝液はpH7未満を有し、第2の洗浄緩衝液及び両方の溶出緩衝液はpH7超を有する。
いくつかの実施形態では、方法の工程(a)に記載のように、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含むローディング溶液に比べて、1つ以上の洗浄緩衝液及び/または溶出緩衝液のpHを少なくとも7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0に上昇させる。いくつかの実施形態では、方法の工程(a)の溶液中のmat−rVWF/rVWF−PP複合体からmat−rVWF及びrVWF−PPへの解離を誘導するために、緩衝液のpHを、少なくとも7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0に上昇させ、その場合、前記解離は、非共有結合的に会合したmat−rVWFとrVWF−PPが分断されることにより生じる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを、少なくとも約7.2〜約7.8に上昇させる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを、少なくとも約7.6に上昇させる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを、塩基性アミノ酸の添加によって上昇させる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを少なくとも7に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液のpHを少なくとも約7.2〜約7.8に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液のpHを、少なくとも約7.6に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液のpHを、塩基性アミノ酸の添加によって上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液は、少なくともpH7を示す。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液のpHを、少なくとも約7.2〜約7.8に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液のpHを、少なくとも約7.6に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液のpHを、塩基性アミノ酸の添加によって上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液は、少なくともpH7を示す。
いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液(洗浄緩衝液、及び/または溶出緩衝液を含む)は、1つ以上のキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含む。キレート剤は、二価陽イオンキレート剤とすることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのキレート剤は、二価陽イオンキレート剤である。いくつかの実施形態では、二価陽イオンキレート剤は、EDTA、EGTA、CDTA、及びクエン酸塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、二価陽イオンキレート剤は、NTA、DTPA、EDDS、EDTA、EGTA、CDTA、及びクエン酸塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、キレート剤はNTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はDTPAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はEDDSである。いくつかの実施形態では、キレート剤はEDTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はEGTAである。いくつかの実施形態ではキレート剤はCDTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はクエン酸塩である。いくつかの実施形態では、b)の1つ以上の洗浄緩衝液は、前記1つ以上のキレート剤を含み、少なくともpH7を示す。
いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液(洗浄及び/または溶出緩衝液を含む)は、10mM〜80mMクエン酸ナトリウム、15mM〜80mMクエン酸ナトリウム、10mM〜80mMクエン酸ナトリウム、15mM〜60mMクエン酸ナトリウム、20mM〜60mMクエン酸ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、40mMクエン酸ナトリウム、50mMクエン酸ナトリウム、55mMクエン酸ナトリウム、60mMクエン酸ナトリウム、65mMクエン酸ナトリウム、70mMクエン酸ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム、80mmクエン酸ナトリウムなどを含むがこれらに限定されない範囲のクエン酸ナトリウムを含む。
いくつかの実施形態では、第1の溶出緩衝液は、10mM〜60mMクエン酸ナトリウム、15mM〜60mMクエン酸ナトリウム、10mM〜50mMクエン酸ナトリウム、15mM〜50mMクエン酸ナトリウム、20mM〜60mMクエン酸ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、40mMクエン酸ナトリウム、50mMクエン酸ナトリウム、60mMクエン酸ナトリウムなどを含むがこれらに限定されない範囲のクエン酸ナトリウムをさらに含む。
いくつかの実施形態では、第2の溶出緩衝液は、例えば、10mM〜60mMクエン酸ナトリウム、15mM〜60mMクエン酸ナトリウム、10mM〜50mMクエン酸ナトリウム、15mM〜50mMクエン酸ナトリウム、20mM〜60mMクエン酸ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、40mMクエン酸ナトリウム、50mMクエン酸ナトリウム、60mMクエン酸ナトリウムなどであるがこれらに限定されないクエン酸ナトリウムをさらに含む。
いくつかの実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィー工程の溶出緩衝液A及び/または溶出緩衝液Bは、約0.5mM〜約20mM EDTA、例えば、約0.5mM〜約20mM、約1mM〜約20mM、約1.5mM〜約20mM、約2mM〜約20mM、約3mM〜約20mM、約5mM〜約20mM、約0.5mM〜約15mM、約1mM〜約10mM、約1mM〜約5mM、約5mM、約0.5mmm、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mMなどを含む。
いくつかの実施形態では、クエン酸塩は、陰イオン交換法を用いてrVWFプロペプチドを除去した後の溶出物中に見出すことができる。いくつかの実施形態では、クエン酸塩は、段階的陰イオン交換溶出法を用いてrVWFプロペプチドを除去した後の溶出物中に見出すことができる。いくつかの実施形態では、クエン酸塩は、濃度勾配陰イオン交換溶出法を用いてrVWFプロペプチドを除去した後の溶出物中に見出すことができる。いくつかの実施形態では、陰イオン交換の対イオンはクエン酸3−である。
本明細書に記載の緩衝液(緩衝系)のいずれも、グリシン、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、トリスHCl(トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン)、ヒスチジン、イミダゾール、酢酸クエン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、MES、リン酸塩、トリスHCl、ビス−トリス、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニンHCl、リジンHCl、及び2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸からなる群から、単一の緩衝液として、または2つ以上の緩衝液の組み合わせとして選択することができる。いくつかの実施形態では、緩衝液は、グリシンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、トリスHCl(トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン)を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、イミダゾールを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸クエン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、クエン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、MESを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、リン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、トリスHClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ビス−トリスを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、イミダゾールを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、アルギニンHClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、リジンHClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、本明細書に記載の緩衝液のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、グリシンHEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、トリスHCl(トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン)、ヒスチジン、イミダゾール、酢酸クエン酸塩、MES、及び2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、25℃で≧0.5mS/cmの導電性を示す少なくとも1つの緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、25℃で20.0±0.2mS/cmの導電性を示す少なくとも1つの緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、25℃で17.0±0.2mS/cmの導電性を示す少なくとも1つの緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、25℃で15.0±0.2mS/cmの導電性を示す少なくとも1つの緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、25℃で12.0±0.2mS/cmの導電性を示す少なくとも1つの緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、25℃で10.0±0.2mS/cmの導電性を示す少なくとも1つの緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、25℃で5.0±0.2mS/cmの導電性を示す少なくとも1つの緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、25℃で2.0±0.2mS/cmの導電性を示す少なくとも1つの緩衝液を含む。
いくつかの実施形態では、本方法の1つ以上の洗浄工程の流速は、約10cm/時間〜約200cm/時間、例えば、約10cm/時間、約15cm/時間、約20cm/時間、約25cm/時間、約30cm/時間、約35cm/時間、約40cm/時間、約45cm/時間、約50cm/時間、約55cm/時間、約60cm/時間、約65cm/時間、約70cm/時間、約75cm/時間、約80cm/時間、約85cm/時間、約90cm/時間、約95cm/時間、約100cm/時間、約105cm/時間、約110cm/時間、約115cm/時間、約120cm/時間、約125cm/時間、約130cm/時間、約135cm/時間、約140cm/時間、約145cm/時間、約150cm/時間、約155cm/時間、約160cm/時間、約165cm/時間、約170cm/時間、約175cm/時間、約180cm/時間、約185cm/時間、約190cm/時間、約195cm/時間、または約200cm/時間である。樹脂に応じて、いくつかの実施形態では流速を最大600cm/時間とすることができる。
いくつかの実施形態では、本方法の1つ以上の溶出工程の流速は、約10cm/時間〜約200cm/時間、例えば、約10cm/時間、約15cm/時間、約20cm/時間、約25cm/時間、約30cm/時間、約35cm/時間、約40cm/時間、約45cm/時間、約50cm/時間、約55cm/時間、約60cm/時間、約65cm/時間、約70cm/時間、約75cm/時間、約80cm/時間、約85cm/時間、約90cm/時間、約95cm/時間、約100cm/時間、約105cm/時間、約110cm/時間、約115cm/時間、約120cm/時間、約125cm/時間、約130cm/時間、約135cm/時間、約140cm/時間、約145cm/時間、約150cm/時間、約155cm/時間、約160cm/時間、約165cm/時間、約170cm/時間、約175cm/時間、約180cm/時間、約185cm/時間、約190cm/時間、約195cm/時間、または約200cm/時間である。樹脂に応じて、いくつかの実施形態では流速を最大600cm/時間とすることができる。
いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上の非イオン性界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Triton X−100、Tween80、及びTween20からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Triton X−100である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Tween80である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Tween20である。
いくつかの実施形態では、前記1つ以上の緩衝液は、非還元糖、糖アルコール、及びポリオールからなる群から選択される1つ以上の追加の物質をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上の非還元糖をさらに含む。いくつかの実施形態では、非還元糖として、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、及び/またはキシリトールを挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上の糖アルコールをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上のポリオールをさらに含む。いくつかの実施形態では、糖アルコールまたはポリオールとして、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、スレイトール、ソルビトール、及び/またはグリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、緩衝液は、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、1,2,3−プロパントリオール)、メソエリスリトール、及び/またはエリスリトール(メソ−1,2,3,4−ブタンテロール)をさらに含む。
いくつかの実施形態では、緩衝液は、1つ以上の一価陽イオンを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の一価陽イオンは、Na+、K+、Li+、Cs+、及びNH4 +からなる群から選択される。例えば、一価の陽イオンを、Na+とすることができる。他の実施形態では、緩衝液は、1つ以上の一価、二価、及び/または三価陰イオンを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の一価、二価及び/または三価陰イオンは、Cl−、酢酸−、SO4 2−、Br−、クエン酸3−、PO4 3−、及びBO3 3−からなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、緩衝液は、非還元糖、及び糖アルコールからなる群から選択される1つ以上の追加の物質を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上の一価陽イオンをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の一価陽イオンは、Na+、K+、Li+、及びCs+からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、一価陽イオンは、Na+である。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上の一価、二価、及び/または三価陰イオンをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の一価、二価及び/または三価陰イオンは、Cl−、酢酸−、SO4 2−、Br−、及びクエン酸3−からなる群から選択される。
いずれの緩衝液のpHも、アミノ酸、トリス、NaOH、エタノールアミンなどを添加することによって調整する(上昇させる)ことができる。
いくつかの実施形態では、陰イオン交換法の緩衝液とキレート剤の組み合わせは、クエン酸塩、リンゴ酸塩(リンゴ酸)、酒石酸塩(酒石酸)を含む。
b.陽イオン交換クロマトグラフィー精製
本方法の一態様では、成熟VWF(matVWF)を、陽イオン交換(CEX)クロマトグラフィーを用いてVWF−PPから分離する。いくつかの場合では、残存する、CHO宿主細胞タンパク質などの宿主細胞由来不純物、組換えフューリン及び低分子量ウイルス不活化試薬などのプロセス関連不純物、ダイズペプトンなどの培地化合物、及び他の生成物関連不純物を、成熟VWFから除去する。
本方法の別の態様では、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて残留VWF−PPまたは遊離VWF−PPなどのVWF−PPから成熟VWFを分離する。分離のために、開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物には、低pH及び少なくとも1つのキレート剤を含ませることができる。いくつかの実施形態では、開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物は、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含む。いくつかの実施形態では、陽イオン交換体を結合モードで動作させ、成熟VWFとVWF−PPを、少なくとも1つのキレート剤を含む濃度勾配溶出緩衝液を使用して分離する。他の実施形態では、濃度勾配溶出緩衝液は、pH6.0〜pH9.0の範囲のpHのような中性から高いpHを有する。別の実施形態では、濃度勾配溶出緩衝液は、1つ以上のキレート剤を含み、pH7.0以上、例えば、pH7.0〜pH9.0を有する。例えば、濃度勾配溶出緩衝液には、EDTAを含ませることができ、pHを8.5とすることができる。
いくつかの実施形態では、本発明は、プロペプチドを枯渇させた高純度成熟組換えrVWF(高純度mat−rVWF)を含む組成物を取得するための方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:(a)プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含む溶液を陽イオン交換カラムにロードし、前記プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFを前記陽イオン交換カラムに結合させる工程;(b)前記結合したプロ−rVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFを含有するa)の前記陽イオン交換カラムを1つ以上の洗浄緩衝液で洗浄する工程;(c)前記結合したプロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFを含むb)の前記カラムをフューリンで処理する工程であって、前記フューリンが前記プロrVWFをmat−rVWFとrVWF−PPに切断する、工程;(d)前記結合したプロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFをc)の前記カラムから溶出緩衝液で溶出する工程であって、前記溶出緩衝液が、前記rVWF−PPと非共有結合的に会合しているmat−rVWFからの前記rVWF−PPの解離を誘導し、前記解離を、(i)少なくとも1つのキレート剤を前記溶出緩衝液に添加することまたは(ii)前記溶出緩衝液のpHを少なくともpH7に上昇させることによって誘導する、工程;ならびに(e)前記mat−rVWFを前記rVWF−PPから分離させて回収し、高純度mat−rVWF組成物を取得する工程であって、前記高純度mat−rVWF組成物が、少なくとも95%の成熟rVWFと5%未満のrVWF−PPを含む、工程。
いくつかの実施形態では、a)及びb)を、単一工程で同時に行う。いくつかの実施形態では、a)の溶液は、免疫親和性精製法由来のフロースルーを含む。いくつかの実施形態では、a)の溶液は、モノクローナル抗体カラム由来のフロースルーを含み、前記モノクローナル抗体は、FVIIIモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、a)の溶液は、細胞培養培地、抗体カラムフロースルー溶液、及び緩衝溶液からなる群から選択される。
陽イオン交換体を、結合モードで動作させて、成熟VWFとVWF−PPを分離することができる。陽イオン交換クロマトグラフィーは、当業者によって認識されるように実施することができる。いくつかの実施形態では、陽イオン交換体として、POROS(登録商標)S(Applied Biosystems)、Convective Interaction Media(CIM(登録商標);BIA Separation)、Toyopearl Gigacap S(Tosoh Bioscience,Montgomeryville,PA)、Toyopearl Gigacap CM(Tosoh)、Toyopearl SP(Tosoha)、Toyopearl CM(Tosoh)、MacroPrep S(Bio−rad,Hercules,CA)、UNOsphereS(Bio−rad,Hercules,CA)、MacroprepCM((Bio−rad,Hercules,CA)、Fractogel EMD SO3(Merck)、Fractogel EMD COO(Merck)、Fractogel EMD SE Hicap(Merck)、セルフィン硫酸塩(JNC)、CM及びSP Trisacryl(Pall)、CM及びS HyperD(Pall)、S及びCM Sepharose CL(GE Healthcare)、S及びCM Sepharose FF(GE Healthcare)、S及びCM CAPTO(商標)(GE Healthcare)、MonoS(GE Healthcare)、Source S(GE Healthcare)、Nuvia S(Merck)、またはセルフィンリン酸塩(JNC)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、陽イオン交換体は膜陽イオン交換体である。いくつかの実施形態では、膜イオン交換体には、Mustang S(Pall)またはSartobind(登録商標)Sが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、陽イオン交換体は、UNO_Sphere Sカラム(Bio−Rad)またはその均等物である。
工程(b)のいくつかの実施形態では、前記結合したプロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFを含むa)の前記陽イオン交換カラムの洗浄は、1つ以上の洗浄緩衝液による洗浄を用い、その場合、1つ以上の洗浄緩衝液には、1つ、2つ、3つ、4つ、及び/または5つの洗浄緩衝液が含まれる。いくつかの実施形態では、第2の洗浄緩衝液は、ウイルス不活化用の成分を含む。いくつかの実施形態では、4つまたは5つの洗浄緩衝液を用いる場合、第2の洗浄緩衝液は、ウイルス不活化用の成分を含む。いくつかの実施形態では、4つまたは5つの洗浄緩衝液を用いる場合、第2または第3の洗浄緩衝液は、ウイルス不活化処理用の成分を含む。いくつかの実施形態では、ウイルス不活化処理は、溶媒及び界面活性剤(S/D)処理である。いくつかの実施形態では、5つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1、第2、第3、及び/または第5の洗浄緩衝液は、第4の洗浄緩衝液よりも高いpHを有する。いくつかの実施形態では、5つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1、第2、第3、及び第5の洗浄緩衝液は約pH7〜pH8のpHを有し、第4の洗浄緩衝液は約pH5〜6のpHを有する。いくつかの実施形態では、5つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1、第2、第3、及び/または第5の洗浄緩衝液は、pH7.4〜pH7.5前後のpHを有し、第4の洗浄緩衝液は、約pH5.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、ウイルス不活化処理工程を、第4の洗浄緩衝液よりも高いpHを有する緩衝液で行う。いくつかの実施形態では、4つの洗浄緩衝液を用いる場合、ウイルス不活化処理工程を、第1の洗浄緩衝液の後に用いる。いくつかの実施形態では、4つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1、第2、及び第4の洗浄緩衝液は、第3の洗浄緩衝液よりも高いpHを有する。いくつかの実施形態では、ウイルス不活化処理工程を、第3の洗浄緩衝液よりも高いpHを有する緩衝液で行う。いくつかの実施形態では、ウイルス不活化工程を、第1、第2、及び/または第4の洗浄緩衝液と同じpHを有する緩衝液で行う。いくつかの実施形態では、4つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1、第2、及び第4の洗浄緩衝液は、約pH7〜約pH8のpHを有し、第3の洗浄緩衝液は、約pH5〜約pH6のpHを有する。いくつかの実施形態では、4つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1、第2、及び第4の洗浄緩衝液は、約pH7.4〜pH7.5のpHを有し、第3の洗浄緩衝液は、約pH5.5のpHを有する。
いくつかの実施形態では、プロVWFのローディング濃度は、約90IU/ml〜約270IU/ml樹脂、例えば、約90IU/ml〜約270IU/ml、約100IU/ml〜約270IU/ml、約110IU/ml〜約270IU/ml、約120IU/ml〜約270IU/ml、約130IU/ml〜約270IU/ml、約130IU/ml〜約270IU/ml、約140IU/ml〜約270IU/ml、約150IU/ml〜約270IU/ml、約90IU/ml〜約250IU/ml、約100IU/ml〜約250IU/ml、約110IU/ml〜約250IU/ml、約120IU/ml〜約250IU/ml、約130IU/ml〜約250IU/ml、約130IU/ml〜約250IU/ml、約140IU/ml〜約250IU/ml、約150IU/ml〜約250IU/ml、約90IU/ml〜約200IU/ml、約100IU/ml〜約200IU/ml、約110IU/ml〜約200IU/ml、約120IU/ml〜約200IU/ml、約130IU/ml〜約200IU/ml、約130IU/ml〜約200IU/ml、約140IU/ml〜約200IU/ml、約150IU/ml〜約200IU/ml、約90IU/ml〜約100IU/ml、約100IU/ml〜約150IU/ml、約150IU/ml〜約200IU/ml、約200IU/ml〜約250IU/ml、または約250IU/ml〜約270IU/ml樹脂である。
いくつかの実施形態では、陽イオン交換法は、緩衝系を含む。いくつかの実施形態では、緩衝系は、1つ以上の溶出緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝系は、1つ以上の洗浄緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝系は、少なくとも1つの溶出緩衝液及び少なくとも1つの洗浄緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝系は、少なくとも2つの溶出緩衝液及び少なくとも2つの洗浄緩衝液を含む。
いくつかの実施形態では、第1の洗浄緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含み、場合によりpH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の洗浄緩衝液は、pH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有し、場合により、少なくとも1つのキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、第1の洗浄緩衝液は、pH6.0〜pH6.9の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の洗浄緩衝液は、pH7.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の洗浄緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含むことができ、pH6.0〜pH6.9の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、洗浄溶出緩衝液は、pH7未満を有する。一実施形態では、第2の洗浄緩衝液は、pH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの洗浄緩衝液を用いる場合、第1の洗浄緩衝液はpH7未満を有し、第2の洗浄緩衝液はpH7超を有する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液は、120mM〜200mM、130mM〜200mM、140mM〜200mM、150mM〜200mM、120mM〜190mM、130mM〜190mM、140mM〜190mM、150mM〜190mM、120mM〜180mM、130mM〜180mM、140mM〜180mM、150mM〜180mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、150mM、155mM、160mM、165mM、170mM、175mM、180mM、185mM、190mM、195mM、または200mMのNaCl濃度を有する。
いくつかの実施形態では、成熟VWF及びVWF−PPを含む開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物を、少なくとも1つのキレート剤を含む緩衝液と接触させ、場合により緩衝液はpH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物を、pH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有する緩衝液と接触させ、場合により緩衝液は少なくとも1つのキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、pH7.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、緩衝液は洗浄緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は溶出緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、pH6.0〜6.9を有する洗浄緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、pH7.0〜9.0を有する溶出緩衝液である。いくつかの実施形態では、成熟VWF及びVWF−PPを含む開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物を、第1にpH6.0〜6.9を有する洗浄緩衝液と、第2にpH7.0〜9.0を有する少なくとも1つの溶出緩衝液と接触させる。
いくつかの実施形態では、成熟VWFを、1つの溶出緩衝液を用いて陰イオン交換クロマトグラフィー工程で溶出する。いくつかの実施形態では、成熟VWFを、複数の溶出緩衝液を含む濃度勾配溶出法を用いて陰イオン交換クロマトグラフィー工程で溶出する。例えば、2つの溶出緩衝液、例えば第1の溶出緩衝液及び第2の溶出緩衝液を用いて溶出を実施することができる。いくつかの実施形態では、第1の溶出緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含み、場合によりpH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の溶出緩衝液は、pH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有し、場合により少なくとも1つのキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、第1の溶出緩衝液は、pH6.0〜pH6.9の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の溶出緩衝液は、pH7.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の溶出緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含むことができ、pH6.0〜pH6.9の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の溶出緩衝液は、pH7未満を有する。一実施形態では、第2の溶出緩衝液は、pH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの溶出緩衝液を用いる場合、第1の溶出緩衝液はpH7未満を有し、第2の溶出緩衝液はpH7超を有する。
いくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー工程用の洗浄緩衝液のpHは、pH6.0〜pH9.0、例えば、pH6.0〜pH9.0、pH6.3〜pH9.0、pH6.5〜pH9.0、pH7.0〜pH9.0、pH7.5〜pH9.0、pH7.7.0〜pH9.0、pH8.0〜pH9.0、pH6.0〜pH8.5、pH6.5〜pH8.5、pH7.0〜pH8.5、pH7.5〜pH8.5、pH6.0〜pH8.0、pH6.5〜pH8.0、pH7.0〜pH8.0、pH7.5〜pH8.0、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、pH9.0である。いくつかの実施形態では、それは、2つの溶出緩衝液が存在する場合、例えば第1及び第2の溶出緩衝液を含む。
いくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー工程用の溶出緩衝液のpHは、pH6.0〜pH9.0、例えば、pH6.0〜pH9.0、pH6.3〜pH9.0、pH6.5〜pH9.0、pH7.0〜pH9.0、pH7.5〜pH9.0、pH7.7.0〜pH9.0、pH8.0〜pH9.0、pH6.0〜pH8.5、pH6.5〜pH8.5、pH7.0〜pH8.5、pH7.5〜pH8.5、pH6.0〜pH8.0、pH6.5〜pH8.0、pH7.0〜pH8.0、pH7.5〜pH8.0、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、pH9.0である。いくつかの実施形態では、それは、2つの溶出緩衝液が存在する場合、例えば第1及び第2の溶出緩衝液を含む。
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHを、工程a)の開始溶液に比べて上昇させ、2つの溶出緩衝液を用いる場合には第1の溶出緩衝液に比べて上昇させ、及び/または洗浄緩衝液を用いる場合には洗浄緩衝液に比べて上昇させる。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液及び溶出緩衝液を用いる場合、洗浄緩衝液はpH7未満を有し、溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの溶出緩衝液を用いる場合、一方の溶出緩衝液はpH7未満を有し、他方の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、洗浄緩衝液はpH7未満を有し、両方の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、洗浄緩衝液及び第1の溶出緩衝液はpH7未満を有し、第2の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、洗浄緩衝液及び第1の溶出緩衝液はpH7未満を有し、第2の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、両方の洗浄緩衝液はpH7未満を有し、両方の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、第1の洗浄緩衝液はpH7未満を有し、第2の洗浄緩衝液及び両方の溶出緩衝液はpH7超を有する。
いくつかの実施形態では、方法の工程(a)に記載のように、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含むローディング溶液に比べて、1つ以上の洗浄緩衝液及び/または溶出緩衝液のpHを少なくとも7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0に上昇させる。いくつかの実施形態では、方法の工程(a)の溶液中のmat−rVWF/rVWF−PP複合体からmat−rVWF及びrVWF−PPへの解離を誘導するために、緩衝液のpHを、少なくとも7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0に上昇させ、その場合、前記解離は、非共有結合的に会合したmat−rVWFとrVWF−PPが分断されることにより生じる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを、少なくとも約7.2〜約7.8に上昇させる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを、少なくとも約7.6に上昇させる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを、塩基性アミノ酸の添加によって上昇させる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを少なくとも7に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液のpHを少なくとも約7.2〜約7.8に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液のpHを、少なくとも約7.6に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液のpHを、塩基性アミノ酸の添加によって上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液は、少なくともpH7を示す。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液のpHを、少なくとも約7.2〜約7.8に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液のpHを、少なくとも約7.6に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液のpHを、塩基性アミノ酸の添加によって上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液は、少なくともpH7を示す。
いくつかの実施形態では、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含むローディング溶液のpHは、pH6.0〜pH9.0、例えば、pH6.0〜pH9.0、pH6.3〜pH9.0、pH6.5〜pH9.0、pH7.0〜pH9.0、pH7.5〜pH9.0、pH7.7.0〜pH9.0、pH8.0〜pH9.0、pH6.0〜pH8.5、pH6.5〜pH8.5、pH7.0〜pH8.5、pH7.5〜pH8.5、pH6.0〜pH8.0、pH6.5〜pH8.0、pH7.0〜pH8.0、pH7.5〜pH8.0、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、またはpH9.0である。
いくつかの実施形態では、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含む開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物の導電性は、約5mS/cm〜約40mS/cm、例えば、約5mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約15mS/cm〜約40mS/cm、約20mS/cm〜約40mS/cm、約25mS/cm〜約40mS/cm、約30mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約30mS/cm、約5mS/cm〜約15mS/cm、約15mS/cm〜約30mS/cm、または約20mS/cm〜約40mS/cmである。
いくつかの実施形態では、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含むローディング溶液を、クエン酸ナトリウム、例えば、限定されないが、10mM〜80mMクエン酸ナトリウム、15mM〜80mMクエン酸ナトリウム、10mM〜80mMクエン酸ナトリウム、15mM〜60mMクエン酸ナトリウム、20mM〜60mMクエン酸ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、40mMクエン酸ナトリウム、50mMクエン酸ナトリウム、55mMクエン酸ナトリウム、60mMクエン酸ナトリウム、65mMクエン酸ナトリウム、70mMクエン酸ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム、80mMクエン酸ナトリウムなどを含む緩衝液で希釈する。
いくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー工程用の洗浄緩衝液のpHは、pH6.0〜pH9.0、例えば、pH6.0〜pH9.0、pH6.3〜pH9.0、pH6.5〜pH9.0、pH7.0〜pH9.0、pH7.5〜pH9.0、pH7.7.0〜pH9.0、pH8.0〜pH9.0、pH6.0〜pH8.5、pH6.5〜pH8.5、pH7.0〜pH8.5、pH7.5〜pH8.5、pH6.0〜pH8.0、pH6.5〜pH8.0、pH7.0〜pH8.0、pH7.5〜pH8.0、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、またはpH9.0である。
いくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー工程用の溶出緩衝液のpHは、pH6.0〜pH9.0、例えば、pH6.0〜pH9.0、pH6.3〜pH9.0、pH6.5〜pH9.0、pH7.0〜pH9.0、pH7.5〜pH9.0、pH7.7.0〜pH9.0、pH8.0〜pH9.0、pH6.0〜pH8.5、pH6.5〜pH8.5、pH7.0〜pH8.5、pH7.5〜pH8.5、pH6.0〜pH8.0、pH6.5〜pH8.0、pH7.0〜pH8.0、pH7.5〜pH8.0、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、またはpH9.0である。
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHを、工程a)の開始溶液に比べて上昇させ、2つの溶出緩衝液を用いる場合には第1の溶出緩衝液に比べて上昇させ、及び/または洗浄緩衝液を用いる場合には洗浄緩衝液に比べて上昇させる。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液及び溶出緩衝液を用いる場合、洗浄緩衝液はpH7未満を有し、溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの溶出緩衝液を用いる場合、一方の溶出緩衝液はpH7未満を有し、他方の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、洗浄緩衝液はpH7未満を有し、両方の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、洗浄緩衝液及び第1の溶出緩衝液はpH7未満を有し、第2の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、洗浄緩衝液及び第1の溶出緩衝液はpH7未満を有し、第2の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、両方の洗浄緩衝液はpH7未満を有し、両方の溶出緩衝液はpH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの洗浄緩衝液及び2つの溶出緩衝液を用いる場合、第1の洗浄緩衝液はpH7未満を有し、第2の洗浄緩衝液及び両方の溶出緩衝液はpH7超を有する。
いくつかの実施形態では、方法の工程(a)に記載のように、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含むローディング溶液に比べて、1つ以上の洗浄緩衝液及び/または溶出緩衝液のpHを少なくとも7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0に上昇させる。いくつかの実施形態では、方法の工程(a)の溶液中のmat−rVWF/rVWF−PP複合体からmat−rVWF及びrVWF−PPへの解離を誘導するために、緩衝液のpHを、少なくとも7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0に上昇させ、その場合、前記解離は、非共有結合的に会合したmat−rVWFとrVWF−PPが分断されることにより生じる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを、少なくとも約7.2〜約7.8に上昇させる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを、少なくとも約7.6に上昇させる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを、塩基性アミノ酸の添加によって上昇させる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを少なくとも7に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液のpHを少なくとも約7.2〜約7.8に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液のpHを、少なくとも約7.6に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液のpHを、塩基性アミノ酸の添加によって上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液は、少なくともpH7を示す。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液のpHを、少なくとも約7.2〜約7.8に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液のpHを、少なくとも約7.6に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液のpHを、塩基性アミノ酸の添加によって上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液は、少なくともpH7を示す。
いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液(洗浄緩衝液、及び/または溶出緩衝液を含む)は、1つ以上のキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含む。キレート剤は、二価陽イオンキレート剤とすることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのキレート剤は、二価陽イオンキレート剤である。いくつかの実施形態では、二価陽イオンキレート剤は、EDTA、EGTA、CDTA、及びクエン酸塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、二価陽イオンキレート剤は、NTA、DTPA、EDDS、EDTA、EGTA、CDTA、及びクエン酸塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、二価陽イオンキレート剤は、クエン酸塩、EDTA、DTPA、NTA、及びEDDSからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、キレート剤はNTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はDTPAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はEDDSである。いくつかの実施形態では、キレート剤はEDTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はEGTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はCDTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はクエン酸塩である。いくつかの実施形態では、b)の1つ以上の洗浄緩衝液は、前記1つ以上のキレート剤を含み、少なくともpH7を示す。
本明細書に記載の緩衝液(緩衝系)のいずれも、グリシン、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、トリスHCl(トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン)、ヒスチジン、イミダゾール、酢酸クエン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、MES、リン酸塩、トリスHCl、ビス−トリス、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニンHCl、リジンHCl、及び2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸からなる群から、単一の緩衝液として、または2つ以上の緩衝液の組み合わせとして選択することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、グリシンHEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、トリスHCl(トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン)、ヒスチジン、イミダゾール、酢酸クエン酸塩、MES、及び2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、緩衝液は、クエン酸塩、酢酸、MES、HEPES、リン酸塩、トリスCl、及び/またはビス−トリスを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、グリシンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、トリスHCl(トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン)を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、イミダゾールを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸クエン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、クエン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、MESを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、HEPESを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、リン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、トリスHClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ビス−トリスを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、イミダゾールを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、アルギニンHClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、リジンHClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、本明細書に記載の緩衝液のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液(洗浄及び/または溶出緩衝液を含む)は、10mM〜80mMクエン酸ナトリウム、15mM〜80mMクエン酸ナトリウム、10mM〜80mMクエン酸ナトリウム、15mM〜60mMクエン酸ナトリウム、20mM〜60mMクエン酸ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、40mMクエン酸ナトリウム、50mMクエン酸ナトリウム、55mMクエン酸ナトリウム、60mMクエン酸ナトリウム、65mMクエン酸ナトリウム、70mMクエン酸ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム、80mmクエン酸ナトリウムなどを含むがこれらに限定されない範囲のクエン酸ナトリウムを含む。
いくつかの実施形態では、第1の溶出緩衝液は、10mM〜60mMクエン酸ナトリウム、15mM〜60mMクエン酸ナトリウム、10mM〜50mMクエン酸ナトリウム、15mM〜50mMクエン酸ナトリウム、20mM〜60mMクエン酸ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、40mMクエン酸ナトリウム、50mMクエン酸ナトリウム、60mMクエン酸ナトリウムなどを含むがこれらに限定されない範囲のクエン酸ナトリウムをさらに含む。
いくつかの実施形態では、第2の溶出緩衝液は、例えば、10mM〜60mMクエン酸ナトリウム、15mM〜60mMクエン酸ナトリウム、10mM〜50mMクエン酸ナトリウム、15mM〜50mMクエン酸ナトリウム、20mM〜60mMクエン酸ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、40mMクエン酸ナトリウム、50mMクエン酸ナトリウム、60mMクエン酸ナトリウムなどであるがこれらに限定されないクエン酸ナトリウムをさらに含む。
いくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー工程の1つ以上の緩衝液(洗浄緩衝液及び/または溶出緩衝液を含む)は、所望のrVWF種が陽イオン交換樹脂に結合したままである限り、EDTAを含む。いくつかの実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー工程の1つ以上の緩衝液(洗浄緩衝液及び/または溶出緩衝液を含む)は、所望のrVWF種が陽イオン交換樹脂に結合したままである限り、約0.5mM〜約20mM EDTA、例えば、約0.5mM〜約20mM、約1mM〜約20mM、約1.5mM〜約20mM、約2mM〜約20mM、約3mM〜約20mM、約5mM〜約20mM、約0.5mM〜約15mM、約1mM〜約10mM、約1mM〜約5mM、約5mM、約0.5mmm、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mMなどを含む。いくつかの実施形態では、EDTAを含む緩衝液を、段階的陽イオン交換溶出の一部として用いる。いくつかの実施形態では、EDTAを含む緩衝液を、濃度勾配陽イオン交換溶出の一部として用いる。いくつかの実施形態では、段階的陽イオン交換溶出で使用する緩衝液の一部としてEDTAを用いる場合、対イオンはNa+である。いくつかの実施形態では、濃度勾配陽イオン交換溶出で使用する緩衝液の一部としてEDTAを用いる場合、対イオンはNa+である。
いくつかの実施形態では、陽イオン交換法を用いてrVWFプロペプチドを除去した後の溶出物にクエン酸塩を見出すことができる。いくつかの実施形態では、段階的陽イオン交換溶出法を用いてrVWFプロペプチドを除去した後の溶出物にクエン酸塩を見出すことができる。いくつかの実施形態では、濃度勾配陽イオン交換溶出法を用いてrVWFプロペプチドを除去した後の溶出物にクエン酸塩を見出すことができる。いくつかの実施形態では、陽イオン交換での対イオンはNa+である。
いくつかの実施形態では、緩衝液(洗浄緩衝液及び/または溶出緩衝液を含む)の導電性は、5mS/cm〜40mS/cm、例えば、5mS/cm〜40mS/cm、10mS/cm〜40mS/cm、15mS/cm〜40mS/cm、20mS/cm〜40mS/cm、5mS/cm〜15mS/cm、10mS/cm〜25mS/cm、15mS/cm〜30mS/cm、20mS/cm〜30mS/cm、または30mS/cm〜40mS/cmの範囲である。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの洗浄緩衝液の導電性は、約5mS/cm〜約40mS/cm、例えば、約5mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約15mS/cm〜約40mS/cm、約20mS/cm〜約40mS/cm、約25mS/cm〜約40mS/cm、約30mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約30mS/cm、約5mS/cm〜約13mS/cm、約5mS/cm〜約15mS/cm、約15mS/cm〜約30mS/cm、約18mS/cm〜約40mS/cm、または約20mS/cm〜約40mS/cmである。他の実施形態では、2つ以上の洗浄緩衝液の導電性は、約5mS/cm〜約40mS/cm、例えば、約5mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約15mS/cm〜約40mS/cm、約20mS/cm〜約40mS/cm、約25mS/cm〜約40mS/cm、約30mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約30mS/cm、約5mS/cm〜約13mS/cm、約5mS/cm〜約15mS/cm、約15mS/cm〜約30mS/cm、約18mS/cm〜約40mS/cm、または約20mS/cm〜約40mS/cmである。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの溶出緩衝液の導電性は、約5mS/cm〜約40mS/cm、例えば、約5mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約15mS/cm〜約40mS/cm、約20mS/cm〜約40mS/cm、約25mS/cm〜約40mS/cm、約30mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約30mS/cm、約5mS/cm〜約13mS/cm、約5mS/cm〜約15mS/cm、約15mS/cm〜約30mS/cm、約18mS/cm〜約40mS/cm、または約20mS/cm〜約40mS/cmである。他の実施形態では、2つ以上の洗浄緩衝液の導電性は、約5mS/cm〜約40mS/cm、例えば、約5mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約15mS/cm〜約40mS/cm、約20mS/cm〜約40mS/cm、約25mS/cm〜約40mS/cm、約30mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約30mS/cm、約5mS/cm〜約13mS/cm、約5mS/cm〜約15mS/cm、約15mS/cm〜約30mS/cm、約18mS/cm〜約40mS/cm、または約20mS/cm〜約40mS/cmである。
いくつかの実施形態では、洗浄緩衝液のpHは、pH6.0〜pH9.0、例えば、pH6.0〜pH9.0、pH6.3〜pH9.0、pH6.5〜pH9.0、pH7.0〜pH9.0、pH7.5〜pH9.0、pH7.7.0〜pH9.0、pH8.0〜pH9.0、pH6.0〜pH8.5、pH6.5〜pH8.5、pH7.0〜pH8.5、pH7.5〜pH8.5、pH6.0〜pH8.0、pH6.5〜pH8.0、pH7.0〜pH8.0、pH7.5〜pH8.0、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、pH9.0である。
一態様では、本明細書に記載の方法は、濃度勾配溶出工程を含む。濃度勾配溶出工程は、生成物の不純物及びプロセス関連不純物を除去して成熟VWFの収率を最適化することができる。いくつかの場合では、濃度勾配溶出工程は、従来法に比べて、成熟VWFからVWFプロペプチドを、より高い割合で分離する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の溶出緩衝液の導電性は、約5mS/cm〜約40mS/cm、例えば、約5mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約15mS/cm〜約40mS/cm、約20mS/cm〜約40mS/cm、約25mS/cm〜約40mS/cm、約30mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約30mS/cm、約5mS/cm〜約13mS/cm、約5mS/cm〜約15mS/cm、約15mS/cm〜約30mS/cm、約18mS/cm〜約40mS/cm、または約20mS/cm〜約40mS/cmである。他の実施形態では、2つ以上の洗浄緩衝液の導電性は、約5mS/cm〜約40mS/cm、例えば、約5mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約15mS/cm〜約40mS/cm、約20mS/cm〜約40mS/cm、約25mS/cm〜約40mS/cm、約30mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約30mS/cm、約5mS/cm〜約13mS/cm、約5mS/cm〜約15mS/cm、約15mS/cm〜約30mS/cm、約18mS/cm〜約40mS/cm、または約20mS/cm〜約40mS/cmである。
いくつかの実施形態では、本方法の1つ以上の洗浄工程の流速は、約10cm/時間〜約200cm/時間、例えば、約10cm/時間、約15cm/時間、約20cm/時間、約25cm/時間、約30cm/時間、約35cm/時間、約40cm/時間、約45cm/時間、約50cm/時間、約55cm/時間、約60cm/時間、約65cm/時間、約70cm/時間、約75cm/時間、約80cm/時間、約85cm/時間、約90cm/時間、約95cm/時間、約100cm/時間、約105cm/時間、約110cm/時間、約115cm/時間、約120cm/時間、約125cm/時間、約130cm/時間、約135cm/時間、約140cm/時間、約145cm/時間、約150cm/時間、約155cm/時間、約160cm/時間、約165cm/時間、約170cm/時間、約175cm/時間、約180cm/時間、約185cm/時間、約190cm/時間、約195cm/時間、または約200cm/時間である。樹脂に応じて、いくつかの実施形態では流速を最大600cm/時間とすることができる。
いくつかの実施形態では、本方法の1つ以上の溶出工程の流速は、約10cm/時間〜約200cm/時間、例えば、約10cm/時間、約15cm/時間、約20cm/時間、約25cm/時間、約30cm/時間、約35cm/時間、約40cm/時間、約45cm/時間、約50cm/時間、約55cm/時間、約60cm/時間、約65cm/時間、約70cm/時間、約75cm/時間、約80cm/時間、約85cm/時間、約90cm/時間、約95cm/時間、約100cm/時間、約105cm/時間、約110cm/時間、約115cm/時間、約120cm/時間、約125cm/時間、約130cm/時間、約135cm/時間、約140cm/時間、約145cm/時間、約150cm/時間、約155cm/時間、約160cm/時間、約165cm/時間、約170cm/時間、約175cm/時間、約180cm/時間、約185cm/時間、約190cm/時間、約195cm/時間、または約200cm/時間である。樹脂に応じて、いくつかの実施形態では流速を最大600cm/時間とすることができる。
いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上の非イオン性界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Triton X−100、Tween80、及びTween20からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Triton X−100である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Tween80である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Tween20である。
いくつかの実施形態では、前記1つ以上の緩衝液は、非還元糖、糖アルコール、及びポリオールからなる群から選択される1つ以上の追加の物質をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上の非還元糖をさらに含む。いくつかの実施形態では、非還元糖として、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、及び/またはキシリトールを挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上の糖アルコールをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上のポリオールをさらに含む。いくつかの実施形態では、糖アルコールまたはポリオールとして、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、スレイトール、ソルビトール、及び/またはグリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、スクロース、トレハロース、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、1,2,3−プロパントリオール、メソエリスリトール、及び/またはエリスリトール(メソ−1,2,3,4−ブタンテロール)をさらに含む。
いずれの緩衝液のpHも、アミノ酸、トリス、NaOH、エタノールアミンなどを添加することによって調整する(上昇させる)ことができる。
本明細書に記載の緩衝液(緩衝系)のいずれも、単一の緩衝液として、または2つ以上の緩衝液の組み合わせとして、クエン酸塩、酢酸塩、MES、HEPES、リン酸塩、トリスCl、ビス−トリスからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、緩衝液は、グリシンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、クエン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、MESを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、HEPESを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、リン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、トリスHClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ビス−トリスを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、本明細書に記載の緩衝液のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。
いくつかの実施形態では、陽イオン交換法の緩衝液とキレート剤の組み合わせは、クエン酸塩、リンゴ酸塩(リンゴ酸)、酒石酸塩(酒石酸)を含む。
c.サイズ排除クロマトグラフィー精製
本発明の一態様では、成熟VWF及びVWF−PPを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分離する。いくつかの場合では、残存する、CHO宿主細胞タンパク質などの宿主細胞由来不純物、組換えフューリン及び低分子量ウイルス不活化試薬などのプロセス関連不純物、ダイズペプトンなどの培地化合物、及び他の生成物関連不純物を、成熟VWFから除去する。
本方法の別の態様では、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて残留VWF−PPまたは遊離VWF−PPなどのVWF−PPから成熟VWFを分離する。分離のために、開始組成物またはローディング組成物には、低pH及び少なくとも1つのキレート剤を含ませることができる。他の実施形態では、濃度勾配溶出緩衝液は、pH6.0〜pH9.0の範囲のpHのような中性から高いpHを有する。別の実施形態では、濃度勾配溶出緩衝液は、1つ以上のキレート剤を含み、pH7.0以上、例えば、pH7.0〜pH9.0を有する。例えば、濃度勾配溶出緩衝液には、EDTAを含ませることができ、pHを8.5とすることができる。
いくつかの実施形態では、本発明は、プロペプチドを枯渇させた高純度成熟組換えrVWF(高純度mat−rVWF)を含む組成物を取得するための方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:(a)プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含む溶液をサイズ排除カラムにロードし、前記プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFを前記サイズ排除カラムに結合させる工程;(b)前記結合したプロ−rVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFを含有するa)の前記サイズ排除カラムを1つ以上の洗浄緩衝液で洗浄する工程;(c)前記結合したプロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFを含むb)の前記カラムをフューリンで処理する工程であって、前記フューリンが前記プロrVWFをmat−rVWFとrVWF−PPに切断する、工程;(d)前記結合したプロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、及びmat−rVWFをc)の前記カラムから溶出緩衝液で溶出する工程であって、前記溶出緩衝液が、前記rVWF−PPと非共有結合的に会合しているmat−rVWFからの前記rVWF−PPの解離を誘導し、前記解離を、(i)少なくとも1つのキレート剤を前記溶出緩衝液に添加することまたは(ii)前記溶出緩衝液のpHを少なくともpH7に上昇させることによって誘導する、工程;ならびに(e)前記mat−rVWFを前記rVWF−PPから分離させて回収し、高純度mat−rVWF組成物を取得する工程であって、前記高純度mat−rVWF組成物が、少なくとも95%の成熟rVWFと5%未満のrVWF−PPを含む、工程。
いくつかの実施形態では、a)及びb)を、単一工程で同時に行う。いくつかの実施形態では、a)の溶液は、免疫親和性精製法由来のフロースルーを含む。いくつかの実施形態では、a)の溶液は、モノクローナル抗体カラム由来のフロースルーを含み、前記モノクローナル抗体は、FVIIIモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、a)の溶液は、細胞培養培地、抗体カラムフロースルー溶液、及び緩衝溶液からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、分離緩衝液は、中性〜高pHを有する。他の実施形態では、緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含み、中性〜高pHを有する。例えば、分離緩衝液は、キレート剤を含有し、pH6.0以上、またはいくつかの場合ではpH7.0以上を有し得る。
いくつかの実施形態では、プロVWFのローディング濃度は、約90IU/ml〜約270IU/ml樹脂、例えば、約90IU/ml〜約270IU/ml、約100IU/ml〜約270IU/ml、約110IU/ml〜約270IU/ml、約120IU/ml〜約270IU/ml、約130IU/ml〜約270IU/ml、約130IU/ml〜約270IU/ml、約140IU/ml〜約270IU/ml、約150IU/ml〜約270IU/ml、約90IU/ml〜約250IU/ml、約100IU/ml〜約250IU/ml、約110IU/ml〜約250IU/ml、約120IU/ml〜約250IU/ml、約130IU/ml〜約250IU/ml、約130IU/ml〜約250IU/ml、約140IU/ml〜約250IU/ml、約150IU/ml〜約250IU/ml、約90IU/ml〜約200IU/ml、約100IU/ml〜約200IU/ml、約110IU/ml〜約200IU/ml、約120IU/ml〜約200IU/ml、約130IU/ml〜約200IU/ml、約130IU/ml〜約200IU/ml、約140IU/ml〜約200IU/ml、約150IU/ml〜約200IU/ml、約90IU/ml〜約100IU/ml、約100IU/ml〜約150IU/ml、約150IU/ml〜約200IU/ml、約200IU/ml〜約250IU/ml、または約250IU/ml〜約270IU/ml樹脂である。
いくつかの実施形態では、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含む開始組成物、ローディング溶液、またはローディング組成物のpHは、pH6.0〜pH9.0、例えば、pH6.0〜pH9.0、pH6.3〜pH9.0、pH6.5〜pH9.0、pH7.0〜pH9.0、pH7.5〜pH9.0、pH7.7.0〜pH9.0、pH8.0〜pH9.0、pH6.0〜pH8.5、pH6.5〜pH8.5、pH7.0〜pH8.5、pH7.5〜pH8.5、pH6.0〜pH8.0、pH6.5〜pH8.0、pH7.0〜pH8.0、pH7.5〜pH8.0、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、またはpH9.0である。
いくつかの実施形態では、サイズ排除法は、緩衝系を含む。いくつかの実施形態では、緩衝系は、1つ以上の分離緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝系は、少なくとも1つの分離緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝系は、少なくとも2つの分離緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝系は、少なくとも第1の分離緩衝液及び少なくとも第2の分離緩衝液を含む。
いくつかの実施形態では、第1の分離緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含み、場合によりpH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、分離洗浄緩衝液は、pH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有し、場合により少なくとも1つのキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、第1の分離緩衝液は、pH6.0〜pH6.9の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第2の分離緩衝液は、pH7.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の分離緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含むことができ、pH6.0〜pH6.9の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、第1の分離緩衝液は、pH7未満を有する。いくつかの実施形態では、第2の分離緩衝液は、pH7超を有する。いくつかの実施形態では、2つの分離緩衝液を用いる場合、第1の分離緩衝液はpH7未満を有し、第2の分離緩衝液はpH7超を有する。
いくつかの実施形態では、成熟rVWF及びrVWF−PPを含む開始溶液を、少なくとも1つのキレート剤を含む分離緩衝液と接触させ、また、場合により緩衝液はpH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、開始溶液をpH6.0〜pH9.0の範囲のpHを有する緩衝液と接触させ、また、場合により緩衝液は少なくとも1つのキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、pH7.0〜pH9.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、緩衝液は、pH6.0〜6.9を有する第1の分離緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、pH7.0〜9.0を有する第2の分離緩衝液である。いくつかの実施形態では、成熟rVWF及びrVWF−PPを含む開始溶液を、最初にpH6.0〜6.9を有する第1の緩衝液及びpH7.0〜9.0を有する第2の分離緩衝液と接触させる。
いくつかの実施形態では、1つ以上の分離緩衝液のpHは、pH6.0〜pH9.0、例えば、pH6.0〜pH9.0、pH6.3〜pH9.0、pH6.5〜pH9.0、pH7.0〜pH9.0、pH7.5〜pH9.0、pH7.7.0〜pH9.0、pH8.0〜pH9.0、pH6.0〜pH8.5、pH6.5〜pH8.5、pH7.0〜pH8.5、pH7.5〜pH8.5、pH6.0〜pH8.0、pH6.5〜pH8.0、pH7.0〜pH8.0、pH7.5〜pH8.0、pH6.0、pH6.1、pH6.2、pH6.3、pH6.4、pH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH7.6、pH7.7、pH7.8、pH7.9、pH8.0、pH8.1、pH8.2、pH8.3、pH8.4、pH8.5、pH8.6、pH8.7、pH8.8、pH8.9、pH9.0である。
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHを、工程a)の開始溶液に比べて上昇させ、2つの分離緩衝液を用いる場合には第1の分離緩衝液に比べて上昇させ、及び/または第2の分離緩衝液を用いる場合には第1の分離緩衝液に比べて上昇させる。いくつかの実施形態では、第1の分離緩衝液及び第2の分離緩衝液を用いる場合、第1の分離緩衝液はpH7未満を有し、第2の分離緩衝液はpH7超を有する。
いくつかの実施形態では、方法の工程(a)に記載のように、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含むローディング溶液に比べて、1つ以上の分離緩衝液のpHを少なくとも7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0に上昇させる。いくつかの実施形態では、方法の工程(a)の溶液中のmat−rVWF/rVWF−PP複合体からmat−rVWF及びrVWF−PPへの解離を誘導するために、緩衝液のpHを、少なくとも7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0に上昇させ、その場合、前記解離は、非共有結合的に会合したmat−rVWFとrVWF−PPが分断されることにより生じる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを、少なくとも約7.2〜約7.8に上昇させる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを、少なくとも約7.6に上昇させる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを、塩基性アミノ酸の添加によって上昇させる。いくつかの実施形態では、ローディング溶液のpHを少なくとも7に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液のpHを少なくとも約7.2〜約7.8に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の洗浄緩衝液のpHを、少なくとも約7.6に上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の分離緩衝液のpHを、塩基性アミノ酸の添加によって上昇させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の分離緩衝液は、少なくともpH7を示す。
いくつかの実施形態では、1つ以上の分離緩衝液は、1つ以上のキレート剤を含む。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含む。キレート剤は、二価陽イオンキレート剤とすることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのキレート剤は、二価陽イオンキレート剤である。いくつかの実施形態では、二価陽イオンキレート剤は、EDTA、EGTA、CDTA、及びクエン酸塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、二価陽イオンキレート剤は、NTA、DTPA、EDDS、EDTA、EGTA、CDTA、及びクエン酸塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、キレート剤はNTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はDTPAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はEDDSである。いくつかの実施形態では、キレート剤はEDTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はEGTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はCDTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はクエン酸塩である。いくつかの実施形態では、b)の1つ以上の洗浄緩衝液は、前記1つ以上のキレート剤を含み、少なくともpH7を示す。
いくつかの実施形態では、1つ以上の分離緩衝液は、少なくとも1つのキレート剤を含む。キレート剤は、二価陽イオンキレート剤とすることができる。いくつかの実施形態では、二価陽イオンキレート剤は、ニトリロ−2,2’,2’’−トリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸;ジエチレントリアミン−N,N,N’,N’,N’’ペンタ酢酸(DTPA)、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(EDDS)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、EGTA、CDTA、及びクエン酸塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、二価陽イオンキレート剤は、NTA、DTPA、EDDS、EDTA、及びクエン酸塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、キレート剤はNTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はDTPAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はEDDSである。いくつかの実施形態では、キレート剤はEDTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はEGTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はCDTAである。いくつかの実施形態では、キレート剤はクエン酸塩である。
いくつかの実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィー工程の溶出緩衝液A及び/または溶出緩衝液Bは、約0.5mM〜約20mM EDTA、例えば、約0.5mM〜約20mM、約1mM〜約20mM、約1.5mM〜約20mM、約2mM〜約20mM、約3mM〜約20mM、約5mM〜約20mM、約0.5mM〜約15mM、約1mM〜約10mM、約1mM〜約5mM、約5mM、約0.5mmm、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mMなどを含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の分離緩衝液は、10mM〜500mMクエン酸ナトリウム、15mM〜400mMクエン酸ナトリウム、10mM〜400mMクエン酸ナトリウム、15mM〜350mMクエン酸ナトリウム、20mM〜350mMクエン酸ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、40mMクエン酸ナトリウム、50mMクエン酸ナトリウム、55mMクエン酸ナトリウム、60mMクエン酸ナトリウム、65mMクエン酸ナトリウム、70mMクエン酸ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム、80mMクエン酸ナトリウム、90mMクエン酸ナトリウム、100mMクエン酸ナトリウム、110mMクエン酸ナトリウム、120mMクエン酸ナトリウム、130mMクエン酸ナトリウム、140mMクエン酸ナトリウム、150mMクエン酸ナトリウム、160mMクエン酸ナトリウム、170mMクエン酸ナトリウム、180mMクエン酸ナトリウム、190mMクエン酸ナトリウム、200mMクエン酸ナトリウム、210mMクエン酸ナトリウム、220mMクエン酸ナトリウム、230mMクエン酸ナトリウム、240mMクエン酸ナトリウム、250mMクエン酸ナトリウム、260mMクエン酸ナトリウム、270mMクエン酸ナトリウム、280mMクエン酸ナトリウム、290mMクエン酸ナトリウム、300mMクエン酸ナトリウム、310mMクエン酸ナトリウム、320mMクエン酸ナトリウム、330mMクエン酸ナトリウム、340mMクエン酸ナトリウム、350mMクエン酸ナトリウム、360mMクエン酸ナトリウム、370mMクエン酸ナトリウム、380mMクエン酸ナトリウム、390mMクエン酸ナトリウム、400mMクエン酸ナトリウム、410mMクエン酸ナトリウム、420mMクエン酸ナトリウム、430mMクエン酸ナトリウム、440mMクエン酸ナトリウム、450mMクエン酸ナトリウム、460mMクエン酸ナトリウム、470mMクエン酸ナトリウム、480mMクエン酸ナトリウム、490mMクエン酸ナトリウム、500mMクエン酸ナトリウム、510mMクエン酸ナトリウム、520mMクエン酸ナトリウム、530mMクエン酸ナトリウム、540mMクエン酸ナトリウム、550mMクエン酸ナトリウム、560mMクエン酸ナトリウム、570mMクエン酸ナトリウム、580mMクエン酸ナトリウム、590mMクエン酸ナトリウム、または600mMクエン酸ナトリウムなどを含むがこれらに限定されない範囲のクエン酸ナトリウムを含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の分離緩衝液は、10mM〜500mMクエン酸ナトリウム、15mM〜400mMクエン酸ナトリウム、10mM〜400mMクエン酸ナトリウム、15mM〜350mMクエン酸ナトリウム、20mM〜350mMクエン酸ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、40mMクエン酸ナトリウム、50mMクエン酸ナトリウム、55mMクエン酸ナトリウム、60mMクエン酸ナトリウム、65mMクエン酸ナトリウム、70mMクエン酸ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム、80mMクエン酸ナトリウム、90mMクエン酸ナトリウム、100mMクエン酸ナトリウム、110mMクエン酸ナトリウム、120mMクエン酸ナトリウム、130mMクエン酸ナトリウム、140mMクエン酸ナトリウム、150mMクエン酸ナトリウム、160mMクエン酸ナトリウム、170mMクエン酸ナトリウム、180mMクエン酸ナトリウム、190mMクエン酸ナトリウム、200mMクエン酸ナトリウム、210mMクエン酸ナトリウム、220mMクエン酸ナトリウム、230mMクエン酸ナトリウム、240mMクエン酸ナトリウム、250mMクエン酸ナトリウム、260mMクエン酸ナトリウム、270mMクエン酸ナトリウム、280mMクエン酸ナトリウム、290mMクエン酸ナトリウム、300mMクエン酸ナトリウム、310mMクエン酸ナトリウム、320mMクエン酸ナトリウム、330mMクエン酸ナトリウム、340mMクエン酸ナトリウム、350mMクエン酸ナトリウム、360mMクエン酸ナトリウム、370mMクエン酸ナトリウム、380mMクエン酸ナトリウム、390mMクエン酸ナトリウム、400mMクエン酸ナトリウム、410mMクエン酸ナトリウム、420mMクエン酸ナトリウム、430mMクエン酸ナトリウム、440mMクエン酸ナトリウム、450mMクエン酸ナトリウム、460mMクエン酸ナトリウム、470mMクエン酸ナトリウム、480mMクエン酸ナトリウム、490mMクエン酸ナトリウム、500mMクエン酸ナトリウム、510mMクエン酸ナトリウム、520mMクエン酸ナトリウム、530mMクエン酸ナトリウム、540mMクエン酸ナトリウム、550mMクエン酸ナトリウム、560mMクエン酸ナトリウム、570mMクエン酸ナトリウム、580mMクエン酸ナトリウム、590mMクエン酸ナトリウム、または600mMクエン酸ナトリウムなどを含むがこれらに限定されない範囲のクエン酸ナトリウムをさらに含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の分離緩衝液は、クエン酸ナトリウム、例えば、限定されないが、10mM〜500mMクエン酸ナトリウム、15mM〜400mMクエン酸ナトリウム、10mM〜400mMクエン酸ナトリウム、15mM〜350mMクエン酸ナトリウム、20mM〜350mMクエン酸ナトリウム、10mMクエン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、30mMクエン酸ナトリウム、40mMクエン酸ナトリウム、50mMクエン酸ナトリウム、55mMクエン酸ナトリウム、60mMクエン酸ナトリウム、65mMクエン酸ナトリウム、70mMクエン酸ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム、80mMクエン酸ナトリウム、90mMクエン酸ナトリウム、100mMクエン酸ナトリウム、110mMクエン酸ナトリウム、120mMクエン酸ナトリウム、130mMクエン酸ナトリウム、140mMクエン酸ナトリウム、150mMクエン酸ナトリウム、160mMクエン酸ナトリウム、170mMクエン酸ナトリウム、180mMクエン酸ナトリウム、190mMクエン酸ナトリウム、200mMクエン酸ナトリウム、210mMクエン酸ナトリウム、220mMクエン酸ナトリウム、230mMクエン酸ナトリウム、240mMクエン酸ナトリウム、250mMクエン酸ナトリウム、260mMクエン酸ナトリウム、270mMクエン酸ナトリウム、280mMクエン酸ナトリウム、290mMクエン酸ナトリウム、300mMクエン酸ナトリウム、310mMクエン酸ナトリウム、320mMクエン酸ナトリウム、330mMクエン酸ナトリウム、340mMクエン酸ナトリウム、350mMクエン酸ナトリウム、360mMクエン酸ナトリウム、370mMクエン酸ナトリウム、380mMクエン酸ナトリウム、390mMクエン酸ナトリウム、400mMクエン酸ナトリウム、410mMクエン酸ナトリウム、420mMクエン酸ナトリウム、430mMクエン酸ナトリウム、440mMクエン酸ナトリウム、450mMクエン酸ナトリウム、460mMクエン酸ナトリウム、470mMクエン酸ナトリウム、480mMクエン酸ナトリウム、490mMクエン酸ナトリウム、500mMクエン酸ナトリウム、510mMクエン酸ナトリウム、520mMクエン酸ナトリウム、530mMクエン酸ナトリウム、540mMクエン酸ナトリウム、550mMクエン酸ナトリウム、560mMクエン酸ナトリウム、570mMクエン酸ナトリウム、580mMクエン酸ナトリウム、590mMクエン酸ナトリウム、または600mMクエン酸ナトリウムなどをさらに含む。
いくつかの実施形態では、分離緩衝液の導電性は、約5mS/cm〜約40mS/cm、例えば、約5mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約15mS/cm〜約40mS/cm、約20mS/cm〜約40mS/cm、約25mS/cm〜約40mS/cm、約30mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約40mS/cm、約10mS/cm〜約30mS/cm、約5mS/cm〜約13mS/cm、約5mS/cm〜約15mS/cm、約15mS/cm〜約30mS/cm、約18mS/cm〜約40mS/cm、または約20mS/cm〜約40mS/cmである。
本明細書に記載の緩衝液(緩衝系)のいずれも、単一の緩衝液として、または2つ以上の緩衝液の組み合わせとして、クエン酸塩、酢酸塩、MES、HEPES、リン酸塩、トリスHCl、ビス−トリス、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニンHCl、リジンHCl、グリシン、グリシルグリシン、ホウ酸塩、MOPS、ビシン、トリシン、TAPS、TAPSO、及びPIPESからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、緩衝液は、グリシンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、クエン酸塩、酢酸塩、MES、HEPES、リン酸塩、トリスHCl、ビス−トリス、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニンHCl、リジンHCl、グリシン、グリシルグリシン、ホウ酸塩、MOPS、ビシン、トリシン、TAPS、TAPSO、及び/またはPIPESを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、クエン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、MESを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、HEPESを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、リン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、トリスHClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ビス−トリスを含む。
いくつかの実施形態では、緩衝液は、ヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、イミダゾールを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、アルギニンHClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、リジンHClを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、グリシンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、グリシルグリシンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ホウ酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、MOPSを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ビシンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、トリシンを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、TAPSを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、TAPSOを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、PIPESを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、本明細書に記載の緩衝液のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の分離緩衝液は、1つ以上の非イオン性界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Triton X−100、Tween80、及びTween20からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Triton X−100である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Tween80である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、Tween20である。
いくつかの実施形態では、本方法の1つ以上の分離緩衝液工程の間の流速の使用は、約10cm/時間〜約200cm/時間、例えば、約10cm/時間、約15cm/時間、約20cm/時間、約25cm/時間、約30cm/時間、約35cm/時間、約40cm/時間、約45cm/時間、約50cm/時間、約55cm/時間、約60cm/時間、約65cm/時間、約70cm/時間、約75cm/時間、約80cm/時間、約85cm/時間、約90cm/時間、約95cm/時間、約100cm/時間、約105cm/時間、約110cm/時間、約115cm/時間、約120cm/時間、約125cm/時間、約130cm/時間、約135cm/時間、約140cm/時間、約145cm/時間、約150cm/時間、約155cm/時間、約160cm/時間、約165cm/時間、約170cm/時間、約175cm/時間、約180cm/時間、約185cm/時間、約190cm/時間、約195cm/時間、または約200cm/時間である。樹脂に応じて、いくつかの実施形態では流速を最大600cm/時間とすることができる。
いくつかの実施形態では、本方法の1つ以上の分離緩衝液工程の間の流速の使用は、約10cm/時間〜約200cm/時間、例えば、約10cm/時間、約15cm/時間、約20cm/時間、約25cm/時間、約30cm/時間、約35cm/時間、約40cm/時間、約45cm/時間、約50cm/時間、約55cm/時間、約60cm/時間、約65cm/時間、約70cm/時間、約75cm/時間、約80cm/時間、約85cm/時間、約90cm/時間、約95cm/時間、約100cm/時間、約105cm/時間、約110cm/時間、約115cm/時間、約120cm/時間、約125cm/時間、約130cm/時間、約135cm/時間、約140cm/時間、約145cm/時間、約150cm/時間、約155cm/時間、約160cm/時間、約165cm/時間、約170cm/時間、約175cm/時間、約180cm/時間、約185cm/時間、約190cm/時間、約195cm/時間、または約200cm/時間である。樹脂に応じて、いくつかの実施形態では流速を最大600cm/時間とすることができる。
いくつかの実施形態では、前記1つ以上の緩衝液は、非還元糖、糖アルコール、及びポリオールからなる群から選択される1つ以上の追加の物質をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上の非還元糖をさらに含む。いくつかの実施形態では、非還元糖として、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、及び/またはキシリトールを挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上の糖アルコールをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、1つ以上のポリオールをさらに含む。いくつかの実施形態では、糖アルコールまたはポリオールとして、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、スレイトール、ソルビトール、及び/またはグリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、緩衝液は、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、スクロース、トレハロース、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、1,2,3−プロパントリオール、メソエリスリトール、及び/またはエリスリトール(メソ−1,2,3,4−ブタンテロール)をさらに含む。
いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー法の緩衝液とキレート剤の組み合わせは、クエン酸塩、リンゴ酸塩(リンゴ酸)、酒石酸塩(酒石酸)を含む。
D.免疫親和性精製
いくつかの実施形態では、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含む溶液を、例えば、モノクローナル抗体カラムを含む免疫親和性精製法により取得する。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体カラムは、FVIIIモノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体カラムは、VWFモノクローナル抗体を含む。そのようなカラム及び方法は、当技術分野で公知であり、また記載されている。例えば、Zimmerman et al.(米国特許第4,361,509号;あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される)を参照されたく、この文献は、第VIII因子の精製方法を記載しており、第VIII因子/VWF複合体をモノクローナル抗VWF抗体に結合させ、CaCl2イオンによって第VIII因子を複合体から解離させる。vWFをなお吸着している免疫親和性担体を、カオトロピック剤、特にNaSCNによって、すなわちvWF/NaSCN溶液を副産物として生じさせ、廃棄することによって再生させる。
他の方法として、その全体を参照により本明細書に援用される米国特許第6,579,723号に記載されている方法が挙げられ、この文献は、免疫親和性クロマトグラフィー法を用いて高純度vWFまたは第VIII因子/vWF複合体を回収する方法を記載している。そのような方法は、双性イオン種を含有する溶離剤を用いて、免疫親和性吸着剤からVWFを回収する。双性イオン種が存在することにより、調製中に穏やかな条件を使用することができ、追加の安定剤や保存剤を必要とせずに、分子完全性、活性の保持、及び回収したタンパク質の医薬製剤への組み込みが促進される。
そのような方法は、プロrVWF、mat−rVWF/rVWF−PP複合体、mat−rVWF、及び/またはrVWFプロペプチド(rVWF−PP)を含む溶液を得るために、現在の精製方法とともに用いることができる。いくつかの実施形態では、免疫親和性精製は、場合により、陽イオン交換、陰イオン交換、及び/またはサイズ排除クロマトグラフィー手順に基づいた手順を含む、本明細書に記載のいずれかの精製手順において、工程(a)の前に行う。
E.遊離の成熟VWF
いくつかの実施形態では、本明細書に提供する組成物の宿主細胞(HC)不純物レベルは、2.0ppm以下、例えば、2.0ppm、1.9ppm、1.8ppm、1.7ppm、1.6ppm、1.5ppm、1.4ppm、.3ppm、1.2ppm、1.1ppm、1.0ppm、0.9ppm、0.8ppm、0.7ppm、0.6ppm、0.5ppm、0.4ppm、0.3ppm、0.2ppm、0.1ppm、0.09ppm、0.08ppm、0.07ppm、0.06ppm、0.05ppm、0.04ppm、0.03ppm、0.02ppm、0.01pm以下である。他の実施形態では、本明細書に提供する組成物の宿主細胞不純物レベルは、0.6ppm以下、例えば、0.6ppm、0.5ppm、0.4ppm、0.3ppm、0.2ppm、0.1ppm、0.09ppm、0.08ppm、0.07ppm、0.06ppm、0.05ppm、0.04ppm、0.03ppm、0.02pm、0.01pm以下である。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供する組成物の宿主細胞(HC)不純物レベルは、5.0%以下(例えば、≦5.0%)である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供する組成物の宿主細胞(HC)不純物レベルは、4.0%以下(例えば、≦4.0%)である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供する組成物の宿主細胞(HC)不純物レベルは、3.0%以下(例えば、≦3.0%)である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供する組成物の宿主細胞(HC)不純物レベルは、2.0%以下(例えば、≦1.0%)である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供する組成物の宿主細胞(HC)不純物レベルは、2.0%以下(例えば、≦1.0%)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞(HC)不純物レベルは、0.9%以下(例えば、≦0.9%)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞(HC)不純物レベルは、0.8%以下(例えば、≦0.8%)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞(HC)不純物レベルは、0.7%以下(例えば、≦0.7%)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞(HC)不純物レベルは、0.6%以下(例えば、≦0.6%)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞(HC)不純物レベルは、0.5%以下(例えば、≦0.5%)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞(HC)不純物レベルは、0.4%以下(例えば、≦0.4%)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞(HC)不純物レベルは、0.3%以下(例えば、≦0.3%)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞(HC)不純物レベルは、0.2%以下(例えば、≦0.2%)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞(HC)不純物レベルは、0.1%以下(例えば、≦0.1%)である。
いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は、15%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、または0.05%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は15%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は10%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は5%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は4%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は3%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は2%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は1%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は0.5%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は0.4%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は0.3%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は0.2%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は0.1%未満である。いくつかの実施形態では、rVWF−PP不純物は0.05%未満である。
(表1)例示的なVWF−PPの除去能力
*:ロード前に事前に成熟させるか、またはカラム上でのin vitro成熟(現在プロセス中で、及び別の特許の請求項の一部で行われている)によって成熟を完了させる
F.組換え型VWF産生
本発明の遊離の成熟組換えフォン・ヴィルブランド因子(rVWF)は、組換えで産生することができる。当業者であれば、宿主細胞内で組換えタンパク質を発現するための有用な方法を認識している。いくつかの例では、方法は、CHO細胞などの宿主細胞でrVWFをコードする核酸配列を発現させ、得られた宿主細胞を特定の条件下で培養してrVWF、プレプロVWF、プロVWFなどを産生することを含む。
特定の実施形態では、VWF用の配列コードを含む核酸配列は、発現ベクターであり得る。ベクターは、ウイルスによって送達し得るか、またはプラスミドであり得る。タンパク質をコードする核酸配列は、特定の遺伝子またはその生物学的機能部分であり得る。一実施形態では、タンパク質は、VWFの少なくとも生物学的に活性な部分である。核酸配列は、一般的に当業者に公知のプロモーター配列、エンハンサー、TATAボックス、転写開始部位、ポリリンカー、制限酵素部位、ポリA配列、タンパク質プロセシング配列、選択マーカーなどのタンパク質の制御発現に適した他の配列をさらに含み得る。
VWFの発現には多種多様なベクターを用いることができ、真核生物発現ベクターから選択することができる。真核生物発現用のベクターの例として:(i)酵母での発現については、AOX1、GAP、GAL1、AUG1などのプロモーターを使用するpAO、pPIC、pYES、pMETなどのベクター;(ii)昆虫細胞での発現については、PH、p10、MT、Ac5、OpIE2、gp64、polhなどのプロモーターを使用するpMT、pAc5、pIB、pMIB、pBACなどのベクター;(iii)哺乳類細胞での発現については、pSVL、pCMV、pRc/RSV、pcDNA3、pBPVなどのベクター、ならびにCMV、SV40、EF−1、UbC、RSV、ADV、BPV、及びβ−アクチンなどのプロモーターを使用する、例えば、ワクシニアウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルスなどのウイルス系由来ベクターが挙げられる。
いくつかの態様では、本発明の方法で使用するrVWFを、当技術分野で公知の方法を用いて哺乳類細胞培養物中で発現させることによって産生する。特定の実施形態では、哺乳類培養物は、CHO細胞を含む。さらなる実施形態では、rVWFを、同じ培養物中で組換え第VIII因子(rFVIII)と共発現させる。そのような実施形態では、rVWFとrFVIIIを、一緒に精製する(共精製する)か、または当技術分野で公知の方法を用いて別々に精製する。他の実施形態では、rVWFを、rFVIIIを含まない培養物中で発現させる。
いくつかの実施形態では、rVWFを、適切な真核生物宿主系で発現させ、単離する。真核細胞の例として、CHO、COS、HEK293、BHK、SK−Hep、及びHepG2などの哺乳類細胞;例えば、SF9細胞、SF21細胞、S2細胞、及びHigh Five細胞などの昆虫細胞;ならびに例えば、Saccharomyces細胞またはSchizosaccharomyces細胞などの酵母細胞が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、VWFは、酵母細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、哺乳類細胞などで発現させることができる。例えば、ヒト細胞株、ハムスター細胞株、またはマウス細胞株において発現させることができる。特定の一実施形態では、細胞株は、CHO、BHK、またはHEK細胞株である。一般的には、哺乳類細胞、例えば、連続細胞株由来のCHO細胞を使用して、本発明のVWFを発現させることができる。特定の例では、VWFタンパク質を、発現させ、CHO細胞発現系から単離する。
VWFは、細胞培養系で、または当業者が認識する任意の細胞培養法に従って産生することができる。いくつかの実施形態では、細胞培養を、高い容量特異的培養表面積を提供するのに適した条件下で大規模なバイオリアクターで実施して、高い細胞密度及びタンパク質発現を達成することができる。そのような増殖条件を提供するための1つの手段は、撹拌槽型バイオリアクターでの細胞培養にマイクロキャリアを使用することである。マイクロキャリアにおける細胞増殖の概念は、最初にvan Wezel(van Wezel,A.L.,Nature,1967,216:64−5)によって記載され、増殖培地に懸濁させた小さな固体粒子の表面への細胞接着を可能にする。これらの方法は、高い表面対体積比を提供し、したがって、効率的に栄養素を利用することができる。さらに、真核細胞系における分泌タンパク質の発現に関しては、表面対体積比の増加により、より高いレベルの分泌が可能となり、培養上清中のタンパク質収量が高まる。最後に、これらの方法では、真核生物発現培養物を容易にスケールアップすることができる。
VWFを発現する細胞は、細胞培養増殖中に球状または多孔性マイクロキャリアに結合することができる。マイクロキャリアは、Butler(1988.In:Spier & Griffiths,Animal Cell Biotechnology 3:283−303)に記載されているように、デキストラン、コラーゲン、プラスチック、ゼラチン及びセルロースなどに基づいてマイクロキャリアの群から選択されるマイクロキャリアであり得る。また、球状マイクロキャリア上で細胞をバイオマスまで増殖させ、細胞が最終的な発酵槽バイオマスに到達したとき、及び発現させるタンパク質を多孔性マイクロキャリア上で産生する前に、細胞を継代培養することができ、またはその逆も可能である。適切な球状マイクロキャリアとして、Cytodex(商標)1、Cytodex(商標)2、及びCytodex(商標)3(GE Healthcare)などの滑面マイクロキャリア、ならびにCytopore(商標)1、Cytopore(商標)2、Cytoline(商標)1、Cytoline(商標)2(GE Healthcare)などの多孔性マイクロキャリアが挙げられ得る。
さらなる実施形態では、in vitroでプロVWFをフューリンに曝露し、非成熟型VWFからVWFプロペプチドを切り離す。いくつかの実施形態では、プロペプチド切断に使用するフューリンは組換えフューリンである。
特定の実施形態では、高分子量rVWFを産生する細胞培養培地で培養した細胞でrVWFを発現させる。用語「細胞培養液」、「細胞培養培地または培地」、及び「細胞培養上清」とは、当技術分野で一般的に周知の細胞培養プロセスの態様を指す。本発明に関して、細胞培養液には、細胞培養培地及び細胞培養上清が含まれ得る。細胞培養培地を、場合によりサプリメントとともに、細胞培養液に外来的に添加して、VWF発現細胞を培養するための栄養素及び他の成分を提供する。細胞培養上清とは、細胞培養培地由来の栄養素及び他の成分ならびに培養中に細胞から放出、代謝、及び/または排泄される産物を含む細胞培養液を指す。さらなる実施形態では、培地は、動物性タンパク質フリーであり、化学的に定義することができる。動物性タンパク質フリー及び化学的に定義された培養培地の調製方法は、例えばUS2006/0094104、US2007/0212770、及びUS2008/0009040において当技術分野で公知であり、これらは、あらゆる目的のために、特に細胞培養培地に関連するすべての教示のために本明細書に援用される。「タンパク質フリー」及び関連用語は、培養物中の外来性または細胞以外の供給源に由来するタンパク質を指し、天然では増殖中にタンパク質は取り除かれる。別の実施形態では、培養培地はポリペプチドフリーである。別の実施形態では、培養培地は血清フリーである。別の実施形態では、培養培地は動物性タンパク質フリーである。別の実施形態では、培養培地は動物成分フリーである。別の実施形態では、培養培地は、タンパク質、例えば、ウシ胎仔血清などの血清由来動物性タンパク質を含有する。別の実施形態では、培養物は、外来的に添加された組換えタンパク質を含む。別の実施形態では、タンパク質は、認定病原体フリー動物由来である。本明細書中で使用する用語「化学的に定義された」とは、培地が、例えば、動物成分、器官、腺、植物、または酵母の抽出物のような未定義のサプリメントを含まないことを意味する。したがって、化学的に定義された培地の各成分は正確に定義される。好ましい実施形態では、培地は、動物成分フリーであるとともにタンパク質フリーである。
特定の実施形態では、VWF発現細胞の培養を、少なくとも約7日間、または少なくとも約14日間、21日間、28日間、または少なくとも約5週間、6週間、7週間、または少なくとも約2か月間、または3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18か月以上維持することができる。組換えVWFタンパク質の産生のために細胞培養を維持する細胞密度は、タンパク質発現に使用する培養条件及び培地に依存する。当業者であれば、VWFを産生する細胞培養物にとって最適な細胞密度を容易に決定することができる。一実施形態では、培養物を、長期間にわたって約0.5x106〜4x107細胞/mlの細胞密度で維持する。他の実施形態では、細胞密度を、長期間にわたって約1.0x106〜約1.0x107細胞/mlの濃度で維持する。他の実施形態では、細胞密度を、長期間にわたって約1.0x106〜約4.0x106細胞/mlの濃度で維持する。他の実施形態では、細胞密度を、長期間にわたって約1.0x106〜約4.0x106細胞/mlの濃度で維持する。さらに他の実施形態では、細胞密度を、約2.0x106〜約4.0x106、または約1.0x106〜約2.5x106、または約1.5x106〜約3.5x106、または他の任意の同様の範囲の濃度で長期間維持し得る。細胞培養における適切な時間の後、当技術分野で公知の方法を用いてrVWFを発現系から単離することができる。
特定の実施形態では、rVWF産生のための連続細胞培養の細胞密度を、長期間にわたって2.5x106細胞/mL以下の濃度で維持する。他の特定の実施形態では、細胞密度を、2.0x106細胞/mL、1.5x106細胞/mL、1.0x106細胞/mL、0.5x106細胞/mL以下で維持する。一実施形態では、細胞密度を、1.5x106細胞/mL〜2.5x106細胞/mLで維持する。
上記の細胞培養物の一実施形態では、細胞培養液は、銅を含む培地サプリメントを含む。そのような細胞培養液は、例えば米国特許第8,852,888号及び米国特許第9,409,971号に記載されており、これは、あらゆる目的のために、特に組換えVWFを産生するための細胞培養法及び組成物に関連するすべての教示のために、その全体を参照により本明細書に援用される。
プレプロVWFのポリヌクレオチド及びアミノ酸配列は、それぞれSEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:2に記載されており、GenBank登録番号NM_000552(Homo sapiensフォン・ヴィルブランド因子(VWF)mRNA)及びNP_000543でそれぞれ入手可能である。成熟VWFタンパク質に対応するアミノ酸配列は、SEQ ID NO:3(全長プレプロVWFアミノ酸配列のアミノ酸764〜2813に対応する)に記載されている。いくつかの実施形態では、VWFは、SEQ ID NO:3の配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の同一性を示す。いくつかの実施形態では、本発明のmat−rVWFは、SEQ ID NO:3の配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の同一性を示す。例えば、米国特許第8,597,910号、米国特許公開第2016/0129090号、及び図60を参照のこと。
有用なrVWFの一形態は、少なくともin vivo安定化の特性、例えば、少なくとも1つの第VIII因子(FVIII)分子の結合及び場合により薬理学的に許容されるグリコシル化パターンを有する。その具体例として、A2ドメインを含まず、したがってタンパク質分解に対して耐性を有するVWF(Lankhof et al.,Thromb.Haemost.77:1008−1013,1997)、ならびに糖タンパク質lb結合ドメインと、コラーゲン及びヘパリン結合部位とを含むVal449〜Asn730のVWF断片(Pietu et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.164:1339−1347,1989)が挙げられる。少なくとも1つのFVIII分子を安定化させるVWFの能力の判定は、一態様では、当技術分野で公知の方法に従ってVWF欠損哺乳類において実施する。
本発明のrVWFは、当技術分野で公知の任意の方法によって産生することができる。特定の一例は、1986年10月23日に公開されたWO86/06096及び1990年7月23日に出願された米国特許出願第07/559,509号に開示されており、組換えVWFの産生方法に関して参照により本明細書に援用される。したがって、(i)例えば、RNA逆転写及び/またはDNA増幅による遺伝子改変によって組換えDNAを産生し、(ii)組換えDNAを、例えば電気穿孔法またはマイクロインジェクションによる形質移入によって原核細胞または真核細胞に導入し、(iii)形質転換細胞を、例えば連続方式またはバッチ方式で培養し、(iv)例えば構成的に、または誘導時にVWFを発現させ、そして(v)例えば、培養培地から、または形質転換した細胞を回収することによってVWFを単離して、(vi)例えば陰イオン交換クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーを介して精製rVWFを取得するための方法は、当技術分野で公知である。一態様では、当技術分野で周知の組換えDNA技術を用いて形質転換した宿主細胞において組換えVWFを作製する。例えば、ポリペプチドのコード配列を、適切な制限酵素を用いてDNAから切除することができる。あるいは、別の態様では、DNA分子をホスホロアミド酸法のような化学合成技術を用いて合成する。また、さらに別の態様では、これらの技術の組み合わせを用いる。
また、本発明は、適切な宿主において本発明のポリペプチドをコードするベクターを提供する。ベクターは、適切な発現制御配列に作動的に連結されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。ポリヌクレオチドをベクターに挿入する前または後のいずれかに、この作動的な連結を達成する方法は周知である。発現制御配列として、プロモーター、アクチベーター、エンハンサー、オペレーター、リボソーム結合部位、開始シグナル、終止シグナル、キャップシグナル、ポリアデニル化シグナル、及び転写または翻訳の制御に関与する他のシグナルが挙げられる。得られるベクターは、内部にポリヌクレオチドを有し、適切な宿主を形質転換するために使用される。この形質転換を、当技術分野で周知の方法を用いて実施してもよい。
多数の利用可能な周知の宿主細胞のいずれかを、本発明の実施に用いる。特定の宿主の選択は、例えば、選択した発現ベクターとの適合性、DNA分子によってコードされるペプチドの毒性、形質転換率、ペプチドの回収の容易さ、発現特性、生物安全性及びコストを含む、当技術分野で認識される多くの因子に依存する。すべての宿主細胞が特定のDNA配列の発現に等しく有効であるわけではないということを理解したうえで、これらの因子のバランスを決定しなければならない。これらの一般的なガイドラインの範囲内で、有用な微生物宿主細胞には、限定されないが、培養中の細菌、酵母及び他の真菌、昆虫、植物、哺乳類(ヒトを含む)細胞、または当技術分野で公知の他の宿主が含まれる。
形質転換した宿主細胞を、所望の化合物が発現するように、従来の発酵条件下で培養する。そのような発酵条件は当技術分野で周知である。最後に、ポリペプチドを、当技術分野で周知の方法により、培養培地または宿主細胞自体から精製する。
本発明の化合物を発現するために利用する宿主細胞に応じて、場合により、タンパク質中のグリコシル化部位であることが知られている部位に炭水化物(オリゴ糖)基を結合させる。一般的に、O−結合型オリゴ糖はセリン(Ser)またはスレオニン(Thr)残基に結合し、N−結合型オリゴ糖はアスパラギン(Asn)残基に、それが配列Asn−X−Ser/Thrの一部である場合に結合し、式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸であり得る。Xは、好ましくは、プロリンをカウントしない19種の天然アミノ酸のうちの1つである。N−結合型及びO−結合型オリゴ糖の構造、及び各タイプに認められる糖残基は異なる。N−結合型及びO−結合型オリゴ糖の両方に一般的に認められる糖の1つのタイプは、N−アセチルノイラミン酸(シアル酸と呼ばれる)である。シアル酸は、通常、N−結合型及びO−結合型オリゴ糖の両方の末端残基であり、その負電荷により、一態様では、グリコシル化化合物に酸性特性を付与する。そのような部位(複数可)は、本発明の化合物のリンカーに組み込まれていてもよいし、好ましくは、ポリペプチド化合物の組換え産生中に細胞によってグリコシル化される(例えば、CHO、BHK、COSなどの哺乳類細胞において)。他の態様では、そのような部位は、当技術分野で公知の合成または半合成手順によってグリコシル化される。
いくつかの実施形態では、シアル化(シアリル化とも呼ばれる)を、本明細書に記載の精製手順(陰イオン交換、陽イオン交換、サイズ排除、及び/または免疫親和法を含む)の一部としてカラム上で実施することができる。いくつかの実施形態では、シアリル化は、シアリル化を受けていないrVWFに比べて、rVWFの安定性を増加させる。いくつかの実施形態では、シアリル化は、シアリル化を受けていないrVWFに比べて、血液循環中のrVWFの安定性を増加させる(例えば、対象への投与後の)。いくつかの実施形態では、唾液rVWFの安定性の増加により、シアリル化を受けていないrVWFに比べて、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上の増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、シアリル化は、シアリル化を受けていないrVWFに比べて、rVWFの半減期を増加させる。いくつかの実施形態では、シアリル化は、シアリル化を受けていないrVWFに比べて、血液循環中のrVWFの半減期を増加させる(例えば、対象への投与後の)。いくつかの実施形態では、シアリル化rVWFの半減期の増加により、シアリル化を受けていないrVWFに比べて、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上の増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、シアリル化rVWFの半減期の増加により、シアリル化を受けていないrVWFに比べて、血液循環中で、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、12時間、24時間以上(例えば、対象に投与後)安定なrVWFがもたらされる。いくつかの実施形態では、シアリル化により、2,3シアリル化及び/または2,6シアリル化の数が増加する。いくつかの実施形態では、シアリル化を、追加の緩衝工程として2,3シアリルトランスフェラーゼ及び/または2,6シアリルトランスフェラーゼ及びCMP−NANA(シチジン−5’−モノホスホ−N−アセチルノイラミン酸ナトリウム塩)を添加することによって増加させる。いくつかの実施形態では、シアリル化を、追加の緩衝工程として2,3シアリルトランスフェラーゼ及びCMP−NANA(シチジン−5’−モノホスホ−N−アセチルノイラミン酸ナトリウム塩)を添加することによって増加させる。いくつかの実施形態では、2,3シアリル化を、追加の緩衝工程として2,3シアリルトランスフェラーゼ及びCMP−NANA(シチジン−5’−モノホスホ−N−アセチルノイラミン酸ナトリウム塩)を添加することによって増加させる。いくつかの実施形態では、シアリル化を増加させるために、結合タンパク質(例えば、結合rVWF)をシアリダーゼ(例えば、ノイラミニダーゼ)で処理して2,3シアリル化を除去し、次いで洗浄工程を適用してシアリダーゼを除去し、2,6シアリル化を導入する。いくつかの実施形態では、2,6シアリルトランスフェラーゼ及びCMP−NANAの添加により、2,6シアリル化を導入する。
いくつかの実施形態では、2,6シアリル化を、追加の緩衝工程として2,6シアリルトランスフェラーゼ及びCMP−NANA(シチジン−5’−モノホスホ−N−アセチルノイラミン酸ナトリウム塩)を添加することによって増加させる。いくつかの実施形態では、2,3シアリル化及び/または2,6シアリル化を、追加の緩衝工程として2,3シアリルトランスフェラーゼ及び/または2,6シアリルトランスフェラーゼ及びCMP−NANA(シチジン−5’−モノホスホ−N−アセチルノイラミン酸ナトリウム塩)を添加することによって増加させる。いくつかの実施形態では、CMP−NANAを、化学的または酵素的に修飾し、修飾シアル酸を電位のない部位に移す。いくつかの実施形態では、樹脂にrVWFをローディングし、本明細書に記載の1つ以上の緩衝液で洗浄して望ましくない不純物を枯渇させ、シアリルトランスフェラーゼ及びCMP−NANAを含有する1つ以上の緩衝液をさらなるシアリル化を可能にする条件で添加し、1つ以上の緩衝液で洗浄して余剰のシアリル化試薬を枯渇させ、1つ以上の緩衝液で強化型rVWF(例えば、シアリル化を増加させたrVWF)を溶出することにより、シアリル化を実施する。いくつかの実施形態では、シアリル化プロセスは、本明細書に記載するように、陽イオン交換法、陰イオン交換法、サイズ排除法、または免疫親和精製法の一部として実施する。
あるいは、例えば、固相合成技術を用いた合成法によって化合物を作製する。適切な技術は、当技術分野で周知であり、Merrifield(1973),Chem.Polypeptides,pp.335−61(Katsoyannis and Panayotis eds.);Merrifield(1963),J.Am.Chem.Soc.85:2149;Daviset al.(1985),Biochem.Intl.10:394−414;Stewart and Young(1969),Solid Phase Peptide Synthesis;米国特許第3,941,763号;Finn et al.(1976),The Proteins(3rd ed.)2:105−253;及びErickson et al.(1976),The Proteins(3rd ed.)2:257−527’に記載されている技術が挙げられる。固相合成は、低分子ペプチドを作製するには最も費用対効果の高い方法であるため、個々のペプチドを作製する技術として好ましい。
VWFの断片、バリアント及び類似体は、当技術分野で周知の方法に従って産生することができる。ポリペプチドの断片を、限定されないが、酵素的切断(例えば、トリプシン、キモトリプシン)、及び組み換え手段を用いて調製して、特定のアミノ酸配列を有するポリペプチド断片を生成することができる。特定の活性を有するタンパク質の領域、例えば、多量体化ドメインまたは当技術分野で公知の他の任意の識別可能なVWFドメインを含むポリペプチド断片を生成してもよい。
ポリペプチド類似体の作製方法もまた、周知である。ポリペプチドのアミノ酸配列類似体は、置換型、挿入型、付加型または欠失型類似体とすることができる。ポリペプチドの断片を含む、欠失型類似体は、機能または免疫原性活性に必須ではない天然タンパク質の1つ以上の残基を欠いている。挿入型類似体は、例えば、ポリペプチド中の非末端部位におけるアミノ酸(複数可)の付加を有する。この類似体は、例えば、限定されないが、免疫反応性エピトープまたは単に単一残基の挿入を含み得る。ポリペプチドの断片を含む、付加型類似体は、タンパク質の一方または両方の末端において1つ以上のアミノ酸の付加を有し、これには、例えば、融合タンパク質が含まれる。前述の類似体の組み合わせも企図される。
置換型類似体は、一般的には、タンパク質内の1つ以上の部位において野生型の1つのアミノ酸から別のアミノ酸への交換を有し、ポリペプチドの1つ以上の特性を、他の機能または特性を完全に失わせることなく調節するように設計してもよい。一態様では、置換は保存的置換である。「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸から、側鎖または類似の化学的特徴を有するアミノ酸への置換である。保存的置換を行うための同様のアミノ酸として、酸性側鎖(グルタミン酸、アスパラギン酸);塩基性側鎖(アルギニン、リジン、ヒスチジン);極性アミド側鎖(グルタミン、アスパラギン);疎水性の脂肪族側鎖(ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、グリシン);芳香族側鎖(フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン);小さな側鎖(グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、メチオニン);または脂肪族ヒドロキシル側鎖(セリン、スレオニン)を有するアミノ酸が挙げられる。
一態様では、類似体は、それらが由来する組換えVWFと実質的に相同であるか、または実質的に同一である。類似体には、野生型ポリペプチドの少なくともいくつかの生物学的活性、例えば血液凝固活性を保持するものが含まれる。
企図されるポリペプチドバリアントには、限定されないが、ユビキチン化、ポリシアル化(またはポリシアリル化)を含むグリコシル化、治療剤または診断剤との複合体化、標識、ペグ化などの共有ポリマー結合(ポリエチレングリコールによる誘導体化)、非加水分解結合の導入、及びヒトタンパク質において通常生じないオルニチンなどのアミノ酸の化学合成による挿入または置換などの技術によって化学的に修飾されたポリペプチドが含まれる。バリアントは、本発明の非修飾分子と同じ、または本質的に同じ結合特性を保持している。そのような化学修飾は、VWFポリペプチドへの薬剤の直接的または間接的な(例えば、リンカーを介して)結合を含み得る。間接的な結合の場合、リンカーは加水分解可能であっても、非加水分解性であってもよいと考えられる。
ペグ化ポリペプチド類似体の調製は、一態様では、(a)結合構築物のポリペプチドが1つ以上のPEG基に結合するようなる条件下で、ポリペプチドをポリエチレングリコール(PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体など)と反応させる工程、及び(b)反応生成物(複数可)を取得する工程を含む。一般的に、アシル化反応に最適な反応条件は、既知のパラメータと所望の結果に基づいて決定する。例えば、PEG:タンパク質の比率が大きいほど、ポリペグ化産物の割合は大きくなる。いくつかの実施形態では、結合構築物は、N末端で単一のPEG部分を有する。ポリエチレングリコール(PEG)は、血液凝固因子に結合して、例えば、in vivoでより長い半減期を提供し得る。PEG基は、任意の都合のよい分子量のものであってよく、直鎖状であるか、または分岐している。PEGの平均分子量は、約2キロダルトン(「kD」)〜約100kDa、約5kDa〜約50kDa、または約5kDa〜約10kDaの範囲である。特定の態様では、PEG基は、PEG部分上の天然または改変型の反応性基(例えば、アルデヒド、アミノ、チオール、またはエステル基)を介して、血液凝固因子上の反応性基(例えば、アルデヒド、アミノ、またはエステル基)へのアシル化または還元アルキル化によって、あるいは当技術分野で公知の任意の他の技術によって、血液凝固因子に結合する。
ポリシアリル化ポリペプチドの調製方法は、米国特許公開20060160948,Fernandes et Gregoriadis;Biochim.Biophys.Acta 1341:26−34,1997、及びSaenko et al.,Haemophilia 12:42−51,2006に記載されている。簡潔に述べると、0.1M NaIO4を含有するコロミン酸(CA)の溶液を、暗所において室温で撹拌し、CAを酸化させる。活性化したCA溶液を、暗所において、例えば、0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液,pH7.2に対して透析し、この溶液を、rVWF溶液に添加し、穏やかな攪拌下で暗所において室温で18時間インキュベートした。場合により、遊離試薬を、例えば、限外濾過/ダイアフィルトレーションによってrVWF−ポリシアリル酸複合体から分離する。rVWFとポリシアリル酸の複合体化は、架橋試薬としてグルタルアルデヒドを用いて達成する(Migneault et al.,Biotechniques 37:790−796,2004)。
別の態様では、本発明のポリペプチドは、ポリペプチドである第2の薬剤との融合タンパク質であることがさらに企図される。一実施形態では、ポリペプチドである第2の薬剤は、限定されないが、酵素、増殖因子、抗体、サイトカイン、ケモカイン、細胞表面受容体、細胞表面受容体の細胞外ドメイン、細胞接着分子、または上記のタンパク質の断片または活性ドメインである。関連する実施形態では、第2の薬剤は、第VIII因子、第VII因子、及び/または第IX因子などの血液凝固因子である。いくつかの実施形態では、第2の薬剤は融合タンパク質である。企図される融合タンパク質は、当技術分野で周知の化学的または組換え技術によって作製する。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、rVWF−FVIII融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、rVWF−FVIII融合タンパク質であり、その場合、活性FVIIIがVWFモチーフに埋め込まれている。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、rVWF−FVIII融合タンパク質であり、その場合、VWFが完全長であるように、活性FVIIIがVWFモチーフに埋め込まれている。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、rVWF−FVIII融合タンパク質であり、その場合、活性FVIIIがVWFモチーフに埋め込まれ、VWF配列の一部が削除され、FVIII配列で置換されている。rVWF−FVIII融合タンパク質のいくつかの実施形態では、FVIIIは、Bドメインを削除したFVIIIである。rVWF−FVIII融合タンパク質のいくつかの実施形態では、FVIII−BドメインをN−グリコシル化リッチドメインに置換する。rVWF−FVIII融合タンパク質のいくつかの実施形態では、vWF−Nグリコシル化リッチドメインを、完全長FVIII及び/またはそのトランケート型に融合させる。
rVWF−FVIII融合タンパク質のいくつかの実施形態では、融合タンパク質は、以下を含む:
VWFペプチドの764〜1336位を含むVWFペプチド、
FVIII重鎖ペプチドの24〜760位を含むFVIIIペプチド、
VWFペプチドの2218〜2593位を含むVWFペプチド、
FVIII軽鎖ペプチドの1333〜2351位を含むFVIIIペプチド、及び
VWFペプチドの2620〜2813位を含むVWFペプチド。
rVWF−FVIII融合タンパク質のこの実施形態では、アミノ酸の位置は、Pro及び/またはシグナルペプチドを含む第1の位置からカウントする。rVWF−FVIII融合タンパク質のこの実施形態では、VWFにおける764位は成熟rVWF(mat−rVWF)の1位に対応し、FVIIIの20位は成熟FVIIIペプチドの1位に対応する。rVWF−FVIII融合タンパク質のいくつかの実施形態では、融合タンパク質の配列を図64に示す。
rVWF−FVIII融合タンパク質のいくつかの実施形態では、融合タンパク質は、以下を含む:
FVIII重鎖ペプチドのFVIII重鎖19〜760位を含むFVIIIペプチド、
VWFペプチドの2218〜2593位を含むVWFペプチド、及び
FVIII軽鎖ペプチドの1333〜2351位を含むFVIIIペプチド。
rVWF−FVIII融合タンパク質のこの実施形態では、アミノ酸の位置は、Pro及び/またはシグナルペプチドを含む第1の位置からカウントする。rVWF−FVIII融合タンパク質のこの実施形態では、VWFにおける764位は成熟rVWF(mat−rVWF)の1位に対応し、FVIIIの20位は成熟FVIIIペプチドの1位に対応する。rVWF−FVIII融合タンパク質のいくつかの実施形態では、融合タンパク質の配列を図65に示す。
別の態様では、プレプロVWF及びプロVWFポリペプチドが、本発明の製剤において治療効果を提供することも企図されている。例えば、米国特許第7,005,502号は、in vitroでトロンビン生成を誘導する相当量のプロVWFを含む医薬品製剤を記載している。組換え、生物学的活性断片、バリアント、または天然の成熟VWFの他の類似体に加えて、本発明は、本明細書に記載の製剤におけるプレプロVWF(SEQ ID NO:2に記載)またはプロVWFポリペプチド(SEQ ID NO:2のアミノ酸残基23〜764)の組換え生物学的活性断片、バリアント、または類似体の使用を企図する。
断片、バリアント及び類似体をコードするポリヌクレオチドは、天然分子と同じまたは同様の生物学的活性を有する天然分子の生物学的活性断片、バリアント、または類似体をコードする技術者によって容易に生成され得る。様々な態様では、これらのポリヌクレオチドを、PCR技術、DNAコード分子の消化/ライゲーションなどを用いて調製する。したがって、当業者は、部位特異的変異誘発を含むがこれに限定されない当技術分野で公知の任意の方法を使用して、DNA鎖に一塩基の変化を生成して、コドン変化及びミスセンス変異をもたらすことができる。本明細書中で使用する場合、語句「適度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、例えば、50%ホルムアミド中、42℃でハイブリダイゼーションし、0.1xSSC,0.1%SDS中、60℃で洗浄することを意味する。当業者であれば、ハイブリダイズさせる配列の長さ及びGCヌクレオチド塩基含量に基づいて、これらの条件に変動が生じることは理解している。当技術分野における標準式は、正確なハイブリダイゼーション条件を決定するのに適している。Sambrook et al.,9.47−9.51 in Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York(1989)を参照のこと。
G.ウイルスの不活性化
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、ウイルス不活化の工程をさらに含む。ウイルス不活化工程は、前記ウイルス不活化を、洗浄工程及び/または溶出工程の前に、後に、または同時に、ただし回収工程の前に実施することができる。ウイルス不活化処理は、脂質エンベロープウイルスを不活化することができる。いくつかの実施形態では、ウイルス不活化処理は、溶媒及び界面活性剤(S/D)処理である。いくつかの実施形態では、ウイルス不活化処理は、エチレングリコール、セクションアルコール中のプロピレングリオール及び/または1つ以上の有機溶媒(複数可)の使用を含む。
本明細書中で使用する場合、用語「ウイルス不活性化」または「ウイルス不活化」とは、ウイルスがもはや細胞に感染し、複製し、及び増殖することができず、本質的にウイルスが除去されるプロセスを指す。このように、用語「ウイルス不活化」とは、一般的に、感染性ウイルス汚染物質を完全に含まない本明細書に開示の流体を作製するプロセスを指す。本明細書に開示の方法を用いた任意の程度のウイルス不活化が望ましい。しかしながら、医薬品に対する厳格な安全ガイドラインを満たすために必要なウイルス不活化の程度を達成することが望ましい。これらのガイドラインはWHOによって定められており、当業者には周知である。
本明細書に開示の方法は、インキュベーション後に混合物からウイルスを除去する工程をさらに含み得る。本明細書中で使用する場合、用語「ウイルスを除去する」または「ウイルス除去」とは、本明細書に開示の混合物からウイルスを枯渇させ、それによりウイルス粒子を混合物から効果的に抽出するプロセスを指す。ウイルスは、生存ウイルスまたは不活化ウイルスであり得る。除去は、一般的には、サイズ排除クロマトグラフィーまたは陽性吸着クロマトグラフィーによって達成され、その場合、目的のタンパク質が、例えば、本明細書に記載する陰イオン交換樹脂または陽イオン交換樹脂を含む、クロマトグラフィー樹脂に結合する。除去後、ウイルスの残存量は、例えばヒトを含め、その必要としている対象に投与する場合に実質的に長期または永久的な有害な影響を及ぼさない量である。
一実施形態では、ウイルス除去後の混合物は、本質的にウイルスを含まない。本明細書中で使用する場合、用語「本質的にウイルスを含まない」とは、ウイルスの存在または活性を検出または確認するために使用する機器またはプロセスによって、微量のウイルスのみを検出または確認することができ、そのような微量のウイルスではヒトの健康に害を及ぼすには不十分であることを意味する。この実施形態の一態様では、ウイルス除去後の混合物は、完全にウイルスを含まない。本明細書中で使用する場合、用語「完全にウイルスを含まない」とは、ウイルスの存在または活性を検出または確認するために使用する機器またはプロセスの検出範囲内でウイルスの存在を検出または確認することができないことを意味する。ウイルスがヒトの健康に害を及ぼすには不十分であることから、本質的にウイルスを含まないか、または完全にウイルスを含まない混合物中に含まれるタンパク質を使用して、ヒトに安全に投与できる医薬組成物を作製することができる。
この実施形態の他の態様では、ウイルス除去後の混合物は、10PFU/mL未満のウイルス、例えば、1PFU/mL未満のウイルス、1×10−1PFU/mL未満のウイルス、1×10−2PFU/mLのウイルス、または1×10−3PFU/mLのウイルスを含む。
この実施形態のさらに他の態様では、ウイルス除去後の混合物は、ID50未満のウイルス、例えば、ID50の最大1/10未満のウイルス、ID50の最大1/100未満のウイルス、ID50の最大1/200未満のウイルス、ID50の最大1/300未満のウイルス、ID50の最大1/400未満のウイルス、ID50の最大1/500未満のウイルス、ID50の最大1/600未満のウイルス、ID50の最大1/700未満のウイルス、ID50の最大1/800未満のウイルス、ID50の最大1/900未満のウイルス、またはID50の最大1/1000未満のウイルスを含む。
ウイルス不活化は、タンパク質精製と組み合わせて実施してもしなくてもよい。いくつかの実施形態では、方法は、タンパク質を支持体上に固定化すること;及び固定化したタンパク質を、非イオン性界面活性剤と有機溶媒を含む界面活性剤−溶媒混合物で処理することを含む。いくつかの実施形態では、支持体はクロマトグラフィー樹脂である。特定の実施形態では、界面活性剤−溶媒混合物は、1%Triton X−100、0.3%リン酸トリ−N−ブチル、及び0.3%ポリソルベート80(Tween80)を含む。タンパク質がクロマトグラフィー樹脂、例えば陽イオン交換樹脂に固定化されたままである限り、溶媒−界面活性剤混合物処理を、長期間、例えば、30分〜1時間継続することができ;及び/または溶媒−界面活性剤処理を2℃〜10℃で行ってもよい。ウイルス不活化へのこのアプローチは、驚くべきことに、タンパク質が溶液中で固定化されていない状態での溶媒−界面活性剤混合物での処理に比べて、界面活性剤−溶媒混合物での処理中のタンパク質凝集体の形成をかなりの量、例えば50%超、減らすことができる。
いくつかの実施形態では、脂質コーティングを有するウイルスの不活化方法は、以下の工程を含む:i)活性を有するタンパク質を含む流体を提供する工程;ii)有機溶媒と界面活性剤を流体と混合し、それによって混合物を作製する工程;そしてiii)混合物を約120分以内でインキュベートする工程;その場合、工程(ii)及び(iii)の両方を、約20℃以下の温度で実施し;インキュベーション後の混合物は、脂質コーティングを有する生存ウイルスを本質的に含まず;その場合、インキュベーション後のタンパク質は、工程(i)で提供される活性の少なくとも25%の活性を有する。
他の実施形態では、脂質コーティングを有するウイルスを本質的に含まないタンパク質は、以下の工程を含む方法から取得することができる:i)活性を有するタンパク質を含む流体を提供する工程;ii)有機溶媒と界面活性剤を流体と混合し、それによって混合物を作製する工程;iii)混合物を約120分以内でインキュベートする工程;その場合、工程(ii)及び(iii)の両方を、約20℃以下の温度で実施し;インキュベーション後の混合物は、脂質コーティングを有する生存ウイルスを本質的に含まず;その場合、インキュベーション後のタンパク質は、工程(a)で提供される活性の少なくとも25%の活性を有する。
別の実施形態では、脂質コーティングを有するウイルスの不活化方法は、以下の工程を含む:i)活性を有する血液凝固タンパク質(例えば、VWF)を含む流体を提供する工程;ii)有機溶媒と界面活性剤を流体と混合し、それによって混合物を作製する工程;iii)混合物を約120分以内でインキュベートする工程;その場合、工程(ii)及び(iii)の両方を、約20℃以下の温度で実施し;インキュベーション後の混合物は、脂質コーティングを有する生存ウイルスを本質的に含まず;その場合、インキュベーション後の第VIII因子は、工程(i)で提供される活性の少なくとも25%の活性を有する。
いくつかの場合では、有機溶媒は、エーテル、アルコール、ジアルキルホスフェートまたはトリアルキルホスフェートである。特定の実施形態では、エーテルは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、及び/またはメチルイソブチルエーテルから選択される。
いくつかの実施形態では、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、及び/またはイソペンタノールから選択される。いくつかの実施形態では、ジアルキルホスフェートは、ジ−(n−ブチル)ホスフェート、ジ−(t−ブチル)ホスフェート、ジ−(n−ヘキシル)ホスフェート、ジ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ−(n−デシル)ホスフェート、及び/またはエチルジ(n−ブチル)ホスフェートから選択される。いくつかの実施形態では、トリアルキルホスフェートは、トリ−(n−ブチル)ホスフェート、トリ−(t−ブチル)ホスフェート、トリ−(n−ヘキシル)ホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、及び/またはトリ−(n−デシル)ホスフェートから選択される。
いくつかの場合では、有機溶媒の終濃度は、約0.1%(v/v)〜約5.0%(v/v)、約0.1%(v/v)〜約1.0%(v/v)、約0.2%(v/v)〜約0.5%(v/v)、または約0.2%(v/v)〜約0.4%(v/v)、約0.3%(v/v)である。
いくつかの場合では、界面活性剤は、イオン性界面活性剤、双性イオン性(両性)界面活性剤、及び/または非イオン性界面活性剤から選択される。イオン性界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤または陽イオン性界面活性剤であり得る。
特定の実施形態では、陰イオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、ドキュセート、スルホン酸フッ素系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルアリールエーテルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、カルボン酸アルキル、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、及び/またはカルボン酸フッ素系界面活性剤から選択される。いくつかの実施形態では、アルキル硫酸塩は、ラウリル硫酸アンモニウムまたはラウリル硫酸ナトリウム(SDS)から選択される。他の実施形態では、アルキルエーテル硫酸塩は、ラウレス硫酸ナトリウム及び/またはミレス硫酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、ドキュセートは、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムである。
いくつかの実施形態では、スルホン酸フッ素系界面活性剤は、パーフルオロオクタンスルホン酸塩(PFOS)及び/またはパーフルオロブタンスルホン酸塩から選択される。いくつかの実施形態では、カルボン酸アルキルは、脂肪酸塩及び/またはステアリン酸ナトリウムから選択される。いくつかの実施形態では、カルボン酸フッ素系界面活性剤は、パーフルオロノナン酸塩及びパーフルオロオクタン酸塩である。いくつかの実施形態では、陽イオン性界面活性剤は、アルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ポリエトキシル化獣脂アミン(POEA)、塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZT)、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド(DODAB)、pH依存性第一級アミン、pH依存性第二級アミン、及び/またはpH依存性第三級アミンから選択される。いくつかの実施形態では、アルキルトリメチルアンモニウム塩は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)及び/またはセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)から選択される。いくつかの実施形態では、第一級アミンがpH<10で正荷電となるか、または第二級アミンがpH<4で荷電するようになる。
いくつかの実施形態では、陽イオン性界面活性剤は、オクテニジン二塩酸塩である。
いくつかの実施形態では、双性イオン性界面活性剤は、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、スルタイン、ベタイン、及び/またはレシチンから選択される。いくつかの実施形態では、スルタインは、コカミドプロピルヒドロキシスルタインである。いくつかの実施形態では、ベタインは、コカミドプロピルベタインである。
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、ポロキサマー、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、2−ドデコキシエタノール(LUBROL(登録商標)−PX)、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、フェノキシポリエトキシルエタノール、グルコシドアルキルエーテル、マルトシドアルキルエーテル、チオグルコシドアルキルエーテル、ジギトニン、グリセロールアルキルエステル、アルキルアリールポリエーテルサルフェート、アルコールスルホネート、ソルビタンアルキルエステル、コカミドエタノールアミン、一ラウリン酸スクロース、ドデシルジメチルアミンオキシド、及び/またはコール酸ナトリウムから選択される。いくつかの実施形態では、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステルは、ポリソルベート20ソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)20)、ポリソルベート40ソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)40)、ポリソルベート60ソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)60)、ポリソルベート61ソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)61)、ポリソルベート65ソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)65)、ポリソルベート80ソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)80)、及び/またはポリソルベート81ソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)81)から選択される。
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、ポロキサマー124(PLURONIC(登録商標)L44)、ポロキサマー181(PLURONIC(登録商標)L61)、ポロキサマー182(PLURONIC(登録商標)L62)、ポロキサマー184(PLURONIC(登録商標)L64)、ポロキサマー188(PLURONIC(登録商標)F68)、ポロキサマー237(PLURONIC(登録商標)F87)、ポロキサマー338(PLURONIC(登録商標)L108)、及び/またはポロキサマー407(PLURONIC(登録商標)F127)から選択される。
いくつかの実施形態では、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテルは、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、BRIJ(登録商標)30、及び/またはBRIJ(登録商標)35から選択される。
いくつかの場合では、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテルは、ポリオキシエチレン(4−5)p−t−オクチルフェノール(TRITON(登録商標)X−45)、及び/またはポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(TRITON(登録商標)X−100)から選択される。いくつかの実施形態では、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテルは、ノノキシノール−9である。
いくつかの実施形態では、フェノキシポリエトキシルエタノールは、ノニルフェノキシポリエトキシルエタノール及び/またはオクチルフェノキシポリエトキシルエタノールから選択される。
いくつかの実施形態では、グルコシドアルキルエーテルは、オクチルグルコピラノシドである。いくつかの実施形態では、マルトシドアルキルエーテルは、ドデシルマルトピラノシドである。いくつかの実施形態では、チオグルコシドアルキルエーテルは、ヘプチルチオグルコピラノシドである。いくつかの実施形態では、グリセロールアルキルエステルは、グリセリルラウレートである。いくつかの実施形態では、コカミドエタノールアミンは、コカミドモノエタノールアミン及び/またはコカミドジエタノールアミンから選択される。
いくつかの実施形態では、界面活性剤の終濃度は、約0.1%(v/v)〜約10.0%(v/v)、または約0.5%(v/v)〜約5.0%(v/v)である。いくつかの場合では、界面活性剤は複数の界面活性剤である。
ウイルス不活化のための有用な方法は、例えば、米国特許第6,190,609号及び第9,315,560号、ならびに米国特許公開第2017/0327559号に記載されており、その開示は、その全体を参照により本明細書に援用される。
ウイルスの不活化は、当業者によって認識されるように実施することができる。例えば、溶媒トリ(n−ブチル)ホスフェート(TNBP)及びポリソルベート80及びTriton X−100などであるがこれらに限定されない界面活性剤は、脂質エンベロープウイルスを不活化するのに効果的である。ウイルスの不活化は、14℃〜約25℃などの室温で約1時間以上行うことができる。いくつかの場合では、インキュベーション時間は2時間以内である。
いくつかの実施形態では、クエン酸ナトリウム緩衝液を含む緩衝液をウイルス不活化物質に添加することによって、ウイルス不活化処理を停止させる。いくつかの場合では、クエン酸ナトリウム緩衝液は、約40mM〜約100mMのクエン酸ナトリウム緩衝液、例えば、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、または約100mMのクエン酸ナトリウム緩衝液を含む。
H.VWF成熟
フューリンは、SPC(スブチリシン様プロタンパク質コンバターゼ)、PC(プロタンパク質コンバターゼ)、またはいくつかの場合ではPACE(対形成塩基性アミノ酸切断酵素)と呼ばれるタンパク質ファミリーの一部である。フューリンタンパク質ファミリーのメンバーには、フューリン、Kex2、PC2、PC1/PC3、PACE4、PC4、PC5及び/またはPC7が含まれるが、これらに限定されない。本発明の一部として、方法は、フューリンで処理することにより、プロVWF(プロrVWF)をmat−VWF/VWF−PP(mat−rVWF/rVWF−PP)複合体に成熟させるための方法を提供する。これらのフューリンファミリーメンバーのいずれも、VWF成熟の方法において使用することができる。
いくつかの実施形態では、プロVWFを、陰イオン交換カラムまたは樹脂上で、陽イオン交換カラムまたは樹脂上で、またはサイズ分離クロマトグラフィー法の一部として、フューリン成熟させる。いくつかの実施形態では、プロVWFを、陰イオン交換カラムまたは樹脂上で、及び/または陰イオン交換クロマトグラフィー手順の一部として、フューリン成熟させる。いくつかの実施形態では、プロVWFを、陽イオン交換カラムまたは樹脂上で、及び/または陽イオン交換クロマトグラフィー手順の一部として、フューリン成熟させる。いくつかの実施形態では、プロVWFを、サイズ排除クロマトグラフィー手順の一部としてフューリン成熟させる。そのような方法は、例えば、あらゆる目的のためにその全体を参照により本明細書に援用される米国特許第8,058,411号に記載されている。
成熟プロセスを容易にし、高濃度で樹脂上に固定化されたプロVWFを提供するために、本発明のいくつかの実施形態では、クロマトグラフィー樹脂を、クロマトグラフィーカラムに充填する。in vitro成熟の過程でのプロVWFの濃度は成熟効率に影響を及ぼすことから、クロマトグラフィー樹脂をカラムに充填することは有利である。さらに、クロマトグラフィーカラムを使用することにより、より再現性の高い方法で成熟のパラメータを効率的に制御でき、in vitroでのVWFの成熟をより容易に実施することができる。いくつかの実施形態では、フューリン濃度は、IUのVWF:Ag(10μgのプロrVWF)あたり約1、約2、約3、または約4ユニットの組換え活性フューリンである。いくつかの実施形態では、フューリン濃度は、IUのVWF:Ag(10μgのプロrVWF)あたり約2〜3ユニットの組換え活性フューリンである。いくつかの実施形態では、フューリン濃度は、IUのVWF:Ag(10μgのプロrVWF)あたり約1〜2ユニットの組換え活性フューリンである。いくつかの実施形態では、フューリン濃度は、IUのVWF:Ag(10μgのプロrVWF)あたり約2ユニットの組換え活性フューリンである。
いくつかの実施形態では、プロVWFを陰イオン交換樹脂上に固定化し、プロVWFコンバターゼ活性を示す溶液と共にインキュベートする場合、25℃で測定される導電性は、25mS/cm未満である。いくつかの実施形態では、プロVWFを陰イオン交換樹脂上に固定化し、プロVWFコンバターゼ活性を示す溶液と共にインキュベートする場合、25℃で測定される導電性は、20mS/cm未満である。いくつかの実施形態では、プロVWFを陰イオン交換樹脂上に固定化し、プロVWFコンバターゼ活性を示す溶液と共にインキュベートする場合、25℃で測定される導電性は、16mS/cm未満である。いくつかの実施形態では、プロVWFを陰イオン交換樹脂上に固定化し、プロVWFコンバターゼ活性を示す溶液と共にインキュベートする場合、25℃で測定される導電性は、16mS/cm〜25mS/cmである。いくつかの実施形態では、プロVWFを陰イオン交換樹脂上に固定化し、プロVWFコンバターゼ活性を示す溶液と共にインキュベートする場合、25℃で測定される導電性は、20mS/cm〜25mS/cmである。プロrVWF及びmat−rVWFは、これらの導電性レベルで陰イオン交換樹脂に効率的に固定化することができる。したがって、本方法の過程で添加する緩衝液は、導電性レベルを維持するように対応して適合させるべきである。いくつかの実施形態では、導電性は、フューリン及び/またはPACE酵素が活性形態であり、完全にまたは部分的に移動相に存在するような導電性である。
いくつかの実施形態では、mat−rVWFは、25℃で測定する場合の導電性が少なくとも40mS/cmで、陰イオン交換樹脂から溶出される。いくつかの実施形態では、mat−rVWFは、25℃で測定する場合の導電性が少なくとも60mS/cmで、陰イオン交換樹脂から溶出される。いくつかの実施形態では、mat−rVWFは、25℃で測定する場合の導電性が少なくとも80mS/cmで、陰イオン交換樹脂から溶出される。いくつかの実施形態では、mat−rVWFは、25℃で測定する場合の導電性が40mS/cm〜80mS/cmで、陰イオン交換樹脂から溶出される。いくつかの実施形態では、mat−rVWFは、25℃で測定する場合の導電性が60mS/cm〜80mS/cmで、陰イオン交換樹脂から溶出される。いくつかの実施形態では、所望のrVWF種は、陰イオン交換樹脂を用いて(例えば、TMAEを用いて)、約12〜16mS/cm/25℃の導電性で溶出し始める。いくつかの実施形態では、rVWFの所望の種の主量(バルク)は、陰イオン交換樹脂を用いて約55〜60mS/cm/25℃で溶出された。いくつかの実施形態では、所望のrVWF種は、陽イオン交換樹脂を用いて、約18〜24mS/cm/25℃の導電性で溶出し始める。いくつかの実施形態では、rVWFの所望の種の主量(バルク)は、陽イオン交換樹脂を用いて約36〜42mS/cm/25℃で溶出された。いくつかの実施形態では、所望のrVWFは、成熟rVWF(例えば、mat−rVWF)である。いくつかの実施形態では、主量(バルク)には、溶出する所望の種の総量の少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上が含まれる。
いくつかの実施形態では、mat−rVWFを陰イオン交換樹脂から溶出する前に、さらなる洗浄工程を用いる。いくつかの実施形態では、mat−rVWFを陽イオン交換樹脂から溶出する前に、さらなる洗浄工程を用いる。
多くのプロテアーゼは、それらのタンパク質分解活性のために、二価金属イオンなどの補因子を必要とする。フューリン及びフューリンタンパク質ファミリーのメンバーは、活性のためにカルシウムイオンを必要とする。したがって、フューリンを使用してin vitroでプロrVWFを成熟させる場合、カルシウム塩を使用する。いくつかの実施形態では、カルシウム塩は可溶性カルシウム塩である。いくつかの実施形態では、カルシウム塩は塩化カルシウム(CaCl2)である。いくつかの実施形態では、カルシウム塩は酢酸カルシウムである。いくつかの実施形態では、例えば、Be2+、Ba2+、Mg2+、Mn2+、Sr2+、Zn2+、Co2+、Ni2+、Cd2+、及び/またはCu2+を含むがこれらに限定されない他の二価金属イオンを使用する。いくつかの実施形態では、2つ以上の二価陽イオンの組み合わせを使用する。いくつかの実施形態では、Ca2+及びMg2+を組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、カルシウム塩は、可溶性マグネシウム塩である。いくつかの実施形態では、マグネシウム塩は塩化マグネシウム(MgCl2)である。いくつかの実施形態では、成熟に使用するためのフューリンタンパク質ファミリー製剤は、0.01〜10mMの濃度の可溶性カルシウム塩を含む。いくつかの実施形態では、成熟に使用するためのフューリンタンパク質ファミリー製剤は、0.01〜10mMの濃度の可溶性マグネシウム塩を含む。いくつかの実施形態では、成熟に使用するためのフューリンタンパク質ファミリー製剤は、0.01〜10mMの濃度のCaCl2を含む。いくつかの実施形態では、成熟に使用するためのフューリンタンパク質ファミリー製剤は、0.01〜10mMの濃度のMgCl2を含む。いくつかの実施形態では、成熟に使用するためのフューリンタンパク質ファミリー製剤は、0.1〜5mMの濃度のCaCl2を含む。いくつかの実施形態では、成熟に使用するためのフューリンタンパク質ファミリー製剤は、0.1〜5mMの濃度のMgCl2を含む。いくつかの実施形態では、成熟に使用するためのフューリンタンパク質ファミリー製剤は、0.2〜2mMの濃度のCaCl2を含む。いくつかの実施形態では、成熟に使用するためのフューリンタンパク質ファミリー製剤は、0.2〜2mMの濃度のMgCl2を含む。いくつかの実施形態では、成熟に使用するためのフューリンタンパク質ファミリー製剤は、フューリンを含む。いくつかの実施形態では、フューリン濃度は、IUのVWF:Ag(10μgのプロrVWF)あたり約1、約2、約3、または約4ユニットの組換え活性フューリンである。いくつかの実施形態では、フューリン濃度は、IUのVWF:Ag(10μgのプロrVWF)あたり約2〜3ユニットの組換え活性フューリンである。いくつかの実施形態では、フューリン濃度は、IUのVWF:Ag(10μgのプロrVWF)あたり約1〜2ユニットの組換え活性フューリンである。いくつかの実施形態では、フューリン濃度は、IUのVWF:Ag(10μgのプロrVWF)あたり約2ユニットの組換え活性フューリンである。
固定化されたプロrVWFとのフューリンのインキュベーション時間は、使用する系に応じて様々に異なり得る。温度、緩衝液などの要因もまた、成熟プロセスの効率に影響を及ぼす。一般的に、成熟プロセスは48時間以内に終了する。いくつかの実施形態では、成熟プロセスは、1分未満で起こり得る。いくつかの実施形態では、成熟プロセスは、40時間未満、36時間、30時間、24時間、20時間、16時間、10時間、5時間、2時間、1時間以下で起こり得る。いくつかの実施形態では、プロrVWF成熟のためのインキュベーションを、1分未満〜48時間、実施する。いくつかの実施形態では、プロrVWF成熟のためのインキュベーションを、10分〜42時間、実施する。いくつかの実施形態では、プロrVWF成熟のためのインキュベーションを、20分〜36時間、実施する。いくつかの実施形態では、プロrVWF成熟のためのインキュベーションを、30分〜24時間、実施する。いくつかの実施形態では、フューリンの高い特異性のために、長時間のインキュベーション後でもVWFの「過剰活性化」(さらなるタンパク質分解)は起こらない。
いくつかの実施形態では、成熟プロセスは、インキュベーションの過程で選択する温度にも依存する。フューリンの最適な酵素活性は温度によって様々に異なる。
いくつかの実施形態では、プロrVWF成熟のためのインキュベーションを、2℃〜40℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、プロrVWF成熟のためのインキュベーションを、4℃〜37℃の温度で実施する。いくつかの実施形態では、プロrVWF成熟のためのインキュベーションを、低温、例えば、2℃で実施する。いくつかの実施形態では、タンパク質分解を回避及び/または防止するために、使用する最高温度は50℃よりも低い。いくつかの実施形態では、タンパク質分解を回避及び/または防止するために、使用する最高温度は45℃よりも低い。
いくつかの実施形態では、プロVWF(またはプロrVWF)を、上記のように、フューリンまたはフューリンファミリーメンバーでの処理によって、mat−VWF(またはmat−rVWF)に変換する。いくつかの実施形態では、フューリン処理により、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%のプロrVWFが、mat−rVWFとrVWF−PPへ変換される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのキレート剤の添加の存在下でサイズ分離し、及び/またはpHを少なくともpH7に上昇させた後、溶出物中に5%未満のrVWF−PP、4%未満のrVWF−PP、3%未満のrVWF−PP、2%未満のrVWF−PP、1%未満のrVWF−PP、0.5%未満のrVWF−PP、0.4%未満のrVWF−PP、0.1%未満のrVWF、または0.05%未満のrVWF−PPが存在する。
(表2)例示的なプロVWF除去(フューリン処理に基づく)
I.VWF多量体
rVWF多量体の数及び割合の評価は、例えば、あらゆる目的のために、特にVWF多量体の評価に関連するすべての教示のためにその全体を参照により本明細書に援用されるCumming et al.,(J Clin Pathol.,1993 May;46(5):470−473)によって論じられているように、電気泳動及びサイズ排除クロマトグラフィー法を使用してVWF多量体をサイズによって分離する方法を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の方法を使用して実施することができる。そのような技術は、ゲルをVWFに対する放射性標識抗体で免疫ブロッティングし、続いて化学発光検出する免疫ブロッティング技術(ウェスタンブロットなど)をさらに含み得る(例えば、あらゆる目的のために、特にVWF多量体の評価に関連するすべての教示のためにその全体を参照により本明細書に援用されるWen et al.,J.Clin.Lab.Anal.,1993,7:317−323を参照のこと)。VWFに対するさらなるアッセイとして、VWF:抗原(VWF:Ag)、VWF:リストセチンコファクター(VWF:RCof)、及びVWF:コラーゲン結合活性アッセイ(VWF:CBA)が挙げられ、これらはフォン・ヴィルブランド病の診断と分類によく使用される(例えば、あらゆる目的のために、特にVWFのアッセイに関連するすべての教示のためにその全体を参照により本明細書に援用されるFavaloro et al.,Pathology,1997,29(4):341−456;Sadler,JE,Annu Rev Biochem,1998,67:395−424;及びTurecek et al.,Semin Thromb Hemost,2010,36:510−521を参照のこと)。いくつかの実施形態では、本方法を使用して得られるmat−rVWFは、rVWFのローディング試料に存在する任意の多量体パターンを含む。いくつかの実施形態では、本方法を使用して得られるmat−rVWFは、生理学的に発生する多量体パターンならびに超大型VWF−多量体パターンを含む。
J.VWFアッセイ
一次止血において、VWFは、血小板と、コラーゲンなどの細胞外マトリックスの特定の成分との間の橋渡しとして機能する。このプロセスにおけるVWFの生物学的活性は、様々なin vitroアッセイで測定することができる(Turecek et al.,Semin Thromb Hemost,2010,36:510−521)。
VWF:リストセチンコファクター(VWF:RCof)アッセイは、VWFの存在下で抗生物質リストセチンによって誘導される新鮮なまたはホルマリン固定血小板の凝集に基づく。血小板凝集の程度は、VWF濃度に依存し、比濁法、例えば、血小板凝集計を使用して測定することができる(Weiss et al.,J.Clin.Invest.,1973,52:2708−2716;Macfarlane et al.,Thromb.Diath.Haemorrh.,1975,34:306−308)。本明細書で提供するように、本発明のVWF(VWF:RCo)の特定のリストセチンコファクター活性は、in vitroアッセイを使用して測定する場合、一般的に、mU/μgのVWFに関して記載する。
いくつかの実施形態では、本発明の方法によって精製するmat−rVWFは、少なくとも約20、22.5、25、27、5、30、32.5、35、37.5、40、42.5、45、47.5、50、52.5、55、57.5、60、62.5、65、67.5、70、72.5、75、77.5、80、82.5、85、87.5、90、92.5、95、97.5、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150またはそれ以上のmU/μgの比活性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で使用するmat−rVWFは、20mU/μg〜150mU/μgの比活性を有する。いくつかの実施形態では、mat−rVWFは、30mU/μg〜120mU/μgの比活性を有する。いくつかの実施形態では、mat−rVWFは、40mU/μg〜90mU/μgの比活性を有する。いくつかの実施形態では、mat−rVWFは、以下の表3に認められるバリエーション1〜133から選択される比活性を有する。
(表3)組成物中に見出され、本明細書で提供する方法において使用するrVWFの比活性の例示的な実施形態。
Var.=バリエーション
本発明のmat−rVWFは、約10〜約40のサブユニットを含む、高度に多量体である。さらなる実施形態では、本発明の方法を使用して生成する多量体rVWFは、約10〜30、12〜28、14〜26、16〜24、18〜22、20〜21のサブユニットを含む。いくつかの実施形態では、rVWFは、二量体から40を超えるサブユニット(>1000万ダルトン)の多量体までサイズが様々に異なる多量体として存在する。最大の多量体は、血小板受容体と損傷の内皮下マトリックス部位の両方と相互作用することができる複数の結合部位を提供し、VWFの最も止血活性の高い形態である。いくつかの実施形態では、本発明のmat−rVWFには、超大型多量体(ULM)が含まれる。一般的に、高分子型及び超大型多量体は止血に関して最も効果的であると考えられている(例えば、Turecek,P.,Hamostaseologie,(Vol.37):Supplement 1,pages S15−S25(2017)を参照のこと)。いくつかの実施形態では、mat−rVWFは、500kDa〜20,000kDaである。いくつかの実施形態では、任意の所望の多量体パターンは、記載する方法を使用して得ることができる。いくつかの実施形態では、陰イオン交換法及び/または陽イオン交換法を使用する場合、1つ以上の洗浄工程(複数可)または勾配緩衝液中の緩衝液のpH、導電性、及び/または対イオン濃度を操作して、所望の多量体パターンを得ることができる。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー法を使用し、回収基準を使用して、所望の多量体パターンを得ることができる。いくつかの実施形態では、記載する多量体パターンには、超大型多量体が含まれる。いくつかの実施形態では、超大型多量体は、少なくとも10,000kDa、少なくとも11,000kDa、少なくとも12,000kDa、少なくとも13,000kDa、少なくとも14,000kDa、少なくとも15,000kDa、少なくとも16,000kDa、少なくとも17,000kDa、少なくとも18,000kDa、少なくとも19,000kDa、少なくとも20,000kDaである。いくつかの実施形態では、超大型多量体は、約10,000kDa〜20,000kDaである。いくつかの実施形態では、超大型多量体は、約11,000kDa〜20,000kDaである。いくつかの実施形態では、超大型多量体は、約12,000kDa〜20,000kDaである。いくつかの実施形態では、超大型多量体は、約13,000kDa〜20,000kDaである。いくつかの実施形態では、超大型多量体は、約14,000kDa〜20,000kDaである。いくつかの実施形態では、超大型多量体は、約15,000kDa〜20,000kDaである。いくつかの実施形態では、超大型多量体は、約16,000kDa〜20,000kDaである。いくつかの実施形態では、超大型多量体は、約17,000kDa〜20,000kDaである。いくつかの実施形態では、超大型多量体は、約18,000kDa〜20,000kDaである。いくつかの実施形態では、超大型多量体は、約19,000kDa〜20,000kDaである。いくつかの実施形態では、本方法を使用して得られるmat−rVWFには、rVWFのローディング試料に存在する任意の多量体パターンが含まれる。いくつかの実施形態では、本方法を使用して得られるmat−rVWFには、生理学的に生じる多量体パターン及び超大型VWF多量体パターンが含まれる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の精製方法によって調製するmat−rVWF組成物は、rVWFオリゴマーの95%が6サブユニット〜20サブユニットを有することを特徴とするrVWFオリゴマー分布を有する。いくつかの実施形態では、mat−rVWF組成物は、rVWFオリゴマーの95%が4に認められるバリエーション458〜641から選択されるサブユニットの範囲を有することを特徴とするrVWFオリゴマー分布を有する。
(表4)組成物中に認められ、本明細書で提供する方法において使用するrVWFオリゴマー分布の例示的な実施形態。
Var.=バリエーション
いくつかの実施形態では、本明細書で提供する方法によって調製するmat−rVWF組成物は、特定のより高次のmat−rVWF多量体またはより大きな多量体に存在するmat−rVWF分子の割合に従って特徴付けることができる。例えば、一実施形態では、本明細書に記載の方法で使用するmat−rVWF組成物中の少なくとも20%のmat−rVWF分子が、少なくとも10個のサブユニットのオリゴマー複合体中に存在する。別の実施形態では、本明細書に記載の方法で使用するmat−rVWF組成物中の少なくとも20%のmat−rVWF分子が、少なくとも12個のサブユニットのオリゴマー複合体中に存在する。さらに他の実施形態では、本明細書で提供する方法において使用するmat−rVWF組成物は、表5〜表7に認められるバリエーション134〜457のいずれか1つによる、特定の高次mat−rVWF多量体またはより大きな多量体(例えば、少なくともYサブユニットの多量体)中に存在するmat−rVWF分子の最小の割合を有する(例えば、少なくともX%を有する)。
(表5)組成物中に認められ、本明細書で提供する方法において使用する特定の高次のmat−rVWF多量体またはより大きな多量体中に存在するmat−rVWF分子の割合の例示的な実施形態。
Var.=バリエーション
(表6)組成物中に認められ、本明細書で提供する方法において使用する、特定のより高次のmat−rVWF多量体またはより大きな多量体中に存在するmat−rVWF分子の割合の例示的な実施形態。
Var.=バリエーション
(表7)組成物中に認められ、本明細書で提供する方法において使用する特定の高次のmat−rVWF多量体またはより大きな多量体中に存在するmat−rVWF分子の割合の例示的な実施形態。
Var.=バリエーション
上記によれば、mat−rVWFは、かなりの割合の高分子量(HMW)mat−rVWF多量体を含む。さらなる実施形態では、HMW rVWF多量体組成物は、少なくとも10%〜80%のmat−rVWF十量体またはより高次の多量体を含む。さらなる実施形態では、組成物は、約10〜95%、20〜90%、30〜85%、40〜80%、50〜75%、60〜70%十量体またはより高次の多量体を含む。さらなる実施形態では、HMW mat−rVWF多量体組成物は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の十量体またはより高次の多量体を含む。
例えば、Cumming et al(あらゆる目的のために、特にmat−rVWF多量体の評価に関連するすべての教示のために、その全体を参照により本明細書に援用されるJ Clin Pathol.1993 May;46(5):470−473)によって議論されたように、電気泳動及びサイズ排除クロマトグラフィー法を使用してサイズ別にmat−rVWF多量体を分離する方法を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の方法を用いて、mat−rVWF多量体の数と割合の評価を実施することができる。そのような技術はさらに、VWFに対する放射性標識抗体でゲルを免疫標識した後、化学発光検出する免疫ブロット法(ウェスタンブロットなど)を含むことができる(例えば、あらゆる目的のために、特にmat−rVWF多量体の評価に関連するすべての教示のために、その全体を参照により本明細書に援用されるWen et al.(1993),J.Clin.Lab.Anal.,7:317−323を参照のこと)。VWFのさらなるアッセイには、VWF:抗原(VWF:Ag)、VWF:リストセチンコファクター(VWF:RCof)、及びVWF:コラーゲン結合活性アッセイ(VWF:CBA)が含まれ、これらはフォン・ヴィルブランド病の診断及び分類によく使用される。(例えば、あらゆる目的のために、特にVWFに対するアッセイに関連するすべての教示のために、その全体を参照により本明細書に援用されるFavaloro et al.,Pathology,1997,29(4):341−456を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、rFVIII向凝固活性(IU rFVIII:C)とrVWFリトセチンコファクター活性(IU rVWF:RCo)の比率は、本発明の方法に従って調製したmat−rVWFに対して3:1〜1:5である。さらなる実施形態では、比率は、2:1〜1:4でる。さらにさらなる実施形態では、比率は、5:2〜1:4である。さらなる実施形態では、比率は、3:2〜1:3である。さらにさらなる実施形態では、比率は、約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、2:1、2:3、2:4、2:5、3:1、3:2、3:4、または3:5である。さらなる実施形態では、比率は、1:1〜1:2である。さらにさらなる実施形態では、比率は、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、または2:1である。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に有用な組成物中でのrFVIII向凝固活性(IU rFVIII:C)とrVWFリトセチンコファクター活性(IU rVWF:RCo)の比率は、表8に認められるバリエーション1988〜2140から選択される。
(表8)本明細書に提供する組成物中の、及び方法で使用するrFVIII向凝固活性(IU rFVIII:C)とrVWFリトセチンコファクター活性(IU rVWF:RCo)の比率に関する例示的な実施形態。
Var.=バリエーション
さらなる実施形態では、本発明のより高次のmat−rVWF多量体は、投与後約1〜約90時間安定である。さらにさらなる実施形態では、より高次のmat−rVWF多量体は、投与後約5〜80、10〜70、15〜60、20〜50、25〜40、30〜35時間安定である。さらにさらなる実施形態では、より高次のmat−rVWF多量体は、投与後、少なくとも3、6、12、18、24、36、48、72時間安定である。特定の実施形態では、mat−rVWF多量体の安定性をin vitroで評価する。
一実施形態では、本明細書に提供する組成物及び方法において使用する高次mat−rVWF多量体は、投与後少なくとも12時間の半減期を有する。別の実施形態では、より高次のmat−rVWF多量体は、投与後少なくとも24時間の半減期を有する。さらに他の実施形態では、より高次のmat−rVWF多量体は、表9に認められるバリエーション642〜1045から選択される半減期を有する。
(表9)本明細書に提供する方法によって調製する組成物に認められる高次mat−rVWF多量体の半減期に関する例示的な実施形態。
Var.=バリエーション
いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したプロVWF及び/または精製mat−rVWFを、いずれの複合体化、翻訳後修飾または共有結合修飾によっても修飾しない。特定の実施形態では、本発明のプロVWF及び/または精製mat−rVWFを、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、ポリシアル酸、ヒドロキシルエチルデンプン、ポリ炭水化物部分などを含む水溶性ポリマーで修飾しない。
いくつかの実施形態では、本発明に従って精製したプロVWF及び/または精製mat−rVWFを、N−またはC−末端残基の修飾ならびに選択された側鎖、例えば、遊離スルフヒドリル基、第一級アミン、及びヒドロキシル基における修飾を含む、複合体化、翻訳後修飾、または共有結合修飾を介して、修飾する。一実施形態では、水溶性ポリマーを、リジン基または他の第一級アミンによってタンパク質に連結する(直接またはリンカーを介して)。いくつかの実施形態では、本発明のプロVWF及び/または精製mat−rVWFを、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、ポリシアリン酸、ヒドロキシルエチルデンプン、ポリ炭水化物部分などを含む水溶性ポリマーの複合体化によって修飾してもよい。
プロVWF及び/または精製mat−rVWFを改変するために使用し得る水溶性ポリマーには、直鎖構造及び分岐構造が含まれる。複合体化したポリマーは、本発明の凝固タンパク質に直接結合させてもよく、あるいは、連結部分を介して結合させてもよい。水溶性ポリマーによるタンパク質複合体化の非限定的な例は、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号、及び第4,179,337号、ならびにAbuchowski and Davis“Enzymes as Drugs,”Holcenberg and Roberts,Eds.,pp.367 383,John Wiley and Sons,New York(1981)、及びHermanson G.,Bioconjugate Techniques 2nd Ed.,Academic Press,Inc.2008において見出すことができる。
タンパク質複合体化は、当技術分野における多数の周知技術によって実施してもよく、例えば、Hermanson G.,Bioconjugate Techniques 2nd Ed.,Academic Press,Inc.2008を参照のこと。例として、凝固タンパク質または水溶性ポリマー部分の一方のカルボキシル基と、他方のアミン基との間のペプチド結合を介した連結、または一方のカルボキシル基と他方のヒドロキシル基との間のエステル結合が挙げられる。本発明の凝固タンパク質を水溶性ポリマー化合物に複合体化させることができる別の連結は、過ヨウ素酸酸化によってポリマーの非還元末端に形成されるアルデヒド基と反応するポリマー部分上の遊離アミノ基との間のシッフ塩基を介した連結である(Jennings and Lugowski,J.Immunol.1981;127:1011−8;Femandes and Gregonradis,Biochim Biophys Acta.1997;1341;26−34)。生成されるシッフ塩基は、NaCNBH3を用いた特異的還元により安定化して、二次アミンを形成することができる。別のアプローチは、従来の酸化後における、NH4Clとの還元的アミノ化によるポリマー上の末端遊離アミノ基の生成である。二官能試薬は、2個のアミノ基または2個のヒドロキシル基を連結するために使用することができる。例えば、アミノ基を含むポリマーを、BS3(ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート/Pierce,Rockford,Ill)のような試薬を用いて凝固タンパク質のアミノ基にカップリングすることができる。さらに、例えば、スルホ−EMCS(N−ε−マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル/Pierce)のようなヘテロ二官能性架橋試薬を使用して、アミン基とチオール基を連結することができる。他の実施形態では、アルデヒド反応性基、例えば、PEGアルコキシドとブロモアセトアルデヒドのジエチルアセタール;PEGとDMSO及び無水酢酸、及びPEG塩化物と4−ヒドロキシベンズアルデヒドのフェノキシド、スクシンイミジル活性エステル、活性化ジチオカーボネートPEG、2,4,5−トリクロフェニルクロロ炭酸塩ならびにP−ニトロフェニルクロロ炭酸塩活性化PEGを凝固タンパク質の複合体化に使用してもよい。
VWFの生物学的活性を測定する別の方法は、ELISA技術に基づくコラーゲン結合アッセイである(Brown and Bosak, Thromb.Res., 1986, 43:303−311;Favaloro, Thromb.Haemost., 2000, 83 127−135)。マイクロタイタープレートを、I型またはIII型コラーゲンでコーティングする。次いで、VWFをコラーゲン表面に結合させ、その後酵素標識ポリクローナル抗体で検出する。最後の工程は、ELISAリーダーで測光法によりモニタリングすることができる基質反応である。
フォン・ヴィルブランド因子の免疫学的アッセイ(VWF:Ag)は、血漿中のVWFタンパク質の濃度を測定する免疫アッセイである。これらはVWF機能に関して何も示さない。VWF:Agを測定するための多くの方法が存在し、これらには酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)または自動ラテックス免疫アッセイ(LIA)の両方が含まれる。多くの研究所は現在、完全に自動化されたラテックス免疫測定を使用している。歴史的に研究所は、ローレル電気免疫測定法「ローレルロケッツ」を含む様々な技術を使用したが、これらは今日のほとんどのラボではほとんど使用されていない。
K.VWF製剤/投与
本方法はまた、本明細書に提供する精製方法によって得られるVWFからの製剤の調製を提供する。いくつかの実施形態では、高純度mat−rVWF組成物を、医薬組成物の製造に用いる。いくつかの実施形態では、mat−rVWFは凍結乾燥製剤に製剤化することができる。
いくつかの実施形態では、本発明のVWFポリペプチドを含む製剤を、精製後及び対象への投与前に凍結乾燥させる。凍結乾燥は、当技術分野で一般的な技術を用いて実施し、開発中の組成物に最適化すべきである(Tang et al.,Pharm Res.21:191−200,(2004)及びChang et al.,Pharm Res.13:243−9(1996))。
凍結乾燥サイクルは、一態様では、凍結、一次乾燥、及び二次乾燥の3工程からなる(A.P.Mackenzie,Phil Trans R Soc London,Ser B,Biol 278:167(1977))。凍結段階では、溶液を冷却して氷の形成を開始する。さらに、この工程は増量剤の結晶化を誘導する。一次乾燥段階の氷の昇華は、減圧吸引を用いてチャンバー圧力を氷の蒸気圧未満に低下させ、昇華を促進するために熱を導入することによって行う。最後に、吸着または結合した水を、二次乾燥段階において、低下させたチャンバー圧力下、高い棚温度で除去する。このプロセスは、凍結乾燥ケーキとして知られる物質を生成する。その後、ケーキを、滅菌水または注射用の適切な希釈剤のいずれかで再構成することができる。
凍結乾燥サイクルは、賦形剤の最終的な物理的状態を決定するだけでなく、再構成時間、外観、安定性及び最終的な水分含有量などの他のパラメータにも影響を与える。凍結状態の組成構造は、特定の温度で発生するいくつかの遷移(例えば、ガラス転移、湿潤、及び結晶化)を経て進行し、その構造は、凍結乾燥プロセスを理解し、最適化するために使用してもよい。ガラス転移温度(Tg及び/またはTg’)は、溶質の物理的状態に関する情報を提供することができ、示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。Tg及びTg’は、凍結乾燥サイクルを設計する際に考慮しなければならない重要なパラメータである。例えば、Tg’は一次乾燥のために重要である。さらに、乾燥状態では、ガラス転移温度は最終製品の保存温度に関する情報を提供する。
i.一般的な医薬製剤及び賦形剤
賦形剤は、製剤(例えば、タンパク質)の安定性及び送達を付与または増強する添加剤である。その包含の理由にかかわらず、賦形剤は製剤の不可欠な成分であり、したがって、安全かつ患者に十分に許容される必要がある。タンパク質薬剤の場合、賦形剤の選択は、薬物の有効性と免疫原性の両方に影響を及ぼす可能性があるため、特に重要である。したがって、タンパク質製剤は、適切な安定性、安全性、及び市場性を提供する賦形剤を適切に選択しつつ、開発していく必要がある。
凍結乾燥製剤は、一態様では、1つ以上の緩衝液、増量剤、及び安定剤から少なくともなる。この態様では、凍結乾燥工程中または再構成中に凝集が問題となる場合に、界面活性剤の有用性を評価し、選択する。適切な緩衝剤を含ませて、凍結乾燥中のpHの安定したゾーン内に製剤を維持する。液体及び凍結乾燥タンパク質製剤を想定した賦形剤成分の比較を表10に提供する。
タンパク質製剤を開発する際の主な課題は、製造、出荷、及び保管のストレスに対して製品を安定化させることである。製剤賦形剤の役割は、これらのストレスに対して安定化を提供することにある。賦形剤はまた、それらの送達を可能にし、患者の利便性を高めるために、高濃度タンパク質製剤の粘度を低下させるために使用される。一般的に、賦形剤は、様々な化学的及び物理的ストレスに対してタンパク質を安定化させるメカニズムに基づいて分類することができる。いくつかの賦形剤を、特定のタンパク質の特定のストレスの影響を軽減するために、または特定の感受性を調節するために使用する。他の賦形剤は、タンパク質の物理的及び共有結合の安定性に対して、より一般的な影響を及ぼす。本明細書に記載の賦形剤は、製剤におけるそれらの化学的タイプまたはそれらの機能的役割によって編成される。各賦形剤タイプについて論じる際、安定化のモードの簡単な説明を提供する。
本明細書に提供する教示及びガイダンスを考慮して、当業者であれば、本発明のバイオ医薬品製剤を達成するために、任意の特定の製剤に含めることができ、バイオ医薬品(例えば、タンパク質)の安定性の保持を促進する賦形剤の量または範囲を知るであろう。例えば、本発明のバイオ医薬品製剤に含ませる塩の量及びタイプを、最終溶液の所望の浸透性(例えば、等張性、低張性または高張性)ならびに製剤に含まれる他の成分の量及び浸透性に基づいて選択する。
例えば、約5%ソルビトールを含めることによって等張性を達成することができ、一方、等張性を達成するために約9%のスクロース賦形剤が必要である。本発明のバイオ医薬品製剤中に含めることができる1つ以上の賦形剤の濃度の量または範囲の選択は、塩、ポリオール及び糖類を参照することにより上記に例示されている。しかしながら、当業者であれば、本明細書に記載し、さらに特定の賦形剤を参照して例示する考慮事項が、例えば、塩、アミノ酸、他の等張剤、界面活性剤、安定剤、増量剤、抗凍結剤、凍結乾燥保護剤、抗酸化剤、金属イオン、キレート剤及び/または保護剤を含む、賦形剤のすべてのタイプ及び組み合わせに対して同様に適用可能であることを理解するであろう。
さらに、特定の賦形剤をモル濃度で報告する場合、当業者であれば、溶液の当量(%)w/v(例えば、(溶液試料中の物質グラム/mL溶液)×100%)も想定されることを認識するであろう。
当然のことながら、当業者であれば、本明細書に記載の賦形剤の濃度が特定の製剤内の相互依存性を共有することを認識するであろう。例えば、増量剤の濃度は、例えば高いタンパク質濃度の場合、または例えば高い安定化剤濃度の場合には、低下させてもよい。さらに、当業者であれば、増量剤がない特定の製剤の等張性を維持するために、それに応じて安定化剤の濃度を調整する(例えば、安定剤の「等張化」量を使用するであろう)ことを認識するであろう。一般的な賦形剤は、当技術分野で公知であり、Powell et al.,Compendium of Excipients fir Parenteral Formulations(1998),PDA J.Pharm.Sci.Technology,52:238−311に見出し得る。
ii.医薬緩衝液及び緩衝剤
薬理学的に活性なタンパク質製剤の安定性は、通常、狭いpH範囲で最大であることが観察される。この最適な安定性のpH範囲は、予備製剤化の研究の間に早期に同定する必要がある。加速安定性研究及び熱量測定スクリーニング研究などのいくつかのアプローチは、この取り組みに有用である(Remmele R.L.Jr.,et al.,Biochemistry,38(16):5241−7(1999))。製剤が確定したら、タンパク質を製造し、貯蔵寿命を通して維持しなければならない。したがって、緩衝剤は、製剤中のpHを制御するためにほとんどの場合使用される。
緩衝種の緩衝能はpKaに等しいpHで最大であり、pHがこの値から離れるにつれて減少する。緩衝能の90%は、そのpKaの1つのpH単位内に存在する。緩衝濃度の増加に比例して、緩衝能も増加する。
緩衝液を選択する際には、いくつかの要因を考慮する必要がある。まず第一に、緩衝種及びその濃度を、そのpKa及び所望の製剤pHに基づいて定義する必要がある。同様に、緩衝液がタンパク質及び他の製剤賦形剤と互換性があり、分解反応を触媒しないことを保証することが重要である。考慮すべき第3の重要な態様は、投与時に緩衝液が誘発し得る刺痛及び刺激の感覚である。例えば、クエン酸は注射時に刺痛を引き起こすことが知られている(Laursen T,et al.,Basic Clin Pharmacol Toxicol.,98(2):218−21(2006))。刺痛及び刺激の可能性は、皮下(SC)または筋肉内(IM)経路を介して投与する薬物でより大きく、投与時に製剤が血液中に急速に希釈されるIV経路によって投与する場合よりも、薬物溶液が比較的長い期間、その場に残る。直接IV注入によって投与する製剤の場合、緩衝液の総量(及び他の製剤成分)をモニタリングする必要がある。患者に心血管系作用を誘発し得るリン酸カリウム緩衝液の形態で投与するカリウムイオンについて特に注意する必要がある(Hollander−Rodriguez JC,et al.,Am.Fam.Physician.,73(2):283−90 (2006))。
凍結乾燥製剤用の緩衝液は、追加の検討が必要である。リン酸ナトリウムのようないくつかの緩衝液は、凍結中にタンパク質非晶質相から結晶化し、pHのシフトをもたらす。酢酸及びイミダゾールなどの他の一般的な緩衝液は、凍結乾燥プロセス中に昇華または蒸発し、それによって凍結乾燥中または再構成後に製剤のpHをシフトさせ得る。
組成物中に存在する緩衝系は、生理的に適合性であり、医薬製剤の所望のpHを維持するように選択される。一実施形態では、溶液のpHはpH2.0〜pH12.0である。例えば、溶液のpHは、2.0、2.3、2.5、2.7、3.0、3.3、3.5、3.7、4.0、4.3、4.5、4.7、5.0、5.3、5.5、5.7、6.0、6.3、6.5、6.7、7.0、7.3、7.5、7.7、8.0、8.3、8.5、8.7、9.0、9.3、9.5、9.7、10.0、10.3、10.5、10.7、11.0、11.3、11.5、11.7、または12.0であってもよい。
pH緩衝化合物は、製剤のpHを所定のレベルで維持するのに適した任意の量で存在させてもよい。一実施形態では、pH緩衝濃度は、0.1mM〜500mM(1M)である。例えば、pH緩衝剤は、少なくとも0.1、0.5、0.7、0.8 0.9、1.0、1.2、1.5、1.7、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、または500mMであることが意図される。
本明細書中に記載の製剤を緩衝するために用いる例示的なpH緩衝剤として、限定されないが、有機酸、グリシン、ヒスチジン、グルタミン酸塩、コハク酸塩、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、トリス、HEPES、ならびにアスパラギン酸塩、ヒスチジン、及びグリシンを含むがこれらに限定されないアミノ酸またはアミノ酸の混合物が挙げられる。本発明の一実施形態では、緩衝剤はクエン酸塩である。
いくつかの実施形態では、製剤は、50mMグリシン、10mMタウリン、5%(w/w)スクロース、5%(w/w)D−マンニトール、0.1%ポリソルベート80、2mM CaCl2、150mM NaClを含み、pH7.4を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、高純度mat−rVWF、50mMグリシン、10mMタウリン、5%(w/w)スクロース、5%(w/w)D−マンニトール、0.1%ポリソルベート80、2mM CaCl2、150mM NaClを含み、pH7.4を有する。いくつかの実施形態では、製剤は、vWF及び/またはr−vWF/rFVIII及び50mMグリシン、10mMタウリン、5%(w/w)スクロース、5%(w/w)D−マンニトール、0.1%ポリソルベート80、2mM CaCl2、150mM NaClを含み、pH7.4を有する。
iii.医薬安定剤及び増量剤
本医薬製剤の一態様では、安定剤(または安定剤の組合せ)を添加して、貯蔵誘導凝集及び化学的分解を防止または低減する。再構成時のかすんだ溶液または濁った溶液は、タンパク質が沈殿したか、少なくとも凝集したことを示す。用語「安定剤」とは、水性状態での化学的分解(例えば、自己分解、脱アミド化、酸化など)を含む凝集または物理的劣化を防止することができる賦形剤を意味する。想定される安定剤として、限定されないが、スクロース、トレハロース、マンノース、マルトース、ラクトース、グルコース、ラフィノース、セロビオース、ゲンチオビオース、イソマルトース、アラビノース、グルコサミン、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、グリシン、アルギニンHCL、デキストラン、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、シクロデキストリン、N−メチルピロリジン、セルロース、及びヒアルロン酸ナトリウムなどの多糖類を含むポリヒドロキシ化合物が挙げられる(Carpenter et al.,Develop.Biol.Standard 74:225,(1991))。本製剤では、安定剤を、約0.1、0.5、0.7、0.8 0.9、1.0、1.2、1.5、1.7、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、500、700、900、または1000mMの濃度で含有させる。本発明の一実施形態では、マンニトール及びトレハロースを安定剤として用いる。
所望により、製剤にはまた、適切な量の増量剤及び浸透圧調節剤を含ませる。増量剤として、例えば、限定されないが、マンニトール、グリシン、スクロース、重合体、例えば、デキストラン、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ラクトース、ソルビトール、トレハロース、またはキシリトールが挙げられる。一実施形態では、増量剤はマンニトールである。増量剤を、約0.1、0.5、0.7、0.8 0.9、1.0、1.2、1.5、1.7、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、500、700、900、または1000mMの濃度で含有させる。
iv.医薬用界面活性剤
タンパク質は表面と相互作用する傾向が高いため、空気−液体、バイアル−液体、及び液体−液体(シリコーンオイル)界面で吸着及び変性を受けやすくなる。この分解経路は、タンパク質濃度に反比例し、溶解性及び不溶性タンパク質凝集体の形成または表面への吸着による溶液からのタンパク質の損失に起因することが観察されている。容器表面吸着に加えて、表面に起因する劣化は、製品の出荷及び取り扱い中に経験するであろう物理的な攪拌によって悪化する。
界面活性剤は、表面に起因する分解を防ぐためにタンパク質製剤に一般的に使用される。界面活性剤は、界面位置に対してタンパク質と競合する能力を有する両親媒性分子である。界面活性剤分子の疎水性部分は、界面位置(例えば空気/液体)を占め、一方、分子の親水性部分はバルク溶媒に配向したままである。十分な濃度(通常、界面活性剤の臨界ミセル濃度付近)では、界面活性剤分子の表面層は、タンパク質分子が界面で吸着するのを防ぐ役割を果たす。これにより、表面に起因する劣化が最小限に抑えられる。本明細書で意図される界面活性剤には、限定されないが、ソルビタンポリエトキシレートの脂肪酸エステル、例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80が含まれる。これら2つは、疎水性の特徴を分子に与える脂肪族鎖の長さのみが、それぞれC−12及びC−18で異なっている。したがって、ポリソルベート−80は、ポリソルベート−20よりも界面活性が高く、臨界ミセル濃度が低い。
界面活性剤はまた、タンパク質の熱力学的立体構造の安定性に影響を与え得る。ここでも、所与の界面活性賦形剤の効果は、タンパク質特異的である。例えば、ポリソルベートは、いくつかのタンパク質の安定性を低下させ、他のタンパク質の安定性を高めることが示されている。界面活性剤によるタンパク質の不安定化は、部分的または全体的に折り畳まれていないタンパク質状態との特異的結合に関与できる界面活性剤分子の疎水性尾部の観点から合理化することができる。これらのタイプの相互作用は、より拡大したタンパク質状態に向かって、立体構造的な平衡にシフトを引き起こし得る(例えば、結合ポリソルベートを相補するタンパク質分子の疎水性部分の露出を増加させる)。あるいは、タンパク質の天然状態が何らかの疎水性表面を呈する場合、天然状態に結合する界面活性剤はその立体構造を安定化し得る。
ポリソルベートの別の態様は、それらが本質的に酸化分解の影響を受けやすいということである。多くの場合、原料として、それらは、タンパク質残基側鎖、特にメチオニンの酸化を引き起こすのに十分な量の過酸化物を含有する。安定剤の添加に起因した酸化的損傷の可能性があることから、最も低い有効濃度の賦形剤を製剤に使用すべきであるという点が強調される。界面活性剤に関して、所与のタンパク質に対する有効濃度は安定化のメカニズムに依存する。
また、凍結及び乾燥中の表面関連凝集現象を防止するためにも、界面活性剤を適切な量で添加する(Chang,B,J.Pharm.Sci.85:1325,(1996))。したがって、例示的な界面活性剤には、限定されないが、天然アミノ酸由来の界面活性剤を含む、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、双性イオン性、及び両性界面活性剤が含まれる。陰イオン性界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びスルホン酸ジオクチルナトリウム、ケノデオキシコール酸、N−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、ドデシル硫酸リチウム、1−オクタンスルホン酸ナトリウム塩、コール酸ナトリウム水和物、デオキシコール酸ナトリウム、ならびにグリコデオキシコール酸ナトリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。陽イオン性界面活性剤として、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム一水和物、及びヘキサデシルトリメチルアンモニウム臭化物が挙げられるが、これらに限定されない。双性イオン性界面活性剤として、CHAPS、CHAPSO、SB3−10、及びSB3−12が挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤として、ジギトニン、Triton X−100、Triton X−114、TWEEN−20、及びTWEEN−80が挙げられるが、これらに限定されない。界面活性剤としてはまた、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油10、40、50及び60、グリセロールモノステアレート、ポリソルベート40、60、65及び80、ダイズレシチン、及び他のリン脂質、例えば、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、及び(ジオレイルホスファチジルグリセロール)DOPG;ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、これらの界面活性剤を個別に、または異なる比率の混合物として含む組成物を、さらに提供する。本発明の一実施形態では、界面活性剤はTWEEN−80である。本製剤において、界面活性剤を約0.01〜約0.5g/Lの濃度で含有させる。提供する製剤では、界面活性剤濃度は、0.005、0.01、0.02、0.03、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9または1.0g/Lである。
v.医薬用塩
塩は、多くの場合、製剤のイオン強度を高めるために加えられ、これは、タンパク質の溶解性、物理的安定性、及び等張性に重要であり得る。塩は、様々な方法で、タンパク質の物理的安定性に影響を及ぼし得る。イオンは、タンパク質表面上の荷電残基に結合することによって、タンパク質の天然状態を安定化させることができる。あるいは、塩は、タンパク質骨格(−CONH−)に沿ってペプチド基に結合することによって変性状態を安定化させることができる。塩はまた、タンパク質分子内の残基間の反発的な静電相互作用を遮蔽することによって、タンパク質の天然の立体構造を安定化させることができる。タンパク質製剤中の塩はまた、タンパク質凝集及び不溶性につながり得るタンパク質分子間の引力静電相互作用を遮蔽することができる。提供する製剤において、塩濃度は、0.1、1、10、20、30、40、50、80、100、120、150、200、300から500mMの間である。
vi.他の一般的な賦形剤成分:医薬アミノ酸
アミノ酸は、緩衝液、増量剤、安定剤、及び抗酸化剤として、タンパク質製剤に多用途に用いられている。したがって、一態様では、ヒスチジン及びグルタミン酸を、それぞれ5.5〜6.5及び4.0〜5.5のpH範囲でタンパク質製剤を緩衝するために用いる。ヒスチジンのイミダゾール基はpKa=6.0を有し、グルタミン酸側鎖のカルボキシル基はpKa4.3を有し、これにより、これらのアミノ酸はそれぞれのpH範囲での緩衝に適したものになる。グルタミン酸は、そのような場合において、特に有用である。ヒスチジンは、市販のタンパク質製剤中に一般的に認められ、このアミノ酸は、注射時の刺痛で知られる緩衝液であるクエン酸塩の代替となるものである。興味深いことに、ヒスチジンは、液体及び凍結乾燥でのプレゼンテーションの両方において、高濃度で使用した場合の凝集に関して安定化効果を有することも報告されている(Chen B,et al.,Pharm Res.,20(12):1952−60(2003))。他の報告により、ヒスチジンは、高タンパク質濃度製剤の粘度を低下させることも観察された。しかしながら、同研究で、著者らは、ステンレス鋼容器中での抗体の凍結融解研究中に、ヒスチジンを含有する製剤の凝集及び変色の増加を観察した。ヒスチジンに関するもう1つの注意点は、金属イオンの存在下で光酸化を受けることである(Tomita M,et al.,Biochemistry,8(12):5149−60(1969))。製剤中での抗酸化物質としてのメチオニンの使用は有望と考えられ;多くの酸化ストレスに対して有効であることが観察されている(Lam XM,et al.,J Pharm ScL,86(11):1250−5(1997))。
様々な態様では、優先的排除(preferential exclusion)のメカニズムによってタンパク質を安定化することが示されているグリシン、プロリン、セリン、アルギニン及びアラニンのうちの1つ以上のアミノ酸を含む製剤を提供する。グリシンはまた、凍結乾燥製剤で一般的に使用される増量剤でもある。アルギニンは、凝集を阻害する際に有効な薬剤であることが示されており、液体及び凍結乾燥製剤の両方で使用されている。
提供する製剤において、アミノ酸濃度は、0.1、1、10、20、30、40、50、80、100、120、150、200、300から500mMの間である。本発明の一実施形態では、アミノ酸はグリシンである。
vii.他の一般的な賦形剤成分:医薬抗酸化剤
タンパク質残基の酸化は、多くの異なる供給源から生じる。特定の抗酸化剤の添加に加えて、酸化タンパク質の損傷の防止には、大気中の酸素、温度、露光、及び化学汚染など、製品の製造プロセス及び保管全体にわたる多くの要因を注意深く制御することが含まれる。したがって、本発明は、還元剤、酸素/フリーラジカルスカベンジャー、またはキレート剤を含むがこれらに限定されない医薬抗酸化剤の使用を企図する。治療用タンパク質製剤中の抗酸化剤は、一態様では、水溶性であり、製品貯蔵期間全体にわたって活性を維持する。還元剤及び酸素/フリーラジカルスカベンジャーは、溶液中の活性酸素種を除去することによって作用する。EDTAなどのキレート剤は、フリーラジカル形成を促進する微量金属汚染物質を結合することによって効果を有する。例えば、酸性線維芽細胞増殖因子の液体製剤にEDTAを利用して、システイン残基の金属イオン触媒酸化を阻害した。
タンパク質の酸化を防ぐための様々な賦形剤の有効性に加えて、抗酸化剤自体がタンパク質に他の共有結合の、または物理的な変化を誘導する可能性が懸念される。例えば、還元剤は、ジスルフィド結合の分子内崩壊を引き起こし、ジスルフィドシャッフリングを引き起こし得る。遷移金属イオンの存在下で、アスコルビン酸及びEDTAは、多くのタンパク質及びペプチドにおけるメチオニン酸化を促進することが示されている(Akers MJ,and Defelippis MR. Peptides and Proteins as Parenteral Solutions. In:Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins.Sven Frokjaer,Lars Hovgaard,editors. Pharmaceutical Science. Taylor and Francis,UK(1999));Fransson J.R.,/.Pharm.Sci.86(9):4046−1050(1997);Yin J,et al.,Pharm Res.,21(12):2377−83(2004))。チオ硫酸ナトリウムは、rhuMab HER2における光及び温度誘導メチオニン酸化のレベルを低下させると報告されているが;しかしながら、この研究ではチオ硫酸−タンパク質付加物の形成も報告された(Lam XM,Yang JY,et al.,J Pharm Sci.86(11):1250−5(1997))。適切な抗酸化剤の選択は、タンパク質の特定のストレス及び感受性に従って行う。特定の態様で想定される抗酸化物質として、限定されないが、還元剤及び酸素/フリーラジカルスカベンジャー、EDTA、及びチオ硫酸ナトリウムが挙げられる。
viii.他の一般的な賦形剤成分:医薬金属イオン
一般的に、遷移金属イオンは、タンパク質中の物理的及び化学的分解反応を触媒し得るため、タンパク質製剤では望ましくない。しかしながら、特定の金属イオンは、それらがタンパク質の補因子である場合、製剤中に、及びそれらが配位錯体を形成する場合、タンパク質の懸濁製剤(例えば、インスリンの亜鉛懸濁液)中に含ませる。近年、マグネシウムイオン(10〜120mM)を使用して、アスパラギン酸からイソアスパラギン酸への異性化を阻害することが提唱されている(WO2004039337)。
金属イオンがタンパク質の安定性を与えるかまたは活性を高める2つの例は、ヒトデオキシリボヌクレアーゼ(rhDNase,Pulmozyme(登録商標))、及び第VIII因子である。rhDNaseの場合、Ca+2イオン(最大100mM)は、特異的結合部位を介して酵素の安定性を増加させた(Chen B,et al.,/Pharm Sci.,88(4):477−82(1999))。実際、EGTAを用いた溶液からのカルシウムイオンの除去は、脱アミド化及び凝集の増加を引き起こした。しかしながら、この効果は、Ca+2イオンでのみ観察され;他の二価陽イオンMg+2、Mn+2及びZn+2は、rhDNaseを不安定化することが観察された。同様の効果は第VIII因子でも観察された。Ca+2及びSr+2イオンはタンパク質を安定化させ、一方、Mg+2、Mn+2及びZn+2、Cu+2及びFe+2のような他のイオンは、酵素を不安定化させた(Fatouros,A.,et al.,Int.J.Pharm.,155,121−131(1997)。第VIII因子を用いた別の研究では、Al+3イオンの存在下で凝集率の有意な増加が観察された(Derrick TS,et al.,/.Pharm.Sci.,93(10):2549−57(2004))。著者らは、緩衝塩のような他の賦形剤がAl+3イオンで汚染されることが多いことを指摘しており、製剤化した製品において適切な品質の賦形剤を使用する必要性が示されている。
ix.他の一般的な賦形剤成分:医薬保存剤
同じ容器からの複数の抽出を伴う多用途非経口製剤を開発する場合、保存剤が必要である。これらの主な機能は、微生物の増殖を阻害し、医薬品の貯蔵寿命または使用期間を通じて製品の無菌性を確保することである。一般的に使用される保存剤として、限定されないが、ベンジルアルコール、フェノール及びm−クレゾールが挙げられる。保存剤は長い間使用されてきたが、保存剤を含むタンパク質製剤の開発は困難になり得る。保存剤は、ほとんどの場合、タンパク質に対して不安定な効果(凝集)を有しており、これは、複数回投与タンパク質製剤での使用を制限する主要な要因となっている(Roy S,et al.,J Pharm ScL,94(2):382−96(2005))。
現在まで、ほとんどのタンパク質医薬品は、単回使用に対してのみ、製剤化されている。しかしながら、複数回投与製剤が可能な場合、それらは患者の利便性を可能にし、市場性を高める追加の利点を有する。良い例は、ヒト成長ホルモン(hGH)のものであり、保存製剤の開発は、より便利で多用途の注射ペンプレゼンテーションの商業化につながっている。hGHの保存製剤を含む少なくとも4つのそのようなペン装置は、現在市場で入手可能である。Norditropin(登録商標)(液体,Novo Nordisk)、Nutropin AQ(登録商標)(液体,Genentech) & Genotropin(凍結乾燥−デュアルチャンバーカートリッジ,Pharmacia & Upjohn)はフェノールを含有し、一方、Somatrope(登録商標)(Eli Lilly)はm−クレゾ−ルで製剤化する。
保存された剤形の製剤開発中に、いくつかの態様を考慮する必要がある。医薬品の効果的な保存剤濃度を最適化しなければならない。これには、タンパク質の安定性を損なうことなく抗菌効果を与える濃度範囲を有する剤形で所与の保存剤を試験する必要がある。例えば、インターロイキン−1受容体(I型)の液体製剤の開発において、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて3つの保存剤のスクリーニングに成功した。保存剤を、市販品に一般的に用いる濃度での安定性への影響に基づいてランク付した(Remmele RL Jr.,et al.,PharmRes.,15(2):200−8(1998))。
保存剤を含有する液体製剤の開発は、凍結乾燥製剤よりも困難である。凍結乾燥製品は、保存剤なしで凍結乾燥し、使用時に保存剤を含有する希釈剤で再構成することができる。これにより、保存剤がタンパク質に接触する時間が有意に短縮され、関連する安定性リスクが最小限に抑えられる。液体製剤では、保存剤の有効性及び安定性を、製品の貯蔵期間全体にわたって維持する必要がある(18〜24か月)。注意すべき重要な点は、活性薬物及びすべての賦形剤成分を含有する最終製剤において保存剤の有効性が実証されなければならないということである。
いくつかの保存剤は、注射部位反応を引き起こす可能性があり、これは保存剤を選択する際に考慮する必要がある別の因子である。Norditropinの保存剤及び緩衝液の評価に焦点を当てた臨床試験では、疼痛知覚は、m−クレゾールを含有する製剤に比べて、フェノール及びベンジルアルコールを含有する製剤において、低いことが観察された(Kappelgaard A.M.,Horm Res.62 Suppl 3:98−103(2004))。興味深いことに、一般的に使用される保存剤の中で、ベンジルアルコールは麻酔特性を有する(Minogue SC,and Sun DA.,AnesthAnalg.,100(3):683−6(2005))。様々な態様において、保存剤の使用は、任意の副作用を上回る利点を提供する。
x.医薬製剤の調製方法
本発明は、医薬品製剤の調製方法をさらに企図する。
本方法はさらに、以下の工程の1つ以上を含む:凍結乾燥する前に前記混合物に本明細書に記載の安定剤を添加する工程、それぞれ、本明細書中に記載される増量剤、浸透圧調節剤、及び界面活性剤から選択される少なくとも1種の薬剤を、凍結乾燥前に前記混合物に添加する工程。
凍結乾燥した物質の標準的な再構成の実施は、ある量(通常は凍結乾燥中に除去する容量に相当)の注射用の純水または滅菌水(WFI)を添加することであるが、抗菌剤の希釈溶液を非経口投与用の医薬品の製造に使用することもある(Chen,Drug Development and Industrial Pharmacy,18:1311−1354(1992))。したがって、本発明の凍結乾燥rVWF組成物に希釈剤を添加する工程を含む再構成rVWF組成物の調製方法を提供する。
凍結乾燥した物質を、水溶液として再構成してもよい。様々な水性担体、例えば、注射用の滅菌水、複数回投与での使用のための保存剤を含む水、または適切な量の界面活性剤を含む水(例えば、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合して活性化合物を含有する水性懸濁液)。様々な態様では、そのような賦形剤は、懸濁剤、例えば、限定されないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントガム及びアカシアガム;分散剤もしくは湿潤剤は、天然ホスファチド、例えば、限定されないが、レシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合産物、例えば、限定されないが、ポリオキシエチレンステアレート、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物、例えば、限定されないが、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール由来部分エステルとの縮合産物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物由来部分エステルとの縮合産物、例えば、限定されないが、ポリエチレンソルビタンモノオレエートである。様々な態様において、水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤を含み、例えば、限定されないが、エチル、またはn−プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸を含有する。
xi.投与用の例示的なmat−rVWF製剤
いくつかの実施形態では、本方法は、治療薬の量を減らすために、最終生成物が、高い効力(高いmat−rVWF濃度及び増強された長期安定性)を有し得る増強された製剤を提供する(100IU/ml〜10000IU/ml)。いくつかの実施形態では、投与用の製剤中のmat−rVWF濃度は、約100IU/ml〜10000IU/mlである。いくつかの実施形態では、投与用の製剤中のmat−rVWF濃度は、約500IU/ml〜10000IU/mlである。いくつかの実施形態では、投与用の製剤中のmat−rVWF濃度は、約1000IU/ml〜10000IU/mlである。いくつかの実施形態では、投与用の製剤中のmat−rVWF濃度は、約2000IU/ml〜10000IU/mlである。いくつかの実施形態では、投与用の製剤中のmat−rVWF濃度は、約3000IU/ml〜10000IU/mlである。いくつかの実施形態では、投与用の製剤中のmat−rVWF濃度は、約4000IU/ml〜10000IU/mlである。いくつかの実施形態では、投与用の製剤中のmat−rVWF濃度は、約5000IU/ml〜10000IU/mlである。いくつかの実施形態では、投与用の製剤中のmat−rVWF濃度は、約6000IU/ml〜10000IU/mlである。いくつかの実施形態では、投与用の製剤中のmat−rVWF濃度は、約7000IU/ml〜10000IU/mlである。いくつかの実施形態では、投与用の製剤中のmat−rVWF濃度は、約8000IU/ml〜10000IU/mlである。いくつかの実施形態では、投与用の製剤中のmat−rVWF濃度は、約9000IU/ml〜10000IU/mlである。いくつかの実施形態では、mat−rVWFを、組換え凝固第VIII因子(rFVIII)と共に製剤化する。いくつかの実施形態では、rFVIIIは完全長FVIIIである。いくつかの実施形態では、rFVIIIは、完全長であり、化学的に修飾されている。いくつかの実施形態では、rFVIIIには、Bドメインの代わりにFIX活性化ペプチドを有するFVIII融合タンパク質が含まれる。いくつかの実施形態では、rFVIIIは、トランケート型グリコシル化リッチBドメインを有するFVIIIハイブリッドである。いくつかの実施形態では、FVIIIは、FVIII Bドメイン欠失型バリアントである。いくつかの実施形態では、FVIIIは、FVIII Bドメイン欠失型バリアントの化学的に修飾されたバリアントである。いくつかの実施形態では、凍結乾燥工程または充填終了工程の前に、mat−rVWFをrFVIIIと共に製剤化し、その成分を、in vitroまたは「オンカラム」手順において混合する(例えば、精製方法の実施中にFVIIIを添加する)ことによって保存する。
いくつかの実施形態では、投与用の製剤は、例えば、ヒスチジン、グリシン、アルギニンのようなアミノ酸を含む1つ以上の双性イオン性化合物を含む。いくつかの実施形態では、投与用の製剤は、例えば、ポリソルベート80、オクチルピラノシド、ジペプチド、及び/または両親媒性ペプチドを含む、最低でも1つの疎水性基及び1つの親水性基を有する両親媒性特性を有する成分を含む。いくつかの実施形態では、投与用の製剤は、例えば、ソルビトール、マンニトール、スクロース、またはトレハロースを含む、非還元糖または糖アルコールまたは二糖を含む。いくつかの実施形態では、投与用の製剤は、例えば、塩化ナトリウムを含む、生理学的浸透圧をもたらす非毒性水溶性塩を含む。いくつかの実施形態では、投与用の製剤は、6.0〜8.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、投与用の製剤は、約6.0、約6.5、約7、約7.5または約8.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、投与用の製剤は、例えば、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Mn2+及び/またはそれらの組み合わせを含む、rVWFを安定化させる1つ以上の二価陽イオンを含む。いくつかの実施形態では、投与用の製剤は、約1mM〜約50mMグリシン、約1mM〜約50mMヒスチジン、約0〜約300mMの塩化ナトリウム(例えば、300mM未満のナトリウム)、約0.01%〜約0.05%ポリソルベート20(またはポリソルベート80)、及び約0.5%〜約20%(w/w)スクロースを含み、投与時点でpH約7.0かつ生理学的浸透圧を有する。
いくつかの実施形態では、投与用の製剤を、凍結乾燥することができる。いくつかの実施形態では、投与用の製剤は安定であり、約2℃〜約8℃、及び約18℃〜約25℃で液体状態で保存することができる。いくつかの実施形態では、投与用の製剤は安定であり、約2℃〜約8℃で液体状態で保存することができる。いくつかの実施形態では、投与用の製剤は安定であり、約18℃〜約25℃で液体状態で保存することができる。
xii.投与
ヒトまたは被験動物に組成物を投与するために、一態様では、組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体を含む。語句「薬学的に」または「薬理学的に」許容されるとは、安定しており、凝集産物及び切断産物などのタンパク質分解を阻害し、さらに、以下に述べるように、当技術分野で周知の経路を用いて投与した場合にアレルギー、または他の有害反応を生じさせることがない分子実体及び組成物を指す。「薬学的に許容される担体」には、生理学的に適合性の、臨床的に有用なあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌薬剤、等張剤及び吸収遅延剤など、例えば上記の開示される薬剤が含まれる。
医薬製剤は、経口、局所、経皮、非経口、吸入スプレー、経膣、経直腸、または頭蓋内注射によって投与する。本明細書中で使用する用語「非経口的」には、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内の注射または注入の技術が含まれる。静脈内、皮内、筋肉内、乳房内、腹腔内、髄腔内、球後、肺内注射、及びまたは特定部位への外科的移植による投与もまた企図される。一般的に、組成物は、本質的にパイロジェン及びレシピエントに有害であり得る他の不純物を含まない。
組成物の単一または複数の投与を、治療医によって選択されている用量レベル及びパターンで行う。疾患の予防または治療に関して、適切な用量は、上記で定義したような治療すべき疾患の種類、疾患の重症度及び経過、薬物を予防目的で投与するか治療目的で投与するか、以前の治療、患者の病歴及び薬物への応答、ならびに主治医の裁量に依存する。
xiii.キット
さらなる態様として、本発明は、対象への投与のためのそれらの使用を容易にする方法でパッケージされた1つ以上の凍結乾燥組成物を含むキットを含む。一実施形態では、そのようなキットは、容器、例えば、密封されたボトルまたは容器にパッケージされた本明細書に記載の医薬製剤(例えば、治療用タンパク質またはペプチドを含む組成物)を、容器に貼付されるか、またはパッケージに含まれている、方法を実施する上での化合物または組成物の使用を記載するラベルとともに含む。一実施形態では、医薬製剤を、容器内のヘッドスペースの量(例えば、液体製剤と容器の上部との間の空気量)が非常に少なくなるように、容器にパッケージする。好ましくは、ヘッドスペースの量はごくわずかである(例えば、ほとんどない)。一実施形態では、キットは、治療用タンパク質またはペプチド組成物を有する第1の容器と、その組成物に対して生理学的に許容可能な再構成溶液を有する第2の容器を含む。一態様では、医薬製剤を、単位剤形でパッケージする。キットは、特定の投与経路に従って医薬製剤を投与するのに適した装置をさらに含み得る。好ましくは、キットは、医薬製剤の使用を記載するラベルを含む。
xiv.用量
本明細書に記載の病態の治療方法に関する投与計画は、薬物の作用を変更する様々な要因、例えば、患者の年齢、病態、体重、性別及び食事、感染症の重症度、投与時間及び他の臨床的要因を考慮して、主治医が決定する。例えば、本発明の組換えVWFの一般的な用量は、およそ50U/kgであり、これは500μg/kgに等しい。
一態様では、本発明の製剤を、最初のボーラスとそれに続く持続注入によって投与して、製剤の治療的循環レベルを維持する。別の例として、本発明の化合物を、1回の用量として投与する。当業者であれば、良好な医療行為及び個々の患者の臨床状態によって決定される、有効な用量及び投与計画を容易に最適化するであろう。投与頻度は、薬剤の薬物動態学的パラメータ及び投与経路に依存する。最適な医薬製剤は、投与経路及び所望の用量に応じて当業者が決定する。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.(1990,Mack Publishing Co.,Easton,PA 18042)pages 1435−1712を参照のこと(本文書の開示は参照により本明細書に援用される)。そのような製剤は、投与する薬剤の物理的状態、安定性、in vivo放出速度、及びin vivoクリアランス速度に影響を与える。投与経路に応じて、体重、体表面積または臓器サイズに従って適切な用量を計算する。適切な用量反応データと併せて用量の血中濃度を測定するための確立されたアッセイを使用することにより、適切な用量を確認してもよい。最終的な投与計画は、薬の作用を変更する様々な要因、例えば、薬物の比活性、患者の損傷の重症度及び応答性、患者の年齢、病態、体重、性別及び食事、感染の重症度、投与時間ならびに他の臨床的要因を考慮して主治医が決定する。研究が行われるにつれて、様々な疾患及び病態の適切な用量レベル及び治療期間に関するさらなる情報が明らかとなるであろう。
以下の非限定的な実施例は、代表的な実施形態のより完全な理解を容易にするためにのみ、例示の目的で提供される。
これらの実施例は、後天性及び遺伝性フォン・ヴィルブランド病の治療方法に関するものを含む本明細書に記載のいかなる実施形態も制限するものと解釈すべきではない。
実施例1:cVWFプロペプチドを成熟rVWFから分離するための陽イオン交換体上での成熟rVWFの精製。
実施例1は、陽イオン交換体(陽イオン交換(CEX)樹脂)上での成熟rVWFの精製を表す。rVWFプロペプチド(rVWF−PP)は、フューリン成熟後もrVWFに結合したままであり、CEX樹脂にローディングする前に中性pHでクエン酸ナトリウムをキレート剤として用いて解離させた。rVWFプロペプチドの大部分が、陽イオン交換樹脂を通過した。そして、残りのrVWFプロペプチドを、洗浄工程後に枯渇させた。クエン酸ナトリウムを、緩衝物質の成分として、及びキレート剤として使用した。
工業的には、VWF、特に組換えVWF(rVWF)を、遺伝子改変型CHO細胞株において、rFVIIIと一緒に合成し、発現させる。共発現させるrVWFの機能は、細胞培養プロセスにおいてrFVIIIを安定化させることである。rVWFを、N末端に高分子プロペプチドを結合させたプロ形態として細胞内で合成する。小胞体及びゴルジ体で成熟すると、rVWF−PPは、細胞内プロテアーゼであるフューリンの作用によって切断され、発現タンパク質の二量体からなる同一サブユニットのホモポリマーとして分泌される。しかしながら、成熟は不完全であり、rVWF−PPと成熟VWFの混合物を含む生成物が生じる。
組換え因子VIIIを捕捉するモノクローナル抗体工程の後、rVWFを含有するフロースルー(モノクローナル抗体廃液とも呼ばれる)を陰イオン交換体(陰イオン交換(AEX)樹脂)にロードした。rVWFを陰イオン交換体に結合させ、カルシウム存在下でフューリンにより成熟させた。rVWFは、導電性の増加とともに陰イオン交換体から溶出された。溶出物を含む生成物を、60mMクエン酸ナトリウム,pH7.6を用いた1:2希釈で、導電性13.39mS/cm及びpH7.39に調整した。調整後の水性希釈液を、内径15mm、ベッド高さ14.0cm、容量24.74mlを有するUNOsphere(商標)S Cation Exchange Media(Bio Rad,カタログ番号156−0115)陽イオン交換体カラム上に流速100cm/時間でロードし、続いて5CVの10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2で洗浄して宿主細胞タンパク質(HCP)及びrVWF−PPを除去した。rVWFを、6CVの10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2〜500mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2の緩衝液中、流速60cm/時間で線形濃度勾配によって導電性を増加させることによって溶出した。主要な溶出ピークを2つの部分に分割し、低分子量rVWF多量体と高分子量rVWF多量体を分離した。
図1は、実施例1に示す陽イオン交換体上の成熟rVWFの精製を示す。
図2は、精製結果の表を示す。
図3は、実施例1に記載の方法によるrVWFとrVWF−PPの分離を示す銀染色タンパク質ゲル及びウェスタンブロットを示す。
実施例2及び3:rVWFの商業的製造のための実施例1に記載の最適化方法。
実施例2及び3は、rVWFの商業的製造のための実施例1に記載の最適化方法を表す。
実施例2及び3について、rVWF及びrFVIIIの発酵のための実験セットアップを確立した。この方法を、生化学的特性評価のための高純度rVWFを得るための簡易的精製法に用いた。
捕捉工程を、アフィニティークロマトグラフィーと陰イオン交換クロマトグラフィーを単一のプロセス工程に組み合わせたタンデムクロマトグラフィーによって実施した。rFVIIIを、免疫アフィニティークロマトグラフィー技術に基づいて、2〜8℃の温度で抗FVIII−mAbカラムに結合させた。この工程で、rFVIIIをrVWFから分離することができる。rVWFを含むフロースルーを、同じクロマトグラフィーシステム内で、精製水でオンライン希釈し、AEXカラムに直接ロードした。28℃まで+15℃昇温した後、AEXカラム上で組換えフューリン成熟を実施した。フューリン成熟させたrVWFを、導電性を増加させることにより、段階溶出で溶出した。研磨工程も実施した。rVWFを含むAEX溶出物を、10mMクエン酸ナトリウム緩衝液,pH7.6で希釈し、内径15mm、ベッド高さ14.0cm、及びカラム容量25±0.5mlを有するUNOsphere(商標)S Cation Exchange Media(Bio Rad,カタログ番号156−0115)陽イオン交換体カラムに、流速100cm/時間で添加した。10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,2mMクエン酸,pH7.6±0.2を用いた洗浄工程の後、rVWFを、6CVの10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2〜500mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2の緩衝液中、流速65cm/時間で線形濃度勾配を用いて導電性を増加させながら溶出した。主要な溶出ピークを分析目的のために溶出物(プールした溶出物)として回収した。
最終的な実験計画では、ピークの最後の30〜40%を回収し、最も高い比活性を有するrVWFを取得した。
図4は、実施例2及び3に対する実験セットアップのフローチャートを示す。
図5は、実施例2のクロマトグラムならびに実施例2及び3に用いるクロマトグラフィースキームを示す。
図6は、実施例2で使用する試薬の表及び結果の表を示す。
図7は、実施例2の別のクロマトグラム、及び実施例3の結果の表を示す。
図8は、実施例2及び実施例3の方法によるrVWFとrVWFプロペプチドの分離を示す銀染色タンパク質ゲルを示す。
図9は、実施例2及び実施例3の方法によるrVWFとrVWFプロペプチドの分離を示すウェスタンブロットを示す。
実施例4:サイズ排除クロマトグラフィーによるrVWFとrVWF−PPの分離によるrVWFの商業的製造方法
実施例4は、rVWFとrVWFプロペプチド(rVWF−PP)をサイズ排除クロマトグラフィーを介して分離することによってrVWFの商業的製造に最適化した方法を表す。SEC実行緩衝液にクエン酸ナトリウムを添加して、rVWFとrVWF−PPを効率的に分割する。
rVWFを含む限外濾過後のUNOsphere(商標)S溶出物を、2つのSuperose 6 prep grade SECカラムの直列アレイに直接ロードし(GE Healthcare,カタログ番号28−9913−16)、いずれもそれぞれ内径16mm、ベッド高さ82.0cm(2×41cm)を有し、両方のカラム容量はおよそ165mlであった。ロードは、7cm/時間の速度で適用した。実行緩衝液は、20mM HEPES遊離酸,150mM NaCl,15mMクエン酸二水和物 pH7.5±0.2であった。サイズ排除クロマトグラフィーは、線形流速12cm/時間で等張条件を用いて実施した。
図10は、実施例4のクロマトグラム、クロマトグラフィースキーム、及び緩衝液組成を示す。
図11は、実施例4の結果の表を示す。
図12は、実施例4の方法によるrVWFとrVWFプロペプチドの分離を示す銀染色タンパク質ゲル及びウェスタンブロットを示す。
実施例5:サイズ排除クロマトグラフィーによるrVWFとrVWF−PPの分離による成熟rVWFの商業的製造のための最適化方法。
実施例5は、pH調整したrVWFを含む開始物質をサイズ排除クロマトグラフィー上に添加することによる、サイズ排除クロマトグラフィーによるrVWFとrVWF−PPの分離方法を表す。
rVWFを含む限外濾過後のUNOsphere(商標)S−溶出物を、カラムにローディングする前に1Mグリシン pH9.0でpH7.5±0.2に調整した。この溶液を、2つのSuperose 6 prep grade SECカラムの直列アレイにロードし(GE Healthcare,カタログ番号28−9913−16)、いずれもそれぞれ内径16mm、ベッド高さ82.0cm(2×41cm)を有し、両方のカラム容量はおよそ165mlであった。ロードは、7cm/時間の流速で適用した。SEC実行緩衝液は、20mM HEPES遊離酸及び150mM NaCl,pH7.5±0.2を含んでいた。サイズ排除クロマトグラフィーは、線形流速12cm/時間で等張条件を用いて実施した。
図13は、実施例5のクロマトグラム、クロマトグラフィースキーム、及び緩衝液組成を示す。
図14は、実施例5の結果の表を示す。
実施例6:UNOsphere(商標)S上でキレート剤を補充せずにrVWFプロペプチドからrVWFを精製するためのCEX法
実施例6は、限外濾過したUNOsphere(商標)S上にキレート剤を補充しないCEX法を表す。この方法は、rVWFプロペプチドから成熟rVWFを精製するための従来法の代表である。方法は、キレート剤を含む緩衝液及び/またはpH7.0以上を有する緩衝液を利用しない。
組換え第VIII因子を捕捉するモノクローナル抗体工程の後、rVWFを含むフロースルーを陰イオン交換体にロードした。rVWFを陰イオン交換体に結合させ、カルシウム存在下でフューリンにより成熟させた。rVWFは、導電性の増加とともに陰イオン交換体から溶出された。次いで、生成物を含む溶出物を、内径15mm、ベッド高さ14.2cm、及び容量25.09mlを有するUNOsphere(商標)S Cation Exchange Media(Bio Rad,カタログ番号156−0115)陽イオン交換体カラムに、流速100cm/時間でロードし、続いて10CVの10mMトリス−HCl,100mM酢酸ナトリウム,85mM NaCl,pH6.5±0.2で洗浄し、HCP及びrVWFプロペプチドを除去した。rVWFを、100mM酢酸ナトリウム,500mM NaCl,100mMグリシン,3mM CaCl2,pH7.5±0.2を流速65cm/時間で添加することにより、単一工程で溶出した。主要な溶出ピークを、生成物を含む画分として回収した。
図15は、実施例6のクロマトグラム、クロマトグラフィースキーム、及び緩衝液組成及び緩衝条件を示す。
図16は、実施例6の結果の表を示す。
実施例7:事前のキレート剤補充またはpH上昇を伴わずにrVWFプロペプチドからrVWFを精製するためのSEC法
実施例7は、事前のキレート剤補充またはpH上昇を伴わないSEC法を表す。この方法は、rVWFプロペプチドから成熟rVWFを精製するための従来法の代表である。SEC法は、rVWF及び残留rVWFプロペプチドを含む開始画分(物質)を調整するために使用するキレート剤を含む緩衝液及び/またはpH7.0以上を有する緩衝液を含まない。
組換えVWFを含む限外濾過後のUNOsphere(商標)S−溶出物を、2つのSuperose 6 prep grade SECカラムの直列アレイに直接ロードし(GE Healthcare,カタログ番号28−9913−16)、いずれもそれぞれ内径16mm、ベッド高さ82.0cm(2×41cm)を有し、両方のカラム容量はおよそ165mlであった。ロードは、7cm/時間の流速で添加した。実行緩衝液は、20mM HEPES遊離酸,150mM NaCl,pH7.5±0.2であった。サイズ排除クロマトグラフィーは、線形流速12cm/時間で等張条件を用いて実施した。
図17は、実施例7のクロマトグラム、クロマトグラフィースキーム、及び緩衝液組成を示す。
図18は、実施例7の結果の表を示す。
実施例8:陰イオン交換クロマトグラフィーと陽イオン交換クロマトグラフィーによるrVWFプロペプチドからのrVWFの分離。
実施例8は、陽イオン交換体上での成熟rVWFの精製を表す。AEX Mustang Q工程の後に現在のrVWF製造工程から開始物質を取得した。AEX Mustang Q工程由来のrVWFを含むフロースルーを、SD/VI処理し、キレート剤を含む緩衝液で希釈してrVWF/rVWFプロペプチド複合体を解離させた。希釈した物質をCEX樹脂(Unosphere S)に添加した。rVWF−PP、宿主細胞タンパク質(HCP)及び低分子量rVWF多量体の大部分は、陽イオン交換樹脂を通過する。残りのrVWF−PPを洗浄工程後に枯渇させた。その後、結合した高分子量rVWF多量体を、ナトリウムイオンによって引き起こされる導電性の増加によって溶出した。
工業的には、VWF、特に組換えVWF(rVWF)を、遺伝子改変型CHO細胞株において、rFVIIIと一緒に合成し、発現させる。共発現させるrVWFの機能は、細胞培養プロセスにおいてrFVIIIを安定化させることである。rVWFを、N末端に高分子プロペプチドを結合させたプロ形態として細胞内で合成する。小胞体及びゴルジ体で成熟すると、プロペプチドは、細胞内プロテアーゼであるフューリンの作用によって切断され、発現タンパク質の二量体からなる同一サブユニットのホモポリマーとして分泌される。しかしながら、成熟は不完全であり、プロペプチドと成熟VWFの混合物を含む生成物が生じる。
組換え第VIII因子を捕捉するモノクローナル抗体工程の後、rVWFを含むフロースルーをFractogel TMAE陰イオン交換体にロードした。rVWFを陰イオン交換体に結合させ、カルシウム存在下でフューリンにより成熟させた。rVWFは、導電性の増加とともに陰イオン交換体から溶出された。TMAE−溶出物をMustang Q(MUQ)フィルタユニットを介して濾過し、フィルター膜に結合するCHO−DNA及び不純物を除去した。CEX工程のローディング物質は、溶媒及び界面活性剤で処理して脂質エンベロープウイルスを不活化するMustang Q濾過工程(MUQ)の廃液である。ウイルスを不活化するために、MUQ廃液を、Triton−X−100(1%)及びポリソルベート80(0.3%)などの2つの界面活性剤の混合物及び有機溶媒であるリン酸トリ−n−ブチル(0.3%)とともに室温で1時間インキュベートする。生成物を含むMUQ_フロースルーを、60mMクエン酸ナトリウム pH7.6で1:2希釈して、導電性21.9mS/cm及びpH7.16に調整した。rVWFプロペプチド(rVWF−PP)及び低分子量rVWF多量体を確実に除去するために高導電性を選択し、所望の高分子量rVWF多量体に対する樹脂の容量を利用した。調整した希釈液を、内径10mm,ベッド高さ14.3cm及び容量11.23mlを有するUNOsphere(商標)S Cation Exchange Media(Bio Rad,カタログ番号156−0115)陽イオン交換体カラムに流速100cm/時間でロードした。ローディング後、5CVの10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2を用いて第1の洗浄(再平衡化)を行い、弱く結合したHCP及びrVWFプロペプチドを除去した。
強く結合したHCP及びrVWFプロペプチドを枯渇させる2回目の洗浄を、10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2中の40%500mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2の工程で実施した(洗浄2)。
溶出は2つの段階で実施した:(1)第1段階は、10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2中の45%500mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2(溶出物1すなわちE1)の工程を含み、(2)第2段階は、6カラム容量中に10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2中の45%〜100%の500mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2(溶出物2すなわちE2)の線形濃度勾配を含んでいた。洗浄2から濃度勾配の終点までを、65cm/時間の流速で実施した。
図19は、実施例8のクロマトグラム、クロマトグラフィースキーム、及び緩衝液組成を示す。
図20は、実施例8の結果の表を示す。
図21は、実施例8の方法によるrVWFとrVWFプロペプチドの分離を示す銀染色タンパク質ゲルを示す。
図22は、実施例8の方法によるrVWFとrVWFプロペプチドの分離を示すウェスタンブロットを示す。1%アガロースゲルは、生成物の多量体パターンを示す。
図23は、実施例8の方法によるrVWFとrVWFプロペプチドの分離を示すウェスタンブロットを示す。
実施例9:陰イオン交換クロマトグラフィーと陽イオン交換クロマトグラフィーによるrVWFプロペプチドからのrVWFの分離。
実施例9は、陽イオン交換体上での成熟rVWFの最適化された精製を表す。AEX Mustang Q工程の後に現在のr−VWF製造工程から開始物質を取得した。AEX Mustang Q工程由来のrVWFを含むフロースルーを、SD/VI処理し、キレート剤を含む緩衝液で希釈してrVWF/rVWFプロペプチド複合体を解離させた。希釈した物質をCEX樹脂に添加した(Unosphere S)。rVWF−PP、宿主細胞タンパク質及び低分子量rVWF多量体の大部分は、陽イオン交換樹脂を通過する。残りのrVWF−PPを洗浄工程後に枯渇させた。結合した高分子量rVWF多量体を、ナトリウムイオンによって引き起こされる導電性の増加の濃度勾配によって溶出した。
工業的には、VWF、特に組換えVWF(rVWF)を、遺伝子改変型CHO細胞株において、rFVIIIと一緒に合成し、発現させる。共発現させるrVWFの機能は、細胞培養プロセスにおいてrFVIIIを安定化させることである。rVWFを、N末端に高分子プロペプチドを結合させたプロ形態として細胞内で合成する。小胞体及びゴルジ体で成熟すると、プロペプチドは、細胞内プロテアーゼであるフューリンの作用によって切断され、発現タンパク質の二量体からなる同一サブユニットのホモポリマーとして分泌される。しかしながら、成熟は不完全であり、プロペプチドと成熟VWFの混合物を含む生成物が生じる。
組換え第VIII因子を捕捉するモノクローナル抗体工程の後、r−VWFを含むフロースルーをFractogel TMAE陰イオン交換体にロードした。rVWFを陰イオン交換体に結合させ、カルシウム存在下でフューリンにより成熟させた。rVWFは、導電性の増加とともに陰イオン交換体から溶出された。TMAE−溶出物をMustang Q(MUQ)フィルタユニットを介して濾過し、フィルター膜に結合するCHO−DNA及び不純物を除去した。CEX工程のローディング物質は、溶媒及び界面活性剤で処理して脂質エンベロープウイルスを不活化するMustang Q濾過工程(MUQ)の廃液である。
ウイルスを不活化するために、MUQ廃液を、Triton−X−100(1%)及びポリソルベート80(0.3%)の2つの界面活性剤の混合物及び有機溶媒であるリン酸トリ−n−ブチル(0.3%)とともに室温で1時間インキュベートする。生成物を含むMUQ_フロースルーを、60mMクエン酸ナトリウム pH7.6で1:2希釈して、導電性21.9mS/cm及びpH7.16に調整した。rVWFプロペプチド及び低分子量rVWFを確実に除去するために高導電性を選択し、所望の高分子量r−VWFに対する樹脂の容量を利用する。調整した希釈液を、内径10mm,ベッド高さ14.3cm及び容量11.23mlを有するUNOsphere(商標)S Cation Exchange Media(Bio Rad,カタログ番号156−0115)陽イオン交換体カラムに流速100cm/時間でロードし、続いて5CVの10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2で第1の洗浄(再平衡化)を行い、弱く結合したHCP及びrVWFプロペプチドを除去した。
強く結合したHCP及びrVWFプロペプチドを枯渇させる第2の洗浄(洗浄2)を、5カラム容量中の10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2中の36%500mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2の工程で行った。
溶出は、8カラム容量中の10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2中の36% 500mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2〜10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2中の100% 500mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2の濃度勾配で実施した。所望の生成物に相当する溶出物は、開始時10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2中の>50%の500mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2〜10mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2中の76% 500mM NaCl,30mMクエン酸ナトリウム,pH7.6±0.2の画分のプールを含む。洗浄及び溶出は、流速50cm/時間で実施した。
図24は、実施例9のクロマトグラム、クロマトグラフィースキーム、及び緩衝液組成を示す。
図25は、実施例9の結果の表を示す。
図26は、実施例9の生成物の表を示す。
図27は、実施例9の方法によるrVWFとrVWFプロペプチドの分離を示す銀染色タンパク質ゲルを示す。
図28は、実施例9の方法によるrVWFとrVWFプロペプチドの分離を示すウェスタンブロットを示す。1%アガロースゲルは、生成物の多量体パターンを示す。
図29は、実施例9の方法によるrVWFとrVWFプロペプチドの分離を示すウェスタンブロットを示す。
キレート剤及び/またはpH上昇の存在下でのrVWF精製工程は、r−VWFプロペプチド及び宿主細胞タンパク質の高い枯渇率を示した。陽イオン交換体上のr−VWFプロペプチドの枯渇は、キレート剤及び/またはpH上昇が存在する条件下でrVWF−PPが陽イオン交換体に結合しないという事実に基づいている。サイズ排除クロマトグラフィー上のrVWFプロペプチドの枯渇は、キレート剤及び/またはpH上昇の存在下で、効率的にサイズ分離がなされるという事実に基づいていた。
図30は、実施例1、2、3、6、8、及び9に用いる強化型陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)で得られる、生成物を含有する画分の純度を示す。
図31は、実施例1、2、3、6、8、及び9の生成物関連不純物の枯渇係数を示す。
図32は、実施例4及び5に用いる強化型サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で得られる、生成物を含有する画分の純度を示す。
図33は、実施例4及び5の生成物関連不純物の枯渇係数を示す。
参考文献
米国特許第8,058,411号;Method for producing mature VWF from VWF pro−peptide. Inventors: Wolfgang Mundt, Artur Mitterer, Meinhard Hasslacher, Christa Mayer.
米国特許第6,465,624号;Purification of von Willebrand factor by cation exchange chromatography. Inventors: Bernhard Fischer, Oyvind L. Schonberger, Artur Mitterer, Christian Fiedler, Friedrich Dorner, Johann Eibl.
実施例10:陰イオン交換クロマトグラフィーによるrVWFプロペプチドからのrVWFの分離。
本研究は、フューリン処理した成熟VWF/VWF−PP複合体を、陰イオン交換クロマトグラフィーと、高いpH(例えば、pH8.5)を有し、キレート剤(EDTA)を含む溶出緩衝液を使用して、成熟VWFとVWF−PPに解離(分離)させることを示す。分離は、陰イオン交換体(AEX)、特にFractogel TMAE650(M)上で実施した。ウイルス不活化のための溶媒−界面活性剤処理もまた、約1時間、カラム上で実施した。クロマトグラフィー実験の詳細を、図34〜36に示す。
図34は、TMAE分離法で用いる緩衝製剤及び材料を示す。
図35は、フューリン処理した成熟VWF/VWFプロペプチド複合体のロード条件を示す。
図36は、クロマトグラフィー法の緩衝液、条件、パラメータ、及び流速の詳細を示す。
図37は、フューリン処理した成熟VWF/VWFプロペプチド複合体の、成熟VWF及びVWF−プロペプチド(VWF−PP)への解離のクロマトグラムを示す。この図は、成熟VWFを含有する画分からのVWF−PPの枯渇を示す。
図38は、成熟VWFとVWF−プロペプチド(VWF−PP)の分離の別のクロマトグラムを示す。この図は、成熟VWFを含有する画分からのVWF−PPの枯渇を示す。
実施例11:成熟VWF(matVWF)及びVWFプロペプチド(VWF−PP)の分離のための異なるクロマトグラフィー法の改良。
第1の研究では、組換え成熟VWFを精製するための2つの方法を比較した。
図39は、成熟VWFを単離するための2つの方法の概略を示す。例えば、mAb廃液(MABEffl)を得た後の下流処理工程の1つの方法では、TMAE陰イオン交換クロマトグラフィーの捕捉工程及びオンカラム成熟(TMC)、ならびにMustang Q陰性陰イオン交換クロマトグラフィー工程(MUQ)には、ウイルス不活化のための溶媒−界面活性剤処理(SDT)、陽イオン交換クロマトグラフィー(CAT)、限外濾過濃縮(UFA)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、及び透析−限外濾過濃縮(DUF)が含まれ、バルク原薬(成熟VWF)が製造される。他の方法では、下流処理工程には、バルク原薬を製造するための改良型陽イオン交換クロマトグラフィー(CAT)工程とそれに続く透析−限外濾過(DUF)濃縮工程が含まれ、SECが含まれない。
図40は、本明細書に記載され、図39に示す改良型陽イオン交換クロマトグラフィー法(CAT2.0)の利点のいくつかを強調した表を示す。改良型CAT法は:1000超の減少係数で宿主細胞不純物を、2000超の減少係数でVWF−PPを、及び10未満の減少係数で残留FVIIIを除去することができる。CAT法を使用して、VWF多量体を分離し、プールすることができる。さらに、この方法は、VWFの活性画分を分離し、残存する宿主細胞由来不純物及びVWF−PPを除去するための研磨工程として、サイズ排除クロマトグラフィーを代替することができる。
第2の研究では、SECプロセスの条件を変化させ、成熟VWFとVWF−PPの分離を向上させた。言い換えれば、SEC用に改変した緩衝液は、VWF−PPの量を低下させることによって成熟VWFの純度を高めることができたと判断された。
図41は、標準型SEC緩衝液(SQA緩衝液)または改変型SEC緩衝液(SQC緩衝液)を用いたサイズ排除クロマトグラフィーを使用したr−VWFプロペプチドの分離を示す2つのクロマトグラムの概略を示す。図42は、SQC緩衝液を用いる利点のいくつかを強調した表を示す。例えば、SQC緩衝液を使用する方法は、宿主細胞不純物を約100超の減少係数で、残留FVIIIを10未満の減少係数で除去することができる。驚くべきことに、この方法は、不純物レベルが2μg/1000ユニット未満になるようにVWF−PPを除去することができる。
このように、本実施例では、VWF−PPからの成熟VWFの分離を改善する方法を記載する。
実施例12:改良型CAT(UNO_S)工程の開発。
モノクローナル抗体(MAB)フロースルーから始まる第1世代の組換えフォン・ヴィルブランド因子(rVWF)の下流プロセスは、UNO_Sphere S(UNO_S)樹脂上での陽イオン交換クロマトグラフィー(CAT)による研磨工程を含む。その後、UNO_S溶出物を限外濾過によって濃縮し、さらにサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって処理し、高分子量及び低分子量rVWF多量体を分離し、下流プロセスの過程で生成される生成物関連不純物である遊離rVWFプロペプチドを除去する。高分子量rVWF細画分は、最終的な製剤(FDP)を得るために最終的に製剤化されるバルク原薬(BDS)に相当する。
第2世代rVWFの下流プロセスでは、改良型陽イオン交換クロマトグラフィー法によってSEC工程を代替し、代替の陽イオン交換(CAT)溶出手順(段階溶出の代わりに濃度勾配溶出)によって高分子量及び低分子量rVWF多量体及びrVWFプロペプチドを分離することが提案された。本実施例では、第2世代rVWF研磨精製工程CATの実験について概説する。CATローディングpH及び導電性、カラム洗浄工程の導電性及び長さ、ならびに溶出物プール基準などの新規プロセスパラメータを小スケールで検討し、スケーラブルでロバストなプロセス下流ユニット操作工程を得た。
1.目的
第1世代rVWF(VONVENDI(登録商標))の下流プロセスは、ADVATE(登録商標)MABフロースルーをフィードとして用いたTMAEセファローズの捕捉工程(TMC工程)から始まり、続いてMustang Q濾過工程を経てCHO宿主細胞DNAを除去する。次いで、溶媒/界面活性剤(S/D)工程を実施して、潜在的な脂質エンベロープウイルスを不活化し、続いて弱陽イオン交換体であるUNO_SphereS(UNO_S)樹脂上での研磨工程(CAT工程)を実施する。CAT工程は、ウイルス不活化工程の間に導入されたS/D化学物質を除去することを目的とする。その後、UNO_S溶出物を限外濾過によって濃縮し、さらにサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって処理し、高分子量及び低分子量rVWF多量体を分離し、下流プロセスの過程で生成される生成物関連不純物である遊離rVWFプロペプチドを除去する。高分子量rVWF細画分は、FDPを得るために最終的に製剤化されるBDSに相当する。
第2世代rVWFの下流プロセスについては、SEC工程を省き、改良型陽イオン交換クロマトグラフィー法によってそれを代替することが提案された。
一連の5つの実験では、低分子量rVWF多量体からの高分子量rVWF多量体の分離及びrVWFプロペプチドの除去を、濃度勾配CAT溶出手順によって達成した。新規の濃度勾配溶出モードは、第1世代の下流プロセスで適用される段階溶出手順を代替することができた。本実施例では、第2世代rVWF研磨精製工程CATに対する5つの実験について詳細に概説する。すべての実験は、本明細書に記載の研究計画に従って実施した。
2.序論及び背景
現在のレポートは、第1世代(Gen1)手順で現在適用されている2つのVWF下流ユニット操作工程CATとSECを組み合わせることによる、第2世代(Gen2)Tプロセスの開発について記載する。一連の実験では、リスク評価において同定され、クロマトグラフィー工程CATの性能にとって重要と考えられたプロセスパラメータを検討した。現在の研究は、現在のrVWF製造プロセスからのスケールダウンモデルに基づいた。このプロセスを、臨床第III相物質の製造のためにOrthで確立し、商業的生産のために製造(MFG)スケールに移行した(図43A)。本レポートに記載のCATユニット操作工程で導入した変更を理解しやすくするために、現在使用している第1世代rVWF下流ユニット操作工程S/D、CAT及びSECの簡単なプロセスの説明を以下に示す。
Gen1プロセスで使用する場合、rVWF研磨工程CATは、「強力な」スルホン酸陽イオン交換配位子を備えたマクロポーラスアクリルアミドベースの媒体であるUNO_Sphere S上でのクロマトグラフィーによる陽イオン交換プロセスである。研磨工程用のローディング物質は、陰イオン交換濾過工程MUQの廃液であり、これを、脂質エンベロープウイルスを不活化するために溶媒及び界面活性剤で処理する。ウイルスを不活化するため、MUQ廃液を2つの界面活性剤Triton−X−100(1%)及びポリソルベート80(0.3%)ならびに有機溶媒トリn−ブチルリン酸(0.3%)の混合物とともに室温で1時間インキュベートする。処理前に、生成物の溶液を0.2°μmメンブレンフィルターで濾過し、存在する可能性のある粒子を除去する。ウイルス不活化後、生成物の溶液をおよそ1容量の水で希釈して、S/D試薬の濃度を下げ、CATカラムへのローディング工程のために導電性を調整する。pHは調整しない。CATクロマトグラフィー工程は、S/D試薬を除去し、ダイズペプトンなどの培地成分ならびにrフューリン、rFVIIIポリペプチドならびにCHO由来のタンパク質及びDNAなどの他の不純物を含むプロセス関連不純物をさらに低減させることを主な目的とする。ユニット操作工程CATに続いて、得られた生成物の画分(CAT−E)を、Superose 6樹脂上でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によりさらに処理する。研磨工程SECのローディング物質は、UNO_SphereS上での陽イオン交換研磨工程CATの溶出物プールである。妥当な分解能を達成するためにSECカラムのローディング容量が制限されるため、CAT溶出物プールを、30°kDaのカットオフを有するセルロース系メンブレンカセットを用いて、限外濾過によりおよそ15倍に濃縮する(工程UFA)。臨床第III相生産スケールでは、限外濾過濃度(UFA)濃縮物を2つの画分に分割し、SECカラムで別々に処理する。この措置は、SECカラムの容量とカラムの直径を低く抑えるために実施した。緩衝マトリックスならびにローディング物質の導電性及びpHは、CAT溶出物プールに対応し、SECカラムにロードする前の濃縮工程UFAの後に調整を行わない。工程SECの目的は、CHO宿主細胞タンパク質の最終的な不純物除去であり、TMAE Sepharose上での初期の捕捉工程(TMC工程)で生成される生成物関連不純物であるrVWFプロペプチドの主要な除去工程として機能する。さらに、工程SECは、サイズに基づいてrVWF多量体を分離し、生成物のリストセチンコファクター活性に寄与する高分子量rVWF多量体を濃縮するためのプーリングスキームを可能にする。
本レポートは、MFG(図43A)スケールで実行される現在のユニット操作工程から、改良型CAT(UNO_S)工程(図43B)への置き換えを記載している。CAT工程の改良について、小スケールで調べた。CAT工程に続くUDF(濃縮/透析)工程も最適化する必要があり得る。
3.材料及び方法
材料及び方法、ならびにサンプリング計画について本明細書に記載する。
3.1 rVWFロード物質
すべての実験について、凍結MUQ−E生成物を使用した。材料を130°mLアリコートで≦−60℃で凍結保存し、必要に応じて+2〜+8℃の範囲で一晩解凍した。MUQ−溶出物が解凍されたら、S/D試薬を添加し、混合物をPall製の0.2μmフィルターKA02EAVP2S(登録商標)により濾過した。その後、濾過した物質を、室温(約+25℃)で60分間、適度な攪拌下でインキュベートし、潜在的な脂質エンベロープウイルスを不活化/溶解させた。S/D反応を、60mMクエン酸ナトリウム緩衝液,pH7.5で1:2希釈して停止させた。希釈した物質を、以下のCAT工程用のフィードとして用いた。
3.2 クロマトグラフィーハードウェア
現在のレポートに記載の実験では、小スケールクロマトグラフィーシステムであるAKTA pure25(GE Healthcare)を用いた。このシステムには、紫外線吸収、導電性、圧力、温度及びpHを、電子記録とともにオンラインでモニタリングするためのプローブが装備されていた。Unicorn 7.0で動作するソフトウェアによって、システムを制御した。すべての実験は、周囲室温で実施した。
AKTAシステムチューブはPEEKであったが、これはステンレス製の配管を備えたMilliporeプロセスシステムが用いられる大スケールとは異なっている。ハードウェア部品はすべて認定された研究開発機器である。
5つの実験すべてに使用した実験室スケールのカラムには、10μmのPPフリットが装備されており;UNO_Sphere S樹脂の粒径は、直径約80μmであった。大スケールでは、20μmのメッシュサイズを有するステンレス鋼のフリットを使用する。すべてのカラムは、研究開発目的のために設計された認定品である。
NEにおける現在のGEN1 MGF機器と現在の研究で使用する小スケールのGEN2機器とのハードウェア比較を図44に示す。
3.3 緩衝液
小スケールでの精製の実行に使用した緩衝液は、実験室エリアで作製したか、または製造エリアから受け取った。緩衝液の調製のために認定された化学物質を使用したが、これらをパイロットスケールの臨床生産用の緩衝液の生産にも使用した。緩衝液を、使用前に0.2°μm濾過し、室温で袋またはガラス瓶に保管した。緩衝液組成の説明を、図48に示す。
3.4 分析方法
実施するrVWF生化学的特性評価、効力及び不純物アッセイとして、VWF:RistoCo活性、VWF抗原、VWFプロペプチド抗原含有量、FVIII活性発色法、UV吸収特性(280nm,254nm)、ポリペプチドパターン、例えば、分解、多量体パターン、及びCHO HCP含有量を分析するものが挙げられる。いくつかの場合では、他の分析試験を実施して、例えば、限定されないが、プロVWF抗原含有量、FVIII抗原含有量、フューリン活性、フューリン抗原、総タンパク質(BCA)、遊離スルフヒドリル、CHO BIP WB、CHO DNA、マウスモノクローナル抗体、ダイズペプトン、Triton X−100、ポリソルベート80、トリ−n−ブチルリン酸、動的光散乱(DLS)(流体力学的半径)、シアル酸、n−グリカン含有量、VWFコラーゲン結合、及びVWF酸化を測定することができる。
4 CATプロセスrVWF第2世代(GEN2)における変更
第2世代rVWF下流プロセスにおけるSEC工程を置き換えるために、以下に示すパラメータを検討した。導入する変更のほとんどは、研究開発の実現可能性試験に基づいている。クロマトグラフィー樹脂タイプ(BioRadによるUNO_Sphere S樹脂)及び添加する緩衝液の組成(pHではない)は変更しなかった。第2世代のCATプロセスには:S/D処理、ローディング濃度及び流速、ならびに洗浄工程及び溶出工程の変更が含まれていた。
4.1 S/D処理
60°mMクエン酸ナトリウム緩衝液を用いてウイルス不活化物質を1:2希釈することによってS/D不活化を停止させ、この希釈により、CATフィードを7.5〜8.0の好ましいpH(pH試験範囲6.0〜9.0)及び+25℃での10〜30°mS/cm2の好ましい導電性(+25℃での導電性試験範囲5〜40°mS/cm2)に設定したことを除けば、S/D処理は、GEN1プロセスと同様に行った。実施したGEN1 rVWF CAT工程では、CATロードをpH8.9〜9.2に設定した。GEN2のセットアップでは、導電性及びpHを、マトリックスに対するCHO−HCP、CHO−DNA及びrVWFプロペプチドの結合が最小化される点に設定した。同様に、低分子量(LMW)rVWF分子がカラムマトリックスに結合することが妨げられ、一方、高分子量(HMW)rVWF分子のみが捕捉されたほうが好ましい。本研究の目的の1つは、ローディング段階での導電性を高め、できるだけ多くのLMW rVWF、CHO−HCP、CHO−DNA及びrVWFプロペプチドをフィードから枯渇させることであった。
4.2 ローディング濃度及び流速
研究中にローディング濃度(RU rVWF/mL樹脂)を増加させ、カラム容量を増加させることなく、より多くの生成物をロードできるようにした。製造スケール(MFG)では60〜140RU/ml樹脂のローディング濃度が一般的に適用されるが、それとは対照的に、現在の小スケール研究では、90〜270IU/ml樹脂をロードした。第2世代CAT手順の平衡化、ローディング及び再平衡化の流速は、第1世代プロセス(100cm/時間)と同じであった。洗浄及び溶出の流速は、図45に示すように変更した。
4.3 ローディング濃度及び流速
溶出段階に先行する洗浄工程を変更して、プロセス及び生成物関連不純物の除去を最適化した。第1世代プロセスで適用されていた段階溶出を、濃度勾配溶出に変更した。濃度勾配の長さを、研究中に模索した。溶出手順の変更は、低分子量rVWF分子が初期の濃度勾配画分で溶出され、高分子量rVWF分子が後期の濃度勾配画分で溶出されるという観察に基づいていた(例えば、US6,465,624を参照のこと)。
5.CATのGen1プロセスとGen2プロセスの比較
両方の手順において、CATプロセスは、以下の手順を含む:カラム活性化(陽イオン性対イオンであるナトリウムを有する陰イオン配位子のローディング)及び平衡化(安定pH及び導電性(カラム出口でモニタリングする)の観点からカラムをローディング用に準備する)、それに続いて、S/D処理して希釈したMUQ溶出物の生成物ローディング。
MFGスケールでのローディング中に、溶出物を0.2°μmフィルターを介してオンラインで濾過し、S/D処理中に形成された可能性のある粒子状物質からカラムを保護した。小スケールプロセスでは、この工程は省略した。生成物を含有する溶液をカラムにポンプ輸送した後、ローディングを完了し、ポンプでカラム上に送られた低分子量のS/D試薬を除去する洗浄工程を適用することにより、緩やかに結合した不純物を除去した。洗浄工程のpH及び導電性は、平衡化工程及びローディング工程のパラメータに対応する。洗浄後、高い導電性及び対イオン濃度を有する溶出緩衝液を用いて段階溶出を適用することにより、結合したタンパク質をカラムから溶出させた。≦3.6°CVの生成物プールを回収した。
小スケールでのGen2プロセスにおいて、代替の濃度勾配溶出手順を用いて、rVWFプロペプチド、低分子量rVWF分子及び高分子量分子をカラムから除去した(図45)。溶出前の洗浄工程を、濃度勾配溶出の開始時点と同じpH及び導電性で段階洗浄として実施した。4つの洗浄シナリオを試験した:0%B(10CV)、55%B(10CV)、40%B(5CV)と45%B(5CV)及び36%B(5CV)。対応する濃度勾配溶出工程は、0〜100%B(12CV)、55〜100%B(6CV)、45〜100%B(6CV)及び36〜100%B(6CV)であった。100%Bを用いた2〜3CVでの洗浄によって溶出を完了した。
生成物関連不純物及び生成物の副成分を溶出することにより、溶出物をプールした。生成物の溶出後、カラムを洗浄し、塩基性及び酸性溶液で消毒した。この研磨工程の主な目的は、CHO宿主細胞タンパク質、ヒトrフューリン、ダイズペプトンなどの培地化合物)、生成物関連不純物(rVWFプロペプチド)及び低分子量S/D試薬を含むプロセス関連不純物のさらなる除去であった。rFVIIIの除去は、わずかな寄与しか期待されなかった。改良型CAT(UNO_S)工程に続いて、タンパク質濃縮及び緩衝液交換工程(限外濾過/ダイアフィルトレーション)が必要とされ得る。しかしながら、この限外濾過/ダイアフィルトレーション工程は、本明細書に記載の研究の一部ではなかった。第1世代MFGスケールプロセスと第2世代小スケールプロセスのクロマトグラフィー手順の違いを、図46〜48に概説する。
6.結果
以下の節では、現在の研究結果を提示する。小スケールで実施した5つの実験は、改変型UNO(CAT)手順を導入することにより、SECユニット操作工程とそれ以前の限外濾過(緩衝液交換)工程を置き換えることができることを明確に示している。
6.1 クロマトグラム
上記で概説したように、異なる洗浄手順及び濃度勾配溶出手順を用いた5つの実験を実施した。UNO S工程の目的は、生成物及びプロセス関連不純物を除去するための最適な方法を見出す一方で、VWF Ag及び活性の点で最適な収率を達成することであった。図49は、最終(第5)実行VW_USS_05の2つのクロマトグラムを示す。図49の上部パネルは、カラム活性化、ローディング段階(フィードに含まれるS/D化学物質によって高UV280nm吸収が引き起こされる)、再平衡化、洗浄、濃度勾配溶出、2M NaCl洗浄及びCIP手順を含む全実行を示す。クロマトグラムは、x軸のスケールを説明する2つの結果ファイルを融合したものである(結果ファイル1:ロードが終了するまでの活性化;結果ファイル2:再平衡化の開始、36%B洗浄、濃度勾配溶出、CIP)。図49の下部パネルは、溶出段階を詳細に示している(段階洗浄〜36%溶出緩衝液B、続いて36%B〜100%Bの濃度勾配溶出及び100%溶出緩衝液Bの段階)。
6.2 SDS−PAGE
クロマトグラフィー条件の変更及び最適化(例えば、洗浄の導電性、濃度勾配溶出の開始)の適用により、プロペプチドと成熟rVWFの分離が洗練された。さらに、プロセス関連不純物の除去と成熟rVWF Agの収率及び活性が向上した。一連の実験における最後(第5)の実行のSDS−PAGE結果(銀染色及び抗rVWFウェスタンブロット)を図50に示す。
SDS−PAGEを、還元条件下、3〜8%トリス酢酸ゲルで実施した。分離したポリペプチドを、銀染色(上部)及びウェスタンブロット(下部)により可視化した。ローディングする前に、試料をDTTで還元し、その後、遊離スルフヒドリル基をヨードアセトアミドでブロックした。ウェスタンブロットについては、一次抗体はポリクローナルウサギ抗ヒトVWF抗体(Dako製;注文番号A0082;1:1000希釈)、二次抗体はポリクローナルAP結合ヤギ抗ウサギIgG抗体(Sigma製;注文番号A−8025;1:2000希釈)であった。rVWFのバンドは250kDa超で泳動され;VWFプロペプチドは約90kDaで泳動される。プロペプチドは、ウェスタンブロッティングに使用する抗体では検出されない。
実行VWF_USS_05の結果は、プロペプチドと成熟rVWFの明確な分離を示す。溶出物試料(レーン16)と、第1世代の手順に従って精製した参照試料(レーン18)は、非常に類似している。
6.3 多量体分析
高分子量及び低分子量のrVWF副生成物の分布を評価するために、アガロースゲル及びウェスタンブロットによる多量体分析を実施した。ロード、フロースルー(FT)、洗浄、溶出、及び高塩洗浄由来の試料を試験した(図51)。LMW rVWF副生成物は、フロースルー(FT;廃液画分)(レーン8)及び洗浄/溶出前(レーン9及び10)に含有されている。溶出及び溶出後プール(レーン11及び12)は、参照試料SEC−F(レーン15)と類似のバンドパターンを示す。参照試料は、第1世代(Gen1)プロセスに従って精製したが、SEC溶出物プールの上昇ピークにほぼ対応している。高塩洗浄(レーン13)は、レーンの上部領域にスメアで認められる超大型rVWF分子を含有している。
多量体分析は、標準プロトコールに従って1%アガロースゲルで実施した。レーンあたりおよそ50ngのrVWFを適用し、尿素存在下、非還元条件下で分離した。分離したポリペプチドを、ウサギ抗ヒトVWF抗体(Dako)を一次抗体(1:1000希釈)として、AP結合ヤギ抗ウサギIgG抗体(Sigma)を二次抗体として用いて、ウェスタンブロットにより可視化した(希釈1:2000)。
UNO_S(Gen2)とSEC(Gen1)実行のrVWF多量体分布を比較すると、逆分離効果を明確に認めることができる。SEC手順では、超大分子及び大型分子が最初に溶出され(ボイドボリューム)、続いて標的分子及びプロペプチドが溶出される。Gen2では、分離の順序は正反対である(小型〜大型)。しかしながら、どちらの方法でも、溶出物プール内で同じrVWF多量体分布が生じる。UNO_S工程に続いて、標的分子を濃縮し、それを製剤緩衝液に移すためにUDF(濃縮/透析)ユニット操作が必要であった。
6.4 分析結果
分析結果の概要を、図52〜図55に示す。各表は、1つの特定の分析アッセイの結果を示し、研究中に実施した5つの実行のデータを含む。溶出物の結果の比較概要も図56に示す。rVWF:Ag及びRisto Co活性の溶出物の収率の割合に加えて、表は、異なる実行セットアップを直接比較できるようにするための計算された比率を含む。
6.5 分析データと成功基準の一致
改変型CAT(UNO_S)ユニット操作工程から生じる溶出物(生成物画分)の標的パラメータは、選択されたBDS製品仕様に部分的に準拠している。BDS物質を得るためにCAT−E生成物プールを濃縮し、透析する必要があるため、開発目標(図57)は、主に、絶対パラメータ濃度に依存しない(計算された)比率である。
開発目標のほとんどが達成されたか、または到達に近かったという事実は、本明細書に記載の提案手順の実現可能性を示している。すべての分析アッセイを実施したわけではないが、それでも、rVWF:Ag及びRisto収率、CHO HCP及びプロペプチド不純物の除去、ならびにrVWF多量体の分布などの主要な結果は、提案した新規CAT手順と以前に適用したUNO_S/SECの組み合わせの性能が類似していることを示している。
7.考察
本研究中に、5つのUNO_S実行を実施し、第2世代CAT手順を調べた。最適化された(最後の)実行の結果は、Gen1手順(例えば、段階溶出モードでのUNO_S+SEC工程)で達成された結果に類似する、低分子量rVWF多量体からの高分子量rVWF多量体の分離ならびに標的タンパク質からのrVWFプロペプチド及びCHO−HCP不純物の除去を示す。約24mS/cm(36%溶出緩衝液B)の導電性を有する洗浄工程と、それに続く約50mS/cm(100%溶出緩衝液B)までの濃度勾配溶出工程を導入したことにより、以前に得られたGen1 SEC Fプールと類似の品質のCAT溶出物プールが得られた。CAT溶出物を濃縮及び透析するための追加のUDF工程を使用してもよいが、本明細書に記載のGen2 CAT手順は、BDS物質を取得するためにGen1下流プロセスで適用するUDF及びSECユニット操作工程を置き換える大きな可能性を示している。
実施例13:DF3338/042及びDF3362/023ウェスタンブロット抗VWFの多量体の評価
本方法から得られたmat−rVWFを、多量体含有量について分析した。記載の陽イオン抽出(CEX)法の利点として、以下が挙げられる:
ユニット操作の削減−現在のプロセスの3ユニット操作を、CEX1つに置き換える。
r−vWFプロペプチドの枯渇及び宿主細胞タンパク質の枯渇は、親和性工程と類似している。
陽イオン交換体上での「オンカラム」でのSD処理を含めることにより、4ユニット操作を1工程に含める。
陽イオン交換体上での「オンカラム」でのSD処理及びフューリン成熟を含めることにより、5ユニット操作を1工程に含める。
血栓性rVWFの生成リスクを低減するせん断応力の低減(ユニット操作、濾過の減少、及び保持時間の有意な短縮に起因する)。
この分析では、ウェスタンブロットを実行した。ウェスタンブロット画像をCorel Photo Paintソフトウェアにインポートし、16ビットのグレースケール画像に変換した。16ビットのグレースケールフォーマットは、評価の要件である。Image Quant 1Dソフトウェアで評価を実施した。
評価を簡略化するために画像を垂直反転させた(レーン番号は同じままである)。
バンド1〜6=低分子量
バンド7〜12=中程度の分子量
バンド>12=高分子量
3ユニット操作プロセスから得られた生成物と比較した、本明細書に記載の強化型CEXから得られた生成物のvWF多量体のデンシトメトリー評価。
多量体の割合を示す生データを図61〜63に示す。
実施例14:バリアント型vWF精製プロセス
I.背景技術
r−vWFプロペプチドは、CHO細胞由来r−VWF生成物の生成物関連不純物である。産生細胞株は、プロ−r−vWFを約60%含むr−VWFを生成する。r−VWFプロペプチドを、ペプチドアミド結合による共有結合で、さらに二価陽イオンによる非共有結合でr−vWFポリペプチドに結合する。共有結合であるペプチドアミド結合を、rフューリンとのin vitroインキュベーションによって切断する。しかしながら、切断されたr−VWFプロペプチドはVWF分子に結合したままであり、これら2つのポリペプチドの分離方法を本実施例に記載する。rvWF/rvWF_PP複合体は、二価陽イオン及び低pHによって安定化することが判明した。適切な分離法と組み合わせて二価陽イオンのキレート剤または高pHを適用することにより、2つの分子を高効率かつロバストな方法で分離することができる。洗浄手順として陽イオン交換樹脂に添加した場合、またはサイズ排除クロマトグラフィーで分離緩衝液に添加した場合に、キレート剤としての低濃度EDTAまたはクエン酸塩が効果的であることがわかり、pH7以上のpHも効果的であることがわかった。同じ原理が、樹脂またはメンブレン技術によるイオン交換またはサイズ分離を含むすべての分離技術に適用できるはずである。rVWFの現在の製造プロセスでは、rVWFとrVWF−PPの分離をサポートするためにクエン酸塩を含有する実行緩衝液を使用して工程SECを実行する。
1.実施例の適用範囲の記載−VW_USS_07
1.r−vWFプロペプチドの枯渇
2.代替「カラム上のSD_VI」処理の実施例
3.「オンカラム」でのrFVIII/r−vWF複合体の生成
4.代替製剤緩衝系におけるrFVIII/r−vWF複合体の溶出中のオンカラム予備製剤化
プロセスの詳細:
組換え第VIII因子を捕捉するモノクローナル抗体工程の後、r−vWFを含むフロースルーをFractogel TMAE陰イオン交換体にロードした。r−vWFを陰イオン交換体に結合させ、カルシウム存在下でフューリンにより成熟させた。r−vWFは、導電性の増加とともに陰イオン交換体から溶出された。TMAE−溶出物をMustang Q(Mustang Q,Pall部品番号XT5000MSTGQP1)フィルタユニットを介して濾過し、フィルター膜に結合するCHO−DNA及び不純物を除去した。生成物を含むMUQ_フロースルーを、[60mMクエン酸ナトリウム pH7.6]で1:2希釈して、導電性21.9mS/cm及びpH7.16に調整した。r−vWFプロペプチド及び低分子量r−vWFを確実に除去するために高導電性を選択し、所望の高分子量r−vWFに対する樹脂の容量を利用した。調整したロードを、UNOsphere(商標)S Cation Exchange Media(Bio Rad,物品番号156−0115)内径=10mm ベッド高さ8.8cm 容量6.91mlに流速100cm/時間でロードし、続いて、強く結合したHCP及びr−vWFプロペプチドを枯渇させるための2CVの[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]による第1の洗浄(再平衡化)を行った。
12カラム容量の[18.0gポリソルベート80,3.5gジメチルスルホキシドすなわちDMSO,3.5g TnBPの25g/Kg混合物を含有する30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH 7.5]及び脂質エンベロープウイルスを不活化するための約1時間の接触時間を用いて、潜在的な「オンカラム処理」(WSD)を実施した。「オンカラム処理」の成分を、洗浄2により、10カラム容量の[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]中で洗い流した。洗浄3を適用することにより、緩衝液を、クエン酸ナトリウム緩衝系から、[50mMグリシン,10mMタウリン,10%スクロース,0.1%ポリソルベート80,pH5.5]を4カラム容量で添加することにより、グリシン/タウリン系に変更した。工程「FVIII−Con」において、結合したr−vWF上に、ADVATEプロセスに由来する組換えヒト凝固因子VIIIを10カラム容量でロードした。
FVIII−Con−緩衝液は、[218.67gの50mMグリシン,10mMタウリン,5%(w/w)スクロース,5%(w/w)D−マンニトール,0.1%ポリソルベート80,2mM CaCl2,150mM NaCl,及びpH7.4に希釈した1.57g rFVIII S2 ADV S17B010901B2]からなる。洗浄4を適用して、非結合rFVIIIを洗い流し、5カラム容量の[50mMグリシン,10mMタウリン,5%(w/w)スクロース,5%(w/w)D−マンニトール,0.1%ポリソルベート80,2mM CaCl2,150mM NaCl,pH7.4]を添加することにより、予備製剤化用の緩衝マトリックスを調製した。カラムからr−vWFとrFVIIIの両方を[50mMグリシン,10mMタウリン,5%(w/w)スクロース,5%(w/w)D−マンニトール,0.1%ポリソルベート80,2mM CaCl2,600mM NaCl,pH7.4±0.2]で溶出して溶出物を形成した。[50mMグリシン,10mMタウリン,5%(w/w)スクロース,5%(w/w)D−マンニトール,0.1%ポリソルベート80,2mM CaCl2,pH7.4]で溶出物を希釈して、塩化ナトリウム含有量を約150mM NaClに調整した。
プロセスシーケンス:
本実施例の主要な工程のシーケンスは、以下の工程からなる(クロマトグラフィースキームに関して、図67の下部も参照のこと)。
1.Mab FVIIIの捕捉(FTは、r−vWFを含有する画分である)
2.Fractogel TMAE捕捉+成熟
3.FTモードでのMustang Q
4.記載のCEX(VW_USS_07)
結果:
4点すべてで実験は成功した:
1.洗浄1、WSD((W)ash with (S)olvent (D)detergent)及び洗浄2の洗浄工程の間にr−vWFプロペプチドの枯渇が生じた(図67、68、及び69を参照のこと)
2.工程WSDにおける代替の「SD_VIオンカラム処理」の実施例。
3.「オンカラム」でのrFVIII/r−vWF複合体の生成−工程FVIII−Con。
4.代替の製剤緩衝系におけるrFVIII/r−vWF複合体の溶出中のオンカラム予備製剤化(図66、最終行を参照のこと)。
実施例15:バリアント型vWF_精製プロセス−シアル化の試験
I.背景技術
r−vWFプロペプチドは、CHO細胞由来r−VWF生成物の生成物関連不純物である。産生細胞株は、プロ−r−vWFを約60%含むr−VWFを生成する。r−vWFプロペプチドを、ペプチドアミド結合による共有結合で、さらに二価陽イオンによる非共有結合でr−VWFポリペプチドに結合する。共有結合であるペプチドアミド結合を、rフューリンとのin vitroインキュベーションによって切断する。しかしながら、切断されたr−VWFプロペプチドはVWF分子に結合したままであり、これら2つのポリペプチドの分離方法を本実施例に記載する。本実施例は、さらなるシアリル化を試験するために、フューリン切断後のr−VWFポリペプチドからr−vWFプロペプチドを分離するための代替のバリアント型の実施形態を提供する。精製プロセスの追加の詳細及び結果を、図70〜73及び78に示す。
1.実験番号:VW_USS_06
1.r−vWFプロペプチドの枯渇
2.r−vWFの追加のオンカラム2,6シアル化を生成する
2.実験番号:VW_USS_06
組換え第VIII因子を捕捉するモノクローナル抗体工程の後、r−vWFを含むフロースルーをFractogel TMAE陰イオン交換体にロードした。r−vWFを陰イオン交換体に結合させ、カルシウム存在下でフューリンにより成熟させた。r−vWFを陰イオン交換体から導電性の増加とともに溶出した。TMAE−溶出物をMustang Q(Mustang Q,Pall部品番号XT5000MSTGQP1)フィルタユニットを介して濾過し、フィルター膜に結合するCHO−DNA及び不純物を除去した。生成物を含むMUQ_フロースルーを、[60mMクエン酸ナトリウム pH7.6]で1:2希釈して、導電性18.39mS/cm及びpH7.33に調整した。r−vWFプロペプチド及び低分子量r−vWFを確実に除去するために高導電性を選択し、所望の高分子量r−vWFに対する樹脂の容量を利用した。調整したロードを、UNOsphere(商標)S Cation Exchange Media(Bio Rad,物品番号156−0115)内径=10mm ベッド高さ8.8cm 容量6.91ml上に流速100cm/時間でロードし、続いて、強く結合したHCP及びr−vWFプロペプチドを枯渇させるための[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]による2CVの第1の洗浄(再平衡化)を行った。追加の2,6シアル化を導入するために、[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]に基づく50%(v/v)CMP−NANA溶液及び[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]に基づく50%(v/v)のα2,6シアリルトランスフェラーゼの混合物を、オンライン混合により、10カラム容量、流速25cm/時間でカラム上に添加した。CMP−NANA溶液の組成は、154.29gの[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]に溶解させた11mgのCMP_NANA C8271−25mgのロット番号SLBV7777であった。α2,6シアルリトランスフェラーゼ緩衝液の組成は、1mlの精製水に溶解したPhotobacterium Damsela由来のα2,6シアリルトランスフェラーゼS2076−1UN SIGMA,ロット番号SLBV0552であり−溶解したα2,6シアリルトランスフェラーゼ0.5gを152.10gの[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]で希釈した。2カラム容量の[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]によるさらなる洗浄を適用して、過剰なCMP_NANA及びα2,6シアリルトランスファーザーゼを除去した。4カラム容量の[50mM HEPES,150mM NaCl pH6.0]を添加することにより、緩衝液交換を提供した。4カラム容量の[50mM HEPES,500mM NaCl,pH7.5]で溶出を行った。
3.完全な精製シーケンスVW_USS_06
本実施例の主要な工程のシーケンスは、以下の工程からなる:
1.Mab FVIIIの捕捉(FTは、r−vWFを含有する画分である)
2.Fractogel TMAE捕捉+成熟
3.FTモードでのMustang Q
4.記載のCEX(VW_USS_06)
結果
本実施例において、この方法を用いて追加の2,6シアリル化は検出されない。しかしながら、r−vWFの通常のシアリル化パターンである2,3シアリル化が認められた。
実施例16:バリアント型vWF_精製プロセス−シアリル化の試験
I.背景技術
r−vWFプロペプチドは、CHO細胞由来r−VWF生成物の生成物関連不純物である。産生細胞株は、プロ−r−vWFを約60%含むr−VWFを生成する。r−vWFプロペプチドを、ペプチドアミド結合による共有結合で、さらに二価陽イオンによる非共有結合でr−VWFポリペプチドに結合する。共有結合であるペプチドアミド結合を、rフューリンとのin vitroインキュベーションによって切断する。しかしながら、切断されたr−VWFプロペプチドはVWF分子に結合したままであり、これら2つのポリペプチドの分離方法を本実施例に記載する。本実施例は、さらなるシアリル化を試験するために、フューリン切断後のr−VWFポリペプチドからr−vWFプロペプチドを分離するための代替のバリアント型の実施形態を提供する。精製プロセスの追加の詳細及び結果を、図74〜78に示す。
1.実験番号:VW_USS_08
1.r−vWFプロペプチドの枯渇
2.r−vWFの追加のオンカラム2,6シアル化を生成する
2.実験番号:VW_USS_08
組換え第VIII因子を捕捉するモノクローナル抗体工程の後、r−vWFを含むフロースルーをFractogel TMAE陰イオン交換体にロードした。r−vWFを陰イオン交換体に結合させ、カルシウム存在下でフューリンにより成熟させた。r−vWFを陰イオン交換体から導電性の増加とともに溶出した。TMAE−溶出物をMustang Q(Mustang Q,Pall部品番号XT5000MSTGQP1)フィルタユニットを介して濾過し、フィルター膜に結合するCHO−DNA及び不純物を除去した。生成物を含むMUQ_フロースルーを、[60mMクエン酸ナトリウム pH7.6]で1:2希釈して、導電性19.97mS/cm及びpH7.33に調整した。r−vWFプロペプチド及び低分子量r−vWFを確実に除去するために高導電性を選択し、所望の高分子量r−vWFに対する樹脂の容量を利用した。調整したロードを、UNOsphere(商標)S Cation Exchange Media(Bio Rad,物品番号156−0115)内径=10mm ベッド高さ8.8cm 容量6.91mlに流速100cm/時間でロードし、続いて、強く結合したHCP及びr−vWFプロペプチドを枯渇させるための2CVの[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]による第1の洗浄(再平衡化)を行った。追加の2,6シアル化を導入するために、[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]に基づく50%(v/v)CMP−NANA溶液及び[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]に基づく50%(v/v)のα2,6シアリルトランスフェラーゼの混合物を、オンライン混合により、10カラム容量、流速25cm/時間でカラム上に添加した。CMP−NANA溶液の組成は、121,57gの[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]に溶解した14mgのCMP_NANA C8271−25mgのロット番号SLBV7777であった。α2,6シアルリトランスフェラーゼ緩衝液の組成は、121.10gの[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]に溶解したPhotobacterium Damsela由来のα2,6シアリルトランスフェラーゼS2076−1UN SIGMA,ロット番号SLBV0552であった。2カラム容量の[30mMクエン酸ナトリウム,180mM NaCl,pH7.5]によるさらなる洗浄を適用して、過剰なCMP_NANA及びα2,6シアリルトランスファーザーゼを除去した。4カラム容量の[50mM HEPES,150mM NaCl pH6.0]を添加することにより、緩衝液交換を提供した。4カラム容量の[50mM HEPES,500mM NaCl,pH7.5]で溶出を行った。
3.完全な精製シーケンスVW_USS_08
本実施例の主要な工程のシーケンスは、以下の工程からなる:
1.Mab FVIIIの捕捉(FTは、r−vWFを含有する画分である)
2.Fractogel TMAE捕捉+成熟
3.FTモードでのMustang Q
4.記載のCEX(VW_USS_08)
結果:
本実施例において、この方法を用いて追加の2,6シアリル化は検出されない。しかしながら、r−vWFの通常のシアリル化パターンである2,3シアリル化が認められた。
上記の実施例は、当業者に対して、本発明の組成物、システム及び方法の実施形態の作製方法及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するために提示されており、本発明者らが自身の発明と見なすものの範囲を限定することを意図しない。当業者に明らかな、本発明を実施するための上記のモードの修正は、添付の特許請求の範囲内にあることを意図している。本明細書で言及するすべての特許及び刊行物は、本発明が属する分野の当業者のレベルを示す。本開示で引用されるすべての参考文献は、あたかも各参考文献がその全体が個別に参照により援用されるかのように、参照により援用される。
すべての見出し及び節の指定は、明確化と参照の目的でのみ使用されており、いかなる方法でも制限と見なされるべきではない。例えば、当業者であれば、本明細書に記載の発明の趣旨及び範囲に従って、異なる見出し及び節から様々な態様を適宜組み合わせることの有用性を理解するであろう。
本明細書において引用されるすべての参考文献は、あたかも個々の刊行物または特許もしくは特許出願があらゆる目的のためにその全体が参照により援用されることが具体的かつ個別に示された場合と同じ程度に、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。
当業者には明らかであるように、本出願の多くの修正及び変形を、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載の特定の実施形態及び実施例は、単に例示としてのみ提供するものであり、出願は、特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲の文言によってのみ制限されるべきである。